いーちゃん「魔法少女?」哀川「そうともさ」 (254)

この世には奇跡というモノがある。
そう信じている人がいる。
自分の手では到底なしえなかったであろう願いがなにかの手違いで、何かの間違いで叶った時
人は思考を停止させてその事象を奇跡と呼ぶ。
君は奇跡を信じるだろうか。
僕は信じない。
そんな不確定なものに踊らさせるくらいならまだ自分の頭脳を信じた方がまだマシというものだ。
それに僕の知り合いには奇跡とやらを簡単に起こしてしまう人だっている。
きっとその人は奇跡なんて思っちゃいないだろうが。
いとも簡単に
いとも容易く
息もつかせぬまま
成し遂げてしまう人だっている。
分かっているんだ。
世界はいつまでも平等じゃない。
奇跡を起こす人間はいつだって勝ち組だ。
だからこその、奇跡。
さぁ、物語を始めよう。
最悪で残酷で目も当てられないような狂気の惨劇を。
一人の幼い少女が打ち砕こうとする物語だ。
奇跡を信じることがどれだけ愚かなのか。
奇跡願うことがどれほど愚行なのか。
僕は一人の傍観者らしく
動く死人らしく
無意識に
眺めてみよう。

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魔法の力が欲しいかい?
いいや、僕は機関銃が欲しい


この世には抗えぬ理不尽という物がある。
どれだけ必死に抗っても覆すことのできない差がある。
何も難しいことをいうんじゃない。
よくあることだ。
テスト範囲が突然変更になったり
楽しみにしていた遠足が大雨で延期になってしまったり
好きなあの娘が自分の嫌いな奴に取られたり
そんな日常的なことだ。
そして今まさにそんな理不尽に
抗えぬ力に強制連行されている奴がいる。
僕だ。

「…そろそろ説明してくださいよ、哀川さん」

僕は揺れの激しいコブラの上でがたがた震えながら恐る恐る口を開く。

「ん?どーした、いーたん?気分でも悪くなったか?」

いきなり人をさらっておいてそんな言い方はないだろうと思ったがこの人に逆らうことそのものが間違いだと僕は知っている。

「そりゃあ気分も悪くなりますよ、いきなり縄で縛られてさらわれるなんて」

カカッ

と、哀川さんはシニカルに笑う。

「わりー、わりー、別に何も今からいーたんを襲おうって訳じゃあねーぜー」

そりゃそうだ。

「あと、私のことを名字で呼ぶな」

「そう呼ぶのは…」

そこで僕は相川さんに声を重ねる。

「敵だけ…でしたよね、潤さん」

やれやれ、というふうに僕は両手を振ってみせる。
まぁ当然縄で縛られているからそれはあくまで僕のイメージなのだが。

「はっ、やりゃあ出来んじゃねーか」

「それで今回はなんですか?また厄介事ですか?」

おいおい、そりゃひでーなと哀川さんは額に手を当てる。

「私が今までいーたんを厄介なことに巻き込んだことなんてあったかい?」

ふむ…そう言われてみれば…
八割方厄介事のような…

「いえ、二割は厄介じゃありませんでした」

「そうか、なら残りの8割は優しさだな」

バファリンかよ、いやイヴか?
そんな寒いツッコミを心の中に押しとどめて僕は口を動かす。

「それで…今回は…一体?」

「なぁに、大したことじゃねーさ」

そういいながら哀川さんはまるで新しいおもちゃを見つけたみたいに無邪気な笑顔で笑う。
…正直同年代なら惚れている可愛さだ。

「面白いもん見に行くついでに殺人事件でも解いてやろーってな」

殺人?予想はしていたがやっぱり厄介事じゃないか。

「その面白いものとは?」

そう聞いたとき哀川さんは本当に嬉しそうに
楽しそうに
愉快そうに
笑った。

「なぁに、奇跡を拝みに行くんだよ」


訂正、予想の斜め上のようだ。

「着いたぜ」

そう言って哀川さんはコブラから撥ねるようにして道路へ飛び降りた。
本当、何をしても様になる人だ。

「ほら、降りてこいよ、いーたん」

意地悪そうに手を差し出される。

「いや、降りるも何も両手両足縛られてるから降りれないんですってば」

カカッ、と楽しそうに笑う。

「いやぁ、いーたんが可愛くてな」

…もし僕が可愛いなら全世界の八割の人類は可愛くなってしまう。

「後の二割は?」

「厄介なことになるだけです、ていうかさりげなく人の心を読まないでください」

味方でよかったといつも思わされている僕の気持ちが分かっているのかこの人は。

「お、嬉しいこと思ってくれるねーいーたーん!」

「はいはい、それで、ここはどこですか?」

抱き着こうとする哀川さんを片手であしらい僕は聞き直す。
まあ哀川さんが本気を出したら僕なんか小指であしらわれそうなものだけど。

「ここは見滝原、私も来たのは初めてだ」

結んだ長い髪を風になびかせながら哀川さんは言う。
僕も聞いたことのない町の名前だ。

「ここで、殺人事件が…?」

「まぁ、それだけじゃねーがなー、殺人、自殺、心中、零崎でも住み着いてるんじゃねーのか」

それはそれで怖いものだ。
ただそれならきっとあいつは協力してくれるだろう。
リアルツンデレなんて世界中探してもあいつしかいないだろうし。

「それで奇跡っていうのは?」

悪戯っぽく笑って哀川さんは僕にこそっと耳打ちをする。
…こそばゆい。

「見つけてからの、オ・タ・ノ・シ・ミ」

退屈な時間はどうして退屈なのか。
それは退屈であるからということ以外に理由がない。
じゃあなんで楽しい時間は楽しいのか。
それは友達だったり、恋人だったり、あるいは仇敵だったり
そんな人間と一緒に過ごしているからだろう。
つまり何が言いたいかというと
僕は今大変に暇である、ということだ。

「振り回されるのは、楽しいことなのかな…」

戯言だろうなぁ…そんな風に思いながら僕は哀川さんの言葉を思い返していた。

いーたんはいるだけで厄介事を引き起こしちまうんだからテキトーにここでブラブラしててくれ。
そのうち厄介事に巻き込まれたら私が参戦してやるからよ。

僕は探知機かなにかかよ。
しかも引き起こすってさも僕が原因のような…。

「いや、だいたい僕なのか」

自虐的になるなんてまるであの頃の僕みたいだ。
玖渚と人生をともにすると誓う前。
僕が誰よりもこの世で一番嫌いなのは自分自身であった頃。
今も好きなんかじゃないが。

「…」

今の僕をあの頃の僕に変えてしまいそうな何かが確かにここにある。
上手くは言えないが、しかし確実に淀みのようなものを感じる。

「…まぁ気長に待つか…」

別に急いで事件とやらを見つける必要もない。
こんなことを言うと哀川さんに殴られそうだが僕自身としては僕と関係ない誰が死んでしまおうとも一向に構わない。

「根っこは変わってなかったりして」

またそんな自虐的な文句で自分を貶める。
案外僕はMなのかもしれない。
Mだけど。

それにしてもなんなんだこの街は。
不良が多すぎるぞ。
まだ金髪は分かる。
ドリルヘアーも一応は理解できる。
青色も玖渚が居るから理解せざるを得ない。
…赤も…哀川さんがいるから理解しないと殴られるかもしれない。
でもピンクはないんじゃないか。
正直ピンク色は不良という域を超えてもはやエンターテイナーとかそういう類だろう。
この街で多くの事件が起こっているのもなんとなくわかるような気がした。
…まさか…あの不良少女達が関わっているなんてことないよな…?
もしそうだとしたらいよいよ僕の体質を疑うぞ。
もしかしたら黒色の髪の毛がおかしいのか?
僕みたいな黒髪の方がイレギュラーだとしたらどうすればいいんだろう。
やはり誰ともかぶらないような色にするしかないのか。

「よっ、今帰ったぜいーたん」

しかしそうなれば僕みたいな無個性が目立ってしまうからなおさら厄介なことになるんじゃないだろうか。

「おい?どーした?考え事か?」

そこで哀川さんの声にはっとし僕は勢い良く、しかし冷静に、そして確実に答える。

「僕は緑色にします」

「何がだよ」

この時ばかりは自分の頭の悪さを呪ったものだ。

需要あるなら次も書く
無いならボロカスに叩いてくれ
とりあえず落ちます

何が需要があるならだだ
需要なくてもとりあえずだらだら書きますわ

需要めっちゃあるぞー

期待してます

期待

こいつは珍しいssだな

なんか知らんが哀川翔で再生されて若干混乱してる

見滝原壊滅回避不可

頑張ってくれ

これはいいな期待

哀k...潤さんは最強の生存フラグだからなぁ

ただ無為式が気になる・・・


この魔法少女からインキュベーターを含め全ての流れがうまくいかなくなる感

いーちゃんが魔法少女になるスレはここですか?

うーん零崎SSが発生すると戯言SSも同時に出てくるのか…

続きください




自分にとって価値観を、あるいは人生観を揺さぶられるような出会いはしたことがあるだろうか。
僕はある。
意外や意外、その人物とは哀川さんでは無かったりする。
もちろんそれが誰なのかは僕の秘密なので言えないが確かに僕にも存在する。
そしてそれは人生に一度きりとは限らない。
流れるように流された僕だからこそ何回も起こるような
そんな出来事。

「はぁ…」

そんな風にため息をついて僕は空を仰いでみる。
哀川さんはまたどこかへ行ってしまった。

「…僕なんかいらないだろうに」

哀川さんの力があれば、いや、哀川さんがいればすべての事件はそれだけで事足りる。
お釣りさえ帰ってくるだろう。
なのになんで僕みたいな傍観者を使おうとするのか、やっぱり天才の思考は理解できない。

そりゃ面白い事になりそうだからさ。

きっと哀川さんはそういうだろう。
僕の気持ちなんか気にせず
自分の気持ちに真っ直ぐに
頑張らない世界に牙を立てて
頑張れない自分に枷をつけて
そうやって楽しむつもりなんだろう。

「だとしたら、なんてうってつけの役割なんだよ」

僕以外にそんなの務まるやつなんかいるわけ無い。
それじゃあ一丁思惑通りに引っかき回してやろうかな。

「戯言だけ………、…?」

言葉にはし難い。
だけど確実に現実の風景ではない。
血の滲むような赤は閃光のように出ては消えていき
海を思わす青は滲むように染み出している
どす黒さを持った緑は不規則に明滅している。
どうやら口で説明するにはいささか無理があるらしい。

「いや、どこなんだよここは」

さっきまでどこを歩いていたかなんて覚えてはいないが、ここではないどこかを歩いていたのは確かに覚えている。
現実にはありえない空間
いや、僕の人生経験が少ないだけで実はあるのかも知れないが。
とにかく今まで生きてきた中で僕は見たことがないような空間。
そこに閉じ込められていた。 

「なんだこいつ…」

僕が視線を向けたその先には小さな歪な形をした何かが複数存在していた。
まるで小さな子供が破った紙を糊付けして絵を書いたかのような。
そんなえも言われぬ不気味さを放ちながらそいつらは一歩一歩僕に近付いてくる。

「…!」

僕は顔でこそ焦った顔をしていただろうが内心全くと言っていいほど恐れていなかった。
僕には哀川さんが居るのだ。
あの人と言う人は、根っからのヒーローだからピンチじゃないと出てこないのだ。
本当、主人公にぴったりだと思う。

「…」

それじゃあ哀川さんが来るまで逃げながら考えてみよう。
ここはなんなのか。
僕はなんで迷い込んでしまったのか。

「あれ?」

おかしい。
ここで僕が余計な思考を巡らせればそれはフラグ。
確実にピンチになり哀川さんが、あの人類最強が来てくれる筈なのだ。

「来ないじゃねえかよ」

やってしまった。
忘れていた、哀川さんのヒーロー気質に負けるとも劣らない僕の無為式とかいう大迷惑な体質を。
きっと他の人は何らかのカタチで巻き込まれているのだろう。

「あーあ」

失敗、失敗。
そんなふうに頭を掻きながら
こんなこと何回も経験していたというふうに
世界が優しくなんてないことを理解しているふうに
僕はひどく冷めた目でその襲ってくる何かを見上げていた。


「レガーレ!」

僕が諦めた瞬間、いや、僕なんて毎日毎秒諦め続けているものなんだけれど。
とりあえず何かに襲われそうになった瞬間
黄色い帯がその何かを恐ろしいほどの早さで拘束していた。

「もう大丈夫よ!」

そういって僕にウインクしてくるその少女は
金髪でドリルヘアー、花の髪飾りをしていて服装はいかにも魔法少女もと言う感じ。
というか服こそは違うがさっき街で見かけた。
…さっそくやっちまった感があるがまぁいいだろう。
偶然ということもあるさ。

「やぁぁ!」

少女らしい叫びをあげながらその黄色い少女は実に優雅に、しかし可愛らしく、踊るように何か達を蹂躙していった。
っていうかなんだあれ。
何もないところから銃が出てるぞおい。
しかもえらく古風な銃だ。
マスケット銃、とか言う奴だろう。

僕が考えを巡らせている間にその空間は元通りの
いや元の風景なんて覚えてもいないのだけれど 
とりあえず現実の空間に戻っていた。

「危ないところでしたね、大丈夫ですか?」

そういって手を差し出す黄色い少女。
僕はいつの間にやら腰が抜けていたらしい。
いやいやなんとも情けない傍観者なんだろうか。

「ありがとう」

そういって僕は手を取りつっけんどんにならないように気をつけながら礼を言った。

「君は一体なんなんだ?」

初対面の人にこんな質問もどうかと思うがこれ以上の質問が思い浮かばない。
だって本当に気になるんだもん。

「私は魔法少女、巴マミです」

…もしかしてこれは関わってはいけないタイプの人間だったのだろうか。
自分から魔法少女なんて痛すぎるぞ。
それにこの子、全くと言っていいほどその痛さに気づいていない。

「魔法少女?」

「そうともさ」

僕の質問に答えたのは目の前の…ええっと…イエロードリルちゃんではなくて遅れてきたヒーローだった。

「遅いですよ潤さん」

このセリフは僕のセリフではない。
目の前の…イエロードリ

「巴マミだっての」

…巴マミちゃんのセリフだったりする。

「哀川さんとマミちゃんは知り合いなんですか?」

「知り合いってか依頼主だぜ」

依頼主?こんな小さな子供が?

「どんな依頼なんですか?」

なぁに、大したことはねぇさ
そう言って哀川さんは世界を馬鹿にするように空を見上げてこう言った。

「魔法少女のお手伝いさ」

…女装だけは勘弁してくれ…。

とりあえず終わり
ペース遅いし不定期だけど頑張ります

乙でした
人類最強の頼れる大人がマミさんの前に現れたら
QBはマミさん利用しにくいだろうなあ


需要ありありだから続きも期待してる

魔法少女。
その存在は誰にも知られてはいないが確かに存在するらしい。
願った奇跡の対価に魔女と永劫戦うことを宿命付けられた哀れな少女達。
ソウルジェムという宝石を持ち、その輝きを絶やさぬようグリーフシードを集めることが大前提。

「魔法少女ね…」

目の前で見たからと言ってそれを信じるかどうかはまた別の話だ。
確かにこの巴マミとかいう少女は妙な技を使っていたが別に魔法でなくても説明することはできる。

「疑り深いなぁいーたんは」

呆れたような視線を僕に向ける哀川さん。

「そう言われても魔法なんて信じれないのが普通だと思いますよ」

第一それをいうなら哀川さんだって魔法少女みたいなものだ。
いや、魔法よりも派手で過激で爆発的だが。

「それで、マミちゃん…だっけ?」 

僕に名前を呼ばれ、慌てたように返事をするマミちゃん。
…実に可愛らしい…。

「僕らに手伝えっていってもできることなんてないと思うんだけど」

あるいは哀川さんならそれもできるだろう。
魔法少女なんかにならなくても魔法使いみたいな人だから。
…やっぱ僕いらないじゃん。

「最近…魔女の力が強くなってきているんです…」

「…」

いや、僕らに魔女のことを言われてもいまいちピンと来ないんだけど。

「いーたーん、何度も説明したじゃんかよぉ」

哀川さんは暇で暇で仕方ないと言ったふうにあぐらをかいて頭を揺らしている。
人の家なのによくそんな大きな態度でいれるものだ。
ちなみに先程の使い魔?という奴らはとっくに片付けて今はマミちゃんの家にお邪魔していたりする。

「…魔女の力って…何も戦闘力だけじゃないんです…」

「?」

露骨にわからないという顔をした僕を冷めた目で見ながら哀川さんが説明をはじめる。

「だから魔女っつーのは結界を張ってその中で過ごしてんだろ?そんで魔女は人を襲うことが目的な訳だ」

あぁ、要するに魔女が今まで以上に人を襲うようになったってことか。
いーちゃん理解。
っていうかそれ僕のせいじゃないのか。
いや、依頼の時期的に考えてもそれはないんだろうけど。
それにしても僕がいると尚更犠牲者が増える気がするんだけど…。

トリつけときますね

「ん?あ、わりー少し外に出てくるわ」

哀川さんはそう言ってドアを開けて外に出ていった。
きっとほかの依頼関係なのだろう。
同じ請負人だというのにどうしてこうも差が出てしまうのか。
力関係はほぼ同じだというのに。
…分かっているさ、戯言だよ。

「…それで」

哀川さんが居なくなったことにより生まれた沈黙に耐えきれず僕は思わず口を開いてしまう。

「マミちゃんはどんな事を願ったんだい?」

瞬間。
確かに部屋の空気が凍りつく感覚がした。
あぁ、僕はいつもそうだ。
勝手に人の心に土足で踏み入って
好き勝手荒らしては去っていく。
自分が馬鹿だとは常常思っていたけれど
愚かであるということは今気づいた。

「…」

沈黙。
そりゃそうだ。
そんなリスクを知っておいて自ら魔法少女とやらになろうとする人が多いわけがない。
あるいは哀川さんならコロッとなってしまうかもしれないが。
普通の、一般人の少女にそんな選択をせざるを得ない事情があるならば
大方それは人に話したいものではないだろう。

「ごめん、話したくないのなら別にいいよ」

そう言って僕はマミちゃんの入れてくれた紅茶をすする。
美味しい。
いや、ホントに美味しい。
マミちゃんの前でなければ感動して号泣していたことだろう。
以上、戯言なり。

「私は…」

おいおい話すのかよ。
別段興味もないのだが自分から振っておいてそんな態度も失礼なので一応耳を傾けてみる。

「ふぅん、要約すると事故で死にかけていたところにそのQBとやらが来て助けてという願いを叶えてくれたと」

何も嫌がるようなことかなぁ。
まぁ嫌だからこそ言いよどんだのだろうけれど。

「儲けたね、良かったじゃないか」

そういった瞬間マミちゃんは力一杯机を叩いた。
紅茶が溢れる。

「良かったわけないじゃない…!」

ぎりぎりと歯の軋む音が聞こえてくる。
どうやらまた僕は行ってはいけないことを言ったらしい。

「私があの時…みんなを助けてといっていれば…!今も私は父や母と一緒に暮らしているのよ!」

知らねぇよ。
そんなこと僕に言われても困る。

「分かっているわよ…あなたに起こるのは筋違いだって…」

ほんとそう思う。

「だけど私の願いを軽々しく評価しないで!」

ふぅん、良く分からないけどなんだか誰かに似てる気がする。

「君がそのグリーフシードとやらを落とさない奴らを倒すのはその両親への罪滅ぼしかなにかなのかい?」

その瞬間強烈なビンタが僕の頬に飛んできた。

「そんなっ…!ことないわよ!これはっ…」

言いきれないマミちゃんに僕はさらに追い討ちを掛ける。

「もしそういう心構えでやってるならやめた方がいい。君がいくら善行を積んだところで君の両親は永遠に土の中だ。」

「罪は滅ぼせない。いつだって滅びるのは自分自身だ。」

あぁこの少女は僕に似ている。
すべてを自分のせいだと嘆いて
誰よりも心が弱いくせに
その心を隠し続けて
最後にはひどい死に方をするんだろう。
違いがあるとすればそれは善行を積んだか積んでいないか
それだけだ。

「おいおいなにやっちゃってんのいーたん、早速口説いてんのか?」

茶化すように哀川さんが入ってくる。

「別に。ただプロレスをしていただけですよ」

「なるほど、ビンタもプロレス技なのか、そりゃあ知らなかった」

最初から見ているじゃねぇかよ。
まぁ別に僕はこのマミちゃんとやらが死んでもどうでもいい。
間違った心構えで死んでしまおうと心の底からどうでもいい。
むしろ死んでくれた方が依頼がおしゃかになって早く帰れるというものだ。

「…。」

マミちゃんは倒れたティーカップをいそいそと治している。

「おう、マミちゃん、紅茶すんげーうまかったぞ、サンキューな」

哀川さんは何の気なしにそう笑いかけた。
…きっと哀川さんなら世界で一番美味しい紅茶を入れれるくせに。
何を褒めても皮肉になる人だ。

「ありがとうございます」

マミちゃんも笑って哀川さんに軽く頭を下げる。
…どうやら僕は完全に嫌われたらしい。
まぁいつものことだけれど。
別に少し悲しいとか思ってるわけじゃないさ。




人間は等しく死んでいく。
殺人で
自殺で
不運で
そのどれもが予期しないものだったのかもしれない。
人間は等しく死んでいく。
じゃあその死ぬ時期を決めてくるものは
死ぬ人間と生きる人間の差は
きっと生きてやるという気概なんだろう。
だからこそのイレギュラー。
だから僕はイレギュラーなんだよ。
いつ死んでもいいから
せめて楽な死に方で。
そう思って生き続けている僕は
一体どれほどの人の命を踏みにじって来たのだろうか。
傑作だよ。
物語は動かない。
次は誰が死ぬのかな。

今の僕が一番嫌だと考える死に方は
頭を食いちぎられるような死に方なんだけどね。


とりあえずここまで
こんな妄想垂れ流しを読んでくれてありがとう
毎日少しずつ更新していきたいと思っています
では

乙です

続き期待してます

なんかおりマギサイドあたりに零崎をぶち込みたい
キリカがロクな死に方がしないと思うけど


いーちゃんも家族は全員死んでるんだっけか

四国に行くのかとおもた

>>40
いーちゃんの家族で亡くなってるのは妹の井伊遙奈だけ
両親は上野?だったかで暮らしてるとかなんとか
つーか、原作がその辺匂わすだけ匂わせて何も触れずに終わりやがった

>>42
玖渚機関のお膝元の神戸じゃなかったっけ

>>42
すまん、空々家とごっちゃになってた

「怒ってるのかい?」

僕はそう言って僕の3歩先を歩く少女に話しかけてみる。

「別に怒ってません」

うん、この反応は怒ってる時のそれだ。
自分が何をやらかしたのかは分かっているが彼女がなんで怒っているのかは理解し難い。
やっぱり女の子ってめんどくさいなぁ。

パトロールに行ってきな、マミちゃんとよ。

哀川さんはそういってどっかに行ってしまった。
パトロール、と言うと聞こえは良さそうだが要するにソウルジェムをレーダー替わりにして魔女を探すんだそうだ。
こうしてみるとかなり地味だ。

「別に君のことを貶めたい訳じゃない」

ただそんな生き方をしていたら絶対に後悔するよ。

そういって僕はマミちゃんと僕を重ねる。 
やっぱり彼女と僕はどこか似ている。
僕には幸い人類最強や死線の蒼や映し鏡みたいなやつがいたからこそ救われた、あるいは救われなかったような物だがどうやら見る限り彼女にそんな存在はいない。

「…あなたは優しいのか、それとも私を蔑んでいるのか分かりません」

そんなの後者に決まってる。
君と僕は何の関係もないんだから。
僕は僕に似てる君が嫌いだから蔑んでるんだよ。
試しに死にかけてみればいい。
それでも僕はピクリとも動かないよ。

君も死んだ方が楽だろう?

そんなこと考えている筈ないのに、それでも僕は彼女を無理やり自分の型に当てはめる。
彼女はきっと僕が死にかけたら助けるだろうに。

「…!ここね…!」

どうやら魔女とやらを見つけたらしい。
いやいや、こうして見るとただのごっこ遊びにしか見えないというのがなんとも滑稽だ。

「別に何もあるようには見えないけど」

僕は思ったことを言ってみた。

「魔法少女ではないあなたにはわからないと思います」

へぇ、それは魔女の索敵だけってことかな?
それとも別の何かも含めて?
そういいそうになり慌てて僕は口を塞ぐ。
こんなところで神経を逆なでしてもどうにもならない。
とりあえず優先すべきはその魔女とやらを倒すことなんだろう。

「うわっ…」

足を踏み入れた瞬間、把握する
怖気
寒気
そして何故か少しの安堵。
きっとこうやって魔女は少しづつ人間を誘導しているのだろう。

「気を付けてね」

柄にもない
思ってもいないセリフを言ってみる。
そのセリフを蔑むようにマミちゃんは鼻を鳴らし変身した。

「あなたは後ろにいてください、いたら邪魔になります」

どうやら本当に嫌われてしまったようだ。
一時的にとはいえ寝食共にしている仲だというのに。
そんな僕はマミちゃんと哀川さんと一緒にマミちゃんの家で暮らしていたりする。
…少しおおらかすぎないだろうか。
僕がそうこう考えているうちにいつの間にかマミちゃんは多分魔女がいるのであろう部屋の入口にたっていた。

ガチャ

陳腐な音を立ててドアが開く。
そこに佇んでいたのはぬいぐるみのようなものだった。

恐らく目であろうそれは墨で塗りつぶしたように真っ黒で、耳らしきものはピンクのリボンみたいだ。 
こんな可愛らしいぬいぐるみが人を殺し続けているなんてそのギャップにどうにもゾッとしない。

「…速攻で…片付けさせてもらうわよ!」

彼女は黄色いリボンでその魔女を引きずり下ろし、次に召喚したマスケット銃で野球選手のようにその魔女をぶっ叩いた。
なるほど、先手必勝ってわけか。
確かにこれならヘタを打つことはないのかもしれない。

「ティロ・フィナーレ!!」

そんなセンスを疑うような必殺技名を叫び、マミちゃんは大きな銃でその魔女を打ち抜いた。

「…いやぁ、正直かっこよかったよ」

僕はただほんとに心からすごいと思った。
人間、いや正しくは魔法少女なのだろうが哀川さん以外の人間がこんなに派手な動きをできるとは思っても見なかった。

「…あなたに褒められても嬉しくありません」

ーーーーー

ここでいきなり話は変わるが、前に僕は、マミちゃんは自分を攻め続けて生きていると言った。
彼女は否定したが。
彼女はこの世界でいうバグだ。
きっと今もあやまち続けているバグなんだろう。
僕も似たようなものだからこそ、わかる。
そしてバグはどこかで修正されなければならない。
彼女が死にたいと望んでいるなら
彼女が僕に似ているなら
本当なら今すぐにでも死ななければならない。
これは決まったことだから
覆せない運命だから。
最後の射撃とはよく言った。
本当に最後になるなんてね。
分かっていたさ。
彼女が死ぬことくらい。
だって彼女は他でもない僕のそばにいたんだから。

ーーーーー

「マミちゃん!!!」

僕がそういった瞬間、マミちゃんが振り向いた刹那、魔女は本体を現して彼女に食いかかっていた。

どしゃあっ!

と派手な音がする。
と同時に僕は勢い良く地面へと倒れ込む。
なるほど確かに厄介だ。
こんなふうに油断させて相手を殺すのか。 
やってくれる。

「な、なんで…」

さぁね、僕にも分からない。
どうして君を助けたのかなんてさ。
僕に似ている君には死んで欲しくなかったのかもしれない。
戯言だけどね。
マミちゃんはわからないと言ったふうに首を振る。

「そんな…!あなた…!」

あちゃあ、腕が食いちぎられちまったか。
本当油断ならない化物だ魔女ってのは。

「さぁ、君の番だよ」

いっそ間違え続けた君だ。
これからも間違えてもバチは当たらないだろ?
ここまで間違え続けた僕だ。
気まぐれで正しい事をしたって誰も怒らないだろ?

あぁ、なんて馬鹿なことをしたんだ。
すっげぇ痛い。
血が目に入ったわけでもないのに視界が、世界が赤く染まっている。

そうして流れ続けている血を見続けていた僕はいつの間にか深すぎる眠りへと落ちていった。

一切の光さえ届かない闇に墜ちていった。

今日はここまで
ごめんね、マミさん死ななくて
また次も見てくれたら幸いです
では

やっぱりいーちゃんはタラシだな
マミさん堕ちそう

乙でした、やっぱいーちゃんはすげえや(色んな意味で)
もしかしていーちゃんが襲われてマミさんが駆けつけたから
まどさやはほむらに助けられてマミさんの華麗な活躍を見てない?

>>50

タラシはタラシだけどタラシた分だけガンガン死んでいくからなあ

>>52
そういう意味で言ったけどな……
マミさん(地獄へ)堕ちそう

いーちゃんと深めの交流をもって生き残るには、
殺し名、呪い名の高ランクor人類最強、人類最終、絶対不敗の血族とかの人外スペック
そして何より無為式に巻き込まれても死なない強固な生存フラグが無いとな…

一度死亡フラグ立つと人外スペックでも容赦なく死んでいくもんな…

まあマミさんは存在が生存フラグな哀川さん雇ってるし、多分大丈夫じゃない?
他の面子は、お察しください

>>56
あの人は原作でも言われていけど切れ味が良すぎてなぁ……

今日はかけそうにないです
少ないと思うけど見てる人はごめんね

結構楽しみにしてるで
だが、イッチのペースでいいんやでー

結構楽しみにしてるで
だが、イッチのペースでいいんやでー

連投すまねえ…

ゆっくり待ってる

気長に書いてくれ

哀川潤は奇跡的な運に恵まれている。
しかし彼女とあったことのある人なら当然の様に。
皆は口をそろえていうだろう。
彼女が生まれてきたことそのものが奇跡であると。
世界で最高で最後の奇跡であろうと。
彼女の軌跡こそが奇跡であろうと。
そんな彼女だから。
彼女は望む出会いすら引き当てる。
偶然をまるで当然のように引き当てる。

「アンタ何もんだ?」

哀川潤の後ろから声がする。
少し怒気を含んだような威嚇する声だ。

「こんな所に殺気出しながら近付くなんてアンタ、あたしの正体知ってんな?」

声に含まれる怒気が大きくなる。

「おいおい、嬢ちゃん、そんな物騒なもんしまって腹ぁ割って話そうぜ」

背を向けたままの哀川潤は笑いながら言う。

「嬢ちゃんを探してたのは事実だが私は別にここにいるから来ってわけじゃねーんだぜ」

少女は応える。

「言ってる意味がわからねぇな、あたしのことを知ってたのにここを知らなかったってか?そんなことが…」

「あるんだよ」

哀川潤は挑発的な笑みを浮かべる。

「さぁ、そろそろ武器をしまってくれよ、お互い余計な争いとは無縁でいようや」

ちゃっ、と武器をしまう音がする。
その音を聞いてようやく哀川潤は振り向いた。

「…」

振り向いた哀川潤は絶句する。
彼女の容姿は聞いていなかった。
だからこそ動揺する。
驚愕する。

「嬢ちゃんその髪の毛…」

哀川潤は驚いた様な、嬉しがっている様な複雑な表情をしていた。

「はあ?あたしの髪の毛がどうか…」

「いいセンスだ!」

大きな声で哀川潤は叫ぶ。

「だよなぁ!やっぱ赤だよなぁ!なんかこう滾るよな!」

「はっ、はあ?アンタなんなんだよ!」

そこで哀川潤はわしわししていた手を止めて声をピンとはらせてこう言った。

「わりぃわりぃ、私は哀川潤。」

男からでも女から見てもかっこいいと言えるような笑みを浮かべて哀川潤は告げる。

「人類最強の請負人だ」

ここまででごめんなさい!
ほんと遅くてごめん!
見てくれてありがとう!

乙、ゆっくりでいいのよ
てかはしゃぐ潤さんかわええええ



正直な話、戯言シリーズに零崎シリーズ、世界シリーズ、りすかシリーズといったものは全部見たけど
潤さんの飛び降りが一番インパクトあったなぁ…

乙したー

この世界観なら潤さんが誰かの願いで産まれたって言われても信じそう

本人否定しそうだけど

乙でした
>>68
俺はノイズ君の活躍かな

>>69
狐さん以下3名の「最強の生命体を作りたい」という願いから生まれたやん

>>71
媒体は実の姉か……

>>71
おぉ、確かに

世界の終わり的な意味でまどかと狐さんの相性って災厄だよね

潤さんジョジョ大好きだからなぁ…ほむら見たらすぐ気づくやろ…

今だと進撃好きそうだな、哀川さん

>>75
お前潤さんに喧嘩売ってんの?

ジョジョはまだ連載中だし少なくともあと1部はあるから潤さんもあと数年~十数年はヒマしないだろうな
潤さんはテラフォとかみたいな能力モノ+絶望サバイバル系も結構好きかもな

目の前には墓がある。
それは墓と言えるほど立派なものではなく
しかしどう見ても人の手で作られたものだった。
名前が刻まれている。
××××、××××、××××
みんなみんな僕に関わったせいで死んでいった奴らだ。
そんな彼らを振り向きもせず見向きもせず省みず僕は進んできた。
いや、戻ってきた。
罰ってわけか
いまさら彼女を助けたならどうして自分たちを助けなかったのか。
恨んでるってわけかよ。
下らない。
墓石に笑いかけ
足をかけ
唾をかける。
そんな生き方をしていたからこそ
僕は今まで生きてこれたんだ。
本当にかけるべきは
言葉とも知らずに。
戯言なんかじゃない。
本心からの言葉をかけるべきだったのに。
まあ
戯言だけどね。

「はぁっ…!」

僕は呼吸が苦しくなったと思った途端、先程の場所ではなくマミちゃんの家に居た。
夢だったのか。
どうやら寝てしまっていたらしい。
右腕は…ないか…。
だいぶ体が軽い気がする。

「…あぁ!あなた!」

おいおい、若夫婦かよ。
そんなふうな呼び方をするマミちゃんに僕は声をかける。

「やあ、マミちゃん、無事だったのかい?」

そう言うとマミちゃんは僕の懐へ突っ込んできた。

「へぁ!?」

変な声が出てしまう。
ちょっと待ってくれ。
なんか二つのものが当たっているんだけど。

「よかった…ほんとに…」

マミちゃんはそう言ってぽろぽろと大粒の涙を流す。

「あれ?傷口が…」

そこで僕は異変に気づく。
腕がちぎれるほどの怪我をしたというのに傷口がもう塞がっていた。

「…得意じゃないの…回復魔法…」

マミちゃんは顔を赤らめてそういう。

「あぁ、魔法少女…だったね」

なるほど、これも魔法の一つか。
リボンやマスケットだけじゃなくこんなことにも使えるのか。
おいおい、僕にとっては喉から手が出るほど欲しいぞ、これ。
…いや、女装と比べたらやっぱ要らないけどさ。

「…あの…あなたの名前はなんていうんですか…?」

そうか、そういや名乗ってなかったかな。
今までも。

「僕は生まれてこの方人に名前を教えたことがないのが誇りでね、どうしても僕を呼びたいなら哀川さんみたいに呼んでくれ」

まぁ、本当は教えたことあるけどめんどくさいからこういっとこう。

「…じゃあ…お兄ちゃんで…」

…うん?

「お、お兄ちゃん?」

マミちゃんはますます顔を赤くさせ、あたふたと手でその顔を覆い隠す。

「だ、だって…!名前わからないし…年上だもん!」

…。
まぁ別にいいけどさ。
師匠よりはマシだと思うし。
それよりこれ大丈夫か。
首絞め自殺とかしないだろうな彼女。


ごめんなさい、眠くてこれ以上は無理です
夏休みだからってシフト入れすぎました
毎日更新だけはしていこうと思います
見てる人はありがとう


無理は禁物ですぜ?


自分のタイミングでいいんだぜ

ごめんageちゃった

そういえば原作だと「こう呼ばれている」とか言っているけど今回は言わないんだね

マミ超死にそう

おつ

いーちゃんがマミ嫌いなのは悲劇を経験してもなお善行ができる正義感?めっちゃディスってたけど実は羨ましかったとか?

あと常に嫌われるようなこと言うのって関わった者を悲劇に巻き込む自分に関わって欲しくないからなのか?

「ところで…あの、潤さんは…?」

「さぁね、きっと大事な用事でもあるんだよ」

哀川さんの行方を知ることなんかこの世の誰にもできないけどね。

「…あの…腕…」

あぁ、そうだった。
マミちゃん的には自分のせいで僕が怪我したことになってるのか。 
こんなメンタルで魔法少女なんかやっていけるのか。
涙目だぞ、おい。 
まぁ、やっていけてるから生きてるんだろうけど。

「気にしなくていいよ、体が軽いせいか今なら五十メートル走六秒切れそうだ」

と、おどけて見せるがマミちゃんは以前涙目のままだ。
やれやれ、めんどくさい。

「大丈夫だよ本当に」

君が気に病む必要はないから
と僕は少しだけ突き放してみる。

「お兄ちゃんは…優しいんだね」

今ならわかる、と続けて彼女は台所の方へ行ってしまった。
何を馬鹿なことを。
僕が優しい分けないだろ。
知った口をきくなよ。
そんなんだから死にかけるんだよ。

「…」

それにしてもマミちゃんが言っていた程事件なんか起きてなくないか?
そりゃ他の市に比べたら多いほうなのかもしれないが、目立つというほどでもない。
感じる。
嫌だけど、心が拒絶するが体が感じてしまう。
この違和感。
まるで誰かが僕らを無理矢理この物語に絡ませたかのような。
違和感。
気に食わない。
何より、そいつの思惑通りに行ってるであろう展開が気に食わない。
掻き乱してやるよ。
僕がこの物語を台無しにしてやるさ。

「おいおい、顔が怖いぜ、いーたん」

僕がそんな考え事をしていると、茶化す様に哀川さんがやって来た。

「どこに行ってたんですか…あ、…潤さん…」

「なぁに、ちっと野暮用でな」

必要な人材を集めてたのさ、
と、哀川さんはぎらりと笑う。
哀川さんにとって必要な人材か…
出来ることなら会いたくない。
その子もどうせ死んでしまうさ。
僕がいる限り。




この世にたとえ並行世界があったとしてもそれはきっと認識できないほど遠くにあるのだろう。
近くに感じていても明らかに違うその違和感を自分だけが感じていたらどう思うだろうか。
何千と発生しては消えていく、そんな世界のすべてを自分だけしか認識できないとしたら。
はたして正気を保っていられるだろうか。
保っていられるなら。
何が心を支えているのだろうか。
物語は動き出す。
それはきっと日常の
例えば月の光だったり
海の深さだったり
夕焼けの暁だったり
目を閉じた闇だったり
風薫る桜だったり
そんな些細なことがきっかけなんだろう。
今からでも遅くない。
もうやめちまえよ。
君を見ていると僕まで後悔しそうになるんだよ。
進むな、退けよ。
耐えるな、流せ。
分かっているくせに。
戯言なんだよ。
こんな世界は。

「はい、今日は転校生が来ています」

そっちが後回しかよ、と青髪ショートカットの女の子、美樹さやかは心の中で突っ込む。

カツカツと…

転校生とやらが入ってきた。
一目見た感想は綺麗、だった。
なびく髪の毛は一切の躊躇なく流れ
歩く姿はどこか気品を漂わせる。
そしてなによりどこか遠くを見ているような、そんな吸い込まれるような瞳が宝石のようだった。 

「暁美ほむらです、よろしく」

じろり、と暁美ほむらと名乗った少女は美樹さやかの親友、薄紅色で二つ結びの髪の毛をした少女、鹿目まどかを凝視する。

「あ…ええと…その…」

鹿目まどかはあたふたとしている。
そんな彼女に目もくれず暁美ほむらは何故か早乙女先生に教えてもらう前に自分が座ることになるであろう席に着いた。





「はい、ところで今日は転校生が来ています」

そっちが後回しかよ、と青髪ショートカットの女の子、美樹さやかは心の中で突っ込む。

カツカツと…

転校生とやらが入ってきた。
一目見た感想は綺麗、だった。
なびく髪の毛は一切の躊躇なく流れ
歩く姿はどこか気品を漂わせる。
そしてなによりどこか遠くを見ているような、そんな吸い込まれるような瞳が宝石のようだった。 

「暁美ほむらです、よろしく」

じろり、と暁美ほむらと名乗った少女は美樹さやかの親友、薄紅色で二つ結びの髪の毛をした少女、鹿目まどかを凝視する。

「あ…ええと…その…」

鹿目まどかはあたふたとしている。
そんな彼女に目もくれず暁美ほむらは何故か早乙女先生に教えてもらう前に自分が座ることになるであろう席に着いた。
その瞳はやはりどこか遠くを見ているようだった。

>>91
こっちミス
ごめんよ

今日はここまでにします
見てくれた人はありがとう
正直結構妄想するのは楽しいです
ありがとうございます

おつ


今までのはほむら来る前の展開だったんか


マミさんがお兄ちゃん呼びか…。
そういえばマミさんは背伸びして強がってるだけで本質は甘えたがりの妹属性だと聞いた事がある

今日は書けないです
ダラダラとしてごめんね!

「不思議な雰囲気の方ですね」

と、美樹さやかと鹿目まどかの親友である志筑仁美は感想を述べる。
しかし美樹さやかは感じていた。
不思議、というよりも何かもっと重大なことを知っているような
下手を打てば何かが破綻してしまうような。
薄暗い、どす黒い、そんな事実を暁美ほむらが知っているようでならなかった。

「ごめんなさい、緊張しすぎたみたいで…少し気分が…」

暁美ほむらはそう言っている。
確かに気分が悪そうだ。
疑う余地もないだろう。
しかしやはり美樹さやかはその完璧すぎる仕草にある種の違和感を覚えていた。

「えっ…」

鹿目まどかが思わず声を上げる。

「鹿目まどか…あなたがこのクラスの保健委員よね?保健室…連れていってもらえるかしら?」

やっぱり暁美ほむらは何かを隠している。
普通なら転校したての同年代の女の子にこんな気持ちを感じるなんてまともじゃないだろう。
だが美樹さやかはその根拠のない考えがどうしても捨てきれなかった。

(こいつ…どこかで…)

そんな馬鹿なことを考えているうちに流されやすい鹿目まどかは暁美ほむらへついて行ってしまった。

「結局あの転校生なんだったの?」

鹿目まどか、美樹さやか、志筑仁美は学校からすぐ近くの喫茶店で話していた。
3人のお気に入りの場所らしく何も予定がない時はここで時間を潰すことも少なくないようだ。

「うん…私も良くわかんないや…」

鹿目まどかは戸惑ったような声を上げる。
それはそうだ。
美樹さやか自身この違和感よりも何よりあのサイコな電波少女に大きな不安を感じているのだから。

「でも私…ほむらちゃんとどこかであったような気がするの」

志筑仁美が応える。

「どこかって…?どこですの?」

志筑仁美は俗に言ういいところのお嬢様。
こんな話し方も二人はすっかりなれてしまった。

「ううん…ごめん…勘違いかも…」

そうですか…と志筑仁美は怪訝そうに鹿目まどかに視線を送る。

「あ、もうこんな時間ですわ、すみませんまどかさん、さやかさん、私これから用事がありますの」

「おー、やっぱお金持ちは違うね、今日は何?」

茶々を入れる美樹さやかに対して志筑仁美はくすくすと笑いながら言う。

「今日はお茶のお稽古です」

それでは、またあした
そう言って志筑仁美は喫茶店を後にしていった。

「あ、まどか、今日CD屋よってもいい?」

美樹さやかは幼馴染のため時間があるときはCD屋によることが日課となっている。

「いいよ、私も聞いてみたいのあるし」

そういって二人も喫茶店を後にしたのだった。

「そういえばマミちゃん」

「なに?お兄ちゃん」

お兄ちゃんか…こんな呼ばれ方普通じゃされないぞ。
…いや、されたことはあったけどさ。
そいつもういないし。

「1回パトロールしてるときに僕とはぐれたことあったよね」

確かマミちゃんとパトロールを初めて2回目か3回目かの時だ。
そのとき僕は全く別の方向を歩いていた。
まったく、記憶力がないというのは本当いつまでも足を引っ張ってしまう。

「あったよ?」

ちなみにマミちゃんは何故か敬語が取れている。
別に嬉しくなんか思ってないけれど、これはこれでまぁ悪くない気分かもしれない。

「そのときマミちゃん、すごく嬉しそうな顔してたよね?何かあったの?」

まぁその頃はまだマミちゃんに嫌われていたから僕の顔を見たらマミちゃんはすぐ不機嫌そうな顔になってしまったけれど。
ただ単に二人で部屋にいるのも暇なので聞いてみただけだ。
他意はない。

「うん、あのね、二人の女の子に出会ったの」

二人?
僕がいない間にか?

「髪の毛が青とピンクの女の子だったんだけれどね」

おいおい、待て待て。
これもう僕が引き寄せてるんじゃないのか。
確かにここに来た時に街で見かけたけどさ。

「へぇ、じゃあその二人も魔法少女だったのかい?」

と、僕は聞いてみる。

「ううん、普通の女の子だったよ」

はい?仲間ができて嬉しかったんじゃないのか?

「…私がどうして今も魔法少女を続けられるのか…私自身も分からないけれど」

…。

「きっと、あんな風に人を助けられたらそれはとっても嬉しいから…」

なるほど。

「だから…」

「分かったよ。頑張ってるんだね」

なんだよ、強かじゃないか。
僕と似ているなんて笑わせる。
似ているのはあくまで生き方だけだったって訳か。
やるなぁ、マミちゃん。

「ところでさ」

僕は今までずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。
これは僕に素質がある云々じゃなくてマミちゃん自身話していところを見たことがないからだ。

「そのQBってやつ、僕はまだしも、哀川さんも見ていないんだけどさ」

いるのかよ、そんな奴。




絶望とはなんだろう。
愛を失うことだろうか。
人間を辞めることだろうか。
因果から除外されることだろうか。
それはきっと人によって違うのだろう。
愛されなくてもおよそ人間と認められなくても因果から除外されたとしても
希望を思う赤も存在すれば。
たった些細なことで絶望してしまう青も存在する。
条理を覆したところで運命を覆せる保証はないし
愛したところで愛される保証もない。
ただその価値観を述べていいのは。
同じ土俵に立つものだけだろう。
だとしたらなんとも皮肉な話だ。
どの土俵からものけ者にされている僕にはどんな相手にも話すことなど許されない。
絶望をなお深く知って
それを共有する事さえも許されない。
馬鹿な話だ。
だからこその傍観者。
笑い話だ。
いいさ、見届けてやるよ、この物語がどんな結末を迎えるのか。
物語は軋み出す。
圧倒的な絶望を伴って。
それでも諦めない奴がいるならば。
それはそれで面白くなりそうだ。

「はぁ!?何でマミの奴がここに!?」

この哀川さんとおそろいの髪の毛をした少女…確か佐倉杏子ちゃんとか言ったっけな。
が、素っ頓狂な声を上げる。

「潤がどうしてもっていうから来たのになんだよ!」

哀川さんを呼び捨てとかマジかこの子。
いずれ死にそうだな。

「まぁまぁ、そういうなよ、私にとってもお前は必要だったんだからよ」

そういってなだめる哀川さん。
こうしてみると姉妹、いや、親子のようだ。

「ふざけんな!マミがいるなら私は協力しねぇ!」

うーん、この子もこの子で面倒くさそうな子だなぁ。
しかも何か馬鹿っぽいし。

「そ、そう言わないで、佐倉さん…」

マミちゃんは今にも泣きそうな顔で言う。
うん、可愛い。

「そしてこのネクラは誰だよ!こんな奴がいるなんてなおさら無理だ!」

初対面の僕に向かってそこまで言うのか。
なかなか調教しがいがありそうじゃないか。

「バカ野郎、このネクラ意外に寂しがり屋だからそういうの言うな」

誰がだ。
そんなこと一度も言ったことない。

「そ、そうよ!お兄ちゃんを馬鹿にしないで!」

マミちゃん、そのお兄ちゃん呼ばわりのフォローは完全に逆効果だ。
アウトギリギリだ。
いや、ギリギリアウトだ。

「はぁ?お兄ちゃん?お前家族いねーだろ?」

なるほど、この子は初対面で嫌われるパターンの子か。
僕かよ。

「あー、もう、うるさい!」

哀川さんは呆れたように手を叩く。
どうやら生意気な口を叩いているが哀川さんの方が力関係は上らしい。
まあ哀川さんより上の人を見たことはないけど。

「お前ら落ち着け、私はもうほとんど回答にたどり着いてんだよ」

は?と、杏子ちゃんが声を上げる。

「なんの回答にだよ」

「決まってんだろ」

哀川さんはシニカルに笑う。
それはもう世界を皮肉ったように。

「この世界の軋みにだよ」

…まだまだ解決しそうにないぞ、これ…。

とりあえずここまでです
今なんとか三分の一くらい書いたところだと思います
一レスが長くてすいません
見ている人はありがとう!

そういえば、この話時系列的にいつごろなのだろうか

sage忘れてた。すまん

>>106
一応まどっち進化前です
暁美ほむらのループにいーちゃんが紛れ込んだ設定です
クロスだからある程度の矛盾は許してくれたらそれはとっても嬉しいなって

乙でした
何かさやかちゃんがほむほむをどす黒い悪認定してるけど何で?

重大で暗い隠し事をしてるように感じた怪しい転校生、何故か既視感あり、程度にしか描写からは伺えないんだが…
その違和感から猜疑の目を向けこそしてるが、さやかがほむらを悪に認定したようには見えないぜ?

ほむらは好き勝手して何度も世界を滅ぼして自分だけトンズラしてるから
その辺の歪んだ思考が勘が鋭い人間にはばれてるんじゃないかな

最善を求めて血辺戸吐いて
それでもやれ悪党だの愚かだの蔑まれて相当悲惨だよねこの子

それが独りよがりだから叩かれるんだろほむらは
挙句には全員の意思や意見を無視して悪魔化だしな
誰にも歩み寄ろうともしないで道具扱いする人間が独りになるのはそりゃ当然だよな

手前らお忘れかもしれませんが、ほむほむだって中学生ですよ?

戯言の中学生も末恐ろしいからなぁ……

古槍頭巾ちゃん(ボソッ


…あの子は高校生だったか

人間関係の碁盤を築く能力やそれに伴う人間性の基礎が出来上がるのは中学生なんだけどね
本人の能力の問題だし言い訳にはならないだろ

>>116
なんで死んだんだ…本当に
正直一番ショックだったよ

ほむほむって魔法少女になる前に中学通ってたっけ?

公式ガイドだとあのまま導かれたらまどかと再会出来るけど実験は続いて円環はQBの支配下になるらしいし
選択肢あるようで実は一本道ってまどマギ多い気がするわ
いーちゃんの影響でもっと悲惨な目に遭うと良いなー

>>120
そんなもんただの結果論でしかないと思うけど?
あの時、ほむらがそこまで考えてたとは思えんし

お前らの主観に基づいたキャラ考察とかいらないから該当スレの中でどうぞ

悪魔化っつてもあのまま救われてたらまどかは永遠に家族と再開できず概念やってただろうから憎まれ役を買って出たといえる

1人で背負いこんで健気な子やでホンマ
いつか幸せになってくれ

悪魔化っつてもあのまま救われてたらまどかは永遠に家族と再開できず概念やってただろうから憎まれ役を買って出たといえる

1人で背負いこんで健気な子やでホンマ
いつか幸せになってくれ

伸びてるから投下がきたかとおもったじゃねーか
自重しろ能無し共

>>123>>124
健気?コミュ障を拗らせた独りよがりの間違いじゃないのか?
見てるキャラが違うとしか言いようがないな

>>126
分かったから静かに座ってなさい

あれ?崩子って死んでたっけ?

>>128
本当の妹の方だよ
いいはるかながいーちゃんのことをなんて読んでたか知らないけど多分お兄ちゃん呼びだったんだろうなって事で
ぼちぼち投下していきます

「ねぇ、まどか」

「なぁに?さやかちゃん」

唐突に呼ばれたにも関わらず鹿目まどかは慌てることなく返事をする。
きっと同じことを考えていたからだろう。

「マミさんが言ってた…願い事…」

そこまで言って美樹さやかは言い淀む。
願いを叶える代わりに魔法少女として過酷な運命を受け入れる事実。
まだ中学生である彼女にはどうにも釣り合っているようには思えない。 
さらに言うなら彼女はまだ魔法少女の運命の辛さを知ってはいない。
だからこそ言い淀む。
叶えたい願いが多過ぎて悩んでいるから。

「私も決められないよ…」

願い事。
奇跡。
聞こえはいいがやはりそれは対価あってのもの。
一人の中学生が選択するにはそうしなければならない状況にでも陥らないと選択しきらないだろう。

ぴし、と空気が変わる。
それは別に大したことじゃない。
屋上にいる二人がいきなり雨に打たれたからでも
雷が鳴ったからでもない。
ただどこからともなく現れた少女がこちらに視線を送ってきたからだ。

「魔法少女になってはダメよ」

黒髪の少女、暁美ほむらはそういう。

「…あんたには関係ないでしょ」

美樹さやかもそれに応じる。
二人の間に流れる痛いほどの沈黙。
それは鹿目まどかと美樹さやかが巴マミに助けられた時にこの少女、暁美ほむらとも出会っていた事が原因だろう。
そしてその出会いがいいものではなかったということはこの沈黙が物語っている。

「忠告はしたわよ」

そう言って暁美ほむらは姿を消す。
ただならぬ雰囲気を身にまといながら
憐れむような、悲しむような目をしながら。
疲れた様な歩き方で
彼女は消えていった。

暁美ほむらは時間逆行者。
文字通り時を操り自分の望む結果だけを求める者。
自己犠牲の塊とも言える彼女はとうとうその自分の望む結果から自身すらも消してしまっていた。

私はどうなってもいいから。
もうまどかだけでいいから。

彼女以外の人間までも諦めてしまった彼女。
そんな世界に価値がないのは知っている。
でもやっぱりダメだった。
何度繰り返してもやっぱり彼女は救えない。
彼女の周りも救えない。
何て無様な人間だ。
鹿目まどかが過酷な運命を背負っているのは
他でもない自分のせいなのかもしれないのに。
正義なんて甘い物じゃない。
恨みなんて汚い物じゃない。
欲望。
ただただその結果だけが欲しい。
もう鹿目まどか以外のすべてを諦めるから。
だから。
幾度と重なるループの中でもそれだけは諦めなかった彼女。
だからこそ気付く。
この世界の異変に。
イレギュラーに。
今度こそはと願う彼女に
奇跡の女神は微笑まない。
奇跡は二度は起こらない。

(どういうこと…?)

暁美ほむらは困惑する。
この世界でやること。
それはまず鹿目まどかと巴マミを接触させないことだった。
しかし不運にも鹿目まどかは巴マミと1回出会ってしまっている。
ならば次から合わせなければいい。
そのためにこうして巴マミを見張っているのだから。
だが。

「誰…?あの男は?」

巴マミはこれまでと明らかに違っていた。
あの男。
これまでの世界には存在しなかった男。
自分のようなイレギュラーではない。
完全なイレギュラー。
思慮深そうでもあり何も考えていないように見える。
そんな目をした男が出てきた事なんてただの一度たりともなかった。

「!!」

彼女たちは病院の中の結界に入っていった。

ちなみに美樹さやかと鹿目まどかは暁美ほむらが追い返した。
この前屋上で言った言葉とは違い、
さらに辛辣に
さらに残酷に
追い討ちをかけた。
その結果彼女達はグリーフシードに気付くことなく帰路についのだった。

運が悪ければ巴マミはここで死ぬ。
彼女には鹿目まどかとであって欲しくはないが、しかし戦力としてはかなり使える人材だ。
出来ることならこのまま生かしておきたい。
暁美ほむらは自分の心に小さな嘘をついて自身もその結界へと足を踏み入れた。

とりあえずここまで
まったり投下でごめんね

>>129
妹って名前呼びして死んだ三人のうちの一人じゃなかったっけ
あと、兄妹ということを知ったのも出会ってから結構経ってからだった気がする

>>134
そうなのかごめん死にたい

暁美ほむらは巴マミに感づかれないように十分距離をとって監視していた。
しかしどうやら今日の巴マミは何故か気が散っているらしくそれほどまでに苦労はしなかった。

(それにしても…)

やはり気になるのはあの存在。
イレギュラーの男。
当たり前だが魔法を使えるわけでもなくただただ行動を共にしているというようにしか見えない。
そして彼ら二人の間にただならぬ雰囲気が漂っている。

(仲がいいわけでは…なさそうね)

この結界の中で十中八九巴マミは死ぬ。
そうなったらこの男はどうなってしまうのか。
巴マミは助けるだろうがこの男はわからない。
この男からは気分の悪くなるような怪しさしか見とることが出来ないのだ。

「!!…とうとうね…」

まず一つの分岐点。
巴マミの生死。
彼女が生き残ることによってこの世界がいいほうに進むとは限らないが、だがしかし居て困るというものでもない。
そうこうしているうちに巴マミは魔女に攻撃を重ねる。

「ここからよ」

巴マミに気付かれていない以上ここで彼女を助けるのもアリなのだがそれ以上に男の存在が気になる。

(巴マミを助けるかどうかは…あの男次第ね…)

随分命に対して粗雑になったものだと我ながら思う。
願いは月日を重ねる毎に少しずつ形を変えていく。
巴マミも本当の願いから除外されてしまった。
ならもうまどか以外は諦めると決めた。
そう思いながら暁美ほむらは巴マミと魔女との戦いを眺めていたのだった。

「…やっぱり…あの人は…いつも油断して…!!」

巴マミが魔女を倒したと思った瞬間魔女の口からおぞましい程の大きさの物体が出てきた。
暁美ほむらは知っている。
何度も見てきたのだから。
あれこそがあの魔女の本体。
あれこそが最大にして最悪の分岐点の一つ。

「マミちゃん!!!」

「…!?」

巴マミが魔女に食われそうになった瞬間、あの男が助けに入った。
いや、正確には押し倒すような形で巴マミへ体当たりをかましたのだが。
しかし何故?
その疑問が暁美ほむらの脳内をかけめぐる。
あの動きは体がとっさに動いたというようなレベル。
しかし一般人にそんなことが唐突にできるとは思えない。
しかも相手は自分の何倍もあるようなやつだ。
余程彼は考えなしなんだろうか。

「…それとも…一般人ですら無いのかしら」

馬鹿馬鹿しい
そんな考えを切り捨てて暁美ほむらは巴マミへと視線を移す。

(いいわ…何であれ巴マミが助かったのであれば…)

自分でも驚くほどに死に慣れてしまった暁美ほむらはまるで呼吸するように、瞬きでもするかの如くこう言い放った。

「あなたが何であれ…私の利益になるなら利用してやるわ」

月日は願いを変えていく。
それは心も同様に。

そいつはそういうのを考えると逆に破綻させるタイプだ!

美樹さやかには一人の思い人が居た。
彼の名前は上條恭介。
音楽一家に生まれ、若いながらもヴァイオリンの天才と言われてきた少年だ。
幼い頃から美樹さやかとその少年は仲が良く
彼がどう思っているにせよ美樹さやかは彼が奏でる音楽と彼自身にいつの間にか惹かれていた。
そしてもうその彼が音楽を奏でることはない。

「さやかは僕をいじめているのかい?」

衝撃。
鈍器で頭を殴られたかのような。
それ以上の衝撃が美樹さやかの思考をストップさせる。

「もう…自分で弾けない音楽なんて…」

どうだっただろうか。
確かに彼のことは好きだった。
事故にあった彼のためにできる事はしてきた。
でもその行為は彼自身を追い詰めていることになっていなかったのだろうか。
もはや彼は自分と自身を対等だとは思っていないんじゃないのか。
選択の幅を狭めてはいないのだろうか。
実質1択の選択問題ではないのだろうか。

「見てよ…痛みすら感じないんだ…この手…!!」

血だらけの
血みどろの
しかしそれでも動かない滑稽な手を睨みつけながら彼は言う。
分かっている。
彼は今困惑していることくらい。
それでもやはりその言動にショックを隠しきれなかった美樹さやかは気付けば病室を飛び出していた。

「ほんと…バカだ…」

1人そう呟いた上條恭介のほほに流れる雫に夕日の煌めきが反射していた。

走る、奔る、趨る。
美樹さやかは目的もなくただ走っていた。
行き先なんかない。
ただこの言いようのない気持ちから逃れるように
なにかに背を向けて走っていた。

「…!」

ぴたりと止まる。
一つだけ…ある。
しかしそれをしてしまったらいよいよ彼とは対等ではなくなってしまう。
何よりそんなものに縋っていいのか。
自分の脳が最大限の忠告をしてくる。

「…君が何を考えているかわからないけどね」

何処からともなく現れる、契約者。

「予想はできなくとも叶えることならできる」

呪いを産む元凶。

「君にはそのチャンスがある」

魅力的すぎる一方通行の契約。

「さぁ」

それ以上喋るな。
弱い私が選んでしまう。
止めてくれ。
消えてくれ。

「君はどんな願いでソウルジェムを輝かせるのかい?」

悪魔は微笑む。
犠牲なんか考えさせないまま。
利益にしか目がいかないように。

「            」






「契約完了、だね」

(遅かった…!!)

歯噛みする。
自分の情けなさに。
何度繰り返しても彼女の行動だけは読めないからだ。

(契約…させてしまった…)

そこにいるのは今まさに魂をソウルジェムへ変えられている美樹さやか
そしてQBである。

(インキュベーター…!!)

美樹さやかが魔法少女になってしまった。
これで鹿目まどかの契約率は跳ね上がる。

(…この世界も…)

と、考えそうになって暁美ほむらは頭を大きく降る。 
鹿目まどかがまだ無事であるのにそう考えるのは早計過ぎる。
美樹さやかが戦力になるかならないかは微妙なところだが、これで彼女が悲惨な死に方をしてくれればきっと鹿目まどかも契約なんて馬鹿な真似はしないだろう。

「…っつ…」

ちくりと、また1つ小さな嘘をついた。
汚れが貯まる程度のものでないが確かにどこかに鈍い痛みを感じる。
それが何なのかは暁美ほむら自身知ることではないのだが。

「…絶対にあなたを救って見せる…」

何度目かわからない決意を固め、暁美ほむらは去って行く。
もう彼女は気付けない。
一人では気づけない。
希望のない世界は絶望ある世界だということに。
やはり女神は微笑まない。
彼女がどこかで奇跡を信じている限り。

とりあえずここまでです
今でも見てくれる人はありがとう
深夜投稿が多いけどそこは大目に見てください


いーちゃんを五体満足の精神損傷無しで利用できたのって五指にも満たないよな…

子荻ちゃんですらいーちゃんの〈無為式〉に
巻き込まれたからなぁ

球磨川と同じレベルで被害を与えるヤバい奴だからなぁ……

しかも球磨川みたいに自発的じゃなくて、いるだけでだからな。

クマーと違うのは、自主的・自発的に発動することが一切できない上に範囲も調整不可、そのくせ主人公補正で死にづらい所

空々空も似たような体質だし被害も拡大しがちだけど、結果的にはどっちもどっちという…

さやかちゃんなら崩子ちゃん枠として例外的に助かるんじゃないだろうか

よくわからんけど自分の代わりに誰かが死ぬ異能生存体みたいな能力でいいの<<いーちゃん

さあ…

もしかしたら魔法少女達じゃなくてインキュベーター達が破滅するかもしれないじゃないか
人類や少女を色々利用しまくってるプラスマイナスゼロのつけがあいつらにまわるかもしれん

遠大な計画ほど危ないからな

えーと確か、欠点だらけで会った人全員が「自分の嫌いな自分」と似ている人だと感じる
(そのせいだったかどうかは忘れたが)
本人にはその気がないが、そこにいるだけで予定や目標が失敗する方向へ動く
だったかな

>>154
ほむらはそれに当て嵌まりそうだけど
マミさんみたいに好意を持ってるタイプはどうなんの?

そういう人原作にいたけどなぜか他の人殺して自殺したよ

萌えキャラから死んでいくもんなぁ・・・

頭巾ちゃん死んだときは流石にブン投げそうになったわ

いーちゃん好きな人は大体死ぬ

巫女子ちゃん然り一姫ちゃん然り
理澄ちゃん含めるならそれも

友はクビツリで死んでるも同然みたいに言われてたし、真心は一回死んでるし

>>156
まどマギの本編的に考えるとマミさん最もそれに当て嵌まりそうなケースなんですけど…!?

>>159
無為式のみならず死亡フラグ乱立者でもあってな…
いーちゃん本人の行動や関係者の行動、それによる何かしらのバタフライエフェクトで死ぬ事も多い
上に書いてある人たち以外にもいーちゃんと接触しただけで死んだ人も結構な数いる

…哀川潤さんには無為式も死亡フラグも無効だったり

あそこでシャルに喰われてた方がまだマシだったって事にならなきゃいいなあ
いーちゃんが能動的に動いてマミさんを身を呈して庇ったのが何かのフラグになってればいいんだが……

「格好悪くて頭も悪く女々しくて、全然優しくなくて思いやりなんて欠片もない、手の打ちようもないような人」
「死んだ魚のような目をした人」
「テンションが白濁沈殿する十九歳」
「筋金入りのメイドマニア」

だそうだ

まぁ狐さん関連の後っぽいし少しはやばさも緩和されてそう

いーちゃんは合法ロリと歳上のお姉さんタイプを偏愛する学生でもある

頭脳面は化物揃いな作中でも相当優秀だが、基本的にはその一切が役に立たなかったり
(裏目に出たり惨状を悪化させたり全部終わってから解明したりとろくな事にならない、あくまで優秀なのは頭脳面そのもののみ)

まぁ頭良くても記憶力皆無ですしおすし

上條恭介は一人病室で横になっていた。
もちろん座ることもできるのだがもうその気力もない。
腕が動かないことより、自分の大切な人を傷つけてしまったことの方がショックが大きいからだ。
分かってはいる。
美樹さやかが悪意なんか露一つ程も持っていないことなど。
知っていた。
自分の腕が動かないのはどう仕様もないことなんだと。
それでも現実を受け止めきれなかった彼は彼女に八つ当たりをしてしまった。
 
(…明日…さやかに謝らなきゃ)

そう決心した。
自分がどれだけ愚かなんて自分が一番良く知っている。
人は間違いを省みることのできるただ一つの生命だ。
そこから学び取ることもあるだろう。
しかし遅すぎた。
言ってしまった時点で歯車は回り出す。  
不気味な音を立てて
不快な動きをしながら
もう遅すぎた。
遅すぎた。
遅すぎた。
遅すぎた。
それから彼の腕が治ったと彼自身が気付くのは翌日のことだった。




大切な人のために祈るのは悪いことなのだろうか。
そうかもしれない。
違うかもしれない。
しかしそこにあるのは自分の意志だけ。
大切な人とは自分にとって大切なだけで
他人から見るとそうではないのかもしれない。
何を持って大切かと決めるのはやっぱりそれは自分へのメリットなのかもね。
それはそうと君には大切な人がいるかい?
自分の魂をなげうってまですくいたい人がいるかい?
僕にはいた。
何人もね。
さぁ始めよう。
まだ前置きなのさ。
長いって?
傍観者だからね、僕が早めることなんてできないさ。
物語は狂い出す。
不思議じゃなかったかい?
誰も死なないなんてさ。
安心しなよ。
君の考えは正しいから。
そうやって事が起こるごとに
僕は死にたくなるんだよ。
あーあ、またやっちゃった。
人間なんて
そう簡単には変わらねえよ。

他人のために祈って魔法少女となった美樹さやか。
彼女の願いは誰に知られることもなかったかもしれない。
しかし、そんなことはない。
少なくとも赤い魔法少女は知っていた。 
いや、知ってしまった。
白い契約者から聞いてしまった。
彼女は癒しを願いとしてしまったと。 

「ちっ…」

そう舌打ちして杏子ちゃんは悪態をつく。

「なんでてめぇみてぇなネクラと一緒に…」

たまには杏子とパトロールに言ってこいよ。

哀川さんはそう言った。
またいつもの気まぐれなのだろうが僕としては慣れているマミちゃんとの方が良かったんだけどなぁ。
それにこの子…

「言っとくがあたしは使い魔なんか倒さねーぞ」

なんだか面倒くさい。
マミちゃんと正反対って感じだ。

「…あー…イライラする」

…それはそうとこの街に魔法少女が増えたらしい。
哀川さんがそう言っていた。
哀川さんはようやくそのQBとやらと出会って話を聞いたらしいが。
それにしても哀川さん、人の願いとか軽々しく僕らに話しても良かったんだろうか。

「…」

どうやら杏子ちゃんはその新しい魔法少女が気に入らないようだ。
なんでも

人のために願うなんて馬鹿のやることだ!

らしい。
まぁその意見には概ね賛成だけどさ。
どうせなら自分のために願うよなあ。
あー、腕生やしてえ。

「…ん…、コイツは使い魔か…」

使い魔ねぇ…。
きっとマミちゃんと杏子ちゃんの仲が悪いのもこの辺のすれ違いなんだろうね。
使い魔が人を殺し続ければいずれグリーフシードを産むらしいし。
言うなれば杏子ちゃんが現実主義
マミちゃんが理想主義って感じか。
って虚無主義みたいな僕が言うことかよ。
まぁ、戯言なのかもね。
そんなことを考えていたら突然杏子ちゃんは走り出した。
迷いなく
イライラしながら走っていった。

キィン!

「…な…!」

僕は走り出した杏子ちゃんに追いつくと、既に彼女は応戦中だった。

「あんたさぁ…何してんの?」

さらにイライラを募らせながら杏子ちゃんは言う。

「あれ使い魔だよ?」

いや、別に他人が倒すことくらい許してやれよ。
なんでそう突っかかるんだこの子は。
青い少女は答える。

「はぁ!?あいつらをほっといたら関係ない人が死んじゃうかもしれないんだよ!?」

ははぁ、なるほど。
多分だけどこの子が新しく魔法少女になった子か。
青か…。
そろそろ銀色とか出てくるんじゃないのか?

「卵産む前の鶏締めてどうすんのさ」

例えが悪い。
まぁもう何も言わないけど。

「食物連鎖って学校で習っただろ?」

君は学校行ってないけどね。
というかこの空気やばいんじゃないのか。
何か今にも戦いが起こりそう。

「…ほっといて、私はあいつを追うから」

「そうはさせないね」

チャキっと杏子ちゃんは槍を構える。
その動作を見て青い少女も臨戦態勢に入ったようだ。
ピリつく空間。
なるほど確かにもはや彼女達は人間ではなさそうだ。

「言ってもわからないなら、体に教え込むしかないねぇ!」

そういって赤と青は激突する。
激しく火花を散らせながら。
どちらも自分の信念にしたがっているということはわかる。
僕にはどっちが正しいかなんて言えないけどさ。
というか、二人とも僕のこと忘れてない?

杏子ちゃんの武器は多節棍と槍を組み合わせたようなもの。
一方青い子はただのサーベル。
武器だけでもひと目で不利有利がわかるが
さらに経験の差もあるのだろう。
あっさりと青い子は吹き飛ばされてしまった。

「はん、まだまだだね」

やり過ぎだろ。 
数mくらい吹っ飛んでいったぞ。

「…まだ…だ」

そう言って青い子は立ち上がる。
今のを食らって立てるなんてさすが魔法少女というべきか。

「おかしいね、全治3ヶ月ってほどには決めたんだが」

杏子ちゃんの槍がぶつかったところに魔法陣が現れる。
どうやら傷を修復しているようだ。

「…癒しの…魔法…」

ぎりり、と杏子ちゃんが歯を食いしばる音がする。
憎いような。
悲しいような。
何かを重ねるような。
そんな目をしながら彼女は吠える。

「あんたか…!人のために願ったバカってのは!」

もはや杏子ちゃんに手加減するような気持ちはないだろう。
ただ何かにぶつけるような。
そんな激しい衝動しか見て取れない。
彼女の槍が青い子の腹部に到達するかどうか。
そんな時僕は確かに聞いた。
その声を。

「無駄な争いはやめなさい」

気付くと杏子ちゃんの槍はその声の主に止められていた。
正確には柄の部分を握られて制止されていたのだ。
一瞬で。
まるで魔法のように。
彼女は突然現れた。

「誰だてめぇ…!」

威嚇するような声で杏子ちゃんは言う。
目の前に突如現れた黒髪の女の子に。 

「美樹さやかには手を出させないわ」

…似てる。
マミちゃんも杏子ちゃんも確かに僕に似ているところはあった。
しかし彼女は段違いに僕に似ている。
映し鏡とまでは行かないが
纏っている雰囲気が薄暗い。
何かを背負っている
死んだような目をしていた。

「…転校生」

美樹さやかとか言う女の子は意外そうに言う。

「…ここはあなたのテリトリーじゃないはずよ」

…テリトリーか。
確にマミちゃんが言っていたな。
魔法少女はグリーフシードの取り合いにならないように暗黙に自分の活動する範囲を取り決めていると。

「ちっと野暮用でな、それより放せ、てめぇもぶち抜かれてぇか」

なんて野蛮な子だ。
彼女とは仲良くなれそうにない。

「…」

無言で黒髪の女の子は威圧する。

「…ちっ、止めとくか」

あんたの魔法は得体が知れねぇ

そう言い放ち杏子ちゃんはあろう事か僕を置き去りにしてどっかへ消えていった。

「…じゃあ僕も帰るよ」

そう言って踵を返した僕の目の前には先程の黒髪の女の子がいた。

「あなたは何者なの?」

あぁ、最近感じていた視線はもしかして彼女のものなのかもしれない。
それにしても不躾すぎる質問だ。
何者だと聞かれても戯言遣いとしか言い様がないんだが。

「…僕はただの人間だよ、訳あって彼女と行動してるのさ」

と、僕は少しカッコつけていう。
付いてないかも知れないが。

「…今まであなたが出てくることなんて…」

意味深なセリフを言い放ち彼女は黙ってしまった。
今まで? 
まさか世界を繰り返しているわけでもあるまいしそんな言い方変ではないだろうか。

「…君は酷い目をしているね」

やっちまった。
思ったことを口に出すなよ僕。

「…」

彼女は黙っている。 

「捨てられた子犬みたいな、あるいは嘘つきの目をしているよ」

僕も似たようなものだからね
と僕はフォローにならないフォローをしてみる。

「…そう」

彼女はもう用などないと言うように後ろを向いた。

「あなたが死にたくないのであれば、これ以上私達に関わらないことね」

死にたいから関わります。

「忠告は…したわよ」

その言葉を最後に彼女もどこかへ消えてしまっていった。
おいおい、気まず過ぎるだろ。
この残された子はどうするんだよ。


君の願いは何かな?

私の願い?

そうとも
 
もうこれ以上見ていられないんだ

何をだい?

彼女が苦しむところを

ふぅん

だってこんなのおかしいよ

誰よりも頑張ってる彼女がこんな目に遭うなんて

運命なのかもね

そんな運命要らないよ

…そうかい

…ねぇ

なんだい?

こんな残酷な物語って許されるのかな?

分からないよ

こんな残酷な物語が永遠に続くくらいなら

なら?

物語そのものを壊したほうがいいのかな?

それが君の願いかい?

分かんない

この願いがどうなるのかは分からないけど

もう彼女が嘘をつくのは嫌なの

こんな物語嫌なんだ

分かったよ

だからさ

幸せなんて求めないから

この物語自体を壊してよ

それが君の願いなら

受け取るといい

それが君の願いの形だよ

この物語が壊れる事を祈るといい

ううん



それは、次

そうかい

頑張ってね、ほむらちゃん

とりあえずここまで
見てくれてありがとう
うおー楽しくなってきたよ
あと関係ないけど僕は魔法少女全員同じくらい好きです
でも今回は戯言SSってことで少しひいきっぽくなってるかも
そこには目をつぶってくれたら嬉しいなー


零崎ってさやかちゃんレベルなら魔法少女になっても戦えそうに思えるのは俺だけ?
あとなんとなく杏子がロクな死にかたしなさそう


魔法少女は物理的な強度がはね上がって身体能力も大幅に上昇するから、願いの副産物として得た能力も絡めて戦われるとキツいかも

ただ、全体的な速度は上昇しても、思考回路や応用力の高さは基本的に魔法少女になっても変わらない(人間のまま)っぽいから、
人類最強や人類最終に確実にダメージを与えられる腕前と丈夫な得物を持った零崎なら有利に戦えるだろうさ

軋識さんが魔法少女に勝てる図が思い付かないんですが

QBがいーちゃんに悪影響受けて悪化しないか心配だ

QB「ジャンジャジャ?ン!!今明かされる衝撃の真実ゥ」

>>178
いーちゃんは、そういう悪影響を与えるタイプの駄目人間では無いから…

>>178
なにその感情溢れるQB

いーちゃんもそうだけど「人類最悪」の狐さんも危ないからなぁ……何も考えていないし、女タラシだし……織莉子さんあたりは簡単に堕ちそう

外伝系列の魔法少女も出てくるって>>1は言ってたっけ?

狐さんとQBが組んだら人類ってあっさり終わるよな

「なぁ、潤」

帰ってきた佐倉杏子はマミの家に居る哀川潤に声をかけた。

「おう、帰ってきてたのか杏子たん」

「変な呼び方すんな」

と、佐倉杏子は悪態をつく。
それに対して哀川潤は茶化すように笑った。

「はは、わりいわりい」

それで、どうしたんだ?
と続ける。

「なんであたしなんか呼んだんだ?」

佐倉杏子は思っていたことを率直に聞いた。
哀川潤は言った。
もうすぐこの街に弩級の魔女が来ると。
なぜそれを彼女が知っていたか知らないが。
確かに佐倉杏子は戦力になるだろう。
しかし彼女の性格を鑑みればむしろ仲間割れを起こし余計にややこしい事態になることもありえる。

「なんで、ねぇ」

哀川潤は反芻する。
考えている。
どう答えていいものか。
それは哀川潤自体説明しづらい事だからだ。

「いろいろ理由はあるさ、お前の髪の毛が赤いってのもその一つだ」

そんなことどうでもいい
と佐倉杏子は冷たく言い放つ。

「初めてなんだよな、説明しづらいってのはさ」

頭をぽりぽりとかいて哀川潤言いよどんだ。

「それがあいつの願いだったんだ」

そう言った哀川潤に怪訝な目を向けながらなおも佐倉杏子は畳み掛ける。

「誰の願いだよ、訳分かんねーぞ」

そうかもな、私も分かんねぇ
そう言って哀川潤は薄暗い路地へと消えていった。

「おいこら!待て!」

魔法少女でもないのに哀川潤の運動能力は魔法少女のそれをはるかに凌駕している。
それももちろん疑問の一つだがやはり何より疑問なのはこの状況のことだった。

「…何なんだよ…一体…」

誰に聞いても回答がないというものは辛いだろう。
しかし実際に回答なんかない。
そこにあるのは気まずさと静寂だけだった。

癒しの魔法か。
マミちゃんが使っていた回復魔法の強化版みたいなものか。
確か魔法ってのは祈った願いに左右されるらしい。
それはそれで便利だね。
この子がもう少し早く契約してれば僕の腕もくっついたんだろうなぁ。

「大丈夫かい?立てる?」

僕は優しい青年をきどりながら美樹さやかと呼ばれた彼女に声をかけた。
差し出した手を払われてしまう。
ひどい。

「…あんたもあいつの味方?」

ドスの聞いた声でさやかちゃんは聞いてくる。
いや、別に味方ってわけじゃないんだが。

「彼女とは行動をともにしてるだけで仲間ってわけじゃないと思うよ」

杏子ちゃんもそう思ってそうだし。

「…そう」

さやかちゃんは恐らくもう治ったであろう体に力を込めて立ち上がる。
どうやら傷は直せても疲労は治せないらしい。

「…人のために祈ったんだってね」

もういいや、言っちゃおう。
ここまで来たらさんざん足でも引っ張ってやろう。

「…悪いの?」

ぎろり、と睨みながらさやかちゃんは言う。

「悪いかどうかはわからないさ。でもそれって回り回って自分の為だったりしないの?」

さやかちゃんは目を見開いてサーベルに手を掛ける。
よほど気が立っているようだ。  

「…そんなわけないでしょ…!私は何も見返りなんか求めちゃいない…!!」

へぇ、そうやって逃げるのか。
それはそれで楽そうだ。

「逃げるなよ、自分の為だろ?」

サーベルが僕のほほの横を突き抜ける。

「黙れ!」

吠える吠える。
負け犬と言う言葉がぴったりだなこの子。

「君はさ、人のために祈ったつもりで本当は自分の利益しか考えてないんだよ」

だから卑怯だ。
似ているね。
逃げた先に何があるのかも知らないくせに。

「ほら、刺せよ、僕は痛みなんか感じない」

本当はすっげぇこわいけど。

「…あんたは何なのさ…魔法少女でもないあんたになんでそんなこと…!」

次第に声が小さくなっていく。
痛いところをついたのだろう。
今にも発狂し出してしまいそうだ。

「だから」

認めろよ、後悔してるんだろ?
僕は呼吸するようにそう言い放った。

「…私は…!私は…!」

ぽき、と。
僕は何の前触れもなく残った方の小指をへし折った。
いつかやったときみたく。

「…は?」

そのまま捻りながら一回転させ反対側へ折りたたんでいく。

「僕はさ、後悔してもし足りない」

「君みたいなバカを見てると吐き気がするんだ」

「こんな事してもなんにもならないのさ」

親指を反対側へ折る。
その後なに食わぬ顔でまた一回転。
超いてぇ。
泣きそうだ。

「自己犠牲の先にあるのは破滅だぜ」

脂汗を書きながらそれでも無表情を保っている僕にさやかちゃんは不気味なものを見る視線を送る。

「…あんた…何なのよ」

さやかちゃんは目を見開いていう。
僕はただの請負人さ。
何を請け負うのかはその時時によって違うけど。
戯言だけどね。

「後悔してばっかりの戯言遣いさ」

我ながらダサい台詞だった。

人のために祈るのは自己犠牲なんだろうか。
昨日のあいつはそう言った。
自己犠牲って悪いことなんだろうか。
学校なんてもうどうでもいい。
私にとってはこの答えを探す方が大事だ。

「はあ、分かんない」

美樹さやかは4日学校を休んでいた。
昨日の戯言遣いとやらはなんだったのだろうか。
何も知らないくせになんでも知っているような振りをする。

気にいらなかった。 
そんな生き方をしているあいつが。 
のうのうと生きていけるあいつが。

そんな思いが駆け巡る。
誰も味方なんてしてくれないなら。
いっそ一人で生きていきたい。
一人で正義の味方をしていたい。

「辛いよね…やっぱ」

受け入れたと思っていた運命がこちらを見ているような気がした。
まるでもうすぐ絶望へ叩き落とされるような。
そんな音を立てながら近付いてく気がする。

「…まどか」

不意に口をついたのは親友の名前だった。
彼女が契約するとすればどんな願いなんだろう。
人の為なんだろうか。
自分の為なんだろうか。
きっと彼女はどんな願いでも迷ったりしない。
後悔なんてしないだろう。
もやもやと晴れない思いを追い続けてるうちに美樹さやかはテレパシーを貰う。
オンオフできないのが難点だ。
その声の主は。
あろうことか昨日の赤い髪の少女、佐倉杏子だった。

とりあえずここまで
つーかいーちゃんって僕じゃなくてぼくだよね?
平仮名だよね?
あーもうダメダメだ死にたい
見てくれてありがとう
まだ終わらないと思うけど見続けてくれたら嬉しいです
美樹さやか厄介すぎんよ…展開的に…

口でえええええええええ!!!
くちで指をおりたたんだのおおおおおお!!!
片方腕内の忘れてたァァァァァァァ!!!
ごめんねえええええええ!!! 
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!????
ほんとごめん!!!
もうなんかほんとしにたい!!!
おやすみ!!、

おっぱい

可愛い

分かる分かる、たまーに忘れちまうことあるよなぁ。
そーいうときゃあ焦らず及ばず誤変換したっつやあいいんだよ。
ロマンチストん時も残った方は床に押し付けて折っていたし、
読者に想像させるってのも一つの手さ。


↑の人も言ってる通り、近くの壁や地面や電柱とかで折ってても多分問題ない

黙れ小娘!!お前に宇宙が救えるか!?

「ちょっと面かしなよ」

赤い髪の少女はそう言って顎をくいっと動かす。
窓を隔てているとは言え魔法少女となった美樹さやかだ。
多少遠くとも窓を挟んでいたとしても良く見える。

(いよいよ、人間じゃないな…)

自分を嘲笑し答えを返す。

「私はあんたに用なんて無いんだけど」

鬱陶しい。
すごく鬱陶しかった。
こんな自分に構ってくれるやつが。
一緒に戦ってくれることもしないのに。
人の事なんて何も思っていないくせに。

「いーから、出て来いよ、何もやり合おうってんじゃないんだよ」

まぁいいか、どうせこいつも飽きたらもう突っかかってくることなんてないんだろう
そんな軽い気持ちで、重い体を引きずりながら美樹さやかは外へ出た。
その夜は空気が澄み星が輝く綺麗な夜だった。
不気味なほど。
不気味なほど自分の心と正反対の天気を睨みつける。
何を見ても敵にしか見えない。
昨日のあいつが自分の何かを破綻させてしまった。

「着いてきなよ」

言われるがままについてゆく。
普段なら罠かと思うかもしれないが今の美樹さやかにはそんな事を思いつくような余裕もなかった。

「ここは…どこ?」

言われるがまま着いてきた美樹さやかが到着した場所は古びた教会だった。
おそらくもう誰もいないだろう。

「ここはあたしの教会さ」

元ね、と付け足す。

「なんでこんな場所に…?」

疑問に思った美樹さやかは尋ねる。
それに対し佐倉杏子は遠くを見ながらクスリと笑う。
その目はどこかさみしそうに見えた。

「あたしのオヤジはさ、いわゆる神父ってやつだった」

「人々に教えを説く、ってよくあるあれさ」

「だけど上手い具合に人が集まらなくてね」

「いっつも貧乏暮らしだったよ、あたしは」

あはは、と困ったように笑う佐倉杏子。
昨日のイメージとはどうも違う。

「だけど今思えば、その頃が一番楽しかったんだよな」

もう二度と手に入ることのない温もりをゆっくりと思い出すように目を閉じる。
昨日の荒々しさは嘘のようになかった。

「あるときオヤジは教えにないことまで説き出した。つっても悪いことじゃないぜ、オヤジ自身がこうしなきゃいけねぇってことをさ」

要するに間違っちまったんだ。
こう言って一息ついた佐倉杏子は思い出したような顔をする。

「あたしの名前を言ってなかったな、佐倉杏子だ」

にかっと笑う佐倉杏子を見て美樹さやかは違和感を覚える。
こんな奴をあんな風にしてしまう魔法少女の存在に対して。

「美樹…さやかよ」

自分自身も名乗る。

「さやかか…。いい名前だな」

昨日殺しあった仲なのによくそんなことが言えるものだ、と美樹さやかはため息をつく。
駄目だ、こいつは私の苦手なタイプかもしれない。
そう思っているうちに佐倉杏子はまた自分の過去を語り出した。


「話を戻すな」

そう言って佐倉杏子は真面目な顔になる。

「まぁそんなことがあったからさ、オヤジは破門されちまった」

あたし達はその日生きるために飯を食うのも辛い生活だった。
ロッキーというお菓子を齧りながら佐倉杏子はなんでもないふうに話す。

「…そんな時だったんだ、あいつが現れたのはさ」

言わずともわかる。
窮地に陥った素質ある少女の前に現れるやつは一人だけだ。
選択の余地のない選択をさせ魔女と戦うことを強いる
一見魅力的だがだからこそ共に着いてくるリスクなど考えさせもしない。
そんなやつが。

「あたしは願ったよ、オヤジの元にもう一度人が集まるようにってさ」

それが佐倉杏子の願い。
人のために願った魔法少女を罵った者のの願い。

「その代わりあたしは毎晩魔女退治さ。でもね」

辛いことなんてなかった
前より皆で腹いっぱい食べられて幸せだったよ
そう言ってまたどこか遠い目をする。

「だけどそういうのって長くは続かねぇもんさ、ある時オヤジにバレちまった」

「なんて言ったと思う?オヤジのやつ」

「お前は人を惑わす魔女だってよ、笑っちまうだろ?」

魔女と毎晩命のやり取りをしてたやつに言うんだぜ、それ
佐倉杏子は笑う。
負けないように。
強く笑う。

「そっからは早かったよ、オヤジが一家心中を図ったのさ、みんな死んじまったよ」

魔法少女のあたし以外はな
そう言って佐倉杏子は後ろを向く。

「…見てられないんだよ、あんたみたいなやつ」

次第に声が小さくなっていく。

「あたしは今自分のために力を使ってる」

「…でもあんたは今も間違え続けてんのさ」

声が震える。

「…いつかきっと後悔する!いつかきっと人を呪う!!」

もう見たくねぇんだよ、そんなバカ
それっきり佐倉杏子は黙ってしまった。
何かを待つように。

「…」

「…あんたのこと誤解してた」

「それでも私は、人のために願ったことを後悔なんてしない」

「私の力は人のためにあるから」  

ロッキーを噛み砕く音がする。 
分かり合えないことくらい分かっていたはずだった。

「…同類なんていねぇんだぞ!!」

佐倉杏子が吠える。
ぶつけるように吠える。

「それでもやっぱり私は後悔なんてしたくないから」

後悔してないのではなく後悔したくない
そう言って美樹さやかは教会を去っていった。

「…」

一人残された佐倉杏子は何かを思う。
それが何なのかは予想がつかないが
きっと美樹さやかの事であるということは正しいだろう。
魔法少女。
それは偽りの奇跡。
いつか壊れる祈り。
それを知っていながらもやはり少女達は願うことをやめないのだった。 

「バカが…」

佐倉杏子はリンゴにかぶりつく。
リンゴの酸味と少しの塩っぽさが口の中に残りいつまでも消えなかった。

今日はここまで
オナニーだけど完結までシコシコやっていきます
見てくれた人はありがとう  
まだ終わりませぬ

まだ射精は早いぜ

さやかちゃん(T_T)

ホントは知っている。
私は魔法少女だ。
佐倉杏子はとは違う正義の魔法少女。
無償で人を助け無謀に立ち向かう。
それはそれでかっこいいけれど。
魔法少女以前に
私はただの女の子だ。

「恭介が…欲しいに決まってるじゃん」

呟く。
祈りも
呪いも
恨みも
後悔も
そんなもの関係なく
ただ一つの欲望を口にする。

「音楽なんかいらない…」

そう、私は上条恭介が欲しかった。
ただ単純に思い人が欲しかった。
でも
その欲望に従ってしまうと
あの時の祈りが嘘になる。

どうして恭介が欲しいって願わなかったの?

うるさい、黙れ
知ってるんだ、そんなこと。
きっと綺麗で居たいだけ。
きっと祈りを嘘にしたくなかっただけ。
人のために願ったなら
もう自分はどうなってもいい。
それまでに沢山の人を
助けるんだ。

「…これが吹っ切れるってことなのかな」

清々しい気持になる。
美樹さやかにとって上条恭介は誰よりも大切な人間。
その人間を助けたのだ。
誇れる。
もうそれしかないから。

「ほんっと健気だね、さやかちゃんってば」

自虐的に言ってみる。
うん、大したことない。
そう思いながら帰り道を辿っていくと目に付いたのはとある親友の姿だった。
鹿目まどかではない。
志筑仁美。
と、
上条恭介の姿だった。


魔法っていいなぁ。
他人の怪我すら直してしまうなんて尚更欲しくなってきたぞ。
これは女装も視野に…無理か。
それにしてもこの見滝原というところは閑散としている。
昼は人が多いのにも関わらず
夜は誰もいない。
夜風が切るように僕の横を通り過ぎていく。

「…祈り…か」

僕が願うとしたらなんと願うだろう。
巨額の富?
名誉?
命?
大切な人の人生?
奪還?
分かっている。
多分僕は願わない。
そんなことをしたら僕を助けてくれた人達が報われないから。

「戯言なんだけどね」

やっぱり僕はMかもしれない。
ドがつくほどの。

「…さやかちゃん?」

少し遠くを見てみるとそこにはなんだかんだで治してくれたさやかちゃんがいた。
生えてはないけど。
折った分は治してくれた。
やばい、僕すげえかっこ悪い。
カッコつけてへし折って治してもらうって何だよ。

「…こんな時間にどうしたんだい?さやかちゃん」

僕は声をかけてみる。
一人でこんなとこ歩くなんて危なくないか。
いや、魔法少女になったんだっけか。
じゃあ大丈夫かも。

「…。」

さやかちゃんからの返事はない。
どうしたんだ?
まぁ、彼女の事を知っているわけではないけどこんな子なのか?

「ねぇ、戯言遣い」

え?誰それ?僕のこと?
僕のことを戯言遣いって呼ぶのかよ。
お前は何処ぞの機関の人間かっての。

「もう…私ダメかもしれない」

ダメ度で言うなら僕に勝るやつはいねえよ。 
でもほんとに様子がおかしいぞ。
さやかちゃんから得体の知れないものを感じるんだけど。

「…人のために願ったって言ってもさ…結局自分の為だったって自覚したとき…」

僕は黙って聞く。

「やっぱり憎くなっちゃうよ」



「素直になればよかったのかな?祈りとかじゃなくて」

壊れるような声がする。
今にも砕けちってしまいそうな声だ。

「…素直に伝えればよかったのかなぁ…?」

あぁ、僕はこの声を知っている。
いつでも聞いている。
僕から離れようとしないほかならぬ僕の声だ。


「人間ってさ…プラスだけじゃないんだ」

そうだよ。

「人の幸せを願った分、誰かを呪わずにはいられない」

吐き気がする。
この音楽を僕は知っている。
頭の中で鳴り響く絶望の音楽を僕は何度も聞いている。
 
「…そんなことも気付けなかった…」

馬鹿野郎。 
やめろよ。
今からでいいんだよ。
取り返しはつくんだよ。
お前は僕じゃないんだよ。
まだまだ…

「…私って…ほんとバカ」

絶望が生まれる音がする。
地獄が笑う声がする。

ぱりん

そんな音を立てながら彼女の持っていたソウルジェムが砕け散る。
どす黒い呪い。
魔法少女。
魔女。
点と点がつながる。
一本の線になる。
あぁ、哀れな人魚姫だ。
知らぬ間に呪いを溜め込んで。
誰ともなく消えていく。
泡のように消えていく。

「さやかちゃん!!!」

伸ばした手も虚しく空を切る。
現れたのは異形の怪物。
奏でるのは美しい音色。
また僕のせいなのか。
ほんと今までも後悔し続けて来たけどさ。
やっぱり慣れねぇよ、こんなの。

魔女は笑う、この世のすべてを憎みながら。

寝れなかったのでキリがいいとこまで書きました。
さやかちゃんごめんね
オイラ馬鹿だからこうなっちゃった
見てくれた人はありがとう
今日はここまで
ところで戯言遣いって要はツンデレって事だよね?

ふん――やはり耐久性に欠けてしまうところがあるか。
脆ければ脆い程に願いは小さくそして潰え易い。
小さいが故の広大という台詞はここでは適応されまい、
ならば、それはそれでどうとでもするさ。
緩くやって、遜って終わる瞬間を観ておくとするさ。

しかしあれだな、どうにもインキュベーターの話を聞けばエントロピーを凌駕することによって、
宇宙の寿命を延ばす事が目的ならば世界そのものを滅ぼそうと企む狐さんとは相性最悪なんじゃないのかね。

乙したー

狐さんの観測できる世界とQBが管轄する宇宙とじゃスケールが段違いだし一概には言えないような・・・

少なくても地球滅ぼされたら痛手ではあるよね>QB

さやかちゃん心折れるの速すぎるよぉ…

くっせえ黒乳首スレだな

えっ、潤さんが黒乳首?

「よぉ、あんたが暁美ほむらかい?」

赤い女は尋ねる。
面白おかしく馬鹿にしたように。
笑う。

「…」

暁美ほむらと呼ばれた黒髪の少女は答えない。

「返事くらいしてもいいだろうよ、敵って訳じゃねぇんだ」

両手を大げさに広げて赤い女、哀川潤はまた笑う。
あたりは少女の黒髪が溶け込むほどに真っ暗だ。

「…あなたはどこまで知ってるの?」

生気のない目。
あぁこいつもしてやがる。
どう仕様もない嘘つきの目だ。
そう思いながら哀川潤は振り返る。
過去を。
自分だけの過去を。

「さぁな、私が何を知ってるにせよほむほむの邪魔にはならないぜ」

ほむほむ、呼ばれ若干顔がひきつる。
なるほど確かに聞いたとおり真面目そうな子だった。

「…その様子だと私の目的も知ってるみたいね」

「あぁん?ほむほむの目的?」

哀川潤は顔を歪ませながらあからさまに曇った顔をする。

「鹿目まどかって子を助けたい…だったか?」

「そうよ、その為に私は繰り返して来た」

何の迷いもなく即答した。
月日が何を変えるかも知らないで。
愚かなまでに即答する。

「ふぅん、ところでさやかちゃん魔女ったぜ?」

魔女る、というふざけた造語を聞いた暁美ほむらはそれでも眉一つ動かさない。
残酷なほどに
気にもかけない様子で。
嘘を吐く。

「そう、彼女が魔女化するのはほぼ毎回のことだもの」

暁美ほむらは髪を書き上げながら呟く。
そうだ、もう慣れた、まどかだけだ
そう言い聞かせながら何度繰り返して来たのだろうか。
結局実らない努力なだけだが。

「…どうすんだよ、戦力は欲しいところだろ?」

少し真面目な顔になる。
美樹さやかが抜けた穴は大きいかもしれない。
唯一の回復魔法の使い手、その彼女がいるといないでは全くと言っていいほど戦況が違うからだ。

「ダメなら何度でも繰り返すだけよ」

まどかを救えるまで、何度も
強い決意が見えた。
あるいは惰性というべきか。
どちらにせよ今の暁美ほむらを突き動かしているものが何なのかは哀川潤にとって知る由もない。

「そうかい、ほむほむがそれでいーんならな」

やれやれ、と頭を書く。
どうにも馬が合わないようだ。 

「貴方達は一体何者なの?」

率直な疑問をぶつける暁美ほむら。
彼女が繰り返して来たそのどの世界でもこんな人間は存在しなかった。
まるで別の世界で生きてるような
それ程までに関わりがなかった。

「なぁに、人類最強と戯言遣いさ」

茶化すように言う。
やはり馬が合わない。

「…私の邪魔だけはしないことね、邪魔するようなら」

容赦はしない
寒く冷えきった冷たい目でそう言い放って暁美ほむらは消えた。 

「やれやれ」

頭をポリポリとかいてうなだれる。
やはり哀川潤と暁美ほむらのやり方は大きく違う。
もちろんそれは無理というものなのだが。

「そんなこと言ってもそれが願いなんだからしゃーねえんだよ」

一人残った哀川潤は語る。

「魔法少女ねぇ」

人間とどう違うんだよ、そんなもん
そう言い放って哀川潤も暗闇の中へ消えていったのだった。






騙す方が悪いかい?
騙される方が悪いかい?
どっちにせよ僕は悪者だね。
それはそうと物語に終わりってもんは結構早く来る。
まだまだ終わらないと思っててもいずれは終わる。
もしかしたら一番楽しみなのは予告とかなのかもね。
だってさ、世界って終わらないんだぜ?
物語が終わってもきっとその世界は続く。
飽きることなく続くんだ。 
だったらむしろ前段階でワクワクしてた方が楽しいだろ?
映画は予告編が一番面白いってのとおんなじさ。
物語は終わり出す。
最悪の絶望を引き連れて。
絶望に打ち勝つのは希望だって?
笑わせんなよ。
哀川さんならきっと違う答えを出すぜ。
僕はわからないけどさ。
まぁせいぜい
終わりのない世界の一部を楽しんでくれよ。

あれから数週間が過ぎた。
さやかちゃんが魔女になってからあっという間、と言う表現がぴったりな程過ぎ去った。
あれから彼女を見てはいない。 
情けない話、僕は逃げ出してきたからだ。
だって僕魔法少女じゃねぇもん。
どちらかかっていったら狼少年だもん。

「…マミちゃん、大丈夫?」

僕は先程から震えているマミちゃんに声をかけてみる。 
ここ数日ずっとこんな調子だ。

「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

そう言って無理に笑う。
どうもそうは見えないんだけど。

「…ワルプルギスの夜…だったね」

史上最悪の魔女。
結界を貼る必要がないほど凶悪で。
地震が破壊していることすら気付かない。
その影響力は自然災害と揶揄される。
どうも現実味がない話だ。

「…大丈夫…皆がいるから」

強いね。
僕だったら今すぐにでも逃げ出すよ。
口には出さないがそう思う。
だって史上最悪の魔女だろ?
勝てる訳が無い。
フラグとかじゃなくて。

「そうかい」

さやかちゃんの事はマミちゃんには言っていない。
きっとマミちゃんなら我慢できずに吐き出してしまうだろうから。
今まで溜め込んだものを。
正気を保っていられないだろうから。

「…杏子ちゃんと…ほむらちゃん…だっけか」

あの二人がとマミちゃんが居るなら結構いい感じに事が進みそうだ。
勝てなくても善戦するんじゃないか?
まぁ僕は相変わらず傍観者だけどさ。

「…そうだね、心強い…かも」

僕には彼女の気持ちはわからない。
きっと彼女の気持ちがわかるとしたらそれは同じ魔法少女だけなんだろう。

「…」

ふと頭を撫でてみる。
やましい気持ちなど一切なかった。
ただ目の前の小さな女の子を見ていると
自然と手が出てしまう、それだけのことだった。 
これも戯言だろう。

「…ぅ」

嗚咽が漏れる。
そうだろうね。
辛いかもね。

「僕には何もできないよ」

いいつつ僕は撫でるのをやめない。
泣けばいいさ。
泣いて気が晴れてワルプルギスの夜に善戦できるならいくらでも泣けばいい。
僕だって死にたくないからね。

「…うわぁぁぁああぁあ…!」

声を必死に抑えながらそれでも耐えきれずマミちゃんは泣く。
どうしようもない感情が湧いて来ているんだろう。
静寂。
もうこのあたりには誰もいない。
マミちゃんの声だけが響く。

「…君は強いね」  

どう強いのかは言わなかったが愚かなほど強い。
僕に当てつけてんのか?
嘘をつかないことがどれ程勇気がいるんだろう。
考えてしまう。 
馬鹿だなぁ。
関わるとこの子もまた危険な目に遭うぞ。
突き放せ。
突き放せ。
突き放せ。
もう一人の僕が声を上げる。
うるせぇな、僕のタイミングでやらせろよ。

「…うわぁぁぁああぁあぁぁぁあ…」

結局その日マミちゃんは一日中泣いていて僕が言い出すタイミングなどなかった。
その日は奇しくもスーパーセルの前日。
ワルプルギスの夜襲来の一日前だった。



「人類最強の請負人だ」

その言葉を聞いて佐倉杏子は素っ頓狂な声を上げる。
彼女には似つかわしくない声だった。

「な、は、はあ?人類最強だぁ?」

人を馬鹿にするような目で佐倉杏子は言う。
まぁそれが正しい反応だろう。

「まぁ嬢ちゃんより強いってことさ」

カカッ、っと笑いながら仕返しと言わんばかりにからかう。
それを聞いた佐倉杏子は少し不機嫌になった。

「…何しにきたんだよ」

「何しに…かぁ、いろいろあるけどよ」

サングラスを外しながら哀川潤は答える。
同じ髪の色ということと男勝りということもあり第三者には他人には見えないだろう。

「嬢ちゃん、腹ぁ割って話さねーかい?」

また佐倉杏子が素っ頓狂な声を上げる。

「喧嘩腰にならずによ、嬢ちゃんが一人切りでこんな時間に出歩いている理由についてとか、さ」

サーっと佐倉杏子はの血の気が引く。
怖くなったからではない。
頭が冷えた。
怒りで頭が冷えてしまったからだ。

「…誰とは聞かねーが、居るんだな…」

バシュン、とらしい音を立てて佐倉杏子は再び槍を手にする。
その目にはもはや手加減という気持ちなどこれっぽっちもなかった。

「あたしの過去を喋ったやつが、居るんだな!!!」

あいまみえる赤い女同士。
激しくぶつかり合うことによって生まれる閃光は
皮肉にも彼女たちと同じ赤色だった。
こいつもか
人の弱みに付け込んで
ギリリ、と歯を食いしばる。
やっぱり間違ってた。
忘れた方が楽だった。

「うおおおおおおぉぉぉおおぉぉお!!」

死ね
その気持ちを込めながら槍を振り下ろす。 
しかしその鋒は届かない。
相手が人類最強である限り。

「くそ…なんなんだ…あんた…」

背中を思い切り壁にぶつけた佐倉杏子は息も絶えだえ、話すのがやっとだった。

「だから人類最強って言ってんだろ?」

サングラスをかけ直して哀川潤は言った。

「…はぁ…はぁ…ほんとに…魔法少女じゃ…ねぇのか?」

「おいおい、最強ってのの理由に魔法少女ってのは必要ないぜ」

嬢ちゃん程度の奴なら魔法少女じゃなくともごまんといる
そう言って哀川潤は地面に座り込む。

「…家族いないんだって?」

不気味な程輝く星空を見上げながら哀川潤は尋ねる。

「私もいねーんだよ、そーいうの」

あっさりと。
笑いながら彼女は言いのけた。

「…」

「あんたとあたしじゃちげぇんだよ」

ただ単に家族がいないのと、家族に殺されかけたのでは話が違う。
そういう意味合いを込めて佐倉杏子も地面に座り込み言った。

誰も見てないだろうけどそれでもオイラは完結させまする!
今日はここまでにします


見てるよ


見てるよ

「親父に殺されかけたんだ」

佐倉杏子は自分の過去を一片残らず語った。
自分でも何故出会ったばかりの怪しい女に語ったかはわからない。

「ほんと奇遇だな、私もさ」

今も殺そうとしてるかも
と哀川潤はなおも笑った。

「こんなの慣れちまえば対したことねぇよ」

頭に来る。
こういう無神経なやつが。
さっきの言葉を思い出せ。
あたしとお前は違うんだよ。

「それはてめぇに拠り所があるからだろ!」

怒鳴る。
きっと哀川潤は持っている。
佐倉杏子がかつて失って、その後自分から手放した拠り所を。 
もう手に入らないものを。
そう怒鳴ると哀川潤はふっと優しい顔になった。

「…なぁんだよ、お前」

すぐに意地の悪い顔に戻る。
もしかしてこの顔がデフォルトなのかもしれない。

「友達が欲しいだけじゃねえか」

私がなってやろうか?
何を馬鹿な、そんなこと 

「簡単じゃねえか、いっぺん喧嘩して仲直りすりゃもう友達さ」

満面の笑みでそう言った。
きっと彼女の目的には自分が必要なのだろう。
きっとそのために近づいてきたのだろう。
それでも彼女のその言葉が嘘だとは思えなかった。

「まぁ、最初から友達とは言わねぇよ」

取り敢えずは同居人でどうだ?
そう言った。
分からない。
どうしてもわからない。
自分の頬を濡らすモノが何なのかは分かっているがその理由付けが出来ない。
捨ててしまった。
あの魔法少女は今でも人のために戦い続けているんだろうか。
巴マミは、今でも自分の事を思ってくれているだろうか。

「たっ、戦い方教えろよ…!」

佐倉杏子は他所を向いた。

「もちろんだ」

哀川潤は静かに笑った。

暁美ほむらは一人佇む。
明日のワルプルギスの夜との出会いに恐怖しながら。

いや、今やその感覚すら麻痺してしまっている。 
前日は何となく夜空を見上げることが多くなった。 
何度繰り返しただろう。

鹿目まどかを救うために。
口うるさい巴マミも。
おせっかいな美樹さやかも。
口の悪い佐倉杏子も。
自分自身でさえ。
何度欺いただろう。
何度傷つけただろう。
それでも
叶えたい願いがあるから。 
もう立ち止まれないから。
自分に嘘をついてでも。
何度でも繰り返してきた。
交わした約束なんてもはや曖昧にしか記憶していない。
祈りも願いもあやふやだ。
それでも体は動く。
鹿目まどかを助けるという願いのためだけに。
ざっくり、と今度は大きな痛みを感じた。
心に穴があく。
魔法少女に治せない傷があるなんて何と言う皮肉だろう。

「負けないから」

そう、負けない。
ワルプルギスの夜に勝ちたい。
鹿目まどかを救いたい。
それが…私の…

「…っ…」

吐き気がする。
頭が痛くなる。
うるさい。
黙れ。
黙れ!!
余計なことを考えるな。
ただ一つ、最後の道しるべだけをたどって。
奇跡を信じろ。
条理を覆せ。
信じろ、信じろ、信じろ!

奥深く、しかし確実に暁美ほむらは蝕まれる。

「…待っててね、まどか」

頭痛は止まない。
その過ちに気付くまで。

待ちに待った戦いだ。
これ以上ないほどの狼煙をあげよう。
絶望の魔女か。
希望の魔法少女か。
最強の人間か。
嘘つきの僕か。
誰が死んでもおかしくない。
始めよう。 
この世で最も愚かで滑稽で無様で無謀で巫山戯た奇妙な残酷な現実だ。
ここまで来たらもう僕は手を出さないさ。
今までも出してないけど。
君ならどんな想像するんだろうか。
この結末を。
どんな終が望みだろうか。
僕は別にどんな終わり方でも構わないさ。
もともと関係ないからね。
でも。
もしかして。
案外物語は簡単だったりして。
なあんてね。
ここ一番の戯言さ。
 
「準備はいいかしら」

「おう」

「ええ」

見せてもらうよ。
愚かな魔法少女の最悪の物語を。
君らがあるいは素直になれるなら。
それはそれで傍観しがいのある物語さ。
さぁ。
物語はどう動く?



「頑張ってね、皆」
戯言遣い。



「早く行って来い」
人類最強。



「潤、戦い方教えろよ」
不器用な子。



「行ってくるね、お兄ちゃん」
強く弱い子。



「今度こそ、お前を倒す」
似たもの同士。

スタートだ。
僕にとってはどうでもいいコトだけど。
君らには負けられない戦いだ。
存分にやってこいよ。

「はぁ!」

最初に飛び出たのは、杏子ちゃんだった。
持ち前の俊敏さと力強さを持ってワルプルギスの夜へと向かっていく。

「あはははははははは!!!」

鳥肌が立つような不気味な笑い声をあげて魔法少女の集合体、ワルプルギスの夜は迎え撃つ。
いや、迎え撃っている自覚すらないんだろう。
きっといるだけで周りを傷つける。 
おいおい、止めてくれよ。

「なめんな!」

そういって杏子ちゃんは自前の槍を魔法で巨大化しながら突っ込んでいく。
それでもワルプルギスの夜には傷一つつかない。

「マミ!」

「分かってるわ!」

マミちゃんがリボンをネット替わりに杏子ちゃんを受け止める。
深く沈んだ反動で大きく跳ね上がった杏子ちゃんはもう一撃ワルプルギスの夜に攻撃を試みた。

「やぁ!」

そこへ杏子ちゃんに当たらないように軌道が調整された弾丸が飛んでゆく。
二人同時の攻撃だ。
これなら少し位はダメージがあるかもしれない。
だが。

「あはははははははは!!!!!!」

最強の魔女、ワルプルギスの夜は微動打にしない。 
二人の渾身の攻撃すらまるで意に介さず直進していく。

「…手を繋いで!」

ワルプルギスの夜が大きな火球を吐き出し、それが杏子ちゃんとマミちゃんに直撃する瞬間ほむらちゃんは手を差し出す。
それに捕まった二人は一瞬で消えてしまった。 

「ほー、あれが時間操作かあ」

どこまで知ってんだよ、哀川さん。
哀川さんのそのセリフでやっとほむらちゃんの魔法が理解できたよ。

「…勝てますか?」

さあ、分からねえなあ、私は魔法少女じゃねえから
そう言って哀川さんも傍観する。
今回に限っては哀川さんさえ僕と同じ立ち位置だ。

「…マミちゃん…大丈夫ですかね」

強いとは言っても精神的には不安の残る子だ。
もし魔女化の事実を知ってしまっていたらと考えると今戦うこどころか本人さえ魔女化してても何らおかしくはない。
胸以外は中学生だしね。

「大丈夫さ、その為に私は杏子を引き入れたんだ」

はあ?
むしろマミちゃんと仲が悪かったようにしか思えないけど。
彼女は強い、けれども引き入れたメリットとしてはどうも微妙なところだ。

「何の為に私が直々に出向いたと思ってんだよ」

まあ、見とけ、種明かししてやるからよ
良く分からないが期待しないで待っておこう。

「いーたん意外に顔に出るからさ」

何がなんだかわからない。
そんなこんなで三人ともなかなか善戦していた。
このペースなら勝てるかもしれない。
ほむらちゃんの願い(哀川さん、談)がついに叶うかもしれない。
そう思った。
でもさ。
やっぱり忘れてた事があったよ。
どこにいても人を不幸にする存在。
いるだけで周りを傷付ける存在。
残念だね。
笑っちまうよなあ。
馬鹿ばっかりだよ。
あー、でもやっと死ねるかもな。

そんなことを考えているうちに飛んできた破片は僕の方へ向かってきた。
近付く。
目の前まで。
哀川さんは動かない。

「お兄ちゃん!!!」

マミちゃんとはあの時とあの時と正反対だね。
でもそれでいいんだよ。
追いつけないくらいの距離がちょうどいい。
来るなよ。
だってさ。
僕は多分魔女より最悪だぜ。
激しい衝撃に襲われた。

「ごめんね」

「どこに行く気だ?」

鹿目まどかの母、鹿目詢子は娘に聞く。
いつもは理解ある母だが今日ばかりは譲る気などないだろう。

「行かなきゃいけないところがあるの」

「何の為に」

「友達のため」

ばちん、と頬を叩く音がする。
今まで手を挙げたことは一度もなかった。
それほどまでによくできた娘だったからだ。
鹿目詢子は大きく叫ぶ。

「てめぇ一人の命じゃねぇんだ!」 

「私一人の命じゃないけど!!」

さらに大きな声で鹿目まどかは反論する。
その声の大きさに鹿目詢子は僅かながらたじろいだ。

「…私のために戦ってくれた人がいる」

鹿目詢子は黙って話を聞く。

「変なんだけど私ね、夢を見たの」

「とっても怖い夢でさ」

「何度繰り返しても迷路から出られないような、そんな夢」

「だから私は願ったの」

「もう嫌だって」

「こんなの嫌だって」

壊してって、と真剣な鹿目まどかは目つきで鹿目詢子を見つめる。
今までにないような。
不謹慎ながらも少し嬉しくもあった。
あぁ、自分の娘はこんなに立派に成長したんだと。

「…私にしか出来ない事があるなら、それをしなきゃいけないの」

道理なんか少しも通っていない。
無理難題もいいところだ。
しかし、鹿目まどかはそれでも真っ直ぐに見つめた。
運命を見つめた。

「…帰ってこれるのか?」

「…私が帰ってくるところは…ここしかないよ」

にっこりと笑うと鹿目まどかは走り出して行った。 
一度も振り向くことなく走り出して行った。
どんな辛いことだとしても。
それでも彼女にしかできないことがあるかもしれない時。
彼女は走り出す。
信じるモノの所へと。

「ごめんね」

「…」

「なんで…あなた」

何の為に杏子ちゃんを?
そんなこと知らないけどさ。
でも彼女ってもしかして幻覚でも使えんの?

「よく持ったな、杏子」

「まぁ正直もうしんどかったからな」

誰を欺いてんだよ。
僕まで騙す必要があるのかよ。

「トラウマって、意外に対したことねぇのな」

まるで哀川さんのような笑顔を浮かべながら杏子ちゃんは言う。
ほんとに似てきたな。

「よう、QBに付きまとわれなかったかい?」

なんだよ、結局僕が見たのはなんだったんだよ。
メンタル弱いとか思ってましたごめんなさい。

「上手く立ち回れましたよ、潤さん!あ、ごめんね、戯言遣い」

二回も言わなくていいよ。
ははあ、なるほど。
QBとか言う魔法少女を作る存在自体を騙すなんてやるなあ、杏子ちゃん。

「あいたたた」

何も吹っ飛ばす事無くないか。
仕返しのか。
彼女なりの。

「美樹さやか…!?」

「戯言遣いかと思った?残念、さやかちゃんでした!」

うざい。
うざいぞこの子。

「さぁ、メンツも揃ったし」

なるほどね。
皆ここで死んじゃうにはどうにももったいない存在かもしれないね。
おなじみ戯言さ。

「ワルプルギスの夜2回戦だ!!!」

大きな声で地獄から這い戻ってきた青い魔法少女はそう言った。
どうやらまだ少しだけ続くらしい。




最後のお話だ。
といっても最初から終わっていたようなものだけど。
絶望は等しくやってくる。 
希望を信じる心に付け入るように。
何が何を決めるのだろうか。
それは僕にはわからない。
わからないけどさ。
まあ。
この物語が終わったら。
友と遊びに行こうと思う。
自分なりに頑張ったはずさ。
僕はあくまでトリガーなんだけどね。
物語を壊すのは僕じゃない。
誰かって。
もうそんなのとっくに知っているくせに。 
物語に唾を吐け。
こんな物語クソ喰らえだと嘲笑ってやるんだ。
無かった事にすればいい。
絶望も。
希望も。
全部全部笑って流してしまえばいい。
気持ちのいい終わり方ってのはさ。
案外身近にあるのかもしれないぜ?

さやかちゃんが加わってから少しずつ宣教は良くなりつつあった。
と言っても僅かに。
本当に僅かに些細なというレベルだが。

「って言うかなんでさやかちゃんを死んだことにしてたんですか?」

僕は哀川さんに尋ねる。
別にそんな事しなくても良かったと思うんだけど。

「まぁ、さやさやにマミちゃんをQBとの関わりなく説得させるってのも一つの理由だな」

「…」

なるほど。
そう言う事か。
つまり

「マミちゃんは魔女化の事実くらい結構前から知ってたさ」

それを知った精神を支えるためのさやかちゃんか。
確かに聞いた話だとQBとやら余計なことを吹き込みそうだ。

「…ほかの理由は?」

「…ほむほむのことさ」

ほむらちゃん?
彼女はさやかちゃんのあまり関わりがなかったと思うけど。
どころか険悪だった気がしないでもない。

「まぁ、多少強引だったがな」

「マヌケは見つかったぜ」

それ僕じゃね?
というかシリアスな場面でそういうのはやめて欲しかったりする。

寝ます
後少しだと思うので付き合ってくれたら嬉しいです
見てくれてありがとう

このどーでもいい感じが原作らしい

魔法少女はタバコの煙を吸うと鼻の頭に血管が浮き出るッ!!

うそだろ承太郎!


突然ですがここで宣伝!!

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文句があれば↓スレまで!

クリリン「安価でサイヤ人と戦う」
クリリン「安価でサイヤ人と戦う」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407567115/)


「マヌケ?」

「まぁ、良いんだよ、見てな」

僕は哀川さんに言われるまま戦いを眺める。
五人ともかなり消耗が激しく見える。
それに対しワルプルギスの夜はやっと彼女たちを敵と認識したようだった。

「ぐっ!」

ほむらちゃんが苦し紛れの声を上げる。
比にならない。
ワルプルギスの夜が本気で殺しに来たらこんなにも違うのか。
それにしてもほむらちゃん、なんだかはじめより気合いが入ってる気がする。

「ほむらぁ!」 

杏子ちゃんは叫び声をあげながら炎ちゃんのところへ向かう。
間一髪で槍はほむらちゃんの所へと届き二人は仲良く吹き飛んだ。

「済まないわね」

「なぁに、終わったら飯でもおごってもらうさ」

ずぶり、と嫌な音がする。
と、同時に杏子ちゃんの顔が歪む。
ほむらちゃんは動かなかった。
動けなかった。
ワルプルギスの夜は攻撃だけじゃなく、戦いの立ち回りも最強だったってのか。

「ほ、ほむらぁぁぁ!」

ほむらちゃんは半身を失ったことにより大きくバランスを崩す。
ぐらりと。
スローモーションのように崩れ落ちていく。
いくら回復魔法でも間に合う筈がない。
それが見てわかるほどに彼女の体の半分は吹き飛んでいた。

「ぁ…」

一つしかない目で何かを見ながら倒れる。 
油断?
満身?
違う、きっと僕がいたからだ。
僕みたいな奴がいるから彼女は死ななければならなかったんだろう。
似たもの同士の僕がいるからこうなったんだろう。


「…くそ!!!!」

そう声をあげながら杏子ちゃんはまたワルプルギスの夜へと向かう。
僕と哀川さんは黙ってその光景を見ていた。
もうほむらちゃんの命は残りわずかだろう。
死ぬのが先か、魔女化が先か、それだけのことだ。

「おい、いーたん」

無表情でワルプルギスの夜を見ながら哀川さんは言った。

「なんです?哀川さん」

私のことをそう呼ぶな
そう言ってサングラスを外す。

「いつまで、傍観者気取ってんだよ」

へぇ
それをいうのか。
生粋の傍観者である僕に
それを。
僕に何ができるんだよ。
人類最強。

「…」

冷静な目で哀川さんは僕を見つめる。
僕も同様に見つめ返す。
…分かったよ。
僕も彼女が気に入らなかったからね。
僕なんかに何ができるか分かんねえけど。
やって見るさ。

つかつかと、僕はもはや死ぬ寸前のほむらちゃんのところへむかう。

「…やぁ、ほむらちゃん」

君の物語は終わった。
もう無理して続けなくていいんだよ。 
あいつを倒すのが君の願いなんだろう?

「…ぁ…」

ほむらちゃんは何かを言いたげだった。
ほら、最後だ。
聞いてやるよ。

「あ…いつを…倒し…」

それでいいんだね。
それが君の望みなんだね。
君はもう死んでしまうけれど。
それが君の願いなんだね。

「…!」

目を見開く。
僕でさえ分かってた。
もういいんだよ。
本当に、もういいんだよ。

「美樹さやかちゃんも佐倉杏子ちゃんも巴マミちゃんも君自身も死んでしまって、それでもワルプルギスの夜を倒して鹿目まどかが助かればそれで満足なんだね」

冷たく言い放つ。
片目しかない目から涙が溢れてきている。

「…きて…いた…い…」

「…き…さや…と」

「…とも…みと」

「…さ…ら…きょう…と」

「まど…と…」

それでいいんだよ。
この世の中に。
後にも先にも。
戯言遣いなんて一人で充分なんだよ。

皆と生きていきたかった

長い時間は心を変える。
それは願いも同様に。
なんて哀れだろうか。
奇跡を信じた魔法少女が
最後の最後に信じたのは
自分でもないほかの人だったなんて。
ワルプルギスの夜を倒せとか。
そんな途方もない願い僕にはよくわかんねえけどよ。
それでも皆と生きていきたかったっていう願いくらいなら。
僕だってわかるつもりさ。
絶命した。
あっさりと。
虫けらのようにほむらちゃんは絶命した。
自分のソウルジェムを撃ち抜いて。
死んでいった。

「さぁ、壊れたよ」

もうこれ以上とないほどに。
君の望んだように。
壊れてしまったよ。
どうするんだい。
これから先は君たちの問題さ。
その目はもう決まっているみたいだけどね。 

「ありがとうございます」

こうして壊れきった物語は桜色の光と共に幕を閉じた。
彼女の魔法少女姿と共に幕を閉じた。
何をいうともなく唯唯、終を迎えた。




魔法の力が欲しいかい?
もう要らないわ


結局僕らは彼女が魔法少女になったと同時に見滝原を抜け出してきた。
マミちゃんの以来は果たしてない気がするがそれは仕方が無い。
だって僕がいるともっと人死にそうだし。

「終わってみれば呆気なかったかもしれませんね」

「そうかもなー」

どうやら哀川さんは魔法少女を少し羨ましく思っているらしい。
そんなものに憧れるなんてやはり僕なんかとは考えが違うなあ。

「まどかちゃん、なんて願ったんでしょうか」

僕はわかりきったことを聞いてみる。
車がアクセルを踏んだら進むように。
川は水でいっぱいということと同じくらい。
分かりきっていることを聞いてみる。

「そんなもん、いーたんの腕を見れば明々白々ってもんだろ」
 
確かに嬉しいおまけだった。
彼女の素質はきっと大きなものだったんだろう。
五人全員で倒せたのならそれはそれで万々歳だ。
そこまでは僕も面倒見きれねえけどさ。

「いーたん、今回はよく働いてくれたよ」

「…」

僕がよく働いたかどうかは置いといて。
彼女たちがこれから幸せかどうかはまた別の話だ。

「どーしてそう考えるんだよ、いーたんは」

まあ、そんなとこが好きなんだけどよ
そう言って意地悪く笑う。

「僕のした事なんて彼女たちのこれからの人生を諭してあげたことくらいですよ」

ここで死んでおけば良かったと思うくらい彼女たちのこれからの人生は甘いものではないだろう。

「だから、まぁ、結果的に考えてもこれが一番最悪の結末なんですよ」

自虐的に僕は言う。
果たしてほむらちゃんはこの世界を選ぶのか、それとも次を選ぶんだろうか。
まあ、戯言だけどさ。
そんなん分かりきってるし。

「…いーたんはひねくれてんなあ」

「なら」

哀川さんはどう考えるんです?
この物語に何と言って終わらせるんです?
僕が関わった壊れた物語に何と言ってオチを付けるんですか?

「決まってんだろ」

またも、ニヤリとして笑う。
哀川さんになりたいと思ったことはないが。
彼女が羨ましいのは事実だ。


「誰も死なねえ、ハッピーエンドさ」


そうして今日もまた一日が過ぎていく。
出会えてよかったなんて思えないけれど。
まぁ、最後くらいは本音で語ろうか。
どうせ誰も聞いていないし。
幸せになってくれよ。
もう合わない魔法少女。
お疲れ様。
元気でね。






ザレゴトマジカル
ー戯言遣いと魔法少女ー

おしまい

おしまいです
見てくれてありがとう
疲れたけど楽しかったです
誰も死ななくてごめんなさい
死なないENDがあってもいいじゃないかと常常思っていました
質問受け付けます
矛盾についてはごめんなさい
じゃあバイトいってきす

乙なのだが
QBは?QBは結局どうなったの?
何の音沙汰もない、てっきり戯言遣いの影響か何かあるんじゃないかなと思っていたんだが

>>246
QBについては出来るだけ書かなかったよ
たぶん感情がないQBには無為式も効果でないと思ったから
それよりも哀川さんぐるみでQBを騙したかったからさ

お疲れ様でした
またなんか戯言シリーズでも書いて下さい

>>248
ありがとうございました
こんなクソSS見てくれてもうなんかほんとにありがとう
またいずれ描きたいです


潤さんはやっぱり頼りになるな…
今更ながら、潤さんに対ワルプルギス用の処置を済ませた適当な武器を持たせてぶん投げて貰えば結構効いたんじゃなかろうか?

最後にマミさんがいーちゃんにどんな感情を抱いていたのか知りたいな
泣きついたりして、素の自分を見せたりとかなり心を開いていたみたいだけど

>>250
まぁほむほむの願いを鑑みたら自分が出張るわけには行かなかったんじゃないでしょうか
五人の絆を作る意味でも
>>251
いーちゃんは代わりだからねー
多分マミさんにもそういう役割の人は出来ると思うよ

乙でした

というのは嘘で、全員死んでました
だっけ?

乙です

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