勇者「魔王は一体どこにいる?Ⅰ」(656)
勇者「魔王は一体どこにいる?」のリメイクです
読みにくい部分の手直しと
つじつまの合わない内容を加筆修正した物です
内容に大きな変更はありません
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373586497
期待
重複してるっぽいので、片方をhtml化依頼&誘導貼った方がいいのでは?
---
勇者「・・・・・」
門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」
門番「身分の無い物を通す事は出来ん」
門番「何か身分を示す物はあるか?」
勇者「怪しい物では御座いません。これを・・・」ガサゴソ
門番「んん?これは勇者の証・・しばし待たれよ」
門番「衛兵!見張っておけ!」
衛兵1「ハッ!!」
衛兵2「ハ~イ!!」
---
衛兵1「こんな貧乏臭い格好してるのが勇者か?」ジロジロ
衛兵2「人は見かけに寄らないっていうけどね~ウフフ」
衛兵2「あまり失礼の無い様にした方が良いかも~」
衛兵1「ん~む・・軽装に帯剣だけで勇者には見えんが・・」
衛兵1「おい!よく顔を見せろ!フードを下ろせ!」
勇者「あ・・失礼しました」スルリ
衛兵1「なぬ?・・女か?いや男のようだな」
衛兵2「あれ~?割と良いかも~ウフフ」
衛兵2「これで勇者なら女は放って置かないね・・・なんてね~」
衛兵1「ぬぬぬ・・こんなヤサ男に何が出来る!!」
---数分後---
門番「衛兵!客人を通せ!失礼は無かっただろうな?」
衛兵1「ハッ」ギクリ
衛兵2「ハ~イ」ニヤニヤ
門番「ささっ勇者殿付いて参られよ・・衛兵から失礼はありませんでしたでしょうか?」
勇者「いえ問題ありません・・衛兵の仕事をしっかりこなして居ました」
門番「いやはや失礼をお詫びします」
ザワザワザワザワ
門番「隊長!お連れ致しました」
隊長「ご苦労・・門番は戻って良いぞ」
門番「あい分かりました。失礼します」スタ
隊長「これはこれは・・勇者殿」
隊長「私は始まりの国衛兵隊長である・・よくぞ始まりの国へ参った」
隊長「国王様は謁見の間に居られる。これより私が城内を案内する」
隊長「・・がその前に・・持ち物を預からせて頂く」チラリ
勇者「・・分かりました」カチャリ ドサ
隊長「精鋭兵!勇者殿の持ち物を保管しておけ」
精鋭兵「ハッ」
隊長「では勇者殿・・参りましょう」
ザワザワユウシャラシイゾザワザワ
隊長「静まれ!道を開けよ」
---謁見の間---
隊長「執政殿!勇者殿をお連れしました」
執政「国王様・・観えた様です」
国王「うむ。通せ」
執政「勇者殿。国王の面前へ。隊長は外で待て」
隊長「ハッ」ビシ
国王「よい。隊長も同席せよ」
隊長「ハッ」
国王「勇者よ近こう寄れ・・・」
勇者「はい」スタスタ スッ
国王「よくぞ始まりの国へ参られた」
国王「勇者の所存は聞いておる。ゆっくり休んで行くが良い」
勇者「はい。本日始まりの国王様に謁見に来たのには訳があります」
国王「申せ・・・」
勇者「終わりの国の事でございます」
国王「やはりその事か」
勇者「旅の道中、噂を聞きまして」
勇者「かの国は魔王軍に3日で飲まれたとの事」
国王「ほう・・3日とな?かような軍国がのぅ・・」
国王「終わりの国との国交が途絶えてもう長いが・・・飲まれたとはのぅ・・」
勇者「はい魔王軍は軍力を増強しさらに伸びつつある様です・・噂に過ぎませんが・・」
勇者「気になるので終わりの国へ出向こうと考えております」
国王「ふむ・・それは良い考えだ」
国王「いよいよ勇者が旅立つという訳か・・国を挙げて支援せねばならんなハハ」
国王「出来る限りの支援は約束しよう」
国王「執政!良きに謀らえ。勇者の扱いは分かっておるな?」
執政「かしこまりました」
国王「して・・・勇者よ」
国王「そなたが勇者に選ばれて2年だったか・・成果を聞かせよ」
勇者「はい」
勇者「辺境の村より選出されて最初の1年は武術の訓練をしておりました」
勇者「師匠は退役した終わりの国衛兵隊長だと聞いています」
勇者「訓練を終えた後、師匠は故郷へ帰ると申していました」
勇者「その後の消息は聞いておりません」
勇者「残りの1年は、武術の実践と仲間を探す為に放浪に出ておりますが」
勇者「未だ仲間は得ておりませぬ」
勇者「放浪の折に終わりの国の噂を聞きここに参った訳で御座います」
国王「ふむ・・まだ成果は出て居らん様だな」
国王「まぁいたしかたない」
国王「隊長よ!」
隊長「ハッ」スチャ
国王「確か近く武闘会があったな?」
隊長「ハイ!明後日に御座います」
国王「そうだったか・・」
国王「勇者よ我が国の武闘会で腕を試してみてはどうか?」
国王「良き仲間が見つかるやもしれん」
勇者「・・・」タラリ
隊長「・・・」ニヤ
国王「隊長。勇者の世話人に任命する。武闘会にて成果を挙げさせよ・・例の者を出しても構わん」
国王「執政!勇者に武器と金貨を与えよ」
国王「勇者には我が城での全行動を許可する」
国王「・・後に魔王軍対策本会議を開く。執政は各官僚を招集し待て」
国王「勇者・・後は隊長に従い武闘会で成果を出すのだ。期待している」
勇者「あ、あの・・あ、ありがとう御座います」(まいったな・・・)
国王「武闘会にて名声を上げ、良き仲間を獲得するが良い」
国王「だが案ずるな・・勇者に選任された実績からすれば武闘会は容易い筈じゃ」
勇者「は、はい・・」
国王「では下がって良いぞ」
隊長「勇者殿!付いて参られよ」
---隊長の部屋---
隊長「お前が勇者とはねぇ・・」ファサ
勇者「やっぱり女だったんだね。兜越しじゃ分かりにくい」
隊長「何かおかしいか?」
勇者「ぃや・・まぁ声でそうなのかなと」
隊長「フン国王の前ではガチガチだったクセに生意気な」
勇者「王族は慣れてないんだ」
隊長「さて?どうする?勇者・・殿」
勇者「ん?なんか嫌味っぽいな」
隊長「私はまだお前を勇者とは認めて無い」
隊長「でも勇者の面倒を任された・・これはどういう状況か分かるか?」
勇者「僕の面倒を見るのはイヤかい?」
隊長「・・・」
勇者「まぁでも・・国王様の命令なら仕方ないね」
隊長「フン!失礼致しました勇者殿!明後日は武闘会ですがこれから如何致しましょう!!」
勇者「ハハ普通に話してよ・・僕より10歳くらい上って感じかな?」
隊長「・・・」ギロリ
コンコン
隊長「誰だ」
??「荷物をお持ちしました」
??「勇者殿の荷物と執政からの預かり物を届けに参りました」
隊長「入れ」
カチャリ
精鋭兵「こちらになります」ドサ
精鋭兵「それから隊長殿へ執政殿からの書状を預かって来ました」パサ
隊長「ご苦労!下がってよい・・それから要らぬ噂は立てぬ様にしろ」ギロ
精鋭兵「ハッハイ」バタン タッタッタ
隊長「・・ということだ勇者。開けてみろ」
勇者「これは・・」ガサリ スラーン
勇者「ロングソードか・・後は」ジャラリ
隊長「汎用武器と金貨一袋・・気前の良い事だ」
隊長「装備は自分で買えって事だな」
隊長「執政は勇者の扱いを分かっているらしい」フフ
隊長「適当に金を用意してさっさと旅立てという事だな」
勇者「それでもありがたいよ」
隊長「さてどうする?」
勇者「武闘会の事を少し聞きたい。正直自信が無いんだ」
隊長「武闘会は近隣の猛者達が・・・そうだな50人程集う」
隊長「トーナメントで8人選出するまでは規定の装備にて行う」
隊長「8人が揃った後の装備は自前で構わない。ここからが本番だ」
隊長「最後まで勝ち残れば金貨と従士の称号・・それから名誉を得る」
隊長「因みに私は既に従士だ。武闘会には審判として参加する」
勇者「勝ち抜き戦ということは体力勝負か・・」
隊長「フフ楽しみだな」
隊長「自前の装備で闘う場合死ぬ事もあるから気をつける事だ」
勇者「装備が心もとないな」
隊長「そのようだな」ジロジロ
勇者「よし!防具屋に案内してくれないか?」
---防具屋---
店主「いらっしゃいま・・あら隊長様・・先日はどうも・・」
隊長「あぁ変わりは無い様だな・・商売はどうだ?」
店主「明日の武闘会のおかげで飛ぶように売れています」ニッコリ
隊長「それは良かった」
店主「ところで今日は何の御用事で?」
店主「???こちらの方は?」
勇者「僕はゆ・・」グイ
隊長「客人の装備を見繕いに来たんだ。見てやってくれないか?」
隊長(面倒を起こすな。おとなしくしてろ)
店主「分かりました。予算はどのくらいでしょう?」
勇者「この袋にある分でお願いします」ジャラリ
店主「ではサイズを測りますので上着を脱いでください」
ガサゴソ スルリ スルッ ドサ
店主「・・・」
隊長「・・・お、お前その体・・」
店主「顔に反してすごい体付きしてますね・・着やせするんですね。そして傷だらけ。」
勇者「ハハまぁ旅が長かったので・・」
店主「この店にあるのはプレートメイルが一番良い防具ですがどうしましょう?」
勇者「重い装備は長旅には向かないんだ。軽いのでお願い」
店主「では急所だけスケールにして後はレザーにしましょう」
勇者「それで良いよ」
店主「突き攻撃にはご用心下さい。守備力が足りませんので・・では、少しお待ちください」
隊長「そんな装備で良いのか?武闘会はそんなに甘くないぞ」
勇者「う~ん重い装備はどうも合わなくてね。それから1対1なら軽装の方が有利かな」
隊長「フフ言う」
店主「丁度良いサイズが有りました。試着してみてください」
グイ ズル ギュッギュ
勇者「お?なかなか良いね。あと・・目立たないように羽織る物ないかな?」
店主「デザートクロークが割りと地味になります」
勇者「それで良いよ。ありがとう」ジャラ
店主「金貨が多い様です」
勇者「お釣りはいいよ。ありがとう」
隊長「気前は良いが装備が貧乏臭いのは変わらんな」フフリ
店主「ありがとう御座いました。隊長様ごきげんよう」ノシ
---街道---
隊長「次はどうする?」
勇者「まだ始まりの国には来たばかりなんだ・・何処に何があるのか知りたいな」
隊長「宿屋はすぐそこだ・・」
この街道沿いに店が並んでいて中心街になっている
丘の上に見えるのが教会・・その奥にあるのが墓地だ
武闘場は城の方に向かって見える石造りのあの建物だ
昔は魔術学校だったようだが改修して武闘場にしたそうだ
勇者「斜面が多くて見通しが悪いね」
隊長「悪い事ばかりでは無い・・川から水を引いて水車を動かせる」
勇者「・・そういえば水車が多いね・・これで麦を製粉してるのかな?」
隊長「始まりの国はライ麦の産地だ・・少し離れると一面のライ麦畑だ」
勇者「・・城から突き出た2本の塔・・アレは何?」
隊長「・・・・・」
勇者「ハハ秘密だったかな?」
隊長「王族や要人の為の塔だ・・一般人は入れない」
---広場---
勇者「賑わってるなぁ・・明日の武闘会のせいかな?」
隊長「フフその様だ・・自分の装備と見比べて見ろ」
勇者「・・・僕は地味だね」
隊長「初めよりはマシになったがな」
勇者「あれ?・・・」
隊長「どうした」
勇者「同じ人に何回もすれ違ってる気がする・・」
隊長「フフお前も気が付いたか・・スリが多いから気をつけろ」
勇者「・・まぁ気のせいかな」
隊長「私から離れるな・・お前に何か合ったら私が責任を取る事になる」
勇者「わかったよ・・そろそろ戻ろう」
隊長「城へ戻ったら食事を用意してやる」
勇者「良かった・・丁度お腹が空いてたんだ・・」
隊長「フフ長旅で良い物は食べていないか?」
勇者「うん・・パンで良いから少しお腹に入れたいよ」
隊長「まぁ期待はするな・・最近は食料が不足気味でな」
勇者「どこも一緒だね」
---城門---
門番「隊長がみえたぞ!門を開けよ!」
衛兵1「ハッ」
衛兵2「ハ~イ」
ガラリゴロリガラリゴロリ ガタン
隊長「ご苦労」スタスタ
隊長「そういえばお前達も明日武闘会に出るんだったな」
衛兵1「ハッがんばります!」チラ
衛兵2「ハ~イ」チラ アレ?
隊長「こちらの客人も出るそうだ。精進せよ」
勇者「よろしくお願いします」ペコ
衛兵1「アッーーー」
衛兵2「アツーーー」
隊長「では・・」スタスタ
---
衛兵1「ぐぬぬあのヤサ男」
衛兵2「ねぇねぇ割と良い装備に変わってたみたいだよ~?」
衛兵1「年は俺よりいくばくか下に見えるが・・」
衛兵2「なに~?張り合うつもり~?止めたほうが良いと思うな~」
---勇者が武闘会に参加する噂はあっという間に広がった---
---武闘会場当日---
ザワザワ勇者が出るんだってさー
ザワザワどんな奴?
ザワザワ誰か知ってるか?
ザワザワ多分あいつだよ
ザワザワほらあのでかい奴
ザワザワあっちも強そうだよ
ザワザワ女だっていう噂
ザワザワ今回の勇者は女か?
ザワザワあの檻に入ってるのは何だ?
ザワザワ囚人じゃないか?
ザワザワ魔物だって噂
ザワザワなんか見たこと有る気が
ザワザワ・・でどれが勇者?
ザワザワ勝てば勇者だよ
---
司会「・・・が来賓として列席しておられます。盛大な拍手をお願いします」パチパチパチ
司会「では選手の皆さんは抽選札を受け取り控え室にお戻りください」
司会「ルールを説明します」
司会「抽選番号1~12はAブロック13~24はBブロック25~36はCブロック残りはDブロック」
司会「ブロック毎に各上位3名を選出しABCDブロック代表の12名から再度上位三名を選出します」
司会「その後敗者復活戦を行います」
司会「尚、敗者復活戦のルールは後ほど説明します・・・」
---控え室---
勇者「34番かぁ・・えーとCブロックかな」
僧侶「あ!いたいた」
闘士「む!!」
勇者「??誰かな?」
闘士「忘れたとは言わさんぞ」ジロリ
勇者「その声は衛兵1かな・・そして衛兵2」
僧侶「あったりー」
僧侶「私は16番Bブロック」
闘士「1番・・Aブロック」
僧侶「なんか1番ってかっこわる~いウフフ」
闘士「うるさい!」
僧侶「勝ち上がるまでは当たらないみたいね。ざんね~んウフフ」
闘士「ヤサ男には負けんからな」
勇者「ん~良いのか悪いのか・・勝ち残ると死人が出るとか脅されたからなぁ」
闘士「隊長だな?死人が出たのは隊長が優勝した時だ」
僧侶「そうだね~最近は死んだ人居ないみた~いウフフ」
勇者「そうなんだ」
闘士「だが手加減はせん!」ブンブン ブーン
僧侶「おちつけーあ!隊長!」
闘士「ナヌ!!」 シャキーン ビシ!
僧侶「なんてね~ばっかみた~いウフフ」
闘士「僧侶・・頼むって・・」
僧侶「でも皆強そうだね~剣士さんいっぱ~いウフフ」
カツカツカツ バタン
審判「試合の前に各自使用する武器を選んでおくように!!」
審判「武器庫で選んだら会場前に集合。そこで身体検査を行う」
勇者「そういえば魔法を使いそうな選手は居ないなぁ」
僧侶「そうだね~。始まりの国じゃ珍しいから~ウフフ」
闘士「魔法なぞ必要ない!力こそすべて!」ブンブン ブーン
審判「早く行かないと武器がなくなるぞ!」
勇者「え?」
僧侶「あれえ~?置いてかれちゃった~?ズル~イ」
闘士「僧侶行くぞ!ヤサ男に構ってる暇はないぞ!」
---会場前---
僧侶「イエーイ私はバルディッシュー・・重~い」
闘士「パルティザン!!」ブンブン
僧侶「危ないって~」
闘士「これは訓練用だ。当たっても死なん」
勇者「・・・・・」
闘士「ヌハハ似合ってるぞ」
僧侶「え?・・・それって農具じゃないの?ウフフ」
闘士「ワラを柔らかくする農具だ。なんてなヌハハ」
僧侶「でも農具みたいなの持ってる人多いよ~なんでかなぁ~?」
審判「では各ブロック1回戦を始める」
審判「Aブロック1番、2番・・・」
闘士「お!俺だ。行って来る!」ドスドス
僧侶「がんばってね~」ノシ
僧侶「ところでさ~あなた名前は?」
勇者「僕は勇者だ」
僧侶「へー本当に勇者なんだ。なんか変なの~」
勇者「・・・」
僧侶「何か魔法とか使えるの?」
勇者「それが・・・勇者なのに魔法は全然使えないんだ」
僧侶「じゃぁ偽者だね~ウフフ」
勇者「ま、まぁ自分でもどうして勇者に選ばれたか良く分からないんだ」
僧侶「でもね~この雰囲気・・会場は勇者を期待してるっぽいね~でも関係ないか~ウフフ」
勇者「どこまで通用するか分からないけどがんばるよ」ブイ
僧侶「!!?なんか勇者らしくな~い。本当に強いの~?」
勇者「ん~どうかなぁ・・隊長と同じくらいかな?・・わからないよ」
僧侶「へーそれなら凄く強いかも~って」アレ?
ジロリ・・・
僧侶「なんか皆に見られてる感じ~」
野郎1「ほぉーお前が噂の勇者か?」
野郎2「農具似合ってるじゃねぇかアハハ」
野郎3「よぅ!かわいい姉ちゃん連れてるじゃねぇか」
野郎4「勇者はモテルってか~?」アー
勇者(まいったな・・)
剣士「待て!ここで問題を起こすな」キリッ
僧侶「お?剣士さんなんかかっこい~ウフフ」
野郎1「なんだとコラ剣士!えーかっこすんなや」
剣士「勝負は闘技場で付けようじゃないか!」キリッ
野郎2「ほぉー言うじゃねぇかボッコボコのギッタギタにしてやんよ」
僧侶(勇者もなんか言ってやんなよ~)グイグイ
勇者「いえ・・あの・・そのすいません」ペコリ
野郎3「ガハハこんなへっぴりが勇者な訳ねーわ!なぁ?」
野郎4「このちび剣士が勇者か~?ちょいとチビすぎやしねぇか~」アー
剣士「うるさい!背の高さは強さには関係ない!」
僧侶 アーデモワタシトオナジクライノシンチョウカモ ヒソヒソ
勇者「そろそろ1回戦終わりそうだよ」
審判「次2回戦目準備しろAブロック3番、4番・・・・」
僧侶「おかえり~どうだった?」
闘士「お、おう。余裕で勝ったぞ」ボロボロ
僧侶「なんかそんな風に見えない~かっこわる~い」
闘士「んむ。少し休ませてくれ」ズル
闘士「くそ!薬草が効きやしねぇ。あばらが折れたか・・」
僧侶「回復魔法してあげよっか?」
闘士「すまねぇ・・それはルール違反になる」
僧侶「そっか~ざんね~ん」
闘士「少し休めば良くなるからお前は自分の事考えろ」
僧侶「は~い」
闘士「ガチンコ勝負だと最後までもたんかもしれんな」
審判「3回戦準備しろ・・」
僧侶「私だ!じゃ行って来るね」ノシ
闘士「おうよ相棒!!がんばれ」
勇者「よし僧侶の戦いぶりを見てくるかな」スタスタ
---闘技場Bブロック---
審判「それでは試合を開始します!3・2・1・始め!!」
僧侶「防御魔法!」
僧侶は守備力が上がった
戦士「てい!」ダダッ キーン
僧侶は攻撃をパリーした
僧侶「罠魔法!」ザワザワシュルリ
戦士はツタに捕らえられ身動きが出来ない
戦士「何ぃ!詠唱が早い!」グググ
僧侶「防御魔法!防御魔法!」
僧侶は守備力が最大まで上がった
戦士「このこのこのぉ!」ザクザク
戦士はツタを振り切った
戦士「てい!」ダダダ キーン
僧侶は1のダメージを受けた
戦士「くぅ硬い!!」
僧侶「これで私の勝ちねウフフ」
僧侶「・・・てっやああああ」ノッソーリ ブーン
戦士「そ・そんな重い武器を使うのか?」タジ
戦士は攻撃をヒラリとかわした
僧侶はバルディッシュを扱えない
僧侶「・・・むむむむ」ノソーリ ブーン
戦士「遅い!」シュバ カン
僧侶は1のダメージを受けた
僧侶「いったーい」ノッソーリ スポッ アレ?
僧侶はバルディッシュを落とした
戦士「もらったああ!!っでい」ダダダッ改心の突き・・・・
審判「それまで!!判定により戦士の勝ちとする」
僧侶「えーまだ闘えるのにい~」
審判「今の突きで怪我をしたいのか?君に反撃する術は無いと判断した」
戦士「よっし!儲けた!!」
---会場前---
審判「4回戦準備しろ・・」
勇者「・・・・・」
僧侶「負けちゃった~もう。まーいっかーウフフ」
闘士「お前もう少し武器を考えろ」
勇者「バルディッシュは振り回して使う武器じゃないよ」
僧侶「え~そうなんだ~どうやって使うの?」
闘士「そんなことも知らなかったのか」
勇者「あの場合は突いて使うと良い。短く持って相手に合わせて突く」
僧侶「えーでも危ないじゃない?死んじゃうよ?先っぽ尖ってるし」
勇者「そ・そうだね・・・まぁ突く素振りがあったら審判は止めなかったと思う」
勇者「バルディッシュは絶対当てれる時にだけ振って使うんだ」
僧侶「分かったー憶えとくーでも重くて使えないや~」
闘士「ヤレヤレ」
審判「5回戦準備しろ・・・Cブロック33番、34番」
審判「勇者・・・お前の番だ!行け」(さて・・勇者お手並みを見せてもらおう)
勇者「はい!」(不安だらけだけど)
---闘技場Cブロック---
勇者「対戦相手はっと・・・」
大男「グハハ農具相手とは今日は運が良い」
勇者「ハンマーか・・」
審判「それでは試合を開始します」
審判「両者位置について・・・始め!」
大男「かかってこいやぁぁぁ当たれば一発じゃけんのー」ドシーン ドシーン ブーン
勇者(当たるとマズイな)
大男「来ないならこっちから行くぞ」ドスドス ブーン
勇者「おっと」(次が来る!)
大男「逃がさんぞぉ」ドス
勇者「くぁ・・蹴りか」ドタッ
勇者はダメージを受けた
勇者は身動きが取れない
大男「これで終わりぃぃ」ブーン ヒラリ
勇者はかろうじて身をかわした
大男「おのれちょこまかと!!」ブン
勇者「脇が甘い!」ユラリ スルッ ポカ
勇者は大男の後ろを取り後頭部を打撃した
大男はダメージを受けた
大男はスタンした
---シーン---
大男「・・・」ドシーン グッタリ
審判「勝負アリ!!」(初戦では手の内は見れんか)
ドヨドヨザワザワあいつ何やったんだ?
ドヨドヨザワザワ俺の金返せー
ドヨドヨザワザワマグレだろー
---会場前---
僧侶「おかえり~一発だったね~かっこいい~ウフフ」
闘士「ふん相手が弱かったんだろ」アツツ
僧侶「でも農具がかっこわる~い」
勇者「・・・いやこれはこん棒と言ってね。基本中の基本の武器なんだよ」
僧侶「へ~そうなんだ・・でもだっさ~い」
審判「7回戦目準備しろ・・Aブロックの勝者2名・・Bブロックの・・」
闘士「よし!次だ!いてて」ヨッコラ
僧侶「闘士がんばってね~」ノシ
闘士「おうよ!ちょっくら勝って来るわ」ドスドス
勇者「この試合の場合はこん棒が一番有利だと思うんだけど・・大丈夫かな?闘士」
僧侶「勇者はなんか余裕そうね~なんか退屈~」
勇者「ま、まぁね運が良かったかなハハ」
審判「・・・・・」(まぁ・・でもなかなかやる。一発でスタンを取るのは簡単には出来ない技だ)
勇者(隊長の視線を感じる・・・気になってるって事かな)
ドヨドヨザワザワすごいのが居るぞ!
ドヨドヨザワザワおおおおお
ドヨドヨザワザワ逆転だー
ワーワーワーワーワーワー
勇者「何か盛り上がってるね」
僧侶「あ~闘士負けちゃったみた~い」
審判「8回戦目準備しろ・・」
勇者「僕は9回戦目かな・・この次か」
僧侶「あ!闘士戻ってきた~大丈夫~?」
闘士「ま・け・た」ズルズル
勇者「うわ!ひどく打たれた様だね」
闘士「くそぅ!こん棒をあなどってた!」
僧侶「えーパルティザンの方がかっこ良いのにね~なんでだろー」
闘士「訓練用じゃなかったら仕留めてた筈なんだチクショウ!」ググ
勇者「パルティザンもバルディッシュよりは重くないけど突き主体の武器」
闘士「一発で仕留めれないと懐に入られてこん棒の打撃を食らう」
僧侶「あ~あわき腹痛そ~う。えい!ウフフー」イダー
闘士「あだだだ」
僧侶「回復魔法!」ボワー
闘士「おおぅ痛みが引いて行く。サンキュー」
審判「次9回戦目の準備をしろ・・」
勇者「はい!」
---勇者は順調に勝ち進みトーナメント8名に選ばれた---
---
司会「それではトーナメント本戦に残った8名を紹介します」
司会「1番:剣士 武器:剣盾 装備:鉄鎧」 ヒュー
司会「2番:魔法戦士 武器:片手剣 装備:鱗鎧」ゥォー
司会「3番:勇者 武器:長剣 装備:皮鎧」ワー
司会「4番:盗賊 武器:短剣 装備:皮鎧」ブーブー
司会「5番:僧侶 武器:こん棒 装備:布鎧」ウフフー
司会「6番:聖戦士 武器:槌盾 装備:鉄鎧」ボエーーー
司会「7番:レンジャー 装備:弓剣 装備:鱗鎧」オー
司会「8番シード:囚人 武器: 鉄槌 装備:足枷」ザワザワ
司会「1番~3番は1次予選通過組み」
司会「4番~7番は敗者復活組み」
司会「8番は今回特別のシード枠となっています」
司会「尚、これより装備品は自前の物を使用して試合を行います」
司会「公平の為に、これより後は他者からの回復は禁止とします」
司会「組み合わせは1-5番2-6番3-7番4-8番」
司会「試合は同時に行いますので各選手は準備をして下さい」
---控え室---
僧侶「なんか武器こん棒に変えてから良い感じーウフフ」
闘士「お前が敗者復活とは・・よし!俺の分もガンバレ!」
剣士「正々堂々がんばりましょう」キリッ
魔法剣士「・・・・・」
盗賊「まだ言ってんのか?ギッタギタのボッコボコにしてやんよ」クイクイ
僧侶「アレ?何処かで聞いたセリフー。あ!盗賊さんだったんだーウフフ」
聖戦士「・・・そろそろ始まるわよウフフ」
レンジャー「みんな気が立ってるんだよ。まぁ焦るなって」
僧侶「なんか一人足りないねー」
剣士「あの囚人のことかい?」
僧侶「囚人なんだー気持ちわる~い」
魔法剣士「・・・・・」
聖戦士「只者じゃないと思うよ・・なんてね~」
僧侶「装備品無しで試合やるのかなー?」(ナンカコノヒトワタシニニテル)
闘士「お前も軽装だから変わらんと思うがな・・魔法でも使うんだろ」
勇者(なにか嫌な感じがする・・・何だろう)
僧侶「小さい剣士さん痛くしないでねーウフフ」
剣士「や、やりにくいなぁ・・そして体の大きさは強さには関係ない!」
僧侶「あー怒った~?ウフフ」
盗賊「だからギッタギタのボッコボコにしてやんよ」
審判「闘技場へ出ろ!!」
審判「剣士 僧侶はAブロック」
審判「魔法剣士 聖戦士はBブロック」
審判「勇者 レンジャーはCブロック」
審判「盗賊はDブロック・・相手はあの囚人」
---闘技場---
司会「さぁいよいよ選手が出て参りました」
司会「正統派剣士と正統派僧侶の対決はAブロック・・なぜか僧侶の装備はこん棒です・・どうなるのでしょうか?」
司会「魔法剣士と聖戦士の対決はBブロック・・聖と魔の魔法対決!!魔法剣士は優勝候補と言われている様です!」
司会「勇者とレンジャーの対決はCブロック・・噂の勇者の実力はいかに!!」
司会「盗賊と謎の囚人の対決はDブロック・・囚人は重い足かせを付けての対戦となります」
司会「少し天気が悪くなって来ましたが決勝までは持つでしょう!」ドヨー
ワーワーワーワーワーワー
ヤンヤザワザワヤンヤ魔法剣士さまあああ
ヤンヤザワザワヤンヤあいつが勇者?
ヤンヤザワザワヤンヤ囚人が出て来たぞー
ヤンヤザワザワヤンヤなんだあいつ?
ヤンヤザワザワヤンヤ剣士えらく小さいな
ヤンヤザワザワヤンヤ弓は反則じゃねーか?
ヤンヤザワザワヤンヤ盗賊の癖になんかでけぇ
ヤンヤザワザワヤンヤ聖戦士は美人らしいぞ
ヤンヤザワザワヤンヤキャーキャー魔法剣士様あ
ワーワーワーワーワーワー
---闘技場Cブロック---
勇者(さて・・本番)スラーン チャキ
レンジャー「手加減は抜きだ」ガシュ
勇者(弓か・・どう来る?)
審判「それでは試合を開始する・・・3・2・1・始め!!」
勇者「テア!」ダダダッ(撃たせるか!!)
ギリシュンシュン
勇者(速い!!)ガシュ・・
勇者は矢を払いのけた
ビシュ!矢が肩をかすめる
勇者「ぐあ」---2本同時撃ち!---
勇者はダメージを受けた
ギリシュンシュン ダッシュ
勇者(クソかわすのが精一杯か)ズダッ
勇者は弓矢の攻撃をかわした
勇者(なに!!弓を撃った後の斬撃も早い!!)キーン
勇者はレンジャーの剣撃をパリーした
レンジャー「フフ良く防いだな!まだこれからだ!」
勇者(弓はどこに?・・・あそこに置いてくるのか)
レンジャー「防戦一方かい?」カーン カーン キーン
勇者はレンジャーの攻撃をパリーした
勇者(弓が無いならこっちから)ダダダッ
レンジャー「フン!!」シュッ
勇者は投げ矢の攻撃を受けた
勇者「投げ矢もあるとは色々やる!」ザッ バシュ(・・浅い!)
レンジャーはダメージを受けた
レンジャー(接近では歩が悪いか)ダダッ ガシュ
勇者(まずい弓を拾われた)・・フラ???
レンジャー「フフ効いてきたかな?そいつはタダの矢じゃないよ」
勇者は猛烈な眠気に襲われた
勇者(くそっ)
勇者「そっちもあんまり動くと出血するぞ。浅くても手応えはあった」フラリ
勇者(次の斬撃まで凌ぐか・・)
ギリシュンシュン ガシュガシュ
勇者は弓矢の攻撃を振り払った
レンジャー(剣を使っての防御はさすがだな・・ではコレなら)ポタポタ
ギリピュンピュン・・ギリシュンシュン
勇者(目が・・空かない・・)ガシュガシュ
勇者「ぐあっ」 ドスドス
勇者はダメージを受けた
勇者「時間差で4本同時とはね・・・おかげで目が覚めたよ」フラ
レンジャー「フフ2本矢を受けて良く言う!これで終りだ」ギリシュンシュン ダッシュ
勇者(来た!交差!!)ダダダダ
レンジャー(しまった!狙いはそっちか)ポタポタ
勇者「・・・弓は頂き!いくぞ!」バシュ
レンジャーはダメージを受けた
勇者「さぁ追い詰めたぞ」
レンジャー「回復魔法!」ボワ
勇者「回復魔法まで持ってるのか・・厄介だね」フラッ
レンジャー「又眠気が来たかな?」
勇者「まだまだ!」ユラリ スルッ
グイ ジャキ
勇者はレンジャーの背後に回り首もとに剣を当てた
レンジャー「な!・・その動き!!アサルトスタイル・・お前は勇者じゃないのか?」
勇者「さあね・・眠い」zzz
審判「勝負有り!!勝者は勇者!」
---控え室---
勇者(Cブロックは割と早く決着が付いたらしい・・)
勇者(Aブロックは剣士と僧侶が互角?いや僧侶が一方的に攻撃してるな)
勇者(剣士は良く耐えている?・・いやあれは・・こん棒の決定力不足だな)
勇者(Bブロックは派手な戦闘だな。魔法剣士があの手この手か・・)
勇者(聖戦士は耐える一方・・にしてもあの魔法剣士上手いな)
勇者(Dブロックは・・あれ?そうかCブロックより先に終わったのか)
勇者(盗賊はどこに行ったんだろう)
ギャオース
勇者(ん?なんだ今の音は?)
---
レンジャー「やぁ勇者。眠気は覚めたかな?」
勇者「まぁね・・そっちこそ傷は大丈夫かい?」
レンジャー「回復魔法があるからもう全快だよ」
レンジャー「それにしても勇者の斬撃は痛かったよ。さすが前衛って所かな」
勇者「弓の2連撃ちは凄いね。どうやるのかな?」
レンジャー「弓使いはあれ位みんな練習するもんだよ」
レンジャー「エルフは4連撃ちとか普通にやるそうだ」
勇者「そうなんだ・・どちらにしても僕には合わないかなハハ」
レンジャー「ところでさっきのアサルトスタイル・・・勇者らしく無いじゃないか」
勇者「師匠に教わった技だよ。僕には正統派よりも亜流が合ってるらしい」
レンジャー「師匠はどこ出身になるのかな?」
勇者「終わりの国出身だって聞いてる」
レンジャー「終わりの国か・・・良い噂は聞かないね・・魔王軍に狙われてるとか」
勇者(・・まだ落とされた事を知らないのか。時間の問題か・・)
レンジャー「どうした?黙りこくって?あ~そうか矢の傷が痛むのかな?フフ」
勇者「いや矢の傷はもう大丈夫だよ」
レンジャー「でも直撃しただろ?見せてみろ」グイ
勇者「・・・」
レンジャー「あれ?もう傷が塞がりかけてるじゃないか。そうか回復魔法を持ってるんだな」
勇者「いや魔法は使えない」
レンジャー「なんだって!?勇者じゃないのか?勇者は魔王に対抗出来るだけの魔法を・・」
勇者「本当に使えないんだ・・でも傷の治りは驚くほど早い」
レンジャー「回復魔法が常時掛かってるみたいなもんかね?にしても魔法を使えない勇者で魔王を倒せるのかな・・」
勇者「・・さぁね?・・・あ!!Aブロックの試合が終わった」
レンジャー「剣士の勝ち・・順当かな」
勇者「そういえばDブロックの盗賊は何処に行ったかな?」
レンジャー「そういえばそうだね・・・勝ってればここに居る筈だけど」
勇者「次の僕の相手は・・・謎の囚人・・かな?」
レンジャー「囚人は・・・檻の中に居るな。様子は変わって無い」
---
剣士「・・・ぃあだから触ってません」
僧侶「さわりました~!!へんた~い」
剣士「試合中の事ですから仕方が無い時も・・」
僧侶「ほら!さわったの認めてるし」
剣士「や、やりにくいなぁ・・」
僧侶「あれ?闘士は何処いったんだろう~?隊長も居ないなぁ・・ま~いっか~」
レンジャー「なんか剣士はボコボコな割りに僧侶は無傷な感じが・・」
剣士「え・えぇ・・こんなにやりにくい試合は始めてでした」
勇者「僧侶お疲れ様。残念だったね」
僧侶「この剣士小さいクセに私にまたがって来るんだよ~!ちょ~へんた~い」
剣士「ぃあだからアレは仕方がなく・・」
僧侶「それからこのこん棒弱~い。鉄鎧に全然効かないの」
勇者「・・・ハハ」
剣士「触るな近寄るなったらうるさいの何の・・そのクセこん棒で叩いてくるわで・・」
剣士「僕が押さえつけなかったら勝負が付きませんでした」
レンジャー「ぶっ・・寝技で勝ったのかハハ」
ガチャリ ドン
僧侶「あ!隊長だー」
審判「僧侶!盗賊に回復魔法を掛け続けろ!応急処置はしてある」
審判「遅いぞ!闘士!」
闘士「よっこら・・せと」ズサリ
盗賊「ガガガ・・ギギ」ブルブル
僧侶「あーぁギッタギタのボッコボコにされたみた~い」
審判「僧侶!黙って回復魔法に専念しろ!死ぬぞ」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
闘士「おい勇者!次の相手は狂ってるぞ」ブルル
勇者「え?」
闘士「盗賊は囚人の鉄槌をしっかり防御したんだ。でも意味が無かった1発で終わった」
闘士「審判が止めに入っても攻撃を止めずこの有様だ」
闘士「お前達が試合している間、総動員で囚人を抑えたんだ」
闘士「何十人も怪我をした・・まったくあんな怪物を武闘会に出すなんてどうにかしてる!!隊長」
審判「国王様の謀らいだ。武闘会が面白くなっただろう?」フフ
勇者「・・・・・」
ゴーンゴーンボーン ブシャー
ワーワーワーワーワーワー
勇者「魔法の炸裂音が凄い・・」
審判「Bブロック・・勝負が付いた様だな」
レンジャー「聖戦士・・防御したまま動かない・・立ったままだ」
剣士「魔法剣士が戻ってくる!」
勇者(立ったまま気絶しているのか?・・さすが聖戦士)ボエーーー
闘士「ん?何か言ったか?・・空耳か」
僧侶「何か天気が悪くなってきたね~」ポツリポツリ ボエーーー
闘士「また・・遠くで何か聞こえる」
僧侶「何も聞こえなかったよ~気のせいと思う~」
審判「僧侶!回復魔法を休めるな!」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
---闘技場---
司会「準決勝の組み合わせを発表します
司会「正統派剣士vs怒涛の魔法剣士」
司会「期待の勇者vs謎の囚人」ボエーーー
司会「・・・」
司会「少し小雨がパラついて来ましたが問題ないでしょう!!」
司会「次の試合は試合終了の早かった勇者vs囚人から行います」ボエーーー
司会「・・・」
ドヨドヨザワザワ何か聞こえなかったか?
ドヨドヨザワザワ気のせいだろ
ドヨドヨザワザワさっきの囚人すごかったな
ドヨドヨザワザワこれは面白い試合になるぞ
---闘技場中央---
ポツポツ
勇者(なんだこの胸騒ぎは・・・)
審判「勇者は対戦相手が来るまでここで待て」
勇者「その声は隊長!?」
審判「間近で見させて貰う。勇者を見せてみろフフ」
ガラガラガラガラガラガラ ガシャン
司会「いよいよ暴れん坊の囚人が出てきました」
囚人「ガガガ グァ・・・・プシャー」ズル ズル
勇者(あれは・・・魔物?・・・じゃない人間だ!)
勇者(全身焼かれている・・・なんとむごい)
勇者(喉がやられて声が出せないのか?)
勇者(足かせの付いてる足が腐ってる・・あれじゃ動けない)
勇者(背丈は僕と同じくらいか・・・恰幅は良い)
ズルズル チャラン ズルズル チャラン
囚人「・・・ユ・ウ・・・・・シャ・・・・・?・・・ガ・・・レ」ズル ズル
勇者「何!?」(何か言ってる?)
審判「それではこれより準決勝を始める」
囚人「ガガガ・・・・シ・・・ヌ・・・?」
審判「黙れ囚人!!両者位置に付いて・・・」
囚人「ギ・・・ギク・・・?・・・・ナ」
勇者「い・いくぞ!!」スラン チャキリ
審判「3・・・2・・・1・・・始め!!!」
---シーン---
司会「両者にらみ合ったまま動き無し・・・互いの動きを見ているのでしょうか?」ボエーーー
司会「・・・」キョロキョロ
勇者「来ないならこっちから行くぞ!」ダッ シュ キーン
囚人は勇者の攻撃をパリーした
勇者「っつぅ!!」タジ(あんな大きな鉄槌を片手で持つのか・・)
勇者(いや・・もう片方の腕も腐ってる)
囚人「ヤ・・・・・?・・・ロ」グイ ブン ガギーン
勇者は囚人の攻撃をパリーし損ねて吹っ飛んだ
勇者はロングソードを落とした
勇者「ぐあ」(危なかったパリーでは受け止められない)
囚人「ガガガ・・・?・・ガレ」
勇者(あいつは足かせで動けない。武器を!)ダダダ チャキン
審判「何をしているバケモノ!!お前の望みを忘れたのか!」
勇者「え?!」(どういう事だ?望み?これが?)
審判「勇者!!何を躊躇している!早くこのバケモノと戦え!」
勇者「くっ」タジ
勇者(何だ?どうなってる?えーい)ダダダ シュバ ザクン (手応えあり)
囚人はダメージを受けた
囚人「ヴヴヴヴヴヴヴォォォ・・・マオウ・・ハ・・・イナ・イ」グイ ブン ガッサー
勇者は囚人の攻撃をヒラリとかわした
勇者「何?なんだって?」(魔王は居ない?)
囚人「?・・?・・エバ・・・コ・・・ロサ・・レル」ズル ヒュン
勇者(速い!こいつは今までと全然違う)ユラリ ブシュ
勇者は囚人の攻撃をかわしカウンター攻撃を与えた
囚人はダメージを受けた
勇者「やったか!?」(!!傷口が塞がって行く?)
勇者「回復が早い!」
囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー」ヒュン ヒュン ブン
勇者(かわし切れない!)ドサーー
勇者「だあぁぁ」メキメキ
勇者はダメージを受けた
勇者「ぐあ・・」(あばらが逝ったか・・まずい!)
囚人「ガガガ・・シュー・・・サ・・・・・・ガレ」グイ ブン
勇者(下がれ?だと?)ドサー
勇者は囚人の攻撃をヒラリかわした
ギャオーース
!!!!!!何だアレは!上を見ろ!!
ド、ドラゴン?
魔物がーーー魔物が出たぞーーー
アタフタアタフタアタフタに、逃げろ~~
アタフタアタフタアタフタぎゃあああああ
アタフタアタフタアタフタキャーーーー
アタフタアタフタアタフタたすけて~~
アタフタアタフタアタフタ!!!!!!
司会「ままままま魔物が現れた・・のでししし試合は中止しまーーーー」アタフタ
審判「慌てるな!!精鋭兵!!国王様をお守りしろ」バサッ
隊長「衛兵!!中央に集合しろ!」(ドラゴンがなぜ・・)
闘士「隊長~はぁはぁ」ドタドタ
僧侶「まって~~」
隊長「闘士!衛兵数人集って市民を避難させろ」
闘士「ハッ」ドスドス
隊長「僧侶!雲の上を良く見ておけ!ドラゴンが何匹いるか数えろ」(何を狙っている)
僧侶「は~い」
ギャオオオオオス
隊長「ドラゴンはまだ上を旋回しているな!衛兵まだかー!!」(何かを探している?)
戦士「ハァハァ遅くなりました」
隊長「よし戦士!弓をありったけ持って来い」
戦士「ハッ」
衛兵「はぁはぁ負傷者多数で数が集まりません!」
隊長「くそぅ!!お前は城に戻って援軍を呼んで来い!全部出せ」
衛兵「ハッ」
隊長「闘える物は中央に集まれ!!」(勇者が狙いか?)
ギャオーース
勇者「し・・試合どころじゃなくなったな」
囚人「ガギ・・・ム・・カエ・ニ・・キタ」
勇者「何?どういう事だ」
囚人「ヴォォエー」ゲロゲロ コロン
勇者「指輪?」
囚人「グハ・・・・マ・ジョ・・ニ・・?エセ」ポイ
勇者「マジョ?おい!どういう事だ」パス
囚人「・・モリ・・ヘ・・・ユケ」
勇者「モリ?・・・モリって何だ?おい!」
囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー」
ギャオーース
僧侶「隊長~!!ドラゴンが降りてくる~・・です」
隊長「来たか・・」
僧侶「他には123・・6匹小さいのが雲の中で回ってる~・・ます」(ハナシニクイナー)
隊長「勇者がまだあんな所に・・・」(勇者どうする?)
戦士「ハァハァ弓を持って来ました」
隊長「弓を使える物は装備しろ!」(弓で誘き出せるか?いや無理だ)
隊長「誰か魔法でドラゴンを誘き出せないか?!」(ドラゴンに魔法は禁じ手だが)
魔法剣士「爆裂魔法!」ゴウ パーン
隊長「ドラゴンを誘え」(こいつ・・魔法剣士のクセに高位魔法か)
魔法剣士「火炎魔法!雷撃魔法!炸裂魔法!」ゴー ビシャー ゴウ パパン
ドラゴン「ギャオーース」バッサ バッサ
隊長「よし!気付いた」
隊長「以後魔法を使えるものは支援魔法に徹底!」
隊長「ドラゴンに魔法は絶対撃つな!反射でブレスが来るぞ!」
僧侶「大変!!小さいの6匹は町の方に降りて行くみたい~・・です」
隊長「ちぃ・・・・まずい」(ドラゴンどもなかなかにやる)
隊長「衛兵!!良く聞け!私と義勇兵達は町の防衛に向かう」(誘いに乗ってやろう)
隊長「あのドラゴンは衛兵達で何とかしろ!!」(ここは勇者達に任せる)
隊長「恐らく城からの援軍はここに向かっている筈だ」
隊長「援軍が着いてドラゴンの様子を見ながら後に町の援護に来い」
隊長「指揮は闘士にやらせろ!!・・・」
隊長「闘士!!戻って来い!!」
闘士 !? ドスドス
隊長「しっかり稼げよ衛兵ども!!」
隊長「よし!猛者どもー町を守るぞ付いて来い!!」
多数「おー」
ギャオーース
僧侶「きたああああああ」
バサッ バサッ ゴウゥ
闘士「ブレーース!!よけろおおお」
ドガーーーン メラメラ
聖戦士は盾でドラゴンのブレスを防御した
聖戦士「私がおとりになる~」
闘士「何処に行く?!」
聖戦士「勇者の所まで~援護してね~」タッタッタ
闘士「お、おい・・」
ドラゴン「ギャオーース」バッサ バッサ
衛兵「うわわわわわ・・こっちに降りてくる・・」
闘士「ここは隠れる物が無い!!散開しろおおおお」
聖戦士「ドラゴンさんこっちこっち~」
バサッ バサッ ドッスーン
衛兵「で、でかいいい」
闘士「弓を構えええええ」ギリギリ
闘士「ってええ」スン スンスン シュン ススン スンスン スン
ドス ドス ドド チン
ギャオーース ゴウゥ
闘士「ぶれえええええす」
ゴーーーーン メラメラ
衛兵「ぎゃああああ」
僧侶「まって~~~回復魔法!回復魔法!」ボワー
聖戦士「助けに来たよ」
ドラゴン「ギャオーース」ドス ドス
勇者「ゴクリ」(これは・・勝てない) チャキ
囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー・・・ド・・?ゴン・・・?ウリ?」ズルズル
聖戦士「回復魔法!」ボワ
聖戦士「勇者下がって~」
ドラゴン(・・愚かな人間よ)ウルル ポツリ
---ドラゴンの目から涙が一粒落ちた---
勇者(誰に話している?僕か?囚人か?)
闘士「構ええええええ」ギリギリ
闘士「ってええ」スン スンスン シュン ススン スンスン スン
ドス ドス ドドドド ドス
ギャオーース ボボボボボボボボボボ
闘士「ブレス!!下がれええ」
衛兵1「ぐあああああ」
衛兵2「ぎゃああああ」
衛兵3「ああああああ」
衛兵4「しぬうううう」
衛兵5「あづいいいい」
僧侶「きゃーーーー」
闘士「・・・圧倒的じゃないか・・一端引けええええ」
勇者「ド、ドラゴン!魔王の使いか?!」タジ
聖戦士「勇者!!早く下がって~~」
ドラゴン「ギャオーース」ドシ
勇者はドラゴンの前足で踏みつけられた
勇者は身動きが取れない
聖戦士「あ!ダメ~~」
勇者「ぐああああ」バキバキ ボキ メリ グチャ
勇者(ダメだ潰される)
聖戦士「このぉ~やめ・・」ゴン ゴン
ドラゴンは聖戦士からダメージを受けた
勇者「ぐうぅ」コロン
勇者は囚人の指輪を落とした
ドラゴン(・・・そういう事か人間よ)バサッ
勇者(力が抜けた?殺すつもりは無いのか?・・気が遠くなる・・)
囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー」
ギャオーース バクッ ゴクリ
ドラゴン「ギャオース」グワシ
ドラゴンは聖戦士を鷲づかみにした
戦士「!!囚人が食われた・・ひと飲みだ・・聖戦士も捕まえられてる」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!追いつかないよ~~」
闘士「見ろ!ドラゴンが飛んだ・・勇者は!?倒れてる・・・聖戦士もやられたか・・」
ドタドタドタドタ
闘士「おお来たか援軍!!負傷者の治療を頼む!」
戦士「ドラゴンが町の方へ飛んでいく・・」
闘士「まずい!動ける者は町へ!!いそげぇ」ドスドス
衛兵「ハイー」
精鋭兵「闘士!お前が指揮るなたわけええええええ」
精鋭兵「状況は!?」
衛兵「ハイ!小型ドラゴン6匹が町を襲撃している様です。隊長は町の防衛に行っています」
僧侶「勇者~」タッタッタ
僧侶「まだ死んでないみたい~回復魔法!」ボワ
僧侶「ん?何か持ってる・・・指輪と豆??・・なんだろ~」
---町---
レンジャー「矢が足りない!」ギリ シュンシュン ドスドス
小ドラゴン「ギャース」ボシュ ボーンメラメラ
隊長「水をもっと持ってこーい!!消せー」
野郎「わっせわっせ」ジャバー
魔法戦士「硬化魔法!軟化魔法!」
レンジャーの攻撃力が上がった
小ドラゴンの守備力が下がった
魔法戦士「重力魔法!快足魔法!」
小ドラゴンの動きが遅くなった
野郎の足が速くなった
剣士「コイ!」シュバ ザク
小ドラゴンはダメージを受けた
小ドラゴン「ギャース」ボシュ ボーン
剣士は盾でブレスを受け止めた
小ドラゴン「ギャース」バサッ バサッ
剣士「逃げる!」
レンジャー「もう矢が無い!!」
魔法戦士「雷魔法」ビビビビ
小ドラゴンは魔法をかわした
隊長(あの魔法戦士・・高位の魔法使ってる割に魔力が良く持つ)
野郎「わっせわっせ」ジャバー
隊長「もう矢は無いのか!?」
店主「さっきので全部です~」
剣士「あ!!でかいドラゴンがこっちに来る・・・あれ?人を掴んでる?」
隊長「なにぃ!!」(勇者達はやられたか・・)
剣士「闘士が走って追いかけてる・・・援軍が見える!助かったぁ」
ドラゴン「ギャオーーース」バッサバッサ
レンジャー「ドラゴンは降りて来ないな・・旋回してる」
隊長(目的達成して引き上げるか?)
隊長「あっちの小ドラゴンがまだ暴れてる!行くぞ」タッタッタ
隊長「たぁぁぁ」ザク
小ドラゴンはダメージを受けた
小ドラゴン「ギャース」ブーン ヒラリ
隊長「普通の武器では鱗が抜けない・・」グン ザク
小ドラゴンはダメージを受けた
剣士「はぁ」ブン ザク
小ドラゴン「ギャース」バサッ バサッ
スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン
ズバズババババ ズバズバ
闘士「ってええええ」
スン スン スンスン シュン ススン スンスン スン
ドス ドス ドド チン
レンジャー「援軍が間に合ったみたいだ」
ドラゴン「ギャオーーース」バッサバッサ
小ドラゴン「ギャース」バッサバッサ
闘士「ってええええ」
スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン
スン スンスン フォンスススススンスン シュン ススン スンスン スン
隊長「撃ち方やめえ!!」
レンジャー「ドラゴン達が引き上げて行く・・」
隊長「衛兵!!怪我人の救護に掛かれ!」
隊長「回復手段の無いものは火の消火にあたれ!」
隊長「戦闘に当たった義勇兵は後に兵舎に来い!恩給を配る」
隊長「後の指揮は精鋭兵に任命する」
隊長「私は城へ戻り国王様の指示を頂く」
隊長「全員、日が暮れる前に終了させよ!!散開!!」
---ドラゴンによる襲撃はあっという間の出来事だった---
---しかし幸運にも死者は少数で済んだ---
---隊長の部屋---
僧侶「回復魔法!あ~もう飽きた~~」ボワ
勇者「・・・う」
僧侶「あ!目が覚めそうウフフ」グイット
勇者「うぅぅ・・・」
僧侶「・・・」ジロ
勇者「・・・強制的に目を開けるのは止めてくれないかい?」
僧侶「起きた~~~ウフフ」
勇者「生きてるな・・」
僧侶「私のおかげかも~ギッタギタのボッコボコだったよ~かっこわる~い」
勇者「その言い回しも止めてくれないかい?」ヨッコラセ
僧侶「ほら勇者ならさ~チョイチョイってさウフフ」
勇者「いたたた」
僧侶「あれれ~回復魔法足りなかったかな~まいっか~」
勇者「あの後どうなったのかな?」
僧侶「え~その話なんか退屈~ちょっと隊長呼んでくるね~」
勇者「え、あ、うん」(どうも会話にならないな)
僧侶「じゃね~」ガチャ バタン
勇者(ここに居るって事は何とかなったって事か・・・)
勇者(ゆっくりもして居れなさそうかな)ガサ ゴソ
カツカツカツ ガチャ
隊長「おはよう勇者!もう大丈夫なようだな。立てるか?」
勇者「大丈夫」スク グイグイ
隊長「大した回復力だな。あれほど重傷でも半日で回復するとは・・・僧侶の甲斐があったかな?」
勇者「そんなに重傷だったかな?」
隊長「肋骨は全部骨折、内臓破裂、普通なら手遅れだ。フフ相当頑丈に出来てるらしい」
僧侶「隊長~わたし横になっても良いですか~?ふぁ~あ」
隊長「寝ずの介抱ご苦労だった。ゆっくり休め」
僧侶「ふぁ~い失礼しまむにゃ・・」トコトコ
ガチャ ガチン
勇者「!!?・・・なぜ鍵を?」マサカ・・
ツカツカツカ ソソソ
勇者「・・・」ゴクリ
隊長「シッ」
隊長「まぁ座れ」サワワ
勇者「んむぐぐ」ストン
隊長(大きな声は出すな・・・昨日の事を少し聞きたい)
勇者(あ、あぁ・・)
隊長(私はドラゴン襲撃で町の守備に出たから闘技場で起きた事を見ていない)
隊長(囚人がドラゴンに食われたのは本当か?詳しく話せ)
勇者(え・・僕の目の前で一飲みにされたよ)
隊長(何かやり取りは無かったか?)
勇者(やり取り・・か・・僕は囚人が何を言ってたのかはさっぱり分からなかった)
隊長(他には何か無いか?)
勇者(そうだ・・途中で聖戦士が僕を助けに来た・・その後どうなったのかは分からない)
隊長(聖戦士はドラゴンに生け捕りにされたそうだ)
勇者(聖戦士は「勇者下がって」ってしきりに言ってたかな)
隊長(それだけか?)
勇者(僕がドラゴンに踏みつけられたとき助けようとしてくれた?・・かな)
隊長(その聖戦士について少し調べたんだが・・出身はこの国らしいがその記録が全然無い)
隊長(あれほど実力があれば少しは名が残る筈・・しかも女だ)
勇者(ん~聖戦士とは何もやり取りは無かったよ)
隊長(それから・・終わりの国が3日で飲まれたと言ったな?ドラゴンが関わっていれば無理な話では無い)
勇者(それと聖戦士とどんな関わりが?)
隊長(ドラゴンを導く内通者の可能性がある)
勇者(へぇ~そんな風には見えなかったけどね)
勇者(そうだ・・囚人の話に戻るけど・・囚人は僕と戦う気が無かった様に思う)
隊長(・・・それは無い・・囚人本人が勇者と戦うのを望んでいた・・それが無ければとっくに処刑されて・・)
勇者(ん?何か言葉に詰まっているね)
隊長(・・・いらない詮索はするな)
勇者(それともう一つ・・囚人から一つだけ聞き取れた言葉がある・・)
隊長(言ってみろ)
勇者(マオウハイナイ・・これはどういう意味かな?)
隊長(・・・・・)
勇者(どうして黙る?あの囚人はいったい誰だ?)
隊長(・・・・・)
勇者(何か都合が悪いのかい?)
隊長(・・・・・)
隊長(今日お前はこの国を出ろ。北に5日程行けば森の町がある。ひとまずそこに行って後を考えろ)
隊長(お前に馬と従士を一人付けてやる・・・そうだな・・僧侶が良い。助けになる筈だ)
隊長(準備が出来たら人目に付かないように国を出ろ。・・それから勇者である事は隠せ)
勇者(話が一方的だよ・・ちゃんと説明してく・・・)
隊長(言うことを聞け・・・・・最後に一つ・・・教えてやろう・・絶対に他言はするな)
隊長(・・あの囚人は・・・3年前に無くなったとされる”先代の勇者”だ)
勇者(!!!!!!!!!)
隊長(これ以上は聞くな)
隊長(シッ!!)
カツカツカツ コンコン
??「隊長!居られますか?」
隊長「あ、あぁ・・どうした?」
??「国王様がお呼びです」
隊長「あぁ分かった・・着替えたら行く」
??「では失礼します」
隊長「ちょっと待て・・お前は誰だ?」
??「精鋭兵ですが何か?」
隊長「僧侶を呼んで来い・・勇者の具合が悪い」
隊長「それから馬を2頭城門外に用意してくれないか・・後で町の様子を見に行きたい」
隊長「衛兵に預けてくれ」
??「かしこまりました」
隊長「よろしく頼む」
タッタッタ
隊長(勇者!国を出る準備をしろ!荷物はあそこにまとめて置いてある)
勇者(あ、あぁ分かった)ゴソゴソ
隊長(この兜をかぶれ・・これで衛兵にしか見えない)ポイ
隊長(それから書状を書いてやる)カキカキ スラスラ
隊長(僧侶が来たらこれを渡せ・・・)
勇者「・・・・・」
隊長(では!うまくやれ)ノシ
ガチン ガチャ カツカツカツ ---勇者よ捕まるなよ---
---
トコトコ トントン
僧侶「隊長~入りま~ふぁ~あ」
ガチャリ
勇者(早く入って!!)グイ
僧侶「え?なに?だめ!・・あん・ちょっと・・へんた~~~むぐぐ」ガブ
勇者(いだ!!静かに)
僧侶「なによ!勇者元気じゃない!もう~変な事すると大声だすよ?」
勇者(ちょっと落ち着いて)グイ
僧侶「へんた~~~~むぐぐ」ンムムンンン
勇者(落ち着いて聞いてくれ!隊長から書状を預かってる・・まずはソレを呼んで)
僧侶(ンムムわかったから離して~もう)
勇者(そこのテーブルの上にある)
僧侶(これ?・・・どうして小声なの??なんかワクワクする~)
勇者(良いから早くソレを)
僧侶(どれどれ・・・・・)ヨミヨミ
---数分後---
勇者(・・・何か読むの遅くないか?)
僧侶(なんか難しい事いっぱい書いてある~~でも大体分かった~)
僧侶(でも困ったな~私何も準備してな~い・・でもいっか~勇者に後で買ってもらお~ウフフ」
勇者(大丈夫かい?)
僧侶(任せて~わたしこういうの得意~そしてワクワクする~)
勇者(よし!じゃぁ行こう)
僧侶(オッケー私の言うこと聞いてね~ウフフ)
勇者(わかった)
僧侶(指令1:勇者を偽装する・・・偽装って何のことかな~?)
勇者(・・コレかな・・変装するって事だよ)ガブリ
僧侶(お?準備良いね~ウフフなんかスゴクたのし~い)
勇者(良いから早く行こう!)
僧侶(指令2:衛兵に見つからないように城門まで行く)
ガチャリ
僧侶(ちょっとまってね~ウフフ)トコトコ
僧侶(オッケー付いて来てね)ヌキアシ サシアシ
勇者(・・・すごい怪しく見えるんだけど・・普通に歩いた方が良いじゃないか?)
僧侶(大丈夫~ウフフ)
僧侶(あ!衛兵が来た・・どうしよう)アタフタ アタフタ
カツカツカツ
衛兵「おい!何してる!!」
僧侶(は、はい!)アタフタ アタフタ
衛兵「どうした?何で小声なんだ?」
僧侶(いえコッソリしてる所です)
勇者「・・・」(それはまずいだろ)
衛兵(そ、そうか隊長の機嫌が悪いのか)タラ
僧侶(静かにしておいた方が良いかも~)
衛兵(わ、わかった。後ろの奴もコッソリ歩けよ。隊長の機嫌を損ねたら)ブルブル
勇者「・・・」(ホッ・・・何とかなりそうだな)
衛兵(では!)ヌキアシ サシアシ
僧侶(じゃ・・いこ~)コソーリ
勇者(普通に歩かないかい?遅すぎる気が・・)コソーリ
僧侶(だって~見つかっちゃうよ?)
勇者(ぃあ・・すごく目立つと思う)
僧侶(もうすぐもうすぐ~ウフフ)
---城門付近物陰---
僧侶(よし!ここなら大丈夫~楽しかったね~)
勇者(こっちは冷や汗かいたよ)
僧侶(あ!見て見て~昨日の剣士さんと魔法剣士さんとレンジャーさんが居る~)
勇者(本当だ・・彼等も無事だったんだ)
僧侶(ちょっと隠れて見てよっか~ウフフ)
---城門---
門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」
門番「身分の無い物を通す事は出来ん」
門番「何か身分を示す物はあるか?」
剣士「国王様の伝令から書状を預かりました」
レンジャー「国王様からの招待状です・・これを」パサ
門番「ふむ・・しばし待たれよ」
門番「衛兵!見張っておけ」
衛兵「ハッ」ジロリ
剣士「あれ?衛兵さんは・・闘士?」
衛兵「・・よくぞ見破った・・あの時の事は忘れんぞ」
剣士「あはは・・ごめん・・わき腹はもう大丈夫ですか?」
衛兵「んむちょっと痛むがな」
剣士「昨日は散々でしたね・・衛兵は休み無しかぁ・・大変だ」
衛兵「昨日の戦い・・剣士も魔法剣士もレンジャーも見事な戦いだった」
レンジャー「衛兵も良く弓隊を指揮してたじゃないか」
剣士「衛兵にしておくのは勿体無いですね」
衛兵「ヌハハそうだろうそうだろう!お前は見る目がある」
タッタッタ
門番「衛兵~い!!その3名を通せ!急ぎで国王様が会いたいそうだ」
衛兵「ハッ」ニヤ
衛兵「通って良いぞ。昨日の戦いを国王様へ存分に報告して来い!」
レンジャー「ありがとう。そうさせてもらうよ」
剣士「では!」ビシ
衛兵「ハッ!」ビシ
魔法剣士「・・・・」ビシ
レンジャー「じゃ!」ビシ
スタスタ
門番「では剣士殿一行付いて参られよ」スタスタ
---城門付近物陰---
僧侶(みんな王様に呼ばれたみたいだね~なんだろね~関係ないか~ウフフ)
勇者(次の指令は?)
僧侶(指令3:衛兵(闘士)に昇格の内示)
僧侶(闘士は精鋭兵に昇格するみた~いウフフ私もうれし~い)
勇者(ハハ良かったじゃないか)
僧侶(ここで待ってて~合図したら来てねウフフ・・じゃ行ってくる~)
---城門---
衛兵「・・・お前・・何やってるんだ?」
僧侶(えへへ~コッソリしてる~)
衛兵「どうした?手ぶらじゃ衛兵は務まらんぞ?」
僧侶(じゃぁコッソリ教えてあげるウフフ~)
僧侶(隊長からの伝令!衛兵(闘士)を精鋭兵に任命する!辞令を受け取りに来い!だってさ~)
衛兵「おおおおおおおおおおおおおおおお」
僧侶(昇格おめでとー隊長は王様の所かな~?行ってみると言いかも~ウフフ)
衛兵「おぉそれをわざわざコッソリ伝えに来てくれたのか!」
僧侶(大抜擢だもんね~私もうれし~いウフフ)
衛兵「よ、よし!俺は隊長の所に行ってくる。武器を預かってくれ・・」ガシ
僧侶(あれ~こん棒に変えたの~?にあわな~い)
衛兵「相棒!ちょっとここは任せた!行ってくる」
僧侶(・・・ちょ・・・アレ?ナンカ・・・)
衛兵「ん?」
僧侶(ちょっと待って)グイ
衛兵「な、なんだ?急に」
僧侶(おめでとうのダッコ)ギューゥゥ
衛兵「なんだよ気持ち悪い・・おい・・泣いているのか?」ナデナデ
僧侶(ううん・・うれしくてチョッと涙が出た~)ポロポロ
衛兵「おう!サンキュー・・じゃぁちょっと行ってくるわ」ドスドス
僧侶(うん・・じゃーねー・・・ごめんね闘士)
---城門付近物陰---
勇者(・・・僧侶も何か感じてるか・・もう戻れないかもしれないって)
勇者(あ!合図だ)キョロキョロ
勇者(よし!誰も居ない)タッタッタ
---城門外---
勇者(僧侶・・平気かい?)
僧侶(なんかね・・涙が止まらないの~おかしいな~)ポロポロ
勇者(城門はどうやって閉めるんだい?)
僧侶(そこのレバーを回す~)
勇者(こうか?)
ガラリゴロリガラリゴロリ ガタン
勇者(なんか・・僧侶元気なくなったな)
僧侶(死んじゃうかも~なんてね~)ゴシゴシ
ヒヒヒヒヒ~ン ブルン ブルン
僧侶(指令4:馬に乗って北に走る)
勇者(よし!あそこに2匹居る。行こう!)
僧侶(ん~この指令は難しいかも~)
勇者(え?どうして)
僧侶(私馬に乗ったことな~い。それからちょっと怖い感じ~いけるかなぁ?)
勇者(そうか・・仕方が無い僕の後ろに乗って)
僧侶(え~~~怖いかも~でもやってみる~)
勇者(2人とも軽装で良かった。多分2人乗りでも行けると思う)
僧侶(オッケー・・・どうすれば言いの?)
勇者(トゥ)スタ ヒヒヒン
僧侶(お?かっこいい~なんてね~)
勇者(手を貸して)
僧侶(こう?)グイ
勇者(よっこらせ・・っとほら乗れた)
僧侶(おぉぉぅ・・たかいたか~~いウフフお姫様みた~い)
勇者(しっかりつかまって!)グイ グイ
パカ ポコ ポカ ポコ
僧侶(お・お・おお・おお・お~たのし~いウフフ)
パシン パカラッタ パカラッタ
勇者「よしここまで来れば・・」
グイ!グイ!ギュー!
勇者「何してる?」
僧侶「オッケー私と勇者を紐で縛っておいた~これで落ちないよ~」
勇者「ハハそれは良い」
僧侶「なんか揺れると眠くなる~むにゃ」
勇者「そうか昨夜は寝てないんだっけ・・少し寝ると良い」
僧侶「ちょっとダッコしたい感じ~」ギュゥ
勇者「あぁしっかりつかまって・・」
グゥ スピー スゥ スピー
---ひとまず北へ---
---謁見の間---
隊長「入ります!」ザシュ
国王「うむ近こうよれ」
隊長「・・・」スタスタ スッ
国王「執政!人を払え」
執政「かしこまりました」
---
国王「して隊長・・勇者の容体はどうだ?」
隊長「命の危険はありません。驚異的な回復を見せています」
国王「まだ目は覚まさぬか?」
隊長「あの重傷ではもう少し掛かるかと・・」
国王「事情を聞けるまで城からは出さぬ様にしろ」
隊長「はっ」
国王「囚人・・いや先代の勇者と現在の勇者に接点はあるのか?」
隊長「情報がありません」
国王「どうも選ばれた勇者達は問題の種になっておる様だな」
隊長「・・・・」
国王「ドラゴンの件と勇者の件・・お前はどう思う?」
隊長「ドラゴンの件は内通者が居るのではと・・」
国王「やはりそう思うか・・・ドラゴンは賢い・・理由なしに国を攻める訳が無い」
隊長「勇者が言っていた終わりの国が飲まれたという噂が本当だとすると・・ドラゴンが関与しているかと」
国王「先日の被害状況を申せ」
隊長「死者5名 行方不明者2名 運よく軽微に収まっています」
国王「死者と行方不明者の身元は?」
隊長「死者は盗賊1名 衛兵3名 市民1名」
隊長「行方不明者は 聖戦士と囚人」
隊長「囚人は現場で見たもの全員がドラゴンに捕食されたと申しております」
隊長「聖戦士はドラゴンに連れ去られたとか・・」
国王「町の状況は」
隊長「火事はすぐに消し止め被害は軽微です」
国王「ふむ・・・やはりドラゴンは勇者を狙っておるな・・」
隊長「・・・先代の」
国王「みなまで言うな・・いづれにせよ今後の事を考えねばならん」
隊長「聖戦士の身元だけは不明な所が多く・・」
国王「ほう・・」
隊長「出身はこの国だそうですが記録が一切ありません」
国王「聖戦士の戦い振りは見ておったが・・この国の出身とはの」
隊長「はい・・今までその名すら聞いたことがありません」
国王「手がかりは何も無いのか?」
隊長「盾と槌が残っていましたが終わりの国で作られた物の様です」
国王「・・・確か勇者の師匠は終わりの国の元衛兵隊長だと言っておったな?」
隊長「はい」
国王「終わりの国の元衛兵隊長は数年前ここで死んだ筈だが・・つじつまが合わん」
隊長「嘘を申している様には見えませんでしたが・・」
国王「不振な点が多いのぅ・・やはり勇者を野放しには出来んな」
隊長「・・・」
国王「終わりの国への密偵を出さねばならんな・・」
---
門番「客人を連れてまいりました」
執政「例の3名か?」
門番「はい」
執政「よし!門番は下がれ」
---
執政「国王様・・話の途中失礼ですが・・例の3名が謁見に参りました」
国王「よい。丁度終わった所だ。通せ」
国王「隊長は私の横へ来い」
隊長「ハッ」スタ
執政「3名は国王様の面前へ」
スタスタスタ スッ
剣士「書状を受け取り謁見に参りました」
国王「よい。硬くなるな。表をあげろ」
剣士「ありがたきお言葉」スッ
国王「よくぞ参られた。先日のそなたらの働き振りは良く聞いておる」
国王「被害が軽微に済んだのも、そなたらの力添えがあっての事であろう」
国王「執政!謝礼金を用意しておけ」
執政「かしこまりました」
国王「本日早々にそなたらに参上してもらったのには訳があっての」
剣士「いかなる御用で?」
国王「先日のドラゴン襲撃の際最も現場近く居たそなたらに、何か気づいた事が無かったかを問いたい」
国王「何でも良いから不振に思った事は無いか?」
剣士「不振に?・・か」キョロ
レンジャー「ドラゴンの鳴き声はずいぶん前から聞こえていました・・ボエーー」
剣士「あれは鳴き声だったのか」
国王「ふむ・・魔法剣士は?」
魔法剣士「・・・・・」
隊長「国王様からの質問である!!答えろ!!」
国王「・・まぁ良い」
魔法剣士「・・アレは鳴き声なんかじゃない」
国王「ほう・・では何と」
魔法剣士「魔法か何かが・・共鳴する音だ」
国王「共鳴するとな?さてどのようにすれば共鳴を起こせるのか?」
魔法剣士「右手と左手で同じ魔法を蓄えると、その中間で共鳴音が鳴る」
国王「うむ良く分かった」
隊長(国王様・・・策が御座います)ヒソヒソ
国王(申せ)ヒソヒソ
隊長(こやつらを終わりの国への密偵に使うのは如何でしょう?)ヒソヒソ
隊長(あと1名衛兵隊の中から従士を付け監視の役をさせます)ヒソヒソ
国王「あれほどの騒ぎの中、なかなか不振に気付ける物ではないなハハ気にしなくて良い」
国王「して3名・・いや4名か」
剣士「4名?」
国王「そなたらは相当に腕が立つと聞いておる」
国王「実は終わりの国への密偵を願えんか?もちろん謝礼は十分用意する」
国王「終わりの国とは連絡が途絶えて久しい。密書を届けてもらいたいのだが・・・やってもらえんか?」
剣士「そういう大事な役目を私達に任せて良いのでしょうか?」
国王「今は、軍備の増強と安定を謀りたいのだ。少数精鋭が望ましいと考える」
レンジャー「それは願っても無い話だが・・魔法剣士お前は良いのか?」
魔法剣士「・・・・・」
レンジャー「まぁ連れて行こう!良いよな?剣士?」
剣士「僕は構わないけど・・残りのあと一人は?」
隊長「精鋭兵!!来い!!」
精鋭兵「ハッ」スタスタ
国王「おぉ丁度良い。精鋭兵・・・名を申せ」
精鋭兵「ハッ戦士と申します」
レンジャー「おぉ戦士・・お前だったのか・・」
国王「話は聞こえておったな?」
戦士「ハッ」
国王「では戦士!!お前を剣士達一行の従士に任命する。これより精鋭兵の任を解く」
国王「さて4名・・やってくれるな?」
剣士「わ・わかりました」ハハァー
国王「では剣士達一行の旅立ちを全力で支援する事を約束する」
国王「執政!!良きに謀らえ!!丁重にな」
執政「かしこまりました」
国王「4名!下がってよいぞ」
剣士「はい」スク
魔法剣士「・・・」スク
レンジャー「はい」スック
戦士「ハッ」スク
スタスタスタ
隊長「戦士!!旅立つ前に私の所へ尋ねに来い!従士の任務を説明する」
戦士「ハッわかりました」ビシ
ドスドスドス
剣士「お?闘士。僕達は謁見終わったよ」
闘士「隊長!」モジモジ
隊長「!!闘士そこで待て」
隊長(国王様・・取り込みの最中ではありますが部下の昇格をさせて頂きたく・・)
国王「アレか?・・・丁度良いここで辞令を済ませよ」
隊長「ありがとう御座います」
隊長「闘士!!許可が出た!入れ」
闘士「ハイ!失礼します」ドスドス
隊長「国王の面前だ!無礼はするな・・よし」スタスタ
隊長「闘士!衛兵の任をただ今を持って解除する。これより精鋭兵として国王様をお守りする任へ付け!」
隊長「はははは・・はい!!」ビシ
隊長「お前の持ち場はソコだ!!謁見の間の外を巡回しろ!!・・・フフ大抜擢だぞ精進せい!!」
闘士「ハッ」ビシ ドスドス
国王「・・・では隊長!引き続き対策会議を行う」
隊長「ハッ」
---数分後---
ドタドタドタ
衛兵「隊長は謁見の間に居られるでしょうか?」
精鋭兵「んむただ今会議中である・・どうした?」
衛兵「勇者の姿が見当たりません!」
精鋭兵「なぬ!城内は探したのか?」
衛兵「はい!どこにも見当たりません」
精鋭兵「執政殿!!執政殿ぉ!!」
ガチャリ
執政「なんの騒ぎだ?会議中であるぞ」
精鋭兵「勇者の姿が見当たらないとの事!城内は捜索済みだそうです」
執政「少し待て」
ガチャリ スタスタ
---
執政「国王様、隊長殿・・取り込み中失礼しますが・・勇者の姿が見当たらないと衛兵より報告が・・」
国王「なんと!!それはまことか?手負いだった筈だが」
隊長「私の部屋で朝までは横になっておりました・・・」(思ったより気が付くのが早い)
国王「衛兵を通せ」
執政「かしこまりました」スタスタ
国王「会議はこれにて中断だ隊長」
ガチャリ
執政「衛兵!入って報告せよ」
衛兵「失礼します・・・隊長の部屋より勇者の姿が無くなったとの報告を受けました」
衛兵「メイドが食事を運びに行った際に、居なくなったのに気付いたのが10分程前。荷物も無くなっています」
衛兵「その後城内と町を捜索していますが、未だに見つかっておりません」
国王「勇者は手負いだ・・遠くへは行けまい」
衛兵「・・・その・・馬が1頭居なくなっています」
隊長「なにぃ!!」(1頭?)
国王「馬が外に出る為には城門を通らなければならんが門番は何をしてた?」
衛兵「それは分かりません・・」
衛兵「あと・・・その・・・・」
国王「申せ」
衛兵「1人・・衛兵が居なくなりました」
隊長「・・誰だ!!」(芝居が通じるか)
衛兵「僧侶です」
精鋭兵「!!!!!!!」
国王「僧侶が勇者を連れ出したと言うか?」
隊長「国王さま・・それなら馬2頭居なくなる筈です」
国王「勇者が僧侶を連れ出したと言うか?・・・動機がよく分からんな」
隊長「僧侶の荷物はどうなってる!!」(上手く行きそうだ)
衛兵「僧侶の所持品はすべて宿舎に残っています」
隊長「連れ去られた線が強いかと・・」(フフフ)
ガタン!
精鋭兵「つ、連れ去られただって・・・あの偽勇者め」ギリリ
国王「ほう・・丁度良い!新任に良い任務が出来たな」
隊長「・・よし精鋭兵!!勇者及び僧侶の捜索はお前が指揮を取れ」(さてお前に行き先が読めるか?)
精鋭兵「承知しました!!必ずや連れ戻して参ります!!失礼します」ドスドス
精鋭兵「衛兵!人駆を集めろ・・20名だ!!」
衛兵「はぃぃ」
国王「さて隊長よ・・・わしは少し休む。お前は自分の任務へ戻れ」
隊長「ハッ」
国王「例の件・・抜かるなよ?」
隊長「承知しております!では!!」スタスタスタ
---抜かりの無い王だ・・そんなに人が信用できないのか---
---城門前---
精鋭兵「馬の準備はまだか!?」(ほんの数時間前)
衛兵「6頭しか許可されませんでした」
精鋭兵「んむ?これは馬の蹄の跡か?おい衛兵!!誰か分からんか?」(僧侶の身に何が)
衛兵「・・分かりません・・争った跡の可能性もあります」
精鋭兵「ここで争うと人目に付くだろう・・・まてよ・・人目か」(このまま北に行けば人目には付かんな)
衛兵「はぁ・・・」
精鋭兵「ようし!2名は乗馬して北にある森の街まで行って捜索しろ」
衛兵「ハッ」
精鋭兵「もう2名も乗馬し西の国境まで捜索」
衛兵「は」
精鋭兵「次の2名も乗馬して南の港町へ向かって捜索しろ」
衛兵「ういさ」
精鋭兵「10名は徒歩で城周辺と町の捜索に当たれ」
衛兵「ハイッ」
精鋭兵「残りの者は馬を調達してきてくれ」
精鋭兵「乗馬組みは伝書鳩を忘れるな!!手がかりを見つけたら早々に飛ばせ!」
精鋭兵「では散開!!」
---フフ上手く逃げろよ勇者---
---林道---
パカラッ パカラッ ブルルル ブヒー
勇者(馬が疲れてきた様だ・・少し速度落とすか)
グイ ブルル パカ パカ パカ
勇者(日が暮れる前に寝床を探さないと・・・野宿になるかな)
ぐぅぅぅぅぅ
勇者(朝から何も食べてないな)ゴソゴソ
勇者(乾し肉とパンだけか・・・2人だと今日の分しか無いな)
僧侶「ううぅぅん・・・たいちょーむにゃ」スピー スピー
勇者(紐で縛られてると下手に動けんな)
さわさわわ
勇者(川が近い・・よし魚が取れる)
---川辺---
僧侶「ふぁあ~~あ~んんんんあれ~?ここどこだろ~」
勇者「お!起きたかい・・よっし!!捕れた」パシャパシャ
僧侶「なんかチョッと暗いかも~ここはどこ~?」
勇者「あぁもうすぐ日が暮れる・・今日はここで野宿だ」
僧侶「ふ~ん今何してる感じ~?」
勇者「魚捕ってる」
僧侶「なんか楽しそ~う私もやろっかな~ウフフ」
勇者「日が暮れる前に火を起こそう・・手伝って」テキパキ
僧侶「何すればいいの?」
勇者「火魔法とか使えないかな?」
僧侶「オッケーやってみる」
勇者「そこの枯葉に火を付けてみて」
僧侶「できるかな~?火魔法!」ポ
勇者「お!十分!フーーーフーーーー」メラ
僧侶「私天才かも~ウフフ」
勇者「僕は魔法が使えないから火をおこすのにいつも苦労するんだ」
僧侶「火魔法はじめて使った~ウフフ」
勇者「よしコレでよしっと・・ちょっと木を集めてくるから暖まってて」
僧侶「オッケー」
---数分後---
勇者「あれ?僧侶何処行ったかな・・・お~い」
パチャパチャ
勇者「お~い僧侶~・・・・あ!」
僧侶「あ!だめええええ!来ないで~~~見ないで~~」
勇者「ごごごめん・・あっちで待ってる」
(そうか・・暗くなる前に水浴びしておかないと入れなくなるもんな)
メラメラ パチパチ
僧侶「戻ったよ~あ~サッパリした~」
勇者「おかえり」
僧侶「さっきは見たでしょ~~へんた~い」
勇者「いやそんなつもりは無かったんだ・・・」
僧侶「あれ~?コレって寝床になるの~?それとも馬の餌?」
勇者「ベットの変わりだよ。それから明日の朝には馬の餌にもなる」
僧侶「すご~いウフフ~なんか頭良いね~」
勇者「そろそろ焼けたかな」クンクン
僧侶「良い匂い~お腹空いてきたかも~ウフフ」ぐうぅぅぅぅぅ
勇者「焼き魚と乾し肉とパンだ・・・木の実もある」
僧侶「ごちそうだぁ~いただきま~す」パク
勇者「今日は沢山食べて明日に備えよう」
僧侶「なんふぁ・・すふぉく楽ふぃ~ウフフ」パクパク
勇者「じゃぁ僕も頂きます」モグモグ
---夜---
メラメラ パチパチ ゴゥ
勇者「よし!これで一晩火は持つかな」
僧侶「ねぇ勇者ってさ~・・・あ!!思い出した~指令に続きがあったんだ~」
勇者「ん?」
僧侶「指令はねぇ~全部で7つあるんだ~ウフフ」
勇者「あぁ聞かせてくれるかな?」
僧侶「だめぇ~~それは秘密なの~私が順番に指示する~」
勇者「分かったよ・・」
僧侶「指令5:身分を詐称する事・・・ってどういう事かなぁ・・」
勇者「あぁ隊長が勇者である事を隠せって言ってたな」
僧侶「なんでかなぁ?勇者って名乗るとやっぱり面倒が起きる?」
勇者「ん~どうかな・・・でもわざわざ名乗る必要もないかな」
僧侶「じゃぁ名乗る必要が有る時は何って名乗るの~?」
勇者「それは適当に・・」
僧侶「よし!!私が決めてあげる~そうだなぁ・・」
ヒヒヒヒ~ン ブルル
僧侶「そうだ!馬に乗ってるから騎士にしよう!かっこい~~どう?気に入った?」
騎士「あ、あぁそれで良いよ」
僧侶「私は姫で良いかな~?ねぇ」
騎士「ぃあ・・僧侶は僧侶で良いよ」
僧侶「なんかズル~い面白くない~~・・・あれ?ポケットに何か入ってる~なんだろ~」
騎士「???」
僧侶「あ!!忘れてた~コレ騎士の持ち物・・・指輪と豆かな?ハイ・・」
騎士「これは・・・囚人の指輪と・・・なんだこれ?」クンクン
僧侶「うわ~犬みた~い」
騎士「豆では無さそうだ・・でもありがとう僕が持っておくよ」
僧侶「その指輪ってどうしたの?大事そうに握り締めてたよ?」
騎士「あの囚人が僕によこした物だよ・・・僕にもどうして渡されたかよく分からない」
僧侶「へ~そうなんだ~でもさぁ~なんかその話退屈~他の話にしよ~よぅ」
騎士「・・・・・」(この子のペースはキライじゃないかな)
僧侶「例えばさ~明日何食べるとかさ~夢のある話をね・・」
(なんか僕も楽しい)
---林道5日目---
パカ パカ パカ
僧侶「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「もう飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きたあああああ」
騎士「・・・・・」
僧侶「あとどれくらい?」
騎士「さっきから3分くらいしか経ってないよ」
僧侶「また野宿かなぁ・・暗くなって来たよぅ」
騎士「もうすぐ付くよ」
僧侶「もうチョッとさー元気が出る気の利いた言葉が欲しいな~」
騎士「よし・・今日はごちそうをお腹いっぱい食べよう!」
僧侶「たべるううううううううううううう」
騎士「あったかいベットで一緒に寝よう」
僧侶「ねるうううううううううううううう・・う???一緒に?」
騎士「ははは掛かったな・・だんだん僧侶の扱い方が分かってきたぞ」
僧侶「・・ギッタギタのボッコボコにするよ?・・ウフフ」
騎士「あのね・・・あ!!林の隙間に光が見えた」
僧侶「え!!わーい!どこどこ~?見えな~い」グイ グイ
騎士「ちょちょ・・紐で縛ってるんだからあんまり騒がないで・・」
ヒヒヒヒ~ン ブルル
---森の町---
騎士「まず宿屋を探そう・・ってお~い!待って」
ぴゅー
騎士「・・・まいったなぁ・・どこ行っちゃったんだろ」
僧侶「こっちこっち~!!」
騎士「ちょっと待ってよ、はぐれちゃうだろ~」
---森の町の宿屋---
ガチャ カランカラン
店主「いらっしゃいませ森の町の宿屋へようこそ」
僧侶「ねぇねぇ今人違いされちゃった~ウフフわたし何処にでも居る顔かな~?」
騎士「部屋は取れたかい?」
僧侶「オッケーお勘定は騎士が担当ね~ウフフ」
騎士「分かったよ」
店主「あら騎士さん?お久しぶりのご来店ですね」
騎士「え?・・・人違いじゃ?・・」
僧侶「アレレ~?騎士はここに来た事あるの~?」
騎士「いや・・」
店主「お二人の事は良く憶えていますよ。その節は色々とお世話になりました」
騎士「あの・・」
店主「今ではあの娘も大きくなりまして隣の酒場で働いています」
騎士(ややこしくなりそうだからここは話を合わせよう)ヒソヒソ
僧侶(オッケー)
店主「お二人はあの時からお変わりは無いようですね」
騎士「・・あ・はい」
店主「4~5年ぶりになりますかねぇ・・あの後大規模な魔女狩りがありましてね」
騎士「魔女・・」
店主「2年ほど前に例の塔を王国が跡形も無く破壊して行かれました」
騎士「・・あ、あ~そうですか」
店主「また明日にでも見に行ってみるのも良いですね」
僧侶(ねぇ早く~)ソワソワ
店主「あら失礼しました。話が長くなってしまいましたね。お部屋までご案内します」
僧侶(あのおばちゃんボケてるのかなぁ)ヒソヒソ
騎士(・・そうかもね)ヒソヒソ
店主「こちらへどうぞ」
---
店主「こちらのお部屋になります。お食事はどうされますか?」
僧侶「ごちそうが食べた~いウフフ」
店主「分かりました。のちほど沢山ごちそうをお持ちしますね」
僧侶「わ~い。ひさしぶり~ぃ」
店主「ではごゆっくりおくつろぎ下さい」スタスタ
騎士「じゃ少し休もうか」
ガチャリ バタン
騎士「え・・・・」
僧侶「な~に~?」
騎士「これってどういう風に寝るの?」
僧侶「私がベットで~・・・アレ?」ギシ
騎士「ちゃんとベット2つ用意してって言った?」
僧侶「ちゃんと言ったよ~ベットをダブルでお願いしますって~」
騎士「・・・あのねダブルの意味分かってる?」
僧侶「ふたつ?」
騎士「・・・・ん~~~こうしよう・・今から部屋を変えてもらおう」
僧侶「ん~なんか・・めんどくさ~い。もうくつろいでる~」
騎士「わ、わかったよ。くつろごう」
---
僧侶「ぷは~お腹いっぱ~い。美味しかった~ウフフ」
騎士「この後ちょっと隣の酒場に行こうかと」
僧侶「お酒飲むの~?」
騎士「町にきたらまず情報収集するのは基本だよ」
僧侶「なんか堅苦しい~面白くないな~。・・お酒飲むならいこっかな~」
騎士「ま、まぁ・・お酒を飲んでも良いよ」
僧侶「わーい。いこいこー」
騎士「っとその前に・・一応護身用でナイフだけ持っていこうハイ」
僧侶「どうして?」
騎士「酒場では酔っ払いに絡まれる事もあるんだ」
僧侶「へー」
騎士「かわいい娘を連れてると特に注意が必要なんだ」
僧侶「あれ~~?私のこと遠まわしにかわいいって言ってるのかな~?ウフフ」
騎士「・・・まぁ僧侶の場合は別の意味で注意が必要なんだけど・・」
僧侶「別の意味ってな~に?」
騎士「まぁ良いじゃないかハハ早く行こう」
僧侶「ハ~イ」
---酒場---
マスター「いらっしゃいませー」
娘「お二人様ですか?こちらの席が空いています。どうぞ」
騎士「ありがとう」
娘「お飲み物はいかがされますか?」
騎士「ハチミツ酒あるかな?」
娘「はい。お連れ様は?」
僧侶「わわわたくしもおおおなじ物を・・」
騎士(硬くならなくて良いよ)
僧侶(なんかキンチョーするもん)
娘「かしこまりました」
酔っ払い「てやんで~いムニャんだとべらんめい・・ムニャ」
マスター「あわわ失礼しました。酔っ払い!そろそろ帰ってくれ」
娘「お待たせしました」コト コトン
騎士「じゃぁ乾杯しようか」
僧侶「かんぱ~い」チン
騎士「乾杯!」チン
僧侶「おいしい!!ウフフ」グビ
騎士「おぉ美味しいね」チビ
騎士「マスターこのハチミツ酒はここで造ってるのかな?」
マスター「はいそうです。すこし北にある遺跡の森に沢山花が咲くのでハチミツが良く取れるんですよ」
騎士「どうして沢山花が咲くのかな?」
僧侶「わたしお花畑で生まれたの~ウフフ~おかわり~」
マスター「何でもその遺跡は200前はお城だったらしくて異世界から勇者が光臨したという伝説があるんです」
マスター「だから尋ねに来た旅人達が花を添えて行ったのが沢山花が咲く由縁と言われてるんです」
騎士「へぇ~知らなかった」
マスター「その後その遺跡には魔女が住み着いて・・」
娘「マスター!!その話は聞きたくないです」プン
マスター「あぁスマンスマン」
僧侶「ねぇ騎士も一緒に飲もうよ~うぃ」
騎士「わかったわかったほら!かんぱ~い」チビチビ
僧侶「かんぱ~うぃ」グビビ
野郎「よう!にーちゃん!かわいいねーちゃん連れてるじゃねぇか」
騎士「・・・・」
野郎「俺にもちょっと・・・お!?」
騎士「なんだ?」
野郎「お前・・どこかで・・・あれ!?そのねーちゃんも・・」
騎士「僕はお前を知らないぞ」
僧侶「ねぇわたしかわいい?ひっく」
野郎「いや!間違いねぇ何年か前に世話になってる」
騎士(またか?)
野郎「ほらこの町で神隠しの事件があった頃だ・・・あれは・・」
僧侶「ハチミツ酒お~か~わ~り~」グビ
野郎「お、おぃこのねーちゃん大丈夫か?」
僧侶「ねぇわたひかわいい?うふふふふふ~」
騎士「ちょっと飲みすぎだぞ・・僧侶」
僧侶「い~の~今日の出会ひにかんぱいしよ~ひっく・・かんぱ~~~ひっく」チン
野郎「お・おぅ」チン
騎士「ヤレヤレ」チン
僧侶「ハチミチュちゅおいひ~」グビグビ
騎士「マスターお勘定ここに置いて行くよ。野郎の分もこれで足りると思う」
マスター「分かりました。又のお越しをお待ちしております」
野郎「おい!もう帰っちまうのかよ・・・あの時は世話になったよ。ありがとよ」
騎士「僧侶そろそろ帰ろう」
僧侶「うぃメッタメタのポッコポコにすんぞヒック・・」
騎士「わかったわかった・・」ヨッコラ
僧侶「かわいいのかかわいくねぇのかはっきり・・ヒック」
騎士「お騒がせしてすいませんでした・・」
娘「ありがとうございました~」
僧侶「だっこー・・ひっく」
騎士「はいはい・・おんぶで良いかい?」ヨッコラせと
僧侶「・・・・・」
騎士「どうした?大丈夫か?」
僧侶「・・・・・」シクシク
騎士「・・今度は泣き上戸か」(まいったなこりゃ)
僧侶「わたしやっていけるかなぁ・・え~ん」ポロポロ
騎士「うん大丈夫だよ。すごく助かってるよ」
僧侶「もう帰れないのかなぁ?・・・シクシク」ポロポロ
騎士「大丈夫だよ僕が付いてるよ・・・ほら今日はもう休もう」
僧侶「もっとだっこして・・」ぎゅー
騎士「はいはい・・・」
---始まりの国衛兵隊宿舎---
ドンドン ドンドン
衛兵「休憩中申し訳ありません・・・伝書鳩が戻って来ました」
精鋭兵「・・・そうか!なんて書いてある」
衛兵「北の林道に野営の跡を見つけた様です」
精鋭兵「よし!読み通りだ。馬運搬用の馬車を2つ用意しておいてくれ。」
衛兵「わかりました」
精鋭兵「俺は隊長に許可をもらってくる。人駆も集めれるか?」
衛兵「やってみます」
---
トントン
精鋭兵「隊長!居ますでしょうか?」
隊長「誰だ?」
精鋭兵「精鋭兵です」
隊長「少し待て。着替えている最中だ」ゴソゴソ
精鋭兵「・・・・・」
隊長「よし!入れ」
ガチャ
精鋭兵「・・・」ゴクリ
隊長「どうした?」
精鋭兵「た、隊長・・・その格好は・・」
隊長「私も女だ、礼席ではこういう格好をする事もある・・おかしいか?」
精鋭兵「いえ・・お美しいです」
隊長「ところで用は何だ?」
精鋭兵「ハッ・・偽勇者捜索の外出許可を頂きに来ました」
隊長「ふむ・・進展はあったのか?」
精鋭兵「北の林道にて野営跡を発見しました。偽勇者の可能性が高いと判断します」
隊長「根拠は?」
精鋭兵「人目に付かず国を出るには北に向かうのが良い方法かと・・」
隊長「・・分かった」(なかなかやる)
精鋭兵「捜索を自分に直接指揮させて下さい」
隊長「よし!やってみろ」(試してみるか)
精鋭兵「では早速出発します。失礼しました」ビシ
ドスドスドス
---始まりの国城門---
衛兵「馬運搬用の馬車を用意しておきました。荷物は積んであります。すぐ出れます」
精鋭兵「よし!お前なかなか用意が良いじゃないか・・憶えておく」
衛兵「ありがとう御座います!!」
精鋭兵「これから偽勇者捜索に向かう!馬車には3名づつと交代の馬1頭を乗せろ」
衛兵「はっ」
精鋭兵「今回は自分も同行する。3交代で夜通し走るぞ」
衛兵「はいっ」(すごい!これなら追いつける)
精鋭兵「では作戦開始!詳しくは馬車内で個別に指示する!乗れぇ」
バカラッ バカラッ
---森の町宿屋---
チュン チュン チュン
僧侶「ふぁあ~~あ~んんんん!!!!!!!あれ?」キョロ
僧侶「!??」(モシカシテ)
僧侶「・・・」(ドウシヨウ)
僧侶「・・・」(モウイッカイネテミヨウ)
僧侶「・・・・・」スヤ パチ
僧侶「ふぁあ~~あ~んんんん」キョロ キョロ
僧侶「・・・」(ヤッパリ)
僧侶「・・・」(ハダカ)
騎士「むにゃ」
僧侶「・・・」(コレハ)
僧侶「・・・」(ヤッテシマッタ)
そろ~り そろ~り
スルスル キュ スルスル ギュ
チュン チュン チュン
騎士「んんん・・・」
僧侶「・・・」グイ
騎士「・・・強制的に目を開けるの・・やめてくれないか・・・」
僧侶「お、ぉはょぅ」
騎士「早いね・・大丈夫かい?僧侶昨日はすごかったよ」
僧侶「・・・そ、そう?」
騎士「だっこ好きなんだね」
僧侶「え?」(オワッタ)
騎士「さて起きようかな」
僧侶「ちょちょっと散歩にいってくる~」
騎士「いいよ。すぐ帰ってきてね」
ガチャ バタン
---
(どういう顔すれば良いかな)
(いつも通りで良いのかな)
(なんて話しかけよう)
(きらわれてないかな)
(なんか帰りにくいな)
(どうしよう)
ガチャ バタン
騎士「おかえり~朝食が来てるよ一緒に食べよう」
僧侶「うん」
騎士「ほら・・あ!おいしそう」
僧侶「うん」
騎士「早く食べなよ」パク
僧侶「うん」パク
騎士「やっぱり始めて飲んだの?」
僧侶「うん・・!?ううん」フリフリ
騎士「これからは程々にしようね」
僧侶「ねぇ!わたしどうだったの?」
騎士「どうだったって・・」
僧侶「ほら・・良かったとか悪かったとか・・」
騎士「ん~~まぁ良かったよ」
僧侶「そっか・・」(ヤッテシマッタ)
騎士「僧侶の事が良く分かったよハハ」
僧侶「嫌いになってない?」
騎士「そんなこと無いよ・・また一緒に逝こう」
僧侶「え?あ・・・うん・・でも良く覚えてないの・・」カァ
騎士「じゃぁ今度はゆっくりね」
僧侶「私・・早かったの?」
騎士「ちょっとね・・」
僧侶「わかった・・がんばる」
騎士「・・まぁ・・がんばる物でも無いけど・・」
騎士「よし!ごちそうさま。早く食べなよ・・今日はちょっと北の遺跡を見に行ってみたい」
僧侶「あ、うん分かった~」(でもなんか安心した)
騎士「出かける準備しておくね」
僧侶「は~い」
---
店主「昨晩はお楽しみでしたね。もう出発されますか?」
僧侶「・・・」モジモジ
騎士「はい。今日は北の遺跡に行ってみようかと・・」
店主「それは良いですね。歩いて30分程で行けますよ・・・あらご存知でしたわねほほほ」
騎士「今日の分のお勘定と・・・馬を少し預かってて下さい」ジャラリ
店主「お預かりいたします。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
---遺跡の森---
テクテク トコトコ
僧侶「・・・ねぇ・・手をつないでも良い~?」
騎士「あ、あぁ良いよ。どうしたんだい?」
僧侶「なんとなく手を繋ぎたい感じ~ウフフ」グワシ
騎士「見たことの無い石造が沢山あるね・・」
僧侶「そうだね~ココって何だったんだろーね~」
騎士「この林道は良い香りがする・・花の香りかな?」
僧侶「あ!向こうにお花畑がある~早くいこ~」グイ グイ
騎士「うわ!?スゴイ一面の・・・花だ」
僧侶「わ~いウフフ~」ルンルン
騎士「あんまり遠くには行かないで」
僧侶「すご~~い!ど~ん」バタ
騎士「花を荒らすなよ?」
僧侶「騎士もおいでよ~大の字になって横になってみよ~よ~ウフフ」
騎士「よっこら」バタ
----------------------------
チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ
---なんだか時間を忘れるね---
---そうだね~ウフフ~---
---手を繋いでも良い?---
---良いよ---
---なんかすごく幸せな感じ---
---心が満たされる感じ---
チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ
----------------------------
♪ラ--ララ--♪ラー
騎士「あれ?泣いてるのかい?泣き虫だなぁ」
僧侶「どうして涙が出るんだろ?悲しくないのに」ゴシゴシ
騎士「さてと・・」ヨッコラ
僧侶「私ずっとココに居た~い」
騎士「ダメだよ・・僕達は行かなきゃ・・おいで」グイ
僧侶「ねぇ、あそこの瓦礫は何だろ~う」
騎士「あれが・・元々は魔女の塔だったのかな?」
僧侶「シッ・・・何か聞こえる」
??「♪ラ--ララ--♪ラー」
騎士「本当だ」
ノソ ノソ ノソ
老婆「旅人の方かね?」
騎士「あ、はい」
老婆「花を踏まないでおくれ・・」
騎士「・・すいません」
老婆「わらわは目が見えにくくなって・・もっと近くに来てくれんか?」
スタスタ
老婆「おおおおおおおおおおぅ」
僧侶「え?何?」
老婆「やっと返しに来たか・・・早くアレをわらわに返しておくれ」
騎士「え?アレって・・」
老婆「わらわはあの指輪が無いと生きて行けん・・約束どおり返しておくれ」
騎士「ゆ、指輪?」(約束?)
老婆「そうじゃ・・わらわは待っておった」
騎士「まさか・・・コレ・・かな?」ゴソゴソ
---「マ・ジョ・・ニ・・カエセ」---
---「・・モリ・・ヘ・・・ユケ」---
老婆「そう!それじゃ・・それは愛しの人に会う為の物・・早く返しておくれ」
騎士「あなたは・・魔女?」
魔女「そうじゃ・・その指輪が無いとわらわは若さを保もてん・・」
騎士「わかったよ・・ハイ」
魔女「付いておいで・・ここは危ない」
騎士「危ない・・って・・何が?」
ノソ ノソ ノソ
---追憶の森---
魔女「ここなら安心じゃ・・さて始めるよ」
騎士「始めるって何の話?」
魔女「そなたらから少しだけ若さを貰う約束じゃ・・忘れたのか?」
騎士「約束って何のことだか・・」
魔女「なに・・心配せんでも良い・・少しだけ若さを貰うだけじゃ」
僧侶「わたしお婆ちゃんになっちゃうの~?」
騎士「いや・・それは・・」
魔女「心配せんでも良いと言っておろう・・・早よう手を繋げ・・はぐれるぞ?」
グワシ
僧侶「ウフフ」
魔女「目を閉じるのじゃ・・」
騎士「ちょっと・・説明を・・」
魔女「すぐ終わるから・・早よう閉じろ」
---スッ---
--------
--------
--------
--------
--------
騎士「・・もう良いかな?」パチ
僧侶「私も開けて良い?」パチ
騎士「あれ?・・・・」
僧侶「あれ~~~~~?お婆ちゃん?」
騎士「・・どこに行った?」
僧侶「消えちゃった~ウフフ」
騎士「何だったんだろう」
僧侶「わたしお婆ちゃんになってない?」
騎士「いや・・変わって無い」
僧侶「魔女のまぼろしかな~タヌキに化かされた・・なんてね~」
騎士「ま、まぁ・・そろそろ戻ろう」
僧侶「うん。又来ようね」
テクテク トコトコ
---森の町---
バカラッ バカラッ パカパカ ブルル
衛兵「どうどう・・・」
精鋭兵「衛兵!どうだ?見つけたか?」
衛兵「ハッ!宿屋に若い男女が昨夜宿泊したとの事です。あの馬を見てください」
精鋭兵「ウム軍馬だな・・・偽勇者に間違いないな」
衛兵「来た甲斐がありました!」
精鋭兵「よし!でかした。今は何処にいる?」
衛兵「今朝がた北の遺跡の森に向かったようです。まだ戻って来ていません」
精鋭兵「ソコに何があるか聞き込みはしたか?」
衛兵「昔は塔があったようですが2年前に崩されたようです。今は何もありません」
精鋭兵「・・・噂に聞く魔女の塔だな」
衛兵「はい・・最近老婆が付近をうろついているとの事です」
精鋭兵「ふむ・・よし!2名は遺跡の森へ向かってくれ」
衛兵「はっ」
精鋭兵「見付けても手を出すな!必ず町に戻ってくる」
精鋭兵「残りの者は宿屋周辺で潜伏して待機!馬に接触するのに合わせて捕える」
衛兵「分かりました!」
精鋭兵「よし作戦開始!」(必ず捕らえてやる)
---数時間後---
精鋭兵(遅い・・・遅すぎる)
精鋭兵「衛兵!!集まれ!!」
ドタドタ
精鋭兵「済まない・・・読みが浅かったやもしれん」
衛兵「・・・」
精鋭兵「日が暮れる前に遺跡の森を全員で調査する。先に行った衛兵が心配だ」
精鋭兵「被害を最小限にするために今回は全員で行動する事とする」
精鋭兵「みんな・・強行軍になって済まない・・出発しよう」
衛兵「いえ・・そんなこと無いです。行きましょう!」
精鋭兵「ありがとう・・」
---遺跡の森---
サワワ サワワ・・・
♪ラ--ララ--♪ラー
精鋭兵「!?」
女「♪ラ--ララ--♪ラー」
精鋭兵「御婦人・・ここらで若い男女か衛兵2人を見なかったか?」
女「♪ラ--ララ--♪ラー」
精鋭兵「・・・」
女「♪ラ--ララ--♪ラー」
精鋭兵「御婦人はココで何を?」
女「わらわは愛しき人を待っている・・・」
精鋭兵「今日ここらで人を見かけ無かったか?」
女「花を見に来る人は沢山居るのでな・・」
精鋭兵「この辺りだけ何故沢山の花が?」
女「愛しいからじゃ・・・」
♪ラ--ララ--♪ラー
---森の町---
テクテク トコトコ
僧侶「ルンルン」♪
騎士「あれ?馬が居ない・・・」
僧侶「綱を繋ぎ忘れた~なんてね~ウフフ」
騎士「宿屋も閉めてる・・・まいったなぁ・・」
僧侶「じゃぁ買い物でも行こうよぉ~」
騎士「あぁそうだね。少し時間を潰そう」
僧侶「わ~い。何処いく何処いく~?」
騎士「・・・そうだな・・まず洋服を買いに行こう」
僧侶「行く行くううううううウフフ」
テクテク トコトコ
---防具屋---
カランコロン
店主「いらっしゃいませ」
僧侶「・・・」(なんかちがう)
店主「何をお探しですか?」
騎士「女性用の軽くておしゃれな装備ないかな?」
僧侶「!?お?そんなのあるの?」ワクテカ
店主「失礼ですがそちらの方は・・」
騎士「あぁ僧侶なので鎧じゃ無い方が良いです」
店主「ではピッタリのおしゃれなローブがございます」
騎士「試着させて下さい・・・良いよね?」
僧侶「うん!わくわくしてる感じ~ウフフ」
店主「ではこちらで・・・」
スルッ スルッ シュッ
---数分後---
僧侶「これに決めた~ウフフ」
騎士「お?見せて・・」
僧侶「ジャーン♪」
騎士「おぉ良いね・・・可愛いよ」
僧侶「ウフフ~もっと言って~~♪」
騎士「それフードかぶるとどんな感じ?」
僧侶「ほい!」スルッ
騎士「良いね・・偽装の任務完了かな」
僧侶「買い物楽し~い」
騎士「あと店主!急所だけカバーするインナーも付けておいて」
店主「分かりました」
僧侶「これ着て行っても良い?」
騎士「もちろん。今まで着てたやつはここで引き取って貰う」
店主「インナーの装着も忘れないで下さい」
僧侶「は~い。付けて来るね」
騎士「代金はここに置くよ」ジャラリ
店主「ところで旅の方・・最近この町では神隠しがあるのでお気をつけください」
騎士「え?神隠し?」
店主「お連れ様が神隠しに会わぬ様しっかりと手を握ってあげるとよろしいかと」
騎士「あ、あぁ忠告ありがとう」(神隠しねぇ)
僧侶「お・ま・た・せ~♪ウフフ」
騎士「うん。じゃぁ行こう」
---武器屋---
ガチャリ バタン
店主「らっしゃーい」
騎士「この子に杖を買ってあげたいんだけどあるかな?」
僧侶「え~~~?杖?わたしお婆ちゃんじゃないよ~ぅ」
騎士「・・出来るだけ短いやつで・・」
店主「・・・これでどうよ?」
僧侶「お?ちっちゃくてかわゆ~い♪」
騎士「この杖にはどんな効果が?」
店主「それはまどろみの杖と言って眠りを誘う効果がある。買って行くか?」
騎士「僧侶どうする?」
僧侶「うん!コレで良い~」
店主「まいど!!ちなみにそれは突いて使えば護身にもなるぜ!」
騎士「良いね!お代はここに置くよ」ジャラ
僧侶「じゃぁ次にいこ~」
店主「おぉぅちょっと待った。神隠しが流行ってるから手を繋いでやんな!」
騎士「え!?」(またか・・)
僧侶「店主さん気が利く~~~う」グワシ
騎士「ちょちょちょ・・・」
ガチャリ バタン
---町道---
テクテク トコトコ
僧侶「ルンルン♪あ!?人が集まってる~なんだろ~」
騎士「本当だ・・行ってみよう」タッタッタ
ドヤドヤ ドヤドヤ
女「どなたかウチの娘を知りませんか?」ぽろぽろ
男「肌が白くて髪の長い娘です!どこかで見ませんでしたか?」オロオロ
女「もう2日も家に帰って来てないんです・・どなたか・・どなたか」
僧侶「あれ?あのおばさん宿屋のおばさんじゃない?」
騎士「本当だ!どういう訳か聞いてくる」
ドヤドヤ ドヤドヤ
町民(また神隠しか?)
町民(今回は子供だってさ)
町民(2人居なくなったらしいよ)
町民(もう1人の子供は?)
町民(あの悪がきだってよ)
町民(もう十分大人じゃねぇか)
騎士「すいません・・ちょっと通して下さい」
女「!!旅人様・・肌が白くて髪の長い娘を見ませんでしたか?」
騎士「あ、いや・・」(馬の事聞ける雰囲気じゃないな)
男「旅人様・・どうかお助け下さい・・1人娘なんです・・うぅ」
騎士「す、すいません・・見て・・無いです」ショボン
青年「俺が見つけてくる!!あの塔の魔女がさらったに決まってる!!」
ドヤドヤ ドヤドヤ
町民(塔の魔女は何か悪い事したことあるか?)
町民(いや聞いた事が無い)
町民(花の世話をしている良い魔女だぞ)
町民(でも魔女なら何か知ってるかも)
町民(どうせただの家出だろ)
ドヤドヤ ドヤドヤ
---宿屋前「閉店」---
騎士「・・・・・」
僧侶「どうしたの~?なんか考え事~?」
騎士「・・・もしかして」ブツブツ
僧侶「う~ん多分ね~私と同じ考えかも~」
騎士「・・・言ってみて」
僧侶「ここはね~・・・多分4~5年前だと思うの~ウフフ」
騎士「僕も同じ考えだ」
騎士「・・・・・もういっかい遺跡の森に行こう!!」
僧侶「うん!」
---遺跡の森---
テクテク トコトコ
騎士「あ!!誰か居る!!」
僧侶「どこ~?あ!!・・・さっきの青年じゃない?ウフフ」
青年「ブツブツ・・・!!」ビク
騎士「君も宿屋の娘を探しに来たのかい?」
青年「か、関係無いだろ!」
僧侶「私たち、お花畑に行くんだ~一緒に来る?」
騎士「どうせ行く方向は同じだし一緒に行こう」
青年「・・・・・」
テクテク トコトコ スタスタ
---
チュン チュン ピヨ
騎士「!!?これは・・・」
僧侶「わお~大きいぃ~~」
青年「・・・・・」
騎士「・・魔女の・・塔だ」
僧侶「まだ壊れてないね~おっかしいな~」
騎士「僧侶・・これでハッキリした」(過去に戻っている)
僧侶「うん」
騎士「魔女を探そう!!」
青年「・・・・・」
騎士「多分あそこの塔だ!行こう」タッタッタ
青年「・・・おい!待て」
僧侶「ん?」
青年「魔女に・・消されるぞ」
騎士「青年・・・君は何か知ってるな?」
青年「俺と宿屋の娘と悪がきの3人は昔から仲良しで、よくここで遊んだんだ」
青年「ある日兵隊がやってきて魔女に何か頼みごとをしてた」
青年「物陰に隠れて見てたら・・・見たんだ・・・魔女に消される所を・・」
青年「ただ姿を消したんじゃない・・その後魔女が若返ったんだ」
青年「だから森の町の神隠しの犯人は魔女に間違いない・・若返る為に・・」
青年「でも大人は誰も信じなかった」
騎士「そうか・・分かった僕が魔女を止めに行くよ」
僧侶「私たちは魔女の知り合いなの~ウフフ」
青年「!!なんだって!?お前達は魔女の仲間なのか?」
騎士「心配しなくて大丈夫だよ・・塔に行くけど君も来るかい?」
青年「・・信じて良いんだな?」
僧侶「よし!いこ~」
---魔女の塔---
♪ラ--ララ--♪ラー
騎士「シッ・・・」
僧侶(ヌキアシ サシアシね)そろ~り
そろ~り そろ~り
青年「・・・・・」
♪ラ--ララ--♪ラー
娘の声「魔女さんお願いします!」
男の声「お願いだ!僕は罪を犯してしまった・・・ここから逃げ出したい」
女の声「わらわは愛しき人をまって居るだけじゃ・・・何の魔法も使えんよ」
男の声「このまま逃げてもきっと捕まってしまう」
女の声「捕まって罪を償えばよかろう・・」
男の声「でも僕達は見たんだ!魔女が人を消す所を!・・・姿を消すだけで良いんだ」
女の声「何度言ってもムダじゃ・・・わらわは人を消すことなぞ出来ん」
男の声「消すのがダメなら・・・他に・・何か助かる方法はないのか?」
娘の声「私は彼を愛しているの!このままだと一緒に居られなくなる・・」
青年「!!!!!」
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」にまーり
女の声「♪ラ--ララ--♪ラー」
男の声「僕達は愛し合っているんだ!2人で逃げる方法を教えてくれ・・お願いだ」
女の声「自ら犯した罪からは逃れらんぞ?・・・償えば未来は来る」
ガタン!!
青年「・・・・・」だだだっ
宿屋の娘「青年・・・」
悪がき「青年・・・」
魔女「ほぅ・・・・・これは見ものじゃのぅ」
青年「宿屋の娘!・・悪がき!・・」
青年「皆・・・心配してるぞ」
悪がき「僕を心配する奴なんか1人も居ない!!」
青年「ど、どんな事があっても・・・俺は」
青年「俺はお前を裏切ったりしない!!俺が心配している!」
宿屋の娘「・・・」
悪がき「・・・」
青年「帰ろう!帰って罪を償おう」
悪がき「だめなんだ・・・僕は・・人を殺してしまった」
青年「ばかやろう!!」だだだ ボカッ
宿屋の娘「悪がき!!」
青年「悪がき!お前は自分のやったことから逃げるのか!?」
悪がき「・・・」
青年「俺は逃げない!本当は・・俺は・・宿屋の娘の事が好きだ!」
宿屋の娘「!!?」
青年「でも宿屋の娘はお前の事を愛している・・・だから!!」
青年「悪がき・・お前の事を絶対守ってやる!!」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
魔女「・・・・・さぁ子供達・・お家にお帰り」
魔女「わらわが一つだけおまじないを掛けてあげよう・・・」キラリン
魔女「愛を知るおまじないだよ・・」
魔女「皆が心配しているから早く帰っておやり」
宿屋の娘「・・・」
悪がき「・・・」
青年「さぁ・・帰ろう」
---
こそ~り
僧侶(出番なかったね)ヒソヒソ
騎士(まぁ良かったじゃないか)
僧侶(そうだね・・でも何か魔女に会いにくくなっちゃったね)
騎士(んんん~少し待とう)
♪ラ--ララ--♪ラー
そこに居るのは分かっているよ・・
騎士「!!?」
僧侶(バレてた?)
魔女「わらわに何の様じゃ?」
スタスタ トコトコ
騎士「お、おどかすつもりは無かったんだ」(魔女?若い・・)
僧侶「コッソリしててごめんなさ~い・・アレ~魔女さんはどこ~?」
魔女「わらわは愛しき人を待っておる・・・用が無いなら帰っておくれ」
僧侶「魔女さん?なの?」(綺麗)
騎士「・・・えーとその・・僕達2人は未来から来た」
魔女「・・・・・」
騎士「帰る方法を知りたいんだ・・」
魔女「何のことかね?・・・わらわは愛しき人を待って居るだけじゃ・・」
騎士「指輪の秘密を知っていると言ったらどうする?」
魔女「・・・・・」
僧侶「魔女さん。私たちは未来の魔女さんに会ったの~お婆ちゃんだったけど・・」
魔女「・・・未来ではわらわはまだ愛しき人には会っておらんのか?」
騎士「まだ会えていなかった・・・」
魔女「いつの時代から来たのじゃ?」
騎士「5年ほど未来・・かな?」
魔女「・・・・・」
魔女「こっちへ来て・・詳しく話を聞かせておくれ」
---
---
---
魔女「・・・そうかい・・そなたらの言っている事に偽りは無さそうじゃ・・」
騎士「帰る方法は?」
魔女「それは簡単じゃ・・・5年経てば帰れる・・じゃが他に方法は無い」
騎士「いやそれは・・」(帰れない・・)
僧侶「・・・・・・・」
魔女「・・・未来のわらわに若さを吸われたのじゃ」
魔女「わらわはそうやって時の彼方より命を繋いでおる・・・愛しき人に会うために・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「どのくらい昔なんだろ~?」
魔女「わらわは200年ほど待っておる・・・あぁ待ち遠しい・・愛しき人よ」
騎士「・・その愛しき人というのは・・・一体?」
魔女「・・・今この世に生まれておる筈じゃ・・必ず会えると約束をした・・」
魔女「じゃが・・そなたらの話では・・この指輪は囚人の手にあったのじゃろう?」
魔女「なぜじゃ?なぜ囚人の手に指輪が渡ったのじゃ?」
魔女「指輪が無ければわらわは生きては行けぬ・・」
魔女「5年後そなたらに会った時にもまだ・・愛しき人には会って居らぬのじゃろう?」
騎士「さぁ・・・そこらへんは分からない・・ただ」
騎士「未来の魔女は僕が指輪を返しに来ることを待っていた・・なぜだと思う?」
魔女「わらわは愛しき人の為意外に指輪は手放さない・・」
騎士「そうか・・・多分・・愛しき人に何か起ころうとしている」
魔女「うぉぉぉぉおぉぉぉおおっぉ・・・・・行かねば・・」ポロ
魔女「わらわの愛しき人がすぐ近くに・・・でなければ指輪を預かっている筈がない」ポロポロ
魔女「愛しき人よぅぅう・・助けに・・助けに行かねば・・」ボロボロ
魔女「わらわを・・わらわを連れて行っておくれぇぇぇ」ボロボロボロ
騎士「ちょちょっと待ってくれ・・・それはまだ5年程未来の話だ」
騎士「・・・これから何かが起きる」
騎士「僕は今、魔王を倒すために旅をしている・・・それでも付いてくるか?」
魔女「魔王じゃと?・・魔王はもう居らん」ポロポロ
魔女「わらわの愛しき人が200年前に魔王を滅ぼした・・」ポロポロ
騎士「なっ・・・どういう事かな?」
---
その時世界は魔王によって滅ぼされようとしておった
ある日異世界より勇者達が舞い降りた
わらわと勇者は恋に落ち永遠を誓った・・・そして
わらわと勇者達は共に戦い魔王を滅ぼした
世界に平和が訪れわらわと勇者は幸せに暮らす筈じゃった
しかし時の王は勇者を退けわらわは塔に幽閉された
必ず又会えると約束したが・・
わらわは勇者から聞いていた・・200年未来から来たと
じゃから待ち続けておる・・また会う時まで
魔女「また会えると信じ毎日花を植えた・・愛しき人を想いながら・・」ポロポロ
魔女「200年は長い・・・ただ又会いたい・・その想い一心で待っておった」ボロボロ
魔女「愛しき人に何か起こるならば・・・助けに行かねばならぬ・・愛しているのじゃ」ポロポロ
魔女「わらわは愛しき人を探さねばならん・・・これは導き」
僧侶「うぇっ・・うぇっ・・ヒーン」ポロポロ
騎士「あの花は魔女が1人で・・・」
僧侶「騎士ぃ・・・一緒に探しに行ってあげようよ~ひっく」ポロポロ
---
魔女「話がなごうなったのぅ・・もうすぐ日が暮れる」
騎士「じゃぁ行こうか」
僧侶「いこ~~ウフフ」
騎士「ここにはしばらく戻れないけど・・大丈夫かい?」
魔女「愛しき人との思い出の場所じゃ・・・名残は惜しい」
僧侶「ねぇ魔女~あの歌聞かせて~?」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
♪ラ--ララ--♪ラー
すごく良い歌だね
愛の歌じゃよ
夕日とお花畑がとてもきれ~い
♪ラ--ララ--♪ラー
---森の町---
テクテク トコトコ ノソノソ
僧侶「日が暮れちゃったね~ウフフ」
騎士「あぁ又あの宿屋にお世話にならないとね」
僧侶「お店開いてるみた~い」
魔女「わらわはどこでも良いぞ」
---森の町宿屋---
カランコロン
店主「いらっしゃいませ旅の御方・・ハッもしや!」
騎士「???」
店主「家出娘を迎えに行ってくれた方ですか?・・・青年から話は聞いています」
騎士「はぁ・・」
店主「大変ご迷惑をおかけいたしました・・お代は要りませんので今日は泊まって行って下さい」
僧侶「わ~い♪ごちそうごちそ~う」
店主「こちらのご夫人・・あら魔女様でしたか?」
騎士「い、いやいや違うよ・・」
店主「オホホ失礼しました・・・魔女様にしては御2方共若すぎますものねオホホ」
魔女「・・・」
騎士「・・それで娘さんは大丈夫でしたか?」
店主「はい。娘と青年と悪がきの3人で教会の方に行ったようですわ」
騎士「それは良かった」
店主「何でも喧嘩した相手が死んだフリしてたのが教会でバレタとか何とか・・」
騎士「・・・」チラリ
魔女「・・・」
騎士「そうですか・・何事も無くて良かったですね」
店主「いえいえ大変お世話になりました」
僧侶「早く~~~はらぺこぺこぺこぺこ~~」グイグイ
騎士「あぁ今日は2人部屋を2つお願いします。ベットはダブルで」
店主「わかりました。お部屋の準備が出来るまで広間の方で先にお食事をお済ませ下さい」
僧侶「は~い」
---広間---
パクパク モグモグ
僧侶「ぷはぁおいしかった~~マンプク」
騎士「この宿屋の料理は本当に美味しいね・・ハチミツのおかげかもね」
魔女「・・それはわらわのおかげでもあるぞ」
騎士「魔女は森の町がハチミツの産地になってる事知ってるんだ」
魔女「ミツバチは色々な噂を運んでくるもんでな」
僧侶「魔女はミツバチと話せるんだ~すご~い」
魔女「ミツバチは愛を運ぶとも言われておるんじゃ」
僧侶「愛・・かぁ」
カツカツカツ
店主「お食事はお済みでしょうか?お部屋の準備が出来ましたのでご案内いたします」
騎士「あぁ頼むよ」
テクテク トコトコ ノソノソ
店主「こちらの2部屋になります。今日はごゆっくりとお休み下さい。では失礼します」カツカツカツ
騎士「じゃぁ・・僕はこっちの部屋で」ガチャリ
僧侶「じゃまた明日ね~」ノシ
魔女「ではの~」
ガチャリ バタン
---部屋---
騎士「・・・・・」
僧侶「うふふ~」
騎士「・・で・・なんでこっちの部屋な・・の?」
僧侶「どうして?」
騎士「いあ・・だって部屋2つ用意したんだけど・・」
僧侶「だから?」
騎士「え、あ・・まぁ良いんだけどさ」
僧侶「今日は不思議な1日だったね~ウフフ~」
騎士「そうだね・・・でももう後戻りできない事も分かった」
僧侶「本当にこの世界は4~5年前なのか良くわからないね~ウフフ」
騎士「うん・・実感が無い・・・これからどうしたら良いのか・・」
僧侶「・・・」
騎士「・・・」
僧侶「ねぇ・・昨日の事なんだけど・・」モジモジ
騎士「ん?なに?」
僧侶「・・・・・」
騎士「なんだっけ?」
僧侶「わたし昨日の夜の事ぜんぜん覚えて無くって・・」
騎士「・・無くって?」
僧侶「・・その・・記憶に残るようにもう一回・・してほしいの」カァ
騎士「へ?」
僧侶「だっこ」
騎士「だっこ??いや・・まぁ良いけど」
僧侶「ちょっと恥ずかしいけど・・」スルリ ストン
騎士「!!?え・・ちょ」
僧侶「だっこして寝るの~!」
騎士「いや、あ、う、うん・・・いいのかい?」
僧侶「今日はがんばるもん」ギュゥ チュ
騎士「いやがんばるって・・むぐ」
僧侶「んむ・・んん」チューゥ
騎士「んむん・・ぷは・・ほ、ほんとにいいのかい?」
僧侶「うん・・・ぁぁん・・・はぁはぁ・・・もっと・・」
---ギシアン---
---早朝---
チュン チュン チュン
僧侶「・・・」パチ キョロ ホッ
騎士「スゥスゥ」
(ユメジャナイ)
(キノウトチガッテ)
(ミタサレテルカンジ)
(ココロガオチツイテルカンジ)
(ホカニナニモイラナイカンジ)
(モウカエレナクテモ)
(ソンナコトドウデモ)
(ヨクナッタ)
(ナンカシアワセ)
僧侶「・・・」ぎゅぅぅぅチュゥ
騎士「んんんんむぐ」パチ ギュゥゥ
僧侶「んむんん・・ぁぁん・・ねぇ・・だっこして」
---ギシアン---
zzz・・・
---朝---
チュン チュン チュン
騎士「ふぁあ~~あ」
僧侶「スピースピー」zzz
騎士「・・・」(おはよう)
そろ~り そろ~り
騎士「・・・」(着替えないと)
グイ スル シュッ
騎士「・・・」(あれ?窓からみえるのは)
騎士「・・・」(気球だ)
僧侶「ふぁあ~」パチ !
騎士「あ!おはよう」
僧侶「うふふ~おはよ~」ニコ
騎士「大丈夫かい?僧侶昨日はすごかったね」
僧侶「うふふ~」
騎士「だっこ好きなんだね」
僧侶「うん♪」(昨日と同じ会話)
僧侶「ねぇ!わたしどうだった?」
騎士「最高だったよ」
僧侶「わたしのこと好き?」
騎士「大好きだよ」
僧侶「私も騎士が大好き」(どんどん満たされていく)
騎士「そろそろ着替えなよ」
僧侶「は~い」
スル スル シュッ
騎士「あれ見て!!」
僧侶「なに~?あ!!気球?乗ってみた~い」
騎士「今日行ってみよう」
僧侶「わ~い」
騎士「魔女起きてるかな・・」
僧侶「起こしに行こっか?」
騎士「頼むよ」
---宿屋出入口---
カランコロン チュンチュン
店主「昨晩はお楽しみにでしたね。本日はもう出発されますか?」
騎士「はい・・お代は本当に良いんですか?」
店主「もちろんです。汚したシーツもお気になさらないでください」
僧侶「・・・」モジモジ
魔女「・・・」チラリ
騎士「店主さん外に見える気球は・・・?」
店主「あーあの気球ははるか西にある砂漠の町へ行く為に貸し出している物ですよ」
騎士「砂漠の町はここから大分遠かったと思うけど」
店主「・・・ですがすぐ西のエルフの森は危険ですので気球で越えるのが一番安全らしいです」
騎士「そうなんですか・・・気球はどうやって借りれば?」
店主「町外れに貸出所があるので詳しくはそちらで聞くと良いかと」
僧侶「ねぇ・・・はやくぅぅぅ」
騎士「あぁぁごめん・・・店主さん情報ありがとう」
店主「いえいえ又のお越しをお待ちしております。今後とも仲良くなさって下さい」
僧侶「は~い・・ウフフ」
魔女「・・・」ジロ
騎士「じゃぁ行こうか」
---町道---
テクテク トコトコ ノソノソ
僧侶「騎士ぃ~手ぇ~~」グワシ
魔女「そなたらは仲が良いのぅ・・わらわと愛しの人を思い出すわ」
騎士「ま、まぁね」
僧侶「ウフフ~」
魔女「僧侶は騎士からピッタリ離れんのぅ・・・目に痛いわ」
騎士「・・・この先で魔女の装備も整えて行こう」
魔女「わらわはこの格好で良いが?」
騎士「明らかに魔女っぽい格好はまずいかな・・・」
僧侶「私が選んであげる~ウフフ~たっのしみ~~」
---
僧侶「おまたせ~コーディネートはこーでねーと!なんてね~ウフフ」
魔女「・・・この格好で愛しの人に見つけてもらえるかのぅ・・」
騎士「割と普通になったかな・・・護身用の装備も良いかな?」
魔女「わらわに護身用は必要ないが?・・・危険が迫れば若さを吸えば良い」
騎士「そっか・・」(魔王を倒した事があったんだっけ)
魔女「あまり吸いすぎると子供になってしまうがな・・」
騎士「それは困るなハハ」(じゃぁ僕は一体何と戦うんだ?)
テクテク トコトコ スタスタ
---気球貸出所---
ゴーー ゴーー プシュ
男「よう!気球を借りに着たのか?」
騎士「はい・・気球は始めてでも操作出来るものなのかな?」
男「ああ簡単だ。魔石を少し調整するだけだ。急には動かんから大丈夫」
騎士「借りるのは金貨でどれくらい?」
男「ちーっと高いぜ・・金貨一袋だ」
騎士「うわ・・全財産分だ・・」(高すぎる)
男「でも安心しな!砂漠の街で気球を返却したら気球の代金は帰って来る・・つまり移動代だけって事だ」」
騎士「あぁそれなら大丈夫だ・・・ところで」
騎士「この気球に・・今の勇者が乗った事があるか知らないかい?」
魔女「!!!」
男「ん~はっきり覚えてないが・・・勇者らしき4人組みが借りていった事はあるなぁ・・・」
騎士「それはどれくらい前?・・」
男「半年か・・もうすこし前かって所だな・・まぁ金持ちじゃ無いと借りれないから・・乗れる人は限られるしな」
騎士「その4人組が向かった先について何か知らないかい?」
男「砂漠の町の後のことは知らねぇ・・向こうは盗賊団が情報牛耳ってるからソコで聞くと良いかもな」
魔女「その勇者の特徴はなにか覚えておらんか?」
男「おおぅ御嬢ちゃん・・・勇者様に会ってみてぇのかい?」
魔女「質問に答えてないぞよ?」
男「御嬢ちゃんよ・・・どっかのお姫様みてぇな口ぶりだなハハ・・残念だが主だった特徴は覚えてねぇな」
魔女「他には覚えておらんか?」
男「すまねぇ・・無口な勇者だったもんだからほとんど会話してねぇんだ・・」
魔女「無口か・・・」
男「よう!それで気球は借りていくか?」
騎士「砂漠の町までの日数は?」
男「7日って所だな」
騎士「必要な物を揃えてまた来る」
---
ヨッコラ ドス
騎士「・・これで良し・・っと」
男「おぅ随分荷物積み込んだじゃねぇか・・こりゃ気球の旅も快適だなハハ」
僧侶「お~中はお部屋になってるんだね~ウフフ~」
男「火事だけは気をつけてくれ・・たまに事故があってな」
騎士「僧侶も気球は始めてかい?」
僧侶「うん見た事はあったけど~王国が禁止してから見なくなったかな~ウフフ」
男「何の事だ~?」
騎士「あ、いやこっちの話だよ」
僧侶「2年くらい前かな~急に気球が禁止になったの~」
騎士「便利なのにどうしてだろうね?」
僧侶「わからな~いウフフでもわたしたちには関係ないね~」
男「おい!操作方法わかるか?・・・ここをこうすると火が・・・」
騎士「あぁ・・見せて・・・簡単だね」
魔女「魔石のエネルギーを使っておるのか・・」
男「代えの魔石はこっちのカゴに入ってる・・・それから向こうに着いたら気球貸出所にコレを渡してくれ」パサ
騎士「これは?」
男「代金返済額と必要な物資リストだ・・まぁお前達には関係ない。無くすなよ」
騎士「わかった」
僧侶「早くいこ~よ~ねぇねぇ」
男「そら!!早く乗った乗った~」
ギシギシ ゴーーーーー ゴーーーー
僧侶「わぁ!!浮いた浮いたぁウフフ」
男「じゃぁ気をつけて行って来な!!」
騎士「ありがとう!」
男「おっとそうだ!途中の森には降りないようにな!エルフに見つかると危ないからよ」
騎士「わたっかよ」
ゴーーーー フワフワ プシュー
僧侶「おおおおおおおおおぅすご~い」
魔女「・・・」
騎士「これは・・・」
魔女「わらわの花畑が・・しばしの別れじゃ」
僧侶「わぁぁぁこんな風になってたんだぁ~ウフフ」
騎士「いろんな物がどんどん小さくなって行く」
魔女「人間は小さいのぉ」
僧侶「本当だね・・私もあんな風にすご~く小さい一人なんだね・・」
騎士「・・・・・」
---魔王は一体どこにいる?---
---気球1日目---
ヒョーゥ ギシ
騎士「地図によると下にある森は南北にずっと繋がってるらしい」
僧侶「ん~~~森しかみえな~い」
騎士「この森に分断されて東の始まりの国と西側とが国境になってる」
魔女「エルフは古来よりこの森を支配しとるが・・・人間に友好ではないぞ」
騎士「国境付近ではいざこざが絶えないらしいんね」
僧侶「エルフって見たことないな~~」
魔女「耳が長くて容姿は端麗じゃ・・・人間は一方的にエルフに恋をする」
僧侶「へぇ~美人さんなんだ~」
騎士「今日は暖かいから少し高度を上げよう・・」グイ
ゴーーーーー フワ フワ ギシ
ビリビリ パラパラパラ・・
騎士「僧侶・・何してるんだい?」
僧侶「え?うん隊長の指令の紙を捨てたの・・」
騎士「??どうして?」
僧侶「うん・・もういいの」
騎士「まだ2つ指令が残ってたんじゃなかったっけ?」
僧侶「ほら・・もう帰れないしさ~」
騎士「良いのかい?」
僧侶「うん」ニコ
騎士「でも何が書いてあったのかは気になるな」
僧侶「教えてほしい~?」
騎士「ちょっと知りたい」
僧侶「・・・」
騎士「嫌なら良いよ・・」
僧侶「あの指令にはね・・勇者の事が書いてあったの」
騎士「勇者?僕の事かな?」
僧侶「ううん」フリフリ
騎士「どういう事だろう」
僧侶「選ばれた勇者と・・本物の勇者の事」
騎士「???」
僧侶「本物の勇者を探せっていうのが指令6」
騎士「本物の勇者?・・・どういう事かな?」
僧侶「王国で選ばれた勇者の本当の目的は・・・本物の勇者を魔王の所に導く役目なんだって・・」
騎士「やっぱりそうだったんだね・・・師匠も同じ事を言ってた」
魔女「・・・その本物の勇者がわらわの愛しの人に違いない」
騎士「そうかもしれないね」
魔女「あぁ・・愛しきわらわの勇者よ・・今助けにゆくぞ」
僧侶「・・・それからね」
騎士「うん」
僧侶「選ばれた勇者が真実を知った時・・・指令7・・・暗殺」
騎士「え?・・・真実?」
僧侶「・・・それは魔王の城に行ったとき分かるって・・」
僧侶「でもね!わたし暗殺なんてできない・・」
騎士「暗殺・・でもどうして暗殺なんか」
僧侶「わかんない・・・指令が完了したら帰還しろって書いてあった」
騎士「僧侶・・ありがとう。すべて話してくれて」
僧侶「ううん。ごめんね隠してて」
騎士「とにかく前に進んで見よう・・もう帰れないんだし・・ね?」グワシ
魔女「5年経てば帰れると言っておろうが」
僧侶「だっこ」ギュー
魔女「・・・・・」
魔女「また始まったかの・・ヤレヤレ」
---囚人の事が少し分かってきた---
---彼は選ばれた勇者だった---
---何かを知って暗殺されそうになった---
---でも生き残り囚人として過ごした---
---指輪を持ってたという事は---
---これから必ず会う筈だ---
---気球3日目---
ヒョーゥ ギシ
僧侶「ねぇ!騎士!何かおかしいの~来て~」
騎士「どうした?」ヨッコラ
僧侶「なんかね・・気球の高さが低くなってるみた~い」
騎士「・・あれ?本当だ。どうしたんだろう」
魔女「何の騒ぎじゃ?もうすぐ日が暮れるぞよ?」
騎士「!?あれは・・気球に小さい穴が開いてる・・まずいな」
僧侶「え~~~このまま落ちちゃうの?」
騎士「ちょっと魔石の出力を上げて見る!」グイ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴーーーーーー
僧侶「やっぱり少しづつ下がっていくみた~い」オロオロ
騎士「少しだけ降りて修理しよう!ここからじゃ直せない」
魔女「森の夕暮れは早いぞ?・・・」
フワ フワ ドッスン
騎士「僧侶と魔女は周囲を警戒してて・・魔物が襲ってくるかもしれない」
僧侶「うんわかった~」
魔女「僧侶・・離れるでないぞ?」
---
騎士「だめだ・・いくつも穴が開いてて糸が足りない」
僧侶「わたしたちエルフに食べられちゃうかな~?」
魔女「エルフは人を食ったりはしないよ・・」
騎士「仕方ない・・今日はここで野営して明日の朝糸に代わる物をさがそう」
僧侶「もう真っ暗だよ~ぅこわいよ~う」
魔女「照明魔法!」ポ
騎士「おぉ・・魔女・・ちゃんと魔法使えるんだ」
魔女「忘れてしまった魔法を少しずつ思い出しておる」
騎士「よし!気球の周りで炎の円陣を作ろう・・夜行動物が襲ってこないように」
僧侶「わかった~」
騎士「僕は焚き木を集めてくる・・僧侶と魔女は火を起こして」タッタッタ
魔女「火魔法!」ゴゴゴゥ!メラ
僧侶「火魔法!」ポ しゅぅぅ
僧侶「火魔法!」ポ しゅぅぅ
僧侶「火魔法!」ポ しゅぅぅ
魔女「・・・そなたは魔法使いではあるまい無理はせんで良い。火魔法!」ゴゴゴゥ!メラ
僧侶「う・う・う・・・」ピーン!!
僧侶「罠魔法!」ザワザワ シュルリ
魔女「フフフそれで良い」
僧侶「ウフフ~わたしも役にたってるぅ~♪」
グルルル ガルルルル
僧侶「きゃぁ!!」
魔女「ウルフかの?」
僧侶「か、囲まれてる・・」
魔女「これ!罠魔法を休むでない・・」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」シュルシュル シュルリ
ウルフ「ガルルルル ガオー」ダダッ
僧侶「罠魔法!」シュルシュル シュルリ
ウルフの群れはツタに捕らえられ身動きが取れない
魔女「一気に焼くぞよ?火炎魔法!」ゴゴゴゴゴゴ ボウ
ウルフ「ギャワン!キャンキャン!」
ウルフの群れはダメージを受けた
僧侶「す、すご~い」
魔女「次が来るぞよ」
僧侶「防御魔法!」
魔女と僧侶の守備力が上がった
ウルフ「グルルルル ガルゥ」ダダダッ ガブッ
魔女「ぐぅ・・」
魔女はダメージを受けた
僧侶「回復魔法!」ボワ
魔女「爆炎魔法!」ゴウッ ゴーン
ウルフ「キャン!キャン!」
ウルフの群れは逃げ出した
僧侶「よ~し追い払った・・」
魔女「・・・・・」
僧侶「騎士遅いな~~どこに行ったんだろ~」
魔女「僧侶・・離れるでない囲まれておる」
僧侶「え?」
シュシュシュン ストスト
??「動くな!」
僧侶「あ!!騎士が捕まえられてる・・」
シュシュシュン ストスト
エルフの娘「動くなと言っている!人間がこの森に何をしに来た!」
僧侶「え?あ・・」
魔女(20人は要るよ・・)ヒソ
僧侶「あの・・その・・気球が落ちてしまって・・」
エルフの娘「動物達が怯えている!なぜ火を付けた!」
魔女「すまんのぅ・・悪気は無かったんじゃ」
僧侶「騎士は?騎士は大丈夫?」ソワソワ
エルフの娘「・・・寝てもらっただけだ!死んではいない!」
魔女「わしらををどうするつもりかね?」
エルフの娘「全員出て来い!」
スッ スッ スッ ガサリ
僧侶「あわわわわわ・・」ゴクリ
エルフの娘「連れて行く!人間達を捕らえろ!」
魔女(ここは従った方がよい・・おとなしくしておれ)ヒソ
僧侶「いや!いた!いた~い」
魔女「手柔らかにたのむぞよ」
エルフの娘「暴れるな人間!いくぞ!」
僧侶「ふぇ~ん・・」
---牢屋---
ピチョン ピチョン
騎士「う、ううん・・ハッ!?ここは?」ガバッ
魔女「起きたか・・えらく強い睡眠薬だったようじゃの」
僧侶「ふぇ~ん」シクシク
騎士「みんなエルフに捕まったか・・つつつ頭がクラクラする」フラ
魔女「薬が切れるまでおとなしくしておれ・・怪我をするでな」
騎士「二人とも大丈夫かい?怪我はないかい?」」
魔女「僧侶のおかげで怪我はしておらん・・しかし・・」
騎士「うん?」
魔女「僧侶の詠唱の速さは関心するのぅ・・怪我をした直後に回復魔法が間に合っておる」
僧侶「シクシク・・ウフフ~」にまー
騎士「あぁ・・才能かな」
僧侶「わたし達どうなるかなぁ~?」
魔女「どうもなりゃ~せん・・エルフは殺生を好まん」
騎士「そうだと良いが・・」
魔女「人間よりも賢く気高い生き物じゃからの・・人間が手を出さぬと分かれば話は通じる筈じゃ」
僧侶「騎士はどうして捕まったの~?」
騎士「僕は不意に矢を受けて・・振り返ったらエルフが居た。何か言われたけど気が遠くなって覚えてない」
僧侶「武器持って行ってなかったもんね」
騎士「あぁ迂闊だった」
魔女「それが良かったのかも知れん・・武器を抜いたら蜂の巣じゃったろう」
僧侶「20人くらいのエルフに囲まれてたの」
騎士「そうだったのか・・ぜんぜん気が付かなかった」
僧侶「エルフさんに理由を説明したら許してくれるかな~?」
魔女「さぁ・・それはわからんのぅ・・しばらくは閉じ込められるかものぅ」
騎士「・・この牢は閉じ込めておくにしては造りがしっかりしてないような・・」
魔女「逃げてもすぐつかまるじゃろうて・・ここはエルフの森のど真ん中じゃ」
騎士「走って逃げても出るのに何週間もかかる・・・か」
魔女「殺す気はないじゃろうからここに居たほうが良いと思うがな・・」
僧侶「魔女はエルフの事をよく知ってるんだね~どうしてかな~?」
魔女「エルフはかつて魔王を共に滅ぼした仲間じゃよ・・・人間の仲間であるかは別として」
騎士「そんな歴史があったんだ」
魔女「エルフの寿命は200年程かのぅ・・まだ生きているやもしれんが」
僧侶「魔女も200歳以上だよね~?でも見えな~いウフフ」
魔女「わらわは219歳じゃ・・エルフよりも長生きじゃのぅフフ」
騎士「話し方だけ直せば今の若い子と全然変わらないかな」
魔女「話し方がおかしいのはそなたらの方じゃろう?わらわは普通にしゃべっておる」
僧侶「自分の事を『わらわ』とは言わないよ~」
魔女「わらわは王族の生まれじゃ・・・今はもう無いがの・・」
騎士「王族・・・」
カツカツカツ
エルフの娘「起きたようね・・・長老が呼んでいる」
僧侶「あ・・さっきのエルフ・・・・綺麗」
エルフの娘「人間から見ればエルフはみんなそういう風に見えるのよ・・・言われて嫌な気はしないけど」ファサ
魔女「ここから出ても良いのか?」
カチャン パタ
エルフの娘「さぁ早く出て。変なマネはしないように」
騎士「あぁ・・ありがとう」ヨッコラ
エルフの娘「しっかり狙ってて!」
エルフの男「・・わかってるよ」
僧侶「よいしょっと」
魔女「・・・・」ノソ
エルフの娘「あなた達が変な事を起こさないように弓が狙っているのを忘れないで・・・」
騎士「あぁ何もしないよ」
エルフの娘「では後ろを付いてきて」
スタスタ トコトコ
---エルフの里---
騎士「ここが・・エルフの里・・・」
僧侶「夜の筈なのに明る~いウフフ」
魔女「草木を少しづつ光らせておるんじゃ・・エルフは火を嫌うでのぅ」
エルフの娘「・・・・・」
僧侶「すごく幻想的・・・この風景を見るとわたし達人間が住む町は・・」
エルフの娘「汚れている」
魔女「草木や花は心を持っておる・・・そして命を運ぶ。われら人間はそれを少し軽んじておるな」
エルフの娘「・・・・・」
---長老の家---
トントン
エルフの娘「長老様・・参りました」
長老「おぉその声はエルフの娘だな?早く入れ」
カチャ パタン
エルフの娘「森の奥深くに入った人間3名を連れて来ました」
長老「旅人の方・・手荒なまねをして済まなかった。気球が落ちてしまったのだろう?」
騎士「はい・・騒がせてしまってすいません・・」
長老「森の浅いところでは人間達がエルフ狩りをやっていてな・・小競り合いが絶えんのだ」
騎士「はぁ・・僕たちはそんなつもりでは・・」
長老「わかっているが・・他の者に示しが付かんのも理解してくれ」
騎士「それで・・僕たちはこれからどういう処遇に?」
僧侶「ふぇ~ん」
魔女「これ泣くでない・・黙っておれ」
長老「!!!」ガバ
騎士「??」
長老「エルフの娘・・手を貸しておくれ」ヨッコラ
エルフの娘「はい。長老様起き上がるとお体に・・」
長老「かまわん・・もう目が見えんから人間を少し触ってみたい」
さわわ さわわ さわわ
長老「!!これは驚いた・・古い友の様だ・・魔女・・あの歌を歌ってくれんか?」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
長老「久しぶりだな・・・魔女よ・・あの時のままだな」
魔女「やはり・・・共に闘った仲間であったようじゃな・・・老いたのぅ」
長老「まだアヤツを待ち続けているのか?」
魔女「愛しき人を待ち続けておる」
長老「・・・悲しき定め・・・これエルフの娘!早よう縄を解け!」
エルフの娘「はい!」スル スル スル
騎士「ありがとう」
僧侶「良かった~」
魔女「・・・」
長老「わしは既に目が見えん・・・魔女よ・・・もう少し触らせておくれ」
魔女「・・・・・」
さわわ さわわ さわわ
長老「本当にあの時のままだ・・・時の番人となって愛しき人を待つのはどうか?つらいか?」
魔女「愛しい限り・・・かつての廃墟も今では花畑へと変わったよ・・毎日わらわが植えた」
長老「その深い愛は・・・人間の成せる所だ・・・そして今どうしてエルフの森へ?」
魔女「わらわの愛しき勇者は今この時代に生まれておる・・・」
長老「詳しく話しを聞かせてもらえんか?」
---
---
---
長老「ふむ・・・」
長老「愛を求め彷徨う・・・人間の真理・・・またしかし魔王の呪いに囚われたのも人間」
騎士「魔王の呪い?」
長老「200年前、魔王が滅ぶ間際に呪いをかけていった」
魔女「そうじゃ・・わらわの愛はその呪いに阻まれておるのじゃ」
長老「そなたが愛しき人に会う事こそ呪いを振り払う術であると信じておるか?」
魔女「わらわはただひたすらに愛しい人に会いたい・・・」
長老「なんと悲しく愛おしい」ポロリ
魔女「・・・そなたは若さは要らぬか?」
長老「わしはエルフの定命をまっとうする・・・それが定め」
魔女「わらわ達人間は愛を知る定め・・・わらわは未だ愛の結末を知らぬ」
長老「ふむ・・それを阻む魔王の呪いを払いに行くのだな」
長老「人間よ・・難しい話は分からんと思うが・・」
長老「これから起こる真実を確かめ愛を取り戻せ・・・」
---魔女と長老の会話は良く理解できなかった---
---でも魔女の過ごした200年の重みは理解できた---
---『人間は愛を知る定め』この言葉の意味する所は---
長老「人間よ・・」
騎士「は、はい」
長老「勇者を探す旅の最中足を止めて済まなかった」
騎士「いえ・・・そんな」
長老「勇者の定めは魔王と戦う定め・・・魔女と共に勇者を探し呪いを払うのだ」
騎士「はい・・・」
長老「定めからは逃れられん・・勇者が居る以上必ず魔王も居る」
騎士「・・・」(魔王は居る?)
長老「魔女を勇者へ導いておくれ・・そして再びここに来るが良い」
---
長老「これエルフの娘よ・・・」
エルフの娘「はい長老様」
長老「旅人を森から出るまで見送りに行って来なさい」
エルフの娘「はい・・・」
長老「それから人間よ・・このエルフのオーブを持って行かれよ」
長老「そのオーブにはエルフの心が記されている」
長老「これから未来にエルフに会うことが有れば聴かせてやると良い」
騎士「ありがとうございます」
長老「今晩はここで休んでおゆき・・・」
騎士「お世話になります」
長老「・・・魔女・・あの歌をもう少し聴かせておくれ」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
僧侶「♪ラ--ララ--♪ラー」
---
騎士「すごいな・・こんなに壮麗なエルフの里があったなんて」
僧侶「お空の上から全然見えなかったのにね~」
魔女「エルフの里は外からは見えん様に特殊な結界に守られておるんじゃよ」
騎士「耳を澄ませてみて・・木が擦れる音・・水の音」
エルフの娘「森の声よ・・」
サワワ サワワ
騎士「穏やかだね」
エルフの娘「人間のくせに森の声に耳を傾けるなんて・・」
魔女「我ら人間ももとはエルフの様に森の声を聞いておったんじゃが・・忘れてしまった様じゃがの」
僧侶「お腹の音しか聞こえない~」グゥゥゥ
エルフの娘「・・・」
魔女「今日は我慢するんじゃ・・エルフの里にはご馳走は無いのでな」
騎士「シーーーーッ・・・」
騎士「・・・」
騎士「・・・」
騎士「・・・」
騎士「音で近くに何があるか分かるんだね・・近くに水が湧いてる」
エルフの娘「・・・そうよ」
騎士「そこは水浴びしても良い場所なのかな?」
エルフの娘「案内するわ・・あなた達の臭いにウンザリしてた所」
僧侶「えええ?そんなに臭うかなぁ?」クンクン
エルフの娘「人間は汚れていてとても臭い」
騎士「食事が出来ないならせめて汗を流そう」
---森の水場---
サラサラ サラサラ
騎士「じゃぁ僧侶と魔女はこっちで・・僕は向こうで水浴びするよ」
僧侶「ハーイ♪」
魔女「これ・・僧侶!騒ぐでない」
騎士「終わったら先に戻って良いよ」
ジャブ ジャブ
騎士(・・・)
騎士(遠くでエルフの娘が見張ってる・・)
騎士(耳を済ませば何か聞こえるかな?)
騎士(・・・)
騎士(・・・だめだ何も聞こえない・・聞こえる訳ないか)
騎士(ん??草の小船??)
騎士(そうかエルフの娘だな・・エルフは言葉以外にこうやって意思疎通するんだな)
騎士(よし・・)パチャン パチャン
騎士(・・・)パチャ パチャ
騎士(フフ返して来た・・これはどうだ・・)ザ ザ ザ
騎士(・・・)ザ ザ ザ
騎士(フフ・・気高くて賢く・・そして奥ゆかしい・・か)
騎士(あんなに遠くからじゃないと自己表現しないんだ)
---
騎士「ふぅ・・スッキリした・・あれ?僧侶は?」
魔女「先に寝たぞよ・・騎士は帰ってくるのが遅かったのぅ」
騎士「フフちょっとね」チラリ
エルフの娘「・・・」
魔女「わらわもそろそろ横になる」
騎士「僕はもう少し森の声を聞いてから横になるよ」
魔女「何か聞こえるか?」
騎士「色々とね・・会話が出来るんだ」
魔女「ほぅ・・森と会話とな?」
騎士「そうだよね?エルフの娘?」
エルフの娘「・・・」
魔女「それは良い事じゃ・・沢山会話すると良い」
騎士「じゃぁ行ってくる」
魔女「あまり遅くならん様にな?」
騎士「わかってるよ・・遠くには行かないよ」
エルフの娘「私が見張っておく」
---エルフとは仲良くやって行ける気がした---
---翌朝気球---
ゴーーーーーー ボウボウ
騎士「何から何までありがとうございました」
エルフの男「良いんだよ。手荒な真似をしたお返しさ」
エルフの娘「エルフの男!オーブを忘れないで!」
エルフの男「あぁそうだった・・・騎士これを」
騎士「ありがとう」
エルフの男「長老の心がそのオーブでよく分かったよ」
エルフの娘「それが無いとエルフが人間に協力する事は無いから無くさないで」
騎士「わかったよ」
魔女「では愛しき人を探しに行くぞよ」ノソ
僧侶「しゅっぱーつ」ヒョイ
騎士「西へ!!」ギシ
エルフの娘「じゃぁ森の端まで案内に行ってくる」ギシ
エルフの男「気をつけて・・・エルフ狩りには十分注意だよ」
エルフの娘「わかってるよ・・もう子供じゃない」
エルフの男「綱を離すぞ!!」
フワフワ フワ
僧侶「またね~~ウフフ」ノシノシ
ゴーーーーーーー ボボボ
---気球4日目---
ヒョーゥ ギシ
騎士「森を上から見るのは初めてかい?」
エルフの娘「あぁ・・・何もかもが小さくて・・驚いた」
僧侶「私も初めは同じこと思ったよ~ウフフ」
騎士「君はエルフの中でも若い方なのかい?」
エルフの娘「私はまだエルフの村の中では若くて経験が少ない」
僧侶「気になる気になる~」
エルフの娘「まだ22年だ・・・人間とほとんど変わらない」
騎士「まだ若いエルフをよくエルフ狩りがある危険な所へ行かせたもんだね・・」
エルフの娘「馬鹿にするな・・これでも弓の腕はエルフの中で上の方なんだ」
僧侶「へぇ~~すご~い」
騎士「4連撃ちとか?」
エルフの娘「それはエルフの弓使いなら誰でも出来る」
騎士「そうなんだ」
エルフの娘「私の場合はロングボウを使ったピンホールショットを4連で撃つ」
騎士「なるほど・・それで昨日は毒の回りの速い内腿に毒矢を撃たれた訳だ」
エルフの娘「ふふふ」
僧侶「ねぇねぇあの雲を見て?」
騎士「ん?」
僧侶「なんか天気が悪くなりそう~」
エルフの娘「ここから西に行く場合は天気が変わりやすいから少し高度を上げた方が良いと思う」
騎士「わかった」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴーーーーーー
---
僧侶「なんかさぁ・・騎士とエルフの娘が急に仲良くなった気がする~」
魔女「そうかの?昨日と変わらんが?」
僧侶「視線がね・・」
魔女「それは良い事じゃぞ?エルフは言葉以外に目や仕草で会話をするんじゃ」
僧侶「そうなんだ~私も入りたいな~」
魔女「あまり気にせんで良いと思うがの」
僧侶「ねぇねぇ私も目でお話するのま~ぜ~て~」
騎士「ん?・・よし怒った目やってみて」
僧侶「こう?」ぐぬぬ
騎士「そうそう・・じゃぁ次・・悲しい目は?」
僧侶「はう・・」うるる
騎士「よし次は難しいよ・・こんにちはの目」
僧侶「え?え?・・こうかな?」にまー
騎士「ハハまぁ良いじゃないかな・・その目でエルフの娘に挨拶してごらん」
僧侶「・・・」にまー
エルフの娘「クスッ」ニコ
僧侶「ねぇねぇなんか笑ってるんだけど~~」
騎士「でも通じてるよ?」
僧侶「じゃぁこれは?」へろ~
エルフ「・・お腹が空いてるようね」
僧侶「すご~~~~い!!あたり~~!!」
騎士「よし!食事にしよう!」
僧侶「は~い!!」
---気球5日目---
ヒュー ヒュー
エルフの娘「・・・・・」
魔女「何を黄昏ておるのじゃ?」
エルフの娘「魔女様・・私はこの雲の海を始めて見ました・・」
魔女「うむ・・われら地上に住まう生き物は皆・・この雲の海の下に営みを設けておる」
エルフの娘「同じ地上で住まうもの同士何故争うのでしょう?」
魔女「わらわが生まれた・・200年前の世界ではそのもっと昔の話があっての」
エルフの娘「はい」
魔女「魔王が居なかった時代では地上で住まう物同士の争いは無かったそうじゃ」
エルフの娘「・・・」
魔女「今では魔王は滅びておるのに地上では争いがたえぬ・・」
エルフの娘「・・・その理由を考えていました・・・やはり魔王は復活しているのでは無いかと・・」
魔女「長老は定めの話をしておったな・・」
エルフの娘「はい」
魔女「この時代に勇者が要る以上・・・魔王は滅びたとは言い切れんのかもしれんな・・真実はわからん」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「しかし・・人のなんたる小さなことか」
エルフの娘「はい・・いくら弓の名手になったとしても・・それは小さい事のように感じます」
魔女「でもその小さき力が定めを導く力になる事を忘れるでないぞ」
エルフの娘「エルフは森で営む定め・・・」
---気球6日目---
ヒョーゥ ギシ
僧侶「なんだか暖かくなってきた~ウフフ」
エルフの娘「もうすぐ森の端に付く・・・」
騎士「うん高度を下げる」
プシュ プシュ
騎士「安全に降りれる場所を探そうか・・エルフの娘案内して」
エルフの娘「わかった・・あそこの狭間に降りれるか?」
僧侶「エルフの娘ってさぁ~魔女と話しするときは良い子なんだよね~」ニヤ
エルフの娘「うるさい!」
騎士「ハハそういえばそうだね」
魔女「エルフは気高い生き物じゃからのぅ・・仕方がなかろう」
騎士「エルフの娘を降ろしたらすぐ気球を上昇させるから今のうちに・・」
僧侶「うん」
騎士「森の案内ありがとう」
僧侶「ありがと~う。いろんなお話聞けてよかった~ウフフ」
エルフの娘「いや・・こ、こちらこそ。良い経験させてもらった」
魔女「ほれ何と言うんじゃ?」
エルフの娘「ありがとう・・」
魔女「そうじゃ・・それが争いを無くす一歩目じゃ」
騎士「ハハ」
僧侶「ウフフ」
エルフの娘「ふふ」
フワ フワ ドッスン
エルフの娘「よし!あとはここから半日も西へ行けば砂漠の町だ。みんな気をつけて!」
騎士「うん。エルフの娘も気をつけて」
僧侶「また会おうね~~」ノシノシ
騎士「じゃぁ行こう!」グイ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴーーーーーー
フワ フワ フワ
!!!!!!!!!
!! 危ない !!
!!!!!!!!!
---数分前---
??「おいアレをみろよ」
??「気球が下りてくるぜ」
??「町に辿り着く前に燃料切れか?」
??「物資ごっそり頂いちまおう」
??「チッなかなか降りてこねぇな」
??「降りる場所探してるんじゃねぇか?」
??「おい!見つかるなよ!」
??「気球が降りたら囲め」
ドッスン
??(シッ)
??(静かにしろ!)
??(おぉすげぇ~エルフが出てきたぜ)
??(ありゃ高く売れるぞ)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
??(おぃ気球飛んでっちまう)
??(まぁ良い・・エルフだけでも捕まえちまおう)
??(みんな要るか?)
??(行くぞ!!)
---
騎士「エルフの娘!!危ない!!逃げろおお」
エルフの娘「!!?え」ダッ
賊1「おっと逃がさねぇぞ!」ギュゥ
エルフの娘「は、離せえぇ」
賊1「俺と一緒に網かけろ!!」バサ
エルフの娘「くぅぅ」ジタバタ
賊2「ひゅひゅー大成功かぁ~」
賊3「縄もってこい縄ぁ!」
賊4「おい!気球に乗ってる奴なんか騒いでんぞ?」
賊2「放っとけ!」
エルフの娘「お前ら!触るな!」バタバタ
賊1「おいおい暴れんなよ。もうお前は捕まってんだ大人しくしろ!」
賊2「薬打っちまうぞ?」チク
賊1「おぅ早く打て暴れてしょうがねぇ」
エルフの娘「や、やめろお!」
賊4「おい!見ろよ気球から1人落ちたぞ!」
ドサ!!
賊3「あの高さじゃ動けんだろ・・馬鹿だな」
エルフの娘「ハァハァ・・くぅ」バタバタ
賊1「わっぱ掛けろわっぱ!」
賊2「おい!こいつは上玉だぜ?」グイグイ
エルフの娘「んーーーんーー」パタパタ
賊1「おい担ぐぞ!手を貸せ」グイ
エルフの娘「ンフッンフッ」パタ
賊3「すげぇこりゃかなり若いエルフだ」
賊1「お前傷つけんなよ?」
賊4「お、おい!落ちてきた奴動いてんぞ」
賊1「ずらかるぞ!!早く来い」
わっせ わっせ わっせ・・・
---
騎士「エルフの娘!!危ない!!逃げろおお」
僧侶「え!?ど、どうしたの?」
騎士「僧侶!気球の高度を下げてくれ!」
僧侶「う、うん」グイ
プシュ プシュー
騎士「くそ!間に合わない!」
僧侶「そんなに早く動かないよ~」アセアセ
騎士「飛び降りる!砂漠の町の宿屋で待っててくれ!」
僧侶「え?あ・・・だめ!まだ高いよぅ~」
騎士「グッ」トウッ・・・
僧侶「あああ!待って~・・」
魔女「・・・言われた通りにするのじゃ・・ここは危ない」
僧侶「騎士ぃぃぃぃぃ」
フワ フワ フワ
---
ドサ!!
騎士「がはぁ」
騎士は落下ダメージを受けた
騎士(ぐぅ・・間に合うか・・)ヨロヨロ
賊4「お、おい!落ちてきた奴動いてんぞ」
騎士(足が・・思うように動かない!!折れたか?)ヨロヨロ
賊1「ずらかるぞ!!早く来い」
騎士「待て!!」ヨロヨロ
わっせ わっせ わっせ
賊4「おい!あいつ追いかけてくるぞ」
エルフの娘「・・・」グッタリ
賊1「アレを使え!」
賊2「アレっすか!」カチ シュー
騎士「!!なんだ?くそ前が・・」
もくもくもくもくもくもくもく
賊1「よし!こっちに来い!」
騎士「待てええぇぇ!!くそう」
賊1「撒いたか?」
賊2「あさっての方向に走っていったぜ・・」
騎士「・・どこ行った!?」
騎士「くそう!!エルフの娘・・」
騎士「うおおおおおぉぉぉ・・どこだぁ!!?」
---砂漠の町宿屋「夜」---
店主「お客様・・お連れ様をお待ちですか?」
僧侶「うん・・」ソワソワ
店主「今日はもう遅いのでお部屋の方でお待ち下さい」
僧侶「でも・・」
店主「お連れ様がお見えになりましたらお部屋の方までご案内しますので」
僧侶「・・・」
魔女「僧侶・・お前も休め・・」
僧侶「・・・」トボトボ
---翌日---
ズル ズル ズル
僧侶「騎士?騎士ぃ?」タッタッタ
騎士「あ、あぁ僧侶か・・」
僧侶「大丈夫?・・・ひどい傷・・」
騎士「大丈夫さ・・それよりエルフの娘を・・助けれなかった」
僧侶「店主さ~ん!お願い手伝って~!」グイ
店主「おぉぅ・・こりゃ大変だ・・早く部屋の方へ」グイ
---部屋---
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「ありがとう僧侶・・もう大丈夫だよ」
魔女「無事でよかったのぅ・・」
僧侶「うぇ・・うぇ・・ふぇ~ん」
騎士「あぁ心配かけて済まない」
魔女「それでエルフの娘はエルフ狩りに会ってしまったのか?」
騎士「森の周辺を探したけど・・逃してしまった」
魔女「この周辺ではこの砂漠の町にしか行く所はあるまい?」
騎士「この町で情報を集めないと・・」ててて
僧侶「まだ動かないで!回復魔法!」ボワ
騎士「・・・このままだとエルフの好意を仇で返す事になってしまう」
魔女「そうじゃな・・無事だと良いが・・」
騎士「この町はどうやら盗賊に溢れててあまり安全じゃ無さそうだ・・」
魔女「そうじゃな・・昨日も金貨の入った袋を盗まれそうになったわ」
騎士「大丈夫だったのかい?」
僧侶「絡まれた直後にその盗賊さん目の前で消えたの~」
騎士「魔女・・・どおりで肌の艶が」
魔女「少しだけじゃよ・・」
騎士「そうか・・わかった・・こうしよう!」
僧侶「??」
騎士「僕は1人で酒場に行って情報を集めてくる」
騎士「僧侶と魔女は2人で一緒に町で情報を集めて来て」
僧侶「え~?別行動?」
騎士「酒場は女連れで行くと面倒が起きやすいんだ・・ガマンして」
僧侶「・・わかった~」シュン
騎士「それから2人ともフードで顔を隠して置いた方が良い」
魔女「そうじゃのぅ・・・美女2人を放ってはおかんじゃろぅ・・」
僧侶「!!美女?ウフフ~良い言葉~~」
騎士「よし!僕はもう大丈夫だから早速行動しよう!」ヨッコラ
僧侶「ねぇねぇわたしって美女かな~?」
魔女「・・・・・」
騎士「・・・夜、宿屋で会おう!」
僧侶「ねぇねぇ?・・」
---酒場---
カランカラン
マスター「おやおやこんな昼間から酒場かい?」
騎士「良い話が聞けないか来て見たんだ」
マスター「まぁ構わんが・・あまり聞きまわらん方が・・」
騎士「良いんだ・・儲かる情報無いかな?」
マスター「まぁ・・・まず酒でも飲めや」
カランカラン ドヤドヤ
野郎1「よう!マスター今日は付けを払いに来たぜ!」
野郎2「はっはー最高だぜ」
野郎3「ぼろ儲けぼろ儲け」
野郎4「これでしばらくは遊べるなぁハハー」
マスター「景気が良さそうだな!いつもの酒で良いか?」
野郎1「あ~それで良い!あと女も頼むわ!」
ドヤドヤ
マスター「さぁこれでも飲みな・・ホップ酒だ」
騎士「ありがとう・・あの4人組みは?」
マスター「常連さんだよ・・関わらない方が良い」
騎士「ぼろ儲けだとか言ってたが?・・・」
マスター「さぁな・・薬でも運んでるんじゃないか?」
騎士「砂漠の町では人身売買とかも流行ってるのかい?」
マスター「シッ・・・そんな話を人前でするもんじゃねぇ」
騎士「あるんだな?」
マスター「さぁな・・俺は酒場のマスターだ・・他人のことをベラベラしゃべって良い身分じゃねぇ」
(ハハー俺のいちもつをぶっこんだら大人しくなりやがってよ・・)
(こんな経験めったにできねぇよなぐあっはは)
(おう!女がきたかぁ・・かわいがってやんよ)
(おいおい嫌がんなよやさしくくるからよぅハッハー)
(金なら・・おらぁ余るほどもってんぞひひひ)
(いいからこっち来いよおら・・また開けぇ)
マスター「・・・とまぁこういう町だ・・・旨い話が聞きたいんなら商人ギルドに行くと良い」
騎士「商人ギルド?」
マスター「表向きは商人ギルドだが・・・裏ではこの辺りを牛耳ってる」
騎士「そうかい・・情報ありがとう」
マスター「絡まれる前に店を出た方が良いぞ・・」
(おれぁあのエルフの体が忘れられねぇ・・)
(お前は速攻終わったじゃねぇか・・えらそうにすんな)
(んだとゴラーギッタギタのボッコボコにすんぞ?ゴラ)
(まぁまぁここの女に忘れさせてもらえやウワッハ)
騎士「!!!」ガタン
マスター「おいおい・・あんまり大きな音を立てちゃ・・」
スタスタ チャキリ
野郎1「んあ?んーだお前?」
野郎2「おい!こいつ武器に手ぇ掛けてんぞ」
野郎3「俺達に立て付こうってのか?んあああ!?」
野郎4「おい!えらそうに立ちはだかってんじゃねえぞ」ドガ ガチャン
女「きゃああああ」バタバタバタ
マスター「・・・お、おい・・やるなら外でやってくれぇ」
騎士「お前達に用がある・・・外に出ろ」
野郎1「ほーーーー言うじゃねぇかギッタギタのボッコボコにすんぞごら」
---酒場裏---
騎士「・・・」
野郎1「俺達をこんな所に呼び出したからには・・落とし前つけてくれるんだろうな」
野郎2「折角の良い雰囲気をぶち壊しにしやがって」
騎士「エルフの娘をどこにやった?」
野郎1「なんだとゴルァ!!」
野郎3(おい!こいつ気球から落ちた奴じゃねぇか?)ヒソ
野郎4(そんなわけねぇだろ・・こいつぁピンピンしてるじゃねぇか)ヒソ
野郎1「お前は何様だ?んああああ?」
騎士「言っても分からない様だな・・」スラン チャキリ
野郎1「ははぁぁぁぁぁぁぁ!!!やるつもりだな?」
野郎2「やっちまえ!!」ダダ
キーン
騎士は野郎2の攻撃をパリーした
騎士「・・・」フラリ スッ ゴスン!
騎士は野郎2の後ろを取り後頭部を打撃した
野郎2「うが・・・・」バタン
野郎1「ヤローやりやがったなああああ」
チャキリ
騎士「もう一度言う・・エルフの娘をどこにやった!!?」
野郎1「うるせえぇ!!」
カーン カーン キーン ゴスン!
野郎3は倒れた
カーン キーン キーン ゴスン!
野郎4は倒れた
野郎1「くぅ・・・お前は誰だ!」
騎士「俺は本気だ」ズン グサッ
野郎1「ぐああああぁ・・・足が・・足がぁぁ」
騎士「エルフの娘をどこにやった!」
野郎1「や、闇商人に売っちまった・・」
騎士「何処にいる?」グイ
野郎1「ぐあああああ・・し、商人ギルドの地下だ・・」
騎士「・・・・・」
野郎1「ふふ・・ははははは・・お、お前はあのエルフの男か?」
騎士「だったら何だ?」
野郎1「も、もう回しちまったぜハハーー悔しいかぁ」
野郎「だまれ!!」ボカッ
野郎1「っつ・・・最高の女だったわうははは」
ゴスン ボカン ドス ドス グダ
野郎「・・・・・」
---なんだこの腹から湧き出てくる怒りは---
---商人ギルド---
ガチャリ バタン
商人「はいはい!どのようなご用件で・・」
騎士「あぁ・・すいません・・あの」
商人「見かけない顔ですね~~旅人さんですか?」
騎士「あぁ・・はい」
商人「仕事を探しに来たんですね!良い仕事がありますよ~」
騎士「いや・・・」
商人「あれ?違いました~?」
騎士「・・ここの地下に闇商人が居ると聞いて来たんですが・・」
商人「はぁ??地下なんて無いですよ?」
騎士「いや・・・」
商人「お客さん~変な情報掴まされたみたいですね」
騎士「ここは商人ギルドじゃないんですか?」
商人「・・そうですけど闇商人なんて聞いた事ないですよ」
騎士「・・・」(騙されたか)
商人「商人ギルドでは商隊を組むためのあっせんをしております」
騎士「・・そうですか」
商人「今丁度商隊の募集をしてるんですよ」
騎士「商隊で運ぶ荷物はどんな物が?」
商人「まぁ・・・色々な物がありますけど・・儲けの良い仕事はなかなか・・」
騎士「その・・運ぶ荷物の事だけど」
商人「商人ギルドで管理していますけど・・何か?」
騎士「・・その・・人身売買とかは?」
商人「はぁ?そんな物あるわけ無いじゃないですか~ハハハ」
騎士「では商隊の主な行き先は?」
商人「南にある中立の国を経由して、その先は始まりの国と終わりの国、それから機械の国に運びます」
騎士「そうですか」
商人「商隊の傭兵はいつでも募集してますので、必要でしたら尋ねに来て下さい」
騎士「・・わかった・・・最後にもう一回」
商人「はい?」
騎士「本当にここに地下は無いんですか?」
商人「ハハハ本当に無いですよ。なんなら入ってもらっても良いですよ」
騎士「ちょっと見せてくれるかな?」
商人「お客さん・・・疑り深いんですねぇ・・どうぞ」ガチャリ
スタスタ
騎士「・・・」(荷物は沢山あるけど怪しそうな物は無いな)
商人「お客さん!荷物には触らないでくださいね!」
騎士「はい・・」(地下に行けそうな階段も無い)
商人「もう気が済みましたか?」
騎士「わざわざありがとう」
商人「いえいえ。ご用件はよろしかったでしょうか?」
騎士「あぁ・・もう良いよ。用があったら又来ます」
商人「はい!いつでもお待ちしております」
---町道---
テクテク ドスッ
騎士「!!!」
男「おぅすまねぇ急いでるんだ」タッタッタ
騎士(スリに気をつけないとな・・・金貨はっと・・よし大丈夫)
テクテク テクテク
---なんか怒りが収まらない---
---あの野郎達は何処に行ったんだろう---
---もう一度突き止めてやりたい---
テクテク テクテク
僧侶「あ!!騎士ぃ~~~」タッタッタ
騎士「お!?僧侶」
僧侶「ねぇちょっと金貨ちょうだい~ウフフ」
騎士「あ、あぁ良いけど・・どうしたんだい?」ジャラ
僧侶「アレ~なんか怖い顔してる~~怒ってるの~?」
騎士「いや・・・なんでもないんだ」
僧侶「ねぇあそこでね~賭けトランプやってるんだ~」
騎士「ん?あんまり関わると危ないよ?」
僧侶「魔女がすごいの~わたしもやってみたいな~って」
騎士「へぇ・・どれどれ」
博打師「・・・また当たり」
魔女「わらわはもう止めたいのじゃがよいか?」
博打師「おいおい勝ち逃げしようってのかよ・・待ってくれよ」
魔女「それはさっきも聞いたがのぅ~」
博打師「あと3回だ!3回やって今度こそ終わりだ!良いか!」
魔女「仕方が無いのぅ・・・」
---
---
---
騎士(魔女すごいな全部当ててる)ヒソ
僧侶(でしょ~わたしもやりた~い)ヒソ
博打師「ぐああああああイキサマに決まってる!!」
魔女「イカサマなどしておらん・・」
博打師「俺の全財産どうしてくれるんだよ!!」
魔女「それはおぬしが悪いんじゃろう・・」
博打師「!!このアマなめやがって・・」
騎士「まぁまぁまぁ・・次はこの子がやるよ」
僧侶「わ~い!ウフフ~どうやってやるの~?」
魔女「では僧侶に代わるかのぉ・・よっこら」
博打師「お前もイカサマじゃねぇだろうな!」
僧侶「イカサマってな~に~?ウフフ~イカ様?イカ~様?イ~カ様?」
博打師「なんでも良い!!このカードより数字が上か下かだ!!いいか?」
---
---
---
騎士(魔女すごいね・・どうやってカードを見分ける?)
魔女(わらわにはカードが全部見えておる・・それだけじゃ)
騎士(それってイカサマって言うんじゃ・・)
魔女(それは知らぬ・・勝負しようと言うて来たのはアヤツのほうじゃ)
騎士(・・僧侶は大丈夫そうかな?)
魔女(あの博打師はイカサマ師じゃから僧侶では勝てんのぅ)
騎士(ハハ・・・これでトントンか)
魔女(ん!?そなたの腰巻に紙がはさまっておるぞ?)
騎士(え!?)パサ
”今夜商人ギルド裏へ1人で来い”
騎士「・・・」(これは・・)
博打師「うははははははは」
僧侶「ええええええ」
博打師「お譲ちゃんまだやっていくか~?」
僧侶「最後の最後!!」
博打師「よ~し!正々堂々勝負だ・・」
僧侶「神様神様神様神様・・」
博打師「うははははは又俺の勝ちだ・・」
僧侶「そんなぁ~」
博打師「お譲ちゃん次は体掛けても良いんだぜ~?」
僧侶「ふぇ~ん」
---宿屋---
カラン コロン
店主「お帰りなさいませお客様。お体はもう大丈夫ですか」
騎士「あぁもう平気だよ。今日は3人一部屋で頼むよ」
店主「それなら大部屋の方へご案内致します。こちらへどうぞ」
スタスタ ガチャリ
店主「それではごゆっくりおくつろぎ下さい」
騎士「ありがとう」
バタン
僧侶「・・・」
騎士「僧侶?気にしなくて良いよ」
魔女「負けるのは最初から分かっておったでのぅ」
僧侶「グスンごめんね~金貨無駄遣いしちゃって」
騎士「それより何か良い情報聞けたかな?」
魔女「半年ほど前に勇者らしき旅団が来てたという事くらいかのぅ」
騎士「森の町で聞いた話と合致するね・・行き先は聞いてないかい?」
魔女「その情報は無いのぅ・・」
僧侶「でもね~この砂漠の町から西は砂嵐がひどくて旅には向かないってさ~」
騎士「そうか・・」
僧侶「騎士の方は何か情報あったの~?」
騎士「・・いや・・何も」(エルフの娘の事は言えないな)
魔女「エルフの娘が心配じゃのぅ・・」
騎士「しばらくこの砂漠の町で情報を集めよう」
僧侶「うんそうだね~・・・負けた分は取り返さないと~」
騎士「いやギャンブルは控えめにしてよ・・」
僧侶「わたしはもうい~の~ウフフ今度は魔女に任せる~」
魔女「・・・」
騎士「今日は食事したら休もう・・僕は少し疲れた」
僧侶「は~い」
---深夜---
僧侶「ぐがががすぴーぐががすぴー」
魔女「zzz」
騎士「・・・」そろ~り
ギー バタン タッタッタ
(昼間とは打って変わって冷えるな)
(オアシスの湖に月が反射して意外に明るい)
(暑さを凌げば割と住みやすそうだ)
(・・まてよ?砂の声も聞こえるかもしれない)
サラサラサラ
(・・・無常を感じる・・成すがままに・・か)
(くそぅ心が落ち着かない)
(確か魔女は人間はエルフに一方的に恋をすると言ってた)
(恋とは少し違う・・心が通じたんだ)
(どこに居るんだ?・・聞こえない・・無常しか感じない)
(砂が音を掻き消していくのか・・)
---商人ギルド裏---
??「待ってたぜ遅いじゃねぇか」
騎士「お前は・・闇商人か?」
??「まぁあせるな・・こっちに来い」ギギギギ
騎士「こんな所に階段が・・」
??「おい!武器は預かる・・よこせ」
ガチャ ドサ
??「よし付いて来い」
---商人ギルド地下---
??「連れてきたぜ」
??「やぁ」
騎士「お前が闇商人か?」
??「困るんだなぁここら辺で嗅ぎまわられちゃ」
騎士「闇商人に聞きたい事が・・」
??「君みたいのが要ると商売に影響が出るんだよ」
騎士「質問に答えて欲しい」
??「僕が・・世間で言う闇商人なんだけどその名前は本当は違う」
騎士「どういう事だ?」
??「僕はどちらかというと正義の味方さ」
騎士「顔を見せれないのか?」
??「そうだね顔が割れるのは良くない」
騎士「エルフの娘を探してるんだ・・ここに売られた筈」
??「さぁ?僕は商品の中身までは確認してないよ」
騎士「昨日か今日に大きな荷物の取引はしてないかい?」
??「さて・・どうして僕が一方的に情報を提供するんだい?」
騎士「取引したいのか?ならエルフの娘を買い戻す」
??「はは~んこれは良いお客様だね」
騎士「エルフの娘を知っているな?」
??「さぁね・・僕はお金に興味は無い」
騎士「何が欲しい?」
??「情報さ・・・どうしてエルフの娘を追う?」
騎士「仲間だからだ」
??「ハハハ面白い!!どうやってエルフを仲間にした?」
騎士「待ってくれ・・・エルフの娘は無事なのか?」
??「さぁね・・・でも情報をくれたら出来る限りの事はしてあげよう」
騎士「信用できない」
??「ならこれならどうかな?」ファサ
騎士「・・・やっぱり君か」
商人「盗賊!この人は大事なお客さんだ。顔を見せてあげな」
盗賊「・・・」ファサ
騎士「!!!!!!!!!」(師匠?)
商人「さてこれで対等だね」
騎士「君達は一体・・・?」
商人「どうしたんだい?おどろいた顔をして・・そんなに意外だったかな?」
盗賊「変な真似はしない事だ・・俺達を倒してもここから出ることは出来ないぞ」
商人「あぁ盗賊の言ってる通り・・出る方法は僕達しか知らない」
騎士「取引・・・どうすれば良い?」
商人「そうだな・・エルフを追ういきさつをまず教えて」
---
---
---
騎士「エルフの娘を知っているな?」
??「さぁね・・僕はお金に興味は無い」
騎士「何が欲しい?」
??「情報さ・・・どうしてエルフの娘を追う?」
騎士「仲間だからだ」
??「ハハハ面白い!!どうやってエルフを仲間にした?」
騎士「待ってくれ・・・エルフの娘は無事なのか?」
??「さぁね・・・でも情報をくれたら出来る限りの事はしてあげよう」
騎士「信用できない」
??「ならこれならどうかな?」ファサ
騎士「・・・やっぱり君か」
商人「盗賊!この人は大事なお客さんだ。顔を見せてあげな」
盗賊「・・・」ファサ
騎士「!!!!!!!!!」(師匠?)
商人「さてこれで対等だね」
騎士「君達は一体・・・?」
商人「どうしたんだい?おどろいた顔をして・・そんなに意外だったかな?」
盗賊「変な真似はしない事だ・・俺達を倒してもここから出ることは出来ないぞ」
商人「あぁ盗賊の言ってる通り・・出る方法は僕達しか知らない」
騎士「取引・・・どうすれば良い?」
商人「そうだな・・エルフを追ういきさつをまず教えて」
---
---
---
商人「・・・という事はそのエルフのオーブがあればエルフを仲間に出来るって事か・・」
騎士「だがオーブは渡せない」
商人「よし!約束だエルフの娘の行き先を教えてあげる」
騎士「・・・」
商人「今朝方エルフを買い取ったんだけど・・もう商隊で南の中立の国に送った」
商人「さてここから取引だ」
商人「エルフが買い取られた先は知りたくないかい?」
騎士「君が買い取ったと・・」
商人「僕は仲介してるだけさ・・どうだい知りたくないかい?」
騎士「・・・教えて欲しい」
商人「条件は・・・同志になる事」
騎士「なに!!?」
商人「そうすればエルフのオーブも僕の手に入ったも同じだ」
騎士「そ、それは・・・」
商人「な~に心配しなくても良いよ。僕達はどちらかというと正義の味方さ」
騎士「・・・・・」
商人「君にあと2人美人な仲間が要る事も知ってる。町での安全も保障するよ」
騎士「信用していいのか?」
商人「盗賊!カギを!」
盗賊「ここのカギだ」ポイ
騎士「・・・」パス
商人「取引成立かな?じゃぁ・・エルフが買い取られた先は・・」
騎士「先は・・」
商人「王国さ」
騎士「王国?」
商人「そう。エルフ達を捕まえて売買してるのは始まりの国、終わりの国、中立の国、機械の国・・それぞれの王国さ」
騎士「なぜ王国がエルフを・・」
商人「その秘密を暴くのが僕の仕事だよ。だから君の協力が欲しい・・・エルフを仲間にできる・・ね」
騎士「もう少し詳しく・・」
商人「それは明日にしよう。宿屋に仲間がいるんでしょ?」
騎士「わかった」
商人「明日、人目につかないように仲間をここに連れておいで」
---宿屋---
そろ~り そろ~り ギー
騎士「!!」ビクッ
僧侶「どこに行ってたの!!!」プン
騎士「いあ・・眠れなかったから散歩を・・」
僧侶「クンクン・・クンクン」
騎士「犬かい?」
僧侶「隠し事はない?」
騎士「う、うん・・・実は」
カクカク シカジカ
僧侶「わかった~ウフフでもね~わたしに隠し事はしないでね?」
騎士「わかってるって・・」
僧侶「今日はもう遅いから寝よ~?」
騎士「うん」
僧侶「だっこー」
魔女「zzz・・・うるさいのぅ静かにしてくれんか?」
---商人ギルド地下---
商人「やぁみんな来たね」
騎士「言われた通り仲間を連れてきたよ」
商人「じゃぁ今の状況を説明する前に・・・自己紹介しよう」
商人「僕は見ての通り商人・・と言うのは表の顔で裏では情報屋さ」
商人「世間では闇商人とか言われてるけど取引するのは主に情報だ」
盗賊「俺は盗賊。商人の右手だ。影武者にもなっている」
僧侶「私は僧侶~ウフフ騎士の従士なの~」
魔女「わらわは愛しき人を探す魔女じゃ」
商人「みんなヨロシク!」
僧侶「よろしくね~」
商人「さて・・昨日はどこまで話したっけ・・そうそう王国の話だ」
商隊で運ぶ物は色々な物があってね
何に使うか分からない様な物は大体王国が絡んでるんだ
エルフの売買も王国が絡んでる
そういう物を合わせて見ると
どうやら何かの兵器を造ろうとしている様に見える
多分戦争の道具だろうね
僕はそれを何処で造っているかが知りたい
商人「明日から大事な荷物を南の中立の国へ運ぶ仕事がある」
商人「それを君たちに護衛して貰いたい。今回は僕も行く」
騎士「エルフの娘の事は・・」
商人「あぁ方向は同じだよ」
騎士「無事なんだよね?」
商人「商隊は現地に運ぶまでが仕事さ。その後の事は商人ギルドは関わらない」
騎士「王国に渡った後に連れ出せって事かな」
商人「そこは任せるよ」
僧侶「話がよく分からないんだけどエルフの娘は売られちゃったの~?」
商人「僕が賊から買い取って王国に売ったと言った方が良いかな」
僧侶「ひどい~」
商人「ハハむしろ助けたと言ってよ賊に捕まってる内は陵辱され放題だから」
僧侶「ねぇ陵辱ってなに~?」
騎士「・・・」
商人「まぁ中立の国までは20日くらい掛かるからその間は命の危険はないよ」
魔女「良い娘だったのにのぅ・エルフと人間の和を論じておった」
商人「それは悪い事をした・・でもこっちも商売でね」
騎士「明日ここを出発する予定で良いかな?」
商人「日の出の前に出るから準備しておいて」
---宿屋---
僧侶「あの商人さん信用して良いのかな~?」
騎士「今は信用するしかないかな・・・情報屋だし勇者の事も知ってるかも」
魔女「まだ勇者の事は聞いておらんのかえ?」
騎士「何か聞く度に条件を出されるんだ」
僧侶「情報を商品にする商人かぁ・・なんか怖いなぁ」
騎士「でも悪い人には感じ無いんだ。それと・・・」
僧侶「ん?」
騎士「あの盗賊・・・多分僕の師匠だ」
僧侶「ええええええ!!」
騎士「本人はまだ知らない・・・」
魔女「ほぅなにやら起きそうな予感がするのぅ・・」
騎士「師匠は昔僕に似た仲間が居たって言ってた・・まさか僕だとは・・」
魔女「不思議と何をしても・・辿り着く所は決まっておるのかものぅ」
---退役した衛兵隊長はウソだったのか?---
---商隊---
盗賊「よし傭兵隊は荷馬車の前後に二手に別れて配置してくれ」
盗賊「各馬車の配置は・・・」
僧侶「盗賊さんなんかすご~い指揮してる~」
商人「僕の影武者だよ。僕は商人の振りして紛れ込んでる」
僧侶「へ~何か危ない事でもあるの?」
商人「顔が割れたく無いだけさ」
僧侶「でも盗賊さんが顔割れちゃうよね?ウフフ」
商人「それで良いんだ。僧侶と魔女は僕と同じ馬車に乗って僕を守る」
僧侶「騎士は?」
商人「騎士は盗賊と一緒だ。盗賊の用心棒って事になってる」
魔女「えらく偽装するのだのぅ」
商人「今回の荷物はそれだけ危ないって事だよ」
僧侶「何を運んでるの?」
商人「さぁね・・ヒミツだよ」
盗賊「出発!!」
ガラガラ ガラガラ
---
盗賊「どうだ?商隊の感想は?」
騎士「思ってたより大規模だったから驚いてる」
盗賊「これ位の数が居ないと安全に運べ無いくらい襲撃がある」
騎士「荷馬車含めて馬車が・・20くらいかな?」
盗賊「これからは暫く馬車の旅が続く。暇潰しも考えておけよ?」
騎士「あぁそうだな・・ところで今回は何を運んでるんだい?」
盗賊「それは商人に聞いてくれ。教えてくれんと思うがな」
騎士「そうか・・エルフの娘もこういう風に運ばれてるのか」
盗賊「・・・」
騎士「そういえばどうして気球を使わないのかな?」
盗賊「気球は襲われた時に荷物を破壊してしまうからだ」
騎士「襲われる?空で?」
盗賊「今回の場合特に空は危ない」
騎士「・・・気になるな」
盗賊「それほど危ない物を運んでるのは間違いない」
騎士「そうか・・何も起こらなきゃ良いけど」
---夕方---
盗賊「今日はここで野営する!馬車を寄せてキャンプを作れ!!」
えっさ ほいさ えっさ ほいさ
僧侶「騎士ぃ~そっちの馬車は楽しい?」
騎士「まぁまぁだよ」
僧侶「商人さんスゴイんだよ~トランプの勝ち方教えてもらった~」
騎士「良かったじゃないか」
僧侶「ウフフ~」
盗賊「おい!騎士!チョッと運動しないか?」
騎士「ん?」
盗賊「模擬戦だ。そこの木の棒で立ち回りやって見よう」
騎士「あぁ良いよ」(久しぶりだな師匠とやるのは)
盗賊「腕には自信があるんだろう?いくぞ?」
騎士「来い!!」
カン カン コン
---
盗賊「お前やるなぁ・・はぁはぁ」
騎士「そっちも!」(懐かしい)
盗賊「お前息切らしてないな?はぁはぁ本気でいくぞ!!」
カン カン コン
フラリ スッ ピタ
騎士は盗賊の背後に回って木の棒を首に突きつけた
盗賊「ゴクリ・・お前その動き・・アサシンスタイル」
騎士「これは僕の師匠から教わったんだ」
盗賊「ほーすごい師匠だな・・どうやってやるんだ?」
騎士「目の盲点に入るように・・こうやって・・こう」
盗賊「もう一回頼む」
騎士「視線の中にこうやってチラつかせて・・ここに入る」
盗賊「もう一回だ」
---僕が教えたのか---
---
盗賊「おい騎士!!何やってんだ?」
騎士「風と砂の声を聞いてるんだ」
盗賊「なぬ?お前・・頭大丈夫か?暑さでやられたか?」
騎士「ハハそう見えるかもね・・これはエルフの娘に教えて貰ったんだ」
盗賊「・・・気は確かだろうな?・・何か聞こえるか?」
騎士「さぁね・・色んな音は聞こえるけど意味のある音なのかは分からない」
盗賊「くだらねぇ・・明日も早いから早く寝ろ」
騎士「分かってるよ・・遅くならないようにするよ」
(・・でも微かに聞こえる)
(何の音だろう?・・怯えた様な風の音)
---1週間後---
カン カン コン
魔女「あの2人は又やっとるのぅ・・疲れんのだろうか?」
僧侶「ポン!・・・ポン!・・」
商人「ちょっとさぁ・・もう」
僧侶「ポン!・・ウフフのフ~あと一個ルンルン♪」
商人「・・・・・」
盗賊「はぁはぁ・・」
騎士「ん~多分僕相手だから見切られてるんだと思う」
盗賊「・・そうだな・・ちょっと相手代えてみるか」
騎士「あそこに要る傭兵なんかどうかな?」
盗賊「よし!ちょっと息直すから呼んで来てくれないか?」
騎士「行って来る」タッタッタ
---
傭兵「・・・あぁ暇してたんだ。仲間に入れて欲しかった所だ」
騎士「連れて来たよ」
盗賊「模擬戦だ・・この木の棒で立ち回りを」
傭兵「手柔らかに頼むぜ・・こい!」
ガス ガス ゴン ズサー
盗賊「おっと待て待て・・完全に力負けだ」
傭兵「ははー傭兵を甘くみたか?」
盗賊「いや・・まだだ・・行くぞ!」
カス カス コス
フラ スッ ピタ
傭兵「うぉ消えた!!」
騎士「うん!それで良い」
傭兵「い、今のはなんだ?突然消えたぞ」
騎士「僕から見たら消えてなんか無いよ」
盗賊「よし!もっとやろう!」
傭兵「ど、どうやって対策すれば良いんだ?」
騎士「・・その場合」
---
盗賊「よっしアサシンスタイル体得したぞ」
騎士「盗賊にはそのスタイルが合ってるね」
盗賊「変わりに良い事を教えてやる」
騎士「良い事?」
盗賊「スリだ・・・見てろ」サッ
騎士「ん?何をした?」
盗賊「ハハーン・・取られた事に気付いてないな?目の前に居たぞ」
騎士「そうか・・スリも盲点を使うんだな」
盗賊「そうだ・・アサシンスタイルとは盲点の使い方が違う。あと技術も必要だ」
騎士「・・で何を取った?」
盗賊「これだ・・・・・っておい!」
騎士「あ~~忘れてたその豆の事」
盗賊「お、お前これが何か知らないのか?」
騎士「豆?ほしいならあげるよ」
盗賊「!!良いのか?エ、エルフを2~3人買えるぞ?」
騎士「ええええ!!?」
盗賊「これはドラゴンの涙と言ってな・・・ちょっと待て。これは商人に話さないとダメだ」
騎士「そんな高価な物だったのか」
---
僧侶「ぬふふふふローン!!!わ~い」
商人「くぁぁぁぁもう止めたぁぁ」ジャラジャラ~
僧侶「あ!騎士ぃ~わたしギャンブル強いかも~ウフフ」
騎士「ハハ良かったじゃないか」
商人「あの子は博打師の才能あるかもね・・・まいったよ」
盗賊「ちょっと商人!今良いか?」
商人「僕かな?どうしたんだい?」
盗賊「ちょっと馬車まで来てくれ~」
商人「あぁ今行くよ」スタスタ
盗賊「これを見てくれ」
商人「これは・・ドラゴンの涙」
盗賊「騎士が持ってたんだ」
商人「ハハ凄いな・・騎士要るかい?こっち来て」
騎士「ん??」タッタッタ
商人「君は凄い物を持っているね・・取引しないか?」
騎士「取引?・・・条件は?」
商人「これをどうやって手に入れたか教えてくれたら・・今運んでる荷物の中身を教えてあげる」
騎士「・・・その話は長くなるよ」
商人「単刀直入に行こう・・ドラゴンに会った事はあるかい?」
騎士「・・ある」
商人「取引に応じてくれたと思って良いのかな?」
騎士「ああ」
商人「この話は他に聞かれるとまずい・・・明日僕の馬車に来て」
騎士「わかった」
---商人の馬車---
商人「盗賊は馬車の馭者を頼むよ・・周りを警戒してて」
盗賊「わかった・・出発するぞ」パシ ゴロゴロ
商人「一応カギを掛けておいてくれるかな?」
騎士「わかった・・」カチャリ
商人「さて・・昨日の話しの続きをしよう。僧侶と魔女もよく聞いておいてね」
僧侶「は~い」
商人「まず騎士が持っていたこのドラゴンの涙の効果を教えておく」
僧侶「あれ?それお豆じゃなかったんだ~ウフフ」
商人「これはね万病に効く薬で非常に高価な物だよ。ドラゴンと同じ耐性を得るらしい」
僧侶「へ~なんかすご~い」
商人「さぁ次は騎士の番だ・・いつドラゴンに会ったのかな?」
騎士「・・1ヶ月ほど前?かな」
商人「どこで?」
騎士「始まりの国」
商人「!!・・ハハハからかわないでくれ」
僧侶「本当だよ~~ウフフ」
商人「僧侶・・君もそこに居たのか?魔女は?」
魔女「わらわには関係の無い話じゃ・・じゃがドラゴンには200年前に会っておるな」
商人「ハハハ話がむちゃくちゃじゃないか真面目に話をしてよ」
騎士「全部本当の話だよ」
商人「・・・・これは新手の取引かい?」
僧侶「ほんとにほんとだよ~~」
商人「ちょ、ちょっともう少しわかる様に説明してよ」
騎士「・・それは1ヶ月前僕が始まりの国へ・・・」
---
---
---
---
---
商人「・・・・・」
騎士「どうだい?信じて貰えたかな?」
商人「・・・すごい・・君達の言ってる事が本当だとすると・・」ブツブツ
僧侶「わたしは時をかける少女なの~~なんてね~~ウフフ」
商人「ちょっと頭を整理したい・・」
騎士「今運んでる積荷の話は?」
商人「あぁ僕とした事が・・つい忘れるところだった」
僧侶「は~や~く~」
商人「積荷は・・ドラゴンだ」
騎士「!!?なに!」(・・怯えた様な空気はコレか)
商人「ドラゴンの子供を拘束して運んでいる。だから気球を使って空を運べない」
騎士「親ドラゴンに襲撃される?・・・って事かな?」
商人「そうだよ・・それと今運んでるドラゴンは中立の国を経由して終わりの国へ運ばれる予定なんだ」
騎士「それが何か?」
商人「君の話では数年後終わりの国が魔王軍に飲まれると言ったね?」
騎士「・・・」
商人「終わりの国へは今まで何度もドラゴンの子供を運んでる」
騎士「親ドラゴンの襲撃だったって事になるのかな?」
商人「シナリオ通りならそういう事になるね・・すまない少し考えさせて・・」
---翌朝---
騎士「今日の出発は早いね」
盗賊「少し進行が遅れてるんだ・・しばらくは日の出前に出発だな」
騎士「今日は風の音が騒がしいんだ」
盗賊「いつもと変わらんが?」
騎士「・・向こうに見えるのは何だろう?」
盗賊「んん?・・馬が追いかけられてるな?」
騎士「なんか様子がおかしい気がする」
盗賊「・・あれは・・馬がトロールに追いかけられてる?・・いや賊がトロールに追いかけられてるな」
騎士「商隊に近づいて来てるように見える・・・」
盗賊「・・・」
盗賊「全体!!!!この馬車に続けえぇぇぇ!!進路を変える!」
騎士「トロールの足速いな・・・あれ?3体居る!」
盗賊「賊はこっちに助けを求めてるのか!?・・良い迷惑だ・・」
騎士「・・これはトロールと接触してしまう」
盗賊「全体!!!!このまま全速力で走り続けろぉぉぉ!!」
騎士「ど、どうする?」
盗賊「俺達だけで賊に近づく!お前は商隊に近づかないよう説得しろ。従わなければ馬をその剣で刺せ」
騎士「わ、わかった」
盗賊「いくぞ!」
---
盗賊「賊の先頭に居る奴に言うんだ!」
騎士「おーーーい!!商隊に近づくなぁぁ!!!」
賊「ひゅーーー見つけたぜぇぇ」
騎士「!?なに」
賊「落とし前つけて貰うからなぁグァハハハハハハ」
騎士「お前は!!!」
盗賊「早く馬をヤレ!!」
騎士「・・・剣が届かない・・もう少し寄ってくれ!」
賊「させるかぁぁボケが!ギッタギタのボッコボコにされちゃうぞぉ?ガハハ」ボカーン!
盗賊「ぐぁ!閃光玉!!」
ブヒヒヒ~ン ガッサー ガラガラガラ ガシャン
賊「あばよ!!グァハハハハハ」
騎士「くぅ・・あいつら・・」
盗賊「おい!早く起きろ!トロールが来る!」
騎士「ト、トロールの弱点は?」
盗賊「足だ!!アキレス腱を狙え!!絶対捕まるなよ」
ドスドスドス
騎士「でかい・・」ゴクリ
盗賊「日の出まで耐えろ!」
騎士「ハッ」ブシュ
トロールはダメージを受けた
トロール「ヴオォォォォ」
騎士「硬い!」
盗賊「馬車の荷に武器があった筈だ!見て来い!」
騎士「わかった・・・ど、どこだ?」
トロール「ヴオォォォォ」ドコーン ドコーン
盗賊はヒラリと身をかわした
盗賊「早くしろぉ!!」
騎士「何だこれは!・・グレートソード?」
盗賊「良いから早くしろおおおお!!持たねぇ!!」
トロール「・・・」ドコーン ドコーン
盗賊はヒラリと身をかわした
騎士「うおぉぉぉぉぉ」ザクン
トロールは倒れた
盗賊「や、やるじゃねぇか!!足ごと切り落としやがった」
騎士「あと2体!」
盗賊「危ない!!よけろぉ!!」
騎士「ぐぁ」グワシ
盗賊「捕まるなって言っただろ!」
バシーン バシーン
騎士は地面に叩きつけられた
騎士「ぐぁ・・・・が・・離せ・・」
盗賊「くっそ・・手の出しようがねぇ」
バシーン バシーン
騎士「ぐはぁ・・」(気が遠くなる)
盗賊「っのやろう!」グサ グサ
トロールはダメージを受けた
トロール「ヴオォォォォ」ポイッ
騎士は宙高く放り投げられた ドサッ
騎士「ぐぅ・・」(動けない)
盗賊「だ、大丈夫か!?こりゃひでぇ」
騎士「ま、だ、い・・・」
盗賊「おい!!しっかりしろぉ!」
トロール「ヴオォォォォ」
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
盗賊「日の出か・・間に合った。おい!起きろ!起きろぉ!!」
騎士「・・・」
盗賊「危機一髪だな」
---トロールは朝日を浴び石となっていた---
---馬車---
ガラガラ ガラガラ
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「ううううん・・・」
僧侶「・・・・・」グイット
騎士「・・・強制的に目を開けるの止めてくれないか」
僧侶「ウフフ~起きた~」
盗賊「お!?起きたか・・すごい回復力だな。まだ半日だぞ」
騎士「あぁ・・どうなったのか記憶に無いな・・」
盗賊「まぁ何とかなった。今は休んでろ」
騎士「あぁ・・このままで言いかい?ひざ枕が気持ちよいよ」
僧侶「良いよ~ウフフ」
盗賊「商隊から4人傭兵が居なくなった。どうやらずっと騎士を付け狙ってたようだな」
騎士「そうか・・迷惑をかけたね」
盗賊「トロールを引っ張ってくるとは・・あいつら襲撃に慣れてるな」
騎士「もう戻っては来ないだろうね」
盗賊「そうだなトロール3体ぶつけて無事に済んだとは思わんだろう」
騎士「乗ってた馬車は?」
盗賊「荷物積み替えて置いてきた。馬は無事だ」
騎士「軽微で済んで良かった」
盗賊「そうだな。本体にぶつけられてたら今頃大変だったな・・・そういえば」
騎士「ん?」
盗賊「お前の武器・・グレートソードの方が向いてるかも知れん」
騎士「あぁ初めて持ったけど僕もそう思った」
盗賊「今までの武器だと腕力が余ってるから勿体無い」
騎士「そうだねしばらく使ってみるよ」
僧侶「ねぇわたし今日からこっちの馬車で良いかなぁ~?」
騎士「どうしたの?」
僧侶「商人が1人でブツブツ言っててさぁ~遊んでくれなくなったの」
盗賊「はは~ん何か考えてるな」
騎士「僧侶は商人の護衛だからしっかり仕事頑張って」
僧侶「シュン」
---夕方---
盗賊「・・・そうだ!中々良い・・後は中身を掴んでくる」
騎士「スリも奥が深いなぁ」
盗賊「慣れてくると気付かれずに下着を脱がす事もできるぞ」
騎士「もういっかい行くよ!」スッ
盗賊「・・・良いねぇ盗賊に向いてるなハハ」
僧侶「ねぇ盗賊と騎士ぃ!商人が呼んでるよ~」
騎士「あぁ今行く!」
騎士「どうしたんだい?」
商人「うん色々考えてね・・中立の国に着いた後の作戦を考えた」
盗賊「やっぱりか」
商人「結論から言う。海賊船から海図を盗みたい」
騎士「僕はまずエルフの娘を・・」
商人「それは分かってる。多分エルフの娘は中立の国を経由して始まりの国へ送られると思う」
騎士「ならその前に・・」
商人「運搬役になってるのは恐らく海賊船なんだ・・僕の情報筋だとね」
騎士「なるほど」
商人「海賊船から海図を盗んであわよくば海賊になりすます・・そういう作戦だ」
騎士「わかった協力する」
商人「ただこの作戦は盗賊と騎士の2人でやって貰う。僕は商談があるから一緒には行けない」
騎士「僧侶と魔女は?」
商人「海賊船に女が居ると怪しまれるから今回は僕の護衛だ。その方が商談も上手く行く」
騎士「そうか」
商人「今のうちに盗賊から隠密の動作も教えて貰うと良いよ」
騎士「そうするよ」
---1週間後---
コッソーリ スッ
盗賊「そうだ!ソレで良い!上達が早いな」
騎士「・・ただ背中にグレートソード背負ってると邪魔だな」
盗賊「それは慣れるしかないな・・・次は僧侶で実践してみよう」
騎士「わかった」
僧侶「・・・おいでなすって・・入りやす・・半か丁か!」
商人「丁に金貨1枚!」
僧侶「・・・ゴクリ」
商人「・・・ゴクリ」
僧侶「半」
商人「くぁあああああ!!」
コッソーリ スッ
僧侶「???」
騎士「やぁ僧侶・・調子は良いかい?」
僧侶「ウフフフフ~ぼろ勝ちなの~」
商人「・・・」
騎士「ところで僧侶?今日下着はどうしたんだい?」
僧侶「え?どうして?」サワサワ
騎士「じゃ・・がんばってね」
僧侶「!!?ナイ!アレ?ナイ!」
盗賊「・・やるじゃないか!」
騎士「成功!でももう少し練習しよう」
盗賊「ようし!」
コッソーリ スッ コッソーリ スッ
---中立の国---
盗賊「おい!見えてきたぞ」
騎士「潮の香りが・・」
盗賊「そうだな・・あそこは陸と海の貿易の中心だ・・・食事も美味いぞ」
騎士「おぉ!それは僧侶も喜ぶ」
盗賊「まずは商人ギルドで荷物を降ろさないとな」
騎士「例の荷物は?」
盗賊「アレは俺が後で直接輸送船まで持っていく。お前達は先に宿屋で休め」
騎士「ふかふかのベットで久しぶりにゆっくり横になりたいよ」
盗賊「まぁそうも言ってられんがな・・海賊船が停船してればすぐに仕事だ」
騎士「海賊船も港に停船するんだ」
盗賊「中立の国では一切の戦闘を禁じられてるから入港できる」
騎士「じゃぁ割と安全か」
盗賊「表向きはな」
騎士「???」
盗賊「裏では謀略の嵐だエルフ、ドラゴン、トロールの密売、裏切り、暗殺何でも有りだ」
騎士「トロールまで密売を・・・」
盗賊「だが魔物達を捕まえて何をやっているのかは分かっていない」
騎士「そんなこと今まで知らなかった」
盗賊「商人はその秘密を探ろうとしている・・他言するなよ?」
騎士「分かってる」
---商人ギルド---
盗賊「商隊に加わった傭兵はご苦労!!日が暮れる前に給金を貰って解散してくれ!!」
ザワザワ ザワザワ
僧侶「わ~いお小遣い貰った~ウフフ」
騎士「意外と良い儲けになるね」
商人「お疲れ様!無事に荷物運び終えてホッとしたよ。今日は宿屋でゆっくり休むと良いよ」
騎士「そうするよ」
商人「僕はこれから情報収集さ。動きがあったら連絡する」
騎士「分かった」
商人「今の選ばれた勇者の行方も情報集めて見る」
魔女「わらわも連れて行って貰えんか?愛しき人を思うと休んではおれんのじゃ」
商人「それは僕もありがたい。護衛にもなるしね」
騎士「じゃぁ・・宿屋で待ってるよ」
---宿屋---
ガチャリ バタン
僧侶「あ~~~~疲れた~~~~」
騎士「ずっと馬車に揺られているのも苦痛だね」
僧侶「騎士と2人で居るのもすごく久しぶりな感じ~ウフフ」
騎士「そうだったね・・今日はゆっくり休もう」
僧侶「わたしね~商隊にいる間ずっと考えてた事があるの~」
騎士「なんだい?」
僧侶「この世界はね、元の世界の4~5年前?でしょ?」
騎士「実感無いけどね・・」
僧侶「元の私たちもこの世界にいる筈だから・・・会ってみたいな~なんてね」
騎士「そうだね・・・何か変わるのかも知れないね」
僧侶「でも何となく会う事も出来ないのかなとか・・」
騎士「僕は昔自分に会った事は無いから、何をしても会えないのかもしれない」
僧侶「うん・・そう考えると何かを変える為に会いに行きたくなっちゃう」
騎士「・・今起こってる事全部が過去の事だったなんて・・なんか信じられないな」
僧侶「うん」
騎士「僕の目的は・・魔王を探して倒す事だったけど・・見失ってしまいそうだよ」
僧侶「本物の勇者も探さないとね」
騎士「だから僧侶にはずっと付いてきて欲しい・・見失わないように」
僧侶「うん。付いていくよ」
騎士「よし!明日のことは明日考えよう」
僧侶「は~い」
---
僧侶「ねぇねぇ何してるの?」
騎士「街の音を聞いてるんだ・・あと匂いもね」
僧侶「何か聞こえるの?」
騎士「ガヤガヤ騒がしい音・・匂いも色々な匂いが混ざっててよく分からないよ」
僧侶「わたしも一緒に聴いてて良い?ウフフ」
騎士「良いよ・・こっちにおいで」
僧侶「音で大体何が有るか分かる?」
騎士「よく分かるよ・・でもね騒がしくて風の音とか聞こえなくなるんだ」
僧侶「・・だからエルフは人間の町が嫌いなのかなぁ?」
騎士「そうかもね・・ホラあちこちで言い争いの声が聞こえる」
僧侶「本当だ~あっちで揉め事・・こっちで揉め事」
騎士「エルフは僕達人間よりも耳が良いから揉め事ばかり聞こえるのはウンザリなんじゃないかな?」
僧侶「エルフを見習わないとね~」
騎士「そうだね」
---数日後---
ドンドン ドンドン
盗賊「おい!居るか?」
騎士「盗賊かい?今カギ開けるよ」
ガチャリ
騎士「何か情報入手したのかな?」
盗賊「あぁ海賊船が入港した。今晩作戦を実行する」
騎士「エルフの娘と勇者の行方は?」
盗賊「海賊船は2~3日停船するからその間に積み込まれる筈だ。勇者の情報はまだだ」
騎士「そうか・・まずエルフの娘を助けたいな」
盗賊「わかってる。だから僧侶にも少し協力してもらう」
僧侶「え!?どうやって?」
盗賊「魔女と僧侶2人で酒場で働いて貰う」
僧侶「どういう事~?」
盗賊「海賊が酒盛りを始めたら睡眠薬を盛ってほしいんだ・・海賊船に戻るまでの時間を稼いで欲しい」
騎士「それは魔女と僧侶が危なくないかい?」
盗賊「大丈夫!そこは抜かり無い安心しろ」
僧侶「なんかワクワクしてきた~ウフフ」
騎士「・・僧侶・・・絶対お酒は飲んだらダメだよ」
僧侶「えええええええ?つまんな~~~~い」
盗賊「ま、まぁ何とかなる!僧侶は今から一緒に酒場に行くぞ」
騎士「・・・」
盗賊「騎士は夜になったら酒場に来てくれ。それまでは待機だ」
騎士「わかった」
僧侶「ワクテカ ワクテカ♪」
---夜酒場---
ガチャリ ガヤガヤ
マスター「いらっしゃいませー」
騎士「席、空いてるかな?」
マスター「カウンターで良いかい?」
騎士「あぁ・・」
マスター「今日はお店一杯で悪いね・・何飲むんだい?」
騎士「マスターに任せるよ」
マスター「じゃぁエール酒で・・・今日は待ち合わせか何かかい?」
騎士「まぁ・・そんな所だよ」
(おう!ねーちゃん可愛いなぁウハハ)
(可愛い~?可愛い~?もっと言って~~ウフフ)
(おらぁ海の男だぜぇぇガハハ)
(これ!さわるでない)
(うぉ~べっぴんやなぁ~~今晩どうや?ガハハ)
盗賊「よう!待ったか?」
騎士「今来た所だよ」
盗賊「あの2人上手くやってるな」
騎士「・・・・」
盗賊「時期に海賊の頭がやってくる・・入ってきたらすれ違って店を出るぞ」
騎士「分かった」
(いいじゃねぇかぁ~すこし触らせろよ)
(だめ~~トランプで勝ったら触らせてあ・げ・る)
(うおおおおおおおお燃えてきたあああああ)
(でも勝負するのはこっちの子ね~~ウフフ)
ガチャリ
マスター「いらっしゃいませー」
海賊の頭「よう!久しぶりだな!」
盗賊(来た!行くぞ)
騎士「マスターお代はここに置いておくよ」ジャラ
マスター「まいど!!」
盗賊「済まない・・通るよ」スッ
騎士「あ、すいません。通ります」
マスター「またのお越しを~」
---
盗賊「上手く行ったなフフ船長室の鍵だ」
騎士「さすが・・」
盗賊「このまま船着場まで行くぞ」
タッタッタ
(夜の闇に紛れて走る)
(耳を澄ませる事が多くなったせいか・・)
(暗闇で見えなくても不思議と何があるか分かる)
(夜目が利くというのは耳が利くのと同じ意味なのかな?)
---海賊船---
盗賊(見張りは2人だ・・近づいて片付ける・・こい!)
ソロ~リ ゴスン! ゴスン!
見張り1は倒れた
見張り2は倒れた
盗賊(海賊船に乗れ!)
ソロ~リ
騎士(誰も居ない様だな)
盗賊(俺は船長室で海図を盗んでくる。お前は積荷の状況を見てきてくれ)
盗賊(10分後に後方のデッキに来い)
騎士(わかった)
ソロ~リ
---積荷室---
ソロ~リ
(誰も居ない)
(荷物が積まれてる?)
(エルフの娘はどこだ?)
(まてよ・・震えた息遣いが聞こえる)
??「はぁ・・はぁ・・」
(居る!どこだ?)
(あの檻の中か?)
??(だ、だれか居るのか?)
騎士(エルフの娘!!)
エルフの娘(た、助けに来てくれたのか?)
騎士(心配した・・怪我は無いか?)
エルフの娘(うぅぅぅうぅぅぅう・・こ、こわかった)ポロポロ
騎士(今、助けてやる)
エルフの娘(たすけ・・て・・・うぅぅぅぅ)ボロボロ
ガチャ ガチャ
騎士(鍵が掛かってる)
エルフの娘(ここから・・だして・・おねがい)
騎士(鍵を探してくる)
エルフの娘(い、いかないで・・・おいていかないで・・おねがい)
騎士(落ち着いて・・手を握って)ギュゥ
エルフの娘(こわかったょぅ・・)
騎士(・・・・・)---気高いエルフが怯えてる---
エルフの娘(わたしをおいていかないで・・)
騎士(必ず助けに戻る!)
エルフの娘(いや!おねがい!!たすけて・・)シクシク
---後方デッキ---
盗賊(遅いぞ!騎士)
騎士(エルフの娘を見つけたんだ)
盗賊(そうか・・)
騎士(檻の鍵が無い・・船長室の鍵と一緒になってないか?)
盗賊(いや・・鍵は一つしか無い)
騎士(鍵を探さないと・・)
盗賊(・・・仕方が無い・・俺が開錠してみる)
騎士(行こう!こっちだ)
---積荷室---
シクシク シクシク
騎士(エルフの娘!迎えに来たよ)
エルフの娘「!!!!!!キシャー!!フー!!フー!!」
騎士(落ち着け!!盗賊は味方だ)
エルフの娘「はぁ・・はぁ・・」ブルブル
騎士(大丈夫だ・・・手を握って)ギュゥ
盗賊(・・・無理も無い・・この子は俺の顔を見ている)
エルフの娘(たすけて・・)ブルブル
騎士(盗賊!開錠を頼む)
盗賊(待ってろ・・)カチャ カチャ
騎士(エルフの娘・・・このクロークを羽織って)パサッ
盗賊(・・・僧侶達が上手く時間を稼いでくれてると良いが・・)
騎士(どうしてそんなに焦っているんだ?)
盗賊(船長室の鍵を酒場に居る船長のポケットに戻さないといけない)
騎士(そうか・・)
盗賊(くそ!中々開かねぇ・・)
騎士(エルフの娘・・立てそうか?)
盗賊(無理だ・・抵抗出来ない様に薬を打たれてる・・お前がおぶっていけ)
騎士(・・・)---陵辱の限りだった訳か---
盗賊(よし!開いた)カチャン!
騎士(エルフの娘・・おいで)ヨッコラせ
盗賊(少し作戦を変更する!!海賊船に火を付ける)
騎士(わかった・・)---エルフの娘が居なくなったのを偽装か---
カチ カチ メラメラ
盗賊(そこら辺の荷物に火を移せ・・)メラメラ
騎士(エルフの娘・・しっかりつかまってて)メラメラ
エルフの娘(・・・)ガクガク ブルブル
騎士(目をつぶってて良い)---火が苦手だったか---
盗賊(よし!行くぞ!・・・お前はそのまま宿屋に行け!俺は酒場に戻る)
騎士(わかった・・ありがとう)
---裏街道---
タッタッタ
騎士「エルフの娘・・寒くないか?」
エルフの娘「・・・・・」ガクガク ブルブル
騎士「早く宿屋に帰って暖まろう」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「もう大丈夫だよ」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「・・・・・」
(なんて細い体なんだ・・)
(掴まる腕から怯えた心が伝わってくる)
(気高いエルフが背中にしがみついている)
(申し訳なくて言葉に出来ない)
タッタッタ
---酒場---
バタン!!
マスター「いらっしゃ・・」
盗賊「た、大変だ!!港が燃えている!!」
(わたひ可愛い~ウフフ~みんなもうねちゃうの~~ひっく)
(ぐがががががーぐがががががが・・むにゃ)
(もう勝負はやめたいんじゃが・・)
(まだだぁぁ!!まださわってない!!)
マスター「ど、どうされました?」
盗賊「み、港で船が燃えてるんだ!!ここに居る人たちの船じゃないのか?」
海賊の頭「なんだと!!おい!!お前らぁ起きろ!!」
盗賊「早く消火に行かないと大変な事になる!」スッ
海賊の頭「お前らぁ起きんかぁ!!」ガス ガス
盗賊「俺ぁ人集めてくる・・マスターも人を集めてくれ!」
海賊の頭「おぅ悪いな・・お前らぁ行くぞ!!」
盗賊「そこの女2人も一緒に来てくれ!!」
僧侶「は~い・・・ひっく」
魔女「ではいくかのぅ・・」
盗賊(2人は宿屋に戻ってくれ)ヒソヒソ
---宿屋---
コンコン
騎士「誰だい?」
僧侶「わたひ~ウフフ」
騎士「今開ける・・」カチャリ
僧侶「飲んじゃった~ふぁ~~むにゃ・・」
騎士「早く入って・・」バタン
魔女「おぉエルフの娘を助けてきたのか・・・良かったのぅ」
エルフの娘「・・・・・」ガクガク ブルブル
騎士「魔女・・今日はエルフの娘と一緒に居てやって欲しい」
エルフの娘「魔女様・・・うぅぅぅぅぅ」
魔女「・・・そうか辱めを受けたんじゃの?・・・おいで・・もう大丈夫じゃ」ガシッ
エルフの娘「うぅぅぅぅぅ・・」ポロポロ
魔女「何も言わんで良い・・良い子じゃ・・戻って来れて良かったのぅ」ナデナデ
騎士「それじゃぁ僕と僧侶は向こうの部屋に行くよ」
僧侶「ぐががが・・すぴー・・ぐががが・・すぴー」
騎士「よっこらせっと・・・エルフの娘の着替えは後で持ってくるよ」
魔女「着替えは部屋の外に置いておいておくれ・・今日はもうドアのノックはせんようにな」
騎士「わかった・・じゃぁ魔女・・頼むね」
---僕が傍に居ない事の方が彼女の自尊心を守る術だと思った---
---翌日---
トントン
騎士「僕だよ・・空けてもらって良いかい?」
カチャリ
騎士「魔女・・エルフの娘はどうだい?」
魔女「大分落ちついたがの・・・しばらくはショックが抜けんじゃろぅ」
騎士「うん・・エルフの娘・・何か欲しいものは無いかい?」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「極度の人間嫌いになってしもうた様じゃ・・そっとしておいておやり」
騎士「エルフは確か・・清潔な物しか身に付けなかったよね?新しい着る物を買ってくるよ」
魔女「そうじゃのぅ・・木の芽や果物も採ってきておくれ・・森への感謝を忘れるなよ?」
騎士「感謝ってどうすれば良いのかな?」
魔女「沢山取りすぎてはイカン・・少しづつ摘めば良い」
騎士「わかった・・夕方には戻るからゆっくりしてて」
---森---
騎士「僧侶!ちゃんと付いて来てる?」
僧侶「ちゃんと後ろにいるよ~ウフフ」
騎士「木の実見つけたら教えてね」
僧侶「なかなか見つからないね~」
騎士「木の芽は結構あるんだけどね」
僧侶「エルフってさ~お肉とか食べないのかなぁ?」
騎士「少しは食べるらしいけど生きた肉だけっていう話だよ」
僧侶「そうなんだ~・・そういえば気球にいる間も何も食べてなかったね」
騎士「あ!アレはリンゴかな?」
僧侶「おお~やっと見つかったね」
騎士「よし!一個だけ持って帰ろう」
僧侶「リンゴさんに感謝しないとね~」
騎士「じゃぁ・・次は着替えを見に行こう」
僧侶「わたしが選ぶ~~♪」
騎士「植物製の清潔なやつを選んでね」
僧侶「え?どうして?」
騎士「エルフは匂いとか気にするらしい」
僧侶「匂い?」
騎士「うん染料の匂いとかも嗅ぎ分けるから無色が良いかな」
僧侶「なんかめんどくさいね~」
騎士「でもソレがエルフの自尊心にもなってると思う」
僧侶「そっか~繊細なんだねエルフって」
騎士「人間よりもずっと賢くて繊細なんだってさ」
僧侶「ねぇ・・わたしっておバカさんかなぁ?」
騎士「どうして?」
僧侶「昨日海賊さんに『お前バカか?』って何回も言われたの~」
騎士「・・・まぁ大丈夫だよ」
僧侶「ねぇ・・今言葉に詰まってない?」
騎士「つ、詰まってないよ」
僧侶「なんか詰まってる~でもまぁいっか~ウフフ」
---宿屋---
コンコン
騎士「戻ったよ」
カチャリ
魔女「早かったのぅ」
騎士「ほら・・着替えと食事を持ってきたよ」
僧侶「私も入って良い~?ウフフ」
騎士「僕は向こうの部屋に行ってるから・・じゃあね」バタン
---少しは元気出るかな---
---街道---
騎士「・・・中立の国はお店が多いね」
僧侶「見て歩くのたっのし~~~いウフフ」
騎士「なるほど商売の中心地かぁ・・」
僧侶「お城の隣にある建物は何かなぁ?」
騎士「図書館らしいよ」
僧侶「へぇ~興味無いカモ~」
騎士「ハハそう言うと思ったよ」
僧侶「船着場には色んな形のお船があるんだね」
騎士「そうだね・・どれが海賊船か見分けが付かないね」
僧侶「ねぇねぇこれだけ沢山の石ってさぁどこから持ってくるのかなぁ?」
騎士「石?・・・建物の事かい?」
僧侶「うん」
騎士「ん~人が運ぶんじゃなくて船で運ぶんじゃないかな?」
僧侶「船で運ぶのか~ちょっと納得~ウフフ」
騎士「ほら砂漠の町は石造りの建物は無かったよね?・・きっと船で運べないからだよ」
僧侶「船ってすごいね~」
騎士「そうだね・・色んな物を運ぶんだろうね」
---数日後酒場---
盗賊「よう!騎士・・探したぜ」
騎士「あぁ盗賊か」
盗賊「2人でお楽しみ中悪いんだが邪魔するぜ」
僧侶「ウフフ~みんなで楽しく飲もう~なんてね~」
盗賊「おう!マスター一杯頼む」
騎士「それで何か分かった事が?」
盗賊「いやな・・例の海図の事なんだが・・あまり期待した航路は無かったようだ」
騎士「期待した?」
盗賊「あぁ・・商人は裏航路があると読んでたみたいだが」
騎士「ん~よくわかんないな」
盗賊「始まりの国と海賊の癒着は前から分かってたんだが積荷の運搬先がよく分からないんだ」
騎士「・・それで裏航路があると?」
盗賊「海図に描いてたのは普通の航路と幽霊船の出現場所しか無かった」
騎士「幽霊船ねぇ・・」
盗賊「まぁ海賊も幽霊船には関わりたくないんだろう」
騎士「それでこれからの予定は?」
盗賊「!!あぁ・・そうだ勇者の情報も少し入った」
騎士「!!おぉ」
盗賊「3ヶ月前までここに居たらしい・・終わりの国へ向かったそうだ」
僧侶「なんか近づいてるね~魔女に報告しなきゃ・・ウフフ」
盗賊「5日後に商船が終わりの国に出航するからみんなでそれに乗る」
騎士「商人の目的は?」
盗賊「この間のドラゴンが何の為に運ばれたのか調査したいらしい」
騎士「そうか・・みんな利害が一致してる訳か」
僧侶「・・でもエルフの娘はどうするの~?」
騎士「本当は森へ返してあげたいけど・・一人で帰すのは危険だなぁ」
盗賊「しばらくは同行するのが安全ではあるが・・」
騎士「魔女に相談してみるよ」
盗賊「それが良い」
僧侶「終わりの国ってどんな所~?」
盗賊「要塞都市だ・・ここよりは住みにくい」
騎士「確か・・魔王軍と戦争中だとか?」
盗賊「うむ・・魔物の襲撃をよく受けているらしいが・・目の当りにした事は無い」
僧侶「危なくないの~?」
盗賊「今まで何度も行ってるが危険な目には会ってないな」
騎士「・・・ドラゴン・・か」
(ドラゴンの子もエルフの娘と同じ様に怯えていた・・)
---宿屋---
魔女「おおおおおぉぉ・・それはまことか?愛しき人に近づいておる・・」
騎士「5日後に船で終わりの国へ向かう」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「それで・・エルフの娘・・本当は君を森へ帰してあげたいんだけど」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「君を一人にはしたくないんだ・・その・・しばらくは一緒に来てもらえないか?」
僧侶「私からもおねが~い」
騎士「もう君を危ない目には会わせたくないんだ・・一緒の方が安全だし」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「必ず森へ返してあげる・・これは約束だ」
エルフの娘「・・私は魔女様の愛の行方を確かめる・・」
僧侶「やったぁ♪」
騎士「おぉありがとう!!」
魔女「エルフの娘や・・わらわの為に本当にすまんのぅ・・」
騎士「そうだ!!すぐ近くに小さな森があるんだ・・明日少し外に出てみないか?」
エルフの娘「・・・・・」
僧侶「いこ~いこ~明日良い天気になると良いね~ウフフ」
---翌日森---
チュン チュン ピヨ
僧侶「ねぇ見て見て~森の中に居るエルフの娘ってさ~すごく綺麗~」
騎士「・・そうだね」
僧侶「天使みたいだね・・・でもなんかもの悲しそう」
魔女「森の声を聞いているのじゃよ・・鳥や蜜蜂達は噂を運んでくるでのぅ・・」
僧侶「わたしも聞いてみたいな~・・・」
チュン チュン ピヨ
魔女「耳を澄ませば聞こえてくるぞよ?」
僧侶「なんて言ってるの~?」
魔女「・・・何か騒いでおるな・・わらわにはそれくらいの事しか分からん」
僧侶「すご~い鳥たちがエルフの娘を囲んでる~」
騎士「・・鳥達もエルフの娘の心を知っている様だ・・・あれは励ましている」
魔女「そうじゃのぅ・・」
僧侶「ねぇ~帰りにさぁ・・道沿いの教会に寄っていってみようよ~」
騎士「あぁ・・行ってみようか」
---空気を使って会話をして来なくなった・・心を閉ざしてしまったか---
---教会---
司祭「生けとし生きるのもみな神の子。わが教会にどんな御用かな?」
僧侶「お祈りに来ました~」
”私が幸せでありますように
”私の悩み苦しみがなくなりますように
”私の願いごとが叶えられますように
”私に悟りの光が現れますように
”私の親しい人々が幸せでありますように
”私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように
”私の親しい人々の願いごとが叶えられますように
”私の親しい人々に悟りの光が現れますように
”生きとし生けるものが幸せでありますように
”生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
”生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
”生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
司祭「慈悲の祈りは心を癒す力。迷える者は祈りを捧げ心を癒して行くと良い」
エルフの娘「・・・・・」
---
---
---
司祭「その癒しこそ諸々の罪を清め祓う術であると心得よ」
僧侶「は~い」
司祭「・・・・・」
---宿屋---
魔女「んん??テーブルに一厘の花が活けてあるが・・」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「エルフの娘が活けたんか?」
エルフの娘「・・・・・」フリフリ
魔女「誰が活けてくれたのかのぅ?」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「この花の花言葉は『いたわり』じゃ」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「騎士がそれほど気が利くとは思えんが・・まぁ誰でも良いが気が利くのぅ・・」
エルフの娘「・・・・・」パク
魔女「!!?それを食するのかえ?」
エルフの娘「・・・・・」パク
魔女「・・・」(これもエルフの表現の一つじゃな)
(大事に持つのは自尊心に傷が付く故に食する・・なんとも奥ゆかしい)
---数日後商船---
ザザー ザザー
僧侶「わ~いお船だぁ♪」
盗賊「さぁ乗った乗ったぁ!!」
商人「この船は僕達以外は乗ってないからくつろいでもらって良いよ」
騎士「エルフの娘・・大丈夫かい?魔女から手を離さないでね」
エルフの娘「・・・・・」
商人「あと5分で出発するよ」
騎士「盗賊!?もし海賊船に襲われたらどうなる?」
盗賊「ハッハそれは心配ない。海賊船よりもこの船は早い」
商人「そうだよ。まぁその分甲板も狭いし荷物も少ないんだけどね」
僧侶「ねぇ?終わりの国まではどれくらいで着くの~?」
商人「7日くらいかな。まぁゆっくりしてもらって良いよ」
騎士「あ!気球も積んでるんだ・・」
商人「まぁね・・逃げ道はいつも用意する様にしてるんだ」
騎士「逃げ道・・って」
商人「万が一だよハハ心配しなくても良い」
盗賊「さぁ!!碇を上げるぞ!!」
僧侶「出発!!しんこ~~う」
---商船1日目---
騎士「ん??何だこれ?」
盗賊「んん?・・そりゃ貝殻だ」
騎士「いつの間に僕の荷物に入ってるんだろう・・」
盗賊「耳に当ててみろ・・海の音が聞こえるぞ」
騎士「海の音?」
---
---
---
騎士「・・・」
(確かに深淵なる海の音がする)
騎士「・・・」チラリ
エルフの娘「・・・・・」ソッポ
騎士「・・・」
(このメッセージにどう答えれば良いんだろう・・)
---商船2日目---
盗賊「おい騎士!!また貝殻の音聴いてるのか?」
騎士「あ・・あぁ・・どうして海の音が聞こえるのか考えてたんだ」
盗賊「ぬははお前は馬鹿か?海の音がするってのは迷信だ・・そりゃ貝殻の中に響く自分の音だ」
騎士「自分の音?」
盗賊「貝殻から連想するのは海だろ?だから海の音と言われてる」
騎士「そうだったんだ・・」
盗賊「暇ならたまには船の操作を手伝え!」
騎士「あ・・うん」
盗賊「俺の他に働けるのはお前しか居ないんだ!」
騎士「わかったよ」
(自分の音か・・・そうか・・深淵から連想するのは恐怖だ・・)
(僕からはそういう音が出ているのか・・)
(エルフの娘に恐怖を与えてしまってるんだ)
(どうすれば音を変えれるんだろう・・)
---商船3日目---
商人「・・・という事だよ」
騎士「じゃぁ今まで運んだ物を組み立てたとすると?」
商人「始まりの国は巨大な拘束具、終わりの国は大砲、機械の国は恐らくロボット」
騎士「戦争の為・・かな?魔王軍との」
商人「それが少し変なんだ・・・終わりの国は魔王軍と戦争中と言われているけど」
騎士「けど?」
商人「それを見たという人が極端に少ない・・というか居ない」
騎士「勇者達が食い止めている・・とか?」
商人「その勇者達も帰ってきた人が居ない・・おかしいと思わないかい?」
騎士「・・・」
商人「だから僕は本当はどうなのか知りたいんだ」
騎士「魔王城に行けば・・分かる・・か」
商人「でもその前に知りたいのがドラゴンの事だよ。確かにドラゴンは終わりの国へ送られてる」
騎士「謎ばかりだね」
商人「同じ様に捕えられたエルフ達もどうなってるのかが分からない」
騎士「エルフ達は始まりの国に送られてるんだっけ?」
商人「全部を把握してる訳じゃないけど・・多分そうだと思う」
僧侶「ねぇねぇ!!船の下に何か居る~~!!」
盗賊「なぬ!?」
商人「え!?」
ドタドタ ドタドタ
盗賊「あれは!!・・・・」
商人「クラーケン!!これはまずいかも・・」
盗賊「気球の準備をしてくる!!」ダダダ
魔女「・・・慌てんでもよい・・エルフの娘が落ちついておる」
エルフの娘「・・・・・」
商人「海賊船は良くクラーケンに襲われてるって・・」
僧侶「船の下を行ったり来たりしてる~~」
盗賊「この船を襲う気は・・無い・・のか?」
騎士「魔女の言う通り少し様子を見よう」
---
商人「去っていった・・・これはもしかして・・」ブツブツ
僧侶「あ~また始まった~ブツブツた~いむ!ウフフ」
盗賊「まぁ何も無くてよかったな」
騎士「エルフの娘すごいな・・クラーケンの心も読めるのかい?」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「エルフの娘だけでは無くクラーケンもエルフの心を読んでると思うがのぅ」
商人「そうか!!だから始まりの国は自国の船じゃなく海賊船で運搬しているんだ・・」ブツブツ
盗賊「商人!うるさいから向こうで考え事してくれ!」
商人「わ、わかった。すこし考えてくる」
騎士「ハハなんかいつもの雰囲気だねハハ」
---夜---
魔女「また黄昏ておるのか?・・今日は満月が綺麗じゃのぅ」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「慈悲の祈りは心を癒す力じゃ。満月に祈るのもよかろう」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「祈りは魔法にも通じておる。そなたにも魔法の才はあるはずじゃ」
エルフの娘「・・・・・」
魔女「まだエルフにしては若いじゃろうが、癒しの祈りくらいは出きるじゃろうて」
エルフの娘「・・・・・」
ザザー ザザー
---終わりの国---
盗賊「お~い!見えてきたぞ~!」
騎士「本当だ・・あれ?でも様子が変じゃないか?」
商人「!!戦争・・・・・か?」
盗賊「空に向かって何か撃ってる・・・すごい数だ」
騎士「城の上空に・・ドラゴン?・・なにか飛んでる」
商人「魔王軍と戦争してるのは本当だったのか・・」
盗賊「近づくのは危ないな・・ここでしばらく様子を見よう」
騎士「上空で回ってるドラゴンは1匹みたいだね」
盗賊「それにしても城から何を撃ってるんだ?」
騎士「上空のドラゴンは攻めきれない様だね」
盗賊「対空砲火ってやつか?・・・にしてもすげぇ・・どんだけ弾あるんだ?」
騎士「陸の方はどうなってるんだろう」
盗賊「見えねぇな・・もうすこし近づくか」
盗賊「対空砲火が止んだな」
騎士「ドラゴンは退却したみたいだね・・陸で戦闘は無かった感じ・・かな?」
盗賊「どうする!?商人!」
商人「予定外だね・・」
盗賊「・・入港できるんか?・・」
商人「すこし様子を見てから入港してみよう」
---船着場---
盗賊「よっし!!停船した」
商人「みんな船で待ってて。下船許可をもらってくる」
僧侶「なんかさ~さっきまでドラゴン来てたのにあんまり慌ててないね~」
騎士「そうだね・・なんか変な雰囲気だね」
盗賊「んむ~なんか話が違うな・・・戦争慣れってやつか?」
騎士「エルフの娘!ちょっとおいで」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「はい!これ金貨!これで好きな物を買うと良い。ここは銀製品が沢山あるらしいよ」ジャラリ
僧侶「わたしもちょ~~~~だ~~い」
騎士「後であげるよ。エルフは銀を好むって聞いたことがあってね・・魔女はエルフから離れないでね」
僧侶「わたしも銀製品ほしいほしいほしいほしいほしい~~」
騎士「分かってるって」
商人「お~い許可が出たからみんな降りて良いよ」
盗賊「おう!」
商人「僕と盗賊は積荷を降ろして取引先に持っていくから4人は先に宿屋に行ってて」
騎士「分かった・・買い物しながら宿屋に行くよ」
僧侶「早くいこ~~う!!」
---街道---
騎士「ドラゴンのせいかな?人がまばらだ」
僧侶「でも露店はやってるみたい~ウフフ」
騎士「遠くに行かないように買い物をして来て良いよ」
魔女「わらわとエルフの娘も少し見てくるぞよ」
騎士「うん。後をついていくよ」
(もう何日目だ?毎回避難するのウンザリだよ)
(さすが王国の大砲はドラゴンも寄せ付けんな)
(でも不吉だねぇゾンビも出るし)
(地下墓地のゾンビが手に負えないらしいぞ)
僧侶「わたしこれに決めた~~♪銀のロザリオ~」
魔女「エルフの娘や・・気に入った物を買っても良いんじゃぞ?」
エルフの娘「・・・・」
魔女「仕方無いのぅ・・これ騎士・・エルフの娘に合う物を探すのじゃ」
騎士「え?僕が?」
僧侶「私も探してあげる~ウフフ」
騎士「困ったな・・」
僧侶「ねぇねぇ~この銀の装飾の弓はどうかなぁ~」
魔女「ほぅ・・珍しい物を見つけたのぅ」
僧侶「でもちょっと高いカモ~」
騎士「値段は気にしなくても良いよ・・あ・・良いアクセサリーを見つけた」
僧侶「どれ~?」
騎士「ほら・・これさ・・エルフの娘?着けて見て」
エルフの娘「・・・・・」
騎士「ほらピッタリだ!」
魔女「良い買い物をしたのぅ」
騎士「僧侶はもう買い物は終わったのかい?」
僧侶「まだああああああああ」
騎士「フフもう少し見て行こうか」
---宿屋---
カランコロン
店主「ようこそ旅人のお方。休んで行かれますか?」
騎士「あぁ2人部屋を3つ頼むよ」
店主「承知いたしました」
騎士「それにしても戦争中なのにみんな普通にお店開いてるんだね」
店主「・・はい困っておりまして・・一週間ほどまえから毎日ドラゴンが飛来するようになったんです」
騎士「一週間?・・」
店主「・・・ですがまだ被害は出ておりません」
騎士「え!?じゃぁドラゴンは何をしに?」
店主「終わりの国の砲撃が激しくて近づけないのでは無いでしょうか」
騎士「はぁ・・・ここは安全なのかな?」
店主「王国からは建屋内に入っていれば安全だと聞かされています」
騎士「情報ありがとう・・・」(何かおかしいな・・)
僧侶「お部屋はどこ~?」
店主「こちらになります・・・この部屋は勇者様ご一行が使われていた部屋ですよ」
騎士「え!!!!!勇者がこの宿屋に?」
店主「はい・・1ヶ月前までここに泊まっておられました」
魔女「その勇者の事を詳しく聞かせてくれんか?・・」
店主「どこに旅立たれたかは聞いておりません」
魔女「勇者一行の特徴とか知っている限り教えておくれ・・」
大柄で無口な勇者様
おしゃべりな女戦士様
中背で無口な賢者様
真面目そうな戦士様
魔女「・・青い目をした者はおらんかったかの?」
店主「はいよく覚えていますよ。賢者様が澄み切った青い目をしておりました」
魔女「おおおぉぉぉ間違いない・・・わらわの愛しの人じゃ・・」
騎士「賢者?」
魔女「他人からの呼び名などどうでも良いのじゃ・・わらわの愛しの人に変わりは無い」
店主「その方がどうか致しましたか?」
魔女「・・もっと良く聞かせておくれ」
店主「その賢者様はまだ若い青年でいつもその窓際で空を眺めていました」
魔女「こ、この窓か?おおぅ温もりは残っておらんか・・」ポロ
店主「そういえば!記念に絵師に描いて頂いた絵がございます・・こちらです」
魔女「!!この青年じゃな?・・わらわには分かる」
店主「その通りでございます・・お知り合いでしたか?」
魔女「こ、この部屋はわらわに使わせておくれ」
騎士「魔女とエルフの娘はこの部屋で良いね・・」
魔女「店主・・忙しい所すまんが賢者様の話をもっと教えてくださらんか?」
僧侶「わたしがお店の番をしててあげるよ~」
店主「あぁ・・かまいませんよ。好青年でしたのでよく覚えています」
---
---
---
---
---夜---
僧侶「魔女があそこの窓から離れなくなったみた~い」
商人「へぇ~・・そうなんだ。ここに勇者一行が居たなんてね」
騎士「みてごらんエルフの娘の格好」
商人「うん。良いねシルバーボウに銀のアクセサリー」
盗賊「銀には浄化の作用があるというが本当か?」
商人「さぁね・・でも銀の装飾のロングボウなんて珍しいね」
僧侶「私のもみて~ウフフ銀のロザリオ~」
騎士「そういえばゾンビが出るとかいう噂も聞いたな」
商人「銀の装備が役に立つかもね」
盗賊「そろそろ休もう」
商人「明日からもう少し情報集めてみるよ・・勇者の行き先も気になるし」
---
シトシト シトシト
魔女「・・・はぁ・・・」
魔女「!!!」---窓の曇りに何か---
---『愛』---
エルフの娘「・・・・」
魔女「愛しの人は『愛』を問うておる・・うぅぅぅ」ポロポロ
エルフの娘「魔女様・・・」
---翌日---
魔女「よく見てみぃ・・窓から見えるのは空だけじゃなく城も見えるじゃろぅ」
騎士「本当だ・・城に突き出している6本の塔が良く見える」
盗賊「どれ・・見せてみろ・・・ん?塔の天辺にあるのは大砲か?」
騎士「良く見えないな」
ドタドタ ドタドタ
店主「ドラゴンがまた来たらしいよ!宿屋から出ないでおくれ!」
商人「え?ちょっと僕にも見せて!」
盗賊「どこだ?」
騎士「雲の上だ・・切れ目からチラチラ見える」
ギャオース
商人「うわ!でかい・・」
騎士「・・あれは僕が見た奴に似てる」
商人「親ドラゴンに違いないね」
盗賊「おい!見ろ!対空砲火が始まるぞ」
ゴゥ ゴゥ ドドーン
盗賊「・・ありゃ大砲じゃねぇ!魔法か何かだ!」
商人「読めた・・・・」
魔女「あれは魔法ではない・・ブレスじゃ」
盗賊「ドラゴンのブレスを大砲から撃ってるのか?」
ゴゥ ゴゥ ドドーン
---
商人「みんな聞いて欲しい・・これは多分の話だけど・・あの大砲の中には子ドラゴンが入ってると思う」
騎士「・・・・」
商人「ドラゴンは魔法に反応して反射的にブレスを吐くんだ・・それを利用してると思う」
僧侶「ドラゴンさんかわいそ~う」
エルフの娘「・・・・」
商人「親ドラゴンが攻撃できないのはきっとその為さ・・子を人質にされてる」
騎士「どうする?」
商人「昨日すこし聞いた話しだとここの地下墓地と地下監獄が繋がっているらしい」
騎士「それで?」
商人「監獄は城へと繋がっている筈・・真実を確かめたい」
盗賊「城に潜入するのはいくらなんでも危なすぎる!」
商人「分かっているよ・・・だから全員で・・」
エルフの娘「私は行く!!」
騎士「!!?エルフの娘?・・」
魔女「エルフの娘は感じておるのじゃよ・・ドラゴンもエルフも元の素性は同じ」
騎士「よし!今日行ってみよう」
商人「ごめんよ・・ドラゴンの件については真相が知りたい・・僕にも責任があると思う」
盗賊「失敗すると追われるぞ?」
商人「僕もエルフの娘を見て少し変わったみたいだ」
エルフの娘「・・・」
商人「ドラゴンもエルフもトロールも・・みんな心があるようだ。今まではただの魔物だと思ってたけど・・」
魔女「そうじゃ・・生きとし生けるもの皆心があり通ずる事が出きる・・人間だけは例外もあるがのぅ」
盗賊「分かった・・とりあえず合法で地下墓地に入る方法を探そう」
---冒険者ギルド---
マスター「ここは冒険者ギルドです。仕事をお探しですか?」
騎士「地下墓地のゾンビ・・」
マスター「え?地下墓地ですか・・?大変危険な仕事になりますが・・」
騎士「仕事あるんですね?」
マスター「は、はいゾンビを掃討するのですが成功した人はおりません」
盗賊「ところでそのゾンビは何処から来たんだ?」
マスター「随分前から地下墓地の死者が動き出すという事がありまして・・」
騎士「ゾンビは何か悪さを?」
マスター「たまに這い出してきて町中を荒らすのです」
騎士「わかったよ」
マスター「1ヶ月程前にも勇者様一行が地下墓地に入ったようですが掃討はできませんでした」
盗賊「ほう・・面白い」
マスター「地下墓地入り口には鉄の柵がありますので見張りにこの手紙を渡してください」パサ
騎士「地下墓地は何処にあるのかな?」
マスター「町外れに大きな鉄の柵で覆われた階段がありますので行けば分かるかと」
騎士「ありがとう!行ってみるよ」
---地下墓地入り口---
見張り「おい!ここは立ち入り禁止だぞ!」
騎士「・・この手紙を」パサ
見張り「・・・お前達本当にゾンビ掃討に行くのか?」
騎士「あぁ腕試しだよ」
見張り「まぁ死なないようにな・・ほれ!これは柵から出るときの鍵だ」ポイ
騎士「がんばるよ・・」パス
見張り「柵は2重になってる。一枚目は俺が開ける。2枚目はその鍵で開けろ」
騎士「分かった」
ガチャリ キーー
---地下墓地---
騎士「僕が先頭を行く。僧侶は僕の後ろに付いてきて」
僧侶「は~い」
騎士「盗賊は商人と魔女とエルフの娘を守る形で後方に」
盗賊「おう!お前も気をつけろよ!」
ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ
盗賊「何か聞こえるな・・見ろ!死体が動いてる」
騎士「やってみる!」ダダダ ザクン!!
ゾンビはダメージを受けた
盗賊「ハハ真っ二つか・・まて!・・まだ動いてる」
僧侶「え~~どうして動いてるの~~?」
盗賊「他にも居るぞ!気をつけろ!」
騎士「ハァ!!」
ザクン ザクン ザクン
盗賊「ど、どうなってる!?」
騎士「ダメだ・・手足首全部切り落としても向かってくる!!・・」
魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ゴゴーン メラメラ
ゾンビはダメージを受けた
騎士「・・・全然効いていない!僧侶!何か手は無いか?」
僧侶「ぎ、銀のロザリオ~!!」スチャ
ゾンビ「ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ」
僧侶「あれ~~?何も起こらない~どうしてかなぁ・・」
騎士「回復魔法をゾンビにやってみてくれ」
僧侶「は~い回復魔法!」ボワー
ゾンビは回復した
盗賊「だ、だめだ普通に傷口が塞がっていく」
騎士「クソッ!」ザクン ザクン ザクン
ゾンビはダメージを受けた
騎士「だめだ!走り抜けよう!」タッタッタ
魔女「ゾンビの足が遅いのが救いじゃのぅ・・」
盗賊「次の奴は様子が違うぞ!」
騎士「あ・れは・・囚人か?囚人服を着てる
ゾンビ「ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ」
盗賊「いやゾンビに変わりは無い!来るぞ!」
ゾンビ「ガガガガァ!」ブンブン
騎士はヒラリと身をかわした
騎士「ハッ」ザクン!
ゾンビはダメージを受けた
盗賊「こりゃダメだな・・真っ二つになっても向かってきやがる・・」
商人「・・・これはもしかして」ブツブツ
盗賊「なんだ商人!何か知ってるのか!?」
商人「ドラゴンの涙の副作用・・」
盗賊「あれは万能薬じゃねぇのか?」
商人「生きてる人には万能薬・・死んでる人にも生体活動が起きるのかもしれない」
盗賊「ど、どうすれば良い!?」
商人「心臓を浄化するしか・・」
騎士「エルフの娘!頼む!銀の矢で心臓を!」
エルフの娘「・・・」ギリリ シュン! ドス
ゾンビ「ガガガガガ・・」
盗賊「・・・だめか?」
騎士「いや・・ゆっくり死んでいく」
ゾンビ「グガ・・・・・・」ドサリ
僧侶「倒した・・のかな?」
魔女「僧侶や祈りを捧げておやり・・」
”生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
”生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
魔女「死しても尚生かされ続けておる・・さぞ苦しかろう」
商人「・・・ここのゾンビはどうやら人為的に造られてるようだ・・」
騎士「先に進もう」
---
騎士「・・みんな大丈夫かい?ハァ・・」
盗賊「ちぃと引っ掻かれた・・つつ」
僧侶「回復魔法!」ボワ
盗賊「おうサンキュ」
騎士「ちょっと数が多すぎる・・」
商人「あそこの鉄の柵は監獄に繋がっていそうだ・・盗賊!見てきて」
盗賊「・・・鍵が向こうから掛けてる・・開錠は難儀だぞ」
商人「やってみて・・」
盗賊「ちぃと時間かかるぞ・・」
カチャ カチャ
僧侶「ゾンビが追いかけてくるよ~」
騎士「エルフの娘!銀の矢を2本貸してくれ」
エルフの娘「・・・」パス
騎士「僧侶!みんなを守ってくれ!僕だけでゾンビを食い止める」
魔女「何をする気じゃ?」
騎士「もう矢が残り少ない・・僕が接近で心臓を突いてくる」
僧侶「あわわ・・ゾンビがいっぱい・・123・・8910」
騎士「タァ!」ダダダ ズン! ズン!
ゾンビは倒れた
ゾンビ「ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ」ブン! ゴス!
騎士はダメージを受けた
騎士「ぐぅ・・なんていう怪力・・仕返しだ!!」ズン! ズン!
ゾンビは倒れた
商人「盗賊!まだか?」
盗賊「焦るな!もう少し・・」カチャ カチャ
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
ゾンビはツタに捕らえられ身動きが出来無い
騎士「助かる!ハァ!!」ズン! ズン!
ゾンビは倒れた
僧侶「あわわ・・まだ来るよ~」
騎士「くそぅ・・きりが無い」
カチャリ
盗賊「開いた!!早くこっちへ・・階段を上がれ!」
---地下監獄---
ピチョン ピチョン
騎士「ふぅ・・助かった・・ゾンビは階段を上がれないみたいだね」
盗賊「そうだな・・でもここが安全かは分からんぞ」
??「グガガガ・・」
騎士「!!?何か聞こえた・・静かに!」
??「グガガ・・誰か・・要るのか?」
騎士「どこだ??どこにいる?」
??「グガ・・お前たちは誰だ?」
盗賊「あそこの檻の中だ!」
盗賊「おい囚人!この監獄が城へ繋がっているか知ってるか?」
囚人「お前たちは誰だ?・・グガ」
盗賊「答えろ!」
囚人「フフお前たち・・ここがどんな場所か知らないようだな・・」
盗賊「ここは監獄だ!それ以外の何でもない!」
囚人「クックック悪い事は言わん・・戻ってゾンビの掃除でもしてろ」
盗賊「答える気は無いようだな・・行くぞ!」
騎士「ちょっと待ってくれ・・この囚人・・似てる」
盗賊「似てる?」
騎士「ドラゴンに食われた囚人・・・かもしれない」
盗賊「なに!?・・・という事は俺たちはこの囚人を助けるって筋書きか?」
騎士「いや・・分からない・・教えて欲しい。囚人はどうしてここに?」
囚人「クックック俺は裏切り者の元衛兵隊長だ・・グァ」
騎士「終わりの国の衛兵隊長?・・・」(退役した衛兵隊長?)
盗賊「なら話は早い・・この監獄の構造を全部知っている筈だ・・答えろ」
囚人「残念だがこの監獄は城へは繋がっていない・・早く戻った方が身の為だ」
盗賊「商人・・ということらしい・・どうする?」
商人「・・よし取引だ・・この監獄がどんな場所か教えてくれたら監獄から出してやる」
囚人「フハハ無駄だ・・監獄から出たところで俺はもう死んでいる」
商人「死んでいる?」
囚人「ここに来る間に見てきただろう」
商人「ゾンビ・・・つまりここはゾンビを生む施設・・か?」
囚人「察しが良いな」
商人「ドラゴンの涙を囚人に投薬して実験をやっている・・な?」
囚人「クックック・・・お前は・・・闇商人だな?」
商人「だったら何だ」
囚人「話してやろう・・お前の罪の重さを思い知らせてやる」
お前が闇で運んだ物は全部戦争の為の道具になっている
終わりの国の大砲の中身はドラゴンだ
そしてドラゴンの涙も量産され死者や囚人を実験台にして兵隊を作ろうとしている
なぜ終わりの国が軍備を増強するのかは実は魔王軍に対する為ではない
始まりの国ではエルフを使ってとんでもない化け物を作ろうとしている
それに対する軍備増強だ
俺はその事実を知り止めさせようとしたが裏切り者として監獄に入れられた
始まりの国と終わりの国は何十年も冷戦状態だ
恐らく始まりの国は魔王軍と偽り魔物をこの国へ送り込んでいる
すべて・・お前が運んだ物のせいだ
商人「・・・・・」
騎士「し、信じられない・・・なら勇者は一体何と戦う?」
囚人「クックック選ばれた勇者は本物の勇者を探す為の道具だ」
騎士「じゃぁ本物の勇者は・・」
囚人「王族が恐れるのは絶対的なカリスマを持つ勇者だ・・本物の勇者を探し暗殺する目的だ」
騎士「魔王は?」
囚人「そんなもの居ない・・魔王城へ行けば分かる」
騎士「・・・・・」
囚人「さぁ闇商人・・お前の罪をどうやって償う!?」
商人「・・・・・」
囚人「クックック己が罪の重さを知ったか・・」
商人「盗賊!牢屋の鍵を開けてくれ・・」
盗賊「・・分かった」カチャ カチャ
ギャオース
ゴゥ ゴゥ ゴゴーン
囚人「・・・始まったな」
騎士「ドラゴンがまた・・」
囚人「そこの窓から外を見てみろ」
騎士「・・・あれは・・・大砲の中にいるドラゴンに・・魔法使いが魔法を掛けている・・」
囚人「ドラゴンを助けようとは思わない事だ・・この国の人間全部の命が無くなる」
騎士「・・・・・」
カチャリ ギー
盗賊「開いたぞ・・どうする?」
商人「作戦変更する。囚人を連れて帰る」
囚人「無駄だ・・時期に俺は心が無くなりゾンビとなる」
商人「それまで聞きたい事が沢山ある。罪を償いたい」
囚人「・・・お前の命が千あっても足りん」
商人「・・頼む」
---地下墓地入り口---
見張り「おう・・お前ら無事だったか!今開けてやる」
騎士「ゾンビの掃討は無理だった・・数が多すぎたよ」
見張り「やっぱりそうか」
騎士「でもゾンビの弱点を見つけた。銀の武器で心臓を貫けば倒せる様だよ」
見張り「何!?本当か!?そりゃすごい発見だな」
騎士「他の冒険者にも教えてあげると良い」
見張り「そうだな・・それより早く避難した方が良い・・ドラゴンが飛び回っている」
騎士「ありがとう!気をつけて戻るよ」
---宿屋---
僧侶「あの囚人さん大丈夫かな~寝てる時に襲ってきたりしないかな~」
騎士「囚人の部屋は商人と盗賊の部屋だよ。鍵を掛けておけば取り合えず大丈夫」
僧侶「騎士ぃ~わたしを守ってええ~ウフフ」ギュゥ
騎士「ま、まだ時間早いよ・・」
僧侶「ねぇ~だっこ~」チュゥ
騎士「んむむ・・毎日してるじゃないか」
僧侶「愛してるって聞きたいな~~ウフフ」
騎士「それも毎日言って・・」
盗賊「ゴホン!!取り込み中すまんが・・こっちに来い」
僧侶「!!!!!!」モジモジ
騎士「あ、あぁ今行くよ」アセアセ
---
商人「・・・とすると勇者一行は幽霊船を探しに行った訳か」
盗賊「みんな連れてきたぞ」
商人「あぁ・・勇者一行の行き先が分かった」
魔女「今言ってた幽霊船かの?」
商人「囚人の所に1ヶ月前に来たらしい」
囚人「グガガガガガガ・・ギギ・・ゼェゼェ」
商人「魔王城へは普通の船や気球では行けない所にあるそうだよ」
騎士「それが幽霊船と何の関係が?」
商人「裏航路だ。幽霊船は裏航路を使って魔王城まで航海する」
騎士「え?」
つまりこういうことだよ
海賊船はエルフを運搬して運よくクラーケンに襲われなければ
幽霊船にエルフを積み替える
幽霊船は裏航路を使って捕まえたエルフを魔王城まで運ぶ
魔王城ではエルフを使ってとんでもない化け物を造ってる
騎士「それが魔王の正体・・か?」
商人「さぁね・・それは分からない」
騎士「エルフを助けて化け物を造るのを止めさせよう!」
商人「・・・その前に・・勇者達は何も知らず幽霊船を探して魔王城を目指してる」
騎士「まず勇者達と合流するのが先だね」
囚人「グガガ・・勇者は暗殺される・・早く探せ」
商人「僕が思うに・・戦争を終わらせれるのは勇者しか居ないんじゃないかと」
騎士「戦争を?」
商人「戦争こそが魔王の正体かもしれない」
騎士「戦争を止めることが魔王を倒すに等しいって事・・かな?なにか引っかかる」
商人「うん・・そうだね・・でもこの事は勇者に早く伝えないと」
騎士「・・・でもどうして勇者達は囚人の話を聞きに来たんだろう」
商人「それは囚人がもっと昔の選ばれた勇者の仲間だったからさ」
騎士「え!!?」
商人「囚人がその当時の選ばれた勇者を暗殺し衛兵隊長の地位についた」
囚人「グガガ・・その通りだ・・だが本物の勇者は居なかった」
魔女「今の勇者一行の賢者はわらわの愛しき人に間違いない・・」
騎士「早く行かないと間に合わない・・」
商人「明日の朝早くに幽霊船を探しに出よう」
---
僧侶「明日もう出発かぁ・・」
騎士「ちょっと忙しいね」
僧侶「ここの教会にも寄って行きたかったなぁ~」
騎士「日が暮れるまでまだ間に合う・・行こうか?」
僧侶「わ~い」
騎士「じゃぁみんなに教会へ行くと伝えてくる」
僧侶「うん」
---教会---
ゴーン ゴーン ゴーン
司祭「生けとし生きるのもみな神の子。わが教会にどんな御用かな?」
僧侶「お祈りに来ました」
僧侶「ねぇ・・・全部の事が終わったらで良いんだけどさぁ・・」
騎士「え?あ・・うん・・・いいよ」
僧侶「え?」
騎士「だから・・いいよ」
僧侶「本当に?」
騎士「あぁ・・約束するよ」
僧侶「ウフフ」
”私が幸せでありますように
”私の悩み苦しみがなくなりますように
”私の願いごとが叶えられますように
”私に悟りの光が現れますように
ゴーン ゴーン ゴーン
---夜---
僧侶「ぐががががすぴー」
騎士「・・・」そろ~り
ガチャリ バタン タッタッタ
(夜は音が良く聞こえる)
(地面の下から苦しみのうなり声)
(6本の突き出た塔からは絶望に震える息遣い)
(そして僕と同じ様にどこかで耳を済ませてる君も感じる)
(エルフの娘・・君が何を思うか僕も分かるよ)
騎士「ハッ・・・歌?」
♪ラ--ララ--♪ラー
騎士「・・・・・」
(・・・これが君の答えか・・・)
---商船---
盗賊「よっし!!始まりの国へ出航だ」
商人「海賊の海図では幽霊船の場所は始まりの国の沖にある」
盗賊「まず始まりの国の港町だな」
騎士「追いつきどうかい?」
商人「さぁね・・でも普通の船の1.5倍は早く行ける筈」
騎士「そんなに早いんだ」
商人「商船は新鮮な物を出きるだけ早く運ぶのも売りの一つなんだ」
盗賊「おい!!碇上げるの手伝え!!」
騎士「わかった~!!」
僧侶「しゅっぱーつしんこーう♪」
---商船---
商人「・・・ドラゴンの涙にはそんな効果が・・」
囚人「ドラゴンは肉体が死んだ後もスカルドラゴンとして蘇る・・・それと同じだ」
商人「心はどうなる?」
囚人「心はしばらくは肉体に残る・・維持する為には新鮮な血が必要だ」
商人「・・・それが吸血鬼の起源・・か」
囚人「俺はもう血を与えられなくなって随分たつ・・正気を保つのが辛い・・グガガ」
商人「新鮮な血は人間以外の物でも良いのかな?」
囚人「ガガガガ・・・知らん・・グガガ」
商人「新鮮な血か・・」
---
僧侶「!!?どうしたの商人?顔色がわる~い」
商人「こ、これを囚人に持って行って」フラ フラ
僧侶「え!?誰か~~~助けて~~!!」
騎士「ど、どうした?」ダダダ
商人「ぼ、僕の血を囚人に・・」
騎士「こんなに!!?僧侶!商人の介抱をお願い」
盗賊「どうした!!」
騎士「商人が囚人の為に自分の血を抜いたみたいだ」
盗賊「なぬ!!馬鹿やろう!抜きすぎだ!塩水を飲ませろ!」
商人「僕は大丈夫だよ・・囚人に血を早く・・」
---
囚人「ゴクゴクゴク・・」
騎士「き、気分は?」
囚人「最悪だ」
騎士「正気なようだね」
囚人「自分が魔物になるのを感じる」
騎士「不便な体だね」
囚人「だが世界を救う為に俺はまだ動ける」
騎士「血はどのくらいの頻度で必要に?」
囚人「1ヶ月か・・それ以上だ」
騎士「商人は自分の血を半分くらい抜いたみたいだ」
囚人「クックックまだ千人分には程遠いな」
騎士「商人が全部悪い訳では・・」
囚人「そんな事は分かっている・・俺も片棒を担いでいた」
騎士「・・・」
囚人「何年ぶりかの外の空気・・呼吸をしていれば美味いだろうな」
騎士「ハハ死人は言うことが違う」
囚人「もしも・・正気を失ったら一思いに心臓を突いてくれ」
騎士「わかった」
囚人「人間のままでいたいんだ」
---あなたは多分まだ死なない---
---
ザザー ザザー ザザー
魔女「・・・また黄昏ておるのか?」
エルフの娘「・・・」
魔女「囚われたエルフの行く末が心配じゃのぅ・・」
エルフの娘「・・・」
魔女「エルフは肉体が滅んでも魂は再び新たな肉体を持って生まれるというが・・」
エルフの娘「・・・」
魔女「この世界に再び生まれる事を望むか?」
エルフの娘「・・・」
魔女「森で静かに生きる・・それが答えかのぅ」
エルフの娘「・・・」
魔女「天候が怪しゅうなってきたのぅ・・明日は荒れそうじゃ」
ザザー ザザー ザザー
---
ザブーン ザブーン
盗賊「お~い!帆をたたむのを手伝え!!」
騎士「これか!?」
盗賊「そうだ!!それを引っ張れ!!」
騎士「体を紐で縛っておけ!!落ちるぞ!!」
盗賊「こりゃ荒れるな・・」
騎士「フン!フン!フン!」
盗賊「ハハー良い運動になるなー!!」
騎士「転覆する可能性は!?」
盗賊「無いとは言えんが最悪は気球で脱出する」
騎士「みんな一箇所に集まった方が良いな」
盗賊「今日は気球の部屋の中でお泊りだハハー」
騎士「今のうちにみんな呼んでくる」
盗賊「おう!呼んでこい!!」
---
ギシギシ ギシギシ
騎士「僧侶!商人の容態は?」
僧侶「まだ血が足りないみた~い」
魔女「7人で気球の部屋は少し狭いのぅ・・・エルフの娘やこっちへおいで」
盗賊「にぎやかで良いじゃねぇか」
騎士「みんなはぐれない様に体を紐で縛って」
商人「う、うううぅぅ」
僧侶「血が足りないと回復魔法は効かないみた~いウフフ」
盗賊「とにかく栄養だ」
僧侶「商人は体がすごいキャシャだね~」
盗賊「・・・心臓に病気を持ってるんだ」
騎士「え!?」
盗賊「血を抜くのは本当は命取りになる」
囚人「・・・」
騎士「じゃぁドラゴンの涙を」
盗賊「万病の薬だが・・心臓あっての薬だ・・商人には使えない」
僧侶「わたし達の血を少しずつ分けてあげれないかなぁ?」
盗賊「それもダメだ・・商人の血は特殊な血らしい・・できる事と言えば塩水を薄めて血の代わりにする位だ」
騎士「祈るしかないね」
僧侶「わたしがお祈りしてあげる~」
---
ビュー ビュー ガタガタ
盗賊「・・こりゃ本格的にまずいな」
騎士「ん!!?エルフの娘?」
盗賊「どうした!?」
騎士「いや・・」(・・何か感じた・・心を触ってきた)
エルフの娘「・・・」
騎士「ちょっと外を見てくる」
盗賊「海に落ちるなよ?」
騎士「紐は付けてあるから大丈夫」
盗賊「どうだ!!?」
騎士「・・・何も見えない・・っとまてよ・・なんだろうアレは?」
盗賊「ん?何かあるのか?」
騎士「向こうの方にも船が見える」
盗賊「どれ・・・でかい船だな・・海賊船では無いようだ」
騎士「並行して同じ方向に向かってる?」
盗賊「嵐じゃみんな同じ方向に流される」
騎士「あ!!!あれは!!」
盗賊「なんだ?」
騎士「クラーケンの触手が見えた」
盗賊「クラーケンに襲われてるってか?どうしようもない」
商人「ううぅぅ・・聞いた事がある」
盗賊「おい!しゃべらなくても良い。寝てろ!」
商人「でかい船は機械の国の船だ・・ううぅぅぅ・・きっとトロールを乗せてる・・はぁはぁ」
盗賊「もう良い!!しゃべるな!!」
ドカン! ドカン!
盗賊「大砲の音!!」
騎士「だめだ・・遠くて見えなくなった」
ドカン! ドカン!
騎士「音だけか・・」
盗賊「こんな嵐でクラーケンに襲われちゃたまらんな」
騎士「クラーケンはトロールを助けるつもりなのかな?」
盗賊「さぁな・・助けてもここは海のど真ん中だ」
囚人「クラーケンは世界を救おうとしている・・」
騎士「え?」
囚人「我々もそのつもりで魔王城に行こうとしているんだろう?」
騎士「・・・」
囚人「人間と魔物・・いったいどっちが魔物か・・」
ドカン! ドカン!
---翌朝---
ザザー ザザー
騎士「嵐は去ったようだね」
盗賊「おう!大漁だな」
僧侶「うわぁ~お魚さんがいっぱ~いウフフ」
騎士「思わぬ収穫かな?」
盗賊「甲板に打ち上げられた魚を捕まえてくれ!!今日は海鮮料理だ!」
騎士「わかった!帆も張るよ?」
盗賊「おう!スピード上げるぞ」
騎士「フン!フン!フン!」
僧侶「お魚さん!まって~ウフフ」
---
騎士「・・・まだ商人の具合は良くないのかい?」
僧侶「うん・・食事しても吐いちゃうみた~い」
盗賊「早く陸に上げて休ませてやらんとな・・」
騎士「そんなに心臓の調子が良くないのか・・」
盗賊「・・数年の命と言われてもう数年経ってる・・いつ逝ってもおかしく無い」
騎士「そんな風には見えなかった」
盗賊「本当は走る事すら出来ん」
騎士「でも監獄まで一緒に・・」
盗賊「まぁ・・やせ我慢だな」
騎士「そうだったんだ・・」
---
騎士「お~い!!陸が見えたぞ~!!」
盗賊「・・ありゃ無人島だ・・港町まで後3日って所だな」
騎士「目印になってるんだ」
盗賊「夜になるとあそこに灯台が灯る」
僧侶「じゃぁ無人島じゃないね~変なの~ウフフ」
盗賊「おぁ!!商人!!立てる様になったのか?」
商人「あぁ・・もう大丈夫だよ」フラフラ
盗賊「無理すんな!!食事は出来るか?」
商人「すこし食べようと思う」
盗賊「精の付くもの用意してくれぇ!」
僧侶「恐い顔のお魚さんはいっぱいあるよ~」
盗賊「それで良い。丸ごと鍋にしてくれぇ」
---
僧侶「ねぇ~~まだ着かないの~~?もう飽きたよぅ」
盗賊「今日の夕暮れには港町に着く筈だ」
騎士「港町かぁ・・つい何ヶ月か前に来た筈なのに随分経った気がする・・」
僧侶「港町はねぇ・・私が通った教会があるんだよ~ウフフ」
騎士「ハハじゃぁ昔の僧侶に会えるかもしれないな」
僧侶「うん!!でもね・・4~5年前ならまだ来てないと思う~」
騎士「そうか・・残念だ・・その頃は何してたんだい?」
僧侶「まだ孤児院だったかな~」
盗賊「うはは俺も孤児院の出だ」
騎士「みんな帰る場所が無いのか・・」
僧侶「あ!!陸が見えてきた~」
盗賊「下船の準備をしとけー!」
---港町---
盗賊「騎士!お前は先に行って宿屋を取っといてくれ!俺は商人をおぶって後から行く」
騎士「あぁ・・」
僧侶「わ~い帰ってきたぁ~ウフフ」
魔女「のん気じゃのぅ・・わらわの愛しい人を探すぞぃ」
盗賊「もうすぐ日が暮れるから早く行け!」
騎士「僧侶!宿屋まで案内してよ」
僧侶「は~い」
---宿屋---
カランコロン
店主「旅人のお方今日はお疲れでしょう。休んで行かれますか?」
僧侶「宿屋のおばさん!久しぶりぃ~ウフフ」
店主「・・・はて??会ったことがありましたかねぇ?」
僧侶「あぁ・・そっか・・忘れてた。7人分のお部屋おねが~い」
店主「では4人部屋を2つでよろしいですか?」
僧侶「ごちそうもよろしくね~ウフフ」
店主「・・ではお部屋までご案内します。こちらへ・・」
---
盗賊「・・・さぁこれを飲め。栄養剤と増血剤だ」
商人「ありがとう盗賊」ゴクリ
盗賊「すっかり痩せちまったな・・」
商人「大丈夫だよ。おかげで頭は冴えてるよ」
騎士「情報収集は僕が行ってくるよ・・取り合えず酒場かな」
盗賊「あぁ頼む」
僧侶「私も行くうぅぅぅ」
魔女「わらわも付いて行くぞよ・・・エルフの娘もな」
盗賊「美女3人連れてモテモテだな?」
騎士「囚人はどうする?行くかい?」
囚人「・・俺の顔は始まりの国衛兵隊に見つかると厄介だぞ?」
騎士「わかった・・酒を持って帰るよ」
囚人「クックック酒で酔える体か実験か・・それも良い」
騎士「じゃぁ行ってくる」
---酒場---
マスター「いらっしゃいませ~4名様ですか?こちらへどうぞ・・」
騎士「いやカウンターで良いよ。マスターと少し話がしたい」
マスター「・・ではこちらへ・・お飲み物は・・」
僧侶「ハチミツ酒~」
マスター「皆様ハチミツ酒でよろしいですか?」
騎士「あぁ良いよ・・それでマスター」
マスター「はい?」
騎士「勇者の噂を聞いたことは無いかい?」
マスター「ああ!2週間前に始まりの国の武闘会で優勝して王国から船をもらったそうです」
騎士「おお!!その船はどこに?」
マスター「3日前まで港に泊まってましたよ」
騎士「3日前?」(入れ違いか)
マスター「今は出航されたのでは無いかと・・いよいよ魔王城へ向かったんじゃないですかねぇ」
魔女「そなたは武闘会を見てはおらんのかえ?」
マスター「見に行きましたよ。上位4人が全員勇者一行で不戦勝でした。ハハ詰まらない試合でしたよ」
騎士「他に何か面白い話は無いかな」
マスター「これは噂ですが海賊王の娘の一人が始まりの国の衛兵隊長に抜擢されたそうです」
騎士「海賊王の娘?」(隊長の事か?)
マスター「始まりの国と海賊の癒着が最近話題になってますねぇ」
騎士「海賊はここら辺で何か悪さを?」
マスター「沖に出るとウヨウヨ海賊船が居て猟師は外に出れないらしいです」
騎士「へぇ・・それは困ったね」
僧侶「ねぇ~退屈~飲もうよぉ~~ねぇねぇ・・」
騎士「あーわかったわかった・・乾杯しよう」
僧侶「わ~い♪かんぱ~~いウフフ」
---宿屋---
盗賊「おう!もう帰ってきたのか・・」
騎士「いぁ僧侶が飲みすぎちゃって・・」
僧侶「ぐがががすぴーぐがががすぴー」
盗賊「うはは・・まぁ旅疲れだろう今日は休め!」
騎士「囚人!!お土産のウォッカだよ。一番キツイのを買ってきた」
囚人「フフ久しぶりの酒だ」
盗賊「ところで何か情報はあったか?」
騎士「勇者は3日前に船で魔王城へ向かったらしい。たぶん幽霊船を探しに・・」
盗賊「入れ違いか・・あと少しだな」
商人「うぅぅ・・明日追いかけよう」
盗賊「おい!もう少し休んでからで良いんじゃねぇか?そう簡単に幽霊船は見つからな・・」
商人「良いんだ・・作戦がある。明日の夜気球を使って出発する」
騎士「夜?」
商人「うん。気球は目立つから夜出発する方が良いよ」
騎士「じゃぁ今日は早めに休むよ」
盗賊「そうだな」
僧侶「ぐがががすぴーぐがががすぴー」
---翌日---
僧侶「え~~~~もう出発しちゃうの~?」
騎士「あぁ・・仕方が無い・・早く勇者に追いつかないと」
僧侶「シュン」
騎士「夜まで時間があるから教会にだけ行ってこよう!」
僧侶「うん!!ありがとう」
騎士「魔女とエルフの娘も行くかい?」
魔女「わらわとエルフの娘は商人の介抱をしておるよ・・2人でお行き」
エルフの娘「・・」
騎士「わかった・・じゃぁ行ってくる」
---教会---
僧侶「こっちこっち~」
騎士「待ってよ・・そんなに慌てなくても」
??「ふむ・・顔を見せてごらん」
??「泣き虫の顔をしておるね」
??「・・・」
??「心を癒すには慈悲の祈りを捧げるんだよ」
??「・・・」
??「ほら・・こうやって」
僧侶「!!!?」
騎士「ん?」
僧侶「あ、あれ?・・・わたし?」
騎士「え?どういう事?3年前じゃなかったっけ?教会に来たのは・・」
僧侶「え?どうして?・・・おかしい・・ここは4~5年前じゃ?・・」
騎士「何かの間違いじゃ・・」
僧侶「間違い?・・・わたしの?」
騎士「4~5年前だって言ったのは・・誰だっけ?」
僧侶「森の町の宿屋のおばさん・・」
騎士「・・・1人だけ・・だね・・」
僧侶「もしそれが思い違いだったとしたら・・・」
騎士「今居るのは・・3年前かい?」
僧侶「この後・・司祭さんが犬に噛まれて私が回復魔法を・・」
ワンワン!
??「これ!どこから入って・・」ガブリ
??「いだだだだ」
??「司祭様?・・・ふぇ~ん」
??「ほれ大丈夫・・・慈悲の祈りを続けなさい」
??「・・痛いの痛いの飛んで・・」ボワ
??「フフフ良い子だねぇ」
騎士「ま、間違いなさそうだ」
僧侶「わたしたち祝福される・・」
トコトコ
少女「主があなたを祝福し、あなたを守られますように」
騎士「え・・あの」
少女「主が御顔をあなたに照らし、あなたを恵まれますように」
僧侶(チュゥして)ヒソヒソ
少女「主が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えられますように」
チュゥ
司祭「これ!勝手に祝祷してはイカン!!・・す、すいませんまだ見習いでして・・」
少女「シュン・・」
騎士「あ、あぁ気にしないで下さい」
司祭「これ!奥の部屋に入っていなさい」
少女「はぃ」トコトコ
僧侶「・・・・・」
司祭「良かったらお祈りを捧げていって下さい」
---
---
---
僧侶「・・・あの時のまま・・いざ昔のわたしを目の前にして何も出来なかったょ」
騎士「じゃぁ今からもう一回会いに行こうか?」
僧侶「なんかさ~そういう気にもなれないな~どうしてかなぁ?」
騎士「歴史は変えられないって事・・かな」
僧侶「わたしの始めての祝福の祈りがわたしの結婚だったなんて・・」
騎士「え?結婚?」
僧侶「うん!さっきので結婚したよ~ウフフ」
騎士「いや・・あの・・」
---今が3年前という事はもう勇者達が危ない---
---確か先代の勇者は3年前に不明になってる---
---宿屋---
盗賊「おい!何処行ってた!?気球に荷物積むの手伝え!」
騎士「あぁ悪い!今から手伝うよ」
盗賊「夕暮れまでに全部積みぞ」
騎士「そんなに沢山積むのかい?」
盗賊「食料をな・・長くなるかもしれん」
騎士「気球で?」
盗賊「いや・・商人の作戦では海賊船を一隻奪う・・それからは魔王城まで陸には上がらない」
騎士「奪うって・・少人数で?」
盗賊「きっと上手く行く」
騎士「どういう作戦かな?」
盗賊「それは後で話す!!行くぞ!!」
---気球---
わっせ わっせ
騎士「お、終わったぁ~ハァハァ」
盗賊「ハハー良い運動になったな!!ハァハァ」
商人「積み終わったみたいだね・・みんな連れてきたよ」
盗賊「おぉ商人!顔色良くなったじゃねぇか!」
商人「まぁね・・・エルフの娘の回復魔法のお陰かなハハ」
エルフの娘「・・」
騎士「エルフの娘も回復魔法が出来るんだ・・」
魔女「エルフは魔法にも長けておる筈じゃ・・時期に僧侶も凌ぐかもしれんのぅ」
盗賊「暗くなるまで気球の中でバーベキューでもしよう!!」
商人「良いね!みんな中に入って!」
---
ジュゥジュゥ
商人「食べながら聞いてね」
僧侶「んま~~いモグモグ」
商人「結論から言うね。海賊船を一隻奪って勇者よりも先に魔王城へ行く」
騎士「幽霊船は?」
商人「見つけるのに苦労するから魔王城までの案内は囚人にしてもらう」
騎士「海賊船を奪う理由は?」
商人「商船だと魔王城までは辿りつけない。岩礁が多いから少しぶつけると座礁する」
騎士「海賊船ならいけるのかな?」
商人「海賊船の中でも軍船に近いやつを奪う。多少ぶつけても大丈夫だと思う」
騎士「軍船をどうやって奪う?」
商人「気球で軍船の真上から襲撃する。エルフの娘のロングボウが頼りだよ」
騎士「海賊の弓は届かない?」
商人「大丈夫!届かない所から狙い撃ちする。多分20~30人だ」
騎士「エルフの娘・・出来るのかい?」
エルフの娘「・・」コク
盗賊「ふはは頼もしいな・・俺はむしろ囚人の案内が心配だ」
商人「囚人は一度魔王城まで行ったことがあるから大丈夫・・だと思う」
囚人「魔王城までは海流と風向きが進行方向と逆だ。もし座礁したら気球に乗り換えて行く事は出来ない」
商人「裏航路の海図が無いから座礁するかは運頼み・・」
魔女「運頼みでは困るがのぅ・・愛しき人の命が掛かっておる」
囚人「途中は沈没船が沢山ある・・その間を縫っていけば行けるだろう」
商人「他に質問は?モグモグ」
僧侶「どれくらいかかるの~?モグモグ」
囚人「1ヶ月は掛からん・・2~3週だ・・天候による」
僧侶「また船旅かぁ~モグモグ・・飽きたなぁ~モグモグ」
商人「海賊船にはお酒も積んでると思うよ」
僧侶「おおおおお~~毎日酒盛りだね~ウフフ」
騎士「ハハ・・控えめに頼むよ」
---深夜---
盗賊「出発するぞ!」
騎士「行こう!」
僧侶「ぐぅ・・すぴー・・ぐぅ・・すぴー」
騎士「エルフの娘は夜目が効くよね?異常があったら教えて欲しい」
エルフの娘「・・」
ボボボボボボボ フワ フワ
騎士「久しぶりの気球・・船より快適だ」
盗賊「そうだな・・空気は美味いし揺れも少ない」
騎士「あと3日で勇者に追いつく・・急がないとね」
盗賊「んむ」
---
ヒョーゥ ギシ
騎士「・・・」
(月明かりと星しか見えない・・下にある筈の海は真っ黒だ)
(遠くに聞こえる波の音と風の音だけが頼り)
(耳を澄ませば澄ますほど空間を感じる)
(空間の中にやっぱり僕と同じ様に耳を澄ましている君も感じる)
(共存している)
(きっと僕の音も聞こえている筈・・心も読まれているんだろう)
(でも僕の耳には君の音が聞こえない)
---ピーン---
騎士「!!?」
(・・・この音は・・・銀のアクセサリーを指で弾く音・・)
(空気の会話・・)
(答え方が・・わからない)
---翌朝---
盗賊「おい!起きろ!」
騎士「んあ・・ん~~」ノビー
盗賊「下に海賊船が・・1・2・3・・わんさか居るな」
騎士「まだ日の出前だね・・」
盗賊「明るくなる前に狙いを決めたいな・・商人を起こしてくれ」
騎士「あぁ・・商人・・商人・・」
商人「う~ん・・もう朝か・・海賊船を見つけたのかい?」
盗賊「あぁ沢山居る」
商人「よし!読み通りだよ」
騎士「あそこの小さい船も海賊船かな?・・・離れた所にあるやつ」
商人「どれ?見せて・・・海賊の旗が無いな・・でも軍船だ」
盗賊「すこし寄るか」
商人「うん・・・エルフの娘・・見えるかい?」
エルフの娘「・・」コク
商人「離れた所にあるのは都合が良い・・大砲は見えるかな?」
エルフの娘「・・」フリフリ
商人「大砲の無い軍船かぁ・・・これはラッキーかも知れない」
盗賊「どういう事だ?」
商人「それだけ早いって事だよ・・ここら辺に居るって事は多分海賊船の一つに思う」
盗賊「あれにするか?」
商人「もう少し寄って・・・あとみんなを起こして」
---
僧侶「むにゃ~まだ眠いよ~ぅ」
騎士「奇襲する・・準備を!!」
盗賊「甲板に6人!間違いない!海賊だ」
商人「エルフの娘!!合図したら射撃お願い!!」
僧侶「え!?え!?え!?」アタフタアタフタ
商人「魔女は合図したら船に当てないように派手な魔法をお願い!」
盗賊「もうすぐこっちの射程に入るぞ・・5・4・3・2・1・入った」
商人「エルフの娘撃って!!」
シュン シュン シュン シュン
スト! スト! スト! スト!
海賊「ぐぁ・・」
盗賊「す、すげぇ・・4発全部ヘッドショット・・」
海賊「な、なんだ!!?」
商人「続けて!!」
シュン シュン
スト! スト!
海賊「がぁ・・」
盗賊「一瞬で6人やっちまった・・」
商人「魔女!!魔法をお願い!!」
魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ドカーン!
商人「もっと!!」
魔女「爆炎魔法!爆炎魔法!」ドカーン ドカーン
商人「エルフの娘!!出てきた海賊をどんどん撃って」
海賊「なんだなんだぁ敵襲か!!お前ら起きろおぉぉ」
商人「騎士と囚人は突撃準備!!」
騎士「いつでも行ける!」
囚人「まだ高すぎる!」
海賊「見つけたぞぉ!!降りてこ・・」
シュン スト!
海賊「・・い」
商人「少しずつ高度下げて!!」
ゾロゾロ
海賊「上だあぁ!!弓はねぇのか!!」
商人「騎士!囚人!マストに飛べるかい?」
騎士「やってみる!」
商人「海賊を甲板に誘き出して!」
騎士「わかった!トウッ」ドササ
海賊「降りてきやがった!!囲めえぇ!!」
シュン シュン シュン シュン
スト! スト! スト! スト!
海賊「ぐぁ・・」
騎士「この船は貰う!!」
海賊「なんだとぉ!!この船は俺達が先に見つけたんだ!!俺達の物だ!!」
船長「お前ら一体何者・・」
シュン スト!
海賊「せ、船長!!」
囚人「命が惜しかったら海へ飛び込め・・」
海賊「なんだとおぉ!!」
シュン スト!
海賊「がは・・」
騎士「もう止めろ!!逆らうな!!」
海賊「他の仲間がこの騒動に気づいて・・」
シュン スト!
海賊「くぅ・・」
騎士「もう良い!!!!早く逃げてくれぇぇ!!」
海賊「た、た、たすけてくれぇ・・」ダダダ
シュン スト!
海賊「ぐぁ・・」
騎士「エ、エルフの娘!!もう良い!!撃たなくて良い!!」
シュン シュン シュン シュン
スト! スト! スト! スト!
海賊「ぎゃぁ・・」
---
魔女「エルフの娘や・・もうお止め・・」
エルフの娘「ハァハァ・・・」ポロポロ
魔女「我を忘れてしまったね・・・囚われたエルフの心を感じたかの?」
エルフの娘「ううぅぅ・・魔女様・・」ポロポロ
盗賊「・・・こりゃとんでもねぇな・・・一瞬で20人全部やっちまった・・」
商人「エルフの怒り・・か・・驚いた」
---海賊船---
フワ フワ ドッスン
盗賊「船の中にもう海賊はいねぇか?」
騎士「全員ヘッドショットで死亡したのを確認した・・」
盗賊「よし!騎士は気球をたたんでくれ!囚人は死体の処理を頼む!血を吸っても構わん!」
商人「他の海賊船にはまだ気づかれていないみたいだ」
盗賊「早くこの海域から出よう・・・とりあえず幽霊船のポイントまで進める」
商人「僧侶と魔女とエルフの娘は掃除をお願い」
僧侶「は~い・・・その前にお祈りだけさせて~」
魔女「そうじゃな・・死者を弔わんといかんのぅ」
エルフの娘「・・」
商人「わかった」
盗賊「船を進めるぞおぉ!!フン!!」
---船長室---
ガサガサ
商人「おかしい!・・この船には航海日誌が無い・・なんでだろう」ブツブツ
僧侶「あ~始まった~ブツブツターイム」
商人「海図も無い・・これはもしかして!!」ブツブツ
盗賊「おい商人!!この船おかしいぜ・・軍船のくせに武器が一つも載ってない」
商人「積荷は?」
盗賊「食料が少しだけだ」
僧侶「お酒は~?」
盗賊「それは安心しろ」
僧侶「ウフフ~」
商人「寝室は?」
騎士「お~い大変だ~!!ハァハァ」
盗賊「どうした!?」
騎士「寝室に・・勇者の証が置いてあった・・」
商人「やっぱりそうか・・これは勇者達が乗っていた船だ」
盗賊「・・なるほど・・魔王城へ行く為だけの装備しか無いって事か」
商人「・・という事は勇者達はもう幽霊船に乗っている事になる・・直接魔王城へ向かう進路に変えよう」
盗賊「分かった・・囚人!!来てくれ!!海図に魔王城の場所を書いてくれ」
囚人「ここだ・・このまま南の方角だ」
---追いつけないと勇者達が危ない---
三点リーダーくらいまともに使ってくれ
---高速船---
僧侶「この船すごーく早いね~ウフフ」
騎士「船底は頑丈で浅い・・その他に重たいものは一切乗ってない」
盗賊「そうだ・・・だが船底が浅い分嵐が来たら転覆しやすい」
僧侶「転覆する前に気球で~」
盗賊「嵐にならなければ良いが・・」
騎士「今要る海域はどういう場所かな?」
盗賊「商船の航路からは完全に外れている・・どこに岩礁があるか分からんから普通は来ない場所だ」
騎士「陸地が見えないから真っ直ぐ進んでいるかもあやしいね・・」
盗賊「おい!囚人!本当にこの方角で良いんだろうな?」
囚人「さぁな?陸地が見えるまで真っ直ぐ進め」
---
騎士「お~い!!陸地が見えた!!左前方」
盗賊「んん??今はどの海域なんだ?・・」
騎士「座礁してる船も見える!!」
囚人「沈没船には近づくな・・岩礁地帯だ」
盗賊「どうすりゃ良い!?」
囚人「陸地沿いを行け」
盗賊「おい!こんな陸沿いを航海してて良いのか?座礁するぞ?」
囚人「フフこの海域の沖は遠くまで浅い。岩礁だらけでそっちの方が危ない」
盗賊「おまけに霧が深くて前が見えねぇ」
商人「これは裏航路を知らないと航行できないね・・」
盗賊「普通はこんな陸沿いを航行しない」
商人「あそこに見えてる陸地はどこなんだろう」
囚人「地図には乗っていない島だ」
商人「結構大きい島だね」
囚人「かつてはドワーフが住んでいた島らしい・・行った事は無い」
商人「ココだったのか・・聞いたことがある」
盗賊「ドワーフは機械の国の先祖・・だったか?」
商人「人間に滅ぼされた・・とか」
囚人「この島を抜けたら進路を変える・・そこから天候が悪くなる」
---
騎士「・・不思議な島だな・・」
盗賊「なんだ?何か見えるか?・・・霧が深すぎて良く見えんが」
騎士「いや・・雰囲気というか・・音が変なんだ」
盗賊「音?・・波の音しか聞こえん」
騎士「だから変なんだ」
盗賊「何訳のわからねぇ事言ってんだ!!」
騎士「あの島には上陸出来ないかな?」
囚人「座礁したくなければ真っ直ぐ行け」
商人「騎士?どういう風に変なのかな?」
騎士「ん~なんていうか・・島なんか無い様な・・」
商人「ハハハ見えてるじゃないか・・体当たりでもしてみるかい?」
盗賊「まぁまた今度にしろ・・今は魔王島が先決だ」
商人「そうだね・・帰りに同じ所を戻るなら寄って見よう」
---
ビュー ビュー
盗賊「帆を畳まなくて良いのか!?転覆するぞ!!」
囚人「畳んだらだめだ・・海流に流される」
盗賊「騎士!!マストが折れないように反対側からロープで引っ張れ!!」
騎士「ええええ!!?」
盗賊「命綱つけてりゃお前なら行ける!!」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
盗賊「おおおお!やるじゃねぇか」
僧侶「ツタを伝って行って~なんてね~ウフフ」
騎士「・・・結局僕がやらないと・・」
盗賊「行ってこ~い!!」
騎士「分かったよ・・フン!フン!フン!フン!」
盗賊「もっと引っ張れぇぇぇ!!」
---
ビュー ビュー
盗賊「・・・何日この風が続くんだ?」
囚人「あと2~3日で着くはずだ」
僧侶「ねぇ!!大変!!商人の具合が悪いの」
盗賊「なにぃ!!ここにきて心臓が・・」
僧侶「薬は持ってきてないの~?」
盗賊「商人はもう全部飲んだのか?」
僧侶「え!?」
盗賊「チッ・・商人・・今まで薬でごまかしてやがったな・・」
騎士「無理してたんだ・・」
盗賊「今回ばっかりは商人の命は無いかもしれん・・」
僧侶「え~~~困るぅ~」
---
僧侶「ねぇ大丈夫~?」
商人「へ、平気さ・・少し横になれば・・」
僧侶「どうして欲しい~?」
商人「ト、トランプでもやろうか」
騎士「大変だあぁぁぁ!!幽霊船が向かって来るうぅ!!」
盗賊「どこだ!!?」
騎士「正面!!」
商人「ハハ休んでいれないねぇ・・」ヨッコラ
僧侶「起きても平気なの~?」
商人「平気さ・・ハハ」
盗賊「ニアミスする!!幽霊船をよく見ておけ!!」ボエーーーーー
魔女「ん、なんじゃ・・・耳鳴りが」ボエーーーー
騎士「幽霊船に誰も乗って居ない!!もうすぐ交差する!!」ボエーーーー
商人「何だ?この音?」ボエーーーー
騎士「!!!!!みんな伏せて!!!!!」ボエーーーー
盗賊「な、なんだぁ!!」ボエーーー
騎士「砲台がこっち向いてる!!」
盗賊「伏せろおおおぉぉ!!」
騎士「交差!!!!!!」
ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!!
ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!!
---
---
---
騎士「み、みんな生きてるかあぁぁ!?」
盗賊「気球に集~~~合!!!」
僧侶「商人!肩につかまってぇ~」
商人「ハァハァ・・ゼェゼェ」
魔女「エルフの娘や・・手を離すでないぞ?」
エルフの娘「・・」コク
囚人「クックックうわっはっは」
騎士「おい囚人・・大丈夫かい?」
囚人「あいつらどこまでもおちょくってくれる・・」
盗賊「船の損傷は分かるかぁ!!?」
騎士「甲板と胴体に穴が多数!!深刻な水漏れは無さそうだ!!」
盗賊「寝室と積荷室が逝った程度だな?」
商人「よ、よし・・まだ行けるね」
盗賊「今日から仲良く気球で寝泊りだ・・あと2日位で着く」
僧侶「商人は気球の中で横になって~~」
---
盗賊「・・・幽霊船とすれ違ってしまったが・・・どうする?」
商人「ハァハァ・・」
囚人「このまま進むしかあるまい」
騎士「魔王島まであとどれくらいかな?」
囚人「2日は掛からん筈だ・・霧が晴れれば直ぐそこにある」
商人「追いつけなかったか・・ハァハァ」
盗賊「まだ諦めるには早えぇ」
騎士「そうだね・・早く行って探さないと」
---
ビュー ビュー
騎士「霧が晴れた・・・」
盗賊「な、なんだここは・・・船の墓場・・か?」
囚人「過去の勇者達の船だ・・沈没船には近づくな」
騎士「ゴクリ」(不安になってきた)
囚人「見えてきたぞ・・・魔王島だ・・中央にあるのが魔王城だ」
盗賊「あれが・・」
僧侶「・・ねぇ・・何か変~」
騎士「ん?どうした?」
僧侶「船が右に傾いてる気がするの~」
盗賊「!!?騎士!!寝室見て来い!!」
騎士「分かった」ダダダ
---
騎士「だめだぁ!!寝室まで水が浸かってる!!」
盗賊「ギリギリまで行って後は気球しか無いな」
騎士「気球の準備を始めるよ」
盗賊「そうだな・・気球の準備は俺がやる。お前は上陸用のボートを気球の前まで引っ張って来い!」
騎士「行って来る!!」
ズル ズル ズル
騎士「ボートは3人しか乗れない・・往復しないと・・」
盗賊「いや・・商人はもう動けん・・俺と商人は気球に残る・・それなら2往復だ」
騎士「分かった・・最初は僕と魔女とエルフの娘で行く」
盗賊「ふむ」
騎士「その後僧侶と囚人を迎えに来る。これで良いね?」
僧侶「は~い」
盗賊「気球は船の船尾にロープで結んでおく。必ず戻って来いよ」
騎士「分かってる」
僧侶「わたしもちゃんと迎えにきてね~ウフフ」
騎士「あぁ・・ちゃんと迎えに来るよ」
ガコン!!ギギギギギギー
---
盗賊「座礁したな・・ここまでだ・・後はボートで」
騎士「魔女とエルフの娘は準備良いかい?」
魔女「早よう行くぞ・・愛しい人が危ない」
エルフの娘「魔女様・・」
騎士「よし!行こう!ボートに乗って・・」
僧侶「気をつけてね~」ノシノシ
騎士「多分すぐ迎えに来れるよ」
ギシギシ バキバキ ボキン!!バシャー
騎士「あ!!船が割れた・・」
盗賊「おい!早く行け!沈没する!」
騎士「フン!フン!フン!フン!」
盗賊「くっそぅロープが間に合わねぇ!!僧侶!罠魔法で繋いでくれ!」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
盗賊「だめだ!!もう沈没する!!気球を上げる!!」グイ
ボボボボボボボボボー フワフワ
ブチブチブチ プツン
僧侶「あ~~風がぁ~」
---
騎士「・・・あぁ船が沈む・・・」
魔女「船と気球を繋ぐロープも切れておるのぅ・・」
騎士「風が止むまでこっちには来れそうにない・・かな」
魔女「わらわ達だけで行くしか無さそうじゃのぅ・・急がんと間に合わんぞよ」
騎士「・・そうだね・・僕達だけで勇者の後を追おう」
魔女「心配じゃ・・愛しき人が助けを求めておると思うと・・」
騎士「・・気になってる事が・・その・・2日前に幽霊船とすれ違っている・・」
魔女「分かっておる・・アレは愛しき人を魔王島に下ろして帰る船に違いない」
騎士「2日・・僕達が遅れてる」
魔女「早よう行かねば・・」
騎士「よし!着いた!行こう!」
バシャ バシャ
---魔王島---
ヒュー ヒュー
騎士「・・気球はまだ見えるな・・留まってくれる事を祈る!」
魔女「向こうにもわらわ達が見えてる筈じゃ・・行くぞよ」
エルフの娘「来る!!」
プギャー プギャー
騎士「な、なんだこいつは!?見た事ない魔物だ!!」
ギリリ シュン! トス!
魔物「グギャ・・」
魔物は倒れた
騎士「エルフの娘!矢の数に注意して!みんな僕の後に!」
---
ギリリ シュン! トス!
ザクン! ゴゥ ドーン
騎士「ハァハァ・・皆大丈夫かい?」
エルフの娘「ハァハァ・・」
魔女「もうすぐそこじゃ」
騎士「この魔物達はいったい・・」
魔女「胎児の様じゃのぅ・・もうすぐそこじゃ・・早よう行くぞよ」
騎士「こっちだ・・この階段を上がろう」タッタッタ
---魔王城---
魔女「ついに着いたのぅ・・・扉が開いておる!!」
騎士「待って!・・エルフの娘!回復魔法は出来るかい?」
エルフの娘「回復魔法!」ボワ
騎士「よし!行ける!矢が尽きたら回復に回って欲しい・・行けるかい?」
エルフの娘「・・」コク
騎士「魔女!待って・・流行る気は分かるけど僕より前には出ないで・・」
魔女「早よう行くぞよ」ソワソワ
騎士「行こう!!」タッタッタ
-------------------
------シーン-------
-------------------
騎士「・・・誰も居ない・・・」
魔女「魔物も居らん・・愛しき人は!?」
騎士「こげ臭い匂いが・・」
魔女「どこじゃ?」
エルフの娘「あそこ!!」
魔女「どこじゃ・・どこじゃ?」
騎士「はぅ・・こ、これは・・」
魔女「まさか・・・そんな・・・」
---4人分の黒焦げの亡骸---
魔女「ううううぅぅぅぅ・・・誰じゃ・・誰がやったのじゃ・・」ポロポロ
騎士「探してくる!!」
エルフの娘「魔女様・・」
魔女「わらわはもう愛しき人に会えんのか?・・・・うわぁぁぁぁん」ボロボロ
騎士「無い!!何も無い!!どうなってる!?罠か!!」
魔女「あぅあぅ・・愛しき人はどれじゃ!?・・うぅぅぅ」ボロボロ
騎士「・・・・・」(見分けが付かない)
魔女「うわぁぁぁぁん・・・そうじゃ・・これは夢じゃ・・・」ボロボロ
エルフの娘「・・・」
魔女「また会えると約束したのじゃ・・・ううぅぅぅ」ボロボロ
騎士「魔女・・・」
魔女「・・そうじゃ夢に違いない・・夢じゃ・・これは夢じゃ・・ほれ騎士・・早よう起こせ」
騎士「魔女・・帰ろう」
魔女「嫌じゃ・・わらわはここで待つ・・」
騎士「さぁ・・行こう」
魔女「ダメじゃ・・わらわはもう愛しき人と離れん」
騎士「・・・」
魔女「・・・ハッ!!!」
騎士「もう帰ろう」
魔女「騎士!!これを持て!!この指輪を持って3日前を思い出すのじゃ」
騎士「何をする?」
魔女「わらわの命を3日分吸うのじゃ・・わらわは諦め切れん」
エルフの娘「魔女様・・」ポロリ
魔女「わらわは一人で愛しき人を救いに行く・・・お願いじゃ・・お願いじゃ」
騎士「この指輪は魔女の命・・」
魔女「構わん!!わらわは愛しき人と共に逝くのじゃ・・」
騎士「・・分かった」
魔女「こっちへ来い・・指輪を握り3日前を思い出せ・・それだけで良い」
騎士「・・・3日前といえば・・」スッ
エルフ「魔女様?」
騎士「消えた・・」
---3日前---
カーン カーン キーン
勇者「行かせるか!!」
戦士「邪魔をするな!」
勇者「始めからそのつもりだったのか!!」
戦士「それが任務だ!」
勇者「皆お前を信じてたぞ!考え直せ!」
戦士「食らえ!!」ザクッ
勇者「ぐぁ・・回復魔法!」ボワ
スッ
戦士「どわぁ・・な、なんだ!?」
勇者「新手か!?」
魔女「愛しき人は何処におる?」
勇者「な、なんでも良い!!味方なら手を貸してくれ!!」
戦士「させるかぁ!!」ザクッ
勇者「っつう」
魔女「賢者は何処じゃ?」
勇者「賢者は女戦士と先に逃げた!!お前は味方なのか!!?」
戦士「賢者を殺せ!!」
勇者「だまれぇ!!」ザクン!
戦士「クゥ・・」
魔女「わらわは愛しき人を助けに来たのじゃ・・」
勇者「よし!!ここは俺が足止めする!!助けに行ってくれぇ!!」
魔女「すまぬ・・わらわは愛しき人の所へ行かねばならぬ・・」ノソノソ
戦士「待てぇ!!」
勇者「お前の相手は俺だ!!」
シュン!シュン!シュン!シュン!
ドス!!ドス!!ドス!!ドス!!
勇者「ぐはぁ・・だ、誰だ・・」
??「そこまでだ・・選ばれた勇者!」
シュン!シュン!シュン!シュン!
ドス!!ドス!!ドス!!ドス!!
勇者「があぁぁぁ・・」
戦士「悪く思うな・・」グサリ!!
勇者「・・・け、賢者を・・・」
??「そこの女を捕まえろ!」
??「ハッ」
魔女「何をするのじゃ・・わらわの邪魔をするでない!!」
戦士「助かった・・賢者と女戦士を逃がしてしまった」
??「このぉ!!抵抗するな!!」
魔女「離すのじゃ・・離さんと・・」
??「!!?」
魔女「爆炎地獄!爆炎地獄!爆炎地獄!爆炎地獄!爆炎地獄!」
チュドーーーン ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
---海辺---
ザザー ザザー
魔女「ハァ・・ハァ・・愛しき人は・・どこじゃ?」ズルズル
魔女「あ、足跡が・・」
魔女「!!!!!あれは・・ボートに2人」
魔女「間に合わなんだが・・まだ生きておる・・生きておる」ポロポロ
魔女「愛しき人よ・・生き延びておくれ」
??「あそこに誰かいるぞ!」
??「捕まえろ!!」
??「お前!!ここで何をしている!?」
??「この女・・選ばれた勇者達と違うぞ?」
??「お前は誰だ!?」
魔女「わらわは人を待っておる・・」
??「こんなところで人を!?」
??「捕らえろ!!」
魔女「これ!何をする」
??「騒ぐな!おとなしくしろ!」
魔女「わらわは人を待っておるだけじゃ・・」
??「すまん!!」ゴスン
魔女「はうぅ・・」パタリ
---魔王城---
騎士「・・・やっぱり何も無い・・エルフの娘・・何か見つけたかい?」
エルフの娘「・・」フリフリ
騎士「感じるものは何も無い?」
エルフの娘「ここに魔王は居ない」
騎士「外に出よう・・僕から離れないで」
騎士「魔王城への階段を魔物は登れない様だね・・ここは安全だ」
エルフの娘「・・」
騎士「魔女戻って来ないなぁ・・あ!!?・・まてよ?」
騎士「おかしいな・・」
騎士「2日前の幽霊船・・」
騎士「今、魔女が戻って来ないという事は捕まってあの船の中か?」
エルフの娘「・・」
騎士「ぐあああぁ・・しまったぁぁぁ・・気球に戻ろう!」
エルフの娘(待って!!あそこの森の中・・小屋が見える・・何か聞こえる)
騎士「本当だ・・行ってみよう!」
---森の小屋---
騎士「エルフの娘・・離れないでね」
エルフの娘「・・」コク
騎士「この小屋は誰かが住んでる形跡がある・・あやしい」
エルフの娘「遠くで叫び声が聞こえる」
騎士「本当かい?どっちの方向?」
エルフの娘「多分・・地下」
騎士「地下?・・・・なんだ?この音」
エルフの娘「助けを求めてる」
騎士「中に入るよ・・」
騎士「誰も居ない・・アレ?地下に降りる階段は無いぞ?」
エルフの娘「こっち・・」
騎士「裏の井戸か・・・はしごがある・・降りてみよう」
---井戸---
ピチャン ピチャン
騎士「エルフの娘?・・泣いてる?どうした?」
エルフの娘「エルフの仲間の魂が沢山・・」ポロポロ
騎士「大丈夫かい?」
エルフの娘「たすけて・・と叫んでる」ポロポロ
騎士「引き返すかい?」
エルフの娘「ダメ・・たすけないと」ポロポロ
騎士「進むよ・・」
---広間---
騎士「これは・・・何だこれは・・・」
エルフの娘「うううううぅぅぅぅ・・・ゆるせない・・」ポロポロ
騎士「この液体に入っているのは・・魔物か?こんなに沢山」
エルフの娘「エルフの血で・・・キマイラを作ってる・・ううううぅぅ」
騎士「キマイラ・・」
エルフの娘「全部壊す!!」ガチャーン ザバー
騎士「お、おい・・」
ガチャーン ザバー ガチャーン ザバー
ガチャーン ザバー ガチャーン ザバー
---
---
---
---
エルフの娘「ハァハァ・・どうしてこんな事ができるの・・」
騎士「・・・」
エルフの娘「憎い・・人間が憎い・・」
ガラガラ!!ガシャーン!!
騎士「!!?エルフの娘!!」
エルフの娘「ハッ!!?」
ゴスン!!
エルフの娘「はぅ・・」パタリ
騎士「エ、エルフの娘!!」
??「こんな所に居たのか・・」
騎士「誰だお前は!!この鉄の柵を上げろ!!」ガチャガチャ
??「フハハハ・・それは私の命が危ないハハハ」
騎士「エルフの娘を離せ!!」
??「逃げた2人の内1人がエルフだったとは・・丁度よい材料になりそうだ・・」
騎士「なんだと!?」
??「早く逃げた方が良いぞフハハハ」
プギャー バクバク
騎士「な、なんだ?魔物が共食いしてる・・」
??「そのキマイラ達は魔物を食って進化しながら成獣になる・・逃げないと痛い目をみるぞ?」
騎士「お前は・・魔王なのか・・?」
??「フハハハ私はただの生物研究者だ・・魔王なぞ居ないハハハ」
騎士「キマイラを造ってどうするつもりだ!!?」
??「戦争の道具意外に目的があると思うか?」
騎士「エルフを戦争の道具に使っているのか!!?」
??「エルフも魔物の一種だ・・魔物を道具にして何が悪い?」
騎士「こ、このぉ!!」ガキーン! ガキーン!
??「このエルフを使って又新たな研究が出きる・・・今度こそキマイラを完成させる・・」
騎士「ここを!!あけろおおおお!!」ガキーン! ガキーン!
??「ほれ?早く逃げんとそのキマイラに食われるぞハハハ」
ヴオォォォォォォ バクリ バクリ
騎士「!!!もうこんなに大きく・・こいつは・・」
??「そのキマイラは不良品だ・・成獣になっても寿命が3分しかない・・だがドラゴンを遥かに凌ぐ」
騎士「くそぉ!!エルフの娘を返せ!!」
??「フハハハ何を馬鹿な事を・・貴重な材料を無駄にはできんハハハ」
騎士「何をするつもりだ!!」
??「知りたいか?・・・私の成果を知りたいか?」
そのキマイラは決定的な弱点がある
進化が早すぎて寿命が数分しかない
エルフの血で寿命を延ばそうとしたが
長寿の秘訣は血ではなく心臓にある事が分かった
さらにエルフの脳核と骨髄を基礎とする事で
今よりも高い知能を持つ事も期待している
??「このエルフは新たなキマイラを造る材料になるのだよハハハ」
騎士「狂ってる・・」
??「さぁ・・不良品のキマイラが成獣になるぞ?首が3つ揃えば完成だ」
騎士「・・で、でかい・・」タジ
??「今のうちにもと来た井戸を上がって逃げろ・・ハハハ」
騎士「こ、このやろぅ!!」ダダダダ ザクン!!ボトリ
キマイラはダメージを受け首が落ちた
??「フハハハやるつもりか・・面白い臨床実験だハハハ」
騎士「首が・・生えて来る・・」
ザクン! ザクン! ザクン! ザクン!
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」
??「キマイラの進化の早さと肉体のダメージ・・どっちが早いかな?」
騎士「うおおおぉぉお」
ザクン! ザクン! ザクン! ザクン!
??「フハハハ進化の方が早いな・・」
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・ガルルルルルル」
??「そのキマイラは知能を持たない・・目にした物すべてを食らい尽くす・・3分間耐えてみろハハハハハ」
騎士「フン!」ザクリ!
キマイラはダメージを受けたが物ともしない
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」バシーン!
騎士はダメージを受け床に叩きつけられた
騎士「ぐは・・」
??「そんなものではないぞ?」
騎士「このぉ!!」ザクリ!ザクリ!ザクリ!ザクリ!
キマイラはダメージを受け手足を失った
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」ゴゥ ボボボボボボボ
騎士はキマイラのブレスをかわした
騎士「ブレス!!」(これはマズイ)
??「フハハハ私は避難しておこう・・研究の続きがあるからなハハハ」
騎士「これでも・・食らえ!!」ザクリ!ザクリ!ザクリ!
キマイラはダメージを受け3本の首を失った
騎士「ま、まだ生えてくるのか!!」
ザクン! ザクン! ザクン! ザクン!
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」ゴゥ ピカッ
騎士「ブレス・・ちが」
チュドーーーーーーン
騎士「ぐああああああぁぁぁぁ!!」
騎士はブレスのダメージを受けた
騎士「目が・・」(マズイやられる)
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」ゴゥ ボボボボボボボ
騎士はブレスのダメージを受け燃え上がった
騎士「うぐ・・・・」(皮膚の感覚が無い)
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」ゴゥ ボボボボボボボ
騎士はブレスのダメージを受けさら燃え上がった
騎士「が・・・・」(ダメだ死ぬ)
キマイラ「ヴオォォォォォォ・・」バシ! バシ! バシ!
騎士「・・・・・」
ヴオォォォォォォ・・・・・・ドタリ
---
フハハさぁ研究の続きを・・
まず心臓を・・ ブシュ トクントクントクン
血液は残らず ドクドク ポタ ポタ
脳幹と骨髄を バキ ボキ ドチャ
次に移植・・
---気球---
ビュー ビュー
僧侶「ねぇもっと高度下げれないの~?」ソワソワ
盗賊「やってる!今の位置を維持するのがめいっぱいだ!」
囚人「飛び降りるには高すぎるな」
商人「うぅぅ・・この風は止まないのかな?」
囚人「風向きが変わる凪ぎの時に止むだろう」
僧侶「騎士達見えなくなっちゃったよぅ・・」オロオロ
盗賊「あの3人なら大丈夫だ!!この場合先に行くのが正解だ」
商人「そうだね・・風が止んだら僕らも直接魔王城へ向かおう」
盗賊「お前は寝てろ」
囚人「・・・」
---数時間後---
ソヨソヨ
僧侶「風が止んだよ~」
盗賊「分かってる!!直接魔王城の前に下りるぞ!」
ボー ボー フワフワ ドッスン
囚人「先に出る!!」
商人「ぼ、僕も行くよ・・」
盗賊「お前は寝て・・」
僧侶「わたしが肩を貸してあげる~」ヨッコラ ヒョイ
商人「ありがとう」
盗賊「・・・分かった・・俺が背負う!僧侶は囚人の後に付いていけ」よっこらせと
僧侶「は~い」
---魔王城---
囚人「静かだ・・」
僧侶「扉開いてるよ~」
盗賊「囚人!先頭行ってくれ!」
囚人「入るぞ・・離れるな!」
僧侶「誰も居ないね~」
囚人「・・・バカな・・・」
盗賊「どうした?」
囚人「・・・おかしい・・・ここでキマイラを育てて居る筈・・」
商人「キマイラ?」
囚人「な、何も・・・無い」
僧侶「ねぇ!!あれ!!」
盗賊「うぉ!黒焦げの亡骸・・4体」
商人「・・騎士のグレートソードとエルフの娘のシルバーボウが無い」
盗賊「・・そうだな・・商人すこし壁にもたれててくれ」ヨッコラ
僧侶「心配だなぁ~」ソワソワ
盗賊「囚人と僧侶も周辺を探してみてくれ」
僧侶「は~い」
---
盗賊「・・・何も無い・・魔物も居ない・・どうなってる!?」
僧侶「騎士達どこ~?」
囚人「・・・まさかキマイラはもう完成しているのか?」ボソ
商人「お、おかしいね・・まさか魔王のまやかしだったりハハ」
囚人「そんな筈は無い・・確かに昔ここでエルフの血を使ってキマイラを・・」
盗賊「魔王城の外もよく探してみよう!!」
商人「そうだね・・」
---魔王城前---
ヒュ~ ヒュ~
商人「僧侶・・僕の為にすまないね・・」
僧侶「いいの~気にしないで~」
商人「本当に不便な心臓だよ・・肝心な時に動けない」
僧侶「介抱は慣れてるの~」
商人「それにしても盗賊と囚人遅いね」
僧侶「風が出てきた~気球をロープで良く縛っておかないと・・」
商人「・・そうだね飛ばされると厄介だね」
僧侶「ねぇ・・わたし気になってる事があるの・・」
商人「なにかな?」
僧侶「・・ううん何でもない・・気のせいだと思う」
盗賊「お~い!!」
僧侶「あ!!帰ってきた~見つかった~?」
盗賊「ハァハァ・・ダメだ・・どこにもいねぇ」
僧侶「魔王城の下の方はどうなってるの~?」
盗賊「ちょっとした森になってる・・見たことない魔物がわんさか居る」
僧侶「あそこに見える小屋には行ってみた~?」
盗賊「あぁ・・行ってみたが誰もいねぇ・・囚人は帰って来てないのか?」
僧侶「まだ~」
商人「もうすぐ日が暮れる・・」
盗賊「今日はここで野営だな・・どうやら下に居る魔物は階段を上がれない様だ」
---
盗賊「おぉ囚人!どうだった!?」
囚人「海辺を探してみたが誰も居ない・・・だがこの杖を見つけた」
僧侶「あ!!魔女の杖!!どうして海辺に・・」
囚人「さぁな・・・他に沢山の足跡もあった」
商人「何か・・つじつまが合わないな・・」ブツブツ
盗賊「この島には俺たちしか居ないみたいだな・・神隠しにあったようだ・・」
僧侶「!!!!!神隠し!!!!!!」
商人「!!?」
僧侶「魔女は神隠しができるの・・・」
商人「・・・ハッ!!そういう事か!!」
盗賊「んん?」
商人「これは・・かもしれないという話だ・・」
1:騎士達がここに来た時にはもう誰も居なかった
2:4体の黒焦げの亡骸を見て勇者を救うのが遅かったと考えた
3:魔女が神隠しを使って3日分過去に戻った
4:3日前に海辺で争った後・・捕らえられた
5:その後幽霊船に乗せられ連れ去られた
僧侶「魔女は自分の命も吸えるのかなぁ・・」
商人「さぁ・・それは本人じゃないと分からないなぁ」
僧侶「わたしが気になってた事はね・・幽霊船とすれ違った時変な耳鳴りが聞こえたの・・」
盗賊「そういえばそうだな・・」
僧侶「何かの合図だったのかもしれないって・・」
盗賊「明日もう一日この島を探して見つからなかったら幽霊船を探そう」
商人「そうだね・・」
---翌日---
盗賊「やっぱり誰一人居ない・・」
僧侶「幽霊船かなぁ?」
商人「その可能性が高そうだね・・」
囚人「それほど大きく無いこの島で隠れる所などそうあるまい・・」
僧侶「心配だなぁ・・」
商人「よし!書置きを残して幽霊船を追いかけよう」
盗賊「書置き?」
商人「まだこの島に居るとしても次落ち合う場所だけ書置きで残す」
盗賊「落ち合う場所ねぇ・・」
僧侶「良い場所知ってるよ~ウフフ」
商人「どこかな?」
僧侶「魔女の塔」
商人「良いね」
僧侶「じゃぁわたしが書くね~」
”騎士へ
”魔女の塔で待ってる
盗賊「よし!日が暮れる前にここを出発しよう」
商人「僕は少し気球で横になる・・心臓が苦しい」
盗賊「ほら!!乗ったぁ!!」
ボーーーーーー ボーーーーーー フワフワ
---気球---
ビュー ビュー
盗賊「・・・だめだ・・現在位置が分からなくなった」
僧侶「商人の容態がだんだん悪くなってきたよ~ぅ・・」
盗賊「まだ陸地は見えねぇのか!?」
囚人「遠くにかすかに見える気がするが一向に近づかんな」
盗賊「風が強すぎる・・高度を下げよう」
囚人「これは幽霊船どころか陸地にたどり着くか危ういな」
盗賊「・・やっぱり気球で海上を飛ぶのは船旅より危険だ・・風の流され具合がさっぱり分からん」
商人「ハァ・・ハァ・・」
僧侶「ねぇ・・・もし気球の調子が悪くなったらどうなるのかなぁ・・」
盗賊「・・祈れ」
僧侶「息止める練習したほうが良いかなぁ・・」
盗賊「・・・ムダだ・・・」
囚人「羅針盤は無いのか?」
盗賊「船と一緒に沈んだ・・・太陽と星しか目印が無い」
囚人「食料は残りどれくらいだ?」
盗賊「食料は十分だが水と塩が足りない・・・特に商人には塩が必要だ」
僧侶「どうして商人に塩が必要なの~?」
盗賊「普通の水だと心臓に負担が大きい・・だから塩水を飲ませる」
商人「ハァ・・ハァ・・」
---
僧侶「!!あそこに見えるのって船じゃない!?」
盗賊「おぉ!!・・こりゃ助かった」
僧侶「海賊船じゃないと良いね」
盗賊「いや・・海賊の旗が見えんな・・多分商船だ」
僧侶「乗せてもらえるかなぁ」
盗賊「乗せてもらえんでも水と塩が調達出来れば良い」
僧侶「船に近づける~?」
盗賊「船の方が早いからワンチャンスだな・・気球に弓を撃たれんと良いが・・」
囚人「もし撃たれたら船を奪えば良い」
盗賊「そんなに上手くいくとは思わんがな・・」
僧侶「あ!船に乗ってる人がこっちに気がついた!なんか慌ただしい感じ~」
盗賊「そりゃそうだろう・・海賊と思われてるに違いない」
囚人「白旗出すぞ・・」
---
盗賊「お~~~~~い!!助けてくれぇ!!」
船長「どうした~~!!」
盗賊「船が沈んで遭難したんだ~~!!気球を引っ張ってくれぇ~~!!」
船長「ロープを垂らせ~~!!」
盗賊「投げるぞ~~!!」ポイ
船長「よ~し!掴まえた~!!」グイ グイ ギュ
盗賊「この船はどこに行くんだ~?」
船長「機械の国へ向かってる!!良いのか~?」
盗賊「頼む~!!ひとまず陸に上がりたい~!!」
船長「あと3日で付く!!」
盗賊「もう一つ頼みがある~!!水と塩を少し分けて欲しい~!!」
船長「構わ~ん!!一人降りてこ~い!!」
盗賊「今行く!!」
僧侶「どうやって行くの~?」
盗賊「ロープをつたって行く・・俺一人で良い」
---
スルスルスルスル ズダッ
盗賊「船長!助かった・・恩に着る」
船長「この海域は風が強い・・気球じゃ一生陸に辿り付けんぞ」
盗賊「あぁ・・そのようだ」
船長「ところで・・気球には何人乗ってるんだ?」
盗賊「4人だ・・そのうち1人が病人だ」
船長「ロープを手繰って気球を寄せておきな・・水と塩を持ってきてやる」
盗賊「ありがてぇ・・」
---
盗賊「さぁ商人!薄い塩水だ・・飲め・・それと痛み止めももらって来た」
商人「ありがとう・・」
僧侶「心臓痛いの~?」
盗賊「痛いのは心臓じゃなく頭の方だろ・・血が少なくて常時酸欠状態だ」
商人「あぁ・・これで少し横になれば大分良くなると思う」
僧侶「囚人の体よりめんどくさい体なんだね~ウフフ」
商人「ハハハそうかも知れないね」
囚人「しかし機械の国とは・・えらく遠くへ流されたな」
商人「そうだね・・船を調達しないとね」
盗賊「機械の国にはコネクションが無いのがな・・」
商人「うん・・困ったね」
盗賊「まぁ着いてから考えよう」
---機械の国---
僧侶「うわあぁぁ~すご~~~い!!大きな船がい~っぱい!!」
商人「機械の国の船はほとんど鉄で出来てるんだよ」
僧侶「え!?あの船全部鉄で出来てるの~?どうして沈まないの~?」
商人「さぁね詳しくは分からない」
僧侶「でもさ~帆が無いのにどうやって進むのかなぁ~?」
商人「魔石を使ってスクリューという物を回して動いているらしい」
盗賊「めちゃくちゃ遅いがな・・」
商人「帆が無い分風の影響無しで確実に進むみたい・・遅いけど」
盗賊「まぁ帆船の方が便利だな」
---宿屋---
盗賊「今日はこの宿屋に泊まろう」
僧侶「久しぶりのふかふかのベット~♪・・・でも騎士が居ない」シュン
盗賊「ごちそうでも食べてゆっくり休もう」
僧侶「なんかね~食欲出ないの~先に休むね~」ノシ
盗賊「じゃぁ俺たちだけで食おう!!」
囚人「俺は酒場で飲んでくる・・夜に戻る」
商人「じゃぁみんなまた明日」
---翌日---
盗賊「昨日の晩に商人と相談したんだが・・今後の事だ」
僧侶「どうするの~?」
盗賊「機械の国はコネクションが無いから金の調達が難しい」
僧侶「うん」
盗賊「だから船を借りる事が出来ない」
僧侶「・・・」
盗賊「明日俺と囚人の2人で中立の国まで民間船で行く。そして中立の国で商船を調達して戻ってくる」
僧侶「どれくらい掛かるの~?」
盗賊「片道2週間って所だ。往復で1ヶ月は掛かる。その間商人と僧侶は機械の国で静養していて欲しい」
僧侶「・・・」
盗賊「騎士が心配な気持ちはわかる。だが船が無いとどうにもならない。それから商人には静養が必要だ」
商人「僧侶すまない・・」
僧侶「ううん・・良いの・・騎士と魔女とエルフの娘の3人ならきっと大丈夫」
商人「僕ももう少し良くなったらここで情報収集するよ」
盗賊「お前は寝てろ」
商人「でも気になる事がいくつかあるんだ」
盗賊「闇商人であることはくれぐれもばれない様に頼む」
商人「わかってるよ・・」
---
商人「・・・じゃぁ気をつけて」
盗賊「おう!お前も体を休めておけ」
僧侶「出来るだけ早く帰ってきてね~・・・」
盗賊「あぁ判ってる!!僧侶もあんまり心配するな」
僧侶「・・うん」
盗賊「囚人!行くぞ!早く乗れぇ!」
囚人「・・・」
盗賊「じゃぁな!!・・僧侶!孤独死すんなよ?ぬはは」
僧侶「・・・わたしはかわいそうなウサギさん・・なんてね~」
囚人「船が出るぞ」
---みんな離ればれになってゆく・・さみしぃよぅ---
商人「僧侶?この先に教会があるんだ」
僧侶「本当に?わたしみんなの無事をお祈りしてくる~」
商人「行っておいで・・僕は宿屋で休んでるよ」
僧侶「は~い」
---わたしの愛する人が無事でありますように---
---
---
---
---
---
---2ヶ月後---
盗賊「すまねぇ遅くなっちまった!!」
商人「おぉ!盗賊!船は手に入ったかい?」
盗賊「あぁ!小さい船だが高速な船だ!気球も乗せれる」
商人「それは良かった」
盗賊「体の調子はどうだ!?」
商人「十分な休養が取れたよ。情報収集もまぁまぁかな」
盗賊「ところで僧侶はどこだ?」
商人「毎日教会に行ってるよ。司祭に気に入られた様だ」
盗賊「そうか!後で迎えに行こう!」
商人「そうだねきっと喜ぶ」
盗賊「ところで商人!中立の国では闇商人が居なくなって大騒ぎだったぞ」
商人「だろうね」
盗賊「密売の物流がストップして王国がしびれ切らしてやがる」
商人「逆に言うとそれはチャンスだね・・・だけど今は騎士達の行方が先かな」
盗賊「そうだ!魔女の噂を聞いた」
商人「へぇ・・どんな?」
盗賊「始まりの国に魔王軍の魔女が現れたっていう噂だ」
商人「魔王軍?・・ハハ」
囚人「魔女の可能性が高い・・魔王軍など居ない」
商人「よし!考えがある!始まりの国の港町に戻ってまず幽霊船を探そう」
盗賊「よしきた!!明日早速出航しよう」
商人「身支度しておくよ・・それと僧侶も迎えに行ってあげて」
盗賊「おう!!」
---教会---
僧侶「!!ハッ・・盗賊さん」
盗賊「よう!迎えに来たぜ」
僧侶「・・・も~う!!遅~い!!」プン
盗賊「すまねぇ・・色々あってな」
僧侶「・・それでいつ探しに行くの?今日?明日?」ソワソワ
盗賊「まぁ慌てんな・・明日出航する。行き先は始まりの国の港町だ。そこに戻ってもう一度幽霊船を探す」
僧侶「行く行く行く行く今すぐ準備する~」
盗賊「よし!・・・ここにはしばらく戻って来れんぞ?挨拶はして行かなくて良いのか?
僧侶「あ!司祭様に別れのご挨拶してくる~」
盗賊「待ってるから行って来い」
---
司祭「聞いていたよ。大事な人を探しに行くのだね?」
僧侶「はい!今までお世話になりました~」
司祭「ホッホッホ毎日の祈りが通じると良いねぇ・・」
僧侶「はい!祈りで心が少し救われました」
司祭「それで良い・・祈りの心を忘れてはいけないよ」
僧侶「また会いに来るね~」ノシ
司祭「困ったことがあったら又来なさい・・」
僧侶「早く行こおぉ~~!!ウフフ」
盗賊「おう!もう良いのか?帰りに買い物行くぞ!」
僧侶「わ~い♪」
---宿屋---
商人「・・よし!集まったね。明日出発する前に僕が調べた事を教えておくよ」
僧侶「は~い」
商人「まず・・海賊の事だ」
今まで海賊は始まりの国と癒着してると思ってたけどどうやら違うみたいだ
海賊王は2人の娘が居てそのうち一人は始まりの国の衛兵隊長
もう一人は・・選ばれた勇者達の仲間の一人になっていたみたいだ・・女戦士としてね
海賊王が何を考えているかというと・・多分僕達と同じ様に王国を探ってる
つまり仲間になりうる
盗賊「そりゃすげぇ・・」
商人「続けるよ・・」
前魔王城に行ったときに4人分の黒焦げの亡骸を覚えてるかい?
あの中に女性の遺体は無い・・ひょっとしたら騎士達と接触しているかもしれない
僕の作戦はまず幽霊船を探して奪う・・もちろん騎士達の行方も捜す
次に幽霊船で海賊王と接触して取引がしたい
僕が持っている情報と引き換えに同志になる
盗賊「幽霊船を奪うって・・4人でか?」
商人「ハハ・・囚人の力を甘く見てるぞ?」
囚人「・・・」
商人「幽霊船に囚人を1人降ろせば多分・・・1人で殲滅できる筈」
盗賊「なぬ?」
商人「出来るよね?囚人」
囚人「俺は銀の武器で心臓を貫かれない限り死ぬことは無い」
商人「・・・という事さ」
盗賊「うはは・・銀の武器なんて普通持ってねぇな」
商人「まだその先の作戦も考えてる・・その時が来たら言うよ」
僧侶「ねぇその作戦ってさぁ~寝ながら考えたの~?」
商人「ぶっ・・ハハハまぁそうだよ」
僧侶「明日は何時に出発するの~?」
盗賊「日の出前だ・・・もう必要な物は積んである」
僧侶「あぁ・・はやく騎士に会いたいなぁ~」
商人「きっと見つかるさ」
---翌朝---
僧侶「え~~小さい~~!!」
盗賊「そりゃ機械の国の船と比べると小さいがな・・」
商人「でもこの船の速さは1,2位を争う速さの船だよ」
盗賊「そうだ!!始まりの国の港町までは10日で行ける・・普通は倍かかる」
僧侶「へ~そういえば他の船に比べて帆が沢山あるね~」
盗賊「その分僧侶にも働いてもらわんとイカン」
僧侶「え!!?」
盗賊「帆の折り畳みは後で教えてやる」
僧侶「わたしは乙女なのに~?」
盗賊「4人しか乗ってないんだから働いて貰わんと困る!」
僧侶「ショボン」
盗賊「操舵は商人頼む」
商人「じゃぁ出発するよ」
僧侶「ねぇ~わたしが舵取りやって良い?」
盗賊「ダメだ!碇上げるの手伝え!」
僧侶「ええええええ・・」
---高速船---
僧侶「・・・それでね~わたしは4箇所の教会の巡礼が終わったから精霊の加護を受けれるの~」
盗賊「なんだそりゃ?」
僧侶「うふふのふ~」
盗賊「ふむ・・まずやってみろ」
僧侶「いくよ~精霊の加護!」ボワン
僧侶は精霊の加護を受けた
僧侶「わたしに近寄ってみて~ウフフ」
盗賊「こうか?おわっ・・」
僧侶「多分わたしに触れないと思うの~」
商人「ハハそれはすごいね」
盗賊「魔法は効くのか?」
僧侶「司祭様が言ってたけど魔法も弾くんだって~」
盗賊「そりゃすげぇな」
僧侶「でもね~祈り続けていないとすぐに終わっちゃうんだ~」
商人「精霊の加護を受けれるのは君だけかい?」
僧侶「わたしが触れている人だけかな?右手と左手だったら2人かな?」
商人「それは使い方によっては凄い便利だね」
僧侶「ウフフ~わたしが騎士を守ってあげるんだ~」
盗賊「ヌハハそれは良い・・いつでも手を繋いでおけ」
僧侶「うん」
---
盗賊「・・・なんだって!?それは本当か?」
商人「ゴーレムと名付けられてる」
盗賊「それは神話に出てくる石の魔物だな」
商人「まぁ・・あやかってるんだろうね」
盗賊「商人はゴーレムを見たのか?」
商人「いや・・見てない。ただの酒場の噂だよ。でも・・想像は付く」
盗賊「どこで作ってるかは分からないのか?」
商人「それは分からない・・だから海賊王と接触したい」
盗賊「3つの王国がそれぞれ武器を持ってる訳か」
商人「機械の国のゴーレムの中身は多分・・トロールだ」
盗賊「だろうな・・でもトロールは太陽の光で石になって動かなくなる」
商人「機械で覆って太陽の光が当たらないようにでもしてるんじゃないかな」
盗賊「ロボットが聞いて呆れるな」
商人「ハハ・・そうだね・・」
盗賊「・・どうした?」
商人「いや・・ドラゴンやエルフと違って・・トロールは捕らえられてる数が断然多い・・」
盗賊「数百を超える3メートル越えのロボット兵団か?」
商人「機械の国の大型船を見ただろう?全部運ぶつもりじゃないとあんなの作らない」
盗賊「・・・」
囚人「この流れはもう止まらんかも知れんな・・」
商人「騎士と魔女がカギだと思う・・時間を操れる」
盗賊「魔女がカギなのは判るが・・なぜ騎士まで?」
商人「・・わからないのかい?・・いろんな物を導いてるのは多分・・騎士だよ」
商人「なんだかんだ皆騎士の旅に巻き込まれてる」
僧侶「わたしも忘れないでね~ウフフ」
商人「あぁ・・本当の導き手は君なのかも知れないね」
---
盗賊「お~い!!みんな来てくれぇ!!あれを見ろぉ!!」
商人「小船!?ボートか・・どうしてこんな所に」
盗賊「人は乗ってないな・・丁度良い引き上げて使おう」
えっさ ほいさ えっさ ほいさ
商人「何か乗ってたかい?」
盗賊「いや何も・・ん?・・短刀があるな」
商人「見せて・・あれ?柄の文様に見覚えが・・何だったかなぁ・・」
僧侶「ねぇ・・どうしたのぉ?」
商人「引き上げたボートに短刀が乗ってたんだ」
僧侶「見せて見せて~ウフフ何かな何かな~~」
盗賊「まぁ他に何も無い様だ・・」
僧侶「アレ~この短刀・・隊長が持ってた短刀にそっくり~」
商人「隊長?・・・始まりの国の衛兵隊長かい?」
僧侶「そうだよ~ウフフ」
商人「・・なるほど・・盗賊!この海域の座標わかるかい?」
盗賊「おう!ちょっとまて海図に描いてやる!」
商人「ちょっと小船を見せて・・縦帆一本で漂流か・・初心者じゃないな」
盗賊「まさかと思うが・・海賊王の娘か?」
商人「多分そうだと思うよ・・ここら辺で誰かに拾われた感じ・・かな?」
盗賊「この辺りは商船の往来が多い場所だ」
商人「よし!この短刀は僧侶が持っておいて」
僧侶「は~い」
---港町---
盗賊「よっし!着いた!今日は陸で休憩だ」
僧侶「ただいま~♪ウフフ」
盗賊「すまんが全員フードで顔を隠して行動してくれぇ」
僧侶「え~どうして~?」
盗賊「前来た時とは状況が変わってる・・闇商人不在で物流が滞っててな・・略奪が増えている」
商人「・・僕の不在で流通品の物価がすごく上がってると思うよ」
盗賊「その通りだ・・物によっては前の20倍近い」
商人「旅商人が一番襲われやすいかな・・これから皆一緒に行動しよう」
僧侶「教会に行きたかったなぁ~・・」シュン
商人「済まない・・今回はガマンしておくれ」
---宿屋---
商人「みんな一息つけたかい?」
僧侶「ふううぅぅぅおなかいっぱ~い」
盗賊「それにしても食材が随分偏ってるな・・肉がねぇ・・」
商人「しょうがないね・・流してた格安の肉も僕が流さないと止まる」
僧侶「商人って色んな物を流通させてたんだね~」
商人「タダ同然で流通させてたから本来の価格に戻ったっていう言い方もあるけどね」
盗賊「さて・・これからどうする?酒場行くか?」
商人「あぁ皆で行こう」
僧侶「わ~い」
商人「2~3杯だけの約束ね」
僧侶「は~い」
---酒場---
カランコロン
マスター「いらっしゃいませ。4名様ですか?」
盗賊「カウンターで頼む。ハチミツ酒を4つ持ってきてくれ」
マスター「かしこまりました」
商人「マスター最近の話題は何か無いかな?」
マスター「ん~最近は景気が悪くてね~良い情報も入って来ないんですよ」
商人「始まりの国周辺では薬は需要ないのかな?」
マスター「!!?お客さんそんな話を人前でするのは・・」
商人「これを捌きたいんだ・・」
マスター「こ、これは・・こんなに沢山」
商人「売人に会いたいんだ・・知ってるよね?」
マスター「表の街道にいるアクセサリー商人が知ってると思います・・」
商人「ハハありがとう!景気良くなると良いねぇ」ジャラリ
マスター「金貨が多い様ですが?」
商人「わかってるでしょう?口止めも含めたお礼だよ」
マスター「あ、ありがとう御座います!」
商人「そうだ!お土産にハチミツ酒を少し貰えるかな?」
マスター「はい!よろこんで」
---表街道---
商人「僧侶。ゆっくり飲めなくてごめんよ」
僧侶「いいの~歩きながらでも楽し~いウフフ」
商人「ここからは盗賊に頼むよ」
盗賊「わかった・・まかせろ・・顔見知りだ」
商人「あそこのアクセサリー商人だよ」
盗賊「さぁ!ハチミツ酒持って来たぞ飲め!」
売人「!!?ハッ・・・お前は!!」
盗賊「乾杯しようじゃないか」
売人「お前は闇商人!!」
盗賊「おいおいそんな事を声を出して言うなよ」
売人「ブツを捌きに来たのかい?」
盗賊「まぁ・・そんな所だ」
売人「条件は?」
盗賊「1袋目:幽霊船の情報 2袋目:海賊と王国の情報 3袋目:魔女の情報」
売人「・・・1袋目しか情報を持っていない」
盗賊「まぁ良い・・他の情報はまた仕入れといてくれ」
売人「幽霊船については確かな情報がある・・」
あの船の乗組員は全員薬漬けの始まりの国の衛兵だ
幽霊船に偽装してヤバイ物を運んでいるらしい
今は薬の流通があんたのせいで止まっている
時期に薬が切れて暴動が起きるのを王国が恐れている
盗賊「居場所はわかるか?」
売人「それはわからない・・薬の到着を待っているから近くに居るとは思う」
盗賊「そうか・・十分な情報だ・・ほら」ドサッ
売人「こ、これからどうやって連絡を取れば良いんだ?中立の国へ行っても・・」
盗賊「こちらから連絡を取る・・十分な情報があればの話だがな」
売人「わ、わかった・・露店しながら待ってる」
盗賊「僧侶!」
僧侶「ふぁ~い」
盗賊「アクセサリー好きなもの一つ選んで良いぞ」
僧侶「わ~いウフフ」
---宿屋---
商人「十分な情報は入らなかったけど幽霊船の情報は大きいね」
盗賊「そうだな・・乗組員が人間だと判った分動きやすい」
商人「そうとわかったら明日の早朝に探しに出よう」
僧侶「ぐががすぴーぐががすぴー」
盗賊「・・・僧侶はのん気だな・・」
商人「ハハ良いじゃないか。でも毎日お祈りは欠かしてないよ」
盗賊「囚人!やっと新鮮な血にありつけるな」
囚人「フン!人を魔物扱いするな。俺は今酒を楽しんでいる」グビ
商人「死人でも酔えるのかい?」
囚人「少しは気が楽になる・・」
盗賊「そりゃ良かった」
---翌朝---
僧侶「むにゃ~ねも~い」
盗賊「もう出発するぞ早く気球に乗れ!!」
商人「あれ?騎士?」
僧侶「!!?ハッどこどこどこ?」キョロ
盗賊「おぉ~そりゃ良い手だヌハハ」
僧侶「・・・・・」
盗賊「さぁ!!出発だ!!」グイ
ボーーーー ボーーーー フワ フワ
---気球---
ヒョーゥ ギシ
僧侶「ねぇ~・・なにしてるの~?」
盗賊「気球に船の帆を張ってる・・これで風を受けて進むスピードが上がる」
僧侶「へぇ~そういえば機械の国の気球はみんな羽がついてたね~」
商人「アレは軍事用で一般では買えないらしい」
盗賊「それをマネてみたんだ。船と同じなら横風でスピードが上がる筈」
僧侶「でも帆が小さいね」
盗賊「風の魔石だけで進むよりはマシだろう」
商人「ハハ早くなったかどうかは空に居ると良くわからないね」
盗賊「んむ・・だが操作は船の帆と同じだ・・進んでいる・・と思う」
商人「まぁ幽霊船が見つかるまではゆっくりしていよう」
---
商人「僧侶?何してるんだい?」
僧侶「騎士が持ってた貝殻の音を聞いてるの~」
商人「何か聞こえるかい?」
僧侶「ううん・・な~んにも」
商人「僕にも貸してくれるかな?」
僧侶「は~い」
商人「・・・不思議な感覚だね・・」
僧侶「何か聞こえる?」
商人「う~ん・・砂の音みたいな・・言い表しにくいね」
僧侶「騎士はその貝殻で何を思ってたのかな~・・なんてねウフフ」
盗賊「貸して見ろ・・俺には海の音にしか聞こえんが・・ん?」
僧侶「何か聞こえる~?」
盗賊「・・こりゃ貝殻に何か細工がしてるあるな」
商人「え?・・・もしかして貝殻にエンチャントが掛かってる?」
盗賊「そうかもしれん」
商人「ハハ凄いじゃないか・・エンチャントが出来るのはエルフしか居ない」
僧侶「ねぇねぇ何の効果かなぁ~?」
盗賊「さぁな?・・でもこりゃ高く売れる」
商人「多分・・知識のエンチャントだよ・・ホラ耳に当てたら考え事をする」
僧侶「私も賢くなりた~い!!もっと聞く~」
---1週間後---
僧侶「ねぇねぇ!アレ幽霊船じゃない?」
盗賊「おぉ!!やっと見つけたか!!」
商人「高度を上げて真上から様子を見よう」
盗賊「囚人!!起きろ!!仕事が近いぞ!!」
ゴゴゴゴゴゴー フワフワ
商人「やっぱり気球が大分スピードアップしてるね」
盗賊「お前もそう思うか!?上空に行けば海よりも良い風に乗れる」
僧侶「幽霊船は動いてないみた~い」
盗賊「真昼間だが・・どうする?」
商人「囚人!行けるかい?」
囚人「もちろんだ・・後で傷だけは僧侶の回復で頼む」
盗賊「ヌハハ死人は自力で傷は塞がらんか?」
囚人「だまれ」
盗賊「真上から高度下げるぞ」
商人「囚人!全員ヤルのは避けて欲しい。情報を聞きだせる相手を残して」
囚人「わかっている」
盗賊「甲板には誰も居ないぞ?囚人が飛び降りたら安全高度まで離脱する」
囚人「もう少し・・行って来る」ダダダッ
ゴゴゴゴゴゴー フワフワ
---幽霊船---
ドサッ!! ガタガタ!!
??「な、なんの音だ?」
??「お前見て来い」
??「薬が切れてやる気がでねぇ」
??「海賊船が来たのかも知れん・・見て来い」
??「ぎゃああああ」
??「だ、誰だお前は!!」
囚人「死神だ・・」ガブリ ゴクゴク
??「敵だぁ!!敵がきたぞおおおお!!」
囚人「グフフ・・新鮮な生き血だ」
??「1人だ!!囲めぇ!!」
囚人「死にたい奴はどいつだ?」ダダダ ザクン!
??「ぐぁ」
??「このぉ!」ザク ザク ザク
囚人「効かんなぁ・・」ブン! ザクン!
??「な、何だこいつ・・」
カーン キーン ザクン!
---
---
---
??「バ、バケモノだぁ!!」
囚人「この船は俺が頂く!!命が惜しい奴は自分で牢に入れ!!」
??「たたたた助けてくれぇ・・」
囚人「逃げる者は容赦無く殺す!!」
??「頼むぅぅ殺さないでくれぇぇ」ガクブル
囚人「早く牢に入れ!!全員だ!!」
??「あいつ・・死体から血を吸ってやがる・・本物の魔物だ」ガクブル
囚人「殺されたいのか?」
ガチャリ ガチン!
囚人「全員牢に入ったな・・無駄口を叩いたやつは容赦なく殺す!」
??「・・・・・」
囚人「見ていろ・・こういう風に全部血を吸うぞ!?」ガブリ ゴクゴク
??「ゴクリ・・」ガクブル
---気球---
ヒョーゥ ギシ
盗賊「幽霊船の占拠は終わった様だな・・」
商人「囚人が死体を海へ片付けてるね」
盗賊「思ったより少ないな・・」
商人「降伏したかな・・囚人もなかなかやる」
盗賊「甲板に降りるぞ」
商人「僧侶!君はフードを深くかぶって顔を隠して」
僧侶「は~い」
商人「それから僕が許可するまで一言もしゃべらないでね」
僧侶「オッケーウフフ」
---幽霊船---
フワ フワ ドッスン
盗賊「よし!降りて良い!僧侶は商人の後に続け」
僧侶「・・・」
商人「囚人!上手くいったみたいだね」
囚人「20人程牢に入れた。こいつは牢の鍵だ」
商人「船長らしき人は?」
囚人「残念だが抵抗してきたから殺した」
商人「僧侶!囚人に回復魔法を掛けてあげて」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワ
盗賊「死人にも回復魔法が効くとは・・」
囚人「だまれ」
商人「よし!片づけが終わったら積荷室へ行こう」
---積荷室---
商人(大きな声は出さないで)
僧侶(・・・)
盗賊(えらくでかい牢だな・・キマイラを運ぶ牢か?)
囚人(恐らくそうだろう・・)
商人(騎士達は居なかったのかい?)
囚人(俺が見た範囲では居ない)
商人(他の積荷は?)
囚人(この幽霊船は恐らく積荷待ちだ・・ほとんどが空だ)
商人(それはチャンスだね・・海賊を待ってれば良い)
盗賊(あの捕らえた衛兵達はどうする?)
商人(海賊との取引が終わったら解放する)
盗賊(俺が情報聞きに行って来る)
商人(頼むよ)
スタスタスタ
衛兵「・・・」ガクブル
盗賊「聞きたい事が有る・・・位の高いものは前に出ろ」
精鋭兵「・・・」ガクブル
盗賊「この船がエルフや魔物・・それからキマイラを運搬しようとしている事は分かっている」
精鋭兵「!!?」
盗賊「魔王島から連れてきた魔女と騎士とエルフの娘の行方を捜している」
精鋭兵「・・・」
盗賊「知らんと言うなら全員ここで死んでもらう!!」グサッ
精鋭兵「ぎゃあああ」
盗賊「では話せ!!」
精鋭兵「たたた助けてくれ・・」
盗賊「命乞いは聞きたくない!知っている事を全部話せ」
精鋭兵「わ、わかった・・魔王島から連れて来た女は始まりの国へ送った・・」
盗賊「残りの2人はどこだ?」
精鋭兵「の、残りの2人はこの船には乗っていない・・魔王島から逃げたらしい」
盗賊「死んでもらおう・・」
精鋭兵「まままま待ってくれ・・本当にこの船には乗っていない・・ゴクリ」ガクブル
盗賊「では質問を変える・・キマイラはどこに行った?」
精鋭兵「キマイラは不良品のまま始まりの国へ・・」
盗賊「不良品とは何だ?」
精鋭兵「キマイラを目覚めさせて数分しか動かないらしい・・」
盗賊「どんな形をしている?」
精鋭兵「鉄の戦車の中で寝ている」
商人「十分だ!」
盗賊「命が惜しかったらおとなしくしていろ・・」
精鋭兵「お、お前達はいったい・・・本物の魔王軍なのか?」
盗賊「だまれ!」
商人「ハハ良いねぇ・・帰ったらそう伝えると良い・・」
---船長室---
盗賊「この船は新型の軍用艦だな・・幽霊船に偽装してるが装備が半端ない・・」
商人「ハハ真上からは無防備だったね・・対艦船特化かな」
盗賊「おい!これを見ろ・・すげぇ」
商人「これは・・すごい収穫だよ・・裏航路が全部書いてある」
盗賊「魔王島、終わりの国、機械の国への裏航路だな」
囚人「始まりの国が各地へ魔物を運んでいるのは事実なようだな」
盗賊「この事実を掴んだ以上タダでは済まんな・・」
商人「僕達の顔が割れたら一生追われる身だね」
盗賊「んむ・・・まだ顔が割れてないのが幸いか」
僧侶「ねぇねぇ!!海賊船みたいのが近づいてくるよ~」
盗賊「本当か!?ちぃと早いな・・」
商人「・・よし!僧侶にお願いがある」
僧侶「なぁに~?」
商人「僕と盗賊から離れないで例の精霊の加護を祈ってて欲しいんだ」
僧侶「何するの~?」
商人「海賊と取引をする・・これはとても危ない・・君の力が必要だ」
僧侶「わかった~」
商人「囚人!僕らはあまり動けないから有事のときは囚人が動いて」
囚人「わかっている」
---甲板---
ガコン! ガコン!
盗賊(接舷した・・慣れてるな)
商人(盗賊!こっちに乗り移るのは少数にしろと言って)
盗賊(わかってる)
商人(僧侶・・離れないでね・・加護の祈りをお願い)
僧侶(オッケ~ウフフ)
海賊「遅くなっちまったぁ!!船長は居るかぁ!!?今回はブツが無ぇ~!!」
盗賊「積荷は何だ!?」
海賊「誰だお前ぇぇ!?」
盗賊「質問に答えろ!!」
海賊「薬と補給物資だ!!エルフは居ねぇ!!」
盗賊「海賊王は居るか!?」
海賊「この船には乗ってねぇ!!」
盗賊「薬だけ降ろして海賊王を呼べ!!」
海賊「補給物資はいらねぇのか~!?」
盗賊「良いから早くしろぉ!!」
海賊「おい!お前ら薬の入った箱だけ移せ!!あと照明弾を撃て!!」
ヒュルルルルル~ ピカーーーー!!
海賊「これで海賊王が時期に来る!!」
盗賊「ではさっさと行けぇ!!」
海賊「んああ!!?おい金貨はどうなってる!!」
盗賊「・・金貨は後で海賊王にまとめて払う!!」
海賊「・・おい!!ざけんなぁ!!こっちに金貨回ってこねぇだろ!!」
商人(まずいな・・)
盗賊「わかった・・ひとまず薬は後で良い!!今は海賊王と話をするのが先だ!!」
海賊「・・なんかいつもと違うじゃねぇか・・おい!お前は誰だ!?」
囚人「・・やるのか?」スラーン チャキリ
盗賊「待て!!取引の最中だ」
海賊「おいおい物騒じゃねぇか・・いつもアブネェ物運ばせておいて金貨がねぇじゃすまねぇぞ?」
盗賊「どてっぱらに穴明けられたい様だな・・囚人!!大砲主に伝令しろ!!」
商人(囚人!ハッタリだハッタリ)
囚人「わかった・・」
海賊「待て待て・・分かった・・おい!お前ら船を幽霊船の前に付けろ!!」
盗賊「始めからそうしてれば良い・・」
海賊「・・だがこれで逃げっこ無しだ・・幽霊船の前方に大砲は無いだろう?ウハハ」
商人(状況は変わってないな・・)
海賊「金貨はしっかり払ってもらうぜぇ!!」
---
僧侶(ヒヤヒヤするよぅ・・)
商人(大丈夫だよ)
盗賊(俺も口が渇いた・・)
商人(僧侶?海賊王の娘の短刀を貸して)
僧侶(ほい)
---
ガコン! ガコン!
盗賊(海賊王の船は割りと小さい船なんだな・・)
商人(速度重視なんだろうね・・賢いといえば賢い)
盗賊(出てきたぞ・・手足が義手義足の奴だな?)
商人(噂では聞くけど実際見るのは初めてだよ)
盗賊(取り巻きがすげぇな・・)
海賊王「わいを呼ぶからには半端な理由じゃないやろうなぁ!!」
盗賊「海賊王と取引がしたい!!」
海賊王「誰やお前は!!?顔を見せんと取引せぇちゅうんかい!!?」
盗賊「大砲がどてっぱらに向いてるのを忘れたのか!?」
海賊王「わっはっは・・お前らぁ!!全員幽霊船に乗り込め!!」
盗賊「待て!!少数で来い!!」
海賊王「お前ら幽霊船に乗っとる人数に比べりゃ少数だわ!!全員のれぇ!!」
海賊達「うおおおおおぉぉぉ!!」
商人(まぁ・・しょうがない)
---
商人「動くな!!!!これが何だか分かるかい?」シャキーン
海賊王「・・・短刀?・・・まさか・・・」
商人「この場合察しが良いと言うのかな?」
海賊王「お前らぁ!!乗り込むのはちょっと待てぃ!!」
海賊達「・・・・」
商人「海賊王と1対1で取引がしたい」
海賊王「お前・・何者や?・・闇商人やな!?」
商人「ハハこの船は僕が頂いたんだ」
海賊王「なんやとぅ!!?」
海賊達「頭ぁ!!4人しか居ませんぜ!?」
海賊王「お前らぁ!!あの4人を捕まえろぉ!!」
海賊達「うおおおおおおぉぉぉ!!」
商人「囚人!殺さないように頼む!」
カーン カーン キーン ゴズン!!
海賊1「頭ぁ!!あいつらに傷一つ付けれやせん!!」
海賊2「バケモノが居る!!切っても死なねぇ!!」
海賊3「ぐぁぁぁ!!」ゴスン!!
海賊4「どうなってんだぁぁぁ!!」
商人「そろそろ止めにしないかい?」
海賊王「はぁはぁ・・何が望みや!?」タジ
商人「僕は取引がしたいだけさ」
囚人「近づくと切るぞ!?」
海賊王「お前らぁ!!!やめい!!!」
商人「さて取引しよう」
海賊王「・・・・」
商人「海賊王の娘2人の内1人は始まりの国の衛兵隊長・・そしてもう1人は・・」シャキーン
海賊王「・・それをどうしよった?」
商人「取引に応じたと見ていいのかな?」
海賊王「・・・・」
商人「まず・・人を払ってもらおう」
海賊王「・・お前ら!!海賊船に戻れ!!倒れてる奴は引きずって行けぇ!!」
海賊達「頭ぁ!!良いんですか!?」
海賊王「何度も言わせるな!!馬鹿どもぉ!!」
---
商人「条件は簡単さ・・・同志になってもらう」
海賊王「なんやとぅ!?」
商人「多分僕達の利害は一致してる・・海賊は物資が欲しい」
海賊王「・・・・」
商人「そして・・王国の秘密を探っている・・違うかい?」
海賊王「!!!!」
商人「ハハその顔は当たりだね」
海賊王「娘は生きておるんか?」
商人「選ばれた勇者達の仲間として娘を紛れ込ませたね?」
海賊王「生きておるんか!?」
商人「さぁね・・まだ取引の最中だよ・・同志になるかならないか!?」
海賊王「・・分かった同志になってやる」
商人「はい!この短刀を返す」ポイ
海賊王「ま、間違いない・・娘の短刀だ・・」
商人「さぁここからだ・・僕はまだ海賊王から決定的な情報を得ていない」
海賊王「娘は無事なんか?」
商人「さぁね?同志になるという口約束だけじゃ信用できないなぁ」
海賊王「ちぃぃぃ・・」
商人「ズバリ聞く。海賊は王国をどうするつもりかな?答えによっては娘の事と僕達の目的を話す」
海賊王「海賊は本物の勇者を保護し今の王国を潰すつもりや・・」
商人「フハハハハ・・それで薬をばら撒いてる訳かハハハハハ」
海賊王「次はお前の番や・・娘はどこにおる?」
商人「盗賊!!例の海図を持ってきて!!」
盗賊「おう!」
海賊王「海図?」
商人「娘はきっと生きている。勇者達と魔王島へ行った後ボートで逃げた。海図の印の場所でボートを発見した」
盗賊「ほらよ!!」バサ
海賊王「この場所は商船の航路や!」
商人「そう!!たぶん商船に拾われている筈・・ほんの1週間前だよ・・時期に連絡がある」
海賊王「ほんまかぁ・・」
商人「もう少し話したい・・船長室に来て欲しい」
---船長室---
商人「・・・娘さんが戻って来たら話が聞きたい」
海賊王「ところでこの幽霊船はどないするんや?」
商人「ハハ僕はこんなお荷物は要らないよ。海賊が好きに使えばいい」
海賊王「そらあかん!上の娘がが始まりの国の衛兵隊長や。捕らわれの身と同じ様なもんや」
商人「・・ならこうしよう。僕達魔王軍から海賊が幽霊船を取り戻した事にすればいい」
海賊王「おお!!ええなぁ」
商人「この船には武器が沢山積んである。全部海賊船に積み替えてしまおう」
海賊王「わっはっはボロ儲けやなぁ!!」
商人「幽霊船に乗ってた衛兵は牢に入れてある。これが牢の鍵だよ」ポイ
海賊王「これで王国に対しては義を尽くした事になるわけやな?。たんまり金せびれるなぁ」
商人「じゃぁ僕達はこれで引き上げるよ」
盗賊「裏航路の海図は貰っていくぜぇ!」
商人「あ・・そうだ・・海賊王にもう一つ。機械の国で作っているゴーレムの話は知ってるかな?」
海賊王「ゴーレム?」
商人「・・知らない様だね・・質問を変える。トロールが何処に運ばれてるか知ってるかな?」
海賊王「あぁ・・トロールは馬鹿でかい船に積まれとる。あの馬鹿でかい船で何か作っとるらしいが・・」
商人「なるほど・・ありがとう」
海賊王「ゴーレムちゅうもんを作っとるんか?」
商人「ただの噂だよ・・気にしなくて良い」
海賊王「じゃぁわいらは今からこの船の武器をあさってくるわ」
商人「また連絡するよ」
海賊王「そうや!!これを持って行け・・・海賊のバッチや・・これを見せれば襲われんで済む」
商人「助かるよ」
海賊王「ほんじゃぁ・・うまくヤレな」
---甲板---
海賊王「おっしゃぁ!!お前らぁ!!幽霊船から武器全部移し替えろぉぉ!!」
海賊「うおぉぉぉぉ!!頭ぁ!!金目の物取っていーっすか!!?」
海賊王「好きにしろぉぉぉ!!但し!!積荷室の牢には近づくなぁ!!」
海賊「ひゃっほ~ぅ!!」
海賊王「照明弾上げて仲間を集めろぉ~~!!」
ヒュルルルルル~ ピカーーーー!!
商人「じゃぁ僕達はこれで引き上げる・・あとは海賊王に任せた」
海賊王「任せとけぇ!!
盗賊「薬の箱だけは貰っていくぜ」
海賊王「好きにせぇ!!そんなもんワイらには要らん」
---気球---
ヒョーゥ ギシ
僧侶「・・・結局騎士たちの行方は分からなかったね・・」ショボン
商人「あとは・・魔女を追うしかないね」
盗賊「始まりの国か・・」
商人「魔女が幽霊船に乗ってたって事は魔王島で過去に戻ったのは間違いなさそうだね」
盗賊「なにか引っかかるな・・」
商人「・・逃げた2人っていうのが・・誰なのか・・」
僧侶「心配だなぁ・・」
商人「きっと大丈夫さ・・僕の情報網で必ず探してあげる」
僧侶「うん」
商人「取りあえず魔女を追おう」
---港町---
盗賊「おい!?何か様子が変だぞ?」
商人「本当だね・・衛兵が慌しいね」
僧侶「顔隠しておいた方が良いかな~?」
商人「そうだね・・」
衛兵「おい!お前達!顔を見せろ!旅商人か?」
商人「どうしたんですか?」ファサ
衛兵「男か・・違うな・・他のやつも顔を見せろ!」
盗賊「・・・」ファサ
囚人「・・・」ファサ
僧侶「ウフフ」ファサ
衛兵「む・・・違うな・・・通って良いぞ!」
商人「誰か探しているんですか?」
衛兵「魔女狩りだ!始まりの国に魔女が現れて逃げている」
僧侶「!!!」
衛兵「!!?どうした?顔色が変わったぞ?」
僧侶「お、おなかが・・・生まれるぅぅぅ」
盗賊「ぶっ・・・」
衛兵「おい!!何が生まれるんだ!!」
商人「す、すいません・・・生まれそうなんで少し宿屋で休憩を・・」
---宿屋---
盗賊「ぶはははは・・あそこで生まれるは無いだろ・・くっくっく」
商人「新手の回避技だね」
盗賊「・・で何が生まれるんだ?」
僧侶「たまご~ウフフ」
盗賊「ところで魔女が逃げているという事だが・・」
商人「情報がそれだけじゃ何とも動けないね」
盗賊「港町にも捜索がきているという事は行方が分かっていないと見るか・・」
商人「だろうねぇ・・」
僧侶「あのね・・私の知ってる過去の話なんだけどね~」
商人「話して」
僧侶「魔女騒動があったとき沢山の兵隊さんが死んじゃうの~」
商人「それで?」
僧侶「それで兵隊さんが不足したからわたしが始まりの国の衛兵に召集されたの~」
商人「魔女が何処に行ったとかは分からないかな?」
僧侶「それは知らない~・・でもね・・魔女の塔が壊されるのは知ってる~」
商人「・・・それだね」
僧侶「騎士との待ち合わせ場所が無くなっちゃうね~どうしよ~?」
商人「!!!!!!ハッ!!!!!!!!しまったぁ・・・・」ブツブツ
盗賊「???どうした???」
僧侶「ブツブツた~いむ!!ウフフ」
商人「・・・僕達はミスをしてる・・・」
僧侶「え?」
商人「魔王城に待ち合わせの場所について書置きを残してしまった・・」
盗賊「まさか・・」
商人「書置きが渡った先は・・きっと始まりの国だ・・」
盗賊「王国にとっての内通者の待ち合わせ場所を消すつもり・・か?」
商人「王国からみると僕達は色んな事を邪魔をする内通者に見えてる・・」
盗賊「・・・」
商人「今回の幽霊船の件もそうだ・・内通者・・あるいは魔王軍がやっている様に見えてる」
僧侶「わたしたちってさぁ~魔王軍なの?」
商人「魔王城に不可解な書置きが残ってればそういう風にしか見えない・・現に囚人の姿も見られてる」
囚人「切っても切っても死なない不死者・・」
盗賊「・・この流れをどうやって変える?」
商人「黙って見ててもきっと魔女の塔は壊される」
盗賊「魔女の塔はそんなに簡単に壊せる物なのか?」
僧侶「すご~~~く大きい塔だよ~~始まりの国のお城より立派~ウフフ」
商人「・・・キマイラだ・・キマイラで破壊するに違いない」
僧侶「魔女を探さないと~」
商人「そうだね・・盗賊!!薬の売人にもう少し情報を聞き出せないかな?」
盗賊「おう!!聞いてきてやる・・薬はたっぷり有る!」
---表街道---
売人「いらっしゃ・・・」
盗賊「儲かってるかい?」
売人(今はマズイ・・衛兵がこっちを見てる)
盗賊「・・・このアクセサリーは誰が作ってるのかな?」
売人「・・・私が家で作って居ます」
衛兵「・・・・・」ジロジロ
盗賊「作ってるところを見せてほしいんだが・・」
売人「見せるのは作る所だけで良いでしょうか?」
盗賊「ヌハハ他に見せる物があれば見たいな」
売人「お高いですよ?」
衛兵「・・・・・」ケッ
盗賊「家には誰か居るのかい?」
売人「私一人なのでご心配なさらず・・」
盗賊「じゃぁ少し見せてもらいたい」
売人「・・・先払いで」
衛兵「・・・・・」ヤレヤレ
---売人宅---
バタン ガチャリ
売人「薬が不足してて衛兵が張り付いてんだ・・」
盗賊「お前は薬をやらんのか?」
売人「薬は止めた」
盗賊「正解だ」
売人「闇商人が何を・・」
盗賊「薬を欲しがっているのは主に衛兵だろう?」
売人「・・・なぜそれを?」
盗賊「いらん詮索はするな・・・今日は協力してもらいたくて来た」
売人「私を信用していいのかい?」
盗賊「終わったら薬を一箱やる・・5年は楽して過ごせる金になる」
売人「そんなに危ない仕事は御免だね」
盗賊「信用しろ・・いざとなったら守ってやる」
売人「・・・」
盗賊「しかし殺風景な部屋だな・・男は居ないのか?」
売人「金が溜まったら中立の国で商売するつもりだよ」
盗賊「ヌハハ丁度良い・・仕度して宿屋に来い」
売人「・・・」
盗賊「心配するな取って食ったりはしねぇ」
---宿屋---
盗賊「連れてきたぜ」
商人「やぁ・・」
僧侶「はろ~ウフフ」
囚人「信用出来る奴だろうな?」
盗賊「信用できるかは置いておいて腕は確かだ」
売人「・・・」
盗賊「世間じゃ売人って事になってるが・・女盗賊だ隠密を専門にしてる」
売人「これは一体・・お前は闇商人じゃなかったのか?」
盗賊「そこらへんの詮索は無しだ・・女盗賊への報酬は先に払う。あそこの木箱の薬全部持っていって良い」
女盗賊「こ、こんなに・・」
盗賊「さて・・その辺に掛けてくれ・・・ゆっくり話がしたい」
女盗賊「何が知りたいんだ?」
盗賊「始まりの国の情勢、最近の噂、知っている事全部だ」
女盗賊「フフフどこから話して良いか・・質問に答える形で良いかしら」
---
盗賊「・・・魔女が複数人居るだって!?」
女盗賊「目撃情報がバラバラで少女から中年女まで魔女の仲間が数人いるらしいわ」
盗賊「んーむ・・・」
女盗賊「共通するのは瞳の色が赤いのが特長だそうよ」
僧侶(魔女の瞳は赤だったよ~)ヒソ
盗賊「なるほど・・それで衛兵は赤い瞳の女性を魔女狩りと称して追ってる訳か」
女盗賊「始まりの国では相当数の衛兵が高位魔法で焼かれたみたい」
盗賊「・・次の質問だが・・キマイラは知っているか?」
女盗賊「キマイラ?」
盗賊「質問を変える・・最近大型の戦車の様な物が王国に運ばれた話は聞いてないか?」
女盗賊「2ヶ月程前に大きな物を運んでるのは見たわ」
盗賊「始まりの国ではそれを何処に保管するか分かるか?」
女盗賊「潜入しないと分からないわね」
盗賊「出来るか?」
女盗賊「それは無茶・・第一何処に置くかの目星も無いわ・・危険すぎる」
僧侶「それ私知ってるかも~ウフフ」
盗賊「何!?」
僧侶「衛兵宿舎の裏に大きな武器庫があってね~大砲とかみんなそこに置いてるの~」
女盗賊「・・・この子は・・城の関係者か何かかい?」
盗賊「・・まぁそんな所だ」
女盗賊「それにしても衛兵宿舎の近くじゃぁ・・どちらにしても手が出せないわ」
囚人「・・・俺が潜入してやる」
盗賊「!!?どうやって?」
囚人「簡単だ・・俺一人で正面から城に入る」
商人「ハハハハその作戦面白いね・・囚人!別室で僕と作戦を話そう」
---別室---
商人「正面から城に入る作戦気に入った!」
囚人「俺は終わりの国衛兵隊長で顔が通ってる・・だから城には入れるだろう」
商人「うん」
囚人「城内で武器庫まで走って中を確認して騒ぎを起こす」
商人「ワクワクするね」
囚人「衛兵に捕まって牢屋行きだろう・・・次に死んだフリをする・・どうせ俺の心臓は止まっている」
商人「ハハハハ」
囚人「死んだ囚人はどうなるかというと・・」
商人「墓地に埋葬されて無事帰還する・・完璧だね」
---宿屋---
商人「戻ったよ・・囚人が始まりの国の城に潜入する作戦で決まったよ」
盗賊「大丈夫か?」
囚人「問題ない」
女盗賊「・・・」
商人「女盗賊!始まりの国の墓地の場所は分かるかな?」
女盗賊「墓地?・・分かるけど・・どうして?」
商人「墓地の管理人に成りすませれるかな?」
女盗賊「いや・・それは簡単だけど」
商人「じゃぁ決まりだ・・みんなで墓地の管理人をやる」
僧侶「ウフフ~なんかおもしろそ~う」
盗賊「ついでに魔女の近況情報も探れるな」
商人「始まりの国までは気球を使えば1日くらいかな?」
盗賊「女盗賊!気球を隠しておける場所は無いか?」
女盗賊「始まりの国の少し北の森なら人目には付かない・・・魔女捜索隊に見つかる可能性は・・」
商人「いや・・この際堂々と町の近くに置こう」
盗賊「・・変に怪しまれない方が良いか」
女盗賊「私は案内すれば良いのかしら?」
盗賊「そうだな・・僧侶の面倒も見てくれると助かる」
僧侶「・・・ねぇねぇどういうこと~?」
女盗賊「フフフ今日は一緒に寝ましょ」
---翌日気球---
盗賊「じゃぁ出発するぞ!!」プシュ ゴゴゴゴゴゴ
僧侶「オッケ~♪ウフフ」
盗賊「女盗賊!薬は良かったのか?」
女盗賊「あの薬は私が帰ってからの財産にするわ」
盗賊「空き巣に入られないのを祈るんだなヌハハ」
女盗賊「私にはあなた達の秘密を教えてもらえないのかしら?」
盗賊「まぁ付いてくりゃ時期に分かる」
女盗賊「今裏切られて情報を流されるのが怖いって事かしら・・」
盗賊「怖くはねぇが・・お前もフードで顔は隠しておいた方が良い事は確かだ」
ヒョーーゥ ギシ
僧侶「始まりの国が見えてきたよ~すごく早いね~」
盗賊「陸地の上だと普通の気球より早いのが良くわかるな」
商人「1日かかる予定だったのに日が落ちる頃には付きそうだね」
盗賊「そうだな・・高度下げ始める」
商人「まぁ・・人目に付きにくいし丁度良かった」
女盗賊「それなら墓地に直接降りましょう」
商人「良いね」
---墓地---
フワフワ ドッスン
盗賊「結局誰にも見つからず到着したな」
商人「都合が良い!墓地に隠しておこう」
盗賊「急いで気球をたたむ!囚人も手伝ってくれ!」
囚人「・・・」
僧侶「ねぇねぇよく見て~新しいお墓がいっぱ~い」
商人「・・そうか・・魔女騒動で亡くなった人はみんなここに・・」
僧侶「ん~でも魔女がこんなに沢山の人を殺しちゃうのってなぁ~本当かなぁ?」
商人「そういえば・・そうだね・・何か引っかかるね」
盗賊「よっし終わった!今晩は宿屋だな」
---始まりの国宿屋---
カランコロン
店主「いらっしゃいませ旅のお方・・今夜は休んで行かれますか?」
盗賊「5人だ・・」
店主「失礼ですがお顔を拝見させてもらってよろしいでしょうか?」
盗賊「・・・」ファサ
店主「ホッ・・物騒な事に危険な魔法を使う魔女達が居るそうですので・・」
商人「そんなにひどかったのかな?」
店主「それはもう・・爆音と閃光が轟きましたわ」ガクブル
商人「へぇ・・」
店主「3分程で納まりましたがお城の城壁は穴だらけ・・兵隊さんも沢山亡くなりました」
商人「3分!!?・・・」
店主「もう城壁は復旧したのですが穴の開いた城壁から魔女が脱走したそうです・・怖いですねぇ・・」
商人「ハハ・・そうですね・・部屋に案内してもらって良いかな?」
店主「あら失礼しました・・こちらになります」
商人「ありがとう」
---部屋---
ガチャリ バタン
商人「・・・面白い話を聞いてしまったね」
盗賊「そうだな」
囚人「キマイラが暴れだした隙に魔女が逃げたと考えるのが正解だな」
商人「一連の騒動を魔女のせいにして隠蔽してるね」
盗賊「・・・だとすると魔女の塔をどうやって破壊するんだ?・・」
商人「もしキマイラが数匹居るとしたら?」
盗賊「なるほど・・」
商人「でも王国が魔女を追う理由が良くわからないね」
僧侶「魔女がキマちゃんを暴れさせたのかもね~ウフフ」
商人「魔女はそんな事できるのかい?」
僧侶「ほら~エルフの娘ってさぁ~魔女にはなついていたじゃない?」
商人「!!ハッ・・キマイラは元はエルフか・・なるほどツジツマが合う」
盗賊「まぁこれで魔女が大量に兵隊を殺した訳じゃないって線が強いな」
商人「囚人!明日城の内部の調査をよろしく頼むよ」
囚人「わかっている」
---翌日城門---
門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」
囚人「終わりの国の衛兵隊長が来たと伝えろ」
門番「身分の無い物を通す事は出来・・・ハッ・・もしや」ジロジロ
囚人「早くしろ」
門番「衛兵!!み、見張っておけぇ!!」タッタッタ
衛兵「ハッ!!・・・お、終わりの国の衛兵隊長がなぜ直々に・・」
囚人「お前は俺を知っているのか?」
衛兵「い、いえ・・噂でしか」
衛兵「ほう・・どんな噂だ?」
衛兵「世界一の戦士・・」ボソボソ
門番「衛兵!!門を開けろおぉぉ!!」
衛兵「ハ、ハイ!!」
ガラリゴロリガラリゴロリ
ドヤドヤ
精鋭兵「始まりの国の衛兵隊長は魔女捜索に出ている故私が城内を案内する」
囚人「ほう・・衛兵隊長が不在か」
精鋭兵「変な真似はゆるさん!!」
囚人「クックックたかが一人に衛兵20人付けるとは用心深い」
精鋭兵「衛兵!!周囲を囲め!!」
衛兵「ハッ!!」
囚人「右手にあるのが衛兵宿舎か?」
精鋭兵「そうだ!!何かあったら宿舎から300人は出てくる!!」
囚人「クックック手負いが300人出てきて役に立つのか?」
精鋭兵「何!!!!?お、お前・・・なぜそれを・・」
囚人「奥にあるのが武器庫だな?」
精鋭兵「・・・待て!!止まれ!!終わりの国の衛兵体長がこの国に何の用事だ!?」
囚人「別にどうという事は無い」
精鋭兵「怪しい!!衛兵!!取り押さえろ!!」
囚人「気が早いな・・もう少し落ち付かんと偉くはなれんぞ?」スラーン チャキリ
精鋭兵「ぬ、抜いた・・構わ~ん切れえぇぇぇぇ!!」
カーン キーン ゴスン!
---
---
---
---
---
衛兵「つ、強い・・」バタッ
精鋭兵「ななななんと・・切られても物ともせんとは・・」
囚人「武器庫へ行かせてもらう!!」
精鋭兵「だめだぁ!!!!衛兵~~出会え出会ええええぇぇ」
な、なんだなんだ?ゾロゾロ
---武器庫---
ギギギー ガターン
囚人「雑魚がうるさい・・放せ!!」ゴスン!!
精鋭兵「あいつを止めろおぉぉぉ!!」
衛兵「うおぉぉぉぉぉ」ドタドタ
タッタッタ
(武器庫の中に血の臭い)
(間違いない・・・ここで戦闘している)
(広いな・・・あそこの角か?)
(有った!!戦車1基)
精鋭兵「待てえぇぇぇ!!それに触るなぁぁ」
囚人「お前はこれが何か知っているのか?」
精鋭兵「・・・」
囚人「この戦車・・いやキマイラは何匹居る!!?答えろ!!」
精鋭兵「だまれ!!衛兵!!取り押さえろ!!殺しても構わん!!」
(仕方が無い・・・捕まっておくか)
ザクッ グサッ ゴスン!
---
---
---
---牢屋---
ピチョン ピチョン
(クックック)
(死んだフリするのもなかなかに苦痛だ)
(見た感じ囚人は10名程か)
男の声「例の囚人もキマイラの事を知っていた様です」
女の声「そうか・・」
男の声「ですが・・おそらくもう死んでいます」
女の声「まぁ良い・・仕方がない・・墓地へ運んでおけ」
男の声「それにしてもこの新入り・・ひどいですな」
女の声「舌を噛み切らん様にくつわをはめておけ」
男の声「はぁ・・しかし」
女の声「食事はしっかり与えろ・・重要な参考人だ・・手当ても怠るな」
男の声「ハッ」
ガチャリ ギー
看守「やはり死んでいます・・」
隊長「引きずり出せ・・新入りと交代だ」
看守「ハッ・・」ズルズル
---もう少し丁寧に扱って貰いたいものだ---
隊長「私はもう少しここに居る。お前はその死体を早く外へ出せ。ヘドが出そうだ」
看守「ハッ!!10分で戻ります!くれぐれも囚人には近づかないで下さい」
隊長「なぜだ?」
看守「隊長にもしもの事があったら他の衛兵に袋叩きに合います」
隊長「フフ馬鹿にするな!そこらの男には負けん」
(こいつが海賊王の娘か)
(なかなかに勝気な娘だ)
---墓地---
僧侶「毎日人が亡くなってるんだね~」
盗賊「火傷を負った遺体ばかりだな・・そして亡くなってから随分経ってる」
商人「たぶん一気に遺体を出せないから分けて持ってきてるんじゃないかな?」
盗賊「それにしても穴掘り忙しい・・」わっせ わっせ
僧侶「埋葬も教会のお仕事~そして私はお祈りがお仕事~」
女盗賊「おい!新しい遺体が来たぞ!」
看守「囚人の遺体を持ってきた!埋めておいてくれ!墓標は要らん!」
僧侶「は~い」
看守「ほ~フードで顔は見えんが良い返事だねぇ」
盗賊「おい~早くしろよ!こっちは疲れてるんだよ!!」
女盗賊「あぁ手伝うわ」
盗賊「看守!!後は俺達でやっておくから戻っていいぞ」
看守「おぅ!すまんな~司祭には良く言っておく」
盗賊「僧侶!この遺体は傷だらけだ・・埋葬する前に回復魔法掛けてやってくれ」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
盗賊「・・・・・看守は・・・・行ったか?」
商人「・・もう少し・・」
僧侶「・・・・・」グイット
囚人「・・・」ギロ
僧侶「ウフフ~目が動いてる~」
商人「よし!もう良いよ!」
盗賊「立てるか?囚人」
囚人「問題ない・・」ムクリ
??「あわわわわわ・・死体が蘇った・・あわわわわわ」
商人「まずい!誰かに見られた・・」
??「ままま魔女達が死体を操っている・・あわわわ
僧侶「え!?え!?違うの~~!!」
??「たたたた助けてくれぇぇぇぇ」ダダダダ
商人「まずいな・・気球で逃げよう!」
盗賊「そうだな・・面倒が起きそうだ」
商人「早く!」
---気球---
ゴゴゴゴゴゴー
盗賊「早く乗れぇ!!」
僧侶「オッケーみんな乗ったよぉ~ウフフ」
盗賊「人に見られる前にここを離れよう・・北に行くのが目に付きにくいか?」
女盗賊「そうね!城を迂回して北に向かえば大丈夫だと思う」
ヒョーーゥ ギシ
盗賊「ここまで来ればもう安心だ」
商人「さて囚人・・城での3日間・・何があったか教えて」
囚人「・・やはり俺達の読み通りキマイラが暴れた様だ・・」
キマイラは恐らくもう一体居る
武器庫の奥で戦車を一基見た・・たぶんその中だ
暴れた原因は分からないが武器庫の中は相当破壊されていた
衛兵の被害も相当だろう半数は火傷を負っている
特に気になったのは牢屋には鍵が掛かっていない
出るためには衛兵宿舎の中を通る必要があるからだろう
囚人は衛兵宿舎の地下を自由に動くことが出来るが
足かせを付けてる一部の囚人は恐らく階段を上がることが出来ない
俺が思うに・・魔女は足かせ無しで捕まっていて
キマイラが暴れた隙に簡単に脱出が出来たと考える
商人「ハハ鍵無しの牢屋か」
盗賊「そりゃ牢屋とは言わんな」
僧侶「鍵無しにしたのは隊長だって聞いたことあるよ~ウフフ」
囚人「ほぅ・・その理由は知っているか?」
僧侶「囚人をわざと泳がせる?・・だっけなぁ・・良くわかんな~い」
商人「泳がせる・・ね・・・どうやら僕達は泳がされてるのかもね」
盗賊「・・誘いに乗るか?」
商人「・・・考えさせて欲しい」ブツブツ
僧侶「ブツブツた~いむ!ウフフ」
---林の中の洞窟---
盗賊「・・よしここなら見つかるまい」
僧侶「ここの林の雰囲気懐かしいなぁ・・あの時は騎士と一緒に・・」
盗賊「そうか・・この辺りは騎士と一緒に来たことがあるのか」
僧侶「騎士は今頃何してるかなぁ~?心配だなぁ・・」
商人「そうか!!」ピーン!!
盗賊「ん!!?どうした?」
商人「僧侶!!もう一度君と騎士との事を話して欲しい」
僧侶「えっとぉ~武闘会の時にドラゴンに襲われて・・」
カクカクシカジカ
---
---
---
商人「ちょ、ちょっと待って・・魔女に初めて会った時はお婆さんだったんだね?」
僧侶「そうだよ~・・・指輪を使って命を吸うって言ってた~」
商人「・・という事は魔女はその時まで死なないで生きている・・・つまり」
僧侶「つまり?」
商人「今慌てて探さなくても魔女は無事って事だ」
僧侶「そうだね~・・でもどうしてお婆ちゃんだったのかなぁ?」
商人「指輪が無いと若さを保てないんだっけ?・・・・あ!!!!」ブツブツ
僧侶「なになになになに?」
商人「女盗賊!!魔女の目撃証言は?」
女盗賊「情報がバラバラで少女から中年女で瞳の色が共通して赤色・・」
商人「・・魔女は1人だ・・年を取っている・・だから証言がバラバラだ」
盗賊「なるほど」
商人「じゃぁ指輪は何処に行った?」
僧侶「愛しの人の為じゃないと絶対外さないって言ってたよ~」
商人「・・・そこが分からない・・・魔王城で一体何があったんだ?」
---
女盗賊「ねぇ僧侶?もう寝た?」
僧侶「むにゃ~まだかろうじて起きてるょ」
女盗賊「・・あなた達って一体何者なの?闇商人一味?」
僧侶「ん~闇商人一味っていうのは半分正解~」
女盗賊「半分?」
僧侶「本当は魔王を倒すための勇者一味が正解なんだけど・・魔王が居ないの~」
女盗賊「からかってる?」
僧侶「からかってなんかないよ~ウフフそれとね~本物の勇者もまだ見つけてないの~」
女盗賊「・・・・」
僧侶「勇者も魔王も居ないのに・・わたしたち何やってるんだろうね~」
ガバッ!!
商人「ソレだ!!」
僧侶「びびびびびっくりしたぁ~」
商人「今の世界に魔王は居ない・・でも200年前には確かに居る」
僧侶「え?え?」
商人「本物の勇者は魔女の指輪で200年前に戻って魔王を倒す・・そういうシナリオだ」
僧侶「へ?」
商人「魔女はこれから必ず本物の勇者と出逢う・・本物の勇者が探し求めてるのは魔女が持つ指輪だ」
僧侶「ねぇ騎士の事忘れてない~?」
商人「魔女は君達に始めて会うまで本物の勇者には会って居ないよね?」
僧侶「うん・・そう言ってた」
商人「魔王城で何かあって魔女は指輪を騎士に預けた・・それならつじつまが合う」
僧侶「・・・」
商人「・・今指輪を持っているのは多分・・騎士だ・・そして」
僧侶「そして?」
商人「君が言う武闘会でドラゴンに食われる囚人は多分・・騎士だ・・指輪を持っている」
僧侶「え・・イヤ・・」
商人「僕達はドラゴンと一緒に騎士を救うんだよ」
僧侶「・・そんなのいや・・それまで待てない~騎士がかわいそう」
商人「囚人を起こしてくれ!!」
---
囚人「・・・俺が見たかぎり牢屋の中に騎士らしき人物は見ていない」
商人「・・そうか・・結局行方不明か・・」
囚人「ひどい火傷を負った囚人も居たが騎士かどうかは分からん」
商人「火傷?・・もしかするとその人かも知れないな」
囚人「城の中は火傷を負った者ばかりだ・・囚人達も例外ではない」
僧侶「ふぇ~ん・・騎士がかわいそう~」
商人「まだ決まった訳じゃないよ・・・」
僧侶「ねぇ囚人!もう一回お城に入れないの~?」
囚人「俺は顔が割れてしまっている・・いくら死なんとはいえ一人で数百人の衛兵を振り切るのは無理だ」
商人「囚人の言う通りだよ・・もう死んだ振りも通用しないね」
僧侶「あああぁぁおなかがムズムズして来たぁ~」
商人「居ても立っても居られないのは分かるよ・・でもここは慎重に行こう」
囚人「その火傷を負った囚人が騎士だと分かっていれば無茶のし甲斐もあるが・・」
商人「そうだね・・情報が足りない」
僧侶「どうすれば良いかなぁ~?」
商人「僕に考えがある!女盗賊に協力してもらいたい!」
---
女盗賊「!!?え・・わたしに何が・・」
商人「まだ付き合って短いけど君はもう僕達の仲間だ・・君なら出来る事がある」
女盗賊「私に?」
商人「君の情報収集能力は非常に高い・・」
女盗賊「・・・」
商人「始まりの国の町で武器屋か防具屋に成りすまして情報を集めて欲しい」
女盗賊「武器屋か防具屋?・・・それは出来るけど・・どうして?」
商人「武器や防具の交換の為に月に何回か城内に入れると思う」
女盗賊「!!その手が・・でも資金が無いわ」
商人「それは僕に任せて・・質の良い物を送るようにする」
女盗賊「フフフ面白そうね」
商人「仲間であるからには全力で支援するのを約束するよ」
女盗賊「連絡はどうやって?」
商人「配達人に手紙を渡してくれれば良い」
女盗賊「あなた達はこれからどうするの?」
商人「まず魔女を探さないといけない・・事情が聞きたいんだ・・その後は中立の国で情報を集める」
女盗賊「ねぇ・・一つ質問して良いかしら?」
商人「なんだい?」
女盗賊「本物の闇商人はあたなね?」
商人「ハハハそうさ・・でも今は違う・・勇者を捜し求める魔王一味?ハハ」
女盗賊「ぷっ・・見えないわねフフフ・・わかったわ協力してあげる」
商人「君はこれから僕達と別れて武器屋か防具屋に成りすまして・・・必ず物資を送ってあげる」
---翌日---
盗賊「・・そうか歩いて戻るか・・寂しくなるな」
女盗賊「私は歩きの方が性に合ってる・・あなた達の無事を祈ってるわ」
商人「じゃぁ女盗賊・・よろしく頼むよ・・これ資金の足しにして」ドサ
女盗賊「こんなにくれるのかい?金貨一袋・・十分すぎるわね」
盗賊「無駄遣いすんじゃねぇぞ?」
女盗賊「わかってるわよ」
盗賊「じゃぁまたな!しくじるなよ?」
僧侶「女盗賊さんまたね~」ノシノシ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ
盗賊「よし!!魔女の塔へ向かうぞ!」
商人「2日くらいかな?」
盗賊「そんなもんだ」
---魔女の塔---
ヒョーゥ ギシ
商人「す、すごいな・・噂には聞くけど一面の花・・」
僧侶「このお花はね~魔女が200年間毎日植え続けたんだって~」
商人「魔女の塔もすばらしいね」
盗賊「これを破壊するなんて頭がどうかしてるぜ」
僧侶「わたし泣いちゃうかも~」
盗賊「塔の天辺に降りるぜ?」
商人「そうだね・・降りるのに丁度良さそうだ」
フワフワ ドッスン
商人「しばらくはこの塔を拠点に情報を集めよう」
僧侶「森の町が歩いて30分くらいのところにあるよ~ハチミツ酒がすごく美味しいの~」
盗賊「俺が買出しと情報収集に行って来る」
僧侶「えええええ私も行きたい~~」
盗賊「顔はフードで隠してもらうぞ?」
商人「ハハ良いじゃないか・・男女2人の方が怪しまれにくい」
僧侶「わ~いウフフ」
商人「盗賊!頼みがある・・僕は歴史の事が知りたい・・古文書の様な物があったら買ってきて」
盗賊「歴史かヌハハ・・本気で200年前の伝説を調べるつもりだな?」
商人「僕は本気だよ・・僕の勘は結構当たる」
---
僧侶「♪ラ--ララ--♪ラー」
商人「その歌は?」
僧侶「魔女に教えて貰ったの~『愛の歌』だって~♪ラ--ララ--♪ラー」
商人「・・この古文書にその歌詞と同じフレーズが載ってる・・見て」
僧侶「アレ~本当だ~・・魔女ってすごいね~ウフフ」
商人「その歌のルーツはエルフにあるらしい・・エルフと人間の愛を歌った叙事詩だってさ」
僧侶「へ~・・・そういえばエルフの長老も聞かせてくれって言ってたなぁ・・」
盗賊「ロマンチックな話だな」
商人「いや・・もしもの話だ・・魔女は牢屋でその歌を歌ったとしよう」
僧侶「???」
商人「キマイラがその歌を聞いて目覚めた・・話が出来すぎかな?」
囚人「その可能性は否定できんな・・キマイラはエルフの血から造られている」
商人「まぁ・・考えすぎかな・・それにしても歴史は色々と面白い」
僧侶「商人辞めて学者になるぅ~?ウフフ」
---一週間後---
僧侶「魔女来ないなぁ・・シュン」
盗賊「そう簡単にはいかない様だな」
商人「・・魔女は来ないかもしれないね」
僧侶「どういう事~?」
僧侶・・君が経験して来た事だ
魔女はこの塔が時期に壊される事を知っている
数年後君達がここに指輪を持ってくる事も知っている
魔女はそれを止め様が無い事も分かってる筈さ
僕なら思い出の地が壊される所は見たくない
僧侶「・・全部私が知ってる過去の事の通りに進んでる?」
商人「そうだよ・・たぶん始まりの国で気球が禁止されるのも・・僕達が関係している」
僧侶「え!?」
商人「幽霊船の時、墓地から逃げる時、それから魔女の塔が壊される時も・・僕達は気球で逃げる」
僧侶「・・そんな・・」
商人「もっとある・・君の時代では始まりの国とエルフの森で争いが活発になってると言ったね?」
僧侶「うん」
商人「僕がエルフの密売をやらなくなったから始まりの国は自分で狩りに行くしか無いんだ」
僧侶「・・・」
商人「まだある・・魔王軍が活発になってるとも言ったね?」
僧侶「うん」
商人「王国から見たら不振な行動をする僕達は魔王軍にしか見えないんだよ・・全部が予定通りだ」
僧侶「今居る世界は・・まだ過去?」
商人「そう・・信じられないけど今はもう過去なんだ・・物事が動くのはまだ先さ」
盗賊「おい!!変える事は出来ないのか?」
商人「きっと無理だ・・僕達がキマイラを防いだとしても他の誰かが塔を壊す」
僧侶「じゃぁわたし達がこの塔に居る理由って何?」
商人「すまない・・分からないんだ・・ただ導かれている様に思う」
盗賊「何か方法は無いのかぁ!!」
商人「僕達が歩んでる道はいつも選択肢が少ない・・ひょっとしたら一本道かもしれない」
盗賊「未来を知ってるなら変える方法を・・」
商人「うん・・僕も考えてるよ」
---数日後---
盗賊「おう!買出しから戻ったぞ」
商人「何か変わった情報は無かったかい?」
盗賊「・・・選ばれた勇者が行方不明になったという噂が出始めた」
僧侶「・・・・・」
商人「僧侶・・心配しなくて良い・・騎士は必ず生きている」
盗賊「それと・・始まりの国の衛兵達が森の町で集まり出した」
商人「そうか・・やっぱり予定通りだね」
盗賊「どうする?」
商人「すこし考えたんだけど・・衛兵隊長と取引がしたい」
僧侶「隊長と!?」
商人「そうさ・・こっちにはコレがある」シャキーン
盗賊「海賊のバッチ!!」
商人「洗いざらい隊長に打ち明けるとどうなると思う?」
囚人「衛兵隊長自ら正体不明の我らの前に出てくるとは思えんがな」
商人「僕は未来を変えてみたいんだ・・この世界は僕達の物だ」
---
盗賊「おい!見ろ!!衛兵隊が来るぞ・・すげぇ数だ」
囚人「クックックたかが4人に随分な数を集めたな」
商人「いや・・これはパフォーマンスだ・・人の目が必要なんだと思う」
盗賊「パフォーマンスだと?」
商人「キマイラの入った戦車の圧倒的火力を他の国へ知らしめる為さ」
盗賊「・・そんな事の為に?」
商人「キマイラが不良品だというのは知れてはマズイんだよ」
囚人「なるほど」
商人「それと同時に魔女騒動を収束させたい狙いかな」
僧侶「魔女はこれをどこかで見てないかなぁ?」
商人「・・・そうだね・・・見てるかも知れないね」
ガラガラガラガラガラガラガラガラ
盗賊「戦車だ!!砲身がこっち向いてるぞ・・やばくないか!?」
商人「気球は何分で動く?」
盗賊「1分は掛かる!」
商人「盗賊は気球の準備をしておいて」
盗賊「わかった!!」ダダダ
商人「僧侶は僕と囚人から離れないでお祈りをお願い」
僧侶「は~い」
---
隊長「魔女の塔で待つ者!!そこに居る事は分かっている!!」
僧侶(どうして知ってるのかなぁ?)ヒソ
商人(さぁね?パフォーマンスじゃない?)
隊長「出てこないとこの塔を破壊するぞ!!」
僧侶(どうするの~?)
商人「ハハハ見つかってしまっては仕方が無い」
隊長「!!!!!?な・・に?」
商人「始まりの国の衛兵隊長と少し話がしたい」
隊長「お、お前は何者だ!?」
商人「僕は魔女を率いる魔王軍の側近さ」
隊長「何ぃ!!・・そんな筈は・・・何が望みだ!?」
ドヨドヨ ザワザワ
商人「君と少し話がしたいだけさ」
隊長「姿を見せろぉ!」
商人「これで良いかい?高い所から済まないね」
隊長「ここで何を待っている!!?」
商人「あまり大きな声で話したくないなぁ・・・これを持って上がってきてくれないか」ポイ
隊長「・・・・」パス
商人「一人で来ないなら取引は中止だよ」
隊長「!!!?これは・・・・・これを何処で?」
衛兵「隊長!!これは罠です!!一人で行ってはいけません!!」
隊長「だまれ・・相手は数人しか居ない・・10分で戻らなければ全員で突撃しろ!」
衛兵「し、しかし・・」
隊長「全員戦闘態勢で待て!!」ツカツカツカ
---
囚人「クックック隊長一人で来るとは・・」
商人「やぁ・・」
隊長「お前達・・海賊のバッチをなぜ?」
商人「君のお父様とは仲間なんだよ」
隊長「こんな所に居てもらっては困る!!この塔は今から破壊する」
商人「それを待って欲しい・・いや・・塔を破壊すると歴史を変えられない」
隊長「言っている事が分からない」
商人「魔女と僕達は仲間だ・・海賊達、エルフも仲間だ・・信じて欲しい・・キマイラを止めて戦争を無くしたい」
隊長「キマイラは戦争を無くす為の兵器だ」
商人「そうやってキマイラ、ドラゴンの大砲、機械のゴーレムが造られている・・いずれ破綻する」
隊長「・・・・」
商人「キマイラは暴走したでしょう?」
隊長「いつか暴走するのは分かっている・・だからここで使わないと又被害が出る」
商人「他に処分する方法は無いかな?」
隊長「国王が納得すると思うか?」
♪ラ--ララ--♪ラー
衛兵「??何の音だ?」
??「♪ラ--ララ--♪ラー」
衛兵「魔女だ!魔女が現れた!」
僧侶「この声は魔女!!魔女が来た!!」
商人「え!?こんなタイミングで・・・囚人!!魔女を助けに!!」
囚人「分かっている」ダダダッ
隊長「待てぇ!!どうするつもりだ!?」
ヴオォォォォォォ
衛兵「!!!!!戦車が唸ってる!!!!!」
隊長「まずい!!キマイラが目覚めた・・なぜ急に・・」
商人「どうやら思い通りに事が進まないようだね」
隊長「塔から避難しろ!!砲身は塔に向いている!!衛兵は私が何とかする!!」ダダダッ
商人「囚人と魔女は何処に?」
僧侶「・・あそこ!!囚人が衛兵と戦ってる」
カ-ン カーン キーン
囚人「邪魔をするなぁ!!」ゴスン
魔女「おぉ囚人・・わらわを迎えにきたのかえ?」
囚人「魔女!付いて来い!キマイラが目覚めた・・塔は破壊される」
隊長「衛兵!!!!!!全員避難しろおぉぉぉ!!爆発するぞぉぉぉ」
衛兵「ハッ・・隊長・・ひ、避難?」
囚人「魔女いそげ!」
魔女「わらわは少し年を取ってしまってのぉ・・走るのはしんどいのじゃ」
囚人「・・・背中に乗れぇ」ヨッコラ
ピカー チュドーーーーーン
衛兵「はう・・塔を貫通して森が吹き飛んだ・・ととと・・とんでもねぇ」
囚人「魔女!しっかり捕まっておけよ?」ダダダ
僧侶「囚人~早くぅぅぅ塔が崩れるぅぅぅ」
商人「僧侶・・僕達も急ごう・・すまないけど僕の手を引っ張ってくれないか?」
僧侶「え?また心臓が?」
商人「いや階段がきついんだ・・僕は走れない」
盗賊「お前ら急げぇぇぇぇ!!」
ピカー チュドーーーーーン ゴゴゴゴゴゴゴ
隊長「衛兵!!森の火事が拡大しないように木を切り倒せ!!」(不良品のキマイラでこの火力か)
隊長「他の者は近くの川から水を運んで来い!!」(もし完全なキマイラが暴走したら世界を滅ぼすな)
隊長「森の町からも助けを呼んで来い!!」
衛兵「隊長!!塔の天辺から気球が上がって行きます!!」
隊長「アレはもう良い!魔女はもう戻って来ない・・忘れろ!」
衛兵「しかし・・あんな形の気球は見たことありません・・早い」
ピカー チュドーーーーーン ゴゴゴゴゴゴゴ
---気球---
盗賊「危機一髪だな・・」
魔女「わらわの塔が・・・」
商人「魔女・・塔が破壊されるのは分かっていたよね?」
魔女「あの塔の地下には愛しき人の墓が有るのじゃ・・」
商人「墓?・・そうか・・地下があったんだ」
僧侶「塔は崩れても地下は無事そうだね~」
盗賊「ところでキマイラの火力はとんでもねぇな・・どうやって沈めるんだ?」
商人「不良品で数分しか動かない筈だけど・・」
囚人「完全なキマイラが造られれば世界は破滅する」
盗賊「こりゃなんとしても阻止せんといかんな」
商人「キマイラのブレスが収まった様だ・・塔が崩れて行く・・」
魔女「見とうない・・わらわの記憶が崩れて行く様じゃ・・」
僧侶「ふぇ~ん・・魔女ぉだっこしても良い?」
---
---
---
魔女「・・・それでわらわは魔王島で愛しき人を見送ったのじゃ」
商人「そうか・・やっぱり指輪は騎士が持っているのか」
魔女「指輪が無いとわらわは普通よりも早く年を取る・・このままじゃと2年程で朽ちるのぅ」
僧侶「魔女に指輪は帰ってくるよ~ウフフ返す約束とか言ってたもん」
魔女「返しておくれ・・わらわはまだ愛しき人に会っておらん」
僧侶「わたしに言われてもなぁ・・」
商人「いや大丈夫・・約束しても問題ない」
魔女「この後どこに向かうつもりじゃ?」
商人「砂漠の町を経由して中立の国に行こうかと・・」
魔女「わらわをエルフの森に下ろして行ってもらえんか?」
商人「良いけどどうして?」
魔女「エルフの長老にエルフの娘を守れなんだ事を伝えねばならん」
商人「そうか・・大事なことだね」
魔女「エルフの森は安全じゃ・・指輪が帰るまでは森でゆっくり待つとするよ」
商人「その方が良いね」
魔女「エルフの森の中は時間の流れがゆっくりしておるでのぅ」
僧侶「ねぇ魔女?あの歌の事なんだけど・・エルフと人間との愛の歌って本当~?」
魔女「あの歌はエルフの長老がわらわの為に作った歌じゃよ・・エルフの長老はわらわを愛しておった」
僧侶「!!!?」ニヤ
商人「ちょっと待って・・エルフの長老は何歳になるのかな?」
魔女「わらわと同じ位かのぅ・・」
商人「魔女の指輪で命を吸う時はどうすれば良いの?」
魔女「数年前を思い出すだけじゃ・・」
商人「200年分命を吸うとしたら200年前を思い出す必要がある?」
魔女「そういう事になるのぅ・・なぜそんな事を聞くんじゃ?」
商人「・・い、いや・・聞いてみただけだよ」
---
僧侶「魔女?一人で大丈夫?危なくない~?」
魔女「わらわの事は心配せんでも良い。時期にエルフが迎えに来るじゃろぅ」
商人「それじゃぁ魔女・・体に気をつけて・・必ず迎えに来るよ」
魔女「愛しき人の事が分かったら迎えに来ておくれや・・エルフの長老の所におるでのぅ」
商人「うん約束するよ」
魔女「そなたらの方こそ無茶をするでないぞ?」
商人「ハハハ僕は少し無茶をするかもね」
魔女「考えがあるのじゃな?」
商人「そうだよ・・必ず世界を元に戻す・・いや変えてみせる」
魔女「良い心意気じゃのぅ」
盗賊「さぁ行くぞ!みんな乗れぇ!」
僧侶「じゃぁ~またね~」ノシノシ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ
---
ヒョーーゥ ギシ
盗賊「ひとまず砂漠の町で身を落ち着ける・・でいいのか?」
商人「・・うん」
僧侶「商人なんか元気ない?」
商人「いや・・考え事さ」
盗賊「なんだ?言って見ろ」
商人「僧侶・・回復魔法をかけてもらえないかい?」
僧侶「良いよ~どこか痛いの~?」
商人「ちょっとね・・確かめたい事があるんだ」
僧侶「行くよ~回復魔法!」ボワ
商人「・・・・やっぱりそうか・・」
僧侶「???どうしたの???」
商人「僧侶・・君はまだ自分の凄さに気が付いていないね」
僧侶「え!??なに?わたし凄いの?」
商人「君の回復魔法は体の傷を癒すだけじゃないんだ・・心も癒す力を持っている」
僧侶「え?え?え?どういう事?」
商人「思い出してごらん・・僕や盗賊や囚人・・エルフの娘も君の回復魔法で変わってるんだよ」
僧侶「わたしの?」
商人「罪や復讐の意識を改める方向に君の回復魔法が変えてるんだ」
僧侶「ウフフ~ほめられるってうれしいなぁ~うふふのふ~♪」
商人「僕は人間だからちょっとした事で諦めたり疑ったり良くない方向へ感情が流れる」
僧侶「それはみんな同じじゃないの~?」
商人「君の回復魔法はそういう良くない方向を正す力があるんだ」
盗賊「200年前の魔王が掛けた呪いはその感情の事かもな」
商人「するどいね・・きっとそうに違いない・・僕達の心に魔王が住んでいる・・それを考えていた」
盗賊「ぬはは・・ってことはこの世はすでに魔王に支配されてるな」
商人「そう言い換える事が出来るね・・魔王の心に支配されて滅亡の道を歩んでる」
盗賊「まぁでも考えすぎな気もするがな」
囚人「いや・・あながち外しては居ない・・監獄に居る間は復習の心が芽生えてくる」
商人「そういう心こそ魔王の正体かもしれない・・」
盗賊「ん~む・・僧侶がすべての人間に回復魔法を掛ければ良いのか?」
商人「・・・キーワードは200年前さ・・ともあれ僕はもっと歴史の勉強が必要かなハハ」
---砂漠の町---
盗賊「さぁ!久しぶりの砂漠の町だ」
僧侶「わたしね~騎士と過ごした宿屋に泊まりたいなぁ~」
商人「かまわないよ・・この町は危険に見えるけど本当は安全さ」
僧侶「はぁぁぁ~あの頃はわたし幸せだったなぁ~」
盗賊「騎士も大変だったろうな・・」
僧侶「・・ん?そんな事ないと思う~ウフフだってわたし達夫婦だもん」
盗賊「・・・・・」
商人「さて!仕事が待ってる・・僕は商人ギルドに行ってくるよ」
盗賊「囚人!荷物を下ろすのを手伝ってくれ・・少し教えたいこともある」
囚人「かまわんが雑用はやらんぞ」
盗賊「雑用じゃねぇ大事な事だ」
僧侶「・・じゃあ後で商人ギルドに行くね~」ノシノシ
---宿屋---
ガチャリ バタン
僧侶「・・・」
---この部屋で騎士と一緒に過ごした---
---あの時と変わらないお部屋---
---魔女もこうやって愛しき人の香りを探したのかな---
---騎士が掛けてた椅子---
---騎士と一緒に寝たベット---
---だっこしたい---
---わたし騎士を愛してる---
---商人ギルド---
僧侶「やほ~」
盗賊「あぁ・・俺は俺のやり方で騎士を救う」
僧侶「!!?何の話~?」
商人「盗賊が一人で旅に出るって・・」
僧侶「え!?」
盗賊「確か・・騎士の故郷は辺境の村だったな?」
僧侶「え?あ・・うん。そう言ってた・・どうするの?」
盗賊「・・・コレだ」
商人「ドラゴンの涙?」
盗賊「そうだ・・ドラゴンの涙を飲ませれば騎士はそう簡単には死なない」
商人「ドラゴンの耐性を付けるのか・・暑さ寒さ飢えに耐性が出来る」
僧侶「わたしも連れて行って!!」
盗賊「それはダメだ・・僧侶は商人を守ってくれ・・囚人にはあらかた仕事を教えておいた」
僧侶「シュン・・」
盗賊「大丈夫だ!僧侶・・ドラゴンの涙を飲ませたら俺は必ず帰ってくる」
商人「・・そうだね・・今騎士の行方が分からない以上その方法が効果的かもしれない」
盗賊「馬を一頭借りていくぜ!!早速辺境の村に向かう」
商人「分かったよ・・合流は中立の国で良いかな?」
盗賊「おう!!商人!!お前もお前のやり方で頑張れ」
商人「ハハ影武者の癖に対等に口を利くじゃないか」
盗賊「これからは闇商人の影武者は囚人と僧侶だ」
僧侶「ねぇ・・お願いがあるの」
盗賊「なんだ?」
僧侶「若い騎士に会ったら『わたしを置いていかないで』って伝えて」
盗賊「ヌハハ分かった必ず伝えてやる」
商人「じゃぁ盗賊!気をつけて!」
盗賊「おう!!行ってくるわ!!」
---結局盗賊が騎士の師匠になるのもわたしの知ってる過去の通りに進んでいく---
---
商人「しばらくは商隊が中心になるよ」
商人「僕の考えを先に言っておく」
商人「結論から言うよ。エルフ、ドラゴン、クラーケン、海賊を仲間にする」
商人「やり方はまず中立の国で物流を僕がコントロールする」
商人「物流さえストップしてしまえばキマイラもゴーレムも造れない」
商人「そして海賊にはこれからもっと力をつけてもらう」
商人「その後ドラゴンと取引をしたい・・・ドラゴンの子供を解放するのを条件にね」
商人「海賊にはその時発生する終わりの国の難民を避難させてもらう」
商人「その為には大量の船が必要なんだ」
商人「次にエルフを・・・」
---わたしたちはいつの間にか魔王軍になってる---
---何と戦うのかな---
---
ザー ザー ガガーン ザー
盗賊「腹減ったな・・この辺りの筈なんだが・・」
??「おい!誰かくるぞ!」
盗賊「おいおい山賊のお出ましかぁ!?」
??「どしゃぶりの中こんな田舎に来るのは誰だ!!」
盗賊「ようよう威勢が良いじゃねぇか!?辺境の村を探してる・・」
??「村に何の用事だ!?」
盗賊「ほう・・近い様だな・・腹が減っている・・案内してくれんか?」
??「質問に答えてない!!」
盗賊「用心深いな・・人を探している・・悪さをするつもりは無い」
??「こいつは兵隊じゃなさそうだ・・どうする?」ヒソ
盗賊「まる聞こえだぞバ~カ」
??「バカって言われたぞ!」
盗賊「だからまる聞こえだって~の」
??「多分兵隊じゃない・・連れて行こう」
---辺境の村---
盗賊「な、なんだこりゃ・・病人ばっかりじゃねぇか」
村人1「疫病が流行ってるんだ・・早く村を出た方が良い」
盗賊「疫病?お前達は無事なのか?」
村人1「だいぶん前にどこかの兵隊達が来てそれ以来得たいの知れない魔物が出るように・・」
村人2「魔物の体液が疫病の元になってるらしい」
盗賊「その兵隊達はどこからやってくる?」
村人1「わからない・・薬だといって謎の液体を置いていく」
村人2「俺は兵隊達が疫病の犯人だと思ってる・・もう村に入れる気は無い」
盗賊「なぜ兵隊が犯人だと思う?」
村人2「病人の血液を採取して持っていく」
盗賊「・・・」(細菌兵器まで開発してるとは)
村人1「ところでこの村には宿屋は無いよ・・」
盗賊「まいったな・・腹が減ってしょうがない」
村人1「・・その・・疫病が流行ってから働き手が居なくなって」
盗賊「お前らが収穫すれば良いだろう!・・・ってお前ら子供か」
村人2「子供じゃない!!今は村を守る戦士だ」
盗賊「・・・話の出来る大人は居ないのか?」
村人1「・・・・・」
村人2「大人はみんな薬を飲まないで・・寝てる」
盗賊「死んだのか?」
村人1「・・・・・」
盗賊「・・・よし!俺について来い!あと元気な奴を集めて来い!」
---
パチ パチ メラ
盗賊「よ~し!並べぇ!!ご馳走だぞ!!」
少年達「おおおおおぉぉぉ久しぶりのご馳走だ!!」
うめぇ!!
待てよ!小さい子から順番だ
どうやって作るんだ?
見て見て!よく勉強して!
盗賊「よ~し!これで全員か?30~40人?」(騎士らしいのが居ない)
少年「お兄ちゃんが具合悪くて寝てるよ」
盗賊「そのお兄ちゃんはどうしたんだ?」
少年「魔物と闘って怪我をしたんだ・・それ以来具合が悪いって」
盗賊「どこに居る?」
少年「村の教会で横になってる」
盗賊「呼んで来い!・・俺が手当てしてやる」
少年「・・でも歩けないみたい」
盗賊「そうか・・おい!お前ら!!ご馳走残したらタダじゃ済まんからなぁ!!」
少年達「おおおおぉぉぉ全部食うぞぉぉぉ!!」
盗賊「おい少年!教会に案内しろ!」
---教会---
??「う~ん・・・」
少年「ここだよ」
盗賊「そうか・・お前は戻ってご馳走食っとけ!」
少年「うん!」
盗賊「おい!お前・・大丈夫か!?」(間違いない騎士だ)
青年「んあ・・・はぁはぁ」
盗賊(こりゃひでぇ・・一人で村を守ってたのか?)
青年「あ、あんたは誰だい?」
盗賊「今クスリを飲ませてやる」(ドラゴンの涙)
青年「いや・・・クスリは他の子供達に・・」
盗賊「お前が死んだら誰が村を守るんだ!?」
青年「・・・それは何のクスリかな?」
盗賊「ただの豆だ・・せめて豆くらい食え・・体力が無いと傷も治らんぞ」
青年「ハハ豆か・・頂くよ」パク モグモグ
盗賊「まぁおまじないだと思え」
青年「いや・・僕は多分もうすぐ死ぬ・・村の子供達をおねが・・」
盗賊「あぁしばらくは面倒みてやるよ」
青年「・・アレ?・・・なんだか痛みが引いていく」
盗賊「そりゃ良かった・・しばらく休め」
青年「痛みが無いと良く寝れそうだ・・よ」スヤ
---とりあえずコレで俺の仕事は終わりだ---
---翌日---
盗賊「おおぅ今日は快晴だ」
少年達「おはようございます!!先生!!」
盗賊「ぬあ!!先生!?」
少年達「はい!!先生!!ご馳走の作り方を教えてください!!」
盗賊「なぬ!?いや俺は忙しくてな」
少年達「あれを見てください!!みんな先生を待っています」
盗賊「んあ?どこだ?」
少年達「まず・・火の起こし方を・・」
盗賊「なんだありゃ?木を叩いてる?・・お前ら火の起こし方も知らんのか?」
少年達「みんな元気になりました・・たぶん皆お腹が空いてたから・・」
盗賊「ぬはは・・腹が張ったら元気が出てきたか」
少年達「はい!!今度は僕たちがご馳走を作ります!!」
盗賊「ん~む・・」(仕方が無い付き合うか)
少年達「おねがいします!!」
盗賊「あ~分かった分かった・・・火の起こし方はだなぁ・・」
---
盗賊「よし!!明日から狩りの仕方と料理を教えてやる・・日の出前に来るように!!」
少年達「はい!!」
少女達「は~い!」
青年「・・・僕も混ぜてもらって良いかな?」
盗賊「お!?体の具合はどうだ?」
青年「死ぬかと思ったけど・・なんか大丈夫そうだよ」
盗賊「腹は減ってないか?」
青年「ぺこぺこだよ」
盗賊「おう!そりゃ丁度良い!お前らぁ!!火を起こせぇ!!ご馳走作るぞ!!」
少年達「うおおおおぉぉぉ」
少女達「野菜取ってくる~」
---
青年「この村には何の用事で?」パク
盗賊「あぁもう用事は済んだ」モグ
青年「見ての通りこの村には大人が居ないんだ」パク
盗賊「そのようだな・・お前一人で面倒見てたのか?」モグ
青年「僕が狩りしてこないと食べるものがね・・」パク
盗賊「その傷は何にやられたんだ?」モグ
青年「熊だよ・・」
盗賊「ぶっ・・熊と闘うのは無茶だろう」
青年「いや・・熊が襲ってきたという方が正しい」
盗賊「肉が足りんか?」
青年「家畜もみんな疫病にやられてしまって野菜だけじゃやっていけないよ」
盗賊「そうか・・明日皆で狩りに行こう!夜はバーベキューだ」
青年「ハハ良いね子供たちが喜ぶ」
---森---
盗賊「そうだ!大物は狙わなくて良い。ウサギ、鳥、猪で十分」
少年1「・・・」コソ~リ ギリ シュン スト
盗賊「釣りの方はどうだ?」
少年2「餌の食い逃げが・・」
盗賊「そりゃ餌のつけ方だな・・こうすれば食い逃げされ難い」
少年2「おお」
盗賊「青年!お前は弓は使えんのか?」
青年「僕は弓を使えるほど器用じゃないんだ」
盗賊「やってみろ!」
青年「こ、こうかな?」
盗賊「呼吸を整えて・・獲物の前方上を狙え」
青年「・・・」ギリリリリリリリ ミシミシ
盗賊「バカ・・弓を引きすぎだ半分の力で良い」(やっぱり体力バカは変わらんな)
---夜---
パチ メラ メラ
少年達「ぷはぁ・・久しぶりに肉食ったぁ」
少女達「まだスープが余ってるわよ~」
青年「この村が子供達だけでやっていけるまでこの村に居てほしい」
盗賊「ん~・・・お前は武術の経験はあるのか?」
青年「教えてもらった事は無い・・自己流だよ」
盗賊「立ち回りやってみるか?」
青年「え!?」
盗賊「木の棒でチャンバラだ」
青年「で、できるかな?」
盗賊「ちょっとした運動だ・・・木の棒を持て」
青年「わかったよ・・」
少年達「おぉ!お兄と先生がチャンバラやるみたいだ」
少女達「お兄!!がんばってぇ~」
盗賊「いくぞ・・」
青年「ゴクリ・・」
カン カン コン バシッ
青年「いたっ」
盗賊「全然ダメだな・・足裁きがべた足だ」
青年「べた足?」
盗賊「よし!お前が立ち回り上達するまでは村に居てやる」
青年「おーみんな聞いたか!?」
少年達「すげぇ!僕達にも教えて!」
盗賊「お前らは青年から教われ!青年より強くなるまではダメだ」
少年達「おい!みんな聞いたか!?練習するそ!!」
盗賊「青年!!俺はちぃと厳しいぞ?」
青年「もう一回!!」
カン カン コン バシッ
青年「あいた!」
---数日後---
青年「はぁはぁ・・」
盗賊「こらぁ!!畑仕事サボるなぁ!!これも訓練の内だ!!」
青年「わ、わかってる」フンッ フンッ
少年「お~~~い!!お兄ぃ~~~」
青年「ん!?」
少年「はぁはぁ・・」
青年「どうした?」
少年「始めて見る兵隊が大勢来てる!!お兄ぃを探してる」
盗賊「どこだ?」
少年「村の入り口だよ」
盗賊「・・・あれは中立の国の衛兵だな」(勇者選びか?)
青年「今行くよ・・師匠も一緒に来て」
盗賊「いや・・俺は遠くで見てる・・俺の事は言うな」
青年「わかったよ・・じゃぁ行って来る」
盗賊「・・・」(勇者の選定は中立の国がやっているのか)
---
盗賊「どうだ?奴らは帰ったか?」
青年「あぁ・・帰った・・師匠はどうして隠れてるんだい?」
盗賊「んあ・・事情があってな・・隠居中の身だ」
青年「師匠は本当は何者なのかな?」
盗賊「俺は・・・元衛兵隊長だ・・終わりの国のな」
青年「元衛兵隊長ならなおさら堂々と・・」
盗賊「俺の顔は衛兵には知れ渡ってる・・面倒は御免だ」
青年「そっか・・政治絡みの事もあるんだね」
盗賊「ところで用事は何だった?」
青年「・・・・・」
盗賊「勇者の案内だな?」
青年「!!!?どうして分かる・・の?」
盗賊「俺の耳は地獄耳だ」
青年「勇者候補の一人になってるから親御の了解を得て置けと・・」
盗賊「親御は居るのか?」(なるほど普通の親御は了解しないな)
青年「居ない」
盗賊「そうか」(我が子を死地へ向かわす訳が無い)
青年「勇者って魔王を倒す為に闘うんだよね?」
盗賊「さぁな?そうとも限らん」
青年「あの兵隊達は又返事を聞きに来ると言ってた」
盗賊「どうするんだ?」
青年「子供達がはやし立ててる・・」
盗賊「勇者にはなりたくないのか?」
青年「いや・・どうして僕なのか分からない・・魔法も弓も扱えないのに」
盗賊「誰かを救う気持ちだけで良いとは思うがな」
青年「!!!誰か・・・か」
盗賊「おい!!畑仕事残ってるぞ!!休憩は終わりだ!!」
青年「う、うん」
盗賊「次は種植えるのを手伝え!!」
青年「わかった!!」フンッ フンッ
---数週間後---
カン カン コン
盗賊「大分板についてきたな・・次は足裁きを教えてやる」
青年「はい!!」
盗賊「まずは走りこみだな」
青年「え?」
盗賊「短い距離を全力で往復だ・・3メートルから行こう」
青年「3メートルを全力!?2歩か3歩で・・」
盗賊「そうだ・・出来るだけ早く往復するんだ」
ダダ ダダ ダダ ダダ
盗賊「ダメだ遅すぎる!!」
青年「はぁはぁ・・」
少年達「おい!俺たちも真似してやるぞ!!」
---数ヵ月後---
盗賊「ヌハハ生傷が耐えんな」
青年「ハァハァ・・もう剥ける足の裏の皮が無いよ・・」ガクガク
盗賊「次は土砂を運ぶぞ」
青年「土砂?」
盗賊「この村の全周に土砂を積んで柵を立てる・・安全の為だ」
青年「僕一人で?」
盗賊「そうだ・・柵を立てておけば村を守る場所は一箇所で良い」
青年「土砂を積む理由は?」
盗賊「かっこいいからに決まってるだろ!」
青年「・・・」
盗賊「裏の山から土砂を運ぶぞ」
青年「人力でしかも車輪無しで引きずる?」
盗賊「ヌハハ察しが良いな・・足腰と上半身の強化だ」
青年「わ、わかったよ・・」
少年達「あ、あれは真似出来ないな・・」
---半年後---
少年「お~いそっち引っ張ってくれ~」
少女「こう?」
少年「そうそう!これで見張り台になる」
少女「みせてみせて~」
盗賊「この村の子供たちは良く協力し合うな」
青年「半年前とは見違える程元気になったね」
盗賊「狩りも大分上手くなって食事に困ることは無くなったな」
青年「魔物が来なければ割りと上手くやっていける」
盗賊「どんな魔物が来る?」
青年「粘菌のような魔物だよ」
盗賊「聞いたことが無いな」
青年「毒か病気を持ってるんだ」
盗賊「昔話ではスライムという魔物が居たらしいが・・」
青年「それかも知れないね」
盗賊「良い事を教えてやる・・魔物は階段を上がれない事が多い」
青年「え?」
盗賊「次は村の周りに堀を作ろう・・階段に出来れば尚良い」
青年「・・・・・そう来るか」
盗賊「もちろんお前一人でだヌフフ」
---
盗賊「たまには立ち回りやるか?」
青年「よし!!今度こそ!!」
少年「お~お兄ぃ!頑張れ!」
青年「いくよ!!」
盗賊「来い!!」
カン カン コン スッ
盗賊「!!!そうだ・・そうやって間を詰める」
青年「行ける・・」
カン カン コン スッ
盗賊「良い!!自分の間合いから離すな」
少年「おぉぉすげぇぇぇ」
少女「お兄ぃかっこいい~~」
盗賊「よし!明日から立ち回りも毎日やって行こう」
青年「穴掘りの後に?」
盗賊「そうだ・・疲れている時の方が荒が分かりやすい」
---
少年「お~~い!!大変だ~~」
盗賊「どうしたぁ!?」
少年「荷物が届いてる・・盗賊さん宛てに」
盗賊「なんだと!?見せろ」
配達人「盗賊さん宛てに商人から届け物です」
盗賊「うわ・・えらい沢山持ってきたな」
配達人「手紙も預かってます・・どうぞ」
”やぁ盗賊、元気にしているかな?
”君が騎士の師匠になる事は僧侶から聞いたよ
”どうやらこれも予定通りらしい
”こっちは順調に情報を集めている
”辺境の村で役に立ちそうな物を送るから
”有効に使って欲しい
”帰りを待っている
盗賊「荷物は何だ!?」
配達人「武器と防具類・・塩にコショウ・・薬と食料・・全部大量にあります」
盗賊「そりゃすげぇな・・お~いお前らぁ今日は今までに無いご馳走が食えるぞ!!」
少年達「うおぉぉぉぉ」
盗賊「おい!配達人!今から手紙を書くから商人に届けてやってくれ」
配達人「わかりました」
”商人へ
”辺境の村で掴んだ情報を送る
”勇者の選定は中立の国がやっている
”始まりの国は細菌兵器の開発もやっている
”細菌兵器に効く薬の開発も終わっているようだ
”ここ最近は魔物の数が減っている
”帰るのはもう少し掛かりそうだ
”僧侶へ
”騎士には親御が居ない
”騎士は非常に良い奴だ
”村の子供たちの為に一人で闘っている
”まだ例の伝言は伝えていない
盗賊「よし・・これで良い・・配達人!よろしく頼む」
---8ヵ月後---
カーン カーン キーン
盗賊「よし!少年達もいっぱしの戦士になってきたな」
青年「お~い実戦用の武器使うと危ないぞ」
少年「まだまだぁ!!」
カーン カーン キーン
盗賊「自主的にやったにしちゃ上出来だ!」
少年「これで魔物も怖くない!」
盗賊「その意気だヌハハ」
青年「師匠!村の全周に堀と階段作るの終わりました!」
盗賊「そうか!じゃぁ次の事を教えてやる」
青年「次?」
盗賊「お前の腕力と速さはもう十分だ・・次は技だ・・必殺技を教えてやる」
青年「必殺技・・」
盗賊「来い!立ち回りをやる!全力で力任せにやってみろ」
青年「はい!行きます」
盗賊「おっと・・ちょっとまて木の棒でやろう・・来い」
ガス! ガス! ゴス!
盗賊「おっとっと待て待て・・俺じゃお前の腕力には叶わん・・見てろもう一回来い」
青年「全力で行く!」
ガス! ガス! ゴス!
フラリ スッ ピタ
青年「ハッ!!!!!消えた・・」
盗賊「残念だがお前の首はもう無い」
青年「う、うしろに・・」ゾクリ
盗賊「これはなぁ・・アサシンスタイルと言う」
青年「どうして目の前から消える?」
盗賊「目の盲点に入って背後に回るんだ・・盲点は意外とあちこちにある」
青年「どうやって・・」
盗賊「1対1で対峙すると剣の先や柄の動きに目が行くだろう?・・・その時ここが見えない」ボカッ
青年「いだっ!!」
盗賊「俺の目を見ている時は・・・ここが見えない」ボカッ
青年「あたっ!!」
盗賊「相手の視線の死角に入り続けて背後に回る」フラリ スッ ピタ
青年「え?え?・・・ゴクリ」
盗賊「やってみろ」
少年達「アレなにやってるんだ?2人で踊ってるみたいだ」
---9ヵ月後---
フラリ スッ ピタ
盗賊「そうだ!それで良い・・お前は正攻法よりもそっちの方が向いているな」
青年「アサシンスタイルは盲点さえ分かれば色んな派生が出来るね」
盗賊「そうだな・・左右上下どこに回っても良いな・・足裁きが重要だ」
青年「こんな所で3メートル往復の練習が役に立つなんて・・」
盗賊「お前の脚力なら背後に回るのは1歩で済む・・だがな・・これは人間にしか通用しない」
青年「魔物を相手にする勇者の技じゃないねハハ」
盗賊「それがアサシンスタイルと言われる由縁だ・・忌み嫌われる」
少年「お~~い!!大変だぁ!!」
盗賊「あの少年いつも大変だ大変だって・・オオカミ少年になるぞ」
青年「ハハ・・・どうしたんだい?」
少年「はぁはぁ・・また兵隊が来た・・多分勇者の件だと思う」
青年「!!!今行く」
盗賊「俺は隠れて様子を見ておく・・行って来い!」
青年「わかった・・」
---
盗賊「・・・」(今回は長いな・・)
盗賊「お!?」(兵隊と1対1か?)
盗賊「面白そうだな・・・近くまで行くか」
??「・・では試合を始める・・両者礼!!」ペコリ
青年「お手柔らかに・・」
衛兵「本気で行くぞ!」ダダダ キーン
青年「つつつ」
カーン キーン キーン カーン
衛兵「防戦一方か?」
カーン キーン キーン
フラリ スッ ピタ
衛兵「消えた!?」
??「それまで・・」
衛兵「何!?」ギクリ
青年「・・・」
衛兵「いつの間に背後に・・」タラリ
??「これで決まりの様だな・・新しい勇者は青年!!君に決定だ」
青年「他の勇者候補は?」
??「何度も言わせないで欲しい。両親の理解を得れなかったり、模擬戦で勝てなかったり・・」
青年「僕には両親が居ない」
??「尚のこと都合が良い。十分な強さも持っている様だし申し分無い」
少年「お兄ぃ~すげえぇぇぇ・・お兄ぃが勇者だ!!」
青年「待って・・僕は辺境の村を守らないと・・」
少年「村は僕達で守るよ・・お兄ぃは安心して魔王退治に行って!」
??「・・という事だ。これが勇者の証だ。それと支度金として金貨1袋もある」
少年「すげええぇぇぇ金貨1袋って一生暮らせる・・」
青年「いや一生は無理だよ」
??「勇者に選ばれたからには1年以内に各王国のどこかに近況を報告に行く義務がある」
青年「そんな・・一方的な・・」
??「義務を放棄した場合は重罪で監獄行きになる事を忘れるな」
青年「重罪・・」
??「近況の報告は衛兵もしくは門番でも構わない・・とにかく生存情報だけは伝える様に」
青年「はあ・・」
??「では我々はこれにて帰還する・・新しい勇者よ・・精進せよ」
---10ヵ月後---
盗賊「よし!お前らみんな集まれ!これから金の稼ぎ方を教えてやる!」
少年達「は~い!!」
盗賊「裏山に咲く・・この葉っぱだ・・これはいやし草と言ってな・・集めて売れば金になる」
少年達「へぇ~・・」
盗賊「それからこれは毒消し草・・これは気付け草・・まんげつ草、つきみ草・・全部薬草だ」
少年達「いっぱいあるんだね」
盗賊「みんなで特徴を絵に描いておけ!・・あとで俺が薬草の効果を書いてやる」
少年達「はい!!」
盗賊「それから薬草を採るのは葉っぱだけにして根っこは残せ・・又生えてくる」
少年達「薬草ってそんなにお金になるんですか?」
盗賊「砂漠では薬草は高級品だ・・上手に育てて売れば金持ちになれるぞ」
少年達「おおおぉぉぉ!!」
盗賊「闇商人という奴に売れば全部買い取ってくれるぞ・・あとで売り方も教えてやる」
少年「みなぎってきたぁぁぁぁ!!」
---
盗賊「青年!お前には旅の仕方を教えてやる」
青年「・・・」
盗賊「なんだ元気が無いな」
青年「どうして僕が勇者に?」
盗賊「それは運命だ・・心配するな・・お前を助ける仲間が必ず現れる」
青年「仲間?」
盗賊「俺にもお前に似た仲間が居たが・・行方が分からなくなった」
青年「探さなくて良いのかい?」
盗賊「他の仲間が必死に探している・・かならず見つかるさ」
青年「僕は・・・勇者になる自信がないな」
盗賊「自信は俺も無い・・だが仲間である以上必ず助ける気構えだ」
青年「気構えか・・」
盗賊「だからお前は前を向いて生きる気構えを持て・・・絶対に途中で投げ出すな」
青年「わかった!!ありがとう・・師匠」
---11ヵ月後---
盗賊「おぅ・・十分だな」
青年「馬の気持ちが分かってきたよ」
盗賊「旅では体温をいかに維持するかだ・・馬も同じだ」
青年「僕の最初の仲間は馬かもね」
盗賊「ぬはは馬は人間並みに賢いぞ?食事、寝床、休憩・・・それから友情だな」
青年「馬との友情?ハハ」
盗賊「笑い事ではない!!馬はお前を最後まで守ってくれるぞ」
青年「馬に守られる・・か」
盗賊「・・そういえばお前に伝えておかなければならない事がある」
青年「え?何?」
盗賊「お前を愛し守ろうとする者からの伝言だ・・」
青年「・・何の話?」
盗賊「『わたしを置いていかないで』」
青年「???馬の気持ち?・・かな?」
盗賊「いずれこの言葉の意味が分かるときが来る・・絶対に忘れるな」
---1年後---
青年「・・・先生・・今までありがとう」
少年達「グスン・・」シクシク
盗賊「おいおい・・湿っぽいのは勘弁してくれぇ」
青年「村の子供達はみんな師匠の事を父親として見てたんだ」
盗賊「お前らはもう一端の戦士だ!!戦士が泣くんじゃねぇ!!」
青年「みんな!!これは最後の別れじゃないよ・・笑って見送りしよう!」
少年達「ぉぅ・・」
盗賊「んあぁ!!声が小さい!!腹から声を出せ!!」
少年達「うおおぉぉぉう!!また来てね~~!!」
盗賊「薬草たっぷり集めて置けよ?買取に来るからよ!?」
青年「師匠はこれから何処に向かうの?」
盗賊「・・・まぁ古巣に戻る」
青年「また会えるよね?」
盗賊「あぁ・・必ず会える・・約束してやる」
少年達「僕たちにも約束してくれる?」
盗賊「もちろんだ!!」
少年達「うおおおおぉぉ・・いってらっしゃーい!!」
盗賊「じゃぁな・・土産楽しみに待ってろ!!」ノシ
パカ パカ パカラッタ パカラッタ
---まいったな子供が出来ちまった---
乙です
先が気になってしょうがないです
おつ
リメイク前の作品は読んでいなけれど、これはすごいな
ぜひ最後まで投下してくれ
---魔王島地下---
ピチョン ピチョン
騎士「ガガガ・・」(喉が焼けて声が出ない)
騎士「・・・」ズル ズル
騎士「ンガー」(まぶたも垂れ下がって目が開かない)
騎士「グガガ・・」ズル ズル
??「ほう・・ブレスに焼かれてまだ息があるか」
??「体表皮の70%以上を失うと生き残る可能性はゼロだよハハハ」
??「君の場合90%は失っている・・時期に体温が上がって死ぬ」
??「呼吸器も焼けているな?面白い実験結果だ・・だが興味は無い」
騎士「ンガガ・・」ヨロ ガチャン!
??「フハハハまだ立つかね・・見たまえ・・新たなキマイラの幼獣を」
騎士「ガガガ・・」(エルフの娘)
??「君はそのゴミの方が気になるのかね?」
??「美しい四肢も動かなければタダのゴミだ・・研究の材料にすらならん・・持って帰るか?」
??「鉄柵を上げてやろう」
ガラガラガラガラガラ
騎士「・・・」ズル ズル
??「フハハハそんなにそのゴミが欲しいかハハハ」
騎士「ガガガガ」ポロポロ
??「研究室を汚さないで欲しいな・・そのゴミと一緒にお前も処分してやる」グイ
ズルズル ズルズル ズルズル
??「なかなかに重いな・・ゴミに抱きついて離さんかハハハハ」
??「冥土の土産に教えてやろう・・この研究室は直接海に繋がっているのだよ」
??「ゴミを海に捨てる為になハハハハ」
ズルズル ズルズル ズルズル
??「最後に言いたい事はあるか?」
騎士「ヴォォォォォ」
??「フハハハ怖い怖い・・負け犬にはお仕置きが必要だなハハハ」
??「これが何か分かるかな?・・カナヅチだ・・お仕置きをして海に捨ててやるフハハハハハハ」
ドカ ゴン ガス
---
---
---
フハハハハハ
---
---
---
---
---
---
---
---
”必死で逃げた
”エルフの娘を抱えながら
”目が見えないから
”耳だけが頼りだった
”漂流していたボートによじ登り
”二人で横たわった
”彼女の傷口を手で何度も塞ごうとした
”でもピクリとも動かない
”耳を澄ませても
”何の音もしない
”もう動かない
”もう居ない
---ピーン---
”指で弾く銀のアクセサリーの音だけが
”彼女が存在していた事を僕に教える
---ピーン---
---
---
---
---
---
---
---海---
ザザー ザザー
??「お~い!!ボートが遭難してるぞ!!」
??「どこだぁ!!?」
??「あそこだ!!」
??「人は乗ってそうか!?」
??「見えねぇな・・」
??「お~い!!誰か居るかぁ!?」
??「もっと寄せろぉ!!」
??「ボートに何か乗ってるぞ!?」
??「停船してくれぇ!!小船出せるか!?」
??「おぅ!準備する!!」
---小船---
??「お~い!!大丈夫かぁ?」
??「うわぁ!!・・」
??「こ、こりゃひでぇ・・海鳥に突かれまくってる」
??「亡くなって大分立ってるな」
??「・・でも肌はまだ白いぜ?」
??「こっちのデカイ遺体は・・うわ・・焼け死んでるのか」
??「金目の物だけもらって・・うぉ!!」
??「どうした?」
??「デカイ方はまだ息があるぞ!!」
??「おい!!おい!!だめだ・・」
??「とりあえずデカイ方は連れて行こう」
??「白い方はどうする?」
??「・・・まぁ連れて帰って海葬してやるか」
??「この白い方は女だな」
??「海鳥も女を食うってか?」
??「おい!いたずらするなよ」
---船---
??「どうだった!?」
??「2人居たが1人は死んでる・・もう一人は虫の息だ」
??「小船を上げてくれぇ!!」
??「生きてる方はひどい火傷だ・・海水に漬けて置いた方が良さそうだ」
??「何か持ってるか?」
??「いや・・まだ見てない」
??「死んでる方は後で海葬しよう」
??「お~い!!引き上げるの手伝ってくれぇ!!」
??「がっちりしてるな・・重い・・」
??「白い方は食い荒らされ方がひどいな・・おえぇぇ」
??「でもふにゃふにゃだな・・血抜きが終わった後みてぇだ」
??「だめだ・・先に海葬しよう・・飯がまずくなる
---
ボチャーン
??「黙祷!!」
??「よし!!デカイのはどうだ?」
??「息はしてる・・」
??「持ち物を確認してくれ」
??「何も持ってねぇなぁ・・お!?金貨が少し・・と」
??「おい!これ何だ?」
??「見せて見ろ!!」
??「・・・これって勇者の証じゃねぇか?」
??「えええええええ!!?」
??「おいおいおいおいおい・・・こ、こりゃえらい物見つけたぞ」
??「・・・って事はさっきの白いのは勇者の仲間か?」
??「うっわ・・・船止めろおぉぉぉぉ!!」
??「さっきの白い遺体何処行ったかわかるか!!?」
??「・・わかんねぇよ・・もう沈んでるよ」
??「いいから探せええ!!」
??「薬草無ぇか!?水も持って来い!!つぶした果物も用意してくれぇ!」
---
騎士「ぐが・ががが」
漁師「お!?お~い!!だれか来てくれぇ!!目ぇ覚ましたぞぉ~!!」
騎士「あがが」---ここはどこだ?---
船乗り「水持ってきたぞ!!飲めるか?」
騎士「・・・」---まだ生きている---
漁師「体起こせるか?」グイ
騎士「ぐあ!!」---なんで死なない?---
船乗り「うお!!・・変な方向に曲がってる・・背骨あたりが折れてそうだ」
漁師「動かさない方が良いな」
船乗り「話は出来そうか?」
騎士「あぐぐ・・」---声が出ない---
漁師「駄目そうだ・・つぶした果物だ・・口に流し込むぞ」グイ
騎士「んぐ・・んぐ・・んぐ」
漁師「こりゃ看護で一人付けた方が良いな」
船乗り「漁師村まであと3日だ・・辛抱してくれ」
---翌日---
漁師「お~い!あれを見ろぉ~!!」
船乗り「おぉ!!軍船だ・・でもこんな所に居るのはおかしくないか?」
漁師「・・・まさか幽霊船!?」
船乗り「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろおぉぉぉ」
漁師「どどどどんどん近づいて来る」
船乗り「方向変える!!」
漁師「あわわわ・・早く曲がれ早く曲がれ・・」
船乗り「ゴクリ・・」
漁師「甲板に誰も乗ってねぇ・・」
船乗り「ギリギリぶつかる進路は避けた・・ヒヤー」
ギシギシ ザブーン ギシギシ ザブーン
漁師「うはぁ・・気味悪りぃ」
船乗り「なんまんだぶなんまんだぶ・・」
---漁師村---
漁師「・・・なんか様子がおかしいぞ?」
船乗り「漁船がみんな離岸してる・・何かあったのか?」
漁師「あの漁船に聞いてみよう」
船乗り「寄るぞ」
漁師「お~い!!何かあったのかぁ~?・・・うお!何だお前ら漁船に何人乗ってる!?」
避難民「漁師村に魔物が現れてみんな避難しちょる~~!!」
漁師「なにーーー!!?みんなは無事なんか~!?」
避難民「全員無事や~~!!」
漁師「陸に上がれんのかぁ~~?」
避難民「今はやめといた方がええ~~!!」
漁師「こっちは遭難者乗せてるんだ!そっちに乗せれるか~!?」
避難民「無理や~~!!こっちも人乗せすぎや~~!!」
漁師「なら遭難者の面倒見れる人2~3人こっちに寄こせんかぁ~?」
避難民「そら助かる~!!」
船乗り「接舷するぞ~!!」
ドッスン
漁師「薬草と水があると助かる」
避難民「たんまり有るけぇ持ってけぇ~」
漁師「遭難者の状態が酷いんだ・・治療できそうな奴は居るか?」
薬剤師「あたしが行こうか?」
漁師「おうネーチャン頼む・・あと料理できるやつも居た方が良い」
調理人「わかった!!そっちに移る」
---
薬剤師「・・・・・」
漁師「・・言葉も出んか・・」
薬剤師「これは漁師村で手当ては無理だと思う」
漁師「困ったなぁ・・」
薬剤師「どうしてこんな風になったんだろう・・・うぇっぷ」
漁師「・・これを見ろ・・この遭難者は勇者だ・・恐らく魔物にでも・・」
薬剤師「え!!?それは大変!!早く治療の出来る町まで・・」
漁師「この漁船だと一番近い始まりの国の港町まで1ヶ月は掛かる」
船乗り「ダメだ・・こんな小さな漁船じゃこっちが遭難する」
薬剤師「半月待てば連絡用の商船が来る筈・・それに乗せるのが良いと思う」
漁師「半月この状態で持たせれるか?」
薬剤師「やるしかない・・よね?」
漁師「せめて陸に上がれれば良いのにな・・」
船乗り「しばらくは上がれそうに無いんだろう?」
薬剤師「調理人に言って包丁を持って来てもらえる?」
漁師「何するんだ?」
薬剤師「皮膚に張り付いた衣類を剥がさないと手当ても何も・・」
漁師「包丁で剥がすのか!?」
薬剤師「他になにか良い物ある?」
漁師「・・・」
薬剤師「あと調理師にお豆腐作らせておいて」
漁師「はぁ??豆腐??」
薬剤師「火傷には冷やしたお豆腐が薬の変わりになると思うの」
漁師「へいへい」
---数日後---
船乗り「・・・まだ陸に上がれねぇのか・・」
漁師「漁師村の方じゃ魔物退治が大変だって聞いてる」
船乗り「どんな魔物か聞いてるか?」
漁師「粘菌みたいな奴だとよ・・強くは無いが数が多いらしい」
船乗り「ん~む」
漁師「ところで例の勇者の事だが・・薬剤師の話聞いたか?」
船乗り「いや?」
漁師「全身の骨が折れてるらしい」
船乗り「全身?・・全身て何処の事だ?」
漁師「頭、手、足、背骨、肋骨・・全部ばらばらだそうだ」
船乗り「ひょーーーーーどうやったらそんなになる?」
漁師「さぁ?動けないのは火傷のせいじゃなく骨が折れてるせいだとよ」
船乗り「さすが勇者?・・ありえない怪我をするなヒヒヒ」
漁師「普通なら死んでる筈だと首をかしげてた」
船乗り「勇者を助けたってのは何か褒美が出るんかな?」
漁師「そりゃ王国からたんまり礼金が・・」
船乗り「船買い換えれるなヒヒヒ」
漁師「金貨一袋とか貰ったらぶっ飛ぶな!!」
---2週間後---
漁師「よ~し商船が入港した・・これで」
船乗り「おい!見てみろ・・傭兵達が降りて行く」
漁師「助かったな・・魔物退治がこれで終わると良い」
船乗り「お前は商船に乗るのか?」
漁師「そうだな・・あの勇者を王国に届けて礼金を貰いにいく」
船乗り「俺も行きてぇなぁ・・」
漁師「まぁ・・礼金が入ればしばらく休暇でも良いが・・一緒にいくか?」
船乗り「おおぅ・・勇者を担ぐ手伝いくらいするぜヒヒヒ」
薬剤師「あたしも一緒に行って良いかな?あの勇者の容体が気になるの」
漁師「おう・・そのかわり商船で面倒みるのはネーチャン・・お前がやれよ?」
薬剤師「あの勇者がどうして生きてるのか不思議なの・・皮膚の下にウロコみたいのもあるし・・」
漁師「ウロコだと!?」
薬剤師「ウロコかどうか分からないけど焼けてるのは皮膚だけでその下の筋肉はほとんど無傷・・」
漁師「へぇ~たまげた話もあるもんだ」
薬剤師「それよりも頭の骨が鈍器かなにかで殴られてバラバラなのに生きてるのが不思議で」
漁師「頭の中にも筋肉が入ってたりしてな!?うはは」
---商船---
船長「・・・始まりの国の港町まで4人乗せて欲しいと?」
漁師「頼む・・重症の怪我人を港町まで送りたいんだ」
船長「ふむ・・仕方が無いな積荷室の開いてるスペースで良いなら乗せてやる」
漁師「よしきた!出航はいつになる?」
船長「明日傭兵達が戻って来たら出航する」
船乗り「じゃぁ必要な積荷を乗せるよ~」
---
わっせ わっせ わっせ
漁師「おい!起きてるか?これから治療の出来るところに運んでやる」
騎士「・・・」
船乗り「おい・・目が虚ろだぞ?」
薬剤師「仕方が無いと思う・・かなりの痛みにこらえてるからそっとしておいた方が・・」
漁師「背骨を折るとか考えられんな・・全身麻痺状態か?」
薬剤師「運ぶときは振動を与えないようにゆっくり運んであげて」
漁師「おおぅそりゃ気が付かなかった・・そりゃ痛むわなぁ・・」
船乗り「どこに運ぶ?」
漁師「そうだな・・壁際で動かないように固定しよう」
船乗り「こっちで良いか?風通しも良さそうだ」
漁師「いや・・窓が見える所にしよう・・こっちだ・・ゆっくり降ろすぞ」
薬剤師「水と薬草も近くに置いて」
船乗り「わーってるよ!!」
薬剤師「到着するまでどれくらいかな?」
船乗り「この船なら2~3週間か?良い風が吹けば2週間だ」
---翌日---
薬剤師「あ!船が動き出した・・」
漁師「じゃぁ俺達は甲板に出てるから後はよろしく」
船乗り「なにかあったら呼びに来てな」ノシ
薬剤師「ふぅ・・」
騎士「・・・」
薬剤師「まだ話は出来ないかしら?」
騎士「ガガガ」
薬剤師「ダメね・・無理はしないで・・なにかあったら少し声を出してね」
---自分がこれからどうなるか分かってきた---
---魔女の指輪は手元にある---
---火傷を負って声が出ない---
---きっと行き付く先は始まりの国だろう---
---ドラゴンに食われた囚人は多分自分だ---
---やっとすべてを理解した------
---なぜ盗賊が師匠だったのか---
---自分がなかなか死なない理由---
---師匠が言った言葉の意味---
---必ず自分を助けに来る---
---生きて必ず復讐してやる!!---
---数日後---
ドタドタドタ
漁師「おい!!薬剤師のネーチャン!!船長が呼んでる」
薬剤師「え!?あたしに?」
漁師「船長室に来てくれだとよ」
薬剤師「じゃぁ勇者さんを見ててくれるかしら?」
漁師「わかった・・早く行って来い」
薬剤師「何だろう?」
漁師「なんだか薬を作って欲しいとか言ってた」
薬剤師「何の薬かな?」
漁師「どうやら傭兵達が熱を出してるらしい」
薬剤師「解熱剤かぁ・・」
漁師「詳しい話は船長に聞いてくれよ」
薬剤師「うん・・行って来る・・あとお願いね」
---船長室---
コンコン
薬剤師「入ります」ガチャリ
船長「おー良く来てくれた・・実は頼みがあるのだが・・」
薬剤師「解熱剤ですか?」
船長「んむ・・傭兵達が魔物の毒に犯されている様だ・・毒消しか解熱剤を作れんか?」
薬剤師「毒消しは作れますけど解熱剤は器具が無いので難しいです」
船長「まぁ毒消しだけでも良い・・傭兵の毒が他の者に移ってる様なんだ・・」
薬剤師「移ってる?・・・それは毒消しじゃダメかも・・」
船長「なぜだ?」
薬剤師「普通は毒が他人に伝染することは無いんです・・なにかの病気が原因と思います」
船長「ん~む・・どうすれば良いんだ?」
薬剤師「衛兵さんは何処に居るんですか?・・・隔離しないともっと広がるかも知れない」
船長「寝室で寝ているが?・・場所を移した方が良いか?」
薬剤師「はい・・空いてる場所はありますか?」
船長「ん~む・・他の者を甲板で寝るように指示を出す」
薬剤師「それが良いです・・具合の悪くなった人は寝室で隔離するようにお願いします」
船長「薬は何とかなるか?」
薬剤師「一応毒消しを作ります・・後で持ってきます」
船長「手数かけてすまんな」
---1週間後---
漁師「おい!船乗り!人手が足りんお前も手伝え!」
船乗り「うはぁーーーラクは出来んな・・」
薬剤師「病気が広がってるの?」
漁師「あぁ・・寝室に居た奴らは全員移った様だ・・働き手は俺達しかいねぇ」
薬剤師「寝室には近づかない方が良いと思う」
漁師「わかってる・・」
船乗り「食事は誰が運ぶ?」
漁師「くじ引き・・」
船乗り「息止めれば大丈夫か?」
漁師「なんとかなるだろう・・」
---
漁師「薬剤師のネーチャン!!食事何か作れるか?俺達じゃダメだ・・」
薬剤師「わかった~勇者さんの看護お願い~」
漁師「おう!!はぁはぁ・・」
薬剤師「!!?具合悪いの?」
漁師「いや大丈夫だ・・少し働き過ぎた・・丁度休憩したかった」
薬剤師「・・・」
---調理場---
ガチャガチャ
船乗り「手伝ってやろうか?ヒヒヒ」
薬剤師「あ!!お願い~」
船乗り「何作ってるんだ?」
薬剤師「上毒消し薬を作ってるの・・これを船長さんまで運んで」
船乗り「わかった」
薬剤師「船乗りさんは体調悪くない?」
船乗り「俺は大丈夫だなぁ・・」
薬剤師「一応今日から甲板で寝てくれるかな?」
船乗り「なに~~!!?そりゃないべ?」
薬剤師「船乗りさんまで病気になったらこの船の操作誰がやるの?」
船乗り「そんなもん・・大丈夫だべ?」
薬剤師「お願い・・多分漁師さんも病気に掛かってると思う」
船乗り「うは・・」
薬剤師「まだ到着まで1~2週間掛かるよね?」
船乗り「ん~~・・まぁしょうがねぇなぁ・・」
---2週間後---
船乗り「はぁはぁ・・もうだめだぁ・・はぁはぁ」
漁師「ううぅぅ・・」
薬剤師「どうしよう・・病気に掛かってないのはあたしだけ・・」
漁師「せ、船長もダメか?はぁはぁ」
薬剤師「ダメみたい・・船の操作分からないよぅ・・」
漁師「なんでネーチャンだけ掛からないんだ?」
薬剤師「免疫・・だと思うんだけど・・あたしの血清だと毒消しにならないの」
漁師「この間目に入れた液体の事か?」
薬剤師「どうしてあたしだけ免疫が出来たのかな?・・・」
漁師「その勇者は病気に掛かってないのか?・・はぁはぁ」
薬剤師「熱は出てないみたい・・あぁ・・そろそろ薬草を張り替えないと」
騎士「・・・」
薬剤師「・・・ハッ!!衣服に付いた血・・・あたし触ってる・・」
漁師「???」
薬剤師「免疫があるのは勇者さんかも・・」
騎士「・・・」
薬剤師「ごめんね勇者さん・・少し血を貰うね?」チクッ
騎士「あが・・」ポタポタ
薬剤師「・・・これで血清を作ってみる!」ゴソゴソ
ブンブン グルグルグルグル
---翌日---
薬剤師「どう?少しは良くなってる?」
漁師「・・わからんがラクになった気はする」
船乗り「んがーーーすぴーーーんがーーーすぴーーー」
薬剤師「血清が少ししか無いから一滴づつしか使えないの・・他の人にもあげてくる」
騎士「・・・」
薬剤師「待っててね・・すぐ戻ってくるから」
タッタッタ
---3週間後---
船乗り「ひょーーう見えて来たぁ!!」
漁師「おう!!病気でどうなるかと思ったけど・・なんとかなったなぁ」
船乗り「薬剤師のネーチャン呼んでくるわ」
船長「薬剤師には礼を言わんといかんな」
漁師「本当だ・・あのネーチャンが居なかったら今頃この船は幽霊船になってたハハハ」
船長「まったくだ・・」
船乗り「連れてきたぜぇヒヒヒ」
薬剤師「・・みんな元気になって良かったですね」
船長「少し到着が遅れたが昼中には始まりの国の港町に到着する」
漁師「降りる準備をしておこう!」
船長「薬剤師さん・・今回は大変お世話になった・・乗船員を代表してお礼を言わせて貰う」
薬剤師「いえ~とても勉強になりました」
船長「少ないがコレを持って行きなさい」ジャラリ
薬剤師「え!?こんなに?」
船乗り「ひょーーー儲けたなぁ!!帰りの船代でもお釣りが出る!」
薬剤師「ありがとうございます!」
---港町---
漁師「到着!!」
船乗り「これからどうする?」
漁師「怪我人をタンカに乗せながら動くのはあからさまにおかしいな・・」
薬剤師「馬車を借りれないかな?・・お金はあるし」
漁師「そんなのに使うのはもったいない」
船乗り「あそこに居る衛兵に声を掛けてみよう」
漁師「俺が行って来る」
衛兵「・・・どこだ?」
漁師「ここですわ・・そしてこれが所持していた勇者の証です」
衛兵「!!!・・・ここで少し待ってろ!町の警備隊を呼んでくる」
漁師「ほらな?これで泊まる宿の心配も無しだ」
薬剤師「直接始まりの国へ行った方が良かった気もするけどなぁ・・」
船乗り「馬車は揺れるぞ?」
薬剤師「そうかぁ・・背骨が折れてるから揺れない方が良いかぁ」
漁師「これで適切な処置をしてもらえる」
衛兵「こっちだ!!」
警備隊「ひとまず警備隊宿舎に運ぼう」
薬剤師「あ!!!待って!!!」
衛兵「ん?」
薬剤師「全身骨折してるから動かさないで・・」
衛兵「全身骨折だと?」
薬剤師「特に背骨が折れてるから動かすとショック死する可能性が・・」
衛兵「なんと!?」
薬剤師「タンカを使ってゆっくり運んで下さい」
衛兵「わかった・・警備隊!・・揺らさないように運べ」
---警備隊宿舎---
薬剤師「・・・大丈夫でしょうか?」
治療師「絶対安静です・・・生きているのが不思議なくらいです」
漁師「俺達はどうすれば良いかな?」
衛兵「今始まりの国へ連絡が行ってる・・指示があるまで警備隊宿舎で過ごして良い」
船乗り「港町に少し出ても?」
衛兵「それは少し待ってくれ・・君達が居なくなると私が上官に怒られる」
船乗り「・・・」
衛兵「事情を今聞く事も私には出来ない・・上官が来るまで待って欲しい」
漁師「・・せめて美味い食事だけでも・・」
衛兵「それは心配しなくて良い・・この客室でゆっくりしてくれ」
---数日後---
??「ここに居るのだな?」
??「はい!勇者を発見した者と思われるのが他に3名居ます」
??「分かった・・他の者を払え」
??「はぁ・・治療師もですか?」
??「そうだ」
??「分かりました」
ガチャリ
衛兵「治療師!部屋を出ろ!」
治療師「は、はい・・」スタスタ
衛兵「では・・どうぞ・・」
隊長「・・・」スタスタ
バタン
隊長「私は始まりの国の衛兵隊長だ・・緊張しなくて良い・・まずは今回の件・・礼を言う」
漁師「は、はい!」
隊長「3名にはそれぞれ礼金として金貨一袋を用意させる・・のちほど衛兵より渡されるだろう」
漁師「き、金貨一袋!!?」
船乗り「それぞれ!!?」
薬剤師「あわわわ・・」
隊長「して少し聞きたい事がある・・勇者を発見した場所と状況を詳しく教えてくれ」
漁師「はははははい!!それは・・・」
カクカクシカジカ
---
---
---
隊長「そうか・・・その海葬をしたのは女性だったのだな?」
漁師「はい・・勇者の仲間とは知らずに」
隊長「特徴は覚えているか?」
漁師「海鳥に食い荒らされて居まして・・肌の色は白でした・・」
隊長「!!?なに?・・私と同じ褐色では無いのか?」(白だと?)
漁師「間違いなく肌の色は白でした・・あ!あと毛髪は金色で腰までの長さがありました」
隊長「ふむ・・」(妹では無いな)
船乗り「・・銀のアクセサリーを・・」
漁師「何!?お前!!金目の物を盗ったなぁ!!」
隊長「今持っているか?」
船乗り「こ、これです」
騎士「ヴオオオォォォ!!」ググググ
薬剤師「ハッ!!動いちゃダメぇ!!」
隊長「かまわん!!やらせろ」
騎士「うががが・・」ズル ズル
船乗り「ひゃぁ・・・す、すまねぇ」
隊長「ふむ・・そのアクセサリーに思い入れがある様だ」
薬剤師「動ける体じゃないのに・・」
隊長「・・・3名!話は良くわかった!衛兵から礼金を受け取り帰路に戻って良い!」
薬剤師「あとはお任せしても良いのでしょうか?」
隊長「良い!万全の治療を施す」
薬剤師「ありがとうございます!!」
漁師「ではよろしくお願いします」
船乗り「うひゃぁ・・俺は金持ちだぁ・・」
---
隊長「さて・・勇者・・話は出来るか?」
騎士「ががが・・」
隊長「無理なようだな・・まぁ良い・・今はまず体を直せ・・のちに聞きたい事が山ほどある」
騎士「がっがっがっがっが・・」
隊長「なんだ?笑っているのか?」
騎士「がっがっがっがっが・・」
隊長「気でも狂ったか!?それにしても火傷が酷いな・・以前の面影がまったく分からない」
騎士「ぐっぐっぐっぐ・・・・」
隊長「まだ目は生きているな・・・それほどまでにやられて今何を望む?」
騎士「・・・」
隊長「タフな男だ・・魔王城へ行って来たのだろう?・・私は未だ行ったことが無い」
騎士「・・・」
隊長「前任の隊長から話は聞かされているが・・これほどとはな」
騎士「ぐっぐっぐっぐ・・・・」
---自分がどうなるか知っているのはこんなにも愉快とは---
---1ヵ月後始まりの国---
ガラリゴロリガラリゴロリ
門番「馬車を早く入れろ!」
衛兵「隊長はどこに?」
門番「今来る・・衛兵宿舎前で待て」
ガラリゴロリガラリゴロリ
隊長「・・・」スタスタスタ
衛兵「連行して来ました」
隊長「容体はどうだ?」
衛兵「順調に回復しているとの事です・・肩を貸せば歩ける様です」
隊長「そうか・・驚くほど早いな」
衛兵「治療師も同じ事を言ってました・・一体何者なんですか?」
隊長「それは機密事項だ」
衛兵「はぁ・・」
隊長「よし!私が肩を貸して連れて行く!衛兵は戻れ!」
衛兵「ハッ!」
隊長「いくぞ・・」グイ
騎士「あがが・・」
---地下牢---
隊長「看守!手を貸せ!」
看守「ハッ!」
隊長「先日の騒動の囚人から何か聞き出せたか?」
看守「例の囚人もキマイラの事を知っていた様です」
隊長「そうか・・」
看守「ですが・・おそらくもう死んでいます」
隊長「まぁ良い・・仕方がない・・墓地へ運んでおけ」
看守「それにしてもこの新入り・・ひどいですな」
隊長「舌を噛み切らん様にくつわをはめておけ」
看守「はぁ・・しかし」
隊長「食事はしっかり与えろ・・重要な参考人だ・・手当ても怠るな」
看守「ハッ」
ガチャリ ギー
看守「やはり死んでいます・・」
隊長「引きずり出せ・・新入りと交代だ」
看守「ハッ・・」ズルズル
隊長「私はもう少しここに居る。お前はその死体を早く外へ出せ。ヘドが出そうだ」
看守「ハッ!!10分で戻ります!くれぐれも他の囚人には近づかないで下さい」
隊長「なぜだ?」
看守「隊長にもしもの事があったら他の衛兵に袋叩きに合います」
隊長「フフ馬鹿にするな!そこらの男には負けん」
---
隊長「今日からお前の寝床はここだ・・・国王様の指示だ」
騎士「ぐっぐっぐっぐ・・・・」
隊長「何が可笑しい?・・気味の悪い奴だ・・ここの牢は鍵を掛けていない」
騎士「・・・」
隊長「逃げようと思えばいつでも逃げれる・・お前のその状態なら無理だろうがな」
騎士「・・・」
隊長(さわぐなよ?)ヒソ
隊長(模範的な囚人のフリをしていろ・・体をしっかり直したら逃げろ)
隊長(海賊王に会え・・始まりの国の隊長の遣いだといえば通る)
隊長(私ができる事はここまでだ・・)
隊長(但し・・知っている事すべてを私に話してからにしてくれ)
騎士「・・・」---なんだ?予定が違う---
---数日後---
囚人1「・・ちぃ!!この足枷どうやっても外れねぇ!!」
囚人2「脱走しようとするからだよアハハ」
囚人3「おい!見てみろよ・・新入りは特別扱いだぜ?」
囚人4「看守の隙を狙ってシメるか?」
囚人1「看守は外だ・・お前ら足枷無ぇんだから静かにシメてこい」
囚人2「ひゅぅぅぅちょっくら行ってくる」
騎士「・・・」
囚人2「おい!新入り・・なんでお前だけ食事が違うんだ?アー?」
囚人3「寝転がってんじゃねぇぞゴラ」ドス
騎士「がが・・」
囚人4「うお!!!なんだこいつ・・ひでぇ火傷だな」
騎士「・・・」ギロ
囚人2「んあぁぁ!!?気に入らねぇ目ぇしてんな?」
囚人3「うははぁ・・・なんか言って見ろ」
騎士「・・・」
囚人2「なんだお前!?そんなツラしてシカト決めてんのかぁ!?アー?」
騎士「ががが」
囚人3「うひゃっはぁー声も出ねぇのか!!」
囚人1「お前ら騒ぎすぎるな!!適当にシメておけ!!・・・静かにな」
囚人2(俺ぁ甘やかされてる奴が気に入らねぇんだ)ゴス ゴス
騎士「うが・・」
囚人3(うひゃひゃひゃ・・抵抗もしねえぞ?もっとやっちまえ!)ガス ガス
囚人4(おいおい!!俺にもやらせろ)ドス ドス
騎士「んがが・・」カラン
囚人2(お!!?なんだこりゃ?銀のアクセサリーか?)
囚人3(ひゃひゃひゃ・・乙女チックじゃ~ん?)
囚人4(貰っちまえ!!)
騎士「うがああああ」---思い出した!!---
囚人2(ひょー反応したぜぇ~うははぁ・・)
騎士「ぐぐぐぐぐ」---こいつら・・--
囚人3(返して欲しいのかぁぁぁぁ!?そうはいくか・・這いつくばってろ!)ゲシ ゲシ
騎士「ヴォオオオオオ」---エルフの娘をさらった奴らだ---
囚人4「雄叫びぃぃぃ・・ひゃっはぁ~」グリ グリ
騎士「・・・」---くそう・・もっと力が欲しい・・---
囚人4「うはぁ!!・・」ドタリ・・
囚人2「!!?なんだ?お前何した!!」
騎士「???」
囚人3「何かしやがったぞ!!!ふざけんなぁ!!」ゴン ゴン ゴン
騎士「うぐう」---くそ・・体が動かない・・---
囚人2「急所ねらえ!急所!!」ゴスン ゴスン
騎士「・・・」---動けぇ!!---
囚人3「くぅぅ!!・・」ドタリ・・
騎士「???」
囚人2「な、なんだぁ!!」
看守「お前らぁ!!何してる!!」
囚人2「!!?・・いや・・この新入りが他の囚人に襲い掛かってくるんだ・・」
看守「なにぃ!!?」
囚人2「見てくれ・・囚人3と囚人4がこの新入りにやられた」
看守「そんな訳ないだろ!!新入りは動けない筈だ!!」
囚人1「いや・・俺は見てたぜ・・新入りが無慈悲に殴り倒す所を」
看守「他の囚人も見てたのか!?」
囚人1「見てたよなぁ!・・全員!!」
他囚人「・・・」コク
騎士「・・・」
看守「ん~む・・足枷を着けるか」
囚人1「手枷もつけた方が良い・・そいつの手は早い」
看守「・・・他囚人!!倒れてる囚人を元の部屋に引きずって行け!」
囚人1「あんまり暴れる囚人とは過ごしたくねぇなぁ・・」
---
囚人2「おい!おい!目ぇ覚ませ」パシパシ
囚人3「ぅぅぅぅぅ」
囚人2「急にどうした?何されたぁ!?」
囚人3「わ、わからねぇ・・急に力が抜けた・・今も全身だるい」
囚人4「くぁぁぁ・・」
囚人2「お前もか?囚人4!!」
囚人4「俺は体が急に動かなくなった・・今も関節が動かしにくい」
囚人2「あの新入り何かやったのか!?」
囚人4「わからん・・」
囚人2「気味悪りぃな・・・今日はもう止めとくか?」
囚人3「少し横にさせてくれぇ・・」
囚人4「俺もだ・・少し関節曲げるの手伝ってくれんか?」
囚人2「めんどくせぇ・・自分でやれ」
---
看守「衛兵!奥にある足枷と手枷を引っ張ってきてくれ・・」
衛兵「またかよ・・」
看守「新入りが暴れるらしい」
衛兵「怪我人は?」
看守「放っておいて良い・・枷を付ける事は隊長には内緒にしておいてくれ」
衛兵「はぁ?」
看守「枷を付けるなという指示なんだ・・」
衛兵「くつわに足枷と手枷ってどんだけ罪人なんだ?」
看守「暴れて問題起こすよりは良い」
衛兵「・・・仕方が無い」
---
ズルズル ズルズル ガチャリ
騎士「・・・」---結局こうなるか---
衛兵「暴れるとこうなる・・悪く思うな」
看守「・・もう騒ぎを起こすな・・俺が責任取らされる」
騎士「・・・」
看守「ん!?お前・・体を起こせるのか?」
騎士「!!ハッ・・・」---そういえば体が少し動かせる---
看守「全身骨折だった筈だが・・おかしいな・・」
衛兵「じゃぁ俺は外に出るぞ」
看守「わかった・・新入りもおとなしくしてろ」
---1週間後---
看守「囚人1、囚人2、囚人3、囚人4!!条件付きで釈放が決まった」
囚人1「条件付きだとぉ~!?何の条件だ!?」
看守「大きな声では言えん・・」
囚人2「小さな声で言ってくれよぅ」
看守(エルフを狩ってくるのが条件だ)
囚人1「ぐぁーっはっははぁ~・・・早く足枷を外せぇ」
囚人2「ひゅ~~~~魔物狩りは俺達の専門だ!!最高の条件だな」
看守「外で執政が待ってる・・詳しい話はそっちで聞いてくれ!!」
囚人1「またエルフが食えるぜぇ~~!!ひゃっほ~う」
看守「大きな声でソレを言うな・・」
ガシャーン!! ドカーン!!
看守「な、なんだ!?」
囚人2「おい!あの気味の悪りぃ新入りが動いてるぜ?」
騎士「ががが・・や・めろ」ズル ズル
看守「しゃべった!?」
囚人1「おい!!早く足枷外せゴラ!!」
看守「分かってる!!」カチャ カチャ
囚人2「・・・あいつ足枷と手枷引きずって近寄ってくるぞ・・」
看守「新入り!!動くなぁ!!それ以上動くと衛兵を呼ぶぞ!!」
騎士「エル・・フ・・がりを・・やめ・・ろ」ズル ズル
囚人2「あいつ動けるのか!?」
看守「よし!足枷を外した」
囚人1「・・・やんのか?ゴラ・・ギッタギタのボッコボコにすんぞ!?」
看守「お前らもここで問題起こすのは止めろ!」
囚人1「だまってろ!!おい!囚人2!あいつを羽交い絞めにしろ」
囚人2「ひゅ~~~おい!囚人3と囚人4も手伝え!!」
囚人3「俺は力が出ねぇよ・・」
囚人4「まだ関節が動かしにくい」
囚人2「ちぃ・・・役立たずだな」
看守「新入り!!牢に戻れ!!」
騎士「ぐがが・・」グイ ブン ガシャーン!
看守「手枷の鉄塊を投げた・・・衛兵!!!!衛兵!!!!」ダダダダ
囚人1「おうおう危ねぇ事しやがる・・だがさすがに足枷の鉄塊は重いだろ」
騎士「ゆ・・る・・さ・・ん」ズルズル
囚人2「あんなバケモノ羽交い絞めできねぇぞ?」
囚人1「かまうか!!やっちまえ!!」ボカン ボカン
騎士「ヴォオオオ」グイ ブン ガシャーン!
囚人2「ぐはぁぁ・・」
囚人1「ボケっと見てるな避けろ!!」
囚人2「なんなんだ?こいつ・・てててて」
衛兵「おい!!止めろ!!」
看守「あの新入り囚人を止めろ・・手枷の鉄塊を投げてくる」
ダダダダダダ
衛兵「押さえろ!」グイ
囚人1「ぐあっはっはぁ~形勢逆転かぁ!?」ボカ ボカ
看守「囚人1!!お前も止めろ!!さっさと外に出ろ」
騎士「うがぁ!!」グイ ブン ドスン!!
囚人1「あぎゃああぁぁ」
囚人2「おい衛兵!!武器使えよ!!」
衛兵「もっと押さえろぉ!!」
騎士「ぐぐぐ・・」
囚人1「・・っつつつ・・こんなバケモノ相手してられるか・・」
看守「早く行けぇ!!」
騎士「・・ま・・て」
囚人1「おい!お前らこんなの放っておいて行くぞ」
囚人2「おう!最後に一発・・・」ボカッ
囚人3「あへ」
囚人4「うい」
騎士「んがががが」---もっと力を---
囚人2「!!?はう・・」ドタリ
囚人1「!!また始まった・・囚人2!!しっかりしろ・・」
衛兵「押さえろおぉぉぉ!!」
看守「早く行けと言っとるだろうが!!」グググ
囚人1「いくぞ・・囚人2!肩を貸す!!来い!!」
騎士「ぐぐぐ・・」---力を---
看守「!!?あへ・・」ドタリ
囚人1「逃げろ逃げろ逃げろぉ!!」
衛兵「んむむむ押さえ切れん・・」
---数週間後---
スタスタスタ
隊長「・・私が不在の間何があったのか説明しろ」
衛兵「ハッ!例の新入りが他の囚人と揉めまして・・その・・暴れだしました」
隊長「被害は!?」
衛兵「・・いや・・ありません・・」
隊長「看守はどうした!?」
衛兵「血圧が上がったかどうかで倒れました・・今は静養しています」
隊長「私はどうしろと命令した!?」
衛兵「・・・・新入りには枷を付けるなと」
隊長「新入りが暴れたときには枷を付けていたのか?」
衛兵「はい・・・」
隊長「新入りが暴れた理由は何だ?」
衛兵「詳しくは分かりませんが4人の囚人にチャカされていた様です」
隊長「囚人同士の揉め事は囚人同士で解決させれば良いのでは無いか?」
衛兵「・・・・はい」
隊長「新入りを独房に入れた理由は何だ!?」
衛兵「・・・暴れた際に押さえつけるのに20人必要でした」
隊長「もう一度言う・・何か被害はあったのか?」
衛兵「あ、ありません・・数名血圧が上がって倒れたくらいです」
隊長「衛兵が上官の命令に背く事を何と言う!?」
衛兵「は、反逆罪・・です」
隊長「反逆罪はどうなる!?」
衛兵「・・・・・」
隊長「これは連帯責任だ!!衛兵全員に100日間の強制強化訓練を命ずる」
衛兵「ゴクリ・・」ブルブル
隊長「終身刑では無い分やさしいと思え!!新入り1人抑えるのに20人掛かる腑抜けが問題だ!!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「下がれ!!」
---独房---
ピチョン ピチョン
隊長「・・・」スタスタ
騎士「・・・」
隊長「・・せめて・・くつわを外してやる」ガチャ ガチャ ドサリ
隊長「手にも足枷と同じ重さの鉄塊を付けられてるのか・・」
隊長「気の毒だが・・独房は私の管轄では無い・・・国王直下なんだ」
隊長「私に出来るのはくつわを外してやる事位しか出来ない・・」
隊長「模範的な囚人をしていろと言ったはずだ・・なぜ騒ぎを起こした?」
騎士「がが・・エ・ルフ・・がり・・をやめさ・・・・せろ」
隊長「!!?何ぃ・・・どういう事だ!?」
騎士「し・・っせい・・が・・エ・・ルフが・・りを・・しき・・してい・・る」
隊長「執政だと!?・・・」---私に隠れて何か動いているな---
隊長「・・なるほど囚人を釈放する条件でエルフ狩りをやらせているな?」
騎士「・・・」コク
隊長「フフフお前には出来る限り会いに来てやる」
騎士「ぐっぐっぐっぐっぐ・・」
隊長「・・その笑い方・・衛兵の言う通りお前はバケモノかも知れんな」
騎士「・・・」
---少しずつ自分がバケモノになって行くのを感じる---
---怒り、悲しみ、恨み、憎しみ、復讐心、憎悪---
---だが絶望は感じ無い---
---
ピチョン ピチョン
---
---
---
---
---
”滴るしずくの音
”石から伝わる地面の音
”隙間から吹く風の音
”自分の心臓の音
”そして耳の奥で鳴る深淵の音
”深淵の奥から何かが這い出してくる
”憎悪
---ピーン---
”分かった事がある
”銀の響きが深淵の音を掻き消していく
”彼女が伝えようとしたのは
”多分これだ
”そして僕は
”この音に救われている
---
---
---
---
---
早く読みてぇ
---中立の国のとある倉庫---
囚人「材料が入ったぞ」
商人「よし!じゃぁこの図面の通り組み立てて欲しい」
僧侶「あぁぁぁぁ・・商人立ったらダメ~ェ・・」
商人「ハハ少しくらい平気さ」
囚人「こでれ最後だな?」
商人「そうだよ・・完成だよ」
僧侶「商人!!座ってて~~」グイ
商人「じゃぁ・・僕は古文書の解読に専念するかな・・また凄い事を発見したんだ」
僧侶「今度はなに~ウフフでもわたしには理解できないかなぁ~」
商人「見てよこれ・・祈りの指輪っていう項」
僧侶「えーっと・・他人から魔力を吸う?・・そんな感じの絵だね~」
商人「その後だよ・・他人から命を吸うとも書いてある」
僧侶「へぇ~魔女の指輪の事かなぁ?」
商人「この指輪は他人からあらゆる力を吸えるらしい・・製法はエルフの秘伝だってさ」
僧侶「じゃぁエルフの長老とかが知ってるかもね~」
商人「古代の魔術師達はこの指輪で魔物達から魔力を吸ってたみたいだ」
僧侶「・・ねぇ商人?・・少し休憩すれば~?」
商人「大丈夫だよ」
僧侶「もうわたしよりずっと体重軽いよ~?」
商人「やる気が出てる最中なんだ・・回復魔法してくれれば良いよ」
僧侶「回復魔法!」ボワー
---
女海賊「はぁ~い♪」
囚人「女海賊か・・丁度良い所に来た・・手伝え」
女海賊「あたしは忙しいの!!」
僧侶「あ!!ねぇねぇ~女海賊~眼帯変えたの~?」
女海賊「パパが変えろってうるさくってさぁ・・あたしはハート型が良かったのに」
僧侶「キャプテンって感じ~ウフフ似合ってるかも~」
商人「やぁ女海賊!調子はどうだい?」
女海賊「中立の国の外の海域はもうあたし達の物だよ・・海路の封鎖は完璧!!」
商人「順調だねハハハ通った商船は全部奪って良いよ・・民間船は通してあげてね」
女海賊「海路の物流を止めてしまって良かったのかい?」
商人「良いよ・・どうせ王国は僕に泣きついて来る・・そこで君のパパ海賊王が運搬役になれば良いのさ」
女海賊「・・・バレないかな?」
商人「気球で襲撃する君達と船の海賊王が繋がってるとは考えにくいんじゃないかな?」
女海賊「気球はまだ有る?」
商人「買い占めた気球が大量にあるよ・・全部持っていくかい?」
女海賊「帆付きなら全部貰う」
商人「じゃぁ囚人を少し手伝った方が良いかなハハ」
囚人「おい!!女海賊!!手伝って行けぇ!!」
女海賊「ダメダメェ~あたしはこれから弓矢の仕入れに行くの!!」
囚人「帆付き気球と弓矢はセットになってる・・手伝え!」グイ
女海賊「・・・間違った煙玉と閃光玉だった」
囚人「それもセットだ」グイ
女海賊「ちょちょっとぉぉぉ~」
---翌日---
女海賊「・・じゃぁ気球全部貰うね!!」
囚人「フン・・お前が作った分はお前の物だ・・」
女海賊「アレ?奥にある変な形の気球は?」
商人「アレは僕達の気球だよ・・砂漠の砂嵐でも飛べるように改造してるんだ」
女海賊「超かっこいい!!・・もう一つ作って?あたしも欲しい」
商人「作戦が全部済んだら君にあげるよ」
女海賊「キタコレ!!聞いたよ!!約束だかんね!?」
商人「約束してあげるよ」
囚人「おい!むさくるしい奴らを早く連れて行け」
女海賊「野郎共ぉ~~気球に乗り込めぇ~~!!」
野郎共「おう!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ
---
---
---
商人「さぁ僕達は商人ギルドに戻ろう!」
僧侶「は~い」
囚人「商人・・背中に乗れ・・」ヨッコラ
商人「いつもすまないね・・囚人」
---商人ギルド---
ブルルルル ヒヒ~ン
僧侶「あっ!!あの馬は!!盗賊が帰ってきてる~」
商人「!!?お?」
盗賊「よう!!待ってたぜ・・どこ行ってたんだよ」
商人「盗賊!!やっと帰ってきたか」
盗賊「・・・商人・・・お前痩せたな・・・体は大丈夫なのか?」
商人「大丈夫さ」
僧侶「ねぇ盗賊~~騎士はどうだった?」
盗賊「あぁ・・良い男だった・・最高の弟子だ」
僧侶「うわぁ~ん・・わたしも会いたいよ~ぅ」ポロポロ
盗賊「まぁまぁ・・中に入って話そう」
商人「そうだね今日はもう商人ギルドを閉めよう」
囚人「商人・・ベットに運ぶぞ?良いのか?」
商人「あぁそうして」
---商人の部屋---
---
---
---
カクカクシカジカ
盗賊「・・・で辺境の村は子供達だけで生活している」
僧侶「うぇ~ん・・」シクシク
盗賊「まぁそんなに泣くな・・騎士はドラゴンの耐性があるから簡単には死なん」
囚人「ドラゴンの耐性は生きている内は驚く程の回復力を持つ・・心臓を貫かない限り死ぬことは無い」
商人「騎士のしぶとさはソコから来てたんだね・・予定通りといえば予定通りかぁ」
盗賊「商人!お前の情報収集はどうだ?」
商人「あぁ・・結論から言うと騎士はまだ見つかっていない」
何から話そうかな・・女盗賊から行くか
彼女は始まりの国の防具屋に扮して情報収集してくれている
防具の交換で城に入った時に間違ったフリをして牢屋に行ったそうだ
火傷を負った囚人はもう居なかったらしい
変わりに城の詳細見取り図を作ってくれた
あと最近では衛兵の間で奇病が流行っているとの事
ある日突然衰弱するんだって
僧侶「!!!それ知ってる~」
商人「お!?そういえば君も始まりの国の衛兵だったね」
僧侶「牢屋の他に監獄塔というのが有ってね・・そこの看守になると病気になるとか」
商人「え?監獄塔!?女盗賊が書いてくれた見取り図でいうと何処になる?」パサ
僧侶「本当は王族が使う塔なんだけど・・姫が居ないから監獄として使ってるの~ここだよ」
商人「・・それは一般人では分からない情報だね」
僧侶「それでね~衛兵の皆は看守になりたがらないんだ~呪いだとかの噂もあったよ」
商人「ふ~む・・なんか気になるなぁ」
盗賊「おお!!そういえば大事な話を忘れてた・・」
商人「なんだい?」
盗賊「腕の良い薬剤師の噂を聞いた・・漁師村に居るらしい」
商人「薬剤師が何の関係が?」
盗賊「お前の心臓に効く薬が作れるかもしれん・・難病を治したとかいう話だ」
商人「僕は大丈夫だよ」
盗賊「もう立つ事もままならないんじゃないのか?」
商人「・・・」
盗賊「高速船を使えば7日~10日で行ける・・・一度行って見よう」
僧侶「賛成~商人は少しお休みが必要」
囚人「・・・新しい気球を使えばもう少し早く行けるのではないか?」
盗賊「新しい気球って何だ?」
商人「砂漠の砂嵐でも飛べる気球を作ったんだ・・そうだね・・テスト飛行で行ってみようか」
盗賊「お~そりゃすげぇ」
商人「囚人!明日から僕の変わりに商談をやってもらえるかな?」
囚人「構わん・・」
盗賊「囚人でもやれるのか?」
商人「ハハハ盗賊より良い仕事をするよ・・今はみんな囚人の事を闇商人だと思ってるよ」
盗賊「ほぅ・・良い影武者が出来たな」
---翌日---
商人「・・・じゃぁ囚人!作戦通りよろしく」
囚人「わかっている・・早く行け」
盗賊「この気球・・球皮がえらく小さくて細長い・・飛べるのか?」
商人「これは熱だけで浮くんじゃないんだ・・船の帆の原理と同じで飛ぶんだよ」
盗賊「言ってる意味が分からん」
商人「風の力を帆で受けて浮く方向に力を作用させるんだ」
盗賊「操作方法は?」
商人「前の気球とそんなに変わらないよ・・帆の操作も帆船と変わらない」
盗賊「まぁ動かして覚えるが早そうだな」
僧侶「ごーごーしゅっぱ~つ!!」
盗賊「い、いくぞ?」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワ フワ
商人「そう!それで風の魔石のバルブを開けてみて」
盗賊「お、おう!」グイ プシュー
商人「後は帆の操作だけでどんどん高度が上がるよ」
盗賊「わかった・・じゃぁ出航する!!」
---飛行船---
ヒョーーーーウ バサバサ
盗賊「こりゃすげぇ!!めちゃくちゃ早えぇ!!」
商人「今までの気球は大きな球皮が進む速さを殺していたんだよ」
盗賊「なるほど・・高度上げれば上げるほど速度が出るな・・縦帆もあるから風上にも進める訳か」
商人「この技術は機械の国の気球より上だと思う」
盗賊「空中で止まれるか?」
商人「それは出来ない・・すこしづつ高度が下がる」
盗賊「ふむ・・大体出来る事がわかった」
商人「後は慣れだね・・ハァハァ・・少し・・横になる」
盗賊「おい!大丈夫か?空気が薄いか?」
商人「平気さ・・横になれば多分良い」
---
盗賊「よし!安定飛行に入った」
僧侶「手伝わなくて大丈夫~?」
盗賊「もう手は要らん・・ところで商人」
商人「ん?」
盗賊「勇者の行方はどうなった?海賊王の娘は?」
商人「あぁ・・海賊王の娘は無事だよ・・今は女海賊で名が通ってる」
盗賊「勇者はどうなってる?」
商人「しばらく海賊王の所に居たらしい・・・でも何も言わず去ったってさ」
盗賊「そうか・・魔女には報告できんな」
商人「そうだね・・でも女海賊が仲間になった・・あの子は勝機を見る才能がある」
盗賊「勝機?」
僧侶「魔王城に行った時も罠だと察知していの一番で本物の勇者と一緒に逃げたんだって~」
盗賊「ふむ魔女が言ってた事と合致するな・・女海賊は本物の勇者だと知っているのか?」
商人「いや本人は気付いていない・・けど勘で察知してるかもね」
盗賊「勘だと!?」
商人「そうなんだよ・・勘が鋭い子だよ」
---翌日---
ヒョーーーーウ バサバサ
盗賊「何をそんなに熱心に勉強しているんだ?」
商人「古文書の解読さ・・過去の伝説ばかりだよ」
盗賊「伝説に興味があるとはお前らしくないな」
商人「なかなかに馬鹿にできないよ?」
盗賊「どんな事が書いてある?」
商人「魔王が倒されたそのずっと昔の話さ」
第1の時代
エルフが世界を支配していた
エルフは祈りの指輪を用いその時代を築け上げた
しかしその祈りの指輪を封印しようとする者が現れた・・・後に魔王と呼ばれる
第2の時代
魔王はエルフから指輪を取り上げ指輪の乱用を禁止した
ところが魔王が持つ祈りの指輪を人間が盗み
人間は祈りの指輪の製法を復活させ時代を支配しようとした・・ここまでは割りと平和な時代
第3の時代
魔王は怒り狂ったが祈りの指輪を持つ人間に対して苦戦していた
魔王は人間は水が無いと生きていけない性質を逆手に取り
命の泉から湧き出る水を汚染する事で人間達は徐々に弱体していった
その後人間は滅ぶ寸前まで行ったが
突如、勇者を名乗る者が現れ魔王は倒された・・・これが200年前
盗賊「祈りの指輪を巡る争いだな」
商人「最後に走り書きで水が汚染されてる以上必ず人間は滅びるとある」
盗賊「続きは無いのか?」
商人「魔王が倒されて以降の記述が無い・・誰が書いたのかは不明」
盗賊「なるほど・・・全部解読出来そうか?」
商人「まだ半分だよ」
盗賊「そうか・・解読も大変だな」
---3日後---
盗賊「漁師村が見えて来たぞ!」
僧侶「すご~く早かったね~ウフフ」
盗賊「これだけ早いと旅がラクだな」
商人「盗賊?陸に降りる場合は広い場所に下りて」
盗賊「大丈夫だ!!空中で静止するように帆を操作すれば良いんだろ?」
商人「ハハさすが飲み込みが早い」
盗賊「まかせろ!!降りるぞ!!」
フワフワ ドッスン
---漁師村---
商人「ここが漁師村?」
盗賊「・・・ようよう・・なんだか寂しい村だな・・本当に薬剤師居るのか心配になって来た」
僧侶「わたし先に行って聞いてくるね~」
盗賊「おう!俺は商人背負って後から行く」
僧侶「迷子になったら宿屋でね~」ノシノシ
盗賊「俺達は先に宿屋に入る」
僧侶「オッケ~♪ウフフ」
盗賊「さぁ・・商人俺の背中に乗れ」よっこら
商人「すまないね・・」
---
僧侶「ねぇねぇ~すみませ~ん・・薬剤師さんを探しているのですが・・」
村人「あんた何処から来なすった?悪いことは言わん・・早く村を立ち去れ」
僧侶「え~困ったなぁ・・何かあったんですか~?」
村人「1年程前にな・・疫病が流行って村人はみんな亡くなってしもうた・・」
僧侶「薬剤師さんはどうしてるのかなぁ?」
村人「村外れで薬の研究をしておる・・魔物を捕らえてな・・」
僧侶「え!?魔物を??」
村人「なんでも疫病は魔物から移るという話だ・・近づかん方が良いぞ」
僧侶「た、大変・・・商人に病気が移っちゃう・・」
---宿屋---
ガチャリ バタン
盗賊「お、おう!僧侶・・早かったじゃねぇか」
僧侶「あのね~疫病が流行ってるからね~商人に移らないか心配で戻ってきたの~」
商人「今も疫病が?」
僧侶「分からないけど・・薬剤師さんが飼ってる魔物から移るかもしれないって・・」
盗賊「魔物を飼ってるだと?」
僧侶「近づかない方が良いカモ~」
商人「無駄足だったかな?」
盗賊「おいおい・・そりゃ無えぜ」
僧侶「もし行くなら精霊の加護の祈りをしておいた方が良いと思うんだ~」
商人「加護の祈りは疫病も跳ね返すかな?」
僧侶「試した事ないけど守れるカモ~」
商人「ハハハ君は割りと賢いね・・そうしよう」
盗賊「じゃぁ商人を背負って一緒に行動するか」
僧侶「うん・・」
盗賊「付いたばかりで悪いが・・商人!背中に乗れ」ヨッコラ
僧侶「わたしはお祈りしておくね~」
---薬剤師の家---
『立ち入り禁止』
盗賊「・・・ここだな・・・立ち入り禁止となってるが」
商人「行ってみよう・・」
プギャー
盗賊「うお!!何だ?」
薬剤師「誰か来たの!!?・・・あ!!・・・ここは立ち入り禁止です!」
盗賊「立ち入り禁止って・・お前も立ち入ってるだろう」
薬剤師「あたしは・・病気に掛からないから・・」
盗賊「まぁよく分からんが・・・腕の良い薬剤師を訪ねに来た・・お前か?」
薬剤師「腕が良いかは分かりませんが・・一応薬剤師です」
盗賊「この商人は心臓に病気を持ってる・・良い薬を作ってもらいたい」
薬剤師「え!?あの・・困ります」
盗賊「作れないのか?」
薬剤師「今あたしは他の病気の薬を研究してる所でして・・」
盗賊「頼む!・・見てやってくれ・・もう死にそうなんだ」
薬剤師「・・・少し顔を・・・!!?これは低酸素症・・」
盗賊「何だ?」
薬剤師「あの・・ここは魔物の病気が移るかもしれないので・・」
盗賊「宿屋なら良いか?待ってる・・」
薬剤師「・・・・・はい・・後で行きます」
盗賊「すまねぇ恩に着る」
---宿屋---
コンコン
薬剤師「あたしです」
盗賊「おぉ!待ってた・・入ってくれ」
薬剤師「失礼します・・」ガチャリ
僧侶「来てくれてありがと~ウフフ」
薬剤師「ベットで横になっている方ですね・・すこし見せてください」
商人「あぁ・・ありがとう」
---
---
---
薬剤師「・・・大分心臓に負担が掛かっています・・・この病気は治す事ができません」
盗賊「心臓に耳を当てて分かるのか?」
薬剤師「心臓の音に雑音が混ざってます・・穴が空いているのかと・・」
商人「ハハそれは承知さ」
盗賊「数年の命と言われてもう数年経っているんだ・・なんとか出来ないか?」
薬剤師「症状を和らげる薬なら作る事ができます」
商人「それで良いよ・・僕は今死にたくないんだ」
薬剤師「その保障は出来ません」
商人「問題ないよ」
薬剤師「ただ・・副作用がキツイです」
商人「どんな副作用なんだい?」
薬剤師「血液の性質を変える薬ですが・・出血した時に血が止まり難くなります」
商人「出血しなければ良いんでしょ?」
薬剤師「体の中の出血は分からないので今よりも貧血気味になるのは間違いないです」
盗賊「じゃぁ増血剤も一緒に・・」
薬剤師「それだと血の性質を変えて心臓の負担を和らげる意味が無くなります」
盗賊「・・・」
商人「数年の命はどのくらい伸びそうかな?」
薬剤師「数年と数ヶ月・・・数年と言っても1年の人も居れば10年の人も・・」
商人「ハハハ気休めでも楽になるなら良いよ」
薬剤師「分かりました・・明日持ってきますので安静にして待ってて下さい」
商人「ありがとう」
---翌日---
薬剤師「持ってきました・・1週間分です」
盗賊「なぬ!!?1週間分しか無いのか?」
薬剤師「この薬はすぐに痛んでしまうので1週間分しか出せません」
盗賊「・・・まいったな」
商人「まぁ良いよ・・飲ませておくれ」ゴクリ
薬剤師「30分程で効き目が出てきます」
盗賊「なぁ・・薬剤師・・俺達に付いて来てくれないか?」
僧侶「そうだね~その方が商人も安心~」
薬剤師「いえ・・・あの・・・わたしは疫病の薬を研究してる所でして・・」
商人「・・その疫病の話を少し聞かせてくれないかな?」
薬剤師「構いませんが何かの役にでも立つのでしょうか?」
商人「たしか辺境の村でも魔物を媒体とした疫病が流行ったらしいんだ・・そうだろ盗賊?」
盗賊「あぁ・・俺は見てないが・・そうらしい」
薬剤師「・・ではお話します」
カクカクシカジカ
---
---
---
商人「ちょちょっと待って!!君が言う火傷を負った人は勇者の証を持っていたんだね?」
薬剤師「はい・・間違いありません・・始まりの国の港町まで看護をしました」
商人「これは・・とんだ所から情報が入ってきたね」
薬剤師「え!?」
盗賊「騎士に間違いないな」
商人「それでその火傷を負った人から血清を作って疫病を治したんだね?」
薬剤師「はい・・でも量が少なくて」
盗賊「ドラゴンの耐性だ・・・毒の耐性が出来る」
薬剤師「え?え?どういう事ですか?ドラゴンの涙を服用していたのですか?」
商人「そうだよ・・騎士はドラゴンの耐性がある」
薬剤師「・・・それでつじつまが合う・・・免疫だけ血清に出来たんだ・・」ブツブツ
盗賊「よし!これで決まったな・・俺達はその火傷を負った人を探しているんだ」
僧侶「わたしの婚約者なの・・」グスリ
商人「薬剤師さん・・君と僕達の目的が一致してる・・付いて来て欲しい」
薬剤師「・・でも家に捕まえてる魔物を・・」
盗賊「それは俺が後で処分してやる」
薬剤師「魔物の体液が付着すると病気に掛かります」
商人「それは大丈夫さ・・ねぇ僧侶」
僧侶「グスン・・」コクリ
---
商人「じゃぁ旅の準備をしてきて・・薬を作る道具も全部飛行船に乗せて」
薬剤師「はい・・一つお願いが・・無害な魔物を一匹連れて行って良いでしょうか?」
商人「無害なら問題ないよ・・あ!あとあんまり大きいのは無理かな」
薬剤師「いえ・・大きさは手のひらに乗ります・・スライムと言うんです」
商人「スライム?・・古代の魔物だね・・僕も見て見たいな」
薬剤師「良かった・・魔物は知能が無い訳じゃなく教えられてないだけなんです」
商人「へぇ・・」
薬剤師「教えてあげれば良い子に育ちます」
商人「君はどうやら僕達の良い仲間になれそうだ・・スライム王国でも作ろう」
薬剤師「えへへ」
---飛行船---
盗賊「じゃぁ出発するぞー!!」
薬剤師「すごい!!こんな乗り物初めて」
商人「僕が造ったんだ・・ここでバーベキューだって出来るんだ」
僧侶「なんか商人元気でてきたね~ウフフ」
商人「うん・・元気になったらお腹が空いてきた」
盗賊「おぉ!!じゃぁ今日は飛行船でバーベキューだ・・保存肉しかないが・・」
僧侶「水で戻せば~?」
商人「ハハハ良いね・・そういえばスライムは何を食べるのかな?」
薬剤師「この子は毒を食べて体に蓄えるんです」
盗賊「ほぅ・・毒を・・」
薬剤師「体内で毒の免疫を作るのでそれを利用出来ないか研究をしていました」
商人「すごいね」
薬剤師「でもスライムには血液が無いので人間に効果のある血清は作れないんです」
僧侶「良くわかんな~い・・わたしバカかなぁ?」
盗賊「・・・・・」
商人「ま、まぁバーベキューしよう」
---
ジュージュー
僧侶「頂きま~パク」モグモグ
商人「まぁまぁ美味しいね」モグモグ
盗賊「薬剤師!?何やってるんだ?」モグモグ
薬剤師「スライムに毒をあげてます・・このお肉にも微妙に毒が入ってます」
盗賊「肉にも毒が?」
薬剤師「どんな食べ物にも少しだけ毒が入っててスライムはその毒だけ食べます」
盗賊「・・・その肉はそのあとどうするんだ?」
薬剤師「あたしが食べる・・」
盗賊「おぇ・・・」
商人「ハハハ良いじゃないか毒の一切入ってない肉だよ」
僧侶「ねぇ~私も食べてみたいなぁ・・どんな味がするんだろ~」
薬剤師「味は・・無くなります」
盗賊「味が毒って事か」
商人「なるほど・・そうかもしれないね」
---
商人「・・・そうか・・その女性は海葬されたのか・・」
僧侶「ひっく・・ひっく・・」ポロポロ
盗賊「言葉もねぇな」
薬剤師「お知り合いでしたか?」
商人「仲間だったんだよ」
僧侶「エルフの娘がかわいそう~うぇ~ん」
薬剤師「火傷を負った人はその女性の身に付けてた銀のアクセサリーを大事にしてました」
僧侶「・・・一緒に買いに行ったのに」ポロポロ
商人「・・・でもどうして騎士は火傷を負ったんだろう?」
薬剤師「全身骨折もしていました」
商人「キマイラしか考えられないな」
盗賊「どこに居たんだ?魔王島には何も無かった・・」
商人「謎だね」
薬剤師「あの~・・キマイラとは何でしょう?」
商人「話すと長いんだけど・・遺伝子操作された魔物?って所かな」
薬剤師「遺伝子操作!!・・例の疫病も普通の病気と違って人工の病気じゃないかと疑っていました!」
商人「なるほど・・君の考えは正しいよ」
薬剤師「・・という事は」ブツブツ
盗賊「薬剤師は商人に似てるなヌハハ」
---中立の国の商人ギルド---
ワイワイ ガヤガヤ
商人「囚人!戻ったよ」
囚人「早かったな・・往復で10日程か」
盗賊「あの飛行船はめちゃくちゃ早かったぞ」
囚人「俺が組み立てたからだ」
商人「例の作戦は順調かい?」
囚人「この通り物流が停滞して大混乱中だ」
商人「王国の動きは?」
囚人「思惑通り・・闇商人と取引したがっている・・どうする?」
商人「よし!食料だけ流通させる・・ただし・・塩だけは流通させない」
囚人「買い占めて良いんだな?」
商人「良い・・これで王国は戦争を出来ない・・」
囚人「クックックお前のやり方は本当に闇商人だな・・いや魔王か」
商人「まだまだこれからだよ」
---秘密基地---
商人「・・・情報が揃ったね多分こういう事だ」
騎士は始まりの国の監獄塔に幽閉されている
魔女の指輪で看守の力を吸いながら生き長らえてるんだ
でも僕達5人だけで1000人近い衛兵を潜り抜けるのは無理がある
やっぱりドラゴンを先に仲間にする必要があるかな
盗賊「・・まぁ・・その通りだな」
僧侶「心配だよ~う」ソワソワ
商人「きっと大丈夫さ・・僧侶は未来を知っている」
僧侶「・・・」
盗賊「これからどうするんだ?」
商人「砂漠の砂嵐を飛び越えてドラゴンの棲家に行って・・取引をする」
盗賊「終わりの国のドラゴンの子を解放するのか?・・被害が大きすぎないか?」
商人「もうほとんどの商船は僕の手にある・・海賊王に裏航路で待機させる」
盗賊「全部避難させるつもりか?」
商人「そうだよ」
盗賊「出来るのか?」
商人「出来るのか?じゃなくてやるんだよ」
やり方は終わりの国の地下墓地のゾンビを全部解放する
衛兵達はゾンビを相手にしなくてはならない
混乱に乗じて僕達は城の内部からドラゴンの子を解放する
城の内部は囚人が熟知している筈さ
ドラゴンの子を解放したら市民を全部船に乗せる
これは海賊王達がやるんだ・・話は付けてある
囚人「やっと復讐の時が来た・・」
商人「今回は囚人と盗賊が肝だよ」
盗賊「俺が?」
商人「ドラゴンの解放は盗賊の鍵開けに掛かってる」
盗賊「!!!俺の専門分野か」
商人「そうだよドラゴンの入ってる大砲には鍵が掛かってるのさ」
商人「中立の国での取引がひと段落したらドラゴンの棲家に行く」
商人「そこは命の泉という場所さ・・親ドラゴンはそこを守っている」
---数日後---
僧侶「ねぇ・・塩が無いとどうして戦争ができないの~?」
盗賊「おう!それはだな・・保存食が作れないからだ」
僧侶「保存食?」
盗賊「普通の食べ物は塩が無いとすぐに腐ってしまう・・1週間もすれば兵士は食べるのもが無くなる」
僧侶「へ~」
盗賊「その他にもな・・戦いで血を流すと動けなくなる・・塩水を与えないとしばらくは動けん」
僧侶「そんなに大事な物だったんだぁ~」
盗賊「塩が無いと逃げる敵も1週間で追えなくなる・・いや往復を考えると3日しか動けん」
商人「よし!取引が終わった!明日ドラゴンの棲家に向かおう!」
囚人「商人ギルドは他の者に任せて良いのだな?」
商人「塩だけは流通させないように徹底させて」
囚人「わかった・・他の者に言い聞かせておく」
---飛行船---
盗賊「よ~し荷物全部積んだぞ」
囚人「商人!お前はもう歩けるようになったのか?」
商人「薬剤師の薬のおかげで随分楽になったよ・・食欲もあるんだ」
囚人「食欲があるのは良い事だ・・」
商人「ハハハ囚人には関係の無い話か・・血は足りているかい?」
囚人「闇取引では生き血も手に入る」
商人「血を売って金貨を稼ぐ人もいるからね」
盗賊「おい!!早くのれぇ!!出発するぞぉ~」
僧侶「どれくらいかかるの~?」
盗賊「地図によると歩けば2ヶ月だ・・この飛行船なら10日で行けるかもしれん」
商人「砂漠を歩くのは大変だよ・・僕はムリだ」
ゴゴゴゴゴゴゴ プシュー フワフワ
---
僧侶「薬剤師は何してるの~?」
薬剤師「・・これはねスライムがあたしの体に入った毒だけ食べれるか実験してるの」
僧侶「なんか気持ち良さそ~うウフフ」
薬剤師「全身なめまわされてる感じよ・・」
僧侶「わたしもやって欲し~い」
薬剤師「うん・・・やっぱり・・・反応が消えてる」
僧侶「???」
薬剤師「すごい事を発見したかも・・・」
商人「どうしたんだい?」
薬剤師「スライム・・この子はどんな毒でも直せる事を発見したみたい」
商人「僕にもやってもらえるかな?」
薬剤師「多分・・大丈夫」
商人「どうすれば良い?」
薬剤師「少し横になって・・・ハイご飯でちゅよ~」ベチャ
商人「うはは・・くすぐったいな」
薬剤師「そのままじっとしててね」
---
---
---
商人「なんか体がすごい楽になった気がする」
薬剤師「多分商人は心臓の機能が低下した事で腎臓の機能も低下してて体の毒を排泄しにくくなってるの」
商人「体に溜まった毒を全部食べてくれた?」
薬剤師「・・・これはすごい発見だわ!!スライムと人間は共存出来る!!」
僧侶「ねぇねぇ私達ってさぁ~本当に魔王軍みたいだね~」
盗賊「ヌハハ薬剤師連れてきて本当に良かったな」
---砂嵐地帯---
ビョーーーーウ バサバサバサ
盗賊「・・・こりゃ巻き込まれたら終わりだな」
僧侶「地面から空まで渦が繋がってるぅ~」
商人「地上から見ると砂嵐だけど上空から見ると竜巻だね」
盗賊「この間を縫って行けば良いんだな?」
商人「そうだよ・・抜けると高い山がそびえ立ってる筈さ」
盗賊「ハンター達はここを通ってドラゴンを狩りに行くのか?」
商人「いや・・山の尾根沿いに行くと聞いてる・・普通に行くのは難しいらしい」
盗賊「・・その命の泉って所の場所は分かってるのか?」
商人「一番高い山の頂さ・・行って見れば分かるはず」
盗賊「いきなり山頂に降りるのか?」
商人「ハハハ盗賊ならできるだろう?」
盗賊「ドラゴンに襲われたらどうする?」
商人「その時はその時だよ」
囚人「クックック・・命がいくつあっても足りんな」
---山頂---
ビョーーーーウ バサバサバサ
盗賊「見えて来た・・た、高けぇ・・まだ高度上げるのか」
商人「はぁはぁ・・さすがに息苦しいね」
薬剤師「商人!ゆっくり深く呼吸をしてね・・息を乱さないで」
商人「僕はやっぱり背負ってもらわないといけない様だ」
盗賊「それは気にするな」
僧侶「ねぇねぇもしドラゴンさんが居たらどうするの~?」
商人「僧侶は精霊の加護の祈りをしてて欲しい」
僧侶「わかった~」
盗賊「よし!!じゃぁ直接命の泉の前に下りるぞ」
フワフワ ドッスン
シーン・・・
盗賊「静かだな・・」
囚人「ドラゴンの気配は無い様だ・・」
盗賊「・・商人背中に乗れ」
商人「先頭は囚人にお願い・・僧侶と薬剤師は後から付いてきて」
囚人「行くぞ」
僧侶「命の泉って言うのに草木も生えてないんだね~」
盗賊「ここは標高が高すぎる・・高山植物すら・・」
商人「よく足元を見てごらん」
僧侶「・・・苔だぁ・・すごく小さな花が咲いてる~かわいい~♪」
商人「古文書にはその苔に癒しの効果があると書いていた・・さわってごらん」
僧侶「・・やわらかくて気持ち良い~ウフフ」
商人「僕は少し確かめたい事があるんだ・・命の泉まで行ってくれるかな?」
囚人「泉のある場所だな?こっちだ」
盗賊「音が・・俺達の足音しか聞こえない」
囚人「下界とは隔離された場所の様だ」
商人「いや・・そうでもないよ・・微かに水の音がする」サラサラ
---命の泉---
サラサラ サラサラ
盗賊「ここが・・命の泉?」
商人「何か見えないかい?」
僧侶「湖の真ん中に何か突き立ってるぅ~」
商人「!!!やっぱり古文書の内容は本当だったんだ・・」
盗賊「なんだアレは?」
商人「多分・・魔王が突き立てた魔槍だよ・・囚人!!あの魔槍を抜けるかな?」
囚人「・・・」ジャブジャブ
僧侶「浅~いウフフ」
囚人「フン!フンッ!フーンッ!・・だめだ俺の力では引き抜けん」
商人「そうか・・仕方が無いね」
盗賊「あの魔槍がどうかしたのか?」
商人「古文書では魔王は命の泉を汚して人間を弱体化させたとある・・」
盗賊「伝説の話だろ?」
商人「ひょっとして僕達の飲む水はこの魔槍のせいですべて汚れているのかも知れない・・」
ギャオース
盗賊「!!!ドラゴンが戻って来た!!!」
囚人「待て!!水場の方が都合が良い」
商人「僧侶・・精霊の加護を・・」
僧侶「は~い。オッケ~」
ギャオース バッサ バッサ ゴゴ~ン
盗賊「で、でけぇ・・」
商人「ドラゴンと取引をしに来た!!助けになって欲しい!!」
ギャオース ゴゥ ゴーン
盗賊「うわ・・いきなりブレスか」ヒヤ
商人「大丈夫だよ・・精霊の加護に守られている」
ドラゴン”精霊の加護を持つ人間か”
ドラゴン”人間よ我は下等な生物とは取引などしない”
ドラゴン”命の泉が汚れる・・立ち去れ”
商人「6匹のドラゴンの子を解放すると言ってもかい?」
ドラゴン”・・・・・”
商人「終わりの国でドラゴンの子が捕らえられてるのは知っている・・それを解放する」
ドラゴン”人間は信用出来ん・・立ち去れ”
商人「ならこうしよう・・僕達がドラゴンの子を解放する様を見ていてくれ」
ドラゴン”・・・・・”
商人「話はその後にしよう・・ただ・・少し協力してもらわないと解放できないかもしれない」
ドラゴン”・・・・・”
商人「解放したドラゴンの子を導いて欲しい・・必ず助ける」
ドラゴン”話は終わりか?・・・ならば立ち去れ”
---飛行船---
ゴゴゴゴゴゴゴ フワ フワ
盗賊「おい!良いのか?取引が成立したとは思えんが・・」
商人「フフならどうして僕達は自由に飛行船で帰れる?」
盗賊「・・・そういやそうだな」
商人「ドラゴンは僕達を殺すことなんて簡単な筈さ」
僧侶「商人!あったまい~~ウフフ」
商人「ドラゴンは何も言わないけど了解したんだよ・・僕達の行動を遠くで見てる」
盗賊「次はどうする?」
商人「海賊王と接触する・・いよいよドラゴンの子を解放する最後の調整だ」
---
僧侶「ねぇねぇ・・命の泉に突き立ってた魔槍・・なんか気になるなぁ・・」
商人「・・・君もそう思うかい?・・・僕もなんだ」
僧侶「あの魔槍は抜かないといけない気がするの~」
商人「水を汚して人間を弱体化さてたってどういう事なんだろう」
僧侶「もしもわたしが命の泉だったらね~あんなの刺さってたら痛いと思うんだ~」
商人「痛い・・ねぇ・・・」
囚人「痛みは憎悪に似た感情を産む・・それが流れ出てるのかもしれんな」
商人「その水を長い年月僕達は飲み続けてるのかな」
囚人「・・かもしれんな」
乙?
衛兵2の時点でウルってしまった
---1ヵ月後海賊船---
ザザー ザブーン
盗賊「この義手と義足すげぇな・・」
海賊王「それはなぁ・・機械の国で作った特注品や・・力の魔石と風の魔石が入っとる」
盗賊「どんな効果だ?」
海賊王「義手の方は力の魔石でな・・重い物でも持てるようになるんや」
盗賊「ほぅ・・」
海賊王「義足の方は風の魔石や・・すばやく動けるんや」
盗賊「・・でもなんでこんなに沢山・・」
海賊王「わいの趣味や・・海賊王たるものかっこ良くなくてはイカン」
盗賊「・・元がかっこ悪いのはどうする?」
海賊王「!!?なんやとぅ!!」
女海賊「まぁまぁまぁまぁ・・パパ落ち着いて」
盗賊「うはぁ・・恐えぇ恐えぇ」
---船長室---
商人「じゃぁ良いかな?・・海賊船は終わりの国の裏航路で待機」
海賊王「わかっとるわ・・市民を避難させれば良いんやな?」
商人「うん・・行き先はこの裏航路を通って辺境の村に降ろせば良い」
海賊王「辺境の村に全部移せるんか?」
盗賊「大丈夫だ・・十分な広さと最低限の食料も自給できる」
海賊王「怪我人も運んでえーか?」
盗賊「辺境の村には薬草が大量にある筈だ・・よほど足りる」
商人「・・それで終わりの国の地下墓地への横穴は完成したのかな?」
海賊王「大丈夫や!!教会の裏から斜めに地下墓地まで掘った・・柵を上げればわんさか出てきよるで」
盗賊「よし!最初は俺と囚人が柵を上げに行く」
商人「分かった・・騒ぎが起きた後は女海賊がゾンビを導いて・・良いかい?」
女海賊「アタシに不可能は無いよ!!」
商人「ドラゴンの解放は囚人と盗賊の2人でお願い」
囚人「わかっている」
商人「僧侶と薬剤師は僕と一緒に怪我人の処置だ」
僧侶「は~い」
商人「女海賊は最後に囚人と盗賊が脱出するまで教会付近で待機してて欲しい」
女海賊「だからアタシに不可能は無いって!!」
商人「よし・・じゃぁ行こうか・・」
---わたしたちがやっていることは正しいことなのかな?---
---終わりの国---
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊(囚人!顔を隠しておけ!お前はこの国じゃ有名すぎる)
囚人(余計な世話だ・・早く行くぞ)
盗賊(おい!慌てるな)
囚人(クックック・・無様な国王の姿が目に浮かぶ)
盗賊(・・・そんなに酷い仕打ちを受けたのか?)
囚人(家族を全員な・・)
盗賊(・・・)
囚人(教会はこっちだ・・先に家族に会いたい)
盗賊(わかった・・手短に済ませろ)
---教会---
盗賊(・・・そうか・・子供が居たのか)
囚人(この日の為に苦難の道を歩んできた・・涙が出ないのが悲しい)
盗賊(死者だとバカにしてきて済まなかった・・お前の心はまだ人間のままだ)
囚人(・・・・・)
盗賊(悪いが・・そろそろ時間だ)
囚人(よし・・行くぞ)
盗賊(教会の裏だったな・・あの林の中か?)
囚人(おそらくそうだろう・・待て!!・・上空でドラゴンが旋回してるな)
盗賊(ん??高い・・・見てるのか?)
囚人(急ごう!)
---林の中の洞窟---
ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ
ガラガラガラガラ ガシャーン
盗賊「よし!開けた!ゾンビを誘ってくる!」タッタッタ
囚人「お前はムリをするな・・後で解錠の役がある」
盗賊「分かってる!だが俺の脚力もバカにはならんぞ?」
囚人「クックック・・まぁ良い・・好きにしろ」
ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ
盗賊「うはぁ・・大量だぜ!!100は居るぞ」
囚人「このまま洞窟を出ろ」
タッタッタ
---街道---
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊(・・・そろそろ騒ぎ立てるか)
囚人(よかろう)
盗賊「助けてくれええええゾンビの大群が出たぁぁぁぁ!!」
盗賊「早く逃げろおおおおぉぉぉ」
盗賊「すごい大群だぁぁぁぁぁ!!」
盗賊「海に向かって逃げろおおおぉぉぉ」
(なんだ?ゾンビだって?)
(どこだどこだ?)
(うわああぁぁ教会からゾンビがぁぁ!!)
(に、逃げろおぉぉ!!)
盗賊「よし!上手く行った・・次は城だ!!」
囚人「付いて来い!こっちだ」
---城門---
門番「止まれ~い!ここは終わりの国王様の城である・・」
盗賊「たたた大変だ!!町にゾンビの大群が現れた・・100体以上居る!!」
門番「!!?な、なんだと?」
盗賊「一般民が襲われてる・・なんとかしてくれ!!」
門番「衛兵!!隊長に報告しろぉ!!」
衛兵「ハッ!」
盗賊「おい!!ここからでも見える・・ゾンビが100体じゃきかねぇ・・」
門番「・・どれ・・・うお!!・・・こりゃ大変だ」
盗賊「早く城門を空けてくれぇ!!みんなゾンビにやられちまう!!」
門番「わ、わかった・・」
ガラリゴロリガラリゴロリ
盗賊「衛兵!!衛兵!!助けてくれぇぇ!!町で大量のゾンビが暴れてるんだ!!」
---
隊長「武器を持って町の守備につけぇ!!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「手の空いてる者は大砲を一基1番塔から下ろせ!!」
衛兵「ハッ!!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
囚人「よし・・1番塔のやつから行くぞ」
盗賊「どれだ?」
囚人「付いて来い・・途中で衛兵の兜をかぶって行く」タッタッタ
盗賊「ぬはは慎重じゃねぇか」タッタッタ
囚人「面倒は避ける・・これをかぶれ!」ガポ
---1番塔---
盗賊「隊長からこの1番塔の大砲を一基降ろせと指示があった」
衛兵「何!?町はそんなに大変な状況なのか?」
盗賊「ゾンビの大群が100体以上は居る!!」
衛兵「100体だと!?・・」
盗賊「もっと居るかも知れない・・ここは俺達に任せて応援に行った方が良い」
衛兵「し、しかし・・」
盗賊「このままだとお前の家族もやられるぞ」
衛兵「くぅ!!!・・大砲の下ろし方は分かるか?」
囚人「分かっている・・魔法師はどうしてる?」
衛兵「魔法師は宿舎で休憩中だ・・呼んだ方がいいか?」
囚人「いや・・まだ呼ばなくて良い・・後で俺達が呼びに行く」
衛兵「わかった・・後は頼む!!」
囚人「盗賊!お前は上に上がって大砲の施錠を開けろ・・俺はここで大砲を降ろす」
盗賊「まかせろ!」
囚人「リミットは大砲が下に降りきるまでと思え・・降ろし始めるぞ」
ガラガラガラガラ
盗賊「そりゃ難易度高けぇな・・行って来る!!」ダダダ
---1番塔の上---
盗賊「おおぅ・・町が良く見える・・大混乱だな」
盗賊「こうしちゃ居られねぇ・・早く解錠しないとな」
盗賊「ぬぁ!!鍵が6つも有るのか・・間に合うか?」ガチャガチャ
盗賊「今出してやるからよカワイ子ちゃん・・親ドラゴンが迎えに来てるぜ?」ガチャガチャ
ガラガラガラガラ
---1番塔の下---
盗賊「ふぅ・・ギリギリ間に合ったな・・鍵が6つあるなんて聞いてないぜ」
囚人「子ドラゴンを引きずり出すぞ」
盗賊「お、おう・・」グイ グイ
囚人「よし!いい子だ」グイ グイ
ギャオース
盗賊「上に親ドラゴンが迎えに来てる・・適当に城の中で暴れて良いぞ!」
囚人「次の塔に行く・・来い」
盗賊「俺達に攻撃すんなよ?他の子ドラゴンが助けられなくなるぞ?」
囚人「急げ!!こっちだ」
ギャオース
---終わりの国の街道---
ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ
衛兵「数が多すぎる・・」ダダダ ザク
一般民「船だ!!船が来てる!!船に逃げろ~!!」
衛兵「くそう・・倒してもキリが・・・うわ!!こんな時にドラゴンが」
ギャオース
海賊達「海賊が助けに来たぁ!!一般民は海賊船に乗れぇ!!」
一般民「たたた助けてくれぇ・・」
(海賊船が助けに来てるらしい・・船に向かって走れぇ)
(ド、ドラゴンも沢山来てるぅ)
(王国の大砲はどうなってる!?)
(家がぁ家が燃えるぅ~)
(早く海へ逃げろぉぉぉ!!)
衛兵「これは魔王軍の仕業なのか!?」
---城内---
ゴゥ ゴーン
盗賊「大砲がブレス打ち始めたぜ・・」
囚人「魔法師に感づかれたな・・あと2つ」
盗賊「次はあの塔だな?はぁはぁ」
囚人「魔法師だけヤレるか?」
盗賊「俺を誰だと思ってる・・隠密のプロだ」
囚人「よし・・5番塔の下は俺が守ってやる・・盗賊だけで上の大砲を処理しろ」
衛兵「見つけたぞぉ!!」
囚人「盗賊!早く行け!!」
盗賊「5分で片付ける・・持ちこたえてくれ」ダダダ
囚人「・・・ここは通さん」
衛兵「!!!お、お前は・・・」
囚人「元・終わりの国衛兵隊長だ・・顔に見覚えがあるだろう」
衛兵「この騒ぎ・・すべてお前が仕組んだのか!?」
囚人「借りを返して貰いに来ただけだ」
衛兵「全員弓を持てぇ!!」
囚人「クックック・・賢い選択だ・・」ジャキリ
衛兵「盾持ちか・・構わん!撃てぇ!!」
スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン
ドス カンカン ドス カカン ドスドス カン ドドドカカカン
囚人「クックック・・それだけか?」
衛兵「なにぃ・・まだ立ってる」
囚人「俺は死なん・・いや俺は不死身だ・・お前らでは倒せん」
衛兵「もっと撃てぇ!!」
ドラゴン「ギャオース」 バッサ バッサ ドッスーン
衛兵「うお!!ドラゴンが・・」
囚人「逃げんとブレスが来るぞ?」
衛兵「散開!!散開!!」
ゴゥ! ボボボボボボボ
衛兵「うがぁぁぁぁ・・衛生兵!!衛生兵!!」
衛生兵「建物の影に!!」
盗賊「囚人!!大砲を下ろしてくれぇ!!」
囚人「・・・・」ガラガラガラガラ
---
盗賊「つつつ・・火傷しちまったぜ・・」
囚人「手は無事か?」
盗賊「あぁ手だけは無事だ・・魔法師が2人居て反撃された」
囚人「子ドラゴンを引きずり出すぞ」ズルズル
盗賊「お前はハリネズミみたいだな・・よくそれで生きてる」ズルズル
囚人「無駄口を叩くな・・あと1つだ」
盗賊「・・俺達の避難は間に合うか?」
囚人「さぁな・・なるようになる」
盗賊「早くしないと船に乗り遅れるな・・急ごう!!」
---6番塔---
隊長「この大砲だけは死守しろ!!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「来たな!!」
衛兵「あの2人に間違いありません」
隊長「大砲を放て!!」
ゴゥ ゴーン
盗賊「うお!ブレス!!」ヒラリ
囚人「むぅ最後の大砲には近づけんな・・」
盗賊「ちぃ・・ここまでか・・」
囚人「待て・・考えがある・・来い!!」ダダダ
衛兵「逃げたぞ!!」
隊長「追うな!!今はこの大砲を守る事が優先だ」
衛兵「しかしあの先には姫君が・・」
隊長「んむむ・・精鋭兵が居る筈だ・・」
衛兵「くぅ・・」
---姫の部屋---
姫「ハラハラ・・ソワソワ」
ゴゥ ゴーン ガガーン
ゴトリ・・
姫「!!?ハッ・・」
囚人「姫・・お助けに参った」
姫「・・あなたは・・元衛兵隊長様・・よくぞご無事で」
囚人「今は囚人だ・・囚人と呼んでくれ」
姫「なぜ秘密の裏口から?」
囚人「この国はもう終わりだ・・俺の理解者である姫だけは助けてやる」
姫「ついにお父様の悪行が払われるのですね?」
囚人「・・未練は無いか?」
姫「一般民が心配に御座います」
囚人「その心配は要らん・・船に避難を始めている」
姫「船に?」
囚人「そうだ・・すべての一般民を収容できる船を用意している」
姫「私はどうすれば良いのでしょう?」
囚人「囚われたドラゴンを解放している・・付いて来れるか?」
姫「はい・・やっと解放されるのですね?」
囚人「あと1匹だ」
盗賊「姫には捕らわれたフリをしてもらいたい・・・少々手荒になるが・・」
姫「終わりの国の業は謹んでお受けします・・」
囚人「業を受けるのは姫では無い・・姫の父君だ」
姫「・・・・」ポロ
囚人「心配するな・・民が生きてる以上この国はまだ復興が出来る」
姫「行きますわ・・私にも復興のお手伝いをさせて下さい」
盗賊「ようし!!姫の命預かった!!」
囚人「行くぞ・・裏口から出ろ」
ゴトリ・・
---6番塔---
ゴゥ ゴーン
スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン
隊長「ドラゴンは弓に弱い!!休まず撃てぇ!!」
衛兵「隊長!!例の2人が姫君を!!」
隊長「何ぃぃぃ!!?」
囚人「大砲を明け渡してもらおう」
隊長「ハッ・・お前は・・元衛兵隊長・・さては裏口から姫君を・・」
囚人「クックックその通りだ」
隊長「くぅ・・抜かった」
囚人「えらく出世したな・・旧友よ」
隊長「だまれぇ!!このままだとこの国は滅ぶぞ!!」
囚人「もう遅い・・ドラゴンとゾンビの怒りはもう収まらん」
隊長「お前こそ不死者の癖に・・」
囚人「そうだ・・この国は不死者の怒りを買っている・・お前も同様にな」
隊長「お前の家族を殺したのは・・国王の指示だ」
姫「・・・・」
囚人「もう失ったものは戻らない・・お前への信頼ももう戻らない」
隊長「姫をどうするつもりだ!?」
囚人「人質以外に何に見える?」
盗賊「大砲を渡さないと殺すぞ!?」
隊長「お前達にそれが出来るか?姫を育てたのはお前だろう!!」
囚人「・・・・」
盗賊「俺はこんな女に未練は無ぇ!」グサッ ポタポタ
姫「きゃあぁぁぁ・・痛いぃ」
衛兵「!!!姫ぇ!!!」
隊長「ま、待て・・分かった・・衛兵!!大砲から離れろぉ・・」
盗賊「さっさとどいてりゃ良いんだよ・・」---くぁぁ痛てぇぇ---
囚人「・・・・」---姫を刺すフリで自分を刺したか---
盗賊「ようし!!最後のドラゴンだ・・」---ちぃ出血が多い---
囚人「引きずりだすぞ」ズルズル
隊長「お、お前達・・なんと卑怯な」
囚人「クックックお前に言われたくないがな」
盗賊「大砲無しでドラゴンと戦う事を考えた方が良いぜ?」
隊長「姫君を放せ!!」
囚人「残念だが今放すと俺達の命が危ない」
ギャオース
盗賊「ドラゴンとやり合ってな!!」
隊長「逃げるのか!!」
囚人「クックック精々頑張るんだな」
隊長「くそぅ・・卑怯者めぇ!!」
盗賊「行くぞ!!」
囚人「衛兵を振り切ったら姫は自分の足で付いて来い!」
姫「は、はい・・」
盗賊「傷は痛むか?」
姫「かすり傷です・・あなたは?」
盗賊「ちぃと刺しすぎた・・力が入りすぎちまった」ボタボタ
ゴゥ ゴーン
スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン
---海賊船---
ザザー ザブーン
商人「ドラゴンが7匹・・上手くいったみたいだ」
海賊王「・・・この世の終わりの様な光景やな・・・」
商人「後は女海賊が盗賊と囚人を無事確保してくれれば良い・・」
海賊王「まだ避難民の収容は終わってないで?」
商人「ドラゴンのお陰で避難は慌てなくて済みそうだ」
海賊王「ほんまかいな・・町の中は地獄とちゃうんか?」
商人「・・・それにしても僧侶の回復魔法は凄いな」
海賊王「そうやな・・」
商人「正直驚いた・・あんなに回復魔法が回せるとは・・」
海賊王「魔力が良く持つのう」
商人「あんなに回して・・まだ魔力が持つのが不思議だ」
海賊王「勇者並みの魔力かえ?」
---僕は大きな勘違いをしているかもしれない---
---本当に世界を救えるのは心も癒せる彼女なのかもしれない---
---終わりの国の教会---
タッタッタ
盗賊「くそぅ・・目が霞んできやがる」ヨロ
囚人「女海賊が教会付近に居る筈だ・・もう少し辛抱しろ」
盗賊「分かってるが・・血が足りねぇ」
囚人「商人はいつもそういう具合なんだがな・・」
盗賊「こりゃきついわ・・」
女海賊「よ~し!!柵から全部ゾンビ出たね?」
海賊「あっしらもそろそろ逃げた方が・・」
女海賊「銀製品全部積んだかい?」
海賊「手当り次第積みましたぜ」
女海賊「アタシが最初に気に入った奴選ぶかんね?」
海賊「分かってますぜ」
女海賊「お!!盗賊と囚人が来たね・・飛行船の準備を!!」
盗賊「飛行船だ・・女海賊が居る・・助かった」ヨロ
囚人「女海賊!盗賊の手当てを出来るか?」
姫「私がやります!」
女海賊「誰さ!?この女」
囚人「終わりの国の姫だ・・俺の理解者だ」
女海賊「早く飛行船に乗って!!」
---飛行船---
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
女海賊「この飛行船凄いね!!」
盗賊「俺達の飛行船を勝手に・・」
女海賊「商人が使って良いってさ」
盗賊「お前こんなギリギリまで教会で・・」
女海賊「あんた達が空けた地下墓地の柵以外に他に何個もあるんだよ」
盗賊「1つだけじゃなかったのか・・」
女海賊「1つだけじゃ一気にゾンビ出すのはムリ!!アタシのお陰なんだから」
盗賊「それにしちゃ・・この銀製品の山はなんだ?」
女海賊「ヘヘー戦利品」
盗賊「抜け目ねぇな・・・」
女盗賊「ドラゴンはアタシ達をガン無視してるねぇ・・」
盗賊「恐くねぇのか?」
女盗賊「アタシの美貌を無視してるのが気に入らない!!キィィィ」
盗賊「・・・・・さすが海賊王の娘だ」
---海賊船---
ゴゴゴ フワフワ ドッスン
海賊王「おぉ!!我が自慢の娘!!戻ったか!!」
女海賊「もう!!パパ面倒くさい!!盗賊が重傷なの・・僧侶はどこ?」
海賊王「僧侶は他の船や」
女海賊「早く手当てしないと・・出血が多すぎる」
姫「わたしの血を使ってください!!」
海賊王「うお!!終わりの国の姫やないか・・」
商人「・・そんなに出血してるのかい?」
盗賊「・・・・」グッタリ
商人「意識が無いな・・・薬剤師!!来て!!」
薬剤師「うん!!分かってる・・塩水を用意して!!」
商人「盗賊・・大丈夫だよね?」
薬剤師「早く血を入れてあげないと・・傷口はどこ?」
囚人「左腕だ・・太い血管を傷付けてしまった様だ」
薬剤師「針と糸を持って来て・・それから姫から皮袋1つ分の血を抜いて」
女海賊「手伝おうか?」
薬剤師「お願い・・他に血を抜いても良い人を探してきて・・皮袋10個は必要」
女海賊「野郎どもぉ~!!アタシに抜いて欲しい奴は並べぇ~」
海賊達「うおぉぉぉ抜いてくれぇぇ」
女海賊「特別サービスだよ!!パンツ脱ぎな!!」
グサ・・うがぁ・・いてぇぇぇぇ
---翌日---
ザザー ザブ~ン
海賊王「一般民の避難は全部終わったで・・」
商人「よし・・僕達の船が最後かな?」
海賊王「そうや!!」
商人「ドラゴンは昼夜問わず終わりの国を攻撃してるね・・」
海賊王「塩が無いなら長いことは持たんやろ・・」
商人「僕がやっていることが恐くなってきたよ」
海賊王「そうやなぁ・・ほんまに魔王の仕業としか思えんわ・・地獄や」
商人「あそこで戦っている衛兵達を思うと心が痛い」
海賊王「もっと平和的に解決できたらなぁ」
---いつもの心臓の痛みとは違う---
---僕が犯した罪の痛みだ---
---苦しい---
---
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
盗賊「・・・すまねぇな僧侶」
僧侶「い~の~ウフフ」
盗賊「商人の言ってた意味が分かった・・僧侶の回復魔法を貰うと正義感が沸く」
僧侶「本当に~?うふふのふ~ウレシイなぁ~もっと言ってぇ~♪」
盗賊「そんなに魔法使って魔力は尽きねぇのか?」
僧侶「わかんな~い・・でもお腹は減る~」
盗賊「食ったもんが魔力になってるのかヌハハ」
商人「すまない・・僕にも回復魔法を貰えるかな・・」
僧侶「は~い!回復魔法!」ボワー
盗賊「おい・・大丈夫か?」
商人「違うんだ・・体調が悪いわけじゃないけど・・心が痛む」
盗賊「んむ・・そうだな」
---3日後---
盗賊「どうだ?」
商人「盗賊!もう立てるようになったのかい?」
盗賊「まぁな・・」
商人「盗賊も見ておいた方が良い・・国が滅ぶ様を」
盗賊「・・・・・」
囚人「言葉が無いな」
商人「軍事力で繁栄を極めた国も3日で滅ぶ」
囚人「一人も生きてはおるまい」
商人「これは人間が招いている人災だよ・・まだキマイラもゴーレムも居る」
盗賊「人間が持つ兵器にしちゃぁ部が大きすぎだな」
商人「僕はゴーレムが一番恐いよ」
盗賊「数百を超える巨人兵団か・・」
ギャオース
商人「来たな・・」
海賊王「おわ・・わわわわ」
商人「慌てなくて良いよ・・襲っては来ない」
バッサ バッサ ドッスーン
海賊王「うおぉ・・船が傾く・・」
商人「さぁドラゴン!取引だ!」
ドラゴン”我らは人間と取引はせぬ”
商人「僕の目的を話しておこう!人間が造るキマイラとゴーレムを止めさせる」
ドラゴン”下等な人間の言葉にしては良く言う”
商人「キマイラやゴーレム相手ではドラゴンでも只では済まないだろう?」
ドラゴン”・・・・”
商人「世界を救いたいんだ・・協力して欲しい」
ドラゴン”汝が王となるのか?”
商人「王?ハハハハ僕はもう世間では魔王さ」
ドラゴン”かつての魔王も始めは小さき力しか持っておらぬ”
商人「魔王を知っているのか?」
ドラゴン”我は1000年を生きる時の証人なり”
商人「では今変わろうとする時代に少し汲みする気は無いか?」
ドラゴン”汝は何を望む?”
商人「まず始まりの国で囚われの身になっている仲間を救いたい・・」
ドラゴン”何故その仲間にこだわる”
商人「今祈りの指輪を持っているのは彼だからだ」
ドラゴン”!!?祈りの指輪がまだ存在するか・・”
商人「フフ協力する気になったかい?」
ドラゴン”良いだろう・・但し・・祈りの指輪は破壊すると約束せよ”
商人「わかった・・事が済んだら破壊する」
---
ザザー ザブーン
海賊王「うっはっは~ドラゴンを載せた海賊なんざ他に居らんわぁ」
女海賊「パパ!アタシは飛行船で空から行くね」
海賊王「空からわいの勇士を眺めるんか?」
女海賊「・・え・・あ・・うん!そうそう」
海賊王「うっはっは~そうやろそうやろ」
商人「じゃぁ作戦通り一般民を辺境の村に降ろしたら中立の国の海域で・・
海賊王「わかっとる・・終わりの国の姫はどうするんや?」
姫「私も辺境の村で復興のお手伝いを・・」
盗賊「それが良い・・子供達が沢山居るぞ」
商人「僕達は途中で分かれて始まりの国へ向かう・・武闘会まであと2ヶ月だ」
僧侶「私も行く~」
商人「もちろんだよ・・君が居ないとこの作戦は失敗する」
盗賊「しばらくは船旅だな?」
商人「そうだね・・海図で言うとこの辺でドラゴンの背に乗ろう」
海賊王「そこまでは2週間って所やな」
商人「それまではゆっくりしよう」
---1週間後---
僧侶「商人と薬剤師はドラゴンに付きっ切りだね~」
盗賊「そうだな・・良い先生になってるんじゃないか?」
僧侶「ドラゴンさんっておとなしいんだね~」
海賊王「ドラゴンは賢いから無暗に襲ったりはせんらしいわ」
僧侶「神話で聞くドラゴンとは違うんだね~」
盗賊「どんな神話だ?」
僧侶「ドラゴンは私みたいな姫を捕まえて閉じ込めるとか~」
盗賊「僧侶みたいな姫かは知らんが理由があるんだろ・・」
僧侶「あ!!!薬剤師がドラゴンにスライム乗せてる~ウフフ面白そ~う♪」トコトコ
僧侶「ねぇねぇ何してるの~?ウフフ」
薬剤師「ドラゴンの毒を吸ってあげてるの・・高齢で毒の耐性が弱くなってるって」
僧侶「高齢だったんだ・・へぇ~」
薬剤師「ドラゴンの寿命は約1000年でもう1000歳を超えてるみたい」
商人「ドラゴンは寿命で死ぬ間際に子孫を産むんだってさ」
僧侶「へぇ~それで6匹の子ドラゴンが居るんだぁ~」
商人「間際と言ってももう10年以上前に生まれたそうだけどね」
僧侶「どれどれ私にも見せて~・・・あれ?目が濁ってる?」
商人「もう目は微かにしか見えてないらしい・・もうすぐ寿命だよ」
僧侶「良く見ると傷だらけだぁ・・回復魔法してあげよっか?」
商人「そうだね・・それが良い」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
ドラゴン”汝は浄化の力を持って居るな”
僧侶「へ?」
商人「そうなんだよ・・僧侶は魔力も尽きることが無い」
ドラゴン”その力・・役に立つかも知れぬ・・事が済んだら命の泉へ向かえ”
商人「え!?どういう事かな?」
ドラゴン”命の泉の中にある命の源から憎悪が流れ出して数百年”
ドラゴン”人間はその水を飲み現在に至る”
商人「!!?やっぱり僕の考えが正しかったのか・・」
ドラゴン”浄化には命の源を回復させる必要がある”
商人「じゃぁ突き刺さった魔槍を抜かないと・・」
ドラゴン”魔槍は普通の人間では抜く事は出来ぬ”
商人「抜く事が出来たとしてその後の手順を教えて欲しい」
ドラゴン”銀を使い穴を埋め浄化の回復魔法で命の源を復元させる”
商人「浄化の回復魔法が必要って事は・・命の源は憎悪で満たされてる?」
ドラゴン”汝は人間にしては賢いのう”
---2週間後---
商人「・・僕と薬剤師はドラゴンに2人で乗るよ」
僧侶「え~私達は~?」
商人「後で子ドラゴンが飛んでくるから僧侶と盗賊と囚人は一人ずつ乗って」
盗賊「子ドラゴンは話通じるのか?」
商人「さぁ?なんとかなるでしょ?」
盗賊「・・お、おいおい」
商人「冗談だよハハハ港町の宿屋で落ち合おう・・じゃぁ先に行くね」
ギャオース バッサ バッサ
盗賊「お~い!!・・行っちまった・・」
僧侶「大丈夫かなぁ・・」
---数時間後---
僧侶「おそいな~・・本当に来るのかなぁ・・」
盗賊「ん~む・・もう日が暮れる・・今日は来んかもしれんな」
海賊王「お~い!!そろそろ進路変えるけの~!!」
僧侶「大丈夫かな~・・」ソワソワ
盗賊「まぁ仕方ないな・・まだ1ヶ月半有る・・慌てないで待とう」
囚人「商人は何か考えが有りそうだな」
盗賊「あいつの考えてる事は良くわからん」
---翌日---
僧侶「ねぇねぇ今どこら辺?」
盗賊「海図だと・・この辺りだ」
僧侶「港町に遠ざかってるね・・大丈夫かなぁ?」
盗賊「ん~む飛行船の方が確実だったかもしれんな」
囚人「海賊王の娘が乗り回している」
盗賊「あのアバズレ・・親の教育が悪い!」
海賊王「う~はっくしょ~ん!!」ズル
盗賊「おい!!見ろ!!なんだありゃ・・」
海賊王「んん?・・・ありゃ機械の国の船や・・・遠いな」
盗賊「望遠鏡あるか!?」
海賊王「でかいのはわいのや・・お前はこの小さいのを使え」ポイ
盗賊「・・・・チッ」パス
海賊王「どれどれ・・」
盗賊「うお!・・クラーケンに襲われてやがる」
海賊王「まてまて・・ドラゴンもおるで?」
盗賊「おい!!甲板の上に乗ってる奴は何だ?何撃ってる?」
海賊王「巨人や・・あれがゴーレムちゅうやつか?」
盗賊「ちぃ・・望遠鏡が小さくてよく見えん!」
海賊王「巨人が手に大砲を持っとる・・クラーケン1匹とドラゴン6匹相手にしとるわ・・」
盗賊「巨人は・・・1体しか見えねぇな」
海賊王「そうやな・・1対しかおらんな・・あの大砲火吹いとるで?」
盗賊「でかいイカ焼きが出来そうだな・・・うわぁすげぇクラーケンが船持ち上げやがった」
海賊王「がははは巨人が海に落ちよったわ」
盗賊「あの船相当硬いな・・普通ならへし折れてるぞ」
海賊王「鉄の塊や・・中に閉じこもりゃぁ亀みたいなもんや」
盗賊「ドラゴンじゃ攻略できそうに無いな」
海賊王「そうやな・・クラーケンでも無理やろ」
---
僧侶「来たぁぁぁ~子ドラゴンさんがこっちに来たぁぁぁ~♪」
盗賊「機械の国の船は諦めたか?」
僧侶「・・アレ~なんか様子がヘンだなぁ~」
盗賊「巨人に大分やられた様だな・・僧侶!近づいたら回復魔法してやってくれ!」
僧侶「わかった~」
海賊王「クラーケンはまだ機械の国の船に抱きついとるで・・今の内に離れとかな・・」
ギャース バッサ バッサ ドサ
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「子ドラゴンは傷だらけやな・・」
盗賊「囚人!!子ドラゴンが来たぞ!!行けるか?」
囚人「乗れば良いのか?」
盗賊「先に乗ってくれぇ!!俺は次に乗る!!」
僧侶「話通じるかなぁ?」
子ドラゴン「ギャース」
盗賊「・・・ダメそうだ・・まぁなんとかなるだろ!!囚人!!行ってくれぇ!!」
囚人「先に行く」ドサ
ギャース バッサ バッサ
盗賊「僧侶は子ドラゴン回復して最後に来てくれ」
僧侶「なんかこわいよぅ・・わたし馬にも乗れないの~」
盗賊「つかまってれば何とかなる!!」
僧侶「ええええ~大丈夫かなぁ・・困ったなぁ・・」
---
僧侶「・・最後の子ドラゴンさん回復魔法!」ボワー
子ドラゴン「ギャース」
僧侶「ここここわいよぅ・・どうすればいいの?」
ギャース バッサ バッサ グワシ
僧侶「!!?お?捕まえられた?・・・あれ?捕らわれた姫の感じかも~ウフフ」
僧侶「ねぇねぇ子ドラゴンさん今から何処行くの~?」
子ドラゴン「ギャース」バッサ バッサ
僧侶「うわぁぁぁ・・早~い!!」
僧侶「ねぇねぇ皆に追いついてくれるかなぁ?回復魔法してあげるからさぁ」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
ギャース バッサ バッサ
---砂浜---
ザザー ザザー
僧侶「・・・困ったなぁ・・こんな所に降ろされてどうしよう」トボトボ
僧侶「ここは何処かなぁ・・」
僧侶「砂浜沿いに行けば何処かに着くかなぁ・・」
僧侶「え~っと・・迷った時は・・」
僧侶「1:水の確保 2:食料の確保 3:体力温存 だったっけ・・」
僧侶「もうすぐ日が暮れちゃうなぁ」
僧侶「海辺は寒くなりそうだなぁ~林を探さないと・・」トボトボ
---林---
ワッサ ワッサ
僧侶「よし!これで寝床はヨシと・・次は火を起こさなきゃ」
僧侶「火魔法!」ポ
僧侶「ふ~ふ~ふ~」メラ メラ
僧侶「騎士って一人でこんな事してたのかなぁ・・」
僧侶「罠張っておこ~っと」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
僧侶「よし!っと・・・寂しいなぁ」
僧侶「焚き木は足りるかなぁ・・お腹空いてきたなぁ・・」
??「明かりが見えるぞ」
僧侶「!!?」---まずいかも---
??「しっ・・」
僧侶「どかーん!!!!」
??「うお!!!僧侶か?」
僧侶「その声は盗賊さん?」
盗賊「おいおい探したぜ・・囚人!!こっちだ」
僧侶「良かった~~ふぇ~ん」
盗賊「・・・良かったはいいが・・どかーん!!は無ぇだろ」
僧侶「ど~ん!!の方が良かった?」
盗賊「ま、まぁ・・僧侶にしちゃ上出来だなヌハハ」
囚人「寝床まで作ってある」
盗賊「もう燃やしちまえ!港町はすぐソコだ・・こんな所で野営してるこっちが恥ずかしい」
僧侶「え!?そうなの~?」
盗賊「この林の先だ・・あんまり遅いから探しに来たんだよ」
僧侶「えへへ~」
盗賊「えへへじゃねぇ!早く来い!」
---港町の宿屋---
ガチャリ バタン
盗賊「僧侶見つけて来たぜ・・すぐそこの林で野営してやがった」
商人「大変だったね・・ご馳走用意してるよ」
僧侶「わ~い!食べていいの~?ウフフ」モグモグ
盗賊「ったく世話がやける・・」
商人「今日は疲れただろうから話は明日にしよう」
盗賊「そうだな」
僧侶「は~い」モグモグ
商人「薬剤師!後で例のやつおねがい」
薬剤師「うん」
---
僧侶「え!?何するの~?」
薬剤師「あなたの髪の毛伸びっぱなしでしょ?」
僧侶「・・そういえば3年くらい手入れしてないな~」
薬剤師「少し色を変えるのと髪の毛を切ってあげる」
僧侶「色?」
薬剤師「そう・・これからあなたは昔の自分に会う事になるって商人に聞いたわ」
僧侶「・・・」
薬剤師「面倒にはなりたくないでしょう?・・だから色を少し変えるの」
僧侶「髪の色もお薬で変わるの~?」
薬剤師「簡単な薬で変わるわ・・すこし時間掛かるけどね」
僧侶「眠たくなってきたなぁ・・ふぁ~あ」
薬剤師「目をつぶってて良いよ」
僧侶「うん・・そうする~むにゃ」
---翌日---
僧侶「おっは~♪」
盗賊「うお!!金髪か!!」
僧侶「うふふのふ~今日からエルフになるの~♪」
盗賊「エルフ狩りに合うぞ?」
商人「さて・・揃ったね・・今後について話すよ」
盗賊「おう!!」
商人「まず僧侶・・君は武闘会に出てもらう・・知ってるよね?」
僧侶「やっぱりそうだと思った~ウフフ」
商人「武闘会参加登録の為に身分証明を偽装する必要がある・・2週間は港町に居てもらう事になるかな」
僧侶「オッケ~♪」
商人「僕と薬剤師と盗賊はその間ちょっと探したい物があるんだ」
盗賊「何を探すんだ?」
商人「ドラゴンの話だと予言の書という物が始まりの国にあるらしい」
盗賊「なんだそれ?」
商人「どうやら僕が読んでいた古文書の続きらしいんだ・・複製されたものが各王国にある」
盗賊「城に有るのか?」
商人「城の書物庫だよ・・盗賊と女盗賊で忍び込んで欲しい」
盗賊「ふむ・・武器屋と防具屋のフリか?」
商人「察しが良いね・・その通りだよ」
僧侶「私と囚人はお留守番で良いの~?」
商人「君達はしばらくお休みだ・・自由にしていて構わない」
盗賊「今日行くのか?」
商人「そうだね・・馬車で行って2日かな」
---馬車---
僧侶「じゃぁ行ってらっしゃ~い!!」
盗賊「おう!エルフ狩りだけは注意しろよ!」
グイ ヒヒ~ン ブルル ガタガタ
盗賊「良いのか?僧侶を自由にして・・」
商人「ハハ良いんだよ・・港町で目立つように行動してもらった方が良い」
盗賊「なんでだ?」
商人「僧侶は武闘会に出るから王国にマークされるんだ・・僕らとは別の方が良いんだよ」
盗賊「ふむ・・囚人はそれを知ってるのか?」
商人「囚人からの提案だよ・・上手くやるさ」」
盗賊「ヌハハ抜かり無いな・・ところで予言の書の事だが・・」
商人「気になるかい?」
盗賊「あぁ・・お前も気になってるんだろ?」
商人「王国は予言の書に記されている予言を回避する為に軍事力に力を入れているらしい」
盗賊「何!?」
商人「ただ他国を凌駕する為じゃないかもしれないんだ・・気になるだろう?」
盗賊「そんな話聞いたこと無いぞ?」
商人「多分機密事項だろうね・・ただ僕は真実が知りたい」
盗賊「そんな重要機密が簡単に盗めると思うか?」
商人「解読する前の原本の写しなら割と沢山出回ってるってさ」
盗賊「じゃぁ解読にまた時間が掛かるな」
商人「ハハハその通りだよ・・僕はもう本を読むくらいしか君達の役に立てないからね」
盗賊「・・・心臓は悪化してるのか?」
商人「僕はもう薬剤師無しでは生きていけないよ」
薬剤師「・・・・・」
---始まりの国---
ガタガタ ヒヒ~ン ブルル
盗賊「さあ!付いたぜ!」
商人「まず防具屋に行こう」
盗賊「んむ・・女盗賊に会うのは久しぶりだな」
商人「ハハ気になるのかい?」
盗賊「薬漬けになってなけりゃ良いが・・」
商人「防具屋は何処かな?・・宿屋の近くらしいけど」
盗賊「あそこじゃねぇか?」
---防具屋---
店主「いらっしゃいま・・せ」
盗賊「よう!変わってないな商売はどうだ?」
店主「来月の武闘会のおかげで良く売れています」タラリ
盗賊「そりゃ良かった」
店主「装備品をお求めでしたら奥の部屋に・・」
盗賊「そうか・・じゃぁ奥の部屋から見させてもらおう」
---奥の部屋---
女盗賊(来るなら来るって先に言ってよ!!)ヒソ
盗賊(まずかったか?)
女盗賊(衛兵に少し疑われ出してる・・時間の問題よ)
盗賊(悪かったな・・今晩宿屋に来れるか?)
女盗賊(分かったわ・・配達で行くから待ってて)
盗賊(何か買っていった方が良いか?)
女盗賊(当たり前でしょ!)
盗賊「ゴホン!じゃぁこの皮鎧を頼む!」
女盗賊「かしこまりました・・サイズを合わせて配達致します・・」
---宿屋---
コンコン
女盗賊「装備品をお届けに参りました・・」
盗賊「鍵は開いているから入ってくれぇ」
ガチャリ バタン
商人「やぁ!女盗賊!久しぶりだねぇ」
女盗賊「・・・事前に連絡くらいして欲しいわ」
商人「ハハいつも感謝しているよ」
女盗賊「今回は私を迎えに来たのかしら?それともまた何かやらかす気?」
商人「両方だよ」
女盗賊「危険な仕事じゃないでしょうね?」
商人「結論から言うよ・・武闘会の後に君は僕達と一緒に来てもらう・・それと」
女盗賊「それと?」
商人「最後の隠密だよ・・城の書物庫から『予言の書』という物を盗んできて欲しい・・盗賊と一緒にね」
女盗賊「書物庫は衛兵宿舎の反対側ね・・入るのは簡単・・でも時間が掛かりそう」
盗賊「書物庫で『予言の書』を探すのは俺がやってやる・・どのくらい時間が作れる?」
女盗賊「武器と防具の交換で大体30分ね・・それ以上は無理」
商人「次に城へ交換に入るのはいつになるんだい?」
女盗賊「10日後」
商人「そうか・・じゃぁ盗賊は10日間防具屋で働いておいた方が良さそうだね」
盗賊「なぬ!!?」
女盗賊「フフ怪しまれないようにするんだったらその方がいいわね」
商人「良いじゃないかハハハどうせ10日間はヒマさ」
女盗賊「お手伝いという事で良いかしら?」
盗賊「ん~む・・仕方があるまい」
商人「僕と薬剤師はその間情報でも集めておくよ」
---翌日防具屋---
盗賊「・・・おいおい・・これ全部手直しするのか?」
女盗賊「その装備品を直して衛兵宿舎の壊れた装備品と交換するのよ」
盗賊「防具屋は結構大変だな」
女盗賊「・・・その大変な仕事を私にやらせてたって訳よ」
盗賊「武器屋の方が良かったかもな」
女盗賊「武器屋はもっと大変」
盗賊「うへぇ・・」
女盗賊「早くしないと食事に間に合わないわよ!」
盗賊「お前もヤレよ」
女盗賊「私は店番よフフ」
---10日後---
女盗賊「城門をくぐったら書物庫まで行って!左手にある建物よ・・見つからないように」
盗賊「分かった・・書物庫には誰も居ないよな?」
女盗賊「普段は人が入ることは滅多に無いわ」
盗賊「他に注意する事は?」
女盗賊「もし衛兵に見つかっても騒ぎは起こさないで・・私が何とかする」
盗賊「わかった」
---城門---
門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」
女盗賊「武器と防具の交換に来ました」
門番「むむ・・もう一人は誰だ?」
女盗賊「見習いです・・人手が足りないので来月から配達を任せようかと」
門番「ん~む・・武闘会の前では仕方ないか」
女盗賊「入ってもよろしいでしょうか?」
門番「防具屋の店主・・今度食事でも・・」
女盗賊「はい!喜んでお受けいたします」
門番「!!!衛兵!門を開けよ!」ニヤ
衛兵1「ハッ!!」
衛兵2「ハ~イ!!」
ガラリゴロリガラリゴロリ ガタン
女盗賊「では失礼します」ペコリ
盗賊「・・・」ペコリ
女盗賊(今よ!!)ヒソ
盗賊(すぐ戻る!)コソ~リ
---書物庫---
コソ~リ コソ~リ
盗賊(まず鍵開けか・・)カチャ カチャ カチン
盗賊(楽勝、楽勝・・)
盗賊(うお・・・こりゃまずい・・書物が多すぎる)
盗賊(予言の書って言うくらいだからそれなりに風格のある書物か?)ガサ ゴソ
盗賊(まいったな・・書物の色だけでも分かってれば)ガサ ゴソ
盗賊(原本の写しとか言ってたな・・まてよ?)
盗賊(解読する必要があるって事は俺は読めない書物だな)
盗賊(背表紙で読めない奴は・・・あれ?無いぞ?)
盗賊(・・・・・おかしい・・やっぱり無い)
盗賊(!!?ん?まてよ?あれは地図か・・)
盗賊(・・まぁ見たことのある普通の地図だが・・地名が読めんな)
盗賊(まさかこれか?・・・矢印と謎の文字)
盗賊(ちぃ・・時間が無い!この地図がきっとそうだろう・・)
コソ~リ コソ~リ
---衛兵宿舎前---
女盗賊「・・・はい・・では武闘会の後に又交換に参ります」
隊長「ご苦労であった!まっすぐ帰られよ」
女盗賊「え、えぇ」ソワソワ
隊長「んん?どうした?」
女盗賊「いえ・・忘れ物は無いかと思い直しております」---遅い---
隊長「あぁ何か見つけたら防具屋まで届けさせる。心配しなくて良い」
女盗賊「はい・・よろしくお願いします」
衛兵「ねぇねぇ防具屋さんの見習いさんはここで何してるの~」
盗賊「どかーん!!」
衛兵「わお!!ウフフ~ばっかみた~い」
盗賊「驚かそうと思ったんだが・・」タラリ
隊長「おい!衛兵を小馬鹿にするな!衛兵!お前もしっかり見張っていろ!」
衛兵「は~い!!」
女盗賊「・・・すいません見習いが失礼しました・・ただいま連れて返ります」
隊長「気を付けてな」
女盗賊「ありがとう御座います隊長様」
---街道---
女盗賊「・・まったくヒヤヒヤしたよ・・上手くいった?」
盗賊「ん~む予言の書らしき書物は無かったが・・見たことの無い文字が書いてある地図を見つけた」
女盗賊「見せてもらって良い?」
盗賊「構わんが・・お前に読めるか?」パサ
女盗賊「・・・う~ん確かに読めないわね」
盗賊「もう同じ手で書物庫に入るのは無理だな」
女盗賊「そうね・・私も大分目を付けられてる」
盗賊「まぁ・・まずこの地図を商人に見てもらうだな」
女盗賊「私は防具屋に戻るからあなたは宿屋に行って」
盗賊「おう!夜は宿屋に来いよ?」
女盗賊「フフ行けたら行くわ」
---宿屋---
盗賊「予言の書かどうか分からんが謎の地図を持ってきたぜ」
商人「待ってたよ・・見せて」
盗賊「俺には読めん文字が書いてある」パサ
商人「・・・いや僕にも読めないんだけど・・待てよ・・」
盗賊「何か分かるか?」
商人「×印の位置が・・・これは辺境の村辺りかな?」
盗賊「んむ・・その辺りだが」
商人「各王国の場所には沢山文字が書いてあるね・・何だろう?」
盗賊「王国に起きる惨事が書いてあったりしてなヌハハ」
商人「エルフの森は特に文字が多いね」
盗賊「こりゃエルフの文字か?」
商人「それは無いよ・・エルフは書物を残さない・・オーブを使って知識を残すんだ」
盗賊「そりゃ知らなんだ」
商人「この文字・・魔女なら読めたりするかもしれないなぁ」
盗賊「お前の持ってる古文書の文字と違うのか?」
商人「全然違うね・・さっぱり分からないよハハハ」
盗賊「これが予言の書だと良いな」
商人「そうだね・・まぁ信じよう」
---翌日---
商人「じゃぁ盗賊は港町まで僧侶と囚人を迎えに行ってくれるかな?」
盗賊「うむ・・お前は予言の書の解読か?」
商人「そうしたい所だけどちょっとね・・」
盗賊「む?まだ何か考えてるのか?」
商人「違うんだよ・・薬剤師の飼ってるスライムが分裂しそうなんだ」
盗賊「なぬ?増えるのか?」
商人「僕も見ておきたいと思ってね」
盗賊「ヌハハ勝手にしろ」
商人「新たな命の誕生の瞬間だよ?馬鹿にしちゃいけない」
盗賊「まぁ俺は興味ないな」
商人「免疫がそのまま遺伝するか・・変異するか・・興味深いよ」
盗賊「あ~分からん分からん・・港町まで行ってくる・・じゃぁな!」ノシ
---港町の宿屋---
盗賊「よう!戻ってきたぜ」
囚人「・・・」
盗賊「おい!僧侶はどうした?」
囚人「教会に行っている」
盗賊「そうか・・武闘会の参加証はもらえたか?」
囚人「あと1週間掛かる」
盗賊「なんだ!?遅いな・・」
囚人「塩不足の影響で羊皮紙も不足してるらしい」
盗賊「そんなところにも影響出てるのか・・原皮の保存が出来んのか」
囚人「そのようだ・・だが武闘会には間に合う」
盗賊「しょうがねぇな・・待つか」
---1週間後---
盗賊「お~い!!早く乗れぇ!!」
僧侶「・・・」
盗賊「どうした?腹でも痛てぇのか?」
僧侶「教会で司祭様に言われたことがあるの・・運命を受け入れなさいだって」
盗賊「なんだ?運命って・・」
僧侶「わかんな~い・・私の運命って何かなぁ?」
盗賊「さぁな・・良いから早く乗れ!騎士を助けに行くぞ」
僧侶「うん・・でもこわいの」
盗賊「大丈夫だ!」
僧侶「また同じ場面に出くわして・・違う事が起こるのがこわいよぅ」
盗賊「良く分からんが・・それを超えればやっと前に進みだす・・その筈だろ?」
僧侶「うん・・でもこわいよぅ・・わたしが消えてしまいそうで」
盗賊「・・・・・なるほど」
僧侶「違うことが起きた時・・わたしが消える気がしてこわいの」
盗賊「運命を受け入れろって事だな」
僧侶「うん・・」
盗賊「行くぞ!!」グイ ヒヒ~ン ガラガラ
---始まりの国の宿屋---
商人「やぁ!遅かったね」
盗賊「塩不足で羊皮紙も不足してるんだとよ・・武闘会の参加証も発行が遅れた」
商人「ハハハそんな所まで影響が出てるんだ」
盗賊「スライムは無事に分裂したか?」
僧侶「え!?分裂?なになに?」
商人「すごい事が分かったよ・・スライムは分裂して片方は変異するんだ」
僧侶「え?え?え?」
商人「変異というか・・進化になるのかな?」
盗賊「まぁ無事に増えた訳だな?」
僧侶「見せて見せて~ウフフ」
薬剤師「ほら!2匹」
僧侶「小さくなってる~かわいい~」
薬剤師「毒をあげないと大きくならないのよ」
商人「分裂を繰り返すといつか知能の高いスライムが生まれるかもね」
僧侶「ねぇねぇどうやって見分けるの~?」
薬剤師「・・・あたしもどっちがどっちか分からなくなった」
僧侶「わたしもほし~い」
---
商人「・・・もうすぐ武闘会だ・・ドラゴンには足枷で繋がれた騎士だけ助けて欲しいと言って置いた」
僧侶「わたしは何をすれば良いのかなぁ?」
商人「君は足枷に繋がれた騎士に回復魔法を掛けて欲しい」
僧侶「え!?回復魔法?」
商人「それが一番重要なんだ」
囚人「牢の中で捕えられている間は自分が正気では無くなる・・憎悪が膨れ上がる」
商人「そういう事なんだ・・救えるのは僧侶・・君しか居ない」
僧侶「うん!わかった・・目いっぱい癒してあげる」
商人「はっきり言うと今の騎士は祈りの指輪で看守の力を吸って手に負えないくらいの力を持ってる筈」
僧侶「・・・」
商人「正気に戻してあげないとドラゴンだって殺されかねない」
盗賊「ドラゴンを倒すとかそんなに強くなる物なのか?」
商人「かつての魔王もそうやって力を得たのさ」
盗賊「騎士を救出した後はどうするんだ?」
商人「ドラゴンは海賊船まで騎士と僧侶を運んでくれる筈・・後で海賊船で落ち会おう」
僧侶「やっと騎士に会える~」ポロリ
商人「僕達は観客席かな・・混乱に乗じてさっさと始まりの国を離れよう」
---武闘会2日前の監獄塔---
ピチョン ピチョン
隊長「・・・」スタスタスタ
騎士「がががが」ガシャン!! ガシャン!!
隊長「お前の言う通り・・武闘会の2日前に選ばれた勇者が来た」
隊長「お前は私に結局何も話さなかったが・・何故来ることを知っている?」
騎士「ぐっぐっぐっぐ」
隊長「・・・衛兵に内通者が居るとも思えん・・・お前は本当は何者だ?」
隊長「お前の望み通り・・・選ばれた勇者と闘う事も決まった」
隊長「選ばれた勇者に何か伝言でもするつもりか?」
騎士「ぐっぐっぐっぐ」
隊長「その笑い声・・まさにバケモノだな・・寒気がする」
隊長「選ばれた勇者はまだ死なせる訳には行かない・・お前は足枷手枷付きで闘う事になるが・・」
隊長「何の意味がある?」
騎士「ぐっぐっぐっぐ」
隊長「・・・結局何も語らずか」
---やっと復讐の時が来た---
---武闘会当日---
ザワザワ勇者が出るんだってさー
ザワザワどんな奴?
ザワザワ誰か知ってるか?
ザワザワ多分あいつだよ
ザワザワほらあのでかい奴
ザワザワあっちも強そうだよ
ザワザワ女だっていう噂
ザワザワ今回の勇者は女か?
ザワザワあの檻に入ってるのは何だ?
ザワザワ囚人じゃないか?
ザワザワ魔物だって噂
ザワザワなんか見たこと有る気が
ザワザワ・・でどれが勇者?
ザワザワ勝てば勇者だよ
---檻---
騎士(ドラゴンはどこだ?)
騎士(僧侶達は何処に居る?)
騎士(観客席の何処かに居るのか?)
ガチャン ギギー
審判「出ろ!!次はお前の番だ!!」
騎士「・・・」ズル ズル
---闘技場---
司会「さぁいよいよ選手が出て参りました」
司会「正統派剣士と正統派僧侶の対決はAブロック・・なぜか僧侶の装備はこん棒です・・どうなるのでしょうか?」
司会「魔法剣士と聖戦士の対決はBブロック・・聖と魔の魔法対決!!魔法剣士は優勝候補と言われている様です!」
司会「勇者とレンジャーの対決はCブロック・・噂の勇者の実力はいかに!!」
司会「盗賊と謎の囚人の対決はDブロック・・囚人は重い足かせを付けての対戦となります」
司会「少し天気が悪くなって来ましたが決勝までは持つでしょう!」ドヨー
ワーワーワーワーワーワー
ヤンヤザワザワヤンヤ魔法剣士さまあああ?
ヤンヤザワザワヤンヤあいつが勇者?
ヤンヤザワザワヤンヤ囚人が出て来たぞー
ヤンヤザワザワヤンヤなんだあいつ?
ヤンヤザワザワヤンヤ剣士えらく小さいな
ヤンヤザワザワヤンヤ弓は反則じゃねーか?
ヤンヤザワザワヤンヤ盗賊の癖になんかでけぇ
ヤンヤザワザワヤンヤ聖戦士は美人らしいぞ
ヤンヤザワザワヤンヤキャーキャー魔法剣士様あ
ワーワーワーワーワーワー
---闘技場Dブロック---
騎士(懐かしい・・あの時のままだ)
審判「お前はこれを使え!!」
騎士(鉄槌・・)
審判「両者!!闘技場へ上がれ!!」
騎士「・・・」ズル ズル
賊「ぐあっはー・・どっかで見たと思えば・・まだ囚人やってんのかぁ?」
騎士「!!?」---あいつは---
賊「今度こそギッタギタのボッコボコにしてやんよ!」
騎士「うががががが」---怒りが溢れて来る---
賊「こっちぁ即効性の毒ナイフだ・・一発で決めてやんよ」
騎士「ヴォオオオオ」---収まらない---
賊「お~恐えぇ恐えぇ・・負け犬にはお仕置きが必要だな」
審判「3・・・2・・・1・・・始め!!!」
賊「ひゃっほ~う」ダダッ グサ
騎士はダメージを受けた
賊「ぐあっは~即効性の毒だぁ!!」
騎士「ががが・・」
賊「どうだぁ?苦しいか~?・・・ん?動けるの・・か?」
騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!
賊「ぐはぁぁぁぁ・・」
賊はパリーをしたが効果が無かった
審判「!!?」---片手で鉄槌を!?---
騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!
賊「「ぐあぁ・・」グチャ
賊はダメージを受け異様な形に曲がった
審判「し、勝負あり!!」---まずい!死ぬ---
騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!
賊「ぐえ・・うがが」グチャ
賊はダメージを受け破裂した
審判「え、衛兵!!止めろ!!」---ミンチになる---
衛兵「は、はい!!」ダダダ
騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!
衛兵「押さえろぉ~!!・・・ぐあ」
審判「もっとだ!!押さえつけろぉ!!」
騎士「ががが・・」
---リーン---
騎士「ハッ・・銀の音・・」---我を忘れていた---
---檻---
騎士「ハァ・・ハァ・・」---自分が自分では無いみたいだ---
騎士「・・・」---次は昔の自分と戦う事になる---
騎士「ぐがが」---自分を保てるか---
騎士「うがああああ」---これが憎悪か---
騎士「ハァ・・ハァ・・」---自分の中に住む魔王か?---
ボエーーーー
騎士「!!?」---耳鳴り?---
ボエーーーー
騎士「うがががが」---違う・・深淵の音が共鳴している---
---闘技場---
司会「準決勝の組み合わせを発表します
司会「正統派剣士vs怒涛の魔法剣士」
司会「期待の勇者vs謎の囚人」ボエーーー
司会「・・・」
司会「少し小雨がパラついて来ましたが問題ないでしょう!!」
司会「次の試合は試合終了の早かった勇者vs囚人から行います」ボエーーー
司会「・・・」
ドヨドヨザワザワ何か聞こえなかったか?
ドヨドヨザワザワ気のせいだろ
ドヨドヨザワザワさっきの囚人すごかったな
ドヨドヨザワザワこれは面白い試合になるぞ
---闘技場中央---
ガラガラガラガラガラガラ ガシャン
司会「いよいよ暴れん坊の囚人が出てきました
騎士「ガガガ グァ・・・・プシャー」ズル ズル
騎士「・・・」---なんと弱々しい---
ズルズル チャラン ズルズル チャラン
騎士(勇者下がれ!!)ズル ズル
勇者「何!?」
審判「それではこれより準決勝を始める」
騎士(近づくと死ぬぞ)
審判「黙れ囚人!!両者位置に付いて・・・」
騎士(来るな!!)
勇者「い・いくぞ!!」
審判「3・・・2・・・1・・・始め!!!」
---シーン---
勇者「来ないならこっちから行くぞ!」ダダダ ギーン
騎士は勇者の攻撃をパリーした
勇者「っつぅ!!」タジ
騎士(やめろ!!近づくな!!)ブン ガギーン
勇者は囚人の攻撃をパリーし損ねて吹っ飛んだ
勇者は武器を落とした
勇者「ぐあぁ」
騎士(下がれ!!・・)---上だ!!来てる---
勇者「・・・」ダダダ チャキン
勇者は武器を拾って身構えた
審判「何をしているバケモノ!!お前の望みを忘れたのか!」
勇者「え?!」
審判「勇者!!何を躊躇している!早くこのバケモノを倒せ!」
勇者「くっ」ダダダ シュ ザクン
騎士はダメージを受けた
騎士「ヴヴヴヴヴヴヴォォォ・・・」グイ ブン ガッサー
勇者は囚人の攻撃をヒラリとかわした
騎士(今ドラゴンが来る!!近づけば殺されるぞ!!)ブン
勇者「・・・」ユラリ ブシュ
勇者は騎士の攻撃をかわしカウンター攻撃を与えた
騎士はダメージを受けた
勇者「やったか!?・・・・回復が早い!」
囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー」---仕方が無い---
ブン ドカン!
勇者「ぐあ・・」
勇者はダメージを受けた
騎士(下がれぇ!!)ブン ドサー
勇者は囚人の攻撃をヒラリかわした
ギャオース
勇者「ド、ドラゴン?」
騎士(僧侶達は!?)---何故だ?---
勇者「試合どころじゃなくなったな」
騎士(迎えに来た・・筈だ)
勇者「何?」
騎士(・・・そうだ・・ここで指輪を渡すんだ)
勇者「どういう事だ?」
騎士「ヴォォエー」ゲロゲロ コロン
勇者「指輪?」
騎士(魔女に返せ・・魔女の塔に居る!)ポイ
勇者「マジョ?おい!どういう事だ」パス
騎士(北の森だ!北へ行け!!)
勇者「森?・・・森って何だ?おい!」
ギャオース バサッ バサッ ゴウゥ ゴーン
---
??「私がおとりになる~」
??「何処に行く?!」
??「勇者の所まで~援護してね~」タッタッタ
ギャオース バッサ バッサ
??「ドラゴンさんこっちこっち~」
??「そっちじゃないよぅ」
ギャオース ドスドスドス
騎士(・・あれは誰だ?僧侶か?)---金髪?---
??「助けに来たよ」
騎士(ドラゴンと僧侶か!?)
??「回復魔法!」ボワ
騎士「!!?」---音が・・消えた・・---
??「勇者下がってぇ~」
騎士「ハッ・・」---何が起こってる!?---
ギャオース ドシッ
勇者「ぐああああ」
??「あ!ダメ~~・・このぉ~やめ・・」ゴン ゴン
---思い出した---
---この光景は何度も見ている---
---これは魔王が掛けた呪いだ---
---この世界は幻だ---
---ループするように造られている---
ギャオーース バクッ ゴクリ
---
---
---
---
---
---夢---
??「回復魔法!あ~もう飽きた~~」ボワ
??「・・・う」
??「あ!目が覚めそうウフフ」グイット
??「うぅぅ・・・」
??「・・・」ジロ
??「・・・強制的に目を開けるのは止めてくれないかい?」
??「起きた~~~ウフフ」
??「生きてるな・・」
??「私のおかげかも~ギッタギタのボッコボコだったよ~かっこわる~い」
??「その言い回しも止めてくれないかい?」ヨッコラセ
??「ほら勇者ならさ~チョイチョイってさウフフ」
??「いたたた」
??「あれれ~回復魔法足りなかったかな~まいっか~」
??「あの後どうなったのかな?」
??「え~その話なんか退屈~ちょっと隊長呼んでくるね~」
??「え、あ、うん」(どうも会話にならないな)
??「じゃね~」ガチャ バタン
??(ここに居るって事は何とかなったって事か・・・)
??(ゆっくりもして居れなさそうかな)ガサ ゴソ
カツカツカツ ガチャ
??「おはよう勇者!もう大丈夫なようだな。立てるか?」
??「大丈夫」スク グイグイ
??「大した回復力だな。あれほど重傷でも半日で回復するとは・・・僧侶の甲斐があったかな?」
??「そんなに重傷だったかな?」
??「肋骨は全部骨折、内臓破裂、普通なら手遅れだ。フフ相当頑丈に出来てるらしい」
??「隊長~わたし横になっても良いですか~?ふぁ~あ」
??「寝ずの介抱ご苦労だった。ゆっくり休め」
??「ふぁ~い失礼しまむにゃ・・」トコトコ
ガチャ ガチン
??「!!?・・・なぜ鍵を?」マサカ・・
ツカツカツカ ソソソ
??「・・・」ゴクリ
??「シッ」
??「まぁ座れ」サワワ
??「んむぐぐ」ストン
??(大きな声は出すな・・・昨日の事を少し聞きたい)
??(あ、あぁ・・)
??(私はドラゴン襲撃で町の守備に出たから闘技場で起きた事を見ていない)
??(囚人がドラゴンに食われたのは本当か?詳しく話せ)
??(え・・僕の目の前で一飲みにされたよ)
??(何かやり取りは無かったか?)
??(やり取り・・か・・僕は囚人が何を言ってたのかはさっぱり分からなかった)
??(他には何か無いか?)
??(そうだ・・途中で聖戦士が僕を助けに来た・・その後どうなったのかは分からない)
---違う・・僧侶が僕を助けに来た---
乙
---海賊船---
ザザー ザザー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「おいおい・・もう十分やろう・・」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「まぁしゃぁないなぁ・・わいの義手と義足使ったらええ」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「失った手足はもう生えて来んが・・それほど不自由はせんで?」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「それより心の方やな・・生きる事を拒否しとるかもしれんわ」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「!!?なんやそれ・・・鎖で繋いどるんか?」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「がはは・・もう置いて行かれんようにしとるんか?」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
海賊王「わいから言わすと置いて行ったのはどっちや?って話やな」
---『わたしを置いていかないで』---
---君だったのか---
海賊王「お!?指が動いたで?」
僧侶「え?え?え?・・・」グイット
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」
海賊王「無理やり目を開けんでもえーがな・・」
騎士「・・置いていって・・ごめんよ」
海賊王「うお!!なんちゅう目覚めの言葉や!!」
僧侶「うわぁぁぁぁぁん・・」グスグス
海賊王「目ぇ覚ましよった・・えらいこっちゃ・・えらいこっちゃ」
---翌日---
海賊王「もうすぐ商人達が海賊船まで来る筈や・・・」
僧侶「シクシク」
海賊王「なんやまだ泣いとるんか?」
僧侶「騎士の手と足が無いの・・」シクシク
海賊王「わいの義手と義足があるがな・・今持ってくるわ」
騎士「・・僧侶・・も・・う大丈夫・・だよ」
僧侶「ごめんね」
海賊王「ほれ!!この義手と義足を使ってみぃ!!」ドサリ
騎士「・・・」
海賊王「こうやってはめるんや・・」グイ ガチャ ジャキン
騎士「立て・・るの・・か?」
海賊王「立ってみぃ!!慣れれば普通に走れるで?」
騎士「んむむ・・」ヨッコラ ヨロ
僧侶「!!!手を・・」グイ
騎士「・・・」ギッタン バッタン
海賊王「その義足は風の魔石が付いとるけー慣れれば今までより早く動けるで?」
騎士「義手の・・方は?」
海賊王「力の魔石が付いとる!!おっ!!そうや!!巨人用の武器を海で引き上げたんやった」
騎士「巨人?」
海賊王「お~い!!お前らぁ~巨人の武器を引きずって来い~~!!」
海賊達「へい!!お頭ぁ!!」ダダダ
海賊王「2メートル越えの馬鹿でかい両手剣や・・わいは持てんかったがお前なら持てるか思うてな」
海賊達「持ってきましたぜぇ・・はぁはぁ」ズル ズル
海賊王「持ってみぃ!!」
騎士「・・・」グイ ブン!
海賊王「うお!!!た、たまげた・・・片手で持ちよるんか!!」
盗賊達「頭ぁ!!娘さんの飛行船が来やしたぜ!!」
海賊王「がはは・・予定通りやな・・商人達が乗っとる筈や!」
---
フワフワ ドッスン
女海賊「はろはろ~・・アレ?僧侶元気無いねぇ~」
盗賊「騎士!!!無事か!!?」
騎士「・・なん・・とか・・ゲホッゲホッ」
盗賊「喉がやられてるのか・・」
商人「やぁ!!良かった・・心配してたんだよ」
盗賊「それにしても大変だったな」
商人「ハハ僧侶は大分目が腫れてるね」
盗賊「無理も無ぇだろ!」
騎士「皆と・・少し話・がした・・い」
商人「そうだね・・ご馳走でも食べながら話そう!・・体は大丈夫そうかな?」
盗賊「うお!!・・お前手と足はどうした?」
海賊王「手と足はもう壊死しとったから切り取ったわ・・放っておくと広がるけな」
盗賊「切り取った・・って・・おい!!」
海賊王「わいの義手と義足があるけぇ不自由はせん筈や」
盗賊「ん~む・・良いのか悪いのか・・」
海賊王「僧侶は大分落ち込んどるがな~」
僧侶「シクシク」
商人「・・・まぁまず美味しいご馳走でも食べよう」
---
商人「喉に効く薬だよ・・薬剤師が作ってくれた・・飲んで見て」
騎士「ゴクリ・・」
商人「それからスライムに体の毒を抜いてもらおう」
薬剤師「・・・じっとしてて」ポイ
スライム「プギャー」ニュルリ
商人「あとご馳走と一緒にハチミツ酒も仕入れてきた」
僧侶「!!?」モジモジ
盗賊「僧侶!お前も飲め!!悪いことは忘れろ!!」
僧侶「グビビ・・プハァ」ジャラリ
盗賊「んん?なんだぁ?僧侶・・お前騎士と鎖で繋いでるのか?」
僧侶「わたしはもう騎士のそばを絶対離れないもん」
盗賊「鎖で繋ぐのはやりすぎな気がするがな・・」
商人「さて・・お腹も膨れたところで騎士に今までの事を教えてもらいたい」
盗賊「まだ喉の調子が悪いんじゃないのか?」
商人「ゆっくりでいいさ」
騎士「・・・」
商人「まぁ・・まず僕達の事から話そうか・・魔王城の後からで良いかな」
---
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---
---
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商人「・・・そしてやっと騎士を見つけた訳だよ」
盗賊「エルフの娘は海葬されたと聞いたが本当なのか?」
騎士「・・・エルフ・・の娘は・・・」
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---
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商人「そうか・・キマイラにされたって言うのか」
盗賊「なんてこった・・魔王城に地下があったとは・・」
騎士「・・もう一つ気が付いた・・事がある」
商人「ん?何かな?」
騎士「信じられない・・かもしれないけ・・ど・・きっとこの世界は・・幻だ」
商人「幻?」
騎士「魔王が仕組んだ幻・・・魔王の予定通りにループする世界」
商人「・・ハッ・・もしかして予言の書の事か!?」
盗賊「何の事だか分からんが俺達は幻なのか?」
商人「僕達自体が幻?・・・まてよ・・そういえば古文書には200年前より以前の事は良く書かれている」
商人「どうしてそれ以降の記述が一切無いんだろう・・もしかして今は本当はまだ200年前なのか?」
盗賊「言ってる事がさっぱりわかんねぇぞ」
商人「騎士はこれからどうすれば良いと思う?」
騎士「魔女・・を探す」
商人「やっぱりそう来るか」
僧侶「・・・あのねぇ~私見たの~」
商人「見た?って?」
僧侶「武闘会で闘った魔法剣士さん・・瞳が青かったの~」
商人「なんだって!?」
僧侶「無口で瞳が透き通った青色だったよ~魔女の愛しき人だと思う~ヒック」
盗賊「そりゃ気が付かなかったな」
商人「ハハハ・・最初から君達のすぐ近くに居た訳か」
盗賊「・・どうする?探す相手が2人になったぞ」
商人「こうしよう・・エルフの森の上なら飛行船で飛べる。エルフの森経由で魔女の塔まで行こう」
盗賊「全員飛行船に乗れるか?」
商人「いや・・行くのは騎士と僧侶と女海賊だけさ・・僕達は魔法剣士の行き先を探ろう」
女海賊「何処で落ち合えば良い?」
商人「中立の国かな・・一番情報が集まる」
---翌日---
海賊王「えらい格好やな・・でかい両手剣が目立ち過ぎや」
商人「ハハハ完全に黒騎士って感じだね」
女海賊「アタシのコーディネイトだからぁ」
僧侶「ねぇねぇ私は捕らわれた姫に見えるかなぁ~」
盗賊「お前らぁ!!無駄口叩いてないでさっさと行けぇ!!」
女海賊「はいはい・・じゃぁパパ行ってくるね~」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
騎士「・・・」
僧侶「ねぇ何考えてるの?」
騎士「すべてが幻だなんて・・」
僧侶「わたしの想いも幻なのかなぁ?」
騎士「少し思い出したんだ・・この光景も夢で見たことがある」
僧侶「え!?わたしたちどうなるの?」
騎士「・・予言の通りになる」
僧侶「予言って?」
騎士「そして元に戻る」
僧侶「ねぇ・・だっこして」
騎士「・・・」グイ ギュー
女海賊「!!?ベタベタしてんじゃねぇ!!アタシが居るの忘れないでよ」プン
---飛行船---
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「どうだい?めちゃめちゃ早いでしょ!?」
僧侶「どれくらいで着くの~?」
女海賊「2日で森の町付近まで行ける筈!森の外れに降ろすからさ・・あんた達2人で魔女を探して来て」
僧侶「え~女海賊はどうするの?」
女海賊「アタシは飛行船が盗まれないように森の上空で旋回してるさ」
僧侶「迷子にならないかなぁ~?」
女海賊「煙玉と閃光玉を渡しておくよ・・魔女を連れてきたらソレを使ってネ」ポイ
僧侶「どうやって使うのかなぁ~?」
女海賊「紐みたいな所に火を付ければ良いさ」
僧侶「火魔法!」ポ チリチリ もくもくもくもく
女海賊「あわわわわわ・・こんな所で使うなって!!」
僧侶「オッケ~使い方わかったぁ~ウフフ」
女海賊「フフ僧侶!少し元気出てきたネ」
---2日後---
フワフワ ドッスン
女海賊「着いたよ!ここからしばらく東に行けば森の町よ」
僧侶「うん!わかった~ウフフ」
女海賊「アタシは上空で待つから魔女を連れてきたら合図して!」
僧侶「は~い!!行こ!!騎士ぃ」
騎士「・・・」ノソリ
女海賊「フフ惚れ惚れする黒騎士っぷりネ」
僧侶「だめぇ~騎士はわたしのもの~」
騎士「僧侶・・行こう」
僧侶「は~い!!」ルンルン
---森の町---
ガヤガヤ ガヤガヤ
(偽勇者が逃げてるらしいよ?)
(物騒だねぇ・・)
(何か悪いことでもしたのか?)
(さぁ?兵隊が沢山捜索に来てる)
僧侶「ねぇねぇ・・偽勇者ってさぁ」
騎士「昔の僕達の事だ・・多分宿屋に馬が繋がれてる」
僧侶「馬?・・・初めて乗ったあの黒くて大きなお馬さんの事?」
騎士「宿屋に繋いでる馬に乗って行こう」
僧侶「ウフフ~騎士の喉良くなってきてるね~」
騎士「僧侶と薬剤師のお陰だ・・」
僧侶「毎日癒してあげる~ウフフ」
---宿屋---
ヒヒ~ン ブルルル
僧侶「あ!!お馬さんが沢山居るぅ~」
騎士「王国からの追っ手の様だ・・さぁ馬に乗ろう」グイ
僧侶「ねぇねぇ覚えてる?わたし達この宿屋で結ばれたの~」
騎士「・・・」
僧侶「全部・・幻なの?わたしの気持ちも幻なの?」
騎士「・・・どうかな・・ずっと一緒に居よう」
僧侶「うん」
---遺跡の森---
パカラッ パカラッ ブルルル
衛兵「馬に乗った怪しい2人が来ます!!」
精鋭兵「止めて確かめろ!」
衛兵「おい!!そこの2人!!止まれ!!」
パカパカ ブルル~
衛兵「顔を見せろ!!」
騎士「・・・」
衛兵「怪しい!!馬から下りろ!!」
騎士「邪魔をするな」
衛兵「なにぃ!!」スラン チャキリ
僧侶(精霊の加護!!)
衛兵「止まれ!!」
パカパカ パカパカ
衛兵「止まれと言っている!!」
精鋭兵「構わん!!馬から引きずり降ろせ!!」
衛兵「このぉ・・」ブワッ
精鋭兵「!!?なぬ?」
衛兵「何だ?吹き飛ばされた・・」
精鋭兵「衛兵!!全員集まれぇ!!」ゾロゾロ
パカパカ パカパカ
僧侶(ねぇ覚えてる?あの精鋭兵・・闘士だよ)ヒソ
騎士(分かってる・・)
僧侶(魔女どこだろう?)
騎士(追憶の森へ行って見よう)
精鋭兵「弓を構え!!」ギリリ
精鋭兵「止まらんと撃つぞ!?」
騎士「邪魔をするな」
精鋭兵「ぐぬぬ・・構わん!!馬を射抜け!!」
シュン シュン シュン シュン
衛兵「あ、当たりません・・」
精鋭兵「馬にも当てれんのかぁ!!貸せ!!」ギリリ シュン
騎士(少し脅かす)グイ ジャキリ
衛兵「あわわわわ・・・あんなでかい武器を片手で・・」
精鋭兵「・・・」ゴクリ
騎士「邪魔をするなと言った筈だ」ブン! ザクリ!
グラグラ ドッスーン!!
衛兵「かかか片手で大木を切り落とした・・」
精鋭兵「お、お前は何者だ!!?」タジ
騎士「・・・黒騎士だ」
精鋭兵「魔王の手先だな?」
騎士「・・・フフフ・・ハッハッハ」
精鋭兵「な、何が可笑しい」
騎士「怪我をしたくなければ邪魔をするな」グイ
ヒヒ~ン パカラッ パカラッ
---追憶の森---
♪ラ--ララ--♪ラー
僧侶「魔女の声だぁ!」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
僧侶「魔女~迎えに来たよ~」
魔女「おやおや・・僧侶かい?わらわを迎えに来たのかえ?」
騎士「・・・」
魔女「お前は騎士かの?無事だった様じゃな」
僧侶「うん!!もう騎士と離れないから」
魔女「わらわの愛しき人は見つかったかの?」
僧侶「うん!!見つけた~」
魔女「おぉぉ・・では一緒に行くかのぅ・・ここは危ない様じゃ」
僧侶「馬にもう一人乗れるかなぁ?」
魔女「わらわの心配はせんで良い・・兵隊が乗ってきた馬が居るでのぅ・・すこし待っておれ」
---
パカポコ パカポコ
僧侶「すご~い!魔女はお馬さんに乗れるんだぁ~」
魔女「わらわの生まれは古き王族じゃ・・乗馬は小さき頃よりたしなんでおる」
騎士「ついて来い・・」
魔女「!?騎士は少々人が変わったのぅ」
僧侶「でも騎士は騎士なの~」
魔女「甘さが抜けたかの?」
騎士「追っ手が来る前にこのまま森沿いにエルフの森まで走る・・」
魔女「その容姿は黒騎士にしか見えん・・他人に恐怖を与えるのは良くないぞよ?」
僧侶「この格好はね~女海賊のセンスなの~海賊はまず格好からなんだって~」
---エルフの森のはずれ---
僧侶「上に飛行船見える~?」
騎士「いや・・見えない」
僧侶「大丈夫かなぁ・・煙球と閃光球使うね?・・火魔法!」ポ チリチリ
もくもくもくもく
僧侶「・・・・・」
魔女「気球で迎えに来るんかの?」
僧侶「うん・・その筈~」
魔女「来んのぅ・・」
騎士「・・・来てる」
僧侶「どこどこ~?アレ~?何かヘン?」
騎士「様子がおかしい・・」
僧侶「あ!!他の気球も見える~」
騎士「あれは・・追われてるな」
僧侶「!!?煙球を落とした・・」
騎士「行こう!!」
---森の中---
僧侶「見つけたよ~~ビンの中に手紙が有る~」
”王国の気球に見つかった”
”砂漠の町まで自力で来い”
”酒場で待つ”
騎士「・・・早くこの場所を離れよう・・時期に面倒が起きる」
魔女「わらわの後について参れ・・エルフの森の道を知っておる」
僧侶「騎士の持ち物のエルフのオーブもわたしが持ってるよ~ウフフ」
騎士「馬で行くと森を抜けるまで・・」
魔女「10日は掛からんと思うがのぅ」
僧侶「食べ物が無いカモ~」
魔女「木の実はいくらでも有るから心配せんでも良い」
僧侶「ウフフ~わたしエルフになろっかな~」
---エルフの森---
パカ パカ パカ パカ
魔女「森の中央にエルフの里があるのじゃが・・寄って行くか?」
僧侶「食べ物とかもらえるかなぁ?」
魔女「それは期待せん方が良いな・・」
僧侶「ん~今は寄り道しない方が良いかなぁ~?」
魔女「砂漠の町へ抜けるなら森の奥へは入らず川沿いを行った方が早よう抜けれる」
騎士「早く森を抜けよう・・今はエルフ達に会わせる顔が無い」
魔女「・・どういう事じゃ?・・なぜ会うのを避けるのじゃ?」
騎士「深淵の音だよ・・エルフ達に恐怖を与えてしまう・・」
魔女「言っている事が分からんのぅ」
僧侶「ねぇねぇ・・この世界は幻という事と関係あるお話~?」
魔女「む!!?騎士・・・お主も気が付いたのかえ?」
騎士「魔女も知っているのか?」
魔女「魔王は死ぬ間際に人間に呪いを掛け滅んだのは知っておる・・何の呪いかは知らんが・・」
騎士「この世界は幻だと気が付いた・・世界は200年前から何度も同じ繰り返しをしている」
魔女「やはりお主もそう感じたか・・」
騎士「何度も夢で見ている・・ただ覚えていないだけ」
魔女「気になるのぅ・・」
---
パカ パカ パカ パカ
魔女「そなたらは一時も離れんのじゃな」
僧侶「わたしと騎士は鎖で繋いでるの~ウフフ」
魔女「のう・・騎士や・・わらわは少し思い出した事がある」
騎士「??」
わらわは光の国の姫じゃった・・
世界が魔王に滅ぼされようとしておった200年前
どこからか預言者が現れたのじゃ
その預言者は異世界から勇者が現れると言い残し
数日後に亡くなったと聞いておる
わらわはその言葉を信じ、わらわの塔・・光の塔で祈った
ほどなくして予言の通り・・勇者が舞い降りた
魔女「今思えば・・その預言者は何故勇者が現れると知っておったのじゃろう?」
騎士「・・・・・」
僧侶「魔女って姫だったんだぁ~いいなぁ~」
---夜---
リンリン リンリン
騎士「・・・・・」
僧侶「森の中って色んな音がするね」
騎士「・・・・・」
僧侶「ねぇ騎士?どうしたの?」
騎士「シッ・・・」
僧侶「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」
騎士「聞こえない・・」
僧侶「え?・・何が?」
騎士「僧侶・・僕の貝殻を持ってないかい?」
僧侶「これ?・・・はい」
騎士「・・・・・やっぱり聞こえない・・どうして・・」
僧侶「ほえ?」
騎士「僕の音が聞こえない・・深淵の音が消えている」
僧侶「ねぇねぇ~どうしたの~?」
騎士「いや・・何でも無いんだ・・気にしなくて良いよ」
---
ドスーン ドスーン
騎士「ハッ・・」ガバッ
僧侶「んがががすぴ~~んがががすぴ~」
魔女「zzz」
騎士(・・・何か居る)
騎士「僧侶・・魔女・・起きて」ユサユサ
僧侶「うふ~ん・・」
騎士「寝ぼけてないで・・早く起きて」
魔女「何事じゃ?」
騎士「何か来る・・いや・・すぐそこに居る」
魔女「どこじゃ?」
騎士「赤い目がこっちを伺ってる・・・」
魔女「見えんのぅ・・」
騎士「・・・この音は・・・」
ゴゴゴゴゴゴ
騎士「トロールだ・・・」
魔女「動かん方が良いか?」
騎士「待って・・向こうも耳を澄ませてる・・僕達を観察してる」
僧侶「むにゃむにゃ・・」
騎士「静かに・・」
---
---
---
---
---
ドスーン ドスーン
騎士「去って行く・・」
魔女「トロールは森の主じゃ・・襲って来んでよかったのぅ」
騎士「・・・・・」
---何かおかしい---
---もしかして深淵の音を聞き分けてるのか?---
---朝---
チュン チュン
僧侶「ふぁ~あ・・よく寝たぁ~」ノビ~
騎士「すぅ・・すぅ・・」
魔女「zzz・・」
僧侶(まだ寝てるのかぁ~・・アレ?)
僧侶(こんな大きな石・・昨日合ったかなぁ?)キョロ
僧侶(アレレ~沢山ある~)
チュン チュン
僧侶(!?小鳥さんが石の上から覗いてるウフフ)
騎士「う~ん・・ハッ」ガバッ
僧侶「おっは~♪」
騎士「これは!!・・」
僧侶「ほえ?」
騎士「トロールに囲まれてる・・」
僧侶「え?え?・・どこ~?」
騎士「この大きな石・・・これはトロールだ」
僧侶「小鳥さんしか居ないよ~ウフフ」
チュン チュン
騎士「ま、まぁ・・襲う気は無かった様だ」
僧侶「寝ぼけてるの~?もう一回一緒にねよっか?」
騎士「・・・魔女を起こして!もう出発しよう」
僧侶「えええええ・・まだ起きたばかりだよ?」
騎士「早く砂漠の町へ行かないと女海賊がうるさいよ?」
僧侶「ぶぅ・・・」
---
---
---
---森の端---
僧侶「なんだか暖かくなってきた~ウフフ」
魔女「エルフには会わず森を抜けれそうじゃの」
僧侶「火を使わなきゃエルフの森も危険じゃないんだね~魔女の照明魔法のお陰かも~」
騎士「風下だったのもある」
僧侶「もうすぐ砂漠の町だよね?はやく体洗いたいよぅ・・」ポリポリ
魔女「そなたらは体洗うときも鎖は外さんのか?」
僧侶「うふふのふ~秘密~」
騎士「さぁ森を抜けるよ・・馬を走らせる」グイ
パカラッ パカラッ
---砂漠の町---
女海賊「!!?来た!!遅っそい!!もう」プン
僧侶「あ!女海賊さんみーっけウフフ」
騎士「酒場に行く手間が省けた」
女海賊「あんたら遅すぎなんだよ!!アタシは待つのがキライなの!!」プン
僧侶「ねぇねぇ女海賊は大丈夫だったの~?」
女海賊「エルフの森の上をさぁ~王国の気球が飛びまわってるなんて聞いてなかったさ」
僧侶「あれ~??王国は気球を禁止してた筈だけどなぁ~」
女海賊「禁止してるのは始まりの国の上空だけでしょ!?」
僧侶「平気だったの~?」
女海賊「アタシの飛行船はあんな気球の10倍速いから大丈夫!」
僧侶「ねぇねぇ馬は乗せれるかなぁ?」
女海賊「それは・・無理・・というか臭いのがダメ」
僧侶「ええええええ~」
女海賊「てか僧侶!あんたも臭い!何日アソコ洗ってないのよ!」
僧侶「!!?」ギクリ
女海賊「早く宿屋で綺麗にしてきて!じゃないと飛行船に乗せてあげない」
僧侶「う、うん・・行って来る~」
---飛行船---
女海賊「ハイハイ!乗った乗ったぁ!!」
僧侶「うわぁ~飛行船に色塗ったの~?」
女海賊「あんた達があんまり遅いからアタシ色にしたの」
魔女「これはトカゲを模擬しとるのか?」
女海賊「トカゲじゃなくてドラゴンよ!!中はピンク色」
魔女「目がチカチカするのぅ」
女海賊「良いから早く乗って!!人に見られると面倒臭いの」
僧侶「は~い!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
女海賊「ふぅ・・間に合った」
僧侶「え?どうかしたの?」
女海賊「砂漠のリザードマンの動きが変なの・・群れで移動してるみたい」
僧侶「砂漠の町は大丈夫かなぁ?」
女海賊「町まで来るかと思ったけど・・違うみたいね・・どこに向かってるんだろ」
騎士「・・見えるかい?」
女海賊「ほら・・あそこ」
騎士「南を目指してる・・かな」
魔女「中立の国は南の方角じゃろう?」
女海賊「そう!だから早く行かなくちゃいけないの」
僧侶「中立の国までは飛行船で2日くらい?」
女海賊「そんなもんかな」
僧侶「商隊で行くと20日くらい掛かるのにね~」
女海賊「飛行船は高度上げると超速いから」
---
僧侶「ねぇねぇ見て見て~ドラゴンさんの群れも南の方角に飛んでる~」
女海賊「!!?どこだい?」
僧侶「下の方~」
女海賊「・・・7匹居るネ」
僧侶「何かあるのかなぁ?」
女海賊「ちょっと待って・・方角は・・・中立の国の進路からは少しずれてる」
僧侶「ズレた先に何があるの~?」
女海賊「いや・・・海だよ?」
僧侶「その先は~?」
女海賊「ずっと先には機械の国があるけど・・遠いヨ」
騎士「・・・・・」
魔女「何か・・動き出したかのぅ」
---中立の国のとある倉庫---
フワフワ ドッスン
女海賊「はろはろ~」
囚人「女海賊か・・手伝って行け」
女海賊「また飛行船作ってるの?」
囚人「お前に一基盗られたからもう一基作っている」
女海賊「アタシは忙しいの!魔女を商人の所に連れて行かないと」
囚人「それは騎士と僧侶にまかせて良い・・」グイ
女海賊「ちょちょ・・ちょっとぉ~」
僧侶「ウフフ~先行ってるね~」
囚人「次の飛行船は縦帆だけで軽量化する・・そっちを引っ張れ」
女海賊「ちょ・・アタシは忙しいから・・」
囚人「だまってヤレ」
女海賊「もう!!」
---商人ギルド---
商人「やぁ!無事に戻ってきたね・・遅かったじゃないか」
僧侶「うん・・色々あって」
商人「でも丁度良い時に戻ったね・・魔女の愛しき人が中立の国に来てるらしい」
魔女「!!?それは本当か?・・どこじゃ?」
商人「今盗賊と女盗賊が宿屋と船まで捜しに行ってる」
魔女「おおぅ・・やっと会えるか」
商人「終わりの国の調査に向かっているらしい」
僧侶「どうして~?」
商人「終わりの国が滅んだ噂が始まりの国まで届いたのさ・・調査隊に入っているって話だよ」
魔女「ここで待っておれば良いのか?」
商人「それが・・終わりの国まで海路で行くか陸路で行くのかが分かっていない」
商人「もし陸路で行く場合もう出発してしまった可能性もある」
僧侶「陸路だったらどうするの~?」
商人「ハハ心配しなくてももう考えてあるよ・・それより・・」
僧侶「ん??」
商人「中立の国はもう危ない・・早くこの国を出たい」
僧侶「どういう事かなぁ~?」
商人「どうやら僕達は王国から指名手配されてるんだ」
僧侶「ええええええ??もう町を歩けない?」
商人「そうだね・・目立った事は出来ないよ・・だから先に秘密基地に行っておいて」
僧侶「わかった~」
---秘密基地---
魔女「早よう愛しき人に会いたいのぅ・・」ソワソワ
僧侶「もうすぐだよ・・魔女」
ガチャリ バタン
商人「まだ盗賊達は戻って来てないかな?」
僧侶「戻ってないよ~」
商人「じゃぁ先に・・魔女に見てもらいたい物がある・・コレさ」パサ
魔女「・・・コレは魔族が使う文字じゃ・・わらわは読めんがの」
商人「読める人を知らないかい?」
魔女「エルフの長老なら読めるやもしれん・・一応魔族じゃ」
商人「魔女はこの地図が何か想像つくかい?」
魔女「・・・何じゃろうのぅ?」
商人「僕は魔王が残した予言の書だと思ってるんだけど・・内容が分からなくてね」
僧侶「そういえばさぁ~複製されたものが各王国にあるって商人言ってなかったっけ~?」
商人「そうだね・・翻訳された物も各王国にあると思うよ」
僧侶「それなら終わりの国に探しに行った方が早いカモ~」
商人「ハハその通りだよ・・それを今から言おうとしてたんだ」
ガチャリ バタン
盗賊「ハァハァ・・帰ったぜ」
女盗賊「ダメね・・ハァハァ例の人は船には乗ってないわ」
商人「どうしたんだい?息を切らして」
盗賊「もう自由に動き回れねぇ・・俺の顔は割れてしまってる」
商人「囚人も危ないな」
盗賊「そうだな・・早くここを離れた方が良い・・この秘密基地も時期にバレる」
商人「物資は海賊船に積み終わったかな?」
盗賊「それは終わった・・どうする?」
商人「ゆっくり出来ないね・・囚人の所に行こう」
---とある倉庫---
タッタッタ
盗賊「囚人!!終わったか!?」
囚人「女海賊の働きが悪くてな・・もう少しだ」
女海賊「もう!!アタシに力仕事なんかさせるなよ!!」プン
囚人「良いからソコを押さえてろ」
盗賊「どうやらすぐに出発しなきゃならねぇ様だ」
囚人「そうか・・あと1時間待て」
商人「じゃぁこうしよう・・盗賊と女盗賊!秘密基地に火をつけて来てくれないか?」
盗賊「良いのか?」
商人「時間を稼ぎたい・・もう戻ることも無いと思う」
盗賊「わかった!・・女盗賊行くぞ!」
女盗賊「フフ忙しいわね」
囚人「騎士!お前も手伝ってくれ・・ロープを張るのに力がいる」
騎士「わかった・・」
---
女海賊「今度の飛行船はどんなの?」
商人「横帆無しで軽量化してるんだ・・操作は難しいけど低空で小回りが利く筈」
女海賊「速さは?」
商人「どうかな?横帆の抵抗が無い分早くなるかもね」
女海賊「こっちの方が欲しくなってきた!!」
商人「僕達にあんな派手な飛行船に乗れと言うのかい?ハハハ」
女海賊「軽い分垂直上昇が出来る?」
商人「どうだろうね?やってみないとね」
女海賊「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい~~」
商人「わかったよ・・事が済んだら使って良いよ」
女海賊「いえ~~~い!!」
---
商人「女海賊は海賊王にこの手紙を渡して・・作戦が書いてある」
女海賊「うん!!じゃぁ先に飛ぶね」
ボボボボボボボ フワフワ プシュー
僧侶「盗賊さんと女盗賊さん遅いなぁ・・」
商人「彼等なら大丈夫さ・・・囚人!飛べる準備は良いかな?」
囚人「大丈夫だ・・ロープを切れば真っ直ぐ上に上がる」
僧侶「来た!!来た来た・・早く乗ってぇ~」
商人「追われてるな・・」
僧侶「早く~~乗ってぇぇ!!」
盗賊「ハァハァ・・」ダダダ
女盗賊「ハァハァ・・」ダダダ
囚人「ロープを切れ!!」
騎士「・・・」ブン! スパ!
??「まてぇ~~~!!」
??「なんだあの気球は!?」
フワフワフワ
盗賊「ギリギリセーフ・・ハァハァ」
女盗賊「フフフ・・ハハハハハ」
盗賊「なかなかヤルじゃねぇか!相棒!」
女盗賊「ハァハァ・・あんたもね!」
商人「さて・・中立の国はもう見納めだよ・・みんな良く見ておいて」
僧侶「塩の香りをもっと嗅いでおけばよかったなぁ~」
商人「今日はこの飛行船でバーベキューでもしよう!お酒もあるよ」
僧侶「わ~い!!ウフフ」
---飛行船---
ジュージュー
僧侶「おいひい~♪」モグモグ
商人「じゃぁみんな食べながら聞いてくれるかな・・」モグモグ
商人「これから行くのは終わりの国だよ・・魔女の愛しき人の先回りをする」
商人「それから・・終わりの国で亡くなった衛兵達の埋葬と・・予言の書を翻訳した物を探したい」
商人「海賊王には衛兵達の埋葬の為に応援してくれと手紙を出しておいた」
盗賊「ゾンビがウヨウヨしてるんじゃねぇか?」
商人「ソコは抜かりない・・銀製の武器を用意してある」
盗賊「俺達がゾンビ退治して海賊が死体の片付けって感じか?」
商人「そうだね・・あと戦利品の略奪も海賊にお願いする」
魔女「わらわの愛しき人は本当に来るんじゃろうな?」
商人「間違いないよ・・必ず来る」
僧侶「ねぇねぇ・・そういえばさぁ・・砂漠のリザードマンとドラゴンさんがね?」モグモグ
商人「ん?」
僧侶「群れで南の方に移動してたの~女海賊が言うには海に向かってるって~」モグモグ
商人「海に?・・・そういえば海賊王もクラーケンがおかしいって言ってたな」
盗賊「気になる話だな」
商人「次海賊王に会ったら話を聞いて見よう」
---夜---
騎士「・・・・・」
魔女「騎士や・・おぬしは言葉が少なくなったのぅ」
騎士「これから起こる事を少し知っているんだ・・」
魔女「商人には話したか?」
騎士「いや・・話せない」
魔女「わらわには話せるか?」
騎士「・・魔女も知っているのかい?」
魔女「わらわは定めを受け入れておる・・人間はすでに魔王の呪いに捕われて生きておる」
騎士「どうして急に思い出したのか・・」
魔女「お主は囚われの身の間魔王の心を少し覗いたのじゃろぅ」
騎士「憎悪が溢れて来た・・でも僧侶の回復魔法で我に返った・・」
魔女「それだけか?」
騎士「他には何も・・」キラリン
魔女「ん?それは何じゃ?」
騎士「・・これはエルフの娘が使ってた銀のアクセサリー」
ガバッ!!
商人「・・・・・」
魔女「商人・・聞いておったのか」
商人「呪いを解く方法はソレだ!・・銀が必要なんだ!」
騎士「銀?」
商人「ドラゴンが命の源を修復するには銀が必要だと言ってた・・・これが呪いを解くって事だ」
騎士「あふれ出てくる憎悪と混じって記憶も思い出すんだ」
商人「どんな記憶かは言いたくなったら言ってくれれば良いよ」ブツブツ
”そういえば銀ってどうやって作るんだ?
”ドワーフが生んだんだ・・
”だからドワーフは滅ぼされた?
”今銀を作ることが出来るのは・・終わりの国と機械の国・・それから始まりの国
”そうか!!憎悪が僕達を突き動かしてる・・
”機械の国は自分達を守るためにゴーレムを・・
”始まりの国はキマイラを・・
”でもそれをドラゴン達は許さない
---翌日---
ビョーーーーウ バサバサ
商人「さぁみんな一人ずつ銀の装備を持って」
盗賊「なんだ?何するんだ?」
商人「良いから早く・・出来ればその装備をずっと持ってて欲しい」
盗賊「じゃぁ俺は銀の短剣だな」
女盗賊「私もね・・」
薬剤師「あたしはアクセサリーかな」
囚人「俺は剣だ」
魔女「わらわは腰巻かのぅ」
商人「僕は筆ペンかな」
僧侶「わたしは~?」
商人「君はもう銀のロザリオがあるよね?・・じゃぁ僧侶!一人ずつ回復魔法をお願い」
僧侶「は~い♪回復魔法!回復魔法!回復魔法!・・・」ボワー
---
盗賊「・・・なんだ?何のおまじないだ?」
商人「これで僕達は皆呪いが払われた筈・・何か変わった事はないかい?」
盗賊「ん~む・・何も変わってないが・・」
商人「ハハハ何も感じないね・・でもこれで間違った判断をしなくなるかもしれない」
盗賊「・・なんのこっちゃ」
商人「僕は良く寝てる間夢を見るんだ」
盗賊「俺も夢は見るが・・何か関係あるのか?」
商人「さぁね?わからないよ・・でもこれで悪夢を見なくなるかもしれないな~って」
盗賊「悪夢・・そういやあんまり良い夢は見たことが無ぇな」
魔女「わらわの夢は愛しき人を失う夢ばかりじゃ」
薬剤師「あたしも良い夢は見たことが無いよ・・気にしてなかったけど」
僧侶「私は夢なんか見たこと無いよ~ウフフいつもぐっすり」
盗賊「・・・だろうなお前のイビキのせいで俺は悪い夢を見る」
僧侶「ええええええ?そんなにイビキひどいの~?」
盗賊「特に酒を飲んだ後だな・・騎士は良くガマンしてる」
僧侶「そんなぁ~・・」モジモジ
---
ビョーーーーウ バサバサ
盗賊「よし!!じゃぁ高度下げるぞ!!」
僧侶「ねぇねぇ!あの黒い塊って何かなぁ?」
盗賊「んん?・・・なんだありゃ動いてるな」
商人「どこだい?・・・あれはカラスの群れ・・かな?」
盗賊「ぬははカラスか・・いかにもって感じだな」
商人「大分荒らされてそうだね」
盗賊「終わりの国の城に直接降りるぞ?」
商人「うん・・そうして」
魔女「・・ひどい有様じゃのぅ・・数年前に来た時とはえらい変わり様じゃのぅ」
商人「多分誰も生き残ってないよ」
囚人「いや・・わからんぞ・・城には地下がある」
僧侶「うわぁぁ・・ゾンビがいっぱい~」
盗賊「町の方はゾンビだらけだな・・城までは上がって来てないが」
商人「盗賊!あそこの広間に着陸しよう」
盗賊「わかった」
---終わりの国---
フワフワ ドッスン
盗賊「やっぱりここまではゾンビは来ない様だな」
商人「騎士と僧侶は手当り次第にゾンビを掃除して来てくれるかな?」
騎士「・・・武器はどうしよう?」
商人「銀の槍が有った筈・・それでゾンビの心臓を突いて来て」
騎士「わかった」
商人「盗賊と女盗賊は町の状況を見てきて!使えそうな物資とかね」
女盗賊「わかったわ」
商人「囚人は城の中を案内して・・予言の書を探すのと生存者が居ないか調べよう」
囚人「付いて来い」
商人「夕暮れまでにはみんな戻って来てね」
---街道---
ヴヴヴヴヴヴヴ
騎士「・・・フン!」ブシュ
僧侶「いっぱい居るねぇ~」
騎士「歩いてゾンビ退治するのは手間が掛かる・・フン!」ブシュ
僧侶「お馬さん居ないかなぁ・・」
騎士「!!?そうだ・・城の宿舎に馬小屋が有るかも知れない」
僧侶「行ってみようよ~」
騎士「そうだね」
タッタッタ
---馬小屋---
ブルル~ ガフガフ
僧侶「居たぁ~!!ウフフ」
騎士「・・この馬だけ生き残ってる」
僧侶「回復魔法してあげる~回復魔法!」ボワー
騎士「牧草と水をあげないと」ガッサ ガッサ
ブルル~ ヒヒ~ン もしゃもしゃ
僧侶「ウフフ~食べてる食べてるぅ~」
騎士「僧侶はまだ馬に近づかないで・・警戒してる」
僧侶「すごく大きなお馬さんだね~」
騎士「丈夫な馬じゃなきゃ生き残れなかったんだと思う」
僧侶「ねぇねぇあそこにあるのってお馬さんに着せる物かなぁ?」
騎士「ん?あぁ・・この馬用の鞍だね・・軍馬の様だね」
僧侶「お腹空いてたんだね~・・・いっぱい食べてね~」
騎士「僕が馬に寄るから何かあっても僧侶は動かないで」
僧侶「は~い」
騎士「よしよし・・もう大丈夫だ・・解放してあげる」
ブルル~ ガフガフ ガシャン ガシャン
---
---
---
---
僧侶「お、おさまった?・・大分暴れたね」
騎士「やっと納得してくれた」
僧侶「お馬さん乗せてくれるかなぁ?」
騎士「大丈夫!もう落ち着いてる」グイ
僧侶「わたしも乗って良い?」
騎士「おいで」グイ
僧侶「わぉぉ~大きいぃ~ウフフ」
騎士「僧侶は精霊の加護の祈りをしておいてくれるかな?」
僧侶「は~い!」
騎士「行くよ!」グイ パカパカ
パカラッ パカラッ
---街道---
パカラッ ブシュ! ブシュ!
騎士「ゾンビは何体居るんだろう・・キリが無い」
僧侶「もう暗くなってきたよ~」
騎士「そろそろ帰ろうか」
僧侶「うん・・お腹も減ったよぅ」
騎士「これはしばらくゾンビ退治が続きそうだ」
僧侶「明日もがんばろ~」
---城門---
盗賊「おお!!馬が居たのか!!丁度良かった手伝ってくれ」
僧侶「どうしたの~?」
盗賊「暗くなる前に食料を町から運びたい」
僧侶「え?どうして~?」
盗賊「城の地下にまだ衛兵達が生き残ってたんだ・・えらく衰弱してる」
僧侶「本当に~?何人くらい居るの?」
盗賊「よく分からんが100人以上は居るんじゃねぇか?・・怪我人ばかりだ」
僧侶「たいへんだぁ~」
盗賊「治療は薬剤師がやってる・・まず食料を運ばねぇと!来てくれ」
パカパカパカ
盗賊「この荷車を引っ張って城まで運んでくれ」
騎士「わかった」
盗賊「俺はもう少し集めてから戻る」
---城---
商人「やぁ!戻ったね」
僧侶「ねぇねぇ衛兵さんが見つかったって・・」
商人「・・早速だけど僧侶は衛兵達に回復魔法を掛けて欲しい」
僧侶「うん!わかった~」
商人「一人ずつ銀のロザリオを持たせてから回復してあげて」
僧侶「オッケ~ウフフ」
商人「それから衛兵達の治療を薬剤師と交代してきてくれるかな?」
僧侶「は~い」
商人「薬剤師には魔女の料理を手伝ってもらいたいんだ・・どうやら魔女の料理が怪しい」
僧侶「え?」
商人「見た目の話さ・・栄養はありそうだけどやっぱり魔女は魔女だ」
僧侶「どういう意味~?」
商人「魔女っぽい料理なんだよ・・なんというかブツ切りで煮込むみたいな・・」
僧侶「ウフフ~わかった~」
---
僧侶「!!?んま~~~い!!」モグモグ
商人「見た目は別にして・・魔女の料理おいしいね」モグモグ
盗賊「本当だな!!」モグモグ
薬剤師「衛兵達も喜んで食べてるみたい」
商人「衛兵達の様子はどうかな?」
薬剤師「怪我の方はもう良いからあとは栄養かな」
商人「動けないのは変わらないか・・海賊達が来たら辺境の村まで運んでもらおう」
薬剤師「それが良いと思う」
商人「盗賊!町の様子はどうだい?」
盗賊「ゾンビ退治に数週間はかかりそうな数居るぞ・・・1000体以上だな」
商人「物資は?」
盗賊「大分焼けてしまってるが金属製の物はほとんど使える・・食料は100人居るとすると1週間分だな」
商人「城の備蓄と合わせて10日って所かぁ」
魔女「わらわの愛しき人はいつ来るのじゃ?」
商人「陸路で向かってる筈だから・・あと2週間くらいかな」
盗賊「海賊船待ちだな」
商人「先に女海賊が飛行船で来てくれると助かるなぁ・・」
囚人「あの娘は行動が読めん」
商人「ハハそうだね・・他に食料を確保するとしたら・・」
盗賊「よし!俺と女盗賊で近くの森まで行って狩りをしてくる」
商人「大丈夫かい?」
盗賊「騎士が馬を見つけた・・馬で荷車を引かせれば大物の獲物も狩れる」
商人「じゃぁ明日から頼むよ」
---翌日---
商人「じゃぁ皆!作戦通り頼むよ」
盗賊「まかせろ!」
商人「僕は城で予言の書を探す」
僧侶「ねぇねぇカラスが沢山来てる~」
商人「カラスも食料目当てかな?」
薬剤師「カラスはあたしにまかせて」
商人「何するつもりだい?」
薬剤師「リーダーのカラスだけ餌付けすれば言う事聞く様になると思う」
商人「へぇ・・そんな事できるんだ?」
薬剤師「カラスは色々な病気を持ってるから飼いならして見たかったの」
商人「君は又変な趣味を持ってるんだね」
薬剤師「これも研究よ」
---
ヴヴヴヴヴヴヴ
パカラッ パカラッ ブシュ!ブシュ!
騎士「それにしてもこんなに沢山のドラゴンの涙を使ったんだろうか・・」
僧侶「違うと思うなぁ~」
騎士「どうしてそう思う?」
僧侶「ほら~衛兵さんと同じ装備のゾンビが居るもん」
騎士「む!!?そうか・・伝染してるのか」
僧侶「あとで薬剤師に相談しないとね~」
騎士「どうやって伝染するんだ?」
僧侶「カラスかも~」
騎士「なるほど・・それで薬剤師が興味持ってたのか」
僧侶「わたしって賢い~?」
騎士「見直したよ」
僧侶「惚れた~?ウフフ」
騎士「・・・・・」
僧侶「惚れたって言ったらもっと癒してあげるよ~」
---数日後---
商人「・・・なんて事だ・・でたらめばかりじゃないか」
僧侶「なんて書いてあるの~?」
商人「この予言の書には・・
勇者は人間を裏切り世界を滅ぼすと書いてある
他にはドワーフの滅亡や銀の生産
始まりの国の滅亡、中立の国の滅亡、終わりの国の滅亡、機械の国の滅亡
エルフの森での戦争、ドラゴンの襲撃、クラーケンの襲撃
新たな武器や病気の誕生・・・まことしやかに書いてあるけど・・
盗賊「見方によっては全部当たってるんじゃないか?」
商人「いや・・どれ一つ具体的な数字や方法は書いてない」
盗賊「それを予言と言うんじゃないか?」
商人「僕に言わせるとこんなの只の暗示だよ」
盗賊「暗示?」
商人「そうさ・・魔王が残した予言の書というだけで国王達は信じてしまっている・・ただの暗示さ」
魔女「人間は頼るものが無い時に暗示に従うものじゃ・・」
盗賊「その予言の書の地図にある×印は何だ?」
商人「ここに記述は無いけど後から書き足した物に見える」
騎士「・・僕は知っている」
商人「どういう事だい?」
騎士「そこは人間が最後に戦う場所・・最後に疫病で人間達は滅びる」
商人「騎士がどうしてそんな事を?」
魔女「騎士は僧侶によって魔王の心から解放された時に思い出したと言うておる」
騎士「人間がすべて滅んだ後・・気が付いたら又初めに戻っているんだ」
商人「この世界は幻?・・・また予定通りに事が進んでいく?」
僧侶「呪いは解けた筈なのにね~」
商人「そうさ!僕達はもう呪いに縛られない・・ここから先は僕達の世界だ!」
盗賊「こういう考えが出来るのも呪いが解けたおかげかもな」
薬剤師「・・ねぇ・・最後に疫病で皆死ぬって言ったよね?」
騎士「僕が思い出した過去だとそうだよ」
薬剤師「あたし何となく分かる・・もしあたしのスライムが攻撃されたら吸い取った毒が散らばると思う」
商人「・・・・・」
薬剤師「スライムを増やせば毒が散らばっても又吸わせれば良いと思うんだけど」
商人「少し考えたい・・」
---1週間後---
盗賊「海賊船が来たぞぉ!!4隻来てる!!」
商人「女海賊は来てないかい?」
盗賊「こっち向かって飛んで来てる」
商人「付いたら伝令を頼みたいんだ・・呼んでくれるかな?」
盗賊「分かった!!」
フワフワ ドッスン
女海賊「はろはろ~調子はどう~?」
盗賊「・・お前・・飛行船改造したのか?」
女海賊「わかるぅ~?あんた達と同じにしたの~待ちきれなくって」
盗賊「さすが囚人が見込むだけあるな・・一人でやったのか?」
女海賊「アタシの奴隷どもにやらせたに決まってるじゃない」
盗賊「そ、そうか・・それより商人が呼んでるぞ」
女海賊「はいは~い」フリフリ
---
商人「やぁ!女海賊!頼みがあるんだ」
女海賊「何?」
商人「衛兵100人程を辺境の村まで送るように海賊王に伝えて欲しいんだ」
女海賊「100人!?海賊船4隻じゃ足りないネ」
商人「乗ってる海賊達を降ろしても無理かな?」
女海賊「ん~~パパに聞いてみるね」
商人「あと君のパパとも少し話がしたい」
女海賊「りょうか~い!!飛行船に乗せてくるネ」
商人「たのむよ」
女海賊「それとさぁ~アタシの飛行船も見て!!改造したんだ」
商人「お!?見せてもらおうかな」ヨッコラ
女海賊「アタシの研究だとさ~縦帆は2つで十分みたい」
商人「へぇ~すごいじゃないか」
女海賊「スピードが出るから羽も少し小さくしたんだ!小型帆船並みに小回り利くよ」
商人「君はこの筋で大成しそうだね」
女海賊「もう海賊やめて空賊になるよ」
商人「ハハハ良いね」
---
海賊王「なんや商人!?困った事あるんか?」
商人「わざわざ呼んですまないね・・ちょっと海の様子が聞きたいんだ」
海賊王「その話か・・なんや機械の国の船がちぃとおかしいわ」
商人「この間はクラーケンの動きもおかしいって・・」
海賊王「そうや!多分・・機械の国の船は終わりの国を目指しとる感じや」
商人「ここに!?」
海賊王「あの船はめちゃくちゃ遅いんだが来週辺りにはここまで来るで?」
商人「そうか・・衛兵100人は辺境の村まで送れそうかな?」
海賊王「あと2隻必要や・・娘に伝令させよか?」
商人「間に合うかな?」
海賊王「5日で来れると思うわ・・娘の飛行船がめちゃめちゃ速ようてなガハハ」
商人「じゃぁ頼むよ・・あと終わりの国の略奪は海賊に任せたよ」
海賊王「そら良えなぁ!!武器が欲しかった所や」
商人「自由に持って行って構わないよ」
海賊王「ガハハ~野郎共も喜ぶわ!」
商人「あと死体の埋葬で人手を回して欲しい・・1000体くらいゾンビの死体が出る」
海賊王「穴は大砲で掘ったるわ!そこに埋めりゃえぇ」
商人「イイネ!それもお願い」
---
ドカン! ドカン! ドカン!
盗賊「うはぁ・・穴掘り早えぇな・・」
海賊達「死体埋めるぞぉ~!!」
盗賊「埋めたら土もかぶせてやってくれぇ!!墓標も立てたい!!」
海賊達「わかってらぁ!!」エッサ ホイサ
ドカン! ドカン! ドカン!
カー カー バサバサ バサバサ
魔女「薬剤師や・・カラスは言う事聞くんか?」
薬剤師「言う事は中々聞かないけど・・ホラ・・一応リーダーの言う事は聞くみたい」
魔女「エサ次第かの?」
薬剤師「そうね・・全部のカラスから病気を吸い取るのはちょっと無理かな」
魔女「やはりカラスがゾンビにする病気を持っておるんか?」
薬剤師「そうだと思う・・これだけ広がってしまってはもう手遅れね」
魔女「カラスが渡り鳥では無いのが救いかのぅ」
薬剤師「時期に渡り鳥にも感染すると思う」
魔女「厄介じゃのぅ」
薬剤師「もう少し慣らして集めれるようになったら・・魔女に焼いてもらうしか・・」
魔女「仕方ないのぅ・・」
---2週間後---
パカラッ パカラッ ブシュ! ブシュ!
騎士「!!?あっちの方で音がする」
僧侶「どこ~聞こえないよ~?」
騎士「シッ!・・」
僧侶「あんな遠くの音が聞こえるの~?」
騎士「・・・・・」
ゴーン バシュ ビシ
??「どうなってる!?」
??「気をつけろ!!こいつら死なないぞ」
??「・・・・・」
??「逃げるか?」
??「おい!待て!何する!?」
ダダダ ズン!!
??「た、倒した?」
??「・・・・・」
??「よし!僕らは援護しながら進もう」
??「回復は任せた!」
僧侶「ねぇねぇ魔女の愛しき人じゃない?」
騎士「多分そうだ」
僧侶「どうするの~?」
騎士「行く・・精霊の加護を!」
パカラッ パカラッ
剣士「だ、誰か来た!!」
魔法剣士「・・・・・」
レンジャー「む!」ギリリ
戦士「気を付けろ!」
ブルル~ ガフガフ
剣士「誰だ!!?」
騎士「ここは危ない」
レンジャー「魔王の使いか!?」ギリリ
戦士「く、黒騎士だな」
魔法剣士「・・・・・」
僧侶「違うの~」
剣士「ハッ!!姫が捕われている!!」
僧侶「姫!?」ニマーリ
騎士「・・・・・」
剣士「姫をどうするつもりだ!?」
騎士「付いて来い・・ここは危ない」
ヴヴヴヴヴヴ ガァ
剣士「ゾンビが!!」ヒラリ
戦士「くそう!数が多い」
騎士「・・・」グイ パカラッ パカラッ
レンジャー「来たぞ!!」ギリリ シュン シュン
騎士達にレンジャーの攻撃は通じない
レンジャー「何ぃ!!はじき返した!!」
騎士「城へ向かえ!!」パカラッ ブシュ!
剣士「逃げるのかぁ!!」ダダダ
---
剣士「戦士!馬車の馭者を頼む!僕達はゾンビを倒しながら城に向かう」
戦士「わかった・・すこし離れて追従する」
剣士「レンジャーは矢を温存して」
レンジャー「わかってるよ」
剣士「魔法剣士が先頭でお願い!僕は援護に回る」
魔法剣士「・・・・・」
剣士「やっぱり終わりの国は魔王軍に飲まれたというのは本当だったんだ・・」
レンジャー「それにしてもこのゾンビ達も魔王軍の仕業か?」
魔法剣士「・・・違う」
剣士「!?何か知ってるのか?」
魔法剣士「・・・」ダダダ ズン!
剣士「急ごう・・姫が心配だ」
---終わりの国---
剣士「そんな・・ひどい・・ひどすぎる」
レンジャー「廃墟だ・・な」
戦士「アレを!!カラスの大群が城に集まってる」
剣士「魔王が居るのか!?」
戦士「・・そんな筈は・・」
レンジャー「!!!人影だ!!城に向かってる」
剣士「慌てないで気を付けて行こう」
魔法剣士「・・・・・」
---城門---
剣士「門が開きっぱなしだ」
レンジャー「さっきの人影はどこに?」
戦士「ここにはゾンビが居ない」
レンジャー「嫌な予感がするな」
剣士「王国からの密書は誰に渡せば・・」
レンジャー「行ってみるしかないね」
剣士「ゴクリ・・」
戦士「衛兵が居ないという事は・・この国はもう・・」
剣士「入るよ!」
---城---
商人「待っていたよ」
剣士「お、お前は一体何者だ!?」
商人「ハハハ誰だと思う?」
レンジャー「魔王か!?それとも魔王の側近か!?」
商人「やっぱりそう思うよねハハハ・・・騎士!!門を閉めて!!」
ガラガラガラ ガシャーン
剣士「ハッ!!さっきの黒騎士・・・と姫?」
レンジャー「しまったぁぁ!!逃げ道を塞がれた!!」
商人「君達は勘違いしてるんだよ」
剣士「なんだって!?終わりの国を滅ぼしたのはお前達じゃないのか!?」
商人「それはドラゴンがやったのさ」
レンジャー「ドラゴンだって!?」
商人「囚人!!魔女を呼んできてくれないか?」
囚人「わかった・・」スタスタ
剣士「何をするつもりだ!」
商人「君達に会わせたい人が居てね」
レンジャー「・・・どう見ても魔王と側近と黒騎士・・魔女にカラス使い・・魔王軍に違いない!」
商人「話を聞いて欲しい」
レンジャー「剣士!これはまやかしだ!世界の半分をやるとか言うに決まってる!」
剣士「話ってなんだ!?」
レンジャー「だめだ剣士!!騙されるな!!」
商人「結論から言うよ・・同志になって欲しい」
レンジャー「そら見ろ!!俺達は騙されないぞ!!」
商人「ハハハじゃぁこう言えば良いのかな?『勇者よ我が物になれ!』」
魔法剣士「・・・」ピク
商人「魔法剣士!君は本物の勇者だね?」
魔法剣士「・・・」
商人「僕達はこの世界が幻だと知っているんだ・・そして呪いの解き方も知っている」
魔法剣士「・・僕は」
商人「僧侶!回復魔法を掛けてあげて」
僧侶「は~い!!」
剣士「え!?君は姫では・・」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
---
剣士「な、何を・・」
レンジャー「え!?」
戦士「ハッ・・」
勇者「どうなってる・・」
商人「武器を置いて欲しい」
囚人「魔女を連れて来たぞ」
魔女「おおおぉぉぉぉ・・わらわの愛しき人じゃ・・」ノソノソ
勇者「・・君は・・夢に出てくる人か?」
魔女「うわぁぁぁぁん会いたかった・・もう離さぬ」ガシッ
勇者「・・ちょ」
剣士「な、なんだぁ?」
レンジャー「え!?なんでこうなる?」
戦士「これは一体・・」
僧侶「魔女~鎖で繋いであげるぅ~~」ガチャ ガチャ
魔女「うおぉぉぉぉんひっくひっく・・うえぇぇぇぇん」ポロポロ
勇者「ど、どうすれば」オロオロ
僧侶「だっこしてあげれば良いの~ウフフ」
魔女「わらわを忘れたのか?200年待ったぞよ?もうわらわを離さないでおくれ」ポロポロ
レンジャー「なんか魔王との対面が台無しになってないか?」
商人「ハハハ良いじゃないかバーベキューでもしよう」
盗賊「おい!!上に上がって来い!準備できてるぜ!!」
僧侶「は~い!」
戦士「・・何がなんだか・・」
剣士「拍子が抜けた」
レンジャー「こ、これはまやかしに違いない!!みんな騙されるな!!」
盗賊「良いから早く来いよ!!肉が焦げる!!」
---
ジュージュー
剣士「・・・と言う事は終わりの国はもう・・」
商人「ドラゴンに襲撃される前に辺境の村に避難したんだ」
剣士「この状況を始まりの国にどう説明すれば・・」
商人「噂通りドラゴンに滅ぼされたで良いじゃないかな?」
剣士「預かっている密書はどうしよう・・」
商人「君はその中身を見たのかい?」
剣士「見てないです」
商人「ハハ正直なんだね」
剣士「悪い事はキライなんです」
商人「じゃぁ密書はそのまま返品かな・・ただ・・」
剣士「ただ?」
商人「君達はもう始まりの国へは帰らない方が良い」
戦士「!!?俺は任務が残ってる」
商人「任務?・・君は始まりの国の衛兵かな?」
戦士「そうだ!」
商人「ハハハ良い事を教えてあげよう・・君の上官は僕達の仲間さ」
戦士「なんだと!?どういう事だ!?もしかしてお前達は隊長の言う海賊の一味か?」
商人「ん~海賊みたいなものかもね・・一応バッチもあるよホラ」
戦士「・・・隊長から直々に貰った指令の中にバッチを持つ海賊に出会った時に渡す手紙が・・」
商人「ああ・・きっと僕達の事だよ」
戦士「これだ・・」ゴソゴソ パサ
”例の物が完成したようだ
”自体が悪化する前に処分を願う
戦士「渡せば分かるはずだと・・これは何の事だ?」
騎士「・・・・・」---エルフの娘---
商人「・・やらなきゃいけない事が山積みだね」
戦士「なんだ!?言っている事が分からん!」
商人「やっぱり君達には一緒に手伝って貰いたい・・」
ヒュルルル~ バーン ピカーーーー
盗賊「!!!おい!!!何かの合図だ!!!」
---
商人「女海賊からの信号かな!?皆外に出よう!!」タッタッタ
盗賊「おい!!緊急事態だ!!全員外に出ろ!!」
僧侶「ふぁ~い!」モグモグ
タッタッタ
盗賊「ちっ・・もう日暮れで良くみえねぇ」
女盗賊「飛行船がこっちに・・・え!?海岸を見て!!」
盗賊「どこだ!?・・・機械の国の船か?・・お、おい!!10隻は来てるぞ!!」
商人「盗賊!飛行船の用意を!!」
盗賊「わかった!!」
剣士「え!?な、なんだアレ?ドラゴンか?」
女盗賊「アレは飛行船よ!!今は私たちの指示に従って!!」
商人「・・機械の国はどうやら僕達を魔王軍だと思ってる様だね」
女盗賊「そのようね・・早く逃げないといけない」
フワフワ ドッスン
女海賊「大変!大変!パパの船があと10分で出港するから早く乗ってぇ~!!」
商人「騎士と僧侶は馬に乗って海賊船へ!!」
商人「剣士達も馬車を船に乗せるんだ・・騎士の後に付いて行って!!」
商人「残りは飛行船で・・」
薬剤師「・・待って!!カラスを処分させて!!」
カァーカァー ザワザワ バサバサ
盗賊「うお!!すげぇ数のカラスが・・」
商人「魔女!?カラスを焼けるかい?」
勇者「・・火炎地獄!」ゴゥ ゴゴゴゴゴ
魔女「火炎地獄!」ゴゥ ボボボボボ
ギャーギャー ドサドサドサ
商人「うゎ・・すごいな・・空が焼ける・・」
薬剤師「あぁ・・心が痛む・・」
商人「よし!!皆後で海賊船で落ち合おう!」
盗賊「早く飛行船に乗れぇ!!」
女海賊「アタシの飛行船は土足禁止ねぇ~」
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
---飛行船---
盗賊「おい!見ろ!!巨人が大量に上陸してる」
商人「海賊船は大丈夫そうかい?」
盗賊「あぁ・・日が暮れてるのが幸いしてるな」
商人「ゴーレムはどれくらいの数かな?」
盗賊「どんどん船から出てくるぞ・・今のところ50体位か?」
商人「終わりの国を制圧に来た様だね・・間一髪だったね」
盗賊「あんな大軍じゃたまったもんじゃねぇな」
商人「機械の国のゴーレムはもっと居る筈・・何年も前からトロールの密売が続いてる」
盗賊「お前が知ってる数でどれくらいだ?」
商人「僕が知ってるだけで100くらいかな?捕まえるのが簡単だからもっと居ると思う」
盗賊「見つからないうちに海賊船に向かうぜ?」
商人「そうだね」
---海賊船---
フワフワ ドッスン
盗賊「アバズレ娘の飛行船はなかなか器用な事するな・・」
商人「僕達が降りれる様にしてくれてるんじゃないかい?」
盗賊「まぁ・・そうなんだろうがロープ切れたら飛んでっちまうぞ?」
商人「ハハそんなこと気にする子に見えないよ」
盗賊「・・アレに乗るときどうするつもりかね?」
商人「ロープを伝って行くしか・・」
盗賊「落ちたら海だぜ?」
商人「それも考えて無いんじゃないかい?あの子は・・」
盗賊「ヌハハさすが海賊王の娘だな」
商人「僕はその心臓がうらやましいよ」
---
女海賊「・・・あんたさぁ・・こっちは心配してたんだよ!?」
勇者「・・・」
女海賊「行くなら行くって言ってくれないとアタシも面子ってもんが・・」
僧侶「まぁまぁ・・おちついて~」
女海賊「あんたもあんたよ!!みんなしてイチャ付いて!!」イラ
盗賊「よう!何揉めてんだ!?口うるさい女に絡まれてるのか?」
女海賊「!!!カチン!!!盗賊も女盗賊と出来ちゃってるワケ?」
盗賊「ヌハハお前には関係無ぇだろ!ガキは黙ってろ」
女海賊「ムキーーー」
囚人「女海賊!お前は俺が鍛えてやる」
女海賊「アタシはそんな暇無いの!」
囚人「良いからこっちに来い」グイ
女海賊「ちょちょ・・何すんのよー!!」
囚人「今から飛行船の改造だ」
女海賊「はぁ?またアタシに力仕事させようってんの?」
囚人「お前の経験が必要だ」
女海賊「アタシは忙しいの!あんた一人で・・」
囚人「黙って付いて来い」グイ
女海賊「もう!!離してよ!!」
---
商人「・・・早速だけどちょっとやりたい事があるんだ・・出来るだけ急ぎたい」
商人「明日の朝に命の泉に向かいたい」
商人「命の源に突き刺さってる魔槍を抜きたいんだ」
商人「確証は持てないんだけど勇者なら魔槍を抜けるかもしれない」
商人「あの魔槍を抜かない限りこの世界は呪いから解放されない」
商人「剣士、レンジャー、戦士はこれからどうしたい?」
戦士「・・俺は任務があるから始まりの国へ戻らなくてはならない」
商人「剣士とレンジャーは?」
剣士「僕は・・」
レンジャー「俺は決めた!女海賊に惚れた!・・なぁ剣士も行くよな?」
剣士「う~ん・・構わないけど・・前後関係が良く分からなくて」
商人「それは追々分かって来るよ」
戦士「この海賊船はどこに向かってるんだ?」
商人「中立の国方面さ・・途中で下船して始まりの国行きの民間船に乗れば戻れるよ」
戦士「そうか・・俺は戻って隊長に報告を・・」
商人「そうだ!!隊長に返事をしておいて貰いたい・・『例の件は了解した』ってね」
戦士「わかった・・お前達の事は・・」
商人「すべて隊長に話してから指示を貰って欲しい・・良いね?」
戦士「お前達は一体何者なんだ?」
商人「世界を救おうとする者達だよ・・君の上官も同じさ・・その下に居る君も同じ筈」
戦士「敵では無いんだな?」
商人「そう信じてる」
---翌朝---
盗賊「こっちの飛行船には騎士、僧侶、勇者、魔女、商人、薬剤師が乗ってくれ」
盗賊「女海賊の飛行船には剣士、レンジャー、囚人、女盗賊・・それから荷物を多めに積んでくれ」
盗賊「夜は魔女の照明魔法を目印にして付いて来い」
盗賊「じゃぁ行くぞ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
盗賊「うお!上昇が早いな」
商人「女海賊の研究の成果だよ・・縦帆2つだけで良いらしいよ」
盗賊「そりゃ楽になるな」
商人「球皮の後端にも羽を付けてるんだ・・なぜか速度が増すらしい」
盗賊「あのアバズレ見かけによらずしっかり研究してるんだな」
商人「いや・・けっこう賢いよ」
盗賊「ん~む目は悪くねぇのにわざわざ眼帯してる奴がか?」
商人「ハハあの眼帯には秘密があるんだってさ」
盗賊「なぬ!?」
商人「小さい穴が開いてて遠くが見えやすくなるらしい」
盗賊「なんと!?」
商人「賢いだろう?」
---飛行船---
ビョーーーーウ バサバサ
商人「やっと少し落ち着いて話が出来るね・・勇者」
勇者「・・・・・」
商人「君の事が知りたいんだ」
勇者「・・・・・」
商人「ハハまず僕達の事から話した方がよさそうだね・・どこから話そうかな」
騎士「僕から話す・・僕はもともと選ばれた勇者として・・」
---
---
---
---
---
商人「・・という訳さ・・ややこしいでしょ?」
騎士「そんな中僕はこの世界が幻だという事に気が付いた」
商人「勇者はどう思ってる?・・この世界を」
勇者「・・分からない・・僕は昔の記憶が無い・・ただ精霊の声は聞こえる」
商人「精霊の声?・・どんな風に聞こえるのかな?」
勇者「耳を澄ませると精霊の声がする・・心の中で導かれる」
商人「導きねぇ・・」
僕はいつの間にか・・気が付いたら旅をしていた
その昔の記憶は無い
精霊の声に導かれていつの間にかここに居る
その声・・いや・・音は僕に常に『呪いを解く鍵を探せ』と語りかけていた
そんな旅の最中僕は常に命を狙われ
心の中の声に導かれるまま終わりの国まで来て
あなた達と出会った
商人「よく分からないな・・君は本当に勇者なのかい?」
勇者「今、精霊の声はハッキリと聞こえる『魔王を探せ』と」
商人「魔王が何処に居るか知っているのかい?」
勇者「知らない・・でもあなた達と一緒に居ることは導きだと思っている」
騎士「・・この世界に魔王は居ない」
商人「でも200年前には居るんだ・・きっと君はソコに行く事になる」
魔女「・・・・・」
商人「・・・魔女」
---
僧侶「魔女は子供みたいに勇者に甘えてるね」
騎士「魔女が魔女じゃないみたいだ」
商人「200年待ったんだ・・そっとしておこう」
僧侶「ねぇねぇわたしも甘えて良いかなぁ~ねぇねぇ」
商人「ハッ!!・・そうだ・・僧侶!君は精霊の声は聞いた事あるのかな?」
僧侶「ほぇ?精霊の声?ウフフ~わたしが精霊カモ~なんてね~」
商人「まじめに答えてよ」
僧侶「ん~~どうかなぁ・・始めて命の泉に行った時は『呪いをどうやって解くんだろう?』って思ったけど・・」
商人「思ったけど?」
僧侶「それって精霊の声だったのかなぁ?」
商人「ん~~~なんか違うね」
僧侶「今は『魔王は何処に居るのかな?』って思ってるけど・・それも違う?」
商人「ん~~~それもなんか違うね・・ほら声が聞こえるとか姿が見えるとか・・」
僧侶「わたしはね~夢も見たこと無いの~」
商人「夢?」
僧侶「うん!寝たら一瞬で朝になる感じ~ウフフ」
商人「ハハハ良い体質だね」
盗賊「イビキだけは勘弁してくれ」
僧侶「ええええええ」
---
ビョーゥ バサ バサ
騎士「・・・・・」
商人「騎士?考え事かい?」
騎士「風の音・・声かな?・・を聞いてる」
商人「君は精霊の声は聞こえないのかい?」
騎士「良く分からない・・でも聞こえているのかもしれない」
商人「かもしれないって?」
勇者の言う『呪いを解く鍵を探せ』と
僧侶の言う『呪いをどうやって解くんだろう?』
これは同じ様な意味になる
勇者の『魔王を探せ』と
僧侶の『魔王は何処に居るのかな?』も同じ
耳を澄ませると風や水・・あらゆる物から伝わって来るのは
それに似た感覚
騎士「僕は幽閉されている間ずっと銀のアクセサリーを指で弾く音を聞いていた」
商人「・・・・・」
騎士「銀の音を聞くと不思議と心が安らいだ」
騎士「今思えばそれは心の闇・・『呪いを解く方法を探してた』と言い換えれる」
商人「それが精霊の声?・・・僕にも聞こえるかな?」
騎士「耳を澄ませるだけだよ・・他に何も要らない」
商人「・・・・・」
騎士「・・・・・」
商人「・・・今は聞こえるかい?」
騎士「風の音だけだよ・・」
商人「なにか感じる物は?」
騎士「空間を感じる・・その中に僕は何かを探してる」
商人「・・・なるほど・・魔王を探してると言い換えれるのか・・深いな」
ヒューゥ
---
商人「・・・古文書によると200年前よりずっと前に命の泉を汚染したと書いてる」
騎士「そこに刺さってる魔槍を抜けば良いのかい?」
商人「多分ね・・ただドラゴンは普通の人間には抜けないと言ってた」
盗賊「勇者なら抜けるっていう保障は無いな・・無駄足にならなきゃ良いが」
僧侶「ドラゴンさんでも抜けなかったのかなぁ?」
商人「さぁね?・・でも僕の勘は結構当たるんだ」
盗賊「勇者!責任重大だな!ヌハハ」
勇者「・・・」
盗賊「ん~む・・騎士に比べると勇者は大分キャシャな体付きだが・・」
商人「ハハハそうだね・・見るからに騎士の方が適任に見える」
盗賊「まぁ一人ずつ試してみるだな・・意外とあのアバズレ娘が抜いたりするかもしれん」
---
盗賊「んむ~やっぱり女海賊の飛行船の方が少し速い」
商人「同じ様にしてる筈なんだけどね・・なんでだろう?」
盗賊「違うのは派手さだけなんだがな・・」
商人「あっちはドラゴンに似せてウロコみたいな物を貼り付けてるよね」
盗賊「あんなもんじゃ速さは変わらんだろ」
商人「いや・・そうでもないよ・・魚は水中を早く泳げるじゃないか・・それと同じかも」
盗賊「なぬ!!」
商人「本当・・あの子はあなどれないね」
盗賊「おいおい・・偶然だろ」
---砂嵐地帯---
ビョーーーーウ バサバサ
盗賊「ちぃと揺れるぜ」
騎士「何か出来る事はあるか?」
盗賊「そうだな・・女海賊の飛行船が付いて来てるか見ておいてくれ」
騎士「分かった」
女海賊「はろはろ~!!」
騎士「!!?」
盗賊「な、なんだ?」
騎士「すぐ真後ろに居る!!」
盗賊「おま・・!!危ねぇだろ!!」
女海賊「ロープ受け取ってね~!アタシの奴隷1号!お願が~い!!」
レンジャー「任せろ!!」ギリリ シュン トス
盗賊「うお!!あぶねぇ!!バカヤローこのアバズレがぁ!!当たったらどうすんだ!!」
女海賊「じゃね~ベロベロバー」ノシ
盗賊「おい!騎士!矢に付いてるロープを結んでおいてくれ」
騎士「もうやってる」
商人「ハハハさすがだね女海賊・・やり方が手際良い」
盗賊「・・んん?揺れなくなったな」
商人「船も連結すると揺れが小さくなるよ・・多分女海賊の飛行船はこっちより少し速度落としてる」
盗賊「ロープを張って安定させてるのか?」
商人「きっとそうだ」
盗賊「んむむ・・認めるしかねぇな・・あのアバズレめ」
---山頂---
ビョーーーーウ バサバサ
商人「はぁはぁ・・」
薬剤師「商人!ゆっくり意識的に大きく呼吸して」
商人「すーーはーーすーーはーー」
盗賊「やっぱり標高が高い所は心臓に良くないな」
騎士「そんなに心臓が悪化してるのか・・」
薬剤師「ここに来るのはこれで最後にした方が良いと思う」
盗賊「もうすぐ山頂だ!」
騎士「なんて高い山なんだ・・」
僧侶「騎士はここに来るの始めてだったね~世界のすべてが見えそうな感じだよ~ウフフ」
騎士「世界のすべて・・か」
盗賊「命の泉の前に直接降りる!」
フワフワ ドッスン
---命の泉---
シーン・・・
僧侶「ドラゴンさんは居ないね~」
盗賊「んむ・・商人!俺が背負ってやる・・来い!」ヨッコラ
商人「す、すまない」
僧侶「女海賊の飛行船も降りてきた~」
盗賊「あぁ・・後から付いて来るだろう・・俺達は先に行こう」
騎士「なんて静かな所なんだ」
僧侶「足元気をつけてね~小さなお花が咲いてるの~ウフフ」
薬剤師「あ!!癒し苔を摘んで行かないと・・」
僧侶「え?このお花は癒し苔って言うの~?」
薬剤師「癒し苔は不老長寿の薬が作れるの・・」
僧侶「へ~・・・不老長寿ってなに~?」
薬剤師「不老長寿と言っても寿命を少し長くするくらいの効果しか無いけど・・商人には良い薬になる」
盗賊「そりゃ良い!!少し貰って行ってもバチは当たらんだろ」
薬剤師「うん!少し摘んで行くから先に行ってて」
サラサラサラ
勇者「ここが・・命の泉?」
商人「そうさ・・泉の真ん中に魔槍が突き立ってる筈・・抜いて見て」
勇者「・・やってみる」
魔女「わらわも一緒に行くぞよ」
勇者「一緒にやろう」ジャブジャブ
勇者「・・これが魔槍か・・なんて大きな槍だ」
魔女「行くぞよ?」
勇者「・・むん・むんん・・むんんん・・くはぁ」
商人「・・・だめかい?」
勇者「抜けない」
商人「くそう!!」バチャン!
盗賊「お、おい!暴れるなよ」
商人「すまない・・僕の思い違いだったみたいだ・・これで世界が救われると思った」
盗賊「・・・・・」
商人「くそう!!くそう!!くそう!!どうすれば良いんだ!!」バチャン!バチャン!
盗賊「落ち着け!!」
商人「はぁ・・はぁ・・ゲホッゲホッ」
騎士「僕がやってみる」
僧侶「わたしも手伝う~」
騎士「僧侶には僕の腰を支えて欲しい」
僧侶「わかった~」
騎士「・・・」---すべての力を出し切る---
僧侶「準備良いかなぁ?」
騎士「スーーハーー・・・フンッ!!!」ボコ
盗賊「うお!!足がめり込んでやがる」
騎士「んがあああああああ!!!!」ズブズブ
僧侶「あわわ・・」ガシッ
騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ボキボキ
商人「!!!」
ズボッ
盗賊「ぬ、抜けた・・」
商人「僧侶!騎士に回復魔法を!手足の骨が折れてる」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
盗賊「魔槍が・・灰になっていく・・」サラサラ・・
商人「騎士!!命の源の傷跡に銀を埋め込んで!!」
騎士「銀?・・・」---銀のアクセサリー---
---リーン---
商人「それを魔槍が刺さっていた穴に!!」
騎士「・・エルフの娘」ズボ グイ グイ
商人「僧侶!命の源に回復魔法を!!」
僧侶「え?あ・・うん!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
シーン・・・
---
盗賊「・・な、なんか変わったか?」
騎士「・・・」ガクッ ザブン!
僧侶「!!?騎士・・回復魔法!」ボワー
商人「多分これで良い・・僕達は魔王の呪いを解いた筈」
サラサラサラ
商人「きっとこれで世界は救わ・・れる・・さ」
盗賊「!!?おい・・商人!!大丈夫か?」
商人「・・・・・」
盗賊「まずい・・」
僧侶「横にしてあげた方が良いかも~」
盗賊「そ、そうだな・・」
勇者「薬剤師を呼んでくる」タッタッタ
盗賊「・・・呼吸が弱い!!どうすりゃ良いんだ!?」
僧侶「心臓は無事かなぁ?」
盗賊「だめだ!止まりそうだ・・僧侶!回復魔法を!」グッ グッ グッ
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
---
フワフワ ドッスン
女海賊「やっと着いたぁ~はろはろ~」
盗賊「おぉ!!良い所に来た!!女海賊の飛行船の荷物を俺の飛行船に積み替えてくれ!」
女海賊「何よ!!アタシは今着いたばかりなの!!」
盗賊「商人が倒れた・・お前の飛行船で早く地上まで降ろして欲しい」
女海賊「!!?マジ?・・・心臓止まってる?」
盗賊「止まりそうだ」
女海賊「大変!!そんなマッサージじゃダメ!!アタシがやるから盗賊は荷物積み替えて!!」ニヤリ
盗賊「わ、わかった!!マッサージ頼む」ダダダ
女海賊「お~い!!アタシの奴隷1号と2号!!荷物を降ろして!!」
レンジャー「・・げげ・・まただよ」
剣士「は、はい・・今降ろします」
女海賊「あららららら・・・顔が真っ青だ」グッグッグッグッ
タッタッタッタ
薬剤師「商人は!?・・・・まだ間に合う・・マッサージ休まないでね」ゴソゴソ
女海賊「何するつもり?」
薬剤師「これは強心薬・・もしもの時にだけ使うの!僧侶!!水をすくってきて!」
僧侶「は~い!!」ジャブ ジャブ
薬剤師「少しづつ口の中へ・・」
僧侶「おくちア~~ン」チョロチョロ
薬剤師「うん!それで良い」
僧侶「お水が太陽の光でキラキラ光ってる~」
薬剤師「本当ね・・この泉の水は光でキラキラするんだね」
---
盗賊「よし!!荷物積み替え終わった!!騎士!!商人をゆっくり運んでくれ」
騎士「わかった」ヨッコラ
盗賊「奥だ!風通しの良い所に寝かせてくれ!」
薬剤師「マッサージはあたしに任せて」グッグッグッ
盗賊「女海賊!一番近い町は砂漠の町だ!急いで山を降りてソコへ向かってくれ」ポイ
女海賊「忙しいなぁ・・ん?これは?」パス
盗賊「商人ギルドの地下の鍵だ・・裏に入り口がある」
女海賊「そこに運べば良いのね?」
盗賊「囚人も一緒に行ってやってくれ・・俺はあっちの飛行船で砂漠の町に向かう」
囚人「わかった」
盗賊「じゃぁ後は頼む・・」
薬剤師「待って!!癒し苔をもう少し採ってきて欲しいの」
盗賊「わかった・・残った奴らで摘み取っておく」
女海賊「お~い!アタシの奴隷1号と2号も速く乗って~!!」
レンジャー「げげ・・」
剣士「はぅ・・」
女海賊「全速力で行くよ!!」
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
---
盗賊「じゃぁ俺達は癒し苔を摘み取ってから行こう」
僧侶「もう女盗賊が先に摘み行ってるよ~」
盗賊「そうか・・俺に摘めるだろうか」
僧侶「盗賊さんはジャマになると思う~飛行船の準備でもしておいて~ウフフ」
盗賊「そうか・・・ん?命の泉がきらめいてる・・・水って本当は光を反射する物なのか?」
僧侶「どうかなぁ~?眩しいね~」
騎士「呪いは解けたようだ」
僧侶「でも世界中に広がるまで時間がかかりそうだね~」
盗賊「まぁ・・これで商人の作戦は成功だな」
僧侶「そういえばさぁ・・商人が取り乱すの始めて見たなぁ・・」
盗賊「アイツは自分の命がもう残り僅かなのを知ってるんだろ・・だから失敗したくないんだ」
僧侶「呪いが解けて良かったね~」
盗賊「これで世界が救われると尚良いんだがな」
騎士「・・まだやる事が残っている」
盗賊「キマイラとゴーレムか・・」
騎士「急がないと」
---飛行船---
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
僧侶「ねぇねぇ砂漠の町までここからどの位?」
盗賊「3日って所だ」
僧侶「その間どうしよっかな~・・・あ!!商人が読んでた古文書だぁ」
盗賊「お前に読めるのか?」
僧侶「試しに読んでみるね~ウフフ」
盗賊「まぁ3日は暇になるな」
騎士「僕にも見せて」
僧侶「一緒に見よ~」パラパラ
文字は読めないから挿絵だけ見るね~
この絵はエルフかな?
耳が長いから多分そうだね~
これは?精霊かな?
かなぁ?女神様?
こっちは魔王かな
槍を持ってるからそうかも~
この杖をついてるのは誰だろ?
誰かな?・・文字が読めないと分からないね
・・・だめだぁ眠たくなった・・むにゃ
続きはまだか~~~!!!
乙です
おつん
---砂漠の町---
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「どうしたってんだ・・えらく賑わってんな」
女盗賊「様子がおかしいわね・・私は聞き込みしてから後で商人ギルドの地下に行くわ」
盗賊「おう!頼む・・俺達は先に行こう」
僧侶「砂漠の町に似合わない格好の人がいっぱ~い」
騎士「お祭りか何かな?」
盗賊「いや・・こんな時期に祭りは聞いたことが無い・・そんな事より商人が心配だ」
僧侶「そうだね~早く行こう~」
---商人ギルド地下---
タッタッタ ガチャリ バタン
盗賊「帰った!どうだ?商人の具合は?」
薬剤師「ハッ・・癒し苔は集まった?」
僧侶「いっぱいあるよ~♪ウフフ」
薬剤師「頂戴!今から薬を作る」
盗賊「具合は良くねぇのか?」
囚人「一度も目を覚ましていない」
盗賊「呼吸は・・・してるな」
囚人「心臓も今は安定している」
盗賊「栄養が足りんか?・・目を覚まさん事にはな・・」
僧侶「女海賊達は~?」
囚人「中立の国を経由して海賊船に行くと言って出て行った」
盗賊「何かあったのか?」
囚人「中立の国から市民が避難してきている」
盗賊「・・それで人が多いのか」
僧侶「何かあったのかなぁ?」
囚人「機械の国のゴーレムが大軍で駐留しているらしい」
盗賊「何!?」
囚人「それに合わせてリザードマンとドラゴンも来ている」
盗賊「おいおい!大変な事になってるじゃねぇか!!」
囚人「だから女海賊は偵察に行った・・すぐ戻るとも言っていたが・・」
薬剤師「薬が出来たわ・・飲ませるの手伝って」
僧侶「は~い」
薬剤師「あたしが首を押さえるから僧侶はゆっくり口の中に入れて」
僧侶「うん・・」チョロチョロ
薬剤師「・・そう」んぐ んぐ
僧侶「これだけで良いの?」
薬剤師「それで全部・・沢山あっても少ししか抽出出来ないの」
僧侶「効くと良いね~」
薬剤師「そうね」
---
魔女「わらわと勇者は少し町に出てくるぞよ」
盗賊「そうだな・・飛行船が長かったからな・・気分転換して来い」
僧侶「いいないいな~」
盗賊「勇者!気をつけろよ?」
勇者「分かってる・・町を散策したら戻ってくる」
魔女「わらわは勇者と一緒に町で買い物をするのが夢じゃった」
盗賊「ぬはは・・じゃぁ金貨も持って行け!」ジャラリ
魔女「それには及ばぬ・・少しの金貨で良いのじゃ」
盗賊「そうか・・まぁ楽しんで来い」
---夜---
女盗賊「・・・中立の国の王が急病で亡くなったそうよ」
盗賊「急病・・まさか暗殺じゃねぇだろうな?」
女盗賊「そのまさかの線が強そう・・今は王子が統治してるけど政治には弱いみたい」
盗賊「なんだって急に・・」
女盗賊「始まりの国の情報が中立の国にリークしてるって話は前に聞いたことがあったわ」
盗賊「お前は誰がリークしてたか知ってるのか?」
女盗賊「私の調べでは・・始まりの国の執政・・黒い噂が絶えない」
盗賊「ん~む・・暗殺された線がやっぱり強いな」
女盗賊「機械の国は中立の国と友好だから・・」
盗賊「場合によっちゃ戦争になりかねんな・・」
女盗賊「中立の国はドラゴンを退けるだけの戦力を持ってるのかしら?」
盗賊「いや・・あそこは武力を持たない国だ・・今はゴーレム頼りだろうな」
女盗賊「・・そのゴーレムはどれくらいの火力を?」
盗賊「1体で6匹の子ドラゴンと互角に戦える・・」
女盗賊「!!!え?・・・そんなのが100体以上も?ウソでしょ?」
盗賊「俺はこの目で見た」
女盗賊「信じられない・・それなら半分の50体でも始まりの国と戦争出来るわね」
盗賊「・・ところがだ・・始まりの国のキマイラはもっとすげぇ」
女盗賊「魔女騒動の時の?」
盗賊「そうだ・・3分で中立の国の城をバラバラに出来る・・いや・・消す事が出来る」
女盗賊「・・・・汗が出てきた」
---翌日---
バタバタバタ
薬剤師「商人が目を覚ましたの!!」
盗賊「本当か!?」
薬剤師「誰か食事をお願いできる?」
僧侶「わたしが作ってあげよ~か~?ウフフ」
盗賊「・・・お前はダメだ・・女盗賊できるか?」
女盗賊「流動食で良いのかしら?」
薬剤師「うん。お願い!!他の人はまだ商人を刺激する事は言わないでね?」
盗賊「わかってる!今話しできるか?」
薬剤師「うん。色々聞きたがってる」
盗賊「おい!騎士!行くぞ」
---
商人「やぁ・・どれくらい経ったのかな?」
盗賊「1週間だ・・具合はどうだ?」
商人「お腹が減ってるよ」
盗賊「今女盗賊が食事を作ってくれてる・・少し待て」
商人「夢を見たんだ・・僕は始めて良い夢を見たよ」
盗賊「どんな夢だ?」
商人「走ってる夢さ・・ほら・・僕は走ったことが無いから」
盗賊「気持ちよかったか?」
商人「最高だったよ・・思いっきり走っても苦しくないんだ」
盗賊「まぁ・・走ると疲れるがなヌハハ」
商人「あと海の夢も見たんだ」
盗賊「海?」
商人「海が太陽できらめくんだよ・・眩しくて目が開けられない・・そんな夢さ」
盗賊「それは時期に正夢になる」
商人「どういう事だい?」
盗賊「命の泉の呪いが解けてからきらめく水が湧くようになった」
商人「本当かい!?見たかったな」
盗賊「心配するな・・呪いは解けた」
商人「良かった・・きらめく海を見るまで僕は死ねないなぁハハハ」
盗賊「んむ・・薬剤師が不老長寿の薬を作ってお前に飲ませた・・しばらくは大丈夫だろう」
商人「そうか・・生かされてるのか・・ありがたい」
盗賊「まぁ今は体力を付けないとな」
商人「そうだね・・がんばるよ」
---
商人「騎士・・君には感謝しないといけないね」
騎士「僕に?」
商人「正直僕は勇者じゃないと魔槍は抜けないと思っていたんだ・・君が抜くのは予想外だったよ」
盗賊「ヌハハそうだな・・まさか自分の手足の骨が折れるまでやるとはな」
商人「ドラゴンは力では抜けないと言ってたんだよ」
盗賊「それを無理やり抜いた訳か」
商人「君は魔王を超える力を持っているのかも知れないね」
僧侶「わたしも手伝ったの忘れてないかなぁ?」
商人「ハハそうだったね・・僧侶の力かもしれないね」
盗賊「まぁ結果オーライだな」
僧侶「ねぇねぇ商人が読んでた古文書なんだけどさぁ・・」
商人「ん?何かあったかい?」
僧侶「ほらほら~?ここの項見て~」パラパラ
商人「精霊と魔王の項かい?」
僧侶「うん!精霊さんって女神様なの?」
商人「女神というか見た目は女性だね・・ここの項に書いてあるのは精霊と魔王の戦いの事さ」
僧侶「戦いがあったんだぁ~」
商人「精霊は魔王に封印されたと書いてるよ」
僧侶「へぇ~・・じゃぁ勇者はどうして精霊の声が聞こえるのかなぁ?」
商人「さぁね?でも封印された先は夢幻の世界となってるからソコから話しかけるのかもね」
騎士「夢幻?・・夢・・幻・・」
商人「ハハこの世界だと思っているのかい?考えすぎだよ・・今僕達はここに居る・・現実さ」
盗賊「んむ・・俺は俺だ!現実に違いない」
---数日後---
商人「ほっ・・」スタッ
盗賊「おい!もう起き上がって良いのか?」
商人「少し元気が出てきたんだ・・落ち着かなくてね」
盗賊「薬剤師!!良いのか!?」
薬剤師「少しなら良いと思う」
商人「バーベキューが食べたいなぁ」
盗賊「ん~む・・外は暑いぞ?俺達がバーベキューになっちまう」
商人「ハハやっぱり地下は快適だねぇ」
薬剤師「汗をかくのは心臓に負担だから控えめにして欲しい・・」
商人「そういえば女海賊を見ないなぁ・・どうしてるんだい?」
盗賊「あのアバズレは海賊船に一回戻ると言って出て行った・・もうすぐ戻る筈だが」
ガチャリ!!ドタドタ
女海賊「はぁはぁ・・大変!!」
盗賊「!!!女海賊・・待て!!商人はまだ体調が悪い・・こっちに来い」
女海賊「そんな事言ってる場合じゃ・・」
盗賊「良いから来い!!」グイ
女海賊「なによ~!!」
商人「・・・盗賊!待て・・・何か隠してるね?」
盗賊「・・・・・」
商人「僕の体調は気にしなくて良いよ・・話して」
---
女海賊「始まりの国がエルフと戦争を始めて・・中立の国に駐留してたゴーレム達が移動を始めた」
商人「・・・どういう事だい?初めから話して欲しい」
終わりの国に来ていたゴーレムの大軍はゾンビを片付けた後中立の国へ向かったの
程なくして中立の国の国王が暗殺されて混乱の中ゴーレム達が到着し駐留する形になった
同時にドラゴンとリザードマンが中立の国を襲撃するようになり難民が砂漠の町に避難
その間始まりの国ではエルフとの関係が悪化して戦争状態になって
機械の国のゴーレム達は今そこに向かおうとしてる
始まりの国から見るとエルフの他にゴーレムも乗じてる様に見える
商人「・・・最悪のシナリオじゃないか・・キマイラが動き始める」
女海賊「海賊達は今難民を辺境の村に移送するのに手一杯」
商人「くそう・・」バンッ
盗賊「商人!落ち着いてくれ・・」
商人「わかっているよ・・どうするか少し考えたいかな」
騎士「僕に考えがある・・」
商人「!?何か良い方法が?」
騎士「キマイラを・・・エルフの娘を森へ返す」
商人「そんな事が出来るのかい?」
騎士「エルフのオーブを使えば言う事を聞くかもしれない・・元はエルフの娘だ」
商人「・・・成功する自信は?」
騎士「自信は無い・・でもエルフの娘を森へ返す気構えは持っている」
商人「気構えって・・」
騎士「約束したんだ・・森へ返してあげるって」
商人「言う事を聞かなかったら?」
騎士「僕が責任を持って止めを刺す」
商人「君に出来るかい?」
騎士「エルフの娘を守れなかったのは僕だ・・責任は取る」
商人「わかった・・それで行こう・・いづれ通る道だね」
---
商人「まず海賊王の船に行こう!ここから2~3日だよね?」
女海賊「アタシが案内する!」
商人「ゴーレムの移動速度からすると始まりの国まで・・」
女海賊「エルフの森を直接横断してるから今日から数えて10日くらい」
商人「ギリギリ間に合う感じかな」
女海賊「ここから直接行った方が良いかも・・4~5日で行ける筈」
商人「騎士には馬が必要だよ」
女海賊「馬なんて始まりの国で買えば良いじゃない!」
商人「・・今は戦争中だよ・・馬が買える訳ないよ」
女海賊「キィィィィィいらいらする!!」
商人「それと・・君達をむやみに危険に晒す訳にも行かないよ」
女海賊「え!?アタシは行くよ!!」
商人「君はまだキマイラを見たことが無いね?・・・飛行船なんか一発で落とされる」
女海賊「あたらなければどうという事・・」
商人「君はこれからリーダーになる人間だと言う事を忘れないで欲しい」
女海賊「え!!?アタシがリーダー?」
商人「僕達にも海賊達にも・・それから難民達にも君が必要さ」
女海賊「・・・」
---飛行船---
盗賊「忘れ物は無いな!?」
騎士「乗った!」
盗賊「よし!行くぞ」
ボボボボボボ フワフワ プシュー
商人「やっぱり上から見ると随分人が避難してきてるね」
盗賊「中立の国からだと船に乗れなかった奴は砂漠の町に来るしかないだろ」
商人「女海賊から聞いたけどドラゴンじゃゴーレムに歯が立たないって・・」
盗賊「あぁ海賊王の船で見たことがある・・ゴーレム1体とドラゴン6匹で互角だ」
商人「ブレスと爪だけじゃ攻めきれないのか・・」
盗賊「ゴーレムの着てる鎧を引っ剥がせば太陽の光で石になるんだがな」
商人「中身はトロールかぁ・・鎧に穴を開けれればなぁ」
盗賊「穴か・・」
薬剤師「硫黄があれば鉄を溶かす薬を作れるよ」
商人「本当かい?」
薬剤師「とても危険な薬・・ほとんどの金属を溶かしてしまう」
盗賊「硫黄か!?・・心当たりがある・・辺境の村の裏山は火山だ・・硫黄も少し見かけた」
商人「よし!海賊達に取ってきてもらおう」
---
盗賊「見ろ!ドラゴンが飛び回っている」
僧侶「どこどこ~?」
盗賊「下だ!!この望遠鏡を使え」ポイ
僧侶「うふふのふ~ドレドレ」
盗賊「馬鹿!!反対だ」
僧侶「えへへ~・・・ドラゴンさん中立の国に近づけないみた~い」
盗賊「ゴーレムは見えるか?」
僧侶「わお~大きな大砲持ってる~・・・あ!!港に大きな船が居るよ~」
商人「ちょちょちょ・・見せて」グイ
僧侶「どう~?」
商人「・・・ゴーレムをどうやって操ってるんだ?操作してる人が見当たらない」
盗賊「そういえばそうだな」
商人「ゴーレムの頭の部分に人が入ってるのかな?・・いやそんなスペースがあるように見えない」
盗賊「まてよ・・そういえば機械の国の衛兵なんか見た事無いな」
商人「船の方にも人影が見えないなぁ・・・自律で動いてるのかな?」
盗賊「ん~む」
商人「まったく動かないゴーレムも居る・・本当にロボットみたいだ」
盗賊「そんな訳・・」
商人「もし頭部だけ交換出来るとしたら?・・・義手の様に」
盗賊「おいおい・・」
商人「石になってる間に頭部だけ交換・・簡単そうじゃないか?」
盗賊「いくらなんでも考えすぎだろ」
商人「・・でも不思議だ」
---
盗賊「海賊船が見えた!!良い位置に居るな」
商人「海はまだきらめいていない・・」
盗賊「もうしばらくかかるんじゃねぇか?」
商人「盗賊!女海賊の飛行船がどいたよ」
盗賊「よし!着陸する」
---海賊船---
フワフワ ドッスン
海賊王「えらいこっちゃなぁ・・」
商人「海賊王・・いつもすまないね」
海賊王「かまんかまん」
商人「今の状況はどうなってるのかな?」
海賊王「機械の国の船が陸沿いで始まりの国の方向へ動いてるわ」
商人「陸の方はどうなってるか分かる?」
海賊王「ここに来る前に見えんかったんか?」
盗賊「エルフの森を横断してるらしいが上からは見えんかったな」
海賊王「わいは陸の方はよう分からんな・・娘の方が詳しいわ」
女海賊「ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないみたい」
商人「・・と言う事は機械の国の船が目印になるんだね」
女海賊「多分ね」
商人「この海賊船で先回りするのは出来るかな?」
海賊王「それは出来るが・・危のうないか?」
商人「先回りして騎士達だけ降ろしたい」
女海賊「パパお願い!」
海賊王「しゃーないなぁ・・お前等ぁ!!進路変更や!!始まりの国へ全速力や!!」
海賊達「へ~い!!」
---
勇者「僕も騎士達と一緒に行きたい・・」
商人「・・今君を失う訳に行かないんだ」
勇者「役に立てるかも知れない」
商人「だめだよ・・騎士と僧侶の組み合わせは精霊の加護が出来る・・だから行けるかもしれない」
勇者「精霊の加護・・」
商人「それが無いと戦争の真っ只中には行かせられないよ」
盗賊「俺達はどうする?」
商人「僕と囚人だけで上空から騎士達を見守る・・あとの人は海賊船に残って」
盗賊「なにぃ!!」
商人「囚人も飛行船は動かせるよね?」
囚人「もちろんだ」
薬剤師「あたしも行く」
商人「君は・・・」
薬剤師「あたしが居ないと商人は生きられないよ?」
商人「わかった・・僕の命をお願い」
盗賊「俺達は待ってれば良いのか?」
商人「僕が不在の間は女海賊がリーダーさ」
盗賊「ななななんだと~う!!」
商人「女海賊には後の作戦を話しておく」
盗賊「ぐぬぬ」
商人「大丈夫だよ・・彼女は見た目よりずっと考えてるよ・・心配ないさ」
---
商人「・・・分かったね?」
女海賊「アタシにそんな忙しい事やらせる訳?」
商人「君の言う事はなんだかんだ皆聞くだろう?」
女海賊「それはアタシの美貌のせい!」
商人「ハハまぁ君の好きなようにして良いよ・・でも勇者だけは守って」
女海賊「わかった・・騎士達が戻るまで絶対祈りの指輪を使わせない」
商人「それで良い」
女海賊「アタシはアタシのやり方で動くかんね?」
商人「自信があればそれでも構わないよ・・ただ」
女海賊「ただ?」
商人「命を粗末にはしないで」
女海賊「そんな事分かってるわよ!」
---
盗賊「おい!商人!女海賊にどんな指示をしたんだ?」
商人「機械の国の船の足止めさ」
盗賊「足止め?」
商人「その他にも色々とやることを説明しておいた」
盗賊「足止めなんかどうやってやる」
商人「網だよ・・機械の国の船はスクリューと言う物を回して進むらしい」
盗賊「それに引っ掛けるのか?」
商人「そうだね・・女海賊の指揮で機械の国の進行方向に大量の網を撒いておくんだ」
盗賊「・・それでさっき飛んで行ったのか」
商人「ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないと行ったよね?」
盗賊「女海賊がそう言ってたな」
商人「それは理由がある気がするんだ・・船が止まればゴーレムも止まるかもしれない」
盗賊「なるほど・・他にはどんな指示を?」
商人「僕達が行った後の行動さ・・僕達が戻った場合、戻らなかった場合・・いろいろだよ」
盗賊「信用して良いんだな?」
商人「ハハハ大丈夫さ・・今のも実は彼女のアイデアだよ」
盗賊「ふむ・・」
---
僧侶「ねぇ・・騎士?エルフの娘の事気にしてるの?」
騎士「・・・・・」
僧侶「なんか胸がくるしいよぅ」
騎士「・・・ごめん」
僧侶「え!?どうして謝るの?何かあったの?」
騎士「違うんだ・・そういうのじゃないんだ」
僧侶「お願い話して・・わたし寝れないかも」
騎士「エルフの娘とは空気を使って会話が出来たんだ」
僧侶「え?・・空気?」
騎士「そう・・言葉意外に仕草や小さな音を使って表現するんだ・・エルフ特有の表現方法だよ」
僧侶「知らなかった・・そんな風に通じ合ってたなんて」
騎士「恋とかそういう気持ちじゃないよ・・エルフとは心を通わせる事が出来るんだ」
僧侶「・・・・・」
騎士「でも僕は見てしまった・・目の前でエルフの娘が心臓を取り出され・・血を一滴残らず抜かれ・・」
僧侶「え?え?え?」
騎士「頭を割って脳と骨髄をキマイラに移植する所を・・エルフの娘はその時・・抜け殻になった」
僧侶「そ、そんな事が・・」
騎士「アイツはエルフの娘の亡骸を役に立たないゴミだと言った・・そういう風にしたのはアイツなのに」
僧侶「・・・・・」
騎士「心が通じたエルフの娘はもう動くことは無い、泣かない、笑わない・・どうしても許せないんだ」
僧侶「ごめんね・・わたしが馬鹿だった」ポロリ
騎士「僕はエルフの娘を森へ返すと約束した・・彼女はそれに空気の会話で答えてくれた」
僧侶「・・・貝殻」
騎士「他にももっと沢山の事を教わったよ・・だからこだわっているんだ・・必ず森へ返す」
僧侶「わたしも手伝う」
騎士「ありがとう」
---
ザザー ザザー
海賊王「接岸するぞぉぉ!!」
商人「騎士!僧侶!降りる準備を・・」
騎士「もう出来てる」
海賊王「ここは機械の国の船の半日前方やぁ!!お前等が降りたら即離岸する!!」
商人「僕達は騎士達を上空で見守るよ」
僧侶「煙玉と閃光玉の準備もオッケ~」
商人「何かあったらソレを使って教えて」
僧侶「は~い」
商人「海賊船に残った人は女海賊の指示に従ってね」
盗賊「分かってる!!」
ガコン! グラグラ
海賊王「騎士!!早よう降りろぉ!!」
騎士「じゃぁ行って来る」グイ パカパカ
商人「気をつけて!!上手くいったら僕達もエルフの長老の所へ向かうよ」
騎士「必ず連れて帰るよ」
海賊王「はよ行けえええ!!」
パカ パカ パカラッ パカラッ
---エルフの森南部---
パカラッ パカラッ
騎士「まだ時間がある・・馬に生きた牧草を食べさせる」
僧侶「船が長かったもんね~」
騎士「どうどう・・」グイ
ブルル~ ガフ ガフ
騎士「上には飛行船が付いて来てるかい?」
僧侶「うん!遠くで旋回してる~」
騎士「エルフが急に襲ってくるかもしれないから気を付けて」
僧侶「精霊の加護してるから大丈夫~」
騎士「会話しながらでも出来るんだ」
僧侶「心の中でお祈り中~」
騎士「ここから東へ行けば森を抜けれる・・馬の休憩が終わったら森を抜けよう」
モシャモシャ ブルル~
---エルフの森の端---
パカラッ パカラッ
騎士「ハッ・・あれは・・森が燃えている・・もっと北か」
僧侶「ねぇねぇ!!おかしいよ?あそこに居るのゴーレムだよ?」
騎士「・・話が違う!!ゴーレムが1体・・か?」
僧侶「早く行った方が良いカモ~」
騎士「ハイヤ!」グイ
パカラッ パカラッ
騎士「機械の国の一人用の小さい気球も沢山居る・・森に火炎瓶を落としてるのか?」
僧侶「エルフは火が苦手って魔女が言ってた~」
騎士「どうやら機械の国もエルフを攻撃してる・・のか?」
僧侶「・・でもあのゴーレムってさぁ・・」
騎士「手当り次第に暴れてる感じだ」
僧侶「ねぇねぇ・・もしかしてさぁ・・船から離れると暴走するとか?」
騎士「・・・まさか」
”ゴーレムは機械の国の船から遠くは離れないと行ったよね?
”女海賊がそう言ってたな
”それは理由がある気がするんだ・・
騎士「そういえば・・ゴーレムは海岸線沿いをずっと移動してる」
僧侶「まさかのまさかカモ~」
騎士「女海賊が撒いた網が裏目に出るかもしれない・・」
僧侶「この状況ってさぁ~飛行船から見えるかなぁ?」
騎士「見えてる筈・・だけど森で暴れてるゴーレムは見えない」
僧侶「どうしよう・・」
騎士「あのゴーレムだけ片付けてみる・・どうなってるか確かめる」
パカラッ パカラッ
---
ゴスン ゴスン ギギー ドカン
ゴーレム「オーーーーーン」ゴゥ ボボボボ
騎士「僧侶!つかまって!ぶった切る!」パカラッ ブン! ザクン!
ゴーレムはダメージを受け片足を失った
グラリ ドスーン
僧侶「精霊の加護!」
ゴーレム「オーーーーーン」ゴゥ ボボボボ
騎士達は精霊の加護によりブレスを払いのけた
騎士「ゴーレムの反応が早い!加護が無ければ直撃だった」
僧侶「片足が無くても這って来る~」
騎士「・・・馬並みに早い!!僧侶!ゴーレムを良く見て!」
僧侶「大きな兜の中に光る目が一つ、全身土色の鎧、あとはあとは・・」アセアセ
騎士「頭の位置は手が届きそうかい?」
僧侶「這ってるうちは届きそう~」
騎士「折り返して交差するよ・・しっかりつかまって」
僧侶「は~い!」ギュ
パカラッ パカラッ ブン! ザクン!
ゴーレム「オーーーーーン」ドサッ
ゴーレムはダメージを受け頭部を失った
騎士「どうだ!?」
僧侶「だめぇぇぇ!!まだ動いてるぅぅぅ!!」
騎士「森を出る!!」パカラッ パカラッ
僧侶「ゴーレムさん早いよ~追いつかれるよ~」
ゴーレム「・・・」ドス ドス ドス ドス
騎士「太陽の光だ!!」パカラッ
僧侶「あ!!!動かなくなった・・」
---
ガチャン! バラバラ
騎士「・・・なるほど・・・頭部はトロールの物だ・・心臓を丸ごと機械の心臓に入れ替えてる」
僧侶「取り出せる~?」
騎士「ピカピカ光ってる・・なんだこれは?」グイ ブチブチブチ
僧侶「魔石と・・・機械?」
騎士「これは持って帰る・・まだ間に合うな・・僧侶!煙玉で飛行船を呼んで!!」
僧侶「わかった~火魔法」ポ チリチリ もくもくもくもく
騎士「すこし移動する!!」パカラッ パカラッ
僧侶「気が付いてくれるかなぁ?」
騎士「囚人は寝ないのを知ってるかい?」
僧侶「え?そうなの?」
騎士「すぐ来ると思う・・ゴーレムが見えた筈」
---
フワフワ ドッスン
商人「見てたよ・・どうしてゴーレムが?」
騎士「まずコレを・・ゴーレムの心臓に入ってた」
商人「・・この魔石は遠視の魔石だ・・遠隔操作してる様だね」
騎士「多分そうだと思う・・機械の国の船から離れると暴走してる様だ」
商人「暴走だって!?さっきのゴーレムは暴走してたのかい?」
騎士「1体だけで暴れ回ってた・・そして足が馬より速い」
商人「じゃぁ森が燃えてるのはもうゴーレムが一部来てるって事?」
騎士「暴走したゴーレムが暴れまわってる可能性がある」
商人「・・これはちょっと作戦を考え直さないと・・僕は一回海賊船に戻る!」
囚人「これを持っていけ・・煙玉と閃光玉だ」
商人「・・そうだね・・1時間に一回煙で居場所を教えて」
僧侶「何個あるの~?」
囚人「20個づつだ・・夜は閃光玉で知らせろ」
騎士「僕は北に向かう」
商人「待って!!この遠視の魔石も持って行って・・魔女が遠視魔法を使えるかもしれない」
騎士「僕が持てば良いかな?」
商人「遠視魔法があれば上空から君の目を通じて僕達にも様子が見れる」
騎士「わかった・・じゃぁ行く」グイ パカラッタ
---始まりの国城門---
執政「・・衛兵隊長!・・なぜ衛兵を出撃させん?」
隊長「衛兵は国を守るのが責務であります。衛兵が城を空けては国王様をお守りする事は出来ませぬ」
執政「今はエルフと戦である・・」
隊長「お言葉ですがエルフが森を出て始まりの国を侵略に来るとは思えませぬ」
執政「衛兵隊長は上官の意向に背くと言うのか?」
隊長「エルフとの関係をこじらせたのは執政殿であります。エルフの森の侵略を止めれば戦は終わります」
執政「・・・衛兵隊長の任を解くと言えば良いか?」
隊長「私は衛兵隊長としての責務を果たしており解任される覚えはありませぬ」
執政「ではただいまをもって・・」
隊長「それを職権乱用と言うのです・・精鋭兵!!これより発言を書記せよ!!」
精鋭兵「ハッ!!」
執政「・・・」
隊長「執政殿管轄の海兵及び空兵は下げた方が良いと思われます・・陸での行動は慣れておりませぬ」
執政「キマイラはただいまをもって我が管轄とする・・」
隊長「精鋭兵!!今の発言を国王様に報告しろ!!」
精鋭兵「ハッ!!」
執政「ふっふっふ・・すでに承認済みの話・・我が息子が育てたキマイラは息子が動かす」
隊長「・・・くっ・・執政!エルフをすべて焼き払うつもりか!?」
執政「口の聞き方に注意した方が良い・・衛兵隊長」
隊長「・・・・・」
執政「衛兵隊長はおとなしく城で見ているが良い・・もう衛兵は不要であると思い知る」
隊長「それは国王様の御意向・・か?」
執政「国王様はすでにご老体・・王子と我が息子がこれからこの国を采配するのだ」
隊長「王子はまだ子供では無いか!!・・ハッ・・まさか国王に毒を盛ったな!?」
執政「ふっふっふ冤罪を擦り付ける気か?証拠も無いのに下手な事を口にするな」
隊長「・・・・・」---この国は滅ぶ---
執政「せいぜい城の警備でもしていろ・・ふっふっふ」
---衛兵宿舎---
ツカツカツカ
隊長「衛兵!!駿馬を用意しろ!!」
衛兵「ハッ!!隊長はどこか行かれるのでありますか?」
隊長「戦地を直接見てくる・・すぐに戻る!!」
衛兵「私たちは待機で良いのでしょうか?」
隊長「市民を避難させる準備をしておけ・・避難先は港町だ」
衛兵「え!!?そんなに深刻な戦況でしょうか?」
隊長「事態が急変する可能性があるだけだ!黙って準備を進めろ」
衛兵「ハッ・・駿馬は城門前に準備しておきます!」
隊長「着替えて来る」
---城門前---
ヒヒ~ン ブルル~
衛兵「馬の足は速いですが全速力で長い距離は走らないで下さい・・戻って来れなくなります」
隊長「この馬だとエルフの森の国境までどれくらいだ?」
衛兵「2時間で行けます」
隊長「早いな」
衛兵「恐らく国で一番早い馬だと思います」
隊長「ご苦労だった・・任務へ戻れ」
衛兵「ハッ!」
隊長「では行って来る!」グイ
パカラッ パカラッ
---エルフの森国境---
パカラッ パカラッ
”・・・どういう事だ?機械の国の気球だと?
”森を焼き過ぎだ!!何をしてるんだ!!
”エルフは見当たらない・・・何と戦ってる?
”自軍は・・下がり始めてるか?
”エルフに押されてるのか?
”ハッ!!・・黒い騎士の一騎掛け・・何者だ?
オーーーーーーン
”・・巨人?・・1・2・3・・・いや森の中にまだ居る
”もしやアレは機械の国のゴーレムという奴か?
”なんでこんな所に・・・ゴーレムの足が速い!!
”まずい自軍に追いつく
ゴゥ ボボボボボ
”大砲からブレス!!?
”黒い騎士が・・一騎で立ち向かっている・・・
”ハッ!!エルフもゴーレムに弓を・・・
”自軍は下がる一方か
”あれは・・・ゴーレムの暴走か?
”くぅ・・キマイラの出撃は免れんか
”しかし何故機械の国が絡んでくる・・
”また執政が裏で手を引いているな・・愚か者め
”急いで戻らねば!!・・夜までには城へ到達しそうだ
パカラッ パカラッ
---
パカラッ パカラッ
騎士「見つけた!!」
僧侶「兵隊さんあぶな~い」
騎士「あれは追いつかれる・・ゴーレム3体か?」
僧侶「森の中にもっと居るみた~い」
騎士「足止めする!!」
僧侶「気をつけてね~精霊の加護もゴーレムに捕まえられたらダメカモ~」
騎士「・・・日暮れが近い」
僧侶「太陽の光がなくなるとゴーレムさん手を付けられなくなる~?」
騎士「森に住むトロールも動き出してしまう」
僧侶「え?トロールさんも?」
騎士「トロール・・いやゴーレムも夜は倒すことが出来ない」
僧侶「まずいカモ~」
騎士「つかまって!!」
僧侶「は~い」 ギュ
オーーーーーーーン
パカラッ ブン ザクリ ブシュ
ゴゥ ボボボボボボ
僧侶「だめぇ~つかまるよぅぅぅぅ」
騎士「3体同時は無理か・・森まで釣る」
僧侶「ゴーレムさん速いよぅ」
騎士「火の海をくぐる!精霊の加護を!」
僧侶「精霊の加護!」
ボーーーーメラメラ パカラッ ピョン
僧侶「みてぇ~エルフさんが他のゴーレムと戦ってる~」
騎士「1体だな・・援護する」パカラッ ブン ザクリ
ゴーレム「オーーーーーーン」ゴゥ ボボボボボボ
騎士「フンッ!フンッ!フンッ!」サクン ザクン ザクン
僧侶「ゴーレムさん手足全部無くなっても動いてる・・」
騎士「元はトロールだから・・また生えてくる筈」
僧侶「あ!!エルフさんがわたしたちに弓を向けてるよぅ」
騎士「エルフ達!!僕はエルフのオーブを持っている!!」
エルフ「!!?」
騎士「時期にゴーレムの大軍が来る!!ここは少し引いた方が良い!!」
エルフ「お前は仲間か?」
騎士「始まりの国の人間達は後退している!!一旦引いて夜明けを待て!!」
エルフ「・・・」
騎士「あのゴーレム達の中身はトロールだ・・夜は手が付けられない」
エルフ「トロールは我々の味方の筈」
騎士「心臓が入れ替えられている・・元のトロールの心は持っていない」
エルフ「!!?そんな事が・・」
騎士「早く戻って体制を整えるんだ!!日が昇れば勝機は有る!!」
エルフ「お前は名を何と言う?」
騎士「騎士だ!エルフの長老と魔女の仲間だ」
エルフ「覚えておく!・・・ここは下がる!川を越えて火を逃れる・・全員来い!!」スタスタスタ
僧侶「ああぁぁ・・暗くなって来たぁ」
騎士「僧侶!!今日最後の煙玉を!!」
僧侶「は~い!火魔法!」ポ チリチリ もくもくもくもく
騎士「僕達は一旦この森から逃れる・・・始まりの国方面へ向かう!!」グイ
パカラッ パカラッ
---
パシュ! ピカーーーーー
騎士「今日はここで野営しよう・・ここなら閃光玉の光も上からじゃないと見えなさそうだ」
僧侶「足元がゴツゴツしてる~」
騎士「仕方が無いよ・・ここは岩場だから・・風を避けてる分まだ良い」
僧侶「火は起こさなくて良いの?」
騎士「火が無いと寒くて休めない・・君に熾せるかい?」
僧侶「オッケ~任せて~」
騎士「じゃぁ僕は寝床を作る・・」ジャラリ
僧侶「だめぇ!!鎖で繋いでるから騎士も一緒にやるの~」
騎士「・・・」
僧侶「火魔法!フーフー」メラ パチ
騎士「慣れたもんだね」
僧侶「うふふのふ~」
騎士「じゃぁ次に草と木を少し集めないと・・・」
僧侶「・・・ねぇねぇ・・向こうの空が赤く光ってる」
騎士「森が燃えている・・」
僧侶「恐くなってきた~今日もだっこして寝るね~」
騎士「その方が暖かいね」
僧侶「ねぇねぇ今誰も居ないからさぁ~強くだっこして欲しいなぁ~」
騎士「・・・」ギュゥ
僧侶「・・こんな時に不謹慎かなぁ?・・でもねこうすると嫌なこと忘れるの~」
騎士「・・・・・」
僧侶「あったか~いウフフ」
---
ドーン ドーン
騎士「ハッ!・・まだ日が昇って居ないのに大砲の音」ガバッ
僧侶「むにゃ~もっとする~?いいよ~」
騎士「僧侶!寝ぼけてる場合じゃない!・・もう行こう」」
僧侶「ほえ?」キョロ キョロ
騎士「大砲の音がした!戦いが始まってる・・」
僧侶「まってぇ~」ヨロ
騎士「・・・肩を!」グイ
僧侶「ごめんねぇ~ウフフ」
ヒヒ~ン ブルル パカラッ
騎士「しっかりつかまってて」
僧侶「は~い!」
騎士「くそう!暗くて様子が見えない」
僧侶「閃光玉使って見る~?」
騎士「お願い!!」
僧侶「火魔法!」ポ チリチリ
騎士「投げて!!」
僧侶「え~い!!」ポイッ ピカーーーーーーー
---
騎士「始まりの国は攻城兵器を出してる・・」
僧侶「大きな弓みたいのがそうなの~?」
騎士「大砲とバリスタだ・・大砲で掘りを作ってる」
僧侶「満月が真上にあるから~・・」
騎士「まだ夜中だよ・・」
ドーン ドーン ドーン ドーン
騎士「ゴーレムの足を封じるつもりか・・」
僧侶「ゴーレムさんは見えなかったよー」
騎士「見えてるともう遅い
僧侶「商人達は飛行船で上に居るかなぁ?」
騎士「さっきの閃光玉が見えてると良いが・・」
僧侶「衛兵さん達にも見えちゃってるよね~?」
騎士「多分・・・ハッ!!空から火炎瓶が降り始めた」
僧侶「みて~火だるまのゴーレムさん?が見える~」
騎士「・・そうか・・トロールの回復力を封じるには火で炙り続けないといけないんだ・・だから森に火を・・」
僧侶「火だるまのゴーレムさん走ってくる~」
騎士「アレを倒してみる」グイ パカラッ
パカラッ ブン! ザクリ! ドサ
ゴーレム「オーーーーーーン」ズル ズル
騎士「やっぱり火で弱ってる」
僧侶「でもまだ動いてる~」
騎士「回復力を封じてるだけだ・・倒すには至ってない」
僧侶「どうすれば倒せるのかなぁ?」
騎士「心臓の機械を壊せば良さそうだけど・・懐まで入ると捕まってしまう」
僧侶「太陽の光が無いとダメかなぁ・・」
騎士「くそう・・夜明けまで長い・・」
僧侶「ねぇねぇ・・向こうの方!!火だるまのゴーレムさんがいっぱい出てくる~」
騎士「・・・・・すべて燃やし尽くされそうだ」
ピカー チュドーーーーーーン
騎士「うわぁ!!何だ!?・・」ドサーーーヒヒーン
僧侶「あわわわ」
騎士「僧侶!!大丈夫か!?」
僧侶「わたしは平気~お馬さんは?」
騎士「あそこだ!!驚いて逃げてる・・追いかけよう」
僧侶「今のゴーレムさん何処行ったかなぁ?」
騎士「バラバラだ・・キマイラのブレスだ!!」
僧侶「はぁはぁ・・待ってぇ~」
騎士「大丈夫!・・あの馬は肝が据わっている・・すぐに止まるよ」
ピカー チュドーーーーーーン
ピカー チュドーーーーーーン
---
パカラッ パカラッ
騎士「僧侶!精霊の加護をお願い」
僧侶「分かってる~」
騎士「ダメだ・・キマイラのブレスの狙いが定まっていない」
僧侶「火だるまのゴーレムさんが止まらないよぅ」
騎士「いや・・ゴーレムは攻撃される方向を目指して彷徨ってるだけだ・・今ので方向が定まってしまった」
僧侶「キマイラさんは何処~?」
騎士「・・・あそこの岩場の影・・行こう!!」
---岩場の影---
ピカー チュドーーーーーン
??「フハハハハ燃やせ燃やせぇ」
??「直撃しないとゴーレムを止めれません!!」
??「しっかり狙って撃てぇ」
??「しかし・・拘束具が邪魔で」
??「数を撃てぇ!!このキマイラは永久機関だハハハハ」
キマイラ「ヴォオオオオオオオオ」
ピカー チュドーーーーーーン
??「フハハハ圧倒的な火力じゃないかハハハ」
??「空を真っ二つに切り裂く勢いだ・・」
??「手足を失ってもゴーレムは向かって来ます!!」
??「直撃させれば問題無い!!撃て撃てぇ!!他の首も開放しろぉ!!」
??「3つ首で稼動するのですか!?」
??「そうだ!!すべて焼き払え!!ハハハ」
??「ハッ!!」
ピカー チュドーーーーーーン
??「フハハハ地獄のいかずちを食らえぇぇ!!」
??「誰か来ます!!・・・黒い騎士?・・です」
??「そんなのが居る話は聞いていないぞ?焼き払え!!」
---
僧侶「ハッ・・キマイラさんの首が動いた」
騎士「ブレスが来る!!」グイ パカラッタ
ゴゥ ゴーーーーーーーン
騎士「!!?アイツは・・魔王島に居た奴だ・・・・・うううう・・ハァハァ」---憎悪が湧いてくる---
僧侶「え?え?え?」
騎士「僧侶・・・回復魔法を・・く・・れ」
僧侶「回復魔法!」ボワー
騎士「ハァハァ・・」
僧侶「どうしたの~?」
騎士「アイツはエルフの娘を辱めた奴だ・・腹から憎悪が湧いてくる・・」
僧侶「わたしが癒してあげる~回復魔法!」ボワー
騎士「エルフの娘を助けないと・・」
ピカー チュドーーーーーーン
騎士「くぅぅ・・近づけない」パカラッ パカラッ
僧侶「ハッ・・見てあそこ・・隊長だよ」
騎士「え!?」
---
シュン ドス!!
??「ぐぁ・・・だ、誰だ!!」
隊長「そこまでだ!執政の息子め!キマイラは衛兵隊で管理する!」
執政の息子「フハハハこんな事をしてタダで済むと思っているのか?」
隊長「残念だがお前の父上は私が殺した・・お前も私に命乞いをするか?」
執政の息子「なに!?反逆者だ!!捕えろ!!」
兵隊「・・・・・」
隊長「無駄だ・・執政の息子!私は兵からの信頼が厚い・・反逆者はお前だ」
執政の息子「こっちには王子が付いている!!兵隊!!私の言う事が聞けないのか!!」
隊長「王子を薬漬けにしたのはお前の父の仕業だ・・国を売る反逆者め!」
兵隊「!!?王子を薬漬けに・・」
執政の息子「フハハハキマイラは私の物だ・・私の言う事しか聞かない」
隊長「黙れ!」ギリリ シュン ドス!
執政の息子「ぐぅ・・キマイラを使わないとゴーレムは防げない」
隊長「もっとマシな命乞いをしろ」ギリリ シュン ドス!
執政の息子「フフフハハハ・・拘束具を解放する」ガタリ ドサドサ
隊長「お前・・何を・・」
執政の息子「こ、これでキマイラは自由だ・・防いでみろフハハハハハ」
ヴォオオオオオオオオ ドス ドス
隊長「!!?兵隊!!全員下がれ!!夜明け前に全市民を避難させる!!」
兵隊「は、はい!!キ、キマイラは?」
隊長「手が付けられない・・・ハッ!!お前は!!」
---
パカラッ ブルル~ ガフガフ
騎士「・・・エルフの娘・・・助けに来た!」
僧侶「隊長~~キマイラさんの事は任せて~~」
隊長「お前達は誰だ!?」
僧侶「・・選ばれた勇者と・・私は隊長の部下の僧侶~」
隊長「なにぃ!!」
僧侶「詳しい話はまた今度~今は避難した方が良いと思うの~」
隊長「キマイラを知っているのか!?」
僧侶「うん!全部知ってる~隊長が海賊王の娘って事も~」
隊長「!!?・・・」
僧侶「隊長の妹さんの女海賊も仲間~」
ヴォオオオオオオオオ ドス ドス
隊長「暴走を始めた!!兵隊!!早く戻れ!!」
騎士「必ずキマイラは森へ返す!!ゴーレムはバリスタで心臓を貫けば止まる筈」
隊長「心臓か!?」
騎士「心臓に入ってる機械を壊せば良い」
僧侶「ゴーレムは海を越えれないからどうしてもダメな時は船で辺境の村まで逃げて~」
隊長「わかった!!キマイラを頼む!!行くぞぉ!!兵隊!!」
---
執政の息子「フハハハ無駄むだぁ・・私のキマイラは止められる訳・・」
騎士「・・・・・」ジャキリ
執政の息子「私を殺してもキマイラは止められん・・止めれるのは私だけだぁ」
僧侶「騎士!!やめて~!!」
騎士「すまない・・どうしても許せない」グイ
僧侶「だめぇぇぇぇ騎士もその人と同じになっちゃう・・」グイ
騎士「・・・・・」
ヴォオオオオオオオオ
騎士「エ、エルフの娘・・」
執政の息子「フハハハ分かったぞ・・あの時ゴミを大事そうに持って帰った負け犬だな?」
僧侶「キマイラさん行っちゃう~」
執政の息子「どうだ?私の研究の成果は・・すばらしいだろう?世界を征服する力だ」
僧侶「そんな人放っておいて早く行こ~」グイ
騎士「・・・・・」グイ ブルル~ パカラッタ
執政の息子「フハハハハハ・・・」
---
ピカー チュドーーーーーーン
騎士「次々機械の国の気球が落とされて行く」
僧侶「キマイラさんに追いつける~?」
騎士「僧侶!近づいたらキマイラに回復魔法を!我を忘れてる・・」
僧侶「わかった~もうすこし近づいて~」
騎士「エルフの娘!!森へ帰ろう!!」パカラッ
キマイラ「ヴォオオオオオオオ」ピカー チュドーーーーン
騎士「ダメだ・・」
僧侶「回復魔法!」ボワー
騎士「止まらない・・エルフの娘~!!迎えに来たんだ!!森へ帰ろう!!」
ヴォオオオオオオオオ ドス ドス
ピカー チュドーーーーーーン
僧侶「・・・すご過ぎる・・森が・・無くなって行く」
騎士「キマイラを止めないと・・世界が破滅する」
僧侶「どうするの~?」
騎士「キマイラの前に回る!!」
パカラッ パカラッ
---
騎士「エルフの娘~!!止まってくれぇ!!」
キマイラ「ヴォオオオオオオ」ゴゥ ボボボボボボ
僧侶「いやぁ・・精霊の加護!」
騎士「くぅ・・エルフの娘!!目を覚ましてくれぇぇぇ」
僧侶「騎士ぃ!!エルフのオーブを!!」
騎士「エルフの娘!!このエルフのオーブを聞いてくれ・・森へ帰ろう!!」
ヴォオオオオオオオオ ドス ドス
僧侶「・・ダメ・・聞いてくれない」
騎士「助けに来たんだ・・一緒に森へ行こう・・もう森を破壊するのは止めよう」
キマイラ「ヴォオオオオオ」ゴゥ ボボボボボボ
僧侶「いやぁぁぁぁ・・」
騎士「くそぅ・・止められないのか・・」
僧侶「怒りで我を忘れてる?・・・憎悪?」
騎士「ハッ・・・僧侶!!銀のロザリオを貸して!!」
僧侶「え?え?・・・はい」
騎士「エルフの娘!!僕だ!!この音を聞いてくれぇ!!」
---キーン---
僧侶(え?銀のロザリオを鳴らした?・・・)
騎士「思い出してくれぇ!!僕はこの音の意味が分かった!!」
キマイラ「・・・・・」
騎士「これは君が教えてくれたんだ・・憎悪を祓う唯一の方法だ」
僧侶「動きが変わった・・・」
キマイラ「ヴォーーーーーン」
僧侶「泣き声も変わった・・」
騎士「もう殺し合いは十分だ!!森へ帰ろう!!」
僧侶「キマイラの目から血が流れてくるぅ~回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「行こう!付いて来れるね?」
キマイラ「ヴォーーーーーン」ノソ ノソ
---飛行船---
ビューーーー バサバサ
商人「キマイラのブレスが治まった・・魔女?見えるかい?」
魔女「ううぅぅぅ・・あれがエルフの娘かえ?」ポロポロ
商人「僕達にも見えるかな?」
魔女「わらわの目に映っておる筈じゃ」
商人「・・・移動してる?森に帰ろうとしてるのかな?」
魔女「そうじゃ・・エルフの娘は我を取り戻し森へ帰ろうとしておる・・ううぅぅ」ポロポロ
商人「ゴーレムはどうなってる!?」
囚人「バラバラになっても這って進もうとしている」
商人「もうすぐ夜明けだな・・海賊船に戻って次の手を打とう!太陽が出てる内に人を避難させないと!」
囚人「わかった・・海賊船に戻る」
商人「それにしても・・エルフの森南部はもうダメかな・・」
囚人「火災が酷すぎるようだ」
魔女「わらわが雨乞いをしてやろう」
商人「なにか必要な物あるかい?」
魔女「強い魔力が必要じゃ」
勇者「僕が手伝う・・魔女・・手を」ギュ
乙
何故書き直しても、「直に」が「時期に」のままなんだろ。
この誤字に思い入れがあるとか?
つーか俺にはどこが変わってるのかわからん
「時期に」は意識していませんでした
「直に」「時期に」「時機に」「時季に」
色んな表現があるのですね
勉強になりました
---森---
ポツ ポツ
騎士「雨だ・・・」
僧侶「シクシク」
キマイラ「・・・・・」ノソ ノソ
騎士「・・これで森の火が収まれば良いけど」
騎士「もう直ぐ夜が明ける・・」
騎士「はっ!・・トロール達が南へ移動してる」
僧侶「え?・・どこ?」
騎士「森を守ろうとしてるんだ・・」
僧侶「おおき~い・・」
騎士「朝日が昇れば皆石になる」
僧侶「こっちに来たらどうするの?」
騎士「いや・・来ない」
僧侶「どうして分かるの?」
騎士「さぁ?・・なんとなく・・だけど自信が有る」
僧侶「あ・・明るくなって来た」
騎士「見てごらん・・トロール達が並び始めた」
僧侶「石の壁を作るのかなぁ?」
騎士「昼間の間はああやって侵入者を防いでるみたいだね」
---
グルルルル グルルルル
騎士「・・・・・」
キマイラ「グルル・・」ノソ ノソ
騎士「エルフの娘・・少し休むかい?」
キマイラ「ヴォーーーーン」ノソ ノソ
僧侶「あぁ・・行っちゃう」
騎士「・・・僧侶?君は少し休んで良いよ・・馬は僕が引いてあげる」
僧侶「騎士は歩くの~?」
騎士「あぁ・・エルフの娘のスピードに合わせる」
僧侶「大丈夫?」
騎士「自分の足で少し森を歩いてみたい」
僧侶「わかった~・・少し寝るね~ふぁ~あ・・」スヤ
騎士「エルフの娘・・待って!!・・僕も歩く」
キマイラ「・・・・・」ノソ ノソ
---キマイラは一度も足を休める事は無かった---
---振り向く事も無く---
---ゆっくり森の中を進む---
---僕もその後をひたすら着いて行く---
---それが僕達の会話だった---
---海賊船---
ザーザー ザーザー
海賊王「ひでぇ嵐や・・」
商人「海賊王!頼みがある・・始まりの国の港町まで海賊船は入れるかい?」
海賊王「そりゃ無理や・・港町に海賊船は寄るなと言われとる」
商人「また避難民が大勢出そうなんだ・・無理は承知で避難させて欲しい」
女海賊「白旗付けて入港したらいいでしょ?パパ」
海賊王「ん~む・・そやけどなぁ・・一般民が攻撃してくるかもしれんで?」
商人「海賊には民を助ける救世主になってもらいたいんだ」
海賊王「なぬ!!?救世主・・えー言葉や!!わいが救世主か?」
女海賊「・・そうそう!正義の義賊・・海賊王参上!!ってね」
海賊王「え~なぁ~!!ちぃと無理するわ!!」
商人「よし!!始まりの国からの避難民は港町まで歩いて2~3日・・しばらくは避難民を輸送してもらう事になる」
海賊王「行き先は辺境の村でええんか?」
商人「そうだね・・塩も向こうに置いて来て」
海賊王「そら忙しゅうなるなぁ」
商人「海賊船は全部で何隻あるのかな?」
海賊王「奪った商船と合わせて50隻はあるで~?」
商人「よし!騎士達はエルフの長老のところまでは1週間~10日かかる筈・・その間僕達は避難民の救出だ」
女海賊「中立の国に残ってるゴーレムも心配」
商人「ちょっと全数が把握出来ないけど・・暴走するとマズイね」
女海賊「20~30体でこの騒ぎだから・・倒せたのってそのうち数体でしょう?」
商人「太陽の光で動かなくなったら処置できる・・女海賊はそっちの処理できる?」
女海賊「心臓の機械を壊すんだよね?」
商人「そう!君の空賊?・・で協力して壊して欲しい」
女海賊「やっとアタシの凄さが分かったみたいね!!アタシの奴隷1号~20号までフル稼働したげる」
商人「ハハ頼むよ」
---
商人「夜明けだ・・盗賊!!始まりの国の上空まで行きたい」
盗賊「おう!忙しいな・・飛行船に乗れ」
商人「もうキマイラは居ないから多分飛行船でも大丈夫」
盗賊「始まりの国の上空でもか?」
商人「もしかすると他の気球から攻撃されるかもしれないけど・・飛行船なら逃げれるだろ?」
女盗賊「一応私が弓主担当するわ」
盗賊「囚人も弓使えるな?」
囚人「俺を誰だと思っている」
盗賊「ヌハハ元衛兵隊長も弓で頼む」
商人「機械の国の気球はただ森を焼くだけだ・・見つけ次第落とそう」
盗賊「・・・それにしてもひでぇ雨だな・・飛ぶぞ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
---飛行船---
ビョーーーウ バサ バサ
盗賊「雲から出るぞ・・他の気球に気をつけろ!」
女盗賊「沢山居るわ!!」
商人「勇者と魔女の魔法の射程は?」
魔女「弓とさほど変わらんが?」
商人「勇者と魔女も気球の撃墜をお願い・・・盗賊も弓主に回って」
盗賊「おう!それは良いが・・操舵は誰がやる」
薬剤師「あたしが飛行船動かしてあげる・・商人教えて?」
商人「・・縦帆は風を受けて揚力を飛行船に伝えるんだ」
薬剤師「ふむふむ・・」
商人「横風を受けて進むのが一番速く進む・・風上へは30度の角度でしか進めない」
盗賊「いや・・縦帆2本の角度によっちゃ15度まで飛べる・・慣れだ」
商人「・・という事らしい・・この飛行船は他の気球より高度が上げれるから割と安全に飛べる筈」
薬剤師「縦帆の操作はこのロープかな?」
盗賊「そのロープに繋いでるハンドルを回せ・・まぁやってみろ」
薬剤師「えい!」グリグリ
商人「いいね・・次は反対に旋回してみよう」
女盗賊「機械の国の気球しか居ないわ・・始まりの国の気球は一つも飛んでない」
盗賊「えらく小せぇ気球だな」
商人「一応羽付きだよ・・普通よりも早い筈」
女盗賊「・・機械の国の気球に見つけられたみたい・・追って来るわ」
商人「高度を上げながら折り返そう・・様子を見る」
盗賊「あっちは俺達のこと何だと思ってると思う?」
商人「さぁね?でもこんな大型の変な形した飛行船は怪しいだろうね」
女盗賊「何か撃って来てる・・反撃して良いかしら?」
商人「一発だけ球皮に当てて・・そうすれば帰るしかない」
---
シュン シュン シュン
盗賊「・・これであらかた片付いた・・戻って行くな」
薬剤師「どうすれば良いの?」
商人「追わない・・釣りかもしれないしね・・始まりの国の方向へ向かおう」
薬剤師「えい!」グルグル
盗賊「あの小せぇ気球は機械の国の船の方向に戻ってるのか?」
商人「そうだと思うけど・・すこし進路が違うね・・どこに行くんだろう?」
盗賊「ん~む・・どうやら女海賊の撒いた網は効果がなかった事になるな・・足止め出来ていない」
商人「・・かもしれないね」
薬剤師「雲が晴れてきた・・下が見えるよ」
盗賊「うはぁ・・ひでぇ・・」
商人「暗くて良く分からなかったけど・・草原と森があったとは思えない有様だ」
盗賊「ゴーレムは何処行った?」
女盗賊「所々にある石?」
商人「傷ついたゴーレムは光を受けて石になったかな?」
女盗賊「始まりの国が見えてきたわ」
商人「よし!もう少し近づこう」
---
ドーン ドーン ドーン
盗賊「大砲で堀を作ってやがる・・その後方にバリスタを配置・・まるで攻城戦だな」
商人「始まりの国も夜にゴーレムが来る事を分かってるね」
盗賊「おい!こっちの飛行船に気が付いたぞ」
商人「慌てているかな?手紙を書く」サラサラ
盗賊「こっちの様子を伺ってるな・・」
商人「皮袋に入れて煙玉と一緒に投下して・・できれば宿舎の近くが良い」
盗賊「隊長宛か?」
商人「この海賊のバッチも入れておこう」
盗賊「落とすぞ!!」カチッ チリチリ もくもくもくもく ポイ
商人「よし!始まりの国の北の森に行こう」
---衛兵宿舎前---
衛兵「隊長!!アレが煙玉を落として来ました!!」
隊長「よし!探しに行け!真っ直ぐ私の所へ持って来い!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「他の者は堀の掘削を急げ!!」
隊長「市民は港町まで避難させろ」
タッタッタッタ
衛兵「隊長!!手紙とバッチが入っています!!」
隊長「見せろ!」パサ
”北の森で待つ
”同志より
隊長「衛兵!!駿馬を持ってこい!!指揮を精鋭兵と変わる!!」
衛兵「どうされるのでありましょうか?」
隊長「あの飛んでる奴らは味方だ!私を呼んでいる!」
衛兵「味方!?急いで駿馬を持ってきます」ダダダ
---林---
パカラッ パカラッ
隊長「煙!!あそこか・・」
商人「来たね・・まず飛行船に乗って」
隊長「ハァハァお前達が来ると問題が起こる」
商人「ハハこの問題は僕達のせいじゃないよ・・まず空から惨状を見てほしい」
盗賊「飛ばすぞ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
隊長「この船はどうしたんだ?」
商人「僕達の手作りさフフ・・君の妹も同じ飛行船に乗っているよ」
隊長「妹?そうか・・無事なんだな」
商人「直ぐ会えるさ・・今はゴーレムの処理をしてる筈」
隊長「昨晩、黒い騎士に会った・・私の部下と一緒だった様だが・・」
商人「それは話が長くなるよ・・まずエルフの森がどうなってるか見てから話そう」
---エルフの森上空---
ビョーーーウ バサバサ
隊長「こ、これは・・ゴーレムの仕業なのか?」
商人「・・それとキマイラのブレスも・・かな?」
隊長「機械の国は始まりの国を侵略するつもりか?」
商人「恐らくそうだと思う・・中立の国の国王も暗殺された・・もう機械の国の手に落ちてる」
隊長「中立の国の国王が暗殺された?・・・」
女海賊「始まりの国の執政が関わってると思うわ・・」
隊長「・・あの愚か者め」
商人「キマイラはもう大丈夫さ・・森へ帰ったよ・・問題はゴーレムだ」
隊長「何体居るんだ?」
商人「・・100体近く居るはず」
隊長「なっ!!?そんな数が今晩始まりの国に?」
商人「いや・・全部が来るとは限らない・・ゴーレムは統率が取れていない」
隊長「暴走しているんだな?」
商人「そう・・コントロール不能で機械の国も慌ててる筈」
隊長「弱点は無いのか?」
商人「ゴーレムはドラゴン6匹と対等に戦える・・倒すには心臓の機械を破壊するしか無さそうだ」
隊長「・・・・・」
商人「日が出ている内に市民を避難させた方が良い・・海賊船が港町に入港する」
隊長「なんだと!?返り討ちに・・」
商人「だから君に会いに来た・・市民の避難を優先したい・・海賊船で辺境の村まで移送する」
隊長「なぜ辺境の村に?」
商人「ゴーレムは海を渡れない・・おそらくこの大陸はゴーレムにメチャクチャにされる」
隊長「・・・わかった・・私が指揮をする」
商人「始まりの国は市民が避難するまで時間を稼げば良い・・3日あれば港町まで移動できるよね?」
隊長「その後の食料はどうする?・・」
商人「海賊船には塩も乗ってる・・食料の心配はしなくて良い」
隊長「よしわかった・・ギリギリまで持たせてやる」
商人「さて・・次は僕達の話だ・・選ばれた勇者の話からしよう」
---
---
---
---
---
---
隊長「・・・あの黒い騎士はずっと私の元に居たのか・・そして僧侶も」
商人「そういう事になるね・・あの2人は何年も前からずっと近くに居るんだ」
隊長「そして・・魔法剣士・・いやお前が本物の勇者か?」
勇者「・・・・・」
隊長「フフフ・・ハハハ・・私の目は節穴だ・・なんという馬鹿者か」
商人「それは仕方が無い・・これからの事を考えよう」
隊長「大体理解した!!私は始まりの国へ戻らなければならない・・元の場所で下ろしてくれ」
商人「わかった・・隊長!君はまだ死んではいけない人だ・・無理はしないように」
囚人「俺も降ろせ・・隊長を守ってやる」
隊長「・・・お前を知っているぞ・・終わりの国の衛兵隊長だな?」
囚人「今は囚人だ」
商人「良いね・・どうやら囚人は海賊王の娘達と相性が良い様だ」
囚人「あのワガママ娘よりはマシだ」
隊長「私の邪魔はするなよ!?」
囚人「俺はお前だけを守ってやる・・それで良いな?」
盗賊「元の林に着いたぜ?」
フワフワ ドッスン
商人「じゃぁ隊長と囚人!!気を付けて!!事が済んだら海賊王の船で会おう!!」ノシ
---飛行船---
ビョーーーーウ バサバサ
盗賊「次は港町で良いのか?」
商人「あぁ・・次は盗賊と女盗賊に飛行船を降りて貰う」
盗賊「避難民の誘導か?」
商人「それと物資の調達もだよ」
盗賊「金が無いぞ?」
商人「女盗賊の家にある」
女盗賊「え!?そんな物無い筈・・あるのは薬だけ・・」
商人「中身を確かめたかい?」
女盗賊「!!?どういう事?」
商人「あれはねフフ・・僕達は海賊に騙されて塩を掴まされたんだよ」
盗賊「なぬ!!?お前・・知ってたのか?」
商人「ハハ済まないね・・あの時は海賊も黙って薬を渡すほど僕達を信用してなかった」
女盗賊「フフフさすが闇商人ね」
盗賊「どうやってわかったんだ?」
商人「舐めただけさ・・僕が舐めた時ジロジロ見られたけどね」
盗賊「今なら塩は薬より高く売れる」
商人「そうだね・・皆困ってる筈・・それで物資を調達して海賊船に乗せて欲しい」
女盗賊「わかったわ・・運ぶのは盗賊が手伝ってよね?」
---港町---
商人「じゃぁよろしく頼む」
薬剤師「待って!もし硫黄が手に入るようだったら入手しておいて」
盗賊「硫黄か・・大砲の火薬作ってる所ならありそうか?」
薬剤師「あると思う」
商人「どれくらい必要なんだい?」
薬剤師「酸を作るのに必要なの・・ゴーレムの鎧を鎔かせると思う」
盗賊「できるだけ沢山って事か?」
薬剤師「あと・・空き瓶も必要」
盗賊「分かった・・飛行船に積んでる塩も持っていくぜ?」
商人「良いよ・・僕達は一回海賊船に戻るよ」
薬剤師「飛行船の操作はあたしに任せて」
商人「明日もう一回港町まで来るよ・・もうすぐ日が暮れてしまう・・急がないと」
盗賊「気をつけろよ!!」
商人「分かってるよ・・じゃぁ作戦通りお願い」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
---飛行船---
ビョーーウ バサバサ
商人「勇者!君は照明魔法を使えるかい?」
勇者「使える」
商人「よし!今日の夜は勇者と魔女の照明魔法で始まりの国を援護する」
魔女「照明魔法をどうすれば良いのじゃ?」
商人「ゴーレムに当てる・・照明魔法はどれくらい持つかな?」
魔女「一晩は持つ筈じゃが・・遠く離れると効果が切れるやもしれん」
商人「僕達は上空で状況を見てるさ」
勇者「それにしても夜に戦なんて・・厄介だ」
商人「まだ満月なだけありがたいよ」
薬剤師「海賊船が見えた!降りるよ」
商人「僕も手伝う!」
---海賊船---
フワフワ ドッスン
女海賊「はろはろ~」
商人「やぁ・・ゴーレムの処理はどうだった?」
女海賊「20体くらい心臓取り出したよ」
商人「見れるかな?」
女海賊「今パパが分解してる」
商人「あ!そうだ!!今日君のお姉さんに会ったよ」
女海賊「え!!!オネエに?」
商人「今始まりの国の衛兵達を指揮してる・・3日はなんとか凌ぐつもりさ」
女海賊「その後は!?」
商人「市民を避難させた後に海賊船に乗る」
女海賊「早く逃げないと危ないよ・・」
商人「囚人が君のお姉さんを守るといって飛行船を降りた」
女海賊「あのオッサンが!?・・・なら大丈夫か」ホッ
商人「それよりゴーレムの心臓が見たいな」
女海賊「パパは船長室に居るよ!」
---船長室---
ガチャ ガチャ
海賊王「こりゃすげぇ・・応用すりゃ遠隔で義手の指も動かせるわ・・」
商人「海賊王!何か分かったかい?」
海賊王「すごいもんが入っとったわ・・魔石をエネルギーにした永久ポンプや」
商人「ハハ僕の心臓もそれにしたいな」
海賊王「そらムリやわ・・トロールやから交換出来るちゅうもんや」
商人「やっぱりその心臓で遠隔操作してるのかな?」
海賊王「そうやな・・雷の魔石も入っとってな・・どうやらこれでゴーレムを動かしとると思う」
商人「そんなことできるんだ・・」
海賊王「それよりこの永久ポンプの仕組みや・・金属が雷の魔石で伸縮しよる・・これを使えば・・」
商人「筋肉の代わりになる?」
海賊王「そうや!!・・これをゴーレムの体に埋め込んどるんや・・それで自由に動かせる」
商人「・・なるほどね・・雷に弱い訳か」
女海賊「でもゴーレムの鎧が本体へ雷が届かないようにしてる」
商人「鎧に穴が空けば雷で動きを止めれるってことでしょ?」
女海賊「どうやって鎧に穴を?」
商人「薬剤師が酸の薬を作れると言ってる・・硫黄が有れば良い・・ただ今日は間に合わない」
女海賊「海水は?海水を掛ければ本体に雷が効くかも」
商人「ふむ・・良いね!!」
女海賊「ゴーレム1体分の海水ならなんとかアタシの飛行船で運べる」
商人「ん~~~・・・1体か」
女海賊「突出したゴーレムだけやれば進行を遅らせれるかも・・」
商人「わかった・・今日はその手で行こう・・君は海水をゴーレムに掛ける役だ」
女海賊「海水を掛けたら閃光玉で知らせるネ」
商人「よし!なんとか今晩を乗り切ろう」
---
ヒュルルルルル~ ピカーーー
女海賊「信号弾だ・・アタシが見てくる」ダダダ
商人「もうすぐ日が落ちる・・今のうちに食事を済ませよう」
薬剤師「今日は長くなりそうね」
商人「また・・寝れないね」
薬剤師「交代で休むしか・・」
商人「寝れないのは始まりの国で守備してる衛兵達も一緒さ・・向こうはもっと必死だよ」
薬剤師「・・・結局・・予言の通り戦争になってしまった」
商人「・・・・・大丈夫・・・僕に考えがある・・・このまま予言通りにはさせない」
勇者「・・・」
---
ダダダダ バタン
女海賊「機械の国の船がクラーケンの大軍に襲われてる!!」
商人「え!?」
女海賊「10匹は居るよ・・巻き添え食らわないうちに避難しないと」
海賊王「方角と距離を先に言えと教えたろうが!!どっちや?」
女海賊「10時の方向で10海里・・飛行船だと上がればすぐ見える」
海賊王「港町の方角に移動や!!クラーケンはそこまでは来ん!!」
商人「・・・まずいな・・又暴走し出すゴーレムが増える」
女海賊「アタシは海水汲んで上空で待機する!!」
商人「僕達もそろそろ行こう」
薬剤師「商人は飛行船で少し休んで・・操作はあたしがやるから」
商人「ハハそうも言ってられないさ」
勇者「僕も手伝う」
魔女「わらわも居るぞよ?」
商人「よし!行こう」
---飛行船---
ビョーーウ バサバサ
商人「まだゴーレムは見えないかな?」
薬剤師「エルフの森の火災は治まったみたい?」
商人「くすぶってるね・・」
勇者「暗くなってきて良く見えない」
薬剤師「少し高度下げた方が良い?」
商人「待って・・高度下げてしまうと速度が落ちる・・勇者!このビンの中に照明魔法出来るかい?」
勇者「照明魔法!」ピカー
商人「このビンを落としていく・・もっと作って」
魔女「照明魔法!」
勇者「照明魔法!」
商人「薬剤師!このまま北に進路を変えて・・ビンを順に落としていく」ポイ
---
商人「次はここから真っ直ぐ南だ・・これで2本の線が引ける」ポイ
薬剤師「賢い・・これで見やすいね」
商人「この線をまたいだゴーレムに接近して照明魔法を撃つ」
勇者「照明魔法だけで良いのかな?」
商人「余裕があったら他の魔法も撃てるかい?」
勇者「氷結魔法で足を止めれるかもしれない」
魔女「わらわは氷結魔法は使えん」
商人「それじゃ照明魔法は魔女が担当だね・・2人の合わせ技が頼りかな」
薬剤師「見て!森でまた火が出てる」
商人「暴走したゴーレムが動き出したかな?」
薬剤師「違う!!空から火が降ってる」
商人「・・・ドラゴンかな?」
薬剤師「飛行船危なく無いかな?」
商人「ドラゴンは賢いよ・・きっと僕達の動きもしっかり見てる」
薬剤師「この飛行船はここで旋回してて良い?」
商人「うん・・待とう」
---
勇者「彷徨ってるゴーレムが1体線をまたいだ」
薬剤師「高度下げるね」
商人「魔法が撃てる距離に入ったら構わず撃って」
魔女「・・・」
勇者「今だ!!」
魔女「照明魔法!」ピカー
勇者「氷結魔法!」ピシピシ
商人「高度上げて!!」
薬剤師「えい!」グルグル
商人「閃光玉を落とす!」カチ チリチリ ポイ ピカーーーーー
薬剤師「始まりの国から見えてるかな?」
商人「見えてる筈さ・・きっと僕達の行動も理解してくれてる」
ドーン ドーン ドーン
商人「ほらね?大砲でゴーレムを狙ってる」
勇者「ゴーレムの動きが止まらない・・」
商人「いや・・遅くなってる・・本当は馬より速い筈」
---
商人「この調子なら今晩は越せそうかな?」
勇者「いや・・あのゴーレムの進みが止まらない」
ピカーーーーーーーー
商人「あ!!女海賊が海水を掛けた合図だ!!薬剤師行こう!!」
薬剤師「えい!!」グルグル
商人「射程に入ったら雷魔法を!!」
勇者「雷魔法!」ガガーン!ピシピシ
商人「どうだ!?」
魔女「止まっておる・・」
勇者「雷魔法!雷魔法!雷魔法!」ガガガガガーン
ブン ブン ブン ブン
ドス ドス ドス ドス
商人「バリスタの大弓だ!!薬剤師!上昇!!」
薬剤師「えい!!」グルグル
勇者「ゴーレムが動かなくなった」
商人「やったか!?やっと1体・・・」
魔女「次のゴーレムが来てるぞよ?焼かれておるから分かりやすいのぅ」
商人「いや・・これからだ・・次々出てくる」
勇者「3体だ!!」
ドーン ドーン ドーン
---
---
---
---
---夜明け---
隊長「もう少しで夜明けだ!!それまで持ちこたえろ!!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「バリスタ撃てえぇぇぇぇ!!」
ブン ブン ブン ブン
ドス ドス ドス ドス
隊長「堀に落ちたゴーレムに火を掛けろ!!」
衛兵「ダメです!!まだ向かって来ます」
隊長「心臓だ!!心臓を狙え!!」
衛兵「バリスタ隊までゴーレムが来てます!!」
隊長「くぅ・・・バリスタ隊引けぇぇぇ・・・ゴーレムに大砲を直撃させろぉぉ!!」
ドーン ドーン ドーン
衛兵「まだ動いてます!!」
隊長「全体城門まで引けぇぇ!!」
衛兵「隊長!!ドラゴンの形をした飛行船が来ます!!」
ザバーーーー ピカーーーー
隊長「待て!!大砲主!!ゴーレムが止まるのを待て・・心臓に直撃させろ!!」
衛兵「もう一基の飛行船が来ました!!」
ガガガガガガーン
隊長「今だ!!大砲主ど真ん中を撃てぇ!!」
ドーン ドーン ドーン
隊長「ゴーレムを倒した!!全体!!元の位置に戻れえぇぇぇ!!」
衛兵「隊長!!日の出です!!」
隊長「よし!!衛生兵は怪我人の処置を行え!救護班は倒れている者を運べ!!」
衛兵「ハッ!!」
隊長「各自食事を今のうちに済ませろ!!」
---飛行船---
ヒョーーーウ バサバサ
薬剤師「夜明けよ・・」
商人「結局倒せたゴーレムは4体だけ・・」
薬剤師「被害が大きすぎね」
商人「石になってるゴーレムはどれくらいかな?」
勇者「見当たらない・・森の中には少し居るかもしれない」
商人「これは・・3日持たせるのはキツイ・・かな」
薬剤師「硫黄が手に入れば酸を使って戦える」
商人「どれくらいで作れる?」
薬剤師「材料が揃えばすぐに出来る」
商人「よし!港町に行こう」
薬剤師「みんな少し休んでて・・」
---港町---
薬剤師「盗賊たちは何処に居るのかな?」
商人「多分女盗賊の家だと思う」
薬剤師「この町はまだ慌てた様子が無いね」
商人「対岸の火事くらいにしか思ってないんだろうね」
薬剤師「海賊船もまだ入港してないね」
商人「今日辺りから慌しくなるんじゃないかな?」
薬剤師「女盗賊の家はこっちで良いのかな?」
商人「多分・・この辺りだったと思う・・あそこかな?」
トントン トントン
薬剤師「居ないのかな?」
商人「盗賊!?僕だよ・・居ないのかい?」
ガチャリ
盗賊「誰かと思ったぜ」
商人「うわ・・・臭い・・・」
盗賊「硫黄の臭いだ・・この臭いが嫌で女盗賊は宿屋に泊まってる」
薬剤師「!!!今からここで酸を作る・・硫黄を燃やすから魔女・・手伝って?」
魔女「わらわに何か出来るんか?」
薬剤師「硫黄を燃やすのを手伝って欲しいの」
魔女「それは簡単じゃ」
薬剤師「それから盗賊!空き瓶と水を沢山持って来て・・商人は宿屋で少し休んで」
商人「あ、あぁ良いのかい?」
薬剤師「じゃぁ鍋に硫黄を入れるから順に燃やしていって・・」
---数時間後---
盗賊「うお!!・・ひどい臭いだ・・目に滲みる」
薬剤師「これで全部・・ビンで200本」
盗賊「これを飛行船に積めば良いか?」
薬剤師「うんお願い!絶対に割らないように」
盗賊「そんなに危ねぇ物なのか?」
薬剤師「その液体を被ると体が解けてしまうの」
盗賊「なぬ!?・・・もしつまづいたら?」
薬剤師「液体を被ったらアウト・・とても強い酸だから気をつけて」
盗賊「恐えぇ物運ばせるんだな」
薬剤師「うん・・それでゴーレムの鎧を鎔かせると思う」
盗賊「そうか・・鎧さえ無ければ昼間は行動出来ないんだな?」
薬剤師「多分・・」
盗賊「お前は宿屋に商人達を呼びに行ってくれ」
薬剤師「うん・・そうする」
---飛行船---
盗賊「よし!全部積んだぞ」
商人「盗賊ありがとう!」
薬剤師「出発して良いかな?」
勇者「飛行船の操作は僕がやるから薬剤師は少し休んだ方が良い」
薬剤師「操作できる?」
勇者「コツは見てたからきっと行ける」
薬剤師「あたしは少し寝るね」
商人「そうして・・君はずっと寝てないね」
勇者「出発する」グイ
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
---
勇者「見えた・・あれが海賊王の船だよね?」
商人「随分近くに来てたんだね」
魔女「女海賊の飛行船も見えるのぅ」
商人「着陸手伝うよ」
---海賊船---
フワフワ ドッスン
女海賊「おっそい!!何してたのよ!!」
商人「ごめんよ~ゴーレムを倒す最新兵器を持ってきたのさ」
女海賊「え!?」
商人「薬剤師が作った酸入りのビンだ・・これをゴーレムに当てれば鎧が溶ける」
女海賊「じゃぁ今のうちに・・」
商人「どうしたんだい?そんなに慌てて」
女海賊「動けるゴーレムがあちこちで暴れてるの!!」
商人「え!?どういう事かな?」
女海賊「機械の国の船がクラーケンに襲われてて身動き取れなくなってるの」
商人「沈没したのかい?」
女海賊「沈没はしてないけど・・多分中に乗ってる人が忙しいんだと思う」
商人「・・それで暴走するゴーレムが増えてる?」
女海賊「きっとそうよ・・アタシはその酸を持ってゴーレムに掛けてくる」
商人「ゴーレムは何処まで進行してるのかな?」
女海賊「行ってみないと分からないけど始まりの国にも行ってるかもしれない・・」
商人「女海賊に任せて良いのかい?」
女海賊「アタシに任せて!!アタシの奴隷1号!!来て!!」
レンジャー「・・またかよ」
女海賊「あんた弓使えるでしょ?ビンも一緒にくくり付けてゴーレムに当てて」
レンジャー「ビンなんか付けたら狙いが・・」
女海賊「外したらもう触らせてあげないから!!」
レンジャー「・・まだ触らせてもらってねーし」
女海賊「アタシの奴隷2号!!酸入りのビンを飛行船から降ろして」
剣士「またですか~トホホ」
女海賊「おわったらチューしてあげる」
レンジャー「何!!俺がやる!!」
商人「荷物降ろしたら僕達も上空で待機するよ」
---飛行船---
ビョーーーウ バサバサ
商人「女海賊飛んで行ったね・・」
勇者「商人も少し休んで」
商人「すまない・・そうさせてもらう」
魔女「飛行船はわらわと勇者にまかせて良いぞよ?」
商人「ありがとう・・少し寝るよ」
---暴走したゴーレムの数は増え---
---次第に戦いが激しさを増していった---
---2日後---
商人「・・・やっと・・夜が明けた・・」
勇者「ハァハァ・・」
魔女「はぁはぁ・・」
商人「市民の避難はほとんど終わった・・もうそろそろ限界かな」
薬剤師「まともにゴーレムの数を減らせるのは昼間だけね」
商人「まだ50体近く居る筈」
薬剤師「海賊船に戻りましょう・・すこし休まないと」
商人「女海賊に今日通達するよ・・始まりの国の衛兵を引かせよう」
薬剤師「女海賊に?」
商人「そうさ・・これから指揮を取るのは海賊王の娘2人だ・・」
薬剤師「どういう事?」
商人「あの2人には辺境の村に避難した人たちをまとめて貰う」
薬剤師「あたし達は?」
商人「騎士を追ってエルフの長老の所に行く」
薬剤師「なにか考えが?」
商人「フフ魔王の予言を変えてみせる」
---海賊船---
フワフワ ドッスン
海賊王「おう!!よう戻った」
商人「女海賊は?」
海賊王「船長室で寝とるわ・・起こすと機嫌悪うなるで?」
商人「急ぐんだ・・」ヨロ
海賊王「お前も寝た方が良いんちゃうか?」
商人「僕は後で寝るよ」
---船長室---
商人「女海賊!話がある」
女海賊「んあ?アタシは疲れてんの!!」
商人「君に最後の頼みだ・・君のお姉さんの所に行って始まりの国の兵を引かせる様に説得して欲しい」
女海賊「オネエに?」
商人「もう始まりの国は3日分程度の食料しか残ってないはず・・これ以上はムリだ」
女海賊「ゴーレム退治は?」
商人「これ以上の消耗は出来ない・・兵も疲れきっている」
女海賊「兵を引かせてどうするつもり?」
商人「辺境の村で建て直しをして欲しい・・君と君のお姉さんの2人でね」
女海賊「オネエと一緒に・・」
商人「もうゴーレムの進行は始まりの国だけじゃ無い筈だ・・被害が拡大する前に他の町の人も避難させないと」
女海賊「商人はどうするの?」
商人「僕は騎士を追ってエルフの森へ行く・・その後は各町で避難民を誘導するよ」
女海賊「もう行くの?」
商人「あぁ僕はもう行かないと・・君も速くお姉さんにこの事を伝えて」
女海賊「じゃぁアタシも寝てらんないね」
商人「ハハハもうすぐゆっくり寝れる」
女海賊「どういう事?」
商人「これは僕の賭けだ・・」
女海賊「商人は賭け事が弱いって僧侶に聞いたけど?」
商人「ハハハまいったな・・でもきっと上手くいくさ」
女海賊「わかった!!アタシがリードする」
商人「頼むよ・・」
---
海賊王「食料と水は飛行船に積んでおいたで」
商人「ありがとう・・後は指揮を女海賊に任せた」
海賊王「なぬ!!・・・そこはわしやろ~!!」
商人「女海賊は割りと人望厚いよ?」
海賊王「そらわいの娘やからな!!がはは」
商人「じゃぁ僕達はエルフの森に向かうよ・・次に会うのは辺境の村かな?」
海賊王「ムリすんなや?」
商人「大丈夫さ・・今までこの調子でやってきたんだ・・今度も上手くいく」
海賊王「しばらくは飛行船で休むとええ!!」
商人「そうするよ・・じゃぁ行くね」ノシ
ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
乙
いいところで・・・
早く続きを
三点リーダくらいどうにかならんのか
誤字と違って理解の妨げにはならないから、読者様でもなきゃ気にならないでしょ
---飛行船---
ビョーーーーウ バサバサ
商人「ふぅ・・やっと休める」
勇者「僕が飛行船操作するから皆休んでて」
商人「ありがとう」
薬剤師「少し休んだら変わるね」
商人「今後の事は起きた後話すよ・・」
勇者「方向はこのままエルフの森を北で良いのかな?」
商人「そうだよ・・ほらここに地図がある・・ここら辺さ」
勇者「皆寝てて良いよ」
---
薬剤師「商人・・また読んでるの?」
商人「あぁこれね・・まだ古文書の解読が残ってるんだ」
薬剤師「何か新しいこと分かった?」
商人「いや・・解読はまだまだ時間が掛かるかな」
薬剤師「予言の書の方は全然見ないのね」
商人「ハハあんな物に興味は無くなったよ」
薬剤師「でも結局予言の通りになってるでしょう?」
商人「僕は信じたくない・・いや信じない」
薬剤師「ガンコね」
商人「・・・これからの事を話すよ・・勇者と魔女もよく聞いておいて」
まず魔女が持ってる祈りの指輪は僕がしばらく預かる
なぜかと言うと・・これからエルフの長老に会いに行く訳だけど・・
長老がその指輪を使って勇者から200年分の命を吸ってしまうのを防ぐ為さ
実は・・魔女が歌う『愛の歌』には秘密があってね
その歌は200年の時を越えて結ばれる愛の歌なんだけど
本当はエルフと人間の『愛の歌』なんだ・・歌詞が少し変えられてる
長老は勇者を200年前に送り、自分は若返る・・そして魔女を我が物にしたい・・
そんな祈りを込められた歌なんだよ
商人「これが今まで繰り返されてきたループさ」
魔女「・・・商人・・・それはまことか?」
商人「僕はその流れを断ち切る」
魔女「エルフの長老は信頼できるわらわの古き友じゃぞ?」
商人「魔王が汚した命の泉から沸く水を飲んでるのは人間だけじゃないよ」
魔女「信じられん・・・2年程長老と一緒に居ったが・・・そんな素振りは・・」
商人「長老は勇者を見つけたら連れて来いとは言わなかったかい?」
魔女「・・・言うておった」
商人「僕の勘は割りと当たるんだ・・指輪を預からせてもらっていいね?」
---
薬剤師「ねぇ商人?・・もし勇者が200年前に戻らなかったらどうなるんだろう?」
商人「さぁね?・・ただ勇者は僕達と一緒に居る・・彼が死なない限りまだ続く」
薬剤師「え?どういう事?」
商人「魔王はね・・『予言の書』という形で勇者を居なかった事にしようとしてるのさ」
薬剤師「え?・・それで予言の書には『勇者が世界を滅ぼす』と書いてあるという事?」
商人「そうだよ・・そうやって憎悪に染まった人間を使って勇者を倒し・・無かった事にしようとしてる」
薬剤師「あなた・・それを前から気づいていたの?」
商人「僕が魔王ならそういう事も考えるって話だよ・・今勇者が死ねば200年前の魔王は蘇る」
薬剤師「・・カードはあたし達に有る?」
商人「そう!!カードをいつ切るかは僕達が決める!!」
薬剤師「何か考えがあるの?」
商人「ある」
薬剤師「今は教えてくれないの?」
商人「それは騎士達が一緒の時に話すよ」
---
魔女「勇者?わらわは今幸せじゃ」
勇者「・・・・・」
魔女「何も言わんでも良い・・何も覚えが無くても良い・・ただわらわを感じてくれれば良い」
勇者「魔女・・・僕は・・」
魔女「何があってもわらわは勇者の元に有る・・それだけじゃ」
勇者「僕は前から魔女を知っていた・・」
魔女「それが感じる事じゃ・・もっとそばに寄っても良いか?」
勇者「・・・あ、あぁ」
魔女「もっとわらわを感じておくれ・・」
---エルフの森上空---
ビョーーーウ バサバサ
薬剤師「見て!ドラゴンがエルフの森から飛び立つ」
商人「あれは・・子ドラゴンだね」
薬剤師「ドラゴンとエルフの関係は?」
魔女「昔から関係は良い」
商人「そうだね古文書には1000年以上前から良い関係と書いてるよ」
薬剤師「ドラゴンがこっちに来る・・あわわ」
勇者「ドラゴンの背にエルフが乗ってる!」
薬剤師「あ!!他のドラゴンも飛び立った・・」
勇者「エルフが弓で飛行船を狙ってるぞ!・・・どうする?」
魔女「おとなしくしておった方が良い」
商人「ハハハとんだ出迎えだね・・どうしよう」
魔女「ゆっくり高度を下げるんじゃ・・こっちが何もせねば仕掛けては来ん」
ギャオース バッサ バッサ
商人「早いな・・ドラゴンに乗ったエルフは脅威だね・・」ゴクリ
薬剤師「完全に囲まれてるわ・・6匹・・旋回してる」
魔女「ゆっくり降りれば良い」
商人「ドラゴン達はエルフの所で羽を休めてるんだね」
魔女「その様じゃのぅ」
薬剤師「あそこの丘に降りるね」
---エルフの森---
フワフワ ドッスン
魔女「もう囲まれておるから武器は持たぬ様にな・・わらわが先に出る」ノソ
商人「頼むよ・・穏便にいきたいよ」
魔女「わらわはエルフの長老に会いに来た・・弓を下げてもらえんか?」
??「・・・」
魔女「先にエルフのオーブを持った騎士達も来ておろう?」
??「・・・」ヒソヒソ
魔女「わらわ達は武器を置いておる・・敵では無い」
??「・・・」ヒソヒソ
魔女「ここに勇者も連れて来ておる・・エルフの長老の所まで案内してもらえぬか?」
エルフ「我らは人間達と戦争中だ・・人間の扱いは掟通り縄を掛けさせてもらう」
魔女「それで構わぬ・・自ら目隠しをして待てば良いか?」
エルフ「下手に動くと射抜かれるのを忘れるな」
魔女「では目隠しをするまで見ておれ」
ゴソ ゴソ ゴソ ゴソ
魔女「4人とも目隠しが済んだぞよ?・・どうすれば良いのじゃ?」
エルフ「縄を掛けさせてもらう!おとなしく待て」
グイ グイ ギュー
エルフ「つまづかない様に付いて来い」
---長老の家---
トントン
エルフ「長老に会いに来た人間を連れて来ました」
長老「ほう・・名は聞いたか?」
エルフ「いえ・・まだ聞いて居りません」
魔女「わらわじゃ・・」
長老「やはり魔女であったか・・入れてやれ」
エルフ「はい」
カチャ パタン
エルフ「縄をほどいて良いのでしょうか?」
長老「解いてやってくれ」
エルフ「はい」スル スル スル
長老「魔女や・・わしの所に来たという事はアヤツを探し出したのだな?」
魔女「やっと・・愛しき人にめぐり会うた」
長老「どうだ?どのような気持ちだ?」
魔女「わらわはもう満足じゃ・・他に何も要らぬ」
長老「そうか・・それが人間の愛の結末か・・なんと儚い」
魔女「そうじゃ・・わらわ達より先に騎士達は来ておらんのか?」
長老「来ておるが・・今は変わり果てたエルフの娘を癒しに精霊樹まで行っておる」
魔女「精霊樹・・長老が遥か昔にわらわを連れて行った場所じゃな?」
長老「覚えておったか・・エルフの母なる樹」
魔女「帰りを待って居った方が良いかのう?」
長老「精霊樹は本来人間が行くべき場所ではないが・・魔女だけは許そう」
魔女「わらわ一人で行っても良いか?」
長老「これ・・エルフ・・魔女を精霊樹まで案内せい」
エルフ「はい」
長老「魔女の仲間達はここで待て・・他の者に示しが付かんのでな・・理解してくれ」
商人「はい」
---
カチャリ パタン
僧侶「やほ~魔女と交代してきたよ~ウフフ」
騎士「皆来たんだね」
商人「心配したけど・・無事にエルフの娘を返せたんだね」
騎士「ここに居ればエルフの娘もまた生まれ変わる事が出来るらしい」
商人「エルフは死んでも新たにもう一度生まれるって言うけど・・」
騎士「心が有れば又生まれ変われるるんだ・・100年先か200年先か分からないけど」
僧侶「精霊樹にしばらく癒してもらうと良いかな~」
商人「・・・ところで」
騎士「??」
商人「僧侶にお願いがある」
僧侶「え?わたし?なになに?」
商人「君は銀のロザリオを持ってたよね?」
僧侶「うん!あるよ~」
商人「それを長老に渡して回復魔法を掛けてあげて欲しいんだ」
僧侶「え?どうしたの?怪我したの?」
商人「良いから・・長老に回復魔法してね」
僧侶「は~い」トコトコトコ
僧侶「ねぇねぇエルフの長老様~~!!」
---やっぱり間違いない---
---長老は勇者に見向きもしない---
---勇者の事をアヤツとも表現してる---
---
僧侶「ねぇねぇエルフの長老様~~わたしが癒してあげる~ウフフ」
長老「何をするつもりだ?」
僧侶「これ持ってぇ~・・・わたしの銀のロザリオ~」
長老「ほう・・良い物を持って居るな」さわさわ
僧侶「わたしが回復魔法をしてあげる~」
長老「回復魔法?・・わしは目こそ見えんが体に悪いところは・・」
僧侶「目が良くなるカモ~ウフフ~なんてね~」
長老「では回復してもらおう」
僧侶「いくよ~~~回復魔法!」ボワー
長老「・・・・・」
僧侶「おしま~い!!どう?わたしの癒し~」
---
長老「何か・・・いや気のせいか・・・」
商人「・・気のせいでは無いよ」
長老「何かしたのか?」
商人「長老を救ったのさ」
長老「救った?」
商人「これから起こすかもしれない罪から救った」
長老「何の事だ?」
商人「長老は魔女が持つ祈りの指輪の事を考えてなかったかな?」
長老「なぜそのような質問をする」
商人「僧侶は心の闇を癒す力を持っているんだ」
長老「心の闇・・」
商人「勇者に祈りの指輪を使って200歳分の命を吸おうと考えてなかったかな?」
長老「・・・・・」
商人「そうすればあなたは若返り・・魔女と余生を過ごせる」
僧侶「!!商人?突然何を言い出すの~?長老は悪いエルフじゃないよ~?」
商人「200年の時を越えたエルフと人間の愛の歌」
僧侶「え?え?え?・・どういう事?・・あの歌の事?」
商人「ここで勇者を200年前に送ってしまえばもう・・魔女は勇者を諦めるしかない」
長老「・・・・・」
商人「それが人間の愛の結末・・違うかい?」
---
長老「人間にここまで心を見破られているとは・・」
商人「長老はずっと魔女を愛し続けていたんだね」
長老「そうだ・・200年前・・突如勇者が現れ魔女の心を奪った」
商人「でもエルフの長老・・魔女はこの話をしても長老の事を最後まで信じていたよ」
長老「・・・」
商人「信頼出来る友だって・・最後まで祈りの指輪を僕に預ける事はしなかった」
長老「魔女・・」
商人「200年以上生きる魔女にとって長老は唯一心を許せる人だったって事だね」
長老「・・わしはなんと愚かな考えをしておったのか・・」
商人「その魔女から大切な物を奪ってしまう罪から救ったのさ」
長老「愛を知るのはわしの方だったか・・」
騎士「『人間は愛を知る定め』・・これの本当の意味は?」
長老「・・人間はすでに愛を知っておった様だ・・わしはそれを疑っておった」
商人「こういう猜疑心を生むのも魔王の掛けた呪いのせいだと思ってる」
長老「魔王の呪い・・」
商人「心配しなくてももう魔王が汚した命の泉の呪いは解いたよ」
長老「魔王が掛けた呪いは命の泉だけではない・・死ぬ間際にも呪いを掛けておる」
商人「え!?」
長老「夢幻の呪い・・わしらはすでに200年以上夢を見続けておる」
騎士「・・やっぱりこの世界は幻」
長老「現実と夢の狭間・・せめて夢の中でだけでも魔女と結ばれるのがわしの夢だった」
商人「ちょ、ちょっとまって・・話が違うじゃないか・・今の僕達は幻なのかい?」
長老「幻であり現実でもあり・・それが夢幻」
商人「夢幻の世界から逃れる方法は!?」
長老「無い・・」
商人「・・・そんな」
長老「だが200年前は確かに現実・・祈りの指輪を使えば1人だけ現実に戻ることはできよう」
商人「・・もし勇者以外の人現実に戻したらどうなる?」
長老「魔王は蘇り・・再び世界は闇に閉ざされるであろう」
商人「長老はそれを知って勇者を200年前に送るつもりだった・・」
長老「いかにも・・それが魔王を封じる方法であり・・勇者の定めでもある」
商人「フフフ・・ハハハハハハハハ」
---
商人「悪いけどそうはさせないよ・・その流れは僕達が変える」
長老「魔王が蘇る事となるが・・それでも良いのか?」
商人「長老以外に祈りの指輪で勇者を200年前に送れる人を僕は知ってる」
長老「わしより年をとっている者は居らんはずだが?」
商人「それはどうかな?」
長老「誰だ?」
商人「フフかつての竜王・・ドラゴンは1000歳を超えている」
長老「・・・ドラゴンは人間の言う事は聞かん」
商人「勇者が死ねば再びドラゴンは魔王の下僕となる・・・ガマンできるかな?」
長老「お主は勇者を殺すと申すか?」
商人「ハハハ勇者じゃなくても良い・・長老を殺すことだって出来る・・同じ事だろう?」
僧侶「商人!?本気なの~?」
商人「僕は本気さ」
長老「・・・さすがは魔女が認めた者達と言った所か・・・人間は不遇な時こそ知恵を出すのぅ」
---
商人「騎士・・君は辺境の村周辺で人間は最後まで戦うと言ったね?」
騎士「そうだね・・その後病気で滅びる記憶を思い出した・・」
・・つまり今までのループでは君は200年前に戻る人ではない
僕が思うに・・本当に200年前に戻る必要がある人は・・魔王を倒す勇者と
呪いを解くことが出来る僧侶・・そして僧侶を守る騎士の3人だよ
僕が知る限り浄化の能力を持ってる人は僧侶以外に知らない
もしかしたら魔王によって夢幻の世界に封印された精霊の生まれ変わりかもしれないとも思ってる
僧侶だけは夢を見ないとも言ってたしね
なにより・・命の源の魔槍を抜き・・呪いを解いたのも騎士と僧侶だ
商人「ドラゴンなら4人同時に200年分の命を吸える筈」
騎士「4人?」
商人「ハハ君達だけだと魔女がヘソを曲げちゃうだろ?そこは抜かりない」
勇者「・・・・」
商人「これで今までの流れを断ち切れる・・そして呪いも解かれ世界は救われる」
---
僧侶「あ!!魔女~おかえり~」
魔女「もどったぞよ・・」
僧侶「エルフの娘は一人にして平気?」
魔女「精霊樹に抱かれ眠っておる・・エルフは寝る事は無いんじゃが・・傷が深いのじゃろう」
僧侶「ねぇねぇ・・この後の事決まったよ~」
魔女「どうするのじゃ?」
商人「ドラゴンに願い事さ」
魔女「さて・・何を願うのか?」
長老「魔女・・こっちへ来い・・勇者も一緒で構わん」
魔女「なんぞ?」ノソ ノソ
長老「魔女・・わしは目が覚めた・・そなたには礼を言わねばならん」
魔女「何を言うておる」
長老「勇者・・魔女を頼む」
勇者「エルフの長老・・」
長老「わしらはもう会えぬ・・だがわしの事は忘れんでくれ・・それだけで良い」
魔女「どうしたんじゃ?長老らしく無いではないか?」
商人「魔女・・こういう事だよ・・騎士と僧侶、勇者と魔女の4人で200年前に戻る・・」
魔女「詳しく話せ」
---
---
---
---
---
商人「・・・もう僕達や長老とは一生会えなくなる・・・そういう事だ」
魔女「なんとも複雑な思いじゃ・・・騎士と僧侶はそれで良いのか?」
騎士「・・・・・」
僧侶「騎士と一緒ならわたしは大丈夫~ウフフ」
騎士「・・これは運命・・なの・かな?・・・僕が思い出した記憶は一体何だったんだろう・・」
商人「それは夢さ・・」
騎士「夢?・・幻・・それが夢幻か」
商人「運命は自分で切り開けば良い・・僕は予言になんか縛られない」
騎士「・・・・・」
---昔師匠に言われた言葉を思い出した---
---『前を向いて生きろ』---
---『絶対に途中で投げ出すな』---
---僕は思い出した記憶に縛られて---
---心の底で諦め掛けていた---
騎士「・・わかった・・行ってくる・・行ってすべてを変えてくる」
商人「頼むよ」
魔女「覚悟した様じゃな」
長老「魔女・・もう一度あの歌を聞かせてくれんか?」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
---
魔女「ドラゴンは時期にエルフの村まで飛んでくるそうじゃ」
僧侶「長老がドラゴンさんを呼んでくれたの~?」
魔女「子ドラゴンに呼びに行かせたそうじゃ」
僧侶「長老は落ち込んで無かった~?」
魔女「落ち込んではおらぬ・・しきりに勇者の世話を焼いておったが要らぬおせっかいじゃ・・」
僧侶「ウフフ~本当に長老は魔女のこと愛していたんだね~」
魔女「じゃがもう会えんとなると少し寂しいのぅ」
僧侶「・・もう会えないかぁ・・盗賊、女盗賊、囚人、海賊王、隊長、女海賊、皆と会えなくなるのはなぁ・・」
魔女「一生忘れないという事も愛の一つなんじゃのぅ・・」
僧侶「なんか涙が出てくる~」ウルル
---夜---
サワワ サワワ
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「騎士がどうして耳を澄ますのか分かった気がするよウフフ」
騎士「森の声を感じる」
僧侶「うん・・わかる」
騎士「君は何を感じる?」
僧侶「う~ん・・言葉で表せないなぁ~・・なんて言えば良いのかなぁ・・」
騎士「ハッ!!!!!」ガバッ
僧侶「???」
騎士「・・・呼んでる」
僧侶「え?」
騎士「これはエルフの娘だ!・・行かないと・・行こう!!」
僧侶「え?え?え?」
騎士「早く行かないと・・一緒に来て!」タッタッタ
---精霊樹---
サワワ サワワ
僧侶「ハァハァ・・」
騎士「はぁ・・はぁ・・」
僧侶「どうしたの?何かあるの?」
騎士「・・・・・」
キマイラ「・・・・・」
僧侶「・・寝てる?」
騎士「・・・・・」
キマイラ「・・・・・」
騎士「・・寿命が来た」
僧侶「え?・・寿命?」
騎士「キマイラの寿命は3分・・・エルフの心臓でも数週間しか無かったんだ・・」
僧侶「寿命で・・死んだ?」
キマイラ「・・・・・」
僧侶「そんな・・長老は生まれ変われるって・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「生まれ変われるって言ったのにぃ・・」ポロ
サワワ サワワ
騎士「・・生まれ変わったよ」
僧侶「どこ?・・・居ないよ?」
騎士「足元を見てごらん」
僧侶「・・樹の芽」
騎士「それはエルフの娘の生まれ変わりだ・・彼女は森に生まれ変わった」
僧侶「・・・・・」
騎士「森になって戦おうとしてる」
サワワ サワワ
---翌日---
僧侶「シクシク」
商人「・・そうか・・エルフの娘が森になったか・・」
魔女「それが定めじゃ・・エルフの娘は定命を迎え・・森となった」
薬剤師「感慨深いわ・・」
騎士「・・・・・」
商人「騎士・・君から決意を感じる」
騎士「・・・・・」
ギャオース
僧侶「あ・・ドラゴンさんの声・・」
商人「来たな・・行くよ!!」
商人「待っていたよ・・ドラゴン」
ドラゴン”我を召喚するのは汝か?”
商人「取引したいんだ・・」
ドラゴン”我らは人間と取引はせぬ”
商人「祈りの指輪の事だ」
ドラゴン”破壊せよ”
商人「この指輪で僕達4人の命を200年分吸って欲しい」
ドラゴン”出来ぬ”
商人「勇者が200年前に戻らないと・・魔王は復活する・・それでも良いのか?」
ドラゴン”・・・勇者が居るのか?”
勇者「・・僕が勇者だ」
ドラゴン”・・見覚えがある・・こんな所に居たか”
商人「勇者と騎士、僧侶、魔女の4人を200年前に送りたい」
ドラゴン”過去に戻るのは勇者だけでよかろう”
商人「それじゃダメなんだ・・夢幻の呪いを解けない」
ドラゴン”夢幻の呪いを解く術はあるのか?”
商人「命の源の魔槍を抜いたのは騎士と僧侶だよ」
ドラゴン”・・・そうか・・・魔王の呪いを解く術が揃っていると言うのだな?」
商人「4人の命を吸って800年分若返る・・悪い話じゃないと思う」
ドラゴン”我が竜王として力を取り戻す事になるが・・良いのだな?」
商人「フフフ・・良いさ・・ドラゴンはもう僧侶の浄化を受けている筈・・」
ドラゴン”よかろう・・汝らの力で魔王の呪いを解いて見せよ”
商人「200年前に戻して欲しい場所は・・」
魔女「わらわの塔の近く・・追憶の森が良い・・そこなら安全じゃ」
商人「・・という事らしい」
---
薬剤師「早く飛行船に乗って~」
商人「ここからだと森の町まで2日くらいかな?」
騎士「多分それくらいだと思う」
商人「あと2日と考えると・・正直感慨深い」
僧侶「その話は無しにしようよ~う」
騎士「別れの言葉も言わない様にしよう」
商人「ハハ君達もなかなか言うね」
僧侶「悲しくなって来たよぅ・・」
商人「そんな事ないさ・・この世界を救うのは君達に掛かってる・・上手くやってほしい」
僧侶「ねぇ・・商人?トランプしない?」
商人「ハハハいいね!みんなでやろう・・その後バーベキューでもしよう!」
薬剤師「出発するよ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー
魔女「エルフ達が見送っておるぞよ?・・・」
商人「手を振っておこう」ノシ
僧侶「またね~~」ノシノシ
---飛行船---
ビョーーーウ バサバサ
僧侶「ドラゴンさん付いて来てる~?」
騎士「僕達よりも下を飛んでるよ」
商人「もうすぐ森の端だ・・まっすぐ魔女の塔まで行こう」
僧侶「ここら辺はまだ穏やかなんだね~」
商人「僕と薬剤師は勇者達を送った後、森の町の人たちの避難を促すよ」
騎士「どこに避難するつもり?」
商人「エルフの森を通って砂漠の町かな・・そのあと中立の国を目指す」
騎士「一般人にエルフの森が通れるかな?」
商人「さぁね?・・でもそこしか行ける場所がないよ」
薬剤師「ねぇ・・あれが魔女の塔?・・崩れてるけど・・」
商人「いよいよだね・・魔女・・追憶の森はどこかな?」
魔女「塔から歩いてすぐじゃ・・」
商人「じゃぁ魔女の塔の目の前に下りて良さそうだね」
薬剤師「高度下げるよ」
---魔女の塔---
フワフワ ドッスン
魔女「・・・」
商人「ここはいつ来ても花がいっぱいだ・・」
魔女「わらわに少し時間をくれんか?」
商人「良いけど・・どうしたのかな?」
魔女「勇者と2人で話がしたいのじゃ・・良いな?」
商人「分かったよ・・少し花見でもしてるよ」
勇者「・・・・・」
魔女「勇者・・・わらわは祈りの指輪で命を繋いでおる」
勇者「わかってる」
魔女「わらわの命はすでにもう無い・・命を吸えば灰になるじゃろう」
勇者「・・・・・」
魔女「じゃがわらわは勇者と常に共にあることを忘れんで欲しいのじゃ・・」
勇者「魔女・・・」
魔女「わらわは勇者と共に居れて幸せじゃった・・もう悔いは無い・・最後に強く抱いておくれ」
勇者「・・・・・」ぎゅぅぅぅぅぅぅ
魔女「・・・わらわは常に傍におるぞよ」
僧侶「!!?だっこしてる~いいないいな~騎士~わたしもだっこしてぇ~」
商人「シー・・そっとしておいてあげなよ」
僧侶「ねぇねぇ~騎士~」
---追憶の森---
商人「よし!準備は良いかな?・・・魔女・・祈りの指輪を」
魔女「・・・」スル
商人「さぁドラゴン!この指輪で魔王が居た200年前を思い出して欲しい」ポイ
ドラゴン”汝ら思い残す事は無いか・・”ガシ
魔女「勇者・・わらわを放さないでおくれ」
勇者「・・・・・」ぎゅぅ
僧侶「わたしも~」
騎士「・・・」ぎゅぅ
商人「フフ・・準備は良いみたいだ・・皆!さよならは言わないよ」
勇者「必ず魔王を倒してくる」
騎士「必ず世界を救ってくる」
僧侶「必ず呪いを解いてくる」
商人「頼むよ・・未来を作ってくれ」
ドラゴン「ギャオーース」
---
---
---
---
---
サラ サラ サラ サラ サラ
---魔女は灰となって消えた---
サラ サラ サラ サラ サラ
----------------
---200年前---
----------------
---追憶の森---
勇者「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」
??「!!?ハッ・・・こ、光臨・・した」
勇者「・・・あなたは・・・魔女?」
??「わらわは光の国の姫じゃ・・勇者の光臨を待っておった・・」
勇者「僕達は魔王を倒す為に200年先の未来から来た」
姫「おぉぉ預言者の言った通りじゃ・・」
僧侶「姫?・・あれ?・・魔女は?」
勇者「魔女は・・僕の心の中に居る」
僧侶「え?え?え?」
??「姫!!その物たちは!?」
姫「エルフ!!この者たちは異世界から現れた勇者じゃ・・予言の通り・・わらわの元に現れた」
エルフ「勇者!?どいつだ?」
勇者「僕が勇者だ」
エルフ「青い瞳の勇者・・大剣を携えた騎士・・精霊の如き僧侶・・まさか本当に現れるとは・・」
姫「勇者達よ・・ついて参られよ・・預言者の墓まで案内してたもう」
僧侶「・・・たもう?」
騎士「僧侶・・良いから行こう」
僧侶「う、うん・・」
---光の都---
テクテク テクテク
騎士「!!?ここは森の中にあった遺跡だ・・」
僧侶「すご~い!!光の都だったんだぁ~」
姫「そうじゃ・・ここは光の都・・わらわはこの都の姫じゃ」
エルフ「姫!!この者たちを信用して良いのか?」
姫「構わぬ!!わらわの目に間違いは無い」
勇者「何処に連れて行くつもりかな?・・姫」
姫「わらわの光の塔の地下じゃ・・預言者がそこで眠っておる」
勇者「預言者?・・僕達が来ることは予言されていた?」
姫「そうじゃ・・半年程前に預言者が現れ異世界より勇者が光臨すると予言していったのじゃ」
勇者「眠ってるって・・どういう事かな?」
姫「預言者はほどなくして亡くなった・・墓で眠っておる」
勇者「どうして僕達をそこへ?」
姫「預言者の遺言じゃ」
エルフ「おい!!勇者!!姫の隣を歩くな!!」
姫「良い!!わらわは勇者の話が聞きたいのじゃ・・お前は後を付いて参れ」
エルフ「くぅ・・」
姫「わらわは魔法使いじゃ・・勇者と共に魔王を倒せと預言者は申しておった」
勇者「・・・そうか」
騎士「気になるね」
僧侶「きになる~」
姫「こっちじゃ・・この階段を下りるのじゃ」
---光の塔の地下---
シーン
僧侶「静か~うふふ」
勇者「・・・このお墓かな?」
姫「そうじゃ・・待っておれ・・勇者に渡せと預かっている物がある」
騎士「ますます気になる・・」
僧侶「お墓に杖が供えてある~」
エルフ「その杖は預言者が持っていた杖だ・・・杖が無ければ歩けなかった様だ」
僧侶「へぇ~おじいちゃんだったんだぁ」
エルフ「俺は見ていない・・話によると長旅でえらく衰弱していたそうだ」
騎士「お墓に手を合わせておこう・・」
僧侶「お祈りしてあげる~」
---
---
---
姫「勇者・・預言者からの預かり物を持ってきたぞよ・・」パサ
勇者「・・手紙?」
騎士「こ、これは・・・」
”やぁ・・元気にしてるかな?
”きっとこの手紙を読むのは君達からしたらすぐの事なんだろうね
”君達に大事なことを伝えたくて僕は長老に無理を言って
”僕1人で200年前よりもう少し昔に飛んだんだ
”君達が居なくなった後のことを先に書く
”君達が200年前に戻った後も元の世界は何の変化も無かったんだ
”世界中でゴーレムが暴れだし、魔王の予言どおり僕達は辺境の村で生き長らえた
”仲間が1人、又1人戦死していく中で僕は古文書の解読を進めてやっとすべて解読した
”結論:命の源の呪いを解くのが遅すぎた
”呪いを解いてもすべての浄化まで数年掛かるらしい
”だから君達にもう一度命の源に刺さってる魔槍を抜いて呪いを解いてほしいんだ
”実は200年前の世界にはまだ銀が発見されていない
”でも君達は持ってる・・勇者が持つ銀の剣と僧侶が持つ銀のロザリオ
”魔王を倒す為には勇者の銀の剣で心臓を貫けば良い
”命の泉の呪いを解くのには僧侶が持ってる銀のロザリオを使えば良い
”それで未来は変わる筈だ
”ドラゴンのオーブをここに残すから役に立てて欲しい
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・」ポロリ
勇者「まだ続きが・・」
”今この世界に来て僕はやっと目が覚めた・・ここが現実の世界
”そして君達の事も良くわかる・・勇者と精霊と導く者・・それが君達だ
”僕達のすべてが君達の心の中にある・・それこそが勇気だ
”やっとすべてが揃った・・世界を頼む
”夢幻の住民より
---
騎士「預言者がどういう風に亡くなったか教えて欲しい・・」
預言者がここに来た時には痩せ衰えておった・・
予言を残した数日後に眠るように息を引き取った
安らかな顔をしておった・・すべてを尽くしたかのようじゃった
預言者は他にも数々の事を語って言った
そのすべてを書き記し文書にしておる所じゃ
この先200年の予言も残して行っておる
希望に満ちた予言じゃ・・海が太陽できらめくと言っておった
僧侶「商人らしい・・」
騎士「・・そうか・・きらめく海を見せてあげたかった」
姫「わらわはどうすれば良いのじゃ?」
騎士「僕たちは預言者の言うとおり命の泉へ行かなければならない」
姫「共に行けば良いのか?」
エルフ「姫!!それは父上が許さない・・」
姫「わらわが言い聞かせる・・勇者・・国王の所へ参るぞよ」
勇者「え!?」
姫「予言の勇者が現れたと知ればわらわが共に行くのも許してくれる筈じゃ」
エルフ「姫・・」
姫「付いて参れ・・」
騎士「待って!!・・」
姫「なんじゃ?」
騎士「もう少し預言者の墓に居させて欲しい」
僧侶「わたしからもお願い・・」
姫「よかろう・・気が済むまで手を合わせるが良い」
---墓---
騎士「・・・商人?・・聞こえているかい?」
騎士「1人でこんな遠くまで大変だったね・・」
騎士「歩くの大変だったろう?」
騎士「君が成そうとしてた事は僕達が引き継ぐ」
騎士「君の想いは確かに受け取ったよ」
騎士「もし生まれ変わって又会えたら」
騎士「きらめく海でバーベキューでもしよう」
騎士「僕はまだやらなきゃいけない事が残ってる」
騎士「まずそれを片付けて来る」
騎士「君はゆっくり休んでて良いよ」
騎士「おやすみ」
---
---
---
---
---
姫「・・・もう良いか?」
僧侶「シクシク」
騎士「あぁ・・そろそろ行こう」
勇者「・・墓の横にある石像は何かな?」
姫「精霊の像じゃ・・ここを守っておる」
勇者「へぇ・・」
姫「では行くぞよ?・・付いて参れ」
スタスタ
乙!!
はよ続き
---王城---
王「・・・その者達が予言の勇者と申すのか?」
姫「そうじゃ・・わらわは予言の通り勇者と共に魔王を滅ぼしに行く」
王「う~む・・困ったオテンバ娘じゃのぅ」
姫「予言の通りであれば必ずや魔王を倒せる筈じゃ」
王「・・・・・ならぬ・・」
勇者「・・・・・」
王「国王たるもの信用の置けぬ者の予言を鵜呑みには出来ん」
姫「・・・父上」
王「勇者達よ・・済まぬが我が娘を同行させることは許す事が出来ん・・理解して下され」
姫「いやじゃ・・わらわは勇者と共に魔王を滅ぼすのじゃ!」
王「ならん!!・・エルフ!!姫を城へ閉じ込めよ!!お前に見張りを命ずる!!」
エルフ「ハッ!!!」
姫「なんという事じゃ・・父上は世界が魔王に滅ぼされても良いのか?」
王「そうは思っておらん・・だがお前が勇者と同行し役に立てるとも思ってはおらん」
姫「・・・・・」
王「勇者達よ・・見苦しい所を見せてしまった・・ここは一旦引取りを願いたい」
勇者「・・・あ・・・はい」
王「魔王討伐の旅に出るのであれば支度金と装備品を用意する故・・娘の代わりの者を雇って下され」
勇者「いえ・・失礼致しました・・」
---城下---
僧侶「王様は厳しかったね~」
勇者「仕方が無いかな・・」
僧侶「わたし達だけで行くの?」
勇者「そうするしか無さそうだね」
騎士「馬を貰えただけでも良かったよ・・」
勇者「そうだね・・徒歩で命の泉まで行くのは厳しい」
僧侶「これからどうするの~?」
騎士「・・まず・・今どういう状況なのか把握しないと・・」
勇者「少し情報を集めよう・・」
騎士「ひとまず宿屋かな」
僧侶「何処にあるのかなぁ~?」
勇者「来たばかりで右も左も分からない・・」
ガヤガヤ ガヤガヤ
騎士「・・・ん~~どうやら宿屋に泊まれる状況では無さそうだ」
勇者「この人ごみは・・難民かな?」
騎士「そういう感じだね・・子供達まで武器を持ってる」
僧侶「慌しい感じ~」
勇者「誰かに今の状況を聞いてみようか」
僧侶「ねぇねぇ!あそこで食べ物を配ってるよ~」
勇者「食料の配給だね・・あそこの兵隊に事情を聞いてみよう」
---配給所---
兵隊「・・・子供達から先に並んでくれぇ!!」
兵隊「順番に配るから慌てるなぁ!!」
兵隊「沢山は無いから大事しろよ!!」
ガヤガヤ ガヤガヤ
兵隊「次はお前か!?3人分だな?」
勇者「はい・・あの・・」
兵隊「なんだ?忙しいから手短にしろ!」
勇者「今魔王軍はどういう状況ですか?」
兵隊「時期に光の国まで攻めて来るらしい・・エルフの森の向こう側は全滅したそうだ」
勇者「ここの難民達はどこから?」
兵隊「近隣の町や村から避難してきている・・まともな戦力が残ってるのは光の国だけだ」
勇者「一番近い町はどこに?」
兵隊「南に歩いて10日だが・・お前達は何処から来たんだ?」
僧侶「ウフフ~遠い国から魔王を倒しに来たの~」
兵隊「ハッハッハそりゃ頼もしい!ここに攻めて来る前に倒してくれぇ!」
僧侶「は~い!!」
兵隊「ほら食料貰ったんなら行った行ったぁ!!こっちぁ忙しいんだ!!」
勇者「・・・行こうか」
---街道---
騎士「貰った食料は大事にとって置こう・・保存食だから後で役に立つ」
勇者「そうだね」
僧侶「他にお店無いのかなぁ?」
騎士「お店らしい所は全部閉店になってる・・」
勇者「困ったね・・命の泉へ行けるだけの食料が調達出来そうに無い」
騎士「そうだ!森の町があった場所はどうなってるかな?」
勇者「馬で行けば直ぐだね」
僧侶「・・でももうすぐ日が暮れるよ?」
勇者「こうしよう・・僕はもう少しここで情報を集める・・騎士と僧侶は馬で走ってちょっと見てきて」
騎士「わかった・・僕は夜目が利く」
勇者「後でこの場所で合流しよう」
僧侶「オッケ~」
---林---
パカラッ パカラッ
騎士「・・・確かこの辺りの筈だけど・・」
僧侶「まだ何も無いんだね~」
騎士「無駄足だったかな・・」
僧侶「ねぇねぇ道沿いにさぁ~壊れた馬車が有るけど使えないかなぁ?」
騎士「・・本当だ・・荷物を運ぶのに良さそうだ」
僧侶「直せば使えるカモ~」
ガラガラ ゴトン
僧侶「使えそう?」
騎士「・・車輪は壊れてない・・とりあえず持って帰ろう」
僧侶「手で引っ張るの~?」
騎士「罠魔法でツタを出してくれるかな?・・馬に引かせる」
僧侶「ほ~い・・罠魔法!」ザワザワシュルリ
騎士「よし!もどって今晩は馬車で休もう」
---街道---
騎士「勇者はまだ戻って来てないな・・今のうちに馬車を直しておく」
僧侶「何か手伝う~?」
騎士「破れた布の縫い合わせ出来るかい?」
僧侶「は~い」
騎士「僕は穴の空いた荷室を直すよ」
トンテン カンカン
勇者「・・騎士?僧侶?」
僧侶「あ!!勇者が戻ってきた~ウフフ」
勇者「どうしたんだい?この馬車」
僧侶「拾ってきたの~」
勇者「良い物拾ってきたね・・」
騎士「今日は馬車の中で休めそうだよ・・今修理してる」トンテン カン
僧侶「勇者は何か収穫あった~?」
勇者「姫からの手紙を預かった・・エルフが届けてくれたよ」
騎士「え?・・何って書いてある?」
”南の町で待て
”隙を見て城を抜け出す
僧侶「オテンバな魔女っ子だね~ウフフ」
騎士「エルフが見張りをしてるんじゃ?」
勇者「・・まぁ・・ここだと物資の調達が難しそうだから一回南の町へ行こう」
騎士「それが良い・・最低限の物資が無いと旅にもならない」
---夜---
僧侶「夜になっても兵隊さん達が沢山警備してる~」
騎士「・・それだけ魔王軍の警戒をしてるんだね」
僧侶「難民さん達はみんな路地で寝泊りかぁ・・」
騎士「僕達は馬車の屋根が付いてるだけ良いね」
勇者「こういう状況がそれほど長く持つとは思えないな・・」
騎士「・・・急がないとね」
勇者「うん・・・明日は日が昇る前に出発しよう」
---翌朝---
勇者「馬車は僕が馭者をする・・騎士と僧侶は馬で周囲の警戒をしながら付いて来て」
騎士「分かった・・僧侶・・行くよ」
僧侶「ふぁ~い・・むにゃ」
パシン ヒヒ~ン ガラガラ
パカラッ パカラッ
---現実世界での旅が始まった---
---林道---
騎士「ハッ!!」ガシュ!ザクリ!
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
騎士「見たことの無い魔物ばかりだ・・」
勇者「安全に野営できる所は無いかな?」
騎士「洞窟を探すしかない」
僧侶「また魔物が来たよ~」
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
騎士「フンッ!!」ザクリ!
騎士「早く洞窟を探そう・・」
勇者「・・あそこの洞穴は!?」
騎士「行こう・・馬が入れたら今日はそこで野営しよう」
---洞穴---
カサカサ カサカサ
勇者「だめだ・・大きな蜘蛛が居る」
騎士「何匹居る?掃除する」
勇者「3匹・・」
騎士「誘き出せるかい?」
勇者「やってみる・・氷結魔法!」ピシピシ!
騎士「行く!!」ダダダ ザクリ!
僧侶「騎士!!危ない!!」
蜘蛛「シャーーーー」シュルシュルリ
騎士「うわ・・蜘蛛の糸か!」
騎士は蜘蛛の糸に絡まれて動けない
勇者「くぅ・・蜘蛛が騎士に近すぎて魔法が撃てない・・」
騎士「焼いてくれぇ!!僕は炎の耐性がある!!」
勇者「わ、わかった・・」
僧侶「あ!!」
シュン シュン ドス ドス
蜘蛛「グググ・・・」
蜘蛛は矢を受け倒れた
シュン シュン ドス ドス
勇者「だ、誰だ!?」
---
エルフ「フン・・・」
姫「さすがはエルフじゃ・・」
エルフ「・・・・・」
姫「やっと追いついたぞよ・・南の町で探す手間が省けた」
勇者「魔女・・いや・・姫・・」
僧侶「ウフフ~お城から抜け出して来たの~?」
騎士「む~ん!!」ブチブチ
エルフ「うお!・・蜘蛛の糸を振り切った・・なんて奴だ・・」
騎士「助かったよ・・もう日が暮れてしまうから洞穴の中で話そう」
姫「そうじゃのぅ」
勇者「こっちだ!早く入って!」
---
ピチョン ピチョン
勇者「照明魔法!」ピカーーー
騎士「よし!何も居ない・・・馬と馬車を入れたら入り口をツタで塞ごう」
僧侶「塞いで良い~?」
騎士「頼むよ・・」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワザワ シュルシュルリ
姫「ほーー考えたのぅ・・」
僧侶「オッケ~ウフフ」
騎士「ふぅ・・やっとゆっくり出来る」
勇者「姫?城を抜け出して来て良かったのかい?」
姫「よい!!わらわは自分の事は自分で決めるのじゃ」
勇者「エルフは姫が逃げないように見張りをしてるんじゃ・・」
姫「エルフはわらわの言う事は何でも聞くのじゃ」
エルフ「・・・・・」
僧侶「お城に帰ったら叱られるカモ~ウフフ」
姫「・・・もうその話は良い・・なんとかなるじゃろう」
エルフ「姫・・父上が心配するからそろそろ戻った方が良い」
姫「その話はもう良いと言ったじゃろう!・・それからもう姫と呼ぶでない・・その名は聞き飽きた」
エルフ「・・ならなんて呼べば?」
僧侶「魔女~!!」
エルフ「魔女?」
魔女「うむ・・魔女で良いぞ・・わらわは魔法使いの魔女っこ姫じゃ」
僧侶「ウフフ~なんかオテンバ魔女って感じ~」
---
メラメラ パチ
勇者「・・・じゃぁ南の町に行っても物資調達は難しい?」
魔女「そうじゃな・・」
騎士「森で狩りをしながら行くしか無いね」
魔女「これエルフ・・ここから西へ行ってエルフの森に入るのはどうじゃ?」
エルフ「・・それは・・まずい」
魔女「困ったのぅ」
騎士「どうまずい?」
魔女「エルフは森から追放されたのじゃ・・森には帰れんらしい」
騎士「困ったね・・他のエルフに遭遇しないように迂回しながら行けないかな?」
エルフ「エルフの里を迂回するとケンタウロスが居て危ない」
騎士「ケンタウロス?」
魔女「森に住まう魔物じゃ」
エルフ「ケンタウロスは槍を使う種と弓を使う種が居て槍を使う方は俺じゃ手に負えない」
騎士「ん~」
僧侶「わたしと騎士で相手してあげる~ウフフ」
エルフ「魔女が危険にさらされる・・」
魔女「他に方法は無いじゃろう?・・わらわの従士であればお主がわらわを守れば良い」
騎士「勇者も魔女を守ってあげて・・僕と僧侶でケンタウロスは何とかするよ」
エルフ「魔女を守るのは俺の役目だ!勇者の手助けは要らん!」
魔女「エルフ!言う事を聞くのじゃ・・急がねば魔王軍が攻めて来るぞよ?」
---翌朝---
勇者「行き先を変更する・・ここから西に向かってエルフの森へ向かうよ」
僧侶「は~い」
魔女「エルフ!お主は馬車の馭者じゃ・・馬4頭で馬車を引け」
騎士「エルフの森に付くまでは今後の行動を相談しよう」
勇者「よし・・みんな準備できたね?」
僧侶「しゅっぱ~つ!!」
ガラガラ ガラガラ
騎士「さて・・エルフの森のあとどうするかだ・・」
勇者「エルフの森から命の泉までどれくらい掛かるかな?」
エルフ「真っ直ぐ進めば1ヶ月・・迂回すれば10日余分に掛かる」
騎士「真っ直ぐ行くとすると何がある?」
エルフ「エルフの里に入ってしまうから風下側から少し迂回したい」
騎士「なるほど・・」
エルフ「迂回しながら森を抜けた後は北に進路を変えて行けば良い」
騎士「森の中にケンタウロス以外の魔物は?」
エルフ「トロールの寝床を通る事になる・・襲われると厄介だ」
騎士「小動物の狩りは問題ないかな?」
エルフ「森の浅い所では問題無い・・トロールの寝床付近はダメだ・・トロールが怒り出す」
騎士「よし!森の入り口に付いたらまず狩りをして食料を確保しよう」
---森の入り口---
騎士「シッ・・・」
エルフ「!??・・・」
騎士「・・・・・」
騎士「中型の動物の気配がする・・」
エルフ「どうして分かる・・・本当だ・・・お前も森の声を聞くのか?」
騎士「勇者!!魔法で仕留めれるか?」
勇者「やってみる・・」
エルフ「待て!・・俺がやる・・苦しませたくない」
騎士「出来るのか?」
魔女「ここはエルフに任せた方が良い・・一発で仕留めんと動物が苦しむでのぅ」
エルフ「ここで待ってろ!」サッ
僧侶「エルフさんすご~い・・足音がしない~ウフフ」
勇者「さすがエルフ・・」
騎士「・・・・・」(エルフ・・・か)
ギリリ シュン バシュ!
騎士「・・・仕留めた様だ」
僧侶「え?どこ~?」
騎士「音で分かる・・」
勇者「・・・行こうか」
グイ ヒヒ~ン ガラガラ
---
騎士「待った・・止まって!」
勇者「え?・・」
騎士「エルフが動物を弔ってる・・終わるまで待とう」
僧侶「エルフさんお祈りしてるのかなぁ?」
騎士「エルフは普通殺生は好まない・・彼に殺生をさせてるのは僕達だって忘れちゃいけないよ」
魔女「そうじゃな」
---
---
---
エルフ「・・・」クイ クイ
騎士「行こうか・・呼んでる」
僧侶「どうして分かるの~?」
騎士「なんとなくだよ・・」
僧侶「おいでって言えば良いのにね~」
騎士「エルフはそういうものだよ」
---
僧侶「うわぁ・・大きな鹿さん・・」
勇者「今晩はここで野営しよう」
騎士「僕は干し肉を作ってる・・魔女は手伝って」
魔女「何をすれば良いのじゃ?」
騎士「火魔法で肉を燻す・・勇者とエルフは周囲を警戒してて」
勇者「わかった・・」
騎士「僧侶は辺りに罠を張って」
僧侶「は~い」
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
エルフ「フンッ・・」ギリリ シュン
勇者「見たことの無い魔物だ・・」
エルフ「今のはガーゴイルという魔物だ・・夜になると活動する」
勇者「安全に野営できる所は無いのか?」
エルフ「洞窟を探すしかない」
僧侶「また来たよ~」
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
エルフ(・・・勇者の魔法が凄い・・・)
勇者「フンッ!!」ザク!
エルフ(剣も使うのか・・)
勇者「近くに洞窟は無いか?・・」
エルフ「・・あそこの洞穴は!?」
勇者「騎士達を呼んでこよう・・今日はそこで野営だ」
---森の洞穴---
ピチョン ピチョン
エルフ「・・ダメだバジリスクが居る」
騎士「何匹居る?掃除する」
エルフ「3匹・・バジリスクは毒を持っている・・近づくのは危険だ」
騎士「大丈夫・・勇者!洞窟の入り口を炎で塞いで」
勇者「わかった・・魔女は照明魔法で騎士を援護して」
騎士「行くよ!!」ダダダ
ザクリ! グサ! ガシュ!
エルフ「・・・バジリスクと目を合わせても石化しない?」
騎士「僕はドラゴンの耐性を持ってる・・毒も石化も効かない」
エルフ「ハハすごいな・・」
僧侶「ねぇねぇ今日はここで野営するの~?」
騎士「そうしよう・・僧侶!火を起こすの手伝って」
僧侶「は~い」
騎士「魔物の亡骸は燃やしてしまおう・・魔女!燃やせるかな?」
魔女「火魔法!」ゴゴゴゴゴ
騎士「焚き木を探さないと・・」
僧侶「あそこにあるよ~ウフフ」
騎士「・・よしなんとか一晩は持ちそうかな・・残りの肉を今日中に燻さないと・・」
---
メラメラ パチ
騎士「ふぅ・・やっと休める」
勇者「こんなにも魔物が多いなんて・・」
エルフ「まだここは森の入り口・・奥に入ればもっと危険だ」
魔女「勇者達が居ればなんとかなりそうじゃ・・勇者・・わらわに高位魔法の使い方を教えておくれ」
勇者「魔女の魔力が持つかな?」
魔女「わらわはもっと勇者の役に立ちたいのじゃ」
勇者「わかったよ・・こっちに来て」
騎士「ん~この調子で魔物と戦いながら進むと命の泉まで随分掛かりそうだね」
エルフ「森を早く抜けたい・・騎乗で戦えれば・・」
騎士「森の中で騎乗戦闘は無理だ・・馬が足を傷つけてしまう」
僧侶「気球があったら良かったね~」
エルフ「気球?・・それは何だ?」
僧侶「空を飛べる乗り物~」
エルフ「空を飛ぶなんて・・」
騎士「この時代にはまだ無い様だね・・歩くしかない」
エルフ「この先に出てくる魔物は・・ケンタウロス、ゴブリン、トロール、ワーウルフ」
騎士「森を抜けた後は?」
エルフ「ミノタウロス、オーガ、ハーピー、リザードマン」
騎士「特に危険なのはどの魔物?」
エルフ「ミノタウロスとトロールは巨体で倒すのは困難だ」
僧侶「騎士なら巨人相手でも大丈夫だよ~」
エルフ「え!?そんな事ある訳・・・ハッ!!その手は!?」
騎士「これは義手だよ・・足も義足さ」ガチャリ ドサ
エルフ「・・・そんな体で戦ってたのか」
騎士「これは僕の大事な宝物だ」---夢幻の世界が実在していた証---
エルフ「驚くことばかりだ」
騎士「そうだ!・・エルフのオーブを持ってたんだった・・聴いてみるかい?」ポイ
エルフ「・・・オーブ・・なぜこのような物を・・」
騎士「話すと長くなるよ・・まず聴いてみて」
---
僧侶「ねぇねぇ~エルフがおとなしくなっちゃったね~」
騎士「エルフのオーブには知識も詰まってると長老が言ってた」
僧侶「どんな知識なんだろうね~」
騎士「さぁね?・・」
僧侶「あ!!!それ~商人の口癖~ウフフ」
騎士「フフ僕達の心の中に生きてる・・か」
僧侶「うん!わたし皆のことちゃんと覚えてる~」
騎士「僕も覚えてるよ・・僕を突き動かしてるのは商人や盗賊達・・皆なんだって感じる」
僧侶「そうだね~・・もう会えないかなぁ?」
騎士「どうかな?」
僧侶「ウフフ~それも商人の口癖~」
騎士「思い起こせば商人は凄い人だった」
僧侶「でもね~トランプは弱いの~最後にジョーカー持つのはいつも商人だったよ~」
騎士「・・・それも運命・・かな?」
僧侶「眠たくなってきた~ふぁ~あ」
騎士「明日も沢山歩かないといけない・・もう休もう」
僧侶「ふぁ~い」
---エルフの森南部---
ガシュ!ザクリ!
魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
僧侶「あの2人息ピッタリ~ウフフ」
騎士「出番が無くなった」
僧侶「魔女の魔法も上達してるね~」
エルフ「・・・・・」
騎士「ケンタウロスはまだ見てないけど・・」
エルフ「いや・・うすぐケンタウロス達がこちらに気付く」
僧侶「そんなに危ないの~?」
エルフ「森を自由自在に走り回る・・弓を持つケンタウロス近づいては来ないが弓で突然襲い掛かってくる」
騎士「槍を持つ方は?」
エルフ「そいつはもっと危ない・・一気に接近して来る・・森でケンタウロスより機動力のある魔物は他に居ない」
騎士「エルフでも恐れるのか」
エルフ「恐れてる訳じゃない・・同胞と戦いたくないだけだ」
騎士「同胞?」
エルフ「ケンタウロスは元はエルフの仲間だ・・魔王によってケンタウロスは変わってしまった」
僧侶「どんな風に~?」
エルフ「ケンタウロスはエルフに比べて粗野で乱暴な戦士だ・・魔王の策略を見破る程の知性を持っていない」
騎士「戦いは避けた方が良いのか?」
エルフ「それは無理だ・・人間を目の敵にしている」
騎士「襲って来ない事を祈ろう」
---
パカパカ ガラガラ
騎士「川沿いを行こう・・ここは遮蔽物が多すぎて魔物に近づかれてしまう」
エルフ「フフ気付いてたか・・もう狙われてる」
騎士「勇者と魔女は馬車から離れない様に」
勇者「わかってる」
騎士「僕と僧侶は騎乗で少し後から付いて行く」
エルフ「何をする気だ?」
騎士「相手が何体居るか知りたい・・少し誘ってみる」
エルフ「襲ってきたらどうする?」
騎士「なるようになるさ」
僧侶「ねぇねぇあそこの影に何か居るよ~」
騎士「分かってるよ・・反対側にも居る」
僧侶「わたしはお祈りしてるね~」
騎士「たのむよ・・」グイ パカ パカ
シュン シュン シュン
騎士「弓持ちケンタウロスが3体・・・馬車まで走るよ!つかまって!」グイ パカラッ
僧侶「は~い」
騎士「あ!!!まずい!!!馬車の方にも槍持ちケンタウロスが3体行ってる」
僧侶「後ろの弓持ったお馬さん?・・追いかけてくるよ~」
騎士「挟まれたか・・くそぅ・・槍持ちを1体片付ける!!」パカラッ パカラッ
ケンタウロス「マーーーーーー」パカラッ
エルフ「勇者!!槍持ちが来た!!」
勇者「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
エルフ「だめだ!!もっと撃て!!それじゃ当たらない!!」
ケンタウロス「マーーーーーー」
パカラッ パカラッ ザクン!!
エルフ「うお!!ま・・真っ二つ?」
騎士「後ろから弓持ちが3体来てる!!エルフ!!弓でけん制してくれぇ」
エルフ「分かった・・馬車を止める!」グイ ヒヒ~ン ブルル
騎士「勇者!馬車を囲む様に火魔法を!!」
勇者「火炎魔法!」ゴゴゴゴゴ
魔女「火炎魔法!」ボボボボボ
騎士「次の槍持ちが来る!凌いで!」グイ パカラッ
エルフ「・・・・」ギリリ シュン シュン
騎士「くそぅ・・森の中を飛ぶように速い・・」パカラッ パカラッ
ガツッ ヒヒ~ン ガッサー
僧侶「キャァァァ~」ズサー
騎士「ぐぁ・・槍持ちの突撃が早すぎる・・」ドサッ
僧侶「いった~い・・」
騎士「くそぅ!!僧侶!!僕から離れないで」
シュン シュン シュン ドス ドス ドス
騎士「なにぃ!!馬がやられる・・」
僧侶「あぁぁぁお馬さんが~回復魔法が届かないよぅ」
騎士「おいで!!走ろう!」グイ
僧侶「来てる来てる来てるぅぅ~」
騎士「フンッ!!」ザクッ
ケンタウロスはダメージを受け前足を両方共失った
ケンタウロス「マーーーーーー」バタ バタ
騎士「行くよ!!早く」グイ タッタッタ
僧侶「あわわわ」
エルフ「あと4体・・ハッ!!そうだ!!ケンタウロスは冷気に弱い!!勇者!!冷気の魔法だ!!」
勇者「氷結魔法!」ピシピシ
エルフ「地面だ!地面を凍らせればケンタウロスは走れない」
勇者「魔女!!水魔法を頼む」
魔女「水魔法!」ザバー ビチャ ビチャ
勇者「氷結魔法!」ピシピシ カキーン
騎士「氷!!?うわわわわ・・・」ツルッ ドテーン
僧侶「うふふ~ツルツル~」
騎士「走りにくい・・」そろーり そろ~り
僧侶「這って行った方が良いカモ~」ノソ ノソ
エルフ「よし!ケンタウロスが逃げて行く」
勇者「もう大丈夫かな?」
魔女「馬を一頭失ってしまったのぅ」
エルフ「4頭居て良かった・・」
騎士「もうケンタウロスは去ったかな?ハァハァ・・」
エルフ「6匹中2匹もやられたら警戒する・・それもやられ方が酷い・・一刀で真っ二つにするとは・・」
騎士「この辺りは早く通り越したい・・先を急ごう」
エルフ「その方が良い・・馬1頭の被害で済んだのも運が良かったからだ」
---
僧侶「弓のケンタウロスさんずっと付いて来る~」
騎士「弓の射程の外だよ・・様子を見てる」
エルフ「多分もう襲って来ない・・あいつらもそんなに馬鹿じゃないよ」
騎士「ただ・・今日は寝れそうにないな」
エルフ「もう少し先に行けば馬を走らせれるだけの林になる筈・・そこまで行けばもうすこしスピードアップできる」
騎士「野営は出来そうかな?」
エルフ「無理だ・・魔物を寄せ付けない工夫があれば良いが・・」
僧侶「わたしできるよ~ウフフ」
騎士「え!?僧侶が?何を?」
僧侶「わたしね~罠魔法のツタで編み物が出来るの~」
騎士「家でも作る気かい?」
僧侶「出来るカモ~」
騎士「よし・・一回試してみよう」
---林---
ザワザワ シュルリ
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
エルフ「・・・馬車も丸ごとツタの囲いに入れてしまうのか・・」
騎士「これどうやって外に出るんだい?」
僧侶「魔女の火魔法で燃やせば良いと思う~ウフフ」
騎士「なるほど・・これは良い寝床になるね」
エルフ「明日の朝魔物に囲まれてるって事は無いだろうね・・」
僧侶「そんな事考えたこと無い~!あとねあとね~魔女の水魔法と勇者の氷結魔法でさぁ~」
騎士「・・なるほど・・氷の壁を作ってしまうのか」
僧侶「そうそう~そしたら矢も通さないと思うんだ~」
エルフ「草と氷で出来た家か・・考えたな」
騎士「よし!今日はここで休もう・・勇者!火を起こして!僕は焚き木を集めてくる」
勇者「わかった・・火魔法!」ボッ
エルフ「俺は木の実でも探してくる」
---
メラメラ パチ
エルフ「・・・ケンタウロスを凌いでしまえばもうそれほど恐いモノは無い・・ただ・・」
騎士「ただ?」
エルフ「ここはトロールの寝床・・襲われると・・」
騎士「トロールか・・そうだ僧侶?・・魔女とエルフに回復魔法を・・」
僧侶「は~い・・銀のロザリオも持ってねぇ~・・はい」
魔女「何をするつもりじゃ?」
僧侶「呪いを解くの~ウフフ回復魔法!」ボワー
エルフ「俺もか?・・」
僧侶「うん!!回復魔法!」ボワー
魔女「何か変わったかの?」
騎士「・・・これでトロールには襲われない」
エルフ「何故分かる?」
騎士「エルフ・・耳を澄ましてよく聴いて」
エルフ「???」
---キーン---
僧侶(銀のロザリオを鳴らした・・)
エルフ「・・・・・」
騎士「何を感じる?」
エルフ「光・・」
騎士「そう・・これで僕達は光の音を出すようになった・・だからトロールに襲われない」
エルフ「ハッ・・まてよ・・本当だ・・闇を感じない」
騎士「勇者が勇者たるのはこの音のお陰なんだ・・・勇者が持つ剣は振るたびにこの音が出る」
勇者「騎士・・・それにいつから気付いていたんだ?・・僕は知らなかった」
騎士「エルフの娘が教えてくれたんだ」
エルフ「・・・預言者の言っていた事はやっぱり本当だったのか・・」
魔女「だから言うておろう・・わらわはずっと信じておった」
騎士「この銀と・・僧侶の浄化の魔法で魔王の呪いを祓いに行くんだ・・命の泉まで」
---
メラメラ パチ
エルフ「・・・・・」
騎士「・・・・・」
エルフ「お前も森の声を聞くんだな・・」
騎士「エルフほどには聞こえない」
エルフ「トロールが近くに来てる」
騎士「知ってる」
エルフ「様子を伺ってる」
騎士「明日の朝になればここの周りは大きな石だらけになる」
エルフ「トロールを味方に付けているのか・・」
騎士「今日はゆっくり眠れる・・トロールに守られながら」
エルフ「俺は眠らないからお前は休んで良い」
騎士「そうさせてもらうよ・・ありがとう」
---翌朝---
僧侶「わお~大きな石がい~っぱいウフフ」
勇者「・・・驚いた」
魔女「これは全部トロールかえ?」
エルフ「そうだ・・俺達を一晩中監視してた」
僧侶「ねぇねぇ大きな石の上に乗ってる小鳥さんってさぁ?昼間のトロールさん?」
騎士「・・そうだよ」
エルフ「・・・・・」
僧侶「昼間のトロールさんってかわいいね~」
勇者「さて・・馬も食事が終わったし・・そろそろ出発しよう」
僧侶「は~い」
---
勇者「森を抜けるまで後どれくらい掛かる?」
エルフ「1週間~10日」
騎士「森を抜けた後は?」
エルフ「森は抜けないでそのまま北の山沿いに行く方が良い・・砂漠まで出るとリザードマンが居る」
騎士「山沿いの方が安全と言う事かな?」
エルフ「危険に変わりは無いけどリザードマン程の数は居ない・・ただミノタウロスが・・」
騎士「大きな牡牛だっけ?」
エルフ「人間を食らう牡牛だ・・魔王の手下の中で一番凶暴だと聞く」
騎士「魔王の手下・・やっと魔王に近づいてる感が・・」
勇者「それは倒していかないといけないね」
エルフ「倒せると・・思ってるのか?」
騎士「フフそれは少し違う・・倒さなきゃいけないと思ってる」
勇者「そうだよ・・倒せるか?ではなくて倒すつもりだ」
僧侶「ねぇねぇ~魔王って今何処にいるのかなぁ?」
エルフ「砂漠の南の果てに港町が合が半年前に魔王に占拠された・・今は多分そこに居る」
騎士「砂漠の南の果て?」
僧侶「始めて聞くな・・場所的に・・中立の国の所かな?」
騎士「よし・・この先どうするか見えて来た・・命の泉のあとはソコを目指そう」
---
”心の中で声がする
”商人ならこう考えるだろう
”盗賊ならこんな気構えを持つ
”囚人なら落ち着いて考える
”女盗賊ならこう切り抜ける
”薬剤師が考えそうなこと
”海賊王の娘達の声
”そして義手と義足が僕を支えている事も
”それが僕を突き動かすモノ
乙
>>563
どの時期に光の国に攻めてくるの?
>>584
この誤字だけはどうしても気になってしまう
何故か直そうとしない誤字と・・を我慢すればかなり面白い
---森の外れ---
ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!
エルフ「・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔女「鬼の様じゃな・・」
エルフ「出番が無いと言うか・・手を出せない」
魔女「・・あれほどの戦士をわらわは見たことが無い・・まさに鬼人じゃ」
エルフ「2メートルの大剣で魔物が紙切れの様に・・これはミノタウロスも倒せるかもしれない・・」
騎士「エルフ!!上を飛んでるのは何だ!?」
エルフ「ガーゴイルの群れだ」
騎士「東に向かってる」
エルフ「光の国を目指してる?・・のか?」
騎士「勇者!魔女!魔法で誘ってくれ!!皆殺しにしてやる!!」
勇者「爆炎魔法!爆炎魔法!爆炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ ゴーン ゴーン ゴーン
魔女「照明魔法!」ピカーーーー
エルフ「お、おいっ!!・・・うわわわ」
騎士「気が付いた!!みんな隠れて!!」
バッサ バッサ バッサ
ガーゴイル「人間がこんな所にギャギャギャッ」
騎士「・・皆殺しにしてやる!!ガーゴイルを全部集めろ!!」
ガーゴイル「ギャギャギャッ人間の勇者如き我らが始末してやる」
騎士「全部掛かって来い!まとめて相手してやる」
ガーゴイル「この軍勢を見て気でも狂ったかギャギャギャッ」
騎士「100匹では少ない100万匹連れて来い!!」
ガーゴイル「ギャギャギャッ人間共を食らえぇぇぇぇ!!」バサッ バサッ
ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!
---
---
---
---
---
---
エルフ「・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔女「・・・ぜ・・全部1人で倒してしもうた」
ガーゴイル「ギャギャッ・・貴様・・何者・・」
騎士「ハァハァ・・お前だけは生かしてやる・・魔王に伝えに行け!勇者が現れたと!」
僧侶「ねぇ騎士?大丈夫?」
騎士「うおおおおおお!!」
ガーゴイル「・・・・・」ビクッ
騎士「早く行け・・お前を殺してしまいそうだ」
ガーゴイル「ギャギャギャ・・狂気の勇者が人間の中に居ると伝えておく」バサッ バサッ
僧侶「ねぇねぇ・・騎士~?」
騎士「すまない・・魔物を倒す度に我を忘れていってしまう・・」
僧侶「回復魔法!」ボワー
騎士「ありがとう・・でもこれは呪いとかじゃない」
僧侶「なんか騎士が騎士じゃないみたい~」
騎士「僕は多分勇者にはなれない・・心から溢れてくるモノを抑えきれないんだ」
僧侶「ねぇ騎士?相手は魔物でも殺すとか言わないで欲しいの・・」
騎士「あ、あぁ・・わかった」
”これは怒りなのか?
”いや・・ただ無性に
”迫り来るモノを倒したい衝動だ
”憎悪ではない
”ただ・・変えたい衝動
”変えなきゃいけない責任が生む衝動
---山岳---
ビョーウ
エルフ「ここから先は草が生えない・・馬を連れて行くのはここまでだ」
勇者「歩き・・かな」
騎士「ここら辺は魔物が少ないから馬を放牧しておこう」
エルフ「それが良い・・ここから歩いて1週間で着く筈」
騎士「1週間か・・馬を1頭だけ連れて行けないか?」
エルフ「引いて行くなら」
騎士「2週間分の水と食料を背負って行くよりは良い」
エルフ「・・人間は不便だ」
騎士「僕は良いけど僧侶と魔女は飢えさせてはいけないよ」
エルフ「ハッ・・ドラゴンの耐性か・・飢えに耐性があるんだったな」
騎士「それだけじゃない・・彼女達も長旅で疲れている」
エルフ「山岳にはヤギが居る筈・・ヤギを狩れば食料の心配は要らない」
騎士「エルフ・・君は肉を食べれるのかい?」
エルフ「死肉は食べない」
騎士「じゃぁ残りの肉は僕達がバーベキューで美味しく頂くよ」
---
ジュージュー
僧侶「味は・・まぁまぁかな~」パク モグモグ
騎士「残りは塩漬けにして保存食に」ゴソゴソ
僧侶「ここら辺は魔物が出なくて案心だね~」モグモグ
エルフ「もう少し先に行くとミノタウロスの棲家がある」
勇者「・・それで魔物が少ない?」
エルフ「魔物もミノタウロスは恐れて近づかない」
騎士「じゃぁ明日は牛の肉でバーベキューだ」
魔女「!!?なんと・・お主は魔物を食らうつもりか!?」
騎士「冗談だよ」
僧侶「うふふ~盗賊さんがそういう事言いそうかな~」モグモグ
騎士「・・・・」
魔女「盗賊さんとな?」
騎士「僕の師匠さ・・最高の師匠だったんだ」
僧侶「盗賊さんも騎士の事を最高の弟子って言ってた~」モグモグ
魔女「会うてみたいのぅ・・」
僧侶「200年待てば合えるカモ~」モグモグ
騎士「・・・200年の時間差か・・・」
---もう会う事は無いだろう---
---ただ心の中で生きている---
---それが『夢幻』---
---
テクテク テクテク
僧侶「あれ?鳥?」
エルフ「違う!ハーピーだ!ミノタウロスが近い」
騎士「どういう事だ?」
エルフ「ハーピーはミノタウロスの食い残しを漁る・・食い意地のはってる魔物だ」
騎士「よし・・皆は隠れて見てて・・僕が危なくなったら出てきて欲しい」
僧侶「え?え?わたしは?」
騎士「僧侶は僕と行く・・君とはいつも一緒だ」
僧侶「うふふ~のふ~ねぇねぇ愛してるのぉ~?」
騎士「良いから早く行くよ!!」グイ
タッタッタ
ハーピー「ギャーース」バサ バサ
騎士「お前に用は無い!!」ブン ザクリ!
ハーピー「ギャー・・」
ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!
ハーピー「ギャーース」バサ バサ
僧侶「ハーピーさん逃げた方が良いと思うの~」
騎士「ミノタウロス!!何処だぁ!!」
僧侶「あ・・・・」---騎士がまた我を失う---
騎士「ハァハァ」
僧侶「ねぇ騎士?」
騎士「・・見ろ・・人骨の山だ」
僧侶「え!?・・・そんな」
騎士「エルフの言う通り人間を食らう魔物だ・・」
ミノタウロス「グッフッフ何事だ?」ドス ドス
騎士「現れたな・・お前を倒しに来た」
ミノタウロス「美味そうな人間が2匹・・・しかも若いジュルリ」
騎士「残念だが焼肉にされるのはお前の方だ!!」
ミノタウロス「グッフッフ我を誰か知らん様だ・・我は魔王様より・・」
騎士「だまれ!!」ブン ザクリ!
ミノタウロスはダメージを受けた
ミノタウロス「うがあぁぁ・・ゆるせん・・最後まで話を聞かず・・」
騎士「興味無い!」ブン ブシュ!
ミノタウロスはダメージを受けた
ミノタウロス「グッフッフ効かんわ・・・我が斧を受けて」
騎士「いちいちうるさい!!」ブン ザク!
ミノタウロスはダメージを受けた
ミノタウロス「うがあぁぁ・・我の力を見よ!!」ブン! ガキーン!!
騎士はミノタウロスの攻撃をパリーした
僧侶「あわわ・・」
エルフ「だまって見てて良いのか?」
勇者「まだ早い!」
魔女「ミノタウロスの傷が回復しておるぞよ?」
勇者「いや・・まだ騎士はピンチじゃない」
騎士「フンッ!」ブン ザクリ!
ミノタウロス「効かぬわ!!」ブン!
騎士「・・・」フラリ スッ
ミノタウロス「む・・ど、何処へ?」
ズブズブ ジョキリ ドサ
エルフ「うお!!ミノタウロスの首を切り落とした・・」
勇者「行こう!!首の無いミノタウロスが暴れだした・・」ダダダ
ドシーン ドシーン ブン ブン
騎士「どうして動く!?」ブン! ザクリ!
ガシュ!ザクリ!ズン!ドス!
勇者「騎士!!ダメだ僕に任せて!!」ダダダ サクッ
勇者はミノタウロスの心臓を突いた
騎士「・・・心臓・・」
勇者「離れて!!氷結魔法!!」ピシピシ カキーン
騎士「・・・・・」
エルフ「・・止まった」
勇者「・・騎士!君と同じ様な耐性を持った魔物は多分僕の銀の剣でしか倒せない」
騎士「ミノタウロスにも何かの耐性があったのか・・」
勇者「これでよく分かった・・騎士は魔物を倒す役で僕は止めを刺す役だ・・魔王もきっとそれで行ける」
僧侶「ねぇねぇミノタウロスさんの首が何か言ってる~気持ち悪いよぅ」
騎士「!!?」
ミノタウロス「おぼ・えてお・・け・・」パクパク
騎士「・・・」ブン! ベチャ!
勇者「騎士・・」
エルフ「容赦ない・・な」
僧侶「騎士ぃ~回復魔法!」ボワー
騎士「・・・あ、ありがとう僧侶・・僕はおかしくなってきているかい?」
魔女「お主が戦う姿は魔人の様じゃ・・この世のモノとは思えん・・人間の一線を越えておる」
騎士「心配を掛けてすまない・・大丈夫だよ」
僧侶「ねぇねぇ~あそこに滝があるよ~騎士は少し返り血を流した方が良いと思うの」
勇者「・・そうだね・・さすがに血まみれ過ぎる」
---滝---
ザザザザザザザ
僧侶「わたしが流してあげる~ウフフ」
騎士「ありがとう・・」
僧侶「よいしょ・・」ゴシゴシ
”なんだろう・・
”これは狂気なのか?
”無心だったつもりなのに
”魔物を倒すたびに
”心がすり減る気がする
”戦ってる相手は魔物なのに
僧侶「おわったよ~ウフフ」
騎士「あ、あぁ」
僧侶「なにか考え事してたの~?」
騎士「いや何でもないよ」
僧侶「今日は水場で野営したいな~わたしも少し綺麗にしたいよぅ」
騎士「そうだね・・」
僧侶「臭うかなぁ~?」
騎士「そんな事無いよ」
---夜---
メラメラ パチ
エルフ「ここから先はもう魔物が出る事は無いと思う」
勇者「植物も少なくなってきたね」
騎士「明日からは少しペースを落とさないと高山病に掛かる」
エルフ「さすが旅が長い・・その通りだ」
騎士「気分が悪くなったらそれ以上山を登る事は出来なくなる・・無理はしないように行こう」
エルフ「馬もこれ以上は坂道を上がれない・・ここに置いていくしか無い」
僧侶「ねぇねぇ~お星様が綺麗~」
騎士「あぁ・・本当だね」
僧侶「山の上に居るからなのかなぁ?」
騎士「多分そうだよ」
エルフ「今日は月が無い」
僧侶「お空はお星様で一杯なのに地面は真っ黒・・」
騎士「・・世界が闇に包まれているというのはこういう状態なのかもね」
僧侶「お月様でもあれば明るいのにね」
騎士「真っ暗闇の中で人は生きていけない・・だからこうやって焚き火を起こす」
メラメラ パチ
僧侶「ふ~ん・・そっか~不安になると火を使うのかぁ」
騎士「魔王はそういう人間の心を良く知っている・・だから呪いを掛けているんだ」
僧侶「命の泉の呪いの事?」
騎士「そう・・憎悪で支配して人々を不安にさせる」
僧侶「ねぇ?エルフが火を嫌う理由は?」
騎士「エルフは暗闇でも森の声を聞いて過ごせるんだ・・」
騎士「火で森が焼かれると森が苦しむ声がする・・その声はエルフにとって耐え難い声なんだと思う」
騎士「・・そうだろ?エルフ?」
エルフ「・・・・・」
---山頂付近---
ビョーーウ
エルフ「はぁ・・・はぁ・・」
勇者「エルフ・・次変わるよ」
エルフ「はぁ・・・はぁ・・・さすがに魔女を背負って登るのは・・」
魔女「わらわは体力には自信が無くてな・・」
勇者「おいで・・」ヨッコラ
エルフ「もう少しで命の泉に到着する筈・・」
魔女「騎士は僧侶を背負っても息を切らしておらんぞ?」
エルフ「騎士は別格」
魔女「どんな鍛え方をしたのじゃろう?」
勇者「僕も良く知らない・・ただ騎士も色々修羅場を越えてるのは知ってる」
エルフ「命の泉にドラゴンは居るかな?」
魔女「ドラゴンは魔王の所に居るのでは無いか?」
エルフ「居てくれた方が帰りが楽かなと・・」
勇者「ドラゴンのオーブがあっても仲間になってくれるとは限らないね」
僧侶「あ!!音が聞こえる~!!騎士下ろしてぇ~」
騎士「命の泉の音かな?」
僧侶「多分そうだと思う~」
騎士「僧侶!走らない方が良いよ・・気分が悪くなると山を降りるまで直らない」
僧侶「わかった~ゆっくり歩く~」
---命の泉---
サラサラサラ
僧侶「ドラゴンさん居ないみた~い」
騎士「やっと着いた・・魔槍を抜かないと」
エルフ「・・・始めて来た・・すごい!癒し苔が生えてる」
騎士「少し採って行くと良い・・確か・・」
僧侶「不老長寿の薬が作れるんだって~」
エルフ「!!良く知っているね・・それはエルフの秘伝の筈」
僧侶「そうだったんだ~ウフフ」
騎士「よし僧侶・・一緒に魔槍を抜こう」
僧侶「うん!!」
騎士「今度は腰を支えるんじゃなくて一緒に抜こう・・・多分君の力で魔槍が抜ける」
僧侶「は~い」
騎士「魔槍が抜けたら銀のロザリオを穴に詰めて回復魔法を頼むよ」
僧侶「オッケ~♪」
ジャブ ジャブ
僧侶「あの時と同じだね~」
騎士「そうだね・・あの時は商人が取り乱して・・」
僧侶「・・振り返ったら商人達が居たりして~」
騎士「・・・・いや・・今一緒に居る・・僕達の心の中に居る」
僧侶「感じる?」
騎士「魔槍を抜けと言ってるよ・・抜いた瞬間未来が変わる」
僧侶「・・・なんか恐いカモ~」
騎士「僕は全力で抜くよ!!全身の骨が折れても諦めない・・必ず抜いてやる」
僧侶「うん」
騎士「じゃぁ手を・・」---すべての力を出し切る---
僧侶「準備良いかなぁ?」
騎士「スーーハーー・・・フンッ!!!」ボコン!
騎士「んがあああああああ!!!!」ズブズブ
僧侶「あわわ・・」ガシッ
騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ボキボキ
僧侶「アレ?」---抜けない?---
騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」バキバキバキ
僧侶「え?え?え?回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
勇者「僧侶!!回復を休めないで!!全身が軋む音がする!!」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
ビシビシビシ ガガーン!!
エルフ「うお!!空が!!裂ける!!」
勇者「何が起きる!?」
『我が魔槍を抜こうとする者よ』
『それは我が物である』
『奪うからには裁き受けよ』
勇者「魔王の手が・・」
エルフ「空から手が降って来る・・」
魔女「呪いじゃ・・何かの呪いを掛けようとしておる・・」
勇者「騎士!!早く!!」ダダダ
騎士「ヴォオオオオオオオ!!!!」ズボッ・・・
エルフ「抜けた・・」
勇者「僧侶!銀のロザリオを!!」
僧侶「え・・あ・・うん!」ジャラ ズボ グイ グイ
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
シーン・・・
---
---
---
---
---魔槍は砕け散った---
---
勇者「うぅぅ気が遠くなる・・」ヨロ
僧侶「騎士ぃ~・・・」
騎士「・・・・・僕は・・大丈夫・・だ」---記憶が壊れていく---
”夢幻での記憶が無くなってゆく
”無かった事に・・・
”僕は・・・一体誰だ?
エルフ「見ろ!!空が晴れる!!」
魔女「おぉ!!水が!!きらめく水が湧き出したぞよ!!」
エルフ「!!?勇者達が倒れてる」
魔女「3人共倒れて居るな・・」
エルフ「おい!しっかりしろ!!勇者も・・」
魔女「どうしたんじゃ?気分が悪うなったか?」
騎士「う~ん・・」ヨロ
僧侶「ハッ・・・」フラ
勇者「くぅぅ・・」ガク
エルフ「大丈夫か?」
騎士「・・何が起こった?」
僧侶「むにゃ~何が起きたかなぁ?」ゴシゴシ
エルフ「魔槍は無事に抜けた・・魔王の手が振って来たが間に合った様だ」
勇者「つつつ・・無事に抜けて良かった」
魔女「おぉぉ見てみよ・・水が太陽の光できらめいておる・・」
エルフ「どうしたんだ?急に倒れて・・魔王の手に何かやられたか?」
勇者「いや・・よくわからない」
騎士「僧侶?・・君の思い出は無事かい?」
僧侶「え?え?なに?何の事?」
騎士「僕はどうしてここに居るんだ?・・・」
僧侶「どうして?・・って魔槍を抜きに・・」
騎士「・・商人達の記憶が無くなってゆく」
僧侶「え?商人?商人って誰?ねぇ・・・大丈夫?」
---世界が変わった---
---
サラサラサラ
勇者「・・・なんて心地の良い音なんだろう」
魔女「予言の通りじゃ・・水が光できらめいておる」
エルフ「・・・騎士は大丈夫か?今日はここで一晩休もう」
僧侶「体の方は平気みたい~・・でもしゃべってくれないよぅ」シュン
騎士「・・・すまない・・・少し頭が混乱してる」
勇者「僕もだよ・・頭がクラクラする」
騎士「ちょっと混乱してて・・これからどうするんだっけ?」
エルフ「山を降りて砂漠の南の港町へ魔王を倒しに・・」
騎士「・・・それはどこだったっけ?」
エルフ「大分混乱してる様だ・・少し横になった方が良い」
騎士「・・・それから・・この手紙は・・何だったかな?」
エルフ「手紙?」
騎士「誰からの手紙だったか覚えが無いんだ・・夢幻の住人って誰だったかな?」
エルフ「騎士の持ち物の事なんて俺は知らん」
騎士「僧侶は?」
僧侶「ほえ?わたしはお花畑から生まれたの~ウフフ」
”やぁ・・元気にしてるかな?
”きっとこの手紙を読むのは君達からしたらすぐの事なんだろうね
”君達に大事なことを伝えたくて僕は長老に無理を言って
”僕1人で200年前よりもう少し昔に飛んだんだ
”君達が居なくなった後のことを先に書く
”君達が200年前に戻った後も元の世界は何の変化も無かったんだ
”世界中でゴーレムが暴れだし、魔王の予言どおり僕達は辺境の村で生き長らえた
”仲間が1人、又1人戦死していく中で僕は古文書の解読を進めてやっとすべて解読した
”結論:命の源の呪いを解くのが遅すぎた
”呪いを解いてもすべての浄化まで100年掛かるらしい
”だから君達にもう一度命の源に刺さってる魔槍を抜いて呪いを解いてほしいんだ
”実は200年前の世界にはまだ銀が発見されていない
”でも君達は持ってる・・勇者が持つ銀の剣と僧侶が持つ銀のロザリオ
”魔王を倒す為には勇者の銀の剣で心臓を貫けば良い
”命の泉の呪いを解くのには僧侶が持ってる銀のロザリオを使えば良い
”それで未来は変わる筈だ
”ドラゴンのオーブをここに残すから役に立てて欲しい
”今この世界に来て僕はやっと目が覚めた・・ここが現実の世界
”そして君達の事も良くわかる・・勇者と精霊と導く者・・それが君達だ
”僕達のすべてが君達の心の中にある・・それこそが勇気だ
”やっとすべてが揃った・・世界を頼む
”夢幻の住民より
---何回読み返しても思い出せない---
---翌日---
サラサラサラ
勇者「じゃぁそろそろ山を降りよう」
魔女「エルフ!?癒し苔は採り終わったか?」
エルフ「十分採った」
勇者「下り道は何か杖みたいな物を持ってた方が良いよ」
エルフ「その通り・・膝に負担が掛かる」
僧侶「途中で枝でも拾って行こうね~ウフフ」
勇者「じゃぁ行こう!」
---山岳地帯---
僧侶「どれくらいでお馬さんの所に着くかなぁ?」ヨタヨタ
エルフ「途中で置いてきた馬の所なら今日中に着ける筈・・」
僧侶「もう膝がカックンカックンだよぅ・・」
勇者「転ばないように」
魔女「わらわも膝がガクガクじゃ・・」
エルフ「休憩すると歩けなくなるから辛抱して歩いて」
僧侶「あ!!お馬さんみ~っけ♪ウフフ」
エルフ「ダメダメ!もうすこし平坦な所じゃないと馬が足を怪我する」
勇者「荷物を持たせるだけかな」
僧侶「ひぃ・・ひぃ・・」
---
ヒヒ~ン ブルル
勇者「もう少し先に行くと魔物が出るから今日はこの辺で野営しよう」
僧侶「元来た滝の近くだぁ~ウフフ」
勇者「今のうちに水浴びすると良い」
僧侶「騎士~一緒にいこ~」
騎士「・・・あぁ」
僧侶「水浴びしたら元気になるカモ~」
勇者「行っておいで・・野営の準備はしておく」
---滝---
ザザザザザザ
僧侶「うわぁ~きらめく水が流れてる~ウフフ」
騎士「・・・ここで血を洗ったのは覚えてる・・」
僧侶「どうしたの~?」
騎士「・・・昔の事が思い出せないんだ・・・追憶の森のより前にあった事が思い出せない」
僧侶「追憶の森?・・・え~っとぉ・・・アレ?」
騎士「僕たちはいつの間に旅してるんだろう?」
僧侶「アレレ~?」
騎士「命の泉で大事な事を何か忘れてしまった気がする・・」
僧侶「そういえばそうだなぁ~」ポリポリ
騎士「あの手紙の内容を見ると・・僕達は200年後から来てる様だ・・それが思い出せない」
僧侶「あ!!そういえば昨日始めて夢を見たんだ~ウフフ」
騎士「どんな夢?」
僧侶「騎士と始めてお酒を飲んだ夢~ウフフその後ね~一緒に寝るの~」
騎士「夢の中でまた寝る?」
僧侶「あとね~誰かとトランプする夢~わたしがいっつも勝つの~」
騎士「・・幸せな夢だね」
---夢か---
---夜---
メラメラ パチ
勇者「・・・騎士?平気かい?」
騎士「大丈夫・・何事も無い」
勇者「ずっと考え事をしてる様だけど・・」
騎士「勇者!・・君はいつから勇者なんだ?」
勇者「え・・・僕は気が付いたら旅をしていた・・いつからと言われても・・」
騎士「君も同じか・・僕も気が付いたら旅をしてる」
勇者「魔王を倒すが僕の目的だった気がする・・心の中でそう感じる」
騎士「心の中・・」---そうか・・・記憶は無くても心が感じるのか---
勇者「騎士は何か感じないのかい?」
騎士「僕は・・・何かを託されてる・・・ハッ!!」ゴソゴソ パサ
勇者「!!?」
騎士「・・・やっぱりそうか!!」
勇者「手紙?どうしたんだい?」
騎士「僕は命の源の呪いを解く事を託されていた・・やっぱり僕は200後から来てる」
勇者「僕にもその手紙を見せてくれるかな?」
騎士「どうやって心で感じれば良いんだ?・・忘れてしまった・・」
勇者「自然と湧いてくるんだよ」
騎士「心?心・・心・・・僕の心は何処にある?」
勇者「・・やっぱり混乱してるみたいだね・・休んだ方が良い」
騎士「僕は何の為にここに居るんだ?どうして魔王を目指してるんだ?・・・」ブツブツ
---
---
---
---荒野---
ガシュ! ザク! ズバ! ズン!
騎士「・・・」パカラッ ザクリ!
リザードマン「グエ・・」
エルフ「水場が見えて来た・・」
勇者「あのオアシスで休憩を・・ハァハァ」
エルフ「リザードマンが居なければ良いが・・」
パカラッ パカラッ
勇者「あ!!騎士!!」
魔女「行ってしもうた・・」
エルフ「後を追おう!」
---オアシス---
エルフ「・・・・・」
勇者「リザードマンを・・皆殺し・・か?」
エルフ「騎士が全部片付けてしまった様だ・・」
魔女「鬼じゃの・・」
勇者「騎士!・・少しここで休もう」
騎士「・・・・・」
ヒヒ~ン ブルル モシャモシャ
勇者「馬達にも良い休憩だね・・ここはまだ草が残ってる」
エルフ「今日はここで野営しよう」
勇者「ここら辺は本当に人が居ないね・・」
エルフ「このオアシスは昔は行商の拠点と言われてたがリザードマンに荒らされ放題・・」
勇者「ここから南の港町?・・までどのくらい掛かるのかな?」
エルフ「エルフの森沿いに南下して・・・馬なら2週間くらいだと思う」
勇者「思う?・・君は行ったことが無いのかい?」
エルフ「俺はエルフの森を追放された後、砂漠のあるここら辺には来た事が無い」
勇者「・・そうか」
エルフ「話で聞いた事がある程度しか知識が無い」
---
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
勇者「もう囲いを作るのは慣れたもんだね」
僧侶「ウフフ~もっと言って~」
エルフ「やっぱり水場の近くは涼しい」
勇者「そうだね・・今日は良く寝れそうだ」
僧侶「あのねあのね~最近良く夢を見るの~」
魔女「どんな夢じゃ?」
僧侶「わたしがどこかの国の衛兵だったり~・・・海賊船に乗ってたり~・・・お空を飛んだり」
勇者「そういえば僕も空を飛ぶ夢は見るなぁ・・」
エルフ「長旅で疲れてるんじゃないか?」
僧侶「そうかなぁ~?」
騎士「・・・・・」
勇者「騎士?どうしたんだい?また考え事かな?」
騎士「心が何も感じなくなってしまった・・夢も見てない」
勇者「え?」
騎士「リザードマンをいくら倒しても彼らの痛みも感じれない」
魔女「鬼じゃ・・」
騎士「何の為に戦うのかも分からない・・ただ向かってくる敵を倒してる」
勇者「・・・」
騎士「僕の心が無くなってしまった・・」
僧侶「ねぇねぇ~騎士~わたしの事どう思ってるの~?」
騎士「すまない・・わからない」
僧侶「え~・・」
騎士「どうすれば夢を見れる?・・・夢で何かを思い出すかもしれない」
僧侶「どうかなぁ~?ぐっすり寝る?」
勇者「今晩の焚き火の番は僕達がやっておくよ・・騎士はゆっくり寝てみて」
騎士「・・・・・」
---深夜---
サラサラサラ
(昼間と違って冷える・・)
(オアシスの湖に月が反射している)
(どこかで見た事がある)
(でも思い出せない)
(・・砂の声も)
サラサラサラ
(・・聞いたことが有る)
(感じるのは・・刹那)
(刹那を砂の音が掻き消していく・・)
(僕は誰だ?)
---翌朝---
ギャオース
勇者「!!?」ガバッ
エルフ「!!?」
勇者「みんな起きて!!なにかの鳴き声が!!」
僧侶「むにゃー」ムクリ
エルフ「上だ!!ドラゴンが飛んでる!!」
勇者「大変だ!!火を消して水辺に!!水魔法!」ジャバー シュゥゥゥ
エルフ「魔女!!行くよ!!」グイ
魔女「エルフ!引っ張るな・・わらわは大丈夫じゃ」
騎士「・・・・・」グイ
僧侶「騎士?」
騎士「僧侶・・僕の後ろに」
勇者「騎士!!水辺に行こう!!」
騎士「僕は良い・・ドラゴンと話をする」
勇者「・・・君が持ってるドラゴンのオーブかい?」
騎士「あの手紙にはドラゴンのオーブを使えと書いてあった・・真相が知りたい」
勇者「ドラゴンが味方になるとは限らないよ?」
騎士「勇者は水場まで避難してて良いよ」
勇者「騎士!無茶はしない様に!」タッタッタ
騎士「わかってる」
ギャオース バッサ バッサ ドッスーン
騎士「ドラゴン・・待ってた」
ドラゴン”我を見ても驚かぬか
騎士「心に穴が空いた・・何も感じなくなった・・ドラゴンを見ても驚きは無い」
ドラゴン”その大剣で我を斬るか?
騎士「ドラゴンのオーブを持っている」
ドラゴン”我は汝にオーブを渡した覚えは無い
騎士「オーブを聞く気が無いなら今すぐ斬る!」
ドラゴン”フォッフォッフォ・・人間に我を倒せる訳が無い
騎士「これでもか?」ブン!
ドラゴン”人間が扱うにしては分が過ぎる武器では無いか?
騎士「僕は自分が何者か分からない・・だからドラゴンのオーブを聞いて真相を教えて欲しい」
ドラゴン”我は人間と取引はせぬ
騎士「ならこの剣の錆びになってもらうだけだ・・」
ギャオース ゴゥ ゴーーン ボボボボボボ
僧侶「精霊の加護!」
ドラゴン”なんと!!精霊の加護を纏っておるのか・・
騎士「さて次はこっちの番だ・・」グイ ジャキリ
ドラゴン”待て!!・・・気が変わった・・・汝の持つオーブを我に・・
騎士「・・・・・」ポイ
ドラゴン”これはまさしくドラゴンのオーブ・・如何にしてコレを手にしたのだ?
騎士「まずオーブを聞いてからだ」
ドラゴン”・・・・・
---
---
---
---
---
---
”夢幻の我が意思を確かに預かった・・
”汝は夢幻よりいずる導き手なり
”導き手とはすなわち人間で言う賢者であるが
”己が犠牲により夢幻の記憶を失った様だ
”だが案ずるな
”既に憎悪の呪いは解かれた
”導かれるまま魔王の元へ行けば良い
”魔王が滅べば
”夢幻は虚無へと還り
”新たな時代が来る
騎士「やっぱり僕は夢幻から来たのか・・」
ドラゴン”記憶を失った事は夢幻が虚無へ還った証
騎士「魔王は今何処に?」
ドラゴン”光の国
騎士「何!?」
ドラゴン”既に光の国を滅ぼし勇者の出現を待っている
勇者「・・僕が勇者だ」
ドラゴン”銀の剣・・それはこの時代にはそぐわぬ物・・それを聖剣と呼ぶ
勇者「僕が魔王を滅ぼす!」
ドラゴン”我が背に乗るが良い・・魔王の元へ導こう
勇者「魔女!!エルフ!!行こう!!」
ギャオース バッサ バッサ
---ドラゴンの背---
バッサ バッサ バッサ
勇者「・・いよいよ魔王との決戦だ」
ドラゴン”魔王の側近には死霊共が要る・・我とて無事では済まぬ
騎士「ドラゴンでも死霊には歩が悪いのか?」
ドラゴン”死霊共は聖剣でのみ倒せる・・導けるのは光の国付近まで・・あとは自力で目指せ
エルフ「死霊・・・聞いたことが有る・・レイスだ・・夜の影から生まれるらしい」
僧侶「昼間なら大丈夫なのかなぁ?」
エルフ「昼間でも影の中に潜んでる・・影の中から現れ鎌で首を狩る・・」
僧侶「こわいな~」
勇者「よし・・こうしよう・・騎士と僧侶でレイスを引き付けて・・僕は止めを刺すのに専念する」
騎士「それが良い」
勇者「魔女とエルフは僕を援護して・・回復はエルフに任せる」
ドラゴン”一つ忠告して置こう・・魔王は祈りの指輪を持っている事を忘れるな
騎士「祈りの指輪?・・なんだソレは?」
エルフ「・・エルフの秘法・・祈りを叶える指輪だ」
騎士「それを奪えば良いのか?」
エルフ「使われる前に奪えるものなら奪った方が良い・・力を吸われてしまう」
僧侶「こっそり盗めないかなぁ~?」
エルフ「近寄ると危ない・・力を吸うためには接近する必要がある」
勇者「・・なるほど・・魔法の打ち合いになるのか」
---
僧侶「ドラゴンさんはや~いウフフ」
エルフ「・・・もうエルフの森を抜ける」
勇者「もうすぐ日が暮れる・・決戦は夜になりそうだ」
騎士「東の空が赤い・・光の都が燃えている」
魔女「わらわの都が・・」
エルフ「・・・父上と母上が心配だ」
ドラゴン”既に残りの人間達は周辺の村に逃げている
騎士「・・・ドラゴン!お前が燃やしたな!?
ドラゴン”魔王の命令だ・・逆らう事は出来ない
勇者「何故そんなに魔王を恐れる?」
ドラゴン”我が卵を隠された
勇者「卵・・・」
バッサ バッサ ドッスーン
ドラゴン”勇者達よ・・我が出来るのはここまでだ
勇者「あとは自力で行く」
ドラゴン”我は空より新たな夜明けを見守る
エルフ「おい!早速何か来たぞ!」
騎士「影だ!影が動いてる・・・僧侶!行くよ!」ダダダ
---
シュバ! ズン! ザク!
騎士「・・・実体が無い!!」
エルフ「レイスだけじゃない!・・ゴーストも居る」
僧侶「あの鎧を着たのって何~?」
魔女「光の国の兵士の鎧じゃ・・・操られておる」
エルフ「数が多すぎる!!」
勇者「僧侶!君の回復魔法は悪霊達に効果は無いかな?」
僧侶「やってみる~?」
勇者「失敗したら僕が倒す!やってみて」
僧侶「は~い♪回復魔法!」ドキュン!
エルフ「!!?穴が空いた・・」
勇者「行ける!!僧侶!!君の回復魔法は底なしだったね?」
僧侶「うふふのふ~回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ドキュン!ドキュン!ドキュン!
騎士「僕が引き付ける!」
---光の国入り口---
ドキュン! ドキュン! ドキュン!
騎士「レイスとゴースト以外の敵は僕がやる・・・」ダダダ ズン!
魔女「わらわは照明魔法じゃ・・照明魔法!」ピカーーー
勇者「僕は僧侶に近づく敵に止めを!」ダダダ シュバ!
エルフ「・・・見ろ!・・・光の都は全滅してる・・」
勇者「・・まず火を消さないと・・魔女!水魔法で火を消そう」
魔女「水魔法!」ザバー しゅぅぅぅ
勇者「水魔法!」ザバー しゅぅぅぅ
エルフ「どうやってこれほど破壊出来る?」
魔女「わらわの塔はまだ倒れて居らんようじゃ」
勇者「どこだ?」
魔女「塔が黒い影になって見えておる」
---広場のあったらしき場所---
魔女「・・・なんという事じゃ・・・花が一本も残っておらん」
エルフ「魔女!だめだ・・1人で動かない方が良い」
魔女「おぉぉぉぉぅ・・」ポロリ
僧侶「魔女!危ない~回復魔法!」ドキュン!
レイス「ンギャーーーー」シュゥゥゥ
勇者「魔女!自分の影が出来ないように照明魔法を!!」
魔女「わらわの影じゃと?・・・うぉ!影が動いておる!!照明魔法!」ピカーーー
エルフ「クソッ!!俺は何も出来ない・・」
勇者「エルフは騎士に回復魔法を!」
エルフ「回復魔法!」ボワー
騎士「フンッ・・・・」ズバ バシュ ズン
勇者「魔王は何処だ!?」
魔女「もう城は瓦礫の山じゃ・・わらわの塔しか残っておらぬ」
勇者「塔に何かあるのか?」
魔女「塔の地下は・・元は精霊の祠じゃったと聞いておる」
エルフ「魔女!それは初耳だ・・」
魔女「光の国の王家の秘密じゃ・・お前も知って居ろう精霊の像が安置されておる事を・・」
エルフ「ただの石像じゃなかったのか・・」
魔女「ともかくじゃ・・魔王は精霊の像を探しているに違いない」
勇者「早く行こう・・もうすぐソコだ」
---追憶の森---
勇者「魔女・・塔の地下に降りる入り口はこっちなのかい?」
魔女「そうじゃ・・王家の秘密の通路じゃ」
僧侶「ここからじゃないと入れないの~?」
勇者「いや・・・ちょっと待てよ・・・なんだ?」
魔女「どうかしたのか?」
勇者「この状況に覚えがある・・」
騎士「・・・」
勇者「夢で見たのか?・・・精霊の像のある所までは魔王のまやかしを解かないといけない」
魔女「魔王はまやかしを得意とする・・」
僧侶「まやかしはどうやって解くの~?」
勇者「・・・思い出せない」
騎士「とにかく先に進もう」
勇者「ちょっと待って・・やっぱり何か足りない」
僧侶「アレ?エルフは?どこ~?・・ねぇ騎士~」
騎士「・・・・・」
---
---
---
---
---
---光の塔の地下---
シーン
勇者「誰も居ない・・・」
魔女「エルフはどこに行ったのじゃ?」
僧侶「ここに来る途中の森でいつの間にか居なくなった~」
勇者「まずいな・・まずエルフを探さないと」
魔女「エルフはここの場所を知っておるぞよ?」
勇者「ちょっと一回戻ろう・・どうも魔王の気配がしない」
騎士「・・・・・」
勇者「シッ・・・外で誰かの声がする」
僧侶「え!?」
??「じゃぁそろそろ行こうか」
??「歩いて行くの?」
勇者「生きてる人が居る!!」
---追憶の森---
タッタッタ
勇者「はぁはぁ・・誰か居るのか!?」
僧侶「待って~・・」
??「あ!!!どうして・・」
??「4人とも・・」
勇者「え!?」
僧侶「誰かなぁ?」
魔女「そなたらは誰じゃ?光の国の住人か?」
??「え?どうなってる?僕の考えが間違ってたのか?」ブツブツ
勇者「・・・やっぱり何かおかしい・・・これは魔王のまやかしか?」
騎士「夢幻・・」
---
??「大分混乱している様だね・・少し落ち着いて話をしよう」
勇者「今・・すぐソコに魔王が居る筈・・ここは危ない」
??「ちょっと待って・・魔王は居ないよ・・それよりどうして君達が戻ってきたかだ」
勇者「・・・どうなってる?」
??「騎士?ちょっと武器を置いてくれないか?恐いよ」
騎士「・・・・・」
??「まいったな・・こんなの想定してない・・ちょっと飛行船で落ち着いて話そう」
勇者「飛行船?」
??「僧侶も・・僕の事を覚えてないかい?」
僧侶「ん~~夢でトランプした~?」
??「だめだなこりゃ・・まぁついて来て」
魔女「エルフはどこじゃ?」
??「エルフ?・・まぁまぁ・・良いからとり合えず話をしよう」
---飛行船---
勇者「・・・これは一体・・・」
??「薬剤師!なにか安定剤みたいな薬作れないかな?」
薬剤師「うん・・作ってあげる・・少し待ってて」
??「どこから話をしよう・・・えーと・・とり合えず僕は商人だ・・知ってるだろ?」
騎士「・・・・・」
商人「んーー察するに・・君達は上手くやってる様だけど・・どうしてここに戻ってきたかだ」
勇者「ここはまやかしの世界か?・・・・」
商人「まやかし?何のことかな?」
勇者「魔王のまやかしを解かなきゃいけない・・どうやって解くんだ?・・」
商人「ん?・・もしかして僕の古文書に書いてるこれの事かな?」パラパラ
勇者「古文書・・」
商人「ほら・・ここの精霊と魔王の項さ・・魔王のまやかしとは夢幻の事である・・これかな?」
勇者「夢幻?」
商人「精霊は魔王によって夢幻に閉じ込められた・・年代は分かっていない」
勇者「夢幻から出る方法は?」
商人「ん~・・君達4人を夢幻から解放した筈なんだけどなぁ・・?」
僧侶「ほえ?覚えてないよ~ウフフ」
勇者「・・その・・商人?君は僕達の事を知っているのか?」
商人「知っているも何もさっき君達を200年前に送った筈なんだけど・・どうしてこうなったか僕の方が知りたい」
勇者「僕達は君達の事を知らない・・」
商人「ハハハどういう事なんだろうね・・忘れてしまったのかな?」
僧侶「ねぇねぇ~私たちは何か変わった事ないかなぁ~?」
商人「全然変わってないよ?」
勇者「だめだ・・頭が混乱してる」
商人「・・・騎士!武器を収めて欲しいな・・斬られそうで恐いよ」
騎士「・・・・・」
商人「ともあれ・・これからどうするか考え直さないとなぁ」
勇者「考え直す?」
商人「そうだよ・・君達を200年前に送れない事は想定していなかった」
魔女「勇者・・彼らはやはりわらわ達の仲間であったと思って良いのか?」
勇者「ん~~~どうなってるのか理解できない」
僧侶「わたしもわからないよ~ぅ」
勇者「商人・・君が言う200年前に僕達を送ったというのはどうやって送ったのかな?」
商人「この祈りの指輪で君達の命を200年分ドラゴンに吸ってもらった・・この答えで分かるかい?」
騎士「!!!!!」ジャキリ
商人「うわ!!ちょちょちょ・・騎士」
薬剤師「あ!!騎士!!やめて~!!」
騎士「・・・ドラゴンは言った・・・魔王は祈りの指輪を持っていると」
勇者「騎士!!待って!!」
騎士「心が何も感じない・・殺す」
ザクリ!!
商人「うがぁぁぁ・・・」
薬剤師「あああああああ商人!!」ダダダ
騎士「お前もだ・・・」ジャキリ
勇者「やめろ!!騎士!!」
ズン!!
薬剤師「きゃあぁ・・・」
---
---
---
---
---
サラ サラ サラ サラ サラ
---商人達は灰となって消えた---
サラ サラ サラ サラ サラ
---
勇者「・・・消えた」
僧侶「え?え?え?」
魔女「なんと・・・」
騎士「これはまやかし・・」
勇者「まやかし・・・そうだ!!こえはまやかしだ・・」
騎士「魔女!早く精霊の像まで案内してくれ」
魔女「わ、わかった・・付いて参れ」ノソノソ
---光の塔の地下---
シーン
勇者「精霊の像は何処に?」
魔女「無い・・無い・・何処に行ったのじゃ?」
エルフ「魔女!!あそこだ!!」
魔女「か、鏡の中じゃ・・この鏡は真実の鏡と言う」
勇者「え?あ・・後ろに写ってる・・どうやってソコに行けば」
魔女「分からん・・本来であれば預言者の墓の横にある筈なんじゃ」
僧侶「ここでお祈りすればまやかしは解けるかなぁ?」
勇者「お祈りしてみてくれ」
僧侶「は~い♪」
”私が幸せでありますように
”私の悩み苦しみがなくなりますように
”私の願いごとが叶えられますように
”私に悟りの光が現れますように
”私の親しい人々が幸せでありますように
”私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように
”私の親しい人々の願いごとが叶えられますように
”私の親しい人々に悟りの光が現れますように
”生きとし生けるものが幸せでありますように
”生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
”生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
”生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
騎士「・・・何か変わった事は?」
僧侶「ん~・・お腹が減ったくらい?ウフフ」
勇者「もう一回外に出て見よう」
---追憶の森---
勇者「・・・なにも変わった所は無い・・・どうなってる?」
騎士「・・・・・」
魔女「だれか来るぞよ?」
勇者「シッ・・」
??「じゃぁそろそろ行こうか」
??「歩いて行くの?」
勇者「まただ!!」
騎士「行こう」タッタッタ
僧侶「まってぇ~」
商人「あ!!!どうして・・」
薬剤師「4人とも・・」
僧侶「商人と薬剤師?ウフフ~また会ったね~?」
商人「え?どうなってる?僕の考えが間違ってたのか?」ブツブツ
勇者「やっぱりこれは魔王のまやかし・・」
騎士「夢幻・・いや・・多分僕達の記憶だ」
商人「まやかし?夢幻?・・いやそんな事よりどうして君達が戻ってきたかだ」
勇者「どうする?」
商人「どうする?それはこっちの台詞だよ・・まいったな・・こんなの想定していない・・ちょっと飛行船で落ち着いて話そう」
僧侶「ねぇねぇ?商人さん?わたし達なにかおかしくない?」
商人「おかしいというか・・君に『さん』付けで呼ばれるのは少しおかしい」
僧侶「えへへ~おかしいのはわたしかなぁ~?ウフフ」
商人「・・まぁ・・とり合えずどういう事か話が聞きたい・・付いて来て」
---飛行船---
商人「えーと・・200年前には飛べなかったのかな?」
勇者「ちょっと待って商人!君が持ってる古文書が見たい」
商人「あぁ・・ここにあるけど君に読めるのかい?」
勇者「読むのは商人にお願いする」
商人「・・・どの項かな?」パラパラ
勇者「精霊と魔王の項・・・その中に夢幻から出る方法は書いて無いかい?」
商人「それは書いていないよ・・でも長老は祈りの指輪でしか出れないと言ってたな」
勇者「その他には?」
商人「ちょっと待ってよ・・君ばかり質問してる・・僕の質問にも答えて欲しい」
勇者「商人?・・君は確か祈りの指輪を持っていたね?」
商人「持っているけど・・どうするんだい?・・また200年前に飛ぶのかな?」
勇者「それを貸して欲しい」
商人「貸すというか・・もともと魔女の物だけどね・・それよりどういう事なのか良く説明して欲しいな」
勇者「お願いだ・・急いでいるんだ・・祈りの指輪を貸して」
商人「・・・あぁ・・しょうがないね・・はい」
勇者「商人!!ありがとう!!」
商人「え!?どういう事だい?分からない事だらけだ・・」
騎士「僧侶・・・皆と手を繋ごう」
僧侶「うん!!わかった~♪」グイ
商人「ちょちょちょ・・僕にも何の事か教えて・・ズルイよ」
勇者「いくよ・・僕達を夢幻から解放したまえ!!」パシューーーー
商人「え!?」
---祈りの指輪は砕け散った---
サラ サラ サラ サラ サラ
---商人達は灰となって消えた---
サラ サラ サラ サラ サラ
---追憶の森---
??「おい!しっかりしてくれぇ・・」
??「どうしたんだ!?ボヤッとしてないで・・」
勇者「・・・ハッ!!」
魔女「エルフ・・そこにおったか・・何処に行っておった?」
エルフ「ずっと一緒に居たじゃないか・・みんな目が覚めたか?」
勇者「エルフ!!僕達は今まで何してた?」
エルフ「この森でウロウロしてた・・おかしいと思って声かけたら目が虚ろに」
勇者「僕達は光の塔の地下には行ったのかな?」
エルフ「え!?何言ってるんだ・・今から行く所なんだろ?」
騎士「・・・魔王のまやかしから覚めた・・・」
僧侶「あうぅぅ・・あう・・あう・・」
勇者「僧侶?」
魔女「どうしたんじゃ?」
僧侶「騎士ぃ~~~」ぎゅぅぅぅぅぅ
騎士「僧侶・・どうした?」
僧侶「・・・わたし思い出したの・・・全部思い出したの・・・恐いよぅぅぅぅ」ぎゅぅぅぅぅぅ
勇者「え?何を?」
僧侶「今までのまやかしは全部私の夢・・夢幻の中に閉じ込められたわたしの夢・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「騎士達は・・わたしの夢の中の人・・夢から覚めたら居なくなってしまうよぅ」
勇者「どういう事だ?・・今・・精霊が解放されたのか?」
僧侶「わたしは夢幻から出れないの・・置いて行かないで・・」ポロポロ
騎士「僧侶・・・」
勇者「魔王を倒せば夢幻は虚無へ還るとドラゴンが・・」
騎士「魔王は直ぐソコに居る・・倒す!!」
僧侶「いやぁぁぁ・・騎士はわたしの人ぉ~」ぎゅぅぅぅぅぅ
勇者「僧侶!祈ってくれ・・魔王を倒す」
僧侶「ふぇ~ん」シクシク
騎士「僕が先に行く!!」
---光の塔の地下---
シーン
騎士「魔王!!見つけたぞ!!お前を倒す!!」
魔王「フッフッフッフ夢幻に捕われし者よ・・お前達では我は倒せん」
騎士「だまれ!!」
魔王「我がまやかしの術を抜けここまで来れたのは褒めてやろう」
騎士「お前を倒し!すべての呪いを解く!」
魔王「フッフッフッフそれは無理だ・・だが慈悲はくれてやろう・・我が物となれ・・世界の半分をお前にやろう」
騎士「残念だが世界を欲する心は持っていない・・魔王を目の前にして高ぶりも無い・・」
魔王「我に盗まれた心は欲しくないか?」
騎士「・・・・・」
魔王「お前は実態を持たぬ夢幻の住人・・その心は本来精霊の一部である・・だが今我の手に有る」
騎士「お前を倒しそれを奪う」
魔王「ハッハッハお前が存在しているのは我が力であると知れ・・我を滅ぼせばお前も虚無へ還る」
勇者「騎士!!魔王の言う事は聞くな!爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
魔女「爆炎魔法!」ゴゥ ゴーン
魔王「フハハハハ我に魔法は効かぬ・・」
エルフ「魔法がダメなら・・」ギリリ シュン シュン シュン ドス ドス ドス
魔王「エルフも我に逆らうか・・元はといえば悪の元凶はエルフでもある」
エルフ「なに!?」
魔王「エルフが生んだこの祈りの指輪が無ければ我が変わって世界を統治する必要も無かった」
エルフ「その秘伝を独り占めしておいて何を言う!!」ギリリ シュン ドス
魔王「そうしなければとうにエルフも人間も・・そして魔物も滅んでいた筈だ」
エルフ「エルフの英知を盗み人間の命を吸い世界に君臨する・・お前の望みは何だ!?」
魔王「我はこの汚れた世界をもう一度蘇らせる・・その為には人間は滅ばねばならん」
騎士「本音が出たな・・僕がお前の右手になった所で人間は滅びる・・そういう事だな?」
魔王「人間は夢幻の中で生きれば良い・・それで満足する生き物だ・・我が右手となればお前には夢幻をやろう」
騎士「夢幻を・・」
魔王「フハハハハ迷いが出たか?夢幻でその精霊と仲良く暮らす事も可能だ・・どうだ?」
騎士「・・・・・」クル ジャキリ
勇者「騎士!やめるんだ!」
エルフ「お、おい!俺達に刃を向けるのか?」
魔王「フッフッフッフそれでこそ我が右手・・人間はもう不要だ・・殺して我が忠誠を誓え」
---
魔女「騎士!やめるのじゃ・・これも魔王のまやかしじゃ・・」
勇者(見ろ・・騎士の目を)ヒソ
エルフ(魔王をヤル気だな?)ヒソ
騎士「心を取り戻したい・・エルフ!武器を置け!!」
エルフ「こ、殺すつもりか?」
騎士「魔王は人間を滅ぼすと言った・・エルフを滅ぼすとは言ってない」
勇者「騎士!!」
ダダッ ズン!!
魔王「・・・・・」
騎士「お前も元は人間だな!?」ズブズブ
魔王「グッフッフ・・お前では我を倒すことは出来ぬ・・」グイ ズボッ
騎士「!!?うが・・」---心臓を貫いたのに・・---
魔王「お前には失望した・・その大剣で我が心臓を突いても無意味」
騎士「くそう!!」ブン ザクン! バシュ! ズン!
魔王「その力は我に匹敵するが・・・ただの人間では我を倒すことは出来ん」
騎士「勇者!!!来い!!!」
勇者「銀の剣を食らえ!!」シュ ズバ!
魔王「・・・ほぅ・・・お前は勇者だな?」
騎士「こっちも食らえ!!」ザクン! ズブズブ
魔王「仕方あるまい・・この人間の力を我に!』」
騎士「はぅ!!?」ガクリ
---全身の力が抜けた---
騎士「祈りの指輪か・・・」---義手と義足が重い---
僧侶「騎士?」
魔王「フハハハハお前の力のすべては我が一部となった・・もはや歯向かえまい」
騎士「くぅ・・・」ガチャリ
魔王「立つ事も出来まい・・・無能な人間なり」
僧侶「だめぇぇぇぇぇ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
勇者「くそう・・僕が行く!!魔女!!エルフ!!援護を・・」
魔女「行ってはならん・・祈りの指輪がある」
勇者「僕が勇者だ!!魔王!!覚悟しろ!!」
---
---義手の魔石の力も吸われた---
---義足も重くて動けない---
---自分の力だけで動く---
---なぜかすがすがしい---
騎士「くぅぅ・・ま、まだ動ける」ズル ズル
魔王「もうお前は用済みだ・・その大剣は我が使う」グイ ジャキリ
騎士「・・・・・」ズル ズル
魔王「次は勇者か・・お前にもチャンスをやろう・・我が右手となれば世界の半分をやろう」
勇者「世界の半分とは夢幻の事か?」
魔王「フッフッフその通りだ・・夢幻をお前が統治すれば良い・・悪い話では無い」
勇者「そんな気は無い!!この銀の剣でお前の心臓を貫く!!」
魔王「・・・では貫かれる前にお前の力も我が一部としてやろう」
騎士「ま・・て・・・」ズル ズル
魔王「まだ居たのか・・お前に用は無い」
騎士「・・・」フラリ スッ
---なぜか指が動く---
---スリだ---
魔王「勇者!我が物となれ・・」
勇者「断る!!」
魔王「ではいたしかたが無い・・」
騎士「『魔王のすべてを我が物に!!』」
魔王「!!?まさか・・・」ガクリ
魔王「人間ごときに・・・この魔王が・・」
騎士「勇者!!!今だ!!!」
勇者「騎士!?」
---力が溢れる---
---魔力が溢れる---
---知恵が溢れる---
---記憶も溢れる---
---夢幻を思い出した---
勇者「ハァ!!!!」ダダダ サクッ
---
---
---
---
---
---
騎士「ぐふっ・・・・・」
僧侶「ぁぁぁぁぁ」
魔女「勇者・・・」
勇者「騎士・・すまない・・今は君が魔王だった・・」
僧侶「ぁぁぁぁぁ・・・騎士?・・・騎士?・・・ど、どうしよう・・・」
騎士「・・・これで・・良い」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「僧侶・・・僕は思い出した・・・約束を守れなくて・・ごめん」
僧侶「だめええええええ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「君の癒しが・・溢れてくる憎悪を掻き消していく・・」
僧侶「え!?わたしが騎士を滅ぼしてる?」
騎士「良いんだ・・・僕のドラゴンの心臓もこれで終わりだ・・」
僧侶「だめ!だめ!だめ!騎士とわたしはもう結婚したの!!」
騎士「覚え・・ているよ・・・君を愛してた・・・愛が溢れてくる」
僧侶「いやあああああ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
騎士「君を置いていってしまって・・すまな・・い」
僧侶「騎士?・・・騎士?・・・だめ・・・ずっと一緒って約束したもん」
騎士「生ま・・れかわ・・ったら・・・一緒に・・な・・・・・・・ろう」ガク
僧侶「ぁぁぁぁぁ回復魔法!回復魔法!回復魔法!」
---
---
---
---
---
---
サラ サラ サラ サラ サラ
---魔王は灰となって崩れた---
サラ サラ サラ サラ サラ
---遠くでドラゴンの鳴き声がする---
---夜明け---
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
魔女「鏡の中の精霊の像が弔ってくれておる様じゃ・・」
勇者「僧侶・・僕達は生きてる人を探しに行かないと・・」
魔女「そっとしておくのじゃ・・」
エルフ「僧侶は俺が見ててやる・・勇者と魔女は周辺の村を回ってみてくれ」
勇者「エルフ・・すまない・・しばらく頼むよ」
魔女「夜明けじゃ・・勇者・・行くぞよ?」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「・・・・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「・・・・・」グイット
騎士「・・・・・」
僧侶「ねぇ・・いつもみたいに目を覚ましてよぅ・・」ポロポロ
僧侶「ずっと一緒って約束したのに・・・うぅぅぅぅ」ボロボロ
僧侶「またお花畑に行こうって約束したのにぃぃぃぃ」ボロボロ
僧侶「騎士?・・起きて?・・おねがい・・」
僧侶「いかないで!!置いて行かないで!!私を置いていかないでぇぇぇぇ」
僧侶「騎士ぃ!騎士ぃ!」ぎゅぅぅぅぅぅ
僧侶「おねがい!!神様!!おねがい!!私の愛しい人を助けて!!」
僧侶「あぁぁぁぁぁわたしも連れて行って・・・うぅぅぅ」
僧侶「おねがいだからぁぁぁ」ボロボロ
僧侶「はぁはぁ・・・・うぇっうぇっ」
僧侶「騎士ぃ!!騎士ぃ!!」ぎゅぅぅぅぅ
僧侶「だめぇぇぇぇぇ」
---カラン---
僧侶「!!?ハッ・・・これは」
---祈りの指輪---
”これがあれば200年後に・・・又会える
”今度はわたしが魔女になる
”200年待てば又騎士に会える
”花を植えよう・・・一面の花畑になるまで
”わたし諦めれない
”絶対200年待つ・・
♪ラ--ララ--♪ラー
”愛の歌・・・200年後に実る愛の歌
”わたしは待つ
♪ラ--ララ--♪ラー
----------------
---200年後---
----------------
---魔女の塔---
♪ラ--ララ--♪ラー
魔女「旅人の方ですか?」
旅人「あ、はい・・」
魔女「お花を踏まないでね~ウフフ」
旅人「あ、すいません」
♪ラ--ララ--♪ラー
---
少女「・・・ねぇ・・手をつないでも良い~?」
青年「あ、あぁ良いよ。どうしたんだい?」
少女「なんとなく手を繋ぎたい感じ~ウフフ」グワシ
青年「見たことの無い石造が沢山あるね・・」
少女「そうだね~ココって何だったんだろーね~」
青年「この林道は良い香りがする・・花の香りかな?」
少女「あ!向こうにお花畑がある~早くいこ~」グイ グイ
青年「うわ!?スゴイ一面の・・・花だ」
少女「わ~いウフフ~」ルンルン
青年「あんまり遠くには行かないで」
少女「すご~~い!ど~ん」バタ
青年「花を荒らすなよ?」
少女「青年もおいでよ~大の字になって横になってみよ~よ~ウフフ」
青年「よっこら」バタ
---
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」
魔女「!!?ハッ・・・あれは・・・わたしの愛しの人」
魔女「やっと・・・やっと・・・うぅぅぅぅ」ポロポロ
魔女「行かないと・・・ハッ・・・」
魔女「・・・昔のわたしも居る」
----------------------------
チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ
---なんだか時間を忘れるね---
---そうだね~ウフフ~---
---手を繋いでも良い?---
---良いよ---
---なんかすごく幸せな感じ---
---心が満たされる感じ---
チュン チュン ピヨ チュン ピヨ ピヨ
----------------------------
青年「あれ?泣いてるのかい?泣き虫だなぁ」
少女「どうして涙が出るんだろ?悲しくないのに」ゴシゴシ
青年「さてと・・」ヨッコラ
少女「私ずっとココに居た~い」
青年「え・・あ・・うん」
少女「ねぇ、あそこの瓦礫は何だろ~う」
青年「あれが・・元々は魔女の塔だったのかな?」
少女「シッ・・・何か聞こえる」
---
魔女「騎士とわたし・・・うぅぅぅぅ」ポロポロ
魔女「騎士はわたしの愛しの人・・・今会いに行くの」ノソ ノソ
魔女「騎士ぃ!!200年待ったんだよ~」サラサラ
魔女「ねぇ~騎士ぃ~」サラサラ
サラ サラ サラ サラ サラ
---魔女は灰となって消えた---
サラ サラ サラ サラ サラ
少女「アレ~おかしいなぁ~歌が聞こえた気がするんだけどなぁ~・・・まぁいっか~ウフフ」
青年「涙が沢山出てるけど大丈夫かい?」
少女「どうしてかなぁ~止まらないの~」
青年「だっこしてあげようか?」
少女「うん!だっこ~ウフフ」ぎゅぅぅぅぅぅ
青年「もう少しここに居ようか」
少女「ねぇねぇずっと一緒に居ようね~」
青年「あぁ・・良いよ」
---------
---Fin---
---------
乙
うーんなんとも切ない終わり方
乙 だがやはり切ない…
乙でした
改変前も改変後も泣いてしまう
乙でした
うーん乙
ドラクエ6とRAVEを混ぜたみたいな感じだったな
漫画の方が映える気がする
乙
二部も待ってます
ごちそうさまでした!
セツナイ
次は別スレ?
イイハナシダナー
もしかしてもう次スレたってる?
7月下旬ごろに次スレをみかけたのに見失ってしまった…
知ってる人誘導頼みたい
これのことか?
勇者「魔王は一体どこにいる?Ⅱ」
勇者「魔王は一体どこにいる?�」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367240840/)
言っておくが次スレじゃないからな
おう知ってる、それじゃないんだ
これが終わった後に投下されてたはずなんだけど
勘違いだったかな
Ⅱも商人が危ういんだよなあ…
騎士といい、みんな大きな目的の為に自分ないがしろにしすぎだわ
>>514
>女海賊「始まりの国の執政が関わってると思うわ・・」
お前誰だよ
盗賊だって海に出たいときもあるさ
結局どうなったの?
続編の再開予定を知りたいところだが…>>1は一体どこにいる?
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