天使「どうも~、幸せを届けに来ました」 (21)

~汚部屋~

男「ふぅ……」

男「大学生活、慣れたっちゃ慣れたけどなんかパッとしないんだよなぁ」

男「高校時代に怪我して駄目になった足も良くなって、友と一緒にまた陸上やれる様にはなった……」

男「けど、なんなんだろうな……なんか大事な事を忘れてる気がする」

男「………なんだろうなぁ、何を忘れてるか忘れてるなんて変な気分だ」

ピンポーン

男「ん?」

ピンポーンピンポーン

男「あっ、はーい!」スタスタ

男「……(郵便だよな?通販とかしてないし…)」ガチャ

男「ん?誰も居ないし。イタズラか?」

男「………なんだこの箱」

男「うっ、お、重いな…と、とりあえず部屋に運んで確認してみるか」

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男「よいしょっと」ドサ

男「いったい何が入ってんだ?つーか運んで良かったのか?」

男「まぁ考えててもしゃーないしな、宛先は……書いてないな」

男「ほ、本当に大丈夫なのかな」ガサガサ

男「…………」

天使「…すぅ……すぅ」

男「……」バタン

男「全然大丈夫じゃなかった………」

男「って、そうじゃないだろ…なんで人間が箱の中に入ってんだよ」

男「しかも中身が固定されてたし、ま、まさか誘拐か?」

男「ヤバいヤバい、早くもとの場所に直さな………いや、それもマズくないか?」

男「もし他の住人に見られたら間違いなくヤバいよな。下手したら警察に…」

男「勘弁してくれよ…」ガサガサ

天使「……zzZ」

男「……どうすりゃいいんだよ」

男「友に知らせ……ても意味ないよな。実家の母さんに連絡?いやいやそれも無いだろ」

男「妹に?それも無し」

男「………やっぱ警察に連絡した方がいいよな?ちゃんと説明したらなんとかなりそうだし」

男「そうするかな…」

天使「ん……んん」

男「!!」

天使「ふ、ふわあぁあ……ん~、よく寝たですよ」

男「……起きた」

天使「ふぇ?あっ、人間が私の試験のパートナーですか?」

男「は?」

天使「あっ、紹介が遅れました。私、天使ですよ」

男「………天使?」

天使「まだ中位天使なのです。けどもうすぐ大天使ですよ~」

男「ちゅ、中位…?大天使?」

天使「あ~、人間には難し過ぎるですか?
まぁそんな事はどうでも良いのですよ!」

男「あ、あの……急になんだけど、君、どうして箱の中に?」

天使「ふふん。では人間、私が何故ここに来たのか教えてやるからちゃんと聞いてるのですよ」

天使「私達天使にはランクが有るですよ」

男「は、はぁ…」

天使「私は現在中位天使、まぁ基本的な魔法位なら使えちゃうんですよ」

男「ま、魔法…」

天使「はい!姿を消したり、記憶の操作などですかね~」

男「き、記憶の操作って…」

天使「あっ!操作と言っても簡単な操作しか出来ないですよ。消したりとか」

男「……」

天使「おほん。では本題へ移りますよ?」

男「あ、ああ…」

天使「中位天使の私が大天使になる為の試練、それが人間界に行き、パートナーである人間を幸せにすること」

天使「つまり、私は人間に幸せを届けに来たのですよ!」

男「………」

天使「どうですか?人間は私に選ばれたラッキーボーイな訳ですよ!威張り散らしなさい」

男「……頭痛くなってきた」

天使「頭痛を治す魔法掛けてやるです!」

男「いや、大丈夫だから…」

天使「う~ん」キョロキョロ

男「ん?どうしたんだ」

天使「いや、きったない部屋だなぁと思ってですね」

男「まぁ一人暮らしだからなぁ、高校の時は実家で暮らしてたし掃除も母親がしてくれてたから」

天使「あ~、妹さん元気にしてるですか?」

男「………は?」

天使「えっ?」

男「いや、なんで妹が居るの知ってんだよ」

天使「あれれ?なんでですか?」

男「質問してんのはこっちだよ」

天使「………う~ん、なんででしょう」

天使「まぁそんな事は良いのですよ!」

男「良いのかよ…」

天使「さて、人間」

男「ん?」

天使「お腹が空きました。私に何かご馳走するですよ!」

男「………はい?」

どき魔女思い出した

慣れなきゃ、慣れなきゃ、慣れなきゃ、慣れなきゃ……。

期待

男「ご馳走って言われてもな、自炊してる訳じゃないし」

天使「自炊?なんですか自炊って」

男「えーっと、自分でご飯作ったり……かな?」

天使「………つまり、私は何も食べれないと」

男「あっ!アイスなら有るぞ」

天使「アイス?氷の魔法ですかね」

男「これこれ、ピノだけど」

天使「………この黒い汚物がアイスなんですか」

男「汚物って……まぁ要らないならいいけどよ」

天使「しょ~がないですねぇ。その汚物で良いですよ」

男「な、なんかイラっとするな…ほら」

天使「……」パク

男「どう?」

天使「………美味しいですね」

男「そっか、なら良かった……けど、俺も何か食べたいしコンビニにでも行くかな」

~外~

男「………おい」

天使「ん~?どうしたですか人間」

男「いや、その…」

男「なんで当たり前の様に浮いてるんだ?」

天使「まぁ天使ですからね。翼を広げるのは疲れるしブサイクなので嫌なんですよ」

男「いやいやいや、100歩譲って浮翌遊するのは良いんだけど!周りに見られたらどうすんだよ」

天使「あぁ、それなら…」スウゥ

男「!?」

0天使「どうです?見えない様に消えました」

男「す、すげぇ……け、けど俺にも見えなくなるのかよ」

0天使「まぁ存在を消すんですから当たり前ですかねぇ~。さっ、早くその‘‘コンビニ”と言う場所に私を案内してくださ~い」

男「姿見えないのに声は聞こえるのがまたなんともいえないな…」

0天使「もう、注文が多いですねぇ…」

0天使『ほら、人間の脳に直接語り掛けてあげますよ~』

男「ひぎぃい!?!あ、頭が割れるぐぅう!」

0天使『まぁ最初の内は脳が負荷に耐えられなくて痛みが生じますが、要は慣れ、ですよ人間』

男「おごぐぅうぎぃいぃい!!」

0天使「あははは、人間って面白いですねぇ」

男「ご、ごいづ…殺してやろうか」

~コンビニ~

店員「イラッシャセー」

男「……何食おうかなっと」ガサガサ

天使「なんか家畜達が箱詰めにされてますねぇ」

男「家畜達って……それに箱詰めとか変な言い方やめろよ」

天使「あれれ?私間違ってますか?」

男「う………ど、どうなんだろ」ガサガサ

天使「?なんですかその茶色くてべちゃべちゃな物は」

男「変な言い方すんなっての、カレーだよカレー」

天使「カレー……美味しいんですか?」

男「俺は好きだよ。で?お前は何にするんだよ」

天使「う~~~ん………人間が決めて下さい」

男「は、はぁ?」

天使「私、下界に降りてくるのは初めてで下界の食べ物は詳しく無いんですよ…」

男「そ、そっか……ならお前もカレーにするかな」ガサガサ

天使「こんなゲロみたいな物を食べるんですかぁ?」

男「だから変な言い方すんなっての」

~汚部屋~

男「さてと、もう夜の8時かよ…早いとこ食べよっと」

天使「??どうしたですか人間、食べるなら早く

男「温めないと美味しくないの。コンビニでも温めて貰わなかったのは中途半端に冷えるのが嫌だったからだよ」

天使「温める位なら私に任せるが良いですよ!」

男「……なんかすっげぇ不安なんだけど」

天使「えへん!私は人間を幸せにしに来たんですよ?まっかせてください!」

天使「ルーメタア!」ポワ

男「………??」

天使「ふふん。さぁ人間、温まってますから食べなさい」

男「……うお、本当に温まってる」

天使「当たり前ですよ!なんせ私は中位天使ですからねぇ~、ほら人間、もっと私を褒めるが良いです」

男「はいはい、ありがとな」

天使「それで終わりですかぁ?なんか頑張り損ですよぉ」

男「あはは、俺を幸せにしたかったんだろ?ありがと」パク

天使「まぁ人間がそう言う

男「がぎゅぅがぁああぁぁあっぢぃいいぃい!!!」

天使「え?温めるって72℃位の事ですよね?」

男「おげぇあがあぁぁあ!し、舌がぁああ!!」

~35分後~

男「あー、死ぬかと思った」

天使「下界の食べ物って見た目は気持ち悪い物ばかりですが味は良いんですねぇ」

男「……よし、食休み完了っと」

天使「んへ?どこか行くんですか?」

男「ん?あぁ。食後のランニングかな」

天使「ランニング?今から走りに行くんですか?」

男「おう。まぁ毎日の日課だからさ」ヌギヌギ

天使「って、急に脱ぐなですよ変態!」

男「じゃあ向こう向いてろよ」

天使「……いや、見ます」

男「えっ…」

天使「人間が着替え終わるまでずーっと見てるです」

男「………ごめん、恥ずかしいからやめて」

天使「……ふっ」

男「!!」

天使「この勝負、私の勝ちですね


男「………くっ」

メ欄にsagaで浮翌遊→浮翌翌翌遊とかを回避できるよん

自分でいれてなかった
浮遊→浮翌遊

期待

~外~

男「……」タッタッタ

天使「しっかしよく走りますねぇ、もう30分位は走りっぱなしなんじゃないですか?」

男「ん?あぁ、だな」タッタッタ

天使「人間って不便ですよねぇ、私みたいに浮翌遊出来ない分、身体に負担を掛けて寿命減らして、それで

男「なぁ」

天使「ん?どうしたですか人間」

男「いや、ちょっと気になった事があってさ」

天使「はいはい。私に答えられる範囲ならどうぞどうぞ」

男「俺を幸せにしに来たって言ってたけどさ、具体的にどんなことするんだ?」

天使「へ?」

男「いや、幸せって事は何かしらしてくれるんだよな?それを知りたいなって思ってよ」

天使「う~ん…………」

天使「わかんないですね」

男「おいおい、んな適当でいいのかよ」

天使「いいんですよ~。とりあえず人間を幸せにすれば良いんですからねぇ」

男「……あ~、だったら早速お願いしていいかな」

天使「おっ!どんとこいです」

男「どうせならさ、俺と一緒に走ってくれないかな」

天使「えっ……は、走るんですか…?」

男「あぁ、一人で走ってても難儀だし、どうせならさ」

天使「ゔ~ん、私走るの好きじゃないんですけど…」

男「………一緒に走ってくれたら幸せになるかもしれない」

天使「!!」

男「どう?走らないか」

天使「ふふん!私の使命は人間を幸せにすることですよ?当たり前じゃないですか!」

男「へへっ、ありがとな」

天使「いえいえ~、人間が幸せになってくれるならお安い御用です」

男「……けどさ、お前、裸足だよな」

天使「心配ご無用!私には身体全体を外気から守るオーラ的な物を纏ってますから平気なんです!だから汚れる心配は無いんですよ~」

男「オーラ的なって……なんか曖昧なんだな」

天使「ほら人間!早く行くですよー!」タッタッタ

男「あっ、おい、待ってくれよ」タッタッタ

~5分後~

天使「はぁっ、はぁ……ごほ!げほげほ!!げーっほ!」

男「………大丈夫か?」

天使「ぜぇっぜぇ…はぁっ……ごほ!がほげぇえっほ!!」

男「いや、まぁなんだ……女の子にしちゃ上出来…なのかや」

天使「し、死ぬ……喉が…」

男「あ~、ジュース買ってきてやるよ。何がいい?」

天使「はぁはぁ……ごっほ!ごほげほ!」

男「つってもジュースとかわかんないよなぁ……水でいいだろ」

天使「に、人間……」

男「ん~?どうした」

天使「わ、わらっ…わらひから質問でふ…」

男「と、とりあえず水飲んでからにしろ……ほら」

天使「あ、ありがとです…」ゴクゴク

天使「はぁ………で、人間」

男「はいはい、なんですか天使さん」

天使「どうして人間はこんな辛い事をしてるんですか?全然幸せとは無縁な行為なのに」

男「え~っとな、それはだな……」

男「俺さ、ちょっと前まで足壊してたんだよ」

天使「ふむふむ」

男「高校時代、陸上部入ってたんだけどよ。そのせいで部活辞めて暇してたんだ」

天使「うんうん、それでそれで?」

男「足が治って、いざ大学で陸上やったらたまげたよ」

男「ちょっと舐めてた…1年のブランクって恐いなって思い知らされた」

男「友の奴はさ、俺と同じ1年なのにメンバーに入ってるんだぜ?」

天使「メンバー?あぁ、走るグループのですね」

男「俺はと言うと、ただのモブだよ。頑張ってんだけど中々結果に現れなくて、凄い悔しくて…」

男「絶対追いついてやるんだって思ってる。だから毎日走って、あぁ、成長してるなって実感したい」

男「……と、俺が毎日走ってる理由ってこんなもんかなぁ」

天使「ほ~。つまり人間はいつかはそのメンバーの中に入る為に頑張ってると言う事ですね?」

男「まぁそんなとこかな………それに」

天使「それに?」

男「……貰ったんだ。こうして、チャンスを」

天使「???誰にですか?」

男「思い出せない。けど、俺は誰かに希望を貰った。大切な人の筈なのに思い出せないんだ…」

天使「只のボケなんじゃないんですか?」

男「あははは、かもな」

男「ってと、家に帰って風呂入りますかね。さっ、帰るぞ」

天使「は~い」

男「……走らないのか?」

天使「もう走るのは嫌です!」

~自宅~

男「ってと、風呂に入るんだが……」

天使「ん?どうしたですか?」

男「いや、お前は風呂とか入るのか?そもそもそっちの世界にそんな文化あるのか?」

天使「失礼な!それ位有るですよ!そもそも私達天界に住まう者達によって雨が下界に降り注ぐんですよ!」

男「あーはいはいすみませんでしたよっと」

天使「なんですかー!そのどうでも良いぜ的な反応はー!」

男「………で?お前、今日どうすんだよ」

天使「へ?お風呂ですか?」

男「あぁ、て言うか着替えは?」

天使「着替え?そんなもの持ってきてないですよ?」

男「………どうすんだよ」

天使「いや、人間のを借りようかと思ってるです」

男「お、俺の?!」

天使「あっ、今いやらしい事想像しましたね?くしし、人間もまだまだ子供ですね~」

男「いやいやいや、俺のって、サイズ合わないだろ絶対」

天使「それは大丈夫ですよ~。私の魔法で無理矢理サイズ変更しますから」

男「………それ、元に戻せるんだろうな」

天使「はぁ?そんな都合の良い魔法なんてあるわけないじゃないですか人間」

男「か、貸さないぞ」

天使「借りますよ~」ガサガサ

男「あっ、おい!やめ

天使「そりゃ」ポン

男「………マジでサイズ変わったんだけど」

天使「じゃあ入るですよ~」

男「お、おう。シャワーの使い方とか分かるよな?」

天使「………あの、人間?」

男「ん?どうしたよ、まさか分からないのか?」

天使「そうじゃなくて、なにぼさっと立ってるですか?」

男「え?いや、お前今から入るんだろ?」

天使「そうですけど」

男「………」

天使「………?」

天使「一緒に入らないんですか?」

男「か、勘弁してくれよ…」

天使「ええぇえぇぇえ!!?何故ですか?!そこ拒否るんですか?!」

天使「お師匠様から教わりましたよ?人間は異性と一緒にお風呂に入ると幸せになるって」

男「少なくとも俺はならないから……ほら、入ってこいよ」

天使「恥ずかしいんですか?」

男「いや、そうじゃなくて俺は

天使「安心してください!私がここに来る前に人間の情報は叩き込んできましたから!」

男「………はい?」

天使「人間の身長体重、足や顔の大きさ、むふふ、あそこの大きさなどなどですよ~」

男「!!?!」

天使「だーかーらー、何も恥ずかしがる事ないんですよ!ささっ、お背中流させて貰いますよ~」グイ

男「おうわっ!?や、やめろ!一人で入れるなら一人で入れよ!」

天使「はいはい、行きますよ~」ズルズル

男「ふ、服伸びるからひっぱんなー!」

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