希「さいこうの、おくりもの」 (23)

・のんたん生誕SS

・SID風味

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「ただいまーっと」

誰もいない部屋にいつものようにご挨拶。

普段はちょっぴり寂しくもなったりするけど、今日はとっても嬉しい気分。

「ふふ……嬉しかったなあ」

この両手いっぱいのプレゼント。

放課後、いつもみたいに部室に行ったらいつの間にかパーティの用意がしてあって。

μ’sのみんなからぎょーさんプレゼントもらっちゃって。

プレゼントはもちろん嬉しかったけど、それ以上に。

大切な、うちにとっての奇跡の仲間であるみんなから祝ってもらえたこと。

それが何より嬉しかったんよ。

もう、泣いてしまいそうなくらい。

みんなの前では必死に我慢したけど、それくらい嬉しかったよ。

「ホント、ちょっと前までは考えられんくらいやんな」

テーブルの上に並べたたくさんのプレゼントを見てると、自然に顔が綻んじゃうね。

そんな風ににやにやしてると。

ぴんぽーん。

誰やろ、お客さんなんて珍しい。

「はーい、どちら様?」

『私よ、絵里よー』

「えりち?待っててな、今開けるー」

どうしたんやろ?忘れ物でもあったかな?

「お邪魔するわね」

「どうぞどうぞ」

えりちは何度かこの部屋には招いてて。

「紅茶でいい?」

「おかまいなくー」

なんとなく、落ち着くペース。

1番付き合い長いからかな。えりちといるとやっぱり落ち着く。

紅茶を淹れて、適当なお茶菓子を用意して。

「どうしたん?急に来るなんて珍しいやん」

「あら、用事がなきゃ来ちゃダメかしら?」

いたずらっぽくえりちは笑って。

えりちも変わったなあ。

「たまには、2人で話すのもいいでしょ?」

「うん、そやね」

そういえば、最近はμ’sとして行動することが多くなって。

えりちとこうしてゆっくり話すのも久々やね。

「ねえ希、今日のパーティはお気に召した?」

「当たり前やん。すっっごい嬉しかったよ」

思い出すだけで顔がにやけちゃうくらいには。

「ふふ、いい顔してる」

「そ、そう?」

「でも、そんなに気に入ってくれたなら良かったわ」

紅茶を少し飲みながら、えりちは笑って。

「今来たのはね、希に改めておめでとうってことと……お礼を、言いたくて」

なんだかちょっぴり恥ずかしそうに。

「お礼? うちはなんもしとらんよ?」

「ううん、今日だけの話じゃなくてね」

首を軽く横に振って、えりちはゆっくりと話しだす。

「まずは、頑なだった私に話しかけてくれて」

「生徒会副会長としても支えてくれて」

「μ’sに、出会わせてくれて」

「ずっと、友達でいてくれて」

「本当にありがとう。感謝してる。」

「誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう」

顔を赤くしながら、えりちはそんなこと言ってくれて。

なんなんよ、急にそんなこと……。

嬉しくて、泣けてきてしまうやん。

「急にそんなこと言うなんてずるいよ、えりち……」

「もう、希は泣き虫ね」

えりちは困った顔で撫でてくれる。

「えりち……ありがとうは、うちのセリフ」

「こんなうちと、友達になってくれてありがとうな」

そんな風に言うのが精一杯で。

その先はなんだか言葉にならなくて。

「こんな、なんて言わないの。希は、私の親友よ」

「えりち……」

「辛いことがあったらなんでも言って?できることならなんだって力になるわ」

こんなこと言ってくれる友達、初めてで。

すっごくすっごく嬉しくて。

「えりちぃ……」

「あらあら、甘えん坊さんね」

「いいやん、たまには泣かせてよ」

「そうね、誕生日だものね」

ふふって2人で笑い合う。

ゆっくり静かな時間が流れて。

泣き止んだ後はたくさんおしゃべり。

とっても楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていくもので。

「あ、もうこんな時間なのね……」

「そうやね、えりちもそろそろ帰らんと」

「そうね、亜里沙も待ってるし……」

帰り支度をして、えりちが玄関を出るとき。

「ねえ、希」

「ん?」

「今年の誕生日は、どうだった?」

そんなの決まっとるやん。

「もう、人生最高の誕生日やったよ」

うちは胸を張って言えるよ。

最高の仲間達に囲まれた誕生日。

初めてできた親友に、たくさんの気持ちを貰った誕生日。

こんなに幸せでいいのかってくらい、たくさんのモノを貰ったから。

今度はうちが、みんなのために何かできたらいいなと思う。

ありがとうな、みんな。

こんなうちやけど……これからも、よろしくね。

短いですが、終わりです。

のんたん、誕生日おめでとう!

おつ


素晴らしいです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月11日 (月) 03:43:24   ID: u4pU2DJO

短いけど凄く感動できたよ。
良いSSだった!

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