男「土属性だった、死にたい」 (258)

水魔法使い「みんなー、私水属性だったよー」コポコポ

火魔法使い「おしゃれじゃん、俺は火!」ボオオ

水魔法使い「火なんてカッコイイ!やったね!」

風魔法使い「わしは風か……まあいいじゃろう」ヒュオオオ

土魔法使い「…………」

水魔法使い「ねえ、男君はなんだったの?」

男「……土」

水魔法使い「え?土がどうかしたの?」

男「俺……土属性だった……」

水魔法使い「…………」

水魔法使い「へぇ、いいね!土って!」

男「どこが?」

水魔法使い「え?」

男「土のどこがいいの?」

水魔法使「えーと……」

火魔法使い「ほら!土属性って地面から剣を生やしたりできるんだろ!?」

男「土中の鉱物を錬成しての剣の製造ね、まあできるっちゃできるよ」

火魔法使い「すげえじゃん!剣がにょきにょき地面から生えてくるんだろ!?」

男「作るのに10時間かかる」

火魔法使い「え?」

男「1本あたり10時間かかる」

火魔法使い「そんなに!?」

男「剣ってそう簡単に作れるものじゃないだろ」

水魔法使い「…………」

火魔法使い「…………」

男「……はぁ」

風魔法使い「まあそう落ち込む事もなかろう」

男「いや土属性引き当てたら落ち込むでしょ」

風魔法使い「どの属性がいいとかではない、その属性をどう使うかじゃ」

水魔法使い「そうだよ男君!」

火魔法使い「土でできるだけの事をすればいいんだ!」

男「できるだけの事って、お前土の事馬鹿にしてんだろ」

火魔法使い「…………」

水魔法使い「火魔法使い君はそんな悪気は……!」

火魔法使い「そう卑屈になるなよ、俺達仲間だろ?」

男「お前ら、仲良さそうだな」

火魔法使い「え?」

男「水と火だもんな、相性ぴったりって感じだもんな」

水魔法使い「そんな事……」

男「あーあ、これからずーーーっとイチャイチャしている所を見せつけられるのかなぁ」

火魔法使い「俺は水魔法使いちゃんにそんな感情は……」

水魔法使い「私の事嫌いなの?」

火魔法使い「いや、そういう事じゃなくて……」

男「……はぁ」

風魔法使い「男よ、そんなに己の魔法に自信が持てないのか?」

男「だって土だもん」

風魔法使い「魔法を使えるようになっただけでも選ばれた者なのだぞ」

男「でも土」

風魔法使い「辛い修業を耐えられたお前は強い!自身を持たんか!」

男「一生懸命修業して会得した魔法が土」

風魔法使い「土属性の何が不満なのじゃ!」

男「じゃあ試しに俺と戦ってみてよ」

風魔法使い「よかろう!(実戦形式で男に自信を持たせるか)」

水魔法使い「がんばれー!」

火魔法使い「土属性の魔法期待してるぞ!」

男「…………」

風魔法使い「いくぞ!はぁぁぁ!」ヒュオオオオ

風魔法使いの周りで砂埃が舞い上がる。

男「かっけー、さすが風さんっすね」

風魔法使い「その卑屈な精神を吹き飛ばしてくれるわ!」バッ!

風魔法使いの両手から突風が放たれ

どしゃーん!

男の体を10メートル程吹き飛ばした。

風魔法使い「……え?」

上位回復とか蘇生とかあったりするじゃないか
下手したらネクロマンシーにもなるけど

風魔法使い「大丈夫か男!?」

男「いてぇ……」

風魔法使い「何故魔法を使わなかったのじゃ!?」

男「使ったよ、ほら俺が立っていた所の土が少し盛り上がっているだろ」

風魔法使い「え?どこがじゃ?」

水魔法使い「あっ!ここら辺靴の高さ程土が盛り上がってる!」

男「それそれ、それ俺の魔法」

火魔法使い「何で少し土を盛り上げたんだ?」

男「いや土の壁を作って風の攻撃を防御しようとしたんだけどさ」

男「壁ができあがる前に攻撃が届いた」

風魔法使い「…………」

火魔法使い「…………」

水魔法使い「…………」

男「これで分かっただろ?土は糞なんだって」

火魔法使い「そんな事はない!もっと早く土の壁を作れるようになればいいんだ!」

男「土の壁を早く作れたとして、で?」

火魔法使い「敵の攻撃を防げるじゃないか!」

男「こっちから攻撃は?」

火魔法使い「え?」

男「攻撃の手段がなけりゃいくら防御しても仕方ないよね?」

火魔法使い「…………」

水魔法使い「攻撃の手段がないはずがないと思うんだけど……」

男「じゃあ実際に戦ってみる?」

水魔法使い「え?」

男「…………」

水魔法使い「危ないよ男君……」

男「俺が一方的にやられると思っているんでしょ?」

水魔法使い「そんな事……」

火魔法使い「男!そんなに卑屈になるなよ!」

風魔法使い「まあやってみていいんじゃないか?」

火魔法使い「男もやればできるって!」

水魔法使い「2人がそこまで言うなら……いい?男君」

男「ああ」

ヒュオオオ…

男「…………」

水魔法使い「いくよ!男君!」

男「いつでもどうぞ」

水魔法使い「えーい!」コポコポ

水魔法使いの頭上に大きな水の塊ができあがっていく。

火魔法使い「おお!」

風魔法使い「ほう、大量の水を扱えるようじゃな」

男「…………」フサァ…

男の足元の土が薄っすらと舞い上がった。

水魔法使い「…………」コポコポ

男「…………」フサァ…

水魔法使い「えい!大量水落とし!」

バシャアアアアア!

男「…………」

したたかに濡れた男が倒れていた。

水魔法使い「…………」

火魔法使い「男!大丈夫か!?」

男「……なあ、お前大量の水を頭上から落とされた事があるか?」

火魔法使い「ないけど……」

男「脳に響く」

火魔法使い「そうか……」

水魔法使い「ご、ごめんね男君……」

男「いいよ別に……」

風魔法使い「男よ、相手の攻撃をただ受けたのは感心せんな」

男「いや俺も攻撃してたよ」

風魔法使い「え?」

男「俺の足元に土が少し舞い上がっていただろ」

風魔法使い「ただ風が吹いただけじゃないのか?」

男「違うよ、おい水魔法使い、髪がゴワゴワしないか?」

水魔法使い「そう言われてみれば……」

男「それが俺の攻撃だ」

もうこいつは土に潜って引きこもってればいい

火魔法使い「髪をゴワゴワにする魔法なのか?」

男「違う、土を使って何かしようと思ったけど髪をゴワゴワにする事しかできなかった」

火魔法使い「そうなんだ……」

男「…………」

火魔法使い「な、なかなか効果的な攻撃なんじゃないか!?ほら!女の子ってそういうの嫌がるし!」

男「嫌がらせにしか使えないけどな」

火魔法使い「…………」

水魔法使い「私髪洗ってくるね」

男「悪いな」

水魔法使い「ううん、私こそごめんなさい……」

風魔法使い「…………」

風魔法使い「…………」

火魔法使い「…………」

水魔法使い「…………」

男「……はぁ」

光の精霊「男よ、そう落ち込む事はありませんよ」

水魔法使い「光の精霊様!」

光の精霊「あなた達は私の与えた辛く険しい試練を耐え抜き魔法を会得した猛者達
       あなた達の中に役立たずなどいませんよ」

男「いや俺役立たずとは一言も言ってなかったけど」

光の精霊「え?」

男「みんなも」

光の精霊「…………」

光の精霊「そんな細かい事を話し合っている暇はありません!魔王が復活したのです!」

水の魔法使い「え!?」

火魔法使い「魔王が!?」

風魔法使い「とうとうこの時が来たか……」

男「…………」

光の精霊「以前から話していたように皆さんには勇者と一緒に魔王に戦いを挑んでもらいます!」

水魔法使い「は、はい!」

火魔法使い「絶対魔王を倒してみせる!」

風魔法使い「この老いぼれにできる事なら何でもしてやるぞい!」

男「俺もですか?」

ちつ属性なら色々と相性良かったかも

光の精霊「え?」

男「俺も行くの?」

火魔法使い「何を言っているんだ!世界の危機なんだぞ!?」

風魔法使い「怖いのは分かるが誰かが立ち向かわねば!」

水魔法使い「皆で戦えばきっと倒せるよ!」

男「そうじゃなくてさ」

男「…………いる?俺」

火魔法使い「必要に決まっているじゃないか!そうだよな皆!?」

水魔法使い「…………」

風魔法使い「…………」

火魔法使い「!?」

火魔法使い「皆!?」

水魔法使い「あの……男さんのために言うんですけど……
        魔王を倒す旅は危険だし……戦う力を持っていないと危ないんじゃ……」

風魔法使い「男のためを思って言うが、男が魔王を倒す旅に出る事は危険すぎる
        冷たい事を言うようじゃがな……」

男「…………」

火魔法使い「な、何を言っているんだ!男は一緒に魔法を習得した仲間で!」

男「いいんだ火魔法使い」

火魔法使い「でも!」

風魔法使い「しょうがないじゃろう!男には魔物と戦う力がないのじゃから!」

火魔法使い「そんな事はない!男だって魔法を使えるじゃないか!」

風魔法使い「ちょっと砂埃をあげる程度で魔法って言えんわ!うちわでもできるわい!」

水魔法使い「風魔法使い!それは言いすぎ!」

風魔法使い「すまん……言い過ぎた……」

男「いや、いいんだ、事実だからな」

火魔法使い「男……」

男「光の精霊よ、皆も俺に力が無いと思っている、そんな俺が魔王を倒す旅に出ていいのか?
  俺1人が死ぬんならいい、でも皆の足手まといになる事だけはごめんだ」

光の精霊「…………」

男「俺は……旅にいかねえ!ここで食っちゃ寝してる!」

光の精霊「男よ、あなたにもできる事があると思いますよ」

男「いや無理だ!俺は雑魚だ!ゴミだ!チンカスだ!だからここで食っちゃ寝している!」

光の精霊「男……」

火魔法使い「じゃあ男、俺達は勇者様のもとへ行ってくるけど……」

男「…………」プッ

男はポテチを食いながら屁で返事をした。

水魔法使い「……ごめんね」

風魔法使い「いくぞ、世界を魔王の魔の手から救わねば」

男から去っていく3人。

男「…………」





男「待ってくれ!俺も連れていってくれ!」

火魔法使い「!」

火魔法使い「男……!」

男「俺が足手まといになるようなら見捨ててくれてもいい!だからよぉ!」

火魔法使い「ああ!一緒に冒険をしよう!いいよな!?みんな!?」

風魔法使い「そこまで覚悟しとるのなら断るのは無粋ってものじゃろう」

水魔法使い「頑張ろう!男!」

男「皆……!ありがとう……!」

こうして4人の魔法使い達は魔王を倒すため勇者のもとへと向かった。

神秘の力である魔法を会得した彼らは行く先々の村で人々の羨望を集めた。

「すげー!手から風が出せるなんて!」

「火が出るなんて熱い男!////」

「水飲ませて下さいお願いします」

男以外は、だが。

女勇者「お前達が光の精霊から魔法を授かったという者達か」

火魔法使い「はい!私は火属性の魔法を会得しました!」

女勇者「火か、全てを焼きつくすその力期待しているぞ」

風魔法使い「わしは風属性の魔法を会得しましたぞい」

女勇者「風か、大気を操り邪悪を押しのけるその力頼りにするぞ」

水魔法使い「私は水属性の魔法を会得しました!」

女勇者「全てを飲み込むその力、魔王討伐のために存分に使え」

男「…………」

女勇者「お前は?お前の属性は何だ?残っている雷か?」

男「土です!」

女勇者「え?」

男「土です!俺は土属性の魔法を会得しました!」

女勇者「……頑張ろうな」

男「よっしゃ!」

勇者と4人の魔法使いを魔王討伐の旅を開始した。

大型魔物「きしゃー!」

女勇者「とうっ!」ズバッ!

大型魔物「ぎゃっ!」

女勇者「今だ!魔法でトドメをさせ!」

火魔法使い「焼き尽くせ!灼熱の炎!」ボオオオ!

風魔法使い「斬り裂け!かまいたち!」ビュオオオオ!

大型魔物「ぐぉおおおおおお!」ダッ!

火魔法使い「まずい!こっちに突進してきたぞ!」

男「……!」シュババ!

水魔法使い「押しのけろ!鉄砲水!」ブシャアアアア!

大量の水が魔物の突進を止めた。

女勇者「トドメだ!死ねぇ!」

ズバーン!

女勇者「ふぅ」

火魔法使い「ひやりとしたな……ありがとうな水魔法使い」

水魔法使い「魔物を弱らせておいてくれたおかげだよ」

女勇者「ところで男」

男「なんでしょうか!」

女勇者「お前も何やらポーズを決めてやっていたみたいだが……何をしていたんだ?」

男「魔法を使っていました!」

女勇者「魔法?そうは見えなかったが」

男「分かりませんか勇者様」

女勇者「何の魔法を使っていたんだ?」

男「魔物の体毛をゴワゴワにする魔法です!」

女勇者「……なんて?」

男「砂を舞いあげて魔物の体毛をゴワゴワにさせました!
  そうする事で魔物に不愉快は思いをさせる事に成功したのです!」

女勇者「……そうか、御苦労だったな」ゴワゴワ

男「いえ!俺の魔法は勇者様のもの!存分にコキ使って下さい!」

女勇者「お、おう」

一行の旅は楽なものではなかった。

時に魔物の群れが襲いかかり

男「……!」シュババ!

火魔法使い「枯れ草のように燃やしてやる!」ボオオオオ!

毒の沼が行く手を阻み

風魔法使い「わしの風で皆を飛ばす!上手く着地するんじゃぞい!」

男「……!」シュババ!

飢餓に苦しむ村で心を痛めた。

女勇者「魔王の邪悪な魔力で井戸が枯れてしまったのか……」

水魔法使い「私が井戸を満たします!」

男「……!」シュババ!

土は強化魔法のイメージだから、元が格闘センスゼロだと駄目なんだな

女勇者「みんな!ついに魔王城まで来たぞ!諸君のおかげだ!感謝する!」

火魔法使い「勇者様が我々を導いてくれたおかげです!」

風魔法使い「わしらだけじゃここまで来れなかったよ」

水魔法使い「勇者様がいてこその私達です!」

女勇者「みんな……」

男「後は魔王を倒すのみ!気を引き締めていくぞ!」

女勇者「お、おう」

側近「勇者どもめ!ここは通さんぞぉー!」

火魔法使い「くっ!こいつ強い!」

水魔法使い「さすがは魔王の側近……!」

女勇者「ひるむな!押して通るぞ!」

男「俺達の力を見せてやれ!」シュババ!

水魔法使い「はぁ……はぁ……何とか倒しましたね……」

女勇者「ああ、おかげで髪の毛がゴワゴワだ」

男「手ごわかった……ハァハァ」

一行は大きな扉の前に辿り着いた。

火魔法使い「この先に魔王が……」

風魔法使い「ここにいても魔力の波動が伝わってくるの……」

水魔法使い「……うう」ブルブル

男「大丈夫だ!俺が守ってやるからよ!」

水魔法使い「あ、どうも」

女勇者「覚悟はいいか!いくぞ!」

ギィィィ……

女勇者「……!」

女魔王「よく来たな魔王……」

女勇者「魔王!貴様を倒して世界に平和をもたらす!」

女魔王「勇者とその配下よ、貴様らの力今ここで消すのは惜しい……
     世界の半分をくれてやる!我のものとなれ!勇者よ!」

女勇者「断る!」

女魔王「馬鹿な奴らめ!なら今ここえ死んでゆけ!」ゴゴゴゴ!

風魔法使い「何て魔力だ!」

女勇者「くるぞ!」

男「負けない!」

勇者達と魔王との激闘の火蓋が切って落とされた。

魔王はその圧倒的な魔力で勇者達を翻弄した。

女魔王「くらえ!超極大破壊魔法!」ゴッ!

水魔法使い「ふせげ水よ!」コポコポ

女魔王「その程度で我が魔法を防げると思ってか!」ゴオオオオ!

風魔法使い「跳ね返せ風よ!」シュオオオオ!

火魔法使い「攻撃には攻撃だ!」ボオオオオ!

男「うおおおおおおお!!!」

女魔王「くっ!我が魔法と互角とは!」

だが勇者達は今までの旅で洗練されたチームプレイにより魔王に迫った。

女勇者「今だ!勇者ビクトリィィイイィイイイイイ!!!」

ずばっ!

女魔王「ぐわぁああああああああ!!!」

女魔王「ぐっ……!」

女勇者「もう少しだ!畳み掛けろ!」

火魔法使い「うおおおおおお!!!」ボオオオオ!

女魔王「舐めるなよ人間どもがぁあああ!!!」ゴオオオオ!

女勇者「そう簡単にはいかんか!」ガキィンッ!

女魔王(よもやここまで苦戦させられるとは!こうなれば冥界より悪魔を召喚するしかない!)

女魔王(こやつらの攻撃を凌ぎながらか……集中力がいるが我ならできるはずだ!)

コオオオオ……

女勇者「魔王の魔力が高まっている!?何かする気だ!その前に叩け!」

女魔王(甘い!貴様が我を倒すより我が悪魔を召喚する方が……ん?髪の毛がゴワゴワするな……)

女魔王(おのれぇえええ!!何故ゴワゴワするのだ!ゴワゴワが気になって召喚術に集中できん!)

女魔王(くそっ!私がリンスに気を使っている事を知ってこのような手を使ってくるとは!
     誰だ!?このような魔王も真っ青の闇の魔法を使っているのは誰だ!?)

水魔法使い「えいっ!」コポコポ

女魔王(こいつは水)

火魔法使い「うおおおおお!」ボオオオオ!

女魔王(こいつは火)

風魔法使い「そいやっ!」ヒュオオオオ!

女魔王(こいつは風)

男「俺はどうなってもいい……!今ここで全ての力を……!」シュババ!

女魔王「お前かぁあああああああああああああああああ!!!」

男「!!?」

火魔法使い(男が狙われた!まずいぞ!)

水魔法使い(何で!?)

女魔王「死ねこの外道がぁああああああああああああああ!!!」ゴオオオ!

男「こいよっ!」シュババ!

ガキィンッ!

女勇者「こいつも一応は私の仲間だ!手出しはさせん!」

女魔王「そこをどけ勇者あああああああ!!!」

女勇者「させん!(何故だ!?何故魔王が男にこうも執着している!?)」

火魔法使い「今だ!」

3人の魔法使いが魔王の背後から魔法を放った。

女魔王「ぐぉおおおおおおおおお!!!し、しまったぁあああああああああ!!!」

女勇者「とどめだ!」

スバッ!

勇者は魔王に必殺の剣を振り下ろした。

女魔王「クソォ……!その男さえいなければ……!そいつさえいなければ……!」

魔王は死んだ。

男「魔力に溺れて破滅を招いたか……愚かな……」

火魔法使い「やったぞ!魔王を倒した!」

風魔法使い「やりましたぞい!」

水魔法使い「私達が倒したんだ!」

女勇者「皆のおかげだ、ありがとう」

火魔法使い「男のおかげだよ!」

水魔法使い「え?」

男「そんな事ないさ」

火魔法使い「だってあんなに必死にお前を殺そうとしていたんだぜ!?死に際もお前への恨みを吐いていたし!」

女勇者「どうやら男が勝利の鍵だったようだな……(何故かは分からんが)」

水魔法使い「でも男君って魔法らしい魔法は……」

風魔法使い「男が最大の功労者というのは納得できん……」

火魔法使い「何言っているんだよ!魔王が男だって言ってたんだぞ!?」

水魔法使い「そうだけど……私達だって頑張ったのに……」

男「みんな、誰が1番偉いとかがそんなに大事か?
  ここにいる全員の力に魔王は敗れた!その事実だけで十分じゃないか!)

火魔法使い「男……」

女勇者「男の言うとおりだ!魔王は倒れて世界に平和が戻ったのだ!
     それなのに私達が争ってどうする!」

水魔法使い「すいません勇者様……」

~王宮~

王様「よくぞ魔王を打ち破ってくれた!世界はそなたらの功績を忘れぬだろう!」

女勇者「使命に従っただけです!」

王様「そなたらの功績は後世に伝えねばならぬな!5人の石像を作って称えよう!」

水魔法使い(私が石像に……えへへ)

風魔法使い(照れくさいのぉ……)

王様「勇者の石像を1番豪華にしようと思うのだが、構わぬか?」

女勇者「王様、魔王を倒す鍵となったのはここにいる男です、男の石像を1番豪華にするべきです」

水魔法使い(え?)

男「何を言います勇者様!魔王を倒せたのは私達を引っ張ってくれた勇者様のおかげです!
  勇者様の石像を1番豪華にするべきです!」

女勇者「男、功績には褒美が与えられるべきだ、私に気を使う必要はない」

王様「ほほう、この謙虚さ気に入った!男よ!そなたを最大の功労者として1番豪華な石像を作ってやろう!」

火魔法使い(やったな男!)ニコッ

男「私ごときに勿体無いお言葉!この男一生をかけてこの国の平和に尽力します!」

王様「うむ!期待しておるぞ!」

水魔法使い「…………」

風魔法使い「…………」

子供「ママー、このおっきな石像なーにー?」

母親「これはねぇ、かつて魔王を倒して世界を救った勇者様の石像よ」

子供「へー、他にもあるけどー」

母親「他にあるのは勇者様のお仲間の石像よ」

子供「へー、魔王を倒すなんて勇者様は偉いんだね」

母親「私達が幸せに暮らせるのは勇者様のおかげなんだから、感謝しないといけませんよ?」

子供「ママ!僕ゆーしゃさまみたいな大人になるー!」

母親「ふふ、きっとなれるわよ」ナデナデ

おしまい。

王様「お主は土魔法使いであるのじゃろう?
ならば石像も、お主の魔法で作ると箔が付くのではなかろうか?」
水「」
風「」

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