村勇者「どうして君は笑ってくれないんだ」【救済は安価】 (2)



村勇者「……」

どれだけ問いかけても、彼女は悲しげに俺を見つめてくるだけ。

それでも……。


村勇者「せめて……手だけは」スゥ…

村勇者「………」

村勇者「うん、行ってきます」


そっと片手を彼女と触れあうと、そのままひんやりとした手から離れる。

彼女もとても名残惜しそうに俺の手から離れると、振り返る。


村勇者「夜までには帰るよ」

村勇者「…………シンシア」



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村勇者「……」ザッザッ

外はまだ夜明け前らしく、月明かりすらない。


暗闇の中で、俺は静かに腰の鋼の剣を引き抜いた。


━━━━━━━━━━━━━
【シネ・・・】
【・・コロス】
【コロス・・・コロス・・・】
【オマエ・・コロス】
━━━━━━━━━━━━━


静寂に包まれた中で響き渡る声。

殺意に満ちた声が俺の耳に囁くように聴こえ、同時に暗闇を淡い光が照らしていく。


ナイトリッチA【・・・】ガシャッ

ナイトリッチB【・・・】

ナイトリッチC【・・・】

ナイトリッチD【・・・】


青白い、 髑髏の中で灯る鬼火。

静かな殺意と狂気が徐々に形作られ、強固な鎧を、鋭利な刃を生み出す。

もう何ヵ月も村に現れている、正体不明のモンスターだ。


村勇者「……」

村勇者「殺してやるよ……!!」


頭が割れるような痛み。

そして、激しい高揚感が俺の体を動かしていった。

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