おっと、逃がすかよ

兄 「って、打ち切りかよ！」

妹 「打ちきりという名のオチだって」

兄 「そんな洒落にならないオチはいらねえよ！」

妹 「え、飽きたから無理矢理オチをつけたかったんだよね？」

兄 「無理矢理なんて言った覚えはない」

妹 「……なら真面目に考えてあげるから見せてよ」

兄 「見せろって、なにを」

妹 「物語ってやつだよ、察してよいちいち面倒くさい」

兄 「……あれを人に見せるのか」

妹 「なんでもいいから早く見せてよ」

妹 「あたしの気が変わらないうちに、ね」

妹 「……」

兄 「……」

妹 「……台詞だけの物語なんだ」

兄 「ssってやつだ」

妹 「お兄様大好き！ 抱いて！」

兄 「！？」 ﾄﾞｷｯ

妹 「……こんなノリが永遠に続くんだ」 ｼﾞﾄｰ

兄 「そ、そんな目で俺を見るな……」

妹 「……素直でわかりやすいね、この妹は」

兄 「……妹？」

妹 「……なんでもない、変態」

妹 「えっと、オチを考えて欲しいんだよね」

兄 「ああ、ずっとそう言ってるだろ」

妹 「……うーん」

兄 「……いい案は思い付けそうか？ 妹」

妹 「……」zzz

兄 「寝るな！」

妹 「ごめんごめん、考え込むとつい眠くなる癖が……」 ﾌｧｧ

兄 「まったく……真面目に考えてくれよ？」

妹 「真面目に考えたらジュースでもおごってくれる？」

兄 「思い付いたオチ次第ってところだな」

妹 「……ん、じゃあこんなオチはどうかな」

兄 「……今度はまともなんだろうな」

妹 「うん、王道だけどね」





妹は、夫の兄とかわいらしい子供たちに囲まれて、
幸せに暮らしましたとさ

おしまい

兄 「なにこのオチ」

妹 「お兄ちゃんは難しく考え過ぎなの」

妹 「お兄ちゃんのssに出てくる兄弟は幸せに暮らしたんだよ」

妹 「別にオチなんだし、変に拘らなくてもいいじゃんか」

兄 「オチだから、最後だからこそ、読み手をあっ、と言わせるような……」

妹 「兄弟がいちゃいちゃするだけの薄いssでなに言ってんだか」

兄 「……お前、俺になにか恨みでもあるのか？」

妹 「この前、あたしがわざわざ貯金を崩して貸してあげた2000円」

妹 「覚えてるよね？」 ﾆｺｯ

兄 「」

兄 「……そもそもだ」

兄 「兄弟が子供をもうけて幸せに暮らせると思うか？」

妹 「白雪姫は、本当に王子様と末長く幸せに暮らせたのかな？」

兄 「……まて、なぜ話が飛ぶ」
妹 「いいから」

兄 「……そりゃ、二人は相思相愛だったんだろ？」

妹 「二人の愛って、本当に愛っていえるの？」

妹 「そも、愛ってなに？」

兄 「そりゃ、この人とずっと一緒にいたいって思うことだろ？」

妹 「重いよ、だからお兄ちゃんは童貞なんだよ」

兄 「どどど童貞」
妹 「違うって、いいたいの？」

兄 「い、いや、そりゃ……」

兄 「……って、女の子が下に走るなよ、はしたない」

妹 「……あたし、お兄ちゃんの妹だよ？」 ｼﾞﾄｰ

兄 「……俺のせいか」

兄 「なら、妹は愛ってなんだと考えてるんだ？」

妹 「性欲」

兄 「！？！？」

妹 「……赤の他人同士の『愛』なんて、所詮そんなもんでしょ」

兄 「……俺が言うのもなんだが、妹よ」

兄 「……生きてて、疲れないか？」

妹 「平気だよ、だって……」

兄 「だって？」

妹 「……なんでもない」 ﾌﾟｲｯ

妹 「白雪姫にしたってそうだよ」

妹 「他人同士の愛なんて、普通は時間と共に風化しちゃう」

妹 「……愛がなくなった時、二人にはなにが残るんだろうね」

兄 「……もっと、前向きに考えてみたらどうだ？」

妹 「例えば？」

兄 「冷めることのない愛だって、あるかもしれない」

兄 「ずっと幸せに暮らしてたとも……」

妹 「知らないよ、だって物語はもう終わってるんだから」

兄 「……は？」

妹 「その後二人がどうなったかなんて、あたしが知るわけないじゃん」

妹 「まあ、幸せに暮らしたっていうからには、幸せに暮らしたのかもね」

兄 「……さっきと言ってることが違うぞ」

妹 「言ってることもなにも……」

妹 「あたしは、オチなんて、結末なんて」

妹 「そんなものはどうとでもとれるって言いたかっただけだよ」

兄 「……長々と語ってるけどさ」

兄 「要するに、これより先はご想像にお任せしますっていいたいのか？」

妹 「かもね」

兄 「……はぁ」

妹 「……参考になった？」

兄 「俺の考えてることがいかに下らないことか、再確認した」

妹 「……それ、褒めてる？」

兄 「ああ、褒めてる」 ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹 「……他人は信じられない」

妹 「けど、家族なら少しは信じられる、そういう気になれる」

妹 「……だから、お兄ちゃんのこと、なんだかんだで嫌いじゃないよ」

兄 「……なにか言ったか？」

妹 「……ッ、何でもない！」 ﾌﾟｲ

兄 「……赤くなってるな」

兄 (オチ、か)