18歳のプロデューサー【デレマス】 (135)
―プロローグ―
俺は......いや、僕はこの春アイドルのプロデューサーになった。
ある出来事がきっかけでね。
夢を見る日々は夢を見せる日々に変わった。
さぁはじめよう。
まるで魔法使いのようにね。
この物語を。
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「ん......ふぁ~あ」
そんな言葉と同事に目に光が差し込む。
その眩しさに目を少し閉じてしまう。
今、俺は4月の月曜日の満員電車の中にいる。
気だるそうなサラリーマンとどこか緊張してる新卒、新しい出会いを求めるOLなどですし詰めになった電車の中。
僕はそこで席を陣取っている。
理由はバイト先への移動のため......だけではない。
もう一つ理由がある。
それは......
(あったあった。今週ジャンプ)
俺はこれのためにわざわざ朝早くからこんな満員電車に乗るのだ。
俺のお財布はいつもピンチなのでジャンプを買うことができないからだ。
拾ったジャンプを人気なあの海賊の漫画だけ飛ばして20分ほどで読み終える。
読み終えたあとに顔を上げると満員電車は人を減らしていた。
そして俺の前には新しく女の人が立っていた。
「はぁ~」
(この漫画打ち切りか~。読み切りの頃から好きだったのにな~)
「女が読むからだよな......」
好きな漫画の打ち切りに思わず声が漏れる。
(ジャンプはやっぱりもっと男臭いのを......)
人の少なくなった満員電車の中でそんなこと考えているとバイト先の最寄りの駅に着くというアナウンスが鳴る。
電車の中には外人さんはいないのに流れる英語のアナウンスを聞いてジャンプを次の人に渡すため席に置いて立ち上がる。
すると前にいた女の人がすぐに座りジャンプを読み始めた。
(読むのか......)
しかも、ネイルをした長い爪が邪魔でページをうまくめくれてない。
(爪切ろよ!)
心の中でツッコミ入れていると電車が駅に止まろうとしていた。
出口側のドアに立つと左側には17歳ほどの女の子がいた。
スカートの丈が短くないのが今風じゃなくていい。
そんなこと考えてるうちに電車が止まる。
(さて、今週も頑張りますか!)
そう思ったときだ。
俺はいきなり左側の女の子に腕を掴まれた。
なんだと思っている暇もなく腕を掴んだ女の子は驚きの言葉を発した。
「この人痴漢です!」
「はぁ!?」
「この人痴漢です!」
この言葉を聞いた瞬間の驚きをどんな言葉で形容しようか。
だし巻き卵だと思って食べたら砂糖で味付けだった卵焼きだったあの感じか。
いや、朝起きて目覚まし時計を見たらもう遅刻寸前だった時のあの感じか。
とにかくあまりに衝撃的すぎる出来事に思考は加速しすぎてショートしてしまった。
(はぁ!? 俺が痴漢!? このババアに!? 地球が64億回滅亡してもありえないよ!?)
とてつもなくわかりづらい例を出してししまうほどの驚き。
そんな言葉を放っしたのは見た目は17歳ほどの人だ。見た目はだ。
見た目とは裏腹にこの人の鞄の中身からは古臭さを感じる。
年は......二十代代後半だろうか。
「この人痴漢です! 駅員さーん!」
「はっ! いやいや、僕じゃないですよ!」
二回目のその言葉を聞いてやっと自分の意見を口にできた。
「何言ってるんですか! あんなに菜々のお尻を触ってといて......最低ですね!」
ウワー コノヒトニジュウダイコウハンデイチニンショウガジブンノナマエダヨー チョットキツイヨー
このなな?という人は俺がお尻を触ったことに微塵も疑いがないようだ。
「何か勘違いしているようですね。 僕はついさっきまでジャンプを読んd」
「うるさいです! あなたが菜々に痴漢したことは確かなんですよ! だってここにあなたしかいないじゃないですか!」
ななさんは目尻に涙を浮かべながら僕に訴えかけてくる。すると、そこに
「何かありましたか」
駅員さんがきた。
「この人菜々に痴漢しました!」
「だからしてn」
「あ~はいはい。 とりあえず、駅員室で話を聞くから」
どうやらこの駅員は聞く耳持たずのようだ。
確かこの場合は連絡先を渡して逃げるんだっけと考えるが、自分は今携帯を使わないのに携帯止められてるいるのでその手は使えない。
だから、ここは
「いやいや僕はしてないです!」
「しました! 絶対しました!」
「じゃあどっちの手で触られましたか?」
「えっ?」
相手に僕がやってないことを証明してもらおう。
悪魔の証明は難しい。
しかし、できないわけではない。だってやってないし。
だからこの人に自分はやってないことを証明してもらうのだ。
「だから、どっちの手ですか?」
「えっと......多分右手です」
ななさんが不安そうに答える。予想どうりの答えだ。
「ほら、僕じゃない」
「えっ!?」
「これで僕は無罪です」
そう。 なぜなら
「僕はあなたの右側にいたからです」
そこから僕は簡単に説明をする。
「右側にいる僕があなたに右手で触るためにはあなた左側にいるしかないです」
「しかし、僕はあなたの右側にいる」
「は、はい」
「右手で触ったら犯人。 僕は右手では触れない」
「つまり、僕は犯人じゃない」
使い方があっているかわからない三段論法を使い無実を証明する。
「じ、じゃあ誰が犯人なんですか」
「菜々は嘘をついてませんよ」
「うむ。たしかにこれで君がやってないことは証明できたが、これでは犯人が......」
駅員ちょろいなお前。 こんなんでいいんだ。
ていうかもう変にこじらせるなよ。
ななさんの目にはまた涙が浮かんでいた。
............
はぁ。
男は女に泣かれるのは嫌いでも、涙には弱いんだぜ。
「犯人みつけますよ」
「「えっ」」
「ななさんにもう少し質問したら多分見つけられると思うんで」
「本......当ですか?」
「本当かい?」
二人が同時に言う。
「ええ。 多分」
「なら君ににお願いしようかな?」
そう言われ
「お願いされました」
そう言って僕はななさんに質問を始める。
「ななさん。その人の手の特徴とか思い出せますか?」
「えっと......触られて少しチクってしたので多分爪が長かったと思います」
「他は?」
「あと......指が細かったと思います。 すいません......それだけしか思い出せません」
「いや、十分です。 ていうかそこまでわかっていて僕を犯人って言ったんですか」
「え?」
「だってそれ完全に女の人の手じゃないですか」
「あっ」
もっと早く気づけよ。
「えっと......そこから考えると」
呆れながらそんな人を探す。
ん?
証言に該当する人が確かにいた。しかし、
え、この人なの
すこし信じられないのでかまをかけてみる。
「あなた何ですか?」
「ち、違います」
「いや、まだ僕あなたのことを犯人って言ってませんけど......」
「あ、いや、その............そうです。 私です............」
そう、さっきジャンプを読んでいた人だ。
いや、だってあなた女じゃあ......
あっ......(察し)
「つい出来心で......」
俺 「いましたけど。犯人」
ななさん 「どうするんですか」
駅員 「うーん。 警察呼ぼう」
うん、それが一番だよね。
こうして事件は幕を閉じた。
どうやら彼女は入念にななさんのお尻を触ったあとに俺の席の前に来たらしい。
一応、僕も話を警察に聞かれた。30分程だろうか。結構聞かれた。
ななさんにも謝られてこれで一件落着。
じゃない。
この時俺はまだ気づいていない。
バイト先に遅刻の連絡を入れてないことを。
そして、それによって起きる事を。
4月。それは出会いの季節。
みんなワクワクしているだろう。
しかし、俺は1ミリもワクワクしない。
今日はここまでです。
高校が急がしくて全然書けなくなって、安部さんが二十代とか大嘘を言いはじめたので立て直しました。
そして、デレマスのアイドルがこの先一人も出てきません。すいません。
次の投稿は明日です。それでは
あれ?なんか冒頭のくだり読んだことある気がする
気のせいか
気のせいじゃなかった
おつ
例の立て直すかもって云ってた人か!待ってた
ぶっちゃけウサミンは27か28辺りだろ(二十代)
公式がネタとして37歳(あべななさんじゅうななさい)と勘違いする様にネタを仕込んでるだけで
>>28さん
待っててくれてありがとうございます!
安部さんについてですが、30代じゃないと20代後半の人がかわいそうだと思いませんか?
では、少し早いですが続きを書いていきたいを思います。
「はぁ~」
午後2時。
小さな男の子が砂場で母親と泥だんごを作っていたり、友達と鬼ごっこをしているそんなごくごく普通の公園。
俺はそこで一人ベンチに体を預けようにして座っている。
「ふざけんなハゲおやじ」
吐き捨てるように言うとまた怒りが込み上げてきた。
俺は警察との話が終わると、バイトがあることを思い出して、急いでバイト先へ向かった。
その時の俺の足の速さは、県の陸上大会に出ればトップになる程の速さだったと思う。
汗をダラダラに流し、息をハァハァさせてバイト先に着くも時すでに遅し。
頭を下げる暇もなくクビにされた。
そこまでは納得できる。無連絡で遅刻なんてありえないのだから。
が、
「なんで女子高生はいいんだよぉぉぉぉぉぉ! 」
大声で叫んでしまう。
鬼ごっこをしていた子供たちの視線をビシバシ感じるが、怒りの感情のおかげであまり気にならない。
そう、そこなのだ。
俺がクビにされた直後に女子高生の子も遅刻してきた。
女子高生は今日は学校の創立記念日で休みだったそうだ。
遅刻の理由は友達と遊んでいたから。
遅刻の理由は違えど同じ無断で遅刻した者同士。
(ほら、君もこっちにおいで。 こっちの水はブラックコーヒーなんか比にならないくらい苦いぞ~)
そう心の中で手招きしていたのだが、彼女は特に怒られもせずにバイトを始めたのだ。
訳が分からなかった。
なんで、自分だけがクビにされなくちゃいけないのだ。
同じ遅刻なのに。
理不尽だ。
まぁ、店長も男だし。
ルックスもイケてるし。
スタイルもいいしな。
そりゃあ、やめさせたくないよね。うん。
......
「でも、あのエロハゲオヤジぃぃぃぃぃ!」
先よりも憎しみを込めたその言葉は、どうやら砂場にいる子供の耳に届いたようで、
「ママ、あのお兄ちゃんなんでこの時間に公園にいるの?」
「見ちゃ駄目」
と聞くだけど心が砕けそうな会話をしている。
(そうだよ。 ママの言うようにこんな人になっちゃ駄目だよ)
そう心でスマイルするが、俺は超能力者じゃないから彼には届かないだろう。
(彼が順風満帆な人生を送ったら、20年後ぐらいにはもう働いているんだろうな)
そう考えると自分は働くには少し早すぎたのかもしれない。
ついこの間に18歳になった俺にはにはまだ少し早かったのかもしれない。
小学生の頃に見たロックバンド。
それが衝撃的で。
音楽を始めて。
音楽で生きるから高校に行かないと決めて。
母親と喧嘩して。
バカにする奴らと喧嘩して。
家を飛び出た。
「そして、これか~」
社会はやっぱり厳しかった。
中卒なんかを雇ってくれるバイト先は少なかった。
それでもなんとかバイト先を見つけて、一日に8時間、月25日働いた。
二年の間にバイト先もコロコロ変わっていった。
月収は、8時間×時給1000円×25=20万。
年収は、20万×12=240万円。
貧乏で辛かったが、それでも楽しかった。
しかし、今は
「どうしようか」
楽しめる余地なしである。
二年前はバイトがなくなっても辛くなかったのに。
今は明日どう生きるかばかり考えてしまっている。
このあとにライブハウスでバイトもあるのだが......
「今日で閉店なんだよな~」
どうやら俺は今年、厄年のようだ。
季節の変わり目にバイトを変えるという習慣が仇をなして完全に無職である。
「ニート万歳......てか」
笑えん。
貯金もたいしてないのだ。
どうしたものか。
しかし、そう考えている時間はもうないようだ。
すでに公園の時計は3時を指している。
バイトは4時からなのでもう行かなくては。
(そういえば、今日はあいつのライブだったな)
そんなことを思い出すと、頭の中にあいつの顔が浮かんだ。
―ライブハウス―
「先輩、これでどうすっか?」
インストのボリュームについて後輩が訊いてくる。
「ん~もうちょいだけ大きくして」
質問に対し少しだけ考えて答える。
「うーす」
後輩の軽い返事を耳で聞き流し、自分の作業に戻る。
今、俺はライブハウスでバイトをしている。
役職は、リーダー? 仕事としては他の子に指示を出すことだ。
まぁ、二年間ずっとここで働いていたらなったってだけだが。
(しかし、これが最後の仕事か......)
「はぁ~」
曲順の確認をしているとまた溜め息が出てしまう。
キャパ300人ほどのライブハウス。
外の光は入らず、タバコの臭いが染み付いた小さな場所。
防音が少し壊れてしまい、外に音が漏れる。
音楽だけの世界。
思い出の場所。
ここで働き始めたのは二年前だが、初めて来たのは五年前だ。
当時13歳、初めて来たライブハウス。
あまりの爆音に耳がおかしくなったことを今でも覚えてる。
(本当に今日でおしまい.....か)
「どうしたの?」
「ん? もう来てたのか」
後ろで声がしたので振り返るとそこには今日の主人公がいた。
最後の最後のライブ。
だからこそ、こいつなんだろう。
「千早」
そう今日のライブは『歌姫』こと如月 千早のライブだ。
千早と出会ったのは彼女がまだ売れてない頃だ。
千早はここでで前座として歌っていた頃。
『蒼い鳥』
耳から聴こえたのは哀しいような、寂しいような歌声。
幸せが近くにあろうと一人で未来へ向かう。
そう感じた。
それがすごくて俺から話しかけたのだ。
「ねぇねぇ君」
「何か用?」
歌い終わって舞台裏に戻ってきた彼女に話しかけたのだが。
あまりに素気なかった。
まぁ、そりゃあそうだろう。
見ず知らずの男、しかも胡散臭いしゃべり方で話しかけたのだから。
さて話が少しそれるがここで質問。
初めて会った人、特に人見知りの人とすぐに仲良くなる方法って何だと思う?
ホメる? それじゃあ相手は恥ずかしくなって喋ってくれないよ。
質問攻めする? それはもっと駄目だよ。 それじゃあ人見知りの人は簡潔に答えて逃げるんだよ。
じゃあどうするかって? う~ん、これは自論だけどね一番の方法は
「君、まな板みたいだね」
「まな板?」
「うん! バストサイズ72ぐらいでしょ!」
「...くっ!」
相手のコンプレックスをいじることだと思う。
こうすることによって相手は怒るから口数増えるし、隠し事がなくなるから自然と仲良くなれるんだよ。
え、そんなことしたら相手に嫌われる?
そりゃあね。
現に嫌われたもの。
「あなた何言ってるのよ......」
彼女は胸を腕で覆い隠して言ってきた。
くだらないみたいに言っているが、言葉からはちゃんと怒りが感じられる。
「72? いや、君のバストサイズについてだけど?」
「そういうことじゃないわよ! なんてこと言っているのよ!」
「あ、ごめんね。 気にしてたかな?」
「う、うるさい!」
「いや、別に女の人の価値って胸じゃないと思うけどね」
とてもコンプレックスだったらしい。
二回いじっただけで怒りを隠せてない。
我ながらにひどい会話してると思う。 うん。
よくここから仲良くなったな。
「じゃなn、どういうことが女の価値って言うのよ!」
何という言葉を言おうとしたのだろう。
しかし、いじられることを察したようで言葉を変えて問いてきた。
「んなの知らん」
「はぁ!?」
予想外の答に驚きの声が彼女の喉から漏れる。
「だって、まだ20にもなってないのにそんなの知るわけないやん」
「それに」
「それに?」
「俺、童貞だし」
「............」
そうそう、これ重要だよ。
自分のコンプレックスを言うこと。
こうしないとただのいじめだからね。
だけどこれはもうアウトだったわ。
彼女の目が死んでる。
「あなたって最低ね」
「よく言われる」
そう言って思いっきり笑顔をつくってやる。
「「............」」
そこから微妙な時間が流れた。
俺は笑顔を絶やさず、彼女は死んだ目を崩さずに。
ヤバい、やっちったかな?
そう思ったらね。
素直に謝ろう。
「ゴメン、ゴメン。 気悪くしちゃったかな?」
そうやって謝る。が、
「......」
どうやらだいぶご立腹のようだ。
「いや~僕いつもこんな風に話しちゃうんだよね」
笑顔なのが気に入らないのかな?
「......」
「あはははは......」
「......」
流石に限界かな。
「本当にゴメン」
「......!」
そう言って頭を下げる。
誠心誠意に。
じゃなきゃもう無理な気がしたからだ。
「その......いじりすぎて」
「ほら、男子が気になる女子を的な感じだからさ」
「気にしないで。 ね?」
大失敗だ。 やりすぎた。
そこからどれくらいしただろうか。
5分? 10分? いや、本当は10秒もないだろう。
時間が長く感じるほどの沈黙を破ったのは彼女だ。
「......何が?」
「?」
「私の何が気になったのよ......」
彼女は目を合わせずに、恥ずかしそうにそう言った。
なんで恥ずかしそうなのだと一瞬思ったが、すぐに答えは出た。
『ほら、男子が気になる女子を的な感じだからさ』って言葉に反応しているのだろう。
つまりそれは......そういうことになってしまう。
そうすると面倒くさいので
「歌」
と簡潔に答える。
「歌?」
「そう、歌」
「すごかったからさ」
「そ、そう」
「うん! 僕、感動した!」
「あ、ありがとう」
「ねぇ、どうやったらあんな風に歌えるの!?」
「それは......」
これが俺と千早の出会い。
最悪でしょ。 100%俺が悪いんだけど。
まぁ、だからこそ今は仲がいいのだろう。
「ここで出会ったんだよな俺たち」
「そうね。思い出してもひどいかったわね」
「あははは......返す言葉がないです......」
今、俺は千早の控え室でコーヒーを飲んでいる。
控え室にはパイプ椅子とパイプ机が一つずつ置いてある。
だから、千早を席に座らせ、俺は壁に寄りかかって立っている。
ステージの準備が終わり、軽いリハをして次が本番だからちょっと休憩ってところだ。
「まだプロデューサーが来る前だったわよね」
「そうそう。 あの人もいじりがいがあって楽しかったな」
「でも、今は千早......いや、千早達はアリーナでライブをするくらいのアイドルに、プロデューサーはハリウッドへ......」
ちなみに、俺は765プロの人達とは知り合いだ。
定例ライブとかの手伝いでよく会うのだ。
といっても、プロデューサー以外の人とは名前と顔を覚えてもらってる程度だけど。
「変わらないのは千早の胸だけかな?」
「何か言ったかしら?」
千早さん、アイドルがそんな目しちゃ駄目。
確かに悪気100%だけどさ。
「別に胸がなくてもいいと思うけどね。むしろ控えめで可愛いって」
「そうかしら......」
俺の言葉に千早は頬を赤らめている。
かわいいな、おい。
「うん。 気にしすぎだよ本当に」
「話は変わるけど、よくこんな仕事引き受けたな」
そうなのだ。
如月 千早は人気アイドル。
そんな彼女がこんな陳家なライブハウスで歌うなんて。
しかも、月曜日にだ。
「ここは私がまだ売れてない頃にお世話になったしね」
「私なりの恩返しかな......」
「そうか」
そう言って、コーヒーをすする。
苦みが口で広がり、苦みは喉に吸い込まれていった。
「次の仕事は見つかった?」
「......訊いちゃう?」
急にコーヒーが苦くなった気がした。
「もしかして......無いの?」
「まぁね」
そう言いながらコーヒーを飲み干す。
やっぱり何も入れていないブラックコーヒーは苦かった。
いつもは普通に飲めるのに。
「今日、クビにされてね」
「無職?」
「うん」
千早の顔に不安の表情が現われる。
「お前が不安になってどうすんだよ」
「えっ」
千早が驚きの声をあげる。
どうやら無意識だったそうだ。
「わかるの?」
「わかる」
「なんでお前が不安になるんだよ」
「だって......」
「ほらもう本番だぞ」
「俺は基本5日72も食わなくても大丈夫だから、気にすんな」
「今は歌のことだけ考えろ」
「それがプロだろ?」
「......そうね」
「ほら、行ってこい」
「ファンが待ってるぞ」
「うん!」
そう言って千早は楽屋を出た。
コーヒーの苦みはまだ口に残っていた。
今日はここまでです。
題名にデレマスと入れたのに765出してすいません。
千早もいじってすいません。悪気はないです。(大嘘)
次は明日です。では、
おっつおっつ☆ばっちし
本家と関わり合いのある主人公モノは珍しいので完結目指して頑張って
>>65さん
今日で完結です。
0時に投稿したいと思います。
パソコンを変えたので名前間違えました。↑のも自分です......すいません。
やっぱり千早はプロだ。
さっきまであんなに不安そうだったのに。
一瞬で歌に気持ちを切り替えていた。
踊りなしの歌だけのライブ。
だからこそ
2時間のライブはあっという間だった。
キャパを超える人数の人の波に負けない歌声。
それはしっかりと俺の心に伝わった。
少し間だけだったが辛さは飛んでいった。
ライブを終わるとすぐに片付けだ。
まぁ、小さいライブハウスなのですぐ終わるんだが。
そして、最後の打ち上げだ。
場所は近くの居酒屋。
打ち上げといっても店の人以外にもここによく来る人や、ここでいつもライブする人とかで多種多様だ。
人数的には30人にほどだ。
俺のバンドのメンバーもいる。
そして未成年の俺らは浮くわけで。
そして人気アイドルの千早と話せる未成年は俺ぐらいな訳で。
だから
「やっぱすげーよ千早」
「そんな私なんてまだまだよ」
「またまたご謙遜を」
「本当だって」
こうなる。
「いやーすげーよ本当。 俺はあんな風に歌えない」
そう言いながら鳥の唐揚げを手でつまむ。
行儀が悪いとわかっているが、それよりも......
誰だよレモンかけたやつ。
俺はレモンをかけた唐揚げが好きでない。
「あ、それレモンかかってる?」
「うん。 やっぱ好きになれないわ、これ」
どうやら千早は俺の顔を見て気づいたようだ。
「唐揚げの暖かさがレモンの汁をぬるくしてるから......だっけ?」
「そうそう。 それが食ってて気持ち悪いんだよね」
「そう言いながらも食べるんだ」
「うん! だってしばらく何も食えないからね!」
「......」
千早がまた横で不安そうな顔をしているが、気にせず食べ続ける。
うん、おいしい。
五個目の唐揚げを口に入れた時だ。
「ねぇ」
「ん?」
千早はこう言った。
「この後時間ある?」
打ち上げは22時に終わった。
理由は18歳未満は23時に補導されるからだ。
ここから二次会へ行く人と行かない人に分かれる。
そして俺は行かない方になった。
なぜなら、
「えっと、千早? どこに行くの?」
「いいから来て」
千早に腕を引っ張られているからだ。
そして、電車を乗り継いでついた先は、
765プロの事務所だった。
「......なんで?」
俺は状況が呑み込めていなかった。
「仕事ないんでしょ?」
「うん」
「だったら765プロで働けばいいじゃない」
「......は?」
千早の言っている意味が分からなかった。
「プロデューサーがいなくなったから人手が足りないのよ」
「だから」
「はぁ!?」
そして、反論する間もなく社長室へ行かされ、
「それは、無理だ」
......72これひどくない。 泣きたい。
顔に出ていたのだろう。高木社長は理由を説明してくれた。
「これは言い訳に聞こえるかもしれないがね」
「私は彼の居場所を残しておきたいんだ」
彼......つまり、プロデューサーの事だろう。
「もし君がこの事務所にいたら」
「多分、彼の居場所を奪ってしまうだろう」
「きみはとても優秀だ」
「それは定例ライブの仕事ぶりを見ていればわかる」
「だからこそかな。 君をここに置けないのは」
「わかるかい?」
「わかります」
「彼が戻ってきたにまたあの頃のように全員で笑っていられるようにしたいんだ」
「だから......すまない」
「いえ、大丈夫です」
そうだ。 俺は分かっていた。 こうなることを。
俺は千早の友達であって、765の人間じゃない。
だから、ここで働くのは無理なんだ。
「ま、お茶ぐらい飲みに来てくれ」
「もちろんです」
話を終えて社長室を出ると千早が立っていた。
「どうだった?」
「なんで!」
「いや、な」
「俺がいたらプロデューサーの居場所を奪っちゃうんだ」
「だから無理なんだ」
「そんな......」
まだ納得いかないらしい。
「大丈夫、大丈夫」
「俺は貧乏に慣れてるから」
「な?」
「......」
まだ納得いかないらしい。
こんなに俺のことを心配してくれる親友がいるなんて。
俺はなんて幸せなんだ。
そんな友達を心配させないために俺は話を変えた。
「そうだ! お茶くれ!」
「お茶?」
「そう。 お茶を飲んでけって、社長が」
「じゃあ私が淹れるよ!」
そう言ったのは千早ではなく、天海春香だった。
どこから湧いたんだ、こいつ?
「いや......」
「社長の分も淹れよ~」
俺の話を聞けよ。
「......座りましょう」
そう言ったの千早だ。
「あ、あ......そうだね......あははは......」
俺は千早に言われ応接間に座らされた。
正直言うと早く帰りたい。
なんでかって?
それはすぐに分かる。
「本当に大丈夫?」
千早は座ってそう聞いてきた。
「ああ、大丈夫だ」
大丈夫な訳がない。
携帯を止められる位貧乏なのだ。
でも、千早を安心させるために嘘をついた。
「......もし何かあったら頼ってね」
嘘はうまくいったようだ。
「72?」
「冗談、冗談」
笑いで不安を完全に飛んでいったようだ。
「じゃあ早速頼っていい?」
「いいわよ」
「春香の代わりにお茶をもってきてよ」
「?」
「いやね......」
「おまたせ~」
背筋に悪寒が走る。
もう彼女はすぐそこにいた。
「うまく入れられたと思うんだ~」
突然ではあるが、
俺はこいつが好きではない。
嫌いではない。
むしろ好きか嫌いかといえば好きな方である。
では何故か?
それは......
「あっ!」
「またかけんじゃねえよ!!」
俺の叫び声と共に熱々のお茶は俺の顔に吸い込まれていった。
「こうなるから千早に頼もうとしたのに.....」
「ううっ......」
俺が帰りたかった理由。
それは天海春香がいつも俺の顔に何かしらかけるからだ。
この前なんか熱々のそばをかけられた。
「はい、タオル」
「ん、サンキュー千早」
千早からタオルを受け取り顔と頭をふく。
「うわ、パーカーまで濡れちゃったよ」
「ごめんなさい......」
「別にいいよ」
半ば呆れながらそう言う。
「それよりバイトをどうするかだな......」
「そうね」
千早の返事が壁にぶつかったようにすぐ返ってくる。
思考を加速させて考える。
しかし、それは長く続かなかった。
なぜなら、
「高木いるか~」
事務所に見知らぬ人が来たからだ。
中肉中背の中年男性だ。
しっかりとスーツを着てる所から怪しさは感じない。
「誰?」
俺が千早と春香の二人に尋ねる。
「さぁ?」
「知らない人だよね、千早ちゃん?」
「それってやばくない?」
そんな会話をしていると高木社長が社長室から出てきた。
「お、やっと来たか」
「いや、遅くなってすまん、すまん」
「「ガハハハハハッ!!」」
このやり取りをみて千早は、
「知り合いの方ですか?」
と質問した。
「ああ」
そう言ったのは社長。
「私と高木は同期でね」
そう言ったのは中肉中背の男性だ。
「いや~実は最近私も事務所を立ち上げてね」
「高木に色々と助けてもらってるんだ」
「そうなんですか」
「そうなんだよ」
見るところ二人は本当に仲が良いらしい。
「で、お前、プロデューサーは見つかったのか?」
「うっ......今日、電車で見つけたんだが......」
「まさか......」
「ああ、話しかけられなかったんだ......」
「そうか......残念だったな」
「ああ、あの子どこにいるのかな~」
そこで社長の同僚の人と目が合った。
「いた」
「え」
社長がマヌケな声をだす。
「いた――――!!」
同僚の人はものすごい速さで俺に近づいてきて俺の手をつかんだ。
そして、
「君、プロデューサーにならないか!!」
「......」
「......はぁ?」
今日はここまでにしたいと思います。
春香の下りいりませんでしたね。はい。
続きは今日の22時位に書きたいと思います。
それでは、
乙、>>65の奴も言ってたけど本家勢と知り合い設定なんだし悪くはないと思う。全員何かしらの形で絡ませて欲しい
>>94さん
続きで出来れば絡ませたいと思います。
また間違えました......すみません。
舞って待ってる
それでは書いていきます。
そう言われてから俺は場所を移動した。
時刻は22時30を過ぎたころだ。
千早はもう遅いので家に帰った。
春香は千早の家に泊まるそうだ。
そして、
24時間営業のファミレスで4人席をあの中年男性と向かい合うように座り、
ドリンクバーのコーヒーを飲んでいる。
「ん? 君、コーヒーに何も入れないのかい?」
「あ、はい」
別に大人ぶってる訳じゃない。
「僕、牛乳買えないくらい貧乏なんで普段からブラックなんです」
「そうなのか。 大変だね」
「ええ」
そう言いながらコーヒーをすする。
やっぱりファミレスのコーヒーはまずい。
「では、話そうか」
「君をプロデューサーに選んだ理由を」
「私が君をプロデューサーに選ぶ理由」
「それは君の『目』と『口』だ」
目?口? この人は何を言ってるんだ?
「わかりにくかったね。 正確に言うと君の観察眼と話術だよ」
「まず、『目』についてだが」
「君、今日、朝に痴漢の冤罪にあっていただろう?」
「はい」
たいして驚くことではないだろう。
電車で見つけたと言ってのだから。
「君、何故あの子に対して敬語だったんだい?」
「あの人が年上だったからです」
「?」
「あの人のカバンを見ればわかります」
「ふむ。 では、君はどうやって彼女の名前を知ったんだい?」
「?」
「君は彼女のことをななさんと言っていたろう」
この人、よく人を見ているな。
「ああ。 あれはあの人の一人称がななだったからです」
「そうだと思っていたよ」
じゃあなんで訊いた。
「そこだよ、そこ。 君のすごい所は」
「君は自分が痴漢したと疑われているあの状況でそこまで見ている」
「これはとても素晴らしい」
「スカウトにぴったりじゃないか」
自分でもできると思う。
765プロのアイドルとか見てきてるし。
あと、ジュピターとも仲がいいしね。 ライブハウスつながりでね。
「そして『話術』」
「君はあの状況で自分が無実であることを証明してみせた」
「普通なら無実を証明する証拠があってもそれを話すことができない」
「これは君の話し方が上手かったからできたことだ」
「やはりこれもスカウトにぴったりじゃないか」
話すことは得意だ。
バイト先をころころ変えるうちに上手くなった。
初対面の人には胡散臭く話しちゃうけどね。
「こんなにアイドルのプロデューサーが似合う人はいな......」
「ちょっと待ってください」
「?」
「それだけならプロデューサーじゃなくてスカウトマンでしょ?」
「他に理由があるでしょ?」
「......鋭いな」
そこでコーヒーを口に含む。
「君をプロデューサーに選ぶもう一つの理由は......」
「ティンときたからだ!」
「ゴフッ!?」
思わずコーヒーを吹いた。
「はぁ!?」
反射的に体を乗り出してしまう。
「いやだって......」
「ティンときたものはティンときたものだから......」
「大丈夫! この仕事をしてるうちにわかるから!!」
ああ、そうか。
この人高木社長と同じフィーリングで生きてる人か。
「そうですか......」
「で、どうだい!!」
「やってくれるかなプロデューサー!!」
目をまるで少年のようにして訊いてくる。
「そうですね......」
俺は無謀な夢を追っている。
叶えたくて高校に行かなかったくらいだ。
でも、現実は残酷で。
最初の頃のような胸の火は、
現実の黒い雨に消されてしまった。
ただ惰性で生きる日々に意味なんてない。
なら、
面白そうなプロデューサーという職業で
新しい夢を追った方がいいのでは?
アイドルをプロデュース。
「最高に面白そうじゃないですか」
思わず頬が緩んでしまう。
「そうかい!!」
「ええ、やってみたいです」
「そうと決まればさっそく事務所に......」
社長が席を立とうとするが
「待ってください」
それを止める。
「ん?」
「僕が明日そちらに向かいます」
「?」
俺のことについては話した方がいいだろう。
「僕、バンド組んでるんですよ」
「ほぉ」
「高校に行かないで」
「え」
「僕、中卒なんです」
「えっ!」
「18歳です」
「ええ!?」
社長が大声を出す。
うるさい。 シフトに入っている大学生がこっちを見ているじゃないか。
しかも、
「おい、あれってさ」
「ああ、間違いねえ」
「ホ○だぜあの二人......」
おいやめろ。
俺は銀貨三枚で売られてないぞ。
「18歳だったのかい!?」
「てっきり22歳ぐらいだと思っていたよ」
俺ってそんなに老けて見えるのか?
「だいぶ童顔だとは思っていたけれど目が大人びていたからつい......」
なるほど。 そういうことか。
「話を戻します」
「僕は夢を追っていました」
「バンドを組んで音楽で生きるという夢です」
「そして、プロデューサーという職業はとても大変です」
そうだ。 俺はあの人を見てきたからわかる。
「朝から晩まで働きづめです」
「だから、もう音楽は無理です」
「なので、明日メンバーにバンドを抜けるって言ってきます」
少しだけ沈黙が流れる。
次に口を開いたのは社長だ。
「君はそれでいいのかい?」
「はい」
簡潔に答える。
「今の僕はまるで冷めたコーヒーみたいですから」
言いながらコーヒーの入ったカップを持つ。
「冷めたコーヒー?」
「そうです」
「冷めたコーヒーは不味くなって苦みが増してるように感じるのに」
「もったいないから飲んでおく」
「意味もなく飲んでいる」
「そんなの死んでるのと変わらない」
「そんなんならやめた方がいいってことです」
説明した後にコーヒーを口に含む。
やっぱり苦い。
「プロデューサー業で君は生きることができるかい?」
「はい。 どれはもう考えるくらいで胸が熱くなります」
「なら、明日何時でもいいからここに来てくれ」
社長は懐から名刺を出した。
「CGプロダクションですか」
「ああ、私の夢なんだ」
「今は灰を被っている少女達に夢を与え、そして叶えさせてあげたいというね」
「じゃあ、僕はさしづめWizardですかね?」
「ウィザード?」
「自分で調べてください」
Wizardか。
夢をみせる。
いいじゃないか。
あの人達みたいで。
「やってやりますよ」
「え」
おい、Google翻訳で調べるなよ。
「トップアイドルにするってことですよ」
ニィって音がするような顔を作ってこう言った。
「ここがCGプロか......」
今、俺は昨日渡された名刺に書かれた場所にいる。
765プロのような事務所だ。
予想どうりだ。
「プロデュサーか......」
昨日のことが鮮明に思い出す。
「ああ、もう楽しみだな!!」
そう言いながら一歩踏み出した。
4月。それは出会いの季節。
俺は最高にワクワクしていた。
―エピローグ―
これが僕がプロデューサーになった理由。
まだまだ言いたいことはあるけどとりあえずここまで。
次は僕と彼女たちの不思議な出会いを話そう。
楽しみにしててよね。
これで終わりです。
俺も高校行かないで夢を追いたい……orz
デレマスと書いてほとんどアイドルを出さなくてすみません。
大丈夫です。続きで出てきますから。
無駄に小ネタを入れて長くなってしまいました。千早もいじってすみません。
わかる人はわかると思いますが、プロローグやこいつのセリフにあるバンドの詩に似たようなものを入れています。
もし暇だったりしたらどのバンドか調べてみてください。
あと、前スレの設定は引き継いでいます。
長くなってすみません。
新しくスレを立てて書くのでもしよかったらみてください。
それでは!
とりあえず大学まで必死に勉強すること。ある程度学歴ないとやりたいこともできないから(志望先落ちて妥協した並の感想)
新しくスレ立てて続き書くってこと?
期待してる
この板どうする?
>>128さん
新しいスレの場所をここに書いたらHTML化依頼出してきます。
訂正 >>34
× 月収は、8時間×時給1000円×25=20万。
年収は、20万×12=240万円。
○ 月収は、7時間×時給1000円×25=15万。
年収は、15万×12=180万円。
新しいスレは6月中に立てたいと思います
全然続きが書けなくなりました。
なので勝手ですがこの後は書きません。
本当にすみません。
本当の本当にすみません。
>>130
本当に高校生かよ・・・
本当だ間違えてますね……
ちなみに歌詞を引用した楽曲は、UVERworldの「WizardCLUB」と「CORE PRIDE」です。
やっぱ書く……かも!!
申請取り消すなり、気が向いた時に新しいスレ立てて書くなりなんなりと
のんびり待つよ
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