コンクルージョン (4)
暗い部屋。
水滴の音がする。
暗い部屋。
目を開けているのか閉じているのかわからない。
暗い部屋。
なぜここにいるんだろう。
暗い部屋。
朝はなにを食べたっけ。
暗い部屋。
そもそもいつが朝だ?
暗い部屋。
そうか。
暗い部屋。
これで...終わりだ。
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男は目を覚ました。
いつもとおんなじベッドの上。
寝る前に半分だけ飲んだ水は、もう触らなくてもぬるいとわかる。
テーブルには、その水の入ったコップとその側には読みかけの漫画が置いてある。
漫画の何ページかには、冷たさを失ったコップの仕業だと思われるインクの滲みがあった。
男は、あまり物を大切にする方ではなかったのでその滲みを見ても特に悲しくもなかった。
そんなことより男が気になったのは今の時間だった。
男はぐるっと部屋を見渡したが、時計がなかった。
彼はそこで違和感を覚えた。
過去に何度もこの部屋の何処かで時計を見て時間を確認した覚えがあったから。
ヴーヴー、と音が鳴る。
最初は微かな振動だったので気づかなかったが、一旦冷静を取り戻した男の耳にそれはよく聞こえた。
探してみるとどうやら枕の下に携帯電話が置いてあったらしい。
それを拾い上げると、慣れた手つきで開いた。
友人から気の利いたメールが来ているわけではなく、ただ携帯電話のアラーム機能が前日の約束を守っただけだった。
アラーム機能を切る。
部屋にはまた静寂が訪れた。
静寂と言ってもぴーーーーーーーという音は聞こえているから男からしたら静寂ではなかった。
どうやったら音のない本当の静寂ってのがくるんだろうとふと考える。
「本当の静寂なんてもんはねぇのさ。生きてる限り逃げられねぇ。あるのは雑音(ノイズ)だけだ。心を鎮めたいんだったらレコードでもかけてな。」
耳元でそんな声がした気がした。
ベッドから降りてまず向かったのはクローゼットだ。
艶のある黒さをしたクローゼットの扉を開けると、一着だけスーツが綺麗にクリーニングされた状態でハンガーにかけてあった。
男がその光景を見て驚いたことは二つ。
一つは、スーツ以外の服がなくなっていたこと。
もう一つは、クリーニングされた状態で置いてあったこと。
男は物を大切にする方ではない。だから急にスーツをクリーニングに出すということは基本しないはずだった。
とにかく不可解なことが多かった。
しかし一番よくわからないのは、昨日の記憶がないことだった。
描写がくどい
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