男「今年もいろいろあったよなぁ…」 (24)
立ったら書き溜めた奴を投下します
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人の少ない寒空の下
男は石段の少し小さな階段に腰を掛け親友に話しかけた
「大変だったよなぁ…一月にギター買ってからバンドに勉強に大忙しだったもんな…」
「そうそう、来年度には最終学年だってのにだいじょうぶかな?とか思ったわwwww」
「2月には試験があるのになwwwwでも、あのときはこのギターは今、かうしかねぇ!!とか思ったんだよ」
「試験どうだった?」
「そりゃぁ…なんとかなっ…た…?」
「…まぁ、いいや。つーかお前からだっけ?学園祭に出るぞ!!っとか言い出したの?」
「…ああ、俺だったな。でも、お前「すまねぇ…俺のミスだ…次はとちらねぇ!!」とか言ってたじゃんwwww」
「俺?言ってないよwwwwwwでも、"大切なのは楽しむこと"だろ?俺はすっげぇ楽しかった!」
「…うん、楽しかったな。で、またやろうぜってなったんだよなwwww」
「そうそうwwww他にもいっぱい趣味あったのに全部ほったらかしてやんのwwwwww」
「あ、そうだこの時期じゃんバイクで滑ったの」
「2月に…たしかにあったなぁ…ただ、言い訳するけどあんときはカーブが全部凍ってたんだって!!」
「で、タイヤを取られてこけると…まぁ、お前はいつも安全運転だったからなぁ…」
すっかり冷え込んだ空に白い粒が落ちてくる。
靴下とスニーカーで覆われた足は落ちたその粒をタバコの火を消すように踏んで溶かしてゆく。
まだ、ブーツが要らないほどには熱を持った地面はまだ積もる気配はない
「ライブは何回やったっけ…」
「2回…いや、3回か?詳しい数は忘れたよww」
「まぁ、セッション…だっけ?カウントしていいのかわからん奴もあるしなwwwwでも、忙しかったよなぁ…」
「ベースを始め、ギターを始め、バンドメンバーを募り…」
「作詞作曲構成全部俺!!とか?wwww3月にお前にベースを仕込んだ俺をもっと褒めてくれよwwww」
「今思えばめちゃくちゃだよなwwwwwwまさに"ぶっ壊れ"スケジュール☆ミってかwwww」
「そうそうwwwwそれからのPV作成だったもんなwwwwwwww」
「もはやぷろだなおれらは!」
「…じゃねぇよwwww散々な出来だったよwwwwww」
「確かに、"やりたいこと、詰め込んだ"って感じだけど、微妙なとこあったもんなぁ…」
「一応、準備はしたんだぜ?ただ、つくんの初めてだしまぁ、あんなもんかなぁ…と」
「…にしても、寒くなったもんだな…」
「知ってるか?今年は例年より寒いってさ、まぁお前がニュースを見ているかどうかは知らないが、」
はーっと吐いた白い息はもやもやとした不満と一緒に上へ登っていく。
差した傘を少し後ろに逸らし、見上げた空は上った不満でできた鉛色の息でいっぱいだった。
「そういや、今年の夏休みはなんもしなかったなぁ…」
「…まぁ、院試やら就活やらとか言ってたしなぁ…」
「でも、正直おまえんちに入り浸りまくってた気がするわ…正直、すまんかったぜ…」
「…まぁそれはおいとくとして、ゲームやってにアニメ見てたぐらいだもんな、今年は」
「あ、でもバイト手伝ってくれてたよな、あれマジ助かったわwwwwwwサンクス!」
「あれ、結構楽しかったけどなwwwwww休憩時間に記念撮影したり、賄い2人前食ったり…」
「あの後の作業、マジきつかったわwwwwww正直、食い過ぎたと思う…」
「つか、ゲームといえばJOJO、お前あれ何で買ったのさ?発表前からクセェ匂いがぷんぷんしてただろうよ?」
「いや、確かにABSはゲームバランス的にアレだったけど…グラがよかっ…た?…かな?」
「……ああ、認めるよ!!認める!!ネタ的にはよかった!!ついでにこっそり誕プレにしようとしてたのも知ってる!!」
「…まぁ、やれてよかった…よな?プレイ時間と過ごした時間の質は比例しないからな」
「ただし!!JOJOゲーで最良はカプ○ンのPS版、三部の格げーな!!異論は…まぁ、認める」
夏、青々とした賑やかな山間も紅色へ。そして、白色へ。
虫の声も聞こえない
しん、と静まり返った遠くの雪山を見ていると、透き通る声で歌われたバラードが聞きたくなる。
「秋の話しに入る前にお前に言いたいことがある」
石でできた階段を2、3歩と上り、男の背中を押すような北風が吹いた。
「今読んでるあのラノベ、なんで秋に貸してくんなかったんだよ?」
「どうせ、読まなかっただろ?だって?…まぁ、確かに機会がないと読まないだろうけどさ」
「俺は、読書の秋がしたかったんだよ!!あ、あれ面白かったよ!今度、こっち持ってこようか?」
一方的に男がまくしたてた後、再びしん、と静かな時間が訪れた。
後は…と目が泳いだ後、はっと気づいた男がバツの悪そうな顔をしながらゆっくり切り出した。
「…にしても、学園祭…」
「…できなかった…なぁ…」
「これはお前のせいなのかな?wwwwww」
「…まぁ、俺のせいかな?あんときの喧嘩が決め手だったろ」
「でも、バンドメンバーの喧嘩なんてそれこそよくあることだし、前もそんな感じだった気が…それにほかの事情もあったし…」
「でも、俺が言わなければ…いや、よそう。もう、終わったことだし。」
「…」
「…なんか言えし」
日もすっかり落ちて白かった雪山も深いネイビーへ。
そして、鉛のような雲の色と混ざり合って見えなくなってしまった。
「そういえば最近、あってないね?何してた?」
「…俺は最近、忙しかったからな。知り合いの手伝いとか、プレゼント用意したり」
男は他にも…といったように続けた
「物作ったり、実験したり…ああ、報告会は大変だったよ、徹夜明けでね」
「あとは、飲み会も結構行ったな。それと…ああ、ライブの手伝いも行ったよ、手伝ってくんないから大変だったんだぜ?」
「そうだ、今なみんなで撮った写真とかまとめてるわ、オリジナルアルバム(笑)も作ったり…PVも作ったり?おもしろそうだろ?」
鐘の音が聞こえる。教会のそれではなく、冷たく重く分厚い金属で作られた鈍く心を揺さぶられるような鐘の音が。
夜は深く、響いてる鐘の音以外何も聞こえない。
シンシンと小さく聞こえてきた音も消え、傘の下から空を覗き込むと雪は止み、月の一部が少し顔を覗かせた。
「…なぁ、聞いてくれないか」
幾つかわからない程度の鐘の音が鳴った後、畳んだ傘を腕に引っかけながら男はそう、口にした。
「俺さ、不安なんだ。」
「大学生ってのはモラトリアムの期間でその中で'何か'を掴めばいいって」
「自分で色々してきたことはあったし、就職とか院とかどんな進路もなんとかなると思ってた。」
「大学を過ごして身についたことはいっぱいある。このまま仕事だって出来んじゃね?」
「俺ならできる。お前と一緒ならできる。他の人とは違うんだぜ!!…とかも思ってた。」
「こんなことしよう。こういうことしたい。遊びだけじゃない。仕事だって。色んなこと…」
「'何か'をつかめた気がしてた。…あえて言葉にするなら'自信'とか'手ごたえ'とかそんなもんを。」
「…さっき忙しかったって言ったけど、ホントはなーんもしてない'やらなきゃいけない事'は」
「そんなクズの俺に皆、すげー優しいんだぜ?大丈夫?ちゃんと飯食ってるか?勉強はかどってるか?元気か?」
「…自分の中の大切な物がダメになってく感覚がわかる。皆の声がそこから救い出そうとしている声なんだってのもわかる。がんばれって声を聴くのがつらい。」
「時間ってのはさ、中々冷たいもんで置いて行かれるときはすぐ、置いて行かれるらしい。」
「…寂しいもんだな」
ふと、鐘の音が聞こえないことに気づく。ポケットからケータイを見るとどうやら12時を少し回ってしまったらしい。
「うわ、もうこんな時間か。…締まらねぇな、俺も、お前も。」
まだ、人肌のぬくもりが感じられるスマートフォンから掌に振動が伝わる。
「…どうやら気を聞かせてくれた'優しい'俺らの友達がそろそろこい、ボケカス!!…だとさ」
「うわ、もうこんな時間か。…締まらねぇな、俺も、お前も。」
まだ、人肌のぬくもりが感じられるスマートフォンから掌に振動が伝わる。
「…どうやら気を聞かせてくれた'優しい'俺らの友達がそろそろこい、ボケカス!!…だとさ」
「まったく、日本人は大変だねー年末年始に宗教イベントが3つもあるなんて…」
「んじゃーそろそろ行こうか、辛気臭い話しよりも友達のところに'行かないと'ね」
ズボンのポッケに入れようとした端末のソフトケースがズレるのをそっと直して、踵を翻す。
何歩か歩いた後、ふといい忘れたことを思い出し、振り返らずに言った。
「言い忘れてたわ…-----あけましておめでとう。」
後ろに語りかけるように軽く手を挙げ、不器用な挨拶をする。
ふと、見上げた夜空に雲はなく、明るい月と、街灯より少ない星の明かりがいくつか見えた。
誰もいない、その場から男は一人、晴れた顔で去って行った。
おわり
はい、という訳で終わりです
やっぱりss書くのは大変ですね
一晩書き続けたというのにまさか自スレで20スレいかないとは…
察しの言い方は1スレ目で速攻気づくと思いますが
今回は普通に叙述?とりっく?を使ってます
ぶっちゃけばれるのが怖かったんであんまり長く書けなかったってのもあります
短いかなぁ…とかも思ったんですが
とら○ラの短編もこんぐらいの長さだったので大丈夫かなぁ…大丈夫だよね?
朝一でまぁ、見てる人もいないだろうなぁ…とは思ってますけど、良かったら感想お願いします
個人的にはあと、大晦日あたりにみんなの暇つぶしさんあたりがまとめてくれてたら大満足です。
本日はお付き合いいただき、ありがとうございました
あ、正直罵倒コメとか心がへこむのであんまりおもしろくなかったら
「1スレ目から叙述トリック余裕でした」とか書いといてください
ではでは
あとがき長い
クソスレ
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