男「俺は……」(67)
学校
男「誰が来るんだろうな」
友「女の子って話だ」
友「まぁお前には幼馴染がいるもんな」
男「何言ってんだ、妹に恋愛感情は持たない」
友「妹みたいに可愛いじゃないか」
男「どうも妹以上にみれないんだよ、長く一緒にいたせいか」
友「なら俺が貰うわ」
男「好きにしろ」
……今日は転校生が来る
楽しみだ
支援
ガララ
友「可愛いくなかったら殴るから」
男「何で俺が……」
でもまぁ可愛くないなんてあり得ないな
大体この変な時期の転校生は可愛いんだ、そうに違いない
男「来た……!」
「あ、今日からお世話になります」
男「……」
友「……」
ブスか……
友「チッ」
「……よろしくお願いします」
ん?
男「なぁ、名前なんて言った?」
友「知らねぇよゴミ」
なんだコイツ
男「聞きそびれたんだよ」
友「直接聞けよカス」
……
休み時間
男「うっ……」
近くに来たものの……
マジで崩壊レベルだな……
男「な、名前なんていうの?」
何か臭い
血? 血の臭いだよ……
「あ、えーと……」
友「反省会だゴルァ!」
「……です」
男「ごめん待ってて」
あの包茎黙らしてくるか
男「お前静かにしろよ」
友「黙れ包茎」
男「いやお前が包茎だろ」
友「仮性と真性じゃ美人とブスの差があるんだよ」
男「……もういいから黙っといてくれ」
友「耳塞いどけ」
ダメだな
聞く耳持たない
男「……もういいや」
あとでまた聞こう
ちなみに俺は包茎じゃない
皮が少し多いだけだ
放課後
あれ?
あの子は……
男「転校生どこいった?」
友「帰ったってよ」
友「てか何であいつの名前聞きたいんだ?」
男「何でって……」
……そう言えば何でだ
出来れば一生関わりたくないはずなのに……
男「初めて会った気がしないというか……」
友「ならアルバムでも見てろ」
男「……」
……初めて会った気がしない
あの子じゃない、だけどあの子だ
……?
男「じゃあな」
幼馴染「男! かーえろ!」
男「また今度な」
幼馴染「えー……」
……うん、可愛いけど恋愛感情は湧かないな
男「じゃあな」
友「幼馴染ちゃん、俺と帰らない?」
幼馴染「やーだよっ」
友「ええじゃないかええじゃないか」
幼馴染「やーだっ」
男「友……」
お前も懲りないな……
街外れ
男「うーん……」
先生に聞いたらこの辺だって言ってたけど……
男「あ、先生に聞けばよかったんだ」
バカだな俺って
……おや?
はっけ……ん?
男「……!」
瞬間、目の前が暗くなった
……ん……
……ここは……?
「久しぶりだねー」
え……?
「10年振り?」
「男前になっててビックリしたよ」
男「……あんたは」
「よく一緒に遊んだよね」
男「……姉ちゃん?」
俺に姉はいない
昔よく遊んだ近所のお姉ちゃんを俺は「姉ちゃん」と呼んでいた
姉ちゃんは昔とあまり変わってなかった
「まだそう呼んでくれるんだね」
腰まで伸びた紅い髪
夏場でも変わらない黒いコート
男「ホントに姉ちゃん?」
「そうだよー」
かなり美人になって背も高くなったけど
中身は変わってなかった
男「姉ちゃん……俺ずっと……」
「積もる話はあと」
「ちょっとやらないといけないことがあるんだ」
男「なにするの?」
「編入手続き」
男「え?」
…………まさか
「男のクラスって顔で判断する人ばっかなんだねー」
男「まさか、今日の転校生って……」
「私だよ、ちなみに話し掛けてくれたのは男だけ」
いやいやいや
顔から何から全部違うじゃん
何言ってるんだ?
「全部違うって思ってるよね、私生きるために変装しないといけないんだ」
はい?
男「……と、年は?」
他に聞くこともあるのに何で年なんだよ俺
「詐称なんてみんなやってるし」
男「何でそんなことまでして……」
「うーん……この街に私が追ってる奴がいるから」
姉ちゃんと離れたのは突然のことだった
いつものように遊びにいったらものけのから
何で今さら……
男「追ってる奴?」
すると姉ちゃんの目付きが鋭くなった
怒るといつもこうなってたんだよな
「私をこんな身体にした奴を殺すの」
え?
男「……殺す?」
何物騒なこと言ってるんだ
「あの日さ、男が来たの知ってたよ」
「でも会えなかった」
「何でかわかる?」
「まぁわかったら凄いよね」
男「……何で?」
「血まみれの姿なんか見せたくなかったから」
男「…………え?」
今思えば、この話を聞かなければ俺は平和に過ごしていたのかも知れない
④
翌日 学校
男「なぁ」
友「ん?」
男「転校生いる?」
友「屋上に向かってったな」
屋上……
好都合だ
男「わかった」
屋上
男「……おーい」
「やぁ」
転校生は姉ちゃんの姿だった
綺麗だな
男「やっぱ本当に転校生?」
「そうだよ」
男「何でそんなことを?」
「この美貌でいたら目立つじゃん?」
男「そうだね」
冗談なんだろうけど実際綺麗だから冗談に聞こえない
男「授業始まるよ」
教室に戻る頃にはキモい転校生がいた
男「それなんとかならない?」
「は、はい……」
しゃべり方まで徹底してるのか
男「……友達できないんじゃない?」
「男がいるし?」
素に戻っても顔がキモい
友「幼馴染ちゃーん」
幼馴染「……え?」
友「何ボーッとしてるんさ」
幼馴染「あ、いや……えへへ」
「……」
二人とも何故か真剣な目をしていた
放課後
「あ、あの……」
男「なに?」
「送ってもらえますか?」
別にいいけど……
友「いいねー! 青春だねー!」
面白がってるだろコイツ
「またね」
幼馴染「……男」
男「ん?」
幼馴染「……」
「行こうよ」
グイッと引っ張られる
どうした二人に何があった
街外れ
昨日は帰るときにチラッと見ただけだけど
古い小屋だな……
「学校まで遠いねー」
男「ここからならそうだね」
……昨日の事を聞かなくては
昨日、血まみれ発言のあとすぐ帰らされた
用事があったんだそうな
「……血まみれってのは私の血じゃなくて、両親の血なんだよ」
「つまりね、両親を殺したんだ」
男「…………そういう冗談は」
「嘘じゃないよ」
男「……ホントに殺しちゃったの?」
「男には嘘つかないよ」
昔から姉ちゃんは嘘はつかなかった
つまり本当なんだろう
でも意味がないことはしなかった
つまり理由があったんだろう
男「俺は姉ちゃんを信じるよ」
「ホントにー?」
男「俺も殺されかけたしね」
「いやあれは男の不注意じゃん?」
昔下を見て歩いてたら姉ちゃんにぶつかって尻餅をついた
ついた先に尖った石が尾てい骨を刺したんだよな
俺の不注意か
男「でもなんで?」
「そっから先を知るにはねー」
「一生私といることになるよー」
男「いいよ、姉ちゃん好きだし」
「いやー……照れるねぇ」
「じゃあ私をドキッとさせたことに免じて1つだけ」
ドキッとしたんだ
「私、ヴァンパイアでーす」
④
男「ハハハ」
「嘘じゃないって」
いくらなんでも無理がありすぎる
姉ちゃんこんなんだっけ?
男「じゃあ誰を追ってるの?」
「ハンターさんだよ」
男「ハンター?」
吸血鬼退治屋みたいな?
「ヴァンパイアを殺すグループで、こっちもハンターさん達を殺すの」
当たっちゃった
「生きるためには仕方ないんだ」
男「ひっそりと暮らせばいいじゃん」
当然の答えだ
「血を飲まないといけないのは聞いたことあるよね?」
男「うん」
他にもニンニクやら十字架やらが弱点とか
「私達が生きるにはハンターさんの血が必要なんだ」
「特別な血らしいよ」
男「へぇ……」
「半信半疑だねー」
「証拠をお見せしよう!」
そう言うと姉ちゃんは外に移動した
「そーれっ!」
バサッ……バサッ……
と、大きな羽を揺らしていた
男「おぉ……お?」
疑問が浮かぶ
男「何で片方白いの?」
片方白に片方黒
アンバランスだな
「純血のヴァンパイアじゃないからかなー」
「半分ハンターの血らしい」
男「姉ちゃんが追ってる?」
「うん」
「ここまで来たらもう全部話すね」
「どうやら父がヴァンパイアで、母がハンターだったみたいなんだよね」
男「敵対してるんじゃ?」
「禁断の恋なんじゃない?」
「でも普通はヴァンパイア同士じゃないと子は成せないらしいけどね」
男「へぇ……」
あれ、じゃあ……
男「何で両親を……?」
「えーっとねー」
「私その時まだなーんにも出来なかったんだ」
「男と遊ぶフツーの女の子」
「だけどね、男と別れた前日にあることが起こったんだ」
「なんだっけかなー」
「怖いおじさん? ウェスカーみたいなおじさんが来てね」
「君は運命を変えられる、私と来たら人間の……両親を殺したら悪魔の……」
「って言われまして」
男「人殺し」
「違う違う! 違わないけど違うの!」
何が違うんだ
悪魔になりたくて両親を殺したくせに
「……もー……」
いっつもそうだ
人をバカにして迷惑かけて
俺を鍛えるとか言って滝壺におとしたり
……よく死ななかったな
「最後まで聞いて、ね?」
聞く?
両親を殺した方法か?
悪魔に魂を売った方法か?
男「いつもいつも……」
「男ー?」
何故だ
どす黒い感情が沸いてくる
男「迷惑しかかけないで……勝手にいなくなって……」
こんなこと思ったことない
理由があるからいなくなったって思ったんだ
男「いきなり目の前に現れていきなり吸血鬼だと言われ……」
違う……こんなこと……
男「ふざけんなよ自己中女……!」
……思ってもないことを……
もうダメだ……元に戻れない
「うーん……」
「ちょっとごめんね」
刹那、鳩尾に鋭い痛みが走った
男「うぐっ!?」
男「うっ……おぇぇ!」
あー気持ちわりぃ……
……ん? 身体がさっきより軽い……
男「な、何すんの姉ちゃん……」
「ごめんね、ほらこれ」
……虫?
「決定だねー」
「これはハンターさんが使う道具なんだよ」
「思ってもないことを喋らして信用をなくすっていう」
「陰気な道具」
……はい?
「やっぱハンターはあの子だったか」
「こりゃ腕がなるね」
男「ち、ちょっと説明を……」
「男があんなこと言うなんてあり得ないからさ、もしや! と思ったの」
えぇー……
男「いやでも言ったかも知れないじゃん……」
「言わないよ、長い付き合いだもん」
……そうか
「お互いのことは筒抜けって感じだし、ね?」
男「確かに……うぅ……」
「ちょっと横にならないと」
男「うん……」
カッコ悪いな……
「でもなー」
「ちょっとまずいかなー」
男「どうしたの?」
「いやーほら」
「これ盗聴機にもなるんだよねー」
「会話まる聞こえだね」
男「でも……まずいことなんて」
「いやいや、男にも関係あるよ」
男「……俺が狙われる?」
「いやー、面目ない」
男「で、でも俺のことなんて……」
「男の友達の、幼馴染さんがハンターだよ?」
なんですと?
自宅
「そう言えばさー」
男「……」
「吸血鬼って響き良いよねー」
「ヴァンパイアより短いし、そうしよー」
吸血鬼「どや!」
男「あぁうん……いいんじゃない」
男「じゃなくて」
男「何で家にいるの」
吸血鬼「離れない方がいいかなーって」
だからって……
男「都合よく一人暮らしだけど……」
吸血鬼「ねー」
吸血鬼「昔住んでたとこがよかったんだけどね」
男「こっちの方が動きやすいしさ」
男「あ、それより」
吸血鬼「んー」
男「姉ちゃんは悪魔に魂を売ったってことでいいの?」
吸血鬼「いやいや、そんなことしないよ」
吸血鬼「どのみち人にはなれなかった……って感じ」
?
どういう……
吸血鬼「ウェスカーのおじさんにね、人がいいって言ったんだよ」
吸血鬼「じゃあこれでも? って言われた瞬間にね、父さんの右腕スパーン!」
おぉ……
吸血鬼「母さんの左腕スパーン!」
おぉ……
吸血鬼「いやー……ひきつけを起こしたね」
男「そりゃまぁ……」
吸血鬼「でもすぐに血が熱くなったんだ」
吸血鬼「おじさん笑ってね、血を飲み干せば魂は消えないよって」
男「ダレンシャンみたいな」
吸血鬼「サムの話は知らない人多いんじゃないかな」
吸血鬼「でも拒否したんだ」
吸血鬼「両親に手をかけるなんて無理無理」
まぁ確かに……
吸血鬼「そしたら父さんがね」
コンコン
男「……幼馴染?」
吸血鬼「あー、幼馴染さんの家の隣に越したんだ」
男「姉ちゃんいなくなって次に遊んだ子なんだよ」
吸血鬼「ヤリチン」
童貞だよ
男「あいつの母さんに「この子の側についてて」って頼まれたから」
男「高校入学と同時に越したわけ」
吸血鬼「へぇー」
吸血鬼「……いい? 私がいること、私との会話、全てをなかったことにして話すんだよ」
言わずもがな
男「早く隠れて」
ガララ
幼馴染「やっほー!」
男「どうしたんだよ」
幼馴染「遊びに来たんだよっ!」
男「明日にしてくれ、眠いんだ」
幼馴染「……さっきまで誰かと話してたから?」
ワオッ!
男「……バレたか」
幼馴染「やっぱり……男、そいつは男にとって」
男「俺がテレビに向かって喋ることは秘密だからな!」
幼馴染「えっ?」
男「言ったら絶交だぞ!」
男「言うなよぉ……言うなよぉ……」
幼馴染「わ、わかったよ、だから絶交は……」
男「言わないなら絶交はなしだな」
幼馴染「よかったぁ……」
男「用は?」
幼馴染「えっ?」
幼馴染「えーと……」
幼馴染「忘れちゃった!」
男「しっかりしろよなー」
幼馴染「ごめんね、また明日っ!」
男「風邪引くなよ」
幼馴染「うんっ!」
ガララ
男「もうい
吸血鬼「……」
うっ……
何で睨むのさ……
男「……」
まさか……
カーテンの隙間を少しみると
幼馴染が部屋を覗いていた
マジかよ……
しっかり閉めよう
吸血鬼「お肌と幼馴染さんは油断大敵だよ」
男「以後気を付けます」
男「でもあいつがハンター……? だとは」
吸血鬼「あの子に会ったのはいつ?」
えーと
男「姉ちゃんと会わなくなって、公園にいたら向こうから……」
吸血鬼「こりゃかなり手強いねー」
男「まさかその時から?」
吸血鬼「親に言われながらだね、その時は」
吸血鬼「しっかり仕事をしだしたのは多分最近」
そういや入学の時……
あいつだけ雰囲気変わってたんだよな
すぐに元に戻ったけど
吸血鬼「言わば男の監視役的な」
男「あぁ……そう……」
吸血鬼「これから学校じゃなるべく距離をとろうね」
男「ぼっちになるよ」
吸血鬼「慣れっこだよ」
男「そう言えば何で変装しないといけないの?」
吸血鬼「私ハーフじゃん?」
あぁ、ハンターと吸血鬼の……
吸血鬼「純血のヴァンパイアは太陽浴びたらすぐ溶けるんだけど」
吸血鬼「ハーフはこんがり肌になるだけなんだ」
まさか日焼けが嫌だとか言わないよな
吸血鬼「日焼けがイヤでね……」
……
男「もっと顔綺麗にしたらいいのに」
吸血鬼「だってーこんなことしてるならー」
吸血鬼「人寄ってこない方がいいじゃん」
……それもそう……か?
吸血鬼「それより!」
男「はい」
吸血鬼「私とあの子で話し方違うじゃーん」
男「そう言えばそうだね」
吸血鬼「私あっちの方が好きだよー」
男「そんなこと言われても」
吸血鬼「恋人にしたいならあっちの口調で告白してねっ」
男「うん、考えとく」
吸血鬼「え? 拒まないの?」
男「恋人云々とかより、姉ちゃんのことは好きだからね」
吸血鬼「……照れちゃう」
ホントからかうの好きだなこの人
支援
翌日
男「お前いつまで不機嫌なんだよ」
友「裏切られたこの気持ちがわかるか?」
友「織田信長より辛いこの気持ちが!」
男「過ぎたことだろ」
友「俺はこの日のためにルックス維新を続けてきた」
さほど変わってないけどな
男「へぇ」
友「俺の情報網をフル活用して、転校生が来るのを1ヶ月前から知っていた」
まだ決まってないだろ……
友「何のためにここまでしたと?」
友「転校生のためだ!」
吸血鬼「わたし……?」
ニヤニヤしながら来た
その顔で笑ったら洒落にならん
友「チッ……」
吸血鬼「……」
ショック受けてる
と言うか何で向こうから話しかけてきてんだ
男「お互いの素性はバレてんのに……」
友「スジャータ?」
友「おい誰だよその子! 紹介しろよ!」
誰だよ
幼馴染「突然ですが!」
ほらまた変なのが
幼馴染「ここで質問です!」
男「2年後くらいにして」
幼馴染「忘れちゃってるよっ」
幼馴染「ヴァンパイアっているんでしょーかっ」
吸血鬼「……」
またストレートな……
友「いるよ」
男「そうか?」
友「俺知ってる」
友「家族で海外行ったときに紅い髪に紅いコートを着て血を吸ってたし」
吸血鬼「……あぁ」
おいまさか……
幼馴染「だよね! やっぱいるよね!」
吸血鬼「ちょっと屋上来てください……」
男「うん……」
友「避妊しろよ」
幼馴染「……やっぱり」
屋上
吸血鬼「いやー見られてたとは」
男「いやでも紅いコートって」
吸血鬼「研修的な」
男「はい?」
吸血鬼「別に私一人で生きてきたわけじゃないんだよ」
吸血鬼「師匠みたいな人がいたんだ」
男「でも姉ちゃんずっと黒いコート着てたよね」
吸血鬼「父さんのお下がりだよ」
サイズが違うよ
吸血鬼「サイズが違うって思う?」
男「よくわかったね」
吸血鬼「特殊な生地だからねー」
吸血鬼「着る人の年齢に合わせてサイズが変わるんだよ」
男「何でそれを?」
吸血鬼「さぁ?」
吸血鬼「身を守るためにって聞いて貰ったんだけどね」
防弾チョッキ変わりか
吸血鬼「黒は一人前で、紅は半人前」
吸血鬼「コートは高性能でね、黒は核レベルでボロボロになるぐらい」
吸血鬼「紅は銃弾を弾くぐらいの強さなんだ」
ちょっと欲しいな
吸血鬼「ただこのコートは特別でね」
男「特別?」
吸血鬼「……」
うわ……ブスに戻った
男「どうした?」
幼馴染「おーい!」
あぁ……
しかし凄いな、いつのまに
幼馴染「授業始まるよーっ!」
男「今行く」
自宅
吸血鬼「ねぇ」
男「ん?」
吸血鬼「私と一緒にいるか、幼馴染さんと一緒にいるか」
吸血鬼「決めれる?」
いきなり何なんだ
決めれるわけ……
男「……」
吸血鬼「無理かな」
吸血鬼「私街を出るからさ」
男「え……?」
吸血鬼「一緒に来てくれたら……その……嬉しいんだけど……」
街を出る?
何で急に……
吸血鬼「もう決着をつけるからさ、終わったら出てかないと」
男「ちょちょ……急すぎない?」
男「それに決着ついたからって出てかなくても……」
吸血鬼「見込み違いだったんだ」
吸血鬼「あの子はズブの素人、闘いなんて1度もない知識だけのハンターだよ」
男「……」
吸血鬼「それに出てかないといけないのはね」
吸血鬼「一人殺したら報告義務があるから本部みたいなとこに行かないとダメなんだよ」
…………
……
吸血鬼「ごめんね、嫌だよね、男は辛いかもしれないけど」
吸血鬼「私は幼馴染さんを殺すよ」
吸血鬼「だから、最期は幼馴染さんについててあげてね」
アルティメットチョイスとはこのことか
でも答えはもう決まってる
男「俺は姉ちゃんについてくよ」
吸血鬼「えっ?」
男「もう離れ離れにはなりたくない」
男「姉ちゃんとずっと一緒にいたいよ」
吸血鬼「男……」
吸血鬼「ありがとう」
……だけど殺すのは……
吸血鬼「殺すのは勘弁って顔だね」
吸血鬼「でもそれだけは欺けないからなー」
男「どうしても?」
吸血鬼「うーん……」
男「殺さなければ街も出ずに丸く収まるよね」
吸血鬼「私が死んでもいいの?」
男「いやいや」
吸血鬼「バレたみたいだし、援軍来るよ」
男「だからか……」
吸血鬼「私別に血を飲まなくても半年なら大丈夫だけど……」
男「どうするか……」
吸血鬼「あ、じゃあこうしよう」
吸血鬼「援軍来たから撤退しました、本部にあそこは敵多いよー作戦」
男「そんな幼稚な……」
男「危なくない?」
吸血鬼「男がいるから危ない真似はしないよ」
吸血鬼「それにここで死んだら男に逢えないしね!」
男「照れるって」
支援
普通に幼馴染と吸血鬼の三角関係じゃ駄目なん?
翌日
友「おい聞いてくれ」
友「今朝俺が学校についたときなんだが」
男「うん」
友「海外で見たねーちゃんがいたんだよ」
姉ちゃん……
友「俺ビックリ」
友「あの時は遠目でしかも脳内補正がかかってたんだけどさ」
友「それ以上に可愛かった」
男「あぁそう」
友「お前もっとテンション上げろよ」
毎日見てますし
友「で、今屋上にいるみたいなんだけど行かね?」
男「あー……」
男「屋上にいるって誰が言ったんだ?」
友「可愛い子レーダーが屋上を指してるから」
……
無駄に勘いいんだよなコイツ
友「来ねぇなら俺一人で行くぞ」
男「いや俺も行く」
友「お前は幼馴染ちゃんといろよ」
何で誘ったんだよ
友「……あれ、幼馴染ちゃんは?」
屋上だろうなぁ
……あ
男「幼馴染探しに行こう」
友「頑張ってな、じゃ」
男「おい」
校舎裏
男「いねぇなぁ」
友「じゃあ屋上行くから」
男「待て待て、もう1ヶ所」
備品庫
友「さすがにここにいないだろ」
男「いやほら、あいつ土大好きだから」
友「だからってここにいるかフツー?」
いないわな
……さて、そろそろ終わったかな
屋上
友「……」
男「いないな」
友「お前が手間とらせたせいで……!」
目がマジだ……
友「俺はあの人と一生を添い遂げるつもりでいたのに……!!」
万に一つも可能性ないからやめとけ
男「万に一つも可能性ないからやめとけ」
友「あぁ?」
しまった、口に出てしまった……
友「元はと言えばお前がなぁ!」
男「お、おいあれ!」
友「あん?」
幼馴染「……」
こりゃ精神的にやられたかな
幼馴染「もうすぐ……仲間が……もうすぐ……」
男「……幼馴染!」
友「幼馴染ちゃん!」
幼馴染「…………」
……手に持ってるのって……
友「幼馴染ちゃん? そのエアガンどしたの?」
……何かまずい気がする
幼馴染「男ぉ……」
男「はい」
幼馴染「あいつはどこぉ?」
友「お、幼馴染ちゃん?」
幼馴染「どこにいるのぉ?」
男「……おい友、今すぐ離れろ」
友「は? お前こんなんなってる子放っとくのか?」
男「いいから!」
パァン
友「え……」
ドシャ
男「――っ!」
男「友!」
おい嘘だろ?
幼馴染「どこぉ?」
友「あ……あっ……」
幼馴染「ねぇ……」
男「おい! 返事しろ! おい!」
友「あ……ああ……」
幼馴染「どこに……いるのぉ?」
男「しっかりしろ!」
幼馴染「どこにいるかって聞いてんだよ!」
ひっ……
男「幼馴染……?」
銃口がこっちに向いてる……
……死ぬのか?
男「マジかよ……」
目をつむる
いつまでも銃声はない
銃声の変わりに悲鳴が響いた
幼馴染「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
男「……姉ちゃん」
吸血鬼「男! すぐにその子病院に!」
男「あ……う、うん!」
病院
男「友……」
やっぱり行かなきゃ良かったんだ……
無理にでも止めてれば……
吸血鬼「様子はどう?」
男「……姉ちゃん」
男「今手術中だって」
男「こめかみに入ったみたいだから……」
吸血鬼「……大丈夫よ、死なないって」
男「でも……頭だよ……?」
吸血鬼「……死なないって、きっと」
男「……うん」
暫くして、中から医師が出てきた
医師「一命は取り止めました」
……助かった?
男「良かった……良かった……」
吸血鬼「後遺症とかは……」
医師「残念ながら、記憶喪失に……」
男「でも……助かったんですよね……良かった……」
吸血鬼「わかりました」
医師「失礼します」
吸血鬼「これからどうする?」
吸血鬼「友くんが目を覚ますまでいたら、私達が殺されるよ」
男「……わかってるよ」
吸血鬼「……」
姉ちゃんは何か言いたそうだった
吸血鬼「もう行く?」
男「もう少しだけ……」
吸血鬼「うん、じゃあ1時間したら迎えに来るね」
男「うん……ありがとう」
病室
男「友、ごめんな」
友「……」
男「関係ないのに巻き込んで……」
友「……」
男「目が覚めたらまた遊ぼうな」
男「海外で見たねーちゃんに会わしてやるから……」
友「……」
男「ごめんな……」
……いつまでもショック受けてられない……
………………行こう
保守あげ
ほっしゃげ
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