男「ギャルゲ部……?」(207)
廊下
男「ここか……」
男(名前に惹かれて来ちゃったけど……どんな部活なんだ……?)
男(ギャルゲについて語り合うとか……?それともギャルゲをプレイするとか?)
男(どっちにしても気の合う人はいるよな)
男「しつれいしま―――」ガラッ
部長「……」
男「……す」
部長「なに?」
男(なんか女の人がいる……)
「だーれだ?」
男「うわぁ?!」
「あててみてー?」
男「な、なんですか?!」バッ
「んだよ、ノリわりぃなぁ」
男「は、はぁ?」
幼馴染「だーれだ、で目隠ししてきたら幼馴染って相場が決まってんだろ?」
男「知らないです」
幼馴染「部長、こいつだめっすわ」
部長「まぁまぁ。いきなりやられて主人公のように対応されたら怖いでしょ?」
幼馴染「ま、そうですけど」
男(また女の子だ……)
男(ギャルゲ部だよな……ここ……)
ロリ「おにいちゃーん!!」ギュゥゥ
男「なぁ!?」
ロリ「今日はなにする?おいしゃさんごっこがいいなー」
男「あ、あの……えっと……」
ロリ「もう、しっかりしてくださいよ。相応の覚悟もなくここの扉をくぐったんですかね?」
男「すいません」
男(小学生……?)
部長「まぁ、こっちに来て」
男「は、はい」
部長「ギャルゲ部にようこそ。それで、どのルートをお探しかしら?」
男「ルート?」
部長「ええ」
男「あの……入部したいなぁって考えてるんですけど」
部長「入部……?」
幼馴染「マジかよ!?」
男「駄目ですかね?」
部長「男性の募集はしてないのだけれど」
男「でも、ギャルゲ部ですよね?」
部長「ええ」
男「むしろ男性のための部活のような」
部長「違うわ」
男「はい?」
部長「ここはギャルゲ世界を疑似体験できる場所。部員は女の子のみ。男性は主人公」
男「……」
部長「そういうこと」
男「意味がわかりません」
幼馴染「頭わりいなぁ。よーするにここはギャルゲの世界を体感できるところ。私たちはその空間を放課後に提供してやってんの」
男「いや、理屈はわかるんですけど」
部長「ま、貴方は入部はできないわ。主人公にはなれるけど」
男「そうなんですか」
部長「で、どのルートをお探し?」
男「……帰ります」
部長「あら?そうなの?」
男「俺、あの……そういう目的で来たんじゃないんで」
幼馴染「んじゃ、なんだよ」
男「と、友達が……ほしくて」
部長「友達?」
男「はい」
幼馴染「しけたやつだなぁ。学生なら恋愛第一だろうが」
部長「勉強が第一」
幼馴染「はいはい」
男「だから……」
部長「珍しい人ね。普通なら目の色変えて女の子を吟味するところなのに」
男「それじゃあ、失礼します」
部長「さようなら」
翌日
男「はぁ……」
男「どの部活にしようかな」
男「運動部は嫌だし……」
男「部活でもしないと友達なんて……」
委員長「どうかしたの?」
男「え?」
委員長「まだ部活決めてないの?」
男「は、はい」
委員長「ふーん。運動は苦手なの?」
男「そ、そうかな」
委員長「得意なことは?好きなこととか」
男「えっと……漫画とかみるのは好きだけど」
委員長「ふーん。そっかそっか……」
男(な、なんだろう……急に話しかけられた……)
委員長「漫研とかは?」
男「いや、見たけど……ここのは結構本格的でついていけなくて」
委員長「なるほどねー」
男「……」
委員長「じゃあ、どれがいいかなぁ?」
「委員長ー!」
委員長「はーい。ごめんね。私でよかったらいつでも相談に乗るから」
男「う、うん……」
委員長「なにかなー?」
「これなんだけどー」
男「……」
男(優しい人だなぁ……)
男(あんな人が彼女なら……)
男「……」
男(友達もつくれない俺に恋人なんて無理だよな……。部活、さがそ)
放課後
男「……」キョロキョロ
男「天文部とか……どうかな……?」
ガラッ
部員「……?」
男「あ、えと……」
部員「なんでしょうか?」
男「部活の見学に……」
部員「そこに座っていてください」
男「は、はい」
部員「……どうぞ」
男「入部届け……?あ、いや、俺は見学だけで……」
部員「そうですか。では返してください」バッ
男「あ……」
男(なんか厳しそうな人だ……)
部員「……」
男「あの、部長さんは?」
部員「私です」
男「他の部員は?」
部員「いません」
男「……」
部員「……」
男「いつも何をしてるんですか?」
部員「本を読んでいます」
男「そうですか」
部員「はい」
男「……」
部員「……」
男「帰ります」
部員「わかりました」
玄関
男「はぁ……このままじゃ……3年間一人で過ごすことに……」
部長「お友達は見つかった?」
男「な?!」
部長「なに?」
男「い、いえ……まだです」
部長「そう。残念ね」
男「友達作るの苦手で」
部長「みたいね」
男「え?」
幼馴染「部長。なにしてるんですかぁ?」
ロリ「ギャルゲのイベント会議しますよぉ」
部長「はいはい。それじゃあ、友達作りがんばってね」スタスタ
男「は、はい……」
翌日
男「だめだぁ……」
男「決まらない……」
委員長「それでね」
「そうなんだー」
委員長「ふふ」
男「……」
男(相談……してみようかな……)
男「……」
男(だめだ。きっとキモいって思われる……)
男(もう一人でいいかな……はぁ……)
委員長「……」
「どうかした?」
委員長「ううん。なんでも」
ギャルゲ部 部室
部長「えーでは、イベント会議を行います」
ロリ「いえーい」
幼馴染「部長ーひゅー」
部長「今回のターゲットは友達が欲しいというこの人」
ロリ「写真で見るとかなり冴えない人ですね」
幼馴染「なー」
部長「それでもここの門をくぐったからには主人公になってもらわないと」
幼馴染「めんどくせー規則っすね」
部長「部の伝統だからね。では、意見のある人」
ロリ「はいはい」
部長「どうぞ」
ロリ「クラスに特攻して昼ごはんに誘うってどうですかぁ?」
部長「いい案ですね」
幼馴染「それ、私の役だな」
昼休み
男「……」モグモグ
委員長「ねえねえ」
男「?!」
委員長「一緒に食べない?」
男「な、なんで?!」
委員長「いつも一人みたいだから」
男「い、いや……俺は……」
委員長「だめ?」
男「えっと……いいの?」
委員長「うん」
男「じゃあ、どうぞ」
委員長「ありがとう。ところで、部活は決まった?」
男「まだ」
委員長「うーん……何がいいのかなぁ……」モグモグ
男「……」
委員長「文化系の部活だとどれも似たり寄ったりな気もするんだけど」
男「あの」
委員長「んー?」
男「どうして俺を気遣ってくれるの?」
委員長「いや、ほら、教室で孤立してる人とか作りたくないから」
男「そう」
委員長「うん」
男(そうなんだ……)
幼馴染「ここかぁー!!!」
男「?!」
委員長「あ」
幼馴染「なんで一番端のクラスなんだよ。全部の教室に乗り込んじまっただろうが」
男「な、なんですか?!」
幼馴染「―――ご飯、作ってきたんだ。たべよ?」
男「え?」
幼馴染「栄養たっぷりなんだよ。ほらほらー」
委員長「あの」
幼馴染「なに?」
委員長「先輩……ですよね?」
幼馴染「そういう君は後輩かな?」
委員長「いきなり教室に入ってくるのはどうかと思います」
幼馴染「別にいいでしょ?今日はこいつとお昼ご飯にするって決めてたんだぁ」
委員長「本当ですか?それにしては困っているようですけど」
幼馴染「そうなの?」
男「えと……」
幼馴染「んだよ、ノリわりーなぁ。しゃんとしろよ」
男「あ、はい」
幼馴染「―――ね?」
委員長「用がないなら自分のクラスに戻ってください」
幼馴染「しゃーねえなー」
男「……」
幼馴染「んじゃな」
委員長「……誰?」
男「えっと……この部活の部員さん」
委員長「ギャルゲ部……?」
男「うん」
委員長「何をする部活なの?」
男「ギャルゲを体験する部活らしい」
委員長「ふーん。変な部活があるんだ」
男「みたい」
委員長「迷惑?」
男「いや……それほど」
委員長「そう。貴方がそういうなら……注意することもないか」
男「……」
放課後
男「……」キョロキョロ
男「どこがいいかなぁ」
部員「あ、どうも」
男「えと……天文部の……」
部員「はい」
男「……」
部員「なにか?」
男「な、なんでも」
部員「……入部しますか?」
男「ま、まだ考えている」
部員「そうですか」
男「うん」
部員「それでは」
男「……」
玄関
男(今日もだめだった……)
部長「収穫ゼロって顔をしているわね」
男「あ、部長さん」
部長「いつまでも逃げ腰じゃ、友達なんてできないわよ?」
男「え?」
ロリ「部長ー」
部長「今行くわ」
男「あの」
部長「なに?」
男「なんか……全部見てたような言い方ですけど」
部長「あの子からの報告を受けたからね」
幼馴染「うっす」
男「……」
部長「それじゃあね」
翌日
男「どうしよう……もう決めないと……」
委員長「おはよ」
男「お、おはよう」
委員長「部活は?」
男「まだ」
委員長「そっか」
男「……」
委員長「今日の放課後も探すの?」
男「え?う、うん」
委員長「よし」
男「え?」
委員長「私も一緒に探すよ」
男「ど、どうして?!」
委員長「ほら、私は委員長だし。クラスメイトが困っているなら手を貸してあげないとね」
ギャルゲ部 部室
部長「では、イベント会議を行います」
ロリ「わーい」
幼馴染「ちっすちっす」
部長「意見のある人」
幼馴染「はいはい!!」
部長「はい」
幼馴染「こいつは部活動を探しているんですよね?」
部長「そうね」
幼馴染「部活探しを手伝うってどうですか?」
ロリ「それいいかもー」
部長「誰がするの?」
ロリ「私がいくよぉ!」
幼馴染「だいじょうぶかぁ?」
ロリ「任せておくんなせぇ」
放課後
委員長「どこがいいかなー?」キョロキョロ
男(なんて優しい人なんだろう……)
男(可愛いし、人望もあるし……)
委員長「ん?なに?」
男「な、なんでもない!」
委員長「そう?―――あ、ここは?」
男「え?」
委員長「天文部とかいいと思うけど」
男「あー」
ロリ「―――おにいちゅわぁぁぁん!!!!」ダダダッ
男「?!」
ロリ「部活動きまったぁ?」ギュゥゥゥ
男「な、なななんですかぁ!?」
委員長「誰、この小学生?」
ロリ「ほう?ちょっと胸が大きいと先輩を侮蔑してもいいわけですかぁ?」
委員長「え?あ、先輩だったんですか!?」
ロリ「そーだぁ!」
委員長「すいません。先輩に見えなくて……」
ロリ「カチーン!!」
男「……」
ロリ「おにいちゃん、こんな人は無視して私と部活さがそうよぉ」
男「あ、いや」
委員長「あの、困っているようですし」
ロリ「おっぱいお化けに用はないんだよ」
委員長「だ、だれが?!」
男「喧嘩はしないほうが……」
委員長「年上のくせにそんな貧相な体なのがおかしいんです!!」
ロリ「あーん?いてこますぞ?」
部員「……廊下でうるさくしないでください。迷惑です」
委員長「あ、すいません」
部員「なにか?」
ロリ「ごめんなさぁい。部活見学してもいいですかぁ?」
部員「どうぞ」
ロリ「さんきゅー」
委員長「……」
男「あ、えと……」
部員「貴方も、ですか?」
男「あ、よければ」
部員「どうぞ」
男「ありがとう」
部員「どうぞ」スッ
男「まだ決めたわけじゃないから、入部届けは……」
部員「ちっ……」
男(やっぱり怖い人だ……)
ロリ「うわー、薄気味悪……じゃなくて薄暗いですね」
部員「天文部なので」
委員長「他の部員は?」
部員「いません」
委員長「でも、規則では部として活動するためには最低でも5人いないと」
部員「はい。ですので、あと一ヶ月もしたら廃部になります」
男「そ、そうなの!?」
部員「はい」
ロリ「わーたいへーん」
部員「どうぞ」スッ
ロリ「ノーサンキュー」
部員「ちっ……」
委員長「そうなんですか……。でも、勧誘しているよいうにはみえませんね」
部員「誘って入ってくれるような部活でないことは自覚しているので」
男「そんなこと……ないと思うけど……」
部員「では、入部しますか?」
男「あ……えと……」
委員長「うーん……名前だけでもいいの?」
部員「はい」
委員長「じゃあ、それ一枚貸して」
部員「どうぞ」
委員長「ありがとう」
ロリ「うーん。部として存続させたいの?」
部員「それはもちろんです」
男「……」
男(そうなんだ……。いや、そうだよな。存続させたいからこの部室にいるんだよな)
男「お、俺も入部する」
部員「……そうですか。どうぞ」
男「ど、どうも」
ロリ「むぅ……。ここで入部しないと私が悪者みたいじゃないかぁ。私にも入部届けくらはい!!」
委員長「はい」
男「書けた」
ロリ「どーぞ」
部員「……」
委員長「どうしたの?」
部員「いえ、嬉しくて」
男「全然、伝わってこないけど」
ロリ「無表情、こわい」
部員「そうですか。難しいですね」
委員長「これで4人か……あと一人、いるのよね」
部員「はい」
男「あ、えと……あの人は?」
ロリ「どの人?」
男「自称幼馴染の先輩」
ロリ「あの子を引っ張ってくるの?まぁ、いいけどぉ」
幼馴染「ここかぁー!!!」ガラッ
部員「……!」ビクッ
幼馴染「んで、何用だ?」
ロリ「んー」
幼馴染「入部届けだぁ?―――まってろ」カキカキ
委員長「そんな即決していいんですか?部活、しているのに」
幼馴染「掛け持ちぐらい平気だろ」
委員長「……」
男(結構、優しいんだ)
幼馴染「ほらよ」
部員「どうも」
委員長「これでもう大丈夫だね」
部員「はい」
男「よかった」
部員「では、平日は6時まで。土日は朝9時から13時まで活動しますから。そのつもりで」
男「え?」
委員長「あの……」
部員「強制参加です。勿論、夜に活動するときもありますのでそのつもりで」
ロリ「強制参加!?」
幼馴染「あっはっはっは!!いいねえ。そういう強引な部長は割りと好きだぜ」
男「な、名前だけでいいんじゃ……」
委員長「私もその……委員長としての雑用とかあるんだけど」
部員「関係ありません」
男(やっぱり怖い人だ……)
ロリ「ぶーぶー。掛け持ちなんだぞー。考慮しろー」
部員「無論、そちらを優先してもらっても構いません。暇なら、こい。ってことですから」
幼馴染「いいねえいいねえ。そういうの大好きだ♪」
委員長「ギャルゲ部はいいんですか?」
男「そうですよ」
幼馴染「こっちの部長も器はでかいから、まぁ少し顔を出しときゃあ大丈夫だろ」
部員「では、明日からお願いします」
男「わかった」
委員長「まさか、強制参加だなんて」
ロリ「オリオン座はっけーん」
幼馴染「私はアルタイルでも見つめるかなぁ」
男「楽しそうですね」
ロリ「お兄ちゃんもいるなら、たのしいよ」
幼馴染「幼馴染が一緒の部活に入る。ま、当然だわな」
委員長「幼馴染って別にそういう関係じゃないんでしょ?」
男「うん。なんか、そういう設定らしい」
幼馴染「まぁ、私の立ち位置を分かりやすくするためのものだ。気にするな」
委員長「……」
ロリ「合宿もするのー?」
部員「部費があれば。ないですけど」
男(なんか勢いで入部したけど……これでよかったんだよね……)
翌日 放課後
男「……部活にいこ」
委員長「あ、ちょっと遅れるって伝えて」
男「うん」
男(部活してるって……いいなぁ……)
男「……♪」
部長「ハロー」
男「あ、どうも」
部長「天文部に入部したみたいね」
男「は、はい」
部長「やっていけそう?」
男「多分」
部長「そう。ならよかった」
男「あの、二人ほど引き抜いちゃったんですけど……」
部長「いいわよ。辞めたわけじゃないしね。こき使ってあげて」
天文部 部室
男「こんにちは」ガラッ
部員「あ。きた」
男「え?」
部員「ふぅ……安心しました」
男「な、なにがですか?」
部員「もしかしたら来ないのかと不安でした」
男「いやいや、来ますよ」
部員「すいません。疑ってしまいました」
男「あ、そ、そんな」
部員「どうぞ。座ってください」
男「はい」
部員「コーヒーでも飲みますか?買ってきますが」
男「お、おかまいなく!!」
部員「そうですか」
男「……」
部員「……」
男(何をしたら……)
幼馴染「ちーっす!!」ガラッ
ロリ「きたよーん!!」
男「こんにちは」
部員「……」
幼馴染「で、なにしたらいいんだぁー?」
部員「みなさん。星についてどれぐらいの知識がありますか?」
ロリ「恒星があるー」
幼馴染「あれだな。彦星と織姫がぁなんとか川を渡ると恋愛が成就するとか」
男「うわー、アバウト……」
幼馴染「んだよ。そんなに詳しくねーつーの」
部員「なるほど。では、まずは好きになってもらわないと駄目ですね。今から、出かけます」
男「え?どこにですか?」
玄関
委員長「おまたせ」
部員「これで全員集合ですね」
男「で、今からどこに?」
部員「プラネタリウムです」
ロリ「うひゃー。いったことぬぇー」
幼馴染「確か、幼稚園のときにいったきりだなぁ」
男「でも、どうして急に」
部員「そこで興味を持てないようであれば終わりです」
委員長「まぁ、スタートを切る意味でもそれがいいのかなぁ?」
男「それもそっか。とりあえず見てみないと駄目だもんな」
部員「そういうことです。では、行きます」
ロリ「部費からおちますかぁ?」
部員「自腹です」
幼馴染「マジかよ!?」
会場
「どうぞ、順番にお進みください」
男「お客さん、意外といますね」
部員「需要がなければ潰れますから」
男「そ、そうですね」
幼馴染「おほー!!すげーなぁ!!」
ロリ「これ天井全部が星空にかわるんでしょー?すごいねー」
委員長「静かにしてください。他のお客さんに迷惑です」
幼馴染「んだよ。お前は委員長か?」
委員長「委員長です」
男「えっと、ここに座ればいいのかな?」
部員「……」
男(なんだろう……なんか緊張する……)
部員「なにか?」
男「な、なんでもないです!!」
『これが夏の星座です。順番に見ていきましょう』
ロリ「ねえねえ、あれは何座?」
幼馴染「すぐに説明あるだろ」
委員長「静かに」
男「へー……すごいなぁ」
部員「……」プルプル
男「……?」
部員「……あ、あの……」プルプル
男「どうかしました?」
部員「……」プルプル
男「えっと……」
部員「き、きもちわるい……」プルプル
男「え?!」
部員「映像に……よ、よって……しまいました……うぷ……」
男「3D酔いですか?」
部員「は、はい……」プルプル
男「な、なら……」
部員「まって……ください……他の人に言わないで……」
男「ど、どうして……?」
部員「天文部なのに……かっこわるい……ですし……」
男「でも」
部員「うぅ……」プルプル
男「ちょっと」
委員長「どうかした?」
男「お腹いたいから、お手洗いに」
幼馴染「んだよ。いいとこなによぉ」
男「ごめんなさい」
委員長「場所はわかる?」
男「案内してもらうから。あの、お手洗いの場所までお願いします」
部員「は、はい……」
トイレ
部員「……」ヨロヨロ
男「大丈夫ですか?」
部員「ちょっと休憩します」
男「はい。お茶です」
部員「あとでお金をお返しします」
男「120円ぐらいいいですよ」
部員「……頂きます」
男「でも、無理して来ることもなかったのに」
部員「皆さんに興味を持ってもらうことは部長としての責務だと思いまして」
男「そうですか」
部員「……あの。天文部、やめたりしないですよね?」
男「え?どうしてですか?」
部員「だ、だって……その……こんな部長、かっこわるい……」
男「いや、そんなのやめる理由には程遠いっていうか……」
部員「本当、ですか?」
男「はい」
部員「よかった……」
男「……」
男(意外と心配性なんだ……)
部員「ごめんなさい。こんな拙い部長ですが、これからもよろしくお願いします」
男「あ、はい……こちらこそ」
部員「……」ゴクゴク
男(この人なりに色々と考えてるんだ……)
男(俺でも支えになれるなら……)
幼馴染「うーっす」
ロリ「おわっちゃったー」
委員長「腹痛は?」
男「もう平気」
委員長「そっか。なら、今日は解散でいいよね」
幼馴染「んじゃなー」
ロリ「たのしかったよー」
男「さよなら」
委員長「それじゃあ、私も帰るね」
男「うん」
部員「あの」
男「なんです?」
部員「今日はありがとうございました」
男「い、いえ。そんな」
部員「優しいんですね」
男「そ、そんなこと……」
部員「ふふ……」
男(笑った……)
部員「それでは、また明日の放課後に」
男「はい。さようなら」
翌日 昼休み
男「……」モグモグ
委員長「また、一人?」
男「え?」
委員長「一人なら、一緒に食べよ」
男「う、うん」
委員長「いやなのー?」
男「そ、そんなんじゃないけど……緊張しちゃって」
委員長「なんでよー?クラスメイトなのにー」
男「ご、ごめん。でも、いいの?」
委員長「なにが?」
男「だって、俺と一緒に食べて変な噂でも……」
委員長「あはは、そんなの言わせておけばいいよ」
男「そう……」
男(そういうの気にしないんだ……)
放課後 天文部 部室
委員長「きたよー」
男「こんにちは」
部員「どうも」
委員長「今日はなにしよっか?」
部員「そうですね……」
男(部活してるって感じだなぁ……)
委員長「本でも見ながら講義とか」
部員「退屈では?」
委員長「授業で得た程度の知識しかないし、私はやりたいなー」
部員「そうですか?」
男(かわいい部員が二人もいるし……)
委員長「ちょっと、なににやけてるの?……もしかしてエッチなことでも考えてた?」
男「え!?そんなことないよ!!」
部員「あやしいです」
男「いや、してないって!!」
委員長「ほんとかなぁ?」
部員「男は狼です」
男「だから……!!」
幼馴染「青春の匂いがプンプンするぜー!!!」
ロリ「するぜー!!」
男「あ、助けてください!!」
幼馴染「―――もう、昔から私にばっかり頼って、早く自立しなきゃだめよ?」
ロリ「おにいちゃんをいじめるなー!!」
委員長「はいはい。冗談ですから」
部員「さぁ、今日は星座についてお勉強しましょう」
幼馴染「勉強かよ。勉強はもうたっぷりしたっつーの」
ロリ「そうだぞー」
部員「30分程度で終わります」
男「はぁ……助かった……」
部員「―――では、本日はここまで」
幼馴染「おわったぁー」
ロリ「ちゅかれたー」
委員長「これぐらいで疲れているようでは、授業中は夢の中ですか?」
ロリ「うっせーぞ、おっぱい怪獣」
委員長「だれが?!」
男「あはは」
部員「みなさん。少し話をきいてください」
男「なんですか?」
部員「明日金曜日。夜に集まれますか?」
幼馴染「お?パジャマパーティーか?」
部員「違います。星を見に行きましょう」
委員長「天体観測ね」
男「もうですか?」
部員「何事も実践あるのみです」
幼馴染「おっけー。わかった」
委員長「必ず行くよ」
ロリ「うっしゃー」
部員「お願いします。では、さようなら」
男「はい」
男(あー、部活ってかんじだぁ)
男「……♪」
部長「グーテンモルゲン」
男「どうも」
部長「楽しそうね」
男「はい」
部長「友達はできたの?」
男「えっと……まだ、なんとも」
部長「そう」
男「部員のみんなが友達なのか……よくわからないというか」
部長「まぁ、すぐに見つかるわ」
男「そ、そうですか」
部長「というか、もうあの子達が友達じゃないの?」
男「そ、そうですね」
部長「ま、かんばって」
男「はい」
部長「……そうそう」
男「なんですか?」
部長「ゲームの共通ルートは大概2週間ぐらいって知ってる?」
男「え、ええ」
部長「ならいいわ。さよなら」
男「……?」
男(どういう意味だろう……?)
翌日 夜 観測地
部員「では、始めましょう」
委員長「ん」
男「え?」
委員長「セッティングするの手伝って」
男「ああ。はいはい」
部員「重たいものを持っていただいてありがとうございます」
男「いえいえ」
委員長「なんか、優しいよねえ」
男「え?」
委員長「もしかして、部長のことが好きなの?」
男「そ、そんなこと……!!」
部員「ないんですか?」
男「あ……いや……」
委員長「ふーん。やっぱりそうなんだー。ふーん」
幼馴染「―――ちょっと、私のことは?!」
ロリ「お兄ちゃん!!鼻の下のびすぎぃ!!」
男「あ、いや……」
委員長「まぁ、別にいいけどぉ」
部員「あの、私のこと嫌いなのですか?」
男「だからぁ……」
委員長「ほらほら、早くセッティング!!」
男「う、うん!!」
委員長「全くもう」
部員「ふふ」
男「はぁ……」
男(二人ともいきなりなんなんだ……)
男(もしかして……)
男(いや、そんなこと……)
幼馴染「おせーぞ!はやくしろい」
男「できました」
部員「ご苦労様です」
ロリ「わたしからーみるえー」
幼馴染「つーか、何にあわせたんだ?」
男「火星です。分かりやすいんで」
ロリ「なんじゃー?何もみえんぜー」ガチャガチャ
男「ああ!!だめですよ!!いじっちゃ!!」
ロリ「拡大できるー!」ガチャガチャ
男「うわぁ!!」
委員長「こら。折角、合わせてくれたのに駄目じゃないですか」
ロリ「うっせー、牛」
委員長「このがきんちょ……!!」
幼馴染「一応、先輩だからな」
委員長「わかってますよ……!!」
部員「あの、真面目にしましょう」
幼馴染「すっげー。何もみえねー」
ロリ「だろー?」
男「全く……天体観測にならないじゃないですか」
委員長「こっちこっち」
男「え?」
委員長「上見て」
男「あ……」
委員長「望遠鏡を使わなくても十分に天体観測できるよ」
男「うん……」
委員長「きれいだね……」
男「本当に」
委員長「あの星は―――」
部員「スピカですね」
委員長「知ってるけど」
部員「そうですか」
男「あれは?」
部員「あれは―――」
委員長「アークトゥルス!!」
部員「む……」
委員長「ふふーん」
男「勉強したの?」
委員長「いや、常識の範囲内でしょ」
男「すごいね」
部員「む……では、あれは?」
委員長「え?あれは……北極星でしょ?」
部員「別名で」
委員長「えっと……確か……」オロオロ
男「(ポラリス)」ボソッ
委員長「ポラリス!!」
部員「ちっ……」
委員長「ありがと」
男「ううん」
部員「やはり、私のことは嫌いなのですね」
男「え?!」
部員「まぁ、いいですけど」
男「いや……そういうわけじゃ……」
委員長「じゃあ、私のことが嫌いなの?」
男「だから……」
幼馴染「おいー!何も見えないからおもしろくねーぞー」
ロリ「おにいちゅわん、セッティングしてよぉ!!」
男「はいはい!!」
委員長「あ、にげるのかぁ!!」
部員「卑怯です」
男「ごめんなさい!!」
部員「それでは、今日は終わりにしましょう」
幼馴染「結構、楽しかったな」
ロリ「うん」
委員長「殆ど、なにもしてないじゃないですか」
幼馴染「うっせーな。こういうゆるいのが好きなんだよ」
ロリ「おっぱいはこれだから」
委員長「その呼び方やめてもらいませんか!?」
部員「楽しかったですか?」
男「え?うん。すごく」
部員「そうですか」
男「部活って楽しいですね」
部員「ええ。こうして友人と一緒にいれますから」
男「……友人か」
部員「はい」
男「うん。そうですね。友達と一緒にいるのって楽しいですね」
幼馴染「おやすみー」
ロリ「ばいばい」
部員「それでは」
男「おやすみなさい」
委員長「また明日ね」
男「じゃ、帰ろうか」
委員長「ふふ。ちゃんと守ってよね」
男「う、うん」
委員長「今日はすごく楽しかったね」
男「そうなの?なんか先輩に怒ってばっかりだったけど」
委員長「それも含めて。確かにあのがきんちょには腹立つけど」
男「あはは」
委員長「また来たいね」
男「うん」
委員長「ここまでいいよ」
男「そう?」
委員長「ありがとう」
男「え……そんな」
委員長「貴方といると楽しい」
男「な……?!」
委員長「それじゃあ。またね」
男「う、うん……」
男「……」
男(可愛い……)
男(もし……彼女と付き合えたら……)
男(いや……だめだ……そんなの……)
男(絶対に振られるだけだ……)
男(絶対に……)
男「……帰ろう」
翌日 部室
部員「お集まりいただき、ありがとうございます」
委員長「他にすることないからね」
幼馴染「私もー」
ロリ「うんうん」
部員「なかなか失礼な物言いですけど、まぁ、いいです」
男「……」
委員長「ん?なに?」
男「え?」
委員長「今、私のこと見てたでしょ?」
男「そ、そうかな?」
幼馴染「なんだー?好きなのかぁ?」
ロリ「おにいちゅわん!!」
男「ち、ちがいます!」
委員長「えー?違うのー?ショックー」
部員「―――では、今日はこれで終わります。また、明日」
幼馴染「日曜日もかよー」
ロリ「ま、別にいいけどぬぇ」
部員「やる気あるんですか?」
幼馴染「あるえ」
ロリ「アルエー」
部員「そこはかとない怒りがこみ上げてきます」
委員長「それじゃあ、サヨナラ」
男「あ……」
委員長「ん?」
男「い、一緒に帰らない?」
委員長「うん!」
男「ほっ……」
部員「では、さようなら」
幼馴染「またなー」
通学路
委員長「明日も部活、出れるの?」
男「あ、うん」
委員長「よかった」
男「え?」
委員長「貴方がいないと楽しくないから」
男「……」
委員長「明日はなにするのかなー?」
男「さ、さあ……」
委員長「夏に向けて夏の星座の勉強かな」
男「ど、どうだろうね」
委員長「どうかした?顔、赤いけど」
男「い、いや……なんでも」
委員長「そう?」
男(もしかして……もしかして……そんなこと……ありえるのか……?)
翌日 部室
委員長「こら!!邪魔です!!」
ロリ「なんだよぉー、怪物おっぱいめ」
委員長「それやめてください!!普通ですから!!」
幼馴染「その隠しきれない胸を晒しといて普通と言い張るとは。いやはや、敵を作るのがうまいっすなぁ」
委員長「もうやめてー!!!」
部員「あの……真面目に……」グスッ
男「あ、質問」
部員「なんでしょうか?」
男「五月になるとオリオンは見えなくなるんですよね?」
部員「ええ。まぁ、既に殆ど見えませんが」
男「なるほど」
部員「西の空にレグルスが―――」
ロリ「その乳わけんかこらぁ!!」
委員長「どこさわってるんですかぁ!!!」
部員「―――では、今日はここまで」
ロリ「おわったぁー」
委員長「なにもしてないでしょ!?」
幼馴染「あっはっはっは!!今日も楽しかったぜぇ!!」
部員「……」グスッ
男「あの……元気出してください」
部員「すいません」
幼馴染「―――ねえねえ」
男「は、はい?!」
幼馴染「たまには帰りに遊んでいこうよ」
ロリ「さんせー!!」
男「でも……」
部員「いいですね。そいうのも部活の楽しみ方です」
委員長「……変なところに行かないように監視役として同行するわ」
男「あはは……じゃあ、行きましょうか」
ゲームセンター
幼馴染「こっちだー!!!ストリートファイター!!!」
ロリ「うおぉぉ!!鉄拳はどこじゃい!!」
部員「……」キョロキョロ
委員長「まったく。制服でこういうところに来るなんて非常識よ」
男「あ、これしてみます?」
部員「え?はい」
男「これはここを狙うと取れる……かもしれない」
部員「やってみます」
委員長「……」
部員「むむ……」ピッ
委員長「―――そこでストップ!!!」
部員「……!?」ビクッ
男「おお!いい感じ!!」
部員「あ……取れました」
委員長「よかったね」
部員「どうぞ」
委員長「え?いいよ」
部員「これは貴女のものです」
委員長「そ、そう?」
部員「はい」
委員長「じゃあ、貰うけど。あとで返してとかなしだからね」
部員「そんなこといいません」
委員長「……やったぜ」グッ
男「……」
男(可愛いな……)
男(俺のこと……どう思ってるのかな……?)
委員長「ふふーん」ギュゥゥ
部員「欲しかったんですね?」
委員長「べ、べつにそんなことないけど……」
通学路
幼馴染「んじゃねー」
ロリ「またあしとぅあー」
部員「それでは」
男「はい」
委員長「さよなら」ギュゥゥ
男「……」
委員長「……♪」
男「あの」
委員長「んー?」
男「えっと……さ……今、す、好きな人とかいる?」
委員長「いきなりなに?」
男「あ、いや、なんとなく」
委員長「うーん……いないかなぁ」
男「そ、そうなの?」
委員長「うん。特に」
男「そっか」
委員長「それがどうかした?」
男「いや」
委員長「じゃあ、貴方は好きな人いるの?」
男「え!?」
委員長「あー?いるんだー?だれだれ?」
男「い、いないよ!!」
委員長「うっそだー」
男「いないって」
委員長「僕にはわかるよ!この人、好きな人いるよ!」
委員長「だよねー。ほら、このぬいぐるみちゃんもこういってるよー」
男「な、なんだよ、それ」
委員長「で、だれさー?」
男「いないってば!!」
翌週 放課後
部長「ニーハオ」
男「あ、ど、どうも」
部長「青春してる?」
男「え?」
部長「もう一週間ね」
男「そ、そうですね」
部長「友達ができた感想は?」
男「えと……嬉しいです」
部長「そっか」
男「今、すごく充実してます」
部長「うんうん。いいことだ」
男「それじゃあ」
部長「がんばって」
部長「……」
部室
委員長「はいはーい。ミザールってなんですか?」
ロリ「キカザル」
幼馴染「イワザル」
委員長「……」
部員「えっと……それはおおくまの―――」
委員長「こっちは真面目にやってるんですー!!」
ロリ「うっせー!!巨乳座でもつくれやー!!」
幼馴染「やれやれー」
部員「……もうみんな嫌い」
男「ああ、ほら、部長が拗ねちゃいましたよ!!」
委員長「ごめんごめん」
ロリ「反省」
幼馴染「ごめんよー」
部員「ふんっ……」プイッ
通学路
委員長「いやぁー、今日は悪いことしちゃったね」
男「本当だよ」
委員長「なはは」
男「……」
委員長「まぁ、明日ジュースでも奢って機嫌を直してもらおう」
男(はぁ……なんで、こんなに苦しいんだろう……)
委員長「んー?どうかした?」
男「え?いや、なにも」
委員長「そう?」
男「うん」
委員長「それじゃ、また明日ね」
男「また」
委員長「バイバイ」
男「……」
自室
男「……」ゴロゴロ
男「はぁ……」
男「俺……やっぱり……」
男「はぁ……」
男「どうしよう……」
男「このままでいいような気もするけど……」
男「そもそも彼女が俺のことなんて……」
男「はぁ……」
男「俺のこと……どう思ってるんだ……」
男「気になる……」
男「はぁ……」
男「……」
男「寝るか……」
男「はぁ……」
翌日 教室
委員長「おはよう」
「おはー」
男「おはよう」
委員長「おはよ!」
「ねえねえー」
委員長「なんじゃらほい?」
男「……」
男「はぁ……」
男(気持ちを知りたい……)
男(でも、聞いたら……もう……友達でいられないような気がする……)
男「……」
委員長「……」
「どうかしたの?」
委員長「ううん。なんでもないよ」
放課後 通学路
委員長「うーん……はぁ」
男「……」
委員長「ちょっと暑くなってきたよね」
男「うん」
委員長「地球温暖化だぁー」
男「……あの」
委員長「なに?」
男「……」
委員長「なにぃ?」
男「お、俺のこと……どう思ってる?」
委員長「へ?」
男「あ、ごめん……なんでもない!!」
委員長「どうって……一番の男友達だけど」
男「え……?」
うわあ・・・
委員長「なに?」
男「友達……?」
委員長「うん」
男「そ、そうなんだ……」
委員長「どうしたー?」
男「な、なんでもないよ」
委員長「そう?」
男「うん」
男(嫌われているわけじゃない……そう思おう……)
委員長「そうだ。今週末も天体観測やるのかな?」
男「ど、どうだろうね」
委員長「楽しみだよね?」
男「そ、そうだね」
委員長「今度は木星とかみたいよねー」
男「……」
あ
週末 夜 観測地
幼馴染「みるぜー」
ロリ「これ金星?」
委員長「木星だっていってるじゃないですか!」
ロリ「金木犀がなんだって?」
男「はぁ……」
部員「あの……」
男「え?」
部員「最近、お元気がないようですけど。なにかあったのですか?」
男「ちょっとね……」
部員「なんでも相談してください。貴方は私にとって大切な友人です」
男「……」
部員「大抵のことならお手伝いします」
男「ありがとう……」
部員「はい」
委員長「ここまでありがとう」
男「ううん。じゃあ、また」
委員長「バイバイ!」
男「うん」
男「……」
男「友達かぁ……」
男「そうだよな……」
男「うん。このままでいい」
男「友達でいれたら……それで……」
男「帰ろう」
男「また、明日も部活だし」
男「……」
男「はぁ……」
週明け 学校
男「……」
部長「ボンジュール」
男「どうも」
部長「おつかれさま」
男「え?」
部長「今日で共通ルートは終わり」
男「はい?」
部長「そしてあなたが選んだのは友達ルート。これって、ギャルゲ的にはバッドエンドなんだけど」
男「……」
部長「あなたはそれでいいって言ったから、いいわよね?」
男「あの……」
部長「それじゃあ、またね」
男「あ……」
男「ど、どういう……こと……?」
うわあ
うわあ
昼休み
男「……」モグモグ
「一緒にたべよー」
委員長「うん」
男「……」
男(今日は一緒に食べてくれないんだ……)
男「……」モグモグ
男(あの人の言ってたことが気になる……)
男(共通ルートが終わり……?)
男(それって……)
男「……」モグモグ
男「……そんなわけないよな」
男「うん……」
男「……」モグモグ
放課後 天文部 部室
男「こんにちは」
ガラッ
男「あれ……?誰もいない……」
男「まだなのか……?」
男「待ってればそのうちくるよな」
男「……」
男「ふわぁぁ……」
男「本でも読んどこうかな……」
男「……」ペラッ
男「……」
男(遅いなぁ……)
夜6時
男「……こない」
男「どうして……」
男「……帰ろう」
ガラッ
教師「お前、なにしてるんだ。早く帰れ」
男「あ、すいません」
教師「そういえば最近、数人がこの部室を使ってるみたいだけど、なにやってるんだ?」
男「え?いや、部活ですけど」
教師「なんのだ?」
男「天文部なんで……」
教師「天文部?お前、入部したのか?」
男「はい」
教師「ふーん。今年、誰も入部してないってきいてたけど……。そうか、部員がいるなら潰れることはないな」
男「え……?」
男「あの、部員は今年一名いたんじゃ……」
教師「三年が卒業してゼロになったはずだ。誰もいなかったろ?」
男「いえ。一人いました」
教師「そんなはずないけどな」
男「……」
教師「元々定員割れで廃部寸前だった部だしなぁ……。人気なかったんだ」
男「……失礼します」
教師「お、おう。早く帰れよ」
男「……」スタスタ
男「そんなわけない……」
男「初めにいた彼女は……誰……?」
男「……」タタタッ
男「確かめないと……!!」
ギャルゲ部 部室
ガラッ!!
男「はぁ……はぁ……」
部長「どうしたの?」
男「……」キョロキョロ
部長「みんなはもう帰ったわよ。ここの部室に来る人、あまりいないから」
男「あの……全部……ギャルゲだったんですか?」
部長「全部って?」
男「この二週間のことです」
部長「ええ。その通りよ」
男「……」
部長「あの委員長も天文部の部員も、ギャルゲ部のメンバーなの」
男「そ、そんな……」
部長「ちゃんとルートを選んでくれれば三年間、彼女と付き合えたのに。勿体ないわね」
男「……」
あーあ
部長「まぁ、新しい部員を探さなくてもいいから楽といえば楽なんだけど」
男「どういうことですか……」
部長「卒業まで付き合うとなるともう部活に復帰はできないからね」
部長「新しい人を探すの結構、大変なのよ」
男「……」
部長「恋愛の経験がしたいって子は稀少だしね」
男「全部……演技だったんですか?」
部長「演技……といえばそうかもね。知らないフリをして近づいたわけだし」
男「そんなこと……」
部長「そもそも、どんなにお節介な委員長でも何も行動を起こさないクラスメイトにいきなり話しかけるなんてありえない」
男「……?!」
部長「突然やってきた見学者に惚れるなんてことも、現実には起こりえない」
部長「その起こり得ないことを体験してもらうのが、ここギャルゲ部」
男「そ、んな……」
部長「わたしたちは0と1ではないけれど、シナリオ通りに動いていた。だからこそ、夢の世界が実現したの」
男「……初めから……俺は振られる予定だった……?」
部長「告白したの?そんな報告は受けてないけど」
男「……」
部長「まぁ、告白しても『友達としてしか見れない』という台詞を聞くだけになっていたでしょうね」
男「う……そ……だ」
部長「さ、夢の時間は終わりよ。貴方はもうエンディグを迎えた。ロードはできない」
男「……」
部長「さよなら」
男「……っ」
部長「なに?」
男「なんで……こんな酷い……こと……」
部長「バッドルートを選んだ人は貴方が初めてではないけど、最初から友達でいいって言ったのは貴方が初だったわ」
部長「途中で飽きちゃって女の子を捨てる人は珍しくないけど」
男「……」
部長「そろそろ部室を閉めるから出て行ってくれる?」
俺だったらこの先一生女性不信になるレベル
バタン
男「……」
男「……帰ろう」
男「……」トボトボ
ロリ「あれ?なにしてんの?」
男「え?」
幼馴染「なんでこんな時間まで残ってんだよ?」
男「……」
部員「どうも」
委員長「……」
男「なんでも……ありません……」
幼馴染「そうなのか」
ロリ「なーんだ。てっきり部室で私たちのこと待ってるかと思った」
男「……」
部員「待っていてくれたんですか?」
男「……いえ」
部員「そうですか」
ロリ「なんだー」
男「帰ります……」
委員長「嘘だ」
男「……」
委員長「しっかり六時まで待っていてくれたんでしょ?」
男「……それは……」
部員「どうなのですか?」
男「……待ってた……バカみたいに……ずっと……」
幼馴染「へえ。待ってたんだ」
男「だって……俺の居場所だったし……」
幼馴染「しけた場所を居場所にしたのか!あっはっはっは!!」
ロリ「あんなところで一人でいたら根暗になっちゃうよ?」
男「……もう、放っておいてください」ウルウル
>ロリ「あれ?なにしてんの?」
( ゚д゚ ) ガタッ
.r ヾ 救われフラグきたか!
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
\/ /
>幼馴染「しけた場所を居場所にしたのか!あっはっはっは!!」
>ロリ「あんなところで一人でいたら根暗になっちゃうよ?」
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : ::::こなかった……
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄
幼馴染「しかたねーなー!!」
男「え?」
ロリ「天文部にいてあげるよー。友達が根暗になられても嫌だしー!!」
男「……それは……ギャルゲの続きですか……?」
幼馴染「いーや。もうアンタが主人公のギャルゲは終わっただろ?」
男「……」
委員長「少し星座に興味でてきたねってみんなで話していたの」
部員「騙していて申し訳ありません。これからはこの5人で天文部を存続させましょう」
男「それって……でも……みんなは……」
委員長「ギャルゲ部のメンバーだけど、私たちは都合のいいキャラクターじゃないから。人間だもん」
委員長「部活を辞めるのも自由だし、人を好きになるのも自由だから」
幼馴染「そうだぜ?データじゃなくて、生きてる人間だからな。裏切るのも自由だぜ」
男「そ、そうなの……?」
ロリ「うん!」
部員「部長には悪いですが、私もこの5人でいるほうが楽しいですから」
部長「―――ちょっと!!」
男「あ……」
委員長「すいません。退部届けは明日、提出します」
部長「一気に辞められると困るんだけど」
ロリ「ギャルゲ部のメンバー探し、がんばってくださいねー♪」
幼馴染「部長ならできるってー」
部長「他人事みたいに……」
部員「他人ですから」
部長「……」
男「あの……やっぱり……なんか悪いから」
幼馴染「そんなこときにすんなってー!!もう私たちは天文部だろ?ギャルゲ部じゃねーんだよ」
ロリ「まぁ、私たちもノリで入ってただけだしねー。思いいれはないっていうかぁ」
部長「もう……これじゃあ、ギャルゲ部は廃部じゃない」
部員「全員を導入しての友達ルートが仇になりましたね」
部長「そうね。そうかもね」
男「あの……えっと……」
部長「仕方ない。私も先のない部活に腰を下ろしておくなんて嫌だし……天文部に入る!!」
部員「だめです」
部長「なんでよ?!」
委員長「あはは。天文部部長には逆らえませんよ?」
部長「ぐ……」
ロリ「頭が高いんじゃないですかねぇ?」
幼馴染「おうおう!人に物を頼むときはどうするか、お母さんに教わらなかったのかぇ?」
部長「な、に……を……!!」
男「あの……その辺で……」
委員長「ふふ、さぁ、優しい彼は許してくれているようですけど、私たちは貴女の入部を認めません」
部員「もっと丁寧に頭を下げてみてください」
部長「なんでいじわるするのよぉ……」
ロリ「かわいい!かわいい!!」
男(なんか怖くなってきた……逃げたほうがよかったかも……)
部長は挫折する男を見るのがたまらない真性サド
でもこの瞬間自分のなかでマゾが開花するのを感じた
そう補完する
部長「おねがいします……入部させてください……」
部員「仕方ありませんね。認めましょう」
委員長「まぁ、まだ仮部員ですけど」
部長「屈辱……」
男「みんな……」
委員長「ほら、かえろ」
男「あ……」
委員長「今日も途中まで送ってくれるんでしょ?」
男「あ、うん……」
幼馴染「うっしゃー!!かえるか!!」
ロリ「おー!!」
部員「では、いきましょう」
部長「一気に底辺に……」
男「あはは……」
委員長「……」
通学路
幼馴染「じゃあな!!」
ロリ「ばーい」
部員「また明日」
部長「……さよなら」
男「はい」
委員長「―――あの」
男「え?」
委員長「今までごめんなさい」
男「どうしたの?」
委員長「怒ってもいい。殴ってくれもいい」
委員長「でも、天文部は本当に楽しかったから。それだけは本当だから……」
男「えっと……」
委員長「ごめんなさい」
男「……」
委員長「……」
男「じゃあ、一つだけ」
委員長「なに?」
男「これからはもう嘘をつかないでほしい」
委員長「……うん」
男「それだけ」
委員長「わかったよ」
男「じゃ、帰ろうか」
委員長「うん」
男「……」
男(酷いことされたけど……このままでいられることのほうが嬉しい……)
男(そう思う俺もどうかしてるな……)
委員長「ねえねえ」
男「なに?」
委員長「また来週、天体観測いく?」
男「そうだな」
委員長「……やったぜ」グッ
男「え?」
委員長「別に」
男「そう」
委員長「それじゃあ、また明日ね」
男「うん」
委員長「バイバイ」
男「バイバイ」
委員長「……」
男「なに?」
委員長「まだ、始まったばかりだよ」
男「なにが?」
委員長「内緒」
男「……?」
翌日 放課後
部員「―――えー、五月の星座についてですが」
ロリ「おらー!!!いい加減にその乳揺らすのやめろー!!!」
委員長「好きで揺らしてません!!!」
幼馴染「ほう?じゃあ、呪いかなんかか?」
部長「……」オロオロ
男「あの、別に仲間ハズレにされているわけじゃないですから」
部長「ありがとう。優しいのね」
委員長「そこ!!いい感じにならないでください!!」
部員「……みんな……嫌い……」
男「ああ!!また拗ねた!!」
ロリ「おらー元部長があやまれー!!」
部長「関係ないでしょ!?」
男「あはは……」
男(なんか、この部室がギャルゲみたいになってきた……)
部長「もうここ天文部じゃなくてギャルゲ部にしない?」
幼馴染「なにいってんだよ!?」
ロリ「全ルート完備ならいいよー」
男「まだ懲りてないんですか!?」
部員「あの……ここ天文部……」
委員長「静かにしてください!!」
男「あはは……確かに始まったばかりだね」
委員長「え?」
男「ここ。二年後、天文部のままなのかどうかも怪しいし」
委員長「えと……そういうことじゃ……」
男「これからもよろしく。友達として」
委員長「なっ……!?」
男「えっと。ほら、部長の話をみんな聞いてあげましょう」
委員長「あの……!!友達?!ずっと?!もしもし?!」オロオロ
おしまい。
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