凛「かよちんがお米アレルギーに!?」 (25)
真姫「ええ……それもかなり重度のね」
凛「う、嘘だよそんなの!」
真姫「事実今日は花陽は休みでしょ?」
凛「うっ……」
真姫「……昨日の夜にうちの病院に運ばれてきてね。ひどいものだったわ……」
凛「そんな…かよちん……」
真姫「花陽はもともとヘビーな米キチでもある。これから先の治療は…辛いでしょうね」
凛「うっ…ぐすっ……」
真姫「凛、泣いちゃダメよ。今一番辛いのは花陽なんだから」
凛「ずびっ…うん」
真姫「鼻水ついてるわよ、ここ」
凛「えっ? ど、どこ?」
真姫「まったくもう…」ゴソゴソ
真姫「ほら、ここよ」ゴシゴシ
凛「わわ…えへへ、ありがとう真姫ちゃん」
真姫「どういたしまして」
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うむ
凛「でも…そっか。かよちんのためにも凛たちが泣いてちゃダメだよね」
真姫「そうよ。私達が泣いてもアレルギーがどうにかなるわけじゃないし、花陽だって喜ばないわ」
凛「そうだよね。じゃあ今日は練習を中止してみんなで旅行でも行かない?」
真姫「あら、いいわね。それじゃあさっそく他のメンバーにも連絡を取りましょうか」
凛「わーい、楽しみだなー」
真姫「どこ行くかはみんなで話し合わないとね」
凛「凛はラーメンが美味しいところがいいなぁ」
真姫「それなら……どこかしらね?」
凛「うーん、どこかなぁ?」
真姫「ま、とにかくメンバーを集めなきゃ話し合いできないわ」
凛「じゃあ部室にレッツゴーにゃ」
━━部室
穂乃果「へぇ~、花陽ちゃんがお米アレルギーに」モグモグポロポロ
ことり「穂乃果ちゃん、パンこぼれてるよ」
穂乃果「落ちても何かの役に立つと思うんだ」
にこ「何のよ?」
穂乃果「うーん、道標とか」
真姫「あんた学校で迷うほどバカだったの?」
穂乃果「むっ、しつれーな。冗談に決まってるじゃない」
海未「でも穂乃果、九九もできないんですよね?」
穂乃果「なっ…あれはたまたまだよう」
凛「九九にたまたまも何もないにゃ」
希「失礼な、の言い方も何だかバカっぽかったで」
穂乃果「むきーっ! しつれーな!」
絵里「ほら、それよ」
絵里「ま、この際それは置いときましょう」
穂乃果「九九くらいできるよ!」
にこ「置いとくっつったでしょうが」
希「何やっけ? どこに旅行行くかって話?」
凛「違うよ! かよちんのお米アレルギーの話!」
ことり「お米アレルギーかぁ……」
海未「オコメア・レルギー……何かかっこいいですね」
真姫「何言ってんのあんた」
穂乃果「花陽ちゃんもお米なんて食べてないでパン食べてればよかったのに」モグムシャ
絵里「コメ派かパン派かは永遠の論争の一つよね」
希「絵里ちは?」
絵里「パンね」
にこ「なんで?」
絵里「響きがいやらしいでしょ?」
ことり「なにいってんの?」
海未「オコメア・レルギー……」ブツブツ
経験則を言わせてもらうと、米アレルギーに対しての最優先事項は本人と周囲への心のケア。
先天後天問わずまずショックを受けるのが母親。
産んだ自分が悪い、なんて可哀想なことをしたのかと自分を責めることが多いので、
統計データを用いつつ客観的に因果関係を否定することが大切。
また本人も日本において、主食が食べられないことのストレスは相当なものになる。
定期的にカウンセリングを受けて内外の病気を辛抱強く予防していく必要がある。
医師による生活指導はもちろん、現在はアレルゲンとならない米が開発されているので、
支援会からの情報を適切に活用することが求められる。
今はこんなところかな。
アレルゲンってアレルギーの原因でアレル原なの?
凛「もー、みんなちゃんと聞いてよ! かよちんが大ピンチなんだよ!?」
真姫「あんたが旅行行こうっていいだしたんじゃなかった?」
凛「あれ?」
絵里「まったく…抜けてるわね凛は」
希「で、結局どっちなん? 旅行の話? お米アレルギーの話?」
海未「オコメア・レルギーの話をしましょう!」
穂乃果「お米アレルギーってね、『経験則を言わせてもらうと、米アレルギーに対しての最優先事項は本人と周囲への心のケア。
先天後天問わずまずショックを受けるのが母親。
産んだ自分が悪い、なんて可哀想なことをしたのかと自分を責めることが多いので、
統計データを用いつつ客観的に因果関係を否定することが大切。
また本人も日本において、主食が食べられないことのストレスは相当なものになる。
定期的にカウンセリングを受けて内外の病気を辛抱強く予防していく必要がある。
医師による生活指導はもちろん、現在はアレルゲンとならない米が開発されているので、
支援会からの情報を適切に活用することが求められる。』なんだって!」
ことり「穂乃果ちゃんが急に賢くなったのかと思ったよ」
にこ「誰から聞いたのよそれ」
穂乃果「ん~、知らない人!」
ことり「知らない人がいきなりお米アレルギーについて語りだしたの?」
穂乃果「うん!」
絵里「ホラーね」
海未「オコメア・レルギーは悪役なんですね…」
凛「とにかくかよちんがピンチだからみんなで旅行に行こうってことになったの!」
希「凛ちゃんは花陽ちゃんの幼馴染じゃなかったっけ?」
凛「? そうだよ?」
にこ「それなら少しは花陽のことを気遣ってやんなさいよ」
凛「??」
絵里「お見舞いに行こうとかは考えないわけね」
凛「……あっ、そっか! かよちんのところにみんなで旅行にいけばいいんだね?」
ことり「人、それをお見舞いと言う」
穂乃果「なるほど~、一石二鳥だね!」
真姫「それならそうと最初から言いなさいよね。話し合い無駄になっちゃったじゃない」
海未「オコメア・レルギーに会いに行くんですね!?」
希「海未ちゃんはさっきからなに言うてんの?」
━━西木野総合病院
穂乃果「病院に来たの久しぶりだな~」ワクワク
にこ「何でわくわくしてんのよ」
希「頻繁に来てもいいもんやないけどね」
穂乃果「だって~、備え付けのパン屋さんが美味しいことが多いんだよ?」
絵里「あくまでパンがメインなのね」
穂乃果「花陽ちゃんはコメ派だもん! 慈悲はないよ!」
凛「穂乃果ちゃん酷いにゃ! かよちんがどれだけ苦しい思いをしてると思ってるの!?」
真姫「まっさきに旅行行こうとした奴が言うのね」
穂乃果「コメ派なんて許すマジ!」
ことり「それだと許してるみたいだよ穂乃果ちゃん」
海未(オコメア・レルギーはどこに……)ドキドキ
絵里「……にしても病院が広すぎて花陽の病室が分からないわ」
真姫「花陽はたしか409号室よ」
希「病院にそんな縁起の悪い番号の部屋があるんやね」
真姫「うちの病院はそういうの気にしないのよ」
ことり「患者サイドの気持ちになって作ろうよ」
真姫「だって番号が不吉だからって関係ないじゃない? [ピーーー]人は[ピーーー]のよ」
にこ「病院を継ぐ予定の人間の言葉とは思えないわね」
絵里「それより穂乃果と凛と海未はどこ行ったのよ?」
希「あれ、目を離した隙にどこかに……」
ことり「面倒くさい三人がばらけたなぁ」
真姫「大丈夫かしら。うちの病院で迷子になったら帰ってこれないわよ」
にこ「病院で迷子にはならないでしょ。……今なんて?」
穂乃果「う~ん、この病院にはパン屋の一つもないのかなぁ」スタスタ
穂乃果「…おっ? あれは……」
子ども「わーい」パクパク
穂乃果「チョココロネにマヨコーンか…いいチョイスだね」
穂乃果「さてどうしよう…さすがに子どもからパンを奪うのは心苦しいなぁ」
穂乃果「……」ウーン
穂乃果「!」ピーン
穂乃果「……」コソコソ
子ども「うまうま」スタスタ
穂乃果「…」スッ
ドンッ
子ども「あっ…ごめんなさいお姉さん」
穂乃果「うん、申し訳ないと思ってるならそのパンを私にくれないかな?」
子ども「えっ」
穂乃果「謝罪の意を示すなら言葉だけじゃ足りないんだよ。大人はみんな何かを犠牲にして許しを乞うの、分かる?」
子ども「ぼく子どもなんですけど……」
穂乃果「ならいい勉強になるね、ありがたくいただいていくよ」ヒョイ
子ども「ず、ずるいですよ! 今明らかに自分からぶつかりに来てたし…」
穂乃果「大人はみんなずるいんだよ、きっとそれが君にも分かる日が来るんじゃないかな」
子ども「くそぉ…大人になんてなりたくないよ……」ポロポロ
穂乃果(その悔しさを胸に立派に成長するんだよ、少年……)
穂乃果「さて、パンも手に入ったことだし愚かなコメ派の末路を見届けに行こうかな」スタスタ
パンキチ、恐ろしい子やでぇ…
凛「う~ん、この病院にはラーメン屋の一つもないのかにゃ?」スタスタ
凛(せっかく旅行に来たんだから楽しんでかないと損だにゃー)ポケーッ
凛「…ん? あれは……」
『ラーメン屋』
凛「ラーメン屋さんだにゃ!」
凛「いやー、さすが真姫ちゃんちの病院。ニーズってものがよく分かってるにゃ!」
ガラッ
凛「すいません、豚骨ラーメン一つくたさいにゃ!」
店主「あいよ!……む、いっけねぇ、豚骨切らしちまってら」
凛「えー!? じゃあ食べられないの!?」
店主「す、すまねえ嬢ちゃん。豚骨さえありゃあすぐにでも作れるんだが…」
凛「豚骨かぁ……ちょっと待ってて!」ダッ
凛「おーいみんなー!」タタタ
絵里「あっ、凛」
真姫「どこ行ってたのよまったく」
にこ「急に別行動とるんじゃないわよ」
凛「ごめんごめん、ちょっとお腹が減っちゃってラーメン屋さんを探してたの」
ことり「what?」
希「穂乃果ちゃんと海未ちゃんとは別行動してたん?」
凛「うん。穂乃果ちゃんはパンが食べたくて海未ちゃんはオコメアさんに会いたいんだって」
絵里「海未はまだ壊れてるのね」
にこ「はぁ……お腹が減ったからふらふらといなくなるなんて」
ことり「ねぇ、それよりラーメン屋さんて?」
凛「あっ、そうだった。希ちゃん!」
希「うん?」
凛「希ちゃんの骨ちょうだい!」
希「何言ってんの?」
真姫「おお、標準語ね」
希「標準語にもなるわこんなもん」
ことり「何がどうなって凛ちゃんは希ちゃんの骨を欲しがっているの?」
凛「ラーメンを食べるためだよ!」
にこ「それで納得できる人間はあんただけよ」
絵里「はしょりすぎなのよ、凛がラーメンを食べるために何で希の骨が必要なのかちゃんと説明しなさい」
凛「うーんとね、さっき病院の中でラーメン屋さんを見つけたんだけど……」
真姫「ふむふむ」
希「ふむふむじゃないでしょ? 出だしから意味が分からないんだけど」
ことり「この病院てラーメン屋さんがあるの?」
真姫「ええ。病院だけだとあれだから色々作ってあるわ」
絵里「どれがあれなのよ」
にこ「もう話進まないから一応それで納得しときましょ、それで?」
凛「うん。凛は豚骨ラーメンを食べたかったんだけど豚骨切らしてるって言われて、だから希ちゃんの骨が必要なの」
希「だからじゃねーよ」
ことり「凛ちゃんは希ちゃんの骨が豚骨の代わりになると思ったんだね?」
凛「うん!」
にこ「満面の笑みで言い放ちおった」
絵里「この笑顔を見たら何でも許してしまえそうね」
希「……」シュッシュッ
真姫「希が無言でシャドーボクシング始めたわ」
絵里「そんなはずがなかった」
そいつは豚じゃなくてモビルスーツだよ
希「星空アアアアアアアアァァァァ!」ダダダダダダ
凛「ひいいいぃぃぃ! ご、ごめんなさいにゃー!」ダダダダダダ
絵里「さて、これであとは穂乃果と海未だけね」
ことり「穂乃果ちゃんはともかく海未ちゃんまで迷子になるなんてね」
にこ「ばっさり言うわね、ことり」
真姫「穂乃果じゃ仕方ないわよ」
穂乃果「ふふ、ずいぶんと見くびられたもんだね」モグモグ
ことり「あほのかちゃん」
穂乃果「繋げて呼ばないでよ! そこはかとない悪意を感じるよ!」
真姫「まったく…あんまりうろちょろしないでよね」
にこ「これであとは海未だけね」
絵里「そうね。……で、穂乃果」
穂乃果「なに?」モグモグモグモグ
絵里「その大量のパンはどうしたの?」
穂乃果「えへへ、お詫びに貰ったんだ。ぶつかってごめんなさいって」
ことり「当たり屋で荒稼ぎしたんだね」
穂乃果「違うよ! 私はただパンが食べたかっただけだもん!」
真姫「何も違くないじゃない」
絵里「ところで穂乃果は海未の所在を知ってるのかしら?」
穂乃果「しょざい? 海未ちゃん何か悪いことしたの?」
ことり「高度な間違え方だね」
真姫「ざいは罪じゃなくて存在のざいよ」
穂乃果「真姫ちゃん何言ってるの? ざいはざいでしょ?」
にこ「つまり読み方の問題じゃなくて漢字が間違えてるって言ってるのよ」
穂乃果「? 私文字書いてないよ? 話してるだけだよ? 間違えようがないよ?」
絵里「さて、花陽の病室に行きましょうか。この際海未は放っときましょう」
真姫「そうね。これ以上待ってたら夜になっちゃうわ」
にこ「409号室ね、早く行きましょ」
穂乃果「えー、何でみんな無視するの?」
ことり「会話のキャッチボールが出来ない猿と話していてもしょうがないからね」
穂乃果「えっ、お猿さんがいたの!? どこ、どこ!?」キョロキョロ
絵里「うきーって言ってたら向こうからやって来ると思うわ」
穂乃果「うきーっ! うきゃー!」
真姫「正しい姿に戻ったようね」
希「おっ、花陽ちゃんのところ行くんやね?」
ズルズル
凛?「……」
絵里「ええ。でもそれを持っていったら花陽の容体が悪化するかも分からないわね」
にこ「もう何でもいいから早く行きましょ」
穂乃果「うっきーーー!」
━━409(死霊苦)号室
絵里「はぁ…やっと着いたわね」
にこ「お見舞いに行くだけなのにこんなに時間がかかるとはね」
ことり「主に三人のせいだけどね」
穂乃果「うきー!」
凛?「……」
真姫「海未はどこいったのか分からないし…とりあえず私達だけでも見舞ってあげないとね」
希「じゃ、お邪魔しまーす」
ガラガラ
絵里「……あれ? 花陽がいないわよ?」
真姫「おかしいわね…病室はあってるはずなんだけど」
にこ「禁断症状でも起こしたのかしら」
ことり「どうでもいいけどベッドの鎖はなに?」
真姫「ああでもしないと抑えられないのよお米アレルギーは」
穂乃果「うきいいぃぃぃ!」
希「丁度いいから穂乃果ちゃん抑えるのに使おうか」
絵里「そうね」
━━どっか
海未「大変です……みんなが迷子になってしまいました……」
海未「まさか病院の中で迷子になるなんて…まったく、みんなもっとしっかりして欲しいですね」
海未「それにしても花陽の病室はいったいどこにあるんでしょうか……ん?」
海未「!! あ、あの方はまさか……!」
海未「す、すいません!」
海未「はい、私大ファンでして…よかったらサインをもらえないでしょうか?」
海未「あ、ありがとうございます!」
海未「うぅ……素晴らしい人徳者です、オコメア・レルギーさん……」
終わり
縺?∩繧上°繧薙?
乙
えぇー
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