荒木比奈「フツウの雪の日」 (36)
P「…」
P「珍しいな。事務所の外で会うなんて」
比奈「?」
http://i.imgur.com/fvDlI4H.jpg
比奈「あっプロデューサー。奇遇でスねー」
P「うん」
P「なにしてんだ?」
比奈「雪で寒くて動けないのでぼーっとしてました」エヘヘ
P「死ぬぞ」
・シリーズ
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ガサ
P「コーヒー飲め」パコ
比奈「どもっス。あったかいっス」こくこく
P「肉まん。食べられるなら食べろ。暖まるぞ」カサ
比奈「ほかほかっス。沁みるっス」ぱくぱく
P「マフラーしとけ。薄着すぎだ」
比奈「もふもふっス。えへへ」もふもふ
比奈「なんだかいたれりつくせりでス」ニヘラ
P(だってほっといたら死にそうなんだもの…)
比奈「…」エヘヘー
P(……、まあ、いいけど)
P「いやよくねえよ」ハッ
比奈「??」モコモコ
比奈「あ、すいません。コーヒーごちそうさまでス。プロデューサーもどぞーっス」
P「おう。ありがとう」
比奈「いえいえーこちらこそっスよー」
比奈「…えへへ。でもなんだか、同じ缶コーヒーを一緒に飲むのって…こう、いいっスよね。青春って感じでス。えへ」ニヘラ
P「…」…ズズ
P「そうだな」
比奈「はい」ニコ
P「…おう」
比奈「はいー」ニヘニヘ
P「……」…ズズ…
P(しまった雰囲気に流されかけている)ハッ
比奈「??」
P(ちゃんと気をつけろよって言わなければ)
比奈「…」ニヘ
比奈「…えへへ…やっぱり私、アイドルになってよかったなーって」
P「?」
比奈「思いまス。えへ。プロデューサーに会えて、前よりずーっと可愛くしてもらえたし、」
比奈「こんな風に青春だなーって感じもできて楽しいし」
P「…アイドルになる前は、青春って感じはなかったのか?」
比奈「はい。まあ趣味は精一杯楽しんでましたけど」
比奈「…その、フツウの青春とか、フツウに女の子らしいことって、…あんまし…私にとっては」
比奈「やっぱり手の届かない…遠いところから眺めるものって感じで」
P「…うん」
比奈「はい」
比奈「あ、というかむしろそれをアレコレして楽しむ側だったというかでスね!」
P「その言い方だと、きわめて悪趣味だな」
比奈「てへ」
比奈「えと…だから」
比奈「ありがとうございまス。プロデューサー」
比奈「私いますっごく楽しくて、幸せでス」ニヘラ
P「…そっか」
比奈「そうでス!」フンス
P「そっか」クス
P「…」
P「なんというか、照れるな」
比奈「…て、照れないで欲しいっス。プロデューサーが照れると、わ、私までなんだかはずかしいっスよ」
P「でも恥ずかしい台詞を言ったのは比奈の方だし」
比奈「恥ずかしい台詞!?それはひどくないっスか!」
P「いやでもわりとクサいというか」
比奈「わ、わー。わーわー」
P(可愛い)
比奈「あうぁ…ぷしゅー…」プスン…
P(停止した)ケムリガ…
比奈「…あうー…うあー…」ポフポフ
比奈「どーせ……どーせ私は根っからオタクなので…よく分かんないんでスよ……その、気持ちの伝え方とか」
P「そうか?」
P「比奈はけっこう上手だと思うけど」
比奈「…そうでス?」
P「うん。いつもわりとはっきり言ってくれるから助かる」
比奈「……」
比奈「え、えへへ。それならいいんでスけど…」エヘー
P「うん」
比奈「は、はい」エヘヘ
比奈「…?も、もしかしてそれが台詞がなんだかはずかしくなる原因なんじゃ…」ハッ
P(気づいた)
P「…気のせいだ」
比奈「??あ、はい。で、でスよね。はい」コクコク
P(ごまかせた)ヨシ
比奈「…はふ」
比奈「……でもやっぱ原因は私にあるんじゃなくて…それこそはっきりしてるような」
P「ん?」
比奈「…な、なんでもないっス!え、えい」ぽい
P「いて。つめた」
比奈「ふふ。せっかくあるので投げてみました。て、てれかくしに」
P「子どもか。というか照れ隠しって言っちゃうと意味がないんじゃ」
比奈「えいえい」
P「ちょ、やめ、つめた」
比奈「あははは」
ぽすん
P「?」
比奈「…」
比奈「…雪のせいかもっスね。寒いし。…なんとなくいろいろ考えちゃうし、つい口にしちゃったり」
P「…そうかもな」
比奈「はい」
比奈「あ、それにほら」
比奈「プロデューサーにここで会えたのも雪のせいでスもんね!」
P「その通りだが、ほめられたことではないからな」ペチ
比奈「あう」
P「今度外出するときはちゃんと暖かい格好するんだぞ」
比奈「了解でスー」ニヘー
P(いい返事だ…心配だ)
P(…あ、でも結局ちゃんと注意できた…から、まあいいか)
比奈「♪」エヘヘー
P(…うん。まあ、いいか)ナデナデ
・
・
・
P「よく降るなー」
比奈「そうでスねー」
P「俺は事務所に戻るけど、比奈はどうする?」
比奈「あ、じゃあ私も…」
比奈「今日はもう暇でスし。みんなもいるなら、事務所でちょっとのんびりして行こうかな」
P「うん。じゃあ行くか」
比奈「はいっス」
さくさく
比奈「ふふ…こんなふうに、雪の日に一緒に歩くのも、なんだかいいっスよね」
P「青春ぽいか」
比奈「青春ぽいス」コクコク
P「まあ比奈はジャージだけどな」
比奈「学校帰りというシチュはいかにもでスから」コクン
P「シチュとかいうな」
P「それにまあ」
P「俺はスーツだけど」
比奈「…あっ」
P「違う。妙なシチュエーションを察するな」
比奈「い、いかにもでスよね!な、なにがどうとは言わないでスけど!」
P「お、おう」
比奈「…」ポフポフ…
比奈「…」
比奈「あと、ほら」
P「?」
比奈「…」
比奈「手袋を忘れちゃったから手を繋ぐのもベタなシチュでスよね」
P「…」
P「そうだな」
比奈「ス」
・
・
・
さくさく
仁奈「?」
http://i.imgur.com/g0JNWeF.jpg
仁奈「あっPに比奈おねーさんですよ!」
P「?お、仁奈か。よう」
仁奈「よーです」ニパー
比奈「ふふ。おはようございまス」
仁奈「おはよーです!」モフニパ
仁奈「おや」
仁奈「お二人は手をつないでごぜーますね。仲良しです」
P「うん。比奈が手袋を忘れちゃってな」
比奈「う、うス。でス」コクコク
仁奈「なるほどです。てさきあしさきのひえは全身のひえにつながっちまいますからね。気をつけねーとです」モフモフ
P(説得力ある)
比奈(でスね)クス
ぽん
仁奈「もぷ」
P「仁奈はえらいな。ちゃんとてぶくろもしてるし」なでなで
仁奈「えへへー。仁奈えらいですかー」ニヘー
P「うん」ナデナデ
比奈(仲良しでスね)フフ
仁奈「そうだ」モフピーン
仁奈「比奈おねーさん。はいっ」ぱっ
比奈「?」
仁奈「Pとだと片手しかつなげねーですよね。もうかたほーは仁奈がつなぐです。仁奈の手はてぶくろもあるのでぬくもこですよ!」ニパ
比奈「…あ…」
比奈「ふふ。ありがとーっス、仁奈ちゃん」ナデモフ
仁奈「いえいえです!」モフニヘー
P(仲良しだな)ウン
ギュ
仁奈「えへへー。みんなで手をつなぐんだー♪」
比奈「はーい」
P「はーい」
仁奈「はいっ」
仁奈「えへへっ仲良しです!」
比奈「でスねー」
P「うん」
仁奈「はい!」エヘヘー
さくさく
P「仁奈はどうしたんだ?」
仁奈「レッスンまで時間がありやがりましたので、おかしを買いに行ってました」ガサ
P「なるほど」
仁奈「け、けしてゆきが積もってるのでお外に出たかったわけではねーですよっ」
P「落ち着け。なにも言ってない」
仁奈「はうあっ」
比奈(面白可愛いっスね)クスクス
仁奈「とうっ」
ざく
仁奈「えへへ。仁奈はおうちの周りでは雪はあまり見たことがなかったのでー……正直楽しいです」
P「そっか」
仁奈「はい」
仁奈「仁奈はPと、はじめて雪のある冬をすごしたのでごぜーます」
P「……」
P「そっか」
仁奈「はいっ」ニパ
比奈(うっかりときめいた?)
P(うっかりときめいた)ウン
仁奈「??」
なでもふ
P「以後気をつけます」
比奈「いえいえ」
仁奈「??なにかあったです?」ナデラレ
比奈「なにもないっスよー。でも仁奈ちゃんは気をつけるっスよー」ナデナデ
仁奈「??は、はい。分かりやがりました」コク
P「…はは」ハァ…
仁奈「ふふ。でもたいてーのことは安心でごぜーます」
仁奈「仁奈にはPも比奈おねーさんもいますので!」モフンス
P「そっか」
仁奈「はい!」
比奈(なるほどそう来るっスか…)
比奈「…楓さんと柚はたよりにならないっスか?」
仁奈「ならねーです」コク
P「手厳しいな」
比奈「あははっ。あとで二人に言っちゃおうっと」
仁奈「!?そ、そんなせっしょうでごぜーます!い、いやあの、二人のことはにくからず思ってやがると言いますか……」モフワタ
P「憎からずって使い方がおかしくないか?」
仁奈「お、おかしくねーもん!」グワッ
P「お、おう」
比奈「あははは」
比奈「よしよし。冗談っスよー」ナデナデ
比奈「…けどそれなら仁奈ちゃんは、プロデューサーのことはどう思ってまスか?」
P「?…」
仁奈「??どう…」・・ぐるぐる
仁奈「…え、えとえと…に、にくからずでごぜーます」
比奈「好きでスか?」
仁奈「もちろんです!きらいなはずがねーですよ!」ニパー
P(笑顔がまぶしい)
比奈(浄化されそうでスよね)
P(それはお前が汚れてるからだ)
比奈(ひどいっス。まあ自覚はありまスけど)
仁奈「??」にぱにぱ
なでなで・・
仁奈「?もぷ…」
比奈「…」ニコ
比奈「その気持ちは大切にするっス」
比奈「でも、どうしてそんな風に思うのかなって。もしかすると仁奈ちゃんが自分で思うのとは少し違うかもしれないっス」
比奈「だからきっと、いつか、それを大切にするだけじゃなくて、どうしてかなーって考えるっスよ」
P「…」
仁奈「……??む、むずかしくてよくわかんねーですが…わ、分かりやがりました」コクコク
P「分からないんじゃないかったのか?」
仁奈「わ、わかったですよ!もー。Pはもーですよ!もー」
P「仁奈はもう少し国語の勉強をした方がいいな」
比奈「いやむしろ十分でスよ。口調的に。それより芸術方面をでスね」
仁奈(仁奈が二人にそだてられよーとされてるです…)
仁奈(…それは)
仁奈「たのしそーですね」ニヘラ
P「?」
仁奈「えへへっなんでもねーです!」くるんっ
仁奈「比奈おねーさん!分かりやがりました。仁奈ちゃんとおぼえとくですよ!」
比奈「はいっス」
仁奈「はいっ」
仁奈「もう事務所に着くですね。仁奈は先に行ってるですよー」モフモフ
P「雪に気をつけろよー」
仁奈「りょーかいですっ」モフシャキーン
たたた・・
比奈「…」
ギュ
P「?」
比奈「…」
比奈「ふふ。仁奈ちゃんいい子でスね」
P「そうだな」
比奈「はい」
P「…」
P「まあ、それは比奈もな」
比奈「?」
P「さっきの話。まあ…ちゃんと伝わったかは、微妙だけど」
P「たぶんいつか仁奈も気づくと思うよ。だから、さっきの比奈はすごくいいお姉さんだった」
比奈「……」
比奈「え、えへへ。そんな風にほめられると照れまスけど…」
P「うん」
比奈「は、はい」
比奈「…あとプロデューサーにそう言われるのはちょっと釈然としないでス」
P「すいません仰る通りです」
比奈「ホントでスよ」クス
比奈「…」
比奈「それに」
P「?」
比奈「結局ただの自己満足でスから」
比奈「仁奈ちゃんはまだ小さいからって、そんな理由で、ズルしたくないだけっス」
P「……そっか」
比奈「はい」
比奈「だからプロデューサーも。ズルい男は嫌われるっスよ?」ニッコリ
P「…気をつけます」
比奈「はい」ニコニコ
P(胃が痛い)
P「…」ハハ…
P「…比奈は変わったよな」
比奈「え?」
P「…なんというか、自信なさそうにしてたころが、嘘みたいだ」
比奈「…そうっスかねー…」ペタペタ
比奈「…ふふ。まああれっスね」
P「?」
比奈「…」ニコ
比奈「恋は人を強くするってやつでス。好きな人ができると女の子には魔法がかかるんでスよ。ふふ」
P「…そっか」
比奈「はい」…ニコ
P「…」
比奈「?どうしたっスか」
P「胃が痛い」
比奈「……かっこわる…」
P「すいません…」
比奈「ふふ。いえいえ」クスクス
比奈「まあプロデューサーはそういう人でスし」フフ
P「…うん。すまん」
比奈「はい。いえいえ」
比奈「えへへ。まあとりあえず、これからもよろしくっスよ。ね?」ニヘラ
P「…おう」
比奈「はい」ニヘー
P「…」
P「なんでこんな話になったんだっけ」
比奈「雪が降ってたからでスよ」
P「ああ。そっか」
比奈「はい。そうでス」
・・・・おしまい
おわりん
前回終わり近いー?といわれましたがスイマセンまだ続きます
とりあえずは期間的にも話数的にもキリのいいところをのんびり目指してます
乙
各々Pへの明確なアプローチかけてきてるから終わり近付いてるように見えるのかも
まったりとしたフツウを楽しみにしてます
このシリーズずっと続いてほしい
乙
普通なような、普通じゃないような……いいですねえ
とにもかくにも乙です
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