MIO「私は軽音部を辞めるぞ律ゥーッ!」律「澪!?」(26)

おんがくしつゥ!

唯「どうしちゃったの!?澪ちゃん!」

梓「澪センパイ…」

律「辞めるなんて…嘘だよな?」

mio 「嘘ではないッ!」バッ!…ガシッ!

律「お、おいおい…そんなに強く肩掴んだらい…痛いじゃん…」アセアセ…

mio 「律…私の覚悟を疑うというのなら…こうだ!」ガバッ!…チュッ☆

律「ん!?…んむぅ~…///」ジタバタ…

紬「まぁ…///」ウットリ…

梓「澪センパイが…律センパイの唇を…///」

純「さっすが澪センパイ!私達にできないことを平然とやってのける!…そこにシビれる!憧れるゥ!」

勝利者など居ない、戦いに疲れ果て
星空を見上げる、泣くことも叶わない

律「…っぱぁ!何すんだよ、澪!急に辞めるって言い出したりキスしたり!どうしちゃったんだよ…」

澪「どうもしていないッ!決めたんだ!軽音部をやめるってな」

突然の発表に唯はあわてふためきながら言う

唯「ど、どうして!?もしかして私たちが練習さぼってばっかりだったから…?」

澪「そんなんじゃないよ。ただ、私は軽音部をやめなければならないんだ。」

なんだそりゃ。

律「…なんでだよ」

いつの間にか私は口を開いていた

律「なんでだよ!澪!!なんで今になって急に辞めるだなんて言い出すんだ!昨日だって普通に練習し

て!…まぁティータイムの時間もいつも通りあったけど……でも!突然すぎるよ!」

律「だから…せめて理由は教えてくれないか?」

律「やめるなとは言わないよ。澪も相当覚悟して決めたみたいだし…」

律がそういうと澪は突然顔を抑えて地面にしゃがみこんだ

紬「…澪ちゃん」

律「澪…何かあったんだろ、話してくれないか?私には分かる」

数十秒の沈黙の後、おもむろに澪は口を開きはじめた

澪「私…転校することになったんだ」

どれぐらい沈黙が続いただろう

澪のあまりに突然の発言の意味をすぐには理解することができなかった

沈黙を破り梓が口を開いた

梓「み、澪先輩…転校というのは、その…どちらに行かれるんでしょうか」

澪「ここからうんと遠いところだ。だからみんなともお別れだ」

そんな…澪ともう…会えない?バカいうんじゃねぇ。そんなことあってたまるか

紬「い、いつ転校するの?」

意を決したように紬が質問する

澪「一週間後だ。つまり今週いっぱいでこの学校をやめることになるな」

澪はいたって冷静に答えた

唯「そ、そんな…!み、澪ちゃん!なんとかならないの?」

澪「パパの仕事の都合だからな…私にはどうすることもできないよ」

律「…!」

ようやく澪の置かれている状況が理解できた

澪はお父さんの仕事の都合で一週間後に遠方へ引っ越す

つまり来週には…澪はここからいなくなる

律「澪!」

気がついたら私は喋りだしていた

律「どうしてそんな重要なことを今まで黙ってたんだよ!どうして!どうして…!」

視界に映る澪の姿が霞む

唯やムギも泣いているようだった

梓も今にも泣きだしてしまいそうだ

純ちゃんは声を荒げて泣いている

澪「律…ごめんな?なかなか言い出す勇気がなくて…」

澪「ハハッ…引っ越しすることを伝えるときは泣かないって…グスッ 決めたのになぁ」


気が付くと部室にはすすり泣く声がこだましていた


唯「…そうだ」

鼻声になりながら唯が口を開く

唯「澪ちゃんを送り出す曲をみんなで作ろうよ!あっちでも、澪ちゃんが私たちを思い出せるような!」

曲か…いいお別れのプレゼントだな

律「そうだな…」

律「そうだな!唯!ナイスアイデアだよ!」

唯の頭をなででやる

唯「えへへぇ…」


紬「そういうことなら私も頑張って作曲をするわ!」

梓「わ、わたしも!とにかくやってやるです!」

純「私も!何かお手伝いできることがあったら何でも言ってください!」

澪「みんな…!」

唯「…でも、頑張る前に、ちょっとお腹が空いてきちゃったや」

澪「まったく唯は…!」

アハハ…

やっといつもの軽音部の雰囲気に戻った気がした

でもこのやりとりも今週で見納めかぁ…


月日はあっという間に流れ去った

気が付けば明日が澪が出発する日である

澪が引っ越してしまう前にできる限りのことはしたつもりだ

悔いの残らないように澪と遊びまわったし、私が借りたままだった澪の漫画も返した

あとは明日澪への演奏を成功させるだけだ

でも、それが終わったら澪は…!

律「みお…」

私は布団の中で声を殺して泣いた


様々な澪との思い出が甦る

よく二人で楽器屋に行ったっけ

くだらないことでケンカもしたなぁ

一体アイツとどれだけの時を共に過ごしたのだろう

そんな大切な澪が、明日いなくなる

律「耐えられるわけないだろうが…!」

ついには声を出して泣いた

一週間前まではまるで意識していなかったが、澪がどれだけ自分の中で大切な存在かやっとわかった
気がした


いよいよ澪が出発する日がやってきた

澪と最後の登校をするために家に行くと、引っ越し業者の作業を見守る澪の姿があった

律「みーお!」

いつもと同じ調子で澪に声をかける

澪「あぁ。来たか律」

澪もいつもと変わらないそっけない返事を返してくる

律「だいぶ…片付いちゃったな」

玄関から見える澪の家の内部のモノはほとんど運び出されたようだった

澪「あぁ、いよいよって感じだな」


少しの間沈黙が訪れる

トラックに荷物が乗せられる音がする中 私は口を開いた

律「なぁ、澪 私に言い残したことはないかぁ~?」

ちょっといじわるっぽく言ってみる

澪「そうだな…」

少し困ったようなそぶりを見せた後、ちょっと恥ずかしそうに澪は答えた

澪「『ありがとう』…かな?」

       ・
       ・
       ・

梓「センパイ!準備できました!」

梓の元気のいい声が部室に響いた

律「よーし!澪を元気に送り出すための演奏だ!みんな気合い入れていくぞ!!」

紬「はい!」

唯「うん!」

梓「やってやるです!」

純「私も頑張ります!」

律「よっしゃー!いくぜ!!1、2、3!」カッカッカッ


ジャァアアン!

澪の心へ届くよう全力を尽くした演奏は終わった

澪「…!」パチパチパチ

澪「みんな!こんなことしか言えなくてあれだけど、ありがとう!!」

唯も紬も、梓も純も、澪もそして私もみんな互いに見つめ合って笑いあった

軽音部は一つである気がした そしてたとえ距離が離れようとこの結束は崩れることはないと思った

しばらくして、澪はイスから突然立ち上がった

澪「律、最後にもう一つだけ言わせてくれ…」

律「?」


澪は自分を奮い立て、大声で叫んだ

澪「私は軽音部を辞めるぞ律ゥーッ!!!でも!そんなことで私たちの友情は壊れないぞーッ!!」

澪なりに軽音部への未練を断ち切るための言葉だったのだろう

しかし一週間前とは異なり、泣いている者は誰ひとりとしていなかった


唯「澪ちゃん…私たちと家の距離は離れちゃうけど、心の距離は離れないからね!」

澪「あぁ!」

唯が澪に言葉を贈る

紬「澪ちゃん…私たちはいつまでも仲間よ!澪ちゃんが遠くに行ってしまっても、私たちは澪ちゃんのこ
とを応援し続けるわ!」

澪「ありがとう!ムギ」

紬も言葉を贈る


梓「澪先輩!短い間でしたけど…いろいろと面倒みてくださってありがとうございました!
引っ越してしまっても、私は澪先輩のこと忘れません!だからつらい時があったら澪先輩も私たちのことを思い出してく
ださい!」

梓「あと軽音部の方も心配しないでください!明日からは澪先輩の分まで私がみなさんに練習するよう
に言いますから!」

澪「ふふ、頼もしいな、梓は」

澪は梓の頭をなでてやる

純「澪先輩!先輩がいなくなっても澪先輩ファンクラブは継続するように頼んできます!たとえどんなに
距離があろうともファンクラブ会員は澪先輩のファンであり続けるつもりです!」

澪「いや、ファンクラブの方はもう勘弁してくれ…」

アハハ…

純の言葉はお別れムード漂う部室の空気を和ませた


律「そして最後に私から…」

そういうと私は澪の肩を強く掴んでやった

澪「…?律?どうした?ってどうしてそんなに顔を近づけ…」

チュッ☆

律「…」

澪「…」

紬「///」

律「お別れのキスだ。それに一週間前のお返しだ」

澪「ふふっ、格好いいこと言ってくれるじゃないか」

律「あ、私も澪に言うこともあったんだ」

澪は少し苦笑しながら言う

澪「なんでもどうぞ」

私は息を大きく吸い込んで言った


律「みおーっ!!正直明日から澪に会えないのは寂しい!澪に転校してほしくないッ!」

澪「律…」

急に大声を出して、驚く者もいる中 かまわず私は叫び続ける

律「でも!澪がいなくても、私は頑張るから!」

律「…だから澪も頑張れ」

最後は少し声が枯れてしまった

澪「律…わかった。私も頑張るよ」

澪はあくまで冷静に 答えた


澪「さぁ、そろそろ私も戻らなくちゃな。パパに校門のところに迎えに来てくれるよう言ってあるんだ」

梓「つまり…校門のところで澪先輩とは…」

紬「お別れ…ね…」

梓と紬の声は消え入るように小さかった

澪「じゃあみんな今日はありがとな!」

澪は扉に向かって歩き始める

唯「澪ちゃん、元気でね!」

唯が別れの言葉をかける

澪「わかった!じゃあな!」バタン

しばらくして、廊下から足音が消えた

…行ってしまったか

まぁあんまり長居しても未練がましくなるだけだし、いいお別れだったんじゃないかな

梓「でもびっくりしました。あの怖がりの澪先輩のことですから『転校は怖いよー』って律先輩に泣きつくと
思ったんですけど」

梓がサラリと失礼なことを言う

私も澪が怖がりなことはよーく知ってる。でもな…

律「きっと澪は怖くなんてなかったんじゃないかな?」

梓「え?」

律「転校したって私たちが大切な友達であるという事実は変わらないんだからな」

梓「そうですよね!」

転校したって私たちは友達だぞ 澪

おわれ

             __
.         ゝ~''´   ヽ''~ゝ
         .ゞィ}ミリハ!_ハリ)ジ
        ∩ヾ(l ゚ ヮ゚ノ'

         ヽ    川つ
          (⊇ ノノ )
        / ̄ ̄ ∪-

        / 終了の像 |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


乙乙

乙でした!



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