宥「玄ちゃん、起きてー」(45)
準決勝翌日 玄・宥部屋
宥「玄ちゃん、起きてー」
玄「うーん、あと1週間……ぐぅぐぅ」
宥「どうしよう、玄ちゃん全然起きないや……」
ドンドン
晴絵「おーっす!二人とも起きてるかー?入るぞー」
ガチャガチャ
晴絵「あれ、開かない?」
カチャ
宥「オートロックですから鍵を開けないと無理ですよ」
晴絵「はっはっは!そういえばそうだったな!それより玄はまだ寝てるのか?」
宥「はい、珍しくまだ夢の世界にいます。いつもなら私より早起きして起こしてくれるのに……」
晴絵「何ィ!?今日は玄のためにわざわざドラゴン復活の儀式をするんだぞ。たるんどる!喝だ喝!」
灼「穏乃と憧達もまだ寝てるけどね」
宥「あ、おはよー灼ちゃん。」
灼「おはようございます、宥さん」
玄「うへへ……今度こそ宮永さんからたくさん和了ってみせますのだ……ぐーすかぴー」
灼(寝言?)
宥「あ、玄ちゃん涎垂れてる……」
晴絵「ほら玄、目を覚ませー」ペチペチ
玄「ぐぅぐぅ」
灼「熟睡してるね」
晴絵「この程度じゃ起きないか〜。仕方ない、灼あれを用意してくれ!」
灼「アレだね。わかってるよハルちゃん」ヨッコラショ
灼「はい、準備OKだよ」
宥「何ですかそれ?」
晴絵「赤五筒だ。これを玄の口の中に入れて起きるか試してみよう!」
宥「牌がかわいそう……」
晴絵「ほら、口を開けるんだ」ソーッ
玄「はっ!」ゾワッ バッ
灼「あ、起きた」
玄「なんだかものすごく嫌な予感がしたよ……ってあれ、赤土さんと灼ちゃん。どうしてここに?」
晴絵「まったく……ミーティングの時間だっていうのに全然集まらないからわざわざ私が起こしにきたんだぞ」
玄「ミーティング?」
晴絵「そうだ、主に玄のドラ復活についての会議だが」
宥「玄ちゃん覚えてないのー?昨日、赤土さんがあれだけしつこく言ってたのに」
玄「ドラ復活……うっ、頭が」
晴絵「まぁ玄は起きたしもういいや、次は憧達を起こしに行こうか」
灼「そうだね」
玄「うぅ、ドラ復活と聞いていいおもいがしないのは何故だろう……」
宥「玄ちゃん、置いてくよー?」
玄「あ、待ってお姉ちゃん!」
穏乃・憧部屋
穏乃「すぴー」
憧「あっ、ダメよしず!ここじゃ他の人に見られるわ!……すぅすぅ」
ドンドン
晴絵「おーい、お前らまだ寝てるのかー?入るぞー」
キィッ
灼「あれ、何で穏乃達の部屋は鍵閉まってないんだろ」
玄「そういえば前に私が起こしに行った時も鍵は開いてたような……」
宥「壊れちゃってるのかな?」
晴絵「ラッキー、いちいちフロントに鍵借りずに済んだわ!ほれ、乗り込むぞ!」
宥「おー!」
穏乃「zzz」
憧「しずぅ……zzz」
晴絵「ほら、二人とも起きろー」ペチペチ
穏乃「うーん……もうお腹いっぱいだよー……ぐうすかぴー」
憧「んんっ、もっと私をいじめてしずぅ!……むにゃむにゃ」
玄(何の夢見てるんだろ)
晴絵「起きる気配はなし……この寝坊助さん共め。若いんだから規則正しい生活を送らないとダメだろ!」
晴絵「しょうがない、今回も強制的に起こすか。灼あれを用意してくれ」
灼「アレだね。了解」ドッコイショ
灼「はい、準備OKだよ」
宥「それは――目ざまし時計?」
晴絵「あぁ、いたって普通の目ざまし時計だ。5個も用意すりゃ起きるだろ」
玄「……」
晴絵「ではアラームをセットして、と」
ジリリリリリリリリリリ!!!!!
穏乃「うわぁ!」ピョーン
憧「ちっ……何よ(今夢の中でしずと)いいところだったのに」
晴絵「お前ら今何時だと思ってるんだ!?ミーティングの時間はとっくに過ぎてるぞ!」
穏乃「あ、ホントだ。すみません!寝過ごしちゃいました!」
憧「……」ツーン
晴絵「よしよし、しずはちゃんと謝って偉いぞ」
憧「ふんっ……反省してまーす」
晴絵「こらっ憧、何だその態度は!皆お前を待ってたんだぞ、ちゃんと謝るんだ!」
憧「え〜っ、だって今日のミーティングって玄のドラ爆体質復活の儀式でしょ?」
憧「あたし今日はしずと和の応援に行きたかったし」
玄「ゴメンなさい……」
晴絵「まぁ、憧が和の応援をしたい気持ちもわかる。でもな、私達はチーム一丸でここまで勝ち上がってきたんだ」
晴絵「その仲間を見放してまでお前は他校の応援をしに行くのか!?見損なったよ」
灼「ハルちゃんの言うとおりだよ。憧、謝罪して」
憧「……ゴメン。寝起きでちょっと機嫌悪かったわ」
憧「ほら、とっととミーティングして玄のドラ支配を復活させるわよ!」
玄「憧ちゃん……」ウルウル
晴絵「わかってくれたか!よし、早速ミーティングを開くぞ!」
全員「おー!」
穏乃「で、玄さんのドラを復活させるにはどうすればいいんですか!」
玄「やっぱり今まで通り地道に何局も打って復活させるのが一番かと」
晴絵「それじゃあ間に合わないなぁ」
玄「えっ」
晴絵「玄はドラが復活するまでに打った局を覚えてる?」
玄「忘れました」
晴絵「そう、忘れるくらい局数をこなしてきたんだ。しかし決勝戦までに残された時間はあとわずかだ」
晴絵「従来のやり方じゃNot on timeなんだよ!」
玄「そんな……」
晴絵「安心しろ玄、そんな時のために私が新しいドラ復活の儀式を考えてきたぞ!」エッヘン
玄「ほ、本当ですか……!」
灼「流石ハルちゃん、今世界で一番輝いてるよ」
宥「赤土さんは準決勝以降ものすごーく頼れる存在になりました」
晴絵「よせよ、照れるじゃないか///」
穏乃「それでそれで!その新しいドラ復活の儀式って何ですか!?私ちょー気になります」
晴絵「ふっ、今回は……これだ!」ドンッ
玄「こ、これは……!!」
玄「"お母さんに手伝ってもらう"……?」
晴絵「そう、玄と宥のお母さんに手伝ってもらうのが今回ドラ復活のための重要なファクターだ!」
宥「一体どういうことですか?私達のお母さんはもう――」
晴絵「まずは落ち着いて聞いてほしい、玄!」
玄「は、はい!」
晴絵「そもそも玄の手配にドラが集まるようになったのはどうしてだ?」
玄「え、えっと、確かお母さんに『玄はもう少しドラを大事にしなさい』って言われて、手にドラが来るたびにそれを思い出しちゃって」
玄「子供のころから手役よりドラを大事にしてたらいつの間にかドラが多く来てくれるようになったから……かな?」
晴絵「そう、それこそがドラ復活のための大切なメッセージだったんだ」
宥「?」
穏乃「よ、よくわかりませんよ赤土さん!」
晴絵「そもそも玄にドラを持ち続けろと指示したのは誰だ!そう、お前達のお母さんだ」
晴絵「つまり、お母さんがドラ復活について何か知ってる、もしくは鍵を握ってるかもしれないんだ!」
玄「な、なるほど……!」
憧「待った!」
晴絵「?」
憧「晴絵の言いたいことはなんとなくわかったけど……どうやって既に亡くなった人と会話するのよ!」
憧「それが出来なきゃ話は進まないじゃない!」
穏乃「確かに……」
晴絵「まぁそう慌てるなって。今回はその道のスペシャリストを呼んできたぞ!」
宥「スペシャリスト?」
晴絵「では先生方、登場してください!」
玄「ゴクリ……」
霞「あらあら、何だか賑やかね」
初美「初めましてですよー」
春「……」ポリポリ
小蒔「すぅ……すぅ……」
巴「姫様、登場する時くらいは起きてくださいよ」
灼(巫女さん?)
玄「あ、あなた達は!!」
玄「……誰ですか?」
憧(巫女……おっぱいお化け……第3シード――はっ!)
憧「思い出したわ!確か2回戦は余裕って豪語してたのに、いざ戦ってみると和達にあっさり敗北した永水女子の方達よ!」
霞「……」
初美「……」
穏乃「そ、それでこの人達と玄さんのお母さんはどんな関係が……?」
晴絵「お、いいとこに目をつけたな!」
晴絵「ではここで問題です。巫女といえば何でしょう?はい、しず!」
穏乃「巫女かぁ……巫女といえば憧かな?憧の家もたしか神社を営んでるよね」
穏乃「憧の巫女さん姿すごく可愛かったよ!」
憧「な、何言ってんのよ、ばかしず///」
穏乃「えーホントのことなんだけどなぁ」
憧「……///」カァー
晴絵「うーん、私が求めてた答えとは違うなー。じゃ次は宥!」
宥「はい。……そうですね、巫女といえば衣装が私の好みです」
宥「ドラマCDのジャケット撮影中、穏乃ちゃん達の巫女姿をみて凄くあったかそうだなーと思いました」
灼(もうそれ答えじゃないじゃん、感想だよ……)
晴絵「それも私が期待してた回答じゃないなー」
玄「あ、わかりました!たぶん口寄せじゃ――」
晴絵「ま、いいや。時間ないし次に進もう」
玄「えぇ……」
晴絵「巫女といえばそう、口寄せだ!」
玄(当たってたのに……)
憧「なるほどね……」
穏乃「口寄せって何?口を寄せあってちゅーでもするの?」
憧「違う違う、口寄せってのは生者または死者の霊や神霊を呼び寄せ、その意思を言葉で語ることよ」
憧「東北地方ではイタコって呼ばれるらしいわね」
穏乃「ふーん、憧は物知りだね!」
憧「まぁこれでも一応神社の家の子&偏差値70の優等生だしね。こんなの朝飯前よ!」
灼「あれ?憧、携帯の画面にyahoo辞書が映ってる――」
憧「な、何勝手に覗いてるのよ!」
晴絵「おいお前ら、私の説明がまだ終わってないのに騒ぐんじゃない!」
穏乃「ご、ごめんなさい……」
晴絵「ゴホン……えー、話を戻すがこの永水女子の方々が玄のお母さんの霊を呼んでくれるらしい」
玄「お母さん……また会えるんだね……」グスッ
晴絵「よかったな玄!これでドラは復活するし、お母さんとまた会話できるし一石二鳥だな!」
玄「はい!ありがとうございます!」
宥「はやくお母さんに会いたいな〜」
晴絵「では先生方、あとはよろしくお願いします!」
初美「うぅ、ボロクソに紹介されるわ放置されるわで私達の扱いがひどいと思いますよー……」
玄「すみませんでした!では、はっちゃんさんよろしくお願いします!」
初美(何で私の名前を知ってるですかー?)
霞「では始めましょうか」
霞「小蒔ちゃん、起きなさい。こーまーきーちゃん」
小蒔「うとうと……はっ!ご、ごめんなさい少し寝てました……」
霞「えーっと、今回呼ぶ霊は松実露子さん……でよろしいのですね?」
玄「はい!」
霞「じゃあ小蒔ちゃんお願いできるかしら?」
小蒔「はい、そのお方ですね」
小蒔(あれ……"つゆこ"と"ろこ"どちらで読むんでしょう……)
小蒔(うーんと……あっ、この方の魂でしょうか……うとうと)zzz
憧「ふーん、何か私が想像していたのと違ったわ」
穏乃「え?」
憧「いや、こういうのってカーテン締めて真っ暗な空間にしたり、蝋燭を並べるもんだと思ってたわ」
穏乃「確かに」
憧「寝るだけで降霊させれるなんて、なんだか便利な世の中になったわね」
灼「何でもかんでも単純化するのはよくないと思う……そこに伝統的な習わしがあるならなおさら」
宥「……」
初美「そろそろきますよー」
玄「お母さんにまた会えると思うと緊張してきたよ……」
宥「……」
カッ
小蒔「……」
霞「どうやら成功したようね……」
玄「お、お母さん!私だよ、玄だよ!会いたかったよぉおおお!!」ダキッ
霞「……私じゃないわよ」
玄「あ、あれ……?これは大変失礼をば!」
玄「では改めまして……お母さん!会いたかったよぉおおおお!!」ダキッ
小蒔「く、玄……ちゃん……!!」
玄「何、お母さん?」
小蒔「私お母さんじゃないよ……お姉ちゃんだよ……!」
玄「へ?」
穏乃「た、大変です!宥さんが息してません!」
宥「」ポックリ
小蒔「うぅ、私はこっちだよ〜……助けて玄ちゃーん……」
霞「あらあら」
初美「もしかして姫様、呼ぶ人を間違えちゃったですかー!?」
春「……姫様、うっかり屋さん」
巴「やり直しですね」
玄「お姉ちゃあああああああん!!」
永水分からないとかこのクロチャーは偽者か
10分後
宥「はぁはぁ……すごくキツイ……」
玄「だ、大丈夫お姉ちゃん?」
宥「う、うん……でも体に戻る途中お母さんとお喋りしてきたよ」
玄「え?」
宥「えっとね、何だかすごく綺麗な所にお母さんがいてね。まだ宥はここに来ちゃ駄目だって……」
宥「私にはよく意味がわからなかったけど、お母さんと話せて今すごく嬉しいのー」
玄「うわわ、お姉ちゃんあっちの世界に片足突っ込んじゃってたよ!危ないところだったよ!」
初美「準備が出来ましたよー。再開するので皆さん集まってくださいー」
>>24
え、阿知賀と永水って面識あったっけ?
小蒔「さ、先程はすみませんでした。今度こそ全力以上であたらせてもらいます!」
宥「もう私とお母さんを間違えないでね」
小蒔「もちろんです!」
初美「ではいきますよー。姫様、お願いします」
小蒔「はい!……うとうと」
カッ
小蒔「……」
霞「今度こそ成功ね……」
玄「お、お母さん……?」
小蒔「……久しぶりね、玄」
玄「この声……本当にお母さんだ!うわぁあああああん、会いたかったよぉおお!」ダキッ
小蒔「ごめんね……私だけ先立っちゃって……」
玄「寂しかったよぉ!再びこうやって会えるなんて思わなかったよおおお!」
小蒔「よしよし……」
宥「お、お母さん……」
小蒔「宥もこっちにいらっしゃい」
宥「う、うん」
小蒔「寒がりはなおった?元気に過ごしてる?」
宥「えへへ、寒がりはまだ治らないの。でもお父さん、玄ちゃん、私の三人で毎日楽しく過ごしています」
小蒔「そう、それはよかった」
穏乃「お母さんと感動の再開かぁ……なんかいいね」
憧「玄も宥姉も久しぶりにお母さんと会えて嬉しそう……」
晴絵「うぅ、ひっく……ぐすっ」
灼「ど、どうしたのハルちゃん!?」
晴絵「いやぁ、私も年をとると涙もろくなってね、こういうのに弱いんだよ。まったく嫌になるよ!ちくしょう!」
晴絵「良かったなぁ、玄、宥!」
巴(霞さん、そろそろ姫様の体力が……)
霞(もってあと1分ってとこかしら……)
霞「コホン」
玄「?」
霞「えー、感動的再会の場面に水を差すようで悪いけど、そろそろ時間よ」
玄「も、もう時間ですか……」
霞「用件があるのなら早く聞いておかないと、お母さんの魂は再び死後の世界に戻ってしまうわ」
春「あと30秒……」ポリポリ
晴絵「おい玄!急いでドラ復活の鍵について聞き出すんだ!」
玄「そ、そうだ!お母さん!」
小蒔「?」
玄「私ね、お母さんの言われた通りにドラを大切にしてきたよ!」
玄「でも昨日の試合でやむなくドラを手放しちゃったんだ……」
玄「お母さん、私はここまで頑張ってきた皆のためにも明日はなんとしてでもこの能力を復活させて決勝戦に臨みたいんだ!」
玄「どうか力を借してほしいのです!お願いします!」
宥「玄ちゃん……」
小蒔「……安心して、玄」
玄「えっ」
小蒔「これからは私がずっと見守ってるから、きっと本番でもドラ支配は大丈夫よ」
玄「お母さん……」
小蒔「……そろそろ時間ね」
小蒔「今日は少しだけだけど、久しぶりに玄、宥と喋れてお母さん嬉しかった」
宥「私もだよ、お母さん」
玄「……いやだ」
宥「えっ」
玄「まだ全然話し足りないよ!もっとお母さんと喋りたかった、甘えたかった!」
玄「できることならまた皆と一緒に過ごしたいよ!あの頃のように皆で笑いあいたいよ!!」
宥「玄ちゃん……」
小蒔「我儘言うんじゃありません。こうやって会話できたこと自体あなたはものすごく幸運なのよ?」
小蒔「だからここにいる皆さんに感謝しましょう」
小蒔「皆さん、今日は本当にありがとうございました……ほら」
玄「うぅ……」
小蒔「ちゃんとお礼が出来ない子はドラ支配の能力も復活しませんよ?」
玄「ぐすっ……ありがとう……ございました」
小蒔「ふふっ、成長したね――明日頑張ってね。応援してるわ」
玄「うん……またね、お母さん」
春「3、2、1……終了」
小蒔「う、うーん……」ポフッ
霞「小蒔ちゃんもお疲れ様」
玄「………………」
憧「玄……」
宥「憧ちゃん、玄ちゃんはしばらく一人にさせてあげよう」
宥「今まで家のことは勿論、部室のお掃除とか一人で背負い込んでいろいろと溜め込んでたと思うの……」
宥「玄ちゃんには気持ちを整理する時間も必要だから、ね」
憧「……そうね」
灼(家事は宥さんも手伝えばいいんじゃ……)
霞「では私達はそろそろ失礼しますね」
晴絵「あぁ、今日は助かったよ。あの娘達を代表して礼をいうよ。ありがとう」
霞「いえ、これも巫女の勤めですから……」
巴「明日の決勝戦、頑張って下さい」
春「……」ポリポリ
小蒔「zzz」
初美「さよならですよー」
バタンッ
霞「はぁ、今日はなんだか疲れたわねぇ……私も年なのかしら」
初美(自分で言ってやがるですよ)
霞「あら、はっちゃん。何か言いたげそうね」
初美「な、何でもないですよー!」
霞「うふふ」
小蒔「むにゃむにゃ……はっ!す、すみません少し寝てました!」
春「姫様が起きた……」ポリポリ
小蒔「あれ、ここは一体……」
霞「お勤め御苦労さま、小蒔ちゃん」
巴「今日は2回も体に魂と霊を宿らせたから大きく負担がかかってるはずなんですが」
小蒔「うぅ、体が重いです。それにお腹も空きました……」
霞「あら、もう晩御飯の時間じゃない」
霞「今日は外食で済ましましょうか」ポンッ
春「賛成……」ポリポリ
巴「いいですね。姫様、何か食べたいものはありますか?」
小蒔「はい!私は東京に来たら絶対食べようって決めてたのがあるんです」
霞「何かしら、気になるわね」
小蒔「はいザギンのシースーです!シースー!」
春「シースー……?」
霞「銀座の高級寿司のことよ、はるちゃん」
春「ふーん……」ポリポリ
初美(霞さんがいうと婆臭いですね)
霞「?」
巴「え、でもお金はどうするんですか?流石に私達のお小遣いじゃそんなの頼めませんよ」
霞「大丈夫よ、今回は貸しがあるから」
小蒔「?」
―――
――
―
再び阿知賀
玄「うん、もう大丈夫だよ!皆今まで心配かけてゴメンね」
穏乃「ほんとに大丈夫なんですか玄さん、無理して私達に合わせなくてもいいですよ?」
玄「ありがとう穏乃ちゃん、でもいつまでもくよくよしてるのも私らしくないからね」
玄「阿知賀のドラゴンロード松実玄、ただいま復活です!」
宥「お帰り、玄ちゃん」
玄「うん!」
晴絵「……あれ、玄。お前ドラ爆体質戻ってないか?」
玄「え?赤土さんわかるんですか?」
晴絵「もちろんだよ!それに前よりなんか強くなってないか、お前?」
憧「強いって……そういうのわかるものなの?」
晴絵「あぁ、私くらいのレジェンドクラスになると他人のオーラが見えるんだ」
灼「ハルちゃんかっこいい……!」
宥「お母さんのおかげかな?」
晴絵「よしっ、玄のドラ復活祝いにお寿司でも食いにいくか!」
穏乃「やたっ!」
憧「まぁ晴絵のことだから、おそらく安い回転寿司だろうけど」
晴絵「正解〜!明日に備えてしっかり体力つけとけよ!」
穏乃「へへーん、コンベアに回ってるお寿司全部食べてやる!私の胃袋は宇宙だ!」
晴絵「はっはっは!元気があって大変よろしい!」
穏乃「元気があれば何でもできますからね!この調子で明日に臨みましょう!」
全員「おー!」
―――
――
―
そして決勝戦を迎え……
針生『さぁインターハイもついに最終日です』
針生『準決勝では強豪・千里山、新道寺を破り堂々の一位通過を果たした阿知賀女子』
針生『決勝でもこの勢いに乗れるのか非常に楽しみです』
三尋木『そうだねぃ……おや、ドラ爆娘ちゃん今日は一段といい顔してるね』
三尋木『これは宮永照相手でもなかなかいい勝負ができるんじゃない?知らんけど』
玄「会場も変わるとなんだか雰囲気が違うなぁ……」
照「……」ペラペラ
玄(宮永さんは相変わらず本読んでるし……)
玄「うぅ、ギャラリーも倍以上増えて何だか緊張してきたよ……お姉ちゃん、どうしよう……」
――玄
玄「この声は……お母さん?」
――落ち着いて、お母さんが見守ってるから
玄「そうだ……今日はお母さんも見守ってるんだ……」
玄「こんな情けない姿を見せるわけにはいかないよね!」
玄「お母さんに格好悪いところ見せないように頑張るよ!」
玄「見ててお母さん、今日こそは宮永さんからたくさん和了ってみせるから!」
針生『まもなく先鋒戦、スタートです!』
おわり
おまけ
阿知賀控室
穏乃「ゴーゴー!玄さーん!!」
憧「少しは落ち着きなさいよ」
コンコン
晴絵「ん?お客さんかな……はい、どちら様ですか」
春「……」ポリポリ
晴絵「何だ永水女子の娘じゃないか。どうした、何か用?」
春「……これ」ポリポリ
晴絵「?」
春「確かに渡したから……じゃ」ポリポリ
晴絵「えーっと、何々……は?昨日のアレお金とるの!?」
晴絵「まぁ、ボランティアでやってくれるほど世の中甘くないか。で、金額はいくらだ……」
晴絵「――えっ」
おわり
訂正:インターハイ最終日→○インターハイ団体戦最終日
おつおつ
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