─────── それは、とても懐かしい夢。
幼い日の記憶。
私は大好きな父と母、そして『組』の人達と共に川へ遊びに来ていた時。
母が父と出会った場所だというのもあり、私が生まれてからよく連れて来られていた。
そんな時だった、川から遥か遠くの空に黒煙が上がっていたのを見たのは。
父は何が起きているのかを確認する為に、何人かの『組』の人を連れて屋敷へと帰って行く中、私はそっと川の水面を何となしに見ている。
ああ、私は覚えている。
ぼんやりとした夢の中で、私は思い出すのだ。
青髪「……ぇ…?」
「どうしたの、『瑠璃』」
青髪「あそこ……誰か倒れてる」
川の中心で突き出ていた岩に力無く乗り上げ、当時六歳の私と同じ程度の子供がずぶ濡れでいた。
私は母の反応を待つよりも先に走り出す。
何かを大人達が叫ぶのも無視して、私はすぐにでも子供を助けなければと思った。
そう、私は『あの時』そんな事を考えていた気がする。
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思っていたより少し離れていた岩に、どうにか飛び乗った私はそっと手を『彼』に当てる。
青髪「……! しっかりして、目をあけて!」
当時の私が学んでいたのは、応急手当てに必要な技能である『脈の読み取り』。
想像していたよりも遥かに衰弱していたその体を抱き抱えると、直ぐに川岸に跳び移って大人を呼ぶ。
この時の私は初めて瀕死の人間というのを見て、助ける事ばかりを考えていたのだろう。
母の小さな悲鳴を聞いて気づいたのは、その私と同じ小さな体の背中に存在していた横一文字に裂かれた傷だった。
青髪「~~っ!!?」
……そうだ、私はこの時確かに驚いて叫んでいた気がする。
人の死をまだ目の当たりにしたことの無かった私は、ひたすら怖かった記憶がある。
ただ、夢なのに何か足りない……。
まだ私は忘れている。
青髪「お母さん! この子を助けて……っ」
「ええ、いまやっているわ」
「……切り裂かれているのは殆ど服ね、背中はそれほどの傷ではないわ」
「けれど出血が……瑠璃、あなたはこの子の手を握って魔力を流してあげて?」
青髪「うん……!」ギュッ…
男児「……ぁ…お…かぁ……さん?」
青髪「!」
「意識を取り戻したのね……瑠璃、呼び掛けなさい」
「意識があるほうが魔力の流れも良いし、私の治療術も効きが良いから……」
てす
てす
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