穂乃果「奇々怪々江戸物語」 (38)

キツい展開幾つかあります

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第一話。
海未「探し屋」


私には探し物がある。
それは実態が無く、掴めば手をすり抜け天に逃げて行く。

私は空を飛べるはずも無くその探し物が天へ登って行く様を見届けるしかない。

穂乃果「あれ?お客さん?」

海未「ここは何でも探してくれる探し屋と聞いたのですが?」

穂乃果「・・・」

彼女は驚いていた。
何故だか分からないがウサギのように体が飛び着物の袖が揺らめいた。

穂乃果「そっか、いやー最近、客さんが来なかったからびっくりしちゃったよ~。で、探し物は?」

海未「はぁー。笑わないで下さいよ?」

穂乃果「大丈夫。大丈夫。ここには変な客さんが多いもん」

海未「記憶。記憶を探しているのです」

穂乃果「へぇ~記憶かぁ~」

海未「笑わないんですか?」

穂乃果「やだなぁ。笑わないでって言ったばっかりじゃん。それとも笑い飛ばして欲しいの?」

彼女は見た感じ、何処にでもいる町娘だった。
軽い冗談を飛ばして笑った。
少し違和感を感じる。

海未「あ、いえ・・・」

穂乃果「狂乱した人がいる」

海未「わ、私はまともです!」

穂乃果「違うよ。狂乱した人が重罪を犯すとどうなると思う?」

また笑う。
先程感じた違和感の正体が掴めた。
目が笑っていないのだ。

海未「し、知りませんよ・・・」

穂乃果「それはね。死罪になる事もあればお咎め無しって事もあるんだよ。要するに・・・」

海未「要するに?」

穂乃果「狂人のフリをすれば人を殺しても無罪になるかも知れないって事だね」

海未「は、はぁ・・・」

穂乃果「つい先日。私は蕎麦屋の主人が妻を殺してしまったって言うから見に行ったんだよ。死体を」

海未「な、何故死体を・・・」

穂乃果「いや、ほらね。殺された前の日は確かに主人はまともだったんだよ」

海未「とても長い話になりそうですね。私の探し物の話は何処に行ったのですか?」

穂乃果「あはは、後で探しとくよ。でね。私、考えたんだよ。その主人は狂人のフリをしたまともな人間なんじゃないかって」

海未「成る程。知っていたのかも知れませんね。狂人のフリをすれば無罪になる事」

穂乃果「だから私は探したんだよ。その主人がまともだったって証拠を」

海未「誰かに依頼されたのですか?」

穂乃果「ううん。勝手に」

海未「なんでそんな事を・・・」

穂乃果「お節介だよ」

海未「まぁ確かに凄くお節介ですね。で、見つかったんですか?その主人がまともだった証拠は?」

穂乃果「うん。見つかったよ。主人は包丁を別に用意していたんだ。お店用と妻を[ピーーー]包丁を」

海未「普通だと思いますが?」

穂乃果「狂人がわざわざ包丁を用意して妻を[ピーーー]と思う?」

海未「何とも言えないですね」

穂乃果「狂人だったらお店用の包丁で妻を[ピーーー]と思うんだ。わざわざ新しい包丁なんか用意しないよ」

海未「まぁ・・・狂人ですからね」

穂乃果「鍛冶屋から聞いたんだよ」

海未「何をですか?」

穂乃果「その主人がつい先日包丁を買わなかったかって?」

海未「それで鍛冶屋は何て言ったのですか?」

穂乃果「あぁ買ったよって、ここで私は確信したよ。計画をしていたんだって、前々から妻を[ピーーー]つもりだったんだってさ」

海未「でも飽くまであなたの推測でしょう?この会話を聞いたら怒りますよその主人」

穂乃果「私も殺されてしまうね。狂人のフリしてまた罪を無くされるなぁ」

海未「で、どうしていきなりそんな話を?」

穂乃果「あの蕎麦屋には行かないと私は決めたって話だよ」

海未「どうしてですか?」

穂乃果「妻を殺して無罪になったってばっかなのにまた蕎麦屋をやるつもりみたいなんだよあの主人は」

海未「へぇ~随分と蕎麦に熱心な方なんですね。でもどうして知ってるんですか?また蕎麦屋をやるって事」

穂乃果「聞いちゃったんだよ。その主人が妻を殺した包丁を手に持ちながらこれからはこの包丁でネギを切ろうって。手にしっくりきたのかもね」

海未「何処の蕎麦屋ですか?私も行きたくないので後で教えて下さい」

穂乃果「うん。いいよ!」

海未「・・・ふと思ったのですが蕎麦屋をまたやったら狂人では無いとバレてしまうのでは?」

穂乃果「逆だよ逆。妻が死んですぐに蕎麦屋をやるって事が狂人の考え何だよ。普通、打ちのめされてしまうよ」

海未「まぁ確かに・・・」

穂乃果「どっちにしてもあの店にはもうお客さんは来ないよ」

海未「妻が死んだ店ですからね・・・で、長い間あまり良い話じゃない話を聞きましたが私の探し物は?」

穂乃果「いいやー何でこの話をしたのかって言うとね。その狂人のフリをした主人は記憶が無いフリをしてたし支離滅裂に喋ってたらしいんだよ」

海未「私が狂人だと?」

穂乃果「ううん。まともそうだし、探してあげるよ探し物。行こうか」

海未「お代は?」

穂乃果「今から猫を探すから手伝って、それがお代だよ」

第一話
終わり

今日はここまで
第二話はりんぱなです
ここから少しキツい展開があるので忠告しておきます

メ欄にsaga入れれ

おつ、穂乃果の反応的に二人は知り合いなのかな

第二話。
「猫又の居場所」
前編

心地良いんだこの居場所が。

緑色の瞳は盲目の彼女を見つめ。
盲目の彼女は私を優しく撫でる。

彼女の太ももは柔らかく暖かい。
この場所に居座ると私はついウトウトしてしまっていつ間にか眠っている。

ニャアと鳴いてみる。
彼女はまた優しく私を撫でた。

花陽「凛ちゃん」

凛「にゃぁ」

凛ちゃん。
これが、私に付けられた名前だ。

きたい

期待

期待

盲目の彼女が私が側に居ることを知る術だったのだ。
私はこの名前を呼ばれると決まってにゃあと鳴き、彼女もまたふふふと笑う。

全てでは無いけど、人間の言葉を理解している私は彼女の話を聞き、私が猫又だと悟られないように時折にゃあと鳴いて返事をしてみせる。

私達、猫又は人間に正体を知られてはならない。
理由は分からないがそう言う掟がある。

人間の世界にも理由を分からないが掟を破らない風習はある。
猫又も同じだ。

花陽「凛ちゃんはどんな姿をしているのか知りたいなぁ」

これは彼女の決まり台詞だった。

盲目の彼女が抱く当たり前の願望だった。

私よりも外の風景を見れた方が心打たれるだろう。
それを知らず彼女は私を見たいと良く言う。
彼女は恐らく私の事が好きなのだろう。

実際、私も彼女は好きだ。
人間は私を見ては走って近付き抱き上げるのだけど、それが私にとってとても苛々する行為だとは思っていない。

だけど彼女は私が触って欲しい時に触り、抱いて欲しい時に抱く。

それに、この太ももはやっぱり魅力がある。

上を見上げて見ると日の光のような笑顔がそこにはある。

猫又と言えど、元々は猫。
この薄暗いボロ屋で私はこの笑顔で日向ぼっこをしている。

花陽「ふふっ。凛ちゃん私を見てる?」

凛「にゃあ」

花陽「ふふっそっか」

私の言葉など検討も付かないのに、彼女は相打ちをした。
それか、私の言葉を理解しているか・・・それは無いか。

花陽「凛ちゃんが来てくれて私はもう寂しくなくなったよ」

凛「にゃあ」

何で人間は知っている事を何度も繰り返すのだろう?と思った。

花陽「あの日。凛ちゃんがひょっこりと私の太ももに乗っかって来た時は驚いたなぁ」

あの日。と言うのは私と彼女が始めて出会った日の事だ。

適当に町に良い居場所が無いかと探していると不用心にも戸が少し空いてる家があった。

しめしめ。
お腹も減ったし何か適当に食料でも盗んで行こうと思い家にこっそりと入ったが、その時の私は彼女が盲目だなんて事は知らないしお互いの視線がぶつかってしまい逃げようとしていた。

しかし、彼女は立ち上がって私を追い払う事もせずただ黙って私を見ていた。

しばらく睨み合う私達。
ここで何か様子がおかしいなと気付く。

私を見ていたが私を見ていないようにも思えた。

少し動いてみる。
目はずっと一点を見たまま動かない。

大きく動いてみる。
やはり、一点を見たままだ。

ここで私は確信した。
彼女は目が見えていないのだと。

なら都合がいい。
いきなり見つかってしまって驚いたが何の事は無。
目が見えていない彼女は私の居場所が分からない。

食料が盗み放題だ。
しめしめ。
今度からお腹空いた時はここによろう。
仲間にも教えてやろう。

いつぞやのけいおんssに似た雰囲気だなぁ

すごくいい

花陽「はっくしょん!」

凛「にゃんっ!」

予想出来ない事は生きてる中で良くある事だ。
特に全く身構えて無いのにいきなり大きな声でくしゃみをされれば驚くのは仕方のない事だ。

花陽「誰かいるの?」

しまった。
私とした事が・・・忍び足には自信があったのに声を出してしまえば折角の特技も何の役にも立たない。

花陽「家には何もありませんよ」

そう言った彼女は何処か悲哀に満ち溢れていて、猫の私でも流石に可哀想だと思った。

と言うよりさっきの私が驚く声を聞いて猫だとは思わないのか?

確かに少し猫っぽくはない声だったし人間と思うのも無理は無い。
でも、にゃん!と聞こえれば何だ猫かと思うだろう普通。

花陽「ここには何もありませんよ」

また繰り返した。

私は返事をしようか迷っていたがそのまま忍び足で彼女に近付いて、彼女の太もも乗っかった。

花陽「ひゃっ・・・?ね、猫!?」

凛「にゃあ」

これは私流のお詫びの仕方だった。

盲目だから家の中を盗み放題荒らし放題という考えは変わり。
流石に盲目の彼女から何か盗もうとした事が申し訳ないと思ったのだ。

それに、当の本人が何も無いと言うなら何も無いのだろうこの家は。


花陽「ふふっ。そっか猫かぁ~」

凛「にゃあ~」

彼女は私にそっと触れた。

花陽「ありがとう」

何のお礼か分からなかった。

花陽「私、ずっと一人だったから寂しくて」

どうやら彼女の寂しさを紛らわせたらしい。

花陽「これからもここに来てくれる?」

何処かで鈴の音がした。
その凛とした鈴の音は私達が出会った事を祝ってるかのようだったし、同時に私に名前が付いたきっかけでもあった。

花陽「名前は・・・凛ちゃんでいい?凛ちゃんまたここに来てくれる?」

凛「にゃ」

花陽「ありがとう」

彼女は言っていた。
ここには何も無いと、でもそうは思えない。
この暖かい場所は少なくとも私にはとても価値がある場所だ。

続き書くよね…?

第二話
花陽「猫又の居場所」
中編

凛ちゃん。
それが、この家にすっかり馴染んだ猫の名前だった。

名前の由来は何処かでリンと鈴の音が聞こえたからだ。
あの凛とした音を聞いて私はすぐにこの子の名前は凛だと決めた。

今その凛ちゃんは私の太ももで寝息を立ててる。
吐息が肌を撫でて少しくすぐったい。

私は彼女に救われた。
日々、暗闇の中で過ごしている私にとって凛ちゃん言わば光のようなものだ。

待ってた

確かに私は凛ちゃんが太ももに乗っかって来た時光を見た。

暖かな光だ。
お日様の光のようだった。

私は産まれてから光なんか見たこと無かったけど、光とはこう言う物なんだと分かった。

凛「にゃぁ」

花陽「ん?凛ちゃんお腹減ったの?」

凛「んにゃ」

どうも、凛ちゃんは人の言葉を理解している気がしてならない。

名前を呼べばちゃんと返事もする・・・。
猫とはこう言う生き物なのだろうか?
にゃあと鳴く毛むくじゃらの生き物としか知らないのでよく分からない。

雰囲気すごく好き

待ってるよ

ともかく、凛ちゃんは私の太ももをすっかり気に入り心地良い居場所を確保している。

花陽「凛ちゃんはずっとここにいて大丈夫なの?お友達とかいるんでしょ?」

凛「にゃあ」

花陽「私のほうが大事?」

凛「にゃ」

花陽「ふふっ。なに言ってる全然わかんない」

凛「にゃ」

花陽「私は凛ちゃんが一番大事だよ。凛ちゃんもそうだと嬉しいなぁ」

凛「にゃー」

花陽「凛ちゃんはずっと私の太ももにいてくれる?」

凛「にゃっ」

花陽「私、眠くなってきちゃった」

凛「にゃぁ~」

ほら、やっぱり凛ちゃんは人の言葉を理解していると思う。
すぐに、太ももから離れた。

花陽「ありがとう。じゃあ寝よっか」

凛「にゃあ」

私が布団に横になると凛ちゃんも私に体を預けるように横になる。

花陽「おやすみ。凛ちゃん」

きた

かわいい

待ってるよ

待ってる

頼む

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月21日 (日) 11:37:38   ID: 1hR7u1A7

かよちん盲目...

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