男「インベーダー……」 (39)

【学校】

ウーウー ウーウー

女「な、なにこのサイレン?」

友「インベーダーが攻めてきたってやつじゃね」

女「えっ!? ついに日本にも来たの!? しかもなんでうちの地方に……」

女「ていうかなんでそんな落ち着いてんのよ!」

友「こういうのは焦った方が負けなんだって。とっとと地下シェルター行こうぜー」

友「おい男、お前もぼっとしてないで行くぞ」

男「あ、うん」

女「き、危機感がない……男くん! はやく!」

男「はいはい……」

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【地下シェルター】

女「ふう……学校のみんなも避難してるみたいだね……」

友「核爆弾にも耐えられる地下シェルターだ、まあ逃げ込めば安心だろ」

女「急にサイレン鳴り出すから心臓に悪いよ……。男くんは大丈夫だった?」

男「僕は大丈夫だよ」

友「こいつふわふわしてるようで意外とタフだからな」

女「みんな怯えてるのにまともなの二人だけだよ……」

友「非日常ってワクワクするよな」

女「不謹慎だよ、もう……」

こういう主人公とか好き

面白かった、次回作はいらない

女「はぁ……」

友「さっきからため息つきすぎじゃねーの」

女「だって、つきたくもなるよ。死んじゃうかもしれないのに」

友「大丈夫だって。防衛軍の特車が出張ってくるんだから」

女「とくしゃ……?」

男「いわゆる人型ロボットってやつだよ。これ」ピッ

友「へー……随分とアップの写真だな。演習でも見に行ったのか?」

男「姉さんがパイロットなんだ」

友「それ職権濫用じゃね?」

男「無理やり撮らされた」

友「無理やりって……」

男「私これ乗ってんのよ? かっこいいでしょ? 撮っていいのよ? 友達に自慢できるでしょ?」

男「ほらほらこのフォルム。見なさいよ。どこ行くの。早く撮れ。撮れっつってんだろダボが」

男「……って感じでね」

友「お前の姉貴、エキセントリックだな」

男「僕の性格はその反動だよ、多分」

女「……なんでそんなに落ち着いてられるのよ、もう……」

男「僕らにはどうしようもないしね」

友「だな。……うちの市内が戦場になるんだったら生で特車見れっかな?」

女「ちょっと、やめてよ?」

ズシン

友「うお、っと!」

女「きゃあっ!」ダキッ

男「……」

女「あ、ご、ごめん!」バッ

男「いや……」

友「役得だなこのヤロー」グイグイ

男「柔らかかった」

女「……っ!」

友「はは……。しっかしこのシェルターが揺れたってことは、戦場は近ぇな」

男「だろうね。案外校庭の真上かもしれない」

女「……しぇ、シェルターの壁、破られたりしないよね」

友「大丈夫だろ。……っと、やべ」

女「な、なに?」

友「いや、少し催してきちまった。男ー、ションベン行こうぜ」

女「も、もう! 友くんのバカ!」

男「いいね、男の友情を育もう」

女「男くんまで……」ハァ

友「じゃ、いってくる」

女「はーい……」



友「さーて男、わかってんだろ?」

男「うん。特車を見るんだろ」

友「さっすが相棒!」

男「友はいつも唐突だね」

友「合わせてくれて感謝してるぜ」

男「じゃ、行こうか」

友「おっ、興味あんのか?」

男「ちょっとはね」

友「おっしゃ!」

タッタッタッ


女「……」

女「……二人とも遅いなー」

女「…………」

女「……! まさか!」ダッ

【地下シェルター外】

友「お、おおう……」

男「……」

友「こりゃ流石に予想外だったぜ……校舎が完璧にぺしゃんこになってら」

男「防衛軍の戦艦が不時着したんだ」

友「うへー……インベーダーもうじゃうじゃいやがる」

男「戦艦の対空砲火と特車の働きで五分五分かな」

友「とはいえ空取られてると厳しそうだな」

女「…………はぁっ、はぁっ、おい、ついた!」

友「お、よう女。お前も見学?」

女「バカっ!」

女「やっぱり二人ともこんな危ないところにいて!」

女「早く帰るよ! ほら……!」グイッ

友「へーへー、待ってくれって……」

男「……!」バッ

男「伏せろ、二人とも!」

友「は?」

女「えっ?」

男「――いいから!」グイッ

友「う、おっ!」


ドガァァァァンッ


女「 」

友「う、おあぶっ」

男「……」

女「……あ、あな……大穴が空いちゃった……校庭……」

友「インベーダーの超高エネルギー砲ってやつか……?」

男「シェルターも突き抜けたみたいだ……」

女「えっ……」

友「……マジかよ……くそっ、女、立てるか」

女「……え、先生とか……みんな……えっ? あの、えっ?」

友「男、女は俺が背負うわ」

男「わかった。戦艦でもこっちの状況は把握してるだろうから、収容してもらえるはずだよ」

友「了解。……お前と女がいてくれて助かったぜ」

男「?」

友「一人だと気が狂ってそうだ……」

男「わかるよ……」グッ

男「よし、このままグラウンドの端を通って戦艦まで進もう」

友「おう……」

女「……みんな……死んじゃった、の?」

友「……核より熱量あるってことだよなあれ……」

友「よく炭になんなかったな俺たち……」

男「ここで死ぬさだめじゃないってことだよ」

友「へっ、ロマンチストだなーお前」

男「そうかな。……そう考えでもしなきゃ潰れそうだしね」

友「まあな……」

女「うぅ……」

男「女……」

友「……俺たちがついてやれるだけまだマシか」

【戦艦・ハッチ前】

兵士「き、君たち!?」

友「俺たちシェルターにいたんすけど、見ての通りシェルターブッ壊れちまって」

男「ここの学校の生徒です。IDはこれ。保護をお願いできますか」

兵士「あ、ああ……よく生きてたな……」

男「たまたま外に出ていたので……」

兵士「そうか。わかった、早く入りなさい。離陸も近い」

男「ありがとうございます」

友「あざっす!」

男「新型戦艦……」ボソッ

友「ん?」

【ブリッジ】

副長「艦長、当空域のインベーダーは殲滅いたしました」

艦長「流石は新鋭艦に新型艦載機か……」

艦長「とはいえ、目の前のシェルターをみすみす焼き払われるとは……」

副長「……口惜しい限りです」

艦長「艦載機を収容後、本艦は離陸。実戦データとしてはもう十分だろう」

副長「それでは月基地へ?」

艦長「ああ……」

オペ子「艦長、民間人を三人保護したとの連絡が」

艦長「民間人?」

オペ子「学生のようです」

艦長「そうか……辛い現実に過ぎたろう。ゆっくり休ませてやりなさい」

副長「賛成です」

【ドック】

少尉「へっへー、どうです大尉、俺様の特車捌きは!」

大尉「相変わらず無駄が多い。無駄口も多ければ隙も多い」

少尉「うへえ……」

プシュー

中尉「……」

少尉「あっ! 中尉、中尉殿ォ! どーでした、俺の特車捌き! 上手くやりましたよね!」

中尉「……ごめん、見てない」

少尉「えー……なんで見てくれてないんすか……」

中尉「ごめん……」フラッ

大尉「少尉」

少尉「なんスか?」

大尉「……中尉の弟は『ここ』の学生だ」

少尉「……ッ、失礼、しました……」

中尉(守れなかった……守れなかった……)

中尉(男……ごめん……あんなに特車のこと自慢してたのに……)

中尉(あたし……あんたのこと……守れ……)

中尉(くそっ、くそ、くそっ、くそぅ……!)

中尉「くそぉ……!」

中尉「こんなの……嫌だ……!」

中尉「うぅ、う、ぁあああああぁぁぁ……」ポロポロ

【生活区画】

友「個室がもらえるって豪勢だな」

男「新鋭艦だからね。居住性も充実してるみたいだ」

友「へー、新鋭艦ね……それで民間人にも優しいってか」

男「穿った見方をすれば、罪滅しの面はあるかもね」

友「なるほど……とはいってもありゃどうしようもねえよ……」

男「うん……」

女「みんな、死んじゃったんだね……」

男「死んでしまった。痛みを感じる間もなく」

友「苦しまなかったのだけは救いだろうかね」

女「そんなこと……あるわけないよ……」

友「悪い、失言だ」

男「女」

女「なに、男くん……」

男「僕と友がついてる。離れたりしないから、安心して」ギュッ

女「うん……」ギュッ

友「おやおや、僕はお邪魔でしょうかねえ?」

男「かもね」

友「否定しろよ!」

女「……ありがとう、二人とも……」

男「うん……」

友「おう……」

ホワイトベースかな?

女「…………」

友「安心して寝ちまったか」

男「だね」

友「……はあ。今言うことじゃないかもしれねえけどよ」

男「うん」

友「お前って、女に惚れてたりすんのか?」

男「え? いや……そういう対象で見たことはないな」

友「そうか……じゃあ、まあ、それでもいいんだけどよ」

男「友は惚れてるよね」

友「ぶっ! ……な、何言い出すんだ」

男「見てればわかるよ」

友「そ、そうですか……まあ、つまりだ、俺が言いたいのはだ」

友「俺は惚れた女を守る。全力でな」

男「知ってる。そういうのは死亡フラグって言うんだよ」

友「だーっ、もう! うるせえ、意志表示だ、意志表示!」

友「とにかく! 俺は女を守る! でも、女はお前に惚れてる……」

男「そうだね」

友「気づいてんのかよ!」

男「見てればわかるよ」

友「嫌な野郎だな……」

男「大丈夫、僕も女が大事なのは同じだ。僕も当然彼女を守るつもりだから」

男「でもそれだけじゃない。友のことだって僕は守るから」

男「それじゃ、ダメだろうか」

友「いいや、大丈夫。女のこと、絶対守ろう。支えになってやろう」グッ

男「ああ」グッ

友「しかし俺らってずっと生活区画にいていいのかね」

男「さあ……?」

オペ子『全クルーに連絡。本艦は五分後に離陸、種子島へ針路を取ります』

オペ子『各部クルーは所定の位置についてください』

友「種子島? マスドライバーか?」

男「目的地は月面基地かな」

友「げ、月面だとぉ!?」

男「大丈夫。僕らは佐世保とかで降りることになるんじゃないかな?」

友「十分地元から遠いんだが……」

男「地元ここだけど、壊滅してるしね」

友「今はとりあえず乗っけてもらう他ねーか……」

【ブリッジ】

艦長「浮上後各パラメータチェック」

オペ子「エンジン回転数、出力、全て良好」

艦長「針支持修正、艦首回頭」

オペ子「電波拾い。針指示修正よし。270°回頭」

艦長「スラスト方向水平位置へ」

オペ子「スラスト方向制御開始。……水平方向固定完了」

艦長「微速前進」

オペ子「微速前進」

艦長「索敵は怠らないように。私は少し席を外す」

副長「どちらへ?」

艦長「保護した民間人に会ってくる」

【生活区画】

友「へー、お前よくそんなこと知ってんな」

男「軍の装備って結構好きだから……」


艦長「……ん、あそこか」


友「地球でテストデータを収集してる新型艦ねえ」

友「特車も新型と来たか……」

男「多分機密だと思うからあまり大声で話さない方がいいよ」


艦長「……少しその注意は遅かったな」ザッ


友「おっ……美人さん……」

男「ごめん友、ミスった」

友「え?」

艦長「君たちに不自由を強いることを謝罪しようと思っていたのだが……」

艦長「どうもそうもいかないらしい……」

友「えっと……あなたは?」

艦長「私はこの艦の艦長だ」

友「一番偉いひとか……」

艦長「君たちの名は?」

男「僕が男、こちらが友、そこで眠っているのが女です。全員、そこの学生でした」

艦長「そうか。……我々のせいですまなかったな」

男「いえ……」

艦長「……さて、男くん。色々と尋ねたいことがあるが、単刀直入に聞こう」

艦長「君はどこまで知っているのかな?」

男「おおよそ全て、ですね」

艦長「では仕方がない……君たちには月まで来てもらう必要がありそうだ」

男「……僕たちの安全のためにも」

艦長「そうだ」

友「え?」

男「ごめん友、僕が不用意に喋らなければ」

友「い、いや、別にいいけどよ……新型なのがそんなまずいんスか?」

艦長「残念ながら敵はインベーダーだけじゃないからね」フッ

男「人類も一枚岩じゃないから……」

友「……ああ、そういう。なんとなくわかったぜ……」

艦長「艦内はあまり彷徨かないように。それ以外は出来うる限り便宜を図ろう」

男「ありがとうございます」

友「ウイッス」

艦長「……」

艦長(……あの男くんとやら、どうにも不思議なタイプだな)

【食堂】

ガヤガヤ

少尉「そういや聞きましたか大尉」

大尉「なんだ」

少尉「なんでも民間人の……学生を三人ほど保護したらしいですよ」

中尉「……」ガタッ

大尉「げ」

中尉「少尉!」

少尉「は、はい!」

中尉「その話、詳しく!」

少尉「や、俺も聞いただけで……」

中尉「誰に!」

少尉「お、オペ子であります!」ビシッ

オペ子「わ、私に振ったぁ!?」

中尉「オペ子」

オペ子「わ、私もハッチ詰めさんに聞いただけで……」

中尉「どんな子か知ってる?」

オペ子「男の子が二人、女の子が一人、とか……」

中尉「雰囲気は?」

オペ子「女の子は気絶してて、えっと、男の子が一人、異常に冷静だった、とか……?」

中尉「っ、男……! どこにいるの?」

オペ子「生活区画……」

中尉「情報ありがとう!」ダッ

大尉「待て中尉!」

中尉「だーが待つかハゲェ!」

大尉「…………」ビキビキ

少尉「う、ウキウキになりましたね中尉……よかったぁ」



中尉(生きてる! 間違いない! 男だ! 男が生きてるんだ!)

【生活区画】

中尉「だぁらしゃぁぁぁぁい!」ドドドド

友「うおっ!?」

男「……」

中尉「!」

男「姉さん……」

友「姉さん!?」

中尉「男! 男ッ!」ギュッ

男「……姉さん、この艦に乗ってたのか」

中尉「よかった……よかったぁ……」ギュッ

男「……」ギュッ

中尉「……ふう。情けないところ見せちゃったかな」

男「いや。大事に思われてて嬉しいよ」

中尉「へへ……こいつめ」ポカッ

男「ん。ああ、姉さん、僕の友達の友と、寝てるのは女」

友「よろしくお願いします」

中尉「うむ、よろしく頼むよ! 私は男の姉の中尉。気軽に中尉お姉さんって呼んでね」

男「友、姉さんの戯言は気にしなくていいよ」

友「はは……」

中尉「保護できた民間人は、あんたたちだけ?」

男「うん。僕ら以外、学校は全滅だろうね……」

中尉「そう、か……」

友「……あの、中尉さん」

中尉「なんだい?」

友「俺たちにも何か出来ることはないですか?」

中尉「……あー」ポリポリ

中尉「まあ……ないね」

友「……でも」

中尉「ないもんはない。それより、そこの子を守るのが仕事じゃないのかい?」

友「だからこそ、何かしたいんです」

中尉「いやいや、ただの学生にできることなんざないからさ」

中尉「ドンパチは軍人に任せてよ」

男「友」

友「……くっ」

中尉「まあ……食堂で働くくらいだったらあるかもだけどさ」

友「……それでも! それでも何かできるなら!」

中尉「はー……あんたの友達は熱血だね。見習ったら?」

男「僕は料理得意じゃないしな」

艦長「……」

副長「どうしました、艦長」

艦長「民間人は月まで連れて行く必要があるようだ……」

副長「えっ?」

艦長「まったく、極東軍の情報統制はどうなっているのやら……」ハァ

オペ子「レーダーに感あり! 熱源3、6、11……インベーダーです!」

艦長「着陸できる場所はあるか」

オペ子「東に山があります!」

艦長「よし、艦をそこへ下ろせ。特車隊、出撃させろ!」

副長「特車隊出撃!」

オペ子『全クルーに連絡、前方に熱源反応! 数15、インベーダーと推定!』

オペ子『特車隊は出撃翌用意! 繰り返す、特車隊は出撃翌用意!』

オペ子『特車隊出撃後、本艦は東5キロ地点の山頂に着陸、対空戦闘を開始します!』

オペ子『砲術科は対空戦闘用意! 機関科、カタパルト開け!』


中尉「やっべ、出撃だこれ!」バッ

男「姉さん」

中尉「続きは後で! インベーダー倒したら、コックにでも推薦してあげるからさー!」

友「は、はい!」

男「……」

女「う、うぅ、ん……?」パチッ

友「女、起きたか」

女「友くん……男くんも……」

男「また戦闘が始まるから、休んでおいたほうがいい」

女「ま、また……なの……?」

男「うん、また」

友「大丈夫だよ、俺たちがついてるからな」

男「そう。……あ。ごめん友、トイレに行ってくる」

友「はぁ……お前の緊張感のなさっつーか……まあ、うん」

男「多分大きいなこれ」

友「……いってらっしゃい」

少尉「よっしゃ、特車隊一番乗り! 少尉、出ます!」

大尉「出る。……しかし中尉の阿呆はどうした?」

オペ子「現在艦内を爆走中です。大尉と少尉は先に出撃お願いします」

大尉「了解。出るぞ!」

少尉「いっきまーす!」

ゴォォォッ


中尉「っだー! おいてかれたっ! くそうっ!」

オペ子「カタパルト発進用意」

中尉「中尉、出撃する!」

オペ子「中尉機の発艦を確認。本艦はこれより着陸態勢に移る」

中尉「置いてくなんてひどいじゃないですか!」

大尉「遅れた貴様が悪い」

少尉「それより中尉、ご機嫌じゃないっすか」

中尉「え? あ、うん、まーね! 弟が生きてたから……」

少尉「そ、それは何よりっすね! よかった……!」

中尉「だからバリバリ働いちゃいますよぉ?」

大尉「期待しないでおく。……敵を視認した。フォーメーションアルファ、各個撃破に移れ!」

中尉・少尉「「了解!」」

男がアルドノア・ゼロの主人公と重なる。声は花江さんなのは間違えない

まだぁ?

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