ハルヒ「てぶくろかたっぽどっかに落として~♪」 (20)


キョン「……もうこんな時間か。」

ハルヒ「……」スピー

キョン「帰るか。おい、おい。おーい……こらハルヒ」ポンポン

ハルヒ「……」モゾモゾ

キョン「起きないな……よし、帰ろう」

ハルヒ「ちょっと!なに諦めてるのよ!」

キョン「起きてるのかよ」


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ハルヒ「起きてるわよ。寝てないわよ」

キョン「寝てただろ。寝てたぞ」

ハルヒ「寝てないってば。ちょっとのぺーってなってただけ!」

キョン「なんだのぺーってのは」

ハルヒ「だからこういうふうに……」モゾモゾ

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」スピー

キョン「いや起きろと」

うっうわぁぁぁぁあ!!
新作だぁぁぁぁぁあ!!!

ハルヒ「今何時?」

キョン「さあ」

ハルヒ「さあ、ってなによ」

キョン「いやわからないんだ。ほら、時計止まってて」

ハルヒ「あ、本当ね。電池入れ替えなきゃ」

キョン「そういえば、長門が電池を置いていってたな」ゴソゴソ

ハルヒ「へぇ~。さすが有希ね。でも置いていくなら、変えてくれればいいのに」

キョン「……単一か……」

ハルヒ「えっ」

キョン「単一……」

ハルヒ「…」

キョン「あっ、でももしかすると……いや、やっぱり時計は単三電池……」

ハルヒ「どういうことなの……」

ハルヒ「七時半……あたし二時間も寝てたの……」

キョン「やっぱり寝てたんじゃないか」

ハルヒ「びっくりだわ」

キョン「お前が寝ている間にな、長門が来て古泉が来て、長門が帰って」

ハルヒ「うん」

キョン「長門が戻ってきて朝比奈さんが鶴屋さんと来て長門が出ていって」

キョン「古泉が出て行って長門が帰ってきて出て行って帰ってきて朝比奈さん達が帰って」

キョン「長門が帰ってきたんだ」

ハルヒ「有希は何をやってたのよ。珍しいわねそんなうろうろ」

ハルヒ「……あれ? 最後、有希帰ってないじゃない」

キョン「あぁ、俺が寝ている間に帰ってたみたいだ」

ハルヒ「あんたも寝てたんじゃない! なにやってんのよ……二人とも」クスクス

キョン「何でだろうな。ここに来たら眠くなっちまった」

ハルヒ「あたしも。それまではそうでもなかったのにね」

キョン「そうだな」

ハルヒ「あったかいからかしら。ここが」

キョン「そうでもないぞ。むしろ寒い」

ハルヒ「なによ、話合わせなさいよ」

キョン「寒いもんは寒い」

ハルヒ「ふん、キョンってばやっぱり空気が読めない奴ね~」

キョン「だからな、返せ。俺の上着。寒い」

ハルヒ「えっ? あ……かっ、返すもなにも、知らないわよ!なんであたしが」

キョン「寝ながら寒いって寝言言っててな」

ハルヒ「……なによ、着せてくれたの?」

キョン「いやなんか、目の前に置いてたらもぞもぞごそごそっと、とられた」

ハルヒ「あっ、ごめん」パサー

キョン「ん」

ハルヒ「ほんとに?」

キョン「いや嘘だ」

ハルヒ「なっ、変な嘘つくんじゃないわよ!」ノビーッ

キョン「! やめろ! 伸びる! ちぎれる!」

キョン「…」(……生暖かい)

ハルヒ「あんたいま、上着が生暖かいって思ったでしょ。変態」

キョン「断じてそんなことは思っていない。むしろなんか……煙い」

ハルヒ「煙い?」

キョン「煙たい。匂いが。なんだよお前、寝ながら燃えてたのか」

ハルヒ「…」シュッ

キョン「!? しゅ、手刀はやめろ!喉に手刀は!」

ハルヒ「中々にムカついたし失礼にも程があるわよ!」

キョン「……なんだろうな、この」

ハルヒ「なに?」

キョン「今日だけじゃなく、何度もこういうことがあった気がする」

ハルヒ「こういうこと?」

キョン「お前が寝てて、俺が起こして、こうやって話して……」

ハルヒ「そうかしら?」

キョン「一度や二度じゃない気がするな」

ハルヒ「それだけ部室が眠りやすい場所ってことかしらね」

キョン「それだけじゃない気がするけどな」

ハルヒ「なによそれ。なんかほかに原因があるっていうの?」

キョン「いいや、何も。あっても教えないさ」

ハルヒ「むぅ、なぁ~んか、むっかつくわね」グリグリ

キョン「足踏むなよ、痛い」

【靴箱】

キョン「あ、しまった」

ハルヒ「なによ、忘れ物?」

キョン「電池」

ハルヒ「……別にいいでしょ……使い道ないし……そもそも有希のだし」

キョン「それもそうだな」

ハルヒ「あっ」

キョン「なんだ、お前も何か忘れたのか」

ハルヒ「……ううん、別に。なんでもない」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「いいから帰るわよ。ほら、置いてくわよー」

キョン「いや別にいいけどな……待てよ」

【下校道】

ハルヒ「中々終わらないわね」

キョン「なにがだ」

ハルヒ「冬。なんかもーずっと寒いわよ」

キョン「気のせいだ。そういうのな、実は毎年思ってるんだぞ」

ハルヒ「毎年毎年、今年は寒いわねー、って?」

キョン「そうだ。試しに今日を覚えておいてな、来年の今日ぐらいに今日のことを思い出してみろ」

ハルヒ「ややっこしいわね」

キョン「なんだ、去年も寒いって言ってたんだって思い出すさ」

ハルヒ「なんだか野暮ったいわね。今年の事は今年で終わりでいいじゃない」

キョン「ふん、そのくせ今年『も』寒いとか言ってたくせに」

ハルヒ「言ってないわよ」

キョン「言ってたぞ」

ハルヒ「いつよ?」

キョン「……それは……覚えてはいないけどもな」

ハルヒ「ほーら。言ってない言ってない」

キョン「けど来年絶対言うぞ。覚えててやる」

ハルヒ「じゃああたしも覚えとく。だから絶対言わない!」

キョン「はっ、なんだよ。野暮ったいんじゃなかったか?」

ハルヒ「あっ……い、いいのよ!そんなこと言ってない!」

キョン「なんだよ嘘ばっかり……痛い、痛い! 蹴るな、こら蹴るな」

ハルヒ「あのね」

キョン「ん」

ハルヒ「手袋をね、忘れてきちゃったわ」

キョン「……は? なんで今更」

ハルヒ「しかもほら、かたっぽだけ」ヒラヒラ

キョン「左手だけ……知らん。もうめんどうだぞ戻るのは」

ハルヒ「別にいいわよ一人で取りに行くし……って、もういいわよ。あたしもめんどーだもん」

キョン「そうか」

ハルヒ「だから片方貰うわよ」ヒョイッ

キョン「あっ、こらやめろ。俺が寒いだろそれじゃ」

ハルヒ「細かいこと気にする男はモテないわよ~……気にしない気にしない」

キョン「なぁ」

ハルヒ「ごわごわねこの手袋」

キョン「なあ、おい」

ハルヒ「なによ」

キョン「わかった、じゃんけんだ。せめてじゃんけん」

ハルヒ「は? なんで?」

キョン「勝ったら貸してやる。負けたら返せ」

ハルヒ「いいわよ。じゃ~んけーん」


キョン「おい」

ハルヒ「なによもう」

キョン「俺が勝っただろ。いや返せよ」

ハルヒ「キョンが勝ったけど、どっちが勝ったら返すとは言ってないわよね」

キョン「お前な」

ハルヒ「言ってない言ってない言ってないわよー」

キョン「あぁもう、わかった、わかったよ。持って帰るなよそれ」

ハルヒ「ちょっとだけかわいそうだから」

キョン「ちょっとだけかよ」

ハルヒ「あたしのかたっぽだけのてぶくろを貸してあげる」

キョン「なんでだよ」

ハルヒ「で、あんたのもうかたっぽのてぶくろをもらうわ!」ヒョイッ

キョン「なあそれ俺が更に損をしている気がするんだが」


ハルヒ「あんたの手、でっかいわね」

キョン「自分でもちょっとでかいなって思ってる手袋だからな」

ハルヒ「ふーん」

キョン「ハルヒの手はちっさいな」

ハルヒ「あたしもちょっとなんかちっちゃいなって思ってたし」

キョン「あぁそうか……って、おいこれ。俺全然手ェ入らないじゃないか」

ハルヒ「あ、そう? 残念ね……じゃあ返してもらうしかないわね」

キョン「おいおい、俺ついに手が裸になっちまったじゃないか」

ハルヒ「赤裸々ね! 破廉恥! 朴念仁!」

キョン「最後のなんだそれ関係あるか?」

ハルヒ「寒い?」

キョン「寒い。辛い。悲しい。寂しい。虚しい」

ハルヒ「マイナスにマイナスに考えても、人生辛いだけよそれ」

キョン「誰のせいだ誰の」

ハルヒ「なによ手袋ないぐらいで。めめっちいわね」

キョン「そう思うなら返せよ」

ハルヒ「いいわよ。はい」スッ

キョン「?」


ハルヒ「ほら。抜き取っていいわよ?取れるもんなら―――」

キョン「あー、寒かった」スッ

ハルヒ「――って! こら! そんなあっさりとるんじゃないわよ」グィッ

キョン「なんでだよ!自分から返すって言っただろ! 今!」

ハルヒ「言ってないわよ! 取れるなら取ってみなさいって意味よ!」

キョン「いやだから取ったじゃないか。いやまて俺のだと言ってるだろそれは」

ハルヒ「もー、ごっちゃごちゃうっさい! いいからちょっとだけ貸しときなさいバカ!」

ハルヒ「やっぱりちょっとだけかわいそうだから」

キョン「ちょっとだけか」

ハルヒ「あたしのマフラー……のはしっこを貸してあげる」

キョン「マフラーそのものじゃないのかよ! 端っこってどういう意味だ」

ハルヒ「だからぁー、こうやって……」



ハルヒ「どう?」

キョン「どうって……何もないよりは寒くはないけど」

ハルヒ「でしょ。手袋がわりに貸してあげる」

キョン「でもなんだか、これじゃ犬の散歩だな」

ハルヒ「なによそれ! あたしが犬だって言うの?」

キョン「だってそうだろ。 ほら、いくぞこっちだ!」

ハルヒ「あっ、こら! 走るんじゃないわよ! こ、こら待ってってば!」

短いですが終わりです。
久々にネタなしの状態で書きましたが、なんだか楽しかったです!

ではまた……

ちょ、嫁氏じゃん
乙乙

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