先輩「期間限定の彼女」 (14)

~動物園の帰り道~

後輩「楽しかった!」

先輩「ペンギン可愛いかったね」ニコニコ

後輩「でも、先輩のペンギンの真似は似てませんでしたね」ニヤニヤ

先輩「えー、そうかなぁ?」



後輩「そうだ。先輩、好きな人できました?」

先輩「え……、ううん、まだ」

後輩「じゃあ、まだ続けられますね」

先輩「う、うん……」

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先輩「ねぇ、後輩?」

後輩「何ですか?」

先輩「私のこと好き?」

後輩「好きですよ」

後輩「あ、でも、先輩に好きな人できたら、ちゃんと終わりにします」

先輩「そっかぁ……」



先輩(私に好きな人ができたら、この関係は終わり)

先輩(私たちは、期間限定の恋人です)

先輩(初めは決して、後輩が好きだったわけではありませんでした)

先輩(きっかけは、1か月前。春休みのことです)


~1か月前~


先輩「後輩ー、甘いもの食べたーい」

後輩「あーもう、うるさいですね! どこかお店に入りますか」

先輩「うん」ニコニコ

後輩「もう、まったく先輩は……」



先輩(その日は私の卒業祝いだとか受験お疲れ様会だとかで、後輩と久しぶりに遊んでいました)

先輩(後輩はずっと、受験終わったら遊ぼうって言ってたから、仕方なく。遊んでやるかってくらいの気持ちで)



先輩「後輩は何が良い?」

後輩「うーん、これとか美味しそう、かな?」



先輩(後輩はいつも、私が二番目くらいに好きなものを選びます)

先輩(一番好きなのを選ぶわけでもないし、全然的外れでもない)



後輩「先輩は?」

先輩「これ美味しそう!」

後輩「これですか? ……カップル限定メニュー、って書いてありますけど」

先輩「うえぇ、リア充爆発しろ! これ食べたいよぅ……」ショボン

後輩「仕方ない先輩ですね」ヤレヤレ



先輩(あのときの私は、本当にそれを食べたかっただけでした)

後輩「すみませーん」

店員「はい、ご注文おうかがいします」

後輩「これください」

店員「こちら、カップル限定メニューとなっておりますが……」

後輩「私たちカップルなんですけど、だめですか?」

店員「え、いや、失礼しました! 大丈夫です!」



後輩「はい、これで良いですか?」

先輩「うん♪ ……でも、カップルじゃないのに、良かったのかな?」

後輩「何言ってるんですか? カップルになれば良いんです」

先輩「え?」

後輩「付き合ってください」

先輩「え?」

後輩「だから。付き合いましょう? 先輩」

先輩「……え?」

後輩「嫌ですか?」

先輩「だって、女同士だよ? 恋人になるなんて、そんなの」

後輩「じゃあさっきの注文取り消さないとですね?」チラッ

先輩「や、やだ! 付き合う!」

後輩「……よろしくお願いします♪」



先輩「これ、美味しい~!!」

後輩「先輩」

先輩「うん?」

後輩「あーん」

先輩「あーん?」パクッ

後輩「美味しいですね」ニコニコ

先輩「美味しい!」

先輩(カップル限定メニュー食べたさに、付き合うことを決めてしまったのです)

先輩(当然、食べ終わった頃には、付き合っていることも忘れるくらいで)

先輩(ああ、私って何て単純なんだろう……)



先輩「お金。いくらだっけ?」

後輩「良いです、おごります」

先輩「えっ、先輩なのにおごられちゃって良いの?」

後輩「先輩じゃなくて、彼女だから」

先輩「……えっ」



後輩「先輩、……手」

先輩「?」

後輩「繋ご」

先輩「……何で」

後輩「何でって、恋人だから」

先輩「違う! 何で、付き合うって、冗談じゃないよ!」

後輩「…………」

先輩「やっぱり、女同士で付き合うなんておかしいし、別に、後輩好きでもないし!」

後輩「…………」

先輩「これから私、大学生になるのにっ、彼氏もつくれないってこと!?」

後輩「……先輩に好きな人できたら、終わりにします。それなら良いですか?」

先輩「え? うん」



先輩(こうして、よくわからないまま、後輩と付き合うことになりました)

先輩さっさと男作れks

先輩(受験終わって早々、何だか忙しいことになったかも……)


~家~

先輩「ん、メール?」


後輩『先輩、今日はありがとうございました。楽しかったです』

後輩『あ。忘れないでくださいね? 先輩に好きな人できるまでは、恋人ですよ』


先輩「うーむ……やっぱりか」

先輩(何て返信しようかな)

先輩『私も久しぶりに遊んで楽しかったよ、ありがとう』


先輩「こんなもんかな……って、返信もう来た」


後輩『次はいつでしょうか?』

先輩『……もう次の話?』

後輩『映画はどうですか? 先輩が見たいって言ってたやつ、まだやってますよ?』

先輩『えっ! それは行きたい』

後輩『決まりですね』

先輩(こうして、私はまたモノに釣られて後輩と映画に行きました)


~映画館~

先輩「これ見たかったんだー!」

後輩「だろうなって思って」

先輩「ほんと、映画館で見られて良かったよ~」ニコニコ

後輩「うん」

先輩「せっかくだから、お店見て行こ!」

後輩「…………」ギュッ

先輩「!!?」


先輩(後輩は、ごく自然に手を繋いできました)


後輩「驚くことないじゃないですか」

先輩「そ、そうだね」

後輩「じゃ、行きましょ」


先輩(手を繋ぎながら歩くのは、少し嫌でした)

先輩(後輩のこと、別に好きじゃなかったし……)

先輩(後輩としては? 友達としては? 別に嫌いではありませんが)

先輩(恋人っていうとちょっと。その、女同士だし)


~雑貨屋~

先輩「…………」ジーッ

後輩「先輩?」

先輩「えっ、うん?」

後輩「ほら先輩、次あっち」

先輩「う、うん」

先輩(あのネックレス……可愛かったな)

後輩「ちょっと待っててください」

先輩「うん」

先輩(あー、甘いもの食べたいなぁ……)


後輩「お待たせしましたです」

先輩「む! クレープ!」キラキラ

後輩「先輩、そろそろ甘いもの食べたい頃かなって思って」

先輩「よくわかったねー!」

後輩「先輩の彼女ですから」フンス

先輩「…………」

百合イイね

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