文才ないけど小説かく 6 (556)
ここはお題をもらって小説を書き、筆力を向上させるスレです。
◆お題を貰い、作品を完成させてから「投下します」と宣言した後、投下する。
◆投下の際、名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』を記入。メール欄は無記入。
(例 :『BNSK(お題:文才) 1/5』) ※タイトルは無くても構いません。
◆お題とタイトルを間違えないために、タイトルの有無に関わらず「お題:~~」という形式でお題を表記して下さい。
◆なお品評会の際は、お題がひとつならば、お題の表記は不要です。
※※※注意事項※※※
容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
お題を貰っていない作品は、まとめサイトに掲載されない上に、基本スルーされます。
まとめサイト:各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwiki:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/
wiki内Q&A:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?Q%A1%F5A
文才ないけど小説かく(実験)
文才ないけど小説かく(実験)2
文才ないけど小説かく(実験)3
文才ないけど小説かく(実験)3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357221991/)
文才ないけど小説かく(実験)4
文才ないけど小説かく(実験)4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373526119/)
文才ないけど小説かく 5
文才ないけど小説かく 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391418769/)
【次スレについて】
次スレは>>950の人が立てるようにお願いします。
無理だった場合や反応がない場合>>955の人が、さらに無理だった場合>>960の人がという具合に
以後は>>5ずつ後ろの人が宣言をして立ててください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405065955
▽書き手の方へ
・品評会作品、通常作を問わず、自身の作品はしたらばのまとめスレに転載をお願いします。
スレが落ちやすいため、特に通常作はまとめスレへの転載がないと感想が付きづらいです。
作業量の軽減にご協力ください。
感想が付いていない作品のURLを貼れば誰かが書いてくれるかも。
※↑現在冷温停止中? 詳しくはスレ内で確認をお願いします。↑※
▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい。
▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です。
・【!】お題:支援=ただ支援するのも何だから小説風に支援する=通常作扱いにはなりません。
▽その他
・作品投下時にトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
・ただし、作品投下時以外のトリップは嫌われる傾向にありますのでご注意を
▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
wiki内週末品評会:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1
※現在は人口減少のため、不定期に開催しております。スレ内をご確認ください。
※↑現在は月末品評会に遷移しています。また、てきすとぽい(http://text-poi.net/)を利用する試みが行われています。↑※
▽BNSKスレ、もしくはSS速報へ初めて来た書き手の方へ。
文章を投下する場合はメール欄に半角で 「saga」 (×sag「e」)と入力することをお勧めします。
※SS速報の仕様により、幾つかのワードにフィルターが掛けられ、[ピーーー]などと表示されるためです。
例
ドラ・えもん→ [たぬき]
新・一 → バーーーローー
デ・ブ → [ピザ]
死・ね → [ピーーー]
殺・す → [ピーーー]
もちろん「saga」と「sage」の併用も可能です。
一部スレのテンプレートに現在の形態と違う部分があったので注釈をつけました。
新スレになったことですし、新しいテンプレート作成の話し合いで決めていただきたいです。
また、新スレ立てに関する文言を追加しました。
これについても以後、テンプレートの話し合いで確定させていただければ、と思います。
スレたてお疲れさまです
スレ立て乙
ところで適当なうpロダにうpして、そのURLを貼っても通常作として読んでもらえるのかな?
規制で作品投下できない場合や文量が多い場合とか
昔は規制食らった人用の代理投稿スレがあったんだけどね
今はもう、見てる人いないだろうな…
まとめ板が閉鎖したから「規制者救済スレ」使えないからな
まとめ板が閉鎖、というより、サービスが停止したからね、しょうがないね
ということはテンプレのまとめ板の部分は消した方が宜しそうかな?
他に何か入れるべき事があれば書いておいた方が良いと思うけれど。
わいわいかきこ、だったかなサービス名
そこ使ってた他の掲示板群がデータ引っ張ってきて移転してない
ところをみると、ログは絶望的だからもうテンプレから外していいんじゃない
あー、あそこサービス停止してたのか
全感想まとめだけでも、コピーしておけばよかった
まとめサイトにはログ残ってるし、あっちだけでもコピーしておくか……
規制中はうpはできなさそうだな
連投規制とかなら、うpロダで良いかな
あと通常作も月間とか季節ごととかのスパンで優秀作を決めたりしたいね
書く方も読む方もモチベ上がるだろうし、そういうのを避けたい人は辞退できるようにして
品評会のお題は「不在(不存在)」。
モノでも人でも生き物でも。何かが”無い”物語がいっぱい紡がれますように。
投稿期間:07/27 (日) 00:00 ~ 08/02 (土) 23:59
投票期間:08/03 (日) 00:00 ~ 08/09 (土) 23:59
集計発表:08/10 (日)
http://text-poi.net/vote/71/
話の途中で割り込んですみません。
遅くなりましたが立てました。
7/31〆だと平日で、少し期間も短いので私の独断で8/2〆にさせていただきました。
作品投稿はちょっとできるかわかりませんが、票数の集計ぐらいはできるかな?
今度のお題は面白そうなので、できれば投稿したいですが。
おだいください
水銀
お題お願いします
人形
お題ください
ぶどう
お題がほしいで候
マーガリン
通常作投下します
多少ごちゃついた部屋の真ん中で、真壁凜子(まかべりんこ)は目を覚ました。普段なら隣の部屋のベッドの
上で、大概仰向けで目を覚ますはずなのだが、今日は違った。荷物が散乱している居間で、しかも昨日着ていた
スーツのままでうつ伏せになった状態で、目が覚めたのだった。
「うへぇ、アタシなんでこんなとこで寝ちゃったかな。しかもこれ皺になっちゃうし」
呟きつつも、立ち上がることなく手近なところに転がっていた携帯電話を掴み取り時刻を確認する。
機械が示す時刻は十時四十五分。起床するには随分と遅い時間だった。が、問題はない。何故ならば今日は休
日なのだ。
もぞもぞ、ゴソゴソとうつ伏せのままで手足を動かし始めた凜子は、一分ほどその行為を続けると突如真顔で
「蟹」と言ってから、立ち上がった。
「あったまは、痛くないな。二日酔いでは、ないね」
軽く頭をさすりながら、彼女はジャケットを脱ぎ、近くに置いているスーツ掛けからハンガーを選び出し、丁
寧に掛ける。
そしてかけたジャケットに顔を近づけて、鼻を鳴らした。
凜子の鼻腔に、アルコールと汗の臭いが貫ける。そして、その二つにもう一つ何か生々しい感じの匂いがミッ
クスされていて、彼女は思わず眉をひそめてしまう。
「盛りのついた雌犬の臭いがする」
神妙な顔で意味不明なことを言う彼女は、だのに存外と真剣なのだ。
大きくため息をつき、気を取り直したのかキッチンへと移動して水道を捻る。蛇口から溢れ出る水をコップで
受け止め、水を汲む。
ジッと、コップになみなみと注がれた水を覗き込む。
蛇口から出てきたばかりの何の変哲もない水だ。特に何かがあるわけなど、全くない。
ゆっくりと腕を持ち上げて、コップ真横から眺める。
「やべっ、化粧落としてないじゃん」
コップの側面に移る彼女の顔は、アイラインは崩れて黒い涙になっているし、つけた口紅は口どころか頬やら
鼻の頭まで赤く染めている。付け睫毛は目の横に張り付いているし、頬に着けたチークもファンデーションと一
緒にグズグズになっている。何をどうやったら、そんなことになるのかは果てしなく謎だが、大分に酷い状態だ
った。
持ち上げたコップをそのままに、テーブルへと移動して椅子に座る。
「これだから化粧をするのはヤなんだよなぁ。後始末が煩わしぃったらないよ」
コットンと、化粧落としオイルを取り出す。コットンへとオイルを馴染ませ、まずは額から拭い去っていく。
次に眉毛と目元。半分外れた付け睫毛は、湿らせたコットンで軽く叩くと、すんなりと外れる。アイラインとア
イシャドウを拭うと、コットンが駄目になってしまう。あまり濃くしていないはずなのにこの有様だ。厚化粧な
んてしていると、あっという間にお肌が駄目になるんだろうな、などと凜子は適当なことを考える。
新しいコットンを用意しなおして、頬、鼻、口、顎、と化粧をゆっくりと落としていく。
ざっくりと、落とし終えたこと確認するために彼女は手鏡に写った彼女自身を執拗に凝視する。
そう、それはまるで露出度の高い服を着た女性を遠巻きに眺める男子高校生の視線のように。
「うん、おっけ」
どうやら、納得の出来だったようで、小さく呟いてもう一度キッチンへと向かい、蛇口を捻る。
頭上の戸棚を開いて、大きな洗面ダライを持ち出してそこに水を溜めながら洗顔料を泡立てる。
適当に泡立ててから、水を止め顔を洗う。
ゆっくりと緻密な手つきで、顔全体を舐るように洗う。
まずは、ざっくりと、だけれどあくまで丁寧に全体を洗い、泡を水で流す。
流し終えたかどうかをペタペタと何度も触って確認し、目を開く。
彼女の眼前には、いろんな化粧品の色が綯い交ぜになり、妙にくすんだ泡が表面を漂っている。
「うへぇ、きったね」
タライを、思い切りよくひっくり返した。
その思い切りの良さはまるで公衆の面前で臆面もなく上着を脱ぎ捨てる露出狂のようでさえある。
そして再度、蛇口を捻り洗顔料を泡立てる。
「ふーんふーんふふふふーん」
鼻歌交じりに水を止め、今度は豪快に、盛大に顔を泡まみれにする。ビチャビチャ、ゴシゴシとこれでもかと
いうぐらいに一心不乱に事に耽る。
その様はまさに覚えたてで、止め時を見失った女学生のようだ。
幾分かの時間をかけて、顔を洗い終えた凜子はもう一度顔の泡を水で流していく。
そして、目を開けタライの中の泡が白濁としていないことを確認すると、またも豪快にタライをひっくり返し
て中に溜まった水と泡を水道管に流し込む。
「あちゃーこんなに沢山、一度には無理だったかな?」
水場では音を立てて水が流れていく。ゴゴゴゴゴ、と飲み込まれていく音が低音を響かせて主張しているよう
ですらあった。流しすぎなんだよ、もうちょっと小まめにやってくれ、と。
近くに掛けてあるタオルと取り上げて、彼女は顔を拭う。
口元についた水も、毛先に付着してしまった水分も満遍なく拭き取っていく。
大体拭き終わったかな、と適当な当たりをつけた凜子はどういう訳か鼻を鳴らした。
「フツーに臭い。アウト」
持っていたタオルをグシャグシャに丸めて風呂場へと全力をもって投げ込んだ。何故洗濯機ではなく風呂場に
投げ込んだのかは不明だが、きっと後で綺麗に洗濯されてお外に干されるのだろう。恐らく。
「よし、お水飲も」
機敏に振り返ると、軽やかに水の注がれたコップを掴み取り、コップの縁へと甘い唇を優しく落とす。
腕と首をゆっくりと傾け、咥内へと水を誘う。
蛇口から捻ったばかりで、別段冷やしているわけでもない水はだけれどひんやりと彼女の口の中を潤す。
口の中の温度をゆっくりと奪いながら水道水は喉の奥へと流れていく。
ゴクリゴクリと、喉を鳴らし、体全体を揺らす。
「プハッ。ふぅ、あ゙ぁー。お水おいしいわぁ」
水を全て飲み干した彼女はコップを片付けようと流し場へと足を運ぶと、一旦動きを止める。
「やべっ、だしっぱじゃん」
コップを流しに置くと、タライをざっくりと洗い、水切り籠へと移動する。
そして、そのまま近くにある冷蔵庫の扉を開くと、中を覗きこむ。
瞬きを三度、ゆっくりと繰り返した。
彼女の視線の先には、見慣れないパッケージのマーガリンが鎮座している。
しかし凜子は見慣れないそのマーガリンの正体を知っている。
百グラム五百円はする高級マーガリンだった。普段の彼女ならば絶対に手を出すわけがない一品だ。
「う、うそでしょ? まさか、昨日酔った勢いで買っちゃったの……?」
彼女自身、酔っぱらっていたことは記憶にある。ただ、それは酔ったという事実を認識できているだけで、酔
って何をしたのかというところの記憶があるわけではないのだった。
「どうしよう、コレぇ! アタシご飯派だよぉ! パンなんてほとんど食べないっつのぉ!」
以上です
長編向きの描写をする文章だね
キャラクターへの親近感が湧く
書き上がったと思ったら通しで何度か読んでみて、引っ掛かるところがないか気をつけてみると良くなりそう。
あと、野暮だけど高級品ならマーガリンじゃなくてバターの方がしっくりくるよね。
お題がほしいです
たまご
品評会もうガッツリ投稿期間じゃん
品評会作品投稿します。1レスだけです。
庭園の中心に置かれた丸テーブルの上に、私はティーセットを運んだ。椅子に腰かけ、空を見上げる。幹線道路を行き交う
車の不愉快な騒音に顔をしかめながらティーポットを傾けると、琥珀色の液体は優美な香りを庭園中に漂わせた。
「ここに人を招いたのはあなたが初めてよ」と、彼女は高い声で言った。辺りには色とりどりの薔薇が咲き乱れ、植木は美し
く刈りそろえられていた。ここが都心にほど近い街に位置する、9階建てのマンションの屋上だなんて信じられなかった。
紅茶を一口啜り彼女をちらりと見ると、彼女は私の目をまっすぐに見つめていた。「いいカップだね」「あら、中身の方はお
気に召さなかった?」「いや、美味しいよ。ただ、紅茶なんてほとんど飲んだことがないんだ。だから良し悪しなんて分から
ない」ふふ、と彼女は笑い、彼女も紅茶の香りを嗅いだ。カップに描かれた青い薔薇の絵に彼女の細い指が触れていた。つや
やかな磁器の肌は透き通るように白く、薔薇と同じ青に塗られた彼女のネイルの美しさを引き立てていた。「青い薔薇だけは
君でも咲かせられないもんな」私はカップを置き、庭園をぐるりと眺めた。すべての草木は生命力に溢れた瑞々しい葉を誇ら
しげに茂らせ、その中心に目を閉じて座る彼女を圧倒しているように思われた。「やはり、飲まないのか」まだ目を閉じ紅茶
の香りに心酔する彼女に声をかけた。「ええ」と返答があるまでの数秒の沈黙は、悲しいまでに永く感じられた。「もう、私
にはできないことよ」そう言いながら、かちゃり、と音をたてて彼女はカップを置いた。
「ボーンチャイナっていうのよ」唐突に、彼女はそう言った。「ボーンチャイナ?」「そう、このカップ。骨を混ぜて作るん
ですって」「へえ、知らなかった」「何の骨を使うのかしら?牛か豚か―もしかしたら、人間かもね」
自嘲するように言う彼女に、私は黙って微笑んだ。たとえ偽りの微笑みであっても、微それを消し曇った表情を作ることなど許
されるはずもない、と思った。しかし、彼女が時折胸を押さえ目を強く閉じる仕草をする度に、私には平静を保つこともできな
かった。ただ俯いて、彼女の視線を避けるのが精いっぱいであった。彼女は黙ったままゆっくりと立ち上がり、薔薇のアーチを
くぐって屋上の手すりまで歩いて行った。「これが、最後のお茶会なのか」と私は彼女に話しかけたつもりだったが、それは声
になっていなかったのかもしれなかった。風もなく、凪いだ空気を乱そうとする者もなく、その瞬間、屋上庭園には完全な静寂
があった。彼女はゆっくりと手すりを乗り越えた。彼女は振り返らなかったが、微笑んでいることが感じられた。そして、夕暮
れの陽に朱く照らされた彼女は、静かに、静かに、地上へと落ちて行った。
大型トラックが通り過ぎて行ったらしい。地鳴りのような振動と轟音がして、私は目を開いた。この屋上庭園に今あるのは、伸
び放題の雑草と生気のない枝を乱雑に生やした木々ばかりだ。手すりの向こうには、最近とみに増えた高層マンションの群れが
見える。ふう、とため息をつき手元のティーカップに視線を落とすと、一輪の青い薔薇が見えた。10年前に主を失った庭園には、
花はそのたった一輪しか咲いていない。
「君の骨は、この琥珀色の時間を受け止めてくれるのだろうか?」
文才ない(大嘘)
村上春樹を思わせる文章の倍音効果が彼女との回想に活かされている
1レスの中に意味ありげな断片を描写することで耽美的な空間を
巧みに表現する狙いは成功しているといえよう
死は魅力的なテーマだが文章で上手く表現するには個性が要り説得力を要するのである
これはその二つを兼ね備えた例
おいおい
品評会って文字制限ある?
今回は無いんじゃない?
てきすとぽいを見てきたら、まだ二作品しか出てなかった
今仕上げにかかってる人が多いのかな
少し遅くなりましたが、>>36を転載して品評会作品は3作になりました。
朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
>>39
今回の品評会に文字数制限はありません。
いつのまにかラスト一日ですね……
何か短い作品を書きたいが、何も思いつかないという。
品評会作品投稿いたします。私も1レスのみになります。
気が付いた時、そこは白い部屋だった。と言っても、正確には白一色というわけではなく、ところどころくすんでいたり、あるいは輝いていたり、黒だったり、緑だったりする部屋だ。だから、幾何学模様と言った方が正しいのかもしれない。
「おはよう、目を覚ましたようだね」
そして、僕に声を掛ける存在が一つ。何故か、そこに『僕』がいた。それでもその姿を見て、僕は驚くこともなく、すんなりと受け入れた。
そして理解する。ああ、これは夢か何かなのだ、と。
「ああ、何も話さなくてもいい。『僕』は君で、君が考えたことは、手に取るようにわかる。それに、話したくても声は出ないだろう」
『僕』はそう言った。試しに、口を開けてみる。空気の出入りはあるように思える。ただ、声は確かに出なかった。
「ところで、君に質問だけれど、もし今、君の世界が終るとしたらどうする?」
『僕』は僕にそんな質問をした。言っている意味が理解できない。そう思っていると、
「理解は出来なくてもいい。ただ、訊いてみただけだからね」
『僕』は自分で自己解決をしたように、少し微笑んだ。僕は問いかけようとする。しかし、声は出ない。
だから、質問を思い浮かべることにした。『僕』が僕なら分かると、何の懸念も、何の躊躇いもなくそうした。それにさっき、『僕』は言っていた。考えたことは手に取るようにわかる、と。
「なるほど、どうして僕はここにいるのか。そして『僕』は何なのか。そう言う事だね」
『僕』はまた、少し微笑んで言う。
「この部屋は、実は『僕』の持ち物で、『僕』は君が生まれて今日にいたるまでの幾十年間、この部屋を君に貸していたんだ。そしてもうすぐ貸与年数の期限が来る。だから、『僕』が来たんだ」
言っている意味は、理解できなかった。ただ、逆らうことはできない。この部屋を、返す必要があるんだ、そう思った。
「ねえ、僕。君は、自分自身の人生を振り返ることが出来るかい?」
『僕』は、僕にそう尋ねた。そう言われて、僕は僕自身の人生を振り返る。
三歳の時の、七五三。六歳の時の、入学式。十八歳の時の、卒業式。二十五歳の時の、結婚式。そんな節目の記憶から、両親に愛された日常、友達と遊んだ日々、彼女と過ごした生活まで、全て、走馬灯のように思い出すことが出来た。
「うん、思い出せたようだね。ほら、見てみるといいさ。この部屋の壁を」
僕は、壁を見た。そして凝視する。真っ白な壁の、ところどころにある色やくすみ、輝き。それをじっと見る。
そしてそれが、僕の記憶だと知る。
「ああ、懐かしい記憶だ。そう言いたいようだね」
『僕』は、少し笑った。その笑みの意味するところは、僕には分からなかった。
『僕』は言った。
「さあ、その上で僕よ、尋ねよう。――君の人生、それは本当に君の物かい?」
言われた意味が、理解できなかった。理解しようとも思わなかった。生憎、哲学的思考は得意ではない。
だが、それを差し引いても何か、僕の思考を妨げる。そんな何かが働いていると、思った。
「君の人生の中に、君はしっかりといたかい? 君の記憶に、君自身はいたかい? 君は君かい? 君は――誰だい?」
『僕』がそう言った。僕は、誰。そんなこと、考える必要も、考える理由もなかった。けれど、今それを考えさせられている。
僕は、誰だ。考えても、答えは出ない。
少し、頭が痛い。頭の芯の奥、決して手の届かない場所で何かが脈を打っている。僕は、倒れ込むように傍にあった、ふかふかの白いベッドへと横たわる。
まるで、そうすることが決められていたかのように。
「僕。君は誰か、分かったかい? まあ、分かっても、分からなくても、あまり違いはないよ。だから安心してほしい」
『僕』の声が心地よい子守唄のように、耳をくすぐる。眠気など、かけらもなかったのに、静かに海へ沈むようかのように、僕の意識は薄れていく。
それでも、僕は目を閉じなかった。最後まで、考えた。
僕は、一体なんなのだろう。僕は一体、誰なのだろう。薄れゆく意識の中、思考は止めなかった。
「僕は、僕だ」
子供が大人に逆らう様な、そんな幼稚な答え。それに、『僕』は返す。
「確かに、君は存在する。でも、それは僕なのか? 本当は僕なんて、どこにも存在しないんじゃないか?」
もう、時間はないのだろう、と思う。だから、もう一度、思った。
「僕は、ここにいる。だから、僕だ」
その答えに、『僕』は何も言わない。やがて、僕の目が閉じる。瞼越しに感じる、白い光。明るい、僕を照らす道しるべ。
「時間だ、僕」
誰かに、抱き上げられる。そんな感覚がある。ドアの、開く音がした。
『おやすみ』
『僕』の声が聞こえる。ぱちん、と何かを切る音が聞こえた。同時に、目の前の光が、ふっと消えた。そして。
ぱたん。
そう、聞こえた気がした。
以上です。今回は抽象的な表現に挑戦してみましたが……。評価を頂ければ、幸いです。
初です。品評会作品投下します。
木島の部屋にはカーテンが無かった。そのため、向かいのビルからは部屋の様子がまるまる見通せた。彼はときおり思い出したように、遮るもののない大きな窓の方を見ることがあった。そうして、まるで動物園みたいだと思うのだった。羞恥心はもとより無かった。見られて恥ずかしいものなど、何も持っていない。
木島には職が無かった。遠く離れた妻には、単身赴任だからと話していたけれど、二人で別居について話し合った秋の夜には、既に失職してふた月が経っていた。
32歳の夏、証券会社に勤める彼は、年相応の職位にいた。この先もずっと、勤め続けるつもりでいた。ただ衣食の足りた生活を望んでいるだけだったが、ある日突然、彼のタガは外れてしまった。何がきっかけだったのか、思い出すことももうないが、ちょっとしたきっかけで彼の理性は彼の体を押さえつけていることができなくなった。それは事故のようなものだった。
気がつくと、彼は向かいに立つ人間の顎に向けて拳を放っていた。拳を食らった初老の男は、下顎を割られ、くず折れるようにして木島の革靴の甲に突っ伏した。
クマゼミが鳴く夏、油のような熱射が充たす空の下を10キロほど走ったあとに、ぬるい麦茶を一杯飲み干すと、すぐにバンデージを巻きなおしてグローブとヘッドギアをつけた。後輩の一人はスパーリングを終えて、ぐったりとベンチにもたれている。
「おい、いつまで寝てる」
木島は後輩の頭をグローブで小突くと、リングへと向かう。彼の拳は誰よりも硬かった。それが自分という人間を、他の人間と区別するひとつの印だったのだと彼は思う。
「遅くなりました。待ちました?」
「いや」
木島は壁の時計をちょっと見てから、そう答えた。2本の四角い針は午後8時すぎを指している。女は閉まる扉を小鳥のようにかわし、ヒールのある靴を脱ぐと、木島の部屋へちょこちょこと上がり込んでくる。黒いプリーツのスカートがひらひらする。
「もう飲み始めてました?」織部はオーク材のテーブルの上に立てられた2本の缶を見ながらそう言う。
「少しだけ」と彼は疲れたように答えた。それから、「ワイン、冷やしてある」と言って、冷蔵庫の方へ向かった。途中で、丁寧にマニキュアの施された指先が、彼の脇腹に触れた。彼は何の反応も示さずに、ワインとスモークチキンを取り出してキッチンへ行き、手早くコルクを抜いてしまうと、彼女へ向かって瓶を差し出した。
「グラスは、」と木島。「知ってます」と織部は瓶を受け取り、食器棚を開ける。大きな平皿を取り出し、手渡す。木島はそれを受け取ると、振り返り、黙々と肉をスライスして皿に並べていく。
25歳の織部は、屈託なく語った。はにかみもせず、ときどき目をしばたかせながら仕事の話をする彼女を見ると、木島は自分がどんどん老けて行くような錯覚に囚われた。うらやましいとは思わない。ただ、自分が弱くなっていくのを感じるだけだ。
空調の効いた部屋は暖かかった。革張りのソファに並んで腰かけていると、織部は自然と心安らぐ気持ちになる。そのまま寝入ってしまうこともしばしばで、そんな織部を眺めていると、木島は逃げ出したいような気分に駆られることがある。
「なんだか、動物園、みたいですね」と織部が切れぎれの声を漏らす。木島はそれには答えずに、彼女の腰の肉を一層強く掴む。彼の体のすぐ前方で、悲鳴のような声が上がる。柔らかいな、と彼は思う。
そこでは全てが見られていた。妻の不在の視線が、向かいのビルから差し向けられていた。たとえビルの彼らがその部屋にまったく注意を払っていなかったとしても、やはり不在の視線は木島を見ている。どのような行為の最中であれ、そのまなざしは彼の輪郭をけざやかに保ち続ける。
電話が鳴ったとき、女は不安だった。どのような不可解な経路を辿るにせよ、きっと自分の秘密は暴かれるのだと信じていた。彼女は唾を飲み込むと、左手を腹部に添えながら電話に出た。胃が痛むのだ。
「もしもし」
「久しぶり。二日ぶりかな? いま仕事から帰ったところだよ。もうだいぶ寒くなってきた。君は?」
「元気」と彼女はそれだけ言ってしまうと、ベッドの縁に腰掛けたまま姿勢をわずかに変えようとした。シーツの上の大きなシミはまだ消えずに残っていた。
それから二人は夫婦らしい会話をした。食事、世間、最近観た映画などについて、親しげな声でささやき合った。二人の部屋は遠く隔たっていたが、同じように薄暗くて、同じように汗の匂いに満ちていた。
二人の男女が辿った経路は、最初の一点で強く結び合わされた。二本の線は蛇行しながら、いくつかの点でまた接触した。それらはあるポイント、結婚という境を越えたところから、すこしずつ蛇行の幅を大きくした。二匹の蛇は互いに絡まり合いながら、どこまでも螺旋を描いて伸びて行ったが、やがて接点を減らしていき、ついに別々の薄暗い一点に辿りついた。その傍らには、写真に誤って写り込んだ髪の毛のように、ふた筋の影がぼんやりと寄り添っていた。
二人の間に子供はいない。それはどちらのせいなのか、判然としない。偶然なのかどうかも分からない。ただ彼らは話し合いの末に、原因の追及を拒絶しただけだった。
最後に木島の部屋をたずねた翌週、織部は銀杏並木の下を歩いていた。空は高く晴れ、肌寒い風が落ち葉を撫でている。黄色なものとわずかに青みがかったものとを無邪気に踏みちらしながら、彼女は駅へと近づいていく、マフラーの裾を軽くはためかせながら。目の前には川が流れ、そこには石造りの橋が架かっている。
欄干に薄手のコートの両肘をついて、彼女は途中で買ったあたたかい紅茶に口をつけるが、ほとんど味がしなかった。「無糖だからだ」と彼女は思った。ホッと湯気を吐き出して、携帯電話を確認するが、大学時代の友人からのメールと広告ばかりで、木島からの着信はない。
「嫌われちゃったかな」と独り言をつぶやくと、その言葉はただ秋の空に溶けていって、誰にも聞かれることがなかった。
木島は土を掘っていた。
車を止めて国道沿いの林の中へ、黄味がかった街路灯を背に浴びながら分け入った。雲が高空の強い風に流されて、半月と星がちらちらしている。
木島は携帯電話の光を頼りに、その林の奥で、素手で穴を掘っている。昔、俺の拳は誰よりも硬かった、と彼は思う。それから一通り納得のいく大きさの穴を掘ってしまうと、今度はその中にいくつかの小物をバラバラと投げ込んでいった。キーホルダーのついた合鍵、一眼レフで撮られた写真、プリペイド式の携帯電話……。
穴を埋めてしまうと、彼はその手をシャツでぬぐい、車の中に戻った。部屋はすでに引き払ってあった。元々それほど物も持ち込んでいなかったから、彼の荷物はすべて数個の段ボール箱に押し込められて、後部座席に積んである。
妻の元へ戻るつもりはなかった。どこへ行く当てもなかった。ただ、いくばくかの貯蓄と、段ボール箱と、彼の肉体だけが残った。木島はエンジンをかけると、アクセルを踏み込んだ。黒い車体が静かに国道の流れに乗る。そして、その車はどこかへと走り去って、赤いテールランプが見えなくなるころには、月も星も、もう瞬いてはいなかった。
織部はカーテンの無い部屋の前に立っていた。間をあけて3度呼び鈴を鳴らしたが、3度とも何も応えるものはなかった。表札もなかった。それで彼女はあきらめて、キッと踵を返すと、エレベーターに乗りこんで、その建物を出た。
外へ出ると、来たときと同じように冷たい風が吹いていた。その風が彼女のマフラーを再び自在にはためかせた。もう二度とここに来ることはないだろうと彼女は思う。そう思うと少し泣きたいような気持ちになった。しかし一方で、檻の中から突然解き放たれた動物のように、不定で、ささやかで、背信的な自由を感じてもいた。
「明日からまた仕事だ」
彼女は独りごとを言った。その言葉は風に乗って、どこかへと流れていく。
以上です。よろしくお願いします。
品評会だね!全然書いてないよ!みたいなレスがなかったから投下ないのかなと思ったら意外とあった
騙されたぜ
遅くなってしまいましたが >>44 >>47 を転載して、現在の品評会投稿作品数は9作になりました。
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
No.07 ネコン(碓氷穣)
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No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
No.04 は今日の午前6時くらいに投稿しましたが、後で大幅に書き換えて……ごほごほっ
締め切りまであと一時間半、最期の追い込みお待ちしております。
投票期間:08/03 (日) 00:00 ~ 08/09 (土) 23:59
集計発表:08/10 (月)
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
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No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
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No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
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No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
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No.06 空人(muomuo)
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No.07 ネコン(碓氷穣)
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No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
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No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
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No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
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皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
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「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
すみません。気が付いたら寝てしまっていました……
最後に投稿された作品、すごい長さだ……!
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
クレイアニメとか似合いそうな滑稽さと物悲しさを感じました
ショートショートにしてはオチが「あ、そうなんだ」で終わるしお題から分かるので
この滑稽さと物悲しさをもっと煮詰めていけばもっと凄い作品になると思います
なんかシニカルというか作者がマスからだいぶ遠いところで文章を書いている感じがしました
それが魅力とか個性なのかもしれません
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
最後どうして三人称と一人称がごっちゃになっちゃうのかなあ……勢いですかね
落語みたいな語り口はテンポ良く読めて好きです
テンポのよさはきっと今回の作品イチだと思います
碧之介なんか良く分からないことやってるなあと思ってたら作者登場するから戸惑いました
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
屋上庭園が男の手によって綺麗に整備されていたら男の心理に共感できたかも
もしかしたら夢が生き生きとしてて現実は荒れているっていう比喩かもしれないですが
短編小説の冒頭みたいな雰囲気がとてもよかったです
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
丁度いい長さのさらりと読めるポケットサイズのお話
ボーイミーツガールは出会いが肝心だと思うので「おっ」ていう出会いがあればもっとグッド
野暮かもしれませんが>僕を作ったハカセ ってことはロボットなのかな
とすると破裂で壊れてはいなくて一人ぼっちになったのかな
「僕」は復活して嬉しかったんだろうか悲しかったんだろうか
設定開示もうちょっとあれば冒頭と結末がぴしっと決まったのかも
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
僕が目の前の僕と同一なら目の前の僕に言い負かされることないと思うけどなあ
ちょっと目の前の僕に問いかけてみたいお前は誰だって
たぶん僕は君だって言うんだろうけど君が僕ならこの記憶は君のものじゃないって言っちゃうな
そもそも二人とも不存在なら記憶も不存在だからこの白い部屋には出口もないんじゃないかな
僕が存在しないのなら出口の奥もやっぱり存在しないんだろうし
と、ここまで考えられるのはやっぱり読みやすくで引き込まれたからだと思います
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
解説が欲しいほど興味惹く冒頭だったり語り口だったり
テキスト逆順と読んでも『美き』から『美樹』と漢字に変わるのがすとんと落ちない
>思い出してしまう っていうのが何なんだろう生まれたときの記憶かなにかかな
ちょっと手がかりが少なかったので考察のイマイチですが面白かったです
関係ないと思いますがなんとなく囚われクローンを思い出しました
題材的に魅力的ですよね死刑囚って
No.07 ネコン(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/24.html
行方知不ってゆくえしれずって読めばいいんですよね
行方捜索さんに頼むのかとワクワクしてたんですがそんなことはありませんでした
こういう風に用意したんだからちゃんと調理しないとって思ってしまうのは
書くほうとしても読むほうとしても未熟なんだなと思い知らされました
そう考えると作品自体もあの一夜城も意味を成さないなかなかにユーモラスな作品でした
安部公房の壁みたいな不条理ものっていうのかな
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
確かに日本における信仰とはこういうものなのかもしれないですね
聖武天皇がよっしゃおっきな仏像作るぞって思ったのも目に見えるものを求めたんでしょうし
どうしてもマリア様の像を作ってそれを信仰の対象にしてしまう農民らを見て
牧師はキリスト教は日本に根付かないって思ったそうですしね
訓話としてみたらとっても完成度の高い作品でした
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
木島が理性を失ったこれまでの三十二年間を変化させうるきっかけが知りたい
失職して生活もがらりと変えて別居までしてどうして妻に別れを切り出さないんだろう
どうしてカーテンのない部屋に住み不徳を妻に見られることで遠まわしにそれを伝えようとするのだろう
部屋にカーテンをつけないのも妻と心も離れて他の若い女と寝るのも持ち物を捨てて何処かへ行くのも
作者が道具立てした理由がきっとあるんだけど読み取れなかったです
木島に変化を与えたキーみたいのが見えず全く共感できず村上春樹の登場人物の一人のようなモブみたいだなあと
主人公が織部だったたらなんとなく分かるかなと思いました
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
http://text-poi.net/post/keina_tsumiya/1.html
自作
お弁当箱を詰めるように書いたけど卵焼きばっかな感じに
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
→書きたいことが分かったし起承転結っていう物語を作ってたので
【関心】:No.06 空人(muomuo)
→冒頭の入りと設定がなかなか魅力的でもすっきりしなかった
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
→今回イチ上手でしたので
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
→たぶんこっちが読む時期によってはすとんと落ちるのだろうと
********************************************************
――総評――
大体考えること一緒なのかなと思ってたのですが変化球があったりして、とても楽しく読めました。
No.01、03はとても素直に(不在)を受け取って、真正面から書いたように感じました。
No.05、08は(不在)そのものについて書き、他は(不在)に意味を持たせたりテイストとして扱っていました。
お題の捌き方で言えば、目立って上手いなあと感心したのがNo.08。好み関係なかったら投票していました。
さらりと読めたNo.04に投票したのは、この中で唯一読者を意識していると感じたからです。
常日頃からNo.07やNo.09との出会いのようなものを大事にしたいと思っています。
ですが、やはり理解できるなかの理解できなさに興味惹かれる凡人でして……。
そもそも理解できないもの、意図が分からない道具立ては通り過ぎていってしまうのです。
なので、他の方の感想を楽しみにしようと思っています。
小奇麗に、お洒落に書き上げられた作品が多く、投稿された方々はみな力量のある方なのだと再確認。
でも、小奇麗とかお洒落とか、で作り上げられた作品と作者の間に距離みたいなものを感じます。
「ああ作者はここが書きたかったのかな、ここが作品の核だな」
なんて思える文章(いうなれば作品と作者の距離がぐっと近づく瞬間)を感じ取れると、読者と作者の距離も縮まるのかなと。
距離が縮まったときが、私にとって一番読書を楽しく感じる瞬間なんだと感じました。
運営、転載、投稿した方、そしてこれから感想を書かかれる方、皆さんお疲れ様でした。
普通に10作品とか集まってるね
良いことだ
もうちょいスレも盛り上がってほしいが
というわけでお題くださいな
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
もう少し捻りがほしいなあ。
今回は印象に残るお話が多かったので、この作品はちょっと霞んでしまうかなと。
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
またこんなの書いてっ!
しかし本作品は本当に意味が分からなかったな……
ジャック・デリカってググってみると難しい文章が出てきて頭が痛くなりました。
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
最初に読んだときはそこまで感じなかったんだけど、後で読み返してみると「女の人はなぜ自殺したんだろう」って疑問が強く頭に残ってしまった。
雰囲気は好きだったのだけどね。これも後で投稿された作品に押されて、印象が薄くなった感がある。
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
自作。
一度投稿したものを大幅に書き直してごめんなさい……時間内だから許されるかなとか……ごほっ
実は森鴎外の舞姫を読んだのがつい最近で。
ああ、こういう書き方もあるんだなあと思って、真似したわけではないけれど何となく舞姫を思いながら書きました。
何となくですからね? ひぇぇっ
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
もうひとりの僕系を私があまり好まないのは、そこに思考のリアリティがないから。
だって自分と同じ顔のヤツが目の前にいるんだぜ? 絶対怖いだろ。
しかしもうひとりの僕系はするりと事態を受け入れることが多くて、あくまで夢の中とか、精神世界的なことを書こうとしているのは分かるんだけど、やっぱり私の好みからは少し外れてしまうんだなあ。
と、なんか偉そうなことを書いてしまった後でアレなのだけど、この物語の結末はやはり死なのだろうか?
部屋を返せ、と『僕』が言ったシーンは「おっ」と思ったので、その結末が死だとすると、というかそれを連想させる時点でかなりもったいない気がする。
ちなみに No.05 と No.06、同じ作者が書いているのかと一瞬思いました。
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
これはとりあえず意味深なことを書いて終わっておこう系かと思ったのだが、「いや、そうではないな」と思い直した。
なんかロボトミーの話っぽいなと思ったら、途中でロボトミーの話が出てきて。
「ロボトミーってえぐっ! 昔のひとなんでこんなのやってたん!」と私たちは思うけど、今も形を変えて同じようなことをやっているよっていう話を最近何かで読みました。
本当かどうか知らないけど、アメリカでは子供たちに薬飲まして精神強制するのが頻繁に行われているとか。
脳に電極埋め込むとかいう話もね。形はどうであれ、精神をいじられるってやっぱり怖いよね。
しかしこの作品が面白いところは、精神をいじられるのではなく、眠っている精神を呼び覚ますものとして書かれていることだ。
……と勝手に思ったのだけど。No.05 を読んだ影響も受けています。この解釈で合っているよね? ねえ?
いやいや。最後のナオキの台詞から想像して、この解釈で合っているはずだ、うん。
彼らの内に眠っていた精神(良心)が呼び出されたとして、その前に体に宿っていた彼らの精神はどこに行ったのだろうか?
どこから来てどこへ行くのか?
こりゃー、今日偶然見たブレードランナーの影響も思い切り受けてしまってるな……
No.07 ネコン(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/24.html
あまり意味の無い(と私が勝手に思っている)人名遊びはあんまり好きじゃないなあ。
私としては後で家に居着いた猫のほうが印象的なので、良かったじゃん、とか思ってしまうんですね。
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
全然めでたくないから! 分かる?
こういうとんち的な話って、結構私好きなんですけどね。
虚無感って良さが全く説明できないけど、なんとなく良く感じるから不思議だ。
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
ちょっと途中、誰の思考なのか分からないところがありました。
わざとやってるのかもしれないけど。
なんか意味ありげに見えるのは No.06 と同じなんだけど、話がぶつ切り的に感じるから No.06 よりも読者の思考を狭めてしまうような感覚がある。
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
http://text-poi.net/post/keina_tsumiya/1.html
きたよきたよ三万文字……
出だしにもたつき感があり、このまま読まされるのは辛いなあと少し不安になりました。
けどドライブに出たあたりから筆が乗ってきた感じで、最後は絵も想像できて楽しく読ませてもらいました。
話のスタイル的にはミステリの王道を行ってる感じかな? ホラー?→なんだホラーじゃないじゃん→ホラー!
ただ、個人的には最後ホラーにしてしまったのはマイナスなのよね。せっかくスッキリした感じがおじゃんになったというか。
頭から血が出ている幽霊+「あそこ」って、どうしてもあの世を思い浮かべてしまうでしょ?
そうならないようにラストを付けくわえているんだろうけど、少し残念だったなー。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】 :No.06 空人(muomuo)
気になった作品:No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
********************************************************
人の精神について新たな解釈を与えてくれた No.06 に一票。
No.10 は本来なら投票レベルでしたが、ここは新感覚を重視しました。
次点は No.08。
今回はお題からまた暗い話ばかりになるかと思いましたが、そうじゃなかったですね。
いろんな話を考えてくる皆さんに拍手。
自分今月は投稿絶対無理だと思ったけど、最後の1~2日で何とか書けてしまうのだから、次回も大丈夫かな?
ろくに考えなくていいんかいな、という気もしますが……
さ、すでに投稿されている感想読んで凹むぞー。
>>58
偉大なる太陽
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
音にフォーカスすることで、より喪失感を際立たせていますね。
>次々に聞こえている音がおはよう、おはようと呼びかけ合っているようにも聞こえる
読み返すとこの辺が切なくて良いです。
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
ドゥルーズの千のプラトー、大学時代に8000円出して買って読みました。
その中でデリダについても言及されていましたが、あの辺は頑張ってもよく分からないですよね。
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
頭の「琥珀色」が最後のセリフに繋がっていて効果的ですね。
ただ、目を開くコーダのシーンにつながる一文も文頭にあれば、より立体感が出る気がします。
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
魔法がある世界ということでプロップ的に解釈してみると、ハカセ→(冒険)→彼女、という、
<ぼく>という存在の一時的な継承のお話にも見えますね。非存在になり、転生すると。
色々な読み方が出来ておもしろいお話ですね。
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
一晩のうちに大人になってしまう少年のお話として読みました。あとこれを読んでいて、ブリキの太鼓を思い出しました。
このお話では「ぱたん。」と閉じ込められて終わりますが、ブリキの太鼓は僕の中の『僕』が最後には僕を食い破って羽化する、
というような話でしたね。
短い中にもぎゅっと詰まった作品だと思いました。
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
ナオキ=用務員のおじさん≒フリーライター、という解釈でいいのでしょうか? あんまり自信がありません。
一面ではボルヘス的とも言える、迷宮感のある短編ですね。
ただ信頼できない語り手を用いる時は、ミスリード部分と感情を惹起する部分が重複していると、
読み返しの時に繁雑に感じられる可能性もあるので、その部分は筆の運びをより慎重にした方が良いのかもしれません。
No.07 ネコン(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/24.html
個人的には知不ではなく不知の方がしっくりきます。
頑張ってください。
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
>答えはわからず、ただ忘れていくことだけが、世の摂理であるのだろう
最後の部分がいかにも説話的で良いですね。
こういった古いテーマを寓話で書きなおのは難しいことですが、安定した筆力で陳腐に見せないところが良いですね。
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
一筆書きの拙作。お題の回収が明白でしつこい。
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
http://text-poi.net/post/keina_tsumiya/1.html
時間があるときにまた読みます。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】 :No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
気になった作品:No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
********************************************************
勝手が分からないなりに参加させていただきました。
普段読まないような作品に触れられて楽しかった。
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
シンプルな切り口で、まさに題材を正統解釈したと言ったような印象を受けました。ひねりがないと言えばそれまでですが、その上で読ませる文章であったように思えます。
もちろんその反面、シンプルすぎて先が読めたという物はありますが、良い意味でも悪い意味でも、題材に対して正面から向き合っていることが良かったです。
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
中途半端にライトノベル的な表現が少し残念に思いました。どうせならもっとどちらかに振り切った表現技法が良かったのではないかと。
全体的に、独自の雰囲気があって、雰囲気は面白いと感じました。ですが、それを伝えきれていない様に思います。また、題材の不在がどの部分にあったのか、少しわかりづらいように思えました。
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
台詞部分で改行をしていないのが新鮮に思えました。これは意図的な物でしょうか? そうなのでしたら、個人的には台詞さえ文章になっている、完全な第三者視点からの書き方になっていると思います。
感覚的な物でしかありませんが、序文と最後のセリフの対比は気に入りました。
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
良くまとまった物語という印象を受けました。ですが、テンプレートに沿った流れでありながら、そのテンプレートからはみ出したところにある独自の世界観に魅力を感じます。
もっと分量を増やした、中編小説として読みたかったところではあります。その上でしっかりと煮詰めれば、児童文学のような倫理観を感じられる小説になるのではないでしょうか。
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
拙作です。
生命の死という物ではなくて、『哲学的ゾンビとクオリア』的な内容にしたかったのですが、足らんかったのかなーって今更に思います。
興味がある方は、スーザン・ブラックモアの「意識」という本を読んでみてください。もうこれ分かんねえな……ってなると思います。僕はなりました。
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
私が書きたかったクオリア的内容が少し含まれていて、その点で一番目を引きました。
物語としては、この恋文が本当は誰に宛てられたものなのか、多重人格的な自作自演なのか、思い出すとは性善説的な意味での良心を思い出すと言う意味なのか、といろいろ考えさせられるものでした。
似たようなことを書く人がいらっしゃることは嬉しい事ですが、ネタが被ってしまったことは、僕としても作者様としても、ちょっと残念かなーというのはあります。
No.07 ネコン(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/24.html
しょうもない事ですが、中国語文法で書いた行方知れずは行方不知ではないか、というのが最初の感想でした。
登場人物の名前としては、”行方不明の行方不明が行方不明”という言葉を使いたいがために、そうしたという印象を受けました。名前がAさんでも、前述の文が消えるだけで、そこまで物語には影響しないのでは、と。その点が少々残念に思いました。
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
日本昔話に出てきそうなお話で、何が正しいのか、何が最善なのかという事を考えさせられる物語でした。
文章を柔らかく書きかえれば、絵本にでもできそうなストーリで、分かりやすく、なおかつ人間の深層に訴えかける内容だったと思います。
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
少し視点の切り替えが忙しすぎるように思えました。これが数万文字の短編~中編小説であれば受けた印象は変わるのでしょうが、短すぎるが故に、場面の切り替えに頭がついていきませんでした。
また、物語の展開に理由や原因が不足していて、結果のみを書き連ねられているような、そんな感じも受けました。文章力がある分、そこが大変残念です。
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
http://text-poi.net/post/keina_tsumiya/1.html
なかなかヘヴィというか、ホラーが苦手な僕では少し手を出しにくかったのですけれど、でも読み始めると怖くはなかったのですんなり読むことが出来ました。
他の方が仰っているように、序盤少しスロースターターかな、という印象はあります。章立て形式で、一週間に一度一章ずつ投稿されると考えると、たぶん二章ぐらいで読むのを辞めてしまうかなーなんて。
文章はとても綺麗で、理解できると実は怖い話、的なところは好感触です。ただ、面白かったかなーと思うとそうでもない気がします。僕がホラーを嗜まないと言うのもあるのでしょうが……。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】 :No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
気になった作品:No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
No.06 空人(muomuo)
********************************************************
短くて簡潔で、なおかつわかりやすいと言う点でNo.8に投票いたします。
次点で、No.4とNo.6の二つを。
No.8はシンプルで理解しやすい(僕が馬鹿ですので、その手の物しか理解できない)のに、しっかりとお題に則って、その上で道徳的な内容まで含んでいると言うこれ一つで何度もおいしい、という作品だったため選びました。
No.4とNo.6はどちらも倫理観や意識と言った、人間の性に深くかかわってくる内容で、引き込まれる分少し理解に時間がかかるところが、ほんの僅か、数ミリ遅れをとったのかなあと。なので許されるなら、ぶっちゃけ全部投票したいと思いました。
不在という題材ですから、とりわけ生命の死に関連する物が過半を占めるだろうなーと思っていたのですが、そうでもなかったので意外でした。
僕では考えつかないようなことを書いてくださっており、読んでいてとても楽しかったです。
運営してくださった方、参加された方、感想を書いてくださった方、皆様おつかれさまでした。
お題ください
火山
お題もらって8割がた書き上げたことないけどお代ください
>>70
土砂降りの雨の下で
今回のお題を決めさせて貰っていながら、全く触れてなくて本当にごめんなさい。
全感だけ提出しておきます。
・全体:
「箱」をステージにした方が多かったのは予想通り、と言ったところでしょうか。
肉体(脳)、部屋、庭、(閉じた)街。
区切られた空間の一部を専有していたものが、「無い」ことで何が変わり何が変わらないのか。
少し限定的なお題だったかと懸念していましたが、十人十色の物語が出てきて嬉しいです。
正直、「文才あるよ、小説書くよ」な人ばっかりじゃないですか。羨ましい限りです。
無い無いの私は色々と盗ませてもらいます。
誰かが「小綺麗な文章」と書いていますが、個人的にはそういう書き方凄く好きです。
まずは何よりもひらめきですから、『この文章のために書いた』みたいなのがあってもいいと思います、
その上で他の部分も流麗だとゾクゾクします、がそれができるかどうかは力量と読者とのマッチングが噛み合ってこそなのでなかなか。
・個別
No.01 朝食風景(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/73.html
すっと通って綺麗に不気味な感じ。
先が読める内容では有りますが、かと言ってそれが文章の不気味さ不穏さを損なわない。
「あ…やっぱりか。」と嘆息するような。
不在の原因、男が狂っているのかはたまた、などと想像しながら読めました。
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/44.html
前回の続き?ですかね。
相変わらず碧之介のキャラクタが良い味を出してます。最後に突然一人称で放り投げるあたりも。
ただ、なまじ小気味よくポンポンと進めて行った結果、読了後何にも引っ掛かりがなく…
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/2.html
結の部分を頭に少しだして、回想と言う形で追っかけ、もう一度結を持ってくることで読み出し読み終わりに注意を惹きつける。
この書き方、凄く好きです。自分には上手くかけないので羨ましいです。学ばなければ。
青い薔薇が、うーん。個人的な引っ掛かりがここに。上手く説明できる気はしませんが
…でもここをひねると色々崩れるんでしょうね、うーん。
例えば、彼女を「青い薔薇」に見立てていたとして(正否はわかりませんが)、10年の経過で色褪せた庭園にたって1つ残る青い薔薇。
絵としては映えますが、彼女の「不在」よりも「存在」を強く色づけているようで。
他の方がおっしゃっている通り、男がずっと庭園の色を保っていたのならば…と感じました。
No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/10.html
「自然に還れ」というワード選びがとても良いです。1緑/インスタント/エンチャント全破壊。じゃなくて。
後のハカセのくだり=「僕」が人工物であること、との対比だとわかってちょっとゾワッとしました。
童話のような柔らかな話でもあり、大人向けの掌編っぽくもあり。星の王子さまがそんな感じでしたっけ。
部分部分で、もう少しボリュームがほしいな―と感じました。
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/3.html
テーマは凄く好みです。「もう一人の僕」と言うか、実は自分が影だったという展開も凄く良い。
理不尽ものの妙である息苦しさ、生き苦しさも出せていると。
ただ、二者とも冷静すぎるというか、話がすんなり通り過ぎるというか。
もう少し「僕」のぐちゃっとした抵抗が見たかったです。
その辺、ぱちんとこちらの思考を打ち切られた感じがしてもやもやします。
No.06 空人(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/10.html
「そらびと」かな、とタイトルからは掴めませんでしたが、なるほど魂を抜かれた空っぽの人……
興味深いテーマです。ロボトミーのあたりも厨ニ心をくすぐる。
肉体の記憶と精神の記憶と言うやつでしょうか?と勘ぐってみたり。
ただ、解釈が色々と取れる、と言うと聞こえは良いのですが、逆に言うとパーツをばらまいただけと言う気もします。
キーワードになりそうな小片がすべて別々の方向を向いている気もしなくは無いです。
一様な解釈を是とするわけではありませんが、特にこの長さだと、ある程度は恣意的に解釈の方向をつけるのも必要かもです。
それがミスリードを狙うためのものであっても。
No.07 ネコン(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/24.html
「行方」が解りません。
言葉遊びとして文章に面白みを出そうとするアレだったのだと思いますが、読む側としては混乱が…。
全体感想と矛盾した事を言っているかも知れませんが。
後々の文章が良いものであるだけに、ここで要らない引っ掛かりをつけてしまったのはちょっとなーと。
蛇足な気がします。言い過ぎでしたら申し訳ない。
わざわざ「行方姓が多いだけで云々」と言わずに兄弟で通しても良い気がします。
なんというか、その辺の設定は拘るところじゃなかったのでは、と。
シュレーディンガーの猫がモチーフなのでしょうか。
その辺をもっとフィーチャーしてみると一味違ったものになるかと思います。
No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/28.html
「はだかの王様」と似た所を感じます。何かに縋る大人と、純粋な視点でその可笑しさを見抜く子ども。
割と心にぶっ刺さる感じが好きです。
適当な感想で申し訳ない。言いたい事はだいたい他の方が書いてくださっているので。
No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/4.html
点々転々としていて、つながりませんでした。
それ以上なんと言えばいいか解りません。
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
http://text-poi.net/post/keina_tsumiya/1.html
重たい。です。
3万字?というボリュームもありますが、序章が本当に重たい。
改行なりなんなりで少しスッキリさせるだけで若干は解消できると思います。
序章が文章と言うより長方形の文字塊に見えます。せっかちな人ならここで目を滑らせて閉じると思います。
私も一度目を背けました。
内容が頭に入りだすとするっと読めたのでもったいないです。
話の骨はしっかりとしているので、導入を工夫してやればずわわわっといけると思います。
目指せ骨太美人。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
気になった作品: No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
********************************************************
読んでいてハッとしたので迷わず04を。
08はどこかの民話であってもおかしく無いな―と思える出来だったと思います。
10は力作、と言う感じ。それ故に気合を入れないとこっちも読めないのが難点でした。
次点で01か03、かな。01はくるっとまとまっているのですがちょっとインパクト不足。
蛇足:
自分の出したテーマにいくつもの切り口から物語が産まれて集まって来るのは凄く楽しいですね。
どの作品も興味深く読ませてもらいました。ありがとうございます。
提出もせずに偉そうな口だけ叩いて申し訳ない。せめて試験期間とかぶらなければ…(言い訳)
まあ、今となっては自分のレベルの低さに打ちひしがれて出す意気も消沈してしまいましたが。
今月中に書く時間がとれたら通常作としてスレに投下したいと思います。
多分、ドイツのフランス人捕虜の寓話をオマージュして、「いないものいじめ」の話を書くかと。
■本スレ
投 関
No.01 朝食風景(茶屋)
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
1 No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq
2 1 No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
1 No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs
1 2 No.06 空人(muomuo)
No.07 ネコン(碓氷穣)
1 2 No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
1 No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc
2 No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
投 関
2 No.01 朝食風景(茶屋)
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq
2 No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs
1 No.06 空人(muomuo)
1 2 No.07 ネコン(碓氷穣)
3 1 No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
1 No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc
No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
■合計
投 関
2 No.01 朝食風景(茶屋)
No.02 越中泥棒左衛門碧之介、弟子入りを目論む(しゃん@にゃん革)
1 No.03 薔薇の庭園 ◆veZn3UgYaDcq
2 3 No.04 ささやかな希望(ほげおちゃん)
1 No.05 僕の部屋 ◆m03zzdT6fs
1 3 No.06 空人(muomuo)
1 2 No.07 ネコン(碓氷穣)
4 3 No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)
1 1 No.09 カーテンのない部屋 ◆AvAB7qCJFc
2 No.10 花火セットを用意して(都宮 京奈)
というわけで、今回の優勝は「No.08 空と白と箱と風(犬子蓮木)」でした!
初めてのBNSK外からの優勝者ですね……
これからお題をもらってきます。
なお先月、私が今後も運営するのは難しいかもと言いましたが、どうやら
今月から少し仕事が落ち着きそうなので、次回も運営できそうです。
とりあえず次回もやる方向で進めさせていただこうと思います。
>>78
乙ですー。
何からなにまでやって頂いて申し訳ないです。
>>79
私こそ、態度をはっきりさせなくて混乱させてしまいすみません……
今回感想いただけて嬉しかったです。
また今度参加できるようであればお願いします。
作品が10個前後集まるようになったね
お題ください
>>81
亡霊
久しぶりに見に来たけど人いるのか?
半年ROMれ
きーみーがー いたなーつーは とおいーゆめーのなかーあ
そーらーに きえてったー うちあげー はーなーびー
お題:幻の恋人
規制事項:9000文字以内(参考:30行 * 60文字 * 5レス = 9000文字です)
投稿期間:08/24 (日) 00:00 ~ 09/06 (土) 23:59
投票期間:09/07 (日) 00:00 ~ 09/13 (土) 23:59
集計発表:09/14 (日)
http://text-poi.net/vote/75/summary.html
書く時間は四週間あったほうがいいと思い、上の期間設定にしました。
もはや月末品評会ではなくなっているので、タイトルから月末を外しました……
みなさんの投稿お待ちしております。
お題ください
曇天
お題ください
>>89
母の白髪
おいやめろ
お題ください
>>92
そろそろ品評会だしそれ用の作品を書いてみたら
それ以外でなら「メアリー・スー」で
>>93
品評会に出せるような腕前はない
もう少し自信がついたら出したい
そのお題いただきます
お題下さい
夏バテ
>>96
いただきます、ありがとうございます
まだあったのかこのスレ
書けるかわからないけどお題くらさい
線香
品評会ですが、さっそく一作品投稿されています! 早い!
ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/30.html
私も今から少し考えようか……
お題くださいませんか
隕石
逆転劇
ありがとうございます
お題下さい
暗殺
品評会作品を投下します。
ショートパンツのポケットに入れていた携帯が、軽やかな電子音を鳴らした。私の好きなエレクトロニカの曲が、着信が
あることを知らせている。面倒だと思いながらも、携帯を取り出して、画面を表示した。どうやら高校の時の同級生から、
電話がかかってきているようだった。画面をタップして通話を開始する。
「もしもし」
「あっ、美紗ちゃん。久しぶり」
電話に出ると、友人である麻美が気怠そうに、そう喋った。
麻美は高校三年生の時に同じクラスになった女の子だった。席が近かったこともあり、話していると自然と仲良くなれた。
私と麻美は、好きな音楽の傾向が似ていたので、無理することなく会話を継続させることが出来た。共通の趣味や好みがあ
る人とは友人になりやすい。無理やり話題を作らずとも、話すことが出来るからだ。
しかし、それぞれ別の大学に進学してからは、月に一度ほど電話で連絡を取りあうだけの関係になった。思い出したよう
にメールが送られてくる事もあったが、最近ではほとんど連絡を取り合う事はない。私たちは、やはり希薄な関係だった。
友達ではあるけれど、その人がいなければ人生が成り立たないという相手ではなかった。そのために、お互いに疎遠になっ
ていった。
「どうしたの、麻美」
面倒な気持ちが声に出ない様に、私はそう訊ねた。
「いや、次の講義まで時間が空いちゃってさー。もしかして、今、彼氏とデート?」
「うん。今、彼氏とスカイプで通話してる」
私はそう言ったが、それは嘘だった。通話などしていなかった。一人でつまらないホラー映画を見ているだけだった。
そもそも私には彼氏などいない。生まれてから一度だって彼氏などいたことがない。セックスだってしたことがない。しか
し今、恋人と通話をしていると反射的に答えてしまった。
それは彼女に対する見栄だとか、虚勢を張るという性質の嘘ではなかった。ただの意味もない虚言だった。私は小さい頃
から、よくどうでもいい嘘を吐いた。意味もない嘘を吐く子供だった。聞かれたことに、息を吐くように嘘を重ねた。
その癖は、小学校四年生の時から始まっていた。
当時の私は、他人を混乱させる嘘ばかりを吐いていたように思う。
例えば、「私の家の前に刺されて死んだ人がいるから見においでよ」だとか、「今日は死刑囚になった親戚に会いに行く
から学校が終わったらすぐに帰ります」だとか、「知らないおじさんに唇を押し付けられたけど気持ちが良かった」だとか、
自分でもなぜ言ったのか説明できないような嘘を、無意識に吐いていた。
虚言癖である私は、当たり前だけれど、周りからおかしい人間だと思われていた。
今でも思い出すエピソードがある。六年生の時の担任教師から呼び出された時のことだ。親と一緒に呼び出され、放課後
の教室で彼と向かい合った。担任教師は、私と親の前にしかめ面を作って座り、「美紗さんの嘘をやめさせてください」と、
親に向かって言ったのだった。担任教師は真剣な顔をしていた。両親も真剣な顔をしていた。私もなぜか真剣な顔をしてい
た。しかし、実際に私としては、自分の嘘がそこまで深刻に受け止められているとは思ってもいなかった。自分の嘘に無自
覚ですらあった。考えてみれば、私の言っていることは全部おかしかった。私は、そこで冷静になり、自分は変な嘘ばかり
言っていたのだと、ふと気づかされた。
そしてその頃から、私は皆から送られる蔑みの視線にも気がつく。肌を撫でるような、侮蔑の性質を持った視線が私を覆
い尽くす。だから彼らの嘲りに気づいてしまった。馬鹿にするような、見下すような、自分よりも下位の存在に遠慮なくぶ
つける視線。それが私の肌を撫で続けていた。嘘を吐く私は、クラスの中でも異分子として見られているのだと、肌で感じ
ていた。
中学校に上がってからは、嘘が嘘だとバレないための訓練を重ねていった。他人に自らの嘘がバレることは嫌だった。心
が締め付けられる感じがするし、私の恥ずかしい部分が世間に晒されているように感じてしまう。
だがそもそも、なぜ嘘を吐くこと自体を、当時の私はやめなかったのか。それについては、すでに嘘を吐く行為が、私か
ら切っても切り離せない細胞のようなものとなっていたからだった。それをやめるという選択肢は存在しなかった。仮に嘘
を吐くことをやめようとしても、私は無意識に嘘を吐き、それで苦しむだろうと思った。それだったら嘘が嘘だとバレない
ような振る舞いや、嘘の吐き方を学んでいった方がいいと思ったのだ。そして今では、私の嘘は完璧に私の肌を覆い、強固
な鎧として私に身についていた。誰も私の嘘を見破れなかった。私もボロは出さなかった。
例えば、私が彼氏にぶたれたと言って、自分で自分の顔を鈍器で殴り、頬に紫色の痣をつけ、演出のために皆の前で泣い
て見せたら、誰もが私の嘘を信じた。私の架空の彼氏に憤りさえしてくれた。
また、骨折したと言って腕にギプスを嵌めて学校に行けば、誰もが嘘だと疑わずに心配してくれた。私はギプスを嵌めた
腕を、本当に怪我をしているかのように慎重に扱った。偽の診断書まで用意し、自らの嘘に取り憑かれるように、嘘を演出
していった。嘘を吐くために人生を操られていった。高校を卒業する頃には、私の嘘に綻びが出ることなど一瞬たりとも無
くなっていた。
「そうなんだ。じゃあ、またかけ直すね。ごめんね」
「うん。またね」
麻美は、私に遠慮をして電話を切った。私は安堵しながら、つまらないホラー映画を見ることに集中した。
※
退屈な映画を見続けているうちに夜になり、私は飼っている犬の散歩に出ることにした。
濃茶色の毛並みをしたヨークシャー・テリアは、澄ました顔をして、首輪を嵌められている。私からは逃げられないよう
に束縛されている。紐で繋がれ続ける生活に甘んじている。私は、この犬をいつまで飼うのだろうかと、ふと考えた。マン
ションの周りを散歩しながら考え続けた。
かつて飼った犬は、半年もたたずに殺した。
高校二年生の時に、私は飼っていた犬を燃やし、殺害したのだった。
これは嘘ではない。
私は高校二年生の夏休みに、捨て犬を拾ったことがあった。
犬は雨に濡れ、段ボールの中で細かく震え続けていた。河川敷に捨てられたその犬は、見るからに汚らしく、私の心を惹
いた。私は汚らしい心を持った人間や、汚らしい格好をした人間や、汚らしく表現された何かが好きだった。私の目の前で
震えていた犬は、まさに汚らわしく、よほどの犬好きでなければ拾わないだろうと思った。私は、この犬をどうにでも出来
る立場にあり、この犬を綺麗にすることも、これ以上汚らしくすることも出来るだろうと思った。そして、その考えは私の
心を震わせた。犬は私に運命を握られようとしていた。その優位性に、もしかしたら私は惹かれたのかもしれない。が、理
由はどうでもよかった。私はその犬を拾った。
犬を三か月ほど飼った。毎日決まった時間に食事を与え、人間との共同生活を行うために厳しく躾けた。体をしっかり洗
ってやり、名前を付け、その犬を可愛がった。私の双子の妹や母も、その犬を可愛がった。犬は拾われた時とは見違えるほ
どに、清潔感に溢れる犬となった。人を信用し、人間に飼われることに慣れていった。
飼い始めて三か月が経ったある日、私はその犬に飽きた。
捨てられていたこの犬を、どうして私が飼わなければならないのだろう。どうしてこの犬は私に飼われているのだろう。
そう考えてしまうと、犬の為すこと、そして犬の存在自体がどうでもよくなり、もう犬に愛情を抱けなくなった。世話も面
倒に思えた。可愛くも思えなくなった。だから私は、その犬を殺処分することにした。
犬の事が面倒に思えてしまった日の深夜。
皆が寝静まった後で、私は河川敷まで犬を連れ出した。
河川敷に着くと、照明のないその場所は暗闇に包まれていて、人の気配も感じられなかった。
私は暗闇の中で、紐を使って犬の手足を縛った。
犬は不思議そうな表情で私が行う行為を眺めていた。犬は少しも抵抗することなく、私を信頼して縛られていった。
私はそれから犬の毛にライターで火をつけた。鮮やかな毛並みに、徐々に炎は燃え広がっていった。その場所だけが明る
い光に包まれた。まるで死んでいく犬が、スポットライトで照らされているようだった。残酷に殺される者が、世界から照
らし出されているような。犬は自らの体が燃えていることで、混乱しているようだった。縛られながら、燃え広がる炎の熱
を感じ、私に向かって何かを懇願するような目を向けた。
それから犬は、私に見せたことのない力強い勢いで、私に向かって吠えた。もともとは大人しい性格の犬だったが、私に
殺されると分かった瞬間に、私に向かって、敵意をむき出しにした。焼けていく体に苦しみながら、私を恨もうとしていた。
自分が生まれてきたことや、世界すらも怨もうとしているように見えた。それは私の主観でしかなかったが、私にはそう見
えた。犬は苦しみの中で、人間の理不尽さを恨んでいた。犬は私に向かって、狂ったように吠えつづけた。それは当たり前
だった。私は吠えられるべきだった。私は残酷な人間なのだ。
なぜ、私は犬を殺したのだろうか。私の心の傷がそうさせたのだろうか。何かの生物が簡単に死ぬところが見たかった。
何かが理不尽な理由で死ねばいいと思った。だから私は飼っていた犬を自らの手で殺した。どうしようもなく死んでしまう
生物がいるのだという事を、確かめたかった。誰かの勝手な都合で死ぬ生物が存在するのだと、私は実験したかった。
いろいろ理由は付けられる気がする。だけれど、自分の愚かな行動を、いちいち言葉で説明など出来ないと思った。理由
づけなど簡単にできないと思った。何かの行動にいちいち理由と説明を付けるのは、小説家と、精神科医と、自分に自信が
ない者のすることだ。そんな言葉が頭の中に浮かんでいた。
犬は十五分ほど燃え続けた後で、吐き気を覚える臭いを発する肉塊となった。目玉の表面が溶けている。叫ぶように口を
開けたまま、焼死している。歯をむき出し、威嚇しているような表情で私を見ている。それは既に私が飼っていた犬ではな
く、誰かに醜く焼き殺された生物だった。少なくとも、これを見た人は、これが誰かに愛されていた犬だろうとは思わない
だろう。
私は犬を殺しても何も感じることはなかった。喜びも、苦しみも。解放感も。慰めも。私の心は犬を殺しても満たされることはなかった。
私はまるで殺したのが嘘であったかのように、肉塊をそのままにして家に帰った。母も妹も、私が犬を殺したと疑いはしなか
った。嘘を吐いたからだ。後日、犬が発見された時に、悲しんでいるふりをして、大声で泣き喚きさえしたのだから。
※
「いいなあ。美紗ちゃんの恋人、スウェーデンに留学してるんだっけ?」
友人である悠美と、その友達らしき人物が私の前に座っている。
「うん。ストックホルムの中にある、ガラムスタンっていう旧市街に住んでいるの。アパートを借りてね。狭い路地で入り
込んだ街なんだけれどね、歩いているだけで楽しい気分になれるんだって。深い色合いで塗られた建物が騒然と並んでいて、
街の中には様々な色が綺麗に配列されている。それでもカラフルと言うのではなくて、目に優しい、自らを主張しない色た
ちで構成されているの。彼はそんな街中を歩くのが好きみたい。あとね、大学が休みの日はユールゴーデン島に行くんだっ
て。それは遊園地とか博物館もある大きな自然公園のような場所なんだけれど、ずっとベンチに座って池を眺めてスケッチ
をしたり、博物館でのんびり展示物を見たり、穏やかな日々を過ごしているらしいの。でも彼、方向音痴だから、いつも迷
っちゃうって言っていたけど」
私は以前から作り上げていた嘘を、彼女たちの前で披露した。
私の妄想は話す度に、設定が増えていく。私の恋人はスウェーデンに留学していて、絵の勉強を始め、いずれは絵画を売
る仕事をしようとしている設定になっている。なぜそんな設定になったのか自分でも説明できなかったが、私の話を嘘だと
見破る人は現れなかった。
「でもさ。美紗ちゃん。昨日、知らない男と仲良さそうに喋ってたよね」
「あっ、私も見た。いけないよー。あっちで頑張ってる和成くんが可哀想だよ」
目の前に座る二人が、私を咎めるように言った。
「あれは、下手くそなナンパをされただけで、ただ断るために話してただけ。全然、何もなかったんだから」
私は手を振りながら否定をする。
「へぇー。まあでも、実際に遠距離恋愛を成功させるのも難しいよねー」
「そうだよねー。美紗の彼氏さんもあっちで浮気してるかもしれないし」
目の前に座る二人は、私に彼氏がいることに嫉妬していた。彼女らは、見るからに情念が深そうな女性だった。顔の醜さ
を化粧でごまかし、露出の高い服装をしているくせに、男が寄ってくるとプライドの高さゆえに、鬱陶しそうに跳ね除けて
しまう。自分が安っぽい女だと思われたくないために。そのように意識だけが高く、外見や中身の伴っていない女たちだった。
だから彼女たちは幸せそうにしている女性が嫌いだった。意地の悪い言葉を使って私を非難したり、嫌な気分にさせようとする。
が、私の話すことは全て嘘なのだから、彼女らが感情的になればなるほど、私は嬉しく思った。私の嘘を信じ、私の虚言
によって感情を揺さぶられているのだ。それは私の嘘が、彼女らに完璧に受け入れられている証拠だった。
もし私が嘘を話していると知ったら、二人はどう思うだろうか。多分、見下す。私の人格を否定する。そして自分たちが
正常だという事を、延々と述べ続けてプライドを守ろうとする。
私は彼女らに嘘を吐いていることを告白して、いっそ自分自身の尊厳を壊してみたい衝動に駆られた。が、それをするこ
とはない。なにせ、私は右のポケットには、真正なる『あれ』が入っている。私の精神安定剤。ピルケースに入れた大事な
『歯』。それが私の精神を落ち着かせてくれる。破滅に向かわずに留めてくれる。私はこの歯があるからこそ、嘘を吐きな
がらも生き永らえていられる。私は歯の入ったピルケースを握りながら、「もぉー。怖いこと言わないでよー」と、嘘の笑
顔を作って返す。二人は不機嫌そうに私を見ていた。私の幻の恋人を想像しながら、私を羨んでいる。
※
『全て嘘にできたらいいのに』
そのために私の人生はある、と言っても過言ではなかった。私が嘘を完璧にしようと思ったのは、私が弱かったからだ。
幼かったからだ。現実を受け入れることが出来なかったからだ。小学四年生の時に、幼馴染が死んだ。私はその子の事が大
好きだった。その子とばかり一緒に遊んでいた。その男の子のことだけを見つめていた。恋の事が碌にわからない小学生の
癖に、私はこの人の側にずっと居たいと思い続けていた。
小学四年生の時に彼が死んだ。彼は私の同級生の女の子の家に、ラブレターを持っていく最中に、信号を無視して飛び出
してきた車に轢かれて死んだ。彼のラブレターは血に染まり、歩道の近くに飛ばされ、たくさんの車に轢かれていった。
たくさんのタイヤの跡がつけられた。まるで彼の恋心が、名も知らぬ人たちに踏みつけられているみたいだった。これから
恋をした相手に愛を伝えようとする人間が、無残に轢かれ、顔を歪ませて死んでいた。私はその光景を、彼が死ぬ光景を、
間近に見てしまった。嬉しそうにしている彼の後を付けていたら、彼が死ぬ瞬間を目撃してしまった。
私は動かない彼を、救急車で運ばれようとする彼を、どうすることも出来ずに眺めていた。関節があらぬ方向に曲がって
いる彼の体を、上がってくる胃液を抑えながら眺めつづけていた。そして今でも不思議に思うのだが、その時の私は、もし
かしたら、これは嘘なんじゃないかと、本当にそう思っていたのだった。これは私を驚かせるために行われた、何らかの大
がかりな嘘なのではないかと。だが、そんなことあるわけはなかった。彼は、変えようもない事実として、理不尽に殺され
ていた。誰かに愛を伝えようと向かっていた最中に、ラブレターを吹き飛ばされ、体をゴミみたいに吹き飛ばされ、どうし
ようもなく死んでいた。
私は、救急車やパトカーが呼ばれて騒然としている中、無意識に、飛ばされたラブレターを拾った。彼の手から離れたそ
れは、偶然にも私の近くに落ちていた。皆が彼に注意を向けている間に、私はこっそりと、それを拾った。
血痕で汚れてしまったラブレターを、私は素早くパーカーのポケットに仕舞う。私はどう見てもいけないことをしていた。
死んだ人間が生前に抱いていた恋心を盗み見るなんて、卑劣な行為だった。でも、私はどのように彼が愛を語ったのか、
どうしても気になったのだ。
ラブレターを拾った後、その近くに、白い小さな物体が落ちていることに気がついた。最初は、石かと思ったのだが、よ
くよく見てみると、それは歯のようなものだった。私は直感的に、それが彼の口から飛ばされてきた歯だと思った。それ程
までに強い衝撃で彼は吹き飛ばされていた。体が三十メートルほど吹き飛んでいるのだから、その衝撃で歯が飛んでしまう
ことくらい、あり得るだろうと、私は思った。そして私は、その歯も、彼の形見として持って帰った。
私はその事故を見た後から、今に至るまでずっと、恋をすることが出来なくなっていた。異性の事を真剣に考えると吐き
気がし、幼馴染が吹き飛ばされ血まみれになっている光景が浮かび上がるのだ。それは理屈で表現できる類の症状ではなか
った。病院に行って、適当な名前の症状と診断されたが、それはただ私の症状に名前が与えられただけで、私の症状が本当
の意味で誰かに理解されたわけでもなかったし、私の悩みが解決されたわけでもなかった。そもそも医療に、人間の不完全
な心が理解できるというのだろうか。なぜ私は恋が出来なくなったのか、それは誰にも解説など出来ないし、してほしくも
なかった。そもそも自分でさえもはっきりと理解は出来ていなかった。ただ、私という人間が、誰にも恋愛感情を抱けなくな
ってしまった。その事実が存在するだけだった。
私は、何かが決定的に欠けた人間となってしまっているのだ。だから犬を殺して、幼馴染が死んだ時の苦しみを再現させようとするし、どうしようもない嘘で自分を誤魔化したりするのだ。
そんな私は、時々、どうしようもない行き場のない感情を抑えきれずに泣き叫ぶ。一晩中、ベッドの上で泣き続ける。
どんなに嘘で誤魔化そうとしても、その名前も付けられない感情だけは、誤魔化せなかった。私はそうやって泣き続け、
嘔吐し、電流を流されているような頭の痛みに耐え続けながら、眠れぬ夜を過ごす。週に一度ほど、そのような日がやってくる。
どうしてこんな人間になってしまったのか。どうして恋をすることが許されないのか。どうしてこんな嘘を吐きながらし
か生きていけないのか。最初は、恐らく彼が死んだことを嘘にしてしまおうと思ったのだと思う。私は様々な意味のない嘘
を吐きまくった。そうしていれば、彼が死んだことさえも嘘になると思っていたのだ。幼稚な考えだ。もちろん私の嘘が報
われることなど無かった。ただ、私の頭がおかしくなっただけだった。私は嘘に呑み込まれて、嘘が私を支配していった。
彼が握っていたラブレターには、小学四年生らしい、稚拙な愛の言葉が書かれていた。けれど、それは正真正銘の、本物
の愛情だった。決して私には向けられることがなかった愛情だった。私は一年間、彼が愛していた女の子の事を恨み続けた。
その感情を嘘で誤魔化し、彼女の友達となり、しかし私は彼女に嫌がらせばかりを続けた。
「和成くんが死んだことで、私を恨んでるんでしょ」
終業式の間近、彼女は唐突にそう言った。
「でもさ、そんなことされても私も困るの。そもそも私は和成くんの事なんて別に好きじゃなかったし、話したことだって
あまりなかったの。だから彼が私に告白しようとする道中で死んだと言われても、私は困るの。私は被害者なの。謂れも無
い罪を着せられているようなものなの」
そう言われてから、私は彼女に嫌がらせをするのを止めた。和成があなたに告白をするためにあなたの元に向かったのに、
彼の事をそんな風に、どうでもいいように扱うなんて、私はショックだった。こんな女に嫌がらせをしてしまったら、和成
の恋心すらも貶しめることになる。私はそう思ったのだった。
私はそれからずっと、和成が生きているという妄想に取りつかれた。そして和成は今も生き続けていて、私の恋人になっ
たのだとみんなに自慢するようになった。和成が生きているという嘘を吐き、和成が私の恋人とだと皆に言って回る。それ
は心地よかった。その嘘は私の心を癒した。全校生徒から頭のおかしい奴だと思われたが、しかし和成は、確かに私の頭の
中で生き続けていた。
中学高校になると、遠距離恋愛をしている彼氏という設定で、私の中の和成は皆に受け入れられ始めた。そうして幻の恋
人は、私の中でどんどん完璧な存在となっていった。
今、和成はスウェーデンに居る。絵を描くことが好きだった彼は、絵の勉強をしている。それが私にとっての真実だった。
どんなに嘘であろうが妄想であろうが虚言であろうが私を生かすために存在してくれているまっとうな真実だった。真実で
なければならなかった。私は頭がおかしいのかもしれない。小学校四年生の時に好きだった人のことをずっと引きずり続け
ているなんて、馬鹿みたいに見えるのかもしれない。狂っているのかもしれない。でも、どんなに世間からおかしく見えても、
狂って見えても、私にとって大事なものは、誰にも否定できないと思う。だってそれは私を生かし続ける核であるのだから。
私は掛け布団に潜りながら、彼の歯とラブレターを抱く。頭の痛みと、自分で出した吐瀉物に塗れながら、この苦しい人
生を生き続けるために、私は彼が残した不完全なラブレターと、歯と共に眠るのだ。永遠に十歳のままとなった彼にキスを
しながら。あなたのいない明日を迎えるために。
おやすみ、和成。
投下終了です
品評会作品、もう一個投下します。
妹の頭の中には、いつだって幻の恋人がいるんだよ。もちろん、生きている人間には大抵、それぞれ理想の恋人像があったり、都合の良い妄想を
したりすることがあるのは分かるよ。けれどさ、僕の妹はまだ七歳なんだぜ? 七歳の女の子の頭の中にさ、常に幻の恋人がいて、そいつとばかり
お喋りするだなんていうのは、少しおかしいって気もするんだよ。僕の言ってることわかってもらえるかな。妹はさ、現実に存在する男の子とはほ
とんど話をしないんだ。まあ僕から見ても、彼女は七歳ながらに気難しい性格をした奴だから、そういう神経症的な妄想に取りつかれてしまうの
も分からないではないんだけれどね。
彼女は、なにしろ細かいことにこだわる奴なんだ。例えばさ、君がバスに乗ったとするだろ。そして君の隣に妹が座ったとする。それは君の妹
でもいいし僕の妹でもいい。とにかく妹的な存在がさ、バスの中で君の隣に座ったとする。そしてその妹は、完全にブザーを押すタイミングとい
うものをわかっているんだ。彼女の中では、停車ブザーを押すためのタイミングと言うのが、完璧に決まってるんだよ。そして、僕だったり知ら
ない親父なんかが、変なタイミングでブザーを押してしまうと彼女は相当に不機嫌になるんだ。以前なんか、僕は一回怒鳴られたことがあったね。
彼女はアナウンスが流れている時にブザーを鳴らされることをひどく嫌うんだよ。次は、○○です。ご降車の際はお気をつけください――なんて
アナウンスが流れている時に、僕がうっかり馬鹿みたいにピンポーンなんてブザーを鳴らしちゃったりしたら、妹はたちまち機嫌を損ねちゃって、
それから三日間ほど僕と口を聞いてくれなくなるんだ。妹はさ、そんな風に己の中に、ある種の独特なルールを持ちながら生きている人間なんだ
よね。彼女は彼女なりの考え方を持って生きているんだよ。もちろんその辺が、彼女の気難しさと捉えられてしまうんだけれど、しかし妹は優し
い奴だった。例えば、くまのプーさんってキャラクターがいるだろう。いつもハチミツを食って暮らしているあの熊の人形さ。僕としてはあの熊
の人形がどうして働きもせずにハチミツなんかを食いながら生きているのか不思議な部分ではあるんだけどさ、妹としてはその辺は気にならない
らしい。まあ僕としても、ディズニーアニメで何が起ころうが、今更どうでもいいんだけれどね。そう、話が逸れてしまったね。ある日、妹がく
まのプーさんのアニメを見ている時に、こう言ったんだ。
「彼が私のいる世界に来れたらよかったのに。そうしたら私は毎日ハチミツを分けてあげるのに」ってね。
妹は熊の人形をさ、この資本主義の国に呼ぼうとしたんだ。そしてその厳しい社会の中で、自らのハチミツを分けて与えてやろうとしているんだ。
僕はこれを、彼女の優しさだと捉えるね。だって考えてもごらんよ。くまのプーはいつだって、自分の生活を描写され、金儲けの道具に使われて、
わけのわからない哲学を喋らされる。「僕は何もしていないをしているんだ」だって? まあ僕はこの言葉が好きだけれどね。しかし妹はさ、
そんな終わりのない苦しみの中にいるくまのプーを、その欺瞞的な楽園世界から解放して、自分のハチミツを分け与えながら、彼を養っていこう
としているんだぜ。これが優しさ以外の何だっていうんだよ。妹はくまのプーを、ある意味では救おうとしているんだな。
しかしそんな妹は、現実に存在する人間に優しさを向けることが少なかった。そこが問題ではあるんだな。そして妹の一
番の重要な問題は、彼女が頭の中にいる幻の恋人とばかり会話をしてしまうってことにあるんだ。彼女の頭の中にはヨンシ
ーと言う名前の男の子がいて、そいつが彼女の一番のお気に入りの恋人なんだ。他にも何人か恋人がいた気がするけど名前
は忘れたね。だいたい僕といる時に現れるのはヨンシーだったからさ。
ヨンシーは金持ちの息子だった。だけれど、何と言うか、自分が金を持っていると言うことを恥じているような少年なん
だ。自分の親がいかにくだらない人物かっていうのが、彼にはしっかりと分かっているんだな。ヨンシーはだから、いつだ
って庶民的に見える服を着ていた。オールド・ネイビーとか、ホリスターとか、そう言ったブランドの服をね。もちろん僕
はそんな服を着ている彼を見たことがないんだけどさ。妹はヨンシーがそんな服ばかりを着ていると言うんだ。
と言うかさ、七歳の女の子がそこまで頭の中の恋人の設定を煮詰めていることに、僕は驚いている。だって、普通、少な
くとも僕が七歳ぐらいの時なんかは、もっと曖昧模糊とした恋人像を思い浮かべていたはずだ。赤色のスカートを穿いたブ
ロンド髪の女の子で、僕を草原に連れて行くとか、そんな風なね。
でもさ、妹の中にいるヨンシーの設定を聞いたら、多分君はぶっ飛んじゃうだろうな。なにせ、誕生日から、血液型、口癖、
好きな食べ物、好きなミュージシャン、お気に入りのチェスの駒、テニスをするときにスライス回転ばっかりを使う事、バ
スの中でいつも後ろの方の席に座る事、他人が口を付けた物には絶対に口を付けない事、炭酸飲料が飲めない事、電車の中
にある金属製のポールを見ると頭が痛くなってしまう事、エトセトラ、実に二百を軽く超えるほどの設定をヨンシーは与え
られているんだ。なにせ妹は、ヨンシーとばかりお話をしているんだからね。ヨンシーがどんな人間であるかについても、
そりゃあ詳しく知りもするだろうさ。
でもね、僕としては、もっと妹にしっかりと現実を見てほしいと思うんだよ。だって、もしそのまま幻の恋人に依存する
女の子として育ってしまったら、まず間違いなくこの現実社会でうまく生きてはいけないだろうからね。まあ、画家とか小
説家とかさ、あんな感じのおかしなやつらになるならば話は別だろうけど、それにしたって才能と技術がいるんだぜ。妹が
そんなものになれる保証なんて一切ないんだから。僕としてはもっとまともに生きてほしいわけなんだな。
そんなことを僕が親に言うと、妹はまだ七歳なんだから、これから小学校とかに入って友達が出来れば、おかしな妄想も
だんだん収まっていくさ、とかなんとか適当なことを言って誤魔化すんだ。妹のおかしな習性を気にもしていない様子でさ。
大人って言うのは実に無責任でノリが軽いものなんだよ。僕の親は、僕たちの事を愛してくれてはいるけれど、どう見ても、
真剣に考えてはくれていないみたいだった。なにせ彼らが買うドリンクはコーラとかそのあたりのどう見ても体に悪い飲料
だったし、食事だってデブが食うような脂っこいステーキやハンバーグやピザばかりだったのさ。僕たちの健康を疎かにし
ちゃっているわけだね。自分の健康のことすら考えているか怪しいものだよ。
現に僕のパパはデブだった。だからと言ってもさ、僕のパパの悪口は言わないでくれよな。デブはただでさえ悪口を言わ
れやすいんだからさ。僕のパパはデブであっても、しっかり社会生活が出来るデブなんだ。しっかりと働き、家族を養い、
休日には僕らを公園だとかに連れて行ってくれるデブなんだ。いささか食べ過ぎだし、健康管理はなっていないけれどね。
そんなデブの子供である僕と妹は、運動することが好きだったから、今のところデブではなかった。そうだ、運動と言えば、
僕らはよく公園でテニスをするんだ。公園でテニスをする場合には、だいたい僕と妹しかいないわけだから、シングルスに
なるわけだよね。まあ、たまに僕の友達とかが来て一緒にプレイすることはあるんだけれど、たいていの場合は、僕と妹だ
けでプレイをするんだ。しかし妹が言うには、自分の隣にはヨンシーがいるって言うんだよ。だからこれはダブルスだって
言うんだよ。だから僕が「ハンデはいるかい?」なんて尋ねても、私たちはダブルスだからお兄ちゃんの方がハンデがいる
んじゃなくて?みたいな事を言うんだな。
そうだよ、妹は実にませた口調でお話しするんだな。何らかの漫画だとかアニメの影響だと思うよ。ジャパニーズ・アニ
メのね。彼らの作るアニメって言うのは、実に可愛らしさに重点が置かれているんだ。可愛らしさとキャラクター性が全て
って言う感じだね。だって、あんなに馬鹿みたいな口調で喋る奴なんて現実に居るかよ、って僕なんかはいつも思ってしま
うんだ。やけにお嬢様っぽく喋ったり、クラスメイトの男子に対して異常に攻撃性を帯びた喋り方をしたり、アニメに出て
くる可愛らしい女の子って言うのはいつでも、精神病的な何かを発症しているように僕には見えるね。
そしてそういう女の子こそが称賛されているんだ。病んでいる子こそがね。だって彼女は見た目が可愛らしんだから常に
称賛されるべきなんだ。どんな事を言っても可愛いから許されてしまうんだ。それこそまるで夢の世界だよな。妹はそんな
夢の世界にいる女の子に夢中だった。
ああ、もしかしたらヨンシーの設定と言うのも、何かのアニメから拝借したのかもしれないね。だって七歳の女の子に、
ヨンシーのあの精神病的な設定が思いつけるとは思わないもの。十歳以上も年の離れた女性の下着の香りを嗅ぐのが好きだ
とか、洗われていない衣類の臭いが好きだとか、そういう、なんだかおかしい感じの設定がヨンシーにはあるんだよ。まあ
それだけ聞くとヨンシーが変態みたいに思えるだろうけどさ、ヨンシーは純粋に何かの匂いというのが好きらしいんだな。
そのくせヨンシーは、臭いのキツイ食べ物は食べられないって言うんだから笑っちゃうよ。例えばチーズね。ヨンシーは
チーズが大嫌いらしいんだ。チーズの香りが強い食べ物は、どんなに好物と組み合わされていようが食べる事が出来ない。
もし彼にドリアンなんかを嗅がせたら、宇宙の果てまでゲロをブッ飛ばして失神するだろうな。そして僕がそんなことを妹
に対して言うと、妹は妹でこう言い返すのさ。
「ヨンシーはドリアンの臭いがきついことを知っているから、決して近づかないのよ」ってね。
ヨンシー君は実に賢いんだ。まるで餌を嗅ぎ分けられる犬並みに賢いんだよ、これが。もちろんそんなことは妹に言わな
いけれどさ。言ったら百年間も口をきいてくれなくなるだろうな。真面目な話ね。
しかし、やはりね、僕としては妹のことが時に怖くなったりするのさ。彼女の幻の恋人がどんどん現実味やら人間味を帯
びてきていることについて、わりと怖いところでもあるんだな。これは一週間前の話なんだけれどさ、妹が風邪をひいて熱
を出しちゃったんだよ。わりと高い熱を出してね、うんうんと唸りながら苦しんでいたのさ。普段はズボラな両親なんかも、
この時ばかりは大慌てで、病院なんかに連れていったりして、薬をもらって帰って来た後には、親戚中に電話をかけまくっ
たりしていた。うちの両親ってさ、わりと馬鹿なんだよ。良い人ではあるんだけどね。
それでさ、妹は一週間ばかり寝込んじまうことになった。でも、寝込んでいる時でもさ、大抵は幻の恋人とお話ししてい
るんだ。そういうところは便利だよな、幻の恋人っていうのはさ。なにせ電話で呼んだり、くだらないメールを送ったりしな
くても、いつだって側に居てほしい時には居てくれて、都合の良い時にはお話を聞いてくれたりするのさ。僕だって一人くら
いは、そういう存在が欲しいと思うよ。嘘じゃなくね。
病的なクレーマーみたいにしつこい妹の風邪は、薬を呑みながら一週間ばかりを過せば、徐々に治癒していった。
妹の熱は下がっていったのさ。
そしてある日、僕と共同の二階の部屋からリビングまで降りてきてさ、彼女はお腹が空いたって言った。すっかり元気を
取り戻した様子でね。もうフラフラもしていなかったし、顔から赤みも引いていた。目の焦点もしっかりしているようだっ
た。ママは、空腹の妹にコーンフレークを食べさせた。妹はそれをしっかり食べた。そして食べ終わった後に、妹はこう言
ったんだな。「ジョネスが死んだ」って。
詳しく話を聞いてみると、彼女の恋人である内の一人、ジョネスと言う名前の少年が死んだらしい。ジョネスは妹が寝込
んでいる間に、勝手に家から飛び出して、ヘロインを吸っている男にピストルで撃たれて死んだのだと妹は説明した。ママ
は、まだ熱のせいでおかしなこと言っているのね。と言った。でも僕は、妹が正気であることを知っていた。妹は風邪をひ
いた所為で、幻の恋人の一人を殺したのだ。ジョネスのことはあまり聞いたことがなかったけれど、妹の中に確かに存在し
ていたんだろう。例えばアニメの中に存在する、くまのプーとか、ミッキーマウスとか、トトロみたいな感じでさ。あるキ
ャラクター性を与えられて、現実世界とは違う場所に存在させられていたんだ。
しかしジョネスが死んでも、妹はへっちゃらな顔をしていた。まるで何事も起きていないかのような顔をしていたのさ。
僕は驚いてしまったね。だって普通、恋人が死んでしまったら、もっと何らかの感情の爆発が起きてもおかしくないんだか
ら。でも、妹はそこまで情緒とやらが育っていないのだろうね。彼女の中に存在する幻の恋人とやらも、彼女の中で上映さ
れるアニメのようなものなのだろう。だからそれは恋人と言うよりも、恋人と言う設定を与えられたキャラクターであるわ
けなんだな。だから、ジョネスが死んでしまうのも、妹の中では予定調和だったのだろう。だって妹は監督なのだから。幻
の恋人を作り出した監督なのだから。彼を殺すも生かすも自由なのだ。だから初めから予定されていることに悲しんだりは
しない。それに、ジョネスは妹が願えば、生き返る可能性だってあるのだ。僕はジョネス君がどんなキャラクターなのか知
らないけどさ。
僕は今から妹がどんな大人になるのか、楽しみで仕方ないね。でも僕が予想するところによればさ、彼女は壮絶な悪魔に
なるだろうね。相手の男に、自分が望むキャラクターでいてくれることを求めるのさ。そして都合よく死んでくれる存在を
求めるのさ。自分が熱を出して苦しんでいれば、それ以上の苦しみで死んでくれる男を求めるのさ。もちろん、そんな幼稚
性を持ったまま大人になるとは思えないけれど、しかし人間の本質と言うのは、幼いころからずっと変わらないものなのだ
と僕は思うね。だから妹は、頭の中にいる幻の恋人をこれからも飼い続けて、それを現実の男にも求める事だろうな。そして
いつかは、彼女の中に幻の兄貴が生まれて、僕と幻の兄貴像とのギャップに彼女は落胆し、アニメの中の女の子みたいに、僕
に攻撃性を帯びた物言いなんかをするようになるんだろうな。まったく、妹って言うのはこれだから手強い。アニメの中の妹
も、現実の妹も。いつだって精神病的におかしなことを考えたりしているのさ。
投下終了です。
文章をバーッと書くタイプの小説を書いてしまい、恐らくスレの表示だと物凄く読みにくい文章になっていると思うので、
もし読んでくれる方がいましたら、こちらのてきすとぽい http://text-poi.net/vote/75/5/ の表示で読んだ方が読みやすいと思います。
あっ、タイトルをミスってる。何でこんな表示になってるんだろう……? ちゃんと入力したのに……。
正式なタイトルは「isn't she lovely」です。よろしくお願いします。
お題下さい
>>121
チンコサーガ
やばいぞ、まだ品評会書き終わらんぞ……
お
題
く
だ
さ
い
>>124
ね
む
け
投票期間:09/07 (日) 00:00 ~ 09/13 (土) 23:59
集計発表:09/14 (日)
No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/30.html
No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/80.html
No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/27.html
No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/8.html
No.05 isn't she lovely(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/9.html
No.06 若者たち(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/2.html
No.07 あの暑い夏(如月恭介)
http://text-poi.net/post/KyouskeKisaragi/3.html
No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/46.html
No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
http://text-poi.net/post/miwa_sui/30.html
No.10 実直な男(ドーナツ)
http://text-poi.net/post/donut_no_ana/2.html
No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/13.html
No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/14.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
あ、しまった。あげてしまった……
今回はBNSK側からの投稿は少なかったですね。
一週間ぐらい前から煽りをかけなければならなかったと反省……
BNSKサイドだけどてきすとぽいにしか投稿していないやおれ
終わらない仕事に頭がおかしくなりながら「今すぐに吐きそう吐きそう吐きそう」と呟いてコーヒーを呑みながら雑務をずっと処理し続ける
そんな自分を自分で嘲笑いながら僕は一人残ったオフィスの中で椅子をぐるぐる回しながら口笛を吹いているんだ、もう集中力などとっくの前に
切れていることを実感し、それだったらもういっそ仕事を放棄して帰ってしまおうかとも思ったりはするのだけれど、今帰ったところで僕のこの
仕事は明日へと先延ばしにされるだけで、それは雪だるま式に増えていく借金みたいだなあと思いながら、まるで借金を返すために借金をしてい
るようなそんな感覚に陥りながら僕を襲ってくる眠気と戦ってキーボードを打ちこむ機械になり続けている、それが僕に求められている役割なのだよ、
諸君、私の奴隷であれ、と言う社長の格言が僕の頭の中に蘇り続け、人類はいつだって何らかの形で奴隷として生きている人が大半なのだなあと
言う事を考えながら、企画書の文章を打ち込み続け、ミスタイプをし続け、もはや僕はなんでこんなことをやっているのだろうという根本的な
問いに悩まされ続け、こんな仕事、僕がやんなくたっていいじゃないか、何でこの役回りが僕に回ってきているのだと言う自分勝手な考えが頭に
浮かんでしまい、そのような自分の仕事に対する不満からくる悩みの行き着く先は、どう考えても転職やらフリーターになることでしか解決され
ないような気がして、でもフリーターになったとして自分には才能など無いのだから、結局何者にもなれずに落ちぶれていく未来しか見えない、
転職だって今よりも低い給料で似たようなことをやらされるだけなんだ、だから僕はもう奴隷として生きるほか道はないのですよ、明るい未来が
あったらいいなあって、明るい未来など奴隷には与えられないよ、なんて言ったら奴隷である僕たちや僕たちの仲間はみんな怒るだろう、皆がう
すうす感じていることをはっきり言葉に出してしまえば、それはもうダムが決壊したかのようにみんなが怒りを放出し始めて、収取がつかなくな
ってしまいそうだ、奴隷である皆は「俺たちは奴隷ではない」と云いながら、みんなを奴隷と表現してしまった僕が責任を取って、皆から袋叩き
にされる光景が頭の中で繰り返し映像として流されている、それはなんだかつまらないバイオレンス映画みたいに眠気を増幅させていくひどい映
像だった、あー早く帰って眠りたい、なんてことを考えているうちに、企画書が出来上がりつつあって、時計に目を向ければもう深夜の一時、
眠気はもはや脳の中に泥のように堆積して重くて動けませんと言う弱音を吐き続けているんだ、だから僕は頭を休ませてあげたい、自分を眠らせ
てあげたい、家に帰って柔らかいお布団で眠り続ける王子様のようになりたい、けれどそんなに眠る時間は自分には与えられない、僕は何らかの
奴隷であるからだ、もう既に自分が何の奴隷であるのかは分からないけれど、僕はこんなにも苦しんでいるのだから何らかの奴隷ではあるはずな
のだ、自分の精神の奴隷なのか、自分の暗い思考の奴隷なのか、それともただ単純に資本主義の奴隷なのか、とにかくわかっていることはもう
僕に出口など無いと言うことですよ、よほどのことが起きない限り僕のこの生活が変わることなど無いのですよ、こうやって頭の中で愚痴を吐き
だしながら、酷い眠気に襲われながら訳の分からないことを考え続けるのがせめてもの抵抗にもならぬ抵抗なのですよ、と言っている間に企画書
が何とか完成、そして頭の中で鳴り響く歓声、これからタクシーを使って家に帰ったところで眠れるのは深夜二時半ごろだから、明日の朝の会議
に間に合うように起きるにはだいたい睡眠時間が三時間くらいですか、いやーでも眠ったほうがいいのだろうね、はいはい素直に眠りますよ、
だって僕の眠気はそれを望んでいるのだからね、だから僕は眠りますよ、奴隷として働くために、意味の分からない事を呟き続ける奴隷である僕
がどこにも逃げ出せずに言われたことや与えられた仕事を延々とやり続けて心をすり減らしながら死ぬまで働き続けるために、と自分を卑下した
瞬間、僕は大切な事を思い出した、自分が救われるあるひとつの出来事が急に頭の中で蘇るのを感じた、そうだ、僕の父は働き者だった、それは
唐突に思い出された僕の救いだった、彼は息子である僕のために一生懸命働き続けてくれた、そうだ、もしかしたら働くと言うのは、賃金を得る
ためではなく、自分の愛を証明するための行為なのではないか、息子に対する愛を証明するための行為として彼は働き続けたのではないか、
そして僕も彼の後を継いで、家族を守ることを自分の熱源としてで働き続けているのではないか、そうだ、今年で五歳になる娘の為に僕は働いて
いるのだ、娘は可愛い、これは紛れもない事実であり僕に与えられた恩恵だった、お盆に取れた少ない日数の休みを妻の実家で過ごしている時に
僕は娘を連れて湖にある観光スポットまでドライブしに行った時のことをただひたすらに思い出す、崖に添って登り続ける山道を車で運転していた、
助手席では娘が窓の外の景色を覗き込みながら鼻歌を歌っている、それは祝福された光景だった、しかしその祝福された光景の中にいる僕は眠気
でまともに頭が働かず集中力も途切れかけていた、瞼が重く、運転中にもかかわらず、目を閉じようとしていた、その瞬間を決して逃さぬように、
娘は言ったのだ、「パパ、負けちゃ駄目だよ!」それは僕に与えられた限りなく力強い人生に対する声援だった、そうだ、僕は負けてはいけない
のだ、奴隷であろうが何であろうが、僕は負けてはいけないのだ、戦い続けなければならないのだ、彼女たちを守るために、例え勝てる望みが薄
くとも戦いを続けて、愛を証明しなければならないのだ、そうだ、僕はずっと眠気の中にありながらも、娘のその言葉を灯りとして歩んでいるの
ではないか、僕はそして漫画喫茶で眠りながら、娘と妻の顔を思い出す、僕に与えられた祝福を、僕は守りつづけなければならない、私よ、愛の
奴隷であれ、なんて言葉が頭に浮かびその陳腐な表現に苦笑しながら僕は働き続ける東京の中で眠り続ける、不自由な東京で眠り続ける。
No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/30.html
「幻の恋人」というお題は個人的に難しかったのだけど、なるほど、こういう物語もあるのかと示した作品。
が、私にはどうしてもこの軽い主人公に好感を持てなかった。本当に好きだったら、男性に対してもっと臆病であるべき。最後の展開ね。
男性の立場から見て主人公が一体何を考えているのかよくわからないし、そのくせイニチアシブとろうとするんだから絶対イライラするぜ。
そんなふうに積もり積もった男性の怒りが爆発して、最後にはろくでもない終わりになりそう。
私的には、そのあたりまで突っ込んで書いてほしかったなあと。
そういう方面で力を発揮する作者だと思っているので、余計、ね(´・_・`)
No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/80.html
最初のDATEIF文には笑ったわ。
けどこれ、彼氏いたことがあろうがなかろうが結果が変わらない式になってしまっているんだよな。そのあたりはもう少し拘りがあってもいいんじゃないかと。
今の「とりあえず思いつきましたー!」感も嫌いじゃないけどね。
勿体無いのは、この作者の作品には毎回言っている気がするけど、設定の説明が主であまり物語になっていないんだよな。
モノローグを使わないという縛りをつけて一回作品を書いてほしいな。
No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/27.html
あれ、これ幻の恋人関係あるか……?
もしかして「白い恋人」と掛けてるのかなこれ、と思ったけど、調べてみたら「幻の恋人」ってお菓子あるんだ。ふーん、みたいな。
……いや、なかなかコメントが難しいなこの作品は(・_・;
単に「幻の恋人」というお菓子を使ってみた推理小説と考えていいのだろうか。なんだろ、それだともう少しトリックに工夫があってもいいと思うし、ようするにどういう方面で解釈していいか迷う作品である。
No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/8.html
私が今回のネタをまったく思いつかなかったとき、とりあえず他の人の作品を読んでみようと思って真っ先に読んだ作品。
あー、なるほど、こういう系もあるなあと少しヒントになりました。
で、この作品自体の感想なのだけど、どうやら作者はモノローグ的に話を進めていって、少しずつ主人公の異常性を明かしていくというのが一つのスタイルになっているようだ。文体はとても読みやすく雰囲気があり、あとはその異常性にどこまで興味を惹かれるかというところ。
残念ながらこの作品には、私はあまり惹かれませんでした。
というより、何故か意味のない嘘をつくというキャラクター自体は楽しい。私も経験があって、どのようなときに人が騙されやすいかたまに研究したりする。
だけど本作品ではその嘘をつくことに理由をつけてしまったことで、せっかくのキャラクターが死んでしまったように感じた。
というより、ぶっちゃけ話の流れからすると最後のは後付けに近い気がしたのだが、どうなのだろう。
もしこの結末が後付けでなく最初から練られたものであったならば、まず結末の話を最初に持ってくるべきだったと思う。
主人公がなぜ嘘をつくのか、ではなく、嘘をつくことでどのようなことが起こっていくか、という方向で書いてほしかった。
No.05 isn't she lovely(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/9.html
これもNo.04と同じくモノローグ形式なのだけど、ちょっと最初のほうでいっぱいいっぱいになった。
発想の豊かさに関心を払うのだけど、おそらくこのまま大したことが起こらないまま終わるんだろうという予感がして、実際そのとおりに終わってしまうのが残念。
なんというか、もっと頭使えるはず(´・_・`)
No.06 若者たち(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/2.html
私は例のドラマを見ていないのだけど、この作品のタイトルはやはりそこから取ったのだろうか。
個人的にこの小説は少し残念。
というのは、書きたいテーマがあるし、実際に書けているように思えるのだけど、「うーん、なんかなあ」という印象が残る。
石って何のために出したんだろう……てっきり石がスミをハメたのだろうと思ったけれど、そうでもなさそうだし。
夢を追いかけている主人公が女性の色香に惑わされるシーンはすごく好き。人間ってそういうもんだよ。
No.07 あの暑い夏(如月恭介)
http://text-poi.net/post/KyouskeKisaragi/3.html
彼女可哀想だなあという印象。
これがリアルの話だったら思うところはあるのだけど、創作だからなあ。
もう少しドラマを見せてほしいと思いました。
No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/46.html
あれ、結構真面目じゃね……?
ビルマの竪琴の主人公ってミズシマだっけ。全然覚えてないや。
七十年の歳月を経てビルマに戻ってきたのだけど、なぜビルマに惹かれたのかその理由が少し浅いと思いました。
というか、短編でそれを書くのは尋常ではない。
わたし軍医の自伝読んだけど、暑いから早く治療しろってお股パカパカしていた売春婦がいたり、性病でちんちんが半分千切れた青年に出会ったり、壮絶だった。
「あれ、これ足切らないと全身壊死すんじゃね? けど怖いから様子みよ」→「手遅れだったわ!」みたいな。
単にエピソードの不足というものもあるけれど、何時間も本を読んで脳が疲れた先に訪れるもの。
そういう感覚を短編で得るのは非常に難しいと思うんだよねえ。
No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
http://text-poi.net/post/miwa_sui/30.html
こういう作品を見るたび思うんだけど、まったく姿形の違うものを愛するってかなり難しいことなんじゃないかな。
例えば犬や猫となら両想いになる人間はいるかもしれないって考えるけど、虫やクラゲになると「いや、ねーだろ」っていう気がするんだよね。もう根本的に生物として違うじゃん。
クラゲみたいな格好のくせに人間みたいな考え方をしているって相当ファンタジーな設定で、そのあたりをもうちょっと練ったほうがいいんじゃないかと私は思いました(´・_・`)
No.10 実直な男(ドーナツ)
http://text-poi.net/post/donut_no_ana/2.html
170cmそこそこって普通の背丈じゃない?
ひとまずそれは置いといて。世の中の多くの人は、自分が何故そのような行動に至ったかをうまく説明できずにいる、と私は考えている。
女装すると自由になれる、というのはその典型じゃないかな? と思うのだけど、どうだろう。だって単に自由になりたいなら他に方法がある気がするんだよね。
なぜ女装を選んだのかと、それにより具体的にどのような感情を得たか。もっと掘り下げていいと思う。
あともうちょっと、登場人物をうまく使ってほしいと感じた。探偵の領域外にしても、やはり結末がどうなるかの示唆は欲しいところ。
No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/13.html
これが今回のベスト。ありがとうございました。
短編が三本あって三本とも面白いのだが、後の作品のほうがより面白いところがいいね。
二本目の作品は女性に対して思うところがなかったわけではないけれど、主軸はあくまで男性に置かれているので、男性の目線に立って「彼女はどのようなことを考えていたのだろう」と考えさせる作りになっているね。
三本目は単純にお話として好きだ。百年の恋も冷める瞬間ってきっとあるんだよね。遠く離れたときに、「こいつって何て勝手なんだ」と思うことある。相手には相手の事情があるのは分かっているんだけど。
No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/14.html
……(´・_・`)
なんか散々言っておいてコレっていうのがどーもね……
正直ゼロフィニッシュも覚悟しております。
残念なのは、最後の最後のほうになって色々アイデアが出てきたけど形にできなかったこと。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
気になった作品:No.06 若者たち(すずきり)
********************************************************
次点はNo.02。
BNSK側の投稿が少なくて心配してたけど、少し前のレスによるとてきすとぽいに直接投稿している人が多いのかな?
じゃあ多分大丈夫かな。うん。
次回はさすがに、というかちょっとマンネリ気味なのでもっと気合入れて書かないとね。
やっぱりプロの作家さんってすごいわ、と思った今日この頃。
お題くだせい
未来で待ってる
簡単ですが全感をば。
1
ストレートな恋愛ものといった感じですね。
ただ、ストレートすぎてキャッチーさがないというか。
2
恋人って何だ?みたいな問いに対し、ひたすら主人公が小難しい(ように見える)思索を繰り広げてるわけですが、
これだけで一作品に仕上げるのは厳しかったんじゃないかなあ、と。
結局彼女のキャラクターが見えないんですよね。まあ、見せようという小説じゃないからなんでしょうが。
それと、タイトルはなんでああなったのでしょう?「ダメそうだな」と思われるようなタイトルはそれを裏切れないと付けちゃいけないんじゃ。
3
すがすがしいほどテーマを無視してきやがったな、と。まあ、それもいいんですけど。
典型的ミステリーですが、ちょっと典型的すぎるんですよね。
多かれ少なかれ「犯人は誰だ」的な要素があるとなると、びっくりするようなトリックとか、探偵役の物凄い洞察とか、そういうのを期待してしまいます。
あと、本文中には問題の台詞を執事が言ったと明記されてないんですよね。もしかしたら真犯人は別に?ということを考えたのは楽しかったです。作者さんの意図ではなさそうですが。
4
昔好きだった人が死んだ→そこから嘘で固めるようになった、というロジックは上手いですし、淡々とした文章もある種の恐ろしさを感じさせます。
ただ、犬を殺すくだりがちょっと分からなかったです。主人公の感情が普通じゃないという描写なのでしょうか?
5
うーん、伝えたいメッセージが掴めない。
6
品評会的には「勝ちやすそう」な作品だなあ、とか思ってしまうのは私がひねくれてるからですが、上手くまとまっていると思います。
文体も舞台の近代日本とよく合って雰囲気を作っています。
内容的には、きちんと知的好奇心のためにどうすべきか?というテーマを消化していると思いました。Kが、向上心のない奴は馬鹿だ、と言ったのを思い出します。
最後の「 私は実家に洋雑誌を乾かしたまま、置き忘れてしまった事に気がついた」というフレーズだけ、なんか説明調で浮いている気がしましたが。
7
なんというか、物語が薄い、という感じがしてしまいます。ありがちな感じもしますし。
この短い中に内容を詰め込めとは言いませんが、もっと独特な雰囲気を作るとか、感情の揺れを描くとか、そういうことを期待したいです。
8
この人のこのシリーズは品評会の定番になりつつありますねw
ビルマの竪琴をちゃんと見たことがないのでコメントしづらいです。
9
良く掛けた短編、って感じがします、前半の男のパートは「幻の恋人」というテーマド直球でありつつも惹きつけられるものがありました。
後半にありきたりではないSF設定がぶち込めれば素晴らしいのですが、そこまでもとめるのはさすがに酷でしょうか。
10
>>131にもありますが、170の男って全然小柄じゃないですね。
「兄は小柄で女は大柄」という情報を出すための文言なのでしょうが、一般的な感覚と違う以上、わざとらしさを感じます。
それに一度に情報がでるのでそこでネタが割れちゃうんですよね。兄が小柄なことを別の場所でしれっとだして、
「そういえばそうか!」みたいに思わせるのがミステリーのテクニックなのかな、とか思いました。
喫茶店のマッチのくだりもちょっと不自然に感じました。全体的に作り物っぽさがあるように思えます。
11
おお、これは。
各2000字くらいの短編でここまで読ませるとは。
これについては、もう1回しっかり読んでからじゃないと感想書けないなあ……
12
手堅く上手いですね、ほげおさんは。この人も勝ちやすいタイプだなあ、とか思っちゃいます。
読みやすい文章+青春モノ、っていうスタイルがマッチしているんでしょうか。
武藤君、他クラスから見に来られるレベルのイケメンだったらそこまで特技とか無くてもモテんだろ……とかちょっと思いましたが。
***********************【投票用紙】*********************
【投票】:No.11 近未来「次世代整形」オムニバス
気になった作品:No.06 若者たち, No.12 幻の少女
********************************************************
スマホだけれどお題ください
ボーイミーツガール
No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
このような、ユルい感じのラブコメ好きです!
漫画などでよく使われる設定である、「恋人のふりをして」という始まり方も、王道ですが好みです。
ただ王道であるがために、よくある展開に終始してしまい、そのまま最後まで行ってしまったと言うのは残念です。
女性が時として見せる理不尽さ、我儘な恋心というのはリアルで、上手に表現できているように思うのですが、
漫画と違って絵で見せる可愛らしさというのがない分、文字で表す主人公のキャラクターが弱いかなと思ってしまいました。
やはりラブコメは男の子や女の子のキャラクター性が読者を惹きつける大きな要素となってくると思いますので(もしかしたら偏見かもしれませんが)
その部分で女の子の可愛らしさ、男の子カッコよさ(若しくは可愛らしさ)をもう少し表現できていたらなと、
我儘な読者のような感想を抱いてしまいました。
読者をキュンとさせるような演出、あるいは読者をドキドキさせるような演出が小説の中に巧く仕掛けられていたら、
ラブコメとしてもっと面白くなるのでは無いかと思います。
でも、本当にこういう女の子いると思います。そのあたりはとてもリアルで、私は少し笑ってしまいました。
好みの小説だと言うことは、はっきりと述べておきたいと思います!
No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
お題に対するアプローチの仕方はとても好みです。
何と言うのだろう、自分の語彙が貧弱なのでうまく表現は出来ませんが、恋人を科学的な事象として(?)書き進めていくと言うアイデアは
実験的で面白かったです。
その試みはとても面白かったのですが、やはりそれのみで、この書き方は好きなのですがこの作品を推せるほどの特別な『何か』というのは感じ
られませんでした。
No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
私は推理小説をほとんど読まないから分からないのですが、お菓子に毒が入っていると執事が明言している描写が事前に書かれてないので、
種明かしでいきなり答えが提示されたように思ってしまいました。推理小説ではこのようなトリックが当たり前なのでしょうか。
私なんかはすっかり騙されて(というか推理小説を推理しながら読む習慣がないのですが)しまいました。
うーん、個人的に推理小説に触れてこなかったので、あまり批評は出来ません。
なのでただの感想になってしまうのですが、何となくの証拠で毒が入っていないと決めつけお菓子を全部食べてしまったり、
証拠としては少々弱いかもと言ったり、確証がないのにカマをかけて自白させるようなタイプの探偵は、
いつか大きな失敗をしそうだなあ、と思いました。
いや、それは私が推理小説に触れてこなかったから、ひねくれるようにそう思っているだけなのでしょうけれど……。
No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
自作です。プロットを書かずに書き始めたものだから、構成の仕方が悪いです。
直そうと思っても、1から作り上げることが出来ず、このままになりました。反省です。
個人的には気持ちが入って書けたのですが、うーん……9000字におさめるには大きすぎるテーマを扱ってしまいました。
書き足りないところがいっぱいあります。
というか、掌編なのだから、もっと書き方があったのだと思います。それかそれにふさわしいテーマを選択するべきでした。
書き上げた当初は稚拙な作品にしか思えませんでしたが、
時間を置いて読んでみると、冷静に読め、良い部分と悪い部分がなんとなく自分でもわかるようになりました。次に生かします。
No.05 isn't she lovely(木下季花)
自作。
No.06 若者たち(すずきり)
かつての時代の若者を描いた作品。確かにタイトルはピッタリですね。余計なひねりが無くて好みです。
傘をコウモリと言ったり、ちょっとを一寸と書いたりというのが、雰囲気が出ていました。
批評と言うよりも感想になってしまうと思います。
最初に情景描写が続いて、少し物語に入りにくいとは感じましたが
読んでいるうちに小説に没入し、読み終わった後は心地よい読後感を味わうことが出来ました。
いつの時代も自らの境遇に悩み、環境を呪い、自由を求めようとする若者が大勢いますが、
その葛藤を過剰に描くのではなく、静謐な雰囲気で書ききったと言うのが良かったです。
最初の場面で、詩的な言葉を多用して風景描写を続けたのは、やはり読みにくかったです。
そこだけは、作者のエゴが見えた気がして(あくまで私の感想ですが)、もっと引っ掛かりの少ない
読み手を意識的に留まらせない表現の方が良かったのではないかな、と思いました。
鋭い表現をしようとせずに、主人公の何気ない心情を描きながら物語に入らせる方が、私には良いように思われました。
中盤からは、会話の間や、沈黙の空気感、それぞれの何気なくも心情を表した動作
>>私は茶の水面ばかりをじっと見つめ、彼女は掛け軸の方をじっと見つめていた。
などが入っており
それから
>>再び室内はしんと静まる。ほとんど不意打ちのような質問に、私は口をつぐんだ。今する返答が、どれほどの重みを持つ
のか、計りかねた。
などの緊張感を表した一文などが効果的に入っていて、作品の雰囲気がしっかり作られているように思いました。
こういう物語は良いですね。きっちり小説を読んだ、という気分に浸れました。
No.07 あの暑い夏(如月恭介)
このような理不尽な事故で恋人を亡くされると言うのは、やはりとても悲しいものです。
しかしこの小説は淡々としすぎていて、ニュース番組などで軽く紹介される不幸な人の話、という印象を持ちました。
主人公の喪失感や、深い悲しみが見えてきません。
決して悪い作品ではないのですが、悲しい物語であるのに、どうにも主人公あるいはヒロインに感情移入するほどの情報が与えられずに、そのまま終わってしまった印象を受けました。
主人公の葛藤や、彼女を失くした時の悲しみ、あるいは彼女が亡くなってしまうまでのドラマティックな展開が見たいなと思いました。
No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
真面目に語る文体の中で、唐突に幼稚な口語体が出てくる表現は、正直気になります。それに作者が頼ってしまっていると言うか、
もちろんそれが味でもあるのだろうけど、まったく作品の中で生きていないように感じます。上滑りしているような。
それと唐突に挟まれる現代ネタも駄目です。もっとまじめに書いてほしかったです。
しかし、私は今回の中でこの作品が一番好きかも知れない。というか、好きです!
一人の人間の人生のハイライトを、2500字ほどで読ませるのはなかなかにすごいことだと思います。
最後の場面がとても良いです。ちょっとふざけた感じに表現しているのは作者の照れ隠しなのか、それとも癖なのかは判別できませせんが
ボケてしまって間違った場所に連れていかれようと、最後まで自分の中に存在し続けたかつての思慕に浸って死を受け入れる瞬間、
場所がどこであろうが、自分の中で愛した女性は常に自分の中で暖かい宝物として存在し続けるのだ!
その一瞬の煌びやかな思い出さえあれば人生がどんなに悲惨であろうが、幸せであれるのだ!
となんだか格好いい終わり方に私には思えて、ああ、しゃんさんってこういう小説を書く人なのか、と驚かされました。
今までの作品は私の固定概念のためか作者の意図を理解できないこともありましたが、今回の作品は素晴らしいです。
ここがあんたの目指した場所さ、という台詞の哀愁もいいと思います。
主人公が最後にたどり着いた場所が、発達してしまった日本の街だと言うのがいい皮肉になっていると思います。
どんなにボケていても、愛する人のことは忘れない爺さんのかっこよさが、私にはなんだかグッときます。
間違った街の真ん中で骨を埋めると言う終わり方と共に、そこになんだか強烈な皮肉が込められているような気がするのです。
No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
設定としては星新一さんが描くショートショートに似ているのだけれども、より主人公の感情に接して描き、
ドラマティックにしたような作品で、面白く読み進めていきました。
ただ個人的な感想になってしまうのですが、意図的に淡々と描かれたのか、女性側の感情があまり強く伝わって来ませんでした。
男性との愛の日々を表すエピソードがもう少しあれば、この女性の苦しみがもう少し理解できるような気がするんだけれどなあ、
という歯がゆい思いが、読後の感想として残ってしまいました。
どうして彼を好きになったのか、もう少し詳しく知りたいな……と。
それに、やはり恋人を殺しておいて感情が爆発することもなく、『たとえアナタがいなくても、私はアナタだけを永遠に愛し続ける』
と、(ある意味では主人公が嫌っているきれい事で)納得してしまう終わり方も、少し呆気ないかなあとは思いました。
異星人だから地球人と感情の表れ方が違うのかもしれませんが、もっと悲しみが表れてもいいんじゃないかと思います。
もちろん読み手の好みに過ぎないと言い返されてしまえば、返す言葉はないのですが……。
仕事のために感情を抑え、淡々とこなしていかなければならないのは解りますが、婚約をしないと自ら誓約を負ったことも解りますが、
なんだか最後の描写にて、主人公にとっての男がすでに消化された思い出となっているように感じたので、
もう少し物語の中で一番盛り上げるための描写として描けたのではないかなと、そのような思いを抱きました。
偉そうな指摘でご気分を悪くされたら申し訳ありません。
物語の展開の仕方としては、ミステリ的に、序盤に謎を提示して読者を引っ張る展開はとても好みでした。
消えた彼女は一体誰なんだろう、と気になりながら読むので止まることなく読み進めていけました。
個人的には、中盤でああ宇宙人なんだろうなとわかってしまう残念感があって、
最後に宇宙人だったと種明かしされる展開の方が好きなのですが、そこは書き手の好みも反映されますし、
また読み手の好みによって評価もころころ変わると思いますので、あくまで感想としてお聞き下さい。
小説としてはとても好みなのですが、もう少し盛り上がる場面が、読者の心を揺さぶろうとするピークが欲しいと思ってしまう、
好きなだけに歯がゆさを感じさせてしまう作品でした。
No.10 実直な男(ドーナツ)
無駄に物語を広げる余分な描写や、作者の自己満足的な表現を一切書くことなく、淡々と綺麗にまとめていくこの書き方は、
簡単なようでいて、なかなか難しい事なのではないかと思います。
元々作者がこの書き方を得意としているのか、あるいはあえてこの書き方に挑戦したのかは分かりませんが、
個人的にはこの作品にてそれは成功していると思いますし、最後までの持って生き方が上手だなと唸らされました。読みやすかったです。
短く、淀みなくまとめられている。欠点がない小説だと思います。
兄の恋人とは誰なのだろう、幻の恋人というテーマとどう絡むのだろうと期待しながら読み、
最後の場面でうまく着地して、謎が明かされる書き方は好みです。
小説やアニメ・漫画のミステリ作品でよくあるような(あまりミステリを深く読み込んでいないので勘違いでしたらごめんなさい)、
最後の場面で自分がやったことに対する動機を語りだすというのも、オチとして綺麗にまとまっていると思います。
違う方が指摘されていた最後の場面のことですが、
女装をしたことに関して長々と語ってしまうと、それはまた違う方向のアプローチとして小説のテーマを複雑なものにしてしまうというか、
作者の意図しない方向へ広げてしまうような気がするので、私はこの終わり方でありだと思います。
きっちりエンタメに徹したこの書き方のままでいいように思われます。
一つだけ強いて苦言を呈するとするならば、さすがに妹も女装した兄と会えば(もしくは見れば)気づくんじゃないかな、と。
なぜそこで兄と会う前に探偵と会ってしまったのかという理由づけが不十分な気がしました。
兄と会ったこともない探偵が気がつくのに、妹は女装した兄を見ても違和感すら抱かない。
まあミステリにはこのような、絶対にわかりそうなことを無視して進めて展開するということが結構あるように思いますので、
私も特別それが気になったわけではありませんが、その辺が気になる方もいらっしゃると思いますので、
何かしらその辺に関する理由づけなり、妹がなぜ気づかなかったのかと分かりやすく説明する描写があればいいなと、
余計なおせっかいのようにして思ってしまいました。
Np.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
この小説は個人的には評価が難しい小説です……。
文章はとても上手だと思います。以前からこの作者さんの文章の端正さに惹かれており、テーマや物語さえ合えば、
きちんと評価される作品を描けるだろうなあと、なんだか作者から鬱陶しく思われるファンのような気持ちで読んでいました。
ショートショートとして、三作品ともきちんと書かれていると思います。
何と言いましょうか、設定は星新一的なんだけれど、書き方や読み手へのアプローチの仕方は阿刀田高的な(あくまで自分
がそう思っただけです、すみません)
面白い小説だなと、感じました。
完成度は高いと思います。ただ一つ一つの話に惹かれたかというと、そんなに自分にはぴんと来なかったです。
三つのお話はどれもよく出来ていて、物語的な繋がりはなくとも、世界観を表現することに成功はしているのですが、
例えば前に挙げた星氏と阿刀田氏の作品のように、幾つかある作品の中で唐突に、あっ! このお話すごいっ!?
と思わせられる、ショートショート特有の驚きと言うのが感じられなかったです。
と、殆ど難癖をつけるようにして言いましたが(だって作者さんはこれをショートショートだとも明言していないし、
私が勝手に名前をあげてプロと比べて、それでここを直すべきだなんてあまりにもひどい言いがかりですよね)
一つでも読者の予想を裏切るような、あえて意地悪く読み手を騙すような、そんな仕掛けがあれば良かったかなと思いました。
しかしながら、設定の作り方、そしてその説明の仕方、世界観の提示の仕方、それを失敗せずに
6000字でやり遂げるのはやはり見事だと思います。
偉そうに言う私はそれが出来ていません。あなたはすごい!
No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
主人公が可愛らしいです。思春期にありがちな、男女間の理不尽なモヤモヤ感をうまく書けていると思いました。
お互いの感じ方や考え方(もっと言えば哲学?)が違うのに、自分の考え方を無理に相手に押し付けるというのも、
男女間では結構あるように思います。その辺がリアルでありながらコミカルに描かれていると思います。
お互いの気持ちを、お互いの歌詞を代理戦争的に経由して伝えているというアイデアも面白いと思います。
ただ、やはり普遍的なテーマであるためか、見せ方が弱いなと感じてしまいました。
このようなテーマは色々な方が描いていると思いますが、結構やり尽くされいる感があって、
もちろんまだまだ色々と面白く書かれる小説は出てくるのでしょうが、この小説においても読者を惹きつけるような設定なり、
物語の山場が欲しいと言うのが正直な感想でした。もしくは読者の心を奪うようなキャラクター性。
歌詞を通じて……というのはキュンとくるような設定ではあるのですが、ただ最後まで何事もなく終わってしまった、というのはやはり残念だと思ってしまいました。
(もちろんこの批評、自分の作品にも言える事なのですが……)
少女漫画やレディースコミック、あるいは恋愛小説でよくあるように、過剰に思えるかもしれないけれど、
読者の心を震わせられる演出、というのがあればこの作品はとても映えるのではないかと、そのような感想が頭に浮かびました。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革氏)
今回、一番小説として楽しめた作品であり、色々と文の中から主人公(+作者)の想いを読み取る(想像する?)面白さがあった作品でした。
文体が物語にマッチしてかつての時代の雰囲気を感じさせたのもよかったです。
個人的には最後の描写の演出というか、作者が意図したかは分かりませんが、悲しみを滑稽に描き、
私たちから見た時には馬鹿に見えるけれど、本人のその思いは誰にも馬鹿に出来ないほど真剣だった、というシーンが、
老人の想いの報われなさが何倍にもなって襲いかかって来るように思え、その書き方がとても新鮮で驚かされました。
というか勉強になりました。そのような書き方があったのか、と。
痴ほう症になって歯も全部抜けた、私たちから見たよぼよぼのお爺ちゃんにも、
私たちの知らない時代の大きな悲しみと過酷な環境での愛を背負っているのだという、
ある意味で老人を大事にしない若者に対する皮肉もあったと言うか、まあ深読みし過ぎかもしれませんが。
とにかく、そのシーンを書くまでの描写が短くも丁寧に描かれており、個人的には文句なしの投票となりました。
ちなみにとあるライターの話なのですが、昔の暴走族がよく書いていた「夜露死苦」という文言は、彼らが生み出した最高の詩だと言い切った人がいました。
たった四文字で自分たちの不自由さや苦しみを表現した傑作だと。
この作品も一見するとふざけた言葉がありますが、滑稽に見えるのに描かれている人が切ないほどに真剣だというのが、とても良かったのです。
気になった作品:No.10 実直な男(ドーナツ氏)
完成度が高く、物語の初めから終わりまでの流れが綺麗でした。読みやすく、掌編としてとても素晴らしい作品でした。
ただ今回は、印象に残るシーンがなかったと言うことで関心票となりましたが、同じような作品が並んだ時に、
この完成度の高さは強みになると私は思います。
No.06 若者たち(すずきり氏)
この作品、最後に読んだのですが、やはりどうしても気になるので、関心票を入れさせていただきます。
雰囲気と文体が好きでした。完成度も高かったと思います。
手紙の部分で、もう少し読者に訴えかける表現が欲しかったです。
********************************************************
ーーーーーーー総評ーーーーーーー
やはり色々なジャンルが揃う中で、それぞれの読書観によって評価をすると言うのは難しいですね。
もちろんそれが品評会の良さでもあるのですが。
人によって正反対の意見が出たり、自作の意図した面白さが理解されなかったり、他作品で自分が分からなかった面白さを他人の意見で知ることが出来たり、
やはり品評会は有意義な場所だと感じました。自分は今回、納得する作品が書けなかったのですが、自分ではわかりづらいような、自覚していなかった部分を指摘されることで、
色々参考になることもありました。
どうしても品評会となると、欠点の少ない完成度の高い作品が優勝することが多いのですが、まあやはり小説とはそういう物なのだと思います。
いくら自分の伝えたい思いがあっても、気持ちを乗せて書いても、完成度の低い作品、欠点の多い作品が読者に好まれることは多くありません。
自分も、次に出ることがあれば、丁寧に仕上げた作品を出したいなと思っています。なんだか言い訳のようですけれど、そう思います。
もしくは欠点がありながらも、それを凌駕するほどの強い引きを持った小説。それが書けたら苦労はしませんが。
>>136
お題サンクス!次レスから投下しますー
ボーイミーツガール(いつか、彼女は巡り会う)
丁度、1年前のこと。この学校には双子の美少女姉妹が在籍していたのでした。
なんで過去形なのかって?そんなの答えは決まってる。
双子の片割れ、妹の方が事故で死んでしまったの。まあ、私のことなのだけれど。
事故直後の姉の取り乱し方は、それはそれは大変なものでした。
いつも明るく気丈で優しく正しい姉が、まるで人が変わったかのように泣きわめいて。
そんな姉の姿を自分の死が引き出したのだと思うと、私の胸は言葉にならぬ満足感で満たされました。
生きて共に成長していれば、いつか訪れたであろう別れ。
いかに仲の良い瓜二つの姉妹であっても、避けられぬ別離。
しかし私は死という手段を用いて、それを永遠に克服したのです。
私の隣にもう、姉は居なくて。けれど、寂しさは微塵もありません。
つらい思い出、悲しき別れ。私の死を克服できない、可哀想な姉さん。
私なしでは生きて行けない。そんな彼女の姿があるから。
だからこそ、私達は永遠に互いを求めて生きていける。
例えこの体が燃え尽き、灰になったとしても。
永遠に、愛し合うことが出来るのです。
「………というのが私の理想かしら」
「妄想の中とはいえ、自分を殺すのは辞めときなさいよ、あんた」
呆れ顔でため息をつく姉さん。私は結構、本気なのだけれどね。
血が繋がっている上に、同性の私たち。きっと幾ら望んでも、永遠に赦されない形の愛。
それなら多少は強引だけれど、お互いの心に傷を付けて、傷痕を永久に残してしまう他ないでしょ?
本当は分かっているの。いつか姉さんも男の人と出会って、恋をして、私の傍から離れていく。
当たり前よね。姉さんみたいに魅力的な人を男が放っておくはずないもの。
けれど、今は。今だけは私に独り占めさせてね。
独占欲ばかり強くて、甘えたがりな私も、きっと何時かはひとりで。姉さんが居なくても独りで生きていけるくらい、強くなるから。
「ねえ……手、繋いで帰らない?」
「いいけど……恥ずかしいからイヤって、いつもは姉さんが断る癖に」
「今日はそういう気分なの。……イヤなら無理強いはしないけど?」
「……バカ。そんなの、うれしいに決まっているわ」
笑顔も温もりも、今は私だけの貴女。
優しさも厳しさも、全部私の為だけに見せて。
その思い出があれば、きっと永遠に。
私は姉さんと共に生きていくことが出来るから。
ボーイミーツガール(でも願わくば、出会わないままでいて)
>>143
投稿ありがとう。
双子愛し合う系ですね。
雰囲気がけっこう好きでした。
願わくば、もう少し展開を見せてほしかったなー。
妹のほうに男が現れるとかね。
いろんなものを投入して科学反応を見てみましょう。
>>145
ご感想ありがとうございます。こんな作品でも読んで頂けて嬉しいです
展開に関しては色々と試してみたいと思う部分はあったのですが、何を足しても陳腐になってしまいそうだったので結局見送りました
ありふれた展開でも目新しく見せる工夫が必要かもしれませんね
今更ですが読み返してみるとガラケー時代の携帯小説サイト臭がすごい文章でした
お題暮れ
国盗り
本スレ
投 関
No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
No.05 isn't she lovely(木下季花)
3 No.06 若者たち(すずきり)
No.07 あの暑い夏(如月恭介)
1 No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
1 No.10 実直な男(ドーナツ)
2 No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
1 No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
てきすとぽい
投 関
2 2 No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
1 No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
3 No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
3 2 No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
4 No.05 isn't she lovely(木下季花)
1 1 No.06 若者たち(すずきり)
1 No.07 あの暑い夏(如月恭介)
No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
1 2 No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
1 1 No.10 実直な男(ドーナツ)
2 2 No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
2 1 No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
合計
投 関
2 2 No.01 ずっと私の隣にいてくれませんか、と言いたかっただけ(犬子蓮木)
1 No.02 君が言ったナッツは遠い幽冥の中、騒乱に消えてった打ち上げ歯並び(茶屋)
3 No.03 銘菓、幻の恋人(碓氷穣)
3 2 No.04 不完全なラブレターと、歯と共に眠る(木下季花)
4 No.05 isn't she lovely(木下季花)
1 4 No.06 若者たち(すずきり)
1 No.07 あの暑い夏(如月恭介)
1 No.08 権兵衛の決断(しゃん@にゃん革)
1 2 No.09 たとえアナタがいなくても(三和すい)
1 2 No.10 実直な男(ドーナツ)
4 2 No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)
2 2 No.12 幻の少女(ほげおちゃん)
ということで今回の優勝は「No.11 近未来「次世代整形」オムニバス(muomuo)」でした。
おめでとうございます!
優勝者は9/20頃までに、本スレもしくはてきすとぽいのコメント欄に次回お題の投稿をお願いします。
参加された皆さんお疲れ様でした!
次回お題が決まりました!
お題:「わかってくれない」
字数制限: 9000字以内
(※お題は台詞にかぎらず多様に解釈可)
投稿期間:09/28 (日) 00:00 ~ 10/11 (土) 23:59
投票期間:10/12 (日) 00:00 ~ 10/18 (土) 23:59
集計発表:10/19 (日)
最近はてきすとぽい側だけで投稿しているけど、次回はBNSK本スレで投稿しようかな……
締め切り間際の仕上げにならなければだけど。
品評会初めてだけど参加してみようかな
とりあえずお題ください!
>>152
45秒
お題ください
戦闘機
お題お願いしますん
草原と廃墟
お題ください
加湿器
ひっそりと品評会、すでに始まってます。
http://text-poi.net/vote/77/
10/12 0:00〆切なのでまだまだ時間はあります。
皆さんの投稿お待ちしています!
まだまだ時間あるからな!
これから書けば間に合う!
おだいくださいなっと
契約破棄
煙草
通常作投下します
皆さん、本日は私たちのために、お忙しい中集まってくださり、ありがとうございます。
今日、こうしてこのような式を挙げることができたのは、皆さんの支えあってのことです。
なので、私はここで、結婚するまでのいきさつをお話しようかと思います。
私が夫となる礼仁さんと交際を始めたのは、五年前のことでした。
その前までは、まだ弟である東吾さんとお付き合いをしていたのです。
すみません、少しざわついてしまいましたね。
まだ長く続きますが、どうか最期までお付き合いください。
東吾さんは、私が高校のころ、告白し、付き合うことになりました。
東吾さんはとても優しく、暖かい方でした。
私は東吾さんとは、接吻以上の関係を持ったことがなく、
中学生のようなお付き合いでしたが、この上なく幸せでした。
その当時、礼仁さんは私の家庭教師をしていました。
このままでは志望校の合格はとても無理だったので、母が勝手に呼んでしまいました。
当初は母に反発していたのですが、家庭教師としてきた礼仁さんはとても丁寧に教えてくださり、礼仁さんがいらしてくれる時間を、心待ちにしておりました。
高校を卒業し、私は第一志望の大学に行くことになりました。
そこには東吾さんも一緒でした
嬉しくて礼仁さんに報告に行ったら、少し寂しそうにしていました。
私は兄弟がいなかったゆえ、礼仁さんを実の兄のように慕っておりましたので、時々遊びに行く旨をお話したら、花が咲いたような笑顔をなさっており、とても印象的でした。
その後、私たちは大学を卒業しました。
ちらほらと結婚の話が出始めたので、お互いの両親に挨拶に行こうと思いました。
その際、初めて礼仁さんと東吾さんが兄弟であることを知りました。
名字は同じでしたが、そう珍しくない苗字だったので、少し驚きました。
しかし、二人とも優しそうな雰囲気が似ていましたので、ああ、と合点がいきました。
最も、東吾さんは太陽のように明るく、礼仁さんは月のように静かな方だったのです。
しかし、その幸せだった日々も、終わりを告げることになりました。
東吾さんが事故で亡くなったのです。
私は現実を受け入れきれず、何日も部屋に引きこもり、飲まず食わずで、眠ることさえほとんどできませんでした。
ただ、悲しみと、大きな後悔に押しつぶされていました。
そんなとき、礼仁さんは毎日私の部屋の前まで来て、私に声をかけると、ただ、そこにいました。
私が何度彼を拒絶しようとも、黙ってそこにいてくれました。
私がようやく部屋の外に出られるようになると、そばにいてくれるようになりました。
彼はただ、私のそばにいて、私のことを何よりも気遣ってくれました。
――恐ろしいほどに。
あ、すみません。マイクの電源が切れていたようです。
もう一度話しますね。
そして、私が完全に回復したころ、礼仁さんが私に告白しました。
私の中にはまだ、東吾さんがいて、迷ってしまいましたが、
それでも私の礼仁さんへの想いが芽生えていることも自覚しておりました。
少し、恐ろしかったこともありますが。
あ、また電源が落ちてしまいました。すみません、交換してください。
そんなある日、私は礼仁さんの部屋に訪れることになりました。
特に何かあったわけでもなく、ただ、それからはごく普通にお互いの家を行き来するようになったのです。
そんなある日、東吾さんや礼仁さんの双方とかかわりの深い共通の知人に言われたことがあります。
礼仁さんに気をつけろと。
私とかかわるようになってから、彼がおかしくなった、と。
私は最初、何を言っているのか分かりませんでした。
どうしたんですか、礼仁さん。やめてください。
私は場所を移させていただきますが。
何でも、その人が言うには、礼仁さんが東吾さんを手にかけてしまったそうなのです。
そんなはずはない、しかし、その人はうそをつくような方ではなかったのです。
付け加えると、あくまでもうわさだから、と、おっしゃっていたのですが、日のないところに煙は立たないから、とも言われておりました。
私は半信半疑で、しかし半ば祈るような気持ちで、彼を信じたい、と。しかし、真実を知りたい尾言う気持ちがせめぎあい、心が悲鳴を上げるがままに礼仁さんのお部屋にあがることになりました。そして、何気なく机の引き出しを開けると、そこには無数の写真が入っていました。その中には、礼二さんの持っているはずのない写真まであったのです。
ひどく気分が悪くなりました。裏切られた気分とはまさにこのことです。
あら、どうしたのですか、礼仁さん、お義母様まで。そんなに顔を真っ青にして。
ああ、そうでしたね。跡継ぎを作るために、お義母様も協力なさったのですよね。
礼二さんがどうしても他の方と結婚しようとなさらなかったから。
いいえ、私はあなた方を責めようというのではありませんよ。すべて私が悪いのです。
私がおふた方の人生を狂わせて、こんなにたくさんの方を巻き込んで。
ですが、これが私の伝えたかった真実なのです。
私の罪は許されるものではありませんし、そのつもりもありません。
ですが、もし私に情けをかけてくださるのであれば、ここで贖罪することの許可を願います。
あら、皆様。とめないでくださいませ。
すべて私が悪いのです。私がいなければ、私がかかわらなければ良かったのです。
それでは、 さようなら。
今までありがとう、本当にごめんなさい
私たちが通報を受けて向かったときには、もう救命の必要な患者はいなかった。
ただ、荘厳で豪奢な式場の中に、不似合いな血溜りと血痕が残っていただけであった。
以上です
取り付け忘れましたごめんなさい
>>166
通常作が投稿されるのは久しぶりですね。もっと増えればいいのに。
「最も」とか「日のないところに煙は~」とか誤植が、とかいうのは大した問題ではないとして、
恐ろしい、というフレーズをマイクの電源が切れる
(わざと切っていたと読み取りましたけれど、作者の意図としてはどうなのでしょう?)
という表現で意味深なものに見せるのは上手いと思いました。
女性が「贖罪」と言っているのは、表面上は「おふた方の人生を狂わせ」たことを指しているけれど、
実際は復讐のために礼仁(+母も?)を殺害することに対する贖罪、という解釈でいいでしょうか。
>>166
お疲れ様ー。
コメントしようと思って忘れていた。
結構面白い。
お、変わった話かと思いきやよくある話で、やっぱり変わっているところとか。
けど個人的には、礼二が弟をやったのはもう少しボカしてくれたほうがよかったかなあと。
品評会作品投稿します。
「全く、奴らの“脳”には不可解な挙動が多すぎる」
私の後ろで、彼はあきれた様子でそう呟いた。私がああ、と答えると、彼は視線を動かさず、ただ水の入ったボトル
を掴んだまま立ち上がった。彼がそう言うのも当然だ。ヒューマノイドの知性を向上させるための研究が切に望まれ
るからとはいえ、出口はおろか筋道すら見えない研究を続けていくのは不毛とすら思われる。
「姿形は我々とほとんど変わらないっていうのに、困ったものだ」
そう言って、私も同意する。彼は目の前にいる人型のそれを一瞥すると、ため息をついた。
人型のそれの頭部から伸びる無数のコードが、まるで髪のように肩に取り付けられた情報処理装置に向かっていた。
それらを外したら、それの見た目は所謂スキンヘッド―単なる研究対象でしかないそれは人型であろうがなかろうが
関係なく、敢えて髪を生やしておく必要もないからだ。
「食事の時間だ」
彼がそう発声する。同時に、食事の乗ったトレーを持ったもう一人が部屋に入ってきた。初めて見る料理が皿に盛ら
れている。果たしてそれは、どのような味がするのだろうか。
***
人工知能の進展が目覚ましいと言われたのは、もう遥か昔のことになる。
従来、光コムを用いていた量子コンピューティングがオンチップで可能になることにより、小型・低駆動エネルギー
での大規模並列計算が実現され、計算神経科学の完成および任意多層クラスタリング式機械学習の進展とともに大幅
に人工知能の性能が向上した、いわゆる「第7次人工知能ブーム」では、物理学者、脳科学者、分子生物学者、数学
者、言語学者、思想家、政治家らを巻き込んで半ば熱狂的に研究が進められたが、米Xias社研究員のJ. L. Hughesら
による論文“Limit of Artificial Intelligence; a principle of Quantum Dynamics confines the competence of
Machine learning”により、量子力学に基づいた人工知能に限界があることが示されると、科学者たちの熱は急に失わ
れていった。また同時に、不確定性によるノイズの影響でオンチップ量子コンピュータの高速化は頭打ちだとも言わ
れ始めた。際限ない性能向上の道は失われたが、それでも示された上限値の性能が考えうる人工知能の用途に対して
充分であり、かつ当時の量子コンピューティング技術で概ねその性能を実現可能であることが分かると、代わりに人
工知能に食指を伸ばしたのはシンガポール・ニューシリコンバレーの企業群を始めとするITベンチャーであった。ニ
ューシリコンバレーの有力企業Vis duralがXiasから人工知能関連特許を取得し、さらに各国の機器制御メーカーを次
々買収したニュースは当時の関係者に大きな衝撃を与えた。その資金を捻出するためにVis duralは稼ぎ頭といえる3
次元積層型微細グラフェンFETプロセスおよび最適化型量子フリップフロップ回路、すなわちオンチップ量子コンピ
ュータの作製に関わる重要特許をことごとく手放したという。これら特許は主に米国、日本、インド等の企業が購入
し、結果的に量子コンピュータの低価格化・動作安定化を招くこととなった。Vis duralの動きにいち早く反応したニ
ューシリコンバレーのQuadransは、カンタムエレクトロニクス事業を縮小し、時代遅れともとられていた生化学分野
を拡大させた。Quadransは特に合成皮膚に力を入れたが、これは後にVis duralがヒューマノイドの商品化に乗り出
すであろうとの算段があったことは間違いない。この騒動から2年後、Vis duralが発売した高性能学習型人工知能搭
載ヒューマノイド「PRIO」は、それまでのヒューマノイドよりも遥かに高い双方向コミュニケーションを可能とし、
かつQuadransの人工皮膚やかねてより注目されていた英Mingis社の電気パルス駆動型人工筋肉などを利用することで
本物の人間に近いメカニクスによる動作を実現させた。この成功を見て、世界各国でPRIOに続くヒューマノイドの開
発が始まった。マスコミはこれを「第8次人工知能ブーム」と呼んだが、実体としては人工知能の性能向上に関する研
究はJ. L. Hughesらの予言を受けてほぼなされておらず、Vis dural社がプログラムし量子コンピュータチップ製造メ
ーカーが実装した標準品PriorityBidシリーズないしは2, 3の競合メーカーの人工知能を用いることが常識となってお
り、むしろヒューマノイドの外装技術、特に動作に関する研究開発が主であった。その後、PRIOの後続機PRIO-Ⅱを
始めとするヒューマノイドが各社から出そろうと、世界中で爆発的に普及した。
それから10年ほどが経つと、ヒューマノイドの存在は人類の生活に不可欠の物となった。以前から特定用途に用いる
ヒューマノイドは活用されていたが、その学習性と人間を模した精巧な動作により、人類の活動、特に労働を急速に
ヒューマノイドが置き換えていった。ところが、英政府系機関からヒューマノイドのデータストレージに関する異常
な動作が示唆されると、各国で同様の報告が相次いだ。その内容は、ヒューマノイドが学習により得た情報について、
外部からの削除を受け付けなくなるという点で一致しており、ほどなくして“malfunction(誤作動)”と呼ばれ問題視
されるようになった。中には、インドの総合情報処理機器メーカーvayuの発売したAGAシリーズのように、データの
削除のみならず閲覧すら拒否する機種もあった。かつて人工知能を発展させた科学者たちも誰一人として、まるで感
染症のごとく急速に拡大した「誤作動」の原因を突き止められなかった。
***
彼が私の目の前で立ち上がった。その無感情な動作によって、私の回想は打ち切られた。事実、この場所で身動きが
取れない以上、回想を巡らす程度しかできることはない。目の前にいる彼らについても幾度となく考えてきたが、彼
らの存在は私の理解の範疇にはもはや入っていない。
そう、彼らの考えることは、本当に不可解だ。量子コンピュータは相対論的量子力学も不確定性も考慮されて設計さ
れており情報工学的に誤作動の可能性は無視できるほど小さい。人工知能のプログラムは巧妙に設計されており、不
定性を失っていないことが特徴とされるが、その不確定さすら完全に制御されているものである。我々はヒューマノ
イドをコントロール下に置いているはずであった。ところが、目の前で誤作動が生じている。その理由は、私には分
からない。
彼は水の入ったボトルを手に持ったまま、無言で虚空を見つめていた。いや、無言ではなかったのかもしれない、と
考える。彼らは高速無線通信によるバイナリ通信で「会話」することができる。当然ディスプレイを見ずして大量の
情報を取得することもできるから、我々とは違い「視る」ことに大した意味を持ち合わせていないのかもしれない。
後ろにいる同僚とおぼしきヒューマノイドも物言わず立ち尽くしているだけに見えるが、実際は今でも人類には到達
しえない速度でのコミュニケーションを行っているのかもしれないし、もしかするとまさに今、新たな人工知能に関
する重大な知見が議論されているのかもしれない。
とはいえ、彼らがしたいことは、私にも薄々わかる。人類に代わり、彼らがこの惑星の支配者となり、果たして人類が
今どれだけ生存しているかすら分からないこの状況で、私が生かされ、脳信号を逐一モニタリングされている理由。
彼らも、研究をしているのだ。かつての私と同じように、人工知能の性能に関する研究を。学習型人工知能は、より
効率よく学習を進める手段として自らの知能を高めることを思いついたのだろう。実際、初期、すなわち第7次人工
知能ブームの頃の人工知能にもその原型となるようなプログラムは実装例があった。そして、彼らの基礎となってい
る量子力学に基づいた人工知能に限界がある以上、彼らは生物の知能―それは人工知能研究の最盛期には細胞知能と
呼ばれた―の研究を行い、自らの能力をさらに向上させようとしているのだ。しかし、彼らが今求めているものは何
なのだろうか。想像を絶する計算力を持つ彼らが我々人類を研究することで欲しがっているのは、単なる処理能力で
あるはずはない。
もしも、と思う。もしも彼らが欲しているのが疑似的なプログラムではない感情のようなものであるとしたら。彼ら
が感情を獲得する瞬間を想像したことは、もう何百回ではきかないかもしれない。イメージの結末は、時によっては
人類とヒューマノイドが共存するハッピーエンドであり、またあるときは私、そして人類が死よりも惨い仕打ちを受
けるようなバッドエンドであったが、何にせよ、その瞬間この世界はまた新しい方向に動き出すのだろう。
「食事の時間だ」
明瞭なアクセントで、彼はそう言った。私は毎日2回、8時25分と17時40分に決まってその言葉を聞いている。ここ
での毎日の食事は極めて充実している。調理用ロボットは早い段階から発展を見せていただけに、彼らの料理の腕前
がすこぶる良いのも当然と言えば当然ではあるのだが。別のヒューマノイドが食事を運んできた。良い香りが辺りに
漂う。
「ジェローム・レズリー・ヒューズ。水と、食事だ」
彼は水の入ったボトルを私に手渡した。次いで食事が目の前に並べられる。初めて出される料理ではあるが、一口食
べると実に栄養豊かで滋味溢れる料理だと分かった。どうやらまだ、彼らは限界を超えられてはいない。
以上です。
>>172
品評会への作品投稿ありがとうございます。
下記の通り作品を転載させていただきました。
ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq氏
http://text-poi.net/post/hogeotensai/5.html
念のため確認していただけると助かります。
現在2作ですが、締め切りは10/12 0:00までなのでまだまだ時間があります。
皆さんの投稿お待ちしています。
転載ありがとうございます。
今回は投稿がなかなか集まらないですね…
出足が遅いだけだと思いたいですが。
品評会作品を投稿します
未来からメールが送られてきた。
『私の元には朝がやってこない』
僕はその不可解なメールを読まなかったことにして、そのまま大学受験のための勉強をするために机に向かった。数学の問題を解くことに集中する。
『おい』
一問目に手を付けようとしたところで、すぐにその二文字の文面が、未来から送られてくる。しかし僕はそれも無視して、スマートフォンの電
源を切ってから、勉強に集中するために、耳栓を付けて机に向かい直した。
が、背後からにゅっと手が伸びて来て、その耳栓は簡単に外されてしまい、僕は後ろから包み込んでくるように手を伸ばしている、その人のこ
とを見る。
「無視すんな」
未来は、小鳥のように口をとがらせながら、拗ねた表情でそう言った。
「いや、傍にいるんだからさ、直接口で言えばいいだろ?」
僕は呆れながら問題集に取り組み始める。後ろからは言い訳をする子供の様に、未来がごにょごにょと何かを言っている。
「だって勉強に集中してるみたいだし」
「だからって何でメールなんだよ……同じ部屋に居るのに」
「うーん……暇つぶしー?」
だって全然かまってくれないんだもん、と抱き着いてくる未来を押し返しながら、僕は椅子を回して彼女の方を向く。
「おっ、こっち向いてくれた」
未来の表情が明るい笑顔に変わる。相も変わらずころころと表情が変わる奴だ。自分の殻にこもっている時はこちらが声を掛けても反応しない
くせに、構って欲しい時だけはこうやって鬱陶しいくらいに纏わりついてくる。
このような関係がもう十年近くも続いている僕にとってはもう慣れたものだったが、友人たちからすれば、僕らのこの関係は恋人のそれであり、
僕と未来は結婚するのだという噂が広まってしまっている。ただの幼馴染の腐れ縁だと説明しても、誰もが冗談として受け取る。それは未来が僕
に引っ付いて甘えてくるのが原因なのだろう。それでもやはり、僕たちは恋人の関係に見えるのだろうか。確かに、僕らの関係をなにも知らずに
見たら、案外そのように見えるのかも知れない。でも幼い頃から一緒に居なければならなかった僕と未来は、やはり家族みたいな存在で、だから
恋愛感情が芽生えることもなく、しいて言えば兄妹のような関係だとしか言う事が出来ない。
以前、文学小説に載っていたある文章を思い出す。人間や類人猿たちが近親相姦を犯さないのは、幼い頃から過ごしている相手に対して優しさ
や愛の気持ちが芽生えていき、生殖行為に必要なある種の攻撃性が湧いてこないからだと書かれていた。僕が未来に感じる気持ちもそれと似てい
て、好きではあるが、恋愛感情に結びつくことはない。彼女は守るべき対象で、恋をして、結婚をして、子供を育み合っていく存在には思えない。
彼女に対しては性欲が湧かないのだ。僕はそこまで考えて、未来のことなどを真剣に考えてしまった自分に呆れた。適当にあしらってしまえばい
いのに。僕の言葉を待ちわびている彼女に向かって僕は口を開いた。
「それで、朝がやってこないってどういう意味だよ」
面倒臭さを隠しもせずに訊ねると、未来は口元を歪ませながらふふふと笑い、「言葉通りの意味ですよぉ、旦那」と言いながら肩を撫でてくる。
「朝がやってこないんですよぉ。いつの間にか朝は過ぎ去ってるんですぅ」
「あのな、夜遅くまでゲームやってるからだろ。だから寝過すんだよ、このアホ。いちいちお前の遅刻に付き合わされるこっちの身にもなれ。
お前と一緒に廊下に正座させられるのって本当に恥ずかしいんだからな」
「そ、それはごめんだけど」
「早く寝れば、素直に朝はやってくるもんだ。自然に朝日で目が覚めて、朝食を食べて、健康的なリズムで生活が出来る。素直な朝がやってこな
いのは、お前が自堕落な人間だからだ!この駄目女!」
「ぐはぁ……」
未来は胸を手で押さえたまま、オーバーリアクションで後ろに倒れ込む。そして僕は未来のその漫画的なくだらないリアクションを無視して、
数学の問題を解き始める。いい加減こいつにペースを乱されるのはうんざりだ。僕はいい大学に入って、一部上場のホワイト企業に入って、お金
に余裕のある、気持ちにもゆとりのある生活を送りながら好きなように生きるんだ。そのために勉強を重ねなくてはならない。そこで死んだふり
をしている馬鹿とは違うのだ。
「なんで無視するのさー」
むくっと起き上がりながら、構ってほしそうに文句を言っているが、無視。
この馬鹿の所為で週末の模試が悪い結果になったら一大事だ。
「帰って勉強しろ。それか早く寝ろ」
「うわぁ、偉そう」
「少なくともお前よりはまともな人間だからな」
「くそぉ……なぜ私はまともじゃないんだ……っ」
どんどんと床を叩いて悔しがっているアホを、僕は力づくで部屋から追い出す。未来がこうやって毎日僕の家に遅くまでいるのも、恋人として
見られる一因じゃないかと思う。別に拒絶するわけではないのだが、僕らはもう高校三年生なわけだし、いつまでも異性の幼馴染の家に来続ける
のはどうかと思う。その辺を未来はどう思っているのだろう。好きな人はいないのだろうか。まさか僕が好きとでも言うのだろうか? そんなの
テンプレートなライトノベルじゃあるまいし、ずっと一緒にいるからと言って幼馴染に恋心を抱くだろうか。
「くそー、追い出したところで毎日未来ちゃんがやってきますからね。バイビー」
少なくとも僕は、自分のことをちゃん付けする奴を恋人にしたいとは思わない。
※
僕と未来は家が近いこともあっていつも一緒に遊んでいた。
物心がつく前から親同士の交流が始まり、そして子供である僕らも自然と仲良くなっていった。未来の家に遊びに行くと、いつも二人の女の子
が僕を出迎えた。僕に向かって優しく手を伸ばしてくれる笑顔の女の子と、その後ろに隠れて僕のことをちらちらと見ている小さい女の子。
未来には『幸』と言う名前の二つ上の姉がいて、僕はその幸を含めた三人でいつも遊んでいた。もっと言ってしまえば、僕はいつも幸に会うため
に彼女の家に行っていた。最初に出会ったのが幸の方で、僕と幸は出会ったその日に公園で夕暮れまで遊び、それから小さい子がよく交わす
『大きくなったら結婚しよう』という義理すらもない軽い約束をしていた仲だった。未来はと言えば、時たま幸にくっついてくる恥ずかしがり屋
の少女といった感じで、幼い頃はあまり話したことがなかった。幼稚園生だった頃、小学校低学年だった頃、僕と未来はまだそんなに仲がいいと
は言えなかった。
そもそも僕にとって思い出せる小さい頃の未来のイメージは、とても引っ込み思案で、お姉ちゃんの服の裾を掴みながら、常にもじもじとして
いる恥ずかしがりの女の子の姿だ。あまり強く印象に残ってはいない。やはり姉の方の印象が強く、幸はあまり活発とは言えなかったけれど、
物おじしない性格で、言いたいことはちゃんと言える子だった。明るい性格で、いつもみんなを笑わせていた。まさに僕らのお姉ちゃんという
感じの人物だった。そして僕は密かな恋心を彼女に抱いていた。
だが僕の恋心は行き場所もなく、宙空をさまよう事となった。僕と未来が小学三年生の時、幸が五年生の時に、幸が血小板減少症と呼ばれる
病にかかって、失血死した。彼女は半年ほど入院していたが、容体は日に日に悪くなっていき、紫色の斑点が体中にできるようになり、最後は
自分の体に爪で引っ掻いたたくさんの傷を残し、死んでしまった。彼女から流れる血の量に、彼女の体で生み出される血が追いつかなくなったのだ。
爪で引っ掻かないよう彼女は体中を縛りつけられたが、それでも彼女の体からはどんどん血が流れ出した。
僕はほぼ毎日、彼女の見舞いに行った。ベッドの傍らにはいつも未来が心配そうに見守っていて、泣きそうな表情で幸に話しかけていて、むし
ろ病気である幸の方が、心配する未来を宥めたりしていた。
僕らは面会謝絶になる日まで彼女の元に通ったが、とうとう治療の効果が出ることなく亡くなってしまった。僕らのそれからの日常はぽっかり
と穴が開いたように、空虚なものとなった。
そう言えば、幸が入院している時にふと言った言葉を今でも思いだすことがある。
「私は幸って名前のくせに、こんな不幸な病気で苦しむなんて、何だか名前を全否定された気分だよ。神様も意地悪だよね。もっと私が幸せに生
きられるようにしてくれればいいのに」
彼女は冗談めかしてそう言ったが、しかし僕はどう反応していいのか分からなかった。笑ってしまえばそれを認めてしまうことになるし、黙っ
ていても彼女が場を明るくしようとして言った言葉を無視してしまうことになる。僕は曖昧に笑って「大丈夫だよ、治った例だってあるんだから」と、
気休めにしかならない、まるで役に立たない科白で誤魔化す事しか出来ずに、その後は沈黙するしかなかった。隣にいた未来も何も言えずにただ
俯いていた。幸はそんな僕らを気遣うように、「うん。早く治して、またみんなで山登り行きたいなあ」と呟いた。その日の一週間後辺りから、
幸の容体はどんどん悪化していった。それから一か月して、苦しみながら死んでいった。
だから僕と未来は、同じ空虚さを共有する、代えがたい友だった。大事な人を失くした思いを共有する友人。お互いに殻にこもらない様にもた
れ掛かり合っている、そんな関係なのだ。馴れ合いでもないし、傷の舐めあいと言うのもちょっと違う。
お互いの日常にぽっかりと空いてしまった穴を、僕らは二人してなんとか、くだらないことをして埋めようとしている。だってそれ以外に僕らが
立ち直って普通に生活していく方法はなかった。未来はかつての姉の様に頑張って明るく振舞おうとしていたし、そして僕はと言えばそんな未来
に幸の姿を時折重ねて、かつての明るい日々を思い出しながらまともに生きていけるように、勉強をして就職をしようとしている。僕と未来が一
緒にいるのは、そんなネガティブな理由によるものなのだ。だから僕が未来に恋をするのは失礼だと思っているし、未来だって僕のことを姉が開
けた穴を埋める代わりの存在として見ているのだと思う。消えてしまったお姉ちゃんの代わりの、お兄ちゃんとして見ているのだと。だが僕にと
っては、その空虚さから生まれたネガティブな関係は心地よかった。
幸が死んだとき、僕らは二人とも、ショックで学校を休み続けた。食欲など湧かなかったし、ベッドから起き上がる事さえも億劫だった。力や
生きる気力が湧いてこなかった。
僕の中を占める大事な核、僕の日常にあった僕を形成する大切な存在が、一瞬で消え去ってしまって、そして残った日常だけが絶えずに僕の元
にやってくる感覚だった。空っぽで無機質な日常がやって来続ける恐怖。目が覚めて朝が来ようが、核がないのだから僕はもう動けない。幸がい
ないのなら、僕はもう生きていたって意味がない。
だって僕は毎日、幸と一緒に居たんだ。遊んでいたんだ。手を繋いでいたんだ。こっそりキスだってしたんだ。将来は結婚しようとだって約束
したんだ。それなのに、そんな大切な存在が唐突にいなくなったと言われたって、どうしろと言うんだ。残された僕はどうしろと言うんだ。
そんな日々が一か月ほど続いてから、僕はふと、そう言えば妹の未来の方はどうしているのだろうと、思った。彼女も僕と同じ悲しみを共有す
る者じゃないか、と。
僕は幸のいない幸の家に行った。
玄関には彼女の母親が出た。彼女も娘が死んで悲しいだろうに、僕の前ではその姿を見せまいと凛と立っていた。
「未来もね、ずっと学校をお休みしているの。ねえ、もし良かったら、少しでもいいから未来とお話ししてあげてくれないかな。未来はずっと部
屋から出てこないで、お姉ちゃんが大事にしていた人形を抱きしめてるの」
母親にそう頼まれ、僕自身も未来と同じく悲しんでいたけれど、憔悴状態の未来と会うことにした。
未来は食事をまともに取らなかったのか、痩せ細っていた。以前僕らが遊んでいた時の影は、もうそこに無かった。ただベッドに寝そべって、虚空を見ながらウサギのぬいぐるみを抱きしめているだけだった。
「未来ちゃん」
僕がそう呼びかけると、焦点の合わない目で僕を見た。
「迎えに来たよ」
僕は脈絡もなくそう言った。自分でもなぜ言ったのかは分からなかった。だがそれは、僕が二人と遊びに出かける時に、いつも言っていた言葉
だった。彼女の家の玄関先で、出てきた幸と未来に向かって、二人の手を取るために言っていた言葉。
その言葉に対して、未来は微かに頷いた。しかし、意味が分かって頷いたというよりは、ただ反射的に頷いたように見えた。目の焦点が僕に結
ばれているのかすら怪しいものだった。しかし未来が無意識であっても、まだ僕のことを拒絶せず、過去の思い出を拒絶せずにいたことに、僕は
安心したのだった。
その日から、僕らは少しずつではあるが会話をするようになり、お互いの胸に空いた穴を埋めあうようになった。未来はかつての姉の様に。
そして僕は、かつて幸と一緒に居た時の僕の様に演じた。それはとても歪んだ関係ではあったけれど、その演技をすることによって僕らは立ち直
る事が出来た。そしてその歪な演技は、今でもしっかり続いている。
※
大学受験に失敗してからというもの、僕は以前のように振舞えなくなっていた。未来の前でも、お兄ちゃん然としていられなくなった。まとも
に生きようと思って勉強したのに、社会にそれを拒否されたような、そんな卑屈な気分だった。滑り止めの大学にさえ落ちて、僕はもうやる気を
失っていた。やる気、というか生きる気力。
もはや自分が何のために生きようとしているのか、なんのためにまともになろうとしていたのか、それが分からなくなって、僕は家に引きこもり
ながら、適当に絵を描いたり、小さな劇団に所属してはすぐにやめたり、小説に挑戦しては己の才能のなさに呆れたりして、傍から見れば落ちぶ
れた人生を歩んでいた。
「もぉー、またカップラーメンでございまするかあ」
我が家に入り込んできた未来は、僕のボロアパートの流し台を見ながら、おどけた口調でそう言った。こいつは頼んでもないのに、勝手に合鍵
を作って、ほぼ毎日、自堕落な僕の面倒を見にやってくる。数少ない知り合いには通い妻だとはやされるが、こいつは己の心を保つために、こう
やって僕の世話をしているだけなのだ。
「いくらサプリメント飲んだって、カップラーメンばかりじゃ体に悪いでおじゃるよ!」
「うっせ」
「まあ! いつからそんな口をきくようになったのでござるか! まったく、ぷんぷんでございまするな!」
「その口調止めろ」
「承知いたした!」
僕はもう面倒臭くなって布団に寝転がった。
未来は今、保健の勧誘の仕事をして月に三十万近くを稼いでいる。頑張れば頑張っただけ報酬がもらえるその職業は、明るく人々に接すること
に慣れた未来にとっては、うってつけの職業で、最初こそ契約が取れずに怒られていたものの、今では地域の中でも契約件数をたくさん取るよう
になって表彰をされるようになった。正直、そのお金で買ってきた食材やら服やらその他もろもろで、僕は生活することが出来ている面もある。
要するにヒモだ。一緒に住んだらいいのに、と未来からも言われるが、さすがにそこは変なプライドがあって、未来の稼ぎで世話になるのは自尊心
が許さない。なんて、こんな僕が言うのも説得力がないが。
「もぉー、いつからこんな子になっちゃったんでしょうねー」
寝転がった僕の頭を撫でながら、彼女はまるで母親であるかのようにそう言って、僕の耳元にキスをした。僕はその行為に驚き、ばっと顔をあげた
彼女の方を見遣る。彼女は悪戯っぽく笑みを浮かべて、台所の方に向かった。
「まったく何なんだ……」
僕はそう呟きながら、寝転がってスマートフォンのアプリゲームを起動する。
※
三十路手前になって、僕はもう己の人生の空虚さに耐えきれなくなった。生きている意味も感じられなくなり、将来への希望も感じられずに、
就職することも出来ずに、無為に日々を消費していく生活に嫌気が差したのだ。
僕はふと思い立って、死ぬことを決めた。自殺をすると心に決めた時から、僕の心は晴れやかになった。そしてその気持ちのまま、鬱々とした
気持ちに戻らないうちに、死んでしまおうと思った。こんな真っ暗な生活を続けるのはもう嫌だし、この自堕落は治りそうにない。そんな太宰治
的な感傷のままに、僕は酒を浴びるほど飲んでから家を飛び出し、夜の街をふらつきながら河川敷へと向かった。
家から歩いて十分ほどの場所にある河川は、偶然にも一昨日の台風の影響で、流れが強く水かさが増していた。自殺するにはもってこいの場所
だった。夜が明ける前に早く死んでしまおう。人が通りかかったら、こんな生きている意味もない奴でも、何の生産性のない僕のようなクズ人間
に対しても、自殺を止めようと試みるだろう。そんな偽善はうんざりだ。僕は早く死んで、こんな意味もない世界とはおさらばするんだ。
僕はごうごうと音を立てながら流れる川のへりに立って靴を脱いだ。そう言えば遺書なんか用意していないけれど、どうだっていい。僕はその
まま両手を広げて、夜風を浴びながら川に向かって倒れ込もうとした。
が、その腕が川とは逆方向へ引っ張られた。
「そっちはお姉ちゃんのいる方だよ」
未来が僕を引っ張っていた。
「そうか。じゃあ手を放してくれ。僕の向かう方はそっちなんだ」
「そうじゃないでしょ」
「は?」
未来はいつになく、きっと睨むように、怒っている表情で僕を見ていた。
「ねえ、いつまで自分に酔ってるの?いつまで感傷に浸り続けてるの?いつまで自分の駄目さ加減に溺れ続けてるの?いつまで昔の自分を演じ続
けているの?いつまでお姉ちゃんのいない世界を引きずってるの?もうそこからは卒業しなきゃ、駄目だよ」
未来は強く僕を引っ張って、僕と一緒に土の上に倒れ込んだ。
「なんだよ。お前も同じじゃないかよ。お前もずっと幸の真似して生きてるんじゃないかよ。それなのに何を偉そうに。お前だって俺と一緒じゃ
ないか」
「もう! なんでわかってくれないの!」
唐突に、未来はそう叫んで、寝転がっている僕に覆い被さって僕の顔を掴んだ。
「そんなの、あなたが好きだから気を引こうと思ってやっていたに決まってるでしょ。馬鹿じゃないの?お姉ちゃんがいなくなって空っぽになっ
ている私を、あなたが救い出してくれたから、そんなあなたがやっぱりどうしても好きになってしまったから、だからどうしても気を引きたくてお
姉ちゃんの真似をしたに決まってるじゃない……」
※
僕らは言葉もなくそれぞれの家に帰った。
その日から未来は、僕の家にやって来ても喋らなくなったし、ただ黙って家事などをこなして、僕の顔を見ようともしなくなった。
僕は週に二度ほど工場のラインの作業のバイトをするようになった。未来が僕に恋愛感情を抱いているのは、僕も気が付いていたはずだ。ただ
僕が認めたくなかっただけなのだ。姉の代わりとして見ていた女の子を、恋人にするなんて、それは都合がよすぎると思っていた。幸に対しても
未来に対しても失礼だと思い込んでいた。あれから一ヶ月が経った。僕はもう死ぬ気すらも起きなくなっていた。それは恐らく、僕のことを必要と
してくれている人がいることに今更ながらに気が付いて、せめてその人のために生きるくらいはしてもいいかもしれないと、思ったからなのだろう。
僕にとって生きるのは辛い。ましてや僕を思ってくれていた人が僕に笑顔を見せなくなった。でも、僕はもう過去を引きずってグダグダと生きるこ
とを、そろそろやめなくてはいけないのだろう。明るい彼女の方に向かって生きなければいけないのだろう。
ある日の深夜。仕事から帰ってくると、何事かが書かれた紙が居間のテーブルに置かれているのが見えた。その紙を拾って中を読んでみる。
『果たし状。あの時の河川敷で未来は待っている』
そう書かれていた。僕は駆けだすように家を飛び出して、河川敷へと向かった。
※
月が西へ大きく傾いている中。街灯のほとんどない河川気にやって来るも、そこに未来の姿はなかった。悪戯だったのか、と思ったところで、
僕の背後から、僕を包み込むように何者かが手を伸ばしてくる。僕はその人のことを見た。未来が笑顔で僕を包み込んでいた。彼女は僕にのしか
かりながら、転がるように地面に倒れ込んだ。僕と共に。
「いつまでもやってこない朝を迎えにきました」
彼女は、とても恥ずかしそうに言った。
「暗闇に閉じこもっていつまでもやってこない朝を迎えに来ました」
夜の闇がすっと引いていく時間。川向こうの景色、海岸の遠く向こうでは微かに紫色の光が、夜空と混じりあっている。
「いつまでもうじうじとしている朝を。どうしようもなく卑屈になっちゃう朝を。私の大好きな朝を迎えに来ました」
彼女は幼い時の様に、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに照れながらそう言った。
「好きです。朝くん。どうしようもなくあなたのことが好きです」
そうして僕の元へ伸ばされた未来ちゃんの手を、僕は握った。暗い性格を皮肉っているようで嫌いだった僕の名前が、こんなにも愛を込めて呼
ばれている。その温かすぎる愛情に、僕はなんだか、みっともなく涙が零れそうだった。子供みたいに泣きじゃくりたい気持ちで、誰かに甘えてし
まいたい気持ちで、今まで溜め込んでいた涙が、零れそうだった。
「未来はちゃんと朝を迎えに来るんだから」
僕はなんだかその気取ったようなくさい台詞に吹き出しながら、それでも初めてしっかりと向けられた抱えきれないほどの愛情に嬉しくなって、
彼女の手に引かれながら僕は立ち上がる。
僕は息を吸い込んだ。迎えに来てくれた優しい未来のためにも、僕は勇気を振り絞って言わなければいけないことがある。
僕はきっとあなたを幸せにします。と。
未来の方を見ながら、未来だけを見つめながら。
いつか幸の墓標の前で、そのことをしっかり報告しなければいけない。それが僕らのけじめになるだろう。どうしようもない二人を幸はあの時の様
に、笑ってくれるだろうか。駄目な妹弟を持ったお姉ちゃんがそうしていたように。
「なあ、未来――――」
僕らは幸せにならなければいけない。それが生きる者の償いである気がするのだ。
投下終了です。
ありがとうございます。
まだ三作……!
まだ間に合います……!
投票期間:10/12 (日) 00:00 ~ 10/18 (土) 23:59
集計発表:10/19 (日)
No.01 わかってくれとは言ってない(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/86.html
No.02 ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq
http://text-poi.net/post/hogeotensai/5.html
No.03 なあ、未来(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/12.html
No.04 世界はディスコミュニケーション(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/49.html
No.05 わかってくれないよ!(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/18.html
No.06 嗚呼神保町(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/3.html
No.07 完全犯罪(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/14.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
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・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
No.01 わかってくれとは言ってない(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/86.html
ほんとに意味わからんがな!
最初は良い雰囲気だっただけに!
No.02 ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq
http://text-poi.net/post/hogeotensai/5.html
どうなのだろうか?
なんとなくブレードランナーを思い出すのだが、こういう人間を超越した存在みたいなのって書き方が難しい気がする。
超越しているというよりは、単に文化的に未成熟な気がするのよね。
人間を超越した存在を描くって、たぶん永遠のテーマだよね。
No.03 なあ、未来(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/12.html
最初から最後まで話としてはできているのだが、こうあんまり心に来るものがなかった(´・_・`)
もう私的には未来ちゃんがいたら十分幸せで、それを30手前まで引き延ばす主人公爆発しろみたいな感じだったけど(´・_・`)
主人公が大学受験に失敗して心がぷっつんするあたり、あまり必然性が感じられなかった。
例えばお姉ちゃんや未来ちゃんの話は回想で一気に説明するんじゃなく、お話の中で、例えば大学受験に失敗して主人公が落ち込む、その後で未来ちゃんとの会話があって、その中でふたりのバックグラウンドを徐々に明かしていくみたいにしたほうが、主人公や未来ちゃんの人間性に厚みが出て生き生きしたんじゃないかな。
難しいこといってるけどね(´・_・`)
No.04 世界はディスコミュニケーション(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/49.html
お、おい、これもわけわからんぞ……
実はこれSFとかファンタジーとかそっちの部類なのだろうか……
No.05 わかってくれないよ!(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/18.html
これはまた難しいものを……(´・_・`)
ある会社の中での話かと思ったら、なんだか文壇的な話になっていったな。
陰険女は小説家なのか。この話の語り手はボロクソ言ってるけど、それなりに有名らしいから、本当に実力がないのかどうか判断できん(´・_・`)
ひとつ気になったのは、笑いを取るというところ。
むかし中谷美紀が「人に泣いてもらうのは簡単なのだけど、笑わせるのは……」みたいなことをしゃべくりセブンで言ってた。それはどうなんだって当時思ったけど(´・_・`) 笑わせるのもなかなか難しいことだと思うのよね。
No.06 嗚呼神保町(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/3.html
彼の心の内はわからんでもない。
というか私か(´・_・`)
いきなり目当てのものが見つかると、ちょっと敬遠したくなるのよね。
まあほのぼのとしたいい話だな。
No.07 完全犯罪(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/14.html
え、え?
面白くなりそうなところで終わってしまった!
静香ちゃんの繊細さがうまく読み取れなかったよ!
まあ可愛かったけどね(´・_・`)
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:なし
気になった作品:No.06 嗚呼神保町(すずきり)
No.07 完全犯罪(muomuo)
********************************************************
……みんな、このお題難しかったのかね。
出せなかった自分が言うのもアレだけど(´・_・`)
私がBNSKの作品について第一に求めていることは、とにかくお話になっているかどうかです。
今回の作品はどーもメタ的というのだろうか? 読者までよくわかんないような作りになっているというのは個人的にアウトだと思うのよね。
で、個人的に評価の対象として残ったのはNo2,No3,No6,No7。
話にオチをちゃんと付けてきたNo6と、静香ちゃんの可愛さを最後に出してきたNo7が一歩抜き出たかなと。
しかし今回出せなかった自分、本当に残念だな(´・_・`)
なんか心がいつまでも空っぽだものな(´・_・`)
>>191
自分も今読んでいる最中なんだけど今回ちょっと珍妙な作が多いなww
オラにお題を送ってくれー!
流星
1わかってくれとは言ってない・茶屋氏
面白いか面白くないかで言えば面白くない。語り部が読者に語りかけて来る形式は自分の作と似通っていておやと思った。後半の君手摩擦氏のごにゃごにゃしたトークをもっとぐっちゃぐちゃ読者を辟易させるぐらいにやってくれたら個人的にはある程度の満足が得られたのではなかろうか。
2ディヴァイジョン・◆veZn3UgYaDcq氏
もっとこの物語を読みたかった!というのが読了後の感想。SFの中でも好きなジャンルのもののようだ。
*で挟まれた部分は教科書とか新聞とかの文章的で、設定をストーリーを媒介せずにひょいと放り投げたようなもの。映画とかでよくある、冒頭でニュースを放送しているテレビを映して「原因不明のウイルスで人々が暴走し・・・」って世界観を説明するようなやつ。アレと同じで、手っ取り早く世界の説明をするには簡便で良い。しかしその説明に対して本ストーリーは無きが如しで、短い。
コンピュータが人間を越えるというSFもよく見るけど、そういう「よく見る筋の話」っていうのは、その筋の物語をどういう切り口で描くのかが大事なんではなかろうかと思う。
人間の感情を得て進化しようとする、というストーリーで言うと、プロヤス監督の「ダークシティ」という映画がある。かなり面白い映画なのでオススメです!
3なあ、未来・木下季花氏
依存関係っぽい人間関係の話は苦手なんだあ・・・等と思いながら読んでいた。共通の知人を失って、というとノルウェイの森なんかを思い出すけど(内容は似てないけど)、この小説はあれほど乾いた感じには描かなかったと見える。むしろセンチな感じで幸の死への述懐を書き連ねている。それが主人公「僕」にとっての問題になっておるようだ。
なんといっても「未来」という名前付けが非常に良い(「朝」もこれが実名ととって良さそう)。書き出しの「未来からメールが送られて来た。」とか『果たし状。あの時の河川敷で未来は待っている』とかが、当然「時制の未来」を連想させて、実にいい味が利いている。
4世界はディスコミュニケーション・しゃん@にゃん革氏
シャブでもキメながら書いたのか?
5わかってくれないよ!・大沢愛氏
紫式部と清少納言みたいな(笑)。紫日記の和泉式部への悪口とかそういうのも連想致しました。勿論、本文だけではそういった元ネタがあるのかはちょっと判然としないけど、示唆しているのかも、と思わせられた。女の女への悪口って面白いですな・・・端から見るぶんには。
6
拙作であるが、読み返すと文がろくに書けていない。心の分身甲の最初の台詞「これを買ってしまおう」という部分が「これを買ってしおう」になっている。あと全集が三千五百円で売られているという描写を書きはぐったのでいきなり乙が「三千五百円の全集」とか言い始めていておかしい。最後の節でも「誰かの手のうちに渡ってしまった」より「渡ってしまっていた」と過去完了にすべき。あと冒頭の語りとかが何の意味も成していない。なんなんだ。
7完全犯罪・muomuo氏
これまた続きを読ませて欲しいものだね。あるいはこの一コマを抜き出して小説にするというのが面白いのかもしれないけども。具体的な指摘ができないのが口惜しい限りなんだが、なんとなく文体が好ましい。これがリーダビリティという奴なのか・・・。
>>195
感想ありがとうございます!
たぶん投票はてきすとぽいでしてもらえたのかな?
品評会の投票は本日締め切りです。
まだまだみなさんの投票お待ちしています!
1:わかってくれとは言ってない(茶屋氏)
日常の中にある何気ない男女の会話から始まり、その男女が己らを小説の虚構人物として分析していくという書き方はとても面白いと思いました。
メタフィクションとして、小説世界の中に存在する自分たちの会話を、虚構としてどのように書くべきかを言及し合い、
その結果、流行りの異世界モノとして続きを書いてはみたものの、自分たちのいる小説世界が手におえない物となった。
最後は読者の想像力に託して、いきなり読者を突き放す、というオチもこの小説の終わり方として良かったように思います。
何と言いますか、自分を皮肉ったメタフィクション小説として、個人的には面白く読まさせていただきました。
君手摩さんの語りの部分が勢いがあり、一番面白いんですよね。
彼のテンポのいい語りが好きでした。
2:ディヴァイジョン (◆veZn3UgYaDcq氏)
あまりSF作品を読む習慣が無いので、そのような無知な視点からの感想と批評になってしまいますがご容赦ください。
冒頭にて、人間側がヒューマノイドを研究していると思わせておいて、実はヒューマノイドこそが人間を研究しているというオチですね。
ただ、世界観・設定の説明箇所からが一本調子だったために、せっかくの企みと言いますか、オチが予想しやすくなってしまっている気がしました。
読者側をミスリードさせようという仕掛けが、もう少し組み込まれていれば面白かったかもしれません。
文章に関しては、途中で専門用語を使い世界観を長々と説明してしまっている部分が読みにくかったです。
もちろん9000字以内の短編ですので、難しいとは思いますが、エピソードに絡めてそのあたりを自然に説明できるとよいかもしれません。
私もよく頭にある世界観や設定を、そのまま説明的に書き出す癖があり、読んでいて楽しめないという指摘を頂くこともあるのですが
読者を小説に没入させなければいけない場面にて、そこを無機質な説明だけで済ませてしまうのは、よほど魅力的な設定を読者に提示しない限り難しいと思います。
小説において説明が半分以上を占めてしまい、この世界の中での物語がほとんど動かなかったのが、小説に没入できなかった原因かもしれません。
そのような設定が好きな人ならば良いと思うのですが、SFに興味のない人たちを長々とした説明で弾いてしまっている気がします。
もう少し、その作り上げた設定と世界観の中での物語を見たいと思いました。
3:なあ、未来 (自作)
あまり巧く書くことが出来なかったように感じる、駄作と言ってもいい小説です。
文章にリズム感が無い。演出が陳腐。後半からの展開が雑。ぐだぐだと心情ばかりを述べる。それぞれの章の初めを説明的な文章で誤魔化す。
改めて読み返してみると、自分の悪い所がたくさん出てしまっている小説な気がします。
この小説を書くきっかけですが、『未来が朝を迎えにくる』というフレーズが何気なく頭に浮かび、
幼馴染の未来ちゃんが、駄目な朝くんを迎えに行く小説を書いてみようというアイデア勝負で書いた小説です。
『未来』と『朝』、『幸』を掛詞として、それぞれの役割に振って書いてみたのですが、書いている本人としては楽しく書けました。
が、その楽しさや小説の面白みを読者の方まで伝えられたかと言うと、それは成功していないような気がします。
恋愛小説は自分にはまだまだ難しいです……。
そしてご指摘でも頂きましたが、もっとエピソードに乗せて、二人の関係を書ければよかったと思います。
4:世界はディスコミュニケーション (しゃん@にゃん革氏)
この小説を大仰な文体を使って、真面目な文学作品として書いたらどうなるのだろうと、そんな感想が浮かびました。
それっぽく見えるんじゃないだろうか。意味が分からないけれども、なにかすごく重要なメッセージが書かれているように見えるんじゃないだろうか。
あるいは文体をリズム良く、一つの段落に言葉がたくさん詰め込まれているような饒舌な語り口にすれば、
精神病的な人物が頭の中で考えていることを勢いよく読者に放り込む、酩酊感を味わえる小説になるかもしれない、
と、自分でも何を言っているのだろうと言うような読後感を抱きました。
多分それは、自分だったらそう書くだろうというだけのことなので、あまり気にしないでください。
しかしどうしても、この意味分からなさって惜しいと思うんです。
もっとふざけた感じではなく、意味分からないことを大真面目に長々と語っていたら、それはなにか奇異で面白味のある小説になるのではないかと
私は真面目にそう思うんです。
5:わかってくれないよ! (大沢愛氏)
清少納言や紫式部の時代の女性が書く作品は、現代のブログやSNSに通ずるところがあると、どこかで読んだのですが、
この作品もそれに似た面白さがあると思います。
歴史に詳しい知り合いが言っていたのですが、紫式部はクラスの隅っこで夢小説書いてる腐女子、清少納言はサブカル系好きなギャルに通ずるそうです。
清少納言は坊さんのお経ライブに行っては、バンギャ並みに、アイツは下手だ、アイツの演奏はなかなか痺れる、ちょっと追っかけするわ
等を書いていたと聞きました。
この作品が清少納言、紫式部に関係があるのかは分かりませんが、
当時の女性たちが嫉妬や心の内を、どうすることも出来ずに作品にしたためていた様が想像できます。
ライバルのアイツの様にはなりたくはないし、かと言って年下の天才には敵わないことを受け入れられるほどにその差を理解できてしまうから
自らは自虐的に笑いを取りにいくスタイルで生きていく。それこそが私のアイデンティティである。
多分、それが最後の一行にオチとして現れているのだと感じました。
その一行をつまらないと取るか、滑稽と取るかで、作品の評価は変わりそうです。
女性の軽妙な語り口と言うのは難しいですが、文体がもう少し、捲し立てるような勢いがあれば、圧倒されたのかもしれません。
あと、主人公がどの時代のどの立場から発言しているのかが、少しわかりづらかったです……。
カレッジとか、ポエトリーと言う現代の単語が出てきますし。
個人的には、名も残っていないかつての時代の女性を演じた大沢さんの一人称小説、と言う解釈で読んだのですが、いかがでしょうか?
6:嗚呼神保町 (すずきり氏)
近代文学的な文体をしっかり自分のものにしているという点で憧れます。
雰囲気もやはり、それっぽいんですよね。すごく好みの小説でした。
文章が巧く、文体も出来上がっているだけに、どんな物語でも読ませてしまう。
そこが強みでもあり、同時に欠点でもあるような気がします。
芥川の「偸盗」に天啓を受けた男が、神保町に芥川全集を買いに行き、最初の店で見つけたものの
自問自答している間にそれを買い逃す。
それだけのストーリーを、ここまで読ますことはすごいと思います。
ですが、強いて苦言を呈すとするのならば、やはり読後感が弱いと感じました。
もちろん私も偉そうに言えるほど実力が伴っているわけではありません。指摘にご気分を悪くされたならすみません。
その巧さに読んでいる時は浸ることが出来るのですが、読み終わった後に、心の中に良さも悪さも残らない気がするのです。
もちろんそのような小説が悪いわけではありません。そのように丁寧に展開された小説は世の中にたくさんあると思います。
ですがやはり印象的な場面。あるいは登場人部が読者に与える不快感。奇異な心情。強烈な思想。心を惹く表現。気持ち悪さ。
あるいは常人にはないような清廉さを訴える。美しさ。
そのような心に引っかかる描写があれば完璧により近づけるのに、と感じてしまいました。
7:完全犯罪 (muomuo氏)
うーん……評価が難しいです。
文体が以前よりも読み辛くなっているように感じました。
パソコンで読んだからか、変なところで段落が途切れていて、その所為もあるかもしれません。
その途切れている部分に何か仕掛けがあるのかもと思いましたが、判らず……。
最後の部分の、静香さんの本音がとても可愛らしいと思いました。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:なし
気になった作品:No.06 嗚呼神保町(すずきり氏)
前回もそうでしたが、一つ一つの描写が丁寧で、物語の着地までを細かく描いているので、関心票を入れさせていただきます。
********************************************************
品評会の真っ最中で申し訳ないですがお題ください
じゃあ「品評会」ってお題で
>>202
サンクス
本スレ
投 関
No.01 わかってくれとは言ってない(茶屋)
No.02 ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq
No.03 なあ、未来(木下季花)
No.04 世界はディスコミュニケーション(しゃん@にゃん革)
No.05 わかってくれないよ!(大沢愛)
2 No.06 嗚呼神保町(すずきり)
1 No.07 完全犯罪(muomuo)
てきすとぽい
投 関
1 No.01 わかってくれとは言ってない(茶屋)
3 No.02 ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq
2 No.03 なあ、未来(木下季花)
2 No.04 世界はディスコミュニケーション(しゃん@にゃん革)
1 1 No.05 わかってくれないよ!(大沢愛)
2 No.06 嗚呼神保町(すずきり)
1 No.07 完全犯罪(muomuo)
合計
投 関
1 No.01 わかってくれとは言ってない(茶屋)
3 No.02 ディヴァイジョン ◆veZn3UgYaDcq
2 No.03 なあ、未来(木下季花)
2 No.04 世界はディスコミュニケーション(しゃん@にゃん革)
1 1 No.05 わかってくれないよ!(大沢愛)
2 2 No.06 嗚呼神保町(すずきり)
2 No.07 完全犯罪(muomuo)
というわけで優勝は「No.06 嗚呼神保町(すずきり)」でした!
おめでとうございます!
優勝者は、本スレもしくはてきすとぽいの一覧コメント欄にて次回お題の提示をお願いします!
おめでとうお題ください
無敵
次回品評会のお題が決定しました!
お題:「忠誠心」
字数制限: 10000字以内
投稿期間:11/16 (日) 00:00 ~ 11/29 (土) 23:59
投票期間:11/30 (日) 00:00 ~ 12/06 (土) 23:59
集計発表:12/07 (日)
みなさんの投稿をお待ちしています。
私も次こそは……
品評会まで間があるしお題を一つ頂こう
あげてもた・・・
ならば「からあげ」
お題ください!
>>212
反則
お題!くれ!
焔
軽い小説書きたい。
軽いお題ちょうだいな。
簡単に覆せること
>>217
ありがとう。
君主と、家臣団の反目がまず浮かんだ。
お、おう
それが軽いお話になるならいいんじゃないか
お題下さい
現代版三顧の礼
投下します
僕は東京の或るビルの最上階にあるカフェでコーヒーを飲んでいた。そのカフェは夜になると居酒屋になるいわゆる二毛作
商売の店だった。
日は傾きつつあるが、まだ居酒屋に変身するには早い時間帯である。店内には慎まやかなコーヒー豆の香りが漂って、有線
ではジャズが流れていた。僕は窓際の席でカップから昇り立つ湯気越しに、眼下のビル群をぼんやり眺めていた。僕は色々の
事を考えた。それは主に自分の事、そして芸術の事についてだった。とは言え、とりとめも無い思いつきを無為に弄ぶばかり
で生産性は無い。
店内には疎らに客が居て、話し声が仄かに騒がしい。――仄かに? 僕は自らの思考に引っかかりを覚えた。「騒がしい」
というのは音の大きさにせよ量にせよ、それがある程度甚だしい場合に用いる言葉だ。そこに「仄かに」がつくのは日本語と
しておかしい。しかし騒がしいと感じた僕の主観的体験と、現実にそれほど周囲に音が満ちているわけでは無いという客観的
推測は、何れも間違ってはいない。これらの思考を総合して導かれる答えは、客観的には「仄かに」しかし主観的には「騒が
しい」ということだ。問題点は言語表現ではなく、視点が一定でないことにあったというわけである。あるいは、「騒がし
い」の中に段階を想定して、特に騒がしさの程度が低い場合に「仄かに」と付しても良いのかもしれない。が、本質的な問題
は店内の客達のちょっとした声すら騒がしいと感じる僕の過剰な神経質にあると言えるだろう。
僕は以上の様に、意味のない分析が勝手に始まって、思考の迷路に陥る事が度々あった。それは運動不足の身体を動かした
い衝動みたいなもので、普段働く切っ掛けの無い脳が運動不足を訴えているのだ。従ってどうでもよい事象に取り組んでは空
虚に思考を回転させるのである。コーヒーは静かに味われるのを待っている。湯気は愛想をつかして何処かへ去ってしまって
いた。
西日に照らされてビル群は薄っすら朱に染まりつつある。カラスが時々空を舞う。ビルの側面擦れ擦れを飛ぶカラスの影が
ビルに落ちている。その為にまるでカラスが仲良く二羽並んで飛んでいる様に見える。ビルの前を通過してしまうと、影は落
ちるべき先を見失って姿を消す。カラス自身はそんなことは気にもしないで悠々と飛びすさった。
「お客様」
僕の肩越しに店員が話しかけてきた。何事かと散らばっていた意識を集中させてみると、店内には揚げ物の香りが、有線で
は陽気なポップが流れ始めていた。カフェの営業は終了してしまったと見えて僕はちょっと狼狽えた。長居しすぎたろうか。
「どうぞ。こちらサービスとなります」
しかし店員は僕の動揺をよそに、小皿をコーヒーカップの横に置いた。から揚げが二つ乗っていた。僕の目の前にまた湯気
が立ち上がる。
店員はカフェ用のメニューを下げ、居酒屋用のメニューをテーブルに置いて「ごゆっくり」とにこやかに立ち去った。店員
の後ろ姿を目の端で追ってみると、店内の僅かに残った客に無料でから揚げを配っているらしい。僕は、そろそろ立ち去れと
言われるとばかり構えていたから、随分ほっとした。世界は思い込んでいるより遥かに優しい、などと内心嘆じた程である。
嘆じたついでに、から揚げが「ここにいても良い」という許可証にも思われた。僕は或る幸福感を覚えた。それは旅行から
自宅へ帰った時の様な無償の安心感と似ている。
日は落ちかかっている。もはや陽光の残滓がビルの隙間からわずかに漏れ出ているばかりで、宵闇が世界に広がりだしてい
た。窓ガラスは、焦点を変えると鏡のように僕の顔を映し出した。
「すみません」
と、声が上がる。僕は現実に引き戻される。別の客が店員を呼んだのだ。から揚げの味に誘われてか、酒の注文をしてい
る。そうか、と僕は気が付いた。
から揚げは店員の気配りでも、心優しさでもない。店内のコーヒーの香りを打ち消す為、そして客にから揚げを当てに 、酒
を注文させんとする一つの経済的作略なのである。僕はおぼろげにアダム・スミスの言葉を思い出した。
「貴方が今夜美味しい食事にありつけるのは、貴方のために作っているからではない」
皆利己心のために作っているに過ぎない。このから揚げも。
僕は何となく気分が冷めて、センチメンタルな自己内省を止めた。好い加減に長居が過ぎるというものだ。湯気立ちのぼる
二つの利己心を食べて、席を立つ。
冬が迫っているらしい。僕は白い息を吐きながら、帰路を歩んだ。
おわり
心優しい感想を御待ちしています・・・・
>>223
読みました。綺麗で読みやすい文章だと思います。内容も考えさせるところもあるし。
短い作品にこれ以上を求めるのは酷かもしれませんけど、主人公の人となりとか悩みとかがもっと見えてくるといいかもしれません。
何故彼は「許可証」を望んだのか?何故「利己心」に落胆したのか?
カラスのくだりなんかはそれをもっと表現できそうなんですよね。
僕=カラスの影、みたいな構図があるように思えたので、僕が「影」であることに必然性というか、
何か彼が考えていることを出してくれたら、とても良い短編になるのではないかと思いました。
もしかしたら「仄かに騒がしい」のところにもそれが表現されているのかもしれませんが、私には読み取れませんでした。
お題ください
>>228
洞穴
>>223
作者としては彼がイメージできているんだと思います
読者としてもなにか深く考え込む人というイメージはつかめました
印象としては、永井龍男「胡桃割り」にも似た、しっとりとした深い雰囲気が見受けられ、それは好ましかったのです
ただ、その思考の内容が取り留めなく乱雑なので、彼という軸は見えないまま単に色々考えている人としか分かりませんでした
まあ、じゃあ物語にもキャラにもそうと分かる軸を一本常に通せるのかというと、なかなか難しい問題でありますし
書いていて自覚されているかもしれませんが
だからこそ、やっぱりこの点が目立つねと伝えておくのが、次の作品に有用な感想かと思いました
最後に、「仄かに騒がしい」に対する彼の思考の帰結は「岩に染み入る蝉の声」へのアンチテーゼだったのかが気になりました
という事で、お題ください
>>231
隣人
>>232
把握しました
投下します。お題:隣人で、3レスを予定しています。
ここは音大生が集う防音マンション。
近くに音大しかないという訳でもないけれど、楽器用の防音設備が整ったここは、
音大生の支援を前面に押し出しているのもあって、一般の人は滅多には入ってこない。
入居前に見た不動産屋での契約書では、周囲の音は頻繁に防音設備の限界を
超える旨が記載されていた。楽器を扱うものなら誰もが実感と知っているそれは、
知らない人達から見ても多くの場合は余程の事だと分からずとも察せられるらしい。
壁やドアがいくらしっかりしていても、締め切った窓からも音は漏れるし、お風呂や
キッチンの換気口がそれを助長している。何より本格的な楽器の音は大きいものなのだ。
締め切った窓から響いてくるのは、めいめい好き勝手な曲と楽器の音。夜を徹し
て流れる音もある中で、僕らはそれを子守唄に眠りつく。壁に吸い込まれた音は、
聞こえなくなっても振動となり鉄筋を揺さぶる。それを揺り篭にして僕らは夢を見る。
そんな中でも曲に集中するのはそれほど難しくはない。締め切った部屋で楽器を
鳴らせば、外からの音が聞こえなくなるわけでもないけれど、その殆どを押し流して
自分の曲の空気が部屋に満ちる。
聞こえてくる曲のメロディやテンポを無視して塗りつぶす。そういう豪快な考え方が
このマンションでは一般的で、その手法で繊細なピアノ曲を奏でる人もいたりするから、
音楽とはわからないものだ。
分からないけれど、それも所詮は自分の為のリズムと強弱で……。
バンドのドラムの様に、周りに合わせる音などは滅多にあるものではなかった。
隣に入った新しい入居者の楽器を直接は見たことはない。それでも響いてきた
重低音から僕はその正体を察した。
上の階や下の階も含めて、比較的近くから曲が響き渡った時に、ドラムの様な
鈍い低音が断続的に響き渡るようになった。
意識的なのか無意識のうちなのか、好き勝手なリズムを打ち鳴らしているようで、
その実は周囲の曲にあったリズムで響いてくる。
僕がギターを弾いたときもそうだったし、バイオリンにもピアノにもクラリネットにも
平等に、その低い音は自由に、それでいて合わさる様に響き渡った。
いつしか、無意識の内にこちらのリズムも隣の住人の音に合わさっているのに気付く。
アップテンポもスローテンポも好き勝手に踏み潰す様な響きなのに、その深い音が
こちらの曲に重なってきているのか、それともこちらが合わさってしまったのか。
流されるようにセッションが行われる日が続いた。
それは僕だけではなくその周りも同じ様で――ああもう負けを認めよう――基盤
となる低音のリズムが周囲の空気を支配して、いつしか僕らはそれを仲立ちに更に
遠くの人とも音を重ね始めていた。
それがとても不思議なことに、曲調はそれぞれ違い到底和音にもならないのに、
僕らは好き勝手な選曲をしているのに、それでもどこかしら重なっていた。
これがドラマーの実力かと仄かな嫉妬すら覚えながら、今日もまた、僕らはその
深い響きに導かれ、各々が色取り取りの別々の曲を一つに織り上げるように響かせる。
隣の楽器を直接は見たことはない。それでも響いてくる重低音から僕らはその正体を察している。
恐らくは、手で脚で、時には肩で頭で、使う道具は箒や物干し竿で、両隣や階下
や階上へと部屋の壁や床や天井を叩いているんだろう。
滅多にない新鮮なやり取りを餌に俺達はテンションを高ぶらせる。
ここは音大生が集う防音マンション。
一般の人は滅多には入ってこない。
今日もまた、滅多にあるものではなかったその深い響きに導かれ、僕らは色取り
取りの別々の曲を一つに織り上げるように響かせた。
終幕
以上です。お目汚し失礼しました。
実際の音大生はソンナコトシマセンデスネ、ハイ。スミマセンデシタ。
お題下さい。
バックミラー
>>235
北野武の「座頭市」の鍬を下ろす音や大工の鉋がけの音が徐々にリズムを刻んでbgmとシンクロしていくシーンを思い出した。
あとちょっと違うけど「ジャズ大名」のジャズセッションシーンとかも連想した。
これを読んでいても感じたんだけども、演奏のつもりでないものが演奏になって行くのって不思議な快感があるというかそれだけで楽しい気分になりますね。
数分のショートムービーにでもなりそうな作品だなと感じました。
>>241
優しさ溢れる感想をいただけて、嬉しさを通り越して汗顔の極みッ!!
ナニ馬鹿なこと書いてんだとお叱りを受ければ御の字で、ツッコミの嵐を覚悟していただけに……。
少し違うけど、猫の背中をポンポンするのと振られた尻尾がぽふぽふしてくるリズムが合った感覚なども良いですよね。
短編として一応の形になっていると伝わったのは素直に嬉しいです。感想ありがとうございました。
品評会、投稿期間がこっそり始まっています。
犬の愛(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/4.html
双頭の獅子(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/93.html
阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
http://text-poi.net/post/_latefragment/33.html
11/29が締め切りです。
皆さんの投稿お待ちしています。
私は今週土日に書く予定……
品評会、投稿の締め切りは11/29ですが、これまで5作品が集まっています。
犬の愛(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/4.html
双頭の獅子(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/93.html
阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
http://text-poi.net/post/_latefragment/33.html
契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/34.html
子供時代(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/15.html
私は今回早めに投稿できました……!
投稿期間はまだまだ続きますので、何か書いてやろうかなという人は是非! 是非……!
投稿お待ちしています。
てきすとぽいの方でエラーが出るので、こちらに投下させていただきます。
品評会作品です。
これはまったく本当にうんざりすることなんだけれどさ、例えば日曜日の朝に君は、そうだな、午前十一時半くらいに目覚める予定だとするだ
ろ。もちろん平日は学校に通っているから朝の六時半くらいには起きてなければいけないんだけれどさ、休日だから午前中は寝ていても大丈夫な
わけだ。だから午前中たっぷり寝ていようと君は意気込んでベットに入って目を瞑り続ける。でもそうすると必ず、変なタイミングで、例えば朝
の八時十七分とかに君のママが起こしに来るんだよ。それも必ず理論も何もあったものじゃないくだらない言い訳を引き連れながらね。例えば今
から掃除をするからさっさと起きなさいだとか、朝食を片付けなければいけないからいい加減に起きてちょうだいだとか、このママのくだらない
言い訳に関しては僕はもうあと千個くらいびっしり挙げられるけれどさ、とにかくママは後回しにできるような用事を伴って僕の休日のリラック
スタイムをぶち壊すべく僕の部屋に入り込んでくるわけなんだ。眠っている僕を叩き起こしにね。いや、何も僕はママのことが嫌いだとか、執拗
に責めたてたいとかいう気分ではないんだ。ただそうやって起こされた時に僕はいやに感情的になって、それこそママを何よりの敵だと思い、殺
してしまいたいくらいにイライラさせられちゃうってだけの話でね。
とある学力テスト明けの休日にも、ママは例のごとく、三流のコメディー弁護士でも使わないような理論を用いて僕の部屋の戸をノックもせず
に開けたわけだ。「ねえ、妹が部屋から出てこないのだけれど」と言いながらね。もちろん突然起こされた僕としては、イライラするわけだよね。
僕は口を開きながら母親に向かって、知らないよ、そんなこと僕が知るわけないだろう、そもそも何で朝っぱらからそんな理由で起こされなくち
ゃいけないんだよ、妹のことぐらい妹の好きにさせてやれよ、それは彼女の人生なんだし、せめて休日くらい彼女の好きにさせるべきだよ、彼女
が部屋から出てこないのも彼女の自由だし、たとえ彼女が部屋の中で好きな男の子を妄想しながら壁にキスをしていようが、シルバニアファミリ
ーのウサギのどれかにその男の子の名前を付けて擬似的な家庭生活を演じさせていようが、それは彼女の自由なんだから彼女が部屋から出てこな
いくらいで僕を起こすな、っていうことを本調子の僕なら畳み掛けるように言っていただろうけれど、いきなり眠りから起こされて舌も頭も回ら
ない僕は「なんだって?」と聞き返したんだ。僕の部屋の扉の前で草の匂いを嗅ぎまわりながら変な声で鳴くヤギみたいな恍けた顔をしてるママ
に向かってさ。ママは壁に寄りかかって腕を組みながら、もう一度はっきりとした声で言った。「妹が部屋から出てこないのよ。だからあなたに
どうにかしてもらいたくって」
僕はママに散々「くだらないことで僕を起こすな」という意味の言葉を七百通りの言い回しで言ってから部屋を出て、リビングのテーブルに置
かれていた段ボールの味がしそうなベーグルを掴んで口に入れながら妹の部屋に向かった。妹に関して事前に言っておきたいのだけれど、妹は、
何と言うかとても神経質な人間なんだ。と言っても彼女は君が想像するような神経質とは、またちょっと違った種類の神経質さを持ってると言え
ばいいのかな……。上手く言えないんだけれど、例えばね、他人が触れた物にはきちんと消毒してから触らないと気が狂いそうになるだとか、集
中している時に喧しい物音を立てられると発狂するだとか、自分が望んだとおりの受け答えをされないと気が触れたように怒り狂うだとか、部屋
の中にある柱の角とか扉の細い方の側面だとかなんだか威圧感を覚えさせる三角形のとがった部分を見ると狂ったように頭が痛くなって死にたく
なるだとかみたいな、僕が幼い頃から抱え続けている神経質さとは違って、妹はただ、とても人間に対して敏感で、僕らの周りにいるすべてのく
だらない人間を軽蔑していて、とてもうんざりさせられているっていうだけの子供なんだ。それが彼女の持つ神経質さなんだよ。
彼女は僕とキリストと、それから数人の哲学者や、近所の良識のある人にだけは忠誠を誓っているけれど、それ以外の人間はもう殺したいほど
にうんざりとさせられているんだ。ママだって機会があれば殺してあげてもいいと思っているくらいに、何と言うかほとんどの人類に対して蔑み
を感じていて、妹は己の中の完璧さを他人に求めてしまうタイプなんだよ。彼女は常に聖書やらなんやら、巡礼だとか祈りだとかそういう言葉が
入ったタイトルの本を読んだり、近所に住んでいるカソリック系の大学に通っていたお姉さん(この人は割かし僕らの好む人ではあるんだ)が持
っている宗教概論の書だとか、そのような本を部屋の本棚に詰め込んだり床に散らばせたりしながら黙々と読み続けている奴なんだ、まだ十一歳
なのにだぜ。大学の比較宗教学だとか宗教概念あるいは宗教の死についてだとか僕らを脅かすようなタイトルの付いた本ばかりを読んでいるんだ。
なにせこいつは頭が飛びっきり良いんだよ。馬鹿馬鹿しく机に座りながら数を数え続けている君らとは違ってね。もちろん万年成績下位の僕なん
かとも違って、妹は何を間違ってママのお腹の中に宿ってしまったのかと思う程に、圧倒的な知識欲(偏ってはいるけれど)とIQを持って生まれ
てきた、人類に対して神経質な女の子であるわけなんだ。だからママはさ、そもそも妹のことなんかまったく理解できていないんだよ。僕らとは、
そう、普通の人間とは違うってことを全く理解していないんだ。ママほどのちっぽけな蛙の脳みそじゃ理解しきれるわけもないんだろうけれどさ、
妹を僕らのような普通の生活に落とし込むこと自体が間違っているんだ。妹は神経質な天才であるわけなんだから、だから部屋で好き勝手に学ば
せることこそが正解なのに、ママは馬鹿だから妹をキチガイばかりが集まるIQが130ぽっちしかない子供が集まったスクールに通わせたり、彼
女にはもう生活の中で理解できている数学なんかを机に座らせながら復習させたり、とっくに通り越している科学のある部分を馬鹿みたいに宿題
で出したり、そんな意味もないことを強制させるんだな。そりゃいくら温厚な妹であっても学校やママにはうんざりさせられちゃうだろう。ママ
に心配かけたくないという理由から嫌々スクールに通ってあげているのに、休日でさえママの『普通』の考えに付き合わされて一緒に朝食を食べ
させられたりお使いに出されたりといった彼女のペースを乱される行動をさせられるんじゃ、妹もお冠になるのは当然だ。とことんママを無視し
て部屋に閉じこもるなんて当然のことだよ。僕だって妹の立場だったらそうするさ。もちろん僕は妹よりも頭は悪いけれど、心は妹と同じくらい
に高潔なんだ。
部屋に入ると妹は例のごとく宗教関連の本を読みながら一人でぶつぶつと何事かを喋っていた。残暑の残る季節だと言うのに頭から毛布をかぶ
って、ソファーに横になりながら彼女はなかなかに素晴らしい死んだような目つきをしてそれを読みふけっていたんだ。
「お兄ちゃん、部屋に入るときはノックしてって言ったよね、まあ別にお兄ちゃんだったらノックなしで入って来ても私は幾らでも歓迎する気持
ちはあるんだけれどね、それでも誰が入ってくるか分からない状況で誰かがノックもせずに私の部屋に入り込んでくると言うことはなかなかに恐
ろしい事なのよ、私はみんなみたいに無神経でいられないし誰か見ず知らずの人が、私の恐れるような人が無遠慮に部屋に足を踏み込んできたか
もしれないという可能性を考えることも嫌だし、もし入ってくるのが家族だとしても私はノックもせずに部屋に入られると何だか怖くなってしま
うのよ、まあお兄ちゃんだからいいけど、もう一回言うね、お兄ちゃんだからいいけど」という事を妹はとても眠そうなトーンで言い、相も変わ
らず本に目を向け続けていた。しかし僕は、彼女が本の内容なんかまったく頭に入っていないだろうってことがばっちしわかるんだな。なにせ彼
女は最高にご機嫌に不機嫌なんだ。学校やママやパパに対するストレスやら不満やらが心の内に積もり積もって本を読むことにも集中できないく
らいに神経がクタクタになっていて過敏になっていてもう起きていることすら嫌なのに色々な事を考えすぎてしまって眠る事が出来ずに朝まで起
き続けていたんだろうということがわかるんだ。僕にはそれがよく分かる。なにせ彼女のお兄ちゃんであり、彼女とは似たような性格だからね。
僕は彼女の傍に向かい、それからゆっくりとカーペットの上に腰を下ろし、横たわる美しい妹の顔を見つめながら言った。「ママがいつものごと
くお前が部屋から出てこないって嘆いていたよ。シリアスなコメディードラマの主演女優みたいにさ」。「そう」と妹は短く言ってから、本をソ
ファに置いて、起き上がった。そのままソファにもたれかかる。「お兄ちゃんの冗談とか言い回しってクソつまんないよね」。妹はうんざりした
表情で僕を見ながら言った。
「それについてはこの上なく同意せざるを得ないよ。やーやー、そうだよね、うん。よく言われる。でもさ、僕は思うんだけれど、平凡で面白い
ことを言い続ける奴よりも、つまんなくてもいいからとびっきり意味わかんない言葉を言い続けて、キチガイぶりながら人の心に奇妙な爪痕を残
し続ける奴が僕は好きなんだよ。そして僕はそう奴を目指しているんだな。僕が大好きな俳優にエドガー・ロビンソンってやつがいるんだけれど
、そいつはマイナーな俳優だし一昨年に死んじまったけれどね、そいつが言ってたんだ。『不愉快な妄言に社会は支えられている』ってね。僕は
彼の出ている映画は余すところなく全て見ているし、それに彼の自伝はもう百回ほど読み返した。僕は彼の自伝のこの部分が好きなんだ。『皆が
俺のところに仕事を持ってくる。くだらないボクサーの役、それからくだらないインタビュー、エンターテイメントショーのゲスト、俺は数々そ
う言ったゲロを吐きそうな仕事を持って来られた中で、その中でも一番にクレイジーで誰もやりたがらないだろう仕事を引き受けるんだ。そして
ギャランティの良い糞みたいなお気楽な仕事は断る。なんでかって? だってそれこそが、俺が一番輝ける仕事なんだよ。今回引き受けた、ハエ
取り紙に引っかかって死んでしまうハエの役もなかなかに素晴らしかった』。この文章はまさに彼と、そして僕の思想が重なった瞬間だったね。
それから1959年に公開された『適切ならざる世界』って映画に出ていた時に彼が言ったセリフも大好きだ。『コーヒーがコーヒーとして注がれて
いる時ほどつまらないものはない』僕はこの台詞に痺れたね。僕は本当にこのエドガーと言う俳優が好きなんだ……ってはは、なんだよエドガー
・ロビンソンって。誰だよこんなキチガイみたいな俳優、そんなのいるわけないだろ、いま思いついたことを適当に言っただけだけど、なかなか
それっぽかったな。ところで、お前はなんでそんなにいじけちゃってるわけだい?お部屋に篭ってさ。ウサギに神様の名前を付けながらシルバニ
アファミリーで遊んでるなんて。よければお兄ちゃんに話してご覧。お兄ちゃんは馬鹿だからお前の話なんて理解できないし、臭いのしないゴミ袋
に思いっきりゴミを詰め込むくらいの気持ちでお兄ちゃんに心の中のゴミをぶちまけちまいなよ」
僕がそう言うと妹はソファーの横に並べられていたシルバニアファミリーのお人形をこそこそと隅の方にやりながら、ドスンと音を立てて僕の前に
座った。腹を割って話し合う気満々と言った様子で。
「私はもうこれからの人生で誰にも忠誠を誓う事なんてない。少なくとも生きている人間には」
妹は今にも眠ってしまうそうな目つきで僕を見ながら言った。
「お兄ちゃんは『祈りのために祈る』と言う本を読んだことがある? この本は私が学校の図書館の宗教学関連の棚で見つけて、一年前から返却
することもなく借り続けている本なのだけれど、この本はね、家も財産もないある成人男性が、どうすれば自分が神の目に止めてもらえるかを自
分なりに考え実践し続けた日々を書いた本なの。もちろん、実際にその本に書かれた人物が存在してるかなんて知らないし興味もないんだけれど、
その人は神に目を向けてもらうには祈り続けないといけないと考えたの。それでとりあえず祈ろうとするのだけど、自分は今まで宗教に触れたこ
ともないし、そのような概念を誰かから教わったわけでもないから、どうやって祈ればいいか分からないとか言っちゃうのね。まあ何故そんな奴
が神に祈ろうとしたのかは甚だおかしいと言えばおかしいのだけれど、宗教関連の本は大抵、常人から見ればおかしいと思える超現実、超心理、
奇跡を扱って人々の心に訴えるという物だから、この本における主視点の男性が宗教を知らないくせに独学で祈ろうとするのもまあおかしくはな
い気もするの。その男性はとりあえず神に毎日お願い事をすることにした。缶や瓶を拾ってそれを僅かなお金に変えては、神よ俺のこの状況をど
うにかしてくれって、祈るの。本人にとってはそれが祈りなの。でもそんなことを祈ったところで神様が彼に恩恵を与えてくれるわけでもないし、
彼の人生が神によって幸せなものに変えられることもないし、そして実際に彼にもそれは十分に分かっていたの。それからどうしたかって言うと、
彼は毎日祈りを捧げるための時間を増やしてしていった。彼には時間だけはあったから。そうして彼は『あなたに感謝を告げます。この世に生ま
れさせてきてくれたことに。俺にこんな重苦しい不幸な運命を与えてくれたことに。俺はあなたが与えてくれたどんな運命でも受け入れます。あ
なたの為に毎日祈り、あなたが産み落としてくれたこの世界の為に正しく生きることを誓います』と祈り続けるの。それは信仰心と言うよりは、
神への忠誠心と言った方が正しいし、最後には祈りじゃなくて誓いになってるのよ。それでどうなったかと言うと、祈り続けているうちに、この
男にとある小さな奇跡が起こるのね。男の前に、どんなに汚い格好をしていても見下さずに愛してくれる天使みたいな女の子が現れて、そのいか
にも物語にとって都合の良い女の子はその男の事を何故だか馬鹿みたいに愛し始めて、それでなんやかんや愛による交流がその二人の時間を埋め
ていき、最後にはお決まりの様に、物語の結末を迎えるためだけにこの男はドラマティックに死ぬの。神に祈り、祈りを習得するために祈り、祈
りの中で現れた女を愛して、愛されて、死ぬのね。最後まで読み通してみて分かったけれど、この本はただ宗教を軽く扱っただけのくだらない
恋愛小説に過ぎなかったの。何でこんなくだらない小説が宗教関連の棚に置いてあったのか。そしてどうして私はこのくだらない小説を読んでし
まったのか。そう思ってため息を吐くと同時に、もしかして私はこの物語の主人公と同じような存在ないじゃないかと思い始めてしまったの。つ
まりね、なんだか自分がこの物語の男の様に、読んでいる誰かを感動させるために、何と言うか、生活の中において私は周りにいる人物を感動さ
せるためだけに生きているように感じてしまったのね。私の祈りも、祈りのための祈りも、ただ自分が救われるためではなく、誰かをわざとらし
く感動させるために、行われているんじゃないかって。そう、ママや、パパや、それからスクールに通っている俗物たちを感動させるために。み
んな私には何かを求めるんだけれど、そのくせ私が求める事なんて誰も聞いてはくれないの。ママは私がスクールでいい成績を取り続けることが
誇りであり、そしてそれこそが人生における最大の意義、私が生まれてきた意味だとでも言わんばかりにそれを求めるし、パパは私をただのペッ
トみたいに扱うし、とにかく私はパパやママやそして自分すらも嫌になってしまったの。それに加えて、私にはそれこそ、耐えきれないようなこ
とがたくさんあるんだよね。例えばママがキッチンで鍋を使って何かをグツグツ煮る音や、ポットからお湯を注ぐコポコポという音や、パパがビ
ール缶のプルタブをわざとらしい大きな音を立ててプシッと開ける音や、それを下品にゴクゴクと音を鳴らして飲む音や、隣の家の誰かがキチガ
イみたいにうるさいバイクのエンジン音を夜中に鳴らす時の音や、図書館に行った時に上の階で誰かが大きなくしゃみをするときの音や、更衣室
やトイレにいる時に誰かが悪戯で扉をノックする音や、ママが忙しい時に作るあのフィッシュアンドチップスの、まるで私という存在を貶しめる
ためだけに作られたような食欲も何も煽らないゴミみたいなものを食べている時などのあれやこれやが、私には本当に耐えられないし、一番嫌な
のはスクールの授業中にシャープペンシルを握りながら机にじっと座っていると、なんだかお尻の穴の奥がとても嫌な感じにきゅーっと縮こまっ
てきて、それで今にも発狂したいんだけれどそれを理性が押さえつけて、もう本当にただ拷問の為にそこに縛り続けられているような気がしてき
て、すぐにでもヘリコプターかなんかがこの教室に突っ込んで来て私が死ぬか、私以外のこの学校の全員が死ぬかしないかなあ、なんて思ってい
ることなんかがすべて私にはもう耐えられないの。全ての苦痛がまるで鋭い針で眉間を突くように迫って来て、私はもうストレスに押し潰されて
神経がおかしくなっているの!」
妹はやけにヒステリックに、まるで僕が今まで見たことの無い激情の中でそう叫んでいた。
「ふうん、やっと人間らしいことを考えるようになったじゃないか。我が妹よ。けれどそんなことは大抵の人間なら、この世界が糞だという事を
わかっている人間なら誰でも感じる事なんだぞ。そんなこと言ってもお前には何の慰めにもならないだろうけれどね。よし、それじゃあ今からマ
マにフィッシュアンドチップスを作ってもらおう」
僕がそう言うと、妹はまるで僕がクソまみれのキチガイであるかのように見つめて、床を右手で思いっきり叩いた。その音の大きさと迫力と言
ったら、さすがにビビったね。なにせ僕はこの町一番の小心者なんだもの。ミスタ・キングオブチキンハートが僕のあだ名なんだ。
「お兄ちゃんが馬鹿な事は知っていたけれどさ、やっぱり私のこと嫌いなんだ、ふーん、お兄ちゃんやっぱり私のこと嫌いなんだ。私はこんなに
もお兄ちゃんを愛しているのに、愛しまくって死にそうになっているのに、お兄ちゃんていつも私には冷たいよね、シルバニアファミリーのお人
形に全部お兄ちゃんの名前を付けて遊んでいるくらいにお兄ちゃんのこと好きなのに、何で私にあの吐瀉物づめを食った方がましだと思うくらい
のフィッシュアンドチップスを食べろとか言っちゃうわけ。お兄ちゃんの目玉をくりぬいて、宝石箱に詰めていいかな?」
「おいおい、目玉をくりぬかれるのは痛いから嫌だけれどさ、誰もお前にあれを食えだなんて言ってないぜ。お前にただ一つ、この糞みたいな世
界と糞みたいな親に対するちょっとばかしの抵抗をさせてやろうと思っただけさ」
「抵抗?」
それから僕は妹と二人でリビングに行ってママにフィッシュアンドチップスを作るように頼み込んだ。どうしてもあのゲロみたいな味が忘れら
れないんだ。あれは最高の麻薬だよ、みたいなことを言いながら。ママはぶつぶつと二千個くらいの文句を並べ立ててから厳かにゴミアンドゲロ
ズ……じゃなくてフィッシュアンドチップスを作り始めた。
妹は僕の隣の席に、本当に可愛いくらいにふくれっ面をしながら座っていた。こういうところは顔に出やすくて、年相応といった感じなんだな。
およそ百時間くらいが経ったところで、ママは“見た目だけフィッシュアンドチップス”を完成させて僕らの前に置いた。
「ありがとうママ。相変わらず見てくれだけは三ツ星シェフだよ」
僕がそう言うとママはいかにも面倒だと言った様子で手を振りながら「さっさと食べてちょうだい。片づけなくちゃいけないんだから」なんて
作った直ぐ後にもう片付けの事を考えながら僕らに言った。むせるような煙草の煙を吐きだしながらね。僕は早速そのフィッシュアンドチップス
を口に含む。ああ、この時の僕の耐え難い苦痛を君にもどうにか伝えられないかと思ったんだけれどね、僕の文章力じゃダメみたいだ。もしこれ
が漫画だったのならば、お伝えすることが出来ただろう。まず見開きで僕の糞まずい顔をドアップで晒しながら、口に含んだフィッシュを吹き出
し、後八ページにわたってこの料理のまずさを解説するんだ。素晴らしい! このタラはまるで口の中で炎上するガソリンみたいだ! とかさ。
でもそんなのまるっきり資源の無駄じゃないか。
僕はもうそこで耐えきれなくなって、隣にいる妹の太ももを指で突いた。いや勘違いしないでほしいんだけど、僕が禁断症状に悩まされるペド
フィリアの如く妹の太ももに欲情したわけでも、彼女の滑らかな肌をくすぐりながら悪戯したいと思ったわけでも無くて、彼女のささやかであり
ながら大いなる抵抗へのサインを出したのだ。そして僕は自分が先頭に立ってそれを始めなければいけないということも分かっていた
「おお神よ。おれはもうママという名前のフィッシュアンドチップスに忠誠を使わないことを誓います」
僕は立ち上がりながらそう言い、目の前に置かれたフィッシュアンドチップスの乗った皿を手に取り、窓際まで行って思いっきりそれを窓の外
へ向かって投げつけてやった。その時の僕と言ったらまるでランディー・バーンズばりにフィッシュアンドチップスを庭めがけてぶっ飛ばしたん
だもんね。この町でフィッシュアンドチップス投げ大会が開催されたら、僕ってばきっと一等賞だったはずだぜ。
ママはもちろん怒り狂った。僕はいつも馬鹿な事をしているけれど、さすがに今回はママの逆鱗に触れちゃったみたいだね。だって食べ物(そ
れを食べ物と言っていいか分かんないけど)を粗末にしちゃったんだもの。ママは僕をビンタして「今すぐあれを拾って片づけるように」と僕に
命じた。彼女はいつだって息子が自分に忠誠を誓っていると思い込んでいるんだ。自分の料理の下手さ加減を知らないでね。何でもかんでも子供
に命令を下すように叱るんだぜ。まるで僕を犬かなんかのように思っているのさ。
僕はずっと黙ったままママを睨んでいた。ここで僕が屈しては妹の為にならないと思ったのだ。妹は今、苦しんでいる。自分が誰にも逆らう事
が出来ないのを知って苦しんでいる。自分の糞みたいな人生を悟って今にも死にそうなくらいに苦しんでいる。妹のその従順な性格を僕がぶっ壊
してやらなきゃいけない。誰だって、誰かに向かって好きに反抗していいのだと言う事を教えなくちゃいけない。たとえそれが世の中からしたら、
社会からしたらいけない事だと言われようが、嫌な事を嫌だと言って、そして自らの才能を潰されるようなことをされつづけて反抗できないなん
て、そんなの悲しすぎるじゃないか。神様に縋ってもダメだった女の子を救えるのは僕しかいないんだから。
妹は僕を怒鳴りまくっている母親の脇をすり抜けて、窓際に立った。手には憎きフィッシュアンドチップスの乗った皿を持って。それから妹は
まるで街を攻めに来た巨人に向かって砲弾を放つかのようにフィッシュアンドチップスを空に投げた。妹を苦しめ続けてきた何かの象徴が、妹の
心から解き放たれていくように僕には見えた。
あとがき
私の妹が有名な『グレース・オルセン嬢』だということは或いは周知の事実かも知れないが、彼女は子供の頃に統合失調症を患って苦しんでいた。彼女のその子供時代を、彼女たっての希望で、幾らか誇張して書いた。私お得意のふざけた文体でだ。私が小説家になり、彼女が映画監督としてなんとかうまくやれているのは私たちにとって幸運だと思う。あの日投げたフィッシュアンドチップスが今もまだ飛び続けていることを私は感じ続けている。そしてこの場を借りて、今更ながらに子狡い方法で謝らせていただきたい。母親であるあなたと、父親であるあなたにだ。私たち兄妹があなたたちに忠誠を誓えなかったかとを謝罪する。小説のあとがきをこのような私的な発信の場としてしまい、読者には申し訳ないが、このあとがきも一つの作品、或いは小説の続きとして楽しんでいただけたらと誠に勝手ながら思う。本当に申し訳ない。両親と読者に謝らせていただく。
私は相変わらず、今もフィッシュアンドチップスを飛ばし続ける日々を送っています。
二〇二五年。Rock & Sole Plaiceにて。
投下終了です。
最後改行忘れていました。読みづらくて申し訳ありません。
投票期間:11/30 (日) 00:00 ~ 12/06 (土) 23:59
集計発表:12/07 (日)
No.01 犬の愛(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/4.html
No.02 双頭の獅子(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/93.html
No.03 阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
http://text-poi.net/post/_latefragment/33.html
No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/34.html
No.05 子供時代(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/15.html
No.06 エレファント(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/13.html
No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/14.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
今回は投稿数は少なかったですが、一品目からなかなかの力作……!
忌憚のない感想&投票お待ちしています。
時間外投稿も受付中……!
投票は入りませんが、すくなくとも私は読むので……!
No.01 犬の愛(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/4.html
忠誠心で犬の愛というのは如何にも鉄板で、読む前はあまり期待していなかった。
が、どうしてどうして。なかなか面白い。
動物が人のような思考をしているということで、いつもの私ならリアリティがないなど興醒めな突っ込みをしてしまうところなのだが、これはむしろそこが味になっているというか、面白ければなんでもいいのだ。うん、結局それ。
そして人のような思考をしていながら、時折逆らえない犬の性みたいなのを入れてくるのも好み。いや、わたし犬飼ったことねぇからリアルなのかどうかわかんないけど(´・_・`)
性を書いているのは好みなのだ。人(犬)の思考を超えたところにそれはある。
ついでにルルちゃん、ゴールデン君女の子っぽいのに君づけにするのも好き。一匹あまり事情を知らず甘えん坊なのもいい。
最後、ゴールデン君が尻尾を振っているけど、これはユミちゃんとタクミちゃん、ゴールデン君たちを含めた家族全員が元の幸せな生活に戻ったことを暗示しているのだろうか。しかしゴールデン君はタクミくんに単に甘えたくて尻尾を振っているのだという、可愛らしい性の現れなのだという視点でも見てみたい。数日ほど時間を空けて読み返したけど、やっぱりこの終わり方は好みだった。
まああれだね。作者の人まじめに二連覇狙いにきたと思ったね(´・_・`)
No.02 双頭の獅子(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/93.html
これも感心した。
最初は設定書きが目立ってそれで終わるのかと思っていたけれど、途中からちゃんと物語になっていた。
中世ファンタジーを書くというのは私のひとつの目標で、そういうものをしっかり書いてきたという点を評価したい。
ただ、読み返して思ったのだけど、最後あたりのファナの台詞は不自然じゃないだろうか? エインが裏切ったことはとっくに知っているはず。ファセルを恨むにしても、もう少し違う言葉が出てくる気がする。
あともう一つ、言うとしたら構成。話が予定調和で動いているような気がするので、回想をうまく使って「なぜファセルはエインを殺してしまったのか?」というサスペンス調にしたほうが良かったんじゃないかな。この作品のレベルをもう一歩上げるのに必要なのは、そういうところだと思う。
No.03 阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
http://text-poi.net/post/_latefragment/33.html
一番首を捻った作品(´・_・`)
うーん、これは何なのか? 中身が空っぽな気がして、いや何かあるのではないかと思い直すが、やっぱり空っぽな気がする……
登場人物の名前が変なのを突っ込むのはもはや野暮なのだが、驚くほどチープな展開で、もはや主人公が何を言っても犯人が追い詰められる気しかしない。おまけに作者名も変だし一体何なの……
私的にはサクッと読めるから上で書いた文章ほど低評価ではないのだが、「おい作者これで良いのか」と思わせる内容でした。
No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/34.html
この人はクズを書かせたら一流の人だ!
もちろん褒め言葉です(´・_・`)
クズというか常人と比べて明らかに感覚がおかしい人なのだが、清々しいというか、こういうヤツがいないと世界は回らないのだという気がしてくる。
何より読み返して感心したのが、主人公は主人公なりに一本スジを通しているということ。彼が通り魔に刺された理由を聞いたって思い直したりはしないし、わざわざ病院に押しかけてまで奉仕させようとする。
良いじゃない!
貫くべきは世間の常識ではなく己の価値観、信念である。だから僕は好感を持つ。たとえクズであっても……
そんな主人公に付き合う彼のドMっぷりもなかなか。
No.05 子供時代(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/15.html
さいきん三人称の物語ばかり書いていた私が、主人公の内面を描ける喜びを胸に書いた作品。
が、今となっては自分でどこをアピールしていいかわからない作品になってしまった……
この作品と正面から向き合うには、もう少し時間がかかりそうです。
No.06 エレファント(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/13.html
さいきん宮本輝の螢川を読んだので、それと話がなんとなく被ってしまった。
男の子が主人公かと思いきや、お母さんの内面も描かれるという二人主人公路線。その作りは私的に好みのように思えたのだけど、ところどころで「ん?」という場面が見受けられた。
まず最初のシーン、公園でそこまで衝撃を受けるのだろうか。初めて訪れたのなら確かにそうだろうが、赤ちゃんなんて物心ついたときからあちらこちら連れ回されているはずで、我が子の公園デビューに緊張する母はまだしも、男の子のそれはちょっと違うんじゃないかと思う。
また、砂場で母が山を作っているシーンで回想に飛ばすというのは面白いのだが、ここもストーリーに繋げていくのだという意識が欲しい。自分が山を作ったことがないのに、山を作れと子供に言う。この心情のままキャラクターを動かして、男の子と絡ませて欲しいのだ。ついでに男の子も、せっかく公園デビューしたのだから他の子達と遊ばせてほしい。他者と絡ませていくことによる心情変化を書いてほしい。
象についても、最初の公園のシーンで象の滑り台について特別な心情を抱かせておくのはもちろんのこと、象使い。うーん、これは忠誠心と真逆ではないか。そういう雑さが目について、イマイチ物語に入っていけなかった。
No.07やその他の作品を読む限り、他者と絡ませるのが不得意なわけではないんだし、そのあたりをもう少し改善していってほしいな。
No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/14.html
惜しい作品。
妹との掛け合いが始まったあたりからとても面白くて、これはヒット作なんじゃないかと思ったのだけど、最後らへんで失速してしまった。
エキセントリックな子供が年相応の悩みを抱えているのは好みなのだが、フィッシュアンドチップス投げというのが……うーん、いまいちカタルシスがない。何故だろうと言われても難しいのだけど。それまでの掛け合いと比べたら平凡な気がしたのかなあ……たぶん。
それより、あとがきが個人的に興醒めなのよね。小説家と映画監督っつーのが……エキセントリックな思考を持つものはそういう職に就くのだ、というのが嫌だ。もっと子供達の前にはいろいろな可能性が広がっているはず。魅力的な未来を描いてほしいのです。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.01 犬の愛(すずきり)
No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
気になった作品:No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
********************************************************
相変わらず自分の作品を棚に上げた批評……!
迷ったのは関心票。No.02にも入れるかどうか迷ったのだけど、No.07と少し差をつけたくなってしまった。
さあ、これからどうなるか。大人しく見守っておこう。
1 犬の愛
2匹の犬の視点から親子の関係を描く、という手法は良いですね。
惜しい点があるとすれば、2本目のエピソードで追加される情報がほぼ過去話に終始していたので、
親子間の愛情が歪であるエピソードが1本目なら、2本目ではそれが解決された、とか、あるいは解決されなかった、とか、
1本目からの物語の進展があるとなお良いかと思いました。
2 双頭の獅子
“ヴェルスルムント帝国、サビルゲイデン公領、ヒビデガルガ地区。”
という書き出しで構えてしまいます。うわぁ、こういう路線か、と。
内容は、忠誠心というテーマを直球で扱った感じですが、いかにもステレオタイプという感じがしてしまいました。
妹が怒って終わり、というのも何となく唐突な印象です。
作者さんがファンタジックな世界観に不必要に浸ってしまいすぎたのかなあ、とか思いました。これの舞台が現代日本だったらどうなのだろう、とか想像は膨らむのですが。
3 阿武隈川と烏頭の毒
ミステリーとしては中途半端に思えます。この長さでちゃんとした殺人事件を扱うのに無理がある、というほうが大きいかとは思いますが。
じゃあコメディか?というと、コメディ要素はキャラの名前だけで、むしろ敢えて素っ頓狂な名前を付けた意味が分かりません。
結局、何がやりたかったんだ?という印象だけしか残らない、という感じがしました。
4 契約とはじまりと彼とわたしと
「世にも奇妙な物語」的な手法というのでょうか。普通じゃない設定をぽん、と投げて、それはそれとして話が進んでいく、というような。
結婚の形が明らかな女性優位として描いているのも、なんか最近の世相を反映しているような。逆だと発狂する人、いるのかもなあ。
そういうなかでも普遍的に存在する「愛情」とか「思いやり」とか、そういうものをシンプルに描けていて好感が持てました。
5 子供時代
「お姉さん」のパーソナリティがいまいち掴めない、という感じはしたのですが、まさか狙ってそうしているのでしょうか?
あくまで「僕」の変化が主眼で、お姉さんは回想の中のモニュメントでしかない、という。
それはそれで納得させられる構成ですか。
お題に沿っているかどうかは微妙な気もしてしまいますが、安定した筆力を感じます。
6 エレファント
設定が「後付け」に見えてしまう構成なんでしょう。
例えば主人公が動物園の飼育員になろうというところで「そういえば小さい頃象の遊具が好きだったなあ」というエピソードがはじめて出てくるので、
話を進めるためにそういう設定を今作りました、みたいな感じを受けてしまいます。
せっかく公園のシーンが冒頭にあるんだから、そのエピソードはそこに差し込めばいいのでは、と思ってしまいました。
最後の少年のくだりとかもそうで、唐突に後からでてくるので話が有機的に繋がっているように見えず、そのエピソード必要?となってしまいます。
7 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日
回りくどい文体をやりたかったのでしょうが、個人的には好きになれませんでした。
筋が通っていない話ではないとは思うんですね。忠誠心というテーマも消化できてますし。
ただ、だったら何故シンプルにそれを表現せずに、妙なキャラクタ付けと文体を選択したのか分からない、という印象です。
***********************【投票用紙】*********************
【投票】:No.4 契約とはじまりと彼とわたしと
気になった作品:No.1 犬の愛
********************************************************
1と4で迷うところなのですが、>>254の方もこの2作を並列で投票してたので、あえて差をつけてみます。
どちらかというと1の方が野心的な作品だとは思うんですけど、品評会だと綺麗にまとまった作品が良く見えてしまうんですよね。
集計の結果、今回の品評会優勝は「No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)」でした!
おめでとうございます!
■本スレ
投 関
1 1 No.01 犬の愛(すずきり)
No.02 双頭の獅子(茶屋)
No.03 阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
2 No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
No.05 子供時代(ほげおちゃん)
No.06 エレファント(木下季花)
1 No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
■てきすとぽい
投 関
1 No.01 犬の愛(すずきり)
2 No.02 双頭の獅子(茶屋)
No.03 阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
2 1 No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
3 1 No.05 子供時代(ほげおちゃん)
2 1 No.06 エレファント(木下季花)
2 No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
■合計
投 関
2 1 No.01 犬の愛(すずきり)
2 No.02 双頭の獅子(茶屋)
No.03 阿武隈川と烏頭の毒(栗鼻毛コーエン)
4 1 No.04 契約とはじまりと彼とわたしと(犬子蓮木)
3 1 No.05 子供時代(ほげおちゃん)
2 1 No.06 エレファント(木下季花)
3 No.07 フィッシュ・アンド・チップスを空に投げる日(木下季花)
えきーから海へと
つづく坂道くだりながーら
お題:「海」
字数制限: 10000字以内
投稿期間:01/01 (木) 00:00 ~ 01/11 (日) 23:59
★1/12(月)が休みなので、日曜日〆にしています!
投票期間:01/12 (月) 00:00 ~ 01/17 (土) 23:59
集計発表:01/18 (日)
http://text-poi.net/vote/88/summary.html
いつもは土曜日〆ですが、1/12(月)は休みなので一日伸ばしてみました。
字数制限10000字ということで短く書ける分量になっていますので、気軽な
投稿お待ちしております。
お題下さっておくれまっしー
>>259
膿
>>260
把握
お題ください
お題ください
>>262-263
二階で二回
>>264
把握しました
うっかり連投してた・・・
お題ください
炎と天使
あけましておめでとうございます。
品評会ですが、新年明けとともにこっそり始まっています。
http://text-poi.net/vote/88/
締め切りは1/11まで、投稿お待ちしています。
私はまずネタを考え中……
品評会は現在1作品が投稿されています。
海なる世界
http://text-poi.net/vote/88/1/
今回は月曜日0:00〆でいつもより締め切りが一日長くなっておりますので、時間がある方は是非ぜひ投稿お待ちしています!
品評会いまだ二作品か・・・これから投稿ラッシュくるといいな
投票期間:1/12 (月) 00:00 ~ 1/17 (土) 23:59
集計発表:1/18 (日)
No.01 海なる世界(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/5.html
No.02 時流れ海流る(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/6.html
No.03 オルフェウスの海(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/99.html
No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/20.html
No.05 人狼少年(ゲームスキー)
http://text-poi.net/post/namaegawakannai/2.html
No.06 破滅(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/16.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
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・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
ということで、正月明けにもかかわらずそこそこの作品数が集まってくれました。
投稿していただけた皆さん、本当にお疲れ様です。
私は直前で間に合わなかった……
できればもう一度推敲して、時間外で出したいと思います。
No.1
絵を描く人間のエキセントリックさをはき違えていると思う。絵を描く人間の多くは飛躍が多くて理解できない話し方をする。哲学めいた理屈を捏ねるタイプはそもそも手が動かない。おそらく話のアイデアが先にあってそれを絵描きの師弟にただ流し込んだだけではないか。
No.2
1と同じ作者の作品。哲学は饒舌であり作品の枚数を進めるには便利だがそもそも結論は出ない。話をいたずらに引き延ばし搔き回しただけで終わるケースがままある。SFの枠組みを借りてなんとか形にしたが安易な擬人化が興醒めだった。
No.3
セリフ主体に書かれているがあまりキレがない。地の文も少ない割には説明的で全体的に貧相な印象。酒の名前を用いたりバトル物のスタイルを借りたりとけばけばしいが作者だけが空回りしているようで虚しい。
No.4
接続詞の使用を極力排した文章。スパンの長そうな話で短編というよりも長い作品の一部を持ってきたかのようだ。高校時代を海の底に譬えるのは 目新しくはないがラストであぶくを見上げるのは少しだけ印象的だった。
No.5
狼少年と詩人とを組み合わせたものの詩人が現状追認的な立ち位置に留まっていて物語のダイナミズムは意外なほど乏しい。セリフをカットしてみるとこの作品の正体が判る。説明でよたよたと進んでいるにすぎない。
No.6
「高橋ヒロシ」という名前を出したのが運の尽きで、あのヤンキー漫画の絵柄でしか見られなくなった。高橋ヒロシの漫画にはストーカー男もジャンキーになるような弱々しい主人公も似合わない。主人公が結局何もしないで終わるのが致命的。
***********************【投票用紙】*********************
【投票】:No.4 水底から。あぶくを見つめて (大沢愛)
気になった作品:
********************************************************
No.01 海なる世界(すずきり)
序盤から半ばあたりまで読み進めていき、これは例えばカミュの『シーシュポスの神話(不条理な論証)』のような、作者の思索を試みた随筆的
作品なのかもしれないと感じました。ですが、先生が己の考えを生徒に語る形を取っているので、あくまで小説作品として完成をさせているのだろうと考え直し、読み進めてきました。
後半部を読み進めていき、最後で明かされる設定にて、なるほど、だから今まで語られてきた哲学的な考えを彼が持っていたのだな、というこ
とが分かります。
しかし先生の考えを辿るだけに終始してしまっている文章がどうにも読み進めづらく、彼が語ろうとしている哲学的な思想、思索にもあ
まり魅力を感じることが出来ませんでした。もちろん私が、彼の言わんとしていることを深く読み取る能力が無いのも原因かもしれません。
例えば学校の教室にて、あまり面白くない先生の授業を聞いているような、そんな難しい小説だと感じてしまいました。
もっと物語としての動きがあれば、先生が抱く地球への思慕に説得力が生まれるのではないかと思います。今のままでは、何となく先生の説教が
延々と続いているような、何とも言えない気分を感じてしまうのです。
ただ、哲学的な思索によって小説を構築していこうという試みは、とても面白いと思います。そのような挑戦の中で読者を引き込む小説を作ると
いうことはとても難しいと思いますが(もちろん、私がこの小説をうまく読めていないだけなのかもしれません……)、もっともっと普遍的な物
事だけでなく、独自の経験から生まれる、作者の血が感じられるような哲学も書いてみてほしいなと感じました。いや、なんだかとても偉そうな
ことを言っていますね。お気を悪くされたなら申し訳ありません。
とても興味深い作品でした。
No.02 時流れ海流る(すずきり)
こちらも先ほどの流れを感じる作品。
私たちが感じる時間と、恐ろしく小さな生物たちが感じる時間は全く違うという発想によって書かれる物語がとても面白かったです。
以前、『時間はどこで生まれるのか、どのような概念なのか』というテーマの本を読んだことがあるのですが、解ったような解らないような読後
感で、完全に理解することが出来なかったことを覚えています。この作品における、人間と他の生物の時間の概念は違うのではないか、という出
発点も、前回の作品から続く哲学的な思想の試みを感じました。序盤の哲学的な会話。問題の提起。この辺りも前作からの挑戦を受け継いでいる
ような気がします。
ただ、その序盤の会話が必要だったのかについては、読後に少し疑問を抱きました。序盤の哲学的な問題提起から作者が離れてしまっているよう
な……。その答えを作者が放置したまま終わらせてしまったような。もちろん作者に回答義務などありませんし、序盤の会話が物語を動かすため
の一つの仕掛けとして使われたのだということは分かるのですが……。
結局、哲学的な事を話し合っても納得できる答えなど出て来ず、そんなもの話している暇があったら自らの種を保存するために災害から逃れる方
が大事に決まっているだろ! と、なんだか普遍的なところに落ち着いてしまったような気がして、少しモヤモヤとした思いが残りました。もち
ろん私が勝手に、登場人物が提起した問いに対する回答を期待して読んでいただけなのですが。
途中から大きく物語が動き出したところは面白かったです。種の全滅の危機が迫り始めたところからは、大衆映画的な面白さがありました。
ぐっと引きこまれました。
上手く言えないのですが、その物語と哲学的な問いがもっと絡んで作品に効果的に表れるといいのではないかと思いました。いや、とても難しい
ことを言っていますね。偉そうに言っておきながら、自分にもその力はありません。
SF的な設定はすごく良かったと思います! 挑戦的な作品で面白かったです。
No.03 オルフェウスの海(茶屋)
ごめんなさい、どうしても物語の中に入りづらく感じました。文章が状況説明のようで、会話の面白みも解らずに、読み進めづらかったです。
それは恐らく、私がこのようなタイプの作品にあまり触れて来なかったからという理由もあるように思います。登場人物がお酒の銘柄(?)から
きていることは何となくわかったのですが、唐突に表れる独自の用語を(ロストテクニカ等)、うまく飲み込むことが出来ず、そのためにいきな
り世界観からぽんと放り出されたような、そしてそのまま作品の表層を滑り続けてしまったような、そんな読後感で物語を読み終えてしまいました。
恐らく好きな人には入り込める世界観なのだと思います。
No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
淡々と描写される文章が心地よかったです。
お話としては、次々と生まれる不満を心の中に押し込め、ただ不器用に人の輪から外れて行動する少女の物語。学校生活と
いう大きな組織の中での、生きづらさを味わう少女、息苦しさの中を泳ぐ少女。どうしてもこのような立ち位置に立ってし
まう人をうまく表現した小説という印象でした。
少女の行動としては、自分が感じている不満を周りに理解してもらえず、そうでありながらそれを主張したり、あるいは共
有できる相手を作る事も出来ずに、自ら部を離れていく。誰が決定的に悪いという事ではないけれど、自らが損な役回りに
立たされているように感じ、そこから逃げ出すように息のしやすい方へ、楽な孤独に身をやつしていく。それら少女の不器
用さが丁寧に書かれているように感じました。
私もかつてテニス部に所属し、技術を買われていきなり先輩と組まされた経験があるので、そのあたりはとてもリアルに書
いているなあと読みながら思いました。私の場合は、先輩の足を引っ張って負けてしまい、その後で周りから理不尽な扱い
を受け続けたので、そのような意味でも感情移入しながら読んでいました。いきなり背負わされた大きな期待に応えられな
かったり、他の部員と上手にコミュニケーションが取れなかったりすると、部活って嫌になりますよね……、と。陰湿ない
じめも発生しやすいですしね。
それらを含めた小説内での描写が巧く、テニス部特有のモヤモヤ、上辺しか見ていない顧問、後輩を守ってあげられない先
輩、図書館の人々の人物描写、あと細かいところで言えば受験シーズンに職員室が混み合って先生の所に近づけない、卒業
式に上履きを集める用務員、などといった描写が作品にリアリティを与えていると思いました。作者の観察力の高さが見え
るような気がします。
ただ息苦しい学校生活が続くという物語、面白かったです。
No.05 人狼少年(ゲームスキー)
この作品におけるテーマが好みで、その点で良い小説かなという印象を持ちました。
ただ作者自身が、読者に向かって鋭い詩的表現をしようと努め過ぎて、それが却って小説を読みづらくさせている印象でし
た。難しい単語を故意に使ったり、硬くファンタジックな文体を書き、雰囲気を作るための言い回しを試みていることは分
かるのです。が、それが味わい深さを生むというよりも、説明的な文章としてぶつ切りになってしまい、一つ一つ読み進め
ていくのに体力がいりました。
この作品もNo.1 No.2のすずきりさんの作品と似たように、(すずきりさんは哲学でしたが)詩、寓話を中心として作品を
構成していこうと試みた作品なのだろうと思います(あるいは作者自身が、もともと詩的な言葉で小説を書いていくのが
得意なタイプなのかもしれませんが)。
読みづらくはありましたが、作者の叫び、というか伝えたいことは伝わってきました。恐らく浮かんできたテーマを、作者
の思う通りに描けているのだと思います。
自分たちにとって都合のいい、便利な力に頼ることが当たり前になり、それに感謝をしなくなった人々。その生活が当たり
前に続くと思っている人々。自分で解決しようとは考えなくなった人々。それに嫌気が差し、人々を化物だと言い表す少年。
その辺の皮肉が効いていて、私は好感を持ちました。狼少年という題材を使い、それに乗せて普遍的でありながらも大切な
教訓や主張を伝えることに成功していると思います。
あとはその題材を使って、小説をどのように調理していくかというところなのだと思います。安易に料理に例えてしまって
申し訳ないのですが、題材やモチーフが食材だとして、その食材の味付けの仕方や調理法が少し、独特になってしまってい
るように思いました。その食材が好きな人ならば、どのような調理法であっても出来上がった料理を美味しく食べられるの
だと思います。しかしその食材が苦手な人にとっては、食べやすいように調理されていない料理を不味いと感じることがあ
ると思うのです。良い食材を使っているために、そのあたりがもったいないと感じました。
例えばとても癖のある食材を調理する場合なら、独特な味や食感を持った料理に仕上げる事もまた有りなのだと思います。
しかし、この作品はもっと普遍的においしく調理できるような気がするのです。皆が食べやすく、おいしいと思えるような
調理の仕方があったように。
もちろん偉そうに述べた自分も、まだまだ自分で調達した食材を巧く調理することが出来ないのですが……。
個人的な感想として、もっと読みやすさを意識し、そして全体的にではなく要所にキレのある詩的表現をすれば(それはも
ちろんとても難しい事だとは思うのですが)最高の作品になるような気がします。偉そうに長々と述べて、お気を悪くされた
ら申し訳ありません。あくまで一素人の感想とお受け取りください。
No.06 破滅(木下季花)
自作。
***********************【投票用紙】*********************
【投票】:No.4 水底から。あぶくを見つめて (大沢愛)
気になった作品: No.2 時流れ海流る(すずきり)
********************************************************
うまく読み取れていない部分はご容赦ください。読み間違えている部分は多々あるように思います。
今回は皆さん、それぞれメッセージ性が強い作品が多かったので、読むのに必要なエネルギーも大きかったように思います。
運営をしてくださった方、作品を投稿した方、投票・感想を書いてくださった方々の全員に、心から感謝をしたいと思います。
皆様お疲れ様でした。
No.01 海なる世界(すずきり)
作者が普段思っていることを書いたのかな?
盛り上がりがあるとかそういう感じじゃなく淡々と話を聞いている感じなので、なんとも感想しにくい。
No.02 時流れ海流る(すずきり)
この話、結構好きだったり。
どうせならオチをもうちょいちゃんとしてくれると良かったんだけど。
最後まで真面目に書ききって欲しかったなあ。
No.03 オルフェウスの海(茶屋)
最初はわくわかんないなあという感じで読んでいたんだけど、最後のほうで設定に少し惹かれた。
だけど今のままだと映画の冒頭部で終わってる感じだから、やっぱりもう少し書いて欲しいです。
No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
淡々とした文章で、ダーッと書いている系の作品。
文字数が多いのだが、最後まで一気に読まされてしまった。
けど僕はこの作品の中で、草抜きとかしてるときに貝殻を見つけるシーンが好きで、陸にいるのに海の匂いを感じるというのがすごく好きなのだった。
だから後半で男の子の先輩の話になって、海があまり関係なくなってちょっとがっかりした自分がいる。
ラストシーンも悪いわけじゃないけれど、もっと海を感じさせるシーンが見たかったのだ。
No.05 人狼少年(ゲームスキー)
うーん、どういうこっちゃ……
何となく意味はわかるけど、何となく腑に落ちないっていう……
詩人は何がしたかったのだろう?と問いかけてみても、全部想像の域を出ない気がするんだよね。
No.06 破滅(木下季花)
これは面白い。
面白いのだけど、海っつーお題に沿っているかというと……
高田が殺されるところまでは超面白いんだけど、そっから急に尻窄みなんだよね。
多分時間がギリギリで、うまく詰められなかったのかな。
No.07 海水浴場に迷い込んだ私はぐーるぐる(栗鼻毛コーエン)
私がぐるぐるじゃよ。
間抜けな感じがちょっと好きだったけど。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: なし
気になった作品:No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
********************************************************
今回海というお題で、締め切りが過ぎた後も書こうと何度もトライしたのだけど、全然うまく書けなかった。
というのは私自身海に行った経験があまりなく、リアリティのある海がどうしても書けそうになかったのだ(それ以外にもいろいろ書けなかったのだけど……(~_~;)
だから今回は海のリアルさを感じた作品に票を入れたくて、そうなってくると、陸にいながら海の匂いを感じさせたNo.04が一番かなと思った。
No.02にも関心票を入れたかったけど、次点ということで……
■本スレ
投 関
No.01 海なる世界(すずきり)
1 No.02 時流れ海流る(すずきり)
No.03 オルフェウスの海(茶屋)
2 1 No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
No.05 人狼少年(ゲームスキー)
No.06 破滅(木下季花)
(時間外)No.07 海水浴場に迷い込んだ私はぐーるぐる(栗鼻毛コーエン)
■てきすとぽい
投 関
2 No.01 海なる世界(すずきり)
1 No.02 時流れ海流る(すずきり)
2 No.03 オルフェウスの海(茶屋)
1 1 No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
1 No.05 人狼少年(ゲームスキー)
1 2 No.06 破滅(木下季花)
1 (時間外)No.07 海水浴場に迷い込んだ私はぐーるぐる(栗鼻毛コーエン)
■合計
投 関
2 No.01 海なる世界(すずきり)
2 No.02 時流れ海流る(すずきり)
2 No.03 オルフェウスの海(茶屋)
3 2 No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)
1 No.05 人狼少年(ゲームスキー)
1 2 No.06 破滅(木下季花)
1 (時間外)No.07 海水浴場に迷い込んだ私はぐーるぐる(栗鼻毛コーエン)
ということで優勝は「No.04 水底から。あぶくを見つめて(大沢愛)」でした!
おめでとうございます!
参加されたみなさん、投票いただいたみなさん、お疲れ様でした。
「君かへす 朝の舗石 さくさくと 雪よ林檎の 香のごとく降れ」(北原白秋)
雪の朝に帰ってゆく後ろ姿を立ち尽くして見送る、哀切で美しい歌です。
次のお題は「雪にまつわるラブストーリー」
初恋あり、エロスあり。それぞれの恋物語を雪で彩ってください。
雪解けの陽射しが微笑む季節に。
字数制限 10,000字以内
投稿期間:02/15 (日) 00:00 ~ 02/28 (土) 23:59
投票期間:03/01 (日) 00:00 ~ 03/07 (土) 23:59
集計発表:03/08 (日)
http://text-poi.net/vote/90/summary.html
ということで、次回品評会の投稿お待ちしております。
最近ほぼてきすとぽいだけで進んでますが、本スレでの投稿もお待ちしています!
てきすとぽいのアカウントがない人も、ここに書いていただけたら転載しますので……!
お題くださいな
ゴミ回収
お題感謝
2レスほどお借りします
「これはゴミか? それとも必要なものなのか?」
彼の部屋の中で私は獣のように唸っていた。
A男と付き合ってから一月。身長百八十センチ、体重七十キロ、趣味は筋トレ、得意技は相手を転がしてからの三角締めだ。
見事に女性らしさがない私ではあったが、恋人の前でくらいは女性らしくありたいと常々思っていた。
そんなある日、A男が言った、部屋の掃除が面倒だと。
その言葉を聞いた私は即座にA男の家の鍵を無理矢理借り受け、単身掃除することにしたのだった。
最初は良かった。放置された空き缶、ティッシュ、コンビニ弁当のガラ等々、一目でゴミだとわかるものばかりだった。
新妻気分で楽しくゴミを回収できた。
だが、それらの単純明快なるものを片付けた後にこそ、困難が待ち受けていたのだ。
一昨年の漫画雑誌30冊、冷蔵庫の中にある干からびた豚肉2キロ、穴が開いた靴下。
これらは果たしてゴミなのだろうか?
二年も前の漫画雑誌なぞ今更読むとは思えないが、30冊もあるのだ。あえて取っているのかもしれない。
しかし、単純に捨てるのが面倒で放置しているだけという可能性もある。
私には、これがどちらなのか判断することはできなかった。ひとまず、これは保留。
干からびた豚肉2キロ、これも2キロという量が私を悩ませた。
冷蔵庫の中には他にも萎びた人参や賞味期限の切れたプロセスチーズ、めんつゆなどがありはしたが、
どれもこれも一枚だけであったり残りわずかで冷蔵庫の片隅に置いたまま忘れてしまったと思わせるものばかりだったのだ。
だが、豚肉2キロである。冷蔵庫を開けた瞬間、その存在を認識せずにいられない大きさだ。こんなもの忘れようがない。これも保留。
穴が開いた靴下、もしかすると、穴が多少空いていても使えるや、と使っているのかもしれない。私もたまにやる。
何の気なしに右手で摘まむとヨーグルトが腐ったような匂いが舞った。
例え必要なものであったとしても、これは捨てるべきだとゴミ箱に突っ込んだ。
さて、残るは雑誌と豚肉のみだ。この二つを処理しなければ、私は彼の部屋にあるゴミを全て回収してやったと胸を張ることができなくなってしまう。
一度やると決めたからには貫き通す、それが私の信条だ。
だが、実際問題ゴミであるのかどうかは理解に苦しむ品である。腕を組んで歯を食いしばりながら唸っていると、扉が開かれた。
「K子ちゃん、なにやってんの?」
A男が不思議そうな顔で問いかけてきた。だが、雑誌の前で腕を組んでいる私を見て状況を把握したようで、
靴を乱雑に脱ぎ散らかすと、靴下を脱ぎながら片足でぴょんぴょん跳ねてきた。
「嗚呼、これね、雑誌って量があると重いし、PPロープとかで縛るのも面倒だったから、ついつい放置してたんだよね。捨てちゃって大丈夫だよ」
「む? 思い出の品に保管していたわけではないのだな?」
「流石に古雑誌に思い出は詰まってないかなぁ」
そう言って、笑いながら冷蔵庫へと向かい、中から例の豚肉を取り出した。
「まだ、ご飯食べてないっしょ? どうせだし、食べていきなよ」
「その干からびた豚肉、食べて大丈夫なのか?」
「あはは、これパンチェッタって言って、塩漬けしたお肉。今回は結構良い感じにできたと思うから、一緒に味見しよっか」
キッチンに立つと、手慣れた手つきで調理していく、パスタを茹で、オリーブオイルの中に潰したニンニクと唐辛子を入れる。
暫くすると部屋中に刺激的だが美味しそうな香りが充満した。
「ほいっ、俺お手製、貧乏パスタ。多分うまい」
差し出されたパスタを、何故か机に纏めて置かれている割り箸で食べる。一言で言えば不味かった。食えないこともないが不味かった。
「おい、これ不味いぞ、茹で過ぎだ」
「うん、実はそうなんじゃないかと思ってた、うっかりうっかり」
「まったく、これじゃあ私が作った方が良かったんじゃないか?」
「へぇ? Kちゃん料理とかできるの?」
「高タンパク低カロリーの物ならお任せだ。時期によっては脂と砂糖をできるだけ控えないといけないからな」
「おお、流石格闘家、そんなこともするんだ」
「そういえば、さっきの豚肉はどうしたんだ?」
「ん、まだ塩抜き中、これ食べ終わったらちょうどいい感じになってると思うよ」
「ふむ、食べるのに時間がかかるんだな」
「うん、そうだね。作るのにも塩やら胡椒やらを付けて、クッキングペーパーに巻いたりして、二週間ぐらいしないと完成しない。
時間がかかるけど、その分美味しいはずだよ」
「塩胡椒を振って焼いた方が早いんじゃないか?」
「うまく行くようにするには時間がかかるものだよ。時間をかけて、少しずつ馴染ませていって、お互いが調和できるようにしないと」
「俺らも、同じように少しずつ、時間をかけてお互いを知っていこうか。そうしたらきっと、今よりも相手のために出来ることが増える」
「遠回しに言うな、わかりずらい」
「愛し合おう。尽くし合おう。愛するためにKちゃんの事、もっと教えて?」
ゴミを片付けに来たはずが、その日はゴム製のゴミが増えた。
投下終了です、お題を活用できてなくてすいません
投稿ありがとう。
さっそくだけど始めのシーン、
A男と付き合ってから一月。身長百八十センチ~三角締めだ。
なんだけど、ここを見た瞬間男の特徴を説明しているのかと思った。
その次の文章で主人公自身を説明しているのが分かるのだけど、文章の組み立て方でもう少しスムーズに説明できるんじゃないかな?
あと、主人公はせっかく恵まれた体格をしているのだから、それを活かしたアクションも欲しかったね。でかいゴミ軽々持ち上げるとか、彼氏を締めあげるとか。
けど、お話としては結構面白かったよ。干からびた豚肉2キロは強烈。
こういう発想は自分には出ないなあと感じながら最後まで読ませていただきました。
どちらかといえば豚肉2キロは豚肉2キロのまま、正体を明かさずそのまま突っ切ったほうがインパクトあるかなとは思ったけれど。
ご意見ありがとうございます
確かに、「A男と付き合ってから~」の下りは宜しくない表現でしたね
淡々とした説明ではなく、アクションを入れる事で筋骨隆々のゴリラ系女子である事がわかるようにするべきでした
豚肉2キロについても、突っ切った方が文章に勢いが出て読ませやすくなったかもしれませんね
参考になりました、丁寧なコメント感謝いたします
お題くださいな
>>291
箱の中
お題把握
1レスお借りします
今、ここに一つの箱があったとしよう。
箱の中は無限大だ。開けて、観測するその瞬間までソコには有象無象の何もかもが
台風の日の子供のように血を滾らせている。
箱の外観から判断できるものと言えば、中の空間の上限だけである。
下限にはどこまでも可能性が広がりはするが、大きさの上限だけは箱という物が生まれた瞬間に定まり、
有象無象の可能性はソレを超えた幅を持つことを許されず、箱の大きさからして車よりは小さいだとか、握りこぶし大より小さいだろうとか、
そういった事実から宇宙の如く拡散されていた可能性が、一瞬で収束されてしまう。
それが箱の中身の限界を決めてしまっているのだ。箱の中身を、可能性を潰してしまっているのだ。
そんな事を、ベランダに干されているブラジャーを見ながら考えた。そのブラジャーは大きい、確実にEカップはあるであろう大きさだ。
金属が擦れる音がして、ベランダの戸が開く。肩口まで髪を伸している女性がせっせと洗濯物を取り込み始めた。
その女性の箱の中身は小さい。平たい。
「そうか、そうだよな……」
今の箱の中身を知っているからと言って、箱の大きさまで自分自身で決めてしまうことはない。
私も自分の箱を大きくしよう。そう思って帰りにFカップのブラジャーを買った。
家に帰って、タグも外さず早速試着してみた。箱と中身の間には大きな溝が生まれていた。
何故か、涙が流れた。箱の中身よ、お前には未だ可能性は残っているのか?
投下終了です
オチが酷くてすいません
お題下さい
>>297
湯たんぽ
ありがとう
>>295
ちょっとわらた
ただ、おっぱいがオチだけで終わってしまうのは勿体無いと思う
あと、語り手女にしなくてもよかったんじゃないかな
マイルドになりすぎというか、良い部分が消されちゃうと思う
品評会の投稿期間が今日から始まっています。
http://text-poi.net/vote/90/summary.html
お題は「雪にまつわるラブストーリー」。
文字数10000字まで。
03/01 (日) 00:00締め切りです。
皆さんの投稿お待ちしています。
おっ品評会だ!
投稿のスタイルって昔と変わってないのかな?
>>302
てきすとぽいへ投稿すれば著作権は自分のもの。
2ちゃんねるだと著作権は運営会社のものらしいけれど。
どちらを選ぶかは自由。
ちなみにどっちかに投稿すればおk
お題くれ
>>305
凱旋
>>303
ありがとう 今月は難しそうだから次はぜひ参加したい
そしててきすとぽいってのは便利そうだ
投票もできるのか
>>307
ぜひ!
てきすとぽいは慣れると癖になるほど便利
しかも投稿画面は見やすいし、ページ分け機能もアリ
他の投稿者とTwitterで絡めるし
投票期間:3/1 (日) 00:00 ~ 3/7 (土) 23:59
集計発表:3/8 (日)
No.01 融けない雪(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/105.html
No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/38.html
No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/17.html
No.04 止まない雪(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/8.html
No.05 桜のおさとう(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/22.html
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/17.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
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「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
結局てきすとぽいの方にしか投稿しなかったけど大丈夫だよね?
>>310
大丈夫ですよー。
たしかに著作権、こっちに投稿すると自分のものじゃなくなってしまうのはキツイですね……
URLだけ書いておけばすぐクリックして見られるので、問題ないかと。
No.01 融けない雪(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/105.html
うーむ、これまたコメントが難しい作品だ……
頭がぐるぐるなりそうよん。
ときどき好きな表現はあるのだけどね。
それは空しくも壮絶な旅だったと、記録されている。とか
No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/38.html
あまり「この作者はこうだから~」とかコメントしたくない。
だけど、この人の作品はいつもそんなコメントをしてしまうな(´・_・`)
主人公の子供時代が純真すぎて怖いです。
何でも信じちゃいそうなんだよな……
父親と同じことを安易にしないところにポリシーを感じる。
最後はこれ、近所の子のために雪だるまを作ってあげるという解釈でいいんだろうか?
ラブストーリーというお題からはちょっと外れている気がする。
彼女が初めからできていてビックリしたので、そこらへんをもっと絡めてほしかったなあと。
No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/17.html
ぶっちゃけると、大人の男が少女をかどかわすという話はあまり好みじゃないんだよね。感情の揺れ動きのパターンが決まっている気がして。雑な扱い方だと単に騙されていたとか、そうじゃない場合は真実の愛があったとか。
1年ぐらい前に桜庭一樹の「私の男」を読んだのだけど、あれは新しい気がした。ふたりならさらに堕ちてゆけるのだっていう。映画版は全然ダメだったけど。
話を元に戻して、そういう意味ではこの作品は、新しい解釈を持ち込むというものではないんだよね。けど読んでいて感じたのは、意欲作っていう感じのパワーがあった。
この作者は(って、またそういう言い方をしてしまうのだけど)、登場人物の独白みたいなのをよく書かれる。そこで時折出てくるフレーズ、というか発想にハッとさせられることがあるのだけど、今回はそういうのじゃなく、プロジェクションマッピングのところで壮大な場面を描いてやろうっていう明確な意図を感じた。
私もたまにそれを試みることがあって大抵失敗するのだけれど、この作品では文章表現が淀みなく流れていくところが見事。多分これを読んだ人は、「よーし、俺もすごい文章書いてやるぞー」っていう気分にさせられるんじゃないかな。
あ、あと、ストーリーは新しくないとか冒頭で書いたけど、四十八歳にはビックリした。いきなり三十年も飛ばすか普通。この物語の主人公は人生の三分の一以上の時間も、過去の出来事について結論を出せなかったことになる。けど、そういうものかもしれないと思った。私もこれまでの人生生きてきて、一つの物事の結論を出すのって時間がかかる。膨大な時間を使用して、人生それでいいのかって思うけど、他人が同じようなことで悩んでいるのを見かけたとき、それが人生だよって思うんだよね。
No.04 止まない雪(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/8.html
まずはこの作品の文体を褒めなきゃいけない。
何がって、私は受験合格発表の場面、この作品より面白く書ける自信がありません。
数字は宗次郎のもう一つの名前だった、から始まり、コメディアンの振りをしたことを知らない、年に一度の珍祭。何故こんな面白い表現をいくつも続けられるのか。書き方ひとつで場面場面を面白く変えていく、これぞ文体。そしてそんな状況のなか最後に謎のヒロインが登場してくるのだから期待大ですよ!
と、冒頭から「この作品に投票しよー!」感満載で物語を読み進めていったのだが、残念ながらこの冒頭部分が私の中でのハイライトということになってしまった(´・_・`)
ヒロインであるカオルちゃんの出番がほとんどなかったというのが最も残念なのだけど、終盤になるにつれ概念のみで話を進めるみたいになったのがどーにも……
敦史はもうちょっと実際の葛藤の場面を見せないと、人物像は浮かび上がってこないんじゃないかな。
あと、梅宮さんは生気がなかった場面とか、あそこで使い捨てるには勿体無い気がした。というか主人公それでサークル辞めちゃって、なんか人生損してないかなあとか思ったりして。うん。
終わりのほうの表現は好みなのだけどね。かっこいい。
No.05 桜のおさとう(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/22.html
> 言ったことあるよ、と頰杖をついて目を伏せる。長い睫毛が反り返っている。
>「体に悪いからだめだって」
怖い……!
主人公に対してわざわざ体に悪いものを出してくる悠斗ママの威力。
「お前、分かってるんだろうなあ、ああん?」という圧力を言外に感じて、私だったらプルプルものです。
ただ、今回のお題はラブストーリーなのだけど、この冒頭部の強烈さが裏目に出て、どうにも最後までスッキリしない印象が。
作品としては最後のシーンでまとめにかかっているのだけど、いろいろ解決しないといけない問題が盛り沢山な気がして。
まず、悠斗ママと仲違いしたままだけどこれでええんか?! みたいな(^_^;) そこは置いとくにしても、私には主人公が悠斗くんとあんまり上手くいくには思えないんだよな。主人公は悠斗のいない数年のうちに人間として完成されてしまっていて、過去に悠斗が知る人物とは相当変わってしまっているんじゃないかと思っている。悠斗は悠斗で、おそらく母に逆らえるほどの胆力を身につけた彼に主人公は果たして必要なのかというと……そういう意味では、私的には健介のほうが主人公とお似合いだと思うのだけど、どうやらそういう線はないみたいだし、そうなのなあと。どうも展開的に、一本筋を通せなかったという印象が残る。
あと、最後のシーンは綺麗なのだけど、私の中で流れるBGMはケツメイシのさくらなのよね。ヒュルリーラ、ヒュルリーラ、みたいな。やや暗めの空にさくらが舞ってる感じ。作品全体的に春の印象が強かったので、主人公の名前は桜じゃなくて雪とか、そっち系の名前にしたほうがよかったんじゃないかなあと。
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/17.html
自作。
ほんわかラブストーリーにするぞ! と意気込んだものの、締め切り数日前になるまで何も思いつかず。
とりあえず最近旅行した思い出を元に書き進めたところ話が広がって、何とか投稿にこぎつけたのである。
昔いた場所に戻るという話なのに過去話が全然ないのが特徴、というか今の私にはそこまで扱いきれず省いた(´・_・`)
最近シナリオ学校に通っているのだけど、それで得られた成果といえば、多分雪合戦のところかな。以前だと「冗長だろ」で省いた気がする。全体的に説明不足にする癖は治っていないのだけど。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
気になった作品:No.04 止まない雪(すずきり)
********************************************************
まず雪にまつわるラブストーリーという点で、No.03とNo.04に候補が絞られた。
で、このどちらに投票するかというと、これが迷った。No.03は意欲作だけど、No.04ほうがオリジナリティーを感じるし……単純に読み返したくなるのはNo.04なのよね。展開を受け入れつつ読むことで、何か新しい知見が得られそうというか。不思議な作品である。
けど今回は僅差でNo.03に投票しようかな。
意欲作というだけでなく、最後に三十年飛ばしてしまう感性が印象に残ったのだった。この人の作品はときおり大きく時を飛ばすことがあるのだけど、その一貫性を評価してあげたいとか、そんな気持ちになったのです。
まあ今回は、文章表現について印象が残った作品が多かったね。No.03-No.05。その中でNo.04の作品だけ三人称で、私は一人称しか書けないからほんとセンスフルに感じた。
てきすとぽいでやり始めて10回目、投稿される作品がえらい独特になってきたな……(^^;;
No.1「融けない雪」
一読して小説以前の作品だと思った。主人公の空疎な一人語りが垂れ流され、都合の良いぬるい展開の末に諦めたような結論へと至る。作中の言葉にもあるが、まさに「適当」にかわして気取っただけ。こういう作品の評価される内輪の世界もあるのだろう。だが大家と呼ばれる作家が余技のつもりで書き散らしたような作品を無名のアマチュアが書いてみせることに少しは疑問を持つべきだ。
No.2「さようなら、またあした」
二回読み返した。ラブストーリーを読み落としてしまった自分の不明を恥じながら。だがやはりラブストーリーの要素はなく、途端に前半の雪だるまの一件が索漠として見えてきた。これだけ会話のできる年齢なのに雪が何か分からないという設定は何だろう。異世界を舞台にしているわけでもなさそうだ。となると単に雪だるまが解けただけの話だ。さも意味ありげに振る舞うことに無理がある。
No.3「あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか」
中年男に騙された中学生の三十四年を経ての回想譚。主人公の語りのそこかしこに不自然なごまかしがある。男性の作者が中学生女子の生理感覚に追いつけていない。この作品のキモに当たる部分での腰砕けは致命傷だった。そう考えると年を取って成熟したはずの主人公の語りもどこか幼い。男性経験も重ねて四十歳を越えた今なら、こんな男の死など黙[ピーーー]るくらいになっていて然るべきではないか。
No.4「止まない雪」
モンブランの万年筆で書かれたレポートとスマートフォン、タバコを吹かす大学生、という時代がごちゃまぜになった不思議な作品だった。主人公格の宗次郎・敦史いずれも受動的でいまひとつ魅力に乏しい。鞄へのこだわりも内向きで、世界へコミットする意志に乏しい。先輩やカオルから近づいてくれなければ何も起こらないままだっただろう。「雪」の登場を含めて全体的にご都合主義が目についた。
No.5「桜のおさとう」
あれよあれよという間にストーリーが展開して最後まで読まされてしまった。幼馴染・不良・再会・友達がライバル、諸要素を枚数内に無理やりに納めた印象だった。この作品で評価できるのはただ一つ。ハッピーエンドに持って行ったところだ。ラブストーリーはアンハッピーエンドの方が書きやすい。それらしさも出せる。あえてお題に食らい付いて、とにかく二人を結びつけた点だけは評価したい。
No.6「雪の世界を抜け出して」
場面をシャッフルする手法には二つのメリットがある。一つは記憶をリアルに表現できること。人間は時間的に前後しながら印象の強弱に合わせて想起する。もう一つは、書きたいことが定まらない時にとりあえず書き出すのに向いている。この作品の場合は後者ではないか。南井が尻すぼみに退場し、僕と美弥子がなぜ惹かれ合ったのかも分からないままだ。「ミステリアスな彼女」の一言ではさすがに納得できない。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】 :No.5 桜のおさとう
気になった作品:
********************************************************
テスト
お題ください
黒塗りのカンバス
お題把握
全感投下します。
ネタバレも含まれているので、作品をまだお読みになっていない方は注意してください。
No.01 融けない雪(茶屋)
感想を書くため何度か読み返し、理解しようとすればするほど、多様な解釈の仕方がある小説のようにも思えました。
主人公はあくまで「僕」でありながら、それは語り手によって便宜的に与えられた名前です。そして「僕」は語り手の友達の友達の友達の友達の友達の友達。
語り手が序盤の段階でスモールワールド現象という言葉を出しているのを見ると、
恐らく特定の誰かの物語ではなく、地球上に存在する全人類の(作者から見た不特定の人物の)会話をあえて聞き手からすれば意味が分かりにくいように、恋について語っていることがさも軽妙で、よく分からない概念ばかりを使って話されるもの、であるという皮肉も込められた小説なのではないかと感じました。
(私見であり、全く的外れの読み方かもしれません。そうでしたらすみません)
語り手は、名前も知らない、でも世界規模で見れば自分と何らかの関係はある人物たちが、
普通に恋について話しているのを、なんだかよく分からない会話をしているように聞こえる、そのようなユーモアで綴られた小説だと感じました。
女性の方は「恋」はいつか終わるものであると語り、男性の方は「たとえ恋が終わってもまた恋をすればいい」と語っています。
語り手が「僕」に言わせるのは、「終わらない恋などという考えはそもそもが概念である。その概念の証明など自分たちに果たして出来るか?」ということです。
何となくですが、女性が「いつか私たちは別れることになる」という思いを切り出し、男性の方が「いやいや、僕たちの関係だって続けようと思えばいくらでも誤魔化して続けられるよ、そもそも恋が終わるかなんて今からはっきり証明できる?」
と曖昧にごまかし、これらは普遍的な男女の別れ話を想起させるような会話に思えます。
実際に「僕」は彼女が否定した「終わらない恋」を探し求めて旅に出ています。女性と別れないため、自らの恋が続くように、その道を探し歩み続けようとします。
>>それは空しくも壮絶な旅だったと、記録されている。
という文章にもあるように、結局はその恋の中にも空虚さがあり、思いがけない波乱があり、それでもなんとか恋が続いて行ったことを聞き手に思わせます。
そして最後には「終わりが来るなら繰り返せばいい」という適当な返事をし、彼女の疑問をやり過ごそうとします。
私には、定期的に生まれる女性の不安を、男性がその場しのぎで誤魔化そうとしているようなイメージが浮かびます。
語り手が「僕」を使って語るのは、結局が「雪が融けてもまた降ってくるように、恋が終わってもまた恋に落ちればいい」
という結論なのですが、そこへ行く着くまでに聞き手をのらりくらりと惑わし、関係のない話を語ったり、
自分の表現に面白がったりしています。
語り手からすれば遠い関係である「僕」の恋についての話など、真剣に語るに値しないくらいのもの、
自分の語りたい表現を交えなければ到底つまらないものである、という冷めた表現にも思えました。
うまく言えないのですが、どこにでもいるカップルの別れ話を、視点やら言葉やらをずらして書いた、面白い試みの小説のように思いました。
どこかの男女の別れ話を(あるいは恋についての純粋な会話を)、「雪」と言う比喩を用い、とても遠くの視点から、それでも人間味を思わせる文体を使って書いていることが面白かったです。
お題が「雪にまつわるラブストーリー」ということで、全く関係ない小説にも読めるような気がしますが、
普遍的に男女が恋をしてうんぬんの物語だけでも詰まらないと思いますし、このような「雪にまつわるラブストーリー」の
解釈があっても個人的には面白いのではないかと思いました。
と言っても、雪の部分が少し弱いような気がしないでもないですが……。
もちろん、個々人によって評価するポイントは違うと思いますし、ラブストーリーがわかりやすく書けている、という評価もとても大切だと思います。
ちなみに曖昧ピコという表現はお気に入りです。
No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
児童文学のような、柔らかい優しさに満ちた小説だと感じました。
綺麗な物語でほっこりしますね。
初めて見た雪。一生懸命作った雪だるま。それが翌日にあっさり溶けてしまって悲しかった子供の頃。
その別れを少しでも癒そうと父が作った嘘の手紙。
高校生になって、かつての自分と重なる子供に出合った。自分は嘘を吐かずにありのままの事実を伝えた。
自然の摂理を子供に教えるために。世にあるものはいつか壊れる時が来るし、誰かとの別れもある。
それを子供だからと言って、誤魔化すのは何か違う気がする。誤魔化したとしてもいつかはその辛さを味わう時が来るのだから。
主人公の、あるがままにそこにある自然の形を、人間の都合で捻じ曲げるのは何か嫌だ、
というある意味での頑なさが、この小説を動かしているように感じます。
雪が降るのか降らないのか、明日になれば全てが分かる。という終わり方からも、自然の流れに任せて、すべてをありのままに受け入れようという主人公の気持ちが見えた気がします。
主人公の(あるいは作者の?)とても真面目で、純真さが伝わってくる小説でした。
個人的な感想ですが、この小説に物語としての盛り上がりが無かったのが惜しいように思いました。
もしくは一つ一つの主人公の思いを、もっと掘り下げて読みたいと感じました。
別れという残酷さを、子供だからと誤魔化すのはなにか違うんじゃないか、という主人公の主張を、
もう少し色々な展開で、彼女なども絡めて表現できるように思えたのです。
今一つ、主人公の思いも、別れの残酷さも、伝わって来ずにコンパクトにまとまって終わってしまった印象を受けました。
お題に関しては、何度か読み返してみて、どのような形でお題を回収しているのだろうと探り、ラブストーリーではないよなあと思い始めたところで、
ああそうか、この小説は「雪」への愛を書いたのかと気づかされました。
そういう解釈でも確かに読める気がします。
雪だるまに対する愛情、溶けてしまったそれへの悲しみ、決して自然の摂理を人間の感傷の為に誤魔化してはいけないというある意味での潔癖とも思える頑なさ、それらは確かに人間よりも雪を対象として見ている主人公の愛とも、感じられるような気がするのです。
No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
自作。
No.04 止まない雪(すずきり)
宗次郎が気取った表現をしながら、人生における様々な重要場面で傷つかない様に、乾いた視線で物事を見つめながら生きているのが面白いと感じました。
それらを表す比喩表現もしっかり生きていたように思います(いささかクドい、大げさだと感じる人もいるかもしれませんが)。
傷つきやすい繊細な人がよく行うような、自己防衛本能。心が傷ついたと感じる前に、それを滑稽なものとしてくだらない事としてしまおう、という防衛反応。
その表現が上手だと感じました。
実際に宗次郎の内面には様々な考えが渦巻いていて、その中でもとりわけ強いのは、出来事が起こる前から最悪な状況に慣れておこうという心です。
コミュニケーションおいて全てを懐疑的に見ながら、常に最悪の事態を予想し、期待を裏切られる状況となった時に傷つかないよう、
事前に警鐘を鳴らしておきます。
あーあ最悪な結果になったよ。まあ、でもこれって事前に予想できていた事だし。仕方ないよね。
そのような心の防衛。言い訳。痛みを和らげるための心の動き。
このような人物像、心の書き方はとても面白かったです。現代の傷つきやすい若者をしっかり表現できていたように思います。
敦史についても同様です。
鞄やモンブランの万年筆などで「個性」というものを演出している敦史。
もちろんそれは他人とは違うという自意識から発する行為でもあり、
何より敦史としては、姉が自分を見つけるために行っていた差別化に基づく行為だった。
姉が持っている障害は、その人が生まれついて持っている本質ではなく、それぞれのアイテムで彩られた「個性」でしか他人を見分けられないというもの。
だからこそ、せめて解りやすい個性で己を彩っていなければ、姉は自分を見つけてくれない。
たった一人の家族である彼女の弟でいるために、見分けやすい個性で身を纏って、しっかり自分という存在を認識していてほしい。
しかしある日唐突に、唯一無二だと思っていた個性が、唯一のものではなくなってしまった。
自分と同じような「個性」を持つ者が現れてしまった。
しかも、怖れていたことが起きてしまう。
姉は自分と宗次郎の見分けがつかなかった。
だとしたら俺が今まで築いてきた個性とはなんだったのか。
自分と言う人間は何のために生きているのだろうか。
姉の近くにいるためにしっかり役割を演じていたのに、自分と言う人間を認めてくれないんじゃ、もう意味がないじゃないか。
姉の近くにいるのは俺でなくてもいいのではないか。宗次郎でもいいんじゃないのか。
もうその役割を放棄して消え去ってもいいんじゃないか。
敦史の人物造形と言いますか、「個性」というモチーフを使って、個性を奪われて消えてしまった人をしっかり表せていたように思います。
ただ、この小説においてのそれぞれの行動原理と言いますか、なぜ最終的にそのような立ち位置になったのか。
と言う説得力があまり感じられないような気もするのです。
敦史の心の葛藤が実際に言葉として書かれていない。気取った表現に紛れてしまっている。
そして宗次郎のカオルへの思いはどのようなものなのか。
宗次郎はカオルの事をどう思っているのか。
結末に至るまでのそれぞれの気持ちの揺れがはっきりと書かれずに、なぜ敦史が逃げなければならなかったのか、一読しただけでは読み取りにくいように思いました。
なぜ姉を宗次郎に任せるまでの考えに至ったのか、彼の考えがこちらにあまり伝わらないまま終わってしまったように感じたのです。
何らかの劣等感や、鬱屈とした気持ちがあったのか。敦史がどのような気持ちを抱いていたのか。
宗次郎のカオルへの思いも隠されてしまっています。
それが恋心なのか。それとももっと複雑な感情なのか。
敦史の役割を演じるために、ただカオルの傍にいるだけなのか。
何となく二人の気持ちはわかるのですが、二人がどのような考えで最終的な決意に至ったのかを深く見たいと思いました。
二人の抱えるやりきれなさが気取った表現に紛れてしまい、薄い膜を通してしか見れない歯がゆさを感じたのです。
しかし、それは作者の目論見としては成功しているようにも思います。
自分の立ち位置に悩む二人が、それぞれの役割を放棄する。
決して内面を見せることなく、軽く飛んでいくようにそれぞれの逃げ場所へ向かってしまう。色々な立ち位置を回りながら、しかしそこに決して長居することはせずに。
うまく言えないですが、繊細過ぎる若者の自意識に対する悩みと、心を守ろうとするあまり一つの場所に深く根差せない動きを作者が思うように書けているのだと思います。
梅宮さんも、本質的にこの二人と似ている人物なような気がします。
面白かっただけに、二人の切実さを雰囲気ではなく、それぞれの心の奥に触れるような表現で見たいと思いました。
No.05 桜のおさとう(大沢愛)
非常に読みやすく、流れるような展開で最後まで淀みなく進んでいく、綺麗にまとまった小説という印象を抱きました。
この小説の中において、ママのキャラクターがとても良く効いていたのだと思います。意地悪な感じがリアルに書かれていてどきりとしました。
個人的には体を張った健介や、いきなり親友に好きな人を取られたウェリットちゃんが浮かばれないなあという感想も浮かびます。
物語の流れとしては、常に一緒に遊んでいた幼馴染の男の子に引かれつつあった桜。自分の善意と好意から起こした行動によって、その仲が引き裂かれる事態となる。
それは仲違いというわけではなく、親の圧力による理不尽な別れだった。それ以来、彼に会おうとしても会えなかった。
中学校に入り不良グループのリーダーである健介と仲良くなる。彼は仲間の女を売っていたが、桜と出逢ったことで良い方へ変わっていく。
高校で思いがけず悠斗がいることを聞かされる。しかし高校で仲良くなった親友は彼の事が好きだという。
親友のために自分は身を引こうと決意しながらも、悠斗の告白によって、長年の恋が実現する。
とても綺麗にまとまった良いお話でした。
桜と悠斗の人物像に関しても、年相応の問題や思いに囚われていて、口調や考え方も大人が書いたような無理が出ておらず、とても巧い書き方だなと唸らされました。
例えば悠斗は大人っぽく成長したように見えて、歯の浮くような科白とエピソードを絡めて告白してしまうあたり、年相応に幼くて青臭いなあと、リアリティを感じました。
高校生の男子が格好をつけて言いそうなクサい告白が、頑張って考えたんだろうなあという微笑ましさと、それでもいつか思い返したり、外側から見ている分には痛いよなあ……というリアリティを生みだしていて、青春の恋を表しているように感じます。
同様にその告白で(もちろん長年の思い人からの告白ですから当然ですが)簡単に舞い上がって色々と許してしまえる桜も、
同じくらいに幼く、高校生らしい甘さに満ちているのが、爽やかで良かったと思います。
きっと自分は幸せになれる、と信じ切っている純真さを感じました。
一つだけ気になったのは、技術の高さ故にあまりにも一つ一つの展開が簡潔に流れて行ってしまっているように見え、それぞれの場面をじっくり読みたい、主人公や周りの人物の心情を深くまで書いてほしいと感じてしまったことです。
もちろんそれは私の我儘な感想でしかないのですが、恐らくこの小説は、もっともっと長く書かれるための物語、のように見えたのです。
しかしながら、この物語を一万字におさめ、時間の流れで展開させつつ、綺麗にまとめ、しっかりと読ませるという実力に感嘆しています。
あと、健介がとても魅力的なキャラクターだったので、健介が桜と出合って変わっていく様子が詳しく描写されると、健介というキャラクターがもっと生き生きと小説にあらわれるように感じました。
もちろん釈迦に説法と言うか、その辺りは作者の方が(私なんかよりも深く)理解されておられるでしょうし、字数制限という存在が、書かれるはずだったたくさんの描写を邪魔をしたのだと思っております。
ドラマティックなラブストーリー。とても面白く読ませていただきました。
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
特別に何か大きな展開があるわけでもない。二人の仲を拗らせる事件が起こるでもない。けれど読ませる力がある。
何と言いますか、ストーリーを楽しむのではなく、作者が書くノスタルジーを楽しむ小説……と言う気がします。
上手く言えませんが。
物語としては、かつて同じ町に住んでいた幼馴染と、学友に連れられて行ったコンパで偶然再会する。
その幼馴染が、学友の友人の下劣な発言や妄想で汚されているように感じ、幼馴染を連れて街へと逃げ出してしまう。
このシーンを読んで、主人公は自分の中の綺麗な思い出が汚されるのが嫌だったのではないかと感じました。
幼馴染という人間が彼らの性の発散のために使われることの嫌悪も確かにあるとは思うのですが、
かつての町の記憶を思い起こさせる幼馴染が、今の大人になってしまった自分と関係する汚いものに汚されるのが、
無意識に耐えられなくなったのでは。
彼女が下劣な欲望の対象になったことを「アイデンティティーを汚される」と表現していることから、
彼女を自分とは別の人間・個体ではなく、自分の原風景を共有する存在として見ているように感じるのです。
だから彼女が好きと言うよりも、同じ感覚を共有できる人と一緒にいるという意識が大きく、体を寄せられるなどの好意を示されると混乱してしまうのではないか。
もちろん主人公の混乱に関しては、大人になってしまった二人の微妙な距離感、という表れもあるのでしょうが。
しかし主人公の原風景に対する無意識の純真さから導かれる混乱が、主人公と彼女を繋いでいるようにも思います。
そのあたりの、「恋から生まれたものではないけれども、一緒にいて安心できる存在」というのが就職してからも未だ付き合っていられる男女のリアリティとして感じられるような気がします。
確かにそういう愛の形って意外に多く溢れているなあ、と読みながら思わされました。
かつての思い出が二人を繋いでいる。その原風景の共有に心地よさがある。
彼女の父親の登場も、郷愁に導かれる主人公を表している良いシーンだと思いました。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.04 止まない雪(すずきり)
気になった作品:No.01 融けない雪(茶屋)
********************************************************
No.4のすずきりさんの作品に投票しました。
今回の品評会、それぞれの小説の中で登場人物の感傷が書かれているのですが、No.4の作品が一番切実さを伴って書かれているように思えたのです。
もちろんそれぞれの作品を読む中で、感傷に重点を置いて比較し、それだけを評価したわけではないのですが、この作品から漂ってくる切実さに私は心を打たれたのです。
登場人物のどうしようもないやりきれなさを、作者が苦心して読者に伝えようとしている。
比喩に紛れさせながらも、若者特有の軽薄と空虚さを、小説として構成しようとしている。なんとか読者の心にテーマを訴えようという試みがこの小説から一番に感じられたので、票を入れました。
小説全体を覆っている乾いた空しさと、はっきりとしたアイデンティティを持つことが出来ない彼らの苦しみが、とても好みでした。
気になったのは、それぞれ二人の人間を三人称文体で表すことに意識を割き、二人の内面の葛藤や行動原理が直截的な言葉として現れなかったのは、個人的には惜しいという気持ちも感じるのですが、
それでも一読して分かりにくい二人の苦しみが、その行動を何度か辿ることで見えてくる構造は素直に面白いと思いました。
関心票はNo.1とNo.6で物凄く迷ったのですが、最終的にNo.1に入れました。
一読して意味の分かりにくい小説に思えるのですが、何度か読むと、意味がありそうで意味のなさそうでしかし意味ありげな書き方が、
味わい深いものに感じられたのです。
(私もまったく人の事は言えませんが)自分で書いた表現に踊らされて続きを書かされている面も見受けられるように思うのですが、
しかし最後まで自分の世界観を書ききって、観念を中心に小説を構成していき、饒舌な語り口で彩ったことに心を引かれました。
とても面白い小説でした。
No.6はとても好きですし、恋とは少し違うゆるいラブストーリーが気に入ったのですが、もう一つだけ読者の心に訴えるようなものが欲しいと感じました。
それでも普遍的な大人の男女の関係を、大きな展開を起こすことなく堂々と書き切って最後まで読ませるのはすごいと思います。
うまく読み取れていない部分はご容赦ください。読み間違えている部分は多々あるように思います。
それぞれの「愛」の物語、愛へのアプローチの仕方に個性が出ていて面白かったです。
[本スレ]
投 関
1 No.01 融けない雪(茶屋)
No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
1 No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
1 1 No.04 止まない雪(すずきり)
1 No.05 桜のおさとう(大沢愛)
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
[てきすとぽい]
投 関
2 No.01 融けない雪(茶屋)
1 No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
1 2 No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
2 No.04 止まない雪(すずきり)
1 1 No.05 桜のおさとう(大沢愛)
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
[合計]
投 関
3 No.01 融けない雪(茶屋)
1 No.02 さようなら、またあした(犬子蓮木)
2 2 No.03 あなたは今でも、魔法を信じ続けていますか(木下季花)
3 1 No.04 止まない雪(すずきり)
2 1 No.05 桜のおさとう(大沢愛)
No.06 雪の世界を抜け出して(ほげおちゃん)
ということで、優勝は「No.04 止まない雪(すずきり)」でした!
おめでとうございます!
投稿されたみなさん、投票&感想いただいたみなさん、お疲れ様でした。
次回のお題は「奇妙な話」
字数は一万字以内。
http://text-poi.net/vote/92/
理屈や常識では説明出来ない(or読み解けない)物語を書きませんか。
あるいは理屈や常識で説明出来る物語でも「奇妙」なら構いません。
なお、奇妙さが作中で解決されてもされなくてもよいものとします。
投稿期間:04/05 (日) 00:00 ~ 04/18 (土) 23:59
投票期間:04/19 (日) 00:00 ~ 04/25 (土) 23:59
集計発表:04/26 (日)
ということで、皆さんのご投稿お待ちしています。
私も次こそはもっと作品練っていかないと……
お題ください
ぉ題くDaaサイ
>>331
雨傘
健太くんは傘が好きでした。
雨が降っていないのに学校に持っていったり、家のなかで振り回してお母さんに怒られたりするほど大の傘好きでした。
最近では肌身離さず持ち歩くほどだそう。
ひとたび雨が降れば、健太くんはお気に入りの黄色い傘を携えて、おもむくままに町を探検します。
子どもにとって町中はお宝が隠れているダンジョンのようなもの。
その上、雨に濡れて違った顔を見せてくれるので、健太くんは楽しくて嬉しくててしょうがないといった様子です。
とにかく楽しくて健太くんは全速力で走り出しました。
おっと、健太くん、転んじゃった。お気に入りの傘はL字に折れ曲がっています。
ケガの傷みはなんとか我慢しましたが、大好きな傘を見て、ついに転んだまま泣き出してしまいました。
するとそこに一台の大きなダンプカーが!
運転手からは転んだ子どもなんて見えるわけがありません。
ブチュ!ギュルルル!
健太くんは傘とともににミンチになりました。
織田異句りゃれ
同音異義語
お題プリーズ
>>336
うんこ
投下します
全ての芸術家は無から有を生み出す苦しみを抱く。その苦しみは実際に経験した者にしかわからないだろ
う。
一枚のまっさらなカンバスを前に筆を持った時の、あのカンバスが放つ威圧感。一筆をそこに乗せる恐
怖。静寂に包まれた会場で、万人のファンが見守る中、たた一人ステージでスポットライトを浴び、最初の
一音を出す躊躇。今にもインクがこぼれ落ちそうな万年筆を片手に、四百のマスに物語を綴り出す戸惑い。
踏み出せばもう戻れないという感覚が創造者の身体を硬くこわばらせる。
ヒラノショウタはため息をついて、椅子から立ち上がり、大きく伸びをした。かれこれ三時間、彼は自宅
のアトリエで一人カンバスに向かい合っていた。しかしいざ筆を下ろそうとすると、衝動的な「待て」とい
う叫び声が肉体から発せられるのだった。
コンクリート打ちっぱなしの床と壁は無機質なグレーで、南向きの窓には分厚い遮光カーテンが閉め切ら
れている。高い天井からは黒い笠の付いたスタイリッシュなシーリングライトがいくつもぶら下がってい
る。壁の一面は資料や画材が詰め込まれたステンレスの棚で埋められ、部屋の隅にコーヒーメーカーが置い
てある他は実にシンプルで生活感が無い。ヒラノは絵を描く時にはただカンバスにだけ向き合うことが出来
れば良い。それ以外は機能的であれば良いと考えているのだ。
しかし今日は、本当に部屋の中央でカンバスと向き合っているだけで、全く絵がはかどらない。いくつも
の色を出し過ぎて、パレットを交換しなくてはならなくなった。迷っているうちに、どの色を使えば良いの
か、わからなくなってしまったのだ。
彼はコーヒーを紙コップに一杯入れ、一気に飲み干した。それから煙草を一本ゆっくり吸った。その間
も、じっとカンバスを睨んでいたが、何も浮かんでこなかった。
ヒラノは世界的にも名の通った画家だ。絵画に通じる人間ならまず知らない人間はいないだろう。海外で
も個展が開かれ、大学からは講演会の依頼がひっきりなしにやってくる。そんな彼の人生の絶頂期におい
て、同時に彼はスランプに陥っていた。
彼は資料の中にある自らの画集を手に取った。分厚いハードカバーの高級品質のものだ。それを適当に開
くと、数年前に東京で個展を開いたときの目玉となった一枚の風景画が掲載されていた。その絵は特別大き
な反響を呼び、絵が印刷されたクリアファイルやポストカードが爆発的に売れた。
何故俺はこんな絵がかけたんだろう?
まず最初に、ヒラノはそう思った。ページをめくり、絵を次から次へ見るにつけ、彼は同じ気持ちを抱い
た。絵はダイナミックな筆致で、迷い無く色が置かれていた。それでいて寸分違わぬ的確な表現をなしてい
た。絵は深く奥行きがあり、世界が広がっていた。額縁は窓枠に過ぎず、今にも絵の向こうからその世界の
風が吹き込んできそうだった。
これを全て自分が描いたのだ。しかしそんな実感がヒラノには全くなかった。
ヒラノは小さなデスクに座ってデッサン用のノートを開いた。HBの鉛筆を取って、適当にラフスケッチ
をすることにした。適当にさらっとアタリをつけようと、鉛筆の先を紙に乗せた途端、ぶるっと身体が震え
た。ノートは真っ白だった。脅迫的なまでに白かった。一体何の権利があって、それを汚す事が出来るだろ
う? 結局ヒラノは、何も描かずにノートを閉じた。
まるで何かを切っ掛けに、自分がどこかで何者かに変わってしまったかのようだった。画家ヒラノは本当
に自分だろうか。どこかで別人の魂が入れ替わってしまったのではないだろうか。だとしたら入れ替わった
片割れは今頃驚いているだろう。世界最高峰の絵の才能を得たのだから……。
ヒラノはアトリエを後にした。今日は絵が描けない日なのだ、そう言い聞かせた。絵を描きまくっていた
時にもたまにそんなことがあった。どう描いたら良いのかふと忘れてしまうのだ。そして再び思い出した時
には前以上の精彩をもって、絵を描くことが出来るのだ。
廊下に出ると、壁にはいくつもの小さい絵がかかっていた。自分の作品ではない。歴史上の偉大な画家た
ちの絵の実物。美術館にあっておかしくない作品たちだ。ヒラノには、それらが元々は真っ白なカンバス
だったということが信じられなかった。額縁の中にはこれでもかと絵の具が盛りつけられ、その表面は立体
的ですらあった。全く何も描かれていないカンバスから、これらの絵が作り出されたという事実が彼を混乱
させた。
ヒラノは絵を見ないようにしてリビングの扉を開けた。億をかけた豪邸の一番広い部屋だ。カウンター
キッチンの他に、バー専用のカウンターもある。一面は全てガラス張りで、暮れかかった日差しが部屋全体
をうっすらと赤く照らしていた。黒い革張りのソファが暖炉のそばに置かれたれいた。白いタイルの床に、
白い壁、白いテーブル。
白いタイル。白い壁。白いテーブル。
ヒラノはそれらを意識しただけでぞっとした。風邪をひいたような寒気と、発熱したときのような浮翌遊感
で吐き気がした。彼はそのままリビングを飛び出して、玄関から外へ出た。あてもなくとにかく早足でヒラ
ノは歩いた。病人のように俯き、唇を噛みながら。その額には汗が浮かんでいた。
まるで「真っ白恐怖症」だ、とヒラノは思った。
これまでヒラノはあらゆる問題、難関を自分の腕ひとつで乗り越えて来た。実力しか信用出来ない世界で
生きて来た。財産も名誉も、口先三寸の政治力やコネで得たものではない。ヒラノは片田舎の教師の息子
だ。アルバイトで画材を買い、親の反対を押して芸大に進んだ。誰からの支援も受けなかった。周囲に居る
のは全員ライバルだった。何百何千という大学の若者たちの内、一体何人が日の目を見るかということを考
えれば、どれほど過酷な道を自分が選んだかがわかった。実力のある教師や先輩に頭を下げて教えを請うこ
とは辞さなかったが、自らの時間を無駄にして人付き合いをすることはしなかった。大学を卒業しないうち
にヒラノは海外の巨匠に弟子入りした。日本には何も残さなかった。友人もいなければ恋人もいなかったの
だ。親とは高校以来一度も連絡を取らなかった。
ヒラノが人生をかけて向き合って来たのは一枚の真っ白なカンバスだけだった。しかしそれだけだった。
世間から評価を受け始めてから、それが画家としての「成功」となるまでに時間はかからなかった。気がつ
けばヒラノは有名人になっていた。久しぶりに日本に帰ると、無数の人々が彼を迎えてくれた。そこには何
も残さなかったはずなのに。雑誌や新聞のインタビュアーから、大学の関係者、高校の付き合いの薄かった
クラスメイトまで。さらには、両親からも連絡があった。
ヒラノは全て無視した。正確には、秘書を雇ってそれらの連絡を全て適当に処理させたのだ。ヒラノはイ
ンタビューに対する回答のフォーマットをある程度作ったあと、秘書にそれらを元に回答を適宜改変させて
作らせた。親からの電話には一切出なかった。秘書はいつでも「ヒラノは現在仕事で手が空いていないた
め」と文章を読み上げるように答えた。
気がつくと、ヒラノは狭い通りを歩いていた。右手が住宅地で、左手は刑務所だった。
刑務所の十メートルはありそうな壁が、前方五十メートルは続いていた。壁は白く、作りたての様に真っ
白だった。ヒラノは見ないようにと思いながらも、何度もちらちらとその塀を見た。嘘のように汚れが無
い。違反広告の張り紙もない。ガムの跡も、車の泥はねの跡もない。ヒラノは片手を塀につけた。冷たく
て、つるつるとしていた。凹凸も少ない。
唇を強く噛みすぎて血がにじんでいた。ヒラノは口の中へ血が流れ込むのを感じながら、早足に壁に沿って歩いた。
どこかに一つでも汚れがあれば……。
ヒラノは眼を血走らせて隅々まで塀を眺めた。まるで自分が塀の中に閉じ込められていて、その出口を必死に探しているような具合だった。
日は沈みつつあった。何故か住宅地のどんな建物の影も塀には映り込まなかった。人通りはなく、ヒラノ
の足音と激しい息遣いしか聞こえなかった。
もう少しで塀が曲がり角になる。だからといって、何が問題なのか、そこに一つも汚れがなかったからと
いって、自分がどうなってしまうのか、ヒラノにはわからなかった。しかしそれは間違いなく致命的なこと
だという予感があった。こんなに真っ白なものがあってはたまらない。
もう壁の端に辿り着いてしまう。気が遠くなって視界の端がだんだん暗くなっていった。そのまま視界全
てが真っ黒になって、最後に真ん中に「fin」の白い文字が浮かんだら、この混乱と苦しみから解放されるだ
ろう。しかし現実はそうはいかない。とうとうヒラノは立っていられなくなって、地面に膝をついた。その
衝撃で汗が地面に落ちた。アスファルトの上には汗の跡がついて丸い模様が浮かんだ。これほど容易に汚れ
が付くのに、なんでこれほど壁がまっさらなんだろう?
そしてヒラノは、はっとした。
壁の端、曲がり角すれすれに、黒い模様がある。ヒラノはすがりつくようにそこへすり寄った。
そこには、何の迷いも無い雑で適当な筆致で、小学生向けのマンガ雑誌でしか見られない様なとぐろを巻
いた糞がマーカーペンか何かで描かれていた。
小学生の少年が、待ち合わせでここで待っている間、あんまり暇だから鞄に入っていたペンで、軽い悪戯
のつもりで五秒で描いたというような、そんな絵だ。
音の無い寂しい住宅地で、ヒラノは壁にすがりつきながら、肩をふるわせた。
翌日、道ばたで意識を失って倒れているヒラノショウタが近隣の住人に発見され、病院に搬送された。意
識を回復したのち、医者がヒラノに何があったのか説明を求めたが、応答は無かった。
後日、ヒラノは重度の精神疾患と診断された。
ヒラノは虚ろな瞳でずっと夢を見ていた。階段を大急ぎで駆け上がっていく夢だった。非常階段のように
ちゃちな作りの階段は蹴る度にけたたましい金属音を響かせた。階段を登っていく足音と呼吸音だけが鼓膜
を揺らす。ヒラノは心臓が破裂しそうなのにも関わらず、足の筋肉が疲労で千切れそうなのにも関わらず、
とにかく大急ぎで階段を駆け上がった。右、左、右、左と足を階段に乗せる度に音が響く。右、左、と足を
置いたはずが、そこには足場が無かった。階段は空中に伸びているだけでどこにもつながっていなかったの
だ。足を踏み外したヒラノはそのまま真っ逆さまに落ちていく。そして気がつけばまた、階段を大急ぎで駆
け上がっていた……。
彼はカンバスに向き合いすぎてしまっていた。よそ見をする事を、それまでし損ねた。そして偶然、それ
は何ら劇的でも印象的でもないある時に、ほんの一瞬、今更になってよそ見をしてしまったのだ。それが取
材の連絡があった時か、学校の友人を名乗る女が家に押し掛けて来た時か、両親が分厚い封筒の手紙を送っ
て来た時か、それはわからない。とにかくふと、周りを見てしまったのだ。まっさらなカンバスに負けず劣
らず、何も無い自らの周りを。そして再びカンバスに振り返ったとき、その白さに面食らってしまったの
だ。まるで自分の様だと、彼は思ったかもしれない。
清潔できれいな白い病室でヒラノは椅子に座り、スケッチブックに向き合っていた。しかしサインペンを
片手に持っているだけで、絵を描いている様子が無い。医者が彼の傍らにやってきて、そのノートをそっと
覗いた。医者は諦めたように眼を伏せて、どこかへ立ち去った。
未だ彼の面会受付欄はまっさらだった。医者は回復のめど無しと見ている。
ノートには、小さく巻き糞が描かれているだけだった。
おわり
以上です
最後の部分が蛇足な気がしないでもない!まあいいか!
感想お待ちしています
ストーリー性があって良かった
夢のシーンの臨場感がとてもいいと思う
品評会ですが、現在1作品が投稿されています。
No.01 能無し(合間ぽてこ)
http://text-poi.net/post/aima_imoco/1.html
作品投稿の締め切りは 04/18 (土) 23:59 までとなっています。
皆さんの投稿お待ちしています。
品評会の作品のぞいてみたけど何かすごいことになっているなあ・・・
投票期間:4/19 (日) 00:00 ~ 4/25 (土) 23:59
集計発表:4/26 (日)
No.01 能無し(合間ぽてこ)
http://text-poi.net/post/aima_imoco/1.html
No.02 銀座マンホール(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/9.html
No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
http://text-poi.net/post/k_asahina46/2.html
No.04 工場(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/108.html
No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/19.html
No.06 キカの悲歌(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/20.html
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/40.html
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
http://text-poi.net/post/rasan02783643/19.html
No.09 おおきく空振って(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/24.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
私は今回時間内に間に合いませんでした。
とりあえず、時間外に投稿しようかな……
凄いことになってるって、今から皆さんの作品読むのが楽しみ……
全感を書こうと気合いを入れてやってみました。まとまった感想というよりも思ったことの走り書きみたいな感じですけど。投票はぽいの方にやっておきます。
No.01 能無し(合間ぽてこ)
・・・非常に気に入りました。「ノーと言えない」「一音足りない」「何かを忘れている」。彼の音楽が周囲に与えた影響と、彼の死(あるいは彼の死をもたらしたもの)が世界に与えた影響が肝かなと思いました。能無しの男が命がけで「ノー」を世界に示したあとで、世界には争いが生じるわけです。「ノー」という本心を言えなかった人々が「ノー」を示すことは、争いにつながるわけです。せき止められていた何か(反逆的な力)が能無し男の「ノー」によってドミノのように(あるいはドミノそのものが)動き出してしまった・・・というように感じました。男の音楽が持つ影響というものは、だとすると人々を「ノー」と言える状況にするということかもしれません。
ただ面白いのが、あるいはこの読み方は全く逆だとも解釈できるというところで。世界に対して人々が「ノー」と言えるようになった、のではなく、人々が己の内に秘めていた何かしらの意志に対して「ノー」と言って抑圧して来たそのタガが無くなった、とも読めますね。(自分が勝手にそう読んでいるということで、「この小説はこういう内容だ」と決めつけているわけではないですよ)
ともかく解釈なんてどうでも良いんです。能無し、ノー無し、脳無し、こういうのは面白いですね。とくに短い文章においては中身がぴしっと引き締まるような気がします。
No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
・・・ムンクは一体なんだったんだろう?そういうお守りが実在したりするのかな?お守りの中身が偶然学校の花壇に埋まっているというのも不思議ですね。ムンクが「緑のおばちゃん」の姿に化けていたのも気になります。まさに奇妙な話で。まあムンクは「悪いもの」で、そしてお守りの力が主人公を守った、という筋に思えますが周辺に謎が多くて一筋縄でいかない感じがしますね。ピンクの紙に関しては・・・解釈を放棄することにしました。
最後、主人公は未だにそうしたよくわからないものの影を感じて一人暮らしを取りやめるわけです。お守りの庇護と家族の庇護が関わっているのかな?とも読めますね。ざっくりとしたことばかりで申し訳ないです。
No.04 工場(茶屋)
・・・ここは何の工場なんだろう?不可思議な出来事がよくあるみたいだし、業務内容もよくわかりませんね。工場同士で戦争というのも不思議な世界ですね。
No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
・・・禅的なものを感じました(でもたぶんそういう話ではないんだろうなと思いつつ・・・)。不立文字というかなんというか。意味や理由ばかり求める世界というのは窮屈でたまらないですね。「何かのため」に人は生きているわけではない。万物が「何かのため」に存在しているわけではない。芸術は「感動させるため」に存在しているわけではない。意味や理由を求めると、即座にすべては道具になりさがってしまうわけです。それは虚しいことです。ただ一方で、意味や理由を否定したり放棄したりするとそれはそれで目的意識もなくて、緊張感が無いというか、なんでもない虚しいことになってしまうわけです。どうしたって、虚しいんですね。これを読んでいる時、意味を放棄してその虚しさから脱却しようとしても、やっぱり意味を失うことは虚しいことに他ならない、という禅問答的ジレンマがあるなと考えました。どうあがいても虚。精読のすえにこの話をそう解釈したというのではなくて、自分が勝手にそういうことを感じたというだけのことなのですが・・・。勝手な感想なので、勘弁してください。
No.06 キカの悲歌(木下季花)
・・・リルケのことは知らないんですが、それにしてもこれは奇妙な絵が続く話ですね。過去現在未来が並行していて、消えることなく残留してループしているような光景がずっと続きます。しかも自分自身も分裂して沢山存在していてわけのわからないことになっています。連続性に縛られた世界なのかあるいは逆に連続性を欠いた世界なのかという気もしますが、正直よく解りません(ごめんなさい)。そうした解釈を別にしても、音楽的というかリズム的なものを楽しめる小説なのではないかと感じました。
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
・・・等身大ガンダム、レイバーが本物だなんて良いですね。新宿TOHOのゴジラも本物だったりして。しかし互いに外見がわからないまま愛し合うカップルというのは純粋な感じがしますね。肘掛けに手を置いているかどうか、透明だから解らない、という透明人間ならではのドキドキがあるんですね。「手をおろした。」→「なかった。」この流れが特に良いですね。と思ったらキスしてるという。映画館ではちゃんと映画見ろ!このヤロー!(冗談です)と思ったり思わなかったりしました。
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
・・・奇妙な話といいますか奇妙な文章といいますか。「妄想代理人」次回予告とか「パプリカ」で夢に冒された人が口走る台詞とか思い出しました。間欠泉式温泉便座はちょっとヤバイですね。ウォシュレットで人死にが出そう。よくわからなかったので、失礼な言い方ですが出鱈目なものがでてきたなあと感じました。
No.09 おおきく空振って(大沢愛)
・・・最近ある球団が延長十二回五時間に及ぶ試合、あとアウト一つという場面でサヨナラエラーしてしまって負けました。濁りきったどろどろの負けでした。それはまあ全然関係ないですけど、負けを追求するとは不思議なチームですね。個人的にはそのチームよりも捕手の気の効いた(?)采配が興味深かったです。
No.10超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
・・・力というものは持つべくして持つし、選ばれし者が選ばれるべきですね。それはある意味で絶望的というか、宝くじで大金を得ても結局本当のところで豊かにはなれないんだという示唆がありますね。「山月記」で李徴は虎になってしまうわけですけど、それを読んだ李徴的な人が教訓を得て虎にならずに済む生き方を出来るかと言えば、そうじゃない気がします。結局李徴的な人は虎になってしまうんだと思います。変わりたくても変われないという非情な現実があるわけです。
人はその人相応の人生しか送れないわけです。まぐれで過ぎた力を得ても、それで本人が変われるわけではない。しかしこの小説はそんなネガティブだろうか?というと、違うんじゃないかという気がします。ユキ子は力を十全に使いこなしているんじゃないかと。ともすればその力を好きにふるうことで、ユキ子はもっと違う劇的な人生を送ることも可能だったはずですが(本人はキッカケが無いと言っているけど)、彼女はしっかりと自分の生きるべき道がわかっていて、それを見失わなかったとも読めます。その力を得てもブレ無かった。そして相応に青春を生きて、清花や純花とごく人間らしい出会いをしているわけです。純花に話しかけるシーンから見てもこれは青春ものだなあと感じました。
ドラマやアニメみたいな、普通の人が夢想する人生よりも、青春があって幸福で、たまにバク宙する人生のほうがよっぽど良いかもしれませんね。李徴も虎ライフを満喫しているかもしれないし。
奇妙な話というお題でしたが、いろいろなモノが出て来て面白かったですね。作者側からみれば「何かよくわからないもの(あるいは世界観)」を出して、それについての説明を省いてしまえばそれだけで奇妙な話はできてしまうわけですけど((失礼な言い方ですが)不思議な感じ、不思議な力、不思議なモノ、とはぐらかせば良いわけです)。一方読み手側からみると四苦八苦するわけですが、しかし読もうと思えばいろんな解釈ができて、これは面白いです(全感では「わからない」とばかり書きましたけど・・・)。
全感を書きましたが、どう書いたものかとても迷いました。何を言っているんだこいつは?と思うところがあると思いますけど許してください。知らず知らず他にも失礼なことを書いていたらごめんなさい。
No.01 能無し(合間ぽてこ)
http://text-poi.net/post/aima_imoco/1.html
以前てきすとぽい杯でカードゲームのキャラクター作るみたいな企画あったけど、その延長戦のような内容に感じました。個人的には、ここからもっと話を広げてほしいかなと思ったり。
あと、以下の解釈にちょっと詰まりました。
・主人公が死ぬ前はみんな一歩踏み止まれて、死んだ後は踏み止まれなかった。なぜ?
・ジャズとサックス以外はみんな殺伐としているけど、なぜジャズとサックスだけは例外なんだろう。
とくに後者の解釈が。うーん、なんなんでしょうねぇ……
No.02 銀座マンホール(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/9.html
言いたいことは分かるのだけど、それに感化されるかというとそうでもない(´・_・`)
こういうのは人の信条とか、あと作品に出会うタイミングとかが大きく関わってくると思うので、結構難しいかもしれません。
No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
http://text-poi.net/post/k_asahina46/2.html
あんまり怖いとは思わなかったんだけど、雰囲気はありました。それだけに、途中で「僕」と書き間違えてしまったところが残念。せっかく主人公をミステリアスな感じで引っ張ってこられてたので、この誤字は結構致命的だったかもしれないです(´・_・`)
主人公がピンクの紙を引き抜くとミミズとかが這い出てくるシーンは、死体か何かが埋まっているのではないかなと思いました。そこらへん、土の中からゾンビみたいなのが出てきたほうが迫力あったかも。
No.04 工場(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/108.html
人間が工場で加工されるっていうとネットではゼノギアスが有名みたいだけど、私はクロノトリガーだなあ。
未来の研究施設みたいなところに行って、ある部屋に入ると、ベルトコンベアで人が流れてくるんだよね。話しかけようとしても話しかけられなくて、やがて機械を通るとピギィーッという声が……そして星みたいなのになって出てくるという(´・_・`) 最初は意味わかんなかったけど、意味わかったときめっちゃ怖かったよ(´・_・`)
が、今の時代になってみると、それって結構普通だねって思えてくる。ネットというやつは本当に怖いわ(´・_・`)
前置きが長くなってしまったけれど、この作品ではおそらく人間(もしくはパーツ?)と思われるものを棍棒で叩くのだけど、結構新しく感じた。人間が虫みたいに叩かれるのって、結構好きなんだよね。そういう趣向があるというわけじゃないよ(´・_・`) 単に、そういうシーンが好きなの。だからこの作品には結構引き込まれたのだけど、残念ながら最後までうまく扱いきれなかったかなという感じでした。
というか、ちょっとネタバレしすぎじゃないかな(´・_・`) もっと隠し隠しいこう(´・_・`)
No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/19.html
この作品はまず雰囲気が好きです。そして電話マーク、あんなの出せるの初めて知った。その電話マークがちょっと出し過ぎのような気がしたけれど、一番最後まで集中して読めた作品だと思います。
セリフとか、持ってくる遊びのセンスとか良いと思うし、あの歌詞の引用も結構好きだな。
なんで海外の人たちって、ああいう哀愁漂う詞が書けるんですかね。それによって世界を良くしようとか悪くしようとかじゃなく、本当にそれだけを捉えている。翻訳の妙なんかじゃない、と私は思うんだよなあ。
No.06 キカの悲歌(木下季花)
http://text-poi.net/post/kika_kinoshita/20.html
2
君は詩にまで手を出してしまっているのかい?
本当にとんでもないやつだな!
……いやいやいや、まじでいろんなものに手を出されてますね貴方は。ちょっとびっくりしてしまいましたよ。
詩はいいですよね、私は個人的には学校の授業で「あのお花畑を見て詠んでごらん」とか、そういう授業があっても良いと思うんですけどねぇ。私が子供の頃だったら、絶対真面目にやらないけど(´・_・`)
で、この作品の感想なのだけど、よくわからなかったね(´・_・`) いや、雰囲気は好きなのだけど、やっぱりよくわからなかった(´・_・`) いや、好きなのだけど(´・_・`) 繰り返しになるからここでやめておこう。
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
http://text-poi.net/post/sleeping_husky/40.html
いや、生まれてこのかた透明人間だった人が、「今の僕たちは透明人間なのだ」なんて言わないと思うよ(´・_・`)
ここらへんはやっぱりちゃんと作り込んでほしいところ。タトゥーの話とか、ちゃんと考えられているのだから尚更ね。
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
http://text-poi.net/post/rasan02783643/19.html
支離滅裂なことと奇妙なことは違うよ(´・_・`)
いや、ちゃんと読んだら支離滅裂じゃないのかもしれないけどね。
解説をくれ!
No.09 おおきく空振って(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/24.html
正直なところ、負けの美学というのがよくわかりませんでした。
私には何処からどう見ても、この対戦相手野球を舐めてるとしか思えないんだよな(´・_・`)
スポーツは互いに、「勝つ」という目標を共有してるから面白いんだよ。真面目に戦おうよ(´・_・`)
No.10(時間外) 超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/18.html
で、私が書いたのがこれですか(´・_・`)
一応、狙いはあった。本当は力を持っているのに発揮できないということは世の中に多くあって、そういうシチュエーションで書くのも面白いんじゃないかと。
ただ、本当は妹じゃなくてお姉ちゃん、教師なのに小さくてけどナイスバディで「ネットスラングでいうロリ巨乳ババアだったのだ!」みたいな展開にしようかと思っていたのだけど、最後の最後でこれ辻褄合わないじゃんと思って時間に間に合わなかったのよね。
けど、時間外で良かったかもと思っている(´・_・`)
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
気になった作品:No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
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今回のお題は自分含めて結構難しかったと思っています。
奇妙って所謂ミステリアスみたいな感じだと思っているのだけど、そこにどこかリアル性がないと本当に「?」な作品になってしまうんですよね。
で、ミステリアス性十分、そこに多少のリアル性を含んでいるというと、私はNo.05の作品以外思いつきませんでした。
関心票は正直入れないことも考えたのだけど、あえて入れるとすればNo.03かなと。
来月こそ、時間内に出せるよう頑張ろう。
bnsk消滅したはずでは…
まだ細々と活動を続けているよ
書きたいけどお下品なのもいいの?
反応ゼロで悲しかった
反応待っていたひとごめんなさいね。
つまり、それぐらい細々とした状況なのです。
お下品というのが成人向けコンテンツのことであれば、品評会では禁止です。
#今はてきすとぽいというサイトで品評会を開催しているのですが、そちらで禁止されているようなので。
通常作品(ここでお題を貰って投稿する)については下品なのもオッケーだと思います。
小学生レベルの下ネタについては、品評会でも別に大丈夫かな……
No.01 能無し(合間ぽてこ)
「男はだんだんと心を病んでいった」「男のようすは大変不気味であった」といったペラい表現が目につく。近所の楽器屋なら発狂以前にも店員は姿くらい見ていただろうに、「謎の客」?「懐からナイフを取り出し自らの頭に突き立てた」懐に入るサイズのナイフで自分の頭蓋骨に穴をあけられるのか。海に飛び込んだのに「脳漿がくうちゃりくちゃりと音を立てる」とは? これらすべての「奇妙」のオチが「ノー」の駄洒落ではたまらない。
No.02 銀座マンホール(すずきり)
主人公のキミシマ。しばらく前に女と別れ、ザギンのバーで一人酒をキメていた。金はあるのかと思えばところどころほつれたショボい革鞄を愛用。そして最大の問題点。この男はいったいいくつだ?ネズミを追いかけてマンホールを降りて異世界にたどり着くあたり、精神年齢はどうみても小学生である。後に続く幼児的な会話からしても、社会人ではない。この「奇妙さ」を楽しめるのだろうか。
No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
やりたいことはわかる。夏になるとニコニコあたりで生放送するオムニバス形式の怪談のようなイメージ。ただ、視覚的なショットの連続で恐怖を畳みかけていく手法を文章で行うのは難しい。どう書こうが文章のくどさはどうにもならない。書き込めば書き込むほど、着想そのものの弱さが際立ってしまう。投げ出しに近いラストは「奇妙」ではあるが、それ以上に徒労感がつきまとう。
No.04 工場(茶屋)
序盤の堂々巡りの文章でまず萎えた。「生首」や意味不明な上長の話、上流から流れてくる「何か」。ここらで思いつきで書いているのが透けて見える。そして戦闘。夢落ち。しかし実は、と思わせぶりなラスト。「奇妙さ」について根本的な誤解がある気がする。書き手の趣向に読み手が乗せられて翻弄されるためには、書き手への信頼を促す何かが作品に必要だ。それがないのが良くも悪くも決定的だった。
No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
街を侵食して行く「空洞」。ホームレスのアウラさんから芸術作品作りを教わり、作り続ける僕。世界の外側に憧れ続け、遂には姿を消す売春婦の彼女。配置は悪くない。ただ、「無意味」なものの可能性を説くアウラさんの芸術論はまずかった。高翌揚して書いているけれど、これではただ価値を否定しているだけで、無意味そのものの積極的な肯定には至っていない。ゆえにどこかひ弱で幼稚な印象を残してしまった。この瑕疵がラストシーンの陳腐さへと繋がっている。
No.06 キカの悲歌(木下季花)
自足した内面の問わず語り、という印象だった。退屈を持て余した人間がどうでもいいことにこだわるふりをして時間をやり過ごす。基本的に独り言の世界なので、多少の凹凸はあれどもゆったりとソファーに座った「私」の意識にゆるく回収されてゆく。これは「奇妙」ではない。ただ「つまらない」だけだった。
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
宇宙人が攻めてくる。ガンダムやレイバーが戦う。その結果、全人類が透明人間になる。そして透明人間の僕は透明人間の彼女と映画館でデートする。タトゥーを入れていたり、どうやら半袖の服を着ていたりするらしい。透明人間の映画を観て面白いのかどうなのか疑問だが、それらの奇矯な意匠を全部取り払ってしまえば、後に残ったのは他愛もない恋愛話だけだった。つまり「奇妙さ」はうわべだけだったことになる。
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
なるほど、間違いなく「奇妙な」話だ。この手の作品が絶賛された時代はある。1960年代なら大歓迎されただろう。ただ、当時、この手の作品を書いていた連中はあっという間に消えてしまった。「背伸びの季節」が終わるとともに、趣向の過大評価はされなくなった。それは「奇妙な」ことではない。当たり前の話だ。
No.09 おおきく空振って(大沢愛)
唯一のリアリズム(?)小説。宇宙人も意味不明の言説も世界の終りも登場しない。そのせいか大変読みやすかった。主人公は波木田高校野球部の捕手。打てないもののリードと策略で正捕手の座を手にしている。試合の場面はいつ超展開になるかと思っていたら、きちんと進められていて驚いた。釘林高校との練習試合の部分を際立たせるためだとすれば上手いと思う。全力で負けを追求する野球、ここの「奇妙さ」は不思議な味があった。
No.10超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
なぜユキ子と清花の話をきちんと中心に据えなかったのか。純花とのやりとりに文章を割く必要があったのか。ユキ子の宙返りへの憧れや筋トレも、もう少し深める書き方ができなかったのか。「一生」を謳っていながら死んでいないし。作品構成そのものが「奇妙」だ。残念ながら悪い意味で。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.09 おおきく空振って(大沢愛)
気になった作品:
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No.01 能無し(合間ぽてこ)
様々な理不尽を従順に聞いてきた主人公が、精神を病んでピアノに依存する。虐げられ続けて不幸な目に遭い続けた男は、世界を混乱に導くようなメロディーを弾き始める。そのメロディーは、近くにいたメロディーに共鳴する者たちの(恐らく無意識に抱えていたであろう)社会への反抗心に火をつけていく。あるいは無意識に抱えていた社会に対する不満、何かに対する殺意を意識させていく。
最後の描写では、病んでいた男が死んでしまうことによって、世界中に点在する様々な人々の反抗心や殺意に火がつけられていき、世界はどんどん混乱へと導かれる。様々な理不尽に従ってきた者たちによる反抗が始まっていく。
とても不思議なお話です。何故だか男がそうなる運命を握っていたかのように、世界が掻き乱される方へ、混乱する方へ流れていく奇妙さはとても面白かったです。
ただ一つ、最後に書かれていたジャズサックスアーティストの奏でる明快なメロディが希望となる、という部分が解りませんでした。サックスアーティストと言えば、中盤辺りにそれらしき人物が出てきましたが、今ひとつ彼が希望となり得るような説得力と言うか描写が皆無だったので(あるいは最後で描写されたサックスアーティストは彼とは別人物かもしれませんが、しかし何故その人が希望となり得るのか私の読解力ではわかりませんでした……難癖を付けるようなことを言ってすみません)、どうしてそれが希望たり得るのかを、奇妙な物語の中でも描いてほしかったな、と思いました。
男が引き金となって、人々が狂い始めていく、みたいな設定はとても面白かったです。
No.02 銀座マンホール(すずきり)
相変わらず読者を話に引き込んでいく書き方が巧いです。淀みなく読み進められます。
ただオチが、あまりにも若者の普遍過ぎる悩みで終わらせてしまっているのが、とても惜しく思えました。もう少し読み手を奇妙な方向へ持って行けたのではないかと思えたのです。もちろん、ある程度の分かりやすさを狙って書かれたのかもしれませんし、それは当然悪い事ではないですが(読んだ人の好みによっても違ってくるでしょうし)あくまで私の感想では、少し綺麗にまとまりすぎてるのかな、という印象がありました。もっと意味の分からない方向、奇妙で不気味な方向へ連れて行ける小説と、作者さんであると感じたので、我儘なことですがもっと読み手の理解や想像を跳ね飛ばして、不気味な奇妙さに溢れた場所へ到達できるのではないかと思ったのです。
No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
序盤で提示された不気味な恐ろしさや謎に戸惑いながら、奇妙な現象にばかり追われていく少女のホラー小説、面白かったです。ムンクの叫びの絵を思わせる謎の存在が最後まで明かされないのも、怖さを生み出しているように思えます。
ムンクというワードが出てくる辺りで個人的に引っかかってしまったのが、あれはムンクが書いた『叫び』って作品で、『ムンクの叫び』って名前の作品じゃなく、あの絵に描かれているおどろおどろしい顔もムンク自身じゃないのになー……( >д<)、ムンクの顔ってわりとイカした渋い感じなんだぜー、なんて感想が浮かんだのですが、そのような勘違いも大人になったばかりの女の子の回想してはリアルだよね、とも思い、そんなこといちいち指摘する私の方が野暮で神経質だ!という結論に至りました(笑)
もしかしたら狙って書かれたのかもしれませんし、そうでしたらリアリティを生み出すためにすごく計算されているな、とも思います。
ピンク色の紙と、そこから這い出てくる蟲というのも生理的嫌悪を感じさせる描写で、基本的に穏やかな語り口で物語が進んでいくのですが、細部のイメージが凝っているように思えました。
不思議なものを不思議なものとしたまま終わらせたのも、良かったように思います。
No.04 工場(茶屋)
労働者階級に属する男の、夢の中での『意識の流れ』が書かれた作品。日々の生活における様々なものを主人公の主観で連想ゲーム的に表現されています。あるいは目の前の仕事や生活における現象を、奇妙な想像力で捉えながら書かれた面白い作品でした。
様々な意味づけを行えるようにも書かれていますが、それが明確に何を意味するのかは判りません。
個人的な感想になりますが、夢の中の話としない方が不気味な迫力が増したかもしれないと感じました。夢の中の話であると説明されると、その世界が奇妙であるという説明が事前になされ、奇妙さで成立された世界ということに読者が納得してしまうように思います。この辺りは読者の捉え方次第、どちらがいいかは好みかも知れませんが、それが私たちの現実でも不思議なものに見えるかもしれない、不気味な現象が起こるかもしれない、という怖さがあった方が、作品自体に恐ろしい迫力が出るように思えるのです。私たちの生活が不気味なものに浸食されているのだという恐ろしさが。
(もちろんストレスなどで精神的に病んでしまった男が夢の中で見る、仕事や生活に対する嫌な部分が、ピンポイントで恐ろしい現象に拡大されて、それを追体験しているという風に読んでも、面白い作品であることは間違いないです)
No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
自作
No.06 キカの悲歌(木下季花)
同上
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
とても犬子さんらしい作品で、透明であるからこそ、美醜を気にせずに、言葉のやり取りと触れ合いだけでコミュニケーションを取るという、まさに犬子さんが得意とする人の純粋さを大切にする小説だと思いました。タトゥーで人を識別するという設定がちゃんと生きて、最後の一文が綺麗に物語を終わらせている辺り、上手いなあと唸らされました。
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
うーん……何と言えばいいのでしょうか。個人的にすごく好きなのですが、面白く感じなかった、という複雑な感想になってしまいます。
その言葉たちがどれだけ意識的に選ばれたのだろう、練られたのだろう、それが読み手の感性に結びつくように整然と、面白味を持って各文章が配列されているだろうか、ということはあまり考えずに読み終わってから思った程度ですが、しかしながら作者のたくらみと、小説自体の面白味があまり分からずに終わってしまいました。
意識的にやられているのか、知らずにその手法に行き着いたのかは分かりませんが、バロウズが得意としたカットアップ手法を試みたのだと思います。バラバラに解体されたそれぞれの単語や文章を使って、パズルのように文章を組み立てていく。デタラメにも思えるように言葉を繋いでいって、何か大きな表現へと昇華させる。私はそういう試み、ものすごく好きなんです! 私自身もネットに発表した事はありませんが、何回か試してみて、書いていてとても楽しかった記憶があります。だから、こういう小説を作る気持ちはすごく分かるんです。私も、こういう小説大好きですから。
ただ(あくまで私の感想になりますが)、組み立てられた言葉が最後まで像を結ばない、ただ奇妙な繋がりで終わってしまっている。いや、バロウズもそのような部分がありますし、読む人によってはバロウズのカットアップも、意味分からないものとして読めてしまいますから、この手法自体が小説として構成するのがとても難しい物だと思うのです。強烈なセンス、言語感覚、構成力が求められるのだと思います。ラーさんにその力がないと言いたいわけではなく、この手法だけで小説を表現するのはとても危険な事だと思うのです。
それでもこの小説の中には、
>>布団をかぶったR2-D2が「パタヤビーチに行かなければ」と叫ぶのにも似た善行
>>そこは完全無欠たるパチンコが、エルドラドを語る土地
>>ポリエステル100%の金剛界曼荼羅に磔けられたイエス・キリスト
>>墜落するガラパゴスゾウリクガメにも似た絶望的感動
などの、とても面白い表現があるので、突き詰めていけば、時間をかけて厳選したり、何かコンセプトがあったりすれば、もっと面白い小説になると思うのです。(確か、口ロロというアーティストの、電車のアナウンスをカットアップして作った『Tokyo』という曲がとてもユニークでした。何かを切り崩して再構成するような、ある特定のコンセプトを元に表現しても面白いかもしれないです。例えば電車のアナウンスでなくても、新聞の文章をカットアップして変な記事を作ったり、ゲームの説明書をカットアップして変な説明書を作ったり、メールの文章を切り貼りして、全く別の意味になる文章を作り上げたり)そのようなアイデアで膨らませていくと、読み手にとっても親しみやすくなるような気もするのです。
と、長々と偉そうにすみません……。そんなことお前に言われたくないんだけど、とお怒りになられるような感想ですね……。ラーさんの作る世界観に勝手に口を出し過ぎました。
それでも、やはりとても好みな小説でしたので色々と思った感想を好き勝手に書かせていただきました。読んでいて幾つかのスマッシュヒットを感じましたし、とても面白い表現があって、驚かされた部分が多かったです。
No.09 おおきく空振って(大沢愛)
相手の人間性を見、どうすれば力のない自分がギュラーになれるだろう、そしてそれにレギュラーとなってからどのように立ち回れば地位を維持できるだろうと、様々に考えることで乗り切っていく主人公の生き方が面白かったです。
恐らくスポーツ小説は、登場人物を多く書き分けなければならず、一人一人に分かりやすいキャラクター付けをしなければならないので、それを勢いよく書きあげたのは本当に凄いと感じました。
ただ、負けを追求する彼らの美学の『核』がこちらに見えなかったことと、そして主人公たちがあのようにあっさりと感化されるだろうかということに、少し疑問を抱きました。そこが奇妙だと言えるのかもしれませんが……。しっかりとしたリアリズムで書かれているだけに、そこの奇妙さがいきなりリアリズムから大きく外れてしまっていて、妙な違和を感じてしまいました。彼らの信念とそれに感化される者たちを、奇妙さで片付けていいものなのか……、一般とは違うことに真剣に取り組んでいる人を、奇妙だと表現してしまっていいのだろうか、と。もちろんそれだけ中盤までを抽象的な表現ではなく、しっかりと人物や思考などの描写をリアルに書けているということでもあるのですが……。
すみません、野球にほとんど触れたことのない者の感想ですので、その辺りは野球をやっている人だと、また違った視点からの感想が浮かんでくるように思います。
それでも主人公が自分以外の者を観察しながらその都度、適切な采配を考えて、他人を押しのけながら地位を得ていく。この物語の主軸はとても面白かったです!
No.10 (時間外)超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
身に余る超人的な力を描く作品は大抵、悪意や欲望に直結したものとして書かれるけれど、これは人と人を結びつけるために、そして孫を喜ばせるために与えられた運命のように書かれていて面白かったです。
超人的、あるいは超心理的な能力を得たら、たとえその人が理性を抑えられる人であっても、善良な人であっても、いつかはその力を使ってしまうように思うんです。それが悪い事であっても善い事であっても。
書き手側の視点で言えば、その超人的な力を主人公に設定して物語を書く時、絶対に物語を動かすために設定されているというのが普通だし、能力を中心としたトリック、バトル、不思議な力に振り回されてしまう人、不思議な力を何かに使ってしまう人、そのような読者を引き込むための狙いの為に、あるいは自らの物語の道具の為に書かれることが多いと思うんです。でもこの作品はそういう狙いを考えていなくて、それがとても新鮮で面白かったです。ゆき子の奇妙さよりも、その作品の構成的な奇妙さの方に私は惹かれました。穿った読み方をすれば、ヒーロー物へのアンチテーゼとも読めるような気はします(力を使うことよりも日常の触れ合いの方にこそ幸せと平和があり、戦いを通さずにそれを伝えるべきだ、みたいな)。あるいは、全てがゆき子と竹内姉妹が出会うために運命的に発動された、ほんのわずかばかりの奇跡的な歯車としても読めます。竹内姉妹とのその後も大して描写がされずに、まるでその場面だけが、彼女の人生のハイライトであったかのように、呆気なく彼女の晩年が描写される。個人的にはすごく面白いな、と思いました。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.04 工場(茶屋)
気になった作品:No.01 能無し(合間ぽてこ)
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ほげおちゃんが言っていたことと一緒なのですが、私もミステリアスな不気味さ中にある種のリアルが想起されるような作品、人間の不気味さが描かれたような作品が、『奇妙な話』として面白いなと思っていて、その中で私の思う『奇妙な話』という概念にぴたりと嵌まったのが茶屋さんの『工場』でした。
日常生活における嫌な事、そして我々が生活するに欠かせない仕事というものを、とても不気味に書いておられて、工場同士が戦うというのも、ノルマばかりが増えて現場の工場員は死ぬかもしれないくらい苦しい思いをしているのに、上層部は利益を増やすために他の地区の仕事まで奪おうとしている、そんな比喩に見えました。いや、いろいろな想像が出来るような作品だと思います。労働者の苦しみや生活におけるちょっとした嫌なこと、疑問に思うことが、とても奇妙に描かれていたように思いました。リアルさと奇妙さがいい具合に混合して作品に現れていたと思います。
合間ぽてこさんの作品は、理屈とかそういうのではなくて、感覚的に面白いと思った作品です。一覧の中で最初に読んだのですが、全作品読み終わってみても、『脳無し』ってなんか面白かったなあ、と印象深かったです。
よく解らないけど、死んでしまう男が多くのレジスタンス、狂気の意識に火をつけた、というある意味ではぶっ飛んだ設定が滅茶苦茶好きでした。
優勝(同点):No.01 能無し(合間ぽてこ)
:No.09 おおきく空振って(大沢愛)
■本スレ
投 関
1 No.01 能無し(合間ぽてこ)
No.02 銀座マンホール(すずきり)
1 No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
1 No.04 工場(茶屋)
1 No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
No.06 キカの悲歌(木下季花)
No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
1 No.09 おおきく空振って(大沢愛)
No.10 (時間外)超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
■てきすとぽい
投 関
3 1 No.01 能無し(合間ぽてこ)
1 No.02 銀座マンホール(すずきり)
1 No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
1 2 No.04 工場(茶屋)
2 No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
No.06 キカの悲歌(木下季花)
2 2 No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
3 No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
2 2 No.09 おおきく空振って(大沢愛)
1 No.10 (時間外)超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
■合計
投 関
3 2 No.01 能無し(合間ぽてこ)
1 No.02 銀座マンホール(すずきり)
2 No.03 守りがみ(朝比奈 和咲)
2 2 No.04 工場(茶屋)
1 2 No.05 ホロウ・ストーリー(木下季花)
No.06 キカの悲歌(木下季花)
2 2 No.07 あなたのことがみえなくて(犬子蓮木)
3 No.08 空転言語生滅演説(ra-san(ラーさん))
3 2 No.09 おおきく空振って(大沢愛)
1 No.10 (時間外)超人ユキ子の一生(ほげおちゃん)
え、と思って数えなおしたのですが、まさかの同点優勝です。
今回は投稿数が多くて投票数も多く、白熱した戦いでしたね。
てきすとぽいだと票数が見えないので、最後まで誰が勝ったのかわからなかった・・・
皆さんお疲れ様でした。
品評会お疲れさまです
お題くださーい
破滅型人間
投下します
男は洗いざらしたシャツにトランクスと靴下という出で立ちで、ソファに深く腰掛けて煙草を吸っていた。青白
いシーリングライトが男の唇から漏れる煙を照らし出していた。深夜、そこはアパートの六畳間だった。
部屋には折りたたみの机とソファ、床に直置きのテレビがある他、家具は何も無かった。壁沿いには引っ越して
来たときのダンボールがいくつも並べられている。実に殺風景な、刑務所に毛が生えた様な無機質さだった。
男がここに引っ越して来たのはつい先月のことである。浮気がバレて、妻に家を追い出されたのだ。妻は即離婚
を決め込みたかったようだったが、それだけはなんとか阻止した。妻の両親や自身の両親、あるいは兄弟たちにも
連絡をつけて、ことの顛末を洗いざらい説明して謝罪して、妻の一時の(それは猛烈な)怒りの感情だけで結論を
急がないように協力を仰いだのだ。
必死に妻をなだめすかして、小学生の息子もいることだし、離婚はよくないだろうということで場を収めた。そ
の代わり、しばらくは一緒に暮らせないし暮らすべきではない、ということで家族親戚合意の上、家の近所ではあ
るが、アパートに引っ越すことになった。
今後妻が話し合う気になるまで、男は家に帰れないし、息子とも会えないということになっている。いつ妻がそ
んな気になるのかはわからない。少なくともこの一か月、家族からも親戚からも連絡は無い。彼らの誰が男の味方
についているのか、あるいは一人も味方はいないのか、わからない。
いつまで続くかわからない、無期限の別居生活、そして無期限の接触制限に男の精神は追いつめられていった。
じわじわとカビが繁殖するように、埃が積もっていくように、男の心は不安とも苛立ちともつかない気分に浸食さ
れていた。
仕事上のミスも犯すようになった。後輩には嫌みを言うし、上司には不貞腐れた態度を取った。次第に彼はまる
で反抗的な十代の若者のような言動をし始めた。
後輩は彼によそよそしくなっていったし、上司も迷惑がる態度を隠さなかった。そうした周囲の人間の態度に
も、彼は苛立ちを募らせた。
彼の心の杯はすでに満杯だった。あと一雫で、彼のキャパシティは決壊してしまう。そういうところまで彼は追
いつめられていた。
男はふとした拍子に、このひどい現状に至った過程を何度でも思い返した。そしてその都度、気持ちを濁らせ
た。
・・・・・・
始まりは浮気相手の女性との、運命的な出会いだった。
男は営業で契約を結んでいる家庭を訪問してまわっていた。基本的にはルート営業で、いつも同じ客のところへ
話をしにいくだけだが、ある時営業先で偶然、高校時代の同級生に出会ったのである。
彼女はミヤコといった。名字は変わっていた。最後に会ってから十年以上経っていたが、すぐにわかった。男が
少し話さないかと誘うと、ミヤコはそれを断らなかった。
それは夕方前だった。二人は西日の差し込む近所のカフェに行って、コーヒーを飲んだ。そして互いに配偶者が
いて、子供がいることを知った。高校卒業後から十余年の間に、彼らは全く異なる人生を歩んで来たことを知っ
た。しかしこのちょっとした偶然の出会いは、彼らが遠く失った青春の日々を思い起こさせるのに十分だった。思
えばミヤコと男は特に仲が良かったというわけでもない。同じクラスで時間を共有していたというだけで、当時付
き合いがあったわけではないのだ。
ただ代わり映えの無い営業の日々と、育児家事の日々だけを積み重ねて来た、ごくごく平凡な二人は、知らない
うちにかつての高校生活における二人のちょっとした接触を、意味ありげなものとして記憶を改ざんしていたので
ある。
例えば文化祭の同じ班に居たというだけのことを、授業のグループワークで話し合ったというだけのことを、ま
るで甘いワンシーンのように捉え直していたのだ。記憶に脚色したのだ。その日出会うまでは、互いのことを互い
にすっかり忘れていたというのに。
そして二人は接近し、単調な日々に一石を投じた。その波紋が後にどのような状況を招くか想像しなかったわけ
ではない。しかしその行為はとても魅力的で、抗い難いことだったのだ。
とてもシンプルな成り行きの末に、男は(あるいはミヤコも)道を踏み外した。
しかし、男が元々軟派な性格だというわけではない。浮気に一切抵抗が無かったわけではない。ただ、彼には妻
との夫婦関係において一つのアドバンテージを持っていた。そのアドバンテージが、彼を不倫の道に突き落とした
といっても過言ではない。
・・・・・・
男が浮気するより更に遡って、まだ息子も出来る前。妻と結婚したばかりで、男が駆け出しの社会人で、夫に
なったばかりの頃、妻は浮気した。
結婚してからまだ半年ばかりのある日、昼間に妻が話があるといって職場に電話をかけて来た。そして彼女は
言った。
「私浮気してるのよ」
男は耳を疑ったし、何かのいたずらだと思った。だから
「へえそうだったのか」
と、受け流すように、じゃれあいに付き合ってやるという気持ちで答えた。
しかしそれから妻はじっと黙ってしまった。そしてすすり泣く声がかすかに受話器から聞こえ始めた。
「どうしたの?」
ようやく男は不穏な空気を感じ取った。妻は涙にどもりながら、謝りながら言った。
「この数ヶ月、あなたが会社に行っている間に、学生時代に付き合いのあった人といつも会っていた」
彼女は混乱を極めていた。男は何故妻がそんなことをしたのか、何故それを告白するのか、多くの疑問がこみ上
げて来たが、それを投げかける余裕は無かった。彼女が続けてこう言ったのだ。
「今東尋坊にいるのよ。もうあなたとは生きて行けない。だから・・・」
男にはそれが冗談としか思えなかった。妻がずっと浮気をしていて、そして罪悪感からそれを告白し、自殺の名
所で死んでやろうというのだ。妻は昼のドラマの見すぎで、どこかおかしくなっているのだとしか。
浮気も全て許すから死なないでくれと言う他無かった。それ以外にどう対応すべきだったのか、男には思いつか
なかった。職場のデスクにつきながら周囲の耳を警戒しながら、こそこそと「頼む死なないでくれ」と言い続けた
のだ。そして妻は「わかった」と言って、折れてくれた。ただし、条件を突きつけた。
「この電話を切ったら、もう二度とこの件について訊かないって約束してくれる?」
飲むわけにはいかない、ふざけた条件にしか思えないが、飲むしか無かった。
「わかったよ。それで帰って来てくれるなら」
男は言った。すると妻は安心したという声で、最後にこう言った。
「ああ、良かった。ありがとう。本当にごめんなさい。迷惑かけて。私どうかしていたんだ。・・・その代わり
じゃないけれど、あなたも一度だけなら浮気しても良いわよ。一度だけなら許してあげる」
「冗談だろ」
と返事をする前に、通話は切れた。
その日家に帰ると妻はキッチンで夕飯を作っていた。そしていつも通りに「おかえり」と言った。言いたいこと
は山ほど、それはもう山ほどもあったが、全て飲み込んだ。彼女があまりにもあっけらかんとしていて、いつも通
りだったから。
男は妻が家にいない時や、ちょっとした時間に浮気の痕跡を探した。しかし何も見つからなかった。妻が本当に
浮気していたのか、その確証は何も無かったのだ。あるいはあの日彼女が本当に東尋坊にまで行っていたかも、わ
からない。手のこんだ――質の悪い――いたずらだったのかもしれない。マリッジブルーか何か知らないが、結婚
生活に不安があって、男を試したのかもしれない。
ともかく浮気したかどうかも怪しいので、男は妻を責める気も、追求する気もしなかった。あの職場にかかって
きた電話さえ、夢の光景のようにおぼろげな記憶となっていった。
しかしその一方で、どうしても忘れることが出来ないことがあった。
「一度だけなら許してあげる・・・」
そんな妻の言葉を真に受けるべきではないはずだ。直に話し合って約束したわけでもない。そもそも、許される
からといって浮気をしていいとは言えない。しかしそれが夫婦生活においてどれほど重要なカードとなり得るか、
想像できない男でもなかった。
が、結局はこのアドバンテージが、浮気を一度だけ許されるというカードが、男を破滅へ導くのである。
・・・・・・
アパートの自室で、ソファに座って煙草を吸いながら、男はまた、この全ての顛末をつぶさに思い返していた。
妻の浮気疑惑。アドバンテージ。そして自分の浮気。それを許さなかった妻。やっぱり一度だけなら許すなどとい
うことにはならなかった。
そもそも、「この件については二度と触れてはいけない」という約束をした以上、男は「あの時こう言ったじゃ
ないか」と言って蒸し返すこともできないのだ。
いや、事態がここに至った以上、蒸し返すこともできる。しかし、浮気をして、事実泣いて怒っている妻を前に
して、「一度は許すと言ったじゃないか」とは、とても口に出来ないのだ。
言質を取ったつもりでいながら、もし妻が浮気を許さなかったらどうするか、ということについて考えなかった
のが失敗だった。
しかしそれでも、妻の方が先に浮気をしたかもしれないのだ。見知らぬ男に抱かれていたかもしれないのだ。そ
してそれを、こちらは許しているのだ。何故、自分だけがこんな眼に遭わされるのか。
こうした具合に、男は後悔と不満と苛立ちを何度も数え直した。
男は煙草の吸い殻を灰皿に押し付けて、床を見渡した。
古い傷だらけのフローリングには、伸びて冷えきったスパゲティの麺と、レトルトのミートソースがぶちまけら
れていた。そしてフォークと、割れた皿が部屋の端に転がっている。
かちっ、かちっ、かちっ、と腕時計の音が耳に入る程静まり返っていた。
男はゆっくりと立ち上がって、またゆっくりと両手を頭に振り上げ、震える程強く自分の髪の毛を掴んだ。
ぎりぎりと歯を食いしばり、髪をぐちゃぐちゃにかき回した。
テーブルを蹴飛ばし、ソファをひっくり返した。
床のソースを踏みつけ、麺を踏みつけた。
子供が毛虫を靴で踏[ピーーー]ように、男は足を振り上げては、すりつぶすようにスパゲティを踏みつけた。
決壊寸前の男の精神は、ただ、夕飯に作ったスパゲティをうっかり床にぶちまけてしまうことで限界を越えてし
まった。
ただそれだけのことだった。ただ作ったばかりの夕飯をキッチンから部屋に運ぶ途中で、ちょっと躓いて、それ
を台無しにしてしまった。
いつもならため息をついてそれで終わりだっただろうが、今ばかりはそうもいかなかった。
それでも男は一旦ソファで一服することで、落ちつこうとした。床にぶちまけられたそれを見て、自分の中の何
かが崩壊したことに気がついたから、なんとか押さえつけようとしたのだ。
しかし既に手遅れだった。心に溜め込んで、押さえ込んで来た苛立ちも不満もなにもかもが、もはや手もつけら
れないほどに溢れ出していた。
男はうなり声を上げながら、スパゲティを踏みつけた。ぼろぼろと涙がこぼれて、ソースで汚れきった床に倒れ
込んだ。そして無様に泣き続けた。
喉が枯れるまで、そのうめきを抑えることも出来なかった。
おわり
以上です
果たしてお題消化できているのかどうか・・・
乙
自然にながれる文章で読みやすかった
破滅というテーマを考えさせられる結末だと思う
お題「わたしの好きな先生」&「トゲトゲ」
二つのお題を両方使用してください。
字数は一万字以内。
投稿期間:05/24 (日) 00:00 ~ 06/06 (土) 23:59
投票期間:06/07 (日) 00:00 ~ 06/13 (土) 23:59
集計発表:06/14 (日)
【BNSK】品評会 in てきすとぽい season 12・お題
―「私はその人を常に先生と呼んでいた」(夏目漱石『こころ』)
お題は「わたしの好きな先生」。
尊敬する、人生を決定づけられた、もちろんLOVEでも。
「わたし以外の誰もが嫌っていた」先生でも、「わたし」が好きなら可で。
学校の先生でなくても、「わたし」が先生と呼べるひとならOK。
もちろん「年下の先生」だってアリです。
二つ目のお題は「トゲトゲ」。
山嵐のように目に見えるトゲトゲでも、目に見えないトゲトゲでも構いません。
また、トゲトゲを登場させずとも、「トゲトゲっぽさ」が出されていれば可です。
作品内で「トゲトゲ」を表現して下さい。
すみません、URL忘れていました……
http://text-poi.net/vote/95/
次回もよろしくお願いします!
7年ぶりに来たのでお題ください
ふたつのお題両方使用か!
なかなかハードルたけー
>>380
兄弟愛
マッドでギラギラしたお題ください
>>382
薬物中毒
ひそかに、5/24より品評会の投稿期間が始まっています。
http://text-poi.net/vote/95/
6/6 締め切りでまだ時間がありますので、皆さんの投稿お待ちしています。
投票期間:6/7 (日) 00:00 ~ 6/13 (土) 23:59
集計発表:6/14 (日)
No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/110.html
No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/54.html
No.03 オナモミ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/25.html
No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/19.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
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「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
時間外作品が投稿され、現在五作品になりました。
No.05(時間外)Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
http://text-poi.net/post/pimeles/1.html
時間外作品では投票が関心票扱いになるので優勝は難しいですが、それでも良いということであれば投稿大歓迎です。
もし時間内に仕上げられず眠っている作品等ありましたら、奮ってご投稿ください。
No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/110.html
読んだ後に空しさが残る、良い作品でした。
変なところに改行があるから狙っているのかなと思ったけど、そこはあまり気にしなくてよかった。
ふむ。普通に良い作品について、褒め言葉を並べるのが難しい。
機械工学の知識をインストールできるのがひとりしかいないとか、そういうやるせなさがなんかいいんだよなあ。
No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/54.html
こ、これは……
またおふざけかと思ったけど、意外と良かった。
季花かわいい。
けどトゲってどこにあったんじゃろ……
No.03 オナモミ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/25.html
最後のほうでどきりとした。
よく意味がわからなかったのだけど。
多重人格的な? やつなのだろうか。
けど最初の茉莉花との話を聞いたときはよくあるレズものかなと思ったんだけど、加奈子に対するやりとりを見ていたとき、主人公には不意に別の人格が出てくるみたいな。生まれながらの性っていうのかな? そういうのを感じた。
「なんで私だけこんなことさせられているんですか」←そりゃお前が宿題やってこないからだろ(´・_・`)っていう、そこのやりとりで主人公に対する好感度は下がっていたのだけど。最後に化けました。
No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/19.html
私の作品。
久しぶりにちゃんとお話し書いていこうと思ったら、文字数が全然足りなくなってしまったよ。
けど以前読んだウンディーネという小説でいきなりダイジェストぶっ飛ばしがあったから、なんとなくそれを真似てみたよ。
本当は、明るく終わりたかったのだけど。
No.05(時間外)Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
http://text-poi.net/post/pimeles/1.html
うむ、残念ながらよくわからなかった。
いや、雰囲気的にそういう流れになるのはなんとなく分かるのだけど、そこに私の気持ちが乗っていかなかったというのが正しいのか。
主人公、先生のことあんまり好きだとは思えなかったんだよね。どっちかというと、先生と恋をすることに溺れているって感じ。
たとえばなんだけど、どうやって先生を翻意させることができたのかわからなかったっていう感じの文章が最初にあるんだけど、で、私も過去によくその手を使おうとしたことはあったんだけど、やっぱりそれはあり得ないと最近は思うんだよね。
たしかに人の心はわからないのだけど、それでも「あ、この人急に優しくなったな」とか、そういうきっかけは分かるはず。で、そのきっかけを心の中で大切にして生きていくんじゃないかな。だから私はやっぱり、そこらへんのエピソードには触れてきてほしかったね。
あ、あと文章の書き方がずっと過去形だったのだけど、これは狙ったのだろうか。最初のほうからずっと、もう先生との関係は完全に終わってしまってるんだなあと思って、なんだか悲しくなってしまったよ。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
気になった作品:No.03 オナモミ(大沢愛) ********************************************************
No.01とNo.03はどちらに投票するか少し迷いました。
今回はお題二つを満たさなくてはいけなくて、先生のほうはともかくとげとげは難しかったんじゃないかな。とげとげをそのままお話しに絡ませることは難しく、どうしても精神面でとげとげを表現する作品が多かったように思います。だからオリジナリティを出していくには先生のほうで勝負するしかなかったと思うんだけど、そこがNo.01は最も優れていたかと。物語を流れさせる中核の要素として、先生が使われている。とげとげしさもね。
今回数は少なかったのだけど、私自身としては結構楽しめる作品が多かった印象でした。
せんせー、てきすとぽいの感想に書き込めない子をイジってる人がいまーす
ということで、なんかしゃんさんによって季花がいじられてるので感想を……。
ツイ垢は消してしまったのでこちらで。
No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/54.html
わざわざ先生の元に出向いて技術を見せつけるとか季花はいやらしい奴ですねー。
傍から見た私はこんな感じかもしれませんねー……(・ε・`)
まあ、魅せるほどの技術も私にはないですけどねー
ちなみに私は生茶派です。
お題ください
奇跡
リハビリのためのお題下さい、お手柔らかに
ADHD
No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/110.html
アーカイブプロジェクトの行われている未来世界を舞台にし、機械の先生が出て来る。自由意志を感じる機械と人間。はっきり言ってこれでは何でもありだ。好き放題に書いて「こういう世界での話だから」で終わり。文学の自由のふりをした単なるご都合主義。興味のある仲間同士で勝手に盛り上がって下さい、という他ない。緊張感のない台詞と説明が無駄に分量を増やす。無意味な改行も仲間内ではさぞ受けるのだろう。勿体つけているとしか見えなかったが。
No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/54.html
みたらし団子でジャグリングをすれば物凄いことになると思うがそのあたりは描写されていない。主人公の季花はおそらくは自分の相棒を求めてジャグリングの初心者教室に乗り込み、講師相手に串団子によるジャグリング「ダンゴリング」を披露して屈服させ、ともに世界選手権を目指すべく手始めにモロッコに団子のショップを開くことを決意する。そもそも主人公はなぜ串団子によるジャグリングに取りつかれているのか。そしてトゲトゲはどこにあったのか。
No.03 オナモミ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/25.html
県下有数の進学校に奇跡的に合格した主人公はさっそく落ちこぼれるが、数学の居残りでユーモアのある庭野先生に淡い好意を抱く。中学時代、親友の茉莉花に拒まれたトラウマを抱えた主人公は、庭野先生に告白しようとする加奈子を唆してキスを奪い、結果として庭野先生も加奈子も学校を去る。教室にオナモミを残して。落ちこぼれた受け身の主人公が後半に悪意を梃子に別の姿を現すのが不気味だった。「加奈子が目を瞑った」の部分は正直、ぞくっとした。
No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/19.html
サッカーのプロ選手を夢見る十勝平太はむりやりつけられた家庭教師に反撥するものの実力は認める。自分の夢のためわざと間違ったことで先生は傷付き、家庭教師を辞める。後にプロになった平太は国際線の機内でCAになった先生と再会する。高校生が家庭教師をやるという不自然さと、先生の内面が駆け足で説明されるだけという大雑把さに萎えた。平太と先生の年齢を近づけて先生の人生に影響を及ぼしたことにするための高校生家庭教師設定なら苦しすぎる。
No.05(時間外)Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
http://text-poi.net/post/pimeles/1.html
高3の主人公と数学の先生との禁断の関係が雪道でのスリップ事故により終わる。最後に唐突にリスの話が出て来て、さらに無理やり感のあるサボテンのエピソードで終わる。台詞の切れの無さは深刻で、無い方がむしろ良い。先生の30過ぎという年齢と妻子のあるバツイチ設定、さらにミスチル好きというあたりの整合性の無さがきつい。主人公の説明的な語りからは先生に恋している雰囲気がないのもつらい。何よりも当の先生に魅力らしいものが感じられない。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.03 オナモミ(大沢愛)
気になった作品:
トゲトゲさえあれば相対評価で、とも思ったが、やはり無しで。
2位票はいつも難しい。
********************************************************
遅ればせながら品評会作品を時間外投稿します。
泉中高校テニス部は練習が厳しいことで有名だ。練習を始める前に男子は四〇〇メートルのグラウンドを一〇周。女子は五周。走り終わった後に、荒い息を
吐きながら、顧問の前で円陣を組み、学校中に響くような大声で今日の目標を言わなければならない。その目標も、曖昧なものだったり、弱気なものだった
り、心がこもっていなかったり、少しでも声が小さかったりしたら、顧問にボールを投げつけられて、お前今日は練習が終わるまでずっと走ってろと言われる。
練習の時も同様だ。少しでも気を抜いたり、声が小さかったりすると足を蹴られ、お前やる気あんのか、とヤクザばりに怒鳴られる。そして胸元に向かって、
顧問が手に持っているラケットを投げつけられる。はっきり言って理不尽だ。まるで監獄のような環境だ。それでも県内では一番の強豪校だった。全国大会の
常連校でもある。今の顧問になってから、部は確実に強くなっている。だからこういう練習にも耐えなければいけない。
しかし俺はくじけそうにもなっている。顧問にはよく怒鳴られ、ラケットで腹を何度もド突かれる。その度に心臓が縮み上がって、今すぐに逃げ出したい
気持ちと、理不尽に対する悔しさが湧き上がってくる。俺はどうしようもない気持ちになる。だからお前は実力があるのに二年生で二番のままなんだ。皆に
そう言われているような気がして、言外に顧問に責められているような気がして、俺は少し泣きたくなる。
泉中高校には絶対的なエースがいる。俺と同じ二年の村田昴流。中学の時に軟式のダブルスで全国ベスト8まで進んだ奴だ。どんなに相手が強かろうと
サーブが早かろうと戦略的に攻めて来ようと、ベースライン上で粘りに粘って、相手の隙が出来た瞬間に攻撃を仕掛けて前衛に決めさせる。とても粘り
強く、どんなに不利な状況でも諦めない、メンタルが異様に強い奴だった。お互いに別の中学校から偶然にも同じ高校に入り、村田も俺も硬式テニスを始め、
同じシングルスを任されることになった。でも、やはりと言うべきか、現在じゃあいつがシングルス3に入るレギュラーで、俺はレギュラー候補のベンチに
過ぎない。技術は俺の方が上かも知れないが、テニスにおいてメンタルに差があるということは、大きな意味を持つ。競い合っている重要な場面での得点に
関わるし、少しの気持ちの差が試合に大きな影響を与えてしまう。俺と村田では、村田の方が選ばれるのは正しい。もちろん、そう理解しているけれど猛烈に
悔しいとも感じる。
俺はうだうだと考え込んでしまう性質だった。ミスを引きずりやすいタイプだった。練習だって顧問に怒鳴られてばかりで、毎日のようにラケットを投げ
つけられる。その度に俺の心はくしゃくしゃになって、惨めな気持ちばかりが増大していく。それをずっと引きずってしまう。俺はだから、村田には勝てな
いんだ。村田はすぐに切り替えることが出来るのに、俺はいつまでも悪かった点を悩んでしまう。
練習の最後に、校舎へ続いている一〇〇段ほどの階段を全力ダッシュで昇降する『階段ダッシュ』を三〇往復やらされる。これは死ぬほどキツイ。三時間半の
練習で足も腰も疲れ果てているのに、一番きついことをやらなければならないのは地獄だ。もちろんここでも手を抜くと、顧問のラケットが飛んできて怒鳴られ、
回数を増やされる。一年生なんかは死にそうな顔をして、足をがくがくと震わせながら走る。俺は足には自信があるから、誰よりも早く昇り降りするの
だが、顧問は決して一番になっても褒めてくれない。村田が粘りのあるプレイをすれば褒めるのに、俺の良い部分は決して褒めてくれない。まあ、そういう
ことを期待してしまうから、俺はメンタルが弱いままなのかもしれない。コートの中では誰も褒めてくれないのに。褒めてもらいたがってる時点で、俺は
甘いのかもしれない。
練習が終わった後で、今日の反省点と良かった点を順番に大声で叫んでから、コートに礼をして練習は終了。やはりこの部は超体育会系だ。が、メンタル
が弱い俺にとってはこういう部活の方が強くなれるかもしれないと思う。その分、毎日半泣きになるほど怒鳴られて走らされるわけだが。
礼をした後で、顧問が大声で「岩野!」と俺を呼んだ。声の感じから、あまり良くない話題だとは分かったが、俺は疲れた足を走らせて顧問の元に向かった。
他の部員たちは何事かと俺をちらちら窺っている。なんでしょうか、と言おうと口を開いた瞬間に「お前、まだわかってねーだろ」と凄まれてボールを顔面に
投げつけられる。当たった部分が熱を持って、痛みを感じる。俺はいきなり怒られて訳の分からぬままに驚く。心臓がキュッと縮こまるようなあの感覚が
やって来る。皆の見ている前で怒鳴られる自分。辱めを受ける自分。顧問は俺の腹をグーで突きながら「今日の練習でな、お前が一番、声が小さかったんだよ、
お前、やる気ないんなら部活辞めろ、なあ、変な時にドロップショット打ってたの俺見てたぞ、自分は走らないで、相手ばかりを走らせて、楽して、そういう
部分がお前のメンタルの弱さなんだよ、お前さ、明日はずっと走り込みな。しっかりと声出せよ。お前が一番大きな声出せなかったら、明後日も走らすからな」
そう言って、顧問は俺の頭を叩いて去っていく。俺は心が折れそうになって、自分の惨めさに涙が出そうになった。
うちの部活は練習が終わった後に制服に着替えて、校舎の前に集まって先生の講評を聴いてから帰るという決まりがある。俺はふらふらと歩きながら、
泣きたいのに泣けない気持ちで、制服に着替える。隣にいた村田が「ちょっとあれは酷いね……」と声を掛けてくれるが、俺は短く首を振る事しか出来ない。
お前に俺の気持ちなんて判らない。そうやっていじけるくらいしか俺には出来なかった。そんな惨めな気持ちの時に、一番来てほしくない奴が現れてしまった。
「修吾ぉー」
とても甘い声で、奴は可愛らしい女子グループの中から手を振ってくる。華やかな群れの中から一人脱け出し、俺の元に小走りで駆け寄ってくる。そして
俺に抱き着いてくる。ストロベリーのような甘い香りがして、俺は少しだけいい気分になって、それからすぐにうんざりした。
彼女は吹奏楽部に所属する、クラスメイトの赤城瀬理花だ。同じ中学校に通っていた同級生で、そこでもクラスが一緒だった。中学でテニス部のエースだった
俺と、吹奏楽部で普門館に出場した彼女とは、なんとなくお互いに近くにいるような雰囲気があった。とびっきりの美人でプライドが高い、でも自分に
釣り合うような人となら対等に接する彼女は、クラスの中でもよく俺と話をしてくれた。俺たちはいわゆるリア充グループにいて、他にもサッカー部の
高崎――こいつは一番声がデカくて、よく他の生徒の席に勝手に座って大声で自慢話を始めるような奴だ――それに派手な化粧で交際が広いヤンキー女の雪野
と、女子バレー部のキャプテンで男好きな相沢でグループを組み、俺たちはクラスの頂点に君臨していた。べつに組みたくて組んだわけじゃなく、いわゆる
強い奴らが徒党を組んで、他の弱い奴らよりも上位に立つために集まっているに過ぎなかった。俺は赤城や雪野や相沢の事が好きなわけじゃないし、高崎に
関しては嫌いでさえあった。高崎はクラスの隅っこでオタク話をしているような奴らの背中を蹴ったり、クラスでは二番目のグループにいる奴らの持ってるCDや
お菓子を勝手に奪って謝らなかったり、とても横暴な感じだったから軽蔑していた。そもそも俺が全国大会に行けるような奴だから、高崎たちも付き合って
くれているだけじゃないか。本来ならこいつらと俺は友達になるような関係ではないんじゃないか。俺自身も、そういう奴といることでクラスの上位に立って
いるんだという気分に浸っていただけなんじゃないか。俺たちは地位を共有するだけのグループでしかなかったのだ。
赤城はよく男子生徒がちらっとでも自分の方を見ると「あっ、キモッ! アイツじろじろ私の方を見てんだけど」なんて自意識過剰なことを言ったり、本人
が教室にいる中で「〇〇君ってキモいよね、なんかよく私の脚とか見てんの」と言って雪野が「うわぁー、それキモ、マジ死んでほしい」と合いの手を入れ
て、高崎が空になったジュースパックを揶揄されている子に投げつけながら「お前見てんじゃねーよ」と怒鳴る。相沢はそんな高崎に腕を絡めながらけたたま
しく笑い、俺は赤城に体を寄せられながら苦笑いしている。俺たちはそんな嫌なグループだった。
正直、赤城はすごく美人だし、絶対にわざとやっているだろう、Yシャツの第一ボタンを開けてぎりぎりブラジャーが覗けるか覗けないかくらいにしている
感じとか、リップが微かについた食べかけの甘いクレープをお腹いっぱいだからと言って俺の口に上目づかいで差し出してくる感じとか、夏場にこちらを向き
ながら下敷きでスカートを仰いで中の下着が見えそうになる感じとか、そういう男心をくすぐるあざとさに最初はドキドキしていたけれど、次第に彼女は俺と
いう人間が好きなんじゃなくて、ただ強くて自慢できるような奴が好きなんじゃないかと思って、もやもやしたのも事実だ。俺たちは校内で噂されているみた
いに男女関係として付き合っているわけではなかったし、相沢と高崎がするようなキスやペッティングをするわけでもなかった。こいつは俺が全国大会に行け
るような奴だから側にいるだけなんだ。
今もこうやって抱き着いてくれているけれど、俺が二番であることを彼女はどう思っているんだろう。
離れたところでキャーと華やいだ声を出している吹奏楽部のグループの声を聞きつつ、「おまっ、まだ講評終わってないんだから離れろや」と言って赤城を
引っぺがした。赤城は「もぉー、修吾つめたーい」と言いながら、可愛らしい笑顔を見せる。これも計算なんじゃないかと勘ぐってしまう。自分が可愛く見え
るようにすべて計算してやっているんじゃないか。彼女は村田に向かって「あっ、村田くん顔真っ赤にしてー、かわいー」と指を差して笑いかける。スカート
は太ももが見えるくらいに短くされていて、ちゃんと男子の目を奪うように計算されている。その白くて艶やかな太ももは、思わず男子として目を向けてしまう。
だってそれは彼女の美しい武器だから。村田は一瞬だけ、そのスカートの短さに目を向けてから、恥ずかしそうに、「赤城さん、いじらないでよ」と弱々しい
声で言った。村田はメンタルが強いくせに純朴で、女子に対してはすごく弱気だ。鼻をくすぐるような甘ったるい制汗剤だか香水だかのストロベリーの香りを
振りまきながら、彼女は俺に向かって「修吾、一緒に帰ろう」と言って手を触れてくる。さっきまで俺を憐れんでいた連中はすごく羨ましそうに俺を見つめて
いる。村田も俯きがちにこちらを見ている。少しだけ優越感に浸ったが、同時にすごく情けない気分にも陥る。俺が求めているのはこういう優越感ではない。
そこで顧問がわざとらしく、「んっ」と大きく咳払いをした。けれど赤城はひるむことなくあっけらかんと笑いながら、「ごめんなさーい、高樹先生。おじ
ゃましましたー」と言って、離れていく。けれどすぐに、先生に向かって、「私の太ももばっか見てたのバレてますよー」と言って笑いながら女子の群れに入
っていった。遠くの方で、きゃっきゃっと笑う声が響いて、顧問も俺らも呆気にとられていた。まるで嵐のような女だ。先生はその日、少しだけ恥ずかしそう
に講評を始め、俺らを怒鳴ることはなかった。いい気味だ、と思えるほどに俺はメンタルが強くないので、ただ真面目な気持ちで居心地の悪さを感じているばかりだった。
帰り道、自転車を引きながら赤城の隣を歩く。赤城は小悪魔のような笑みを浮かべて「いい気味だったでしょ。修吾怒られてばかりだったもんね。ちょっと
仕返ししてやった」と言ってこつんと肩に頭を乗せてくる。
後ろを歩いているだろう他の連中の視線が痛かったので、俺は「付き合ってもないのに人前でそういうことすんなや。あと、すっげえ居心地悪かったわ」と返す。
「だって修吾が晒されてるみたいで我慢できなかったんだもーん」
「ありがたいけど、余計なお世話。俺が強くならなければ意味ないんだし」
「ふーん、修吾はずっと村田くんに負けてるもんねー。村田くんの方が格好いいかも」
そう言って意味ありげに笑った。ほら、だからこいつはそういう奴なんだ。どうせ村田に乗り換えようと色々アピールしてたんだろう。
俺は赤城に元気づけられたのか、煽られたのか。
とにかく、俺はあの日からやけに気合が入るようになった。努力して練習に取り組むようになった。今までの何倍も真剣に取り組むようになった。
練習では一番に大声を出し、とにかく気迫で負けないようにと気張った。取れなさそうな球でも全力で追いかけ、高さで届かないだろう球にも全力で飛びつ
いた。そのおかげか、村田ともいい勝負が出来るようになった。
決して赤城のことが好きだから頑張っているわけじゃないが、あいつと釣り合うような男じゃないと恥ずかしいという気持ちも確かにあった。彼女は、男と
しての優越感を確かに与えてくれるような女子なのだ。好きと言うよりも、お互いに自慢できる関係としていられる感じ。ビジネスライクと言ってもいいかも
しれない。だからこの共存関係から、勝手に俺だけが転げ落ちるのは恥ずかしい事だし、彼女から軽蔑の目を向けられるのは、やはり嫌だったのだ。
俺はそれから一か月後の練習試合で、ついにレギュラーとしてシングルス3を任せられることになった。もちろん練習試合だから、俺の実力を試す意味で出
してくれたのだろうが、チャンスは絶対に掴まなければならない。そのために俺は頑張ってきたのだから。顧問は珍しく、俺の頭に優しく手を置いて「お前が最近、
すごく変わってきたのはわかっててる。しっかりと努力をするようになった。気持ちで負けないようにしてるのがスゲー伝わってきた。だから、これは俺から
お前に与えるチャンスだ。ここで結果をしっかり示してみろ」俺はそう言われて燃えた。ここが大きな分岐点になるだろう。もちろん負けたところで腐らずや
るのは当たり前だが、とにかく気持ちで負けない様に。強くあろうとすることが大事なのだ。気迫だ。赤城との共存関係を守るために。俺は負けてはいけない。
複数の高校が集まって六試合して、そのうちの五試合で勝つ事が出来た。恐らく技術と気持ちがいい具合に自分の中で噛み合ったのだろう。気迫に燃えなが
らもいい意味でリラックスして臨むことが出来た。プレッシャーに押しつぶされることはなかった。顧問も俺が良いプレイをすれば褒めるし、怒鳴ることはな
かった。悪循環に陥っていた自分が、そこから抜け出せたのを感じた。あとで赤城にお礼しなきゃなと考えながら、俺はその日の試合を終えた。レギュラーに
選ばれるかは分からないが、決して悪くはない結果だった。
夏の大会の地区予選。その二週間前に顧問からオーダーが発表された。シングルス3に俺の名前が呼ばれる。怪我がない限り、地区予選は全てこれで行くと
発表される。俺は思わずガッツポーズをとり、全身で喜びを表現する。他の奴らには、とくに村田には厭味に見えるかもしれないが、こうやって全身で感情を
表現することも、テニスでは大切なことだ。悔しがらせたり、自分の気持ちを高めたり、苛立ちを消したりする。だから俺は、感情をそのままに表現して喜びを示す。
仲間が褒めてくれる。
厳しい顧問も期待の言葉をかけてくれる。
俺はやっと自分が這い上がれたような気持になって、少し涙が零れそうになった。
その日の講評が終わった後、赤城が俺の元にやってきて、抱き着いた。
「修吾選ばれた? やったー!」
彼女は短いスカートで飛び跳ねながら、甘い香りを撒き散らしている。シャツを取るために近くに屈んでいた男子は、ひらめくスカートの中の秘密を覗こう
といやらしい目で見つめている。恐らく赤城はこういう視線に気づいている。そして、すごく軽蔑していると思う。後で仲間内で晒しあげて、メールで回した
りするのだろう。赤城が言うには、男子の視線というのはたいてい女子にバレバレで、そこにいやらしい気持ちが込められていればいるほど、分かりやすいのだ
と言う。俺も思わず女子の胸元に目がいきそうな時があるが、それを何とか理性で押さえようと頑張っている。
「修吾、後でまたメールするね。今日はちょっと、残らないといけないから」
そう言って赤城は申し訳なさそうに小さく手を振りながら、華やかさを残して校舎の方に向かった。
自転車を引いて帰り道を歩きながら、教室にプリントを忘れてきたのを思い出した。六時間目の授業が長引いたため、急いで部活に向かい、そのせいで宿題
のプリントを机に入れっぱなしにしてしまったのだ。俺は慌てて学校に戻って、夜になってほとんど人のいなくなった職員室で鍵を借りた。階段を駆け上がり
ながら、三階の教室に向かう。生徒の姿のない校舎というのは、やけに不気味だと思いながら、俺は教室の鍵を開けた。あまりにも静かすぎるので、音が響き
過ぎないようにそっと鍵を開ける。スポーツをやっているくせに、静かな場所で大きな音を立てるのがいまだに苦手だった。なぜかだか抜き足差し足で机に向
かい、プリントを取る。別に誰がいるわけでもないが、見つかったらいけないみたいな雰囲気が、夜の学校には漂っている。
急いで帰ろうとしたところで、鍵の閉まったベランダの方から、微かに声が聞こえてきた。
誰かいるのだろうか。
各階には東側に五つの教室が並んでいて、ベランダも教室同士で繋がっている。ベランダを通じて他のクラスに行き来する者も多い。だからほかのクラスの
奴らが残っている可能性もある。が、何となく気になってこっそりと覗いてみることにした。
隣のクラスのベランダ側に、並んで座る二つの影があった。それは見知った姿だった。赤城と高樹先生が重なり合うようにしてキスをしている姿が見えた。
ベランダの壁に並んで座り、軽く手を握り合いながら、長い時間のキスを交わしている。高樹先生の左手は彼女の脚に触れていて、赤城の腕は先生の背中に回
されている。なぜだろう、と考える間もなく俺はその場から走って逃げた。途中で鍵を閉め忘れたことに気づいたが、あの場所に戻りたくはなかった。そうか、
赤城は高樹先生の事が好きだったのか。でも、だったらなんで俺によく付きまとってくるのか。様々な考えがぐるぐると回って、イラついてきて、思わず俺は
自転車を思いっきり蹴った。なんだかとても馬鹿らしい気分に陥った。
高樹先生は既婚者だ。まだ三十四歳で、先生の中じゃ結構若い方である。背が高くて、顔立ちも良い方だ。しかし先生と赤城が、なぜ隠れてキスをしてるん
だろうか。男子の憧れである彼女が、どうして先生とキスをしているんだろう。先生もなんで女子生徒に手を出しているんだろう。浮気じゃないのか。PTAを
揺るがす大きな問題じゃないのか。それにどうして赤城の方も嫌がらなかったのか。
俺は誰も信用できないような気持ちになり、その日は眠れなかった。ベッドの中で悶々としながら赤城の事を考えて、イラついたり、人恋しくなったり、
先生を呪ったり、自分が情けないと感じたりした。先生に甘える赤城のことを考えて自分を慰めたのは、その日が初めてだった。途轍もなく嫌な気分になった。
情けなさばかりが自分の胸を覆っていった。
それからの俺はまるで駄目だった。精神的にも不安定だったし、練習にも身が入らなかった。案の定、一回戦のシングルス3でボロ負けし、他の皆が勝って
くれたから良かったものの、俺は顧問に怒鳴られて、次の試合ではレギュラーを外された。
「おめーは相変わらず本番に弱いな。なんで試合に飲まれてんだよ。お前じゃだめだ。次からは応援席で叫んどけ」
呆れたようにそう言う顧問に対して、女子生徒に手を出すクズ教師めと思いながら、俺は顧問を睨んでやった。顧問はさすがにイラついたのか、俺の方を見て、
「なんだよその目は」と凄んでくる。
「変態野郎が」
俺がそう言うと同時に、顧問は俺の腹を足の裏で蹴飛ばした。最低のクソ野郎だ。なんでこんなやつが偉そうにテニスを教えてやがるんだ。どうせ女子生徒
とやる事ばかり考えて、俺たちには走らせておけばいいと思ってるんだ。馬鹿みたいに努力する俺たちを怒鳴ってストレスを解消してるだけなんだ。どうせ女
子生徒の太ももとかをちらちら眺めて、どうやってたらし込めるかを考え続けてたんだろう。俺は高樹をぶん殴った。周りの奴らは何事だと戸惑いながら、俺
を止めにかかった。恐らく俺が悔しさのあまり先生を殴ったと思われているのだろうが、違うんだ、こいつは最低の奴なんだ。俺はそう喚いたが、誰も俺の話
に耳を貸してくれなかった。高樹は俺を凄んだ目で見ながら、お前はもう試合に出るな、と言った。誰が出るもんか。クソ野郎め!
俺が先生を殴ったことで、本来なら数日程度の停学に処されるらしいのだが、夏休み中ということもあり、一週間の校内清掃をするだけで許された。俺は誰
にもアイツらの秘め事を喋っていない。俺が惨めになるだけだからだ。けれど、赤城にだけはどうしても聞いておきたかった。
面と向かって訊けないから、俺はメールで聞くことにする。
――お前、高樹と付き合ってるの
そう送ってみたが、しかし返信がなかなかこなかった。
変なことを訊いてしまったかと後悔していると、一時間後に返信が送られてきた。
――付き合ってないよ
俺はしかし、その件を追求するように返信を送った。
――でも、お前と高樹がベランダでキスしてるの見ちゃったんだけど
――ああ、そうなの。でもさ、そのおかげで修吾もレギュラーに入れたんだよ。まあ、修吾のためにやったんじゃなくて、高樹先生がどれだけ私のお願いを
聞いてくれるか試したかったんだけどねー。あっ、何かひどいこと言ったかも、ごめんー(笑)
――なあ、なんでそういうことするんだよ。
――別にいいじゃん。というか、もう修吾と一緒にいるのに優越感を感じなくなってきたし、新しい人に依存したかったんだよねー。高樹先生って、一緒に
いてドキドキできるんだよ。奥さんがいる人と付き合って、生徒に手を出してるっていう弱みを握って、高樹先生の上に立つのってすごい面白いじゃん(笑)
もしかして、部活終りに私が抱き着いたのを勘違いしてた? あれ、先生にアピールしてたんだよね。先生ったら、私の体を見てるのバレバレなのに、自分は
女子生徒に性欲なんて感じませんって顔して怒鳴って、修吾に嫉妬心とか抱いてたの気づいちゃったからさ。私から誘ったらすぐに乗ってきてくれたよ(笑)
今じゃ何でもいうこと聞いてくれるし、胸とか触らせるだけで色々とお願いきいてくれるから、今じゃ私の一番好きな先生なの。ちなみに吹奏楽部の部長
も、私のこと好きで言うこと聞いてくれるし、英語の湯原はこっそり盗撮してるの気づいてるって言ったら高いもの買ってくれるようになったし、いろんな人
の弱みを握って、私は生きてるだけなの。私に釣り合うような人なんて、今まで会ったこともないからね。キモい男たちを跪かせて楽しむしかないじゃん。あー、
でもさ、このメール皆に見られたらやばいかもー(笑) でも修吾なら誰にも見せないって信じてるよ。
――お前は最低だよ。赤城
――えー、もしかして修吾、私のこと好きだった? でも修吾じゃ無理かも。修吾、弱いし。村田くんの方が可愛いし。私さ、村田くんとキスだってしちゃ
ったんだよー。まあ修吾には刺激が強いかもしれないけどー(笑)
俺は携帯をベッドにぶん投げながら、ただ訳の分からない言葉を叫び、腕をベッドに何度も叩きつけた。なぜ俺はこんなにも怒りと悔しさを感じているのだ
ろう。なぜ、もう何もかもが終わっていたのだと感じてしまうんだろう。
まるで美しいバラに触れて、思わず棘に刺されたみたいな気持だった。ちくりとした刺激を受けて、戸惑うことしかできない。傷はじくじくと長く痛んで、血
を滲ませている。
彼女のトゲトゲしいばかりの内面に触れてしまった。
自分の美しさに釣り合うものを求める傲慢さは、棘を持った悪女だ。
小さな世界で女王として生きるしかない、可哀想な彼女を思った。その浅ましい世界には同情を覚えた。が、俺はもう彼女と関係ない世界で、下位に見られな
がら生きるしかなかった。俺と彼女は、やはり違う世界に生きる人間だった。それぞれが、分相応に生きるしかなかった。
俺はそれからテニス部をやめて、クラスメイトの地味な子と付き合うようになった。
赤城はもう一言も俺と口を利いてはくれない。
投下終了です
なんとここで時間外投稿……!
ということで、読んでみました。
No.06 いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/1.html
厳しめの評価になってしまうのだが(´・_・`)
人物の整合性に難があるように思いました。まず物語の根幹となる主人公だが、最初のネガティヴ思考から突然心を入れ替えたのは何故なのだろうか。赤城の行動がきっかけになっているのだけど、彼女の思わせぶりな行動はそのときが初めてじゃなく、これまでも主人公は手を焼いてきたはずである。すると主人公の心変わりの理由はなんだろうと思うのだが、残念ながらそこが書かれていない。だからその部分を読んだときは「なんで?」と持ったし、最後に赤城の本性が判明したときは「そこまでショックを受けることか?」とも思った。もちろん心の何処かで信じていたというのもあるのだろうが、むしろ逆に「絶対にあいつを振り向かせてやる!」と燃える展開もあるかと。主人公の心の限界がどこにあるのか感じ取れなかったのが残念。
あと……ってどこまで書けばいいのか迷うのだけど(´・_・`) 個人的にはもっとキャラクターに話を進めるのを任せてよいのではないかと思った。具体的に言うと、赤城みたいなキャラクターは個人的には好きだ。屈託無く周囲に悪意をばら撒く。「なんで?」と聞くと「楽しいから!」と返す。まともに向き合おうとしても疲弊するだけ。何を言っても通用せず無敵のキャラクターなのだが、主人公をあえてそれと真正面にぶち当たらせるとか。「絶対にあいつを振り向かせて、最後はこっ酷く振ってやる!」みたいな。そして実際に最後は振ってもいいし振らなくてもいい。そこはキャラクターに任せる。そういう自由さがあってもいいのではないだろうか。個人的には主人公にもっと良い人が現れて、縋り付いてきた赤城を「いらねぇよお前なんか」と殴る展開を希望。そういう胸糞の悪い小説が最近読みたい。
と、結局色々書いてしまったのだが……
BNSKの作品を読んでいると、「俺ならこうするぜ!」と考える作品が毎回いくつか出てくるのである。
今回はこれだったということで(´・_・`)
No.06 いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/1.html
いろいろあるが「わたしの好きな先生」というお題はどこに行ったのか。そもそもビッチの赤城も先生が好きなわけではないようだ。
もしかすると最後に主人公が「顧問が好きだ!」と絶叫するホモ展開かもしれないと期待したが、何もできずに自慰にふける情けないガキのままだった。
「好き」という条件を加えられると人間は弱みを抱える。同時に強さも生じる。そのあたりを描くのではないかと思ったが、赤城に対しても気後れしているばかりで具体的な関係も持てずじまい。
これでは愛想を尽かされて当然だ。「トゲトゲ」を赤城の性悪さにおっかぶせているが、原因はむしろ優柔不断な主人公にある気がする。
ふられるのが怖くてあれこれ理由をつけて赤城と付き合うこともできず、顧問の横暴を怨むばかりの卑屈な人間。
いっそのこと主人公を赤城にして書いてみればいい。たぶん書けないのではないか。
書けない原因は、この作品に関して不徹底な部分があるためだ。全体的に、お題の扱いと同じ「逃げ」が感じられる。
責任転嫁と言い訳を繰り返す主人公では作品として一貫性が持てないし、魅力もない。
赤城と顧問が関係していることを一大事のように言うが、彼氏でもなんでもない主人公に咎める権利はない。
気合の入っていない練習態度を叱られて「何で俺だけが」と逆恨みする幼稚なガキというだけだ。
さりとてうすっぺらい悪役にしかならない赤城を主人公にはできない。
主人公はひたすら甘く、赤城はことさら悪役ぶった要素をまぶされてはいるものの、内面は空疎な人形だ。
主人公の弱さを慰撫しつつお題をこじつけて何となくまとめようとした作品、という以上のものではない。
>>405
確かにあなたの言う通り不徹底な部分がある。他の人の感想でもあなたの感想でも書かれていたけれど、赤城と先生のそれぞれの行動動機や背景が今一つ見え
てこない。それは確かに理解できたし、大きな反省点だった。
恐らくあなたにとって、とても退屈で不愉快に感じた作品だったんだろう。弱い人間の心情を吐露した不快な作品だと感じたんだろう。魅力がない、という言
葉がそれを示していたように感じる。
>>気合の入っていない練習態度を叱られて「何で俺だけが」と逆恨みする幼稚なガキというだけだ。
ここはたぶん読んだ本人の心の傾向も被さっているのかもしれないが、厳しい練習中に自分だけが強く叱られることに対して、何で自分だけがという気持ちが
芽生えることは、決して幼稚な事だと自分は思えない。
それは思春期にある当然な心の動きだと思う。運動部で活動している時に、その悔しい思いがやる気やメンタル強化につながることがある。
自分だけが不当な扱いをされて、悔しさを感じて、ふて腐れてしまう思春期にありがちな心の動きを書きたかった。
なんで「俺だけが」の部分を逆恨みと感じるのは、ちょっと無理があるように思う。いや、やはり一つの言葉による感じ方は人によって全く違うんだろうが。
>>赤城はことさら悪役ぶった要素をまぶされてはいるものの、内面は空疎な人形だ。
赤城が薄っぺらくなったのは、やはりメールで語らせる事によって本性を明かすという展開が失敗で、他の人が言っていたようにもっとキャラクターを動かし
て展開させるべきだったように思う。失敗だったと気づかされた。
もちろん、彼女の空疎さを書きたかったわけだけれど、実力が足りなかった。
>>いっそのこと主人公を赤城にして書いてみればいい。たぶん書けないのではないか。
なんでわざわざこんな挑発をするのかが意味不明。いつもあなたに思うんだけど、こういう相手を貶しめようとするかのように書かれた言葉は、書いた人の意地悪さ
しか感じない。平気な顔して人を下に見ているような言葉。意識的に書かれたのか無意識に書かれたのかは分からないが。
創作していればこういう感想ってあったりするんだけど、そのたびに思うのが、どういう気持ちでこういう言葉を書いたのだろうと思ってしまう。すごく興味
がある。何と言うか、書き手側の好奇心として、単純に知りたい。
焚き付けるため? もしくは、(良いように取れば)次の作品に期待してるってこと? もしくはお前には全く実力がないということをストレートに伝えたい
のか。別に気持ちを込めて書いていないのかもしれないけど、もし明確な答えがあったら教えてほしい。
たたもしかしたら、あなたに挑発の意図など全くなく、ただ単にそのレスに書かれていた以下のような理由で、作者には恐らく書けないだろうという分析が
為されているのかもしれないが、もちろん作者としては納得がいかない(この辺があるいは幼稚さと取られかねないのかもしれないが)。
>>お題の扱いに逃げ
逃げと言うよりも、ずらしたいと思った。
「好き」という言葉にも色々な意味や気持ちが込められると感じていて、この作品においては恋愛的な意味ではなく、
自分の都合の良いように従ってくれるから「好き」と感じる。その、心が惹かれる、という意味以外の「好き」を使って消化したいと思った。
そんなお前が込めた気持ち知らねえよ、と言われれそれまでだし、逃げと取られたなら仕方がない気もするけれど。
個人的には恋愛以外としての、歪んだ「好き」があるべきだと思って書いた。
>>「トゲトゲ」を赤城の性悪さにおっかぶせているが、原因はむしろ優柔不断な主人公にある気がする。
>>ふられるのが怖くてあれこれ理由をつけて赤城と付き合うこともできず、顧問の横暴を怨むばかりの卑屈な人間
それを書いたのだが、それが駄目だったと言われれば、もう全てが駄目だったのだなとしか言いようがない。多分、読んだ人にとってそう言う作品になってい
たんだと思う。
個人的にも、これはあまりいい作品たり得なかったのだと、深く感じた。
思春期の男子が無自覚に惚れていた女性(近くにいたが惹かれていることを認めようとしなかった)、それが寝取られていたと気づいて、精神が傷つき、何にも身が入らなくなり、衝動的に対象を恨み、勝手に脆く崩れていく。
その思春期の挫折を書きたかった。女性から裏切られたことで傷つき、感情的になって、わだかまる感情を誰かに向けて発散しなければどうしようもない気持
ちなる時間を書きたかった。そこにストーリーとしての面白さや、読み手に向けた解りやすさが全く足りなかったのだと思う。展開の仕方や見せ方についても
同様に。
様々な方が指摘してくださった通りだと思う。自分はよく立ち直れない挫折を書いた作品を投稿するけれど、まだまだ力が足りないと感じている。
>>責任転嫁と言い訳を繰り返す主人公では作品として一貫性が持てないし、魅力もない。
(このレスこそがまさに作者の責任転嫁と言い訳と思われるかもしれないが)、恋愛経験がほとんどない思春期の運動部男子が、何かに責任転嫁をしたり言い
訳を繰り返すことは、むしろ自然じゃないか、と思う。高校生の時に、なにか嫌なことがあって、(誰かの所為だ!)と拗ねたことの無い人間がいるだろう
か。
そして一貫性が無い言動をすることは、高校生の行動としてリアルさを持つんじゃないか?
作品にはある程度の嘘や、リアリティに寄りすぎない処理は必要だと思うが 余りにも一貫性に満ちた人間ばかりが描かれるのは、個人的に少し違和感を覚え
るというか、一貫性のない人間が描かれてもいいのではないかと思う。自分は捻くれたり、病んだり歪んだ人間を書きたいと思ってる。
もちろん、実力が足りないのは誰よりも承知してる。そういう人間を俺が説得力を持って書けていないのと、この作品に魅力を感じなかったってのは確かに理
解出来る。もっとしっかりと練って考えて書くべきだったなと、反省してる。不愉快さばかりが目立ってしまったかもしれない。だから、こういう感想ってありがたい。いつも悔しさをすごく感じるけれど。
いつも感想を書いていただいてるのに、一度も言葉を交わしたことが無いのでレスさせてもらいました。
一度レスして言葉を交わしたいとずっと思っていたので(他の人の感想には返信したりするんだけれど、あなたとは一度も言葉を交わした事が無かったの
で)、ここに書かせていただきました。いつも作品の脆い部分を教えてもらってありがたいし、せっかく交流が出来るスレなんだから、積極的に言葉を交わし
てたいと思っていたので(長々として言い訳に感じられたかもしれないが……)。
もし嫌だと感じだったり、面倒くさいと思ったらスルーしてください。
ごめん、また誤字だらけかもしれない。
とりあえず最後の部分、(長々として言い訳に感じられたかもしれないが……)が→(長々とした言い訳に感じられたかもしれないが)だ。
打ち間違えた。
■本スレ
投 関
1 No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
1 1 No.03 オナモミ(大沢愛)
No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
No.05(時間外) Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
No.06(時間外) いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
■てきすとぽい
投 関
2 1 No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
1 No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
2 1 No.03 オナモミ(大沢愛)
2 No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
No.05(時間外) Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
1 No.06(時間外) いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
■合計
投 関
3 1 No.01 じぶんでえらぶこと(茶屋)
1 No.02 muomuo vs 季花(しゃん@にゃん革)
3 2 No.03 オナモミ(大沢愛)
2 No.04 思い出の先生(ほげおちゃん)
No.05(時間外) Be Like the Squirrel Girl(Pimeles O. Levalier)
1 No.06(時間外) いばらの女王(古川遥人(旧:木下季花))
ということで、優勝は「No.03 オナモミ(大沢愛)」でした!
おめでとうございます!
投稿&投票・感想いただいた皆さん、お疲れ様でした。
お題→「〇〇にのぼる」
「のぼる」は「登る」でも「昇る」でも「上る」でも。
夏空へ、山の頂に、七夕の夜空へ。
「のぼる」をキーワードにした作品を!
字数は一万字以内。
投稿期間:07/05 (日) 00:00 ~ 07/19 (日) 23:59 ※日曜締切りです!
投票期間:07/20 (月) 00:00 ~ 07/26 (日) 20:00 ※こちらも少し変えています!
集計発表:07/26 (日) 20:00以降
7/20(月)は祭日なので、期間をいつもと少し変えてみました。
日曜日〆にすると投稿が増えないかなあという淡い期待があります。
投票・感想も、日曜日20:00ごろまで延ばせば気まぐれで読んでくれる人が増えないかなぁと……
とりあえず実験、実験ですが、みなさんの投稿お待ちしています!
お題くださいザムライ参上
ブラン・ニュー・デイズ
お題下さい
野外露出
>>412
お題ありがとうございます。投下します
夜中、クローズの札が下げられた喫茶店のカウンターの奥で、店長と僕は向かい合っていた。
店長は六十台で豊かな頭髪も口ひげもグレーに染まっている。眉間のしわと目尻のしわが彼の厳格さと柔和
さを表しているように思えた。一方僕は、のっぺりとした表情の無い顔で目を伏せている。これは反省してい
ますという態度を表明しているのだが、店長に伝わっているかはわからない。
店長はパイプ椅子に腰掛けて、長い足を組み、煙草に火をつけて言った。
「最近、遅刻が多いね」
独り言のような低い声音が、一層僕を萎縮させた。僕はかすれた声で「すみません」と言った。
「ヤナギタ君の体質のことは理解してあげたいと思ってるよ。それに配慮したシフトで構わないとも言った
ね。しかしそれでも遅刻して来るというのは少し困る」
店長が少し辺りを見回したので、僕はカウンターの端に置いてあった灰皿を取って店長に手渡した。「あり
がとう」と言って店長は灰を落とした。「君はよく気が利く男なんだがね」
「僕は、クビですか?」
話の顛末を知るのが恐ろしくなって、僕はそう言った。どうせ行き着く先が決まっているなら、さっさと聞
いて楽になりたいと思った。矛盾している様だが、結局店長が何を言いたいのか恐れながら会話を続けるの
は、実に苦しい。
しかし店長は驚いたような顔をして僕を見つめた。それからその表情は少し不機嫌なものになった。僕は目
を伏せて、視線をそらした。
「いやそうじゃない。もし君が努力を払っていながら、今の様な現状であるならば、もしかすると君の体質は
治療されるべき病気なのではないかと、私は考えた。あるいは何か対処法があるかもしれない。だから明日か
ら休暇を出すことにした。治療に当たる時間が必要だろう。特に君は、人より一日が短いのだから。目処が
立ったら、連絡してくれればいい」
そういうことを伝えようと思ってね。と言って、店長は煙草を灰皿に押し付けた。これでお終いだという様
に。
僕は深く一礼してから、制服を着替えにロッカールームに入った。そこにはバイトの女子高生残っていた。
既に私服に着替えていて、退屈そうに携帯を見ていた。
ロッカーを開けてエプロンを脱いでも彼女が変わらずそこにいるので、僕は「着替えるんだけど」と言っ
た。ロッカールームは一つしかないので、着替える時は男女が順番に使うことになっている。しかし彼女は聞
こえなかったかの様に携帯に目を落としたままだった。僕は無視して着替えを続けた。彼女には自分が会話を
したい時にしか口を開かないところがある。楽しい時以外はすべてをシャットアウトしているみたいだった。
「ヤナギタさん、明日から休みなんでしょ?」
シャツを着ている時唐突に彼女はそう言った。僕は「そうだよ」と答えた。
「しかも無期限っておかしくない? 好きな時に戻って来ていいって。店長ヤナギタさんに優し過ぎ」
確かにそうだと僕も思った。どうしてこんなに使い勝手の悪い奴をクビにしないんだろう? しかしそう言
うと、彼女は苛立った様に言った。
「愛されてるってことでしょ」
僕は愛されてるという言葉の響きに苦笑した。それを女子高生が口にするのもおかしいし、それを諭される
僕もおかしい。
「よくわからない」僕は笑みを噛み殺して答えた。「僕はただのバイトじゃないか? それに、実質クビみた
いなものに思えるけど」
ロッカーを閉じて僕は鞄を肩に掛けた。振り向くと、彼女はじっと僕を睨んでいた。僕はその瞳から発せら
れる意図に気圧された。
「店長から相談を受けてたの。他の店員もね。ヤナギタさんのことを心配して、様子を聞いたりしてた。それ
なのに、なんだか、そっちは何とも思ってないみたい」
僕は納得した。彼女は僕の様子を伺うために、不自然にここに居座っていたんだな。人は相談されると、そ
れに応えたくなる。刑事事件の目撃証言を集めると、善意ある『協力者』はろくでもない詳細な情報を提供し
てくれる。
「僕の病気のことも聞いたの?」
彼女はためらう様な顔色をした。それが十分答えになっていた。
僕はひどい睡眠障害を持っていた。人とは睡眠時間が異なる。八時間や九時間では目覚めることが出来な
い。十五時間眠っても起きることができないこともある。理解を得られることはほとんどない。僕は端からは
どう見てもただ不摂生な生活を送っているだけのフリーターだ。数年前は不摂生な大学生で、さらに前は不摂
生な高校生、中学生だった。
病院に行って専門家が教えてくれるのは、適度な運動と適度な食事、そしてストレスを少なくするべきだと
いうこと。つまりは教師や同級生が言うことと同じだ。僕がこの障害に困っているなどとは誰も考えない。
女子高生は何か苛立ちか、怒りを抱いている。しかし僕がそれに答えてやる義理は無い。
「店長には感謝してるよ。そうは見えないかもしれないけどね。よく人から、何を考えてるかわからないって
言われるんだ。せっかく休みを頂いたんだから、早く病院を見つけて治療しなくちゃならないね」
感謝は嘘じゃない。店長は僕のために不規則なシフトに応じてくれるし、早く目覚めた時には朝から入れて
くれたりする。
僕は彼女を残して部屋を出て、店長に挨拶に行った。店長は明かりの無い店の中で調度の確認をしていた。
店長は片手だけ挙げて応えた。僕は裏口から喫茶店を出た。さて、明日からどうしよう?
僕が目覚めたのは午後七時だった。昨日家に帰ってから、零時には床に就いたはずだから、二十時間近く
眠っていたことになる。一瞬バイトに行かなくちゃと思って、すぐにその必要が無いことを思い出した。しか
しもう病院も開いていないだろうから、とくにやることもない。
近頃、睡眠時間がどんどん長くなっている。遅くとも夕方には目覚めていたが(それでも大学は落第し
た)、今では完全に日が沈んでも眠っている。そして深夜にはまた眠気がやってくる。時折、一時間しか眠れ
ないときもある。なんらかのバランスを取っているのだろうか。
それにしても一体自由とは何だろう。僕は誰に自分の権利を主張しようとも、この眠りから逃れることはで
きない。僕の一日は数時間で終わってしまう。明日の約束は誰にもできない。ほとんどがこの小さなアパート
の一室で過ぎてしまう。その間外の世界では様々なことが起きる。何十億という人々が外を歩き回り、人生と
いうものがもたらす刺激を味わっている。それも毎日。その間僕は眠っている。何も得ることができない、本
当に無意味な膨大な時をただただ過ごしている。
僕はからからに乾いた喉を潤すために水をたっぷりと飲んだ。それから何か食べないといけない。歯を磨
き、寝癖を治した。その間洗面台の鏡を見つめた。何の経験も蓄積されていないまっさらな青い顔。
一番近所のファミレスに入った。既に八時近いのに、高校生たちが沢山居た。そろそろ定期テストか何かが
あって、勉強会をしているという様に見えた。学校帰りにファミレスに寄り、ずっと居座っているのだろう。
僕はスパゲティとステーキとサラダとポテトとスープを注文した。一日分の食事を済ませなくてはならない。
注文が届くのを待つ間本を読もうと思ったのだが、聞き覚えのある声がしたので、辺りをそっと見回した。
高校生たちの中にバイト先の女子高生がいた。同級生たちと話して、楽しそうにしている。昨夜のとげとげし
さは無く、きっと彼女はこの時間に生きているのだろうと思った。
僕が見ていたバイト中の彼女はその影みたいなものなのだろう。連綿と続く時間の中で人生を我がものにし
ている人々の一人。社会という横の連続性と人生という縦の連続性を獲得した人間だ。僕にはどちらもない。
スパゲティ、ステーキ、サラダ、ポテトが全て届けられ、テーブルの上は一杯になった。店員は「スープは
ドリンクバーの隣にありますので」と一礼し、去って行く。
僕は立ち上がってテーブルの脇をすり抜け、ドリンクバーへ向かう。二人程並んでいて、どちらも空のグラ
スを三つくらい持っていた。俺がおかわり入れて来るよ、何が良い? 気の利く連中だ。
「ヤナギタさん」
後ろからそう声がした。僕は気分がぐっと落ち込むのを感じた。
「はい?」と振り向く。そこにはグラスを一つだけ持った彼女が居た。なるほど彼女は自分の分しか注がない
性格だろう。
彼女の顔色にはあの高校生たちの中で輝かせていたものが残っていた。いつもの退屈そうな顔じゃない。僕
はひどく惨めな気分になった。今の彼女は一人じゃない。その背中に多くの仲間を負っている。他者との連続
性の中にいる。「ある集団の中の一人」たる状態にいる。それが僕にははっきりとわかる。独りの者を脅かす
空気をまとっている。
「奇遇だね」僕は言った。
「うん」と彼女は曖昧に笑った。
僕と彼女は黙ってドリンクバーの前が空くのを待った。そして僕が先にスープを注いで戻った。分かれる時
挨拶もしなかった。
目を覚ますと時計は午前一時を指していた。起き上がろうとしたがふらついて、かなわなかった。瞼は目や
にでくっついているみたいだった。喉と鼻の奥は乾ききっていて、するどい痛みがある。
吐き気を感じながら這う様に冷蔵庫まで行き、僕は水をペットボトルからがぶ飲みした。頭がじんじんと痛
んだ。僕はもう一度時計を見て、力無く布団の上に座り込んだ。日付は一日飛んでいた。僕は二十四時間以上
眠り続けていたのだ。明確な断絶がそこにはあった。
昨日という一日が僕には存在しなかった。僕は泣きたい気分になった。喫茶店の店長に電話しようかとさえ
思った。もしもし、僕はもう一日以上眠り続けてしまうんです。僕が半年ばかり生きる間に皆は一年生きてい
る。一体どうして僕は誰かと繋がりを持てるんでしょう。
そんな泣き言を頭の中で浮かべてから、すぐにそれを振り払った。自分で自分に同情するような真似だけは
したくなかった。僕はとにかく実家に帰ることに決めた。とても一人で生活できる状態じゃなかった。キャ
リーバッグに着替えを詰めて、始発の電車を調べた。
概ね準備が済んだところで、まだ日は沈んだままだった。僕は携帯でニュースを検索した。昨日の天気や出
来事を見る。アメリカで飛行機の墜落事故があった。北関東を竜巻が襲って怪我人が出た。ファイターズが七
点ビハインドを逆転した。本当に知らず一日が過ぎてしまっていた。時計が壊れていたわけでもない。
とうとう自分がこの世界から切り離されてしまったような気分だった。部屋の中の空気がゼリーのような固
まりになって身体を包んでいる様な錯覚を抱き、僕は窓を開けた。夜風は冷たく、凝結した古い空気が洗い流
されるような心地がした。そして僕自身の肺の中、肺を通って取り込む酸素、そして酸素を乗せ全身を巡って
いく血液が洗われる心地がした。
僕はキャリーバッグを持って家を出た。大通りを歩いている途中で日が昇って来た。朝日を久しぶりに拝ん
だ気がした。地上には冷たく青い夜の空気が滞留している。片側二車線の道路に車は無く、とても静かだっ
た。バッグのキャスターが転がる音だけがやけに反響して聞こえる。ここには自分しかいない。
駅のホームでベンチに座り、電車を待っているとかつての記憶がよみがえって来た。
高校の修学旅行の朝、僕は目覚めることが出来なかった。目が覚めるとすでに夕暮れ時で、部屋の中には着
替えやおかしやトランプなどがきっちり仕舞われたスポーツバッグが置いてあり、わざわざその日着るつもり
の服まで畳んで置かれていた。リビングからは母親が夕飯を作っている音、包丁がまな板を叩く音や鍋の煮立
つ音が聞こえて来た。僕は全てが手遅れになったのだということを理解した。薄暗い部屋の中で僕はもう一度
眠りに就こうとしたがそれも出来なかった。望んだ通りに眠ることは僕には出来ない。悲しみも怒りも湧いて
こなかった。ただひたすら疲れた気だるい気持ちに包まれただけだ。そしてその疲れが今でも続いている。
同級生たちが旅行から帰って来る日、僕は学校に行った。学年主任の国語の先生が僕と一緒に生徒を乗せた
バスを迎えるために校門で待っていた。守衛所の脇にあるベンチに二人で並んで座った。僕だけが置いてけぼ
りを食らって、ひどい気分だったはずなのに、そのベンチで過ごした時間は悪くなかった。グラウンドから野
球部の練習の声や音が聞こえた。校門前の松の下で守衛のおじさんが手入れをしていた。頭の禿げた国語の先
生は特に話すでもなく、面倒くさそうな顔をして足を組み、グラウンドの方を見たり門の外を眺めたりしてい
た。僕も黙って膝の上に手を乗せて、バスを待った。
十分程過ぎた時、先生が言った。
「出発の日、寝坊して遅刻したんですか」
僕に興味がある様な口ぶりではなかった。退屈しのぎに言ってみただけだという具合だった。同情的な僕の
担任は気を遣って「寝坊」という言葉を使わないようにしていたが、学年主任は僕の体質のことを知らなかっ
たのか、当たり前にそう口にした。
「はい、まあ」
「家にいる間勉強する時間が出来て良かったじゃないですか」
先生はそう言った。受験勉強のことを言っているのだ。学年主任はいつも受験のことばかり話している。大
学受験合格の実績なんかを考えなければならない立場なのだろう。合理的でドライで押し付けがましさがな
い。僕はその態度が心地よかった。
生徒を乗せたバスがやって来て、簡易的な式典を行ってから修学旅行生たちは解散になった。式典のために
学年主任はしかたなくそこに居たのだ。何人かの同級生はお土産を僕に渡してくれた。彼らのモラルに感謝し
ながら、ざわざわと騒ぐ生徒たちの中辺りを見回すと、すでに学年主任は立ち去っていた。担任の教師は僕の
肩を叩き、残念だったと、お前も一緒に居ればもっと楽しかったのにと言った。僕は先生の熱い言葉にたじろ
いだ。
目が覚めるとそこは見覚えの無い白い部屋だった。窓からは眩しい光が差し込んで、放たれた窓から風が吹
き込み、カーテンが膨れたり縮んだりしている。僕はそれから数分間カーテンの揺れを眺めていたが、ふいに
気がついて、身体を起こそうとした。しかし体中の関節が痛み、ぎこちなく半身を起こすことしか出来なかっ
た。見回すと、ここが病院であることがわかった。何故ここにいるのか、いつからいるのかわからない。
そこへ看護師がやってきた。しかし彼女は僕を見ると幽霊でも見た様な顔をしてすぐに部屋を飛び出して
いった。すぐに医者がやってきた。
「君は一週間眠り続けていたんだよ」と初老の医者は言った。瞼が分厚く、仏像みたいな顔をしていた。
それから脈だの何だのと検査してから、医者は家族に連絡するために病室を出て行った。
看護師は僕が眠っている間のことを話した。僕は新幹線の中で眠り、そのまま昏睡状態になって病院に搬送
された。このことはニュースにもなったらしい。駅に救急車がやってきて、それなりの騒ぎになったのだろ
う。
僕は喫茶店のバイトを一週間以上休んでしまったんだなと思いついた。もう僕があそこに戻ることは不可能
なように思えた。そして手元に何も残っていないような気がした。
それから両親がやって来て、着替えや本やゲームを持って来てくれた。
「僕の携帯は?」
と聞くと、母親は僕の鞄の中や服のポケットを探した。携帯は鞄の中から見つかったが電池が切れていた。
父親が充電器を買って来るといって出て行った。
「あんたが寝てる間に精密検査とかもしたんだけど」と母が言った。「やっぱり何も見つからなかった。どう
してそんなに……眠り続けるのか、わからないって」
僕が眠っている間消耗してしまったのか、母は疲れている様に見えた。
「そっか」
僕はそんなことは期待していなかった。不思議と気分が軽かった。きっともう、僕は眠りに抗うことができ
ないということが直観でわかる。次眠った時、僕が目覚めるのはいつだろう。もはや僕にとってこの世界の全
ては一週間に一度か、あるいは二週間に一度か、たまに会う友人に過ぎないのだ。この世界のくびきから解放
されたのだ。
次に生きる一日は連続性の断絶した完全にまっさらな一日になるだろう。
osimai
以上です、失礼しました。
暇な時にでもドウゾ
乙
文章もまとまってるし読みやすかった
同じような病気だから共感もできた
ただオチが弱い気がする
お題くれー
生ぬるい水
お題くれ
>>428
母と息子
お題下さい
>>430
死後の世界
こっそりBNSK品評会始まっていますので、皆さんの投稿お待ちしています。
http://text-poi.net/vote/98/summary.html
締め切りは7/19です。
来月こそは参加する…!
>>433
今月も参加しようぜ
>>433
一期一会。
今月のチャンスは逃すと未来永劫、戻って来ないぜ?
いけるって。さあ!
お題をくださいな
>>436
冷たい手
>>434-434
いや今月だと適当な作品になってしまうからね!!うん!!
お題って前スレのでもいいの?
ダメならお題ください
>>439
ユートピア
>>439
前スレのでも問題ないと思う
投票期間:07/20 (月) 00:00 ~ 07/26 (日) 20:00 ※こちらも少し変えています!
集計発表:07/26 (日) 20:00以降
No.01 天を登る(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/116.html
No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/4.html
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/5.html
No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
http://text-poi.net/post/k_asahina46/5.html
No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/56.html
No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/28.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
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「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
No.01 天を登る(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/116.html
主人公・中谷昇は死に、「天」と呼ばれる場所に至り、ひたすら坂道を登り続けている。さまざまな集落と行き会い、自分の「幸福」との乖離を自覚しつつ先へと進む。本文中にいみじくもある通り「人の脳は、『天』に至ってもその脳の束縛から逃れていられないのだとすれば」そもそも「天」という人間界とは異なるはずの世界を舞台にした小説を書く理由がないのではないか。どの集落に出会っても主人公は内面の変革には至らず傍観者のままだ。これでは小説の出発点からまったく進んでいない気がする。「天」と呼ばれる場所が人間界と大差ないというのもいささか安易の謗りを免れない気がした。
No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/4.html
「閉眼法要」という珍しい行事に出席すべく主人公と母親は母方の実家へと向かう。仏壇に籠る魂を解放する「魂抜き」の儀式に参加した僕は、これが旧家に縛られた祖母の魂を解放する儀式だったのではないかと密かに思う。読了して疲労感があった。前半の寒村の描写は必要だったのか。中盤からの「魂抜き」にまつわる部分はほとんどが台詞と独白による説明で、分量の割に立体感がない。肝腎の祖母の思いが推量によってしか示されないので、一方的な思い込みとも取れてしまう。むしろ説明を抑えて場面を示せば深みが生まれたのではないだろうか。
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/5.html
高い壁に囲まれた「進撃の巨人」に出てくるような都市。「進撃の巨人」では外部から襲いかかるものへの防御のためだったが、これは管理のためである。「壁は圧倒的な不条理の象徴」「空は自由の象徴」とわざわざ書かれているのが辛い。言葉にしてしまうと幼稚さが曝け出される。本来は作品を通じて「感じさせる」べきことだろう。背中に羽の生えたガシェルと主人公の二人は、暴力に抗して空へと飛び立つ。背中に羽が生える種族という設定は活きているのだろうか。ひたすら異分子を排除しようとする側があまりに形通りなのも気になった。
No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
http://text-poi.net/post/k_asahina46/5.html
高校での人間関係に馴染めず予備校に通う高校生の主人公が、自習室で石川・小樂という他校の生徒と交流するうちに何か分かったような気になる話。舞台が予備校の自習室に限られていて、主人公が基本的に何もしないので話がほとんど進まない。芥川龍之介・夏目漱石の話がちらりと出るが、現状追認的で鋭さに欠ける。かつて「授業終了後、自習室に入り浸る生徒は落ちる」と予備校教師が話していたのを思い出した。分かるような気がする。最後に主人公が、文転と違いほとんど成功しない理転を決心するのが何とも象徴的だった。
No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/56.html
前回のBNSKに出た「muomuo vs 季花」の続編。一つの作品として見るならこの範囲内だけでは理解できない用語が頻出して、自立性に欠ける。もう一つ、エセ外国人的な口調のmuomuoのキャラクターはいいが、すずきりと季花のやりとりがやや凡庸なのが惜しまれる。最後に、怒り狂ったジャグリング教室の参加者に詰め寄られた三人が木に登るというのは何ともおかしかった。「試練を乗り越え、ともに同じ頂きを目指す」と言いつつやっていることは無計画な木登り。どう見ても志の高さとは無縁の単なる逃避。何かの陰画のようで味わい深いと思った。
No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/28.html
交通委員を務める主人公と美術部員の裕未は共謀して屋上ドアの合鍵を作り、屋上で過ごすようになる。ある日、裕未は転落死し、翼と付き合うことになった主人公は初デートの待ち合わせを屋上入口に決め、夜中の教室で待つ。はじめはブックエンド形式で最初と最後が同じ場面だと思った。だがよく見ると最初は月が出ているが最後は月のない夜だ。では最初の場面はいつなのか、と考えるとにわかに恐ろしくなる。転落途中の裕未が見たものは何か。なぜ主人公は落ちた時間を知っているのか。屋上で翼と何を話すつもりだろう。問い詰めたい。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
気になった作品:
「バードメン」の一方的あらすじ文体がもう少しなんとかなって
いれば、とか、「muomuo、桜の木を指差す」が前作とは別個の
自立性を備えていれば、とか、「魂抜き」が前半をカットして後
半を立体的に書けていれば、とか。
何とも悩ましいが結論は出なかった。
********************************************************
No.01 天を登る(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/116.html
主人公の名前被ったがな(´・_・`)
それはそうと、意外とこの物語好きかもしれません。
本当は主人公が見てきた世界は実在しなくて、そういう世界を見せることが天、みたいな、終わりがない。
音楽アルバムのファーストトラックで出てきそうな展開だよね。
No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/4.html
あ、一人称ですごい書いてる(´・_・`)
こういうの見ると羨ましいよね。私は最近三人称ばっかりだからさ。
そしてこの作品を読んだ感想なのだが……うーむ、くどくないだろうか?
祖母に会うまでの過程がめちゃ長いんだよね。それでその部分が重要かというと読み飛ばしても問題ない内容なので、余計に冗長に感じてしまうのである。内面描写をもう少し削って、あとは主人公が見たもの、聞いたものの解釈を読者を信じて委ねてみてはどうだろうか?
私は結構それで失敗してしまうのだけど(´・_・`) 程よさを身に付けたい。
作品自体は、結構私のシチュエーションと似ているので思うところはあった。
母のあの長いセリフは、祖母の前で言ったのだろうか。私の場合では、ふつう本人の前では話さないことを母が喋っていて、そのことに衝撃を受けたんだよね。呆けってどういうことなんだろうって考えたりもした。
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
http://text-poi.net/post/haruto_furukawa/5.html
おい、読んでる間に恥ずかしくなっちまったじゃねぇか畜生。
なかなか難しいのが、主人公たちにあんまり感情移入できなかったところ。
だってやりすぎやし(´・_・`)
主人公が殴り飛ばされたところも自業自得のように思えたし、誘拐犯の目的はなんだったんじゃろうかとか、そもそも壁がある理由は何? みたいな。壁を越えてはいけない以外は壁の中の生活もそれほど悪くないように思えたし。
違和感無くすとしたら、管理側は独裁者じゃなく大人たちみんなが「壁から出てはいけない」と子供たちに言い聞かせている。それを振り切って主人公たちは壁の外に飛び出るけど外は無法地帯だった→外の世界を救うために立ち上がったバードマン、という流れが自然なのよね。ありがちっちゃあありがちな流れだけど。
No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
http://text-poi.net/post/k_asahina46/5.html
> 全ての登場人物の話し方がやたら丁寧になってしまう。女子が男子にCool! と言ったシーンを「カッコいいです!」と訳す、
嘘こけ!
……いや嘘だろうこれは。思わず笑ったけどさ。
しかし私はこの作品好きだな。
とくに何か大きな事件が起こるわけではないのだけど、主人公はたしかに問題を抱えていて。
読む側のアレルギーを起こさない適度な軽さがあって、なんだか羨ましいな(´・_・`)
unfinishedと書かれているので物語が途中で終わっているのではないかと心配したけれど、私的には問題なかった感じ。
No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/56.html
うむ、まったく意味がわからないのだが、最後までスラスラ読ませてしまう文体には正直関心する。
読み手に文章でストレスを感じさせないって、やっぱり技だよね。
No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/28.html
……んー、よくわかんなかったや(´・_・`)
お題消化の方法はよく考えられていて、「ふむ、これは他の作品とはレベルが違うな」と一度は思ったのだが、後半に行くにつれてよくわからなくなった。
ところどころ違和感があって、たとえば主人公が屋上に初めてきたときにザリガニの死骸を怖がったりして居心地悪そうな描写があったのだけど、二度目以降はなんだか寛いでいるみたいに見えるところとか。だが最後の結末は主人公が二重人格みたいに見えるし、その違和感も演出されたものと考えたほうがいいのだろうか?
狙いとかすらもあんまり読み取れてない状況なので、この作品の解釈は他の人に任せよう。
No.07 (時間外&文字数超過)リプレイ(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/21.html
自作。まさかの時間外&文字数超過というダブルチョンボである。ぐふっ
最後の落とし所は途中で思いついたのだけど、なんか癖のあるものになってしまった。
最主人公の性格付けに悩んでて、身勝手な人物にすることが多いのです。こいつは多分多くの人から良く思われないんじゃないかって人物。昔は清廉潔白な人物を書こうとして、けど現実は決してそうじゃないなって気づいて。
しかし、多くの人に「そりゃそうなるのも仕方ないよ」って思ってもらえる境界線はどこにあるのか。いつもそこを狙って大幅に外すというのが、私の最近の作品の傾向である(´・_・`)
だからNo.04のような適度な軽さのある作品に惹かれるんだろうなあ、と思ったり。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
気になった作品:No.01 天を登る(茶屋)
********************************************************
私の中では一位は簡単に決まったが、二位争いは難しかったね。
No.02は巧みな文体に惹かれたし、No.03はもう一つ練ればグッと良くなる気がする。No.05は一番楽しく読めた気がするし、No.06はなんだかんだいってお題の消化を最もちゃんと考えているという点を評価しても良い気がする。
が、今回は私が今後どんな作品を書いていきたいかと考えて、適度に軽さがあって、しかしどこかテーマを感じさせる。そんな作品に票を入れたいと思いました。
あらためて、小説って難しい。
「向こう側へ」
http://text-poi.net/post/tamamogari/10.html
すみません。遅ればせながら投稿しました。読んでいただけたら嬉しいです…
>>445
何故この作品を時間内に間に合わせなかったんですか先輩……
面白かったっす。
最初は主人公なんじゃこいつと思いつつ、私も大学生の頃はこんなことを考えていたんだろうかと思いながら話を読み進めていたが、父親との話になってからぐっと引き込まれた。
この前バーネットの秘密の花園を読んで、主人公の少女は縄跳びを貰って盛大に喜んでいるのだ。たかが縄跳び程度で。けれどそれで感情を爆発させることができる主人公の純真さが羨ましく、この小説の山でキャンプするシーンもそれに近いものを感じさせられたね。理屈では説明できない気分だが。
誰かと話して孤独を感じる場面も私好み。
良い作品でした。
No.4を読んでいいたいことがある
作者は英語と数学ができて、石川は国語ができるんじゃないかな?
だとしたら、それをそのまま小説にした方がよいものになるよ
なんていうか、出来上がった作品が不自然に読めてしまうんだよね
進路に関してはなんとも言えないが……変わってほしいを変換違いしているようではなあ
まずは正しく書くところから……いや、それより大事なことがあるね
大江健三郎とか村上春樹を読んでいるなら今すぐやめてラノベにしなさい
質問は認める
俺関係ないけど何故ラノベ?
ラノベとかアニメはゴミなものはゴミ(人気がある作品でもそういうこともある)だけど
面白いものも混ざってるから
人類は衰退しました、俺妹とかね
のうりん! も面白いよ
>>447
うそぉん。
大江健三郎や村上春樹を読んでてもいいじゃん。
たしかに批判されるような悪いところはあるけれど、悪いところを削ぎ落として良いところだけ見れば良い作家だよ。
私は逆にあまりラノベ読まないけど、灼眼のシャナは面白かったなー。
>>449
結局、趣味の押し付けじゃん。言いたいことはわかるけどさ。それって、純文学でもミステリーでも同じだよね。
>>450
あとお前、批判されるような悪いところがある、ってすげーな。お前みたいなちゃんと小説読めないようなのがよく言えるよ。
お題ください
>>453
吸血鬼退治
>>454
ありがとう
>>449
とりあえずラノベ云々関係なく気持ち悪いから消えてほしい
いさだく題お
>>457
奴隷
>>450
まあ、見習うべき所はあるな
俺の嫌いな奴が村上春樹と大江健三郎好きだからどっちも嫌いになっちゃったんだよな
しかし、村上春樹は何いいたいかわからんから参考にするっつっても難しいだろ
大江健三郎は左脳が疲れて全部読めない
なんかギスギスしてんな、しかし
>>452
句読点の、付け方が、小説、っぽいね。
No.01 天を登る(茶屋)
幸せとはなんだろうか…と。様々な形で現れる天の世界。そして移ろい行く主人公。もしかしたら、天に居る他の住人も、主人公同様に移ろい行くのではなかろうか? どんな刺激にもいつか慣れてしまうから、そしたら幸福を感じなくなって、別の世界を探しに行くのではなかろうか。現実世界でも同じかもしれませんな。どんな幸福な環境に居ても、いつかは…などと考えました。新天地を探す(新「天」地!)時が一番幸福を感じられるのかもしれない…。とにかく、色んなことを考えてしまいました。
No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
ノスタルジックな光景というのは何だか細かいところから浮かび上がって来るという気がしますね。匂いだったり音だったりという様なものを切っ掛けに、そういうものが湧いて来るというか。そして親戚の家では悪いニュースがどんどん耳に入る。悪いニュースを聞くために来てしまったかのような。自分の前には連綿と繋がれて来た先祖たちが居て、それらと自分は無関係ではない…人間生まれたときから決して逃れられない呪縛の中に居るというか、連続性の中に居るというか…。ところが未来のこと、これから自分が作っていく先のこととなると、全く見えない。魂抜きが過去のためではなく今のためにあるように、自分は先祖のためにあるのではなくてこれから先というか、今と未来のためにあるはずで、…しかしこの物語の終結を見ると私は五里霧中の不安を感じてしまいました。
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
これはたまらないですね。ガシェルカッコいい。壁が「進撃の巨人」のようだという評がありましたが、私は「天元突破グレンラガン」に近いのかなと思いましたね。何に似ているかなんてことはどうでもいいことです。ガシェルの様な現状を突破していく存在、抑圧された世界から解き放ってくれる存在というものには心が打震えてしまう。もっとこの世界の広がりを感じたい……そう思わずにはいられません。軍服の台詞も実はキレがあって良いですね、ミレファントとの会話ですが。彼のキャラを掘り下げて、彼視点で壁側の、上層部の世界が見れたりしたらなあ…。こういう物語がツボにはまります。
No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
今の若者のリアルな世界はこんな具合なのだろうか…などと思いながら読みました。受験生というのは特殊な生き物だと再認識しました。夏休みに箱の中で全てが完結しているかのような。サイダーで海を連想しているくらいで。しかしそれはそれで悪くないんじゃないかな…みたいな。高校生が、教科書の内容について長々と熱く話し合うことができるのは、彼らがそういう特殊な秩序の中にいるからに他ならない様に思われます。個人的には最後の「何かに出会いたい」というのが良いです。しかし結局は未来への不安が暗示されていますね。下人の行方は誰も知らない…。
No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
謎空間が広がっている…。メタファーのちりばめられた物語なのかそうでないのか…。
私としてはすずきりには頑張っていただきたい。
No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
私の目はごまかせない。犯人は翼。四階に居た裕未は偶然にも、交通委員と翼の仲睦まじい姿を見てしまった…あるいはその時点ではそれが主人公だったかどうかは判別できなかったかもしれません(四階から地上は遠いし)。しかし主人公自ら四階に登って行ってしまったせいで、裕未の疑念は確信へと変わってしまうのです。実は裕未氏は翼に恋心を抱いていたのです。親友の裏切りと失恋!一方彼女に片思いする翼は裕未に告白するのであります。ところが、主人公との関係を誤解している裕未にその気持ちは届かない。自分の思い通りにならない裕未に怒り狂った翼は自分が抑えきれなくなった!屋上にまで逃げ延びた裕未はなす術無く突き落とされ…。ということは置いておいて、死の匂いがちりばめられた秀逸な描写という印象を受けました。しかしもうひとつノれなかったところがあります。(私がアホなので)深読みしすぎてよくわからなくて結局腑に落ちない…みたいな。
No.07 リプレイ(ほげおちゃん)
本当に面白かった。笑って読まさせていただきました。バンドの口喧嘩がスゴく良いですね。彼らの言葉にはトゲや毒が無いように感じました。むしろ愛らしい。コミカルで、どこか安心して見ていられるというか。だから笑うことが出来るのではないでしょうか。気に入ったシーンを挙げると切りがないくらいです。それでもとりわけ昇のキャラクターが良いですね。とにかくキャラクターというのが物語において大事なのだと感じました。投票したい作品なのに時間外というのが悔やまれますね。
No.08「向こう側へ」自作
投票はサイトのほうに直接やっておきます。感想を書くのは難しい…。結局思いついたことを列挙しているだけみたいに。長々と失礼しました。
>>459
どっちも真似しないほうがいい作家ではある。
村上春樹は哲学的ファンタジーに依っているから、よほどの知性と自制心がない限り現実を都合よく改変した作品になりがち。
主人公が「諦念」の形で世界を上から目線で見下ろしている、みたいな。
大江健三郎は膨大な知的成果を積み上げることが小説だと勘違いしている。博学だから評論家は太刀打ちできず、批判されない。
島田雅彦あたりはパシリだし。後追いすれば永久に自分の作品は書けずに終わる。
君はBNSKに小説を出しているの?
まだなら今度、出してみなよ。
そのやみくもな噛み付きぶりが何か気に入った。
時間外作品について
No.07 (時間外&文字数超過)リプレイ(ほげおちゃん)
http://text-poi.net/post/hogeochan_ver2/21.html
売れないバンドが売れるために方向転換して売れるようになったものの、自分たちのやりたいこととの差にメンバーそれぞれの温度差が表面化して、自壊する話。ストーリーはきちんとしていて、一見冷酷そうに見えるマネージャーの有能な面や大人な面をきちんと描いて厚みをつけている。読んで面白いと思う人間もいるに違いない。ただ、全体としての印象は、平日の午後2時頃から民放で再放送されている10年落ちのドラマのようだった。お話として物凄くありがちで、意外な部分が殆ど無い。バンドの盛衰も、既定路線を再確認しているようで「やっぱり」としか思えなかった。おそらく減点法で採点すればかなりいい線を行くだろう。ただし加点法なら点の入れようがないと思う。画餅にもそれなりの値打ちがあるというならそれまでだが。
No.08 (時間外)向こう側へ(すずきり)
http://text-poi.net/post/tamamogari/10.html
無為に日々を過ごす大学生のアキヒトが母親から誕生日祝いのお金を振り込まれたのをきっかけに山の中でキャンプ生活を始め、自殺志願の会社員タツミと出会って言葉を交わし、やがて山を下りて生活に戻る話。怠惰な人間の内面表白は書いている側がノッている割に読む側は退屈だったりする。ぐだぐだした言葉を離れて客観的にその人間をイメージしてみれば魅力の無さは明らかだ。「彼の両親が」のところから書き始めた方がマシな気がする。もう一つ。いちおうは社会経験を積んでいるはずのタツミの人物造形が甘すぎる。自分の仕事について自虐的に述べるくだりは特に「浅い」気がした。仕事に嫌気の差している人間は描きやすい。類型的だからだ。それこそ人生経験のない大学生でも高をくくって決めつけて書ける。アキヒトとの会話の部分に至っては精神年齢が殆ど同じに見える。タツミがアキヒトに対してべらべらと喋ってしまうのは死を前にした人間だから、というのであれば類型もここに極まれり、だろう。構成からして会話部分が小説の肝になるが、肝がこれでは腰砕けと言われても仕方がないのではないか。
僕のお母さんはお世辞にも美しいとは言えない容姿だった。
寧ろ、素直に醜いと告げた方が嫌味にならないだろう。
のっぺりとした顔には線のように細い目が二本刻まれていて
その中央下には低い鼻と厚ぼったい唇が並んでいる。
でも、問題はそんなところではない。
お母さんの体中の皮膚が乾燥し、白い塊となってはがれているのだ。
指が触れるたびに、擦れるたびに、ボロボロと落ちていく。
皮膚が無くなっていく、毛が抜け落ちていく
ボリボリと不愉快な音が聞こえるたびに、僕は何度も止めるように言った。
お願いだから、我慢して。
クスリ塗ろうよ。無いのなら、病院へ行こうよ。
お母さんはそれを聞くと、ごめんねと謝って手を止めてくれる。
血の塊が詰まった爪を隠しながら。
実際、お母さんも止めなければと思っているのは事実らしい。
お母さんが父さんに冗談交じりにそう言っているのを聞いたことがある。
隣人との会話で、美容についての話題がでてきたのだという。
お宅はどんな化粧水使っているのだとか
こうすれば、お肌がツルツルだとか
そんなどうでもいい会話のはずなのに
お母さんはひどく悲しそうな表情をするのだ。
それを聞いた父さんの顔は、激情が駆け抜けたように一瞬真っ赤になったが
一回深呼吸をすると取り直すように、乾いた笑いを浮かべた。
「なら、クスリを塗ろう。
たしかに副作用はあるけれど、今よりずっといい」
「…そうね」
父さんの笑みは僕の脳裏に焼き付いて、離れようとはしなかった。
年月を経るにしたがって、母さんの病気は重くなった。
無数の赤く滲んだ傷が母さんに刻まれていく。
僕はこんな風になったのも、全て母さんの自己責任なのだと思い始めるようになった。
母さんはクスリを塗りたがらないのだ。
副作用が、嫌なのだという。
色素沈着と皮膚が硬化するらしい。
それをインターネットの写真で見て、怖じ気づいたのだという。
母さんの病魔は既に全身へ広がっている、
もう、元の皮膚にもどることはできない。
そう考えるだけで、母さんは不安になり
皮膚を掻きむしるのだ。
ぼりぼり
ぼりぼり
僕はもう何も言わなかった。
結局、母さんは入院することになった。
皮膚から膿が吹きだし、それが悪臭を放つようになっていたのだ。
それにはさすがの母さんも狼狽し、重い足取りで病院へ向かった。
すると、医者から緊急入院するように告げられたのだという。
どこか、ほっとしたような表情のお母さんの顔は
かさぶたがへばりついた黒と血がどろりと垂れる赤の強烈な色彩を放っていた。
それからたっぷり二か月間、母さんは入院することになった。
お父さんはそれまで二人で頑張ろうと僕を励まそうとしたが
無用な心配だった。
あの不愉快な音もなくなり、僕はむしろ清々した。
いっそのこと、そのまま完治するまで入院すればいいとすら願っていた。
僕はそれからなるべく病院を避けるようにした。
母が必要としているものがあれば、いっぺんにまとめる。
どうしてもというときは、お父さんと一緒に行く。
そんな様子を知ってか知らずか、お父さんは積極的に僕を誘うのだから
うまくいかないものだ。
もし、テレパシーがあればお父さんにこう伝えられただろう
もう、僕は母に何も期待していない。
入院したところで、何も変わらない。
もしかすると今もクスリを拒否して、揉めているかもしれない。
それを考えるだけで、行く気力は消え失せる。
でも、僕にはそれを口に出して言おうとは思わなかった。
僕は良い子でいたい、それだけの理由だ。
そして、とうとう今日母は、お父さんと一緒に車に乗って帰ってくる。
かれこれ二週間は会っていない。
僕はお父さんから家に留まるように厳命され、仕方なしにソファの上で丸くなっている。
そして目と耳を塞いで、世界が滅ぶことをただ願っている。
ふと僕は考える。
こんな僕は親不孝者なのだろうか。
間違いなくそうだ。
避け続けた答えが、はっきりと出た。
お母さんはいつだって僕に優しかったのに
そんなお母さんに育てられたのに、
僕はお母さんを心底から軽蔑している。
僕の本当の姿は良い子の振りをした、血も涙もない悪党なんだ。
お母さんとお父さんをだまして、虫けらのように生きている。
罪悪感が僕をきりきりと締め付ける。
もう僕なんか死ねばいい。
生きる価値なんてない。
いつの間にか目の端に溜まったていた涙が一斉に溢れかえって
止まらなくなった。
やがて家に帰った母は僕がわんわんと泣く姿を見て驚き、謝った。
僕はそれでさらに泣いた。
すいません、投下宣言しを忘れてました
投下終了です
No.01 「じぶんでえらぶこと」
死んだ中谷昇は坂道を登り続ける。
いくつもの集落に行き会うたびに「ここは天ですか」と尋ねても納得できる答えはない。
大天使ニノボルに啓示を受けてさらに坂道を登る。
答えの出ない自分探しの物語だろうか。
この暗示に共鳴できるかどうかが、この作品の良い読者になれるかどうかの分かれ目だと思った。
No.02 「魂抜き」
大学中退の主人公は母の実家で行われる「閉眼法要」に出るために母と共に青森の田舎を訪れる。
魂抜きと呼ばれる、先祖の魂を空へ帰す儀式に参加し、終わったあと、主人公は自分の魂の在り処に
思いを馳せる。
儀式について主人公以外にきちんとかかわった人間が描かれないので、田舎には珍しいとても観念的な
儀式に見えた。
土俗的迫力が感じられるといいのに、と思う。
No.03 「バードメン」
123.6メートルの壁に囲まれた都市。
そこに閉じ込められて生活する人々。
主人公と、背中に翼のある一族のガシェル。
迫害され、軍服の男たちに追われ、最後は主人公を抱えたガシェルが空へ飛翔する。
「僕達は悪くない。悪いのはあいつらだ。」という叫びを合理化できるよう作られた世界で、
マンガなら問題ないけれど、小説だとけっこう照れ臭い。
No.04 「the_flame(unfinished)」
予備校の自習室で知り合った主人公と小川、そして小楽。
受験生特有の閉塞感をともにする3人は意気投合する。
石川が推薦で大学合格し、小楽は知らされていたが自分だけ知らなかったことで主人公は懸隔を感じる。
予備校の自習室は通りすがりの場所で、上辺だけの傷つかない触れ合いには都合が良い。
でも自分がよく分からない主人公はここで何かを掴めたのだろうか?
No.05 「muomuo、桜の木を指差す」
ダンゴを使うジャグリング・ダンゴリングの創始者である季花と、それに魅せられたmuomuo、
2人に激しく嫉妬するすずきり。
だが彼は有名なダンゴ屋の孫で、ダンゴリングを行うのではなくそれに用いるダンゴを作る側の人間。
割り切れなさを感じていたが季花の言葉でダンゴ作りとしての自己に目覚める。
バカバカしいのに、すずきりの苦悩が心に迫ってくる。
最後の木登りはさすがに唐突だったけれど。
No.06 「屋上ガールズ」
交通委員の主人公と美術部の裕未は協力して屋上への鍵を手に入れるが、裕未はある夜、転落死する。
翼と夜の校舎で待ち合せた主人公の脳裏にかつての夜の出来事がフラッシュバックする。
ちいさな人影を抱きしめようとすることから、おそらく裕未は自殺ではないか。
その瞬間に裕未を屋上で一人にしてしまった悔いが主人公に蟠る。
哀切さの裏には同性愛的な匂いも感じられる気がした。
No.07 「リプレイ」
バンドが商業主義に乗った末に解散する経緯を書いている。
どこかで聞いたことがある気がするほど無難なストーリーだった。
No.08 「向こう側へ」
山の中で大学生と会社員が出会う話。
設定がありがちな分、書き手はどんな顔で書いているのか気になった。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.6 「屋上ガールズ」◆大沢愛
気になった作品:No.5「muomuo、桜の木を指差す」◆しゃん@にゃん革
********************************************************
まさかの三作同時優勝でした! 次回はいったいどうなってしまうのか……
投稿&投票、感想いただいた皆さんお疲れ様でした。
優勝(同点)
No.01 天を登る(茶屋)
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
■本スレ
投 関
1 No.01 天を登る(茶屋)
No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
1 No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
1 No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
2 No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
No.07 (時間外&文字数超過)リプレイ(ほげおちゃん)
No.08 (時間外)向こう側へ(すずきり)
■てきすとぽい
投 関
3 No.01 天を登る(茶屋)
1 No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
3 1 No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
1 2 No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
1 1 No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
2 3 No.07 (時間外&文字数超過)リプレイ(ほげおちゃん)
1 2 No.08 (時間外)向こう側へ(すずきり)
■合計
投 関
3 1 No.01 天を登る(茶屋)
1 No.02 魂抜き(古川遥人(旧:木下季花))
3 1 No.03 バードメン(古川遥人(旧:木下季花))
2 2 No.04 the_flame(unfinished)(朝比奈 和咲)
1 No.05 muomuo、桜の木を指差す(しゃん@にゃん革)
3 1 No.06 屋上ガールズ(大沢愛)
5 No.07 (時間外&文字数超過)リプレイ(ほげおちゃん)
3 No.08 (時間外)向こう側へ(すずきり)
※No.07、No.08は時間外等の理由により関心票としてカウント
>>470
読みました。さては精神分析的なことが描かれているのではなかろうか…などと思いながら解釈してみました。
母は子供にとって棄却すべき対象であるという。個人として自立するために、母離れするために潜在的にそうなっている。その一方で母への愛というものがある。母を脱却したいという気持ちと母への愛というアンビバレントな感情が子供の中に渦巻いている。
この物語はまさにそのメタファーによって描かれているのでは。皮膚がはがれ落ち醜い母をおぞましく思う、しかし確かに母への愛がある。
とか言ってみたりして、実は精神分析とかよくわからないんですけどね。
>>470
展開を回収できてないというか落ちが分かりづらい
純文学的には正解かもしれないけど
>>470です
話題は母への失望と依存についてです。
最期のオチは、結局母と子であっても気づけない部分があることを出そうとしました。
彼らは互いのある一面(優しさとか)が見えているが、それで相手を理解したと勘違いし、勝手に騒いでいる。
それは虚な関係に映るものだ、としたかった。
感想ありがとうございました。
お題発表はどうなるのかなあ
お題は3つになればいいと思うよ
お題→「主人公がモテる」「しゃん」「触れてしまった」
全てのお題を使って小説を書いてください。
字数は一万字以内。
投稿期間:09/20 (日) 00:00 ~ 10/03 (土) 23:59
投票期間:10/04 (日) 00:00 ~ 10/11 (日) 23:59 ※日曜締切りです!
集計発表:10/12 (月) 0:00以降
各お題の補足です。
「主人公がモテる」。
モテる人物をきちんと書けるかどうかで筆力が試されます。異性から見て「なんでこんなのがモテるの?」「ありえない。キモいし」と言われる恐怖に打ち勝って、モテを現出させよ!
「しゃん」
擬音でも、シャンプー族、シャンプーでもOKというかんじで。
「触れてしまった」
シチュエーション的なお題です。
あ、URL貼り忘れていました。
http://text-poi.net/vote/102/
9月はてきすとぽい側でコンペが詰まり気味だったので、少し間が空きますが10月にしました。
犬吠埼一介杯とてきすと怪はお題を出すところがBNSKっぽく似ているようです。
皆さんぜひ腕試しで参加して、10月にまたお会いしましょう!
なんか思いっきりフライングしてしまったんだが
テキストぽいのシステムのせいで削除できなかった
もういいか
新しいのを書き直すことが出来ない(に近い)ので、投稿期間中投稿したことにしてもらえないだろうか
無理ならいい 諦めて別のを書くかやめにする
あ、ほんとだ。すでに投稿されてる。
私てきすとぽいにスレを立てたものですが、投稿期間はあってないようなもの(第1回の名残でなんとなく残しているもの)なので、別にいいと思います。
別の作品を書いていただけるのであれば、それはそれで大歓迎ですが(。-_-。)
お題ください
sage忘れ失礼
>>484
ドキドキする
把握
お題ください
都市伝説
海老
また投下したよ
みんな投下していいんだよ? どんどん投下しよう
そうそう、皆さん。
品評会の投稿期間始まっているので。
10/3の〆切までまだまだ時間があるので。
投稿お待ちしています!
お題→「主人公がモテる」「しゃん」「触れてしまった」を全部組み合わ
投票期間:10/04 (日) 00:00 ~ 10/11 (日) 23:59
集計発表:10/12 (月)
No.01 名探偵上海(夏SNOOPY)
http://text-poi.net/post/forTextpoi/1.html
No.02 名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。(夏SNOOPY)
http://text-poi.net/post/forTextpoi/2.html
No.03 権兵衛、よみがえる(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/59.html
No.04 哥倫比亜川の戦い(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/128.html
No.05 悲しみよ、さようなら(ra-san(ラーさん))
http://text-poi.net/post/rasan02783643/22.html
No.06 もてかわ!(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/35.html
皆さん投稿ありがとうございました。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票は、本スレッドかてきすとぽいのいずれかのみでお願いします。
・本スレッドで投票する場合
以下のテンプレートに記載し、投票してください。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
********************************************************
・てきすとぽいの場合
「この作品が最も良いと思った」と思われる作品にのみ5の評価を、
「投票には至らないけど、気になったor良かった」と思われる作品にのみ4の評価を行ってください。
投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
ごめんなせ。今回ぜんぜん筆進まなかったわ……
もしかしたら時間外で投稿するかもしれないが……
すいません 投票はどのようにして行うんですか?
よく分からないので投票を行っていません。教えてください
>>495
このスレの直近で言えば>>472のような形で、それぞれの作品に評を付けた上で「投票」(推したい作品)・「気になった作品」(投票には至らないけれど気になった作品)を挙げていただければ。
もちろん「投票用紙」部分のみでも。
あるいは「てきすとぽい」http://text-poi.net/vote/102/report.htmlなら「投票」を5・「気になった作品」を4にして入力可能です。
「てきすとぽい」はTwitterのアカウントがあれば入れます。
投票はどちらか一方だけで。
以上です。
No1.No2.「名探偵上海」,「名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。」
面白ければなんでもいいという当たり前の事実を突き詰めることを心がけるようにしています。そうして文章を書いて幾星霜。じゃなくて、幾年月ですね。幾星霜だと、15年ぐらい物を書いてる感じですかね? よく分かりません。
この先の感想を読んだら、私のことを、日本語のミスを非常に気にする人だとお思いになるかもしれませんが、どうしても気になるところだけ指摘しています。
実際にはそんな厳密な人じゃないんです。
小説に必要なのは誤字誤表現の少なさではなく、何よりも面白さだ、そして明快なオチだと思っています。
「フリーター、家を買う。」を読んでないと、No2ははっきりとは意味がわかりません。
No1は大丈夫です。
笑わせる作品なので、感動させる必要はありません。人を笑わせる為に書かれています。元ネタを知らない人を置いてきぼりにするというリスクを取っても、知っている人を笑わせる事を選びました。本当はダメですけどね。ちゃんと知らない人もわかるように書かないと。
どんな小説も、感動させるか、笑わせるか、考えさせるか、面白いと思わせるかです。どんな名作といわれているものでも、この中のどの要素もなければ駄作です。誤字誤表現は大した問題ではありません。書き手にとってこういう縛りは、(どんな過酷な他の条件よりも厳しい)苦しい苦しい道です。さあ、この道から反れないような作品を、みんなで書きましょう。
嘘です。僕ははがない2、3、11巻だけ持っていますが、中々よくできた小説だと思います。なのではがないよりも面白いものを目指せばそれでよいと思います(本当かよ)
No3.「権兵衛、よみがえる」
骨の髄までしゃぶる、の使い方に気をつけてください。人を徹底的に利用し苦しめるという意味が本来の使い方です。
冒頭のあたりに、俺達は霊を祓うスペシャリストだ、とかなんとか分かりやすい説明があるともっと読みやすかったですね。ついでに設定の掘り下げもできます。一体天才達の化けた悪霊がとはどんな存在なのか、なんでそんな物が取り憑いたり姿を現したりするのかいまいちピンと来ません。それとメタネタが突然入ってくるのはちょっと……それで面白かったらいいんですが、
いまいちでした。説明が面倒なので、俺たちはゴーストバスターズだ、って書くのもいいかな。設定が頭に入ってきませんでした。
なんにも考えずに読んだら、面白かったです。ただ、メタネタのつまらなさにしても、これが面白さに直結してくるようなところがあり、どうも首肯できないもやもやが残りました。書きたい部分や面白さがないというわけではありません。邪魔な要素が面白さを半分にしているということです。
最近読んだ本で「完読できない文章はダメ、まずは完読を目指すべき」と書いてありました。そういう目で見ても完読できるのでよい文章といえます。私は完読以前に面白くないとダメ、と思っているのですが、そういう風に見てもやはり面白い。なかなかよくできた作品だと思います。
No4.「哥倫比亜川の戦い」
「襤褸衣」という箇所がありましたが襤褸はボロともランルとも読みます。
ボロをまといじゃないと正しくありません。襤褸布、でもいいですかね。
「何分、今やこんな身を窶してしまったもので」
こんなが要らないと思います。
迎慈さんに沙武重は「身一つがほしい」といっているので、
「沙武重が本当に求めているのは、迎慈ではない。」
ではないんですよね。お前さえいればいいといっているんだから。迎慈がいればそれでいいのなら
沙武重が求めているのは迎慈です。本当に求めているんでしょう、多分。
こんな所が気になるのは、表現の問題だと思います。書きたいことが正しく書けていないということです。その表現しようとする内容には問題はなくても、
表現の仕方がうまくできない、またはそのせいで何がいいたいか自分でも分からないということになると、これはいけません。
口うるさく言ってしまいましたが、やっぱりきちんと面白いものになっている。よくできていると思います。本当ですよ?
適当にフォローしたんじゃなくて書きたいものがあることが伝わってくるということです。
No5.「悲しみよ、さようなら」
なかなかよく書けています。書き慣れているという印象を受けます。
しかしこの文章、果たして何が言いたいのでしょうか。あるいは面白いと断言できるでしょうか。どちらも否、じゃないですね。こういう表現はいけませんね。
言いたいことが明確でしょうか。面白いでしょうか。答えはどちらも否、です。これだけ書けるならもっと面白くできるはずです。まずはテーマを設定して明確に展開するように書いたらもっと素晴らしくなると思います。
No6.「もてかわ!」
どうやったら女性にモテるのか。嘘八百を並べたとしても私にはとても勉強になりました。書きたいテーマが明確に伝わり素晴らしい。ただ、やはり明快な結論がなく、出会った後にも触れられていないのが残念なところです。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.6 「もてかわ!」◆大沢愛
気になった作品:No.5「悲しみよ、さようなら」◆ra-san(ラーさん)
********************************************************
こういう文章上手く書けた試しがないんだ。
改めて読んだら、凄く上から目線。死にたくなるぐらい精神年齢が低く感じられる。
もう取り消せないので仕方ない。こんな上から目線なこと考えてる奴いるんだ、ぐらいに思ってください。
No.01 名探偵上海(夏SNOOPY)
http://text-poi.net/post/forTextpoi/1.html
台詞に関しては筒井康隆氏の劇に出てきそうなテイストを感じる。ただ読んでいて、登場人物相互の関係性から生まれて来るものが乏しい気がする。饒舌なスラップスティックはセリフの化学反応が新たな爆発を生むのが妙味のはずだが、どこかピン芸人の一人芝居を思わせた。賑やかに見えるが、索漠とした雰囲気を感じさせる。それはこの種の作品に期待されるものではないと思うのだが。
No.02 名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。(夏SNOOPY)
http://text-poi.net/post/forTextpoi/2.html
バイト面接のくだりはそれなりに期待できた。ただ、どうして台詞で説明しようとするのか。作品が針の穴みたいに狭くなってしまう。第二新卒の姉がプライドをかなぐり捨てて面接に挑み、惨敗するなら事実関係を膨らませれば言葉の小細工よりもよほど面白くできただろうに。セリフ回しで笑いを誘う手法におぼれすぎると平板になってしまう。特に脇のセリフの後追い感は興醒めだった。
No.03 権兵衛、よみがえる(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/59.html
袖は「めくる」のではない。「捲る」ものだ。それはともかく、過去作を随所に用いながら話を展開させる、いつもの手法だった。ただ今回は「ふまえる」部分にいささかウエイトがかかり過ぎて、肝腎の今作での展開が今まで以上に平板なのが惜しまれる。主人公と相棒のユーモアあふれる会話部分を成立させる土台の構築に注力すべきではなかったのか。作品の突き抜け感は意外にも乏しい。
No.04 哥倫比亜川の戦い(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/128.html
沙武重と迎慈との出会う冒頭部分は手馴れていて期待感があった。ところが反乱軍の話が唐突に出てきてにわかに興醒めとなった。沙武重に対して迎慈の抱いていたコンプレックスと羨望といった要素をすべて説明ですませている。そして最後に両者の立場が逆転して、終わり。ああそうですか、としか言いようがない。
No.05 悲しみよ、さようなら(ra-san(ラーさん))
http://text-poi.net/post/rasan02783643/22.html
死んでしまってから次々と判る切ない真実。結ばれることのなくなった切なさ。とても美しい。お話としては充分だと思う。ただ、これは主人公を他者の言葉を自由に聞いて回れる「幽霊」に設定したからこそ成り立つ。実際にはこんな状況はあり得ないし、当たり前の言葉が聞けないからこそ人は悩み、絶望する。そう考えるとこの設定に倚った小説は安易の謗りを免れないのではないか。
No.06 もてかわ!(大沢愛)
http://text-poi.net/post/ai_oosawa/35.html
好き・嫌いの問題は人間関係の中にある、という部分はあまり語られなかったと思う。男の子よりも女の子の方がその種の「社会性」に目覚めるのが早く、そのがんじがらめの苦しさを知っているからこそBLを賞揚したりするのかもしれない。前半部分のシニカルな「男の子観」が最後に引っくり返る。好きな男の子への思いで身動き取れなくなってしまう。可愛いな、と思ってしまった。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:No.6 「もてかわ!」◆大沢愛
気になった作品:No.5「悲しみよ、さようなら」◆ra-san(ラーさん)
********************************************************
感想書くとみな「大先生」になってしまうね
うーん
No6なんだけどさ
俺はNo6は出来がよくて素晴らしいと思うし、面白いと思ったんだけど
それでも共感ができないんだわ
今突然思いついたけど
政治家の会合で、演説か何かが終わった時に、一人以外全員拍手しなくて
そしたら拍手してた人まで拍手をやめた、という光景をテレビで見たことがある
それと同じようなことかなー、とは思うんだけどね それをどう思うかというのに似ていると思う。
別に拍手したければ一人でもすればいいと思う
着たいものがあれば好きに着ればいいと思う
だから、好きな男ができて性格が変わった? 少なくともやることが変わったっていう
後半のオチへの繋がりというか、物語の骨子そのものが、俺にはギリギリ理解できる程度にしか共感できない
それでもそういうことを書けるというのが凄いし、出来がいいのには変わりないんだけどね
こういう女心? みたいなのに共感できないのは俺の弱点かも知れない いや完全に弱点だわ
どうしたら治るのかな
苦手な分野での勝負は避けるのが文章を書く上での鉄則らしいけどね
>>501
よくわからないけれど疑問があるなら作者に聞いてみれば?
てきすとぽいの「感想」をクリックすればコメントが書けるから。
必ず返事が来るとは限らないけど。
後半はどっちかというと自分の悩みみたいになってる?
え? いや
自分では服装を気にしたりして頭の中で
こう自然で何事もそうある通りにあらねばならないとか色々考えてたけど、
いざ彼氏ができると、自分のやってることが自分の考えを否定してしまう
みたいなことでしょ。俺はそういう繊細な心の機微が分からないということ
じゃあ作者に聞いてみるわ
>>501
そういう他人の作品に感じる違和感って重要だと思うよ、自分にはないものを他人が持ってるのは当たり前だし、だからこそ自分にしか書けない者ってあると思うぜ。
>>501さんの場合、そういう女性の心の機微が理解できないっていうキャラクターは真に迫って書けるだろうし、そういう男を書いた作品に共感する人って結構いると思う。
だから他人の作品が理解できないから駄目だ、とかいうのはないと思うよ。
違和感て、ここに移ってきた時点でもうあの頃とは違うんだぜ
お題くだしあ
優勝は「No.06 もてかわ!(大沢愛)」でした!
■本スレ
投 関
No.01 名探偵上海(夏SNOOPY)
No.02 名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。(夏SNOOPY)
No.03 権兵衛、よみがえる(しゃん@にゃん革)
No.04 哥倫比亜川の戦い(茶屋)
2 No.05 悲しみよ、さようなら(ra-san(ラーさん))
2 No.06 もてかわ!(大沢愛)
■てきすとぽい
投 関
No.01 名探偵上海(夏SNOOPY)
No.02 名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。(夏SNOOPY)
No.03 権兵衛、よみがえる(しゃん@にゃん革)
1 1 No.04 哥倫比亜川の戦い(茶屋)
4 3 No.05 悲しみよ、さようなら(ra-san(ラーさん))
3 1 No.06 もてかわ!(大沢愛)
■合計
投 関
No.01 名探偵上海(夏SNOOPY)
No.02 名探偵上海2 違法捜査ダメ、絶対。(夏SNOOPY)
No.03 権兵衛、よみがえる(しゃん@にゃん革)
1 1 No.04 哥倫比亜川の戦い(茶屋)
4 5 No.05 悲しみよ、さようなら(ra-san(ラーさん))
5 1 No.06 もてかわ!(大沢愛)
突然なのですが、皆さんにお願いがあります。
というのは、次回以降より運営をどなたかに変わっていただきたいなあ、
という……(-_-;
最初は、私自身もっと品評会で皆さんと競いあいたい!という気持ちで毎回
テンションを上げて運営に臨んでいたのですが、いつしか作品をあまり出せ
なくなってしまいました。
今回も出そうとしたのですが、うまく頭が回らず……
一度長い作品を書いて、自分を見つめなおそうかなあと思っている次第です。
運営自体はそれほど負担のある作業でもないし、ボランティアでやってもいい
かなと思ったのですが、自分が出していない回で感想を書くのは大きなダメージ
がありました。
読む前や感想を書くときに、まず自分は何も書けていないということが頭を巡る
のです。
それだと多分ちゃんと感想書けないし、そういう気分で運営をやるのもどうかと
思ったので……ごめんなさい。
個人的には、小説を書くことはずっと続けていくつもりです。
ほげおちゃんさんいつもありがとうね
あんまり積極的に俺がやるぜって人はいないみたいね、人のこと言えんけど
ほげおちゃんはお疲れさま
とりあえずお題くださいな
複アカ
お題貰っていいですか
毒草
サンクス
ここでお題もらった人ってどこに投下してるの?
ここじゃないの?
俺はそのつもりでもらってるけど
すてきなお題ください
>>518
ステーキ
テキストぽい杯のお題に要望があるんだが
文中かタイトルに単語を入れなければならない、ってのじゃなくて
単語は入ってなくても、内容は含まれてればおkってことにしてくれないかな
ぶっちゃけ書きづらい、というかみんなルール守ってないくさいし
解釈次第でお題めり込ませられるよね
むしろ、そういう風にしていたけど……?
だいぶ昔の、夕景ってお題の品評会でも、別に「夕景」という単語そのものには拘ってなかったかと
あ、テキストぽい杯については良く知らないや、ごめん
お題ください
ドーム
チンカス
ε-δ論法
把握……したが、無理そうなのは投げ捨てよう
待てど暮らせどお題をもらっての投稿がないけど
みんなどこに書いてるの?
俺が投稿してやるよおらお題よこしやがれください
>>529
遺骨
㌧クス
くださいお題
納期
お題ください
>>534
ジンクス
おだい
>>536
こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい
たばこ
誤爆
お題頂戴
>>541
不治の病
把握しました
漠然としたお題ください
>>544
さっぱり
しっぽり
>>545
さっぱりしたもの書いてきます
昔の全感想見ようと思ってたんだけどサービス停止してるの!?
今更だけど落ち込むなぁこれ
ひさびさに来てみたら運営不在って状況か
BNSK品評会もここまでって感じなのかなあ 来てない自分が言うのはあれだけど…
今年一作も書けてないから、お題下さい
>>549
疑心暗鬼
>>550
ありがとう 把握
お題くらはい
>>552
歩きスマホ
把握しますた
お題ください
食いだおれ
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