老婆「あいにく、死にたくないのでね」 (106)

ブロロロ…

女「見えてきた、次の街だ」

男「やっとついたのね、はぁ、お腹すいた」

女「入ったらなにか食べよう。僕もお腹がすいたよ」

男「なにが僕も、よ。女ちゃんが最後の食料食べちゃったんじゃないの!」

女「それは謝ったじゃないか。それに、次の街に行ったらご馳走するとも言ったはずだ」

男「それとこれとは話が別よ。女ちゃん、アタシの空腹で苦しんだ時間を代償できると思ってるの?」

女「わかったよ…ほら、つくから捕まって」

ブロロロ、ブーン…

ー街ー

男「え…」

女「わあ」

男「…えっと…ついてそうそう女ちゃんには悪いけど、どこか別の街に行かない?」

女「なんでか聞いていいかい?」

男「だって…ねえ?」

女「ねえ、じゃわからないよ」

男「じゃあはっきり言わせてもらうけど、見ての通り、ゴミと異臭がひどいじゃない!…見渡す限り、ゴミの山、ううん、ゴミの街だわ」

女「そうだね、でも、街を選り好みしてたら旅なんてできないよ」

男「そ、それは…」

女「もっと酷い街もあるかもしれないよ?それにいちいち反応してたら、とてもこの国を知ることはできない」

男「で、でも」

女「それにほら、見て。光景は異常だけど住民はさも当たり前のように過ごしている。遊ぶ子供、立ち話をする主婦…普通の街と変わらない」

男「…」

女「この街の事情を、知りたくないか?」

男「もう…わかったわよ…」

ー街中ー

女「まずはインフォメーションセンターに行ってみよう、なにかわかるかもしれない」

男「そうね、ウッ…なんでもないわ。さ、さあ行きましょ」

女「ガスマスクでも借りるかい?ずっと鼻を押さえて歩いてると不自然だ」

男「ガスマスクしてる大男の方が不自然でしょ、警察呼ばれちゃうわよ」

女「それもそうだね、あ、すいませーん」

町人「はい…あら、その荷物。旅人さんですか」

女「ええ、そうです。それでインフ」

町人「まあまあまあ…旅人さんですか!そうですか、そうですか…ウウッ…」グスグス

女「あの、どうかしましたか?旅人が、珍しいのですか?」

町人「ええ…この町は10年前から外部の人が訪れなくなり、さらに7年前からは各町から輸入がキャンセルされ、完全に孤立していたのです…」

男「そりゃあ」

女「男、黙ってくれ…そうですか。それは大変でしたね」

町人「大変なんてものじゃないわ!たまたまこの町が海も緑もあって、自然に恵まれてたからよかったけど…」

女「ええ、そうですね。キレイな町だったのでしょう」

町人「キレイな町よ、本当に…どうして、誰も訪れなくなったのかしら…ウウッ、グス」

男「…」

女「男、黙ってくれ」

男「まだ何も言ってないわよ!」

女「心中お察しします。それで、僕たちこの美しい町をもっと知りたくて、インフォメーションセンターに行きたいのですが。どちらにありますか?」

町人「インフォメーションセンターなら、この路地を真っ直ぐ行って、信号を左に曲がればすぐあるわよ」

誰か見てるかな?ちょっとだけ外す

男はオカマか?口調がおかしいぞ

>>8そうです。ごめんわかりづらくて

女「そうですか、どうもありが」

町人「ねえ旅人さん、この町、とっても美しいでしょう?」

女「…ええ、あなたのような優しい方に出会えて、好印象を持てました」

町人「そうよね、この町が孤立するなんて、あってはならないわ。観光地も直産物も豊富だし、人々もあたたかい…あってはならないのよ!!」

男「わ」ビクッ

女「ええ、いろいろお話してくれてありがとうございました。いい旅にします」

町人「楽しんでね、そしてあなたの生まれた地の偉い人に、どうしてこの町と輸出入しないんだ!とても美しい町なのに!って言ってちょうだい」

女「お会いできれば言います。ありがとうございました」

町人「さようなら!」


男「女ちゃん、相変わらずなにひとつ嘘をつかないで素敵だわ」スタスタ

女「皮肉かい?…しかし、歩きづらいな。カラスをよけるの、も…」スタスタ、ばさっ

女「面倒だね」

男「あの女の人、なんだか怖かった」

女「きっとこの町の人は誰もが彼女のような考えを持っているだろう。それを覚悟しておこう」

男「…そうね…ついたわ」

わくてか

ーインフォメーションセンターー
扉ウィーン

男「あら…?誰もいないわね」

女「なんでだろう、それに、少し埃臭いな…」

男「すいませーん!」

女・男「……」

男「…誰もいないわよ」

女「そんなはずはない。明かりもついてるのに」

男「でも、ほら…この写真立て、埃をかぶってるわ」

女「…」

>>12ありがとう!

男「ここにいても意味ないわよ、気は進まないけど、町の人に話を伺いましょう」

女「…そうだね」

?「はい、はい!!」ガチャ、バタバタ

女・男「!」

役員「いやあすまないね。今日も一日誰もこないと思ってたから、ちょっと外してたんだ。なに?例の住民税の申し込みなら隣のデパートでやってるよ」

女「突然すいません。実は、この町を観光したいと思いまして」

役員「…これは驚いた……あんたたち、もしかして…」

女「旅人と名乗るのはおこがましいですが、そういう者です」

男「よろしくね」

役員「ま、マジかよ…あ、ま、まあ座ってくれ!の、のの飲み物は!?コーヒーか?緑茶?!」

女「いえ、お構いなく。この町について、教えてください」

面白いな

役員「お、教えるもなにも…俺実は君たちが旅人担当の初めての人だから、なにを話していいのか…」ギィ

女「初めて、というと。いつ頃から役員になられたのですか?」

役員「7年前…そう、ちょうど経済破綻した頃かな。俺、もともと隣町の役員だったんだけど、ヘマしてこの町に飛ばされたんだ」

男「…そう。この町の印象は?」

役員「最悪だよ。君たちもわかるだろ?町は荒れ、空気は淀み、川の水も汚い。なんかずっと前は野菜が名物だったらしいけど、今じゃまともな野菜は作れない土になってる」

男「ねえ女ちゃん、しゃべっていい?」

女「よしてくれ。…それじゃあ、なぜこの町がこんな状態になったのか、知らないのですね?」


>>17ありがとう、頑張る!

役員「知らないけど、そりゃ聞いたよ。上司に、この町はなんでゴミを溜め込むのか?ってね…そしたら、おかしな答えが返ってきたんだ」

男「どんな?」

役員「『死にたくないからさ』って…誰に聞いても、その答えが返ってくるから、もううんざりだよ」

女「…」

役員「空気は汚くなる一方で、このままじゃ放っておいたって死ぬのにさ。なんで捨てたら死ぬんだ?この町はおかしいよ」

女「そうでしたか。それは苦労されたでしょう」

役員「ああ、でも環境以外は特に変なとこないから、イヤイヤだけど暮らしていけるけどね」

男「なんか、大変ね。頑張ってね」

役員「ああ、ありがとう。それで、用はなんだっけ?」

女「この町の地図をもらえますか?あと、できればきれいめな洋食店を教えていただきたいのですが」

役員「マップは…はい、これ。洋食屋は隣のデパートの最上階にあるよ。ゴミは多少…勘弁して」

女「はい、ありがとうございました。どうぞお元気で。まいる前に生まれた地でSOSを出してみるのも手ですよ」

役員「はは、ありがとう。いい旅をね!君たちに会えてよかった!」

男「こちらこそ、ありがとうね!」

ウィーン

ーレストランー

男「ねぇー女ちゃん、本当にここで食べるの?」

女「この町はどの店もこんな感じだと思うけど。それに、ここで食べないと。手持ちの食料はもうないからね」

男「うー…じゃあオムライス」

女「僕はパスタにしよう。…すいません」

ー数分後ー

店員「お待たせしました」コト

男「お、美味しそうね…」

女「たぶん、厨房やゴミ出し以外の掃除はしているんじゃないかな。散らかってるわりには、虫がまったくいない」

男「もともと虫がいない街なんじゃない?虫だって寄り付きたくないわよ」

女「こら…食べよう。いただきます」

男「い、いただきますっ」ぱく

男「……おいしい」モグモグ

女「絶妙だね。髪の毛ひとつ入ってないし」モグモグ

男「ほんと…知ればしるほど変な町ね」ばくばく

女「…」モグモグ

しえん

男「そういえば、これからどうするの?観光地も今じゃまともじゃないだろうし…環境整備でもする?」モグモグ

女「地図を見てみるか」ごそごそ、ビラッ

女「現在地は…北のデパートか。ここから近い、ところ…」

男「女ちゃん?なに探してるの?」モグモグ

女「……あ、あった。北西部の…公園の隣か」

男「女ちゃん?」

女「ああ、すまない。銭湯を探していたんだ」

男「なんで、銭湯なんか」

>>23感謝!してます!嬉しい!

女「銭湯なら、地元の住民が多数いるだろう。それに、年増の人が多いから確実に話を聞ける」

男「なるほどね、でも役員さんが言ってたような変な答えしか帰ってこなかったらどうするの?」

女「彼とは違って、僕たちは住民に嫌われてもいい短期間しかいない存在だからね。しつこいくらいに聞いてみるよ」

男「あら珍しい。女ちゃんがしつこいくらいに、だなんて…」

女「これだけ意味深な町に出会ったのは初めてさ。ゴミを捨てないだなんて、少なくとも普通の人じゃないだろう?興味がある」

男「ええ、この町がなぜこうなったのか、気になるわね」

女「銭湯についたら、手分けして『地元住民であろう年配の人』に声をかけよう。誰かと話している人はだめだ、一人でゆっくりしている人にしよう」

男「手短にしましょう、要件を聞いたらすぐ帰る、ってのはどうかしら?」

女「それじゃあ失礼だろう。まずは与太話から始めて、なんとか話題をねじ込もう」

男「わかったわ、じゃあ20分にしましょ、アタシは熱さがダメなのよ…」

女「無理しないでくれ。…よし、行こうか」ガラッ

男「女ちゃん!」

女「な、なんだ?」

男「残したパスタ…食べていいかしら?」カチャカチャ

ー銭湯前ー

『本日、定休日。 銭湯はちのす』

男「…まさかの、って感じねー」

女「完全に盲点だった、定休日だなんて…」

男「あと銭湯は?」

女「南にずっと歩かないとない…川下りのボートがあればいいのだが、見当たらないしな」

男「困ったわね。墓地総合案内所でも行ってみる?」

女「ジョークがすぎるぞ。しかし、どうしようか」

さるよけ

男「地図見せて」

女「はい」バサバサ

男「んー…図書館はどう?図書館のカードって、住民しか作れないみたいだし。それに定休日、火曜日って書いてあるわ。今日は土曜よ」

女「それはいい考えだ。図書館は…ここから遠くないな、じゃあ行こう」

男「あ、でも…」

女「なんだ?」

男「…いや、なんでもないわ。行きましょ」

ごめん、明日学校だからそろそろ寝るわ。また明日続き書く。
読んでくれてる人ありがとう!

ー図書館ー

女「けっこう大きい建物なのだな」

男「ええ、三階?いや、四階まであるわね。それに敷地面積もなかなかだわ」

女「入ってみよう」

扉ウィーン
ガヤガヤ、ガヤガヤ

女「…なんだか、図書館らしくないな」

男「見て女ちゃん、売店があるわよ。それに…ところどころ、植物が生えてる」

女「……男、もっと驚くぞ…」

男「え?」

女「上を見てみろ」ぐいっ

男「なに…あらまあ」

チュンチュン、バササッ

男「植物だらけだし鳥が飛んでるし…図書館じゃないじゃない!」

女「三階でも四階でもなかったな…ただ空洞になってただけか」

支援

女「立ち止まってても仕方ない。手分けしてこの町のことを聞いてみよう」

男「じゃあ私は、あっちの歴史のところに行ってみるわ。女ちゃん、文学の方をお願い」

女「わかった。では長い針が4になったらここで落ち合おう」

男「ええ、それじゃ」

女「男」

男「ん?」

女「わかっていると思うが、もし野蛮な人に会ったら…」カチャリ

男「わかってるから、その物騒なモノしまってちょうだい」

女「あ、ああ…すまない」

男「ふふ、ありがと。…それに、女ちゃん」

女「なんだ?」

男「アタシを襲おうとする人なんて、めったにいないわ」ムキッ

>>34ありがとう!頑張るわ

さるよけ

女「しかし、人が多いな…」

女(それに子連れが多い。そして、肝心の本を読んでいる人が少ない。みんな立ち話や食事をしている…)

女「どうなってるんだ?」

子供「キャハハハ…」バタバタ

女「わっ」

子供「わぁあ!」

ドシンッ!

>>37さるよけ?

女「っ…ああ、すまない。大丈夫か君」

子供「うぅ……うん、だいじょぶ」

女「この手に掴まれ…すまなかったな。お母さんはどこだ?」

子供「ママはあっちで紅茶飲んでるよ…ハァーア!よかったあ!」

女「よかった?なにがだ?」

子供「ぶつかったのがお兄さんでよかったよ!僕、今度から曲がり角に気をつけなきゃ」

女「いや僕は…えっと、なぜ曲がり角に気をつけるんだ?」

子供「知らないの?けっこんさせられちゃうんだよ」

女「結婚?」

子供「そう。曲がり角でぶつかった男女は、そのときからイイナズケになっちゃうのさ」

女「…習わし…?」

子供「え?なに?」

女「いや、なんでもない」

子供「しかしお兄さん、変なカッコしてるねー!絵本に出てくる旅人さんみたい」

女「ああ、そんな感じの人間だ。…それで君、ちょっとママを呼」

子供「うわああああああ!!!」

女「っ!?」

子供「旅人さんなの?…ねえ、みんなー!!旅人さんだって、この人、旅人さんだってぇー!!!」

女「ちょっ…」

「旅人?」
「旅人って、あの旅人か?」
「うそだろ」
「でも見て、あの子…」
ガヤガヤ、ガヤガヤ

女「えっと…」

子供「旅人さんなんだよね?」

女「ま、まあそん」

子供「みんな静かにして!…ねえお兄さん、旅人さんなんだよね?」

女「あ、ああ。旅をしてるのは間違いないが」

町人たち「ワァァアッ」

女「ちょっと…!」ギュウウウ

「ようこそわが町へ」
「旅人さん、ようこそ!」
「よくぞいらしてくれました」
「ここの野菜はもう食べた?」
「これ、食べなさい!」
「次はどこへ?」

女「ちょ…押さな…わっ…」

「西の神社には行った?」

女「えふっ、あの」

「並木道の若葉がきれいだよ」

女「ちょっと…うわっ」

「旅人さん、絵本読んでー」

女「だから、っ!? ぎゃあっ」ヒョイ

男「ここは帰った方がよさそうね」スタスタ

女「男!すまない。まさかこんな事態になるとは」ぶらーん

男「どうやらよっぽど旅人が珍しいみたいね、あまり名乗らないようにしましょう」スタスタ

女「…ああ」

ーどこかのベンチー

男「ここまでくれば大丈夫でしょう。おろすわね」スッ

女「助かった、ありがとう」どさっ、パンパン

女「しかし困ったな…肝心なことを聞けなかった」

男「でも、肝心じゃないことは聞いたのね?」ちらっ

女「ああ…それと、気づいたことがある」

ちょっと外します。すいません

ほしゅ

女「まず、この町にはなんらかの習わしがある。それも宗教的なものだ」

男「それは?」

女「さっき子どもと曲がり角でぶつかったときに、『曲がり角でぶつかった男女は結婚しなければならない』と教えてもらった。たぶんそれは、この町のしきたりなのかもしれない。ずいぶんおかしな話だが、無垢な子どもが言ってたのだから間違いないだろう」

男「……なんかその話…なんでもないわ。続けて」

女「だから僕が推測するに、ゴミを溜め込んでいるのもなにかの習わしなのだろう。この町に10年前から存在する、なにか…」

男「そう。詳しく調べる必要がありそうね…女ちゃん、私も耳寄りな情報をつかんだわ」

>>47ありがとね~

女「おお、なんだ?」

男「歴史コーナーに行ったとき、この町の誕生から現在までが書いてある本をチラッと見たの。それでね、町長についてのことなんだけど」

女「町長?」

男「ええ、その町長の選挙制度がね、ちょっと特殊で…15年に一回のペースでおこなわれるんだって」

女「それはまた、長いな…」

男「そう、でね、この町ができたのが今から90年前……そして、次の選挙が五年後みたい」

女「?!、つまり…」

男「ええ、今からちょうど10年前、つまりこの町がこんな状態になった頃に…今の村長になったの」

>>50誤爆。村長→町長

男「どうする?町長のとこに行く?」

女「そうだな、えっと…役所みたいなところはないのか…」バサ

?「おめぇだづ、なにしでるだ?」

男「きゃあ!」

女「わっ…えっと、あなたは?」

すまない急用が入った。
誰か見ていてくれたかな?続き書いていきます

見てるよー
老婆が気になるぜwww

老人「あなだはっで…おれぁそごのうぢのもんだげど」ジー

女「! それは失礼しました。阻んでしまい申し訳ありません」

老人「いやぁ……あんだだち、もしかして旅人さんがい?」

男「あ~…えっと…」

女「はい、そのような者です。失礼ですが、ご老人…聞きたいことがあります。どうぞお時間をいただけませんか?」

男「ちょっ女ちゃ…」ザッ

女「しっ、チャンスだ……突然すいません。よろしいですか?」

老人「おう、なんでも聞いでくんろ…おあがりなさい」ニィ

>>53ありがとう!すまん急にいなくなって笑

ー老人宅ー

老人「帰ったぞ」

女「お邪魔します」

男「ちょっとぉ~…し、失礼します」ギシ、ドス

老人「なんもねぇどごだげど…ゆっぐりしてきぃ」

男「女ちゃん、この床柔らかいわ」

女「頼むから壊さないでくれよ……はい、ありがとうございます。肩の力を抜かせていただきます」

ギィイ…ぱた、ぱた

女「っ」じり…

老人「おお、起きたか。今ぁ帰ったぞ」

ガチャン

老婆「おかえりなさい…あら、お連れさん?」ぱた、ぱた

老人「ああ、家の前さつっ立ってだんだ。なんが、ききてぇごとがあるみてぇよ」

老婆「そうかい」

女「突然お邪魔をしてしまい申し訳ありません」ペコ

老婆「そう思うなら、帰ってほしいわねぇ…まあ、なにも出せないけど、聞きたいこと全部聞いて行けばいいわ」

男「…」

女「はい、ありがとうございます」

老人「すまねぇなあ!女房は短気なんだい、そんなごと真面目に思っではねぇがら、きにすんなぁ。ハハハハ!」

老人「何さ飲むだ?お茶でいいか?」

女「はい、二つ、お願いできますでしょうか?」

老人「おうよ、待っててけろ」スタスタ

シーン

男「女ちゃん、ついでに町長のことも聞いちゃいましょうよ」

女「ああ、そうだね。どうやら役所はないみたいだが…」

老婆「あんたたち」スッ

男「きゃあぁ!」ビクッ

女「ちょっと男…すいませんご夫人、なんでしょうか」

老婆「あんたたち…旅人ね?それもはるか東の向こうから来た」

女「ええ、そうです。よくおわかりになられましたね」

老婆「何を探しているんだい?お嬢さん…あんたの目を見ていればだいたいわかるが」

女「はい、僕たち実は、この町の環境のことを知りたくて」

老婆「…ああ。この町がなぜ″汚い″かってことか?」

女「ええ、はっきり言えばそうです」

女「単刀直入にお聞きします。どうしてこの町はゴミを溜め込んでいるのですか?」

老婆「いいわ…あの人に変わって、私が教えてあげる」

老婆「あんたたち、ジンクスっていうのは知っている?」

女「ジンクス?」

男「風水みたいなものね。それをすれば悪いことがおきる、それをすれば運がよくなる…みたいな」

老婆「そう、結論を言えばそのジンクス…というより、噂がこの町を変えてしまった」

女「10年前から、ですか」

老婆「ええ、今の町長はね、大のスピリチュアル好きで…就任したのは、秋頃だったかしら」

老婆「当然、そのスピリチュアルを制度に取り入れたくて、投票を行ったの。風水を日常的に、義務としてやるべきかって」

女「…賛成した人は、いたのですか?」

老婆「いると思う?隣の奥様から後日聞いたけど、賛成したものは一割にもみたなかったらしい」

老婆「私たち夫婦はね、その日旅行に行ってたから、投票は参加できなかったの」

男「なるほどね」

女の口調で鳥肌立った…

>>62すまんね~ファンタジーの一種だと思ってみてくれ

さるよけ

支援

老婆「当然、結果は無効。次の日も昨日と同じように、普通の一日が始まったんだ」

男「そりゃそうよね」

女「続けてください」

老婆「でもね、その翌日…金曜日の、朝だったかしら。その日は忘れもしない、13日だったのよ」

老婆「13日の金曜日ってね、知ってる?世間的には不吉な日らしいわ。でも、今までだってそんな日は幾度もあったし、しょせんは噂だからね。皆、いつも通り過ごしていたのよ」

>>64だからそれはなんなんだ!
>>65ありがとう。レス遅くてすまんな

たんなる支援書き込みなんで気にしないでほしい。

以下蛇足

2ちゃんねる本家のVIP板だと同じIDの連投が続くと”ばいばい猿さん”というエラーが出て投稿できない。
(おそらくスクリプト除けだと思う)
ところが、他者の書き込み比率高いとリセットされて連投規制がかからない。

オープンがどこまで2ちゃんねる本家と互換性あるかわからないけど
本家ではSS支援のためには”さるよけ”として何らかの書き込みが必要だった。

>>67
さるよけは連投で書き込み規制(さるさんばいばい)を避けるため連投にならないようにするための書き込みのこと

>>68>>69そうだったんだ…本家で書き込んだことなかったから知らなかったわ。教えてくれてありがとう!そして支援もありがとう。

>>70
こっちではあまりそういう事態なさそうだから気にしないで。

本家で幾つかマイナーSS書いてたけど、本家VIPは連投でもしないとすぐに落ちる厳しい環境で驚いた。
それ以来他者のSS支援したいときは”さるよけ”かきこしてるんです。

老婆「朝、起きて、朝食を食べて、出掛ける支度をする。本当に、いつも通りのこと」

老婆「でもね、お昼になろうとしたとき…事件は起きたわ。この町の近代史にも載った、大きな事件」

女「…」

老婆「北東部の交差点で、落下事故が起きたの。建設中のビルから落ちた何本もの鉄パイプよ。それが、通行していた男女四人の頭を貫いた」

男「わぁ…」

老婆「被害者は夫婦一組と、2丁目の少女、あと小さな子ども。大きな事件になったわ」

女「…あの」

>>71マジか。そんな感じなんだあっち…おーぷんできてよかった。といってもSS書くの初めてだったからよくわからないんだけど笑
ありがとうね!俺も使うようにする

しえん

老婆「なに?」

女「落下した鉄パイプは、″偶然″の事故だったんですよね?なら、どうしてあなたは″事件″と連呼しているのですか?」

老婆「今から話すから、口出ししないで」

女「…すいません」

老婆「それは一部の人間しか知らなかったんだけど、その四人ね、右手に指輪をはめていたの。黒猫をかたどった、不気味な指輪」

老婆「おかしいと思わないかい?夫婦ならまだしも、四人そろって同じ指輪をつけていた。しかも、指輪が証拠品として外されたとき、指に指輪の跡がなかったのさ」

男「え?よくわからないんだけど…」

女「つまり、朝から長らく出かけていたであろう人々には朝から指輪がつけてあって、お昼頃にもなれば当然指輪の跡がつくはずなのに、まるでついさっきつけたというばかりに跡がなかったのですね?」

>>74さんきゅっ!

老婆「そうさ、しかも、四人そろってね…」

老婆「そして、第一発見者は役所で働いてた者。つまり、町長の側近だったってわけよ」

女「それが事件となにか関係が?」

老婆「ええ…事件が起きてすぐ、丑の刻に、緊急報道が入ったわ。町長からのお話だ」

老婆「ああ、なんて悲しい出来事だろう!!四人の儚き命が、黒い悪魔によって引き千切られてしまったとは!!!」ガタッ

女・男「!」ビクッ

老婆「…町長の第一声はそれだった。黒い悪魔っていうのは、たぶん…黒猫のことね」

男「はぁー」ドキドキ

老婆「それから町長は、その日は猫をかたどったもの、または猫を横切るとみな同じ目に合う、と言ったわ。嬉しそうにさ」

老婆「アホだね、みんなそんなバカげたこと信じて…その日は大量に野良猫が発生した。ついさっきまで、家でのんびりしてた子よ」

老婆「もちろん、信じてなかったやつもいた。五丁目の一番の金持ちがそうでね、そんなバカげた話があるわけない、って笑ってたんだよ」

老婆「その富豪、朝方お日さまの光が差し込むのが嫌いで南向きに寝てたんだけど…事件が起きてから一週間後、次々と不幸に見舞われた」

女「詳しく、聞いてもいいですか?」

老婆「家に泥棒が入って金庫のお宝を盗まれたとか、急に会社の株主が消えていって倒産しかけたとか、そんな感じよ」

女「なるほど」

男「ねえ、南向きってさっき言ったわよね?なにか関係があるのかしら?」

ギィー、ガチャ

老人「おいおめぇ、お茶切らしてるだろ?どごさ探してもねえ」

老婆「その必要はないわ。あと五分で帰っていただくから」

男・老人「え?」

老婆「南向きっていうのはね、どうやら″鬼門″っていう方角で、不吉らしいのさ。不幸が起きる…風水ではそう言われてる」

老婆「もう、それ以来よ。町中の人間が風水を信じてしまったのは。ゴミを片付けないのは、部屋をキレイにすると近々死ぬ。そういう言い伝えがあるからだ」

女「なるほど。未だに信じてないあなたでも、こうしてゴミを溜めているのは…」

老婆「そう、どのみち不幸になるからよ。…あいにく、死にたくないのでね」

女「よくわかりました。ありがとうございます」

老婆「ならさっさと帰ってちょうだい。私は腰が痛いの」

女「すいません、最後にもう一つだけ」

老婆「なんだ?」

女「役所はどこにありますか?町長にお会いしたい」

老婆「役所はやってないよ。行きたいなら、祝日を過ぎて火曜まで待つんだね」

女「そうですか。本当にどうもありがとうございました。男、行くよ」

男「ちょ、ちょっと~」

老人「……何がどうなってんだぁ?」

すいません、風呂にいってきます。すぐ戻ります

ほほ

ーどこかの公園ー

女「なるほど、全てわかった」スタスタ

男「しかしその町長、すごいわね。力ずくでも町民を手に入れたい理由って、なんだったのかしら」スタスタ

女「そこも気になるな…そういえば男」

男「なあに?」

女「さっきなにか言いかけなかったか?僕が曲がり角の話をしたときに」

男「あーあれね。実はね、まだ島にいたときに少女漫画を読んでいたのよ。それを思いだしたの」

女「しょ、少女漫画…?なぜだ?」

男「女ちゃん、少女漫画読んだことないの?朝、遅刻しそうになった女の子がパンをくわえて登校するの、猛ダッシュで。それでね、曲がり角に差し掛かったとき、男のコとぶつかっちゃうのよ」

女「…」

>>83>>84ほほほありがほ!

男「そこでね、二人ともなにするんだー!って喧嘩になっちゃうんだけど、学校の鐘が鳴って、女の子がまた猛ダッシュで学校に行くの。結局、遅刻しちゃうんだけど」

女「そうか」

男「それでね、先生が転校生を紹介するって言って、その転校生がなんと!ぶつかった男のコだったのよ~!きゃーっ」

女「そうか。わかった。あと男、雄叫びは謹んでくれ」

男「ああごめんごめん…結局、その男女は付き合って、ハッピーなエンディングを迎えるってわけ。だから似てるなあって思ったの」

女「そうか、だからあの子ども…それもまた、この町の噂になって、次第にしきたりとなったのか」

男「そういうことね」

女「しかし、町長がどうしてこうまでしたのかは、町長に聞くしかないな…」

男「そうねえ…ところで、これからどうするの?まさか、火曜日までこの異臭のなかにいるってわけじゃないわよね?」

女「いや、そのつもりはないよ。今日にでも食料とガソリンを買って、出て行く予定さ」

男「そうじゃなきゃ、解散になるところだったわ」

女「とにかく、大通りに出よう。店を探さなくちゃ」

ーデパートー

女「固形食と…あ、水か。それからベリーパイを二切れ…」

男「はあ。結局、すべてを知ることはできなかったわね」

女「そうだね。あ、そこの塩取って、クミンも。…僕だって町長に会えれば、泊まってでもいたさ。でも火曜日までここにいるのは予定が崩れるし、きつい」

男「同感よ。とてもまともとは言えないからね。クミンって七つ入りのやつ?高いわよ」

女「そうそれ。…はい、会計お願い。僕は新しい鍋敷きを見てくるから」

男「ええ、わかったわ」

スタスタ

女「あれ、二階フロアにはどう行くんだ…?」ぐる

女「えっと、ここが野菜売り場だから…こっちか」スタスタ

店員「いらっしゃい、お兄さん!じゃがいもはいかが?」

女「え?ああ、あいにくだが今」

店員「新ジャガよ!甘くてほくほくなの。お塩をかけて食べるといいわ、ほら」ぐい

女「あ…ありがとうございます。では っ、あ!」

塩瓶カシャン

店員「きゃっ」

女「これは失礼しました。…瓶は割れてないようなので」

店員「犯罪者よぉぉおーーー!!」

女「…は?」

女「ちょ、ちょっと落ち着いてください。どうかしましたか?僕がなにか」

「おい!どうした!」

女「っ」ズササッ

店員「こ、この男、塩瓶をおと、おおお落とした…」

女「は、たしかに」

「おい、お前なにしたかわかってんのか!」

女「え?」

「おい犯罪者、なにつっ立ってんだよ!」
「犯罪者?」
「あの人、塩瓶落としたみたい…」
「おいマジで?」
「犯罪者だ!」

女「…ああ…なるほど…そういうことか」ジリッ…

男客「おい犯罪者…覚悟しろよ。今からお前をとっちめて、警察に突き出してやる」スタ、スタ

女「…」カチャ

女「…いや、いいか」スッ

パン!パンパン!

女「!?」

男客「!、なんだ、銃声?」

「おいあっちだ!」
「キャアァアア」
「二階付近で音がしたぞ!」

バタバタバタバタ

男客「チッ…おい犯罪者、そこで待ってろ」ダッ

女「…待ってるわけがないだろう」ボソッ

男「女ちゃん、行くわよ!」ぐい

女「レーダーか?」ダッ

男「いやねえピストルよ、そこらへんに売ってある」ダダダダ

男「二階から鳴らして、すぐに飛び降りて女ちゃんのとこに来たの。誰が犯罪者よ!って感じよね~失礼しちゃう」

女「なあ男、わかったんだ。なぜ町長はこんな町にしたのか」

車ドアバタンッ

女「ただ、支配下に置きたかったんだよ。それだけさ。国はつくれなくとも、小さな町なら自分の思い通りにできる。そこそこの地位があればね」ブォンブォン

女「旅人がいなくなった理由はたぶん、環境問題だけじゃなくて、人間を変えて独立したかった故の裏手の作戦だったんだよ」

女「人々はスピリチュアルで手に入れた美しい町、はたから言わせてもらうと汚れてしまった町を見せたかった。しかし毒された世界に踏み込もうとする者は、もういなくなっていた」

女「人々は悲しんだ。どうしたらこの町の良さを知ってもらえるだろう?たどり着いた結論は、国一番の幸せを手に入れて外部の人間にそれを分け合おうというものだ」

女「エゴだよ。でもそれをエゴだと思えるまともな人はもういないだろう。わかるかい、男。町民はどんどん町長の支配下に飲み込まれていってるんだ」

男「…その考えから脱出する方法はあるのかしら?」

女「さあね。あったとしても、僕たちがどうにかできることじゃないさ。なんたって…」

デュオン、ブロロロ…

女「もうこの町に訪れることはないから。それにたぶん、近々滅びるだろう。町民が″放っておいても死ぬ″と断言しているから、間違いない」

男「…悲しい町だったわね」

女「きた意味がないと、思うかい?」

ブロロロ…

男「いいえ、だって、」

男「オムライス、とっても美味しかったから」



おしまい

くぅ疲。お付き合いどうもありがとうございました!
この男女、書いてて楽しかったからシリーズにできればしたい。

さるよけもありがとう!


女が男と間違われてた理由がわからんかったけど面白かったよ

旅人ってだけでキノを連想する

>>98ありがとう!女の見た目はミカサみたいなキノみたいな感じだと思ってくれ

>>99ちょっとキノ意識してた笑
キノ面白いよね!

おつ~

今追いついた!乙!

え?終わり?
男と女が呪い的なもので性別入れ替わっててそれを解く方法を探す為に旅してたんじゃないの?

あと丑の刻って午前1時~3時くらいじゃなかったっけ

老婆「あいにく、死にたくないのでね」
老婆「あいにく、死にたくないのでね」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1397832739/)


これとかも面白かった

ミスった
こっちに貼るつもりだった

おーぷん2chのSSを集めるスレ【SS】

新聞の片隅に老後の心配する婆さんの話がでてた。その婆さん90歳だそうだ。
この婆さんの老後って何歳からなんだ?

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