魔法使い「勇者の女子力が上がった」 (25)
全20レス程度の作品になる予定です。
一気に投下します。
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勇者「今日も皆お疲れ~」
戦士「おつ~」
賢者「お疲れ様です」
魔法使い「…」
私は魔法使い。魔王討伐を目標に旅するパーティーの紅一点である。
この勇者とは同じ村の出身であり、パーティーの中では1番彼を知っていると自負しているが――
勇者「今日も一杯戦って汗ベトベト~。お風呂行ってくるね、お先~」
戦士「何だよ、一緒に入ろうぜ勇者」
勇者「や、やだよー///恥ずかしいじゃん…」
賢者「男同士だというのに、勇者様は奥ゆかしいことで」ニコ
勇者「男に奥ゆかしいって、それバカにしてる…///」
魔法使い(こいつ今、賢者君の微笑みにときめいたな…)
勇者「あっ、保湿ローション切らしてたんだった。買ってくるね~」
戦士「勇者は美容に手を抜かねぇなぁ…」
賢者「やむを得なく野宿をする時でも、下着だけは毎日取り替えているようですね…あ、勇者様には秘密ですよ。見られたと知ると恥ずかしがりますからね、彼」
昔から大人しい奴ではあったが、まさかこんなに女々しい奴だとは、思ってもいなかった――
魔法使い(村を出るまでの勇者は…)
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勇者「剣の稽古始めたんだ。俺は女顔だから、せめて体は鍛えないとな」
勇者「村の男はどうも女々しいな。魔法使いの方がよほど雄々しくて話しやすいよ」
勇者「魔物だ!魔法使い、下がってろよ!」
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魔法使い(…凄く、ってわけでもないけど、大人しいなりに男らしさはあったわよね、うん)
魔法使い(おかしくなったのは…勇者が、伝説の勇者の生まれ変わりとして魔王を討て、という神託を受けた日からよね)
魔法使い(それで国から、戦士さんと賢者君が派遣されてきたわけだけど――)
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戦士「ハッハッハ、凄い筋肉だろう!触ってみるか勇者よ!」ムキムキ
勇者「い、いいよ///」
魔法使い(…ん?)
賢者「はは、宜しくお願いします勇者様」イケメンスマイルキラーン
勇者「…うん///」
魔法使い(んんん~???)
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魔法使い「うちの村にいないような、男臭さMAXの戦士さんと、イケメンMAXの賢者君と出会ってからだーッ!!」
魔法使い「勇者を狙ってる女の子結構いたけど、私が1番仲良かったし…でもでも、そういう雰囲気には全然ならなくて、単に恋愛に淡白なのかなと思ってたけど、まさか男が好きだとか」アセアセ
賢者「魔法使いさん、声がだだ漏れですよ」
魔法使い「え、ちょ、や、やだーっ///」
戦士「安心しな、魔法使いちゃんが勇者を好きなのはとっくにバレバレだ!!」
魔法使い「も、もーっ///」
勇者「~♪」
魔法使い(な、何やってんのよ勇者ったら…)
>風呂から勇者が戻り、入れ替わりで2人が風呂へ向かった為、男部屋は今勇者しかいない。その部屋から鼻歌が聞こえたので気になって覗いてみれば、勇者は鏡を見ながら髪の毛をセットしている所だ。
魔法使い「勇者…お邪魔するわ」ガチャッ
勇者「あ、魔法使い~。ここの宿のお風呂ね、ハーブ湯だったよ!思わず長湯しちゃった~」
魔法使い「そ、そう、肌がスベスベね」
勇者「わかる~?けど魔法使いも肌綺麗だね、何かケアしてるの?」
魔法使い「特に何もしてないわよ。食生活には気をつかっているけどね」
勇者「あぁ、それが1番大事だよね~!健康な食生活が美肌を作るんだ、ってね!」
魔法使い「アンタ、野菜嫌いじゃなかったっけ」
勇者「嫌いだけど、肌の為だと思ったら頑張って食べられる!」ニコッ
魔法使い「…」
戦士「おーす、戻ったぜー」ガチャ
勇者「ちょ、戦士さん服着てよー///」
賢者「いいお湯でしたね。おや勇者様、髪の毛がサラサラしていますね」
勇者「賢者君そう見えるー?お手入れには気を使ったからねー」
魔法使い「………」
勇者「ハッ、ハァッ!」剣ブンブン
賢者「ふぅ、今日は疲れましたねぇ…勇者様、街へ戻りませんか?」
勇者「うーん…先に戻ってて。俺はもうちょっと頑張るよ」
戦士「付き合うぜ勇者ー。張り切ってんな」
勇者「今日はまだ、目標の運動量に足りてないからねー。最近ちょっとお腹周りも気になるし」
戦士「全然スマートじゃねーかよ、理想の細マッチョだ!」
勇者「やん///触んないでよ戦士さん~////」
賢者「ふふ、修行もいいですが、甘いものを控えることも大事ですよ」
勇者「そ、そのつもりなんだけどスプーンが止まらなくて…」
戦士「ハッハッハ、勇者から甘いもの取り上げたら生きていけねーってなぁ!じゃあ勇者、もうひと修行だ!」
賢者「どうかお気をつけて」
魔法使い「………」←好物:生姜焼き
戦士「おぉ、ここの店は鎧が充実してんなぁ!」
賢者「そうですねぇ。勇者様と戦士さんの分を購入しましょう」
勇者「…蒸れてやだなぁ」
戦士「なーに言ってんだ、防具に必要なのは防御力!防御力の高い防具は硬い、そして重い!」
勇者「でもデザインもゴツゴツしてるしー…」
賢者「洒落た鎧もございますよ」
勇者「うーん、オシャレだけどちょっとなぁ…」
魔法使い「…勇者、これはどう?」
勇者「あー、これならゴツゴツしてなくていいかも!流石魔法使い、センスいいなぁ~」
戦士「女が好みそうなデザインだなぁ。ま、勇者には似合うけどよ」
勇者「そうかな~?」ヘヘッ
賢者「勇者様。装飾品を見てもよろしいですか?」
勇者「あ、俺も見る!鎧に合ったやつ欲しいしね~。装飾品は1つしか装備できないから迷うなぁ~…」ウーンウーン
魔法使い「………」←鉄塊のペンダント試着中
勇者「ひゃあああぁぁ、戦士さん、賢者君、戦ってー!!」
戦士「おいおいどうした…虫型の魔物がそんなに怖いか」
賢者「まぁ、魔物なだけあって本物の虫よりは大型ですしねぇ」
戦士「俺は小さいのがウジャウジャいる方が気持ち悪いけどな」
勇者「ちょ、戦士さんそういうこと言うのやめて!想像しちゃうでしょー!!」
戦士「もしかしたら魔王城付近は、巨大化された虫型魔物がウジャウジャいたりして~…」
勇者「やだー、それだったら俺魔王城行かないーっ」ゾワワァ
賢者「戦士さん、勇者様が怖がる冗談はやめましょう」
戦士「はは、悪い悪い」
魔法使い「………」←虫を駆除中
魔法使い「駄目だあああぁぁぁっ!」ゴロゴロゴロ
魔法使い「何なのよ!美容には気を使ってるけど甘いものの誘惑に負けるってどんだけ意思が弱いのよ!!ていうか昔は顔のこと言われたら怒ってたのに何で喜んでるのよ!あと苦手なものがあっても、ああやって人前でワーワー騒ぐのはみっともないって我慢してたじゃないのよ!」膝バンバン
魔法使い「め!め!し!いいいぃぃぃっ!!」ダンダンッ
賢者「おや魔法使いさん、荒れてますねぇ」
戦士「はは、勇者のがよっぽど女らしいな!」
魔法使い「勇者はどこ?」ギロッ
賢者「それが、戦士さんと喧嘩してしまいまして…」
戦士「勇者の奴すねてどっか行っちまいやがった…旅は足止めだなー」
魔法使い「いじけんなよ!女子か!」ダンダンッ
戦士「今更じゃねー、そのツッコミ」ハハハ
魔法使い「違うわああぁっ!長い付き合いだからわかるけど、あいつはあんな女々しくなかったーっ!」
賢者「そうなんですか。僕たちはああいう勇者様しか知らないもので…」
戦士「そうそう、顔も女っぽいし別に違和感なく受け入れたぜ」
魔法使い「受け入れんな!疑問を持て!」ダンダンッ
賢者「まぁまぁ。昔の勇者様に戻ってほしいなら、解決策を練ってみては?」
魔法使い「よし、じゃあ一旦パーティー解散。ハーレムパーティー組んでみるわ」
*
踊り子「ウフフ、勇者ちゃんて呼んでいいかしら~?」
勇者「わぁ、照れるなぁ///2人とも凄い美人だから、何か自信無くすかも」シュン
遊び人「あら、勇者ちゃんも綺麗よぉ。でも、爪もお手入れするといいかもねぇ」
勇者「そっかー、そこは気が抜けてた~。ねぇやり方教えてよ」
踊り子「いいわよぉ。勇者ちゃん可愛い顔してるから磨き甲斐があるわぁ」
遊び人「ねぇ、遊びでいいから一回着てみない、女物のドレ…」
魔法使い「ハーレムパーティーかいさああああぁんっ!」
魔法使い「危うくオネェになるとこだった!最終的にはタマ取りそうな勢いだったわあのバカが!」
賢者「人選にも問題があるかと…」
戦士「完全にオッサン好みのセンスだな」
魔法使い「るせーっ!元はと言うとアンタらが勇者の中の女を目覚めさすからじゃーッ!」
戦士(自分に女としての魅力がないからだとは思わんのかい)
賢者(勇者様の女性化と比例して、魔法使いさんがオス化してますねぇ)
魔法使い「ああぁどうしよう、むさ苦しいオッサンは生理的にイヤって言いそうだし、かっこいい女の人入れたら百合臭漂わせそうだし、幼女には母性を発揮しそうだし…」ブツブツ
賢者「まぁまぁ。今すぐどうこうしなくてもいいんじゃないですか?勇者様の根本は同じですよ」
魔法使い「だ、だけど…」
~~~~~~~~~~
勇者「なぁー、魔法使いはどんな男と付き合いたい?」
魔法使い「な、何よ急に///」
勇者「友達に彼女ができて、付き合い悪くなってさー。魅力的な異性がいたら、皆そうなるのかなーって」
魔法使い(何よ、目の前にいる女の子に魅力は感じないっての?)ムゥ
魔法使い「私が好きなのは…強くて優しい男の人よ」
勇者「男勝りの魔法使いでも、男らしいタイプに憧れんのかー。意外」
魔法使い「そういうものよ。男目線から見ても、男らしい男の方が魅力感じるでしょ?」
勇者「そうだな…」
勇者「男は男らしく、それが1番だな!」
~~~~~~~~~~
魔法使い「自分が男らしい男に惚れてどーすんじゃーっ!!」ドカッドカッ
戦士(荒れてるな)
賢者(荒れてますねぇ)
>廃城
勇者「暗くて前が見えないなー…」ブルブル
魔法使い「おうおう勇者、後ろがつっかえるからとっとと進んでもらおうじゃないかい」
ガシャッ
勇者「ひゃあっ!?」ビクッ
戦士「わり、ガラス踏んだ」
勇者「も、もー。びっくりさせないでよーっ///」
魔法使い「おのれの声にびっくりしたわあああぁぁ!!!」クワーッ
勇者「うわああぁ、ごめん、ごめんよーっ」
賢者「お2人とも、騒いでは魔物が寄ってきますよ」
勇者「そ、そうだねごめん」
魔法使い「あぁー!もうこのダンジョンの魔物全員、まとめて相手してやるわ!」
勇者「凛々しいね、魔法使い」
魔法使い「嬉しないんじゃアァ!!」
戦士「おい、何か来るぞ」
賢者「!」
ボスゾンビ「貴様が神託を受けし勇者か…俺が葬ってくれる!」
勇者「ぎゃああぁ、出たあああぁぁっ!」
魔法使い「後ろに下がるな!前に出ろ!」
勇者「虫とアンデッドは駄目なの~!やだやだ勘弁して~っ><」
魔法使い「うるせぇ克服しろ!」
勇者「できないものがあるの~っ!!」
ボスゾンビ「…おい」
ボスゾンビ「俺を無視するなーっ!行け、お前達!」
ゾンビ達「うがーっ」
勇者「キャアアアアァァァ―――ッ」
魔法使い「あ、コラーッ逃げるな!」
賢者「仕方ない…魔法使いさん、まとめて蹴散らしましょう」
戦士「俺が皆を守るぜ!」
>賢者と魔法使いは全体魔法を使った!
>ゾンビの攻撃!戦士にダメージ!
>戦士は体を張って守っている!
>勇者は後ろでオロオロしている!
魔法使い「あーもう数が多いわ!溜め技使うから2人とも時間稼いで!」
戦士&賢者「了解!」
魔法使い「火の精霊、水の精霊、風の精霊、地の精霊よ…」
勇者「ど、どうしよう前に出ないと………うん?」
>倒れたはずのゾンビが、むくっと起き上がった
勇者(まずい、倒せてなかったんだ…ゾンビの狙いは…!)
勇者「魔法使い、危なーいっ!」バッ
魔法使い「…えっ?」
>ゾンビの攻撃!勇者は魔法使いを庇った!
勇者「いつーっ」
魔法使い「勇者…!」
勇者「怪我はないな魔法使い…良かった」ニコッ
魔法使い「あ、ありがとう…」ドキドキ
勇者「怖いけど頑張るよ…魔法使い、溜め技続けて」ダッ
魔法使い「えぇ…!4種の精霊よ、我に祝福を…」
魔法使い「いけええええぇぇっ!」
ドガアアアァァァァン
>雑魚ゾンビは全員倒れた!
ボスゾンビ「バ、バカな…!」
賢者「やりましたね魔法使いさん!残るはあと1匹!」
戦士「ハァハァ…悪ぃけどスタミナ切れだ、トドメは頼んだぜ勇者!」
勇者「はい!」
>勇者は助走をつけて、高くジャンプした!
戦士「おっしゃあ、ダイエット効果だな!」
勇者「はああああぁぁっ!」
>そして一閃、ボスゾンビを真っ二つに斬った!
ボスゾンビ「ぐふ…っ」
魔法使い「凄い…」
勇者「ふぅ…」スタッ
賢者「お見事です。勇者様の剣技は素晴らしいですね」
戦士「よっ勇者!おっとこまえ~♪」
魔法使い「…」
魔法使い(そうよね…勇者は昔から剣の腕を磨いて、修行も妥協せず頑張っているんだもん)
魔法使い(いざという時にはやっぱり男よね!)
魔法使い「勇者すご」
勇者「やああぁぁ、ゾンビの返り血がついたああぁぁ!!早く帰ってお風呂入るうううぅぅぅ!」
魔法使い「…」
魔法使い「前言撤回じゃ乙女野郎!」
魔法使い「そしてまた長風呂か!ゾンビの血の池風呂が美容にいいとでもガセ情報流したろかあの美容番長!」ダンダンッ
賢者「まぁまぁ。今日の勇者様はとてもかっこよかったじゃありませんか」
戦士「そうそう、魔法使いちゃんを守ってくれたじゃんかよ」
魔法使い「違う…違うの…勇者は、勇者はああぁ」シクシク
勇者「皆~、いいお風呂だっ…あれどうしたの魔法使い、どこか痛むの?」オロオロ
魔法使い「誰のせいだと思ってんじゃああああぁぁ!!」クワーッ
勇者「ひいいいいぃぃぃ!?」
魔法使い「あんたはさぁ、どうして、どうしてそんなんなっちゃって」グスグス
勇者「襟首掴みながら泣かないでよ魔法使い~」オロオロ
賢者「魔法使いさん、もう勇者様と本音で話してみては如何です?」
勇者「うん?どうしたの?」
戦士「魔法使いちゃんはよー、お前が女っぽくなったのが悲しいんだとよ」
魔法使い「女子力上げてんじゃね~」グスグス
勇者「…あぁ」
勇者「ごめん…実は私、今まで黙ってたことがあるんだ」
魔法使い「私!?今、私って言った!?」涙ドバー
賢者「とりあえず勇者様の話を聞きましょう」
勇者「あの、私…神託を受けた日から、勇者であり、勇者でなくなったの」
魔法使い「意味がわからん」
戦士「どういうこった?」
勇者「…前世の記憶が、蘇ったの…」
一同「!?」
賢者「そういえば…伝記によると伝説の勇者様は女性だったとか」
勇者「そう。記憶が蘇ってから、前世の性格が強く出てきちゃって…」
魔法使い「伝説の勇者なのに、虫やアンデッドが苦手だったわけ!?」
勇者「勇者だって苦手なものはあるわよ~」
賢者「なるほど…ですが、神託を受ける前の勇者様の性格はどこへ行ってしまわれたのですか?」
勇者「勿論残ってるわよ。でも、男らしさにこだわっていた分の反動がきちゃったのよ~」
戦士「実は元からナルシストの気はあったってことかよ」
勇者「だって前世の私より可愛い顔してるんだもの~。つい美を磨きたくなっちゃって~」
魔法使い「開き直って女口調で喋るな!アンタは男なのよ、お・と・こ!」クワッ
勇者「やだぁ、魔法使いったら怖い~」ブルブル
賢者「これで魔法使いさんの疑問は解決されたとして…前世の記憶が蘇ったことによるメリットもあったのですか?」
勇者「勿論よぅ。前世に稼いだ経験値が今の私に生きてるわけだし、魔王との戦いの記憶もバッチリよ~」
戦士「おぉ、そりゃ心強い」
賢者「魔法使いさん、世界を救う為に必要な力ですよ、これは」
魔法使い「わかってる、わかってるけどぉ…」シクシク
勇者「ちょっと泣かないでよ魔法使い、女の魂を受け継いでも私は私よ」
魔法使い「だっでぇ~」メソメソ
勇者「もう、そんな顔して泣く暇があったら女を磨いて、私の男の部分をドキッとさせてみなさいよ。あんたちょっとガサツなのよ」
魔法使い「何ですってええええぇぇ!!」
賢者(女性同士(?)の喧嘩は触れないのが1番ですねぇ)
戦士(そうだな、見てよう)
勇者「魔法使い、素材はいいんだから、お洒落したら一気に変わるわよ~」
魔法使い「バ、バカにしでぇ…自分の方が女子力高いからって」グスグス
勇者「あら、そんな風に受け取る?あぁそうか、女口調で言ったからか…なら」
勇者「魔法使い…お、俺はお前に、自分を磨いてほしい、かな…」
魔法使い「えっ!?」ドキッ
勇者「えっと…魔法使いって、その、ちょっとガサツだけど可愛い所もあるし…」
魔法使い「…」ドキドキ
勇者「あ、今のままでもいいんだぞ?何だかんだで魔法使いの性格は話しやすいし…だけど、その、女らしさをもっと大事にしてだな…」
魔法使い「…勇者」ドキドキ
勇者「えーと…だな///」
魔法使い「///」
戦士(何だよこれ、俺ら邪魔者じゃねぇ?)
賢者(存在感を消しておきましょう、そうしましょう)
勇者「…お、お風呂行ってきなさいよ!美肌ローション貸すわよ!」
魔法使い「う、うん、ありがとう///」
女の部分をカミングアウトした勇者は、その後ますます女子力を磨いて活き活きしていた。
勇者「魔法使い~、ドレスとネックレス買ってきたから着てみて~」
魔法使い「こ、こんなフリフリ似合わないわよ私には!!///」
勇者「魔法使いは自分の魅力わかってない!そんなんじゃダメ!女の子は磨けば輝くのよ!」
魔法使い「も~、参ったな~」タジタジ
流石に女装まではしないものの、その代わりのように私を着飾らせることを楽しむようになった。
勇者「あ、やっぱ可愛い~!」
魔法使い「か、可愛いって言うな!女子か!///」
勇者「いいじゃない、私は女でもあるんだからね」
魔法使い「あんたねぇ…」
男の部分と女の部分がごちゃごちゃになってるせいか、こいつの言動にはいつまでも慣れない。
魔法使い「大体これ、防御力は高いけど戦いにくいってぇの…」
勇者「大丈夫、服が汚れないように俺が前線で魔法使いを守るから!」
魔法使い「…守るのは服の為?」ジロ
賢者「良いように解釈しましょう魔法使いさん」
戦士「勇者もひねくれてるしな。ひねくれ者同士、似合いのカップルだと思うぜ~」
魔法使い「だ、誰と誰がよっ///」
勇者「…///」
勇者「戦士さん、剣の稽古付き合ってくれませんか」
戦士「おぉ、いいぜ」
カキーンカキーン
魔法使い「…」
だけど剣を振るっている時の勇者の顔は逞しく、雄々しい。
元々己に厳しく、強くなることに関しては真剣な奴だったのだから。
賢者「旅の進行に合わせて、勇者様もどんどん強くなっていますねぇ」
魔法使い「そうね」
賢者「僕が言うのも何ですが、魅力的な方ですね勇者様は」
魔法使い「そうね…」
最近では苦手な虫やアンデッドとも頑張って戦っている。勇者は女子力だけでなく、男らしさも十分磨いている。
旅を始める前より女らしさも、男らしさもずっと上がっているじゃないか。
魔法使い(勇者…)
魔法使い(私も、負けていられないわね…)
>こうして彼らの旅は順調に進み、そして遂に迎えた最終決戦――
魔王「くっ、前世の知恵を受け継いでいるのか貴様!」
勇者「前世では結構痛い目見たからね~。今度の最終決戦は、楽チンにやっちゃう♪賢者君、回復の為にMPは節約しといてね~。私前線で戦ってるから、傷が残ったら大変よ」
賢者「畏まりました」
戦士「オラオラオラァ!俺は気にしねぇでガンガン攻めるぜ、傷は戦士の勲章よおぉ!」
勇者「戦士さんやっぱり逞しい♪でも私は技巧派で美容派なの~」
魔王「ふざけやがってええぇぇ!」
勇者「大真面目よ、魔物を使って環境を悪くする貴方は美容の敵。美の求道者にとっては討たねばならない存在!」シャッ
魔王「なめるなああぁっ!!」ガッガッ
勇者「…っ、流石に手ごわいわ、魔王の暗黒の爪は」
魔王「ハーッハッハッハ、何が美しさだ!人間は人間らしく、醜く死ね!」
勇者「あら…でも貴方、私に魅了されたじゃない」
魔王「何だと…!?」
勇者「私に目を奪われているのが何よりの証拠…ねぇ、魔法使い?」
魔王「!?こ、この魔力は…」
魔法使い「ふふ~ん、溜め完了♪」ゴゴゴ…
魔王「な…!?」
勇者「だから言ったでしょ?この凄まじい魔力に気付かない位、貴方は私に魅了されてたのよ~」
賢者「魔法使いさんの魔法は攻撃特化、性格が色濃く反映されていますねぇ」
戦士「魔力を感じ取れねぇ俺でもわかるぜ、この空気の変わり方は!」
魔法使い「感謝するわよ勇者…あんたが前線で私を守ってくれたから使える、この魔法」
勇者「ふふ、どういたしまして――魔法使い」
勇者「あいつにブチ込め――――ッ!!」
魔法使い「うおりゃあああああぁぁぁっ!!」
魔王「うわああああぁぁぁ!?」
・
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勇者「あー疲れた、早く帰ってお風呂お風呂」
賢者「その後でいいので王様に報告しなければなりませんよ」
勇者「あ、そうだった~。王様に会うのかぁ、何着ていこう」ワクワク
魔法使い「TPOわきまえて、勇者らしい格好で行くのよ」
戦士「魔王を討った時のまんまの格好が1番いいと思うがな」
勇者「やだぁ、こんなボロボロになっちゃったの」
魔法使い「もう、勇者ったら…いち早く王様と皆を安心させてあげるのが大事でしょ」
勇者「魔王討伐報告の瞬間が絵画になるかもしれないんだぞ~。長い歴史に残るんだぞ~」
魔法使い「わ、私も着替えようかしら…」
賢者「それにしても、伝説の勇者様が魔王を討伐して500年…絵画らしい絵画は残っていませんね」
戦士「伝記では、魔王討伐を告げると何も言わず姿を消したんじゃなかったか?」
勇者「あぁ、それは」
賢者「はい」
勇者「魔王討伐後はムキムキの傷だらけになっちゃって恥ずかしかったから~。あとは神の世界に渡って一生を過ごしたのよぅ」
賢者「なるほど」
戦士「いいじゃねぇかムキムキの傷だらけも、世界を救った勲章だぜ」
勇者「いーや。魔王討伐後も人生は続くのよ、綺麗でいなくちゃ」
戦士「ははは、そうだな」
魔法使い「…今のあんた、綺麗で逞しいわよ、勇者」
勇者「…お前が魔法の修行頑張ってくれたから、俺は美を損なわずに戦えたんだよ」
賢者「お」(黙りましょう)
戦士「あ」(そうだな黙ろう)
魔法使い「最後の最後まで美がどうとか…まぁもう諦めたわ」フフフ
勇者「…魔法使いもさ」
魔法使い「…え?」
勇者「魔法を極めたから、内面から溢れ出る魔力とか…自信がついて貫禄も出て…」
魔法使い「か、貫禄って女の子に対する褒め言葉?」
勇者「お、俺は褒めたつもり…だぞ」
魔法使い「そ、そう///」
勇者「え、ええーとだな…あ、あとは女子力が俺に追いつけば言うことなし!だから頑張りなさい!」
魔法使い「ちょっとー、何よその上から目線はー!」
勇者「強さの頂点の次は、美の頂点目指そうぜ魔法使い!」
魔法使い「バカかあんたは!」
賢者「魔法使いさん。勇者様は自分の為に、貴方に綺麗になってもらいたいんですよ」
勇者「!!!」
賢者「おや。言ってはまずかったですか?」
戦士「ま、いいんじゃね。お前らとっとと結婚しちまえよ」
魔法使い「や、あのー///」
勇者「そのー///」
賢者(…2人は恋愛力を磨くべきですね)
戦士(だなー)
勇者「も、もう賢者君たら何を言ってるのかしら!私はお風呂を目指すわよ、もうっ」プンプン
魔法使い「女口調はやめなさい」
賢者「勇者様、恥ずかしいので女性口調になって誤魔化そうとしていませんか?」
戦士「わかりやすいやっちゃな」
勇者「…っ」
勇者「君らもとことん美容に付き合わせてやるよ」
戦士「げげーっ、俺には似合わねぇって!!」
賢者「勘弁して下さいよ~勇者様のとことんって本当にとことんじゃないですか~」
勇者「ごちゃごちゃ言うな」
勇者「帰ろうぜ、皆!」
魔法使い「おーっ」
戦士「おうっ」
賢者「はいっ」
fin
読んで下さった皆様ありがとうございました(礼
最後に一つ…
序盤の流れでホモ展開を期待していた方々いたら、すみませんでしたーっ(ローリング土下座
良いね
いや助かった
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