蛍「? えーと……どこかに行こうってお誘いですか?」
夏海「いやいや、違う違う。恋愛的な意味で」
蛍「れ……恋愛……?」///
夏海「うん」
蛍「えっと、その、あの……私達、その、女同士ですよ」
夏海「そんなんわかってるよ……で、どう?」
蛍「そ……その、やっぱり、女同士で付き合うとか恋愛とか、そういうのっておかしいんじゃ……」
夏海「何言ってんの?」グイ
蛍「え?」ドキッ
夏海「ほたるんだって、『こっち』でしょ」
蛍「え、な、なにがですか?」
夏海「好きなんでしょ、こまちゃんのこと」
蛍「え、う、あ、うえええ!!」
夏海「わかるよ、普段の行動とか、それにあのぬいぐるみ」
蛍「あ、あうあうあう」///
夏海「あのぬいぐるみ、すごいよね、本当にこまちゃんのこと大好きなんだって伝わる」
蛍「」///
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夏海「ねえ、ほたるん、うちと付き合おうよ
「うちって、ほら、やっぱり、姉妹だからさ。自分でもそれなりに姉ちゃんに似てると思うし?
「姉ちゃん、ほたるんの前だとやさしいけど、家ではわりとがさつだし
「姉ちゃんはまだ成長期が来てないだけで、これから先ほたるんよりも大きくなるかもしれないよ。うちは最近、背、伸びなくなってきたけど
「ほら、ね。顔も、性格も、背も、うちなら、姉ちゃんの代わりになると思わない?
「だから、さ、ほたるん、うちと付き合ってみない?」
蛍「そ、そんな軽く言われても……」
夏海「そ、そうだよね。ごめん」
蛍「いえ、そんなあやまるようなことじゃ」オロオロ
夏海「」スーハースーハー
蛍「?」
夏海「ほ、蛍さん!!」///
蛍「は、はい!」
夏海「うち、いや、わ、私とちゅきあってください!!!!!」//////
蛍「……」(可愛い)キュン
夏海「……」(あ……噛んじゃった)/////////
蛍「で、でも、そんな、言い方を変えられても……」
夏海「ガーン!」
夏海「ええー!いいじゃんいいじゃん!付き合ってよー!姉ちゃんの代わりでもいいからー!
姉ちゃんと付き合った時のための練習だと思ってーえー!!」
蛍「ええ、そ、そんな、だだこねられても……」
その夜 一条家
蛍「押し切られちゃった……」
蛍「うわー、うわー!どうしよう!付き合うって言ったってなにすれば……」
蛍「っていうか、私小鞠先輩のこと好きなのに!」
蛍「うーん、うーん……」
蛍「考えても、わからないや……こまぐるみでも作ろう」
翌日 バス停
蛍「おはようございます」フラー
小鞠「おはよう、蛍……ってうわ!どうしたの!?」
蛍「ちょっと、寝不足で……」
蛍(落ち着くまでこまぐるみ作ろうと思ったら朝になっちゃった……や、やっぱり、どうすればいいかよくわかんないよ……)
れんげ「ほたるん、夜更かしはダメなのん。戦場では、その油断が命取り」キリッ
蛍「ありがとう……れんちゃん気をつけるよ……」フラー
れんげ「スルーとは……これはかなり重傷なのん」
夏海「みんな、おはようー♪」ニヘラッ
蛍「」ドキッ
れんげ「にゃんぱすー」
夏海「お、おう……にゃんぱす!久しぶりに聞いたな、これ」ニコニコ
れんげ「cmやトゥイッターではよくいってるのん」
夏海「ほおう、そっか」ニコニコ
小鞠「遅いよ、夏海」
夏海「姉ちゃんが速いんだよ。っていうか、なんでうちを置いていったの?ここまで一人で寂しかったんですけど」ニコニコ
小鞠「だって、朝からにやにやしてて気持ち悪いんだもん。今も無駄に笑ってるし……」
夏海「うわ、きっついなー。こまちゃん」ニコニコ
小鞠「こまちゃん言うな!あとその薄ら笑いやめろー!」
夏海「そうは言われても、なんか治んないんだよねー」ニコニコ
小鞠「表情はともかく、『こまちゃん』はわざとじゃないか!わかってんだぞ!」ウガー
夏海「はいはい」ニコニコ
夏海「あっ、ほたるんー」
蛍「は、はい」ドキドキ
夏海「おはよう」ニコッ
蛍「」ドキッ
蛍「お、おはようございます」ドキドキドキドキ///
夏海(……なんか、その、照れるな)///
小鞠「二人して顔赤くして何してんだろ?」
れんげ「放っとくのん。後は若い二人に任せて、うち達はバスに乗りましょう」プシュー
蛍夏海「「ま、待って!!」」
放課後
夏海「さ、みんな、帰ろうぜ。な、なーほたる」ギク
蛍「そ、そうですね。か、帰りましょう」シャク
小鞠「なーんかあの二人、おかしいよね」
れんげ「今日一日あの調子なのん。確実に二人になにかあったん」
夏海「そ、そんなこと」
蛍「ないですよー」
蛍夏海「あ、あはははははー」
れんげ小鞠(怪しい)ジー
蛍(ああ、ジト目の先輩可愛い)
夏海「」ムッ
夏海「とにかく、さっ、帰ろう。蛍」ギュッ
蛍「あっ、はい!」ドキッ
蛍(手、握って……)///
夏海「」///
れんげ「おお、ラブラブなん!」
小鞠「?」
一条家
蛍「……はあ。なんだか一日夏海先輩のことが気になっちゃって、授業中全然集中できなかったな……」
蛍「まあ、授業っていっても、自習してるだけなんだけども……」
蛍「……」
蛍「夏海……先輩」ギュッ
蛍「」ハッ
蛍「や、やだ。こまぐるみ抱きながら何考えてんだろ……」///
蛍「……」
蛍「私は……小鞠先輩のことが好き……な……はずなんだけどな……」
それから数日経って、学校
夏海「ほたるん~♪今度の日曜暇~?」
蛍「えっ、あっ、はい。暇です」
夏海「じゃあさ、一緒に駄菓子屋に行こうよ」
蛍「ええ、いいですね」
夏海「待ち合わせは十時にあそこでいいよね?」
蛍「はい」
夏海「初デートだね」ヒソッ
蛍「~~」///カーッ
夏海「じゃっ、楽しみにしてるよ」
蛍「」///
蛍(なんでだろ?私、すごいドキドキしてる)ドキドキドキドキ///
土曜の夜
蛍「はあ」フー
蛍「私は……小鞠先輩のことが好き……」
蛍「やっぱり……このままの関係じゃ、ダメだよね?」
蛍「だって、私は夏海先輩よりも小鞠先輩のことが……」
蛍「……」
蛍「あれ?」
蛍「私、本当に、小鞠先輩のことが夏海先輩より好きなのかな?」
蛍「……毎日、学校で小鞠先輩を見ていたり、こうやって、こまぐるみを作ってこまぐるみに囲まれていると幸せって感じするけれども……
夏海先輩と手を繋いでる時や、夏海先輩と話してる時もおんなじくらい幸せって感じするし……」
蛍「わからない……わからないよ……」
蛍「こういうときは……」
ホタルン、ホタルンー
蛍「むにゃ……えっ」ハッ
夏海「おはよう、ほたるん」ニコッ
蛍「夏海先輩!?なんで!?っていうか今なん」
夏海「今は13時。あんまり遅いからなんかあったかな~って思ってほたるん家来たら、おばさんが部屋まで通してくれてさ」
夏海(ほたるんの部屋、相変わらず、姉ちゃんのぬいぐるみがいっぱいだ……)
夏海(うちのは、ない)ギリッ
蛍「先輩……その……ごめんなさい……私」
夏海「あ、ああ、いいっていいって!それよりも、今からでも遅くないしさ、駄菓子屋に」
蛍「先輩……大事な話があるんです」
夏海「……わかった」
夏海(落ち着け。落ち着くんだ夏海ちゃん)
蛍「先輩、その……」
夏海(すぐにこうなるって、わかってたことじゃないか)
蛍「私は、小鞠先輩のことが……」
夏海(むしろ、ほたるんは、よくまあ、何日もうちみたいなんに付き合ってくれたって話だよ)
蛍「好きでした」
夏海(だから、うち、泣くな!エンディングまで、泣くんじゃ……な……い……)ジワッ
蛍「でも、今は、違います」
夏海「……えっ?」グスッ
蛍「今は……小鞠先輩よりも夏海先輩のことが好きです!今日……それにやっと気付きました」
夏海「えっ?えっ?」
蛍「今までごめんなさい。その……お詫びとして……いえ、私の愛の印としてこれを受け取ってもらえますか?」ソッ
つなつぐるみナツー
夏海「うっ」
夏海「う、うわああああああんああああん、ふっ、ふぐっ、ひっ、ふぐあああん、う、うぐっ、ふっ、んあああああん」
蛍「先輩!?」
夏海「ごめっ、ほたるん、うち、うれじぐっで、う゛う、ふっ、うっ、ふぐうっ、ふっ、うわああああああん!!!」
蛍「せ、先輩!お、落ち着いてください」
夏海(よかった……よかったよ……)
夏海「うわああああああん」
夏海「」スンッスンッ
蛍「落ち着きました?」
夏海「ああ、だいぶん」スンスン
夏海(やばい、のどへんになっちゃった)グシュッグシュッ
夏海「ほた、ほたるん」グスッ
蛍「は、はい?」
夏海「あ……グスン……ありが、とう……スン……たい、スンたい……せ、つに……スン……するね」グスッ
蛍「……はい!」ニコッ
夏海「!」ドキッ
夏海(っていうか、今気付いたけど、ほたるんうちのこと抱きしめて)///
夏海「あの、ほたるん、その、この体制はずかしっ」
蛍「嫌ですか?」ニコッ
夏海「い、いやじゃない……けど……」
蛍「ふふ」ギュッ
蛍「先輩の甘えんぼさん♪」ボソッ
夏海「」カーッ/////////
蛍「先輩、可愛い」
夏海「」ボンッ///////////////////////////////////////////////////////////
こうして、先輩と私の立ち位置が決まりました。
それから1ヶ月経って、二人でいるときの呼び名が「なっちゃん」「ほたる」になりました。
2ヶ月経って、二人だけで色々なところに行ってみたりしました。
5ヶ月経ってキスをしました。
7ヶ月経って大人なキスをして、11ヶ月も経つともっと大人なことをしました。
1年の記念日には二人でささやかなお祝いをしました。
たまに喧嘩をしたりもしましたが、別れようとは一度も思いませんでした。
そうやって、ゆっくりと、順調に、二人の愛は深まっていって、
そろそろ次のステップに行きたいな、と、私が(きっとなっちゃんも)そう思っているだろう一年と半年が経ったとき……
学校
小鞠「ねえ、蛍」
蛍「はい、なんですか?」
小鞠「えっと、その、私と付き合ってみない?」
蛍「……えっと、その、どこかに行こうってお誘いですか?」
小鞠「そ、そうじゃないよ。あ、あの……恋愛的な意味で……」
蛍「…………そ、そう言われましても」
小鞠「……わかった」
蛍「え?」
小鞠「」スーハー
小鞠「蛍さん!」
蛍「は、はい!?」
小鞠「う、うちと!ちゅきあってください!」///
蛍「……先輩、その、ごめんなさい」
小鞠「へ……」
蛍「私、好きな人がいるんです」
小鞠「そっ……か……」
小鞠「蛍、前から、恋してる目、してたもんね……」ジワッ
蛍「ごめんなさい……ごめんなさい、先輩」
小鞠「そ……んな、謝らないでよ」ポロ
小鞠「蛍は、なん、にも、悪くないよ……誰も、悪くないの」ポロポロ
小鞠「う、ううっううううっ、うわああああああん」ビエーン
蛍「…………」ギュッ
小鞠「や、やめて、やめてよ」パシッ
蛍「先輩……」
小鞠「これ以上、蛍のこと好きになっちゃったら、私、どうにかなっちゃうよ。だから、私に、蛍を諦めさせて。私に、大人な対応させてよ」
蛍「……わかりました」スッ
小鞠「グスッ……じゃあね……また明日!」ニゴッ
蛍「はい、また明日」
小鞠「」ガラッダッ
蛍「……」
夏海「ほたるー、さっき姉ちゃん泣きながら廊下走ってって、床抜けて落ちてたんだけど……なんかあったん?」
蛍「……なっちゃん」
夏海「?」
蛍「私、小鞠先輩に告白されちゃった」
夏海「う、うえええ!?」
蛍「で、断った」
夏海「ええええええ!!」
蛍「……何をそんなに驚いているの?」
夏海「えっ?あっ、いや、その……」
蛍「もう、私を信用してなかったの?」スッ
夏海「……」
蛍「なっちゃんたら、ひどいな」ギュッ
夏海「だっ、だって……」///
蛍「私が好きなのは、なっちゃんだけだよ」チュッ
夏海「ほ、ほたる!こ、ここここ、ここは学校!」
蛍「わかってるよ、だから」
蛍「続きは、私の家で、ね」ボソッ
夏海「~」カーッ/////////
夏海「」フーッ
蛍「どうしたの?なっちゃん?まだ足りない?」
夏海「いや、もうギブです」
夏海「……こうしてられんのも、いつまでかな、ってさ」
蛍「……そうだね。なっちゃんも後1年半で卒業だし」
夏海「う、うちは近くの高校行くよ!このみちゃんみたいに!」
蛍「それでも、私が急に転校するかもしれないし」
夏海「……うん。それを考えてたんだ」
蛍「……」
夏海「……」
蛍「……まあ、でも、今のところはそんな話、お父さんからそんな話聞いたことないし、それに」
夏海「ん?」
蛍「今すぐは厳しいかもしれないけど、高校入ったら、なっちゃんついてきてくれるでしょ?」
夏海「う、あう……」//////
蛍「私が高校生になったら、越谷家で暮らすってのもありだよね」
夏海「そ、それはダメ!」
蛍「なんで?」
夏海「ほたる……わざとやってるでしょ」
蛍「え?……なにが?」ニコニコ
夏海「ああんっ!もうっ!寝るっ!おやすみ!」
蛍「ふふふ」
れんげ「にゃんぱすー」
小鞠「おはよ、れんげ」ドヨン
れんげ「こまちゃん、元気ないのん。どしたん?」
小鞠「ああ、ちょっと、ね……」
れんげ「ふーん?ところで、なっつんは?」
小鞠「夏海は蛍のところに泊まってるってさ」
れんげ「……こまちゃんはにぶいのん」
小鞠「へ?」
蛍「遅れてすみませーん」タッ
夏海「はあはあ」タッ
小鞠「おはよう、蛍」キリッ
れんげ「おはようなん」
蛍「ごめんなさい、実は……」
れんげ「大丈夫。ほたるんが謝ることないのん。なっつんが寝坊するのはいつものことなん」
夏海「ひどいなー、れんちょん」
小鞠「違うっていうの?」
夏海「いや、確かに今日寝坊したのうちだけど、そもそもは昨日ほたるんがハッスルしすぎたモガ」
蛍「さ、さあ、みなさん、バスが来ましたよ~」アセアセ
小鞠「え?今夏海何か言い掛けて「ゲーム!ゲームですよ!先輩!あ、あははは」
夏海「そ、そうそう、ついつい夜更かししちゃってさ。うん」
小鞠「へえ……いいな。私もやりたい」
蛍「なんなら、今日、家に来ますか?」ニコッ
夏海小鞠「「えっ!?」」
小鞠「で、でもおばさんに悪いし」
蛍「大丈夫ですよ、今日、家、親いないんです」
夏海「ちょっ、ちょっ、ほたるん!?」
小鞠「」///
夏海「わ、わかった!うちも!うちも行く!」
小鞠「ええー、夏海昨日散々遊んだんでしょ?」
夏海「大人数で遊んだほうが楽しいんだよ!なっ、なっ、れんちょんも行くよな?」
れんげ「今日は具に芸を仕込む予定だったけど、そこまで必死に呼ばれたら行くしかないですな」
小鞠(ふ、ふたりきりが~)シクシク
そんなこんなで、ちっちゃくてかわいい先輩と、個性的な後輩。そして、やきもちやきな彼女さんとの日常は毎日楽しく過ぎていきます。
正直、これからのことはわかりません。けれど、この二人の絆は永遠だと思うから、私はこの毎日の中に心配や不安はないです。
「のんのんびより」なのです。
夏海「……あのさ、ほたる……なんかいい感じに落としたように見せたいみたいだけど、タイトルとのつながり無理矢理じゃね?」
蛍「そう?」
夏海「あと、これ、心配ないのほたるだけだから。姉ちゃんに寝取られるんじゃないかってこっちは毎日怯えてるから。『あるあるびより』だから」
>>18から分岐
蛍「……先輩、その、ごめんなさい」
小鞠「へ……」
蛍「私、好きな人がいるんです」
小鞠「そっ……か……」
小鞠「蛍、前から、恋してる目、してたもんね……」ジワッ
蛍「ごめんなさい……ごめんなさい、先輩」
小鞠「そ……んな、謝らないでよ」ポロ
小鞠「蛍が悪いわけじゃないんだしさ」ポロポロ
小鞠「その、よかったらなんだけど、蛍の好きな人、教えて」ポロポロ
蛍「えっ」
小鞠「私、蛍の恋、応援したい」ニゴッ
蛍「…………わかりました。私、実は」
蛍「…………夏海先輩と付き合っているんです」
小鞠「嘘…………」
小鞠「いつから!!?」
蛍「い、一年半くらい前からです」ビクッ
小鞠「一年半前……」
蛍(いつになく先輩が怖い……)
小鞠「ほ、蛍から告白したんだよね?」ズイッ
蛍「い、いえ、夏海先輩からです」
小鞠「…………………………」
小鞠「蛍」
蛍「は、はい」
小鞠「今すぐ、別れて」
蛍「え…………」
小鞠「夏海と、今すぐ別れて!」
蛍「そ、そんな……」
小鞠「私と付き合えとは言わない……とにかく、何も言わず、夏海と別れて!」
蛍「それは……どういう……」
夏海「おーい、ほたるー、っと姉ちゃん一緒に帰ろうぜ」
蛍「夏海せんぱ」
小鞠「夏海!」
夏海「な、なんだよ姉ちゃん……」
小鞠「あんた、何考えてんの!蛍を騙して!」
夏海「へ……?」
蛍「……騙す?」
小鞠「そう、蛍は騙されているんだよ!」
夏海「何を言ってんだよ。姉ちゃん」
小鞠「とぼけんな!うちにはもうわかってるのん!!」
蛍「先輩、落ち着いてください」
小鞠「だって、夏海は、夏海は……」ギリッ
小鞠「…………」ポロポロ
蛍「先輩…………話してください」
小鞠「…………」ポロポロ
夏海「……姉ちゃん」
小鞠「…………蛍」ポロポロ
蛍「はい」
小鞠「私は、蛍のことが好き。だから、グスッ、蛍を傷つけるような話したくない……
この話を聞いたら、蛍、絶対にショックを受けると思う……それでも、聞く?」
蛍「………………はい」
小鞠「一年半前、夏海、突然変ににやけるようになってさ。その日、蛍もおかしくて
……今思えば、あの日から、二人は付き合っていたんだろうね」
小鞠「そのとき、私、ほんとは夏海が楽しそうにしてるのみて、よかった、って思ったんだ。
だって、夏海、家だと一週間くらいずっと落ち込んでたんだもん」
小鞠「お兄ちゃんと、このみちゃんが付き合っているって聞いてから、ずっと落ち込んでたんだもん」
蛍「それって…………」
小鞠「夏海、蛍のこと、お兄ちゃんの替わりにしたでしょ」
夏海「…………」
小鞠「お兄ちゃんのこと諦めたくて、誰でもいいから付き合いたいって思って、
それで、それであんたは一番身近な蛍を選んだんだ!」
蛍「………………ほ、本当なの? なっちゃん?」ウルウル
夏海「…………や」
夏海「やだなあ~、そんなわけないじゃん。うちはほたるのことラブだよ? L、O、V、Eって書いてLOVEだよ~」
蛍「嘘…………」
夏海「えー、なになに? ほたる、うちのこと疑ってんの? うわー、夏海ちゃん傷ついちゃうな~」
蛍「なっちゃん」
夏海「…………はい」
蛍「誤魔化さないで。一年半も付き合ってんだから、そんなのすぐわかっちゃうよ」
夏海「誤魔化すっていうか、あの、その……」
夏海「すんませんしたぁっ!!」ドゲザァ
蛍「…………」
夏海「いや、あのね、姉ちゃんあんな風に言ってたけどね、別に兄ちゃんの替わりとかそういうわけじゃなくて、
ほたるのこと前から可愛いって思ってて……」
蛍「もう、いいです」
夏海「ほ、ほたる?」
蛍「もう……いいです」
夏海「…………許してくれる?」
蛍「……………………」
夏海「うちはずっと、ほたるのことだけが大好き……いや、愛してる!」
蛍「なっちゃん……」
夏海「ほたる……」
蛍「ごめんなさい……もう……あなたのこと……夏海先輩のこと、信じられない」ダッ
夏海「ほたる!」
小鞠「蛍!」
蛍「」ピシャッ
蛍「う、う、う」
蛍「うええええええん」
れんげ「修羅場なのんな」
蛍「う、うわあ、れんちゃん!」
蛍「い、いつから?」
れんげ「実はうちなっつんと一緒にいたん。けど、なっつん二人が話してるの見て、うちにここで待つように言って慌てて入ってったん」
蛍「そう……なんだ」
れんげ「ほたるん、大変なのんな」ギュッ
蛍「れんちゃん……うっ、うっ、ううう」
れんげ「ほたるさん、落ち着きました?」ナデナデ
蛍「うん、あ、ありがとう、れんちゃん」///
蛍「で、でもその、頭撫でるのはちょっと恥ずかしいからやめてもらえるかな?」///
れんげ「わかったん」スッ
蛍「……ありがとう、れんちゃん」
れんげ「……ほたるんは、なっつんのこと嫌いになったん? 許せないん?」
蛍「……嫌いになったわけじゃないよ。許せないわけでもない。……ただ、ね、夏海先輩のこと信じられなくなっちゃった」
蛍「ううん、夏海先輩だけじゃない。夏海先輩からのものだけじゃない、好きとか、愛とか、その他諸々、全部信じられなくなっちゃった」
れんげ「……そんな、そんな淋しいこと言わないでほしいのん」
蛍「……れんちゃん」
れんげ「うち、ほたるんのこと好き! なっつんも、こまちゃんも、駄菓子屋も、ねえねえも、にいにいも、
ひかねえも、ほのかちんも、みんな、みんな大好き! だから、そんな風に言わないでほしいのん」
蛍「…………ふふ」
蛍「そうだね、れんちゃん、ごめん」
れんげ「むー」
蛍「?」
れんげ「顔を見ればわかるん。まだ納得がいってないようですな」
蛍「……ごめんね」
れんげ「謝らなくていいのん。いつか、時間がほたるんを癒してくれるん。それまでうちも一緒にいてあげるのん」
蛍「ありがとう、ありがとう、れんちゃん」ウルウル
蛍「……一つ、約束させてもらっていいかな?」
れんげ「なんの約束かにもよりますな」
蛍「……れんちゃんは、私達みたいにならないでね」
れんげ「…………」
蛍「ずるい人にならないで。嘘を吐く人にならないで。不必要に疑う人にならないで。人を許せる人になって。それから」
れんげ「一つだけって言ったのに、ほたるんわがままなのんな」
蛍「ご、ごめ「でも、いいのん」
蛍「れんちゃん……」
れんげ「ほたるんを治すうちがほたるんになったら本末転倒なのんな。わかったん」
れんげ「とりあえず、今日はみんなで帰るのん」ガラッ
蛍「えっ」
れんげ「なっつん!こまちゃん!早く帰るんー!」
夏海「…………」ズーン
小鞠「…………ごめん、れんげ、一人にさせてくんない?」ズーン
れんげ「今も二人なんだから問題ないでしょう」
小鞠「いや、廊下に二人がいたから私も夏海も出れなかったんだけど……」
れんげ「うーん……でも、二人とも、バス二時間待つのん?」
小鞠「…………」
夏海「…………帰ろう、姉ちゃん」
小鞠「えっ!?」
夏海「ほたるん…………いいよね?」
蛍「…………」
れんげ「ほたるん!」
蛍「…………ええ。みんなで帰りましょう」
蛍「いつもみたいに」
そうして、この日はいつものように帰りました。れんちゃんのおかげで帰れました。
けれど、やっぱり一旦こじれてしまったものは元には戻れません。いつもみたいには、行きません。
四人で遊んだり、お出かけに行くことはありましたが、れんちゃん以外とは二人で遊ぶことがなくなってしまいました。
後、夏海先輩はとっても勉強するようになって、東京の高校へ行きました。……私とお兄さんから離れたかったのでしょうか?
小鞠先輩も東京の高校に行きました。都会の大人に憧れたのかもしれませんね。
二人とも、高校へ行ってからは一度も連絡を取ってません。おばさんから、今も生きてはいるということしか聞いてません。
れんちゃんは、このみさんと同じ高校を出た後は、駄菓子屋さんで働かせてもらってます。実家の農業とどちらにしようか悩んでいましたが、ひかげさんが出戻りして、
楓さんがひかげさんを引き取るのを拒否したため決まりました。
私はこの辺の高校、大学を出て、会社勤めをしていたのですが、一穂先生が「疲れた。誰か替わって」とおっしゃったので、先生になることにしました。
幸い、大学で教員免許を取っていたので、ちょっと研修を受けるだけで済みました。
そんなこんなで色々ありながら、二十年が過ぎました。
蛍「ふう、ただいま」
れんげ「お帰り」ピコピコ
蛍「れんちゃん、来てたんだ」
れんげ「嫌だった?」オレニイキルジッカンヲクレ
蛍「ううん、嬉しい。ありがとう」
蛍「……………………」
蛍「…………ねえ、れんちゃん」
れんげ「なんなん?」センソウハカワリニカワッタ
蛍「れんちゃん、結婚とかしないの? 来年三十でしょ?」
れんげ「……ほたるん……ブーメランって知ってる?」ハイダラー
蛍「私は、そういうの諦めてるから。で、れんちゃんは結婚する気あるの?」
れんげ「……一姉ちゃんがたまにお見合い写真持ってきてくれるけど……正直うち、結婚とかよくわからない。
ひか姉ちゃんみたいに離婚するかもしれないし、ちょっと怖いん。
それよりもこうして、ほたるんと毎日遊んで幸せに暮らして生きたい」ダーイダーイダーイダーイダーイ
蛍「そんな子どもみたいな……」
れんげ「うち、子どもでいいん」オジイチャンオジイチャン
れんげ「このまま、ずっとほたるんと一緒にいたいん。一緒に遊んで、一緒に泣いて、一緒に笑っていたいのん」ヒジョウジタイガハッセイシタ!イマスグデンゲンヲキレ!
蛍「れんちゃん……」ジーン
蛍「って、ん?」
蛍「……まさかとは思うけど、れんちゃん、私のこと好き? その、恋愛的な意味で……」
れんげ「? ……うーん。ほたるんのことは好きだけど、恋愛とかよくわからない……」キミハイツマデssヲヨンデイルンダ。ホカニスルコトハナイノカネ。マッタク
蛍「わからないって……」
蛍(本当に、子どもみたい……ちょっと、試してみようかな)
蛍「ねえ、れんちゃん、これ見て」
れんげ「? なんなん?」クルッ
蛍「」チュッ
れんげ「!!!!!」
れんげ「ほ、ほほほほほほたるん!!!!!?????」/////////
蛍「どう?」
れんげ「うえっ?」
蛍「どう?」
れんげ「ど、どうって…………」///
れんげ「なんというか……その、嬉しかったん、幸せーって感じだったん」///
蛍「…………」
れんげ「で、でも! うちほたるんのこと好きにならない! ほたるんのこと裏ぎらないん! だから、だから……」
蛍「」クスリ
れんげ「……ほたるん?」
蛍「もう、私がいつまでも、引きずってると思ってたの?」
れんげ「えっ」
蛍「ふふふ」
れんげ「な、なんで何にも言ってくれないん!」
蛍「そんな、『私、人のことが信じられるようになったよ』なんて報告変でしょ?」
れんげ「そうかもしれないけど……」
蛍「というわけで、これからは恋人としてよろしくね、れんちゃん」
れんげ「え?」
蛍「え?」
れんげ「こ、恋? これ、恋なん?」
蛍「うん、たぶん、っていうか絶対」
れんげ「うーん……よくわかんないけど、まあ、ほたるんがそういうんならそうなんでしょうな……」
れんげ「恋かあ……具体的にはうちらなにするん?」
蛍「そこらへんは心配しないで。れんちゃんには手取り足取り教えてあげるから」
れんげ「お、お手やわらかによろしく……」
蛍「うふふふふふふ」
その夜
蛍「れんちゃん、寝た?」
れんげ「zzz」
蛍「…………初めてなのに、やりすぎちゃったかな…………ははは」
蛍「…………ホントはね、私、まだちょっと怖い。れんちゃん前に、時間が癒してくれる、とか言っていたけれど、
正直、私、あれからなんにも変わってない」
蛍「人を好きになるのが怖い。裏切られるのが怖い。騙されているんじゃないかって、不安で仕方ない」
蛍「でも、れんちゃんの純粋な、混じりっ気ない、好きって気持ちなら、私、信じられる」
蛍「ううん、私、れんちゃんのこと信じたい」
蛍「今はこうして寝てる間にしか言えないけど、でも、いつか言うから『人のことが信じられるようになった』って、言うから、だから」
蛍「これから、よろしくね! れんちゃん」
れんげ「zzz」
蛍「私もこのままじゃダメだよね……今度、夏海先輩や小鞠先輩と連絡とってみようかな」
蛍「そして、また、四人で……」
れんげ「zzz」
蛍「」スースー
れんげ「zzz」
蛍「」スースー
れんげ「zzz……」
蛍「」スースー
れんげ「」ムクリ
蛍「」スースー
れんげ「…………」
蛍「」スースー
れんげ(転校してきたほたるんに一目惚れして、二十二年。長い時間かけてようやくここまでこれたのん)
れんげ(ほたるん、最初こまちゃんのこと、好きみたいで、その後はなっつんと付き合い始めて……
全然うちのこと見てくれなかったけど、でも、諦めないでずっと隣にいてよかったん)
れんげ(でも、これからどうしよう? ほたるん、なっつんやこまちゃんと連絡とりたいって言ってたけど……
そうなるとほたるんへの二人からの手紙を燃やしてたのがバレるん……)
れんげ(いや、でもあえて二人にうちらの仲を見せ付けべきかもしれないのんな。もう毎月手紙を燃やすのもめんどくさいん)
蛍「」スースー
れんげ「…………」
れんげ(まあ、とりあえず、これからのことはこれから考えることにして)
れんげ(今は隣で寝ることにするのん)
今度は>>41から分岐
蛍「……一つ、約束させてもらっていいかな?」
れんげ「なんの約束かにもよりますな」
蛍「……れんちゃんは、私達みたいにならないでね」
れんげ「…………」
蛍「ずるい人にならないで。嘘を吐く人にならないで。不必要に疑う人にならないで。人を許せる人になって。それから」
れんげ「一つだけって言ったのに、ほたるんわがままなのんな」
蛍「ご、ごめ「でも、いいのん」
蛍「れんちゃん……」
れんげ「うち、ほたるんの言う通り、ちゃんとするのん。というわけで、ほたるん」
れんげ「歯、食い縛るのん」
蛍「え?」
れんげ「」パシーン
蛍「いたっ!?痛いよ!」
れんげ「そりゃ、うちの本気の平手打ちですからな。痛くしてるんだからそりゃ痛いに決まってるん」
蛍「人をいきなり叩かないの! メッだよ! メッ!」
れんげ「ご、ごめんなさいなん……」
れんげ「うち、ほたるんに目覚ましてほしかったんよ」
蛍「えっ?」
れんげ「ほたるん、間違ってるん! ほたるんきっと、まだなっつんのこと大好きなのん!
だから、後できっと後悔するん! ちゃんと、なっつんと話すべきなのん」
蛍「そんなこと言われても……」
れんげ「……ほたるん、なっつんのこと信じられないって言ってたけど、なんでなのん?」
蛍「な、なんでって……」
れんげ「ほたるんはなっつんがにいにいのこと好きだったことも、にいにいの替わりにされたことも、
そんなに怒ってないのん。何か、別の理由があるんでしょう?」
蛍「…………」
れんげ「そのことをそのままにしていたら、ダメなん! ちゃんと、なっつんと話してくるん!」
蛍「……わかったよ、れんちゃん」
れんげ「ほたるん……」
蛍「ちゃんと、夏海先輩と話してくる」
れんげ「わかってくれたのんな」
蛍「れんちゃん、ありがとう」
れんげ「え……?」
蛍「さっきのビンタ利いたよ」
れんげ「こっちこそ、ごめんなん」
蛍「じゃあ、行ってくるね」ガラ
れんげ「行ってらっしゃいん」
蛍「」ニコッピシャ
れんげ「……うちは正しいことをしたのん」
れんげ「今のうちにはほたるんの力になれないん。なっつんといるのが一番ほたるんが幸せになる道なん」ジワリ
れんげ「だから、これで、よかったん……うちは今正しいことをしたのん……だから……だから……」ポロポロ
蛍「」ピシャ
夏海「ほたる……」
蛍「夏海先輩、あの……」
夏海「なんか、話あるんでしょ……廊下から、聞こえてた」
蛍「……はい」
小鞠「じゃあ……私、れんげと一緒に帰ってるね」
小鞠「…………あの、夏海」
夏海「もうこれ以上、謝らないでよ、姉ちゃん……うちが悪かったんだ」
小鞠「…………わかった。じゃあ、私が言うのも変かもだけど……がんばって」
夏海「…………ありがとう」
小鞠「」ガラッピシャ
蛍「…………」
夏海「…………ほたる、話って、何?」
蛍「…………………私、その……なっちゃんの話を聞いたとき……実はそんなに、ショックじゃなかった」
蛍「ああ、やっぱり……って思った」
夏海「…………」
蛍「私、なっちゃんがお兄さんを好きなんじゃないかって、本当は男の人が好きなんじゃないかって……疑ってた。
私を好きって言ってくれるのは今だけだって、思ってた」
夏海「ほたる、私は……」
蛍「今は私のことが好きだ、とか言いたいんでしょう。でも、もう無理。だってそれは『今』なんだもん」
夏海「それは違うよ!」
蛍「え?」
夏海「ほたるは勘違いしてる。私はずっとほたるのことが好きだったんだ」
蛍「えっ、それじゃ……さっきの土下座は……」
夏海「と、とりあえず謝ろうと思って……」
蛍「…………」
夏海「ほ、ほんとだよ! ……隠せるなら、隠し通しておきたかったから……」
蛍「…………」
夏海「……ごめん、ほたる、うちも言わなきゃいけないことがある」
夏海「うちは兄ちゃんのことが好きだった、姉ちゃんのことも好きだった……
そして、それ以上にほたるのことが大好きだったんだ」
夏海「兄ちゃんがこのみちゃんと付き合い始めて、うちや姉ちゃんとあまり遊ばなくなって……
うち、兄ちゃんがこのみちゃんに盗られたような気がした」
夏海「いや、置いてかれたような気がしたんだ。二人だけの世界に入っちゃって……
うちのことを見てくれなくて、寂しかったんだ」
夏海「……で、思った。うち、もうあんな思いしたくない。もし、ほたるが姉ちゃんと付き合ったら、
また、うち置いてかれるかと思って……」
夏海「だから……姉ちゃんが告白する前に、姉ちゃんが自分の恋心に気付く前に……
うちがほたると付き合っちゃえばいいんだって、そう、思ったんだ」
蛍「………………え?」
夏海「ほたる、鈍いよね……まあ、姉ちゃんも自分で気付いてなかったし、しょうがないかな。この場合」
夏海「姉ちゃんはほたるのことが好きだった……うちはそのことに気付いていて、
それで、姉ちゃんが自分の恋心に気付く前に、ほたるに告白したんだ」
夏海「うち、バカだからさ。ほたると付き合えて、姉ちゃんもうちから離れないし、一石二鳥じゃんとか思ってさ……ホント最低」
夏海「……しばらくは嬉しかったけど……段々辛くなってった」
夏海「幸せだって思えば思うほど……これでよかったのかなって……ほたるのことも、姉ちゃんのことも騙して……」ジワ
夏海「ごめん……ほたる……い、今まで、黙ってて……ごめんなさい……ズルいって、
わかってたけど……それでも、好かれたかったのん……嫌われたくなかったのん」ポロポロ
夏海「ごめんなさい……ごめんなさいぃ」ポロポロ
蛍「…………なっちゃん、ごめんね……私、それでもなっちゃんのこと信じられない」
夏海「うう……」グス
蛍「もう、信じられないよ……私、私のこと信じられないよ……」
夏海「え……」グス
蛍「私は、元々は小鞠先輩が好きだった。で、『今』はなっちゃん……付き合い始めて、たった一週間とかで、私、違う人好きになっちゃったんだよ」
蛍「私、ずっと不安だった。私自身、すぐに別の人のこと好きになったから、なっちゃんが私じゃない誰かを好きになるんじゃないかって。素敵な男の人が現れたら、
ぽいっと私のことなんか捨てちゃって、その人の所に行っちゃうんじゃないかって、ずっと……ずっと不安だった」
蛍「そして、それ以上に、私がそうしてしまうんじゃないかって、不安だった。またコロッと別の人好きになっちゃうんじゃないかって不安だった」
夏海「ほたる…………」
蛍「もう、もうやめようよ。もう……私ダメなんだよ………………」
蛍「気付いちゃったの……私、なっちゃんのことも、私自身のことも全然信用してない。小鞠先輩も、れんちゃんも、お兄さんも先生も……。私、誰一人、何一つ、
信用できないそんな人間だって気付いちゃったの!」ポロポロ
蛍「どうしてなっちゃんとこういう関係になったか、今までわかってなかったけど……今わかった。私、なっちゃんをからかって、
なっちゃんが本当に私のこと好きかどうかを確かめてたんだよ! それで、なっちゃんの興味をこっちに引いてたの。他の人好きにならないように。
……まったく信じてないくせに、なっちゃんに私のこと好きでいて欲しかったの……」ポロポロ
蛍「……別れよう、なっちゃん。私、これから先ずっとなっちゃんのこと疑っちゃう。それに、他の人好きになっちゃうかもしれない。だから、だから……」ポロポロ
夏海「……だから、なんだよ」ボソッ
蛍「え?」ポロポロ
夏海「ほたる、『今』はうちのこと好きって言ってくれたよね」
蛍「う……うん」
夏海「じゃあ、いいじゃん! うちは今ほたるのこと好きで、ほたるは今うちのこと好きで、それでいいじゃん! これから先どうなったって、今幸せで、それでいいじゃん!」
蛍「で……でも、私は誰も信用できなくって……」
夏海「信じなくたって、いいよ」
蛍「え……」
夏海「実はうちも、ほたるのことずっと疑ってた! うちのこと好きって言ってくれたけど……本当はまだ姉ちゃんのこと好きなんじゃないかって、ずっと疑ってた!
ほたるがうちのことからかっているときも、うちのこと気にしてくれてるんだって、ほんとは嬉しかった!」
夏海「いいじゃん! ちょっと変だけど、お互いに疑い合いながらずっと一緒に、いや、今だけいようよ!」
蛍「い、今だけ?」
夏海「そりゃあ、ずっと一緒がいいけど……と、とりあえず、ほたるやうちに他に好きな人ができるまで、ね? それでいいでしょ?」
蛍「そ、そんな軽く……」
夏海「いいじゃん! いいじゃん! お互いに好きな間は付き合って、好きじゃなくなったら別れて、それでいいじゃん! 」
蛍「ええ…………」
夏海「少なくとも、これから先、なんて不確かなものでほたると絶対に別れたくない! だから、その時になったら、別れよう!
その時が来るまでは今までどおりにいよう!」
蛍「…………くっ」
夏海「?」
蛍「うっ、くっ、ふふふふ、あはははははは」
夏海「ちょっと……ほたるー? ほたるさーん?」
蛍「ご、ごめっ、なんかっ、おかしくなっ、ちゃっ、って……くふふ」
蛍「はあはあ、……ふう、わ、わかった。じゃあ、まだ付き合ってようか」
夏海「うん! 二人で帰ろう」
バス亭
蛍「意外と長い間話してたみたいだね」
夏海「まさか、普段の次の次のバスを待つことになるとは……ああ、また母ちゃんに怒られる~!」
蛍「ふふ」
蛍(なんだか私、変に悩んでバカみたい)
蛍(……………………あれ? でも待って……確かなっちゃん『ほたるかうちに』って言って……)
蛍(もしかしてもう他にいて、私は、キープ!?)
蛍(ま、まさかね……は、はは…………)
夏海「……」
夏海(母ちゃんって言ってからほたるが何も言わなくなった……)
夏海(もしかして、ほたる、母ちゃんのことを!?)
夏海(ま、まさかね……は、はは…………)
その夜
一条家
蛍「あ、あの、もしもし、駄菓子屋さんですか? はい、その、小型カメラって取り扱ってますか?
あ、取り寄せればある、はい、はい、あ、じゃあ、お願いします。ありがとうございます」
越谷家
雪子「あんた、今何時だと思ってんの!」
夏海「うるさいなー、バス二本のがしたんだよ」
雪子「うるさいって、あんた、親に向かって、なんて口の聞き方」
夏海「そんなことより、母ちゃん」
雪子(なにかしら、今日は何だか様子が違う)ハラハラ
夏海「最近、ほたるんに会った」ギロリ
雪子「ひ、一月くらい会ってないわ」ビクッ
夏海「…………そう」
夏海「」スタスタ
雪子「…………」
雪子「反抗期……かしら?」
翌朝
蛍「おはよう、れんちゃん」
れんげ「にゃんぱすー」
れんげ「……それで、なっつんとは仲直りしたん?」
蛍「うん、私が信じられないって言ったら、じゃあ、信じないまま付き合おうって、どっちかに他に好きな人ができるまで付き合おうってことになったんだ」
れんげ「…………それ、仲直りしたって言えるのん?」
蛍「大丈夫。なっちゃんが他に好きな人ができないように、ずっと監視すればいいだけだから」ニコッ
れんげ「…………」
???「ほたる、れんちょんと1レスの間、ずっと二人だけで話してる」ブツブツ
れんげ「? 今なんか声がしたような」
小鞠「おはよう」
蛍「おはようございます」
れんげ「にゃんぱすー」
小鞠「あれ? 夏海は? 先に行ってたはずなんだけど……」
夏海「おはよう、みんなー」ガサリ
小鞠「えっ、ちょっと、あんたどこから出てきてんのよ」
夏海「いやー近道しようと思ったんだけどね。姉ちゃんより遅くなったってことは失敗だったのかな?」
れんげ「………………」
夏海「じゃあ、行こうぜ。ほたる」
蛍「うん、なっちゃん」
夏海蛍「えへへ」イチャイチャ
れんげ「………………」
小鞠「ねえねえ、れんげ、聞いた? 二人のこと」
れんげ「ああ、他に好きな人ができるまではとりあえず、付き合おうってなったそうなんな……」
小鞠「そうそう、これってつまりさ、私にもまだチャンスがあるってことだよね!?」
れんげ「……どうでしょうな。むしろうち達には入る余地がなくなったように見えますがな」
小鞠「? うち『達』? れんげ、それってどういう……」
れんげ「あ、バス来たのん」ダッ
小鞠「本当だ! 急がないと! すいませーん! 待ってくださーい!」ダッ
夏海「うふふ」イチャ
蛍「えへへ」イチャ
れんげ小鞠「」イラッ
小鞠「あ、すいません、運転手さん。もう行っちゃっていいです。私達二人だけでいいです」
れんげ「あんなバカップル、ほっといていっちゃいましょう!」
夏海蛍「ま、待って!」
そんなこんなで私達はまだまだ付き合っていくみたいです。
これから先の不安や心配事はいっぱい、いーっぱいあって、全然尽きないけど、でも、今はお互いに好きだから、これでいいんだと思います。
夏海「今日はこまちゃんと十三分三十七秒、れんちょんとは二十七分五十五秒会話してたな……
うーん、こまちゃんとの会話の時間が平均より四分四十九秒短い……長くなったら長くなったで困るけど短すぎるとな……
ほたる、姉ちゃんとなんかあったのかな? うーん…………」
このみ「なっちゃん、入るよ~」
夏海「げえ! こ、このみちゃん!」
このみ「げえ、って何よ、もう……また蛍ちゃんノート書いてたの?」
夏海「へ? あ、いや、その……」
このみ「こういうのやめときなって、もう……」
夏海「お、お互いに疑いあうってうち達で決めたんだからいいんだよ!」
このみ「はいはい、お姉さんとしてはもっと普通に恋愛を楽しんだほうがいいと思うけどね。じゃあね」
夏海「うん……」
夏海(何ていうか……このみちゃん、普通だな)
夏海(兄ちゃんと遊ぶの減ったような気もしたけど……彼女できた割りにはそんなに減ってないし……)
夏海(……あれ? もしかして、ほたるに急いで告白する必要なかった?)
夏海(……まあ、いっか)
蛍「なっちゃん、必死にノートつけてる、最近勉強がんばってるなー。あれ、このみさん、また来てる……お義兄さんの彼女のはずなのに何でなっちゃんに……
まさか、なっちゃんに近づくためにお義兄さんの彼女に……ああ、どんな話してんだろう~。今度は盗聴器も買っておこうっと」チクチク
蛍「そうこうしてるうちに、できた! なつぐるみ七百二十四号! えへへへへへへ、いいなあ、なつぐるみいいなあ」
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、蛍達のみんなへのメッセジをどぞ
蛍「みなさん、見てくれてありがとうございます。
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
夏海「いやーありがと!
夏海ちゃんのかわいさは二十分に伝わったかな?」
このみ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいかな・・・」
子毬「見てくれありがとね!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」
れんげ「ありがとなのん!」
では、
蛍、夏海、このみ、子毬、れんげ、卓「皆さんありがとうございました!」
終
蛍、夏海、このみ、子毬、れんげ「って、なんでお兄さん(にいちゃん)(メガネくん)(お兄ちゃん)(にいにい)が!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
卓「」フウ
蛍「え? それで終わっちゃうんですか?」
卓「!」バッ
蛍「あ、お邪魔してます」ペコリ
卓「」
蛍「えっ……いつからって……最初からいましたよ?」
卓「…………」
蛍「ねえ、お兄さん、アレで終わりなんですか?」
卓「…………」ゾクリ
蛍「あんなんで終わりなんて残念だなあ……ショックだなあ……」
卓「……」
卓「」
蛍「え、まだ続きあるんですか!? やったあ! じゃあ、今すぐ書いてみてください」
卓「」ウ、ウンウン
小鞠「蛍、私と付き合って!」
蛍「夏海先輩と付き合ってましたがやっぱこまちゃん先輩の方が可愛いです。私と付き合いましょう!」
夏海「やー、やっぱこまちゃんには適わないな~、二人ともお幸せにー」
私とこまちゃん先輩は末永く幸せに暮らしました!今回はここまで!
蛍「…………なんだか文量少なくありません?」
卓「」ウウン
蛍「うーん、まあいいや。これありがたくいただきますね! お兄さん」
卓「」ウ、ウン
蛍「わあい、やったあ。先輩と私のssだあ! じゃあ、また書いたら私に読ませてくださいね。それじゃあ」ガラ
卓「…………」
_,r=ミv
⌒≫=r宀=-ミ . -‐‐-ミ
_彡'´ . : :'ー=≦´: :> / /⌒:::::.`ヽ
`'7 . : ∧: }: :ト、} : :八_ / /.:::/.:::/∧::::::.
{ミ nム: {V ⌒ `´ ⌒jイ:〈/'彡__ __ i ≧彡'彡 /⌒j::: i
`ヽ ノ\:{ x=ミ x=ミj/7´ /ニニニ二\ {::::{乍:T彡乍丁:::|
\ 八 ┌‐ ┐ ノ / =ニニニニニニニ\ 〃ニニニニニニニニニヾ:::〉ゞ゚' ゞム::::l
ノ\ >r─< イ 'ニニニニニニニニニニ\ rー┐ ゝニニニニニニニニニニノ::::ゝ. 、 , イ.::/
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ゝ. __| |_,》{=ニニ/ _____ ______,|ニニ|ニニニニニニニニニi 'ニニニニニニニ} 'ニニニニニニニ}ニニニニニニニニニi /ニニ/ |ニiニ|人 イ |__| ト、_〉
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ニニi iニ! /ニニ/ニニ| |ニロニ! |ニニ|ニニ|ニニロニニ厂 ̄{ニニ{ r‐┐=! r ┤ニロニニ厂 ̄ !ニニ! 《-‐-‐-‐-ー-》
ニ| |ニ /ニニ/ lニニl└─ ┘|ニニ|ニニ|,ニニニニノ '=ニ\_/ニ/=ニ\_/ニ∧=ニニニノ 'ニニ\___ `¨T TT T¨´
|ニ| |ニ| (ニニ/ ∟ニニニニニニニニ」`¨´  ̄ ̄ \ニニニ/ \ニニニ/  ̄ ̄ \ニニニニノ lー| |ーl
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AAうまくいってよかった
janeのプレビュー機能最高
乙なんなー
乙
AAは2ちゃんまてなら少し頭が……
全員真っ黒だったってことか?
また兄ちゃんの出番少なくしやがったな!
>>84
ぜ、全部兄ちゃんの妄想だから(震え声)
っていうか今気づいたけどAAだとなっつんの方がでかく見えるような……
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