男「もう疲れた…。死のう」(22)
彼はそう独り言を呟きながら、学校の屋上に向かった。
もう彼の居場所は学校にはなかった。
陰湿ないじめを行うクラスメイト。
そして、その生徒に注意もせず、むしろいじめる側の生徒に媚を売る教師。
彼はスクールカーストの最下層にいる人間だ。
元から他人とのコミュニケーションを取るのが苦手で、目立つこともなく
だからと言って、空気に溶け込むこともない。
家に帰っても一人。
親から離れている為、彼は常に孤独だった。
学校での友達なんて誰もいない。彼女なんてもってのほか。
そんな彼は、今屋上で自分を殺そうとしる。
男「もういい。この時代に生まれたことが無駄だった。ただ辛いだけ。
そして、時代のせいにしてしまう弱い自分を殺してしまいたい」
柵を越えて、天を仰ぎ見る。
雲ひとつない晴天。
彼の頬に一筋の涙が流れる。
男「なんで生まれたんだろう…。何の為に…」
彼は涙を流したまま、死への一歩を踏み出した。
その瞬間、空が漆黒に包まれ、そこから眩いばかりの光を発しながら、
ゆっくりと屋上に舞い降りてきた。
それはゆっくりと、地上に落ち、全身を翼で覆っていた。
?「待ちなさい」
女性の声。
彼は柵の外で、体が固まったままだ。
彼の目に映る『それ』は全身を翼の様なもので隠している。
男「誰…?」
彼は訝しげ聞いた。
?「ふふふ…。光り輝くもの。光を掲げるもの。明けの明星。わかるかしら」
―まさか…。でも、そんなはずは…―
?「そのまさか。どうして私がここにいるのか疑問なのだろう」
男「どうして何も言っていないのに…」
?「読心術ぐらい容易いわ。対象に意識を集中させれば簡単。私はあなたが思う通りの存在。
思い浮かんだ名を言ってみなさい」
男「ルシファー…」
?「正解」
すると全身を覆っていた翼が開いた。
翼を開いたルシファーの姿に男は一瞬にして、心惹かれた。
地に着いてしまいそうな長い輝く銀髪、切れ長の紅い双眸、鋭い牙
白い肌に美しいばかりの身体
そして、12枚の聖と魔の翼
ルシファー「何をじろじろ見ているの?私に既に魅了されたのかしら?」
ルシファーは悪魔のような笑顔を見せる
男「俺夢でも見ているのかな…」
ルシファー「夢ではないわ」
男の方に近づき、紅い爪が彼の頬を切る。
痛いが走り、綺麗な鮮血が流れた。
ルシファー「どう?痛い?」
男「痛い…」
どうやら夢ではないと彼も悟ったらしい
しかし、聖書などで書かれたルシファーが現実に存在し、しかも人間界に
舞い降りたことに衝撃を受けた
ルシファー「私はずっと探していた。あなたのような存在を」
男「え…?どうして…?」
ルシファー「あなたには私と同じ力が秘められている。そう。あたしの同じ魔王の力」
男「魔王の力?」
ルシファー「ええ。そうよ。ルシファーの力。私とあなたが居れば唯一神を倒せる。嘘臭い正義を掲げ、
人間を自分の意志のまま動かすあいつをね…」
ルシファーの眼は憎しみに満ちていた。
男はまったくもって信じられなかった。
自分の力も、ルシファーも。
ただ、ルシファーが話の最後に教えてくれたことがあった。
ルシファー「あなたは神に危険因子とみなされて、神の意志により殺されかけた。自殺という手段を選ばせて。
それをなんとかギリギリあたしが助けたのよ。あなたのような人間に今後会えるとは思えないから」
こうして、俺は魔王ルシファーに命を拾われ、共に生きることを誓った
ルシファーにより、自殺を免れた彼はその日、自分の家にルシファー招いた。
男「どうぞ」
ルシファー「ここがあなたの根城なのね。なかなかいいわ。じゃあここに住むことにするわね」
男「ええ!?」
ルシファー「何を驚いているの?一緒にいるのは当たり前じゃない。あたしはあなたに惚れこんだのよ?」
男「で、でも。いきなりすぎません・・・!?それに、ルシファーって男だと思ってた…」
ルシファー「失礼ね。あたしは女よ」
男「ですよね…」
ルシファー「で、明日から学校にも通うわ」
男「ええ!?嘘でしょ!?」
ルシファー「本当よ。同じ高校にね。手続きは今から済ませてくるわ」
男「でも、そんなすぐに転校生として受け入れてくれるのかな…」
ルシファー「あたしを誰だと思っているの?魔王ルシファーよ?」
男「はあ…」
ルシファー「じゃあ、今から学校に行ってくるから、大人しく待っているのよ」
すると、彼女は一瞬にして消えた。
ここから男の痛快な人生が始まる。
寝る
おいこっからだろ
支援
×しる
○している
現代風かと思いきや
ご都合主義のsfモノかよ!
見事に騙されたよ!
つまんね
しばらくしてルシファーは帰ってきた。
ルシファー「ねえ、男」
男「はい?」
ルシファー「人間界は頭が固いわね。この服装見た時点で追い出されたわ」
そりゃそうだろ…。黒い布一枚しか、纏ってないんだから…。
男「布一枚じゃ、追い出されてもしょうがないよ。それに保護者とか色々あるしさ」
ルシファー「もう!めんどくさいわ!色々と人間界の事教えて?」
男「わかったよ。それより、追い出されたからといって何もしてないよね?」
ルシファー「…ええ!勿論よ!」
ルシファーは嘘をつくのが下手らしい。
男「何したのさ…」
ルシファー「別に…。ただムカついたから、出てきた人間全員魔力で失神させてきただけよ」
男「おいおい…」
ルシファー「殺さないだけ慈悲だと思いなさい」
さすが魔王様。
次元が違います。
男「で、学校のことですけど、転校するには前の学校の情報などがないとキツイ。
在学証明書という書類などが必要。それに保護者がいないとダメなんです」
ルシファー「なんとなく理解はしたわ。書類とかそういう所は大丈夫よ。安心して。
ただ、ルシファーという名を名乗るのはあなたの前だけにしたい。
だから、明日あなたの親御さんの所に一緒に行くわよ」
男「ええ?!」
ルシファー「当たり前でしょ。親戚というのよね?あなたの従妹ということで、姓はあなたの
親戚のものを使わせてもらうわ。だから、下の名前は予め決めておく必要があるわね
みんなに名乗るためにも」
男「もう色々めちゃくちゃですよ…。因みになんて名乗るつもりなんですか?」
ルシファー「まお」
男「魔王から来てるでしょ」
ルシファー「よくわかったわね。なかなか頭の方も優秀みたいね」
男「多分、誰でも分かります」
ルシファー「あとは、服ね。布じゃいけないんでしょ?」
男「さすがにキツイですよ。それに服を買う金ないですよね?」
ルシファー「お金?」
男「人間界でものを買うのに必要なものです」
ルシファー「それはどうしたら手に入るのかしら?」
男「働きます」
ルシファー「嫌よ」
即答かよ…
男「でも、働かないとお金は貰えませんよ?」
ルシファー「そこらへんの人間から…」
男「ダメです!」
ルシファー「わかったわよ!働くわよ!でも、明日のお金はないわ」
男「なら俺の貯金貸しますから、それで買ってください」
ルシファー「…男。なんて優しいの」
ルシファーこと、真愛(まお)は俺に抱きついてきた。
甘美な匂いに、柔らかい身体。
真愛「これからもよろしくね。男」
その後、真央は男に大切なことを話した
真愛「男。どうして私があなたと同じ高校に通いたいかわかる?」
男「どうして?」
真愛「あなたのクラスにはカースト制があるそうね」
男「…うん」
真愛「最下層なのよね?あなた」
男「…うん」
真愛「それがあり、いじめに発展し、自殺を図ったのよね?」
男「その通りだよ…。もう学校もなにもかも楽しくないんだ。居場所もないし…。」
真愛は鋭い目つきになる
真愛「なるほどね。人間くさいわね本当。あたしはあなたに死なれたくないの。
だから、神の意志から守りたいから同じ学校にいくのよ」
俺「でも…」
真愛「大丈夫。安心しなさい。あなたに眠る力を学校に行く前に解放してあげる」
―翌日―
真愛の服を買いに歩き、それに着替えたあと、すぐに転移魔法で実家の前
まできた。
それにしても、俺は気付いたことがあった。
大きな緩い布だったから分らなかったものの、胸が大きい。
尻もある程度あるし、そのくせに、ウエストはくびれているし、脚は長く、曲線美を描いていた
インターホンを押すと、母さんが出てきた。
母「あら、男。どうしてこんなところに。明日学校あるじゃないの」
男「いや、色々事情があってね」
母は俺の横にいる彼女を見て、目を丸くした。
母「なんて綺麗な子なの…。もしかして…!そういうことなのね!?」
男「どういうことなの!?」
母「孕ませたんでしょ!」
男「違うよ!紹介しに来ただけだよ!」
母「え、そうなの…。って、彼女!?」
男「違う!」
真愛「はじめまして、お母様。真愛と申します。今日は男さんの御両親に会いに来ただけなんです」
家に上がり、真愛と母さんは楽しそうに話をしていた。
そこで、母さんとその場にいない親父を同時に洗脳し、無理矢理自分の保護者
にさせ、学校書類にも捺印させた。
その印鑑を複製し、懐にしまった。
真愛「では、お母様。ここで失礼します」
母「またいつでも来なさいよ!私の娘なのだから」
完全に洗脳されていた…。
男「大丈夫かな…」
真愛「安心しなさい。いつでも人間の記憶くらい書きかえられるし、消せるから」
何気に怖い
真愛「じゃあ、帰るわよ」
帰ってから、すぐに学校に向かい、書類を提出し、明日から転校生として
同じクラスに来ることとなった。
姓は従妹の『一之瀬』
明日から、一之瀬真愛が誕生することになった。
真愛「あなたには色々とまだまだ説明したりないことがあり過ぎるのよ」
男「そうなの?」
真愛「ええ。天界のことなど全体のことをね。それは後々話すことにするわ。
まず、家に帰りましょう」
二人は転移せず、歩いて帰った。
―初登校日の朝―
男は上半身裸になっていた。
真愛「あなたの力を少し解放すると言ったわよね」
男「うん」
真愛「正直、潜在能力は努力で引き出すしかないから、今日はちょっとだけしか
解放できないけど、右腕を出しなさい」
右腕を出すと、真愛は指で男の腕に紋章なようなものを書いていく。
男「いてぇえええええええええええええええ!!!!!あああああああああああ!!!!!!!」
紅く光を発しながら、激痛が走る。
真愛「我慢しなさい。もうすぐだから」
男は尋常じゃない汗をかきながら、歯を食いしばっていた
真愛「終わったわよ」
男が自分の右腕に目をやると、紅い紋章が刻まれていた。
真愛「ルシファーの刻印。これに耐えられるのだから、やっぱりあなたの力は凄いわ。
大抵の者は死んでしまう。でも、あなたは死ななかった。これからが楽しみ。鏡で自分の顔を見てみなさい」
男は自分の顔を鏡で見ると、目が紅くなり、犬歯が鋭く、牙のようになっていた。
寝る
おきてください!
おきてください・・・
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