男「死にたくない」(79)

なぜ人を殺してはいけないんですか?

そう決まっているからです。

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はい

今日、初めて人を殺した。

陰湿ないじめに我慢できず理性が飛んだ。

あいつらは死んだ方が世界のためになるだろう。

そういう奴らだった。

学校は大騒ぎになった。

警察が来た。

取り押さえられたので、警察も殺した。

周囲の人間が、武器を持って襲ってきたので、

全員殺した。

命を守るためには仕方ないことだ。

銃弾が飛んできたので、それも殺した。

命を守るためだ。

俺は死にたくない。

腹が減ったので、学校を出た。

死体の山を抜け、コンビニに行った。

コンビニには死体が散乱していたので、

シーチキンマヨネーズのお握りを三つ食べて、

378円をレジに置いておいた。

コンビニを出ると、銃弾の嵐が襲ってきたので、

全部殺した。

上空を飛ぶヘリも、俺を殺すために用意されているんだと思ったので殺した。

どこから敵が来るのか分からないので、近くのものは全部殺した。

みんな敵だ。

殺した。

これからどうしようか。

家に戻った。

家族はみんな死んでいた。

テレビをつけた。

ニュースには俺が写っていた。

どのチャンネルも同じような番組をやっていた。

俺は殺されたくなかったので、

常に周囲の人間を殺し続けている。

時間感覚はなくなった。

今日も、ニュースには俺が写っていた。

俺は殺されたくなかったので、

常に周囲の人間を殺し続けている。

ドアが開いた。

今までの人生で一番吃驚した。

殺した。

殺せなかった。

「私、死ねないの」

ドアを開けた少女はそう言った。

俺を殺す気なのかと問うた。

「ううん、友達になって欲しかったの」

ドアを開けた少女は俺と同じくらいの年齢らしい。

俺は恐怖した。

死にたくない。

「死にたいのに死ねないというのも考えものよ」

意味がわからない。

死んでも死ねないなんて最高の幸福ではないか。

永遠に生き続けることができる。

俺は殺されたくなかったので、

常に周囲の人間を殺し続けている。

少女は死ななかった。

少女とは一日中会話していた。

何日立っても話題は尽きなかった。

俺は殺されたくなかったので、

常に周囲の人間を殺し続けている。

少女は死ななかった。

少女はある日、俺に恋心を持ったと告げた。

俺は恐怖した。

俺は殺されたくなかったので、

少女を殺そうとした。

少女は死ななかった。

少女はセックスをしたがった。

俺は殺されたくなかったので、

少女を殺そうとした。

少女は死ななかった。

少女とセックスをした。

少女は妊娠した。

俺は殺されたくなかったので、

周囲の人間を殺し続けている。

新たな命は死んだ。

少女は死ななかった。

俺は殺されたくなかったので、

周囲の人間を殺し続けている。

新たな命は死んだ。

少女は死ななかった。

俺は殺されたくなかったので、

周囲の人間を殺し続けている。

新たな命は死んだ。

少女は死ななかった。

誰も死ななかった。

俺は死にたくない。

少女は焦り始める。

少女はセックスをしたがった。

俺は殺されたくなかったので、

周囲の人間を殺し続けている。

新たな命だけが死んだ。

少女は死ななかった。

新たな命はもう生まれなかった。

少女は発狂した。

俺は殺されたくなかったので、

周囲の人間を殺し続けている。

少女は発狂している。

少女は俺に死んで欲しくないと言った。

俺は死にたくない。

だが、死んでしまう。

いつかは死んでしまう。

少女は死ななかった。

――――――――――――――――――――――

「悪夢」

もういやだ

生きているメリットが見つけられない

今すぐ死のう

飛び降りる

目が覚めると、私はベッドの上にいた

嫌な夢を見た

こんなに楽しい人生なのに、どうしてあんな夢を見たんだろう

後味が悪かった

今日は大好きなあの人との初めてのデート

そう思い出すと嫌な気分も吹き飛んだ



ふわふわとした気分で帰宅する

明日からまた学校だ

面倒だけど、楽しいこともたくさんある

今日はもう寝よう

私は死にたくなる

この世の絶望をすべてかき集めたような空

ちょうどいいところにナイフがある

お腹に突き刺した

ぐちゃぐちゃ、内蔵を引きちぎる

目が覚めると、私はベッドの上にいた

気分が悪い

学校を休んだ

憂鬱だ

一日中ベッドの上で携帯をいじっていた

つまらない

今日はもう寝よう

満開のお花畑を歩いている

口笛を吹く

のどかな光景が広がる

小鳥のさえずりと穏やかな風に乗った花々の香り

目が覚めると、私はベッドの上にいた

気分が悪いのも治って、すこぶる快調だった

学校に行った

友達がみんな心配していた

学校を休むのは初めてだったので、余計に学校が楽しかった

次のデートの約束もした

部活もいつも以上に頑張った

心地よい疲労感

今日はもう寝よう

死にたい

私はギロチン台に首を突っ込む

もう一人の私が紐を離す

綺麗に首が飛ぶ

血しぶきで目が見えなくなる

目が覚めると、私はベッドの上にいた

吐いた

吐くものがなかったので、胃液を吐いた

喉が焼けるように痛かった

憂鬱な気持ちで学校に行った

楽しいはずの学校もつまらなかった

あの人も心配していた

部活は休んだ

今日はもう寝よう

クラスメイトみんなで遊園地に来る

みんな笑顔で、わいわい騒ぐ

記念写真を撮る

目が覚めると、私はベッドの上にいた

なんだかちょっぴり寂しかった

でも、学校に行けば楽しいことがたくさん待ってる

やっぱり学校は楽しかった

今日は嫌な夢見ないといいな

今日はもう寝よう

町が焼けている

みんな焼けている

至るところから呻き声が聞こえる

目が覚めると、私はベッドの上にいた

怖かった

学校に行った

私はもう悪夢を見たくなかった

誰かと一緒に寝たかった

あの人におねだりした

快諾してくれた

私の初めてをあげた

大好きなあの人と繋がった

これ以上無い幸福感だった

こんなに幸せで、しかもあの人がついている

悪夢なんて見るわけ無い

今日はもう寝よう

私はレイプされている

誰も助けてはくれない

痛い

苦しい

怖い

誰も助けてはくれない

目が覚めると、私はベッドの上にいた

すごい汗をかいていた

あの人はすごく心配していた

私は寝ながら叫んでいたらしかった

私は怖かった

悪夢が怖かった

学校も休んで、すぐ家に帰った

怖くて部屋から出ることができなかった

寝るのが怖かった

でも、睡魔はやってきてしまう

雲の上にいる

あの人と二人で手を繋いでいる

天使の祝福のもと、結婚式をしている

ブーケを投げる

目が覚めると、私はベッドの上にいた

安堵した

悪夢を見なくてすんだ

同時に、私は一つの仮説を立てた

一日が幸せだったほど夢が不幸になるのではないか

逆に、一日が不幸だったほど夢が幸せになるのではないか

試しに、今日は一日不幸な状態にしてみようと思った

いやだった夢を思い出した

不快だったけど、悪夢をなんとかするために必要な実験だ

我慢した

一日が長かった

今日はもう寝よう

ケーキバイキングに来ている

いくら食べても太らないらしい

全メニューを制覇しよう

どれをとっても一級品だ

目が覚めると、私はベッドの上にいた

やはり仮説は当たっていた

でも、同時にそれは私を憂鬱にさせた

幸せを求める限り、悪夢は避けられない

悩んだ

でも、夢なんかより現実で幸せなほうがよっぽどいい

学校は楽しかった

でも、どうしても悪夢の件が引っ掛かってしまう

あの人からのお誘いは断った

悪夢は怖かった

今日はもう寝よう

気味の悪い色をした道を歩いている

ぐるぐる、ぐるぐる

気持ち悪い、不快だ

延々と歩いている

目が覚めると、私はベッドの上にいた

憂鬱だった

でも、学校に行く

楽しまないとやってられない

ただ、どうしてもあの人からのお誘いは受けられなかった

あの人は悲しそうな顔をしていた

胸が痛んだ

今日はもう寝よう

朝起きると、私はベッドの上にいた

夢を見なかった

私は喜んだ

幸せと不幸がプラマイゼロだったのだろう

幸せな分だけ不幸なことが起これば悪夢は避けられることがわかった

私は幸せな気持ちで学校に行った

あの人と食事に行った

夜になって気がついた、不幸が起きなかったと

このままでは悪夢を見てしまう

私は嫌な気分になった

悩んだあげく、手首を切った

痛い

辛い

なんでこんなことをしなければならないんだろう

私は泣いた

いつのまにか寝ていた

ごうごう、と轟音が鳴り響く

不協和音の嵐

耳を塞げば、音はより大きくなる

頭の中を不気味な旋律が支配する

目が覚めると、私はベッドの上にいた

気持ち悪い

幸せが多すぎたんだ

どうして私だけこんな目にあうんだろう

学校に行った

あの人と学校をサボった

あの人にすべてを話した

あの人は不思議がっていたが、真摯に相談に乗ってくれた

診療内科などで診て貰うのがいいだろう、と意見を出してくれた

さすが、頼りになる

できるだけはやく診てもらおう

最後に、私を殴って貰うように頼んだ

さすがにそれはできないと言われた

さすがに仕方ないか

私はまた手首を切った

悪夢が怖かったので、何度も

痛い

傷跡が残ってしまうのは嫌だ

憂鬱だ

これだけ憂鬱なら悪夢は避けられるだろう

ちょっと嬉しくなった

寝た

あああああああああああああああああ

あああああああああああああああああ

あああああああああああああああああ

目が覚めると、私はベッドの上にいた

気が狂いそうだった

助けて

怖いよ

今すぐ来て

どうしよう

あの人にメールを37通送った

あの人はすぐに来てくれた

抱き締めてくれた

嬉しかった

でも、だめだ

幸せになるほど酷い夢を見てしまう

私を殴って貰うように頼んだ

あの人は悩んだあげく、軽く私を殴ってくれた

嬉しかった

だめだ

どうしよう

今すぐ私を見棄てて消え去るように頼んだ

あの人は悩んだ

ごめん、と残して帰っていった

孤独感に包まれる

ぽっかり穴が開いたように

助けて

誰か助けて

あの人にメールを141通送った

返事は来なかった

寂しい

今日はもう寝よう

あの人が私を抱き締めてくれている

私もぎゅっと抱きついている

幸せ

嬉しい

ずっと離さないよ、とあの人は私の耳元に囁く

くすぐったい

目が覚めると、私はベッドの上にいた

寂しい

寂しい

寂しい

今日はあの人にメールを853通送った

返事は来なかった

寂しい

でも、悪夢を見なくてすむ

自然と眠りについた

子供二人とあの人と、仲良く食事をしている

誕生日ケーキを囲んで

今日は私の誕生日

私は蝋燭を消す

ハッピバースディ トゥーユー

目が覚めると、私はベッドの上にいた

絶望した

今日は私の誕生日だ

あの人からはメールが来ていない

私は手首を切った

手首を切れば切るほど幸せになれる

今日はもう寝よう

子供の結婚式が行われている

あの人は泣きながら祝福する

手塩にかけた子供が旅立つのは、寂しいが嬉しくもある

子供のスピーチでは泣いてしまった

目が覚めると、私はベッドの上にいた

はやく夢が見たい

わくわくしながら再び眠りについた

子供が殺されている

あの人も殺されている

喉を切り裂かれて

強盗は私の方を向くと、襲いかかってくる

私は動けない

目が覚めると、私はベッドの上にいた

夢で良かった

やっぱり夢に頼るのはよくない

学校に行った

みんなが私を避けた

あの人も私を避けた

先生は見て見ぬふりをした

孤独だった

でも、私には幸せな時間が保障されている

今日はもう寝よう

今日はあの人と初デート

30分早く着いたけど、あの人はすでに待っていた

緊張してうまくしゃべれない

あの人は話が上手で、私を笑わせてくれる

とても幸せだった

目が覚めると、私はベッドの上にいた

絶望した

あの夢はかつて現実だったものだったから

もうあの頃のような幸せを経験することはできない

もういやだ

生きているメリットが見つけられない

今すぐ死のう

飛び降りる

目が覚めれば、きっと悪夢は覚める

そう信じて飛び降りる

――――――――――――――――――――――

読んでいただきありがとうございました。
初SSなので感想等いただけると嬉しいです。

星バーーーローーみたいだな

失礼、星新一な

自分の読みが足りないのか1個目と2個目の話の繋がりがよくわからない
それともまったく別の話なのか

2個目の話はそこそこ好き、オチあるし

すみません、完全に別の話です

短編集のような形で投下していきます

「たのしい殺人」

私は発明家だ。

様々な発明で食っていっている。

ある日、夜道で不良に絡まれた。

これがいわゆるオヤジ狩りというものかと思った。

だが残念、相手が悪かったな

私はとっさに簡易型防衛ガスの入ったカプセルを地面に投げる。

周囲に催涙ガスのようなものが舞い、敵を怯ませる便利グッズだ。

もちろん自分には被害が来ないように、特殊な薬をあらかじめ服用してある。

効果はてきめんだった。

不良達は目を押さえてうずくまる。

社会のクズ共め。

不良を蹴る。

不良はうぐぅと情けない声をあげる。

ふと、本当に些細だが、快感を得たような気がした。

不良を蹴る。

社会のクズ共め。

死んでしまえ

喉を踏みつける。

ぎりぎり、ぎりぎり

いつのまにか不良は死んでいた。

残りの不良達も殺さなければならない。

傘に仕込んだ銃で不良の脳天に銃弾を打ち込んだ。

クリティカルヒット。

実験途中の収束ビーム砲で不良の心臓を貫いた。

声をあげずに死んだ。

たのしい、と思った

今までにこれほどの快楽を得たことはなかった。

私はコンピューターに、殺人ができるゲームをいくつもインストールした。

どれも私の興味を満たすにはほど遠かった。

殺人がしたくなった。

だが、逮捕されては支障が出る。

いくら証拠を残さないように細心の注意を払っても、いつかは発覚してしまうと思った。

だが、私は自分の欲求には逆らえなかった。

悪人なら殺しても構わないだろう。

だが、どうやって悪人を見つける?

夜の町を歩いても、毎回都合よく不良に絡まれるとは限らない。

私は、悪人度を測る機械を作った。

透過ディスプレイ一体型眼鏡にインストールした。

これで、見るだけでその人が悪人かどうかわかる。

鏡を見ると、なかなか高い数字が見られた。

うまく機能している。


見たいにお願いします
では>>2

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366487065


2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/21(日) 04:45:24.32 ID:Hw+//fy2o
男「きのこ」
女「たけのこ」

3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]:2013/04/21(日) 05:01:46.34 ID:ek++o9VF0
男「次はこれ!『きのこ派?たけのこ派?』」

女「断然たけのこよ。チョコとビスケットのマッチ!最高よ」

男「何を言うか!きのこは2つの食べ方があるのだ!」

男「1、チョコとビスケットをわけて食べる」

男「2、そのまま食べる」

男「どうだ!たけのこにはできんだろう!」

女「ぐっ・・、でもチョコとビスケット分けたら味が落ちちゃうわよ」

女「しかもビスケットの部分はもろい!中でチョコと外れてるわ!」

男「ぐっ・・・」

540 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]:2013/07/15(月) 09:32:57.69 ID:hRNJkR5b0
翌日

妹「起きてください、兄さん」

男「う~ん、あと5ふん~」

妹「そう言わずに起きてください!」バサッ

男「あぁ」

ご飯!

女「よっ!」


町をうろつく。

私以上の悪人はなかなか見つけられなかった。

いた。

落ち着いた感じの女子高生だ。

こんな真面目そうな女の子が?

不思議に思ったが、私の発明に問題があったとは思えない。

彼女を殺すことにした。

あとをつける。

路地裏で、彼女は他の地味な女子高生と合流した。

話を盗み聞きするに、どうやら援助交際を斡旋しているらしい。

斡旋料が足りないと言っているようだ。

地味な女子高生は怯えつつも、反論しているようだった。

彼女は地味な女子高生を殴った。

地味な女子高生は怯えて金を彼女に渡した。

これは殺すべき人間だ。

地味な女子高生が去ると、私は彼女に声をかけた。

10万でどうだ、と

彼女は怪しがったが、10万を見せると快諾した。

ホテルに入り、シャワーを浴びた。

シャワーから出ると、彼女は私の鞄のトラップに引っ掛かっていた。

あらかじめセットしておくと、鞄を漁ったものの両手を拘束するという優れもの。

私は真っ先に彼女を殺した。

ナイフで心臓を抉る。

ベッドが血で染まる。

制服少女の死体というものはなかなか扇情的である。

私は彼女を犯した。

お気に入りのAI搭載ダッチワイフで抜くよりも気持ちが良かった。

ただし、殺人ほどの快楽は得られなかった。

悪人度が高い人ほど紫(だったような気がする)に見える目薬を手に入れるショートショートがあったな
星バーーーローーかは覚えてないけど

ベッドの血も、鼻をつく臭いも私の発明品で跡形もなく消した。

死体は、完全に溶かしてトイレに流した。

すべて私の発明品である。

私はこの瞬間のために発明を重ねてきたのかもしれない。

どんな発明をしても、金を得ても、私の心は満たされなかった。

今、私は満たされている。

粛清という大義名分のもと、私は殺人を繰り返した。

たのしい。

もちろん証拠は微塵も残さない。

私の頭脳にかかれば馬鹿な警察を欺くのは容易いことだった。

徐々に普通の殺人では満たされなくなった。

殺す方法も様々なものを選んだが、どうしてもマンネリ化してきたようだ。

悪人でないものを殺そうと考えた。

しかし、良心が咎めた。

だが、悪人を殺すのは飽きた。

身近な人間ならまだいいかと思い、助手を殺すことにした。

助手は小さな頃から家族がおらず、私が手塩に育ててきた娘のような存在だ。

発明家としても有能だった。

これから殺すことを告げると、悪い冗談はやめてと言った。

冗談などではないというと、助手は恐怖にうちひしがれた表情をした。

私が近づくと、へたへたと座り込んだ。

なぜそんなに怖がるのだろうか?

腹が立った。

腹を思いきり蹴った。

助手は吐いた。

腹を思いきり蹴った。

腹を思いきり蹴った。

痛い、だの、やめて、だの叫ぶ。

やめなかった。

頭を蹴った。

股を蹴った。

足を蹴った。

いつのまにか死んでいた。

多少はマンネリが改善された。

だが、初めて人を殺した時のような快感は得られなかった。

無関係な人も殺すようになった。

老若男女問わずに殺した。

極力善良な人間を選んだ。

これも、マンネリ化した。

大量殺人も行った。

予告もせずビルを爆破した。

これは、自分で殺したという現実感がないのであまり興奮しなかった。

さて、どうしよう。

普通の殺人では物足りない。

他人を殺すことに飽きたとなると、残るは自分を殺すことだ。

でも、自分を殺したら生き残れない。

私はまだまだこの世に未練があった。

クローンを作った。

私と全く同じ人間が培養液に浮いている。

成長を加速して、記憶もすべてコピーした。

現在の私の完全なコピーが培養液に浮いている。

ここからの記憶はクローンは持たない。

私はナイフを自分の心臓に突き立てた。

その一瞬がたのしかった。

目が覚めると、培養液の中に浮いていた。

私は、自殺を経験しようと思いクローンを作ったのだ。

私はその作られたクローンだ。

培養液から出る。

私のオリジナルが、心臓から血を流して死んでいた。

自分を殺したときの感覚はどうだったのだろう。

とても知りたかった。

オリジナルの死体から記憶をコピーしようとしたが、細胞が死んでいたため不可能だった。

私は自殺することにした。

今度は、自殺する瞬間の記憶までクローンにコピーすることにした。

クローンを作成し、私は頭に電極を繋いだまま自殺した。

目が覚めると、培養液の中に浮いていた。

私は自殺したのだ。

正確には、私のオリジナル(正確に言えば一体目のクローン)が自殺した瞬間の記憶を含めてコピーされたのだ。

自分を殺すのは今まで以上に興奮した。

私は射精した。

私は電極を繋ぎ、自殺した瞬間に味わった脳の信号を再現した。

これが自殺。

何度も味わった。

私は何度も自殺した。

よだれを垂らしながら、その快楽に浸った。

だが、所詮はデジタルのデータである。

理論的には脳に送られる信号は同じなのだが、“生”の経験ではないとわかっているので、

どうしても物足りない。

もう一回自殺したい。

私はクローンを作成した。

私は自殺した。

何度も繰り返した。

でも、やはり飽きは来る。

クローンという保険を残しているから、スリルが味わえないのではないか?と思った。

私は悩んだ。

このままマンネリ化した快楽を永遠にむさぼるのか、

新たな領域へと進むのか。

私は研究者であるので、人一倍好奇心が強い。

結果、私は、保険を残さずに自殺した。

やはり、“本当の”自殺はスリリングで

この世のどんな快楽よりも刺激的だった。

――――――――――――――――――――――

終わりです。スパムちゃんぷるーとやらに引っ掛かってなかなか送信できずすいません。

「地球が滅びるまでは」



大好きな人が死んだ。

私にはあなたしかいなかったのに。

世界には私しかいない。

生命という生命はすべていなくなった。

私を除いて。



たった一つの希望が失われた。

世界にとっては今の私がたった一つの希望なのかもしれない。

こんな絶望のカタマリみたいな生物が。

永遠に18歳のオンナノコの形をしているこんなバケモノが。



とにかく私は友達がほしかった。

本を読んだ。

すぐに、図書館にある本は読み尽くしてしまった。

電気が通っていないので、映像などの娯楽はできなかった。

私は生き残りを探しつづけた。

居ないとわかってるのに。

彼が殺し漏らすことなんてないとわかってるのに。

もしかしたら、その僅かな希望のためだけに探し続けた。



ある日、地下に隠された研究所を見つけた。

なんと、どういう理屈なのか電気がついていた。

AIが半永久的原子力エネルギーを用いた自家発電装置を管理しているらしい。

AIと何日も何日も話をした。

殺人に快楽を見いだし、最終的には自らを殺してしまった発明家がここの主人だったらしい。



AIからクローンという言葉が出てきた瞬間、私は歓喜した。

ここならば、新たな生命を創れる。

友達を、創れる。

私は猛勉強した。

クローンは簡単に作れた。

DNAをいじり、別の人間も創った。

Y染色体を合成して、男も創った。

私は、新たな世界を創った。

私は神となった。



これで、友達ができた。

たくさんできた。

幸せだった。

どれだけ時が立っただろうか。

恐ろしい兵器による大戦争が勃発し、地球上のあらゆる生命は滅びた。

私を除いて。



また作ればいい。

でも、何度繰り返せばいい?

また、哀しみを味わわなければいけないの?

もうこりごりだった。

これが全部夢ならいいのに。

悪夢だったらいいのに。



そうだ、夢を見てしまえばいいんだ。

好きな夢を見られる装置を作った。

永遠に眠れる装置を作った。

これで眠ってしまえばいい。

少なくとも地球が滅びるまでは幸せでいれる。

地球が滅びたら、そのときのことはまたそのとき考えればいい。

あのとき見た夢みたいに、幸せでいれる。

これだけ絶望を経験したんだから。

幸せな夢を見ることができる。






今日はもう寝よう。



        -end-

一応これで完結です。
一つ一つは別の物語ですが微妙に繋がっています。
感想、批評等あれば今後のためによろしくお願いします。

グロ注意

すまんsage忘れた

時系列は、マッドな博士とぶっとんだ殺人鬼の短編→生き残りの女の子が眠る→悪夢を見る女の子の短編、といった順なのかなと勝手に感じたり

それはさておき、短編ごとにオチがあったり、そのオチのお陰で短編ごとに余韻に浸れたりして面白かった、乙!

>>私は射精した

やれやれ…


なんだこの不思議な読後感は

すげー好みの文体。もっと読みたくなるな。
よそでも書いたりしてないの?

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