男「不思議な話し…?」 (8)
男「さあ、帰ろう」
大きな荷物を持ち上げると、俺はアパートに向けて歩き出した。
大きなスーパーの角を曲がると、すぐそこが今のアパートなのだが…。
入り口で立ち往生しているお婆さんがいる。
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婆「困ったわー」
男「どうかしたんですか」
婆「ロックが壊れちゃったみたいなの」
男「確かに壊れてますね」
入り口の扉に取り付けられている暗証番号式のロックが縦に割れて中の配線が見えてしまっている。
機械とはこんな風に壊れるものなのだろうか。
気になって少し手をふれると、あっけなく扉が開いた。
男「開きはするみたいですよ」
婆「あら、そうなの?気付かなかったわ」
男「開いてるとは思いませんよね」
婆「そうね。ところでまだ時間があるなら少しお茶でも…」
年寄り特有の話したがりというやつだったらしい。
困ったな、俺には婆のお茶に付き合う趣味はない。
男「分かりました。荷物を置いてきますので少し待っていてください」
そういうと、俺は縦穴にかかった梯子を登り始めた。
お茶なんて久しぶりだし、楽しみだ。
ここってこんなに狭かったっけか。
まるで、マンホールの中のようだ。
梯子を登りきると、そこには部屋が3つ並んでいた。
その一番奥の部屋に入ると8人の人間がバッとこちらを見た。
また、人とベッドが増えている。
うんざりだ。
「あいつ、なんなの」クスクス
「ありえねー」クスクス
無視して自分のベッドを探す。
全く狭い部屋にベッドを8つも置くから壁にめり込んでるじゃないか。
男「よいしょっと」
「うぐっ」
見つけた自分のベッドを抱え上げて、適当な位置に放り投げた。
全く、こんなに人がいると、何も出来ない。
今週はあんなに楽しく過ごしたというのに、またここに帰ってきてしまった。
男「あれ?」
俺は、一体今までどこにいたんだ?
今週は毎日三体のダッチワイフとずっと遊んでいたはずだ。
こんな部屋にいたわけない。
しかし、この部屋の他に行く所もない。
実家はこの前燃やしてしまった。
男「じゃあ、俺は、一体どこで…」
というところで目が覚めた。
周りを見回すと、大勢のダッチワイフやコードが蝶結びにされたゲーム機が目に入る。
そうだ。
俺の部屋は一人部屋だし、今週はずっとこの部屋にいた。
男「夢だったのか」
しかし、俺にはあちらの夢の方が真実に思えた。
話しかけてきた婆さんが、梯子が、壁にめり込んだベッドが恋しい。
何度見回してもいつも通り壁紙はコバルトブルーで、山積みのトランプが机からこぼれ落ちている。
それなのに、俺がいる場所は間違っている。
そんな気がしてならなかった。
終
このようなわけのわからない男のホラーもどきを書く予定です。
非常に遅筆なのでスーパースローペースだと思われます。
つまらん
安物の前衛映画みたいだね
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