>-4/11(月)
:::【陽介の部屋】:::
陽介「言ってる意味がわかんねーよ」
ラハール「・・・貴様は俺様を知らんのか?」
陽介「知ってるわけねーだろ!」
ラハール「・・・だが、貴様の父親と母親は俺様のことを知っている風だったぞ」
陽介「問題はそれだよ。だからお前何なんだって聞いてんだよ。それを・・・なんだ?魔王だ?ふざけんなよ!」
ラハール「ふざけてなどおらん」
陽介「クソッ、一体何なんだよお前は」
ラハール「・・・うんざりしているのは俺様のほうだ。だが、貴様には何か特別なものがあるのかもしれん」
陽介「特別?どういうことだよ」
ラハール「貴様の父親と母親は、俺様を親戚のガキだと言っていた。自分のことを魔王だとか悪魔だとか名乗る痛い癖がある子だとな」
陽介「ああ、俺もそう聞いたよ。お前の親の都合だかなんだかで、今日から一年うちに居候して、俺と同じ高校に通うことになったってのもな」
ラハール「・・・学校にまで通うことになっているのか」
陽介「しかも、俺とお前は年に2~3回は会ってて仲もよくて兄弟みたいな・・・で今日から相部屋だ!?ふざけんな!俺はお前のことなんて昨日まで見たことも聞いたこともなかったっつの!」
ラハール「そのことを、父親や母親には言ったのか?」
陽介「言ったよ。けど、親父もお袋も、何おかしなこと言ってるんだ?って反応だった。おかしいのは俺のほうなのかよ」
ラハール「いや、貴様は正常だ。貴様とは今日が初対面だ」
陽介「・・・少なくとも、話は通じる奴みたいだな。お前」
ラハール「もう一度聞く、貴様は俺様のことを知らんのだな?」
陽介「さ、さっきからそう言ってんだろ。凄んだって駄目だぞ」
ラハール「では、貴様は犯人ではないということか・・・」
陽介「犯人?お前何言って・・・」
ラハール「俺様のレベルを1にし、周囲の人間の記憶を改竄して人間界に送り込んだ何者かがいるはずだ」
陽介「レ、レベル?記憶を改竄?」
ラハール「・・・犯人には心当たりが多すぎるが、最も怪しいのはアイツだな」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404923947
>-ラハールの回想
:::【魔王城】:::
エトナ「何ですか~殿下?わざわざ呼びつけたりして」
ラハール「暇だ」
エトナ「何ですそれ、知りませんよ!アタシは忙しいんです」
ラハール「俺様は暇だ」
エトナ「じゃあ殿下も手伝って下さいよ。つかテンション低いですねー・・・」
ラハール「断る。大体貴様、一体何をそんなに駆けずり回っているのだ」
エトナ「何やってるのかも知らんで断るって・・・辺境の竜王族と魔界貴族達が戦争起こしそうなんで、未然に仲裁に入ってるんですよ。根回しとかいろいろ大変なんですからね?」
ラハール「アホか。そんなものは双方力付くで叩き伏せろ」
エトナ「アホは殿下のほうですよ。力で押さえつけてるだけじゃ駄目だって、ペタもマオもロザリンドも、ヴァルバトーゼも言ってたじゃないですか」
ラハール「・・・フン、あいつらは暇になったらそれぞれの魔界に帰って行ってしまったではないか」
エトナ「いやまあ・・・っていうか大体殿下、皆帰っちゃって寂しいのはわかりますけど、いつまでもだらだらしてられちゃ困りますよ」
ラハール「だ、誰が寂しがってなどいるか!」
エトナ「殿下です。なんか声も低いしやたら暗いし」
ラハール「ぐっ・・・!」
エトナ「フロンちゃんも大天使になるとか言って、シシリーちゃん連れて天界に帰っちゃいましたしね~」
ラハール「あ、あいつらの話は今は関係ないだろう!」
エトナ「ありますよ。殿下が寂しがってるって話ですからね」
ラハール「貴様・・・!・・・と、とにかく俺様は暇なのだ!どうにかしろ!」
エトナ「どうにかねえ・・・」
ラハール「それも家来の務めだ」
エトナ「わっかりましたよ。じゃあ、"どうにか"しちゃいますんで、今日はもう寝ちゃって下さい。明日から暇じゃないようにしてみます」
:::【エトナの部屋】:::
エトナ「ってわけでさあ。フロンちゃんが帰っちゃった分、アタシに無茶苦茶言ってんのよ」
フロン『あはは、珍しくエトナさんのほうからご連絡下さったのはそういうわけでしたか』
エトナ「笑い事じゃないよホント。アタシの仕事は手伝わない、けど暇なのはどうにかしろってさあ」
フロン『困ったラハールさんですねえ』
エトナ「しみじみ言ってる場合じゃないっての・・・・・ねえ、フロンちゃんもシシリーちゃんも、まだこっちに帰って来られないの?」
フロン『申し訳ありません。天界も人材不足な上、お恥ずかしい話ですが少し荒れていまして・・・』
エトナ「・・・そっか」
フロン『けど、なんだか嬉しいですねえ』
エトナ「え?」
フロン『最初は私を敵だとまで思っていたエトナさんが、魔界を私の帰る場所だとまで言ってくれるなんて。愛ですねえ』
エトナ「ば、ばか!?べっ、別にそんなんじゃないわよ!殿下がうっとうしいからフロンちゃんに押し付けたいだけなの!」
フロン『うふふ、ではそういうことにしておきましょう』
エトナ「ぬぐぐ・・・!」
フロン『まだそっちに帰ることはできませんが、そのかわり、ラハールさんの暇潰しに良い案がありますよ。暇潰しついでに、魔王のお仕事をしないラハールさんをこらしめちゃいましょう』むふぅ
エトナ「おっ、良いじゃん詳しく聞かせてよ」
フロン『はい。実は人間界で------』
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「というわけで、その日はさっさと寝てしまうことにしたのだが、起きてみれば何故か人間界にいて、おまけに俺様のレベルは1にされていたのだ」
陽介「・・・・・・」
ラハール「俺様が寝ている間に、エトナが俺様やこの周囲の人間に何かしたというのが濃厚なのだが、いくらなんでもあいつ一人で出来ることとも思えん・・・」
陽介「ちょ、ちょい待て。突っ込みどころが多すぎて、話に全くついていけん」
ラハール「なんだ貴様、理解の遅い奴だな」
陽介「ふざけんなよ!大体、今の話を信じろってのかよ!?」
ラハール「信じるも何も、貴様の父親も母親も、何故か俺様のことを仲の良い親戚だと言い張る。だが、貴様は俺様のことを知らぬ。このことをどう説明するというのだ」
陽介「いや、それについちゃ確かに俺もわけわかんねーけどよ、それとさっきの突拍子無さ過ぎる話を信じることは別だろ」
ラハール「事実だ」
陽介「魔界だとか魔王だとか悪魔だとか・・・」
ラハール「事実だと言っておるだろう!」
ようすけ~ラハールちゃ~ん、ごはんよ~
陽介「・・・仕方ねえ。とりあえず話は置いといて、飯にしようぜ」
ラハール「・・・俺様もか?」
陽介「当たり前だろ」
ラハール「だが、俺様の話を信じないのであれば、貴様にとって俺様は得体の知れない奴だろう」
陽介「まあな。けど親父もお袋も、お前のことを親戚だって言い張ってんだ。俺だけ否定してたって、俺が変な奴扱いされちまうだけなんだよ」
>-一時間後
:::【陽介の部屋】:::
陽介「そんで?本当のことを話す気になったか?」
ラハール「先ほど話したことが全てだ」
陽介「・・・あれを信じろっつってもなあ。お前、見た目は普通に俺達と変わんない人間だもんよ。髪型はスゲーけどさ」
ラハール「仕方あるまい。よく見ていろ」
ボッ
陽介「火、火!?手から火が出てんぞオイ!」
ボボボボ
ラハール「これで多少は信用する気になったか?」
陽介「わ、わかったからそれ消せ!その火!」
シュウウ・・・・
ラハール「レベル1にされてしまったとは言え、この程度のことなら造作もない」
陽介「・・・マジで一体何なんだよお前・・・!」
ラハール「さっきから言っておろう」
陽介「・・・?」
ラハール「超魔王ラハール様だ」
>-4/12(火)
:::【登校道】:::
陽介「言っとくけど、俺はお前を完全に信じたわけじゃないぞ。変なことしたら、親父とお袋が何言おうとたたき出すからな!」
ラハール「貴様にそれが可能とは思えんがな」
陽介「・・・くっ」
ラハール「・・・まあいい。いずれにせよ貴様には、俺様が魔界に帰る手伝いをさせねばならん。多少は人間界の常識にも従ってやろう」
陽介「・・・そうかよ」
ラハール「(それに、かつて母上がしていたような、人間の生活というものに興味が無いわけではないからな・・・)」
陽介「けど、お前ってやっぱ本当に普通じゃないんだな。けっこう飛ばしてんのに、平気でチャリと併走して息も切らしてねえし」
ラハール「人間の軟弱な足腰と一緒にするな。しかし、この学生服というヤツはどうにかならんのか?暑苦しくて敵わん。脱いでも良いか?」
陽介「良いわけあるか!昨日みたいな上半身裸に半ズボンにマフラーなんてイカレタ格好したら、速攻たたき出すからな!?」
ラハール「貴様言うにこと欠いてイカレタ格好だと?」
陽介「イカレタっつって何が悪---」
ドカッ
>-・・・ポリバケツに突っ込んで暴れている人がいる。
>-・・・そっとしておこう。
ラハール「・・・オイ貴様、一人で何を遊んでいる。それも人間の風習か?」
陽介「んがー!?」
ガッ
ラハール「全く世話の焼ける・・・!」
陽介「わ、悪ぃラハール。あぁ!?チャリが!?」
ラハール「道具に頼るからいかんのだ。自分の足で走るんだな」
陽介「そ、そうすっか。このままじゃ、お前が転入初日に遅れちまう」
:::【教室】:::
モロキン「あー、今日は二人の転入生を紹介する。都会から来たらしいが、うかれるなよお前等!特に女子!」
ラハール「・・・」
番長「・・・」
>-・・・俺だけじゃないのか。
>-この髪型は、今朝見た覚えがある。
男子A「す、すげー何あの髪型?」
女子A「凄いね。ってか外人?」
陽介「(不安だ・・・)」
モロキン「所詮は二人とも、爛れた都会から辺鄙な地方に飛ばされた、いわば落ち武者だ」
番長「・・・誰が落ち武者だ」
>-勇気が上がった。
ラハール「フン、喧嘩を売っているなら話が早い。さっさと表に出ろ」
陽介「(あの馬鹿!つーかもう一人もなんかすげーな)」
モロキン「なっ・・・き、貴様等覚えておけよ!二人とも腐ったミカン帳に書いておいてやるからな」
ラハール「上等だ。面倒だからここでも構わんぞ。さっさとかかってこい」
陽介「(勘弁してくれー!)」
モロキン「なっ!貴様のほうは特によーく覚えておくとしよう!大体貴様等は」
千枝「先生!」
モロキン「ん?」
千枝「転校生達の席、こことここで良いですか?」
モロキン「あ?・・・あー、そうだな」
陽介「(サンキュー里中!あとで何か奢るぜ!)」
モロキン「ほら貴様等、さっさと席につけ!」
ラハール「あ?なんだ、やらんのか?」
モロキン「やるか馬鹿者!今からホームルームだ!」
>-・・・・・・
千枝「最悪でしょ?あいつモロキンっていうんだ」
番長「はあ・・・」
ラハール「・・・」
モロキン「静かにしろ!ホームルームを始めるぞ!」
>-・・・・・・霧が濃いな。
>-ホームルーム後
モロキン「では今日はこれまで!明日から通常授業だから覚悟しておけ!特にラハール、貴様だ!」
ラハール「Zzz・・・」
ガラガラ
男子A「見たんだよマヨナカテレビ!俺の運命の相手、山野アナだった!」
男子B「マジで?」
ピーンポーンパーン
放送『全校生徒にお知らせします。学区内で事件が発生しました。繰り返し---』
陽介「事件?まいいや、ラハールお前なー・・・」
千枝「えっ何何?花村、もしかして知り合い?」
陽介「いや、知り合いっつーかさ・・・ってやべ!今日特売あっから店の手伝いしねーと!おいラハール!急いで帰るぞ!」
ラハール「慌しい奴だな。少しは落ち着きを持て」
陽介「お前に言われる筋合いねーっつの!」
千枝「・・・行っちゃった。私たちも帰ろっか」
雪子「そうだね」
>-・・・帰ろう
千枝「あっ、番長君!」
番長「?」
千枝「帰り一人?一緒に帰らない?なんか物騒だしさ」
番長「うん」
千枝「あたし里中千枝、こっちは天城雪子ね」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「あんま口悪いこと言うなよな」
ラハール「しかし、俺様と一緒にきた奴も似た様なことを言っていたではないか」
陽介「ありゃギリギリセーフだけど、表に出ろとかはいくらなんでもアウトだろ?」
ラハール「・・・難しいものだな。区切りがよくわからんぞ」
陽介「じゃあもう、あんまり言い返さないで、うっとうしい奴は無視しとけ」
ラハール「よかろう」
陽介「はあ・・・ったく」
バッ
ラハール「おい、踏むところだったぞ」
陽介「あ、ああ。これは里中に借りた・・・今日返そうと思って持ってったけど、ドタバタしてて渡し損ねてたんだな・・・悪い、サンキュ!」
ラハール「・・・フン」
陽介「(こいつ、もしかしたら根は悪い奴じゃないのかもしれねーな)」
>-4/13(水)
:::【登校道】:::
ラハール「・・・オイ。暑くてたまらん。ズボンは我慢してやるから、せめて上ぐらいは脱がせろ」
陽介「だから駄目だっつってんだろ!登校し終わる前に捕まるっつーの!」
ドカッ
ラハール「・・・」
陽介「んがー!?」
ラハール「(よくよく考えればもう場所はわかるのだ。こいつは放っておいても辿り着けるな)」
スタスタ・・・
>-・・・またか。
陽介「ラ、ラハールさっさと助け」
ガッ
番長「大丈夫か?」
陽介「お、おお。助かった。サンキュ、確か、ラハールと一緒に転入してきたやつだよな。名前は確か・・・」
番長「番長だ」
陽介「そうだった。悪い番長。助かった。しっかしラハールの奴先に行きやがったな・・・?」
番長「急がないと、遅れるぞ」
陽介「あぁ、そうだな。ちょっと急ぐか」
番長「二日連続でポリバケツに突っ込んでる奴を見たの、はじめてだ」
陽介「俺もこんな経験初だよ・・・」
:::【教室】:::
陽介「おいラハール。ひでーじゃねえか、おいてくなんてよ」
ラハール「そんなことまで知るか」
陽介「この薄情者・・・ま、いいや。なあ番長、放課後暇だろ?この町の名物、ビフテキ奢ってやっから、一緒に来いよ!」
番長「え?そんな、悪いよ」
陽介「良いって良いって、今朝助けて貰ったお礼させてくれ!」
千枝「何々?ビフテキ行くの?」
陽介「あっ、そうだ里中、お前にも奢るよ。昨日助けて貰ったからな」
千枝「昨日?昨日ってあたし、何かしたっけ?」
陽介「いや、朝ラハールをさ、モロキンから」
千枝「あ、あーそういえば・・・ってそうだ!ラハール君紹介してよ花村、知り合いなんでしょ?なんかちょっと彼、近寄り難いっていうか・・・」
ラハール「・・・」
陽介「そ、そうだな・・・なあラハール」
ラハール「・・・」
陽介「お、おいラハール。なんか言えよ」
ラハール「うっとうしい奴を無視しろと言ったのは貴様だぞ」
陽介「お前俺がうっとうしいってか・・・!」
千枝「おお、やはり何か近寄り難きものを感じますぞ・・・」
陽介「・・・まあいいや、お前も来いラハール。今日は奢ってやるよ」
ラハール「?」
>-放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
千枝「あ、何よこれビフテキじゃないじゃん!」
陽介「悪ぃ、三人分はやっぱちょっと無理があった」
千枝「ま、いっか」
ラハール「何だこれは?どう食えばいいのだ」
千枝「え?ラハール君、たこやき食べたことないの?」
ラハール「無い」
番長「これは、こう、ほら」
ラハール「・・・なるほど、こうか」
番長「そうそう」
テレビ『先日、遺体で見つかったのは---』
番長「・・・」
千枝「あ、これ昨日の事件でしょ?」
陽介「近所でこんなヤバイ事件起きるなんてな・・・」
陽介「(まさかラハールなんか関係あったり・・・いや、こいつはずっと俺と一緒にいたな)」
ラハール「あちっ!」
陽介「(・・・まず、そんな奴じゃねーか)」
陽介「そのへんに犯人とかいるかもな」
千枝「や、やめてよ。もっと楽しい話しよ」
番長「楽しい話か・・・」
千枝「そうだ。最近噂になってる、マヨナカテレビって知ってる?」
番長「マヨナカテレビ?」
陽介「雨の夜の午前12時に消えてるテレビを見ると、運命の相手が映る・・・なんつー、しょうもない都市伝説だよ」
千枝「そうそう。今晩雨だしさ、皆で試してみない?」
陽介「お前よくそんな幼稚なネタで盛り上がれんなあ・・・こっちはそれどこじゃないっつーか」
千枝「よ、幼稚!?幼稚ですと!?」
>-・・・・・・
ラハール「うむ。悪くないな、たこやき」
陽介「こいつら聞いてねーし・・・あっ、小西先輩!」
小西「あぁ、花ちゃん」
陽介「お疲れ様です!」
小西「おつかれー」
陽介「・・・な、なんか、元気無いですね」
小西「んーん、ちょっと、疲れてるだけ」
>-・・・・・・
小西「ねーそっちの二人ー」
番長「?」
ラハール「む?」
小西「転校生なんだって?」
番長「あ、はい」
ラハール「そうだ」
小西「こいつ友達少ないからさ、仲良くしてあげてね」
番長「は、はあ」
ラハール「・・・」
小西「ああ、でも花ちゃん面倒見良くて良い奴だけど、ウザかったらウザいって言いなね?」
陽介「えぇえ?」
番長「いや、そんな」
小西「冗談よ」
陽介「先輩、冗談きついっすよ」
小西「じゃあ私もう行かなきゃ」
陽介「あっ、先輩、こないだの話・・・!」
小西「ああ、うん。良いよ。じゃあ、暇な時連絡するね?」
陽介「マジ?やったー!」
千枝「何々?どしたの?」
陽介「へへ、デートのお約束だよ」
千枝「あーそういうこと」
ラハール「・・・ウザいな」
千枝「お、おお・・・ラハール君刺々しいね」
陽介「お前なー・・・!」
番長「・・・ウザいな」
陽介「ば、番長まで!?」
番長「冗談だ」
陽介「だから冗談きついって!」
ラハール「俺様のは冗談ではないぞ」
千枝「お、俺様?」
陽介「お前なー・・・!」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「そろそろ十二時か」
ラハール「・・・気にしているのか?マヨナカテレビというやつのことを」
陽介「お前聞いてたのかよ。たこやきに夢中で、話聞いてなかったかと思ったぜ?」
ラハール「反応しないだけで、聞いてはいる。何が俺様が魔界に帰るための手がかりになるか、わからんからな」
陽介「つか、これって二人で見るとどうなるんだろうな?同じ相手が見えたら、運命の相手かぶっちゃうぜ」
ラハール「信じておるのか?幼稚な話だと言っていたのは貴様のほうだろう」
陽介「いや、まあ別に信じちゃいねえけどさ」
>-十二時
陽介「・・・人影?でもなんかぼんやりしてて、よくわかんねえな」
ラハール「このテレビという奴は、つけていなくても勝手に何かが映るものなのか?」
陽介「いや・・・」
ラハール「気になるな。異常な現象というものは、調べてみたい」
陽介「そうだな」
>-4/14(木) 放課後
:::【教室】:::
千枝「え?テレビに入った?」
番長「うん」
陽介「俺もラハールも、テレビに変な人影が映ってるのは見えたけど」
千枝「あたしも見た!雪子はもう帰っちゃったけど、そもそもマヨナカテレビ見ようとしてないってさ」
陽介「しかし、どうせ夢かなんかだろうけど、テレビが小さくて入れなかったっての、無駄にリアルだな」
千枝「じゃあ大きいテレビだったら入れたりして」
ラハール「・・・行くぞ」
陽介「お、おい、行くってどこに」
ラハール「異常なことを調べたいと言っただろ。大きいテレビがあるところに案内しろ」
陽介「・・・わかったよ。悪いけどお前等、付き合ってくんね?」
千枝「なんか面白そうだから良いけど、番長君は?」
番長「良いよ。行こう」
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
陽介「・・・マジで来たけど、なんか俺等馬鹿っぽくね?」
千枝「まあ良いじゃん。うちテレビ買い換えたかったからさ、調度色々見てみたかったとこなんだ」
陽介「ああそういうこと・・・」
千枝「花村のコネで安くなんない?」
陽介「そういうのは無理無理」
番長「え、コネ?」
陽介「ああ、俺ここの店長の息子なんだ。俺もここに転校して来てんだ。半年ぐらい前にな」
千枝「ジュネス便利だけど、そのおかげで商店街は寂れちゃったよねー」
陽介「おいおい、そういうこと俺の目の前で言う?」
千枝「陰口は嫌いですから」
ラハール「おい、どうだ?」
番長「・・・大きいテレビ・・・だな」
スッ
番長「・・・入った」
ラハール「入ったな。そのまま、入れるか?」
番長「んー・・・」
陽介「・・・・・・は!?」
千枝「ええええええ!?」
陽介「何!?何で!?手品!?」
千枝「何で!?っていうか何で!?」
番長「なんか、空間がある」
陽介「空間って何!?」
千枝「っていうか何!?」
ラハール「入れそうか?」
番長「・・・このままいけば」
陽介「入れそうって、おい!ちょっと!ひ、人来てるって!」
千枝「え、ちょ、ここにテレビに手突っ込んでる人いるんですけど!?」
ラハール「何か不都合があるのか?」
陽介「無駄に冷静に構えてんじゃねー!どど、どうする!?」
千枝「ど、どうするって知らないよ!?」
ドンッ
番長「あっ」
ラハール「む」
千枝「うわっ!?」
陽介「んなっ!?」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
>-・・・・・・
陽介「な・・・なんだよここ」
ラハール「・・・妙な空間だな」
陽介「み、妙な空間?」
>-・・・霧が濃い。
ラハール「多様な力の混在を感じる。とはいえ、今の俺様にわかるのはその程度だな。俺様が認識し切れないほど広い空間だ。何より、霧が濃くて視界が悪すぎる」
陽介「お前、もしかして、ここのこと知ってんのか?」
ラハール「・・・知らんな。少なくとも来たことはないはずだ」
陽介「本当だろうな?」
ラハール「こんなことで嘘をついて何になる?」
陽介「そ、それもそうか・・・」
千枝「ね、ねえ・・・ここ何?」
>-・・・・・・なんだろう、この感じ。
>-・・・・・・わからない。
番長「わからない。テレビの・・・中?」
千枝「テレビの中って・・・え、これってさ、私達、帰れるの?」
ラハール「・・・」
番長「・・・わからない」
千枝「わ、わからないって・・・」
陽介「と、とにかく落ち着いて出口を探そうぜ。俺達が入ってきた入り口があるなら、出口だってあるはずだ」
番長「俺もそう思う」
千枝「そ、そだね」
陽介(小声)「なあ、もしもの時は頼むぜ。なんか変な危険があるかもしれないからな」
ラハール「・・・まあ、よかろう」
ペタ・・・ペタ・・・ペタ・・・
千枝「な、なにあれ?なんか来る!?」
陽介「に、逃げよう!」
番長「うん」
:::【マヨナカテレビ・山野真由美の部屋】:::
千枝「何この部屋?なんか・・・嫌な感じ」
陽介「このポスター、どっかで見た覚えが・・・」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
千枝「出よ。なんか、やだ、この部屋」
陽介「そうだな」
ガチャ
>-!?
番長「なんだ、こいつ」
陽介「お、お前何だ?」
クマ「君達こそ誰クマ!」
千枝「しゃ、喋った!?」
クマ「クマは、クマクマ。ずーっとここに住んでるクマ」
バッ
ドカッ
ラハール「貴様、何者だ。人間ではなかろう?」
クマ「ひ、ひいっ!?痛いクマ!?」
陽介「お、おいラハール!あんま手荒なことは・・・」
ラハール「言え。何者だ。言わなければ・・・!」
ボッ
クマ「ひえええ!?」
ボボボボ
千枝「ええええ!?何!?何その火!」
番長「明るい」
陽介「待て待て待てって!落ち着かないと話も出来ないだろ!?な!?」
ラハール「チィッ・・・」
シュウウウ・・・
クマ「ク、クマはクマだってさっきから言ってるクマ・・・と、とにかく、早くあっちに帰るクマ!そうしないとシャドウが、シャドウが・・・!」
ラハール「あっち?あっちとは何のことだ?」
クマ「い、良いからこれを使って早く!」
番長「これ・・・って、眼鏡?二つ?じゃあ、ラハールも、はい」
ラハール「何だ。これを付ければ良いのか?」
>-・・・霧が晴れて見える。
ラハール「視界が・・・」
番長「・・・何だ?あれ」
クマ「き、来たクマーーーーっ!」
ダダダダダダダダ
千枝「な、なによ・・・アレ」
陽介「な、なんだ?」
>-・・・何だアレ?
失言のアブルリー「・・・!」
ラハール「来るぞ!」
陽介「く、来るってなんだよ!?」
千枝「と、とにかく逃げよ!」
ラハール「オ、オイ、何も逃げる必要は・・・全く・・・!」
>-・・・・・・
千枝「キャッ!」
陽介「里中!や、やべえ・・・もう、逃げ場が・・・!」
ラハール「わかりやすくて良いではないか」
陽介「わ、わかりやすい?」
ラハール「こいつらが見せているのは、剥き出しの、殺意だ」
千枝「殺意って・・・嘘・・・うっ!」
陽介「里中!?駄目だ、気絶しちまった・・・!」
ラハール「良いんだろう?陽介、やっても!」
陽介「やってもって・・・お前、やれんのか?」
ラハール「俺様を誰だと思っている!」
>-汝は我、我は汝。
番長「ペルソナ」
>-カッ
陽介「なっ、何だ何だ!?」
ラハール「・・・ほお、貴様もやれるのか?」
番長「・・・多分」
ラハール「良し、二対三だ。リハビリには良かろう」
ボッ
ラハール「ハーッハッハッハッハ!」
>-ファイア
ゴオッ!
番長「イザナギ!」
>-カッ
バチバチバチ・・・
陽介「す、すげえ・・・!」
ラハール「フン、他愛も無い」
番長「・・・これが・・・俺の・・・力・・・?」
>-・・・・・・
陽介「里中!しっかりしろ!」
里中「ん・・・あ、あれ?さっきの、変な奴等は・・・?」
陽介「こいつ等がやっつけた」
番長「うん」
ラハール「あの程度、相手の内に入らん」
里中「マ・・・マジ?」
陽介「マジだよ。つーか凄ぇな番長。さっきのアレ、ペルソナっつったっけ?」
番長「・・・俺にも、良くわからない」
ラハール「・・・(本当に解っていないようだな。あれは一体・・・)」
里中「っていうかそんなことより、またさっきの変なの来ない内に、こんなとこ早く出ようよ!」
>-最初にいたところに戻ってきた。
クマ「君達!シャドウはどうしたクマ!?」
陽介「シャドウ?さっきの奴等のことか?」
ラハール「なるほど貴様の手の者だったのか?なんだ話が早いではないか」
ボッ
クマ「クマーッ!?」
陽介「だ、だから落ち着けってお前は!」
クマ「ムキー!クマだって迷惑してるクマよ!最近こっちによく人が来てシャドウが暴れてるから!」
ドンッ
>-・・・テレビ?
クマ「ほらほら帰った帰った!」
陽介「え?お、おい!」
ラハール「む、おい花村!押すな!」
陽介「い、いやこのクマが!」
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
千枝「・・・帰ってきた?」
陽介「帰ってきた・・・みたいだな」
ラハール「チィッ・・・奴の言っていたあっちというのは、人間界のことか・・・!」
>-・・・人間界?
番長「・・・あ、このポスター」
千枝「・・・演歌歌手の、柊みすず?」
陽介「あー、死んだ山野アナの、不倫相手の嫁さんだろ?」
番長「さっきの部屋に、同じポスターがあった。顔が切られてたけど」
千枝「え、じゃあさっきの変な部屋って・・・」
番長「・・・山野アナが死んだことに、何か関係がある・・・?」
ラハール「・・・」
陽介「も、もうやめようぜ。そういう話、なんかメンタル的に無理だわ」
ラハール「帰るぞ」
陽介「お、おう」
千枝「あっ、ちょっと待って、あの火を出すのって」
ラハール「・・・俺様にもよくわからん」
千枝「えぇ?」
ラハール「貴様もそうだろう?先ほどの力のこと、良くわからぬのであろう?」
番長「うん・・・まあ」
千枝「先ほどの力・・・?そういやさっきも」
ラハール「そういうことだ。帰るぞ花村」
陽介「お、おう。そういうことだから、じゃあまた明日な」
千枝「ちょ、ちょっと・・・まあいいや、なんか寒くなってきたし、早く帰りたい」
番長「うん」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「おい、良くわかんないってどういうことだよ?」
ラハール「そういうことにしておいたほうが都合が良かろう。なにやら、人間界には魔界に関する知識が無いようだからな」
陽介「ま、そうか・・・」
ラハール「しかし気になる。テレビの中のことといい、奴の使ったペルソナという力のことといい」
陽介「・・・あれって、やっぱお前に何か関係あったりするんじゃねえの?非常識なものに触れてる一般人の身としては、なんか繋がりがあったりするんじゃないかって思っちまうんだけど?」
ラハール「・・・わからん。俺様が人間界に送り込まれたことと無関係だとは断言出来んが、少なくとも俺様にはテレビの中にあった世界のことも、奴の使った力のこともわからんな。まあ、貴様には信じられんことかもしれんが」
陽介「・・・信じるよ」
ラハール「花村・・・」
陽介「何だかんだで助けられちまったし、何かお前見てると、悪い奴じゃないって気してきたしな」
ラハール「・・・フン。好きにしろ」
陽介「とにかく、お前が火を出したことは、お前自身もよくわかんない力だってことにしとくんだな?」
ラハール「ああ。それと、もう一度あの世界に行くぞ!クマとかいう奴の力で、あの世界から人間界に帰って来られたのだ。奴を利用すれば、俺様が魔界に帰る手段が得られるかもしれん」
陽介「そ、そうだな・・・不安だけど、タイミング見てもっかい行くしかねーか」
>-次回予告!
>-BGM:頑張れ女の子
エトナ「突然ラハール殿下がいなくなり、新美少女魔王エトナは大忙し!」
ラハール「おい」
エトナ「数々の根回しと暗さ・・・作戦を経ても、竜王族と魔界貴族達の戦争は止まりそうにないの!」
ラハール「今暗殺って言おうとしただろ」
エトナ「けど、美少女魔王エトナは負けない!亡きラハール殿下のためにも!」
ラハール「おいコラ」
エトナ「地獄で見ていて、ラハール殿下!エトナは立派に・・・立派に魔王を勤めて見せます!」
ラハール「ふざけるな!」
エトナ「次回、新美少女魔王エトナ!美少女と戦争」
ラハール「・・・もう好きにしろ」
エトナ「私は負けない!殿下の遺影に誓って!」
今回はここまでです。ではまた次回。
ゴミスレっと
つい先日ディスガイア始めた身としては凄いタイムリーなスレだwww
殿下可愛いよ殿下
乙。
殿下が大人しくしてるのが逆に不気味だなw
乙
支援のタルカジャ
次回予告がディスガイアらしいな
イワシっ
楽しみに待ってる
更新します。
>-4/15(金)
:::【教室】:::
陽介「昨日からずっとメールしてんのに返事がないんだよなー。なんか嫌われるようなことした?俺」
番長「小西先輩か?」
陽介「そうそう」
ラハール「嫌われるようなことといえば・・・存在ではないか?」
陽介「へこむから冗談でも勘弁してくれ」
ラハール「別に冗談を言ったつもりでは」
>-パトカーのサイレンが聞こえる。
番長「また事件・・・か?」
ラハール「・・・」
>-生徒が体育館に集められた。
:::【体育館】:::
陽介「あれ?天城はどうした?」
里中「なんか家の手伝いあるらしくて帰っちゃった。ほら、旅館の」
陽介「大変だな・・・」
ラハール「旅館?旅館とはなんだ?」
里中「あ、雪子んち、このへんで一番大きな老舗旅館なんだ。雪子はそこの次期女将さんだね」
ラハール「?」
陽介(小声)「旅館についてはあとで教えてやる」
ラハール「そうか」
陽介「・・・つーか、先輩どうしたんだ?ここにも来てねーみたいだし、連絡取れねえし・・・」
モロキン『静かにしろ!今から校長先生からありがたいお話があるからな!』
校長『えー・・・本日は皆さんに、悲しいお知らせがあります。3年B組の小西早紀さんが、今朝早く、遺体で発見されました』
陽介「・・・は?」
ラハール「何だと?」
番長「え・・・」
里中「・・・花村」
陽介「・・・・・・!」
:::【実習塔・1F廊下】:::
男子A「山野アナの時みたいに逆さ吊りだったらしいぜ」
男子B「今度は電柱だってな」
陽介「・・・」
>-・・・そっとしておこう。
番長「今は、一人にしてあげよう」
千枝「うん・・・」
番長「ラハール。行こう」
ラハール「貴様等は先に行け。俺様は話がある」
番長「・・・わかった」
陽介「・・・」
ラハール「・・・二日前」
陽介「え?」
ラハール「俺様が小西という女を見たときは、自ら死を選ぶような人間には見えなかったがな」
陽介「当たり前だろ!ふざけたこと言うんじゃねえよ!」
ラハール「落ち着け馬鹿者。自ら命を絶ったわけでないということは」
陽介「・・・わかってるよ。先輩は、誰かに殺されたんだ・・・!」
ラハール「マヨナカテレビ」
陽介「・・・マヨナカテレビ?」
ラハール「昨日、貴様が疲れて早々に寝静まってしまった後、俺様は再びマヨナカテレビを見た」
陽介「・・・何が、映ってたんだ?」
ラハール「おそらくだが、あの小西とかいう女だ。二日前よりは多少はっきりと映っていた」
陽介「小西先輩が・・・?」
ラハール「山野とかいう女が死んだ事件。にゅうすとやらで何度も見たが、あの事件はテレビの中の世界に関係しているかもしれん」
陽介「・・・どういうことだ?」
ラハール「昨日あの世界に行ったとき、妙なポスターが貼られていた部屋があったことを覚えているであろう?」
陽介「妙なポスター・・・柊みすずか」
ラハール「そうだ。マヨナカテレビのことを話している餓鬼共の話を聞けば、山野とかいう女が映っていたのを見たという者もいるようだ」
陽介「・・つ、つまり何だ?マヨナカテレビに映ったら、殺される。そう言いたいのか?昨日の変な部屋が、山野アナが死んだ事件に関係してるって」
ラハール「現象と状況だけを見ればな。誰がどうやってやったかまでは知らんぞ」
陽介「・・・」
ラハール「貴様に言いたかったのはそれだけだ。後は貴様がどうするか。どうしたいかを考えるのだな。俺様はいずれにせよ、もう一度あの世界に行くぞ」
陽介「・・・ああ」
>-昼休み
:::【屋上】:::
陽介「悪いな、集まって貰っちまって」
里中「良いよ。何?話って」
陽介「もう一度、テレビの中の世界に行きたいんだ」
里中「は!?もう一度って」
番長「・・・マヨナカテレビか」
陽介「ああ」
里中「ど、どういうこと?」
番長「実は俺、昨日もマヨナカテレビを見たんだ」
陽介「どうだった?」
番長「映っていたのは・・・小西先輩、だったような気がする」
里中「・・・え?」
陽介「そっか・・・実はラハールも見たらしいんだ。昨日、小西先輩がマヨナカテレビに映っていたのを」
里中「ラハール君も?」
ラハール「そうだ」
陽介「山野アナも、何日か前にマヨナカテレビに映ってたらしいんだ」
里中「え、山野アナも?それって・・・」
陽介「昨日テレビの中に入った時に、変な部屋があったろ?山野アナが死んだことに関係してるかもしれないって話してた」
番長「あったな」
里中「あの気味悪い部屋か・・・」
陽介「小西先輩が死んだことも、あっちの世界に何か関係があるかもしれない。俺はそれを知りたいんだ」
里中「花村、け、けど・・・」
陽介「番長がいてくれれば、あっちの世界に入れる。着いて来てくれとまでは言わないから、放課後、テレビの中に俺達が入れるようにして欲しい」
里中「お、俺達?」
陽介「ラハールも、来てくれるって言ってるんだ」
番長「ラハールも?」
ラハール「ああ。俺様は俺様で、気になることがあるのでな」
番長「・・・そうか。わかった。放課後、ジュネスに行こう」
>-放課後
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
千枝「ねえ、やっぱやめようよ!また昨日みたいに変な奴等出てきたらどうすんのよ!」
陽介「こいつがいれば大丈夫さ」
ラハール「あの程度なら問題ない」
番長「・・・俺も行こう」
陽介「マ、マジ?お前がいてくれるとすげーたのもしいわ」
ラハール「足を引っ張るなよ?」
番長「ああ」
千枝「番長君まで・・・待ってってば!同じところに出られる保障もないし、昨日のクマに会える保障もないじゃん!」
陽介「・・・じゃあ番長、これはお前に渡しとくよ」
番長「ゴルフクラブ・・・か」
陽介「親父がもう要らねえって言ってた物だけど、こんなもんでも無いよりゃマシだろ」
番長「・・・ラハールは、どうするんだ?」
ラハール「あの程度なら素手で構わん」
番長「そうか」
千枝「だ、だから待ってってば!」
陽介「里中、大丈夫だ。お前は来なくて言い」
千枝「えぇ・・・?」
陽介「確かに、昨日と同じ場所に出られるかわからないし、昨日のクマに会えるかもわからない。だからお前はこれを頼む」
千枝「な、なにこれ・・・」
陽介「命綱だ。これを俺達に結んどくから、いざって時は引っ張り上げてくれ」
千枝「こ、こんなので・・・」
陽介「小西先輩のためにも・・・行きたいんだ、俺は」
千枝「花村・・・」
ラハール「行くぞ」
番長「うん」
千枝「あっ、だから待ってってば!」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
陽介「い、いてて・・・ケツから落ちた」
番長「・・・前と同じ場所だ」
ラハール「そのようだな」
クマ「キ、キミタチ!?また来たクマか!?」
陽介「おう。また来たぜ」
ラハール「調度良い」
クマ「な、何クマ!?」
ラハール「痛い目にあいたくなければ、俺様の質問に答えろ!」
クマ「何クマー・・・?」
番長「落ち着けラハール。暴力は良くない」
ラハール「落ち着いていられることではない!締め上げてでも聞くことがある!」
クマ「オヨヨヨヨ~・・・」
ラハール「オイ貴様、昨日この世界と外にある人間界にゲートを開いただろう。貴様は時空の渡し人か?」
クマ「な、何のことクマ?クマはただのクマクマ・・・」
ラハール「む・・・では質問を変えるが、貴様、この外の人間界以外の、更なる違う世界にゲートを開くことは出来るか?」
クマ「む、無理クマよー・・・クマに出来るのは、あっちの世界とこっちの世界を行き来させることだけクマ。あっちの世界から入った人を、同じところに帰してるだけクマ」
ラハール「チッ・・・」
陽介「おいラハール、もうそのへんにしとけ。怖がってんだろ」
ラハール「フン。もう俺様の用は済んだ」
番長「そうか」
ラハール「あとは、貴様等の用事だな」
クマ「・・・なんかキミタチ怪しいクマ。さてはキミタチが犯人クマね?」
陽介「何のことだよ?」
クマ「最近霧が晴れる頃にあっちの世界からこっちに人を放り込んでるヤツがいるクマ!」
番長「霧?」
クマ「あっちで霧が出た日は、こっちで霧が晴れるんだクマ」
番長「そういえば、山野アナの時も、今回も・・・事件の日には霧が出てたな」
クマ「キミタチは自分でここに来られるみたいクマ。それならここに人を放り込むことも出来るはずクマ!だからキミタチが犯人だクマ!」
陽介「ふざけんな!んなわけあるか!」
ラハール「というより、貴様が一番怪しいのだがな」
クマ「ク、クマはずっとこっちの世界にいるクマだって言ってるクマ!」
番長「もしかして、小西先輩も山野アナも、自分の意思でこっちに来たわけじゃなくて、無理やり放り込まれたのかも・・・」
クマ「だーかーら!その犯人がキミタチなんでしょーが!正直に言ったほうが身のためクマよ!」
ラハール「おい、こいつ殺して良いか?」
クマ「クマーーッ!?」
陽介「だからお前は落ち着けって!物騒なことばっか言ってんじゃねえっつの!」
ラハール「先に喧嘩を売ってきているのはこいつのほうだろうが!」
番長「落ち着け」
ラハール「む・・・」
番長「俺達は、この世界と事件が何か関係があるのかもしれないと思ってここに来たんだ。知ってることがあるなら教えて欲しい」
クマ「事件とこの世界の関係クマか?」
番長「そうだ」
クマ「本当にキミタチは犯人じゃないクマね?」
ラハール「しつこいぞ貴様!」
クマ「ひいっ!?」
番長「落ち着け」
ラハール「・・・わかっておる」
クマ「あ、あの人怖いクマ・・・」
番長「大丈夫だ。俺達はお前に何もしない」
クマ「クマ・・・ありがとクマ」
陽介「な、なんか番長って凄ぇな」
ラハール「俺様が凄んでも何一つ動じんとはな。人間にしては、度胸がある」
クマ「クマ・・・キミタチが犯人じゃないって信じても良いクマ」
陽介「なんだよ急に掌返して」
クマ「その代わり、本当の犯人を探し出して、こんなことやめさせて欲しいクマ」
番長「犯人探し?」
陽介「何で俺達がそんなことしなきゃいけないんだよ?」
クマ「クマにはキミタチしか頼める人がいないんだクマ。クマはただここで静かに暮らしたいクマ・・・けど最近は騒がしくて大変クマ・・・」
ラハール「・・・」
番長「わかった」
陽介「お、おいおい。何でまた?」
番長「いや、なんか可哀想だし。もう知り合いだろ?」
陽介「お前って凄ぇなー・・・」
クマ「本当クマ?」
番長「ああ」
クマ「やったー!」
番長「その代わり、お前にも協力して貰うぞ。クマ」
クマ「わかったクマ!」
陽介「・・・まいいか」
ラハール「オイ、俺様は知らんぞ。今回はこの世界に知りたいことがあるかと思って来たが、特に収穫はなさそうだからな」
番長「そこをなんとか、手を貸してくれないか?」
ラハール「断る。そこまでの義理はない」
番長「・・・そうか」
陽介「って、そういや命綱は・・・」
番長「切れてるな」
陽介「あちゃー・・・」
番長「外で里中が心配しているはずだ。一旦クマに会えたことを伝えてくる」
陽介「おう。じゃあ俺達は待ってるわ」
番長「クマ。一度あっちの世界に戻してくれ」
クマ「はいクマ!」ぼんっ
ラハール「・・・一体なんなのだアイツは?お人よしにも程がある。天使じゃあるまいし・・・」
陽介「ま、俺も困ってる人は助けなさいって小学校の先生に言われてっけど、今回の件は軽く引き受けるには事が大きすぎるよな」
ラハール「困ってる人は助けなさいだと?アホか?何故そんなことをせねばならん」
陽介「人が困ってる時に助けてあげたら、自分が困ってる時に助けてもらえるだろ?そういう理想論みたいなもんだよ」
ラハール「・・・・・・ならば俺様には必要無い。俺様は一人でも強いからな」
陽介「つってもお前、現に今困ってんじゃん?」
ラハール「それは・・・!」
陽介「とりあえず、今後どうするかは別として、今日んところは付き合おうぜ。俺も先輩がなんで死んだか気になるし・・・まだこの世界に手がかりが何も無いって決まったわけじゃないだろ?」
ラハール「・・・それもそうだが、アイツがいればなんとかなるだろう。別に俺様がいなくても良いのではないか?」
陽介「そう言わずにさ。また今度たこやき奢っから!」
ラハール「た・・・たこやきか・・・!?よ、よし。良いだろう。だが勘違いするな!たこやきに釣られた訳ではないからな!」
陽介「はいはい。なんかお前のこと、ちょっと解ってきたわ」
ラハール「知った風な口を聞くな!」
陽介「っと、戻ってきたみたいだな・・・って里中!?」
番長「ただいま」
里中「あ、本当にクマいるじゃん」
クマ「はぁーいラブリーなクマクマよー」
陽介「なんで!?お前は来なくて良いって言ったじゃんか!」
里中「いやいや、あんたらがどうなってるのかも解らないで外で待ってるとか絶対無理だから!ま、クマがいて帰れるってわかったんだしね。私も行く」
陽介「・・・仕方無いか。番長とラハールから離れんなよ」
:::【異様な商店街】:::
陽介「なんだここ?まるで八十稲羽の商店街じゃん」
千枝「け、けどなんか空気悪い・・・」
クマ「このあたりでー、この間女の子を見かけたクマよ」
陽介「女の子・・・?ってもしかして、この写真の人じゃなかったか!?」
クマ「そうクマ!この子クマ!確か、あのお店に入っていって、気配がなくなったクマ」
陽介「・・・先輩の店だ」
千枝「ね、ねえ、なんか聞こえない?」
おばさんA『聞いた?小西さんちの早紀ちゃん。ジュネスでバイトしてるんだって』
おばさんB『困ったもんよね。ジュネスが出来たせいで商店街が大変だっていうのに』
おばさんA『ご両親も可哀相だわ。お店も大変でしょうに』
ラハール「・・・」
陽介「・・・クソ!何だよこれ!ふざけんな!誰が言ってんだよ!」
ダッ
番長「花村!」
ラハール「追うぞ」
番長「うん」
里中「あの馬鹿、人には離れるなとか言っといて!」
:::【小西酒店】:::
小西(父)『何度言やわかるんだ早紀!小西酒店の長女として、恥ずかしくねえのか!』
陽介「な・・・なんだ?」
小西(父)『よりによってジュネスなんかでバイトしやがって!』
陽介「親父さんの声・・・?なんで・・・?誰がいるのか!?」
小西早紀『・・・ずっと・・・言えなかった』
陽介「こ、小西先輩!?どこですか!?」
小西早紀『私・・・花ちゃんのこと・・・』
陽介「お、俺の・・・こと・・・?」
ラハール「・・・」
小西早紀『ウザイと思ってた』
陽介「・・・え?」
ラハール「・・・やはりか」
小西早紀『ジュネスの店長の息子だから仲良くしてただけなのに、勘違いして勝手に盛り上がって』
陽介「そんな・・・!」
小西早紀『ホント、ウザイ』
陽介「ウザイ・・・?」
千枝「花村・・・」
小西早紀『ジュネスなんてどうだって良い。ウチの店も、親も!商店街も!全部なくなればいいのに!』
陽介「・・・嘘だ・・・嘘だ!先輩はそんな人じゃねえ!」
陽介のシャドウ『はは・・・はっはっはっは!』
ラハール「何だ?」
里中「な、何?一体・・・」
クマ「ひぃっ!?」
陽介のシャドウ『悲しいなあ、可哀相だなあ、俺』
陽介「何だよ・・・」
陽介のシャドウ『何もかもウザイと思ってんのは、こっちのほうだっつの』
陽介「何なんだよこれ・・・」
陽介のシャドウ『なあ、俺?』
陽介「俺・・・?」
里中「は、花村が二人!?」
クマ「オヨヨ~・・・!」
陽介「・・・お前、誰だ?」
陽介のシャドウ『俺はお前だ』
陽介「・・・俺?」
陽介のシャドウ『小西先輩のためなんてカッコつけたこと言ってるけど、俺には解ってるんだぜ?』
陽介「な、なんだと?」
陽介のシャドウ『お前は単に、この場所にわくわくして来ただけなんだろ?』
陽介「え・・・?」
陽介のシャドウ『退屈すぎる田舎暮らしにうんざりしてるもんな?ラハールのことだって、刺激的で面白そうだから付き合ってやってるもんなあ?』
陽介「お、俺はそんな・・・」
ラハール「・・・」
陽介のシャドウ『あわよくばヒーローになれると思ったんだよなあ?大好きな先輩が死んだっていう、それっぽい口実もあるしさ。はは、ウケるぜ』
陽介「お前何なんだ・・・何言ってんだよ!」
里中「花村・・・」
陽介のシャドウ『我は影、真なる我。さっきから言ってんだろ?俺はお前さ。お前の、影だ』
陽介「ふざけんな!俺は・・・俺はお前なんか知らない!」
陽介のシャドウ『はははは・・・あーそうかよ』
陽介「お前なんか、俺じゃない!」
陽介のシャドウ『そうだな。もう、お前なんか俺じゃない!俺は俺だ!』
ゴッ
クマ「ひえーっ!?人からシャドウが!?」
千枝「なっ、何これ!?」
番長「デカい・・・里中は下がれ!」
千枝「わ、わかった!」
陽介「こんな・・・なんだよ・・・なんなんだよ・・・?」
ラハール「チッ」
陽介のシャドウ『[ピーーー]』
陽介「・・・」
バッ
ラハール「ボケっとするな!貴様死にたいのか!」
陽介「お、俺は・・・」
ラハール「腑抜けおって・・・!」
番長「イザナギ!」
>-カッ
陽介のシャドウ『邪魔なんだよ!どけ!』
番長「くっ、重い!?」
ラハール「(・・・あれでは、長くはもたんな)」
陽介「ラハール・・・俺は・・・」
ラハール「話は後だ!下がれ!」
陽介「あ、ああ・・・」
番長「くっ・・・!」
ラハール「くらえ!」
>-ウィンド!
陽介のシャドウ『効かないんだよォ!』
ラハール「無効だと!?耐性か・・・!」
番長「この間の奴等とは桁違いだ」
ラハール「・・・そのようだな」
里中「花村!」
陽介「違う・・・あんなの・・・俺じゃない・・・」
クマ「・・・アレは元々ヨースケの中から出てきた物クマ」
陽介「そんな・・・!」
陽介のシャドウ『お前は孤立するのが怖いからヘラヘラしてんだろぉ?一人ぼっちは寂しいもんなあ?怖いもんな?』
ラハール「うるさい奴だ・・・!」
>-ファイア!
番長「イザナギ!」
>-カッ
陽介「嫌だ・・・嫌だ!あんなの俺じゃない!」
ダッ
ラハール「離れるな阿呆!」バッ
陽介のシャドウ『へへ・・・』シャッ
陽介「!?」
ラハール「世話の焼ける・・・!」シャッ
ドカッ
ラハール「ぐふっ・・・!」
陽介「ラハール!?」
ラハール「くっ・・・一人で飛び出すな!こっちの身がもたん!」
陽介「ラハール・・・」
里中「な、なにこれ、周りが・・・!?」
クマ「ま、周りのシャドウが共鳴を始めたクマ!今の内に止めないと、ヨースケのシャドウと融合して大変なことになるクマよ!」
番長「そう言われても・・・」
陽介のシャドウ『俺は全部知ってるぜえ?ほんとはウザがられてるの解ってるくせに、良い人ぶって、頼られてるつもりでいたんだよな?』
陽介「だ、黙れ!」
陽介のシャドウ『小西先輩のことだって、別に好きじゃなかった。退屈で、刺激が欲しくて、それで遊びたかっただけなんだろ?』
陽介「違う!」
ドガッ
ラハール「いい加減にしろ!」
陽介「痛っ!な、何で・・・?」
里中「ラハール君!?ちょ、ちょっと・・・」
ラハール「さっきから聞いておればウダウダとぬかしおって!退屈だった、刺激が欲しかった、結構なことではないか。何をそんなに嫌がっておるのだ!」
陽介「お・・・俺は・・・」
番長「先輩のことは、本当に好きだったんだろ?」
陽介「あ・・・ああ、本当に・・・好きだった」
番長「なら、良いじゃないか」
陽介「番長・・・」
陽介のシャドウ『おいおいおい、勘弁してくれよ』
ラハール「黙れ!」
>-獄炎ナックル!
ドドーン!
陽介のシャドウ『!?』
番長「・・・いつの間にそんな」
ラハール「俺様は殴られるだけでも殴るだけでもレベルを上げる。貴様と違ってな」
陽介「・・・」
ラハール「自分が怖いのか?」
陽介「え・・・?」
ラハール「この数日程度の観察に過ぎんが、俺様から見れば貴様等は不思議な生き物だ。嫌なことを嫌と言えん。したいことをしたいと言えん」
陽介「ラハール・・・」
ラハール「しかしそれは、貴様等の常識でも良いこととはされていないはずだ」
陽介「・・・」
ラハール「俺様は言うぞ。貴様がウザイ時はウザイとな。今の貴様は果てしなくウザイ!」
陽介「・・・そうだよな」
番長「誰だって、自分でも見たくない自分を持ってるはずだ。陽介、あれはお前なんじゃないのか?」
陽介「・・・あれは・・・」
ラハール「臆すな」
陽介「・・・ああ。あれは俺だ」
番長「そうか。でも、あれがお前の全てじゃないはずだ。小西先輩を好きだって気持ちも、本当の気持ちなんだろ?」
陽介「・・・ああ」
里中「花村・・・」
陽介「・・・本当は・・・解ってたさ。解ってたけど、みっともねえし、嫌だし、認めたくなかった。誰にも嫌われたくなくて、誰にでも気使ってさ・・・俺だって、こんな俺のこと、ウザイと思うよ。ラハールが、はっきり言ってくれたみたいにな」
ラハール「・・・フン」
千枝「・・・」
陽介「・・・けど、小西先輩を好きだって想う気持ちは、本物だった」
陽介のシャドウ『クソッ・・・!』
クマ「お、起き上がってきたクマ」
陽介「・・・あいつも、あいつだって、俺の一部ってことなんだな」
陽介のシャドウ『テメエラ・・・!邪魔すんだよ・・・!』
陽介「全部ひっくるめて俺だってことだな」
陽介のシャドウ『ち、近寄るんじゃねえ!ウゼエ!ウゼエんだよ!』
クマ「今だクマ!」
番長「行くぞ、ラハール」
ラハール「ああ」
番長「イザナギ!」
>-カッ
ラハール「風が通用しないというのなら・・・!」
>-スター
ピカッ
陽介のシャドウ『うぅっ!うああああ!』
>-・・・・・・
陽介「・・・おい」
陽介のシャドウ『う・・・あ・・・』
陽介「お前は俺で、俺はお前だ」
陽介のシャドウ『・・・ああ』
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-陽介は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"ジライヤ"を手に入れた!
陽介「こ、これが・・・俺の・・・」
ラハール「ペルソナ、か?」
番長「みたいだな」
陽介「・・・難しいもんだな。自分と向き合うってのも」
ラハール「俺様には良くわからんがな。ウザイならウザイでよかろう」
番長「難しいのか・・・」
陽介「お前等はなんか別格だわ」
里中「・・・花村、大丈夫?」
陽介「ああ、すまねえな。にしても、ずっとウザイと思ってた・・・か。盛大にフラれたぜ」
ラハール「・・・」
陽介「番長、ラハールも、ありがとな。二人がいてくれて助かった」
番長「いいよ」
ラハール「そうだな。たこやきを奢れ。それでチャラにしてやろう」
陽介「わかったよ」
番長「あ、じゃあ俺も」
陽介「お前もかよ!」
千枝「あ、じゃあ私も」
陽介「わかったわかった!バイト代入ったら皆に奢る!」
ラハール「・・・おいクマ、貴様シャドウとやらのことを何か知っている風だったな?」
クマ「クマクマか?」
陽介「クマ、もしかして先輩は、もう一人の自分に殺されたのか?さっきの俺みたいになって・・・それで・・・」
クマ「多分、そうだと思うクマ」
ラハール「・・・なるほど」
クマ「ココにいるシャドウも、元々は人間から生まれたものなんだクマ。けど、霧が晴れた時に暴走するクマ」
番長「さっきみたいにか?」
クマ「そうクマ。意志のある強いシャドウを核にどんどん大きくなって、宿主を殺してしまうクマ。だからクマは、こっちには誰も来てほしくないんだクマ・・・」
陽介「それが、町で霧が出た日に、こっちで死人が出る原因ってことか」
千枝「そうだったんだ・・・」
陽介「俺も、下手すりゃ死ぬとこだったんだな」
番長「小西先輩も、山野アナも・・・一人だったんだな。こっちの世界で」
陽介「ああ。俺みたいに、助けてくれる奴がいなかった。だから先輩は・・・っつ!」
千枝「花村、どしたの?どっか痛むの?」
陽介「いや・・・」
ラハール「疲れだろうな。あれほど大きな力に目覚めたのだ。反動が無いほうがおかしい」
番長「俺も、最初は頭痛に悩まされた」
千枝「・・・そっか。じゃあ、今日はもう帰ろう」
番長「そうだな。クマ、また来るよ」
クマ「お願いしますクマ!」
ラハール「俺様は来んぞ」
クマ「ラハールは別に良いクマ~~」べーっ
ラハール「・・・やはり殺しておくか」
クマ「クマーーーッ!?」
番長「落ち着け」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「ラハール・・・今日は」
ラハール「アホ、さっさと寝てしまえ。話は明日でも出来るであろう」
陽介「あ、ああ・・・けど、マジ、ありがとな」
ラハール「フン・・・」
ラハール「(・・・自分の気持ちに素直に、か)」
ラハール「(俺様は・・・いや、そもそも魔王に素直さなどいらん!)」
ラハール「(これではまるでどこぞのアホ天使ではないか!)」
ラハール「(下らん・・・寝るか)」
:::【千枝の部屋】:::
千枝「(自分自身と向き合う・・・か。花村、凄いや・・・アタシは・・・・・・)」
千枝「(そういえば、番長君もペルソナが使えるってことは、ああやって自分と向き合ったりしたのかな・・・?)」
千枝「(ラハール君も、なんか言ってること変だったし、謎が多いんだよなー・・・変なこと起こりすぎて、わけわかんなくて突っ込む暇なかったけど)」
千枝「(外国人、とかかな?明日聞いてみよ)」
>-次回予告
>-BGM:White Tiger
アクターレ「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!次回予告!!!!!!!!!!!!!!」
アクピンク「にゃあ」
エトナ「何やってんのアンタら?」
アクターレ「あ、いやあの、これはですね」
エトナ「二秒やるから消えな。それで許してあげる」
アクターレ「撤収!!!撤収ーーーー!!!!」
アクピンク「にゃあ」
>-次回予告
>-BGM:頑張れ女の子
エトナ「気を取り直して次回予告!」
プリニー「エトナ様ー。ゲヘナの海、今季限定プリン買って来たッスー!」
エトナ「あ、今忙しいから冷蔵庫入れといて」
プリニー「了解ッス!」
エトナ「気を取り直して次回予告!」
ラハール「・・・」
エトナ「ついに始まってしまった種族間戦争!魔界でも最上位に位置する竜王族と魔界貴族達の戦争は、このままでは魔界全土に広がりかねない!」
ラハール「いい加減真面目にやる気は無いのか?おい」
エトナ「そこでエトナは、自慢のグラマラスボディーを駆使して、自ら竜王族にスパイとして潜り込む!」
ラハール「は?」
エトナ「すると、なんとそこで待ち受けていたのは魔界貴族へのスパイ任務だった!多重スパイとして暗躍しながら、両種族の対立の深さを知るエトナ!」
ラハール「なんかそっちはそっちで大変そうだな・・・どうでも良いが」
エトナ「次回、美少女密偵エトナ、美少女と潜入」
ラハール「・・・」
エトナ「キミのハートに、潜入しちゃうゾ☆」
ラハール「お、おえぇええぇ・・・」
エトナ「殿下、ちょっとお話が」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>28-29 殿下良いですよね。至高の萌えキャラだと想います。無印でも序盤と終盤で随分丸くなりましたが、D2はその後日ということで更に丸さに磨きがかかってる気がします。特にシシリーちゃんを受け入れてからは内心かなりデレデレのような。
>>32 むしろそれぐらいしかディスガイアらしさが無いとも・・・P4Gの舞台が中心になるので難しいですね。
>>33 かにみそっ
>>34 頑張ります。
>>56
乙!
この殿下って無印より柔らかいなーと思ったら、D2で更にまるくなってんのか
ハード持ってないからスルー予定だったんだが我慢できそうにないわ・・・
愛ですね、愛
乙
ラハール無双になっちゃうんじゃと少し心配したが
いい感じに番長とダブル主人公みたいな感じでバランスとれてるな
次回作の主人公さんは出ますか?
アニメおもろい
まじ事故りまくりイザナギさん
更新します。
>-4/16(土)
バンッ
陽介「里中?どした慌てて」
里中「雪子来てない!?」
陽介「天城?いや、今日はまだ」
里中「電話もずっと留守電だし、メールも返事来ないし、今朝から連絡つかないの!」
番長「え?」
里中「・・・マヨナカテレビ」
陽介「マヨナカテレビ?」
里中「見た?昨日」
陽介「わり、俺は疲れててすぐ寝ちまって・・・」
ラハール「俺様は見たぞ」
番長「俺も。けど、ぼんやりしてて、誰なのか解るような状態じゃなかった」
ラハール「そうだな」
里中「私・・・映ってたの雪子だと思う」
陽介「え?」
里中「映ってたあの着物、着てるとこ見たことあるし」
陽介「え、じゃあ連絡取れないって・・・天城まさか」
里中「やめてよ!」
陽介「あ、悪い・・・」
番長「何か、他に用事があるんじゃないか?家の手伝いとか」
里中「そ、そうだよきっと・・・」
ラハール「・・・だと良いがな」
里中「そんな・・・!」
陽介「お、おい。不安になるようなこと言うなよ」
里中「私、今から雪子の家に行ってくる!」」
陽介「おいおい。今からって、授業始まるぞ?」
里中「けど・・・」
ピピピピピ
里中「・・・はい、もしもし。あ、雪子?うん・・・うん」
陽介「無事みたいだな」
番長「うん」
里中「良かったー。今朝から急に忙しくなっちゃったんだって」
陽介「となると、マヨナカテレビに映ってたの誰だろうな?」
番長「とりあえず。またクマのところに行ってみよう。誰かテレビの中の世界に行ってないか知りたい」
陽介「だな。ラハールはどうする?」
ラハール「俺様は知らんと言っておる。勝手にやれ」
番長「けど、陽介が寝た後もマヨナカテレビを見たりしてるってことは、なんだかんだ言って興味があるんじゃないか?」
ラハール「う、うるさい!」
>-放課後
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
陽介「で、結局着いて来てるしな」
ラハール「やかましい!暇だから来てやっただけだ!手伝うとは言っとらん!」
陽介「はいはい。素直じゃねえなあ」
番長「・・・人が多いな」
陽介「だな、珍しく。まあ今日は家電セールだから当然か」
ラハール「人が多いと何か不都合があるのか?」
陽介「あるのかってお前、テレビに入るとこ人に見られるわけにはいかねーだろ?」
ラハール「は?何故だ」
千枝「何故だ・・・って、なんか、前からちょっと思ってたんだけどさ。ラハール君て何者?なんか常識が通用しないというか、自由というか」
陽介「あ、ああー・・・えっと、そう、外国人!外国人なんだこいつ!日本の常識を学びに来ててさ!」
千枝「あー、やっぱそうなんだ。どこの国?」
ラハール「魔界だ」
千枝「マカイ?聞いたことないなー。どこにあるの?」
陽介「み、南のほうだよ南のほう!今はそんなこといいだろ!おい番長、こっそり手突っ込んで、中の様子調べてみろよ」
番長「ああ」
ガブッ
番長「・・・噛まれた」
里中「えぇ?噛まれたって」
クマ『何々?これなんの遊び?』
陽介「遊びじゃないの。おいクマ、そっちに誰か入ってきてないか?」
クマ『こっちにクマか?誰も来てないクマよ。むしろクマは一人で寂しん坊してるクマ。寂しんボーイクマ』
陽介「本当だろうな?」
クマ『嘘なんてつかないクマ!今日もクマの鼻はビンビン物語クマよ!』
陽介「・・・つーことは、マヨナカテレビには人が映ったのに、あっちには誰も来てない。どういうことだ?」
ラハール「・・・」
番長「わからない。とりあえず、今夜もマヨナカテレビを見てみよう」
陽介「だな」
ラハール「おい、クマ。一つ貴様に聞きたいことがある」
クマ「ムム、ラハールもいたクマか。何クマ?」
ラハール「ああ----」
>-夜。
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「クマに聞いた話では、俺様達があっちの世界に最初に入った日、俺様達が帰ってしばらくするとあっちの世界に小西という女が来た・・・ということだったな」
陽介「ああ。けど、それがどうかしたのか?わざわざクマに確認取ってまで」
ラハール「少しは頭を使え。番長の奴は気付いておったぞ。俺様達はそのさらに前日、マヨナカテレビで女の影を見ている」
陽介「その前日・・・た、確かにな」
ラハール「その時はおぼろげにだったが、実際に小西があっちの世界に行かされた後は、もう少しはっきりとマヨナカテレビに映るようになった」
陽介「・・・つまり、今回も、被害者があっちの世界に入れられたら、マヨナカテレビの映像が鮮明になるだろうっつーことか?」
ラハール「わからんがな。少なからず、今日ジュネスに行った段階であっちに誰も行っていないということは、今までの事件の流れとの不整合にはならんということだ。山野とかいう女の時にどうだったかまでは知らんがな」
陽介「なるほどな。けどお前、そんなことまで考えてたんだな。やっぱ協力するつもりあるじゃん?」
ラハール「・・・ちと考えたのだが、俺様が人間界に送り込まれたことには理由があるのかもしれん」
陽介「理由?」
ラハール「人間界、というよりこの場所というべきか。俺様が貴様等と同じ学校に通うのが一年という期間付きであることと、俺様が来た途端に異常な事件がはじまったことが、無関係とは思えんのだ」
陽介「・・・確かにな。それについちゃ、俺もそう思ってたところだ」
ラハール「俺様は、この事件の解決のために送り込まれたのかもしれん。俺様が人間界で暴れたりせんように、俺様の力を最低にまで制限した状態でな」
陽介「・・・なるほど。そう言い出すってことは、お前をここに送り込んだ奴に、見当がついたってことか?」
ラハール「見当ならはじめからついておる。こんな下らんことを考えるのはアホ天使の奴ぐらいだ。大方奴が考えて、エトナが協力したというところだろう」
陽介「何言ってるかわかんねーけど、なんかお前嬉しそうじゃね?」
ラハール「う、嬉しいわけあるか!こんな下らんことをされた以上、帰ったら奴を引きずってでも魔界に連れ戻してやる!俺様の家来の分際で好き勝手やりおって・・・!」
陽介「お、おお、よくわからんけど、そうか」
ラハール「・・・番長の奴をどう思う?」
陽介「番長?あいつがどうかしたか?」
ラハール「奴の転入も一年という期間付きだ。俺様と同じな。そして、発生した事件について調べている貴様等人間共の中心的な存在であり、貴様のような経緯を経ずに、はじめから力に目覚めていた」
陽介「・・・何が言いたいんだ?」
ラハール「奴が犯人として怪しいと考えることも出来るのではないかという話だ」
陽介「ん、んなまさか!だとしたら、俺を助けてくれたことはなんだったんだよ?それに、最初にテレビの中に手が入ったなんて話を、俺達にしたメリットは?」
ラハール「無いな。だが、出来るか出来ないかだけで言えば、奴には可能であったはずだ。誰かをテレビに入れるということがな」
陽介「お、俺は信じるぞ番長を。つか、あいつが犯人なわけないっつの!」
ラハール「現段階では、俺様もやつのことを犯人だと言っているわけではない。だが、そう簡単に他人を信じるだとか言うな。奴をも疑うということを選択肢から外すな。他人とは疑うものだろう。あろうことか、貴様はあいつを信じ、頼る気でいるではないか!虫唾が走る!」
陽介「信じちゃ・・・いけねーのかな?」
ラハール「何だと?」
陽介「俺さ、シャドウと・・・つーか、自分と向き合ったじゃん?きつかったけど、お前と番長のお陰で、なんとかさ」
ラハール「・・・それがどうかしたか?」
陽介「自分と向き合うってのは、自分を信じるってことだと思ったんだ」
ラハール「自分を?信じるだと?」
陽介「ああ。最初、お前等に見られてもいたし、すげー嫌だったし、俺の中にああいう気持ちもあるってことを認めたくなかった。認めちまったら、俺が本当にそういう奴だとしか思えなくなりそうだったから」
ラハール「・・・」
陽介「けど、あれだけが俺の全部じゃない。悪いとこもあるけど、良いとこもある。そう。俺は、俺にも良いところがあるって信じることが出来たから、自分を、自分の嫌な所を受け入れることが出来たんだ」
ラハール「・・・」
陽介「それに気付かせてくれたのは、他でもないお前と番長なんだぜ?」
ラハール「何・・・?」
陽介「番長は、俺が先輩を好きだったって気持ちを再確認させてくれた。お前だって、俺にびびんなって言ってくれたろ」
ラハール「・・・」
陽介「お前等は、俺自身を信じさせてくれた二人なんだ。だから俺は、お前のことも、番長のことも信じたい」
ラハール「花村・・・ふ、ふん!気持ちの悪いことを言うな!」
陽介「気持ち悪いって、ひでーなあ」
ラハール「・・・まあ、とはいえ俺様も、貴様がただの情けない人間だということは目の当たりにしたわけだからな。貴様のことは疑わずにおいてやろう」
陽介「ひでー・・・そこはせめて信じるって言ってくれよ。同じことじゃんか」
ラハール「お、同じではない!この俺様が誰かを信じるなど、ありえん!」
陽介「ま、今はそういうことにしとくか」
ラハール「ぐっ・・・!」
陽介「・・・っと、言ってる間に十二時になりそうだな」
ラハール「む・・・」
>-十二時。
:::【マヨナカテレビ】:::
雪子『こんばんわ~!』
雪子『えっとぉ、今日は私、天城雪子がナンパ。逆ナンに挑戦してみたいと思いま~す!』
雪子『題して、ヤラセなし!突撃逆ナン!雪子姫の白馬の王子様探し!』
雪子『も、超本気!見えないとこまで勝負しよ!はぁと、みたいなね』
雪子『もう、私用のホストクラブをぶったてるぐらいの意気込みでぇ、じゃあ、行ってきま~す!』
>-・・・・・・
:::【番長の部屋】:::
ピピピッ、ピピピッ
>-・・・陽介から電話だ。
番長「・・・もしもし」
番長「・・・うん。そうだな」
番長「・・・うん。じゃあ明日」
ピッ
>-・・・・・・録画しとけば良かった。
>-4/17(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::
番長「来たか」
千枝「ごめん、雪子の家に寄ってきて遅くなった」
番長「天城の?」
千枝「雪子・・・昨日の夕方ごろから急にいなくなったって・・・警察に捜索願いも出したんだって・・・!」
陽介「何!?」
番長「・・・ここで話してる暇はないな。まずクマのところに急ごう」
陽介「ああ」
:::【テレビの中の世界】:::
ラハール「オイ、誰かここに来ていないか?」
クマ「ラ、ラハール!?もう来ないって言ってなかったクマか?」
ラハール「やかましい!誰か来ていないかと俺様が聞いている!」
番長「クマ、教えてくれ」
クマ「き、来てるクマ・・・昨日、センセイ達が帰ったちょっと後ぐらいクマね」
ラハール「む・・・」
ラハール「(・・・ちょっと後、となると、昨日はあの後全員でたこやきを食ったりして一緒にいたから、やはり番長は犯人ではないということか・・・まあ、花村の言っていたことも最もだ。端からそうだとも思っていなかったが)」
千枝「どっちにいるか解る!?」
クマ「わかるクマ!ここからちょっとだけ離れたところクマよ!」
陽介「案内してくれ」
クマ「わかったクマ!」
-・・・・・・
:::【雪子姫の城・城外】:::
クマ「この中クマ!」
千枝「この中に、雪子が・・・!」
陽介「里中!電話で、お前は下がってるって約束したろ?」
千枝「やっぱりアタシも行く!だって雪子が!」
陽介「シャドウが出たらどうすんだよ?お前は外で待っててくれ」
千枝「絶対やだ!だって、雪子だよ!?雪子がいるんだよ!?怖がってるかもしれない・・・シャドウに襲われて、危険な目にあってるかもしれない!私が、私が助けてあげなきゃ・・・!」
陽介「つっても、お前にシャドウと戦う力はないだろ?大人しく俺達に任せとけって」
千枝「私にはこれがあるから」
陽介「・・・鉄パイプ?縦に長い変な鞄持ってきてると思ったら・・・そんなもんで」
千枝「こんなふうに言い争ってる場合じゃないでしょ!アタシ・・・行くから!」
ダッ
陽介「おっ、おい!」
番長「追うぞ」
ラハール「・・・」
:::【雪子姫の城・1F】:::
陽介「あ、あいつ足はえー!見失っちまったぞ!」
番長「・・・俺達より先行しているのに、シャドウに阻まれたりしていないってことか・・・?これは・・・?」
ズズ・・・
シャドウ「オォ・・・」
ラハール「雑魚が沸いてきたな。蹴散らすぞ!」
番長「・・・二人で戦っててくれ。俺は少しクマと話さなきゃいけない。特に陽介は、ペルソナを使うのは初めてだろ?今の内に慣れてくれ」
陽介「え?お、おい」
ラハール「好都合だ。一匹でも多く消し飛ばして、俺様がレベルを取り戻す糧にしてやる!」
>-ファイア!
陽介「ま、待てって俺もやるよ!来い!ジライヤ!」
>-カッ
番長「クマ、シャドウは霧が出た日にだけ暴れるんだろ?どうして俺達には襲い掛かってくるんだ?」
クマ「んー・・・きっと、センセイ達が力を持ってるからクマよ」
番長「力?それと、センセイってなんだ」
クマ「センセイはー、クマと約束してくれたしー、強くてカッコイイしー、だからセンセイ!」
番長「そ、そうか。力ということは、ペルソナを持ってるからってことか?」
クマ「そうクマ・・・普通の人じゃ、シャドウを倒すのはとても無理クマ。でも、ペルソナの力や、ラハールみたいな力があれば戦える。だからシャドウは、センセイ達のことを危険だと思って、先に攻撃して来るんだクマ。多分だけど」
番長「なるほど。ということは、先に行った里中は、シャドウに襲われていない?」
クマ「多分そうクマ」
番長「・・・そうか。安心だが、追いつくには骨が折れそうだな」
陽介「うわっ!痛ってえ!ペルソナがダメージを受けると、自分にも返ってくるみたいだ・・・!」
ラハール「世話の焼ける・・・!」
>-ヒール!
陽介「うお、傷が・・・ラハール!サンキュ!」
ラハール「礼を言われる筋合いはない!こんな雑魚相手に苦戦する貴様を、哀れに思ってやっただけだ!」
陽介「はいはい」
番長「二人とも、待たせたな。俺もやる」
>-カッ
:::【雪子姫の城・2F】:::
クマ「この扉の先にチエチャンがいるクマ!」
番長「・・・ラハール、この建物のことをどう思う?」
ラハール「・・・話は後にしろ」
番長「・・・そうだな。行こう」
バンッ
陽介「里中!」
千枝「・・・」
陽介「良かった、無事か」
雪子『赤が似合うねって・・・』
陽介「天城の声?」
雪子『私、雪子って名前が嫌いだった』
雪子『雪なんて、冷たくてすぐ溶けちゃう・・・はかなくて、意味の無いもの』
雪子『でも、私にはぴったりよね。旅館の跡継ぎってこと以外に、なんの価値もない私には・・・』
雪子『千枝だけが、私に意味をくれた。雪子には赤が似合うねって・・・』
陽介「・・・天城の、心の声か?小西先輩の時にも聞こえたみたいな」
ラハール「知るか。俺様に聞くな・・・しかし、だとすれば」
雪子『千枝だけが、私に意味をくれた』
雪子『千枝は明るくて、強くて、何でも出来て・・・私に無いものを全部持ってる』
千枝「雪子・・・」
雪子『私なんて・・・私なんて千枝に比べたら』
番長「・・・」
雪子『千枝は・・・私を守ってくれる・・・何の価値も無い私を』
雪子『私にそんな資格なんて無いのに・・・』
雪子『優しい、千枝』
千枝「雪子・・・あ、あたし・・・」
千枝のシャドウ『優しい千枝、だってさ。笑える』
千枝「・・・出たわね・・・!」
陽介「里中が二人・・・俺の時と同じってことか」
千枝のシャドウ『あの雪子が!』
千枝「なっ、何よ・・・何を言うつもり・・・!?」
千枝のシャドウ『あの雪子が、あたしに守られてるって?自分には何の価値もないって?』
千枝「・・・雪子・・・」
千枝のシャドウ『そうでなくちゃねえ』
千枝「何ですって・・・!?」
千枝のシャドウ『雪子ってば、美人で、色白で、女らしくって、男子なんかいつもちやほやしてる』
番長「・・・」
千枝のシャドウ『そんな雪子が、あたしを時々卑屈な目で見てくる!それがたまんなく嬉しかった・・・!』
千枝「なっ・・・」
千枝のシャドウ『雪子なんて、本当は私がいなきゃ何にも出来ない』
千枝「そんな・・・」
千枝のシャドウ『私のほうが、私のほうが・・・』
千枝「やめてよ・・・」
千枝のシャドウ『私のほうがずっと上じゃない!』
千枝「あたしはそんなんじゃない!」
陽介「里中・・・!」
千枝「違うの・・・あたし・・・あんなこと・・・」
千枝のシャドウ『へえ、そんなこと言っちゃうんだ?』
陽介「落ち着け里中!あれは、あれは・・・きっと俺の時と一緒だ」
千枝「違う!違うよ!」
千枝のシャドウ『私はあんたよ!私は里中千枝!』
千枝「違う!あんたなんかあたしじゃない!」
陽介「馬鹿っ・・・!」
千枝のシャドウ『はは・・・あはははははは!』
ラハール「全く・・・人間という奴等はどうしてこうも」
番長「それも、人間らしさだからだ」
ラハール「そういうものなのか?」
番長「んー、多分・・・」
ラハール「・・・まあいい。行くぞ」
千枝のシャドウ『我は影、真なる我。あんたにはもう消えて貰うよ。私は私だけで十分だから』
陽介「させるかよ!行けジライヤ!」
>-カッ
千枝のシャドウ『何?邪魔する気?いいよ、踏み台にしてあげる!』
>-マハジオ
番長「ぐっ・・・!」
ラハール「ぐあっ!」
陽介「っ!?」
>-Weak!
クマ「ヨ、ヨースケは電撃が弱点みたいだクマ!危ないクマ!」
番長「陽介!里中を連れて下がっていろ!」
陽介「わ、悪ぃ・・・そうするわ・・・くっ!」
番長「クマ!一階で戦ったシャドウ達には、それぞれの弱点があった!あいつの弱点を探れないか!?」
クマ「わ、わかんないクマ。調べるにしても、時間がかかりそうクマよ!」
ラハール「そんな時間があるか!片っ端からあててみればいいだけのことだ」
これは珍しいssを見た
文化祭ではラハールちゃんが見られるんですねわかります
それにしても服をちゃんと着てる殿下が全く想像できない
>-・・・・・・
陽介「里中、怪我は無いか?」
千枝「う、うん・・・・花村、あたしね・・・あたしも、花村みたいになるのかもしれないって覚悟してここに来たんだ・・・」
陽介「えぇ?」
千枝「・・・覚悟はしてたんだ。こないだの花村を見て・・・もしもの時は、私も戦おうって決めて、これを持ってきて」
陽介「鉄パイプか。そんなもんでどうにかなるなら、俺達も苦労してないって」
千枝「・・・覚悟はしてたのに、いざとなると、無理だよ!あんな、あんな私を受け入れるなんて・・・私には・・・!」
陽介「里中・・・」
>-・・・・・・
ラハール「・・・見つけた。風だ!」
番長「疾風属性か」
ラハール「撃てるか?」
番長「・・・・・・」
千枝のシャドウ『雪子は私の踏み台、本当は何にも出来ない私の、大事な大事な踏み台なの』
ラハール「・・・こいつの目的は、あの里中とかいう女か・・・!」
番長「・・・どういうことだ?」
ラハール「今この場に、シャドウと奴自身、二人の里中が存在している。片方がいなくなれば、自分が唯一の里中になるということだろう」
番長「・・・それで、あいつは自分を受け入れさせないようなことを言ってる・・・ってことか?」
ラハール「ああ。とはいえ、あれも里中という女自身の、本音の一部でもあるのだろうがな。どの程度までそうなのかは知らんが、動揺しているのがその証拠だ」
番長「なるほど・・・」
>-・・・・・・
千枝「あれを、あれを受け入れちゃったら、私は・・・」
陽介「大丈夫だ」
千枝「え・・・?」
陽介「たとえあれがお前の本音だったとしても---うわっ!?」
千枝のシャドウ『邪魔なのよ!妙なこと言おうとしないでくれる?』
ラハール「チッ、抜けられたか・・・!」
番長「・・・っ!ラハール、力を貯める時間が欲しい。少しの間、頼む!」
ラハール「何?チィッ、わかった!急げ!」
千枝のシャドウ『うふふ・・・!』
陽介「ぐ・・・あぁっ!」
千枝「花村!」
ラハール「その阿呆を離せ!」バッ
千枝のシャドウ『だから邪魔だってば!』
>-マハジオ
ラハール「ぐっ・・・!」
陽介「うあああああ!」
>-Weak
千枝「花村!ラハール君!」
千枝のシャドウ『雪子が羨ましい、雪子が妬ましい。だから私は雪子の傍にいるの。そうすれば雪子が私を求めてくれる。あの雪子が』
千枝「やめて・・・っ!」
千枝のシャドウ『そうでしょ?ねえ、私』
千枝「やめてって言ってんのよ!」バッ
陽介「ば、ばか・・・くんな・・・!」
千枝のシャドウ『なあに?こんなので私をどうにかしようっての?』
千枝「キャッ!」
陽介「くっそ・・・ジ、ライヤ!来い!」
>-カッ
>-ガル
千枝のシャドウ『何っ!?』
>-Weak
陽介「ビンゴッ・・・!」
ラハール「その得物、借りるぞ」
千枝「ラ、ラハール君・・・?」
>-一文字スラッシュ
バシュッ
陽介「サンキュ・・・!」
ラハール「礼などいらん!そんな暇があったら、さっさと言いたいことを言うんだな。時間ぐらいは稼いでやる。得物も手に入ったことだしな」
陽介「お、おう・・・!」
千枝「花村・・・」
陽介「里中、お前は・・・怖いんだろ?」
千枝「えっ?」
陽介「あいつを、お前が今まで、見たくなかった自分を受け入れちまうと・・・自分が本当に嫌な奴になっちまいそうで、怖かったんだろ?」
千枝「花村・・・」
陽介「俺もそうだった」
千枝「花村も・・・?」
陽介「天城に対する嫉妬、羨望、天城が自分を頼ってくれてる時の優越感。そういうもんがあるのは仕方ねえさ。俺達は人間なんだ。汚い一面も持ってる」
千枝「・・・」
陽介「けど、お前等二人の間柄って、それだけじゃないだろ?」
千枝「それだけじゃ・・・ない?」
陽介「損得抜きでも、お前は天城のことが好きで、天城だってお前のことが好きで、お前等は友達のはずだ」
千枝のシャドウ『何余計なこと言おうとしてんのよ!』
ラハール「少し黙れ!今面白いところではないか」
>-魔王玉
ドンッ
千枝のシャドウ『アアアアアア!』
陽介「嫌な気持ちや、よこしまなところ。そんなもんは誰にだってある。けどそれだけじゃない」
千枝「・・・」
陽介「それだけじゃないって思えたから、俺は自分の嫌な一面も受け入れたんだ。お前だって同じだろ?あれもお前なのかもしれない。だけど、お前だって、それだけじゃないはずだ」
千枝「・・・それだけじゃ・・・ない」
千枝のシャドウ『ウウッ・・・ヤメロッ・・・!』
クマ「い、今クマ!」
番長「・・・待たせてすまない。もう良いぞ、ラハール」
ラハール「遅いぞ・・・!」
番長「すまない。来い、ジャターユ!」
>-カッ
千枝のシャドウ『な・・・何そよれ・・・?』
ラハール「何・・・?」
陽介「ち、違うペルソナ?あんなのありかよ」
千枝「花村、ありがとう。あたし、頑張る」
陽介「・・・おう」
番長「行け、ジャターユ!」
>-カッ
>-ガルダイン
千枝のシャドウ『アアアアアアア!?』
>-Weak
ラハール「(一撃だと!?なんだあの馬鹿げた力は・・・だが、番長自身の力が高まったわけではない。急に桁外れに強力なペルソナを使っている・・・!?)」
千枝のシャドウ『・・・・・・』
千枝「・・・あんたも、あたしだね」
千枝のシャドウ『・・・・・・うん』
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-陽介は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"トモエ"を手に入れた!
千枝「な、なに・・・これ」
陽介「ペルソナだ」
千枝「ペルソナ・・・私の・・・?」
番長「ああ・・・ぐっ!」
クマ「セ、センセイ!?どうしたクマ!?」
ラハール「・・・力を使いすぎたのだろうな」
千枝「番長君・・・うっ・・・!」
陽介「里中も、今日は無理だな」
千枝「そっ、そんな・・・早く雪子のところに行かないと・・・!」
クマ「霧が出るまでは大丈夫クマ」
千枝「霧?」
クマ「こっちで霧が出るか、センセイ達がユキチャンに近づくまで、ユキチャンが襲われることはないんだクマ」
陽介「霧か・・・つーことは、俺達の世界で霧が出てから晴れるまで。つまり、次の雨の日までは大丈夫ってことか?」
クマ「そういうことクマ」
ラハール「・・・」
陽介「今日はもう無理だ。一旦戻って、体制を立て直そう」
千枝「そんなっ!・・・あ・・・!」
陽介「・・・お前も、体が言うこと聞かないんだろ?俺もそうだったから、わかってんだぞ」
千枝「そ、それは・・・」
ラハール「俺様も魔翌力が尽きた。今日これ以上先へ進もうとするのは無謀だ」
陽介「お、なんだ冷静じゃん?てっきり、まっすぐ突っ込むことしか考えてないのかと思ったぜ」
ラハール「猪みたいに言うな!それだけでは生きてこられんかったからな・・・」
陽介「そ、そうか・・・」
番長「・・・今日は戻って、体を休めよう」
千枝「け、けど・・・」
番長「俺達が倒れたら、誰が天城を救うんだ?俺達に失敗は許されない。だからこそ、万全の状態で向かうべきだろう」
千枝「そ、それは・・・」
陽介「番長の言うとおりだ。ぶっちゃけ俺も、満身創痍だしな」
千枝「花村・・・わかった。今日は、皆の言うとおりにする・・・」
>-・・・元の世界に戻れる場所に帰ってきた。
:::【テレビの中の世界】:::
番長「陽介、悪いけど、里中を家まで送ってやってくれないか?俺は少し、ラハール達と話したいことがあるんだ。何を話したかは、後でラハールから聞いてくれ」
陽介「話したいこと?まいいや、わかったぜ」
千枝「花村・・・」
陽介「ほら、肩貸してやっから、お前んちまで行くぞ」
千枝「う、うん」
番長「さて・・・」
ラハール「話とはなんだ?」
クマ「何クマ?」
番長「まず、クマ。さっきの城は、最初からあの場所にあったのか?」
クマ「違うクマ。元は何も無いところだったクマよ。けどユキチャンに影響されて、ああいう風に変わっちゃったんだクマ」
ラハール「変わった?どういうことだ」
クマ「こっちの世界は、人のココロの影響を凄く強く受けてるみたいクマ。よくはわからないけど、ユキチャンが来てからあのお城が出来てしまったのは確かクマよ」
番長「・・・なるほど。あっちの世界で、マヨナカテレビに天城が映った番組が流れたんだが、あれはあの場所で撮っていたものなのか?」
クマ「トッテル?よくわかんないけど、こっちの世界はこっちの世界クマ。何かをとってるなんてこともないし、あっちの世界で見えたなら、多分きっとそれはこっちの世界の様子が見えてしまっただけクマ」
番長「ということは、あれは天城のシャドウの仕業・・・ってことか?」
ラハール「・・・さあな。だが、小西とかいう女の時は、あんなものは無かった」
番長「ああ。小西先輩が、こっちに入れられてすぐにシャドウに殺されたからなのかな・・・」
ラハール「いずれにせよ、今は確かなことは何も言えんだろう」
番長「そうだな」
ラハール「・・・一つ聞くが、貴様さっきのペルソナは何だ?ペルソナとは、自分と向き合うことで手に入る、たった一つの力だったのではないのか?」
番長「俺のペルソナ能力は、ワイルドと言って、いろんなペルソナを使いこなす力・・・らしいんだ」
ラハール「らしい?」
番長「俺も人から聞いただけなんだ。まあ、実際そうみたいだけど」
ラハール「聞いた?誰に聞いた」
番長「八十稲羽の商店街に、青い扉があるんだ」
ラハール「・・・青い扉だと?俺様が八十稲羽に来た最初の日、花村の阿呆に連れられて行ってやった時は、青い扉の店などなかったぞ」
番長「俺にしか見えない扉・・・みたいなんだ」
ラハール「何?」
番長「その扉は、ベルベットルームっていう変な部屋につながってて、そこにいる人たちに、俺の力のことを教えてもらった」
ラハール「・・・それはいつごろからだ?」
番長「こっち・・・八十稲羽に転校してきてからだ」
ラハール「・・・」
番長「そこの人たちは、これから俺に大きな試練が待ち受けているって言ってた。多分、この事件のことだと思うんだけど・・・」
ラハール「なるほど。貴様がクマの要求をさっさと受け入れたのはそういうことか」
番長「うん。まあそれもあるけど、クマは単に可哀相だったし」
クマ「センセイ・・・」
番長「・・・ラハール。一度、ベルベットルームに来てくれないか?」
ラハール「何?しかし、その入り口は貴様にしか見えんのだろう?俺様が入れるのか?」
番長「それは、今からベルベットルームの人たちに聞いてみる」
ラハール「今からだと?」
番長「うん。実はここにもあるんだ。青い扉」
ラハール「何?」
番長「ちょっと待っててくれ」
スッ
クマ「セ、センセイが消えたクマ!?」
ラハール「・・・ベルベットルームとやらに入ったのだろうな」
>-次回予告
>-BGM:全ての人の魂の詩
イゴール「ようこそベルベットルームへ」
エトナ「・・・あ、あれ?ここ・・・どこ?」
イゴール「ここは、夢と現実、精神と物質の狭間の世界」
エトナ「えっ?つーか、アンタ誰?」
イゴール「申し遅れましたな。私の名はイゴール。ベルベットルームの主を勤めさせて頂いております。こちらは助手の」
マーガレット「マーガレットと申します。そしてこっちは・・・ほら、自己紹介なさい」
マリー「・・・マリー」
エトナ「えっ?」
イゴール「あなた様にもこれから私の助手を務めて頂くことになっております。よくよくお見知りおきを」
エトナ「は?」
イゴール「それでは、次回、"ベルベットルーム"」
エトナ「え、ちょっと待っ」
>-次回予告!
>-BGM:がんばれ女の子
フロン「じゃすてぃーーーーすふろん!」
エトナ「ねえ」
フロン「ふがいない新魔王エトナさんを哀れに思った、大天使フロン!」
エトナ「ねえってば」
フロン「こうなったら、私が戦争をやめさせてみせます!
エトナ「フロンちゃ~ん、アタシに何かしたでしょ?」」
フロン「竜王族さん達も、魔界貴族さん達も、戦争なんてやめましょうよ!世界は愛で満たすべきなんです!」
エトナ「ねえってばーーー!」
フロン「しかーし、フロンの愛の言葉は、魔界の悪魔さん達には受け入れられない!ふぐぅ!」
エトナ「おい、聞け」
フロン「こうなったら、愛の戦士ジャスティスフロンに変身して、強引にでも戦争なんかやめてもらっちゃいましょう!むふぅ!」
エトナ「え、ちょっと、何アタシの努力台無しにしようとしてんの?そういうのが駄目だと思ったからさあ」
フロン「次回!愛の戦士ジャスティスフロン!愛と正義」
エトナ「おい!」
フロン「さあ皆も、じゃすてぃーーーーすふろん!!」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>57 愛ですよ愛。殿下は元々口ではどう言ってても行動で示す方ですけど、プリニー化してしまった時を見ても立場が弱くなると態度も・・・って奴だと思いますPS3でペルソナ5出ることも決まりましたし、面白いゲームが少ないハードじゃないですから、我慢しなくていいと思います。でもD2はそのうちVITAで完全版が出るような気もしますが。
>>58 コラボの良いところであり難しいところですね。どっちかをたてすぎるとどっちかがかげ薄くなっちゃいますから。頑張ります。
>>59 アサギさんはこのSSが終わったら次のSSで主人公にしますね()
>>60 Gのアニメはじまりましたね。どうなるのか。
>>74 露出狂みたいに言わないであげてください。文化祭INラハールちゃんは考えてますね。
じゃすてぃーーーーすふろん!!
面白いからこそメ欄にsagaを入れて欲しい
魔力が魔翌力になったり、死ねがピーになったりするのを防げる
乙!
頑張れ女の子!
ラハール君ボインのお姉さんにナンパしにいこうか
更新します
>-時は遡って4/16(土)AM01:00
:::【ベルベットルーム】:::
>-・・・ここは
イゴール「今宵は一つご忠告をしなければならないことがあり、お呼びたてした所存でございます」
番長「・・・俺は、寝てたはずだ」
イゴール「ご心配を召されるな。現実のあなた様はお眠りになられております」
番長「・・・忠告って?」
イゴール「お一人ほど、おなた様のお仲間の中に極めてイレギュラーな存在がいらっしゃるかと存じ上げます」
番長「イレギュラーな存在・・・?」
イゴール「その方は、あなた方に立ちはだかる困難の解決において、極めて重要な鍵を握る方。出来ますれば、その方とよくよく絆を育むのがよろしいかと」
番長「・・・誰のことなんだ?」
イゴール「残念ながら、私共にご忠告差し上げられるのはここまで。あとはあなた様自身がお考えになることです」
>-4/17(日)
:::【ベルベットルーム】:::
番長「・・・なんか、また増えてる」
イゴール「彼女はエトナと申します。いずれ来たるもう一人のお客人のお相手を役目とする者」
番長「そうなのか。よろしく」
エトナ「あ?あんた誰よ」
マーガレット「言葉を慎みなさい。お客人に対する態度ではないわ」
エトナ「何?やろうっての?」
番長「マーガレットさん。俺なら、構わないから」
エトナ「・・・ふーん。で?あんた誰?」
番長「番長です」
エトナ「あー、あんたがこいつらの言ってた、ワタクシドモのお客人ってわけね」
番長「・・・はい。多分」
エトナ「多分?まいいや、よろしくね~。別によろしくすることもないだろうけど」
番長「は、はあ・・・」
イゴール「ところで、本日この時にこのベルベットルームをお訪ねになられたということは、この部屋の本来の役割を求めていらしたわけではなさそうでございますな」
番長「あ、そうだ。一人、ここに連れて来たい人がいるんだけど」
イゴール「こちらに、でございますか?」
番長「うん。多分、前に言われた、イレギュラーな存在って、その人のことだと思うんだ」
イゴール「それは何故でございましょう?」
番長「なんか、変だし。力も、俺や陽介、他の人とは違うんだ」
イゴール「なるほど、でございますね。承知致しました。もし本当にあなた様の想うその方が、イレギュラーな存在であれば、ベルベットルームに来て頂くことも可能かと存じ上げます。どうぞお連れ下さい」
番長「わかった」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
ラハール「・・・戻ったか」
クマ「オヨヨ~~!?消えたセンセイが突然また現れたクマ!?」
番長「うん。ラハール、来て良いってさ」
ラハール「話がついたか」
番長「うん。まあ、とりあえず、来てくれ」
ラハール「良かろう」
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::
ラハール「・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・おい」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・おいこら、なんとか言え」
エトナ「・・・えー、あー・・・どちら様でしょうか?初対面ですよね」
ラハール「貴様・・・!」
番長「知り合いなのか?」
ラハール「ああ。おいエトナ、俺様が貴様を見間違うと思うのか?その貧相な体、貴様は俺様の家来、エトナであろう」
エトナ「誰が貧相ですって!?」
ラハール「やはりな」
エトナ「あ・・・・・・もー、何なんですか?殿下~、せっかくこっちが知らんぷりで押し通そうと思ってるのに」
ラハール「阿呆!大体貴様、何故こんなところにおる!」
エトナ「そりゃアタシが聞きたいとこですよ」
ラハール「・・・何?おい、俺様を人間界なんぞに放り込んだのは貴様ではないのか?」
エトナ「まーアタシっちゃアタシですけど、やったのはアタシじゃないですよ」
ラハール「どういうことだ?」
エトナ「殿下が暇だ暇だうるさかったんで、フロンちゃんに相談したんですよ。そしたら何か、人間界で大事件があったらしくて、殿下を送り込んで解決させよー!みたいな話になって。だから怒るんならフロンちゃんを怒って下さい」
ラハール「大方そんなところだろうとは思っていたがな、フロンをけしかけているのは貴様ではないか!」
エトナ「やだなー殿下、けしかけるなんて人聞きの悪い」
ラハール「ふざけるな!」
エトナ「つーかアタシだって困ってるんですってば。やることあんのに、目ぇ覚ましたら急にこんなとこにいて」
ラハール「・・・貴様も送り込まれたということか?」
エトナ「そうっぽいですね。こいつらに聞いても何も知らないっていうし」
ラハール「こいつら?」
イゴール「お話を邪魔しては悪いと思い、申し遅れましたな。私の名はイゴール。このベルベットルームの主を勤めさせていただいております」
マーガレット「主の助手を務めております。マーガレットと申します」
マリー「・・・マリー」
イゴール「私共が存じ上げておりますのは、ラハール様も番長様と同じくこのベルベットルームのお客人であること。そして、そこのエトナがラハール様のお手伝いを勤めさせて頂くことになっておりますこと。この二つだけでございます」
エトナ「こればっか言ってんですよ」
ラハール「客人?」
イゴール「我々の務めは、迷えるお客人のお手伝いをさせて頂くこと。とはいえ、あくまでお手伝いのみでございます。各々のお客様が抱える謎、または困難といったものは、お客様方ご自身の力で解決しなければなりません」
ラハール「は?どういうことだ」
エトナ「早い話が、アタシが外に出で一緒に戦うとかはNGなんですって。それがこの部屋のルールらしいですよ」
ラハール「・・・では、俺様の手伝いとは、何だ?」
エトナ「魔法を使えるようにします」
ラハール「・・・魔法?既に使えるぞ」
エトナ「ああいや、殿下って武器ばっかで、魔法なんてせいぜい最弱の属性魔法ぐらいしか覚えなかったじゃないですか。そこで、アタシなら魔界の魔法を全部殿下にお渡し出来ます。ただ、熟練度は自分で上げて下さいね」
ラハール「なるほど」
番長「・・・魔界?」
エトナ「げ、ヤバ。こういうの言っちゃまずい?」
マーガレット「貴女が知っていることをお客様にお話する分には、問題無いわ」
エトナ「あ、そう?」
ラハール「・・・貴様には、俺様のことを話しておこう」
>-・・・・・・
番長「へー、魔王だったのか。なんか凄いな」
ラハール「き、貴様嫌に素直に信用するのだな」
番長「こんなことで嘘をつく必要ってないだろ?陽介は知っているのか?」
ラハール「ああ。奴だけはな。ただ、他の奴等には隠しておこうという話をしてある。素直に言ったところで信用されるような話でもないからな」
番長「ふーん・・・」
ラハール「・・・よし、エトナ。補助魔法を片っ端から寄越せ」
エトナ「補助魔法ですか?いいですけど、てっきり殿下のことだから、テラ系の攻撃呪文使わせろーとか言い出すかと思ってましたよ」
ラハール「阿呆。そんなものがあったところで、今の俺様の魔翌力では撃てん。それよりも、最も強大な力を持つ番長を補助するほうが効率が良い」
エトナ「え?殿下のレベルが下がったからといって、同レベルで殿下より力があるんですか?」
ラハール「よくわからんが、こいつは同レベルではないのだ。こいつ・・・というより、こいつのペルソナはな」
エトナ「ペルソナは?よくわかんない言い方ですね。一応、ペルソナって力のことはイゴールから聞いてますけど」
番長「・・・最初の違和感は、財布だったんだ」
エトナ「財布?」
番長「見に覚えの無い札束が詰まった、自分の財布だった。他にも、俺はこの事件やペルソナのことを・・・知っているような、そうでないような、よくわからない気分に時々なるんだ」
ラハール「・・・どういうことだ?」
番長「俺はもしかしたら、どこかでペルソナを使っていたことがあるのかもしれない」
ラハール「何?八十稲羽に来てから使えるようになったのではないのか?」
番長「いや、記憶の上では確かにそうなんだけど・・・マーガレット。ペルソナ全書を見せてくれ」
マーガレット「はい、どうぞ」
ラハール「・・・なんだこれは?」
番長「ペルソナ全書。俺が所持していたことがあるペルソナを、ここから呼び出すことが出来るらしいんだ」
マーガレット「ただし、対価は頂くことになっております」
ラハール「対価?」
番長「どうやら、現金・・・らしい」
ラハール「フン、どこもかしこも金ということか。それで、これがどうかしたのか?ペルソナのことなど、俺様には関係なかろう」
番長「このペルソナ全書には、最初から・・・見たことも無い強力なペルソナがたくさん並んでいた」
ラハール「貴様、つい先ほど自分が所持していたことがあるペルソナを、と言っていたではないか」
番長「そうなんだ。俺はこのペルソナ達を知らない。なのに、全書にはたくさんのペルソナがいた」
ラハール「・・・それで、どこかでペルソナを使っていたことがあるのかもしれない・・・というわけか」
番長「ああ、ただ、本当に覚えはないんだ」
ラハール「・・・」
イゴール「覚えがなくても、ペルソナ全書に刻まれているペルソナ達は、皆一度は貴方様が所持していたことのあるペルソナでございます。貴方様の記憶に残らぬ、何らかの形で、そのペルソナ達を用いていたということですな」
ラハール「・・・それも、貴様等ベルベットルームの住人は知らぬこと、というわけか?」
イゴール「飲み込みが早いお方のようで幸いです。仰る通りでございますな」
ラハール「フン・・・それだけわかれば十分だ。エトナ、さっさと補助魔法を寄越せ」
エトナ「はいはーい、よし、これでいいですよ」
ラハール「・・・うむ。おい番長、俺様はもう行くぞ。阿呆の花村もそろそろ家に帰っている頃だろうからな」
番長「あ、ああ」
ラハール「・・・そういえば貴様、財布に詰まっていた札束はどうしたのだ?」
番長「念のためにと思って・・・ペルソナ全書にある、目に付いた強力なペルソナをいくつか召喚するのに使いきった」
ラハール「なるほど・・・そのうちの一つが、先ほど見せたジャターユか」
番長「ああ」
ラハール「合点がいった・・・だが貴様、自分の身の丈に合わん程の強大な力を用いたせいで、貴様自身への負担が生半可ではなかった。その上、出すためだけにあれほど時間を要していたら、とてもではないが気軽に使えるものではないぞ」
番長「・・・そうだな。すまない」
ラハール「謝ることはない。気軽には使えんが、使い道はあるのだ。貴様の強力なペルソナ達にはな」
番長「・・・ああ」
ラハール「どうやら結局、俺様が人間界に送り込まれたのも、貴様等に手を貸すためのようだしな・・・アホ天使の思惑に従うのは癪だが、今後も俺様は手を貸してやる。ただし、足を引っ張るなよ」
番長「うん。ありがとう」
ラハール「れ、礼などいらん!俺様は行くぞ!」
番長「あ・・・」
エトナ「・・・ごめんねー、殿下ああいう奴だから。まー口じゃああ言ってるけど、多分あんたのこと嫌いじゃないから、安心しなさい」
番長「そうなのか?」
エトナ「結構、人間ってやつに興味もあるだろうしね。アタシ達も人間と関わってこなかったわけじゃないんだけど、なんつーかアタシ達の関わってきた人間って、どいつもこいつも頭のおかしい奴ばっかでさ。普通の人間ってのを、殿下はよく知らないの」
番長「普通の・・・人間」
エトナ「ま、人間に興味がある理由は、殿下の口から直接聞きなさい。聞けるぐらい、殿下と仲良くなってからね。アタシからは言えない」
番長「わかった。ありがとう」
エトナ「殿下はともかく、アタシはさっさと帰りたいからさ。ちゃちゃっと事件の一つや二つ解決しちゃってね」
番長「ちゃちゃっとって・・・」
エトナ「ほら、わかったら行きなさい!あんまり遅いと、殿下が心配とかしちゃうわよ~」
番長「あ、ああ」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
ラハール「遅い!何を話していたのだ!」
番長「・・・エトナさんの言うとおりだ」
ラハール「な、何だ貴様。あいつに何か吹き込まれたのか?」
番長「いや、なんでもない」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「ワイルドねえ・・・」
ラハール「あれからあったことは以上だ」
陽介「そっか。あいつだけ、いくつもペルソナ使い分けられるのかー。なんかずりー」
ラハール「使い分けられても、使いこなせなければ意味がない。貴様なんぞ、ジライヤで手一杯だったではないか。番長の場合も、召喚したペルソナがどいつも強大すぎる。奴がバランスよく扱えるのは、やはりイザナギだけだろうな」
陽介「ま、確かにそうかもな。けど、見に覚えの無い札束をペルソナの召喚に使っちまうなんて、あいつも思い切ったことするよな」
ラハール「結果的に、それが里中とかいう女のシャドウを倒すことに繋がったのだ。間違った行動ではないであろう」
陽介「そりゃそうだな。けどお前、その里中とかいう女って呼び方はどうにかなんねえのか?あいつもきっと、これからは一緒に戦うって言い出すぜ。せめて里中って呼んでやれよ」
ラハール「む・・・どう呼ぼうと俺様の勝手だ」
陽介「それとさ、そろそろ俺のことも名前で呼んでくれよ。ほら、陽介って」
ラハール「こ、断る!俺様は寝る!」
陽介「あ、おい」
>-4/18(月)放課後
:::【だいだら】:::
>-陽介から5000円もらった。
陽介「手持ちはペルソナに使っちまったんだろ?これで皆の分まで装備見繕ってくれ」
番長「俺が?」
陽介「ああ、結局、こん中で一番頭使って戦えそうなのはお前だからな」
番長「そうか。じゃあ、陽介には二刀流、里中には蹴り技用の強化靴・・・」
里中「うわっ、なんか凄い強そうなのあるよ。けどたっか・・・!」
番長「ラハールはどうする?」
ラハール「何でも構わん。剣でも槍でも斧でもな、ナックルや弓も使えるぞ」
番長「じゃあ、とりあえず俺と同じ長刀を」
ラハール「よかろう」
陽介「お揃いだなぁお二人さん」
ラハール「気味の悪いことを言うな!シャドウの前に貴様から八つ裂きにするぞ!」
陽介「おーこわ」
ラハール「ニヤニヤするな!」
千枝「ちょっと、遊んでる場合じゃないでしょ。武器決めたら、早く雪子を助けに行こう」
陽介「おう、けど里中。お前は無理すんなよ。昨日ペルソナに目覚めたばっかで、今日だって体が本調子に戻っちゃいないだろ?」
千枝「無理しちゃ駄目なのは、あたしだけじゃなくて皆そうでしょ」
陽介「まあな。けどお前は心配だ。また突っ走るんじゃないかってな」
千枝「き、昨日のことはごめんってば・・・」
番長「・・・行こう。里中の言うとおり、誰も無理をしてはいけない。堅実に、確実に天城を救出しよう」
陽介「おう!」
千枝「うん」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・1F】:::
千枝「ふー・・・」
陽介「滅茶苦茶シャドウが沸いてたけど、ようやく落ち着いたな」
クマ「皆頑張るクマ。ユキチャン本人の気配はずっと上のほうの階にあるクマよ」
千枝「ずっと上、か・・・番長君、そういえばイザナギしか使ってないね。なんか、この間は他のも使ってなった?」
番長「今持ってる他の奴等は、強力すぎて呼び出すのに時間がかかるんだ。使うと物凄く疲れるし、バランスはイザナギが一番良い」
ラハール「・・・フン。さすがに気付いておったか」
番長「ああ。けど、多分天城のシャドウとも戦うことになると思う。その時は、まず皆で弱点を探って、その後はラハールを中心に、俺が、弱点をつくことの出来る強力なペルソナを呼び出す時間・・・を稼いで欲しい。その間は、俺はほとんど無防備になる」
ラハール「・・・まあ、それがよかろう。とはいえ、里中のシャドウほど強いとも限らんだろう。その場合はわざわざ強力なペルソナを呼ぶまでもない。イザナギのまま戦え」
クマ「そのことなんだけどぉ、時間がたてばたつほど遠いところにいるシャドウもここに呼び寄せられるクマ。そいつらを取り込んで、この間のチエチャンのシャドウより、ユキチャンのシャドウは強くなってると思うクマ」
千枝「そっか・・・」
陽介「じゃあ、番長の言うとおり戦うしかねえな」
ラハール「・・・戦うことだけを考えておけば良いとも思えんがな」
陽介「え?」
ラハール「いや、何でも無い。急ぐぞ」
番長「ああ」
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・2F】:::
千枝「・・・雪子?」
ラハール「いや・・・あれは」
番長「違う」
雪子のシャドウ『あらぁ?サプライズゲスト?うふふ、盛り上がって参りました!というわけで、次はこのコーナー』
『やらせナシ!突撃逆ナン!雪子姫の白馬の王子様探し』
クマ「何だクマ?」
陽介「い、今文字が空中に浮かんだぞ?」
ラハール「・・・」
千枝「アンタ、誰?」
雪子のシャドウ『えぇ?なぁに言ってるの?私は雪子。雪子は私』
千枝「・・・違う」
雪子のシャドウ『あらぁひどい』
千枝「アンタの方じゃない!本物の雪子はどこ!」
雪子のシャドウ『うふふ。それでは、はりきって行ってみたいと思います!』バッ
千枝「あっ、待ちなさい!」
陽介「消えた・・・!」
クマ「反応は上の階にうつったクマ!」
番長「進もう」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・6F】:::
クマ「ねえ、逆ナンって何クマ?」
陽介「んーなもん後にしろ!そんな状況かよ!」
>-・・・シャドウが俺達に立ちはだかるのは、本当にクマが言っていたように自衛のためなのか?
>-・・・今は考えるのはよそう。
番長「ラハール。魔翌力はどうだ?」
ラハール「今日は温存出来ている。花村の阿呆と違って、今回の新入りは使えそうだからな」
千枝「雪子・・・っ!」
花村「おい!阿呆って言うな!」
ラハール「・・・だが、やはり決め手になるような一発を撃てるほど、力を取り戻してはいない。いざという時は貴様が決めるしかないぞ」
番長「・・・わかった」
陽介「おいスルーかよ!?」
>-・・・・・・
:::【雪子姫の城・8F】:::
雪子「・・・ここは・・・?」
雪子の声『ごめんね。何度も誘ってくれてるのに、一緒に遊びに行けなくて・・・』
雪子「・・・私・・・の声・・・?」
千枝の声『ううん。自分の家のことじゃ仕方ないよ。旅館、大変そうだもんね』
雪子「千枝の声?これって・・・」
雪子のシャドウ『仕方ない・・・か』
雪子「え・・・?」
雪子のシャドウ『千枝は私の大事な人』
雪子「え・・・私・・・?」
雪子のシャドウ『千枝はいつも私を助けてくれて、何にも出来ない私と一緒にいてくれる、私の大事な人』
雪子「千枝・・・」
雪子のシャドウ『だった』
雪子「だった?」
雪子のシャドウ『でも千枝じゃ駄目。私を自由にしてくれない。千枝ならいつかきっとって思っていたのに、千枝は仕方ないよって言った』
雪子「・・・」
雪子のシャドウ『仕方ない。家のことだから、旅館の跡継ぎだから、仕方ない』
雪子「あなた・・・」
雪子のシャドウ『冗談じゃないわ!そんなの嫌!』
雪子「あなた、何?あなたは何なの?どうしてそんなことを・・・」
雪子のシャドウ『どうしてってなあに?私は雪子、天城雪子。あなただよ?』
雪子「・・・私・・・?」
バンッ
千枝「雪子!」
雪子「千枝・・・?」
陽介「とりあえず無事か。けど・・・」
番長「既に来ていたか」
ラハール「貴様等、構えろ。いつ仕掛けてくるかわからんぞ」
陽介「あ、ああ・・・!」
千枝「雪子、聞いて!そいつは、雪子なの。雪子の中にあった、隠してきた気持ちの一部」
雪子「私の・・・一部・・・?」
雪子のシャドウ『あらあら・・・王子様が四人も。ねえ、雪子どっか行っちゃいたいんだ。誰も知らないずうっと遠く。王子様なら連れてってくれるよね?ねえ、早く』
千枝「よ、四人って、まさかあたしも入ってるの?」
クマ「四人目はクマでしょー!」
ラハール「いや、それはない」
雪子のシャドウ『千枝・・・そうよ。私の王子様。いつだって私をリードしてくれる、強くて素敵な王子様!』
雪子「・・・」
雪子のシャドウ『でも、もう千枝なんかいらない』
ゴッ
千枝「えっ・・・?」
ラハール「チッ・・・花村!行け!」
>-スピードアップ
陽介「俺!?くっ、ジライヤ!」
>-カッ
ガッ
>-シャンデリアが里中めがけて降ってきた。
千枝「は、花村・・・」
陽介「お、重みーんだよ!ぼけっとしてんな里中!」
ラハール「ぐだぐだぬかすな!一番速いのは貴様のジライヤだろうが!」
>-ブレイブハート
陽介「うぉっ、力が・・・これなら!」
>-カッ
ガシャンッ
陽介「よっしゃ!」
千枝「・・・」
番長「器用だな、ラハール」
ラハール「言ってる場合か!」
雪子のシャドウ『結局千枝じゃ駄目だった。私をどこへも連れて行ってくれない。だからもう千枝なんていらないの』
千枝「いら・・・ない・・・?」
雪子のシャドウ『千枝じゃ私をここから連れ出せない。救ってはくれないから』
雪子「やめて・・・違う・・・!」
ラハール「・・・おい、あれは奴の本心だと思うか?」
番長「半分ぐらいは。けど、全部ああいうことではないと思う」
ラハール「・・・強さだけでなく、狡猾さも増しているということか」
雪子のシャドウ『老舗旅館の跡継ぎ?女将?たまたまあの家に生まれたっていう、ただそれだけのことで、私の人生全部が最初から最後まで決められている・・・そんなの嫌!まっぴらよ!』
雪子「そ・・・そんな・・・!」
千枝「・・・いらない・・・」
雪子「千枝、違う!違うの!私はあんなこと思ってない!」
千枝「け、けど・・・」
雪子のシャドウ『私はずっと待ってるの。私を、ここじゃないどこかに連れて行ってくれる王子様を。私一人じゃどこへもいけない。だから・・・』
雪子「・・・」
ラハール「あのシャドウが力を得る前に先手を打つぞ」
番長「ああ。イザナギ!」
>-カッ
陽介「待てってお前等、俺も行く!」
>-カッ
雪子のシャドウ『せめて私の本音ぐらい聞いてよ!私の、天城雪子の!』
雪子「違う!あなたなんか私じゃない!」
ラハール「!」
番長「間に合え・・・!」
ゴッ
雪子のシャドウ『うふふふふ・・・あははははは!そう?別に良いわよそれで・・・力が漲るわ』
番長「くっ・・・!」
ラハール「・・・止むをえん、とりあえず打ち合わせ通りにやるぞ」
番長「ああ」
雪子のシャドウ『我は影、真なる我。まずは、もういらない千枝に、死んでもらおうかしら』
千枝「・・・」
雪子「や、やめて・・・!」
>-マハラギ
陽介「させっかよ!」
>-カッ
>-ガル
千枝「は、花村・・・」
陽介「だからぼけっとしてんな!お前が呆けてどうすんだよ!?」
千枝「け、けど・・・あたし・・・いらないって・・・」
陽介「・・・っ!」
雪子のシャドウ『そうよ!私をどこかへ連れてってくれない千枝なんか、もういらない!』
雪子「違う・・・やめて・・・!」
>-マハラギ
陽介「くそ・・・おさえらんねえ・・・!」
ゴッ
陽介「うわあああ!」
千枝「キャッ!」
>-Weak
雪子「千枝!」
ラハール「・・・番長、予定変更だ。貴様は奴等の目を覚ましてやれ」
番長「ああ」
>-ブレイブハート
>-スピードアップ
>-シールド
>-マジックアップ
>-マジックバリア
ラハール「おい、少し俺様と遊べ」
雪子のシャドウ『なあに?どういうつもり?あなた一人で私をどうにかするの?』
ラハール「それが出来ればそうしているかもな。まあ不本意だが、それだけではいかんのだ」
ドッ
番長「・・・里中」
千枝「番長君・・・」
番長「お前の時のことを、思い出せ」
千枝「あたしの・・・時・・・?」
番長「シャドウは確かに、里中の本音も言った。嫉妬とか、羨望とか、そういうものを天城に対して向けてしまうことがある、お前の本音を」
千枝「・・・」
雪子「千枝・・・?」
番長「だけど、シャドウが言ったことが、全部本当のことだったか?本当のことばかりだったか?」
千枝「・・・!」
番長「お前と天城は、小さい頃からずっと一緒に、二人で生きてきたんだろう?隠してる気持ちの一つや二つで、お互いを求め合わなくなる。そんな間柄じゃ・・・ないだろ?」
千枝「番長君・・・あたし、わかった!」
番長「・・・そうか」
陽介「里中・・・」
千枝「花村・・・あたし、もう大丈夫。二人はラハール君のところへ。雪子は私が・・・!」
陽介「本当に、大丈夫か?」
千枝「私は花村に・・・番長君に、ラハール君に、助けて貰った。次は、あたしの番だから・・・!」
陽介「・・・よし、行くぜ番長!」
番長「ああ」
>-カッ
ラハール「はぁ・・・はぁ・・・なんだ貴様等、もう済んだのか?」
陽介「里中が何とかするさ。お前は随分きつそうだな?」
ラハール「俺様も戦いながらレベルを上げてはいるがな・・・奴は時間を経るごとに周囲のシャドウを取り込んでいる・・・!」
番長「じゃあ、ここからは打ち合わせ通りで」
ラハール「貴様、淡々としているな。本当に人間か?」
>-・・・・・・
千枝「雪子」
雪子「違う・・・違うの千枝・・・!」
千枝「ううん、良いんだよ」
雪子「え・・・?」
千枝「あたしにも、あったんだ。同じことが」
雪子「同じ・・・?」
千枝「あたしね、ずっと雪子が羨ましかったんだ。美人で、頭も良くて、礼儀正しくて、旅館の・・・跡継ぎで」
雪子「千枝・・・」
千枝「妬ましかった・・・羨ましかった・・・何でも持ってる、何でも出来る、雪子が」
雪子「そんな・・・そんなこと・・・」
千枝「私はそんな、嫌なことを考えたりもする、普通の女の子。当の雪子がどう思っているのかも、考えたりせずに・・・」
雪子「千枝・・・」
千枝「雪子だって辛かったんだよね。旅館の跡継ぎっていう、決められた道じゃなくて、雪子は、どこかに行きたかったんだよね?自分で選んだ、どこかに」
雪子のシャドウ『余計なこと言わないで!』
ラハール「おい、少し黙れ。今面白いところではないか」
>-獄炎ナックル
ドンッ
雪子のシャドウ『邪魔よ!』
ラハール「チッ・・・火は効かんな」
番長「疾風と電撃は、俺と陽介で試した」
ラハール「ならば・・・」
>-クール
雪子のシャドウ『ああっ!?』
>-Weak
ラハール「これだ」
番長「氷結か」
ラハール「そのようだ。貴様は離れて力を貯めろ。後はなんとかするぞ、陽介!」
陽介「よ、陽介・・・名前で・・・?お、おう!行くぜ、ラハール!」
雪子「千枝・・・私は・・・」
雪子のシャドウ『そうよ!どこかに行きたいけど、自分でどうにかするなんて無理!だから私は誰かにどこかへ連れて行って欲しかったの!人にばかり頼って、なんて最低なのかしら』
雪子「やめて・・・」
千枝「最低、ね。いいじゃん別に」
雪子「千枝・・・?」
千枝「それに、雪子なら、雪子は強いから、誰かに頼らなくても、行きたいところに行けると思うよ」
雪子「そんな・・・私は・・・そんなに強くない・・・」
千枝「・・・そうだよね」
雪子「え・・・?」
千枝「雪子だって、そういうふうに思うこともあるんだ。誰かに頼りたい時だってある」
雪子「千枝・・・」
千枝「嫌な時は、どこかに行きたくなったって良いじゃん。頼りたい時は、誰かに頼ったって良いじゃん」
雪子「・・・」
千枝「私は雪子の、そんな気持ちを考えもせずに・・・何年も一緒に、生きてきたっていうのに、気付かずに」
雪子「千枝・・・」
千枝「一緒に行こう」
雪子「一緒に・・・?」
千枝「雪子を、雪子の本音を受け入れに」
雪子「私の・・・本音・・・」
雪子のシャドウ『やめてって言ってんのよ!』
>-マハラギ
千枝「!」
>-クール
>-ガル
ぶわっ
ラハール「オイ里中、道はくれてやる。行くならさっさと行って来い」
陽介「なるべく早くな。そろそろ限界だ」
千枝「・・・うん」
雪子「私は・・・私の本音は・・・」
千枝「雪子、一緒に考えよ。雪子がどうしたいか。雪子がどうするのか」
雪子「千枝・・・っ!」
千枝「雪子なら、きっと一人でもどこへだって行ける。でも、困った時は誰かに頼ろう?私とかさ、頼りないかもだけど・・・」
雪子「ううん・・・そんなことない。頼りなくなんか、ない」
千枝「雪子・・・」
雪子「そうだね・・・行こう。行きたい」
千枝「うん」
雪子のシャドウ『来るな!』
>-マハラギ
ラハール「ハアッ!」
>-クール
陽介「ジライヤ!」
>-ガル
千枝「トモエ!」
>-ブフ
雪子のシャドウ『来るな!来るな、来るな!!』
>->マハラギ
>-クール
>-ガル
>-ブフ
>->マハラギ
>-クール
>-ガル
>-ブフ
雪子のシャドウ『来るなって・・・行ってるのに・・・!』
陽介「な、なあ・・・マジもう限界なんだけど」
ラハール「・・・少し黙れ。今面白いところではないか」
陽介「・・・わーったよ!」
>->マハラギ
>-クール
>-ガル
>-ブフ
雪子「どこかに行きたい。けど、私には何も出来ない。怖い。誰かに連れて行ってもらいたい」
雪子のシャドウ『・・・』
雪子「確かに、私の気持ちだね。ずっと、見て見ぬフリをしてきた」
雪子のシャドウ『くっ・・・そ・・・!』
番長「・・・待たせたな」
ラハール「遅い、陽介が根を上げていたぞ」
陽介「いや、良いタイミングだぜ」
雪子のシャドウ『来るなああああ!』
>-マハラギ
番長「来い、スカディ」
>-カッ
>-ブフダイン
雪子のシャドウ『嫌あぁぁああああ!』
>-Weak
雪子「・・・ごめんね。あなたを受け入れられなくて」
雪子のシャドウ『・・・』
雪子「私は、弱いから・・・見ないフリをしていれば、怖くないと、思っていたから・・・」
雪子のシャドウ『・・・』
雪子「・・・けど、あなたは、私だね」
雪子のシャドウ『・・・うん』
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-雪子は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"コノハナサクヤ"を手に入れた!
千枝「雪子」
雪子「千枝・・・」
千枝「ごめんね。私は、私は何にも気付けなかった・・・雪子の・・・」
雪子「違う、千枝が謝ることなんてない」
千枝「けど・・・」
雪子「どこかに連れて行って欲しい。確かに私はそう思ってた。けど、千枝は連れて行ってくれない・・・そうも、思ってた」
千枝「・・・うん」
雪子「でも、やっぱりそれじゃ駄目だよ。本当にどこかに行きたいなら、自分が、変わらなきゃ」
千枝「雪子・・・」
雪子「それに、そんなこと関係ない。そんなこと関係なくても、千枝は私を守ってくれて、ずっと私と一緒にいてくれて・・・本当に、大事な人、大事な友達だから」
千枝「雪子!」バッ
雪子「千枝!」
千枝「頑張ろ。あたし、雪子のためなら、何だってするから・・・!」
雪子「千枝・・・!」
陽介「・・・な、なんかこういうの、見てて照れるな」
ラハール「・・・そういうことを言うから貴様は花村なのだ」
陽介「なっ!おい!さっき名前で呼んでくれたじゃんか!」
ラハール「知らん!貴様の聞き間違いだ!」
陽介「えぇ~・・・せっかくデレてくれたと思ったのによ~・・・」
番長「天城、体は大丈夫か?」
雪子「体・・・?あっ・・・!」
千枝「雪子!?」
雪子「な、なんか・・・辛い」
番長「ペルソナに目覚めた反動だな」
ラハール「そうでなくとも、丸一日以上気を失っていたのだろう」
番長「そうだな。今日はもう帰ろう」
陽介「俺等も限界だしな」
ラハール「貴様と一緒にするな。俺様は」
番長「限界、だろ?」
ラハール「う、うるさい!」
クマ「もー終わったクマかー・・・?」
陽介「クマ?お前どこ行ってたんだよ」
クマ「なんかヤバそうだったから部屋の外で待ってたクマよ・・・」
陽介「お前なー・・・」
番長「いや、懸命だろう。あの業火の中じゃ、普通ひとたまりもないぞ」
陽介「ま、それもそうか・・・」
雪子「・・・」
陽介「とにかく帰ろうぜ!天城がすげーきつそうだ。里中、送ってやれるか?」
千枝「任して!今日は大丈夫」
番長「いろいろ話さなきゃいけないことはあるけど、またにしよう。天城が体調を取り戻してから・・・かな」
千枝「だね」
>-次回予告
>-BGM:Last Engage
ヴァルバトーゼ「何だこれは!せっかくプリニー共を別魔界見学に連れてきてやったというのに、エトナもラハールもいないではないか!」
フェンリッヒ「なにやら説明的な口調ですが、そうですね」
ヴァルバトーゼ「しかも魔王城から離れたところで戦争が起きているだと!?ラハールは何をしている!?」
ラハール「おい」
ヴァルバトーゼ「やむをえん!プリニー教育係は一時休職だ!しばらくこの魔界の魔王を勤め、戦争を止めようではないか!」
ラハール「おい!」
ヴァルバトーゼ「フェンリッヒ!早速根回しを始めるのだ!この魔王ヴァルバトーゼが、戦争など許さん!」
フェンリッヒ「畏まりました。全ては、我が主のために。(フフ・・・このままこの魔界を我が主のものに・・・!)」
ヴァルトーゼ「次回、ディスガイア4!魔王ヴァルバトーゼ!」
ラハール「乗っ取るな!!」
ヴァルトーゼ「イワシッ!!」
エトナ「で、出番が・・・」
今回はここまでです。
>>84 フロンちゃんすげー可愛いですよね。
>>85 助言どうもありがとうございます。そうします。
>>86 乙ありです。あの曲に歌詞ついた時は爆笑しました。
>>87 殿下はムチムチ無理ですから。千枝と雪子にも今のところ物理的に近いところに寄ってません。
おつ
直斗に馬のチンチン装備させようず
この番長ゴールデン仕様か
このssは番長とラハールでダブル主人公というよりも花村とラハールが主人公って感じかと
花村視点のssって意外と斬新な印象を受ける
乙!
みんないいキャラしてるわ
この番長周回してるっぽいとは思ったけど何周してるんだwwwwwwwwww
更新します
>-4/19(月)
:::【教室】:::
千枝「おはよー」
番長「おはよう」
陽介「おはよーっす・・・」
千枝「あらら、元気無いね花村」
陽介「そりゃ昨日の今日だしな。つーか普通そうだろ。お前元気すぎじゃね?」
千枝「鍛え方が違いますから」
番長「俺も平気だけど」
ラハール「・・・昨日の疲れなんぞを残しているのは貴様だけだ」
陽介「えぇ~?俺が少数派なのかよ」
番長「・・・里中、天城は今日来られるのか?
千枝「ううん、まだ体調戻らないみたいで、しばらく学校休むみたい。けど、心配しないでって言ってたから、何日かしたら大丈夫だと思う」
番長「そうか」
ラハール「・・・天城から生まれたシャドウは、貴様等二人のものより力を持っていた。天城の体にかかった負担は、貴様等以上だろうな」
番長「そうだな」
陽介「だよな・・・あのシャドウとやりあえたのも、ほとんど防御に徹してたからで、実際まともなダメージ入れられたのって番長ぐらいだったんじゃね?」
ラハール「奴とは属性の相性も噛み合わんかったからな。奴は俺様の得意とする火の力を受け付けなかった」
千枝「・・・皆、ごめんね。私、雪子を助けなきゃって意気込んでたのに、皆がいなかったら私・・・」
陽介「あー・・・やめやめ。あんまこういう話教室ですんのもあれろ?天城が元気になったら改めてってことで、今は話題変えようぜ」
千枝「う、うん・・・」
番長「そうだな」
>-放課後
:::【教室】:::
ラハール「番長、話がある。少し付き合え」
番長「いいけど・・・」
陽介「え?おいラハール、今日は店の手伝いしねーと」
ラハール「重要な話だ。人手が足りんなら里中にでも頼め」
陽介「ええぇ~?」
ラハール「行くぞ」
番長「うん」
陽介「お、おいおいおい・・・」
里中「ま、大事な話なら仕方ないっしょ」
陽介「あ、あの~・・・じゃあ、里中さん、大変申し訳ないんですが、店の手伝いをですね・・・バイト代はちゃんと出るんで」
里中「いいよ、今日は特に予定もないし。雪子の見舞いに行こうかとも思ってたんだけど、今は行って騒がしくするより静かに寝かせてあげたいかも」
陽介「マ、マジ?ほんっと、うちのラハールがごめん・・・!」
里中「いいってそれぐらい」
:::【屋上】:::
ラハール「・・・」
番長「話って?」
ラハール「・・・一晩考えたが」
番長「?」
ラハール「今回の事件が、俺様が送り込まれなければならないほどの大事件とは思えん」
番長「・・・」
ラハール「貴様等人間同士の間で殺しあうというのは、何も珍しいことではないはずだ」
番長「それは・・・まあ、人間全体で見れば、確かに」
ラハール「確かにやり方こそ特殊だが、規模は小さい。今のところ死人は二人、天城が殺されかけたことを含めても、被害者はたったの三人だ。花村や里中は、自分からあの世界に行ったわけだしな」
番長「うん」
ラハール「この事件には・・・現段階では俺様達が感知すらしていない、強大な何者かが関与しているかもしれん」
番長「強大な、何者か?それは、犯人とは別に・・・ってことか?」
ラハール「・・・貴様鋭いな」
番長「まあ、感知していないとかいわれると、そうとしか思えない」
ラハール「今回の事件の真犯人とは別の、強大な何者かの関与。それこそが、俺様が送り込まれなければならかった理由だと思っている」
番長「・・・なるほど」
ラハール「昨日は有耶無耶の内に、とりあえず天城の救出まではしたが、貴様は今後も今回の事件に関わっていくつもりなのだろう?」
番長「うん。昨日も話したけど、やっぱりクマと約束したし」
ラハール「里中や天城は知らんが、おそらく花村の阿呆は貴様と共に事件に立ち向かうつもりだ」
番長「ああ」
ラハール「俺様も一応手を貸してはやるがな・・・やはり人間界のことは人間が中心となって解決すべきだ。貴様が指揮を取ってやれ。あの阿呆一人では、何も出来はせん」
番長「俺が?ラハールがやっても良いんじゃないか?魔王だったんだろ?」
ラハール「だからこそだ。俺様が指揮をとっても、力と恐怖での支配にしかならんぞ。それでは貴様人間は本来の力を発揮出来ないだろう」
番長「本来の、力?」
ラハール「・・・貴様等人間の心とはよくわからんものだ。下らんことで良くも悪くもなる。貴様等の力、ペルソナは心の力だ。これからもあの世界でシャドウと渡り合うつもりならば、肉体だけではなく心もうまく取り扱うべきだ。天城のシャドウと戦った時、花村の阿呆は気の持ちようでその力を大きく揺るがせていた。俺様に支配されたような状態では、おそらくペルソナはまともに使えん」
番長「・・・」
ラハール「貴様なら、そのあたりうまくやれるのではないか?」
番長「わからないけど、ラハールがそういうなら、やってみるよ」
ラハール「フン・・・それでいい。昨晩、あの後俺様一人でベルベットルームに呼び出されて聞いたのだが、貴様の力・・・ワイルドは、他者と絆を育むことでその力を増すらしい。薄気味の悪い話だが、精々うまくやるのだな」
番長「・・・ああ」
ラハール「とはいえ、俺様と絆なんぞを築けると思うなよ。一応手は貸してやるが、貴様等人間に気を許す気など全く無いからな」
>-言葉とは裏腹に、ラハールからの信頼が伝わってくる・・・
>-ラハールとの間に、ほのかな絆の芽生えを感じる・・・
>-我は汝・・・、汝は我・・・
>-汝、新たなる絆を見出したり・・・
>-絆は即ち、まことを知る一歩なり。
>-汝、"世界"のペルソナを生み出せし時、
>-我ら、更なる力の祝福を与えん・・・
>-ラハールとの絆に呼応するように、心の力が高まるのを感じた・・・
>-"世界"属性のコミュニティである、"ラハール"コミュを手に入れた。
番長「・・・」
ラハール「どうかしたか?」
番長「いや、なんでもない。一緒に頑張ろう。よろしく」
>-握手をしようと手を差し出したが、拒まれてしまった
ラハール「頑張るのは貴様等だ。俺様は多少手を貸してやるだけに過ぎん」
>-素直じゃないみたいだ。
ラハール「・・・貴様、何をニヤけている!」
番長「いや、だからなんでもないって」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「おいラハール、里中が明るくて良い奴だったから助かったけど、もう今日みたいなのは勘弁しろよ」
ラハール「チッ・・・そもそも店の手伝いなど、俺様の性に会わん」
陽介「口じゃそう言ってっけど、お前結構楽しそうにやるじゃん」
ラハール「だ、誰が楽しそうだ!」
陽介「つーか、働かざる者食うべからずだ。それはお前が元いたところでもそうだろ?」
ラハール「・・・」
>-4/29(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::
ラハール「・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・いらっしゃいませ」
エトナ「・・・くく・・・くく・・・も、もうだめ!マジで!あの殿下が、あの殿下が働いてる!」
ラハール「馬鹿笑いしおって・・・!貴様、後で必ず八つ裂きにしてやる・・・!」
エトナ「すいませーん、この店員さん目が血走ってて怖いんですけど~」
ラハール「・・・っ!」
陽介「ラ、ラハール、ここはもういいから、あっちのお客様の対応してきてくれ」
エトナ「あー笑ったわー・・・!」
番長「楽しそうだな」
エトナ「そりゃ楽しいわよ。何たってあの殿下が働いてるんだもん!いらっしゃいませだって、似合わねー!」
陽介「つか、その子って・・・」
番長「ラハールから聞いてないか?エトナさん。ラハールの家来らしい。ラハールが働いてるところを見たいって言ってたから、連れてきた」
陽介「あー・・・その子がエトナさんね」
エトナ「アンタが阿呆の花村?」
陽介「ア、アホっていうな!初対面だろ!?」
エトナ「なんか陽気そうな人間ねー」
陽介「つ、つか・・・あの、その格好って一体どういうことなの?ラハールもおかしな格好してたけど、悪魔って皆そうなの?」
エトナ「あ?何よ。殿下はともかく、アタシの服装に文句付けようっての?」
陽介「いや別に、そういう訳じゃねーんだけど、なんか・・・露出度高すぎじゃね?///」
エトナ「へー、エロイ奴だねぇアンタ」
陽介「いやいや普通に目のやり場に困るだろ!」
エトナ「そう?」
番長「いや、別に。陽介はエロイ奴だな」
陽介「おっ、おい!お前だってちょっとおかしいと思うだろ!?///」
番長「いや、別に。目の保養にはなると思うけど」
陽介「ほよ・・・っ!お前ってやっぱすげーわ・・・」
エトナ「アンタって裏表なさそうで良いわねー。だけど、アタシに変な気起こしちゃ駄目だよ。消し炭になりたくなかったらね」
番長「は、はい」
陽介「こえー・・・目がマジじゃねーか・・・けどさ、あんまラハールからかわないでやってくれよ?あいつ口は悪いけど、中身はけっこう繊細な奴だと思うからさ」
エトナ「・・・!」
陽介「っと、俺も仕事しねーと、じゃ、またな!」
番長「うん。また」
エトナ「・・・あんなやつに言われなくても、わかってるっつの・・・」
番長「・・・・・・」
エトナ「・・・何も言わないんだね、アンタ」
番長「・・・」
>-エトナから、わずかな感謝が伝わってくる・・・
>-エトナとの間に、ほのかな絆の芽生えを感じる・・・
>-我は汝・・・、汝は我・・・
>-汝、新たなる絆を見出したり・・・
>-絆は即ち、まことを知る一歩なり。
>-汝、"太陽"のペルソナを生み出せし時、
>-我ら、更なる力の祝福を与えん・・・
>-エトナとの絆に呼応するように、心の力が高まるのを感じた・・・
>-"太陽"属性のコミュニティである、"エトナ"コミュを手に入れた。
エトナ「また連れ出してよ。あの部屋で静かにしてると頭おかしくなるからさー。アンタか殿下が一緒ならどこ行っても良いらしいし」
番長「は、はい」
エトナ「殿下が連れ出してくれりゃいいんだけど、素直にそうしてくれるとは思えないしねー・・・」
>-・・・何か心配事でもあるのだろうか。エトナの気分は良くないようだ。
番長「ラハール、随分怒ってましたね」
エトナ「え?あー、まあね。アタシに見られたくないところだろうし・・・」
番長「・・・」
エトナ「まあいいや、面白いもんは見たし、帰るわ」
番長「あ、送っていきます」
>-4/30(土)放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「よっし、今日は天城の快気祝いだ。俺の奢りだから、ぱーっとやってくれ」
雪子「あ、ありがとう」
番長「すっかり元気そうだな」
雪子「うん。けっこう休んだし、勉強のほうも遅れを取り戻さないと」
ラハール「・・・どうでもいいが、何故お前がいるのだ?エトナ」
エトナ「え?何ですか、いいじゃないですか。阿呆の花村君が奢ってくれるっていうんだから」
陽介「だからアホはやめてってば!」
千枝「というか、皆知り合いなの?あたし知らないんだけど」
雪子「あ、私も」
エトナ「アタシはエトナ。よろしくね~」
ラハール「こいつは俺様の魔法を使えるようにしてくれたやつだ。おいエトナ、余計なことは言うなよ」
エトナ「はいはい」
千枝「へ~・・・え、じゃあエトナさんも魔法が使えるの?ラハール君みたいな力が」
エトナ「まあ多少はね」
陽介「そっか・・・なあ皆、ちょっと聞いてくれ」
番長「なんだ?」
陽介「俺は今回の事件の犯人を突き止めたい。テレビに放り込んで、シャドウに殺させるとか・・・とても警察に捕まえられるようなもんじゃないと思うんだ」
千枝「あたしもやるよ!」
雪子「・・・私も」
番長「天城も?」
雪子「自分に、命を狙われるような理由があるなら・・・私はそれを知りたい」
番長「そうか」
陽介「番長も、やるつもりなんだろ?」
番長「うん。クマと約束してるし」
ラハール「・・・ならば貴様等、犯人を突き止めて殺そうというわけだな?」
陽介「え・・・こ、殺そうってお前」
ラハール「そういうことであろうが?法というやつで裁けはせんのであろう?ならば殺してしまうのが一番早い。あっちの世界でやれば、それこそバレはせんだろうしな」
陽介「お前・・・」
ラハール「大体貴様、犯人は小西の仇であろう?貴様が一番そうしたいと思っているのではないか?」
陽介「・・・俺達は、感情とか、復習とかで誰かの命を奪うとか、そういうふうには出来てないんだよ。例えそれがバレなくてもな」
ラハール「は?」
陽介「犯人をつきとめて、絶対にこんなことは止めさせる。俺達の目的はそういうことなんだ」
千枝「う、うん。花村の言うとおりだよ」
ラハール「素直にやめてくれればいいがな」
エトナ「殿下~殿下ちょっと、皆ドン引きしてますって」
ラハール「何故だ?」
陽介「何故だってお前・・・」
番長「ばれないからって、犯人の命を奪うようなことをしたら・・・それこそ犯人のやっていることと同じになってしまうだろう?俺達はそういうことをさせないために事件のことを調べるし、犯人を見つけたいんだ」
千枝「そ、そうだよ」
ラハール「犯人と同じ・・・か。だが、人間同士での殺し合いなど、何も珍しいことではあるまい」
番長「確かに、この世界全体で見ればそうかもしれない。だけど、俺達日本人はそういうふうには生きていないし、だからこそ犯人のやっていることが許せないし、やめさせたい」
ラハール「・・・面倒な考え方だな」
番長「面倒かもしれないけど、それが俺達の考えだから、ラハールも手を貸してくれ」
ラハール「・・・貴様に指揮を取れと言ったのは俺様だからな、面倒だが、俺様も付き合ってやる。俺様達の世界では考えられんような甘っちょろい理屈だが、俺様は別に・・・貴様等のそういうところが嫌いではないからな」
エトナ「(ちょっとはフォローしてやっかー・・・ったく殿下は)」
千枝「お、俺様達の世界?」
エトナ「あー、えっとね、私達の国では、何にも珍しいことなんかじゃないんだ。殺し殺され、奪い奪われ。そういうことはね。むしろそれが当たり前っつーか」
千枝「そ、そうなんだ・・・」
エトナ「だからまー、殿下もこういうキツイこと言うかもしんないけど、仲良くしてやってね~。この人の"嫌いではない"って、最上級の褒め言葉だから」
ラハール「ふ、ふざけるな!何が褒め言葉だ!」
エトナ「実際そうじゃないですか。殿下がそんなデレデレしてるとこ、フロンちゃんの前以外じゃはじめて見ましたよ?」
ラハール「なっ!奴の話は今関係なかろう!大体誰がデレデレしている!?」
番長「落ち着け」
ラハール「む・・・」
雪子「それより、今殿下って言った?」
エトナ「それよりってあんた・・・いやまあ言ったけど」
雪子「殿下ってことは、王子様なの?」
エトナ「んー、まあ一応ね」
ラハール「王子ではない。王だ」
千枝「えぇっ!?」
雪子「王様なの!?」
エトナ「・・・殿下、隠す気あります?素性」
ラハール「あ」
エトナ「あ、じゃないですよ。せっかく、こっちが気使ってやってんのに」
陽介「ラハール。やっぱ、皆には話しておいても良いんじゃねえか?どうせお前、こんままだとボロ出まくるだろ」
番長「俺もそう思う。俺から話そう」
ラハール「・・・構わんが、信用されなくても俺様は知らんぞ」
>-溢れる"伝達力"でラハールのことやベルベットルームのことを話した。
>-うまく伝わったようだ。
千枝「なるほど・・・それにしても、魔王様かー・・・なんか思ってたのと違うかも」
雪子「魔王っていう名前のイメージとはちょっと違うけど、でも確かに落ち着きとかは凄いよね」
ラハール「な、なんだ貴様等、今の話を信用するのか?」
千枝「いやまあ、荒唐無稽・・・だっけ?確かにそうなんだけど、あたし達もうペルソナとかいう不思議な力や、テレビに入るとかいう不思議体験しちゃってるからね。なんでもこいって感じ」
雪子「うん」
ラハール「・・・」
陽介「ほらな、やっぱこいつらなら大丈夫なんだよ」
ラハール「・・・陽介」
陽介「お、名前キター!」
ラハール「や、やかましい!」
雪子「ねえ、魔界ってどんなところなの?」
ラハール「ちっ、近寄るな貴様!」
雪子「え、ええっ!?」
陽介「ちょ、おいラハール?」
雪子「わ、私何か嫌われるようなことした・・・?」
エトナ「違う違う。殿下はムチムチした女の子が苦手なんだよね。例えばアタシみたいな豊満なボディーの女の子がさ」
陽介「・・・アタシみたいな?」
エトナ「あぁ!?何よ、文句あんの?」
陽介「い、いや、なんでもありません」
雪子「・・・そうなんだ?」
ラハール「そっ、そうだ!だからそう近寄るんじゃない!」
番長「ウブだな」
ラハール「・・・おい、はじめて貴様に殺意を覚えたぞ」
番長「ふっ・・・」
ラハール「鼻で笑うな!」
番長「けど、それなら里中は平気なんじゃないか?」
千枝「ちょっ、それどういう意味!?」
ラハール「・・・平気でもないが、苦手というほどでもないな」
千枝「ラハール君まで!?」
>-皆と楽しく過ごした。
>-夕方
:::【テレビの中の世界】:::
千枝「エトナさん帰っちゃったけど、良いの?」
ラハール「奴は一緒にはやっていけんのだ。今奴がいる部屋のルールだと、さっき番長が説明しておっただろう?」
千枝「あ、そっか・・・」
クマ「クマー・・・クマクマー・・・」
ラハール「・・・」
陽介「おーいクマ、何してんの?」
クマ「クマー・・・あ、ヨースケ」
陽介「どした?なんか暗いぞお前」
クマ「皆が帰っちゃってー、誰も来なくなってー・・・クマは・・・一人で寂しんボーイしてたクマ・・・」
番長「そうか」
千枝「クマ君・・・」
陽介「けど、お前今までずっとこの世界で一人だったんだろ?」
クマ「そうなんだけどー・・・」
雪子「ねえ、その人、誰?っていうか・・・何?」
クマ「クマはクマクマー!」
雪子「・・・意味がわからない」
クマ「ひどいクマ!まあいいクマ、ユキチャンこの間は大変だったクマね~」
雪子「この間?」
番長「クマは、天城の救出に強力してくれていたんだ」
クマ「戦うのは無理だけどー、クマの鼻はシャドウの場所を突き止めるクマ」
雪子「そうなんだ。ありがとう、クマさん」
クマ「クマーン・・・」
陽介「クマ、今日は報告に来たんだ」
クマ「報告?何クマ?」
番長「ここにいる皆で事件の犯人をつきとめて、人をここに放り込むのをやめさせる。そう決めた」
クマ「おおー、え、皆ってラハールもクマか?」
ラハール「何だ貴様その目は?俺様がいては嫌か?」
クマ「だってー・・・ラハールは怖いしー・・・」
ラハール「・・・おい、やはりこいつ殺していいか?」
クマ「オヨヨ~~ッ!?」
陽介「やめろって、そういうとこが怖いって言われてんだろ?」
番長「落ち着け」
ラハール「む・・・」
クマ「まーラハールは怖いけどぉ~、強いからいてくれると嬉しいクマ!」
ラハール「そ、そうか・・・」
クマ「じゃー、ユキチャンにも眼鏡が必要クマね!用意してあるクマよ!」
雪子「眼鏡?そういえば皆してるね」
千枝「この眼鏡してれば、こっちの世界で霧が出てても、視界がはっきりするの」
クマ「はいこれ!」
千枝「え?ちょっとそれ・・・」
雪子「おお!」
陽介「あ、天城?」
雪子「どう?似合う?」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
陽介「似合うっつか・・・おいクマ、なんだよこの鼻眼鏡は?」
クマ「あまりに暇で作ってしまったクマ」
陽介「ふざけんな」
雪子「はい、次、千枝の番」
千枝「えっ、あたし!?」
雪子「はい」
千枝「・・・もー、はい。似合う?」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
雪子「ち・・・千枝、似合う!凄い似合ってる!似合いすぎ!あはははは!」
陽介「あ、天城さん?」
千枝「雪子の馬鹿笑いが出たか・・・」
陽介「これどういうことよ?天城がこんなふうに笑ってるとこなんて、見たことないぞ?」
千枝「気を許せる人の前でだけ、雪子はこうやって笑えるんだ。今まではせいぜい私とか、家族や旅館の人の前でだけだったんだけど」
陽介「・・・そっか。よかったな」
千枝「うん・・・」
陽介「けどお前、その眼鏡つけたまんまそういうこと言っても、なんか、アレだな」
千枝「アレって何よ!」
番長「でも、本当に似合ってるよ」
ラハール「そうだな」
千枝「嬉しくないから!」
>-・・・・・・
クマ「皆、帰っちゃうクマか?」
陽介「今日はもう遅いからな」
クマ「そうクマかー・・・」
番長「寂しいのか?」
クマ「クマは今、自分がなんなのかわからんで悩んでるんだクマー。けど一人で考えてもわからないクマよ」
千枝「自分が・・・なんなのか?」
陽介「確かに、お前の存在はなんか謎だけど、俺達がいたってわかるようなもんでもないぞ?」
クマ「そうだけどー・・・クマー・・・」
雪子「クマさん。私も今、自分がなんなのか・・・自分が何をしたいのか考えてるんだ」
クマ「ユキチャンもクマか?」
雪子「うん。だから今度一緒に探そう。またくるから、それまで待っててね」
クマ「ユキチャンは優しいクマねー。わかったクマよ」
番長「じゃ、また」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
フロン「はーあー・・・」
エトナ「ちょっとフロンちゃん?」
フロン「はー・・・」
エトナ「ちょっと、次回予告はじまってんだけど?」
フロン「もーそんなやる気出ませんよー。エトナさんもラハールさんも楽しそー、私も人間界行きたーい!」
エトナ「行きたーいってアンタ、今アンタが来たら殿下の怒り爆発よ?」
フロン「けど魔界も天界も大変だし、それどころじゃないのはわかってはいるんですけどー・・・」
エトナ「あーもう、こいつウゼー」
フロン「はい、じゃあ次回、かにみそーっ・・・」
エトナ「雑すぎる」
今回はここまでです。
>>85 sageじゃなくsagaだったんですね。前回は活かせず申し訳ない。以後そうします。
>>114 泣き出しちゃいそうだからやめましょう。
>>115 ゴールデン仕様?アニメまだ見てないんですよね。気にはなってるんですけど。陽介は出来る子なのになかなかスポットライトが当たらない不憫な奴だと思います。P3のテレッテと同じような扱いされがちですけど、どちらかというとクマがテレッテで、陽介はアイギスポジに近いものがある気がしてます。
>>117 そこにはそのうち触れることになるとおもいます。
ゴールデンの番長は数百数千ってぐらいの大量のシャドウをイザナギ召喚したばかりなのに一撃で地形ごと消し飛ばすぐらいの凄さ
まぁLVさえあれば星でも壊せちゃうラハールだから、強さにこだわる意味はあまりない気もする。
ディスガイアとP4のクロスとか俺得
フロンかわいい
ディスガイアの魔界だと学校はサボるほど優等生という設定があったような
更新します。
>-5/2(月)夜
:::【堂島家】:::
菜々子「代わってって」
番長「うん・・・」
堂島『すまんが、明日からの連休はつぶれそうだ』
番長「え?」
堂島『若い奴が一人体調を崩してな、そいつが取り掛かっていた事件の内容からして、穴は空けられん。俺が出るしかなさそうだ』
番長「けど、それじゃ菜々子は・・・」
堂島『そうだな。菜々子を遊びに連れて行く約束をしていたが、どうにもならん。すまんが奈々子のこと、気にかけてやってくれんか?』
番長「わかりました」
>-・・・・・・そうか。だから菜々子の元気がなかったのか。
>-・・・電話をしよう。
番長「・・・陽介か?ラハールに代わってくれ」
:::【陽介の部屋】:::
陽介「おいラハール、番長からだ」
ラハール「は?」
陽介「いいから出ろって」
ラハール「・・・何だ?どうした?」
ラハール「・・・は?」
ラハール「・・・何故それを俺様に言う」
ラハール「・・・・・・そ、そうか。一番頼りに・・・ああ」
ラハール「・・・知るか!自分でどうにかしろ!」
ラハール「・・・は?」
ラハール「・・・・・・そうか」
ラハール「・・・何故そんなことまで俺様が!」
ラハール「・・・む・・・そ、そうか・・・」
ラハール「わかった。今回は手を貸してやる」
ピッ
陽介「何の話だったんだ?
ラハール「里中に連絡しろ」
陽介「え?」
>-5/3(水・祝日)
:::【ジュネス・フードコート】:::
菜々子「・・・」
番長「皆、いきなりの連絡だったのに、集まってくれてありがとう」
千枝「いいよいいよ、どうせ暇だったし」
雪子「私も、まだ病み上がりだから家のことはしなくていいって」
千枝「番長君のいとこなんだよね?お名前なんていうの?」
菜々子「菜々子・・・です」
千枝「あたし里中千枝」
雪子「私、天城雪子」
エトナ「エトナだよ。よろしくね~」
ラハール「・・・」
エトナ「殿~下~」
ラハール「・・・ラハールだ」
エトナ「もうちょい愛想よく出来ません?」
ラハール「ふざけるな!出来るか!それより貴様等、連絡先ぐらい教えあっておけ。毎度毎度俺様を中継するわけにはいかんぞ」
番長「そうだな。里中、天城、連絡先を教えてくれ」
千枝「そうだね」
雪子「うん」
陽介「はい、お待ちどう。たこやき六人前!」
菜々子「たこやきだ!」
ラハール「・・・何だ貴様、たこやきは好きか?」
菜々子「うん!」
ラハール「そうか・・・」
陽介「はー、今日はさすがに人多いわ」
ラハール「おい、貴様が座ってどうする?仕事はどうした?」
陽介「もうシフト上がりだよ。けど、せっかくの連休にジュネスってどうなの?菜々子ちゃんかわいそうじゃね?」
千枝「確かに」
陽介「ん~な力強く同意しなくてもいいだろ」
菜々子「菜々子、ジュネス好きだよ?」
館内放送『ジュネスは、毎日がお客様感謝デー』
菜々子「あ!エビデイ、ヤングライフ♪ジュ・ネ・ス!」
陽介「奈々子ちゃん・・・!」
ラハール「・・・!」
菜々子「でも、本当はお弁当持って、皆で来るはずだったんだ」
雪子「お弁当?菜々子ちゃん作れるの?」
菜々子「んーん・・・えへへ」
>-皆の視線を感じる・・・
エトナ「え、アンタが弁当作んの?」
番長「うん。まあ」
千枝「確かに、番長君器用そうだもんね」
雪子「なんか、何でも出来そう」
番長「何でもは無理」
エトナ「そんな真面目に言わんでも・・・」
陽介「しっかし、家族の弁当係か。里中さんよりよっぽど器用なんじゃないの?お兄ちゃん?」
菜々子「・・・お兄ちゃん・・・」
ラハール「・・・」
千枝「ちょっと花村、何で今あたしが料理出来ないって決め付けた?」
雪子「えぇっ!?出来るの!?」
千枝「ゆ、雪子まで・・・!」
ラハール「下手な見得は張らんほうが身のためだぞ」
千枝「ラハール君まで!?い、いいよ、そこまでいうなら皆で勝負しようよ皆で!」
ラハール「は?」
陽介「いいねぇ、勝負」
千枝「えっ」
エトナ「面白そーだね。乗った」
陽介「おっ、ノリ良いねエトナさん。じゃあ、審査員は菜々子ちゃんだな」
菜々子「え?菜々子?」
陽介「里中はともかく、エトナさんとか、菜々子ちゃんのお母さんよりうまいもん作っちゃうかもよ?」
番長「!」
千枝「あたしはともかくってそれどういう意味?」
菜々子「・・・お母さん、いないんだ。事故で死んだんだって」
ラハール「!」
エトナ「(さすがアホの花村君、普通ナチュラルに踏むかよこんな地雷・・・さて、殿下は何か言うのかね?)」
陽介「え?・・・そっか・・・その・・・ごめん」
菜々子「?」
ラハール「・・・」
菜々子「ううん、菜々子平気だよ?お母さんいなくても、菜々子にはお父さんいるし」
エトナ「・・・」
菜々子「お・・・お兄ちゃんもいるし///」
>-!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
番長「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ラハール「・・・」
エトナ「(・・・お兄ちゃん、か)」
>-・・・あれ・・・?
『菜々子は、大丈夫、だよ、お兄ちゃん』
>-・・・何だ・・・?・・・今の・・・頭の中に・・・一瞬・・・
>-・・・消えた・・・
>-・・・何だったんだろう・・・
>-・・・わからない
菜々子「今日はジュネスに来れたし、凄い楽しいよ!」
千枝「菜々子ちゃん・・・!」
雪子「わ、私、いつでも菜々子ちゃんと遊んであげるから!」
千枝「あたしも!」
陽介「俺も!」
エトナ「・・・殿下ー、盛り上がってるけど、混ざらなくていいんですか?」
ラハール「・・・やかましい」
エトナ「元気無いな~・・・今、誰と誰のこと考えてるのか、当てたげましょうか?」
ラハール「・・・よせ。余計なことを言って、馬鹿な人間共の平和ボケに水を刺すこともなかろう。たまには静かにしていろ」
エトナ「!・・・はいはい」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「・・・どした?」
ラハール「は?何がだ」
陽介「なんかお前、今日元気無くね?」
ラハール「・・・貴様には関係無い」
陽介「関係無いってこたねえだろ。暗~いまんまでいられたら、気になるって」
ラハール「・・・」
陽介「話したくねえようなことなのか?」
ラハール「・・・・・・」
陽介「・・・」
ラハール「・・・俺様の、母上は・・・」
陽介「・・・母?」
ラハール「俺様が幼い頃・・・病で死に瀕していた俺様の命を救うために、自らの命を以って俺様の命を救った」
陽介「なっ・・・!」
ラハール「昼間の馬鹿騒ぎの時、それを少し思い出した」
陽介「昼間・・・ああ、そっか・・・あん時の話か・・・菜々子ちゃんも・・・」
ラハール「・・・俺様の母上は人間だ」
陽介「に、人間?」
ラハール「俺様は、先代の魔王・・・俺様の父であるクリチェフスコイと、人間の母上の間に生まれた、悪魔と人間のハーフだ」
陽介「・・・マジ?」
ラハール「・・・俺様が、貴様等人間に対して・・・興味が無いわけではないのも、そのせいかもしれん・・・」
陽介「ラハール・・・」
ラハール「今日は少し・・・そういうことを考えていた。それだけだ」
陽介「・・・そっか」
ラハール「気が済んだか?安心しろ、こんな下らんことを考えるのは、そもそも俺様の性に合わん。すぐに元の調子に戻る」
陽介「安心はしたけど、下らんことってこた無いだろ。案外、お前がここに来た意味の一つかもよ?そういうこと考えるのもさ」
ラハール「・・・はっ」
陽介「な、何だよその笑い方」
ラハール「あのアホ天使の考えそうなことだと思ってな・・・全く、余計な気を利かせる奴だ」
陽介「余計とか言ってる割には、なんか嬉しそうじゃん?」
ラハール「やかましい!う、嬉しいわけあるか!」
>-5/6(金)放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
千枝「おーい花村、あんたが勉強しようって言い出して集まったんでしょうが。寝ててどうすんのよ!」
陽介「ん~、あと五分・・・」
番長「天城、この問題なんだけど」
雪子「あー、そこ私も悩んでるんだ。ラハール君、これなんだけど
ラハール「だっ、だから近寄るな!・・・ああ、これはな」
千枝「ほらほら、あんたもこの三人を見習いなさい!」
陽介「優等生組には混ざれない運命なんだ・・・!」
千枝「訳わかんないこと言って机に突っ伏してんじゃないの!」
雪子「・・・そういえば、ラハール君は真面目だよね」
ラハール「まあ、そこで寝ている阿呆に学校とやらでの真面目な過ごし方を説明されたからな。といっても、俺様にそう言っておきながら、当の阿呆はその有様だが」
千枝「ほら、正論言われてるよ」
陽介「誰もが真面目に生きてるわけじゃないんですよー・・・」
ラハール「学校とやらに通ったことはなかったからな。勉強は面倒だが、学生生活という奴に興味・・・が無い訳ではない」
番長「学校、行ったことなかったのか?」
ラハール「俺様の魔界にはそんなものは無いからな」
雪子「の割には・・・勉強出来るよね」
ラハール「生きている時間の長さが貴様等とは違うのだ。貴様等が躍起になって学んでいることのほとんどは、俺様にとっては既に知っていたことばかりだ。最も、歴史とかいう奴は全く知らなかったがな。これも興味が・・・無い訳ではないから、すぐに覚えてしまった」
千枝「え?ラハール君、年幾つ?」
ラハール「1313だ」
番長「え?」
ラハール「1313歳だ。何度も言わせるな」
雪子「1313!?」
千枝「えぇ~・・・?」
番長「じゃあ、エトナさんも同じぐらいだったりするのか?」
ラハール「奴のほうがわずかに年上だな。奴は1470歳だぞ」
千枝「わ、わずかにって・・・」
陽介「せんよんひゃっ・・・ババアもババアじゃん」
番長「・・・陽介、死んでも、元気でな」
陽介「え?」
エトナ「花村君?ちょっとあっちでアタシとあそぼっか」
陽介「えっ、エトナさん!?・・・ラ、ラハール助け---」
ラハール「化けて出るなよ」
陽介「死ぬ前提!?おい、ちょ---」
>-・・・・・・
陽介「」
千枝「花村・・・馬鹿な奴だった・・・」
ラハール「さっきから寝ておったのだから、気絶しておっても大して変わらんな」
エトナ「扱いひどいですねー」
ラハール「・・・それより貴様、何かあったか?あの部屋から勝手に出てはいかんのであろう?」
エトナ「はい、天界から殿下に手紙です。届けにきました」
ラハール「天界から?」
『お兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたいお兄ちゃんに会いたい---』
ラハール「・・・」
>-・・・そっとしておこう。
雪子「何これ・・・?」
千枝「ちょ、ちょっと怖いかも・・・?」
ラハール「・・・ヤツらしいな」
エトナ「ですね。シシリーちゃん、天界行ってからずっとその調子みたいです」
ラハール「・・・そうか」
エトナ「精々フロンちゃんに感謝することですね」
ラハール「なっ、何故奴の話になる!?」
エトナ「ごくごくたまーに、こっちの殿下の様子を見てるみたいですよ。元気無い殿下に、フロンちゃんなりに気利かせた差し入れってとこでしょ」
ラハール「ふざけるな!見ているだと!?今すぐやめさせろ!」
エトナ「そう言われても、こっちからフロンちゃんに何か伝える手段、アタシだって持ってませんよ。あっちから一方的に声が降りてくるんですから」
ラハール「くっ・・・あのアホ天使め・・・!」
番長「・・・さっきから話についていけないんだが、その、フロンさん?っていうのはどんな方なんですか?」
エトナ「元は魔界に堕とされた堕天使だったんだけど、相次ぐ天界の人材不足で、今天界で大天使やってる子なの。立場はともかく、フロンちゃんほど力のある天使なんて他にはいないだろうから、そういう事情でなったんだと思うけどね。ま、アタシ達の知り合い」
番長「大天使?」
エトナ「今天界で一番強い権力の持ち主ってこと。名前ぐらい覚えといたほうが良いかもよ?百年ぐらい経てば、アンタ達皆死んだ後お世話になってるはずだからさ」
番長「なるほど」
千枝「そ、そんな凄いのと知り合いなんだ・・・っていうか死後の世界とかほんとにあるんだ?な、なんか怖くなってきた」
雪子「私凄く興味ある」
千枝「ゆ、雪子。目がマジだね」
雪子「うん」
エトナ「あ・・・こういうこと言うのマズイんですかね?」
ラハール「ベルベットルームのルールはともかく、あまり褒められた話ではなかろう」
エトナ「ですよね。ごめんね、この話は終わり!」
雪子「え~?もっと聞きたかった・・・」
エトナ「ごめんごめん。お詫びに殿下が面白い話するからさ」
ラハール「だ、誰がするか!というか貴様、もう帰れ!」
エトナ「あ~、殿下ひどい。アタシだけ仲間外れですか?
ラハール「今から事件のことについて話さねばならん。貴様はそういうことに口出し出来んのだろう?」
エトナ「ちぇ~、わかりましたよ」
番長「あ、エトナさん」
エトナ「今日は送ってもらわなくて良いよ。アタシが勝手に来ただけだし、アンタは真面目な話でもしときなさい」
番長「わかりました」
エトナ「じゃ皆、まったね~」
雪子「・・・なんだか、エトナさんって面白いね。明るくて」
千枝「確かに」
番長「うん」
ラハール「・・・」
陽介「よし!じゃあ事件の話しようぜ」
千枝「って、起きてたんかい!」
陽介「いや、起きてたけどさ、なんかエトナさんがいると起き辛くて・・・」
千枝「あー・・・」
番長「それで?事件の話って?」
陽介「おう!俺なりに、今までの事件のことをまとめてみたんだ」
雪子「今までの・・・事件」
陽介「ああ、最初の被害者である山野アナ。そして、次の被害者である小西先輩、最後に、三番目の被害者、天城。この三人の共通点を考えてみた」
千枝「共通点っつったって・・・てんでバラバラじゃん?この三人ともに共通することなんて・・・」
陽介「いや、無いこともない」
番長「まず、女性であること」
陽介「それも、そうだな」
千枝「それも?それぐらい何じゃない?」
陽介「考えてもみてくれ、小西先輩は、最初の被害者である山野アナの第一発見者で、天城の家、天城屋旅館には山野アナが事件当時泊まっていた。山野アナの事件をはじまりとすると、その後の被害者は皆、山野アナの死亡前後に何らかの関わりを持っているんだ」
ラハール「・・・」
千枝「まあ、そりゃ確かに」
番長「天城は、山野アナと何か話をしたりはしたのか?」
天城「う、ううん・・・お母さんは話をしたみたいだけど・・・」
陽介「こうは考えられないか?山野アナに何らかの関わりを持っていた女性が狙われている」
千枝「うん・・・けど、漠然としすぎてるね」
雪子「確かに・・・」
番長「マヨナカテレビのことも、気になる」
陽介「そうだな。今思えば、あれは犯行予告みたいなもんだったのかもしれない」
ラハール「・・・」
番長「犯行予告。犯人が、これから狙う人物を映しているってことか?」
千枝「言われて見れば、そんな感じもするかも」
ラハール「・・・いや」
番長「どうかしたか?」
ラハール「・・・何でもない」
番長「何か思いついたんなら教えてくれ」
ラハール「・・・クマの奴は・・・」
番長「・・・クマ?」
ラハール「マヨナカテレビのことを、こちらの世界の様子が見えているだけ・・・と言っていた」
番長「そうだな」
ラハール「そうだとすれば、犯行予告だと考えるのには無理があるのではないか?クマが言うには、被害者は放り込まれているものの、それ以外にこっちからあっちに来た人間は俺様達ぐらい・・・やはり犯人がしていることは、被害者をテレビに放り込んでいること、だけなのではないか?」
番長「・・・」
ラハール「しかし、だとすれば腑に落ちんことが一つある」
雪子「腑に落ちないこと?」
ラハール「ああ。被害者が放り込まれる前にも、俺様達はマヨナカテレビに被害者らしき人影が映るのを見ている」
千枝「・・・確かに」
陽介「そうだな。クマの言うとおり、あっちの世界の様子が見えているだけのものがマヨナカテレビだとしたら、それはちょっと順番がおかしいってことになる」
番長「犯人が、何らかの能力を使って、マヨナカテレビで犯行予告をしているっていうのはどうかな。ほら、俺達のペルソナみたいな」
ラハール「・・・それならば合点がいく話だ。犯人がこちらの世界からやっていることであれば、クマの奴には感知出来んだろうしな」
番長「何にしても、今の段階では推測の域を出ないと思う。これからはとにかく、マヨナカテレビのチェックを欠かさずにやろう。後、雨が降った後はあっちの世界に行ってみて、クマに様子を聞こう」
陽介「だな。今出来るのはそんぐらいか」
雪子「そうだね」
千枝「・・・あー」
陽介「どうした?そんなぼーっとして」
千枝「いや、なんか、番長君とラハール君凄いなーと思って・・・なんか警察みたい」
陽介「確かに・・・ま、今後の方針も決まったし、今日は解散しようぜ!」
千枝「ちょっ、アンタ全然勉強してないでしょ!駄目!来週テストあんだから、あたし達が監視してる間にやっときなさい!」
陽介「わ、わかったよ。そんな引っ張るなって」
ラハール「・・・番長、少し話がある」
番長「・・・わかった。皆、ちょっとラハールと飲み物を買ってくる。何が良い?」
千枝「あー、あたしオレンジ」
雪子「お茶で」
陽介「炭酸なら何でも~」
:::【ジュネス・自動販売機前】:::
ラハール「・・・菜々子の奴はどうしておる?」
番長「元気にしてるよ。連休では堂島さん・・・菜々子のお父さんが、菜々子と遊ぶ約束をしてたんだけど、仕事で急に無理になって・・・けど、皆が一緒に遊んでくれたから」
ラハール「・・・そうか」
番長「菜々子が、どうかした?」
ラハール「・・・俺様にも、妹がおる。少々強烈な奴がな」
番長「さっきの手紙の?」
ラハール「そうだ」
番長「妹か・・・」
ラハール「俺様の妹は、天使と悪魔のハーフだ」
番長「え・・・天使と?」
ラハール「・・・こっちの世界でもいろいろあってな。とにかく、俺様の父親と・・・とある天使のハーフなのだ」
番長「そう、なのか」
ラハール「妹は・・・ハーフということで、他の天使共によく思われていなかったらしくてな。つい最近俺様と知り合うまで、ほとんど愛情といったものを知らずに育ってきたらしい」
番長「妹さんの、お母さんは?」
ラハール「・・・妹は母親のことも良くは知らん」
番長「そうなのか・・・」
ラハール「まあ、フロンの先代の大天使が多少はよくしてくれていたようだが・・・奴も、たった一人の天使にそう構っていられるほど暇ではなかったようでな」
番長「・・・」
ラハール「・・・最近、天界で騒動があったということで、フロンの奴が引っ張り出され、ついでに俺様の妹も、手が足りんということで付いて行った。妹の奴は俺様と離れることを嫌がっておったようだが・・・俺様は正直、安心した」
番長「安心?」
ラハール「・・・まだ、兄というものが、妹というものにたいしてどう接してやれば良いか・・・俺様にはよくわからん。妹の奴のことを、どういうふうに思ってやればいいのかもな・・・正直言うと、扱いに困っていたようなところがあってな。奴と離れることを嫌がる以上に、奴に対してどう接すれば良いかわからんという悩みがなくなることを・・・安心したのだ」
番長「・・・」
ラハール「兄とは、どういうものだと思う?」
番長「・・・俺は、菜々子の・・・実の兄っていうわけじゃないから・・・」
ラハール「似たようなものだ。大体、菜々子の方は実の兄のように想ってくれているのではないか?」
番長「そうだといいけど・・・まだ、知り合って一ヶ月ぐらいだし。お互いに・・・遠慮することは、結構・・・あるかな」
ラハール「・・・」
番長「俺の主観で構わなければ・・・なんだけど」
ラハール「ああ、構わん」
番長「どう接すれば良いか解らないなら・・・それを、妹にも話してしまって、一緒に解決すればいいんじゃないか?兄妹って、そういうもの・・・のような気がする」
ラハール「・・・」
番長「妹さんは、ラハールのことを好きでいてくれるんだろ?」
ラハール「おそらくな。まあ、貴様もあの手紙を見たのだ。その辺りは大体察したのではないか?」
番長「うん、まあ・・・お互い嫌いあってるとかなら、別に、どう接したらいいのかわからないなんて、そのままで良いと思う。それはそれで一つの、家族の形かもしれない。けど、そうじゃないなら・・・一緒に解決すればいいんじゃないか?それが、多分・・・家族、だと思う」
ラハール「・・・はっ」
番長「な、なんで笑うんだ?」
ラハール「理詰めでは整然とした物言いをする貴様が、感情論になった途端に言葉を遅らせるのが・・・どうもおかしくてな」
番長「・・・」
ラハール「だが、貴様の意見は参考にしてやる。礼を・・・礼は言わんが、気が向けばまた貴様に相談してやっても構わん」
番長「・・・ああ」
ラハール「だ、だから笑うな!貴様!」
番長「ごめん」
>-"ラハール"コミュのランクが"2"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
ラハール「戻るか。あまり長いと阿呆が変に勘ぐる」
番長「陽介に、今の話は・・・?」
ラハール「しとらん。奴に兄弟はおらんからな。使えそうな意見など出てくるはずもない」
番長「・・・そうか」
ラハール「・・・妹の母、とある天使のことなのだが・・・いや、良い。忘れろ」
番長「どうした?」
ラハール「俺様も、なんでも貴様に話すほど気を許してはいないということだ」
番長「そうか・・・」
ラハール「・・・ん?いや、違う!俺様は貴様に全く気を許してなどおらんからな!?そこは勘違いするんじゃないぞ!」
番長「わかったわかった」
ラハール「雑に返事をするな!」
>-5/9~5/12 中間試験
>-5/12(木)放課後
:::【教室】:::
陽介「終わったな」
千枝「うん・・・終わった」
番長「・・・この世の終わりみたいな顔だな」
雪子「番長君とラハール君はどうだった?」
番長「全部満点じゃないかな。誤字とか脱字さえなければ」
ラハール「俺様もそうだ」
陽介「何なんだこいつら・・・」
千枝「私は何も聞いてない・・・私は何も聞いてない・・・」
陽介「おーい、現実かえってこい里中」
>-5/13(金)
:::【陽介の部屋】:::
陽介「そういやお前さ、みんなで勉強した日ぐらいから、また元気になったみたいだけど・・・番長と、何か話したのか?」
ラハール「大したことではない。妹の話を少しな」
陽介「ふーん・・・」
ニュース『完二「てめえら何しにきやがった!」』
ニュース『完二「見せもんじゃねえぞゴラァ!」』
陽介「こわー・・・ほんとに同じ高校生かよ?」
ラハール「なんだ?こいつは」
陽介「うちの学校にいる巽完二っていう不良だよ。暴走族ぶっつぶしたとか、暴走族の頭やってるとか、色々噂あるけど・・・テレビの非行少年特集なんかにまで取り上げられてるってことは、ただの噂じゃなかったみたいだな」
ラハール「不良というと、俺様と同じということか」
陽介「は?お前、学校ではどっちかっつーと、すげー優等生じゃね?」
ラハール「何を言っている?優等生は貴様のほうであろう」
陽介「えぇ?俺が優等生?うーん・・・」
ラハール「(・・・マオの魔界の連中の話と、何かが噛み合わんな・・・人間界に来たとはいえ俺様は魔王、暮らしに不都合がない程度であれば、悪いことをしておくに越したことはないと思っていたのだが・・・)」
>-12時
>-・・・・・・
陽介「映ったな」
ラハール「・・・巽完二・・・」
陽介「やっぱお前にもそう見えた?」
ラハール「ああ」
陽介「明日は皆で集まる約束してるし、早速捜査開始だな」
ラハール「法則が一つ崩れたな」
陽介「法則?」
ラハール「山野とかいう女の事件に関連している、女。一応、そのような目星を付けていたはずだ」
陽介「そういやそうだな・・・」
ラハール「・・・番長の奴の意見を聞きたい。話は明日だな」
陽介「おう。おやすみ」
ラハール「・・・俺様は、寝る時の挨拶などせんぞ」
陽介「はいはい」
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「はぁ~い殿下」
ラハール「・・・俺様は寝ていたのだが・・・」
エトナ「大丈夫ですよ、現実の殿下は寝てるらしいんで」
ラハール「・・・どういうことだ・・・?」
エトナ「この部屋は夢と現実の狭間にあります。今ここは殿下の夢の中、ってわけですね」
ラハール「・・・夢の中でまで、何のようだ・・・?」
エトナ「一つお伝えしておこうと思いまして」
ラハール「・・・なんだ・・・?」
エトナ「アタシも詳しくは聞いてないんですけど、今回の事件、どうやら天界が直接関わるにはいかない事情があるらしいんです。天使が出張ってきて即解決!ってわけにはいかないみたいなんですよ」
ラハール「・・・事情・・・?」
エトナ「なんか、どうしても人間の力で解決しなきゃいけないことみたいで、そんでまあ、半分は人間の殿下なら助っ人ぐらいは・・・ってことらしいです」
ラハール「・・・」
エトナ「正直よくわかんないですけど、一応伝えとこうと思って。フロンちゃんが言うには、"人間じゃない者の視点があることで、変えられる未来があるかも"とかなんとか」
ラハール「・・・変えられる・・・未来・・・?」
エトナ「まあ話はそれだけです。後はお客様自身でお考えになって下さい。ってね」
ラハール「・・・フン。すっかり部屋の住人気取りではないか・・・」
エトナ「結構アタシも楽しくなってきちゃったんですよ。無口で無愛想で、なんか殿下みたいなだなーとか思ってたマリーちゃんって子が、実は結構面白い奴で---」
>-・・・・・・
>-次回予告
>-BGM:魔立邪悪学園
ラズベリル「何だって!?あのラハールが、学校で不良をやってるって!?」
折り鶴の明日禍「そうですわお姉様!無遅刻無欠席!授業中には居眠りもしないらしいんですの!」
ラズベリル「何!?不良の鏡じゃないか!」
リリアンの狂子「それだけに留まらず・・・なんと、地域に貢献するアルバイトまでしているほか、テストで満点を取るそうですわ!」
ラズベリル「アルバイトだって!?し、しかも・・・テ、テストで・・・満点・・・!?」
マオ「ハァ、ハァ・・・あのラハールが不良とは、失望したぞ。だが同時に興味が出てきた。解剖して・・・脳を調べてみたい」
ラズベリル「おぉ~、珍しく気が合いそうじゃないか。私もラハールに会いたいと思ってたところだよ」
折り鶴の明日禍「お姉様、話が微妙にかみ合ってませんわ」
ラズベリル「なんとしてもラハールにサインを貰わなきゃね!最凶の不良として、サインを書いて貰わないと!」
リリアンの狂子「では、早速参りましょう」
ラズベリル「よし!次回、ディスガイア3・ラズベリル編、"最凶の不良のサイン!"」
フロン「ついに次回予告からも追い出されました。エトナさぁ~ん」
エトナ「いやアタシに言われても・・・自業自得なんじゃない?」
フロン「しょぉんなぁ~・・・」
今回はここまでです。
>>135 なんか凄いことになってますね。毎週続きを気にするのいやなので、全部おわってからまとめて見ます。
>>136 つまり殿下ならキタローを助けることも・・・?
>>137 フロンちゃんは声が史上最強に可愛いですからね。卑怯ですね。
>>138 ディスガイア3の魔界の話なので、殿下達とは別魔界ですね。
乙ー
ルート分岐楽しみ
ああ…なんか殿下まじめだなと思ったら不良と優等生逆転してるんだったな…
シシリーちゃんがいい具合に病んできたな……
このままだと殿下の布団にいつまにか潜ってそう
エトナの兄の方はどうしてるんだろ
エトナが呼んでないので魔界かな。呼んだら直ぐ来そうだけどw
スレタイ見てたら「ハマオン?」とか突然脳裏に
更新します。
>-5/16(月)
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「それでは、稲羽市連続殺人事件、特別捜査会議をはじめます」
千枝「長いよ」
雪子「あっ、じゃあここは特別捜査本部?」
陽介「それそれ。天城良いこと言うな」
番長「それより皆、昨日のマヨナカテレビは見たか?」
千枝「見た見た」
ラハール「巽完二だな、あれは」
番長「そうだな」
雪子「やっぱり、皆もそう思ったんだ・・・」
陽介「タイミング良くニュースで見かけたからな。非行少年特集」
千枝「あたしもそのニュース見たよ。色んな噂あったけど、やっぱ本当だったんだね」
雪子「完二君か・・・昔は、ああいう子じゃなかったんだけど・・・」
千枝「え?雪子、知り合い?」
雪子「うん。あの子の家、染物屋さんでね。うちの旅館、随分昔からお土産を仕入れてるの。完二君とは、もう随分話してないけど・・・」
陽介「へえ~」
番長「話が早い。早速その染物屋に行こう」
ラハール「・・・そうだな。マヨナカテレビに映った奴が狙われているのだとすれば、次に狙われるのは巽完二だ」
番長「そういえば天城、事件当時の記憶は戻ったか?」
雪子「ううん・・・やっぱり駄目。玄関のチャイムを聞いたような気はするんだけど・・・そこから記憶がなくて、気がついたらあっちの世界だった」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【巽屋】:::
完二の母「ごめんなさいね。お役に立てなくて」
直斗「いえ、興味深い話が聞けて良かったです。では、僕はこれで」
番長「・・・」
ラハール「!」
陽介「何だ?今の奴」
ラハール「・・・わからんが、何故か強烈な嫌悪感があった。何だったのだ・・・?」
陽介「嫌悪感?」
完二の母「あら雪ちゃん?お久しぶりね」
雪子「お久しぶりです。あの、完二君は?」
完二の母「あの子まだ帰ってないのよ。ごめんなさいね」
番長「・・・」
雪子「帰って無いって・・・何かあったんですか?」
完二の母「大丈夫よ。あの子の帰りが遅いなんて、よくあることだから」
雪子「そうですか・・・」
ピンポーン
「すいませーん、お届け物です」
完二の母「はーい!ごめんね雪ちゃん、私ちょっと外すわ」
雪子「あ、いえ、もう帰りますから」
完二の母「そう?」
>-店の外に出た。
陽介「ん?ありゃ巽完二と、さっきの・・・」
番長「隠れよう。今はまだ、顔を合わせたくない」
陽介「おう」
完二「俺に話?」
直斗「ええ、あなたに興味があるもので」
完二「興味?べ、べつに、いいけどよ」
直斗「じゃあ、明日の放課後・・・迎えに行きます」
完二「・・・興味って言ったか?」
完二「・・・男のあいつが・・・男の俺に・・・興味・・・?」
完二「・・・ん?何見てんだテメエ等!」
陽介「やべっ、逃げんぞ!」
ラハール「上等だ。締め上げて話を聞くぞ」
陽介「バッ、バカ!良いから逃げるの!」
完二「チッ・・・何だってんだ」
>-・・・・・・
:::【神社】:::
ラハール「何も逃げる必要はないだろ!」
陽介「いやいや、あんな商店街のど真ん中でお前と巽完二が喧嘩なんか始めたらやべーっつの」
番長「遠くて何を言ってるのか聞き取れなかったな」
雪子「うん」
ラハール「俺様にはよく聞こえていたぞ」
千枝「ほんと?」
陽介「マジかよ?俺なんか全然何言ってるかわかんなかったぜ?」
ラハール「悪魔の聴力を貴様等と一緒にするな。何やら帽子の奴のほうが巽完二に対して興味があるから話をしたいと言っていたようだな。巽完二のほうは戸惑っていたようだ。だが、明日の放課後、どうやら話とやらをするらしい」
陽介「興味?」
番長「明日か・・・気になるな」
ラハール「ああ」
陽介「完二のことは監視しといたほうがいいだろうな。別にあの帽子君が犯人だっていうつもりはないけど、いつ狙われるかもわからないし」
番長「そうだな。ただ、天城の時と同様のパターンで犯人がくるとしたら、家のほうも監視したい」
陽介「じゃ、二手に分かれたほうがいいな」
雪子「そうだね
陽介「ってことで天城、連絡先交換してくれ。今後も必要だろうしな」
雪子「え~?」
陽介「え~って・・・」
雪子「ラハール君は、携帯持って無いの?」
ラハール「は?そんなもの持ってるわけなかろう。俺様に連絡する時は、陽介の物を通すのだな」
雪子「じゃあ仕方無いか・・・花村君のでいいや」
陽介「し、仕方無いって・・・」
千枝「あんま気にしないほうがいいよ。雪子、悪気はないから・・・多分」
>-5/17(火)
:::【学校・校門前】:::
直斗「待たせちゃったかな?」
完二「いや、俺も今来たとこだ」
ラハール「・・・追うぞ」
陽介「待て待て。お前沸点低いから、尾行がバレた時にあいつと揉めるかもしれねえ。完二は俺が追う」
千枝「じゃあ、私もそっちに」
番長「なら、俺達は巽屋の周りを監視してみよう」
雪子「うん」
>-・・・・・・
:::【巽屋前】:::
雪子「犯人、来るかな」
番長「怖いのか?」
雪子「うん。けど、今は何かしなきゃって気持ちのほうが強いかも。私にも、何か出来るはずだから」
ラハール「・・・」
番長「あまり気負うな」
雪子「えっ・・・そう、見える?」
番長「どうだろうな?」
ラハール「・・・何故俺様に聞く」
番長「ラハールには、俺達がどう見えてるのかなって」
ラハール「・・・知るか。だが、また被害者が出る前に、天城は一度あっちの世界で訓練しておくべきかもしれんな」
雪子「訓練?」
ラハール「ペルソナのだ」
番長「確かに・・・里中には、何としても天城を助けようって気持ちの昂ぶりがあったから、はじめてでもしっかり使えていたけど・・・」
ラハール「陽介の奴がはじめて使った時などはひどいものだった。それでも、がむしゃらのままに里中を救えはしたがな」
雪子「・・・あの・・・二人とも、私の時は本当にありがとう」
ラハール「は?」
番長「?」
雪子「えと・・・ちゃんと、面と向かってお礼を言えてなかったなって・・・」
ラハール「いらん」
雪子「え?」
ラハール「礼などいらん。あの時は、こっちが勝手にやっていただけに過ぎん」
雪子「そ、そう・・・?」
番長「天城、ラハールは口じゃこう言ってるけど、内心悪くないなって思ってるから、気にしなくていいよ」
ラハール「き、貴様!勝手なことを言うな!」
雪子「そうなの?ラハール君」
ラハール「うっ、うるさい!だから近寄るな!」
雪子「・・・うふふ」
ラハール「な、何故笑う!?」
雪子「ごめん。なんだか楽しくて」
ラハール「・・・」
雪子「私ね、男の子とこういうふうに過ごしたことなかったから・・・今まではずっと千枝と一緒で、それが一番楽しかったから」
番長「・・・」
雪子「男の子と連絡先交換したのも、番長君がはじめてだったんだ」
番長「そうなのか?」
雪子「うん」
番長「・・・」
雪子「二人とも、頼りにしてるから・・・いざという時は、守ってね」
ラハール「阿呆。自分の身ぐらい自分で守れ」
雪子「そんな・・・」
番長「大丈夫。口ではこう言ってるけど、本当にいざって時は守ってくれるから」
ラハール「貴様!だから勝手なことを言うな!」
番長「もちろん、俺も」
雪子「・・・うん」
ラハール「・・・」
番長「・・・」
>-・・・・・・
ピピピッピピピッ
>-陽介から電話だ・・・
番長「・・・どうした?」
番長「・・・うん。うん・・・わかった」
ラハール「何かあったか?」
番長「尾行、バレたって」
ラハール「チッ・・・あの阿呆共・・・」
番長「それで、あっちは飯食って解散するってさ。思いっきりバレたから、今日これ以上尾行するのは難しそう・・・らしい」
雪子「そっか」
番長「完二は今家にむかってるらしいから、一応家に入るのを見届けてから今日は解散しよう」
ラハール「む・・・」
番長「陽も沈んできたし、雨も降りそうだ。一度家に入れば完二も外出することはないだろうし、犯人も家に押しかけて完二を誘拐するっていうのは難しいと思う。仮に出来たとしても、ここは商店街のど真ん中だ。証拠は残るだろうし、もし完二があっちの世界に放り込まれたら助けに行けば良い。何も起きなければ、それが一番良いし」
ラハール「・・・それはそうだがな」
番長「まあ、陽介も電話で言ってたけど、完二もそう簡単に誘拐されたりはしないだろう。一応、この辺りでは喧嘩の強さで有名だからな」
雪子「確かに、そうかも」
番長「それに、あんまり長時間こんなところでたむろして、俺達に妙な噂が立つと後々困る」
ラハール「・・・よかろう。今日のところは解散だな」
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「あら殿下、自分から来るなんて珍しいですね」
ラハール「・・・今日は他の連中はおらんのか?」
エトナ「どっか行ってるみたいですよ。よく知りませんけど」
ラハール「・・・ギガ系までの魔法と、チャージとアンチを全て寄越せ。あと、エスポワールもだ」
エトナ「なんかありました?」
ラハール「別に何も無いがな・・・そろそろ次のことが起きるかもしれんのだ。ギガ系となると、今の力では精々撃てて二発だろうが、使えるものは持っておくに越したことは無い」
エトナ「あー、それなんですけど殿下、同時に持てる魔法は10個まで・・・みたいです」
ラハール「何だと?」
エトナ「どうも、魔力に色々と制約がかかってるみたいで。武器系の特技はまあ別なんですけど、魔法は10個まで。今持ってるのでいらないのがあれば処理しますんで、とにかく10個選んで下さい」
ラハール「チッ・・・やむをえんか」
>-ヒール
>-メガヒール
>-ギガヒール
>-エスポワール
>-クール
>-ウィンド
>-スピードダウン
>-シールド
>-スピードアップ
>-マジックバリア
エトナ「えらく受身ですね。殿下らしくもない」
ラハール「防御さえ出来れば、後は番長の力でどうにかなるからな」
エトナ「ファイヤとスターはいらないんですか?」
ラハール「俺様を誰だと思っている。獄炎ナックルと魔王玉があるだろう。普段は剣を使っているからウィンドもいらんかと思ったが、常に剣を持っているとは限らん、ウィンドは必要だ」
エトナ「・・・ん?魔王玉?もう撃てるんですか?」
ラハール「俺様固有の技なら、レベルが足りなくても魔力さえあれば撃てるようだ。おそらくメテオインパクト改も撃てんことはないだろうな。とはいえ、今のままでは大した威力にはならん、まだ使うこともないだろうが」
エトナ「レベルは制限されても技は制限受けてないってことか・・・なんかフロンちゃんもややこしいことしてきますね~。その割りに魔法は十個までなんて決まってるし」
ラハール「意味のある制限とも思えん。おそらくフロンのかけた制限ではなく、この部屋かもしくは人間界のルールだろうな。ルールというよりやむをえんことなのかもしれん。人間界には単純に魔力が充満しておらん」
エトナ「ま、それもそうですね。ところで、どうです?人間界」
ラハール「・・・どうとはなんだ?」
エトナ「いや、なんか殿下、楽しそうだなーと思って」
ラハール「そんなわけあるか!」
エトナ「えぇ~?」
ラハール「その目をやめろ!・・・だが、そうだな。不思議と不快ではない」
エトナ「あらら、殿下にそこまで言わせますか」
ラハール「何がそこまでだ!・・・面倒なことばかりだがな、どうも人間というやつには・・・面倒なことを楽しむというような節もあるようだ」
エトナ「面倒なことを楽しむねえ。悪魔のアタシにゃ、理解できませんね」
ラハール「何が言いたい?」
エトナ「深い意味はないですよ」
ラハール「チッ・・・俺様はもう行くぞ」
エトナ「はいはい、またどうぞ」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
>-12時
:::【マヨナカテレビ】:::
完二『こんぱんわ』
完二『今日は性別の壁を越えて真実の愛を探求する、とある施設のご紹介です』
完二『レポーターはこのボク、巽完二君どぇす』
完二『あぁん、アツいのぉ。こんなにアツくなったボクの体、一体どうすればいいの?』
完二『こうなったら、もっと奥まで、突☆入!しちゃいまぁ~す!』
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
陽介「・・・」
ラハール「・・・」
陽介「・・・な、なあラハール・・・今のって」
ラハール「・・・」
陽介「お、おい・・・駄目だ固まっちまってる・・・番長に電話してみっか」
ピピピッピピピッ
陽介「もしもし?見たか?」
番長『あれは無いな』
陽介「お、おぉ・・・見たみてーだな」
番長『一応、録画したけど』
陽介「いらねーよ・・・」
番長『・・・今回は助けに行かなくても良いんじゃ・・・』
陽介「いや、駄目だろ。気持ちはわかるけどさ」
番長『やっぱり駄目か?』
陽介「そりゃな。ほっとくってわけにはいかないだろ」
番長『・・・ラハールはどうしてる?』
陽介「あまりのショックに固まっちまった・・・」
番長『やっぱり助けに行かなくていいんじゃ・・・案外自力で受け入れるかもしれない』
陽介「しっかりしてくれ。アレが、完二にとって受け入れたくない一面だとしたら、無理なんじゃね?一人じゃ」
番長『まあ、そうだな・・・とりあえず、明日予定通り集まろう』
陽介「おう。しっかりしてくれよ。頼りにしてるぜ相棒」
番長『・・・相棒?』
陽介「なんかさ、やっぱお前は頼りになるなーと思ってさ・・・ラハールのこと、元気付けてくれたの・・・お前なんだろ?」
番長『・・・気付いてたのか』
陽介「まあ、一応家じゃ四六時中一緒だしな。それでも、俺には話したくねーこともあるみたいで」
番長『・・・そうか』
陽介「ラハールのことだけじゃない。里中の時も、天城の時も、お前がいなかったらどうなってたかわからねえ」
番長『・・・』
陽介「頑張ろうぜ。今回のはちょっと、俺も嫌だけど・・・まあ、天城の時と同じようにやろう」
番長『そうだな』
:::【番長の部屋】:::
>-相棒か・・・
>-ま、まさか・・・陽介も性別の壁を越えて・・・?
>-・・・ってあほか。
>-・・・寝よう。
>-5/18(水)放課後
:::【テレビの中の世界】:::
陽介「何?わからない?」
クマ「誰かが来ていることはわかるクマ。でも、どこにいるのかが・・・」
ラハール「何故だ?天城の時は探り当てたではないか」
クマ「きっとクマが色々余計なことを考えているせいクマ。クマはどっからきたの、とか・・・クマは一体何者なの?とか・・・」
ラハール「・・・」
クマ「何かカンジクンの手がかりになるようなものがあれば、探れると思うクマ」
番長「手がかり?どういうものが欲しいんだ?」
クマ「物じゃなくても、カンジクンがある程度どういう人なのかがわかれば良いクマ。最近何を考えていたか、とかクマよ」
番長「何を考えていたか・・・」
千枝「一旦外出て、聞き込みしてこようよ」
雪子「そうだね」
ラハール「面倒だな・・・いっそ今回は諦めてしまったほうが良いのではないか?」
陽介「いや駄目だろ」
千枝「そうだよ!」
番長「駄目か・・・」
千枝「番長君まで・・・」
:::【巽屋】:::
完二の母「ごめんなさいね。完二は昨日から帰って来ないのよ」
雪子「そうなんですか?不安・・・ですね」
完二の母「ええ。黙っていなくなるのはいつものことなんだけど、一日帰って来ないなんてはじめてで・・・」
千枝「へぇ~。なんか意外。夜通し喧嘩とかしてそうなイメージある」
陽介「お、おい。お母さんの前で言うことかよ」
完二「ふふ、いいのよ。確かにあの子、少し乱暴なところがあるし・・・前も、バイクに乗った子達と喧嘩しちゃってね」
陽介「それって、暴走族潰した・・・とかいう?」
完二の母「周りにはそう思われているんだけど・・・あれは私のせいでもあったの」
ラハール「私のせい?」
完二の母「私バイクの音がうるさくて、眠れない日が続いて・・・それであの子怒っちゃって」
番長「お母さんのために、暴走族を一つ潰してきた、というとこですか?」
完二の母「そうなるかしら。あの子、昔から私のこととなると見境無くなっちゃうから・・・」
千枝「へぇ~・・・」
陽介「意外と親想いっつーか、どんだけ激しい親孝行だよ」
ラハール「(・・・母親想い・・・か・・・)」
:::【巽屋・外】:::
>-巽屋を見ている小さな子がいる。
少年「あの、お兄ちゃんいますか?」
番長「お兄ちゃん?お兄ちゃんって、ここの?巽屋の?」
少年「うん、あのね、これ・・・」
>-これは・・・?
少年「あのね、ボク、セナちゃんからお人形ついたストラップ貸して貰ったんだ。けど、そのお人形川でなくしちゃって、それで・・・」
>-某日
:::【河原】:::
少年「うぅ・・・えぇえええん」
完二「・・・オ、オイ、どうしたんだ?」
少年「セナちゃんから借りたお人形、なくしちゃって・・・」
完二「男がそんな簡単に泣くんじゃねえよ」
少年「だってぇ・・・」
完二「ケッ、なくなっちまったもんはしょうがねえだろ」
少年「そんな・・・」
完二「うっせえな~ったく。同じもんは無理かもしんねえけど、似たようなもん俺が作ってやるから、もう黙れ」
少年「・・・え?」
完二「そのかわり、どんな人形だったか教えてもらうぞ。俺が作ってやっから、それ持ってその・・・なんだっけ?」
少年「・・・セナちゃん」
完二「あー、そのセナちゃんに正直に謝りに行け」
少年「う、うん・・・」
>-・・・・・・
少年「僕にもセナちゃんと同じものを作ってくれたんだ。お兄ちゃんが作ってくれたからセナちゃんも許してくれて・・・だから、お兄ちゃんにお礼を言いたくてきたの」
番長「ということことは、それ、完二が作ったのか」
千枝「嘘!?マジ!?」
雪子「ねえ、それちょっと、見せて貰っても良いかな?」
少年「うん!」
陽介「すげーなオイ。普通に土産屋とかで売れるんじゃねーの?これ」
千枝「あの完二君の手からこんな繊細なものが・・・」
陽介「お前より器用なんじゃね?」
千枝「う、悔しいけどこれは・・・!」
ラハール「・・・」
雪子「ねえ、これ、ちょっと借りても良いかな?」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・エレベーター前】:::
陽介「完二が作ったもんなら、確かにクマのいってた完二のニオイってのもわかるかもな」
雪子「うん。これでどうにか出来ればいいんだけど・・・」
直斗「・・・またお会いしましたね」
陽介「お、おお。昨日の今日だな」
番長「・・・何かあったのか?」
陽介「いや、昨日完二に見つかった時にちょっと顔を合わせただけだ」
直斗「ご存知ですか?巽完二君、昨日から行方がわからないそうなんです」
番長「らしいな」
直斗「・・・」
陽介「そうだ。お前なんか完二のこと知らねえか?昨日、なんか話してただろ?」
直斗「・・・僕は大した話はしていませんよ。いくつか質問をしてみただけですから」
陽介「そっか」
直斗「ですが、そうですね。彼は何か思い悩んでいるようでしたよ」
番長「思い悩む?」
直斗「ええ。態度が変だったので、僕も正直に彼にそのことを伝えたのですが・・・変だと。そしたら、随分とそのことを気にしていたようです」
千枝「なんか意外だね。人の言うことなんて全然気にしなさそうなイメージあるのに」
直斗「人を見た目で判断してはいけないということでしょう。もうよろしいですか?僕はこれから用事がありますので」
ラハール「・・・」
番長「ああ、ありがとう」
>-・・・・・・
:::【エレベーター内】:::
ラハール「オイ、さっきの奴」
番長「ああ、俺達を疑っていたな」
陽介「え?何それ?」
雪子「どういうこと?」
ラハール「知るか。だが、奴も今回の事件を調べる立場の者なのかもしれんな」
千枝「・・・探偵、とか?」
陽介「オイオイ、科学捜査ばっかのこの時代に探偵ってお前。このご時世に探偵の仕事なんて、浮気調査とかそんなんだろ?」
千枝「なっ、何よ!ちゃんと事件の捜査とかやってる探偵だっているらしいんだからね!あたしテレビで見たような気がするし!」
陽介「気がするだけかよ。でもま、確かに旗から見たら俺達怪しいかもな。被害者のことをやたらと嗅ぎ回ってるし」
千枝「けど、それはあたし達が!」
陽介「わかってるよ。大きな声出すなって。事情を知らない人から見たらってこと」
雪子「確かに、そうかも・・・」
番長「慎重にやろう。俺達がやるしかないんだ」
雪子「うん」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
クマ「悩んでたクマか?」
番長「うん、何で悩んでいたかはわからないけど」
クマ「そうクマか・・・」
雪子「あとこれ、完二君が作ったんだって」
クマ「フムフム・・・よし!今ならカンジクンのニオイを辿れる気がするクマよ!」
>-・・・・・・
:::【熱気立つ大浴場前】:::
千枝「ね、ねえクマ君・・・マジで、ここ?」
クマ「間違いないクマ!」
千枝「そ、そっか~~・・・」
雪子「行くしかないね」
ラハール「・・・俺様は帰る」
番長「俺も」
千枝「ちょ、二人とも!っていうか番長君、さっき俺達がやるしかないって言ったばっかでしょ!?」
番長「あれは言葉のあやでした」
千枝「そんなさわやかに誤魔化そうとしても駄目!行くよ!」
陽介「そうだぜ?二人とも、皆でやるしかないんだ。っつーわけで、あとは皆に任せて俺は帰るからさ」
千枝「駄目に決まってんでしょ!何言ってんのアンタまで!」
陽介「無理無理無理マジ無理だってこれ!ノーマルな男子が入っちゃイケない熱気漂ってるから!マジで!」
千枝「訳わかんないこと言ってないで、行くよ!」
陽介「ひっぱんなってオイ!っていうか里中さん本当にわからない!?お願いだから今回だけは察して!?」
ラハール「・・・よし、帰るぞ」
番長「そうだな」
雪子「駄目だよ。二人とも、行こ?」
:::【熱気立つ大浴場・1F】:::
完二のシャドウ『あっはぁ~ん、皆さん、ご注目ありがとうございむぁす!ボク、完二』
番長「イザナギ!」
陽介「ジライヤ!」
ラハール「緋天!」
千枝「待って待って!まだ早いって!」
ラハール「もう手遅れだ」
番長「その通りだ」
千枝「そういう意味じゃなくて!」
完二のシャドウ『うふふふ、アヤシイ熱帯天国からお送りしていまぁす!アツい湯気のせいで、ムネがビンビンしちゃう!』
千枝「うわ・・・」
雪子「これはひどい・・・」
番長「だよな」
完二のシャドウ『んふ、皆の視線もアツくなってきたところで、このコーナー、イっちゃうよ?』
『女人禁制!突☆入!?愛の汗だく熱帯天国!!』
陽介「ヤバイ、これはヤバイ」
千枝「確か雪子の時も、ノリは大体こんなだったよね・・・」
雪子「えぇっ!?嘘!?」
陽介「やっぱマヨナカテレビのあの映像は、シャドウがやってんのか・・・?」
完二のシャドウ『それでは、更なる愛の高みを目指して、突☆入!』
番長「待て!」
完二のシャドウ『行くぜゴラァア!』
番長「追うぞ!」
雪子「私はあんなんじゃない・・・私はあんなんじゃない・・・」ブツブツ
陽介「里中、お前が余計なこと言うから」
千枝「な、なんかごめん雪子」
シャドウ「オォオォ・・・」
番長「来るぞ!」
雪子「私はあんなんじゃない!」」
>-カッ
>-マハラギ
陽介「うお、すげえ・・・」
番長「どうやら、気持ちの昂ぶりなら、怒りでもペルソナの力になるみたいだな」
ラハール「・・・俺様が言うのもなんだが、貴様の冷静さは人間としてどうかと思うぞ」
雪子「これ以上気持ち悪いこと言ったら灰にしてやる」
ラハール「そうだな。俺様も手を貸そう」
千枝「灰は駄目!ラハール君も煽らないの!」
雪子「え~?」
ラハール「駄目なのか?」
千枝「いや駄目でしょ。けど、なんか花村の言いたいこともなんとなくわかってきたかも。こんなとこずっといたら頭おかしくなりそう。さっさと助け出そう」
陽介「だろ?」
番長「よし、行こう」
:::【熱気立つ大浴場・11F】:::
完二「なんだ?ここ・・・俺ぁ確か家で・・・」
ザワザワ・・・
完二「あぁ!?誰かいんのか!?出てきやがれ!」
生徒の声『巽完二、喧嘩ばっかりしてる、ろくでなしの不良』
完二「なんだとこら!?」」
生徒の声『暴走族潰して、今は自分が総長になってお山の大将気取りかよ』
完二「勝手なこと言ってんじゃねえ!俺はそんなもんになった覚えはねえぞ!」
生徒の声『学校でカツアゲしてんのも、どうせあいつなんだろ?』
完二「なっ、違ぇ!決め付けてんじゃねえぞ!」
生徒の声『巽完二、お前はそういう奴だ』
完二「ざけんな!勝手なこと言ってんじゃねえ!出て来いゴラァ!」
完二のシャドウ『うふふふ、また無理しちゃって。勝手なこというなぁっ!って嘘ばっかり』
完二「あぁ?今度は誰だ?」
完二のシャドウ『コワモテで強い不良の完二、とっても男らしいよねぇ。だから皆にそう思われたいんだ。でも、ホントは違う』
完二「・・・!」
完二のシャドウ『うふ~ん』
完二「俺・・・?」
バンッ
雪子「完二君!」
完二「ア、アンタ・・・つかお前等?確かこの間の・・・何しにきやがった!」
番長「助けに来た」
完二「助けに?」
完二のシャドウ『もう嘘をつくのはやめようよ。ボクは君、君のヤリたいことだよ』
完二「あぁ!?ざけんなコラ!」
陽介「よせ!聞くな!」
番長「待て、陽介」
陽介「な、なんでだよ?あのままじゃまた・・・」
番長「完二が自分で自分を受け入れられるなら、それが一番良い」
陽介「そりゃそうかもしれねーけど、受け入れるっつったってあれは・・・」
ラハール「・・・」
完二のシャドウ『女は嫌いだ。ボクがお裁縫したり絵を描いたりしてるとぉ、皆"気持ち悪い、男の癖に"って馬鹿にしてぇ~』
完二「て、てめぇいい加減にしねぇと・・・な、なんだこりゃ・・・頭が・・・痛ぇ・・・!」
完二のシャドウ『男の癖に・・・男の癖に・・・男の癖に!何が悪いんだよお!じゃあ男らしいって何なんだよ!?』
完二「・・・」
完二のシャドウ『女は怖いよなあ』
完二「ざっけんな・・・!」
完二のシャドウ『男が良い。男の癖にって言わないし』
完二「怖くなんかねえ・・・!」
完二のシャドウ『だから男が良いんだ』
完二「・・・違う!」
完二のシャドウ『違わないよ。君はボク、ボクは君さ』
完二「てめえみてえなのが、俺なもんかよ!」
完二のシャドウ『うふふふふふ!ボクは君、君さ!』
ゴッ
完二「な、なんだ・・・てめえ・・・!」
クマ「で、出たクマ・・・」
番長「行くぞ」
千枝「あ、結局こうなるんだ?」
番長「クマは危ないから、部屋の外で待ってろ」
クマ「はいクマ!皆、頑張るクマ!」
番長「思った以上に問題が深刻だったんだけど、どうしようか?」
ラハール「俺様に聞くな。それを考えるのがリーダーである貴様の仕事だ」
完二のシャドウ『我は影、真なる我・・・』
雪子「これが、完二君の本音?」
ラハール「・・・どうだろうな。里中や貴様の時もそうだったが、シャドウは時を経るごとに歪んできている」
番長「男の癖に・・・っていうところは、本音っぽかったけどな」
陽介「だな。っつーか、今は話してる場合じゃねえんじゃね?」
ナイスガイ『・・・』
タフガイ『・・・』
陽介「なんか、余計なもんまで出てきてんぞ」
番長「手分けして当たろう、まずは弱点を探るんだ」
ラハール「(意志のある強いシャドウに加えて複数、これでは・・・!)」
ナイスガイ『あら、イイオトコ』
タフガイ『よろしくねぇん』
番長「呼ばれてるぞ陽介」
陽介「いや、イイオトコといえばお前だろ」
千枝「言ってる場合か!」
>-カッ
>-マハブフ
ナイスガイ『いやぁん!』
>-Weak
タフガイ『すずしいわねぇ』
ラハール「(涼しいだと・・・?)」シャッ
>-獄炎ナックル
タフガイ『アツゥイ!』
>-Weak
ラハール「これで決まりだな」
番長「ああ、天城はラハールを、陽介は里中を援護してくれ」
陽介「ま、まさかお前・・・」
完二のシャドウ『うふ』
番長「あいつは俺が、一人で」
陽介「ひ、一人ってオイ!」
千枝「花村!早く手貸して!番長君ならきっと大丈夫だよ!」
ラハール「火を貸せ天城、立ち回りは指示してやらんこともない」
雪子「う、うん!」
完二「・・・」
>-・・・・・・
タフガイ『アツくなってきたわねぇ!』
ラハール「チッ・・・いかんな」
雪子「ど、どうしたの?」
ラハール「こいつはやたらタフだが、力はそこらへんの雑魚共に多少毛が生えた程度。それはつまり・・・」
雪子「完二君のシャドウ本体が、相当・・・強いってこと?」
ラハール「貴様理解が早いな。わかっているなら急ぐぞ!」
雪子「はい!」
>-カッ
>-・・・・・・
完二のシャドウ『何?力も使わずに時間稼ぎのつもり?時間なんだ稼いだって、キミタチがボクをどうにか出来るとは思えないけどなあ』
番長「・・・」
>-・・・・・・
ナイスガイ『オォ・・・痛い・・・けど、なんだか悪くない気分・・・!』
シュウウウ・・・
陽介「よし!」
千枝「押忍!」
陽介「ラハール達のほうはもうちょいってとこか・・・相棒は!?」
番長「」
完二のシャドウ『やあ、今度はキミタチ?』
陽介「相棒!」
千枝「そ、そんな・・・」
陽介「てめえ!」
千枝「よくも!」
完二のシャドウ『あはは!』
>-マハジオ
陽介、千枝「!?」
シャッ
>-魔界横一文字
ドンッ
ラハール「(やはり今の力なら、ほんの一瞬とはいえ真空の盾を作り出せる。この技は使えるぞ)」
ラハール「闇雲に突っ込むな!アホか貴様等!」
陽介「ラハール・・・け、けど、番長が・・・」
番長「」
完二のシャドウ『見たとこ、キミタチの中で一番強いんだろ?そのヒト。もう終わりだねキミタチ』
雪子「そんな・・・番長君が・・・」
ラハール「・・・」
完二のシャドウ『一番強そうなのも死んじゃったし、せっかくだからキミタチが来るの待っててあげたよ。だから、せいぜい楽しませてね』
ラハール「それで俺様達が相手をしているやつらを放っておいたということか・・・」
千枝「こいつ・・・!」
ラハール「ハーッハッハッハ!馬鹿め!」
完二のシャドウ『!?』
陽介「ラ、ラハール?」
ラハール「フン、器用なことだ。まさかそんな下らん手でこの状況を乗り切ろうとはな。おい起きろ!」
番長「あ、やっぱりバレてた?」
陽介「えぇっ!?」
千枝「って超元気じゃん!」
雪子「えー・・・」
ラハール「貴様のような奴が、そう簡単にくたばる訳が無い」
完二のシャドウ『ふぅん、まだ生きてたんだ?でも、だから何?それでどうするの?このボクをさあ』
ラハール「だから馬鹿だと言っておる。こいつがただ黙って死んだフリなどするものか」
番長「カルティケーヤ」
>-カッ
完二のシャドウ『なっ、何それ!?そんな力・・・どこから!?』
ラハール「弱点は探ったのか?」
番長「いや、全然。けど、皆一緒なら物理攻撃でもいけるかなって。皆、援護を頼む」
ラハール「よし、行け!」
>-スピードアップ
陽介「ジライヤ!」
>-カッ
>-スクカジャ
千枝「トモエ!」
>-カッ
>-タルカジャ
雪子「コノハナサクヤ!」
>-カッ
>-ディア
番長「行くぞカルティケーヤ!」
>-カッ
>-刹那五月雨撃
ドドドドドド!
完二のシャドウ『んぐふ!こんなのとやってらんないよ!こうなったら!』
>-ジオンガ
完二「!」
ラハール「いかん!」
陽介「完二!」
ザッ
番長「ふう」
千枝「番長君!?」
バチッ!
番長「大丈夫だ。カルティケーヤは電撃を反射する」
ラハール「・・・そこまで考えておったか」
番長「怪我は無いか?」
完二「お前・・・」
番長「これ、お前が作ったんだろ?」
完二「そ、それあのガキに作ってやった・・・んだよ、悪ぃか?男の癖にこんなもん作っちゃよ」
番長「いや、良いんじゃないか?」
完二「あ、あぁ!?」
番長「男が何したって、女が何したって・・・別に、良いんじゃないか?」
完二「・・・・・・」
番長「俺は、そう思うよ」
完二のシャドウ『やめてよ!そんなに優しくされたら!』
千枝「もう、あんたいい加減うっさい!」
陽介「やるぜ!」
雪子「うん!」
>-マハブフ
>-マハガル
>-マハラギ
完二のシャドウ『邪魔だよ!邪魔しないで!』
ラハール「・・・おい、貴様。びびってんじゃねーぞ」
完二「あぁ!?」
ラハール「俺様が思うに、貴様は臆病だ。その臆病さがアレを生んだ。自分の始末ぐらい、自分で付けて見せろ。無理な話ではなかろう?」
完二「・・・チッ」
完二のシャドウ『なんだよ!来ないでよ!』
完二「うっせんだよボケ!」
ドカッ
完二のシャドウ『あうっ!?』
千枝「えぇ~・・・」
陽介「シャドウを素手で殴り飛ばしちゃったよ・・・」
完二「おい立て。てめえも俺なら、こんなもんでくたばるタマじゃねーだろ」
完二のシャドウ『・・・』
完二「ったく情けねえぜ・・・自分の中にこんなもんがいるなんてよ」
ラハール「・・・」
完二「女だ男だじゃねえ。人に拒絶されるのが怖くて、びびってよ・・・誰からも嫌われようとしてんだ。俺は」
番長「完二・・・」
完二のシャドウ『誰でも良い!ボクを受け入れて!」』
完二「だからうっせえっつってんだろ!」
ドカッ
完二「・・・その癖これだ。結局俺は、誰かに受け入れて欲しがってんだ」
番長「良いよ、受け入れるよ。趣味の一つや二つ、男らしくなくたって別に良いじゃないか」
陽介「そうだな」
千枝「そうだよ、かわいいじゃん!」
雪子「うん」
ラハール「フン」
完二「・・・アンタ等・・・」
完二のシャドウ『・・・』
完二「とっくに知ってるよ。テメエは俺で、俺はテメエなんだ」
完二のシャドウ「・・・」
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-完二は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"タケミカヅチ"を手に入れた!
完二「な、なんだ・・・こりゃ・・・」
番長「ペルソナだ」
完二「あぁ?ペルソナ?」
番長「詳しい話はまたにしよう。今日は疲れただろ?」
完二「あ、あぁ・・・」
>-5/19(木)
:::【教室】:::
陽介「おーい・・・試験の結果、壁にはってあるってよ」
千枝「あはは、雪子駄目じゃん」
陽介「聞けよ」
千枝「今は聞きたくないの!察せよ!」
陽介「そ、そうか。まあ俺も見たくはないけど・・・」
番長「行くか」
ラハール「ああ」
陽介「えぇ~?」
雪子「あ、私も行く」
千枝「えぇ~?」
:::【廊下】:::
>-ラハールと同率一位、全教科満点だ!
>-天城はその三位。陽介と里中は・・・
>-・・・そっとしておこう。
ラハール「まあ、このようなところだろうな」
雪子「私もいつもより良い点取れたな。二人と一緒に勉強できたおかげかも」
ラハール「だから近い!離れろ!元々貴様の物分かりが良いだけだろう。うちの花村は・・・全く」
陽介「そこで俺に触れちゃう?しかも花村に戻っちゃう?」
千枝「どんまい」
陽介「お前に言われたくねえよ。俺より下じゃんか」
千枝「下を見ても向上はしませんぞ」
陽介「だからお前に言われたくねえって」
千枝「けど、三人とも凄いね」
陽介「だな。年季の入ってるらハールはともかく、番長はバイトや部活、天城は家の手伝いしながらこれだし・・・こりゃ俺達も言い訳なんか出来ないぜ?」
千枝「だ、だよね?あたし達も頑張ろう。次の次ぐらいから・・・」
陽介「そこはせめて次って言っとけよ」
>-夜
:::【堂島家】:::
番長「ただいま」
堂島「おお、帰ったか」
菜々子「おかえりなさい」
堂島「そういや、試験の結果が出るとか言ってたな。どうだった?まあ、悪くても別に構わんが」
番長「一番でした。友達のラハール君っていう子と同じで、全教科満点です」
菜々子「一番!?お兄ちゃん凄いね!」
堂島「ぜ、全教科満点!?たいしたもんだ。俺が学生の頃なんか・・・ああいや、そうだな。試験前の連休で菜々子の面倒まで見させちまったのに、よく頑張ってるようだし、少しは小遣いでもやるか。無駄遣い・・・は、お前なら心配無いか。好きに使うといい」
番長「ありがとうございます」
菜々子「菜々子もお兄ちゃんに何かプレゼントする!何がいいかなあー・・・」
:::【陽介の部屋】:::
陽介「ちきしょー・・・お前だけお袋に小遣い貰いやがって」
ラハール「ふむ。人間とは、あの程度の試験で多少出気が良かったからと言って金までくれるのか」
陽介「まあ、ウチが特殊なんじゃね?俺の出来がよくないからさ~」
ラハール「・・・」
陽介「けど、お袋はラハールなら当然!って反応してたし、案外、お前がこっちで真面目にやるの、フロンちゃんって子に予想されてたのかもな」
ラハール「・・・かもな。つくづく腹の立つ奴だ」
陽介「またそんなこと言って。お前、案外フロンちゃんって子のこと好きなんじゃねえの?」
ラハール「ふっ、ふざけるな!そんなわけあるか!貴様消し炭にしてやる・・・!」
ボッ
陽介「火はやめろ火は!」
>-6/6(月)放課後
:::【屋上】:::
完二「ウ、ウーっス。こないだはその、助かりました」
千枝「あれ?敬語なんだ?」
完二「や、だってその・・・先輩・・・だったんスね。てっきり同い年かと思ってたんスけど」
雪子「なんか可笑しいね」
完二「か、勘弁してくださいよ」
陽介「体の調子はもう大丈夫なんか?」
完二「ウス、もう余裕っスよ」
番長「早速、事情を説明するよ」
>-・・・・・・
完二「犯人の野郎に放り込まれた・・・か」
番長「何か覚えてないか?」
完二「家にいたのは覚えてるんスけど・・・なんか、どっかで記憶途切れてて、目覚ましたらあっこにいたんスよ」
陽介「天城の時と同じか」
雪子「そうだね」
千枝「じゃ、やっぱ犯人は家に押し入ったってことかな?」
ラハール「いや、何か違和感があるな・・・」
千枝「違和感?」
完二「え?何スか?先輩等もしかして、犯人探ししてるんスか?」
雪子「うん。実は私も、テレビの中に入れられたみたいなんだ。私の時は、ここにいる皆が助けてくれた」
陽介「こんな事件、警察が捜査するには限界があるだろ?被害者が出そうになったら助けて、なんとか犯人を突き止めようとしてるんだ」
完二「・・・俺も頭数に入れてもらって良いスか?」
番長「わかった。歓迎するよ」
陽介「相棒話早っ!つか、マジか?すげー戦力なんじゃん!」
千枝「だね。シャドウ素手で殴り倒すぐらいだし」
雪子「よろしくね。完二君」
完二「うっす!巽完二!先輩等のために命張るっす!」
ラハール「(何だこの違和感は・・・天城の時とは何かが違う・・・)」
>-次回予告
>-BGM:戦友よ
エトナ「なかったことにされつつあった地球勇者達!アニメの失敗は彼等のせいじゃないのに!」
ラハール「まあ、もっと根深いところに原因があるな」
エトナ「そんな地球勇者達の復讐の幕が今開く!時間を超えて、八十稲羽のラハールの元に彼等が降り立つ!」
ラハール「ヒロインが二人ともかわいくないとか、ヒロインが二人ともクズすぎるとか」
エトナ「平和な街中で、魔王と地球勇者達の死闘が勃発する!次回作の主人公はどちらの手に!?」
ラハール「かわいくないどころか電波だとか、電波どころかただのアホだとか」
エトナ「次回、地球魔王戦記ラハール!"忘れられた勇者達"!」
ラハール「エトナはただの痴女、フロンはあざとすぎる、とかな」
陽介「お、おい・・・ヤバくね?」
エトナ「殿下、ちょっとお話が」
フロン「ラハールさん。私からもちょっと良いですか?」
ラハール「よし、逃げるぞ陽介」
陽介「俺を巻き込むな!」
今回はここまでです。
>>157 乙ありです。元々そのあたりの話をかきたくてはじめたので、さっさとそのへんまでいきたいです。
>>158 真面目にやってると不良なので殿下は悪いことをするために真面目にやってます。ややこしいですかね。
>>159 バカ兄貴さんは魔界で、最近エトナに会ってないなーとか思ってます。多分。
>>160 ハマオンやばいですね。殿下に限らず皆、即死魔法はやばいんじゃないでしょうか。
乙です
ディスガイア4だと即死は愛フィールドで防げたかな
……D2にないじゃんこの魔ビリティ!!
茄子栽培するしかないな
地球勇者のこと思いっきり忘れてたwww
戦友よは名曲、間違いない
更新します。
>-6/15(水)
:::【沖奈市】:::
ラハール「暑い」
完二「そ、そうっスね、も、もう無理っス俺」
陽介「息整えてから喋れよ」
番長「だらしがないな。ラハールは顔色一つ変えて無いぞ」
完二「無茶言わないで下さいよ」
陽介「チャリでついてきただけでも大したもんだろ」
番長「ラハールは自分の足でついてきたぞ」
陽介「こいつは別だよ。完二は人間だぞ?」
ラハール「無駄口を叩いてないで、さっさとこんなところまで連れてきた目的を吐け」
陽介「俺と相棒のバイク見てわかんねぇか?」
ラハール「・・・」
陽介「・・・」
ラハール「わかるか阿呆」
陽介「はあ、これだからお前は駄目なんだよ。長く生きてたって精神的にはおこちゃまだな」
ラハール「そうか貴様、そんなに死にたければ今ここで殺してやる!」
番長「落ち着け」
ラハール「落ち着けるか!」
陽介「ナンパだよナンパ」
ラハール「は?」
陽介「やっぱモテるにゃバイクだろ!」
ラハール「・・・は?」
>-数分後
ラハール「・・・貴様は行かなくて良かったのか?」
完二「ぶっちゃけそんな余裕ねえっスよ。帰りのこと考えたら休んどかねーと足もたねーや」
ラハール「・・・そうか」
完二「ラハール先輩こそ、行かなくていんスか?」
ラハール「アホか。せっかくの人間界だから、たまには町から出てみるのも良いかとは思ったがな。何かと思えばナンパ?アホか」
完二「二回もアホって言わなくてもいいっしょ」
ラハール「アホなものはアホだ」
完二「ま、それについちゃ同感スけどね」
ラハール「・・・俺様は景色を見ているだけで充分だ。人間界は明るい。これは魔界では見ることの出来ない景色だ」
完二「・・・マジで先輩、悪魔なんスね」
ラハール「そうだ」
完二「さっきの走りで実感しましたよ。ずっと3~40キロで走ってんのに、平気な顔でついてきてんスからね」
ラハール「あの程度なら魔法で移動速度を上げるまでもない」
完二「すげーぜ」
ラハール「・・・貴様の母親は、元気にしているか?」
完二「ウチのババア?まあ、元気スけど」
ラハール「・・・そうか」
完二「どしたんスか?急に」
ラハール「貴様は、俺様に似ているのだ」
完二「あん?」
ラハール「母親を大事にしているところや、面倒見の良いところがな」
完二「や・・・べ、別に大事になんかしてねースけど・・・」
ラハール「・・・ふん。下らん謙遜はいらんぞ」
エトナ「親は大事にしといたほうがいいよー。アタシ達はしたくても出来ないからさ」
完二「・・・ん?」
ラハール「誰かがつけてきている気配はあったが、貴様だったか」
エトナ「ち~す」
完二「え、あ、ウス」
エトナ「新入り君ですか?」
ラハール「そうだ。こいつは完二、特捜隊の新メンバーだ」
エトナ「アタシはエトナ。よろしくね」
完二「あ、エトナさんっスか。話は花村先輩とかから聞いてます」
エトナ「しっかし、面倒見がいいところが似てるって、殿下のどこが面倒見がいいんです?」
ラハール「は?俺様ほど家来の面倒見が良い魔王もおらんだろう」
エトナ「本気で言ってそうなとこが怖いなあ」
ラハール「それより貴様、何の用だ?わざわざこんなところまでついてきて」
エトナ「まあ、ここまで来たのは私もぶっちゃけ遠出してみたかっただけなんですけど、お手紙です」
ラハール「またか」
『お兄ちゃんに会いに行きます』
ラハール「・・・なんだこれは!本気か?」
エトナ「まあ出来るかどうかは知りませんけど、フロンちゃんが止めるのに苦労してるって愚痴ってくるんで、どうもやる気はあるみたいですね」
ラハール「あの馬鹿は変わらんな・・・」
エトナ「ですね。殿下はけっこう変わってきてるのに」
ラハール「・・・おい、俺様の何が変わったというのだ?」
エトナ「人間達と暮らしてみて、殿下が一番わかってるんじゃないですか?」
ラハール「・・・口を慎め。俺様は何も変わってなどおらん!」
エトナ「アタシゃそうは思いませんけどね~」
ラハール「チッ・・・」
エトナ「ま、こんな奴だけど、仲良くしてやってね」
完二「あ・・・ウス!」
ラハール「誰がこんな奴だ!貴様も返事をするんじゃない!」
完二「す、すんません」
ラハール「チッ・・・まあいい、完二。飯でも奢ってやる。来い」
完二「え。いんスか先輩?」
ラハール「後輩が遠慮などするな。ここではそういうものだろうが」
エトナ「うわー、気前の良い殿下って気持ち悪いですね~」
ラハール「やかましい!バイト代とやらを貰ってはいるがな、飯は勝手に出てくるし、馬鹿な家来共に装備を買ってやる必要も無い。ここでは金の使い道など大してないからな。それだけだ」
エトナ「やりぃ。アタシはスイーツが食べたいですね」
ラハール「誰が貴様にまで奢るか!貴様はさっさと帰れ!」
エトナ「え~。いいじゃないですか人間界でぐらい奢ってくれても。あの部屋にいるとお腹すかないですけど、その分食べる楽しみがないんですよ~」
ラハール「・・・・・・行くぞ」
エトナ「え?」
ラハール「魔界に帰ったらこんなことはないと思え」
エトナ「そ、それって」
ラハール「いらんなら置いていくぞ」
エトナ「行きます行きます!ほら完二行くよ!殿下の気が変わんないうちにね!」
完二「あ、ウス」
エトナ「(ドケチの殿下がねえ・・・な~にが俺様は変わってなどいないんだか・・・)」
>-一時間後
陽介「・・・」
完二「どしたんスか暗い顔して」
陽介「収穫・・・0だ。正直へこむぜ」
エトナ「花村はアホだからね~。女にはけっこう、そういうのわかっちゃうもんなのよ」
陽介「エトナさんきっつー・・・」
ラハール「・・・貴様はどうだった?」
番長「俺か?15人から連絡先を貰ってきた。一人は男性だけど」
陽介「15人!?」
エトナ「さすがだねぇ」
完二「すげーぜ番長先輩・・・つか一人男・・・?」
ラハール「花村、つまりこういうことだ」
陽介「こういうことってどういうこと!?っていうかまた花村に戻っちゃう!?」
エトナ「いやーこういうことでしょ」
陽介「だからどういうこと!?」
>-皆と楽しく過ごした。
>-6/17(金)
:::【林間学校初日】:::
>-昼食
陽介「里中はアレだけど、天城は旅館の若女将だから期待値高いと思うぜ?」
番長「いや・・・どうだろうな」
>-何故か嫌な予感がする・・・
>-何故だろう・・・
>-・・・わからない
陽介「どうだろうなって、どうしたよ?楽しみだろお前も」
番長「なんだろう・・・なにか・・・嫌な予感が・・・」
ラハール「・・・奴等に任せても良かったのか?」
陽介「いや、女の子の手料理って食ってみたいじゃん?」
ラハール「俺様にはわからん」
番長「なんだろう・・・この感じ・・・」
陽介「まあ確かに里中がいるのは不安だけど、天城がいるからなんとかなるって」
千枝「誰が不安だって?」
陽介「お、出来たか」
千枝「駄目だしは食べてからしてね」
雪子「お、おまたせー・・・」
陽介「キタキタ!」
番長「・・・いただきます」
ラハール「・・・」
陽介「・・・ん!?」
番長「!?」
ラハール「?」
陽介「がはっ・・・水・・・水を・・・!」
千枝「ど、どしたの?な、何々?」
番長「!???」
雪子「ほ、ほら番長君も、水」
ラハール「・・・何だ貴様等、情け無い」
千枝「そ、そうだよ花村。ラハール君平気そうじゃん」
陽介「ふざけんな!むしろ何でお前平気なんだよ!」
番長「不味くないのか?」
ラハール「不味いな」
千枝「えっ」
雪子「やっぱり・・・」
陽介「やっぱり!?今やっぱりっつった!?」
ラハール「凄まじい刺激臭と多様で不愉快な食感。味は最早言葉で表現する方法が見当たらん・・・魔界でもここまで不味い物を作るのは難しいだろう。兵器に使えるかもしれんな」
陽介「兵器って・・・お前等これ、何入れたんだよ!?」
千枝「ま、まあ色々・・・色々ね?」
雪子「う、うん・・・色々。片栗粉とか・・・うん、色々」
陽介「せめてカレーに使うもんだけ入れろよ!」
ラハール「軟弱な奴等め。俺様は飯を食えずに死にかけたこともあるからな。これでも食えるだけマシだ」
陽介「し、死にかけた・・・?」
番長「ラハール。あんまり食べると体を壊すぞ」
ラハール「俺様をなめるなよ。こんなもので・・・かはっ!」
陽介「ラハールーーーーッ!?」
番長「・・・だから言ったのに」
陽介「冷静に構えてる場合!?」
>-・・・・・・
ラハール「まさかこの俺様を殺しかけるとは・・・やはり兵器に使えるかもしれんな」
陽介「兵器に使うのはいいけど、実際問題今ここにある大量のカレーどうすんだよ?つか、カレーじゃねえな。この毒物」
千枝「か、川に流すとか?」
番長「・・・汚染されるぞ。川が」
雪子「そ、そこまで言わなくても・・・」
大谷花子「何?それ余ってるの?」
雪子「大谷さん」
千枝「そ、そうそう。皆お腹一杯になっちゃってさあ!」
大谷花子「なら私が貰ってもいいかしら?」
千枝「どうぞどうぞ!」
陽介「お、おいそれ殺人未遂だぜ・・・!」
千枝「大谷さんならイケるって」
大谷花子「んん、新食感ね。美味しいわ」
ラハール「こ、こいつ人間ではないのか・・・!?」
番長「しーっ」
>-夜
:::【テント】:::
番長「・・・ところで、何で完二までここに?」
完二「いいじゃねっスか。一年のテント、葬式みてえに静かなんスよ。あっこにいたら息詰まっちまうぜ」
陽介「まあ、お前がいりゃな・・・つか、よくサボんないで来たな。林間学校なんて」
完二「フケたら進級させねーとか言われてよ。ざけんなってんだ」
ラハール「・・・どうでもいいが、狭いぞ」
陽介「ま、三人用のテントだしな」
番長「多少狭いぐらいは別に良いんだけど・・・ここは一つ、はっきりとさせておくべきことがあるんじゃないか?」
ラハール「?」
陽介「だ、だよな。やっぱお前もそう思う?」
完二「何スか?」
陽介「完二・・・ここは正直に答えて欲しいんだけど・・・やっぱお前って・・・アッチ系なのか?」
完二「あぁ?アッチ?何のことだよ」
番長「俺達、今・・・貞操の危機か?」
完二「貞操・・・あ、ああぁ!?ざけんな!そんなじゃねえっつってんだろ!」
陽介「な、なんで豪快にキョドるんだよ!?なおさら本物っぽいじゃんか!」
番長「そうだな」
完二「ざっけんな!今はもう、お、お、おおお女なんてなんともおもってねーよ!」
陽介「噛みすぎだろ!怖ぇーって!」
完二「くっそ!じゃあ見せてやんよ!女なんて平気だってことをよ!」
番長「どうやってそれを証明するつもりなんだ?」
完二「今から女子のテントに行ってやらあ!」
番長「よし、行け」
陽介「お、おいおいバレたら停学だぞ!?」
完二「巽完二!男見せてやるぜ!おらあああ!」
陽介「行っちまった・・・」
ラハール「・・・貴様等、悪ふざけが過ぎるぞ。花村の阿呆はともかく、番長まで何だ」
番長「あいつ、やっぱりまだ俺達にどこか遠慮があるだろ?」
ラハール「・・・」
番長「そういうわだかまりを、少しずつでも減らしていかないとな・・・と思って。とりあえずイジれるネタって、今のところこれぐらいだからさ」
ラハール「・・・そこまで考えているなら良かろう。さっさと寝ろ」
陽介「えー・・・俺割とマジで怖かったんだけど」
ラハール「だから貴様は花村なのだ」
陽介「花村っていうカテゴリーみたいに言うのやめてくれよ・・・」
番長「ラハール。寝る前に少し、親睦を深めないか?」
ラハール「は?」
番長「蛍光ランプとトランプを持ってきた」
陽介「準備良すぎだろ」
ラハール「俺様は付き合わんぞ。そんな下らんことやってられるか」
番長「逃げるのか?」
ラハール「は?」
番長「俺達に負けるのが怖いから、逃げるのか?」
ラハール「だっ、誰が逃げるか!いいだろう、やってやろうではないか!」
>-数分後
千枝「おじゃましまーす・・・」
雪子「・・・」
陽介「お、おい、どうしたんだよ!夜に男子のテントなんか来て、バレたら停学もんだぞ!」
千枝「大きな声出さないで」
陽介「あ、ああ・・・」
千枝「あたし達もわけわかんないんだって。いきなり完二君があたし達のテントにきてさ・・・」
雪子「うん・・・」
千枝「そんで、いきなり勝手に気絶しちゃって・・・テントに入ってきた途端ね」
雪子「え?」
千枝「だよねー雪子!」
雪子「あっ・・・う、うん。そう。勝手に気絶しちゃった」
ラハール「・・・貴様等二人がかりで殴って気絶させたか」
番長「なるほど」
千枝「えっ、え!?そっ、そんなことありませんわよ?」
陽介「なるほどな。事情はわかったけど、どうすんだよ?こんなとこまできて」
千枝「明日の早朝になったら戻るからさ、皆が起きだす前に。それまでいさせてよ」
雪子「お願い」
陽介「・・・どうするよ?」
番長「いいんじゃないか?別に」
ラハール「ふざけるな。冗談ではないぞ」
番長「元を辿れば後輩、完二の不手際だし・・・先輩の俺達が後始末するべきだと思うけど」
ラハール「む・・・チッ、勝手にしろ。ただし貴様等、俺様に近寄るなよ」
千枝「は~い・・・」
>-一時間後
千枝「花村~・・・起きてる?」
陽介「・・・なんだよ?」
千枝「・・・・・・あの・・・ごめんね」
陽介「何だよ急に。完二が突っ込んできたなら仕方無いだろ」
千枝「いや、それだけじゃなくてさ・・・昼間のカレーのこととか」
陽介「そうだな。あのせいで腹減って寝れねーや」
千枝「ごめん・・・」
陽介「おいおい。お前等に任せきった俺達も悪いんだし、何もお前等だけのせいじゃないだろ?」
雪子「・・・二人とも、起きてたんだ?」
千枝「おぉ、雪子も起きてたんだ」
陽介「つか普通寝れねーよな狭いし腹減ってるし。こいつら二人はやっぱ何か違うな」
千枝「二人は寝てるの?」
陽介「ぐっすりだな。図太いっつーか器がでかいっつーか・・・」
千枝「ラハール君はともかく、番長君ってなんか凄いよね」
雪子「あ、それわかる」
陽介「だよな。なんか同じ高校生とは思えないところが多々あるわ。俺達よりラハールとかエトナさんに近いような」
千枝「エトナさんか・・・ラハール君とエトナさんって、魔王とその家来、なんだよね?」
陽介「一応そうらしいけど、全然そうは見えねーよな。むしろエトナさんのほうが偉そうっつーか」
雪子「そうかな?やっぱりラハール君って何か風格あるし、私はなんだか納得いくけどな」
陽介「マジ?俺にはちょっとひねたハイスペックなガキにしか見えないぜ?すげー奴なのは確かだけど」
雪子「花村君の見る目がないんだよきっと」
陽介「きっつー・・・天城さん俺にやたら辛辣じゃないですか?」
雪子「え?そう?」
陽介「しかも無自覚かよ。泣けてきたぜ」
ラハール「・・・オイ花村、誰がガキだ?」
陽介「お、起きてたのかよ」
ラハール「貴様等が騒がしいから目が覚めた」
雪子「あ・・・ごめんねラハール君」
ラハール「・・・構わん。阿呆の花村が悪い」
陽介「全部俺のせいかよ?」
ラハール「貴様が一番俺様に近いのだ。貴様の声が一番良く聞こえる」
陽介「そう言われると反論出来ねー・・・」
ラハール「・・・番長は確かに、人間離れした所のある奴だがな」
陽介「え?」
ラハール「貴様等と同じ人間であることは確かだ。何でも出来る奴だと思い込まず、精々貴様等が力を貸してやるのだな」
陽介「・・・わかってるよ。けど、力を貸すのはお前もだろ?」
ラハール「俺様は知らん」
陽介「まーたそんなこと言って」
雪子「・・・あ」
陽介「どうした?」
雪子「千枝、眠れたみたい」
陽介「そっか」
ラハール「・・・貴様等もさっさと寝ろ」
陽介「へいへい」
>-6/18(土)
:::【林間学校二日目】:::
千枝「終わったー!」
番長「・・・いろいろあったな」
雪子「ほんとにね。誰も停学にならなくて良かった」
陽介「それシャレになんねーよな・・・」
完二「・・・なんか体痛ぇんスよね。昨日のことよく覚えてねーし・・・なんか誰かにぶん殴られたような・・・?」
千枝「き、気のせいだよ気のせい!」
雪子「そ、そうそう!」
完二「あー・・・?」
ラハール「それより、珍しく全員集まっているのだ。事件の話でもしたほうが良いのではないか?」
番長「真面目だな」
陽介「おいおい、せっかく川があんだぜ?ここは泳ぐとこじゃね?」
千枝「泳ぐっつったって、あたし達水着とか持ってきて無いし」
雪子「んー・・・」
陽介「何だ?水着があれば泳いでたのに~ってか?」
千枝「そうそう!あー、残念だなー!」
雪子「うん。水着ないからしょうがないよ」
陽介「へっへっへ」
千枝「な、なにその笑い方・・・」
陽介「じゃーん!ジュネスオリジナルブランド!初夏の新作だぜ!」
完二「うわ、引くわ・・・」
ラハール「・・・はぁ」
>-数分後
完二「あれ、先輩等、同じ水着なんスね?」
番長「これか?おじさんに貰ったんだ」
ラハール「俺様のは花村が勝手に見繕った」
陽介「堂島さんもジュネスで買ったんだろうな。ラハールのも俺がジュネスで買ってきた奴だし」
ラハール「やはり窮屈な服などないほうが落ち着くな」
完二「えぇ?」
番長「やっぱり、悪魔は薄着なのか?」
ラハール「そうだ。生身の防御力が優れているから、貴様等のように普段からゴテゴテした服を着る必要などない。最も、戦闘時にはそれなりの装備をしていくがな」
完二「あー・・・それでエトナさんもああいう感じだったんスね」
陽介「やっぱお前もそう思う?あれちょっと薄着にも程があるよな」
ラハール「・・・確かにな。奴には人間界に相応しい格好をしろと言っておくか」
番長「いや、その必要は無いと思う」
ラハール「は?」
番長「むしろそんなことはしないほうが良いよ」
ラハール「ど、どうしたのだ貴様・・・そんなに押しの強い貴様など見たことが無いぞ」
番長「俺のことは良いから、とにかくエトナさんにはありのままでいて欲しいんだ」
ラハール「そ、そうか・・・」
陽介「お、きたきた」
千枝「・・・///」
雪子「・・・///」
陽介「お~・・・」
千枝「あ、あんまジロジロ見んな!」
雪子「ど、どう・・・かな?」
ラハール「は?」
雪子「いや、あの・・・水着」
ラハール「・・・どうでもいい」
>-・・・"どうでもいい"?
>-・・・どこかで聞いたことがあるような・・・
>-・・・わからない。
雪子「どっ、どうでも!?」
ラハール「それより、あまり近寄るんじゃないぞ」
陽介「お?なんだお前照れてんのか?」
ラハール「ふ、ふざけるな!」
陽介「完二はどうよ?」
完二「あ?なんスか?」
陽介「お、お前・・・」
番長「鼻血出てるぞ」
完二「えっ、あ、やべっ」
ラハール「アホが・・・それより貴様等、珍しく全員集まっているのだ。事件のことについて少し話したいのだが構わんか?」
番長「真面目だな」
ラハール「貴様がやる気にならんでどうする!」
完二「事件のことスか?」
ラハール「完二が被害にあったことで、被害者の共通点が一つなくなった」
千枝「共通点?」
番長「・・・女性であったことか」
雪子「そうだね」
陽介「ま、性別に特に意味はなかったのかもな」
雪子「山野アナの事件に関係している人っていう点も、完全に消えたと思う」
ラハール「・・・そうだな。貴様の時から既に怪しかったが、完二は山野とかいう女とは完全に無関係だ」
完二「山野・・・って、山野アナのことスか?」
陽介「他に誰がいんだよ」
完二「関係・・・なくもねースけど、いや、やっぱねーか?」
番長「どういうことだ?」
完二「一応、ウチの巽屋に、特注の品を注文してたみてえなんスよね、山野アナが。まあ死んじまって結局売れ残ってるんスけど」
千枝「・・・そっか。じゃあ関係なくはないんじゃない?」
陽介「どうだろうな・・・天城の時はまだ、山野アナが泊まってた旅館の手伝いを天城がしてたけど、完二は別に、あの店の手伝いとかしてるわけじゃねえんだよな?」
完二「まあそっスね。店のこたぁお袋が全部やってるみてえスよ」
ラハール「やはり最初の事件との関連性はなくなったと見たほうが良いだろうな」
千枝「ちょっと、いいかな。大したことじゃないんだけど・・・」
番長「何だ?」
千枝「山野アナは不倫報道・・・小西先輩は、山野アナの第一発見者として・・・雪子は旅館の次期女将として・・・で、完二君は非行少年として」
完二「あん?」
陽介「・・・あっ、被害者は全員、被害にあう前にテレビに映っているってことか?」
完二「テレビだ?テレビなら、マヨナカテレビとかいうのに映ってたんしょ?俺ぁ見てねースけど」
陽介「そうじゃねーよ。普通にニュースとか、誰でも見てるようなテレビ番組って話」
番長「そういえば、確かに完二は非行少年特集に出ていたな。一応モザイクかかってたけど、本人だって丸解りだったぞ」
完二「あー、アン時の取材とかいう奴らか。クソが!」
雪子「・・・うん、一つ見えたね。被害者の共通点」
ラハール「被害にあう前にテレビ番組に出ている・・・か」
陽介「テレビつながりで何かあんのかもな」
番長「・・・全部のテレビ番組をチェックしていたらキリがないな。やっぱり次の被害者に目星を付けられるのはマヨナカテレビぐらいか」
千枝「そうだね・・・」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
シシリー「私のお兄ちゃん!愛しいお兄ちゃん!」
番長「呼んだか?」
シシリー「仲睦まじく愛し合っていた二人の仲は、突如悪の大天使フロンに引き裂かれてしまう!」
番長「菜々子じゃなかったか・・・帰るか」
シシリー「私が全力でお兄ちゃんに会いに行こうとしても、二人の仲が許せないフロンに妨害を受けてしまう!」
フロン「シシリーさーん。仕事してくださーい」
シシリー「こうなったら強行突破よ!私の持てる力の限りを尽くして、フロンをやっつけてやるわ!」
フロン「というか誰が悪ですか!ちょっとシシリーさーん」
シシリー「待っていてお兄ちゃん!私達の未来は、私の力で切り開いてみせるから!」
フロン「二人の未来の前に、天界の未来をどうにかしてくださーい」
シシリー「次回、夢のシシリー王国!"フロンをやっつけろ"!」
フロン「言っとくけどそう簡単にはやられませんからね~」
シシリー「脳みそくすぐっちゃうよ♪」
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「・・・!・・・な、なんだ・・・悪寒が・・・!」
陽介「カレーがまだ残ってんじゃね?」
今回はここまでです。
>>191 乙ありです。即死はきっと気合で避けるんじゃないですかね!
>>192 家庭菜園はP4Gの難易度をがくっと下げてましたよね。新シャッフルシステムもスキルカードもですけど。
>>193 佐藤天平さんだいすきです。
乙!
妹さん、兄貴がさみしがってるんでさっさと乱入しちゃってください
更新きてたか乙
このSSの更新が最近の楽しみになってる
乙!やはり番長のナナコンっぷりは鉄壁
一応堕天使だったしある意味悪の大天使は正しいと言えなくもない
制限なしで乱入したらヤバそうだけどな
更新します。
>-6/21(水)
>-放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
ラハール「なんだその・・・りせ?とかいうのは」
エトナ「殿下知らないんですか?たまにしかこっち来ないアタシでも知ってますよ。休業発表したアイドルですよアイドル」
ラハール「アイドル?というと、ランサローテのようなものか」
番長「魔界にも、アイドルっているのか」
ラハール「ああ。魔王である俺様より目立っていたから、引き摺り下ろして家来にしてやった」
エトナ「面白かったですね~、あの時の殿下」
ラハール「その話はするな!あの時の俺様は、魔界の異変にあてられてどうかしていたのだ」
エトナ「へっへっへ」
ラハール「間違ってもあの時の話をするなよ?」
エトナ「どうしましょうかねぇ~?ラハールちゃん?」
ラハール「貴様ぁ・・・!」
雪子「なんの話?」
エトナ「まあいわゆる黒歴史って奴かね。殿下の」
陽介「うお、それ超聞きたい!」
千枝「私も興味あるかも」
番長「是非聞かせて下さい」
エトナ「どうします殿下?こう言ってますけど」
ラハール「やめんか!大体貴様、今日は事件のことについて話すために集まっているのだ。貴様がいては不味いのではないか?」
エトナ「え~?どうせ大した話にならないから着て良いって、番長君に言われましたけど?」
ラハール「番長貴様・・・!」
番長「まあ実際、雨は降ってるけど・・・今の段階じゃ何の予測も立てられないだろ?」
ラハール「それはそうだが・・・」
番長「雨は降ってるから、マヨナカテレビのチェックはしてみよう。明日は完二も呼んで、もう一度集まろう」
ラハール「マヨナカテレビをふまえて・・・ということか」
陽介「そうすっか」
>-6/22(水)
>-放課後
:::【教室】:::
陽介「絶対あれはりせだって!」
千枝「そう?なんかはっきりしてなかったよ?」
陽介「いやいや、あれはりせだ!あの胸!あの腰つき!そしてあの無駄のない脚線美!」
ラハール「・・・貴様はどう思う?」
番長「久慈川りせ、だったと思う」
ラハール「・・・妙だな」
雪子「どうかしたの?」
ラハール「・・・俺様の目にははっきりと見えなかった。人影らしきものがぼんやりと映ってはいたが、個人の特定に至るような特徴が見えるほどの鮮明さはなかった」
雪子「あ・・・私もそんなかんじだ」
完二「俺もっスね」
陽介「いやいや、あれはりせだろ!」
番長「・・・ちょっと、待ってくれ」
陽介「えぇ?」
番長「俺達それぞれの目に、別のものが見えている可能性・・・ってことか?ラハール」
ラハール「そうだ。陽介と里中の目に見えているものが微妙に違う。これについてはまだ良かろう。少なくとも見ているテレビはそれぞれの家のテレビ。多少なりとも映り方が違っていてもおかしくはない」
番長「けど、同じテレビで見ていたはずのラハールと陽介に違うものが見えている」
ラハール「そうだ」
陽介「え?どういうことよ?」
ラハール「貴様がさっき吐き散らしていた気持ちの悪い台詞を思い返してみろ」
陽介「気持ちの悪いって・・・」
千枝「確か・・・胸、腰つき、脚線美、だっけ」
ラハール「そうだ。俺様にはそれらの形がはっきりと確認出来るような映像は見えていなかった」
陽介「え?」
番長「・・・俺には、顔まで少し見えていたんだ。あれは間違いなくりせの顔だった」
陽介「顔?俺には顔までは見えてなかったな・・・」
雪子「見る人によって、見え方が違う・・・ってこと?」
ラハール「そうなるな」
完二「え?つまりどういうことスか?」
ラハール「そこまではわからん」
完二「わからん?」
番長「そうだな・・・見る人によって見え方が違う。それは間違いないみたいだ。けど、それが何の意味を持っているかは、今の段階では推測すら出来ない」
ラハール「・・・・・・確か、りせとかいう女は今この町にいる・・・ということだったな」
完二「らしいスね」
ラハール「番長、貴様・・・そいつに会ったりはしたか?」
番長「昨日会ったけど・・・どうして?」
陽介「え!?会ったの!?マジで!?」
番長「うん。ジュネスで、りせが落とした携帯を拾って渡したんだ」
陽介「しかもウチに来てたのかよ!」
番長「なんか眼鏡かけて変装してたけど、間違いないと思う」
陽介「うわー!マジかよ!」
ラハール「少し黙れ阿呆・・・こうは思えんか?映っている人物に対する認識が深ければ深いほど、鮮明に見えている」
番長「・・・確かに」
千枝「え?どういうこと?」
雪子「りせちゃんのファンである花村君と、実際にりせちゃんに会った番長君には凄くはっきり見えて、他のメンバーにはあんまりはっきり見えてない・・・確かに、りせちゃんに対する認識が深いほど、はっきり見えてるね」
完二「あー・・・あ?つまりどういうことスか?」
ラハール「そこまではわからん」
完二「またそれっスか」
番長「だからなんだで終わる話じゃないような気はするけど、やっぱり、何かわかることが増えるような情報じゃないな。今のところは」
ラハール「そうだな」
陽介「じゃあ、今はこれから俺達がどうするか考えようぜ」
雪子「私、りせちゃんの家わかるよ。多分だけど」
番長「本当か?」
雪子「うん。丸久豆腐店だと思う」
ラハール「・・・どうする?」
番長「行こう。りせの様子が気になる」
陽介「なら急ごうぜ。こうしてる間にも犯人が来てるかもしれねえ」
千枝「あ、ごめん。私と雪子、ちょっと職員室行かなきゃいけないから、先行ってて」
番長「わかった」
>-・・・・・・
:::【丸久豆腐店前】:::
陽介「な、何だこの人だかり?」
男性「駄目だ。りせちーいないや。いつもの婆さんがいるだけだ」
女性「マジ?やっぱただの噂か。帰ろ帰ろ」
ラハール「・・・」
陽介「人だかりが散ってく・・・ここにゃりせちーはいないってことか」
番長「一応、中まで入ってみよう」
完二「そっスね」
:::【丸久豆腐店】:::
陽介「すいませーん!」
りせ「はーい・・・」
陽介「え・・・」
りせ「あれ?あなた・・・」
番長「どうも」
完二「お前がりせ?」
りせ「そうだけど、何で呼び捨て?」
陽介「ほ、本物のりせちーだ・・・!」
りせ「・・・何?お豆腐買いに来たんじゃないの?」
陽介「えぇ?いや、違うって」
番長「がんもどき六つ下さい」
りせ「・・・がんもね」
ラハール「態度の悪い店員だな」
陽介「お前が人のこと言えるかよ」
りせ「・・・はい」
番長「どうも」
陽介「・・・おっと、本題忘れるところだったぜ」
りせ「本題?」
番長「最近、何か変わったことはないか?」
りせ「変わったこと?」
番長「例えば・・・誰かに見られているとか」
りせ「ストーカーとかってこと?そういうの珍しくないし、別に最近特にって感じはないと思うけど」
陽介「りせちーが、誘拐されるかもしれないんだ」
りせ「え?誘拐?」
完二「いきなりんーなこと言われても信じられねえよな」
陽介「けど、本当なんだ」
りせ「・・・わかった。気をつける」
番長「マヨナカテレビって、知ってるか?」
ガララッ
堂島「ごめんください」
番長「・・・」
足立「あれ?君確か・・・」
堂島「・・・ここで何してる?」
番長「がんもどきを買いに来ました」
堂島「・・・・・・お前、巽完二・・・」
完二「・・・」
ラハール「(おい、蹴散らすか?)」
陽介「(馬鹿やめろ!)」
陽介「お、俺達買い物に来ただけなんで、もう帰りま~す!ホラ、行くぞ!」
ラハール「・・・」
>-数分後
:::【丸久豆腐店前】:::
堂島「・・・」
足立「どうかしたんですか?堂島さん」
堂島「・・・今回、久慈川りせが次に犯人に狙われるかもしれないと感じたのは、言っちまえば俺の勘だ。捜査線上で調べたいくつかの状況を照らし合わせてみてはいるが、どれも特に根拠付けになるようなもんじゃない」
足立「はあ・・・?」
堂島「それを、事情も知らないはずの高校生達が先回りってのは、一体どういうことだ・・・?」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「堂島さんに、りせちーと会ってるところを見られた」
千枝「堂島さん?堂島さんって、番長君とこの?」
番長「・・・ああ」
完二「まずったっスね」
ラハール「下手すれば貴様が疑われるようなことになりかねんぞ」
番長「・・・そうだな。堂島さんは元々、俺達が何かをかぎまわっていることに勘付いていたみたいだから」
陽介「今回はよりによって、りせちーに、もしかしたら誘拐されるかもしれないって忠告した直後だ」
千枝「あちゃー・・・」
雪子「ど、どうするの?」
ラハール「・・・番長、貴様が決めろ」
番長「ああ。今日はもう、りせと接触するのは難しいかもしれない。明日改めて丸久豆腐店に張り込みをかけよう」
千枝「そうだね。それがいいかも」
>-6/23(木)
>-放課後
:::【丸久豆腐店前】:::
番長「りせはどうしてる?」
千枝「普通に店番中」
番長「そうか」
陽介「何も起きなきゃ、それが良いんだけどな」
雪子「そうだね」
ラハール「・・・オイ貴様、何か用か?」
番長「あれ?足立さん?」
足立「え?あ、いや、堂島さんに君達の監視を・・・ああ、いや、なんでもないよ」
ラハール「チッ・・・やはりそうなるか」
陽介「ま、しょうがねえさ。それに、発想変えてみろよ。警察が一緒なら頼もしいじゃんか」
完二「何でサツと一緒に張り込みなんか・・・」
雪子「まあまあ」
番長「・・・あれは?」
>-丸久豆腐店前の電柱に登って、中をカメラで見ている男がいる。
完二「オイ!何してんだテメ!」
怪しい男「や、やば・・・」
>-男は電柱を降りると、端って逃げ出した。
ラハール「逃がさん」
ドンッ
怪しい男「ええっ!?」
ガッ
完二「せ、先輩はえぇ!」
足立「ちょっと!乱暴はヤバイって!被疑者が怪我すると、警察は大変なんだ!」
ラハール「大人しくしろ」
怪しい男「な、なんだよ!?ただ僕はりせちーを!し、知ってるんだぞ!盗撮は罪にはならないんだ!」
完二「人殺しといてゴタゴタ言ってんじゃねえぞ!」
怪しい男「ええぇ!?なんの話・・・」
足立「話は書で聞こう」
ガチャ
足立「これ言ってみたかったんだよね~」
ラハール「・・・」
足立「後は警察に任せて、こいつはきっちり尋問させてもらうから」
怪しい男「じ、尋問!?な、なんでだよ!」
足立「しらばっくれんじゃないよ!君は連続殺人の容疑者なんだぞ!」
怪しい男「ええ!?}
足立「犯人逮捕、ご協力感謝します!それじゃ」
番長「はい・・・」
ラハール「・・・」
陽介「・・・これで、終わったってことか?」
千枝「あたし達、やった・・・のかな」
完二「俺、あんな情けねぇ奴に誘拐されたんすかね?」
陽介「どうだろな?スタンガンとか、睡眠薬とか、いきなり気を失わせて連れてく方法なんていくらでもあるし、今のあいつは俺達に見つかって、馬鹿っぽい奴のフリしてただけかもしれないし・・・」
雪子「怖いね・・・」
番長「あとは警察が調べてくれるよ。俺達は解散しようか」
ラハール「・・・」
千枝「りせちゃんの様子見ていかない?もう大丈夫だって教えてあげないと」
陽介「だな!」
:::【丸久豆腐店】:::
りせ「なんか昨日より増えてる」
千枝「ども」
番長「今、連続誘拐事件の容疑者が捕まったから、それを伝えに来た」
りせ「連続誘拐事件?」
番長「このへんであったんだ」
陽介「被害者のうち二人は、殺害されてる」
りせ「・・・それって、山野アナウンサーの?」
陽介「そうそう。次に狙われるのりせちーっぽかったからさ、ここの前で張ってたんだ。けど、もう捕まえたから、安心してくれ」
りせ「ふーん・・・」
ラハール「・・・一応、まだ用心しておけ。犯人が一人とは限らん」
陽介「おいおい、今不安にさせるようなこと言わなくて良いだろ」
番長「いや、ラハールの言うとおりかもしれない。容疑者は捕まったけど、一応用心しておいてくれ」
りせ「・・・わかった。ありがと」
番長「あと、せっかくだし、がんもどき三つ下さい」
陽介「このタイミングで買い物とか、お前の心臓どうなってんだよ?」
番長「いや、美味しかったし」
陽介「そ、そうか」
りせ「はい、がんも三つね。あと、これ」
番長「あれ?お豆腐?」
りせ「おまけしといてあげる」
番長「ありがとう」
りせ「いいよ。また買いに来てね」
陽介「り、りせちー・・・笑顔がまぶしい・・・!」
ラハール「アホか。帰るぞ」
番長「ラハール・・・皆も、ちょっと良いかな?」
:::【神社】:::
千枝「・・・これでほんとに終わったのかな?」
番長「・・・わからない」
陽介「ま、警察の取り調べの結果を待つしかないだろ。俺達は」
雪子「そうだね」
完二「大丈夫スかね。足立なんかに任して」
番長「足立さんが取り調べするわけじゃないだろうし、大丈夫だよ」
陽介「署まで行きゃ堂島さんもいるだろうしな」
ラハール「堂島・・・か。まさか貴様の伯父が警察だったとはな」
番長「ああ。どうも、俺達は犯人探しごっこをやってると思われてるみたいだ」
完二「ごっこねえ・・・ごっこだったら良かったんスけどね。俺等はマジだ」
番長「そうだな」
千枝「けど、これで終わりだったら・・・どうする?あたし達」
陽介「どうするって、どういうことだよ?」
千枝「う、うん・・・だって、犯人が捕まったとしてもさ、テレビの中の世界が危ないって状況は、変わらない・・・わけじゃん?」
陽介「そりゃそうだけど、犯人がいなきゃ悪用されることもないだろ?」
千枝「それだよ。犯人は、あたし達と同じ・・・多分、ペルソナ使いだよね」
陽介「えぇ?」
千枝「や、だってさ・・・」
ラハール「・・・なるほど」
陽介「ど、どういうこったよ?」
ラハール「犯人は、貴様等とは異なる何らかの形でペルソナ能力を得て、その結果テレビの中に人を入れることを可能にした。ならば、犯人が何故ペルソナに目覚めたのか知る必要があるな」
番長「そう。犯人がさっきの奴だったとしても、また別の形で能力を得た人が、第二第三の犯人になる可能性は残る。あの世界の悪用っていう可能性は、残るんだ。俺もそれを皆に伝えておきたかった」
雪子「そっか・・・そうだね」
陽介「なるほどな」
完二「つっても、どうすんスか?」
千枝「や、あたしに聞かれても・・・」
番長「今日は解散しよう。それで、また日を改めてクマのところに行ってみよう。今は警察の取調べの結果も待たなきゃいけないし」
陽介「だな。もし今回の事件がきっちりこれで終わりなら、改めてあの世界の調査をしようぜ。何かわかることがあるかもしれない」
番長「うん」
雪子「そうだね」
千枝「・・・」
ラハール「・・・番長、里中、少し良いか?話がある」
千枝「あたし?」
番長「俺も?」
陽介「どした?何か気になってんのか?」
ラハール「貴様は良い、先に帰れ」
陽介「え~?」
>-・・・・・・
番長「話ってなんだ?」
ラハール「・・・里中、先ほど貴様が、これから俺様達がどうするかという話をしていた時、貴様妙に暗かったな。あれは何故だ?」
千枝「あ・・・」
ラハール「気にな・・・ったわけではないのだが、その・・・な」
番長「気になったんだな?」
ラハール「や、やかましい!」
千枝「・・・なんか、寂しくなっちゃってさ。ああやって、皆で集まるのが終わりだと思うと」
ラハール「寂しいだと?」
千枝「今ね、あたしと雪子、色々やってんだ。料理の練習とか、色んな職業のこと調べたりとか」
ラハール「・・・」
千枝「雪子の今後のため・・・でもあるんだけど、あたし自身も、あたしが将来どうするのか考えとかなきゃいけないし」
ラハール「それと今の話と、何か関係があるのか?」
千枝「うん。そういう時期だけど・・・ううん、そういう時期だからこそ、何かみんなで集まってわいわいやるのって楽しくてさ。そういうのが、なくなるのかなーとか思うと」
番長「大丈夫だよ」
千枝「え?」
番長「別に、事件のことなんかなくても、俺達もう友達だろ?いつでも集まって、何かやればいいさ」
千枝「番長君・・・」
番長「ラハールもな」
ラハール「・・・は?」
番長「友達だろ?」
ラハール「ふ、ふざけるな!誰がだ!」
陽介「うんうん、番長の言うとおりだぜ」
千枝「わ、花村」
ラハール「悪趣味だな。盗み聞きか?」
陽介「だって気になるだろ。しっかし、お前が里中のこと気にするなんてな」
ラハール「だっ、誰が気になどしているか!」
番長「ラハールだろ」
陽介「だな」
ラハール「貴様等・・・!もう知らん!俺様は帰る!」
陽介「・・・ったくあいつは」
千枝「ちょ、ちょっと、怒って帰っちゃったけど、大丈夫なの?」
陽介「いやいや、あいつは怒ってなんかねえよ」
番長「そうだな」
千枝「え?けど・・・」
陽介「わかりにくい奴かもしんないけど、あいつは・・・なんつーか、好意を隠したがるんだよな」
千枝「好意?どういうこと?」
陽介「普通さ、俺達って、よくない気持ちのほうを隠したがるだろ?」
千枝「?」
番長「・・・例えが良くないけど、嫉妬とか、激しい羨望とかさ」
千枝「・・・あ、うん」
陽介「あいつは逆なんだ。誰かを好きって気持ちとか、楽しいって気持ちとか、そういうとこ、人に見せたがらないみたいだ」
千枝「そうなんだ・・・」
陽介「安心しろって。あいつが本気で怒ってる時は、黙って睨んでるか、低い声で静かにキレるぜ。逆にあいつが大声出してる時は、大体照れ隠しだ」
千枝「・・・そっか」
陽介「めんどくせー奴だよな。完二にはびびんなとか言っといてさ」
千枝「あはは・・・けど、なんでなんだろうね?ラハール君が、良い気持ちを隠したがるの」
陽介「なんで、か。そういや考えたことなかったな。あいつ、中々自分のこと話してくれないから」
番長「過去に、何かあったんだろうな」
千枝「過去・・・か」
番長「エトナさんなら知ってるかもしれないな。今度、それとなく聞いてみるよ」
陽介「お、頼むわ。直に聞いても、素直に答えてくれるとは思えねえし」
>-・・・・・・
:::【河原】:::
菜々子「あ、お兄ちゃんのお友達だ」
ラハール「菜々子・・・って、誰が友達だ!違う!」
菜々子「お友達じゃないの?」
ラハール「・・・!・・・し、知り合いだ知り合い」
菜々子「?」
ラハール「それより貴様、こんなところで何をしている?もう夕方だぞ」
菜々子「菜々子のお友達の家に行ってたんだ。今からおうちに帰るの」
ラハール「チッ・・・あまり遅くなるな。最近は物騒だからな」
菜々子「ご、ごめんなさい」
ラハール「あ・・・あーもう!俺様が家まで送ってやる!」
菜々子「ほんと?」
ラハール「いいからさっさと行くぞ」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
番長「・・・あ」
ラハール「あ」
菜々子「お兄ちゃんただいま!」
番長「おかえり。どうしたんだ?ラハール」
菜々子「あのね、おうちまで送ってくれたの!」
番長「・・・」
ラハール「・・・ちっ、違う!俺様はただの通りすがりだ!かっ、帰る!」
番長「まあ、そう言わずにウチに上がっていってくれ」
ラハール「は?何故俺様が」
番長「夕飯、一緒に食べよう」
ラハール「・・・は?」
>-・・・・・・
:::【堂島家・居間】:::
番長「堂島さん、今日は帰れないって。電話があったよ」
菜々子「そうなんだ・・・」
ラハール「(何故俺様はこんなところにいるのだ・・・)」
番長「お弁当、三人分買ってきてしまったから、ラハールがいて調度良かったよ。あ、陽介には連絡しといたから」
ラハール「貴様嫌に手際が良いな」
番長「なんか嬉しくてさ。ラハールが菜々子を送ってくれるなんて」
ラハール「だ、だから通りすがりだと言ってるだろ!」
番長「まあまあ」
菜々子「・・・けんか?」
ラハール「いや、違うぞ・・・これは・・・あの・・・」
番長「大丈夫だよ」
菜々子「・・・ほんと?」
ラハール「あ、ああ、そうだぞ。喧嘩などしとらん」
番長「うん。ご飯にしようか」
菜々子「あ、がんもどきだ!」
番長「美味しかったから、また買ってきたよ。りせの店で」
ラハール「・・・さっきの奴か」
菜々子「お兄ちゃん達、りせちゃんに会ったの?」
番長「うん」
菜々子「いいなー。菜々子もりせちゃんに会いたい」
ラハール「・・・会いに行けば良かろう」
菜々子「え?」
番長「そうだな。今度、一緒に行こうか」
菜々子「いいの?」
番長「うん。ラハールも一緒に」
ラハール「なっ・・・!」
菜々子「?」
ラハール「・・・・・・わかった、一緒に行こう」
菜々子「やったー!」
>-三人で楽しく過ごした。
>-・・・・・・
番長「菜々子は寝たみたいだ」
ラハール「はぁ・・・結局こんな時間までここにいるとは思わなかったぞ」
番長「せっかくだし、今日は泊まって行ってくれないか?」
ラハール「は?何故そうなる」
番長「いいじゃないか。さっきも、俺が風呂に入ってる間菜々子に付き合っててくれたし。そのお礼。今から帰るのも面倒だろ?」
ラハール「・・・」
番長「俺達の前では気丈にしてても、やっぱり堂島さんがいないと寂しそうなんだ。菜々子は」
ラハール「・・・そうか」
番長「今日はラハールがいたから、いつもより寂しくなかったみたいだ」
ラハール「・・・・・・そうか」
番長「俺の部屋に行こうか。テレビもあるし、今日のマヨナカテレビはそれでチェックしよう」
ラハール「よかろう」
:::【番長の部屋】:::
ラハール「随分小奇麗な部屋だな。陽介の部屋とは大違いだ」
番長「陽介の部屋は、あんまり片付いて無いのか?」
ラハール「酷い有様だ。最も、俺様は散らかっていたほうが落ち着くがな」
番長「そっか」
ラハール「・・・菜々子の奴は貴様がいない時、家でいつも一人なのか?」
番長「堂島さんが帰れる時は、堂島さんと一緒なんだけど、最近はどうも仕事ばっかりで・・・」
ラハール「チッ・・・」
番長「本当は俺も、菜々子をあんまり一人にしたくはないんだけど」
ラハール「・・・何もかも貴様がという訳にはいかんだろう。貴様には成すべきことがあるからな」
番長「そうだな」
ラハール「・・・」
番長「・・・菜々子は、物分かりの良い・・・いや、物分かりの良すぎる子なんだ。一人でいることに慣れてるし、留守番もちゃんと、一人で出来る」
ラハール「だが・・・内心寂しがっているのではないか?一人でいることを平気そうにしてはいてもな」
番長「・・・そうだな」
ラハール「た、たまには・・・たまにはだぞ!俺様も、菜々子に構ってやっても構わんぞ」
番長「え?」
ラハール「・・・奴を見ていると・・・俺様の妹のことを思い出す。物分かりの良いフリをして、内心誰よりも寂しがっていた・・・あいつのことをな。最も、最近は随分態度に出すようになってきていたが」
番長「ラハール・・・」
ラハール「・・・や、やはり今のは無しだ!忘れろ!」
番長「いや、駄目だ。無しにはしない」
ラハール「貴様・・・!」
番長「たまには、でいいから、菜々子と遊んでやってくれ」
ラハール「ま、まあ、たまにはな!・・・たまにはだぞ」
>-"ラハール"コミュのランクが"3"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-12時
:::【マヨナカテレビ】:::
りせ『マールキュン!りせチーズ!』
りせ『みなさーん、こんばんわ。久慈川りせです!』
りせ『この春からね、私進級して、いよいよ花の女子高生アイドルにレベルアップ!やたー!』
りせ『今回はですね、それを記念して、もうスゴい企画に挑戦しちゃいます!』
りせ『えっとね、この言葉、聞いたことあるかな?スゥ・トォ・リィッ・プゥ』
りせ『きゃあ、恥ずかしー!ていうか、女子高生が脱いじゃうのって、世の中的にアリ!?』
りせ『でもね、やるからには、ど~んと体当たりで、まるっと脱いじゃおっかなって思いますっ!』
りせ『きゃはっ、おっ楽しみに~!』
:::【番長の部屋】:::
番長「・・・録画しといて良かった」
ラハール「アホか。貴様わかっているのだろうな?」
番長「ああ、多分今回もシャドウが映ってる。つまり、昼間捕まえた男は犯人じゃなかった」
ラハール「犯人じゃなかったのか、早くも第二の犯人が現れたのか・・・いずれにせよ、りせはテレビの中の世界に入れられたと見て間違いあるまい」
番長「そうだな」
ラハール「チッ・・・未然に防げれば、それが一番マシなのだがな」
番長「けど、俺達みたいな一般人が、いつまでも人の家を監視してるわけにはいかないし・・・」
ラハール「わかっている」
番長「明日、早速テレビの中の世界に行こう」
ラハール「ああ。奴等を全員呼び出しておけ。俺様も手を貸してやる」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
シシリー「数々の天使の監視をくぐり抜け、ついに人間界への門に辿り着いたシシリー!」
フロン「あの~、いいから仕事しませんか?」
シシリー「しかし、そこで待ち受けていたのは、悪のラスボス。大天使フロンだった!」
デスコ「ラスボスデスか?呼びマシたか?」
フロン「すいません。呼んでないので帰ってください」
シシリー「待っててお兄ちゃん!絶対、会いに行くから!」
フロン「警備隊の皆さん出動してくださ~い。またシシリーさんの脱走で~す」
シシリー「次回、史上最強の妹シシリー!卑怯者の大天使!」
番長「・・・」
シシリー「まだまだぁ~!」
番長「・・・」
ラハール「・・・オイ、何か言ったらどうだ?」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・そっとしておこう。
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>213 >>216 本気のフロンちゃんという壁は厚いと思われます。
>>214 ありがとうございます。励みになります。
>>215 フロンちゃんは愛愛言っておきながら肝心なところで殿下に対して奥手なのがたまらないと思います。ある意味性悪ですね。
番長にとっての最大の敵はラハールかもしれない
ファミ通文庫での貧乳ハーレム的に
乙
フロンちゃんは基本アホの子だけど恋愛に関しては計算高い女なのかもしれない
愛ですよ!
愛を持って続きを待ってます
続き楽しみ
更新します。
>-6/24(金) 放課後
:::【テレビの中の世界】:::
クマ「クマー・・・」
ラハール「おいクマ」
クマ「皆が外で楽しそうにしてる間も~・・・クマは一人で考えごとしてたクマよ~・・・」
ラハール「そんな下らんこと知るか」
クマ「下らんとは何クマ!どーせ皆クマのことなんて忘れて楽しくしてたんでしょ!」
陽介「何だ?最近来なかったから拗ねてんのか?」
雪子「忘れてなんてないよ。時々は思い出してたから。時々は」
ラハール「貴様正直だな・・・」
クマ「クマは自分がなんなのか、ずっと考えてたクマ。けど考えてもやっぱり答えは見つかんないし~・・・」
番長「自分が何なのか、か。案外、難しいことなのかもな」
ラハール「難しいわけあるか。俺様は魔王ラハール様だ」
番長「・・・」
ラハール「何だ貴様その目は!」
千枝「今はそういう話してる場合じゃないでしょ?」
完二「そっスよ」
クマ「何かあったクマか?まーそうじゃなきゃだ~れもクマのところなんか来ないクマね~」
陽介「本格的に拗ねだしたぞ・・・」
ラハール「また一人、ここに来ているはずだ。死にたくなければさっさとそいつの所に案内しろ」
クマ「そうしてあげたいのは山々クマ。けど、その人の特徴が何かわからないと、その人の場所まではわからないクマよ。確かに誰かがきてるような感じはするけど~」
千枝「ってなると、また町で事情聴取?」
番長「・・・こっちにきた人は多分、久慈川りせ。アイドルだ」
クマ「アイドル?」
番長「けど、アイドルをやり続けることに疲れて、俺達の町に来ていた」
クマ「疲れる?何で疲れるクマ?」
番長「りせちーというアイドルを演じ続けること、そして誰もが自分のことをりせちーとして見てくることに疲れていたんだ」
陽介「お、おい。何でそんなこと知ってんだ?」
番長「・・・学校で、りせに会ったんだ」
陽介「いつのまに!?」
番長「りせの転入初日だな。帰りに偶然会って、家まで送っていった。その時に色々、話を聞いたんだ」
陽介「何て手の早い奴だ・・・けど、それマジ?今の話」
番長「辛そうにしていたからな・・・本当の話だと思う」
クマ「どういうことクマ?クマには話がよくわからんクマよ」
番長「本当の自分を、誰も見てくれないと悩んでいたみたいなんだ」
クマ「本当の自分?クマも、本当の自分がわからんで探してるクマ」
番長「案外、クマと同じような悩みなのかもな。本当の自分を見てくれないことに悩んでいるというよりも、一体何が本当の自分なのかわからないという風だったから」
クマ「・・・」
番長「探せるか?」
クマ「やるクマ!そのリセチャンを助けるクマよ!」
番長「よし、頼むぞ」
ラハール「(・・・本当の自分・・・か・・・)」
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・入り口】:::
陽介「な、なんじゃこりゃ?」
クマ「ここクマ!リセチャンはここにいるクマよ!」
陽介「ここってあれだろ?温泉街とか旅館とかの横に付き物な、大人のお店」
ラハール「?」
完二「お、大人の・・・!」
千枝「またこういう感じか~・・・」
雪子「あ、旅館って言っても、ウチには無いからね?」
ラハール「何をグダグダ言っとるんだ。さっさと行ってこい」
番長「・・・行ってこい?ラハールは?」
ラハール「行きたくない」
陽介「行きたくないってお前子供じゃないんだから」
ラハール「し、しかしあのムチムチが脱ぐのであろう?俺様には無理だ。耐えられん」
陽介「そうだよな!脱ぐよな!・・・って、違う!そうさせないために俺達は行くんだろ!」
番長「・・・本当にそう思ってるか?」
陽介「お、思ってるよ!?」
番長「・・・そうか」
雪子「花村君最低」
完二「ドン引きっスね」
陽介「何この集中砲火・・・」
千枝「花村、大丈夫。あたしはわかってるから」
陽介「里中・・・!」
千枝「男の子だもんね。仕方ないよ」
陽介「わかってるってそっち!?だから違うって!」
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・1F】:::
ラハール「離せ貴様!俺様を担ぐな!」
番長「駄目だ。戦力が多いに越したことはないからな」
陽介「もう観念しろよ。完二の時よりゃマシだろ?」
ラハール「どっちもどっちだ」
シャドウ「オォ・・・」
千枝「来たよ!」
完二「うお、これが・・・」
ラハール「チッ・・・もう降ろせ。俺様もやる」
番長「はい」
ラハール「はいじゃないだろアホが・・・だが、りせが自分を受け入れられない時の説得は貴様がやれ。俺様は戦いに手を貸すだけだぞ」
番長「・・・いつも通りじゃないか?」
ラハール「そうと言えばそうだな。まあいい、行くぞ!」
>-メガクール
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座3F】:::
>-手分けして探索することになった。
>-その階をある程度探索したら予め決めておいた場所に集まり、上に行く階段があったら次の階に行くという方法だ。
ラハール「完二のペルソナは随分と力があるようだな」
雪子「うん。けど、魔法はあんまり強くないみたい」
ラハール「それは貴様と俺様で補えば良かろう。りせと接触する階までは、このチーム分けで登って行けるはずだ」
雪子「そうだね。まあ、危なくなったら一旦引き返してあっちと合流すればいいし」
完二「・・・先輩ら、俺ん時も、こうやって登ってきたんスか?」
雪子「そうだよ。完二君の時は男の子達が皆嫌がって大変だったんだ」
完二「・・・そっスか」
ラハール「・・・どうかしたか?」
完二「いや、悪ぃなって・・・思って。俺なんかのために」
ラハール「・・・ならば、今度は貴様の番だ。精々体を張れ」
完二「ウッス!」
>-カッ
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・5F】:::
番長「まだりせは遠いか?」
クマ「そうクマね。リセチャン本人はまだまだ上クマ」
千枝「そっか。完二君、あっちチームでしっかりやれてるかな?」
番長「ラハールがいるし、色々手を貸してやってくれてるよ。きっと」
陽介「そうだな。あいつ何気に面倒見良いみたいだからさ」
番長「確かに」
千枝「へぇ~」
番長「昨日も、うちで菜々子の相手をしてくれてたんだ」
千枝「え、うちでって番著君ちで?」
番長「うん。昨日泊まっていったんだ」
陽介「お前からメールきた時は何事かと思ったぜ」
番長「昨日も堂島さん帰って来なかったから、ラハールが菜々子と遊んでくれて良かったよ。菜々子が楽しそうにしてたから」
千枝「そ、そんなイベントが・・・」
クマ「なんだか外の皆はクマそっちのけで楽しそうクマね~・・・」
陽介「おいおい、また拗ねだしたぞ」
番長「なんなら、クマも今度こっちに来たらいいんじゃないか?」
陽介「あ、それいいかもな。ウチでバイトしてけよ。子供客に受けそうだ」
クマ「そっちにクマか?クマ、行っても良いクマか?」
陽介「いんじゃねーの?テレビから出てくるとこ人に見られなければ」
千枝「っていうか来られるのかな?」
陽介「大丈夫なんじゃね?俺達だって行ったり来たりしてるわけだし」
クマ「センセイ。クマ、行っても良いクマか?」
番長「ああ。良いと思うぞ」
クマ「そうクマか・・・」
番長「・・・?」
>-なんだか、クマの反応が変だ。
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・7F】:::
>-皆で集まって休憩することになった。
ラハール「そっちは、何かりせのシャドウから接触があったか?」
番長「今のところないな。たまに声は聞こえてくるけど、直接会ったりはしてない」
雪子「じゃあ、こっちと同じだね」
完二「そっスね。俺ん時もこんな感じだったんスか?」
陽介「いや、完二の時はなあ・・・」
千枝「あんま思い出したくないっていうか・・・」
完二「あぁ?」
クマ「アァッハァ~ン、皆さん、ご注目ありがとうございむぁあす!ボ・ク、完二♪」
完二「な、なんだテメいきなり!」
クマ「完二のシャドウ、こんなだったクマよ?」
完二「う、嘘つけゴラァ!ざっけんじゃねえぞ!」
番長「残念ながら、そんな感じだったぞ」
完二「ま、まじかよ・・・」
雪子「か、完二君その顔面白い!」
完二「面白いってなんだよ!」
ラハール「・・・貴様等、能天気なのは構わんが、少しは休め。今回もまた、前回よりシャドウが強くなっている」
番長「確かに、ぞろぞろ沸いてくる奴等も、かなり手ごわくなってきたな」
クマ「たぶん、このへんで騒ぎがあるのを嗅ぎ付けた、ここから遠いところにいるシャドウ達も呼び寄せるようになったからクマね。何かこのへんで騒ぎがあるたびに、もっともっと遠くのところにいるシャドウ達も呼び寄せてしまってるクマよ」
番長「・・・厄介だな」
陽介「つーことは、事が起こる度にシャドウは強くなっていく・・・ってわけか。骨が折れるぜ」
千枝「頑張らないとね」
ラハール「番長、りせのシャドウが来たらどうする?早々にこちらから仕掛けてしまったほうが良いのではないか?」
番長「いや、やっぱり、出来ればりせにも自分と向き合って欲しい。見たくない自分を見ないままでいても、進歩はないから」
ラハール「・・・よかろう」
雪子「完二君の時みたいに、複数に襲ってこられたらどうしようか?」
番長「・・・そうだな。その時は、皆で固まって行動するより、多少わかれて戦ったほうが良いかもしれない。今わかれてるチームごとにわかれて戦おう。必要があれば、チーム分けは適宜考えるけど」
ラハール「・・・」
千枝「やっぱ、最終的には番長君をサポートする感じになるかな?」
陽介「ま、それも場合によるって感じじゃねーか?前回は複数の強敵っつー予想外のパターンがきたわけだし、今回も予想しないような戦いになるかもしんねー」
番長「・・・そうだな。基本的には俺が指示を出すけど、もし俺が指示を出せないような状況になったら、ラハールに指示を仰いでくれ」
ラハール「・・・おい、何故俺様だ」
番長「まあ、頼りになるし」
ラハール「そ、そうか・・・いや、だがな、やはり事が人間界で起きている事である以上、それを解決する中心は人間であるべきだ。俺様はあくまで手を貸してやっているだけ。もし貴様に何かあった時は、陽介が指揮を取るべきだ」
陽介「・・・えっ、俺?」
ラハール「番長の次に経験が長いのは貴様だろうが」
陽介「いや、つっても里中とはそんなに変わんねーぞ?」
千枝「ま、いいじゃん。あたしそう器用に頭回る子じゃないし」
陽介「それは確かにそうだな」
千枝「自分で言っといてなんだけど、納得されると腹立つな・・・」
クマ「クマはどうすればヨイ?」
番長「クマ?うーん・・・クマはいつもみたいに部屋の外とかで隠れて待ってれば良いんじゃないか?」
クマ「そんな寂しいこと言わないで欲しいクマ。リセチャンは本当の自分のことで悩んでる。クマだってそんなリセチャンのために何かしたいんだクマ!」
ラハール「・・・そうは言っても、貴様そのあたりの雑魚の相手すら出来んだろうが」
雪子「んー・・・じゃあ、りせちゃんを守ってあげて。私や完二君の時みたいに、体が辛くなっちゃうと思うから」
クマ「わかったクマ!」
ラハール「おい、何もこいつにやらせることはないだろ」
雪子「じゃあ、ラハール君がやる?」
ラハール「断る」
雪子「じゃあ、別にいいでしょ?」
ラハール「・・・好きにしろ」
完二「俺はどうすりゃいんスか?」
陽介「いやお前は普通に戦えよ。つかこの流れでどうすりゃって・・・お前大丈夫か?」
完二「あん?」
ラハール「使えることは俺様が保障してやろう。まあ、里中並みのアホであることも事実だがな」
千枝「ちょ、あたし並みってそれどういうことよ!?」
完二「?」
ラハール「そういうことだ」
千枝「そういうことってどういうこと!?」
番長「里中、そういうことだ」
千枝「だからどういうこと!?」
クマ「チエチャン、ソ~ユ~ことクマよ」
千枝「なんかクマにだけは言われたく無いぞ・・・!」
クマ「クマ差別いくない!」
雪子「よし、いこっか」
千枝「よくない。よくないよ雪子・・・けど、休めたし行こうか!」
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・11F】:::
千枝「・・・いた!」
陽介「本物も一緒か」
りせのシャドウ『キャーハハハハハ!!』
りせのシャドウ『見られてる!見られてるのね、いま、アタシ!』
りせ「やめて・・・」
りせのシャドウ『んもぉ!ホントは見て欲しいくせに!』
りせ「もうやめて!」
りせのシャドウ『ふふ、おっかしー。やめてだって』
ラハール「・・・!」
番長「落ち着け」
ラハール「・・・わかっておる」
りせのシャドウ『ざっけんじゃなわよ!』
りせ「!」
りせのシャドウ『アンタはあたし!あたしはアンタでしょうが!』
りせ「違う・・・違うよ・・・!」
りせのシャドウ「キャハハハ!ほら見なさい、もっとアタシを見なさいよ!アタシの全てを見て!』
ラハール「・・・帰っていいか?」
雪子「うん、駄目」
りせのシャドウ『これがあたし!これがホントのあたしなのよぉぉお!』
完二「いやどれだよ・・・」
りせのシャドウ『良い質問ね!芸能人のりせなんかじゃない!ここにいる、このアタシを見て!』
完二「あぁ?」
りせのシャドウ『ベッタベタなキャラ作りなんかして、ヘド飲み込んで作り笑顔なんてまっぴら!』
陽介「りせちー・・・」
りせのシャドウ『りせちー!?誰それ!?そんなヤツ、この世に居ない!!』
陽介「・・・!」
りせのシャドウ『あたしは、あたしなのよ!ほらぁ、あたしを見なさいよ!』
りせ「わ、たし・・・そんなこと・・・」
りせのシャドウ『さーて、皆さんお待ちかね。今から脱ぐわよぉ!丸裸のあたしを、目に焼き付けな!』
りせ「やめ、て・・・やめて!」
ラハール「おい、このままでは・・・」
番長「わかってる。わかってるけど・・・何を言ってやればいいのか」
ラハール「チッ・・・!」
りせのシャドウ『何でやめなきゃいけないの!?裸にでもなれば、ホントのあたしを見て貰えるでしょ!?何も着飾ってない、ホントのりせを!!』
りせ「あなたなんて・・・あなたなんて私じゃない!」
りせのシャドウ『うふふ・・・アハハハハ!オーッホッホッホッホ!』
番長「やるしかないか・・・皆、構えろ!」
ゴッ
りせのシャドウ『これで・・・あたしが、アタシィィィィッ!!』
りせ「な、なに・・・これ・・・!」
りせのシャドウ『我は影・・・真なる我・・・』
バッ
番長「よし」
りせのシャドウ『ちょっと、客がステージに上がって来ないでよ!!』
番長「受け止めろラハール!」
ラハール「なっ・・・!」
りせ「番長先輩・・・?・・・なんで・・・キャッ」
ラハール「なっ!投げるな!」
ガシッ
ラハール「ひいぃいいいい!?」
番長「りせはクマに任せてくれ!」
ラハール「降りろ!」
りせ「え・・・?・・・何・・・?」
クマ「リセチャン!こっちクマ!」
番長「よし、行くぞ」
ラハール「貴様後で覚えてろよ・・・は、吐きそうだ・・・!」
陽介「そこまでかよ。吐いてもいいけど、全部終わってからにしてくれよ」
>-カッ
>-・・・・・・
りせ「・・・これは・・・何なの・・・?」
クマ「リセチャン大丈夫クマか?」
りせ「頭が、痛い・・・あれは、あれは一体なに?」
クマ「・・・あれはリセチャンクマ。リセチャンが抑圧してきた、もう一人のリセチャン」
りせ「もう一人の、私・・・?」
>-・・・・・・
カッ
ラハール「・・・弱点が見当たらん。とはいえ、さすがに六人がかりだと楽だな」
番長「・・・」
りせのシャドウ『あぁ~あ、ヤなお客。踊り子に手ぇ出そうなんて』
雪子「このままいければ・・・!」
りせのシャドウ『いい加減邪魔なのよ!』
>-マハアナライズ
>-番長は能力を分析された!
>-ラハールは能力を分析された!
>-陽介は能力を分析された!
>-千枝は能力を分析された!
>-雪子は能力を分析された!
>-完二は能力を分析された!
陽介「なんだ?この光・・・!」
千枝「な・・・なんともない?」
完二「つまんねーフカシこいてんじゃねーぞ!」
>-カッ
>-ジオンガ
>-攻撃が当たりそうにない!
完二「あぁ!?」
りせのシャドウ『おさわりは禁止だから。キャハハッ!!』
ラハール「何をやっている完二!」
>-緋天無双斬
>-Miss!
ラハール「・・・!?」
>-メガクール
>-Miss!
>-メガウィンド
>-Miss!
>-攻撃が当たりそうにない!
ラハール「なんだと・・・!」
りせのシャドウ『禁止だって言ってるでしょ!?』
>-ガルーラ
ラハール「ぐっ!」
番長「分析・・・されたのか?」
ラハール「何?」
番長「さっきの光で、俺達全員の力を読み取られたんだ。それぞれに何が出来るか、何をしてくるかがわかっているから、完全に避けられている」
ラハール「チッ・・・!」
陽介「ど、どうすんだ?」
番長「・・・全員で、一斉に行くぞ!」
雪子「わかった」
千枝「よし!」
完二「行くっスよ!」
>-カッ
>-・・・・・・
りせ「・・・先輩達、戦ってる」
クマ「もう一人のリセチャン。リセチャンがそれを受け入れられないと、ああやって力と意志を持って大きくなってしまうクマ。周りのシャドウも取り込んで、強くなっちゃう。リセチャンは、もう一人の自分、受け入れたくないクマか?」
りせ「・・・私は・・・わかんない。わかんないよ」
クマ「あれは本当のリセチャンクマ。リセチャンが見ようとしてこなかったリセチャンクマよ」
りせ「本当の私・・・本当の私ってなんだろ。そんなもの、あるのかな・・・無いかも」
クマ「・・・無い・・・?」
りせ「私には、本当の自分だと思えるものなんて・・・どこにも・・・」
クマ「本当の自分なんて・・・無い・・・?」
>-・・・・・・・
>-攻撃が当たりそうにない!
陽介「ぜ、全然無理なんですけど」
番長「こんな・・・」
りせのシャドウ『観念しなさいよ!』
>-アギラオ
千枝「あ・・・!」
ラハール「チッ・・・!」
>-魔界横一文字
バシュッ
千枝「あ、ありがとラハール君」
ラハール「・・・もう何度もこうはいかん・・・こいつは各属性の魔法を使いこなしている。誰かが弱点を付かれれば、一気に包囲を崩されるぞ」
番長「・・・魔力はあとどれぐらい残っている?」
ラハール「・・・今のような真似は、精々あと二回が限界だ」
番長「・・・」
りせのシャドウ『ウフフ、もういい加減、諦めなさいよ!』
>-マハガルーラ
ラハール「何!?」
番長「っ!」
>-Weak
完二「げっ・・・!」
>-Weak
ラハール「番長!完二!」
番長「まずい・・・!」
>-One More
りせのシャドウ『次ィッ!』
>-マハラギオン
千枝「キャッ!」
>-Weak
陽介「里中!」
りせのシャドウ『次!次ィッ!』
>-マハブフーラ
>-マハジオンガ
ラハール「チッ・・・!」
>-魔界横一文字
バシュッ
ラハール「止め切れん・・・!」
ドッ
ラハール「くっ!」」
雪子「ラハール君!」
陽介「馬鹿!俺等をかばって無茶すんな!」
ラハール「べ、別に貴様等をかばってなど・・・おらん・・・!」
陽介「こんな時に意地張ってる場合かよ!」
>-・・・・・・
りせ「・・・私なんて・・・」
クマ「・・・」
りせ「・・・ううん。やっぱり違う」
クマ「リセチャン・・・?」
りせ「りせちーも、私も、あの子も、全部、本当の私」
クマ「・・・」
りせ「あの子と、話したい」
クマ「・・・わかったクマ!」
りせのシャドウ『キャハハハハッ!もうわかったでしょ!?最初から、アンタ達に勝ち目なんか無かったのよ!』
りせ「もう、やめて」
りせのシャドウ『何?また?もう遅いわよ』
クマ「そんなことないクマ!」
ラハール「クマ・・・無茶をするな・・・!」
クマ「クマは何の役にも立たんかもしれないクマ!それでもクマは、リセチャンのために何かしたいクマよ!」
りせのシャドウ『健気ねぇ!でも、そんなの無駄よ!』
>-マハアナライズ
りせのシャドウ『解析完了ォッ!』
ドンッ!!
ラハール「ぐっ!」
陽介「うあっ!」」
雪子「・・・あ・・・!」
番長「・・・・・・皆、逃げろ・・・」
ラハール「お、おい。貴様・・・」
番長「こいつは俺が食い止めるから・・・」
ラハール「ふざけるな!」
陽介「お前一人残して逃げるとか、ありえねぇから」
完二「・・・アンタを死なせるぐらいなら、俺が残ります」
クマ「し、死ぬとかそんなの駄目クマ!」
千枝「そ、そうだよ。皆で勝つ方法、考えよう」
雪子「千枝の・・・言う・・・とおりだよ」
千枝「雪子・・・」
雪子「千枝、ちょっと・・・手を貸して。一人じゃ・・・立てないの」
ラハール「チッ・・・!」
>-メガヒール
雪子「あ・・・」
ラハール「・・・今のが正真正銘最後の魔力だ。まだ立てる奴はさっさと立て。どうにかヤツを叩き潰すぞ」
りせのシャドウ『これで最後よ!』
>-マハアナライズ
クマ「あわわわ。クマどうすれば良い?センセイ!みんな!」
番長「・・・りせを連れて逃げろ」
クマ「そんな・・・クマ、また一人になるクマか・・・?」
りせ「私のせいで・・・こんな・・・」
クマ「リセチャン・・・もう、こうなったらやってやるクマよ!」
陽介「お、おい」
ラハール「阿呆!一人で前に出てどうするつもりだ!」
クマ「か、考えるより先に体が・・・どうすればヨイ?」
ラハール「アホか・・・」
クマ「こ、こうなったらやってやるクマ!クマの生き様、しかと見るクマ!」
バシュウウウ!
ラハール「な、なんだこのエネルギーは・・・!」
完二「おいクマ!何する気だ!」
クマ「ヌオオオオオッ!」
ラハール「クマーーーッ!」
>-カッ
>-・・・・・・
りせのシャドウ『・・・』
りせ「・・・わかってるよ」
りせのシャドウ『・・・』
りせ「本当の自分なんて、どこにもいない」
りせのシャドウ『・・・』
りせ「テレビの中のりせちーも、あなたも、私も、全部本当の私。全部あって、それで私だって」
りせのシャドウ『・・・』
りせ「確かに、辛かった。"りせちー"であることが。ううん、誰もが、私じゃなくて・・・"りせちー"を見ていることが」
ラハール「・・・」
りせ「だから私は、誰かに、私を見て欲しかった。本当の私を」
りせのシャドウ『・・・』
りせ「だけど、全部私なんだよね。"りせちー"も・・・あなたも」
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-りせは、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"ヒミコ"を手に入れた!
りせ「・・・これ・・・?」
番長「ペルソナだ。りせの」
りせ「私の・・・?」
千枝「あとで全部ゆっくり説明するから。今は・・・っ!?」
ラハール「この気配は・・・!」
クマ「本当の・・・自分・・・?」
陽介「ク、クマ無事だったか。ど、どうした?」
クマのシャドウ『"本当"?"自分"?』
番長「そんな・・・」
クマのシャドウ『実に愚かだ』
雪子「クマ君の・・・シャドウ・・・!?」
クマ「クマ?お、おわあっ!なんじゃあお前は!?」
クマのシャドウ『真実を得ることなど不可能だ』
ラハール「・・・」
クマのシャドウ『真実は常に、霧に隠されている』
千枝「あれがクマ君の内面・・・け、けど・・・何を言って」
りせ「・・・待って。あれは確かにクマ君だけど・・・何かの強い干渉を・・・」
完二「わ、わかんのか?」
クマのシャドウ『手を伸ばし、何かを掴んでも、それが真実だと確かめる術は決して無い。であれば、真実を求める事に何の意味がある?』
ラハール「・・・」
クマのシャドウ『目を閉じ、己を騙し、楽に生きて行く・・・その方が賢い生き方ではないか?』
クマ「な、何言ってるクマ!お前の言う事、全っ然わからんクマ!」
ラハール「・・・オイ、あれに干渉している何かの正体を探れんか?」
りせ「・・・やってみる」
クマ「クマの頭があんまり良くないからって、わざと難しいこと言ってるクマね!?クマはこれでも一生懸命自分が何なのか考えてるクマよ!」
クマのシャドウ『それが無駄だと言っているのさ。お前は初めから空っぽなんだからね』
クマ「!?」
クマのシャドウ『お前は心の底では気付いている。でも、それを認められずに別の自分を創ろうと必死になっているだけさ』
クマ「そ、そんな・・・」
クマのシャドウ『失われた記憶など、初めから無い。お前には、何も無い』
ラハール「・・・」
りせ「わ、わからない・・・見ようとしても、霧みたいなものが邪魔して・・・!」
ラハール「・・・わかった。無理はするな」
クマのシャドウ『お前が何かを忘れているとすれば、それは"その事"そのものに過ぎない』
クマ「そ、そんなの・・・ウソクマ・・・」
クマのシャドウ「ならば教えてやろう。お前の正体は、どうせただの』
クマ「やめろって言ってるクマ!」
クマのシャドウ『黙れ』
ドガッ!
雪子「クマさん!」
クマのシャドウ『お前達も同じだよ。真実など探そうとするから、辛い目に遭う』
番長「お前は一体、何なんだ?」
クマのシャドウ『ハハ・・・まだ知りたいというのか。真実を』
番長「・・・」
クマのシャドウ『では、一つ真実を教えてやろう・・・お前達はここで死ぬ』
ゴッ
完二「ま、まじか」
陽介「まさかの連戦かよ・・・!」
クマのシャドウ『我は影・・・真なる我・・・』
ズオッ
ラハール「クマ!」
千枝「ク、クマ君が・・・食べられた・・・!?」
りせ「・・・大丈夫、構えて」
完二「おいテメエ・・・んな体で戦おうってんじゃねえだろうな?」
りせ「戦うのは無理。でも、私には多分、観えるから」
完二「みえる・・・?」
りせ「ペルソナ」
>-カッ
クマのシャドウ『お前達の好きな真実を与えてやろう。ここで死ぬという、逃れ得ぬ定めをな!』
ラハール「・・・おい、どうする?」
番長「・・・一番強いのを呼ぶよ。ずっと溜めてたから、すぐにでも・・・けど、クマが食われたままだ。このままあいつを倒すと、どうなるか・・・」
りせ「・・・みえた。あの中で、クマ君と、別の何かがせめぎあってる」
ラハール「今、どちらが優勢だ?」
りせ「・・・・・・クマ君じゃないほう」
ラハール「チッ・・・おい番長、わかっているだろうな?」
番長「・・・ああ、クマを頼む」
ラハール「フン・・・」
陽介「お、おい、ラハール!?」
クマのシャドウ『何だお前は・・・』
ラハール「黙って入らせろ!」
バッ
クマのシャドウ『・・・自ら喰われるとは、愚か者達の中でも、飛び抜けて愚かなようだな』
>-・・・・・・
:::【???】:::
クマ「・・・」
クマのシャドウ『何故探そうとする?何も無い自分を』
クマ「・・・」
クマのシャドウ『諦めてしまえば良い。どうせお前には何も無いのだ。何も無いのなら、お前などいなくても良い』
クマ「・・・・・・」
クマのシャドウ『・・・素直だな。それで良い。お前には、初めから何も無いのだ』
ラハール「オイ、調子に乗るなよ」
クマ「・・・ラハール・・・?」
クマのシャドウ『何だお前は・・・人間がここに来られるわけが・・・いや、お前は・・・人間ではない・・・だが、俺とも違う・・・?』
ラハール「そんなことはどうでもよかろう。オイクマ。貴様ふざけるなよ」
クマ「・・・」
ラハール「貴様には何も無いのかもしれん。過去の記憶、本当の貴様、そんなものはどこにも無いのかもしれん」
クマ「・・・」
ラハール「だが、貴様は確かに生きている。今ここに生きているのだ」
クマ「・・・生きて・・・」
ラハール「そうだ。それの何が不満だ?どうでもいいでは無いか、初めから何も無くても。大体だな、どんなヤツだろうと、初めは何者でもない。生きて行く内に、自分が何者なのかを見つけていく。俺様が宇宙最強の超魔王になったようにな」
クマ「・・・クマは・・・生きてる・・・」
ラハール「わかったらさっさと意識をはっきりさせろ!自分が何なのか知りたい。貴様にはそれだけか?他には何も無いのか?」
クマ「・・・クマは・・・そっちの世界に・・・皆のいる世界に・・・行ってみたいクマ・・・」
ラハール「・・・」
クマ「・・・ヨースケと・・・センセイがね・・・きても良いって・・・言ってくれたんだクマ・・・」
ラハール「なら、さっさと行くぞ。奴等が待っている」
>-・・・・・・
:::【特出し劇場丸久座・11F】:::
ラハール「はあっ!」
ドンッ
番長「・・・おかえり」
ラハール「連れて来たぞ。アホを一匹な」
クマ「あれ?ここは・・・」
番長「・・・ボロボロだな」
ラハール「う、うるさい!連れて来たんだから文句を言うな!」
番長「いや、クマじゃなくて、ラハールが」
ラハール「ま、まあ慣れない空間だとどうしても・・・ってそんなことはどうでもいい!さっさとやれ!」
番長「ああ。来い、スルト」
>-カッ
>-ラグナロク
-・・・・・・
クマ「クマ~・・・」
雪子「クマさん、大丈夫?」
千枝「クマ君にも、あったんだね。抑え込んでた気持ちが」
クマのシャドウ『・・・』
クマ「クマは、自分が何なのかわからんでずっと悩んでた」
クマのシャドウ『・・・』
クマ「確かに時々、本当の自分なんて何にも無いのかも・・・なんて気もしてたクマ」
ラハール「・・・」
クマ「けど、クマはココにいるクマ!今ココに生きてるクマよ!」
番長「・・・これからは、俺達も考えよう。クマのために」
千枝「そうだね。あたし達、よく考えたらクマ君に頼ってばっかりだったし」
陽介「だな。一緒に探そうぜ。クマ」
クマ「・・・皆も、本当のクマを探してくれる?」
ラハール「まあ、この世界のことについて調査していれば、いずれその過程で貴様の正体の手がかりが見つかるかもしれんしな。だが、進んで貴様に力を貸すつもりはないぞ。少なくとも俺様はな」
完二「そう言わねえで、手ぇ貸してやりゃいいじゃないスか。もうダチなんだからよ」
番長「いや、完二、ラハールのそれは照れ隠しだから」
陽介「そうそう」
ラハール「なっ、何が照れ隠しだ!」
クマ「センセイ・・・ラハール・・・完二・・・皆・・・」
クマのシャドウ『・・・』
>-支えあう仲間への想いが、立ち向かう"力"へと変わる・・・
クマ「クマ?何コレ何コレ?」
雪子「も、もしかして・・・クマさんの?」
>-クマは、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"キントキドウジ"を手に入れた!
クマ「これ、クマの・・・ペルソナ?」
りせ「それ、すごい力、感じるよ・・・よかったね、クマ・・・」ガクッ
千枝「りせちゃん!?」
番長「・・・限界、だな」
雪子「そ、そうだよね。いきなり力使わせちゃって・・・」
陽介「とにかく、さっさと戻ろうぜ」
番長「天城、里中、悪いけどりせのこと、家まで送って行ってやってくれ」
雪子「うん」
千枝「任せて」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
>-・・・入り口まで戻ってきた。
ラハール「・・・オイ、俺様達はあっちに戻る。貴様も来るか?」
クマ「しばらく一人にして欲しいクマ」
陽介「オ、オイ・・・」
クマ「自慢の毛並みもカサカサだし。体を鍛えなおしたいクマ」
ラハール「は?」
クマ「毛が生え変わるまで、激しくトレーニングに励むクマ!あ、そーれ!フン!フン!」
ラハール「・・・」
完二「そっとしといてやりましょう。男には、一人でやんなきゃならない時ってのがあるんスよ」
ラハール「・・・そうか」
千枝「そ、そんな深い意味のある話?」
クマ「フン!フン!」
りせ「・・・」
陽介「と、とにかく、早くりせを送って行かねーと。クマ、俺達もう行くぜ?」
クマ「話かけないで欲しいクマ!あ、そーれ!フン!フン!」
番長「頑張れよ、クマ」
クマ「クマーッ!」
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
番長「じゃあ、里中、天城。りせを頼むぞ」
千枝「うん」
雪子「皆も気をつけて帰ってね」
ラハール「・・・いろいろと貴様と話したいことはあるが、機会を改めよう。どうやら、さすがの貴様もボロボロのようだからな」
番長「・・・それ、さっきの仕返しのつもりか?」
ラハール「フン・・・なんの話かわからんな」
陽介「ボロボロなのはお互い様だろ?」
番長「確かにな。じゃあ、また明日」
ラハール「ああ」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「っあー・・・風呂入ってきただけで体が溶けそうだぜ」
ラハール「・・・」
陽介「さすがに今回は駄目かと思ったもんなー・・・」
ラハール「りせのシャドウの時か。まあ、番長の奴は力を溜めながら、反撃の機会を探っていたようだったがな」
陽介「マジ?毎度毎度すげーヤツだぜ・・・」
ラハール「俺様達の戦力増強より、シャドウ達の強くなる速度のほうが上だ。ここらで一度、レベリングしておくべきだろうな」
陽介「レ、レベリング?何言ってんだ?」
ラハール「・・・いい、さっさと寝ろ。話は明日だ」
陽介「言われなくても、今日は死んだように眠れますよ・・・」
ラハール「(・・・・・・本当の・・・自分・・・か)」
>-次回予告
>-がんばれ女の子
シシリー「そこをどいて!フロンさん!」
フロン「駄目です!っというかまだ言ってるんですか!?」
シシリー「私とお兄ちゃんの愛を邪魔するというのなら、いくらフロンさんが相手でも容赦はしないわ!」
フロン「もお~~~いい加減にしてくださ~~~い!」
シシリー「フ、フロンさん・・・?」
フロン「私だってラハールさんやエトナさんに会いに行きたいですよ!それを、んもお~~~!なんですかシシリーさんばっかり!」
シシリー「い、いや、あの・・・」
フロン「私も人間界行きた~~~い!!」
シシリー「あの・・・ごめんなさい」
フロン「ふぐぅ・・・!」
シシリー「あ~・・・えっと、次回!天使な妹シシリー!【やっぱり仕事は大事】!」
フロン「ラハールさ~ん・・・エトナさ~ん・・・!」
シシリー「また見てね~♪」
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「・・・!?」
マリー「どしたの?」
エトナ「な、なんか寒気が」
今回はここまでです。乙ありです。
>>238 殿下はなんだかんだで愛されるお方ですからね。
>>239 フロンちゃんは何気に奥手というか、意外と素直じゃないんですよね。そこがいいんですけど。
>>240 >>241 お待たせして大変申し訳ない。次回はもうちょい早くきます
更新待ってた乙
更新します。
>-6/25(土) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
完二「ウィース」
千枝「お、完二君おつかれー」
完二「あれ?天城先輩来てないんスか?」
千枝「うん。学校にはどうにか来てたけど、もう力尽きて帰っちゃった」
陽介「昨日はきつかったもんなー」
ラハール「情け無い奴だな」
陽介「無茶言うなよ。普通の人間は、一晩寝ただけで全快とかしねーから」
千枝「私も体中ガタガタだよ~」
陽介「ほらな。体力馬鹿の里中ですらこうなんだ。普通の人間だと、体起こせないぐらいでも不思議はないぜ?」
千枝「誰が体力馬鹿だって?」
完二「俺ぁ割と平気スけどね。昨日は確かにきつかったっスけど」
番長「俺も、もう万全だな」
陽介「どんな体してんだよお前等・・・」
番長「・・・ま、まさか・・・見たいのか?俺達の体」
完二「えっ」
陽介「んなわけあるか!完二じゃあるまいし」
完二「テメそれどういう意味だ!?だから違ぇっつってんだろ!」
ラハール「・・・久慈川はどうなんだ?奴はペルソナを得たその日に能力を使っていたんだぞ。ペルソナを得ただけの天城や完二ですら、最初は学校を数日休んだほどだ」
番長「・・・気になるのか?」
ラハール「べ、別にそういうわけじゃない!」
陽介「じゃあどういうわけだよ。けど、確かにラハールの言うとおりかもな。実際どうなの?」
千枝「え、いやあたしに聞かれても・・・」
陽介「おいおい。昨日家まで送って行ったんだろ?」
千枝「まあそうだけど、家に送ってくまではとりあえず意識はあった。けど、あたしと雪子は、りせちゃんのお祖母ちゃんとしばらく話してから帰ったし、その後の様子はわかんないよ」
完二「学校にゃ来てなかったみたいスね」
陽介「そっか・・・」
ラハール「・・・」
番長「心配してるのか?」
ラハール「だ、誰がだ!」
番長「え、いや、陽介が」
ラハール「ぐっ・・・!」
陽介「まあ心配だな。けど、天城や完二の時みたいに、意識がはっきりしてたってんなら、何日か休めば大丈夫だろ」
番長「そうだな」
陽介「クマの奴は平気だろうけど、りせちーや天城は心配だな。早く元気出せるといんだけど」
千枝「雪子も今日は辛そうだったもんね・・・」
番長「色々話したかったけど、今日はやめておこうか。話し合うなら天城の意見も欲しいし、里中も陽介も疲れが残ってるみたいだから」
ラハール「・・・そうだな」
>-少し雑談をしてから解散した。
>-6/26(日) 朝
:::【沖奈市・海】:::
ラハール「・・・」
番長「陽介は来ないって?」
ラハール「ああ。さすがに明日にでもなれば元の調子に戻るだろうが、やはり奴も随分と堪えているようだな。それより・・・」
エトナ「?」
ラハール「何故こいつを連れて来た?」
番長「いや、暇そうだったから」
エトナ「なんです?アタシがいちゃ不都合でも?」
ラハール「・・・別にそういうわけではないが」
マリー「ねえ、これどうやって使うの?」
菜々子「わかんない。お兄ちゃ~ん」
番長「ああ。餌を付けようか」
エトナ「しっかし、釣りなんか何が楽しいんです?」
ラハール「知るか。俺様は呼ばれたから来てやっただけだ」
完二「先輩、釣りとかするんスね」
番長「ああ。けっこう、頻繁にな。この間、河のヌシを釣り上げたよ。そろそろ海のヌシだな」
完二「へぇ~」
番長「あ、ラハール。引いてるぞ」
ラハール「ど、どうすればいいのだ?」
エトナ「殿下、リール巻いて下さい。それですそれ」
ラハール「む・・・」
エトナ「殿下、逆!」
番長「じゃあ俺はタモを」
ラハール「き、きたぞ!」
サバッ
番長「お、イワシだな。普通はもう少し沖まで行かないと釣れないんだけど、群れからはぐれてこの辺まできたのかな?」
:::【魔界】:::
ヴァルバトーゼ「!?」
フェンリッヒ「閣下、どうかなされましたか?」
ヴァルトーゼ「今誰かに呼ばれたような気がした」
:::【沖奈市・海】:::
ラハール「お、おい。どうやって針を外せばいいのだ?」
番長「ああ、俺がやるよ。ほら」
ラハール「おお・・・」
エトナ「クーラーボックスに入れときましょうか」
菜々子「お、お兄ちゃん助けて!なんかきた!」
番長「よし、任せろ!」
マリー「ちょ、君!こっちも!」
番長「同時には無理だな。よし、完二、手伝ってやるんだ」
完二「お、俺スか!?」
ラハール「・・・」
エトナ「どうしました?」
ラハール「いや・・・何でも無い」
完二「おっしゃあ!」
マリー「やるじゃん。顔怖いクセに」
完二「か、顔怖いのは関係ねぇだろ!」
マリー「魚・・・魚か」
完二「?」
エトナ「何?またポエム?」
完二「あ?ポ、ポエ?」
マリー「なっ・・・や、違うし!」
ラハール「・・・」
菜々子「お兄ちゃんすごーい!」
番長「だろ?」
ラハール「・・・・・・こ、これは!?」
エトナ「あれ、どうしました殿下?」
ラハール「す、すさまじい引きが・・・おい、番長!」
番長「この引きは・・・ヌシか!?」
>-皆と楽しく過ごした。
番長「そろそろうちに戻ってお昼にしようか」
エトナ「手伝うよ。魚はどう使う?」
番長「生はちょっと怖いから、火を通そう。味噌汁、塩焼き、天ぷらとかかな。残った魚は一旦冷凍して・・・」
エトナ「天ぷら?油使うの?」
番長「面度だけど、釣りたて揚げたてはうまいぞ?」
エトナ「まあねぇ」
菜々子「菜々子も、何かお手伝いする」
番長「じゃあ、菜々子にはサラダとかおにぎりを作ってもらおうかな」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
完二「う、うめえ・・・!」
千枝「な、泣くほど?・・・あむっ・・・!?・・・凄いこれ。これはちょっと敵わないな」
陽介「お前の場合は敵わないとか以前の問題だろ。つか、マジうまいな」
雪子「もっと早く呼んでくれれば、お料理手伝ったのに」
陽介「早く呼ばなくて良かったな、マジで」
雪子「それはどういう意味?」
陽介「察してくれ」
ラハール「・・・おい、釣りに来て無かった奴等は少しぐらい遠慮したらどうだ」
陽介「いや~、昼まで寝てたから腹減っててさあ」
千枝「同じく」
エトナ「いいじゃないですかケチくさいこと言わなくても」
ラハール「全く・・・」
陽介「ってそうだ。あまりの美味さに反応遅れたけど、あの子何者だ?またお前の知り合いか?」
マリー「・・・」
ラハール「いや、こいつは・・・」
エトナ「殿下のっつーか、まあアタシと番長の?」
陽介「え?」
番長「ベルベットルームの住人なんだ」
完二「へ~」
菜々子「?」
マリー「・・・君、アホの花村でしょ?エトナから聞いてる」
陽介「あの、エトナさん、いい加減アホはやめません?」
エトナ「え?なんでよ」
陽介「なんでって・・・」
千枝「あたし里中千枝。あなたは?」
マリー「・・・マリー」
千枝「へ~、マリーちゃんていうんだ」
雪子「私、天城雪子。よろしくね」
マリー「あ・・・うん」
番長「マリーは、自分を探しているらしい」
雪子「自分を?」
エトナ「詩人だねぇ。あ、詩人か」
マリー「ばっ・・・だからアレは違うってば!」
番長「ベルベットルームに来る前の記憶が、無いらしい」
マリー「・・・」
完二「そうなんスか。クマみたいなもんスかね?」
菜々子「クマ?クマってなあに?」
ラハール「クマはクマだ」
菜々子「?」
陽介「クマとは違って、マリーちゃんは人間だろ?」
エトナ「人間とは違う気がすんのよね。かと言って何か力を感じるわけでもないのが妙なんだけど」
雪子「え?人間、じゃないの?」
エトナ「なんか気配違うしね。あんた等とは」
番長「まあ、ベルベットルームにいる他の人達も、どこか人間っぽくないしな」
千枝「ふ~ん」
陽介「それにしても、記憶が無い・・・か」
番長「ああ。それで、何か記憶を取り戻す鍵になるようなものがないかと思って、時々ベルベットルームの外に連れ出してるんだ」
千枝「なるほど・・・」
陽介「じゃあそれ、俺も協力するぜ。マリーちゃん、色々遊びに行こう!」
ラハール「・・・!」
マリー「別に・・・いいけど」
千枝「花村?」
陽介「や、もちろん皆さんご一緒にですよ?」
マリー「・・・いいの?」
千枝「あー、ま、いんじゃない?あたしも協力するよ」
雪子「私も」
完二「・・・なに俺のほう見てんスか?皆して。え、俺もスか?」
陽介「そういう流れじゃね?」
完二「・・・まあ、別にいいスけどね。遊びついでで良いんしょ?」
陽介「妙な遊びはさせんなよ?」
完二「妙ってなんだよ」
陽介「や、まあ、暴走とか?」
完二「させねえよ。つか俺もしてねえよ」
雪子「・・・・・・あれ?ラハール君、どうしたの?」
ラハール「帰る」
陽介「え?おい・・・」
エトナ「・・・はぁ」
マリー「わ、私、なんか怒らせた?」
エトナ「いや・・・」
陽介「俺、ちょっと行ってくる」
エトナ「駄目。アタシが行くよ」
陽介「け、けど・・・」
エトナ「アタシにはわかんのよ。今はアンタじゃ駄目ってのがね」
陽介「エトナさん・・・」
>-・・・・・・
菜々子「なんだか、ラハールさん・・・苦しそうだった」
雪子「え?」
番長「苦しそう?菜々子、それは、どういうふうに?」
菜々子「・・・わかんない」
千枝「体調でも悪かったのかな?」
番長「そんな感じじゃなかったけど・・・まあ、エトナさんに任せよう」
陽介「・・・」
>-・・・・・・
:::【鮫川河川敷・川原】:::
ラハール「・・・何か用か?」
エトナ「あら、気付いてたんですか?アタシがついてきてたの」
ラハール「・・・・・・ここ最近、低いレベルでい続けた影響だろうな。随分と気配に敏感になった」
エトナ「ふ~ん」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・俺様は、何か用かと聞いたのだぞ?」
エトナ「用があるのはそっちでしょ?殿下は、あの場で一人で帰るとか言い出したら、アタシか花村がついてくるだろって思ってた。違います?」
ラハール「チッ・・・」
エトナ「用がないなら、アタシ帰っちゃいますけど?」
ラハール「・・・貴様は、何故そんなに呑気にしていられるのだ?」
エトナ「えぇ?」
ラハール「・・・」
エトナ「殿下、アタシはフロンちゃんじゃありませんから。殿下が何考えてんのか一から十までわかるわけじゃないですからね?」
ラハール「・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「マリーとかいう奴の記憶を取り戻すために、奴等が皆、協力するという話に自然な流れでなること。俺様はそれを不愉快に思った」
エトナ「余計なことをって感じですか?」
ラハール「・・・ああ」
エトナ「ありゃ花村の単なる下心でしょ?マリーちゃんと仲良くしたいってのがミエミエなんですよ」
ラハール「・・・奴はアホだがな、アホなだけの奴ではないぞ」
エトナ「あら・・・」
ラハール「陽介もだが、奴等全員に言えることだ。奴等はアホだが、アホなだけの奴等ではない」
エトナ「・・・それで?結局何が言いたいんです?」
ラハール「奴等はお節介だ。そしてアホのように呑気だ」
エトナ「はあ」
ラハール「無駄に楽しそうで・・・無駄に明るくて、無駄に前向きだ」
エトナ「・・・」
ラハール「まるでどこぞのアホ天使のようにな」
エトナ「・・・それで?殿下はそれをどう思ってるんですか?」
ラハール「・・・奴等のことを、奴等と一緒にいてやることを・・・悪くないと思いかけている」
エトナ「・・・」
ラハール「俺様はそれが、駄目だと・・・その・・・」
エトナ「それでいてもたってもいられなくて逃げ出した、と?」
ラハール「・・・」
エトナ「はぁ・・・こないだのアタシ絡みの騒動で、ちょっとはマシな奴になったと見直してたんですけどねえ。殿下のこと」
ラハール「なっ、何だいきなり!大体、貴様も悪いのだぞ!」
エトナ「え、アタシ?」
ラハール「奴等といて普通に楽しそうにして・・・あ、悪魔としてのプライドはないのか!貴様らしくないのではないか!?」
エトナ「・・・はぁ、アタシはフロンちゃんじゃないですから、こういう言い方しかしませんけどね。らしくないのは殿下のほうですよ?」
ラハール「何だと!?」
エトナ「ったく面倒な性格ですよね殿下も・・・」
ラハール「貴様・・・!」
エトナ「付き合ってらんないんで、アタシ、もう帰ります」
ラハール「おっ、おい」
エトナ「・・・番長にでも相談してみるんですね。今の会話、全部伝えて」
ラハール「な、何故人間なんぞに!」
エトナ「今の殿下の妙な気持ちも、"人間界で起きてる事"なんで。人間にどうにかして貰うのが筋ってもんですよ。つか、ぶっちゃけアタシ殿下のそんなとこ・・・見たくないんで」
ラハール「・・・」
エトナ「フロンちゃんなら、殿下と一緒になって考えてくれるんでしょうけどね。アタシは弱い殿下になんか興味ないですから」
ラハール「・・・や、奴のことは・・・今は関係ない・・・」
エトナ「・・・じゃ」
ラハール「ま、待て!」
エトナ「まだ何か?」
ラハール「お前は・・・どう、なのだ?」
エトナ「どうって、何がです?」
ラハール「奴等と・・・あの人間共と、いて」
エトナ「アタシゃ楽しんでますよ?こう賑やかなのも久々ですしね。特にフロンちゃん達が天界に行ってからは、静かなもんでしたから」
ラハール「・・・!・・・そうか・・・」
エトナ「じゃ」
ラハール「・・・ああ」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
菜々子「あれ?ラハールさん?」
ラハール「菜々子、番長はいるか?」
菜々子「うん。お兄ちゃ~ん」
番長「・・・ラハールか」
ラハール「・・・」
菜々子「大丈夫?具合、悪いの?」
ラハール「・・・いや、そうではないのだ。すまんな」
番長「俺の部屋で話そうか」
ラハール「ああ」
>-・・・・・・
:::【堂島家・番長の部屋】:::
ラハール「陽介達はどうしたのだ?」
番長「食うだけ食ったら帰って行ったよ。やっぱりまだ、皆疲れが残ってるみたいだな。天城と里中は、洗い物手伝ってくれたけど」
ラハール「・・・そうか」
番長「皆、ラハールのこと、心配してたぞ」
ラハール「・・・いらん世話だ」
番長「・・・そうかな?」
ラハール「何だ貴様、何が言いたい?」
番長「いや・・・」
ラハール「・・・」
番長「聞いても良いか?何があって、エトナさんとは何を話してきたんだ?」
>-・・・ラハールの口取りは重かったが、溢れる"根気"と"寛容さ"で全てを聞き出した!
ここで宣伝!!
芦花[今から風間さん争奪戦をやりたいと思います]
すごくおもしろいSSなので是非ともご覧ください
番長「・・・そんなに、駄目なことか?俺達と一緒にいて、それが楽しいと感じることって」
ラハール「悪魔らしくはないからな。良い奴とか、明るい奴とか、そんな奴等と一緒にいてやることなど」
番長「・・・ラハールの家来には、いなかったのか?俺達みたいな奴」
ラハール「いるにはいた。だが、俺様はこう見えて家来には寛容なのだぞ?どんな駄目な奴等でも、使ってやるという器量が魔王には必要だ」
番長「いや、寛容には見えてるよ。エトナさんとの関係とか見てるとさ」
ラハール「奴は・・・!・・・い、いや・・・何でも無い」
番長「特別だ、とか、言おうとした?」
ラハール「そんなワケあるか!」
番長「・・・まあいいけど、今までだって、良い奴と一緒にやってきたこともあったんだろ?」
ラハール「・・・一応な」
番長「じゃあ、別に俺達と一緒にいても良いんじゃないか?それを楽しいと感じても」
ラハール「貴様等は別に、家来ではないからな。俺様が寛容になってやる理由など、本来なら無いはずなのだ」
番長「けど、俺達に対して寛容になってる自分がいる。そういうことか?」
ラハール「・・・ああ」
番長「・・・」
>-・・・一つ気になるのは・・・
番長「エトナさんは、ラハールらしくないって言ってたんだよな?」
ラハール「そうだな。どういうつもりかは知らんが・・・」
番長「ラハールってさ、やりたいことをやりたいようにやる。そういう奴じゃ、ないのかな。俺の主観だけど」
ラハール「やりたいことを・・・やりたいように・・・まあ、俺様は魔王だからな。俺様は俺様の好きなように生きてきたぞ。例えそれがどんな我がままでも、力で押し通して強引にな」
番長「そっか。じゃあ、それだな」
ラハール「・・・どういうことだ?」
番長「悪魔らしくとかさ、そういうつまんないことに縛られて、ラハールの好きなようにやらないのって、ラハールらしい?ラハールらしくない?」
ラハール「・・・それは・・・」
番長「俺は・・・朝、釣りしてた時、ラハールは楽しそうしてたと思うんだ。あと、さっき皆で飯食ってた時も、途中まではさ」
ラハール「・・・まあ、そうだな。楽しく、とまでは言わんが・・・悪くはなかったぞ」
番長「じゃあ、良いだろ。それで」
ラハール「だが」
番長「悪魔らしくとか、悪魔らしくないとか、そんなことよりも、ラハールが今どうしたいのか。どういうふうにしていきたいのか。それが大事なんだと思う」
ラハール「・・・」
番長「ラハールがやりたいことを、ラハールがやりたいようにやる。それが、お前らしさなんだろ?」
ラハール「俺様、らしさ・・・」
番長「素直にやってれば、いいんじゃないか?素直になれないことも、いくつかあるかもしれないけど」
ラハール「・・・そうか。だから奴は・・・殿下のほうこそ、らしくないなどと・・・」
番長「少しは、楽になったか?」
ラハール「ああ。礼を・・・礼は言わんが、たすか・・・助かったわけでもないが・・・その・・・」
番長「楽しく、やろう」
ラハール「・・・ああ」
>-"ラハール"コミュのランクが"4"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-夕方
ラハール「・・・あ・・・もう、こんな時間か」
番長「夕飯、食べていくか?」
ラハール「いや、生意気にも陽介風情が、この俺様のことを心配しておったのだろう?今日はもう、帰らせてもらうぞ」
番長「・・・そっか、そうだな」
:::【堂島家・玄関】:::
菜々子「帰っちゃうの?」
ラハール「すまんな、ウチで陽介が待っておるのだ。奴に構ってやらねばならん」
菜々子「・・・もう、大丈夫?」
ラハール「貴様、この俺様のことを心配しておったのか?そんなものは不要だ」
菜々子「元気、出たんだね」
ラハール「む・・・く、そ、そうだ!悪いか!」
菜々子「良かった」
ラハール「(ど、どうもこいつだけはやりにくいな・・・!)」
番長「陽介によろしく」
ラハール「ああ」
菜々子「・・・ばいばい」
ラハール「ああ。今日は帰るが、また貴様に構ってやるからな」
菜々子「うん!」
番長「・・・ラハール、早く帰れ」
ラハール「な、なんだ貴様その殺意のこもった笑顔は・・・い、言われんでも帰る!」
>-・・・・・・
菜々子「ラハールさん、元気出たんだね。良かった」
番長「そうだね」
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「ふ~ん。多少は殿下も素直になれたか。ま、アタシにゃ別に関係ないけどね~」
番長「・・・」
エトナ「な、何よその目つきは」
番長「弱い殿下には興味ない・・・とか、言ってたんですよね。エトナさん」
エトナ「だっ、だから何!?」
番長「強いラハールになら、どうなんですか?」
エトナ「はっ、はあ!?///」
番長「あ・・・やっぱり」
エトナ「番長君?やっぱりとかじゃなくってさ、ほら、ね?わかるでしょ?余計な勘違いをする奴ってさあ、早死にするのよ?」
番長「あの・・・エトナさん、怖いです」
エトナ「うん、いや、いいから。ね?わかるでしょ?」
番長「は、はい。わかりました」
エトナ「わかれば良いのよわかれば」
マリー「・・・ねえ、あの子、怒ってたみたいなのって、どうにかなったの?」
エトナ「みたいね。ああ、マリーちゃんが気にすることじゃないのよホント。あいつ馬鹿だからさぁ」
番長「・・・」
エトナ「ねえ、だからその目つきは何なの?」
番長「あの、何でも無いですから。大丈夫です、言いませんから」
エトナ「アンタにはちょっと教育が必要みたいね・・・!」
>-・・・痛い思いもしたけど、しばらく楽しく過ごした。
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
陽介「そっか」
ラハール「・・・わ、悪かったな。あの場を、勝手に飛び出したりして・・・」
陽介「いや、全然良いよ。それより、お前が全部話してくれたことが、すげー嬉しい」
ラハール「陽介・・・」
陽介「ま、でも、俺じゃなくて相棒に相談したってのは、悔しいけどな。俺じゃ、あいつみたいに上手く言える自信ねーし」
ラハール「・・・これからは、俺様も・・・その・・・普段から、貴様等と一緒にいてやってもいいぞ」
陽介「何言ってんだ。今までもそうだったじゃねえか」
ラハール「い、今まではなんとなくいてやっただけだ。これからは・・・俺様自身の意思で、一緒にいてやろうと言っているのだ・・・」
陽介「どんだけ上から目線だよ?ま、お前らしいけどな」
ラハール「俺様らしいか?」
陽介「ああ」
ラハール「・・・ならば、それで良いのだろう」
陽介「おう」
ラハール「・・・」
陽介「けど、そういうことなら、エトナさんとこにも早めに行っといたほうがいんじゃね?今すぐにとは言わないけどさ。明日にでも」
ラハール「なっ、なんでアイツのところになど!」
陽介「や、だってさ・・・」
ラハール「い、行きたくない!」
陽介「行きたくないってお前・・・」
ラハール「俺様が俺様の意思で行きたくないと言っているのだ!だ、だからそれで良いのだ!」
陽介「無茶苦茶我がまま言ってねーか?それって」
ラハール「我がまま!上等ではないか!それでこそ俺様らしいのだ!」
陽介「いや、そりゃそうかもしんねーけど・・・」
ラハール「とっ、とにかく俺様は行きたくない!だから行かん!」
陽介「そうか・・・まあ、それでいいか」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
エトナ「真実はいつも一つ!」
ラハール「どうした急に?また頭がおかしくなったのか?」
エトナ「平和なベルベットルームで突如事件発生!」
ラハール「何だと!?」
エトナ「アタシが番長に買ってこさせたプリンが、何者かによって食べられていた!」
ラハール「・・・・・・・・・」
エトナ「犯人はこの中にいる!こんなこと、二度と繰り返させないわ!凄惨なこの事件の犯人、アタシが突き止めてみせる!」
ラハール「・・・というか貴様、番長に何をさせて・・・」
エトナ「次回、美少女探偵エトナ!"消えたプリンの行方!"」
ラハール「おい、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
エトナ「Next エトナ's Hint!! 【金髪】 」
ラハール「金髪ってもう一人しかおらんではないか・・・」
今回はここまでです。
>>273 乙あり&更新遅くて申し訳ない。
次回は2~3日中に更新できると思います。
更新おつーい
乙
クッソにやけるわ
乙
殿下ちょっとしたハーレム築いてるなwww
乙
遠く離れていても気付いてもらえるなんて魚強さんマジメインヒロイン
乙
なあにファミ通文庫版に比べればこんなもの可愛いもんだ(物理的に)
個人的にはちゃっかりくっついた電撃版もあれはあれで
更新乙!そういやミツオ君いないけど次は飛ばす感じかな?
更新します。
>-7/10(日) 朝
>-俺達の担任、諸岡金四郎。通称モロキンが殺害されたらしい。
>-今までの殺人と同じく、死体が逆さ吊りにされて。
:::【ジュネス・フードコート】:::
番長「遅くなってすまないな、皆」
ラハール「来たか」
クマ「あ、センセイー!」
番長「・・・?」
陽介「だよな。そういう反応になるよな。聞いて驚けよ」
番長「もしかして、クマか?」
クマ「そうクマ!」
陽介「ってオイ!なんでわかるんだよ!?」
番長「え、いや、声一緒だし。俺のことセンセイとか呼ぶの、クマしかいないし」
陽介「そ、そうですか・・・」
番長「その格好、どうしたんだ?」
クマ「チエチャンとユキチャンがプレゼントしてくれたクマ!」
千枝「お代はほとんどラハール君が出してくれたんだけどね・・・」
番長「・・・へえ~」
ラハール「な、なんだその目は?文句があるのか?」
番長「・・・いや、別に」
ラハール「貴様・・・!」
陽介「ってそうじゃねーだろ!格好って服のことじゃなくて、人間みたいな体のことだろ!?」
番長「・・・そういえば、そうだな。どうしたんだ?」
クマ「一生懸命特訓したら生えてきたクマ!」
番長「そうか」
陽介「そうかで終わらせる話!?」
ラハール「騒がしいぞ陽介。問題があるわけでもないだろ。それより今は・・・」
雪子「うん・・・」
陽介「いや、まあ・・・そうだな」
完二「今回は、テレビん中、誰も来てなかったみたいスよ」
番長「・・・誰も?被害者のモロキンもか?」
完二「らしいス」
クマ「間違いないクマよ」
雪子「被害者の遺体は、これまでの二人と同じ逆さ吊りになって見つかったみたいだけど・・・」
番長「マヨナカテレビには誰も映っていなかった。そして、テレビの中の世界には誰も来ていなかった」
雪子「なんか、変だよね?」
ラハール「・・・」
千枝「もしかして、もうテレビの中に入れても殺せないって思ったから・・・ついにこっちの世界でやっちゃったとか?」
陽介「そっか。俺達がずっと被害者を救出してきたから」
完二「んだよそりゃ。じゃあ結局俺等のやってきたことって・・・」
陽介「・・・犯人に勢いつけさせちまっただけなのかな・・・」
ラハール「いい加減にしろアホ共。貴様等の顔の上に乗っている頭は飾りではないのだ。少しは使ってやれ」
陽介「うっせ!ちょっっと前まで、しょうもねーことでグジグジ悩んでたクセに、偉そうにすんなって」
ラハール「なっ・・・い、今そんなこと関係ないだろ!」
陽介「行けっつってんのに、エトナさんとこにも、未だに行ってねぇしよ~」
ラハール「やっ、やめんか!」
雪子「え、何?何の話?」
ラハール「うるさい!貴様には関係無い!」
番長「落ち着け」
ラハール「ぐ・・・!」
雪子「気になる・・・」
陽介「つか、そこまでいうなら、お前は何かに気付いてんのか?ラハール」
千枝「な、何かって何?」
ラハール「当たり前だ。今回の殺人の妙な点。番長、天城、貴様等も気付いているのではないか?」
番長「ああ」
雪子「やっぱり、二人もそう思うんだ?」
完二「あ?」
千枝「え?何々?」
雪子「千枝が言ったみたいに、もうテレビの中に入れても殺せないと知った犯人が、ついにこっちで犯行に及んだと仮定してみるよ?」
千枝「う、うん」
雪子「その場合、これまでの事件とのつながりをわざわざ見せるために、逆さ吊りにする必要が全くないの」
千枝「・・・あ」
ラハール「今までは、あっちで死んでこっちに出てくる時、偶然逆さ吊りになっていただけだからな。どうしてもモロキンを殺す必要があって殺したんだとして、これまでの事件との関連性をわざわざ作る必要など全く無いはずだ」
陽介「け、けど、なんか犯人には犯人なりの考えがあったんじゃねえか?」
番長「そうだな。じゃあ陽介の言ったように、もしかしたら犯人には犯人の考えがあったっていう解答をつけてみようか」
陽介「お、おう」
番長「もしかしたの話をするなら、今回の事件は、もしかしたらこれまでの事件と関係ないのかもしれない。っていう説も出てこないか?」
陽介「えぇ?」
番長「今までの事件と全く関係ない殺人を犯した今回の事件の犯人が、今までの連続殺人とつながりがあるかのように見せかけるため、モロキンを殺害後、逆さ吊りにしたっていう説」
陽介「け、けど、それって犯人に一体何の目的があって?」
番長「わからない。だけど、もしかしたら犯人には犯人の考えがあったのかもしれない」
陽介「あ・・・そういうことか」
ラハール「大体、仮に今回の事件も連続殺人の一環だったとして、マヨナカテレビに何も映っていなかったことはどう説明するのだ?俺様達は、マヨナカテレビは犯人の犯行予告だと踏んでいたはずだぞ」
陽介「た、確かに・・・」
番長「クマはどう思う?」
クマ「クマには皆が何言ってるのか全然わからんクマ」
番長「そ、そうか」
完二「俺もっスね」
陽介「いやお前はわかれよ・・・」
番長「何にしても、普通にこっちの世界で犯行に及んだんだとすれば、余程完璧に証拠を消していない限り、警察の捜査が進むはずだ。俺達はそれを待とう」
>-・・・・・・
:::【丸久豆腐店前】:::
>-皆でりせの様子を見に行くことになった。
直斗「・・・おや、奇遇ですね」
ラハール「貴様は・・・」
直斗「今度は久慈川さんを懐柔ですか?」
陽介「は?」
番長「何を言っているのかわからないな」
直斗「・・・今回の諸岡さん殺し、二人目の被害者である小西さんと同じ学校の人間である諸岡金四郎さんが殺害されましたね」
番長「ああ、そうだな」
直斗「二人目の被害者と三人目の被害者。確かに共通点はありますが、それ以前に今回の殺しはおかしいんですよね」
番長「おかしいっていうのは、具体的に何がだ?」
直斗「諸岡さんはテレビに映っていないんですよ」
ラハール「・・・」
直斗「どう思います?」
陽介「ど、どうって・・・」
番長「何を言っているのか、わからないな」
ラハール「ああ、そうだな」
直斗「・・・まあいいでしょう」
ラハール「待て、貴様は何者だ?」
直斗「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね。僕は白鐘直斗、探偵です」
陽介「探偵!?」
直斗「ああ、皆さんのことは結構ですよ。良く知っていますので」
ラハール「・・・」
直斗「では、いずれまた」
千枝「・・・な、なんだったんだろ?」
雪子「どう思う?」
番長「・・・ラハール、どう思った?」
ラハール「以前会った時のような、露骨に疑ってくる感じはなかったな」
番長「そうだな。けど・・・」
ラハール「ああ。本格的に俺様達を疑い始めたからそういう態度だったのか、それとも疑いが晴れたのか、どちらなのかまではわからん」
番長「面倒なことにならないといいけど・・・」
ラハール「・・・少なからず、勘は良さそうで、頭も回りそうな奴だ。このままでは多少、邪魔かもしれんな」
陽介「なあ・・・こいつらが何言ってんのか、良くわかんねーんだけど」
千枝「大丈夫。私もわかんなかった」
陽介「里中と一緒かー・・・」
千枝「こら、どういう意味よ?」
ラハール「里中、そういう意味だ」
千枝「ちょ、またそれ!?」
番長「里中、そういう意味だよ」
千枝「やっ、やめてよ番長君まで」
雪子「千枝、残念だけど・・・そういう意味だと思うよ?」
千枝「雪子まで・・・!?」
陽介「どんまい」
千枝「あんたのせいでしょ!?」
陽介「いや、お前の頭を俺のせいにされても・・・」
千枝「こんの・・・!」
陽介「そ、それより早くりせちーんとこ行こうぜ!」
千枝「あっ、こら待ちなさい!」
ラハール「・・・奴等、妙に仲が良いな」
番長「妬いてるのか?」
ラハール「アホか」
雪子「えっ、どっちに?」
ラハール「・・・アホか」
>-・・・・・・
:::【神社】:::
りせ「ごめんね。ほんとはウチに上がって行って欲しいんだけど、ウチで話すとまたお祖母ちゃんを心配させちゃうから・・・」
番長「いいよ、全然」
りせ「えっと・・・その・・・」
千枝「?」
りせ「助けてくれて、ありがとね!」
陽介「うおお・・・りせちー可愛すぎる~・・・!」
千枝「まだ蹴られ足りないのか?アンタは」
陽介「ちょっ、今のは一般的男子高校生のしかるべき態度だろ?」
千枝「番長君を見習いなさい」
陽介「こいつのどこが一般的なんだよ?」
番長「いいよ、全然。無事で良かった」
陽介「ほら、こんな堂々とした態度、ありえねーから・・・」
ラハール「・・・犯人の顔を見たりしていないか?」
りせ「あ・・・それなんだけど、全然。気がついたらあの世界にいて・・・」
雪子「じゃあ、私や完二君と同じだね」
ラハール「チッ・・・また進展なしということか」
りせ「ご、ごめんなさい」
ラハール「ば、ばかか!貴様が謝るようなことではない!」
番長「ラハール、落ち着け。いきなりそんなだと、りせがびっくりするぞ」
ラハール「あ、ああ・・・」
りせ「えと・・・それで・・・あの、私も、皆の仲間に入れて欲しいんだけど・・・きっと、私に出来ることもあるはずだから!」
陽介「マジ!?」
番長「ラハール、良いかな?」
ラハール「・・・知るか。貴様が決めることだ」
番長「そっか。歓迎するよ、りせ。りせがいてくれると心強い」
りせ「ほんと?やったー!」
陽介「りせちーと仲間・・・!」
ドガッ
陽介「っテーな!何すんだよ!」
千枝「うっさい!馬鹿!」
ラハール「・・・」
りせ「そういえば、なんであの人ちょっと離れてるの?」
番長「ああ、りせが可愛いから照れてるんだよ」
ラハール「は?」
りせ「ほんと?私可愛い?」
番長「そう思ってるだろ?ラハール」
ラハール「アホか」
りせ「もー、私は番長先輩がどう思ってるか聞いてるの!」
番長「俺?まあ、一般的には可愛いんじゃいないか?」
りせ「なにその答え~!」
千枝「な、なんかテレビと随分キャラ違うんだね」
陽介「そうだな。けど、これがきっとほんとの久慈川りせなんだろ」
千枝「・・・そだね」
雪子「最近は、私がけっこう近づいても平気だったのに、りせちゃんは駄目なんだ・・・?」
千枝「ゆ、雪子暗いよ?大丈夫、慣れてくれたってことだよ」
>-夕方
:::【ジュネス・食品売場】:::
菜々子「・・・あ、あった!」
バッ
>-菜々子が取ろうとしていた品物が、突如奪われた。
ミツオ「・・・なんだよ。文句あんのかよ」
菜々子「え?」
ミツオ「馬鹿にしてんだろ?俺のこと」
菜々子「?」
ミツオ「なめやがって・・・ガキの癖に・・・!」
菜々子「・・・!」
ミツオ「俺を怒らせたらどうなるのか、教えてやる・・・!」
ラハール「オイ」
ミツオ「な、なんだよお前・・・!」
ラハール「・・・(菜々子が怯えている)」
ミツオ「な、、なんか文句あんのかよ・・・!」
ラハール「殺すぞ」
ミツオ「ひっ・・・な、なんだよ・・・!」
>-ミツオは逃げ出した。
菜々子「ラハールさん・・・」
ラハール「菜々子、何故一人でこんなところにおるのだ?」
番長「・・・あれ、ラハール?」
ラハール「なんだ、貴様も来ていたか」
番長「何か、あったのか?」
菜々子「あのね、助けて貰った」
番長「・・・そうなのか」
菜々子「うん。ラハールさん、ありがとう」
ラハール「れ、礼などいらん!それより番長、あまりそいつを一人にするな。人間にも危険な奴はいるのだぞ」
番長「ああ。すまないな、ラハール」
ラハール「・・・まあいい、今菜々子に絡んでいた奴なら、二度とそいつに近付こうとはせんだろう。安心しろ」
番長「さっきの凄い気配は、やっぱりお前か」
ラハール「人間でも貴様レベルになると、自分に向けられていなくても殺気に気付くのだな。昔いた地球勇者共より、貴様のほうが随分使えそうだ・・・」
菜々子「?」
エトナ「あら、なんだ今の殿下だったんだ。わざわざ見に来て損した気分だわ」
ラハール「エ、エトナ・・・!」
番長「じゃあ、ここは二人に任せて、俺達はいろいろ買うものあるから」
ラハール「お、おい」
菜々子「ラハールさん、またね」
ラハール「い、いや、おい」
番長「エトナさん、ウチで待ってますから」
エトナ「あいよ」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::
ラハール「・・・番長たちと一緒にいたのか?」
エトナ「ええ、まあ。なんか事件が起きたとかで親父さん帰らないみたいで、晩ご飯に呼ばれました」
ラハール「・・・そうか・・・」
エトナ「なんか馴染んでたとこ見ると、ちょっとは吹っ切れたみたいですね?」
ラハール「別に馴染んでなど・・・いや、そうだな。多少はな」
エトナ「あら、案外素直ですね」
ラハール「まあ・・・番長と、貴様のおかげだからな。エトナ」
エトナ「!」
ラハール「貴様には・・・」
『いいですねぇ~。愛ですねぇ』
エトナ「げ」
ラハール「どうした?」
エトナ「・・・見られてたみたいです。フロンちゃんに」
ラハール「な、なんだと!?」
『見てなんかいませんよ~?弱い殿下になんか興味ありませんから!なんて言っちゃったエトナさんのことなんかも、見てなんかいませんよぉ』
エトナ「・・・ブッコロス///」
ラハール「お、おい!何を見られていたんだ!」
『いやぁ、せくすぃ~でしたねぇエトナすわぁん。私の"一回で良いから言ってみたい台詞ランキング"が変動しましたよ!』
エトナ「ッ・・・!・・・殿下は、気にしないで下さい。フロンちゃんはアタシが仕留めますから・・・!」
ラハール「そ、そうか」
『・・・』
エトナ「・・・聞こえなくなった。逃げやがったわね」
ラハール「全くあのアホ天使は」
エトナ「あれ、案外怒ってないですね?意外と冷静っつーか・・・」
ラハール「まあ、奴の奇行は今に始まったことではなかろう?」
エトナ「そりゃ、そうですけど・・・」
ラハール「とはいっても、今回の件の落とし前はそれなりに付けさせて貰うがな・・・!」
エトナ「結局怒ってるじゃないですか」
ラハール「当たり前だ!」
エトナ「・・・なんか安心しました」
ラハール「な、何がだ?」
エトナ「いえ、こっちの話です」
ラハール「・・・?」
エトナ「アタシそろそろ行きます。番長はどうでもいいですけど、菜々子ちゃん待たせちゃかわいそうですからね」
ラハール「そうか」
>-7/11(月) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「誰かが入れられてるって訳でもないのに、アッチの世界に行く?」
番長「ああ」
完二「何しに行くんスか?」
ラハール「アホ。観光でもしに行くと思うか?」
完二「観光・・・観光するにゃ面白くもなんともないスね」
千枝「もしかして、特訓?」
番長「そうだ」
陽介「特訓か~」
雪子「確かに、必要だよね」
番長「ああ。前回は本当に危ないところだった」
雪子「うん・・・」
ラハール「危なかっただけではない。クマのシャドウの出現、クマのシャドウの中にいた何者かの存在。あの世界も変化してきている」
番長「そうだな。だから俺達は、何があっても大丈夫なように、鍛えておくべきだと思う。新しい仲間も、二人増えたしさ」
クマ「二人ってシツレークマね!クマは元から仲間だったデショ!?」
番長「いや、戦力的にそれはどうだろうな」
クマ「センセー!?」
千枝「・・・ってそういやクマ君、こっちの世界でどうしてんの?まさか野宿とか?」
陽介「ああ、それならウチに居候させることにしたよ」
千枝「え、マジ?」
陽介「つっても、住み込みでバイトって形だけどな。元々ラハールがいたし、一人ぐらい増えても大したことねえと思ってさ」
千枝「は~・・・」
陽介「んだよ?」
千枝「いや、なんかアンタ意外と大人なんだなーとか・・・」
陽介「大人なのはウチの親父とお袋だよ。俺は二人に頼み込んだだけだ」
雪子「特訓ってことは、シャドウと戦うの?」
番長「そうしようと思ってる」
りせ「え?けど、あっちの世界って、いつもシャドウが出てるの?」
クマ「たぶん~、今まで皆の影響で変化した場所になら、集まってると思うクマよ?」
雪子「え~・・・ってことは」
完二「ま、またあっこに行くのか・・・?」
番長「う~ん・・・」
千枝「組み手とかどうかな!!」
陽介「ど、どした。ここ一番の大声で・・・」
千枝「お互いの長所も短所も見えるだろうしさ!誰が強いか解ってたほうが、番長君も作戦立てやすいじゃん!」
陽介「あ~、お前こういうの好きそうだもんな。特訓とか」
千枝「もち!」
番長「うん・・・じゃあ、とりあえず行ってみようか」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
千枝「第一回!特別捜査隊一武道会!」
陽介「わ、わ~・・・」
ぱちぱちぱち
>-てれって~♪
りせ「司会は私、久慈川りせが担当します!参加者兼、解説者のクマさん。今回の大会はどうなると思いますか?」
クマ「フッフッフ~。モチロンクマの優勝!と言いたいところだけど~、今回ばかりは経験豊富なセンセイに華を持たせることになると思うクマ!」
りせ「ありがとうございます、解説者のクマさんでした」
雪子「何このノリ・・・?」
ラハール「知るか」
りせ「それでは第一回戦を始めましょう!」
>-陽介 VS ラハール
陽介「悪いけど、勝つのは俺だぜ?」
ラハール「陽介風情が寝ぼけたことを言いおって。良いだろう、その思いあがりごと叩き潰してやる!」
>-番長 VS 完二
完二「先輩、手加減無しっスよ?」
番長「ああ、もちろんだ」
>-千枝 VS 雪子
雪子「まさか千枝と試合なんて・・・」
千枝「くじ引きの結果だから仕方無いよ。雪子、思いっきり行くからね!」
りせ「一回戦はじまりましたね~、シードのクマさん。注目はどの試合でしょうか?」
クマ「やっぱりここはペルソナの無いラハールがどう戦うかが注目だと思うクマ!」
りせ「えぇ!?ラハール先輩、ペルソナ無いの!?」
クマ「アレ?リセチャン知らなかったクマ?」
>-・・・・・・
陽介「じ、直に俺を狙うのズルくねーか?」
ラハール「やかましい。貴様こそ、2対1なのだぞ?ペルソナばかり使ってないで、少しは体も使え」
陽介「お前相手に無茶言うな!」
りせ「うわ、ほんとだ。あの人何者?」
ラハール「俺様は、魔王ラハール様だ!」
>-緋天無双斬
陽介「うあっ!?」
ラハール「例えレベルが下がっていても、陽介なんぞに遅れをとるわけがない」
陽介「ち、ちっきしょ~・・・」
>-ラハール VS 雪子
ラハール「一応言っておくが、手加減はせん。そのほうが訓練になるからな。精々死ぬなよ?」
雪子「が、頑張る!」
>-番長 VS クマ
番長「ところで、なんでまた着ぐるみなんだ?」
クマ「こっちの世界ではこのほうが落ち着くクマ!」
番長「そ、そうか・・・」
りせ「二回戦が始まりました。ここで一回戦負けの人たちに敗者インタビューしてみたいと思います」
陽介「結構容赦無いのね・・・」
りせ「花村先輩、敗因は何でしょうか?」
陽介「いきなりそれ聞く?まあ、経験の差というか、地力の差というか、そんなところですかね」
りせ「なるほど。完二は?」
完二「途中までは勝てっかと思ってたんだけどよ・・・なんか気付いたら負けてたぜ」
りせ「自己分析の下手そうなコメントですね。千枝先輩はどうでしょうか?」
千枝「負けた・・・雪子に・・・」
りせ「ち、千枝先輩?」
陽介「すまん、そっとしといてやってくれ・・・」
>-ラハール VS 番長
ラハール「やはり貴様か」
番長「負けないぞ」
ラハール「減らず口を叩きおって・・・!」
りせ「お疲れ様です雪子先輩。残念ながら負けてしまいましたが、凄い戦いでしたね」
雪子「う、うん。ありがとう」
りせ「果たしてどちらが優勝するでしょうか?」
雪子「う~ん・・・ラハール君は強いんだけど・・・多分今回は」
>-・・・・・・
りせ「第一回、特別捜査隊一武道会反省会~!」
クマ「わ~・・・」
ぱちぱちぱち
番長「それぞれ、自分の欠点が見えてきたことだろうと思う。今後もこっちでの特訓を続けていこう」
ラハール「一回戦負けのアホ共。今回特に欠点を自覚したのは貴様等のはずだ」
陽介「う・・・」
千枝「返す言葉もございません・・・」
完二「・・・それが、よくわかんねんスよね。先輩とは、お互いにジオンガの打ち合いになったんスけど。体力は負けねーはずの俺が、削りあって気付いたら負けてたんスよ」
ラハール「体力が高い貴様が負けたのは、単に魔力の差だ」
番長「そうだな。里中と天城の試合も見ていたが、お互いに弱点をつきあう魔法戦になっていた。この試合でも、体力では勝っている里中が、天城に削りあいで負けていた」
千枝「はい・・・」
ラハール「貴様等一回戦敗退組に共通するのは、アホであるということだ」
陽介「関係なくね・・・?」
番長「それが、さっきラハールと話してたんだけど、無関係とも思えないんだ」
陽介「え、マジ?」
ラハール「ペルソナは使用者の人となりを表している。元々肉体的にそれなりである貴様等三人のペルソナは、力や耐久力、速さに優れ、知性のある天城のペルソナは魔力が極めて高い」
陽介「言われてみれば・・・確かに」
ラハール「そして、全てにおいて優れている番長の分身。イザナギは、高いバランスで全ての能力が優れている」
千枝「あ・・・!」
ラハール「こっちでの特訓もだが、貴様等三人は自分の知能もどうにか鍛えるのだな」
完二「勉強しろっつーことスか?」
番長「平たく言えばそうだな。使用者とペルソナの能力は、無関係じゃないと思う。まあ、勉強意外にも頭を鍛える方法は色々あるけど、俺達、学生だしな」
完二「うお~・・・」
雪子「じゃあ、私は筋トレとかしたほうが良いのかな?」
りせ「ムキムキの天城先輩かぁ・・・見たいような見たくないような・・・」
番長「筋トレより、ジョギングとかして体力を付けたほうがいいんじゃないかな。まずは」
千枝「あ、じゃあ、私と一緒に走ろうよ雪子。そのかわり・・・あの・・・勉強教えてください」
雪子「うん、そうだね」
クマ「クマはどうすればヨイ?」
ラハール「・・・・・・」
番長「・・・・・・・・・」
クマ「何で目を逸らすクマ!?」
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「へ~。何か面白そうなことやってますね」
マリー「・・・それで、どっちが勝ったの?」
ラハール「な、何がだ?」
エトナ「番長と殿下の試合でしょ。え、まさか負けちゃいました?」
ラハール「うるさい!だ、大体奴は卑怯なのだ!開始前から力を溜めていきなりあんなペルソナを・・・!」
エトナ「うぅ~わ~、殿下負けたのか~~」
マリー「ふぅん・・・あいつ、強いんだ?」
ラハール「黙れ!奴に次の勝利はない!」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「おいクマ。騒いでないでさっさと寝ろ」
陽介「まあそう邪険にすんなって。見るもん全部が新鮮なんだろ」
クマ「こっちの世界はイロイロあって楽しいクマね~。来て良かったクマ!」
ラハール「・・・そうか」
クマ「ラハールの世界にも一回行ってみたいクマ!」
ラハール「・・・・・・」
陽介「お、良いなそれ。俺も行ってみてえな」
ラハール「・・・・・・・・・そうか」
陽介「何目ぇ丸くしてんだ?」
ラハール「う、うるさい!いいからさっさと寝ろ!」
>-次回予告
>-BGM:愛したげる
フロン「突如天界を襲う魔の手!」
シシリー「な、何々?何かあったの?」
フロン「悪の魔神エトナが、魔界の猛者を率いて天界侵略にやってきた!」
シシリー「ええぇ~!?」
フロン「ごめんなさいエトナさん、貴女の野望は、私が止めてみせます!」
シシリー「それなら仕方無いね。エトナさんには死んで貰わなきゃ♪」
フロン「次回!フロン大戦!"夢のつづき"」
エトナ「・・・」
フロン「平成桜に浪漫の嵐!!」
エトナ「・・・ねえ何?二人とも、何?怒ってんの?」
シシリー「何が?」
フロン「何がですか?」
エトナ「うおぉ・・・」
乙
雪子へ
画面端から固めるのやめてください死んでしまいますby千枝
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>294 レスめっちゃ早いすね。ありがとうございます。
>>295 ニヤける感じを目指します。ニヤけて貰えたなら幸いです。
>>296
>>298 殿下かっこいいから仕方ないですね。髪型は凄いですけど。
>>297 イワシッッ!!
>>299 最序盤では殿下と雪子に関わりが無かったため描写していませんが、原作通りミツオ君は雪子に玉砕しています。
>>320
更新乙!
乙でした。
さすがにLv1からのやり直しでは成長してるとはいえ二周目番長には勝てぬな……
乙
ディスガイアは主人公かどうかで戦闘能力が違ってくるからね(一部除く)
アサギ? 知らんな
乙
あれれー?天使の方が[ピーーー]気マンマンに見えるぞー?
ディスガイアのシステムだと耐性ガッチガチ状態の番長相手だと打つ手が・・・
スターぐらいか?まともに通るの
攻撃面でもディスガイアだと割と致命的なのそろってるんだよなぁ
流石の番長でも全力ラハール相手だとどうにもならんだろうけどな、世界観違うし
愛があれば問題ありましぇん!!
ディスガイア2に出てきた時の殿下なら世界ごと吹っ飛ばせるしな
無限食いしばりして回転説法か幾万の真言打ってりゃいんじゃね(ハナホジ)
更新します。
>-7/17(日) 正午
:::【テレビの中の世界】:::
ラハール「もう降参か?」
雪子「う、うん。ごめんね」
ラハール「何故謝る?」
雪子「私相手じゃ、ラハール君の練習にならないかなって」
ラハール「べ・・・別に、そんなことはないぞ」
雪子「そう?ならいいんだけど」
ラハール「それより、腹が減った。一度戻るぞ」
雪子「うん」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::
ラハール「おい、何をだらけている?」
陽介「俺はもう駄目だ」
雪子「調子はどう?」
千枝「ぼちぼち。せめて来週の試験範囲ぐらいはどうにかしたいんだけど」
りせ「先輩~、ここもわかりませ~ん」
ラハール「・・・奴もそっち組か」
陽介「そっちとか言うな」
完二「う~ん・・・」
ラハール「貴様は何を悩んでおるのだ?」
完二「先輩にわかんねーとこあったら聞けって言われたんスけど、どっからわかんねーのかがわかんねーんスよね」
ラハール「・・・」
陽介「俺もそんな感じだ」
ラハール「全く・・・大体陽介、貴様は別に頭が悪いわけではないのだぞ。やる気がないからそうなっているんだ」
陽介「解ってるよ。だからこの熱いなかで頑張ってるんだろ?」
番長「普段から真面目にやってれば・・・」
陽介「言うな。解ってる」
ラハール「俺様は飯が済んだらもう一度あっちの世界に行く。天城、番長、どうする?」
番長「俺は皆に付き合ってこっちに残るよ」
雪子「私はラハール君と一緒に行く」
ラハール「そうか」
陽介「あ、そだ。行くならクマも連れてけ。そろそろ今日のシフト終わるからよ。食品売場にいるはずだぜ」
ラハール「わかった」
>-各々、思い思いの時間を過ごした。
>-7/23(土) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
千枝「終わったね~・・・」
陽介「ああ・・・終わったな。つか、前の試験の時も同じこと言ってなかったっけ?」
千枝「さすがにこないだより出来たもん・・・」
りせ「先輩のおかげで補習だけは免れたはず!」
完二「マジかよ。俺ぁさっぱりだったぜ」
クマ「なんかヨースケ達暗いクマね?」
ラハール「放っといてやれ」
番長「・・・そっとしておこう」
陽介「そういや、モロキンの件って進展あったのか?」
番長「わからない。堂島さん、そういうことは話してくれないから」
雪子「進展なかったらどうしようか?」
直斗「何もする必要はありませんよ」
ラハール「!」
番長「お前は・・・」
直斗「諸岡さん殺しの件で、警察は犯人の特定に至ったようです。近々指名手配する予定らしいですよ」
ラハール「・・・何?」
番長「犯人の特定に至ったって・・・それなら、どうしてこんなところにいるんだ?」
直斗「捜査の必要が無くなった以上、もう僕は用はないそうなので・・・犯人が特定されたことを、あなた方にお教えしようと思いまして」
番長「・・・その様子だと、随分無碍に扱われているみたいだな」
直斗「・・・!・・・とにかく、あなた方のお遊びもこれまでということです」
りせ「お遊び?何よそれ!」
番長「りせ、落ち着け」
りせ「でも・・・!」
直斗「・・・失礼、では」
>-・・・・・・
陽介「何なんだ?あいつ」
ラハール「番長、どう思う?」
番長「・・・彼も、寂しかったんじゃないかな。随分頑張っていたみたいだけど、堂島さんの口ぶりからすると、警察からはあんまり快く思われていないみたいだったから」
ラハール「アホ。奴のことなんかじゃない」
番長「・・・犯人の特定に至った」
ラハール「ああ」
番長「なんか、変だよな」
ラハール「そうだな」
雪子「変?」
ラハール「こっちの世界で事に及んだとしても、今回の件で足がつくことはない。俺様はそう思っていた」
陽介「な、なんでだよ?」
ラハール「事件の犯人は極めて周到だ。天城も、完二も、りせも、誰一人その存在を知覚すらせずに誘拐された」
番長「そうだな。今回の犯行は、今までの犯行と比べて粗が目立つ。マヨナカテレビでの予告もなく、警察にも証拠を掴まれた」
ラハール「今まで全く足がつかずに誘拐を繰り返してきた奴にしては、少し・・・な」
番長「単なる模倣犯か、何か事情があって証拠が残る形で今回の犯行に及ぶことになった同一犯か・・・今の状況じゃ判断出来ないな」」
『お兄ちゃん!』
>-・・・何だ?
>-・・・今の・・・
>-・・・わからない。
ラハール「どうした?」
番長「いや・・・・・・なんでも、ないんだ。とにかく、俺達は一応、マヨナカテレビのチェックだけはしようか」
>-7/26(火) 夜
:::【マヨナカテレビ】:::
ミツオ『みんな、僕のこと見てるつもりなんだろ』
ミツオ『みんな、僕のこと知ってるつもりなんだろ』
ミツオ『それなら、捕まえてごらんよ』
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「今のは・・・」
陽介「クマ、どうだ?」
クマ「これは・・・さっきの子の抑圧してる気持ちに、あっちの世界が共鳴して起きてる現象クマね」
ラハール「つまり、今の奴は既にあっちの世界ということか?」
クマ「そうクマ」
ラハール「・・・どういうことだ・・・?」
>-7/27(水) 夏季休暇開始 朝
:::【ジュネス・フードコート】:::
千枝「やっぱり、昨日マヨナカテレビに映ってた奴が、今までの事件の犯人?」
ラハール「・・・」
陽介「捕まえてごらんよとか言ってたもんな」
番長「・・・まだ、わからない」
陽介「なんでだ?」
番長「法則が崩れていないんだ」
陽介「法則?」
雪子「もしかして、テレビに映っていたってこと?」
番長「・・・多分だけど」
ラハール「説明しろ。容量を得ん」
番長「モロキン殺しの犯人、報道されたろ?高校生の少年って」
ラハール「それが奴だと?」
番長「推測なんだけど・・・そうだとしたら、テレビで報道された人物っていう、今までの連続誘拐事件の被害者の法則に当てはまるんだ」
雪子「つまり、昨日映った人は今までと同じ、事件の被害者?」
番長「モロキン殺しの事件の犯人であり、連続誘拐殺人事件の被害者ってことになる。ただ、もちろん昨日の奴が連続誘拐殺人事件の犯人だっていう可能性もある」
陽介「どっちにしても、被害者ならとりあえず助けて警察に引き渡す。犯人なら捕まえて警察に引き渡す。行くしかねえだろ」
番長「・・・そうだな」
ラハール「・・・」
番長「クマ、昨日より前、一昨日とかにマヨナカテレビに映っていた、ぼんやりとした人影については、何かわかったか?」
クマ「はっきりとしたことはクマにはわからんクマ。ただ、シャドウみたいに大きな力を持ってるわけじゃないようには見えるんだけど・・・ぼんやりとしてて、よくわからんクマね」
番長「ぼんやりとしてて・・・か。やっぱり、被害者が入れられる前に移る映像については、犯行予告という線がまだ外せないな・・・だとすると」
ラハール「行くぞ」
番長「ああ」
>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・1F】:::
ラハール「(・・・俺様が前に出ると前衛が多いな)」
完二「おいクマ、離れてても先輩等の場所がわかるって本当かよ?」
クマ「クマをみくびらないで欲しいクマね!鼻は確かに利かなくなってきたけど、それぐらいなら朝飯前クマ!」
雪子「なんか楽に進めるね」
ラハール「・・・シャドウ共も確実に強くはなっている。訓練したからだな」
>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・3F】:::
『・・・』
>-まただ・・・
>-今のは・・・
>-・・・喋っていない菜々子?
>-何でそんなもの頭の中に・・・
>-・・・わからない。
>-最近、多いな・・・
陽介「どうしたんだ?ぼーっとして」
番長「いや・・・なんでもないんだ」
りせ「・・・あっちのチームが階段見つけたみたい」
千枝「お、じゃあ合流しますか」
>-手分けして効率良く進み続けた。
>-・・・・・・
:::【ボイドクエスト・10F】:::
ラハール「・・・いたな」
ミツオ「どいつもこいつも、気に食わないんだよ!」
ミツオのシャドウ『・・・』
ミツオ「たった二人じゃ誰も俺を見ようとしない。だから三人目をやってやった!」
ラハール「(三人目・・・そしてシャドウ。決まりだな)」
ミツオ「オレが・・・殺してやったんだ!」
ミツオのシャドウ『・・・』
ミツオ「何黙ってんだよ!」
ミツオのシャドウ『何も・・・感じないから・・・』
ミツオ「何言ってんだ?意味わかんねえんだよてめえ!」
ミツオのシャドウ『僕には・・・何も無い・・・僕は、無だ・・・そして、君は僕だ・・・』
ミツオ「何言ってんだ!?俺は無なんかじゃ・・・」
ラハール「番長、先手を打つぞ」
番長「待ってくれ。情報が欲しい」
ミツオ「なっ!なんだお前等!何なんだよ!こんなとこまで何しに来たんだ!」
完二「てめえをとっ捕まえに来たに決まってんだろが!」
千枝「あんたが・・・犯人なの!?」
ミツオ「はは・・・あははは!そうだよ!俺が犯人だ!誰も俺を見ようとしない!だからどいつもこいつも殺してやったんだ!」
番長「・・・これで、動機もおぼろげに見えてきたな」
ラハール「何・・・?」
ミツオ「偽者が何言おうが知るかよ!そうだ、お前なんか関係ない!」
ラハール「(シャドウは奴の本心・・・だが、動機?どういうことだ?)」
ミツオ「俺の前から消えうせろ!」
ミツオのシャドウ『・・・認めないんだね。僕を』
ゴッ
ミツオ「うっ、なんだ、これ・・・!」
番長「話は後だな。行くぞ!」
ミツオのシャドウ『アァァア!』
>-キャラメイク
ミツオのシャドウ『僕は・・・影・・・』
陽介「な、なんだこりゃ?」
番長「りせ、分析を頼む」
>-カッ
りせ「・・・見えた。本体は最初に出てきた小さいの。今のこれはただの殻だよ」
雪子「これを崩さないと、本体にダメージを与えられない?」
りせ「うん」
シュウウウウ・・・
陽介「ラ、ラハール!?なんだその剣!」
ラハール「全員、最大の一撃を叩き込む準備をしろ」
番長「スルト!」
>-カッ
ラハール「フン・・・貴様は言われるまでもないようだな」
陽介「お、おい。準備って?」
ラハール「いいからさっさとやれ。今から俺様が、あのデカイ外側の全域にダメージを叩き込んで一発でぶち壊す。その隙に全員で中身を仕留めろ」
完二「先輩、こっちもいいっスよ!」
クマ「いつでも来いクマ!」
雪子「コンセントレイト!」
>-カッ
ラハール「・・・こっちのチームは順応が早いぞ」
完二「先輩の言う事聞いてりゃ間違いねえスからね」
千枝「私もいつでもいいよ!」
ラハール「・・・・・・花村」
陽介「待て待て、俺だっていつでもいいって!」
ラハール「全く・・・」
>-大次元斬『一閃』
番長「今だ!行くぞ!」
陽介「おう!」
>-カッ
ミツオのシャドウ『・・・アァァ』
>-ささやき
陽介「まだ倒れないのかよ!?」
ラハール「チッ・・・」
ドンッ
>-月華・闇夜斬り
番長「駄目押しだ。スルト!」
>-カッ
>-ラグナロク
>-・・・・・・
陽介「おいおい、最後の、ラハールに当たるとこだったんじゃねえか?」
番長「大丈夫。ちゃんと狙ったし、最悪狙いがそれてもラハールなら避けるよ」
ラハール「無茶を言うな。全ての魔力を使い切って、そんな余裕はなかったぞ」
番長「・・・危なかったなー・・・」
陽介「おいおい・・・」
ミツオ「・・・?」
陽介「あ、気がついたか?」
ミツオ「何だよ・・・これ・・・お前等、何なんだよ!」
番長「お前の話を聞きに来たんだ」
ミツオ「話・・・?」
陽介「警察がお前を追ってるんだ。モロキン殺しの犯人・・・それから、前の二件もお前だろうってな」
完二「てめえが全部やったのか?」
ミツオ「全部・・・全部、俺・・・あはは、そうだよ!俺だよ!」
完二「畜生・・・!こんな野郎に・・・!」
ラハール「待て完二」
ミツオ「諸岡の野郎だけじゃない・・・頭悪そうな女子アナも、小西とかいう女も!全部俺がやったんだよ!俺が、全部だ!」
ミツオのシャドウ『・・・』
シュウウウウ・・・
りせ「消えた!?」
千枝「な、なんで!?」
ミツオ「はは・・・化け物め、消えやがった!ざまあみろ、チクショウ!」
ラハール「・・・」
ミツオ「うっ・・・」
完二「おい!」
りせ「かなり消耗してる。とにかく、早く連れ出さないと」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・屋外】:::
>-呆然としていた久保美津雄を、警察に引き渡した。
千枝「これで、終わり・・・?」
りせ「・・・なんか、釈然としないね」
完二「やった理由もわけわかんねーし、んだよありゃ・・・!」
番長「皆、話がある。これからウチに来ないか?」
りせ「先輩の家!?行きたい!」
陽介「菜々子ちゃんもいんのか?」
番長「うん」
陽介「じゃあ調度良いや。今日は期待の新人もいることだし、付けようぜ、決着」
千枝「決着?」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
エトナ「オラ、出来たわよ。ったく何でこんなしょうもないことに呼ばれなきゃなんないのよ」
陽介「エトナさん前に【乗った!】って言ってくれたじゃないすか」
エトナ「あぁ?ん~な前のこと忘れたわよ!」
ラハール「・・・文句を言う割には、きちんと作っているではないか」
エトナ「い、いいでしょ別に!」
ラハール「別に悪いとは・・・しかし何かと思えば、料理勝負か。あんな下らん話をまだ覚えていたとはな」
陽介「そんなん口実だよ。お前も食いたいだろ?りせちーの手料理」
ラハール「は?」
千枝「・・・!」イラッ
千枝「(・・・何でいらっとしたんだろ・・・?)」
菜々子「ねえ・・・!」
ラハール「どうした?」
菜々子「ほ、本物のりせちゃんだよ・・・!?」
ラハール「あ、ああ。そうだな」
りせ「よろしくね、菜々子ちゃん」
菜々子「は、はい・・・!///」
ラハール「(こういうところは年相応・・・か)」
完二「早く食いましょうよ」
クマ「クマもう待てないクマ!」
雪子「じゃあ私のから食べて」
ラハール「・・・あむ・・・」
雪子「ど、どうかな?」
ラハール「・・・普通だ」
番長「・・・本当だ・・・!」
>-感動だ・・・!
陽介「マジだ。これ普通だ。美味くも不味くもない、普通だ。毒物カレー殺人未遂の前科があるから警戒してたけど」
雪子「普通か~・・・」
ラハール「・・・まあ、大した進歩ではないか」
雪子「ほんと?」
菜々子「美味しいよ!これ」
雪子「菜々子ちゃん・・・!」
千枝「よし、次はアタシの!」
マリー「ん・・・お、不味い」
クマ「う~ん、不味い!」
千枝「不味い!?」
ラハール「ああ、普通に不味いな。器用なものだ。作ろうと思っても難しいものだぞ。普通に不味いものは」
千枝「マズイを連呼しないで・・・」
菜々子「んっ・・・これも、美味しいよ!」
千枝「菜々子ちゃん・・・!」
雪子「あ、本当だ。普通に不味い!あはは!」
千枝「ちょっと、笑うとこ!?」
りせ「じゃあ次は私!」
千枝「ほら花村、食べてみなさいよ。食べたかったんでしょ?」
陽介「聞いてたのかよ・・・食うのはいいけどこれ、なんか赤い煙がさ・・・」
千枝「いいから!」
陽介「よ、よし・・・っ!」ガッ
バタッ
千枝「花村ーッッ!?」
番長「うっ・・・こ、これは・・・」
ラハール「・・・どうした貴様等。辛いが、悪くないではないか」
エトナ「まあ、アタシ達からしたらそうですね。けどこれ、人間の舌にはちょっと合わないと思いますよ?」
りせ「そ、そんなことないもん!」
完二「辛っ!!げほっ、げほっ!」
エトナ「ほら」
ラハール「お~・・・」
菜々子「・・・!」
エトナ「あ、ちょ待ちなさい菜々子ちゃん!」
菜々子「うっ・・・!・・・か、辛いけど、お・・・おいしいよ?」
りせ「菜々子ちゃん・・・!」
エトナ「菜々子ちゃんスゲーわ・・・」
マリー「私はやめとこ」
エトナ「そのほうが良いわよ」
番長「次は俺だな」
陽介「待ってました!」
千枝「復活早いな」
陽介「相棒のなら間違いはねえだろ!」
千枝「まあ確かに」
菜々子「んっ・・・美味しい!すっごい美味しい!全部美味しいけど、これはすっごく美味しいよ!」
ラハール「む・・・!」
エトナ「お~、やるじゃんアンタ」
マリー「・・・君、料理とか出来たんだ?」
番長「まあ、嗜む程度に」
陽介「そんなレベルかよこれ!なんかこう、ちゃんとしたレストランでシェフが作ったみたいな出来じゃね?ふわっふわでとろっとろで!」
クマ「さっすがセンセイ!最高クマ!」
完二「あ、クマ公!テメ食いすぎだコラ!」
エトナ「最後はアタシか。番長の後だと、ちょっと気が引けるけど」
番長「これは・・・シンプルだけど、美味しい」
菜々子「あ、美味しい!ほんとに美味しい!」
りせ「ほんとに?・・・菜々子ちゃん見捨てないで・・・?」
菜々子「あ、えと、りせちゃんのも美味しかったよ?」
マリー「へえ、普通に美味しいじゃん。エトナ、料理とか出来るんだ?」
エトナ「まあ、魔界じゃ殿下のエサ係はアタシかフロンちゃんだったしね」
番長「ラハール、どうだ?」
ラハール「・・・・・・一番、落ち着く・・・味だ。ど、どうでもいいだろ俺様のことは!!」
エトナ「・・・殿下・・・」
番長「良かったですね。エトナさん」
エトナ「・・・・・・・・番長君、後でベルベットルームにいらっしゃい?一人でね」
番長「え、いや、あの・・・は、はい」
>-皆と楽しく過ごした。
>-・・・・・・
エトナ「じゃ、アタシ達帰ります。殿下、皆に迷惑かけないようにしてくださいね?」
ラハール「馬鹿言ってないでさっさと帰れ!」
菜々子「エトナさん、帰っちゃうの?」
エトナ「な~に?皆いるから寂しくないでしょ?お兄ちゃん達これから大人の話するんだから、邪魔しちゃ駄目よ?」
菜々子「う、うん・・・」
エトナ「・・・ん~、じゃちょっと帰る前に、一緒に庭で野菜のお手入れしようか」
菜々子「いいの?」
番長「いいんですか?」
エトナ「別にアンタ等のためじゃないわよ。菜々子ちゃんのため」
番長「すいません。じゃあ、お願いします」
エトナ「はいはい。ほら、おいで」
菜々子「うん!」
マリー「じゃ、私も一緒に」
エトナ「あ、番長君?後でね??」
番長「いや、あの、だから・・・はい」
マリー「また・・・呼んでね?」
番長「うん」
>-・・・・・・
ラハール「さて・・・話してもらおうか、番長。貴様の考えを」
番長「うん」
陽介「真面目な話といきますか」
雪子「けど、考えって?もうあの言い方、犯人だとしか思えないけど」
番長「久保はモロキン殺しの犯人。これについては間違いないと思う」
陽介「・・・その言い方、まるで今までの事件は違うって言ってるみたいだな」
番長「俺はそう思ってる」
千枝「え?けど、久保が自分で言ってたじゃん。全部俺がやったって」
完二「そっスよ」
ラハール「あれは嘘だ」
りせ「嘘?」
ラハール「そもそも、奴が今までの事件の犯人であれば、シャドウが出る訳がないのだ」
陽介「えぇ?」
ラハール「犯人は、被害者をテレビの中に入れることが可能な・・・ペルソナ使い。今までの見立てではそうだろう。奴の存在に気圧されて、肝心なことを忘れてはいないか?」
陽介「そ、そうか・・・」
ラハール「無論、根拠はそれだけではない。クマ、何故奴のシャドウが消えたのか、貴様ならわかっているのではないか?」
クマ「それは、アイツの本心を、アイツが受け入れなかったからクマね」
ラハール「やはりそうか。つまりは、全部奴がやったというのは嘘だったということだ。だが、マヨナカテレビでの【捕まえてごらん】という発言も奴のシャドウのもの、これも本心。このことから、少なくとも奴がモロキンを殺した犯人であるということも解る」
陽介「なるほど・・・」
ラハール「もう一つあるぞ。奴はモロキンのことを【三人目をやってやった】と言っていた。奴が本当に一連の事件の犯人なら、ありえん発言だ」
陽介「そ、そうか!」
完二「どういうことスか?」
陽介「山野アナと小西先輩、殺害されることで世間に広く知られた被害者は二人だけど。事件の被害者はこの二人だけじゃないだろ?」
雪子「・・・私達、だね」
完二「あっ・・・!」
陽介「お前の言ってることは解ったよ。けど、なんで久保はあんな嘘をついたんだ?」
ラハール「・・・問題はそれだ。俺様にはそれだけがどうしても解らなかった」
陽介「そうか・・・相棒はどうだ?」
番長「久保はきっと、自分を見て欲しかったんだと思う」
雪子「自分を?」
番長「モロキン殺しは多分、衝動的な犯行か、もしくは何かモロキンに個人的な恨みがあって行われたものだと思う」
陽介「ま、モロキン確かに、人の恨みは買ってそうな奴だったしな・・・」
番長「そして久保は、誰かに自分を見て欲しかったんだ。元々、どこか情緒に不安定なところのある奴だったんじゃないかな。どんな形でもいいから、誰かに自分を見て欲しい、誰かが見ていてくれないと落ち着かない。そんな気持ちばかりだったんだ。本心では、自分のことを空っぽな奴だと思っていながらも・・・それで、連続殺人の模倣として、モロキンを逆さ吊りにした。自分が連続殺人の犯人だという嘘をつくために」
ラハール「・・・」
番長「その後、モロキンを殺した少年として指名手配予定である報道がテレビで流れたことで、久保は連続殺人の犯人に目をつけられ、今回誘拐されてテレビの中の世界に入れられた。後は、皆が知ってる通りだ」
クマ「空っぽ・・・アイツも、空っぽだったクマね」
りせ「自分を、見て欲しかった・・・か」
番長「先生を殺したことは許されることじゃないし、久保はそのことについて法の裁きを受けるべきだ。けど、嘘をつきたくなる気持ちのほうだけは・・・わからないでもないんだよな。もちろん方法は間違っちゃいけないけど、自分を見てもらえないことほど、辛いことはないから・・・」
陽介「・・・ああ、そうだな」
完二「・・・」
番長「ラハール、納得したか?」
ラハール「・・・正直、俺様には理解出来ん。だが、貴様等が納得したのなら・・・それで良かろう。そういうものだと思っておいてやる」
番長「そっか」
>-・・・・・・
番長「今回の件で、一つはっきりしたことがあるな」
ラハール「・・・犯人の目星でもついたか?」
番長「具体的な犯人像が、少し見えてきていると思う」
雪子「犯人像?」
番長「ああ。久保がモロキンを殺害したことは、一部の警察関係者しか知らないことだ」
陽介「じゃ、じゃあ、犯人は警察官ってことか?それって、サスペンスとかだと最悪のパターンじゃん」
番長「その可能性もあるな。とにかく何らかの形で久保のことを知ることが出来る立場の人間。これが一つの具体的な犯人像だ。政治的な権力者、警察への協力者や、マスコミの関係者。別に警官じゃなくても、久保のことを知る方法はいくつか考えられる」
陽介「そ、そうか・・・」
>-しばらくの間、皆と事件のことについて話した。
>-次回予告
>-BGM:I'll Face Myself- Battle
完二「八十稲羽高校、そこは、日本屈指のワル共が集まる不良達のメジャーリーグ」
直斗「えぇ!?」
完二「汗と涙と喧嘩の果てに、ヤンキー達はお互いを理解し合っていく!」
直斗「そ、そうなんですか・・・?」
完二「そんなヤンキー達の笑いあり笑いあり、おまけにもう一つ笑いありの日常巨編!」
直斗「(転入、考えなおしたほうがいいかなあ・・・?)」
完二「魁!!八十稲羽高校!次回からよろしくな!」
フロン「学校生活は覗き見してませんでしたけど、なんだか大変そうですねえラハールさんも。不良達のメジャーリーグだそうですよ」
シシリー「覗き見?」
フロン「あ、覗きじゃありませんでした。監視ですね監視」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>319 Uやったことないんですよね。格ゲーというところがどうしてもハードル高く感じてまして・・・やったほうがいいんでしょうか。
>>321 どもです。
>>322,
>>323,
>>325-329 完全な殿下相手だと、SPDがあまりにも違いすぎて何一つ番長のやることが命中しないでしょうね。タルンダ、ラクンダ、ラクカジャ、ランダマイザの四つぐらいしか当たらないんじゃないでしょうか。それらが当たったところで何か意味があるとも思えません。耐性も万能でせめれば良いだけなので、さすがに番長に勝ち目はないかと。
物理も含めて万能以外の全属性を反射にしつつマカラカーンでスターを跳ね返し続けるというのが一つの手ですが、この方法論でも殿下側はスターとヒールを交互にやってればいいだけなので、先に番長のSPが尽きますね。
>>324 フロンちゃんはともかくシシリーちゃんは情け容赦なさそうですよね。
乙
デレてる、デレてるぞ・・・!?
乙
学園生活はって事はそれ以外のシーンは覗き見してるのかフロンちゃんよ
乙でした
ディスガイアの能力値の大半は装備の補正で出来ている
と言いたいところだがD2だと修羅の能力値奪取補正があったな……
魔界で鍛えればだれでもあぁなれる可能性はあるよなぁ……
>>348
乙。周回番長と殿下はギガ○インすら許さんかwwww
>>351
そもそも殿下は1作目の時点で200万の宇宙艦隊を手加減した上で殲滅してるんだぞ
>>353
そういやそうだったなぁ……
そうだ、練武行こう
二人とも成長の限界がよくわからんからなぁ
異様にしぶとい女神様倒すにはどれくらいレベルが必要なんだ
乙
そういや殿下って今何レベルなんだろうか
更新します。
>-8/1(月)
:::【鮫川河川敷・川原】:::
>-皆で釣りに来た。
ラハール「・・・何を笑っとるんだ?」
エトナ「いやー、ちょっとさっき面白いことがありまして」
マリー「や、やめてってば」
ラハール「?」
陽介「釣りなんてガキの頃以来だぜ」
完二「こないだは食う時だけいましたもんね」
りせ「ここって何が釣れるんですか?」
番長「色々だけど・・・何を釣りたい?」
クマ「はいはーい!クマねー、イセエビ釣りたい!」
番長「それはちょっと無理だな」
菜々子「菜々子、イワシ釣る!」
:::【魔界】:::
ヴァルバトーゼ「!」
フェンリッヒ「あの、閣下?どうなされました?」
ヴァルバトーゼ「わからん。何かに呼ばれたような気がしたのだが」
フェンリッヒ「(最近閣下が変だ・・・)」
番長「イワシも無理かな」
菜々子「どうして?この前は釣れたよ?」
番長「この前は海だったからね。この川にはいないんだ」
菜々子「?」
千枝「旬じゃないとか?」
雪子「千枝。そもそも、イワシは海にしかいないよ?」
千枝「海にしかいない?そんなのあるの?」
陽介「あー、なんかあんじゃね?塩水にしか住めないみたいな」
千枝「え?なんで?」
陽介「さあ。魚には魚の都合があるんじゃね?」
番長「川に住む種類のイワシもいるにはいるんだけど、ここにはいないかな」
ラハール「おい、さっさと始めるぞ」
番長「あ、うん。じゃあ餌を付けようか」
陽介「餌には何使うんだ?」
番長「これ」
千枝「うわ、虫じゃん」
りせ「菜々子ちゃん虫平気なの?」
菜々子「菜々子平気だよ?」
番長「虫が無理な人は、こっちの小魚とか小さいエビでもいいよ。ここだと虫のほうが食いつきは良いけど」
千枝「あたし断然そっち!」
雪子「私は虫でもいいかな」
陽介「俺もどっちかというと虫じゃないほうがいいかな・・・」
クマ「クマも!」
千枝「あれ?っていうか、こないだ食べた魚も虫で釣ったんだよね。つまり中の虫ごと・・・?」
陽介「そ、そういえば・・・」
番長「いや、さばく時に内臓とかは取ってるから」
ラハール「虫ごと食ったら何か不都合があるのか?」
陽介「いや不都合っつーかさ・・・」
エトナ「殿下、ちょっとは人間の気持ち考えてみましょうよ」
ラハール「何故だ?タンパクが豊富ではないか」
エトナ「うわ・・・」
『私も混ざりた~い!』
エトナ「・・・・・・」
ラハール「どうした?」
エトナ「いえ、何でも無いです。ほっときましょう」
『ぬおぅ!しょんなこと言わずに構って下さいよエトナさん!』
エトナ「うっさいわよ!仕事しなさい!」
菜々子「誰と話してるの?」
エトナ「ただの馬鹿よ。気にしなくて良いの」
菜々子「?」
完二「っしゃー!」
雪子「おおー・・・完二君うまいね」
完二「まあ先輩の見よう見まねっスけどね。今日は釣るぜ~」
番長「完二、悪いけど、不慣れな人たちの補助も頼めるか?」
完二「あ~、良いっスよ」
菜々子「お兄ちゃん!」
番長「今行くぞ!」
りせ「先輩!」
番長「よし、完二、りせを頼む」
りせ「え~!?」
クマ「センセータスケテー!!」
番長「よし、自分で何とかしろ」
クマ「セ、センセー!?」
ラハール「・・・貸してみろ」
クマ「おおう、ラハール、中々やるクマね~。クマ彫れちゃいそう」
ラハール「死ね。次は自分でやれよ」
クマ「ヨシキター!」
>-・・・・・・
陽介「くっ・・・なんで俺だけこんなに釣れないんだ・・・?」
マリー「あ、またきた」
陽介「マリーちゃん、なんかさっきから調子良いね?ちょっと俺と場所替わってみない?」
マリー「・・・いいけど」
陽介「・・・」
マリー「・・・あ、きた」
陽介「何でじゃああ!」
エトナ「要領が悪いのよ。アンタ引いてても気付かないでエサだけ持ってかれてんでしょ」
ラハール「・・・貴様はこんなとこでも落ちこぼれか」
陽介「落ちこぼれとか言うな!」
りせ「ちょっと完二、これどうすんの!?」
完二「だからさっき言っただろが!」
りせ「いいから手伝ってよ!」
完二「だー!」
千枝「おおっ!この引きは今日一番の大物の予感!」
番長「・・・いや、それ」
ザパッ
千枝「・・・長靴だ」
番長「・・・長靴だな」
雪子「た、確かに大物だよ千枝!あはは!」
千枝「ああ、泥が詰まってたから重かったんだ・・・」
雪子「大物!大物!」
千枝「相変わらず雪子のツボはよくわかんないな・・・」
クマ「釣れたクマー!今日のクマは絶好調クマよ!」
菜々子「・・・」
ラハール「・・・どうした?ぼけっとしてると魚に逃げられるぞ?」
菜々子「皆、楽しそう!」
ラハール「・・・・・・ああ、そうだな」
>-皆と楽しく過ごした。
>-8/6(土) 雨
:::【八十稲羽商店街】:::
菜々子「・・・」
スッ
ラハール「おい、傘もささずに何をやっとるんだ?」
菜々子「あ、ラハールさん・・・」
ラハール「どうかしたのか?」
菜々子「う、ううん、大丈夫。傘ね、あげちゃった」
ラハール「あげた?」
菜々子「・・・」
ラハール「チッ・・・わかった。家まで送ってやる」
菜々子「ほんと!?」
ラハール「さっさと行くぞ」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
ラハール「む・・・なんだ、番長は留守か?」
菜々子「うん、最近、お兄ちゃん・・・あんまり家にいないんだ。夜も遅いし」
ラハール「・・・」
>-8/7(日)
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「ふ~ん」
ラハール「ふ~んって貴様・・・そ、それだけか?」
エトナ「それだけかって、番長にも色々あるんでしょ。大方ワイルドの力を上げるために誰かとの絆でも深めてるんじゃないですか?アタシ達にゃ理解出来ない話ですけど」
ラハール「そうかもしれんが・・・あまり菜々子の奴を家に一人にしておくのは感心せん」
エトナ「そうは言っても、いっつも菜々子ちゃん連れ回すってわけにもいかないでしょ?」
ラハール「・・・貴様、随分奴の肩を持つではないか」
エトナ「んーなことないですよ。つか、殿下のほうこそ菜々子ちゃんの肩持ちすぎなんじゃないですか?」
ラハール「べ、別にそんなことはないだろ!」
エトナ「じゃーアタシだってそんなことないですよ」
マーガレット「・・・夫婦喧嘩は犬も食わないわよ」
ラハール「だ、誰が夫婦だ!」
エトナ「アンタ、死にたいのかしら?」
マーガレット「あら、今の貴女に私をどうこう出来る力があるとは思えないわね」
エトナ「ぐっ・・・!」
マーガレット「がたがた言ってる暇があったら、あなた達でその子に構ってあげればいいのではないかしら?」
エトナ「・・・なるほど」
ラハール「・・・その発想はなかったな・・・」
マーガレット「(・・・世話の焼ける夫婦だこと)」
>-・・・・・・
:::【堂島家・庭】:::
菜々子「よい、しょ」
エトナ「やっほー」
菜々子「あ、エトナさん!ラハールさんも!」
ラハール「何をしとるんだ?」
菜々子「あのね、庭のお野菜のお手入れしてるんだ!」
エトナ「手伝うわよ」
菜々子「うん!」
ラハール「馬鹿馬鹿しい・・・俺様は手伝わんぞ」
菜々子「一緒に、しないの・・・?」
ラハール「む・・・」
菜々子「・・・」
ラハール「わ、わかった。やればいいんだろ!?」
>-・・・・・・
ラハール「何やら妙な野菜ばかりだな・・・」
>-8/14(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::
番長「久保美津雄の容疑が固まったみたいだ」
ラハール「!」
陽介「それで、どうなったんだ?」
番長「モロキンの服からとれた指紋と久保の指紋が一致したみたいで、モロキン殺しは確定。これまでの連続殺人についても、久保の犯行だろうということで警察では処理するみたいだ」
千枝「え?」
雪子「け、けど、番長君とラハール君の見立てでは・・・」
ラハール「・・・」
番長「うん・・・警察としては、これまで事件に進展がなかったことで体裁が悪いらしくて、どうしても同一犯ということにして解決扱いにしたいみたいなんだ。ただ、堂島さんは違うんじゃないかと思ってるみたいだったけど」
りせ「何それ?」
完二「使えねえ奴等だぜ・・・」
陽介「まあ、元々警察だけじゃ無理だろうって俺達が始めたことだしな。俺達はこれまで通りってわけだ」
番長「そうだな。今のところ犯人に動きはないみたいだけど、今後も注意しておこう」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
>-エトナさんとマリーも呼んだ。
マリー「ふう・・・外暑すぎ」
クマ「そうクマね~・・・」
ラハール「おい、脱いでもいいか?」
陽介「なんか久々だなそれ。もちろん駄目だ」
雪子「え、ぬ、脱ぐ!?」
千枝「何に食いついてんのよ・・・」
エトナ「殿下はだらしないですね~相変わらず」
ラハール「やかましい!貴様は涼しそうな格好だからいいのだろうが、俺様はいろいろ着せられて暑苦しい思いをしとるのだぞ!」
エトナ「いいじゃないですか殿下もいつもの格好してれば」
陽介「補導されるから勘弁してください・・・いや、待てよ?涼しい格好になれるとこ、行くか?」
ラハール「は?」
番長「行くか?」
陽介「おう、行こうぜ」
>-・・・・・・
:::【沖奈市・海岸】:::
菜々子「海だー!」
りせ「プライベートで海なんていつ以来だろ・・・」
菜々子「りせちゃん眩しいの?」
りせ「あ、ううん違うの。サングラスでもしてないと大騒ぎになっちゃうから」
菜々子「?」
陽介「りせちーの生水着・・・生きてて良かった・・・!」
ラハール「アホか・・・」
エトナ「やっぱ殿下はそんな感じの格好のほうが違和感ないですね」
ラハール「そういう貴様は普段着と大して変わらんな」
マリー「・・・」
エトナ「何縮こまってんのよ?」
マリー「いや、恥ずいし・・・」
千枝「急にこんなとこまで来るとは思ってなかった・・・」
雪子「いいじゃん。なんか楽しいよ」
千枝「や、まあね」
陽介「おいお~い、りせちーだけじゃなく、その他も悪くないじゃん?」
完二「・・・」
陽介「完二、鼻血はやめとけよ?」
完二「う、うっせ!誰がそんなもん出すか!」
番長「菜々子に日焼け止め塗ってやってくれませんか?」
エトナ「はいはい、菜々子ちゃんおいで~」
菜々子「は~い」
クマ「エトナチャン!クマにも!」
エトナ「死ね」
クマ「エェ!?」
番長「あとで俺にもお願いします」
エトナ「ぶっ殺すわよ?」
りせ「先輩、むしろ私に塗ってください!」
番長「いや、マリーとかに頼めばいいんじゃないか?」
りせ「えぇ~!?」
陽介「・・・いつも思うけど、なんであいつりせのことああやってかわすんだ?最高じゃん、塗れよ」
完二「いや知らねーよ」
陽介「・・・ちょっと後で探り入れてみるか」
>-・・・・・・
菜々子「砂のお城作ろ!」
エトナ「って言ってるわよマリーちゃん」
マリー「え、私?」
菜々子「エトナさんも!三人で!」
エトナ「えぇ~?まあいいけど、アタシが参加するからにはガチでやるわよ?」
菜々子「ガチ?ってなーに?」
エトナ「本気でってこと」
完二「おい、テメーは泳いでこねぇのか?」
りせ「いや、サングラス外せないしね。そういうアンタこそいいの?」
完二「なんか来ただけで満足しちまった。こういうことって今までなかったしな」
りせ「・・・ふ~ん・・・」
陽介「第一回、最高の水着姿決定戦!」
クマ「うおおお!」パチパチパチ
番長「・・・」
ラハール「・・・」
陽介「つーわけで、お前等ぶっちゃけどうよ?」
番長「菜々子が一番可愛いと思う」
陽介「ま、まじで?それはちょっと問題発言なんじゃ・・・」
ラハール「・・・どいつもこいつもどうでもいい」
陽介「それもそれで問題だぞ」
クマ「クマは皆可愛いと思うクマ!」
陽介「ああ、まあお前はそうだよな・・・」
番長「そういう陽介はどうなんだ?」
陽介「そりゃお前りせちーだろ!あのはち切れそうな胸!扇情的な腰とくびれ!」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
クマ「・・・ヨースケちょっと気持ち悪いクマ」
陽介「お前にだけは言われたくねえ!」
千枝「ぶはっ!!・・・素潜り12分か・・・」
雪子「千枝凄い潜れるんだね。よく息続くなあ」
ラハール「おい、飯にするぞ」
雪子「あ、はーい、今行く」
>-・・・・・・
千枝「ん~、ラーメン、焼きそば、カキ氷!海って感じですなぁ」
陽介「それで海を連想するって・・・お前はやっぱり食い気なのな」
千枝「やっぱりってどういうことよ?」
雪子「千枝、そういうことだよ」
千枝「それはもういいってば!」
???「HA~HA~HA~!」
???「O~H!ゴードン素敵!」
エトナ「で、殿下アレって・・・」
ラハール「見るな。目を合わすな」
番長「知り合いか?」
ラハール「いや、知らん」
エトナ「そうね」
クマ「はぐ!はぐ!」
マリー「ちょっと、落ち着いて食べなよ」
クマ「ン~!」
りせ「完二、がっつくとクマみたいよ?」
完二「あ・・・だな」
クマ「コラそこ!どういう意味クマ!?」
菜々子「ん・・・」
番長「菜々子もやきそば食べるか?」
菜々子「うん、一口頂戴!」
番長「はい、あ~ん」
菜々子「は、恥ずかしいよお兄ちゃん・・・///」
りせ「先輩、私も欲しいです!」
番長「いや、りせにはあげない」
りせ「そんな~!?」
陽介「(あ、あいつマジで・・・?)」
>-・・・・・・
>-・・・砂の城を完成させた!
陽介「・・・な、なんか、凄いの出来たのな」
番長「設計はエトナさん、マリー、菜々子だ。あとは完二とりせも引っ張ってきて皆で作った」
りせ「疲れた~」
完二「だな。けどなんか面白かったぜ」
りせ「そうね~」
陽介「つかマジ凄すぎるだろ。このまま大きくすれば住めそうだぜこれ」
番長「そっちはどうだった?」
陽介「・・・察してくれ」
エトナ「何?なんかしてたの?」
陽介「いや、まあ・・・」
クマ「逆ナンクマ!」
エトナ「逆?」
陽介「ナンパですよナンパ・・・」
エトナ「逆じゃないじゃん。つーか相変わらずアホだねえ。こんな可愛い女の子達と一緒に来てんのに」
陽介「今日はイケる気がしたんですよ!けど、クマが肝心なとこで馬鹿なこと言い出して・・・」
マリー「・・・何の話?」
番長「・・・そっとしておこう」
ラハール「お、おいこれ魔王城ではないか!」
エトナ「あら殿下」
ラハール「あら殿下じゃない!何だこれは!」
エトナ「魔王城ですよ」
ラハール「貴様・・・」
菜々子「砂のお城だよ!凄いでしょ!」
ラハール「あ、ああ・・・凄いな・・・」
千枝「なんか見物してる人もいるじゃん」
雪子「凄い・・・私も一緒に作れば良かった」
エトナ「そっちは何してたの?」
千枝「スクワット!ラハール君発案で」
エトナ「こ、こんなとこまで来といてですか?」
ラハール「・・・なんだ?良いだろ別に。水中は抵抗が高いから普段より効率良く鍛えられる」
雪子「私はやってないよ?二人を見ながらのんびり泳いでただけ」
エトナ「ああそう・・・」
>-夜
完二「買ってきましたよ~!」
番長「すまないな」
完二「いっスよこんなの。金は先輩等が出してくれたんだし」
陽介「うっしゃー!やるぜ!」
千枝「ちょっと、でかいのは後でしょ?」
陽介「最後は線香花火とか地味なので締めだろ?派手なの最初にやっとこうぜ」
千枝「言われてみればそっか」
雪子「ロケット花火だ。横に飛ばして良い?」
千枝「駄目でしょ!上に飛ばしなさい!」
菜々子「花火だ花火!りせちゃん、一緒にやろう!」
りせ「うん。あ、火には気をつけてね」
クマ「アギラオー!」
マリー「馬鹿!こっちむけんな!」
ラハール「・・・地味だな」
エトナ「ですねぇ。一丁派手にやります?」
ボッ
ラハール「・・・やるか?」
ボボッ
>-ドーン
菜々子「おっきい花火だー!」
陽介「あ、あいつら」
千枝「きれー・・・」
陽介「・・・ま、いいか」
>-皆と楽しく過ごした。
>-8/20(土) 朝
:::【堂島家】:::
>-今日は勉強会を開くことにした。
りせ「菜々子ちゃんは、それ絵日記?」
菜々子「うん、他の宿題いっぱいあったけど、エトナさんとラハールさんが手伝ってくれて終わったんだ」
陽介「え、マジ?」
ラハール「な、なんだ貴様その目は」
陽介「ラハールも菜々子ちゃんには甘いんだな~」
ラハール「ぶっとばすぞ!」
陽介「自分の宿題はやってねーくせに」
ラハール「こんな単純作業やってられるか」
エトナ「あら、殿下宿題してないんですか?」
陽介「こいつ勉強は出来るくせに、宿題とかは全然出さないんですよ。けど、成績良いから先生達は文句言えなくて」
千枝「いいよね~ラハール君は」
陽介「や、流石に夏休みの宿題丸ごとやってなかったら何言われるかわかんねーぜ?だからやっとけって言ってんだけどよ」
ラハール「無意味だ。こんなもので知能が付くなら苦労はせん」
陽介「・・・これだ」
番長「知能は付かないかもしれないけど、やっていれば先生達からの評価は下がらないぞ」
ラハール「知るか。どうとでも評価しろ」
完二「か、かっけえ・・・!」
雪子「見習っちゃ駄目だよ?完二君の場合は宿題やればそのまま身に付くんだから」
完二「ウ~ス・・・」
菜々子「ラハールさん、宿題してないの?」
ラハール「しとらん」
菜々子「どうして?菜々子の宿題手伝ってくれたから、時間無いの?」
ラハール「いや、別にそういう訳では・・・」
菜々子「宿題しないと、先生に怒られるんだよ?」
ラハール「いや、あのな・・・」
菜々子「・・・」
ラハール「う・・・ええい、やれば良いんだろうやれば!」
エトナ「菜々子ちゃんつえぇ・・・」
番長「だろ?」
陽介「何でお前が誇らしげなんだよ」
クマ「暇クマ~!暇クマ~!」
陽介「だから付いて来ても面白いことないっつったろ?」
クマ「皆集まるのにクマだけ仲間外れは嫌クマ~!」
陽介「んなこと言われてもなあ・・・今日で宿題全部やりきるつもりだから、遊んでる暇なんかないぜ?」
クマ「皆クマをほったらかして楽しそうに・・・クマは不幸な美少年クマ・・・!」
完二「楽しくねーつの・・・あ、先輩、この問題わかんねんスけど」
番長「ああ、それならさっきりせに教えたから聞くと良い」
完二「ウ~ス、おいりせ」
りせ「ん?どれ?ああこれね」
雪子「エトナさん、これなんですけど」
エトナ「ん~?」
千枝「エトナさんもラハール君みたいに博識なんだね」
陽介「年の功ってやつだな」
エトナ「花村、後で説教ね」
陽介「ええ!?いやあの、悪口言ってるわけじゃなくて、ほら、お婆ちゃんの知恵袋って言うじゃないですか!」
エトナ「後で折檻ね」
陽介「レベルアップさせちまった・・・」
>-昼
千枝「はーい出来たわよ」
雪子「口に合うといいんだけど」
陽介「そ、それ以前に・・・これ口に入れても大丈夫か?」
番長「今回は大丈夫だ」
陽介「そう言われてもな・・・里中と天城が作ったカレーとなると、毒じゃないかがまず心配で・・・」
千枝「失礼ね、食べてから文句言いなさい!」
陽介「こないだもそう言われて、食った時には手遅れだっただろが」
千枝「いいから食べなさい!」
菜々子「いただきま~す」
陽介「あ、菜々子ちゃん待って!」
菜々子「?」
陽介「く、口に入れちまった・・・!」
菜々子「おいしいよ?」
ラハール「・・・」
エトナ「ん、まあイケルじゃん」
陽介「え、マジ?」
りせ「あ、おいしい!信じられない!」
千枝「く、久慈川さん?信じられないって一体どういうことかしら?」
クマ「うまいクマうまいクマ!」
ラハール「・・・普通にうまいぞ。何があった貴様等」
雪子「時々、エトナさんと番長君に、お料理教わってたんだ」
ラハール「・・・そうか」
完二「おかわりお願いします!」
陽介「・・・どうやら、マジで大丈夫そうだな」
千枝「まだ疑ってたんかい!さっさと食べなさいって!」
陽介「ん・・・うめえ!それ以前に普通に食えることに感動だ!」
千枝「お、おお。わかれば良いのよ」
陽介「疑って悪かった。前回が衝撃だったからな」
千枝「や、まあ、あれはね・・・常識が無かったねk私達に」
>-・・・・・・
クマ「クマー・・・クマー・・・」
陽介「食うだけ食ったら居眠りかよ。何しに来たんだ?こいつ」
完二「俺も眠いっス・・・」
りせ「アンタは宿題終わらせなさい」
完二「わーってるよ、わかんねーとこ多すぎて一人じゃ絶対終わんねーしな・・・」
菜々子「ん~・・・」
エトナ「あら、菜々子ちゃん眠い?」
菜々子「うん・・・」
エトナ「じゃあ、ちょっとお昼寝してこよっか。おいで」
菜々子「は~い・・・」
エトナ「ちょっと菜々子ちゃん寝かしつけてくるわ」
番長「すいません」
陽介「・・・なんか意外だ。エトナさんてしっかりしてるんだな」
ラハール「奴は自分で対等以上の立場にあると認めている者に対しては面倒見が良いのだ。まあ、明確に格下であると思う相手に対してはその限りではないがな。プリニーとか陽介とか」
陽介「プリニーってのはよくわかんねーけど、やっぱ俺そういう風に見られてるのな・・・」
ラハール「こき使われないだけでもありがたく思っておけ」
陽介「うへ~」
番長「・・・最近、マヨナカテレビがないな」
ラハール「霧が出るほど長時間雨が降り続いていないからな。未だに犯人の動き頼みというのは、歯がゆいものだ」
雪子「そうだね・・・」
千枝「けど、なんかこう・・・平和なのも良いよね」
ラハール「・・・」
雪子「うん」
>-皆と楽しく過ごした。
>-次回予告
>-BGM:ラハール様の賛美歌
シシリー「お兄ちゃんには魔王としての自覚が足りないと思うの!」
フロン「ど、どうしたんですか?急に・・・というか、今更?」
シシリー「あんな大人しく過ごして、隙あらばエトナさんとイチャイチャと・・・!」
フロン「別にいちゃいちゃという感じでもないような・・・あるような。まあ良いじゃないですか。愛ですよ愛」
シシリー「とにかく!エトナさんは許せないわ!」
フロン「あれ?ラハールさんの話じゃなかったんですか?」
シシリー「次回、超魔天使シシリー!【エトナ殺す】!!」
フロン「直球ですね。まあそれも愛ですかね。いってらっしゃ~い」
エトナ「・・・え、マジ?来んの?」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>349 殿下のデレへの切り替えはD2じゃ凄いことになってますからね。そういうイメージでどうぞ。
>>350 あくまで監視です。殿下が問題起こしたら困りますからね。(名目上)
>>351
>>353
>>354 単純なステも転生していけば桁が四つ五つ変わってきますよね。
>>352 前回までは番長の強ペルソナ頼りでしたが、レベリングの結果余裕が出てきた模様です。
>>355
>>356 P4Gの難度リスキー適正ぐらいだと思ってて下さい。
乙
ご無沙汰だと思ったら八十稲羽に旅行してたのか37代目地球勇者
乙
おい何してんだ37代目地球勇者
それにしてもエトナと殿下が夫婦とは愛天使達が聞いたらただではすみませんね…
乙
次回タイトルで草
乙
とてもおもしろいSSですね、続きが楽しみです。
この殿下って、ペルソナが出たらどうなるのでしょうか?
更新します。
>-8/20(土) 夜
:::【辰姫神社・夏祭り】:::
ガリガリ
陽介「さっきから食ってばっかだな」
ラハール「屋台には普段見ない食い物が色々とあるからな。この際全部食ってやる」
陽介「屋台制覇する気かよ。いくら胃袋あっても足りねーって」
完二「手伝いますよ先輩」
クマ「クマも!」
陽介「お前等は奢られたいだけだろ。つかクマはちゃんと自分で小遣い貰ってるだろ」
番長「待たせたな」
陽介「お!遅いぜ・・・ってお前」
完二「浴衣スか。なんか雰囲気ありますね」
陽介「遅れてきたと思ったら・・・ずりーぞお前。一人だけお洒落しやがって」
クマ「センセー似合ってるクマ!」
番長「任せろ」
ラハール「・・・」
番長「ラハールにも着せようと思ってたんだけど、逃げられてさ」
ラハール「これ以上暑苦しい格好をさせられては敵わんからな」
番長「意外と涼しいんだぞ?」
ラハール「馬鹿を言うな。そんな長い袖で涼しいわけあるか」
エトナ「あれ、殿下浴衣着て無いじゃん。ちょっと番長、話が違うわよ」
番長「すいません。逃げられまして」
ラハール「エトナお前・・・」
エトナ「な、なんです?」
ラハール「い・・・いや・・・別に・・・」
クマ「おおう!エトナちゃんいつにも増してプリチー!」
シシリー「見とれてる場合じゃないよお兄ちゃん」
ラハール「!?」
エトナ「うわ・・・マジかよ」
陽介「お、おいラハール。お兄ちゃんってまさか・・・その子・・・」
ラハール「・・・・・・妹だ」
>-・・・・・・
>-女性陣と合流した。
雪子「この子がラハール君の妹・・・」
りせ「なーんか私達、せっかく浴衣着てきたのに話題もってかれちゃいましたね?」
千枝「いやま、しょうがないっしょ」
シシリー「貴女が雪子さんか・・・ふ~ん・・・」
ジロジロ
雪子「な、なあに?」
シシリー「あ、いえ・・・う~ん・・・」
ラハール「何をしとる阿呆」
シシリー「いや、美人だなーと思って」
雪子「あ、ありがとう?」
シシリー「・・・あんまり調子に乗らないでよね」
雪子「えぇ~・・・?」
ばっ
菜々子「わ」
シシリー「貴女が菜々子ちゃんね?」
菜々子「う、うん?」
シシリー「・・・確かに可愛い・・・」ジロジロ
菜々子「?」
がしっ
番長「菜々子に、何か?」
シシリー「いやいや、何でもないよ!?」
番長「そうですか、それなら良いんですよ」
シシリー「(・・・怖っ!ほんとに人間!?)」
エトナ「・・・あいつを怒らせないほうが良いわよ」
シシリー「そうみたいだね」
ラハール「・・・おいシシリー、貴様一体何をしに・・・いや、今は良いか」
シシリー「お兄ちゃん?」
ラハール「今日は祭りだ。遊ぶぞ。どうせ貴様もそのつもりだろ?」
シシリー「うん!」
>-・・・・・・
菜々子「歩きにくい・・・」
番長「そうか?けど、似合ってるぞ」
菜々子「えへへ・・・」
陽介「・・・」
番長「・・・どうした?」
陽介「いや、なんでもない・・・なんでもないんだ」
エトナ「殿下、りんご飴」
ラハール「クマの食いかけでも食っとれ」
エトナ「やですよ、新しく買って下さい。つーかクマ、アンタこれ食べ切りなさいよ」
クマ「は~い」
シシリー「お兄ちゃ~ん、りんご飴」
ラハール「あ、ああ・・・ほら、買って来い」
エトナ「うわムカツク」
ラハール「何を言っとる。お前もさっさと買って来い」
エトナ「え・・・」
シシリー「む・・・!」
完二「兄妹らしいスけど、なんかあんま似てないスよね。あの二人」
雪子「そうかなあ・・・妹さん今は結んでるみたいだけど、触覚とか似てると思うよ?」
完二「しょ、触覚?」
りせ「完二~!水風船取れない~!」
完二「知るかよ番長先輩に言ってこい」
りせ「先輩、菜々子ちゃんにばっかり構ってて寂しい・・・」
完二「ああ、なるほど・・・しょうがねえ、ちょっと手本見せてやっか」
千枝「見て見て金魚!超取れたよ!」
マリー「・・・え、何?それ食べるの?」
千枝「いや流石のあたしも金魚は食べないよ!?」
雪子「あ、食べないんだ」
千枝「何で意外そうなの!?」
雪子「マリーちゃんも歩きにくい?」
千枝「雪子、せめて置いてかないで・・・」
マリー「歩きにくいっていうか・・・なんか恥ずい」
雪子「恥ずかしくないよ。似合ってるよ」
千枝「いや、あたしはちょっとマリーちゃんの気持ちもわかるかな。普段しないような格好ってなんか照れるよね」
雪子「え?でも、千枝も似合ってるよ?」
千枝「おお、雪子はそういうのさらっと言うなあ・・・」
雪子「花村君はどう思う?」
陽介「お、スルーしかけてたけど、女性陣全員で浴衣とか、思い切ったことしたよな。そんためにわざわざ天城んちに行ってたわけだ?」
雪子「ちょっと人数多くて着付けに時間かかっちゃったけど」
陽介「いいよそんなん。俺等にとっちゃ良い目の保養ですから、多少の遅れぐらいはな?」
番長「・・・あ、俺?まあ、そうだな」
陽介「皆似合ってるけど、誰が一番だろうな?」
番長「菜々子だな」
陽介「そ、そうか・・・(やっぱりこいつ・・・)」
千枝「いつものことだけど兄バカだねえ・・・ここは雪子っしょ!浴衣と言えばこの女よ!」
番長「いや、菜々子だな」
千枝「お、珍しく頑固ね。花村はどう思う?」
陽介「俺?俺か・・・皆良いけど、まあ、普段とのギャップでいえばエトナさんと里中がぶっちぎりだな」
千枝「こら、エトナさんはわかるけど、私の浴衣姿にギャップを感じるってのはどういうことよ?」
陽介「えぇ?いや、だってお前、普段そういう・・・おしとやかってーの?そういう格好しないじゃんよ?」
千枝「どーせあたしにはこういうの似合いませんよ!」
陽介「そうは言ってねーだろ?普通に似合ってるよ」
千枝「あ、ぁぁ・・・そう・・・」
陽介「なんでそこで声小さくなるんだよ!?なんか恥ずかしいこと言ったみたいじゃねーか!」
千枝「う、うるさい!別にいいでしょどうでも!」
ギャーギャー
番長「・・・行こうか」
雪子「そうだね」
>-・・・・・・
>-わかれて見てまわることになった。
陽介「第一回、浴衣美人決定戦!」
クマ「うおおお~!」パチパチパチ
ラハール「・・・」
完二「・・・」
番長「花村は、さっきの流れから言って里中だな?」
陽介「ばっかお前りせちーに決まってんだろ!浴衣姿がどうかはともかく夏祭りよ!?あのりせちーと一緒よ!?」
>-・・・だめだこいつ。
完二「りせねえ・・・りせは番長先輩と一緒が良いって言い出すんじゃないスか?」
番長「いや、俺は菜々子と行くから」
完二「良いじゃないスか、りせも一緒に連れてけば。どうせ俺等五人に女七人いるんスから」
クマ「そう、女の子のほうが多いクマ!その差を解決するためにクマが一つ良い案を用意したクマよ!」
陽介「一応聞いてやろう。言ってみ?」
クマ「クマが七人全員をはべらせて遊ぶクマ!」
番長「却下だ」
陽介「聞いてみた俺がバカだったよ」
番長「けど、完二の一緒にっていうのは良い案だな。ラハールはエトナさんと妹さんを連れて行くだろ?」
ラハール「む・・・まあ、そうだな」
番長「完二はどうする?誰と回るのが良い?」
完二「え、いや、別に誰ととか・・・いや、どうでもいんスけど。いやまあ、強いて言うなら・・・あ、天城先輩スかね」
陽介「どもりすぎだろ。つーかそうか、天城かー。意外とムッツリだな完二」
完二「だ、誰がむっつりだテメッ!」
陽介「けど安心したぜ?男と一緒が良いとか言い出さなくて」
完二「んなっ!ざっけんな!いい加減しつけーぞコラ!」
番長「じゃあ俺はりせと菜々子を連れて行くとして、クマ、どうする?」
クマ「クマ?」
ジー
クマ「(セ、センセイから何か凄い視線を感じるクマ・・・)」
クマ「・・・」
番長「・・・」
クマ「ク、クマはマリチャンと一緒が良いカナー?」
番長「良し、じゃあそれで」
クマ「・・・フウ」
陽介「なんだ?となると俺は余った里中か?なんか、いつもと一緒だとせっかく祭りに来たって感じしねえなあ」
>-・・・だめだこいつ。
陽介「ま、良いや。おーい里中、俺と一緒に行くぞ」
里中「えっアンタと!?まあ、別にあんたがそうしたいんなら・・・」ごにょごにょ
陽介「何言ってんだ?いいや、また後でな相棒」
>-・・・だめだこいつ。
>-・・・そっとしておこう。
>-・・・・・・
りせ「・・・なんか、こうやってゆっくりしてるのも良いですね」
番長「・・・そうだな」
菜々子「お祭り、楽しいね」
番長「ああ。何か食べるか?」
菜々子「菜々子もうお腹いっぱいだよ」
りせ「私も~」
番長「・・・そうか」
菜々子「りせちゃんって、もうテレビには出ないの?」
番長「!」
りせ「・・・そっか、気になるよね。実はまだ迷ってるんだ。前はきっぱり辞めようと思ってたんだけど」
菜々子「?」
りせ「先輩と、先輩達と会って・・・一緒に遊んだり、勉強とか見て貰ったりして・・・」
番長「・・・」
りせ「なんか自分に余裕が出来たのかな。最近色々考えちゃうんですよね。私に出来ることって、なんなのかなー・・・とか」
番長「・・・出来ることより、やりたいことを考えたほうが良いんじゃないか?」
りせ「・・・うん、そうですよね」
菜々子「?」
番長「菜々子にはまだ、難しいかな」
菜々子「うん、よくわかんない」
番長「射的でもしようか。食べ物はもう良いんだろ?」
菜々子「うん!射的、する!」
>-・・・・・・
シシリー「エトナさんその格好疲れないの?」
エトナ「いやー思った以上に動きにくいわ。実は殿下にも浴衣着せるとか番長が言ってたから、アタシも付き合ってやっかーと思って着てんだけどさあ」
シシリー「えぇ?お兄ちゃん着てないじゃん」
エトナ「そうなのよ。殿下ったら、番長が着せようとしたら逃げたらしいの」
シシリー「えぇ~!?お兄ちゃんの浴衣見たい!」
ラハール「ええい、やかましい!誰がそんな暑苦しい格好するか!」
エトナ「暑苦しくはないですよ?むしろ涼しいぐらいで」
ラハール「何だと?そんなに長い袖なのにか?」
エトナ「ええ、これ余裕あるように作られてて、中には風が通るんですよ。ほら、見てください」
チラッ
ラハール「風が?・・・ああ、そうか、なるほど」
シシリー「ちょ、ちょっと・・・」
ラハール「あっ!・・・す、すまん!」
エトナ「?」
ラハール「その、袖から・・・中が見え・・・///!」
エトナ「あっ・・・///!・・・い、いや、良いですよ。ま、普段なら半殺しですけど?い、今のは見ろって言ったのアタシだし・・・」
ラハール「・・・」
シシリー「これだよ!!」
エトナ「うわっ」
ラハール「どうした急に・・・」
シシリー「お兄ちゃんさっき私に【一体何しに・・・】って聞いてたよね!?これだよこれ!こういう安易なイチャラブ展開の阻止!私はそのために来たの!」
ラハール「いちゃら・・・?何を言っとるんだこいつは」
エトナ「さあ?フロンちゃんと一緒にいすぎて頭おかしくなっちゃったんじゃないですかね?」
『失敬な!!』
エトナ「・・・」
『大天使様?いい加減書類の整理して下さい』
『待ってください今良いとこなのに・・・ああ~ん、アルティナさぁ~ん』
『駄目ですよ。もう切ります』
エトナ「・・・何してんだか」
ラハール「またフロンか?」
エトナ「ええ、もう見てないみたいですけど」
:::【天界】:::
アルティナ「しかし、よろしかったのですか?シシリーを行かせてしまって」
フロン「まあ抜け出されるよりは、魔王達の監視のため短期派遣という形のほうが体裁が保てますからね。天使長の皆さんにも納得頂いたわけですし」
アルティナ「いえ、そういうことではなく・・・大天使様も、行きたかったのでは?」
フロン「私は立場上今はちょっと・・・それに、もうラハールさんには私が必要というわけでもないようなので」
アルティナ「・・・」
>-・・・・・・
ラハール「・・・人間界には、いつまでおるのだ?」
シシリー「・・・実は、今日だけなんだ」
ラハール「・・・・・・そうか」
シシリー「けど、私満足したよ?久しぶりにお兄ちゃんに会えたし、お兄ちゃんが今、どんな人達と一緒にいるのか、ちょっとでも見られたから」
ラハール「・・・天界での仕事は、大変か?」
シシリー「うーん、まあやることは多いけど、私はそれよりお兄ちゃんに会えないことのほうが辛いかな」
ラハール「そ、そうか・・・」
エトナ「フロンちゃんが無茶言ったら、文句言っても良いからね」
シシリー「いっつも言ってる。フロンさん無茶苦茶なんだもん、変なロボット作ったりとかさあ」
ラハール「・・・奴は相変わらずアホか」
シシリー「・・・お兄ちゃん、なんか嬉しそうだね?」
ラハール「そ、そんなわけあるか!」
シシリー「む~・・・!」
>-・・・・・・
千枝「もう駄目・・・食えない」
陽介「お、おいおいどうした?体調でも悪いのか?」
千枝「いや、そういうんじゃなくて・・・帯がきつい」
陽介「あ、あ~・・・いつもより食えないのはそういうわけね?」
千枝「こりゃもう浴衣は駄目だな。せっかくの食い時に抑えなきゃならないなんて無理だわ」
陽介「もったいねーな。せっかく似合ってんのに」
千枝「・・・ほんとに、そう思う?」
陽介「な、なんだよ改まって」
千枝「いや、いいから・・・ほんとに、そう思ってる?」
陽介「そ、そりゃお前・・・」
クマ「ヨースケー!」
ガクッ
千枝「何かな?クマ吉君?」
クマ「あ、あれ?チエチャン何か怒ってるクマ?」
千枝「そんなことありませんわよ?」
クマ「やっぱり怒ってるクマ・・・口調がおかしいクマ・・・」
マリー「ほら、だから邪魔しちゃ駄目だって言ったのに」
雪子「ほんとだよ。せっかく良いところだったのに」
千枝「ゆ、雪子!?マリーちゃん!?まさか見てたの!?」
雪子「うん、覗いてた」
千枝「のぞっ!?」
完二「う~す・・・」
千枝「完二君まで!」
完二「いや、まあ、天城先輩の指示で・・・なんか面白いことあるっつーもんで」
マリー「結局面白くならなかったけどね」
完二「どういうこったよ?」
クマ「クマに聞かれてもわからんクマよ」
千枝「あんたらー・・・!・・・そこになおれー!」
陽介「(なんだったんだ今の・・・?・・・つーか結局皆集まってるし・・・まあいいや)」
>-・・・・・・
ドーン
ドドーン
エトナ「今日の花火は派手ですね~」
ラハール「・・・これ以上派手にしようと思ったらギガが必要だな。町に被害が出てしまう」
陽介「やめろ」
番長「妹さんは?」
ラハール「帰った。一応天界の命ということで、俺様の様子を観察しに来ただけらしい」
番長「・・・そうか」
陽介「帰っちまったのか・・・良かったのか?」
ラハール「・・・奴には奴のするべきことがあるだろう。貴様等や俺様にも、するべきことがあるようにな」
番長「そうだな」
陽介「・・・ああ」
エトナ「ちょっとちょっと、こんなとこでまで真面目な話ですか?」
ラハール「む・・・言われて見れば、それもそうか」
菜々子「花火、綺麗だね」
ラハール「・・・そうだな」
雪子「花火、綺麗だね」
ラハール「そ・・・そうだな」
クマ「花火、綺麗だね!」
ラハール「・・・」
陽介「・・・花火」
ラハール「もういいわ!」
>-皆と楽しく過ごした。
>-8/31(水)
:::【堂島家】:::
完二「スイカは!スイカはどこっスか!」
陽介「落ち着いて待てよ。人んちでお前・・・」
完二「落ち着けねーッス!」
ラハール「静かにせんか」
完二「あ、ウス」
陽介「なんだよその反応の差は!?」
完二「先輩、静かにしたほうがいんじゃないスか?人んちスよ?」
陽介「おまっ・・・!」
番長「もう少し待っててくれ。おじさんが貰ってくるから」
完二「う~す」
陽介「(完二も段々ふれぶてしくなってきたなあ・・・まあ、良いことだけど)」
ラハール「・・・しかし、良かったのか?エトナ達まで呼んでしまって」
番長「人数は多いほうが良いって、おじさんが言ってたからな」
千枝「今年の夏は色々楽しかったね~」
りせ「ん・・・ほんとに」
エトナ「まあ、暇はせずに済んだわね」
マリー「・・・楽しかった」
エトナ「あら、珍しく素直だ」
マリー「う、うるさい・・・!」
雪子「楽しかったけど、まだやってないことがあるよね」
菜々子「やってないこと?」
雪子「スイカ割り」
菜々子「スイカ割り!?スイカ割り、やりたい!」
クマ「クマも!クマも割る!」
番長「じゃあ調度良いな。おじさんが貰ってきたのでやろうか」
>-・・・・・・
菜々子「・・・」
クマ「・・・」
堂島「あー・・・すまんな、割るって考えが無かったもんだから、切り分けて貰ってきちまった」
菜々子「・・・」
陽介「来年、また来年やろうぜ。スイカ割りは」
菜々子「来年?」
陽介「ああ」
菜々子「来年・・・お兄ちゃんいない」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
エトナ「アタシ達もいないわよ」
陽介「そんなことないだろ」
番長「陽介・・・」
陽介「また来るだろ。ここに」
番長「・・・ああ、そうだな」
菜々子「ほんと?」
番長「・・・うん。また、ここにくるよ」
ラハール「・・・」
番長「もちろん、ラハールも、エトナさんも」
ラハール「む・・・」
エトナ「ですってよ殿下」
ラハール「き、貴様は、どうなのだ?」
エトナ「え?何がですか?」
ラハール「だ、だから!貴様はまた、ここに来ても良いのかと・・・そう聞いとるんだ」
エトナ「アタシがどうこうじゃなくないですか?アタシは一応殿下の家来ですから。殿下がどうしたいか、それだけですよ」
ラハール「む・・・」
菜々子「また・・・来てくれる?」
ラハール「・・・・・・ひ、暇ならな!暇ならだぞ・・・」
番長「・・・」
ラハール「・・・」
菜々子「・・・」
ラハール「・・・わかった!来る!また来てやる!」
菜々子「・・・えへへ」
ラハール「大体、来年の四月までは普通におるのだ。そういう話は気が早いぞ」
番長「そうだな」
ラハール「・・・そうだ」
>-皆と楽しく過ごした。
>-9/7(水) 放課後
:::【温泉・露天風呂】:::
ラハール「・・・俺様も随分と垢抜けたものだ」
番長「どうしたんだ?急に」
ラハール「風呂など大の苦手だったのだがな。クマや陽介と過ごす内に、気がつけば平気になってしまった」
番長「良いことじゃないか」
ラハール「・・・フン」
番長「・・・」
ラハール「・・・あの時は」
番長「?」
ラハール「はじめ陽介の部屋に住み着いた時は、思いもしなかった。想像だにしなかった」
番長「・・・何をだ?」
ラハール「出来れば・・・その・・・なんだ、死なせたくないと・・・そう思ってやっても・・・構わん奴等が、随分と増えてしまうことなどをな」
番長「今は、そう思ってるんだな」
ラハール「・・・まあ・・・な」
番長「増えるってことは、エトナさんは元からそう?」
ラハール「いや・・・奴は・・・まあ、家来だしな。大体、殺しても死なんような奴だぞ。奴が死ぬことなど考えたことも・・・あ」
番長「?」
ラハール「・・・なくはないが、あの時は結局、なんとかなったしな。奴はそもそも、俺様が心配する必要などない」
番長「信頼してるんだな」
ラハール「ま、まあ・・・家来としてな」
番長「だそうですよー!」
ラハール「いきなり大声を出すな・・・なんだ?今のは」
エトナ「大声出さなくても聞こえてるわよ!・・・ったく」
ラハール「エトナ!?」
番長「隣の女湯に、来てるんですよ」
ラハール「き、貴様知ってて今のような・・・!」
番長「・・・いぇー」
ラハール「ぐ・・・まあ良い。別に聞かれて困るようなことは言っておらんからな」
番長「じゃあ、面と向かってエトナさんに・・・信頼してるぞって、言えるのか?」
ラハール「アホか!誰が言うか!」
番長「・・・じゃあ、やっぱり良かった。エトナさん呼んでおいて」
ラハール「チッ・・・お節介め。貴様のそういうところや、普段の訳のわからんところがアイツに似とるんだ」
番長「アイツ?」
ラハール「あ・・・いや、今のは忘れろ」
番長「わかった。胸に刻み込んでおこう」
ラハール「この・・・!」
番長「はは」
ラハール「・・・フン」
>-"ラハール"コミュのランクが"5"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
番長「・・・あ」
ラハール「何をニヤニヤしている!」
番長「なんでもない」
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-・・・・・・
番長「明日から修学旅行だな」
ラハール「そうだな」
番長「俺は準備しなきゃいけないから先に帰るよ。ラハールはエトナさんを送って行ってやってくれ」
ラハール「は?」
番長「じゃ」
ラハール「お、おい!」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・い、行くぞ」
エトナ「あ、はい・・・」
ラハール「・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・(番長め・・・!何故この俺様がこんな気まずい思いをせねばならんのだ・・・!)」
『これじゃ私が何のために行ったのかわかんないよ!!』
『はいはい、わかったから仕事しましょうね~』
『離してフロンさん!もう一度、もう一度私にチャンスを!』
エトナ「・・・天界は天界で、楽しくやってるみたいですね」
ラハール「・・・なんだ、また聞こえたのか?」
エトナ「はい」
ラハール「まあ、あのアホ天使がおれば、勝手に賑やかになるだろう。そのようなこと、魔界では迷惑なだけだったが、天界では良いことなのかもしれんな」
エトナ「・・・そうですねぇ」
>-次回予告
>-BGM:Pandora Ignition
シシリー「結局お兄ちゃんと一緒に楽しく遊んでたら時間がきちゃった・・・」
フロン「あのー」
シシリー「何しに行ったんだろ・・・はあ・・・」
フロン「シシリーさ~ん」
シシリー「悪い虫いっぱいついてるし・・・もうどうしよう・・・」
フロン「時々ですけどねー、人間界行っても良いですよ」
シシリー「えっ!?」
フロン「食いつきが凄いですね・・・シシリーさんからの報告を受けてですね、私がちょっと頑張って報告書を作りまして、それが天使長の皆さんによく出来ていると歓心して頂けたので、それなりの期間を開けてという条件付きで、また監視に行く許可を貰ってきました」
シシリー「フロンさん・・・!そんなに私のことを・・・!」
フロン「なので次は私が行ってきますね」
シシリー「そ、そうはさせないよ!」
エトナ「いや、いいから予告やんなさいよアンタ達」
シシリー「・・・けっ・・・」
エトナ「シシリーちゃん!?こ、これが反抗期!?」
番長「いや、違うと思いますけど・・・(エトナさんまで三文芝居に加わらなくても・・・)」
エトナ「・・・そっか」
シシリー「次回!シシリープリンセス!【エトナいつか殺す!】」
エトナ「進歩が無い・・・」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>376 地球勇者だってバカンスに行きたくなる時もあるらしいですよ。
>>377 フロンちゃんは笑ってスルーしながら心の奥底にある謎のどす黒い感情に困惑してそうですね。
>>378 エトナさんは殺せなかった模様です。
>>379 どうもありがとうございます。ペルソナ・・・もし出たらどうなるんでしょう。やっぱり悪魔か皇帝のペルソナが出そうな気がしますね。
珍しくリアルタイムで立ち会えたぜ、乙
そういえば元々世界と太陽のコミュって誰だったっけ
乙ー
>>394
垢抜ける→腑抜ける
乙ー
風呂に入って垢が取れたんだよ多分
赤い月の時を見るに殿下って身内認定したらプリニーに対しても内心いなくなってほしくないってなるぐらいだし
エトナやフロンにシシリーともなれば実際言葉にすればどれほど愛に満ちてるのやら
乙ッス。
5の発表がありましたねー。
後日談ではいつものように殿下も来ることでしょう
>>398
関係無いですが10周年メモリアルブックスにあるタロットによる対応は
ラハール=皇帝 エトナ=悪魔 教皇=フロン シシリー=運命 ゼノリス=審判
でした。
このままエトナと殿下の仲が深まればシシリーは既成事実を作りそうな勢いがあるなw
乙
あの殿下がここまで丸くなるとは恐るべし愛の力
最終的にはクリチェフスコイみたいに愛とか友情を肯定する魔王になるんだろうか
ぶっちゃけD2のラハールは無印の時よりだいぶ丸くなってる感ある
更新します。
>-9/8(木) 修学旅行 初日
:::【電車】:::
ラハール「帰りたくなってきた」
番長「なんでだ?」
ラハール「なんでって・・・むしろ何故わざわざこんなに遠出してまで勉強せねばならんのかをこっちが聞きたいところだな」
陽介「だよなあ。修学旅行ってのはもっとこう、楽しいもんのはずだ」
完二「先輩等、なんでまだ始まってもいねえのに愚痴ってんスか?」
陽介「何だ?お前聞いてないのか?今回の修学旅行はな、文字通り修学する旅行。何でも旅行先の高校と合同の勉強会みたいなのをやるらしいぞ」
完二「はあ!?なんじゃそりゃ!?」
陽介「やっぱ聞いてなかったか・・・」
番長「まあ良いんじゃないか?自由時間はそれとは別にあるし、何より普段受けられない違う学校の先生の授業を受けることが出来るんだぞ」
陽介「ポジティブだな・・・」
ラハール「教師や学校が変わったからと言って、何かが変わるわけでもあるまい」
番長「そうでもないと思う」
ラハール「・・・?」
番長「人が違えば考え方が違う。教え方が違う。どういう人がどういうことを考えていて、それを人にどうやって伝えるのか。そういうことを知ることが出来る」
ラハール「・・・」
番長「そして、学校。普段とは違う環境に身を置くことで、普段の自分を見つめなおす機会になると思う」
ラハール「・・・なるほど」
陽介「さすがにそこまで真面目に考える気にはなれねーけど、お前の言ってることも最もかもな」
完二「・・・あー、つまりどういうことスか?」
陽介「こいつみたいに何でも楽しめってことだよ。勉強もな」
番長「言い換えると、そうだな」
完二「・・・勉強も悪くねえってのは、先輩等に色々教えてもらってわかってるつもりスけどね。けど修学旅行でまでやることスかね?」
番長「だからこそ、勉強するだけの時間とは別に、俺達の自由時間もあるんだろう。学ぶだけじゃなくて、遊べってことだ」
完二「は~ん。なんか先輩に言われるとそんな気してきますね」
ラハール「・・・貴様いつになく饒舌だな」
番長「わかるか?」
ラハール「ど、どうした?」
番長「テンション上がってきた」ヒュンヒュン
ラハール「そ、そうか・・・」
>-夜
:::【シーサイドホテルはまぐり・外】:::
ラハール「・・・あっとういう間に夜がきたわけだが」
陽介「一日中授業だったからそんな感じするなー・・・」
雪子「けど、結構楽しかったね。なんだか個性的な先生だった」
ラハール「ん・・・まあ確かに個性的ではあったな」
番長「授業そっちのけで黒魔術の話をしだした時は、どういうリアクションを取ればいいかわからなかったな」
完二「く、黒魔術?」
りせ「先輩達よくテンション高い状態保てますね?電車でバスで移動してわざわざ授業って・・・まあ授業は良いですけど、スケジュールがタイトすぎ。アイドルじゃあるまいし」
陽介「いや、俺はそうでもねえかな。むしろテンション高いのは番長ぐらいじゃねえか?」
雪子「私も結構高いよ?」
陽介「あ、ああそう?」
千枝「雪子は月光館学園の授業楽しみにしてたからね~」
ラハール「・・・月光館学園か」
番長「・・・どうかしたか?」
ラハール「・・・いや」
ラハール「(・・・あの学校で感じたのは何かの力の残り香のようなもの・・・まあ、別に珍しいことでもないか。人間が思う以上に、悪魔や天使は人間界に関わっている。あの学校では少しそれが濃かったというだけで・・・)」
ふっふっふ~
>-・・・!?
ラハール「誰だ!」
フッフッフ~
番長「二人・・・いる・・・!」
クマ「センセーーー!会いたかったクマーーーーーー!」
ガバッ
番長「・・・・・・クマ?」
陽介「クマ!?お前何で!?つか何で!?何!?」
クマ「これ、ヨースケの旅のしおりクマ」
陽介「なくしたのかと思ってたら・・・お前が持ってたのかよ」
クマ「これ見てヨースケ達がここにいると思って頑張って来たクマ」
陽介「そ、そうか・・・何考えてんだか」
クマ「皆旅行に行くのにクマだけお留守番なんて我慢出来ないクマ!」
完二「つかお前何できぐるみのまま来てんだよ」
陽介「いや、それは別にいいだろ」
完二「あ?」
陽介「今気になるのはそこじゃねーだろ」
ラハール「・・・・・・!」
クマ「どうしたクマ?」
陽介「クマ、お前と一緒にいるその子・・・一体誰だ?」
ラハール「何故・・・」
番長「(・・・そうか、この人が・・・)」
ラハール「何故お前が・・・」
フロン「お久しぶりです。ラハールさん」
ラハール「あ・・・」
番長「・・・?」
ラハール「・・・っ!」
陽介「お、おいラハール!?」
ラハール「さっさと部屋に行くぞ」
陽介「えぇ!?」
ラハール「あ、いや・・・おいフロン、貴様いつまで人間界にいるのだ?」
フロン「・・・明後日までですね。休暇を返上して視察に来ていることになってますから」
ラハール「・・・そうか」
フロン「はい」
ラハール「・・・・・・宿は取っているのか?ここに」
フロン「ああいえ、何も考えずに来てしまいまして・・・」
ラハール「相変わらずアホな・・・天城、すまんが貴様等の部屋に置いてやってくれ」
雪子「え?まあ、いいけど・・・」
ラハール「・・・行くぞ陽介」
陽介「あっ、おい待てって!」
>-・・・・・・
フロン「・・・顔も見たくないということでしょうか?まあ仕方ないですかねえ・・・」
番長「まさか。本当にそうだったら、泊まるところの心配なんかしませんよ」
フロン「・・・あなたが番長さん、ですね。私、今年の三月に天使長改め大天使になりました、フロンと申します」
番長「あ、はい。フロンさんのことは、ラハールやエトナさんから聞いています」
フロン「そうですか。良い評判なら嬉しいんですけど」
番長「いや・・・変な奴で、駄目な奴だと聞いてます」
フロン「まあそうですよね・・・正直仰る通りなところもありますし・・・」
番長「・・・立ち話もなんですから、明日にしましょう。天城、ラハールも言ってたけど、フロンさんを頼む」
雪子「うん。任せて」
クマ「クマはどうすればヨイ?」
番長「俺と完二の部屋に来るか?どうせクマも、泊まるところなんか考えてないだろ?」
クマ「イェ~ス、センセイはやっぱりクマのことワカッテルクマね~」
完二「こいつと一緒スか?」
番長「駄目か?」
完二「あ、いや、別に良いスよ」
クマ「ほんじゃフロンチャン、また明日クマ!」
フロン「はい」
>-・・・・・・
:::【雪子と千枝の部屋】:::
フロン「いや~、最初に八十稲羽に着いた時はちょっと困り果てましたよ。せっかく着いたのにラハールさんいないんですから」
千枝「えぇ?そっから何で今ここにいるの?しかも何でさっきクマ君と一緒にいたの?」
フロン「八十稲羽で困り果てていたところ、寂しげなクマさんと遭遇して意気投合しまして。少ない旅費でどうにか皆のところまで行けないかと二人で試行錯誤しました」
>-・・・・・・
フロン「という訳でフロンとクマの大冒険!トラックの荷台や列車の貨物室に忍び込み、ここまでなんとか辿り着いたワケですね!半日以上かけて」
りせ「ふわ~、スゴ・・・けどなんでそこまでするパワーありながら、修学旅行のこと知らなかったの?」
フロン「いや~、最近お仕事が忙しくて、休みを取れたのも人間界に来ることが出来たのも急な話でしたから」
雪子「・・・」
フロン「一度人間界に降りた以上また天界を経由するわけにもいかず・・・いっそ八十稲羽からここまで飛んで来られれば楽だったんですけど、飛ぶところを人に見られるわけにもいかず・・・」
雪子「フロンさんは・・・魔界で、ラハール君と一緒に暮らしてたんですよね?」
フロン「さん付けなんかしなくて良いですよ。愛の天使ラブリーフロンと呼んで下さい。もしくはフロンちゃんで」
雪子「じゃあフロンちゃんで」
フロン「あ、はい・・・まあ、そうなりますね。といっても、住んでいたところが大きなお城でしたから、そこまで一緒に暮らしていたという感じでもないような・・・あるような・・・」
雪子「その頃の話とか、聞かせて欲しいんですけど・・・駄目ですか?」
フロン「よろしいですよ。この部屋に置いて貰ってる身ですからねえ。何からお話しましょうか」
>-・・・魔界戦記ディスガイアのお話・・・
フロン「そんなこんなで、当初は愛に否定的だったラハールさんも、少しは受け入れてくれるように・・・まあ、当のラハールさんは口ではまだまだ否定的ですけど、内心が変わってくれたことは、私にもエトナさんにも通じています」
りせ「なんか思った以上にスケールが大きかったんですけど・・・」
雪子「う、うん・・・話の途中にあった宇宙艦隊って何?地球勇者とかも・・・面白そうだけど、そんなのありえないよね?」
フロン「あ、まあこの世界ではそうですね。率直に言うと、当時私たちと対立していた人間界は、この世界とは別世界の人間界なんです。世界というものは多次元的にいくつも存在していまして、その内の一つということになりますね」
千枝「ワケがわからないよ・・・」
雪子「うん。私はわかったから、千枝には後で説明するね」
フロン「多分、ラハールさんのお母さんが生きていた頃の人間界が・・・今のこの世界の文明レベルと同じぐらいなのではないでしょうか」
雪子「・・・なるほど・・・」
千枝「け、けど、ラハール君って随分強かったんだね?いっつも私達と一緒に頑張ってる姿からは想像つかないや」
フロン「・・・単純にラハールさん自身の力を制限させて貰っている上に、人間界にはラハールさんが本来の力を発揮するために必要な魔力が全くといっていいほどありません。相当な苦労を強いていることはわかっているのですが・・・」
りせ「・・・どうして、天使さんたちは今、私達のことを傍観してるの?私、ちょっとそこが納得いかない」
千枝「ちょっと、りせちゃん?」
フロン「・・・りせさんの仰るとおりだと思います。ですが、とにかく、貴女方が関わっている事件のことについて、天界は完全に第三者としての立ち位置を崩せないのです。私からこの件について言えることは、これ以外にないんです。これ以上のことは、今の私の口からお伝えすることすら出来ません」
りせ「・・・やっぱりな~んか納得いかないなあ。私達が死にそうな目にあってる時も、遠いところから見てるだけなんて・・・」
フロン「・・・申し訳ありません。私達に出来るのは、見ることと、見に来ることだけ。皆さんと・・・ラハールさんと一緒に戦えたら・・・どんなに良いか・・・!」
りせ「フロンちゃん・・・」
フロン「今のラハールさんは、短い間であれ、人間界で人として育んだ心と力で戦っています。皆さん、見ていることしか出来ない私が言うのは筋違いかもしれません。それでも、お願いします。ラハールさんを、どうかよろしく・・・!」
りせ「・・・」
千枝「ん~・・・言われるまでもないよね?」
雪子「うん」
千枝「というより、いつもよろしくして貰ってるのはこっちのような・・・」
りせ「確かに・・・っていうか、そんなこと勝手に言われてるなんてラハール先輩が知ったら、きっと怒るよ?」
フロン「あ~・・・それは、まあ、そうでしょうね」
りせ「私はまだ納得してないけど・・・天界はともかく、なんかフロンちゃんの気持ちはわかっちゃったし、もう良いや」
フロン「ほえ?」
りせ「ラハール先輩も果報者だな~」
フロン「へ?ちょ、ちょっとりせさん、それは一体どういった意味で・・・」
りせ「私もう部屋に戻りま~す」
千枝「あ、うん」
フロン「ちょっと待ってくださ~い!」
雪子「・・・行っちゃった。二人して」
千枝「・・・行っちゃったね。まあいんじゃない?確かりせちゃん一人部屋だったし」
>-・・・・・・
雪子「・・・なんだか、解っちゃった。いっつも、ラハール君がどこか寂しそうにしてた理由」
千枝「・・・・・・悔しい?」
雪子「ん~・・・不思議とそうでもない・・・っていうかなんか、安心したかも」
千枝「安心?」
雪子「フロンさんが、凄く・・・良い人なんだなって」
千枝「あ~・・・」
雪子「けど、ラハール君のことだから、フロンさんには言わないんだろうな・・・」
千枝「何を?」
雪子「大事なこととか・・・まあ、色々」
千枝「あ~・・・言わないだろうね」
雪子「・・・だよね」
>-・・・・・・
:::【陽介とラハールの部屋】:::
陽介「で、さっきの態度は何だ?」
ラハール「・・・」
陽介「当ててやろうか?」
ラハール「・・・何をだ」
陽介「フロンさんを一目見て、思わず喜んで抱きつきそうになって・・・それを堪えてたんだろ?」
ラハール「アホか。そんなわけあるか」
陽介「まあそりゃ流石に冗談だけど・・・人間界に何も言わずに送りこまれたこととか、色々監視されてることとか、そんなこと全部忘れて、フロンさんに会えたことが嬉しくなっちゃったんだろ?けど、同時にそれが無性に腹立たしくなった・・・ってとこか?」
ラハール「・・・・・・」
陽介「何も言わねーなら図星だと思っちゃうぜ?」
ラハール「勝手にしろ。思うだけなら貴様の自由だ」
陽介「何でそう意地張るのかねえ・・・」
ラハール「・・・」
陽介「お前はそうやって意地張ってりゃ良いのかも知れないけど、そんなんじゃフロンさんに誤解されるぜ?嫌われたんじゃねーかとかさ」
ラハール「・・・奴はただの俺様の家来だ。元より嫌うも何も無い。だが、俺様が止めるのにも関わらず天界に行ったことも、今回俺様を勝手に人間界に送りこんだことも、許せることではない。奴は今、ぬけぬけと俺様の目の前に姿を現せるような立場にはない。俺様の家来なら、言われずとも頭を下げながら出てくるべきだ」
陽介「・・・お前さあ」
ラハール「だが」
陽介「・・・」
ラハール「・・・奴は貴様が思うほど弱くはない。弱いのは・・・」
陽介「・・・・・・明日は、しっかりしろよ」
ラハール「・・・さっさと寝ろ」
>-・・・回想
:::【魔界】:::
ラハール「貴様は俺様の家来だろうが!勝手なことは許さん!」
フロン「・・・しかしですね・・・」
エトナ「・・・殿下、もうしょうがないんじゃないですか?」
ラハール「エトナ・・・貴様までなんだ!」
エトナ「ど~せ今暇なんだし、ちょっとぐらい天界行ってきたって」
フロン「あの・・・ちょっとぐらい・・・という訳にはいかなさそうで・・・」
エトナ「え、そうなの?」
フロン「はい・・・無期限というか、天界での騒動を治め、次の世代の天使長や大天使候補が育成出来るまでは・・・もう魔界に帰ってくることは出来ないかと」
ラハール「・・・!」
フロン「ですが、もう私達が行かないことには・・・天界は・・・」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・どうしても行くというのなら、もう二度と魔界の土は踏ませんぞ!」
エトナ「で、殿下、そりゃちょっと言いすぎなんじゃないですかね?」
ラハール「ぐ・・・とにかく、俺様は許さん!」
>-・・・・・・
エトナ「あ~・・・最後のアレは、本気じゃないと思うわよ?」
フロン「いえ、それぐらいの覚悟でいろということではないかと」
エトナ「・・・ったくアンタも殿下も・・・さて、シシリーちゃん。隠れてないで出ておいで」
シシリー「あはは・・・バレてたんだ」
エトナ「隠れたり気配消したりとかは、元々アタシの得意分野だしね。殿下はカッカしてて気付いてなかったみたいだけど。何でわざわざ隠れてたの?」
シシリー「・・・お兄ちゃんが本気で怒ってるとこ・・・初めて見たから、なんだか怖くて・・・」
エトナ「はあ?何言ってんのよ。殿下はわがままだから、いっつも怒りっぱなしじゃん」
シシリー「・・・今日のは、ちょっと違うと思う」
エトナ「・・・」
フロン「シシリーさん、そろそろ・・・」
シシリー「・・・うん・・・」
エトナ「・・・どうしても行くの?」
フロン「・・・」
シシリー「・・・」
エトナ「・・・まあ、そんなしんみりしないでよ。殿下の機嫌なんてすぐ良くなるって」
フロン「守りたい場所や、守りたい方達がいる・・・今のラハールさんにそれがわからないとは、思っていません」
エトナ「フロンちゃん・・・」
フロン「けど、いつか・・・それを、今よりもずっと、解ってくれる時が来れば・・・」
シシリー「・・・うん」
フロン「だけど、今は・・・さようなら・・・です」
エトナ「さよならって・・・フロンちゃん!」
>-・・・・・・
エトナ「二人は、行っちゃったみたいですよ」
ラハール「・・・もう、知らん。馬鹿共め・・・!」
>-9/9(金) 修学旅行 二日目
:::【シーサイドホテルはまぐり・ロビー】:::
番長「・・・あれ」
フロン「あら、番長さん」
番長「昨日は眠れましたか?」
フロン「寝る前にりせさんに色々問い詰められましたが・・・まあお陰さまで」
番長「?」
フロン「(・・・番長さん・・・ラハールさんもついている今回なら、この人ならきっと・・・)」
番長「・・・昨日のラハールの態度のことなんですけど」
フロン「え、は、はい。何でしょうか?」
番長「・・・あいつはきっと、フロンさんのこと、嫌ってなんかないですよ」
フロン「・・・」
番長「ただ、あいつの中で色々・・・」
フロン「私は、待つだけですから」
番長「え?」
フロン「ラハールさんがご自分の愛を、そしてご自分自身を、許せるようになるのを、待つだけなんです。今はまだ・・・」
番長「・・・」
フロン「ご心配ありがとうございます。けど、私は大丈夫ですから」
番長「・・・そうですか」
>-・・・二人の間柄は、俺が心配しなきゃいけないようなものじゃないみたいだ。
>-・・・そっとしておこう。
>-昼
:::【たこ焼き屋オクトパシー】:::
>-今日は一日自由行動だ。
>-皆でいろんな店を見てまわることになった。
ラハール「・・・タコではない何かが入っている」
陽介「何か!?何かって何!?」
ラハール「・・・わからん」
番長「・・・・・・わからない」
陽介「深刻そうに言うなよ・・・」
完二「何が入ってようと食えりゃ一緒っスよ」
クマ「そークマね~、あちち」
フロン「いやぁ楽しいですねえ。食べ歩きなんて久々です」
りせ「フロンちゃんって普段何食べてるの?」
フロン「人間の皆さんと同じようなものですよ。好きな食べ物はスイーツですかね」
りせ「へぇ~」
千枝「そうなんだ。なんか霞とか食べて生きてそうなのに」
雪子「ふふっ、千枝、それは仙人でしょ!」
千枝「え、爆笑するとこ?」
>-・・・どうやらフロンさんはりせ達と仲良くなったようだ。しかし、ラハールと会話をしていないのが気になる。
>-・・・心なしか、ラハールも元気がなさそうだ。
ラハール「・・・おい、フロン」
フロン「は、はい!?何でしょうか!?」
番長「・・・」
ラハール「・・・・・・貴様が、どういうつもりで俺様をここに送り込んだのか・・・それを今聞こうとは思わん。どうせ、今はまだ話せないことなのだろうしな。そうでないとしたらとっくに話しておるだろう・・・」
陽介「・・・」
ラハール「・・・話せる時が来たら・・・貴様の口から、色々と聞かせて貰うぞ。無論、詫びも含めてな」
フロン「・・・はい」
ラハール「それまで貴様の処分は保留だ。だから・・・・・・今は普通にしていろ」
フロン「・・・・・・正直いって、ラハールさんには、口を聞いて貰えなくても仕方が無いと思っていました」
ラハール「・・・フロン・・・」
フロン「ラハールさんやエトナさんが止めるのも聞かず、天界に行ってしまったこともですが、今回のことも・・・お察しの通り、今はまだ何もお伝え出来ません。それでも・・・ラハールさんを近くで見ていたくなって・・・私はここに来てしまいました」
ラハール「・・・いいと言ってるだろ。せっかく人間界に来たのだ。その・・・貴様が騒がしくないと・・・どうも俺様の調子が狂う」
フロン「ラハールさん・・・」
ラハール「大体だな、貴様と違ってシシリーの奴は図々しくも普通にしておったぞ。貴様も俺様の家来なら、少しはあいつを見習ってだな・・・」
>-・・・何だこの空気は。
>-・・・・・あれ?でもラハールはエトナさんを・・・
>-・・・ん?あれ?
>-・・・。
>-・・・。
>-・・・・・・そっとしておこう。
陽介「(お、おい・・・俺はてっきり、ラハールはエトナさんと・・・その・・・そういう感じだと思ってたんだけど)」
番長「(・・・そっとしておこう)」
陽介「(お、おう・・・)」
フロン「も~・・・お会いしたかったんですよ~~!」ガバッ
ラハール「バッ・・・抱きつくな!アホか~~~っ!」
フロン「天界は堅苦しくって、息をつく暇もなく!」
ラハール「知るか!な、泣くな!離れろ!」
フロン「え~?普通にしてろって言ったじゃないですか~?」
ラハール「これの何が普通だ!貴様、天界の空気に当てられて頭がおかしくなったのではないか!?」
フロン「エトナさんとラハールさんのラ~ヴをウォッチするのも疲れました!」
ラハール「なっ・・・・・・///」
フロン「いつ見ても素晴らしいお二人の愛!人間界でより一層燃え上がるその関係を見て私は--」
・・・ゴゴゴゴゴ・・・
ラハール「黙れ~~~!」
ドンッ!!!
>-夜
:::【クラブ エスカペイド】:::
陽介「いろんな店あったなあ・・・しっかし最初の、昼間っから爆発ってどうなの?」
千枝「全員で全力疾走するハメになるとは思わなかったね・・・」
ラハール「・・・あ、あれはコイツが悪い」
フロン「いえ、あの・・・すいませんでした」
陽介「そりゃ責任転嫁じゃね?爆発したのはお前だろ」
ラハール「う、うるさい!」
クマ「ププ~、ラハールの困った顔面白かったクマねぇ~!」
ラハール「貴様、プリニーにしてやろうか・・・!?」
クマ「意味わかんないけど目つきが凄いクマ・・・」
陽介「あんま煽るなよ・・・」
りせ「お待たせ~!」
完二「な・・・!」
直斗「・・・」
陽介「お、おいりせ・・・そいつ・・・」
りせ「なんか一人寂しくたそがれてたから連れてきちゃった」
直斗「さ、寂しくなんか・・・!」
番長「高校生がこんな店に来てていいのか?」
雪子「確かに」
直斗「せ、先輩達に言われたくないですよ!大体、僕はこのお店の評判が良かったから気になってちょっと見に来ていただけで・・・!」
フロン「その方も皆さんのお知り合いですか?」
直斗「(だ、誰・・・?)」
ラハール「まあ知り合いといえば知り合いだが・・・おい久慈川、そんな奴引っ張ってきてどういうつもりだ?」
りせ「直斗も私達に混ぜてあげましょうよ。一人じゃ寂しいだろうし」
直斗「だ、だから別に寂しくなど・・・!」
番長「ラハール、良いんじゃないか?」
ラハール「・・・一々俺様に聞くな。貴様の好きにしろ・・・」
番長「じゃあ、一緒に飯でも食わないか?そっちに、特に予定とかなければだけど」
直斗「別に、それは構いませんけど・・・」
番長「完二、ちょっと席詰めてくれ」
完二「あ、ウス・・・」
直斗「・・・隣、失礼します」
完二「お、おう・・・」
陽介「・・・何?今の妙な空気何?完二やっぱお前・・・」
完二「ふざっ・・・!いい加減シメんぞてめぇ!」
フロン「愛ですね!」
完二「あぁっ・・・!?」
ラハール「フロン、さっきは普通にしていろと言ったが・・・やはり貴様少し黙っていろ」
フロン「お断りします!」
>-・・・・・・
千枝「(なんか変な味のジュースだなあ、飲みにくくてまだ一口しか・・・)」
ごっくごっく
雪子「はー・・・おいしい・・・!」
千枝「雪子凄い飲みっぷりだね。なんかあたしの口にはちょっと合わないんだよな・・・」
雪子「飲まないならちょーだーい」
ごっくごっく
ラハール「(・・・何だ?景色が若干揺れている・・・?)」
直斗「(何だろうこのジュース・・・このお店は確かにアルコールを取り扱っていないはず。さっき確認したし・・・まあおいしいから良いか。絶対ジュースだし)」
番長「うまい。もう一杯」
完二「うぃ~っす、ほらほら、つぎますよ~」
クマ「なんか気持ち良くなってきたクマね~・・・!」
りせ「んふふ、そうね~・・・!」
陽介「何か変な空気に・・・このジュース飲みづらくて俺全然飲んでないんだけど・・・ま、まさか、これ・・・」
千枝「あ、あんたも・・・?」
フロン「ふっふっふ」
陽介「な、なんですか?」
フロン「一滴たらすだけで気持ち良くなってしまう天界の至宝!こんなこともあろうかとこっそり持ってきちゃいました!」でで~ん☆
陽介「こんなこと!?どんなこと!?」
フロン「ご安心を。アルコールではないので合法れす」ひっく
陽介「もっとヤバくね!?」
フロン「大丈夫れすよ。明日にも響きませんから」
千枝「そういう問題!?」
フロン「いや~、気持ちよくなってしまえばラハールさんも少しは素直になれるのではないかと思いましてねぇ・・・!」
ラハール「き、貴様・・・!」
りせ「王様ゲーーーム!!」
ラハール「は?」
陽介「な、なんだなんだ・・・?」
りせ「私知ってるんだからね!こういう時は、王様ゲームするものなの!そういうルールなの!」
雪子「ルールなら仕方ないね~・・・!」
クマ「仕方無いクマね~・・・!」
直斗「そうですね~、ひっ・・く、ルールなら・・・!」
フロン「かにみそ!」
ラハール「何だその・・・王様ゲームとかいうのは」
りせ「くじを引いて~王様を決めて~、他の人は王様の命令に従うの!」
番長「よし、くじを作ったぞ」
陽介「無駄に手際がいいな・・・」
千枝「ど、どうすんのこの空気・・・?」
陽介「とりあえず適当に付き合って、ほどほどのところでこいつら引っ張って帰ろう」
千枝「よ、よし」
>-王様:ラハール
ラハール「・・・」
りせ「さあ~、命令はな~に?」
ラハール「・・・全員で、泊まるところに帰る」
りせ「ふざけんな~!」
雪子「そーだそーだ、面白いこと言え~!」
クマ「そーだクマ~!」
完二「俺はホモじゃねぇぞ~!」
フロン「かにみそ~!」
ラハール「・・・」
陽介「お、おい、なんか適当な命令しろよ。このままじゃおさまらねぇぞ」
ラハール「し、しかし命令といわれてもだな・・・」
陽介「王様以外は番号のついたクジを引いてるんだ。だから、何番と何番が何かするとか、そういうのだ」
ラハール「あ~、じゃ、じゃあ・・・一番と二番が・・・」
りせ「一番と二番がぁ~!?」
>-腕相撲 番長 対 陽介
番長「よし、かかってこい」
陽介「ま、まじでやんの?これ・・・寒すぎじゃね?」
番長「どうした?びびってるのか?」
陽介「コ、コイツ・・・よし、いいぜ。手強い気はするけど、俺だって最近鍛えてんだし、どうやらお前も酔ってるみたいだし、今なら・・・!」
ガッ
ラハール「・・・」
りせ「さ~っすが先輩!」
クマ「さすがセンセイ~ッ!」
フロン「かにみそ~っ!」
番長「任せろ」
千枝「ど、どんまい・・・?」
陽介「何も言うな・・・!」
>-王様:りせ
陽介「ヤバイ。これはヤバイ・・・」
りせ「よ~っし、じゃあ一番が二番に~~」
雪子「一番が二番に~!?」
>-キス 番長 → ラハール
番長「よし、いくぞ」
ラハール「ま、待て、正気に戻れ」
番長「びびってるのか?」
ラハール「びびるわ!アホか!?」
フロン「ラハールさん愛ですよ愛!」
ラハール「黙れ!アホか!!」
番長「そんなに怖がるなよ」脱ぎ脱ぎ
ラハール「ひぇっ・・・!?」
バッ
りせ「逃げたぞ~!追え~!」
フロン「かにみそ~っ!」
雪子「おえ~!」
直斗「おえぇぇぇっ・・・」
完二「お~い、しっかりしろ~、おら水」
陽介「早くも一人潰れた・・・」
クマ「クマ~・・・クマ~・・・むふっ・・・」
陽介「二人目・・・」
千枝「どうすんのこれ」
陽介「どうしようか・・・あ、ラハールが捕まった」
千枝「あ~」
>-皆と楽しく過ごした。
>-・・・・・・
:::【シーサイドホテルはまぐり・ロビー】:::
直斗「・・・ここは」
陽介「お、おい大丈夫か?お前も戻してやりたかったんだけど、部屋がわかんなくてさ。部屋教えてくれたら今から連れてくぜ?」
直斗「・・・いえ、結構です。もう目は覚めましたから。一人で戻らせてください」
陽介「意識はしっかりしてるみたいだな。吐いてた割には立ち直りがはえーじゃん」
直斗「は、吐いてません!確かに危なかったですけど・・・!」
陽介「あはは、寝る前に水飲んどけよ。ま、ホテルまでは連れてきたんだし、こっからは一人でも大丈夫かな」
直斗「ど、どうも・・・」
陽介「・・・」
直斗「・・・こんな時に失礼かもしれませんが、一つ聞きたいことがあります」
陽介「な、なんだ?」
直斗「皆さんの、事件との関わりについて」
陽介「・・・」
直斗「・・・僕には、話して貰えないようなことでしょうか?」
陽介「いや、なんつーか・・・」
直斗「・・・やっぱり良いです。いきなりすみませんでした」
陽介「すまねえな。けど、俺等別に悪いことやってるわけじゃないんだ」
直斗「・・・そんなわかりきったことは良いんですよ。僕も、探偵なら自分で突き止めるべきでしょうしね」
陽介「直斗・・・」
直斗「・・・今日はありがとうございました。久慈川さんに言って僕を誘わせたの、貴方でしょう?番長先輩」
番長「気付いていたのか」
陽介「番長、いたのか・・・てっきり潰れて部屋に置いてきたもんだと」
直斗「フリですよ。一人だけ完全にシラフだったでしょう?番長先輩は」
番長「ああ」
陽介「え、えぇ!?けどお前ラハールに・・・」
番長「アレもフリだけだよ、あの場の空気を崩すわけにもいかないだろ?まあ、半分は面白がってやってたけど。本当にやっちゃったらいろんな人に殺されそうだし」
陽介「まあ確かに・・・」
直斗「・・・やはり僕はまだ正気に戻っていないようですね。あなたなんかにお礼なんて・・・今のは忘れて下さい。では、失礼します」
番長「またな」
直斗「・・・・・・」
>-・・・・・・
番長「俺も、もう寝るよ。陽介も、早く戻れよ?」
陽介「おう」
千枝「・・・あ~・・・」
陽介「あ、お疲れ~」
千枝「お、おぉ~お疲れ。そっちも皆部屋に押し込めた?」
陽介「なんとかな。クマが完全に潰れてたし、完二も足元危うかったけど」
千枝「こっちは皆潰れきってたよ・・・フロンさんまで全くもう・・・」
陽介「マジでお疲れ・・・」
千枝「・・・けど、ちょっとフロンさんのイメージ変わったな~」
陽介「イメージ?」
千枝「うん。昨日はなんか、大人しくて良い人みたいなイメージあったんだけど・・・」
陽介「今は?」
千枝「大人しくないけど、良い人・・・かな」
陽介「そっか・・・確かにな」
千枝「だけど、一つ気になることがあるんだよね」
陽介「・・・お前もか」
千枝「・・・アンタも?」
陽介「あぁ」
・・・・・・かにみそって、なんだろう?
>-次回予告
>-BGM:なし
シシリー「次回!【フロン殺す!】」
フロン「・・・」
シシリー「・・・」
フロン「・・・あ、あの~、それだけですか?もっとこう・・・」
シシリー「他に何か?」
フロン「あ、いえ、なんでもありません」
乙!
愛天使来た!これで勝つる!!
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>399 世界はコミュそのものが無いです。とある一体のペルソナだけが世界のアルカナに該当してます。太陽は文化部ですね。ですので番長は文化部に入ってないです。
>>400 完全に私の誤認識でした。ご指摘ありがとうございます。
>>401 無印でもD2でも、バッドエンドを見れば殿下のお気持ちがどれほど深いかは一目瞭然ですね。
>>402 やっぱり殿下は皇帝なんですね。ゼノリスが審判というのが何か意外ですけど。
>>403
>>404 もう既にクリチェフスコイ様のようになっているような気がしなくもないですね。口は悪いですけど。
世界や宇宙はコミュがないというか他のコミュの集合態っていうか融合態ていうか
そういやP3ではユニバースアルカナは内なる宇宙そのもので該当ペルソナはなかったな
乙
かにみそもそうだけど大怪獣フロンのがおーとかフロンの掛け声は癖になる
乙
次回予告がただの殺害予告に…
乙
流石天界と魔界のトップが壮大なお見合い仕組んだだけあって殿下とフロンの安定力はガチだ
少しだけ更新します。
>-番外編・フロンとクマの大冒険!
>-修学旅行初日
フロン「・・・いません」
フロン「・・・ここにもいません!」
フロン「どこにもいませえええん!」
フロン「(どうしましょう・・・そうだ、ベルベットルームでエトナさんに!って駄目だぁ、番長さんかラハールさんがいないと入れません・・・!)」
フロン「(くぁー・・・これは困りましたねぇ~・・・!)」
フロン「(大見得切って出てった手前、また天界に戻るのも気まずいですねぇ~・・・)」
トボトボ・・・
クマ「・・・」
フロン「あれは・・・あの~!」
クマ「ン!?な、何クマ!?」
フロン「やはり間違いない!アナタがクマさんですね!?」
クマ「ク、クマのことを知っているとは・・・キミは何者クマ!?」
フロン「ふっふっふ・・・私は愛の天使!フロンと申します!」
クマ「フロンチャン!?キミがフロンチャンクマ?言われて見れば変な格好クマ~!」
フロン「変な格好・・・私のことをどう聞いてるんですか?」
クマ「ラハールがね~、変な格好の変な奴だって言ってたクマよ」
フロン「あ、そうですか~・・・」
クマ「フロンチャンどうしてココにいるんだクマ?」
フロン「そうでした!クマさん!ラハールさんは今どこにいらっしゃるんですか!?」
クマ「ラハール達なら皆で楽しく修学旅行に行ったクマよ。このプリチーなクマを置いて・・・オヨヨ~・・・!」
フロン「しゅうがくりょこぉおおぉ!?」
:::【なんかのトラックの荷台】:::
クマ「(フ、フロンチャン、これホントに大丈夫クマ?)」
フロン「(しっ、お静かに!私達はこっそり忍び込んでるんですよ!)」
クマ「(ケ、ケド・・・)」
フロン「(このトラックのナンバープレートには確かに私達が行きたいところの県名が書かれていました!そういうのはそこに戻るって知ってます!漫画で読みました)」
クマ「(ふ、不安クマ~・・・)」
:::【なんかばれて追い出されました】:::
フロン「困りましたね~・・・」
クマ「困ったクマね~・・・」
フロン「幸い行きたい方向には近づいているようですが・・・お腹すきましたね~」
クマ「お腹すいたクマね~・・・」
フロン「・・・」
クマ「・・・」
フロン「・・・」
クマ「・・・こうなったらクマのお小遣いを使うクマ。お腹すいては修学旅行にも行けないクマ」
フロン「駄目ですよぉ。それはもっとピンチの時に使うためにとっておきましょう。それがなくなったらホントに帰れなくなっちゃいますし」
クマ「そういわれても・・・」
???「あら、何してるの?」
フロン「あ、貴女は!?お久しぶりです!」
???「本当に久しぶりね。けど、私もう行かなきゃ」
フロン「そうなんですか?せっかく会えたのに・・・」
???「ん~。そうだ。お腹すいてるんでしょ?お弁当あげるわ」
フロン「い、良いんですか?」
???「良いのよ。じゃあね」
>-・・・・・・
:::【なんか宇宙船】:::
???「どうしたんだい?ジェニファー?そんなに嬉しそうにして」
???「なつかしい子に会えたのよ、ゴードン」
>-・・・・・・
:::【なんかサービスエリア】:::
フロン「・・・思わぬ旧知に会えました。お弁当一緒に食べましょうか。その後、次に忍び込むトラックを探しましょう」
クマ「クマもイイノ?」
フロン「もちろんですよ~」
クマ「すまんクマ・・・」
フロン「何を言ってるんですか!私達は一緒に旅をしている同志ではありませんか!」
>-数時間後
:::【なんかの電車の貨物室】:::
フロン「(もう少しでポートアイランド駅ですね!)」
クマ「(どうなることかと思ったけど、何とか辿り着けそうクマね!)」
フロン「(はい!)」
>-・・・・・・
:::【シーサイドホテルはまぐり・外の外】:::
クマ「ここまで来てどうしたクマ?」
フロン「うぅ~・・・やはりラハールさんに会うのは気まずくて」
クマ「どうしてだクマ?」
フロン「・・・色んなことで、ラハールさんはきっと私を怒ってるんですよ」
クマ「でも、フロンチャンはラハールに会いたくてここまで頑張って来たんだクマ!それに、ラハールもきっとフロンチャンに会いたいクマよ!」
フロン「クマさん・・・」
クマ「さあ、一緒に行くクマ!クマ達は同志クマ!」
フロン「はい!」
フロン「ふっふっふ~」
誰だ!
クマ「フッフッフ~」
>-本編に続く。
今回はこれだけです。明日本編更新しますので、短いけどお許しを。皆さん乙ありです。
>>426
>>429
>>431 フロンちゃんは声もキャラも可愛いですよね。殿下とエトナさんも合わせて、三人がいるとディスガイアって感じがします。
>>428 アルカナの世界というより、世界としての世界という感じがありますね。
>>430 シシリーちゃんもモテるお兄ちゃんに気が気じゃないでしょうね。悪魔はともかく天使は近親婚に抵抗とかなさそうですし。
乙ー
明日の更新も楽しみにしてる
更新します。
>-9/10(土) 修学旅行最終日
:::【鍋島ラーメン はがくれ】:::
千枝「油と塩分が体に染み渡る・・・!うんまーい!」
完二「マジ美味いスねここのラーメン」
陽介「結局昨日の夜はまともに食えなかったもんな~・・・そのせいで余計美味く感じるぜ」
雪子「え?そうなの?なんか昨日は楽しかった記憶しかなくて・・・夜のことはあんまり覚えてないんだけど」
りせ「私も~。けどなんか楽しかった気がする」
直斗「・・・」
陽介「君達のせいなんだよ・・・」
フロン「おいしいですねぇ~・・・しかし良いんですか?ラハールさん。私にまで奢って頂いて」
ラハール「黙って食え。大体、次からは金ぐらい持ってこい」
フロン「あ、はい。そうします・・・あれ?次も来て良いんですか?」
ラハール「なっ・・・!い、今気にするとこはそこじゃないだろ!」
番長「照れるなよラハール」
ラハール「貴様絞め殺すぞ・・・!」
フロン「愛ですねぇ~」
ラハール「だっ、黙れ!」
クマ「はぁ~~・・・やっと落ち着いた気分クマ。来て良かったクマね~」
フロン「そうですねぇ~」
ラハール「呑気なアホ共だ・・・聞いたぞ。ここに来るために随分無茶をしたそうではないか」
フロン「あはは・・・」
ラハール「笑ってる場合か・・・天界でも無茶しているのではないだろうな?」
フロン「危険なことはないんですが、ただただやることが多いというか・・・」
ラハール「・・・・・・天界は大事か?」
フロン「・・・はい。ずっと生まれ育ってきたところですから」
ラハール「・・・・・・・・・そうか」
番長「・・・」
>-・・・・・・
:::【土産屋】:::
千枝「直斗君先行っちゃったね」
りせ「ホントは寂しいクセに素直じゃないんだから・・・」
ラハール「・・・」
番長「菜々子のとおじさんのと・・・あと、エトナさんのと・・・」
陽介「チーフのとバイトの後輩二人のと・・・駄目だこりゃキリがねー。フロアごとにまとめよう」
ラハール「・・・そろそろ、天界に帰る時間か」
フロン「はい。ご迷惑おかけしました」
ラハール「・・・・・・」ヒュッ
ぱし
フロン「・・・これは?」
ラハール「土産だ。シシリーにも食わせてやれ。貴様一人で食うなよ?」
フロン「・・・はい。ありがとうございます」
ラハール「・・・・・・もう、さっさと帰れ」
陽介「おいおい、寂しいからってそりゃないんじゃね?」
ラハール「・・・」
フロン「・・・また来ますから」
ラハール「・・・早く行け」
陽介「あんまりいられると引きとめたくなっちまうもんなー?」
ラハール「・・・」
フロン「ラハールさん・・・」
りせ「フロンちゃん、またね。あ、これ私からお土産」
千枝「じゃー私からはこれ」
クマ「クマはこれ!」
雪子「はい。シシリーちゃんの分とフロンさんの分」
フロン「皆さん・・・どうもありがとうございます。ご迷惑もおかけしてしまったのに・・・」
りせ「ううん、楽しかったよ!」
陽介「気苦労もあったけどな・・・」
千枝「ま、たまにはいいじゃん」
フロン「・・・では皆さん、ラハールさんをよろしくお願いします」
完二「任してくださいよ!」
ラハール「アホか!貴様も返事をするな!」
>-皆でフロンさんを見送った。
>-・・・・・・
:::【帰りの電車】:::
陽介「クマの奴、自信満々で一人で帰るとか言ってたけど、ほんとに大丈夫か?」
ラハール「・・・」
番長「なんとかなるだろ」
ラハール「・・・」
陽介「・・・」
ラハール「・・・」
番長「・・・暗いぞラハール。そんなに寂しいのか?」
ラハール「・・・」
完二「マジで寂しいんスね。ラハール先輩が言い返さねーなんて」
陽介「だな」
ラハール「・・・うるさいぞ貴様等」
番長「少し考えたんだけど・・・」
ラハール「・・・?」
番長「フロンさんとシシリーちゃんが天界に行くのを止めたのって、要は心配だったんじゃないか?二人が」
ラハール「・・・」
番長「自分の手の届かないところで、危険な目とかにあって欲しくなかったんだろ?ただ寂しいってだけなら、お前は二人を引き止めたりしないはずだ」
ラハール「・・・・・・考えたこともなかったが・・・」
番長「本当に?」
ラハール「・・・ああ。だが、思えばフロンのアホが一度死にかけたのは、俺様の目の前での事だった・・・結局アレは勘違いで済んだが、俺様がついていてもそうなのに、奴を放っておくと・・・確かにどんな危険に首を突っ込むか、わかったものではないかもしれんな」
陽介「ま、確かに無茶苦茶な人みたいだしな・・・けど、お前をそんな素直にしちまうほどしっかりした人なのも間違いないわけだし、そこまで心配することないと思うぜ。ああいう人は、自分に何かあった時に誰がどんだけ悲しむか・・・そういうこと解ってるだろ、きっと」
ラハール「・・・・・・・・・奴が殺されたと思ったとき・・・俺様は自分の命を捨てて奴のことを助けようとした・・・フロンはそれを望まないと、わかっていながら・・・もうあんなのはご免だと・・・確かにそう、思っていたのかもな・・・」
陽介「・・・マジ?」
ラハール「ああ・・・やはり俺様は自分勝手なのだろう・・・」
番長「良いんじゃないか?それが、ラハールらしさだろ?」
ラハール「フン・・・・・・そうだな」
>-"ラハール"コミュのランクが"6"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
ラハール「・・・・・・いらんことを喋りすぎたな。俺様は寝る。着いたら起こせ」
番長「ああ、わかった」
完二「ただのヤベー人かと思ってたけど・・・フロンさんって凄ぇんスね」
陽介「ヤベー人ってお前・・・」
>-夜
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「どうでした?旅行」
ラハール「・・・・・・愛マニアが来たぞ」
エトナ「へっへ。それで、どうでした?」
ラハール「・・・貴様知っていたのか」
エトナ「そりゃまあ、シシリーちゃんが愚痴ってきましたから」
ラハール「全く・・・どうもこうもない。好き勝手遊んだら帰っていった」
エトナ「あらら、そりゃまたフロンちゃんらしい」
ラハール「・・・貴様も・・・」
エトナ「え?何です?」
ラハール「・・・いや、何でもない」
>-・・・・・・
マリー「・・・あれ?なんか忘れてったよ?」
エトナ「何々?何これ?巌戸台まんじゅう?」
番長「こんばんわ」
エトナ「お、来たわね番長」
番長「これ、お土産です。巌戸台まんじゅう」
エトナ「・・・これって・・・」
番長「あ、ラハールにも貰ったんですか?お土産」
エトナ「・・・そーゆーことか、これ。殿下が土産とはねー・・・」
番長「・・・エトナさんもマリーも来れば良かったのに」
エトナ「旅行にまでついてかないわよ。めんどくさい」
マリー「・・・あ」
エトナ「どしたの?」
マリー「・・・ラハールが言いかけてたのって、それかなって思って。一緒に来ればって・・・」
エトナ「えぇ?ないない」
マリー「そうかな・・・?」
番長「?」
>-9/12(月) 夜
:::【陽介の部屋】:::
クマ「アレレ?この子こないだの子クマ」
陽介「こないだの子?」
ラハール「・・・?」
陽介「現役高校生、探偵王子特集・・・何だこの番組?」
クマ「甘いマスクとな・・・ウヌヌ、生意気クマね」
陽介「なんか意外だな。こいつこういう番組に出るのとか断りそうなのに」
ラハール「・・・下らん。さっさと寝るぞ」
陽介「へいへい」
クマ「もっと遊ぶクマ~!」
陽介「俺等は明日も学校だっつの」
クマ「夏休みが懐かしいクマね~・・・」
陽介「学校行ってないお前の口からそれを聞くとは思わなかったぜ」
>-9/14(水) 夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「・・・映ったな。マヨナカテレビに」
ラハール「貴様にはどう見えた?俺様には人の影だとしか判断出来なかったが」
陽介「・・・ぶっちゃけ俺も似たようなもんだ。どっかで見たような気はすんだけど・・・ぼやけすぎだな」
ラハール「とりあえず、明日集まるか」
陽介「明日は洋服売場の特売あるから、俺等は手伝う予定だったろ」
ラハール「む・・・まあいいか、次の被害者候補を絞り込むための話し合いなら、俺様達に手伝えることはないし・・・ぼやけた映像なら、まだ被害者はテレビの中にいない」
陽介「・・・そうだな。皆には悪いけど、明日は店の手伝い終わらせてから合流しよう」
>-9/15(木) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
りせ「あれ?番長先輩は?」
雪子「すぐ行くから先に集まっておいて欲しいって。職員室に呼ばれちゃって」
完二「あぁ?番長先輩がセンコーに呼び出しっスか?」
千枝「なんか用事押し付けられちゃったんじゃないかな?番長君、先生とかに頼まれたら断らないし、先生達にも頼りにされてるから」
りせ「ふ~ん・・・」
直斗「・・・ここにいましたか、皆さん」
りせ「あれ?直斗?」
直斗「番長先輩やラハール先輩達がいらっしゃらないようですね。まあ、そのほうが都合が良いです。あの方達がいては、何を聞いてもはぐらかされそうですから」
千枝「な、なんの話?」
直斗「今回の連続殺人事件のことについて、僕の考えを皆さんに聞いて貰おうと思いまして」
雪子「今回の事件は、警察では解決したことになってるって聞いたけど?」
直斗「・・・貴女がいましたか・・・まあ良いです。警察は、面目を保つために解決したことにしたがっているようですが・・・僕はまだ解決したとは思っていないんですよ」
雪子「その、根拠は?」
直斗「違和感があるんですよ」
千枝「い、違和感?」
直斗「今回の誘拐殺人の被害者は三名・・・そのうち三人目は、二人目と随分と期間が離れていましたね」
雪子「・・・そうだね」
直斗「しかし、二人目と三人目が被害にあう間に・・・実はいるんですよ。一人目の被害者や二人目の被害者のように、失踪していた人たちが。その人たちは無事に帰ってきているようですが」
りせ「そ、それって・・・」
直斗「天城雪子さん、巽完二さん、久慈川りせさん。失踪して、失踪している間のことは何も覚えてないと仰っている三名」
雪子「それは・・・」
直斗「偶然同じようなケースで失踪した三名が、三名とも同じグループと仲良くなって今は一緒に行動している・・・一体これはどういう偶然でしょうか?」
千枝「・・・何が言いたいのよ?」
直斗「皆さんの中に、二人目の被害者・・・小西早紀さんと接点のあった方がいらっしゃいますよね。今この場にはいないようですが・・・」
千枝「それ、花村のこと!?だから、何が言いたいの!?」
直斗「・・・実は皆さんのグループの中に犯人が、もしくは皆さんのグループそのものが犯人グループなのでは・・・」
りせ「そんなわけないでしょ!?」
直斗「・・・」
りせ「・・・アンタ、前に私達のこと遊びとか言ってたけど、そっちのほうが全然遊びよ!勝手に変なこと妄想して、失礼なこと決め付けて!」
直斗「決め付けてはいませんよ。それに、以前そういう予想を立てそうになっていたことは事実ですが、今の僕の考えは全くの逆なんです」
りせ「・・・え?逆?」
直斗「先日・・・花村先輩に、皆さんの事件との関わりについて質問した時、花村先輩はこう仰いました。俺達は別に悪いことをしているわけじゃない・・・と」
りせ「そ、それが何?」
直斗「悪いことをしているわけじゃないのなら、悪くはない何らかのことをしているのではないか・・・と、そう思いました」
千枝「・・・」
雪子「ちょっと待って。まだ、直斗君が、事件が終わってないって思う根拠のことを聞いてないよ?」
直斗「・・・まずい話題は変えようということですか?まあいいでしょう。元々そのために来ていますし」
雪子「・・・」
直斗「一人目、二人目と、科学捜査がこれほどまでに発達している現代において、何一つ証拠を残すことなく殺人を犯してきた犯人が・・・三人目のような、ひどく雑な、あらゆる証拠が残っていた殺しをしてしまうでしょうか?これが一つ、僕の感じている大きな違和感です」
雪子「・・・なるほど」
直斗「それだけではないです。失踪して無事帰ってきている三名と、最初の被害者二名、この五名に通じていた共通点が、三人目の被害者、諸岡さんにはないんですよ。メディアにとりあげられ、この町で急激に知名度を増したという共通点がね」
雪子「わ、私達三人は・・・」
直斗「僕は・・・何事も、例え小さなものでも違和感というものは無視すべきではないと考えています。違和感が何一つなくなった時、目の前にあるのは真実ですから。そうは言っていられないことも多々ありますが・・・今回の違和感は無視するには大きすぎる」
完二「・・・」
直斗「話を戻しましょう。僕は皆さんのことを、被害者を救出し、犯人のことを追い詰めることが出来る何らかの手段を持っている人たちだと思っています」
りせ「!」
直斗「いずれにせよ、事件を終わりにしたがっている警察からは、今の僕は厄介者扱いされています・・・僕がこれ以上何かを知ろうと思ったら・・・何か大胆な働きかけが必要です」
雪子「え・・・?」
直斗「僕は、遊びのつもり・・・ないですから」
りせ「・・・」
直斗「では、失礼します」
>-・・・・・・
完二「・・・つーことがあって」
番長「・・・そうか・・・」
完二「すんません。俺ぁ・・・口開いたら言っちゃいけねえことまで言っちまいそうで、ずっと黙ってました」
番長「いや、良いんじゃないか?」
雪子「最後に言ってた・・・大胆な働きかけって・・・何だろう?」
番長「・・・わからないな。もうすぐ後の三人も合流する時間だし、それから考えよう」
>-・・・・・・
ラハール「・・・」
番長「どう思う?」
ラハール「貴様等、昨日のマヨナカテレビは見たか?」
陽介「ウチはラハールと俺で見たぜ。クマはさっさと寝ちまって見てねーけど」
クマ「最近なかったから油断して寝ちゃったクマ」
番長「・・・俺は見たけど、ぼやけすぎてて、人影だってことぐらいしか・・・」
ラハール「俺様達もそうだ。だが、これまで通りなら、同じ日のマヨナカテレビでも、見る者によって見える映像の鮮明度が違うはずだ」
完二「・・・あの、俺も見たんスけど・・・あれ、直斗だったんじゃねえかと思うんスよね」
ラハール「何!?」
完二「・・・いや、俺もぼやけてて、よくはわかんなかったスけど」
ラハール「・・・まさか」
雪子「ど、どうかしたの?」
ラハール「・・・一昨日、奴はテレビに映っていた」
陽介「あ~・・・そういや、探偵王子とか言われて特集組まれてたな」
千枝「へぇ~、なんか彼、そういうの断りそうなのにね」
ラハール「・・・やはり」
陽介「どした?」
ラハール「おい、誰か奴の行き先を知っている者はいないか!?」
完二「行き先っつわれても・・・」
りせ「家ってこと?ちょっと、解らないです」
千枝「けど、どしたの?そんな慌てて」
ラハール「まだ解らんのか、貴様等」
番長「・・・おとり捜査・・・か」
ラハール「・・・ああ」
雪子「おとり捜査・・・って、犯人に狙われるために、テレビに出たってこと?」
りせ「な、なんでそんな・・・」
番長「・・・遊びのつもりはないってことだろうな」
りせ「そんな・・・!」
陽介「ど、どうすんだよ!」
ラハール「だから、誰か奴の行き先を・・・!」
>・・・わからない。
ラハール「・・・!」
番長「学校で聞こうにも・・・もう学校は閉まってるな。うちはどこの部活もそんなに熱心じゃないし・・・」
完二「ど、どうすんスか!?おとりってあいつ・・・!」
番長「・・・・・・もし犯人を誘ったのなら、人をつけるなり何なり、それなりの準備はしておくだろう」
完二「けどよ!」
番長「・・・早まったことをする奴だ。もう少し、冷静かと思っていたんだけどな・・・」
ラハール「チッ・・・」
番長「何か久々だな、舌打ち」
ラハール「言ってる場合か!」
番長「・・・そうだな。けど、今は俺達にはどうしようもない・・・」
完二「・・・!」
番長「今日は時間も時間だ。解散しよう。明日直斗が無事なら、無茶なことはやめさせなきゃな」
完二「無事ならって先輩!」
番長「無事じゃなかったら、俺達が助けに行こう」
完二「・・・ウス」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「今日はまだ寝るなよ?」
クマ「わかってるクマ!けど、なんでナオトクンはおとりなんて無茶なことするクマかね~?」
陽介「確かにな・・・そんな危ないことしなくたって・・・」
:::【マヨナカテレビ】:::
直斗『皆さんこんばんは。探偵王子こと、白鐘直斗です』
直斗『【世紀の大実験・ゲノムプロジェクト】へようこそ』
直斗『僕がこれから受けるのは、人体改造手術・・・禁じられた、素晴らしき秘法!』
直斗『あなたがたは今こそ目にするでしょう・・・この僕の新たなる旅立ち、新たなる誕生の瞬間を!』
直斗『僕という人間が、ある日を境に、全く別の人生を歩み始める・・・』
直斗『そんな記念日を、皆さんと共に体験したいと考えています』
直斗『どうぞ、お楽しみに!』
>・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
陽介「・・・マジかよ」
ラハール「おいクマ、今の・・・」
クマ「間違いないクマ。ナオトクンのシャドウクマ」
ラハール「あの阿呆・・・わかっていながらむざむざと・・・!」
>-9/16(金)
:::【テレビの中の世界】:::
ラハール「・・・どうだ?」
りせ「・・・確かに・・・いる・・・それに、この世界・・・大きくなってる・・・」
ラハール「大きく・・・・?まあいい、居場所は掴めたか?」
りせ「・・・なんとか。私だって皆と一緒に特訓してたんだし」
番長「良し、行こう」
>-・・・・・・
:::【秘密結社改造ラボ・6F】:::
ラハール「おい、何を立ち止まっている?」
番長「あ、ラハール・・・この扉、何か認証キーのようなものが必要らしい」
ラハール「・・・どいてろ」
ガキンッ
ラハール「ハァァアアアアァァ!!」
バキッ
ラハール「よし、開いたぞ」
陽介「無茶するなぁ・・・」
ラハール「モタモタしている場合ではなかろう」
完二「その通りっスよ」
>-・・・・・・
:::【秘密結社改造ラボ・9F】:::
完二「直斗!」
直斗「・・・待ちくたびれましたよ」
ラハール「・・・」
直斗「この子の相手をするのに、ほとほと参っていたところです」
直斗のシャドウ『やだやだ、行かないでよ!』
直斗「君との会話は無意味だ。僕はもう帰らないと」
直斗のシャドウ『なんで?なんで僕だけ置いていくの?どぉしていつも僕だけひとりぼっちなの!?』
直斗「・・・」
直斗のシャドウ『寂しい・・・寂しいよ!』
りせ「直斗・・・」
直斗「僕と同じ姿形・・・君は一体何なんだい?」
直斗のシャドウ『どうしてそんなことを言う?僕は、お前だよ』
直斗「僕?」
直斗のシャドウ『子供の仕草はフリじゃあない・・・だって皆お前に言うだろ?子供のくせに、子供のくせに・・・ってさあ』
直斗「な、何を・・・」
直斗のシャドウ『どんなに事件を解決しても、必死に考えて力を尽くしても・・・子供ってだけで、誰も認めてくれない』
番長「・・・」
直斗のシャドウ『周りが求めてるのは、お前の頭だけだ・・・名探偵扱いはそれが欲しい間だけ、用が済んだら・・・子供は帰れ、だ』
直斗「そ・・・」
直斗のシャドウ『世の中の二枚舌にお前はなす術もない。独りぼっちの、ただの子供だ』
ラハール「(・・・番長)」
番長「(・・・ああ)」
直斗のシャドウ『僕、大人になりたい・・・今すぐ大人の男になりたい・・・ちゃんと認めて欲しい・・・僕は、いて良い・・・意味が欲しい!』
直斗「やめろ!自分がいて良い意味なんて、自分で考えられる!」
直斗のシャドウ『フフ・・・無理だって言ってるのに。じゃあ例えば、今お前が子供であるという事実を、どうする?』
直斗「やめろ・・!」
直斗のシャドウ『本心じゃ憧れてる。強くてかっこいい、小説の探偵みたいな大人の男に』
陽介「おい。このままじゃ・・・」
完二「良いんスよ、これで」
陽介「い、良いって・・・」
直斗のシャドウ『お前は所詮子供なんだ・・・自分じゃどうしようもない』
完二「いっぺんてめえとケンカしねえと、見えてこねえもんもある・・・アンタならわかんだろ」
陽介「完二・・・」
完二「俺等はとりあえず、ケンカの手伝いしてやりゃあ良いじゃないスか」
直斗のシャドウ『そろそろ診察は終わりだ・・・人体改造手術に移ろうか』
直斗「ど、どういうつもりだ・・・!」
直斗のシャドウ『白鐘直斗・・・かっこよくて男らしい名前だよな。けど、事実は変えられない。性別の壁は越えられない・・・』
直斗「だ、黙れ!」
直斗のシャドウ『君は男じゃないんだから』
直斗「!」
ラハール「・・・あ、そういうことか」
番長「どうした?」
ラハール「嫌悪感の正体だ」
完二「お、男じゃねえ?」
直斗「僕は別に駄々をこねているつもりはない!それじゃ、何も・・・解決しない!」
直斗のシャドウ『あはは・・・それさあ、お前が言われたことじゃないか!駄々をこねていても、何も解決しないよ、ナオトくん!ってさあ!』
直斗「な・・・!」
直斗のシャドウ『お前あの時泣いてたよな・・・自分の口からそんなこと言うなんて、何を守ろうとしてるんだ?』
直斗「なにを・・・」
直斗のシャドウ『いいさ、もう無理しなくていいから。そのための人体改造手術だから。駄々をこねたまま・・・一歩も動けない。僕にはお前がよくわかるよ』
ラハール「(・・・さて・・・)」
直斗のシャドウ『僕はお前なんだ』
直斗「そんなバカな・・・!」
直斗のシャドウ『もう解ってるんだろう?』
直斗「違う・・・違うっ!」
直斗のシャドウ『そうかよ・・・これで・・・!』
ズズ・・・
番長「スルト!」
>-カッ
>-ラグナロク
ドッ
直斗のシャドウ『・・・何なんだ?君達は』
ラハール「知る必要はない。天城!行くぞ!!」
雪子「はい!」
>-魔王ディメンション
直斗「これは一体・・・あれは・・・」
番長「・・・あれはお前なんだ」
直斗「僕・・・?ラハール先輩と天城先輩と・・・あいつは、どこへ?」
>-回想
番長「魔王ディメンション?」
ラハール「ああ。俺様が作った空間に敵を引きずりこんで、自由を奪ってタコ殴りにする技だ。今の俺様の魔力なら、敵と俺様以外にあと一人連れて行けるだろう。俺様と同じチーム・・・天城か完二かクマを、状況に応じて連れて行く」
番長「・・・ボス用か」
ラハール「そう
いうことだ」
>-・・・・・・
番長「ラハールのための、ラハールの空間だ。けど、あんまり長くはもたないだろうな。ラグナロクをまともに食らって平気そうにしてるような相手だ・・・お前のシャドウは思っていた以上に強力だった」
直斗「・・・シャドウ?」
完二「あれはな、お前が抑え込んできたお前自身なんだよ」
クマ「・・・ナオチャンが今まで、見てこようとしなかった・・・見たくなかったナオチャンのキモチクマ」
直斗「そんな・・・」
完二「あいつは俺等がぶちのめして大人しくさせる。けどな、あいつを受け入れんのはお前の仕事だ」
番長「・・・そうだな。そして、それはお前にしか出来ない」
直斗「僕の仕事・・・僕にしか・・・」
りせ「・・・直斗、どうしても駄目なら、無理はしなくても良い。でも、受け入れたほうが、直斗にとっても良いと思う」
千枝「・・・うん」
陽介「だな。ま、俺等はもうひとふん張りしてくっか!」
番長「ああ。多分、そろそろだな」
直斗「・・・皆さん・・・」
ドサッ
ラハール「駄目だ。火はたいして利かん。色々やったが・・・弱点もなさそうだ」
雪子「ごめん皆、倒しきれなかった・・・」
ラハール「・・・ラグナロクの時点で火への耐性に気付くべきだった。俺様の人選ミスだ」
番長「火以外の耐性は?」
ラハール「無いはずだ。好きに料理してこい」
番長「よし!行くぞ!」
完二「ウス!」
>-カッ
直斗のシャドウ『本当になんなんだ貴方達は・・・!』
>-・・・・・・
直斗「せ、先輩その怪我は・・・!」
ラハール「・・・空間が解ける時の無防備な状態を狙われた。まあ、こんなものより魔力が尽きたことのほうがまずいがな」
雪子「待ってて、すぐに・・・」
>-ディアラマ
ラハール「・・・そんな力が残っているなら、貴様も加勢してこい」
雪子「け、けど・・・」
ラハール「良いから行け!これ以上俺様に・・・情けないことをさせるな」
雪子「・・・わかった」
>-・・・・・・
番長「ジャターユ!」
>-カッ
番長「スカディ!」
>-カッ
番長「カルティケーヤ!」
>-カッ
陽介「だいぶ自由にそいつら使えるようになったな。そうなるともう反則みたいなもんだ」
番長「ああ・・・(というより、俺のレベルがペルソナ達に届きつつある・・・?)」
>-・・・・・・
ラハール「・・・馬鹿な奴等だろう?」
直斗「え・・・?」
ラハール「シャドウが力を得る前に叩いてしまえば楽なのに・・・シャドウをその持ち主が受け入れるのが一番だからと・・・まあ、わかっていてやらせてる俺様も似たようなものか」
直斗「・・・・・・」
>-・・・・・・
直斗のシャドウ『どうして邪魔するんだよ!改造しないと・・・僕は・・・僕は!』
直斗「そうじゃ、ないでしょう?」
直斗のシャドウ『・・・』
完二「直斗・・・」
直斗「・・・幼い頃、両親を事故で亡くした僕は、祖父に引き取られました」
直斗のシャドウ『・・・』
直斗「僕は友達を作るのが下手ですから・・・祖父の書斎で、推理小説ばかり読んで過ごしていた・・・」
直斗のシャドウ『将来の・・・夢は、かっこいい、ハードボイルドな大人の探偵』
直斗「・・・そうだね」
直斗のシャドウ『・・・』
直斗「・・・そんな僕を見て、祖父は僕のことを気遣ってくれたのでしょう。祖父に持ち込まれる相談事を内緒で手伝うようになりました」
直斗のシャドウ『・・・嬉しかった・・・でも・・・』
直斗「・・・・・・少年探偵なんて肩書きを付けられるようになって、確かに嬉しかった。でも、上手くいく事ばかりじゃないんです」
千枝「・・・子供のくせに?」
番長「・・・」
直斗「はい。事件解決に協力しても、喜ばれることばかりじゃなかった。僕が子供だということ自体が気に触っていた人も多く・・・でもまあ、それだけなら、時間が解決することなんですけどね」
直斗のシャドウ『・・・』
直斗「女だってことは、変えようが無い」
雪子「女でいるのは、嫌い?」
直斗「僕がなりたい、かっこいい探偵に・・・合いませんからね」
番長「何より、警察は男社会・・・だな」
直斗「・・・ええ。軽視される理由がこれ以上増えたら、誰にも必要とされなくなる・・・そんな気がしました」
完二「それで男の格好ってわけか?」
直斗「・・・はい」
完二「そうじゃねえだろうが」
直斗「・・・」
完二「なめられてんなら、見返してやれるようになりゃいい。本当はお前にだって、わかってんだろ?」
ラハール「力だな。貴様を認めない奴がいるなら、認めざるをえないほど強くなれば良いだけだ」
直斗「・・・はい」
直斗のシャドウ『・・・うん』
直斗「・・・ごめんね、僕は見たくないからって、君という子供を閉じ込めてきた。でも僕は確かに君だ・・・君は、僕なんだね」
>-自分自身と向き合える強い心が、"力"へと変わる・・・
>-直斗は、もう一人の自分・・・
>-困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ"スクナヒコナ"を手に入れた!
直斗「ん・・・っと、皆さんには全部見られちゃいましたね。はは・・・情けない」
完二「んなことねえよ」
直斗「フフ・・・それにしても、ズルいですよ・・・こんなことをずっと隠していたなんて・・・いや、言えるわけがないか・・・」
番長「身をもって解ってしまったな。けど、あんまり無茶をするな。犯人を誘い込んでおいて、誘拐されてちゃ世話ないぞ」
直斗「す、すいません・・・けど、これでわかりました。事件がまだ終わっていないということを・・・」
陽介「ま、詳しい話は後だ。とりあえず外に出ようぜ」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・家電コーナー】:::
直斗「・・・」
千枝「こりゃしばらくは安静だね。私達で送っていこう」
りせ「はい」
雪子「うん」
>-ひとまず解散した。
>-9/16(金) 昼休み
:::【屋上】:::
ラハール「うむ、悪くは無い」
番長「うまいって素直に言ってくれよ。菜々子と一緒に作ったんだ」
ラハール「・・・そうか。弁当を食えなどとぬかすから、どういうことかと思ったが」
番長「・・・直斗は、しばらく安静らしい」
ラハール「まあ、そうだろうな・・・無茶なことをしおって・・・」
番長「心配してたもんな、ラハールは」
ラハール「ふ、ふざけるな!身の程を知れと言ってやりたいだけだ!大体、冗談を言っている場合ではないぞ」
番長「・・・そうだな」
ラハール「貴様の力が、最初に呼び出した強力なペルソナ達に追いつきつつある・・・それが何を意味するかまでは知らんが、確かなのは、今後も敵が強くなり続けるなら、俺様達ももっと強くならなければならないということだ」
番長「そうだな。直斗のシャドウとの戦いは、一見楽勝にみえたけど・・・」
ラハール「・・・ああ、僅差だ。俺様の魔力も尽きたし、貴様等の中にも力を使い果たしていた奴がいたはずだ。少しでも俺様達のレベルが低かったら、どうなっていたかわからん」
番長「うん。今後は直斗も戦いに加わるだろうし、皆で訓練を続けていこう」
ラハール「フン・・・奴の頭なら魔力の心配はいらんだろうし、鍛えるのも楽そうだな」
番長「まあ、今は休もう。体を休めるのも大事だ」
ラハール「・・・ああ」
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
クマ「クマは真面目な話は苦手クマ!」
フロン「どうしたんですか?いきなり」
クマ「なんか真面目な話してると皆しんみりしてて嫌クマ」
フロン「んーまっ!そんなんじゃ立派なクマさんになれませんよ!」
クマ「ケド~」
フロン「わかりました!クマさんを立派なクマさんにするため、特訓しましょう!」
クマ「特訓?何するクマ?」
フロン「次回、フロンとクマの大冒険!【密林での死闘!!】」
クマ「密林!?何するクマ!?」
フロン「戦うのはクマさんだけですけど、私も応援頑張りま~す!」
ラハール「・・・毎回思うが、滅茶苦茶言ってて楽しいのか?」
フロン「まあそれなりに。ラハールさんもやってみます?」
ラハール「いや、やらん」
今回はここまでです。>>437乙ありです。
乙
そういや次回予告って基本殿下突っ込みが多いというかエトナとフロンが暴走するパターンが多いような
乙
ディスガイアの次回予告って主人公は基本ツッコミ担当だからな(ただし閣下は除く)
更新します。
>-10/01(土) 放課後
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「ん・・・ああ~・・・よし、これで陽介の部屋の漫画は全部読んだな」
クマ「もう全部読んじゃったクマか?」
ラハール「俺様は貴様と違って、四月からここにいるからな・・・ん?あれは・・・」
>-・・・・・・
:::【陽介の家の外】:::
ラハール「おい、どうした?」
菜々子「・・・」
ラハール「・・・貴様一人か?番長は?」
菜々子「・・・一人・・・」
ラハール「何?」
菜々子「・・・」
ラハール「・・・全く、話があるのならそう言え。まあいい、とりあえず部屋に上がっていけ」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
クマ「アレ?ナナチャン?どうしたクマ?」
菜々子「クマさん・・・こんにちは」
クマ「ハイコンニチハクマ!」
ラハール「散らかっとるが好きに座れ」
菜々子「うん・・・」
クマ「チョットラハール!お客様が来たんだからお茶でも出さないと駄目クマ!」
ラハール「そうか。じゃあそうしろ」
クマ「ナ、ナンデクマが!?」
ラハール「いいからさっさと行け」
クマ「モー、しょうがないクマねー・・・」
ドタドタ
ラハール「・・・」
菜々子「・・・ラハールさん・・・」
ラハール「何だ?」
菜々子「死んじゃった人は、どこに行くの?」
ラハール「・・・正しい心を持った奴なら、天国というところに行くだろうな」
菜々子「天国・・・菜々子のお母さんも、天国に行ったのかな・・・」
ラハール「・・・そうだろうな」
菜々子「じゃあ、菜々子も死んで天国に行ったら・・・お母さんに会えるのかな?」
ラハール「・・・・・・!」
菜々子「・・・」
ラハール「・・・そうかもしれんな。だが、お前が死んだら、番長も、お前の父親も、悲しむぞ」
菜々子「そっか・・・お兄ちゃんも・・・お父さんも?お父さんも、菜々子が死んだら悲しいのかな?」
ラハール「当たり前だ。何を言っとる」
菜々子「・・・・・・あのね・・・昨日の夜ね・・・お兄ちゃんとお父さん・・・ケンカしてたんだ」
ラハール「何?」
菜々子「お兄ちゃんがね、お父さんに、もっと菜々子を大事にしろって・・・言ってた。でもね、お父さん・・・子供が口出しするなって、お兄ちゃんに・・・言ってた」
ぽろ・・・ぽろ・・・
ラハール「おい、泣いてはいかんぞ」
菜々子「・・・お父さんは、菜々子のこと・・・好きじゃないのかな・・・!?」
ラハール「泣くなと言っとるだろう。俺様はお前の父親のことを良く知っているわけじゃないが、お前の質問には答えてやれるぞ」
菜々子「・・・ほんと?」
ラハール「好きじゃないだと?そんなわけあるか」
菜々子「ほんと?」
ラハール「俺様は貴様等とは少しばかり違うがな・・・子供が大事じゃない親なんぞ、どこの世界にもおらん。それぐらいは知っている」
菜々子「・・・じゃあ何で、お父さんは菜々子の話を何にも聞いてくれないの?お父さんはなんで・・・お仕事ばっかり大事にするの?」
ラハール「・・・・・・もう泣くな」
菜々子「う、うん・・・わかった。もう、泣かないよ」ごしごし
ラハール「・・・・・・いいか、少し考えてみろ。今、お前の家には誰がいる?お前と、お前の父親と・・・あと一人、誰がいる?」
菜々子「・・・・・・お兄ちゃん!」
ラハール「そうだ、番長だ。お前の父親が、お前のことを大事にしないなら・・・あいつが黙っていないだろう。お前は、あいつが何かするのを待っていれば良い」
菜々子「・・・わかった」
クマ「さー、わかったところでケーキ持ってきたクマ~!ナナチャン一緒に食べるクマ~!」
ラハール「・・・貴様途中から聞いてただろ?聞いてたなら何故気の利いたことの一つぐらい言ってやれんのだ?」
クマ「クマはラハールみたいにイイコト言えないクマ~!」
ラハール「だ、黙れ!」
クマ「さ、ナナチャン一緒に食べよ~!」
菜々子「良いの?」
クマ「モチロン!ナナチャンはお客様クマよ~!」
ラハール「・・・フン・・・」
クマ「でもね、ナナチャン。ナナチャンが死んじゃったら、センセイやナナチャンのお父さんだけじゃない、クマも、ラハールも、エトナチャンもヨースケも、み~んな悲しむクマよ」
菜々子「クマさんも・・・ラハールさんも?」
ラハール「・・・」
クマ「ね~ラハール?」
ラハール「・・・ああ」
菜々子「・・・そっか。じゃあ菜々子は死んじゃったら駄目なんだね」
ラハール「アホか・・・当たり前だ」
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
陽介「ただいま~」
クマ「おかえりヨースケ!」
ラハール「・・・」
ピピピッ ピピピッ
陽介「ん?相棒から?」
ピッ
陽介「おう、どーした?手を貸して欲しい?は!?菜々子ちゃんが家出!?こんな時間にか!?」
ラハール「!?」
クマ「ナ、ナナチャンがイエデ!?」
ラハール「貸せ!」
陽介「お、おい!」
ラハール「番長!貴様がついていながら何をやっとる!」
番長『・・・ラハール・・・・・・な、菜々子を見つけなきゃ。手を貸してくれ』
ラハール「(番長が焦っているところなど、初めてだな・・・)わかった。黙ってそこを動くな」
陽介「ど、どうすんだ!?」
クマ「クマは何すればヨイ!?」
ラハール「貴様等も黙れ」
陽介「・・・」
シーン・・・・・・
ラハール「(何でも良い・・・菜々子・・・【悪口】を言え!ここからどれぐらい離れたところにいるかわかれば、周囲の音も聞ける・・・!)」
::::::::::::::::::::::::::::
もうアンタなんか大っ嫌いよ!
あんなやつ死ねば良いのに・・・
ざっけんなよババア!
ゴードンのバカ~~!ワタシというものがありながら~! 待ってくれジェニファー誤解なんだぁ~!
【お父さんの・・・ばか・・・】
::::::::::::::::::::::::::::
ラハール「・・・いた・・・ここは・・・」
ちょろちょろ・・・
ラハール「・・・水の流れる音・・・海か・・・いや、これは川か・・・?」
番長『川・・・そうか、鮫川の河川敷だ!ラハール、ありがとう!』
ラハール「礼を言ってる暇があったら、さっさと行け!」
ピッ
陽介「おい!どういうことだよ!?」
クマ「クマはどうすればヨイ!?」
ラハール「・・・後は番長に任せろ。菜々子の居場所はわかった。この家からだと遠すぎる。まあ、奴の家からは近いがな・・・」
陽介「なんで場所が?」
ラハール「・・・・・・魔王様は地獄耳だからな」
>-・・・・・・
:::【鮫川河川敷】:::
堂島「番長、菜々子はいたか!?」
番長「・・・いました。あそこに」
堂島「菜々子・・・・・・!」
番長「・・・」
堂島「お前が、行ってやってくれないか」
番長「え?」
堂島「本当の父親じゃない・・・なんて言われちまったな」
番長「・・・」
堂島「頼む・・・お前が迎えに行ってやってくれ。お前の言うことの方が、素直に聞くだろう・・・」
番長「・・・分かりました」
堂島「俺は菜々子が無事ならそれでいい・・・すまんな」
>-・・・・・・
菜々子「・・・お兄ちゃん・・・」
番長「家に帰ろう」
菜々子「・・・うん・・・」
番長「お父さんも、菜々子のことを見つけてくれていたんだよ」
菜々子「・・・そっか・・・」
番長「・・・」
菜々子「お父さん・・・お母さんのこと忘れちゃったのかな?」
番長「・・・菜々子・・・」
菜々子「菜々子、お母さんに会いたい・・・」
・・・もう泣くな
菜々子「・・・でも、菜々子・・・泣かないよ・・・!」
番長「・・・・・・」
菜々子「お父さん、きっとお母さんのこと忘れちゃったんだ。写真も捨てちゃったし・・・」
番長「そんな・・・」
菜々子「お父さん・・・菜々子もすてるのかな・・・」
番長「きっと、忘れてなんかないよ」
菜々子「・・・・・・帰る」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ピピピッ ピピピッ
陽介「あ、番長!?菜々子ちゃんは!?そっか・・・ラハールが教えてくれた場所にいたか・・・良かった」
ラハール「貸せ」
陽介「おい!」
ラハール「電話なんぞかけてる暇があったら、しゃきっとしろ!」
ピッ
陽介「・・・どうしたんだよ?」
ラハール「・・・・・・」
陽介「いつになく不機嫌だな・・・」
ラハール「ベルベットルームに行ってくる」
陽介「こんな時間にか?あ、おい!」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
堂島「・・・菜々子は?」
番長「疲れて寝入っちゃいました」
堂島「そうか・・・」
番長「・・・」
堂島「こんな時間にすまんが、少し話したい。良いか?」
番長「もちろんです」
堂島「すまんな・・・」
番長「・・・」
堂島「俺は、怖かったんだ」
番長「怖かった??」
堂島「・・・・・・あいつが、菜々子の母親が轢き逃げされたのはな・・・保育園にいる菜々子を迎えに行く途中でのことだった・・・」
番長「・・・!」
堂島「人通りのない道で轢かれたあいつは・・・轢かれてからしばらくの間誰にも発見されず・・・結局かえらぬ人となった」
ラハール『・・・・・・』
堂島「そのことを菜々子には言えなかった」
番長「どうしてですか?」
堂島「俺は警察官だ。悪い奴を捕まえるのが仕事・・・母親が殺されたってのに、悪い奴を捕まえるのが仕事のはずの父親は犯人を捕まえられないなんて・・・言えんよ、そんなの」
番長「・・・」
堂島「・・・菜々子がいなきゃ、あいつが殺されたりすることはなかったんじゃないか・・・そんなとんでもないことを考えそうになる自分が・・・たまらなく嫌になった」
番長「・・・それは・・・・・・」
堂島「・・・そしてな、菜々子はあいつに似てるんだ・・・似すぎてる!菜々子を見てると・・・あいつのことがチラつくんだよ。それが怖かった・・・一時期はお前の両親に、菜々子を預けることを考えていたぐらいにな」
番長「でも、結局そうはしなかったんでしょう?本当はおじさんにも解ってるんじゃないですか?」
堂島「・・・」
番長「菜々子は生きています。そして、おじさんの家族です」
堂島「・・・・・・俺は怖かったんだろうな・・・また大事な家族を作って・・・それをまた失うかもしれないってことが・・・」
番長「・・・」
堂島「それで俺は、あいつを轢き逃げした犯人を追うことに必死になって・・・肝心の菜々子と触れ合う機会を、作ろうとしてこなかった・・・」
番長「もう、逃げないで下さい。菜々子から」
堂島「・・・・・・逃げないで下さい・・・か。逃げる奴を追う立場の俺が、そんなことを言われるとはな・・・けど、その通りだな」
番長「俺も、いますから」
堂島「ああ。お前がいなきゃ、俺は駄目なままだっただろう・・・話に付き合わせて悪かったな。今日はもう良いぞ」
番長「・・・はい」
堂島「菜々子と・・・きちんと話をしなきゃな」
番長「・・・」
>-・・・・・・
ラハール「・・・・・・」
>-10/02(日) 朝
:::【堂島家】:::
菜々子「お兄ちゃん!」
番長「・・・どうした?」
>-菜々子は随分と興奮しているようだ。
菜々子「お母さんに会えたの!それでね、お父さんと三人で、お話した!」
番長「・・・?」
堂島「菜々子・・・お前もか?」
菜々子「え?お父さんも?」
堂島「・・・ああ・・・夢の中にお前と、お前の母親が出てきて、三人で色々話した・・・!あんなに意識がはっきりしてる夢は初めてだ・・・」
菜々子「お父さん・・・」
堂島「しっかりやれってことなのかもしれんなあ。あの世でまで気苦労かけさせてちゃ、いかんよなあ・・・!」
菜々子「お父さん、泣くのは駄目なんだよ!」
堂島「あぁ、ああ・・・そうだな・・・!」
番長「・・・」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「(フン・・・これ以上は、俺様が聞く必要はないな)」
クマ「ラハール?さっきから何一人でニヤニヤしてるクマ?」
ラハール「ど、どうでもいいだろ!」
クマ「あ、わかったクマ~~!フロンチャンのこと考えてるクマね?」
ラハール「アホ!そんなわけ・・・いや、そうとも言えるか」
クマ「?」
ラハール「奴とエトナには一つ借りが出来てしまったからな・・・まあ、いいか」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
堂島「・・・轢き逃げの犯人をな、ようやく捕まえた」
番長「え?」
堂島「一年前に犯行に使われた車も出てきて、当時の自供やその後の足取りも噛み合っている・・・」
番長「・・・」
堂島「正直、犯人を捕まえるのは無理かもしれないと思いながら、これまでひたすら、捕まえようとやれることは全部やってきた・・・一時期は、犯人を捕まえたらこの手で絞め殺してやろうと思っていたこともある」
番長「・・・そんな・・・」
堂島「だが、今日の俺は不思議と落ち着いていたんだ。怒りや恨みが消えたわけじゃないんだがな・・・そんなことをしちまったら、俺は警察官じゃなくなる。それ以前に、人間じゃなくなる。菜々子の父親じゃ、いられなくなるからな」
番長「・・・」
堂島「今の俺には、菜々子と・・・お前がいるからな」
番長「・・・はい」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「(しかしフロンの奴・・・菜々子の母親のことはともかく、【道を外れた人間】の逮捕にやけに簡単に協力しおった。これはつまり、俺様達が追っている連続誘拐殺人の真犯人が・・・【道を外れた人間】ではないということなのではないか?)」
ラハール「(だとすると・・・【道を外れていない人間】が犯人?いや、例えどんな事情があろうと、二人も殺している人間に対して天使共がそんな判断をするわけがない・・・)」
ラハール「(じゃあ悪魔や天使が犯人?その場合は天界が表だって動きそうなものだが・・・うむ。駄目だ、全然わからん)」
>-10/03(月) 昼休み
:::【屋上】:::
番長「ありがとうラハール」
ラハール「な、何の話だ?」
番長「菜々子とおじさんのことだよ。エトナさんに聞いたぞ」
ラハール「あのバカ!貴様に話したのか!?」
番長「・・・菜々子がラハールに相談したって言ってたから、もしかしたらと思ってたんだけど・・・やっぱりそうだったか」
ラハール「き、貴様、誘導尋問というわけか?随分とせこい真似を・・・!」
番長「お礼ぐらい言わせてくれ」
ラハール「やめろ気持ち悪い!体がかゆくなる!大体、貴様が情けないから、この俺様がわざわざ手を貸してやったのだぞ!」
番長「・・・そうだな」
ラハール「・・・貴様がついていながら、菜々子に家出などさせるな」
番長「・・・ああ・・・なんていうかな・・・一緒に住んでいるからこそ、遠慮してしまうことって・・・あるんだ」
ラハール「・・・・・・」
番長「何だよ目丸くして・・・」
ラハール「いや、貴様も人間らしいことを言うのかと思ってな。人間じゃないのではないかと疑っていたのだが」
番長「ひどいな」
ラハール「フン・・・所詮貴様も人間だったか」
>-ラハールからの信頼を感じる・・・
>-"ラハール"コミュのランクが"7"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
>-・・・割と本気で疑われていたのかもしれない。
>-・・・ひどいな。
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-10/6(木) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
ラハール「犯人のことは覚えてないだと?」
直斗「は、はい・・・すいません」
番長「けど、犯人が来ると思って準備はしていたんだろ?」
直斗「う・・・それが、実際来るかどうかは僕自身半信半疑な状態だったので・・・それに・・・その・・・」
陽介「もしかして、怖かったのか?」
直斗「・・・はい」
ラハール「全く・・・そうならそうで、無茶なことをするんじゃない」
直斗「仰るとおりです・・・」
完二「覚えてねーもんは仕方ないんじゃねえスか?」
ラハール「多少は進展があると思っていたのだが・・・まさか収穫なしとはな」
直斗「面目ない・・・」
ラハール「・・・まあいい」
雪子「直斗君、これからどうするの?」
直斗「これから・・・ですか?」
雪子「もし良かったら、私達と一緒に」
直斗「あ・・・も、もちろんです。僕も皆さんと共に戦わせて下さい」
>-10/9(日)
:::【ジュネス・フードコート】:::
>-勉強会
菜々子「ラハールさんこんにちは!」
ラハール「あぁ・・・・・・元気そうだな」
菜々子「うん!」
クマ「ハァ~イナナチャン、コンニチハクマ!」
菜々子「こんにちはくま!」
雪子「菜々子ちゃん、なんだかいつになく元気だね?」
ラハール「フン・・・・・・何か良いことでもあったのだろう」
エトナ「あったんでしょうねぇ~?」ニヤニヤ
ラハール「む・・・・・・な、何しに来た?」
エトナ「暇潰しです」
ラハール「・・・」
番長「俺が呼んだんだ。助っ人にと思って」
エトナ「来週試験らしいじゃないですか。真面目に勉強する奴等をからかいにきました」
ラハール「全く・・・一年のバカ二人の面倒を見られる新入りが増えたからな。貴様の出番は無いかも知れんぞ」
りせ「ちょっとラハール先輩!完二は確かにバカだけど、私を完二と一緒にしないでください!」
完二「おいこら」
ラハール「一緒だ一緒・・・」
直斗「当てにされるのは嬉しいんですが・・・僕もしばらく学校に来ていませんでしたから、あまり期待しないで下さいね」
雪子「そうだよね。まあ、直斗君にわからないところあったら、私達に聞いて」
陽介「俺とか里中に聞くなよ?他の四人に聞いてくれ」
直斗「あの・・・それはもちろん解っているんですが」
千枝「ちょ・・・」
直斗「そちらの・・・方は?八十稲羽高校の方じゃないですよね?何度か目にしたことはありますが、面識は・・・」
陽介「あれ?知らなかったか?エトナさん。ラハールの家来だ」
直斗「け、家来?」
番長「・・・もしかして、まだ誰も直斗に言ってないのか?」
直斗「??」
>-あふれる伝達力でラハールのことを直斗に説明した。
直斗「にわかには信じ難いですが・・・まあ、皆さんが仰るなら信じざるを得ませんね。言われて見れば、確かにラハール先輩はありえない髪型をしていらっしゃいますし」
ラハール「どういう意味だ」
エトナ「そういう意味ですよ」
ラハール「そうかそういう意味か」
千枝「え、今の会話で何が通じたの?」
陽介「いや俺に聞くな」
>-皆と楽しく過ごした。
>-10/29(土) 文化祭初日
:::【合コン喫茶】:::
ラハール「・・・合コンいかがっすか~」
雪子「・・・・・・誰も来ないね」
ラハール「帰って良いか?」
雪子「・・・うん、駄目」
クマ「みんな~~遊びに来たクマよ~!」
陽介「おぉうクマ・・・」
クマ「アレレ?だ~れも着てないクマね。ナンデ?」
陽介「何でだろうな?強いて言うなら合コン喫茶とかいうアイデア自体が悪いんじゃね?」
千枝「発案者アンタじゃん・・・」
番長「・・・クマが来て調度偶数だ。俺達でサクラをやろう」
ラハール「は?」
>-・・・・・・
ラハール「なんで俺様が女側だ」
陽介「しゃあねえだろ男のほうが多いんだから」
ラハール「帰って良いか?」
番長「そんなこと言うなよ・・・とりあえず座ったけど、合コンってこれから何するんだ?」
ラハール「知りもせんで店開いてたのか」
番長「そうなるな」
ラハール「・・・」
陽介「お互いに質問とかしあうんじゃね?」
クマ「ゴシュミは!?」
千枝「え、趣味?」
クマ「ハイ!チエチャンから!」
千枝「えっと・・・今はいろんなトレーニングとかかな?格闘技全般」
クマ「ナルホド!ハイユキチャン!」
雪子「趣味・・・趣味・・・特に無いかも」
クマ「無いクマか?」
番長「なんでも楽しめるっていうことだろう。良いことなんじゃないか?」
クマ「ナルホド!じゃー次ラハール!」
ラハール「・・・・・・趣味・・・特に無いな」
クマ「またそれクマ?」
ラハール「実際無いんだから仕方ないだろ」
クマ「モー」
ラハール「答えたし帰って良いか?」
番長「じゃあ次は好みの異性のタイプ」
ラハール「おい。無視か」
番長「はい、ラハールから」
ラハール「は?」
番長「はい、ラハールから」
ラハール「ふ、ふざけるな!何故そんなことを答えなければならんのだ!」
番長「合コンのルールだからな。仕方無い」
陽介「ルールなら仕方ねーな」
クマ「仕方無いクマね~」ニヤニヤ
ラハール「貴様等・・・・!」
番長「ほら、早く」
ラハール「ぐ・・・・・・そうだな。とりあえず、ムチムチは苦手だ」
番長「ムチムチじゃないのが好み・・・と」
ラハール「誰も好みだとは言っとらん!ムチムチが苦手だと言っただけだろうが!大体貴様なんだそのメモは!」
番長「まあ気にするな。どんな性格の子がタイプなんだ?」
ラハール「せ、性格なんか知るか!」
番長「性格なんか知らない・・・なるほど。つまり明るくても攻撃的でも良い・・・と、じゃあ、具体的に誰?」
ラハール「は?」
番長「具体的に誰?」
ラハール「二回言うな!いい加減にしろ!」
ガラッ
エトナ「何騒いでんですか~・・・って、何やってんの?アンタ等」
番長「合コンです」
エトナ「客がやるんじゃないの?」
番長「いや、お客さん来なくて暇で」
エトナ「ああそう・・・」
>-・・・店番を引き継いで、皆で文化祭を見てまわることになった。
:::【占いの館 THE長鼻】:::
エトナ「な、何やってんの?」
マーガレット「占いよ」
ラハール「貴様はベルベットルームの・・・」
陽介「なんだ?この広さ。ありえなくね?」
千枝「ほんとだ。中、めっちゃ広いじゃん。おーい雪子、おいで」
雪子「は~い」
番長「・・・」
>-・・・・・・・・・・・・
『・・・・・・元気で』
>-・・・今の、ありえないぐらいかっこいい声は・・・?
>-・・・なんだろう・・・?
『・・・どうでもいい』
>-・・・・・・。
>-・・・わからない。
番長「・・・」
ラハール「・・・?」
陽介「・・・あ、あれ・・・何で俺ぼーっとしてんだ?」
千枝「ん?完二君?直斗君に、りせちゃんも?あれ?さっきまでいたっけ?」
雪子「いなかった・・・よね?」
クマ「クマ~・・・?」
完二「先輩等・・・?俺、確かさっきまで・・・」
直斗「え・・・?皆さん・・・?」
りせ「?」
エトナ「・・・・・・」
マーガレット「・・・あまり貴方達ばかりに長居されても困るのだけど?」
直斗「そ、そうですよね・・・?」
エトナ「ほら、出てった出てった。殿下、ちょっと先行っといて下さい。アタシこいつと話があるんで」
ラハール「あ、ああ・・・」
>-・・・・・・
エトナ「本当にあいつら、さっきまでのことなーんも覚えちゃいないみたいね。あんだけ忘れない忘れない言ってた癖に・・・」
マーガレット「そうね。覚えているのは私達のような、元々夢と現実の狭間の住人だけ。貴女のお客様ならひょっとしたらと思っていたけど・・・無理だったみたいね」
エトナ「・・・」
マーガレット「あら、寂しいの?」
エトナ「バァカ言ってんじゃないわよ。アタシはそんなに感傷的じゃないっつの」
マーガレット「なら良いけど」
エトナ「・・・あいつらは、あっちの奴等とまた会えるわけ?」
マーガレット「それを今の私が知る由は無いわね。けれど、少なくとも私の記憶が確かなら、あちらの方々のうち一人は既にこの世にはいないわ。そして、もう一人、ほとんどこの世にはいないようなことになっている方がいるわね」
エトナ「それって、あっちのワイルド?」
マーガレット「ええ、そうよ」
エトナ「その話、詳しく聞かせて」
マーガレット「・・・・・・私達ベルベットルームの住人が、この世のことに関与してはならないわよ?」
エトナ「わかってるっつの。大体、アンタの妹が未だにどうにも出来てないようなこと、今のアタシにゃどうしようもないわよ。ただ聞きたいだけ」
>-・・・・・・
ラハール「・・・やけに長かったな」
エトナ「すいません。色々・・・・・・色々、聞いてまして」
ラハール「行くぞ。せっかくだから全員で見て回るらしい」
エトナ「・・・はい」
>-次回予告
>-BGM:全ての人の魂の詩
エトナ「語られなかった、もう一つの戦い」
エトナ「二人のワイルドと一人の魔王」
エトナ「四つの迷宮と、扉にかけられた四つの鍵。そして謎の時計塔」
エトナ「不思議な学校で出会った、善と玲」
エトナ「十五人と二匹と一機(?)のペルソナ使いと魔王は、何を想い、何故戦うのか」
エトナ「次回、【PQ×ディスガイアD2】。第一話、【不思議の国の魔王】」
フロン「・・・」
エトナ「・・・」
フロン「・・・へ?やるんですか?」
エトナ「え?やるわけないじゃん。どんだけ長くなると思ってんのよ」
フロン「で、ですよね~・・・」
乙
Qならラハールもペルソナ使えるな!(玲善から目をそらしながら)
乙
趣味は夜更かしに火遊び高笑い
更新します。
>-10/30(日) 文化祭二日目
:::【体育館】:::
堂島「・・・っと、ここか」
菜々子「お兄ちゃん達が出るコンテスト、もうすぐ?」
堂島「そうだな。とはいえ、見て面白いもんかは知らんぞ?」
司会者「レディースエン、ジェントルメーン!」
司会者「文化祭2日目の目玉イベント、ミス?八高コンテストの始まりでーす!」
司会者「さっそく一人目からご紹介に入りましょう!」
司会者「稲葉の美しい自然が生み出した暴走特急、破壊力は無限大!」
司会者「1年3組、巽完二ちゃんの登場だ!」
完二「うっス!」
菜々子「・・・」
堂島「・・・」
菜々子「・・・怖いね」
堂島「そうだな・・・まあとはいえ、あいつもこんなもんに出るようになったんだ。丸くなったのは良いことだ」
司会者「さあ二人目、ジュネスの御曹司にして爽やかイケメン、口を開けばガッカリ王子!2年2組、花村陽介ちゃんの登場だ!」
陽介「ど、ども」
堂島「・・・ナヨナヨしてっからああいう格好が似合わないわけじゃないはずだが、ありゃ化粧が悪いな」
菜々子「か、かわいい、よ?」
堂島「無理はしなくていいぞ」
司会者「都会の香り漂うビターマイルド、泣かした女は星の数!?2年2組に舞い降りた転校生、番長ちゃん!」
番長「・・・かかってらっしゃい」
菜々子「お兄ちゃんかわいいね!」
堂島「そ、そうか?あいつの場合顔立ちは整っとるんだが、体格が誤魔化せんからなあ・・・観客もがっかりしとるな」
司会者「さ~てお次は飛び入り参加、出場者たちのお仲間が登場です!」
菜々子「お仲間?クマさんかなぁ」
司会者「自称、王様fromテレビの国、キュートでセクシーな小悪魔ベイビー!その名も、熊田ちゃんだ~!」
クマ「ハートを、ぶち抜くぞ?」
菜々子「クマさん可愛い~~!」
堂島「ああ、たいしたもんだな。化けるような気はしてたが」
司会者「さあ、最後はこの人!俺様何様ラハール様!高校生とは思えないその堂々たる物腰は、悪魔か天使か!?ラハールちゃん!!!」
ラハール「ハーッハッハッハ!!」
ダンッ
堂島「て、天井から飛び降りてきたぞ・・・?」
ラハール「俺様が、ラハールちゃんだ!」
菜々子「ラハールさんスゴ~イ!」
堂島「あれがラハールか?体格が違うような気がするが・・・あの谷間はどうやって作ってんだ?」
>-・・・・・・
:::【1F・渡り廊下】:::
堂島「じゃあ、今から仕事に出るから、菜々子のこと頼んだぞ。飯はさっき食わせておいたから」
番長「はい」
陽介「おいラハール、女子の暗い空気をどうにかしてこいよ」
ラハール「何故俺様が・・・」
陽介「ミス?コンで優勝した後、ミスコンにまで飛び入り参加して優勝しちまったのはお前だろが」
りせ「女子票で直斗とかに負けるならともかく・・・ラハール先輩に負けるなんて・・・」
雪子「ラ、ラハール君に・・・女らしさで負けた・・・」
陽介「・・・ほら」
ラハール「し、知るか!」
菜々子「皆、かわいかったよ?」
りせ「ありがとー菜々子ちゃん・・・」
番長「完二もかわいかったのか?」
菜々子「え?えっ~と・・・」
完二「お、おい、菜々子ちゃん!?」
千枝「さすがの菜々子ちゃんでもアレは無理か・・・」
陽介「まあ完二はちょっとな・・・」
直斗「ラハール先輩の女装ってどうやってやったんですか?まず身長から違っていたような・・・」
エトナ「ラハールちゃんになってもらっただけよ」
直斗「えぇ・・・?」
番長「それより、いつになくノリノリだったような・・・」
エトナ「あれは開き直ってただけね~。アタシは見てて面白かったから良いけど」
ラハール「ぅぐ・・・そういうエトナこそ、派手好きな貴様がミスコンに参加しなかったのは、俺様に負けるのが怖かったからだろうが」
エトナ「あぁん?何?ケンカ売ってんですか?」
ラハール「フン・・・良い機会だ。思えば、貴様とサシで本気でやりあったことは無かったからな。一度主従関係をよりはっきりとさせておくか」
エトナ「へぇ、殿下アタシに勝てると思ってたんですか?今ならレベルも同じぐらいだし、調度良いですね」
ゴゴゴ・・・・・・
陽介「ちょ、ストップ!スト~ップ!」
エトナ「うっさいわよ」
ラハール「黙ってろ陽介・・・!」
菜々子「ケンカ、駄目だよ?」
ラハール「む・・・そうだな」
エトナ「あ、違うのよ菜々子ちゃん」
陽介「何この違い・・・」
クマ「どんまいヨースケ!」
番長「菜々子は八十稲羽にて最強」
>-皆と楽しく過ごした。
>-夜
:::【天城屋旅館・玄関】:::
雪子「取材はお断りしたはずです。お引取り下さい」
テレビ局の人A「そんなこと言わないでよ。呪われた旅館の次期女子高生女将さん」
雪子「・・・呪われた旅館?」
ラハール「(・・・あれは・・・?)」
テレビ局の人A「知ってるよ?ここ、あの山野アナが泊まってた旅館なんでしょ?事件以降、客足途絶えて大変らしいじゃん」
雪子「・・・」
テレビ局の人A「だからさあ、良い案持ってきた訳よ。あの呪われた旅館は今!女子高生若女将の恥ずかし奮闘記!」
雪子「・・・・・・」
テレビ局の人A「面白おかしく撮って、ちょこっとアンタが温泉でサービスカット入れてくれれば、視聴率もバッチリ、この旅館の人気もうなぎのぼりって訳よ。わかるでしょ?」
ラハール「・・・」
雪子「お断りします」
テレビ局の人A「あのさあ、立場わかってる?こんなド田舎のボロ旅館、俺達みたいなのに目付けてもらえるうちがチャンスよ?」
雪子「・・・お引取り下さい」
テレビ局の人A「ったく、次期女将さんなら懸命な判断してくださいよ。大体、老舗旅館っつったって、古いだけじゃんか。建物もぼろいし、料理もチマチマしてるだけだし」
ラハール「(仕方無い、行くか・・・む)」
雪子「・・・ざっけんじゃなわよ」
テレビ局の人A「・・・はぁ?」
テレビ局の人B「・・・」
雪子「侮辱するのもいい加減にして!あなたがたの局の取材は、今後一切、断固拒否します!」
テレビ局の人A「・・・あそう。おい、撮ったか?」
テレビ局の人B「はい」
テレビ局の人A「そっちがそういうつもりなら、今の暴言、報道させてもらっちゃうよ?」
雪子「ご自由にどうぞ。こちらからは、番組スポンサーの方々に抗議致しますから」
テレビ局の人A「はぁ?」
テレビ局の人B「ス、スポンサーはヤバイすよ・・・」
テレビ局の人A「・・・行くぞ」
雪子「・・・はあ」
ラハール「フン・・・今のクズ共、どうやら相手が悪かったようだな」
雪子「ラ、ラハール君!見てたの!?」
ラハール「ああ・・・む」
:::::::::::::::
ちゃんと撮ってたか?
え?そりゃまあ、けど、スポンサーに抗議するって
バーカ。一旦引いたけどな、まずはスポンサーに根回しすんぞ。今の啖呵が撮れてりゃ、やりようはいくらでもあんだよ
:::::::::::::::
ラハール「チッ・・・少し待ってろ」
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・外】:::
ラハール「おい」
ラハール「死してなお、死んだほうがマシだと思えるような労働を、魔界で未来永劫無給で続けたくなければ・・・せめて真っ当に生きてろ」
ラハール「いいな?」
テレビ局の人A「は・・・はい・・・」
ラハール「(力はまだまだだが、迫力は俺様本来のものが戻ってきたようだな)」
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・玄関】:::
雪子「ラ、ラハール君・・・今の・・・」
ラハール「・・・・・・奴等にとっては、相手が悪かったようだな。それだけだ」
雪子「・・・私・・・」
ラハール「意地を張りたいのなら、用心をしろ。人間だろうが悪魔だろうが天使だろうが、関係ない。貴様にはおよそ想像もつかんようなクズ共は、どこにでもいるものだ」
雪子「・・・」
ラハール「しかし、随分とこの旅館に熱心だな。貴様は、どこかへ行きたかったのではないのか?」
雪子「・・・最初はね、そうかもしれないって思ってた」
ラハール「・・・・・・どういうことだ?」
雪子「ここで生まれて、ここで育ってきて・・・確かに私は、決められた人生を送ろうとしてる、籠の中の鳥みたいな気がしていた。それは、私のシャドウが言っていた通り」
ラハール「・・・」
雪子「だから、一人でも生きていけるようにって、料理とか色々勉強して、色んな職業のこととかを調べたりしたんだ。千枝と一緒に」
ラハール「・・・料理は随分マシになったな」
雪子「・・・うん。だけどね、改めて、私が何をしたいのか、これからどういう風に生きてみたいのか考えてみて・・・気付いたんだ。この旅館が凄く大事だっていうことに」
ラハール「大事?」
雪子「うん。ここはね、私を育ててくれた両親、仲居さんや板前さん達・・・小さい頃からずっと一緒に生きてきた、家族や、家族みたいに想ってきた人達がいて、その人達が守り続けてきた旅館なんだ」
ラハール「・・・」
雪子「だから私は、この旅館を継いで、私もこの旅館を守っていきたい」
ラハール「・・・・・・そうか」
雪子「・・・ご、ごめんね長々と語っちゃって」
ラハール「アホか。俺様はな、この半年、人間界で人間共を見てきて、たの・・・悪くないと思っている」
雪子「ラハール君・・・」
ラハール「いろんなことを考えている奴等がいて、いろんなことで悩んでいる奴等がいる・・・強いのか弱いのか、まるでわからんような人間共を見ているやるのは、結構たの・・・悪くないのだ」
雪子「・・・」
ラハール「だから、貴様の話を聞いてやるのも・・・・・・悪くない」
雪子「ふふっ・・・」
ラハール「な、何故笑う?」
雪子「楽しいって言っちゃえばいいのに」
ラハール「た、楽しいわけあるか!悪くないだけだ!」
雪子「ふふ・・・あれ、そういえば他の男の子達は?」
ラハール「ああ、奴等なら風呂に行ったぞ。俺様は風呂で騒がしすぎるのはご免だから、後で一人で行くつもりだ」
雪子「そっか」
ラハール「・・・しかし、良かったのか?全員で押しかけてしまって・・・エトナとマリーまで」
雪子「良いの。部屋は空いてたし」
ラハール「ならいいが」
雪子「気遣ってくれてありがと」
ラハール「ちょ、調子に乗るな!気遣ったとかそういうわけじゃない!お、俺様はもう行くぞ!」
雪子「あ、うん」
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・露天風呂】:::
マリー「ふ~・・・」
エトナ「たまにはこういうのも良いわね~」
菜々子「お風呂、気持ち良いね!」
エトナ「ね」
マリー「うん」
りせ「直斗もこっちおいでよ!」
直斗「ぃいえ、あの・・・」
りせ「・・・・・・えいっ!」
直斗「わあぁ!?」
りせ「直斗って意外と良いカラダしてるんだよねぇ~?」
千枝「肌もスベスベしてる!」
直斗「ちょ、ちょっと二人とも!」
エトナ「アンタ等なんかアブないわね・・・」
直斗「もぉぉ・・・な、菜々子ちゃん!」
菜々子「なぁに?」
直斗「大丈夫?熱くない?この露天少し温度高めだけど」
菜々子「大丈夫!」
直斗「最近、堂島さん・・・お父さんとはどう?僕が警察に出入りしてた時は、ずっと忙しそうにしていたけど・・・」
菜々子「お父さん?お父さんね、菜々子のお話、ちゃんと聞いてくれるようになったんだ」
エトナ「・・・」
菜々子「お母さんとお父さんと、三人でお話してから」
直斗「・・・お母さん?」
りせ「お母さんって・・・」
菜々子「菜々子嬉しかった。お父さんも泣いてた・・・菜々子今までごめんって言って、それからなんだ。お父さんが忙しくても、菜々子のお話ちゃんと聞いてくれるようになったの」
千枝「菜々子ちゃんのお母さんは、確か・・・」
りせ「う、うん・・・」
エトナ「夢の世界よ」
直斗「え?」
エトナ「夢の世界で引き合わせてあげたの。フロンちゃんがね」
マリー「エトナも頑張って叫んでたもんね。フロンちゃ~ん!って」
エトナ「う、うっさいわよ!いいでしょ別に!」
りせ「そうなんだ・・・」
千枝「・・・」
菜々子「・・・エトナさんなの?エトナさんが、お母さんに会わせてくれたの?」
エトナ「違う違う。殿下よ」
菜々子「殿下?ラハールさん?」
エトナ「そ。ああ、けど、このことは内緒よ?アタシがばらしたって知ったら、殿下絶対怒るから」
菜々子「・・・うん、わかった」
『エトナ、頼む』
『た、頼むって・・・』
『フロンが貴様を見ている時なら、貴様が叫べば届くはずだ』
『いいですけど、フロンちゃんがやってくれるかは知りませんよ?』
『頼む』
『・・・わかりました・・・』
エトナ「いいからやれとか、さっさとやれとかじゃなくて、殿下がアタシに『頼む』なんてね・・・断れるわけないじゃん」
菜々子「どうしたの?」
エトナ「ああいや、何でもないのよ」
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・宴会場】:::
菜々子「えへへ・・・」
ラハール「・・・どうした?」
菜々子「隣でご飯食べて良い?」
ラハール「別に、それは構わんが・・・」
エトナ「じゃーアタシは菜々子ちゃんの隣」
菜々子「うん!」
ラハール「・・・・・・?」
りせ「せ~んぱい、一緒に食べよ!」
マリー「番長は私と一緒なんだけど」
りせ「な、なにぃ~?」
番長「いや、あの・・・菜々子・・・」
マリー「仕方ないなあ。私の反対側になら座ってて良いよ。番長、これおいしいよ」
りせ「そ、それこっちの台詞なんですけど!はい先輩、あ~ん」
番長「いや、あの・・・菜々子・・・」
陽介「見ろ、あいつらの華のある光景・・・それに比べてこっちは・・・」
クマ「これ凄いおいしいクマ!」
完二「」ガツガツ
陽介「聞いてすらいねーし・・・」
千枝「何ぶつぶつ言ってんの?」
陽介「おう、里中。直斗も」
直斗「・・・どうも」
千枝「よ~し、食うぞ~!」
陽介「そんな気合入れんなよ・・・」
千枝「気合も入るっしょ!こんなに凝った料理はじめてだよ!」
直斗「隣、よろしいですか?」
完二「直斗・・・あ、ああ、別に」
直斗「・・・・・・気難しい方だと、勝手に思い込んでいたのですが」
完二「あ?」
直斗「ラハール先輩のことです。思っていた以上に、良い方だったみたいで」
完二「おう。自慢の先輩だぜ。まあ先輩等、皆そうなんだけどよ」
直斗「・・・はい、僕もそう思います」
>-・・・俺を挟んでりせとマリーが白熱しだした。
>-・・・そっとしておこう。
>-皆と楽しく過ごした。
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・大浴場】:::
ラハール「・・・・・・む」
番長「・・・やあ」
ラハール「貴様、風呂にはさっき入ったのではないのか?」
番長「さっきは露天だったから、今度はこっちにと思って」
ラハール「物好きめ・・・アホ共はどうした?」
番長「陽介達か?なんか、卓球してる。里中や直斗も一緒みたいだ」
ラハール「無駄に元気な奴等だ・・・」
番長「元気があるのは、いいことじゃないか」
ラハール「まあ、無いよりはな・・・それより貴様、菜々子に何か言ったのではないだろうな?」
番長「何かって?」
ラハール「奴の母親のこととか・・・今日の菜々子はやけに馴れ馴れしかったぞ」
番長「言ってないけど・・・」
ラハール「・・・ならいいが」
番長「菜々子は鋭いからな。俺は何も言ってないけど、気持ちは伝わってしまうのかもしれない」
ラハール「・・・まあ、確かにな」
番長「それか、もしかしたらエトナさんがばらしたんじゃないか?」
ラハール「・・・いや、それはないだろう。アレは奴にとっても人に知られたくない話のはず、奴も人助けの片棒を担いだわけだからな」
番長「片棒を担いだって・・・何もわざわざ悪いことみたいに言わなくても」
ラハール「余程貴様と菜々子に気を許していない限り・・・・・・まさかアイツ・・・いや、まさかな・・・」
>-・・・・・・
:::【天城屋旅館・外】:::
エトナ「あれ?殿下?どしたんです?」
ラハール「・・・外の空気を吸いにな。貴様こそ、どうした?」
エトナ「アタシも殿下と一緒ですよ」
ラハール「・・・」
エトナ「殿下の魔力、随分落ちてますね?」
ラハール「・・・わかるか」
エトナ「そりゃまあ」
ラハール「・・・魔界と違って、ここでは使った魔力を回復しようと思ったら自分で魔力を生み出すしかない。不本意だが、規則正しく生活して、睡眠と栄養を充分取ってな」
エトナ「ほぉ~・・・殿下の口から規則正しくなんて台詞が出てくるとはね~」
ラハール「・・・レベルが上がってきた分、魔力の絶対量が増えた。たかだが数時間訓練しただけでも、魔力を全快にするには数日がかりだ」
エトナ「ま、そうでしょうね」
ラハール「これまでは随分俺様と番長の力が際立っていたのだが、まだ戦いが続くようなら、そろそろ他の人間共にももっと強くなってもらわねばならん」
エトナ「家来のレベル上げなら殿下の得意分野でしょ?」
ラハール「・・・奴等は家来ではない」
エトナ「殿下・・・」
ラハール「・・・・・・場合によっては、貴様の力をあてにするかもしれんぞ」
エトナ「アタシはベルベットルームの住人ですよ?客人の力に直接なったりしたら、マーガレットが黙ってないですって」
ラハール「・・・そうだな。良い、今のは忘れろ」
エトナ「はいはい。な~に弱気になってんだか」
ラハール「なっとらん。俺様は強いから、俺様の力が足りないせいで誰かを死なせてしまうことなど考えたこともないし、そもそも臆病でもないから、誰かを失うことも怖くない」
エトナ「・・・それ、ぜ~んぶ逆ってわけですか?」
ラハール「・・・・・・勝手なことを言うな」
エトナ「はいはい」
>-11/1(火) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
コレイジョウタスケルナ
直斗「これ以上助けるな・・・か」
ラハール「これが、貴様の家のポストに直接入っていたという手紙か」
番長「・・・ああ」
直斗「では、お預かりします。僕のつてで調査させてみます。指紋でもなんでも、何か手がかりになるようなものが出てくると良いのですが・・・」
ラハール「・・・期待薄だろうな。これまで足取り一つ掴ませてこなかったような奴が、わざわざむこうから仕掛けてきておいて、手がかりを残すとは思えん」
直斗「ええ・・・」
完二「今はそんなこと話してる場合じゃないっスよ!」
ラハール「何?」
完二「犯人のヤローに番長先輩んちが割れちまってんスよ!?何してくるかわかんねえようなヤローに!どうすんスか!?」
直斗「あ・・・」
ラハール「・・・・・・番長、何かあったらまずは俺様に連絡を寄越せ」
千枝「私にも!すぐ駆けつけるから!」
番長「・・・わかった」
>-皆と今後のことを少し話し合った。
>-・・・・・・
:::【神社】:::
完二「・・・んだよ?話って」
直斗「僕には・・・皆さんの仲間でいる資格がないのかもしれません」
完二「あぁ?」
直斗「・・・ショックでした。巽君の、先ほどの言葉が」
完二「・・・」
直斗「犯人に先輩の居場所が解ってしまっていること、そんな非常事態だというのに、僕の頭は調査のことで一杯で・・・」
完二「あ~・・・」
直斗「何よりもまず、番長先輩の身を案じるべき事態なのに・・・僕は・・・」
完二「・・・自分で解ってんなら良いんじゃねえか?」
直斗「巽君・・・」
完二「けどま、番長先輩にゃ侘びの一つでも入れといたほうが良いぜ」
直斗「・・・はい」
>-・・・・・・・
直斗「・・・はぁ・・・」
ラハール「・・・」
直斗「ラ、ラハール先輩」
ラハール「話し声が聞こえて、何かと思ってな」
直斗「聞いてらしたんですか・・・」
ラハール「・・・気に病むことはないぞ」
直斗「え?」
ラハール「俺様も番長の身を案じたりはしなかったからな。とはいえ、俺様の場合は貴様とは少し違うが・・・番長は生身の人間が相手なら、多少のことは自分でどうにか出来る奴だ。俺様はそれを良く知っている」
直斗「・・・」
ラハール「番長の奴も人間離れしたところのある奴だが・・・貴様の冷静さも中々見所があるな。家来にしてやっても良いぐらいだ」
直斗「・・・それは褒められているのでしょうか・・・?」
ラハール「お、俺様は人を褒めたりなどせんぞ」
直斗「・・・」
ラハール「む・・・し、しかしな、奴等は番長を除き、どいつもこいつも直情的な馬鹿共だ。天城でさえ、冷静に見えて中々の激情家だからな・・・」
直斗「・・・?」
ラハール「だからまあ・・・貴様がそうやって冷静でいられることが、いつか奴等の助けになるかもしれん。貴様は貴様のままで、奴等の仲間になってやればいい」
直斗「・・・先輩・・・」
ラハール「・・・・・・いらんことを口にしすぎたな。帰る」
直斗「は、はい・・・」
ラハール「・・・」
>-11/2(水) 昼休み
:::【屋上】:::
番長「菜々子が風邪引いたよ」
ラハール「何?お、おい、貴様、それがわかっていて菜々子を一人家に置いてきたのか?」
番長「ま、まあ学校あるし・・・それに、一人じゃないんだ。おじさんが仕事休んで看病してくれてる」
ラハール「フン・・・・・・あの仕事熱心な父親がか。なら良い」
番長「昨日は少し熱が上がってたけど、今朝はけっこう良くなってきてたし」
ラハール「・・・・・・そうか」
番長「・・・熱が出て弱気になってたのかな。春になったら、俺やラハールがいなくなること、凄く寂しがってたぞ」
ラハール「いなくなるわけではない。俺様は気が向いたらここに来てやるぞ。貴様もそうだろうが?」
番長「ああ・・・けど、やっぱり今みたいにいつでも会えるような状況とは、違うだろうから・・・」
ラハール「・・・まあな」
番長「だから、春まで一杯遊ぼうって約束しておいたぞ。ラハールの分も」
ラハール「き、貴様!勝手に約束するな!」
番長「ラハールならきっと、一緒に遊んでくれるって言っといたから、そうしてくれよ?」
ラハール「・・・全く・・・・・まあいい、気が向いたらな」
番長「ああ、気が向いたら、で良いさ」
>-ラハールと楽しく過ごした。
>-11/4(金) 放課後
:::【テレビの中の世界】:::
千枝「やっぱ無茶だよラハール君。いくらラハール君でも3対1なんて・・・」
ラハール「そっちには新入りも一人いるからな。無茶ではないはずだ」
千枝「け、けど・・・」
ラハール「・・・一人で複数のシャドウを相手にすることもあれば、全員で一体の強力なシャドウを仕留めなければならんこともある。これはそのための訓練だと思え」
完二「なるほどな・・・けど、やるからには手加減なしっスよ」
ラハール「そうでなければ意味がない。直斗も、良いな?」
直斗「は、はい!」
>-・・・・・・
ラハール「・・・よ、よし・・・思った以上に・・・今回の新入りも使えそうだ」
バタッ
完二「先輩!」
直斗「ラハール先輩!」
ラハール「大騒ぎするな馬鹿共・・・はぁ、はぁ・・・魔力が切れただけだ・・・」
千枝「だ、大丈夫?」
ラハール「寝ていれば回復する・・・俺様はここでしばらく寝るから、貴様等は先に帰れ・・・」
直斗「・・・」
完二「・・・マジで寝ちまった」
千枝「ど、どうする?」
完二「置いてく訳にもいかねえスよ。花村先輩んちまで、俺が背負って運んどきます」
直斗「あ、僕も行きます!」
千枝「私も行くよ。ノシちゃったの私だし・・・」
完二「ま、そ~スね」
千枝「ちょっとは否定しなよ」
完二「いやぁ、里中先輩の蹴りはマジ半端ねぇスから」
直斗「・・・そうですね」
千枝「も~・・・」
>-11/5(土) 夕方
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「ん・・・」
ラハール「(・・・陽介の部屋?何故・・・)」
ラハール「・・・これは?」
「ラハールへ。お袋達には体調悪いって言っとくから、今日は学校休め」
ラハール「チッ・・・」
ラハール「(丸一日以上寝ていたというわけか・・・)」
ラハール「(・・・思っていた以上に、魔力の無い世界でそれなりの力を使うのは面倒だな・・・)」
ラハール「(今までは力自体が大したこと無かったから何とかなってきたが、そろそろ誤魔化しも利かんというわけか・・・)」
ラハール「(こんな有様では、俺様が奴等に力を貸してやれるのも・・・)」
ラハール「(・・・そういえば昨日は雨だったが、マヨナカテレビを見損ねたな・・・まあ、奴等がいるから、そう心配することもないか・・・)」
>-夜
:::【ジュネス・倉庫】:::
陽介「もう、こんな力仕事して平気なのか?」
ラハール「魔力が尽きただけだからな。体自体は特に問題ない。むしろ動かしておいたほうがいい」
陽介「大丈夫ならいいけどよ」
クマ「カオに落書きしても起きないから心配したクマよ~?」
ラハール「やはりアレは貴様か!あとでボコボコにしてやるから覚悟しておけよ・・・!」
クマ「イヤァ~ン、心配でやっただけクマよ~!」
ラハール「アホか!何が心配でだ!」
ピピピッ ピピピッ
陽介「・・・里中からだ。こんな時間に・・・?」
ラハール「・・・」
陽介「・・・おう。どうした?」
陽介「・・・菜々子ちゃんが?」
陽介「・・・解った。すぐ行く」
ラハール「何かあったのか?」
陽介「菜々子ちゃんが犯人に浚われたかもしれないらしい。番長には連絡がつかないって・・・」
ラハール「・・・・・・は?」
クマ「・・・ナナチャンが?」
陽介「直斗も向かってるみたいだから、ラハールは今すぐ番長の家に行ってくれ。俺とクマは、里中達と合流する」
ラハール「・・・おい、菜々子がって・・・どういうことだ・・・」
陽介「ぼーっとしてる場合かよ!お前の足ならすぐ行けるだろ!今は急げよ!」
ラハール「くっ・・・!」
ドンッ
>-・・・・・・
:::【堂島家・外】:::
ラハール「直斗!」
直斗「・・・先輩・・・」
ラハール「菜々子と番長は!?」
直斗「番長先輩は警察に拘束されているようです。菜々子ちゃんは・・・」
ラハール「・・・っ!」
直斗「待ってください!どこへ行くんですか!?」
ラハール「菜々子を探しに行くに決まってるだろうが!」
直斗「今は僕の話を聞いてください!」
ラハール「そんな場合じゃ!」
直斗「僕が少しでも冷静でいられることが、皆さんの力になれる・・・今がその時です。闇雲に走り回るよりも、少しでも犯人の目星をつけておいたほうが良いはずです」
ラハール「・・・・・・・・・わかった。話せ」
直斗「はい、まず番長先輩ですが、本日新たに犯人からこのような文面の手紙が送りつけられていたようです」
コンドコソ
ヤメナイトダイジナ
ヒトガイレラレテ
コロサレルヨ
ラハール「・・・イレラレテ・・・か」
直斗「・・・そして、それを見られた堂島さんに、警察署に連行されて、今もまだ拘束されています。連続誘拐殺人の、重要参考人として」
ラハール「・・・・・そういうことか・・・!」
直斗「そのため、菜々子ちゃんはこの家に一人で留守番をしていました」
ラハール「・・・続けろ」
直斗「はい、次にこの家の状況ですが、僕が来た時には既に玄関の扉は開け放たれており、中には誰もいませんでした。しかし、玄関の鍵をこじ開けられたような痕跡は一切ありません」
ラハール「何?」
直斗「・・・僕よりは菜々子ちゃんに詳しい方として、ラハール先輩に伺います。菜々子ちゃんは、一人で留守番をしている時に、知らない人が来ても家の鍵を開けるような子でしょうか?」
ラハール「ありえんな。奴はそんなに無知ではない」
直斗「わかりました。では、つまり、犯人は菜々子ちゃんの顔見知り、もしくは菜々子ちゃんが警戒せずに鍵を開けてしまう立場の人物ですね」
ラハール「・・・なるほど」
直斗「少し話の軸を変えて、今までの被害者、特に僕たちの中の四人の話をさせていただきます」
ラハール「・・・ああ」
直斗「僕を含める四人がさらわれたのは、いずれも夕方、まだ陽の明るい時間帯だと思われます。だというのに、怪しい目撃情報の一つも出ていません」
ラハール「・・・」
直斗「よって、犯人は少なくとも、人の家を訪ねても全く怪しまれずに、かつ人一人を隠しておけるような車の持ち主・・・つまりは、運送業者です」
ラハール「・・・届け物なら、菜々子も怪しまずに家の鍵を開けてしまった・・・そういうことか?」
直斗「はい、おそらく」
ラハール「・・・悪くない推理だ。よし、俺様は今すぐそれらしい車をしらみ潰しに探し回る。貴様は番長のところへ行って、どうにか奴を警察署から引っ張り出して来い!」
直斗「し、しかしラハール先輩、探し回ると言っても・・・どうするんですか?」
ラハール「走るしかなかろう!心配するな、俺様はもう冷静だ。だが番長・・・いくら奴でも、菜々子の危機に平静を保てるとは思えん。他の奴等も、番長が取り乱していてはどうなるかわからん・・・貴様は冷静でいろ。いいな!?」
直斗「はい・・・!」
ドンッ
直斗「は、はや・・・よし、僕も・・・!」
>-・・・・・・
:::【稲葉中央通り】:::
ラハール「(あれは間違いなく菜々子の父親・・・つまり、あのパトカーが追っているトラックが・・・!)」
ラハール「絶対に逃がさんぞ・・・!」
ドドドドドド・・・
堂島「菜々子・・・!」
生田目「あ、悪魔だ・・・悪魔がおいかけてくる・・・!」
ラハール「(足が千切れても構わん・・・!もっと速く・・・!)」
生田目「このままじゃ・・・」
キキィ~~~ッ!!
ラハール「・・・いかん!」
>-・・・・・・
ラハール「う・・・・・・!」
陽介「ラハール!ラハーーール!」
雪子「ラハール君!」
ラハール「貴様等・・・」
直斗「ラハール先輩!」
ラハール「直斗・・・貴様はあの車を調べろ・・・あの中に・・・菜々子が・・・」
直斗「・・・・・・はい・・・!」
足立「ちょ、ちょっと。事故現場はしっかりと保存とかしないと。勝手にものを動かされちゃ困るよ!」
直斗「僕が今からそれをします」
ラハール「・・・はっ・・・はっ・・・」
ラハール「(・・・そうか。犯人のトラックが横転して・・・それに突っ込む菜々子の父親を、助けてやろうと思って・・・この体を・・・緩衝材にしたのだったな)」
陽介「お、おい・・・今立ったりしたら・・・!」
ラハール「・・・菜々子の・・・父親は・・・?」
陽介「・・・堂島さんは・・・」
堂島「・・・・・・」
ラハール「・・・・・・・・・おい・・・」
堂島「げほっげほっ・・・」
ラハール「・・・生きてはいるようだな・・・よし・・・」
陽介「おい、無茶するな」
ラハール「・・・俺様を通せ・・・」
ラハール「(受けたダメージが自然治癒しはじめてからでは、回復魔法は大した効果を持たん・・・今しかない・・・!)」
完二「先輩、肩貸します」
ラハール「・・・ああ」
堂島「菜々子・・・菜々子・・・!」
ラハール「はぁああ・・・!」
ヒール
ラハール「(これで精一杯とは・・・情け無い・・・!)」
クマ「ラ、ラハール・・・自分だって怪我してるクマよ・・・!?」
ラハール「黙れ・・・俺様はどうでも・・・っあ!・・・ぐ・・・!」
陽介「・・・アバラが折れてる。内臓だってどうなってるか解ったもんじゃない。今すぐ救急車が来るから、お前も、堂島さんと一緒に病院に行け」
ラハール「人間の医者に、見せられる体ではない・・・!」
陽介「っ・・・しゃあねえ、完二、かわってくれ。俺がそいつに肩を貸す」
完二「ウス」
ラハール「・・・どうだ、直斗」
直斗「・・・荷台にも運転席にも、誰もいませんでした。ただ、荷台にはテレビが一台置かれていました。おそらく、犯行に用いられたテレビでしょう」
番長「離してくれ里中!」
千枝「駄目!」
クマ「センセイ!こんなトコロから入ったら、どんな危険なトコロに出るかわからないクマよ!」
番長「俺一人でも行く!」
千枝「あたし達を馬鹿にしないで!番長君が行くなら、あたし達だって、どこにでもついて行く!けどね・・・」
りせ「先輩・・・もし私達に何かあったら、誰が菜々子ちゃんを助けに行くの・・・!?」
千枝「・・・りせちゃんの言う通りよ」
番長「・・・!」
陽介「この後ジュネスに忍び込んで、いつもの家電コーナーのテレビから入ろう。鍵なら俺が何とかする。だから、今はまず落ち着いてくれ。お前がそんなんじゃ、俺達はまとまらないぞ」
番長「陽介・・・・・・ああ、すまない・・・皆・・・」
直斗「・・・この日記帳、生田目が書いたものでしょうね」
番長「直斗・・・」
直斗「運転席に置いてありました。読みます。『僕は、新世界の存在を知った。ならば、人を救わねばならない』」
完二「あぁ?救う?どういうこったそりゃ」
直斗「・・・・・・これは、被害者達の現住所です。山野真由美、小西早紀、天城雪子、巽完二、久慈川りせ、僕の名前も・・・未遂で助かった方たちの名前も記されている。そして、諸岡先生の住所は書かれていない・・・」
足立「・・・凄い!そりゃ、決まりだよ!」
番長「・・・」
直斗「・・・最後のページの内容、『こんなに小さな子が映ってしまうなんて・・・この子だけは、絶対に救ってあげなくては・・・』」
ラハール「(それが、それが菜々子だというのか・・・!)」
完二「番長先輩!堂島さんが!」
ラハール「・・・」
番長「おじさん!」
堂島「番長・・・菜々子は、菜々子は俺の生き甲斐だ・・・!」
ラハール「・・・」
堂島「お前になら、出来るんだろ・・・!?頼む、頼む・・・!菜々子を助けてやってくれ・・・!」
堂島「・・・・・・必ず、助けます!」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
雪子「アマテラス!」
クマ「ペルクマー!」
>-カッ
>-ディアラハン
ラハール「む・・・・・!」
番長「ラハール!」
ラハール「(・・・とりあえず、このままかけ続けて貰えば体はどうにかなるか。だが、魔力は・・・)」
雪子「ま、まだ動かないで」
クマ「ふぉおおお!」
ラハール「・・・番長、エトナを呼べ」
番長「エトナさんを・・・?」
ラハール「急げ。菜々子が待っている」
番長「・・・わかった」
>-・・・・・・
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「・・・はぁ?アンタ・・・アンタねえ、何やってんのよ!?アンタがいながら・・・!」
ガッ
番長「・・・っ」
マリー「エ、エトナ・・・」
エトナ「・・・アタシも行く」
番長「エトナさん・・・」
マーガレット「待ちなさいエトナ」
エトナ「・・・何?何か用?アタシこれから忙しいんだけど・・・!」
マーガレット「貴女はこのベルベットルームの住人。お客人に直接力をお貸しすることは禁じられているわ」
エトナ「うっさい!殿下がやられて、大事な子が危ない目に遭わされて、こっちはキレてんのよ!邪魔しようってんなら、アンタをぶっとばしてでも行くから・・・!」
マーガレット「・・・聞きなさい。貴女は元々、期間限定の仮初の住人。その期間が多少短くなる程度のこと、私は構わないわ。貴女は根源からして、私の妹とは違うから・・・」
エトナ「・・・」
マーガレット「けれど、本当に行くのであれば、貴女はもちろん、おそらくは貴女のお客人も、もう二度とこのベルベットルームに足を運ぶことが出来なくなるわ。それを良く考えてから行くのね」
エトナ「そっか・・・・・・わかった」
マリー「・・・エトナ、行くの?」
エトナ「うん、ごめんねマリーちゃん・・・けど、また会えるでしょ。こっからは、番長に連れ出して貰いなさい」
マリー「・・・うん・・・・・・」
エトナ「(今、殿下に渡してる呪文は・・・だから、私は・・・よし、これで良いわね)」
番長「もう、良いんですか?」
エトナ「急がなきゃなんないでしょ。行くわよ」
番長「はい」
エトナ「・・・・・・マーガレット、あんがとね。アタシ、別にアンタのこと嫌いじゃなかったわよ?迷宮の世界では、ちょっと世話んなったし」
マーガレット「そうかしら。私は、うるさい貴女がいなくなると思うと清々するわよ?」
エトナ「・・・いつかぶっとばす。じゃあね」
>-・・・・・・
マーガレット「・・・さて、主になんて言い訳しようかしらね?」
マリー「・・・知らないよ。鼻にはマーガレットが説明しなよ」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
エトナ「・・・殿下・・・魔力が・・・」
ラハール「・・・・・・ああ・・・」
エトナ「それで私をって訳ですか・・・ったく情けない【陛下】を持つと、家来はしんどいな~」
ラハール「なっ・・・お、おい・・・今・・・」
エトナ「何ですか?【殿下】。まいいや、ちょっと動かないで下さい」
ラハール「お、おい・・・!」
シュウウ・・・
ラハール「・・・」
エトナ「・・・アタシの魔力、半分送りました」
ラハール「・・・ああ」
エトナ「・・・アタシも、行きます」
ラハール「そうか・・・・・・なら、この剣を使え」
エトナ「これは・・・?」
ラハール「俺様が使っている剣だ。貴様は出来れば槍が良いのだろうが、今は持ち合わせが無い。我慢しろ」
エトナ「・・・はい。けど、殿下は?」
ラハール「素手で構わん。今回ばかりは、犯人を直接ぶん殴らなければ怒りが収まりそうに無い・・・!」
エトナ「・・・わかりました。番長、こっちは準備良いわよ」
ラハール「ああ・・・だが、二人分の戦力を当てにされると困るぞ。二人あわせて、精々一人分というところだろうな」
番長「・・・そうか。皆」
陽介「ああ」
クマ「行くクマ!」
千枝「うん」
雪子「急ごう」
完二「ウス」
りせ「場所は突き止めたよ」
直斗「・・・・・・はい」
番長「菜々子を助けるぞ!」
>-次回予告
>-BGM:HEAVEN
エトナ「・・・まさか、あんたが死ぬとはね・・・」
エトナ「・・・プリニーになったら、精々コキ使ったげるから、覚悟しなよ?」
エトナ「・・・・・・菜々子ちゃん、今行くからね」
エトナ「次回、【P4G×ディスガイアD2】。最終話、【天上楽土】」
エトナ「・・・どうして、こんなことになっちゃったのかなぁ・・・!」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>478 殿下はそもそもペルソナ使えないので、Qの世界でも自力で切り抜けるんじゃないでしょうか
>>479 高笑いこそ殿下みたいなイメージありますけど、意外と披露されてる機会って少ないんですよね。
乙
乙ッス
予告の重々しい雰囲気はマジで最終回か……
>>1に余裕があればP4UとP4U2も書いて欲しい
乙
予告がマジなのは最終話恒例だな
しかし殿下がマジで殴ったら犯人死んでしまう
祝復活。更新します。ちょっと長めです。
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第2天】:::
ラハール「(ここにきてからの妙な高揚感と不安・・・これは一体・・・なんだ・・・?)」
エトナ「なるほどね。こういう戦いをしてたワケですか」
ラハール「・・・油断するな。いつも通りなら、ボスは相当面倒だぞ」
エトナ「りょ~かい」
クマ「ペルクマ!」
完二「オラオラオラ!」
直斗「天城先輩!そちらに行きました!」
雪子「わかった!」
ラハール「(レベルは同程度でも、俺様もエトナも、やはりもうこいつらと同じように戦うことは出来ない・・・か・・・)」
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第3天】:::
ラハール「どうした?何故立ち止まっている」
番長「この扉の先に、強いシャドウの反応があるらしい。それで、そっちと合流してからと思って」
ラハール「・・・そうか」
>-・・・・・・
???『怖いなぁ。失うのは、怖い』
ラハール「!」
???『うざいな~~~・・・いい加減【陛下】には、はっきりして欲しいわよね』
エトナ「!」
ラハールのシャドウ『だって僕は弱いし、皆のことが大好きだから・・・そうだろう?僕』
エトナのシャドウ『そうでしょ?アタシ』
クマ「ラハールとエトナチャンのシャドウ!?」
番長「そんな・・・」
陽介「け、けど、なんかラハールのシャドウ、明らかに幼くねえか?それに、僕って・・・?」
ラハール「母上が死んだ頃の・・・あの頃のままの俺様か。とっくにあんな弱さは捨てたと思っていたのだがな・・・」
ラハールのシャドウ『家来の皆も、フロンちゃんもエトナちゃんもシシリーも、人間のお友達も、後輩達も、みんなみ~んなだ~いすき。だから怖いんだ。僕が弱いせいで、誰かがいなくなっちゃうのが・・・』
陽介「・・・ラハール・・・」
ラハール「チッ・・・・・・陽介、番長、天城・・・いや、貴様等全員、先に行ってろ。貴様等の力の気配を辿れば、俺様とエトナだけでも貴様等に追いつく」
番長「けどラハール!」
ラハール「一分一秒が惜しい。菜々子は犯人と一緒にいるのだぞ!」
番長「それは・・・」
ラハール「・・・こいつらの相手は、俺様達がする。いや、俺様達がするべきだろう・・・」
番長「・・・・・・わかった。先に行くよ」
りせ「番長先輩!?」
番長「俺達がいないほうが、素直に受け入れられるものもあるだろ。きっと」
陽介「・・・・・・そうだな・・・わかった」
りせ「・・・」
ラハール「ぐだぐだ言ってないでさっさと行け!」
陽介「・・・わかってるよ。けど、すぐ追いついて来いよ?待ったりしねーかんな!」
千枝「花村、良いの?」
陽介「おう。あいつらなら絶対・・・!」
ラハール「・・・」
雪子「ラハール君・・・」
ラハール「天城、俺様チームの指揮はこれから貴様が執れ。良いな」
雪子「・・・・・・・・・絶対、はやく追いついてきてね。約束して」
ラハール「・・・いいだろう。わかったらさっさと行け」
雪子「うん」
完二「先輩・・・」
直斗「ラハール先輩・・・」
クマ「ラハール・・・エトナチャン・・・」
ラハール「貴様等も、急げ。必ず菜々子を助けろ」
完二「俺等だけじゃ無理かもしんねえッス!」
ラハール「・・・完二・・・」
完二「だから、さっさと先輩等も来て下さいよ!?」
ラハール「フン・・・余計な心配をするな。もう行け」
完二「ウッス!」
直斗「・・・」
完二「オラ!行くぞ!」
直斗「し、しかし・・・」
完二「クマ公も急げ!先輩を困らせんな!」
クマ「ケ、ケド・・・」
完二「良いから行くぞ!」
クマ「アァ、チョット完二!」
ラハール「・・・すまんな、完二・・・」
ラハールのシャドウ『うぅ・・・うぅ・・・』
ラハール「泣くな、みっともない」
ラハールのシャドウ『だって怖いんだもん。僕は魔王だけど、結局魔界にいなかったらちゃんと力が使えるわけじゃないんだ・・・!僕は皆が大好きだから、皆のことを守りたい。なのに・・・!』
ラハール「全く・・・貴様も俺様なら、もっとしゃきっとしろ!」
ラハールのシャドウ『え・・・今・・・?』
ラハール「・・・そうだな。俺様には、大事に想ってやっても構わん奴等がいる。守ってやっても構わんと・・・想える奴等がいる。だというのに、今の俺様は弱い・・・そんなこと、考えたくもないと思っていたが、最早そんなことを言っている場合ではない・・・特に今はな」
ラハールのシャドウ『・・・』
ラハール「俺様が弱いせいで、また大事なものを失うようなことは・・・絶対に嫌だ・・・!」
ラハールのシャドウ『・・・』
ラハール「・・・俺様には力がいる。悪魔としてのものだけではなく・・・貴様も俺様なら、わかるな?」
ラハールのシャドウ『・・・うん』
>-・・・・・・
ラハール「さて、厄介なのは・・・やはり貴様のほうか」
エトナ「・・・殿下・・・アタシは・・・」
エトナのシャドウ『もう嫌!【陛下】!、アタシと一緒に死んで下さい!』
ラハール「随分と歪んだシャドウになったものだ。こうなると何がどこまで本音だか、わかったものではないな・・・」
エトナ「あんなのアタシじゃない・・・!」
ラハール「・・・・・・話は後だ。俺様は少し、貴様のシャドウを黙らせてくる。【いいモノ】も手に入ったしな」
>-カッ
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第10天】:::
菜々子「お兄ちゃん!」
番長「菜々子を離せ!」
生田目「く、来るなあっ!」
直斗「先輩!犯人を刺激しないで・・・!」
番長「くっ・・・」
直斗「あなたが、生田目太郎さんですね?」
生田目「・・・僕を知っているのか?」
直斗「あなたは、誘拐した人をテレビに入れていた犯人・・・間違いありませんか?」
生田目「テレビに・・・そうだ!テレビに入れたんだ!」
直斗「(・・・どうにか、生田目をなだめて菜々子ちゃんを引き離さなければ・・・!)」
直斗「あなたの目的は何ですか?日記を拝見しましたが、救済するということが目的なのですか?」
生田目「・・・雨の日のテレビに映るのは、僕に助けて欲しいって合図なんだ・・・!だから僕はテレビに映った人を救済しなきゃいけない・・・!」
直斗「(・・・どうすれば良い?明らかに錯乱して、正気を失いかけている・・・!)」
りせ「救済ってなによ!」
生田目「お前等・・・そうだ、お前等、俺が救った奴等だ!」
雪子「・・・!」
生田目「お前等、俺がテレビにいれてやらなかったらどうなってた!?」
りせ「どうなってたって・・・・・・自分と、向き合えないままだったってこと・・・?」
雪子「そんな・・・私達はテレビの中に入れられてせいで殺されるところだったのに・・・!」
生田目「・・・僕は救済しなきゃいけないんだ・・・!」ブツブツ・・・
完二「んだこいつ・・・殺すことが、こいつの言う救済だってのかよ・・・!」
生田目「この子は絶対に僕が救うんだ・・・!」
ぐぐ・・・
菜々子「あうっ・・・」
番長「菜々子!」
生田目「救うんだぁぁあああああ!!」
>-カッ
番長「くっ・・・イザナギ!」
>-カッ
バッ
番長「菜々子!菜々子!!」
菜々子「お兄・・・ちゃん・・・」
クマ「こ、これは・・・シャドウがコイツに惹かれて集まってきてるクマ!」
生田目「あ、あ、あ・・・!」
>-カッ
陽介「くっ・・・!」
番長「・・・りせ、菜々子を抱いて、離れていてくれ」
りせ「はい!」
菜々子「・・・」
クニノサギリ『そのこを・・・わたせ・・・!』
完二「もう容赦しねえぞ!てめえ!来い、ロクテンマオウ!!」
>-カッ
陽介「行くぜスサノオ!」
>-カッ
クニノサギリ『きゅうさい・・・するんだ・・・!』
>-マハラギダイン
番長「火がくるぞ!天城!里中をかばってくれ!」
雪子「はい!」
ゴオッ
千枝「ご、ごめん雪子」
雪子「平気、もう私に・・・火は効かないから」
>-・・・・・・
陽介「さすがにタフな相手だぜ」
番長「きっと、あと一息だ・・・!」
クニノサギリ『じゃま・・・するな・・・!』
>-クアドコンバージ
>-場の雰囲気が変わった・・・
りせ「これは・・・皆、防御して!」
番長「何・・・!?」
クニノサギリ『・・・!』
>-マハジオダイン
番長「くっ・・・!」
りせ「今この周辺は、電撃の威力が高まってるみたい」
番長「・・・わかった。完二、俺達で撃つぞ!他の皆は回復や補助を中心に頼む。特に直斗はマカラカーンを出来るだけ張ってくれ!」
完二「ウス!」
直斗「了解です!」
>-・・・・・・
千枝「ま、まだ倒れないの・・・?」
雪子「はあ・・・はあ・・・・・・まだ来てくれないの?ラハール君・・・エトナさん・・・!」
クニノサギリ『じゃま、じゃまするな!じゃまするな!』
>-あやつる
番長「!?」
クマ「センセ~!」
番長「・・・そんな・・・体が・・・!」
>-ペルソナチェンジ:スカディ
>-ブフダイン
雪子「えっ・・・?」
>-Weak
雪子「・・・ぁっ・・・」どさっ
千枝「雪子!」
陽介「番長!何を!?」
番長「天城!そんな・・・皆、俺から・・・俺から離れてくれ・・・!」
りせ「番長先輩があやつられてる!や、やばいよ!」
直斗「そ、そんな・・・!」
番長「・・・!」
>-ペルソナチェンジ:スルト
番長「やめろ・・・スルト・・・!」
クマ「あのペルソナは、センセイのペルソナで一番の・・・!」
陽介「こんな・・・マジかよ・・・」
千枝「嘘・・・番長君・・・」
番長「やめろおおおおおお!!」
>-ラグナロク
タタタッ
ラハール「ペルソナ」
>-カッ
ラハール「・・・・・・やめろはこっちの台詞だ」
エトナ「雪子ちゃん、ちょっと待っててね~」
>-カッ
>-ディアラハン
雪子「・・・あ・・・」
エトナ「これでよし、と」
雪子「遅いよ・・・ラハール君・・・エトナさん・・・!」
エトナ「ごめん、アタシのせいで遅れた・・・泣かないで、雪子ちゃん。もう大丈夫だから」
ラハール「・・・陽介、何が起きている?説明しろ」
陽介「あ、ああ・・・あのデカイのが敵だ。番長はあいつに操られてるらしい」
ラハール「全く・・・・・・まあいい、菜々子は取り戻せたようだからな。久慈川、もう少し離れていろ」
りせ「は、はい!」
ラハール「(・・・全員疲れきっているようだが、もう一働きしてもらうしかないか)」
ラハール「陽介、番長のかわりに、貴様がこいつらを率いてあのデカブツの相手をしろ。エトナ、手を貸してやれ」
陽介「お、おう!」
エトナ「了解」
ラハール「・・・さて」
番長「ラハール・・・俺から離れてくれ・・・!」
ラハール「ふざけるな。今の俺様が貴様なんぞに負けるとでも思ってるのか?しかし、貴様へのリベンジがこんな形とはな・・・いや、気に食わんな。今回は勝ち星に数えないでおいてやろう」
番長「・・・っ!」
>-ペルソナチェンジ:スカディ
>-ブフダイン
ラハール「スルト!!」
>-カッ
>-アギダイン
番長「・・・!?」
>-ペルソナチェンジ:ジャターユ
>-ガルダイン
ラハール「ツィツィミトル!!」
>-カッ
>-マハジオダイン
番長「・・・ラハール・・・それは・・・」
>-ペルソナチェンジ:スルト
>-ラグナロク
ラハール「フン・・・ロキ!!」
>-カッ
>-ニブルヘイム
ドンッッ!!!
りせ「ご、互角・・・?っていうかラハール先輩のアレって・・・!」
ラハール「互角だと思うか?生憎、俺様は魔王様でもあるのだ!」
獄炎ナックル
ドッ!
番長「ぐふっ・・・!」
ラハール「(・・・見えた!こいつを操っている力の塊・・・これをぶち壊せば)」
>-カッ
番長「あ、体が・・・動く・・・!」
ラハール「良し。さて、奴等だけでは荷が重いようだからな・・・俺様達も行くぞ」
番長「・・・ああ!」
>-・・・・・・
クニノサギリ『うぐ、じゃま、じゃまするな・・・おまえか・・・おまえのせいで・・・!』
ラハール「!」
>-あやつる
ラハール「・・・・・・」
直斗「ラハール先輩!!」
ラハール「フフ・・・ハーッハッハッハ!教えておいてやる!超魔王を操ることは出来ない!」
クニノサギリ『おまえは・・・なんなんだ・・・!?』
ラハール「だから言ってるだろ。俺様は!」
番長「魔王ラハール様だ」
ラハール「・・・おい、先に言うな」
番長「あ、ごめん」
ラハール「まあいい、とどめだ」
番長「ああ」
>-カッ
>-・・・・・・
番長「菜々子・・・気を失ってるのか?」
クマ「・・・きっと、ナナチャンにはこの世界にいること自体がよくないクマ・・・」
番長「なっ・・・い、急いで出よう!」
陽介「だな」
ラハール「・・・」
エトナ「殿下、コイツどうします?コイツが菜々子ちゃんさらってったんでしょ?今ここで、アタシが殺りましょうか?」
ラハール「よせ、それは奴等が望まん。ソイツも連れて行くぞ。警察に引き渡す」
エトナ「・・・了解」
完二「しゃあねえ。俺が運びます」
ラハール「ああ、頼むぞ」
>-・・・・・・
:::【病院】:::
番長「・・・」
ラハール「・・・」
番長「熱は下がってたけど、菜々子の風邪は治りきってたわけじゃないかったんだ。最近寒かったし・・・」
陽介「そっか・・・菜々子ちゃん・・・」
番長「なのに俺は・・・」
りせ「・・・先輩・・・」
クマ「ナナチャンはまだ小さいから、ちゃんと自分のシャドウを出すことが出来なかったクマ。それでアッチの世界にいることに耐えられなくて・・・」
雪子「・・・そっか・・・」
エトナ「・・・」
直斗「僕のせいだ!」
ラハール「直斗・・・?」
直斗「一刻も早く菜々子ちゃんをこっちの世界に連れ戻すべきだったのに、どうにか犯人をなだめようと、長々話をしようとしたりして・・・!」
ラハール「・・・」
直斗「強引にでも、すぐに取り戻すべきだったんです・・・!元々常識が通じなくなってるような奴相手に、話なんかしてる場合じゃなかった・・・!」
完二「・・・」
直斗「僕のせいで、菜々子ちゃんは・・・!」
千枝「・・・直斗君のせいじゃないでしょ」
直斗「ですが・・・!」
完二「もうやめろや」
直斗「・・・・・・巽君・・・」
完二「過ぎたことを後悔してよ、自分を責めて俺等で傷舐めあって、それが何か菜々子ちゃんのためになんのかよ?」
直斗「・・・」
完二「もう、俺等に出来るのは菜々子ちゃんを信じて待つことだけだろが。てめえを責めてる暇があったら、ちっとでも菜々子ちゃんのために無事を祈るんだ」
直斗「・・・あ・・・」
完二「そうだろ?直斗・・・番長先輩もっスよ」
番長「・・・完二の言うとおりだな」
直斗「はい・・・・・・はい・・・!」
クマ「・・・・・・」
>-・・・・・・
エトナ「殿下、菜々子ちゃんに、アタシ達の力で何か出来ないんですか?」
ラハール「・・・・・・菜々子の体は極端に衰弱していた。あれは単純に回復魔法でどうにかなるレベルではない」
エトナ「けど・・・」
ラハール「・・・俺様が貴様に貰った魔力はもう尽きたが、貴様自身にはまだ残っている魔力があるな?」
エトナ「はい」
ラハール「それを直接菜々子に注いで体力を取り戻させるという方法は考えられなくもないが・・・普通の人間の体、それも菜々子のような幼い体に強引な魔力の使い方をしたら一体どうなるのか・・・下手をすれば逆に命に関わるかもしれん。危険すぎる」
エトナ「・・・」
ラハール「・・・・・・だがまあ、何か出来るとすれば、完二が言っていたように・・・祈ることだろう。そんなことに意味があるのかは知らんがな」
エトナ「・・・はい・・・」
ラハール「大体、菜々子の奴は生きている。それに、奴があれほどまでに衰弱した原因である世界からは連れ出したのだ。これからは快復していくはずだ」
エトナ「・・・・・・ですよね」
>-11/21(月) 昼休み
:::【屋上】:::
番長「今朝連絡があって、菜々子の面会が出来るようになったって」
陽介「マジか!」
千枝「やったじゃん!」
りせ「じゃあ、早速放課後菜々子ちゃんのとこ行こうよ!」
スタスタ
陽介「お、おいラハール、どこ行くんだよ?」
ラハール「は?・・・菜々子のところに決まってるだろう」
陽介「今すぐにか!?」
番長「授業さぼったら、菜々子に怒られるぞ?」
ラハール「む・・・・・・それもそうか。奴は意外と口うるさいからな」
番長「菜々子の悪口はやめてくれ」
ラハール「だから貴様何だその殺気のこもった笑顔は・・・べ、別に悪く言ったわけではない!」
直斗「菜々子ちゃんは快復に向かっているんですね・・・本当に・・・良かった・・・!」
完二「・・・直斗・・・」
直斗「あ・・・そういえば、生田目の意識が戻って、事件についての供述をはじめているようです。一応、罪を認めてはいるようで」
雪子「そうなんだ・・・」
直斗「警察側は随分と混乱しているようですが、本人が罪を認めている以上、まともに動かざるをえないでしょう」
雪子「じゃあ・・・ほんとに終わったんだね」
直斗「・・・そうですね。一応僕個人としてはまだ気になっているので、ことの裏付けは色々と取っている段階ですが・・・」
陽介「ぬかりねーな。直斗は」
直斗「か、からかわないで下さい!大体、本当にぬかりなかったら、菜々子ちゃんを危険な目に遭わせずに済んでいたはずですから・・・」
陽介「直斗・・・」
完二「そりゃ言わねぇ約束だろ。菜々子ちゃんは元気になりはじめてんだ。あとは少しでも早く全快してもらおうぜ」
直斗「・・・はい」
りせ「・・・なんか最近、完二のクセにかっこつけすぎなんじゃないの?」
完二「んだそりゃ。俺のクセにってどういうことだテメエ」
番長「完二、そういうことだ」
完二「ちょ、先輩」
ラハール「完二、悪いがそういうことだ」
完二「ラハール先輩まで!?」
千枝「なんかそれなつかしいね」
雪子「ね」
>-皆と楽しく過ごした。
>-放課後
:::【菜々子の病室】:::
エトナ「あ、お兄ちゃん来たわよ~菜々子ちゃん」
番長「・・・菜々子」
菜々子「お兄ちゃん・・・」
>-・・・!?
>-・・・なんだ?
>-・・・俺は、この光景を、知ってる・・・?
エトナ「・・・どしたの?」
番長「あ、いえ、何でも・・・」
堂島「すまんな番長」
番長「おじさん」
堂島「まだちゃんと話が出来るほど体力が戻ってはいないらしいんだ」
菜々子「菜々子は、大丈夫、だよ、お兄ちゃん」
番長「・・・無理して喋らなくて良い。元気になったら、約束通りいっぱい遊ぼうな」
菜々子「うん・・・」
番長「ラハールも来てくれたぞ。ラハールも一緒に遊んでくれるから」
菜々子「・・・ラハールさん・・・ほんと?」
ラハール「ああ。本当だ」
菜々子「・・・良かった・・・・・・」
堂島「寝ちまったか・・・まあ、まだまだ休ませてやらんといかんだろうな」
番長「・・・はい」
看護士「堂島さん!また部屋を抜け出して・・・菜々子ちゃんが心配なのはわかりますけど、あなたもまだまだ絶対安静なんですからね!」
堂島「ああ、いや、すまん・・・」
足立「すいません!すぐ僕が病室戻しますから・・・」
堂島「あ、こら、何しやがる足立!」
>-・・・・・・
:::【病院・待合室】:::
足立「生田目のことについて、色々新しい事実が出てきてるみたいでね~」
番長「新しい事実?」
直斗「それは一体・・・」
足立「・・・ホントは言っちゃいけないんだけど、まあ君達なら良いか」
ラハール「・・・」
足立「例の日記に、殺された山野アナや小西さんのことが書かれてて・・・どうも生田目、小西さんにも言い寄ってたらしいよ」
千枝「え?」
足立「それで相手にされてなくて、殺しの動機もそのへんなんじゃないかって言われてるんだけどね」
陽介「そ、そんな理由で・・・先輩を・・・!」
足立「あ・・・っと・・・はは、僕はもう仕事に戻るね。堂島さんも寝かせてきたし」
ラハール「・・・・・・陽介」
千枝「・・・花村」
陽介「・・・・・・わり、心配すんな。もう犯人は、捕まえたんだしな・・・」
>-・・・・・・
:::【稲羽中央商店街】:::
千枝「あれ?そういえば、エトナさんって今どこで暮らしてるの?確かベルベットルームってとこからは、出てきたんだよね?」
エトナ「ん?ああ、コイツんち」
りせ「せっ、先輩の家!?」
番長「うん。おじさんも菜々子も入院中だし、部屋は空いてるから」
エトナ「せめて菜々子ちゃんが元気になるまでは人間界にいたいしね~。野宿はさすがにヤだし」
りせ「そ、それはそうでしょうけど、いくらなんでも先輩の家って・・・先輩!私も先輩の家に住みたいです!」
番長「?・・・りせには住む家があるだろ?」
りせ「そうですけど・・・」
雪子「あの・・・元気になるまではって、菜々子ちゃんが元気になったら、エトナさんは魔界に帰っちゃうんですか?」
エトナ「まあ、住むとこなくなっちゃうしね。今だって、番長んちにおいて貰ってんのは菜々子ちゃんのお父さんには伝えてないから、勝手にって感じだし」
雪子「・・・でも、それじゃ菜々子ちゃん、寂しがるんじゃ・・・せめて、ラハール君がいる春までは一緒に・・・」
エトナ「・・・・・・ま、しょーがないっしょ?アタシはあの部屋飛び出て菜々子ちゃん助けに行ったこと、別に後悔してないしね」
雪子「・・・エトナさん・・・」
主婦A「聞いた?谷口さんちの息子さん、この霧のせいで気分悪くなって倒れたらしいの」
主婦B「本当?やっぱり引っ越したほうが良いのかしら・・・」
マジキチ「逃げろ!この霧は毒ガスだ!死ぬぞ~~~!」
りせ「何アレ?ヤバくない?」
直斗「・・・今のは極端ですが、この霧について、人体への悪影響を心配している方は多いみたいですね」
エトナ「そういや最近、霧凄い濃いですね?」
ラハール「そうだな。まるで、あっちの世界のようだ」
完二「・・・あっちの世界・・・?」
カチャ
完二「・・・マジかよ」
陽介「どうした?完二」
完二「眼鏡っスよ。かけてみて下さい」
千枝「眼鏡って・・・あっちの世界で使ってる?」
ラハール「・・・?」カチャ
エトナ「ああ、クマに貰ったアレか」カチャ
ラハール「これは・・・」
エトナ「霧が晴れて見える。凄いんですねこの眼鏡」
ラハール「ああ・・・ってアホか!この眼鏡は、テレビの中の世界での霧が晴れて見える眼鏡だぞ!つまりこれは・・・どういうことだ?」
エトナ「どういうことと言われても・・・さあ?」
千枝「・・・なんだか、あっちの世界の霧が、こっちに漏れてるみたい」
直斗「そ、それって・・・!」
千枝「え、やだ。今の、テキトー言ってみただけよ?」
『真実は常に、霧に隠されている』
ラハール「(・・・確か、クマのシャドウがそう言っていたな。いや、正確には、クマのシャドウを装っていた正体不明の奴が・・・か)」
直斗「しかし・・・」
ラハール「もしそうだとしたら、体に悪影響があったという話も・・・あながちデタラメではないのかもしれんな」
エトナ「どういうことです?」
ラハール「・・・考えてもみろ。菜々子はアッチの世界に行っただけであれほど体を弱らせたのだ。その影響力が、こちらの世界にまで響いてくれば・・・」
エトナ「なるほど」
番長「クマに聞いてみよう」
>-・・・・・・
:::【愛屋】:::
クマ「確かに最近の霧は、アッチの世界の霧によく似てるけど・・・似てるってこと以外はクマにはなんもわからんクマ」
番長「そうか・・・」
クマ「・・・ねえ皆・・・クマはまだ、ここにいても良いクマか?」
ラハール「は?」
完二「急に何言ってんだ?」
クマ「アッチの世界をオカシクしてる犯人を見つけるっていう約束を・・・皆果たしてくれたクマ・・・だから、クマがここにいて良い理由はもう無くなっちゃったクマ」
ラハール「・・・」
クマ「ケド、せめてクマ、ナナチャンが元気になるまではここにいたいクマ・・・」
ラハール「・・・アホか貴様」
陽介「そうだな」
クマ「ラハール・・・ヨースケ・・・」
ラハール「俺様が今ジュネスでやっている仕事は、俺様がいるうちに全て貴様に引き継ぐのだ。春からは貴様にやらせるからな。勝手にテレビの中に帰られては、陽介が困るぞ」
陽介「ま、俺がっつーより、店的にちょっとしんどいだろうな。つーわけで、お前がたとえ嫌がったとしても、しばらくはウチにいてもらう」
クマ「・・・ヨースケ・・・ほんとに・・・ほんとにクマは・・・いても良いクマ?」
陽介「だからそう言ってんだろ」
クマ「ヨースケー・・・」
番長「クマ、陽介にいじめられたら、ウチにおいで」
クマ「セ、センセー!!」ぶわっ
陽介「いやいじめねーよ」
りせ「先輩!私も先輩の家に住みます!」
番長「?・・・りせには住む家があるだろ?」
りせ「だ、だからそういうんじゃなくて・・・」
エトナ「いて良い理由・・・ねぇ・・・」
雪子「・・・」
>-・・・・・・ラハールを誘って、エトナさんを含む三人で夕食をとることにした。
:::【堂島家】:::
エトナ「なんか最近、フロンちゃんが何も言ってこなくなったんですよね」
ラハール「・・・何?」
エトナ「たま~に雑音みたいなのは聞こえてくるんですけどね。ま、事件は終わったから、もうたいしてアタシ達の監視をしてないのかもしれないです」
ラハール「・・・・・・そうか」
エトナ「番長~、コーヒー飲みたい」
番長「わかりました」
ラハール「お、おいエトナ貴様、いつもそんな調子で番長をこき使っているのか?」
エトナ「え?そりゃ、そうですけど?」
ラハール「全く・・・番長、嫌なら嫌と言っても構わんのだぞ?貴様は別にエトナの家来ではないのだ」
番長「いいよ、これぐらい。エトナさんがベルベットルームにいられなくなったのは、菜々子を助ける加勢に来てくれたからだし」
ラハール「・・・貴様がそう言うなら別にいいが・・・」
ピピピッ ピピピッ
番長「・・・はい」
ラハール「・・・」
番長「・・・え?」
ラハール「どうした?」
番長「な、菜々子の容態が・・・急変したって・・・」
ラハール「は?」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
番長「菜々子・・・!」
ラハール「・・・・・・・・・」
エトナ「何よこれ・・・!」
番長「・・・」
エトナ「・・・フロンちゃん!見てんでしょ!?聞いてんでしょ!?何とかしなさいよ!アンタ今、大天使でしょ!?何とか言いなさいよ!!」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「このまま菜々子ちゃんに何かあったりしたら・・・アンタ、絶交よ!?わかってんの!!?」
ラハール「・・・落ち着け、エトナ・・・」
エトナ「・・・なんで・・・・・・なんでそんなこと言うんですか?落ち着けなんて・・・殿下はなんで、そんなに落ち着いてんですか!?」
ラハール「貴様には・・・本当に、そう見えるのか?」
エトナ「・・・?」
ラハール「今の俺様が・・・落ち着いているように・・・見えるのか・・・!?」
エトナ「・・・っ」
ガチャ
医師「・・・堂島菜々子さんのご家族の方ですね?」
番長「は、はい・・・!」
医師「こちらへ・・・菜々子ちゃんに会ってあげてください」
番長「・・・わかりました・・・!」
ガチャ
エトナ「嘘でしょ・・・何でよ・・・」
>-・・・・・・
完二「先輩!」
陽介「ラハール!菜々子ちゃんは!?」
りせ「嘘だよね・・・菜々子ちゃんは、元気になるんだよね・・・?」
直斗「・・・」
千枝「ね、ねえ・・・菜々子ちゃんは・・・!?」
ラハール「・・・今、集中治療室の中に番長が呼ばれていった・・・」
雪子「そんな・・・・・・それって・・・」
クマ「ナナチャン・・・?」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::
番長「菜々子!」
菜々子「・・・」
>-・・・喋らない・・・菜々子・・・
>-・・・喋らないんじゃない・・・喋れないんだ・・!
>-・・・この光景も、見たことがある。
>-・・・思い出した。全てを・・・
>-今更・・・!
>-どうして今更・・・!?
>-【前回】と同じなら、菜々子は、このまま・・・!
>-俺はまた、菜々子を助けることが出来ないのか・・・!?
>-・・・嫌だ・・・嫌だ!
菜々子「お兄・・・ちゃん・・・」
番長「菜々子!ここだ!俺はここにいる!」
菜々子「お兄ちゃん・・・」
番長「しっかりしろ!菜々子!」
菜々子「怖・・・い・・・よ・・・」
番長「菜々子!菜々子!!」
菜々子「お兄ちゃん・・・お父・・・さん・・・」
ピー・・・・・・
番長「菜々子ぉぉおおお!!」
>-そんな・・・!
>-俺はまた・・・俺はまた菜々子を、失うのか・・・!?
>-一体、一体なんのために・・・俺は・・・!
堂島「菜々子・・・嘘だろ・・・菜々子・・・!」
番長「っ・・・!」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
りせ「嫌、こんなの嫌・・・!」
雪子「菜々子ちゃん・・・!」
直斗「・・・!」
完二「・・・ちくしょう!」ガッ
陽介「何でだよ・・・おかしいだろこんなの・・・!」
千枝「うっ・・・!」
クマ「・・・」
ラハール「・・・」
エトナ「・・・殿下・・・どこ行くんですか?」
ラハール「・・・」
エトナ「ま、まさか殿下・・・!」
ラハール「・・・・・・落ち着け。今回はフロンの時とは違う・・・」
エトナ「・・・はい・・・」
ラハール「そもそも、菜々子の命には、俺様の命では不足だろう・・・おそらくは菜々子の父親か、番長でなければ・・・」
エトナ「・・・伝えるんですか?番長にそれを・・・」
ラハール「・・・」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::
ラハール「番長・・・」
番長「・・・ラハール・・・俺は・・・!」
ラハール「・・・・・・今だからこそ、貴様に伝えなければならないことがある」
>-・・・・・・ラハールの話を聞いた。
番長「ありがとうラハール。教えてくれて」
ラハール「・・・では、貴様は・・・」
番長「決まってる。菜々子を助けてくれ」
ラハール「・・・・・・菜々子は、それを望まないかもしれんぞ」
番長「・・・そうだな。けど、俺がそうしたいから・・・」
ラハール「・・・・・・そうか」
番長「俺も・・・やっぱり自分勝手なんだろうな」
ラハール「・・・・・・ああ・・・」
ラハール「(同じだな・・・俺様も・・・貴様も・・・)」
>-"ラハール"コミュのランクが"8"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
陽介「ど、堂島さん・・・?」
堂島「はぁ・・・はぁ・・・!」
陽介「あ、あんなに急いで・・・一体・・・?」
足立「・・・ん?堂島さん・・・?」
エトナ「・・・」
足立「皆どしたの?菜々子ちゃんは?」
陽介「・・・菜々子ちゃんは・・・」
足立「そ、そんな、嘘だろ・・・!?ってことは堂島さん、ま、まさか・・・!」
直斗「まさかって、何ですか・・・!?」
足立「生田目の病室に・・・?」
直斗「それ、一体どういうことですか!?」
足立「ちょ、ちょっと、そんな乱暴に・・・」
完二「あの野郎がこの病院にいやがんのかよ!?」
陽介「被害者と加害者を同じ病院に置くって、どういう神経してんだ!?」
足立「僕にそう言われても・・・大きい病院だし、そもそもまだ動かせる状態じゃないし・・・!」
千枝「堂島さん・・・今ここで生田目のところに行くって・・・生田目を、どうにかするつもり・・・!?」
雪子「どうにかって・・・」
りせ「そんな・・・!」
エトナ「ねえ、どこよ?犯人がいるところ」
足立「そ、そんな、さすがに君たちにも言える訳ないよ。これは極秘事項中の極秘事項なんだ・・・!」
エトナ「うっさい。今すぐ死にたくなきゃ教えな」
足立「・・・はあ。とにかく、僕が今君達に構ってる暇はないんだ。僕は今すぐ堂島さんを止めに行かなきゃいけない。けど急ぐから、誰かが着いて来てても気付かないかもね」
陽介「足立さん・・・」
足立「・・・僕は行くよ」
陽介「すいません・・・!」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
陽介「ど、堂島さん・・・?」
堂島「はぁ・・・はぁ・・・!」
陽介「あ、あんなに急いで・・・一体・・・?」
足立「・・・ん?堂島さん・・・?」
エトナ「・・・」
足立「皆どしたの?菜々子ちゃんは?」
陽介「・・・菜々子ちゃんは・・・」
足立「そ、そんな、嘘だろ・・・!?ってことは堂島さん、ま、まさか・・・!」
直斗「まさかって、何ですか・・・!?」
足立「生田目の病室に・・・?」
直斗「それ、一体どういうことですか!?」
足立「ちょ、ちょっと、そんな乱暴に・・・」
完二「あの野郎がこの病院にいやがんのかよ!?」
陽介「被害者と加害者を同じ病院に置くって、どういう神経してんだ!?」
足立「僕にそう言われても・・・大きい病院だし、そもそもまだ動かせる状態じゃないし・・・!」
千枝「堂島さん・・・今ここで生田目のところに行くって・・・生田目を、どうにかするつもり・・・!?」
雪子「どうにかって・・・」
りせ「そんな・・・!」
エトナ「ねえ、どこよ?犯人がいるところ」
足立「そ、そんな、さすがに君たちにも言える訳ないよ。これは極秘事項中の極秘事項なんだ・・・!」
エトナ「うっさい。今すぐ死にたくなきゃ教えな」
足立「・・・はあ。とにかく、僕が今君達に構ってる暇はないんだ。僕は今すぐ堂島さんを止めに行かなきゃいけない。けど急ぐから、誰かが着いて来てても気付かないかもね」
陽介「足立さん・・・」
足立「・・・僕は行くよ」
陽介「すいません・・・!」
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室前】:::
堂島「菜々子を、菜々子を返せ!」
警察官A「堂島さん、落ち着いてください!」
警察官B「駄目ですよ堂島さん!」
堂島「お前が、お前が菜々子を・・・殺してやる・・・殺してやる!!」
警察官A「堂島さん!」
堂島「ぐぅ・・・っ!」
足立「うわ・・・やっぱり!堂島さんだってまだまだ安静にしてなきゃいけないのに・・・」
堂島「は、離せ足立・・・!俺は・・・あいつを・・・!」
足立「・・・・・・すいません、堂島さん」
堂島「足立・・・!」
足立「・・・堂島さんを病室まで運びます。すいませんけど、手伝ってもらえませんか?お医者さんも呼ばなきゃ・・・」
警察官A「は、はい!」
警察官B「もちろんです」
足立「・・・・・・」
陽介「足立さん・・・」
足立「・・・僕は堂島さんの病室に付き添ってくるよ」
エトナ「・・・ここか・・・生田目・・・!」
足立「僕だってね・・・僕だって、殺してやりたいぐらいだよ・・・!」
陽介「・・・」
ガタンッ!
直斗「今のは・・・!」
陽介「生田目の病室からだ!」
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室】:::
直斗「生田目太郎・・・!・・・窓を開け放って・・・どういうつもりですか・・・!」
完二「てめえ・・・菜々子ちゃん殺しといて・・・てめえだけどこに逃げるつもりだコラァッ!!」
生田目「こ、怖かったんだ・・・だから・・・!」
完二「菜々子ちゃんがてめえにどんだけ怖い目にあわされて!・・・どんだけ・・・っ!」
ガッ
生田目「ひっ・・・」
ダッ
ラハール「落ち着け完二!」
完二「ラハール先輩・・・」
ラハール「・・・貴様等がどこへ行ったのかと思えば、まさか犯人が同じ病院にいたとはな」
完二「・・・」
ラハール「そいつを放せ。貴様が掴みかかっていては、まともに話も出来ん」
完二「今更何を話そうっつーんスか!!」
ラハール「いいから放せ!」
完二「・・・・・・ウス」
生田目「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
陽介「おい生田目・・・お前だけ生きて、しかも逃げようってのか!?」
千枝「菜々子ちゃんは・・・あんたのせいで・・・!」
生田目「お、俺は、何も・・・ただ・・・」
>-0時
マヨナカテレビの生田目『救済は失敗だ。お前達が邪魔したせいでな』
りせ「こ、これって・・・マヨナカテレビ!?」
陽介「もう一人の生田目・・・?あのシャドウは倒したのに、なんで・・・?」
直斗「・・・思えばあの時、生田目が自分と向き合うことはなかった。ペルソナになれなかったシャドウ・・・ということでしょうか?」
マヨナカテレビの生田目『救済は失敗したが、あれは俺のせいじゃない』
エトナ「・・・あんたのせいじゃないですって・・・!?」
ラハール「(・・・・・・失敗・・・・・・?)」
マヨナカテレビの生田目『それに、どうせ法律は俺を殺せない』
番長「・・・」
>-・・・【前回】と一緒だ。
>-・・・そして、【前回】・・・俺達は・・・
生田目「な、なにを・・・」
千枝「あれが、生田目の本心?じゃあやっぱり、わかってて殺そうとしてきたんだ・・・!」
陽介「・・・法律?それがどうしたよ。俺はもう、お前を許す気はねえぞ」
生田目「ち、ちがう・・・やめてくれ・・・」
完二「やめろだ?まだ何もしてねえだろ・・・まだな」
りせ「か、完二ちょっと・・・」
マヨナカテレビの生田目『好きにすれば良いさ。あの子が死んで俺を恨んでるんだろう?俺はどっちだっていいんだ、生きるも死ぬも大差ない。でもお前等は違うよな・・・クク・・・』
ラハール「・・・」
マヨナカテレビの生田目『ク、クク・・・俺は救済を続けるぞ・・・それが俺の使命だからな!』
プチンッ
雪子「・・・消えた・・・使命って、使命って何よ・・・!」
生田目「や、やめてくれ・・・!」
陽介「・・・やめてくれ?」
完二「やめるわけねえだろ!」
りせ「ちょ、ちょっと完二、何を・・・!」
完二「こいつがこのまま野放しなんて、そんなの許されるわけねえだろ!」
雪子「だからって・・・どうする気?」
陽介「・・・俺は完二と同感だ。このまま、ただここを出て行くなんて、俺には出来ねえ・・・!」
千枝「き、気持ちはわかるけど・・・でも花村・・・」
直斗「・・・・・・・・・病室にこんな大きいテレビが置いてあるとは、思いませんでした」
千枝「な、直斗君・・・?」
直斗「・・・こんな物が置いてあっては、いつ生田目が逃げ出しても仕方ありませんね。最も、一度入ったら、自力で出る方法などありませんが・・・それに、テレビの中の世界だなんて話、僕達以外の誰も信じようとはしないでしょうね・・・」
千枝「な・・・何言ってるの・・・直斗君・・・!」
りせ「そんな、まさかそれって・・・本気なの・・・?」
完二「じゃあテメエはこのまま帰れるのかよ・・・!」
りせ「それは・・・だけど・・・・・・」
エトナ「まどろっこしいわよアンタ等。突き落とすんでしょ?アタシがやったげる」
ラハール「やめろ」
エトナ「・・・何ですか?その手、放してもらえませんか?邪魔なんですけど」
ラハール「もしこれからここで何かがあったとしても、それは俺様達悪魔がするべきことではない。とはいえ・・・こいつらが何かをするというのであれば、俺様達にそれをやめさせる権利は無いがな・・・」
エトナ「・・・放してください」
ラハール「駄目だ。貴様は何もするな」
エトナ「・・・やですよ」
ラハール「エトナ、命令だ」
エトナ「・・・・・・・・・わかりました・・・!」
雪子「ラハール君・・・エトナさん・・・」
千枝「・・・駄目だよ。許せるとか許せないとか、そういう問題じゃない!やっていいことと悪いことがあるでしょ!」
陽介「里中!!」
千枝「・・・」
陽介「聞いてくれ。皆も」
生田目「やめてくれ・・・やめてくれ・・・!」
陽介「・・・やるなら今しかない。こんな機会、もう二度と巡ってこない・・・このままじゃこいつは野放しになる!そしてまた、救済とかいって人を殺し始める」
千枝「・・・それは・・・」
陽介「そしたらまた、菜々子ちゃんや先輩みたいに、無実の人が死んでいくんだぞ!俺は・・・俺はそのことを見過ごせない!」
千枝「花村・・・それは・・・だけど・・・・・・」
陽介「大切な人を殺されて、それを償わせることも出来なくて、また同じことが繰り返されるのまで見過ごせっていうのかよ!」
千枝「・・・」
陽介「そんなの・・・俺には無理だ!」
ガッ
生田目「ひぃっ・・・!」
ラハール「待て」
陽介「・・・なんだよ。お前さっき、お前達にやめさせる権利はないとか言ってただろ・・・!」
ラハール「・・・・・・俺様は、貴様等に手を貸してやっているだけだ。だから貴様がそいつを殺すのなら、確かにそれをやめさせる権利は俺様にはない・・・」
陽介「・・・だったら・・・」
ラハール「だが、だが陽介・・・教えてくれ・・・!」
番長「・・・」
>-ラハールが、泣いている・・・
陽介「・・・なんだよ」
ラハール「俺様はな・・・以前、貴様が言っていたことが嬉しかったのだぞ・・・!」
陽介「なんの・・・なんの話だよ・・・!」
番長「・・・」
>-陽介も、泣いている・・・
ラハール「お前達は、たとえバレないからと言って・・・人を、殺したりなどしないと・・・!俺達はそういうふうには、出来ていないと・・・貴様は言った・・・!たとえそれが、大事な人の復讐であっても・・・!」
陽介「・・・」
ラハール「俺様はその時、口ではそのことを面倒だと言って馬鹿にしたがな・・・本当は、本当は嬉しかったのだぞ・・・!人間にも、そういう考えが出来る奴等がいるということが・・・!」
陽介「ラハー・・・ル・・・!」
ラハール「確かに今、ここでそいつを殺せば、ことは簡単なのかもしれん・・・!・・・それに・・・確かに罪を償わせるのも、そいつを改心させるのも難しいのかもしれんっ・・・!・・・だが・・・!」
陽介「・・・・・・!」
ラハール「俺様は・・・お前達に・・・人殺しなど、させたくない・・・!・・・お前達に、あの頃の気持ちを・・・忘れて・・・欲しくないのだ・・・!」
エトナ「殿下・・・」
ラハール「お前達に・・・犯人と同じ事を・・・して欲しくないのだ・・・!」
陽介「馬鹿・・・野郎・・・!」
ラハール「教えてくれ陽介・・・この気持ちは、俺様のこの気持ちは・・・俺様の、ただのわがままなのか?・・・・・・頼む・・・教えてくれ・・・!」
陽介「・・・馬鹿野郎・・・!・・・お前に・・・お前にそんなこと、言われたら・・・俺は・・・!」
ラハール「陽介・・・!」
陽介「出来ねえよ・・・もう、俺には、出来ねえ・・・!」
完二「・・・クソッ・・・!」
直斗「・・・っっ!」
>-完二も、直斗も、泣いている・・・
>-里中も、天城も、りせも、泣いている・・・
>-・・・そっぽをむいているけど、きっとエトナさんも・・・
>-・・・ありがとうラハール。
>-・・・お前がいれば、皆はきっと大丈夫だ。
番長「・・・皆、外に出よう。ここにいたら、冷静に話が出来ない」
陽介「相棒、お前凄ぇよ・・・なんでそんなに、落ち着いてんだよ・・・!」
番長「・・・・・・」
生田目「やめてくれ・・・やめてくれ・・・」
>-・・・生田目は錯乱している。
>-・・・今はとても、まともに会話が出来る状態じゃない・・・
>-皆と病室を後にした。
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::
クマ「ナナチャン・・・ごめんね・・・ナナチャン・・・さようなら・・・!」
>-・・・・・・
:::【病院・待合室】:::
番長「俺達は多分、まだ生田目のことを誤解している。冷静な頭で状況を見返した時に、気になる点がいくつかあったんだ」
陽介「誤解?今更あんな奴の何を・・・!」
番長「時間がないんだ。今は聞いてくれ陽介」
陽介「じ、時間・・・?」
ラハール「・・・確かに、俺様達は奴のことを憎い犯人としてしか見てこなかった。冷静に今の状況を考えようとしていたことは、なかったかもしれんな」
陽介「・・・・・・まあ・・・な」
直斗「・・・僕もです。菜々子ちゃんのことを想うあまり、冷静ではいられない日々が続き・・・いえ、今は僕の話は良いですね。それより番長先輩、気になる点というのは?」
番長「うん。まず、俺の家に届いた二通の手紙だ」
コレイジョウタスケルナ
コンドコソ
ヤメナイトダイジナ
ヒトガイレラレテ
コロサレルヨ
番長「これらはおそらく、生田目が俺に送りつけた物ではない」
千枝「・・・え?」
ラハール「・・・・・・そうか」
雪子「確かに・・・」
陽介「・・・コレイジョウタスケルナってのは、今思えばおかしいな。あいつは殺すことを救済だって言ってたんだ。だとしたら俺達がやってるのは【助けることの邪魔】、コレイジョウジャマスルナとかのほうが、適切だ」
完二「イレラレテコロサレルってのも変スよね。てめえがやってんなら、イレテコロスだろ」
番長「まず、俺達は、生田目は殺すことを救済だと言っているっていう・・・思い違いをしているんじゃないか?」
陽介「・・・えぇ?」
りせ「どういうことですか?」
番長「あっちの世界で俺達が最初に生田目に追いついた時、生田目は天城達を見てこう言ってたんだ。『俺が救った奴等だ』って」
雪子「・・・殺すことが救済なら、私達は救済されてないのに・・・そういうこと?」
番長「ああ」
直斗「・・・先輩は、犯人は生田目だけではない。そう思っているんですね?」
番長「そうだ。少なくとも、俺に手紙を送りつけた何者かが、生田目とは別にいると思ってる」
ラハール「・・・なるほど」
番長「この違和感から目を背けたまま、生田目だけが犯人だって、あいつは殺すことを救済だなんて言ってる殺人鬼だって・・・そう決め付けて、あいつを殺してしまうのは、簡単かもしれない。でも、それじゃ俺達は駄目なんだ。俺達は・・・犯人を追う、真実を追う、人間だから」
陽介「・・・番長」
番長「陽介達が思いとどまってくれて・・・ラハールがいてくれて良かった。本当は、俺だって・・・!」
ラハール「・・・」
りせ「先輩・・・」
陽介「そうだよな。お前が一番・・・だって、例え犯人が他にいたんだとしても・・・少なくとも菜々子ちゃんはあいつに・・・!」
番長「菜々子は死なせない」
陽介「・・・え?」
番長「ラハールが救ってくれるんだ」
エトナ「・・・」
陽介「ま、まじか!?」
りせ「本当!?ラハール先輩!」
ラハール「失われた菜々子の命を呼び戻し、それなりに健康な状態に戻してやることは・・・可能だ」
直斗「そんなことが・・・!」
陽介「・・・あれ?けど・・・そんなことが出来るなら・・・なんでさっさと・・・」
ラハール「・・・相応の・・・代償がいる・・・」
陽介「代償?」
ラハール「命というのは、とてつもなく強大な"力"そのものだ。仮に俺様に魔王としての全ての力が戻っていたとしても・・・命ほどの力に干渉しようと思ったら、適切な代償が必要だ」
雪子「適切な・・・・・・代償・・・?」
番長「俺の、命らしい」
完二「・・・あぁ?」
陽介「な、なんでそんな・・・!」
りせ「先輩・・・嘘でしょ・・・!?」
番長「ラハールがさっき、教えてくれたんだ。俺の命を使えば、菜々子の命をこの世に呼び戻せるって」
陽介「ラハールお前・・・どうしてそんな・・・そんなこと教えたら、こいつは・・・こいつはそうしてくれって言うに決まってるじゃねえか!」
ラハール「俺様が、今そいつに与えてやることが出来る選択肢を・・・与えないということは・・・そいつに対する裏切りだ。そんな気がした・・・」
陽介「けどお前・・・!」
番長「皆にはすまないと思ってる。まだまだ謎を残したまま、俺はいなくなることになる。後のことは、陽介とラハールに頼む」
陽介「ふ、ふざけんな!そんな勝手な・・・大体お前!」
番長「菜々子には、俺よりもずっと長い未来があるはずだ。俺の命一つで菜々子が死なずに済むなら・・・俺は迷わない」
りせ「先輩!・・・嫌、やだよ先輩・・・!」
陽介「・・・わかった。ラハール、俺の命を使ってくれ」
千枝「花村!?一体何を・・・」
陽介「・・・未来があるって話をするなら、番長は俺よりずっと頭が良くてさ、健康で、分別あって、大人で・・・俺よりずっと良い未来があるはずだ。なら、番長が生きてたほうが良いさ」
千枝「そんな・・・良い未来があるとか、どっちが生きてたほうがいいとか・・・そういうんじゃないでしょ命って!番長君も!」
完二「待って下さいよ」
直斗「た、巽君・・・まさか・・・」
完二「・・・俺はアンタ等に命を救われたんだ。命の恩人が死のうって時に、俺が生きてようってのはムシが良過ぎんだろ。ラハール先輩、やんなら俺の命を使ってください。番長先輩のためなら仕方ねえ。俺は命ぐらい張るぜ」
ラハール「陽介も、完二も、駄目だ・・・」
陽介「ま、待てよ!俺は本気だぜ!こう言えば番長がやめるんじゃねえかって、確かにそういう気持ちもあるけどな・・・番長のためなら俺は」
完二「俺だって!」
ラハール「・・・そういう問題ではない・・・命を呼び戻そうと思ったら、お互いをこれ以上ない程大切に想いあっている間柄にある者の命が、代償でなければならない。菜々子の場合は、番長か・・・あとは精々、奴の父親ぐらいだろうな」
陽介「そんな・・・」
完二「・・・・・・」
番長「おじさんと菜々子が、一緒に生きていけるなら・・・俺はそれでいい」
エトナ「・・・殿下、番長、そろそろ・・・」
番長「菜々子が一度死んでから一時間以内・・・だったな。あと二十分ってとこか」
千枝「番長君・・・本気なの・・・!?」
番長「最後に、皆にお別れを言わせてくれ」
陽介「・・・」
番長「陽介」
陽介「・・・な、なんて言や・・・いいのかな・・・もう、本気なんだよな?」
番長「ああ、だから、最後にお別れを・・・」
陽介「・・・・・・・・・わかった。そ、そうだな、もし死んじまったって、きっと天国に行けばフロンさんが融通効かしてくれんだろ!そうしたら、ほら、幽霊でもいいからさ、俺達に会いに来いよ!」
番長「それは・・・」
ラハール「・・・気休めを言っても、番長のためにはならんから事実を言うが、番長は自ら命を絶つ罪人として死ぬことになる。まともに天界に行くのはまず無理だ。フロンの奴も、今は天界にはプリニーが溢れかえっていると言っていたからな・・・天界でプリニーをやるのも無理だろう・・・」
陽介「ざ、罪人って・・・」
ラハール「・・・せいぜいプリニーとして魔界で働かされるか・・・その場合はまだ良いが、今はプリニーの数が多くなりすぎて生産が追いつかんという話も聞く・・・プリニーになることも出来なかった場合は、おそらくは転生すらさせられることなく、魂が消滅する・・・」
陽介「そんな・・・」
番長「そのことはさっきも教えて貰ったし、俺は納得済みだ」
陽介「・・・そうか・・・・・・なんでこんな話してんのに、お前笑ってんだよ・・・!」
番長「皆が最後に見る俺の顔を、泣き顔や暗い顔に、したくないから・・・」
陽介「番長・・・!」」
番長「陽介、今までありがとう」
陽介「そんなん・・・こっちの、こっちの台詞だよ馬鹿・・・!」
番長「里中」
千枝「番長君・・・駄目だよ・・・!」
番長「・・・今まで、ありがとう」
千枝「・・・・・・!」
番長「天城」
雪子「番長君・・・」
番長「天城も陽介も里中もいるし、ラハールがついててくれる。後のことは心配してないけど・・・くれぐれも、後輩達を頼む」
雪子「・・・うん・・・わかった・・・!」
番長「ごめんな、最後に頼みごとなんて」
雪子「い、いいよ・・・そんなの・・・!」
番長「完二」
完二「ウス」
番長「・・・・・・しっかりやれよ」
完二「先輩・・・番長先輩・・・!」
番長「泣いたら駄目だぞ。菜々子がそう言ってた」
完二「ウ、ウス・・・!」
番長「りせ」
りせ「嫌・・・駄目・・・先輩・・・!」
番長「・・・りせ、最後なんだ」
りせ「最後なんかじゃない・・・!そんなの、無理・・・!」
番長「りせ」
りせ「・・・・・・」
番長「・・・」
りせ「・・・最後なら、そんなの絶対嫌だけど・・・本当に、最後なら・・・!」
番長「ああ」
りせ「・・・私の気持ち・・・先輩に伝えます・・・先輩、私、先輩のことが大好き・・・!」
番長「・・・・・・そうだったのか?」
りせ「き、気付いてなかったの?」
番長「・・・・・・ごめん」
りせ「もー・・・!・・・バカ・・・バカ・・・!」
番長「・・・ごめん」
りせ「先輩、最後に、キス・・・してください・・・!」
番長「・・・・・・わかった」
>-・・・・・・。
りせ「・・・先輩・・・!」
番長「・・・・・・りせ、りせの気持ちは嬉しい。けど、俺はもういなくなるから、りせの気持ちにはこたえられない」
りせ「・・・・・・はい・・・!」
番長「直斗」
直斗「・・・短い、間でしたが・・・お世話になりました・・・!本当に・・・本当に・・・!」
番長「これからも、頑張ってくれ。事件のこと、任せたぞ」
直斗「はいっ・・・必ず・・・!」
番長「エトナさん」
エトナ「・・・まさか、アンタが死ぬとはね・・・」
番長「すいません・・・」
エトナ「・・・プリニーになったら、精々コキ使ったげるから、覚悟しなよ?」
番長「はい」
ラハール「・・・」
番長「ラハール」
ラハール「貴様が今、やろうとしていることは・・・かつて俺様がやりかけたことと、良く似ている・・・だから、貴様がやることを否定するつもりは一切無い」
番長「・・・」
ラハール「死んでも達者でやれ。貴様になら出来るはずだ」
番長「・・・わかった」
ラハール「・・・」
>-"ラハール"コミュのランクが"9"に上がった!
>-"世界"のペルソナを生み出す力が増幅された!
番長「出来ればクマにもお別れを言いたいんだけど・・・さっきからどこ行ったんだろう・・・?」
陽介「そ、そういやあいつ・・・俺達が生田目の病室に行く時ついてきてなかったな・・・つーことは、菜々子ちゃんがいる・・・治療室じゃねえか?」
番長「そうか・・・行こう」
ラハール「・・・ああ」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
医師「ああ、探しましたよ番長さん!」
番長「・・・?」
医師「菜々子さんが息を吹き返したんです」
番長「・・・え・・・?」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::
ピッ ピッ ピッ
医師「心肺停止からの生還は、ごく稀にですが、ありえない事ではありません」
番長「・・・菜々子・・・」
医師「とはいえ、原因不明の症例ですから、今後どこまで回復するかの見通しは立てられませんが・・・菜々子さんは今、必死に生きようとしています」
番長「菜々子・・・!」
医師「我々も、全力を尽くします」
番長「お願い・・・します・・・!」
陽介「・・・やったぜ・・・やったぜ菜々子ちゃん・・・!」
雪子「うっ・・・ぐすっ」
千枝「良かった・・・ほんとに・・・」
完二「はは、すげえぜ・・・こんな・・・!」
りせ「良かった・・・菜々子ちゃんも・・・先輩も・・・!」
直斗「・・・・・・・・・!」
エトナ「やるじゃん菜々子ちゃん・・・心配させるんだから・・・まったくもう・・・!」
ラハール「・・・・・・」
番長「前回は・・・そのままだったのに・・・菜々子・・・良かった、菜々子・・・!」
ラハール「・・・・・・前回?」
番長「・・・・・・ラハールには、いや、皆には話さないとな。もう話している時間はないと思っていたから・・・言えなかったけど」
ラハール「・・・」
番長「前回のことと・・・今回のことを」
>-・・・続く。
>-次回予告
>-BGM:Pursuing My True Self
りせ「こんばんは~~!りせちーだよっ!」
番長「どうも、オシャレな番長です」
りせ「次回からは、りせちーと番長先輩のラブストーリーをお送りします!」
番長「え?」
りせ「んもーとぼけちゃってー!皆の前でキスまでしちゃったんだから、もう付き合うしかないですよね!」
番長「え、いや、あれは・・・」
りせ「というわけで、次回、【八十稲羽ラブストーリー】!第一話、【現れた恋敵、その名はマリーちゃん!?】」
番長「あの、りせ、あれは・・・」
りせ「お楽しみに~~!」
ラハール「・・・・・・好き勝手やっとるが、ほっといていいのか?」
エトナ「まあ今回ぐらいはね。大目に見てあげる」
ラハール「・・・・・・というか貴様、前回の予告で最終話がどうとか言ってなかったか?」
エトナ「ええ、最終話でしたよ?今回は第一部、魔王ラハール編の最終話でしたから。次回からは第二部、ペルソナ使い・もう一人のワイルド編が始まります」
ラハール「・・・・・・・・・」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。金曜の夜ぐらいに更新しようかと思っていたのですが、鯖増強と復活が無事に済んで良かったですね。
>>507
>>508 これにて第一部完です。次回からはこのまま第二部がスタートします。BADENDを臭わせるために予告を利用してみました。
>>507 Uシリーズやったことないんですよね。やはり格闘ゲームということでどうしてもハードルが高い気がして・・・
>>508 殿下はエトナを丸腰にさせたくなかったため、照れ隠しであんなことを言ったわけですね。わかりにくかったでしょうか。
本当に最終回かと思ったのに続いてよかったー!
P4Gの流れ知らないからマジでさみしくてしょげてた
乙です
乙
怒濤の山場ラッシュ!!
ここまで頑張った>>1だからこそ書ける展開に感動した
おつ
クマー
気まずそう
乙
最終回詐欺はディスガイアではよくあること
乙です。
殿下のペルソナかわいかったです。
続き頑張ってください。
>>548
ストーリー追うだけなら難度下げてA連でええんやで
>>548
A連打どころかオートにすればコンピューターが勝手に戦ってくれるぞ!
ついでにDLCでP4U2でも前作のストーリーを遊べるぞ
更新します。
>-12/4(日) 朝
:::【堂島家】:::
陽介「・・・・・・駄目だ。こないだ買ってやった携帯にも昨日から通じねえし、うちにも帰ってなかった」
ラハール「・・・」
番長「・・・」
完二「こんな時にどこ行ったんだよあのバカ・・・」
番長「・・・皆にはすまないけど、まずはクマを探さないか?これから話すことは、出来れば全員に聞いて貰いたいことなんだ」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
りせ「・・・・・・駄目。どこにもクマを感じない」
ラハール「・・・俺様もだ。奴の力の気配を全く感じん。とはいえ、俺様より貴様のほうが探知できる範囲が広いだろう・・・当たり前か」
りせ「こっちの世界にもいないなんて・・・クマ・・・」
ラハール「・・・・・・今他の奴等が稲羽市中を走り回っている。それで見つかることを願うんだな」
りせ「・・・はい」
ラハール「(エトナの奴が見つけられなければ、少なくとも稲羽市にはいないだろうな・・・あの阿呆め、面倒をかけさせおって・・・)」
りせ「・・・」
ラハール「・・・・・・おい久慈川」
りせ「は、はい!」
ラハール「・・・貴様の暗さは、クマがいないことへの不安だけか?」
りせ「・・・?」
ラハール「・・・そうじゃないような気がしただけだ。違うなら別にいい」
りせ「ラハール先輩・・・」
ラハール「・・・」
りせ「私・・・番長先輩に・・・」
ラハール「何だ?はっきり言え」
りせ「う、うん。さっきの話。私、番長先輩との最後のお別れだと思って・・・先輩に告白して、キスしてもらったじゃないですか?」
ラハール「・・・」
りせ「あれってきっと、先輩は私に同情してしてくれたんです。そう思うと、物凄く気まずくて・・・」
ラハール「まあ・・・確かに、奴にそういう甘さがあるというところは否定出来んな」
りせ「・・・ですよね~・・・」
ラハール「・・・だが奴はおそらく・・・・・・いや、これは俺様の口から言うことではないな」
りせ「え?」
ラハール「とにかく、気まずかろうとなんだろうと、貴様は貴様らしくしてろ」
りせ「・・・」
ラハール「それが貴様のためであり・・・番長の奴のためにもなるはずだ」
りせ「ラハール先輩・・・」
ラハール「クマの失踪、事件の真相・・・おそらくまだ何も、終わってはいない。そんな時に、いつまでも気まずいままでいられては面倒だ」
りせ「・・・はい」
ラハール「フン・・・」
りせ「やっぱりラハール先輩って、本当は優しいんですね」
ラハール「ふっ、ふざけるな!優しいわけあるか!って近寄るな貴様!!」
りせ「え~~?いい加減慣れて下さいよ~~?」
ラハール「慣れるか!!離れろ!!」
>-・・・・・・
番長「俺は、高校二年生・・・今年を、二回経験しているんだ」
ラハール「・・・は?」
番長「そして、前回俺は・・・」
陽介「ちょ、ちょい待ち。二回って、どういうこと?」
番長「言葉通りの意味だ。四月にここに転校してきて、皆と出会って、ペルソナを使ってシャドウと戦って・・・事件の解決を目指す。俺はこの一年間を二回体験しているんだ」
エトナ「・・・」
番長「前回の一年間の、十二月三日」
りせ「・・・昨日、ですか?」
番長「ああ。菜々子が息を引き取り、俺は怒りに任せて生田目をテレビの中に放り込んだ」
ラハール「・・・!」
番長「俺宛に送りつけられてきた手紙や、生田目の言動、態度・・・そういう違和感から目を背けて、菜々子を殺されたっていう恨みを・・・ぶつけたんだ」
千枝「そんな・・・」
番長「雨が上がると同時に、生田目の逆さ吊り死体があがった」
完二「・・・!」
番長「生田目を殺した犯人の証拠は何も見つからず・・・連続殺人の犯人である生田目が逃げ出し、自殺したのだろうということで、全ては終わった」
ラハール「・・・」
番長「・・・そこからの数ヶ月は寂しいものだった。皆で集まっても、誰も事件の話はせず、気まずいばかりで・・・」
陽介「・・・」
番長「そして四月、俺は八十稲羽から帰るための電車に乗ったんだ。皆は見送りに来てくれたけど、足取りも口取りも重く、別れの言葉を二、三交わしただけだった」
陽介「・・・確かに、そうなるかもな」
番長「陽介・・・」
陽介「続けてくれ。最後まで聞くからよ」
番長「・・・ああ。帰りの電車に乗って、疲れて俺は居眠りをしたんだ。そしたら声を聞いた」
???『フッハッハッハッ!貴様が例の人間かぁああ!面倒なことを押し付けられてしまったが、まあいい、お人よしを一人ほどつけてやる!精々もう一度頑張って来い!』
???『ただし次が最後だ!あまり我輩の娘に無理をさせるわけにはいかんからなぁああ!』
番長「その声が聞こえた後、気がつけば俺は前回の一年間のことを全て忘れて・・・今回の、八十稲羽に向かう電車の中にいたんだ。それが、今年の四月」
ラハール「全て忘れて?では何故今の貴様は・・・」
番長「時々断片的に、俺は前回のことを思い出していたんだ。喋れない菜々子の姿、俺に助けを求める菜々子の姿・・・ほんの1~2秒ずつだけど、そういう映像が頭の中に浮かんできて戸惑うことがあった」
ラハール「・・・」
番長「全てを思いだしたのは昨日、菜々子が一度息を引き取る寸前のことだった。俺はまた菜々子を助けることが出来なかったと・・・後悔をしながら・・・全てを思い出した」
ラハール「・・・・・・なるほど」
番長「前回と今回の大きな違いは、まず、俺達が諦めなかったこと。違和感から目を逸らさず、生田目を殺さなかったことだ」
陽介「・・・!」
番長「次に、前回はラハールやエトナさん、マリーはいなかった」
エトナ「マリーちゃんも・・・?」
ラハール「・・・マリーのことはわからんが、おそらく前回を見ていたフロンが業を煮やし、ある世界の魔王達に力を借り、番長一人を中心に人間界そのものの時間を巻き戻したのだろうな」
エトナ「人間界そのものへの時間的な干渉なら、この事件に対して直接的に干渉したわけじゃないってことか・・・フロンちゃんにしちゃ良く考えたもんね」
ラハール「そうだな。とはいえ、知り合い魔王共の総力を結集したとしても、そう簡単なことではないはずだ」
エトナ「まあ・・・そりゃあそうでしょうね」
ラハール「おそらくはペタあたりに、余程の無理を強いているのだろう。しかし、そいつが言っていたお人よしというのは誰のことだ・・・?」
エトナ「そりゃ殿下に決まってるでしょ。送り込まれたのは殿下なんだから」
ラハール「ふ、ふざけるな!誰がお人よしだ!」
エトナ「いや別にアタシが言ったわけじゃ・・・」
ラハール「ぐ・・・奴め、次に会ったら破り捨ててやる・・・!」
エトナ「アイツもう自分の本来の姿取り戻したじゃないですか。またアイツとやりあうんですか?」
ラハール「む・・・そ、そうだな。では、大勢で取り囲んでズタボロにしてやろう」
エトナ「またそれですか」
ラハール「う、うるさい!・・・だ、大体、今はこんなこと話してる場合じゃないだろ!」
エトナ「いや先に話し始めたのは殿下なんですけど・・・」
ラハール「と、とにかく!番長、話を続けろ」
番長「ああ。そしてもう一つ、大きな違いがあるんだ。前回、菜々子は・・・菜々子はそのまま、かえらぬ人となった・・・!」
ラハール「・・・」
番長「今になって思えば、全てを忘れていながらも、菜々子と生田目のことで冷静を保てなかったのは・・・無意識下で、そのことを思い出そうとしていたからだろうな・・・!」
りせ「先輩・・・」
番長「きっと、ラハールがいてくれなかったら・・・ラハールが菜々子を救えるってことを教えてくれなかったら・・・俺は前回と同じ・・・前回と同じことをしていただろう・・・!」
ラハール「・・・」
番長「前回があるからこそ、今回も、誰よりも冷静でいらなかったのは、きっと俺だっただろうな・・・」
直斗「・・・今は、そんな仮定に意味はありませんよ」
陽介「直斗の言うとおりだぜ。それより、今回これから、俺達がどうするかだ」
番長「・・・い、今の話を・・・信じてくれるのか?」
千枝「あったりまえじゃん」
雪子「番長君の話を信じない人なんて、私達の中にはいないと思う」
完二「そうだぜ。花村先輩のホラ話ならともかくよ」
陽介「おい」
番長「皆・・・」
ラハール「俺様に言わせれば信じるどうこうではないぞ。それが確かなら辻褄があうというだけだ。最初から数多くのペルソナが登録されていた、貴様のペルソナ全書。貴様の財布の中にあった大金。林間学校で里中のカレーを食う直前の、貴様の嫌な予感」
千枝「ちょっ・・・アレはあたしだけじゃないでしょ。雪子も一緒に作ったでしょ?」
完二「素直に信じるって言や良いじゃねえスかラハール先輩」
ラハール「フン・・・」
りせ「あ、否定しない。ラハール先輩ちょっとは丸くなったのかな?」
ラハール「う、うるさい!」
番長「ラハール・・・」
エトナ「まあ、アタシはどうでもいいんだけど?殿下が付き合う気でいるみたいだから、仕方なく付き合ったげる」
ラハール「おい」
番長「エトナさん・・・」
直斗「さて、それでは、これからの話をしましょう。番長先輩」
番長「ああ。まずは・・・」
>-昼
:::【病院・生田目の病室】:::
直斗「見張りの警察官はなんとか退けましたが・・・時間はそう取れないと思います。くれぐれも手短に」
番長「ああ」
直斗「生田目さん。あなたに伺いたいことがあります」
生田目「・・・・・・」
直斗「このまま、あなたを全ての元凶と決め付けてしまうのは簡単です。実際問題、そう望んでいる人も多い・・・しかし、僕達は真実を知りたいのです」
生田目「・・・」
番長「俺達は、向き合わなければならないんです。真実と」
生田目「・・・・・・し、信じてくれるのか?僕の話を・・・」
ラハール「信じるかどうかはともかく、貴様の話をまともに聞いてやれるのは、俺様達だけだ」
生田目「・・・・・・話そう。僕の全てを」
>-生田目の回想
:::【生田目の家】:::
生田目「真由美との不倫が騒ぎになってすぐ、僕は騒ぎから逃げ帰るようにこっちの実家に帰っていた」
生田目「そしてひたすらヤケ酒をあおっていた。少し前から、真由美とも連絡が取れなくなっていたからね」
生田目『真由美・・・どこにいるんだ・・・』
生田目「僕は真由美に謝りたかった。ずっと迷惑をかけてばかりいたからね。真由美は不倫報道のせいで番組を降板させられていたし・・・」
生田目「やることもなく、何かをする気力もなかった」
生田目「そんな時、ふと誰かに聞いた噂を思い出して・・・テレビの中に映る自分を見つめていたんだ」
生田目『・・・真由美?真由美なのか?』
生田目「そしたら、テレビに真由美が映ったんだ」
ラハール「(・・・マヨナカテレビ)」
生田目「テレビの中の真由美は、僕に助けを求めているように見えた」
生田目『真由美・・・真由美!』
生田目「思わず真由美に触れようとしたその時、腕が・・・まるで水面に突っ込んだようにテレビの中に潜ったんだ」
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室】:::
生田目「驚いたし・・・怖かったよ。頭がおかしくなりそうだった」
番長「・・・」
生田目「結局、酒で酔っていたか、それか夢だったのかと思うことにして、次の日仕事をこなした後・・・中央に戻った」
ラハール「(・・・今更だが、一つ気になることがあるな・・・)」
生田目「次の日の午後、出勤すると・・・想像通り、クビを言い渡された。けど、そんな事より僕を打ちのめしたのは・・・真由美が遺体で見つかったことだった・・・!」
番長「・・・」
生田目「それも、僕の実家のあるこの町でだ・・・!」
>-生田目は辛そうにうつむいている・・・
直斗「生田目さんが、第一の被害者、山野真由美さんと不倫関係にあったにも関わらず、事件の初動で捜査対象から外されたのは、事件前夜、市内にいなかったためアリバイがあるからと伺っています。今のところ、全ての辻褄はあっています」
番長「・・・ああ」
生田目「・・・・・・しばらく呆然とした後で、あの夜にあった出来事を思い出した。あれは夢なんかじゃなくて、真由美からのSOSだったんじゃないか・・・?」
ラハール「・・・・・・・・・・」
生田目「そして、夢じゃないことを確認しようとテレビの中に腕を突っ込んでみたら・・・また腕が入った。それで僕は、あの夜の出来事は夢じゃなかったと確信したんだ」
直斗「・・・その後、マヨナカテレビの噂に行き当たるんですね」
生田目「ああ。前々から小耳に挟んではいたんだけど、子供じみた、ただの噂だと思っていたんだけどね・・・それでも真由美は、あれに映って、そして殺されたんだ。考えれば考えるほど、無関係とは思えなくなった」
>-生田目の回想
:::【鮫川・河川敷】:::
生田目「その後、僕は事件に関する事情聴取を受けるために、またこの町に戻ってきた」
生田目「真由美が何故殺されたのか・・・知りたかったからね」
生田目「そしてマヨナカテレビを見ていると、ある晩、女の子が映ったんだ」
陽介「(・・・小西先輩か・・・)」
生田目「いても立ってもいられなくなった」
生田目「真由美を殺した犯人が、また女の子を手にかけようとしている・・・」
生田目「その子が誰なのかはすぐにわかった。真由美の事件の第一発見者として、ニュースで報道されていたからね」
生田目「幸い、テレビに映ったその子は、家の手伝いで配達に行った酒屋の娘さんだった」
生田目「悩んだ末に、僕はその子を呼び出して、事件のことを警告したんだ」
小西『・・・言ってること意味わかんないし、下手なナンパ?自分の年考えなよ』
生田目「・・・まるで相手にされなかった」
生田目「その日の夜、またその子がマヨナカテレビに映った」
生田目「・・・そして、次の日死体で発見された」
陽介「・・・・・・」
生田目「僕は、その子が狙われると知っていたのに、また救えなかった・・・!」
生田目「僕は自分が許せなかった」
生田目「何にも出来なかった自分が・・・」
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室】:::
生田目「それからしばらくすると、マヨナカテレビにまた女の子が映った」
ラハール「・・・・・・」
雪子「私ですね?」
生田目「・・・そう」
>-生田目の回想
:::【生田目】:::
生田目「・・・僕は知っていながら、二人目の被害者を死なせてしまった」
生田目「今度こそ絶対に救おうと思った」
生田目「相手はどこの誰ともわからない殺人鬼」
生田目「そんな相手から一人の人を守るには、僕はあまりにも無力だった」
生田目「思い悩む僕に、テレビの中の少女が微笑んできたように見えた」
生田目「そして・・・思ったんだ」
生田目「自分には、テレビの"向こう"へ入る力があるらしい」
生田目「だったら、殺される前に、そこへ"かくまう"事が出来るんじゃないか・・・と」
生田目『そっちは安全ってことなのか?そうなんだな!?』
生田目「そう言った僕に、テレビの中の少女はまた微笑んだように見えた」
生田目「そうとも・・・たとえどんな場所だろうと、惨たらしく殺されるよりは良い」
生田目「ほとぼりが冷めたら、また出してやれば良い」
生田目「頭の中で、全てのことが繋がった気がしたんだ」
生田目「もう二度と犠牲者を出したくない・・・きっと僕になら出来る・・・そう思った」
生田目「だけど、問題もあった」
生田目「正直に事情を話しても、理解してもらえるはずがない」
生田目「二人目の犠牲者の時に、そのことは苦いほど味わった」
生田目「だったら、さらうしかない・・・」
生田目「僕にしか出来ないなら、やるしかない・・・」
生田目「仕事柄の土地勘、トラック、怪しまれないこと・・・条件は全て整っていた」
生田目「偶然とは思えなかった。僕の使命なんだと思った」
生田目「警察にも電話したけど、テレビの中に腕が入ったとか、そういう話をしだした時点で、まるで信じてもらえなかった」
>-・・・・・・
:::【病院・生田目の病室】:::
生田目「テレビの中を聖域か何かだと信じ込んで、無意識にヒーロー気取りだったよ」
雪子「私達を助けるために、誘拐してテレビの中に入れてた・・・」
生田目「・・・そう。だけどそれは、間違っていたんだね」
直斗「こちらで霧が出る日に、テレビの中の世界にいると・・・殺されてしまうんです」
生田目「・・・・・・そうか。助けたと思っていた君達が、普通に日常に戻ったのを知っていたから、疑いもしてなかった」
完二「・・・」
生田目「まさか自力では出ることも出来ない場所だったなんて・・・」
番長「・・・」
生田目「最後の女の子がテレビに映った時、こんな小さな女の子だけは絶対に助けようと思ったんだ」
直斗「・・・菜々子ちゃんですね」
生田目「ああ。だけど、誘拐した直後に、警察や悪魔に追いかけられた」
陽介「あ、悪魔?」
ラハール「・・・俺様だ」
陽介「あ、あぁ~・・・」
生田目「きっとこの悪魔が、テレビに映った人達を殺しにきているんだと思った。なにせトラックを全開で走らせているのに、悪魔は自分の足で走っておいかけてくるんだからね」
ラハール「・・・・・・・・・」
エトナ「・・・・・・・・・」
生田目「追い詰められて、僕もはじめて、女の子を追ってテレビの中の世界へ行ったんだ」
直斗「・・・そして、貴方の考えていたような、安全な場所ではないと知った」
生田目「ああ。気が狂いそうだった。いや、実際狂っていたんだと思う。その世界は、僕が思っていた場所とは違って、とても異質な世界だった」
ラハール「・・・」
生田目「もしかしたら悪魔が、僕と女の子を狙ってこの世界まで追いかけてくるんじゃないか・・・そう思うと、僕はさらにおかしくなっていったよ」
ラハール「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エトナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
生田目「その後のことは、あまり覚えていない・・・気がついたら、病院のベッドの上だったよ」
番長「・・・」
生田目「君達には本当にすまなかった・・・罪を逃れようという気はない。誘拐だけでも重罪、その上僕は、君達を危険な目にあわせ続けていたんだからね・・・」
番長「・・・生田目さん・・・」
直斗「こちらこそ、すみませんでした」
生田目「・・・え?」
直斗「感情という目隠しで、僕達を真実を追おうともせず、全ての事件の責任を貴方に押し付け、取り返しのつかないことをするところだった」
生田目「いいさ。悪いのは僕、全て僕の責任だ・・・」
直斗「・・・」
番長「・・・生田目さん、ありがとうございました」
生田目「な、なにを・・・」
番長「たとえ方法が間違っていたとしても、貴方が菜々子を救おうとしてくれたことは事実です。その気持ちに、お礼を言わせて下さい」
ラハール「・・・!」
生田目「・・・・・・・・・君は、凄い男だな」
エトナ「(どこまでお人よしなんだか・・・)」
生田目「僕は方法を間違っていたたけど、君達は間違っていない・・・真由美達を殺した犯人を、見つけてくれ・・・」
番長「はい、必ず」
生田目「・・・・・・僕は本当に・・・本当に真由美が好きだった・・・!」
番長「最後に、ひとつ聞かせてください」
生田目「ああ、構わない」
番長「僕の家に脅迫状を送ったのは生田目さんですか?」
生田目「脅迫状?何の話だ?」
直斗「やはり・・・」
番長「ああ、脅迫状を送りつけた人が別にいるな」
ラハール「一応、俺様からもひとつ聞いておこう。貴様が誘拐したのはここにいる四人と、菜々子と、久保美津雄という男だな?」
生田目「久保?僕は久保という男は知らないな。僕が誘拐したのはここにいる四人の、天城さん、巽君、久慈川さん、白鐘君・・・あと、この間の小さい女の子。この五人だけだ」
ラハール「・・・」
陽介「そうなのか。俺はてっきり、これまでの話から久保もアンタが放り込んだもんだとばかり思ってたけど・・・」
番長「これで決まりだな。山野アナ、小西先輩、久保美津雄の三人をテレビの中の世界に入れ、俺の家に脅迫状を送りつけてきた奴が・・・どこかにいる」
生田目「・・・そろそろ、いいかな?凄く疲れてきたんだ・・・」
直斗「先輩、数日前まで意識がなかった生田目さんに、これ以上無理をさせるわけには・・・」
番長「ああ。生田目さん、話してくれてありがとうございました」
生田目「・・・僕には何も出来ないのに、こんなことを言うのは無責任かもしれないが・・・どうか頑張ってくれ」
>-・・・目に涙を溜める生田目さんを残し、部屋を出た。
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室】:::
完二「キツそうだな、菜々子ちゃん」
りせ「うん・・・」
ラハール「もう少し体力が戻ってくれれば、手の施し用もあるのかもしれんが・・・」
エトナ「どーですかね。アタシ達の力でしてあげられる適切な処置が何なのか・・・アタシ達にはそれが判断出来ない」
ラハール「・・・・・・もしもの時は今度こそフロンを呼びつけろ」
エトナ「別に殿下に言われなくてもそのつもりですよ」
ラハール「・・・行くぞ。番長と菜々子を二人にしてやれ」
陽介「あ、ああ・・・」
>-・・・・・・
:::【病院・集中治療室前】:::
ラハール「これからどうする?」
雪子「どうするって・・・どういうこと?」
直斗「・・・番長先輩の心情として、菜々子ちゃんについていてあげたいというのが本音な気がします。やはり僕達は、これから番長先輩抜きで・・・」
千枝「・・・・・・だよね・・・」
完二「どっちにしろ、俺等他人が口挟めることじゃねえだろ。それを決めんのは番長先輩だ」
ラハール「・・・・・・そうだな」
エトナ「(その場合マジで花村が指揮とんのかね。いい加減殿下もペルソナ得たんだし、手貸すなんて面倒なこと言わずに、さっさとこいつらの仲間になってやりゃいいのに・・・まあそれが出来ないのが殿下かねえ)」
ガチャ
番長「行こう。皆」
陽介「おう」
>-夕方
:::【愛屋】:::
りせ「バカグマどこ行ったんだろ・・・・」
番長「・・・無事だと良いんだが」
りせ「ぶ、無事って・・・」
完二「こんな時にツラ見せねえんだ。何かあったのかって心配してやんのが筋だろ」
陽介「・・・だな。俺達の状況を、改めて整理しようぜ」
番長「そうだな」
ラハール「・・・その前に一つ気になっていることがある。ただ、これは真犯人探しにおいてなんら役に立たないかもしれん」
直斗「聞かせて下さい」
ラハール「・・・噂とは、自然発生するものだと思うか?」
直斗「・・・・・・噂・・・ですか・・・」
エトナ「何言ってんですか?するわけないでしょ。どんな噂でも、最初に誰かが言い出さないと」
直斗「・・・!」
番長「・・・」
天城「!」
ラハール「・・・頭の回る奴等は気付いたか」
千枝「ど、どういうこと?」
ラハール「回らん奴等に期待はしとらん」
千枝「さ、流石に怒りますわよ?」
ラハール「・・・生田目は、マヨナカテレビの噂のことを、前々から小耳に挟んでいたと言っていた。それは第一の被害者が出る前のことなのだ」
陽介「・・・・・・・・・おかしくねえか?それ」
千枝「え?」
陽介「最初にマヨナカテレビに映ったのは山野アナだろ?じゃあ誰がマヨナカテレビの噂を流し始めたんだよ」
りせ「・・・あ」
番長「噂の発生源・・・か」
完二「え?つまりどういうことスか?」
直斗「・・・・・・やはり巽君はもっと頭を鍛えなければなりませんね。巽君には後で僕のほうから解説しておきます」
完二「え?お、おい直斗・・・」
直斗「・・・続けましょう」
>-皆で状況を整理した。
①事件の被害者は合計8名
・殺害された被害者(被疑者不明)
山野 真由美
小西 早紀
・救出済みの被害者(被疑者不明)
久保 美津雄
・救出済みの被害者(生田目が実行犯)
天城 雪子
巽 完二
久慈川 りせ
白鐘 直斗
堂島 菜々子
②番長宛に脅迫状が二通送りつけられている
・この脅迫状について生田目は関与していない
③マヨナカテレビの噂の発生源
・最初の事件が発生する前に噂を流し始めた何者かがいる。
④クマ失踪
・少なくとも稲羽市及びテレビの中の世界にはいない模様
直斗「・・・こんなところですかね」
エトナ「生田目が実行犯って言い回しは妙じゃない?犯人でいいでしょ」
直斗「テレビの中の世界で追い詰められていた生田目は、明らかに正常な精神状態ではありませんでした。何らかのマインドコントロール、もしくは犯行の教唆を何者かに受けていた可能性は、現時点では否定されないと思っています」
番長「・・・そうだな」
千枝「マインド・・・何?」
陽介「俺に聞くな・・・教唆?とかいうのもわからんぞ」
直斗「・・・」
雪子「・・・二人には、私から後で」
直斗「・・・お願いします・・・」
りせ「・・・?」
完二「?」
直斗「・・・やっぱり今説明したほうが良さそうですね」
雪子「そ、そうだね・・・」
ラハール「要は誰かに、犯行をそそのかされていたかもしれんということだ」
陽介「そそのかす?そんなの何の得があって・・・」
番長「・・・・・・・・・」
>-俺は【前回】自分の目で見た映像のことを思い返していた。
『僕だって・・・僕だってね、殺してやりたいくらいだよ・・・!』
>-・・・まさか・・・
番長「・・・少し、一人で考えさせてくれ」
>-愛屋の外へ出た。
陽介「あいつ急にどうしたんだ?」
ラハール「・・・頭を冷やしたい事情でも出来たのではないか?何にしても、一人にしてやれ」
>-・・・・・・
:::【愛屋前】:::
>-・・・・・・
>-・・・そう考えれば、全ての辻褄があう。
>-・・・だけど、勝手な思い込みで全てを決め付けたくない。
>-・・・よし。
ガラッ
番長「・・・陽介と・・・ラハール?」
陽介「ちょっとこいつと話があってよ」
ラハール「・・・何やら呼び出されてな」
番長「そうか。俺は中に戻ってるぞ」
ラハール「・・・ああ」
ガラッ
陽介「・・・・・・なあラハール」
ラハール「何だ?」
陽介「気まずくて・・・言い出せる決心が付かなくて・・・昨日は言えなかったけど・・・」
ラハール「・・・」
陽介「昨日は本当にありがとな。お前のお陰で助かった」
ラハール「・・・陽介・・・」
陽介「俺さ、番長の【前回】の話聞いて、すげぇ怖くなったんだ」
ラハール「・・・前回は生田目を殺して全てが終わった・・・というアレか・・・」
陽介「・・・ああ」
ラハール「大方貴様や完二にでもそそのかされたのだろうな。そういう口ぶりはしていなかったが、貴様等に気を使っていただけだろう」
陽介「・・・そうだな。俺も、きっとそうなんじゃねえかと思った」
ラハール「・・・」
陽介「本当に怖くなったんだ・・・お前や、番長や、エトナさんを・・・気まずい顔のまんま見送るのとか・・・絶対に・・・嫌だから・・・!」
ラハール「フン・・・貴様に礼を言われる筋合いはない」
陽介「ま、またお前は・・・!」
ラハール「俺様も、そんなのは嫌だと思ったから貴様を止めただけだ」
陽介「ラハール・・・!」
>-・・・・・・
:::【愛屋】:::
千枝「・・・二人、何の話だろうね」
雪子「ちょっと気になるね。急に二人で一緒に・・・」
直斗「(そんなことより、こんな時に一人で考え事・・・番長先輩は一体何を考えていたのだろうか・・・)」
>-・・・・・・まさか・・・!
番長「二人は・・・男と男の関係・・・!?」
りせ「男と男!?」
完二「えっ」
エトナ「無い無い」
『愛ですよ愛!!』
エトナ「(・・・とか言ってきそうなもんだけど、ほんとに何してんだろーなーフロンちゃん・・・)」
ラハールーーーーーッ!!!
だ、抱きつくな!アホか貴様!!
雪子「男二人で抱き合って一体何を・・・!?」
番長「や、やっぱり二人は男と男の・・・!」
エトナ「アンタ等どんだけアホなの?」
番長「・・・でも、そう考えれば全ての辻褄が合うんです」
エトナ「え?」
番長「クマの失踪の件です。数少ない二人きりになれる陽介の部屋、その部屋に突如現れた二人の仲を引き裂くクマ・・・もしかしたら、二人はクマのことが邪魔になって・・・!?」
エトナ「・・・」
直斗「・・・・・・番長先輩、さすがに言って良いことと悪いことがあるかと・・・」
番長「場を和ませようと思って」
直斗「今緊張感を保たなくてどうするんですか・・・」
番長「てへ」
直斗「てへじゃありません」
エトナ「てへって棒読みで口にする台詞じゃないでしょ・・・」
雪子「二人は・・・男と男の・・・!?」
千枝「雪子、それはもういいから」
直斗「(・・・番長先輩はこんな時にこんな冗談を言う方でしょうか・・・?)」
直斗「(こんな時だからこそ・・・というようなとり方も、出来なくはありませんが・・・)」
直斗「(一応、確かめておく必要があるかもしれませんね)」
>-・・・・・・
番長「やっぱり、皆それぞれの中でじっくり考えたいことがあると思う。夜も更けてきたし、今日は解散して、明日もう一度集まろう」
>-明日の予定を話し合ってから解散した。
>-次回予告
>-BGM:魔立邪悪学園
フロン「この世で最も美しいもの・・・それは、愛」
ラズベリル「あ、愛!?」
フロン「今、愛の伝道師フロンが未来ある若者に愛の素晴らしさを刷り込むべく、女凶師として魔界に降り立つ」
マオ「勝手にそんなことをされては困るんだが・・・」
フロン「別魔界に降り立ったフロンの元に襲い掛かる謎の敵達・・・悪魔さんたちの命を守るべく、フロンは、フロンガーXを起動する」
マオ「聞いてるのか?おい」
フロン「天使も悪魔も人間も、ゼントラーディも関係ありません。きっと誰もが、愛を知ることで変われるんです」
マオ「ゼントラーディって言っちゃったぞ」
フロン「次回、【フロンガーX 愛・伝えていますか】。第二話、【不良美女凶師フロン!?】」
マオ「・・・」
フロン「私達は、わかりあえます」
マオ「・・・元ネタが映画なのに第二話?」
フロン「まあそこは臨機応変に」
シシリー「・・・・・・フロンさん、暇なのかな?」
アルティナ「そ、そんなはずは・・・寂しいんじゃないかしら?」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
>>549 ディスガイアしか解らない方からしたら本気でそう思ってしまったかもしれないですね。まだしばらく続きますので、どうか暖かい目で見守ってください。
>>550
>>554 ここまできたのも感想を下さる方々のお陰です。最後までやりきりたいのでもうしばらくお付き合いください。
>>551 クマはなんだかんだで物凄く使いにくいキャラクターだと確信しました。
>>552 気まずさをこれからどうしていくかも番長とラハール次第になると思います。
>>553 4は後半常に最終回がどうのこうの言ってますからね。
>>555
>>556 見かけたら買ってみます。格闘ゲームが苦手なわけではないのですが、なまじやり込み派で格闘ゲームやり込み経験もあるため、手を出してるときりがないんですよね。
乙ー
宇宙最強親子はコンビニ行くくらいの感覚でタイムスリップするから困る
僕いい子にして待ってる
更新します。
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
エトナ「(最近天界から音沙汰がないこと、クマの失踪に真犯人・・・問題は山積みだっつーのに・・・なんで直斗ちゃんはアタシにあんなこと言ったのかね)」
番長「少し出かけてきます」
エトナ「・・・・・・どこ行くの?」
番長「・・・夕食を買ってきます」
エトナ「アタシも行く」
番長「良いですよ。俺が一人で買ってきますから」
エトナ「いや、行くって」
番長「・・・どうしたんですか?いつもはそんなこと言わないのに・・・」
エトナ「直斗ちゃんにちょっと気になること聞いてさー」
番長「・・・直斗に?」
エトナ「足立」
番長「・・・・・・」
エトナ「・・・やっぱ足立って奴なのね。ま、アタシはそいつのこと大して知らないけど」
番長「ど、どうしてそんな・・・」
エトナ「疑問でも驚きでもなくてさ、さっきの私の【足立】って一言に無表情ってのはないでしょアンタ。アタシからしてみりゃ、頑張って無表情を取り繕ってるっつーのがみえみえなのよ。隠したり潜んだりってのは、元々アタシの得意分野だしね」
番長「・・・!」
エトナ「なんで急にここで足立の名前を・・・?ってのが、いつものアンタの正しい反応なんじゃないの?本気で心当たりがないならさあ」
番長「・・・・・・・・・」
エトナ「直斗ちゃんがね、アンタは犯人に目星つけたんじゃないかって、アンタが一人でどっか行こうとしたら、足立の名前を出してみてくれって・・・言ってたの」
番長「・・・そうですか」
エトナ「アタシ個人としちゃどうでも良いけどさ、犯人の目星ついてて、そいつんとこに行きたいなら・・・アンタ等全員で行くのが筋なんじゃないの?」
番長「・・・仰るとおりです」
エトナ「アンタにゃアンタの考えがあんのかもしんないけど、もうちょいアイツ等信用してやっても良いんじゃないの?」
番長「・・・・・・」
エトナ「・・・・・・直斗ちゃんには、何かあったら連絡くれとかってこんなもん貰ったけど・・・ま、アンタに任すわ」
>-・・・携帯電話を受け取った。
>-・・・・・・
>-・・・俺は・・・
>-・・・・・・
番長「・・・・・・少し、俺に考える時間を下さい」
エトナ「いんじゃない?つか、アタシに断ることじゃないでしょ」
番長「・・・・・・はい・・・」
>-12/5(月) 祝日 昼
:::【ジュネス・フードコート】:::
>-皆で町の人に聞き込みを行ってきた。
番長「・・・特に収穫はなかった」
陽介「こっちもそんなかんじだ。つか、もう春先の事件のことなんて、誰も覚えちゃいねーってさ」
直斗「僕も同じですね。皆さんはどうでしょうか?」
千枝「全然駄目。手がかりなし」
雪子「・・・うん。けど、手がかりが無いって言うのは、大きなヒントかもしれない」
直斗「というと?」
雪子「この町は狭いから、不信な人が出歩いていたらすぐに噂になると思うの。それが全く無かったっていうことは、やっぱり少なくとも犯人は、怪しまれない立場の人。多分、この町に住んでいる人」
エトナ「・・・・・・」
番長「・・・・・・」
直斗「天城先輩の仰ることは最もだと思います。事件当初、稲葉警察署はこの事件の聞き込み捜査に対して異例とも言える大人数を動員していました。それでも、何一つ手がかりが得られていない」
ラハール「・・・なるほどな。エトナ、クマの行方はどうだ?」
エトナ「駄目ですね。隣町まで遠出して走り回ってみたけど、足取り一つ掴めてません」
りせ「私も聞き込みの時、春の事件のこととクマのことを一緒に聞いてみたんだけど・・・町の人、誰も見てないんだって。クマのことを知ってる人は凄く多かったんだけど・・・目撃情報はナシ」
ラハール「・・・・・・そうか」
完二「クマのことも犯人のことも、何の情報も増えねーなんてな・・・どうすんスか?」
ラハール「知るか。俺様に聞くな。むしろこっちが聞きたいところだ」
エトナ「実は、もう一つ気になってることが・・・」
ラハール「なんだ?」
エトナ「町に出てる霧、深くなってません?」
ラハール「・・・霧が?」
エトナ「ええ。おまけにさっきクマ探しに隣町に行って来たんですけど・・・どうもおかしいんですよ。この霧、隣町には全く出てないんです」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「稲葉市内にだけ、この霧は出てます・・・それも、稲葉市内に入った途端、この霧は深くなる」
ラハール「妙だな・・・といっても、この霧について何か調べることが出来そうなクマの奴がいない。それについては、今の俺様達には考えようもないことだ」
エトナ「・・・そうですね」
ラハール「・・・・・・番長、貴様に聞きたいことがある」
番長「何だ?」
ラハール「貴様は既に犯人の目星がついているのではないか?」
番長「・・・どうして、そう思うんだ?」
直斗「・・・」
ラハール「怪しい奴の目撃情報が無い。貴様の家に脅迫状が送りつけられてきた。この二つの事実からすると、犯人は俺様達の動向をある程度把握し続けている奴だ。おまけに、貴様の家に怪しまれずに近づけるような奴だ」
番長「・・・」
ラハール「貴様以外の奴にはあまり考えようがないことかもしれんが、貴様の家に怪しまれずに近づけるような奴・・・というのは、貴様なら心当たりが付けられる条件のはずだ」
番長「・・・そうだな」
ラハール「・・・・・・」
番長「・・・・・・」
ラハール「この事件は、最悪、人間界全てを巻き込むぞ」
番長「・・・え?」
ラハール「この事件というよりは・・・この霧か?いや、わからんが、そんな気がしている」
エトナ「何でです?」
ラハール「考えてもみろ、数人死んでハイ終わりというような事件に、わざわざフロンが動くか?一々そんなことをしていたら、いくら時間があっても足りんぞ」
エトナ「・・・そりゃまあ」
ラハール「番長が今年を二回経験しているという状況の認識が、おそらく少し違っている」
番長「違う?何が違うんだ?」
ラハール「番長が今年を二回経験しているわけではなく、今年が二回あったのだ」
番長「・・・?」
ラハール「時間を巻き戻されたのは、貴様一人ではない。むしろ貴様は、巻き戻されなかった方だろうな」
エトナ「どういうことですか?何かよくわかんないんですけど」
ラハール「フロンが馬鹿親子に巻き戻させた時間は、番長以外の人間界そのものの時間。この人間界がある宇宙の全てだ」
完二「それってどう違うんスか?結局、番長先輩が今年を二回経験してるっつーのは一緒じゃないスか」
ラハール「番長にとっての結果という意味では一緒だろうが、ここで大きく違ってくるのは人間界の行く末だ」
完二「・・・人間界の?」
ラハール「番長が昨日話していた前回の最後と、今回を迎えるに至った理由を見直した時に、一つ違和感があった」
エトナ「・・・」
ラハール「ゼタやペタが無理をしなければならないほどの現象。番長一人の時間を巻き戻す程度なら、奴等は呼吸一つでやってのけるだろう。たかが一年分程度ならな」
エトナ「それは、アタシもちょっと変だと思いましたね」
ラハール「ああ。そして、大天使であるフロンが動こうと思える理由とは何か・・・そう考えた時に、起きた現象が、番長が一年前に戻ったのではなく、人間界そのものが一年前に巻き戻されたのではないかと思った。それなら、人間界全土を巻き込む好ましくない事態があり、フロンがその事態に干渉してきたのであろうという、過程と現象に辻褄があう」
エトナ「・・・なるほどね。番長が一年前に戻っただけじゃ、今の時代の人間界は救われない。人間界を救うには、人間界そのものの時間を巻き戻す必要があったと」
ラハール「ああ。番長のペルソナ全書が前回のものを引き継いでいたことから、番長だけが、前回のことを忘れたまま、前回の体で今の時代にいるということがわかる。多分これはフロンあたりのお節介だろうな。多少は俺様達に楽をさせたかったのだろう」
番長「・・・」
ラハール「考えられる人間界の危機としては・・・例えば、テレビの中の世界にある力、シャドウだろうな」
番長「シャドウが・・・人間界の危機?」
ラハール「現に俺様達は、テレビの中の世界と人間界をそれなりに自由に行き来している。それと同じように、もしシャドウ達が人間界にやってきたらどうなると思う?」
陽介「・・・!」
完二「・・・メッチャヤバイっスね」
ラハール「今でこそ俺様やエトナがここにいるから、多少は何とかなるかもしれんが・・・強力なシャドウ達が大挙して押し寄せてきたら・・・生身の人間共なんぞ、ひとたまりも無く滅ぶぞ」
番長「・・・」
ラハール「といっても、今の話は全て推測に過ぎん。俺様達は出来ることからやっていかなければならん。何が起きるかわからん以上、出来るだけ急いでな。最初にやるべきことは、クマを探すことと、事件の犯人を突き止めることだ。クマの行方については手がかりがないが、こっちはこれからも地道に探して行くしかないだろうな。つまり、今すぐ俺様達に出来ることは、事件の犯人を突き止めることぐらいだ。そこで話を戻すぞ」
番長「・・・ああ」
ラハール「貴様は既に犯人の目星がついているのではないか?」
番長「・・・・・・」
陽介「・・・番長?」
番長「・・・・・・足立透さん」
雪子「え?」
りせ「足立・・・?」
陽介「足立ってあの・・・刑事の?なんでそんな・・・」
番長「全ての条件に当てはまる人は、俺には足立さんしか思い浮かばなかった。あの人なら、俺の家の周りをうろついてたり、出入りしてても周囲の住民には何も不信に思われないし、何より、俺達の動向をある程度把握し続ける事が出来る・・・けど、待ってくれ。あの人にはそれらしい動機がないはずなんだ。山野アナや小西先輩を殺害する・・・動機が」
ラハール「・・・動機なんぞ知ったことか。重要なのは、やったかやってないかだろ」
直斗「いえ、そのやったかやってないかを調べるために重要なのが、動機ですよ。連続殺人なんて、動機なしにふと出来るようなことじゃありません」
ラハール「む・・・」
直斗「条件に当てはまる人物を考えた時に、実は僕も足立さんのことを思い浮かべました。ただ、この中で足立さんのことを一番良く知っているはずの番長先輩が、足立さんかもしれないと思いながらも、そのことを僕達に言えずにいた。それはきっと、足立さんが犯人であるはずがないと、先輩が思っているからに他ならないはずです」
ラハール「・・・どうなのだ?」
陽介「ど、どうって言われても・・・まあ足立さんは、そんなに頼れる感じの人でもないけど、悪い人じゃないと思うぜ?」
千枝「だよね・・・」
ラハール「貴様もそう思うか?」
雪子「うん。足立さんは、どっちかっていうと私達にずっと協力的だったし、何より足立さんは堂島さんのことを慕ってると思う。あれが全部演技だなんて、私には考えられないし・・・考えたくない」
ラハール「・・・貴様でもそう言うか・・・まあ、俺様はそいつのことを深く知らんが、とりあえず、他に怪しい奴がいないのならさっさと締め上げて聞き出せばいいのではないか?」
番長「待ってくれラハール」
ラハール「何故だ?」
番長「皆も言ってた通り・・・俺も、足立さんがそんなことをする人じゃないと思ってる。というより、確実な根拠もなく、誰かを疑ったりしたくないんだ。疑うことしか出来なかったせいで・・・前回の十二月に、俺はとりかえしのつかないことをしたから」
ラハール「・・・・・・」
>-・・・俺がそう言うと、皆の口は重くなり、その日は進まない話し合いの後に解散した。
>-12/6(水) 深夜
:::【ベルベットルーム】:::
イゴール「これはこれはラハール様、どうもお久しぶりでございます」
ラハール「・・・俺様が寝ているところに、わざわざどうした・・・?」
イゴール「本日は、私共に貴方様を再びご助力する準備が整いましたことをご報告にあがりました」
ラハール「・・・・・・」
イゴール「既にお気付きのことと思われますが、貴方様に目覚めたペルソナ能力はワイルド。私共のもう一人のお客人と同じものでございます」
ラハール「・・・何故ワイルドなのだ?・・・仮に俺様にペルソナ能力が目覚めることがあっても、それは陽介や他の奴等と同じようなものだろうと思っていた・・・」
マリー「え、いや、私に聞かれても・・・」
イゴール「理由につきましては、私共も存じ上げません」
マーガレット「その理由も、おそらくはお客様方が立ち向かい、解決しなければならない謎の一つではないでしょうか」
イゴール「マーガレットの申す通り、私共からあえてご進言さしあげるとしたら、そのようなところではないかと」
ラハール「・・・チッ・・・」
マリー「ねえ、エトナ・・・元気してる?」
ラハール「・・・ああ、うっとうぐらいにな・・・」
マリー「そっか・・・」
イゴール「しかし同時に二人のワイルドが存在するというのは、極めて異なことでございますなあ。何が起きるかわかりかねますので、今後もより一層、貴方様が今まで育んできた絆の数々を深められ、更なる困難に立ち向かう準備をしておいたほうがよろしいでしょうな」
ラハール「・・・ふ、ふざけるな・・・絆などというものに覚えはない・・・!」
マーガレット「そう言われましても、魔術師、女教皇、愚者などをはじめ、正義や皇帝、星、運命、恋愛といった、この地にてお客様が得られたアルカナが既にあるようですが・・・」
ラハール「・・・し、知らん・・・!」
マーガレット「どれもそれなりに深い絆を育まれているようですわ。特に先に挙げた三つは・・・」
ラハール「知らんと言ったら知らん!」
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ガバッ
ラハール「・・・はぁ・・・」
ラハール「(好き勝手言いおって・・・)」
陽介「・・・・・どした?」
ラハール「・・・起こしてしまったか?」
陽介「いや、寝付けてないだけだ。何かあったのか?」
ラハール「・・・気にするな。【悪い夢】を見ただけだ」
陽介「悪い夢?」
ラハール「・・・・・・」
陽介「大丈夫か?」
ラハール「・・・・・・俺様は、俺様のシャドウと向き合った」
陽介「・・・」
ラハール「よりにもよって、俺様の弱さや、貴様等人間共に対する俺様の気持ちに関するシャドウだった」
陽介「・・・ああ、それは俺達皆が察してるよ。けど、流石に誰もそれについちゃイジれねーみたいだけどな」
ラハール「・・・・・・」
陽介「ま、りせなんかはあの日以降、結構積極的にお前に絡むようになったみたいだけど。それまでは、どっかお前のこと遠ざけてるような感じあったし」
ラハール「・・・そうだな。奴が馴れ馴れしくなったのは良い迷惑だ」
陽介「お前それ割と本気で言ってるだろ・・・贅沢な奴」
ラハール「・・・・・・力が欲しかった」
陽介「・・・力?」
ラハール「・・・・・・強くなり続ける貴様等やシャドウ共を前に、俺様の悪魔としての力は限界を迎えつつあったのだ」
陽介「あの日まで俺には全然わかんなかったけど、やっぱそうだったんだな・・・」
ラハール「・・・・・・今まで貴様等と同じようにレベルを上げてきたかのように見えていたのかもしれんが、俺様が貴様等と同じ程度の力を発揮し続けるのは、それなりの苦労を伴っていた。力が増え続ける毎に、その苦労も増していっていた。はじめのほうこそ、それなりに余裕があったのだがな」
陽介「・・・」
ラハール「・・・・・・俺様は力が欲しかった。だがそれは何故か?何故力が欲しいのか・・・それを考えたくなかった」
陽介「・・・?」
ラハール「・・・貴様等人間を、それも出合ってたかが一年にも満たんような奴等を・・・守ってやりたいなどと・・・そんなこと、面と向かって認めたくはなかったのだ」
陽介「ラハール・・・・・・」
ラハール「本気で認めたくない自分・・・そんな自分がいたから、シャドウが出てしまったのかもしれんな」
陽介「・・・」
ラハール「貴様等人間共と一緒にいて楽しいと思える俺様がいる。そんなことを、悪くないと感じていたはずだ・・・にも関わらず、肝心なところで丸くなりきれていなかったのだろうな、俺様は」
陽介「・・・けど、今はもう、受け入れたんだろ?」
ラハール「あの時は手間取っている暇などなかったからな。仕方なくな」
陽介「・・・そうだな」
ラハール「・・・・・・その後、無事に菜々子を救えた」
陽介「・・・ああ」
ラハール「菜々子を救えたことには達成感がありすぎた。色んなことがどうでも良くなった。元々、俺様は色々と考えるのはあまり好きではないしな」
陽介「そ、そうなのか?」
ラハール「ハハ・・・貴様は知らんのだろうが、本来俺様は何が起きても力付くで解決してきたからな。力が足りているか足りていないか。有事に考えるのは精々それぐらいだった。力が足りないならもっと力を増やす、足りるなら何もかも力付く・・・ずっとそうしてきた」
陽介「マジかよ・・・」
ラハール「似たようなことのように見えて、必死になって考えるということと、何となく知識を得る・・・ただ漠然と知るということは全く違う。幼い頃の嫌な思い出が、必死になって物事を考えるということを・・・させなかった」
陽介「・・・それって、お前の母さんの・・・?」
ラハール「・・・・・・色んなことを、考えようともせずに否定して、それで平気だと強がって、力付くで生きてきた。どこぞの馬鹿天使が、ハタ迷惑にも魔界を騒がしくしてくるまではな」
陽介「フロンさんか」
ラハール「・・・・・・人間界に来てからの俺様は、考えに考え抜いてきた。力が足りない上に、その力を簡単に高める方法も無い。となると、出来るのは考えることぐらいだからな。幸い、色んなことを考えるということに対して、もうあまり抵抗はなかった」
陽介「・・・そっか・・・」
ラハール「その辺りはフロンやエトナの思う壺というところだろう・・・未だに、力だけではどうにもならん事件でもなければ、俺様は考え事などしたがらんからな。これほどまでに色んなことを考えたことは・・・1300年以上生きてきた中で、今回を含めて四回だな」
陽介「おいおい、いくらなんでも少なすぎるだろ」
ラハール「フン・・・話を戻すぞ」
陽介「ああ」
ラハール「菜々子を救え、生田目を捕まえたことで、何もかもが終わったかのような錯覚に陥っていた。だが、そもそも真犯人どうこう以前に、俺様はあの世界や貴様等の力が一体なんなのかを知ることが出来ていないのだ」
陽介「・・・」
ラハール「エトナが言うには、天界からの連絡も途絶えているらしい。何かあったのか、もしくは人間界やテレビの中の世界に原因があるのか・・・それも知らなければならん」
陽介「・・・フロンさんからの連絡が?」
ラハール「そうだ」
陽介「・・・・・・クマの奴も見つかんねえし、犯人捜査も進展なし・・・俺等これからどうすんだろな?」
ラハール「足立とかいう奴を、さっさと締め上げてしまえば良いと思うのだがな・・・番長の奴はウダウダし過ぎだ。悠長に構えている時間があるかどうかもわからんというのに・・・」
陽介「まーな・・・けど、お前にだって番長の気持ちがわからないわけじゃねえんだろ?」
ラハール「・・・・・・何度も言わせるな。俺様には貴様等の気持ちなどわからん」
>-12/7(水) 放課後
:::【鮫川河川敷】:::
ラハール「(・・・あれは・・・?)」
ラハール「・・・おい、この寒いのに、一人で何をしている?」
完二「あ、ラハール先輩・・・や、別になんでもないっス」
ラハール「なんでもない訳がないだろ。人間の割には大した厚着もせずに、わざわざ面白くも無い川なんかを見て・・・何か考え事でもしていたんじゃないのか?」
完二「・・・・・・」
ラハール「黙っていては何もわからんぞ」
完二「ウス・・・一辺、菜々子ちゃんが死んじまったって思った時に・・・真っ先にキレちまったのは、俺だった」
ラハール「・・・」
完二「花村先輩は、息は俺と同じぐらい荒かったけど、頭ん中じゃゆっくり考えてたんだ。何で生田目を許せねえのか、自分達が何をしたら、何がどうなんのか・・・」
ラハール「まあ、奴はああ見えても、ただのアホではないからな」
完二「そっスね・・・で、俺はただのアホだ」
ラハール「・・・そうか」
完二「頭ん中真っ赤になっちまって・・・絶対ぇブッ殺すって、そんなんばっかで、生田目に掴みかかってよ・・・」
ラハール「・・・・・・」
完二「アンタが放せっつってくれるまで、こんまま殴り殺しちまおうとか考えてた。んな馬鹿なことしたら、先輩等や、エトナさんや、りせや直斗が、どういう気持ちになんのかとか、そういうの何も考えねーでさ」
ラハール「・・・・・・そうか」
完二「そんで、アンタに正気に戻された後、怖くなった・・・俺今、何しようとしたんだよ・・・ってな」
ラハール「・・・・・・?」
完二「けどその後、テレビん中に放り込むっつー、新しいブッ殺し方が、目の前に転がってきたんだ」
ラハール「・・・・・・」
完二「俺は飛びついたぜ。これしかねー・・・普通にそう思った」
ラハール「・・・」
完二「結局、生田目をブッ殺す。俺はそれしか考えられなくなったんだ。アンタが俺等の目ぇ、覚ましてくれるまではな」
ラハール「・・・・・・・・・そうか」
完二「俺がもっと頭良けりゃ、もっと色んな事考える余裕がありゃ、他の事、大事な事、考える事が出来たのかもしんねえ」
ラハール「そうだな」
完二「俺は馬鹿で・・・一つの事しか考えらんねーぐらい馬鹿で、アンタ等に迷惑かけっぱなしだ。アンタ等に頼りっぱなしだ」
ラハール「アホか」
完二「なっ、いきなり何スか!?」
ラハール「アホだからアホかと言ったまでだ。確かに貴様はどうしようもないぐらい馬鹿だったな。出会った時も、たかが生身の人間の分際で、この俺様にケンカを売ろうとしてきたぐらいだ」
完二「う・・・・・・」
ラハール「だが、貴様も少しはマシになっているぞ。それでも不満なら、もっとマシになれ。頭が悪いと自分で解ってるなら、頭を良くしろ」
完二「・・・マシに・・・」
ラハール「来年の今頃には、せめて番長ぐらいの頭にはなってみせろ」
完二「ば、番長先輩ぐらいに・・・?」
ラハール「無理ではないはずだ。出会った頃の貴様の馬鹿さ加減と、今の貴様の頭を比べてみれば、俺様にはそんな気がする」
完二「無茶言うぜ・・・けど、そうだよな。目標ってのは高ぇほうがいいよな」
ラハール「フン・・・そういうことだ」
完二「ありがとよ先輩。そうと決まりゃ、帰って勉強でもしとくぜ。またいつ戦いになるかもわかんねえから、このままここで体冷やしてる訳にもいかねえしな」
ラハール「そうしてろ」
ラハール「(ふっきれたようだな。まあ、元々こいつは切り替えの早い奴だ)」
ラハール「(・・・とはいえ・・・終わったことを蒸し返したがらない完二ですら、この有様か)」
ラハール「(・・・番長は、今どういう心境なのだろうな)」
>-12/8(木) 昼休み
:::【屋上】:::
直斗「・・・どうも」
ラハール「ああ、それで?俺様に話したいこととは?」
直斗「悩みが・・・ありまして」
ラハール「何だ?」
直斗「事件のことなのですが・・・やはり僕は足立さんが疑わしい立場にある以上、はっきりと足立さん本人に事件のことを問い詰めるべきだと思っています」
ラハール「何故それをわざわざ俺様に言う?」
直斗「ラハール先輩に一つ伺おうと思いまして・・・僕はやはり、人として何かおかしいでしょうか?」
ラハール「は?」
直斗「今、皆さん・・・僕とラハール先輩を除く皆さんは、疑うということを極端に恐れている」
ラハール「・・・・・・そうだな」
直斗「それはきっと、番長先輩の話・・・番長先輩が体験したという、前回の話を聞いたからです」
ラハール「・・・疑うことしか出来なかったせいで、とりかえしのつかないことをした。奴はそう言っていたな」
直斗「ええ。そして、今回だってそうなるところでした。ラハール先輩が花村先輩を含む全員を説得してくれなければ・・・起こりえていたことなんです」
ラハール「・・・・・・」
直斗「あの時は、なまじ気持ちが昂ぶりすぎていたため、物事を冷静に見たくなくなっていた。僕も含め、全員がです。皆が皆、ほとんど同じ気持ちだった。きっと、番長先輩の言う【前回の僕達】も、そうだったのでしょう」
ラハール「・・・・・・なるほど」
直斗「え?」
ラハール「それで、今は自分だけ他の奴等と違うことを考えている。だから自分がおかしいのではないかと思った。そういうことか?」
直斗「・・・・・・はい」
ラハール「貴様は頭が良いように見えて、意外と馬鹿だな」
直斗「・・・・・・」
ラハール「貴様が人としておかしいかどうかなど、俺様が知るわけないだろ。大体、今重要なのはそんな下らんことではない」
直斗「・・・く、下らなくなんかないです!」
ラハール「いや、下らん」
直斗「・・・・・・」
ラハール「今重要なのは、貴様が奴等の仲間であること。そして、貴様が奴等の役に立てることだ」
直斗「・・・というと?」
ラハール「まだわからんのか?確かに貴様の言うとおり、今の奴等は疑うということに怯えている。下手すれば、それどころではないという程の状態だ。本心から生田目を憎むという気持ちがあったからこそ、その分だけ、次の間違いに対して臆病になっている。番長の前回の話と、その顛末を聞いてしまったから、さらにな」
直斗「・・・・・・はい」
ラハール「そんな中で、それでも貴様は、今出来ることはやるべきだと思うことが出来ているのだ」
直斗「・・・しかし・・・・・・」
ラハール「人と違うということを、貴様がそんなに怖がるとは思わなかったがな・・・まあ、貴様が奴等のことを、何かしらの形でそれぞれ認めているということか」
直斗「それだけではありません」
ラハール「・・・何?」
直斗「確かに皆さんは、人として尊敬出来る、信じられる方達です。おまけに、その方達が相手にしていたのは・・・僕の思いもよらない、まさに人智を超えたものでした」
ラハール「・・・・・・」
直斗「そればかりか、本当に人間ですらない・・・尊敬出来る方に、信じられている方達だったんです」
ラハール「・・・・・・人間ですらない・・・尊敬出来る?誰のことだ?」
直斗「貴方ですよ。ラハール先輩」
ラハール「は?」
直斗「貴方が、人間じゃない存在としての立場から意見をくれるたびに・・・僕達はより真剣に物事を考えることが出来るんです。じゃあ、人間として、僕達の意見はどうなんだろう・・・って」
ラハール「・・・・・・って、ちょっと待て!俺様は別に奴等のことをを信じたりなどしてないぞ!」
直斗「え?まだそんなことを言っているんですか?」
ラハール「なっ・・・!」
直斗「ラハール先輩もペルソナを得ていたから、てっきり受け入れたと思っていたのですが・・・その・・・僕達人間のことを、守りたいと思っているご自分のことを」
ラハール「だ、黙れ!それとこれとは話が別だ!」
直斗「・・・ふふ」
ラハール「笑うな!」
直斗「あ、いえ、すいません・・・なんだかすっきりしてしまって」
ラハール「む・・・」
直斗「僕はただ、誰かに聞いて欲しかっただけなのかもしれません・・・疑う要素があるのなら、まずは疑うべきだと、未だに思ってしまう自分のことを」
ラハール「・・・そうか」
直斗「そして出来ることなら、それで良いんだと言って欲しかった。やっぱりまだ、ラハール先輩の言うとおり・・・僕は全然未熟で・・・幼くて、考えの足りない人間ですから」
ラハール「な・・・べ、別に俺様はそこまで・・・」
直斗「だからこそ僕は、自分が変わっていくための努力を惜しみません。考えることを、やめません」
ラハール「・・・フン」
直斗「まだ僕には明確に想像が出来ていませんが・・・ラハール先輩の仰っていた、人間界全てを巻き込むかもしれないという話も、気にはなっています」
ラハール「・・・」
直斗「事件のこと、そしてクマ君の失踪のこと・・・必ず解決しましょう。僕達の手で。僕も・・・僕にしか出来ないことや、僕に出来ることは、していきますので」
ラハール「・・・貴様は最初からわかっていたのだな。ならいい、じゃあな」
>-放課後
:::【神社】:::
直斗「ご足労ありがとうございます。どうしても、先輩に聞いて頂きたいことがあったので・・・」
番長「・・・ああ」
>-・・・直斗と二人で話をした。
>-・・・・・・
:::【校門】:::
りせ「先輩~!ラハール先輩!」
ラハール「な、なんだ貴様。何か用か?」
りせ「用がなかったら、声かけちゃ駄目なんですか?」
ラハール「別にそんなことはないが・・・」
りせ「でしょ~?私も今帰るとこですから、途中まで一緒に帰りましょ」
ラハール「・・・勝手にしろ。ただし、近寄るなよ」
りせ「はいは~い」
ラハール「・・・」
りせ「そういえば、花村先輩はどうしたんですか?いつもは一緒に帰ってるような」
ラハール「委員会がどうのとか言って、教室に残っていた。面倒だが、今日はさっさとジュネスに戻って品入れをしなければならんからな。置いて来たぞ」
りせ「ふ~ん・・・」
ラハール「・・・」
りせ「・・・クマは・・・」
ラハール「・・・?」
りせ「クマはどこ行ってるんでしょうか・・・私達に何も言わずにいなくなって・・・」
ラハール「さあな。天界に連絡さえつけば、この際アホ天使達に無理を言ってでもクマの行方だけは聞こうと思っているのだが・・・今はそれすら叶わん。まあ、聞いても奴等には教えられんかもしれんが・・・」
りせ「・・・実は私、最近毎日テレビの中の世界に行ってるんです」
ラハール「何だと?そんな話は聞いておらんぞ。一人で特訓か?」
りせ「クマがあっちいないかなって思って・・・」
ラハール「・・・・・・そうか」
りせ「クマは・・・見つからないんですけど、何だか、あの世界は毎日広がっているような気がするんです」
ラハール「は?そのことは、他の奴等には言ったか?」
りせ「いえ・・・まだほんとに、何となくっていう感じなんで」
ラハール「何となく・・・か。気になるな、その違和感」
ラハール「(テレビの中の世界と、この人間界。クマが消えたのは深夜・・・少なくともテレビの中の世界にはいない。そして、いなくなってからずっとエトナに行動範囲を広げて行方を当たらせているが・・・周囲11の市町村を回ってもまだクマの足取り一つ無し・・・)」
>-12/9(金) 早朝
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「・・・・・・」
ラハール「(もう朝か・・・駄目だったか。いや、まだわからんな)」
ラハール「(とはいえ、確信もないのに番長に余計な情報を与えて、今の奴に無駄なことをさせるわけにはいかん)」
ラハール「(俺様がやるしかないな)」
>-12/9(金) 放課後
:::【屋上】:::
ラハール「珍しいな。というか、はじめてではないか?貴様が俺様を呼び出すのは」
千枝「・・・うん。ごめんね、いきなり」
ラハール「今さら、そんな下らん気遣いをするな。体中が痒くなる」
千枝「・・・そうだね。ありがと」
ラハール「だから礼など・・・!・・・まあいい、こんな時に俺様一人を呼びつけたのだ。何か話があるのではないか?」
千枝「うん。ちょっと、色々ね・・・」
ラハール「・・・」
千枝「・・・な、なんか緊張するね。二人だけで話すのってはじめてじゃない?」
ラハール「確かにそうだな。貴様以外の人間共とは、割と二人で話すこともあるのだが」
千枝「えぇ?りせちゃん・・・とかとも?」
ラハール「・・・意外か?」
千枝「そ、そりゃまあ・・・最初の頃の・・・なんというか・・・絡み辛いラハール君を知っている身としてはね」
ラハール「魔王が絡みやすかったらそれはそれで問題だろうが」
千枝「確かに」
ラハール「・・・貴様等は少しm特別なのかもしれん」
千枝「へ?」
ラハール「例えば、久保美津夫」
千枝「久保?久保ってあの・・・諸岡先生を殺した?」
ラハール「ああ。俺様は奴を見ていると、どうしようもなくイライラした」
千枝「・・・」
ラハール「しっかりした自分を持たず、持とうという努力もせず・・・下らん嘘で自分を塗り固めていた。あまりにもつまらん」
千枝「・・・あたしには、久保の気持ちも、わからなくはないかな・・・」
ラハール「は?」
千枝「や、もちろん、人を殺したりとか、嘘をついたりとか・・・そういうのは間違ってると思うよ?でもね・・・自分がちゃんとしていないっていうのは、やっぱり怖いことだと思う」
ラハール「・・・・・・」
千枝「どうしようもなく不安で、何かにすがりたくなって・・・久保は嘘にすがっちゃった。その・・・どうしようもない不安や、何かにすがりたくなる気持ちは・・・私にも少し解る」
ラハール「当たり前だ。貴様等人間は弱い。だが、別にそれはどうでもいい」
千枝「どうでも・・・?」
ラハール「・・・要はその後に、何を求めるかの違いなのだ」
千枝「・・・」
ラハール「しっかりとした自分が欲しい。力が欲しい。周りに強いと思って欲しい・・・求めるということ、欲望というのは、悪魔の俺様に言わせれば本来良いことだ」
千枝「欲望が・・・良いこと?」
ラハール「欲望がなければ、何かを得ることもない。貴様等人間・・・というより、日本人というべきか?どうもそういうキッパリとした欲望を隠したがったり、人に見せたがらなかったりするところがあるようだが、俺様に言わせればそれは間違いだ」
千枝「・・・」
ラハール「現に俺様は、魔王になることを欲して、魔王になった。それでもまだ力を欲して、別魔界の連中を片っ端から召喚してぶっとばして、最後には超魔王になった」
千枝「・・・うん」
ラハール「貴様等人間も同じだ。貴様等、特別捜査隊の連中は、今まで自分で見ようとしてこなかった自分をも受け入れることを欲して・・・それを受け入れた。欲望があったから、受け入れることが出来たのだ」
千枝「でも、それを言うなら、久保だって・・・人に振り向いて欲しいと、ちゃんとした自分を求めてたんじゃない?」
ラハール「・・・やけに下らん奴のことをかばうな」
千枝「別にそういうわけじゃないんだけど・・・なんかちょっとひっかかって」
ラハール「フン・・・奴は妥協したのだ」
千枝「妥協?」
ラハール「ああ。嘘で塗り固めた偽りの自分でも良いという妥協・・・まあ妥協と言えば聞こえは良いが、ただの諦めだな」
千枝「・・・」
ラハール「諦めたらもうそれまでだ。そこにそれ以上の欲望はない。欲望がないから、何かを得ることもない」
千枝「・・・そっか」
ラハール「・・・・・・多くの人間は、多くのことを諦める。これで充分、もう面倒、欲しがりすぎるのは良くないこと、そういう下らん言い訳を並べてな。俺様はそういう人間共を見ているとイライラする」
千枝「・・・」
ラハール「だが貴様等は違う。貴様等を見ていても、俺様はイライラしない。例えば完二だが、あいつはもっと頭が良くなりたいと思っている。奴の成績が随分上がってきていることに、気付いていたか?」
千枝「そりゃまあ、何だかんだでよく一緒に勉強会開いてるしね」
ラハール「久慈川は、番長にもっと好かれたいと思っている。そのための努力は惜しんでいない。あらゆる意味で、より出来た自分になろうと必死になっている。動機は下らんが、まあこれも欲望には違いない」
千枝「・・・確かに。まあ、りせちゃんの場合は、成果が出てるのかちょっと謎だけど」
ラハール「そうでもないと思うがな」
千枝「え?」
ラハール「いや・・・・・・次に直斗だが・・・奴は凄い探偵になりたいと思っている。奴ならすぐになれるかもしれんな」
千枝「お、随分と直斗君の評価高いじゃん」
ラハール「当たり前だ。部下の能力を見極めるのは、魔王である俺様にとってそれなりに重要なことだからな。出来る奴のことはそれなりに評価してやるぞ。まあ、どんな奴でも俺様には敵わないがな」
千枝「出た、俺様理論」
ラハール「ハハ・・・次に陽介だが・・・いや、陽介はどうでもいいか」
千枝「どうでもいいってのは、ちょっとひどくない?」
ラハール「話がそれた。そういえば貴様の用件は何か・・・と思ってな」
千枝「あ・・・」
ラハール「番長を筆頭に、どいつもこいつも今、それぞれ悩んでいる。とはいえ、貴様の話を聞いてやれないような奴等ではない・・・こんな時に俺様を呼び出したのだ。何か俺様にしか話せないことがあるのだろう?」
千枝「うん。私ね、決めたんだ」
ラハール「・・・何をだ?」
千枝「私、強くなるよ」
ラハール「・・・」
千枝「私達はやっぱり、番長君やラハール君に頼ってばっかりだったと思う。戦いもそうだけど・・・特にラハール君には、生田目の時のこととかさ」
ラハール「・・・貴様だって、奴等のことを止めようとしていたではないか」
千枝「うん。だからだよ。強くなるって決めたのは」
ラハール「何?」
千枝「私はあの時、皆のことを止めなきゃって思った。だけど、このままじゃ皆を止めることは出来ないとも思ってたんだ」
ラハール「・・・そうか」
千枝「止めなきゃとは思ってたけど、どうやって止めれば良いのかわからなかった。花村を止めるための言葉が、出てこなかったんだ」
ラハール「・・・」
千枝「ラハール君は、言葉じゃなくて、気持ちで花村や皆を止めた」
ラハール「・・・ああ」
千枝「・・・・・・ショックだった」
ラハール「・・・?」
千枝「私に出来ないことを、凄く当たり前にやってしまうラハール君の強さも。花村のことを止められる、ラハール君の気持ちも、私が全然敵わないものだったから」
ラハール「・・・・・・・・・」
千枝「だから私決めたよ。私は強くなる。花村や番長君よりも・・・もちろん、ラハール君よりも」
ラハール「フン・・・奴等はともかく、この俺様に宣戦布告とはな。貴様も随分上等な人間になったものだ。はじめはちっぽけな自分すら、簡単には受け入れられない奴だった癖に」
千枝「えへへ・・・」
ラハール「精々頑張るのだな。超魔王である俺様より強くなるというのは、簡単なことではないぞ」
千枝「うん」
ラハール「・・・」
千枝「・・・けど、何かするにしても、やっぱクマがいないのは気になるなあ・・・」
ラハール「・・・・・・そうだな」
>-夜
:::【???】:::
クマ「・・・・・・ここは・・・」
クマ「・・・・・・そっか。ナナチャンが死んじゃって・・・クマは・・・・・・」
クマ「・・・・・・ナナチャンごめんクマ・・・クマはナナチャンを助けられなかったクマ・・・」
クマ「・・・・・・それに、クマは自分の正体に気付いてしまったクマ・・・」
クマ「・・・・・・もう皆と一緒にはいられないクマね・・・」
クマ「・・・・・・さよならナナチャン・・・」
クマ「・・・・・・さようなら・・・皆・・・・・・!」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
エトナ「あーめんど。そろそろ次回予告もマンネリねぇ」
雪子「・・・・・・・・・」
エトナ「ゆ、雪子ちゃん?どうしたの?」
雪子「・・・出番がなかった・・・」
エトナ「・・・・・・」
雪子「皆とラハール君が仲良くなる回だったのに・・・私の出番がなかった・・・」
エトナ「・・・ど、どんまい?」
雪子「・・・・・・」
エトナ「ま、まあほら、何か食べて元気出そうよ。番長んちにおいで、なんか作ったげるから」
雪子「・・・一緒に作る」
エトナ「うんうん、そうしよ。たらしの殿下なんか放っとこ」
ラハール「おい」
エトナ「では次回!【エトナと雪子の三分クッキング!】!第三話、【三分で作れるスイーツ!】」
今回はここまでです。
>>575 乙ありです。過去に飛ばすのが番長一人だったら簡単にやってしまうでしょうね。
>>576 随分お待たせして申し訳ないです。この先の展開考えてなかったとか、単に忙しかったとかあるんですけど、今後は完結まではさくっと書いてしまおうと思ってます。
久しぶりにおつー
ファミ通文庫の殿下はマジたらし
D2とはあんま関係ないけど21日までPSストアでディスガイア1~4まで半額セールやってるね
スイーツ(無味)
>>597
甘いとか苦いとかじゃなくて臭いスイーツなのか…
更新します。
>-12/10(土) 早朝
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「・・・・・・」
ラハール「(今日も駄目だったか・・・)」
ラハール「(いや、最初から短い期間で結果を出すつもりはない)」
ラハール「(しかし、本当にこの方法で良いのか・・・?)」
>-放課後
:::【教室】:::
ラハール「(体がまるで言う事を効かなくなってきた)」
ラハール「(やはりまともな睡眠を取らずに、大して魔力の無い体のまま人間界で活動し続けるのは難しいか・・・)」
雪子「ラハール君。なんだか調子悪そうだけど・・・大丈夫?」
ラハール「・・・・・・」
雪子「ラハール君?」
ラハール「・・・む。なんだ?」
雪子「え、いや・・・大丈夫?」
ラハール「・・・・・・いらん気遣いをするな。陽介、帰る---」
雪子「・・・」
ラハール「・・・・・・そうだったな。奴は今日は急ぐから、さっさと一人で帰るのだったな・・・」
雪子「何かあったの?なんだか変だよ。今日のラハール君」
ラハール「だからいらん気遣いをするなと言ってるだろ!しつこいぞ!」
雪子「・・・」ギュッ
ラハール「ばっ・・・触るな!」
雪子「嫌、放さないよ」
ラハール「・・・・・・」
雪子「私のことが頼りないのはわかるよ。ラハール君と比べて私が弱いってことも、わかるよ・・・だけど・・・」
ラハール「・・・勘違いをするな。別にそんな理由で隠し事をしている訳じゃない」
雪子「私はやっぱり心配だよ。ラハール君今日一日ぼーっとしてたでしょ?そんな事、今まで無かったから」
ラハール「・・・・・・」
雪子「やらなきゃいけないことが解ってるのに、前に進めない。皆、今焦ってる。だけど、番長君の中で結論が出るのを待ってる。私だってそう」
ラハール「・・・・・・・・・場所を変えるぞ。話をするにしても、ここでは人目につきすぎる」
>-・・・・・・
:::【屋上】:::
雪子「・・・寒いね」
ラハール「ああ。それより、霧は間違いなく濃くなってきているな・・・」
雪子「うん・・・」
ラハール「・・・・・・奴等の焦り、番長の迷いをどうにかするには、やはり全員が揃う必要があると思っている」
雪子「・・・・・・全員?」
ラハール「どこに行ったか未だに解らん、クマの馬鹿のことだ。いついなくなったかは解っているが、どこでいなくなったのか。どこにいなくなったのか。まるで解らん」
雪子「・・・うん」
ラハール「俺様達は、誰が欠けてもここまで来ることは出来なかった。もちろんアホのクマですら、その内の一人だ」
雪子「そうだね・・・」
ラハール「・・・そういえば貴様は、随分落ち着いているな」
雪子「え?」
ラハール「どいつもこいつも、番長の話や生田目との騒動に引きずられて、頭がまともに動いていない。まあ、久慈川は呆れる程能天気だからそうでもないようだが・・・奴の場合は、頭がまともに動いたところで大して意味がないな。元がアホすぎる」
雪子「あ、ひどい。そんなことないと思うよ?」
ラハール「どうだかな」
雪子「そんなことないって」
ラハール「・・・・・・貴様は何故、そんなに落ち着いているのだ?奴等のほとんどは、特に生田目との騒動の件で自己嫌悪に陥っているようだぞ。貴様は、そうではないのか?」
雪子「私は平気」
ラハール「・・・何故だ?」
雪子「私はあの時、ラハール君がいたから・・・きっとラハール君が、花村君達を止めてくれるって、信じてたから」
ラハール「・・・・・・」
雪子「それに、番長君の話で聞いた・・・事件を解決出来なかった【前回】の話。その【前回】には、ラハール君はいなかった。けど、【今回】はラハール君がいる」
ラハール「・・・天城・・・貴様は・・・」
雪子「だからきっと大丈夫だって、信じてるんだ。皆がいて、ラハール君がいて、エトナさんがいてくれる、【今回】のことを」
ラハール「・・・・・・」ハッ
雪子「だからね---」
ラハール「って貴様!信じるとか気持ちの悪いことを言うな!あろうことかこの俺様に対して・・・!」
雪子「」
ラハール「大体貴様---」
雪子「あははは!出た、久々にラハール君のひねくれ!」
ラハール「わ、笑うな!アホか!」
雪子「ふふっ、ご、ごめん・・・けど、ツボにハマって・・・無理・・・!ふっくくっ・・・!」
ラハール「・・・!・・・フン。変人め」
>-数分後
ラハール「・・・落ち着いたか?」
雪子「ごめんね。変なとこでツボにハマっちゃった」
ラハール「構わん。貴様が、辛い中無理をしているわけじゃなくて、本当に余裕があるということが解ったからな」
雪子「ラハール君・・・」
ラハール「(とはいえ・・・)」
雪子「もちろん気付いてるよ、私。皆が悩んだり焦ったりしていることも、そんな中で少しずつ、皆が元気を取り戻してきていることも」
ラハール「・・・・・・そうか」
雪子「だけど、私もラハール君と同感。クマ君がいないことには、やっぱり皆の元気は戻りきらない。私達は、誰が欠けてもいけないんだと思う」
ラハール「・・・・・・」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
番長「・・・そうか。わかった」
ピッ
エトナ「う~ん。やっぱり甘いものがないと私は生きていけないわね」
番長「何食べてるんですか?」
エトナ「カップケーキ。アンタも食う?三分ありゃ作れるわよ」
番長「あ、それ菜々子のコップじゃないですか」
エトナ「え、マジ?勝手に使っちゃ不味かった?」
番長「・・・いえ、いいです。エトナにさんに使われるんなら、菜々子も怒らないでしょうし。けど、次からは客用のを使って下さい」
エトナ「ふ~ん。ま、いいか。それよりアンタ、誰と電話してたの?」
番長「天城です。今から、天城とラハールがウチに来るって」
エトナ「雪子ちゃんと・・・殿下が?何か意外な組み合わせね」
番長「そうですか?二人は、特に仲良い方だと思いますけど」
エトナ「え?・・・・・・そうなの?」
番長「知らなかったんですか?気になります?」
エトナ「は、はあ!?気になるってアンタ・・・な、何言ってんのよ」
番長「え、いや、別に・・・エトナさん、天城と仲良さそうだから。気になるのかなって」
エトナ「・・・!・・・番長、正座」
番長「え、いや、なんで急に」
エトナ「いいから正座」
番長「あ、はい」
>-・・・・・・
ラハール「・・・?」
雪子「・・・?」
番長「やあ」
ラハール「何故貴様床に正座しとるんだ?」
雪子「何かあったの・・・?」
エトナ「別に何でも無いのよ。気にしないで」
ラハール「・・・まあいい、それよりエトナ、この俺様が来てやったのだぞ。さっさと何か暖かい飲み物でも出せ」
エトナ「・・・?」
番長「・・・?」
エトナ「今までそんな面倒なこと言ったことも・・・あ、寒いから雪子ちゃんを気遣ってる訳ですか?」
番長「あぁ、そういうことか」
ラハール「ふっ、ふざけるな!俺様が飲みたいだけだ!」
エトナ「ま、良いですよ。雪子ちゃんにココアでも淹れたげます」
ラハール「・・・全く・・・!」
番長「ところで、話って?」
ラハール「・・・貴様その体勢のまま話をする気か?別に構わんが・・・」
番長「二人はこたつにでも入っててくれ」
>-・・・・・・
エトナ「はい雪子ちゃんココア。殿下には、ぬるくした水」
雪子「ありがとエトナさん」
ラハール「・・・・・・・・・」
エトナ「っていうか番長いつまで床に正座してんの?アンタもこたつきなよ」
番長「あ、はい」
エトナ「う~~寒い。魔力が少ないと体温調整も面倒ね~~」
雪子「暖かい格好すればいいのに」
エトナ「ごわごわした服着んのは苦手なのよ」
ラハール「・・・・・・俺様は一昨日から、クマの捜索をしている」
雪子「・・・」
エトナ「クマの捜索って・・・アタシだってしてますよ。別に殿下に命令されなくても、走り回ってます。今日も午前中は走りっぱなしでした」
ラハール「人間界でではない。もちろん、テレビの中の世界とも違う」
エトナ「えぇ?」
ラハール「人間界では貴様が、テレビの中の世界ではりせが、毎日諦めずに探し続けているが・・・クマの奴は見つからん」
番長「そのどちらでもない・・・もしかして、夢の世界か?」
ラハール「・・・察しが良いな」
エトナ「夢の世界?」
ラハール「貴様もベルベットルームの住人だった頃に、俺様が眠っている間に部屋に呼びつけたことがあっただろう?」
エトナ「ありましたね」
ラハール「人間界にもテレビの中の世界にもいないのなら、もしかしたらクマは夢の世界に行ったのではないかと思ってな」
エトナ「・・・・・・けど、どうやって?」
ラハール「解らん。それに、そもそも夢の世界に行ったのかもしれんというのも、俺様の勘に過ぎん」
雪子「・・・そっか、だからラハール君は・・・」
ラハール「・・・・・・本当は、このことを誰かに言うつもりはなかった」
雪子「・・・」
ラハール「夢の中の世界を探し回るのは、夜から朝にかけて、普段は眠っている時間にやっている。体は横になっているが、脳が動き回っているから、まともな睡眠には程遠い。何の当ても無い事に力をかけても、良いことはないかもしれん」
番長「・・・だから、一人でやるつもりだったのか?」
ラハール「・・・・・・ああ、だが、夢の世界は凄まじく広い。今朝は、本当にこれで良いのかと悩んだりもした」
エトナ「(・・・殿下がねえ。昔は面倒なことは誰かに押し付けるような奴だったのに。ま、人間界での殿下はちょっと違うか。悪魔の私達と違って、人間なんてちょっと無理させりゃ死んじゃうもんね・・・)」
エトナ「・・・って、あれ?夢の世界を探し回るって、殿下にそんな器用な真似が出来るようになったんですか?いつのまに?」
ラハール「ペルソナを得てからだ。ベルベットルームはそもそも、夢と現実の狭間にある。ベルベットルームが俺様の夢に出現してくるということは、完全に夢の世界に【在る】ことも出来るのではないかと思ってな。案の定、悪魔の魔力とペルソナの力をうまくあわせれば、夢の世界に俺様が意識を保ったまま潜り込むことが出来た」
エトナ「なるほど・・・けど、かなり疲れそうですねそれ。慣れない力の使い方はするもんじゃないですよ」
ラハール「・・・まあ、そうだな」
>-・・・・・・
:::【夢の世界・クマの夢】:::
クマはゆっくりと消えていくだけだったクマ。
少しずつ、自分がなくなっていく。これが死ぬっていうことなんだと、思っていたクマ。
たださようならを繰り返しながら、クマがなくなっていく。
ラハール「フンッ!!」バキッ
クマ『・・・・・・・・・ラハール・・・?』
ラハール「おい、帰るぞ」
クマ『・・・・・・もうクマは、皆と一緒にはいられないクマよ・・・』
ラハール「貴様の都合など知るか」ガシッ
クマ『・・・・・えぇ~~・・・?』
ラハール「話がしたければ他の奴等としろ。貴様が遠すぎるところにいたせいで・・・俺様にはもう時間が無い」
無理やり引っ張られて行って、クマは少しずつなくしていった自分を、一気に取り戻したクマ。
これが生きるっていうことなんだと、クマは思ったんだクマ。
>-事の顛末はこうだ。
:::【堂島家】:::
番長「俺も連れて行ってくれないか?一緒にクマを探そう」
ラハール「・・・そう言い出すだろうと思っていたから、誰にも話さなかったのだ」
番長「じゃあ、話してくれたってことは、そう言われても良いと思いなおしてくれたからなんだろ?」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「アタシはあんまり、賛成出来ないわね」
番長「どうしてですか?」
エトナ「ほんの二日で殿下がこんだけ弱ってるんだから、相当疲れるもんのはずよ。夢の世界を探し回るのって」
ラハール「・・・」
エトナ「それに、アンタを連れて行く時に殿下にかかる負担も未知数。人を増やしたら消耗だけ増えて、手は大して増えないなんてことも在り得るわね」
>-俺様が考えていたことも、エトナと同じだった。
>-クマが見つかる保障がないことはともかく、闇雲に労力を費やすとしても、そもそも人手を増やすことに意味がないかもしれなかったのだ。
雪子「私を連れて行って」
エトナ「・・・雪子ちゃん、話聞いてた?」
雪子「うん。だからまずは試してみて、ラハール君一人でやるほうが効率が良いのか、それとも、誰かと一緒のほうが効率が良いのか、それを調べた方が良いと思うの」
ラハール「・・・しかし、半分悪魔の体を持つ俺様でさえ、自力で夢の世界を動き回るのは大変だ。貴様等人間がそれをやろうとしたら、どれだけの苦労が伴うかわからんぞ」
雪子「だから、まずはそれを試そうよ。私は私で、試してみたいこともあるし」
ラハール「・・・」
エトナ「・・・どうします?」
>-結局、俺様もエトナも天城の熱意に負け、まずは天城を連れて行って試すことにした。
:::【夢の世界】:::
天城『・・・・・・なんだか、ふわふわしてるね・・・』
ラハール「貴様を引っ張ってくるためにかなりの力を使った。余程の成果がなければ、この方法では駄目だな」
天城『・・・・・・スメオオカミ・・・!』
>-カッ
天城『・・・・・・出た・・・!』
ラハール「ペルソナ・・・しかし、そんなものを出してどうする気だ?」
天城『・・・・・・りせちゃんを呼ぼう・・・』
ラハール「久慈川を?」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
ラハール「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
エトナ「あ、起きた。どうでした?」
ラハール「番長・・・はぁ、はぁ・・・・・・久慈川を・・・呼べ・・・」
番長「りせを?」
ラハール「もしクマの馬鹿が夢の世界にいるとしたら、この方法で・・・確実に見つかる・・・」
エトナ「(殿下疲れすぎなんじゃ・・・このままやらせて良いのかしら?)」
>-天城が試したかったことは二つあった。
>-一つは、俺様一人で探し回ったほうが効率が良いのか、誰かを連れて行ったほうが効率が良いのか。
>-もう一つは、番長のような特殊な力を持つ者でも、エトナのような悪魔の体を持つ者でもなく・・・
>-【普通のペルソナ使い】が、夢の世界でペルソナを呼べるのか。
>-そして、普通のペルソナ使いが夢の世界でペルソナを呼べるのなら、探索に特化したりせのペルソナを使って、クマを探そうと考えていたのだ。
>-・・・・・・
バチバチバチバチッ
クマ「クマーーーーーー!!!??」
ドサッ
クマ「グマ!・・・あ~~、痛いクマ。何がどうなってるクマか?」
完二「そ・・・それを聞きてぇのは・・・こっちだ馬鹿野郎!!」
りせ「・・・い、今まで何やってたのよ!バカ!バカグマ!」
直斗「・・・・・・・・・良かった」
千枝「クマ君・・・クマ君だ・・・!」
>-仕事中で連絡がつかなかった陽介以外の全員が、集まっていた。
>-・・・・・・全く、暇な奴等だ。
>-・・・。
>-・・・・・・・・・。
クマ「皆・・・センセイ・・・」
番長「おかえり、クマ」
クマ「センセイ・・・クマは、クマはナナチャンを助けられなかったクマ・・・・・・!」
番長「菜々子は生きてるぞ」
クマ「ホ、ホントクマ!?!?」
エトナ「あの子がそう簡単に死ぬ訳ないでしょ」
クマ「・・・そ、それは良かったクマ~~・・・!」
番長「・・・」
クマ「・・・・・・ケド、やっぱりクマは皆と一緒にはいられないクマよ」
番長「何でだ?」
クマ「クマは、クマの正体を知ってしまったクマ」
番長「クマの正体?何だったんだ」
クマ「クマは、ただのシャドウだったんだクマ。一つのシャドウが、偶然意志を持って、人間を知って、人間になりたくて・・・人間の格好をしてみた。それがクマだったんだクマ。クマには過去や記憶なんて最初からなかった。何も無いのが、クマだったんだクマ」
番長「へえ」
クマ「へえってセンセイ、反応が冷たいクマよ!?クマは、皆をずっと傷つけてきたシャドウ達の仲間だったんだクマ!!」
番長「あ、うん・・・それで、どうしてクマは俺達と一緒にいられないんだ?」
クマ「ど、どうしてってセンセイ・・・」
直斗「というか、大体クマ君の正体はそんなところだろうなという予測はありましたよね」
千枝「うん」
りせ「今さらそんなこと気にする奴いるわけないじゃん。何言ってんの?」
クマ「皆・・・クマがシャドウでも、気にしないでいてくれるクマか?」
完二「当たり前だろ。つうか、俺等にゃ魔王がついてんだぜ?今さらお前がシャドウだろうがなんだろうが、そんなこと気にするかよ」
>-・・・・・・フン。
クマ「皆・・・!」
番長「まあ、おかえり。話は変わるけど、実は今俺達、犯人探しを続けているんだ」
クマ「おぉう、センセイの冷たい反応も懐かしいクマね。って・・・ハンニン?ハンニンはもう捕まえたクマよ?」
番長「生田目は、山野アナや小西先輩を殺した犯人じゃなかった。もう一人、テレビに人を放り込んでいた犯人がいたみたいなんだ」
クマ「クマがいない間にそんなことに・・・よ~し、こうなったら帰ってきたプリチークマの力を発揮してさくっと見つけてやるクマ!」
雪子「・・・み、皆・・・・・・ラハール君が・・・!」
>-・・・・・・それからの俺様の意識は、途切れ途切れだ。
>-夜
:::【陽介の部屋】:::
>-慣れない環境で力を使いすぎたことによる極度の疲労と、知恵熱のようなものが重なったのだろう。
>-俺様は寝込んでしまったのだ。
>-12/11(日)
>-超魔王であるこの俺様ですら、大きく包み込まれてしまうような感覚。
>-俺様に触れている手から感じるものだ。
>-こんな気配を発せる奴は、人間界には一人ぐらいしかおらん。
>-貴様はつくづく、人間離れした奴だな。
>-番長。
>-安心しながら、俺様は深い眠りに落ちた。
>-12/12(月) 放課後
>-やや頼りない。
>-しかし、それを補って余りある、強い感情。
>-少しの怒りと・・・どこぞのアホ天使が好きそうな感情。
>-これが誰の手なのかは、考えるまでもないな。
>-貴様に黙って無茶をしたから、怒っているのか?
>-陽介。
>-少しだけ申し訳なさを感じながら、俺様は深い眠りに落ちた。
>-12/13(火) 放課後
>-昨日までの二人とは、明らかに違う質の手だ。
>-やわらかいが、確かな力強さを感じる。
>-しかし、俺様に嫌悪感は微塵もない。
>-とすれば、一人しかおらんな。
>-里中。
>-こんなことを言ったら、貴様は怒りそうだな。
>-心の中で微笑んでから、俺様は深い眠りに落ちた。
>-12/14(水) 放課後
>-不思議だ。
>-もっと嫌悪感があるだろうと思っていたが。
>-慣れというのは怖いものだな。
>-後悔と心配が入り混じった感情を発しているその手が触れている時間は、他の奴等の手が触れていた時間より長かった気がした。
>-天城。
>-貴様が責任を感じることはないぞ。
>-久慈川が示した、俺様とクマとの距離。
>-クマとの距離が離れすぎていた時には、既にこうなることは解っていた。
>-こうなると解っていて、俺様が勝手にやったことだ。死にはしないのだから、別に良いと思ってな。
>-とはいえ、貴様が無駄に悔やんでいたら、きっと里中がなんとかするだろう。だから、心配はしてやらんぞ。
>-奴も、それなりに上等な人間になったからな。
>-12/15(木) 放課後
>-でかい手だ。
>-番長とは違う意味で、大きい。
>-人間共の中で、一番の成長を見せたのは貴様かもしれんな。
>-少なくとも、陽介あたりと良い勝負だろう。
>-完二。
>-直に言ってやる気は全く無いが、貴様は貴様が思っているより強いぞ。
>-あまり自分を過小評価するな。
>-その日から、寝ている俺様の隣には、一つの編みぐるみが置かれた。
>-12/16(金) 放課後
>-・・・・・・やはり慣れんな、貴様に触れられることだけは。
>-直前まで一緒にいたから、天城の次に責任を感じているようだ。
>-駄目な人間共だ。
>-どう考えても、俺様が勝手にやったことだというのにな。
>-久慈川。
>-手から伝わってきた気持ちは、少し後悔していた。
>-しかし、すぐに前向きな気持ちに切り替えたようだ。
>-そうだ。それでいい。
>-12/17(土) 昼
>-・・・クマクマうるさいぞ。
>-手は・・・っておい、これ着ぐるみの手ではないか。
>-まあいい、おれ様が抜けたせいで、ジュネスでの仕事が貴様に勢い良く降りかかっているはずだ。
>-調度良い。
>-貴様がいなかった間の俺様への借りは、今の内に返しておけ。
>-クマ。
>-何を悩んでいたのか知らんが、いい加減気付け。
>-俺様達の中には、もう、つまらんことを気にするような小さい人間はいない。
>-夕方
>-久慈川並みの嫌悪感だ。
>-意外と貴様がムチムチだったと、エトナが言っていた話は本当だったようだな。
>-今、誰よりも迷いのない手だ。
>-こんな冷静さを持っているのは、貴様だな?
>-直斗
>-後ほんの少しだけ待っていろ。そろそろ俺様も、また貴様等に力を貸してやる。
>-・・・・・・
>-四日前から、俺様は深い眠りに落ちなくなった。
>-その必要がなくなったからだ。
>-俺様は、順調に回復し続けていた。
>-その四日前から、俺様は気付き始めた。
>-朝も、昼も、夜も問わずに、俺様に付き従う手があることに。
>-その手は、水さしのようなもので、ぬるい水を俺様の口に運んだ。
>-その手は、熱くなりすぎた俺様の額を冷やすために、何度も冷えたものを額に乗せてきた。
>-その手から伝わってくる感情は、誰よりも広く、誰よりも深かった。
>-一体、誰の手なのか。
>-それだけが、わからなかった。
>-・・・フロンか?
>-こんなに俺様に従順な手が、他にあるとは思えん。
>-こんなに優しい手が、他にあるとも思えん。
>-12/18(日) 朝
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「・・・・・・」
>-目が開く。
>-体が動く。
>-それだけではない。
>-寝ていても感じる程の、圧倒的名充実感。
>-こんな感覚は、人間界では中々味わえない。
>-全快の魔力と、今までに無い気力。
>-今の俺様なら、どんなシャドウが相手でも、まるで負ける気がしない。
>-俺様は体を起こした。
ラハール「・・・何故だ・・・!」
>-俺様はどうやら、陽介のベッドで寝ていたようだ。
>-そのベッドに寄りかかる様にして、アホ面をさらして眠りこけている奴がいた。
ラハール「何故貴様が・・・!」
>-そいつは目の下に大きな隈を作り、力尽きたように眠っている。
>-ふと、陽介の勉強机に目をやると、一枚の【色紙】と【手鏡】が置いてあった。
ラハール「・・・・・・」
>-ベッドから出た俺様は、【色紙】を手に取った。
『案外、貧弱なんだな。お前の体』 番長より
>-・・・・・・・・・
>-・・・・・・・・・
>-こいつは無理矢理魔界に引っ張っていって、家来にしてやるとするか。
>-風邪をひくまで不眠不休でこき使ってやろう。
>-うむ、それがいい。
『お前の憎まれ口がねえと、どうも調子が出ねえ。さっさと元気出せ』 陽介より
>-・・・・・・ドMか?
『早く起きて、一緒に肉食べよう肉!!』 千枝より
>-力尽きてぶっ倒れて、数日間飯抜きで、いきなり肉が食えるか。
>-全くどいつもこいつも・・・
『ラハール君へ』
『私は、ラハール君が無理をしているって解っていながら、それでもラハール君を止めなかった。』
『私の心配なんかより、ラハール君の気持ちを優先したかったから。』
『後悔はしていません。けど、次に同じことをしようとしたら、私はラハール君を止めるからね。』
『今は、一日も早い回復を祈っています。』 雪子
>-・・・フン。長いわ馬鹿者。
『うおおおお!ラハール先輩起きろおおおお!』 完二
>-意味がわからん。
『りせちー ラハールへ』 久慈川りせより
>-な、なんだこれは?変な字だが、サインのつもりか?こいつも意味がわからんな。
『クマ』 クマ
>-・・・・・・字が歪みすぎだ。
>-そうか。こいつはまだ、まともに読み書きが出来んのだな。
>-頑張って覚えた字だけを、ここに書き込んだということか。
『前略 失礼いたします。』
『お体の具合、いかがでしょうか。』
『本来ならば、連日お見舞いに伺いたいところではありますが、訓練のためなかなか思うにまかせず、目を覚まされた時にお見舞いを申し上げたく筆を取った所存であります。』
『お元気な貴方のことですから、じきに回復されることとは思いますが---』
>-長い長い長い!読む気が失せる!一人だけ趣旨が違う!
>-・・・一応、後で全部読んでおいてやるか。
『再び飛べ!闇を駆ける王(キング)よ!』 詩人(ワードメイカー)より
>-・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
>-俺様は【色紙】を置き、【手鏡】を見た。
『さっさと起きて下さいよ 殿下』
>-とてつもなく読みにくい字だ。
>-その字は、俺様の額に書かれている。
>-俺様が鏡で見るということを考えていなかったのだろう。
>-鏡で見た限りでは、左右が逆になっている。そのせいで、とてつもなく読みにくい。
>-名前は書かれていないが、どこの誰が書いたのか、これ以上解りやすいイタズラ書きはないな。
>-・・・・・・全く・・・どいつもこいつも・・・!
ラハール「おい、起きろ!腹が減った。飯にするぞ」
>-その声に反応して、眠りこけていたアホ面は飛び起き、見慣れたバカ面に変貌した。
>-いつの間にか目の下の隈は消え去り、口元には、よく見慣れた、人を小ばかにしたような薄笑いが張り付いている。
エトナ「りょーかい」
>-・・・・・・
:::【???】:::
>-まだ来ないのかなあ?
>-いくらなんでも、もう気付いてるだろ?
マガツイザナギ『・・・・・・』
>-まあ、来ないなら来ないで、別に良いけどね。
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
シシリー「死神シシリーの、今日のブッタKill♪」
フロン「え、死神さんだったんですか?」
シシリー「今日のターゲットはエトナ!最近人間界で暴れている色魔よ!」
フロン「あ、やっぱり」
エトナ「ちょっと」
シシリー「色魔エトナは私のお兄ちゃんに目を付けたみたい!大変!お兄ちゃんが毒牙にかかる前に、エトナを始末しなきゃ!」
エトナ「ねえ、ちょっと」
シシリー「次回!【死神シシリーの一話一殺!】!第四話、【色魔一殺の巻】!」
エトナ「誰が色魔よ誰が!」
フロン「い、良いから逃げて下さいエトナさん!」
エトナ「え?」
フロン「シシリーさん、目が笑ってないんです」
シシリー「来週も、逝っくよ~♪」
>-NG集
>-① バカグマ
クマ「あ、字間違ったクマ」
りせ「ちょ、ちょっと!私達の分また書き直しじゃない!いい加減にしないよバカグマ!」
クマ「おぉう、Sorry・・・」
りせ「いい発音で誤魔化しても駄目!次はクマから先に書きなさいよ!」
番長「というか、書こうとしてる内容が長すぎるんじゃ・・・もうこれだけで良いだろ」
クマ「え、えぇ~?これだけじゃ意味わかんないクマよ」
番長「伝わるさ。字に、クマの気持ちを全部込めれば良い」
りせ「私の気持ちを全部込めて書いたサインは、クマに三回も台無しにされてるんだよねぇ~・・・!」
クマ「ハイ、スミマセン。センセイの言うとおりにするクマ」
>-NG集
>-② 王妃(クイーン)
エトナ「アンタ相変わらずみたいね。よく寄せ書きにそんなの書けるわ」
マリー「フフフ・・・王(キング)に寄り添う君は、さしずめ献身な王妃(クイーン)ってとこかナ」
エトナ「言って良い冗談と悪い冗談があるわよ?アンタ一人消し炭にする魔力ぐらい、いつでも取っといてあるんだからね」
マリー「ちょ、ただの詩的表現(ジョーク)じゃん」
番長「詩的表現(ジョーク)(笑)」
>-NG集
>-③ 油性
ラハール「エ、エトナ貴様!!これ、貴様が書いたこれ、油性のマジックで書いただろ!」
エトナ「え?そりゃそうですよ。水性で書いたりしたら、冷えピタ換える時に消えちゃいますからね」
ラハール「ふざけるな!!消せ!!」
エトナ「ヤですよだるいし。一人で無茶した罰です。しばらくそのままでいて下さい」
今回はここまでです。
>>596 乙ありです。そのうち1~4まで全部まとめたコンプリートボックスみたいなの出てくれませんかね?PS4とかでも良いんで。全部1~4、D2やりこみましたけど、それぞれハードが違うから久々にやろうと思っても引っ張り出すのが面倒で・・・
>>597 姫は本来頭は良いので、まともな人に教われば上達は早いんじゃないかと思ってます。
>>598 臭いスイーツ。魔界にはありそうですね。エトナは食べなさそうですけど。
乙ー
エトナが色魔だって?HAHAHA色魔というにはあまりにも見た目が(ry
なんかエトナがヒロインみたいやな
フロンちゃんまだ?
更新します。
>-・・・・・・
:::【陽介の部屋】:::
ラハール「陽介とクマはどうしているのだ?」
エトナ「今は番長んちに泊まってますよ。アタシと入れ替わりで」
ラハール「・・・そうか」
エトナ「ゆっくり食べて下さいね。かっこんでお腹壊しても知りませんよ?」
ラハール「アホ。そんな柔な体ではない」
>-・・・魔力がないだけではなく、この人間界と魔界とでは様々な環境が異なる。
>-空気。重力・・・・・・家来共に何もかもやらせれば良い魔界とは違って、自分でやらなければならないことも多い。
>-多少腹が立っても、文句を言っても何も変わらんことや小さいことは、どうでも良いと思って黙っていた。
>-正直・・・ここにいるのが楽しかったからだ。
>-・・・四月までと言わず、事件を解決してしまったら・・・もう魔界に帰るか。
ラハール「・・・エトナ」
エトナ「はい、なんです?」
ラハール「・・・いや」
>-そもそも、こいつは人間界にいたくても、菜々子や菜々子の親父が元気になれば・・・いるところを失う。
>-こいつを一人だけで魔界に帰す訳にもいかんな。
>-・・・奴等には悪いが、事を解決してしまえば、俺様がここにいなければならない理由もなくなる。
>-・・・とはいえ、やるべきことはやらなければならんが。
ラハール「事件のことだが、俺様が寝てる間に何か進展はあったか?」
エトナ「その話ですか・・・ええ、ありましたよ。進展」
ラハール「聞かせろ」
エトナ「まあ、はっきり進展って言えるほどでもないかもしれませんが・・・番長が決心しました。足立を問い詰めるって」
>-昼
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「動いて大丈夫なのか?今朝起きたばっかりなんだろ?」
ラハール「貧弱な貴様等と一緒にするな。大体、この異常事態に、そんなことを言っている場合ではないだろう」
>-・・・異常事態だ。
>-霧が濃い。
>-濃すぎる。
>-眼鏡をかけていなければ、俺様の歩幅で言って二歩先が、霧でほとんど見えない程だ。
陽介「本当に大丈夫なんだろうな?」
ラハール「・・・しつこいぞ」
陽介「しつこく言わせて貰うぜ。お前が一人で無茶したのは、今回がはじめてじゃないんだ」
ラハール「・・・・・・」
クマ「ラハール・・・」
陽介「・・・・・・クマが心配だったってのはわかるし、俺等ん中で、クマのことを心配してなかった奴だっていなかった。けど、だからってお前が無茶して、お前に何かあったら、本末転倒なんだよ」
ラハール「別に、無茶などしとらん。死ぬことはないから問題はないと、ちゃんと判断してやったことだ」
陽介「死にゃしないからってなあ・・・!」
エトナ「もう良いっしょ。殿下が自分勝手なのは、今に始まったことじゃないし。さすがに殿下も、倒れたりしたらアンタ等が凄く心配してくれるって解っただろうから、もう無茶しないと思うわよ」
陽介「けどエトナさん・・・!」
番長「俺もエトナさんに賛成だな。クマは帰って来られたし、しばらく倒れてたけどラハールも無事。ラハールが俺達のために体を張ってくれる時は、いつも結果が伴ってる。そのラハールが、もう大丈夫だって言ってるなら、大丈夫だろう」
ラハール「番長・・・・・・って、誰が貴様等のために体なんか張るか!こ、今回だって俺様は・・・」
>-・・・・・・。
>-・・・・・・・・・・・・。
エトナ「お、ついに言い訳を考えつかなくなってきたわね」
直斗「もう素直に認めてくれても良いんじゃないしょうか?」
エトナ「それが出来ないのが殿下なのよ」
ラハール「くっ・・・!・・・だ、大体、貴様等なんぞがこの俺様を心配するなど一万年早いわ!」
エトナ「や、殿下もそんなに長く生きてないでしょ」
ラハール「ぐ・・・!」
完二「なんか今日のラハール先輩、エトナさんに言い返さねえな」
りせ「さすがにバツが悪いんじゃない?エトナさん、この一週間ずっとラハール先輩に付き添ってたんでしょ?」
完二「あ~」
ラハール「うるさいぞ貴様等!!」
エトナ「りせちゃ~ん?余計なこと言わない」
りせ「は、は~い」
陽介「・・・番長やエトナさんの言う事も最もか・・・」
ラハール「貴様に黙ってクマを助けに行ったことは・・・その・・・悪かったな」
陽介「いや、それは良いよ。事情は番長達から聞いたし」
雪子「おかえり、ラハール君」
ラハール「・・・ああ」
>-・・・こいつはもう、肝が据わってきたようだな。
千枝「おかえり、ラハール君」
ラハール「あ・・・ああ」
クマ「おかえりラハール!!」
ラハール「やかましい!いい加減にしろ!!」
クマ「ひ、ひどいクマ!おかえりぐらい言わせて欲しいクマ!」
ラハール「・・・・・・クマ、貴様何故あんなところにいたのだ?」
クマ「わかんないクマ・・・ナナチャンが死んじゃったと思って・・・クマは悲しくて・・・気がついたら、クマがなくなってしまいそうな世界にいたクマ」
番長「(・・・・・・ということは、【前回】失踪して、その後行方がわからなくなったクマは・・・)」
ラハール「・・・」
番長「(いや、大事なのは今だ)」
ラハール「番長、エトナから聞いたが、貴様が心当たりのある人間を・・・問い詰める気になったと・・・」
番長「ああ」
直斗「・・・」
番長「俺個人としては、足立さんが犯人のはずがないと思う。足立さんはそんな悪い人じゃないと・・・けど、足立さんになら全てが可能だったはずなんだ」
>-足立・・・俺様自身にあまりそいつと関わった覚えはないが、番長が疑いたくないと思うような人間だ。
>-そう悪い人間ではないと、思いたいものだが・・・。
番長「山野アナや小西先輩を殺害して・・・俺達の動向を把握して、俺宛の脅迫状を作って・・・色々考えた今でも、動機は全くわからないけど、疑うからには、足立さんが犯人だった場合のことを考えて行動したいと思う。それで、ラハールが元気になるのを待っていたんだ」
ラハール「・・・そうか」
直斗「僕と番長先輩で話し合った、足立さんを問い詰める機会の設け方ですが・・・足立さんは毎週日曜日の午後二時半頃に、堂島さんのお見舞いのために病院に顔を出しています。そこで問い詰めようかと」
ラハール「・・・日曜日、調度今日か」
直斗「はい」
ラハール「見舞いに、と言ったな。病室で話を聞くのか?」
直斗「いえ・・・病院の一階、受付前で問い詰めようと考えています」
番長「足立さんが仮に犯人だったとすると、問い詰めている間に逃げ出される可能性がある。その可能性を、極力排除したい」
ラハール「・・・一階か、入院棟に逃げ込まれると面倒だな。犯人だった場合、テレビの中の世界に逃げられるかもしれん。入院棟にあるテレビの数は計り知れんぞ」
直斗「ええ、ですから、足立さんが一階の出口付近まで移動したところを見計らい、僕らが、足立さんから見て入院棟側に立って、質問を開始しようかと」
ラハール「立ち位置で逃げ道を塞ごうということか。外はどうするのだ?一度外に逃げられれば、車でも使われると面倒だぞ」
番長「入院棟側には、俺と直斗とラハールが、出口側には、今言った三人とエトナさんを除くメンバーに立って貰おうと思ってる」
ラハール「・・・エトナを除く?何故だ?」
番長「足立さんは刑事だから、常日頃拳銃を携帯してる。銃を向けられて、人質とかを取られて、俺達に動かないことを要求して、そのまま外に逃げられる危険を考えると・・・病院の外で待ち伏せして、足立さんの隙を付く伏兵が必要だ」
ラハール「・・・それを、エトナに任せようということか」
番長「ああ。幸い、病院の玄関から出たすぐ外には、しゃがめば充分隠れられる茂みがある。エトナさんにはそこに潜んでて貰う」
ラハール「・・・・・・駄目だな」
番長「え?」
ラハール「人質を取られた場合を想定するなら、外だけではなく、入院棟側に逃げ込まれて、テレビの中に入られることも警戒したほうが良い」
番長「・・・確かにそうなんだけど、そのことの対策を敷くというのがあんまり現実的じゃない。入院棟側に逃げられた場合は、こっちのメンバーが隠れておけるような場所が無いんだ」
ラハール「犯人の立場に立って考えてみろ。入院棟側に逃げた場合、それはもう犯人が人目を何も気にせずにテレビの中に入ろうという時だ」
番長「・・・」
ラハール「その場合に犯人が逃げ込むテレビは、予測出来る。一階のナースステーションにある大型テレビだ」
直斗「ナースステーション・・・ですか?」
ラハール「入院棟には、確かにテレビは数え切れない程ある。普通の患者用の入院室には、それぞれの患者が入院するベッドごとにテレビが置いてあるからな」
直斗「・・・ええ」
ラハール「だが、人が通るのに充分な大きさのテレビとなれば話は別だ。テレビ自体は数え切れない程あるが、ほとんどが小さいからな」
直斗「・・・」
ラハール「そして、人質を取って入院棟側に逃げた場合・・・犯人にとっては、人が通れる大きさのテレビを探す時間も惜しんで、さっさとテレビの中の世界に逃げたい時、犯人は間違いなく一階のナースステーションに向かう」
番長「・・・・・・そうか」
ラハール「そこは、菜々子の父親を見舞いに行く時に必ず通る場所だ。そして、見舞い客の正式な手続きを踏むために、名前や年齢、見舞い先などを書かされる。その時に、一度は絶対目にしているはずだからな。どう見ても、人が通るのに充分な大きさのテレビを」
番長「・・・ああ、そうだな」
陽介「け、けど、何でお前すぐにそんなことまで考えつくんだ?」
エトナ「そりゃ決まってるでしょ。毎日のように菜々子ちゃんのお見舞いに行ってたからよ」
ラハール「おい、エトナ。うるさいぞ」
番長「・・・でも駄目だな。やっぱり問題がある。それが予測出来たからと言って・・・誰かが隠れて待ち構えられるような場所がない」
直斗「そうですね」
ラハール「騙す。欺く。誤魔化す・・・・・・そして隠れる。そういうのが死ぬほど得意な奴がいる」
番長「え?」
ラハール「エトナ、ナースステーションに忍び込んで、中で働いてる奴等には見つからないように潜んでおけ」
エトナ「りょーかい」
ラハール「もしもの時は飛び出して犯人を取り押さえろ。腕の一本ぐらいなら、へし折っても構わん」
エトナ「あいよ」
番長「・・・大丈夫ですか?見つからないようにって・・・」
エトナ「ん~・・・多分」
番長「多分って・・・」
ラハール「安心しろ。そういうことをやらせたら、そいつは魔界一だ」
エトナ「魔界一かどうかは知らないけど、まあ、任せなよ」
番長「・・・わかりました」
ラハール「かわりに、玄関の外で待ち構えるのは里中、貴様がやれ」
千枝「あ、あたし?」
ラハール「相手はまがりなりにも刑事・・・何かしら体術の心得があるかもしれん。そんな奴を素手で取り押さえられるのは貴様ぐらい・・・」
完二「俺だって、そんぐらい出来るっスよ」
ラハール「アホか。貴様は茂みに隠れるにはでかすぎる」
千枝「・・・わかった」
陽介「お、おい、一人で大丈夫かよ?何なら、俺も外で・・・」
千枝「・・・いや、もし犯人だったら、あたし達の人数とかを把握されてるんでしょ?目に見えるメンバーが少なすぎると、変に警戒させちゃうかも」
陽介「・・・・・・そうか」
雪子「・・・・・・」
直斗「・・・・・・」
ラハール「天城、直斗、何か異論はあるか?」
直斗「・・・いえ、僕からは特に」
雪子「私も、これで良いと思う」
番長「・・・決まりだな」
ラハール「ああ」
>-・・・足立が見舞いに来るという二時半までは、あと二時間か。
ピピピッ ピピピッ
番長「もしもし」
堂島『番長、俺だ』
番長「おじさん・・・どうかしたんですか?」
堂島『お前、確か足立と、個人的に仲良かったよな?』
番長「ええ、まあ・・・結構」
堂島『・・・あいつ、今日は休日出勤する予定だったんだが・・・無断欠勤したらしくてな。俺も見舞いに来た同僚から、ついさっきそのことを聞いたばかりなんだが・・・電話にも出やがらねえし、家にもいないらしいんだ』
番長「え・・・?」
堂島『何か、足立の行き先に心当たりはないか?』
番長「(・・・行き先・・・)」
番長「いえ・・・」
堂島『そうか。俺は他の知り合いにもあたってみるから、何か解ったら連絡をくれ』
番長「はい、わかりました」
ピッ
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界】:::
りせ「どこかに変な空間が出来てる・・・ような、今までこの世界で感じたことのない誰かがいるような・・・ダメ、もやもやしてて良くわからない・・・」
>-・・・足立が行方をくらました。
>-そのことが俺様達に与えた動揺は小さくなかった。
>-病院で問い詰めるために立てていた予定を崩し、俺様とエトナと久慈川はテレビの中の世界に異変がないか調査することになった。
>-もし足立が犯人だとすれば、テレビの中の世界に入っているかもしれないからだ。
>-他の奴等は人間界で、番長が思いつく限りの場所を当たってみるそうだ。
エトナ「アタシも、よくわかんないですね。」
りせ「ラハール先輩は?何か気配とか感じない?」
ラハール「・・・貴様等にわからんものが俺様にわかるわけが・・・まあ、一応やるだけやってみるか」
>-・・・。
>-・・・。
>-・・・・・・!
>-・・・これは・・・。
>-この力は・・・。
ラハール「・・・まずいぞ。こんな奴、今の俺様達三人では相手に出来ん」
りせ「え?」
ラハール「一度戻るぞ」
>-・・・。
>-・・・ここに向かっている・・・?
ラハール「いかん、急げ!」
>-夕方
:::【ジュネス・フードコート】:::
クマ「アレ?ラハール達はどうしたクマ?」
番長「まだ戻ってないのか?」
陽介「ああ・・・テレビの中に行った三人共、まだ戻ってないんだ。りせにも連絡つかなくて」
千枝「何かあったのかな?」
雪子「な、何かって・・・?」
完二「とにかく!話してる場合じゃねえだろ。番長先輩も戻ってきたし、俺等もさっさとあっちに行こうぜ」
直斗「そうですね」
番長「・・・・・・行こう」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・3F】:::
りせ「ん・・・・・・ここは・・・」
ラハール「こんなところへ引きずり込んで、一体どういうつもりだ」
???「・・・」
エトナ「殿下、下がって!」
りせ「二人とも・・・一体・・・?」
ラハール「・・・・・・貴様は一体何だ?どういう存在だ?」
>-・・・こいつはおそらくシャドウではない。
>-規格外すぎる。
>-・・・わかるのはそれぐらいだが・・・。
アメノサギリ『我はアメノサギリ』
ラハール「アメノサギリ?」
エトナ「(殿下)」
ラハール「(・・・わかっている。せめて後2~3人戦える奴がいれば話は別だが、今こんな化け物とやりあう気はない)」
>-・・・何か打つ手を考えるのだ。
>-そのためにも、考える時間を稼がなければ・・・!
エトナ「(りせちゃん。逃げ道どっかにないか、探してもらえる?)」
りせ「(う、うん・・・わかった)」
ラハール「・・・貴様は一体、どういう存在だ?」
アメノサギリ『我は人を望みの前途へと導く者』
ラハール「は?」
>-・・・・・・
:::【テレビの中の世界・山野真由美の部屋】:::
番長「なんだこの穴・・・」
千枝「初めの頃ここに来たことあったけどさ・・・こんなのあったっけ?」
陽介「んなわけねーじゃん」
千枝「だ、だよね」
クマ「ラハール達はきっとこの先にいるクマ」
雪子「ラハール君・・・」
直斗「シャドウや、ラハール先輩達以外の誰かがいたりはしますか?クマ君」
クマ「・・・・・・わからんクマ。もうクマの鼻じゃ、そこまでは・・・けど、何か嫌な感じはするクマ」
完二「何が待ってようが行くしかねえだろ。ラハール先輩達の気配があんのに待ち合わせの時間になっても戻ってこねえってことは、きっと出られなくて困ってんだ」
直斗「・・・ええ」
番長「そうだな。行こう」
>-次回予告
>-BGM:~Long Way~
直斗「お前の罪状を確認する」
ラハール「・・・知ったことか」
陽介「勝手なこと言ってんじゃねえ!」
番長「どうして!どうしてなんですか!!」
雪子「そんな・・・・・・ラハール君・・・エトナさん・・・」
エトナ「はあ?マリーちゃんが消えた?」
足立「ただのゲームじゃん」
フロン「次回、【P4G×ディスガイアD2】。最終話、【これから】」
ラハール「・・・・・・・・・これが最後になりそうだな」
フロン「ラハールさん、お疲れ様でした」
今回はここまでです。また明日の今頃にでも。
>>630 乙ありです。エトナちゃんかわいいやないですか!まあ色魔はちょっと無理がありそうですけどね。
>>631 殿下の嫁はフロンちゃんだけど、殿下の一番の家来はエトナさんだと思うんです。フロンちゃんの活躍は・・・まあ、そうですね。次のSSかなんかで。
禍津であだっちー問い詰めるときの雪子さんはしびれる
更新します。
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・1F】:::
足立「やあ、随分遅かったね」
番長「足立さん・・・どうして・・・あなたが・・・ここに・・・?」
足立「え?どうしてって君・・・今このタイミングでここに来たんだから、もう検討ついてんだろ?生田目にも何か話を聞いてたみたいだし・・・今さら何?」
>-【前回】
>-最終日 3/20(火)
:::【八十稲羽駅】:::
足立「なんだか皆、元気無いね?せっかく君の見送りだってのに」
番長「この一年・・・いろんなことが、ありすぎましたから・・・」
足立「・・・・・・やなことも多かっただろうけど、そんなにへこまず、元気出しなよ」
番長「足立さん・・・」
足立「やなことなんか忘れてさ。気楽に生きれば良いじゃん。そのほうが楽だよ」
番長「・・・・・・はい」
足立「君なら大丈夫だって、どこへ行っても楽しくやれる。君は優秀だからさ」
番長「・・・お世話になりました」
足立「何言ってんの。まあ、こっちに来る時はまた連絡してよ。これっきりじゃ僕も、寂しいからさ」
番長「はい」
足立「堂島さんも、菜々子ちゃんが亡くなって寂しいだろうからさ。また来てあげてね」
番長「はい。また・・・」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・1F】:::
番長「・・・・・・」
足立「あら、黙っちゃうの?」
番長「・・・どうして!どうしてなんですか!!」
足立「・・・」
番長「足立さん!あなたは・・・あなたは・・・!」
足立「・・・ウザ」
番長「足立さん・・・っ!」
足立「君はもっと優秀だと思ってたんだけどな。さっさと切り替えてくれなくちゃ面白くないよ」
直斗「(・・・先輩・・・)」
直斗「・・・・・・山野真由美さん、そして小西早紀さんを殺害したのは、貴方ですね?」
足立「山野さんのは事故だよ事故」
>-足立の回想
:::【天城屋旅館】:::
山野「誰よ、アンタ。こんなところに呼び出して・・・で、重要な話って何?」
足立「ニュースでやってるの、本当ですか?アナタが不倫してるとかって・・・ウソですよね、あんなの」
山野「そんなこと、あなたに説明する必要ないでしょ?」
足立「そっか・・・否定しないんだ。目ェかけてやってたのに、こんな下らない女だったなんてな・・・」
山野「何なの、あなた・・・・・・人を呼ぶわよ!」
足立「あ~~、うるさい。うるさいうるさい黙れ」
山野「・・・!」
足立「・・・あんたさぁ、一度怖い思いして、頭とか冷やした方がいいよ」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・1F】:::
足立「まさかホントに人間が丸ごと全部入っちゃえるとは思わなくってね。ちょっと怖い思いでもさせるつもりが、丸ごと入っちゃったんだよ。ね?事故でしょ?」
雪子「事故って・・・」
足立「僕だってヤな思いしたよ。山野アナの死体が上がった時には、気持ち悪くて朝食全部戻しちゃったぐらいさ」
直斗「・・・・・・では少なくとも、山野真由美さんをテレビの中に入れた・・・その結果、貴方は気付いたはずです。テレビの中に入れられた人が死んでしまうということに」
足立「ああ、まあそうだね」
直斗「テレビの中の世界、その危険性に気付いていながら、貴方は第二の被害者である小西早紀さんをテレビに入れ、殺害した」
足立「・・・ハハ」
直斗「何が可笑しい・・・!」
足立「・・・マヨナカテレビのことは噂で聞いてたんだ。警察にはそういう胡散臭い話が集まってくるからね」
直斗「・・・?」
足立「テレビに触れて、自分の力に気付いたのは偶然さ。けどすぐに思ったよ・・・こいつは面白い事になるってね!」
雪子「面白い・・・面白いって何よ!」
>-足立の回想
:::【稲羽警察署・取調室】:::
小西「何なんですか、これ・・・事情聴取の続きじゃ」
足立「それよりさあ、昼間、見たんだよ。お前、生田目と・・・」
バンッ
足立「・・・ふうん、僕とはイヤだって?それなら、僕にも考えがあるけど?」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・1F】:::
足立「生田目には簡単に股開いといて、僕とはヤだって言うからさあ」
陽介「な・・・先輩は、先輩はそんな人じゃねえ!」
足立「それ、君の中ではだろ?」
陽介「ふ、ふざけんな!勝手なこと言ってんじゃねえ!」
足立「何だよ全く・・・僕の身にもなってよ。ちょっとしたミスぐらいでこんなド田舎に飛ばされてさあ。いきなりテレビの中に入るなんて面白い力を手にしたんだ・・・誰だって試したくなるだろ?」
陽介「そんな、そんなことで・・・先輩を殺したのか!?」
足立「それに殺したって言われてもなあ。僕はただテレビに入れただけだよ」
陽介「そういう問題じゃ・・・!」
直斗「・・・・・・生田目の連続殺人未遂。その教唆も、あなたが仕組んだことですね?」
足立「おいおい、何でも僕のせいか?違うって・・・生田目の奴は、小西って子の死体が上がった後、夜中に警察に電話してきてさぁ。まともな事件なんてないような田舎で急に二人も死んで、警察も忙しくてさ、出たの、たまたま僕だったんだよね」
直斗「(生田目は警察に相手にされなかったと供述していた・・・やはりそういうことか)」
足立「僕じゃなきゃ、頭のおかしい奴のいたずら電話だってことで相手にもしなかったんだろうけど、僕はちゃんと相手をしてやったんだ」
>-足立の回想
:::【稲羽警察署】:::
足立「今度はテレビに映った和服の女の子が殺される・・・生田目さんさぁ、そんな話、信じる人いると思うの?」
生田目『で、でも・・・本当なんです!なんとか警察の方で保護を・・・』
足立「あのねえ、そんな夢みたいな話で、警察がいちいち動くわけないでしょ。面白い話だけどさ・・・」
生田目『そ、そんな・・・』
足立「・・・そうだ。そんなに助けたいのならさ、ご自分でやったら?例えば・・・どこか、誰にも見つからない場所にかくまっておくとかさ」
生田目『誰にも、見つからない場所・・・・・・』
足立「助けてあげればいいじゃない。今度こそ・・・ね」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・1F】:::
足立「すげーよな。誤解しちゃった生田目が、よりによって僕に電話してきちゃうんだから」
千枝「それで、それで生田目に犯罪を続けさせたのね・・・!」
足立「そんなに悪いことしたかなあ。僕はちょっと背中を押してあげただけだよ。生田目が勘違いして一人でやってたことさ」
番長「・・・・・・」
直斗「・・・貴方は先ほど、面白い力を手にした・・・そう仰っていましたね。生田目に事件を継がせたことも、面白かったから・・・ということですか?」
足立「面白い、そうだね。面白かったなあ。お前等が救えば救うほど、生田目は誘拐を繰り返す・・・お互い善意でやってることなのに、事態は悪化していく。こんな面白い話は他にないよ」
完二「テメエ・・・!」
雪子「面白かったなんて・・・そんな、そんな理由で!?」
足立「悪い?僕にはそれが出来たし、それが面白いから・・・そういう理由。納得出来ない?」
雪子「納得出来るわけ・・・!」
足立「じゃあさあ、仮にお涙頂戴、そんな深刻な理由が!・・・って動機が犯人にあったら、君達は何?手放しで犯人を許せるの?」
雪子「そ・・・それは・・・」
足立「違うよねえ。なら良いじゃない別に。面白かった・・・そう、面白かったよ。友情ごっこを繰り返しながら、【事件に立ち向かう】君達を見てるのはさ」
千枝「二人も死んで・・・ここにいる誰が死んでもおかしくなかった。そんなことを、あんたは、ただの遊びでやってきたっていうの!?」
足立「ちょっと待ってよ。実際僕がやったのは、人をテレビに入れただけ。別に直接殺したわけじゃないし、後のことは生田目や君達が勝手にやってたことだろう?」
千枝「なっ・・・!」
完二「・・・もういいだろ」
千枝「完二君・・・?」
完二「話してたってラチあかねえスよ。俺等はこいつを許せねえし、こいつは素直に謝る気もねえんだ・・・ぶちのめして、警察連れてくしかねえだろ」
足立「・・・・・・ハハ、かっこいいねー」
完二「んだと・・・?」
足立「ああ、ごめんごめん。わかりやすくて良いよ。僕は面白かったからやってただけだし、君達はそんな僕が気に食わない。だから許せない。だからやっつけたい」
完二「・・・」
足立「けどさ、どうやって僕が犯人だって証明する?【人をテレビに入れました】?警察なめてんの?」
クマ「・・・ひどい奴クマね・・・!」
足立「まあ、君なら僕を突き止めると思ってたけど・・・正直、期待ハズレかなあ」
番長「・・・?」
足立「ここまできといて黙っちゃってさあ。何?僕に裏切られた気分?」
番長「足立さん・・・俺は・・・!」
足立「まあいいか。ゲームには意外性があったほうが面白い」
千枝「ゲーム・・・?ゲームって何よ!」
足立「何?ただのゲームじゃん。っていうか外野は黙っててくんないかな。君達に興味とかないからさ」
千枝「が、外野・・・?」
足立「ただ、番長君だけは別なんだよね」
番長「・・・」
足立「僕と同じ【特別】・・・ま、もう話は良いだろ?僕はほんの少しだけ深いトコロで待ってるからさ。おいでよ・・・でないと、手遅れになっても知らないよ?番長君」
ウ"ゥン
完二「ま、待てコラ!」
クマ「消えたクマ・・・この先に・・・」
番長「・・・・・・足立さん・・・」
>-【前回】
>-12/24(土) 夜
:::【堂島家】:::
足立「あー、疲れた。堂島さんが入院してると仕事増えて大変だよ」
番長「・・・お疲れ様です」
足立「菜々子ちゃんが亡くなってから、堂島さん元気になる気配無いし・・・どうなんのかな、これから」
番長「・・・・・・」
足立「っていうか、今日クリスマスだろ?僕なんかと一緒に飯食ってて良いの?君なら彼女くらいいるんだろ?」
番長「・・・一応、けど・・・そういう気分になれなくて・・・」
足立「君まで元気無いのか。まあ、仕方ないか・・・しょうがない、男二人ってのも何だけど、今日ぐらいは楽しくやろうよ。黙っててあげるから、君もビール飲みな」
番長「足立さん刑事でしょ?そんなこと言って良いんですか?」
足立「硬いこと言うなって。今時未成年飲酒ぐらい誰でもやってる。バレなきゃいいんだよ」
>-・・・・・・
番長「・・・・・・」
足立「意外と弱いんだね。なんか君、アルコールとか強そうなのに」
番長「足立さん・・・」
足立「何?」
番長「足立さんがいてくれて・・・良かったです・・・俺・・・」
足立「どしたの急に。なんかウザイよ?」
番長「足立さんがいてくれて・・・俺も堂島さんも・・・凄く励まされてる・・・そんな気・・・します・・・」
足立「そっかそっか、わかったからそろそろ寝なよ。君は随分酔ってるみたいだ。もうフラフラしてるじゃないか」
番長「・・・・・・はい・・・ありがとう・・・ございます・・・」
>-・・・足立さん・・・!
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・3F】:::
ラハール「意味がわからん。もっとわかりやすく言え」
アメノサギリ『我は霧を統べしもの。人の意に呼び起こされしもの』
ラハール「・・・貴様の目的は何だ?」
アメノサギリ『我に目的は無い。ただ使命があるだけだ』
エトナ「使命?殿下、こいつ一体・・・」
アメノサギリ『人自らが虚構と現との区別を否とした』
ラハール「人が?貴様は一体何を言っている?」
アメノサギリ『心の平らかを望めど、現実では叶わぬゆえだ・・・だから我は生まれた。人の望みを現実のものにするために』
ラハール「・・・」
アメノサギリ『私はこちらの世界を膨張させることを決めた』
>-・・・久慈川が以前言っていたな。
>-この世界が広がっていると・・・。
>-【黒幕】はこいつか・・・。
ラハール「この世界は、一体何だ?何故【ある】?」
アメノサギリ『ここは人の心の内に元よりある、無意識の海の一部。肥大した欲と虚構とによって生まれた虚ろの森』
エトナ「(りせちゃん、どう?)」
りせ「(・・・ダメ、ここは、他のところと切り離されてるみたい)」
エトナ「(・・・)」
アメノサギリ『人は、見たいように見る、生き物。真実を望まず、霧に紛れさせておきたがる・・・』
>-・・・。
アメノサギリ『にも拘わらず、人は、見えぬという事を恐れる。それが束の間、真実を欲する光となって霧を晴らし、シャドウを苦しめ、暴れさせる・・・』
>-クマがいた世界や、ベルベットルームがある世界・・・夢の世界とは、心の中の世界だ。
>-夢とは、人の心の中にある。
>-・・・・・・ここも、同じだということか。
>-人の心の影響を強く受けていたように見えたこの世界・・・それはそもそも、この世界が心の中の世界だったからに過ぎん・・・そういうことか。
>-・・・・・・だとすると、こいつの言っていることは、本当に・・・。
アメノサギリ『人は真実を求める事をあきらめ、虚構の世界を望んでいる。故に、我は全ての人をシャドウと化すのだ』
ラハール「・・・何だと?」
アメノサギリ『人はシャドウとなり、考える事も、望む事も無く、ただ闇に紛れて虚構の世界を生きる。そして世界は、虚ろの森に飲み込まれるのだ』
ラハール「勝手なことを言うな!」
アメノサギリ『これは我の望みに非ず。人全ての望みである』
ラハール「そんな訳あるか!」
アメノサギリ『人は、己の望むもの全てを手に入れ続けられるほど強くない。だからこそ我が生まれ、全ての人をシャドウと化すことになった』
>-・・・。
ラハール「人間界に出ている霧は、貴様の仕業か」
アメノサギリ『そうだ。あれもまた、世界を虚ろと化す手段の過程である』
エトナ「ムカツクわねえアンタ。勝手なこと言ってさ・・・ま、ここでアンタを潰しちゃえば良いんでしょ?」
>-カッ
エトナ「(逃げらんないみたいですよ、殿下。やるだけやるっきゃないでしょ)」
ラハール「・・・・・・そうだな」
アメノサギリ『お前達のその力も、元を辿れば我が与えた物。お前達は人の好奇をこの世界に集める良き役者であった』
エトナ「はあ?」
>-・・・マヨナカテレビ。
>-・・・誘拐。
>-・・・救出。そして、ペルソナ。
>-全て人の関心を煽り、この世界を広げるための、こいつの【手段】だったということか。
>-人の心が煽られれば煽られるほどに、心の世界であるこの世界は広がる・・・。
>-思っていた以上に、凄まじい奴だな。
>-・・・だが。
ラハール「貴様はつまらん」
アメノサギリ『何?』
ラハール「自分の可能性を、進むことを・・・諦めて、偽りの自分なんぞに縋ろうとする・・・そんな弱い、どうしようもない人間共がいることは、確かかもしれんがな・・・」
りせ「・・・」
ラハール「人間は・・・それだけではないから、面白いのだ」
アメノサギリ『・・・お前は一体、何だ?』
ラハール「フン・・・教えてやろう。俺様は、超魔王ラハール様だ!」
アメノサギリ『名前や素性等に興味はない』
ラハール「な、なにっ!?」
アメノサギリ『お前には、他の物達と同じ・・・一つの力を授けるはずだった。にも拘わらず、お前は多くの力をその身に宿している。ありえぬことだ』
>-・・・ワイルドは、こいつが意図した結果ではないということか・・・。
>-・・・まあ、今はそんなこと、どうでもいいが。
アメノサギリ『ここへお前達を呼び寄せたのは、我の予定を外れた存在、お前を葬るためだ』
ラハール「・・・エトナ、久慈川、すまんな」
久慈川「え?」
ラハール「勝てる相手ではないかもしれん・・・だが、俺様は今こいつのことが、どうしても気に食わん・・・!」
>-ペルソナチェンジ:ロキ
>-カッ
エトナ「な~に謝ってんですか?」
ラハール「エトナ・・・」
エトナ「ムカツク。だからぶっとばす。良いじゃないですか。人間界にきてから、今が一番殿下らしいですよ」
ラハール「フン・・・そうだな、行くぞ!」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・2F】:::
足立「すごいすごい。さすがにもう、そこらへんのシャドウなんか相手にしてないね」
完二「いやがったか足立。もう逃がさねえぞ・・・!」
番長「足立さん・・・」
直斗「・・・・・・先輩・・・」
番長「・・・」
直斗「お前の罪状を確認する」
足立「はあ?」
直斗「お前は、この世界が危険であると感じていながら、山野真由美をこの世界に放り込んだ」
足立「・・・」
直斗「そして彼女が死んだ事を知りつつ、今度は小西早紀を同じ目に遭わせた」
足立「それで?」
直斗「その後、生田目を騙して殺人行為を引き継がせ、自身は遊び感覚で事態を傍観。更には、失踪者が死ななくなると、今度は脅迫状を送りつけ、再び死人が出るように仕向けた」
番長「・・・」
直斗「半年で二人が死に、幼い女の子が生死の境を彷徨う重体・・・女の子にはどんな後遺症が残るか、今のところわかっていない・・・!」
足立「ハァ・・・」
直斗「あろうことか、一般市民を守るべき立場の刑事でありながら、全ては愉快犯にも等しい、下らない動機のために!」
足立「で君は何を言いたいの?僕はただテレビに入れただけだよ。別に直接殺した訳じゃない」
陽介「そ、そんな言い訳通用するかよ!」
足立「そういう意味では、加害者は君等全員も含む、外の連中全て・・・ってことになるのかな?」
雪子「・・・え?何を言って・・・」
足立「ハハ・・・面食らったって顔してるね。やっぱり何も解ってないんだ」
番長「・・・この世界は、人の心の影響を強く受ける・・・」
足立「お」
番長「今まで、そう思ってきたけど・・・多分それは本質を突いてない。この世界は、人の心の世界なんだ。影響を受けるなんて生易しい物じゃない、人の心そのものだったから、人々の心と同じように、移り変わってきた」
足立「へー、君は解ってるじゃん」
番長「漠然と、そうなのかもしれないという思いはあったんです。この世界で生まれたクマが、自分の存在して良い理由を見失った時に意識せず行ってしまった世界が・・・夢の世界。違う形の、心の世界だった時に」
クマ「クマ?」
番長「それが、今の足立さんの一言で、確信に変わったんです」
足立「ハハ、偉い偉い。やっぱり君は【特別】みたいだ」
番長「・・・何を・・・?」
足立「番長君、君は、外の世界をどう思う?」
番長「外の・・・世界?」
足立「馬鹿な政治家や馬鹿な権力者が、馬鹿な人間を煽って馬鹿やってる・・・つまんないと思わない?」
番長「・・・」
足立「人は誰も、本当の自分になんか興味を持たない。そんなものと向き合ったって辛いだけだし、目をそむけてた方が楽だって知ってるからさ」
番長「・・・・・・」
足立「僕もね、正直嫌気がさしてたんだよ。面白いと思って警察になってやったのに、ちょっとしたミスでこんなド田舎に飛ばされてさあ・・・そんな時、この力に出会ったんだ」
番長「足立さん・・・」
足立「僕はね、全ての人間をシャドウにするよ。君達も、僕も含めて」
番長「え・・・っ?」
雪子「全ての人間を・・・シャドウに・・・?」
足立「そうすれば誰も苦しまなくなる。つまんない世界を、耐えて生きなくて済む。み~んなが、目を閉ざして、虚構の世界で生き続けるんだ。どうだい?良いと思わない?」
雪子「・・・・・・なんでそんな世界が、良いと思えるの?」
足立「え?だって現実なんて苦しいだけじゃない。こりゃ僕だけの話じゃないでしょ、きっと。誰だってそう思ってるよ。それでも、喚いたってどうしようもないから耐えて生きてるだけだって」
雪子「・・・・・・」
足立「君等みたいに物を知らない子供達からすれば、未来は希望に満ちてるのかもね?僕にだってそういう頃があったから気持ちは解るよ。でもね、残念だけど、現実ってのはただ苦しいだけのものなんだ」
雪子「・・・そんなことない・・・」
足立「ハァ、子供に言ってもわかんないか。けど、番長君ならどうかな?物分かりの良い君なら、僕の言いたいこと、少しは解るでしょ?」
番長「・・・・・・俺は・・・・・・」
足立「・・・いつまで下向いてんだよ」
番長「・・・っ!」
足立「僕という人間の本性を誤解して、君の中で勝手に造り上げた【僕像】を信じて、勝手に裏切られた気分になってるんだろう?気持ちは解るよ、僕にはね」
番長「俺は・・・」
足立「君が今味わってるように、現実なんて嘘と苦しみばっかりさ。だったらもう苦しまなくて良い世界にしようよ。君も僕を手伝ってくれ」
番長「な、何を・・・!」
足立「僕のゲームの到達点。全ての人間をシャドウにして、嘘も苦しみもない世界にする。良い提案だろ?」
番長「・・・・・・」
雪子「ふざけないで!」
千枝「・・・雪子・・・?」
足立「・・・部外者は黙っててくれないかな?」
雪子「確かに、現実っていうのは苦しいし、思い通りになることばかりじゃない」
足立「・・・・・・そうそう。うまくやっていける奴は、最初から才能っていう切符を持ってる奴だけ。そうじゃない奴は、ただただ苦しみながら下を向いて生きなきゃならない」
雪子「それは違う」
足立「・・・何?」
雪子「誰だって、苦しみながらでも前を向いて歩いてる。貴方はただ、ダダをこねて、思い通りにならないことから逃げようとしてるだけよ」
足立「君、僕の話聞いてた?」
雪子「頭が良くない人は、頑張って勉強をするの。そうすれば、少しでも頭が良くなるっていうことを知っているから」
足立「・・・」
雪子「体を鍛えたい人は、体を鍛えようとするし、心を鍛えたい人は、心を鍛えようとする。そうして、自分としっかり向き合って、楽しく生きるための努力をするから、現実は楽しくなるの。貴方みたいに、目を背けて人生から逃げる必要なんてない!」
足立「・・・ハァ、だからさ、それは君等がまだ子供だからそう思えるんであって」
雪子「私達は確かに幼い、だから明るい未来を見ようとするし、そのために頑張る」
陽介「・・・」
雪子「楽しく生きている大人達を見てきたから・・・それは、家族だったり、身近で働いている人たちだったり・・・今年出会った、凄く強い人たちだったり・・・様々だけど」
千枝「・・・」
雪子「楽しく生きようとすれば、楽しく生きることが出来る。それを知っているから、私達は前に進むの」
完二「・・・番長先輩だけじゃねえ、今ここに立ってる奴等の中にはな、てめえなんぞの我侭に付き合あってやろうとするガキなんか、一人もいねえんだよ!」
足立「・・・・・・君も同じ意見?」
番長「・・・俺は・・・・・・」
陽介「相棒、ちゃんと自分の意見を、言っちまえよ」
番長「・・・ああ・・・・・・足立さん、確かに俺は今、辛いです。それに、今年は色んな辛いことがありました」
足立「・・・」
番長「菜々子のこともそうだし、この事件では辛いことがたくさんあって・・・けど、その分、今年は楽しいことがたくさんありました」
クマ「センセイ・・・」
足立「そういう小さい話はしてないんだってば」
番長「解ってます。楽しいことがたくさんあったのは、その分、俺達が頑張ってきたからなんです。それぞれが、自分と向き合って、それぞれが、自分を強くしようと考えぬいて・・・」
足立「・・・」
番長「努力や気持ちが報われないこともあると思います・・・それでも、目を背けなきゃいけないほど、現実は悪くない」
足立「それが君の答え?」
番長「はい」
足立「・・・残念だよ」
>-カッ
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・3F】:::
エトナ「けど殿下、なんでこいつのことが気に食わないんで?人間全部シャドウにしちゃうなんて、なんかこう、ダークで良い世界になりそうじゃないですか?」
ラハール「・・・本気で言ってるのか?」
エトナ「感情抜きにするなら、割と本気ですよ。現実から目を背けたいってのは、他ならない人間達の総意なんでしょ?」」
ラハール「・・・そうだな。だからこそ、天界がこの件に表立って干渉出来なかったのだろう」
エトナ「じゃあ、何でです?」
ラハール「何でも何も・・・そんなこと言えるか!大体貴様、さっき感情抜きでと言ったが、じゃあ貴様の感情論ではどうなのだ?」
エトナ「いや、まあ・・・」
ラハール「無駄話をしてる暇があったらさっさと立て。まだ力は尽きていないはずだ」
エトナ「殿下のほうこそさっさと立って下さいよ。いつまでりせちゃん盾にしてるんですか?」
ラハール「わかっている。だが、体が言う事を効かんのだ・・・!」
りせ「・・・・・・!」
アメノサギリ『邪魔をするな。どの道すぐ楽になる身だ』
りせ「・・・立っていられる間は、私はここに立ち続ける・・・きっと・・・二人なら、なんとかしてくれるから・・・!」
アメノサギリ『無駄なことを』
ラハール「・・・下がれ久慈川。もう無理をするな」
りせ「ラハール先輩・・・!」
ラハール「おいエトナ・・・お互い立てはしたが・・・何か良い手は浮かんだか?」
エトナ「一応、アタシの中に封じられてる魔力を解放しちゃえば・・・なんとかなるような・・・ならないような・・・」
ラハール「アホか。ただでさえ扱いきれん程の魔力を、レベルを下げられている今の状態で・・・アホか」
エトナ「うっさい!殿下こそ、何か思いついたんでしょうね?」
ラハール「・・・使用を禁じてきた技の封印を解く。禁じてはきたが、この強大な技をもしペルソナに打たせたらどうなるのか・・・そう思わずにはいられなかった」
エトナ「な・・・ま、まさか・・・!」
ラハール「行くぞ、オルフェウス」
>-カッ
>-飛天無双斬
>-・・・・・・。
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・2F】:::
足立「・・・・・・僕を殺すの?」
番長「そんなことはしません。足立さんは、しっかり罪を償って下さい」
足立「・・・・・・何だかなあ」
千枝「死んだ方がマシとか、そんなこと思わないでよね。苦しいんだったら、なおさら生きて。それが、アンタの償いよ」
陽介「・・・ああ、そうだな」
足立「・・・・・・はいはい」
完二「これで、終わった・・・のか?」
足立「馬鹿?やっぱり馬鹿なの?」
完二「あぁ!?んだテメエ!負けといてまだやろうってのか!?」
足立「・・・・・・あのさあ、人間全部シャドウにしちゃおうなんて、そんなブッ飛んだ発想、僕一人から出てくると思う?急がないと、ここにいない・・・えっと、三人かな?どうなっても知らないよ?」
番長「三人・・・ラハール達か」
ウ"ウ"・・・・・・!
足立「・・・・・・今、この先に道が出来たから、精々急いだら?」
番長「足立さん・・・」
陽介「・・・その隙に、逃げようってんじゃないでしょうね?」
足立「んな力残ってないよ。見ればわかるだろ?」
番長「足立さん・・・ありがとうございます」
足立「ウザイからさっさと行けって・・・」
>-・・・・・・。
>-・・・・・・。
>-・・・・・・。
マガツイザナギ『・・・・・・』
足立「番長君と一対一でも無理なのに、あんな人数で躍起になって・・・大人気ない奴等だ。ああ、大人気ないも何も、そういや子供だったか・・・ハハ、ウザイウザイ」
マガツイザナギ『・・・・・・』
足立「(番長君なら、きっと【共犯者】になってくれると・・・思ってたんだけどな・・・最後の最後に当てがハズレたよ)」
>-・・・・・・
:::【禍津稲羽市・3F】:::
ラハール「・・・・・・」
エトナ「・・・・・・」
雪子「そんな・・・・・・ラハール君・・・エトナさん・・・」
ラハール「アホ、情けない声を出してる暇があったら、さっさと回復しろ」
雪子「あっ、生きてた」
ラハール「当たり前だ!・・・痛っ・・・!」
クマ「ペルクマー!」
>-カッ
>-メディアラハン
エトナ「おおー、効く効く」
ラハール「・・・良し」
アメノサギリ『・・・例え我が身が滅ぼうとも、最早事態は止められぬ』
ラハール「何?負け惜しみを言うな。死ぬならさっさと死ね」
アメノサギリ『負け惜しみではない。一度出た霧は、二度と止まることはない。霧は深まり、全ての人間はシャドウとなるのだ』
ラハール「・・・だとしたら、わざわざ貴様が俺様を潰しに来た理由がないだろうが。どうせ貴様が死ねば霧も晴れるのだろう。黙って死ね」
アメノサギリ『それは、お前の力が霧を止める物であるのかもしれないという疑いがあったからに過ぎない。お前に秘められた力が我のそれを遥かに上回ることは解ったが、同時に、霧を止める性質の物でもないということが我には理解出来た』
ラハール「・・・何だと・・・?」
アメノサギリ『・・・・・・』
ラハール「お、おい・・・チッ。くたばったか」
陽介「ラハール、一体何があったんだ?」
ラハール「ここであったことなど大したことではない。ムカツク奴がいたから叩きのめしただけだ」
陽介「え?おい、待てよ!」
エトナ「後でアタシが話すわよ」
ラハール「今は話している場合ではない。外に出るぞ!」
陽介「・・・わかった」
>-・・・・・・
:::【ジュネス・フードコート】:::
りせ「・・・晴れてるね?」
エトナ「晴れてるわね・・・」
ラハール「・・・・・・?」
陽介「お、おいラハール、すげー顔してんぞ?せっかく霧が晴れたんだから喜べよ」
ラハール「・・・・・・ああ・・・」
>-足立のその後は、特に興味がないので真面目に聞いてはいない。
>-とりあえず、大人しく罪を認めて牢屋の中に納まっているらしい。
>-いろいろと、特に菜々子の父親と揉めていたようだが・・・犯人しか知りえない情報などを足立が知っていたことから、警察も動かざるを得ず、解決したと思われていた事件は掘り起こされ、多少の話題を呼んでいたようだ。
>-・・・それは良い。
>-だが、問題は・・・。
>-何故霧が晴れたのか・・・。
>-アメノサギリが嘘をついていたとは思えない・・・。
>-今更天界が干渉してきたなど、あるわけがない・・・。
>-何故・・・。
>-12/26(月) 夜
:::【堂島家】:::
番長「・・・エトナさん、話したいことが」
エトナ「んあ?何よ」
>-・・・・・・。
>-・・・・・・。
>-・・・・・・。
エトナ「はあ?マリーちゃんが消えた?」
>-次回予告
>-BGM:がんばれ女の子
エトナ「クリスマス会!それは、禁断の、男の園」
ラハール「・・・」
エトナ「寂しい独り身の野郎共が集まって、狂った宴を繰り広げる・・・!」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「次回!【男・色・王】!EXTRA、【ドキッ↓↓男だらけのクリスマス会★】」
ラハール「・・・・・・オイ」
エトナ「デュエルスタンバイ!」
ラハール「・・・オイ、最終話じゃなかったのか?」
エトナ「ええ、今回は第二部の最終話でしたよ」
ラハール「じゃあ何だ?次は第三部か?」
エトナ「いえ、次回からはエトナ編です。主役交代ですね。エトナ編なんで、次回からは予告もありません」
ラハール「な、何っ!?おい、待て!」
エトナ「デュエルスタンバイ!」
ラハール「それはもうさっき言った!おい、待てーーーーっ!」
今回はここまでです。次回からエトナ編をはじめるか、間にクリスマスの話を挟むか悩んでますので、ご意見あったら喜びます。
>>645 基本P4は番長が無口な分陽介や直斗が頑張ってる印象がありますが、対足立は姫の貴重な活躍シーンですね。
番長と過ごすクリスマスイブを女性陣で取り合おう(提案)
ラハール?フロンが出張るんじゃね?
乙ー
殿下は折角天界と魔界のトップが壮大なお見合い仕掛けたんだからフロンちゃんとはよ
乙
さっさと話進めてほしい人もおるかもしれんが、俺はクリスマス見たいわ
フロンちゃんたのむ
乙
クリスマスください
乙。今回も面白かった
次回はクリスマス前に女性陣がラハールと番長の争奪戦してる回とか期待してる
あとフロンちゃん達をいい加減出してあげて下さい…(切実)
更新します。
>-12/24(土) 放課後
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「はい、今日は学校も昼までってことでね、事件解決のお疲れ会とクリスマス会を一緒にやってしまおうということで」
クマ「第一回、特別捜査隊クリスマス会開催クマ~~!!」
陽介「こらクマ。俺の台詞取るな」
クマ「ヨースケばっかり目立たせるわけにはいかないクマよ!!」
陽介「俺が幹事だっつの」
クマ「カンジはカンジでしょ~!?」
完二「あぁ?」
陽介「その完二じゃねー、漢字が違う」
クマ「カンジはカンジだけどカンジが違うからカンジはヨースケ?」
陽介「そう、幹事は俺」
ラハール「・・・貴様等のコントはどうでも良いが、特別捜査隊の会という割には、余計な奴等がいるんじゃないのか?」
陽介「こっちだって好きでコントしてるんじゃないの。って、余計な奴等?」
マーガレット「誰のことかしら?」
フロン「誰のことでしょうか?」
シシリー「ねえ誰のこと?お兄ちゃん♪」
ラハール「・・・・・・まあいい」
エトナ「殿下が良くてもアタシは良くないですよ。フロンちゃん達はもう放っとくとして、何でマーガレットが来てんの?マリーちゃんは?」
マーガレット「今日はあの子の都合が悪くて来られないの。代わりに私が来てあげたのだから、感謝して欲しいものね」
エトナ「マリーちゃん来ないのか・・・アンタじゃ代わりになんないわねー」
マーガレット「あら、代わりも何も、貴女には大事な大事な殿下さえいてくれれば、他はどうでも良いのではなくて?」
エトナ「はあ?」
マーガレット「・・・」
エトナ「・・・」
マーガレット「・・・・・・」
エトナ「」クイッ(日本語訳:表出な)
マーガレット「」コクン(日本語訳:上等だわ)
ラハール「待たんか阿呆共」
番長「そうですよ。今日一日ぐらい平和に過ごしましょう」
マーガレット「あら、私は売られたケンカを買ってあげようとしていただけなのだけれど」
番長「マーガレットさんのほうから売ってたような・・・」
ラハール「・・・エトナには放置されたが、やはり俺様は捨て置かんぞ。貴様等は何だ?今まで音信不通だったくせに、一体何をしにノコノコやってきた?」
フロン「クリスマスを祝いに来ました」
シシリー「うん」
ラハール「いや・・・貴様等クリスマスが一体どういうものか解ってるのか?」
シシリー「え・・・よく知らない。何か宗教のアレなんでしょ?」
フロン「誰かのお誕生日ですよね?」
直斗「お誕生日・・・まあ、間違ってはいないですね」
雪子「うん」
ラハール「・・・・・・もういい。貴様等の奇行には突っ込む気が失せた」
フロン「冗談はさておき、今まで連絡が取れなかったのはですね---」
ラハール「もういいと言っただろ。貴様等が悪意をもって、敢えて連絡を取らなかった・・・そんなことがありえるとは思っとらん。事情があったなら後で聞いてやる」
フロン「ラハールさん・・・」
陽介「はい、いきなりイチャついててウザイですね。そろそろ乾杯良いか?」
ラハール「き、貴様!誰がイチャついて」
陽介「乾杯!!」
クマ~! かんぱーい! オイ!
>-・・・・・・
ガシッ
ラハール「オイ、何を入れようとした?」
フロン「へ?いや~、皆さんには気持ち良くなって貰おうと」
ラハール「いらん!やめろ!」
陽介「やだ、あの二人。いきなり手を取り合ってますわよ」
千枝「イヤですわね~」
ラハール「叩きのめすぞ貴様等!!」
りせ「ラハール先輩ハレンチ~~」
ラハール「貴様にだけは言われたくない!というか誰がだ!」
フロン「まぁまぁラハールさん、せっかくなんですから、落ち着いて飲み食いしましょうよ~。最初からそんなに大声出してたら疲れますよ?」
ラハール「元を辿れば誰のせいだと思っとるんだ!」
千枝「ねえ花村~、なんか皆ばらばらに駄弁りながらご飯食べてるけど、何か出し物とか考えてないの?」
陽介「ええ?いや、飯終わるまでは何も用意してねーな」
千枝「幹事無能~」
完二「え、何スか?呼びました?」
陽介「いやそのネタはもう良い」
番長「やるか?王様ゲーム」
陽介「やらせねーよ。何で既にクジ用意してあるんだよ」
番長「今作った」
陽介「その行動力は有意義なことに活かしてくれ・・・」
マーガレット「王様ゲーム、興味があるわね」
陽介「いやほんとに勘弁してください。つーか相棒、さっきは思わず流したけど、そちらの美女は一体どなた?」
番長「そういえば紹介してなかったな」
マーガレット「調度良いし、今名乗ってしまおうかしら」
番長「ええ、そうですね。お願いします」
マーガレット「私はマーガレット、番長の婚約者よ」
りせ「な、なんですって!?」
番長「ええ・・・何言ってるんですか?」
マーガレット「あら、貴方と過ごした熱い一夜、私は忘れていないのだけれど」
りせ「先輩・・・どういう・・・ことですか・・・?」
番長「・・・マーガレットさん。ホントにシャレにならないんで、勘弁してください」
マーガレット「フフ・・・」
番長「いや【フフ・・・】じゃなくて」
マーガレット「今日の私はマリーの代理だから」
番長「え・・・?・・・あっ」
りせ「ちょっと先輩!【あっ】ってどういうこと!?マリーちゃんと何があったの!?」
番長「いや、あの・・・ね」
直斗「・・・・・・あちらは放っておいて大丈夫なのでしょうか?随分と深刻な修羅場になりそうな」
完二「放っとけ放っとけ。番長先輩ならなんとかすんだろ。それに、何ともならなかったとしても、当事者以外が首突っ込んで良い話でもねーさ」
直斗「ま、まあそうですけど。随分落ち着いてますね?」
完二「今年ゃ色々あったかんなー・・・腹も据わるぜ」
直斗「・・・・・・」
シシリー「怖い顔のオジちゃんの言うとおりよね。どっちつかずを続けてると、いつか誰にも助けてもらえない修羅場になるの」
ラハール「・・・な、なんの話だ?」
シシリー「なんの話かな?」
直斗「(何だかこの子怖い・・・?)」
完二「つか誰が怖い顔のオジちゃんだよ。俺はまだ高1だっつの」
シシリー「え?高1ってその顔で言われても・・・ほんとはOBでしょ?」
完二「てめえ・・・!」
クマ「クマー!」
エトナ「コラ!その料理はアタシが」
クマ「早い者勝ちクマー!」
エトナ「ブッコロース!!」
クマ「あっ、エトナチャンチョット待」
どーん!!
フロン「賑やかな方達ですね」
ラハール「・・・騒がしいだけだ」
フロン「そんなこと言って。ラハールさんも、皆さんと一緒に騒いでいるのは楽しいでしょう?」
ラハール「・・・・・・フン」
フロン「うふふ」
ラハール「な、何を笑っとるか」
フロン「否定しないんですね、と思って」
ラハール「・・・フン」
>-番長・りせ
:::【稲羽中央通り商店街 北側】:::
番長「(-・・・2~3人で組んでわかれて、しばらく自由行動・・・勘弁してくれ)」
りせ「私・・・先輩のこと・・・信じてたのに・・・!」
番長「いや、りせ、違う。違うから」
りせ「・・・・・・」
番長「確かにマリーとは、俺の部屋で半日、二人っきりで過ごしたことがあったけど・・・」
りせ「・・・!」
番長「・・・何も、しなかった・・・出来なかったから。りせのことを、考えると」
りせ「それって・・・・・・あれ、先輩の部屋で・・・?」
番長「・・・」
りせ「私とも、一度ありましたよね。先輩の部屋で、二人きりで過ごしたこと」
番長「ああ。けど・・・何も出来なかったな」
りせ「・・・」
番長「マリーのことを、考えると・・・何も出来なかった」
りせ「先輩・・・」
番長「りせにだから言うけど・・・・・・【前回】の俺は、六股をかけていたんだ」
りせ「ろっ、六!?えっ!?」
番長「【前回】の里中は、陽介が自分と向き合うところに居合わせなかったから、今回ほど陽介と仲良くなかったし・・・ラハールがいなかったから、天城には俺と里中しかいなかった。完二は今回ほど勉強を頑張ってなかったから、直斗の気を引けなかったし・・・俺自身、今回は入ってない文化部で、放っておけない奴と出会ったり・・・まあ、色々あったんだ」
りせ「一まとめにしないで下さい!六って何ですか六って!」
番長「りせ!」
りせ「は、はい・・・?」
番長「大事なのは今だ!今はマリーとお前だけだから!」キリッ
番長「(-・・・そのあと俺の頬に綺麗な紅葉模様が張り付いた)」
>-ちょっと前
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「はい、じゃあ好きなようにペアを組んで下さい」
エトナ「フロンちゃ~ん」
シシリー「お兄ちゃ~ん」
>-・・・どうせ殿下のことだから、素直にフロンちゃんを誘えない。
>-だからアタシとシシリーちゃんがそれぞれフロンちゃんと殿下を誘って、機を見て相手を入れ替える。
>-せっかくだから、二人には一緒に遊んで欲しいわよね。
>-そういう段取り。
シシリー「(・・・と、エトナさんは思ってる。けど甘いよね、私がお兄ちゃんを手放す訳がないのに)」
>-・・・とシシリーちゃんは思ってるはず。
>-けど、そうはいかない。
>-だからアタシは---
ラハール「おい、フロン。行くぞ」
フロン「へ?・・・・・・あ、はい!」
エトナ「・・・・・・え?」
シシリー「・・・・・・え?」
>-・・・ちょっとだけフロンちゃんと二人で話したいことあったんだけどな・・・。
エトナ「まあ、いっか?」
シシリー「よくなーい!」
エトナ「となると余りは・・・」
>-番長はりせちゃんが引っ張ってくだろうし、暴れ狂うシシリーちゃん相手にすんのはしんどいわねー・・・。
>-・・・って、アタシの選択肢なんて最初からコイツしかいないじゃん。
>-エトナ・マーガレット
:::【鮫川・河川敷】:::
マーガレット「どうして私を誘ったの?気持ちは嬉しいけど、私にそういう趣味はないわ」
エトナ「はあ?他の奴等が初対面のアンタといきなり組まされたらシンドイじゃん。馬鹿言ってんじゃないわよ」
マーガレット「あら、貴女も人のことを考えて行動することがあるのね」
エトナ「ケンカ売ってる?何なら、さっきの続きでもやる?」
マーガレット「それも良いかもしれないわね」
エトナ「・・・・・・・・・マリーちゃんは、元気してるの?最近見ないけど」
マーガレット「残念だけど、それを貴女に教えることは出来ないわね」
エトナ「・・・そっか。まあ、アンタはそうだよね~・・・」
マーガレット「私には破れないルールがあるの。自由な貴女と一緒にしないで欲しいわね」
エトナ「・・・わかってるわよ」
マーガレット「・・・・・・・・・まあ、今私から、全ては終わったと思っている貴女に言えることがあるとしたら一つね」
エトナ「何?」
マーガレット「【これからも頑張って】・・・・・・それだけよ」
エトナ「・・・?」
マーガレット「(応援を一言言うだけなら、許されるでしょう)」
>-・・・これから・・・?
>-陽介・千枝
:::【愛屋】:::
最後に余るのクマだろうと思っていた失礼な陽介「(まあ、俺は別に誰と一緒でも良かったんだけど・・・幹事だっつーことで最後まで待ってたら里中・・・なんか、前にもこんなことなかったか?)」
千枝「あー、うまかったー!」
陽介「ついさっきまで皆と一緒に飲み食いしてたのに、よくまだ食えるな」
千枝「あぁによー?良いでしょ別に」
陽介「悪ぃとは言ってねーだろ」
千枝「あ・・・うん」
陽介「・・・?」
千枝「な、なによ!こっち見んな!」
陽介「え、は!?向き合って座ってんのにこっち見るなってそれどういうこと!?」
千枝「あ、いや、ちが・・・今の無し!」
陽介「・・・?」
千枝「・・・」
陽介「どした?なんか変じゃね?食いすぎて流石に腹痛くなってきたか?」
千枝「このぐらいで食いすぎってことはないでしょ。別に何でも無いよ」
陽介「そうかぁ?お前だけじゃね?俺苦しいもん」
千枝「・・・・・・ねえ、花村」
陽介「何だ?」
千枝「終わったんだよね。本当に・・・」
陽介「ああ。事件はな。けど、俺達はこれからだろ」
千枝「・・・これから?」
陽介「ラハール達や番長が帰っちまう前に、今まで苦労した分がっつり遊ばないとな!」
千枝「・・・・・・うん」
陽介「まず年末年始でスキーとか行きてえんだよな。里中は、どっか行きたいとことかあるか?」
千枝「・・・どこでもいいよ」
陽介「どこでもいいが一番困るんですけど」
千枝「ほんとに・・・どこでもいいよ。皆が一緒なら」
陽介「・・・わかった」
:::【外】:::
??「なんだかこの二人は普通に楽しそうクマね?」
????「そうだね。なんか見ててイライラする」
???「どこでもいいって・・・千枝は駄目だなあ。花村君の家に行きたい!ぐらいは言わないと」
????「そ、それはちょっとガツガツしすぎなんじゃない?」
???「ううん、それぐらいが調度良いの。千枝は肉食系肉食獣なんだから」
????「女子ですらないんだ・・・」
>-完二・直斗
:::【稲羽神社】:::
直斗「末吉でした」
完二「小吉だ・・・そういや小吉と末吉ってどっちが強ぇんだ?」
直斗「つ、強さは知りませんけど、おみくじの吉凶の順序については諸説ありますが、どれも小吉を末吉の上としているはずです」
完二「へ~」
直斗「末吉の末は、文字通り物事や概念の末を表しているので、吉の中でも一番弱い・・・ギリギリ吉といったところでしょうか」
完二「ギリギリか」
直斗「ええ、ギリギリです。神社によっては末小吉など、末吉より更に下の吉を設けているところもあるようですが」
完二「ま、どっちにしろ吉にゃ違いねえわけだ。良いことあるといいな」
直斗「はい。巽君も」
完二「おう」
:::【外】:::
クマ「なんだかオドオドしない完二ってつまんないクマね」
????「こらクマ、頭出てる。二人に見つかるよ」
??「おおっと、いかんクマ」
???「つまんないは言い過ぎだと思うけど、完二君はオドオドしてたほうが面白いよね。生田目さんや足立さんの件以来、凄く落ち着いてきたみたいだけど・・・ちょっと寂しいかな」
????「何かさっきから結構容赦ないこと言ってるよね・・・」
???「そうかな?」
??「ヨウシャナイユキチャンも素敵クマよ~」
???「やっぱり?」
????「何?何がやっぱり?」
??「そういえばあの二人なんでクリスマスに神社なんか来てるクマ?」
???「う~ん、それは謎。まあ、クリスマスって柄じゃないのは確かだけど・・・」
????「思ったんだけど。クリスマスと神社って宗教違うんじゃないの?どうして宗教戦争みたいなのが起きないの?大体、町に教会とか全然ないのに、町中クリスマスムードなのは何で?」
???「え~っと・・・それ説明してるとキリがないから、後でお兄さんに聞いて」
????「は~い」
>-ラハール・フロン
:::【稲羽中央通り商店街 南側】:::
ラハール「今日は妙なことするなよ」
フロン「は~い」
ラハール「前に貴様が来た時は、貴様が余計なことをしたせいで・・・」
フロン「ラハールさん!駄菓子屋さんがありますよ!」
ラハール「聞け」
>-・・・・・・
:::【四六商店】:::
四六のおばちゃん「いらっしゃい」
ラハール「うむ」
フロン「ふおお!ラハールさん凄いですよ!お菓子がいっぱい!まるで遊園地みたい!」
ラハール「落ち着けみっともない」
フロン「どうしましょう。おやつは一日300円までと心に決めているんですよねえ・・・」
ラハール「好きなように買って、一日分からはみ出たら天界に持って帰れば良いだろ」
フロン「ラ、ラハールさん・・・!」
ラハール「・・・なんだ?」
フロン「賢くなりましたねえ・・・」
ラハール「馬鹿にしてるのか?いや、むしろ貴様が馬鹿か?」
フロン「うふふ。なんだかラハールさんの憎まれ口を聞くと元気が出ますねえ」
ラハール「(・・・変態か?)」
フロン「ではですねぇ、これとー・・・これとー・・・これ三つとー・・・」
ラハール「フロン」
フロン「あ、はい?なんでしょうか?」
ラハール「俺様も、貴様の能天気さを見ていると・・・・・・その、イライラしない」
フロン「??」
ラハール「・・・まあいい、何でも無い。さっさと選べ」
フロン「は~い」
:::【外】:::
??「イライラしないって何様クマ?もっと素直になれんクマか?」
????「それよりまず駄菓子屋デートってどうなの?小学生じゃないんだから・・・」
???「でも、何だかこの二人らしいね」
????「まあ確かに・・・」
>-夕方
:::【ジュネス・フードコート】:::
陽介「相棒、お前そのほっぺの・・・」
番長「ボディペイント」
陽介「え?」
番長「ボディペイントだから」
陽介「そ、そうか。もう何も言うまい」
クマ「クマはねー、おみくじ引いたり~愛屋に行ったり~駄菓子屋行ったりしたクマ!」
陽介「やたらウロウロしたのな。つっても、全部商店街か」
直斗「・・・!」
千枝「・・・!」
ラハール「・・・・・・」
直斗「ク、クマ君?少しあちらでお話を伺ってもよろしいですか?」
千枝「あたしも行く~」
クマ「な、何クマ?何クマ?」
番長「・・・どうしたんだ?あれ」
ラハール「知るか。放っておけ」
マーガレット「私はそろそろ失礼しようかしら。満足の行く結果は【ここ】に得られたことだし」ぷにぷに
番長「あの、痛い。痛いです。ヒリヒリします」
雪子「この後はどうするの?」
陽介「色々買ってって、番長んちで晩飯とケーキ作りだな。その前にプレゼント交換会」
雪子「じゃあ、マーガレットさん。それまで一緒にいても・・・」
マーガレット「あら、嬉しいお誘いね。けど、失礼するわ。主が一人で寂しくしているはずだから」
番長「・・・・・・?」
エトナ「・・・・・・」
>-一人・・・?
>-・・・まあ、あの部屋、誰かがいたりいなかったりするのは日常茶飯事だし、別に不思議じゃないけど。
>-何かひっかかるわね・・・。
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
陽介「プレゼント交換会!一人一つ用意してきたプレゼントを、それぞれクジ引きで貰いあう!誰が何を引いても恨みっこなし!」
番長「・・・これ、自分で持ってきたのを引いたらどうなるんだ?」
陽介「恨みっこなし!」
番長「クジ運重大だな・・・」
陽介「何持ってきたんだよ」
>-一番
陽介「はい、一番の方にはまずこの細長~い箱を!」
りせ「一番あたし~!」
番長「・・・・・・」
りせ「何?これ。巻物?」
千枝「広げてみたら?」
りせ「・・・・・・魚拓?」
陽介「すげーでかい・・・こんな魚ほんとにいんのか?つーか誰だよこんなの持ってきたの」
完二「いや容疑者一人しかいねえだろ」
>-二番
陽介「次、二番の方にはこの、お、お、おも~い、箱を!おっみーんだよ!」
シシリー「はいは~い。二番は私ね」
陽介「こんな重いの持ってきたのはどこの馬鹿だよ!」
千枝「・・・・・・」
シシリー「・・・え、ダンベル?こんなにたくさんどうすんの?」
直斗「僕が思うに容疑者は・・・」
完二「いや多分皆同じこと考えてんじゃねえかな」
>-三番
陽介「はい次!三番!さっきと違って軽い・・・つーかこれほんとに何か入ってんのか?」
完二「あ、三番俺っス」
陽介「まさか空っぽとかねえよな・・・一応あけてみ?」
完二「・・・・・・かたたたきけん。くま」
クマ「テヘ」
陽介「テヘじゃねー!!名前書いてんじゃねーよバレッバレじゃねーか!匿名の意味ねーだろ!」
雪子「まずそういう問題じゃないよね」
エトナ「これ貰って誰が喜ぶのよ?」
雪子「いやそれはさっきの二つにも言えるんじゃ・・・」
エトナ「確かに」
陽介「お前等地雷仕込みすぎなんだよ!今んとこ地雷率100パーじゃねーか!ここ何!?地雷原!?」
完二「(・・・おふくろにやるか)」
>-四番
陽介「次、四番は?」
千枝「あ、あたしあたし」
陽介「・・・ほら、これだ」
千枝「なんだろ・・・わ、ネックレスだ」
フロン「まともだと逆に拍子抜けですね」
ラハール「面白みがないな」
陽介「ふざけんな!おかしいのはお前等だろ!}
千枝「・・・え、こんなちゃんとしたプレゼント、貰って良いの?」
陽介「不安になんなよ!俺がおかしいみてーじゃねえか!」
千枝「じゃあ、これ・・・花村の?」
陽介「あ」
>-五番
陽介「はい、五番。誰?五番」
フロン「投げやりになってきましたねえ」
ラハール「ああ、まだまだ根性が足りんな」
陽介「うるせー!!」
フロン「あ、五番私でした」
りせ「ぐだぐだですね」
番長「そうだな。陽介に根性が足りないせいだな」
陽介「だからうるせー!!」
フロン「・・・なんでしょうこれは。毛糸で編んだぬいぐるみ?かわいいですねえ」
シシリー「いいなーそれ」
陽介「これも匿名の意味ほぼねーな。けど、ようやくまともなプレゼントが出てきだしたか」
完二「・・・・・・」
>-六番 一滴たらせば気持ち良くなれる天界の至宝
>-七番 天城屋旅館優待券
>-八番 ジュネスの商品券5000円分
>-九番 シスタープリンセスのDVD(全七巻)
>-十番 催涙スプレーと防犯ベル
>-十一番 アイドル「りせちー」のサイン入りTシャツとCD
>-十二番 プラスチック爆弾
陽介「どれを誰が持ってきたか考えてみよう。ってうるせーよ!商品券とかがまともな部類っておかしいだろ!俺が貰った爆弾とか一体何に使えっつーの!?持ってるだけで捕まるわ!」
フロン「花村さん今日はキレキレですねえ」
ラハール「たまには活躍せんとな」
陽介「何の話だよ!?」
>-夜
陽介「俺はもう疲れてきたぞ」
千枝「お、お疲れ・・・」
陽介「おう。けどまあ、飯を食ったら後は各自自由だ。ここで駄弁るも良し、誰かと町へ繰り出すのも良し。ただ、女子が帰る時は誰か野郎が家まで送ってくこと」
フロン「となると・・・天界まで来ます?」
ラハール「行かん。アホか」
陽介「・・・天使のお二人だけ例外ってことで」
>-・・・・・・
フロン「おいしかったですねぇ~ケーキ」
エトナ「手作りの割には、まともだったわね」
陽介「食うもんだけは大事だから、全面的に番長プロデュースだしな。そこだけは地雷置けねえし」
千枝「失敬ねー。ケーキはほとんどあたしと雪子と直斗君で作ったわよ」
ラハール「(なるほど。そこに約一名足して辛いケーキにしなかったところが番長プロデュースの全貌だな)」
ラハール「(事件も解決したし、後は正月。菜々子も一度退院するらしいから・・・その辺が、魔界に帰る区切りといったところか)」
>-後はだらだら喋って、夜は更けた。
>-フロンちゃんがほんのちょっとだけやつれてて、それでも無理していつも通り振舞おうとしてたみたいけど・・・。
>-まあ、楽しそうだったのも本当だし、何より・・・。
フロン「シシリーさん。そろそろ」
シシリー「うん。お兄ちゃん、皆、また来るね」
ラハール「・・・・・・ああ」
クマ「二人とも帰っちゃうクマ?」
フロン「ええ。また会いましょう」
クマ「クマ~ン・・・」
ラハール「おいフロン」
フロン「はい?」
ラハール「・・・面を見ればわかるが、無理はするな。お前は俺様の家来なのだぞ。家来に何かあったら面倒だ」
フロン「ラハールさん・・・・・・はい、ありがとうございます」
ラハール「天界での厄介事がどうしようもなくなったら俺様を呼べ。一瞬で解決してやる」
フロン「・・・うふふ。はい、わかりました」
>-というわけで、アタシが心配することじゃないみたい。
フロン「エトナさん」
エトナ「ん?なあに?」
フロン「・・・・・・頑張って下さいね」
エトナ「・・・?」
>-帰る直前の、その一言が気にはなるけど、アタシのその日の話はこれで終わり。
>-・・・・・・
:::【帰路・その1】:::
雪子「楽しかったね」
ラハール「・・・まあ、つまらなくはなかったな」
雪子「あ、またそんなこと言ってる」
ラハール「む・・・馬鹿笑いはするなよ。こんな時間だ」
雪子「う、うん。ふ、ふふ・・・!」
ラハール「・・・フン」
雪子「春まで、こうやって、いっぱい遊ぼうね。もちろん遊んでるばっかりじゃ駄目だけど」
ラハール「・・・・・・俺様は・・・(いや)」
雪子「どうしたの?」
ラハール「何でも無い」
>-・・・・・・
:::【帰路・その2】:::
陽介「うぅ、さみ~!」
千枝「クマ君どうすんの?」
陽介「まあ一人で帰ってくんだろ。番長がりせ送ってってる間、家にエトナさん一人じゃ暇しそうだし、しばらく残ってもらうのが一番だよ」
千枝「そっか」
陽介「・・・・・・なんかここ一週間、ラハールが考え事してるみたいなんだよな」
千枝「一週間っていうと、足立さん捕まえてからだね」
陽介「ああ。聞いた話じゃ、アメノサギリとやりあった時に色々考えさせられたみたいだし、半分俺等と同じだからこそ考えちゃうことも、半分俺等と違うからこそ考えちゃうことも・・・ま、色々あんだろな」
千枝「え・・・半分?半分って、どういうこと?」
陽介「あ、そうか。あいつ俺と番長ぐらいにしか話してないのか・・・ま、里中になら良いか。あいつも話機会がねーぐらいにしか思ってないだろうし」
>-・・・・・・
千枝「・・・そっか。ラハール君、半分は人間なんだね。あたし達と同じ」
陽介「あいつがなんだろうと、仲間だってことには変わりねーけどな。んなこと言ったらあいつは否定しそうだけど」
千枝「・・・そうだね」
>-・・・・・・
:::【帰路・その3】:::
完二「・・・ねみ~。食いすぎたな」
直斗「巽君、無理して送ってもらわなくても・・・僕はこういう夜道に慣れていますので」
完二「馬鹿言ってんじゃねーよ。何こんなことぐれーで遠慮してんだ。大体、別に無理してるわけじゃねえ、好きで送ってんだ」
直斗「・・・え?」
完二「あ、おめ、違、好きっておめーちげーかんな!?」
直斗「え?え?」
完二「・・・・・・あー、あれだ。今の無し」
直斗「・・・フフ・・・はい」
>-・・・・・・
:::【帰路・その4】:::
番長「(・・・きまずい)」
りせ「・・・先輩」
番長「な、なんでしょうか?」
りせ「なんで敬語なんですか?」
番長「いや、なんとなく・・・」
りせ「・・・私、マリーちゃんには負けませんからね!」
番長「え・・・あー・・・はい」
りせ「はいじゃなくて・・・けど手強いなー。相手はマリーちゃんかー」
番長「・・・」
りせ「・・・っていうか六股って凄すぎ。先輩達や直斗に言ったら怒るだろうなー」
番長「あの、勘弁してくれ」
りせ「どーしよっかなー?」
番長「おーい」
>>665-669 争奪戦が見たい人もいたようですが、個別に書いてると長くなりそうなので、パーティーという形に相成りました。話しの都合上中々出せませんが、実は私もフロンちゃんが一番好きなんです。
忘れてた。
今回はここまでです。皆さん乙ありです。
乙
ええのうええのう
乙
魔王と天使長が駄菓子屋デートってなんかいいな
解
解!?
更新します。
>-4/17(日)
:::【ベルベットルーム】:::
マリー「・・・マリー」
エトナ「えっ?」
>-何?コイツ・・・。
>-絡み辛そう・・・。
>-・・・殿下もこんな感じだろうな、人間に対して。
>-・・・・・・。
エトナ「で?あんた誰?」
番長「番長です」
>-・・・・・・コイツは・・・。
>-・・・絡みづらくは、なさそうね。
>-・・・ふーん。
>-殿下、コイツと一緒にいるんだ・・・。
>-・・・大人しくしてんのかしら?
>-・・・してるわけないか。
>-5/4(水・祝日)
:::【ベルベットルーム】:::
>-かったるい。
>-ぶっちゃけ、魔界帰りたい。
>-・・・けど、菜々子ちゃんとか言ったっけ。
>-アイツの妹。
>-・・・・・・。
>-・・・ちょっと、気になるわね。
>-・・・ま、アタシには関係ないか。
>-別に、アタシはお仲間じゃないもんね。
>-5/12(木)
:::【ベルベットルーム】:::
マリー「ただいまー・・・」
エトナ「・・・」
マリー「あれ?鼻とマーガレットは?」
エトナ「え?知らないわよ。どっか行ってんじゃないの?」
マリー「・・・あの・・・」
エトナ「何?」
マリー「これ、お土産」
>・・・-ビフテキ串を貰った。
エトナ「・・・何よ?これ」
マリー「花村って人が、買ってくれた。エトナにお土産って言われたから・・・」
エトナ「・・・」
>-・・・かた、何このかたい肉。
>-・・・けど、アホの花村のくせに、ちょっとは気が利くのかしら。
>-てかなんで花村?
>-この子番長と一緒に出てったわよね。
>-・・・まあいっか、どうでも。
エトナ「・・・ありがと」
マリー「あ、うん・・・」
>-・・・今までこの部屋のやつらと、必要最低限以上の会話って、してこなかったけど・・・。
>-・・・。
>-・・・いや、いいや、どうでも。
>-5/13(金)
:::【ベルベットルーム】:::
>-あの子、一体何書いてんのかしら。
>-・・・日記とか?
>-・・・日記か。
>-・・・なんかなつかしいわね。
>-・・・・・・ここは一つ、悪魔らしく、こっそり見るべきよね?
「うたかた」
ねえ、聞いて
アタシの声を
叫んでいるこの声を・・・
アタシはここにいる
血を声に替えて
世界の果てで叫んでいる・・・
アタシは人魚姫
もう帰れない人魚姫
泡へと還る人魚姫・・・
>-・・・・・・。
>-・・・。
>-きっつー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
>-あ、そうだ。
>-へっへっ・・・これでよし。
>-来た来た。
番長「・・・?」
>-拾った拾った。
>-お、読み始めたわね。
>-・・・スゲー、見たことないぐらい真顔になってる。
>-・・・あ。
マリー「うわああああ!?よ、読んだ!?読んだでしょ!!?」
番長「・・・え」
マリー「ち、違うの!これは、その・・・そう!詩とかじゃない!勝手に言葉が溢れてくるだけで・・・」
番長「これ、マリーが?」
マリー「っ!!?・・・ばかきらいさいてーしんじられない!勝手に読まないで!!」
番長「そう言われても・・・」
マリー「ってゆーか、なんで落ちてんだろ・・・わけわかんないよ・・・」
マーガレット「・・・エトナ、お腹を押さえたりしてどうしたの?腹痛かしら?」
エトナ「う、うん・・・まあ・・・そ、そんなかんじ・・・っ!」
>-その日から、割と楽しくなってきちゃったのよね。
>-6/1(水)
:::【ベルベットルーム】:::
>-暇ね~。
>-な~んか面白いことないかしら。
マリー「・・・(飛べ!)」
>-・・・また何か書いてる。
>-・・・・・・やるか。
「飛べ!」
どこへ行くのかって?
ツマンナイこと聞かないで
地図なんか要らない
コンパスはとっくに捨てた
アタシのココロが道を示すわ
アタシは一人で歩いてく
寂しくないかって?
冗談!影だってジャマなのに
自由 それがルール!
できるものなら縛ってみたら?
アンタの前で華麗に死んでみせる
アタシの翼は 誰にも折れない!
番長「・・・・・・・・・」
マリー「わあああああっ!?」
エトナ「・・・っ!・・・っ!」
マリー「読んだ!?また読んだ!?どうして!?ななな何なのキミッ!」
番長「え、いや・・・」
マリー「読まないでって言ったじゃん!キミに自由なんかない!それがルール!!」
エトナ「んぶふぅっ・・・!!」
マリー「きらいばかるーるやぶりむし。もおおお!ありえない!!・・・ちゃんとしまったはずなのに・・・」
>-あー面白かったー・・・。
>-こりゃちょっと笑いすぎてヤバイわね。
>-6/2(木)
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「マリーちゃんの書いてるそれ面白いわよね。何だっけ、ポエムってーの?」
マリー「え、えっ!?や、これ違うし!」
フロン『いいこと書きますよねえ。私好きですよああいうセンス』
エトナ「・・・見てたの?相変わらず悪趣味ね」
マリー「・・・?」
フロン『悪趣味とは失礼な!ポエムの何が悪いんですか!』
エトナ「いや、悪趣味っつったのはアンタの覗き見のことよ?」
フロン『の、覗き見!?エトナさん、誤解があるようですが、私は別に覗き見してるわけじゃなくてですね・・・』
エトナ「じゃなんだっつーのよ」
フロン『これは監視です!エトナさんが悪いこととかしたら困りますので!』
エトナ「殿下じゃあるまいし、暴れたりしないわよ!」
マリー「・・・??」
>-・・・ドン引きされてる・・・?
>-・・・・・・そういや、はたから見たら一人で大声上げてるイタイ奴じゃん。
エトナ「あの・・・マリーちゃん?今のはね、違うの。声が降りてくるっつーか・・・」
マリー「降りてくる・・・私と一緒だ」
エトナ「え?」
マリー「私も、言葉が降りてくるから、それを書いてるんだ。だからこれ、ポエムとか詩とか、そういうんじゃないの」
エトナ「ち、違うって!アラシのはそういうんじゃなくて!」
マリー「え・・・え・・・?」
>-・・・説明した。
マリー「あ・・・そういうことなんだ。ヤバイ人かと思った・・・」
フロン『愛ですねえ。わかりあうって、ステキなことですねえ』
>-・・・フロンちゃん覚えてなさいよ。
>-その日から、よく二人で喋るようになった。
>-6/3(金)
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「へ~・・・・・・記憶が無い、ねえ・・・」
マリー「・・・」
エトナ「な~んにも覚えちゃいないの?」
マリー「・・・うん・・・」
エトナ「覚えちゃいないのに、マリーって自分の名前は知ってるんだ?」
マリー「マリーっていう名前も、呼ぶのに名前が無いと不便だからって、マーガレットがつけたんだ」
エトナ「・・・・・・そっか」
マリー「うん・・・」
エトナ「ムカツクわよね~」
マリー「え・・・?」
エトナ「記憶が無いってのよ」
マリー「・・・」
エトナ「まあ、アタシの場合はマリーちゃんほどひどくなかったけど、記憶奪われたりしたことあったんだ。ほんの一部だけどね」
マリー「奪われる?・・・私も、そうなのかな・・・」
エトナ「案外そうかもね」
マリー「・・・・・・そうだ、これ」
エトナ「何これ・・・櫛?」
マリー「これだけは、最初から持ってた。それだけ・・・わかる」
エトナ「ふ~ん、櫛ねえ・・・それだけじゃ何もわかんないわね」
マリー「・・・・・・うん・・・」
>-・・・記憶の話題になると、なんだか辛そうだから、あんまりそのことは話さなくなった。
>-マリーちゃんが辛そうな顔してると、なんでだかわかんないけど、アタシもイライラするしね。
>-7/3(日)
:::【ベルベットルーム】:::
「キミがアタシを殺した」
キミは殺人者です
静かな微笑みで 落ち着いた声で
深い色の瞳で はにかだ指先で
アタシを殺したのです
アタシは死体
愚かで惨めで幸せな
きっとこのまま朽ちていくのね・・・
最後に一言・・・
Goodbye,So Long・・・Baby.
番長「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
マリー「だああああああっ!?」
エトナ「ぶふっ・・・!」
マリー「なんで!?なんで読むの!?読むなって言ったじゃん!」
番長「いや、まあ・・・」
マリー「勝手に読んだりすると朽ちるよ!?くっ、朽ちていくよ!?」
番長「・・・」
マリー「・・・・・・ばかきらいさいてーさつじんしゃ。か、返してっ!」
>-今回も秀逸ね~。
マリー「・・・絶対こんなとこに落ちてるはずないのに・・・おかしいよ・・・」
>-・・・そろそろ工夫しないとバレちゃうかしら。
>-8/1(月)
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「いやー、しかしよくネタが尽きないもんよね」
マーガレット「確かにそうね。先日私も真似をしようとしたのだけれど、マリーのようにうまく書けなかったわ」
エトナ「アンタが?似合わないわね~」
番長「・・・何、見てるんですか?」
「明けないミッドナイト」
会えない朝は
スパイシーなミント・ティー
ブランチにはマーマレード・マフィン
ほろ苦いのがちょうど気分
ため息は星くずだね
まるでキミとボクのミルキィ・ウェイ
追いつけないよ キミの背中
ほら トワイライトが忍び寄る
キミまでのキョリ
永遠みたいな夜明け前・・・
番長「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
マリー「・・・三人とも、何してるの?」
番長「・・・ため息は星くずだね」
マリー「えっ!?・・・・・・ってそれ!何見てんの!?」
番長「え、いや・・・」
マリー「それ、返して!読まないでって言ってるのに!忍び寄らないでよ、このトワイライト!」
番長「は、はい」
マリー「・・・ばかきらいためいきほしくず。っていうかそっちの二人も何で読んでるの!?」
エトナ「え、落ちてたから何だろうな~と思ってさ。ねえ?」
マーガレット「ええ、落ちてたわね」
マリー「う、うそぉ・・・ちゃんとしまったはず・・・」
エトナ「そう言われても落ちてたから・・・ねえ?」
マーガレット「ええ、落ちてたわね」
番長「まあそれは良いや。釣りに行くので、誘いに来ました」
マリー「よ、良くないし!・・・って、釣り?」
エトナ「良いわね、、また皆も一緒でしょ?」
番長「はい」
エトナ「行こっか」
マリー「・・・うん、行く」
エトナ「アンタは?」
マーガレット「私は遠慮しておくわ」
エトナ「毎度付き合い悪いわね~。まあ、今回はそうでもなかったかな?」
マリー「へ?今回ってどういう・・・」
エトナ「なんでもな~い。行くわよトワイライト」
番長「はい」
マリー「も、も~、それ皆の前で言わないでね?」
エトナ「どうしよっかな~?」
マリー「ちょ、ちょっと待って」
>-その後は海釣りに行って、皆と楽しく過ごした。
>-8/20(土) 昼過ぎ
:::【ベルベットルーム】:::
エトナ「ただいま~」
マリー「・・・おかえり」
エトナ「あれ?鼻とマーガレットは?」
マリー「・・・どっか行った」
エトナ「そっか」
マリー「・・・ねえ、勉強会、行って来たんだよね?」
エトナ「そうよ。あいつ等どうしてもバカ比率高いからね~」
マリー「・・・私も、勉強とかしてたのかな。学校とか・・・行ってたのかな」
>-・・・記憶・・・か。
>-・・・どうも、人間の気配とは違うし。
>-人間と同じように生活してたのかって言われると・・・。
>-・・・・・・。
エトナ「・・・マリーちゃんもついて来れば良かったじゃん」
マリー「や・・・邪魔になるし・・・」
エトナ「そんな邪魔ってことないと思うわよ?」
>-クマとか、普通に邪魔してたし。
マリー「・・・や、良いよ・・・」
>-・・・・・・。
>-なんか、マリーちゃんのこういう・・・遠慮してるとこ・・・。
>-ちょっとウザイのよね。
>-・・・ちょっとだけだけどさ。
>-・・・その日は、その後マリーちゃんも一緒に夏祭りに行って、皆と楽しく過ごした。
>-9/2(金)
:::【ベルベットルーム】:::
「ピエロ達へ」
Hey,you!
醜い仮面をいつまで付けてるの?
外す勇気が無いだけだって気づきなさいよ
薄っぺらい正体を
見栄っ張りでコードして
アタシが罠にかかるのを待ってるんでしょ?
おあいにくさま!
騙されるほどバカじゃないのよ
こっけいな演技はもうやめなさい
そしたらアタシも踊ってあげる
踊るアホーに見るアホーよ!
Hey,Dancing tonight!
番長「・・・」
マリー「Hey!You!!!」
番長「あ」
マリー「何読んでるの!?あれほど読まないでって言ってるのに!」
番長「・・・今夜踊るのか?」
マリー「ばっ、ばか!違うし!トゥナイトは別にダンシングしないし!ひ、一人で勝手に踊れば!?」
エトナ「・・・・・・っ!」
マーガレット「・・・・・・」
マリー「・・・とにかくきらいばかうすっぺらぴえろ。か、勝手に読まないでよね!」
エトナ「・・・っ!」
マーガレット「・・・」
マリー「ふ、二人もなんで、こいつが読むの黙って見てるの!?」
エトナ「いやー、私達が見ちゃまずいと思って」
マーガレット「そうね。私達は見るアホーにならないために放っといたの」
マリー「や、やめてよも~!おこるよ!」
エトナ「んぶふぅっ・・・!」
マリー「笑うなばか!」
>-10/01(土) 昼過ぎ
:::【ベルベットルーム】:::
「リスト」
◆キライ
口だけの人間 嘘つきな大人!
世間体とかいうやつ 正義の顔した偽善者!
自分! ←キライ!! バカ!!
◆スキ
動物。かわいいのだけ。ネコとか。
ミルクティー。レモンもいいけど。
黒。青。グレーも、濃いのは許す。
あと・・・わたし。
番長「・・・・・・・・・」
マリー「がああああっ!」
番長「・・・」
マリー「だ、だから読むなって言ってるじゃん!何で読むの!?バカなの!?バカ!!」
番長「・・・スキのリストに、俺が入ってないな」
マリー「は、はぁ!?」
番長「・・・」
マリー「勝手に読む君なんか、き、きらいだし!」
エトナ「わ、笑いすぎて、死にそう・・・っ!」
マリー「だからエトナも笑うなあ!・・・とにかくきらいばか、きらいりすとでんどーいり!」
番長「・・・」
エトナ「・・・・・・番長、どしたのアンタ?なんか今日、元気無いわね」
マリー「・・・え?」
番長「・・・」
マリー「あ・・・き、きらいって・・・今のは・・・あの・・・」
番長「ちょっと、家で・・・色々あって・・・気にしないで下さい」
エトナ「・・・?」
>-10/01(土) 深夜
:::【ベルベットルーム】:::
>-・・・殿下に話を聞いた。
エトナ「あの菜々子ちゃんが家出ねぇ・・・まあ見つかったんなら良かったけど、そんなことさせるなんて、番長にも出来ないことはあるってことか」
ラハール「・・・全く、あいつがついていながら情けない話だ」
エトナ「所詮は、きらいりすとでんどーいりってことかねえ」
ラハール「は?」
マリー「ちょ、ちょっとエトナ!何言ってんの!?」
ラハール「・・・どうでも良いが、フロンに伝えてほしいことがある」
エトナ「フロンちゃんに?・・・さっきの話に関係してるんですか?」
ラハール「ああ。菜々子と、菜々子の父親を・・・菜々子の母に会わせてやって欲しい。手段は問わんが、出来るだけ急いで欲しい」
エトナ「・・・・・・殿下・・・」
ラハール「あと、出来れば・・・菜々子の母親をひき殺した犯人が、どうにか捕まるように仕向けて欲しい」
エトナ「・・・え?」
ラハール「エトナ、頼む」
エトナ「た、頼むって・・・」
ラハール「フロンが貴様を見ている時なら、貴様が叫べば届くはずだ」
エトナ「いいですけど、フロンちゃんがやってくれるかは知りませんよ?」
ラハール「頼む」
エトナ「・・・わかりました・・・」
>-・・・・・・
エトナ「フロンちゃーん!おーい!聞いてんのー!?」
マリー「・・・」
エトナ「変態天使~~!バカ~~!フロンちゃ~ん!!」
フロン『・・・誰がバカですか誰が』
エトナ「やっと届いた。あのね、お願いがあるの」
>-フロンちゃんは手を貸すことを少しだけ渋ったけど、アタシが必死に叫んだら、すぐに引き受けてくれた。
マリー「・・・エトナも、誰かのために大声出したりするんだね」
エトナ「な、何言ってんのよ!別にそんなんじゃないわよ!」
マリー「・・・私にも、いたのかな」
エトナ「え?」
マリー「忘れてる記憶の中に・・・大声を出してあげたくなるような友達とか・・・大事な人とか・・・・・・いたのかな」
エトナ「・・・」
>-・・・最近のマリーちゃん、そういう話題になると特に暗いのよね。
>-・・・最初の頃より、ずっとずっと暗い。
>-何か思い出してきたりしたのかしら?
>-・・・まあ、別に無理に聞き出そうとは思わないけど。
>-11/5(土)
:::【ベルベットルーム】:::
>-・・・殿下が重症?
>-・・・菜々子ちゃんがさらわれた?
エトナ「・・・はぁ?アンタ・・・アンタねえ、何やってんのよ!?アンタがいながら・・・!」
ガッ
>-・・・気がついたらアタシは、番長の胸倉をつかんでいた。
番長「・・・っ」
マリー「エ、エトナ・・・」
エトナ「・・・アタシも行く」
番長「エトナさん・・・」
マーガレット「待ちなさいエトナ」
エトナ「・・・何?何か用?アタシこれから忙しいんだけど・・・!」
マーガレット「貴女はこのベルベットルームの住人。お客人に直接力をお貸しすることは禁じられているわ」
エトナ「うっさい!殿下がやられて、大事な子が危ない目に遭わされて、こっちはキレてんのよ!邪魔しようってんなら、アンタをぶっとばしてでも行くから・・・!」
マーガレット「・・・聞きなさい。貴女は元々、期間限定の仮初の住人。その期間が多少短くなる程度のこと、私は構わないわ。貴女は根源からして、私の妹とは違うから・・・」
エトナ「・・・」
マーガレット「けれど、本当に行くのであれば、貴女はもちろん、おそらくは貴女のお客人も、もう二度とこのベルベットルームに足を運ぶことが出来なくなるわ。それを良く考えてから行くのね」
エトナ「そっか・・・・・・わかった」
マリー「・・・エトナ、行くの?」
エトナ「うん、ごめんねマリーちゃん・・・けど、また会えるでしょ。こっからは、番長に連れ出して貰いなさい」
マリー「・・・うん・・・・・・」
エトナ「(今、殿下に渡してる呪文は・・・だから、私は・・・よし、これで良いわね)」
番長「もう、良いんですか?」
エトナ「急がなきゃなんないでしょ。行くわよ」
番長「はい」
エトナ「・・・・・・マーガレット、あんがとね。アタシ、別にアンタのこと嫌いじゃなかったわよ?迷宮の世界では、ちょっと世話んなったし」
マーガレット「そうかしら。私は、うるさい貴女がいなくなると思うと清々するわよ?」
エトナ「・・・いつかぶっとばす。じゃあね」
>-・・・最近のマリーちゃんの態度は気になる。
>-けど、何よりも優先したいことが、出来てしまった。
>-・・・マリーちゃんは、きっと大丈夫よね?
>-番長がいるし、マーガレットだって、マリーちゃんいじめて楽しんでたけど、悪い奴じゃないし。
>-鼻はよくわかんないけど・・・。
>-・・・もうポエム読んであげられないのは、ちょっと寂しいわね。
>-・・・・・・
:::【天上楽土・第3天】:::
???『うざいな~~~・・・いい加減【陛下】には、はっきりして欲しいわよね』
エトナ「!」
エトナのシャドウ『そうでしょ?アタシ』
エトナ「・・・は、はあ?一体・・・何言ってんの?つか、アンタ何よ?」
エトナのシャドウ『アタシはアンタ。アンタはアタシよ。見ればわかるでしょ?』
>-・・・これが殿下や番長の言ってた、もう一人の自分って奴?
>-・・・けど・・・こいつ・・・。
>-殿下は殿下で、他の奴等と何か話してたみたいだけど、アタシにそっちを気にする余裕はなかった。
エトナ「馬鹿言わないでよ。アンタ今【陛下】とか言ってなかった?クリチェフスコイ様はもう死んでんのよ?」
エトナのシャドウ『そっちこそ馬鹿言ってんじゃないわよ。ラハール陛下のことに決まってるでしょ?』
エトナ「はあ?殿下なんか、まだまだ魔王としては認められないわよ。殿下で充分じゃん。つか、それにしたって、別に殿下にはっきりして欲しいことなんか無いし・・・」
エトナのシャドウ『うふふふ。何を強がってんの?』
エトナ「つ、強がるって・・・何の話?」
エトナのシャドウ『だってさあ、アタシって、陛下のこともフロンちゃんのことも大好きじゃん。だからさっさと二人にはくっついて欲しいのに、陛下いつまでたってもはっきりしないから・・・』
エトナ「ざけんじゃないわよ・・・そんなこと・・・思ってないし・・・別に・・・二人のこと好きとか、そんなわけ・・・っ!」
>-・・・何これ。
>-頭が、痛い。
エトナのシャドウ『はっきりしないから・・・期待しちゃってるじゃん。陛下はもしかしたら、アタシのことが好きなのかもしれないって』
エトナ「・・・馬鹿じゃないの・・・マジで・・・!」
エトナのシャドウ『そんなことに悩みながら、そんなことに悩みたくないって思ってる。らしくないわよねえ・・・今のアタシって。こんなのヤだわ』
エトナ「・・・」
エトナのシャドウ『何で悩むんだろ。もう嫌・・・誰のせい?・・・陛下のせいじゃん、そうだ。陛下が死ねばいいんじゃん』
エトナ「はあ・・・?」
エトナのシャドウ『でも、一人で死ぬのは寂しいわよね・・・じゃあアタシも一緒に死ねば良いか。もう嫌、もう考えるのめんどいわ・・・』
エトナ「無茶苦茶言いやがって・・・アンタなんか、アタシじゃないわよ・・・!」
>-・・・・・・
ラハール「さて、厄介なのは・・・やはり貴様のほうか」
エトナ「・・・殿下・・・アタシは・・・」
エトナのシャドウ『もう嫌!【陛下】!、アタシと一緒に死んで下さい!』
ラハール「随分と歪んだシャドウになったものだ。こうなると何がどこまで本音だか、わかったものではないな・・・」
エトナ「あんなのアタシじゃない・・・!」
ラハール「・・・・・・話は後だ。俺様は少し、貴様のシャドウを黙らせてくる。【いいモノ】も手に入ったしな」
>-カッ
>-11/6(日)
:::【堂島家】:::
エトナ「ん・・・」
>-・・・?
>-なんでアタシこんなとこで寝て・・・?
>-・・・・・・。
>-そっか、番長の家・・・しばらくここにいることにしたんだっけ」
>-菜々子ちゃん助けられて良かった。
>-・・・殿下にはちょっと、ヤなとこ見られちゃったけど。
>-ま、そのおかげでちょっとだけ吹っ切れたし・・・機会があったら、殿下とフロンちゃんくっつけちゃおうって、今はそう思えてるし。
>-後悔するようなことは、しちゃいないわよね。
>-・・・・・・。
>-12/10(土) 夕方
:::【陽介の部屋】:::
番長「・・・ラハール」
エトナ「良い迷惑よね。クマ助けるっつったって、無理して倒れられちゃね~。倒れてる間、世話するこっちの身にもなれっての」
陽介「・・・」
エトナ「・・・・・・アタシも、一ヶ月ぐらい、寝たきりになったことあるんだ」
雪子「え・・・?」
エトナ「今の殿下とはちょっと、事情が違うけど・・・」
千枝「一ヶ月って・・・」
エトナ「あ、けど、別に殿下がそんなに長引くとは思ってないわよ?多分こんぐらいなら、何日か寝てれば大丈夫のはずよ」
千枝「そ、そっか・・・」
陽介「起きたら、もう無理しねえようにきつく言わないとな」
番長「・・・・・・早く、目を覚ますと良いな」
陽介「ああ・・・」
りせ「・・・寄せ書き作ろうよ。皆で。ラハール先輩が早く元気になれるように」
直斗「寄せ書き、ですか」
雪子「・・・良いね。じゃ、色紙とか買って来なきゃね」
エトナ「寄せ書き・・・?だっる・・・あっ、アタシここで良いや」
完二「ちょ、んなとこに書いたら」
クマ「ラハールきっと怒るクマよ?前にクマがやった時は酷い目にあったクマ」
エトナ「文句言わせないわよ。こっちは面倒な目にあわされてんだからね」
『さっさと起きて下さいよ 殿下』
>-12/11(日)
:::【陽介の部屋】:::
『再び飛べ!闇を駆ける王(キング)よ!』 詩人(ワードメイカー)より
エトナ「アンタ相変わらずみたいね。よく寄せ書きにそんなの書けるわ」
マリー「フフフ・・・王(キング)に寄り添う君は、さしずめ献身な王妃(クイーン)ってとこかナ」
エトナ「言って良い冗談と悪い冗談があるわよ?アンタ一人消し炭にする魔力ぐらい、いつでも取っといてあるんだからね」
マリー「ちょ、ただの詩的表現(ジョーク)じゃん」
番長「詩的表現(ジョーク)(笑)」
エトナ「つか、これじゃ誰が書いたのか、多分殿下にはわかんないわね」
番長「確かに」
マリー「・・・・・・」
エトナ「・・・・・・」
マリー「・・・なんか、久しぶりだね。こういうの」
エトナ「そうね。アタシが部屋出て行ってからは、会ってないし」
マリー「・・・ん」
エトナ「大丈夫?暇してない?マーガレットにいじめられてない?」
マリー「マーガレットにはいじめられてるけど・・・暇は、してない・・・かな」
エトナ「・・・そ」
マリー「けど・・・」
エトナ「ん?」
マリー「・・・やっぱり、エトナがいないと・・・ちょっと寂しいや」
エトナ「・・・そっか」
マリー「最近ね・・・部屋の外に出られる時間が、すごく減ってるんだ。だから・・・暇してないっていうか・・・暇するほど、もう私には時間がない」
エトナ「・・・マリーちゃん・・・?」
マリー「私、思い出したよ。記憶・・・全部」
エトナ「えっ、マジ?」
マリー「うん。私が・・・何だったのか。何をするために、生まれたのか」
エトナ「そっか。良かったじゃん!」
マリー「・・・・・・」
エトナ「・・・?」
マリー「・・・私・・・」
エトナ「どしたの?なんか変だよ?」
マリー「・・・ううん、なんでもない」
>-何でも無いようには見えなかったけど、それ以上は聞かなかった。
>-12/26(月) 夜
:::【堂島家】:::
番長「・・・エトナさん、話したいことが」
エトナ「んあ?何よ」
番長「マーガレットに聞いたんですけど・・・マリーが、消えたそうです」
エトナ「はあ?マリーちゃんが消えた?何それ、どういうこと?」
番長「詳しくはまだわからないんですけど・・・部屋から出て行ったみたいで・・・」
>-アタシの戦いは、そこから始まった。
>-つづく。
今回はここまでです。皆さん乙ありです。あと2~3回の更新で全てが終わると思います。予告じゃないのでマジです。
>>694 ありがとうございます。励みになります。
>>695 原作に描写がある八十稲羽の施設があんまり多くないので、こういうイベントではどこで何をさせるか考えるだけで大変です。沖奈まで行かせれば随分広がるんですけど・・・
乙
2日かけて読み進めて追い付いた
めちゃくちゃおもしろいです
乙
エトナ編開始か
思えばあれがディスガイアシリーズの携帯機移植追加シナリオ第一号だったなー
更新します。
>-12/27(火) 昼
:::【ジュネス・フードコート】:::
>-皆で集まって報告会。
>-直斗ちゃんから、足立や生田目の今後のこと・・・。
>-番長から、菜々子ちゃんと親父さんのこと・・・。
>-色々話してたみたいだけど、殿下はあんまり聞いてないように見えた。
>-まあ、そういうアタシも正直、あんまり聞いてなかったんだけど・・・。
>-・・・つっても、アタシが色々考えても、もう・・・。
ラハール「・・・エトナ」
エトナ「何です?」
ラハール「・・・どうするのだ?これから」
エトナ「どうするもこうするも、今日菜々子ちゃん帰ってくるんだから、アタシはもうここにはいられないですよ」
ラハール「・・・・・・そうか」
完二「・・・」
雪子「エトナさん・・・」
エトナ「や、何よ皆しんみりしちゃって。解ってたことじゃん」
クマ「せっかくナナチャン元気になったのに、エトナチャン帰っちゃうクマか・・・?」
エトナ「だから前から言ってるでしょ。いる場所がなくなるって」
雪子「・・・」
陽介「良いのかよラハール・・・エトナさん一人先に帰しちまって」
ラハール「・・・仕方なかろう」
>-夜
:::【堂島家】:::
菜々子「新しいこたつ、あたたかいね」
エトナ「・・・そうね」
ラハール「ああ」
堂島「菜々子の具合だが、年明けに精密検査を受けて、異常がなければすぐに退院できるそうだ」
番長「そうですか・・・・・・良かった」
直斗「出来ましたよ~」
クマ「キタクマー!!」
菜々子「すごい、ケーキだ!」
エトナ「・・・・・・」
ラハール「(・・・・・・エトナ?)」
>-・・・・・・
:::【堂島家・外】:::
ラハール「どこへ行く?ケーキの一つぐらい、菜々子と一緒に食ってやれ」
エトナ「・・・これ以上楽しくなったら、名残惜しくなっちゃいますよ」
ラハール「・・・・・・今すぐ魔界に帰るつもりか?」
エトナ「ええ。フロンちゃんに・・・話はつけてあるんで。ただ・・・」
ラハール「・・・」
エトナ「・・・マリーちゃんがいなくなったっていうのが、気になってるんですよね」
ラハール「なら・・・」
エトナ「だから、マリーちゃんのことは殿下にお願いします。マリーちゃんの行方はマーガレットが調査中らしいんで、その報告は番長に行くと思います」
ラハール「・・・何故それを俺様に言う」
エトナ「面白い子なんですよ?マリーちゃん。あの子に何かあったら、アタシ・・・ヤですからね」
ラハール「チッ・・・・・・・・・わかった、気が向いたらな」
エトナ「・・・ありがとうございます。じゃ・・・」
ラハール「・・・・・・ああ」
バタバタ
雪子「エトナさん待って!」
エトナ「・・・・・・雪子ちゃん、どしたの?」
雪子「どうしたのって・・・どこ行くの!?」
エトナ「・・・ちょっと外の空気吸いに来ただけよ。寒いから雪子ちゃんは、家ん中戻りなよ」
雪子「嘘、エトナさん、このまま帰るつもりなんでしょ!?」
エトナ「・・・」
雪子「皆にお別れの一言も無いなんて・・・」
エトナ「・・・アタシそういうのってキャラじゃないからさあ」
雪子「・・・・・・提案が、あるの」
エトナ「提案?」
>-12/28(水) 夜
:::【雪子の部屋】:::
雪子「お疲れ様」
エトナ「ほんと疲れたわ・・・着物って窮屈すぎでしょ。旅館の連中、よくあんなの着て働けるわね~・・・」
雪子「仕事には慣れた?」
エトナ「一日やそこらで慣れるわきゃないじゃん」
雪子「そっか」
エトナ「・・・・・・」
>-雪子ちゃんからの提案は、雪子ちゃんとの同居と働き先の紹介。
>-勤め先は、天城屋旅館。
>-・・・マリーちゃんの行方がどうしても気になっていた私は、その提案に乗ることにした。
>-・・・だるいけど、まあ、仕方ないかな。
>-・・・
>-年末年始の天城屋旅館は大忙しで、仕事を覚えながら激務に当たらなきゃいけないアタシに余計なことを考える暇はなく・・・
>-01/02(月) 深夜
:::【雪子の部屋】:::
『来ないで』
>-・・・?
『私のこと、なんだかマーガレットが調べてるみたいだけど・・・私のとこには来ないで』
>-・・・マリーちゃん?
『いい?来ないでね。すぐに、私のことは忘れるから』
ガバッ
エトナ「はあ!?」
>-・・・・・・夢?
>-来るなって何よ・・・。
>-忘れるって、それどういうことよ・・・。
>-01/03(火) 夜
:::【雪子の部屋】:::
雪子「今日も一日お疲れ様」
エトナ「おー、ほんとよー。こんなしんどいとは思わなかったわね」
雪子「・・・ごめんなさい。旅館の皆には、ちょっと無理を言ってエトナさんを雇って貰ってるから・・・」
エトナ「良いって良いって。毎日働き詰めのかわりに毎日温泉入ってるし布団もご飯もあるし、この季節に野宿するよりゃ随分マシよ」
雪子「・・・」
エトナ「・・・・・・なんかねー、マリーちゃんに来るなって言われちゃった」
雪子「え、マリーちゃん?・・・来るなって、何かあったんですか?」
>-マリーちゃんがベルベットルームからいなくなったことを説明した。
雪子「・・・そっか。マリーちゃん・・・部屋を出たんだ・・・」
エトナ「けど出て行った理由もわかんないし、どこ行ったかわかんないんだってさ。マーガレットが調べてるみたいだけど」
雪子「・・・だから、エトナさんは人間界に残ったの?」
エトナ「ま、そうなるわね~・・・けど、アタシにはマリーちゃんの考えてることがわかんなくなってきちゃったわ。てっきり何か良くないことにでも巻き込まれたんだと思ってたんだけど・・・来て欲しくないみたいだし」
雪子「・・・」
エトナ「あの子は現在進行形の黒歴史だから、な~んか下らないこと考えてそうな予感はしてるんだけど・・・」
雪子「・・・?」
エトナ「いいや、考えても仕方無いし、もう寝よっか」
雪子「う、うん・・・」
>-02/01(水) 夜
:::【雪子の部屋】:::
エトナ「マーガレットの捜査は進展ないし、フロンちゃんは何にも教えてくれないし、どうしよっかな~・・・」
フロン『そ、そう言われましても・・・』
エトナ「これじゃ何のために働いてまで人間界残ってんのか、わかりゃしないわよ」
フロン『良いじゃないですか。エトナさんの着物姿すっごく可愛いですよ!』
エトナ「アタシが何着ても可愛いのなんて当たり前でしょ」
フロン『言い切りましたねえ・・・』
エトナ「・・・・・・」
フロン『エトナさん。最近、あんまり他の皆さんとお会いしてませんよね』
エトナ「ま~ね。旅館の仕事忙しいし、マリーちゃん連れ帰る時に何が起きるかわかんないから、レベルも上げなきゃいけないしね」
フロン『皆さんと一緒に行動しましょうよ』
エトナ「・・・何でよ?こりゃアタシの問題だし、あいつ等は関係ないでしょ」
フロン『理由は・・・ごめんなさい。お伝え出来ません』
>-理由が無いわけじゃない・・・ってことか。
エトナ「わかったわよ。つっても、普段はあいつ等学校行ってるけどね」
>-02/11(土・祝日) 昼
:::【スキー場】:::
エトナ「・・・ごわごわして動きにくいんですけど」
ラハール「・・・俺様もだ」
エトナ「けど着込まないと寒いしな~・・・」
ラハール「そうだな・・・」
陽介「おーいラハール、のんびりしてないで一緒に滑ろうぜ」
雪子「エトナさんも、こっちこっち~」
ラハール「・・・何が楽しいんだ?あいつら。寒いだけではないか」
エトナ「・・・さあ?」
完二「冷めてねーで、滑りましょうや」
直斗「じ、実はお二人とも滑る自信がないとか?」
ラハール「貴様と一緒にするな」
陽介「良いから来いって!」
ラハール「全く・・・」
>-・・・・・・。
エトナ「何だかんだ言って、殿下も楽しそうね~」
雪子「エトナさんも行こうよ」
エトナ「はいはい。しょうがないから付き合ったげる」
直斗「・・・・・・」
完二「どした?頑張らねーと上達しねーぞ」
直斗「・・・滑れない僕に付き合って頂けるのは嬉しいのですが・・・せっかくですから、巽君もラハール先輩達と一緒に行きたいのではないかと思って」
完二「・・・・・・」
直斗「あの・・・」
完二「ちょい、ここで待ってろ」
直斗「え?た、巽君!」
シャッ
ラハール「・・・おい。何をこんなとこで一人立ち止まっとるのだ」
直斗「お、置いていかれました・・・」
陽介「完二にか?あいつ薄情だな」
千枝「んなわけないじゃん。なんかあったんじゃないの?」
完二「お~い、借りてきたぞ。これ乗れや」
直斗「あ・・・ソリですか」
陽介「けどそれ、子供用とかじゃねえの?」
ラハール「乗ってみろ」
直斗「は、はい・・・」
千枝「スキー板外すの手伝ったげる」
直斗「すいません・・・」
てて~ん
直斗「乗れましたけど・・・少し恥ずかしいですね」
完二「別に恥ずかしいこっちゃねえよ。皆一緒ってんなら、お前も一緒だ」
直斗「・・・はい」
りせ「うわ~完二やっさし~・・・なんかムカツク」
完二「ムカツクって何だてめえ」
番長「りせの分も借りてくるよ。皆で滑ろうか」
りせ「は~い。け、けど・・・あっちの三人」
雪子「・・・」
クマ「・・・」
エトナ「・・・」
千枝「黙々と滑ってるね~・・・速さを追い求めようとしてる感じだわ」
陽介「追い求めてどうすんだよ」
>-夜
:::【スキー場・宿泊施設】:::
>-・・・こんなことしてる場合じゃないと思うんだけどな。
>-・・・けど、フロンちゃんが皆と一緒に行動しろとか言ってたし・・・。
>-殿下と番長、あと雪子ちゃん以外には、マリーちゃんがいなくなったことは言ってないし・・・。
>-皆が楽しんでるのに水さすのも、やっぱ違うわよね・・・。
>-・・・となるとせっかくだし、アタシも・・・って気になってくるわね。
エトナ「・・・あら、殿下」
ラハール「ここにいたのか」
エトナ「殿下こそ。お風呂もう行って来たんですか?」
ラハール「シャワーで済ませてきた。奴等と風呂に行くと長くなるからな」
エトナ「一緒に行けば良いのに」
ラハール「・・・・・・」
エトナ「・・・どうしました?なんか暗くないですか?」
ラハール「正月過ぎぐらいには、俺様も魔界に帰ろうと思っていた」
エトナ「えぇ?どうしてまた」
ラハール「事件の黒幕は潰したし、貴様一人で帰らせるのも寂し・・・貴様一人だけ魔界に帰すと、いらんことをしそうだからな」
エトナ「・・・殿下・・・」
ラハール「だがまあ、貴様が住むところも都合がついたし、人間共としばらくいてやるのも悪くない」
エトナ「・・・」
ラハール「貴様も・・・マリーを連れ帰ってきたとしても、その、春までは人間界にいればいい」
エトナ「殿下に言われなくてもそのつもりですよ。旅館の仕事、知らないこと多くて、意外と楽しいんですから」
ラハール「・・・そうか。ならいい」
エトナ「はい・・・」
番長「何二人で見つめ合ってるんだ?」
>-ぶっ!
ラハール「み、見つめ合ってるとか、そういうのじゃないだろ!」
番長「今度フロンさんに密告しよう・・・」
ラハール「ま、待て!逃げるな!」
エトナ「・・・ったく、何やってんだか」
フロン『ですねえ。密告も何も、全部見てましたよ?』
エトナ「・・・・・・・・・」
フロン『いやあ、良いですねえスキー。私もご一緒したかったな~・・・』
エトナ「アンタ達まだ忙しいの?」
フロン『先代の大天使様が、体調を崩されてここ一年ダウンしていたのですが・・・最近復帰されまして、おかげで今はそんなにですね』
エトナ「ふ~ん・・・」
>-じゃあ来れば良かったのに。
>-・・・待てよ?
>-天使が来ちゃいけない理由が、あったってこと・・・?
エトナ「・・・ねえフロンちゃん、アンタ達から連絡が何も来なかった時期があったじゃん?あれってやっぱ人、間界に霧が出てたせい?」
フロン『はい』
エトナ「ふ~ん・・・」
>-アタシはそんなに気にしてなかったけど・・・。
>-殿下は、霧が張れたこと、結構不思議に思ってたみたいよね・・・。
>-・・・マリーちゃんがいなくなったことについてフロンちゃん達が何も教えてくれないのは、やっぱり一連の事件と関係があるから。
>-となると・・・霧が晴れたことと、マリーちゃんがいなくなったことが、何か関係してるのかしら。
>-・・・。
>-どうでもいっか。
>-アタシはただ、あの子を連れ戻したいだけだし。
>-02/12(日) 昼
:::【スキー場】:::
クマ「研究を重ねた結果、最速の滑り方を発見したクマ」
エトナ「・・・どうでもいいけど、アンタスキー板どうしたの?」
クマ「甘いクマね~~エトナチャン。スキー板を使うばかりがスキーじゃないクマよ」
エトナ「あん?」
クマ「こうしてクマのプリチーボディーを倒して滑るクマ!!」
シュゴー
エトナ「それスキーじゃないわよ」
クマ「と、止まらんクマ!誰かトメテ~~!!」
エトナ「・・・アホだ」
雪子「エトナさん、下まで競争しようよ」
エトナ「良いけど手加減しないわよ」
>-・・・・・・
りせ「なんかこのソリのブレーキあんまり止まんないんだけど」
完二「あぁ?直斗はしっかり止まってんじゃねえか」
直斗「ブレーキが頼りないとは感じませんが・・・」
りせ「うそぉ。アタシのソリだけどこか悪いのかな?」
番長「乗ってる人の重さの違いじゃないか?元々子供用だし」
完二「あ~」
りせ「ちょっと、それアタシが直斗より重いってことですか!?」
番長「軽くはないと思うぞ」
りせ「なっ・・・!」
陽介「スゲー。言い切ったぜ」
千枝「番長君って度胸あるよね」
陽介「無謀なだけじゃね・・・?」
ドカッ
ラハール「おいクマ・・・いきなりぶつかってきて、一体どういうつもりだ?」
クマ「あの・・・今のは・・・チョットした手違いクマ」
ラハール「ふざけるな!貴様そこになおれ!」
クマ「ふおおお!」
ッシャー
ラハール「逃げるな!待て!!」
>-・・・・・・
エトナ「ふ~・・・随分滑ったわね」
雪子「うん。もっかい滑ったら戻ろっか」
エトナ「あいよ」
>-・・・雪子ちゃんと二人で、リフトを使って上に移動した。
雪子「急に吹雪いてきちゃったね・・・」
エトナ「・・・・・・まずいわね」
>-アタシ一人ならどうにでもなるんだけど・・・。
>-吹雪に視界遮られてて、何があるかわかんないから、周りを焼き払うって訳にもいかないし・・・。
雪子「ど、どうしよう?エトナさん」
エトナ「・・・」
>-他の連中には殿下も番長もついてたから、無事に戻ってると思うけど・・・。
>-寒いとこにずっといたら、人間の雪子ちゃんには良くないわよね・・・。
エトナ「なんか無いかしら・・・泊まってた建物とか見えない?」
雪子「・・・全然」
>-・・・しばらく歩いた。
雪子「・・・ま、迷っちゃったかな?」
エトナ「まっすぐ移動してたはずなんだけど・・・こうも視界が悪いと、ここがどのへんだかもわかんないわね」
雪子「・・・・・・あ、あれ。山小屋じゃない?」
エトナ「・・・」
>-・・・小屋の中に入った。
エトナ「暗いわね・・・」
ボッ
雪子「わっ、びっくりした」
エトナ「・・・っと、人がいるかもしんないのに、火出したのは軽率だったかしら」
雪子「でも、誰もいないみたい」
エトナ「そうね。しょうがないし、吹雪止むまでここで休んでよっか?」
雪子「うん」
>-・・・・・・
エトナ「・・・どう?」
雪子「・・・あったかい・・・エトナさんって優しいよね」
エトナ「ばっ、ばかなこと言ってんじゃないわよ!アタシが優しいわけないでしょ!」
雪子「ううん、優しいよ」
エトナ「・・・調子狂うわね~」
雪子「お母さんがね。エトナさんは良く気が利く人だって」
エトナ「・・・女将さんが?」
雪子「うん。ずっと・・・ウチにいて貰っても良いぐらいだって、言ってた」
エトナ「・・・・・・」
雪子「私が・・・エトナさんには帰るところがあるから、いられるのは春までだって言うとね、お母さん、いっつも・・・残念ね~って言うの。エトナさんがウチで働くようになってから、何度もしてるんだよ。こういう話」
エトナ「・・・ふ~ん」
雪子「春まで・・・なんだね。エトナさんと一緒にいられるのも」
エトナ「そうね~」
雪子「・・・・・・」
エトナ「あ~・・・殿下ってさ、すっげーわがままなのよ」
雪子「え?」
エトナ「ほんとにヤんなっちゃうぐらいさ。だから、殿下に愛想が尽きたら、アタシまた一人でここに来るわ」
雪子「・・・」
エトナ「そんときゃまた、雪子ちゃんちにいさせて」
雪子「・・・うん!」
エトナ「・・・」
雪子「あれ?今・・・」
エトナ「どしたの?急に」
雪子「・・・」
エトナ「ちょ、ちょっと雪子ちゃん!ま、待って、落ち着いて!」
雪子「・・・エトナさん・・・」
エトナ「や、気持ちはわかるけど待って!」
雪子「ん・・・」
エトナ「あ・・・そんなとこ入ったちゃダメだってば」
雪子「イケそう・・・!」
エトナ「だ、だめ、それ以上は・・・!」
バンッ
千枝「なな、ナニしてんの雪子!?」
直斗「里中先輩待って下さい。やはりこういうのは個人の自由というか・・・一概に倒錯という表現を当てはめられることではないと思います」
番長「エトナさんと天城、ありだな」
陽介「え?」
クマ「ヘーイ、ユキチャンもエトナチャンも、女の子同士でラブラブするなら間にクマを挟んでみな~い?」
雪子「・・・皆?」
エトナ「何言ってんの?アンタ等」
>-・・・・・・
エトナ「この小屋が、寝泊りしてたとこの裏にあったとはね・・・」
ラハール「貴様等一体何しとったんだ?こんなところで」
千枝「ナ、ナニってそりゃあ・・・ねえ?」
りせ「ねえ?」
直斗「逢引自体はその・・・構わないのですが、出来ればTPOを考えて頂けると・・・このような雪山で急にお二人がいなくなられると我々も心配しますので」
雪子「だ、だから違うってば・・・もう」
エトナ「何言ってんの?急に吹雪いてきたから逃げ込んだんですよ。つか、そっちは大丈夫だったんですか?」
完二「・・・吹雪?」
陽介「そんなん無かったよな?」
エトナ「はあ?」
ラハール「・・・妙だな」
エトナ「ええ」
雪子「あの、妙なこととかしてないよ?」
ラハール「・・・アホか。急に貴様等の周りだけ吹雪いてきたということは・・・自然にそんなことが起きるわけがない」
エトナ「明らかにどこかの誰かの仕業ですよね。ただ、一体誰がなんのために・・・?」
ラハール「・・・」
エトナ「怪しいのはとりあえず、これか」
番長「・・・テレビですか?随分古そうですけど」
エトナ「ここにはコンセントも何も無いのに、急に光ったらしいのよね。こいつが」
ラハール「光った?どういう感じに光ったんだ?」
エトナ「や、アタシは見てないんですけど、雪子ちゃんが」
雪子「・・・まるで、マヨナカテレビが今から映るみたいに・・・」
ラハール「・・・」
千枝「マヨナカテレビって・・・何で今更?あの、雪子・・・さっきはびっくりしたけど、その・・・大丈夫。アタシ偏見とかないから。下手な言い訳とかしなくても・・・」
りせ「そ、そうですよ。応援します」
雪子「だから・・・」
番長「・・・・・・とりあえず、入ってみようか」
クマ「ダメクマよセンセイ。どこに出ちゃうかわかんないクマよ?」
エトナ「そうよ。だから雪子ちゃんも入ろうとしてたけど、アタシはそれを止め---」
ズッ
>-テレビから急に飛び出してきた手はアタシの体を捕まえようと伸びてきた。
バシッ
エトナ「どこのどいつか知んないけど、このアタシを捕まえられると思ってんの?」
ずるずる ぼとっ
マーガレット「・・・久しぶりだというのに、随分とご挨拶ね」
陽介「ううわ・・・」
番長「テレビから人が出てくるのって、あんまり気持ちの良い光景じゃないな」
ラハール「言ってる場合か」
マーガレット「約束を果たしに来たわ」
番長「約束?・・・じゃあ、マリーの行方が解ったんですか?」
マーガレット「ええ。このテレビと、あの子が引きこもっているところを繋いでおいたわよ」
番長「このテレビと?じゃあ、他のところからは来られないんですか?」
マーガレット「そうなるわね」
陽介「ちょい待ち。話が見えねーぞ。何の話だ?」
>-・・・番長がマリーちゃんのことを皆に説明した。
完二「あいつ最近顔出さねえと思ってたら・・・」
マーガレット「マリーは、あなた方が来ることを望んでいないわ」
完二「あぁ?」
マーガレット「私達の元からマリーが消えて以来、マリーはずっとこの先に閉じこもっているみたいね」
エトナ「何でよ」
マーガレット「それは自分達で考えることね。ただ、この先にある場所はもう、消える準備を始めているわ」
直斗「消える・・・準備、ですか」
マーガレット「・・・マリーがいなくなれば、あなた達の記憶の中からマリーという存在も消える」
番長「・・・そういうことか」
エトナ「・・・なるほどね」
千枝「な、何落ち着いてんの二人とも!記憶から消えるってそんな・・・」
マーガレット「もしあなた達がマリーの元へ行こうと思えば、相応の危険が伴うわ。私は番長との約束を果たすためにマリーの行方を伝えはしたけれど・・・この先はあなた達の自由。全てを忘れ、日常に戻るのも、選択肢の一つであることを覚えておいて」
エトナ「・・・」
雪子「一体何を・・・」
マーガレット「それが、マリーの望みでもあるから」
雪子「ま、待って!」
>-・・・マーガレットはテレビの中に入って行った。
エトナ「・・・」
ラハール「どうする気だ?」
エトナ「アタシは行きますよ。決まってんでしょ」
ラハール「そうではない」
エトナ「え?」
ラハール「今すぐ行く気か?ここに武器を持ってきてる奴などいないだろう」
エトナ「や・・・別に、アタシは素手でも」
ラハール「貴様が良くても、他の連中はそうもいかん」
エトナ「他の連中?」
ラハール「・・・・・・貴様、一人で行くつもりだったのか?」
エトナ「そりゃまあ」
ラハール「全く・・・」
番長「エトナさん、俺も行きますよ」
エトナ「・・・」
番長「マリーは・・・記憶を取り戻して、その後、いなくなってしまった・・・来ないでという言葉を残して」
エトナ「そうね・・・けど、アタシにはそんなこと、関係ないわ」
番長「俺だってそうです。マリーを連れ戻すために、命をかける覚悟は・・・とっくに出来てます」
エトナ「・・・しゃあない。じゃあ二人で行くか」
ラハール「アホか。待て」
エトナ「・・・何なんですか?さっきから」
ラハール「貴様等二人が、危険を承知で行くというのに、それを黙って放っておくような奴は・・・ここにはおらん」
雪子「ラハール君の言う通り。エトナさん、私も行くよ」
エトナ「雪子ちゃん・・・や、けど、マリーちゃんは来て欲しくないって・・・」
直斗「気持ちは皆同じですよ。まずは状況を整理しましょう」
エトナ「直斗ちゃん・・・待ってよ」
ラハール「いい加減しろ」
エトナ「・・・でも」
ラハール「こいつ等はお人良しな上に、しつこいぞ。さっさと観念しろ」
エトナ「・・・・・・わかりました」
>-・・・・・・
千枝「まずさ、どうしてマリーちゃんは引きこもってる訳?」
りせ「それですよね。マリーちゃんが記憶を取り戻したって・・・それがどんな記憶だったのかは聞いたんですか?」
番長「いや・・・話してくれなかった」
エトナ「何を思いだしたかは知らないけど・・・見てた感じ、記憶が戻って喜んでた様子は無かったわね」
番長「そうですね」
エトナ「ただ・・・自分が何をするために生まれたか思い出した・・・とか言ってたわ。その内容はわかんないけど」
雪子「じゃあ、思いだしたから・・・一人で消えようとしているってこと?」
ラハール「・・・そうなるな」
千枝「そんな、どうして?」
エトナ「・・・知らないわよそんなの」
番長「マリー自身に聞いてみないことには、どうにも」
千枝「そっか・・・」
クマ「きて欲しくナイっていうのは、どういうことクマ?マリチャン寂しくないクマか?」
エトナ「どうかしらね・・・危ないから来るなってことなんじゃない?けど、あの寂しがり屋が、寂しくないなんて・・・そんなワケ無いと思うわよ。あの子は、アンタ等と一緒にいることを・・・楽しいと思っていたはずだから」
完二「じゃあさっさと行って引っ張って来ようぜ。話はそれから聞きゃ良い」
陽介「そうだな」
直斗「しかしマーガレットさんの口ぶりからすると・・・危険が伴うというところから、シャドウとの戦いが予想されます」
完二「なら、なおさら急いだほうが良いだろ。んな危険なとこに、あいつ一人でいんだからよ」
陽介「完二の言う通りだけど・・・ちょっと丸腰じゃ厳しいな。今すぐってのは無理なんじゃねえか?」
完二「・・・そうスね」
>-02/13(月) 放課後
:::【虚ろな記憶の墓場】:::
雪子「不思議な場所・・・」
直斗「はにわが置いてありますね。こんなにたくさん・・・」
番長「はにわ・・・じゃあ・・・ここは、墓?」
エトナ「あの子の墓ってこと?縁起でもない」
番長「・・・」
マリー『ねえ、聞いて』
エトナ「マリーちゃん?」
マリー『アタシの声を、叫んでいるこの声を・・・』
エトナ「・・・」
マリー『アタシはここにいる、血を声に替えて、世界の果てで叫んでいる・・・』
エトナ「いつものポエム・・・マリーちゃん!どこにいるの!?」
番長「待って下さい」
マリー『アタシは人魚姫。もう帰れない人魚姫。泡へと還る・・・人魚姫』
エトナ「・・・」
番長「うたかた」
エトナ「え?」
番長「マリーのポエムにありました。同じ内容のものが・・・」
エトナ「よく覚えてるわね」
番長「・・・一番最初の、ポエムです」
今回はここまでです。皆さん乙ありです。次回更新が最終更新となります。
>>720 ありがとうございます。思えばそんなに息の長いSSになっていたんですね。
>>721 PSP版自体は良い物だったんですけど、あれのせいで携帯機で完全版出るのを待とうみたいな風潮が出来てしまったような・・・まあどっちも据え置きでも携帯機でも買うんですけどね。
携帯機完全版の法則はP4でも……
正直個人的にはP4Gにあまりいい印象はないが
まあ仕方ないからね
乙
正直ディスガイアシリーズは携帯機で気軽にやりたいってのはある
D2に追加シナリオがもしあるなら未来から殿下の子供が来てもええんやで?
更新します。
>-・・・・・・
:::【虚ろの森1F・虚ろな別れの記憶】:::
マリー『どこへ行くのかって? ツマンナイこと聞かないで』
エトナ「・・・また、マリーちゃんの声?」
マリー『地図なんか要らない。コンパスはとっくに捨てた 。アタシのココロが道を示すわ』
マリー『アタシは一人で歩いてく。寂しくないかって? 冗談!影だってジャマなのに』
番長「これは・・・飛べ!」
エトナ「・・・二つ目?」
マリー『これ以上、アタシを縛るなら、アンタの前で華麗に死んでみせる』
番長「はい。けど、今のは・・・?」
マリー『アタシの翼は、誰にも折らせない』
番長「・・・」
ラハール「どうかしたのか?」
番長「少し、違うんだ」
エトナ「違う?違うって・・・何がよ」
番長「自由・・・それがルール。確か、そういう一文があったような・・・」
エトナ「・・・・・・何か意味があんのかしらね?アタシ達が見たポエムと、今の声が言ってた内容が違うの」
番長「・・・今は、自由じゃない・・・とか?」
エトナ「・・・・・・」
完二「あ、あれ?んだこの装備」
番長「装備?」
完二「いや、こんなん付けてましたっけ俺」
千枝「言われてみればアタシも・・・」
番長「・・・アイテムも一つもなくなってる」
ラハール「全員、さっきまで付けていた装備ではなくなっているようだな」
エトナ「さっき言ってた自由じゃないってのは・・・これのことかしら?」
番長「・・・・・・」
陽介「どうする?このまま行くのか?」
番長「・・・行くしかない」
りせ「この先も何が起きるか解らないから、注意だけはしておいて」
番長「わかった。今回は全員で固まって行動しよう。何があっても、咄嗟に動けるように」
ラハール「・・・そうだな」
>-・・・・・・
:::【虚ろの森2F・虚ろな痛みの記憶】:::
マリー『キミは殺人者です』
雪子「番長君、これも?」
番長「・・・ああ」
直斗「殺人者・・・か。いきなり物騒ですね」
マリー『静かな微笑みで・・・その、落ち着いた声で・・・深い色の瞳で・・・その、はにかんだ指先で、アタシを殺したのです』
直斗「・・・意味が良く解らないですね。指先はまだともかく、微笑みや声や瞳で、人が殺せるでしょうか?」
エトナ「深く考えないほうがいんじゃない?」
直斗「どんな情報が何の手がかりになるか解らないような状況で・・・ですか?」
エトナ「・・・や、まあ・・・言いたいことは解るけど」
マリー『アタシは死体。愚かで惨めで幸せな死体。きっとこのまま朽ちていくのね・・・だって、キミがアタシを殺したんだから』
番長「・・・・・・」
エトナ「一体何なのかしらね。この声」
番長「・・・わかりません。ただ・・・このポエムは確か、キミがアタシを殺した。最後の一言があったはずです」
エトナ「最後の一言・・・・・・駄目だ、深く考えるだけ無駄な気がしてきたわ。アンタ等に任せる」
番長「・・・・・・はい」
>-・・・・・・
:::【虚ろの森9F・虚ろな誘いの記憶】:::
ラハール「・・・どうにか、ここまで来たな」
りせ「やっぱり、この上の階に、マリーちゃんがいると思う」
番長「別れ、痛み、憂い、哀しみ、慈しみ、苦しみ、怒り、寂しみ、誘い」
直斗「一階からここまでの・・・それぞれの階層に冠されていた言葉ですか」
番長「・・・一見、負の言葉だらけのなか、慈しみが浮いてるように思えるけど・・・」
エトナ「・・・・・・浮いてんのは、誘いなんじゃない?」
番長「俺もそう思います」
クマ「ナンデ?ナンデ?」
ラハール「エトナ、貴様は深く考えないんじゃなかったのか?」
エトナ「い、良いでしょ別に」
ラハール「悪いとは言わんが・・・貴様らしくないな。誰かに気を使うのは」
番長「・・・?」
エトナ「・・・・・・わかってますよ」
ラハール「・・・なら良い」
クマ「ネーナンデー!?」
陽介「いいからこっち来い、邪魔すんな」
クマ「ちょっとヨースケ!邪魔ってドーユーコトクマ!?」
陽介「そういうことだ」
千枝「そういうことよ。はいはい、良いからこっちきなさい」
番長「きっとマリーは、俺達と別れることを、痛んで、憂いて、哀しんで、苦しんで、怒ってて、寂しがっていて・・・そして俺達のことを慈しんでいる」
直斗「・・・それで、誘いというところだけが、よくわからないと?」
番長「・・・ああ」
雪子「なるほど・・・」
番長「・・・やっぱりマリーは、自分がいなくなることを望んでなんかいないんだ。望んでいないから、今の状況に対して怒りっていう感情が混ざっていて・・・何者かに、今の状況をいざなわれている」
>-・・・それが誘い。
>-こうやって、マリーちゃんの気持ちを想像して士気を高めようってのはいいんだけど・・・。
>-もしマリーちゃんが、そんなことないって言い出したら・・・こいつらの士気はダダ下がりなんじゃないかしら。
>-そもそもあの子は、アタシや番長に・・・来るなって言ってるんだから・・・・・・。
>-けど、あの子が本当にきて欲しくないなんて、思ってるわけないのよね。
>-釣りが出来る海や河川敷。
>-祭りの屋台。
>-温泉やジュネス、番長の家。
>-この虚ろの森にあった、【墓】にはどう考えても合わない、いろんな風景。
>-それは全部、マリーちゃんが好きになったもの。
>-マリーちゃんが好きになった場所。
>-だからこそ、マリーちゃんの心をあらわしているここに、そういう部分が出来てる。
>-いろんなものを好きになったあの子が、自分から消えたいなんて思うわけがない。
>-・・・ま、それも含めて、アタシには関係ないわね。
完二「・・・っし、先輩、俺ぁ充分休めたぜ」
番長「・・・・・・皆、行けるか?」
千枝「いつでも」
陽介「俺もだ」
りせ「私は元々、休むほど疲れてなかったし」
ラハール「・・・フン」
雪子「絶対、マリーちゃんを無事に連れて帰ろう」
直斗「・・・ええ」
クマ「クマはいつでも準備ギンギン!」
エトナ「意味わかんないわよ」
番長「・・・行こう」
>-・・・・・・
:::【虚ろの森10F・虚ろな邂逅の記憶】:::
りせ「マリーちゃん!」
マリー「・・・どうして・・・こんなところまで来たの・・・?」
りせ「どうしてって・・・」
マリー「来ないでって言ったじゃん・・・エトナ、番長も・・・」
エトナ「そうね。言われたわね」
マリー「・・・どうして・・・」
番長「落ち着いて、まず話しあってみないか?」
マリー「話すことなんて無い・・・!」
雪子「そ、そんなこと言わないで・・・」
ラハール「いや、いい」
雪子「・・・ラハール君?」
ラハール「話すことがないなら、引きずってでも連れて帰るだけだ。エトナ、連れて来い」
エトナ「りょーかい」
マリー「来ないで!」
ラハール「・・・帰れないのならそれなりの理由を吐け。それが聞けんことには、俺様達も手ブラで帰るわけにはいかんぞ。こんなところまで来たからこそ・・・な」
マリー「・・・・・・」
番長「ラハールの言う通りだ」
マリー「・・・だって・・・」
番長「いきなりいなくなって、そのまま帰ってこなくなります、マリーの記憶は消えます・・・そんなこと言われたって、誰も納得出来ない。来るな何て突き放されて・・・突き放されたままじゃいられない」
マリー「・・・・・・」
番長「マリー」
マリー「・・・」
番長「・・・」
マリー「・・・私は、君達の敵」
エトナ「・・・」
マリー「クニノサギリや、アメノサギリと同じような存在」
陽介「クニノサギリっつーと・・・生田目の時に出てきた奴か」
千枝「うん」
直斗「アメノサギリは、足立さんの時に、ラハール先輩達が戦ったと仰っていた相手ですね」
ラハール「・・・ああ」
直斗「仮にそれが事実だとしても、貴女がここで消えなければならない理由にはなりません」
完二「だな」
雪子「そうだよ。敵だからって・・・それが何だって言うの?マリーちゃんはマリーちゃんだし、私達の友達だよ」
クマ「そうクマね。もう既にシャドウも悪魔も魔王もいるんだから、今更何だろうが気にすること無いクマよ」
マリー「・・・・・・私には、ある役割があったの」
番長「役割?」
マリー「君達も不思議に思ったでしょ。何ヶ月も晴れない霧・・・日々、濃くなる霧・・・そんな霧が、急に晴れたことを」
ラハール「霧が晴れたのは、貴様の仕業か?」
マリー「・・・あの霧は、人を惑わしてシャドウにする霧。シャドウにもなれない人は、死んでしまう霧。アメノサギリは、現実を望まないっていう人達の望みに応えて、あの霧を生み出した」
ラハール「・・・」
マリー「謎が深まれば深まるほど、真実を包み込む霧と一緒に・・・現実の霧は濃く深くなる。たとえ真実が追い求められても、霧は一時的に少し薄まるだけで、決して、勝手に晴れることはないの」
ラハール「(番長達が真実を追い求め続けたことで、一時的に霧が薄まっていた・・・【前回】の菜々子が助からずに、【今回】の菜々子が助かったのはそういうことか)」
マリー「現実を望み、シャドウだけの世界を否定する【人】に、アメノサギリが敗れた時・・・はじめて、私が生まれた理由が、私の役割が果たされる」
番長「・・・」
マリー「勝手に晴れることはない霧を、私は・・・全て私の中に取り込んだ。霧は今も私の中で、まだ暴れまわってる」
番長「・・・そんな・・・」
マリー「私の心が完全に霧にのまれた時に、私は、取り込んだ霧と、この虚ろの森と共に、消滅する」
番長「・・・」
マリー「それが、私が生まれてきた、たった一つの理由。私は最初から、死ぬために生まれたの・・・・・・それが、私が取り戻した、【私】」
番長「・・・取り戻した記憶のことを、何も教えてくれないわけだ・・・」
陽介「何、何冷静ぶってんだよ!冗談じゃねーぞそんな話!」
雪子「そうだよ・・・死ぬために生まれたなんて・・・そんな・・・」
マリー「けどそれが【私】なのっ!」
番長「・・・」
マリー「思い出したからには、私はただ、私の役割を果たすだけ。それに、良いでしょ別に。君達の記憶からは、私のことは消えてなくなる。私っていう存在が、霧と一緒になくなるんだから。忘れちゃえば、君達が傷つくことはない・・・!」
直斗「・・・・・・」
完二「・・・・・・」
りせ「だからって、忘れるからって、そんなこと・・・私は嫌だよ・・・」
マリー「駄々をこねないでよ!霧がなくなれば・・・君達は平和な日常に戻れる。それに、私はそのために生まれたんだから・・・私の役割を果たしたい!それを邪魔しないで!」
番長「マリー・・・」
マリー「私は君達に、こんなところにまで来て欲しくなかった!君達が来なければ・・・私はこんなに、苦しまずに済んだ!」
クマ「マリチャン・・・」
マリー「だからもう帰って!早く私を一人にして!」
エトナ「アンタのことなんか知ったこっちゃないわよ」
マリー「・・・ぇ?」
エトナ「どうでも良いのよ、アンタの気持ちなんか」
マリー「ど、どうでもいいって・・・」
エトナ「【アタシ】はエトナ」
マリー「・・・?」
エトナ「【アタシ】はね、アタシの記憶を勝手に消したり奪ったりしようなんて奴は、絶対に許さないって心に決めてるの。それをやろうとしてるのが、友達だろうが家族だろうがブッ殺す。邪魔する奴もブッ潰す」
ラハール「・・・」
エトナ「特にそれが、楽しい記憶ならね。例えマリーちゃんでも、許してあげられないわね~」
マリー「・・・っ」
エトナ「アンタがアタシの記憶を消そうなんて言ってるから、【アタシ】はそれを許さない。だからここに来たのよ」
マリー「【私】は・・・私はこんなとこまで来いなんて頼んでない・・・来るなって言ったっ・・・!」
エトナ「そうね」
マリー「【私】はただ、私の役割を果たして消えたいの・・・!もう君達と一緒にいたくない!・・・一人にして・・・!」
エトナ「そうね。そう言ってるわね」
マリー「・・・私がいなくなれば、誰も傷つかなくて済むんだよ?もう君達が、危ない目に遭わなくて・・・済むんだよ?」
エトナ「だから言ってんでしょ。知ったこっちゃないわよってね」
ラハール「さっさと観念しろ。こいつのワガママは筋金入りだぞ」
エトナ「殿下にそんなこと言われるとは・・・」
ラハール「どういう意味だ」
エトナ「そういう意味です」
ラハール「そうかそういう意味か。殺すぞ貴様」
エトナ「やれるもんならやってみて下さいよ~」
マリー「・・・・・・ばか・・・!」
エトナ「馬鹿で結構よ。それが【アタシ】だからね」
マリー「・・・ばか・・・きらい・・・かえれ・・・!」
エトナ「お断りよ」
マリー「・・・・・・!」
エトナ「【アタシ】はアンタがいなくなるなんて、絶対許さない。で、アンタはどうなの?」
マリー「【私】・・・?だから、私はもう消えるって・・・」
エトナ「それは【アタシ】が許さない。絶対にね。で、ほんとはどうなの?本当のアンタは、どう思ってんの?」
マリー「・・・・・・【私】は・・・」
エトナ「・・・」
マリー「【私】は・・・消えたくなんかないよ・・・皆と、エトナと、一緒にいたい・・・!」
エトナ「最初っからそう言や良いのよ」
マリー「エトナ・・・!」
番長「よし、やるぞ皆!」
>-・・・・・・
ラハール「・・・で、どうするんだ?これから」
番長「・・・・・・どうしようか?」
ラハール「知るか・・・というか貴様、さっきのやるぞ皆!って何だったんだ・・・?」
番長「いや、まあ、気合を入れようと思って」
雪子「後先考えてないというか何と言うか・・・まあ、マリーちゃんが考え直してくれただけでも、一つ進歩だよね」
エトナ「アタシはワガママ言ってるだけだしね。そこで家来のワガママをどうにか叶えるのが、殿下の腕の見せ所なんじゃないですかね?」
番長「確かに」
ラハール「貴様等は・・・・・・・うーむ・・・マリー」
マリー「な・・・何?」
ラハール「霧はまだ貴様の中にあるんだろう?それを外に出すことは可能か?」
マリー「・・・」
番長「出来るのか?」
マリー「・・・出来るとは、思うんだけど・・・」
完二「んだよ、なら話がはえーじゃねえか」
直斗「ですね」
エトナ「出しなさい」
マリー「で、でも待って・・・この霧は、世界全部を覆える程の力を持っているの。それだけの力が一つの形を成したもの・・・そんなのと君達が戦ったりしたら、いくら君達でも誰かが命を落とすかもしれない。私は、それだけは絶対にヤだよ・・・」
エトナ「いいから出しなさい」
マリー「えぇ・・・?」
ラハール「ワガママを言う権利」
マリー「?」
ラハール「それはワガママを通すだけの力だ。そして今ここにいるのは全員、自分のワガママを通したくて、そのための力を蓄えてきた奴等だ」
エトナ「そういうこと。別にアンタのためじゃないわよ。アタシは自分のワガママを通したいだけだから」
ラハール「・・・」
雪子「とりあえずそういうことにしておいて、マリーちゃん、私達にもう一頑張りさせて」
エトナ「ちょっと!とりあえずってどういうことよ!」
番長「まあまあ」
エトナ「なだめようとしてんじゃないわよ・・・!」
陽介「覚悟も準備もしてあんだ。今更相手がどんだけ強いって言われても、俺等はマリーちゃんを助けにきたの」
千枝「何かっこつけてんの?」
陽介「かっこつけてねーよ!・・・ないよな?」
番長「・・・つけてたかな」
マリー「・・・なんでそんなに呑気なの?怖くないの?」
番長「・・・皆、そろってるからな」
陽介「ま、そうだな」
番長「・・・マリーも一緒だ」
マリー「・・・・・・ばか・・・!」
エトナ「泣いてる暇があったらさっさと出しなさいよ。アタシはこんなとこに長居したくないのよ」
マリー「なっ、泣いてないし・・・!」
エトナ「いや号泣してたじゃん」
クマ「・・・エトナチャンだって涙こらえてたクマ」
エトナ「冗談言ってると先にアンタからブッ殺すわよ?」
クマ「せ、せめて後にして・・・!」
完二「後なら良いのかよ」
りせ「・・・マリーちゃん、一緒に帰ろう」
マリー「・・・・・・わかった」
番長「待ってくれ」
マリー「えぇ・・・?」
ラハール「話の腰を折るな。どういうつもりだ」
直斗「待つということには僕も同意見ですね」
ラハール「・・・?」
番長「どうせなら全員チャージとかコンセントレイトとか、他の全ての補助魔法をかけまくった状態ではじめよう」
ラハール「な、なるほど・・・」
直斗「有無を言わさず、全員の一斉攻撃でケリをつけましょう。強い相手だというのなら、妙な行動をされる前に片付けてしまえばいいんです」
番長「よし、やるぞ皆!」
完二「・・・先輩、それさっきも言ってたっス」
番長「気合を入れなおそうと思って・・・」
完二「そ、そっスか」
>-・・・アタシと殿下が力尽きるまでパワーアップとマジックアップを皆にかけまくったら、一瞬で終わった。
>-・・・・・・
りせ「マ、マリーちゃん!?」
マリー「・・・」
番長「どうした!?何かあったのか!?」
エトナ「アンタ慌てすぎよ。さっきまでのゲスいアンタはどこいったの?」
ラハール「いやこいつ案外逆境に弱いぞ。菜々子の時はもっとひどかったからな」
番長「そんなこと言ってる場合か?マリーは?」
エトナ「・・・大丈夫よ。笑って眠ってんじゃん。こりゃ、疲れただけよ」
番長「そうですか・・・」
>-2/14(火) 放課後
:::【教室】:::
フロン「ラハールさ~~ん」
シシリー「お兄ちゃ~~ん」
ラハール「は?」
陽介「(突っ込まない。俺は突っ込まないぞ。他人のフリだ)」
フロン「はいこれ、チョコレートです」
シシリー「私からは新しいマフラー!手編みだよ!」
ラハール「いや・・・・・・は?」
フロン「は?と申されましても・・・」
シシリー「ねえ・・・」
ラハール「貴様等がいきなり人間界に来るのはまだ良いがな・・・なんでここに来た!?しかもいつもの格好のまま!周りの奴等、凄い目でこっちを見てるではないか!」
フロン「ラハールさんもそういうのを気にするお年頃になったんですねぇ」
シシリー「なんか進歩を感じるよね」
ラハール「ふざっけるな!!いいから来い!!学校から出るぞ!!」
>-・・・・・・
:::【校門前】:::
ラハール「・・・何かと思えば、そうか・・・今日はバレンタインか。道理で色んな奴等に菓子を贈りつけられたわけだ」
シシリー「え、お兄ちゃん結構モテるんだ?」
陽介「そうそう、こいつ文化祭で目立ってから、女子からも男子からもモテてんだ」
シシリー「だ、男子からも・・・?」
ラハール「余計なことを言うな」
フロン「まあラハールさんはかっこいいしかわいいですからねえ」
ラハール「っ・・・なっ、き、きしゃまっ、い、いったい、なっ、っっ!///」
陽介「何一つちゃんと言えてねーぞ」
ラハール「う、うるさい!もう帰る!///」
陽介「あっ・・・アイツ全力疾走しやがった。危ないから止せっつってんのに」
フロン「そうだ。花村さんにもチョコレートです」
シシリー「私からも~」
陽介「え、良いんですか?いや、何か普通に嬉しいですね。ども」
フロン「常日頃ラハールさんがお世話になっているお礼です」
陽介「あ、いやいやいや、お世話になってるのはこっちっつーか・・・」
フロン「いえいえ、一年前は考えられませんでしたよ?かっこよさはともかく、あんなにかわいいラハールさんは」
シシリー「確かに」
陽介「・・・一年か・・・もう、こうしてられんのも、あと一ヶ月なんですね」
フロン「・・・ふっふっふ~」
陽介「え、何で笑うんですか?」
フロン「秘密でぇ~す」
>-・・・・・・
:::【堂島家】:::
マリー「・・・ねえ、ちょっとは遠慮しなよ」
りせ「えぇ?それは無理かな~?」
番長「・・・」
マリー「助けて貰ったことには感謝してるけどさ・・・」
りせ「マリーちゃんは確かに大事な友達だよ。でも、先輩のことはちょっと譲れないっていうか~?」
番長「・・・・・・」
マリー「ゆ、譲れないのはこっちのほうだよ」
りせ「えぇ~?」
番長「・・・・・・あの、そろそろ菜々子が帰ってくる時間なんで、穏便に・・・」
マリー&りせ「何?」
番長「・・・何でも無いです」
>-・・・本当に逆境に弱いわね。
番長「・・・ところで、どうしてエトナさんがここに?」
エトナ「え?マリーちゃんに呼ばれたのよ」
番長「マリーに?」
マリー「・・・・・・う、うん・・・あの、これ・・・皆にチョコレート作ったけど、エトナのは、特別だから・・・ちゃんと渡したくて・・・その・・・」
エトナ「・・・マリーちゃん・・・」
マリー「な、なんか照れる・・・!」
エトナ「何言ってんのよ・・・・・・こっちまで照れちゃうじゃん・・・!」
りせ「先輩~、二人で先輩の部屋行きましょうよ。マリーちゃんにはエトナさんがいるみたいだし」
マリー「ちょ、ちょっと・・・!」
番長「・・・・・・・あの、そろそろ菜々子が・・・」
マリー&りせ「何?」
番長「・・・何でも無いです」
>-3/20(火)
:::【八十稲羽駅】:::
番長「(ラハールもエトナさんも・・・何も言わずに帰ってしまった)」
番長「(今日、皆とお別れしようって、言ってたのに・・・)」
番長「(陽介が朝起きたら、ラハールはいなかったらしい)」
番長「(天城が朝起きたら、エトナさんはいなかったらしい)」
番長「(・・・どうして・・・)」
>-・・・二人が急にいなくなっていたことを惜しみながら
>-・・・皆と別れの挨拶を交わし
>-・・・再開を約束して
>-俺は電車に揺られた。
>-・・・・・・
>-・・・・・・
>-それにしても・・・
>-まだ謎が、残っていたような・・・
>-・・・いいや。
>-・・・なんだか疲れた。
>-・・・少し、眠ろう。
おわり
更新はここまでです。今回更新にてこのSSは終了となります。皆様長い間ありがとうございました。
>>741 追加アニメ、シナリオ、ゲームバランスからいって、P4GはもうP4とは別物のような気がしますが、完全版っちゃあ完全版ですね。
>>742 まあいわゆるヌルゲー化が極端なので賛否出るのは仕方ないですよね。個人的には一週目からハードぐらいで調度良く楽しめるものになってると思います。
>>743 殿下の子供なんてものがきたら、誰に生ませたのかという話題で戦争が起きて魔界一つ滅びそうですね。ディスガイアはどうしても時間がかかるので携帯機でやりたいというのは非常に同感です。
乙ッスよー。
いつぞやの最終回と同じく終了ってのはフリだと思っていいんだよね……
乙でした
しかしこの終わりは……続編フラグですか!?
続編立ってるから一応誘導
ラハール「よく来たな」 番長「えっ」【P4G×ディスガイアD2 EXTRA】
ラハール「よく来たな」 番長「えっ」【P4G×ディスガイアD2 EXTRA】 - SSまとめ速報
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