七咲「風邪、ひいちゃいますよ?」
橘「もうちょっと……だけ」
七咲「ふふっ、本当にしょうがないですね」
橘「七咲の太ももがあったかくて…ね」ムニャムニャ
七咲「先輩が風邪をひいたら、私が看病してあげますからね……」
橘「ありがとう、七咲」
七咲「構いませんよ。先輩のためなら」
七咲「先輩、今度うちに来ませんか?」
橘「えっ、突然だなあ。いいの?」
七咲「はい、郁男も先輩のこと結構気に入ってるみたいですし」
橘「頼れるお兄さんとして?」
七咲「同年代の友達……みたいな感じですかね?」
橘「あはは……」
七咲「冗談です」
日曜日
七咲「先輩」
橘「ああ、七咲来たね」
七咲「先輩の方が速いなんて珍しいですね」
橘「流石にいつも遅れてちゃメンツってもんがないじゃないか?」
七咲「先輩の変なところにこだわるところ、嫌いじゃないですよ」クスッ
橘「さあ、行こうか!」
七咲「あ、すみません。買いだしに行くのでついてきてもらえますか?」
橘「荷物持ちなら、任せてよ」
七咲「すみません、休日まで」ペコ
七咲「いつもならお母さんかお父さんがいるんですけど……あ、そのじゃがいも取ってください」
橘「ほいほい、これねー」
七咲「ありがとうございます。……いるんですけど、お父さんは出張でお母さんは仕事で夜まで帰ってこられないんです」
橘「なるほど、そんなの気にしないで頼んでくれていいんだよ?」
七咲「ふふ、ありがとうございます」
橘「いつも頑張る七咲の手伝いができるなら大歓迎だよ」
七咲「頑張るだなんてそんな…これが普通ですから」ニコッ
七咲「すみません。そこのなすびを取ってください」
郁男「うわ、やめろよ!!」
橘「そらそらそら~!ナマコ怪人の内臓絞りだぁあぁあああ」コチョコチョ
郁男「ひゃは、ひひ、やめ、ひ、やめろ、」バタバタ
七咲「あとはルーを入れて……」コトコト
郁男「ねえちゃん!こいつがこちょばしてきた!」
七咲「こいつじゃないでしょー?橘お兄さんって」
橘「次はイカ怪人だぞー!おらああー!!」
郁男「うわあああ、にげろおおおお!!!」
七咲「…先輩、本気になってません……?」苦笑
郁男「スースー」
七咲「先輩、今日はありがとうございました」
橘「いやいや、どってことないよ」
七咲「お母さんも『とっても良い人ね』って言ってましたよ」
橘「(グッ)」
橘「いつも2人で寝てるの?」
七咲「いえ、今日は特別です。小学校の時は一緒に寝てたんですけど……」
橘「そういや僕は美也と一緒に寝たこと……あったっけ?」
橘「いや、まああったとしてもこんな話しただけできつい一撃をくらいそうだね」
七咲「美也ちゃん、あれでいて先輩のこと大好きですけどね」
七咲「先輩、本当は……郁男なしで二人っきりが良かったんですけど」
橘「……」ゴクリ
七咲「先輩がえっちなことしそうだったので郁男も巻き込みました」
橘「…って、えー!?」
七咲「ふふふ、これは冗談……」
橘「ふぅ……」
七咲「じゃないかも……」
橘「ぼ、ぼくが七咲にそんなやましいことするわけないじゃないか!」
七咲「しないんですか?」
橘「…………そ、そろそろ寝ようか明日も早いしね」ハハ
橘「(今日は色々あったなあ……)」
橘「(弟のお世話や家事、それに部活……全部一緒にやって七咲はえらいなあ)」
橘「(僕も見習わなくっちゃな)」
橘「(そういえば僕は美也の世話なんてしてたっけ……?)」
橘「(……なぜだろう、中学3年より前の美也を思い出せないや)」
橘「(あれ?…というか、中学3年より前の記憶がほとんどないような……ハハ)」
橘「(きっと疲れてるんだ。いつもより仕事したもんな。はやく寝よう……)」
橘「……」
橘「・・・・・・・」
橘「・・・・・・・・・・・・・・・」スヤスヤ
あれ、ここは・・・どこだろう・・・
『いつまでここで寝てるつもりですか?』
・・・七咲?
『先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?―――』
・・・ああ、砂浜か
・・・それにしては、暗くて冷たくて七咲の太ももが硬い・・・
七咲の太ももはもっとぷにぷにででも部活で鍛えられて張りがあってぬくぬくで
・・・僕はいったい誰に力説してるんだ?
『先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?―――』
もうちょっとだよ、七咲・・・ふぁあ
七咲「せんぱーい!」
橘「むにゃむにゃ……だからまだだって……うわっ、七咲!」
七咲「先輩、もうとっくに9時ですよ!ほら、郁男も起きてー!」
橘「ごめんごめん、すぐに着替えるよ」
七咲「はい、それじゃあ朝ごはんできてるので早く来てくださいねっ」
橘「うん」
郁男「んー……」
橘「(変な夢を見たせいか気分がすぐれないや……)」
橘「やっぱり本物の七咲は可愛いなあ」
橘「すみません、せっかくの祝日なのに」
七咲母「いえいえ、いいのよ。ゆっくりして言ってくださいね」
郁男「オッサンいつまでいんの?」
七咲「もう!郁男!」
橘「はは、いいよ七咲」
七咲「今日は昼から遊びに行くから」
七咲母「そう、気を付けてね。二人ともせっかくの青春なんだからしっかり満喫してね!」
七咲「もう、お母さんったら……//」
郁男「ちぇー、まあまた遊んでやるよ」
橘「今度はクジラ怪人の恐ろしさを教えてあげるよ」
ニュース『――――交通事故にあった男性は直ちに駆けつけた救急隊員によって病院に運ばれました』
ニ『が、現在意識不明の重体とのことです――――』
七咲母「あなたたち、事故には気を付けてね」
橘「はい、気を付けます。七咲のことは任せてください!」ドン
橘「(決まった……)」
七咲「私が付いていれば先輩は大丈夫ですよ」
橘「え・・・・・・」
七咲母「うふふふ」微笑
七咲「先輩」
橘「ほっぺたにクリームつけてどうしたの?」
七咲「えっ!?//」フキフキ
橘「嘘だよーん!」
七咲「な・・・・//」ボッ
橘「七咲は本当に可愛いなあ」
七咲「うぐぐ……」
七咲「ところで先輩」
橘「ああ、うん?」
七咲「この前のお化け屋敷行ってみませんか?」
橘「ああ、休憩に付き合わせてごめんね!」
七咲「いえ!先輩が高所恐怖症なの忘れてました。すみません、ジェットコースターに色々付き合わせちゃって…」シュン
橘「いやいや、気にしないで。それで、例のお化け屋敷だっけ?」
お化けやしき
七咲「うう、先輩相変わらずこういうの強いですよね…」
橘「はは、七咲の前で叫んだりできないもんね」
橘「あ、あの、手つなぐ?」
七咲「……あ、えっと今はいいです」
橘「(今は?)」
七咲「もうちょっとしたらお願いするかもしれない、です」
橘「そっかそっか、任せといてy」ガタッ!!
グォオオオオオオ!!!
ぃひぇあああああああ!!
きゃあああああああ!!
橘「あちゃあ……思わず声が出ちゃったよ…」
橘「七咲?大丈夫?」
・・・
橘「あれ?七咲いないの?」
橘「(とりあえず探さなきゃ)」
橘「おーい、ななさきー……」テクテク
橘「七咲やーい」テクテク
橘「おーい、ななさきー」テクテク ブロロロロロ
橘「おーい……いないなあ」 ブロロロロ…
プップー!
橘「うわっ!?トラック!?」
ガシャーン!
橘「うっ……七咲がいないから本当に交通事故に……って、痛くない」
橘「というかこんなところになんでトラックが!」
橘「あれ?あそこにさっきのトラックが……」テクテク
『う……』
橘「だ、大丈夫ですか!?・・・・・!」
橘「(血まみれの人……!さっきの事故で!?)」
橘「きゅ、救急車呼びますね!ちょっと待っててください」ピピ
ピカッ
・・・・・・
橘「あれ?」
シーン
橘「倒れてた人は?」
シーン
橘「…………またお化け屋敷の……夢?」
橘「というか確かに僕は事故にあったような……うーん」
七咲「せんぱーい!」
橘「ああ、七咲!」
七咲「先輩!よかった、どこにいるか探し回ったんですよ!」
橘「ああ、ごめんごめん」
橘「またファラオの呪いにかかってたみたいで」
七咲「ら、ラーメン……ですか?」
夕方・閉園時間
七咲「そろそろ帰りましょうか、先輩」
橘「そうだね」
七咲「……」
橘「……」
七咲「……先輩、手をつなぎましょう」ギュ
橘「ああ、うん」ギュ
橘「不思議なことがあったけど、今日は楽しかったよ」
七咲「ふふ、私もですよっ」
テラス
七咲「先輩、今日もお弁当作ってきましたよ」
橘「いやあ、いつもありがとう」
七咲「好きでやってることですから」ニコッ
橘「(今日はお弁当の定番から揚げに王道の卵焼きをベースとして春巻きや小魚、そしてサラダで華やかさを演出。
女の子っぽいお弁当の包みもまた愛妻っぽくてベリーグッドだ!99点!)」
七咲「先輩……何をぶつぶつ言ってるんですか?」
橘「あれ、声に出てた?」
七咲「今日は少し肌寒いので早く食べて校内に入っちゃいましょう」
橘「うん、そうだね」
?『おーい、大将!』
橘「ああ、梅原じゃないか。二人の食事を邪魔するなよなー」
梅原「んまあそう言わずによオ……」
梅原(今日、新しいの入ってるぜ)
橘(…な、なに!?それ本当か!?)
梅原(バリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいぜ)
橘(そんなにいいのか…………!)ゴクリ
七咲「あのー?」
橘・梅原「「うわあ!!」」
ある一日の午後
橘「(はぁ……授業は七咲がいないからつまらないなあ…)」
橘「(しかも今日は美術かあ)」
橘「(薫が描いてくれたら楽なのにな)」
橘「それにしても」
橘「(最近の僕はすごく充実している)」
橘「(友達に恵まれ、環境に恵まれ、そして何より七咲っていう恋人までいる)」
橘「……」
橘「(最近、変な夢をよく見るのはなんだか気分が悪いけど)」
橘「…………」
橘「なんだか、うまくいきすぎているような気もする……」
橘「まるで僕のための世界みたいだ……」
橘「ふぁあ……」ノビー
橘「授業が終わるまで寝ようかな……」
橘「…………」
残ってたらまた来ます
ありゃww全然人いなかったかw
伸ばしてもあれなので今日で終わらせます
放課後
橘「七咲ー!」
七咲「あ、先輩」
橘「これから部活?」
七咲「はい、もうすぐ新チームが始まるので少し練習が長引くかもしれません」
橘「そうなんだ、じゃあ待ってるよ」
七咲「いえ、その」
橘「?」
七咲「大丈夫ですので先に帰ってください」
橘「そ、そう……?わかったよ」
橘「(大丈夫もなにも、待ちたいだけなんだけどなあ……)」
橘「まあいいや、久々に梅原と帰ってやるか」
教室
橘「おーい、梅原ー」
梅原「おう、どうした?お前がこの時間に俺のところに来るなんて…3か月くらいぶりじゃないか」
橘「今日は七咲が部活忙しくなるみたいで先帰ってくれって言われちゃってさ」
橘「良かったら一緒に帰らないか?」
梅原「……すまねえ」
橘「何か用事があるのか?」
梅原「俺、剣道部やめてパソコン部に入ったんでな」
橘「へえ、なんでまたパソコン?お前そんなに好きだったっけ?」
梅原「いーや、わからないことだらけよ!」
梅原「ただ、まあその……」
橘「分かったよ、部活頑張れよ」
梅原「わりぃな、じゃあ」
橘「……」
橘「うーん……結局、誰もいなかった……」
橘「薫は美術部、理穂子は茶道部みたいだし……」
橘「あれ……もしかして僕って友達が少ない…のか?」
橘「いやいやいや、まだ男友達がいるし……」
橘「……」
橘「今日は素直に一人で帰ろう……」ハア
七咲「………………」
橘「ただいま」ガラガラ
美也「あ、お兄ちゃん。今日ははやいねー」
橘「まあね。(美也ともしばらく話してなかったし少しくらいかまってやるか)」
美也「逢ちゃんとイチャイチャしないで帰ってきたの?」
橘「イチャイチャだなんてそんなこと僕らがするわけないだろ」
美也「ふーん、あっそー。みゃー先にお風呂入るからねー」ガラガラ
橘「あ……おう」
橘「なんだか、美也が冷たいような……」
橘「というか、よく考えたら薫も理穂子も冷たかったような気がしてきたぞ…」
橘「…………あんまり深く考えないでおこう」
橘「おかしい……」
橘「あれから一週間たったけどみんなの反応が相変わらず冷たい……」
橘「七咲も部活がいそがしいからってずっと一緒に帰ってないし……」
橘「…………」
橘「明日は日曜日かあ」
橘「日曜日くらい七咲と……と思ったけど」
橘「七咲としばらく会ってないせいで話しかけにくいや…」
橘「…………」
公園
橘「……なんとなくここにきてしまった」
橘「ここは中学3年のクリスマスイブに振られた場所……」
橘「押入れプラネタリウムもいいけど、なんだかここに呼ばれたような気がしたんだよね」
橘「…………」
橘「もしかして、僕振られたのかな」
橘「…………いやいやいや、なんにもそんな話してないしな」
橘「……あれっ、あそこにいるのって」
蒔原「あれ?橘君じゃん?」
橘「……!!」
橘「あ、ああ蒔原さん……」
橘「(なんでこんな普通に話しかけてこられるんだ……?)」
蒔原「ひさしぶりー!橘君は輝日東に行ったんだっけー?」
橘「うん、まあね……」
蒔原「私は南なんだー」
橘「へぇ……」
蒔原「……」
橘「……あのさ、なんでそんな普通に話せるの?」
蒔原「え?なんでって?」
蒔原「私たちって仲悪かったっけ?」
橘「ク……」
蒔原「ク?」
橘「2年前のクリスマスイブ!約束の場所……この公園に来なかったじゃないか!」
蒔原「クリスマスイブ……」
蒔原「なんのこと?約束してたっけ?」
橘「え……?」
蒔原「私、あなたと約束した覚え無いんだけど……」
橘「ど、どういう……」
蒔原「っていうか仲が悪いわけじゃないけど特別よくも無かったもんね」クスクス
橘「嘘……だ……」
蒔原「あ、私この後彼氏と待ち合わせあるから。じゃあねー!」タッタッタ
橘「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
橘「どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?」
橘「こんなのおかしいこんなのおかしいこんなのおかしいこんなのおかしい」
こんなのおか……
バタッ
・・・・・・・・・・・・・
ここは・・・・・・・暗くて冷たい・・・・・・・・・・・
『先輩――――』
どこかに寝ているのか・・・・僕は・・・・・・・・・
『先輩、――――』
・・・・・・七咲
『―――――ですか?』
・・・・・・・・・七咲、なんだか何がどうなってるのかさっぱりだよ
『先輩――――か?』
・・・・・・・ここは・・・・・・・・・・・・どこで・・・・・・・僕は・・・・・
『先輩、いつまで―――――ですか?』
・・・・・「誰」だっけ
『先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?』
・・・・・・・・・・・・七咲
七咲「先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?」
橘「はっ!」ガバッ
七咲「…………」
橘「ぼ、僕は……いったい」
七咲「先輩……」
橘「あはは、七咲か……あれ、なにがどうなったんだっけ?」
七咲「まだ気が付かないんですか……先輩」
橘「………え?」
七咲「いつまで『ここ』で寝てるつもりですか?」
橘「……どういうこと?」
七咲「……………………」
七咲「先輩は……あなたは……」
『「橘純一」ではないんです…… 』
橘「……へ?」
七咲「先輩、もう……いいでしょう」
橘「何言ってるのさ、僕は…」
七咲「先輩、私の手をとってください」
橘「……」ギュ
橘「冷たい……」
七咲「……私は、二次元の女の子」
橘「で、でも」
七咲「私には本来温もりなんてないんです」
橘「でも、確かに暖かかったじゃないか……砂浜でじゃれてた時や、一緒に手をつないで帰った時…」
七咲「それは私の手のぬくもりじゃないんです」
橘「……???」
橘「何、言って……」
梅原「なあ、大将」
橘「うわっ、いつの間にそんなとこに」
棚町「あんたさ……」
理穂子「純一……」
橘「みんな……どうしたんだよ、そんな顔して……」
七咲「私たちは現実じゃないんですよ、先輩」
橘「……」
梅原「お前がいつまでたっても目を覚まさないからよ……」
棚町「あんたはみんなが好きになった『橘純一』だけど、『橘純一』じゃないのよ」
橘「・・・・・・・・・・・・・・な」
七咲「先輩、いつまでこっちにいるつもりですか?」
理穂子「あなたの本当の幼馴染や妹さんがきっと待ってるよ……」
橘「何を言ってるんだよ、七咲、みんな……?」
橘「なんかの罰ゲーム?ドッキリ大成功?」
一同「……」
橘「…………で、も」
橘『そういや僕は美也と一緒に寝たこと……あったっけ?』
先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?―――
橘『(あれ?…というか、中学3年より前の記憶がほとんどないような……ハハ)』
先輩、いつまでここで寝てるつもりですか?―――
ニュース『――――交通事故にあった男性は直ちに駆けつけた救急隊員によって病院に運ばれましたが、現在意識不明の重体とのことです』
・・・
橘『あ、あの、手つなぐ?』
七咲『……あ、えっと今はいいです』
橘『(今は?)』
・・・
橘『うっ……七咲がいないから本当に交通事故に……って、痛くない』
・・・
橘『なんだか、うまくいきすぎているような気もする……』
橘『まるで僕のための世界みたいだ……』
・・・
橘「じゃあ……これは夢か何か……なのか?」
理穂子「純一との3年間は楽しかったけど……もうダメだよ」
梅原「お前が立ち直って成長していくところ……かっこよかったんだけどさ……」
橘「べ、別に・・・・・・いいじゃないか?」
棚町「あんた……まさかここに残ろうって言う気じゃないでしょうね?」
橘「みんな楽しいじゃないか……僕だってすごく充実してた……」
橘「この世界から出たらそんなものは無いのかもしれない……」
橘「だったら、このままここで暮らせばいいじゃないか!」
七咲「先輩、それはできないんです」
橘「なんで……」
七咲「物語にはいつか終わりがあるから……この世界だってそう」
橘「…………そ、それでも」
棚町「いつまでもいじけてんじゃないわよ!」
橘「僕は……」
梅原「お前は元の世界に戻って、また成長していかなきゃいけない……!」
橘「お、れは……」
梨穂子「いつまでも一緒にいたいのはみんな一緒だよ…」
「俺は・・・・・・」
七咲「先輩、お別れです」
七咲
「先輩は元の世界に戻ったら
精一杯いろんなことを努力して、
悔しいときには泣いて、
嬉しいときには笑って、
家族を大切にして、
……恋してください」
「待ってよ、七咲……」
「そんなのって……」
梅原「お前ならできるよ、トラウマを克服するところを俺に見せてくれたじゃねえか」
梨穂子「寂しくなる…けど……」シュン
棚町「この世界のことなんて忘れちゃいなさい…」ウル
「そんな……」
七咲「私たちは、生きる世界が違うから……」
七咲「先輩、今までありがとうございました。
大好きです」
「待って、七s」
言いかけた言葉は最後まで出てこず、誰もいなくなった
否、みんなが消えたんじゃなくて僕……俺が消えたんだろうか
とにかく、物語は終わったらしい
不思議な感覚だ
ふわふわしていて、でも体が重たい
なんだか頭も痛いけど、気分は悪くない
ああ、現実の世界に戻るんだな
そしたらきっとすべて思い出すんだ。今までの『俺』のことを
…………戻りたくなんかないけど、みんながああやって言ってくれたし
頑張ってみようかな………………
病室
男「………………」
男「…………………………………」
俺の手には温かい人の手があった
男「…………」
歳のいった看護婦さんのようだ
男「………なん、だよ」
看護婦は俺の意識が戻っていることに驚いたのか混乱気味に立ち上がり、俺に何か言うと急いで部屋から出て行った
男「なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
俺は確かにすべて思い出した。俺は。俺には
男「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
俺には家族なんていない
男「うわああああああああああああああああ!!!!!!」
『……恋してください』
俺は40過ぎた独り身のおっさんだぞ?
男「なんでだあああああああああああああああ!!!!!!!」
『お前は元の世界に戻って、また成長していかなきゃいけない……!』
こんなのってあるかよ
男「俺はあああああああああああああああああああああ!!!!!!」
『あなたの本当の幼馴染や妹さんがきっと待ってるよ……』
俺には両親も兄弟も友達も恋人もいない
男「こんなのおおおおおおおああああああ!!!!」ガシャアン!!
『それは私の手のぬくもりじゃないんです』
男「…………………ぅ」
涙が出てるらしい。急に世界がぼやけて見えなくなった
俺はあの世界が好きだったけど
俺は七咲も、みんなも大好きだったけど
みんなが背中を押してくれたから頑張ろうって思ったんだ
―――――俺の現実に希望なんて何もなかったのに
男「こん゙なのっ……」
男「 。」
―――――七咲「先輩……いつまでここで寝てるつもりですか?」完
くぅ疲
最後まで無支援つらすぎワロタ………
読んでた方いたらお疲れ様でした
乙
乙
よく頑張った
つぎはラブリー頼む
アマガミでけっこうきついのを初めて読んだわ・・・
ともかく乙
乙
支援入れづらくて黙ってたすまねえ
乙
なんとも言えん。
アマガミだと思ってたらルサンチマンだった
乙
乙
このSSまとめへのコメント
超展開だな
ただのアマガミやり過ぎて夢に出たジジイの話じゃないかw