女「ねぇ、そろそろ起きようよ」(34)
男「ん・・・えっ…!?」
女「おはよう」
男「お、女さん・・・!?」
女「何をおどろいてるの?」
男「こ、ここは一体・・・」
女「男くんが授業中に寝ちゃうなんてめずらしいね」
男「………」(動揺して言葉が出ない)
女「もうみんな帰っちゃったよ」
そう言えば昔にもこんなことがあった。
他の男子から虐められていた俺は、方向が同じ女子グループと帰ることがあった。
女子は4人グループだったが、月に1,2回程女さん以外は習い事で、母親が迎えに来るという時があった。
家までの長い田舎の山道を、一人で歩いて帰るのは退屈だというものだ。
けっして俺にそういう感情を持っているわけじゃないとは分かっていた。
しかし、女さんに気があった俺は、彼女の申し出に喜んで応えていたのだった。
女「夜ふかししてるの?」
男「どうして?」
女「顔色良くないよ」
男「そうかな・・・」
女「そうだよ」
そう言えば最近は納期が近くて終電続きだったことを思い出した。
女「勉強してるからなの?」
男「うーん。間違っては無いかな」
たまに、クラスメイトの漢字書き取り帳を書かされてはいる。
男「女さんは予習したりしてるの?」
女「・・・音楽のテストの時だけ」
男「そっか。来週、リコーダーのテストだもんね」
ランドセルからリコーダーが顔をのぞかせていて、思わず笑みが零れた。
女「うん。頑張らないと」
二人とも口下手な方だったので、会話は多くなかった。
それでも俺は、この時間が好きだった。
女「トンボがいっぱい飛んでる」
何の脈絡もなく、彼女が言葉を発するのを楽しみにしていた。
男「もう夏だからね」
そう、あれはプール開きが始まったばかりの夏のことだった。
男「山道は辛いけど、木が茂ってるから、涼しくていいね」
女「しげってる?」
男「木が沢山生えてるってことだよ」
女「うん、そうだね」
男「といっても、途中までだけどね」
中腹まで行くと開けた草むらが広がっている。
日がよく当たるので、草花の成長は著しい。
ひっつき虫が多く、男子同士で此処を通れば、たちまち戦場になった。
納期って男は何歳なんだ
その後は女さんと、グミの実をとったり、道に生えてた
ホトケノザを摘み取って蜜を吸いながら帰った。
男子はよく吸ってるんだと教えると、ちぅ、と
恐る恐るホトケノザを吸ったが、気に入ってくれたみたいだ。
グミの実は、俺がとると酸っぱくて渋いのに、彼女が取る実は甘くておいしかった。
中腹を過ぎると、少しはしゃいでしまったこともあって疲れてしまった。
そうなると口数は更に少なくなる。
しばらく無言で歩き続けると、女さんが言った。
女「…っ…てて」
男「うん?」
女「先に行ってて・・・」
突然そんなことを言われた俺は焦った。
何か不適切な事をしてしまったのか、
知らない間に傷つけてしまったのかとオロオロしてしまった。
男「どうして急に・・・」
女「おねがいだから・・・」
そう言われて、仕方なく、もう近い坂道の頂上付近で彼女を待つことにした。
1時間ぐらい心配しながら待っていると、女さんはやっと歩いてきた。
彼女が持っていたビニール袋には、押し花を作るんだと
一生懸命集めて入れていたホトケノザではなく、…パンツが入っていた。
そして俺に気付き、一瞬目が合うと、すぐに視線を下に落とし、脇をすり抜けて歩いて行った・・・。
今日はここま…で…(¦3[▓▓]
>>7
タイムスリップ
男「その日から、彼女と話すことはなくなったんだっけ…」
女「?どうしたの」
男「あ、いや…というか、まだ吸ってるの?」
女「うん。これけっこうスキかも」
男「あはは」
男「でも、あんまり吸うのは良くないかも」
男「微量だけど毒があるっていう噂もあるから」
女「えっ」
男「といっても誰も体を壊したことはないけど」
女「・・・脅かさないでよ」
男「ごめんごめん、ついね」
女「押し花にするのに、ちょっともったい無いかなって」
男「あぁ、確かにね」
女「男くんも手伝ってくれないかな」
男「吸うのを?」
女「そう。おどかしたバツ」
男「けっこう軽い罰だね」
女「残り全部だよ?」
男「え、手分けするんじゃないの?」
女「それじゃあバツにならない」
男「そっか。じゃぁ仕方ないね」
女「うん」
男「あぁ、甘くておいしいのになー」
女「……」ピクッ
男「そして結局吸っちゃうと」
女「・・・その方が早いから」
そろそろ、あの時が近づく。
男「そうだね」
後悔した分岐点へ。
※こっから先はR-18要素を含みます。
女「……」ウズウズ
男「どうかしたの?」
女「ごめん、先に行ってて」
男「ははぁ、もしかしておしっこかな?」
女「どうして…」
男「実は俺・・・僕もなんだ。女さんも?」
女「え…うぅ・・・」コクン
男「偶然だね。じゃ、あっちの草むらで済ませよう」
女「大丈夫・・・やっぱり家まで我慢する」
男「誰も居ないから大丈夫だよ。それに、家まで我慢できるの?」
女「……」
男「さっきから言葉も少ないし、内股になってるし」
男「我慢は体に毒だよ?」
女「・・・・・・わかっ、た」
***
男「ふぅ、すっきりした」
そしてわざとらしく聞く。
男「女さんは?」
女「あの、その……男くん・・・」
男「どうしたの?」
女「ポケットティッシュとか持ってない?」
あの日、彼女がビニール袋に入れた下着は汚れていた。
女さんが、この日ティッシュの類を持ってない事は知っていた。
周りに自生している草は、笹船遊びに用いられるような、
細長く、鋭い葉のものしか見当たらない。
男「あ、多分あると思うよ」
女「ほ、ほんと?」
男「多分ランドセルの中にね。すぐとってくるよ」
女「うん……こっちは見ないでね」
男「分かってるよ」
そして本当は、自分もティッシュなど持っていないことを、知っていた。
男「あったら投げるから」
女「どうだった・・・?」
男「ごめん、なかったみたい」
女「ううん。男くんが謝る必要は・・・」
男「本当にごめん」ガバッ
女「きゃっ...!?」
男「……」ズボッ
女「ひゃああ…一体何して・・・」
男「……」レロッ
女「ひっ!」
女「や、やめて…汚いよ!」
男「それは、どっちが?」
女「そこは、おしっこの出る所だよ!?」
男「汚くないよ。今日の5時間目はプールだったじゃないか」
男「プールにはカルキ、塩素っていう強い殺菌作用があるからね」
女「そんなのずっと前だよ!」
男「それに、唾液にも強力な殺菌作用があるから」
女「~~~っ!?」
男「でもおかしいな…綺麗にしてるハズなのに」
女「やっ...あ...そんなとこ...舌..ダメ....っ」ビクッ
男「たくさん溢れてきてるのは何故だろう?」
女「知らない。知らないよ....お願い、もう許して!」
男「ダメだよ」
男(だって、君は許してくれなかったじゃないか)
女「やっ..はぁっ!...はああぁ..っ」
女「それ、らめっ.......やぁっ..やぁぁっ」
男「腰が浮いてるけど、気持ちよくなってるの?」
女「んっ.......んぅっ」フルフル
男「そっか。じゃぁもっと激しくするね」
女「はぅっ......!?だめっ!.....ダメダメぇえぇッ」
女「あぁっ..........っ、くぅうう!!」ビクンッ
女「はぁっ..はぁ...」
男「まだ、残ってたみたいだね」
女「ごめ、ごめんなさい・・・」
男「かかったの、ちょっとだけだったし」ペロペロ
女「はぁっ...あっ....」
男「ふぅ、これでよし」
女「ぁ........ぅぅ...........//」カァァ
坂道の頂上付近まで来ると、徐に言った。
男「本当はココ、弄ったりしてるんじゃないの?」
女「ぅ・・・ぅん」コクン
男「だと思った」
女「誰にも・・・言わないで、よっ」
男「大丈夫。分かってるって」
男「じゃ、僕、こっちだから」
道の分岐点。別れる時がくる。
女「…・・・・・・」
男「また、ね」
静かに歩き出す。
女「………男くん」
呼ばれて立ち止まった。
女「今日、まだ時間ある?」
男「どうして?」
女「帰ったら一緒に、押し花作らない?」
うん。喜んで! って言いたい。
だけど、言えない。
あの時
『先に行ってて』
あの言葉を、素直に聞いてれば、変わってたのかな。
――――――あぁ、そっか。
先に女さんを裏切ったのは、
女さんの言葉を信じられなかった、僕の方だったんだな。
もしそれでも、あの時、女さんを追いかけて。
あの信号機の前で追いついて、
ちゃんと謝っていれば、
事故は防げていたのかな。
男「誘ってくれて、嬉しいよ」
男「・・・でも、僕は、君の居る道には行けない」
男「こんな外道をする俺が行く道は、そっちじゃない」
女「・・・・・・・・・」
男「でも、ありがとう」
『続いてのニュースです。
昨晩、駅のホームに転落した男性は、
長時間の残業による極度の疲労困憊の状態であったと考えられ・・・』
それはどっちの?
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