長谷「漫画が欲しいけどお金が無い」藤宮「え?」(9)

長谷「はぁ、読みたい本があるのに、今月のお小遣い使い果たしちゃったなぁ」

藤宮「ご、ごめんね、長谷くん。私がいろんなところに遊びに行こうって言ったばかりに」

長谷「え、あ、いや!藤宮さんは悪くないよ!うん!」

長谷(でも正直いうと、今月はいろんなところに遊びに行きすぎたなぁ。まるでしばらく会っていない男女が空白の時間を埋めるごとく……って何言ってんだ、俺!それはさすがにキモい!!)

藤宮「あのぉ、長谷くんが欲しい本ってどんなの?」

長谷「え?俺が毎月読んでる月刊誌のコミックスのことだけど……」

藤宮「あ、もしかして、本屋で立ち読みするときに真っ先に見ているマンガのこと?」

長谷「そうなんだよ。あれの最新刊が今日発売日だったんだ!」

藤宮「……」

長谷「……」

藤宮「あのさ、私がその漫画買おうか?」

長谷「え、でも藤宮さん、あのマンガ読んだことあったっけ?」

藤宮「ううん。でも、せっかくまた長谷くんと話せるようになったんだし、私ももっと長谷くんの好きなものとかに触れてみたいなぁーなんて思ってたりして。だから、私が最新刊買って長谷くんに貸すから、それまでの巻を私に貸してくれないかな?」

長谷「……天使だ……。もちろんだよ、藤宮さん!それじゃあ早速今日学校終わったら本屋へ行こう!」

藤宮「うん、いいよ!」

長谷「というわけで、放課後に藤宮さんと本屋へやってきた!」

桐生「あれ、おまえらこんなところでなにやってんだ?」

山岸「お、香織ちゃんと長谷部くんだ~」

長谷「長谷だよ、山岸さん」

山岸「あれ、サッカー強いんじゃないの?」

長谷「そっちじゃないよ……」

藤宮「桐生くんこそ山岸さんと2人でこんなところにいるなんて珍しいね」

桐生「ああ、まあいろいろあってな」

山岸「桐生くんが私の物忘れがちょっとでも良くなるようにって本屋でためになりそうな本を探してくれてるの~」

桐生「ばか、言うんじゃねえよ。内緒って約束だろう?」

山岸「あれ、そうだったっけ~?忘れちゃったよー」

桐生「ったく……」

長谷(なんで将吾の顔が赤くなっているんだろう……?)

藤宮(桐生くんって、なんだかんだいって優しいなぁ)

長谷「将吾と山岸さんと別れたあと、本屋で無事に俺が欲しかった最新刊をゲット。後は俺んちに行って藤宮さんに本を貸すだけだ」

藤宮「ねえ、長谷くん」

長谷「どうしたの、藤宮さん?」

藤宮「私たち、これからまたずっと友達で居られるよね?」

長谷「……もちろんだよ、藤宮さん。俺、一時期藤宮さんに遠慮していた時期があったけど、でもそれ以上にやっぱり藤宮さんとたくさん話がしたいって思っているんだ。だからずっと、例え3年生になってクラスが別れても、俺はずっと藤宮さんの友達だよ」

藤宮「ほんと? 長谷くん、大好き!」

長谷「……」

長谷(その言葉がいつか『違うもの』に変わる日は来るんだろうか……。いつかは俺も本当の気持ちを藤宮さんに伝えたい……)

藤宮「どうしたの?長谷くん。少ししんみりとした表情しちゃって」

長谷「ううん、なんでもないよ」

長谷(今はまだ我慢だ。でも、いつの日か、藤宮さんの手を引いて、この先をどこまでも一緒に歩いて行くんだ。その時が来るまでは今の友達関係を続けていよう……)

山岸「あのぉ、私のためにいろいろ考えてくれたのは嬉しいのですが……」

桐生「……」

山岸「流石に中学校入学試験問題集は、ちょっと幼すぎるかと」

桐生「ばーか。中学校の入学試験って大人でも悩むくらい頭使うし難しいんだぞ?」

山岸「そうだけどー。……そうだけどー」ジトー

桐生「……甘やかしはしないが、面倒ならいつだって見てやる」

山岸「え?……なにって?」

桐生「……はぁ。とりあえず、明日から特訓だからちゃんとついてこいよ?」

山岸「……うん、ありがとう!」ニコッ

おわり

あ?

藤宮さんが財布になる話じゃないの?

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