勇者「魔王倒したらその娘に言い寄られてヤバい」 (167)

勇者「魔王!!覚悟!!!」

勇者の稲妻切り!

魔王「グアァァァァァァアアア!!!!」

勇者「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・・・・」

魔王「ヨクゾ・・・ワレヲシトメタ・・・ユウシャヨ・・・・」

勇者「これで世界に平和が戻ってくるんだ・・・・」

魔王「ダガ・・・コレデオワリデハナイゾ・・・・・」

魔王「貴様ガコレヨリアユム道ハ・・・・イバラノ道トナロウ・・・・」

勇者「なんだと?」

魔王「ワレハ・・・地獄ノソコカラ貴様ノ苦悩ヲ・・・ミマモロウデハナイカ・・・・」

魔王「クッハハハハハハ・・・・・」ピシッ…ガラガラガラ

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勇者「石になって砕け散った・・・魔王の最期か・・・・」

ガタッ

勇者「誰だ!!?」

魔王女「お・・・・お父様!?」

勇者「(魔王の娘!?)」

魔王女「あの強大な力を持つお父様を・・・・・」

魔王女「お主がやったのか!?」

勇者「あ、ああ・・・・・・だがこれは・・・その・・・」

魔王女「おぬしが斃したのだな?お父様を」

勇者「・・・・言い訳はすまい、その通りだ」

魔王女「素晴らしい!!!!!」

勇者「えっ」


魔王女「あのお父様を倒すとは!なんという力の持ち主なのだ!!」

魔王女「何者じゃ?お主は、さぞ名の通った闘士であろう!名を教えてたもれ!」ズイッ

勇者「ええと、その、勇者といいますけど・・・」

魔王女「勇者か!良い名じゃ!気に入ったぞ!私はおぬしのモノとなろう!」ガバッ

勇者「ええっ!?」

魔王女「いや、もちろん我が財は全て差し出そう、これでも魔王の娘じゃからな、一財産あるぞ!」

勇者「いやいやいや、ごめん、ちょっとまって?!」

魔王女「不服か?もちろん我が身もおぬしのモノじゃ。こう見えて私は脱ぐとすごいと評判なのだぞ?」

勇者「不服とかそういうんじゃなくて、どうしてそうなるの!?全然脈絡が無いんだけど!」

魔王女「何を言っておるのだ?お父様を倒すほどの実力者、おぬしのモノになりたいと願うは当然であろう」ズイッ

勇者「やめてそれやめて、たわわな何かがあたってるあたってる」


魔王女「では、私をもらってくれるのだな?」ムギュ

勇者「やめて顔に押し付けないで窒息する、主に俺の理性が窒息する、俺には故郷に約束を交わした幼なじみが」

魔王女「うんと言ってくれるまで離れぬぞ!このようなチャンス、逃してたまるものか!!!」ムニュムニュ

勇者「わかったわかった!うん、うん、もらう、よくわからないけどもらうから!!!!」

魔王女「まことか!さすが勇者どの!魔界一の実力者だけの事はある、腹が太い!」

勇者「いいからはなれてください、もうりせいがげんかいです」

魔王女「おっとすまぬ、あまりの事につい興奮してしまってな」ヒョイ

勇者「危ないところだった、お花畑と死んだじいちゃんが見えた・・・」

魔王女「改めてよろしく頼むぞ、勇者どの」

魔王女「あ、いかん、名乗りもまだじゃったな。私は魔王女。おぬしの力衰えぬかぎり、お主に尽くそう。」ニッコリ

勇者「(くそ、かわいい・・・)ええと、色々ツッコミ所が多すぎて意味が解らないんだけど」

勇者「まず直近の事から聞いていいかな」

魔王女「なんなりと、我が主よ」

勇者「力衰えぬかぎり、って?」


魔王女「何を言っておる、当たり前であろう、力なき者に誰が仕えたいと思う?」

勇者「ええと・・・・・・・つまり、さっきも実力がどうこうって言ってたけど」

勇者「俺が強いのが気に入った、と、そういう事でしょうか?」

魔王女「おぬしはさっきから何を当たり前の事ばかり言っておるのだ」

魔王女「魔界の唯一にして絶対の掟は"力が全て"じゃろ?」

勇者「人間なのでよくわかりません・・・・・・・」

魔王女「なんと!!!!おぬし、人間と言ったか!?」

勇者「(気付いてなかったのか・・・)え、そ、そうですけど・・・・」

魔王女「これは驚いた!!!人間は惰弱な者ばかりと聞いておったが、全く噂とはアテにならぬな!」

勇者「俺の方がよっぽど驚いてます・・・・」

魔王女「わが父を倒すほどの豪の者を生み出すとは、人間という種族を見なおしたぞ!!!」

勇者「ついでに常識も見なおしてもらえると嬉しいです・・・・」


魔王女「まあ何はともあれめでたい事じゃ。おぬしが父を斃した事、そして私がおぬしの物になった事を皆に知らしめねばなるまい」

勇者「え、ちょっとまって、どうしてそうなるの?」

魔王女「・・・・・どうもさっきからおぬしとは話が噛み合わぬのう、何故さっきから当たり前の事ばかりを聞く?」

勇者「いやいやいや、俺にとっては当たり前じゃないから」

魔王女「ふーむ、そういえば、人間と我ら魔族では随分と風習が異なると聞いた事があるな」

魔王女「ではおぬしの国では王を倒した者はどのようにするのじゃ?」

勇者「いや、その前に王を倒したりしないんですけど・・・・」

魔王女「なんと!?それでは王は誰にも負けたことがないと申すか!?」キラキラ

勇者「え・・・いや、そうじゃなくて、そもそも戦ったりしないから、王様」

魔王女「なんと!おぬしらの王は臣下に戦いを挑む権利すら与えぬのか!?」

魔王女「なんという非道な!!!いやだがおかしいではないか、それでは王は強さを示す事が出来ぬ」

魔王女「そんな者に誰も仕えるハズが無い、おぬし、言っている事が矛盾しておるぞ」

勇者「やべぇ・・・・アタマ痛くなってきた」


勇者「あの、さ、魔王女、君たち魔族にとっては常識な事でも、俺は人間だからさ」

勇者「解らない事がたくさんあるんだ、ちょっといくつか質問させてもらえないかな」

魔王女「もちろんじゃ、なんなりと聞くが良い、我が主よ」

勇者「あのー、王様ってのは強さを示さなきゃいけないもんなのか?」

魔王女「当たり前じゃろ、魔王の座は魔界で最強の者のみが手にする事のできる玉座じゃ」

魔王女「なれば、挑戦は必ず受けて自らが最強である事を示す義務がある」

勇者「負けたらどうなるんだ?」

魔王女「そりゃあ全てを失うに決まっておろう」

勇者「魔王も楽じゃないな・・・・」


魔王女「じゃが、勝負は時の運もあるからの、実力が伯仲しておれば、またやれば勝てるかもしれぬじゃろ?」

魔王女「全てを失ったとて、自らの実力まで失うわけではない、また鍛え直してリターンマッチをすれば良いのじゃ」

勇者「でも、それ死んだら終わりじゃ?」

魔王女「下々の連中にはそういう事もあるやもしれんが、我ら上位魔族はそう簡単には死なぬ」

魔王女「我が父も、黄泉がえりの法やら闇の衣やら様々な方法で命を守っておった」

勇者「マジか・・・・・」

魔王女「だからこそ!!!」

勇者「ビクッ」

魔王女「その父をたった一戦で屠ったお主の強さに私は感動したのじゃ!!!」

勇者「ああー・・・(魔王を倒せるのは女神の加護を持つ勇者のみ、ってのはそういう事か)」

魔王女「東方の覇者、竜王ですら父の命を一度奪うのがやっとだったというのに」

勇者「(延命魔法を全て無視か・・・女神の加護、えげつねぇな)」


勇者「それにしても・・・お前、父親を殺した俺を恨んだりはしないのか?」

魔王女「恨む?何故じゃ?戦いにて雄々しく散るは魔族の最大の栄誉ぞ」

魔王女「その栄誉を与えてくれたお主に感謝こそすれ、恨むなど、あろうはずもない」

勇者「わからない、やっぱりわからないその感覚」

魔王女「もちろん父とはもう会えぬというのは些か残念な事ではあるが」

魔王女「父は魔王じゃったからな、より強き者が現れれば倒されるのは勤めのうちじゃ」

魔王女「それにしても、こんな所で長話もないもんじゃ、おぬしも父との死闘で腹が減ったであろう」

魔王女「まずは食事にしようではないか、食堂にまいろう」スタスタ

勇者「え、あ、そうだな、まあ腹は減ったけど・・・なんかあの娘のペースで事が進んでる気がする・・・」


-- ???? --

国王『勇者よ、おぬしには人類の希望がかかっておる、どうか魔王を討伐してきてもらいたい』

勇者『ははっ!身命に代えましても!!』

国王『頼むぞ……勇者!』

~~~~~~
~~~~
~~

勇者『王様からもらった支度金でまずは装備を整えなきゃな……』

幼馴染『勇者……本当に行っちゃうの?』

勇者『あ、お、幼馴染……』

幼馴染『必ず…必ず帰ってきてね!絶対だよ!!』

勇者『大丈夫だよ!俺には女神の加護があるしな』

勇者『必ず魔王を討ってこの街に帰ってくるよ』

幼馴染『本当?』

勇者『ああ、約束する!そして、帰ってきたら……その、ゴニョゴニョ』

幼馴染『え?なに?』

勇者『い、いや!何でもない!!行ってくる!!!』ダダッ

~~~~~~
~~~~
~~

おもろい
期待

--魔王城 食堂--

魔王女「シェフはおるか!」

魔シェフ「これは王女様、お食事にいたしますか?」

魔王女「うむ、それから、こちらは勇者どのだ」

魔王女「さきほど父上に勝利なされた。これよりこの城の主となられる。見知りおけ」

魔シェフ「おお、これはこれは、私はこの城の厨房を取り仕切っている魔シェフともうします」

魔シェフ「これよりよろしくお願い致します」フカブカ

勇者「えーと、ああ、よろしく・・・」

魔シェフ「では、さっそく食事をご用意致しましょう、失礼致します」

勇者「あ、うん、まあお腹すいたんで適当によろしくデス・・・・」

魔王女「たっぷりと精のつくものを頼むぞ、シェフよ」

魔シェフ「もちろんでございますとも(ニヤリ)」



勇者「・・・ねえ、魔王女、ちょっと聞いていいかな」

魔王女「なんなりと、我が主よ」

勇者「俺がこの城の主?」

魔王女「城主であった父を倒したのだから、当然次の主はおぬしであろう」

勇者「ここって、魔王城だよね?」

魔王女「そうじゃが?」

勇者「って事は、ここの城主ってのは魔王って事になるよね?」

魔王女「当然じゃな」

勇者「・・・おいおいおい、勇者が次の魔王とか最近の風潮じゃありがちすぎんだろ」


勇者「あ、あのさ、もし俺が魔王になったら・・・・」

魔王女「もし、ではなくおぬしはもう魔王じゃ」

勇者「ああ、そうだったね・・・・で、もしじゃなくて魔王になったら俺はどうなるんだ?」

魔王女「どう、って、別にどうもならんと思うが?」

勇者「あー、ええと・・・どう聞いたらいいんだ・・・」

勇者「わかった、それじゃ、今までの魔王はどんな事をして暮らしてたんだ?」

魔王女「そうじゃのう・・・何というほどの事もないが」

魔王女「気の向くままあちこちをぶらついては、目についた物を力づくで奪ったり」

魔王女「美女がおれば力づくで我が物にしてみたり」

魔王女「気に入らぬ者がおれば力づくで這いつくばらせたりしておったな」

勇者「ちょ、全部力づくかよ、極悪非道じゃねーか!!!」

魔王女「?」キョトン


勇者「そんななんでもかんでも力づくで奪ってたら恨みを買ったりしないのか?」

魔王女「何を言っておる、力を示して手に入れたのじゃから、それは公正な取引じゃ。恨みなど買うはずなかろう」

勇者「ああああああもう、カルチャーギャップが深すぎる・・・・・」

魔王女「勇者どの、おぬしはどうも力は凄まじいが魔王としては常識がなさすぎるのう」

勇者「そりゃあね・・・・今まで人間でしたから」

魔王女「これではこれから魔王としての道を歩むのに少々不安が残る」

魔王女「少し我らの常識を学んでいただいた方が良いようじゃのう」

勇者「いやいや、その前に俺、魔王として生きる事確定なの?」

勇者「できたらこのメシ食ったら一旦故郷に戻りたいんだけど」

???「それはお勧めできかねますね」

勇者「誰だ!?」

魔王女「おお、側近、ちょうどよい、お主にも紹介しておこう、こちらが先ほどお父様を・・・」

側近「ええ、シェフより聞いております、お倒しになられて我が城の主となられたとか」

魔王女「そうじゃ、よろしく頼むぞ」

勇者「あ、ええ、よろしくお願いします・・・・・」


側近「お待ち下さい勇者どの」

勇者「?」

側近「私は貴方の配下に入る旨、まだ承服したわけではございません」

側近「あの魔王様を倒した、となれば私ごときで力が及ぶとは思いませんが」

側近「私自身はまだそのお力の程を見せていただいておりません」

側近「まずは、私とお手合わせいただけませんか?」

勇者「アンタと戦え、ってのか?」

側近「はい、もちろんお食事を終えてからでかまいません」

勇者「断ったら?」

側近「貴方が一方的に殺される事になるだけでございます」ギラッ

魔王女「バカを申すな、勇者殿ともあろうものが戦いを断るなどという侮辱をするはずがあるまい」

魔王女「ただの冗談に決まっておろう、まったく側近は頭が固いのう(コロコロ」

勇者「あー、挑戦を断るってのは侮辱にあたるわけね、わかったよ、じゃあココじゃなんだから魔王の間に行こう」



--魔王の間--

勇者「じゃあ、始めようか」

側近「では、失礼して」

勇者「どこからでもどうぞー」

側近「では、行きますよ!!!爆雷呪も・・・(ヒュン)う・・・・」

勇者「遅いよ」チャキ

勇者「魔王女、魔界の決闘のルールを俺は知らないんだが、こうして喉元に剣を突きつけたら勝敗は明らかじゃないのかな」

魔王女「それは当人同士が決める事じゃ、側近が敗北を認めればそこで勝負は終了じゃ」

勇者「だってよ、どうかな?側近さん」

側近「く・・・・・さすがでございますな、私ごときで太刀打ち出来る実力ではございません」

側近「明らかなる私の敗北でございます。勇者どの、私は貴方の力衰えぬ限り、貴方に仕えましょう」

勇者「ああ、うん、まあよろしくな・・・」


勇者「ところでさ、側近、さっき言ってた"あまりお勧めしない"ってのはどういう事かな」

側近「ああ、貴方が故郷に帰られる、というお話でしたな」

勇者「うん、まあさ、ぶっちゃけ言うと俺は国王に頼まれて魔王を倒しに来たわけでさ」

勇者「魔王を倒したわけだから、その報告だけしたら故郷に戻って家業を継ごうと思ってたんだよね」

側近「さようでございますか」

勇者「だから、正直新魔王とかなんとか言われても困るっていうか・・・・」

側近「しかし、もし勇者様がそのようにされますと、おそらく故郷は大変な事になりましょう」

勇者「な、なんで?」

側近「知っての通り、魔王の座というのは魔界中の魔族のあこがれでございます」

側近「となれば、力に自信のある強者たちは、こぞって新魔王である勇者さまに挑む事を志します」

勇者「マジっすか」

側近「となれば、勇者様がこの城に居ようと、故郷に居ようと、魔族どもは周囲の迷惑などは顧みません」

側近「魔界では、力ある魔族同士の戦いで家が吹き飛ぶなどという事は日常茶飯事でございますから誰も気にはしませんが」

側近「人間界においては、あまり歓迎される事態ではございますまい」

勇者「なんつーはた迷惑な生き物だよ、魔族っつーのは」


勇者「なんかさ、もうさっきからずっと文化の違いに開いた口がふさがらないんだけどさ」

勇者「魔界の常識ってどうしてそんなに人間と違うの?」

側近「そうでございますな、私は逆に人間の常識についてあまり知らないもので」

側近「良い答えを持ちあわせては居ないのですが・・・敢えて言うならば、種が違うから、と言えましょうか」

勇者「うーん、そう言われちまうとそれまでなんだけどさあ・・・」

勇者「何はともあれ、俺が今人間界に戻ると、大変な事になりそう、ってワケだな」

側近「そうでございますな。故にオススメはしない、と申し上げました」

勇者「うーん・・・・・・それ、なんとかなんねーのかなー」

勇者「あ、例えばこんなんどう?新魔王として"魔王への挑戦は禁止する"とか・・・・」

魔王女「愚か者」

勇者「やっぱ・・・ダメ?」

魔王女「そんな事をしてみよ、魔族としての誇りの根幹にケンカを売っているに等しいわ」

魔王女「魔界中の魔物、魔族がおぬしに牙をむくぞ」


側近「難しい問題でございますな、我々としても人間が魔族の頂点に立った事など」

側近「魔界開闢以来の珍事でございますからなあ・・・良い知恵と言われても難しゅうございます」

魔王女「あ、そうじゃ、大魔道のじい様はどうじゃ?あの者は変わり者で人間にも詳しいし」

魔王女「魔界きっての知恵者と言われておる、何か良い考えを持っているやもしれぬ」

勇者「へえー、そんなヤツが居るのか」

側近「そうでございますな、確かに、彼の者は人格には難がございますが、その知恵は比べる者なき賢者でございます」

側近「一度相談してみるのも良いやもしれませぬ」

魔王女「よし、ならば善は急げじゃ、早速行ってみるとしようかの」

勇者「いまから?」

魔王女「なあに、飛竜に乗れば30分もかからん」

側近「行ってらっしゃいませ、城の留守はお任せ下さい」

一旦切ります。
書き溜めしてあるんで今夜中に半分ぐらいは投下する予定ですが
ちょっと気になるトコあったんで、直してまた続き投下します


-- ???? --

勇者『なんだ、意外と魔物って居ないんだな……』

勇者『特に何にも出会わずにもうすぐ次の街まで着いちゃいそうだ……むっ!?』ピクッ

勇者『何だ、この禍々しい気配は……』

???『ふむ、確かに女神の波動を感じる、お前が勇者だな』

勇者『何者だ!!!!』

???『お前の出番は今ではない、悪いがしばらく眠ってもらう』

勇者『貴様!魔王の手の者か!覚悟しろ!!』チャキッ

???『なかなか素質があるようだな、成長する前に来ておいて正解か……凍眠呪法!』

勇者『ぐあああああ、くそ、これしき………くっ………』パキパキ

???『思った以上の抵抗力だな……女神の加護とはこれほどか』シュオオオオオ

勇者『くそ……幼……馴染……ごめ………ん………』カキーン

???『これで良かろう、ま、氷はしばらくは保ちそうだ……転移!!』ヒュン


--大魔道の家の前--

勇者「うぷっ・・・・・・・おろろろろろ」

魔王女「なんとまあ、あの父を倒したとは思えぬ情けない姿じゃの」

勇者「あれを乗り物として使おうって考えが俺からしたらおかしいわ・・・・・」

魔王女「はて?楽しいではないか、特にきりもみからの宙返りなど、非常に心がおどる」

勇者「思い出させないで・・・・また吐き気が・・・・・・えれれれれれ」

魔王女「全く、こんな姿は他の者には見せられんの」

勇者「ふう・・・・・・やっと胃が落ち着いた・・・・・行こうか・・・・」

魔王女「じい様、おるか?私じゃ、魔王女じゃ!」

大魔道「おうおうおう、姫様か!ひさしぶりじゃ、どれどれ、胸の方は育っておるか?」

魔王女「余計なお世話じゃ、まったく変わらぬの、じい様は」

大魔道「おおう、しばらく見ぬ間にまたずっしりと・・・・じゅるり」

魔王女「ええい、変な目で見るでない!それより、こちらは勇者どのだ」

勇者「ああ、どうも、なんだかなし崩しに新魔王になりました」

大魔道「なんと、するとこの人間が魔王を倒したと!?」

魔王女「ああ、こう見えて勇者どのは素晴らしい力の持ち主じゃ」

魔王女「だが、少々常識が難アリでな、ちと色々じい様に相談に参ったというワケじゃ」



大魔道「はあはあ、なるほど・・・そりゃあ人間には魔族の常識は奇異に映る事じゃろなー」

魔王女「そうなのか、私は人間を知らぬからあまり分からぬが、そんなに違うモノか?」

大魔道「そりゃあ、天と地ほどにも違いましょう」

勇者「そうなんですよ・・・・・そこが原因で一つの悩みがありまして・・・・」


カクカクシカジカ


大魔道「なるほどのう・・・・・それは難しい・・・・・・」

勇者「なんとかなりませんかね、故郷には両親や幼なじみも残して来てるし」

勇者「魔王討伐の報告を国のみんなも心待ちにしているんです」

大魔道「ふーむ、そこなんじゃがな・・・・」

大魔道「おぬしがこうして魔界に送り込まれたのは、ただ魔王を倒せば良い、というわけではあるまい?」

大魔道「おそらく、魔王を倒す事で人間界に攻め込む魔族を抑えようと、そういう意図があったのではないか?」

勇者「はあ、その通りですが」

大魔道「そう考えると、実はおぬしの使命はまだ果たされておらん」

勇者「そうですか・・・・・・・ええええええええ!?」


大魔道「魔族が人間界に攻め込んでおるのは、別に魔王の命令でも何でもなく」

大魔道「単に魔族がそうしたいが故に行っているだけの事なのじゃ」

勇者「な、なんで・・・・・」

大魔道「そりゃあ理由はそれぞれあるじゃろう、人間界の資源が欲しい者、食料として人間や家畜を欲しがる者、興味本位の者」

大魔道「ともあれ、魔界の者は自由を好むでな、それを辞めさせると言っても難しいじゃろうな」

勇者「うわー、なにそれ、超めんどくさい・・・・」

大魔道「そうじゃな、まず、お前さんには魔界の掟という物を少し教えておいた方が良いかもしれん」

大魔道「そこを分かっておかぬと、何をするにもトンチンカンな案しか浮かんで来ぬじゃろ」

魔王女「そうなんじゃ、勇者どのは強いくせにすぐトンチンカンな事を言うもので私も少々面食らっておってな」

勇者「俺はもっと面食らってるんだけどね」


大魔道「まず、魔界の唯一にして絶対の掟、これはご存知か?」

勇者「それは聞いたよ、力が全て、だろ?」

大魔道「そう、その通りじゃ。この掟ができたのは5000年前とも10000年前とも言われておるが」

大魔道「有力なのは、7000年前の魔界統一戦争の折に魔界全土に広まった、という説じゃ」

勇者「7000年……魔族の歴史、パねぇ……」

大魔道「元々は魔界は多種多様な種族がそれぞれ小さな国を作って小競り合いを繰り返す群雄割拠の世界じゃった」

大魔道「それが、7000年前に今の、いや、先代の魔王の先祖にあたる魔神族を中心に」

大魔道「四天王家である竜族、精霊族、魔獣族、機械族を合わせた5大種族が力を合わせて魔界を統一したと言われておる」

勇者「あー、あいつらかあ・・・確かに手ごわかったわ」

大魔道「なんと、四天王ともすでに戦っておるか、さすがは新魔王となるだけの事はあるのう」

魔王女「さすが勇者どのじゃ」キラキラ


大魔道「ともあれ、それで魔界を統一したわけじゃが、魔界には本当に様々な種族がおる」

大魔道「すると、いちいち価値観も全く異なってくるわけじゃな」

大魔道「例えば、死霊族の慣用句に"腐ってもいない肉"という言葉がある」

大魔道「平たく言えば"青二才"という意味でな、ヤツらにとっては肉は腐ってからこそ美味、という嗜好から生じた言葉じゃ」

勇者「うげ・・・・・」

大魔道「当然ながら、普通の種族にとっては全く共感できぬ嗜好じゃ」

大魔道「こういった価値観の違いが種族ごとに色々あるわけじゃよ」

大魔道「そういう価値観の違いを超えて、全ての種族に共有できる掟を模索した結果」

大魔道「残ったのが"力が全て"というわけじゃ」


大魔道「元から魔族というのは短気で好戦的な性格をしておるし、身体も頑丈じゃ」

大魔道「物事の白黒を決める際に戦いで決める、というのがしっくり来たんじゃろうな」

大魔道「それからの数千年で、この価値観は魔族の本能とも言えるほどになった」

大魔道「じゃから、今や魔界に生まれし者は、何をおいてもまずは力を求める」

大魔道「自らの身体を鍛え、魔法を学び、技を学び、戦いの経験をつみ、少しでも強くなる、それが魔族の生きる意味なのじゃ」

勇者「マジか・・・・そりゃあ魔物どもが強いわけだわ・・・・」

大魔道「そうじゃの、人間とはそもそもの身体の強さも違えば、鍛え方も違うんじゃ」

大魔道「そうそう、そういえばおぬし、魔王となるにあたり、統治について頭を悩ませたのではないか?」

勇者「ああ、そうなんだ、魔王って言われたって、今まで俺は統治なんかした事ないからな」

勇者「もし面倒な事務仕事とかたくさんあったら困るなあって思ってた」

大魔道「ふふふ、人間らしいの。実はな、魔王の仕事には"統治"というモノは無いのじゃ」

勇者「えっ!?」


大魔道「おぬし、統治と言うが、では統治とは何じゃ?」

勇者「いや、詳しくは解らないけど・・・・国民が飢えないようにする、とか、外敵から国を守る、とか?」

大魔道「まあ、ざっくり言えばそんなトコじゃろうの、人間の国王がするべき事とは」

勇者「あとは・・・なんか裁判とか犯罪者を取り締まったりとか・・・?」

大魔道「そうじゃな、司法と行政じゃ。しかし、それらは魔界においては必要ないのじゃ」

勇者「え、なんで?」

大魔道「まず、司法に関して言うならば、この魔界において犯罪という概念は存在せぬ」

大魔道「誰もが好きなようにしたい事をすれば良い、というのが魔界じゃ。他人の物を奪うも、他人の命を奪うも、全て自由じゃ」

大魔道「ただし、もちろん奪われるのがイヤならば、力をもって返り討ちにすれば良い」

勇者「うわぁ・・・でも、それじゃそこら中で戦いが起きて周りは迷惑するんじゃ?」

大魔道「それが迷惑と思うならばその者が力づくで戦いを止めれば良いのじゃ」

勇者「戦ってる二人が強すぎて止められなかったら?」

大魔道「止めるだけの力を持たぬ己を恥じるしかあるまいの」

勇者「」


大魔道「そして、もう一つ。先ほど魔界に犯罪の概念は無い、と申したが」

大魔道「一つだけ、魔界において罪とされる事がある。それは、弱き事じゃ」

勇者「マジか」

大魔道「さきほどお主が言った"国民を飢えさせない"とかそういった事は全て、弱者のための施策」

大魔道「魔界においては、弱者は罪人じゃ。罪人のために何かをする施策など、あろうはずもなかろう?」

勇者「え、でも、弱い魔物も居るよね?」

大魔道「ああ、じゃからそやつらはあまり良い暮らしは期待できん」

大魔道「罪人といっても、別に刑罰があるわけではないが、弱者であれば日常的に強者に搾取される」

大魔道「それが魔界での弱者の暮らしじゃ」

勇者「なんつー非道な・・・・」

大魔道「非道なのではない、公平なのじゃ」


大魔道「魔界では、あらゆる者が強さを追い求めて日々努力を重ねておる」

大魔道「なれば、弱いという事はその努力を怠っている怠け者、と見なされるのじゃ」

勇者「でも、スライムがドラゴンに勝てるわけ無いだろ?」

大魔道「もちろん、種族による強弱はあるがの、それもまた種族的努力の不足。というのが魔界の一般的見解じゃ」

大魔道「事実、現在四天王の一角を担う機械族じゃが、彼らは統一大戦の頃は、弱小の物質系魔族にすぎなかったそうじゃ」

大魔道「じゃが、機械的に身体を強化する技術を研鑽し、今では押しも押されもせぬ魔界の支配種族じゃ」

勇者「そういう例もあるのか・・・・」

大魔道「さきほど挙げたスライムなども、近年では自らの遺伝子改良により合体して大型のスライムになる、などの戦術を編み出しておる」

勇者「ああ・・・あれには手を焼かされたな・・・・」


大魔道「さて、ここで人間界への侵攻について話を戻すが」

大魔道「何故魔族どもが人間界に攻め込むのか、理由は分かったかの?」

勇者「ああ・・・・・人間の大半は弱い・・・からだろ?」

大魔道「そうじゃ。弱小と蔑まれる魔物どもでも、人間界に行けば自らの力でいくらでも食料や資源を奪う事ができる」

大魔道「じゃから、魔王が倒れようが何が起きようが、今人間界への侵攻が止むハズが無いのだ」

勇者「なんてこった・・・・」

大魔道「それとな、実はもう一つ原因がある。これは魔界の構造的な問題でもあるんじゃがな」

勇者「それは?」

大魔道「それは、魔界の人口の増大と、生産者の減少じゃ」

勇者「どういう事だ?」


大魔道「見てのとおり、魔界は荒々しい土地柄じゃ。溶岩が溢れ、嵐が舞い、落雷が絶えぬ」

大魔道「しかし、我ら魔族はそれに耐えうるだけの身体を持つのみならず、それらをエネルギーとして摂取できる者も多い」

大魔道「それは魔界の動植物も同様でな、荒々しく繁茂する魔界樹をはじめ、我らの資源、食料となるモノは事欠かなかったのじゃ」

大魔道「ところが、近頃になって、徐々に資源や食料の供給が減少してきておるのだ」

勇者「それはなんでまた?」

大魔道「それが先に言った二つじゃ。一つは人口の増加じゃの」

大魔道「医療魔法の進歩と、戦闘の流儀が洗練された事により、魔族の死亡率が減り、人口が増大しておるのだ」

勇者「それはいいことに思えるけどな」

大魔道「それはそうなんじゃが、時を同じくして、食料をはじめとする生産基盤が弱体化しはじめたのじゃ」

勇者「そっちはどうしてだ?」

大魔道「簡単な事じゃ、他人から奪う方が効率的だからじゃよ」

勇者「んなっ?」

頑張れ期待


大魔道「魔界の皆にとって重要な食料その他を生産しているといっても、誰かが守ってくれるわけではない」

大魔道「常に、強者によって収奪される危険をはらんでいる」

大魔道「それならば、最初から生産業にかける時間を自らの鍛錬に費やした方が良い」

大魔道「多くの魔族がそう考えたのじゃな、そして、そう考える者が増えるほど、生産者の危険は増えていく」

大魔道「その負のスパイラルが進行し、今や魔界の生産基盤は恐るべき速度で衰退を続けておるのじゃ」

大魔道「今はまだ魔界の植生の豊富さが魔族の消費する資源をまかなっておるが、早晩それも追いつかなくなろう」

大魔道「魔族の掟は力が全て。じゃが、このまま行けば、その力をもって奪うモノが無くなってしまうのじゃ」

大魔道「もっとも、魔界の連中は物事を深く考えるのが苦手じゃからな、そこまで気づいている者は少ないが」

大魔道「"どうも最近弱いヤツらがシケている"程度の感想はみな持っているだろう」

大魔道「そこで、魔界の外に目を向けてみると、多大な生産力を持ちながら、ロクに戦闘力をもたぬ人間という生き物が居る」

大魔道「勇者よ、おぬしがこの魔界に生きる弱者であったとしたら、どうするね?」

勇者「そりゃ……襲うよな……」

大魔道「そういう事じゃ」

~~~~~~
~~~~
~~

ここで眠気MAXになったんで今日はこのへんで
明日また続き投下します~

激乙
魔界のルールも凝っててとても良い作品ですね。


-- ???? --

賢者『これが勇者の封じられた氷柱……』

魔法使い『凄まじい魔力ね、何百年の間溶けもせずに屹立しているとは』

戦士『これが勇者か………解呪、頼むぜ』

賢者『はい、ではこの氷柱を解凍する、少し離れていてくれ』

僧侶『よろしくお願いしますよ』

賢者『我が賢者の鍵にて、魔王の呪いよ、去るが良い!!』ピカアアアア

シュウウウウウウウ

魔法使い『おお、氷が見る見るうちに溶けて……』

勇者『………!?』

賢者『勇者どの、ご無事で?』

勇者『こ、ここは……?』

賢者『お目覚めでござるか』

勇者『俺は……さっき確か禍々しい魔物と……一体何が……』

賢者『勇者どのはこの数百年、魔王の呪いにより氷漬けで眠らされていたのです』

勇者『な……数百年!!??』


-- 翌日 --

勇者「大魔道のおかげで魔界の常識についてはよく分かったけど、結局俺の問題は解決策が見当たらない…」

勇者「もう俺が魔王をやるしかないのか………」

勇者「いやいや、俺が魔王をやっても人間は救われないじゃん!」

勇者「魔界が資源欠乏に陥ってるなら、放っておけばどんどん人間を襲う魔物は増える一方だ」

勇者「うがー!!!何度考えても解決の糸口が見つからねぇ!!!八方ふさがりだー!!」ワシワシ

魔王女「勇者どの、何をひとりでわめいておるか」

勇者「あ、いや、なんでもないんだ……」

魔王女「ストレスが溜まっておるのか?ならば私と共に寝所に行くか?」

勇者「ちょ、い、一体何を言って!?!?」

魔王女「殿方の欲求不満を鎮めるのも女の大事な役目じゃと教えられておる、私も初体験じゃが、まあなるようになるであろう」

勇者「いやいやいや、そうじゃなくて?」

魔王女「む、そなたは私では不満と申すか………仕方あるまい……英雄色を好むと申すからな……お父様も性豪であられた」

魔王女「私では駄目か…などと申すのは弱者の戯言にすぎんな……か…代わりにお主の好みの女をつ、連れて…ううう(涙)」

勇者「まってまって!なんで勝手に話が進んで泣きそうになってるの!!!そうじゃないから!!!」

魔王女「ぬ?するとまさかおぬしはコッチの気も………?ま、まあそれもよかろう…魔族の性癖は様々じゃからな///」

勇者「ホモでもねーよ!別に欲求不満で悩んでるんじゃないんだってば!!!!」


魔王女「なんと……?では何でまたあのように悩んでおったのじゃ?」

勇者「いやその…(魔界の常識どっぷりのこの子に相談してもしょうがないしなあ……)」

魔王女「まあ、何にしてもそんな部屋で一人で塞ぎこんでいては健康に悪いぞ」

勇者「ああ…うん…」

魔王女「それなら、折角じゃから新魔王になった記念に領内を見聞してはいかがじゃ?」

勇者「まあ、そうだな……ココで悩んでても仕方ないし、気分転換に少し外でも歩いてみるか」

魔王女「そうか!では決まりだな!側近!おるか?早速飛竜の準b」

勇者「まてまてまて!俺はもうアレは沢山だ!歩いて行こう!歩いて!」

魔王女「ふむ?つくづくおぬしは変わっておるのう、まあよかろう、それも風情があるの」

勇者「ホッ」


-- 魔王城下町 --

ザワザワ ガヤガヤ

勇者「ふーむ、魔王を倒しに来た時には気付かなかったが、ずいぶんと賑わってるんだなあ」

魔王女「まあココは魔王のお膝元じゃからな、魔王に挑戦する猛者を含め、多くの者が集まっておる」

勇者「そ、そうか……(それって俺にケンカ売ってくるって事じゃん……)」

魔王女「さて、どうする?勇者どの」

勇者「そ、そうだなあ、とりあえず腹減ったしちょっと何か食おうか」

魔王女「そうじゃの、ではそこの店に入ろうぞ」

カランカラン

女将「おや、魔王女ちゃん、久し振りだね、たーんと食べてっておくれ」

魔王女「うむ、ご無沙汰であったな」

勇者「やべぇ、メニューが何がなんだかさっぱりわからん……」

魔王女「とりあえず、適当に見繕って2~3皿頼む」

女将「あいよ!任せときな!」


勇者「モグモグ…うん、美味い!何が出てくるかと不安で仕方なかったが」

魔王女「ココは出す料理は質が良い事で有名なのじゃ、何しろあの女将は…」

ガシャーン!

魔族A「なんだてめぇコノヤロウ!!!」

魔族B「んだこらぁ!やるってのか!!!」

魔王女「お、始まったのう、今日もわが領民は元気そうで何よりじゃ」

魔族A「てめ!この!ドカンバキン」

魔族B「くそ!おらぁ!ボコッバコッ」

魔族A「てめぇ~!コレでも喰らえ!テーブルアタック!!!ドッカーン」

魔族B「んなもん効くか!この椅子でも食らってろ!バッキャーン」

魔王女「む、これはいかん、勇者どの、防御を」

勇者「え、防御?」

ズゴォォォォン!!!!!

女将「てめぇら!アタシの店のモン壊してタダで帰れると思ってないだろうね!?」

魔族A「」チリチリ

魔族B「」チリチリ


女将「なんだいこの程度の爆炎魔法で気絶かい?全く呆れるね、ウチでケンカするならあと10倍は強くなっておいで!」

女将「ゴソゴソ……まったく、おまけにロクなモン持ってやしない……これじゃ赤字だよまったく」

勇者「ゲホッ…い…一体何が……」チリチリ

女将「おっとみんな騒がせたね、はいはい、気にしないで飲んでおくれ」

魔王女「うむ、衰えておらんの、女将は」

勇者「な、何が……?」

魔王女「見ておらなんだのか?あやつらが机や椅子を壊したから女将が怒っただけじゃ」

勇者「なにか?ココじゃ客がケンカを始めると魔法をぶっ放すのか?」

魔王女「何しろ女将はこの国でも名うての魔導師じゃからな!」

勇者「なんでそこでドヤ顔するんだよ、そういう事じゃねーよ」

魔王女「おかげでこの店は代金の取りっぱぐれが無いでの、良い経営状態を維持できるのじゃ」

勇者「取りっぱぐれってオイ」

魔王女「ああ、いやいや心配するでない、いくら女将が強いと言っても私には及ばぬ。代金を請求されたりせぬよ」

勇者「」

面白い


魔族C「おや、魔王女ちゃんじゃないか、久しぶりだな、いい加減俺のモノになる決心はついたかい?」

魔王女「(ジトッ)冗談であろ、あと5倍は強くなってから声をかけるんじゃの」

魔族C「相変わらず手厳しいなー、ちゅーてもよ、俺だって結構強くなったんだぜ?どうだい、一戦」

魔王女「喜んで受けよう、と言いたいところじゃが、私はもうこの勇者どののモノじゃ(ポッ)」

魔族C「なんだぁ?このヒョロっこいガキがぁ~?」

魔王女「うむ、昨日、私のお父様を倒したのでな、その実力を見込んで私をもらっていただいた」

勇者「あ、ちょ、それは…」

ザワッ

魔族C「な、あの魔王様をっ!!!????」

「なんだと!?」「バカな!あの魔王様が!」「あの野郎が……」

勇者「(まずい……魔王を倒したなんて言ったらこうなるよな……剣は置いてきたし、どこまで戦えるか…)スタッ」

全員「ひいぃぃぃぃ!!!!!」ズザザザザ

魔族C「し!知らぬ事とはいえご無礼を!!!どうぞ命だけは!!!」ドゲザー!!

勇者「え………ええっ!?」

「あの強大な魔王様に勝っただと!?」「やべっ!目ぇ合わせるな!!」「生きた心地がしねーよ(ダラダラ)」

魔王女「まあまあ、勇者どの、お主の強さを皆に見せつけるのも良いが」

魔王女「あまり実力の違う者を相手に蛮勇を振るうのはあまり上品とは言えぬぞ?」

勇者「うん、いや、そ、そうじゃなくて……」

魔王女「まあ、私はおぬしの所有物じゃからな、おぬしの行動に口をはさむ筋ではないが」

勇者「いや、そんなつもりは全然無くてですね……あーもうやだこの国」


勇者「あーもう……ホント調子狂うわ……」テクテク

魔王女「どうしたのじゃ、さてはひと暴れする機会を逃して…」テクテク

勇者「ちがうから!したくないからひと暴れ!」

魔王女「はて…まあそれもそうじゃの、昨日お父様相手にさんざん暴れたばかりじゃものな!」

勇者「うう……もうそういう事にしておいて下さい……」

魔王女「さて、ココらへんは城下でも最も賑わう商店街じゃ」

勇者「ふーむ、意外とアレなんだな、みんなちゃんと売買してるんだな」

勇者「力が全て、なんていうからもっとヒャッハーな状態なのかと思ってたけど」

魔王女「そりゃあそうじゃ、ここらの商店主はみなあの女将にも劣らぬ猛者ぞろい」

魔王女「そんじょそこらの魔族が難癖でもつけようものなら、ボロ雑巾にされて道に転がるのがオチじゃ」

勇者「なんという世紀末商店街………と、あれは?」

「テメーコノヤロウ」「ナンダヤンノカコラ」

魔王女「ああ、あれは防具屋と武器屋じゃの。同じ店を二人で間借りしておるのじゃが」

魔王女「いつもああやって自分の売り場が狭いと言っては殴り合いをしておる」

武器屋「おりゃぁ!」ドカッ

防具屋「ぐへあっ」バタッ

武器屋「はっはぁ、これで125勝123敗だな、おーし、この机一個ぶんこっちがもらうぜ!」

防具屋「ちくしょう……見てやがれよ!怪我が治ったらボッコボコにしてやる…」

勇者「125勝って………」

魔王女「あやつらは双子での、実力も伯仲しておるから良いケンカ相手なんじゃ」

~~~~~~
~~~~
~~


-- 魔王の城 --

勇者「ふう……なんだか一日歩きまわって疲れた……」

勇者「今日は魔王女に一日あっちこっち連れ回されたけど……」

勇者「魔族ってのも悪いヤツらじゃないんだな……」

勇者「ちょっと粗暴で単純だけど、気のいいヤツらはいっぱい居る……」

勇者「だけどなあ~~~、あの調子じゃ人間とはどこまで言っても相容れないよなあ~~~~」

勇者「くそ……頭も身体も疲れて考えがまとまんねぇ……もう寝るか……」

トントン

勇者「ん?魔王女?」

魔王女「勇者どの、もうお休みか?」

勇者「ああ、うんもう寝ようと……って、何その恰好!?」

魔王女「ん?これは私の寝間着だが」

勇者「なんでそんな寝間着がスケスケなの!しかも下着はどうしたの!」

魔王女「私は寝る時は下着をつけない主義じゃ」ゴソゴソ

勇者「そ、それはとっても良い主義だと思うんだけど、まってまって、ええとどうしてベッドに潜り込んでくるの」

魔王女「そ……それは私はおぬしの物じゃからな……夜伽をするのは当然であろ?///」ズイズイ

勇者「まってまって寄らないでそれ以上こっちくると俺の何かが大変な事になる!」ズザザザ

魔王女「勇者どの………」ピタッ


魔王女「私がキライか………?私には勇者どのの伴侶になるだけの魅力は無いか?」ウルウル

勇者「え、ちょ、そ、そういう事じゃなくて」ワタワタ

魔王女「私はおぬしに身も心も捧げると決めたのじゃ、これは乙女の一世一代の決心じゃ」

魔王女「じゃが……私にその魅力が無いと申すならば………」

魔王女「お主の手で私の首を掻き切っておくれ!!!さあ!!!」ズズイ

勇者「だーーーーかーーーーらーーーーー!!!!!」

勇者「そうじゃないんだ、魔王女」

魔王女「じゃあ私を娶っていただけるのじゃな!」ズイズイ

勇者「ちょっとすとーーーっぷ!!!!」グイ

勇者「あ、あのね、魔王女」ゼエゼエ

魔王女「何じゃ、我が主よ」

勇者「君はとっても魅力的だし、もういい加減俺も元の生活には戻れないだろうって気がしてきたし」

勇者「その、魔王女と一緒に魔王をやるのもいいかな、とは思ってるんだけど」

魔王女「そうか!!!ではさっそk」

勇者「まてまてまて、続きがある続きが」

勇者「魔王になるのも悪くない。ただ、俺は勇者だ。人類を守るのが俺の使命なんだ」

魔王女「ふむ……守る、か。うーむ、難しい言葉を使うのう、お主は」

勇者「だから、とにかくその方法をまずは探さないと、落ち着いて他の事ができないんだよ」

魔王女「さようか……して、その方法はいかにして探すつもりじゃ?」

勇者「………正直糸口が無くて何とも困ってるんだけど、まずはもうちょっと魔界の事を色々知らないと……」

魔王女「そうじゃのう、まだまだ勇者どのには常識が足りぬようじゃしな」

勇者「なんだろう、この、妙な屈辱感……」

魔王女「よし、わかった、では明日からも私が魔界の各所を案内してやろう!」

勇者「あー、うー、そうね、まあそれがとりあえず今は一番手っ取り早いのかな……」

魔王女「では、明日に備えて寝ようではないか」モゾモゾ

勇者「え?ココで?ちょっとまって、おかしくない?」

魔王女「気にするな、ただの添い寝じゃ。私も幼い頃、よくお母様にしてもらったものよ。気持ちが安らぐであろ」

勇者「安らぐどころの騒ぎじゃないんですけど………」

魔王女「zzzzz」

勇者「寝れるのか……俺………」


-- ???? --

勇者『砂漠の国もこんな……俺の知る時代にはココはオアシスに多くの交易商が集う賑わった街だったハズなのに……』

賢者『魔王の侵攻が始まって100年あまり、すでにほとんどの国々は常に魔王軍と常に戦争中です』

賢者『この国もまた然り……すでに国力は疲弊しきっていますが、戦を辞めれば蹂躙されるのみ』

勇者『だからって………あんな小さな子どもまで戦いに……』

勇者『こんなのはおかしいよ!国王様に……!!』

魔法使い『なんて言うの?小さな子供を戦争に連れてったら可哀想だから、兵力足りなくても大人だけでどうにかしろって?』

勇者『………!!』

僧侶『魔法使い、そういうモノの言い方をするものじゃないですよ』

勇者『ならば……俺たちがその魔王軍を叩けば………』

賢者『確かにそうすればこの国は一息つけるでしょうな』

賢者『しかし、魔王軍はすぐに次の兵を差し向けてくるでしょう、それをいかがいたしますか?』

勇者『そ………それは………』

賢者『それまでこの国に留まってまたこの国を守りますか?でもその間、魔王に攻められているのはこの国ばかりではありませんよ』

賢者『我々がこの国を護っている間に、他の国々では次々と兵が、そして民が死んでゆきます』

勇者『…………わかったよ、一刻も早く魔王を倒す事が………みんなを守るために俺にできる最善なんだな………』

ああ……推敲したつもりなのに、常にが二個入ってる orz

面白い


-- 翌日 --

魔王女「あの大穴は、1000年前に3代前の魔王と、機械王がガチンコの大喧嘩をやった時にあいた代物だそうじゃ」

勇者「なにそれこわい」

魔王女「あちらの沼地は死霊族の住処じゃの、デュラハンから腐った死体までアンデッドがわんさかおるが、行ってみるかの?」

勇者「勘弁してください」

魔王女「こちらの溶岩池は火の精霊族の遊び場となっておる。今の精霊王もお気に入りの露天風呂じゃ」

勇者「あついあついもえるもえる」

魔王女「魔界には他にも沢山の名所があるぞ、どちらに参ろうか」

勇者「ええと、その、疲れたんで城下町に帰りたいです」

魔王女「なんと、お父様を倒した勇者どのともあろう者がなんとも情けない事を言うのう」

魔王女「まあよかろう、城下町にも見るべきところは沢山あるでの」

~~~~~~
~~~~
~~


-- 魔王城下町 --

魔王女「ここは裁判所じゃな。誰にも邪魔されずに一騎打ちを行えるようにできている」

勇者「ごめん、裁判所という言葉とこの光景がよく結びつかないんですがそれは」

魔王女「うん?訴訟となれば衆人の中での一騎打ちというのが基本じゃろう」

魔王女「決闘は見世物としても人気が高いでの、連日大賑わいじゃ」

勇者「あっちに居るのは?」

魔王女「裁判官じゃの、やはり決闘には賭けがつきものじゃからな」

勇者「ええと……つまり、裁判官という名の賭けの胴元?」

魔王女「まあ、そうとも言うかもしれんのう」

勇者「皆さん大人しく賭けてるようですが……それはやっぱり……」

魔王女「うむ、胴元のヤツはかなり強いぞ、私でも勝てるかどうかわからぬ」

ワアアアアア!!

勇者「お……でっかい豚の魔族が勝ったな……」

魔王女「ヤツは最近城下でも名を上げているオークの精兵じゃからな、そうそう負けもすまい」


勇者「で、なんでアイツは自分が負かした魔族と酒場に入っていくんだ?」

魔王女「負けた方のリザードマンとヤツは竹馬の友じゃからな、そりゃあ酒ぐらい一緒に飲むであろ」

勇者「竹馬の友と決闘するんかい、ここの街は……」

魔王女「当然であろ、意見が食い違えば決闘で決める、決闘が終わればその結果を甘んじて受け入れる」

魔王女「不服があれば再戦を申し込む事ができるが、基本的にはさっぱり水に流すのが魔界での物事の決しかたじゃ」

勇者「潔いというのか、乱暴というのか……」

勇者「あっちのにぎわいは?」

魔王女「奴隷商じゃの、城下でも1~2を争う豪商じゃ」

勇者「ど、奴隷!?」

魔王女「うむ、力の無い魔族を所有物として有力者に売りつける商人じゃ」

勇者「なっ………」

勇者「なんでそんな事がまかり通ってるんだ!?」

魔王女「当たり前であろ?力無き者は奪われるのみ。その身とて例外では無い」


勇者「どうして平然とそんな酷い事が言えるんだ!?」

魔王女「ひどい?何がひどいのじゃ?魔界では普通に行われている雇用形態じゃ」

魔王女「不服ならば力を持って反抗するのも自由じゃ」

勇者「その……力が無いばかりに……」ギリギリ

魔王女「大体おぬしとて私や側近をはじめ、城の者たちを所有しておるじゃろうに」

勇者「お……俺も?」

魔王女「うむ、あそこの奴隷どもと、私と、立場はそう変わらぬ。所有者が大きく違うがのう」

魔王女「あ、あと、言っておらなんだが、城の者たちは、全員引き続きおぬしに忠誠を誓う事となった」

勇者「え、まって、それ聞いてないし、っていうか、魔王死んで自由になったのになんで……?」

魔王女「そりゃあ、魔王の所有物ともなれば、誰にも害される心配が無いからのう」

魔王女「特に、シェフのように料理の腕前は高いが、強さを持ち合わせぬ魔物にとっては」

魔王女「魔王の所有物というのは自らの技能も活かし、身の安全も図れる最もちょうど良い地位なのじゃ」

勇者「所有物………!?」

勇者「そうか!!魔王女!ちょっと城に戻るぞ!!!!」

魔王女「ど、どうしたのじゃ、勇者どの!!!」


-- 魔王の城 --

勇者「ちょっと聞きたいんだけど魔王女」

魔王女「なんじゃ?」

勇者「魔王女は俺の所有物なんだよな?」

魔王女「そうじゃ、だから……その、おぬしの好きなように扱って良いのじゃぞ?///」

勇者「え、ええと、そ、そうだね、それはまたの機会にしような!」アセアセ

勇者「じゃなくて、つまり、もし魔王女に危害を加える者が居たとしたら……」

魔王女「それは、おぬしにケンカを売っているという事じゃの」

魔王女「まあ、他人のモノを傷つけるというのは、あまり上品なケンカの売り方ではないので好まれぬがな」

勇者「ケンカの売り方に上品とかあるんだ……」

魔王女「当たり前であろ、やはり最も美しいのは、正面切って名乗りを上げての宣戦布告じゃの」

勇者「まあ、その美意識は魔界のモノとしては珍しくは共感できるけど……」

勇者「……………」

魔王女「どうしたのじゃ?勇者どの」

勇者「うん、いや、ちょっと部屋で一人で考えたい事がある」

勇者「しばらく邪魔しないでもらえるかな」

魔王女「わ、わかったが……(どうしたのじゃ…思いつめた顔をして)」


-- ???? --

勇者『いよいよココを抜ければ魔界か………』

賢者『しかしこの次元の大穴は魔王軍の兵力が集中して護っております』

戦士『まあ、俺達の敵じゃないだろうが、油断はしねーこったな』

勇者『ああ………行くぞ、みんな!!!』

魔法使い『あ~あ~もう熱血だこと』

~~~~~~
~~~~
~~

魔界城主『ふん、よくぞここまで来たな、しかしここで貴様の旅は終わりよ、勇者』

勇者『貴様がこの大穴の守り主か!!悪いが通させてもらう!!覚悟!!』

賢者『…………まいりましょう、勇者どの』

魔界城主『…………ふん、来るなら全力で来る事だな』

魔界城主『ここが貴様らの墓になる事は変わらぬがな!!』キュイイイイイイ

戦士『ああ………全力でやってやるよ!!!!』

勇者『うおおおおおおおおお!!!!』ダダダダ

魔法使い『……………』

ここでまた一旦切ります、今最終章書いてるので、それ書き終わったら一気に投下します
多分夕方ぐらいになる予定……?

支援応援下さるかた、感想下さるかた
ありがとうございます、あるととってもやる気でます(笑)


世界観とかの作り込みが細かいから、読んでいて楽しい


待ってる

-- 一週間後 --

魔王女「あれから勇者どのは自室か城の書庫に篭ってなにやら調べたり考えたりしておる」

魔王女「食事時を除いてほとんど会話を交わす事もなく、たまに交わす会話も上の空…」

魔王女「変わった事といえば、命知らずの魔族が何人か勇者どのに挑みに来たぐらいじゃが、全員片手であしらわれた」

魔王女「それにしても、こうも相手にされないとは、私はやはり魅力に欠けるのじゃろうか………」

ガチャ

勇者「うーん……」

魔王女「勇者どの!」

勇者「あ、おはよう魔王女」

魔王女「どうしたのじゃ?もう考え事は終わったのか?」

勇者「そうだな、うん、これ以上悩んでも仕方ないもんな…」

魔王女「それではいよいよ私との契を交わs……」

勇者「でさ、もう一回大魔道の所に連れてってくれないかな?」

魔王女「……お安い御用じゃ(ブー)」


--大魔道の家--

勇者「うぷっ……やっぱりこの飛竜は苦手だ……」

大魔道「すまぬのう、ワシの家は周りが断崖絶壁じゃから、翼なき者には来る手段が無いでのう」

勇者「いえ………うぷっ……」

大魔道「それで、どうされた?勇者どの、魔王の後を継ぐか否か、心は決まったのかの?」

勇者「はい、些か不本意ではありますが、仕方ありません、私が魔王を継ぎます」

魔王女「勇者どの!!!」ガバッ

魔王女「ようやく決心してくだされたか!私はうれしいぞ!!」ムニュムニュ

勇者「ちょ、ま、やめて!顔に柔らかいなにかあてるのやめて!」

魔王女「先代魔王の娘である私と、先代魔王を倒したおぬしとの間ならば、さぞかし強い子が育つであろう!」ムニムニギュー

勇者「も、もう俺の息子が見たことないくらい最強になってます、もうかんべんしてください」

大魔道「これこれ、姫様、あまりうらやましい…じゃない、はしたない真似をされるでない」

魔王女「ハッ…これはいかぬ、喜びのあまり少々はしゃぎすぎてしまったようだ」

勇者「ふう…魔王に即位する前に俺の中の何かが崩御するところだったわ……」


大魔道「さて、おぬしが魔王になる決心をしたのは良いことじゃが、ワシの所にわざわざその報告に来たわけではあるまい?」

勇者「はい…………実はお願いがあります。私を魔族にしていただきたい」

魔王女「えっ!?」

大魔道「…………どういう事かの?意図を教えてはもらえぬか?」

勇者「城の書庫の文献を色々読み漁ったところ、魔界には別種族に転生させる技術があると記されていました」

大魔道「うむ、あまりある事ではないが、不可能な事ではないな」

勇者「転生した者の強さは、転生する前の強さと、術者の魔力が大きく影響すると聞きます」

勇者「ですから、今、魔界随一と言われる魔力の持ち主である大魔道さん、貴方の力を借りたいのです」

大魔道「ふむ……しかし、その術をもっての転生は一度しかできぬ。もしも後から人間に戻ろうと思ってもそれは不可能じゃ」

勇者「存じております」

大魔道「なぜそこまでして魔族になろうと思ったのか、聞かせてもらえるか?勇者どの」

勇者「人間の寿命では、生きてせいぜい60年かそこら、いや、今の力が衰えるのはもっと早いでしょう」

勇者「それでは、私がやろうとしている事には時間が足りないのです」

大魔道「おぬし……何を考えておる?」


勇者「私は、たとえ魔王になろうとも、その心は勇者です。人間を守る事が私の使命」

勇者「しかし、これ以上私は勇者の立場では努めを果たす事はできません」

勇者「ですから、魔王として人間を守る事にしました」

大魔道「さようか……しかし、いかにして?」

勇者「私は、魔王として正式に即位した後、全魔界に対して、人間界全てを魔王の私物として宣言します」

大魔道「な、なんと!?」

勇者「そうすれば、私に表立って戦いを挑むだけの力を持たない者は、私を恐れて人間に手出しをする事はなくなるでしょう」

勇者「何しろ、私の物に手をだすという事は、すなわち私にケンカを売るのと同然ですからね」

大魔道「た……確かにそうじゃが……しかし、過去にそこまで強欲な魔王はおらなんだ、おぬし、風当たりはきつくなるぞ」

勇者「覚悟の上です。多くの者から恨まれ、戦いを挑まれるでしょう。ですが、それに全て勝てば良い事です」

勇者「少なくとも、これは魔界の倫理からは外れないハズ。法によって人間への襲撃を禁止するよりは風当たりは強くないでしょう」

大魔道「じゃが…負ければそれまでじゃぞ?」

勇者「負けた時には……それは仕方ありません。魔界の掟のとおり、私の力不足を恨むしかありません」



大魔道「しかし、もう一つ問題がある。もしそのような事をすれば、魔界は早晩飢えに直面する事になろう」

大魔道「人間の守護者の立場としては魔族が衰えるのは都合が良いかも知れぬが」

大魔道「ワシも魔族のはしくれ、そのようなつもりであれば、ワシは協力はできぬ」

勇者「これまで魔族の暮らしぶりを見て来て、彼らがただ討ち滅ぼすべき悪の民では無い事はわかったつもりです」

勇者「ですから弱い魔族に対しては、魔王城は常に門戸を開きましょう。いつでも私の所有物に、いや、庇護下に入る事が可能です」

勇者「と、同時に私の所有物……いや、ここは人間流に部下と呼ばせていただきますが、部下には、生産職を必ず義務付けます」

勇者「それにより、魔界の飢えを防ぎつつ、資源と食料という手綱を私が一手に握ることになります」

大魔道「勇者……おぬし……」

勇者「私自身が最強でありつづけ、かつ魔界の資源と食料を押さえれば」

勇者「時間はかかりますが魔界の全てを私の手にする日がいつか来るでしょう」

大魔道「魔界各地の自治勢力を弱め、中央集権を目論む、というワケか……」

勇者「ええ、何百年かかるか解りませんが、魔族の身体でならばそれが可能です」

大魔道「そして、魔界の全てを掌握した末に、おぬしはどうする?」

勇者「…………それは………その後に考えます」

大魔道「ジイッ…………ふん、良かろう。ワシの全ての魔力、おぬしのために注ぎ込もう」

勇者「感謝します」

-- 魔王の城 地下室 --

大魔道「うむ、これで準備は完了じゃ。あとは勇者どのがあの魔法陣の中央に立てばいつでも始められる」

魔王女「勇者どのはどのようなお姿になられるのじゃ?」

大魔道「先代と同じ魔神に転生するように術を調整しておるところじゃ」

大魔道「強さを求める事、姫様と契りを交わす事、そして寿命の長さを考えるなら、それが一番良いじゃろう」

魔王女「なんと、ではさぞかし凛々しい魔神になられる事じゃろう、期待しておるぞ」

大魔道「うむ、ワシの魔力の全てをかけて、最強の魔神にして見せますぞ」

勇者「ああ………」

大魔道「さて、勇者どの、始めてよろしいかな?」

勇者「……………うん、やってくれ」

勇者「(父さん、母さん、故郷で俺の帰りを待ってるんだろうな……ゴメン、俺は親不孝者だ……)」

勇者「(国のみんなや、旅の途中であった大勢の人たち……俺が帰らなければ、魔王に負けたと思って落胆するだろうな……)」

勇者「(そして、幼なじみ………もう二度と会うことは無いが……どうか幸せになってくれ………)」

大魔道「では、転生の術を始める。魔法陣よ、我が魔力に応えよ!」コオォォォ

カッ

勇者「うあぁぁあああぁぁああああああーーーーー!!!!!」バリバリバリバリ

~~~~~~
~~~~
~~


-- 100年後 --

魔王「あいてっ!!」

王子「へっへーん!!パパから一本取ったー!!」

魔王「てっめぇ~~、仕事中は大人しくしとけって言っただろうがー!!」

魔王妃「おやおや、全く今日も王子は元気が有り余っておるようじゃの」

魔王「おいー、ちゃんと見ててくれよー、コイツに乱入されたら仕事になんねーっつーの」

王子「パパ、仕事中は隙だらけなんだよー!一本取ってやったんだー!!」

魔王妃「ほほう、それは大したものじゃ。そなたは知恵が回るのう」

魔王妃「ときに魔王子よ、知恵の回るそなたの事じゃ、もちろん忘れてはおるまいが」

魔王妃「父上の仕事中に邪魔をしたらどうなるのかじゃったかの?」ギロリ

王子「や、え、ええと、でも、ほら、強くなるのは良い事だって……」

魔王妃「うむ、強くなるのは良い事じゃ、しかし、妾の言いつけを忘れる事は、どうじゃったかの?」

王子「う……………よ、良くない事です……ご、ごめんなさい………」ビクビク

魔王妃「うむ、素直に謝るのは良い事じゃ」

王子「(ふう、あぶねえ、今日はママの機嫌が良さそうだ)」ホッ

魔王妃「じゃから、特別に今日は尻叩き200発のところ、100発にまけておいてやろう、さあ、おいで魔王子や」

王子「ひいいいいいいいやああああああ」ズルズル


-- 魔神に転生した勇者どのは正式に魔王に即位し、ようやく妾と夫婦の契りを交わした

-- そして、魔界中に魔王の即位を知らせると同時に、人間界の領有を宣言した

-- 反発は予想したよりも少なかった。元来人間界に興味があるのは弱い魔族たちが多い。

-- 先代魔王はおろか四天王まで打ち負かし、先代魔王の娘を娶った勇者どのに物を言える者は少なかったじゃろう

-- 即位後、新魔王への挨拶がわりに何人かの挑戦者が現れたが、勇者どのは危なげなく退けなされた


-- また、勇者どの……いや、すでに即位して100年、魔王どのと呼ぶのが相応しかろう。

-- 魔王どのは新魔王として、あらゆる魔族に対して門戸を開くという新政策を発表された

-- それは魔王の直下に入った全ての者に対して生活の保証をすると同時に生産業を義務付ける、というものじゃった

-- 人間界での略奪を禁じられ、かといって魔界では暮らせない弱き魔族が、続々と庇護を求めて魔王城の門を叩いた

-- これにより、魔王どのはかつて無いほどの"奴隷"を抱える身となり「強欲の魔王」などと呼ばれたりもしたが

-- 魔界の他の実力者にとっては"弱い者ばかり手元に集める酔狂な魔王"という程度の印象だったようじゃ


魔王妃「99!100!よし、これに懲りて二度と妾の言いつけを破るでないぞ?王子よ」

王子「ごべんなひゃぁい……グスッ」ヒリヒリ

魔王「おーい、そういえばそろそろ二の城に行こうと思うんだが、二人とも一緒に来るか?」

魔王妃「おや、つい先日も行っておったような気がするが……」

魔王「ここんとこ人間界に、淫魔や吸血鬼の通行が増えてるからちょっと視察しておいた方がいいかと思ってな」

魔王妃「ふむ。ここのところ家族で出かけたりしておらぬし、それも良いかもしれんの」

魔王「そんじゃ、飛竜の用意を……」

ドーン!ドーン!

???「こらぁ!!!魔王!!!居るかー!!!」

魔王妃「おや、あのダミ声は……」

魔王「まーたアイツかよ……先月来たばっかりだっつーのに……ハァ…」

???「居ないのかー!居留守を使うなら扉をぶち破るぞー!!!」

魔王「わーかった、今行ってやっからちょっと待ってろ!!!」タッタッタ

バタン!

魔王「また来たのかよ!お前、他にやる事ないのか?」

竜王「ふん、そんな余裕をかましてられるのも今のウチだ、今日こそ貴様には魔王の座、降りてもらう!」

魔王「あーもうわかったわかった、さっさとかかって来い」


-- 魔王どのは即位するとすぐに、人間界に通じる次元の大穴の前に第二の城を建てられた

-- これによって魔王どのの目を盗んで人間界へ忍び込む事はできなくなった……のだが

-- ひとつ問題があった。人間の精や血なくして生きる事の出来無い一部の魔族たちじゃ

-- 彼らに対し、魔王どのは配下に加わる事を条件に、人間界への通行を許可された

-- もちろん、人間の生命や財産を奪う事は厳しく禁止されたが、もとよりそんな不届き者はめったにおらなんだ

-- なにしろ人間界の全ての物は魔王どのの持ち物。それを勝手しようなどという命知らずがそうおるものではない


-- もっとも、誰も魔王どのに挑む者がいなかったわけではない

-- 四天王をはじめ、魔界の実力者たちはもとより好戦家の集まり、魔王どのとは何度となく死闘を繰り広げた

-- 魔王どのは一度たりとも負ける事は無かったが、彼らも魔族、強者への挑戦は比類なき楽しみじゃからな

-- 何度と無く拳を交わしては、徐々に魔王どのと打ち解けあって行った

-- まあ、100年も殴り合えば気心も知れようというものじゃな

-- 特に東方の竜王は魔王どのを気に入ったと見え、何かと言っては挑みに現れる


魔王「うおりゃああああ!!!」バキッ

竜王「ぐっはぁ……………バタッ……くそう!負けだ負けだ!!!」

魔王「はいはい、1521勝0敗、と。全くお前もよーやるよ」

竜王「お前こそまあよくそれだけ強くなったもんだ、まだ勇者だった時にはそれなりにいい勝負だったんだがなあ」

魔王「ま、あの時と比べて身体が違うからな。もっとも魔神になって女神の加護は無くなったが」

竜王「先代だってもうちょっとおとなしかったぞ、ほんとにお前の強さは反則だな、卑怯者だ。」

魔王「なんだよその言いがかり」

竜王「卑怯な手で俺に勝ったお前は、俺に酒でもおごれ」

魔王「それが言いたかっただけか」

竜王「ふん、殴り合いでは勝てずとも、飲み比べでは負けんぞ!」

魔王「竜族の底なしの肝臓と比べられてもなあ……まあいい、もう今日は終わりにすっからちょっと食堂で待ってろ」

竜王「さっさと来いよ」ドスドス

魔王「シェフはおるか!」

魔シェフ「およびですか、魔王様」

魔王「また竜王が来てる、とりあえず残飯でも出しとけ」

魔シェフ「さようでございますか、ではちょうど領内から採れたての野菜が届いております故、お出し致しましょう」

魔王「ふむ、今年の出来はどうかなー、よし、俺もすぐ行く、竜王に先に食ってろって言っといてくれ」

魔シェフ「かしこまりました(仲のおよろしい事で…)」



-- そういえば、大魔道のじい様が心配しておった魔界の飢餓はおとずれずに済んだ

-- 即位した当初こそ人間界からの収入を絶たれた魔族たちが暮らしに窮する事もあったが

-- 魔王どのの産業振興策により徐々に魔界全体にて、食料をはじめ生活必需品の生産量が上がり事なきを得た

-- しかし、これを見て他の実力者も同じ事をするか、と思いきや、ほとんどの者は変わらぬ生活スタイルを貫いた

-- やはり魔界に長年馴染んだ彼らにとっては、ちまちま生産をする、というのは性に合わぬのじゃろうか


-- ともあれ、国は富み、息子も健やかに育ち、魔王どのは強さに陰りすら見せぬ

-- 妾にとっては、この上ない幸せな日々じゃった

-- ただ、時として魔王どのは遠い目をして、悲しそうな顔を見せる事があった

-- 息子が寝付いたあと…竜王とのケンカが終わったあと…ベッドで妾を抱いたあと……

-- その遠い目を見ると、何とも胸を締め付けられるような不安が妾を襲うのであった


-- 200年後 --

ドタドタドタ……バン!!

魔王「竜王!」

大魔道「静かになされ、魔王様、病人の部屋ですぞ」

魔王「す、すまぬ……それで、竜王の容態は!」

大魔道「意識がもどらぬ……もはや………」

魔王「くっ……」

竜王「ま……まおう………か……」

魔王「竜王!!!」

竜王「おまえが……アホみたいにやかましいから……目がさめちまったじゃねぇか………」

魔王「ば……バカヤロウ、呑気に寝てんじゃねーよ!」

竜王「ちくしょう…………お前には………結局いちども……勝てなかった………な」

魔王「な……何言ってんだ、次こそ勝つんじゃねーのかよ!」


竜王「………ははは…さすがにもう無理みてぇだ…………竜族の寿命は500年…………考えてみりゃ長生きしたもんだ………」

竜王「…………戦いの中で死ねなかったのが…………心残りだけどな………俺が強すぎたんだ………しかたねぇ…」

魔王「竜王………」

竜王「…………俺が…………死んだら、多分次の竜王は……青竜のヤツがなるだろう………悪いヤツじゃねぇが……器がちょっとな………」

竜王「魔王……おめぇは………何かわかんねーが……でっかい事を考えてるだろう…………隠してたってわかる………」

竜王「………やりてぇ事があるなら……最後までキッチリやって見せろ…………」

竜王「いいか………竜族にも……他の連中にも……遠慮なんかすんじゃねーぞ……」

魔王「お前………」

竜王「………わかったのかよ……魔王…………」

魔王「わかった……………………必ずやり遂げて見せる、誰が何と言おうとな」

竜王「…………それでいい……魔王ってのはそうじゃねぇとな………じゃあ……わりぃがちょっと眠る………また……な………」


-- 竜王はそのまま目を覚ます事なく逝った。次期竜王は甥にあたる青竜が継がれたようじゃ

-- 親友である竜王が死んでからというもの、魔王どのは更に遠い目をする事が増えた

-- 口数も減り、城の書庫にこもる事が多くなった

-- それでも、仕事が終われば妾にやさしい言葉をかけ、息子の鍛錬を手伝い、良き夫であった

-- 配下の民の鍛錬をはじめたのもこの頃であった。これには配下の者達はおおいに喜んだ

-- 魔王どのの知恵と経験を活かした鍛錬で彼らは大きく力をつけ、前にも増して魔王どのを慕い、敬った。


-- しばらくすると、魔王どのは何かに憑かれたかのように強さを追い求め始めた

-- 魔族たる者、誰しも強さを求めるものではあるが、魔王どのの所業は常軌を逸していた

-- 機械族による身体改造を行ったり、危険すぎると言われる禁呪の封印を解いたり

-- 見目麗しかった魔王どのは、日に日に恐ろしい姿へと変貌していった

-- 見かねた妾は大魔道のじい様に相談したが、じい様は悲しげに首を横に振るばかりであった

-- 息子も何かを知っていたようじゃが、やはり辛そうな顔をして口を閉ざすばかりであった


-- 300年後 --

魔王「魔王妃よ」

魔王妃「どうしたのじゃ?恐ろしい顔をして……」

魔王「今日まで俺によく尽くしてくれた」

魔王妃「何を言っておるのじゃ、妾は初めて会ったその日から、身も心もそなたに捧げると決めておった」

魔王「…………ありがとう………お前のおかげで……俺は…………その、幸せだった……」

魔王妃「照れくさいではないか、一体どうした風の吹き回しじゃ?」

魔王「魔王妃よ、今宵でおぬしとはお別れだ」

魔王妃「な……今なんとおっしゃられた!?」

魔王「明日からお前は息子を連れて大魔道の所に行くが良い。そして二度とここに戻って来るな」

魔王妃「何故じゃ!?我らは永遠の誓いを交わした夫婦では無いのか!何故そのような事を言う!!」

魔王「何も………聞くな………息子には全てを教えた。あとは王子から聞くが良い」

魔王妃「どういう事じゃ!!!何故妾を遠ざける!一体何を考えておるのじゃ!!」

魔王「……………すまない…………」クルッ

魔王「俺はちょっと出て来る、戻りは明日の夜だ。それまでに城を出ておくが良い」

魔王妃「魔王どの!!!!!!魔王どのぉぉぉぉ!!!!」


-- 翌日、わけもわからぬまま息子に連れられて城を出た

-- そして、夜の間に竜族が滅ぼされた事を知った

-- 魔王どのが単身竜の里に乗り込み、主だった者を全て打ち伏せたそうだ

-- 大半が魔王どのの配下として組み込まれたが、最後まで抵抗した数人は魔王どのの手によって屠られたらしい

-- そして、圧政が始まった


-- まずは、四天王の残り三家が次々と攻め滅ぼされ、竜族と同じ運命をたどった

-- 残る実力者たちもまたたく間に打ち砕かれ、魔王どのの軍門に下った

-- 魔界の全てを掌握した魔王どのは、続いて食料や資源を独占し、完全なる独裁を敷いた

-- 民からの不平不満があふれたが、魔王どのの常軌を逸した強さの前には誰も何も言い出せなかった

-- それでも気概のある者が魔王どのに挑んだが、小指の先で叩き伏せられるのがオチであった



-- 400年後 --

黒竜「もう我慢なんねぇ!!いくら魔王つっても、やりたい放題にもほどがあんだろ!!」

火の精霊「まったくだわ、溶岩池まで押さえられてはアタシらはまともに子を育てる事すら出来ないわよ」

機械将軍「ワレラモパーツガ足リヌ、一族ノ危機ダ」

幻魔獣「貴方がたそう喚くんじゃありません、一番心を痛めておられるのは魔王子どのですよ」

魔王子「いや、皆の気持ちは分かっておる、我とて同じ心づもりだ」

魔王子「しかし、我らの誰一人として父上……いや、魔王の圧倒的な強さには及ぶまい」

黒竜「それはそうだけどよ……だからといってただ俺ら魔族の衰退を待つってのかよ!」

幻魔獣「それが嫌なら魔王軍に入れば良いではないですか、連中は好き勝手やってますよ」

黒竜「てめぇ!冗談でも言って良い事と悪い事があるぞ!竜族の誇りを売り渡せってかぁ!」

機械将軍「タチノ悪イ冗談ダ、ドウカトオモウ」

幻魔獣「ならば愚にもつかぬ愚痴を言っていても仕方ないでしょう」

黒竜「てめぇ!!バカにしてんのか!!」

火の精霊「まってまって、アタシらの間で争っている場合ではないでしょ、少し落ち着きなさいよ」

魔王子「全くだ、幻魔獣も冗談が過ぎるぞ」

幻魔獣「いや申し訳ございません」


魔王子「我らは魔王の圧政に対抗するために、互い争うことを封じたはずだ」

魔王子「全ての魔族の未来のために、力が全てという魔族の伝統を捨て、力を合わせる事を誓ったであろう」

幻魔獣「いや、別に私も喧嘩をしようというつもりではなかったのですが……」

黒竜「俺もちょっとカッとなっただけで……いや、すまねぇ、魔王子どの」

魔王子「みな怒りが溜まっておる事はよくわかっている、しかしここは堪えよ」

魔王子「その怒りは魔王、そして魔王軍にこそ向けられるべきものだ」

火の精霊「とはいえ、黒竜の気持ちは痛いほど分かるわ」

火の精霊「現魔王に魔界の資源の大半を抑えられ、皆で力を合わせても民は日々かつかつで食いつなぐのがやっとよ」

火の精霊「その姿を見て、仮にも四天王家の裔として何も出来無いアタシがどれだけ歯がゆいか……」

魔王子「わかっておる。そこでだ、一つ我に考えがある」

黒竜「ど、どんな考えだ!?何でも手伝うぞ!!」

魔王子「それはだな………」

~~~~~~
~~~~
~~


-- 魔王どのの圧政が始まってしばらくすると、誇りを捨てきれぬ魔族の主だった者が反魔王の旗印のもとに集まった

-- 世の者には意外に映ったであろう、その反魔王の急先鋒は、他ならぬ息子の魔王子じゃった

-- はじめは小さな勢力であったが、瞬く間に賛同者が集まり、魔界の一大勢力となった

-- しかし、所詮彼らとて魔王どのの前には全く歯が立たず、ただただ歯噛みをするばかりであった

-- 反魔王の一派は数は増えども、資源や食料を魔王に抑えられているため、ますます逼迫して行った

結局自分達が奪われる側になってこうなるという・・・これも生き物のサガか


-- そんな中、魔王子が反魔王一派の盟主の名において、味方同士で力をもって奪う事を禁じた

-- 当然反発は多数あったが、このまま放置すれば互いに争いあい、反魔王一派が瓦解する事は明白であった

-- 故に、多少の騒動はあったものの、皆仕方なく従わざるを得なかった

-- 今、魔王軍からも反魔王一派からも放り出されれば野垂れ死にするしか無かったからじゃ

-- そして、情勢が整ったとみた魔王子はついに最後の作戦を決行するに至ったのじゃ……

魔王らしく、旧支配者、悪役として討たれる最後を選んだか。



-- 魔界某所 --

勇者「なぜだ……?なぜ魔物たちは襲ってこない……?ここは魔族の本拠地、魔界のハズなのに…?」

賢者「ここは魔王軍の勢力圏ではないからです」

勇者「どういうことだ……?」

賢者「ここは現在魔王に反旗を翻している反魔王勢力の領土です」

賢者「そして、彼らは同じ魔族でありながらも、魔王の圧政によってもはや他人を襲う気力すらない有様です」

勇者「そんな……魔王の脅威は人間界だけではなく、魔界をも苦しめていたというのか………」

勇者「………?待て、賢者、いくらお前が博識だとは言ってもどうしてそんな事まで知っている?」

賢者「…………」

勇者「この100年魔界に渡った者は無いと聞く、その前もあの大穴を越えて魔界に踏み込んだのは先代の勇者のみと聞いている」

勇者「賢者!貴様何者だ!!!」

賢者「そろそろ説明するべき時が来ましたな」

僧侶「そうですねえ、もういい加減良いでしょう」

勇者「なっ!?僧侶!?」

戦士「ようやくこの窮屈な状態から解放されるぜ、全く長かったわ~」

勇者「戦士まで!?」


賢者「まずは勇者殿、これまでの長き旅路において、貴方様を謀った事、深くお詫び申し上げます」

勇者「…………」

賢者「しかし、我ら、誓って貴方に害を為そうとした訳ではございません」

賢者「お腹立ちかとは思いますが、我らのお話を最後まで聞いていただけますでしょうか?」

勇者「…………わかったよ、なんだかわかんないけど、みんなとはずっと一緒にやってきた仲間だしな………」

勇者「話ぐらいは聞くから、さっさと説明してくれ、俺は一体なにをどう騙されてたんだ」

賢者「ありがとうございます。まあ少々長い話になりますが、手っ取り早く核心からお伝え致しましょう」

賢者「私………いや、戦士、僧侶、魔法使いも含め、4人とも本来は魔族でございます」ボゥン!!

魔王子「これが私の本来の姿、とはいっても魔神族は肌の色や角ぐらいしか人間と外見は違いませぬが」

戦士「俺は黒竜」ボゥン

僧侶「私は幻魔獣」ボゥン

魔法使い「アタシは火の精霊」ボッ

勇者「な……………」パクパク

魔王子「そしてもう一人、我らが乗ってきた魔法車……」

ギィィィガシャンガシャン

機械将軍「ソウ、私モ魔族ダ」ウィィィィン


勇者「はぁぁぁぁっ………(ため息)なんだそりゃ………びっくりしすぎてもう言葉がねぇよ………」

魔王子「でしょうな、心中お察しします」

勇者「いやいや、もうお察ししなくていいからとりあえず先を話してくれ……」

魔王子「分かりました」

魔王子「我らは、先ほどお話した反魔王勢力の首魁」

魔王子「私は現魔王の息子、魔王子。とはいっても父とはすでに100年以上前に袂を分かってますが」

勇者「はぁ………そっすか……」

魔王子「そして、こちらの黒竜、幻魔獣、火の精霊、機械将軍は魔界四天王家の末裔」

魔王子「この五人で反魔王勢力を率い、魔王に対抗しています」

魔王子「現魔王は、かれこれ100年以上も圧政を敷き、カクカクシカジカで………」

魔王子「しかし………我らの総力を結集したとて、現魔王の力には遠くおよびません」

勇者「そうか………そこで俺を引き込んだ、ってワケか?」

魔王子「はい……古より勇者には魔王に抗する力があると伝説がありますのでな」

魔王子「その力をお貸し願えれば……と我々は考えました」


-- 数ヶ月前 魔界某所 --

黒竜『ど、どんな考えだ!?何でも手伝うぞ!!』

魔王子『それはだな………』

魔王子『魔王を倒すとなれば、この世界にて最も相応しい者は誰だ?』

火の精霊『………あっ!』

魔王子『そう、勇者だ。勇者を我が陣営に引き込む』

幻魔獣『とは言っても、勇者を探すだけでも一苦労ですよ?』

魔王子『いや、それは大丈夫だ。何故なら父上が若き頃に勇者を氷の棺に封印した』

黒竜『なっ!?』

魔王子『場所も分かっているし、解呪の方法も幼き頃に聞いて知っている』

幻魔獣『しかし、勇者が大人しく我々に協力してくれますか?』

魔王子『今直接言っても望みは薄いだろう。だからまずは魔王の所業を見せつける』

魔王子『魔界同様人間界も魔王のために辛苦を極めていると聞く』

魔王子『まずは勇者と共に行動し、それらを鎮圧しながら魔界を目指す』

黒竜『するってえと……まさか俺ら人間に化けて!?』

魔王子『ああ、ただ、外見を似せるだけでは勇者の女神の加護が反応する可能性がある』

魔王子『そこで、大魔道どのの秘術を使い、完全に魔の気配を封印する』

魔王子『ただし、我らも力は半減するし、一度解ければ人間の姿には戻れない』

火の精霊『じゃあ、勇者を魔界に連れて来るまで人間の姿で居なきゃなんないの~?』

魔王子『そういう事だ、だから相応の覚悟は要る』


魔王子「~~というワケでございました」

勇者「そういう事かよ…………んで?」

魔王子「はて?」

勇者「いやさ、お前らに今まで嘘つかれてたの許す、ってのはなんか心情的に納得いかねーけどさ」

勇者「つーても仕方ない事情があったのは分かったさ。それに考えてみたら、魔界のこの状況をこの目で見なきゃ」

勇者「魔族が2つに割れてるなんて……それも魔王に苦しめられてるなんて与太話、信じなかったかもしれないしな………」

勇者「だからまあ、とりあえず今はその事はおいとくよ、そんで、お前ら俺にどうして欲しいんだ?」

魔王子「勇者どの…………かたじけない。では改めてお願い致します!我らと共に魔王を倒していただけないでしょうか?」

勇者「そりゃあ………当初からそのつもりだったから……まあ別に構わないんだけど………」

勇者「一個だけ聞かせろ、魔王を倒したあと、お前らはどうするつもりだ?」

魔王子「まずは我々で魔界を掌握します。魔王軍と言っても実態は魔王の力無くばただの烏合の衆に過ぎません」

魔王子「これでも魔王の息子、おそらく現魔王を除けば現在魔界ではおそらく最強と言えると信じています」

魔王子「ですから、そこまではすんなり行くハズです。そしてもちろん人間界への侵攻は辞めさせ、兵を引き上げます」

勇者「その後は?」

魔王子「それは、人間たち次第でもあります。私は共生を望んでいますが、これだけの争いを繰り広げた後の事」

魔王子「人間たちからすれば我らと魔王軍、何も違いは無いと考え、敵対されても不思議はありません」

魔王子「その場合は次元の大穴を大軍で封鎖し、人間界との接触を絶ちます」


勇者「………………まあ、終わった後の事は終わった後だな………まだ俺が魔王に勝てると決まったワケでもねーし……」

勇者「でも、ま、もし上手く行ったら、国に戻ってお前らの事を王様に話すぐらいの事はしてやるよ」

魔王子「で、では……!!!」

勇者「魔王に苦しめられてる奴を救うのが俺の使命だ、お前らもそうだってんなら、多分勇者としちゃ一緒に戦うべきだろうからな」

火の精霊「なんだか熱血な割に妙にリクツっぽい勇者様ねぇ~」

黒竜「ま、何にしてもこれでようやく俺らの戦いに光が見えてきたってワケだ、いい事じゃねぇか」

魔王子「ありがとうございます!では、改めてよろしくお願いします!!」

勇者「あ、ああ………よろしくな、なんか……魔族って思ったのと結構違うんだな……」

幻魔獣「もっと好戦的で殺戮や略奪にしか興味が無いとでも思っていましたか?」

勇者「いや、そこまでじゃないんだけど……なんていうか………」

幻魔獣「いえいえ、無理もありません、我々はこの世が出来て以来、戦い以外の交流を持った事が無いんですからね」

魔王子「そうです。しかし、その歴史に新たな1ページを刻むのが…………私の悲願です」

勇者「?まあいいや、じゃあ行こうぜお前ら」


-- 魔王城 --

勇者「いよいよか………」

黒竜「ああ、いよいよだ、頼むぜ勇者」

勇者「ああ、ここまで来たらもうあとは魔王を倒すだけだ…例え、この生命に代えてもな」

火の精霊「でもなんだか複雑な気分ね……人間の勇者と一緒に、本来はアタシたちの王の居城に乗り込むなんて……」

勇者「そうは言うがお前らが一緒に戦ってくれ、って言ったんだぞ」

勇者「どっちみち俺は一人でもココに来るつもりだったんだ」

機械将軍「ソレ、トテモ無謀」

魔王子「…………ちょっと待って下さい」

幻魔獣「どうしました?」

魔王子「少しだけ私に時間をいただきたい、もうそろそろ着くハズです」

勇者「誰が?」

魔王子「…………母上を呼びました」

黒竜「母上……っておめぇ!魔王妃様がココに!!?」

勇者「ま、魔王妃!?それって魔王の………ってそうか、魔王子は魔王の息子………」

勇者「って待てよ、それってどっちの味方なんだ!?」

魔王妃「妾はどちらにも与せぬ、魔王どのは私の大切な夫だが魔王子は大切な息子じゃ」

幻魔獣「ま、魔王妃様!!!」


魔王妃「魔王子よ、久方ぶりであったな、健勝そうで何よりじゃ」

魔王子「母上………ごらんの通り、勇者を連れこの城までやって参りました」

魔王妃「そなたが勇者か」ジィ……

勇者「は、はあ……(なんだろう、この複雑な表情………………)」

魔王妃「あの時の……に勝るとも劣らぬ………」

勇者「え、な、なんて?」

魔王妃「いや、気になさるな。良き面構えじゃ。きっと人間界でも無双の剛の者なのであろうな……」フルフル

勇者「(キレイな人だな………でも………とても悲しそうだ……)」

魔王妃「お主らの考えは分かっておる。妾は止め立てするつもりは無い」

魔王妃「しかし、妾は妻の務めとして、死闘に赴く夫の遺言を聞く義務がある」

魔王妃「故に頼む、しばしの時間を妾にもらえるだろうか」

勇者「あ……は、はい……わかりました……」

魔王妃「感謝する。長くはまたせぬ、しばし待つが良い」スタスタ

パタン


黒竜「なあ……何話してんだろうな……」

火の精霊「分かるワケないでしょ、400年連れ添った夫婦の話なんて」

幻魔獣「連れ添ったといっても、最後の100年ほどはずっと別居してましたけどね……」

機械将軍「見当モツカン」

黒竜「そりゃそうだろうな……おめぇらは結婚って概念がねーだろそもそも」

勇者「(なあ……魔王子よ)」

魔王子「?」

勇者「(お前、まだ何か言ってない事あんだろ、それもアイツらにすら隠してる事がよ)」

魔王子「ドキ(な………)」

勇者「(キョドんじゃねーよ、お前らみたいに何百年の付き合いじゃないけど)」

勇者「(こんだけ長旅を一緒にしてきたんだからなんとなく分かるよ)」

魔王子「(そう……か……………しかし……)」

勇者「(分かってんよ、ここまでまだ隠してるって事は言えないんだろ)」

魔王子「(すまない………今は……終わったら全てを話す)」

勇者「(ああ、それでいいよ、にしてもお前って何だか他の連中よりも人間ぽいな)」

魔王子「(そ、そうですか………それも理由がありますが……後でお話します)」

勇者「(おう、わかった)」

カチャ

魔王子「母上!!!」

勇者「魔王妃さん!!(涙の跡……)」

魔王妃「おぬしら、待たせてすまぬ。魔王どのは奥の間にて勇者どのをお待ちしておる」

魔王妃「雄々しく戦いにて散るは魔族の誉……勇者どの、どうか魔王どのに……最高の戦いを……」ジワッ

魔王子「母上……」

魔王妃「(グシッ)魔王子!何を情けない顔をしておる!父亡き後この魔王城を継ごうという男がそのような顔をして務まると思うか!」

魔王子「は、はいっ……!」

魔王妃「さて、勇者どの、魔王どのはお待ちかねだ、はよう行ってやっておくれ」

勇者「はい、わかりました」

魔王子「では我々も……」

魔王妃「ならぬ」

魔王子「なっ!?」

魔王妃「入るのは勇者どのだけじゃ」

黒竜「ちょ、待ってくだせえ、魔王妃さま、まさか勇者一人を……」

魔王妃「当たり前じゃ!!!」


魔王妃「そなたら魔族の誇りを忘れたか!!魔族の真の戦いは常に一対一で正面からの決闘!!!」

魔王妃「しかも魔王子!そなたが何故このような形で父に反旗を翻しているかは分かっているから責めるつもりは毛頭無いが」

魔王妃「どのような事情であれ己で父を手に掛けたいと申すか!!!」

魔王子「そ、それは………」

魔王妃「ともかく、魔族の頂点たる魔王に挑むとあらばこれは立派な決闘」

魔王妃「魔王どのの妻として、それを汚す者は何人たりとも妾は許さぬぞ!!!!」

幻魔獣「し、しかし……勇者一人では………」

勇者「いや……いいんだ、これは元々俺の戦い、みんなにはここまで着いてきてもらっただけで充分感謝してる」

勇者「俺が一人で行ってくる……」

勇者「みんな、待っててくれ」スタスタ

パタン

魔王子「(父上…………)」


-- 魔王城 玉座の間 --

魔王「(400年か……思えば長かった………)」

魔王「(その間に俺は一体どれほどの命を奪い、奪わせてきたことか………)」

魔王「(ふん……俺のしてきた事はまさに魔王そのものだ………)」

魔王「(しかし………それもようやく終わる………)」

バタン!!

勇者「貴様が魔王か!!!!」

魔王「お前が勇者か、まずは褒めてやろう、よくぞここまで辿り着いた」

勇者「ありがとうよ!お前の息子や、お前が苦しめた魔族たちの協力のおかげでなあ、楽なモンだったぜ!!!」

魔王「ふ、あのような軟弱者どもに用はない、我が求めるは至高の戦いのみ!!」

魔王「(見違えたな……400年前に氷に封印した時とは雲泥の差だ……)」

魔王「(体中に見える傷跡……楽な道では無かっただろう……思い出すな、俺がココに勇者として乗り込んだ時を……)」

勇者「いいだろう、至高の戦いとやら、そして引導もついでにプレゼントしてやろうじゃねーの!!!」

魔王「ふん、大きな口を叩くが少しは楽しませてもらえるのだろうな?」ゴォッ

魔王「(魔王女……本当に済まないことをした…………だが、お前を俺の修羅道に引きずり込むは偲び難かったのだ…………)」

勇者「よし、無駄口は終わりだな、行くぞ!!!!」



勇者「でやぁっ!!!」ガキーン

魔王「甘いわ!!!(そういえば竜王ともこうして何度も殴り合いをしたもんだな)」

勇者「おるぁああ!!」ビュンビュン

魔王「どうしたその程度か!!(思えばアイツの遺言がキッカケだったな……)」カキン!カキン!

勇者「爆炎魔法!!」

魔王「ふん、ぬるいわ!!(それから魔王子、この外に来てるのだろうな………)」ボシュッ

勇者「くそっ硬えなこのやろう!!!」ザシュッ

魔王「うっ(会えぬのは心残りだが……俺は全てを教えこんだ……要らぬ心配はすまい)」

勇者「くっそ、これならどうだ!!!」ビュオッ

魔王「まだまだっ!はあっ!(お前ならできる……新たな魔界の秩序を作り上げる事が………)」ゴオッ

勇者「ぐあっ、やりやがったな!!ならコレならどうだ!!閃光斬り!!」


魔王「ぐっ、だがまだ甘い!!(そして私の真意を知っても着いてきてくれた数少ない魔族たち……)」ボォォ

勇者「あちっあちあちって畜生!回復魔法!!」パアアァ

魔王「させるかっ!!(すでに大半が勇者たちに斃されているのであろうな……)」ビュン!!

勇者「ひぇっ危ねえ!(ヒョイ)今度はこっちの番だ!!」ザシュッ

魔王「くっ猪口才な!!(私の我儘の犠牲にしてすまない……地獄とやらがあればそこで会おう……)」

勇者「くっそ、しぶてぇなこの野郎!これならどうだ、雷撃魔法!!」ビシャーン

魔王「うおおおおおお(本当に強いな……勇者………きっと同じ血筋だ、俺の甥だか何だかにあたるんだろうな……)」

勇者「はあっはあっ、さすが魔王だな、つえぇわ……だがなあ、俺は負けるワケにゃいかねーんだよっ!!!」バシュッ

魔王「くうっ、貴様こそさすがだが、まだまだだ!!!(お主にもすまぬ事をした………)」

勇者「おりゃああああ!!」

魔王「ぐおおおおおお!!(お主にも家族や愛する人や友がいたであろうに………400年もの間氷漬けに……)」

勇者「いい加減往生しやがれ!!!!俺の魔力から何から全部ぶっ込んでやる!!」

魔王「来るが良い!!(だが自分で決めた事だ……いまさら後悔も反省もすまい………良い人生だった…………)」



勇者「魔王!!覚悟!!!」

勇者の稲妻切り!

魔王「グアァァァァァァアアア!!!!」

勇者「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・・・・」

魔王「よくぞ・・・我を仕留めた・・・勇者よ・・・・」

勇者「これで世界に平和が戻ってくるんだ・・・・」

魔王「だが・・・これで終わりではないぞ・・・・・」

魔王「貴様がこれより歩む道は・・・・茨の道となろう・・・・」

勇者「なんだと?」

魔王「しかし・・・・貴様ならやり遂げられうであろう・・・・・・・」

魔王「我は・・・地獄の底から貴様の成果を・・・見守ろうではないか・・・・」

魔王「後の事は・・・魔王子に聞け・・・クッハハハハハハハ・・」ピシッ…ガラガラガラ

現勇者割食いすぎわろた、せめて仲間が本物だったら・・・


勇者「石になって砕け散った・・・魔王の最期か・・・・」

ガタッ

勇者「誰だ!!?」

魔王子「父上・・・・・・・・・・・」

勇者「魔王子、来てたのか・・・・・」

魔王子「居ても立ってもいられなくてな・・・・・・・」

魔王子「父上は・・・・立派に戦って逝かれたか?」

勇者「ああ・・・・・見ての通りだ、俺ももうボロボロだよ・・・」グラッ

魔王子「そうか・・・・・・・・・礼を言う・・・・・・・」

勇者「魔王子・・・・・・・・・・その、なんつーか」

魔王子「いや・・・・お前が悔やむ必要はない、お前は努めを果たしただけだ」

勇者「・・・・・・・」

魔王子「これは我が頼んだ事、そしてひいては父が望んだ事でもあるのだ」

勇者「・・・・?どういう事だ?」

魔王子「話すと長くなる、だが今は時間が無い」

魔王子「今すぐ我は魔界を掌握する必要がある。父上にはその強さ故強烈なシンパも大勢いる」

魔王子「それらを押さえるにはすぐさま動かなければならん」


魔王子「それに、お前も一刻も早く人間界に帰り、魔王討伐の報をもたらしてやる必要があるだろう」

勇者「あ、ああ、まあそうだが・・・・・」

魔王子「あと忘れたわけでもあるまい?お前は我らとの友好について国王に伝達すると約束しただろう」

勇者「あ、そういえばそうだったな・・・・って待てよ、お前こそ終わったら色々話すって言ってたじゃねえか」

魔王子「ああ、それだがな、ともかく今は時間が無い。だからコレを持っていけ」

勇者「手紙・・・・?」

魔王子「一通は我から人間界の国王たちに宛てた親書だ。休戦の打診だな、とりあえず」

勇者「もう一通は?」

魔王子「父上からお前に宛てた手紙だ」

勇者「はぁっ!?」

魔王子「ふふ、お前の驚く顔もいいかげん見慣れてきたな」

勇者「お前らがいちいち突拍子もない事ばっか言うからだよ!どういう事だよ、手紙って!」

魔王子「読めばわかる。とにかく今は時間が惜しい!早く国へ帰れ、勇者よ!!」

勇者「わかった・・・・・・・また、会えるよな?」

魔王子「ああ、当然だ、これから世界は平和になるんだからな」

勇者「そりゃそうだよな・・・・・・じゃ、またな!」

魔王子「おう!!また会おう!!」



-- こうして、世界はようやく本当に平和な日を迎えた………と言いたいところじゃが

-- 魔王子と勇者が再開したのは実にその10年以上あとの事であった

-- 魔王子が望んだ人間界との和平はなかなか成らず、しばらくは次元の大穴を挟んだ冷戦状態が続いた

-- 魔界を魔王子が掌握するのも苦難の連続で、なかなかに時間がかかったのじゃが

-- 人間界が態度を融和させるのには、勇者どのの尽力にも関わらず更にそれ以上の時間が必要だったのじゃ

-- もっともそれはココで語る事はすまい、妾が語るのは魔王どのの物語であるゆえ

-- 妾は、魔王どのの夢見た世界が実を結ぶのを見届けたところで

-- ひっそりと魔界の片隅に隠棲し、思い出のみを糧にこうして魔王どのの物語を記して過ごす事にした

-- そして、いつしか長寿の魔神族である妾にもついに寿命の時が来た………

-- ??? --

魔王「すまねぇな……魔王妃……アッチじゃ随分迷惑を…………」

魔王妃「この………大バカもの!!!」スパーン!!スパーン!!

魔王「ちょ、いて、いててて!!」

魔王妃「バカもの………うええええええええええ」

魔王「ちょ、お前、こんなトコまで来て泣くなよ」オロオロ

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-- CAST --

脚本:>>1

主演:魔王/先代勇者

語り部:魔王女/魔王妃

出演:先代魔王 
   魔シェフ
   側近/魔界城主
   大魔道
   賢者/魔王子
   戦士/黒竜
   僧侶/幻魔獣
   魔法使い/火の精霊
   女将 
   魔族A.B.C
   竜王
   機械将軍 


   勇者


Special thanks:読んでくれた皆様


ぴったり100レスか


-- エピローグ 魔王からの手紙 --

 勇者へ

この手紙は、お主が私を倒した後に、魔王からとして渡すよう魔王子に言いつけてある

魔王からとして、という微妙な言い回しをしたのは、私が魔王であると同時にお主の先代にあたる勇者でもあるからだ

さぞかし驚いたかと思う。祖国では私はおそらく魔王を倒せずに道半ばにして倒れたと思われているだろうからな。

おそらくお主は私の甥か従兄の子供ぐらいにあたる者ではないかと思う。勇者の直系である私は人間界では子を為していないのでな

さて、こうして筆を取ってみると何から話せばよいか、なかなか迷うものだが、まずは謝らせてもらいたい。

400年ほど前、若き勇者であるお主を凍りづけにしたのは私だ。理由は後述するが、誠に済まない事をした

お主にも愛する者や帰りを待つ両親、かけがえの無い友が祖国に居た事であろう。

それを奪った私は何をどう言い訳しても許されない事は分かっている

しかし、これらの行動はもはや勇者の使命ではなく、私のエゴにすぎないので、まあ仕方ないと諦めてもらうしかない

敢えていうならば、全ての人類を守るのに必要だと思ったので、勇者であるお主には犠牲になってもらった、という事だ

さすがに面と向かってそれを責められると辛いので、こうして死後に手紙という形で告白させてもらう事にした。


さて、では何故お主を凍りづけにしたのか、という事をすこし説明する必要があるだろう

実は私は400年前に先代の魔王を倒す事に成功した。しかし、それだけでは人間界の問題は解決しない事がわかったため

祖国に凱旋する事を諦め、新たな魔王として生きる決心をした。

問題だったのは、魔界に生きる魔族たちの倫理観だった。彼らの絶対の掟は「力こそ全て」だ。

力の強い者は、弱いものから奪っても良い、というのが彼らの倫理観なのだ。

つまり、この観念を覆さない限りは、人間が魔族よりも強くならない限りは平和が訪れる事は無いという事だ

しかし、生き物としての土台が違う以上それはいくら人間が技術を発展させようとおそらく難しいだろう

そこで、私は魔界の改革を目指す事にした。しかし、元来が力以外の何一つ信奉しない彼らの事

魔王の座についたとて、一声で彼らの生き様を変える、というわけにはいかないので、私は策を案じた

そのための手順は次のとおりだ。まず第一に、何者も逆らえぬほどの強さを私が身につける事

次に、その力をもって魔界中の資源や食料を独占し、魔族の生活をギリギリのところまで脅かす事

そして、それに対抗するべき勢力を育て、力による支配ではなく"共同体としての魔族"をつくり上げる事

最後に、力の支配の具現者である私が斃される事、だ。


第一の条件は、大魔道という魔界随一の魔術師や、その他多数の魔族の協力を仰ぎ手に入れた

第二の条件は、その力をもってすればさほど難しいことでは無かった。想定していたよりはるかに早く事が進んだ。

第三の条件は、息子の魔王子に託した。彼は私が人間としての倫理観を強く教えこんだため、私の思想の第一の体現者となってくれている。

そうそう、虫の良い願いではあるが、お主らが良き友となってくれる事を私は願っている。

そして、第四の条件、それがお主だ。魔界でも突出した強さを手に入れた私を倒すのに最も効率的な方法は、勇者に討たせる事だ。

しかし、先述したように、第三の条件までが揃っていなければ意味が無い。それにはそれなりに時間がかかる。

私が魔界で誰も及ばぬほどの強さを手に入れるのに約100年

そして、その力で圧政を敷き魔界中から搾取を繰り返して「奪い合っていれば共倒れになる」という状況を作るのに100年かかった

また、魔王子が「力による搾取」の弊害を皆に納得させ、魔族による互助関係を作り上げるのにも随分と時間がかかったようだ

その間、君に出てこられては話が非常にややこしくなるので、申し訳ないが氷漬けにさせてもらった、というわけだ。

乙!


ここでお主は疑問に思ったかもしれない。第一の条件に100年、第二、第三の条件に100年かかったというなら

何故自分は400年も氷漬けにされたのか?と。

これについては実のところ何と言われても弁解のしようがない。ただ私が逡巡していただけなのだ

魔界に乱を起こす事をためらった、とか、人間界への侵攻を元勇者として決心するのに時間がかかった、などと言えば聞こえは良いが

お主が故郷の地で氷漬けになっている間に、私は先代魔王の娘と契を交わして子供までもうけ

友人の魔族たちと幸せな日々を謳歌していたのだから、申開きのしようもない。

ま、こればかりは何を言われても仕方ないので、文句があるならばあの世で聞こう……と言いたいところだが

あの世などという場所があるならば、きっとお主は天国に行くだろうが、私は間違いなく地獄の底だ

残念ながらこれは私の逃げ切りという事になるな。申し訳ない。


ところで、私がお主に手紙を書いたのは、一つはお主の人生を台無しにしておきながら

何も説明が無いというのではあまりに非道であろう、という私の考えからだ。

もちろん誰かに説明を託す事もできたが、このような残酷な事実を面と向かってお主に告げるという役割を

誰かに課すというのも無体な話だ、と思い、私自身が筆をとることにした。

(何しろ、この話を聞かされてお主が怒り狂わないとは思えないのでな)

しかし、用件はそれだけではない。ここから先はお主の使命にも関わる事だ

私は人生を賭けて、魔族の倫理観を突き崩す萌芽ぐらいはなんとか作れたと思っている

その芽を育てるのは魔王子の役目だ。私の教育が間違っていなければ、息子は着実にその芽を大木へと育ててくれるだろう

残る問題は?そう、人間界だ。人間界は長年に渡る私の侵攻により、かなり疲弊しているだろう

当然ながら魔族に恨みを、それも身を焦がすほどの恨みを抱えた者も少なくないハズだ。

しかし、それでも魔族との戦いを選ぶのは、全くもって間違いである、と私は断言できる。


仮にも人界最強の存在である勇者から、魔界最強の魔王へと転生した私には身に沁みて実感できるのだが

魔族というのは、人間が力で抗うにはあまりに強大な存在だ

私やお主は勇者として女神の加護という物があるから魔族にも容易に対抗できるが

普通の人間には決して抗いえない程の力を持つ存在、それが魔族だ

それが分かっているからこそ、私はこんな面倒な手間をかけて魔族の意識改革に着手したのだ。

つまり、何が言いたいかというと、お主には人間側の和平の使者としての役目を頼みたい。

魔族というのは元来が好戦的な生き物だ。人間側から喧嘩を売れば、嬉々として買うだろう。

それはいくら魔王子が抑えると言ってもなかなかいつまでも手綱が保つとは思えない。

今できるのは魔族の側からちょっかいを出さないようにする、という所までだ。


当然その道程は茨の道となるだろう。

場合によっては人類から裏切り者と呼ばれるかもしれない。

しかし、真の勇者たるお主ならば、きっといつかやり遂げてくれると信じている。

お主の頭のデキの方も私は知らないが、私の血縁なのだからそう愚かでも無いと思っているので

お主が、和平以外に人類の未来が無い事も理解できていると信じている。

どうか、勇者の使命として人類の未来を切り拓いてもらいたい。

私との死闘のあとに、このような重い願いを託してすまないが、これも勇者の宿命と思って諦めてくれ。

ちなみに、この手紙の内容は公開するもしないも自由だが、この内容を魔族側に知られると

あまり良い影響が無いと思われるので、お勧めはしない。信頼の置ける者に見せるのは自由だ。

そして最後に。

きっとお主は堂々と戦って私を倒してくれたことであろう

魔族としてこれ以上の誉れは無い。心から礼を言う。

お主の未来に幸あらん事を。

                -- 魔王より


勇者「あんっっっっっっっっっっっっの・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

勇者「クッッッッッッッッッッッッソ魔王ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

勇者「てめえええええええええもっかい地獄から戻ってきやがれえええええええええええ!!!!!!」



~ fin ~

以上、かわいそうな勇者の物語でした(笑)
読んでいただき、ありがとうございました。

100レスを超えるSSをちゃんと完結させたのは初めてで
投下速度などイマイチ分からないままやってみましたがいかがでしたでしょうか…

大事なところでしょーもない誤字などがあったり
個人的には反省点多数ですが、感想などいただければ次回に活かしたいと思います

質問その他あればお答え致します



400年前の勇者が今さら和平の手紙とか持って戻っても魔物が化けて何か企んでるとしか思われなくね?
見知った人間がほとんどいない状況で一人で人間側意識改革とかハードモードすぎんだろ・・・

>>123
ありがとうございます


そういえば勇者側の部分、あまり描写が無いので分かりにくいですね
一応勇者は人間界でパーティメンバーと一緒に、普通のRPGぐらいの冒険はして世界を回っているので
人間界では「400年前から氷漬けにされていた勇者が蘇って世界を救っている」という認識になっています。
もうちょっと現勇者の方の描写もするべきでしたねえ・・・

乙。面白かった。

なるほど、それなりに目立つところで冷凍されて解凍後に王に挨拶しに行ったりはしたのね
ということは仲間は戦死扱いになったのか・・・




こんなに短いのに、今まで読んだ最高のまおゆう物と比べても遜色ないくらい、個人的に面白いと思った。
次を書くときは過去作も書いといて欲しい。

>>125
ありがとうございます

>>126
そうですね。本当は幼馴染が氷漬けになった勇者を見て悲しむシーンなんかも考えてたんだけど
魔王女だけで充分悲しい話になってるんでやめておきました。
仲間はまあ・・・戦死扱いにするしかないでしょうねww

>>127
ありがとうございます、実はロクに今までちゃんと完結できたSSが無いんです(笑)
唯一完結してるのが 魔王「もういい加減ネタ切れじゃね?」っていう短編なんですが
ココじゃなくてVIP+に書いた上に、転載禁止騒動なんかもあってあまりまとめられてないんです・・・w

今更気づいた。
CASTに幼馴染と武器屋防具屋が入ってない・・・・orz


面白かったし読みごたえ抜群な作品だったな…

乙!!
めっちゃ良かったわ また書いてくれよ(о´∀`о)

>>131
>>132
ありがとうございます!
次のネタ考えたらまた頑張りますー!

しかしCASTはキモい

>>134
きっとコピペだよ(震え声)
これから流行るかもね(小保方さん並の感想)

>>134
ああいうのはあまり良くないですか・・・
エピローグの前に一旦終わった感を出したくて入れてみたんです

良い意味でスレタイ詐欺だったwwww
乙でした、楽しませてもらったよ

黙って書けよ

内容が無いようなSSよりマシだろ 乙乙

乙乙
castはコピペにされてもおかしくないレベルだったが内容は良かった

>>139
ハハッ、ワロス

皆様感想ありがとうございます。

CASTの件は………今後気をつけます///

ファンタジーもののCASTとか個人的に結構好きだけどな
何か映画っぽくて終わった感じがする


なにはともあれ>>1
次回はコメディ色強めでやってみてほしい

これはコピペ化


コメディかと思ったら、シリアス?になった上に、面白かった件について
CASTが有ったら>>1のSSだと判断すればいいわけだな

キャストとかwwwwwwwwwwww
キモすぎて反吐が出たわwwwwwwwwwwwwwwwwwwww






……………………とても面白かったです。乙

キャストきらいじゃないよ
面白かったおつ

キャスト良かったけどな。雰囲気に合ってたよ。

次回作待ってる。

スレタイから想像も出来ない流れだった


乙!!キャスト別に良くね?
ストーリーが一貫してるし面白かったわ

欲を言えば魔王妃とのいちゃいちゃももっと見たかったな

すごく面白かった。>>1乙!

次から名前欄にキャストって書いてな

おはようございます、皆様感想ありがとうございます
コメディはなんだか難しいんですがそのうち挑戦してみます
CASTがそこまで(悪い方に)ウケると思ってませんでした・・・・・・

次何か書くときはそう名乗りますwww

そんなの真に受けるなよ…

名前欄はトリップだけでいいんだよ
無駄なのしてんじゃねーよ

おつ

>>154
お前こそそんなの真に受けるなよ…

乙!!
最後の戦いで最初のシーン出てきたのが興奮した

機会将軍はトランスフォーマーみたいなイメージですかね?(魔法車に変形した?のを見て)

ここまでよく練られた設定の作品はなかなかないぜ


CAST演出は後半の語り部魔王妃とマッチしてよかったと思うし
タイトル詐欺気味でありながらストーリーがよく正直詐欺られてよかった

ただ1つ難を言うなら、終わってから作者がしゃべりすぎだと思った
まぁ雑談が悪いと言うつもりはないがあくまで個人的感想ってことで

魔王はわざとやられたってことか?

元勇者の魔王も勇者だった頃に先代魔王に氷漬けにされてたってことか?

>>160
ある意味全力だったんじゃない?
加護がチートなだけで

>>161
そこは違うでしょ
魔王になったほうの幼馴染は現代に生きてたわけだし

乙でした

こんな名作が埋もれてたとは
とても良いものを見させてもらったよ

名作age

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