穂乃果「雨降りの日曜日」 (43)

穂乃果「あーあ、せっかくの休みなのに、この雨じゃどこにも行けないよー……」

穂乃果(海未ちゃんとことりちゃんと遊ぶ予定だったのに)

穂乃果「……あぁっ! お母さんからのぼり片付けなさいって言われたんだった……」

穂乃果「謝らなきゃ……それに濡れちゃってるから重いだろうなぁ」

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穂乃果「うぅ、重い……」

穂乃果「ん? こんな時間に誰か歩いて……」

凛「……あれ、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「えっ、凛ちゃん!?」

凛「今日はすごい天気だね」

穂乃果「そうだね、この天気じゃ……じゃなくて!」

穂乃果「そんなところにいたら風邪ひいちゃうよ! 入って!」

凛「え、わわっ」






穂乃果「着替えは私のを貸すから、シャワー浴びていいよ。服も洗濯するけどいい?」

凛「あ、いいよ。ありがとう」

穂乃果「お礼なんていいよ。ささっ、早く早く」

凛「うん」





凛「ありがとう穂乃果ちゃん」

穂乃果「ううん、風邪ひいちゃったら大変だからね」

凛「……おうちには誰もいないの?」

穂乃果「今日はね。お父さんとお母さんはちょっと出張……かな? だから今日お店はお休みなんだ」

凛「そうなんだ」

穂乃果「雪穂……妹は今日友達の家に遊びに行ってるから、もうすぐ帰って来ると思うんだけど……」

凛「……帰って来れる?」

穂乃果「うーん……ダメかも」

穂乃果「……雨、ものすごいことになってるね」

凛「うん、お昼からだよね」

穂乃果「今日台風が来るなんて聞いてないよー!」

凛「凛もびっくりしたにゃー」

穂乃果「そうだろうね」

凛「……」

穂乃果「……」

穂乃果「泊まっていく?」

凛「だ、大丈夫だよ……このくらい」

穂乃果「だってほら、窓開けてみてごらん」

凛「えいっ」

凛「にゃああああ!」

穂乃果「閉めまーす」

凛「……」

穂乃果「ね」

凛「凛が甘かったです」

穂乃果「実を言うと……私もちょっとさびしいから」

凛「じゃあ……お世話になります」

穂乃果「どうぞどうぞ」

凛「一夜だけの関係って言うんだよね」

穂乃果「凛ちゃん、それは他の人に言っちゃダメだよ」

凛「じゃあ今日は穂乃果ちゃんのおうちにお泊まりしまーす、って電話するね」

穂乃果「私も絵里ちゃんに電話するよ」






穂乃果「しまった……冷蔵庫にネギしか入ってない」

凛「り、凛は焼きねぎでも炙りねぎでも我慢できるよ!」

穂乃果「あ、奥にハムが」

凛「ハム! ハムネギ!」

穂乃果「無理に合わせなくても」

凛「あ、そうだ! いいこと考えた!」

穂乃果「いいこと?」

凛「卵あるー?」

穂乃果「うん、あるよー」

凛「じゃあ凛がハムネギ卵作るにゃー」

穂乃果「何それおいしそう」

凛「期待しててね!」

穂乃果「うん、じゃあお皿とコップだすね。麦茶でいいかな」

凛「いいよー」






凛「できたー!」

穂乃果「おお、いい匂いがするよ」

凛「さあ、冷めないうちにどうぞ」

穂乃果「いただきまーす」

穂乃果「……こ、これは!」

穂乃果「トロトロの卵にいい具合に焼けたハム、そしてネギのアクセント……」

穂乃果「凛ちゃん、私あなたのご飯を毎日食べたい」

凛「通い妻ってやつだね」

穂乃果「それでいいよ」

凛「気に入ってもらえてうれしいにゃー」

穂乃果「凛ちゃんも一緒に食べよう」

凛「うん」





穂乃果「早く食べすぎちゃったね」

凛「うん、まだ5時だもんね」

穂乃果「それにしてもすごい雨……凛ちゃんだったら軽くて飛ばされちゃいそう」

凛「凛そんなに軽くないよー」

穂乃果「ふーん、本当かなぁ?」

凛「本当だってばー」

穂乃果「このくびれ……そしておしり……」

凛「うわぁ!?ほ、穂乃果ちゃんくすぐったいよぉ」

穂乃果「……穂乃果より断然細い」

凛「そ、そんな! 穂乃果ちゃんだってほら!」

穂乃果「……何? それは穂乃果の足だよ?」

凛「足の指が細い」

穂乃果「ぐはっ」

凛「穂乃果ちゃーん!」

穂乃果「あ、そうだ。お皿洗わないと」

凛「凛も手伝うよー」

穂乃果「いいのいいの、凛ちゃんはお客さんなんだから」

穂乃果「ふんふふーん……あっ、お風呂洗わないと」

凛「……」

これは暗にのんたんに喧嘩売ってる……?





穂乃果「……凛ちゃん、何で正座してるの?」

凛「な、なんとなく」

穂乃果「もっとくつろいでいいのに」

凛「いやー、穂乃果ちゃんがお風呂掃除してるのにそんなことできないよぉ」

穂乃果「そんなもの?」

凛「そんなものだにゃー」

穂乃果「じゃあお皿洗って……洗ってある!」

凛「さっき穂乃果ちゃんが1枚だけ洗って行ったでしょ?」

穂乃果「ま、まさか凛ちゃんのお手を煩わせるような真似を……?」

凛「わずらっちゃいましたー」

穂乃果「うおお、不肖穂乃果、腹を切ってその罰を受けます! ぶしゃー!」

凛「きゃー!」

穂乃果「うふふ」

凛「あはは、なにそれ」

穂乃果「凛ちゃん、ありがとうね」

凛「どういたしまして」







凛「あ、お風呂沸いたみたいだよー」

穂乃果「よーし、冷めないうちに入っちゃおう」

凛「おーっ!」

穂乃果「そういえば凛ちゃんとお風呂入るのって合宿ぶりだね」

凛「ん、それもそうかも」

穂乃果「成長したのかチェックしないとねー」

凛「ほ、穂乃果ちゃん怖いにゃー……」

穂乃果「冗談だよ」

凛「よかったぁ」

穂乃果「希ちゃん直伝のわしわしがあるからね」

凛「……何が冗談だったの?」

穂乃果「希ちゃん直伝ってところかな」

凛「そこじゃダメだよ」




穂乃果「いいお湯だったぁ」

凛「大変なお風呂だったにゃー……」

穂乃果「おお、凛ちゃんから私と同じ匂いが」

凛「ほんとだー。穂乃果ちゃんから凛の匂いがする」

穂乃果「……何だか恥ずかしいね」

凛「……うん、今気づいた」

穂乃果「凛ちゃんは穂乃果の部屋と雪穂の部屋、どっちで寝たい?」

凛「うーん……」

穂乃果「わ、今光ったの雷かな」

凛「……穂乃果ちゃんのお部屋がいいな」

穂乃果「そう? あ、でもベッド1つしかないけど……」

穂乃果「あ、また光った」

凛「穂乃果ちゃんのベッドで一緒に寝かせてください!」

穂乃果「おお、今日は積極的だね。凛ちゃん」





穂乃果「凛ちゃんって雷苦手なの?」

凛「おっきい音がダメなの」

穂乃果「そうなんだ……」

穂乃果「んー……2人くっつくけば……」

凛「ご、ごめん……暑かったよね、離れる……」

穂乃果「違う違う! 2人くっつけば安心するよね、って言いたかったんだよ!」

凛「……よかった」

穂乃果「……それで凛ちゃん、どうしてあんな雨の中1人で歩いてたの?」

凛「……みんなには内緒にしてくれる?」

穂乃果「話してほしくないなら」

凛「は、離してほしくない……」

穂乃果「じゃあ話さないよ」

凛「な、内緒にしててね」

穂乃果「ん? 今話さないって言わなかったっけ?」

凛「え? 凛のこと離さないってことじゃないの?」

穂乃果「……ああ、だから凛ちゃんくっついてきたんだ」

穂乃果「うん、離さないよ」

凛「?」

穂乃果「気にしないで、続けて?」

凛「わかった」

凛「今日はお休みだったから、思い切って女の子っぽい格好しようと思ったの」

穂乃果「うん、あの服似合ってたよ」

凛「……ありがとう」

凛「それで1人でずーっと歩いてたら、読者モデルになってみませんか? って声かけられたりしたんだ」

穂乃果「すごいよ凛ちゃん! それでそれで?」

凛「えへへ、でも自信なかったからやめることにしたんだ」

穂乃果「そうなの?」

凛「うん、凛はそういうおしとやかーって感じなのは合わないと思ったから」

穂乃果「そっか」

凛「それでちょっとうれしくなって、スキップとかしてたら……すごい雨が降ってきて」

穂乃果「お昼の台風?」

凛「うん、それで凛も雨宿りしようと思ったんだけど……」

凛「ショーウィンドウに映った自分の姿が、ひどくって」

凛「髪もぼさぼさで服も汚れちゃって……」

凛「がっかりしちゃって……凛はかわいくないなぁ……って」

穂乃果「凛ちゃん」

凛「……え?」

穂乃果「凛ちゃんはかわいいよ」

凛「ありがとう穂乃果ちゃん」

穂乃果「お世辞じゃないよ!」

凛「ふぇっ」

穂乃果「凛ちゃんはかわいい!」

凛「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「気が利いて優しくて女の子らしいもん! 凛ちゃんはかわいいんだよ!」

凛「ありがとう」

穂乃果「実は人一倍乙女でスカートなんて似合わないと思ってくよくよしてる凛ちゃんもかわいいよ!」

凛「は、恥ずかしいよ」

穂乃果「まず凛ちゃん、写真を撮るよ」

凛「え、ど、どういうこと?」

穂乃果「さあ脱いで脱いで!」

凛「何で!?」

穂乃果「今水着がないから代わりに下着で……」

凛「えぇ!? 恥ずかしいよ!」

穂乃果「じゃあ私も脱ぐよ」

凛「穂乃果ちゃんお酒でも飲んだ?」

穂乃果「……さあ」

凛「そこは力強くうなずいてほしかったのに」





凛「疲れた……」

穂乃果「よく眠れるんじゃないかな?」

凛「そうかも……」

穂乃果「あらら、凛ちゃん眠そうな声」

凛「ほのかちゃん……もしかして……りんのために……?」

穂乃果「さあどうでしょう」






穂乃果「おやすみ凛ちゃん」

穂乃果「寝顔もかわいいよ、なんてね」






穂乃果「おはよう凛ちゃん」

凛「おはよー……って何で凛、パジャマ着てないの!?」

穂乃果「いやー、一夜だけですから」

凛「なに!? 何の話!?」

穂乃果「へっへっへ、服はそこに置いてある凛ちゃんの服しかないですぜ」

凛「く、こうなったら……!」

凛「この服を着る!」

凛「はぁ……これで何とか」

穂乃果「あらあら凛ちゃん、これをお忘れですよ」

凛「ん? なにこれ?」

穂乃果「リボンだよー。ほら、ここにつければ……できあがり!」

凛「……あ、ワンピースが可愛くなった」

穂乃果「ノンノンノン」

凛「?」

穂乃果「かわいい凛ちゃんに似合うようになったんだよ」

凛「……じゃあそういうことにしておくね」

穂乃果「それでいいんだよ」

穂乃果「じゃあ凛ちゃんコーディネイトで私をかわいくしてくれないかなー?」

凛「ふふん、仕方ないにゃー」

凛「まずパジャマを脱いでください」

穂乃果「ええー、これは穂乃果の勝負服なのにー?」

凛「それじゃあ始まらないでしょー」

凛「早く脱いで―」

穂乃果「きゃー! 凛ちゃんのえっちー!」

凛「ふふふ、なにそれ」

穂乃果「あはは、わかんない」

穂乃果「……いい天気だね」

凛「……そうだね」

穂乃果「じゃあかわいい凛ちゃんとお買い物にでも行こうかな」

凛「それじゃ、ご飯食べてからね」

穂乃果「はーい」

凛「何がいい……ってそっか、材料がないんだっけ」

穂乃果「じゃあ買いに行こうか」

凛「うん、早く着替えてね」

穂乃果「ではこの勝負パジャマで」

凛「もー、凛怒るよー?」

穂乃果「凛ちゃん怒ってもかわいい!」

凛「もう知らなーい」

穂乃果「写真……1枚いい?」

凛「……じゃあ着替えたらね」

穂乃果「やった!」

凛「どこ行くの?」

穂乃果「コンビニー。行く途中でまた読者モデルに誘われるかもね」

凛「されないってばぁ!」






凛「陽ざしが眩しいにゃー」

穂乃果「凛ちゃん」

凛「なに?」

穂乃果「水溜まりにパンツ映ってるよ」

凛「……もうスカート履かない」

穂乃果「そんなぁ! かわいいのに!」

凛「ふふ、嘘だよ」

穂乃果「これはお仕置きだね……」

凛「へっ? ほ、穂乃果ちゃんここ外だから……」

穂乃果「お家ならいいの?」

凛「しまった」




     おわり

>>15
のんたん好きの俺にはそんなもの書けない


スカート凛ちゃんもっとないかなー

>>41
さんくす
凛ちゃんは大学生になったらスカートの似合ういいお姉さんになってると期待

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きのt.774さん   2014年02月15日 (土) 22:29:10   ID: Aagew6i1

続くなら続き見たーい!(*→∀←#)

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