京太郎「もつものと、もたざるもの」(1000)
以下に該当する方はブラウザそっ閉じ推奨です。
・京太郎SSが苦手な方
・イチャイチャ要素を期待されている方
なるべく早い段階の完結を目指していきます。 (理想は1週間以内)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361725595
期待
「リーチ!」
清澄高校麻雀部部室に起家である優希の高い声が響いた。東1局3順目、捨牌には西、1萬、4索が切られているのみである。
内心ため息をつきながら下家の京太郎は自分の手配を見下ろした。
『京太郎手配』
2289m 125p 58s 北北撥中 ドラ3s
アガリどころか聴牌すらほど遠い自分の手配に視線を送りつつ、山に手を伸ばす。ツモ8p。
『京太郎手配』
2289m 125p 58s 北北撥中 ツモ8p
全く状況が良くならないツモであったがどちらにせよ1面子もない状態で親リーに突っ張るつもりは欠片もなかった。
ノータイムで北の対子に手を伸ばし、場に切り出した。だが、それに対して待ってましたとばかりに声が上がる。
「ロンだじぇ!」
思わずビクリ、京太郎の体が跳ねた。思わず優希の顔を見た後、優希の倒した手配に目をやった。
『優希手配』
678m234s東東東北北中中 ロン北
「リーチ一発ダブ東ドラ1……おっ、裏ドラが中で親っ跳だじぇ!」
「なんじゃぁそりゃ!」
思わず素っ頓狂な声が上がる。振り込んだ京太郎は体をのけぞらせ天を仰いだ。
「そう落ち込むな! 高めだったら親倍だったんだじぇ! 安く済んだと考えな!」
「まぁ、京ちゃんこればっかりはしょうがないよ。その待ちならいずれ出ちゃうよ」
「そうですよ須賀君。麻雀ですからこういうことも起こりえます」
1年生の3人娘から口々にフォローの言葉が飛び交う。
自分の手の中にある中――優希の言う高目親倍の当たり牌――を見下ろしながらため息をつく。
あの手恰好では振り込むことが約束されていたとばかりの状況に心が折れそうになる。
「そうじゃな。あの手恰好じゃ誰が打とうといずれ打ち込んでおった。気にするな」
京太郎の打ち筋を後ろで眺めていたまこも気遣いの言葉を投げる。
「うっす。よっしゃ、まだ始まったばかりだ! 気合い入れていくぜ!」
「ふふっ、頑張って京ちゃん」
「おぉっと、そうはいかないじぇ。この連荘で終わらせてやるじぇ!」
軽く笑いあいながら、再び場は進行していった。
(そう、だれでも振り込む。それはわかる)
(でも……こいつらは)
(こいつらはこんな状況にまずならない)
(こいつらだったら確実な安牌が手にあるかそもそも手の中に当たり牌がない)
(……少なくとも、インターハイ中はそうだったしな)
京太郎の胸に芽生えた小さな小さなしこりを押し隠したまま。
激動のインターハイで非常に優秀な成績を残した清澄高校麻雀部はインターハイ後の残り少ない夏休みも関係各所への対応に追われた。
学校での祝賀会、マスコミへの応対、行政からの祝辞等、一般高校生ではなかなかお目にかかることのないイベントが連日のように行われろくに休みもないまま新学期に突入した。
9月となり竹井久からの引き継ぎを終えた染谷まこが新部長となり、新たな体制と清澄高校麻雀部は2学期初めての部活に励んでいた。
大会中は麻雀をほとんど打つことができなかった京太郎は部活開始と同時に喜び勇んで卓につき、前述の通り惨い有様となっている。
東1局1本場は和が優希から2,300点をアガって軽く流し、巡ってきた親番。何とかこれをものにしなければ、と念じながら配牌を手にした。
1127m458s257p西西西撥 ドラ1m
ドラヘッドのチャンス手。面子候補が足りてないうえに動きにくい手だが筒子がさばければ勝負になる。
自分の手をそう結論付ける。ドラを固定するために1打目2萬を切り出す。面子が足りてないうえに動きにくい手恰好なので撥はぜひとも欲しいところであった。
とは言えある程度の打点もほしい、そう考慮して小考した後2萬を切り出したがそれを受けて京太郎の下家は和はドラが対子以上であることをなんとなく検知する。
(須賀君も私達とは打てなかったとはいえ、その間に何もしてなかったわけではありませんからね。ある程度効率は考えられるようになってきているはずです)
(恐らくドラが対子以上。まぁ、ほぼ聴牌形が出来上がっているという可能性もありますが……)
考えつつも和は第1ツモに手を伸ばす。そしていつものように長考に入る。
『和手配』
23m12446s24678p北 ツモ3p
とは言ったもののほぼ面子候補ができている形。且つ急所の1つである索子の嵌張引いて方向性はほぼ決まっている。を北を切り出し場を進める。
その後、場は淡々と進み一つの分岐点といわれる6順目、京太郎の手配はこうなっていた。
『京太郎手配』
11m34588s579p西西西
高確率で愚形が残る手恰好。ツモは白。ノータイムでツモ切りしつつ、京太郎はどう聴牌してもリーチを打つ気でいた。
夏休み、大会中の空き時間中に携帯の麻雀アプリで麻雀を打っていた際に役無しドラ1の愚形聴牌を入れた際に両面への手替わりを見越して黙聴にしたところ、たまたま通りすがった和にひどく叱られたことがあった。
『京太郎手配』
123m23479s67799p ツモ5p ドラ1m
「須賀君、何故黙聴にしたんですか?」
アプリの画面では「リーチ」のアイコンが表示されていたがそれを押さず7pを切って聴牌を取った瞬間だった。
思いがけず声をかけられびくり、と震えて後ろを振り向くと難しい顔をした和が立っていた。
自分の答えを待っていることを悟った京太郎は恐る恐るといった感じで声を出した。
「えっ? あっ、そ、その、 だって嵌8索だぜ? 6索を引けば平和が……」
「論外です!」
ぴしゃりと言い切る和に思わず言葉を詰まらせる京太郎。
「単純な確率の問題です。まだ5順目ですよね? だれのリーチも仕掛けも入っていません。場は字牌、端牌だらけ。この状況で6索引く確率と8索引く確率ってどちらが高いと思いますか?」
「……同じ、だな」
「そうです。尚且つこの手は役無で手替わりの受け入れも6索しかないと考えれば即リーの1手です。6索引いて平和を逃すより8索の出上がりができないということのほうが圧倒的に痛手です」
「なるほど、そういわれると納得いくな……」
「これは現代のデジタル麻雀では基礎の基礎です。この21世紀に未だ旧態依然とした面前で手役を作らなければいけないという面前至上主義が根強く生き残っているのは由々しき事態です。自分がやるのはまだ許せますがそれを初心者にあたかも正しいことのように伝えていくというその姿勢が」
「ストーーーーーップストーーーーーーーップ! わかった! わかったから!」
オカルトの風が吹き荒れるこのインターハイでいろいろと腹が据えかねるものがあったのか、滾々と和の口から湧き出る呪詛の言葉をあわてて押しとどめる。
思わずはっとなった和は軽く頬を染めながら軽く咳払いをする。
「……失礼しました」
「い、いや、別にいいけどさ。しかし……すまんな、和」
「? 何がですか?」
少し言いづらそうに視線をそらしつつ呟く。
「いや、その、大会中でせっかく休んでる最中に俺なんかのためにくだらない時間使わせちゃって。もうすぐ出番だっていうのにさ」
はは、と自嘲気味に笑う。烏滸がましいことだとは理解している。しかたがないことだとは理解している。それでも京太郎は周りに置いて行かれている、蔑ろにされている。そんな気持ちを抑えることができなかった。
普段はあまり自虐的なことなど言わないとは京太郎自身思っていたがそんな精神状態のせいか、思わず口に出てしまう。何を言ってるんだ、と激しく後悔しそうになるが見る見る不機嫌な顔になっていく和に驚きの感情で塗りつぶされていった。
「くだらないってなんですか?」
「えっ、いや、だって」
「私が初心者の須賀君に対して、経験者が初心者に指導をする、初心者が経験者に対して教えを乞う。それがそんなにおかしいこと、くだらないことなんですか?」
麻雀はガチガチのデジタル思考であり、機械のように冷静沈着正確無比。そんな原村和だが一歩卓から離れると非常に感情が表に出やすい。
京太郎はそんなことを考えながら思わず身震いする。彼女は怒っていた。それも猛烈に。
「その……大会中だし、和も忙しいし自分の時間もほしいだろ? ほら、俺の始動で時間を使うよりはその」
「須賀君!」
ごにょごにょと、とりとめのない言い訳をする京太郎を一喝する。京太郎はびくりと体を震わせ恐る恐るといった感じで和と目を合わせた。
「いいですか須賀君。私とあなた、同じ清澄高校麻雀部ですよね?」
「……」
「返事は?」
「は、はい!」
「そうです。同じチームメイトですよね? それなのに何故、貴方が教えを乞うことに遜ったり卑屈になる必要があるんですか?」
「いや、だって、和はレギュラーメンバーだし、インターミドルチャンピオンだし、悪いなって……つまらないこと聞くと、その、怒られそうだし……」
和はその答えに思わず頭を抱えたくなった。将来の夢の1つに小学校の先生になりたい、そう思っているのにそんなに怖い人間、質問をしにくい人間だと思われていたとは……。
もう少しやわらかい態度を心がけるべきだろうか、そう自省しつつ幾許か表情を和らげた。
「……須賀君の中で私はそんなに怖い女、キツイ女だったんですか?」
「あー、いやー、そんなことは」
「目を見て話してください」
「……すみません」
「いいです、謝らないでください。初心者が聞きづらい環境にあるというのはこちらが反省すべきことですから」
そう、反省するべきだ。そう和は思った。初心者であり、まずは麻雀の楽しさを分かってもらうという大切な時期に合宿だ大会だで殆ど放置気味になっていたことを反省すべきだ。
和自身、中学時代は後輩達にもいろいろ気にはかけていたはずだったのだがここ最近はいろんなことがありすぎ、自分自身手一杯であったため、あまり周りに気を配りきれなかった。
京太郎がこういう卑屈な発言をしてしまうような環境を作ってしまったのは自分たちに責任がある。
ずきり、と心が痛んだ。
(だからと言って今更取戻しが効くものではありませんよね……)
(だから……だからせめて)
和は心の中で一つ決意する。今更罪悪感に任せて媚を売っても仕方あるまい。京太郎に怖い女と思われているのならそれでいい。
それでも自分にできることをしよう、そう決意した。
「須賀君」
「な、何?」
「今は大会中だから無理ですが、大会が終わって、新学期になったら特訓です」
「うぇ?」
思わず声が出る京太郎。大分間抜けな顔をしているのだが気にせず和は続けた。
「勉強はそれなりにしているみたいですがまだまだ不足しているところも多いみたいです」
「えっ、ちょっ」
「私だけじゃありません。周りは上手い人だらけです。部長、染谷先輩、咲さんとゆーき、みんなで協力して徹底的に特訓します」
「いや、その」
「嫌とは言わせません。泣いたり笑ったりできなくなるまでみんなでバキバキに鍛え上げます」
「ちょ、和。こわ」
「何か言いました?」
「いえ、何も」
怖い、と言いかけた口を思わず閉じる。そんな姿を見て和は思わず小さく微笑んだ。
「大丈夫です。優しく教えますから」
「……」
(今の話の流れでその言葉はどう考えても信用ならん)
新学期から自分はどうなってしまうのか。そう考えると京太郎は軽く身震いした。
「それと、さっき教えることが無駄な時間って言いましたけど」
「私たちも人に教えることで自分が改めて深く理解するっていうこともありますし」
「指導っていう行為は無駄な時間ってことはないんですよ」
「だから」
「くだらないとか、悪い、とか思わないでください」
「そんなの、悲しいです」
その一言でどれだけ救われたか、京太郎はそう思った。恐らく一番存在を軽んじられているであろうと思っていた和にそう言われて京太郎はひたすら麻雀の勉強に費やした。
大会中の雑用もこなしつつ、教本を読み、ネト麻を打ち続け自分なりに修練を続けた上でのこの1局であったが状況は前述した通りである。
だが、圧倒的不利な状況でも京太郎は何とかベストを尽くそうと足掻いていた。そして8順目。
『京太郎手配』
11m34588s579p西西西 ツモ1m
(っ! 絶好のドラ引き!)
ここ最近で一番手ごたえがあるツモに喜び勇んで5筒を切り出し、千点棒を場に出して高らかに発声した。
「リーチっ!」
このリーチに対して3人は現物を切り出す。そして1発目のツモ。力を込めてツモるがそこに書かれていた絵柄に思わず心がざわめく。
『京太郎手配』
111m34588s79p西西西 ツモ6p
典型的な裏目。思わず歯ぎしりしそうになる京太郎だったがなるべく平静を装って場に切り出した。
(しょうがない。麻雀で裏目を引くのはしかたない、まだ終わったわけじゃ)
「ロンだじぇ」
京太郎の必死な思いをその声が無情にも打ち砕く。
『優希手配』
【5】5m99m67799s【5】5p北北
「仮聴だったけど出るならありがたくあがらせてもらうじぇ。チートイ赤赤。6,400点だじぇ」
「っ! ロクヨンってことは……」
「そう。リー棒出しちゃったから……ト・ビ、だじぇ」
「マジかーーーーーーーーー!」
しなを作ってウィンクしながら無情にそう告げる優希。それを聞いた京太郎はぐしゃり、と前のめりに倒れこむ。
京太郎の手配も倒れこんだがその手配と捨て牌を見比べて和は多少表情を和らげた。
「いえ、須賀君。結果的に振り込みに回ってしまいましたが別段間違いは犯してません。まっすぐ打てていたと思いますよ」
「そうだよ京ちゃん。8筒はおそらく全部山だったし、こればっかりはしょうがないよ」
そんなフォローが2人から飛ぶが京太郎はうめき声を返すのが精いっぱいだった。
無力感にさいなまれつつ、先ほど芽生えたしこりに気づかないように視線をそらし続けた。
(俺は、強くなれるのか。本当に?)
勝利への疑心という感情に
本日はここまでです。専ブラだのなんだの整えていたためこんな時間&文章量少なめという二重苦。
また明日(今夜?)を目標に続きを書きに来ます。
期待してるで~
おつです~
おつー
おもろいで! 期待しとるわー
そうだ。肝心な注意書きを1に書き忘れました。
本SSは拙いながらも闘牌シーンみたいなものがありますが、その中で出てくる手や状況はすべて>>1が経験したものとなっております。
「んなことあるわけねーだろタコ!」と思われるかもしれませんが事実は漫画よりも何とやら精神で温く見守ってください。
おつー
期待してるが、こういう形式なら会話の行間や、地の文はなるべく空けたり短く切った方が読みやすい
小説と違って横向きな上、見る物によってはかなりゴチャゴチャする
おつー
これは面白そうだ
乙
野暮な突っ込みだが、手牌と手配間違えてるで
この二つの振り込みは結構あるあるだと思う
特に後者は悔しさがパネェ
スレタイをみて真っ先におもちを連想してしまった人は自分だけではないはず。
期待期待!
この裏目はあるある過ぎてワロエナイ…
>>1です。ようやく帰宅しました……。何とか24時ぐらいを目途に投下を開始したいと思います。
そしてたくさんの支援コメント本当にありがとうございました。
通勤時間中にコメント見ながらニヤニヤしっ放しでした。
思ったより反応があって喜びのあまりケツぐらい差し出したほうがいいのではとかそういう気分になりました。
>>17
ご指摘ありがとうございます。本日の投下はそのあたりに気を付けてみます。
しかし青空文庫のテキストはぎゅーぎゅーに書いてあってもビューアーを通せば超読みやすい。
あのビューアーはチートやで
>>19
あまりにも堂々と間違えすぎててまったく気づきませんでした……。
本日の投下は気を付けます。
>>20 >>22
あるある、そうやって思っていただけると大変うれしいです。
>>21
私の中でも狙ったという気持ちはあった
おう、きれいに毛を剃っとけや。
すみません遅くなりました! これより投下します。
ちなみに話は全く関係ないですがつい最近まで存在を知らなかった咲日和を読みました。
その結果、>>1の中で池田というか風越メンバーの株がストップ高
池田かわいいよ池田
みはるんかわいいよみはるん
美穂子さんかわいいよ美穂子さん
というかみんなかわいいよ
「あーあ、9筒切りだったか……」
「それは結果論です」
弱気な発言を即座にたしなめる和。
その様子を見ながら咲は自分の手牌に目をやり、次に嶺上牌に目をやった。
『咲手牌』
123m【5】55s999p白中中中
(9筒を切ったら私がカンしてた。多分あの嶺上牌は……中、だと思う)
(それもカンしたらおそらく、多分この白ツモれてた)
(新ドラも含めれば倍満で京ちゃんを飛ばしつつ逆転……)
(ごめんね京ちゃん。9筒でもダメだったみたい)
和が聞いたら発狂しそうなことを考えながら、咲は京太郎の不運を嘆いた。
そんな中、一呼吸を置いてまこが立ち上がり手を叩いた。
「とりあえず新学期一発目の対局は終わったようじゃな」
1年生4人組の顔を見渡したのち多少もったいぶった感じで言った。
「インターハイも無事に終わって気が抜けたと思うが、じゃからと言ってそれで全てが終わったわけではないぞ」
そう言った後、ペンを取ってホワイトボードに歩み寄り何かを書き始める。
訝しげに見つめる4人を尻目に、何かを書き終えたまこはペンを置き、ホワイトボードを強く叩いた。
11/××
新人戦長野県予選
「そう、新人戦じゃ。無論わしには関係のない話じゃが……おんしら1年生4人組には他人事ではなかろう」
それを聞いて京太郎は何か言いたげにまこを見たり3人娘を見たり落ち着かない様子であたりを見渡した。
「京太郎、そんな顔をせんとも言いたいことはわかる。夏の大会メンバーで言えば鶴賀の東横や風越の文堂あたりがでてくるじゃろう。それでも」
しばし沈黙するまこ。
「インターハイでの成績を考えれば3人のうち誰かは全国に行けるじゃろう」
「ですよねー」
「無論、油断していいという理由にはならん! 団体戦に出なかった無名の大型ルーキーが出てくるかもしれん」
麻雀に絶対はないしな、と付け足しつつまこは3人娘に視線を送る。それを受けてはい、と元気よく返事を返す。
だが、その言葉に京太郎はふたたび心がざわめくのを感じた。
(絶対はない……本当か? 本当そうなのか?)
その内心を知ってか知らずか、まこは京太郎に視線を向け、びしりと指を突きつけた。
「問題はお前じゃな。京太郎」
「え、あ、はい……」
唐突な名指しの声に思考を打ち切り我に帰る京太郎。まこと目を合わせると何か意地の悪い笑みを浮かべていた。
「インターハイ中はほとんど目をかけられなかったというのに、自分なりに学習を進めておったようじゃな」
「はい、一応……」
「とはいえ、自分の実力は把握しておるじゃろ? 休み期間中にやっていたというネト麻の牌譜を見せてもらったがまだまだミスが多い」
「うぐっ」
「だーかーらー」
にぃ、という擬音が聞こえてきそうな笑みだった。
「これから大会に向けて京太郎を徹底的に鍛え上げる。今までろくに始動できなかった分たっっっぷりとな」
ぶるりと身震いする京太郎の横から和が何か楽しそうに言葉を続けた。
「私から染谷先輩に須賀君の特訓の話を持ちかけたら、染谷先輩もそのつもりだったみたいです。よかったですね、須賀君」
「なるほど犬の強化月間ってことか。それは楽しみだじぇ! 腕が鳴るじぇ!」
「よかったね京ちゃん! もちろん私も協力するよ!」
わいわいと、本当に楽しそうにこれからの教育プランを話し合う4人を見て、決して見捨てられていたわけではないという喜びを感じつつも……
(どうなるんだ、俺……)
嫌な予感が止まらない京太郎であった。
その後、京太郎は4人とかわるがわる打ち続けことごとく叩き潰される時間が続いた。
本日は初日ということで軽めに――とはいえそれなりに打ってはいるのだが――終わったのが京太郎にとっては幸いであった。
今日1日で1か月分は負けたのでは、と思えるほどのすりつぶされっぷりあった。
事務仕事があるというまこを残し4人は校舎を後にした。
「それじゃあまた明日なー!」
「須賀君、咲さん。また明日」
「ばいばーい」
「おう……じゃーなー」
とりとめのない話をしながら歩いていたが分かれ道となり京太郎と咲、優希と和という組み合わせで別れた。
「あー……づがれだ」
「お疲れ様、京ちゃん」
二人だけとなったタイミングで軽く愚痴りながら大きく伸びをする。
げっそりとしている京太郎とその横で朗らかに笑う咲。
時間的には夜とは言えまだまだ暑い。時間を考えずけたたましくなく蝉の音を聞きながら二人は帰途についていた。
二人の間に特に会話はないが付き合いの長さが成せる技か、気まずさは特になかった。
沈みかけた日に伸びる自分の影を見つつ京太郎はふたたび自分の心のしこりに悩まされていた。
(沢山打った)
(そして沢山負けた)
(3位をとれたのが数回あっただけであとは全部ラス)
(何だこれ? 麻雀ってそんなゲームなのか? こんなに運の要素が強いゲームなのに、こんなに勝てないものなのか?)
(俺が弱いだけ……本当にそれだけで済まされる話なのか?)
(牌効率や押し引きを学んで……埋められる距離なのか?)
京太郎は隣を歩く咲に目を向ける。
それと同時に長野大会での最後の場面が京太郎の頭によぎった。
『カン』
(……)
『ツモ』
(あれが)
『清一色、対々、三暗刻、三槓子、赤一、嶺上開花』
(あれが)
『役満です』
(あれが……!)
『麻雀って、楽しいよね』
(あれが技術やなんかで埋まるものなのか!?)
「……京ちゃん?」
京太郎の隣を歩いていた咲が立ち止った。京太郎から何か感じたのか、心配そうに顔を覗き込む。
心の内を悟られないように、ごまかすように京太郎は咲に問いかけた
「なぁ、咲」
「なぁに、京ちゃん?」
「このままこうやって、必死に練習を続けて、毎日毎日頑張って勉強して、そうすれば……」
叫びだしたい気持ちを必死でこらえて、京太郎は言葉を続けた。
「俺も、強く、なれるか?」
「……えっ?」
唐突な問いかけに思わず言葉を失ったが、京太郎の何かこらえきれないような、必死な様相を見て意識を取り戻した。
咲は思考する。どう答えるべきなのか。咲自身としてはきっと強くなれる、そう信じているが……京太郎の欲しい答えというのはそんな単純なものだろうか?
何を応えればいいのか、何が正解なのか咲の頭の中でぐるぐるとまわっていた。
それでも、しばしの沈黙ののち、咲は答えた。
「ごめんね、京ちゃん……京ちゃんが強くなれるかどうかは、わからないよ。絶対、なんで無責任なこと、言えないもん」
「……そうか」
「でもね、でも、私はいつも練習するときもっと強くなれる、もっといい牌が引けるようになる、そう信じてやってるよ」
「……」
「そうすれば、きっと牌も答えてくれる。だから京ちゃんも信じて頑張ってみて」
そういいながら咲は京太郎に微笑みかけた。釣られて、辛うじてといった形だが微笑み返す。
「一歩ずつ、少しずつでいいから、頑張ろう? ね?」
「……そっか」
京太郎はそれを聞いて理解した。
「そうだよな、咲。そうだったな……頑張るよ、俺」
咲の頭に生えている特徴的な癖っ毛をピンと指ではじきながら京太郎は歩き出した。
「あぅ、ちょっとやめてよー!」
「ははっ、わりぃわりぃ。ほら、帰るぞ」
足早に歩みを進めると咲が慌てて後を追いかけた。
京太郎はそんな咲をからかいつつ、ざわめく心とがりがりと暗い気持ちが自分の心を侵食していくのを感じていた。
(そうだよな、咲)
(お前には昔からすごい力があって)
(努力すれば報われる)
(願えば叶う。そう言う人間なんだな)
(まさに牌に愛された子ってやつか)
(ははっ、なんだそれ)
(……くそっ)
(……ずりぃ)
(ずりぃよ、咲。俺だって)
(俺だって、そうありたかった)
(お前みたいに、何かをもって、生まれてきたかったよ)
必死に暗い気持ちを振り払う。京太郎自身前に進むには努力しかないということは心情では理解していた。
だから咲の言うとおり明日から一歩一歩頑張ろう、無理やりそう自分の中で結論付けた。
芽生えたくらい感情に無理やり蓋をしたまま。
そんな生活を続けて1か月。決して物覚えのいいほうではなかったが、判断や押し引きは以前よりも優れてきた。
大きな落手を踏むようなことも少なくなってきた。だが、それでも。
「ツモ。ツモメンホンで満ガン。これでぴったりまくりじゃな」
「うわー! 最後の最後でまくられたじぇ!」
「あぅ、私のカン材が使い切られてる……」
「……」
それでも京太郎は1か月の間1度もトップを取ることができなかった。
棚ボタな2位が時たまあったぐらいでほぼ3位4位を占めていた。
「……くそっ」
オーラスの京太郎の手配はこのようになっていた。
『京太郎手牌』
13【5】56889s南西白撥撥 ドラ6s
焼き鳥で迎えたオーラス、着順を上げるには跳満をツモるか満ガンを直撃しなければいかなかった。
そのため染めに走ったがろくに面子ができず終わった。
かといって自分の捨て牌をかき集めても――鳴きが入る可能性があるので不毛な話だが――聴牌すらできていない。
卓の下で思わず拳を固めた。
「残念でしたね。最後の局、私が打ってもそうなってましたから気にしないでください」
今回抜け番だった和が後ろから声をかける。それに対して軽く礼を言いつつも溢れてくる暗い気持ちを押しとどめていた。
(お前だったらこうはならないよ、和。ちゃんとツモが来てくれるさ。それでかっこよく逆転……だな)
「京太郎、大丈夫か? 少し休憩するか?」
暗い表情の京太郎を見てまこが心配そうに声をかける。それに対して半ば意地のように答えた。
「いや、やります。まだいけます」
「無理はするな、大分堪えたじゃろう?」
「大丈夫です、行けます……ほら、和。入れよ」
話は終了とばかりに話題を変える。まこは不承不承といった形で和に席を譲った。
「おーし、まだまだやる気だな京太郎! 頑張るんだじぇ!」
「……おぅ!」
無理やり、といった感じて返事を返す京太郎。そして、サイコロが振られた。
「ツモ。三槓子ドラ4で3,100、6,100です」
(で、結局いつものパターンか)
南2局に咲が派手に上がったところで京太郎はひとり心の中で愚痴る。
相も変わらず焼き鳥の状況。なんでもいいからあがりたい、そう考えているがそもそも勝負になる牌がやってこない。
そんな苦しい状況で自分の最後の親番は空しく流れていった。
新たに山が積まれ配牌を取っていく。
南3局
咲 34,900
京太郎 16,400
和 29,200(親)
優希 19,500
そこまで絶望的な点差ではないが相も変わらずラスにいた。
こういった状況は今まで何度もあったが全くと言っていいほど逆転の手が入らなかった。
だが、この局においては違った。4トンずつ牌を取っていくたび、京太郎の心は激しく騒いだ。
『京太郎手牌』
6s112233588p東中中 ドラ中
配牌メンホンチートイシャンテン。順子のホンイツと考えてもリャンシャンテンである。
どちらにせよ跳満、うまくいけば倍満まで見える手配だった。後ろで手を見ているまこも思わず息を飲んだ。
3人の打牌が完了し、震える手で第一ツモに手を伸ばした。
『京太郎手牌』
6s112233688p東中中 ツモ6p
(っっっっっ!)
思わず叫びだしそうだった。渾身の引き。考え付く限りで最高の引きだった。
リアルの麻雀ではダブリーは初めてであり、倍満確定のリーチを打つことも初めてだった。
震えを抑えながら6sを切り出し、宣言をした。
「リーチっ!」
「うげっ、ダブリー!?」
凹み続けていたところからの思わず伏兵を想定していなかった優希は思わず取り乱した。
次順、親の和がツモに手を伸ばし、相変わらず淀みの無い仕草で場に手出しで牌を捨てた。
東を。
「ロンッ!」
「えっ?」
勢いのいい発声に思わず驚きの声を漏らす和。
「ダブリー一発メンホンチートイドラドラ……裏2! 24,000だっ!」
京太郎以外の4人がぽかんと口をあけたのち優希が思わず声を荒げた。
「なんじゃそりゃっ!」
「うるせー! お前が言うな!」
即座に突っ込み返す京太郎。京太郎と優希は憎まれ口をたたき合うが、その顔には久方ぶりの笑みが浮かんでいた。
「……さすがに読めませんね」
「うん、これはね。和ちゃんが切らなきゃ私が切ってたし」
そういいながら咲は手の中にぽつんと浮いていた東をぱたりと倒した。
「やりおったのぅ、京太郎。初のトップが見えてきたぞ。きばりんしゃい」
まこのそんな嬉しそうな言葉に京太郎は気を引き締めた。
(そうだ、まだ終わったわけじゃない。オーラス何とか軽く流して終了するんだ)
南4局
咲 34,900
京太郎 40,400
和 5,200
優希 19,500(親)
高鳴る心臓を抑えながら配牌を取る。
『京太郎手牌』
34m45s1145688p北白
(悪くない! 何とか平和かタンヤオが作れれば、勝てる!)
北を切り出しながら、京太郎の初トップに向けての道のりが始まった。
その後、5萬を引き入れツモ切りが続いた7順目。
『京太郎手牌』
345m45s1145688p北 ツモ5p
(っ! 良型変化への種!)
引いてきた5pを手に仕舞い込み打北とする。
そして次順
『京太郎手牌』
345m45s11455688p ツモ6p
(よし! 来た!)
平和確定のツモ。それを見て京太郎は場を見渡す。
『咲捨牌』
1⑨白撥二⑧④
『和捨牌』
四二西西⑧⑤②
『優希捨牌』
中1南東二九白
(咲は普通の平和系、和は……チャンタか、清一色かな。優希もタンピン系っぽいな)
どちらにせよ、そこまで不穏な感じは受けないと判断し、京太郎は1筒に手をかけて場に切り出した。
その時、まこが思わず小さく息を吐いたが幸いにして誰も気づかなかった。
そして次順
『京太郎手牌』
345m45s14556688p ツモ3s
(聴牌だっ! これをあがれば)
滑るように1筒に手をかけて場に切り出した。その瞬間、まこのうめき声を京太郎は聞いた。そして
「ロン」
和のよく通る声が響いた。その瞬間京太郎は理解した。
(和は4確や3確をするようなやつじゃない。つまり)
『和手牌』
19m9p19s東南南西北白撥中 ロン1p
(逆転の手が入ってる、って……こと……だ……)
「国士無双。32,000です」
終局
咲 34,900
京太郎 8,400
和 37,200
優希 19,500
負け続けてきた京太郎を支えていたもの
プライドか、意地か、仲間への思いなのかそれは本人にもわからない。
だが
京太郎を支えてきた「何か」が、ぽきり、と音を立てて折れた。
本日の投下分は以上となります。
ほんとはもうちょっと先まで進めるはずだったんですが帰宅が遅くなったせいで予定に達せず……。
また明日投下いたします。
しかし昨日投下した部分、管理人の尻をなめたら修正させてくれるというのなら喜んで舐めたい。そんな気分です。
誤字や重複表現やらがひどい……
ちなみに前述したとおり闘牌は>>1の実体験がもととなっております。
今回出てきた対子落としが国士無双に刺さったというのも事実です。
あれはキタで……。
乙
これは心折れるわ
7巡目国士とかどんなオカルトですか(恐怖)
>四二西西⑧⑤②
いやいやいやここから国士とかよめんわ……
おつー
乙
最後のアレは確かにキツいわー……
乙
さすがに国士だとは思わないけど
チャンタ系って読んで字牌対子落としっぽい捨て牌なら①じゃなくて⑧の方を落とさね?とは思った
上がりトップだから喰いタン狙ったってことでいいのかな
すみません、やっぱりあと2~4レス分ぐらい投下します。
おう あくしろよ
「うわー……すごいよ、和ちゃん」
呆然としている京太郎。その横で咲があまりにもドラマティックな展開に驚きの声を漏らす。
「まさかこんなにタイミングよく刺さってしまうとはのう」
京太郎と和の手牌を後ろから見ていたまこはそう言いながら天を仰いだ。
「少々出来すぎでしたがね」
和はそういいながら苦笑する。そして呆然とする京太郎に視線を向けた。
「あの、す、須賀君? 大丈夫ですか?」
心配そうに声をかける和だが京太郎は反応を示さない。そんな和を尻目に優希は京太郎の隣に立って背中を軽く叩いた。
「シャキッとしろ京太郎! まったく、どんな手恰好だったんだ?」
そう言いながら優希は京太郎の手配を倒した。
「ふんふん、なるほど……。京太郎、そこまで悪手ってわけじゃないがこの振り込みは防ごうと思えば防げたじぇ」
京太郎はピクリ、と体を反応させ、うつむいた姿勢のまま自分の手配に目をやった。
「お前が1筒対子落としの際は捨て牌はこうなっていたはずだじぇ」
『京太郎手牌』
345m45s11455688p ツモ6p
『咲捨牌』
1⑨白撥二⑧④
『和捨牌』
四二西西⑧⑤②
『優希捨牌』
中1南東二九白
「確かに1筒ならチー聴も取れるけど、防御ってことを考えたら8筒のほうが圧倒的に安全だじぇ? まぁ、無論私にあたる可能性が0ではないけど」
優希の指をぼんやりと見つめる京太郎。
「まぁ、とは言ってもそこまでの落手、とは言い切れないじぇ。というか国士とはだれも読めないじぇ。とは言えもうちょいっと防御のほうにも」
「やめてくれ」
絞り出すような京太郎の声が聞こえた。部室の中がしん、と静まり返った。
「もう、わかった。わかったから。俺が悪かった。俺が下手くそなのが悪かった。だから、もう勘弁してくれ」
ぼそぼそと、うつむいたまま呟く京太郎。それを聞いて何か腹を据えかねたのか優希が食って掛かる。
「なにをふて腐れてるんだじぇ! 敗北から学ばなくて一体どうやって成長するつもりなんだじぇ!?」
だが、その声にも反応せず京太郎は言葉をつづけた。
「もうダメだ。どんだけやってもお前らには勝てない」
「勝てないんだ。どんだけあがこうと」
「お前ら持ってるやつにはどんだけやっても勝てないんだ」
「っ! 京太郎!」
かっとなった優希がつかみかかろうとしたところに慌てて咲が押しとどめる。
「優希ちゃん待って! 落ち着いて!」
「離すんだじぇ咲ちゃん! 京太郎、お前はそんな奴だったのか!? 強くなりたいんじゃなかったのか!?」
余りの事態に和は動揺を隠せずにいた。まこは落ち着かせようと一喝するために息を吸い込んだ瞬間だった。
京太郎から押し[ピーーー]ような、うめき声のような、鳴き声のような、そんな声が聞こえた。
「つらいんだ。もう、麻雀を打ってても」
「差を見せつけられるばかりで。何もできないまま終わっていくばかりで」
「だから」
「……もう、嫌だ」
弱弱しかったが、痛いほど意思が伝わってきた。
それは、京太郎からの麻雀に対する、メンバーに対する拒絶の言葉であった。
それを聞いて、憤っていた優希も、必死になだめようとしていた咲も、動揺していた和も、如何に収めようか気を揉んでいたまこも言葉を失った。
mail覧にsagaって入れるといいよ
はい、ここまでです。
>>44様に恐ろしく速い突っ込みをいただき「やべっ、やっぱり切った位置が悪かった」と認識して慌てて追加分を書きました。
ちなみにですが>>44様を非難するつもりはさらさらありません。
むしろああいうわかりやすい仕掛けには即座に突っ込まれるということが勉強になりました。
流石咲スレ。恐ろしい子!
それと開業位置や行間はいかがでしたでしょうか?
こちらについても指摘等ございましたら突っ込みをお願いいたします。
ここの京太郎に必要だったのは圧倒的にレベルの高い人達の指導より、自分と同レベルで一緒に成長できる初心者だったんだろうな
乙
周りが全国レベルしか居ないのが不幸なんだよな
初心者仲間とか、間に入れる中級者が居ればまた別だったんだろうなぁ
おつー
改行や行間は問題ないよ
>>53
それは結果論だからどうとでも言えるだろうし気にし過ぎたらアカンで
あんなん誰もが1p落とすわww
京太郎のツモがわからないから断言出来ないけど、必要以上に手を伸ばして振り込む典型だね
京太郎君!レジェンドとギバ子達が麻雀教室で待ってるぞ!
乙
>>59
そこにはギバちゃんたちにハコにされる京太郎の姿が!
7巡目でそこまで考えない……よなあ。普通
こんなんに振り込んだらむしろ相手に感心してしまうわ
京太郎と周りでやってる年期が違うからな、納得できない気持ちも分かるが
試しにネト麻やらせたらそこそこ勝てるんじゃないか?
前の局でツモがこなくて染め手にいったのと対比にしてるんだろ
和ならツモが来てカッコよく逆転ってやつな
>>54
原作第一話も京太郎は咲を初心者だと思って誘ったわけだからな
案外自分と同じ初心者が欲しかったのかもしれんぞ
それだと全く真逆だったわけだからすげー複雑だっただろうけど
これは心が折れるな
>>1は職場で書くということを覚えた!
というのも現在職場の環境の問題でろくに仕事ができない状況であるため大変暇なため、合間合間でちょこちょこと書いていました。
一番頭を悩ましていた部分を職場で書けたので大変順調に創作が進みました。
予定ですが、23~24時の間ぐらいで投下を開始したいと思います。
>>41 >>43
私は即ラスハンコールしました。
「もうおうちかえゆ」状態!
>>42
まさに事実は漫画よりも何とやらですな。
>>44
私も当時は振り込んだ悔しさばっかりでしたが冷静に振り返ってみると8筒が通せたな。
積みじゃなかったな、と後から反省しました。
>>52
ご指摘ありがとうございます。やってみました。
>>54、55
ちなみに私は絶対トップが取れないメンバーと打てと言われたら1日で根を上げる自信があります。
>>59、60
もうやめて! 京太郎の精神安定度はもう0よ!
乙! 面白いけど 少し改行した方が読みやすいかも 続き楽しみにしてるよ~ 頑張って!
準備が整いました。これより投下します。
全く関係ない話ですが個人的に、花田煌先輩か加治木ゆみ先輩の下だったらとても充実した部活生活が送れると思います。
実際そうだよなあ
すばらさんなら間違いなく特訓も京太郎の精神も落ち着いてやれた
静まり返る部室。優希が何か言いたげにするが結局何も言えずに視線を落とした。
「……今日はここまでにしよう。3人は先に帰っとれ」
まこが搾り出すように言った。苦渋の色が強く現れており、苦しげな声であった。
「わしは少し京太郎と話をしてから帰る」
「だ、だったら私も」
いてもたってもいられない、といった様相で咲がまこに食いつく。
だが、まこは頭を振り、3人に近づいて小さく言った。
「今後の……今後の、話じゃけん。3人がいると話にくかろう」
「!」
つまり、彼が今後、どうするのか。
辞めるのか、辞めないのか、そういった話になるまこはそう言っていた。
「京太郎、お前、麻雀部を……」
普段からは想像もつかない様な非常に寂しげな優希の声は最後まで紡がれることはなかった。
そして、それにも反応を示さず、京太郎は俯き続けた。
「……ゆーき、咲さん。行きましょう?」
「の、和ちゃん」
咲は何か言いたげに京太郎と和に視線をさまよせるが、後ろ髪引かれながらも部室を後にした。
優希もそれに続く。ぱたん、と扉が閉まる音が響いて部室には京太郎とまこが残された。
「……何か飲むか?」
しばしの沈黙の後に、まこは京太郎に声をかけるがそれに対して無言で首を振る。
ほうか、と呟いて京太郎の前に椅子を引き、座った。
「すまんかった。皆つい熱が入りすぎたようじゃ。あそこまで負けが込めば……嫌にもなろう」
そう言いながらまこは京太郎に頭を下げる。再び沈黙の時が流れる。
その間もまこは京太郎に頭を下げたままだった。そんな中、沈黙を破ったのは京太郎だった。
「すみません、気を使わせて。俺が悪いんです。俺が、耐えられないってだけで」
拳を強く握り締める。そんな京太郎の声を聞き、まこも顔を上げた。
「わかってるんです。皆、俺のためを思ってやってくれてる。俺のために言ってくれてる。だけど……だけど……」
京太郎の体が震える。今にも泣き出しそうな声で目の前にまこに言葉をぶつける。
「それがつらいんです。皆に、追いつける気がしなくて。自分がまるで強くなってる気がしなくて」
「確かに、ネト麻ならたまに勝つこともできます」
「この前、先輩の店に行って打たせてもらったときも、まぐれでしょうが1回トップを取ることができました」
何かを思い返すように天井を見上げる。その目頭は緩んでいた。
「でも、駄目なんです。このメンバーと打っているとお前の成長なんて大したもんじゃない。お前の実力なんて大したものじゃない。お前はいくらやっても絶対に勝てない。お前のやっていることは無駄だ」
「そう言われているみたいで……残酷な事実を突きつけられてるみたいで」
再び俯く京太郎。そして、こらえきれないように、涙がこぼれた。
「つらいんです。麻雀を打っていても嫌な苦しくて辛い気持ちばかりで……。だから」
若干の沈黙が入る。
まこは次に続く言葉をある程度想像できていたが、その想像が外れていることを強く願った。
「もう、麻雀部を辞めます」
無論、そのようなことはなかったが。
静まり返る部室。すっかり蝉の声も聞こえなくなった長野の夜は、静かな羽虫の声が聞こえていた。
京太郎は、何も言わない。俯いたまま時折鼻をすすっていた。
まこは京太郎のその姿を見て、自分の無力さ、愚かさに叫びだしたい気持ちであった。
唇をかみ締める。
(……アホか。そんなことしても、何の解決にもならんわ)
頭を振る。無理やりに頭を落ち着かせて立ち上がり、京太郎の傍らに立つと丸まった背中をそっと撫でた。
「すまんかった、すまんかったのう。こんなに追い詰めてしまっていたとは。部長として、先輩として気づいてやるべきだった」
びくり、と体を震わせる京太郎。
「京太郎の気持ちに気付いてやるべきだったな」
少し間をおいてありったけの気持ちを込めて言った。
「本当に、すまんかった」
京太郎の体が再び震えだす。泣くのを必死にこらえているようだった。
それをみて軽く微笑んで語りかける。
「泣きたかったらないてもええんじゃぞ?」
「……大丈夫です」
「ほうか」
まこは、それ以上何も言わずに京太郎の背中をさすり続けた。
しばらく経ち、京太郎が落ち着いてきた時を見計らってまこは口を開いた。
「京太郎の言いたことはわかった。じゃが……」
ぽん、と軽く頭を叩き、そのまましゃがみこんで京太郎の顔を覗き込む。
「もう少し、考えてみてくれんか? 1週間でいい。時間を置いて、それでも辞めたいというのなら……もう止めはせん」
「1週間……ですか」
「うむ。今の京太郎は心身ともに疲れきっとる。決断を咎めるつもりはないが、少し麻雀から離れてみてその上で結論を出しても遅くはなかろう?」
「でも、俺」
「お願いじゃ」
有無を言わせぬ、と言った体でまこが京太郎の顔をじっと見つめる。
その視線になにかいたたまれなさ、後ろめたさを感じた京太郎は思わずうなずいた。
「わかりました。少し、麻雀から離れて考えて見ます」
「ありがとうな。ともかく1週間、ゆっくり休んでくれ。部活漬けで疲れたじゃろ?」
「……うっす」
うなずきつつ、まこは時計を見た。すでに7時を過ぎており、外は真っ暗であった。
「さて、そろそろ帰るか。わしはちょっとやることがあるけぇ、先に帰るといい」
「……わかりました。それじゃあ、失礼します」
何か言いたげな京太郎だったが、結局立ち上がり、頭を下げて部室を扉を開けた。
「染谷先輩」
「ん? なんじゃ?」
扉に手をかけた京太郎は振り返らずに言った。
「たぶん、考えは変わらないと思います。わざわざ毎日辛い思いをしに来るのはもう、嫌です」
そう言い残して京太郎は扉を閉めて去っていった。
まこはしばしの間京太郎が出て行った後の扉を見つめていたが、徐々に体が震えだすのを止められなかった。
「わしは……わしはいったい何をやっているんじゃ」
麻雀卓に寄りかかるように座り込む。
「これから、これからだというのに、こんな、こんな……」
清澄高校麻雀部は名声は手に入れた。
来年になればきっとたくさんの部員が入ってくるだろう。
その時、京太郎が後輩に舐められぬよう、京太郎には地力をつけてほしかった。
沢山部に尽くしてくれた分、彼にも名声を手に入れてほしかった。
高望みかもしれないが、次の個人戦で活躍してほしかった。
そうすれば周りから揶揄されたり批判されることもないだろう。
彼自身が負い目を感じることもないだろう。
そうなってくれることを心から望んでいた
(だが、全部、これでは全部、台無しではないか!)
それからしばらくまこは一人、悔い続けていた。
次の日、京太郎は暗い顔で通学路を歩いていた。周りに人影は少ない。
もう朝練に出る必要はないのだが、染み付いた習慣は抜けず、結局先日と同じ時間に家を出ることとなった。
(どうするかな。授業が始まるまで予習でもするか? らしくねー)
そう自嘲気味に笑って歩みを進める。
学校まであと少し、と言ったところで曲がり角を曲がるとそこには見覚えのある姿があった。
特徴のあるくせっ毛、小柄な体系、小動物系な顔立ち。
どう見ても全国の猛者と渡り合った人間には見えない。
「咲……」
「おはよ、京ちゃん」
「……何してんだ。こんなとこで」
訝しげに尋ねると、少し弱弱しく咲は笑いながら言った。
「京ちゃんを待ってたの」
「お前……俺がこの時間に家を出なかったらどうするつもりだったんだよ」
「でも、来てくれたよね。京ちゃん」
早朝の澄んだ空気の中、二人はしばらく立ち尽くした。
京太郎は何を言うか迷っていたが、先に口を開いたのは咲だった。
怯えと、期待が半々の表情で咲は京太郎に問いかける。
「朝練、一緒に行こう?」
「いや、俺は休む」
「そっか」
「……意外と冷静だな」
「うん、染谷先輩からメールで京ちゃんは1週間ぐらい麻雀から離れるって聞いてたから」
「知ってたのにわざわざ聞いたのか?」
「だって、もしかしたら、って、思って……」
顔を伏せる。その姿に京太郎は若干心が痛んだがそれを振り払うように歩き出した。
「じゃあ、俺は先に……」
「待って!」
京太郎は歩みを止める。だが振り返らなかった。
拒絶の意思が見えるようで、咲の心はチクチクと痛んだが、言葉を続けた。
「ちょっと、1週間だけ、お休みするだけだよね」
むしろそれは問いかけというより願望だったのだろう。言葉の端々が震えていた。
「麻雀部、辞めちゃわないよね?」
再び沈黙。咲は神に祈るかの表情で、京太郎の言葉を待った。
京太郎には咲の顔を見えていないがどれほど不安な顔をしているのか、なんとなく想像ができた。
「いや、辞める」
「……えっ?」
「辞めるよ、麻雀部。1週間後、退部届を持っていくつもりだ」
「嘘……」
「嘘じゃない」
「嘘だよね?」
「嘘じゃない」
「京ちゃん、また私のことからかってるとか、そういうことだよね」
奥歯をぎゅっと噛みしめる。今にも泣きだしそうな咲の声に心がざわめく。
京太郎は大きく息を吐いて、振り向いた。
京太郎の想定通り、やはり咲は今にも泣きそうな顔をしていた。
「嘘じゃない。からかってもいない。もう麻雀が嫌になった。だから、もう、辞める」
再びの沈黙。咲の悲しそうな顔を見て思わず京太郎は視線を逸らした。
「京ちゃんは、私たちと打つの、嫌なの? みんな嫌いになっちゃったの?」
京太郎は何も答えない。正直、京太郎はそれに対して何と答えればいいのかわからなかった。
咲は何も答えない京太郎を見てさらに言葉を続けた。
「私は、京ちゃんと一緒に打てて楽しいよ」
泣きそうな顔で、それでも無理やり微笑んで言った。
その言葉が、京太郎の何か、心の暗い部分に触れた。触れてしまった。
その感情を必死で抑えつけてた蓋が弾け飛び、もう自省は効かなかった。
体温が上がり、なにか、得体のしれない感情が体を支配していく。
それらを吐き出すように、京太郎は口を開いた。
「そりゃお前は楽しいだろうな、咲」
「……京ちゃん?」
京太郎の雰囲気が変わったことを感じる咲。
これまで向けられたことがないような視線を感じ、体を震わせた。
「あんな風に上がれて、欲しい牌がツモれてそりゃ楽しいだろうさ」
拳を強く握りすぎているせいか、京太郎の手が震えていた。
「長野大会の時の数え役満みたいなこと、できたら楽しいだろうな。うん、絶対楽しいよな」
ははは、と乾いた笑いが響いた。京太郎の態度に動揺が隠せず、咲は言葉が出ない。
その様子を見て京太郎は更に言葉をぶつける。
「でもよ、咲。お前、俺の立場に立った時、胸張って楽しいって言えるか?」
「逆転の手が欲しいときに手が入らない」
「軽い手が欲しいときに手が入らない」
「たまのラッキーパンチはそれ以上 パンチで叩き潰されて」
「1か月間、どれだけ打ってもトップが取れない……」
京太郎の頭の中で、そんなことを咲に言っても仕方ない。やめろ、傷つけるだけだ。そう訴えかけている。
だが、止まらない。京太郎の心の中にヘドロのように堆積した感情は止まらなかった。
「お前はさ、咲」
「お前は……」
「お前はそんな状況でも楽しいって言えるのかよ!」
人気のない、早朝の道に京太郎の叫び声が響いた。
咲は言葉を失っていた。
京太郎とは中学生のころの付き合いだがこのように怒鳴られるのは初めてだった。
そもそも、京太郎がこのような悪意、敵意といった負の感情を露わにしているのを見るのが初めてだった。
軽い口げんか程度はすることはあった。
だが、京太郎はいつも笑って、くだらないことを言って咲をからかっていた。
そのあまりのギャップに咲は現実を認識できないでいた。
「どうした? 答えろよ」
乱暴に急かされ、咲は我に返る。
そして京太郎の問いかけに対して思考を及ぼされるが、考えても考えても結論が出なかった。
「だよな。答えられないよな?」
咲は待って、と声を出したかった。だが、いくら考えても答えが出せずにいた。
いや、そもそも出せるはずがないのだ。当たり前の話であった。
「だってお前、そんな状況になったこと、ないもんな」
そう、彼女は考えうる限り、何もできない、といった状況になったことが殆どなかった。
ましてやそれほど長時間打ち続けて全くトップが取れないなど、全く記憶がなかった。
「当たり前だよな。お前は何かをもっていて、俺はもっていない」
京太郎の脳は必死に自分の感情を押しとどめようとする。
取り返しのつかない一言を言ってしまう前に。
「そんなお前が、俺みたいなやつに対して、楽しいか、だって?」
(やめろ)
「嫌みか? 馬鹿にしてるのか?」
(咲を見ろ。もう泣いてるだろ)
「そんなわけないだろ。麻雀はやっぱり、勝たなきゃ楽しくないんだよ」
(口を閉じて、謝るんだ。辞めるにしても咲を傷つける必要がある?)
「俺は」
(せっかく咲は麻雀を楽しく打てるようになったんだぞ!)
「俺は!」
(やめろ!)
「俺はお前らと打っても楽しくもなんともない!」
まあ理解できるうちの実力者が部にいれば、どうにかなっただろうな
咲、タコス、ロッカーはオカルト系、和やまこもデジタル染みたオカルトっぽいし
かじゅあたりならなんとかなった
高校から始めて咲にチャンカン入れられるほどになった人だからな、かじゅは
言い切った後で京太郎は我に返った。完全な拒絶の言葉を口にしてしまったことに驚く。
「京……ちゃん」
ぽろぽろと、涙をこぼす咲。
京太郎は激しく後悔する。決して咲を泣かせたいわけではなかった。
そう、別に咲が憎いわけではなかった。
「ごめん、ごめんね、京ちゃん。ごめんね、私、京ちゃんを苦しめていたんだね」
故に、目の前で泣きじゃくる咲を見て京太郎の心は引き裂かれたような痛みを感じた。
「ごめんね、私のせいで……ごめんね」
次々と咲の目から涙が零れ落ちる。京太郎は何か言おうとするが言葉にならなかった。
「わ、私、きょ、京ちゃんの気持ち、何も、何も考えて、なくて、ご、ごめんなさい」
しゃくりあげながら言葉を震わせながらも京太郎に謝罪の言葉を吐く。
零れ落ちる涙をポケットから取り出したハンカチでぬぐい、咲は顔を伏せた。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
咲が謝るたびに京太郎は自分の心が切り裂かれていくのを感じた。
何かを言わなければ、謝るか何か、言わなければと思って必死に口を開いた。
「……すまん、言い過ぎた」
そう、口にするのが精いっぱいだった。
咲はそれを聞いて最後に一言謝ると、そのまま京太郎のわきを通りぬけてまっすぐ学校に向けて駆け出して行った。
京太郎はその背中を追いかけることも言葉をかけることもできずに呆然と立ち尽くした。
早朝の清澄高校部室。
麻雀卓には和、優希、まこがすでに席に着いていた。
「京太郎、やっぱり来ないのかな」
優希はそう言いつつ、卓のふちに顎を乗せながら牌を手で弄る。
それを聞いて和は顔を伏せながら呟いた。
「……どうでしょう。いえ、多分、来ないと思います。来てほしいとは思いますが」
昨日の振り絞るような京太郎の声を聴いて和の思考はどうしても悲観的な方向に流れていく。
「どうじゃろうな……」
まこはそう相槌を打ちながら、昨日の去り際のセリフを思い出していた。
――わざわざ毎日辛い思いをしに来るのは――
部を預かる身として突き刺さる言葉であった。
「昨日ののどちゃんの国士、強烈だったからなー」
「……私もできすぎだとは思います。でも、あがらないのはそれはそれで、須賀君に対する冒涜です」
「そうだけどさー」
和と優希の間でそのような会話をしていると部室の扉が開いた。
3人が一斉に扉を開けるがそこにいたのは京太郎ではなく咲であった。
「おーう、咲ちゃん。おは……よ、う?」
優希がいつものように明るく挨拶しようとしたが、言葉を失った。
咲はハンカチを片手にボロボロと泣きながら部室に入ってきたからだ。
「咲さん、いったいどうしたんですか!?」
和が慌てて咲に駆け寄る。優希とまこもそれに続いた。
「和ちゃん……私、私」
「咲さん?」
「私、私、京ちゃんに酷いこと、酷いこと言っちゃった」
「咲、京太郎と、会ったのか!?」
まこが驚きの声を漏らす。
それからも何かを言おうとするが言葉にならない咲。その背中をさする和。
優希とまこもそれを心配そうに見つめた。
変な補正なかったら麻雀覚えたての雑魚で、他の面子が強くても
テンパイ即リーしてるだけで、10回やれば1回くらいはトップとれるしな
そもそも初期だけど咲相手に2位になったりしてるんだぜ京太郎
そらこんなオカルトで引き離されたらへこむよ
言ってもうたー……
もうこれ咲が麻雀嫌いが再発するか
逆に覇王ルートにいっちゃいそうだ
しばらくして、まだ泣いてはいるが咲から何かあったかを聞いた3人はそれぞれ言葉を失った。
京太郎がそれほど感情を露わにしたこと、それほど鬱屈した思いを抱えていた、そして
「楽しくない、か」
ぽつりと優希が呟いた。
3人それぞれ、この1か月京太郎の力になろうとしていた。
だが、それが京太郎を苦しめるだけに終わったという事実に打ちのめされていた。
昨日の様子を見て和も優希もなんとなく悟っていたことであったが、それでも心に響く。
(なぜこうなることを予期しておかなかった!)
そしてまこは一人悔いていた。
京太郎は今不安定だからそっとしておいてやろう、その一言を連絡しなかった昨日の自分を悔いた。
(恐らく、京太郎が一番複雑な思いを抱えているのは咲だろう)
(一番長い付き合いで、あいつが連れてきたんだからな)
(それぐらい、わかっていたことじゃろうが!)
まこの目の前では咲がまだ泣いている。優希がそれに釣られて涙をこぼしていた。
和は二人を必死になだめようとしているが、その本人も目に涙を浮かべていた。
(部長を引き継いで、たった1か月。それなのにもう部の崩壊の危機)
京太郎は部を去ろうとしている。咲はとても麻雀が打てる精神状態ではないだろう。
優希にも和にも心にしこりを残したはずだ。
(わしは、何をやっているんじゃ。本当に)
悔しくて、無念で、口惜しくて、必死にこぼれそうになる涙をまこは必死に堪えていた。
その時、唐突に部室の扉が開いた。
「おっはよー。元部長が久しぶりに様子を見に来たわよー……って、どうしたの、これ」
そこには8月をもって部を引退した元部長、竹井久が立っていた。
というわけで本日の投下は以上です。
恐らくこのペースであれば早ければ明後日ぐらいには完結できるかと思います。
……スレ全然使いきれていない!?
乙
終わりが近いのか
おつー
意外と短いんやな。
乙
ロッカーか、ロッカーなのか
乙
気持ちは分かるが咲も迂闊だったよな
心折れた人間に向かってあの言葉は悪意ゼロでも不味いわな
手元のプロット上だとどう考えても後投下2回。多くても3回ぐらいで収まっちゃいそうな予感。
文章に起こしてみると意外と短くまとまりすぎていることに愕然とすることしばし。
もうちょっと肉付けできないかどうかプロットとにらめっこしてみよう
乙
咲は子供の頃から勝ったら怒られるって理由で接待プレイしてたくらい強かったわけだからなー、そりゃ何も言えないよな
まあネト麻ではボコボコにやられてはいたけど
短くまとめるのも才能やからな。
終わったら他にも書いてほしいくらいにおもろいわ。
乙ー
皆京太郎の事を良かれと思ってやっていただけに辛いな
完結が見えているなら楽しみにしてるのぜ
これで京太郎が戻ってこなかったら咲も麻雀やりたいとは思わないだろうしタコスも止めてしまいそうだ
京ちゃん一人で麻雀部がヤバイ
もともと、もう1~2作ぐらいは書こうと思っていました。
そもそもスレ立てた経緯が。
安価スレ楽しい! 自分もやりたい
↓
まぁ、待て。ここ最近SSなんて書いてない。咲SSは書いてない。そんな状況で長丁場になる安価スレができるのか?
↓
よし! じゃあまず自分がちゃんと書き続けられる人間なのかを確かめるために、何作かSSを書こう!
そういった流れゆえ。
いいね
文章も面白いし是非安価スレでも見てみたい
で終わったらこのままおもちでスレタイでもやるの?
どうなんでしょう? 一般的に立て直すもんなんでしょうか。
落としちゃうのももったいないと言えばもったいないですし……スレタイと違うがな、っていわれたらそれもごもっともですし。
そりゃいいな 楽しみにしとこう。
何作か書くなら短編はこのスレでやっときゃいいんじゃね。
他にもスレ立てする予定あるならトリップつけること薦めとくわ
いくつかのスレを同時進行とかしてる人もいるよ
安価は安価スレで、小ネタとかは別のスレでという
俺もトリップを進める 2行くらいだと普通に見逃したりするし
安価スレもいいけど、>>1の文章おもしろいからふつうのSS見たいって気持ちが大きいわ
どちらにせよ期待してます
トリップつけてみました。作者気取りか自分よー! って感じで若干悶えております。
沢山のお褒めの言葉ありがとうございます。
この話が終わったら引き続きこのスレにSSを投下していこうと思います。
安価スレはあと最低1作は書き終わってから、行けそうならチャレンジしてみようと思います。
ちなみに次回作ネタ(未確定)
1.部長が部のために京太郎のことを体よく利用しているつもりがだんだん……(仮)
2.京太郎が清澄高校の奴隷として扱われているという噂が広まる話(某SSよりインスパイア)
3.京太郎がまこにやらせてください、と土下座して頼み込む話
シリアスギャグエロと一通りチャレンジしてみたいですが字面に表わすと酷いねこれ
2の某SSってなんだろ、実は男性不信のロッカーのネタは考えたことがあったな
全部たのむww
すげー楽しみ。
これは全部見たい
特に3が興味深い
シリアスなら2が見てみたいな
3であえてまこを持ってくるあたりにセンスを感じる
2がみたいなー
全部見たい
が、特に2が見たい…!
2某SSは咲と付き合ってるとかいう感じのやつかな?
全部書いてくれるんでしょう?
ところで今追いついた
大学のサークルは初心者お断りなのを思い出した。京太郎の立ち位置にいたら俺なら部をやめてるわ
ああいう環境はプライド酷く傷つくぞ。年は同じ位なのに皆経験者で自分一人素人ってのは
やらせてください(意味深)
333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333
全部みたいが、どれかひとつ絞れというのなら
3をおねがいしまあぁぁあああ
俺は2が見たいなぁ……
他校とどんな絡みになるのかすっごい気になる
これは2が気になるかな
こういう展開は現実だと割とありそうで生々しく感じるな
咲を誘った幼なじみが京太郎みたいな性格で良かった
でもまこが言ってたように今の環境ってまだましなんだよな
この実力のままだとまたオカルト下級生が大量に入ってくるし、大会も最初から注目されてるから
なんだこの男子部員ってなるうえに、下級生からもなんだこの人ってなっちゃうし
2かな
1意外と居ないのな
苦い青春の思い出って感じ
誰が悪いって訳でもないけど、少しのすれ違いから別れに。。。
まぁよく有るよね
全部
無理なら1で
2がいいなぁ
3
3
2
>>109
多分最近完結した京和のやつじゃね?
1~3は長さにもよるけど今のやつと同じ位なら全部このスレ中にできるんじゃね?
なぜ1がほとんど居ないのか
2でお願いします
京太郎SSで実力差に打ちひしがれて…って結構あるけど大抵オカルトが主題なんだよね
かじゅとか絹みたいに麻雀歴が短い&オカルトなしなのに全国レベルって結構凄いと思うんだけど…
両者とも京太郎と接点ないから取り上げられなくても仕方ないけどさ
潜在能力は高いはずなんだけどなあ・・・
環境に恵まれなかったとしか言いようがない
2も3も興味はあるが1が一番見てみたい
追いついた
非常に面白く、良く纏められてて大変良いです。
話の続きと次回作楽しみにしてます
どれも見てみたいけど2が一番見たいなあ
追いつきました、乙です
須賀くん、福本さんの天におけるひろゆきポジションですね、ホント
ひろのように赤木しげるのような良き先導者がいてくれれば、その後のHEROのひろゆきのような立派な雀士になれるかもしれませんが……はてさて
アンケートは2でお願いします
お客様とカレーを食べに行ったらこんな時間に……。
24時を過ぎてしまう可能性が高いですが、本日も投下していきたいと思います。
そしてなんかめっちゃレスがついていることに驚き真面目にケツを差し出す準備をするべきか悩みました。
学生時代、「お前の尻プリッってしているな」って言われたことあるんすよ(意味深)
あ、それと2の某SSとは名作の咲と京太郎が付き合ってるうわさが流れるあれですね。
あれを読んで思いついたネタ故
あのスレから行くと本当に奴隷になっちゃうんじゃ…
┌(┌ ^o^)┐
面白い
続きに期待
だが次うんぬんは完結してから盛り上がろうよ…なんかシリアス読んでて途中で話しのコシを折られた気分なのだが
予定のところまで書ききれず……。
一旦できている分でキリのいいところまで投下します。
しかし、次回作の話軽い気持ちで出したのですが、ここまで反響があるとは本当に驚きました。
次回作をどうするかはこの作品が終わった後で改めて安価なりアンケートなりで決めたいと思いますのでお待ちください。
「この1か月精力的に活動してるって話は聞いてたけど、そんなことになってたのね」
あの後、とてもではないが朝連などできる状態でないと判断したまこは3人娘に朝連の中止を告げた。
しばらく泣きじゃくっていた咲は和や優希に慰められながらようやく落ち着きを取り戻し、2人とともに部室を出て行った。
咲の泣き声が聞こえなくなり、静かになった部室でまこは久にこれまでの経緯を話し、現在に至る。
「すまん、本当に。引き継いでたった1か月だというのに、こんなことになってしまった」
まこは顔を伏せ、罰を受ける子供のように頭を垂れた。
それを見てあわてて久は言葉をかける。
「ちょっと、やめて。別に誰が悪いなんて責めるつもりはないわ」
「しかし……あんたのときは、こんなことにはならなかったじゃろ?」
そうまこが言うと久は若干ばつが悪そうにため息をついて、苦笑した。
「それは私が部長の立場でいたときに、誰もが頭を悩ませる初心者の育成って言うことに対して先送りにしてたからよ」
後悔の念を感じさせるように、久は言葉を続ける。
「きっと、私がまこの立場でも同じ失敗をしていたと思う。私だって、須賀君には強くなってほしいしね」
(放置気味の方針をとってしまった私が言うのもなんだけどね、まったく)
この事については久の心の中に若干のしこりとして残っていた。
最後の夏ということでなんとしても勝利を、とわき目も振らず突き進んでいったが、そのせいで京太郎を蔑ろにしてしまった。
(今考えると、本当にひどい話だわ。よく着いてきてくれたわね、彼)
小さくため息をつく久。
しばらく沈黙が続くが、とても頼りげのない声でまこが口を開いた。
「……正直、もうわしはどうしたらいいか。1週間考えてくれとはいったが、このままじゃ間違いなく辞めてしまうじゃろう」
嫌われてしまってだろうしな、と言葉を付け足して椅子にもたれかかった。
まこは部長という立場でなければ泣き出したい気持ちだった。
(これは、重症ね。皆)
このままでは京太郎の退部とともに皆バラバラになってしまうだろう。
久はなんとなくそんな予感がした。
とは言え、それ以上に久には何かの確信があった。
(でも、取り戻せないわけじゃない。きっと)
(きっかけはちょっとのすれ違いのはず。だから……)
久は佇まいを直してまこに向き直った。
「わかったわ。この件、ちょっと私に任せてみない?」
「えっ?」
「かわいい後輩たちが悩んでいるんだから、一肌脱ぎましょう。ね?」
「しかし、これはわしらが……」
「まこたちだけの責任じゃないわ」
わしらが悪い、そういいかけたまこの言葉をさえぎる久。
「彼の教育を丸投げしてしまったのは私だし、この状況の種を作ってしまったのは私の責任よ」
それは半分懺悔であったのだろう。辛そうに、とても辛そうに久は言葉を続けた。
「だから、お願い。私に任せてもらえないかしら?」
まこはそれを受けてしばらく黙るも、小さく頷いた。
「……すまんな」
「いいのよ。ただ、彼を絶対に連れ戻せるかどうかわからないけど」
そういって立ち上がり、大きく伸びをした。
「一度、話はしてみたいからね。彼がどう考えているか。須賀君の口から聞いてみたい」
「京太郎ー! 部活行かなくていいのー?」
「……今日は休みー」
土曜日。いつもだったらとっくの昔に部活のために学校に向かっている時間帯であったが、
京太郎は自室でゴロゴロとしていた。
階下から聞こえる母親の問いかけにも気だるげに返事をする。
咲とのあの一件から丸1日が経った。
あの後、クラスでも咲と目を合わせることができずそそくさと帰宅した。
メールや電話で謝ろうと思って何度も携帯を手にとったが、結局何もできずにいた。
「そう、ならいいけど。この前言っておいたけど、お父さんとお母さん、出かけてくるからね」
「あーい……」
「夜には戻るからね。昼は適当に済ませなさいねー!」
「あー……」
「もう、部活が休みならちゃんと勉強しなさいよー!」
そう言うと玄関の扉が閉まる音が聞こえて沈黙に包まれた。
「……どうするかなー」
京太郎は暇を持て余していた。ここ最近は空いた時間はすべて麻雀につぎ込んでいた。
単純な話、そんな生活から麻雀をなくせば暇になるのは当たり前の話である。
「勉強……って気分じゃねーよなー」
枕元の本棚に目線をやる。すべて読み終わった漫画の隣に何冊かの麻雀教本が置かれていた。
和が貸してくれたもの、勧められたて自分で買ったものが並んでいる。
京太郎は視線を外して体を起こした。
勉強机に視線をやる。咲がいろいろコメントをつけてくれた牌譜が重ねて置かれている。
部屋の隅に目をやる。まこがくれた麻雀牌とマットが置かれている。
視線を下げる。自分の手を見ると麻雀漬けのせいかすっかりと荒れた手が見える。
手を握り締めて、ざわめく心を振り払うように首を振り、顔を上げた。
目の前の壁に、写真が1枚貼られていた。全国大会後、東京を後にする前に撮った写真だった。
『最後にもう1枚だけみんなに写真を撮ろうじぇ! せっかくだから東京駅をバックに!』
『またかよ……ったく、ほら、カメラ貸せよ。撮ってやるから』
『? 何言ってるんだじぇ。お前も入らなくてどうするんだじぇ?』
『嫌、だって俺は……』
『あーもう! つべこべうっさいじぇ! そこのおねーさーん! 写真撮ってほしいのじぇ!』
『って、あいつ……』
『ふふっ、ほら、京ちゃんこっちこっち』
『須賀君は一番大きいんですからしゃがんでくださいね』
『あらあら両手に花どころじゃないわねー須賀君』
『うりうり、嬉しいかの京太郎』
『あーほら、京太郎! もっと詰めろ! 入れないじぇ!』
『だー! タコス押すな! 倒れる倒れる!』
――それじゃ、撮りますよー!――
――ハイ、チーズ!――
写真の中では一番前でしゃがんだ京太郎の頭をみんなが撫でまわしたりつついたりしている。
写真の中の京太郎は困った顔をしつつも笑っていた。
皆が皆、とても楽しそうに、幸せそうに笑っていた。
とても、幸せそうに。
『京太郎、お前、麻雀部を……』
『須賀君……』
『すまんかったの、京太郎』
『ごめん、ごめんね、京ちゃん』
床に拳をたたきつけて立ち上がる。京太郎は壁の写真に向かって手を伸ばす。
コルクマットに留められた写真を手に取った。
力を入れようとする。決別をするかのように、それを引き裂こうとする。
「……なんで、できないんだ」
それでも、引き裂くことはできなかった。
嫌な思いをしたはずなのに、辛い思いをたくさんしたはずなのに。
もう部活はやめると決心したはずなのに。
京太郎はそれを引き裂くことができなかった
「くそっ」
写真をもう一度コルクマットに留めた。
そのまま踵を返して、ベッドに腰掛けた。
そのタイミングだった。
ピンポーン、とよく響く音が家の中に響いた。
「誰だ?」
恐らく郵便や宅配の類と考えたが、京太郎の部屋の窓からは玄関が見えないので1階に下りなければ確認できない。
「……別にいいか」
京太郎は居留守を使うことを選択した。
母親からは特に何も聞いていないので重要なものではないだろう、と判断した。
だが、10秒ほどしてもう一度インターフォンが鳴った。
無視をする。
更にもう1回。
無視をする。
更にもう一回。
無視をする。
そしてもう一回。
「あーもう! 誰だよ!」
根負けした京太郎は1階に下りリビングに備え付けられたインターフォンの受話器を手に取った。
「はーい?」
「あっ、宅配便でず。はんごいだだげまずが?」
ワザとらしいほど低い声だった。首をかしげながらもハンコを引出しから取り出し、玄関に向かった。
(腰の強い業者だな、しかし)
そう思いながら、玄関の扉を開けた。
「はいはい、はん、こ……?」
「やっほー、久しぶり。お届け物です」
そこには元部長、竹井久が立っていた。
「部長、なに」
「私はもう部長じゃないわよ」
「……竹井先輩」
1か月近く会っていなかった先輩の登場に京太郎は事態が理解できないでいた。
「なんで俺の家……あーいや、元部長だから知ってるか。そりゃ」
「そういうこと。久しぶりね。元気してる?」
にやにやと、いつもの何かを企んでるような笑みを浮かべていた。
「いや、そうじゃなくて、なんで、俺の家に?」
「須賀君、暇でしょ?」
質問に質問でかぶせる久。思わず言葉を失う京太郎。
「ん? どうしたの? 暇じゃないの?」
「いや、あの質問の意図が……」
「そのままの意味よ? 暇なんでしょ?」
「まぁ、暇、ですけど」
染みついた下っ端根性からくるなにかなのか、反射的に答えてしまう京太郎。
それを聞いて満足そうに微笑むと久は言った。
「須賀君、デートしましょ?」
「……はっ?」
「暇なんでしょ、一緒にどこか遊びに行きましょ?」
「いや、でも」
あまりの内容に思考が追い付かず、あいまいな返事を返してしまう。
「ほらっ! さっさと着替えてきて! 5分以内ね!」
「はっ、はい!」
慌てて踵を返し、自分の部屋に戻ってジャージ姿から私服に着替え始める。
(っていうか何だこれ?)
(何だこの状態?)
(デートって、えっ?)
京太郎はそう思考しつつも久の言うとおりに身支度を整え、玄関に戻ったのはきっかり5分後だった。
「さーって、どこに行きましょうかねー」
「……」
楽しそうな久といまだに納得がいかない表情をしている京太郎が街中を連れ立って歩いていた。
京太郎は久の真意がつかみあぐねていた。
現在の部の状態を誰かから聞いたのだろう。それはわかる。
それを聞いて何かしらの目的をもって訪ねてきたのだろう。それもわかる。
だが、それとこのデートが結びつかない。問いただそうと京太郎は口を開いた。
「部ちょ……竹井先輩、いったい何を」
「あっ、須賀君! ゲーセン行きましょゲーセン!」
指差す方向にはこの辺りでは一番大きなゲームセンターがあった。
問い詰めようとした京太郎の言葉は遮られ、行き場を失った。
「須賀君、ゲーム得意?」
「あ、え、はい、まぁ、好きですけど」
「よし! じゃあ格ゲーやりましょ。最近はまってるのよねー」
「はまってるって……先輩、受験生じゃ」
「あーあー聞こえない。ほら、行くわよ!」
そういいながら久はゲームセンターに駆け出して行った。
何か腑に落ちないものを抱えつつも、京太郎は後を追った。
「……負けた」
ゲーセン内の隅にある休憩スペースで、口から魂が出てきそうな雰囲気を纏わせながら久はベンチに座っていた。
ゲーセンに着くなり最近盛り上がってる格闘ゲームを二人でやったがおおよそ9:1で京太郎が勝利を収めた。
「先輩。不利フレーム背負ってる状況で暴れすぎですって」
「あーその、私ってほら、ここぞって時で悪い待ちをしちゃうのよ。私それで」
「負けてますよ?」
「あぐっ」
「あとなんすか、リバサ投げとか。無敵ついてないですよあれ」
「いや、つい悪い待ちを」
「だから負けてますって」
「うぐっ」
完全にやり込められて言葉を失う久。
京太郎は久のこういう姿を見るのは初めてだったため、思わず笑みがこぼれた。
「ははは、さすがに格ゲーも麻雀のようにはいかないわね」
お手上げ、といった感じで久が笑う。京太郎は久の隣に座ってその言葉に頷いた。
「まぁ、格ゲーは悪い行動をすりゃ基本自分が不利になるだけですからね」
「いやー、難しいわねー」
久は軽く伸びをして立ち上がった。
「さて、ちょっと失礼するわねー」
どこへ、と聞きかけた京太郎は久が向かった方向――トイレがある――を見てあわてて口を閉じ、はい、と返事をした。
「やった! 見ろよほら! 大三元大三元!」
久が席を立ち少し経った後、そんな叫び声が聞こえた。
見れば中学生ぐらいの男子3人が麻雀ゲームの筐体に集まっていた。
「うおーすげー!」
「やるじゃん!」
「すげーだろすげーだろ!?」
アガった本人も友人もとても楽しそうにはしゃいでいた。
その笑顔は京太郎にはとても眩しく見えた。
「私もあんな頃があったわねー」
「あっ、ぶ……先輩、おかえりなさい」
ただいま、と返事して久はふたたび中学生達を見た。
「初めて役満あがった時とか興奮のあまり卓に足をぶつけちゃったぐらい」
「あ、俺もです。ネト麻ですけど……。深夜に叫んで親に怒られました」
「ふふ。みんな同じね。でも、だんだん、勝つことしか考えなくなってくるのよね」
当たり前の話だけど、そう結んで久は寂しげに笑った。
「最初は麻雀が打てるだけで楽しかったのにね」
京太郎はその言葉に返事を返せなかった。
最初のほうは三色や一通が上がれただけでうれしかった。
初めてメンチンをあがった時は何度も何度も待ちを確認して恐る恐るあがった。
役満を聴牌した時など、ひきつった顔をしてしまい、皆に笑われた。
負けても笑っていられた。勝てなくても笑っていられた。
少なくとも入部したころはそうであった。
いつから、そう思い始めていたのか。
思い返してみると、意外と最近なことが分かった。
(そっか、そうだったんだな)
長野県大会を優勝し、インターハイでも優秀な成績を残したメンバー。
表彰されインタビューを受けている5人を見て嫉妬の心がなかったと言えば嘘になる。
だが、京太郎はそれ以上に思った。
(自分もあそこで、あの横に並んで立ちたい)
(舞台の上でで強豪たちと渡り合い、立ち向かっていく)
(その一打で観客を魅了し、驚かせ、感動させる)
(そんな存在になりたかった)
(そして、仲間と、一緒に並んで立ちたい)
(そう思ったんだった)
(そこからだったんだな。勝ちたいと願い始めたのは)
(強くなりたいと願い始めたのは)
(皆がいて、俺にとって大好きで憧れの皆が居たから)
(そう、思ったんだった)
はい、とりあえず一旦ここまでです。
本当は久さんとのデート終了までを書ききるつもりだったんですが土壇場でどうしても直したいところが出てきてしまいやむなく一旦中断とします。
というわけで久さんとのデートはまだまだ続くよ!
一旦乙ー
しかし、投下する前にちゃんと読み直しているんですがやっぱり誤字脱字誤変換、
その他もろもろ文章のおかしいところが残ってる現実。
投下するまで頭があったまっちゃってるから節穴になってるんやな……。
一晩おくといいいって言うけど書いたものを早く投下したいのも心情でございます。
言葉が足りませんでしたが、2時ぐらいまでに投下がなければ本日の投下はもうないと思ってください。
よろしくお願いいたしますー。
おう2時までまってるでー
2時になってませんが先に宣言します。
やっぱり無理だったー! 直そうとすると全体的に崩れてくる悪循環。
もうちょっと腰を据えて直す必要がありそうなので先ほどまでの分で本日の投下は終了とさせてください。
乙です
おつー
京ちゃん復帰フラグがw
だらだらしない為だとは思うが、
気持ちの切り替えはえーw…羨ましい
乙ー焦らずゆっくりでええんやで
ゆっくり自分のペースで書いてくださいな
乙
おつー
短編も自分の筆の赴くままに書いてくれてええんやで?
いずれ全部書いてくれれば(ゲス顔
アレだな京ちゃんが久しぶに入れ込んで、結局ぶに来ないてきな
京ちゃんが久に挿れる?(難聴)
難聴でも何でもなく何を言いたいのかわからん
>>164
復帰フラグ? どうやろな(ゲス顔)
バットエンド期待
京太郎が完全に離れたせいで
麻雀部の空気が劣悪になり狂っちゃった咲さんも見てみたいなー(ゲス顔)
京太郎「皆さん、お世話になりました」つ退部届
皆「……」
京太郎「それで……麻雀部ってマネージャー募集してたりしませんか?」つ入部届
皆「……!」
こういう展開ってありそうで無いよね
もつものって意味だとのどっちが一番もってると思う
いやおもちじゃなくて作者補s
イッチのゲスフェイスに期待が天元突破
持つものには持たざるものの気持ちを存分にに味わってもらえう、どいしようもない現実というやつを(ニッゴリ)
京太郎「あの世でオレにわび続けろ、咲ィィーーッ!!」
↓
咲「私は…魔王……魔王、宮永…裂!!」
軽く飲んできたら終点まで寝過ごしていく立ち回り。
なんとか24時~24時半までには。
いろいろ肉づけしたり書き直したりしたせいで完結は土日まで食い込みそうな予感!
ほんとは今日終わるはずやったんや……
まってるでー
完結してくれるなら文句はないのぜー
さて、ここからどうなるのやら…
一旦投下しますー。
今日中に続きを投下するかは未定ですので今日はこれっきりかもしれません。
ところで全く関係ないですけど、すばら先輩の後輩になるとあれですよ。
最初のうちは麻雀で勝つことが目標で頑張ってるんだけどだんだんすばら先輩に褒められたくて頑張るようになる。
先輩に「すばらですね」って言われたくて頑張るようになる。そんな魅力があると思います。
「どうしたの、須賀君?」
ぼうっ考え込んでいた京太郎は久に声をかけられて我に返った。
気がつけば中学生たちも居なくなっていた。
「大丈夫です、すみません」
「ふーん……」
久はそれを聞いて何かを考えた後、いたずらを思いついた子供のように笑った。
「須賀君、あれ、やってみない?」
「えっ?」
久が指差す方向には先ほどまで中学生たちがプレイした麻雀ゲームの筐体があった。
全国のゲームセンターに設置されており、日本全国のプレイヤーと対戦できるそのゲームは
なかなかの人気を誇っている。
麻雀の内容だけを見ればネット環境が整っていれば無料でできるネト麻とさほどさほど変わらないが、
ポイントをためてアバターを着飾らせたりチームを組んで対抗戦をしたりと多様な機能が揃っている。
京太郎も何度かプレイしており対応のカードも所持していた。
「考えてみればしばらく須賀君と打ってないしね。どれぐらい須賀君が上手くなったのか見てみたいわ」
「いや、でも」
今は麻雀から離れている、そう言って断ろうとしたが久に手を引かれて言葉が打ち切られる。
「いいからいいから。あれもネト麻みたいなものでしょ? だったら気楽なものじゃない。ねっ?」
そう言いながら京太郎の腕を掴み引っぱった。流されるように京太郎は立ち上がり、筐体に向けて歩き出した
なぜか強く断れない自分に京太郎は首を傾げつつ筐体の椅子に座った。
「さっ、早く早く」
そう言いながら、久も隣に座る。
こういった筐体はに備え付けられた椅子は狭い。
詰めれば2人座れないことはないが、必然的にかなり近い距離で座ることになる。
少し身じろぎすれば肩が触れ合う距離。
京太郎は思いがけない事態に激しく動き出す心臓の音を感じていた。
(部長、やっぱいい匂いするなー……って、いやいや! なに考えてんだ!)
邪な考えを振り払いながら京太郎は筐体に100円を投入した。
そんな京太郎の心中を察しているのかしないのか、久は楽しそうに見ていた。
自分のカードを読み取らせ画面をタッチして対局メニューに進む。
10数秒ほど待つと程なくメンバーが揃い対局が始まった。
派手な演出とともに牌が配られる。2シャンテン、と小さく文字が表示されていた。
「さすがお金かけてるだけあって派手ねー。しかもシャンテン数まで出してくれるんだ」
「えぇ。というかこのシリーズ、演出がどんどん派手になってくんですよね。派手すぎて初めての人は大体驚きます」
そう言いながら手の中でポツリと浮いていた北を切り出す。
淡々と場が進み7順目。
『京太郎手牌』
456m34678s34p西西 ツモ5p ドラ9s
画面上ではリーチというアイコンが激しく点滅している。
特に悩みもせず京太郎はそのアイコンを押してリーチをかけた。
「……へぇ」
「え? 何かおかしかったですか?」
「いや、そういう手をリーチ出来る子だったのね、須賀君」
くすくすと笑いながら久は画面を指差す。
「てっきり、麻雀は三色だ、とか言いながら345の三色の手代わりを待つかと思ってたわ」
「ぶち……竹井先輩の中で俺はどういうイメージなんすか」
心外だ、と言いたげな表情をして画面を指差した。
「単純計算、手代わりの4枚とあがり牌の8枚じゃ確立が違いすぎます。確かに平和のみですけど、この麻雀赤がありますし」
そこまで言ったタイミングで画面が暗転し2索を引いてきて、手元のアガリボタンが激しく点滅した。
それを軽く叩きアガリを宣言する。
「平和手、特にこんな順子が被らない平和は」
画面の中で裏ドラがめくられる。表示された裏ドラ4萬だった。
「裏ドラの期待値が高いですからね」
メンピンツモ裏1で1,300-2,600のツモアガリ。なかなかの好スタートだった。
「はぁー、須賀君から期待値って言葉を聞くことになるとはねー」
「なんすかそれ。まぁ、和の受け売りですけど……」
そこまで言って軽く心がきしんだ。
その痛みを振り払うように画面に目を向ける。
ちょうど親番である東2局の配牌が配られたところだった。
『京太郎配牌』
12244689s45p西北北白 ドラ6p
少し手が止まった後、西を切り出す。すると隣でへぇ、久の呟きが聞こえた。
「染めに行かないのね。ぱっと見た目染め手の手配だけど?」
「一応、点数的にはリードしてますからね。確かに染めに走れば仕掛けられますけど」
場に北が打ち出される。それをスルーして話を続けた。
「北ポンしたところで形は苦しいですし、ドラの受け入れ切ってまで行くほど見込める点数が高いわけでもないですから」
だったら、といいながら画面に目をやる。3索をツモり、少し考え白を打つ。
「普通に平和なり何なり作ったほうがいいと思うんです」
これは染谷先輩の受け売りですが、と付け加えて画面を操作していく。
2順ほど端牌をツモ切り、赤5萬を引き当てた。
『京太郎配牌』
122344689s45p北北 ツモ【5】m ドラ6p
3秒間ほど考え、9索を切り出した。
「一通も見ないのね?」
「タコスにお前は一通という役を忘れろと言われましてね……」
次順で7萬を引き打2索として手配はこのように変わった。
『京太郎手牌』
【5】7m1234468s45p北北 ドラ6p
「あと一息ってところね」
「えぇ、愚形が残る可能性が高いですが……それでも」
次順、5索を引き打8索。
さらに2順ほど場に切れた字牌引きで空振るがついに聴牌となる牌を引き入れる。
『京太郎配牌』
【5】7m1234456s45p北北 ツモ3p ドラ6p
「残念。安めな上に愚形が残っちゃったわね」
「えぇ、でもこれは」
「即リーね」
「はい」
1索を場に打ち出してリーチ宣言をする。
「うん、よく捌ききったわね。偉い偉い」
まるで子供をあやすような声で京太郎を褒める久。若干むくれながらも、京太郎は口元をほころばせた。
その後、6萬を引きあがり、裏ドラも乗せて4,000オールをあがったのはそのすこし後であった。
「ほんと、大分練習したのね。かなり上手くなっていて驚いたわ」
ゲームセンターにほど近いファーストフード店で二人は向かい合って座っていた。
そんな久の言葉に京太郎はコーラをすすりながら気のない返事をする。
「そうですか?」
あのあと数回プレイしたが、結果すべて1~2位で終わることができた。
京太郎の段位が初段から2段に上がったタイミングでゲームセンターを出てこうして昼食をとっている。
「えぇ、前みたいに何でもかんでも押したり何でもかんでも下りたりってそんなこともなかったし」
久は手元のポテトを口にくわえて言葉をつづけた。
「手役を無理に追いかけることもなくて、素直に打っていたしね」
「そりゃ、まぁ、基本じゃないですか」
「その基本がちゃんとできていない人がいるのよ、意外と。きちんと自分の打牌に理由を持っている人なんてさらに少ないものよ」
それでも納得がいかなそうな京太郎は首をかしげた。
「でも、よかったわ。ほんと」
カップのふちを何気なく叩きながら久はどこか嬉しそうに言った。
「須賀君、麻雀のこと嫌いになったわけじゃなかったのね」
「えっ?」
その言葉に京太郎はぽかんと口を開けた。
「まこからいろいろ聞いたけど、須賀君が麻雀を嫌いになってしまったんじゃないかって、心配だったのよ?」
「……やっぱり染谷先輩から話を聞いてたんですね」
「えぇ、そうよ」
「じゃあ、今日俺を連れ出したのも……」
俺を引き留めに来たんですか、と続けようとしたところで久は言葉を遮った。
「それは違うわ。私は須賀君と話がしたかっただけ。ここの所会ってなかった後輩とね」
「……」
どこか訝しげな表情で京太郎は久を見る。
「あら? 信じてくれないの?」
「何か裏がなきゃ竹井先輩が俺をデートになんて誘ってくれるわけないですからね」
「ははーん、裏があると思って、本当のデートのお誘いじゃなくて拗ねてるのね?」
「違いますっ!」
(だめだ。やっぱりこの人には敵わない。どうしてもペースを乱されるし、なぜか言われたことに従っちゃうんだよなぁ)
心の中で京太郎はぼやいた。無論、実際に口に出すとさらにからかわれるので言わないが。
「ふふっ、でも話がしたかったっていうのは本当に本当よ」
佇まいを直し、笑みは浮かべたままだがどこか真剣な雰囲気で言った。
「ああいうことがあって、須賀君が麻雀を嫌いになってしまったらとても悲しいことだから、ね」
なんと返していいかわからず、京太郎は黙り込んだ。
「でも、さっき麻雀を打ってる姿を見て確信したわ。須賀君はまだ麻雀を嫌いになっていないって」
だって、と一拍おいて本当にうれしそうな笑みを浮かべていった。
「私に打牌の説明をするとき、裏目を引いちゃって悔しがっているとき、欲しいところを引いてきたとき」
ふふ、と久は小さく笑った。
「本当に、楽しそうだったわよ。須賀君」
(そう、だったのか?)
(嫌いになった。いや、嫌いになったはずだ?)
京太郎は自問自答する。だが、霧がかかったように自分の本心が分からない。
「『何切る』な手になった時にいろいろ説明して切った後、想定通りに引いてこれた時とか、須賀君すごいドヤ顔してたわよ」
「ま、マジですか」
全く記憶のない衝撃の事実に京太郎は思わず顔が熱くなる。
そんな様子の京太郎を見つめて久は楽しそうに笑った後、さらに言葉を続けた。
「でもね、それ以上に嬉しかったのは」
「須賀君がみんなのことを嫌いになってないっていうこと」
「それが本当にね、本当に嬉しかった」
沈黙が二人の間に流れる。
京太郎はその言葉に対して言い返そうとした。
(嫌いだ。嫌いになったはずだ)
だが、その言葉が出ない。言い返す言葉が見つからなかった。
その様子を見つめながら、久は言葉を続ける。
「須賀君が何かを説明するとき、誰々に教わったことって必ず付けていたの、気が付いた?」
「えっ?」
「ふふ、やっぱり無意識だったのね。その時、どこか誇らしげにしてたり、申し訳なさそうな顔、してたわよ」
「……そこまで、見てたんですか。俺が打ってるの見てるだけなのに妙に楽しそうだな、とは思いましたけど」
「それだけ表情がコロコロ変わってればね」
恥ずかしそうな、ばつが悪そうな顔をしながら京太郎は下を向いた。
「嫌いな人の名前をあんな風に言うはずないものね。ほんと、嬉しかったわ」
再び、沈黙。
久は京太郎の言葉を待っているようだ。
「でも……」
「うん?」
「それでもあいつらと麻雀打つのがつらいのは、事実です」
拳を握りしめる。あのときの無念さが京太郎の心に蘇ってきた。
「勝てなくて、どれだけ打っても勝てなくて」
「みんなも俺のために力を尽くしてくれて。それでも勝てなくて」
「差を、見せつけられてるみたいで、本当に、つらいんです」
絞り出すような京太郎の独白を久は黙って聞いていた。
黙りこくってうつむく京太郎を見て久は周りを見渡した。
「……混んできたみたいね。一旦出ましょ?」
「……はい」
京太郎は暗い顔のまま、久は何かを考え込むかのような顔で店を後にした。
店を出て久はどこかに向けて歩き出す。
京太郎は虚ろな表情で着いていく。
繁華街から離れて徐々に物静かになっていくが、2人とも何も言わずに歩き続けた。
しばらく歩いた後、久は手元の時計で時間を確認し、後ろを振り返った。
「……まだ少し時間あるし、ちょっと座りましょうか」
久が指し示すほうには公園があった。
「……何か予定でも、あるんですか?」
「いいからいいから」
暗い顔で尋ねる京太郎を押し切り久は公園に入って言った。
京太郎は少し立ち尽くしたのち、黙って後を追った。
「休みだっていうのにほとんど人がいないわねー。最近の小学生は外で遊ばないのかしら?」
久は公園に入るなりブランコに座って漕ぎだしながら言った。
京太郎は何も言わず隣のブランコに腰を掛けた。
「ねえ、須賀君。いくつか聞いてもいい?」
「……どうぞ?」
「麻雀って中国で生まれて日本に来て、それから世界的な競技になったけど、なんでそこまで世界的に広がったと思う?」
「なんでって、そりゃ、面白いから、とか、楽しいから、ですか?」
「ふふ、それが真理だと思うけどね」
久はブランコを小さく揺すった。きぃきぃと、金属のこすれる音が響いた。
「須賀君、貴方将棋やチェスはできる?」
「えっ? まぁ、駒の動かし方ぐらいは……」
いきなり質問の内容が変わり京太郎は動揺しながらも答えた。
「じゃあ、貴方今から今から羽生プロと将棋を指して勝てると思う?」
「何を……そんなの無理に決まってるじゃないですか」
「そうよね。私も将棋に関して駒の動かし方ぐらいだけど、8枚落ちでも絶対に勝てないわ」
久の質問の意図がつかめず京太郎は首をかしげた。
「でも、麻雀は違うわ。どんな強い人間でも初心者を負けることはある」
「……」
京太郎にとってはその言葉については納得しかねるものがあったが、口をつぐんだ。
「麻雀は運が絡むからね。そう、だからつまり」
ブランコを揺する手を止めて久は京太郎に向き直った。
「麻雀ってクソゲーなのよ」
「……えっ」
まさかの発言に京太郎は思わず声を漏らした。
「く、クソゲーって、そ、そんな」
「あら? 勝負の行方がある種運に左右されるなんてクソゲー以外の何物でもないじゃない?」
どこか楽しそうに久は言った。
「じゃあ、須賀君。さっきやった格闘ゲームなんだけど、私が振った攻撃が2分の1でガード不能になるって言ったらどう思う?」
「……クソですね」
「攻撃をガードされた時、2分の1で不利だけど2分の1で有利なら?」
「とってもクソですね」
「でしょ? まぁ、極端な例だけどね。将棋だってそうよ。最初にじゃんけんして負けたほうは飛車角落ちでやるとか、酷い話でしょ?」
「そりゃ、まぁ」
「でも、麻雀ではそれがまかり通っている。最初のスタート地点も違う。途中経過も違う。かといってカードゲームのように降りてゲームから離脱することもできない。クソゲーじゃない。これ?」
「いや、それを言っちゃうと……」
「でもね」
久はブランコから軽くジャンプして着地し、伸びをした。
そして笑みを浮かべながら京太郎に向かい合う。
「だから面白いのよね、麻雀て。クソゲーがつまらないとは限らないとはよく言ったものね」
楽しげに笑う久。京太郎は返事を返さず、そんな久を見つめた。
「麻雀って強い人が勝つとは限らない。そんな理不尽さがあるから楽しいと思うの」
「確立を超えた、計算を超えた何かがある。そこから生まれる何かがある」
そこまで言い切って、久は真剣みを増した表情で、続けた。
「その理不尽さ。それにはきっと誰にもかなわない。咲も、お姉さんの照さんも、天江衣も誰も彼も」
「……そうでしょうか? 正直、想像がつかないです」
咲が麻雀を打っていてツモが全く来なくて嘆いている、そんなシーンが想像できなくて京太郎は久に問いかけた。
「気持ちはわかるわ。彼女らのオカルトめいた『何か』はきっと人間がその理不尽に対抗するために生まれた『何か』なんだと思う」
「理不尽に、対抗する『何か』……」
「ある種の進化なのかしらね? だから通常では考えられないような手をあがる。勝ち続ける」
でもね、と一旦間を切ってどこか悲しそうに、どこか寂しそうに
「それでもきっと理不尽なそれに屈するときがある。もし、もし、強い人が必ず勝つ。そんなことがあれば」
ため息をついて、言った。
「それはもはや麻雀ではないわ」
「もちろん、技術や知識は必要よ。麻雀は確立のゲームでもあるから」
しばしの沈黙の後、久はそう言葉を続けた。
「だから強くなるためには勉強や訓練が必要なことも事実。だから」
久はブランコに座ったままの京太郎の前にしゃがみ込み、京太郎の顔を覗き込んだ。
「信じて戦い続ければ麻雀の理不尽さが味方してくれる時が、きっと来るわ」
「たとえ須賀君が対抗するための『何か』を持っていなかったとしても」
「『何か』をもっていなくても麻雀は勝てる。もたざるものでも、もつものには勝てる」
そう言って、久は京太郎の腕を優しく撫でた。
「私はそう信じているわ」
はい、一旦ここまでです。
おかしい、部長のデートだけで2日費やしている……しかもデートはまだ終わっていないという事実。
とは言ってもあとちょっとですが。
何とかデート終了まで今日中に書き切りたいけど時間的にきついのであまり期待しないでくださいー
乙
乙です
乙
余計へこむわ、こんなん言われたら
と思った俺は捻くれてるな
おつー
乙
部長も「もってる」人間なのがなんともなぁ
乙っす
乙ー
おつ
乙ー。
なんとなくだが、その理不尽さの加護で偶々勝ったとして、それで京太郎は満足できるのかという気がする。
でもそれって皆との間にある差の解消にはなりませんよね? みたいな……
嫌な読み手でゴメン、でも心から期待してます、頑張ってください。。
うーん
ここで「もつもの」な部長が言っていると思うと説得力が感じられないなぁ
良いこと言っているはずなのに
ここから京太郎がどう反応するのか楽しみですね
乙です
でも「もつもの」である部長が言っても説得力がな……
乙。
部長の言ってることは極論すれば「何百回もやれば一回は勝てるはず」だからなぁ。
文字通り運が味方したときだけしか勝てないんなら、それこそ麻雀じゃない気も…
そもそも、その一回を望んだ時にもって来れないから京太郎は苦しんでるわけだし。
やっぱり皆さんそこが気になりますよね……。
なのでデート終了まで書ききるのはちょっときついですけど、明日へのつなぎになる部分を突貫で仕上げました。
緊急で投下します。
「……でも、それって、残酷な話じゃないですね」
俯いていた顔を上げ、久と目を合わせる。顔が近いが、なぜか照れはなかった。
「俺みたいにもってないやつは、もってるやつに1勝するまで、どれだけの敗北を差し出さなくちゃいけないんですか?」
「百か千か万か……俺は勝つためにそれだけ負け続けなきゃいけないんですか?」
「もってないやつってのは、それを受け入れなくちゃいけないんですか?」
「そんなの、俺には……耐えられない」
ブランコの鎖を強く握りしめる。がちゃり、と音が鳴った。
「……」
久は内心歯噛みした。久自身そうは思ってはいない。自分以上の化け物はウジャウジャいる。
そう思っていても、彼からすればもっている人間なのだろう。
心を悔しさに支配されつつも久はバッグから1枚の紙を取り出した。
「須賀君、ちょっと、これを見てもらえる?」
「……なんですか」
打ちひしがれた顔でその紙を取出し、広げた。
「牌譜……?」
そう、そこに書かれいたのは見覚えのない字で書かれた牌譜だった。
「これ、だれの牌譜ですか?」
「いいから、読んでみて」
意図がつかめないまま、言われるがままに目を通した。
「……酷いですね」
5分ほどその牌譜に目を通していた京太郎がポツリと言った。
「感想?」
「えぇ、ここ」
そう言いながら牌譜を指差した。
東1局南家 6順目
『???手牌』
123m22288s12278p ツモ9p ドラ2m
「聴牌しましたけど、打1筒でリーチしてません。個人的には即リーですけどまぁ、それはいいです。問題は次順ですよ」
『???手牌』
123m22288s22789p ツモ4p ドラ2m
「ここでなぜか2筒切りリーチしてます。だったらなんで6順目でリーチしないんですかね? 同じ3筒待ちなら6順目に2筒切りでリーチできるのに」
和に見せたら絶対に叱られますね、そう結んで牌譜を久に返した。
「ふふ、ありがとう。須賀君も言うようになったわね」
牌譜をしまいながら久は笑った。
「で、結局誰の牌譜なんですか?」
「これはね、これから会う人の2年前の牌譜よ」
そういいながら久は立ち上がった。京太郎の返事を聞かずに歩き始める。
「さっ、行きましょ?」
「へっ、行くって、会うって……」
その声には答えず久は先に進んでいく。状況が理解できないまま、京太郎は久の後を追った。
「先輩、いい加減にどこに行くか、誰に会うか教えてください」
公園を出て10分ほど歩いたところで痺れを切らした京太郎は久に尋ねる。
「もうそろそろよ……ほら、あそこ。もう待ってるわね」
久が指し示す所には古めかしい雀荘が立っていた。その前に一人の髪の長い女性が経っていた。
久はその女性に近づき声をかけた。
「お待たせ。今日はごめんなさいね、急に」
「何、ついでといえばついでだ。で、そっちの彼が?」
「えぇ、私の後輩の須賀京太郎君」
髪の長い女性が京太郎に向き直った。
京太郎はその女性に見覚えがあった。
(長野県大会決勝のあの舞台、咲と戦った)
「初めまして。須賀君。私は加治木ゆみ。よろしく」
(鶴賀学園の、団体戦大将!)
京太郎は、思わぬ出会いに言葉を失った。
明日へ続く!
っていうか明日に回さず最初っからここまで書けばよかった。
読後感違いすぎやがな
おーつ
明日も期待
乙
お、ここでかじゅ来たか
しかし元部長の人脈は広いなww
さらになんかきてたー!
やっぱこういう話はかじゅにしてもらわないと!!
乙~
麻雀だからなぁ
練習したり、誰かに話聞けばいきなり強くなれるってもんじゃないんだよなぁ
リアルな話もってない奴がもってない状態のまま、怪物級相手に勝利もぎ取るとすればもうサマしかないんじゃね?
すり替えとガンつけなら電卓でもいけるし、あとは…手術して指に電極仕込むとかよ
まぁ咲世界だから、全局役満狙い続ければいつか全局役満手が入るようになるかもだけど
乙。
かじゅ登場。でも結局彼女も魔物には勝ててないしなぁ。
ある程度追い詰めるだけならここの京太郎もやってるわけだし。
その辺をどう語るのか気になるところ。
衣や咲相手に、隙を付いて少し反撃は出来たけど、結局勝ち目は無かったからなぁ
照もすこやんもそうだけど、下克上出来た例が無いのが辛い、なんだかんだで勝つべくして勝ってるシーンしかないからね
咲や衣みたいなわかり易いオカルト程じゃないけど、和とかの上位陣もツモや手牌が良くなるみたいな見えないオカルト持ってそう
じゃないとデジタルだけでミドル優勝やイカサマみたいなオカルト相手にある程度渡り合うなんてできないしね
おつ
京太郎から見てみればかじゅも持ってる側の人間か
牌効率が完璧ってのもオカルトの類だからね
雀歴の違いで割り切れないものか
咲はブランクあるとはいえそれこそ幼少期からやってるような和とかオカルト持ってないからこそデジタルの極地な訳だし
高校から始めて丸一年、対外試合も無しの元初心者がちょっと努力した程度で全国区で勝てる訳あるまいに
しかも試行回数が一年未満とかただの甘えだろ
根気良く続けたからこそ花開く物もあるよなぁ
ただ男の子にはくだらないプライドってのがあるから、簡単に受け入れ難いもんがあるよね
乙
経験に関してはかおりんって例があるからどうしようもない
初心者に毛が生えた程度の実力なのはわかってても
毎日全国区の実力者にフルボッコされてりゃそら萎えちゃうって
自分が強くなったって実感がまるで湧いてこないんだし
同じ初心者クラスの仲間か同性の奴でもいれば愚痴なりなんなりで多少は傷は癒せたかもしれんが
女ばかりの部活でただ一人の男子って傍からみればハーレムかもしれんが結構しんどいぞ?
実際オカルトじみた天賦の才に勝とうと思ったら、経験と気持ちで勝負するしかないもんな
それでも負けてしまうからオカルトなんだけど……
このまま部に残るか、別の場所で麻雀修行するか、それとも麻雀そのものをやめてしまうか……
いずれにせよ痛みの残るエンドになりそうだな
>>221
だからってそういう奴らを相手に一ヶ月打ち続けて一回たりともトップ取れないなんてそれもう麻雀じゃないだろ
いや咲世界的には至ってまっとうな麻雀なのかもしれないけどさ
かじゅは…どうだろうな、魔物には勝ててないからこそ京太郎の希望になり得るんだろうか
現状で部活に復帰させてもボコボコにされるのは変わらないんだから復帰させない方がいいような…
部長の説得で麻雀自体が嫌いではない事に本人が気づいたわけだし
まこが雀荘で働かせて経験つませるとかの方が京太郎のためになるんじゃないの?
レジェンドの麻雀教室がわりとマジでお勧めだったりするかもしれない
イッチのゲス顔から、
咲達困る→久がまかせて→傷心中な京ちゃんが優しくされて久に惚れる→京ちゃん咲に久先輩に惚れたと相談する→咲「あれ?先輩京ちゃんを説得してくれたんじゃあ…」→覚醒→京ちゃん久に告白しようとするが久の気遣いが麻雀関連と分かり絶望→咲と久が衝突→京太郎と照結婚→HappyEND
と想像した俺はまちがいなくゲスだった
>>229
それでスレ立てたら見にいくわ
はよ
>>229
スレ立てあくしろよ
役も覚えてないし点計算もさっぱりな妹尾相手でも能力なきゃ勝てない現実
京太郎とやったら一発で心折れる
>>229
読みたい
咲世界の麻雀は、部長の言うところのクソゲーじゃないからなぁ。
運も関わってくるといいながら、実は運で勝敗が決まるケースはほぼありえない。
能力・経験・技術。これらが複合しての「実力通り」の結果しか出ない。少なくとも本編では。
というか、運すらも能力の一種みたいな感があるし……そりゃ京太郎も絶望するわ。
京太郎は勝てないことでの葛藤、
咲ちゃんは泣き顔も似合う仕方ないね
上の妄想を書けとな
大会中の和との会話で部員であることをすぐに答えられなかったり、特訓前に嫌な予感してたり、
特訓の初日から強くなれるか疑問を持ったりと、最初の方の段階で既に精神的に不安定だったぽいね、
原因は分からんけど。
いままで限界まで溜め込んでただろうし今更部活に復帰しても同じこと繰り返しそうだよね
部活には戻らないけど、なにかしらのかたちで麻雀は続けたほうが本人にとってはハッピーエンドなのかもね
男子麻雀部作って完全に独立するとか
もうあえて麻雀最強に近いアラフォーと付き合うっていうショック療法でいいんじゃね
アラフォーも若い彼氏が出来て満足じゃね、知らんけど
>>238
ショック強すぎて治る前に死んでしまいそう
麻雀が、っていうか永遠に負け続ける今の環境が嫌になってるだけだしな
もっと普通なメンツとやってればいいよ
飲んで帰ってきたらこんな時間である。
もつ鍋おいしいです。
1時過ぎてしまうかもしれませんが、投下していこうと思います。
もつ怖い
もう京太郎は剣道始めればいいよ、バンブーブレードに移行
__
, ‐' ´ ``‐、 / ̄:三}
. /,. -─‐- 、. ヽ / ,.=j
_,.:_'______ヽ、 .! ./ _,ノ
`‐、{ へ '゙⌒ `!~ヽ. ! /{. /
`! し゚ ( ゚j `v‐冫 , '::::::::ヽ、/ そんなことよりデュエルしようぜ!
. {.l '⌒ ゙ 6',! / :::::::::::::::/ __
. 〈 < ´ ̄,フ .ノー'_ , ‐'´::::::::::::::;/ (_ノ)‐-、
. ヽ.、 ` ‐", ‐´‐:ラ ':::::::::::::::: ;∠. ヽ_} ゙ヽ
,.r` "´ /:::::::::::::::::::ィ´ `ゝ !、 /
/ / :::::::::::::::: ; '´ /´\ / r'\
. i ! ::::::::::::::/ 墨 | .!::::::::/ヽ、.._!ヽ. ヽ、
{ {:::::::::::;:イ / ∥i:::::::/:::::::::::::/ \
. ヽ ヽ,.ァ‐'´ /ヽ 二 ,/`ヽ、::::::::: /
麻雀部に絶望した京太郎が鬼柳さんに拾われてチームサティスファクション入りするのか
裸族になって透華と夫婦漫才するかもよ
須賀、人間辞めるって
キャップに焼き餅焼かれて毎回全裸になってるかもしれないな
途中なんですけどメッチャ眠いです。
寝落ちる危険性が高いので現段階で一旦投下しますー。
>>215
>手術して指に電極仕込むとかよ
個人的にバードはリメイク前のグロイやつも嫌いじゃないです
>>229
スレ立ていつですか?
>>238
/ ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、 .:.::::::::::::::::. / // // ノ (_
.,′. ..: .:: :::::::::::::/|:::::/|:::::/|:| }::ト、:::|::| :::i / / ) ー┬ァ (
: .:::::::::::::|::::|: / j/ j/ j/ V ∨イ::::i| / } ノ |
| .: ::::::::::|::::|/ u | :::i| | ニニ, |
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| .:::|::::::::::::|::::|≫笊气ミ ィ笊气ミ ::::i| | ┼┼ |
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. . ..|:::::| ::! _乂 ,′ V》.. .. .ハノ.:/ j::;′ | |/l/ |
. . ..乂:ト、| ` ´ ̄ }..》.. . . .V /'′ } o o (
. . . . .《{. | |..》. .{. j .} \ ) (
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. . . . . . 《{ 爻=====}><{====|.》 . . } . | \ \\ \ \
「おじさーん、久しぶり!」
自己紹介もそこそこに、久に導かれる形で京太郎とゆみは雀荘内に入った。
店内は若干古めかしかったが落ち着いた内装であり、8卓ほどある卓のうち3卓がが埋まっていた。
「おぉ、久ちゃん、元気にしてたかい?」
店主と思われる初老の男性が笑みを浮かべながら久を出迎えた。
(相変わらず部長の人脈は謎だな)
店主と親しげに話す久を見て前々から思っていたことを再度認識した。
「1卓だね。そっちの卓を使ってね」
「ありがと、おじさん。さ、行きましょ」
そう言いながら、店主が指差した方向に歩き出す久。
ゆみと京太郎は顔を見合わせながらもその後に続き、卓に座った。
「……とりあえず、改めて挨拶させてもらう。私は加治木ゆみ。よろしく」
「どうも、須賀京太郎です。よろしくお願いします」
そう挨拶しながらも京太郎は目の前のゆみについて思考を及ばせる。
鶴賀の大将。咲や衣相手に苦戦しつつも一歩も譲らず喰らいついていたことは京太郎の記憶にも残っている。
特に咲に対してチャンカンの一撃を当てたとことは昨日のことのように思い出せる。
インターハイを通して、咲が放縦した数少ない機会であったからだ。
「しかし、何で加治木さんがここに?」
京太郎の質問を受けてゆみはチラリと久に視線を送った後京太郎に言った。
「何、以前の私と似たような悩みを抱えている後輩が居ると聞いてな。お節介かもしれないが少し話をさせてもらいにきた」
「同じ、悩みって……」
県大会決勝のあの立ち回りを見て自分と同じ人種だとは思えない。
そういう感情が顔に出ていたのか、ゆみは軽く笑った。
「牌譜は、見てくれたか?」
「はい、一応……」
「酷かっただろ? 意味の無いダマから謎の1順まわしてリーチ」
自分のことなのに、とても可笑しそうにゆみは笑う。
その様子に多少申し訳なさを感じつつも京太郎は頷いた。
「それがわかるだけ、2年前の私より君のほうが遥かに上手い。同じ立場なのに凄い違いだな」
「同じ、立場?」
「あぁ、私も麻雀を始めたのは高校生になってからだ。雀暦で言えば2年ちょっとしかない」
その言葉に絶句する。たった2年程度であの境地に辿り着いたというのが信じられなかった。
「まぁ、当時の部員は2人だけだったからな。指導者も居なければ教えてくれる先輩も居ない。いろいろ大変だったよ」
何かを思い出すかのように、遠い目をするゆみ。京太郎と久は何も言わずに言葉の続きを待った。
「その牌譜は私が当時の風越キャプテンと打ったときの牌譜だ。1年生のときに長野県下の麻雀部が集まる交流会があってな」
ため息をつく。苦い思い出なのだろうか、先ほどよりは多少口ぶりが重くなっていた。
「酷い負けっぷりだった。3日間ほどの交流会の中での出来事だったんだが、さすがは名門。キャプテン以外も一人一人が悪魔じみた強さだった」
そのタイミングで店主が3人にグラスに入った麦茶を持ってくる。
ゆみはそれを手に取り軽く口をつけると話を続けた。
「だが当時のキャプテンの強さは異常だった。何をしても聴牌できない、アガれない、トップが取れない。1局で箱を4つ被ったときは泣きたくなったよ」
京太郎の心がざわめく。似ていた。自分の心が折れた状況と。
「一時は麻雀が嫌になった。あんな化け物たちに勝てる気がしなかった。……辞めようとも、思った」
麦茶のグラスをサイドテーブルに置く。
グラスの中の氷がからん、と音を立てて鳴った。
「だが、後からその牌譜をもらってな。落ち着いて、ゆっくりと見直してみたんだが、まぁ、酷い。自分なりにはしっかり打てているつもりだったんだがな」
一呼吸を置いて、京太郎のほうを見た。
思わずどきりとして京太郎は体をすくめた。
「自分には、まだできることが残っている。まだ足りないところが沢山あるんだと」
まっすぐな瞳だった。
凛、という言葉が非常に似合う。
京太郎はそんなことを思った。
「それからは無我夢中だったよ」
そこでゆみは若干自嘲気味に笑った。
「お宅の宮永咲やうちのモモみたいなオカルトめいた『何か』は持ち合わせていないしな」
卓に置かれた牌を1つ取り、手の中でもてあそびながら言葉を続けた
「自分に足りないものは何か。考えて模索して、試行錯誤してそれでも負けてもう一度考えて」
「戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って」
「気が付いたら2年経っていた。まったく、高校生活というのは短すぎる」
はは、と軽く笑ってゆみはふたたび麦茶に口をつけた。
そこまでゆみの話を黙って聞いていた京太郎は初めて口を開いた。
「でも……」
「うん?」
「でも、そこまで足掻いても、咲や天江衣には勝てなかったですよね」
押し殺すような声。思わぬ発言に流石の久もぎょっと口を挟もうとするが、ゆみはそれを手で制した。
「ふふ、事実とは言え君はなかなかきついことを言うんだな」
ゆみが苦笑しながら京太郎に返事を返す。京太郎は頭を下げつつも、発言を取り消すことはなった。
「……すみません。でも俺思うんです。『何か』をもっている連中には何をしても勝てないんじゃないかって」
再び、京太郎の中に暗い感情が戻ってくる。あの苦しみ、あの悔しさが京太郎を苦しめる。
「竹井先輩は信じて進めばきっと勝てる日が来るって、言ってくれました。でも……でも!」
歯がきしみ、握りしめた拳からは血が出そうだった。
「いつ来るかわからないそのために、どれだけ負けて、どれだけ耐えればいいのか……俺には、そんなの無理です」
京太郎の絞り出すような独白をゆみは真剣な顔で、久はどこか辛そうに聞いていた。
「加治木さんは……耐えられるんですか? 高校3年間を費やしても結局持ってる連中には敵わなかった。嫌にならないんですか?」
京太郎はゆみの顔をまっすぐ見て訪ねる。その縋り付いたような視線に何かを感じ、ゆみは答えた。
「耐えられないと言ったらうそになる。やはりあの日は悔しさで眠れなかった」
やっぱり、そうなんですね。そう言おうとした京太郎の言葉にゆみの言葉が覆いかぶさった
「だが」
「私はだからと言って歩みを止めるつもりはない。高校での挑戦は終わってしまったが次は大学というステージでもう一度戦い続ける」
「な、何で」
よろり、と京太郎の体がよろめいた。
ゆみのその口ぶりに一切の嘘は感じられず、むしろ強い意志が感じられた。
「なんで、そんな」
もはや、後半は言葉になっていなかった。
「進まねば、勝てない。闘わねば、勝てない。挑まねば、勝てない。」
「今の私がもう一度天江衣クラスの人間と打っても、勝つのは難しいかもしれない。それでも」
「挑まなければ、負けたままなんだ。私は、勝ちたい。『何か』を持っている連中に勝ちたい」
「私は私が望んだ勝利を手に入れたい。その勝利のために百や二百、千や万の敗北が必要ならくれてやろうと思う」
「この先、無念さに押しつぶされそうになるかもしれない。悔しさに泣いてしまうこともあるかもしれない。絶望のあまりに歩みを止めそうになるかもしれない」
「だが、一度自分が選んだ道、進んでみようと思った道だ。『何か』が無くとも戦って戦って、勝ってみせる」
「そのために、もっともっと足掻けるだけ足掻いて戦い抜こうと思う」
「それだけだ」
京太郎は言葉を失っていた。
目の前にいる女性が自分と同じ人間なのか、そうとまで思った。
余りにも凛としたその姿に京太郎の心はかき乱される。
――挑まねば、勝てない――
なぜか、その一言が心に突き刺さった。
「ところで須賀君」
「は、はい」
唐突に話を振られ、京太郎はびくりとしながらも返事を返した。
「君は今、『何か』を持っていないのかもしれない。だが、それが未来永劫そうなのだと誰が決めたんだ?」
「……えっ?」
「もしかしたら、それは厳しい修練の先にあるのかもしれない。敗北に塗れ、辛酸を舐め尽くした上で手に入るものなのかもしれない」
「い、いや、それは」
それは、考えてもみなかった発想だった。
そういった連中は生まれた時から、気が付けばもっている類のもの。
一種の才能めいたものなのだと思っていた。
「どちらにせよそれは歩み続けなければ、前に進もうとする意志がなければわからないことだけどな」
「……」
京太郎は、それに対して反論できなかった。
と言うわけでいったんここまで。
眠さがマッハだけど書き続けはします。
というか休日のため昼間とかにもふらりと投下するかもしれません。
目標は土曜日中の完結!
おつー かじゅオトコマエ
乙ー
しまった。……やってしまった。
>> 254と>>255の間に1文を挟み忘れた。
乙ー
肝心なところでやらかしたなぁ……
乙。
まあ怜みたいに後天的にってパターンもあるしな。
結局のところ、京太郎の場合は環境が悪かったんや!としかいいようがないわけで。
鶴賀は言ってみれば、気兼ねなく努力できる環境だったといえるし…
乙です
京太郎は清澄じゃなかったら潜在力4を活かせたと思うわ
>163 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 投稿日:2012/12/23(日) 23:36:02.05 ID:2lWY1SWzo
>「否 我々の与える物は全てあの者に与えた。
>我々が奪える物はかの者から全て奪った。
>自分の人生 自分の幼馴染み 自分の信義 自分の忠義 全て賭けてもまだたりない。
>だからやくざな我々からも 賭け金を借り出した。
>たとえそれが一晩明けて鶏が鳴けば身を滅ぼす法外な利息だとしても、
>2年かけてあの男はあの宮永咲と勝負するために全てを賭けた。
>我々と同じ様にな 一夜の勝負に全てを賭けた。
>運命がカードをまぜ賭場は一度!! 勝負は一度きり!!相手は鬼札(ジョーカー)!!
>さてお前は何だ!! 須賀京太郎!」
こっちの京ちゃんはこうならなそうやね
乙
それはそれで面白そうだがな、でも原作では一度も能力者に無能力者が勝っていない件
耐えられないと言ったら嘘になるって文脈からすると耐えられると言ったらでは?
乙
乙ー。部長がこの手のおっさんと知り合いっなのって違和感無さ過ぎて困るwww
かじゅはただがむしゃらに挑むだけじゃなく、衣や咲みたいな化物がいることを十分理解した上で、
「でも少しでもそいつらに有効な打ち方をできるようにあがく」打牌をできるあたりがすごいと思うんだよなー。
これからでも何かを持つことはできるって意見には完全に同意。怜やリザベーションみたいな例もあるんだし。
これから京太郎がどんな方向に向かっていくのか、とても楽しみ!!
>>267
国広くん(震え声)
おつおつ
>>267
順々決勝で巴とのよーはエイスリンに、絹ちゃんは塞に勝ってるから…
まぁそれ以上に能力者が勝ってておこぼれを貰った感じではあるけどな
純粋に力量で勝ったやつは、居ないっぽいよなぁ
>>269
久「当時は若く、お金が必要でした」
>>273
やめーや
おつー
普通に特訓するより何か特殊な力を得るためのオカルトな特訓をした方が効率はよさそう
普段から魔王の気に当てられてる京太郎ならオカルトの発現もそう遠くないはず
おつー
ただ、後天的にオカルトを得られたとしても、
最初からそれがを「もっていなかった」かは誰にも証明出来ないんだよなぁ。
怜だってキッカケがあっただけで最初からあった才能が開花しただけなのかもしれないし。
部に戻ったところで問題解決というわけにはいかないというのが一番の問題のような気がする。
麻雀って負けるから面白いのよ、って麻雀職人が言ってたっけな
負けが有ることと負けしか無いのでは大差有るけどな…
ちょっとラス続くだけでも結構くる
>>272
タコスが能力者だとした場合、合宿で池田が勝ってなかったっけ?
そもそもあの合同合宿で皆勝ったり負けたりしてそうな気がする
これから昼休憩に入るため一旦投下しますー。
今日中の完結に向けて頑張ります。
>>268
ご指摘の通りでございます。
うおー恥ずかしい!
しかし、本当に修正したいなぁ
「っと、すまない。若干責めるような言い方になってしまったな」
呆然とした様子の京太郎を見て慌てて小さく頭を下げるゆみ
「私の言ったことが正しいことなどというつもりは全くない。『何か』については完全に推測だしな」
京太郎は小さくいえ、と返すのが精いっぱいだった。
すると、ここまで黙って二人のやり取りを眺めていた久が口を開いた。
「そうね、須賀君。私は決して部に戻るように説得するために加治木さんを呼んだわけじゃないの」
どこか悲しそうな顔で久は顔を伏せながら言った。
「ただ、須賀君。あなたはこの先のことをどうするかきっと悩んでいると思ったから、貴方に近い人の話をしてもらおうと思ってね……」
(ただ、強烈過ぎたかもしれないわね。正直ここまでの人だとは思わなかったわ……)
久は若干後悔しつつも無理矢理笑みを浮かべて京太郎に向き直った。
「こう言い方はなんだけど……所詮は高校の部活よ。そこまでの苦しみを味わう必要はないと思う。嫌だからと言って辞めたとして、責めるつもりはないわ」
辞める、という言葉にびくりと体を震わせる京太郎。
「ただ麻雀を続けたいというのであれば、いくらでもやる環境はあるわ。なんだったらこの雀荘のアルバイトとしておじさんに紹介してあげる」
客と談笑する店主をちらりと見ながら久は話を続けた。
「もしくは、麻雀は趣味レベルに留めておいて、もっと打ち込める何かを見つけるっていうのもいいと思う。まだ1年生だもの、取り戻しは効くわ」
久は3つの選択肢を示した。
麻雀部に戻るか
麻雀部から離れ別の環境で麻雀を打つか
麻雀とは別の、打ち込める何かを探すか
京太郎の頭の中でその3つの選択肢がぐるぐるとぐるぐると回り続ける。
もはや自分でもいったい何を望んでいるのか、わからなくなってきていた。
ふさぎ込んだ京太郎を見て久は苦笑する。
「ごめんなさい、余計に惑わせちゃったわね。よし、じゃあ、せっかくだから打ちましょうか!」
明るい声で二人にそう宣言する久。
「私は構わないが……」
ゆみはその言葉を受けてちらりと京太郎を見る。
「いや、俺、麻雀は」
「1回だけ! 1回だけだから、ね?」
「でも……」
「ほら、私と加治木さんより順位が上になったらご褒美あげるから!」
「……ご褒美?」
「ふふっ」
途端に悪戯を思いついたような、とても似合う顔をして久は京太郎に顔を近づけて小さく耳打ちした。
「パンツ、見せてあげよっか?」
「!?!?!?!?!?!?」
基本京太郎は欲望に忠実な人間である。
先ほどまでの悩んでいた気持ちはまだ残っていたが煩悩というものが京太郎の中で鎌首をもたげてくる。
慌てた姿の京太郎を見て久は満足げに頷いた。
「よし、須賀君もやる気になったようだし、決まりね。おじさんに人を貸してもらえるか頼んでくるわ」
そう言いながら久は席を立ち、店主に話をしに行った。
「……一体何を言われたんだ?」
店主と何やら話している久を見ながらゆみは訝しげに尋ねた。
「い、いや、大したことじゃないですよ、は、はは」
空笑いをしながら動揺丸見えな姿で京太郎は言った。
ゆみはそれを訝しげに見つつも、話題を変えた。
「しかし、いい先輩を持ったな、須賀君」
「……えっ?」
いきなりの発言に京太郎はぽかんと口を開ける。
「先ほどはついでで来た、と言ったが実は違う。君の先輩に頼みこまれてきたんだ」
何が楽しいのか、笑みを浮かべながらゆみは言った。
「昨日いきなり電話がかかってきてな。私の後輩を助けてほしい。私の言葉では、届かないかもしれない、そう言いながら」
京太郎は黙って言葉の続きを持った。
「同じ長野県内とは言え、ここまではかなり距離があるし、いきなりだったからな。返事をしあぐねていたんだが……」
「何度も、何度も頼んできてな。ある種人を食ったようなところもある竹井があれほど必死になるとは正直想像もできなかった」
京太郎も想像ができなかった。
京太郎の中で久はいつも余裕があり、自分のペースに巻き込んでく。そんな人間だと思っていた。
「まぁ、もともと新生活に向けた下見なんかもあったしな。無理矢理予定をつけてやってきたというわけだ」
そこまで言い切ってゆみは笑いながら、どこか羨ましそうな顔をした。
「いい先輩を持ったな、須賀君。私には先輩がいなかったから、君が羨ましい」
京太郎はその言葉に返事ができなかった。
「お待たせー。メンバーの一人を貸してもらえたわー」
「よ、よろしくお願いします」
恐らく新人なのだろう、エプロンをしてどこか初々しい感じのある女性店員が久の後ろに続いた。
女性店員は全員の顔を眺めた後に、よろしくお願いします、と頭を下げた後、言った。
「全国レベルの人と比べちゃうと私の腕じゃ物足りないかもしれませんが……今日も3連続ラス引いた後ですし……」
「いいのいいの! 今日はうちの1年生も入ってるし、それに」
そこまで言って久は京太郎に向き直った。まるで、京太郎にも同意を求めるように。
「理不尽な何かが、味方してくれるかもしれないわよ」
そう、言った。
(『何か』を持っていなくても、理不尽が味方する……本当に)
(本当にそんなこと、あるのか)
思い悩む京太郎を尻目に、起親決めのサイコロが振られた。
だが、京太郎はこの対局で『理不尽なそれ』を経験することになる。実際にあることだと、痛感することになる。
このタイミング、このたった1回の対局でそれが出たのは偶然か、それとも
神が京太郎を麻雀に引き留めようとしたのか。
店員 25000(親)
久 25000
京太郎 25000
ゆみ 25000
『京太郎配牌』
129m2466s68p東南南白
(萎える配牌だな……)
京太郎は内心ため息をつきながら自分の手をいかに進めるかを考え始める。
だが、しばらく考えていても親の第1打が切られず、ふと店員の顔を見た。
「あ、えーっと、うー? え? え?」
手恰好が難しいのか酷く落ち着かない様子で悩んでいた。
何度も何度も手の中を確認し、じっと見つめた後、震える手で9萬を切り出して牌を横に向けた。
「リーチ……」
震える声で宣言する。
(ダブリーだったのか。天和チャンスだったのかな?)
自分の手を見て即ベタ降りを決定する。とりあえず9萬を切り出し、そのあとは南の対子を落とそう。
そう、京太郎が思っていた時だった。
「ろ、ロンです!」
裏返った声で店員が発声する。驚いた顔で久は自分が捨てた北を見た。
「い、いかさまじゃ、ないです、からね?」
そう言いながら、店員はその手を、倒した。
『店員手牌』
111m333888s444p北
「四暗刻単騎……や、役満です!」
アカン、京太郎が発狂してまう
一旦ここまで。
はい、皆様、「ダブリースッタンとかねーよwww」って思われるでしょう。
わかっています。わかっていますが>>16にも書いた通り、これ、実話なんすよ(震え声)
まぁ、サンマだったというのはありますが、他は実際の出来事です。
ちなみにアガったのがメンバーというのも現実の通り。
振り込んだ下家おっちゃんが「積み込みだろー!」って騒いでました。
そのあとしばらくのおっちゃんのへこみっぷりは見てて気の毒だった……
ああ、そういえばここに書いてある麻雀の描写は実際にあったんだっけ……メゲるわ、こんなの
おつー
形は違うけどつい昨日東一で四暗刻単騎に振り込んだわ……
麻雀の神が京太郎にトドメ刺しに来てるようにしか見えないんですが…
ありえないけどあり得るのが麻雀やからな
上手い下手はあるけどガチでその日の運だと俺はおもうで
振り込んだのは京太郎じゃなくて久じゃね?
こんなん振ったら笑いが止まらんくなるわwww(レート次第だけど)
場の空気は変になるし、一回しかないけど東一役満によるぶっ飛ばしの楽しさは異常
振り込んだの久やで
しかしこんなん見せられてもなぁ
乙。
理不尽があると実証されたところで、その理不尽が降りてくるまで何百回と敗北しないといけないのは変わらないしな。
そもそも、この話の肝って理不尽があるかないかの問題じゃないし。
京太郎はあくまで自分の力で魔物と対等に戦いたいんだから、運が味方して勝って「よし咲たちと対等だぜ」とはなるまい。
「一回」あっという間に終わっちゃったなー(棒)
たまたま一回勝ったところで、運が良かっただけで強くなった訳じゃないしね。
ちょっと捻くれた見方すると持たざる者かわからない店員が勝つとこ見てもなあ
あくまで京ちゃん自身が麻雀で何かを成さないと京ちゃん変われない気がする
つーかこの人の理不尽も一種の能力だろうに……
須賀くんには天を読ませよう(提案)
ダブリースッタンってダマでよくね?
素人ってことを強調するためじゃね?俺も昔は国士をリーチしたことあるし
素人ってことを強調するためじゃね?俺も昔は国士をリーチしたことあるし
正直難しい問題だよな
咲たちのやってる麻雀と京太郎のやってる麻雀って客観的に見ると全く違うゲームにしか見えないもの
勝つべく人が勝つ麻雀と、リアルではどんなに強い人もそれなりに負けるのが麻雀という意味で
自分とは全てがが違うと割り切るのが一番だな
もう京太郎はアブノーマル「公平性」にでも目覚めるしかないんじゃね?
あんまり意味ないだろうけど
どーせ、京太郎は強くならなくて、
「やっぱり、仲間と一緒に打てればいい」って言って部に戻ってくるみたいな終わりなんでしょ
ピンからキリまで大人数いる風越か、能力持ちはいても魔物レベルはいない鶴賀なら京太郎も問題なかったんだろうけどね。
清澄や龍門渕は魔物はいるわ少数精鋭だわ…だし。
>>311
のびのびと成長出来る場所なら三年後には全国行っててもおかしくない潜在能力なんだよなぁ…
なんもかんも環境が悪い
個人的だけど一番悪いのって久だよな
職場に例えたらなにかと理由をつけて新人教育をしない上司って感じがする
ここじゃ成長できないって見限った新人が退職届を出しても阻止しようとするし
勝手に振り回されて久にキレない京太郎は菩薩レベル
京太郎の練習描写全カットされただけで指導はちゃんとやってると信じる。
つまりわるいのはリッツ
部長が2年とかで放置なら戦犯だけど最後の1年だしね この京太郎もある程度理解はあったんでしょ
有終の美を飾るために仲間集めて戦ううっちゃれ五所瓦っていう漫画あったけど名作だったぜ!
もうアレだ
ここの京ちゃんは前世で麻雀の神様のチョンボをバカにして呪われたクチだろ
田舎に行ってタコスを究めようぜ
京太郎なにもせず2位ww
おパンツゲットだなww
ある意味京ちゃん豪運だね、なにもしなくてもおパンツ見れるんだから
ところでパンツって何だ?
>>314
真面目に考えれば総人数6名の文化部の雑用量なんてたかが知れてるし、京太郎もちゃんと部活してたと思われる
それに久が咲や和の育成強化プランを考えてたって点からも京太郎もそういうのがあったっのが自然
そもそも原作1巻時点で役すらあいまいな初心者が超人気競技で勝つなんて主人公でもなくちゃ無理
運とか以前に知識とか駆け引きの技量とかが圧倒的に足らな過ぎる
あっ、勝つってのは夏の予選までのことね
よし、とりあえず一区切り付く所までできたので一旦投下します。
そしてごめんなさい、ゲーセンに格ゲーをやりに行ったら思いのほか熱中してしまってな……
今日中に終わるか怪しくなってきました。なるべく頑張ります。
>>304 >>305
現実ではフリーってこともあり、待ちもよかったからリーチしたんだと思います。
一発裏にチップがある麻雀なので。
考えてみれば話の中ではノーレートなんだからダマでよかったな……現実を反映しすぎました。
店員はそう発生したまま思わず飛び上がり、店長に向かって駆け寄っていった。
――店長、役満、役満あがりました! 四暗刻あがりました!――
――おぉ、そうか。やったねぇ――
――はい! 麻雀初めて4年間、やっと役満があがれました! 麻雀やっててよかった――
そんな嬉しそうな声が背後から聞こえてくる。
それとは対照的に3人の間には沈黙が流れていた。
京太郎はぽかんと、ゆみは何か気まずそうに、そして久は動きが固まったままだった。
「あー、その、なんだ」
沈黙に耐えかねたのか、久の様子にいたたまれなくなったのか、ゆみが口を開く。
だが、先ほど京太郎と話してきたような流麗なしゃべり方とはかけ離れた、はっきりしないものだった。
「その、災難だったな」
京太郎も呆然としていた。ダブリーで四暗刻というのも驚いたが久が一発で振り込んだのにも驚きだった。
「あ、あの、竹井先輩」
京太郎も思わず心配そうに久に話しかける。
しばしの間呆然としていた久ははっ、と意識を取り戻し、無理矢理口に笑みを作って京太郎に向き直った。
「ど、どうだったかしら、須賀君」
「へっ?」
「り、理不尽さ、見れたでしょ。ほら、ね、私の言った通りでしょ?」
本人は余裕を持っているつもりだが、何やら震えている。取り繕ったような笑みを浮かべているが、とてもぎこちない。
最初は店とグルなのかと思った。だが、どう見ても目の前のいっぱいいっぱいな久の姿にとてもそれは感じられない。
いつもは余裕たっぷりで京太郎のことをからかう部長の姿に何やらおかしくなってきて京太郎は思わず口元を抑えて。
「ぷっ、くくくくく」
何故だか、笑いが込み上げてきて、思わず噴き出した。
「ちょ、何で笑うのよ。もう……はぁ、しかし、親役打ったのなんて、いつ振りかしら」
ぐったりと椅子にもたれかかるようにのけぞる久。
「ふむ、だったら二重の意味で貴重なものが見れなたな。これは」
「ぷ、くく。何とか余裕持って言おうとしたみたいでしたけど、いっぱいいっぱいすぎますよ、部長」
「ちょ、やめてよ、もう」
京太郎の言葉を訂正する余裕もないようで慌てる久。
久しぶりに笑った気がする。京太郎はそんなことを思った。
「はー、これは久しぶりに来たわねー。自分で言っておいてなんだけど、どうしようもないときってホント酷いわね」
「あるんですね、理不尽な何かって。役満打ち込んだところなんて初めて見ました」
「まさかこんな形で証明することになるとはね……。私は加治木さんと打ってもらうことで何か掴んで貰えればとおもったんだけど」
「私と須賀君は配牌取っただけで終わってしまったぞ」
ゆみが苦笑する。
「ほんとね」
それに対して久も苦笑で返す。
2人を見つつ、笑みを沈ませながら京太郎は言った。
「でも、これって実力って言えるんですか? こんな感じで理不尽を味方につけて勝っても……」
「それは、本当の勝利と呼べるんでしょうか?」
「勝利よ。間違いなく」
久は京太郎の問いに即答する。
「……えっ?」
「運だけで買ったとしても、それは紛れもなく勝利よ」
「でも、それって……」
「いいじゃない。『何か』を持ってる子たちってのは得体のしれない何かで勝ち続けてるんだから」
久は京太郎の眼を見る。まっすぐな目だった。
「貴方が理不尽を味方につけて勝ったとしてもケチを付けられる謂れも自分の実力じゃないなんて遜る必要もないわ」
「……でも」
それでも、納得がいかない、そんな様子の京太郎に久は続ける。
「だったら、その勝利を足掛かりに自分の納得できる勝利を目指してもう一度戦えばいいじゃない」
そう言いながら、ちらりとゆみを見る。
「そう、加治木さんのいう、自分が望んだ勝利に向けてね。一度も勝てない相手に挑むのと一度は勝った相手に挑むのじゃ、大違いじゃない」
にこり、と笑った。先ほどまでのぎこちなさはない。
「それに、1度の勝利が、何かを生み出すこともあるかもしれないわよ?」
そういって、京太郎の肩を優しく撫でた。
「さて、私は加治木さんを駅に送っていくからここで別れましょ?」
その後、店を出た3人はしばし歩いて駅への分かれ道で久がそう言った。
「いや、俺も行きますよ」
「須賀君の家は反対方向じゃない。大丈夫よ、まだ明るいし」
くすくすと笑いながら久は笑った。
渋々納得した京太郎はゆみに向き直り頭を下げた。
「今日は、ありがとうございました。いろいろ、本当に……」
「いや、こちらも初対面だというのに偉そうですまなかったな」
そういうとゆみは京太郎の肩をポンとたたいた。
「君がどういう結論を下すかはわからない。だが、後悔のない決断をすることを祈っているよ」
「後悔の、ない」
その言葉を反芻する京太郎。こくりと頷いてゆみは踵を返した。
「あぁ。それじゃあ、また機会があったらな」
「須賀君、さんざん貴方をいいように使った私が言っても白々しいかもしれないけど……貴方がしたいようにしてね。自分のために、したいことをして頂戴。……それじゃあね」
そう言い残して、久も踵を返して駅へと歩いていった。
京太郎はしばらく二人の姿を見送っていたが、やがて家に向けて歩き出した。
「今夜は、相当苦しむことになるぞ。彼は」
「えっ?」
駅へ続く道でゆみは唐突にそう切り出した。
「ただ、麻雀が好きなだけというのであれば麻雀部をやめるという結論に達するだろうがな。雀荘のアルバイトを喜んでするだろう。ただ……」
「……そうね。悲しいことにね」
ゆみの言いたいことがなんとなくわかった久はそれに頷いた。
「惜しむべきは清澄の麻雀部に彼と同じレベルで話をできる人間がいなかったことだな。でなければ彼はあそこまで悩むことはなかっただろう」
「そうね、結局彼はずっと心の底でずっと孤独感やわだかまりを抱えていたんでしょうね」
「多分な。無論、竹井たちが彼を除け者にしていたとか無視したことはないだろう。仲間として扱っていただろう。彼もそれはわかっているはずだ」
ただ、と繋げてゆみは何か悲しそうに言った。
「根っこのところで、どうしても割り切れないものっていうのはあるだろう。……仕方がないことだが、悲しい話だな」
それを聞いて、久は複雑そうな顔をして、ため息をついた後苦笑した。
「……あーあ、何か悔しいな」
「? どうした」
久の真意が読めないゆみが訪ねる。
「だって、初めて、今日初めて会ったのに加治木さんはもう須賀君の苦しみを分かっている。彼に言葉をかけられる。それに引き替え」
少し早足になり、久はゆみより少し前を歩きだす。まるで顔を見られたくないかのように。
「私はだめだった。私の言葉はほとんど届かなかった」
「竹井、お前……」
「わかってる。しなくちゃいけないことは須賀君の話を聞いて、少しでも手助けしてあげること。それはわかってる。烏滸がましいことだってのもわかってるんだけど」
立ち止まって、空を見上げる久。ゆみも立ち止まって言葉の続きを待った。
そして、久の口から漏れ出した言葉には悲しさと、寂しさが込められていた
「それでも、それでも先輩として、仲間として……私が彼を救ってあげたかった」
あれから帰宅し、夕食を取りながらも、風呂に入りながらも京太郎はぼうっと考えていた。
あまりにも意識が遠くに行っているため食卓で父と母から心配をされた。
それに対してなんでもない、と答えつつも京太郎はまたぼうっと考えだした。
両親は何か腑に落ちないものを感じつつも、京太郎の様子を見守った
京太郎は枕元の時計を見た。22時を過ぎている。
一日出歩いていた京太郎の両親は疲れからかもうすでに休んでおり、家の中は沈黙を保たれている。
布団に寝っころがりながら天井を見上げる。京太郎の意識は思考の海に沈んでいく。
深く、深く
(どうするか? 今さらだろ、辞めるって決めたんだ)
(俺には加治木先輩みたいに挑み続けるなんて無理だ。無理に決まってる)
(竹井先輩のようにたった1回の勝利を目指して負け続けるなんて嫌だ)
(俺はそんな強い人間じゃない)
(でもやっぱり麻雀は好きだし、竹井先輩の言う雀荘でアルバイトをするっていうのもいいかもな)
(それか、いっそのこともうやめちゃって他の何か……何か……)
何かをしよう、と考えるも、その何かが思いつかず京太郎は苛立つ。
(……麻雀以外の何を始めるっていうんだ。やっぱり雀荘のアルバイトかな)
(あの店、雰囲気よさそうだし、店長さんも優しそうな人だったし、あの四暗刻のお姉さん結構かわいかったし)
(そうしよう。それがいい)
壁の写真が目に入る。
『京太郎、タコス! 力が出ないじぇー』
『おっ、その切り出しはなかなかいいじぇ! よくやったじぇ、京太郎』
(そうと決まれば退部届、書かないとな)
枕元の教本が目に入る。
『須賀君。結果論で語ってはいけません、最善手を打ったのですから間違っていません』
『よくちゃんとオリきれましたね。無理に突っ張るかと思って心配しちゃいました。今の局には100点満点あげます』
(退部届か、どう書けばいいのかな)
隅に置かれた麻雀牌が目に入る。
『そこから鳴いて行くのは感心せんな。愚形が残る上に面子が足らんぞ? 仕掛けるならここか、ここだけじゃ』
『おぉ、その難しい待ちをよく即座に判断できた。よくやったぞ、京太郎』
何かを強く訴える思考に蓋をし、頭の中で蘇る声に耳を塞いで京太郎は立ち上がる。
勉強机にあるレポート用紙と筆記具を手に取ろうとして、それが目に入る。
「……咲」
ぽつりと呟く。
そこには咲がコメントを付けた牌譜がある。
それを無視して、レポート用紙に手を伸ばそうとする。
(俺はもう麻雀部をやめるんだ。だから牌譜を見る必要はもう、ない)
勉強机の上の本棚に置かれたレポート用紙を見つける。
(俺は、退部届を)
そして、手を伸ばし、
(書かなくちゃいけない……ん、だ)
――牌譜を、手に取った。
牌譜は咲の丸っこい字で書かれており、それにプラスして咲のコメントがついていた。
ところどころ妙なイラストも描かれており思わず小さく笑みが漏れる。
『この5索切りはだめ! まずは8筒をきらなくちゃ! 最終形を考えていこうね』
『この6筒切りはすごいよ京ちゃん! 一番受け入れ多いところだよ!』
『京ちゃんよく見て! ドラ表示牌で1枚消えてるから、この中はラス牌だよ! 鳴かなくちゃ!」
『やったね京ちゃん! きれいな三色!』
『難しい待ちだよねー、これ。京ちゃんすぐにわかった?』
「……なんだよあいつ。後半はもはやアドバイスじゃねーじゃん」
牌譜を強く握りしめる。ぐしゃりと、音を立てて紙に皺が寄った。
その時、折れた拍子にちょうど見ていたページの裏側にも何かが書かれていることに気が付いた。
紙を裏返す。そこには4人分の筆跡での落書きがあった。
『大会目指して頑張ろうね、京ちゃん。 一緒に勝とう!』
『咲ちゃん甘いじぇ! 勝とうじゃなくて、勝つんだじぇ! 目指せ全国!』
『ゆーきもまだまだ甘いですね。目指すは全国優勝です。もちろん男子も女子もです』
『うむ。目標は高いほうがいいからな。清澄高校麻雀部一同、頑張っていこう』
「何で……」
牌譜が手からこぼれた。ばさり、と床に散らばる。
それを拾おうとせずに京太郎は立ち尽くした。
「何で……」
『でもね、それ以上に嬉しかったのは』
久に言われた言葉が蘇る。
「何で……!」
『須賀君がみんなのことを嫌いになってないっていうこと』
「何でだよっ!」
『それが本当にね、本当に嬉しかった』
「何で、俺を仲間として扱ってくれるんだよ……」
京太郎は思った。
無視されたほうがよかった。
見下されたほうがよかった。
見捨てられたほうがよかった。
弱いとなじられたほうがよかった。
居ないものとして扱われたほうがよかった。
ただの雑用係と思ってくれたほうがよかった。
体のいい便利屋として扱ってくれたほうがよかった。
だが、彼女らはそうはしなかった。
口では何と言おうとも、彼を対等の仲間として扱った。
どれだけ弱さを晒しても、どれだけ未熟さを露呈しても根気強く指導をした。
たとえ実力に天と地ほどの差があろうとも、彼女らは京太郎を見捨てなかった。
「くそっ、くそっ!」
京太郎は声を押し殺しながら床に膝をつく。
行き場のない感情が心の中を巡り、叫びだしたい気持ちだった。
牌譜に涙が零れる。一粒零れた後は止めどもなく零れ落ちていく。
「見捨てろよ、俺みたいに弱いやつ」
(でも)
「邪魔なだけだろ、ウザったいだけだろ」
(でも)
「大体おかしいだろ、女子の中で男子一人って。追い出せばいいじゃないか」
(そんな奴らだから)
「何で、あいつらは、俺なんかに……!」
(そんな奴らだから、俺も好きになった)
「弱いって笑えばいいじゃないか!」
(麻雀部の仲間が好きだった)
「弱いからって見捨ててしまえばいいじゃないか!」
(皆化け物じみて強いくせに、俺を仲間として扱ってくれた)
「なんで、なんで!」
(だから周りからなんて言われようと)
「なんで!」
(大会前になって打つ機会が減っても)
「なんでなんだよ……」
(皆が好きだったから、ここまで来れたんだった)
そこまでの結論にたどり着いた後、京太郎は押し殺したように泣いた。
麻雀が好きだから、捨てられない。
麻雀部の仲間も大切だから、捨てられない。
麻雀部に戻れば、また負け続け苦しみを味わうことになる。
麻雀をする以上、やはり勝ちたい。
そうすると、ゆみの言うようにただ一つの勝利を目指して夥しい敗北を積み上げる必要がある。
それは平易な道ではなく、苦難の、試練の道。
それでも
「くそっ」
それでも京太郎は
「くそっ……」
その両方を、捨てることはできない。そう自覚した。
何が悲しいかはわからない。何が悔しいかはわからない。何故涙が出るのかはわからない。
「くそぉ……」
それでも、京太郎は部屋で一人、泣き続けた。
はい、とりあえず以上となります。
何とかあと2回の投下で終わらせたい……
乙ー
皆がいい人なばかりに悪いのは全部自分って事が突きつけられるようで余計辛いなぁ……
京太郎が帰ってくることになっても、
誰一人として京太郎の心情を理解できる者が部内にいないってことに変わりはないから悲しい事だな
みんないい人ばかりだから余計に
乙 涙は心の汗だってじっちゃんがいってた
まあ新入生が入ってくると逆に上手くいくかもね
みんな上手い人ばかりじゃ二だろうからそうじゃない人への指導や相談に乗りやすいだろうし
戻るとしても実力つけて勝てるようならないとだけど周りみるとそんなの無理そうだよな
バードのようにサマ極めるかヘルカイザーのように力のため命削るのかしないとどうにもならんな
>>342
部のみんなと対等になるために京太郎が命やら大事なものを削って雀力を得るってSSがどっかにあったな
ところで>>266ってなんでしょうね。
すっごく読みたいんですけど
乙ー
これ見てると麻雀部に戻っても京太郎は辛いままなんだろうなぁ…。
誰が悪いとかじゃなくって、ホント、環境が悪すぎる…。
>>343
それがヘルカイザーじゃね?
この京太郎は恵まれてるな
原作京太郎は世界から存在を否定されつつあるというのに
あれ?パンツは?
仮に京ちゃんが麻雀やみんなのこと好きで戻った場合はそこで物語的にはハッピーエンドなんだろうけど
根本にある問題を解決しないと問題の先送りでもう一度同じ苦汁を味わうだけだろうしなぁ
>>344
ヘルシングパロに見えるけど
どっかのスレかねこれ
麻雀をただするだけで楽しいはずの素人の最初期にろくに牌に触れられず雑用やらされて
勝利至上主義の麻雀見せつけられてたらなあ
まぁ咲達魔物に却本作り食らわせたら少しは一般人の気持ちがわかるだろうな
実力主義かつ体育会系じゃないから後輩が出来ても雑な扱いを受けそうだ
仲間なんだけど 決して分かり合えない
想い想われてるってことだけが支え ベネ!
続きはよ
パンツが見れなかった…こんなに悲しいことは無い…
京太郎が某幻想殺しみたいな能力手に入れればいいんだよ
これなら完全に実力と運だけの勝負にできる
普通の麻雀なら役満に振り込んでも笑いになるくらいなんだが、咲世界じゃまあキツいわな。あれ正直強キャラほど運って何それ状態だし
なまじ腕がマシになってる分、あるラインを越えると地力以外の+αがあるかないかで勝敗が確定しちまう気がするし
オカルトに対抗するにしても、そもそもまず対策ありきっつークソ重い枷がついちまうし。はっちゃんの鬼門とか特にわかりやすい。のどっちはスルーしてたが結果は皆知っての通りだし
ほんと京太郎の救いはどこにあるのかしら
もう轟盲牌覚えるしかない
皆に勝ちたいと思って全国を旅する京太郎があってもいいんじゃよ(チラッ
ちょっとですが24時を迎える前にキリのいいところまで投下しておきます。
結局今日中は間に合わなかったよ……というか今これから投下する分が金曜日に投下する分の予定だったのに……。
>>345 >>349
ヘルカイザーはもちろん既読なんですがああいう文章ありましたっけ?
大変気になるところです。
休日が終わりの月曜日の朝、麻雀部部室には麻雀を打つ4人の姿があった。
だが、雰囲気は心なしか重い。特に咲はひどく憔悴した顔をしていた。
その様子に和は心配そうに声をかける。
「咲さん……本当に大丈夫なんですか」
「ありがとう、和ちゃん。私は、大丈夫だから」
力のない笑みを浮かべながら咲はツモに手を伸ばす。
『咲手牌』
1112444m4567s中中 ツモ中 ドラ2m
手ごたえを感じる中引き。だが、咲の心は全くと言っていいほど弾まなかった。
――お前らと打っていても――
その言葉が蘇ってきて、咲の心がずきりと痛んだ。
何とか点箱に手を伸ばし7索を切り出してリーチを宣言した。
その順は全員現物を切り、咲は一発目の牌をツモる。
『咲手牌』
1112444m456s中中中 ツモ4m
「……カン」
力のない発声だったが、宣言をする。
新ドラ中。だが、それでも咲の心は弾まない。
そして嶺上牌で2萬を引いてくる。
『咲手牌』
1112m456s中中中 暗カン4444 ツモ2m ドラ2m、中 裏1p、8s
「……ツモ。リーチ、ツモ、中、嶺上、ドラ4。4,000-8,000です」
「うげっ、親っ被りだじぇ」
優希が悲鳴を上げたところでまこが咲の上がり形を見た。
そして何やら難しい顔をして、咲に告げた。
「咲……残念じゃが、それはチョンボじゃ」
「えっ?」
咲のあっけにとられた声を聴きつつ、和もそれに続いた。
「咲さん、よく見てください。その形、2444の聴牌形にも、取れますよね?」
「あっ……」
麻雀の基本である、待ちの変わるカンはできないというルール。
確かに見落としやすい形ではあるが、咲がこのようなミスをするということは初めてであった。
「ご、ごめんなさい」
チョンボ料の満ガンの支払いをする咲を見つつ、まこは内心歯噛みしていた。
(やはりこうなったか)
ミスはそれより、咲の全く楽しくなさそうな顔が気になった。
調子を崩すどころか、このままでは咲も麻雀部を離れてしまうのではないか。
咲に渡された2000点を点箱にしまい、そんな不安を必死に抑え込んだ。
「っと、親のやり直しかー」
重苦しい空気の中、優希が牌を落とそうとした、その時だった。
きぃという音を立てて、麻雀部の扉が、開いた。
「京……ちゃん」
一斉に開いた扉に視線をやり、真っ先に口を開いたのは咲であった。
皆が京太郎のほうを見ていた。
4人それぞれが、京太郎に対して言いたいことがあった。
謝りたいことがあった。聞いてほしいことがあった。
だが、誰も口を開けなかった。何かを言おうとしていたのに、言葉が出なかった。
しばらく無言の時が流れる。やがて、京太郎は歩き出し、咲の前に立った。
「咲」
「な、なぁに、京ちゃん?」
どこか、怯えが混じった混じった表情で咲は返事をする。
すると、京太郎は深く、とても深く頭を下げた。
「まず、お前に謝りたい。この前は言い過ぎた。別にお前が悪いわけでもないのに、責めるような言い方をしちまった」
頭を下げながら、押し殺したような声だった。
「本当に、すまなかった。ごめん」
「きょ、京ちゃん、やめて。私が無神経だったの。だから、ね、頭を上げて」
突然の言葉に慌てながらも京太郎に駆け寄り、肩を撫でた。
「……本当に、ごめんな、咲。許してほしい」
「いいの、京ちゃん。本当に、いいから」
涙を流しながら京太郎の言葉にこたえる咲。それを聞いて、ようやく頭を上げる。
そして、今度は全員に向き直ると、大きく息を吸って、何かを決意するように言った。
「この前は、すみませんでした。迷惑かけて、すみませんでした」
全員が、黙り込み京太郎の言葉の続きを待った。
「俺……弱いから、ずっと負け続けて嫌になって、麻雀も何もかも嫌になって、この部活やめようと思っていました」
重い空気が流れる。京太郎のむき出しの感情が込められた言葉に口をはさむことはできなかった。
「でも、でも……」
京太郎の眼尻に涙があふれる。それを必死に堪えようとする。
「やっぱり、俺、麻雀が好きだ。なにより」
だが、堪えられずに、ぽろりと涙がこぼれた。
「この部の、みんなが好きだ。引退した部長も、染谷先輩も、咲も優希も和も。皆のことが、大好きなんだ」
その言葉を聞いて、和が目を潤ませながら口元に手を当てて漏れそうになる声を必死で堪えていた。
「これからも頑張ります。弱い俺だけど、必死で強くなるように努力します」
「負け続けてまた逃げ出したくなるかもしれません。それでも前に進もうと足掻いて見せます」
「みんなに認めてもらえるように……頑張ります、だから、だから」
そこが限界だった。次々と零れてくる涙を隠すように京太郎はふたたび大きく頭を下げた。
「お願いします! 俺をここにいさせてください! お願いします! 散々迷惑かけて都合がいいってのはわかってます! でも、でも、俺……」
「俺は、皆と一緒に、麻雀がしたい……」
それ以上言葉にならなかった。そして何より、それを遮るようにして和が叫んだ。
「やめてください! 須賀君が悪かったとか迷惑をかけたとか、そんなことありません! 私たちが」
和は溢れてくる涙を拭いながら、必死に言葉を続けた。
「もっと貴方のことをわかろうと努力すべきだったんです!」
それだけ言って和は顔に手を当てて泣き出した。
その姿を見て優希は真っ赤な顔で、感情を爆発させた。
「何が居させてください、だ! お前はもともと麻雀部員だじぇ? なんで、そんな頭を下げる必要があるんだじぇ! いさせてください、とか、そんな、そんな」
優希はそれ以上言わず、そういって京太郎にすがりついて泣き出した。
咲もボロボロと滝のように涙を流していた。泣きすぎていて、もはや言葉も出ないようだ。
「全く、優希の言う通りじゃ。麻雀部員の京太郎がなぜここにいることを願い出る必要がある?」
まこがそういいながら京太郎の頭を撫でた。
されるがままにしている京太郎は震えながらも言った。
「だって、俺、辞めるって、もういやだって……」
「ん? わしが聞いているのは京太郎は1週間休むっていう話だけじゃぞ?」
まこは何かとぼけたような口調で続けた。
「それに……和の言う通りじゃ。わし達はもっとお互い分かり合おうとするべきじゃった」
まこは眼鏡を取り、軽く涙をぬぐった後、再び眼鏡をかけて、言った。
「わしもまだまだ未熟な部長。京太郎にまたつらい思いをさせてしまうかもしれん。だが、わしも頑張る。だから」
すうと息を吸い、佇まいを直して京太郎に向き直った。
「もう一度、ついてきてくれるか、京太郎?」
それを聞いて、言葉にならない京太郎は涙声で、震えきった声で、はい、と言った。
麻雀部部室の扉の外。扉にもたれかかる形で久は中の会話を聞いていた。
皆が皆叫んでいるから会話は丸聞こえであった。
「よかったの、かしらね。これで」
(結局須賀君はある意味辛い道を選んだ)
(これが彼にとって幸せなのかどうか)
(彼が選んだ、それを免罪符にして、納得してしまっていいのかしら)
目じりに浮かんだ涙をぬぐいながら久は扉から離れた。
(あぁ、それでも)
(やっぱり、須賀君が戻ってきてくれたことがうれしい)
そう思いながら久は笑顔を浮かべた。
「酷い女ね、我ながら」
歩きながら軽く伸びをしてポケットから携帯電話を取り出した。
「さーて、加治木さんにお礼の電話を入れないとねー」
どこか楽しそうに久はその場を去っていった。
「あぁ、もう、目が腫れちゃったじぇ」
手鏡で自分の顔を見ながら優希がため息をつく
あれからしばし、しばらく泣き続けていた1年生4人はようやく落ち着きを取り戻した。
とは言え、咲はあまりにも泣きすぎて顔が無残なことになっているため和とともにトイレに向かっていった。
「ははは、すまん」
こちらも目が真っ赤になっている京太郎が苦笑を浮かべた。
「全く、犬如きに泣かされるとは一生の不覚!」
「なーにが犬如きだこのタコス娘」
軽口をたたき合う。そういった後、二人で見つめ合った後笑いあった。
こうやって、憎まれ口をたたくのも久しぶりな気がした。
「さて、京太郎も戻ってきたことだし、また部活がんばるじぇ!」
「おう! そうだ、聞きたいことがあったんだが……間四ケンって――」
「読み筋の話か? 間四ケンとかよりまだ裏筋とかのほうが信憑性あるじぇ。というか読みっていう行為自体が――」
麻雀の話をし始める京太郎と優希。
その姿を見てまこは笑いながら決意した。
(もう二度と、こんなことは起こさせん。誰もが負い目を感ずに済むよう。……理想論、無謀な話かもしれんが)
(それでもやってみせよう)
後に、京太郎は思った。
この時初めて麻雀打ちとしての自分が生まれたのだと。
それから一か月、再び京太郎は濃密な時間を過ごした。
新人戦に向け、ただひたすら麻雀を打ち続けた。
「京ちゃん、そこの急所は仕掛けたほうがいいと思うよ。ほら、ここ、ね?」
また、へこたれそうになった時もあった。
「須賀君、無駄な危険牌を引っ張りすぎです。聴牌効率が変わらないなら安牌を抱えるのも一つのテクニックです」
負けが込み、何かを呪いたくなる時もあった。
「京太郎、そこは食い延ばしに行くべきだじぇ……そう、そこだな。とっさに反応できるように頑張るんだじぇ」
それでも、それに耐え、歯を食いしばって京太郎は走り続けた。
「染め手に行くときは匂い消しなぞ考えんでええ。3枚切れの字牌でも抱え込んで染め牌以外はさっさと叩き切るんじゃ」
歯を食いしばり、耐えに耐え、泣き出しそうになりながらも必死に走り続け
「……よし、行くか!」
そして、新人戦の日を迎えた。
ここまで! 泣いても笑っても次が最終回です。
次回「京太郎死す」 デュエルスタンバイ!
なんてことにはならないのでご安心を。多分
鵜呑みにしかけたよ!!!!
京ちゃん勝っても負けてもどうなるのやら
なんかふとスケダンの横断幕の話思い出したわ
なんかご都合主義過ぎだろこれは
おつー
かじゅのフォロワー京太郎。
みんなが好きってのはちゃんと追えた気がするけど、麻雀が好きってのが追えてない気がする
みんなと麻雀をやること、とみんなが好き、は両立しないんじゃないかね
乙ー
おつー
京太郎はむわれない最後が似合うと思う
乙!
なんだけど・・・正直納得いかない
こんなんじゃ定期的に同じ事態になると思うし、モヤモヤが否めない
乙
一度ここまでになってまた同じ事繰り返すならそれはもう周りとか環境以前に京太郎の問題になるだろ
乙
世の中には持ち上げて落とすという言葉がある
傍目には綺麗な展開だから、ここから最後に闇落ちする気がしてならない
乙です
納得いかないところはある
自分がリアルにそって考えてるから、強い人が当然のように勝つ咲世界の理不尽さを受け入れられないからだろうけど
乙です
まあもやもやするわな
乙です
俺もちょっともやもやはするかな。
根本の解決にはなっていないような気がするし。
だけど、ここのイッチならきっとそれを晴らすエンディングにしてくれるって信じてる。
後、ID変わっちゃってるけど、>>345はイッチじゃなくて
イッチの上に返信してたんじゃ…。
紛らわしくてすまん
実はねー。まだ悩んでいるんですよ。
最初はサクサクと書き進められていったんですが、この1週間執筆しているうちに本当にこのエンディングでいいのかって考えるようになって。
今私の中で2種類のエンディングがあって、どちらで行くかすごく悩んでいます。
それによって最終回の文面も変わってくるし、話の持ってきかたも変わるし……どうしたものかと。
そういう時はどっちもやればいいのさ!
両方書けばいいんじゃない?(ゲス顔)
まぁ俺的にはハッピーだったらいいかな
ハッピーかバッドかの二択かどうかは知らんけど
両方とも書いて個別エンド扱いにすれば?
そうすると両方とも少し印象が薄くなってしまうかもだけど
2つとも書いちゃえば良いじゃない(マジキチスマイル
もしくは最後に関する重大な選択だけ安価にするとか
読者が決めた事なんだし、それなら誰も文句を言えないと思う
今の段階から持ってけるエンディングにいけばええし持って行きたいエンディングがあるならそこに持っていくのに段階踏めばいい
無理矢理はよくない。
別に無理に急いで完結させんでもええで?
全部書くか、安価か……。
もう本当に決断できなかったらそうします。
いかんね、ちょいと登場人物に感情移入しすぎました。
おつー
作品としては綺麗な展開と読みやすくすばらです
…物足りなさを感じるのは、安価スレの鬱展開や修羅場もの読みすぎたせいだと思いたい。
こっちも京太郎に感情移入しまくりだからお互い様さww
だからこそ、もやもやするっていう言葉が出てくるんだろうし。
>>387の言っている通り、本当に悩んでいるんなら、すぐさま完結目指さなくても良いと思う。
保守のいらない場所なんだから、イッチが納得できる完結にもっていけるのが一番じゃよ。
京ちゃんの絶望した理由が全く解決してないのがもやもやの理由だろうなぁ
そこが解決しないと長期的に見れば同じことが起こるだろうし
少し目を離した隙にすっごい進んでるwww 嬉しいwww
モヤモヤ感は確かにあるが俺はこれで良いと思う、そう簡単に解決するような悩み苦しみじゃないからこそ
ここまでのことになったというのがあると思うし、急に京太郎が強くなったりして壁なんてたいしたことなかった!
ってのは今までの展開が茶番化すると思うし。京太郎はもともと麻雀も麻雀部も好きだった、という事を踏まえれば、
こういう状況の中で、皆との絆という今確実に存在する喜びを希望として部に戻るというのも自然。
ともあれあと一話、どういう形になるにせよ期待してます!!
三文字で
>>393
面白い
バッドエンドにするのは簡単だけど、グッドエンドにするのは本当に難しい。
だけど、ご都合主義でもグッドエンドはどんなバッドエンドよりも価値があるモノ。
ということで、俺は>>1のグッドエンドを楽しみに待ってます。
乙
グッドもバッドもいらんだろこのSSは
トゥルーエンドこそこのSSには相応しい
強くはなって新人戦では勝てても部活内ではずっと勝てない位がちょうどいい
新人戦一回戦目、打ち方は京太郎より下の素人だけどオカルト持ちの相手に京太郎は負けじと食らいつく
最終局、配牌がかなり良くこれなら逆転出来ると意気込む京太郎、しかし現実は厳しく相手は天和であがる
どんなに頑張ろうともオカルト相手に勝てるわけなかったと絶望する…こんなBADENDですか
ヘルカイザーSSの偉大さ
この京太郎なら、いつものメンバーにボコられても、絶望まではいかん気がするけどな。
京太郎「聴いてください。Mr.Childrenで、hypnosis」
咲さんとか咲キャラのテーマソング決めるとしたら何になるだろう
この流れだと、来年度まではいいんだろうけど、新入生が入ってからがなぁ…
京太郎しか感じてなかった「コイツ場違いだろ」感を客観的に自覚させられる可能性大なんだよね。
なんでこの先輩がこの部にいるの?っていう奴が出てきたらアウトだし。
寧ろ、後輩が出来てからが本番じゃないか?
ここの京ちゃんは真っ当に成長してるみたいだし。
今の京太郎を場違いだって言えるのは魔物勢くらいだと思う。
自分たちが弱いのは1年だから当たり前だけどこの先輩はあの先輩より弱いよねー
実際こんなんよ
>>403
ロクな部に在籍してなかったんだな同情するわ
>>403
いや…男子と女子で、出る大会も違うのに、比較ってするか?
ましてや、清澄は一年を中核に据えてIHに上がってきた化け物校だぞ。
自分たちが弱いのは~なんて言い訳が使えるような環境じゃないと思う。
後、まったく無関係な雑談しまくって申し訳ない。
これもイッチがグイグイと人を引き込む文章を書くからいけないんや!!
ちょっと>>404見て、思考を切り替えてくる。
>>402
俺もそう思うわ 清澄が異常すぎるだけで他の高校ならいて一人かいないのが普通だからな
彰子やムロマホと卓を囲んで慕われて京太郎もそれには満足する
だけど咲たちには勝てなくて苦い思いは常に持ち続けるみたいななんとも煮え切らないENDじゃないかな
いまいちスッキリしないと思うのは京太郎の心理描写ばかりで
肝心の咲達がどう思ってるのかってのがあまり書かれてなかったからじゃね
悪気は無かったとはいえ京太郎の事を理解しようとしてなかったのは事実だし
落ち込んではいたけどどう悪かったのかがわかれば、京太郎が戻ってくるシーンも納得できたかもしれない
おまえら厳しいなww
SSなんだしもっと気楽に読めよww
二重の意味で泣いちまった
年取ると涙腺がヤバいらしいけど俺はまだ高校生だぞ
とても面白かったけど、最後が強引にハッピーエンドにしようとしてる感じがするんだよなぁ。
急展開というか、あっさりし過ぎというか、
これから晩御飯兼休憩をしますので現段階でいったん投下します。
なんというかすごい感想や意見をいただいて感激しております。
ケツ毛を剃る準備をしなければ……。
ちなみに投下中に大量にされるのは困りますが、合間合間にいろいろと意見とか感想を戴けるのは大歓迎でございます。
>>400
あなたとはいい酒が飲めそうだ。
新人戦、会場。
会場内は沢山の高校生でごった返していた。
1年生だけの参加者でこの人数であり、麻雀人口の多さが伺えた。
そんな中、会場の隅の小さな控室で京太郎は自分の出番を待っていた。
女子は強豪として名を知られるようになったが規模的には非常に小規模であり、
男子は無名である清澄高校にはあまり広い部屋が割り振られず、5人が入れば多少手狭だった
そんな控室の中を咲は落ち着かない様子で立ったり座ったりしていた。
「ののの、和ちゃん。お、おトイレ、行っておいたほうがいいかな?」
「落ち着いてください、咲さん。そうです、落ち着くにはまず茄子にカボチャという字を書いて人を呑み込めば」
「のどちゃんこそテンパりまくりだじぇ。とりあえずタコスでも食べておちつくじぇ」
優希はそう言いながらタコスを食べるが具がぼとぼとと横から零れていた。
「ええかげんにせい、全く。昨日は3人とも落ち着いておったじゃろう?」
そんな3人の様子をまこがたしなめた。
女子の部の新人戦は先日に行われ上位3人が全国に行けるという枠をすべて清澄が占めるという快挙を成し遂げた。
その時の3人は実に堂々としたものであり、これから3年は清澄の時代、と地方のローカル新聞に書かれたぐらいだった。
「そ、そうなんですけど、なぜか、落ち着かなくて」
「お前らがそんなんじゃ、京太郎にうつるじゃろう。まったく」
ちらり、と京太郎を見る。
何を考えているかわからないが、目をつぶって何かを考えているようだった。
それを見てまこは少し考えて京太郎に呼びかけた。
「京太郎、わしらは少し外す。試合前になったら、また戻ってくるけぇ」
まこがそう言うと目を開けて軽く笑った。
「すみません、染谷先輩。ありがとうございます」
「うむ。ではまた後でな」
そう言うと、挙動不審な3人娘を引っ張ってまこは控室を出て行った。
イッチガキタデー
おうヨツンヴァイになるんだよあくしろよ(ゲス顔
控室が沈黙に包まれる。耳を澄ませば会場内の喧騒が聞こえるぐらい、部屋の中は静かだった。
(……俺の相手)
手元の対戦表を見る。
京太郎のほか2名は無名の選手であったが、残り1名の名前を見て和が驚きの声を上げた。
―――――――
『この陽皐(ひさわ)って人……去年のインターミドル3位の人です。特徴的な苗字ですから、覚えてます』
和がそういった瞬間、控室は重苦しい空気が流れた。
『そ、その人、強いの?』
咲はある種当たり前の質問が飛ぶ。
『えぇ、かなり。直接対局した数はあまりありませんが……』
そして、何かを思い出すように少し考え込んでから言った
『かなり面前思考だった記憶があります。平均打点はかなり高めだったかと』
あまり役に立たない情報でごめんなさい、そうやって和は京太郎に謝罪する。
『いや、いいさ。そもそも新人戦なんて誰が出てくるかほとんどわからないんだから、対策なんて立てようがなかったしな』
京太郎は苦笑しながら、和にそう返した。
『それにこの予選は2位までに入ればまだ次に命がつながる。だから、まだ終わったわけじゃない』
―――――――
それからは、3人娘はあの有様であった。
苦笑しながら京太郎は対戦表を脇に置き、再び目を閉じた。
(まったく、くじ運までないとか……呪われてるのか、俺?)
(いや、持ってないからこそ、選ばれたのか?)
(もってるやつの引き立て役、噛ませ犬として選ばれたのか?)
(……やめよう、こんなこと考えても、不毛なだけだ)
そうしていると控室の扉からノックの音が聞こえた。
京太郎は首をかしげた。
出番にはまだ早いし、まこたちは出て行ったばかりだった。
疑問に思いながらもどうぞ、と答えた。
「やぁ、須賀君。試合前にすまないな」
「加治木、さん?」
そこに立っていたのはゆみだった。
思いがけない来訪者に京太郎はあっけにとられた。
そんな京太郎を見ながらゆみは京太郎に問いかけた。
「今、少しいいか?」
「あっ、はい、どうぞ」
「ありがとう」
そう言うと、ゆみは控室の扉を閉めた。
ステルス「」ガタッ
「ど、どうしてここに?」
予期せぬ来訪者に京太郎は思わず動揺した。
「いや、昨日の女子新人戦の応援に来てたんだ。うちのモモの応援にな。まぁ、一歩及ばなかったが」
どう声をかけていいのかわからず、京太郎は黙り込んだ。
その様子を見て慌ててた様子で続けた。
「いや、すまない。決して嫌みを言いに来たわけじゃないんだ。本当は須賀君の試合も見てから帰りたかったんだが」
そう言うと、ゆみはどこか残念そうな顔をした。
「今日はどうしても外せない用事があってな。もう戻らなくちゃいけない。だから、帰る前に少し激励に、な」
ゆみは京太郎に向かい合う形で座り、軽く微笑んだ。
「どうだった、あれからの1か月は?」
「はは……授業と睡眠と食事と部活以外でしたことってほかに何かあったっけって思うぐらいには麻雀漬けの1か月でした」
「そうか。……それで、どうだ? 宮永たちには」
若干聞きにくかったのか、多少言葉を濁しつつも弓は答えた。
京太郎はその問いに対して軽く首を横に振った。
「いいところまでは行くことは何回かあったんですがね、やっぱりトップは取れなかったです」
「そうか……。それで、その、大丈夫、なのか?」
まだ倒れずにいられたのか、そうゆみは尋ねた。
「そりゃ、何度か苦しい思いはしましたよ。あまりにも負けすぎて頭が痛くなったことがありました」
1か月中の出来事を思い出して、苦笑しながらも京太郎は続けた。
「でも、やっぱり、麻雀も、あいつらも捨てられないってわかったんです」
「だから苦しいときも歯を食いしばって、何とか頑張りました」
「ストレスたまった時は叫びながらグランドを走ったりして……ははっ、この1か月でなんだか体力着いた気がします」
「それに、咲たちだっていろいろ考えてくれてるみたいで」
「俺が煮詰まってるときとか、苦しんでるときとか……あいつらなりに俺を気遣おうとしてくれてるんです」
――京ちゃん。ふふ、肩でも揉んであげるよ。少し休憩しようね――
――須賀君、お茶でもいかがですか? 淹れてきますよ。なかなか集中しているようですが、ほどほどで力を抜かないと――
――京太郎! 新作のタコスだじぇ! ほらほら、口を開けろ!――
――ほれ京太郎。皆でつまめるようにと卵焼きを作ってきてやったけぇ。ほれ、あーんじゃ――
「多分、もってる奴にはもってない奴の苦しみってを理解するってのは難しいと思います」
「逆に、もってない奴がもってる奴の悩みや苦しみっていうのを理解することも難しいと思います」
ネット麻雀を初めてした咲が「これは麻雀なのか」と言って半べそをかいていたことを思い出す。
京太郎はその時、彼女が何に苦しんでいるかということは全く理解できなかった。
「多分、どうしても、埋めようのない溝っていうのはあると思います」
「でも……それでも」
「お互いがお互いを理解しようとするっていう気持ちがあれば、相手を想ってるっていう気持ちがあるんだったら」
「多分、やっていけるんじゃないかなって、そう思います」
「やっぱり皆と麻雀をやってると苦しいことも多いですけど、そう言うお互いの気持ちがあるってわかったから」
「何とか、耐えられました。多分、これからも……何とか、やっていけると思うんです」
「向こうが俺のことを考えてくれるだけじゃなくて、俺も向こうのことを考えて、思っていけば」
「やっていけるとおもうんです。この先も」
そこまで言って、京太郎は目じりに浮かびそうになる涙堪えて、軽く笑った
「麻雀が好きだからこそ、みんなに勝ちたいと思いますし、そのせいで苦しみ続けることになると思います」
「皆に勝つまでに、これから沢山負けると思いますけど、多分耐えられると思うんです」
「……すみません、『多分』とか『思う』ばっかりで。やっぱり、正直なところを言うと自分がこの先本当に耐えられるかっていうのはわかりません」
「でも、それでも、確かなことがあって」
「みんなが好きだってこと、それだけは確かなことなんです。だからこの先も頑張り続けようって、思うんです」
そこまで一気に言い切って、京太郎は息を吐いた。
そこまで京太郎の独白を黙って聞いていたゆみは何かを考えた後、軽く笑った。
「全く、15歳にしてずいぶんと悟ったな……」
「ほんと、いろいろありましたから。この2か月で」
苦笑しながらゆみの言葉にこたえた。
「麻雀か、皆か。どっちかしか好きじゃなければ話は簡単だったんですけどね」
ふと天井を見上げ、何かを思い返すように京太郎は言った。
「麻雀しか好きじゃなかったら部をやめればいい。皆しか好きじゃなかったら麻雀をやめてマネージャーにでもなればいい」
でも、とため息を吐いて、もう一度苦笑をしながらゆみに向き直った。
「両方好きだから、麻雀部にいて、皆に勝ちたいって思うっちゃうんです。ままならないですね、ほんと」
「……そうだな、本当、ままならないものだ」
ゆみはそう言って席を立った。
「邪魔をした。しっかりと、悔いの無いようにな。勝利を、祈ってる」
「はい、ありがとうございます」
「これから苦しいこともあるとは思うが……お互いにな」
「えぇ、頑張りましょう」
ゆみは拳を握り、京太郎の前に差し出した。
それを見て一瞬戸惑うも理解した京太郎は同じように拳を差し出した。
そして二人はこつりと拳を合わせた。
すると、ゆみは満足そうに笑った後踵を返した。
だが、ドアノブに手をかけたタイミングで京太郎のほうに振り返った。
「ひとつ、言い忘れていた」
「なんですか?」
「私も負けたとはいえ、君みたいに毎日毎日全国レベルの人間に叩きのめされ続けたというわけではない」
「絶望の度合いは君のほうが深かったかもしれない。だが、それでも君は立ち上がり苦難の道を選んだ」
「大切なものを捨てられないという理由があったにしろ、君は選んだ」
「だから、だからこそ」
「私は君のことを尊敬するよ、須賀君。……それじゃあ、またな」
そう言ってゆみは控室を出て京太郎一人が残された。
京太郎はその後ろ姿を見送った後、再び目を閉じて、自分の出番を待った。
それからしばらくして、京太郎の出番がやってくる。
京太郎は緊張した面持ちで対局室に入る。すでに3人は待っていた。
そしてすでに席に座っている一人の男を見た。
(こいつが……インターミドル3位の……)
陽皐は京太郎のほうに特に興味を示すこともなく、ただ目を瞑っていた。
対局室に京太郎が感じたことのない独特の緊張感が流れた。
陽皐のほかの二人も落ち着かないように深呼吸をしたり、手を握ったり開いたりしている。
やがて、審判員に声をかけられ、場決めの後、親決めが行われる。
(俺は、ラス親か)
京太郎は上家に座った陽皐を見つつ、激しくなる心臓の鼓動を感じながら必死に呼吸を整えた。
「それでは、初めてください」
審判員にそう声をかけられ、卓に座った4人はお願いします、と声を出し合う。
(ここまで来たら……やることをやるだけだ)
そう言いながら配牌を取っていった。
京太郎は自分の配牌を見た。
『京太郎配牌』
14m24689s3499p西西 ドラ7m
いい配牌とはとても言えなかったが唇をかみしめ自分の第1ツモを取る。
5萬を引き、1萬切り出す。一歩前進したことに小さく喜び、気持ちを切り替えた。
その後、特に仕掛けも入らず場は進み7順目
『京太郎手配』
45m24678s3499p西西 ツモ3m
面子オーバーの形。とは言え、京太郎は場を見て西が切られてしまっていることを
すでに確認しており迷うことなく西を切り出した。
その次の順目だった。
「リーチ」
陽皐からリーチが入る。
(来たか……)
自分の手を見て、役もない待ちも悪いこの手に行く価値なしと即座に判断する。
一発目には対子落としの片割れの西を切り出し、次順は現物の9筒を切り出したが、
その次の順目に陽皐はツモりあがった。
「ツモ」
『陽皐手牌』
678m23456s56788 ツモ1s ドラ7m 裏9m
「リーチツモ平和ドラ1。1,300-2,600」
淡々とした声で自分の点数を告げた。
京太郎は小さくはい、と返事をして1,300点を払った。
不安になる気持ちを振り払い、京太郎は自分の心に喝を入れた。
(まだ、始まったばかりだ。これからだ)
「京ちゃん、頑張って……」
清澄高校控室。
あまり広くない控室に4人は居た。
1,300点を支払う京太郎を見ながら咲はそんなことを呟いた。
「とりあえず安めでよかったと考えるじぇ」
「えぇ、まだ始まったばかりです。まだまだ、わかりません」
優希と和も食い入るようにモニターを眺めた。
そして、まこもモニターを見ながら内心では何かに祈っていた。
(頼む、初心者とは言え京太郎は凄まじい努力をした)
(負け続け、勝てなくても京太郎は頑張った)
(だから、頼む。京太郎に、証となるようなものをくれてやってくれ)
その心に悲痛な願いを抱えながら、まこは京太郎の闘牌を見守った。
はい、ここまでです。というわけでいったん休憩させてもらいます。
今見返すと>>183とか思いっきり少牌しています。本当にありがとうございました。
次の投下分の闘牌は実際に手持ちの麻雀牌を並べて確認しながら作るから流石に少牌とかはないと思いたい……。
ちなみにちなみにオリキャラを出したことにいやーな感情をお持ちの方もいると思いますが、
一応シリアスなのに「モブ」とか「そこのお前」とか使っちゃうととっても台無しになっちゃうのでご容赦ください……。
「男」と表現するのも考えましたが、京太郎のほかは3人とも男やでややこしくな……。
ちなみに『陽皐』という名前は長野県の地名からいただきました。
京太郎の独白は根本的な解決にはなってないっていう読者のもやもやに対する答えになってて良かったよ
(名前付き程度なら)大丈夫だ、問題ない。
しかしまこさんにあーんしてもらえるとかなんなの、もげるの?
乙 のどちゃんが男子選手の事覚えてるなんてビックリだじぇww
型月風にいうと「答えを得たエミヤ」になったようだな京太郎
おつー。
オリキャラは特に気にならんよ。
新人戦出てくるような奴がモブじゃあ、気が抜けるし。
後、京ちゃんとかじゅの会話で、辛くても前に進む事を選んだって事がとても伝わってきたので
もやもやが晴れました。
>>430
のどっちならギルティだが、わかめの方は別に…
おつー、面白い
至極当たり前でとりあえずのって感じだけど良い結論に行き着いたな
ちなみに優希のセリフを書いているとき
「~だじぇ!」
っていうのが時々
「~だじょ!」
ってなっちゃうのは私だけでしょうか?
個人的にこの現象を「優希山田化現象」と呼んでます
まこさんぐう聖かわいす
きょうたろうは天をよめ
まるちゃんのほうか!一瞬山田がworkingウザイのの方で考えちまった
「じぇ」「じょ」「普通の話し言葉」は意識して1/3くらいにしてるけど
意外と優希は「じょ」を使っている
やめろ。
優希の台詞が全部山田で再生されるようになっちまっただろうが・・・・
語尾の「ぞ」が「じょ」、「ぜ」が「じぇ」になるイメージかなぁ<タコス
寧ろ何処を話し言葉にしても良いのか迷う事が多々ある…
確か優希は疑問文は普通の話し言葉しか使ってないはず
後は「--だ!」とか「--なのか!」とか「--だからな!」とかあ行で締める文は大概普通
「--ですけど……」みたいな言葉も使う
京太郎相手だと芝居がかった物言いもする
意識すれば「じぇ」使わなくても実は結構書けるのよ、と京優メインを待ち続ける奴が言わせていただく
そして1話の敬語優希は今に劣らず可愛かった
まこ先輩は清澄唯一の癒し
>>441
あなたが最高の京優を書く事を願い祈る
いつまでも
京太郎は清澄の麻雀部所属(マネージャー)で他の高校や麻雀教室に出稽古に行って、清澄麻雀部は週に何回か雑用に来るスタイルの方が良いかもしれない。清澄だと京太郎は正直伸びる気がしない。
性格や稽古先の一つ、龍門渕で磨かれた雑用スキルから出稽古の先でマネージャーにならないか誘われる京太郎と凍華と咲の京太郎を賭けた本気の闘牌が何故か浮かんだ。
京太郎が優希『ちゃん』って呼んでたこともあったんだよな……
キャラと方向性が定まってない序盤だから仕方ないけど、あの方向性で行ったらどうなってたんだろ?
>>444
なにそれ超見たいわ
そのネタで一つ書こうか
>>445
ゆるゆり路線が上手くいかなかったイフか……その場合は京太郎中心にラブコメ展開が始まってたんだろな
優希に行く可能性は低かったと思うけどな
入学当初と接し方が違うなんて珍しく無いでしょ
学生共通のあるあるや思うで
移動時間の関係で清澄より練習時間が少ない出稽古の方が京太郎の伸びが格段に良かったら、咲達はお前等は指導には向かないと宣言されているような物だし、辛くなりそう。
素人を勧誘するにしろ、素人でもやる気のある奴なら始めから麻雀部に入るし、IH後の時期で咲達の経歴に萎縮せず、実力が京太郎と同程度、そんな奴いるか!清澄での勧誘は完全に無理です。
出稽古で清澄専属時代より実力を上げる京太郎、いかに京太郎の伸び代を潰していたか自覚させられ、清澄に縛り付けている事が重石になっているのではないかと苦悩する咲達はちょっと見たい。
あー、何かいろいろ考えているうちに結局今日が終わってしまう……。
あまり長くはないのですが、とりあえず切りのいいところまでかけたので投下します。
この投下の次が正真正銘最後の投下になると思います。
「ごめんなさい遅くなって! バスが事故を起こしちゃって」
そう叫びながら久が清澄高校の控室に駆け込んでくる。
「状況は、どうなっているの?」
息を切らせながら、椅子に座ってモニターを眺めた。
久の問いに、扉の一番近くに座っていた和が手元のメモ翌用紙を見せながら言った。
「今ちょうど、南1局が終わったところです。点差はこうなっています」
『南2局開始時』
上田 32,700
松本 15,200(親)
陽皐 35,700
京太郎 16,400
「少し離されているわね……」
「はい、ただ。まだ親は残っています。まだ、まだ終わったわけではありません」
「そうね」
そう言って久と和はモニターに目を向けた。
モニターの中では京太郎が配牌を取っていた。
『京太郎配牌』
34m34667s【5】678p白中 ドラ4m
(来たっ!)
手の中にドラが2枚。タンヤオも見え、跳満まで見える手恰好。
内心の動揺を顔に出さないように第1ツモを取った。
『京太郎手牌』
34m34667s【5】678p白中 ドラ5s
絶好の引き。2度受けの微妙な部分を解消し、好形が残った。
白を切り出し、2シャンテン。
高鳴る心臓を抑えようと京太郎は必死になった。
2順目に西引き。場に1枚切れていることを確認して中を先切りする。
3順目とは9萬引きと空振りだったが、4順目に8筒を引き、絶好の一向聴。
『京太郎手牌』
34m345667s【5】678p西 ツモ8p ドラ4m
西を切り出し、何を引いてもリーチを打ことを考える。
どうしようもなく、期待が高まった。
だが、そこから京太郎の手は動かなかった5順、6順、7順と空振りが続く。
そして8順目。
『京太郎手牌』
34m345667s【5】6788p ツモ南 ドラ4m
(なんでこの形で引けないんだ……!)
歯ぎしりしながら引いてきた南を見つめる。
生牌。もう中盤ということもあり、若干の怖さもあったが京太郎はその南を切り出した。
発声はかからず、ほっと胸をなでおろす。
そして次順。
『京太郎手牌』
34m345667s【5】6788p ツモ南 ドラ4m
(なんだよこの南!)
即座にツモ切りする。そして、その直後だった。
「リーチ」
陽皐がそう宣言する。
感情が全く見えないその姿にその声に歯噛みした。
(くそ、この手で先制されるのかよ!)
内心の苛立ちを隠しながら、陽皐の捨て牌を見る。
『陽皐捨て牌』
二五三⑨西9
北67r
独特の捨て牌であったが、自分が聴牌したときに出る牌は全て現物だった。
(聴牌したら追っかける!)
そう強く願いながらツモ牌に手を伸ばした。
『京太郎手牌』
34m345667s【5】6788p ツモ南 ドラ4m
(っ!)
まさかの南連続3枚引き。頭がかっと熱くなるのを京太郎は感じた。
多少強打気味になってしまいながらも、南を切り出した。
「ロン」
だが、その打牌を咎めるように。
「リーチ一発混一色七対子ドラ2」
陽皐は手を倒した。
『陽皐手牌』
11225588s東東中中南 ドラ4m 裏ドラ2p
「16,000」
上田 32,700
松本 15,200
陽皐 51,700(+16,000)
京太郎 400(-16,000)
ぐにゃりと、京太郎の視界がゆがむ。
その場に倒れこみたかった。逃げ出したかった。
「は……い……」
それを何とかこらえ、返事を返し、震える手で点箱から点棒を差し出した。
それを淡々と自分の点箱に仕舞い込み、牌を落としていった。
京太郎も牌を落とす直前に自分の手牌を見た。
『京太郎手牌』
34m345667s【5】6788p
成就しなかった跳満手。
受け入れも広く、どうしようもなく期待は高かった。
(くそっ!)
苦しい何かを振り払うように、京太郎も牌を卓に落としていった。
「インターミドル3位の成績では伊達ではない! 山を読み切っていたのか? ここで陽皐の倍満が炸裂です!」
実況席では男性アナウンサーが興奮気味に叫んだ。
沢山の高校生が打っているこの会場だが、有名選手の卓と会って実況対象をなっていた。
「この上ないタイミングだったな。これはある種試合を決定づけたか」
アナウンサーの隣で解説としているプロ、藤田靖子も感心したような声を上げた。
「しかし、これは清澄高校の彼の精神が心配だな」
「えぇ。……あぁ、手が震えています。南を暗刻被りしての倍満打ち込みですからね。これは、心が折れても無理はありません」
「あぁ。だが、折れてしまっては未来がない。最後まで戦い抜く意志を持ったやつじゃなければ……まくることはできない」
そう言いながら、必死で震えを抑えながら南3局の配牌を取っている京太郎を見ながら言った。
「ここから、彼がどう立ち回るのか。個人的にはそれにも注目してみたい」
腕を組み何かを考え込んでいるかのような口ぶりだった。
「ピンチの時、逆境の時こそ雀士の質が問われる。私はそう思っている」
京太郎の精神状態は混乱の極みにあった。
(なんだよ、なんだよあの待ち。っていうかタイミング良すぎだろ。倍満って)
(やばい、400点しかない。リーチも打てない。どうする、どうする)
(親、親は残ってる。次が親だ。そこで、なんとか、何とかしなくちゃ)
牌を取るときにポロリと1枚落としてしまう。幸い見えることはなかったが呼吸を整え、その牌を拾った。
(落ち着け、落ち着け、まだ、まだだ。終わったわけじゃない)
配牌を取り終わる。京太郎の手元には伏せられた13枚の牌があった。
(頼む。高い手じゃなくてもいい。何とか、上がれる配牌で……)
京太郎は何かに祈りながら、牌を起こしていく。
(頼むよ……)
手牌が見えてくる。手の震えから崩してしまいそうになるのを必死で堪える。
(頼む!)
もはや悲痛な叫びのような願いだった。
これほど強く願ったのは京太郎の人生で初めてだった。
だが、その願いが届くことは
『京太郎配牌』
27m336s149p東北北白中
なかった。
はい、一旦ここまでです。
次回の投下が最終回!
結局1週間という目標は守れそうになくてメゲるわ……。
そして優希のしゃべり方についていろいろ教えてくださった方々ありがとうございました!
次回以降の作品ではそれを生かしていこうと思います
おつです~
むしろあれで飛んだほうがましだったレベルだな、これじゃ
2回心折れるだけやん
乙ー
乙ー 秒速5センチメートル見てるようだ
おつ
ハナっから勝負に挑める精神状態じゃねーっす
カイジとかなら真っ先に死むパターンのやつだー
京太郎くらいの歳だと諦めないより諦めるほうが難しいからな
それで心を折られるやつのなんと多いことか
それにしてもここの京太郎は普通以上に運がないな
素直にキツいわ
補正さえあればここから理不尽を味方に付けることも可能なんだが……
まあ和は実際国士でまくっちまったからなぁ
満貫以上がポンポン出る三麻ならまだしも、普通の四人打ちでこの点差は無理ゲー
咲世界補正で更に無理ゲー
まともに打てない状態で格上相手に連荘とか不可能に近い
誰かが最速でツモ和了するだけで飛ぶとかもう……
カイジは追い詰められる前はただのダメ人間だけど、追い詰められてからの爆発力ならアカギを越えるらしい。
この京太郎は南郷さん状態、逆転は無理だな。
まあこれで負けるのも物語的なリアリティってやつだな
でも辛い展開なのは間違いない、面白いけどね
観戦者は今リアルで京太郎の手牌見えるんだよなぁ。
持ってる人間にとっちゃこのままならないツモはどう見えるのかね
そこで池田戦法ですよ
アカギ「代わろうか、須賀さん」
>>474
赤木「須賀よ……いいじゃないか…!三流で…!熱い三流なら……上等よ……!」
の方が合うと思う
ーー数年後
そこにはヒロポンで最強のガン牌使いになった元気な京太郎の姿が!
牌を並べながらの闘牌作成っていうのが思ったより大変です。
河の情報を省いたり他の2人をなかったことのようにして二人だけの
世界で闘牌シーンを作るのは意外と簡単なんですがねー。
というわけでやっぱり月曜日に食い込んでしまいそうです。
いや、もう日付変わってますが……。
現在できてる分のうちキリのいい部分だけ投下して、本日はここまでとさせていただきます。
時間は少し戻り、南二局。
京太郎がなかなか聴牌を入れられず焦れているとき、控室でも落ち着かない様子で京太郎の手を見守っていた。
8順目、生牌の南を引いてきた京太郎を見ながら咲が苦しそうに言った。
「欲しい牌はまだ山に残ってるのに……お願い、引いてきて」
咲が苦しそうな理由は陽皐にあった。彼は先ほど字牌を重ね混一色七対子の聴牌を入れていた。
『陽皐手牌』
112255688s東東中中
「大丈夫、大丈夫です。単純な確率から言って須賀君のアガリのほうが……」
和のそんな言葉は尻すぼみになって消えていった。
モニタ上では陽皐が7索を引いてきて、6索と待ちを入れ替えていた。
京太郎は南をもう一枚引いてきてそれをツモ切る。
「正直……呪われてるとしか思えないぐらい、手が入らないわね」
2枚並べて切られた南を見て久は苦しそうに言った。
優希はその言葉を振り払うように、だがそれでもどこか、不安を隠すように言った。
「大丈夫だじぇ! 京太郎だって、あんなに頑張ったんだじぇ。きっと……」
乙ー。藤田プロがはじめてマクリが持ち味のプロっぽく見えたぜw
立ち位置的には長野決勝の池田くらいか(相手陣を考えた場合多分あれよかだいぶマシだけど)
こっから魅せる展開を本編池田がほぼ完璧と言っていいレベルでやってるだけに、それに対しこの京太郎は
どういった方向に進んでいくんだ? という期待が高まるな。
モニタの中で陽皐が南を引いてきた。ここで、彼の手が止まった。
そして、何かを考えた後、陽皐は7索を切り出してリーチを打った。
「……地獄待ち? だったら、何故北でリーチを打たなかったんですか」
8順目に切られた陽皐の北。それはすでに2枚切られており、地獄待ちを避けたのかその時は6索待ちを選択した。
「あまりにも一貫性がありません。何を考えているんでしょうか」
だが、それでも控室の中では嫌な予感、嫌な空気が流れていた。
京太郎がリーチの発声に若干体をびくりと反応させた後、山に手を伸ばしていく。
京太郎の闘牌をみていた全員、何かの予感があった。
だが、全員、それが起こるまではありえないと一蹴し、こう思っていた。
――まさか、引くはずがない――
だが、それでも、それでも京太郎は引いてきた。
連続で、3枚の南を。
「嘘じゃろ……」
まこが絶句する。他のメンバーもありえない引きに言葉を失っていた。
「だめ、京ちゃん、だめだよ」
うわごとのように咲が画面に向かって呟く。
画面の中の京太郎はいら立った様子で南を河に叩きつけようとしていた。
「だめっ! 京ちゃん、やめてっ!」
咲のその声はもはや悲鳴だった。
だが、隔離された対局室にはそれは届くことなく、南は場に打ち出された。
そして、投げられた牌に対して当然のようにアガリを宣言し、無情にも点数を告げた。
モニタの中の京太郎は、震えながらもなんとか倍満の支払いをしていた。
「酷い、酷いよ……京ちゃんが、京ちゃんが何をしたっていうの。あんなに、あんなに頑張って……」
咲の眼から涙がこぼれる。
「ありえないです、こんな、こんなオカルト……こんな」
和も悲しそうに、悔しそうに顔を伏せた。
「ま、待つんだじぇ。親は、オーラスの親はまだ残ってる。この、この南3局を乗り越えれば……」
虚勢が丸わかりの声だったが、優希は必死にそうやって二人に言葉をかけた。
「そうじゃ、まだ、まだ終っとらん」
「えぇ。この一局を何とかしのいで、できればリー棒を作って、オーラスの親に臨めれば……」
まこと久も何か祈るような視線でモニタを見つめ続けた。
和は小さく頷きつつも手元のメモに記入した。
『南三局開始時』
上田 32,700
松本 15,200
陽皐 51,700(親)
京太郎 400
京太郎が配牌を取っていくのを5人も固唾を飲んで見守った。
京太郎が、配牌を取り終り、恐る恐る配牌を見た。
そして、モニタにも京太郎の配牌が映し出された。
『京太郎配牌』
27m336s149p東北北白中
「あぁ……」
何かが折れたような、普段からは想像もできないような声が優希の口から漏れた。
「和ちゃん、これって……」
先は目の前の現実を信じられないかのように、和に問いかけた。
「……最速で七対子の四向聴です。普通の面子手もしくは国士無双として見るのであれば」
そこで顔を伏せ何かに耐えるかのように、苦しそうに続けた。
「六向聴です。私だったら、状況が許すのであればこの時点でオリを検討します」
ですが、と言葉を置いて和は過酷な現実を告げた。
「須賀君には、点数がありません。流局したときノーテンで、誰か一人でも聴牌を宣言したら、ノー聴罰符でトビです」
「そんな、そんな……」
「だから、須賀君は何が何でも聴牌を取りにいかなくちゃいけません。でなければ、最後の親をする前に……」
自分が口にしている現実があまりにも絶望的すぎて和の眼にも涙が浮かびそうだった。
咲は、堪えきれないように顔を手で覆って鳴き声を漏らした。
「酷いよ、何で、何でこんな、京ちゃんばっかり。何で京ちゃんだけが苦しまなくちゃいけないの」
咲のすすり泣きの声が部屋の中に響く。和も優希も顔を伏せて何かに耐えているようだった。
そんな3人の様子を見て久が何かを言おうと息を吸ったが、その前に凛としたまこの言葉が響いた。
「顔を上げぇ!」
普段はほとんど聞けない、まこの大きな、鋭い声に3人はびくりと体を震わせた。
「苦しいのはわし等か? 違うじゃろ。あそこで、あそこで……」
まこも、必死で何かに耐えながら、息を吸い込み3人を見渡して言った。
「あそこで何も、何もない状態で必死に戦っている京太郎じゃ!」
モニタの京太郎を指差した。京太郎は震えながら自分の配牌を見つめていた。
「その姿を、わし等が、仲間のわし等が見届けてやらないでどうする! 応援してやらないでどうする!」
それを聞いて、和と優希ははっとした様子で顔を上げる。
咲も涙をぬぐいながらモニタを見つめた。
そして、手を祈るようにくみ、祈るように言った。
「京ちゃん、京ちゃん……頑張って、頑張って」
その言葉に優希と和も続いた。
「京太郎、大丈夫。まだやれるじぇ! 頑張れ!」
「須賀君。そんな絶望的な状況から勝ち上がった例なんていくらでもあります。だから、だからあきらめないでください!」
遠い対局室にその言葉は届かないだろう。
だが、それでも3人は京太郎の勝利を願い、祈り、応援の言葉を口にした。
「京太郎、わし等が見守ってるけぇ。頑張るんじゃ」
そんな言葉を口にするまこを見ながら、嬉しさと、ほんの少しの嫉妬心を抱えながら久は思った。
(貴方は私をすごい部長ってもてはやしてくれるけど……。そんなことない。立派な部長よ、まこ。私より、ずっと、ずっと)
息を吐いて天井を見上げた後、モニタに向き直った。
「頑張って、須賀君。皆、応援してるわ。だから、だから……」
(自分に、負けないで)
久は最後の言葉は口に出さず、心の中で願った。
今度こそここまで。
次回へのつなぎと、あとは麻雀にそれほど詳しくない人のための状況説明を簡単に。
次回こそは本当にクライマックス。
いろいろあったなぁ。
おつー
待て、次号!
まさか感想が投下に重なってしまうとは・・・・・・
控え室メンバーに驚愕されるほどの相手となれば、負けても恥ではないが京太郎はそれで納得はできんだろうな。
逆に言うとここで勝てれば皆との差を詰められる算段もたつか? ともあれ次回に期待だな。
関係ないが、呪いのように手が入らないってところで、クズ牌しか引けないがそれゆえに国士マスターとなれた
哲也の近藤を思い出したw まぁコンセプトから行ってない、とは思うがw
乙。
これが麻雀漫画の持ってる主人公なら、なんだかんだで最低でもテンパイまで持っていくんだろ?
という安心感と期待感があるものですが、京太郎だとなぁ…
ここまで来ると、「持ってないを持ってる」レベルだな。
乙
そういえば、麻雀歴一年未満で東海王者になったもこもいたな
他家がもたついてくれればまだ間に合うんだがな
運が良ければ九種九牌から国士無双狙ってる途中で大三元に切り替えて和了できたりするし(体験談
だが実力者って概念が成り立つ咲の世界じゃマジキッツい
なまじ奇跡の逆転できてもそれはそれでなんか……なんだろうな
乙
こんな辛い試合見てられるか!俺は岩手でタコス屋でも開いてひっそり暮らさせてもらう!
なんかもう持ってないどころか吸い取られてるレベルだなwww
公式で潜在能力は高い設定だからこれはいくらなんでもひどい
いや 役満はともかく割とよくあるじゃんって感じなんだけどみんなそんな配牌やツモいいのか?
良くあるが概ね常時これってことだろ
京太郎もネトマや店で勝ったりしてるから常時ではないだろ。
でも現実でもよくある出来事にしては反応が熱いなと。
>>495
公式戦ともなれば思い入れも違うからなぁ
これ京太郎が不運にも引き当てただけでそこまでおかしな展開でもないんだよな
相手が南を引き当てたのが不幸というか
河に二枚出た直後に単騎待ちされてたら普通に振り込む自信があるわ
京太郎の不運程度は麻雀うってりゃあるあるだな
むしろ2枚切れの南で単騎待ちリーチするやつが異常に感じる
つい昨日左側の人(上家だっけ?)に二枚持ってた四策切ったらポンされて、調度いいやと思って立て続けに切ったらその人からロンされたったわ
安手だったがあれはビビる
>>496
京太郎が絶望するのは分かるけど、読者がなって話
3枚切れでも単騎待ちする奴はいるけど、この場合は次のツモが分かってたみたいな相手の行動がマジキチやな
ただあれだな、仮にテンパイしててリーチしてたら飛んでたよな
ある意味不幸中の幸い
実際にあった闘稗を元にシーンを書いてるって事は、この狙い撃ちした人が実際にいたってことなのか。
リアルアカギだなぁ・・・
リアルは時々ガチで理不尽だからな
相手の欲しい牌全部握りつぶした上で形式聴牌だけで連荘して八連荘かます奴も実際にいるくらいだから
ここの京太郎は【相手の当たり牌を引く能力】でもあるんじゃね?
「南を三枚出す」ことまでやって振るってのはあまりないけど、
順目が進んだあとの南(幺九牌)の地獄単騎切り替えはまだ理解しようと思えばできるかも。
相手のあたり牌を引く能力なら俺も負けない()
不要牌が他家のアガリ牌なことはわりとよくあるのよな
こういう時は祈っちゃダメ
神などいらぬ
クビッ
お払い箱よこっちから
[ピーーー]ッ
神など[ピーーー]ッ![ピーーー]ッ!
って心持ちで打たないと逆転手なんて来やしねえぞ……いや割りとガチで
こういう時は祈っちゃダメ
神などいらぬ
クビッ
お払い箱よこっちから
[ピーーー]ッ
神など[ピーーー]ッ![ピーーー]ッ!
って心持ちで打たないと逆転手なんて来やしねえぞ……いや割りとガチで
自分語りはNG
別に自分語りでは無いでしょ
それにあるあるネタでやってる以上、ある程度の雑談はしゃーないと思う
京太郎は清澄麻雀部止めて、近所の麻雀教室行って腕上げてから戻った方がお互いの為な気がしてきた。
腕を上げる、という点では清澄の方が質は上
今京太郎に欲しいものはよきライバルよ
京太郎の今の質では魔物揃いの清澄麻雀部に付いて行けない。
例えるならレベル1の主人公をラスダンにいきなり放り込む様な物。
京太郎「……きたぜ、ぬるりと」
パタン
777m333s44p北北北白白 白
京太郎「8000は16000」
藤田(あのテンパイすら怪しかったゴミ手を役満に…!?)
こうはなりませんか、そうですか
読みと度胸がオカルト染みていて生死の狭間でしか生を実感できないアカギ(ツキは強運程度だと思われる)と京ちゃんは違うから。
そもそもアカギはサマは当たり前、気付けなかった方が悪いみたいな所で
咲の世界観じゃ公式でサマやったら一発退場しちゃう世界だし
「リーチ三暗刻……?」
京太郎「いや……俺の暗刻は……そこにある……!」
こういう視点から見ると原作京太郎の異質さがよくわかるな
そもそも原作京ちゃんは一話の時点でまだ役を完全に覚えきれてないってレベルだし(アニメでは一通り覚えてる)
野球でいったらルール覚えたけどフォームがおぼついてない状態くらいでしょ
それに原作だと別に一回も一位になれないってわけでもないんでないの
去勢されてる感はあるけど何だかんだでまだ入部数か月の段階だし
原作はそもそも出番がな、三年ぶりぐらいに会話があったぐらいか
京ちゃんは描写されてないところで咲ちゃんといちゃついてるはずだから…(震え声)
「京ちゃんはおいてきた。多分この戦いにはついていけない」
他校の子と順調にフラグ建ててるよ
すみません……思ったより闘牌シーンがが長くなってしまい、書ききれませんでした。
本日分の投下はありません……。
明日には! 明日には本当に完結できると思うんで!
何でもするから(ry
ん? 今
おつー のんびり待っとるよ
と言うかエピローグも含めるとどう考えても当初の予定より1.5倍か2倍近くあります。本当にありがとうございました。
じゃあ完結後にエピローグも書いてね。
よっしゃ!大作やんけ!
おつー。
明らかに「持っている」相手に対して京太郎がどう立ち向かうのか。
或いは立ち向かえずに終わってしまうのかが凄い気になるので
闘牌シーンが増えるのは俺得なんやで(ゲス顔)
楽しみに待ってます!
乙です頑張ってください。
原作の京太郎はまぁいろいろとアレな扱いだけど、それでもこういう話が違和感なく読めるのは
原作のキャラや立ち位置等の設定がしっかりしてて魅力的だからだと思うんだ(震え声)
逆に考えるんだ
扱いがアレすぎるから同情して肩入れする読者が増えたと考えるんだ
特に問題のあるキャラってわけじゃなく
最初からいるのに路線の関係で存在を抹消された不遇のキャラだからな京ちゃん
あばっ! あばばばば!
移動先で書こうと思ってスマホに入れたテキストを間違えて古いファイルで上書きしちゃった!
コピーしたよな? 切り取りで持ってこなかったよな? 家に帰ればファイルがあるよな?
……気になって仕事が手に着かない予感
お、おおおお落ち着くんやイッチ。
切り取りとか滅多にせんから大丈夫なはず。
後、不安だったらフリーのストレージソフト使うと良いよ。
個人的にはかなり遡ってデータを元に戻せるし、DropBoxとかオススメ。
ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'', / あ .あ ま ヽ
ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{ | あ .わ だ |
ヽ::r----―‐;:::::| | わ あ |
ィ:f_、 、_,..,ヽrリ .| あ わ |
L|` "' ' " ´bノ | わ わ |
', 、,.. ,イ ヽ わ わ /
_ト, ‐;:- / トr-、_ \ て /
, __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃 `i,r-- 、_  ̄ ̄
〃/ '" !:! |:| :、 . .: 〃 i // ` ヽヾ
/ / |:| ヾ,、` ´// ヽ !:! '、`
! |:| // ヾ==' ' i i' |:| ',
| ...:// l / __ , |:|::.. |
とニとヾ_-‐' ∨ i l ' l |<; 天 ヾ,-、_: : : .ヽ
この時間まで反応ないって事はマジで書き溜めに上書きしちゃってたのかな…。
イッチェ……。
/::::::::::::::::ィ::/(::{ ):/\::::::::::::::::\::::::::::::::::::ヽ.
/:::::::::::::::/ {/ `` j/ \::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ハ
/====ュ" { u ヾ::. ハ:::::::::::::::::ハ
. / ....::/__ _∨ ....... ハ:. ハ
/===ュ" ´  ̄\ { _...-‐¨ ̄ ∨:::::::::∧:::::::::::::::ハ
/ .:::::/::l ___ ヾ/ ゞ {" __ ..,,,.._ ∨:::::::∧:::::::::::::::ハ
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. ∧:::::,'ハ::::::::| {{ , l }} ∨::::::∧:::::::::::::::ハ
∧:::/∧::::::::| \ __/ \__ / ∨:::::∧:::::::::::::::ハ
∧::/ ∧:::::::::|⊂⊃  ̄ '  ̄⊂⊃ ∨::::::ハ::::::::::::::::ハ
ハ:/ ∧::::::::::| u ∨::::::l:::::::::::::::::ハ
. ハ/ ∧::::::::::∧ u r二二二z、 ,∨:::::|:::::::::,:::::::ハ
. ,':/ / /|:::/|:::::\ マ j ィゝ― '::::∨:::l::::::/l |∨::l
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{ { ∨ }人(>,, ,,...< |/|:::/ ,j/|::::}::|/ / ',:|
` _>r-― ´ ,lア`¨ヽ_,, -‐‐-レ‐- ,,_ }
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書き溜めが無事が心配する今日仕事中の>>1
°| ・ | 、__ __ ・゚ + _ -‐‐- _ ・。 _ ___,._ | 。
*o ゚| '´イ`ヽ\  ̄>'´ `'< ̄ /´ j´ +|!o*
o○ |゚ ! V ゝ´/ , / 、 \ ヽ/ ′ *
+O l ' 〉 , /ハハヽ\ 丶 丶 / ・゚|
。 |! ゚ + ・ V / /\ / { \ , / o ○i|
o。i| ゚ ∨ /\'/´ ̄_`゙ ´_ ̄`ヽ ' j/ | ゚・o
・ *゚。i| o ハ/ //_ -‐- 、 _ -‐-ミヽ , ! 。|! | *
|*o| ・゚ / 'イ´f'_人ヽ f'_人ヽY', ' ! ○・。 |°
i| ・° + i ハ 、`Y´ノ 、`Y´ノ j! !│ *。 ○。
o゚| o° | /ヘ. !⊂⊃ ' ⊂⊃ ハ j j! i|・° | ゚o
゚ |! | !i{' /丶 ー'^ー' /イ V | *゚ |! ・ ゚
*o |! ,ハヘ{ ハ \ ,.イ/ ハヘ.l | ゚o i|゚
o゚i| o°+ ` fi「ヽ,> ,_ _ <j/ノノ丿 j ○+。
゚ ○゚i| !・° ハ| ′ /´!  ̄ j,ノ \´ |!。・ | o゚
・。| *゚ |o゚ / ! /、 / \ o+ o ・°
○+| |! /' ,ハ ト、 ,>'´ ヽ ・。i| * ○
|o° ol くヽ // \ ! / _ >ヘ、 |* | ゚o
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帰宅して書き溜めが無事だったことに喜ぶ>>1
, . : : : /: : : : : : : : : : : : : : : .` 丶 、
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, : ´ . : : :/. : / . :/ : : ∧: : : : : .ト、: : : : . \ : : . .ヽ.
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: .l l 〃 「|;_;_;_;ノリ 「|;_;_;_;ノリ 〉〉 l:l: l: :
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:ll l ( ´「///, ´ ´ ,〈 n 〃///ハ ( / l: .:l::
: l l 人 l し/// J !| |l ///しl 〉/ l: .::|::
:. ', ', | l/// 、_ _ノ !__ 」L.、///! |/ l: l::|::
:::. ヽ Vノ│ / ,v─‐r──‐ハ r‐v、\ ノ / l: :l.:|::
' ,: . ヽ ヽ、l 人 ( |l _」∟ニ二」,L.、ノ ノ /(/ / : l :l::
ヽ: . ヽ ';> 、 ` ̄´ l | 厂 .イ : :/ ////
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:.\ \ Vヽ (_` ┐-イ´ /.: .:// /.:
\:..\ ヽ _∨\ し '′ /.:/ / ( ) /.::/
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でも帰ったら冷凍庫が壊れてて部屋の中がとけた氷でびちゃびちゃ
アイスで冷凍庫がベタベタな現実に直面した>>1
というわけで、書き溜めは無事でした書き溜めは(意味深)
なんとか24時ぐらいから投下したいと思います。
書き溜めが無事だった なにも問題はない
AAで草不可避
投下楽しみにしてる
原作で池田の泣き顔見た瞬間つられてマジ泣きしたのは俺だけではないはず
ゆるりと待つで、無理せんようにの
池田ァ!冷蔵庫の件は残念だったけど安心したじゃねぇか!!
後始末とか色々あると思うから無理しないでね。
>>543
おまおれ
>>532
原作だともう本当にいる意味なくなってるからな、もう某凶鳥みたいにバニシングした方が幸せだろ
宮永姉妹と幼少期からの幼馴染とかだったらまだ話しに食い込める余地があったんだけどな
原作では京太郎は咲を麻雀部に連れて来る事で役目は終わっている。
京太郎の教育は
初心者、低経験者から熟練者まで揃っている高校か教室に出稽古に行かせる。
咲達は京太郎とは打たずネト麻で問題点の指摘、改善に徹底。週末にまこの喫茶で常連と打たせ成長具合の確認、希望が有った時に付き合う程度に抑える。
ここで京太郎はIH終了まで放置、IH後は魔物級である事が前提の練習…すぐに辞めなかった事を良く我慢したと褒める事は出来ても辞める事を非難する事は出来ない。他所から見た京太郎の練習風景は本人達にその気が無くても咲達が足手纏いを辞めさせる為に仕向けた内容にしか見えない。
>>545
すべての京ちゃんをマホに託すのか
なんか辞めさせるタイミングを見失ったのか、ファンがネタに利用しやすいキャラとして残したのかみたいな邪推をしてしまうわ
せめてもうちょい出番があればなぁ……
原作の京太郎は百合の方向に決まる前のプロトタイプ的な存在だからなぁ
百合漫画としてヒットして作者も京太郎を持て余してるように感じる
もし読者がよくあるハーレム展開を望んでたらまた変わった未来があっただろうな
もしくは百合展開で一発当てられなかった時の保険的存在
どちらとしても不憫だ
この雑談必要か?
お待たせしました! 最終話、投下していきます。
いろいろ延期してすみませんでした。
>>543
ナカーマ。
対局中の一時はへこみ、それでも必死に立ち上がり抗おうとして、それでも敗れて最後は号泣する。
そんな池田が大好きです。
京太郎の心にパキパキとひびが入っていく。
理不尽なツモ、理不尽な振込み、理不尽な配牌。
大切な何かが壊れようとしている、折れようとしている。
そんな中、親の陽皐が第1打に1筒を切り出す。
京太郎はそれにつられるように漫然とツモに手を伸ばした。
『京太郎配牌』
27m336s149p東北北白中 ツモ5m ドラ西
(六向聴が五向聴になったけど、どうするんだよ、これ……)
(国士? 6種7牌で? ありえない。何が何でも聴牌取らなくちゃいけないんだぞ)
(七対子か? いや、そんなもん聴牌欲しいときに狙うもんじゃない……)
(あぁ……何も、わからなく、なって)
実況席の2人はそんな京太郎の姿を見ながら話していた。
「清澄高校須賀、第1打から長考に入ります」
「どちらかというと、これからどうすればいいのか途方に暮れているんだろうな」
「確かに、聴牌欲しい状況でこの配牌は……」
「五向聴。面前で行くには苦しすぎるが鳴くには役がない。リーチも打てないという何もかもが悪すぎる状況だが」
モニタ上で青い顔をしている京太郎をこつこつ、と指でたたいた。
「だが、もう牌は配られた。これで何とか勝負をするしかない。さぁ、どうする?」
(まだだ、落ち着け。とにかく、受け入れを、広く。広くするんだ)
京太郎は長考の末、1筒を切り出した。
(真ん中を、集めるんだ)
朦朧とする意識、折れそうになる心。
それらを必死に繋ぎ止める。
【2巡目】
『京太郎手牌』
257m336s49p東北北白中 ツモ5s 打東
(これで、向聴数アップ……っていうかこの手恰好じゃ向聴数が上がらない引きのほうが少ないか)
そういったことを考えていると、対面から北が出た。
その北を鳴くか京太郎は考えるが、この巡目で役無しには受けられず、それをスルーした。
そして、場は続く。
【3巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s49p北北白中 ツモ9s ツモ切り
【4巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s49p北北白中 ツモ6p 打中
(役牌……出来たら重ねたい)
場に2枚出てしまった中をみて京太郎もそれに倣い中を切り出す。
この苦しい手恰好では役牌は是非とも欲しいところであった。
【5巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s469p北北白 ツモ6s 打9p
【6巡目】
『京太郎手牌』
257m33566s46p北北白 ツモ3p 打2m
6巡目の打牌が終わったタイミングで京太郎は自分の手を見つめなおす。
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白
(駄目だ……大分ましな形にはなったけど、面子ができない)
ぴしりと心のヒビが大きくなった音が聞こえる。
京太郎はその音を聞かないようにして、もう一度場を見た。
ちょうどそのタイミングで、親の陽皐から場に2枚目となる白が切りだされる。
(くそ、この白も、駄目か)
とりあえずこの白は安牌として抱えることに決め、自分のツモ牌を引いた。
【7巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ1m ツモ切り
【8巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ撥 ツモ切り
【9巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ1p ツモ切り
(この忙しいときに……!)
3連続無駄ヅモ。1筒を河に捨てながら京太郎は心の中で焦りを感じていた。
あと8順。単純に考えてあと8順の間に3枚の有効牌を引いて来なければならない。
(頼む……来てくれ)
その9巡目、現在3着目の北家、松本は力を込めてツモを取った。
『松本手牌』
【5】6m45567788s567p ツモ7m ドラ西
(持ってこれたっ!)
リーチをかければ出上がり跳満ツモり倍満確定。理想的なタンピン三色であった。
松本は手元の点数を確認しながら思案した。
(もう親はない。さすがにこの点差でトップを取りに行くのは無理だ)
(そもそも、次があるかどうかわかんねーな……清澄が飛んじまう。ならっ!)
力強く発生して、松本は7索を場に切り出した。
(リーチかけてツモなら2着だ。ここは当然っ!)
「リーチっ!」
(マジかよ……)
先制される。この手恰好から考えれば当たり前の話なのだが、余りにも苦しい状況であった。
そのリーチを受けて陽皐は手出しでリーチ宣言牌の7索を切り出す。
そして、京太郎のツモ番
【10巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ西 ドラ西
(ド……ラ?)
場を見渡す、どこをどう見ても西は切られていなかった。
超がつくほどの危険牌。吐きそうになりながらもその西を手に仕舞い込み、確保していた白を切り出した。
とりあえず1順しのぐが、あくまで問題を先送りにしたにすぎなかった。
そして、次なる試練が京太郎を襲った。
その10巡目、現在2着目の西家、上田はそのツモを見て長考に入った。
『上田手牌』
234m4【5】78s5567p西西 ツモ6s ドラ西
絶好の聴牌。ただ、親の現物は7索しかなく、それを切るということはほぼアガリを失う1打であった。
(つーか、そうした所で他の現物はないしな)
(まぁ、何とか頭を下げて清澄が飛んでくれるか松本が届かないツモをしてくれることを願うっていう手もあるけど)
上田はその思考を笑い飛ばした。
(ねーよな、そんなの。役無しドラ3だけど、それにこの待ちなら戦える。ならば)
「リーチだっ!」
(勝負しかねーだろ! 2位は渡さねぇ!)
その意思の元、5筒を卓に叩きつけ、1,000点棒を場に出した。
その二件リーチを受けて陽皐は自分の手を見た。
(何とか間に合ったか、やれやれ)
『陽皐手牌』
6789m33s999s8p西撥東
陽皐は途中で西をつかみ、その時点でこの局を諦めた。
2着目の風でドラ。生牌とあっては切れるものではない。
何事もなければ点数的にほぼ2着以上は確定している状況。
方向を修正して、安牌を抱え込んだのが正解であった。
撥も東も場に切られており、最低2順は稼げる。
ちらり、と京太郎を見る。
そこには必死に押し隠そうとしているが苦渋の色が漏れている京太郎の姿があった。
恐らく、前局の倍満振り込みが尾を引いているのだろう。
(精神状態はもう限界って感じだな。残り400点じゃ無理もないけど)
前局の南地獄単騎リーチに深い意味はなかった。
ただ、彼の中の第六感的なもの、感覚的なものが南でリーチを打てと告げていたから、打ったにすぎなかった。
デジタルとはかけ離れたカンの世界だが、陽皐はそれで勝ち続けてきた。
誰に何と言われようと譲る気はない自分のスタイルであった。
(女子チャンプの原村和がいるあの清澄高校だからどれほどの選手かと思ったけど、まぁ、全員が全員強いわけじゃないよな)
そう思いながら、撥を切り出した。
それを受けて幽鬼のような表情で牌をツモる京太郎の姿を見て、彼の第六感的なものが告げていた。
――こいつ、飛ぶな――
【11巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北西 ツモ5m ドラ西
(が……ふ……)
危険牌じゃない牌を探すほうが難しい状態。
あまりの状況に涙が出そうになる。
京太郎はもう一度場を見渡した。
『上田捨牌』
一中撥白八⑨
撥九四5r
『松本捨牌』
南北中東⑨東
六27r一
『陽皐捨牌』
①③⑨八南二
白三27撥
(なんだよ、この状況)
共通的に通りそうなのは北の対子のみ。
ただ、これを切れば当然向聴数は下がる。
もう11巡目、北を落としたところで間に合うかどうかは非常に疑問であった。
「絶望」の2文字が京太郎の頭によぎった。
(なんで、俺ばっかり……)
(無理、だったのか。やっぱり)
(もってやるやつに勝ちたいっていうのは)
北に、手をかける。それを河に投げようとする。
(そう、無理だったのか……不相応な、願いだったのか)
ひびの入った彼の心がそれを後押しする。
(北を切ってとりあえず回って、聴牌とれたらいいな)
(そうだよ、しょうがない、これはしょうがない)
(しょうがないんだ)
指に力を込めて、北を持ち上げる。
(もう諦め……)
心が、今にも折れそうだった。
そして、その北を――
(……違う!)
だが、それでも京太郎は北を切らなかった。
すんでのところで、踏みとどまった。
ヒビだらけ、傷だらけの心であったが、それでも踏みとどまった。
(闘うって、決めたんだ。最後の最後まで。諦めずに、前に進むって決めただろ!)
西に指を向ける。超危険牌だがもう迷いはなかった。
(そうだ、格好にこだわるな。みっともなくてもいい、鼻水やら鼻血垂らしながら、泣きながら、這いつくばりながらでもいい)
そして、西を河に、投げた。
(どんな姿でもいい。だから、最後まで、諦めるな!)
場に、打ち出される西。
(通ってくれっ、頼むっ!)
発声は、かからなかった。
「これは、手を膨らませたの仇になったか! 手の中が危険牌だらけの状態。これは、厳しい!」
アナウンサーがあまりの悲惨さに悲痛な声を上げた。
「藤田さん、幸い今の西を通すことはできますけど、この状況は……」
「あぁ、かなり厳しいな。面子がないのには変わりないしな」
何か面白いものを見つけたように、まくりの女王と呼ばれているプロはにぃ、と笑った。
「しかし、一瞬北の対子を落とすか悩んだようだが……腹、括ったみたいだね」
笑みが崩れない。何かを楽しむかのように、モニタを見続ける。
「うん、いいまくりが、見られる気がする。なんとなくだがね」
1枚の牌を切っただけで、京太郎の精神は大きく削れた。
通ったことが確定したのだとわかっても、動悸が激しい。
(とにかく、通ったんだ)
(まだ、行ける。まだ、戦えるんだ)
涙がこぼれそうになる。叫びだしたかった。それでも必死に歯を食いしばった。
呼吸を整え、場を見る。下家も対面もアガリ牌は引けなかった。
陽皐は対面がツモ切った6萬に合わせて手出しで6萬を切った。
そして、その6萬に反射的に飛びついた。
「チーッ!」
【12巡目】
『京太郎手牌』
5m33566s346p北北 チー567 打5m
「そこからチー? で、でも役が」
普段自分が目にしないものを見て、驚いた様子で咲が声を漏らす。
そんな咲に幾分かは落ち着いた様子で和が言った。
「もう終盤です。須賀君は形式聴牌をとりに行ったんです。さっきも言ったようにように、聴牌を取らねばトビですからね」
画面の中では京太郎が本当に苦しそうな顔をしながら危険牌である5萬を切り出していた。
「じゃが、この形は……」
まこは京太郎の手恰好を見て唸るように言った。
直後、対面が北を切る。それにも飛びつく京太郎。
「ポンッ!」
モニタの中で必死の形相で北を仕掛ける。
【13巡目】
『京太郎手牌』
33566s346p ポン北北北 チー567 打6p
6筒も超危険牌だが京太郎は何とか切った。
「あ、あぁ、この形は」
優希も気づいたようにうめき声をあげた。
『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567
『松本手牌』
【5】67m45567788s567p
『上田手牌』
234m4【5】678s567p西西
「聴牌したら、当たり牌が出ちゃうじぇ……」
暗い顔で和が頷いた。
「……9索はもう全枯れですから考えなくていいとして、3索も6索も全員の手で使い切っています」
酷な現実を告げるように、和は続けた。その表情は非常に重苦しいものだった。
「つまり、3索や6索を暗刻らせて放銃を防ぐのは無理……ですね」
「えぇ。願わくば須賀君が2筒か5筒を先に引いて5索切りのシャボ受けにしてくれることを祈るのみね」
「でも、それって、4索か7索を先に引いちゃったら……」
最後に咲が言ったその言葉に返事を返すものは誰もいなかった。
【14巡目】
『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ7m
(また危険牌っ!)
のたうちまわりたくなるほど苦しい状況だったが、そのままツモ切りしていく。
発声はかからなかったが、先ほどから京太郎が危険牌を切るたびに心臓が削り取られていくよう感覚だった。
京太郎はこの4枚連続の危険牌切りで心臓がなくなってしまったのではと思うぐらいであった。
(もう、時間がない。そんなにツモがない。そろそろ引かないと、マズイ)
そして、何も発声がかからないまま再び京太郎のツモ番が回ってきた。
そこに書かれた絵柄を見た瞬間、京太郎の心臓は跳ねた。
【15巡目】
『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ4s
(……来たっ! ようやく聴牌!)
京太郎にとって、待ち焦がれていた聴牌となる牌だった。
(よし、この牌が通せればっ!)
そう思いながら、京太郎は3索に手をかけた。
清澄高校控室では京太郎は4索を引いた瞬間に悲鳴が上がった。
「そっちを、引いてしまったか……」
まこが天を仰いだ。画面の中の京太郎は3索に手をかけていた。
「あとちょっと、あとちょっとだったのに!」
咲が悔しそうに拳を握りしめた。
実況席の2人も思わず声を漏らした。
「あー、引いてしまいました。これで聴牌ですが、当たり牌が出る形」
「あぁ……本当に、頑張ったんだがな」
そう、その対局を見ていた会場の誰もが京太郎の振り込みを確信していた。
そして、京太郎本人も3索を切ろうとしていた。
牌を持ち上げ、河に切り出そうとした瞬間、それが目についた。
『上田捨牌』
一中撥白八⑨
撥九四5r【5】九
⑧中
『松本捨牌』
南北中東⑨東
六27r一六2
⑥
『陽皐捨牌』
①③⑨八南二
白三27撥西
⑧
『京太郎捨牌』
①東9中⑨二
一撥①白西五
⑥七
京太郎はそれに気づいた。気づいてしまった。
(……いやいやありえないだろ。仮に一人に通用してももう一人には通用しないぞ)
(それに、切らないとしてもどうするんだよ。もう順目は残ってないぞ?)
(大体、止めたとしてもどっちにしろ危険牌切らなくちゃいけないんだぞ? ありえない)
京太郎は頭では必死に3索を切れと訴えかけた。
だが、体が反応しない。
気付いてしまったから、体が動かない。
(……わかったよ)
(そうだよな。最後くらい、自分のそれを、信じてみたいもんな)
(行こうか、信じたほうへ)
長考であった。そして、京太郎は散々迷い、苦しみぬいて牌を抜いた。
33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ4s 打4p
その打牌を見た瞬間、清澄高校部室では悲鳴とはまた違う驚きの声が漏れた。
「す、4筒!? なんで!?」
優希が驚きの声を上げる。
「ど、どうして? どうして?」
放銃を回避したはずなのだが、余りに不可解な打牌に咲も喜びより驚きが出ていた。
「わ、わかりません。3筒4筒が安牌というわけでもありませんし……」
「……不可解だけど、何かに気づいて、3索6索が危ないってわかったのかしら。というか、そうとしか考えられないわね」
和の動揺した声に久も自分の言っていることに疑問を感じながらそう予想した。
「た、確かに3索6索を止めると考えれば3筒4筒を払うのが一番広い、な?」
「え、えぇ。9索以外の索子を引けば聴牌ですが……」
一同は呆然としながらもモニタを見ながら京太郎の手牌の行く末を見守った。
その驚きは実況席でも同じであった。
「ふ、藤田さん。私はてっきり3索か6索を切ると思ったんですが、これは、どういうことでしょうか?」
アナウンサーが戸惑いながら靖子に助けを求めるが、考え込んだ後首を振った。
「正直、わからん。私も3索を切ると思っていた。まぁ、確かに場に索子は高いが、筒子が通る保証は全くないしな」
むしろ危険だ、そういって言葉を締めくくった。
「そうですよね……清澄高校、須賀。いったい何を考えているんでしょうか?」
「何を考えたのか、もしくは何かを感じたのか……やっぱり何か、起こりそうだな」
(通った、か)
京太郎は吐き気を堪えながら切った自分の4筒を見つめていた。
か細い理論、直感とある種の感情に任せて切った牌だったが、通った。
(だがこれからが問題だ)
余りツモは残っていない。その数少ないツモで聴牌を入れなくてはいけなかった。
心臓だけじゃなくて全身の血管が破裂しそうなほどの何かを京太郎は感じていた。
ツモ牌に手を伸ばす。
【16巡目】
『京太郎手牌』
334566s3p ポン北北北 チー567 ツモ4p 打3p
(お前じゃない!)
【17巡目】
『京太郎手牌』
334566s4p ポン北北北 チー567 ツモ3m ツモ切り
(お前じゃないんだ!)
内心のその声はほとんど悲鳴であった。
残すツモはたった1枚。ここで引けなければ終りであった。
京太郎の番が、回ってくる。
(頼む)
ツモ山に震える手を伸ばす。
(引かせてくれ)
最後の1枚に手を触れる。
(ここで、終わりたくない)
そしてゆっくりと
(まだ)
牌を、ツモった。
(麻雀がしたい!)
その後、3人とも最後の1枚をツモり、流局となった。
「ノーテン」
親の陽皐が手を伏せる。そして南家の京太郎に3人の注目が集まった。
だが、京太郎の体は動かない。
「君、宣言を」
審判員に注意を受け、その時漸く流局になったことに気づいた京太郎はびくりと体を震わせた。
そして、カラカラに乾いた口を開き、ゆっくりと牌を……倒した。
「聴牌」
『京太郎手牌』
3345668s ポン北北北 チー567m
京太郎はリーチ者2人の聴牌形をみて、内心ほくそ笑んだ。
(まさか本当に3索6索がアタりとはなぁ……麻雀の神様ってのは俺のことが嫌いなのか好きなんだか)
そう思いながら、京太郎はアガれずに若干悔しそうなリーチ者2人と、
何やら京太郎の手を驚愕の顔で見ている陽皐を見渡して、内心うそぶいた。
(どうだ、止めてやったぜ? ざまあみろ!)
上田 32,700(+-0)
松本 15,200(+-0)
陽皐 48,700(-3,000)
京太郎 1,400(+1,000)
(供託2,000点)
その聴牌形を見て陽皐は愕然としていた。
牌はもうすでに落とされており、オーラスの山が積まれていたが、それは陽皐の脳にはっきりと焼き付いていた。
(形式聴牌なのは想定通り。待ちが愚形なのはどうだっていい)
(だが、何故。何故その3-6索が止められたんだ!?)
自分の勘が外れたこと、ありえないブロックに陽皐の精神は激しく混乱していた。
まるで前局の京太郎のように若干の震えを伴いながら陽皐は配牌を取った。
(全ツッパだったはずだ。オリなど考えていなかったはずだ)
(なのに、何故そこが1点で止められるんだ!? 止めたことで切った3筒、4筒だって相当な危険牌だろ!?)
配牌を取り終わる。陽皐にとってはあるはずのないオーラス。
『陽皐配牌』
223m99s356p東西白白白 ドラ7p
面子候補は足りていないが好形。
役牌もあり、流すにはもってこいの形だった。
(とにかく、とにかくだ。さっさと蹴って終わらせる)
そう思いながら第1ツモを手に取る。4索を引き、さらに形がよくなる。
西を切り飛ばし、2巡ほど空振り4巡目。
【4巡目】
『陽皐手牌』
223m99s3456p東白白白 ツモ5p ドラ7p
磐石の形。ポンにもチーにも行ける理想的な形だった。
東を切り飛ばす。だが、1巡空振りして次の6巡目だった。
「リーチっ!」
3着目、松本からの早いリーチが入った。
捨牌を確認する。
『松本捨牌』
628北九⑧r
(また妙な捨て牌だな……)
そう思いながら自分のツモに手を伸ばす。
【6巡目】
『陽皐手牌』
223m99s34556p白白白 ツモ4m ドラ7p
ストレートな聴牌。だが2萬という危険牌を切ってまで聴牌を取る気はなかった。
何も考えず、ノータイムで9索の対子を手に取り場に打ち出した。
精神的な動揺があったのかもしれない。
万全の状態であれば勘が働き何かを察知できたのかもしれない。
だが、それはすでに場に打ち出され
「ロン!」
アガリを、宣言された。
『松本手牌』
111789m1119s111p ドラ7p
「リーチ、一発、純チャン、三色、三暗刻」
松本はゆっくりと役を数えた。
そしてゆっくりと裏ドラに手を伸ばし、めくった。
裏ドラは、9索。今ちょうど、陽皐が切った牌であった。
「……裏2! 三倍満で24,000は24,300!」
まくられた。陽皐がその現実を認識するのに多少の時間がかかった。
長かった対局が、終わった。
『終局』
上田 32,700
松本 41,500(+26,300)
陽皐 24,400(-24,300)
京太郎 1,400
それが決まったとき、実況席は一瞬の沈黙に包まれた。
「まさか、まさかの……インターミドル3位、陽皐がここで敗退です!」
あまりにドラマティックな展開にアナウンサーも最初言葉を失った。
「素晴らしいまくりだ、いい物を見れた」
隣でまくりの女王が満足そうな顔をして微笑んだ。
「藤田プロの言うとおりになりましたね……ここまで劇的な大まくりが出るとは……」
「そうだな。まず3着目の松本、南3局で大物手を潰されたのにもかかわらず、腐らずオーラスに望んだ。その執念をまずは褒め称えたい」
そして、と前置きしつつモニタの中でうなだれた表情をする京太郎をみた。
「自身は及ばなかったが、このまくりが出たのは南3局で清澄の彼が土俵際であきらめず踏ん張ったからだな」
「えぇ。普通であれば彼が飛んでこの局はなかったわけですからね」
「あぁ。無論彼は悔しいだろうが……。まだ若い」
モニタをこつりと指で軽く叩いて微笑みながら言った。
「この先もあのように諦めなければ、きっといい雀士になるな」
「ありがとうございました!」
対局後、挨拶の後喜びを隠せないように1位と2位は弾かれたように対局室を飛び出していった。
京太郎はそれを気にもせず、目の前の牌をぼんやりと眺めた。
『京太郎手牌』
456m224789s57p東東
東が鳴ければ、勝負になっていた。
だが、東は山に深く、場に打ち出されることはなかった。
結局京太郎の新人戦は一度もアガることなく、終わった。
「少し、いいかな?」
そうやって京太郎が自分の手を見続けていると声がかけられた。
京太郎ほどではないが、暗い顔をした陽皐だった。
「……なんすか?」
「いや、すまん。俺と話なんかしたくないとは思う。だけど、教えてほしいことがある」
陽皐は京太郎の返事を聞かないまま、殆どめくられることがなかった山を返し、京太郎の前に牌を並べた。
「南3局で2軒リーチが入ったてから、途中でこんな手格好があったと思うんだが?」
『京太郎手牌』
33566s34p ツモ4s ポン北北北 チー567
「あぁ、はい……」
京太郎はその手牌を見ながらあの時の状況を思い出し、頷いた。
「教えてほしい。何でここから、3筒と4筒を切り出していったんだ? 何故聴牌を取らなかったんだ?」
納得がいかないと言った顔をして陽皐は続けた。
「確かに、3索と6索は危険牌だった。だが、それまでも無筋を切り続けていたし、3筒と4筒だって安全じゃない。むしろ危険牌だ」
拳を握る陽皐。敗北の悔しさが徐々にこみ上げてきたのか、その言葉には有無を言わせない何かがあった。
「教えてくれ、頼む」
沈黙が流れる、陽皐は話すまで梃子でも動かないと言った空気が感じられた。
京太郎はそれを受けて若干悩んだ後、口を開いた。
「あの時、対面さんの捨牌……リーチの直前、確かこんな感じだったはず。全部は覚えてないけど」
『松本捨牌抜粋』
六27r一
「……確かに、そんな感じだったな」
「ほらこれ、ここ」
そういってリーチ宣言牌とその直前に切られた2索と7索を指差した。
「間四ケン。だから、危険だと思ってどうしても切れなかった」
「……はぁ!?」
陽皐は思わず間抜けな声が聞こえた。
間四ケン。今回のように2と7や3と8のように牌が切られた際に間のスジが危ないと言う読み筋である。
だが、読み筋の中では当てにならないと言われる物のひとつであった。
「あ、間四ケンって、それだけ? しかももう一人の立直にはまったく意味をなさないだろ!?」
陽皐の語気が荒くなった。
あれほどの1点読みをしたのだから何かしらのすさまじい理論か自分と同じ勘の打ち手だと考えていた。
だが、蓋を開けてみればそのどちらかでもなく、誰でも知っているか細い理論であった。
「わかってる。俺だって、馬鹿だなと思う。その証拠に切るとき、結構、迷ってただろ?」
「……あぁ、確かに」
京太郎の苦しそうに悩み、今にも死んでしまいそうな顔で4筒を打ったこととを思い出す陽皐。
それでも納得がいかなそうな陽皐をみて京太郎は天井を見上げながら、何かを思い出すように言った。
「でも、さ。間四ケンって言う知識は……」
あの日の部室での出来事を思い出す。
お互いに泣きながら、気持ちをぶつけ合ったあの日。
優希と笑いながら、話したあの日と出来事を思い出していた。
――そうだ、聞きたいことがあったんだが……間四ケンって――
――読み筋の話か? 間四ケンとかよりまだ――
「雀士としての俺が、初めて覚えたこと」
「俺が、もってなくても、勝てなくても、それでもやっていこうって決意して、初めて覚えたことなんだ」
「だから、どうしてもそれを信じてみたくなった」
それだけ、と言って京太郎は黙り込んだ。
陽皐は何かを言い返したかった。だが、何も言葉が出なかった。
(人のこと、言えないよな。俺だってありえない打牌して周りからいろいろ言われてきたってのに)
(自分が今までしてきたのに、自分が不条理な打牌をされて相手を咎めると言うのも、ないよな)
「わかった、ありがとう。また、機会があったら打とう」
軽くため息をつき、陽皐はそうやって京太郎に軽く礼を言った。
「……あぁ」
京太郎は、そう返すのが精一杯だった。
心の中に吹き荒れる激情を抑えるのが精一杯でそれ以上話すことが出来なかった。
陽皐はそれを見て何も言わず、対局室を出て行った。
京太郎もそれから少しして、ふらつきながら対局室を出た。
頭には霞がかかったようだった。
控え室に向かい、会場内の通路を歩く。
京太郎は周りは相変わらず人が多いがその喧騒が遠くから聞こえるように感じた。
すれ違う人にぶつかりそうになりながらも、京太郎は歩く。
(何も)
次のステージへの進出を決めたのか、一人の高校生が周りから撫で回されたり小突かれたり、手荒い祝福を受けていた。
(何も、できなかった)
このステージで敗退したのだろうか、一人の高校生が涙を流していて、顧問と思われる壮年の男性が何も言わずに頭を撫でていた。
(終わっちゃったんだ、な)
周りから自分はどう映っているのか、京太郎はそんなことを考えるがわかりったことだ、と即座に切り捨てた。
(俺の、新人戦)
ぼんやりとする頭の中で京太郎は自分の置かれている状況を少しずつ理解していく。
そんな時、目の前に見知った顔が居た。通路に立っている5人の顔。
まこ、優希、和、咲、久。皆それぞれ、痛ましい顔で京太郎を見ていた。
「京、ちゃん」
咲が京太郎の名を呼ぶが、その後が続かなかった。
咲は必死に慰めの言葉、励ましの言葉をかけようと頭を巡らせるが、何を言えばいいのかわからなかった。
それも至極当然のことであり、麻雀において常に強者で居た咲に、敗者に対して何を言えばいいのかわからないのは自明の理だった。
だが、ほかのメンバーも何を言えばいいのか、わからなかった。
あまりにも、一方的な敗北。善戦であれば何かが言えただろう。
だが、ここまで言い訳も出来ないほど完膚なきまでに叩きのめされれば言葉に迷うのも無理はなかった。
最後の形式聴牌で踏みとどまったことは驚きだったが、それが大した慰めにもならないことも、彼女たちは理解していた。
(なんだよ、まったく)
そんな5人の様子を見ながら、京太郎は苦笑した。
(俺以上に、つらい顔しやがって)
何か湧き出そうになる、どうしようもない感情に蓋をして、京太郎は笑った。
「すいません、負けてしまいました」
そう言って頭を下げる。
それを口に出した瞬間、感情が爆発しそうになったが、それでも京太郎は耐えて、頭を上げた。
「はは、俺なりに必死にやったんですけど、ほんと、すみません、み、みんな、一生懸命、お、俺の、た、ために」
言葉が震えてくる。笑顔が崩れそうになる。
そんな状況を必死でこらえながら、京太郎は続けた。
「そ、そうだ。な、なんか飲み物でも、買ってきましょうか。ほら、ほら、その、えっと、皆、喉でも渇いたでしょ?」
誰が見ても、無理をしているというのがわかる顔であった。
優希が顔を伏せる。和が口に手を当てて声を押し殺す。
そして、咲が泣きそうな顔で京太郎に駆け寄ろうとした。
だが、その手をまこが握り、そして、京太郎に向き直って言った。
「じゃあ、適当に頼む。金は、後で渡すけぇ」
「わ、わかりました。じゃあ、いって、きます」
もう限界だとばかりに、京太郎は顔を伏せてきびすを返した。
そして、走り出す直前の京太郎にまこがもう一度声をかけた。
「京太郎!」
「……はい」
振り返らず、押し殺した声でまこの呼びかけに反応する。
まこは、京太郎が見てはいないとはわかっていても、その背中に笑いかけた。
「会場は広いけぇ、迷うかもしれん。……ゆっくりでええからな」
「……ありがとうございます」
そう言って軽く頷くと、京太郎は駆け出して行った。
「染谷先輩、京ちゃんを、その……」
控え室に帰る道すがら、咲はそんなことを言った。
何かを言いたかったようだが言葉にはならなかった。
「京太郎も男じゃけぇ。プライドっちゅうもんがある。今は、一人にさせてやるんじゃ」
「……はい」
咲は不承不承、と言う感じで頷いた。
その様子を見て、3人を見渡しながらまこは続けた。
「なにより、今回の新人戦で勝者であるぬしらが敗者にかける言葉はなかろう」
しばらく、沈黙が続くがぽつりと優希がこぼした。
「京太郎、また麻雀がいやにならなきゃいいな」
「……そうですね。この敗北は心にくると思います。本当に、今日は巡り合わせが悪かったとしかいいようがありません」
和もそう言いながらどこか辛そうな表情をした。
まこがそんな空気を払拭するかのように、大きな声で言った。
「とにかく、京太郎を信じるんじゃ! まずは、帰ってきたら暖かく迎えてやろう。結果が伴わなかったとは言え、必死に戦ったんじゃ」
その言葉に、3人は小さく返事を返した。
そのとき、まこが何かに気がついたように辺りを見回した。
「ん? ……久は、どこへ行った?」
そういうと3人も辺りを見回したが、久の姿はどこにも見えなかった。
会場の一番はずれにあり、辺りには控え室も無い自動販売機コーナー。
京太郎はそこに全力で走り、辿り着いた。
「はぁ……はぁ……」
大した距離を走ったわけではないのだが、なぜか酷く呼吸が乱れた。
震える手でポケットから財布を取り出す。
小銭を取り出そうと財布の口を開いた瞬間に震えからか、財布を取り落としてしまう。
甲高い音が響いて、辺りに小銭が散らばった。
(何やってんだ、俺)
心の中で愚痴りながらも、しゃがみ込む。
「くそっ」
小銭を拾いながら、京太郎は言葉を漏らした。
何に苛立っているのかはよくわからなかったが、それでも何かを堪え切れなかった。
「くそっ」
目頭が熱くなってくる。
「くそっ」
鼻の奥がツンとした。小銭を拾う手が止まり、体が震えだす。
その時だった。
京太郎に影がかかる。その影は京太郎と同じようにしゃがみ込み、
一番遠くにあった最後の一枚の小銭を拾い上げた。
「はい」
そう言うと、影――久は微笑みながら手を差し出した。
「ぶ、ちょう」
「部長じゃないってば」
そう笑いながら小銭を京太郎に渡した。
京太郎はそれを受け取り、財布に入れる。
「ど、どうし、て?」
「ほら、6人分の飲み物持って帰るの大変でしょ。手伝ってあげようと思って」
久はいつもの笑いを浮かべながら京太郎に言った。
京太郎はそれに対してどう返せばいいのかわからず黙り込む。
そうしていると、久はせかすように京太郎の手を引いた。
「ほら、さっさと買っちゃいましょ?」
「……はい」
京太郎は小銭を自動販売機にいれ、適当にボタンを教えていく。
「ねぇ、須賀君」
久は自販機横のベンチに座り、京太郎の買ったジュースを自分の隣に置いた。
「なんですか?」
京太郎は自動販売機に向かい合ったまま、答えた。
久は少し間を空け、何かを迷う素振りをしたが、結局その言葉を発した。
「……麻雀、嫌になっちゃた?」
京太郎はその問いに、自動販売機のボタンを押す手を止めた。
そして、何かを考え込む。久は黙って、その返事を待った。
しばらくして、京太郎は途切れ後切れだが、久に向けて言った。
「……やっぱ、悔しいです。だけど、まだ、がんばれると思います。」
「あの南3局。たぶん、3人ともが俺のこと飛ぶって思ってたんでしょうが、なんとか、踏ん張れました」
「ただの頼りない理論、意味も無い勘でしたけど、当たり牌、止めること出来ました。その上で、聴牌できました」
「その瞬間、ちょっと、嬉しかったんです」
「苦しい苦しい対局ですけど、嬉しさも見いだせました。だから」
「だから、その、もうちょっと、がんばれるかなって、そう思います」
そこまで言い切って、京太郎は自販機のボタンを押した。
久はジュースを受け取り自分の隣に置いて軽く微笑み、そう、と言った。
「さ、行きましょうか。みんな待ってますよね」
「待って。須賀君、ちょっとこっちに座りなさい」
ジュースを手に取り歩き出そうとした京太郎に、久は自分の隣をぽんと軽く叩きながら言った。
「……なんですか? 何企んでるんですか?」
「いいからいいから」
口元は笑っていたが、どこか真剣な感じを受ける久に京太郎も何かを感じ取ったのか、言われるがままに隣に座った。
「はい、座りました。で、なんでしょうか」
京太郎が久に問いかける。すると、久は何も言わず、京太郎の頭を撫でた。
「……えっ?」
(そう、私は、あなたにとっていい部長ではなかったと思う)
「何ですか、先輩。何を企んでるんですか?」
(でも、あなたは私を責めることなく立派に成長した)
「先輩?」
(私は、あなたに対してほとんど何も出来なかった。だから)
「どうしたんで……!」
(これぐらいは、させて頂戴)
そう言いながら、京太郎の頭を自分の胸に抱いた。
「た、竹井先輩。ど、どうしたんですか? と、突然何を」
「いいの」
動揺した様子の京太郎の言葉をさえぎりながら京太郎は抱きしめた久の頭を撫でながら言った。
「あなたが麻雀を続けると言ってくれたことは嬉しい。がんばれる、といって笑ってくれることは嬉しい。でも」
さらに、京太郎の頭を強く抱きしめる。
京太郎は久のやわらかい胸の感触を感じつつも何故か下心も無く、それに身を預けていた。
「辛いときは、悔しいときは、泣いていいのよ?」
その言葉に、京太郎はびくりと反応し体を震わせた。
それでも尚、何かに耐えている様子の京太郎に久はその背中を撫でて言った。
「辛かったわね、苦しかったわね……。須賀君が苦しい中、一生懸命がんばっていたのは見たわ。あなたは、あなたは」
久の目にも涙が浮かんでいる。それを1回ぬぐい、再び京太郎の背中を撫でた。
「あなたはよくやったわ。お疲れ様、須賀君」
京太郎の精神はそれが限界だった。堪えていた何かが噴出していく。
涙が大量にこぼれ、久の制服を濡らした。
「うっ、うぅ、ぐ、ぐぅ……」
引きつった声を漏らす京太郎。
一度噴出したそれはもう堪えが聞かなかった。
「悔しい、悔しいです。あんなに、あんなに打ったのに。みんなと、あんなに……!」
「うん、うん」
「ぜんぜん、うまくいかなくて、お、思い通りにならなくて」
「うん……」
「な、なんとかしようとしたんですけど、で、でも、どうしようも、なくて」
「うん……!」
「できることをしようと、おもった、のに、たいしたこと、できなくて」
「うんっ……」
「みんな、と、みん、なとあんなに、がんばった、のに」
「えぇ……! あなたは、あなたは、頑張ったわ、須賀君」
久は京太郎の言葉に頷き、自分も涙を流しながら京太郎の背を撫でた。
「なのに、なのに、俺、俺……う、ぐ、ううううううああああああ」
それ以降は言葉にならなかった。
京太郎は久の胸の中で呻く様な鳴き声をあげた。
久の腕を掴み、子供のように泣いた。
久はそれに対して何も言わず、ただ京太郎を抱きしめて子供をあやすように背をさすり続けた。
沸き立つ会場の片隅で、京太郎の嗚咽の声が響いた。
それは、しばらく止むことはなかった。
本編はここまで1時過ぎぐらいにエピローグを投下していきます。
ちょっと休憩。
しかし投下だけで40分ぐらいかかるとか……
乙
この京太郎は池田と仲良くなれる
一旦乙
もうすぐ終わりかー
間違いなく京太郎SSとしては名作になると思う、キツい展開だけどね
乙
素晴らしい。
いよいよ退部か・・・
まぁ仕方ないよな・・
こんだけ強い部員の中に一人だけ素人が混ざってたら目立っちゃうもん
ssの中で言われてたけど間違いなく新入生に舐められるだろうし
実際弱いからどうもできない。努力でもどうにもならないのがすごくもどかしい。
乙
物語にぐいぐい引き込まれるな
乙ー!
もうここまで来たら何も言わん。
後は投下を待つのみよ!
一旦、乙ー。
京太郎としては納得行かない形だろうけど、最後の闘牌には心震えたよ。
ただ、最後で出てくる部長がすっげぇあざといと思いました(コナミ感)
やっぱり京ちゃんの涙を受け止めてあげるのはわた、幼馴染の咲ちゃんにするべきだよ!!
このssが切っ掛けで京太郎鬱ssが流行りそうだわ
ヘルカイザーみたいに
キャップは先がある下級生が一回でも多く打てるように雑用を一手に引き受けてたのになぁ……
それに引き換えこの部長は…パンツも見せてくれないし、パンツも見せてくれないし
乙!まさに、[ピーーー]ば助かるのに・・・どうせ死ぬなら強く打って死ぬでした。京太郎も死ぬ事で死中の生を拾った。
アカギは打った理由の説明と的確な助言が出来るので、後輩の指導に向いている気がします。
部長の場合、念願の全国が手に届く位置に来て、後人の指導が頭から吹っ飛んだのは無理もないけど、出来なかったではなく、しなかったじゃ・・・
>>603
京欝SSって割と見る気がするが
エタってたりするけど
>>606
悪いのがどんどん増えそうだよ
主に清澄メンバーを作者が断罪するような奴・・・
そうか、京久やったんやな……このスレ
麻雀に関わった時間とか考えても良く頑張ったなぁ
でもコレってものすごく良い平凡な話で鬱ではないと思う
>>603
それほど鬱な作品ではないと思うけどな
ただ京太郎を生贄に捧げることによって面白くなったSS、という酷く捻くれた読み方もできるからなあ
鬱じゃなくて大多数の一般人は新人戦敗退するし良くある青春の1ページじゃない?
レギュラー落ち・個人戦負け・怪我してマネージャー化とか運動部なら割とある事だしね
え、俺むしろ京太郎が幸せなSSを書こうという意志が固まったんだけど
>>603
そんな不確定な事を一々言わなくて良いと思うよ。
名作であるのは確かだし、影響を受けるスレはあるだろうけれど。
そういう言い方はスレ立てて、ここまで書いてくれたイッチに失礼だと思った(コナミ感)
思うにここまで原作の歪みを突っ込んだssは今までなかったよ。
原作からして一部を除いて能力持ち≧能力なしだもの。
もう少ししたらエピローグを投下していきます。
(※注意 人によっては気分を害する内容かもしれません)
乙
すぐオカルトとか異能に逃げるスレより100倍面白いわ
安易に上がらせるんじゃなくこの展開
上手いとしか言い様がないな
いやいや、ここから全国武者修行兼各地のおもち(がない)娘とフラグを立てる旅が始まるんだろ?
断罪といってもロッカーは若さ故の過ちで悪いわけじゃない。
清澄麻雀部にもう一人、戦力外がいればお互い切磋琢磨出来ただろうけど、京太郎は魔物の中に紛れ込んだ兎かハムスター一匹だし。部を続けるとしたらマネージャーに専念するしかない。
京太郎に部を続けさせる為には麻雀をさせない。麻雀をさせるためには京太郎を退部させる。究極の二択、どっちを選ぶか。
ではエピローグに行きますー
それからも京太郎はただ麻雀を打ち続けた。
毎日毎日、打ち続けた。
そして、毎日のように麻雀部メンバーに負け続けた。
久が学校から去り、新入生が入ってきたときも打ち続けた。
ほかのメンバーに比べての実力の低さを笑われるときもあったが、それにも負けずに打ち続けた。
その真摯な姿に後輩も感じ入るものがあったのか、不思議と男女問わず信頼を得るようになった。
もともと、人当たりのいい性格と言うこともあり、慕われるようになった。
夏の大会で2回戦負けしたときも打ち続けた。
男子はメンバーが集まらず団体戦には挑めず、個人戦での参加となった。
その時、初めて公式戦で1勝をあげることができた。
結局2回戦負けとなり、清澄は女子だけ、などと揶揄されることもあったが勝利に胸を躍らせた。
夏の大会後、まこから部長職を引き継いだときも打ち続けた。
京太郎は自分の実力も考えて和のほうがいいと強く固辞したが、京太郎以外の一同が京太郎を推薦した。
結局京太郎は部長職を引き受けた。
周りからは一番実力が無い者が部長はどうなのかと懸念の声もあったが、それでも周りが京太郎を盛り立てた。
秋の新人戦で後輩たちが活躍したときも打ち続けた。
数少ない男子メンバーの一人が全国への切符を手にした。
もともと中学から打ち込んでおり、京太郎が教えられることはあまり無かったが、
それでも京太郎は後輩をかわいがり、公開も京太郎を先輩として敬意を持って接した。
その後輩が全国への切符を手にしたときは自分のことのように喜び、泣き、称えた。
胴上げをした際に危うく落としかけ、まこと和に酷く叱られたこともあったが。
そして、まこが卒業を控え最後に1卓囲んだときも京太郎は全力で打った。
「あっという間の3年間じゃったな。もう打つことが無いと考えると寂しくなるのぅ」
まこは麻雀中そんなことをぽつりと言った。
京太郎はそれを聞いて、何を言ってるんですか、と前置きした後に言った。
「みんな卒業してからでも、それこそ就職してからでも、打ちましょうよ。だって」
京太郎はにっと笑いながら残りの4人に笑いかけた。
「俺、まだ皆に勝ってないんですよ? 勝ち逃げは許さないです」
そういうと、全員がとても嬉しそうに、可笑しそうに笑った。
「そうじゃな……。うん、そうじゃったな」
「えぇ、時間を見つけて、また皆で打ちましょう」
「京太郎もたまにはいいこというじぇ!」
「ゆ、優希ちゃん。それはちょっとひどいよ」
「そうね、私も大賛成よっ!」
「どわっ! 竹井先輩、どっから出てきたんですか!」
そしてその局も勝てなかった。
それでも、打ち続けた。
辛いことがあっても、苦しいことがあっても、敗北に心が折れそうになっても、ただ、ひたすらに打ち続けた。
――――――――――――――――――――
―――――――――――
――――――
「ツモ。嶺上、混一色、ドラ3。3,000-6,00です!」
「ふぅ、最後の親が終わってしまいました……」
咲の発声に和が呻いた。ここまで焼き鳥だった咲の改心のアガリで点棒状況は大きく変動した。
『オーラス開始時』
京太郎 22,300
咲 26,600
和 13,300
優希 37,800(親)
「満直跳ツモで逆転か……」
あごに手を触れ、ざらざらとした感触を感じつつ京太郎は点棒を確認した。
「さて、京太郎。私をまくれるかな?」
オーラス、トップで親を迎えた優希がどこか不遜な態度でそう言った。
それに対して京太郎は口元に笑みを浮かべた。
「言ってろ。今日こそまくってやる」
そう言いながら京太郎は配牌を取った。
全員が、トップを取るために真剣な眼差しだった。
『京太郎配牌』
24m35779s34p東西北北 ドラ北
ドラヘッド。この状態から何かしらの手役を作れば跳満が見える。
配牌を見て、こういった状況で逆転の種が来てくれたことに感謝する。
「……(今日こそ、決めるんだ)」
場は進んでいく。優希を除く3人はごく普通の捨て牌だが和は捨て牌から国士無双であることが伺えた。
【8巡目】
『京太郎手牌』
45m57799s344p北北北 ツモ6s ドラ北
(いける、か?)
手ごたえを感じるカンチャン引き。7索を切り出す。だが、まだ手役が足りない。
ドラは6巡目に暗刻らせることはできた。だが、手役は見えずツモっても裏ドラ期待の手となってしまっている。
(咲なら、ここで北を引いてくるんだろうな)
そう思いながらツモに手を伸ばす。
【9巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ9m ドラ北
(4枚目……)
場に3枚見えている9萬。
和の捨て牌が露骨に国士無双を訴えかけていた。
この9萬を止めることは出来るが、それだとほぼアガリを逃すことになる。
――国士無双。32,000です――
いつかの記憶を振り払うように、大きく息を吸ってから、切り出す。
和がちらりと京太郎のほうを見るが、発声は、かからなかった。
京太郎は胸をなでおろす。
そして、和のツモ番になった。
【和手牌】
1m19s19p東東南南西白発中 ツモ北
(一手間に合わず、ですか)
自分はここまでだ、和はそう思いながら心の中でため息をつき、場切れの白を切り出していく。
(後は、3人にお任せしましょう)
そして、10巡目。
(裏期待じゃ、駄目なんだ)
そんなことを思いながら京太郎は山に手を伸ばした。
裏ドラも確率である。乗る人間、乗らない人間と言うのもオカルトな話だ。
だが、京太郎は今までの経験上、こういう状況で裏ドラ期待の手を売って乗った試しがなかった。
ただ、聴牌したらリーチを打たざるを得ない。
(だから、俺に、あれを……くれ!)
京太郎は、強く念じながら力強く牌をツモった。
【10巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ【5】p ドラ北
(! お前を待ってたぞ!)
待望の赤5筒引き。これで4役。リーチをかけてツモれば文句なしの跳満である。
「リーチ!」
力強く発声して、場に千点棒を出した。
(来たね、京ちゃん)
【10巡目】
『咲手牌』
333【5】5578m45567p ツモ7p ドラ北
その同じ巡目で咲も聴牌を入れる。
ツモれば2000-3,900でトップに届く。
(私だって、負けないよ)
先も5筒を切り出し追いかける。
それを見受て、優希は自分の手を睨みつけた。
(2軒リーチか)
もとより、優希は配牌がガタガタであり、ツモも噛み合わなかったためいまだ2向聴である。
(こりゃ、流局期待だな)
即オリを選択する優希。奇しくも、咲と京太郎の勝負と相成った。
11巡目、12巡目、13巡目……。
重苦しい場が進行していく。京太郎も咲も強く、強く念じながら牌を取っていく。
よもやの流局か、と和が思った、15巡目。
勝負はその巡目に付いた。
「ツモ!」
『京太郎手牌』
45m56799s34【5】p北北北 ツモ3m ドラ北 裏ドラ 2s
「リーヅモドラ4! 3,000-6,000だ!」
『終局』
京太郎 35,300(+13,000)
咲 22,600(-4,000)
和 9,300(-3,000)
優希 31,800(-6,000)
京太郎がそう宣言した後も沈黙が包まれた。
そんな中、咲が嶺上牌に手を伸ばした。なんとなく咲はわかっていたが、そこにあったのは9萬。
京太郎の引いた3萬を自分が引けばカンして嶺上ツモアガリであった。
咲はそれを見てくすりと笑って、言った。
「京ちゃん、トップだよ。おめでとう」
最初京太郎は呆然と我を失っていたようだったが、見る見る顔が血色ばんできて、喜びを爆発させてた。
「よっっっっっっっっしゃあああああああああああああああああ!」
あまりの声の大きさに周りの卓に座っていた者たちが何事かと京太郎の達を見た。
席から立ち上がり大きくガッツポーズをする京太郎。
雄たけび、と言っても過言ではないような勝利の咆哮であった。
世界中で今一番幸せなのは自分だ、そういいきれそうな満面の笑みだった。
「す、須賀君、声が大きいです」
和は京太郎の大声に思わずたしなめた。
「あ、あぁ、す、すまん」
京太郎はあわてて周りの人間にすみませんと頭を下げた。
「まぁ、でも、無理もないなー。長かったな、京太郎?」
優希はそんな京太郎の様子を嬉しそうに、本当に嬉しそうに見ながら言った。
「あぁ、ほんと」
京太郎はその言葉に頷きつつ、天井を見上げて言った。
「ここまでくるのに、15年もかかっちまった」
最上級生になり、それぞれの進路に向けて歩き出し、別々の道を進んでも京太郎たちはこうやって集まり時たま麻雀を打っていた。
それぞれが働き始め、仕事や居住地の都合もあり学生時代とくらべれば頻度は下がった。全員集まらないことも増えてきた。
それでも、その機会が途絶えることはなかった。
そして、15年目の今日、京太郎はようやく大願を成就した。
「まったく。もうみんなそろって三十路になっちゃったじぇ」
優希はみんなといると時々こうやって昔の口調に戻るときもがあった。
本人は気づいていないようだがあえてだれも指摘しなかった。
「だな。俺らも老けたな」
そう言いながら、京太郎は伸びてきた顎髭を撫でた。
「……やめてください。現実に戻さないでください」
「和は最近、年齢の話になるとそんなんだな……」
「女にはいろいろあるんです」
ぷいっと顔を背ける和。優希はそれを見て和をからかう。
そして咲は感慨深げな顔をしながら微笑み、誰にともなく言った。
「でも、とうとう、負けちゃったね、私たち」
「えぇ。今の須賀君の実力と確率を考えれば遅すぎるぐらいですが」
「まったくだじぇ」
3人娘――今もこの表現が正しいかは疑問だが――は笑いあった。
それを見て京太郎は笑いながらも少し真剣味を取り戻して言った。
「でも、皆には感謝してるよ」
「……どうしたの、京ちゃん?」
「15年間、たくさんたくさん打った。たくさん負けて、いろいろあって喧嘩したり、気まずくなったこともあったよな」
その言葉に3人は何かを思い返すような顔をしながら、京太郎の言葉の続きを待った。
「で、やっぱり仲直りして、またぶつかったりしたりしたけど」
「麻雀に関しては一度だって、手を抜かなかった。俺のことを1人前の雀士として扱ってくれて、いつだって全力だった」
「卒業後もそれぞれがそれぞれの形で麻雀に携わり続けて」
「皆、ずっと強いままで居てくれて」
「それが、なんていうか、すごく、うれしかった」
ありがとう、そう言って京太郎は3人に頭を下げた。
それを見て和があわてた様に言った。
「やめてください須賀君……どんなときでも、相手に対して全力を尽くすのは礼儀です。当たり前のことですよ」
「そうだよ、京ちゃん。そりゃ確かに京ちゃんにも勝ってほしい、って思うことはあったけど……手を抜いて京ちゃんが勝っても、それは京ちゃんを傷つけるだけだもん」
「そうそう、ライオンはウサギを狩るのにもなんとやら、ってやつ」
「ほざけ、タコス娘」
最後の優希の発言につっこみを入れつつ京太郎は笑った。
それに対して優希も笑うが、少し寂しそうな顔をして、京太郎に尋ねた。
「なぁ、京太郎?」
「なんだ?」
「京太郎は、これで満足か? 私たちに勝てて、もう、満足か?」
優希は恐れていた。
京太郎が自分たちに勝ったことにより、満足してこうやって皆で集まる機会は失われてしまうのではないか、と。
だからここ最近、優希は京太郎の勝利を願いつつも、心の底では勝ってほしくない、そんな複雑な感情を抱え、後ろめたい気持ちだった。
だが、優希のそんな発言を京太郎は軽く笑い飛ばした。
「なーに言ってんだよ! たったの1勝だぜ? 俺がお前らに何敗してると思ってるんだよ?」
尋ねた後、数えるのも面倒なぐらいだ、自分で答えて軽く笑った。
「これから俺の逆襲劇が始まる! 勝って勝って勝ちまくって、今までの負けを取り返してやる!」
そういうと京太郎はふっと落ち着き、何か訴えかけるように、ゆっくりと語った。
「だから、さ。これからも打とうぜ。もっともっとおじさんおばさんになっても、爺ちゃん婆ちゃんになっても」
一旦言葉を切り、その先を万感の思いを込めて、言った。
「俺は、このメンバーで麻雀が打ちたいって、そう思うんだ」
優希はその言葉を聴いて涙がこぼれるのを我慢できなかった。
自分だけではなった。もっともっと打っていたい、と言うその気持ちを持っているのは自分だけではなかった。
そう思うだけで、とても嬉しくて涙が出た。
「ま、まったく、犬の癖に、な、泣かせやがって」
「ゆーき……」
和は優希にハンカチを差し出し、優希はそれを受け取って目頭を拭った。
「あー、年取ると涙もろくなっていかんじぇ」
そう言って優希がぼやくとそのタイミングで和の携帯がなった。
「あっ、染谷先輩。竹井先輩と合流できました? はい、はい……はい、わかりました。じゃあ、今行きますね」
和は携帯を切ると脇においてあった車のキーを手に取り立ち上がった。
「染谷先輩と竹井先輩が合流して駅まで来てるそうです。ちょっと迎えに行ってきますね」
「おっ、そうか。今日は久しぶりにあのメンバーが揃うから楽しみだなぁ」
「おっと、のどちゃん、私もいく!」
「和ちゃん、気をつけてね」
「はい、それじゃあちょっと行ってきます」
そう言って和と優希は店を出て行き、京太郎と咲が残された。
「さーて、ちょっと休憩だな」
京太郎は手元のウーロン茶をすすり、肩を軽く回した。
「うん……」
(今なら……聞けるかな?)
咲の心には1本の棘が刺さっていった。
15年前の京太郎とのあの1件で心に刺さった棘であった。
あれから京太郎の中は修復され、ずっと仲のいいまま過ごし続け、傷は塞がったが、その棘だけは残り続けた。
その棘は京太郎と話しているとき、麻雀を打っているときに時々ちくりと痛んだ。
「ねぇ、京ちゃん」
その棘が刺さる原因となったあの一言、今だったらもう一度聞ける気がする。
咲はそう考え、京太郎に呼びかける。
「ん、どうした、咲?」
京太郎は咲のそんな決意を知らずいつもの笑みを浮かべながら咲に向き直った。
口を開こうとするが、直前になってまた迷い始めた。
(怖い、怖いよ。また、またあんなことになったらどうしよう)
(やだよ。あんな、あんな苦しいの、もう……)
あのときの絶望感は今思い出すだけで心が引き裂かれそうだった。
それを味わうぐらいだったら、棘の痛みぐらいには耐えるべきなのか。
(……でも)
咲は一瞬そう考えたが、自分の考えを否定した。
(でも、でも、私、私はやっぱり)
(聞きたいよ)
(京ちゃんの、あの言葉が聞きたい!)
決意して、咲は口を開いた。
声が震えないように大きく息を吸い込み、ゆっくりと噛みしめるように言った。
「京ちゃん。京ちゃんは……」
「私たちと麻雀を打って、楽しい?」
その一言を聞いて京太郎はぽかんとした顔をする。
言ってしまった、もう後戻りはできない。
そう考えて咲は叱られる寸前の子供のような顔で京太郎の言葉を待った。
最初はぽかんとしていた京太郎は――満面の笑みを浮かべていった。
「何言ってんだよ咲。馬鹿だなお前、当たり前だろ」
「すっげー楽しいよ、お前らと打つ麻雀!」
(!)
それは15年前に咲が聞きたかった言葉であった。
15年間咲が聞きたいと願っていた言葉であった。
(聞け、た)
それが今日、ようやく叶った。
咲の心に刺さった小さな棘、それがようやく抜けた。
(よかった、本当に、よかった)
咲の目から涙が一粒零れた。
「さ、咲?」
びっくりしたように京太郎が咲に声をかけた。
一粒零れたらあとはもう止めようがなかった。
ぼろぼろと涙をこぼし始める咲。
(よかった……よかったよ……)
自分でも泣きすぎだと咲は自覚していた。だが、涙が止まらなかった。
堪えようとも止めようともしているのだが、まったく止まる気配はなかった。
「咲、どうしたんだよ突然、だ、大丈夫か?」
京太郎がおろおろとしながら咲に声をかける。
咲はそんな京太郎の姿を見て涙を拭いながら考えた。
(ほら、京ちゃんが心配してる。私も言わなくちゃあの一言)
「京、ちゃん……」
「お、おう。どうした?」
京太郎が動揺しながらも返事を返す。
咲は涙を流しながらも笑顔を咲かせて言った。
「私も、京ちゃんと麻雀打てて、すっごく楽しいよ!」
カン!
一度使ってみたかった、この結び。
乙でした・・・・
おつー
すばらでした!
さすがに15年後って言われた時は噴いたけどww
完結乙
面白かった
が、正直15年はギャグにしかならんて
おつやで
まぁハッピーエンドでよかったわ
やたらと読み手のネガティブが気になったけど
弱者の闘牌が書きたかった。
聴牌入れるのも苦労して、焼き鳥だって嘆いて、デカい手打ち込んで凹んで、形式聴牌を取るのにヒーコラする。
そんなのが書きたかった。
咲本編に不足気味の青春物語が描きたかった。
友情があって、努力があって、挫折があって、涙があって、絆があって。
そんなのが書きたかった。
後悔はしていない
乙ー!
ここの京ちゃんには本当、不撓不屈と言う言葉が良く似合うと思う。
本当にたった一回の勝利の為に何百回と敗北を繰り返してきたんだなぁ…。
それで最後まで皆で打つ麻雀が好きと言える京太郎が凄いと思いました。
小学生並みの感想だけれど、本当にこれしか思い浮かばなくて申し訳ない…。
京太郎もイッチも本当にお疲れ様でした!
ちなみに好きな言葉は1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド。
っていうかバッドエンドにできなかった意志薄弱な>>1
乙
時間が経たないと解決しない、変わらないことってあるなあと思います
だが15年は予想外すぎて戸惑った、っていうか望んでいたものとは違った
あくまで個人的にそう思っただけだけど、>>1の苦悩を感じた、何にせよ乙でした
ちなみに私は友人に格ゲーで15年負け続け比較的最近ようやく1勝を挙げました。
すばらすばらアンドすばらです
お疲れさまでした
>>643
一言多いな
まぁ全部投げっぱなしエンドでも完結するだけ他より遥かにましだけどさ
もやもやはどうしても否めないわ・・・
乙乙
自分、涙いいすか?
あの大会の後、またボロボロになって今度こそ退部するって言うバッドエンドはリアリティがあるけれど、
俺はこのエンディング好きだよ。
15年後も皆が一生、付き合っていける下地を感じさせて、
とても良いと思う。
後、イッチのお陰で京太郎スレ作る事にしたよ。
こことはまた路線が違うけれど、縁があったら見て欲しいと思う。
お前のもやもやとかどうでもいいけどな
乙!
麻雀頑張ろうと思った(小ナミカン)
乙
乙!
15年後だと、酒の席で
京太郎「あの時は見限られたのかと思って不安でしょうがなかったですよ(笑)」
久「あの時、貴方に何も出来なかったのは悪かったって何度も言ったじゃない」
優希「何も出来なかったというより何もしなかった、させなかったが正しいじぇ」
咲・和「あははは・・・」
久「はう(胸を押えて蹲る)」
まこ「はは・・・耳が痛いのう」
京太郎「でも、雑用ばかり任され、何も教えて貰えず練習も余り出来なかったけど…俺の指導に時間を取られずみんなが練習に集中できて全国を取れたのは良かったと思うぜ」
とか笑い飛ばしていそうです。
いやー俺もこのエンディングでよかったと思うな。
最終回からエンディングに続く流れの描写は素晴らしかったわ。
逆にあそこで辞められてても違和感出たんじゃねえかな。
ほんまおつやで。他のネタも楽しみにしてるわ。
乙
面白かった
おつおつ面白かった
>>653
傑作というより問題作だわこれ・・・
TVアニメエヴァみたいな感じだ
おつ
あんまりカタルシス感じなかったけど良い終わり方だったよ。
最後はもっと京太郎の心理描写を入れたら良かったんじゃね?って思った。
色んな配牌があってこそ。
色んなツモがあってこそ。
色んな和了があってこそ。
色んな放銃があってこそ。
色んな理不尽があってこそ。
麻雀だもの。
しげる
乙ー。まさかまさかの展開だったけどすっげぇ面白かった!!
勝つまでに15年ってのは正直やりすぎと思うけど、それだけの時間が必要だった以上はただ単に偶然が味方しただけじゃなく、彼女らとの間にある差を一つ一つ埋めていった結果のなんだろうなと思えてむしろ希望が増した感もある!
やたらと暗くもむやみに明るくもないけど心に染み入るこの作品らしい、いい意味でグレーなラストだったと思います、素晴らしい作品をありがとうございました!!
エヴァのアレは正真正銘の超展開卓袱台返しENDでしょう……
このエンディングは理解できるし納得できる
なんていうか、安心した
完結お疲れさまです
高校の時やってた部活で全然勝てなくて、
あっさりやめちゃった俺にはいろいろ突き刺さるSSだったな
たしかにカタルシスはないかもしれんが、素直にこの京太郎には拍手を送りたいよ
>>660
ずっとsageないお前の方が問題だけどな
>>660君!ワイと一緒にROMに戻ろう。な?(マジキチスマイル
後、本気でそう思ってるんだったら、
どういうところでもやもやしたとか、
どうして投げっぱなしだと思ったかとかちゃんと言った方がええで!
その方がイッチも次に活かしやすいやろうし。
あっ、おまけ投下します。
注意!)読後感を台無しにする可能性がありますので嫌な方はそっ閉じ推奨!
(ある日のこと)
「ところで竹井先輩」
「なぁに?」
「以前加治木さんと打ったこと、覚えてますか」
「忘れるわけないでしょ……あれは悪夢よ」
「よかった、忘れてないんですね」
そういうと京太郎は悪魔の笑みを浮かべる。久は思わず後ずさりした。
「あの日の結果ってこうなってたと思うんですけど、間違いないですよね?」
店員 73000
久 -23000
京太郎 25000
ゆみ 25000
「えっ、えぇ」
「はい、店員さんがトップ。先輩がラス。これはいいです」
「そ、そうだけど?」
「俺と加治木さんは当然同点ですが……俺のほうが上家なんですよ」
「……」
「つまり、俺が2位で加治木さんが3位」
「……それで?」
「先輩、あの時言いましたよね。『私と加治木さんより順位が上ならご褒美あげる』と」
「う、うぐ」
いやいきなり時間すっ飛ばしたり
最初に提示した問題をさっぱり手付けないあたりそっくりだよ。
こういう作品は二次創作(この場合は三次)がたくさん作られる。
いまから>>382の分岐やね(ニッコリ
これはロッカーやろなぁ…
「あの時はあまりの衝撃に忘れてましたけど……まだその『ご褒美』もらってないですよねぇ」
ずぃっと久ににじり寄る。久はびくりとしながらもため息をついた。
「しっかり覚えてたのね……」
「当り前です。さぁ! パンツ! パンツ!」
「もう……。まぁ、約束は、約束だからね」
そういうと久は自分のスカートの裾を持った。囃し立てていた京太郎も思わず黙り込む。
久は、裾を持ったまま、ゆっくりとまくりあげていく。
タイツに覆われた久のふくらはぎが見える。京太郎は、思わず生唾を飲み込み瞬きもせず眺め続けた。
「す、須賀君。ごめんね、ちょっとだけ、目をつぶっててもらっていい?」
恥ずかしさに耐えきれなくなったのか、久は京太郎が今まで見たことがないような羞恥の表情で言った。
「ねぇ、お願い……」
京太郎が反論しようとするが妙にしおらしい態度に思わず反射的に目を閉じる。
「ありがとう」
そういうとごそごそ、と物音が聞こえる。
京太郎は今か今かと落ち着かない気分のまま、立ち尽くした。
「はい、いいわよ」
その声とともに、京太郎の手に何かを握らされた。
目を開けた瞬間握らされたものを、見た。
>>670
手法の話だったのか、すまん
それは、パンツだった。まごうことなき、一点の曇りもない、パンツであった。
咲達もピークを過ぎて相対的な差が縮んだ点、能力に陰りが生じ昔のような支配力が発揮出来ず経験による読み、技巧、ツキの割合が増してきた事も有るかと思います。
能力抜きでも充分強い訳ですから全く勝てないが、稀に勝てるに変わっただけかもしれない。京太郎も長く打っているので変化に気付き、みんな老いたなと勝って嬉しい反面、どこか寂しく感じているかも。
強調すんなwwwwww
>>674
いやいや
実際このssはエヴァみたいに何もかも放り投げてはないと思う。
なんかかゆいところに手が届かないというか・・・
またsage忘れた
ごめんなさい
誰のパンツだよww
>>678
今んとこ自分の思うようなエンディングじゃなくて不満でしたってしか見えんぞ
京ちゃん!それを言い値で買おうじゃないか(ゲスカオ
>>670
TVアニメ版は時間飛んでないし、新劇だったらまだ終わっとらへん。
もう一個言うなら最初に提示した問題は15年掛けて京太郎が勝った時点で答えではないけれど
それらしいものは出しとると思うよ。
後、安価スレでもないのにID真っ赤なんは恥ずかしいし、age続けると本格的に荒らしやと思われるで!
同じくID真っ赤なワイとROMに戻ろう。なっ!
ロッカーの卒業前なのか、後なのか。
ただし、未開封のものであったが。
「竹井先輩……?」
思わず目の前の久を見る。さっきまでのしおらしさはどこへやら、いつも通りの悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「須賀君がいつ言いだしてきてもいいように、持ち歩いていたのよ。その婦人用サービス価格の298円のパンツ」
「い、いや、そうじゃなくてですね?」
「あら? 私はパンツを見せてあげると入ったけど、私が履いているパンツを見せるとはいってないわよ?」
「へっ、屁理屈だーーーーーーーーー!」
思わず叫びながら手に持ったパンツ(未開封)を地面にたたきつけた。
「残念だったわね、須賀君! まだまだ修行が足りないわ!」
そういいながら久は笑いながら去っていく。
後には京太郎がただ一人残された。
「……どうすんだよ、これ」
そういいながら思わず叩きつけたパンツを拾い上げる。
その時、後ろから何かの気配を感じ振り返った。
「京ちゃん……何、もってるの?」
「さ、咲ぃ!?」
ぼくのりそうのえんでぃんぐじゃなかったのできにいらないよ
これだけだろ 具体案も出さずに手が届かないだの問題作だの
こんどこそカン!
最初は本編中でやろうと思ったんですけどいろいろ台無しなのでおまけに持ってきました。
(あ、死んだな……)
ID:VOF35jlC0にはもう触れるなって!
これ以上騒いだら焼けばいいだけの話なんだし
いや、落ち着いて良く考えるんだ。
これって何時京ちゃんがパンツの事言い出すかドキドキしながら待ってたロッカーが居たって事だろ?
あざといな流石ロッカーあざとい
(確実に死んだな・・・)
本編中でやる予定があったのかよww
おつ。
騒いでる間におまけが終わってたじゃないですかやだー!!
一点の曇りもないパンツで草生えた訴訟訴訟アンド訴訟
そしてお疲れ様でした。次回作期待っす
卓上で咲から容赦のないオカルト役満を受け、後輩がドン引きするほど叩き潰されると。
咲にリタイア級にボコボコにされても麻雀を嫌にならずに続けられるタフさが京太郎が後輩から一目置かれる要因になったりとか。
どこに忍ばせてたかしらんが、これだけのために用意してたんかいw
咲が来るタイミングまで測ってたんじゃないのかと邪推したくなるわww
ちなみに>>382で考えていたもう一つっていうのは京ちゃんがオーラスで「理不尽」を味方につけることに成功して
相手を蹂躙しながら新人戦を勝ち進むんだけど、その能力はOFFにすることができなくてその能力の前には
咲たちの能力も無力で逆に咲たちが麻雀を楽しめなくなって部活に不和が……
とか考えてましたけど、やっぱハッピーにしたかった。
>>694
そっちもお願いします!
変に能力つけなかったから面白かったよ
ともかく、予定より長くなってしまいましたがこの話は無事に完結でございます。
沢山のご感想、ご意見ありがとうございました。
明日の通勤時間中、改めてゆっくりと読ませてもらいます。
しかしなんだかんだで700レスぐらい使い切れてしまった……。
このスレは次回作安価のために使用することにして、本編自体は新スレを立てようと思います。
では、また明日改めて次回作の安価を取りたいと思いますので、
お時間があれば覗きに来てくれるとうれしいです。
15年間負け続けるのはもはや能力持ちと何も変わらないと思うが
乙でした
次回作とは、色々書き込んだが素直に嬉しいです
待ってます
>>692
人として尊敬されるけど
でも実力がなきゃ麻雀での尊敬や信頼にはならないな。
1以外のエンドだとマネージャーになって麻雀を続けるのが一番合ってると思う。
さすがに1年やればルール知らない新入生にアドバイスとかできるだろうし。
新入生全員魔物とかなわけないし・・・
乙でした。面白かったよー
乙ー!
名作ですわ。こういう京太郎SSはもっと増えてもいいと思う。
乙
次回作も期待してるよー
乙
苦くて硬いでも面白かった
改めて乙です。見返すと>>579の展開が染みるなー。京太郎は一位争いには最後まで加われなかったが、
だからといって勝負に影響を及ぼしていないわけではないという、麻雀を打つ上で忘れちゃいけないところを書いてる。
麻雀の楽しい所、ドラマティックなところを重点的に描いてる咲本編とうまい具合に対になった素晴らしい作品と思います。この京ちゃんにも麻雀で勝つ楽しさを十分に味わえる日があったと信じて……今までありがとうございました!
乙でした
IFルートはさすがにちょっとなぁ
このSSの京太郎には合わないと思うし、素直に尊敬できるからこれで良かったと思うよ
能力となることはなくとも、理不尽が京太郎に味方すること自体は起こるべきだったと思うけどね
15年間負け続けたことも相まって久の話が台無しになってるし
面白かった
やっぱ挫折とか鬱屈した心情をちゃんと描く話はドラマがあって好きだわ
15年は長えとは思った、うん
乙っす
おつすばら!
ただ、全国屈指の打ち手たちに寄って集って鍛えられまくった京太郎が普通の新入生より弱いってのはさすがにやりすぎかなーと思いました(小波艦)
乙でした
配牌もツモ牌もくそなら何したって勝てないもんだしな
いい話だ。
京太郎は異能はもってなかったけど、一番大事なものをもち続けたから報われたんだな。
あまり面白くありませんでした
こう言うと叩かれるんだろうけど、やっぱりもやもやしました
なんぼなんでも15年はやりすぎ
もやもや厨うぜぇ、確かに15年はさすがに長いとは思うけど一々面白くなかったとかいう必要ないよね
あと、京ちゃん運なさすぎでもはやマイナスのレベルだな、描写を見る限り実力はついてるはずなのに
抜群に面白かった。もやもや感は確かにあるし、これを納得できる形で解決するのは困難だと思う。
それでも>>614が言ってくれてるように、皆が感じていながら扱いかねてた問題を
正面から突っ込んで書いてくれたことに尊敬の念を抱いてしまう。
15年云々もそのへんの歪みの表現というか、ノーマルエンドっぽくしながらも
いびつさを隠さないこの数字のほうが考えさせられる。
作品に対して産まれる感想は万人が同じでは無いから
感想に対して文句を言うのは筋違いとおも
もやもや感があるのがいいんだろうに
ベストを尽くしてもベストの結果が得られない。だけど決してバッドでもない
このあたりが実にいい
全部の問題をくまなく全部きっちり解決する物語を想像してみればいい
それはただの算数のドリルみたいに味気ないものだから
高校の三年間で勝てなかったのならこれぐらい時間かかってもおかしくないかもしれない
高校卒業後は対局機会が結構減ったようだし
乙
パンツ渡したのが初めて咲達に勝った後の話にすれば不自然ではないな、うん
ダ・サーク
簡単に復活したことと、その後の大会までの描写がほとんど無いということ、つらくても耐えれる理由が軽い、
それらが相まって、部を辞めると言うまでの過程に説得力がなくなった。
友情より重い理由ってなかなか無いと思うけど
麻雀自体に対する思いを理由にしてほしかったってことだろうか
個人的には、持ってる持ってないの話で京太郎ってのは難しいんだなーとは思った
もってないから弱いって言いたくても、どうやっても初心者だから弱いってのが混ざるから
それがテーマに対するノイズになってた気はする
京太郎「49か51か……今日はどっちに風が吹くかな」
マイナーかもだが麻雀職人による指導のもと天牌色に染まった京ちゃんも見たいなと
乙
面白かったよ
苦しみながら打って、その結果の形式聴牌とその後の結果がもたざるものらしいなと思った
また1の闘牌描写ありのSSが見たいな
説得力というと15年続けて一度も幸運が微笑まないなんてことがあるのか、とか
そういうところが若干気になるけど大した問題じゃない
大事なのは物語に引き込まれるかどうか
俺は序盤に咲ちゃんを泣かせるところからハートを鷲掴みにされてたよ
面白かったです。
15年もかかってるけど、魔王さん達は京太郎が強くなるスピード以上に強くなっていって、
ここ数年でやっとそのスピードが衰えてきてようやく勝てたと解釈してます。
京太郎が全盛期の咲さんに勝つのは流石に何年も修行しても無理だろう
咲さんが歳を取って衰えてようやく勝てるレベルだと思う
>15年続けて一度も幸運が微笑まないなんてことがあるのか
咲の世界なら普通に有ると思う。
ちょっと妄想
20年後、咲達と勝ったり負けたり(それでも全体的に負け越し)するようになり、自分が勝ちたかったピークの彼女達がいなくなった事を実感した京太郎は麻雀に対する熱意が急速に薄れて行くのだった。それでも半生を賭した夢を捨てる事は出来ず、麻雀を辞める事は出来なかった。
晩年の京太郎「勝ちたかったな…あの頃の皆に…」
京太郎の死後、経験も記憶も虚空に消えたが、最盛期の咲達に勝つその妄執とも言える行き場をなくした思いは過去の京太郎に憑依する事になる(二週目開始)。
全く本編と関係ないけど、京太郎は最終的に誰と結婚したのか気になる
てっきり咲と結婚したのかと思ってたけど…そんな感じじゃなさそう
>>731
この話的にはかじゅか部長じゃね?あくまで予想だが
もしかしたら咲とは「勝てたらプロポーズ」という話になってるのかも
でも実際はそんなロマンスはないんだよなー。まぁ飲み会で知り合った子と結婚してるとか
独身貴族を満喫してるとかそんな感じなんだろう
学生時代の恋なんてオカルト。現実は常にシビアだ……
最後のみんなとの会話からすると清澄の誰かではなさそうだが、
でも麻雀とも咲たちとも全く関係ない人と結婚してたら、
偶にとはいえこんな美女達と集まってると聞いたら嫉妬しそうだなw
部長、かじゅなら理解ありそう
卒業したあとも気にかけてくれてそうだし
何となく池田ァと結婚していそう。
俺もあの卓の三人のやり取りを見るに結婚してなさそうだなぁ、と思った。
個人的にはかじゅであって欲しいが、あざとい部長も捨てがたい…。
l ヽ: : : :/. : : : : : : : : .\
l ,≦: :, < . : : : / . : : : : : . ヽ─ 、_
/|/: :, < \/<丿ノ |∧: : . ',: : : . .≧
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_ , -‐  ̄ _ノ-‐-、ヽ. \ !:::|:::::::|
/ ,..- ' 、`´ ̄` \ `ー 、:|ソ
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. 〈 _ ノヾー-、-r‐--r-イ / /7' /
`ー-、_ // ヽ i、、 /___/ ./ハヽ、. /|
| `7/ iヽ、. | / ./=i ヾ< iヽー┐
|ノノ Y\、レ/ ヾ/. `ー/ | ||
`ー-r---、i oY ゙、ヽイ´ .| ||
| | ハ /-‐-、.|. ∥
| | | i | ||
| | o| ゙、 | .||
|.. | | .i ||
| | | ゝ、 ||
| f-、 | `ヽ .||
| / o| ゙、 ||
_____ | 〈 .| / > ||
_____  ̄ ̄ ̄"""""ー――――-----、、、、、、、、
結局冷蔵室も壊れていて扉を開けてひどい悪臭にもだえ苦しむ>>1
はい、というわけで掃除とファブリーズ散布に1時間以上費やしました……。
そして30代ならもう結婚していると思い込んではいけない(戒め)
30代に近づくと、わかるで……
あ、次回作の安価はもう少ししたら出したいと思うので誰か踏んでくれるとうれしいです。
子供のころは30前後は、結婚して子供もいてマイホームで暮らしてるとおもってた…
三人娘アラフォールートまったなし…だと…。
ちょっとのどっちに求婚してくる。
それはさておき、掃除乙。
次回作安価楽しみに待ってます。
高校生になったら彼女ができるとか思ってる中学のころ……
そして大学、社会人に
>>744
咲ちゃん→すこやん
のどちゃん→はやりん☆
優希→咏ちゃん
こんな感じなんだろうな……
一生独身でもいいじゃないの
人間だもの
ゾフィー兄さんこの話止めさせて!
もうさ、結婚って聞くのも嫌
アラフォー「麻雀が結婚しないでって、引き留めてくるんだよ」
自分で振っておいてなんですが鬱になるのでこの話はやめよう(震え声)
そして次回作ですが以前提示したもの以外にも候補を足したかったんですけど、プロットがまとまらずに挫折しました。
個人的に>>730はちょっと面白そうだなって思っちゃいましたけど流石にこのSS引っ張りすぎだしね……
んでは候補を出します。
1.京太郎「悪女」
部長が部のために京太郎のことを体よく「利用」していく話(シリアス)
2.京太郎「俺が奴隷扱いされてるっていう噂が流れてる?」
タイトルまんま(ギャグ)
3.京太郎「やらせてください! お願いします!」 まこ「なぜわしに言うんじゃ」
タイトルまんま(ガチエロ……を目指す)
というわけで初安価。ちょっとドキドキするなぁ。
↓7
2
全部見たい
1
2
2だし
2
1
2
2
2
2
3
3
>>758
サンキュースナイプニキ
この中なら1かな
まぁ自分が一番書いてみたいのでいいんじゃない?
皆どこに隠れていたの?
7とか遠すぎワロリーヌwww そんな人来るわけねーだろwww
とか思ってたらあっという間に埋まって思わず漏らしそうになりました。
京まこが見たかった
早いなオイ
とりあえず1を書いてから全部書けばいいんじゃないかな(ニッコリ
2
というわけで次回作は部長モノとなりました。
プロットから順次起こしていくので早ければ明日、遅くても土日中には新スレを立てたいと思います。
全部は……うん、どうだろう。
安価スレもやりたいと言えばやりたいし。
どちらにせよまずは1を書き上げてからやな……
1か
ぶっちゃけ1はネタ的に外野が五月蠅くなりそうなんで嫌だったんだが……まあ安価の結果だ仕方ない
いつか京まこがあると信じて臥薪嘗胆するよー
ぐああああ、出遅れたあああ
イッチのシリアス描写は好きだけど、他にも見たいから、全部やってくれても良いんじゃよ?(チラッ
こいつァまた寝不足になりそうなタイトルだ(歓喜)
最終的にロッカーに入るんですよね(すっとぼけ)
出遅れた。決まるの早すぎィ!
2が面白そうだったけど…もう全部やってみたら?(適当)
とりあえず京太郎の前では悪女のように振舞いつつも、
心の底まで悪女になりきれない純な部長を期待
うむ、自分でプロット眺めても思う。
これは荒れる(断定)
とは言え、本作も絶対に
「京太郎ウジウジしすぎうぜぇ」
とか叩かれることを覚悟していたんですけど同情的な意見が多くて驚いた>>1
ほんと皆様の声援で何とか書ききれました。多大な感謝を。
残りスレは小ネタでも投下できたら投下していこうと思います。
コレだけのものかけるんだからわざわざ外野がああしろこうしろ言う必要は無いかなぁ
要望なんて基本個人の趣味が入るんだから>>1に全部任せる
>>779
要望ならまだ良いんだがなぁ……
かじゅと部長による京太郎の奪い合いとか見たい(見たい)
あくまで個人的にだがハイスペックでモテモテの京太郎は食傷気味だったので、
持たざる者の苦悩を描いたこのSSは目新しくてよかったよ
原作で出番がなかったりするキャラが活躍するのは好きなんだが、
やっぱりそればっかりだと飽きるし
>>778
『1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド』
いい台詞だ。感動的だな。だが無意味だ。でも、嫌いじゃないわ!
最近はどの媒体もバッドエンドばかりで飽き飽きしてたところ。
>>1だけはいつまでも、ハッピーエンドを書き続けて欲しい……。
良く見てなかったが多数決じゃなかったのか
荒れると思うなら、一気に書き貯め作って、一気に投下した方が良いかも。
その方が荒れるスレを見たイッチの負担にならないと思うし。
ここの京太郎は不屈の精神とか持っていない普通の男子高校生だと思った。
少なくとも俺は共感できたし、あそこから挑戦しようと思った京太郎が凄いと思うよ。
>>783
某ガンダム小説のあとがきで同じようなこといってたな
結構メジャーな言い回しなのかね
>>786
つーかそれが元ネタじゃね?知らんけど
いまさらだが乙です。
さぁ>>1よ。ケツの毛は剃ったかい?
差し出せ。
>>788
ケツ毛をか……
>>789
変態すぎワロタwwwwww
処女のアソコの毛を持ってるとツキに恵まれるらしいけど
咲「もつものと、もたざるもの」
あれ、なんだろうなんか違う意味に聞こえry
カンちゃん、ハウス
モチベーションが維持できるか不安でしたが、書き始めると意外とサクサクでした。
書ききってからの投下にすれば? という意見もありましたがある程度キリのいいところまで書くと投下したくなる衝動を我慢できない(ゲス顔)
というわけで次回作用のスレを立てていきますので立て終わったらこっちにもURLを貼ろうと思います。
ところで全く関係ないんですが、エロい話して恥ずかしがってる女の子に言われるひとことで、どの書き方が一番グッときますかね?
1.咲「……えっち」
2.咲「……エッチ」
3.咲「……すけべ」
4.咲「……スケベ」
5.咲「……へんたい」
6.咲「……ヘンタイ」
私は1がグッときます
圧倒的に1
1が可愛いのと3がむっつりなのはわかります
1か4
「へんたぃ~…」みたいな恥ずかしくて語尾がちっちゃくなるのが
ぼくは、だいすきです
次点1
話のレベル(内容)によるかなぁ
1、5
1は名前付きで顔を赤くして
4はちょっと顔を反らしてボソッと
6はジト目で言って欲しいです
咲ちゃんなら3
1が可愛くて良いです
でも4のちょっと叱られてる感じもたまりません
何が言いたいかというと、要はキャラによってビビクンとくるセリフは異なるという事です
そのキャラに合っているセリフである事が大事なのです
咲なら1、まこなら4が個人的にビビクンときます
1だな
次点で4
1がいいと思います
皆好きやね(歓喜)
それぞれのこだわりが見えててすごくいいと思います。
いつかエロスレを書く機会があったときにでも参考にします。
そして次回作のスレ立て&初回投下が完了しました
京太郎「悪女」
京太郎「悪女」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362666103/)
こちらのスレは折を見てHTML化依頼投げておきます。
平仮名だと恥ずかしがるような、片仮名だと蔑んでいるように思える
なお個人的には1
変態の各自の言い方は
透華「へ、へんたい・・・(赤面)」
和「変態(絶対零度の汚物を見る目)」
姫様「へんたい(意味が解っていない)」
カンちゃん「変態(面白いネタを見つけた目」
姉帯さん「へんたい(ごく普通)」
な感じ。透華が妙に可愛く感じるのは何故だろう。
怜が4でりゅーかは3
クロチャーが2でお姉ちゃんが1ってイメージ
このスレの残りで小ネタをやってくれてもええんやで?
かじゅと良い雰囲気になる京太郎の話とか、家の冷蔵庫が壊れて大変な目に遭う池田の話とか
新スレの制作も進めておりますが
>>810のレスを見て何やら電波を受信したので小ネタを投下します。
エピローグにゆみの描写なかったし、フォローも兼ねて。
週中の夜。
京太郎は個人経営の居酒屋でビールを飲んでいた。
週中と言うこともありそこまで人は多くない上に、個室なため比較的静かな空気が流れている。
「そろそろ、かな?」
京太郎はちらりと時計を見た。
約束の時間から30分ほど過ぎているが、それについてはすでに謝罪の連絡が来ている。
どうしても手持ち無沙汰なため一杯だけビールを頼んだが、あまり進んでいない。
「やっぱこんな部屋でひとり飲んでてもなぁ……」
そうぼやきながら京太郎はお通しの枝豆を口に入れた。
その後、手持ち無沙汰になった京太郎は何気なく携帯を手に取った。
手馴れた手つきで操作し、ブックマークに入れたそのページを開く。
味も素っ気無いただのニュースサイトだが、そこに書かれた記事を読むだけで京太郎は笑みが止まらなくなった。
ニュースの掲載時期はもう1か月も前だが、それでもここ最近の京太郎は何気ないときにそのニュースを見るのが習慣になっていた。
「やっぱ、すげぇよな」
そんなことをポツリと呟くと個室に近づいてくる足音を聞いた。
京太郎は思わず佇まいを直す。
小走り気味のその足音はまっすぐ近づいてきて、扉を開けた。
「すまない、遅くなったな」
「いえいえ。お仕事お疲れ様です」
そんな挨拶を交わすと、店員にビールの注文をして、加治木ゆみは京太郎の目の前に座った。
「思ったより対局が長引いてしまってな。待ったか?」
「ちょっとだけですよ。気にしないでください」
「そうか」
そんな会話をしていると店員がビールを持ってくる。
ゆみはそれを手に取り、京太郎に向けた。
京太郎もそれに続く。
「それでは、加治木プロの初タイトル獲得を祝って、乾杯!」
「若干照れくさいが……乾杯」
そう言って、グラスを合わせる。
小気味いい音が響いた後、二人はグラスに口をつけた。
ふぅ、とゆみはグラスから口を離してため息をついた。
「昔はビールなんて飲めたものじゃないと思ってたんだがな」
「少なくとも、最初の一口は大体の人がおいしく感じてくるんですよね」
そう言いながら二人はグラスを置いた。
すると京太郎は満面の笑みを浮かべながら口を開いた。
「でもほんと、おめでとうございます。中継、見てましたよ。最後の逆転手をアガったときは思わず大声出しちゃいました」
「ありがとう。とは言え、そこまでのビックタイトルではないんだがな。規模的には小規模だし、運に助けられた所も多かった」
「いやいや、運とかそういうのもひっくるめて麻雀じゃないですか。あと、小規模だろうと何だろうとタイトルはタイトルです」
そこまで言うと京太郎はグラスに残ったビールを一気に流し込んで言った。
殆ど何も食べていない状況で一気に流し込んだため多少クるものがあったがそれを堪えながら言った。
「俺、ほんとに嬉しかったんですよ。やっと、やっと、加治木さんに確かなものが手に入って」
「……そうだな。トッププロから言わせればタイトルのひとつぐらいで、と思うんだろうが。うん、やはり、嬉しかった。ようやく報われた気がするよ」
ゆみが柔らかく微笑んだ。
嬉しかった、その一言にいろいろな思いがこめられているのを感じて、京太郎は思わず目頭が熱くなった。
それを振り払うように京太郎はにやりと笑う。
「というわけで、加治木プロファンクラブとしてはどうしても祝わずには居られなくてこんな席を設けさせていただきました」
「なんだそれは……。ファンクラブがあるなんて聞いたことがないぞ」
「非公式ですがありますよ? メンバーは俺しか居ませんが」
「一人きりのファンクラブなど聴いたことがないが?」
「じゃあ、大々的に作りましょうか? 俺、会長やります! 声をかければきっと東横さんとかも……」
「やめてくれ」
言葉をさえぎって苦笑するゆみ。それにつられて、京太郎も笑った。
それから、お互いの近況を話し合う。
誰々が結婚した、誰々が転職した、誰々に子供が生まれた。
もともと別々の高校の2人だったが、15年越しの付き合いとなってくると共通の知り合いと言うのも増えてくる。
しばらくそんな話が途絶えることがなかった。
それに伴いお酒の量も増えていき、テーブルに並ぶ料理も徐々に減っていった。
「そうだ。こんなお祝いの席でいうのもなんですが」
顔がすっかり赤くなり、多少呂律が怪しくなってきた京太郎が話題を切り出す。
「ん? どうした?」
こちらは多少赤くなっているものの、まだまだ平気そうなゆみが返事をする。
「俺、この前……ようやく、咲たちに勝つことが出来ました」
「!」
「やっとです。15年、かかっちゃいました」
怪しい呂律でも、その言葉にどれほどの重みがあるのかゆみは理解していた。
京太郎がどれほどの敗北を積み上げ、どれほど苦難の道を歩み続けたのか、ゆみにはわかっていた。
「そうか。よく、頑張ったな。おめでとう」
ゆみはそう言うのが限界だった。
それ以上何かを言おうと思ったが陳腐になってしまいそうだったので口を閉じた。
「ありがとうございます」
京太郎もそう小さく返した。目頭が潤んでいるのは酒だけのせいではないだろう。
それを隠すように京太郎は上を向いた。
「ほんと、長かったです。理不尽な振込みやらツモに苛立ったり、皆が嫌いになりそうになったり、何度もありました」
「……でも君はやり遂げた」
「正直、自分でも驚いています。15年前、歩き続けると決めて、ここまで来れた事に。途中でなんども倒れそうになったのに、でも立ち上がれたんです」
本当に不思議そうに京太郎は首をかしげた。
ゆみはそれを聞いて手元の日本酒に口をつけて微笑みながらそれに答えた。
「月並みで陳腐な言い方だが、君は強くなったんだろう。技術よりなにより、精神的に。感服するよ」
「そうですかね? 俺は、俺なんかよりまっすぐ背筋を伸ばして歩き続けている人を知っているんで、その人と比べちゃうと」
そういうと京太郎は赤くなった顔でにやり、と笑った。
ゆみは少し考えるようなそぶりをして、とぼけたように答える。
「さて、誰のことだ?」
「さぁ、誰でしょうね。ただ、その人は俺の目標で、憧れで……。俺に手本を示してくれたから、俺はそのあとをついて行っただけですよ」
「……そうか。ではその人も君を失望させないように頑張らないとな」
「うっす、俺も負けないように頑張ります。とりあえず、次は通算勝率1%を目指したいですね。多分、今勝率0.000……いくつでしょ?」
京太郎は笑いながらそんなことを言っているが、もどこか真剣な決意を秘めているのをゆみは感じていた。
「しかし、先ほど君は15年といったが、そうなると私と君が出会って15年ということになるのか」
「そう……なりますね」
あれからさらに酒が進んでいた。
京太郎はもう真っ赤であり、ゆみも顔には出ていないがそれなりに酔いがまわっているようだ。
「お互い、年を取ったな」
「いやいや、加治木さんは相変わらずお綺麗で」
酒の勢いか、京太郎は普段ではとても言えないような軽口を叩く。
「おだてても、支払は割り勘だぞ?」
お猪口を片手にゆみは苦笑する。
「いやいや、ほんとですって! 流石、美人すぎるプロ雀士なんて評判になっただけありますね」
「……読んだのか、あの雑誌」
ゆみはタイトルを取った時、いくつかの麻雀専門紙の取材を受けた。
それもプロの仕事だと割り切って受けたのだが発売された雑誌の煽り分に「美人すぎるプロ雀士。初タイトルを奪取!」などと煽り文が描かれていた。
もともとあまり目立つつもりはなかったため、雑誌に載るなどといったことは誰にも言わなかったが、やはり見ている人間は見ているな、とゆみは頭を抱えた。。
「加治木さんがタイトル取ってからそれ系の雑誌全部チェックしましたから!」
どこか誇らしげに京太郎は胸を張った。
「今すぐ捨てるんだ」
「いやです」
「捨てなさい」
「いやです。保存用布教用観賞用で3冊も買ったんですから」
「なぜそんな無駄なことを……大体布教とは何だ布教とは」
「ファンクラブですから」
「それはもういい……」
酒の飲みすぎとはまた違う頭痛をゆみは感じていた。
「全く……周りから散々からかわれたんだ。勘弁してほしい」
「いやーでも、しょうがないでよ。俺が雑誌の編集長だったらあの煽り文を訂正するどころかよく書いたって褒めてやりますよ!」
「君まで私をかつぐんじゃない。全く」
そういってゆみは京太郎の額を軽くパシッとはじいた。
叱られている側の京太郎はなぜか嬉しそうに笑った。
「うー……あー……」
ゆみの目の前で京太郎がテーブルに突っ伏して呻いている。典型的な飲みすぎであった。
「全く、調子に乗って飲みすぎだ」
「ずみまぜーん……ずごじやずめば大丈夫だどおもいまず……」
「今水をお願いしたから、少し休んでいるといい」
「あー……」
もはや返事を返す気力もないようで京太郎はそれきり黙りこくった。
ゆみは、そんな京太郎の姿を見ながらふと思った。
(私と彼は、いったいどういう関係なんだろうな?)
あの新人戦で交流が途絶えると思った二人だが、細く長く交流は続いた。
時たま一緒に麻雀を打ったり、受験の際は勉強を見たり相談に乗ったこともあった。
お互い働き始めてもメールや電話はしているし、こうやって時々飲みに行くこともあった。
(先輩後輩……というわけではないな。結局高校も大学も違ったわけだ)
(友人……まぁ、妥当な線だがどうもしっくりこない)
(同志……うん、しっくりくる。同じ物を志す、同志。うん、そうだ)
例え歩いている道が違っても、二人が目指しているものは一緒だった。
それはアレから一度たりとも変わることはなった。
京太郎もゆみもただひたすらに進み続けた。
(とはいえ)
すっと、机に突っ伏す京太郎に頭に手を伸ばしてみる。
(お互い、目標に対してそこそこの結果は得ることができた)
軽く撫でると京太郎は特に何も反応せず黙っていた。
(もちろんまだまだ、納得できるレベルではないが)
髪をやさしくかきあげ、ゆみは京太郎の顔を覗き込んでみる。
京太郎はぼーっとした目でゆみを見た。
「なんでずがー……」
(ちょうどいい、変わるきっかけなのだろうか)
(須賀君は、私のことをどう思っているのだろうか)
(私は、須賀君をどう思っているのだろうか)
「かじきさーん?」
再度呼び掛けられ、ゆみは我に返った。
「いや、なんでもない」
そういいつつも京太郎を軽く撫でる手は止まらなかった。
(ただの飲み友達? 気の合う先輩? 仲間?)
(……それとも?)
(っと何を女々しいことを。バカバカしい。年を考えろ)
(いや、年を考えたから、か。月並みに私もそういうことを考える余裕ができてきたということか)
(だが、私と須賀君か……)
(……)
(うん)
(悪くないかもしれない)
(いいかもしれないな)
(そんな未来も、悪くないかもしれないな)
「須賀君」
「なんでずがー」
ゾンビのような声を出して京太郎は返事をする。
それに構わず、どこか真剣な口調でゆみは続けた。
「2人で、旅行にでも行かないか。お祝いも兼ねて」
「……えっ?」
一気に酔いが覚めたかのように、真顔になって京太郎は跳ね起きる。
そんな様子を見て、ゆみはくすりと笑った。
京太郎は慌てながらもその問いに対して、大きく頷いた。
>>810が望んでいたものかはわからないけれども補完完了。
引き続き新作側の制作に戻ろう。
(32)
池田がないヨ(小声)
乙
誰かニヤニヤしてるキモい俺を止めてくれ
胸に染みた
乙
遅れてきた青春やな
おつ
ええなこの関係
ようやっと一息つくことが出来たってのも
おつー
かじゅは酔う中の人みたいになるのか
電波を受信するとこんなすばらな話がサッと書けてしまうのか
あれですよ。
ただひたすら何かに費やし、卒業してからもプロの世界で死に物狂いでやってきた女性が、
やっと結果を残せたタイミングで遅れてきた青春謳歌する。そういうの大好きです。
せっかくなんで残りスレは小ネタとかを拾って書いて行こうと思います。
なんか希望があれば書いていってください
京まこ!
>>817
の二人が気になるステルスモモさん
部長を
何度も何度も咲達に挑んでは負け続け、挫けたり諦めたりやさぐれそうになった時にいつも励まし振るい立たせてくれた誰かさんと京太郎のエピソード
いいなこの三十路達
京太郎が麻雀部を辞める展開も見てみたいかも
続きの旅行編を是非
実に良い後日談でした。本当に乙です!
小ネタをあえてリクエストするなら
「面倒見のいい先輩」から一歩踏み出せないまま、京太郎の背中をさみしく見送る乙女なまこ、で
京太郎(35)とかじゅ(38)の結婚式+それに参加した3人の様子とか
せっかく綺麗に終わったんだから咲ちゃんたちはそっとしておいてあげようよ……と思う反面
「ようやく自分たちも前に進める!」と喜んでいた清澄メンバーが
加治木プロと京太郎の旅行(しかも温泉)の噂を聞いて大荒れに荒れる話も見てみたかったりする
池田は……
>>838
華菜ちゃんは犠牲になったのだ……ヒロインキャラとネタキャラの壁の犠牲にな……
かじゅと京太郎の結婚
涙する優希と咲、婿に取れなかった事を悔しがるまこ、京太郎を素直に祝福する和、人妻も悪くないと思う久と京太郎の結婚はかなりの温度差が出そう。
強すぎて逆に麻雀を打つのが楽しめなくなった照が
「もたざるもの」の京太郎に一本取られる話……
小ネタ向きの話ではないか。小ネタ向きのリクエストもむずかしいな
次回作予定がシリアス、ギャグ、エロありで前作も今作もシリアスだからネタはなんでもいいから>>1のギャグネタ見てみたいな
咲の世界は多分50位までは全然若いからな
トシさんくらいになってようやくホウレイ線が出てくる程度
やっと全て読み終えた、飲み屋での会話に15年の重みを感じられました。
凡人の葛藤っていいよなあ
たしかに最初は凡人だけど、15年も目標に挑み続けて勝ったのなら最後はもう凡人じゃないよな
咲達の衰えも有るからどうなんだろう。
能力による支配が衰え普通の麻雀に近付けば、偶に勝てたりするだろう。
15年程度ならアラフォーと大して変わんないし能力の減衰もそうそうないんじゃねえの
早く帰ってこれたので新作側の制作を進めていたのですが、
酷い矛盾に気づいて手直しをする必要ができてしまい、
本日の投下はあきらめました。
そのため、>>828 >>835 からリクエストを戴いた京まこ物で
1本小ネタをこさえたので投下します。
夏休みももうすぐ終わろうしているある日。
まこは麻雀部部室に向かって校舎の中を歩いていた。
まこにとっての最後のインターハイは終わり、まこの最後の仕事は部長職の引き継ぎを京太郎に行うことだった。
(あっという間、か)
部長職を引き継いで1年。
いい部長だったのかはわからない。
失敗したこともあった。
それでも、自分にできることはすべてやり尽くしたとまこは考えていた。
(後は、京太郎がうまくやってくれるだろ)
実力は女子3人に劣るが、敗北の苦しみを知り、弱い人間の気持ちがわかる人間。
そして情熱にかける情熱とひたむきさは部内で随一だ。
京太郎本人は部長職を引き受けることを最後まで拒否していたが、
一番部長としての素質があるのは京太郎だというのは先輩、同級生後輩を含めた部内の共通見解だった。
(きっと、いい部長になるな)
そんな考え事をしているとあっという間に部室の前にたどり着く。
本日は京太郎と最後の引き継ぎを行う予定であり、これが終われば
まこの麻雀部で過ごす時間は終わりを告げることになる。
一瞬、ドアノブを握るのをためらうが1つ呼吸を置いて、扉を開けた。
「お疲れ……」
「しー!」
まこが部室に入りながら挨拶をした瞬間、部室の中にいた数人の1年生がまこに沈黙を促した。
突然のことに面喰い呆然とするが、1年生が指差す方向を見て納得した。
「くー……かー……」
小さく息を吐きながら京太郎が椅子に座ったままうたた寝をしていた。
その姿を見ながら1年生の1人が近づき小声でまこに告げた。
「今日は自主練だったんですけど、須賀先輩が見てくれるってことでさっきまで練習してたんですけど」
「昨日あまり寝てなかったみたいで、気づいたら……」
1年生同志顔を見合せてくすくすと笑っていた。
まこ頭に手を当ててため息をついた。
「まったく、何をやっとるんじゃ……」
「ふふふ。じゃあ、染谷部長。私たちは先に帰ります。これから引継ぎがあるんですよね?」
「ん? あぁ、そうじゃな……聞いておったんか」
「えぇ。最後の引き継ぎなんですよね? 須賀先輩、ちょっと寂しそうでしたよ?」
後輩がにやにやとからかうようにまこに告げた。
まこは苦笑しなが1年生輩の頭をぺしりと軽く叩いた。
「まったく。からかうんでない」
叱られた1年生はなぜか嬉しそうに笑いながらまこに頭を下げた。
「それじゃあ、お先に失礼します」
そう言い残し、1年生数人はまとめて部室を出ていき呆れ顔のまこと今だうたた寝している京太郎が残された。
「さて……どうするかのう」
叩き起こそうかと思ったまこだったが、あまりに気持ちよさそうに寝ている京太郎の姿に頭を掻いた。
「……先に書類関連の準備だけするか」
京太郎が寝ている横で机にファイルや書類を並べていく。
だが、大半の引き継ぎが終わっている状況ということもあり、あっという間に終わった。
まこは少し悩んだあと、再び京太郎の前に立った。
「まったく、気持ちよさそうに眠りおって」
何となく起こすのが躊躇われたまこは椅子を引いてきて京太郎の前に座った。
「いい気なもんじゃ。……ほれ」
軽く頭を撫でてみるが、起きる気配はなかった。
そうしているとなぜかこの2年間のことが思い出され、胸が締め付けられた。
(よく、わしのような部長についてきてくれたな)
(いろいろ失敗したり、頼りないところもあったというのに、わしを立ててくれたな)
(笑われたり、馬鹿にされたりすることもあったというのに、よく頑張ったな)
(毎日毎日、誰にも負けないぐらい一生懸命練習したな)
(それでも後輩の面倒も見て、部を支えてくれたな)
(ほんとに……ほんとに、自慢の後輩じゃよ。おんしは)
何気なく、まこは京太郎の顔を覗き込んでみた。
(おっ、ひげが生えとる。剃り残しっちゅうやつか)
(……そういえば、最近少し背が伸びたのう。少し見上げる必要がでてきたな)
(顔つきも……うん、どこか、子供っぽさが取れてきた、よう……な……)
じっと顔を見つめながらそう考えていると、まこの心臓はなぜか激しく高鳴った。
気恥ずかしい気持ちもあったが、なぜか京太郎目を逸らすことができなかった。
(子供っぽいと思っておったが、いつのまにか)
(こんなふうに、変わっておったんじゃな)
頬を軽く撫でてみる。剃り残しのひげがちくりとまこの掌に触れるのを感じた。
そうされても京太郎は起きず、気持ちよさそうに眠っていた。
(最初は軽い後輩だと思っておったが)
(いつの間にか、頼りになる男になっておったな)
(……いかん、なんじゃろうな、この感情。柄にもない)
頭の中でそんなことを考えつつも、まこは京太郎にもう少し顔を近づけた。
(寝息、聞こえるのう)
(息が、かかりそうじゃ)
(こんなところに、ほくろ、あったんじゃな)
まこの心臓が激しく鳴った。
自分自身の感情が理解できず、混乱していた。
ゆっくりと京太郎の頭に手を伸ばし、軽く撫でた。
(こんなに、近いのに)
(いやじゃ、ない)
(なぜ)
(なぜか、ひどく、京太郎が)
まこは、京太郎に向けて顔を近づける。
何かに導かれるように、ゆっくりと。
(ひどく、愛おしい……)
激しい心臓の鼓動を聞きながら、まこはその感情を抑えられずにいた。
まこの唇が京太郎の唇に、ゆっくりと近づく。
あと、ほんの少し。
「うぅ、あぅ……」
その時、京太郎が言葉にならない声を発した。
ただの意味のない寝言だったがその声はまこを現実に立ち返らせた。
びくりと体を震わせ、慌てて体を離す。
「わ、わしは、何をやっておるんじゃ」
まこは頬に手を当てながら頭を振った。
顔はひどく熱くなっており、掌に体温が伝わった。
「く、くそっ!」
恥かしさと悔しさが織り交じった感情に支配されるまま、まこは悪態をついた。
そしていまだに気持ちよさそうに眠りこける京太郎の頭をぱしんと軽くはたいた。
「うっあああっ!」
突然現実の世界に戻された京太郎は現状が理解できずあたりを見回した。
するとまこと目が合うと若干寝ぼけたまま口を開いた。
「……おはようございます?」
「やかましい! 最後の引継ぎだというのに気持ちよさそうに眠りこけおって!」
「うっ、あっ、す、すいません」
起き抜けということもあるがなぜか非常に不機嫌なまこのテンションに京太郎はついていけなかった。
呆然とするその姿にいら立ちを加速させたまこは京太郎を怒鳴りつけた。
「えぇい、アホ面晒してないでさっさと顔を洗ってこい!」
「え、でも、俺」
「い・い・か・ら。行ってこい!」
「は、はい!」
一旦は口を挟もうとするもまこの有無を言わさないその言い方に京太郎は慌てて部室の外に出て行った。
再び、部室は沈黙に包まれた。
(京太郎が、帰ってくるまでに、落ち着かねば)
(本当にアホじゃ、わし)
そんな中、まこは熱くなった頬と頭を冷ますのに悪戦苦闘していた。
――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――
「あの時、そのままキスしとれば何か変わったのかのう」
まこは手元の綺麗に装飾された封筒を見ながら呟いた。
封筒には「WEDDING INVITATION」と記載されており、差出人の名前に京太郎の名前があった。
昨日届いたものであり、まこはそれを見ながら何となく高校時代のことを思い出していた。
「結局、先輩後輩のまま、か」
2人は卒業後も会う機会はあった。
一緒に麻雀をしたり、食事したり飲みにいくこともあった。
いまでも非常に仲がいい。だが、先輩後輩の範疇を出ることはなかった。
むしろ、まこ自身がその範疇を出ないように過度に意識していた。
「なぜあんなに意地を張っていたのか……まぁ、今更じゃが」
今、彼のことを異性として好きかと聞かれるとまこは返答に困るだろう。
だが、それでもまこは針で穴をあけたような小さな喪失感を感じていた。
「そう、全て、今更じゃな」
京太郎を男として意識したことも
京太郎に心をときめかせたのも
京太郎に確かな愛おしさを感じたことも
全て、あの部室の中でのひと時の出来事であった。
「やれやれ、若さとはためらわないこととはよく言ったもんじゃ」
まこは封筒をバッグに入れると立ち上がった。
玄関に向けて歩き出そうとする前に、壁に貼られた写真を見る。
まこがまだ高校2年生の時に、東京駅で撮った写真だった。
最前列でメンバーにもみくちゃにされている京太郎に、そっと、指を当てた
(ためらわず行動していれば、きっと……)
別の未来があっただろう。
そう思った自分の女々しさに苦笑をしながら、まこは踵を返し玄関に向けて歩き出した。
靴を履きながら携帯を取出し電話を掛ける。
「久か? 京太郎からの招待状……あぁ、届いたか。ん? あぁ、もちろん出るぞ。たっぷり祝ってやらんと――」
そんな会話をしながら、まこは部屋をでた。
扉を閉める直前に吹き込んだ風で、壁に貼られた写真が小さく揺れた。
以上です。あと1~2個ぐらいは小ネタを拾えるといいなぁと思ってます。
ウワアアアアア
なんてこった おつー
乙!
小ネタは
京太郎と同じノリの咲達と打った後の後輩達のケアに奔走する京太郎と、それを見て凹む2年、3年の面々。手加減を知らず無経験者、低経験者指導経験のない咲達にフルボッコにされ折れかけ、牌も握れなくなった後輩を立ち直らせたりした地道な努力が部長就任の支持基盤になったのかもしれない。
リク拾ってくれてサンキューイッチ
本編の1シーンみたいな感じかな 京まこもっと増えろ
乙ー
切ねぇな……
こういうちょっとした女々しさとかセピアだよね。
最後の写真のくだりが実に切ない
乙乙
でも切ねぇよ!
前も書いたけど、シリアスしか見たこと無いからギャグが見てみたい
一応次回作候補にあったし、ギャグは難しいけど
本編に上手く絡めた小ネタが来てて歓喜。
後は、残りの元清澄メンバーが高校時代の回想をしつつ京太郎の結婚式への準備風景を出していって、ブーケトスで締めとか良いんじゃないかな(チラッ
モモは、まぁ、本編に出番無かったし(震え声
こういう青春時代の淡い恋心のお話って切ないけどいいよね
照で小ネタをリクエストしようと思ったんだけど…本編に全く登場してないキャラはダメ?
かじゅ先輩との旅行について詳しく聞きたいですねフヒヒ
「年上なんだから余裕と節度を持った行動を…」と構えて京太郎との旅行に臨むも
手違いで同じ部屋で寝ることになったり、実は混浴だったり
何故か枕が並べてあったりで
涙目になるぐらい狼狽するウブなかじゅプロ見てみたい
三十路でそれはどうなんだろか……
さすがにお互い童貞処女ってこともないだろうしな
京太郎の純潔を奪ったのは誰なんだろう。
清澄麻雀部はそういう関係になりそうにない。咲達がその気でも京太郎は越えるべき目標として見れても異性として見る事はできないと思う。何度叩き潰されても挫けない、諦めない池田ァか、寂しがり屋合法ロリころものとの相性が良さそう。
先輩に誘われた風俗店で童貞ポイーとちゃうかな…(遠い目)
多分マホあたり
>>874
夢野マホ(28)が参戦フラグかぁ
加治木ゆみ(32)とのドロドロバトルは見てみたいです、はい
突然ですが小ネタを投下。
>>829でリクエスト貰ったモモネタで思いついたものがあるので書いていく
最近の加治木先輩がおかしい。
私は最近そう思っている。高校大学プロチームとすべて一緒で相当長い付き合いだからわかる。
たとえば先週の話だ。
私はその日、事務作業のために所属するチームのクラブハウスに入った。
「お疲れさまっす」
見知ったチームメイトにあいさつしがてら、椅子に座って雑誌と睨めっこしている加治木先輩を見た。
まぁ、私の特性もあるだろうがそれ以上に何か必死に考えているようで、気づいていない。
「どうだろう。いつもの格好では地味すぎ……」
「かといってこれも年を考えるとちょっと……」
「こ、これはあまりにも……」
「いや、彼はこういうやつのが好きそう……」
ぶつぶつと何かを呟いている。
私は首をかしげながら先輩に声をかけた。
「お疲れ様っす。先輩、何読んでるっすか?」
「おっ、も、モモか」
そうやって先輩はファッション雑誌――普段先輩が読まないような系統の――から慌てて顔を離した。
「い、いや違う。ちょっと暇つぶしに読んでいただけで、別に、そんな」
「へぇ、先輩もこういう系の服着るっすか?」
雑誌を手に取りペラペラとめくる。
普段先輩が着ないような、少々派手目の服装が目についた。
「そんなわけないだろ……。私には合わんだろう」
念のため言っておくが、普段の加治木先輩のファッションセンスが悪いわけではない。
むしろ、いわゆるデキる女、と言った感じが出ていて女性人気も高い。
「いやいや、たまにはいいと思うっすよ。ほら、これとかどうっすか?」
「待て、そろそろそこまで足を出すのには抵抗があってな……」
「そんなことないっす、まだいけるっすよ! あっ、これかわいいっすよ」
「うっ、かわいいとは思うが私が着るのは……」
私はその日、肝心の用事を忘れしばし加治木先輩とファッション談義に華を咲かせた。
その日はそこまで疑問を抱かなかった。
また別の日、私はチームメイトと遠方に泊まり込みに行っていた。
試合日程も無事こなして帰りの電車の中。
チームメイト全員が疲れ切ってうたた寝をしている。
私も多少眠っていたが、ふと目を覚ますと隣で難しい顔でいくつかの旅行雑誌を読んでいる加治木先輩が目に入った。
またぶつぶつと、独り言を言っていた。
「いきなり海外はないとして……」
「妥当に東京や大阪に……遊園地に行きたいとか子供っぽいだろうか……」
「いっそ北海道や沖縄……いや、沖縄はマズイ。必然的に海に行くことになる……」
「温泉……さすがにいきなり距離を詰めすぎか……」
「いや、そもそも日帰り? 泊り? 泊まりだとしたら……部屋は……」
麻雀を打っているときは非常に凛々しい表情の加治木先輩がこれほど難しい顔をしているのは久しぶりに見た気がする。
「加治木先輩? 旅行にでもいくっすか?」
「わっ! も、モモ。起きていたのか」
明らかに驚きすぎなその姿に逆にこっちが驚いてしまう。
「い、いや、その、か、家族とな、その、あぁ、そうだ。家族とな」
「……その割には随分と難しそうに悩んでいたっすね? 距離を詰めるだのなんだの」
「そ、そんなこと言ってたか? そうだ、モモ。お前は旅行に行ってみたいところとかあるのか?」
露骨に話題を逸らされる。私は首をかしげながらも温泉に行ってゆっくりしたいと返答した。
それを聞いた加治木先輩はまた何かを悩み始めた。
この辺りから私の疑心は膨らみ始めた。
そしてこれは先日の話。
私と加治木先輩はチームの集まりで市内のホテルに足を運んだ。
まぁ、いろいろとめんどくさい大人の集まりというやつだ。
いろいろ偉い人にあいさつだのなんだのしなくてはならない。
私はようやく挨拶に一区切りつけ、一旦会場であるホールから抜け出して背伸びをした。
「……あれ?」
そうしていると視線の先に加治木先輩が立っていることに気づいた。
ここは2階だが、吹き抜けになっており廊下から1階の様子を見渡すことができた。
私は加治木先輩に近づきつつも1階の様子に目をやった。
どうやら結婚披露宴が行われていたようで、廊下で新郎新婦が去っていく友人たちを見送っていた。
加治木先輩はその様子をボーっと見ていた。
「幸せそうっすね」
「ん? あぁ、モモか」
「私たちも、もういい年っすからねー。そろそろそういうのを考える時期っすか?」
私は手すりにもたれながら新郎新婦の様子を見つめた。
大台の年齢に突入してしまった身としては、なかなか見ていてつらいものがある。
「……あぁ、そうだな」
「えっ?」
私はその加治木先輩の発言に驚きを隠せなかった。
昔似たような質問があるが、その時は今は麻雀に集中したい、と言って一刀両断されたのだ。
「意外か?」
「す、すみません」
「まぁ、うん。小さいながらもタイトルを取ることができた。だから……」
そこまで行って加治木先輩は苦笑しながら、天井を見上げ――何かを思い出すかのように――言った。
「そう言うことを少し考えてみてもいいかなって、最近そう思えるようになった」
その発言と、いつもの雰囲気とは違う、柔らかで優しげな加治木先輩の笑みに私は思わぬ発言に言葉を失った。
こう言っては大変失礼なのだが、ただひたすら自分の道を邁進し続けてそういったことは切り捨てていく人間だと思っていた。
これは一体どういうことだろう。
「……と、言うわけなんです。どう思うっすか、須賀君」
そして現在。私は今までのことを須賀君に話して相談をしている。
須賀君は私と加治木先輩の共通の知り合いだ。
昔、行き詰った須賀君を加治木先輩を救ったのが知り合ったきっかけだとかなんだとか。
その後、加治木先輩を通して私も知りあうことになった。
最初はまぁ、いろいろと勘繰った物だ。
だが2人の関係はそういうものじゃなくて、それをもっと超越したなにかが感じられた。
尊敬だとか、敬意だとか、そういった類のものだ。
加治木先輩にそういった感情を抱くのは、非常によくわかる。
そんなわけで今でも共通の飲み友達と言った感じで親しくしてもらっている。
『……』
電話の向こうの須賀君はなぜか沈黙を保っている。
様子がおかしい。
「須賀君? 聞いてるっすか」
『あっ、あぁ! 聞いてる聞いてる?』
「何故疑問形っすか? で、何か心当たりとかあるっすか?」
『こ、心当たり、ねぇ? さぁ、どうだろう、どうだろう」
露骨に動揺している。
それこそファッション雑誌や旅行雑誌の時の加治木先輩のように。
「……もしかして、恋人とか、好きな人とかできたんすかねぇ?」
『ど、ドウダロウネ』
今度は棒読みだ。
怪しい、非常に怪しい。
まさか、まさかまさか。
まさか15年目にしてこの男は……。
「須賀君……あなた、もしかして?」
『いや、してない! してない! 俺は何にもしてない!』
「……俺は、ねぇ」
『あ、いや、その深い意味は』
その発言を聞いて、私は座り直し長期戦の構えをした。
「さーって、まだ夜は長いっす。しっかり、聞かせてもらうっすよ」
まぁ、そのあと須賀君が白状した内容を聞いて私が驚きひっくり返るのはまた別の話である。
以上となります。
次回作のほうが最終回に向けていろいろ難航しているため気晴らしに。
次の作品はシリアスをやめよう。軽くかけるギャグにしよう(決意)
>>867
上手くからませられるかわかりませんがOKですよ
そして拾えるかどうかも(ry
全ては私が電波を受信するか否かで……
おう次回作安価にあった京まこエロあくするんだよ
乙!
さぁ白状した内容を詳しく聞こうか
モモが仰天する内容…京太郎からは何もしてない…
あっ(察し)
咲さんにかじゅ先輩が壊される!!
モモ「信じていた先輩が男と温泉旅行に行って数か月後に結婚式の招待状を送ってくるなんて…」
独身率高すぎだろこの業界wwwwww
小鍛治プロはまだ独身、はっきりわかんだね
憶測で独身と決めつけてはいけない(戒め)
でも、憶測だとプロ勢は大方独身っぽいんだよなぁ何故か
そして、おそらく咲ちゃんも…
>>881
小ネタ乙っす。次回作の方も非常に楽しみにしてるんだが難航してるのか…
でも魅力的なんだよね「悪女」って
拾ってもらえるかわからないけど勘違い悪女てるてるをリクエスト
本人は「私は悪女」と思いこんでるけど、周りから見たらただのポンコツで…な可愛いてるてるお願い!
遅レスだが本編泣いた。ありがとう。
なんかすげー胸がいっぱいになったわ。本当にありがとう。
こっちにも小ネタ投下されとる。乙ー
しかし小ネタを全部つなげてみると見事にかじゅの一人勝ちだな
咲さんやモモが少々気の毒になる
モモはともかく咲は仕方あるまい、一番京太郎から遠いんだから
モモと咲でウェディングベル歌ってくれないかな
SSで泣いたとかキモいなぁ
>>893
そんなレスに泣けるよ
>>894
このスレに関して言えば話も面白かったが周りのレスが面白かったよなww
それぞれが「京太郎」という鏡で何を投影してるかってのがわかってすごく面白かったわ
恥ずかしい文だな、よく書き込めるわ
「もたざるもの」の京太郎にすっかり感情移入してしまった
高校3年でそれなりに努力したが大した成績を残せなかった部活を思い出したよ
高校卒業してからはその道を諦めたつもりだったけど、
この話にカタルシスを感じるあたり自分で思っているより割り切れてなかったんだな
わざわざ雑談スレのレス持ってくるとかめんどくせーことしてんな
自分語りはいい加減ウザいんだよ
スマートフォンって書き込むたびにID変わるよね
やっぱりこのSSいいな
京太郎が清澄麻雀部を辞めて、まこの雀荘か、別の麻雀教室に通っていたら
おお!
こいよ
市内のとあるバーで東横桃子は一人酒を飲んでいた。
座席はカウンターのみ10席ほどのバーに現在は彼女と二人のバーテンダー以外は誰もいなかった。
何処か思い悩んだ表情でグラスを傾ける彼女に2人のバーテンダーは何も言わずグラスやボトルを磨いていた。
「マティーニ。甘めでお願いするっす」
「かしこまりました」
手元の酒を飲みつくした桃子は新たな酒を注文していた。
ミキシンググラスにリキュールを注ぐバーテンダーを見つつちらりと時計を見た。
「そろそろっすかね……」
そんな呟きを見計らっていたかのようにバーの扉が開いた。
2人のバーテンダーは小さく来客を迎える言葉を呟いた。
「待ってたっすよ」
「ごめんなさい、遅くなって」
そう言いながらヒールを鳴らしつつ、宮永咲は桃子の隣の席に座った。
「私はジンフィズをください」
「かしこまりました」
もう一人のバーテンが咲の注文を受けてシェイカーを振り始める。
桃子は手元にやってきたマティーニを見つつちょっと楽しそうに笑った。
「お酒飲めたんすね」
「……知らないのに誘ったの?」
「いやー、誘ってからお酒を飲むような人かなーって疑問に思ったもんっすから」
「そんなには飲めないけど軽いお酒なら飲めますよーだ。あっ、来た来た」
咲は目の前に出されたグラスを手に取り小さく掲げた。
「とりあえず、乾杯?」
「そうっすね、乾杯」
グラスがチン、と小さく鳴った。
「悪かったっすね。いきなり呼び出して」
「ううん、別に大丈夫だよ」
2人は昔からの知り合いではあった。
会えば普通にしゃべる程度の仲ではあった。
だが、こうやって個別に会って出かけるといったことはしたことがない。
そんな関係の2人であったが桃子は咲に話したいことがあるからと飲みに誘い、咲はそれを2つ返事で了承した。
「なんとなく、要件はわかってたし」
「あぁ、やっぱりバレてたっすか」
「まぁ、ね。タイミングもぴったりだったし。……これでしょ?」
咲はバッグから一枚の封筒を取り出した。
そこには「WEDDING INVITATION」と記されている。
桃子はそれを見て苦笑しながらも軽く頷いた。
手元のマティーニをぐっと飲み干した。
「正解っす。まぁ、前々から話だけは聞いてっすから驚かないと思ってたんすけど、形としてやってくると意外と」
「結構、心に来るよね」
「全くっす」
2人は苦笑気味に笑いあった。
咲は目の前のグラスを軽く傾けて小さく息を吐いた。
「多分、男女の違いがあれど似たような気持ちを抱えてるんじゃないかなーって思って」
「うん。その人選は間違ってないと思うよ」
グラスに入った酒は半分程度しか入っていなかったが咲の顔はすでに赤くなっていた。
それと対照的に桃子はまだ赤くもなっておらず、新たな酒を注文していた。
咲はちょっと驚きの表情で桃子を見た。
「お酒強いね」
「いやいや。加治木先輩とかもっと強いっすよ。私はまだまだっす」
桃子は手元のビーフジャーキーを口に入れ、それを咲にも勧めた。
咲は軽く礼を言いつつそれを小さくかじった。
わずかな沈黙が2人の間に流れた。
「ずっと」
「?」
不意に、桃子が口を開いた。
グラスに口をつけていた咲はそれから口を離し、桃子の顔を見た。
「ずっと一緒に居たっす。私と加治木先輩」
「うん……」
「高校、大学、プロチーム。ずっとずーっと、一緒だったっす。まぁ、私が加治木先輩の後を追いかけたからなんすがね」
桃子はそこまで言ってふぅ、とため息を吐いた。
何かを言おうと口を軽く動かすが声にならず、手元の酒を流し込んだ。
そして、それで息を意を付けたように再びしゃべりだす。
「これからも2人で同じ道を歩んで行くんだな、って勝手に思っていたっす。変わらないまま」
「うん。わかる、よ」
桃子の言葉に咲も絞り出すような返事を返した。
喋る桃子も、聞く咲もどちらもどこか辛そうな顔をしていた。
「でも、加治木先輩は別の道を歩もうとしている。……わかってるっす。別に加治木先輩がプロをやめるわけじゃないし、そこまで大きく変わるわけじゃないって」
桃子はカウンターに肘をついて手を組み、それに頭を預けた。
まるで表情を悟られないように。
「でも、私にとって加治木先輩は憧れで、ヒーローで、目標で……本当に、大切な先輩っす。私自身、学んだことや影響を受けたことがたくさんあるっす」
咲が小さく頷く。
桃子はそれにも気づかずまるで独り言をつぶやくように続けた。
「でも、その加治木先輩が人のものになっちゃう。人の奥さんになって、苗字も変わって、別の人と2人で歩き始める。そう考えると」
再び沈黙が流れる。
店内には二人のバーテンダーがグラスを磨いたりフルーツをカットする音のみが響いていた。
咲は何も言わず桃子の言葉を待った。
どれほどの時間が過ぎたか、ようやく桃子が口を開いた。
「そう考えると、私の憧れていた加治木先輩はもう居なくなっちゃって、私の中の憧れとかそういう気持ちまで取られた気がして……」
最後は絞り出すような声だった。
桃子は残った酒を一気に呷り、おかわりをバーテンに告げた。
「別に加治木先輩が悪いとか須賀君が悪いとかいうつもりはないんすけど、ね。きっと結婚したって加治木先輩は加治木先輩のままってのもわかってるんすがね」
八つ当たり、とぽつりとつぶやいて苦笑した。
咲はその言葉に小さく頷いた。
「わかるよ。わかる。理屈じゃないもんね」
「……吐き出せて少し楽になったっす。ありがとう」
咲は小さく首を振りわずかに残ったジンフィズを飲み欲した。
「すみません、ゴッドファーザーください」
「……大丈夫っすか?」
アルコール度数が高いカクテルを注文する咲に桃子は驚きの声を漏らした。
咲は赤くなった顔でにこりと笑って大きく頷いた。
「大丈夫。私も今日はちょっと飲みたい気分だし」
「そうっすか」
桃子は赤くなった先の顔を横目で見つつ、前々から思っていた疑問を先にぶつけた。
「最初、私は須賀君と付き合ってると勘違いしてたっす」
「私が? 残念ながらそういうのは無かったなぁ」
「残念ながら?」
桃子の言葉尻を捕まえた問いに咲は少し悩んで小さく頷いた。
「うん。今思うと、ちょっとだけね」
咲はそう言って新たに来たカクテルを小さく口に含んだ。
口当たりはいいとは言え、強いアルコール度数に小さく息を吐く。
「京ちゃんとは仲がいいよ。一緒にご飯食べに行くことは沢山あったし、2人で遊びに行ったり買い物に行くこともあった」
その発言に対して疑問の声を投げかけようとする桃子だったが咲のでも、という声に遮られた。
「でも、そこまで。結局仲のいい友達だった。少なくとも京ちゃんは、それ以上になろうだなんて考えなかったと思う」
「わかるんすか?」
「うん。京ちゃんにとってきっと私は友達で、超えるべき壁で、目標で……そういう色っぽい何かが入り込む余地は、なかったんだ」
咲は少し多めに酒を口に含んだ。
喉が熱くなってくるが、こみ上げてきた言い知れぬ感情を飲み込むように酒を流し込んだ。
「……私が京ちゃんを男の人として好きだったかは正直わからないんだ」
「えっ?」
「でも、でもね」
咲はそう言いながらテーブルに零れた水滴に人差し指を当て、すっと軽く横に指を滑らせる。
カウンターにできた水滴の線を眺めつつどこか悲しそうに言った。
「京ちゃんとそういう関係になってみても、いいんじゃないかななんて、思ったことはあったよ」
顔を伏せた咲に何を言えばいいのかわからなくなった桃子は言葉の続きを待った。
「でも、駄目。私と京ちゃんの間には越えられない溝が、越えられない壁があって……」
あの時のことを思い出すと咲の胸は今でも痛む。
彼の苦しみを分かれなかったあの時。
あの時の拒絶の言葉は未来永劫忘れることはないだろうと咲は思っていた。
「だから、私は諦めたんだ。私と京ちゃんがそういう関係になるのは、無理なんだって。どうしようもないんだって」
桃子は以前、清澄の麻雀部でかつて何が起こったのかを大まかに聞いていた。
それが故に、何の事情も知らぬものだったら臆病すぎると切って捨てるかもしれないその発言に否定の言葉を返せなかった。
「まぁ、ほら、恋してたとかそういうのじゃないから。誰だって思うときあるでしょ? 誰々さんと付き合ってみたいとか、恋人になってみてもいいかなとか」
「……わかるっす」
慌ててフォローするかのように、取り繕うかのような咲の言葉に、桃子はそう返すのが精いっぱいだった。
「だけど、京ちゃんが結婚するって聞いて、この結婚式の招待状を受け取った時にまた思ったことがあったんだ」
「……思ったこと、っすか?」
「うん。私、加治木さんと京ちゃんって私と京ちゃんみたいに、そんな関係にならないって勝手に思ってた」
咲は京太郎を通じてゆみと交流を持つことも多かった。
その時、咲の眼から見る限りは男女の関係というより、何か深い信頼だとか、強い意志だとか、そう言うどこか純粋な何かを感じた。
「ほんとにわかるっす、それ。2人とも信頼し合って、尊敬しあってた感じだったすからね。まさかそんな関係になるとは」
「うん。そう、だからこそ」
咲はカウンターに突っ伏した。
酒に酔ったわけではなかったが、顔を上げていることができなかった。
「加治木さんのことすごいって思ったんだ。恋愛以上に強い感情が最初にあったのに、それを乗り越えてその先に進んだから。……だ、だから」
カウンターに突っ伏したままの咲の声は小さかったがそれでも桃子の耳にしっかりと入ってきた。
「も、もしかして、壁とかそういうのを勝手に作ってたのは私じゃないかって……」
咲の体が小さく震える。
言い知れぬ感情に胸が痛くなるが、それを抑えて口を開いた。
「だから私も、壁とか、溝とか、そう言うこと考えずにほんのちょっと勇気を出して前に進んでみれば、何か変わったんじゃないかって……」
そこから先は言葉にならなかった。
桃子は何も言わず咲の背中を軽く撫でた。
「ごめんね……」
「いいっすよ。理屈じゃないっすもんね。こういうこと」
「馬鹿みたいだよね。自分ひとりで勝手にいじけて勝手に諦めて、人のものになってから後悔するなんて。行動しておけばよかったって思うなんて」
「しかたないっす。いつだって、誰だって後悔しない選択ができるわけじゃないんですから」
桃子はしばらく何も言わずに咲の背中を撫で続けた。
そんな時、桃子はふと思った。
(麻雀じゃ無敵。裏目引いたとか、受けを間違えたとか、フリテンが残ったとか、そういうことで後悔しているところなんて見たことないっすけど)
(あぁ、やっぱ、この人も人間なんすね。こんな風に後悔して悲しんだりすることも、あるんすね)
(むしろ普通の人よりよっぽど不器用っす。麻雀じゃあんな器用なのに……)
(あぁ、本当。人生ままならんっすね)
咲が落ち着くまで桃子は咲の背中を撫で続けた。
「ご、ごめんね」
「いいっすいいっす。今日はこうやって愚痴を吐き合おうと思って集まったんっすから」
少し目が赤くなった咲が桃子に頭を下げた。
桃子はそれを笑いながら流した。
「さっ、私らも負けていられないっすよ。須賀君よりカッコいい彼氏見つけて2人に見せつけてやるっす! 婚活っすよ婚活!」
「こ、婚活……」
「何引いてるんすか。私たちもう三十路っすよ! 手をこまねいてたらアラフォー待ったなしっすよ!」
「そ、そっか。そうだよね! よし、頑張ろう!」
「その意気っす! さぁ、とりあえず今日は飲みましょう。改めてかんぱーい!」
「うん、かんぱーい!」
2人はその後、2時間に渡り飲み、喋り、歌い大いに楽しんだ。
そしてべろべろに酔いつぶれ見るも無残な姿になった咲に桃子が頭を抱えるのもその2時間後の話であった。
カン!
関係ないけど塞ちゃんって可愛いよね、エロいよね。
乙乙
いい雰囲気だねー
塞ちゃんはあの前髪ぱっつんがセクシー……エロいっ!!
あと1~2個ぐらいは拾えるだろうか。
というか拾っていきたい。
乙
咲ちゃんさんアラフォーまっしぐらやんな……
塞さんは確かになんかエロい
乙ー
しんみりするね
魔物は結婚できないジンクス
おつやで
かじゅさんと京ちゃんの旅行の話とかでいいんじゃない?(適当)
あと書き忘れてましたが>>1は百合描写がちと苦手でな。
女の子同士でちゅっちゅするとかそういうのはあまり期待しないでね……。
女の友情ものとかは大好物なのですが。
>>899
新スレ側にガチてるてる悪女の嘘予告を投下しちまったぜ……。
もしその話でスレを立てた際にはオマケか何かで書いていきたいです。
旦那さんが応援しに来た前でタイトルを獲得し、だっこされて祝福される加治木プロ
の、試合を解説する小鍛治プロ
試合後のインタビューでなぜか試合内容そっちのけで旦那との馴れ初めについて聞かれて真っ赤になる加治木プロ
すこやん、ガチアラフォーになっちゃってるからなぁ
笑えねえよ……
すこやんは結婚しとるかも知れんやろ!!
それは有り得ない。
何となくすこやんは結婚すると麻雀で勝てなくなるような気がするんだよなぁ……
恋愛すると負ける将棋指しみたいなことを言うなww
「もつものと、もたざるもの」の意味合いが変わってきてるよね
麻雀的なものから、伴侶とか家庭とかそういうものに……
アラフォーが結婚していないという風潮
なんでや、声優みたいに隠れ結婚してるかもしれんやろ!!
>>929
実家でだらしない格好して母親にメロン切って貰ってる時点でお察し
まあ>>1が描写しないだけでips技術が猛威を奮ってそれなりな世界になってるかも知れないし
アラフォーなのをみかねたこーこちゃんがもらってあげてるかも
せつないなぁ・・・。
麻雀で勝つことはできても欲しいものは手に入らなかったのか。
一歩が踏み切れずに、失ってから気付くってなぁ・・・
清澄メンバーは京太郎にとっての越えるべき壁のまま動く事が出来なかった。
こういう大人の苦さなドラマって良いですね。
自分たちが京太郎を傷つけたという自覚があったから動けなかったんだろうな
京太郎が咲たちに勝った時、お祝いという名目で手頃なホテルに強制連行しておけば……
最後に「もつもの」加治木プロと「もたざるもの」咲さん一同との麻雀勝負をリクエストしとく
新婚で嫁壊されるとか胸熱
乙です
しかし改めて考えても須賀ゆみって語呂悪いなww
逆に加治木京太郎も発音はともかく文字にするとなんとも説明できない違和感が
簡単な漢字が6文字っていう長さで並んでるからだな
椋の全角2倍文字>木京
>>939
子供の名前はそれ絡みだな
加治椋太郎
>>939
桔梗か
名前的には須賀優希が一番ぴったりくると思うじぇ!
名前で一番しっくりくるのは須賀恭子だろ
言いやすさなら須賀菫がダンチだと思う
さっさとスレを埋めようキャンペーン。
>>902を見て電波を受信したため、本編のエンドの1つとして考えていたものを少し手直しして小ネタとして投下いたします。
それにしても今読み直すと本編の誤字脱字が酷い。
というか闘牌ミスも多いね……。
せめてそれだけ訂正させてください。
>>183
誤:456m34678s34p西西 ツモ5p ドラ9s
正:456m344678s34p西西 ツモ5p ドラ9s
>>455
誤:11225588s東東中中南 ドラ4m 裏ドラ2p
正:11225588s東東中中南 ドラ4m 裏ドラ2s
>>557
誤:【5】6m45567788s567p ツモ7m ドラ西
正:【5】6m45567788s【5】67p ツモ7m ドラ西
>>561
『上田捨牌』
誤:撥九四5r
正:撥九四⑤r
>>567
『松本手牌』
誤:【5】67m45567788s567p
正:【5】67m4556788s【5】67p
>>570
『上田捨牌』
誤:撥九四5r【5】九
正:撥九四⑤r⑤九
「ツモ! 1000-2000の1枚!」
上家の大学生らしい男が元気よく牌を引きアガった。
京太郎はそれをちらりと見て点数に間違いないことを確認すると軽く返事をして、1000点棒と500円玉を渡した。
点棒のやり取りが完了し、牌を落としたタイミングで京太郎は口を開いた。
「2卓オーラスです。頑張りましょう」
頑張りましょう、とほかのメンバーが続く。
京太郎が雀荘のメンバーを続けてもう3年経っており、このやり取りもすっかりと手慣れたものだった。
配牌を取りながら京太郎は点棒状況を確認した。
『オーラス開始時』
上家 50,200
京太郎 13,400
下家 34,100
対面 2,300(親)
ダントツのトップが1人。それに追随する者が1人。ダンラスだが最後の親番の者が1人。
そして京太郎はそんな順位争いから若干置き去りになっている。
2着目の下家に跳満を直撃すれば2着浮上だが、ツモならば3倍満が必要だった。
トップを狙いに行くであろう2着目はある程度は前に出てくるだろうが、直撃を取れるかどうかは別問題だった。
『京太郎配牌』
【5】78m56s2246p東西白撥 ドラ8m
(ドラ赤だけど、微妙な形だな……)
そう心の中で愚痴りながらも赤が来てくれたことに若干の安心感を感じていた。
親が牌の切り出しを悩んでいる姿を見ながら京太郎は煙草を口に咥え、火をつけた。
何気なく、ちらりと雀荘内に置かれたテレビに視線をやった。
『さぁ、タイトル戦もオーラスを迎えました。点棒状況は……』
そんな映像を他のメンバーが見つめていた。
京太郎も同じようにそれに目をやっていたが、知った顔が出てきたタイミングで目線を卓に戻した。
ちょうど京太郎のツモ番であった。
(……あれは、別世界の話だ)
京太郎はそう思いながら、ツモに手を伸ばした。
その後、京太郎の手はかなり目覚ましく伸び、10順目で聴牌を入れた。
『京太郎手牌』
【5】678m5【5】67s22267p ドラ8m ツモ8s
赤5萬を切り出してリーチをかけ、高目が出ればメンタン三色赤ドラの跳満。
一応は2位を目指せる手が完成した。
京太郎は萬子に手を伸ばし、場に切り出す寸前にもう一度テレビを見た。
見知った顔が2万点離れたトップを追うために逆転のリーチを打っていた。
それを見ると、ちらりと心の中に芽生えたモノがあった。
だが京太郎はそれを即座に振り払った。
流れるような手つきで京太郎は牌を切り、宣言した。
「リーチ」
『京太郎手牌』
【5】678m5【5】67s22267p ツモ8s ドラ8m 打8m
立直、タンヤオ、赤赤。
相当都合よく裏ドラが乗らない限りはとてもではないが跳満に届かない。
だが、京太郎にとっては必然の1打だった。
(この麻雀は一発赤裏に500円のチップ)
(つまりこの手をツモればチップが2枚×3人で3000円の収入)
(1000点100円のこの麻雀では3000円は3万点分の点棒に等しい)
(3倍満ツモなんて逆立ちしても届かない上、2着目が高目を出してくれなきゃ変わらない順位)
(だったら3確でもいいから目の前の金を拾いに行く)
(これが正しい。これが正しいんだ)
京太郎の勤めている店ではメンバーに打牌制限はない。
順位の変わらないアガリも当然認められている。
別段マナー違反を犯したわけではないのだが、京太郎はなぜか普段感じない後ろめたさを感じていた。
そんな煮え切らない何かとは裏腹に、2巡後に京太郎はツモりアガった。
「ツモ。2,000-4,000の2枚オールです」
『京太郎手牌』
【5】67m5【5】678s22267p ツモ8p ドラ8m 裏ドラ1m 打8m
結果的には、赤5萬を切れば高目がツモれていた。
だが、それでも2位にはなれていないため、最終的な収支で考えると京太郎の選んだ選択肢が最善だった。
文句なしの1手だった。
だが、大した喜びもないまま京太郎は表情を変えず口を開いた。
「ラスト。ご優勝は田中さんです。おめでとうございます」
牌を卓に落とす直前、2着目の手配が見えた。
萬子の染め手。8索を掴めば出ていた可能性は十分にあった。
(結果論だ)
京太郎はなぜか芽生えた後ろめたさや罪悪感をそう切って捨てた。
そして、淡々と自分の負け分を支払っていった。
だが、負け分を支払っても先ほどのチップのおかげでこの局だけを見ればプラス収支。
文句のない内容だったはずだったが、京太郎の心は暗かった。
(何だってんだ、クソ)
清算後、待っていた客を案内して京太郎はふたたび立ち番に戻った。
他のメンバーの横に並びテレビに視線をやった。
見知った顔が残り少ないツモに手をかけている。
京太郎はその姿を見ながら先ほどの局を思い出していた。
(昔の俺なら、あの手は赤5萬切って何が何でも2位を目指していたよな)
高校時代、まだ京太郎が麻雀部で活動している頃のことを思い出していた。
心がじくりと痛む。
そんなタイミングでテレビの中で見知った顔が逆転の1手をツモりあがった。
『決まった! 優勝は原村和プロ! これでタイトル3冠、止まることを知りません!』
アナウンサーが興奮気味にまくしたてる。
テレビの中で見知った顔――和はにこやかな顔を浮かべていた。
「最近勢いすごいな、原村プロ」
先輩にあたるこの店のチーフがタバコ片手にそうやって話しかけてきた。
京太郎はコーヒーを飲みながらさほど興味もなさげに応対する。
「大学卒業してすぐに破竹の3冠っすからね。恐ろしい恐ろしい」
テレビの中ではインタビューを受けている和の姿があった。
その姿に重なるように、画面の下に和の略歴がテロップで表示されている。
それを見ていたチーフは何かに気付いて、京太郎に向き直った。
「清澄って確か、お前の出身校だよな。麻雀の名門の。そっか、原村プロと高校一緒だったんだな。そう言えば年も同じだし」
「……えぇ、まぁ」
「実は知り合いだったりしねぇの?」
「……一応、話したことぐらいはありますけど」
「マジで!? だったら原村プロと会わせてくれよ。俺ファンなんだ」
明らかに触れてほしくないと言った態度を示す京太郎を気にも留めず、チーフは勢いよく食いついた。
京太郎は内心の苛立ちを抑えながら、無理矢理にこやかな表情を浮かべた。
「だから話したことある程度で親しいってわけじゃないんですってば。高校時代から会ってませんし」
それに、と付け加えてテレビを見ると、トロフィーを受け取り涙を流している和が居た。
京太郎はそれを見て、一瞬辛そうな顔をした後、自嘲的な笑みを浮かべて言った。
「向こうは、俺のことなんざ覚えちゃいませんよ」
決定的な訣別をしたあの日からもうかなりの時間が過ぎている。
結局京太郎は最初の決意が揺るがないまま、麻雀部を退部した。
退部届をまこに渡した時、潤んだ眼を必死にこらえながら気丈に頑張ったことを褒めてくれた
京太郎は今でもその時のことを鮮明に思い出せた。
その後、何度か優希や和から引きとめられたが京太郎の意思は変わらなかった。
咲は特に止めもしなかった。ただもう一度、ごめんなさい、と謝られた。
そして、それを最後に麻雀部のメンバーと会話をすることはなかった。
休み時間でも学校行事でも話そうと思えば話すことはできたが、全員が意図的に交渉を持とうとはしなかった。
翌年のインターハイでは規模が大きくなった清澄高校麻雀部が辛うじて全国まで駒を進め、
そこそこの結果を残したことを聞いても京太郎は詳しく聞こうとも調べようともしなかった。
ただ、前年に驚異的な成績を残した咲があまり振るわなかったことを聞いたときは少し心が騒いだ。
その後の秋季、春季大会や3年次のインターハイでは龍門渕や風越の後塵を拝することも何度かあり、
周りが期待するほど圧倒的な力を発揮しなかったという点についても少し気になった。
だが、それらの感情を京太郎はすべて他人事だと、自分には関係ない話だとして深く考えようと、関わろうとはしなかった。
京太郎はそれからしばらく、無為に高校生活を過ごした。
1年間ほど麻雀から離れ、いろいろなことにチャレンジしようと思ったがすべて長続きしなかった。
大学も推薦で決まり、3年の秋口にはさらに暇を持て余すようになった。
結局、京太郎はとある雀荘でアルバイトを始めた。
最初はまこの店の扉を叩こうとしたが結局それはできず、全く関係のない店だった。
そして雀荘でのメンバー生活は楽しく、京太郎は自分がやはり麻雀が好きなことを再確認することになった。
その後、雀荘での仕事にのめりこんでいくことになった。
それは大学に入学してからになっても変わらなかった。
最初は真面目に講義を受けていたのだが、勉強していても友人と話していてもふと麻雀がしたくなりその欲求が止められなくなった。
どれだけ打ってもどれだけ勝ってもどれだけ負けても麻雀がし足りなかった。満たされなかった。
徐々に講義に出なくなり、最終的には全く大学に行かなくなった。
雀荘のメンバーとして客と打ち、アルバイト以外でも雀荘に行き麻雀を打つ日々。
そんな生活をしていればろくに単位など取れるはずもなく2年の時に留年が確定した。
それが露見したとき京太郎は散々親と揉め、大学を辞めて勘当同然で家を飛び出した。
慣れ親しんだ故郷を離れ、隣県である静岡県に辿り着き、とある雀荘のメンバーに落ち着いて今に至る。
(お手本のような転落人生だな、我ながら)
チーフに過去をつつかれたせいか、あれからのことを思い返した京太郎はあまりの悲惨さに乾いた笑いが出た。
「そうかい。まっ、確かにプロのご友人が体一つで転がり込んできてこんな場末の雀荘でメンバーなんざやってるはずないよな」
ある種無神経なチーフの発言にも京太郎は笑いで返した。
この人間が無神経なのはいつものことであり、そして言っていることも事実であるため京太郎はさして怒りも湧かなかった。
「そうっすよ。大学中退で親からは勘当されたダメ人間ですからね。麻雀プロ様とお近づきなんてとてもとても」
「おっと、ダメ人間なら俺も負けてねーぞ。もうすぐ三十路でろくに貯金もないのにまだこんな生活してるからな」
そう言い合いながら2人は笑った。
「そういや、今日だったか? 新オーナーが来るの」
「そう言えばそうでしたね。どんな人なのやら」
チーフがカレンダーを見ながらそう言った。
京太郎が務める店は先月まで別の人間がオーナーをやっていたのだが、その男が別の事業に失敗し借金返済のため店を手放すこととなった。
それを聞いた京太郎はすわ一大事と新たな勤め先を求めて右往左往することになった。
麻雀メンバーの給料は自分が打った際の負け分を引くとほとんど手元に残らない。
つまり京太郎の貯金は殆どないに等しいため、店がつぶれ仕事を失うとすぐに干上がってしまう。
チーフと慌てて探し回る日々だったがある日、旧オーナーから店の権利をとある雀荘グループが買ってくれたことを告げられた。
最近景気のいいそのグループは現在のメンバーもそのまま雇用することを保証してくれ京太郎は胸をなでおろした。
「噂によると結構美人の女らしいぜ。しかもかなり若いとか」
「マジっすか。この業界じゃ珍しいっすね」
「できる女社長ってやつか? そそるな」
そんな話をしていると客から少し切羽詰まった声が上がった。
「すんません、リーチ代走お願いします」
「あ、はーい」
京太郎は反射的にそう返事をして声を上げた客と席を替わった。
席を替わった客は慌ててトイレに走って行った。
手を見るといたって普通のリーチドラ1。待ちも普通の1-4索待ち。
京太郎はそれを確認して牌を取っていった。
そして、そのタイミングでドアベルがチリンとなった。
「いらっしゃいませ!」
チーフが元気よく声を出す。
京太郎もそれに続きいらっしゃいませ、と声を出した。
入口に背を向けて座っているため、京太郎から客の姿は見えなかった。
先輩メンバーが客に応対する声だけが聞こえてくる。
「フリーですか?」
「いや、私は今日伺わせて頂くことになっておりました……」
「あ、もしかしてオーナー、ですか」
「はい」
噂通りの若い女性の声だった。
だが、京太郎はその声を聴いてドキリと胸が高鳴った。
聞き覚えのある声だった。
そして標準語を話しているがイントネーションが微妙に関西圏のものであった。
思わず手が止まってしまう。同卓している他家から急かされて慌ててツモを手に取った。
そうしているとトイレから客が戻ってくる。
「状況は変わらずリーチ続行中です。ツモ番です」
京太郎はそう言って再び客と席を替わった。
そして、恐る恐る入口のほうへ向きなおった。
「わざわざ長野から? お疲れ様です。俺がチーフの……」
「あぁ、伺っております。少しこれからの話をさせて……」
チーフがやってきた新オーナーを伴ってバックヤードに向けて歩き出そうとしているところであった。
チーフは噂通りの若い美人のオーナーがやってきたことに相好を崩している。
だが京太郎はそれとは対照的にその新オーナーの顔を見て驚きの表情を隠せなかった。
すると、ぽかんと立ち尽くす京太郎とその新オーナーの目があった。
「染谷、せんぱい?」
「……京太郎? 須賀、京太郎か?」
京太郎と新オーナー、染谷まこはそう言ったきりお互いしばらく立ち尽くした。
「まさか、まさか買い取った店のメンバーに京太郎がいるとはのう」
「どんな天文学的確率だって話ですね」
京太郎とまこは現在雀荘を出てほど近い喫茶店で話をしている。
京太郎はチーフからはゆっくり話して来いと送り出されたが、後で根ほり葉ほり聞かれることが容易に想像できて多少憂鬱だった。
「しかし、最近勢いのあるあのグループが染谷先輩のご実家だったとは知らなかったです」
「まぁ、のう。若干手前味噌じゃが大学に通いながらわしが色々と動き回ったら意外と上手くいってな。今では長野県下にいくつか店舗を持てるようになったんじゃ」
「若き女社長ってやつですか。凄いですね」
「やめい。親父も現役だし、わしは所詮手伝いの身分じゃ。そんな大したもんじゃないわい」
まこはそう言って苦笑しながら手元のコーヒーに砂糖を入れてかき混ぜた。
京太郎はそれを見つつ手元のコーヒーに口をつけた。
「県外にも1店舗持ちたいという計画はもともとあったんじゃ。いろいろ探しとるうちに都合のいい居抜き物件があると聞いて」
「それがうちですか」
「そう。物件も設備も従業員も揃っているとあれば、1にも2にも真っ先に飛びついたんじゃ」
そこまで会話をして若干の沈黙が流れた。
京太郎もまこも話したいこと、聞きたいことはあったのだが口に出そうとすると躊躇してしまう。
たっぷり3分間ほどの沈黙が流れた後、口火を切ったのはまこだった。
「大学を辞めたというのは、風の噂で聞いておった」
「……そうですか」
「だが、なぜこんなところで雀荘メンバーをやっておるんじゃ?」
まこのその問いかけに少し躊躇しながらも結局あれからのことを正直にすべて話した。
麻雀から1度は離れたこと。
でも結局、麻雀に溺れたこと。
大学にも行かずひたすら麻雀を打ち続けたこと。
勘当同然で家を飛び出したこと。
流れに流れてこの雀荘のメンバーになったこと。
すべてを話した。
「そう、か」
「まぁ、貧乏でピーピーしていますがね。そこそこ楽しくやっていますよ」
京太郎はそう言って笑った。
だがその笑いはひどく空虚でまこは思わず目を逸らしたくなった。
まこは辛そうな、申し訳なさそうな表情をして京太郎に頭をさげた。
「すまん」
「……なんで染谷先輩が謝るですか?」
「わしがあの時、京太郎にも麻雀を楽しめる環境を作っていれば、こんな、こんなことには」
「やめてください」
まこの言葉を京太郎の言葉が遮った。
その有無を言わせぬ強い語気にまこはびくりと体を震わせた。
「全部、全部俺の責任です。俺が勝手に麻雀部をやめて勝手に麻雀に溺れて勝手に道を踏み外しただけなんです。染谷先輩の責任じゃありません」
「しかし……」
「やめましょう、この話は。それよりそちらの話を聞かせてください。竹井先輩と和がプロになったことは知ってますが他のことは全然知らないんですよ」
京太郎が乾いた笑いを浮かべてまこに向き直った。
何か言いたげにしつつもまこは麻雀部メンバーの近況を告げた。
久と和は京太郎も知る通りプロに進んだこと。
和に関しては知ってのとおり破竹の勢いで勝ち進んでいること。
優希は社会人リーグに所属していること。
そこで圧倒的な成績を残し、今年のドラフトの目玉になりそうであること。
そして咲は大学院に進み今も勉学に励んでいること。
「……咲」
最後に聞いた咲の近況に京太郎は思わずぽつりと言葉を漏らした。
まこは若干苦しそうな顔をしつつも先についての詳しい話を続けた。
「あれから、咲は麻雀に対して「何か」を失ったようでな。……あれからの大会の結果は聞いとるか?」
「まぁ、だいたいは」
「一応は麻雀部に所属し続けたのだが、前のような熱心さも楽しさも、あまり見られなくなった。そんな状態でもその辺人間じゃ手も足も出ないほど強かった。じゃが」
まこはコーヒーに口をつけ、胸にせりあがる苦い思いを無理矢理流し込んだ。
小さく息を吐き、淡々と続けた。
「全国レベルが相手となれば話は別。やはり、思うようには勝てなんだ。いろいろ期待はされていたんじゃがな」
京太郎は思わず謝罪の言葉を吐きかけた。
だが、数分前に言った自分の言葉を思い出し口を閉じた。
「結局咲は高校で麻雀を辞めた。今は大学で麻雀とは違う分野の勉強をしとるようじゃ。今でも時々会うが、楽しい大学生活を送っとるようじゃぞ」
まこがそう言った後、二人の間には再び沈黙が流れた。
そんな沈黙の中、先ほどまで昼のドラマを映していた喫茶店内のテレビのチャンネルが他の客によって変えられ昼のニュース番組に変えられた。
そこでは和が三冠を達成したことが取り上げられていた。
「和、凄いですね」
「ん? あぁ。そうじゃな」
ぽつりと呟いた京太郎の言葉にまこは若干戸惑いながら返事を返す。
京太郎はどこか遠くにあるものを見るようにテレビの画面を見つめながら口を開いた。
「一緒に麻雀打ってた時期があるとか、正直信じられないです」
「何を言う。半年間だけとはいえ、京太郎は清澄の麻雀部員じゃった。そのことに間違いはない」
「そう、ですよね……」
再び沈黙。
テレビの画面は政治家の不祥事についてのニュースに変わっていたが、それでも京太郎はテレビに視線を向けたままだった。
そんな様子を痛ましげな顔で見つめたまこは若干の迷いを見せながらも京太郎に問いかけた。
「なぁ、京太郎」
「何ですか?」
「麻雀部辞めたことを、今はどう思っとる?」
「どう、とは?」
「間違ってなかったと今でも思うのか。それとも……」
まこはそれ以上言わなかったが京太郎は言いたいことをなんとなく察していた。
京太郎は少し考え込み、若干言いにくそうに口を開いた。
「正直、少し後悔してます」
「そうか」
「最初は全く後悔してませんでした。解放されたって、喜びしかなかったんです。でも」
表情を変えず真剣に聞くまこの視線が辛くて、京太郎は視線を下げた。
「竹井先輩や和がプロに行って強い連中の中で必死に戦っているのを見ると、少しずつ考えが変わっていきました」
テレビで初めて久を見た時の感情は京太郎は今でも覚えている。
その日、徹麻明けに自宅に帰った時、気だるい体を引きずりながらテレビをつけると久が対局している姿が映った。
並居るプロに翻弄され、あの久が苦しそうな表情を浮かべながら必死に闘っていた。
それを見たとき、京太郎の心に初めて後悔の念が生まれた。
「プロの中で必死にトップを目指して戦い続けている中、俺は結局麻雀が捨てられなくて生活のために目の前の100円を拾う麻雀をしてる」
そう話ながら京太郎は、先ほど行った3確アガリを思い出す。
こうやって口に出して自分の気持ちを吐露して、ようやく分かった。
和と比較したとき余りにも惨めで、小さくて、そんな気持ちから罪悪感や後ろめたさを感じていたのだと。
「そう考えると、どうしても思っちゃうんです。あの時、麻雀から逃げ出さずに歯を食いしばって必死に戦い続けていれば」
自嘲気味に笑いながら京太郎は温くなったコーヒーを一気に流し込んだ。
「何か、違う未来があったんじゃないかって。……烏滸がましい話ですけど、俺だけじゃなくて、皆も」
「すまんな。言いづらいことを聞いてしまって」
まこは京太郎の言葉をひとしきり聞いた後軽く頭を下げた。
「いや、いいんです。俺自身誰かに話して気持ちの整理がつきました」
コーヒーカップに手を伸ばし、もう飲みきったことを思い出して水が入ったグラスを手に取り口を付けた。
「まぁ、後悔した所でどうしようもないですけどね。麻雀はやっぱり好きですから、もうちょっとメンバー生活は続けようと思ってま」
「京太郎」
そうやって自虐的に自分のことを話す京太郎の言葉をまこが遮った。
京太郎はあっけにとられながら、口を閉じた。
「確かに後悔した所でどうしようもならん。だからこれからのことを考えてみんか?」
「これから、ですか」
「あぁ、京太郎。……プロを、目指してみんか?」
「はあっ!?」
まこの突拍子もない言葉に京太郎は思わず素っ頓狂な声を漏らす。
だがまこは真剣な瞳で京太郎を見つめた。
京太郎は思わず息を飲んだ。
「冗談で言っとらん、わしは本気じゃ。うちで小さいながらも社会人リーグに参加するチームを作ろうと思っとる」
「チーム、ですか」
「あぁ。まだ紙面上の話じゃが、京太郎と話して猶更やる気が出てきたわ」
まこはそこまで言ってコーヒーに口をつけ、にやりと笑った。
京太郎はその雰囲気と笑みに気圧される。
「京太郎。うちのチームに来んか? 社会人リーグで活躍すればドラフトに引っかかる可能性もあるけぇ。そうすればプロの仲間入りじゃ」
「で、でも俺の実力じゃ」
「実力不足とは思わん。京太郎は京太郎なりに数年間必死に闘い続けてきたんじゃろう? 例え小さくとも、誰にも見られてなくとも、闘っておったんじゃろ?」
自信たっぷりなまこの問いかけに京太郎は小さく首を縦に振った。
それを見てまこは満足そうに笑った。
「自信を持ちぃ。京太郎が絶望の中、それでも麻雀が捨てられずに戦い続けて磨いてきた武器は通じるはずじゃ」
「あ……」
まこのその言葉に必死に反論しようとしていた京太郎の言葉が引っ込む。
「高校生の時、結局闘うことから逃げ出したことを後悔しとるのなら今度は後悔がないように、もう一度闘ってみんか? わしも今度は後悔のないよう、必死にいいチームを作ってみせる」
信用はないかもしれんがな、とまこはわずかに苦笑したのち真剣な面持ちに戻った。
「わしにもう一度チャンスをくれ。頼む」
京太郎はまこのその言葉に動揺していた。
余りにも突然な提案であった。
プロなど別の世界の話だとほんの数時間前まで思っていた。
だが、それに向けてもう一度戦わないかと今は誘われている。
余りにも骨董無形な話だ。
目指す頂が高すぎる。
新設チームが勝ちあがり、ドラフトに引っかかる活躍をするなど夢物語だ。
できるわけがない。
京太郎は頭の中ではそう考えていた。
だが、それとは対照的に胸は激しく高鳴った。
もう一度、戦える。
何かを目指して、戦える。
ただ目の前の生活のため、何かの渇きを満たすためにひたすらに麻雀を打ち続ける生活ではない。
何か高い頂を目指して進むということができる。
その事実が京太郎の血が熱くなった気がした。
麻雀部をやめてからずっと最低限の働きしかしてこなかった心臓が激しく動き出す。
全身に血液がいきわたり、頭が熱くなってくる。
思わず、握り拳を握った。
「染谷先輩」
「なんじゃ?」
「……こちらこそ、お願いします」
京太郎は頭を下げた。強く拳を握りながら。
「もう一度俺に、チャンスをください。もう一度、もう一度俺も闘いたい。後悔がないように、闘いたい」
京太郎のその言葉にまこは瞳を潤ませ、満面の笑みを浮かべて京太郎の手を握った。
「あぁ、あぁ! もう一度、もう一度じゃ。今度は、今度こそは……」
「……はい!」
まこはそれ以上言葉にならないようだったが、京太郎は何も言わずに大きく頷いた。
以上となります。
「もし京太郎があの時部をやめていたら」でした。
一応エンディングとしては考えていたものの一つでした。
この後、プロへの道をあきらめきれない各学校の実力が劣るメンバー達と社会人リーグで
プロへの道をかけて死闘を繰り返していくっていう展開を考えていました。
だけどオリジナル設定多すぎだしどう考えても1スレで終わる内容ではなかったのではお蔵入りと相成りました。
乙
やはりまこ先輩は良心的先輩…
乙ー
ここからまこルート、咲ちゃん復活ルートとかいけそう
咲ちゃん心が折れてオカルト封印しちゃったルートなのか
(実況室にて)
恒子「さぁ、このタイトル戦もいよいよ大詰め! オーラスを迎えました! トップは現在のタイトル所持者、福路プロ!」
健夜「ほかの3人のうち2人はもう総得点的に望みはないけど、加治木プロは跳満をツモれば逆転だね」
恒子「あー、すこやんまた間違えた。今はもう加治木プロじゃなくて」
健夜「そうだった、須賀プロだったね……」
恒子「すこやんもいい加減慣れなってば。もう3か月は経つんだから」
健夜「わかってるんだけど、つい……」
恒子「そう言えばすこやん、須賀プロが結婚するとは思わなかったとか言ってたもんね」
健夜「うん、何度か話したときはそういうことに興味なさそうだったし……」
恒子「すこやんとしては独身アラサー仲間が減ってしまって残念って感じ?」
健夜「アラフォーだよ!」
健夜「何言わせるの!?」
シーン
カメラマン「……(うわぁ)」
音声「……(アカン)」
恒子「……(キツッ)」
健夜「ねぇ、こーこちゃん。振ったなら振ったで最後まで責任持って拾ってよ。折角体張ったのに」プルプル
恒子「おっと須賀プロ! ここでリーチが入った!」
健夜「無視っ!?」
(対局室)
ゆみ「リーチ」
美穂子「(来ましたか……闘える体制ではないのでオリるしかありません。流局なら私の勝ちです)」
プロA「(勝ちの目はないから)」
プロB「(見守るのみ)」
ゆみ「(あと2巡だがっ……ここでっ)」ググッ
ゆみ「! ツモッ。リーヅモタンヤオ三暗刻ドラ1で3,000-6,000!」
ゆみ「……間違いないな。500点差で、逆転だ」
美穂子「っ。引かれてしまいましたか……。最後の1枚がまだ山に残っていたんですね」
ゆみ「あぁ。その1枚を掴むのにかなり時間がかかってしまったがな」
美穂子「これで2冠ですね、おめでとうございます」
ゆみ「ありがとう。これからは追われる立場ということもあるから気を引き締めないとな……」
美穂子「苗字が変わってから、調子がいいですね。愛の力とは偉大です」ニコニコ
ゆみ「っ、やめてくれ。馬鹿馬鹿しい」プィッ
美穂子「ふふふ、ごめんなさい。さっ、記者の人たちも待ってますし、行きましょうか」
ゆみ「あぁ。正直憂鬱だが、これも仕事だしな……」
美穂子「しかたありませんね。私も正直インタビューとかは苦手です」スタスタ
ゆみ「あぁ、この扉の向こうにはマスコミが待ち構えているんだな。……気が重い。」ガチャッ
(対局前廊下)
京太郎「あっ!」
ゆみ「えっ?」
美穂子「あら?」
京太郎「~~~~~~~! ゆみさーーーーーーーん!」ダダダダダダ、ガシッ!
ゆみ「ちょ、や、やめ!」ワタワタ
京太郎「居てもたってもいられずに観客席から走って来ちゃった! おめでとおおおおおおおおおおおおおお!」カカエアゲ
ゆみ「きゃっ。お、おい! 人が見て……」
京太郎「ははは、やった。やった。2冠だ! ほんとにおめでとう!」クルクル
ゆみ「わひゃ!」クルクル
ガヤガヤ
記者1「おい、須賀プロを抱き上げてるのって」
記者2「最近結婚した噂の旦那か。一般人だからメディアには顔を出さないって聞いてたが」
記者3「とにかくいい絵だ! 撮れ撮れ!」
パシャパシャパシャパシャ!
ゆみ「お、おい。撮られてるぞ!」
京太郎「えっ? あっ……」ピタッ
ゆみ「まったく、人前だというのにこんな……」マッカ
記者4「すみません、須賀プロの旦那様ですかね?」
京太郎「あっ、はい」
京太郎「(しまった……。顔は出さないようにしてたのに)」
ゆみ「(まったく。だから止めたんだ)」
記者4「この度はおめでとうございます。奥様のご活躍を見られてどんなお気持ちですか?」
京太郎「いや、ほんと嬉しいです。感動です! ほんと、自慢の妻です!」デレデレ
ゆみ「ちょ、ま!」
美穂子「(嬉しさのあまり脳がとろけきって正常な判断ができていないのかもしれませんね……)
記者4「ははは、これはおアツい。このタイトル戦に向けて夫として何か協力したことはありますか?」
京太郎「もちろん! 勝負に集中できるように家事やなんかの雑事は一手に引き受けていました。スケジュール管理なんかも……」
ゆみ「こら、あまり余計なことは……」
記者1「須賀プロ、ちょうどいいので聞かせてください。旦那様とのなれ初めなんかを聞かせてもらえますか?」
ゆみ「えっ?」
記者2「そうそう、プロポーズはどちらからどのように?」
ゆみ「えぅ?」カオマッカ
記者3「お互い普段はどのように呼び合っているのですか?」
ゆみ「」プシュー
パシャパシャパシャ
ガヤガヤ
(再び実況室にて)
恒子「(モニタを見ながら)幸せそうだねー」
健夜「うん、そうだね」
恒子「すこやん、顔が能面のようになってる……怖いよ」
健夜「そう? ごめんね」グギッ
カメラマン「(その無理矢理な笑みは映すには忍びないな……)」
音声「(アカン)」
恒子「あー、すこやん。その最近はいろんな人生を送る女性がいるから結婚だけがその……」
健夜「でもこーこちゃんは6年前に結婚したよね」
恒子「いや、それは……」
健夜「うん、大丈夫だよ。別に嫉妬しているわけじゃないよ」グギッ
健夜「でもさぁ。最近不思議なんだ」
健夜「昔は結婚とかをネタにからかわれたのに最近はからかわれなくなったの」
健夜「私は独身主義者っていうことになってるみたい。不思議だね、そんなこと言ったことないのに。思ってもいないのに」
健夜「最近はさ、お父さんもお母さんも何も言わなくなってきたんだ。むしろ一緒に老後の話をするようになったんだ」
健夜「このまえ自立した女性ってかっこいいって若い女子プロに言われちゃった」
健夜「ふふ、おかしいな。おかしいよね」グギッ
健夜「あーあ、結婚したいなー。このまま老後も一人なのかなー」
健夜「ねぇ、どうすればいいと思うこーこちゃん?」グギッ
恒子「……カメラ止めろ」
カメラマン「ウス」
音声「(アカン)」
以上となります。
ごめんねすこやん。
あと30スレ。
後は適当に埋まるかな……。
以降の小ネタは悪女スレの余りを使って書いて行こうと思います。
乙!
乙ー
骨董無形て荒唐無稽のミス?
おつやで
雑談でも埋まりそうだよなイッチのスレって
あと30スレ書いてくれるらしいから余裕やろ(棒)
あと30スレも新しくSS書いてくれるのか
毒婦ずっと待ってるからね
乙
別にこれで建ててもいいのよ?
おつおつ
チーム染谷は面白そうだな~
Jリーグ入りを目指すサッカーのチームみたいな感じになるのかな?
というか>>1は本当に弱い奴が頑張る系のネタが好きだなww
まこさんがぐう聖という風潮
ただの真理である
(恋愛方面に)弱いすこやんが頑張るネタはないんですか?
魅力的な話やから私も好きなんやけど、咲さんが報われねぇ。いや、悪女のほうで報われとるかもしれんけど。そしたら部長が・・・。
つくづく恋愛は壁を作ったり、自分の気持ちに正直にならんかったら負けなんやな
30スレクソワロタ
まこさんのいい話がすこやんに全部持ってかれてしまったグギッ
実際まこ個人のことを突っ込んだ話ってあんまりないんだよな
東風無敵の優希、悪待ちの上埜さん、デジタル神の和、嶺上魔王の咲さんに比べて能力も地味めだし
コンプレックスとかは感じたりしないのかな
まこのそういう話はいずれまこ愛の人が書いてくれると信じている
このスレは個人的には京太郎の葛藤というより加治木株爆上げスレになってしまった
社会人京太郎のお話凄く読みてぇ……お蔵入りはもったいないですぞー!!
微妙にレス余りしているので最後に投下。
いつぞやの部長パンツネタのシリアスバージョンとでもいいましょうか。
さくっと行きます。
>>971
やってまいましたな……
荒唐無稽で正しいです。
すみません。
>>973 >>974 >>980
ちゃうねん! レスの間違いやねん!
30スレとか無理すぎィ!
>>976
イメージ的には合ってます。むしろそれそのもの
漫画で言えば「ORANGE」とか「俺フィー」ですね。
弱いやつががんばるというより青春物語やスポ根が好きなんですよ。
前もちらっと書きましたけど、努力があって、敗北があって、恋愛があって、勝利があって、そんなの大好物です。
>>978
ワシには無理や……。
>>979
恋愛はままならんすな
>>982 >>983
まこさんはかなり好きだからエロ含めて色々ネタがあるんですが、まこさんネタは一人鬼才がいるから躊躇しちゃうのもある。
>>984
最初は安価スレ化しようとしてやろうと思ったんですがねー。
やはり舞台設定整えるだけでも結構時間かかっちゃうので。
いつかやってみたくはありますが。
すっかり冬本番となった12月。
俺は旧校舎の寒い廊下を部室に向かって一人歩いていた。
窓の外を見ると雪が降っている。
日本で有数の豪雪地帯である長野県にとっては珍しい光景ではないが、やはり雪は忌々しかった。
(これからまた雪かきが大変な時期か。めんどくさいなぁ)
今日は練習日でもないためさっさと帰ろうとしたのだが、部室に忘れ物をしたことに気付いた。
そんなわけで渋々と部室へ向かって歩いている。
天気予報によるとこれから雪はさらに振り続ける一方のようだし、さっさと回収してさっさと帰ろう。
そう思いながら部室の扉に手をかけた。
「あれ?」
そこで気づいた。
鍵は俺が預かっているのに鍵が開いている。
首をかしげながら俺は扉を開いた。
「あれ、竹井先輩?」
「あら、須賀君」
そこに居たのは竹井先輩だった。
部室の隅に置かれたストーブの前で体を小さくしていた。
「どうしたんですか?」
「暇だったからねー。部室でちょっとごろごろしてたら寝ちゃって……気づいたらこんな時間」
受験も推薦で決まり、ほぼ登校義務がなくなった三年生は気楽なものだ。羨ましい。
「須賀君はどうしたの?」
「俺はちょっと忘れ物を。おっ、あったあった」
部室の隅に置きっぱなしになっていた麻雀雑誌を回収する。
とりあえずこれで目的は完了した。
「これから雪は強くなるそうですよ。早く帰った方がいいっすよ」
「わかってるんだけどね。外寒いじゃない? 帰るのめんどくさいのよ」
まるで恋人のようにストーブの間近に座り込んでいる先輩を見ていると若干の可笑しさを感じる。
麻雀やっているときや、全校生徒の前で話しているときなどあんなに凛々しいのに一歩離れるとこんなものだ。
俺のクラスにも憧れている連中がいるというのに全くもってガッカリ女子だ。
「……須賀君、今すごく失礼なことを考えたでしょ?」
「いえいえ、そんなことありませんよ?」
そして妙に鋭いのにも困ったものだ。
最初はビシビシ指摘されて動揺していたがもう慣れたものだ。
最近はこうやって流せるようになってきた。
「怪しいわねぇ」
「俺は正直さと誠実さが売りです」
訝しげに見る竹井先輩に自分なりにキリッとした表情を見せるが、何故か先輩は噴出した。
うん、よっぽどこの人の方が失礼だ。
「嘘ばっかり。正直や誠実っていうのは私のような人のことを言うのよ」
「寝ぼけてるならコーヒーでも入れましょうか?」
「言うわね……」
「先輩の後輩ですから」
「なるほど、立派に育ってくれてうれしいわ」
「えぇ。俺も素晴らしい先輩が居てくれて幸せです」
ふふふと二人で笑いあう。
全くもって慣れたやり取りだ。
そうしていると、ふと思い出したことがあった。
先ほどの話の流れ、2人っきりのこの状況。
……チャンスだ。
「そういえば竹井先輩。以前加治木先輩と麻雀したときのこと覚えてますか?」
「忘れるわけないでしょ。あれは悪夢よ」
露骨に嫌そうな顔をして返事をする竹井先輩。
まぁ、ダブリースッタンなんぞに振り込めば誰でもそう感じるだろう。
ともかく、覚えていてくれたのは幸いだ。思わず悪い笑みが浮かぶ。
俺はカバンからシャープペンとルーズリーフを取り出して先輩に突きつける証文を書き始めた。
竹井先輩は首をかしげながら見ている。
そして書き上がったそれを差し出しながら続けた。
「あの日の結果ってこうなってたと思うんですけど、間違いないですよね?」
『対局結果』
店員 73000
久 -23000
京太郎 25000
ゆみ 25000
「え、えぇ。そうね」
竹井先輩の顔が歪む。
どうやらあの事を思い出したようだけど最後まで追い詰めさせてもらおう。
これは俺の正当な権利だ。
「店員さんがトップ。先輩がラス。俺と加治木さんは当然同点ですが……俺のほうが上家なんですよ」
ニヤリと、我ながら悪い笑みが浮かぶ。
先輩は思わずたじろいて何かを言おうとするが、させるものか。
今は攻めの一手だ。
「つまり、俺が2位で加治木さんが3位」
「……それで?」
平静を装っているが動揺が隠せていないですよ、先輩。
声が震えてます。
「先輩、あの時言いましたよね。『私と加治木さんより順位が上ならご褒美あげる』と」
「う、うぐ」
「あの時はあまりの衝撃に忘れてましたけど……まだその『ご褒美』もらってないですよねぇ」
「しっかり覚えてたのね……」
ぼそっと先輩が呟く。
忘れるわけがなかろう。
思春期少年の性欲なめんな。
「当り前です。さぁ! パンツ! パンツ!」
「ちょ、ちょっと。やめて!」
囃し立てる俺に先輩は何とかごまかそうとしているようだ。
「あれ? 先輩さっき言いましたよね? 正直と誠実は私のような人間のことを言うって」
「あ、う……」
「約束、破るんですか。酷いなー先輩。酷い人だーショックだなー。信じていたのになー」
白い目で見ながら当てつけのように責めてやる。
先輩も自分の発言がもとになって居るとあっては強く否定できないのだろうか。
「わ、わかったわよ。見せてあげるわ」
最後には不承不承、といった感じで折れた。
内心ガッツポーズをしたことは言うまでもない。
俺は椅子に座って先輩に向かい合った。
先輩は何やらモジモジと恥かしそうに手を擦り合わせつつも視線をあちこちに彷徨わせている。
「先輩?」
「だ、大丈夫よ。ちょっと、待ってなさい」
そういって先輩は大きく息を吸ってよし、と小さく気合を入れた後ゆっくりとスカートの裾を掴んだ。
優希とかと比べて、議会長らしく学校規定を守った長めのスカートは普段、先輩の足の大半を覆い隠している。
それが、今ゆっくりと俺の眼前に晒されていく。
黒いタイツに覆われていて、素肌が見えるわけではないのだがなぜか逆にいやらしく感じる。
普段はあまり見えない太腿が見えてくる。
ふっくらと膨らんだそれは、許しがあれば思わず頬を寄せたくなるほどの柔らかさを想像させられた。
指を這わせるとどうなるのだろうか。その白い肌が赤くなるほど強く撫ぜるとどうなるのか。
心臓が高鳴る。まだ肝心のものを見ていないというのにこの有様だ。
最初は余裕ぶって先輩をいじめてやろうと思ったのにそんな余裕はあっという間に消え失せた。
ストーブの燃える音だけが響いている静かな部室が、甘ったるい香でも焚いたような異様な空気になっている。
先輩は下着がギリギリ見えるラインでいったん手を止めた。
手が震えている。膝頭も震えている。
顔は普段は見られないような羞恥の表情を浮かべ、若干呼吸が荒かった。
その手は止まったままで、なかなか上に行かなかった。
ちらりとこちらを見てくる。
きっと期待しているんだろう。
――もういいですよ。
――ごめんなさい。調子に乗りました。
そんな言葉を。
俺も理屈では分かっている。
明らかに限界な先輩の様子を見ればそう言うべきだというのはわかる。
今ならまだ間に合うだろう。
謝ればまたいつも通り。
先輩はいつもの調子を取り戻し俺をからかってくるだろう。
しばらくはこのネタで弄られるだろう。
だが、全て元通り。
いつも通りの日常に戻れるだろう。
でも、その言葉は出なかった。
理由は明白だった。
最初はパンツが見たいっていう子供のような下心だった。
だが、今はそれだけじゃない。
普段は俺をからかう先輩が俺の目の前で羞恥の表情を浮かべている。
赤い顔。
揺れる体。
何か言いたげに震える唇。
何かを訴える瞳。
そして、その姿を見ているのが俺一人。
普段見られれない先輩を俺が独占している。
それらすべてが俺の今まで感じたことのない欲望を呼び覚ましていた。
もっと見ていたい。
その表情をもっと見たい。
その先へ。
「先輩」
先輩が期待を込めた目でこちらを見つめてくる。
俺は口元にわずかな笑みを浮かべてその期待を裏切った。
「手が止まってますよ?」
「わ、わかってるってば」
精一杯の強がりなのだろう。
明らかに限界な様子を見せながらも先輩は気丈に告げた。
だがその姿は俺の期待したもので、酷く満たされた気分だった。
ゆっくりと、残りわずかな部分をたくし上げていく。
視線を逸らし、ギュっと目をつぶり、手を震わせながらもゆっくりと。
思わず、生唾を飲み込んだ。
あと、少し。
もう少し。
「こ、これで、いいでしょ」
とうとう、黒いタイツのに隠れて、部長の薄い青のパンツが見えた。
わずかなレースで飾られたそれは俺の体温を熱くさせるのには十分だった。
頭が熱い。
ぐらぐらと、言いようのない感情が湧きあがってくる。
先輩は何度も手を下げて隠そうとするのを必死に耐えていた。
震えるほど強く瞑られた眼。
軽く唇を噛み、耐えるかのようなその表情。
あの、先輩が。
あの、部長が。
俺にこんなことをしている。
俺にこんな姿を見せている。
何時もの余裕はどこへやら。
その表情はひどく、ひどく魅力的だった。
がちり、と頭の中で何かのスイッチが入った。
もう、止まる要素は何もなかった。
「先輩」
もっと。
「な、なぁに? もう、いい?」
もっと。
「約束が違いますよ、先輩」
もっと、そんな姿が見たい。
「えっ?」
もっと、もっと綺麗な。
「タイツに隠れてパンツがよく見えません。だから」
綺麗な先輩が、見たい。
「タイツ、脱いでください。今すぐ」
おぉっと、ざんねん。
かききるには、れすのかずがたりないなー(棒読み)
なごりおしいですが、ここまでですねー(棒読み)
おいふざけるな(憤怒)
正に外道ww
はなしがちがう
悪女スレに続きを書くんですね?
解ってます
悪女スレで続きだね(ニッコリ
30スレ分待ってるよ(ニッコリ
>>1000なら悪女スレに続きを書く
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