P「残像だ」 (17)
P「窓には青空、事務所の中には日の光」
P「春香が机に雑誌を広げている」
P「千早はその向かいでしげしげと覗き込んでいる」
P「美希はと言えば、千早の肩にもたれかかって熟睡中」
P「響は狭い事務所の中を騒がしく駆け回っている」
P「貴音と雪歩は給湯室で侘び寂びに浸っていて」
P「音無さんは吉永さんの応対をしている」
P「あずささんと律子はお互いに衣装のチェック中」
P「そんな残像が見えた」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368034530
P「雨粒と風が窓を叩く」
P「ボサボサになった髪で玄関をくぐる伊織」
P「裏返った傘を楽しそうに振り回す亜美」
P「そんな二人をやよいがふかふかタオルで出迎えて」
P「真美はゲームに夢中になっている」
P「雨合羽を羽織って出掛けようとする真」
P「酷い雨だから、と止める社長」
P「給湯室でヤカンが鳴っている」
P「美希はずっとソファでおにぎりを頬張り」
P「春香とやよいのオセロ対決はまた春香の辛勝」
P「律子と音無さんが予算表を片手に何か話している」
P「そんな残像が見えた」
P「西日が差し込む、オレンジ色の……」
P「千早の歌声で貴音が目を覚ます」
P「亜美はさっきから知恵の輪に念力を送ってばかり」
P「やよいの勉強を見る美希は少しお姉さんっぽくて」
P「伊織が出て行くと同時に、伊織の台本を持って追いかける雪歩」
P「書類整理を手伝う響の頭の上でハム蔵が踊っている」
P「歌詞を覚える真の隣でプリンをつまむあずささん」
P「真美は知恵の輪を外したまま戻せなくて悪戦苦闘している」
P「そんな残像が見えた」
P「蛍光灯が眩しい」
P「眼鏡と帽子を装備した春香が鏡と睨めっこしている」
P「その隣で春香が千早にクッキーを勧めている」
P「雪歩は嬉しそうに一つ食べて、お茶を淹れに給湯室へと」
P「知恵の輪を外そうと躍起になる真美が騒々しい」
P「反対側ではやっと外れた、と嬉しそうな顔で知恵の輪を持つ雪歩」
P「やよいがオセロを持ち出して伊織に勝負を持ちかけている」
P「美希が寝ている隙に、社長はおにぎりを一つくすねようと手を延ばしていて」
P「音無さんは電話の対応に追われている」
P「そんな残像が見えた」
P「空が徐々に白んで行く」
P「コートを羽織って朝食を買いに出て行く律子」
P「美味しそうにマカダミアンナッツを齧る響と高値」
P「音無さんが朝の早い内から事務所に入ってくる」
P「ソファにはステージ衣装のまま毛布に包まった律子と千早がいて」
P「美希が眠そうに目をこすりながら今日のスケジュールを聞いてくる」
P「貴音はハワイでの収録で買った土産を響に渡す」
P「社長が手品で予算表を隠し律子に怒鳴られていて」
P「手袋とマフラー、耳当てで護られた響が事務所に入って来る」
P「そんな残像が見えた」
P「月明かりが差し込む」
P「みんな揃って伊織の入社歓迎パーティーの飾り付けをしている最中で」
P「食べ散らかしたケーキやピザの残骸を手早くゴミ袋に突っ込む律子がいて」
P「歓迎されて満面の笑みを浮かべる美希がいて」
P「デスクでは今後の計画書が山と積まれている」
P「クーラーも効かない中で項垂れる真美に水鉄砲を向ける真美」
P「道端で拾ったというイチョウの葉っぱを髪に差したやよい」
P「竜宮小町の発表に驚く三人がいて」
P「雪歩は作詞の難しさに頭を抱えている」
P「そんな残像が見えた」
P「曇り空と稲光が窓の向こうから押し寄せる」
P「社長が事務所の中を掃除している」
P「初めてのハワイロケに不安と期待の入り混じる貴音」
P「鬼の面を被った音無さん、落花生を投げまくる亜美」
P「貴音の肩を抱いて勇気付けるやよい」
P「ガスガンを持ち出す真美とモデルガンのような物を振り回す雪歩」
P「響と伊織は台本の読み合わせに忙しそうにしていて」
P「吉沢さんが社長と将棋を差している」
P「そんな残像が見えた」
P「ガラス越しに入道雲が空へ広がる」
P「千早と紅茶を飲むあずささん」
P「桜の花びらを頭に乗せた真と雪歩が事務所に入って来て」
P「あずささんがまた迷子になったと連絡を受けて飛び出す律子」
P「春香は初出社から玄関で転んで」
P「貴音は一人でピザを次々に平らげている」
P「白い息を吐きながらストーブを点ける社長」
P「初めてのスーツに照れ臭そうにする律子がいて」
P「それぞれお互いにチョコを渡しあっている」
P「そんな残像が見えた」
P「窓枠にも雪が積もり、蚊がそこら中を飛び回っている」
P「美希はダンスの振り付けを真に確認してもらっていて」
P「美希は一つ一つのおにぎりに丁寧に海苔を貼り付けていて」
P「亜美がカップ麺を啜ろうとする最中」
P「伊織と真は顔を突き合わせて言い争っている」
P「ヤカンの音に気付いたあずささんが給湯室に向かって」
P「どんぐりのネックレスを着けたやよいが事務所に入って来る」
P「嬉しそうにケーキを食べる響」
P「小言を言いながらも満更でもなさそうに赤くなる伊織」
P「自分でクラッカーを鳴らしておきながら気絶する雪歩」
P「そんな残像が見えた」
P「満月、灰色の空、飛行機雲、一番星、烏の群れ」
P「CDショップの袋を持った制服姿の千早」
P「春香はまた転んでいる」
P「髪を切ったあずささんは新鮮で」
P「貴音はアロハシャツを持って鏡に向かっている」
P「真美は雪歩のラーメンから焼豚を抜き取ろうとしている」
P「伊織は風で乱れた髪を整えるのに忙しくて」
P「カボチャを被った音無さんがやよいに呪文を唱えている」
P「美希は千早の歌にハモって練習の邪魔をして」
P「響と貴音が社長に漫才を披露している」
P「そんな残像が見えた」
P「本当は埃だらけの床」
P「本当は破れたソファ」
P「本当は割れた窓ガラス」
P「倒れた椅子、壊れた机、点かない電灯、開かない扉!」
P「……本当は、誰もいない事務所」
P「あれもこれもみんな残像だ」
P「懐かしいなぁ」
P「……」
P「765プロのプロデューサーをしていて、毎日忙しく働いている」
P「そんな残像?」
P「……」
P「ああ、残像だ。かつての思い出だ」
P「春香、おはよ……って危ないな。また何かに躓いたのか?」
P「おはようございますあずささん、事務所までの道のりはもう覚えたみたいですね」
P「千早、挨拶は元気よく。 ほら、おはよう!」
P「雪歩ー、事務所に入って来ないと会話出来ないだろー? 頑張れ頑張れ、あとちょっとだ」
P「律子、そんなに睨むなよ……ちゃんと今日残業して取り返すから」
P「伊織……100%オレンジジュースなんてそうそう売ってないんだぞ?」
P「亜美、いきなり抱きつくなってば! いや、嫌とかじゃなくてな?」
P「真、今日も元気だな。これなら今日のオーディションはバッチリだな!」
P「やよい、ベロチョロの紐新しくしたのか? かわいいなぁ」
P「……貴音、朝から二十郎はやめろとあれ程言っただろう」
P「ははーん、この声は真美だな? おう、間違えるもんか」
P「おはようございます、社長。へえ、これが今の流行……難しいですね、社長ならどう攻めますか?」
P「響ー! いぬ美を退けてくれー!潰れるー!」
P「美希、おはよう。また思い切ったなー、イメチェンか?」
P「音無さん、おはようございます。え、今夜ですか? ええ、大丈夫ですよ!」
P「……」
P「なんて、な。ははは」
春香「ここにいたんですか、社長! こんな懐かしい場所で黄昏ちゃって、一体どうしたんです?」
P「いや、ちょっとな」
春香「ちょっとって、もう……帰りますよ、プロデューサーさん」
P「天海君。呼び方、戻ってる戻ってる」
春香「あ、す、すみません社長」
P「いやいいよ、きっとアレのせいだ」
春香「アレ?」
P「そう、愛しい思い出の」
春香「思い出の……」
P「残像だ」
終わり
乙
>P「クーラーも効かない中で項垂れる真美に水鉄砲を向ける真美」
残像やな…
乙乙
>>4
>P「眼鏡と帽子を装備した春香が鏡と睨めっこしている」
>
>P「その隣で春香が千早にクッキーを勧めている」
これも間違いなく残像
いろんな季節の時間軸を同時に思い出してるのかな?
真美が二人いんのはアレ、まだ区別が付いてないころを思い出してんだろ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません