男「はぁ……俺と妹が勇者ですか……」(125)

男「zzz……」

妹「……起きて」ユサユサ

男「zzz……」

妹「起きて、お兄ちゃん……」ユサユサ

男「ん……今起きる……先に下降りてて……」

妹「今起きて」

男「ん……なんだよもう……」

男「……おはよう」

妹「おはよう」

男「……どこだここ」

俺「zzz……」

妹「さぁ……さっき起きたらこんなことに」

男「……キレーなとこだなぁ」

妹「すごくのどかだねぇ」

男「……俺死んだの?」

妹「いやでも地獄には見えないし」

男「俺地獄行きなの?」

妹「とりあえずどうする?」

男「もう一回寝る」

妹「じゃあ私も」

男「風が爽やか…………」

妹「いいとこだねー……」

男「……なんか目が冴えちゃった」

妹「私も」

男「……格好は昨日寝たときのまんまなんだな」

妹「そうだね」

男「……あそこにどこかで見たような村っぽいのが見えるな」

男「行ってみるか」

妹「私こんな格好じゃ行けない」

男「だって雨でも降ったらどうするんだよ」

妹「我慢する」

男「日が暮れて夜になったら?」

妹「その前には帰れるよ」

男「帰れなかったら?」

妹「我慢する」

男「我が儘言ってないで行くぞ」

妹「やだぁー」

男「……」

妹「……」

妹「……草の上裸足で歩いたのなんて何年ぶりだろう」

男「さぁ……」

妹「気持ちいいもんだね……」

男「そうだな……こんな良い感じの丘が日本にもあったんだな……」

妹「ここ日本なの?」

男「さぁ……」

男「……着いた」

妹「石畳の上もまたいいもんだね」

男「あ、人だ!見るからに村人だ!話しかけるぞ!」

妹「ちょ、ちょっと……恥ずかしいよ……」

男「まずはここがどこか聞かなきゃな」

男「すいませーん!」

村人「はい……? !!!!」

男「ちょっとお尋ねしますが、ここはどこなんでしょうか?」

村人「ちょっ……ちょっとの間そこでお待ちください!!」

男「あっ、ちょっと!」

男「……行っちゃった」

妹「……なんなんだろうね」

男「……仕方ない、言われた通り待ってみるか」

妹「お兄ちゃん上着貸してよ。恥ずかしい」

男「あ、はいはい」

妹「……赤ジャージの下にも赤Tシャツかよ……酷いな」

男「いいだろ別に。部屋着なんだから」

妹「部屋着で外出るなよ」

男「お前なんてパジャマじゃないか」

妹「可愛いでしょ?」

男「ならジャージ返せ」

妹「ヤダ」

ほう・・・
支援

村人「村長!こっちです!!」



男「……今村長とか聞こえたな」

妹「場所を尋ねるだけでずいぶん大袈裟だね」

男「ありがたいけどちょっと気遣いが重いな」



村人「村長!彼らです!!」

村長「おぉ……!これはまさしく……!!」

男「あ、村長さんですか。あのですねちょっとお尋ねしたいことが」

村長「とうとう……この日がっ……!」

男「あの、聞いてます?」

村長「この世界にもっ……まだ希望がっ……!」

妹「……なんだろう、泣き崩れた」

男「なんだこれ」

村人「村長!すぐに馬車を手配します!!」

村長「おぉ……よろしく頼む……」

4yen

男「……馬車?」

妹「またずいぶん時代を感じさせる乗り物ですね」

男「いや……これは時代と言うより……」

村長「今!馬車が来ますので!!とにかく私と一緒に乗ってください!!話は中でします!!」

男「……知らない人についてくのはなぁ」

妹「お兄ちゃんいくつよ」

男「えーと……じゃあまぁはい、わかりました」

h

村人「村長!!連れてきました!!」ガラガラガラ

村長「うむ。さぁ!乗ってくだされ!」

妹「わぁ……馬車って初めて」

男「俺もだ……揺れるな」

妹「あんまり乗り心地は良くないね」

村長「……先ほどは取り乱してすみませんでした」

男「いえいえ。ところでこの馬車はどこへ向かってるんですか?」

村長「この国の首都でございます」

男「東京……じゃないよなぁ」

妹「でも日本語だよ?」

村長「そこであなた方にはこの国の王に会っていただきます」

男「日本じゃないな」

妹「日本じゃないね」

男「あの……何故僕たちが王様に?」

妹「服は貸していただけますよね?」

村長「……あなた方は、この国を、いや世界を救う勇者だからです」

男「うわぁ」

妹「間抜けな顔した勇者だなぁ……」

男「自虐的になるのはよくないぞ」

妹「お兄ちゃんポジティブ」

おもしろそう

朝まで保守頼む

村長「……私たちの国にはある伝説が言い伝えられているのです」

男「……さっきからものすごくRPGくさいなぁ」

妹「やったね、私ら勇者らしいよ」

男「……こういうのは中学生の頃に体験したかった」

村長「……赤き異色の衣を纏いし男女がこの世を救うであろう」

男「赤ジャージと赤パジャマか」

妹「なんか適当っぽい伝説だね」

村長「今この国は滅亡の危機にさらされています」

男「魔王に侵略でもされてるんですか?」

村長「!!やはり知っているのですね!!?」

男「いや当てずっぽうです」

ふむ。。。続けなされ

村長「……伝説の勇者は異世界の人間だと伝え聞いております」

男「はぁまぁ多分そうなんでしょう」

妹「私ちょっとワクワクしてきたよ」

村長「詳しい話は国王から話されますので、今はおやすみください」

男「はぁ……さっき起きたばかりなんですけど」

妹「どれくらいかかるんですか?」

村長「夜までには着くでしょう」

男「げぇ……長い」

妹「お兄ちゃんトランプ持ってる?」

男「寝るときにトランプは持たねぇ……」

妹「だよね……」

支援

──
───
────

村長「着きました。ここが王都、○○です」

男「うわぁ……すげぇ……」

妹「本当にRPGだ……」

男「つーかなんか見られてる……」

妹「着替えたい……」

村長「伝説の勇者の件は早馬で既に王に知らせてあります」

村長「あなた方のことはこの街から順に国中に知らされることでしょう」

妹「パジャマの勇者……恥ずかしい……」

村長「では、このまま城へ向かいます」

男「このまま!?」

妹「着替えは!!?」

村長「? あなた方の着ているそれは、勇者たる証です」

村長「王に会うまで脱ぐことはなりません」

妹「そんな……」

男「ジャージにTシャツで面会か……アルバイトの面接でもこんなラフな格好で行かねぇよ……」

──
───
────

王「そなたらが、件の勇者殿か」

男「は、はいまぁ多分……」

王「この国は今、魔王軍の侵略により、大変疲弊しておる」

王「もはやこの国の陥落は時間の問題だ」

王「そなたらには、魔王の退治を頼みたい」

王「やってくれるな?」

男「詳しく話してくれるんじゃなかったのか……」

妹「あ、あの、私たちただの高校生とクズ大学生ですよ?そんなこと……」

王「コーコーセー?よくわからんが、そなたらは確かに伝説の勇者。必ずや魔王を打ち倒してくれるだろう」

男「はぁ……」

王「それに、これはそなたらの問題でもあるのだ」

男「え?」

王「そなたらは異世界の住人と聞く。そなたらがこの世界に来たのは、魔王による秩序の乱れのせいだとされておる」

男「つまり魔王を倒さないともとの世界には戻れないと?」

王「さよう」

男「はぁ……もう一度聞きますが、僕らには魔王を打ち倒す力があるんですね?」

王「そうだ。というより、そなたらの力しか魔王には通じない」

妹「え?」

王「魔王を打ち倒すには聖なる力が必要なのだ。それを持ち合わせるのはそなたらだけなのだ」

妹「せ、聖なる力……プッ」

男「こら笑うな!」ヒソヒソ

男「はぁ……じゃあまぁ魔王討伐、やらせていただきます」

王「おぉ!やってくれるか!!」

王「では……こちらへ来てくれ」

男「なんでしょう?」

王「そなたらにこれを授ける」

妹「わぁ……綺麗な腕輪」

王「それは勇者の証だ。それを付けていれば、この国の者の援助を受けることができるだろう」

男「なるほど……ありがとうございます」

王「それと、これは私からの個人的な餞別だ」

いいぞ

朝まで続けられるんすか?

妹「わぁ……これまた綺麗なネックレス……」

男「なんか青白く光ってますね……」

王「これは我が王族に伝わる、聖なる首輪だ。これを付けていれば、どんなダメージも一度だけ封じるというものだ」

男「これは一個しか無いんですね?」

王「そうだ……」

妹「ちょっとお兄ちゃん図々しいこと言わないの!ありがとうございます!」

男「なんか使い勝手の悪いアイテムだなぁ……」

妹「ちょっと!!」

王「……それでは、そなたらが無事に帰ってくることを祈っている。頼んだぞ」

男「は、はい!」

妹「はい!」

支援

しえん


ねむいけど

──
───
────

男「さて……金も貰ったことだし、装備でも揃えるか」

妹「たったの500G……」

男「そんなもんだ。だいたいお前まだGの価値知らないだろ」

妹「どーせはした金だよ。お約束お約束」

男「援助を受けられるっていっても普通に金は取られるんだろうしなぁ……」

妹「あ、武具屋だ!」

男「じゃあ適当に見繕うか」

あぶないしたぎ!
あぶないしたぎ!

男「すみませーん」

店主「おぉ!!これは勇者様!!是非うちで装備を揃えていってください!!」

妹「……なんか首都の割りにしょぼいのしか売ってないなぁ」

男「最初の街だからな。こんなもんだ」

妹「あ、ローブ!かっこいい!!私魔法使いやる!!」

男「お前魔法使えんの?」

妹「まぁなんとかなるんじゃない?これください!!」

店主「はいありがとうございまーす!」

妹「お兄ちゃんは?」

男「お前が魔法系やるなら俺は戦士系だろうが……鎧とかやだなぁ」

妹「なんでさ?」

男「重そうだし暑そうだし……」

妹「お兄ちゃんガリガリだもんね」

男「細まっちょなんだよ……いいや、適当に皮のやつ買ってく」

妹「死んでも知らないよー?」

男「まぁなんとかなるだろ。実際皮の服も鎧もそんなに防御力は変わらん」

妹「そんなことあるはずないんだけどね」

男「これでとりあえずジャージ勇者は脱却したな……」

妹「次は武器だね。まぁ私はこの杖でも買えばいいんでしょ」

男「俺はこの剣でも買えばいいんだろ……」

店主「まいどありー!」

妹「アクセサリ系は……無いね」

男「そういやさっきもらったネックレス、お前が持つの?」

妹「あったりまえじゃん。女の子なんだから」

男「まぁいいけど……」

しえん

ほす

男「さて……次は道具屋だ」

妹「周りの視線が熱いね……」

男「勇者だからな……こんなに注目されたのは高校の授業中に当てられたとき以来だ」

妹「もうちょっと何かあるんじゃない?」

男「あぁ飲み屋でゲロ吐いたときの方が注目されたな」

妹「ダメダメだね」

──
───
────

男「こんにちはー」

店主「あら勇者さん!いらっしゃい!!うちでキッチリ道具を揃えてってね!」

妹「回復薬と毒消しと目薬しか置いてないよ……」

男「最初の街だからな……蘇生用のアイテムは無いの?」

店主「あらやだそんなものあったらこの世に人が溢れかえっちゃうよ!」

男「そりゃそうだ……まいったな、死ねないのか」

妹「当たり前だよゲーム脳」

男「回復薬や毒消しってのも大概だけどな」

ドラクエの影響でかすぎて
勇者って言葉の意味とは違う使われ方されすぎだよな

なかなか面白そうなのに出会った

男「とりあえず回復薬は10個くらい、毒消しと目薬は2個ずつあればいいだろう……」

妹「鞄に入る?」

男「さっきからこの鞄、いくら入れても膨らまない」

妹「不思議鞄だ!」

男「あれだろ、魔王のせいで秩序が乱れてるんだろ」

妹「なんとも都合の良い乱れだなぁ……」

男「ところでなんかアイテムがFFっぽいな」

妹「でも勇者はドラクエでしょ?」

男「まぁそれに限らないが……」

男「さて、もう夜だし今日は宿屋に泊まるか」

妹「もうお金が尽きそうだよ……」

男「これくらい用意してくれてもいい気がするよな」

妹「ほんとだよ……プリンとか食べたいのに……」

男「売ってんのか?」

妹「宿屋はどっちだろう……聞いてみよう」

妹「すいませーん!宿屋ってどっちですか?」

町民「お、これは勇者様!宿屋はあちらです!!お気をつけて旅をしてください!!」

妹「はい!ありがとうございました!」

男「……さすがに決まった返ししかしないわけではないか」

妹「そりゃそうだよ。生きてる人だもん」

──
───
────

店主「これは勇者様!今日はうちでゆっくり英気を養っていってください!!」

妹「はい、お世話になります」

店主「部屋は上の階の一番奥になります!ごゆっくりどうぞ!」




男「……ここか」

妹「質素なお部屋ですねぇ」

男「おい、壺があるぞ」

妹「……これは調べるしかないね」

妹「……あった、10Gだ」

男「……これはもらってもいいものなのか……?」

妹「……どうでしょう」

男「……いいや、もらっとけ」

妹「……いいの?」

男「流れ的に大丈夫と見た。そこのクローゼットも調べとけ」

妹「じゃあ一応……あった。帽子だ」

男「もらっとけ。大丈夫だろ」

妹「ほんとかなぁ……」

男「……飯の前にもうひとつ実験だ」

妹「何するのさ?」

男「他の部屋へ行く」

妹「そっ、それはさすがにマズイんじゃ……」

男「普通ならな。ここは魔王のせいで秩序が乱れた世界だから」

妹「なんとも都合のいい……」

この調子だと結構長い感じ?
まぁ途中で寝落ちとかありそうだけど

男「では……いくぞ」コンコン

客「はーい。……あ、これは勇者様!どうぞお入りください!」

妹「おじゃましまーす……」

男「おじゃましまーす……」

妹「……」

男「……」

妹「どうしよう、何も話しかけてこない……」

男「こちらから話しかけてないからな……おい、そこのクローゼット調べろ」

妹「えぇ!?それはさすがに……」

男「じゃあ俺が……50Gだ」

スタァーップ

勇者ww

>>51
何も考えてない
完徹するための暇潰しなので寝落ちはないと思います


妹「それ確実にこの人のじゃん!ダメだよ!!」

男「いや……見ろ、無反応だ」

妹「そ、それはそうだけど……」

男「ありがたく頂戴するぞ」

妹「え、えぇ……ご、ごめんなさい……」

男「どうやら大丈夫らしいので、このまま全部屋調べます!」

妹「えぇ!?」

支援

──
───
────

男「……あんまり収穫は無かったな」

妹「ものすごい罪悪感……最後の方黙って入って出てったよ」

男「何も反応が無かったからな」

妹「こっちから話しかけてみたら餞別までくれた……この世界怖いよ」

男「『あの……』と話しかけただけでペラペラ喋りだしてお金をくれたな。あとでお客全員に話しかけよう」

妹「やめて!!」

今流行りのRPGだったら盗んだ瞬間町の全衛兵に情報が知れ渡って牢獄行きか膝に矢でしたね

男「じゃ、飯食いに行くか」

妹「そうだね……」

男「あ、植木鉢。10Gみっけ!」

妹「やめて!」





男「うわぁ……うまそう」

妹「塊のお肉だよ……おいしそう……」

男「では!いただきまーす!」

妹「いただきまーす!!」

やめて!がツボるw

──
───
────

男「ふぅーうまかった!ごちそーさま!」

妹「ごちそうさまでした」

男「……寝るにはちょっと早いな。情報収集でもするか」

妹「そうだね」





男「……こうやって見ると武具屋と道具屋と宿屋以外にもいろいろ店があるんだなぁ」

妹「そりゃあそうでしょう」

男「お、デザートっぽいの売ってるぞ!食うか?」

妹「あ、ほんとだ!食べよう!」

──
───
────

男「……とりあえず次に向かうのは東の村だな」

妹「魔王城って空に浮かんでるんだね……」

男「飛行艇を持ってる奴が東の村にいるらしいな」

妹「うん……」

男「……そろそろ寝るか」

妹「……うん」

男「……」

妹「……」

男「……一緒に寝るの、何年ぶりだろうな」

妹「久しぶりだね……」

男「……」

妹「……」

妹「……帰れるよね」

男「……あぁ。絶対」

妹「……おやすみ、お兄ちゃん」

男「おやすみ」

──
───
────

妹「んー良い朝!」

妹「お兄ちゃん!起きて!」ユサユサ

男「ん……もうちょっと」

妹「ダメ!起きなさい!」バシバシ

男「わかった、わかったから…………おはよう……」

妹「はいおはようございます!ご飯食べにいこう!」

男「うん……」

支援

男「……周りの視線がやたら熱いな」

妹「……わかった、服装だ」

男「あぁそっか……今俺が着ているのはジャージ……」

妹「勇者だね」

男「そうだなぁ……着替えてこればよかった」

妹「汚いジャージも、ここでは聖なる服なんだね」

男「複雑だなぁ……」

──
───
────

男「では!いざ出発!」

妹「おーっ!!」

男「おぉ……モンスターらしき影がちらほら……」

妹「……私今なんか魔法が使える気がする」

男「マジで?なんかやってみ?」

妹「えーと……えいっ!」ボウッ

男「うおっ!火が出た!!すげぇ!!」

妹「本当に出来た……」

魔法きた

男「ところでお前は黒魔法系なの?白魔法系なの?」

妹「さぁ……どうなんだろう」

男「まぁいっか、両方やれ」

妹「そんな適当な」

男「二人編成のパーティーなんだ。俺は魔法使えないからお前が回復役やるしかないだろ」

妹「まぁなんかできる気もするけど……」

男「マジで?本当すげーな」

支援

男「お、いかにも雑魚っぽいモンスターがこっちにやってきた」

妹「うぅ……緊張する……」

男「よっしゃあ!やってやるぜ!!どりゃあ!!」ザシュッ

妹「うわぁ!!血が出てる!!血が!!」

男「……俺今から生き物を殺すんだな……なんかクズ野郎になった気分」

妹「前見て前!!」

男「えっ?うわぁっ!!」グサッ

支援

妹が回復魔法使えないときついなこれ

男「いっ……てぇー!!なんだこれすごく痛い!!」

妹「だって刺さってるよそれ!!抜いて抜いて!!」

男「だって抜いたら血が……」

妹「抜かなきゃ治せないでしょ!!えいっ」グチュッ

男「ギャーッ!!痛い痛い痛い!!」

妹「えいっ!!」

男「痛い!!いた……うおっ傷が塞がってく!!」

妹「本当に使えたよ……お兄ちゃん後ろ後ろ!!」

男「えっ?うわっ!!」ゴロゴロ

妹「ナイスエスケープ!」

男「この野郎……てりゃーっ!!」ザシュッ



妹「……倒した?」

男「動かないな……」

妹「あ、なんか今成長した気がする」

男「俺もだ。攻撃力と防御力と体力と素早さが上がったな」

妹「私は攻撃力じゃなくて魔力だな」

男「……初レベルアップか」

妹「不思議な気分……」

男「……なんか落ちてるな」

妹「……150Gと回復薬だ」

男「……使えばよかったのに、回復薬」

妹「……私ら悪いことやってるのかな?」

男「まぁ生き物を殺したんだ……悪いことっちゃあ悪いことだな」

妹「……」

男「でも殺さなきゃこっちが殺されてた。これはやらなきゃいけないことだったんだよ」

妹「……うん」

男「これからまだまだモンスターはでるぞ。元気だせっ!」

妹「……うん」

──
───
────

男「いよいよ魔王城へ攻め入るわけだが」

妹「早かったね……まだ一週間だよ……」

男「それでもいろいろ寄り道したけどな。多分全てのダンジョン巡っただろ」

妹「人の家の中調べ回るのも当たり前になっちゃったね……」

男「モンスター倒して経験値と金を稼ぐのもな」

妹「……もとの世界で生きていけるよね」

男「多分な」

支援

妹「飛行艇のパーツ探しに出掛けたり、魔王城のバリアを壊したり……いろいろあったね」

男「本編と関係ないところでは迷子の子猫探したりな」

妹「本編とか言うな」

男「それにしてもなかなか楽しかったよなぁ」

妹「綺麗だったしね、この世界」

男「いざとなるとちょっと名残惜しい気もするな」

妹「でも早く帰らないと……まさか向こうの世界でも一週間経ってたりしないよね」

男「それは無いと思いたいな……」

支援

男「じゃ、準備はいい?」

妹「装備オッケー道具オッケーHPMPオッケー!」

男「ここからはもう戻ることはできません。本当によろしいですか?」

妹「親切な注意書ありがとう」

妹「……死んだりしないよね」

男「そのために一生懸命レベル上げしたろ?」

男「絶対大丈夫だ」

妹「……うん、そうだよね!」

男「それでは!しゅっぱーつ!!」

妹「おーっ!!」

面白いスレを見つけてしまった
こりゃもうねれんな…

支援

──
───
────

男「よ、弱い……」

妹「ほぼ無傷だよ、私たち……」

魔王「クッ……どうやら私の敗けのようだ……」

男「じゃあ何の余韻も無いけど……とどめさしちゃう?」

妹「そうだね……これでやっと帰れる……」

魔王「フ……フハハハハ!!!」

男「お、笑い始めたぞこいつ」

魔王「私を殺すのか?それもいいだろう」

魔王「だがそのときは貴様らも道連れだ!!」

魔王弱いのかw

男「? どういうことだ?」

魔王「私の魔力を侮るなよ……」

魔王「私が死ねば、私の体に秘められた魔力を抑えるものは無くなり」

魔王「大爆発を起こす!!」

男「!!」

魔王「到底生き残ることは不可能だ……」

男「……」

妹「そんなこと言ったって……ねぇ?」

男「……」

妹「こいつの攻撃なんてどれもほとんど効かなかったし、爆発だってそうたいしたものじゃ……」

男「いや……違うな……」

支援

妹「え?」

男「確かに俺たちのレベルは高い……こいつの攻撃なんて屁のかっぱだった……」

男「だけど……あくまでそれはバトルの話」

妹「……つまり?」

男「すでに俺たちは経験値をもらっている……」

男「バトルはもう終わってるんだよ」

妹「……」

男「つまり……これはシナリオ上の演出。恐らく俺たちは本当に死ぬ」

妹「シナリオとか言うなや」

見てるぞ

男メタいなw

妹「……でもじゃあとどめがさせない!!」

男「ああ……そうなるな……」

妹「どうするの!?」

男「今考えてる」



妹「……じゃあ、遠距離からとどめをさすってのは!?」

男「ここは城の中だからな……城の外からの攻撃はできない」

妹「……」

妹「……じゃ、じゃあ」

男「なんだ?」

妹「他の人にやってもらおう!!もともとこの世界の問題なんだ!」

妹「この世界の人が解決するべきだよ!!!」

男「……それもダメだな」

妹「どうして!!こんなことで私たちが死ぬことなんてない!!!」

男「そうじゃない……王様が言ってただろ。魔王にダメージを与えられるのは俺たちだけなんだ」

妹「あ……そ、そっか……」

男「妹……」

妹「え?」

男「お前逃げろ」

支援

妹「……どういうこと?」

男「お前が安全な場所に避難してから俺がこいつを殺す」

妹「……馬鹿言わないで!!それじゃお兄ちゃんが死んじゃうじゃん!!」

男「……仕方ないだろ。お前が帰らなきゃ、父さんも母さんも悲しむ」

妹「そんなのお兄ちゃんが帰らなくても一緒だよ!!第一私はお兄ちゃんがいなきゃ生きていけない!!」

魔王「ククク……どっちが死ぬか決まったか?」

支援

魔王余裕そうじゃねーか

男「……それでもやっぱりお前が帰れ。父さんと母さんによろしくな」

妹「ま、待って!!駄目だよそんなの!!」

男「俺の分まで生きてくれな。……ほら行けよ」

妹「……行かない!!絶対行かない!!」

男「……我が儘言うな」

妹「どっちがよ!!もういい!!じゃあ魔王にとどめなんかささないで私とお兄ちゃん二人で生きていこう!!」

男「……この世界が滅ぶぞ。しかも帰れない」

支援

妹「こんな世界知らないよ……帰れなくたってお兄ちゃんが死ぬよりはマシだよ……」

妹「魔王の攻撃をものともしない私たちなら、二人だけで生きていける……ね、そうしよ?」

男「……父さんと母さんが悲しむぞ」

妹「それは申し訳ないけど……でも私たちは生きてる。二人が知らなくても、ちゃんと生きていく」

男「…………」

支援

妹「スキありっ!!」

男「なっ……!これは!!」




妹「じゃあ、お父さんとお母さんによろしくね!!」

男「バカっやめろっっっ!!!」




妹「喰らえっっ!!」

魔王「グァァァァァァッッッ!!!!!」






──
───
────

いもうとおおおおお

──
───
────


男「…………!!!」

男「妹っ!!!妹っっ!!!」

男「嘘だ……嘘だっ!!」

男「何も……なんにも無い!!!」

男「こんなの嘘だ!!首輪はお前が使うんじゃなかったのかよ!!」

支援

支援

男「……!!」

男「世界が……歪んでいく……!!」

男「嫌だ!!帰りたくない!!妹を返せ!!!」

男「今すぐ返せ!!!ふざけんな!!」

男「うわああああああ!!!!」


──
───
────

──
───
────

男「……俺の部屋だ」

男「いつものジャージだ」

男「妹は……死んだ」

男「くそっ……くそぉっ……!!」

男「俺は……俺にはっ……あいつがいないとっ……!!」



妹「私がいないとどうなの?」

生きてた!

夢オチか

例のアレ

男「お、お前……!!」

男「生きてたのかっ!!!!」

妹「へへー」

男「ど、どうやって……」

妹「いやー最後に魔王倒して経験値もらったじゃん?あれでさ」

妹「リレイズ?っぽいの覚えたの!」

男「はぁ!?でもあそこは蘇生なんてできないんじゃ」

妹「そこはホラ、勇者ですから!」

男「はぁ……なんつー都合の良い……」

男「それならそうと言ってくれれば……!」

妹「いやそこはちょっとした悪戯ですよ」

男「……はぁ?」

妹「ちょっと劇的な演出をして、私がいなくなったらどうなるのかなーと」

男「…………!!」

妹「で?私がいないとなんだって?」

男「……死ね!!やっぱり死ね!!やっていいことと悪いことの区別もつかないのか!!」

しえん

妹「痛い痛い痛い!!離して!!」

男「うるさい死ね!!」

妹「だいたいお兄ちゃんだって抜けてたんだよ!?」

男「? 何がだ」

妹「最後にお兄ちゃんの首にかけた、王様にもらったアレ」

男「あぁあの一度だけダメージ無効の」

妹「あれつけた人がとどめさしてもう一人が逃げれば二人とも無傷で済むじゃん!」

男「!!!」

妹「いやー妹のピンチにそんなことにも気付かないなんて」


妹「ダメダメだね」


男「…………っ!」

妹「まぁお兄ちゃんには私がついてないとダメってことだね!さっき自分でも言ってたし」

男「やかましい!まだ言ってない!!」

妹「お、言うつもりだったの?」

男「ぐっ…………!」

男「……くそっ!着替えるぞ!出てけ!!」

妹「あ、そういえばお兄ちゃん携帯見た?」

男「ん?そういえば無いな」

妹「私のはマナーモードにしてたから見つかんなかったみたいだけど……ほら」




妹「一週間経ってる。お父さんとお母さんからの着信とメールがごっそり」

男「……どうしよう」



妹「さぁ!行こう!!ホントの最終決戦へ!!」

男「はぁ……」


fin

乙乙


魔王ちゃんとのいちゃラブに嫉妬する妹ちゃんはよ

終わってたか、乙
わりと普通に短いRPGしてただけのお話だた

面白かったよ

おっつ

よい短編だった

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