モバP「タイムマシンがあったら?」(178)
佐久間まゆ「はい」
P「? どうして急に、そんな話…」シャリシャリ
まゆ「深い意味はありませんけど…読んだ本にそんな話があったので、聞いてみたんです」
P「……うーん。そうだな」
P「いや、別に変えたい過去があるとか…っていうこともないしな。たぶん使わないと思うけど」シャリシャリ
まゆ「そうですかぁ?」
P「あ、なんだったら子どものころのまゆを見に行ってみたいな。それくらいなら、怖いことも起きないだろうし」
まゆ「ふふ? ひょっとすると、まゆは幼いころにPさんに出会っていたのかもしれませんねぇ…?」
P(やっぱ怖いこと起きそうだった!)ゾク
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368067972
P「ひょっとして」
まゆ「?」
P「この前持って来た本は、もう全部読んじゃったのか」
まゆ「ええ。一人きりでいると、退屈ですから、けっこうすいすい読んじゃいますねぇ」
P「そっか。じゃあまた明日にでも新しいのを持って来るな」
まゆ「はい」ニコ
P「ちなみに、どんな本がいい?」
まゆ「…えっとぉ…お料理とか、編み物の本がいいですかねぇ…」
P「そっか。まゆはやっぱり、料理とか好きなんだな」
まゆ「はい♪ いつだってPさんにご馳走できるように、ちゃんと勉強しておかないといけませんから」
P「お、おう。楽しみにしておくよ」
まゆ「あ、でも…別にPさんがまゆのために選んで持って来てくれるのなら、どんな本でも構いませんよぉ…?」ニコ
P「そ、そうか…」ハハ…
まゆ「はい。ふふ…」
まゆ「あ、そうだ」ポン
P「ん?」
まゆ「その…今はお料理はさすがに無理ですけど、編み物ならできるので…」ガサ
まゆ「これ、Pさんのために編んだんですよぉ」
P(…この時期にセーターかよ…)
P「あ、ありがとう」ハハ…
まゆ「まだ少し肌寒いですからねぇ。それに」
P「ん?」パサ
まゆ「それを着て感じる暑さは、私の愛情のしるしですからねぇ…? たっぷり感じてくださいね…ふふ」
P「…うん。ありがとな」ガサ
まゆ「はい♪」
コンコン
P「ん」
まゆ「? この時間だと、もしかするとー…アイドルの子かもしれませんね」
ガラ
神谷奈緒「お、元気そうだなー」
北条加蓮「ほんとだ。おはよう、まゆ」
まゆ「はい。おはようございます」
奈緒「ついででごめんな。プロデューサーを拾いがてらなんだ」
まゆ「全然いいですよぉ。こうして来てもらえるだけで、嬉しいですから」
P(まゆはいい子や…)
加蓮「今朝は顔色もよさそうだね」
まゆ「はい♪ ご飯もちゃんと食べましたし…なによりPさんが来てくれましたから」ニコ
P「…ごめんな、本当はずっと一緒にいてやりたいくらいなんだが…」ナデナデ
まゆ「ふふ。仕方ないですよぉ。Pサンは、みんなのプロデューサーですもんねぇ」ナデナデ
P「…お前も俺を撫でるのか…」
まゆ「ふふ♪ いつもお疲れさまです」ナデナデ
奈緒「なんか情けない絵面だなー」
P「うるさい。自分も撫でて欲しいからって突っかかって来るんじゃない」ナデナデ
奈緒「ばっ// そ、そんなこと思ってねぇよ!」//
まゆ「♪」
サマーセーターというものもあってな……編めるかまでは知らんが
>>今は料理できない
そこはかとなく鬱い予感
P「よし。じゃあまた明日来るからな。仕事、行って来るよ」
まゆ「はい。気をつけて行ってくださいねぇ」
加蓮「夫婦みたいな会話だね」ハハ
奈緒(…ち、ちょっとだけ羨ましかったり、しないからなー)
P「っと。リンゴ、切ったからな。よかったら食べてくれ」コト
まゆ「はい、大事に食べますねぇ」
奈緒「でこぼこじゃねえかよ」
P「う、うるさいな!」
まゆ「いいんですよぉ。Pさんが、私のために頑張ってくれたって、伝わって来ますから」
P「…そっか」
加蓮(まゆはいい子だね…)
ガラ
看護師「佐久間さーん。検温、いいですかー」
まゆ「はい」
P「じゃあな」
まゆ「はい♪」
P「よし。じゃー今日も仕事、頑張るか!」
奈緒「現場に行ったら頑張るのはあたしらだけどな」
加蓮「プロデューサーも、アイドルする?」
P「しねえよ!」
P「……」
P「…タイムマシン、か…」
加蓮「? なにか言った?」
P「あ、いや…なんでもないよ」
投下終了。
多少遅筆かと思いますので、のんびり読んで頂けると嬉しいです。
>>8 あ、ホンマ…知らんかった…
http://i.imgur.com/vPKxmtW.jpg
http://i.imgur.com/yvTLnuG.jpg
神谷奈緒(17)
http://i.imgur.com/OV1tQ3P.jpg
http://i.imgur.com/FqCP1dn.jpg
北条加蓮(16)
奈緒「タイムマシンがあったら?」
P「うん」
奈緒「…いや…別にどうもしねえけどさ…」
P「そうか?」
奈緒「あ、でもこう…戻れるんだったら、ちょっと過去に戻ってみてえかな、…昔のアニメを、リアルタイムで見たい」
P「はは、健全でかわいい使い方だな、奈緒らしいよ」
奈緒「あぁ? な、なにが可愛いんだよ!」//
P「普通、タイムマシンときたら、過去を変えようとか…いろいろ思いつくもんじゃないか?」
P「加蓮はどうだ?」
加蓮「私? 私も別に… 」ギュ
加蓮「変えたい過去なんて、ないかな」
P「…そうか」
加蓮「うん。過去を変えようなんて…プロデューサーと、奈緒と、…凛に支えられて頑張って来た今の私に、失礼だと思う」
P「…そっか」
奈緒「ほ、ほら見ろ。あたしなんかよりよっぽど加蓮の方が、真面目だし可愛いじゃねえか」
加蓮「ありがと。でも奈緒も十分可愛いよ」
P「うむ」
奈緒「な、二人してなんだよぉ…」
P「…まあ…そうだよな…」
ふつう、タイムマシンなんてものを使う機会が与えられたとして――自分の過去をどうかしよう! なんて方がおかしいよな。
まして、二人に限らずうちの子たちはみんなまじめだし。
…そうだよな。
だから、「タイムマシンがあったら」なんて質問自体、思いつくってことは――それは、つまり……
加蓮「プロデューサー?」
P「…ん?」
加蓮「どうかしたの? なんだか、青い顔して…考え込んでる風だけど」
奈緒「はっ。さては…なにかタイムマシンが欲しくなるような失敗でもしちゃったか」
P「…してねぇよ」ハア
P「何でもない。心配させて悪かったな。さ、今日も元気に行くぞー!」
加蓮「さっきも同じようなこと言ってたよ?」
奈緒「いつもに増して今日は変だな」
P「いつも変だと思われてるのか、俺…」
つまり、
まゆにはなにか、変えたい過去があるのだろうか。
俺と出会わなければよかった?
それとも――……
「心配いりませんよぉ、Pさん」
「私は……なにも後悔なんてしてませんから」
やはり、あのときの笑顔は嘘だったのか?
まゆが入院してるのか…言動といい死亡フラグががが
自宅がe-mobile環境なので、酉をつけて、携帯と交互に落として行きます。
IDがころころと変わりますが、ご容赦ください。
P「お」
渋谷凛「遅い」
P「悪い悪い。でもまだ時間には間に合ってるだろ?」
凛「そういう問題じゃない。早め早めの行動は社会人の常識でしょ?」
P「…すまん」
奈緒「プロデューサー怒られてやんの」ププ
凛「奈緒も同罪」
奈緒「あ、はい」
加蓮「凛。なにも怒ることはないんじゃないかな」
凛「…」
加蓮「…ねえ、何とか言ってよ…」
奈緒(…朝から嫌な雰囲気だな、おい)
P「お、おいおい。アイドルが現場でする顔じゃないぞ、三人とも」
P「俺が悪かった。まゆのところでのんびりしすぎたんだ、すまん」
凛「…」
凛「…プロデューサーは悪くないよ」プイ
スタスタ
加蓮「…凛」
奈緒「……最近、凛のやつ、いらいらしてんなー…」ショボン
P「…そうだな」
P「凛のこと、頼んだぞ。お前たちで支えてやってくれ」
奈緒「おう」
加蓮「もちろん。言われるまでもないよ」
P「そっか」
ガチャ
P「戻りましたー」
千川ちひろ「あ、プロデューサーさん。送迎お疲れさまです」
ちひろ「…まゆちゃんの様子、どうでしたか?」
P「…」ギシ
P「元気そうでしたよ。ただ、やっぱり退屈みたいですね…見て下さいよ、ほら」ガサ
ちひろ「…わ、手編みのセーター…これ、プロデューサーさんに?」
P「ええ。嬉しいような、恥ずかしいようなって感じですが」ポリポリ
ちひろ「……まゆちゃんにしては…拙いセーターですね…」
P「…ですね…」パサ
P「…けど、こんな風に編み物ができるようになっただけ…奇跡的だと、言ってましたね。担当医の方は」
ちひろ「…そうですか」
P「……」
P(…アイドルに復帰できるかと聞くと、…なにも答えてはくれなかったですけど)
P「…そうだ。ねえちひろさん」
P「もし、タイムマシンがあったら、どうします?」
ちひろ「……タイムマシン――…ですか」
P「ええ。…まあ、「宝くじが当たったら」と同じレベルの…戯言ですけど」
ちひろ「…そうですねぇ」
ちひろ「ふふ、事務所のみんなが上手く行くように…なんて思いますけど、野暮ですよね。きっとなにもしないと思いますよ?」
P「…そう、ですよね」
ちひろ「はい」
ちひろ「…まさかプロデューサーさん、タイムマシンでなにかやましいことでもしちゃったんですか?」
P「ま、まさか。そもそもタイムマシンなんてあるはずないじゃないですか」ブンブン
ちひろ「そうですね」フフ
P(…そうだ)
タイムマシンなんてない。
この世には取り返しのきくことはあっても取り消しのきく現実はない。
……あほなこと言ってないで、仕事、するか。まゆのためにも。
一旦、投下終了です。まちまちなペースですいません。多少どころかかなり遅いですね。
次以降、多少突飛な展開になるかもしれません。
まあSSやし、くらいの感じで読んでもらえると嬉しいです。
乙
なにやらシリアスなふいんきで期待が高まる
ままゆ……
コンコン
まゆ「どうぞぉ」
ガラ
P「おはよう。体調はどうだ?」
まゆ「あっ…Pさん、そろそろ来てくれる頃だと思いましたよぉ」ニコ
まゆ「Pさんのお顔が見れたので、まゆは今日もとっても元気です」
P「そっか」ハハ
ガサ
P「いろいろ持って来たぞ」
まゆ「わあ…ありがとうございます」
まゆ「? …なんだか、色褪せた本も、いくつかありますねぇ」
P「あ、ああ。ごめんな。新品の本は料理本くらいで…」ハハ…
P「時間がなくてさ。家にあるのをいくつか引っ張り出して来たんだ。まゆは、古本とか読めないタイプだったか?」
まゆ「…。ふふ」
ギュ
P「…まゆ?」
まゆ「…そんなことないですよぉ」
まゆ「ありがとうございます。まゆ嬉しいです。この本には…Pさんを感じることができますから…」
P「…そっか。喜んでくれたなら、なによりだ」
まゆ「はい♪」
P「ちなみに、…いくつか、SF系の小説も混ぜてあるぞ」
まゆ「SF…ですか」
P「ああ。タイムマシンの話、しただろ? ひょっとしてなにか興味があるんじゃないかって」
まゆ「…Pさん、まゆのために気を遣ってくださったんですねぇ…嬉しいです」
P「そんな大げさなもんじゃないけどな」
まゆ「そんなことないですよぉ」フルフル
P「よしっと。じゃ、そろそろ行くな」
まゆ「はい。いつもありがとうございます」
まゆ「…あの、Pさん…」
P「ん?」
まゆ「……ぁ…」
まゆ「…ふふ。何でも、ないです」
P「…そうか?」
まゆ「はい。また来てくださいねぇ」
P「おう。じゃあな」
パタン
まゆ「…」フリフリ
まゆ「……Pさん、まゆは、」
まゆ「…どうすれば…どうしたら、よかったんですかねぇ……」
ガチャ
P「戻りましたー」
凛「あ」
P「あ?」
凛「…」
P「…」
事務所に戻ると、いたのは凛一人で――
なぜか彼女はきぐるみを着ていた。
P「…」
凛「…」
凛「にっ」
P「?」
凛「にゃー!」
P「!?」
凛「…にゃ、にゃー…」
P「…凛……それって、ペンギンかなんかじゃないの…?」
凛「…だと思う」
P「だよな」
凛「…」
凛「くっ、くぁー!」バサッ
P「…もう遅いぞ…」
凛「…うん」パタ
P「…」
凛「…」
P「…えっと」
P「…どうして、ペンギンのきぐるみを着てるんだ?」
凛「いろいろあって」
P「気になるなぁ」ニヤニヤ
凛「にやにやしないで」ガシガシ
P「いてっ、こら、くちばしで叩くんじゃない」ガスガス
凛「も、もう。このことはこれ以上聞くの禁止」
P「はい」イテテ
凛「じゃ」ピッ
P「羽を掲げても決まってないぞ、可愛いだけだぞ」
凛「ありがと」ヨチヨチ
P(ぺんぎんりん、これは売れる)カワイイ…
P「きぐるみ系アイドルか…うむ…」ブツブツ
凛「なに言ってるの」
P「今の姿のお前に言われたくはないな」
凛「…何でもいいけど」
凛「と、とにかく。この格好のことは誰にも言わないで。いい?」
P「お、おう。それは別に構わないが…」
凛「それじゃ」ヨチヨチ
P「なぜ頑なにその姿で帰ろうとする」
P「ちょっと安心したよ」
凛「ん?」
P「…なんだか、こんな風に…凛と他愛もなく喋れたの、久し振りな気がして」
凛「……。そうだね」
凛「ねえ」
P「どうした?」
凛「…今朝も、まゆのところへ行ってたの?」
P「…ああ」
凛「…そっか」
凛「…じゃあね、プロデューサー」
凛「“またね”」
P「おう」
凛「…」ヨチヨチ
P(やっぱりそのまま帰るのか…)
パタン
P「…あ」
P「そうだ、なあ凛、奈緒と加蓮の二人は――」ガチャ
P「…あれ…いない」
奈緒「お? プロデューサー、どうかしたか?」ヒョコ
P「おっと奈緒か。お疲れさま。…えっと、…ペンギンを見なかったか?」
奈緒「はあ??」
P「悪い、なんでもない…」
P(あんな身動きの取り辛い格好で…いつの間に?)
奈緒「ついに頭やっちゃったか…」
P「やってねえよ」
投下終わり。お昼ごろちょこっと投下したいです。
頑張りますが、期待はほどほどに…。
乙
期待してる
こんばんりんりんー
P「それでは、お疲れさまでした」
ちひろ「はい。お気をつけて」
凛「…」ペラ
P「凛はまだ残るのか?」
凛「…」
P(…無視か)
P(昼間あんなことがあったから、無愛想にされるにしてもなにか変化があるかと思ったが…これは普通に触れてはならないタイプの無愛想だな)ウン
凛「ねえ、プロデューサー」
P「ん?」
凛「…今日、いつもより早い気がするけど。なにか用でもあるの?」
P「ああ。本屋に寄って帰るつもりだから」
P「なにかまゆが興味のある本はないかなと思ってな」
凛「…っ、そう」ズキ
P「おう」
凛「…プロデューサー、…最近まゆに気、遣いすぎだと思う」ハア
P「そうか?」
凛「仕事はちゃんとやってる?」
P「やってるよ。はは、アイドルに心配されるなんて…情けないな、俺」
凛「そんなことないよ」
P「そっか。ありがとう」
凛「…」プイ
P「じゃあな。また明日」パタン
凛「…うん」
加蓮(…凛…)
・
・
・
P(…お、タイムマシンが本当に可能かどうか、なんて本もあるのか…)
P「…こういう本も、案外ありかな。小説ばかりでもつまんないだろうし…」パラパラ
??「おや。こんなところで会うとは奇遇ですね」
P「ん?」
P「なんだ幸子か」
輿水幸子「なんだとはなんです。というかですね、プロデューサーさん」
P「なんだ」
幸子「ボクが声をかけるまで気づかないなんて、どうかしているんじゃないですか?」
幸子「もっとボクの可愛いオーラにちゃんと気を張ってください! 本来、そんなことしなくても感じ取れるくらいボクは可愛いはずです」
P「…悪い悪い」
P「あ、なんか可愛い感じがするなーとは思ったんだけどな」
幸子「あ、そうですか?」
P「ちっちゃいから気づけなかった」
幸子「なー!?」
幸子「もう! プロデューサーさんなんて知りません!」プイ
幸子「…ところで、なんの本ですか? それ」ヒョコ
P「発言と行動が一致してないぞ…」
幸子「……タイムマシンは本当に可能か…」
幸子「へえ。プロデューサーさんは、なかなかロマンチストだったんですね。悪くないと思いますよ」
P「そうか?」
幸子「ええ。誰にだって変えたい過去くらいあるでしょうしね。それに想いを馳せることは普通のことです」
P「…」
P「なあ、幸子」
幸子「はい?」
P「…お前にも、なにか、変えたい過去はあるか?」
幸子「…。ええ。ありますよ」
幸子「でもそんなことはできないですし、すべきでもないでしょう」
P「…うん」
幸子「だからと言って、そこから逃げるべきでもないと思いますが」
P「逃げる?」
幸子「はい。「どうせ変えられないから」ではなく、「例え変えられるとしても」が、人には必要な心構えだとボクは思いますね」
P「…そうだな」
幸子「…なので、アリのようにせっせと努力するプロデューサーさんは、この可愛いボクが応援してあげます」
P「アリて」
幸子「頑張ってください」
P「お、おう。…なんだかよく分からないが…」
幸子「まったく、こんなことも分からないなんて…プロデューサーさんはだめだめですね、ふふっ」
P「すまん」
幸子「では、ボクはこれで」
P「ああ。…幸子」
幸子「はい?」
P「ありがとうな」
幸子「…いえ。ボクはカワイイですからね! このくらい当然です!」フンス
P「そっか」
幸子「…」
幸子(…最近のプロデューサーさんの顔を見て…気を遣わない子なんて、うちにはいないですって)
P「また明日」
幸子「はい」
パラパラパラ…
P「むう…なかなか、どれも面白いじゃないか…」
P「…何冊かに絞らないとな。きりがないし」パラ
ヒュ
P「…っと、しおりが…」
ヒラ、ヒラ…
P「よっと」パシ
P「…」
P「…なんだこれ。きぐるみの宣伝か? “…タイムマシン、あります”…」
P「……」
・
・
・
店員「ありがとうございましたー」
ガサ
P「…結局、なんだか気になって…最後に手に取ったやつも買ってしまった」
P「内容は普通の本のようだが…このしおり…」ピラ
“タイムマシン、あります”
きぐるみの山がプリントされたしおりに、ただ一言、地味なフォントでそう書かれていた。
そんなわけない。
…と思いつつ――期待してしまう自分がいる。
タイムマシンがあったら。
…最近、こんなことばかり考えてるな、俺…。
もうあれから、ずいぶん時間が経ったのに――
??「もふもふ」
「そこのおにーさん」
「そこのおにーさん♪」
奥の見えない、暗い路地裏から声がした。
そんな場所には似合わない明るい声が、二つした。
P「?」
??「タイムマシンが、ごいりよーでごぜーますか?」
P「……は?」
投下終了。
次は明日になるかもしれません。
乙
続きが気になる
???「せぇるすまんの気持ちになるですよ」
P「…きみは?」
??「名乗るほどの者ではごぜーません」
??「安心してください。なので、おにーさんの名前を聞こうというつもりも、ないでごぜーます」
P「…はあ」
??「タイムマシンがごいりようでやがりますか?」
P「……」
P「押し売りかなにかかい?」
??「まっさかー♪ こんな女の子二人が、そんなことしてるってホントに思う?」キャハ
P「…そういう、油断させるやり口かもしれない」
??「おにーさんは用心深いですね」
??「うーん。そんなに眉に、こう、うーって皺寄せてると、疲れちゃわない? おにーさん、ちゃんと運動してる?」
P「運動がなにか関係あるのか?」
??「うんっ。ちゃんと運動している人は、もっとさっぱりした顔になるよっ」
P(…一理あるかも)
P「…べつに…運動不足だから、こんな顔になってるわけじゃないよ」
??「なにかお悩みでやがりますか」
P「ああ。夜道で女の子二人に話しかけられて、なにか偉い人に怒られやしないかとびくびくしているところだよ」
??「わー。それは大変だねー♪」
P「…」ハア
P「もういいかい?」
??「いえ。おにーさんは、まだ質問に答えやがってません」
P「…」
P「タイムマシンなんていらない」
??「…………」
??「そうでごぜーますか」
ペコ
??「もし必要になったらいつでも」
??「ご来店お待ちしてますー♪」フリフリ
P「…いよいよなにかに引っ掛かりそうな発言だな、それ…」
P「…気をつけて帰るんだよ」
??「ありがとっ優しいおにーさん♪」
??「どうもでごぜーます。では、また」
????「「もふもふ♪」」
「…――さん…」
まゆ「プロデューサーさん?」
P「ん」
まゆ「どうかしましたかぁ?」
P「……。俺…」
P「いま……っ」
まゆ「…大丈夫ですかぁ? なんだか…顔色がよくありませんよ…」ナデナデ
P「…ん」フラ
P「悪い…はは、まゆのお見舞いに来たはずなのにな、俺…」
まゆ「いいんですよぉ」
まゆ「…お疲れみたいですね。…無理は、しないでくださいねぇ」
P「…うん…ありがとう」
>>61 さっちゃん可愛い、ありがとうです。
少し離れます。
「…――さん…」
まゆ「Pさん?」
P「ん」
まゆ「どうかしましたかぁ?」
P「……。俺…」
P「いま……っ」
まゆ「…大丈夫ですかぁ? なんだか…顔色がよくありませんよ…」ナデナデ
P「…ん」フラ
P「悪い…はは、まゆのお見舞いに来たはずなのにな、俺…」
まゆ「いいんですよぉ」
まゆ「…お疲れみたいですね。…無理は、しないでくださいねぇ」
P「…うん…ありがとう」
まゆ「…」
P「…どうかしたか?」
まゆ「…いえ…Pさんは、…優しいなって」
P「そんなことないよ」
P「…まゆは大切な、俺のアイドルだから」
まゆ「…」ニコ
「ありがとう。プロデューサー」
―――グラッ…
P「ぐっ」
「…――サー…」
「プロデューサー?」
P「…んっ…」ハア
「…大丈夫? また、眩暈がするの?」
P「…ああ、悪い…はは、見舞いに来ているのは俺の方なのに…心配されるなんて、情けないな」
「…ううん。そんなことないよ」
「ありがとう。…ごめんね、いつも、私のために…」
P「…そんなことないよ」
P「――凛は、俺の大切なアイドルだからな」
まゆ「……え?」
P「……」
P「……いま、俺なんて…」
まゆ「…ふふ」
まゆ「Pさんってば、本当に疲れているみたいですねぇ」
ポス
P「ちょ…まゆ」
まゆ「まゆの胸で、ゆーっくり、休んでください」
P「……ありがとう」
P「さすがに、ちょっと恥ずかしいが…」ハハ
まゆ「ふふ♪」
P「じゃあ…な、なんかごめんな。逆に慰めてもらっちゃって」ナサケナイ…
まゆ「いいんですよぉ。まゆは、いつだってPさんの味方ですから」
P「…うん」
まゆ「…」
まゆ「…あの、Pさん」
P「ん?」
まゆ「…凛ちゃんは、どうしていますか?」
P「凛か?」
P「…いつも通り、クールな顔して仕事こなしてるよ。さすがって感じだ」
まゆ「…そう…ですか」
P「ああ。だからまゆも、早く元気になって、またアイドルしような」
まゆ「…はい」ニコ
ガチャ
P「戻りましたー」
凛「…」
P「…って、おい」
P(ぺんぎんりん、再び)
凛「…」
P「…お前、ひょっとして…その格好、はまってんのか?」
凛「…」
P「? …凛?」
ガバッ
P「うえ!?」
凛「…ぷ、…プロデューサー…会いたかったよ」ギュウ
P「は? な、どうして急に。なにかあったのか?」
凛「…」ギュー
P「…おーい。凛ってば」
凛「……お願い」
凛「…もう少しだけ…こうして、いさせて…」
P「……あ、ああ」
凛「ごめんね。ありがとう」パッ
P「…どうかしたのか? なにか、悲しいことでもあったか」
凛「……うん」
凛「とっても、悲しいことがあったんだ」
P「…そっか」
凛「…ありがと。じゃあ、もう行くね」
P「あ、ああ」
P「…えっと…なあ、凛」
凛「ん?」
P「…なにがあったか、無理には聞かないけど…」
P「頑張ってな。俺、凛のこと、信じてるから」
凛「…」クス
凛「うん。ありがと、プロデューサー」
「じゃ、“またね”」
・
・
・
ガチャ
加蓮「…」
P「お、加蓮か。お疲れさま」カタカタ…
加蓮「…」
P「…加蓮?」
加蓮「…ねえ、プロデューサー」
加蓮「話があるんだけど」
P「…凛が…失敗?」
加蓮「うん。けっこう派手にやっちゃって…まあ、収録はなんとかなったんだけど」
P「……そうか」
P(さっき泣いてたのは…そういうことだったのか)
加蓮「プロデューサー」
P「うん?」
加蓮「凛が失敗したのは、どうしてだと思う?」
P「……どうしてだ?」
加蓮「…」ハア
加蓮「プロデューサーのせい」
P「…え?」
加蓮「…あのさ、私だってこんなこと――言いたくないけど…」
加蓮「もう、まゆのところに行くのはやめて」
P「…どうして」
加蓮「どうしても」
加蓮「…その理由くらい…分かってよ…」ギュ
P「……」
加蓮「私はまだいいけど。凛がどんな気持ちか、プロデューサーには分かる?」
P「…それは、…」
加蓮「…私だって、まゆのこと…嫌いになりたくない」
加蓮「お願いだよ、プロデューサー…」
P「…」
分からない。
俺は、なにか間違っていたんだろうか。
そんなことを漠然と考えながら、ふらふらと歩いていると、見覚えのある交差点に足は向いていたようだった。
鼻先を轟音とともにトラックがかすめて行く。
俺は間違っていたんだろうか。
タイムマシンがあったら。あるなら。
俺はやり直すべきなのだろうか。
「タイムマシンがあったら」
「Pさんは、どうしたいですかぁ?」
まゆは。
ここで俺を庇ったことを、後悔しているのだろうか。
それは彼女の変えたい過去なのだろうか。
P「…ん?」
呆然と立ち尽くしていると、車椅子を必死に手こぎで進める少女に気がついた。
見覚えのある後ろ姿だが、思えば、もうしばらく彼女の後姿を目にしていなかった。
P「…まゆ…?」
まゆ「…んっ」
信号が点滅する。
まゆは構わず懸命に手を滑らせる。
信号の点滅が終わる。
まゆは構わず、横断歩道の真ん中で手をとめる。
P「…おい、…おい!」
まゆっ!
意識せずそう叫び、走り、車椅子を押し倒すようにして乱暴に跳ねのける。
ガシッ
その瞬間には、自分の身体が、車に跳ねられたのか、ただ地面に落ちただけなのかが分からなかった。
ただ視界がチカチカ明滅し、額にぬるりとした感触が伸びる。
まゆ「…Pさん…どうして…」
どうしてもなにもあるか。
俺はお前のプロデューサーだぞ。助けるに決まってる。
そうしっかりと言葉にできたかどうかは、あまり自信がない。
ガツン
車椅子が倒れた音がした。
P「……凛…?」
誰かが、誰かを激しく叱責する声。
あんたのせいで。
あんたがいなければ。
…どうしてあんたが!
……。
分からない。
……俺は…間違って…。
ここで寝るなんてそんなあんまりな...
乙
「――さん…」
「プロデューサーさん!」
P「はっ」
ちひろ「本当に、プロデューサーさんは病院に行かなくて大丈夫ですか?」
P「……え?」
ちひろ「…たしかに、ちょっとした打撲くらいかもしれませんけど、脳の方とか、大事を取って診て頂いた方が…」
P「……」ソーッ
P(…あれ…頭を打って、血が出てたと…思ったんだが…)
ちひろ「プロデューサーさん?」
P「…あ、いえ…だ、大丈夫です。ちょっと眩暈がするくらいで…」
P「そ、それよりまゆは? 無事ですか」
ちひろ「え、ええ。もう病院に戻りましたよ」
P「そ…ですか」ズキズキ
P「…ぐぅ」
P(くそ…頭が、痛い)
P「…そうだ…あの、凛は」
ちひろ「…奥の部屋にいると思います」
ちひろ「プロデューサーさんから、声をかけてあげてください」
P「ええ」
コンコン
P「…凛」
凛「……」
P「…」
P「大丈夫か」
凛「……なんで?」
P「?」
凛「…私、まゆにひどいことしたんだよ…?」
凛「なのに、どうしてそんな風に声、かけられるの?」
P「…凛だって、俺の大切なアイドルだよ」
凛「ウソ」
P「嘘じゃない」
凛「ウソ!」ガシャン!
P「…」
凛「じゃあ…ねえプロデューサー」スス
P「お、おい」
凛「もうまゆのことは見ないで」
P「……だから、二人とも…」
凛「プロデューサー、まゆしか見てない」
P「…そんなことないって」
凛「…っ」ギリ
凛「…なんで? どうして?」ポタ
凛「プロデューサーを助けたのは、私なのに…」
P「…え?」
P「…俺を…助けた?」 ――ズキッ…
ドンッ
P「っ」ドサ
P「お、おい、凛――! がぁ…っ」ズキン
凛は、俺を突き飛ばし部屋を飛び出した。
その背中を目で追う間に、一層頭痛が激しくなる。
記憶が混濁する。
いくつもの記憶が溶ける。
なにがホントウか分からなくなる。
なあ、凛お前、もしかして。
タイムマシンを使ったのか。
今日はここまでです、まちまちで申し訳ないです。
今日夜か、明日の完結を目指してます。
途中から即興になっているので、かなり荒い展開になってしまってますね。
凛を追い、再びふらふらと街をさまよった。
今度足が向いたのは、まゆが入院している病院だ。
「プロデューサー、まゆしか見てない」
凛に言われたそんな台詞が、ぼんやりと頭の中で再生される。
…たしかに、そうなのかもしれない。
まゆ「…P…さん」
P「…やあ」
だからベッドに横たわるまゆが、嬉しそうじゃなく辛そうに俺を迎えることに、息が止まる。
頼むよ。
そんな顔しないでくれ。
まゆまで、凛と同じような目で俺を見ないでくれ。
P「どうだ、調子は」
まゆ「……」
P「まゆ?」
まゆ「…あの、Pさん…」
P「ん?」
まゆ「…もう、まゆのところへは来ないでください」
P「…」
P「どうして?」
まゆ「……私、もう…これ以上Pさんに、辛い思いをして欲しくないんです」
P「…俺はまゆのところへ来ることを、辛いだなんて思ってないよ」
まゆ「…」ニコ
まゆ「Pさんは、本当に優しいですねぇ」
まゆ「そんなあなたが、私は大好きでした」
P「…」
やめてくれ、
まゆ「けど、もういいんです」
それ以上は、
まゆ「…だってPさんは、ただ私のことを――」
P「…やめてくれ…」
まゆ「かわいそうだと思っているんですよねぇ…」
P「そんな風に思ってなんかない!」
……もうなにも言わないでくれ…。
まゆ「…」
P「…すまん」
P「…今日は、…もう帰るな」
まゆ「…はい」
P「……なあ、まゆ」
まゆ「はい」
P「タイムマシンがあったらさ、…まゆはどうする?」
まゆ「……どうもしません」
まゆ「まゆはただ、いつだってPさんが幸せでいてくれるなら、いいんですよぉ」
事務所に戻る。
…まゆにとって、俺の存在は負担だったのだろうか。
…だったのだろう。
それこそ、自殺しようと思うくらい。
――俺は一体、…どうしたらいいんだろう。どうすべきだったんだろう。
タイムマシンがあったら?
そんな下らない幻想にすがるくらいに、俺は追いつめられていた。
????「「もふもふ♪」」
だから再び彼女たちに会う。
??「また会いやがりましたね、おにーさん」
??「変えたい過去があるのカナ?」
期待してるぞー
なん……?
P「…やあ」
??「あー。おにーさん、だめだね。また辛そうな顔してるよー」
??「やっぱり運動不足かな。どう? アタシ、バドミントンが好きだから、今度一緒に――」
??「もふ」
??「??おねーさん、それではタイムマシンの売り込みができねーでごぜーます。おにーさんの弱みに付け込まないと」
P「それは俺に言ってもいいのか、おい」
??「そっかー」ショボン
??「もふ」
P「ところでさっきから、それは咳払いなのか?」
??「もふー♪」
??「…というわけで」
??「大切な人を傷つけ、同じくらい大切な人に拒絶されてしまった、おにーさん」
P「…直球だなぁ」ハハ…
??「辛いよね」
??「分かるでごぜーます」
??「変えたい過去なんて誰にだってあるよ」
??「そう思うことも、与えられた機会を利用することも、悪いことではごぜーません」
??「誰も怒らないよ♪」
??「はい」
??「だから、ね?」
P「…」
??「使っちゃう?」
P「…」
P「…俺は、…」
――タイムマシンがあったら?
「過去を変えようなんて、――今の私に、失礼だと思う」
「きっとなにもしないと思いますよ?」
「そんなことはできないですし、すべきでもないでしょう」
「例え変えられるとしても」
「どうもしません」
「ただ、いつだってPさんが幸せでいてくれるなら」
俺は――
P「……」
??「…」
??「おーい。おにーさん?」
P「…なあ」
??「ン?」
P「…凛は…」
P「…あいつは、タイムマシンを使ったのか?」
??「ああ、あの子はねー」
??「もふ」
??「ふえ?」
??「…残念ですが、守秘義務があるんでごぜーます」
??「あ、そうだった。シュヒギムがね」アハハ
??「もう。おねーさんしっかりしてくだせー」
??「ごめんねー♪」キャハ
P「…そうか」
??「ええ。なので」
??「凛おねーさんが、タイムマシンを使ったのかどうか。使って、一体なにをしたのか」
??「確認するには――おにーさんも、タイムマシンを使うしかない、ということでごぜーます」ニヤ
P「…………」
P「…」ハア
P「…そう、だな」
??「お! と、いうことは…」
P「…………タイムマシンがあるなら」
P「――使うよ。俺は」
??「もふ」ニコ
??「よく言いやがりました、おにーさん」
??「うんうん。よかったー。これでアタシたち一年は食べていけるよー」
P「えっいくら取るつもりなの?」
??「おねーさんなりの冗談でごぜーます」
P(分かりにくっ)
??「…まあ、見返りは必ず頂くんでごぜーますが」
P「…。お金?」
??「それでもいいですが、お任せするですよ」
P「任せる?」
??「はい。おにーさんなりのせいいを見せてくれれば、けっこうでごぜーます」
P(文字通りに受け取り辛い台詞だな、おい)ヤクザカヨ
P「…俺なりの、誠意…か」
P「……」フム
??「わくわく」
??「わくわく、でごぜーます」
P「……」ティン
P「なあ。二人は、アイドルに興味はないか?」
??「はい?」
??「アイドル?」キョトン
P「ああ。俺はアイドルのプロデュースをしているんだ」
P「…よかったら、二人を俺にプロデュースさせてくれないか」
??「…」
??「…」ポカン
??「えへへ」
??「くすくす」
??「このおにーさん、面白いね♪」
??「はい。??たちの目に狂いはなかったでごぜーます」
??「うんっ」
P「……どうかな」
??「合格だよー♪」
??「で、ごぜーますー」パチパチ
P「そっか」
??「ではおにーさんがこの時間に戻って来た暁には」
??「アタシたちを、アイドルにしてくれるってことで!」
P「ああ」
??「では、タイムマシンをお渡しするですよ」
モフ
P「…」
P「……は?」
??「? どうかした?」
P「…あー…そうか…これかぁ…タイムマシンって…」
俺が渡されたのは、ペンギンのぬいぐるみだった。
P「…着るの? これ」
??「はい」
P「……他に方法は?」
??「ないでごぜーます」
P「まじか…」
??「似合うと思うよ?」
P「そういう問題じゃねーよ」
P「…なにが楽しくて、路地裏できぐるみに着替えにゃならんのだ…」ゴソゴソ
??「えへへ。きぐるみっていいよねー」
??「はい♪」モフモフ
P「……分からん…」モゾ
P「…これでいいか?」
??「わー。可愛いよ、おにーさん♪」
??「よく似合ってやがりますよ!」
P「…そいつはどうも…」ハア
P「これで過去へ行けるのか?」
??「あと一歩でごぜーます」
P「どうすればいいんだ?」
??「ペンギンの気持ちになるですよ」
P「…は?」
??「タイムマシンの気持ちでも可」
P「なおさら知らねえよ」
??「冗談でごぜーます」
P(二人揃って冗談が下手くそか!)
??「戻りたいと思えば」
??「自然と過去にいるはずだよ」
??「人の想いは強いのです」
P「…なんだそ、…れ…?」グラ
??「もふ」
??「もふ」
??「おにーさんが、無事に帰って来ることを、祈ってるですよ」
??「またねー♪」ヒラヒラ
P「…っ、お、おい…」グニャ…
P「…ぐ」
・
・
・
まゆ「…Pさん?」
P「え?」
まゆ「…えっと…」
まゆ「どうしてここに?」
P「…どうしてって…」
P「? こ、ここは?」キョロキョロ
まゆ「……別に、どこということもないですけど」
まゆ「ただの交差点ですよぉ」
P「……交差点…」
まゆ「…?」
P(…携帯は…)ゴソ
P「あ」
まゆ「…あの、聞いてもいいですかぁ」
まゆ「どうして街中で、ペンギンのきぐるみを?」
P「……なんでだろうな」
まゆ「…さあ…」
まゆ「私は気にしないので、別に構いませんけど…」
P(いや、気にした方がいいんじゃないか…俺が言えたことじゃないが)
まゆ「ペンギンなPさんも可愛くて素敵です…」フフ…
P(まゆはポジティブだなぁ)
まゆ「そんなことより、早く行きましょう?」
P「へ?」
まゆ「Pさんから遅れるって連絡があったばかりですから、驚きましたけど…私のために急いでくれたんですねぇ。まゆは嬉しいです」
P「…」
P(まゆの待ち合わせ…そうか。あの日は、そうだったか)
P「すまん、まゆ!」パン
まゆ「? Pさん?」
P「実はまだ用が片付いてなくてな。もうちょっとだけ、ここで待っててくれるか?」
まゆ「全然構いませんよぉ。まゆは、Pさんのお願いならなんだって聞いちゃいます」
P「…そっか。ありがとな」
P「じゃあ、またあとで!」
まゆ「はい」
P「…」ヨチヨチ
P「…」コソ
P「…とりあえず、物影から様子を見ることにしよう…時間遡行じゃ過去の自分にあってはならないってのは、常識みたいなもんだもんな」
まゆ「…」
P「…大人しく待ってるな」
P(こうして見ると、淑やかで家事もできるいい子なんだよな、まゆ……いや、別に喋っても十分いい子なんだが…)
まゆ「……」
まゆ「!」パアアァ
P(お、まゆの顔が、急に…)
P「…って、ようやく俺が来たか…」
P「…自分を見るってのも、変な気分だな…」
まゆ「…」//
P「…」
P「…まゆ、可愛いな…俺と喋ってるときって、あんな顔してんだな…」
P「…あ?」
P「…おい、…おいって。信号赤だぞ、スピード落とせよ」
P「おいってば。おい」
P「…あっ」
グシャ
・
・
・
??「ン?」
??「……お帰りでごぜーますよ。ですが残念ながら」スパン
??「あっ」
P「…おえ…」ビシャビシャ…
??「過去を変えることは、できなかったようでごぜーますね」
??「ちょっとー! おにーさんが戻って来たタイミングでサーブ打つのってずるくない?」ブーブー
??「ふふ。おねーさんが油断しているのが悪いのでごぜーます」
??「ぶーっ」
P「…げはっ…っ…」
??「…おにーさん、大丈夫?」
P「…」
大丈夫なもんか。
目の前で人が――自分が潰れる瞬間を見たんだぞ…。
P「……なあ…」ハア、ハア…
??「はい」
P「…あれは…俺が知っている、過去じゃ、ない」
P「……どういうことだ…?」
??「簡単に言うとパラレルワールド的な?」
??「そうですね。…まあ、難しい説明をしても、仕方ないでごぜーますから…そう端的に理解しやがるですよ」
P「……つまり、」ハア
P「あれも、あり得た過去なんだな…」
??「はい」
??「過去は変わります。何度でも。ですがその思考錯誤の上に今がありやがります」
??「なので、それはあり得たと同時にすでにあり得ない過去の一つでごぜーます」
??「おにーさんが死んじゃったなら、いま、おにーさんがこうしてタイムマシンを使うこともなかったはずだからね♪」
P「…。うん分からん」
??「それでいいでごぜーます」
P「……じゃあ、俺は…どうすれば過去を変えられるんだ?」
??「何度もくり返し過去へ行くしかないです」
??「いつか、まだ“あり得たしあり得る過去”に巡り会うと思うですよ」
P「…………」
??「…もう、やめやがりますか?」
P「…いや、…やめないよ、やめない」
P「…けど――ちょっと休憩させてくれ…」ハア
??「へへ。だからおにーさんは運動不足だって言ったじゃん♪」
P「運動不足は、関係ないって…」
・
・
・
P「…っと」
まゆ「…Pさん?」
P「…やあ、まゆ」
まゆ「…えっと…」
まゆ「どうしてここに?」
P「ちょっとな」
P「あ、ペンギンなのは突っ込まないでくれ。仕様だからな」
まゆ「あ、はい」
P「またあとでな。着替えたらすぐに戻って来るよ」
まゆ「は、はい」
まゆ「まゆ、いつまでも待ってますねぇ」
P「おう」ヨチヨチ
まゆ(歩き方がとっても可愛い…)キュン
コソ
P「…さて」
P(…俺が跳ねられませんように、なんて一瞬思ったが…考えてみれば、こうしている限り俺は必ず誰かが跳ねれらるのを見ないといけないんだよな…)
P「……めっちゃ辛いじゃん、これ…」
まゆ「!」パアアァ
P「あ、俺だ…くっそ、まゆと楽しそうに話しやがって…爆発しろ!」
P「…………。不謹慎か」
P(さて。今度はどうなる…)
P「ん? あれは――…凛か?」
凛「…」
まゆ「…あれ、凛ちゃん?」
凛「…」
過去P「偶然だな、こんな街中で会うなんて」ハハ
凛「…」
まゆ「…?」
過P「まあ、歩きながら話すか。まゆは仕事に行かなきゃだしな」
まゆ「そうですねぇ」トコトコ
過P「凛は、今日はもう事務所に――」
パシ
凛「…」
過P「…凛?」
まゆ「…? お二人とも、どうかしましたかぁ?」
過P「――おい、まゆ!」
まゆ「…へ?」
・
・
・
スパーン
P「がっ!?」
??「あ」
??「あ、ごめんっおにーさん! のーてんにシャトルが!」
P「…」シュゥゥ…
P「…いや…おかげで、悲しむ隙がなくなったから、いいよ…」イテェ…
??「あ、ほんと? よかったー、えっへへ♪」
??「……おにーさんは、いい人でごぜーますね」
P「…ありがとう」
??「??」
P「今度は、俺が知ってる過去と、大体同じだった」
??「ダイタイ?」
P「うん。…おえ」
P(まゆが…俺が知っているより、…あれだった、ってくらいだ)
??「…まあ、“実際の過去”にも多少の誤差はつきものでごぜーますから」
P(…あれが、多少…か)
・
・
・
P「三度目の正直だ!」
まゆ「何の話ですかぁ?」
P「こっちの、話だ。じゃ、またあとでな」パタパタ…
まゆ「…」ポカン
まゆ「ふふ、Pさんもけっこうお茶目なんですねぇ…」アア、ソンナトコモスキ…
P「……よし、またこの物影に隠れてっと…」
凛「…」
P「あ」
P(ぺんぎんりん、三度か)
凛「……やあ、プロデューサー」
凛「さっき振り、だね」
P「…? さっき?」
凛「……まあ、いいや」
凛「…その格好」
P(お前も同じ格好だけどな)
凛「プロデューサーも、過去を変えに来たんだね」
P「ああ」
凛「ふふ」
P「…どうした?」
凛「ううん。プロデューサーも、私も、…どうしようもないくらい、ずるい人間だなって。同じだね、私たち」ニコ
P「……そうだな」
P「…なあ、凛」
凛「なに?」
P「…さっきさ。凛が俺を助けてくれる過去を見たんだ」
凛「うん」
P「代わりに、まゆが死んだよ」
凛「うん」
P「…そこまでして…凛は、俺のことを、助けたかったのか?」
凛「うん」
P「……そう、か」
凛「私ね、もう何度も過去に来てるんだよ?」
凛「一度目はまゆが死んで。そしたらプロデューサーは、もう二度と私を見てくれなくなった」
凛「二度目はまゆは助かったよ。けどやっぱり、プロデューサーは私のことなんて構ってくれなかった」
P(…俺が知っているのは、その世界のこと…かな)
凛「三度目は、私がまゆの代わりにプロデューサーを庇ったんだ。そうしたらプロデューサーは、ずっと私のことを見てくれるようになった。けどね」
P「…けど?」
凛「耐え切れなかった」
凛「だってプロデューサーが私に向ける目は、……死んでるみたいに抜け殻なんだもん…」ポロポロ
P「…」
ギュ
凛「…ねえ、ねえプロデューサー」
凛「どうして? どうしたらいいの? 私は、どうしたらプロデューサーに見てもらえるの?」
凛「…いやだよ…まゆばっかり、見ないでよ…私のことも見てよ……」
P「…」
凛「…ひっく」
凛「……だ、からね…」グシ
凛「四度目は、もうなにもしないでいようって思った。プロデューサーが死ぬのをただ呆然と見て、もし耐え切れないなら私も死のうって思った」
P「…」
凛「でも…無理だった。そんなこと、出来っこないよ…だって怖いもん」
P「…うん」
凛「…でも、まゆは死んだよ。躊躇なく。さすがだね」
P(さすがって)
凛「……やっぱり…私は、まゆには敵わないのかな…」
P「…凛…」
凛「どうして、こうなっちゃったんだろ」
凛「…タイムマシンなんて、やっぱり使っちゃだめだね」
P「……そうかもな」
凛「…うん」
凛「……ねえ、プロデューサー」
P「ん?」
凛「…プロデューサーはさ…まゆのこと、好き?」
P「……ああ」
凛「私のことは?」
P「…好きだよ」
凛「うそ」ニコ
P「……すまん」
凛「いいよ。分かってた」
P「…でも、凛、お前とまゆの立場が違ったら、きっとまた――」
凛「……それが、慰めになると思わないで」
P「…あ、ああ。…すまん」
凛「…だから、もう、いいって…」
凛「…はあ」
凛「ねえプロデューサー。私、もう疲れちゃった」
P「…そっか」
凛「うん。だからね、これは五度目の正直なんだけど」
P「多いな」
凛「まあね」クス
凛「…もう、死んじゃおうかなって」
P「……え…?」
凛「プロデューサーは優しいもんね」
凛「きっと、そうしたら――一生私のことを、想い続けてくれるよね」
タッ
P「…は」
P「おい、バカ、やめろ。…凛!」
ゴシャ
凛「……?」
凛「…あ、れ、…私…」
まゆ「……だい、じょうぶですかぁ…? 凛ちゃん」
凛「…まゆ?」
過P「お、おい。二人とも無事か!?」タタッ
まゆ「…ふふ、もう…Pさんってば、遅いですよぉ。殿方なら…真っ先に駆けつけてくれなきゃ」
過P「あ、ああ。すまん。まゆの言う通りだ…」
過P「と、とりあえず、いま救急車を呼ぶからな。待ってろ」
まゆ「…はい」
凛「…ねえ、まゆが私を庇ったの」
まゆ「ふ、ふ…庇ったなんて、大げさですよぉ…」
凛「…どうして?」
まゆ「?」
凛「なんで、まゆが私を、助けるの?」
まゆ「……どうしてもなにも」
まゆ「凛ちゃんが怪我をしたら、Pさんが悲しみますから」
凛「…………」
凛「…そっか」
凛「…はー…もう、いや。まゆに、私なんかが敵うわけないじゃん…」ヘタ
まゆ「そんなことないですよぉ」
まゆ「まゆはPさんのことが大好きで、独占したいとも思ってますけど、でも、」
凛「…?」
まゆ「まゆと一緒にいるときより、事務所にいるときの彼の顔の方がずっと素敵ですから。少なくとも、今は」
凛「……」
凛「…そう、だね」
まゆ「はい」
過P「よし」ピ
過P「すぐに来るそうだ。もうちょっとの辛抱だぞ」
まゆ「はい。…ふふ、でもそうやって、Pさんがまゆのことを心配してくれてるってだけで…まゆは元気になれそうですよぉ」フラ…
過P「ふらふらのくせになに言ってやがる。大人しく寝てろ」コツン
まゆ「はぁい♪」
凛「…」
過P「おい。凛も大人しくしておけよ。…見たところ、なんともなさそうだけど…」
凛「…」スタスタ
過P「お、おいって」
凛「プロデューサー」
過P「ん?」
凛「ごめんね。また、あとでね…まゆも」
まゆ「ええ、また」ニコ
過P「…? あ、ああ…」
P「お帰り」
凛「…なにしてたの?」
P「傍観してました」
凛「……」
P「…すいません…」
P「だ、だって! 過去の俺に会うわけにもいかないし…」
凛「……そう」
P「…そんな冷たい目しないで…」
凛「…ふぅん、恰好だけふざけてるのになにもできなかったとか…」
P「格好は仕方ないだろ!」
凛「冗談だよ」クスクス
凛「…」
P「……えっと…」
凛「帰ろっか。プロデューサー」
P「…うん、そうだな」
凛「……もう…私は、大丈夫だから」
P「…そっか」
凛「うん」
・
・
・
コンコン
まゆ「はぁい」
ガラ
P「よ。調子はどうだー」
まゆ「Pさん。来てくれたんですねぇ」
まゆ「おかげさまで…そろそろ退院できるって、お医者様が」
P「! ほんとか」
まゆ「はい」
まゆ「ふふ…これでまた、Pさんと一緒に、アイドルをやって行けますねぇ」
P「ああ。…よかった」
凛「ま、プロデューサーと二人で、じゃなくて…私たちとも、だけどね」
まゆ「あら?」
P「お、凛たちもお見舞いに来たのか」
凛「…まあね」
まゆ「えへへ…ありがと、凛ちゃん」
凛「…うん」
奈緒「…相変わらずあんたたちは仲がいいなぁ」
加蓮「最近は…ときどき奈緒や私より、二人でコンビ組んだ方がいいんじゃないかと思うよね」
P「…凛とまゆのコンビか…ふむ、まゆの復帰の話題作りにもなるか…?」ブツブツ
奈緒「ちょ」
加蓮「勘弁してよ。冗談だって」
凛「ふふ」
まゆ「…」クスクス
凛「早く復帰してよね」
凛「まゆがいないと――事務所も、“いろいろと”退屈だから」チラ
まゆ「…ええ」フフ
まゆ「もう少しだけ、待っててくださいねぇ」チラ
P「ん?」
凛「うん」
P「…なんだよ、二人して俺のこと見て…」
まゆ「ふふ?」
凛「ふふ♪」
奈緒「…それにしても…凛も意外と、ツンデレ行けるんだよなぁ…」
加蓮「奈緒が言うなら間違いないね」
凛「な、なに言ってるの二人とも」
P「はは。顔が赤いぞ」
凛「プロデューサーは黙って」ガッ
P「…しゅいましぇん」モガガ
奈緒「つっても、また新しい子も入って来たし…最近は、けっこう想像しいけどな」
まゆ「そうなんですかぁ?」
加蓮「うん。…とりあえず、きぐるみが増えたよね」
まゆ「??」
凛「…まあ…その辺りは、復帰してからのお楽しみってとこかな」
まゆ「」クス
まゆ「そうですねぇ。楽しみにしておきます」
P「よし。じゃあ、また明日な」
奈緒「まだしっかり休むんだぞー」
加蓮「お大事に」
凛「…またね」
まゆ「はい」
まゆ「…あ、そうだ」
まゆ「あの、Pさん」
P「ん? なんだ?」
まゆ「…えっと、Pさんが持って来てくれた本の中に、タイムマシンが出て来て」
まゆ「ふと思ったんです。Pさんは、もしタイムマシンがあったら、…どうしますか?」
P「……そんなの決まってる」
P「タイムマシンなんて使わないよ。過去を変えるとろくなことがないからな」
終わりです。くぅどころか大変疲れました。
ままゆがやたら綺麗だったり、謎の時間理論だったり洗い設定だったり…
文章自体大変稚拙だったと思います。
途中レスをして下さった方、最後まで読んでくれた方には多謝であります。
依頼だして寝ます。お疲れさまでした。ありがとうございました。
おつ
過去改変でタイムパラドクスとか読む分には面白いが書きたくはないな
結局キグルミ2人組の仁奈ちゃんじゃない方が最後までわからんかった
>>173
バドミントンが趣味だし柚ちんだね
初出の特訓後でスノーマンの着ぐるみ着てる
柚かな?
おつ
個人的にはきれいなままゆ結構好きよ
乙
面白かった
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません