真姫「やさぐれまき」 (17)
さくっとうみまき
※ラブライブSS
短いです
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―なんだか最近やけにイライラする。
もともと神経質な面があるということも理解はしているつもりだけど、
それにも増して最近はイライラする。
原因?それはまぁ…いろいろあるでしょう。
両親からの期待という名のプレッシャー、勉強に対する義務感、
ダンスレッスンに作曲、将来のビジョン…
それはもう、挙げたらキリがないわ。
そして何より、プライドの高さとか、貯め込んでしまう性格からくる自己嫌悪とストレス。
抱えなくてもいいものをいつも抱きしめたままだ。
現実に振り回されているのか、望んで振り回しているのか。
ときどきこの身体も心も、その所在が分からなくなる。
真姫「今日も疲れたわね…」
練習が終わり、用事がある、と先にみんなを帰した私は、一人で屋上で風に当たっていた。
夕焼けが校舎をオレンジに染め終え、いよいよ夜の暗がりが現れる。
校門の方からにぎやかな声が聞こえる。きっと穂乃果たちだろう。
あそこにいるのも悪くないけれど、やはりこういう静かな時の方が私は好きだ。
シュボッ
真姫「ふー…」
持っていた煙草に火をつける。
こんなところ、誰かに見つかったら大変だ。
スクールアイドルという立場上スキャンダルでもあるだろうし、そもそも未成年だから学校も停学?
悪いことだということは承知しているが、煙草を吸っている時だけは救われる。
嫌な現実も、せわしい心も、全部煙で霞んでいく。
800℃の熱源がこんなにも近くて。
その煙が心を頭を満たし、冷ましていってくれる。
真姫「みんなにもそうだけど、とくに親には見せられないわね」
自嘲するように苦笑いして、携帯灰皿に灰を落とす。
真姫「…なにやってんだろうなぁー…わたし」
ぼけーっとしながら煙を燻らし、思考を放棄していた。
小さい頃は、医者の娘ということもあって、煙草の何がいいのか全く理解できなかった。
けれど、今はその気持も何となく分かる。
誰かが、「煙草なんて綺麗な言い方しているけれど、実態は唯一法で認められた麻薬だ」
なんて言っていたけど、まさにそのとおりだと思う。
今の私は、これなしではとても日常を送れる気がしない。
そのとき、ギィ、と扉の開く音がした。
海未「真姫…居ますか?」
聞きなれた声が私を呼んだ。
真姫「うぇえ!?や、やばっ!」バタバタ
急いで吸いさしの煙草を消し、灰皿に放り込み、煙草一式をカバンの中に隠した。
海未「ここにいたんですか、探したんですよ?」
夕日は沈み、闇が降り始めた屋上で、海未はこちらへと向かってくる。
真姫「海未、帰ったんじゃなかったの?先に帰っていいって言ったのに」アセアセ
海未「真姫がいないと帰るのもさみしいじゃないですか」
海未「屋上で何か用事でもあったのですか?」
心配そうに私の顔を覗き込む。
真姫「べ、別に何もないわよ」
海未「…ん?何か臭いますね」クンクン
真姫「うぇええ!?そ、そうかしら」メソラシ
海未「…じー」ジトー
海未「真姫、何か隠し事してますね」
真姫「な、何のことかしら」カミノケクルクル
こういうときだけ海未は鋭い。
真姫「さ、もう遅いんだし帰りましょ!」スタスタ
強引に歩き出した。こういうときの海未に問い詰められると面倒なのだ。
海未「あ、真姫!まだ話は…」
ポロッ
カバンの口を閉めないで強引に持ち上げたせいで、中から煙草が落ちてしまった。
真姫「あ゛」
海未「…これは」
時が止まる。やってしまった。
真姫「あのえっとそのー…こ、これはね…」アワアワ
もう言い逃れはできない。完璧でクールビューティーな真姫ちゃんは崩れ去って転落の人生を歩むしかないんだわ…
スッ
海未がそれを拾い上げる。
そしてはぁ、とため息をついてから呆れた顔でこちらを向いた。
海未「真姫、あなたって人は…」ハァ
真姫「…うぅ」
これはもう怒られるわね…。むしろ叩かれるかしら…。
近づいてくる海未に覚悟を決めて、ギュッと目を瞑ってビクビクしていた。
ギュッ
真姫「ふぇ!?」
予想外のアクションに素っ頓狂な声をあげてしまった。
海未「あなたは、いろいろ抱え込みすぎなんですよ」ギュウゥ
真姫「…海未」
海未「少しは私たちを、私を頼って下さい。力にはなれないかもしれませんが、こうして抱きしめることくらいはできるんですから…」
真姫「……うん、ごめん…」
そのまましばらく、何も言わずに私達は抱き合っていた。
とても暖かい温もりの中で。
海未「まったく、医者の娘が聞いて呆れますよ…」
真姫「反論できないわ…」
海未「こんなものの何がいいんですか」シュボッ
真姫「って何やってんのよ海未!?」
海未「すー……!!!ぐえっほ!ぐえっほ!ごほっ!がはっ!」オェェ
真姫「海未が…とても人に見せられない顔をしている…」
海未「な、なんですかこれは…」ハァハァ
真姫「煙草よ」
海未「知っています!煙草ってこんなに美味しくないものなんですね…」
真姫「最初はそんなもんよ」
海未「それに煙くてむせて気持ち悪いです…」ウエー
真姫「いきなりおもいっきり吸うからよ…ばかねぇ」
海未「うー…口の中が煙草臭いし苦いです…」
真姫「帰りに飲み物買ってあげるから元気出しなさい」ナデナデ
海未「はい…帰りましょう…」トボトボ
帰り道
真姫「…ねぇ、海未」
海未「なんですか?」
真姫「…どうして、怒らなかったの?」
海未「うーん…怒るよりも呆れたって感じでしょうか」
真姫「う…」
海未「それに」ギュッ
真姫「ちょ、海未!?///」
海未「真姫の性格はよくわかっていますからね」
海未「煙草を許すつもりはありませんけど、真姫が楽になれるのがこれしか無いなら仕方ないじゃないですか」
真姫「…あなたずいぶん丸くなったわよね。一昔前ならひっぱたいてたでしょうに」
海未「大人になったのですよ」フンス
海未「あと…」
海未「二人だけのヒミツ、っていいじゃないですか」ニコッ
真姫「!」ドキッ
なんだかとても海未が身近に見えて、とても輝いて、可愛らしくみえた。
この笑顔を曇らせるのは…嫌。
真姫「えい」ポイッ
海未「あ、捨てちゃうんですか、煙草」
真姫「すぐには無理かもしれないけど、やめるようにするわ」
海未「…真姫」
真姫「その分海未に甘えるようにする」
海未「ふふ、嬉しいですね。素直な真姫は好きですよ?」
真姫「な!?///」
真姫「海未ってたまにそういうこと平気で言うわよね」
一歩先を歩いていた海未が振り返る。
海未「それに」
チュッ
真姫「へぁ?///」
海未「こっちのほうが煙草なんかよりずうっといいですよ?///」ニコッ
真姫「…そう、ね…」
…私、本気で禁煙しようと思うわ。
おわり
未成年、タバコ、ダメ、絶対。
真姫ちゃんは色的に赤マル吸ってそう。
二人で隠れてシガレットキスして煙草吸ってるのとかも書きたかった。
私はまだまだ禁煙できませんね。
海未「ずっと傍に、いますからね」
穂乃果「ふぁいと、だよ」
もよろしければ読んでやってください。
それではhtml化出してきます
乙
おつ
乙 書きたかったのはいつ書くの?
>>14
他にネタが溜まってきたらミニストーリー集みたいに書けたらいいかなと
乙
ほっこりした
穂乃果「ふぁいと、だよ」の続きも見たい
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