わすれられないごーやからのおくりもの (70)



せんすいかんのごーやは、かしこくて、いつもみんなにたよりにされています。



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こまっているともだちは、だれでもきっとたすけてあげるのです。



それに、たいへんなたたかいやとてもつらいことをけいけんしていて、しらないことはないというぐらい、ものしりでした。



ごーやは、じぶんのたいえきが、かいたいが、しぬのが、そうとおくないことも、それはてーとくがぼこうわくをあけるためだということもしっていました。



ごーやは、しぬことをおそれてはいません。



しんでからだがなくなっても、こころはのこることを、しっていたからです。



だからいぜんのように、てーとくがやさしくせっしてくれなくなっても、くよくよしたりしませんでした。



ただあとにのこしていくともだちが、あまりかなしまないようにと、おもっていました。



あるひのこと、ごーやは、あかつきといなづまのかけっこをみに、ちんじゅふのやねにのぼりました。



そのひは、なぜかとてもかなしくなってしまいました。



あといちどだけでも、みんなといっしょににんむやえんしゅうにでれたらとおもいました。ですが、ごーやにのこされたじかんでは、もうむりなことです。



よるになって、ごーやは、ちんじゅふにかえってきました。



みんなにおやすみをいってから、じぶんのへやに、ゆっくりとむかいました。へやにはいり、らんぷにひをいれるとあかあかとしんがもえだして、あたたかいひかりがへやにみちていきます。



そしてつくえにむかい、てがみをかきました。



ごーやはらんぷをけして、おきにいりのゆりいすをのまどのそばにひきよせて、しずかにつきをみながらゆらゆらしているうちに、ごーやは、ぐっすりねいってしまいま
した。



そして、ふしぎな、でも、すばらしいゆめをみたのです。



おどろいたことに、ごーやは、うみにもぐっているのです。




めのまえには、どこまでもあおく、ふかいうみがひろがっています。



あしはしっかりとしてちからづよく、せすじはぴんしゃんしています。
ところがどうしたことでしょう、からだをしっかりとうごかしてもぐろうとすればするほど、どんどんうかんでゆきます。



とうとうかいめんからうきあがってしまいました。まるで、からだがなくなってしまったようなのです。ごーやは、すっかりじゆうになったとかんじました。



つぎのひのあさ、ごーやのともだちは、みんなしんぱいしてあつまりました。ごーやが、いつものように、おはようをいいにきてくれなかったからです。



てーとくが、かなしいしらせをつたえました。
なんと、ごーやがねむっているあいだにかいたいしてしざいにしてしまったのです。


みんなはとてもかなしくなりました。
てーとくはなおもいいます「伊58の部屋を清掃し、本日の演習及び任務を遂行せよ」と。

アナグマが主役の絵本か



そして、みんなでごーやのへやのそうじをはじめました。
そのとき、しらぬいがべっとかばーのあいだにてがみがかくしてあるのをみつけたのです。



そして、ごーやのてがみを、みんなによんでくれました。



「さきにだいすきなうみにもぐってるでち!さようなら。ごーやより。」



ちんじゅふのみんなは、ごーやをあいしていましたから、かなしまないものはいませんでした。



なかでも、いかづちは、やりきれないほど、かなしくなりました。



べっとのなかで、いかづちは、ごーやのことばかり、かんがえていました。



なみだはあとからあとからほほをつたい、もうふをぐっしょり、ぬらします。

また君か壊れるなあ……(落涙)



そのよる、ゆきがふりました。
ふゆがはじまったのです。



これからのさむいきせつ、みんなをあたたかく、まもってくれるちんじゅふのうえにも、ゆきがふりつもりました。



ゆきは、ちじょうをすっぽりとおおいました。



けれども、こころのなかのかなしみを、おおいかくしてはくれません。



ごーやは、いつでも、そばにいてくれたのに。
みんなは、いまどうしていいか、とほうにくれていたのです。



ごーやは、かなしまないようにといっていましたが、それは、とてもむずかしいことでした。



そして、はるがきました。



あるひ、てーとくがだいほんえいへいくようじがありました。
そうなると、ちんじゅふもいちにちおやすみになります。
そこで、ちんじゅふのみんなでおべんとうをつくり、おはなみをすることになりました。



そして、みんなでごーやのおもいでをかたりあいました。



いかづちは、はさみをつかうのがじょうすです。
いちまいのかみから、てをつないだいかずちといなづま、うさぎやくま、さいきんはしまかぜのれんそうほうも、きりぬけるようになりました。



きりぬきかたは、ごーやが、おしえてくれたものでした。はじめのうち、なかなかかみのいかずちといなづまは、つながらず、ばらばらになってしまいました。
でも、しまいに、しっかりと手をつないだふたりが、きりぬけたのです。
そのときのうれしさは、いまでも、わすれられないおもいでです。

>ぼこうわくをあけるため

いやお布施しろよ



まるゆは、せんすいゆそうがとくいです。
せんすいくんれんをはじめてちんじゅふでおこなったときのことをはなしました。



そのくんれんは、えんじんをていしさせておとをたてず、かいりゅうにのって、てきやもくてきちにとうたつするというないようで「しのだいぶ」とよばれていました。いっぽまちがえれば、ごうちんするかもしれない、とてもきけんなくんれんです。



まるゆは、そのくんれんのさいちゅうにぱにっくをおこしてしまい、のるかいりゅうをまちがえてしまいました。
それをみたごーやが、まるゆのてをにぎってもとのかいりゅうのごうりゅうちてんまでつきそってくれました。



それからも、まるゆがひとりでりっぱにもぐれるようになるまで、ずっとやさしく、そばについてくれたのです。



しらぬいは、ちゃくにんしたころ、ごーやにおしえてもらうまで、たいがむすべなかったことを、おもいだしました。

あれか
懐いな



「はばのひろいほうをひだりに、せまいほうをみぎにしてくびにかけるでち。
それから、ひろいほうをみぎてでつかんで、せまいほうのまわりにぐるりと、わをつくる。
わのうしろからまえに、ひろいほうをとおして、むすびめを、きゅっとしめるのでちよ。」



しらぬいはいま、どんなむすびかただってできますし、じぶんでかんがえだしたむすびかたもあるんです。
そしていつも、とてもすてきに、たいをむすんでいます。



あかつきのりょうりじょうずは、ちんじゅふじゅうにしれわたっていました。とくに、あかつきのつくるかれーはぜっぴんです。



でも、さいしょにりょうりをおしえてくれたのは、ごーやでした。ずっとまえ、ごーやは、あかつきにかれーのつくりかたをおしえてくれたのです。



あかつきは、はじめてりょうりをおしえてもらったときのことをおもいだすと、いまでも、ことことにこんでいるのかれーのかおりが、ただよってくるようだといいました。



みなだれにも、なにかしら、ごーやのおもいでがありました。



ごーやは、ひとりひとりに、わかれたあとでも、たからものとなるような、ちえやくふうをのこしてくれたのです。



みんなはそれをつかって、おたがいにたすけあうこともできました。



さいごのさくらがちったころ、ごーやがのこしてくれたもののゆたかさで、みんなのかなしみも、きえていました。



ごーやのはなしがでるたびに、だれかがいつも、たのしいおもいでを、はなすことができるようになったのです。



あるあたたかいはるのひに、いなづまは、いつかあかつきとかけっこをしたすなはまにきました。



いなづまは、ごーやがのこしてくれた、おくりもののおれいがいいたくなりました。 




「ありがとうなのです!ごーやちゃん!」



そう、うみへむかって、いなづまはちからいっぱいさけびました。



いなづまは、なんだか、そばでごーやが、きいていてくれるようなきがしました。



そうですね、きっとごーやに、きこえたにちがいありませんよね。


おわり

おっつし?

おつ

おつ

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