紅葉の秋。観光名所へドライブに来ていたシアは、
その帰り道で触手を持った緑髪の少女に襲われていた。
しかも、自分のクルマで疾走している時にである。
少女「待ちなよシアっち!私と一緒に健全なドライブをしようよ!」カサカサカサ
シア「初対面ですよね!なんで名前を知っているんですか!?」
少女「三ヶ月前からシアっちを観察してたからね!もうシアっちのチューニングなら任せてよ!」カサカサカサ
シア「私に何をする気ですか!貴女もしかして変態!?」
少女「シャラァァップ!私はシアっちの周りに悪い虫が付かないように守ってたんだよ!」カサカサカサ
少女「ゆくゆくは私のシアっちに染め上げようだなんて考えてないよ!」カサカサカサ
シア「やっぱり変態じゃないですか!」
少女「えへへ。」カサカサカサ
シア「えへへじゃない!それに背中の触手はなんなの!?今更だけど走り方が気持ち悪いよ!」
シア「ってマズイ!行き止まり!」
キキーッ(急ブレーキで車を停止。)
スープラか…
シルビアを短く?
少女「この触手はオモチャだよ!シアっちを驚かせる為のオモチャだってー。」ズルズルドロォ
シア「なんか液体も出てるんですけど!オモチャじゃないですよね!?」
少女「触手印の練乳だよ!さぁ舐めなよ!気持ち良くなって触手の気持ちを感じられるよ!?」ズルルルル
ドンドン!ベチャア!(車のガラスを叩く)
シア「誰が舐めるか!私は触手の気持ちじゃなくて、走りの風を感じたいんです!」
少女「感じたいだなんて……。シアっちは淫乱だね。」ニュルニュル
少女「でも安心して!私のエンジンオイルでシアっちを潤滑してあげる。」ウネウネ
シア「あ。もしもし警察ですか今変な人に」プルルルル
少女「そうはさせないよシアっち!」シュルシュル ビチャー
シア「あ!ちょっと!私の車に変な液体かけないでよー!」
少女「さあ車から出て来なよシアっち!」
少女「このまま車がイヤラ仕様になるか!外に出てシアっちのアソコがオーバーホールされるか!」
少女「二つに一つだよ!」ビシィッ!
シア「」ワナワナワナ
少女「フフフ。シアっちはこの車を大切にしているハズ。外に出てくる選択肢しか……。」
シア「そんな二択!」
少女「ふえ?」
シア「あってたまるかぁぁ!」
後輪がバーンナウト(タイヤから煙モクモク。辺り一面煙に包まれる。)
少女「え?ちょっとシアっち!?」
少女「ゲホゲホ!止めて!触手の粘液にタイヤのカスが張り付くー!!」
キキーッ!(車がスピンターンして方向転換。)
シア「じゃあね触手ちゃん。もう私に付きまとわないで下さいね。」ブゥゥゥゥゥン
しばらくして煙が晴れる。
少女「やってくれたねシアっち。全身タイヤのカスまみれだよ。」
少女「でもそんなワイルドなシアっちが……。」
ズルズルズリュ(触手がざわざわと動き出す)
少女「私のハートのスパークプラグに点火したシアっち……。そう簡単には逃さないよ!」カサカサカサ
――二週間後。とあるカーショップ
シア「レカロシート……私の車に付けたいなぁ。でも今月は自動車税が……。」
少女「そういう事なら、私がシアっちのレカロシートになるよ!」ズィッ
シア「うわ!貴女はあの時のエロ触……ってあれ?触手はどうしたんですか?」
少女「こんな街中では出さないよ。あの姿を人に見られたら、ポリ公呼ばれて即職質だよ!」
シア「賢い選択です。貴女は存在が猥褻物みたいなものですからね。」
少女「酷いなぁ。あんなに喜んで私を受け入れてたくせに。」
シア「受け入れてませんから!」
少女「これから喜んで受け入れていくよ。私の触手でシアっちのECUをチューンして(以下略」
シア「はぁ~……。それで、貴女が私のレカロシートになるというのは?」
俺の80スープラたんをネタに使うんじゃねぇ
マーク2のマー子たんは
でますか?
少女「フフフ。そのままの意味だよ。」
少女「シアっちが私の膝の上に座って、私が触手シートベルトを……。」
シア「聞くだけ無駄でしたね。私は自動車税の支払いに行って来ます。」スタスタスタ
少女「待ってよー!触手の十二点式シートベルトだよ!この上なく安全だよ!?」
シア「そういう問題じゃありません!」
少女「じゃあどういう問題なのかな?」
少女「シアっちの車はツインターボ車でしょ?加速も凄いしスピードも出る。」
少女「安全は大事だよ!」ビシィッ!
シア「うっ。それはそうですが……。」
少女「それに、私がシアっちのシートになれば、シアっちはいつでも笑顔でドライブできるよ。」
シア「え?どういう事ですか?」
少女「私の触手でシアっちの身体とCAN通信して、シアっちを常にアヘ顔に……。」
シア「やはり聞くだけ無駄でしたね。車を動かすので離れて下さい。」キュルルルルルルブォン
少女「待ってよ!アヘ顔ツインターボで人馬一体!理想的なチューニングだよ!」
シア「やかましいです!その触手で私に何を過給するつもりですか!」
少女「何って勿論、私のハイオクをシアっちに……。」
シア「はぁ~……。私は貴女の頭にリコール届けを出したいですよ。」
少女「えへへ。」
シア「褒めてないですから。貴女の思考はディーラーマンがスライディング土下座して謝罪に来るレベルですから。」
シア「それに人馬一体ってロードスターの謳い文句ですよ?私の車はそういうタイプじゃないです。」
少女「私の車はそんなタイプじゃない?」
少女「フフフ。私にかかればシアっちの車を人馬一体にする事なんて簡単だよ。」
シア「随分自信ありげに言いますね。車を弄るのは大変なんですよ?」
少女「私に任せてよ!でも、それにはまずシアっちをチューンする必要がある。」キリッ
シア「嫌な予感しかしませんが……。なんです?」ブォンブォン
少女「股間のボアアップだよ!」ドヤッ
シア「」ブオォォォォォン
少女「ああっ!待ってよシアっちー!」
少女「……逃さないよ!」
シアって聞くとルンファ思い出す
見てるよ
――PM 9:00 月見山峠。入り口付近交差点。
ブオォォン…… キッ(赤信号)
シア「ひどい目に遭いました。」
シア「あの子の話に付き合っていると、いつか禁断の世界に引き込まれそうで怖いです。」
チカチカ。チカチカ。(後ろの車がパッシングする。)
シア「さて。先程から後ろに張り付いているFDは一体何なんでしょう?」
シア「黒……?いえ……紫……?んんん?」
キラリ(電灯の光で後ろの車が照らされる。)
シア「ん!?え……えぇぇぇ!?」
シア「マジョーラカラー!?しかもフルスモーク仕様で、おまけに仮ナンバーですか!?」
シア「絶対にDQNじゃないですか!」
ブォォン!ブォォン!(後ろのFDがパッシングと蛇行運転。)
シア「」ピクッ
シア「へえ……。私とバトルしたいんですか。」
シア「ブーストアップ仕様の私のスープラに勝てるとでも?」
スープラ「ブオオオオォォォン!」
FD「ブォォォン!! パンパンパン!」
シア「一気に引き離して……。え!?」
――FD(RX-7 FD3S 5型)の車内。
ズルズルズリュリュ(触手がウネウネ)
少女「フフフ。甘いよシアっち!触手印の練乳並に甘いよぉ!」
少女「ハンドリングマシーンのFDに峠で!しかも最高速仕様のスープラで挑むなんて!」
ブオオオォン!パンパンパン!
少女「そしてそしてぇー?どうやらシアっちは峠で走るのに慣れていないと見た。」
少女「なんで煽りに乗っちゃったのかなぁ?」
少女「ま。煽ったのは私なんだけどね?えへへ。」
少女「ほらほら!その先はヘアピンカーブだよ?追い付いて吸気しちゃうぞー!」
キキキキキィー!プシュン!
少女「フフフ。大きなお尻を必死に振っちゃって。可愛い。」
少女「あぁ……。私の穢れたFDで、その純白のスープラと一緒にシアっちを食べちゃいたい……。」ジュルリ
一旦寝ます。
――月見山峠 展望台付近。
ブオオオォォォン プシュゥゥ キュルルルル
シア「何で引き離せないの……!?」
少女「シアっちの腕で私を引き離すのは無理だよ。」
少女「ほら!インがガラ空きになってるよ!?」
ギャギャギャギャギャー!(FDがインコースに入る)
シア「ああっ!インコース攻めちゃだめぇぇぇ!」
少女「ほれほれこのライン取りがええんか?ぐへへへへ。」窓から触手ウネウネ
シア「あの触手!?まさかあの子、FDに乗って私を追って来たの!?」
ウィーン(FDのパワーウィンドウが全開になりスープラと並走)
少女「ぐへへ。そうだよ!ご自慢のスープラとシアっちを私の元に屈服させる為にね!」
シア「屈服!?一体何をしようというんです!」
少女「フフフ。私がこのバトルに勝ったら、シアっちとスープラにいかがわシートが装着されて、私仕様にチューニングされるんだよ!?」
シア「勝手な事を!スープラは渡しません!」ブオオオオン
少女「あぁ……。また大きなお尻を振って私を誘ってるんだね。可愛い。」
少女「私の理性がヒューズ切れを起こしそう!」ハァハァ
――月見山峠 展望台駐車場。
リーーン……リーーン……(鈴虫の鳴き声)
シア「ハァハァ……。負けた……。」
少女「お疲れ様。そんなに汗かいちゃって……。今すぐ襲いたい。」ジュルリ
パシッ(少女がシアに缶ジュースを投げる。)
シア「あ、ありがとうございます。」
シア「はぁ~……。なんで負けたちゃったんだろ……。」
少女「シアっちの車は峠には向かないよー。どう見ても最高速仕様だよ?」
シア「最高速仕様?」
少女「うん。」ジュースをゴクゴク
シア「……何ですかそれ??」キョトン
少女「」ブーーーーッ
少女「シアっち。」ダラダラ
シア「はい?」
少女「シアっちって肝心な所で抜けてるんだね。」ジトー
シア「失礼ですね!私は違法行為には興味がないんです!」カアァァァァ
シア「最高速仕様でしたっけ!?」
シア「そんな違法そうな事を知っているワケないじゃないですか!」アセアセ
少女「ふーん?ブーストアップはしているのに、道路交通法をファックした事はないんだ?」
シア「酷い偏見です!信号で横に並んだ車と競走するぐらいしか……ハッ!?」
少女「フフフ。」ニュルニュル
少女「聞いたよシアっち。」
少女「やっぱり私と同じで道交法ファッカー、――ストリートレーサーだったんだね。」
シア「違うんです。ちょっとした出来心で……。」
少女「出来心でファックしたんだ?法を破る快楽に目覚めちゃったんだ?」
少女「ストリートレーサーなら負けた代償は支払わないとね?」ニュルニュル ジュルリ
シア「ひっ!」
少女「まずはキノコ型エアクリーナーをアソコに装着して私の吐息を吸気しなよ。」キリッ
シア「い、嫌です!止めて下さい!」
少女「ええっ!?もしかして、触手ブースターケーブルを乳首に接続したかった!?」
シア「ちょっと」
少女「快楽充電が趣味とはね。それならそうと早く言ってよー!」触手がクパァ
シア「待って」
少女「あ!でもそれにはシアっちの身体に特濃の電解液を補充しないとね。ぐへへへへ。」
シア「聞いて下さい!」
少女「え?どうしたの?シアっちのバッテリーが潮噴いちゃった?」
シア「違います!」ゴクゴク プハァー
少女「あ。ジュース一気に飲んだ。」
シア「名前を。貴女の名前を教えてくれませんか?」
少女「なんで私の名前を?」
シア「私と初めてバトルした人の名前を覚えておきたいんです。」
少女「ふふふ。そっかぁ!私は触手人族のララーニャだよ!」
少女「ララーニャ・ガーネットフレイヤ!」
少女「ララにゃんって呼んでね!にゃー♪」ズモモモモモモ ズルズルズリュリュ ジュルリ
シア「そうですか触手ちゃん。次は負けませんよ!」ビシィッ!
少女「あれ!?呼び方変わらないの!?せっかく可愛くキメたのにー!」ニュルニュル
シア「そんな如何わしい物をチラつかせて、ララにゃんとか言われましても。」ジトー
少女「如何わしくないよ!時にオイルレベルゲージ!時にアソコを責める正当な快楽器具!」
少女「私の触手はとっても便利で愛らしいんだよ!?」
少女「っと……思い出した。」ニュルニュル
シア「」車にダッシュ
少女「逃さないよ!」シュルシュル ガシッ!!
シア「ああっ!」バタンッ
少女「さあ、観念しなよシアっち!」ニュルニュル
少女「その純白のスープラの前で、シアっちのアソコをフラッシングしてあげる!」ウネウネ
シア「ううっ……。私はどうなってもいいです!」
シア「でもスープラには!スープラにだけは手を出さないで下さい!」
シア「グスン。(涙目の上目遣い)」
少女「」
少女「」ブハァァァァァ
ドサッ(鼻血の海に倒れるララーニャ)
シア「よし今の内に。」キュルルルル ブォォン
少女「ま……待ちなよシアっちぃ……。逃さ……ない。」グッタリ
シア「次は最高速ステージで会いましょう。触手ちゃん。」ブオォォォォォン
少女「私のクーラントが……一発で噴き出すなんて……。」
――五分後。
少女「ハァハァ……。私の股間が熱ダレしてる……。」(復活した)
少女「この疼きをどう抑えればいいの……。」
ガサガサッ(草陰が揺れる)
少女「そこの鹿くん出ておいで!!」シュルシュル ガシッ!!
鹿「!?」
少女「ゴメンネ鹿くん。私もう我慢出来ないの。」ジュルリ
鹿「!?!?」ジタバタ
少女「シカたないよね。」ズニュルルル
※ SS中に出てくるIC、JCT、PA、SAの名称は全てフィクションです。
――AM 3:00 首都高速湾岸線・月見坂(つきみざか)パーキングエリア
リーーン……リーーン……(鈴虫の鳴き声)
シア「最高速……。」
シア「触手ちゃんには最高速ステージで待っていると宣言したものの……。」
シア「堂々と法を破るのは気が引けます……。」
シア「……。」
シア「でも……。一回だけなら……。」
キュルルルル ブオオオォン!
――宇津鳴(うづな)ジャンクション付近
シア「(ネットで調べた情報だと……。)」
シア「(宇津鳴JCTから大黒山PAまでは直線が続くらしいですが……。)」
シア「スピードを出すならここしかない。」ガチャガチャ
キュッ(アクセルを踏み込む。)
シア「……。」グオォォォォォン!!
シア「……。……。」グォォォォ!!
シア「これ……。」
シア「楽しいかも……。」ボソリ
フォォォォォォン!
会社員「何だアレ!?160km/hで走行する俺のプロボックスを抜かしやがった!」
会社員「また新しいストリートレーサーかよ!勘弁してくれ!」
パトカー「おい前の車止まれ!左に寄って止まれ!」
会社員「パトカーに追われてんじゃねーか。ざまーみろ!」
パトカー「前のプロボックスの運転手!左に寄って停車しろ!」
会社員「」
――路側帯
女性警察官「はーい。60kmオーバーで免停でーす。」
会社員「納品の時間がァァァ!!おい!早くしろや!」ペッ
男性警察官「あ?」カチン
男性警察官「こんな時間に納品だぁ!?怪しい奴だな!車内も確認させてもらうぞ!」
会社員「」
――鈴郷(りんごう)サービスエリア
ブロロロロロ キッ
シア「ハァハァ……。」
シア「初めてですよこんなに速度を出したのは……。」
シア「私の腕では200km/hぐらいが限界かと思っていましたが。」
シア「怖くない……。楽しい……!」ゾクゾク
シア「……。……。」
シア「でも足りない……。」
シア「もっと……。」
シア「もっとスピードを出したい。」
ガチャ。バン!(車から出る。)
シア「でも今日は自販機で焼きおにぎりを買って帰ります。」スタスタスタ
――二週間後
――AM 1:30 宇津鳴ジャンクション付近。
少女「あれー?おっかしいなぁ。シアっちのスープラに全然会えないよー。」
FMラジオ「81.0MHz !リアルFM!」
FMラジオ「ヘッドラインニュースの時間です!」
FMラジオ「高速隊は増加するストリートレーサーに対抗する為、攻撃ヘリの導入を決定したと表明。」
FMラジオ「一層取り締まりを強化すると……。」
ピピッ(オーディオの電源を切る。)
少女「一度、湾岸線から降りて月見坂インターチェンジから……。」
クオオオォォォォォォン!
プシュゥゥゥゥ!(ナイトロガスを派手に大気開放しながら走るスープラ。)
少女「何アレ!?」
少女「もし誰かがナイトロガスを吸ったらどうするのさ!迷惑すぎるよ!」
少女「ふ~ん。純白のボディーに血飛沫のペイント?悪趣味だなぁ。」
少女「シアっちのスープラじゃないね。」
SSの製作時間スレの人か、
頑張っているな。
クオォォォォン(スープラがスピードダウンしてFDの前に付く。)
少女「へぇ?私とバトルしたいの?」
少女「いいね!望むところだよ!粋がってるだけじゃ私には勝てないよ!」ブォォォォォン!
少女「ぐへへへへ。貴方が負けたら私の触手でファ……あれ!?」
クオォォォォォォン!!クォォォォォ!
少女「何なのあのスープラ!私いま300km/hで走っているんだよ!?」
少女「何で遥か先で点になっているのかな!?」
――大黒山(だいこくやま)パーキングエリア。
ブロロロロ キッ
少女「はぁ~……。清々しいまでの敗北だよー。」ガックリ
ガチャ。バン!(車から出る。)
少女「さっきのスープラは何だったんだろ。」テクテクテク
少女「また会ったら今度は……。」クルリ
バァーン。(さっきのスープラ。)
シア「♪~」車内で焼きおにぎりモグモグ
少女「」
チラッ(目線が合う。)
シア「もごっ!?触手ちゃん!?こんなところまで追って来たんですか!?」
少女「シアっちこそ随分と過激なスープラに乗ってるね?どうしたのこれ。」ジィィ
シア「フフフ。ギリギリのチューニングをして超高速仕様になった私のスープラです。」ウットリ
少女「へぇ?」
少女「それにしてもシアっち……。」
少女「自分から最高速ステージで待っていると私に宣言しておきながら、自分の言った事を忘れてたの?ボケてるの?」ジトー
シア「忘れてたワケじゃないです!急に触手ちゃんが現れたので驚いただけです!」
少女「うん。確実に忘れてたよね?」
シア「失礼ですね!私は今スピードだけを見ているんです!」
シア「いつブローして死んでもおかしくないスリル!超高速で駆け抜ける悦び!」
シア「ハァハァ。超高速域のスピードは麻薬なんです!快楽で失禁しそう!」ゾクゾク
少女「シアっち……。股間だけじゃなく頭のネジまで緩んじゃったの?」
少女「私がシアっちを堕とす前に、最高速の魅力に堕とされてたとはね。」
シア「相変わらずの言動ですね!触手ちゃんには感謝しているんですよ?」
シア「おかげで本当の私を知る事が出来た!」ドヤッ
少女「本当の自分を知るよりも、まずは頬に付いたご飯粒を取りなよ。」
少女「それとも私がシアっちごと食べちゃっていいの?」ジュルリ
シア「ペロッ。えへへ。」ニコニコ
少女「」
少女「」鼻血がタラァ
少女「はぁ~調子狂うなぁ……。」フキフキ
少女「まさかシアっちがここまで変態になってたとはね。」
お、続きか!
ガチャ。バン!(シアが車から降りてくる。)
シア「そういえば……。さっきのFDは触手ちゃんだったんですか?」
少女「うん。完全敗北だよ。悔しいなぁ……。」
シア「フフフ。それなら今回のバトルでお互いに一勝一敗ですね。」
シア「まぁ、もう負ける気はしませんけどね!」ニヤニヤ
少女「」カチン
少女「ねえシアっち。そのスープラの助手席に乗せてくれない?」ニコニコ
シア「へぇ?敵情視察ですか?」
少女「うん。シアっちのスープラがどの程度の実力なのかを知っておかないと、追い付きようがないもん。」
シア「いいですよ。でもスープラの車内で失禁だけはしないで下さいね?」
シア「何せ私のスープラは天国の快楽へと導いてくれるんですから!」ハァハァ ジュルリ
少女「(文字通り天国に逝かなければいいけどね。)」ハァー
>>38
見てくれてありがとう。まだ続きます。
――三十分後
少女「シアっち。確かにこのスープラなら天国に逝けるよ。」
シア「そうですよ!ちょっと異音はしましたが、私のスープラは天国に導いて……。」
少女「パワーに偏重しすぎだよシアっち!」ガシッ
少女「エンジンはスワップされているし、ダイレクトポートのNOSも付いている。」
少女「凄まじいパワーが出ているのに、その他諸々の構成部品は全部ノーマル!?」
少女「自殺行為だよ!このままこのスープラに乗っていたら本当に天国に逝っちゃうよ!?」
シア「フフフ。ヒヒヒ。」ニタァ
少女「ふえ!?」ビクッ
シア「私を心配してくれているんですね!嬉しいですよ触手ちゃん!」ガシッ
シア「でも私はこのスープラで走っている時が一番気持ち良いんです!」
シア「誰にも……邪魔はさせない!」ニタァ
キュルルルル クオォォォォン!
少女「あっ!駄目だよシアっちー!」
クオォォォォォン!!クォォォォォ!
少女「シアっち……。何でなの……。」
少女「シアっちはそんなゲス顔よりアヘ顔の方が可愛いハズなのに……。」
少女「私が元のシアっちに戻してあげる……。」ズモモモモ
――AM 4:00 宇津鳴ジャンクション付近。
シア「ハァハァ。超高速域のスピードは麻薬なんです!今更抜け出せないですよ!」
クオォォォォォン!パパン!クオォォォン!!
シア「元から抜け出す気もないですけどね!」
プップー!(後方の車がクラクション。)
シア「アハァ!情けないクラクションですね!」
シア「私と同じストリートレーサーですか。嬉しいです。」ヨダレ ダラァ
シア「私のスープラと一緒に天国まで踊りましょう!」ナイトロ オン
レーサー「チッ。急に速くなりやがった。型落ちスポーツカーのクセしやがって!」
シア「あぁっ!イっちゃいそう!このスピードのスリル!堪らない!」
レーサー「ふざけやがって!左車線から一気にブチ抜いてやるよ!」
シア「いいんですか?その先……大型トラックがいますよ?」
レーサー「あ!?うわあぁ!ヤベェ!」キキィィィー!
シア「フルブレーキで急減速……。バトルから降りたんですか。」ハァ
シア「私のスープラと一緒に踊ってくれる人は居ないの……?」ソワソワ
ウー!ウー!ウー!ウー!
パトカー「オラァ!危ねえから止まれや!」
シア「ん?レクサスLFAのパトカー仕様車? この際パトカーでも……。」
パトカー「よぉーし!止まらねえな!ぶっ殺してやる!」
ズドドドドドドド!
シア「撃ってきた?あぁ、高速隊の過激なおまわりさん達ですか。」
ズドドドドドドド!
シア「あぁ!激しいです!良い!良いですよぉ!」ガクガク
シア「ブローのスリル、命を狙われるスリル、スピードの快楽。」ハァハァ
シア「トリニティィィ!本当に快楽で失禁しそうですよぉぉぉ!」
――PM 7:00 ララーニャの隠れ家
リーーン……リーーン……(鈴虫の鳴き声)
少女「シアっちの新しいスープラのエンジン。あのクオォォンっていう音。」
少女「恐らくV10エンジン……。」
少女「勿体無いな。スープラの元のエンジンでもチューニングすれば千馬力を狙う事だって出来るのに……。」
少女「シアっちを軽くファックしてトロトロにしたら、元のエンジンの在処を聞き出さないとね。」
プルルルル
少女「もしもし。ルルにゃん?」
電話の声「ルルーニャと呼んでくださいまし!」
少女「ゴメンねルルにゃん。真面目な話なんだ。」
電話の声「貴女はまたそうやって私をバカにして……。」ブツブツ
少女「今回のバトルなんだけどさ、もしかしたら私が消える事になるかもしれないんだ。」
少女「後の事を頼めないかな?」
電話の声「例のスープラの話ですの?」
電話の声「随分肩入れしているんですのね。」
少女「ぐへへへへ。大好きなんだ。次は逃さない。」ジュルリ
電話の声「あらまぁ、お熱いことですわねぇ。良いですわよ。」
電話の声「貴女がお熱を上げているスープラのドライバー。」
電話の声「どんな殿方なのか楽しみですわ。」ガチャ ツー ツー
少女「殿方……?ま、いっかぁ。」スタスタスタ
――シャッターガレージ
ガラガラガラ ガチャン!
少女「はぁ~……。この車は使いたくなかったよ。」
少女「走るだけで道交法をファックしちゃうし。」
少女「でも、シアっちがV10で来るなら私もV10で迎え討たなきゃね?」
少女「ただしこっちは8.4リッターのツインターボ! しかも車検不適合の無保険車!」
少女「シアっちのV10スープラにも引けを取らないよ!」
キュルルルル! グォォン! ドルルルルルル!!
――新・大日本帝国 高速道路交通警察隊本部 (通称:高速隊)
ゴゴゴゴゴゴ
「ストリートレーサーどもの横暴は目に余る状況になって来た!」ダンッ!
「今月に入って三十匹は仕留めたが、まだ減らぬ!」ミシミシミシ!
「それどころか、新しいストリートレーサーが目撃されたとの情報まである!」ミシィ!!
「もはや一匹たりとも生かしておくことはできぬ!」バキッ!
「ストリートレーサーは悪だ! 善良な一般市民の方々を脅かす犯罪者だ!」ポイッ!
「故に!暴走の代償は死を持って償わなければならん!」
「ストリートレーサーどもに一度警告して従わない場合、容赦なく殺せ!」バンッ!!
「ぬうううん!フオォォォ! パトロールに出かけるぞ!」シュゥゥ……ゴゴゴゴゴ!!!
「今回は新しく配備された戦闘ヘリもパトロールに参加する!」
「首都高速湾岸線を走るストリートレーサーどもの姿は今日が見納めだ!」ガラッ!
ウオオオォォォォ!!
部下A「ぐへへぇ! 俺のピストンが疼くぜェ!」
部下B「機関砲で蜂の巣にしてやるゥ!」
――PM 11:00 鈴郷サービスエリア
フオォォォォン!(本線を通り過ぎて行くストリートレーサー達。)
ウー!ウー!ウー! ズドドドドド! キキキィィー! ガシャーン!!
シア「♪~」焼きおにぎりモグモグ
シア「」ペロリ
シア「高速隊も大した事ないですね。私のスピードに付いて来られないとは。」
シア「税金の無駄遣いです。」
キュルルルル クオォォォォン!
少女「待ちなよシアっち。」
シア「触手ちゃん。今度は何ですか?」
シア「スープラなら渡しませんよ? 私はこのスープラが良いんです。」ニタァ
少女「私は……!」
少女「シアっちのまだ見ぬアヘ顔を取り戻す為に!」
少女「シアっちのスピードへの欲望に、終止符を打ちに来たんだよ!」ビシィッ!
シア「もう手遅れですよ。私は既にスピードの奴隷です。」ハァハァ
少女「ならそれを忘れさせて、新しい快楽を教えてあげる!」
少女「超高速スピードの快楽より、私の触手の超高速責めの方が気持ち良いって事をね!」
シア「何を……。」ムッ
少女「シアっちはストリートレーサーだもんね?」
少女「私が勝ったら大人しく言う事を聞いてくれるよね?」
シア「フフ、良いですよ。貴女が勝ったら私を好きにすると良いです。」
シア「どうせ私のスープラと踊れる車なんて……。」ハァ
少女「言ったねシアっちィィィ! よっしゃァァァ!!」バァァァァン!
シア「」ビクッ!?
少女「ぐへへ。その怯えた顔や嫌がる泣き顔も取り戻したい……。」ジュルリ
シア「そうやって、いつまでも私をバカにしないでください!」
シア「私のスープラですぐにサイドミラーの点にしてあげます!」
少女「私の車に追い付けるならね。」
キュルルルルル! グオォォン! ドルルルルル!
シア「白いボディーに青いレーシングストライプ、それに蛇のエンブレム……。」
シア「アメ車ですか?」
少女「そうだよ! この車でシアっちの目を覚まさせてあげるよ!」
シア「アハァ! 駄目ですよ触手ちゃん!」ニタニタ
シア「横出しマフラーはマフラーカッターを付けないと車検に通らない!」
シア「走るだけで違法の無車検車を持って来ちゃ駄目ですよぉぉぉ!」ニタァ
少女「無車検上等! シアっちの目を覚まさせるにはこの車の力が必要なんだよ!」
少女「ゴールは大黒山PAね!」
シア「フフフ。飽くまでその車を走らせようとしますか……。」
シア「ならば! 私のスープラで貴女の違法走りを粉砕してあげます!」
クオォォォォン!
ドルルルルルル!!
――鈴郷サービスエリアから大黒山パーキングエリアまでの直線道路
シア「アハァ! 私のスープラと踊ってくれる車は初めてですよ!」
シア「もうその車が無車検車だなんて事実はどうでもいい!」
シア「私のスープラと対等にバトルできる車があった!」
シア「最高の気分です! ありがとう触手ちゃん!」
少女「シアっち! そのスープラじゃ私には勝てないよ!」
シア「いえ!勝利は私が頂きます! 私のスープラは最高なんです!」
シア「誰にも負けない! その車にも負けはしない!」
クオオオォォォォォ! フオォォォォン!
少女「ああっ! それ以上スピードを出しちゃ駄目だよ!」
少女「そのスープラの無謀なチューニング内容でそれ以上スピードを出したら……!」
シア「スピードが怖いなら負けを認めればいいんです! 私はまだ物足りない!」
クオオォォォォ! パチン! プシュン!
プシュウゥゥゥゥゥ!
シア「ナイトロが反応しない!? こんな時にトラブル!?」
少女「言わんこっちゃないよ!」
少女「サイドスカートから激しく漏れてるよ! スープラのナイトロガス!」
シア「そんな! これからだというのに!」
少女「その状態で私に勝つのは無理だよ! 諦めてスピードを落しなよ!」
シア「嫌です! 私は負けない!私のスープラは!」
シア「天国の快楽に……!」
少女「シアっちを天国の快楽に連れて行くのは、そのスープラじゃない!」
少女「私の触手だよ!」
――大黒山パーキングエリア
ワイワイ ガヤガヤ ドゥン!ドゥン!ドゥン!
――端の駐車場
シア「ハァハァ……。また負けた……。」
ガチャ バンッ!(ララーニャが車から降りる。)
少女「シアっち大丈夫!? 怪我はない!?」
シア「私は大丈夫です……。」
シア「スープラもナイトロが使用出来なくなっただけでまだ動きます……。」
少女「そっかぁ。怪我が無いみたいで安心したよ。」
少女「本当に心配したんだからね? スープラからガスが噴き出した時は焦ったよ!」
シア「触手ちゃん……。バトルしながら私を心配してくれていたんですか?」
少女「そうだよ! だってシアっちには……。」
少女「約束を果たしてもらわないといけないもん。」
少女「ね?」シュルシュル ヌラァ
シア「」ビクッ
少女「約束したよね?」ズルズル ドロォ
シア「こ、こんな人の多いところで触手を出しても良いんですか!?」ジリッ
シア「その触手を誰かに見られたら通報されちゃいますよ!?」
少女「フフフ。シアっちを今すぐ車内に連れ込めば何も問題ないよ!」
少女「それに私の車はフルスモーク! 外からは車内の様子は分からない!」
シア「」シュルシュル ガシッ!
少女「フヒヒヒヒ。今度こそ観念しなよシアっちィ!」
少女「私のプライベート空間でプライベートな事を……。」
ズドドドドド! キキィィィー! ガシャーン!!
レーサー「ヤベェぞ! 高速隊がPA内まで追って来やがった!」
レーサー「みんな逃げろ! 野蛮なポリ公に殺られるぞ!」
少女「チッ。せっかくのプライベートタイムに邪魔が入ったね。」
少女「この続きは後だよシアっち!」
少女「って……。何ボケっとしてるのシアっち? ここに居たら危ないよ?」
シア「(私……。さっき触手ちゃんに掴まれた時、何で抵抗しなかったの……?)」
シア「(まさか……私! いやいやいや!)」
シア「(そんな事あるワケないです!)」
シア「(ちょっと心配されただけで……! 私にそっちの気はないです!)」
シア「(ないんです!)」
少女「シアっちー。聞いてるの? ここに居ると危ないんだよ?」
ズドドドドド!
レーサー「野蛮なポリ公どもが……ぐはぁっ!」バタッ
高速隊員A「パーティーはお開きだ! 暴走してたバカは正直に手ェ挙げろ!」
高速隊員A「この場で大人しく警告に従えば、懲役七年で許してやる!」
高速隊員A「もしも逃げ出したりしたら、おまわりさんが貴様らを直々に消毒する!」ジャキッ
ゴオオオオォォォォォ!(火炎放射器)
「うわあああぁぁ!?」(ストリートレーサー達が一斉に逃げ出す。)
高速隊員A「おまわりさんから逃れられると思ってんのか!」クワッ!
高速隊員A「貴様らは天国の拘置所に送り込んでやる!」
ブオオオォォォン!
高速隊員B「ストリートレーサーどもは生かしちゃおかねぇ! 一人残らず殺してやる!」
ズドドドドドド!
高速隊員C「ストリートレーサーどもは消毒だー! 投降すれば楽に殺してやるぞ!」
ズダダダダダダ!
少女「戦闘が始まっちゃったよ!」
少女「シアっち! 月見坂PAまで逃げるよ!」
少女「シアっちは私が守る! ポリ公なんかに私のシアっちを殺らせないよ!」
シア「」ドキッ
シア「(触手ちゃんが私を守ってくれる……。)」
シア「」
シア「(……って! 私は何を考えているんですか!?)」
シア「(何で触手ちゃんにときめいているんですか!? あり得ないです!)」バアァァン! プーーー!(クラクション)
シア「(私にそっちの気はない! そっちの気はないんですよォォ!)」ガン!ガン!ガン!(ハンドルに頭を打ち付ける)
少女「シアっち、何でスープラの車内で暴れてるの?」
少女「それに私の方を見て顔を赤くしてさ? 熱でもあるの?」
シア「……。」
少女「……?」
シア「す……。」
少女「す?」
シア「」プイッ
シア「」カアアァァァ
少女「……。」
少女「ふむ。」
少女「」シュルシュルシュル ガシッ!
シア「」(抵抗しない)
少女「……。」
シア「……。」
少女「おやぁ?」
少女「おやおやー?」ニタァァァァァ
ドルルルルル!
クオォォォォン!
高速隊員A「何だあのアメ車は?」
高速隊員A「ん!? ほああぁっ!?」
高速隊員A「ふざけやがって! あのアメ車、ナンバーが付いてねーじゃねかァ!」ゴゴゴ
高速隊員A「おまわりさんの前で堂々と道交法を公開ファックするとはな!」
高速隊員A「無法者のストリートレーサーどもめ! 許さんぞ!」
高速隊員A「戦闘ヘリ! 応答しろ! 航空支援を要請する!」
高速隊員A「奴を蜂の巣にしろ!」
バラバラバラバラ!(待機していた戦闘ヘリが出現)
航空隊員A「オーダーが入ったぞ! すぐに蜂の巣にしてやるゥ!」
航空隊員B「先輩! ミサイルぶっ放しちまって良いっすよね!?」
航空隊員A「良いわけねえだろォ!」ドカッ!
航空隊員B「ぎゃあああぁぁ」(自由落下)
航空隊員A「おまわりさんが一般市民の皆様方を巻き込むワケにはいかねえからなァ!」
ズガガガガガガガ!!!(機関砲)
少女「ああっ! 激しすぎるよぉ!」
少女「その機関砲を掠める衝撃だけでイッちゃいそう! ハァハァ……。」ドルルルル
ズガガガガガガガ!!!(機関砲)
シア「触手ちゃんが私を守ってくれる! 触手ちゃんが!」
シア「もっと撃って下さい! 私が狙われれば触手ちゃんが守ってくれる! ハァハァ……。」クオオオォォォォン
航空隊員A「」
航空隊員A「」ガチャッ ピピッ
高速隊員A「どうした戦闘ヘリ! 目標は仕留めたのか!?」ザザーッ
航空隊員A「スンマセン。」
航空隊員A「俺この仕事辞めますわ。」ガチャ ツー ツー
高速隊員A「」
高速隊員A「何があったァァァ!?」
――AM 0:30 月見坂PA付近
シア「何とか逃げ……!?」
ガガガガガッ! クオオォォォォォ……
シア「まさか!? ここまで来てエンジンブロー!?」
シア「待ってスープラ! 月見坂PAはすぐそこなのに!」
少女「ちょっとシアっち!? 前! 前!」
シア「ハッ!?」
シア「……。」
シア「大型トラック……?」
少女「シアっちダメぇぇぇ!!」ドルルルル!!
キキィー! ガシャァァン!!
――そこにスープラを助けたアメ車の姿はなく。
――シアはいつまでも黒い海を見つめていた。
シア「」
シア「あ」
シア「あああ」
シア「あああぁぁぁぁ!!?」
シア「触手ちゃぁぁぁあああん!!!!」
――ゴボゴボゴボ
少女「見通しが甘かったなぁ。」
少女「このまま何とかなると思っていたんだけど……。」
少女「せっかくの図星アっちが……。」
少女「悔しいけど、後の事は頼んだよルルにゃん。」
ガチャッ バンッ!
高速隊員D「法を犯し! 危険な運転をするからこういう事になる!」ゴゴゴゴゴ
シア「あなたは!?」
シア「お願いします! 触手ちゃんを助けて下さい!」
シア「触手ちゃんを!」
高速隊員D「ストリートレーサーめ! 貴様の仲間を助ける義理など無いわ!」
高速隊員D「自らの欲望を満たす為に走り続ければこうなる事は必至!」
高速隊員D「自業自得だ!」ガシィッ! ミシミシッ!
シア「うぐぅっ……。かはっ……。」ギリギリッ
高速隊員D「うら若き乙女といえど、闇に堕ちた者に容赦はせぬ!」
高速隊員D「せめて苦しまないように殺してくれよう!」ジャキッ
プシュゥゥゥゥ! モクモクモク
高速隊員D「むぅっ!? 煙幕だと? 何奴!」
高速隊員D「ぐふっ!?」バキッ!
ブォン! ブォン!
「あら? 貴女がスープラのドライバーなんですの?」
「殿方だと思っておりましたが、ワタクシと同じ女だとは思いませんでしたわね。」
シア「ゲホッゲホッ! 貴女は……?」
ルル「ルルーニャ・ガーネットエイル。」
ルル「ララーニャのお友達ですわ。ルルーニャと呼んでくださいまし。」
シア「ルルーニャさん! 触手ちゃんが海に落ちて……!」
シア「私のせいで……!」ガタガタ
ルル「大丈夫ですわ。ララーニャはあの程度で死んだりしませんもの。」
シア「死んでない……? 触手ちゃんは生きているんですか……!?」
ルル「そうですわ。それより早く私のバイクに乗って下さいまし。」
ルル「この場から離れますわよ。」
シア「はい……!」
ルル「しっかり掴まっていて下さいな。飛ばしますわ。」
ブォン! ブオオォン!
シア「うぐっ……!? このバイク凄い加速……!」
ルル「嬉しい事を言ってくれますわね!」
ルル「この子はハヤブサ! 私のお気に入りなんですのよ?」
ルル「そう簡単に追い付ける者は……。」
黒いR35「」ズモモモモ
ルル「あのクルマは一体何ですの!? ワタクシに追い付いて来るなんて!」
高速隊員D「逃さぬゥゥゥ! ストリートレーサーは全て殺すのだ!!」ゴゴゴゴゴ
ルル「なんて重圧感ですの!? 冗談じゃないですわ!」
ルル「(今はこの子を乗せている! 滅多な事は出来ないというのに!)」
高速隊員D「むうううん! 我がGT-Rから逃れられると思っているのか!」ゴゴゴゴゴ
グオオオオオオオン!!
高速隊員D「フン! ハヤブサか。」
高速隊員D「相手にとって不足はなし! GT-Rで捻り潰して……!」
ピピピッ
高速隊員D「む? 本部からの通信か?」
通信機からの声「高速隊のみなサーン。撤退してクダサーイ。」
通信機からの声「月見坂パーキングエリア付近で起きた事故の処理をしマース。」
高速隊員D「フン。命拾いしたようだな!」
高速隊員D「今度出会った時は確実に捻り潰してくれるわ!」
グオオオオオオオオン!!
ルル「どうやら撤退したようですわね。」
ルル「このままララーニャの家まで向かいますわよ。」
――AM 1:00 月見坂パーキングエリア付近
「フフゥン。スープラはナイトロが抜けて、エンジンもブローデスカー。」
高速隊員「はい。完全に動かなくなったので乗り捨てたようです。」
「ソウデスカァ。このスープラは私達が引き取りマスヨー。」
「レッカー車に乗せてクダサーイ。」
高速隊員「分かりました。」
「(フフゥン。私が作ったV10スープラ。こんなに粗末に扱っちゃ駄目デスヨー。)」
「(シアチャン……。)」
――AM 2:00 ララーニャの隠れ家
少女「遅かったねシアっち。」ウネウネ
シア「」ポカーン
ルル「言いましたでしょう? 死んでいないと。」
少女「さぁシアっち! さっきの続きをしよう!」ハァハァ
少女「シアっちも私が好きなんでしょ!? 私の触手でシアっちを……。」
シア「ララちゃん!」ガバッ
ララ「ふえ!?」
ララ「シアっち大胆すぎるよー! ぐへへへへ!」
ララ「って……ん!?」
シア「うううぅぅぅ……。ごめんなさい……。」
ララ「ええっ!? なんで泣いて謝ってるの!? そこまで私が嫌!?」
ララ「あの反応は勘違いだったのかなぁ。こんな状態のシアっちを天国の快楽に導く自信なんてないよぉ……。」
ルル「ララーニャの事が嫌いというワケではないと思いますわよ?」
ルル「貴女の事を死んだと思っていたみたいですわ。」
ララ「そうなの? あ……。」
ララ「そういう事なんだ?」
ララ「シアっち!」
シア「はい。」グスン
ララ「私達、触手人族はあの程度の事故なんかじゃ死なないよ。」
ララ「ゴキブリ並みの生命力があるんだから!」
ルル「(他に例えようはないんですの……。)」
シア「そうなんですか……?」グスン
ララ「そうだよ! それとさっき初めて名前で呼んでくれたね。嬉しかったよ!」
シア「えへへ。」
ララ「でも! それとこれとは話が別だよ!」ニタァ ズニュ ズルルル ニュルルー
ララ「シアっち! 私が嫌いじゃないんだね!?」
ララ「そうと知ったらもう我慢なんて出来ない! 私の触手を……。」ズリュズリュ
シア「」パサッ
ララ「ふえ?」
ララ「…………。」
ララ「…………どういう事? 私は夢を見ているのかな?」
ララ「顔を赤くしたシアっちが全裸で私の前に立っている幻影が見えるんだけどな?」
シア「ララちゃん……。」
シア「優しく……して下さいね……。」モジモジ
ララ「ぐふぅッ!」ハナを抑える
ララ「(駄目だ! 耐えろ……!)」
ララ「(耐えるんだララーニャ・ガーネットフレイヤ!)」
ララ「(ここで鼻からクーラントを噴き出してしまったら、据え膳シアっちがお預けだ!)」
ルル「破廉恥な! 見ていられませんわ!」
ルル「私は外に出ていますわよ!」スタスタスタ
ララ「シアっち!」
ララ「お望み通り優しくしてあげる!」シュルシュル
シア「私を助けてくれたララちゃんになら何をされてもいいです。」
シア「私を愛してください……。」
ララ「!??」
ララ「(なにこの破壊力!? 素直なシアっちだと!?)」
ララ「ハァハァ……。私のクーラントが噴き出す前に終わらせちゃうよ!」
ララ「シアっち!」
シア「はい……。」シュルシュル ガシッ!
ララ「私の触手でイっちゃいなよ!」ヌルヌル ズニュルルル
――新・大日本帝国警察 地下室
ドオォォン。(エンジンブローして動かなくなったシアのスープラ。)
「V10スープラ君もシアちゃんにまた乗って欲しいデスヨネ?」
「私が直してアゲマスヨー。今度はもっと刺激的にするデス。」
「新しいターボを搭載してミマスカ……?」
「それとも……。このステキなパーツヲ……。」
「フフゥン。」
「おもしろくなりそうデスネ。」ニタァ
――AM 3:00 ララーニャの隠れ家。
シア「」グッショリ
ララ「」グッタリ
ルル「二人とも何とか言ったらどうなんですの?」ジトー
ララ「だってー! シアっちがあんなに激しく責め返して来るなんて!」
ララ「大人しくするって約束したのに……!」
シア「フフフ。」ペロペロ
ララ「ひゃぁぁぁん! 触手舐めちゃだめぇぇぇ!」ビクンビクン
バコッ! ミシィッ!
シア「痛いです……。」
ララ「痛ったぁ! 何で私まで!」
ルル「お楽しみはそれくらいにして、例の事を聞かせてもらえませんこと?」
ララ「あっ! そうだった!」ガバッ
シア「?」
ララ「ねえシアっち。あのスープラの元のエンジンは何処にあるの?」
シア「」ビクッ
シア「それは……。」
ララ「それは?」
シア「それには……。まず話しておかなければいけない事があります。」
ララ「何かな?」
シア「あれは私が初めてスープラで最高速チャレンジをして、鈴郷SAの自販機で焼きおにぎりを買っていた時の事です……。」
――回想
シア「早く焼きおにぎり出来ないかな~♪」シュルシュルシュル ガシッ!
シア「え!? 何この触手!」
シア「また触手ちゃんですか!?」
「コンバンハー」ニタァ
シア「ええっ!? 銀髪の触手ちゃん!?」
シア「貴女一体誰ですか!?」
セレ「私はセレーニャ・クラックガーネット。触手人族の違法チューナーデース。」シュルシュル
シア「違法チューナー!?」
シア「ああっ! ハァハァ……。」セレの触手にガッチリ
セレ「フフゥン。もっとパワーが欲しくないデスカー?」ペロン
シア「ひゃあっ! ダメです!」
シア「違法改造なんて!」
セレ「貴女はストリートレーサーなんデスヨー? 別にイイと思いマース」シュルシュル
セレ「法より自分に素直になりマショー。貴女だけのスープラがデキマスヨー」ウネウネ
セレ「誰も追い付けナイ……。貴女だけの超高速スープラ……。」耳元でボソッ
シア「はあぁぁん……。なんて魅力的な誘惑を……。」ゾクゾク
セレ「どうですカァ? 天国にイけますヨー。」ペロペロ
シア「ひゃぁぁぁん……。ハァハァ……。」
シア「ちょっと……だけなら……。」
セレ「」ニタァ
――回想終了
バアアアァァン! バキッ!(机が大破)
ララ「セレーニャアアァァァ!? シアっちをペロペロしただとォォォ!?」
シア「そこですか。」
ララ「ああぁっ……! 私のシアっちに何てことを……!」
ララ「ハッ!?」
ララ「まさか股間のボアアップはされてないよね!?」サワサワ
シア「ふあぁ!? されてませんから!」
ララ「本当に? もっと詳細に点検しないと分からないよ?」
シア「ちょっとララちゃん!? そこはさっきも触って……んああっ!」
ルル「ララーニャ。少し落ち着きなさいな。」
ララ「ハァハァ……ぐへへ。 私がシアっちを12ヶ月点検してあげる!」
ララ「こっちを責めればどんな声で……。」
ルル「落ち着きなさいな。」ゴゴゴゴゴ
ララ「」
――五分後
ララ「今の話で分かったよ。」
ララ「スープラの元のエンジンは、セレーニャっていう泥棒猫の元にあるんだね?」
シア「え、ええそうです。ナイトロガスの補充もセレーニャの元で受けていました。」
ルル「場所は分かるんですの?」
シア「場所は、新・大日本帝国警察の本部です。」
ララ「そうなんだ? じゃあ今すぐそこに……。」
ララ「……。」
ララ「ん!?」
ララ「今警察って言ったシアっち!?」
ルル「はぁ……。どうやら警察と繋がりがある者のようですわね。」
ララ「違法チューナーが何で警察の元で堂々と活動しているのさ!?」
ルル「私に聞かれても知りませんでしてよ。」
ルル「面倒な事になりそうですわね。」
ルル「ご愁傷様ですわ。ララーニャ。」
――二時間後
――新・大日本帝国警察 本部付近
機捜隊員「おい! 前のカローラ止まれや。左に寄って停車しろ。」
機捜隊員「おいコラァ! テメェ、ストリートレー……!」
ララ「こんにちは~!」ニコニコ
機捜隊員「勘違いだ。引き止めて悪かった。」キリッ
機捜隊員「行っていいぞ。」
機捜隊員「(こんな小さな嬢ちゃんがストリートレーサーなワケねぇか)」
ララ「はぁーい。」
ララ「(ぐへへ、チョロいなぁ。無能警察24時だよ!)」
ブオオオォォォン!
機捜隊員「そうだぜ。あんな小さな嬢ちゃんが……。」
機捜隊員「小さな嬢ちゃん……?」
機捜隊員「ハッ!?」
機捜隊員「オオン!? ちょっと待て!」
機捜隊員「免許証見せろや! 免許証ォォ!」
――カローラ・アクシオの車内
ララ「あれー? 追って来たよー!?」
シア「だから言ったじゃないですか!」(後席から起き上がる)
シア「カローラにGTウィングを取り付けるのは止めた方がいいって!」
シア「絶対にストリートレーサーだと思われるに決まってるじゃないですか!」
ララ「だってー! 普通のセダンなんて耐えられないよ!」
ララ「私の心にカーボンが固着してエンストしちゃう!」
シア「筋金入りの車バカですね……!」
シア「あっ! その小さい入口を入って下さい!」
キキキィー!
――新・大日本帝国警察 本部 第6駐車場
ガラーン
ララ「車が全然停まってないね。」
シア「はい。関係者しか使わない駐車場らしいです。」
ララ「ふーん。あれ……そこに停まってる車、シアっちのスープラじゃない!?」
シア「えっ!?」ガチャ バンッ! スタスタスタ
シア「本当です! ぶつけたヘコミも全部直ってる!」
セレ「フフゥン。また乗りたいんデスカー?」シュルシュル ガシッ!
シア「え!? この触手は……。」
シア「セレーニャですか!?」
セレ「シアちゃん。お久しぶりデース。」ペロペロ
シア「ひゃぁぁぁん! そんなトコ舐めちゃだめですよー!」
セレ「私が作ったV10スープラ。粗末に扱われて悲しいデース。」ションボリ
シア「それは……。ごめんなさい……。」
セレ「フフゥン。イインデスヨー。」
セレ「私はもっとシアちゃんに走って欲しいんデース。」ニコニコ
セレ「誰も到達したことのナイ……。快楽でイっちゃうスピードに……。」耳元でボソッ
シア「はあぁぁぁん! また私を誘惑する気ですか!?」ガクガク
セレ「蕩けるような甘美な快楽……。V10スープラに乗ればそれが……。」ウネウネ ペロペロ
ララ「」ゴゴゴゴゴ
ララ「私のシアっちをペロペロするなァァァ!」
バチーン!
セレ「あうっ! 痛いデスヨー!」
セレ「どなたデスカ? どうやら同族みたいデスネー。」
ララ「私はララーニャだよ! ララーニャ・ガーネットフレイヤだ!」
ララ「この泥棒猫め!」
セレ「ララにゃん怖いデース……。私はセレーニャ・クラックガーネットデース。」
セレ「よろしくデス。」
ララ「ん!? 今、ララにゃんって……呼んだ!?」
セレ「呼んだデスヨ、ララにゃん。」
セレ「私の事はセレにゃんって呼んでクダサーイ。」
ララ「そっかぁ。仲良くしようねセレにゃん!」ニコニコ
ララ「って……。呼ぶと思ったか泥棒猫ー!」
シア「(呼んでるじゃないですか……。)」
ララ「シアっちならともかく、貴女にララにゃんって言われても嬉しくない!」シュルシュル ガシッ!
セレ「あううぅ。なんで邪魔スルデスカー。」
セレ「私はV10スープラを直しただけデスヨー。」
ララ「よく言うよ! 私の目の前でシアっちをペロペロして誘惑したくせに!」
セレ「フフゥン。嫉妬デスカー?」
セレ「シアちゃんは私の誘惑を受け入れて本当の自分を知る事が出来たデス。」
セレ「V10スープラも復活シタ。スグにでも天国の快楽を味わう事が出来るデース。」
セレ「バトンタッチデスヨ、ララにゃん。既にシアちゃんは私のマシン無しでは満足出来ないのデス。」
セレ「私が責任を持ってシアちゃんヲ……。」ジュルリ
ララ「」カチン
ララ「フ……フフフ。勿論シアっちのスープラを修理してくれた事には感謝しているよ?」
ララ「でもね!」
ララ「シアっちをペロペロして良いのは私だけなんだよォ!」ポイッ!
セレ「あうっ。」ドサッ
ララ「スープラに危険なチューニングをした上、シアっちを再び誘惑するなんて許せないよ!」
ララ「行こうシアっち! スープラ貰ってトンズラだよ!」プンプン
ララ「家に帰ったら私が改めてスープラをチューニングし直してあげる!」スタスタスタ
セレ「あうぅぅ……。」
シア「……。すぐに行くので先に行ってて下さい、ララちゃん。」
セレ「(ララにゃんメ……。)」
セレ「(ころ……。)」
シア「ごめんなさいセレーニャ! また今度来ますね!」
シア「スープラを直してくれて、ありがとうございます。」ニコッ
セレ「ア……。」
セレ「アハハー。いつでも待ってるデスヨー。」ニコニコ
キュルルルル クオォォォォォン!
――新・大日本帝国警察 地下室
セレ「ララにゃんは私の邪魔デスネー。それにムカツクデス。」
セレ「V10スープラのシアちゃんには、モット私のマシンに乗ってもらうデスヨ。」
セレ「シアちゃん。今度ここに来たらおもてなしさせて頂くデス。」
セレ「刺激的でヒャハハなマシンヲ作って待ってるデス。」ウネウネ
セレ「ララにゃんの事、スグに忘れさせてあげマス。」ニュルニュル
セレ「私の××にナルデスヨ。」ウニョウニョ ズルル
前半パート終了です。
一旦書き溜めるので休止します。
シアこと鈴野瀬 志愛(すずのせ しあ)は今日も首都高速湾岸線を疾走していた。
安全性を度外視した危険なチューニングにより限界に達していたスープラの純正部品は、
耐久マージンの大きい社外品に交換され、悪趣味な血飛沫のペイントもシアンカラーの
美しいラインアートに塗り替えられていた。
――PM 8:00 首都高速湾岸線 宇津鳴ジャンクション付近
シア「ララちゃんが再調整してくれたスープラ。」
シア「挙動は安定しているし異音も聞こえない。」
シア「以前にも増して絶好調です。」
オォォォォォォン!
シア「ん?」
シア「後ろのクルマ……。やけに速いですね。」
グオオオォォォン!!
シア「あ。追い付いた。」
グオオオオオッ!
シア「そして私と並走し始めた!?」
シア「まさかストリートレーサーですか!?」
「フフフフフ。」
「間違いない!」
「あの時のクルマ!」
「あの時のスープラだァァ!」
シア「プロボックス!?」
シア「高速道で並走なんかしたら危ないですよ!」
シア「営業車に乗っているという事は社会人の方ですよね!?」
シア「貴方のような真っ当な人が私みたいなストリートレーサーに何の用です!?」
シア「お仕事サボっていいんですか!?」
無職「俺は無職だ!」
シア「ええっ!?」
無職「あの時! お前さえ現れなければそうならずに済んだ!」
シア「あの時? 私なにか悪い事しました?」
無職「忘れてやがるのか!」
無職「お前は160km/hで走っていた俺を抜き去ったんだ!」
無職「お前に抜き去られた俺は警察に捕まって免停となった!」
無職「そして免停となった事を会社にまで知られ、無職にジョブチェンジしてしまった!」
無職「クズなストリートレーサーめェ……!」
無職「よくも善良な一般市民の俺を無職にしてくれたなァ!」
シア「おかしい!」
無職「何ィ?」
シア「おかしいですよ!」
シア「その話に私は関係ないじゃないですか!」
シア「私は貴方を追い抜いただけですよね?」
シア「それに、160km/hで走っている時点でストリートレーサーと何ら変わりないですよ!」
無職「う、うるさい!」
無職「納品に急ぐプロボックスの運転手は誰もがストリートレーサーと化すのだ!」
無職「不可抗力だ!」
無職「俺がプロボックスでスピードを出したのは正当な行為なんだよ!」
シア「そんな無茶苦茶な!」
シア「正当な行為ならなんで警察に捕まってるんですか!」
無職「だ、黙れェ!」
無職「俺が勝ったらそのスープラを頂くぞ!」
無職「売りに出して俺が再就職する為の当てにしてやる!」
シア「営業車で私のスープラとバトルする気ですか!?」
シア「職を失って頭までおかしくなっちゃったんですか!」
ウネウネ シュルシュル
シア「は?」
無職「へへへ!」
シア「プロボックスの車内から触手が出てきた!?」
シア「一体どういう事なんです!?」
無職「セレーニャ博士だ!」
無職「セレーニャ博士はドン底にいた俺を救ってくれた!」
シア「セレーニャが!?」
無職「そして俺に力をくれた!」
無職「プロボックスを2JZエンジン搭載の高速納品仕様にしてくれた!」
無職「スペック上はお前のスープラにも引けをとらんぞ!」
シア「2JZエンジンをプロボックスに押し込んだんですか!?」
無職「そうだ! 俺のプロボックスは世界で一番速く納品できるんだよォォォ!」
無職「セレーニャ博士ばんざァァァイ!」
シア「(目が狂ってる……! クルマを改造しただけじゃない……!)」
シア「(あの触手! あんな物が付いているクルマは見たことがない!)」
シア「貴方はセレーニャに何をされて……。」
ズオオオオオ!!
シア「噂をすればですか!」
セレ「待っていたデスヨ。」
セレ「シアちゃんのスープラのナイトロが切れる時ヲ。」
シア「待っていた? 私を尾行していたんですか!?」
シア「一体この人に何をしたんです!?」
セレ「丁度よかったんデスヨー。」
シア「丁度良かった?」
セレ「このヒトは心が折れて放心状態になっていたのデス。」
セレ「私がチョット囁いたら自ら私を求めたデスヨ?」
セレ「フフフ。」
シア「何てことを!」
シア「セレーニャ! 貴女は人の心を弄ぶ悪魔です!」
セレ「酷い事言うデスネー。」
セレ「傷付いたデスヨ?」
セレ「責任を取って今スグ私の元に来るデース。」
セレ「シアちゃんも私の元に来てくれると言ってイタデスヨネ?」
シア「そんな事を聞いたら行く気が無くなっちゃいましたよ!」
セレ「ソンナァ。悲しいデスヨー。」
セレ「シアちゃぁん……。」
シア「……。でも悪い事をしないと誓ってくれるなら考え直しても……。」
セレ「フフフ。」
セレ「やっぱりシアちゃんは甘いのデス。甘々デス。」
セレ「ナイトロガスはどこで補充するデスカ?」
シア「えっ!?」
セレ「V10スープラのナイトロガスの容器は特注品デース。」
セレ「私のトコロでしか補充デキナイ……。」
シア「そんな!?」
セレ「ナイトロの良さに慣れきったシアちゃん……。」
セレ「私の元に来るのは時間の問題デスヨー。」
クオオオォォン!
シア「待ってセレーニャ! 貴女は……!」
無職「お前の相手は俺だァ!」
シア「退いて下さい! 貴方に構っている暇はありません!」
無職「俺をバカにするのか!」
無職「だったら死ねえェ!」
キキィーッ!
シア「きゃあっ!?」
シア「何するんですか!」
シア「私の前に割り込んで突然急ブレーキを踏むだなんて!」
シア「そんな危険な運転をされたらクルマが接触してしまいます!」
無職「うるせぇ知るか!」
無職「俺の前には行かせねぇぞォォ!」
シア「今度は蛇行運転!?」
シア「ちょっと! いい加減にして下さ」
ガリッ!
シア「」
シア「私のスープラに……。」
シア「傷を付けましたね?」
無職「ケッ!」
無職「やっとやる気になったかァ!」
無職「最初からやる気に」
クオオオォォォォン!
無職「何ィ!?」
無職「俺のプロボックスの遥か先に居るだと!」
シア「無駄口を叩く暇があるならアクセルを底まで踏み込むんですね!」
シア「全力で叩き潰してあげます!」
無職「クソッタレ! ナイトロが切れたようなクルマに俺が負けるか!」
無職「うおぉぉぉぉぉ!」
無職「俺のプロボックスなら勝てる!」
――PM 9:00 大黒山パーキングエリア
無職「負けた……。」
セレ「さあ、教えてもらいますよ!」
シア「このクルマの触手は一体何なんですか!」
シア「男と触手の見たくもない絡みをよくも見せつけてくれましたね!」
セレ「ゲッソリデスネー。シアちゃん。」
シア「セレーニャ!? 居たんですか。」
セレ「フフフ。」
セレ「これは私が開発したのデス。」
セレ「脳でマシンを直接操作するシステム。」
セレ「その副産物デース。」
シア「脳でマシンを直接操作!?」
シア「お花畑な事を言って誤魔化さないで下さい!」
シア「SFの世界じゃあるまいしそんな事出来るワケないです!」
セレ「フフゥン。」
セレ「私の技術力を使えば造作も無い事デース。」
セレ「このシステムを使えばマシンを手足のように扱えるデスヨ。」
セレ「ただし、意志が弱いとシステムの触手にエッチな事をされるですケドネ。」
シア「なんて酷い!」
セレ「ウヒヒ。」
セレ「シアちゃんのクルマにもこのシステムを付けるデース。」
セレ「車内用ドライブレコーダーを付けてしっかり録画してあげるデスヨォ。」
セレ「安全性も完璧デス。触手の十二点式シートベルトがシアちゃんをねっとり守ってくれるデス。」
シア「私のスープラをアヘ顔ツインターボ仕様にする気ですか!?」
シア「やってる事がララちゃんと同レベルですよ!?」
ドドドドド!
無職「セレーニャ博士ェ!」
無職「あのクスリだ! あのクスリが欲しい!」
無職「早く俺を強くしてくれェ!」
無職「苦しいよォォ!」
セレ「邪魔しちゃ駄目デスヨ?」
セレ「レッカー車にクルマごと乗って待ってイルデス。」
セレ「本部に戻ったらすぐ楽にしてアゲルデスヨ。」
セレ「とってもステキな事になれるデス……。」
無職「ウヒヒィ。やっぱりセレーニャ博士は最高だ!」
無職「こんな俺を気に掛けてくれる……! 俺の天使だ!」
シア「駄目ですよ!」
シア「セレーニャの言葉に惑わされちゃ駄目です!」
シア「いつか貴方の人生を大きく変えられてしまいますよ!?」
無職「うるさい! セレーニャ博士は俺を救ってくれた!」
無職「セレーニャ博士だけが俺の事を分かってくれたんだ!」
セレ「フフゥン。」
セレ「さぁ、シアちゃんも一緒に来るデス。」
セレ「たっぷりおもてなししてあげるデスヨ?」
シア「私は飛んで火に入る夏の虫にはなりません!」
クオオォォォォン!
セレ「逃げちゃったデスカ。」
セレ「フフフ。」
――新・大日本帝国警察本部 地下室
無職「セレーニャ博士ェ! 早くクスリを!」
無職「あの粉をくれェェェ!」
セレ「チョット待つデス。」
セレ「その前に食事にスルデス。」
無職「え?」
セレ「フフゥン。」
セレ「クスリに縛られるだけの人生は可哀想だと思イまセンカ?」
無職「セレーニャ博士……一体何を言っているんだ?」
無職「セレーニャ博士が俺にこのクスリを……。」
セレ「私を天使だと言ったデスネ?」
セレ「これを見てもそう言えるデスカ?」
ズルルルルル
無職「うわあっ!?」
無職「セレーニャ博士から触手が!?」
無職「に、逃げ」
セレ「黒服さん。出番デスヨ。」
無職「は、離せテメェら!」
無職「セレーニャ博士はバケモノだった!」
無職「バケモノだったんだよォォォ!」
セレ「……。」
セレ「(ニンゲンは私を見るとすぐバケモノだと騒グ。)」
セレ「(ムカツクデス……。)」
セレ「(初対面で私をバケモノだと言わなかったのはシアちゃんダケデスヨ?)」
無職「や、やめろ近付くなァァ!」
セレ「(シアちゃんは私のマシンに乗ってもっと笑顔ヲ見せて欲シイ。)」
セレ「(例えその笑顔が歪んでイテモ……。)」
無職「うわあぁっ!?」
――新・大日本帝国警察本部 地下室モニタールーム
バリバリ……。 ボリボリ……。
「またセレーニャか。」
「はい。今月に入って3人目です。」
「ふむ。」
「事後処理もなかなか大変なのだがね。」
「ですがそれ以上の価値があるのでしょう?」
「グフフ。それはそうだよ君。」
「セレーニャの触手は末端価格で××億円の幸せの粉を作り出す事ができる。」
「法と私の利益。」
「どちらが大切だと思うかね?」
「フフフ。私も良い思いをさせて頂いた。」
「文句を言うつもりはありませんよ。」
「君は実に有能な部下だよ。」
「私の為に裏で色々と動いてくれた様ではないかね。」
「お陰で私の懐はもはや溢れんばかりとなってしまったよ。」
「フフフ。セレーニャは金のなる木です。」
「これからも甘い汁を吸わせてもらう事としましょう。」
バリバリ……。 ボリボリ……。
「……それにしても美味いな。」
「ええ。止まりません。」
――新・大日本帝国警察本部 地下室
バリバリ……。 ボリボリ……。
セレ「美味しいデスカ?」
セレ「私の触手から出る幸せの粉をまぶした非合法なお菓子。」
セレ「もっと食べるデス。」
無職「バケモノめ……。こ、こんな物……。」
セレ「フフフ。」
セレ「身体は正直デスネ? もう六個目デスヨ?」
無職「ううぅぅ……。」
無職「俺をどうする気なんだ……。」
セレ「貴方はじきに私のお菓子無しでは満足出来なくナル。」
セレ「そしてこの黒服さん達のようになるのデス……。」
無職「まさかコイツら……。お前に服従させられた者達なのか!?」
セレ「フフフ。ソウデス。」
セレ「年収820万のワタシのSPにネ。」
無職「なんだと!? 年収はっぴゃく……。」
セレ「貴方も内定してるデスヨ?」
無職「ほあっ!?」
セレ「ワタシを守ってくれるだけで良いのデス。」
無職「だ、だが俺にSPの知識なんて!」
セレ「フフゥン。心配ナイデース。」
セレ「私の触手で必要な知識を脳に直接注入スルデス。」
セレ「そして、このお菓子を食べ続ければ肉体的に強くなれる。」
セレ「誰でも即戦力にナルデスヨ?」
無職「ど、どうせ! は、派遣なんだろ!?」
無職「け、けけ、契約期間が過ぎたら俺を使い捨てにするんだろう!?」
無職「俺を騙そうとしたってそうは……。」
セレ「国家公務員デス。」
無職「」
セレ「変則的な週休なのは目を瞑って欲しいデース。」
セレ「デモ、充実した福利厚生で老後まで面倒をみてあげるデスヨ?」
セレ「悪い話じゃナイと思いマース。」
セレ「黒服さん達も喜んでイル。」
セレ「ソウデスヨネ?」
SP(男)「その通りです。お前もセレーニャ博士の元へ来るんだ。」
SP(男)「我々はセレーニャ博士専属のSPだ。他の要人を警護することはない。」
SP(男)「故に配置換えもない。」
SP(女)「とても幸せになれるわよ?」
SP(女)「いつでもセレーニャ博士のお菓子が食べられる。苦しむ事もないのよ?」
セレ「見ての通り私はヒトではナイデス。永遠に死ぬ事はナイ。」
セレ「つまり貴方が食いっぱぐれる事はナイのデス。」
セレ「さぁ……。再就職の時デス。」
無職「」
無職「セ……。」
セレ「セ?」
無職「セレーニャ博士バンザァァァァイ!」
セレ「フフフ。」
セレ「ヒトが私に堕ちてゆく瞬間は堪らないのデス……。」
セレ「次はシアちゃんを堕として笑顔にするデス。」
――PM 10:00 ララーニャの隠れ家
ララ「あっ。お帰りシアっちー。」
シア「あれ? ルルーニャさんは?」
ララ「新しい道の駅が出来たからって言って自分の家に帰っちゃったよ。」
シア「そうですか。寂しくなりますね。」
シア「……。」
ララ「どうしたのシアっち? そんな真剣な顔して。」
ガシッ!
ララ「え? え?」
ララ「なんで私の肩を掴むのかな?」
ララ「ははぁん?」
ララ「さては私の触手とシ足りなかったー?」
ララ「シアっちってば淫乱なん」
シア「ララちゃん!!」
ララ「ふえっ!?」
ララ「な、何かなシアっち? そんな真剣な顔で見つめられると私の股間が」
シア「……。」
シア「触手人族には変態しかいないんですか?」
ララ「えええっ!?」
ララ「何その質問!?」
――PM 10:30 ララーニャの隠れ家
ララ「なるほどね。」
ララ「あの泥棒猫に言い寄られてたんだ?」
ララ「それに……。脳でマシンを直接操作するシステムだっけ。」
シア「はい。セレーニャはそう言っていました。」
ララ「そんな怪しげなシステムはいけないね。いけないよ。うんいけない。」
シア「何で片言なんですか?」
ララ「い、いやいや。気のせいじゃない?」
ララ「……。」
ララ「(グッジョブ! セレーニャァァァ!)」
ララ「(ぐへへへへ! 素晴らしいシステムだよ!)」
ララ「(シアっちを触手の海に放り込むだって!?)」
ララ「(やばい涎が! シアっちに気付かれる!)」
ララ「(フヒヒヒヒ。これからはセレにゃんって呼んであげるよ。)」
シア「ララちゃん。」
ララ「(そのシステムの話。じっくり聞きたいからね……。)」
シア「ララちゃん!」
ララ「(そしてゆくゆくはシアっちを……。)」
シア「聞いてるんですか?」
ララ「ふえ!?」
シア「何度も呼んだのに……。」
シア「スープラのナイトロの話なんですけれど……。」
ララ「ああ。特注品だから補充できないって話?」
シア「そうです。何か解決策がないかと思いまして。」
ララ「そんなの簡単だよ。」
ララ「私が社外品のナイトロガスの容器に変更しておいてあげる。」
シア「え? 出来るんですか!?」
ララ「任せてよ! 私はシアっちの味方だよ?」
シア「ありがとうララちゃん!」
シア「ララちゃんが私の味方でいてくれて本当に良かったです!」
ララ「(ただし性的な事に関しては味方とは限らないけどね?)」
ララ「(ぐへへへへ。)」
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