少女「私は呪われた人間。死んでるの…」 魔女娘「そんなこと!」 (21)

カーカー


農夫「あー。今日も疲れたなあ」

村人「ですなあー」

農夫「けえるべ。腹が減ってたまらん」

村人「そうですね。あ、そうだ!」

農夫「ん?」

村人「聞きましたか?」

農夫「何をだよ」

村人「例の娘。あの呪われた」

農夫「ああ、外れの! そいつがどうした」

村人「また村の者を一人殺したそうです」

農夫「本当か! ああー、おっかねえ!」


少女「……はあ」スタスタ


村人「ああ! 噂をすれば…!」

農夫「おっかねえや! ほら、さっさとけえるべや!」

村人「は、はい!」

ダッダッダッ

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トボトボ…

少女「はあ」

少女 (どうして私だけなんだろう。姿形はあなたたちと一緒なのに…)

少女「……はあ」

魔女娘「それ。何回目の溜め息?」ヒョイッ

少女「わっ!」ビクッ

魔女娘「おっ。良いリアクション!」

少女「……あなたは森に住む魔女ね。何の用なの?」

魔女娘「いやー。酷く陰鬱な娘が居るなあと思いまして」

少女「そう。それだけ?」

魔女娘「それだけって…。酷いなあもう!」ダキッ

少女「や、止めて! 初対面なのに馴れ馴れしい!」ジタバタ

魔女娘「初対面だからこそ。人は思いきれるのだよ」

少女「そんなの知らない! いいから離せ!」

魔女娘「……ほーい」パッ

少女「はぁ。熱かった…」

魔女娘「抱き着いた時間は十秒と短いけれど…。まあ、私の匂いを染み込ませれたから良いや!」

少女「気持ち悪い!」

魔女娘「ご褒美だわん」ハァハァ

少女「こいつ…」

魔女娘「んふふー!」ニコニコ

少女 (こいつだって。こいつだって普通の人間じゃあないのに)

少女 (村の人からは異常に好かれてる…。それはこの鬱陶しさの賜物?)

少女「分からないわ…」

魔女娘「私のスリーサイズ? えーと、上から…」

少女「……もう知らない」スタスタ

魔女娘「ああっ! 待ってってば!」


ザッザッ


魔女娘「行っちゃった…」

魔女娘「んー。噂に聞いていたよりは随分と優しそうな人間だし…。やっぱり噂って信用出来ないなあ…」

魔女娘「私も帰ってぬいぐるみでも作ろうかなーっと!」

ガチャッ

少女「……ただいま」

魔犬「わんわん!」

少女「あれ。ポチのお出迎えとは珍しい…」

魔犬「……」フリフリ

少女「タマは?」

魔猫「ここにおります。少女様」

少女「ただいま、タマ。やっぱり猫のあなたが喋るのは違和感あるわ」

魔猫「おかえりなさいませ、少女様。何しろ私はあなた様が魔力を注がれて作られた、魔法生物ですから」

少女「そ、そう…」

魔犬「ばうわうっ!」

少女「……この子は?」

魔猫「直に喋りますよ。それよりも、お茶が出来てますよ」

少女「ありがとう。貰うわ」

少女 (猫がどうやった、なんて。聞くのも野暮ね)

深夜に立てるんじゃなかった。
眠いから寝る。
明日の夜にまた一気に書きますわ。

おあずけかよ

おい、続き早くしろよ。

機体


期待して待ってるよ~

寝れなかったからひっそりと書き始める。
時間が時間だし、無言で寝落ちても大目に頼む。

魔猫「はいどうぞ」コトッ

少女「ありがとう。いい香りね」

魔猫「私の自家製ハーブティですから」

少女「そ、そうなの…」

少女 (本当にどうやってるの…?)ズズッ

魔猫「お味の方は?」

少女「ええとても美味しいわ。ありがとう」

魔猫「それはありがたき幸せ」

少女「ところで。タマ?」

魔猫「どうしました。少女様」

少女「……村の人間がまた。私を殺人者に仕立てたわ」

魔猫「また、ですか。まったく酷い生き物ですね」

少女「あれは違うのに…。私がまた、たまたま近くに居て。それで…!」

魔犬「……わふっ」

魔猫「少女様。私達は分かっておりますから」

少女「ありがとう…」

魔猫「しかしそうなると。ますます少女様はここに居づらくなる…」

少女「そうなの…。ねえ、どうしたらいいの?」

魔猫「どうしたもこうしたも。私は理解しかねますがね」

少女「え?」

魔猫「この村は少女様のご先祖が魔法で築いたもの。ここに住まう人間は本来、少女様に頭を下げるべきなのです」

少女「でも今の村の長は…」

魔猫「勝手にやってきた部外者ですね。ならば、少女様が申し立てて立場を取り上げれば良いのです」

魔猫「断られたのならば最悪…。実力行使でも…」

少女「違う。タマ」

魔猫「はい?」

少女「私は人間と共存したいの。決して支配下に置きたいとは考えて無いわ」

魔猫「……難しいですよ。共存なんて」

少女「でも。私は姿形は人間よ! きっと溶け込めるはず…!」

魔猫「良いですか少女様。あなたには生まれつき強大な魔力が存在するのですよ」

魔猫「人間が一生掛かって会得出来るような魔力を遥かに凌駕する。そんな力が…」

少女「……分かってるけど」

魔猫「そんな人間をいつでも殺せるような存在が。自分より下の存在と平和に共存出来るはずがない」

魔猫「断言しますよ。あなたは人間になれない!」

少女「そんな…」

魔猫「現にあなたに近付いた人間は例外なく死んでおります」

少女「嘘! だってあれはたまたま私が居合わせただけじゃあ…」

魔猫「いいえ。あれはあなたに心を開いた人間が、その隙間から溢れる魔力を流され呆気なく死んだのですよ」

少女「心を?」

魔猫「人間というのはそこが分からない。同情なのか愛情なのか。どんなに得体のしれない相手でも、心を開ける者が居るのです…」

少女「じゃあ。私の側で死んだ、あの老人も少年も…」

魔猫「あなたと同じく共存しようと考えた結果。死にました」

ガタン!

少女「そ、そんな…!」

魔猫「これ以上共存したいがためにこの村の外れの辺鄙な小屋に立て籠るのなら。人が死ぬ」

少女「……」


魔女娘『私のスリーサイズ? えーと、上から…』


少女「……」

魔猫「それを承知した上でこの先をお考え下さい。私共はいつでも。少女様の後を追う準備は出来ておりますから…」

少女「分かったわ」

魔猫「それでは。もう夜遅いですし」

少女「ええ。おやすみタマ…いい夢を」

魔猫「少女様も…」

魔犬「わふーん」

ふむ

少女「……」

モゾモゾッ

少女「……寝れない」

少女「悔しい。ひたすらに悔しいわ…!」

少女「人と相容れないなんて。孤独を余儀なくされたなんて…」

少女「居るのだとしたら、神様…」

ピキピキッ


少女「恨むわよ……!」


魔猫「……」

魔猫 (煽って見たらこの通り…。憎悪で魔力がみるみる上がっていく…!)

魔猫 (やはり少女様は選ばれしお方。悠久の時を経て、この世に生まれ落ちた絶対の存在にすらなれる者…!)

魔犬「……」

魔猫 (少女様…! やはりあなたは我らの……)

魔犬「わん」

ーー翌朝

ピヨピヨ… ピヨピヨ…


少女「……んん」パチッ

魔猫「おはようございます。少女様」

少女「おはよう。タマ…」

魔猫「朝食の支度が出来ております。お顔を洗ってからお召し上がり下さいませ」

少女「ありがとう…」

少女 (人間と同じように食事をする…。これって何だか屈辱)


ーーしばらくして


少女「……ふう」

魔猫「どうかしました?」

少女「いや。また少し散歩でも…と思って」

魔猫「……そうですか。お気をつけて」

少女「タマ」

魔猫「はい…」

少女「一人試したい人間が居るの。興味を持った人間が…」

魔猫「死にますよ」

少女「ええ。もしもまた死んだら。その時は村を出るわ」

魔猫「はい」

少女「……まだ信じたくないのよ。私は」

魔猫「ええ、ええ。分かりますとも…いってらっしゃいませ」

少女「うん。ありがとう」

スタスタ…

少女「今日は陽射しが不快なくらい眩しいわ…」

少女「日傘でも持ってくれば良かった」

サッ

魔女娘「お貸ししましょうか。お嬢様?」

少女「!」ビクッ

魔女娘「あれ。今日は薄いリアクション…」ショボン

少女「ええだって身構えてたもの」

魔女娘「それは裏を返せば楽しみにしていたとも取れるね」

少女「……そうね」

魔女娘「否定しないんだ」

少女「だって事実ですもの。それより、ええと…」

魔女娘「ん?」

少女「あなたは魔女なのよね?」

魔女娘「厳密には違うけど。まあ、魔女候補って言った辺りかなー」

少女「じ、じゃあ魔力にはある程度耐性があったり…」

魔女娘「あるんじゃないかな」

少女 (この子となら…! いける!)

魔女娘 (今日は元気だなあ)

期待

トコトコ…

少女「……」ドキドキ

魔女娘 (なんか急に黙っちゃったな…。足音がやけにうるさいや)

少女 (この人間と共にいずれ、私は普通の人間に…!)

魔女娘 (というか。赤面した女子、横にも赤面した女子…。そして微妙に近い距離)

魔女娘 (あれ。これ端から見ればデートじゃ…?)

少女「あ…」


少女・魔女娘「「あのっ!」」


少女・魔女娘「「!?」」ビクッ


少女 (なんだこの緊張感は…)

魔女娘 (うわっ。いくら肝があぐらかいて寝そべってるような私でも、この空気はまずいぞ…!)


シーン


少女 (静寂がうるさい!)

トコトコ…

コソコソッ!

魔猫「……にゃんですか。あれはまるで恋人ですにゃあ」

魔犬「おい性悪猫。ショックで素が出てるぞ」

魔猫「そういうあなたもツッコミどころがあるのですがね」

魔犬「やっと喋れるようになったんだよ。気にしたら喉かみちぎるぞ…」

魔猫「あら。今朝のドッグフードに然り気無く私の唾液を混ぜて正解でしたね」

魔犬「くそっ、やっぱりお前か! いつもの飯からやけに魔力を感じると思ったら…!」

魔猫「んふふ」クスクス

魔犬「穢れたわ俺の体が!」ギャー

魔猫「私は魔導生物ですから。唾液から排便に至るまで全て清んだ魔力の固まりです。穢いだなんて…」

魔犬「お前っていうだけで穢いわい!」

魔猫「……覚えてろよ」ボソッ

魔犬「きゃいん!?」

サッ

魔猫「シーッ…。それよりも今は、二人の後を追うのが先決です」コソコソ

魔犬「お、おう」コソコソ



少女『ーー』キャッキャ 魔女娘『ーーーー』ウフフ


ジーッ

魔猫「少女様…」

魔犬「ご主人があんなに笑って…というか爆笑してるの初めて見た。何あれ…」

魔猫「多分緊張でハイになってるにでしょうね。その証拠にほらっ」

少女『……』ヒキッ ヒキッ

魔犬「あっ。顔がひきつってやがる…」

魔猫「いやそれにしても。あの人間、なかなかやりますね」

魔犬「あん?」

魔猫「だってそうでしょう。あんなに少女様が心を許してるなんて…。執拗なボディタッチでもしなければあんな信頼関係、生まれませんよ」

魔犬「じゃあしたんじゃないか」

魔猫「にゃん?」

魔犬「執拗なボディ・タッチを」

魔猫「……ふう。ちょっと凝らしめるか、人間」

魔犬「や、止めろよ。今日は少女様が無事か見守るだけだろうが」

魔猫「そうでしたね。ふう」

魔犬「やっぱ怖いわこの雌…」

魔猫「しかし。将来は結局少女様と引き裂かねばなりませんよ。あの人間は…」

魔猫「いや。将来どころか近いうちに…!」

魔犬「……そんなにアッチは主導者を欲しているのか」

魔猫「ええ。少女様ほどの魔力の持ち主ならば、きっと玉座も映えますよ」

魔犬「……わん」

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