美希「シャルルになっちゃったの」 (47)
美希(どうしよう…。今でこちゃんに抱き締められてるの…)
美希(正直苦しいの)
美希(とりあえず声をかけてみるの!)
美希「で、でこちゃーん!」
伊織「やよい、ここ間違えてるわよ」
やよい「あっ、本当だ!ありがとう伊織ちゃん!」
伊織「やよいの為だもの。当然よ」
美希(案の定聞こえてなかったの…)
美希(どうしよう…)
美希(あとミキにも勉強教えてもらいたいな)
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伊織「あら、もうこんな時間。やよい、そろそろ行くわね」
やよい「うん!行ってらっしゃい!今日はラジオの生放送だよね!」
伊織「ええ、帰ってきたらまた見てあげるから、72ページまで終わらせておくのよ」
やよい「ラジオ聞きながら頑張るね!行ってらっしゃーい」
バタンッ
美希(でこちゃん、行っちゃったの)
やよい「あれ?伊織ちゃん、シャルル……」
72ページwwwww
やよい「うーん…。ここ、難しいなぁ…」
美希(あ、もしかしたら声は出なかったけど、文字でなら伝えられるかもしれないの…)
チョイチョイ
やよい「あれ?シャルルが動いて…」
カキカキ
『そこは0.84333だよ』
やよい「はわっ!すごいです!シャルルが動いて数学の問題を解いてます!」
『シャルルじゃないのミキだよ』
やよい「亜美!真美!見て!シャルルが動いてるよ!」
真美「えー!そりゃないっしょやよいっちー」
亜美「そうだよー!ヒゲンジツ的だよー」
やよい「むぅー。ホントだもん!」
美希(やよい可愛いの。じゃなくて全然見てないし…)
やよい「ほら見て!シャルル、動いて!」
美希「む…。しょうがないの…」
カクッ…カクッ…
亜美「うわ!すご!」
真美「ホントだ!」
やよい「ねっ!すごいでしょ!?」
真美「真美知ってるよ!こういうの!」
亜美「うんうん!亜美も!大事にしたお人形さんには命が宿るんだよね!」
やよい「そうなんだぁ…。伊織ちゃん、すっごく大事にしてるもんね」
美希(その割には忘れてったの…)
やよい「伊織ちゃんがこのこと知ったら喜ぶかなぁ」
亜美「びっくりして腰抜かしちゃったりして」
真美「呪いの人形だー!って言って燃やしちゃったりしてね」
やよい「こら!真美!そういうこと言っちゃダメでしょ!」
美希(真美…なかなかヴァイオレンスなの…)
美希(あとやよいは勉強しなくていいの…?)
イッパイイッパイイッパイイッパイ♪
亜美「あ、律っちゃんから電話だー」
亜美「もしもしー?」
律子『あ、亜美?突然で悪いんだけど事務所に伊織のうさちゃん無いかしら?』
亜美「あるよー!それがね、聞いてよ律っちゃん!」
律子『急いでそれを届けてほしいのよ。伊織…うさちゃんがないと力が出ないって…』
亜美「い、いおりんってそんなキャラだったっけ…?まあいいや、分かったよん」
律子『赤坂のラジオ局よ。分かるわね?』
亜美「おっけー。チョー特急で向かうかんね!」
律子『雨が降ってるから気を付けなさいよ』
亜美「はーい」
亜美「というわけで行ってくるね」
真美「真美も行くね」
やよい「うん、気を付けてね!傘持った?」
亜美真美「玄関にあるミキミキの置き傘借りるから大丈夫!」
やよい「うぅ…ごめんなさい美希さん…」
亜美真美「んじゃ、行って来まーす!」
やよい「行ってらっしゃーい」
美希(その傘…結構お気に入りなのに…)
イィィィィオルィィィィィンンンン!!!
亜美「うあー!雨すっごいね!」
真美「風もすっごいよ!」
亜美「シャルル濡れちゃうね」
真美「ちっちっちっ。甘いよ亜美クン」
亜美「髪ゴムをほどいてどうしようと言うのかね真美クン」
真美「シャルルの腕と傘の柱の部分に引っ掻けて…」
亜美「おおー!真美あったまいいー!」
真美「ふふーん!真美は完璧だからねー!」
亜美「ひびきんのまねー」
真美「フフーン、ボクは可愛いですからねー」
亜美「いや、いくらまこちんでもそんなこと言わないっしょー」
真美「これはまこちんじゃなくてさっちゃんっしょー」
亜美「そっかー。一本取られた!」
ビュウウウゥゥゥ ババサッ
亜美「傘、一本取られたね」
真美「そうだね…」
亜美真美「って、呑気にしてる場合じゃないっしょ!シャルルーーー!!」
シャルルーー…ルルー…ルー…
美希(真美は一度おしおきしておかないとダメなの…)
美希(それにしても風すごいの)
美希(どこまで飛んで行くんだろう…)
美希(心なしかゴムがずれていってる様な気が…)
美希(あ、これ落ちるの…)
ヒュウウゥゥゥ ポトッ
美希(お気に入りの傘が飛んでっちゃった…)
美希(ってそんな場合じゃないの…)
美希(早く亜美と真美を捜さないと…)
美希(ってここ…ブーブーエスラジオの近くなの…)
美希(二人を捜すよりも自分で言った方が早そうなの…)
美希(でも…ぬいぐるみが歩いてたら不自然なの…。どうやって…)
「ブーブーエススタジオまでお願いします」
「へい」
美希(しめたっ!へいタクシー!なの!)
美希(腕に引っ掛かって一緒に落ちてきたこの真美のゴムを使って…)
美希(なんとかタクシー捕まえられたはいいけど…)ズザザザザ
美希(痛いの。まさか車体の下に引っ掛かるなんて思わなかったの)ズザザザザ
「着きましたよ」
「ありがとうございました」
美希(あとはこのゴムを外して…)
美希(取ったのー!)
美希(どうでもいいけどさっきのお客さん例のさっちゃんだったの)
美希(あとは…スタジオ前まで、そーっと…歩いて…)ボロッ
美希(もうダメなの…)パタッ
伊織「シャルル!!」
真美は悪くないよ
天気が悪かっただけ
伊織「どうしたの!?そんなにボロボロになって!亜美は!?」
美希(でこ…ちゃん…?)
美希(これから…生放送なの…に、泣いちゃダメなの…)
伊織「えっ…?シャルル、今…」
伊織「ええ、分かったわ。何があったか分からないけど、私に会うために頑張ってくれたのね」
伊織「私も頑張るわ!しっかり見てなさいよね!」
伊織「ただいま」
やよい「あ、おかえり伊織ちゃん!」
亜美真美「おかえりいおりんんん……ごめんなさぁぁあい!」
伊織「はぁ?何言ってるのよ」
亜美「あれ?シャルル?」
伊織「アンタが届けてくれたんじゃないの?それは感謝してるけど投げっ放しにしたことに関しては許さないわよ」
真美「もしかして…傘がたまたまいおりんのところに飛んでったんじゃない…?」ゴニョゴニョ
亜美「そんな漫画みたいなことあるわけないっしょ…」ゴニョゴニョ
やよい「そういえばラジオ凄かったね!いつもより自信たっぷりだったかも!」
やよい「でも、シャルルずいぶんボロボロだね?亜美、真美、何かしたの?」
亜美真美「うあうあー!してないよ!ムジツだよー!」
伊織「やよい、直せるかしら?」
やよい「できるよ!できるけど…伊織ちゃんが直してあげた方がシャルルも喜ぶかなーって!」
伊織「シャルルが?」
やよい「うん!さっきもシャルルが動いてたんだよ!伊織ちゃんが大事にしてるからだよね!」
伊織「シャルルが動いて…?じゃあさっきも!」
伊織「と、とにかく今日は早く帰って直してあげるわね」
やよい「うん!勉強は明日でもいいから今日はシャルル直してあげてね!」
伊織「あ…ありがとう!やよい」
伊織「大丈夫よ…きっと、前だって直したことあるんだから…」
美希(うん…?ミキ、寝てたの?でこちゃん…?針…持って…!?)
伊織「安心しなさい。今直してあげるから」
美希(なーんだ…。でこちゃんはやっぱり優しいの…)
ズブッ
美希(針…冷たくてちょっと気持ちいいの…)
伊織「できたわ…!」
美希(でこちゃん…こんなに遅くまで…。それに指もあんなにボロボロで…)
伊織「今日は…ありがとうね。シャルル」
伊織「その…私のためにわざわざ来てくれて…」
チュ…
伊織「た、ただのお礼よ!感謝しなさいよね!」
美希(でこちゃん……い、意外に大胆なの…。正直ドキドキしちゃったの)
美希(っていうか端から見たらでこちゃんがイタいコなの……)
ー翌朝ー
伊織「っでえええええええ!!?」
美希「んむ…。でこちゃん朝からうるさいの…」
伊織「なな、ななななっ!ななななななぁぁ!?」
美希「メルヘンチェンジするにはあと2歳足りないって思うな」
伊織「違うわよ!なんでアンタが私の隣で寝てるのよ!し、しかも…裸で…」
美希「あれ…?ああ、でこちゃん、服貸して」
伊織「そこじゃないでしょ!」
美希「ミキだってこのままじゃ恥ずかしいの…」
美希「すごいの…これ初めて着たの!」
伊織「うちのメイドの制服よ、それ。ちゃんと洗って返しなさいよ」
美希「え…返すの…?」
伊織「当たり前じゃない。…アンタ、意外に似合うわね。うちで働かない…?」
美希「冗談きついの」
伊織「で、なんでアンタがうちにいたわけ?」
美希「ミキね、昨日シャルルだったの。今日になって元に戻って、ここに居るんだって思うな」
伊織「信じられるわけないでしょ。そんな話」
美希「でもミキ、でこちゃんが昨日夜遅くまでシャルル直してたのとか、シャルルにチューしてたのとか知ってるよ?」
伊織「は…!?ば、バカ!変態!忘れなさい!忘れなさいよ!」
伊織「ってアンタがシャルルだったってことは…!」
伊織「……」カァァ
美希「あはっ☆でこちゃん可愛いの」
伊織「忘れなさあああい!!」
美希「おはようなのー!」
伊織「おはよう…」
P「み、美希!?お前どこに行ってたんだ!?親御さんが心配してたぞ!」
美希「ミキ、昨日はでこちゃんの家に泊まってたの」
P「そういうことはちゃんと連絡しておけ」
美希「ごめんなさいなのー」
美希「あれ?でこちゃん?何見てるの?」
伊織「覗かないでよ!ちょっとメール見てただけよ」
美希「ふーん。なんのメール?」
伊織「なんでもいいでしょ!それより今日の夕方渡すものがあるから事務所に来なさい。いいわね?」
美希「あ、もしかして昨日のお礼?」
伊織「う、うるさいわね!」
美希「楽しみにしてるの」
ー夕方ー
美希「ただいまなのー!あ、でこちゃん。お待たせー」
伊織「どれだけ待たせるのよ…」
美希「ごめんね。撮影が長引いちゃったの」
伊織「まあ、いいわ…」
伊織「はい、これ…。一応…昨日のお礼よ」
美希「開けていい?」
伊織「ええ、どうぞ」
ガサゴソガサゴソ…パカッ
美希「これ…シャルルなの!」
伊織「色違いね。わざわざフランスから取り寄せてあげたのよ」
美希「シャルルになって痛い目見たミキにシャルルをプレゼントとは、でこちゃんなかなかの畜生なの…」
伊織「ごっ、あ、いやっ!そんなつもりじゃ…!ごめん!」
美希「ありがとうなの!大事にするね」
伊織「…調子狂うじゃない」
美希「このコ、シャルルの兄弟なの?」
伊織「えっ…えっと、そうね。弟よ、弟」
美希「えー。お兄ちゃんがいいの」
伊織「ダメよ。もう決まってるの」
美希「むぅ…。じゃあこのコの名前は?」
伊織「えっ…?そうね。そのコもシャルルなんじゃないかしら?」
美希「そっか…。じゃあシャルルジュニアにするね」
伊織「ジュニアじゃないんじゃないかしら…?」
美希「大丈夫なの。兄弟なのに片方がジュニアって名乗ってるのは他にもいるの」
伊織「そういうものなの…?」
伊織「ねえ、美希?シャルルになって、私はどう見えてた?」
美希「でこちゃんはすっごく優しかったの」
美希「でこちゃんとシャルルは小っちゃい時から一緒に居るから、シャルルは優しいでこちゃんも、怒ったでこちゃんも、泣き虫なでこちゃんも全部知ってるんだろうなって」
美希「そう思ったらシャルルが羨ましくなったの。もう一回シャルルになってみてもいいかなって思うな」
伊織「何バカ言ってんのよ…」
伊織「そっか…。そう。ありがとう…」
伊織「シャルル…。今日はあなたに弟ができたわ」
伊織「シャルルジュニアっていうのよ。ちょっと気ままで自由なコだけど、すごく優しくて、芯が強くて、私の…憧れ」
伊織「ごめんね。シャルルに悪いわよね。もちろんシャルルだって負けてないんだから!」
伊織「シャルル…。ううん、なんでもないわ。明日も早いからそろそろ寝るわね」
伊織「それじゃ…おやすみ」
ムクッ
テクテクテクテク
カキカキカキカキ カキカキカキカキカキカキ
『伊織ちゃんへ
突然のお手紙でビックリするだろうから、最初に自己紹介をしておくよ。
僕はシャルル。伊織ちゃんに大切にしてもらっているうさぎのぬいぐるみだよ。
美希さんでも誰でもない、ただのぬいぐるみであるこの僕がお手紙を書いてるっていうんだから驚きだろう?
特にこの手紙に書きたいことがあるわけじゃないんだけど、これだけは伝えたかったんだ。
ありがとう。いつもいつも大切に持っていてくれて、本当に本当にありがとう。
美希さんも言っていたけど、僕は伊織ちゃんをたくさん知っているんだ。
一見広々とした生活だけど、本当は窮屈で寂しくて涙で僕を濡らしていたこと。仕事がうまくいかなくて僕に八つ当たりしていたこと。そうして僕が傷むたびに不器用な手つきで僕を直してくれていたこと。
そんな素敵な伊織ちゃんを、僕はみんなみんな知っているんだ。素敵な伊織ちゃんを、もっとたくさんの人に知ってほしかったんだ。だからこの躰を美希さんに預けたんだよ。って言ったらちょっとは納得してもらえるかな?
僕はまた普通のぬいぐるみに戻って動くことはなくなる。だけど今まで通り、今までよりも伊織ちゃんの"素敵"を見つけて、見守っていようと思う。
伊織ちゃんがこの手紙を読むのが楽しみだ。それが普通のぬいぐるみに戻った僕が最初に見つめる伊織ちゃんなんだからね 伊織ちゃんのファン シャルル・ドナテルド18世』
テクテクテクテク テクテクテクテク
パタッ
おわり
短いですが、終わりです。読んでいただきありがとうございました。
中盤辺りから書き溜めだったので投稿スピードが速くなりましたね。
元々はいおみきのSSを書きたくて、美希シャルルにチューするシーンでもっと過激なことしちゃう予定でした。
けど書いてるうちになんか違うなーって思って、シャルルさんイケメン路線でいこうってことでこんな感じになりました。
美希シャルルやシャルルが動くシーンはトイ・ストーリーをイメージしていただければ良いかなーと思います。
面白かった
乙!
シャルルは女の子っぽいけど違うのか…
ハッ! ボクっ娘?
>>38
「シャルル」は男性名なので男の子だという設定で書きました。
キモい上に糞スレ
おつおつ
おつ?
ミスった乙
乙でした!
ブリタニアの方をイメージしたのは俺だけでいい。
乙
コードギアスとのクロスSSだと思って開きましたすいません
お前らがそんな事言うから若本ボイスで再生されちまうだろ!!
おつー
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