ペリーヌ「眠れる森の美女をやってもらえませんか?」美緒「断る」 (102)

ペリーヌ「……」

美緒「……話は終わりか?」

ペリーヌ「あ、あの!! 少佐!! 何故ですか!?」

美緒「眠れる森の美女がどういった物なのか知らないし、私は美女と呼ばれるほど出来た女ではない。それが理由だ」

ペリーヌ「いえ、そのようなことは決して……あ、あ、でしたら、王子様役として……」

美緒「すまん。用事があるのでな」

ペリーヌ「あぁ……」

芳佳「リーネちゃん、あれってなに?」

リーネ「今度、ペリーヌさんが面倒を見ている子どもたちのためにガリアで演劇をするみたいなんだけど……」

芳佳「へぇー。おもしろそー! ペリーヌさーん!! 私がやりまーす!! やらせてください!!」

ペリーヌ「お断りしますわっ」

芳佳「えぇぇぇ!?」

続けろ

ヨシカチャンかわいい

リーネ「ペリーヌさん、でも坂本少佐は忙しいみたいですし、芳佳ちゃんにやってもらうのもいいんじゃないですか?」

ペリーヌ「宮藤さんはわたくしのイメージには合いませんの」

芳佳「草木の役でもいいんで、やらせてください!!」

リーネ「ペリーヌさん」

ペリーヌ「お断りです」

芳佳「……リーネちゃぁぁん」ギュッ

リーネ「芳佳ちゃん……」ナデナデ

ペリーヌ「……はぁ。宮藤さん?」

芳佳「なんですかぁ……?」

ペリーヌ「どういうお話か、知っていまして?」

芳佳「わかりませんっ!」

ペリーヌ「……こちらにいらっしゃい」

芳佳「わーい」

リーネ「よかったね、芳佳ちゃん」

食堂

ペリーヌ「簡単にあらすじを説明しますわね」

芳佳「お願いしますっ」

ペリーヌ「――とある王国に子どもを欲しがっている国王夫妻がいました。ある日、念願の女の子を授かり、祝宴に一人を除き国中の12人の魔法使いが呼ばれたのです」

芳佳「……」メモメモ

ペリーヌ「魔法使いは一人ずつ、魔法を用いたプレゼントをしましたわ。その宴の途中に、一人だけ呼ばれなかった13人目の魔法使いが来ましたの」

芳佳「どうなるんですか!?」

ペリーヌ「なんと、11人目の魔法使いが贈り物をした直後、『王女は錘が刺さって死ぬ』という呪いをかけてしまったのですわ」

芳佳「えぇぇ!?」

リーネ(芳佳ちゃん、かわいいなぁ……)

ペリーヌ「でも、まだ魔法をかけていなかった12人目の魔法使いが機転をきかせ『お姫様は錘が刺さり百年間眠りにつく』という呪いに変えましたの」

芳佳「よかったぁ。あ、でも、そんなに眠ったら瞼が開かなくなりませんか?」

ペリーヌ「黙って聞きなさい」

芳佳「すいません……」

ペリーヌ「とにかく、刺さらなければ眠らないのですから、王様は城にある刺さりそうなものを全て燃やしましたの」

芳佳「それなら安心ですね」

ペリーヌ「ええ。お姫様はすくすくと育ちましたわ。ですが、15歳の時に一人で城の中を歩いていると、城の塔で老婆が紡いでいた錘で手を刺し、眠りに落ちてしまったんですの」

芳佳「床ずれになっちゃいますよ!! なんとしないと!!」

リーネ「……」

ペリーヌ「しかも、しかもですわ。不幸は続くのです。お姫様の呪いは城中に波及し、そのうちに茨が繁茂して誰も入れなくなってしまったんですの」

芳佳「そ、そんな……」

ペリーヌ「城内へ侵入を試みた者もいましたが、鉄条網のように絡み合った茨に阻まれてしまい進入は困難になってしまいましたの。進入ができても突破は出来ずに皆、命を……」

芳佳「うっ……ぐすっ……かわいそう……」

リーネ(芳佳ちゃん、かわいい……)

ペリーヌ「そして100年後。とある国の王子様が眠り姫の噂を聞きつけ、その城を訪れました」

ペリーヌ「王子様は茨の城を突き進み、お姫様を見つけつたのです。王子様はお姫様に口付けをすると、お姫様は目を覚ましたのですわ」

芳佳「やったぁー!!」

ペリーヌ「2人はその日のうちに結婚し、幸せな生活を送りましたとさ。めでたし、めでたし。どうですか? わかりまして?」

芳佳「王子様かっこいいですね!! どんな魔法を使ってお姫様を目覚めさせたんですか!? やっぱり、治癒魔法ですか? 私みたいに、こう……」

ペリーヌ「そうですわね。強いて言うならば、愛の魔法でしょうか」ファッサァ

芳佳「あ、そうですか」

リーネ「芳佳ちゃんならお姫様役できそうだね」

芳佳「えー? できないよぉ。美女じゃないもん」

リーネ「そんなことないよぉ」

芳佳「そうかなぁ」

ペリーヌ「お姫様役は坂本少佐以外にありえませんわ!!」

芳佳「シャーリーさんはどうかな?」

リーネ「いいかも。でも、お姫様っていったらサーニャちゃんもぴったりかなぁ」

芳佳「あー!! いいー!! サーニャちゃんは眠り姫っぽいよね」

リーネ「うん」

芳佳「早速、サーニャちゃんに――」

ペリーヌ「宮藤さん? 何を勝手に盛り上がってまして?」

芳佳「え? でも……」

ペリーヌ「主役はわたくしと坂本少佐ですの!! 勝手に配役を決めないでくださいな!!! 全く!」

芳佳ちゃん太陽役で

リーネ「ペリーヌさん、坂本少佐には断られてたんじゃ……」

ペリーヌ「そ、そうですけど……少佐も物語を知ればきっと興味をもってくれて、協力もしてくれるはずですわ」

芳佳「あの、12人の魔女もどうするんですか? 私たち、11人しかいませんけど」

リーネ「みんなでやるの!?」

芳佳「え?! 違うの!?」

ペリーヌ「宮藤さん、みなさんで演劇なんてできるわけないでしょう? わたくしたちは常時戦闘待機中なのですわよ?」

芳佳「その子どもたちを基地に呼んであげれば、できるんじゃ……」

ペリーヌ「そ、その手がありましたわ……」

リーネ「芳佳ちゃん、それは簡単なことじゃないよ」

芳佳「えー? みんな喜んでくれると思うけどなぁ」

ペリーヌ「ま、まぁ、それは置いておくとして。役者は最低でも3人は欲しいですわね」

芳佳「それならリーネちゃんがお姫様かなぁ」

リーネ「え!? よ、芳佳ちゃんが王子様なら……その……」

ペリーヌ「勝手に決めないでくださいってなんど言えばわかるんですの!!!」

ふむ…席は空いているかね?

ルッキーニ「にゃはー、なにしてんのー!?」

エイラ「ペリーヌ、廊下まで声が聞こえてたゾ」

芳佳「あ、ルッキーニちゃん、エイラさんっ」

ペリーヌ「そ、それは申し訳ありませんでしたわ」

エイラ「で、王子様はエイラってことでいいのカ?」

ルッキーニ「あたしがプリンセスだ-!!」

エイラ「お前もよく寝てるもんなぁ」

ルッキーニ「でしょー? ぴったりだとおもんだよねー」

エイラ「でもなぁ、ルッキーニにキスはなぁ」

ルッキーニ「エイラ王子ぃ、チューしてぇ」

エイラ「お前から迫ってくんなよなぁ。鬱陶しい」

芳佳「決まりですね!!」

ペリーヌ「だーかーらー!!! もういいですわ……勝手にやってくださいな……ふんっ」

リーネ「あ、ペリーヌさん……拗ねないでください……。みんなで相談しましょう。ね?」

ペリーヌ「いいですわよ、もう。どうせわたくしはお姫様にはなれませんもの……」

???「では私は姉の役をやろう」

芳佳「ペリーヌさん、でもどうして題材が眠れる森の美女なんですか?」

ペリーヌ「え? それは、ガリアでは有名な童話ですもの。べ、別に不思議じゃありませんでしょ?」

リーネ「そうですね」

ルッキーニ「んー……」ギュゥゥ

エイラ「やめろぉ、こらぁ」ググッ

ペリーヌ「はぁ……。いいですこと? お姫様役は坂本少佐ですわ。どうしても無理だというなら、わたくしがお姫様で、少佐が王子様です。いいですわね」

エイラ「王子Bは私でいいのか?」

ルッキーニ「お姫様Bもありゅ?」

ペリーヌ「そんなに王族が出てきたら収集がつかなくなりますでしょ?」

エイラ「そうかぁ?」

芳佳「ペリーヌさんはお姫様役じゃないんですか? あらすじを聞いた限りだと主役はお姫様ですよね?」

ペリーヌ「ですから、少佐が適任だと言っていますの。わたくしなど、少佐の前では端役にしかなれませんもの」

エイラ「なら、木にでもなってればいいだろ」

ペリーヌ「なんですって……!?」

芳佳「王子様って感じなのは、やっぱりバルクホルンさんじゃないですか?」

ペリーヌ「バルクホルン大尉が協力してくれるわけありませんでしょう」

芳佳「うーん……」

エイラ「脚本次第じゃないのか?」

ペリーヌ「脚本といっても、童話に準えるだけですし」

リーネ「でも、演者が少ない以上、ある程度の改変は必要ですよね?」

ペリーヌ「まぁ、そうですけど」

芳佳「魔女のくだりなんて、みんなでやれば楽しそうですけど」

エイラ「魔女のくだりって?」

芳佳「えっとですね――」

リーネ「魔女を少なくするとしても、国王夫妻、お姫様、魔女、王子様の5人は必要ですよね」

ペリーヌ「一人二役にすれば、少人数でも出来ますわ」

リーネ「なるほど」

ルッキーニ「おひめさましたいぃー!! おひめさまぁー!!」ジタバタ

ペリーヌ「ルッキーニさん!! 暴れないでくださいな!!!」

シャーリー「おーい。何騒いでるんだ? バルクホルンに怒られるぞー」

リーネ「シャーリーさん。ちょっと困ったことになっていて……」

シャーリー「お、なんだ? 詳しく聞かせてくれよ」ギュッ

リーネ「むぐっ……」

芳佳「……いいなぁ」

エイラ「ペリーヌが私に王子をさせてくれなんだ。どう思う?」

ルッキーニ「シャーリーからもいってよぉ。私がお姫様だよねぇ!?」

シャーリー「あー? うーん? どうだろうな」

ペリーヌ「このように配役の注文、というか文句が多くて困っていますの。シャーリー大尉からも言ってくださいな」

シャーリー「なんのお姫様かにもよるな。シンデレラか白雪姫か……」

芳佳「眠り姫です」

シャーリー「そっちか。サーニャを呼んできたらいいんじゃない?」

エイラ「……ダナ。ルッキーニ、諦めるんダ」

ルッキーニ「えぇー!?」

リーネ「あの、一つしかない枠に複数人の候補がいるから困ってるんです」

シャーリー「それなら、枠を増やせばいいだろ? 王子様が5人いて、順番にお姫様にキスする。とかな」

エイラ「おい。サーニャの唇を安売りすんなよな」

シャーリー「それが嫌なら、サーニャじゃなくて……そうだなぁ、宮藤かリーネが適役かな」

芳佳「えぇぇ!?」

リーネ「わ、私のキスは安売りできるってことですか……」

シャーリー「ああ、いや、そういうわけじゃ……」

ペリーヌ「そうですわ。お姫様役の少佐のことも考えてくださいな」

シャーリー「少佐がお姫様なのか?」

ペリーヌ「当然ですわっ」

シャーリー「……似合わないよなぁ、宮藤ぃ?」

芳佳「え!? そんな……」

ペリーヌ「とにかく、そんなのは却下ですわ!!」

シャーリー「あははは。まぁ、言ってみただけだしね」

ペリーヌ「もう少し真面目に考えてくださいな」

芳佳「シャーリーさん、こういうことってやっぱり全員でやりたいですよね。みんなで相談して配役決めれば、納得できますし」

シャーリー「宮藤は全員でしたいのか? 無理だろー。私やハルトマンはともかく、バルクホルンや中佐が首を縦に振ってくれるとは思えないぞ」

芳佳「そうかもしれないですけどぉ……」

シャーリー「……それじゃ、そろそろ私は失礼するよ。ユニットの調整もあるしね」

リーネ「ごめんなさい。引き止めてしまって」

シャーリー「ははは。気にするなって、リーネ」

エイラ「私もいくかぁー。これじゃあ、私に王子様役はまわってこないっぽいしなぁ」

ペリーヌ「当然でしょう!?」

エイラ「サーニャと一緒にねよーっと」テテテッ

シャーリー「おいおい、エイラ。訓練も忘れるなよー」

エイラ「わかってるってー」

シャーリー「それじゃ、がんばってくれ」

ペリーヌ「はいっ」

芳佳「あの、ペリーヌさん。考えてみたんですけど、キスで目覚めるってなんだかリアリティがない感じがしませんか? ここは治癒魔法で目覚めさせるってことにしませんか?」

ペリーヌ「そんなのダメですわよ!!」

リーネ「そうだよ!! 芳佳ちゃん!!」

芳佳「あ、え? ごめん……」

格納庫

バルクホルン「演劇だと?」

エーリカ「おもしろそーじゃん」

シャーリー「だろ? 一緒にどうだ?」

バルクホルン「あのな、シャーリー?」

シャーリー「宮藤がみんなでしたいって言ってたぞぉ?」

バルクホルン「宮藤が……? い、いや。そんなことをしている暇は私たちになどない」

エーリカ「演劇の内容は決まってるのか?」

シャーリー「眠れる森の美女だってさ。王子がお姫さまにキスする、あれだ」

エーリカ「おぉー」

バルクホルン「……」

シャーリー「宮藤がお姫様役だって、いってたかなぁ……?」

バルクホルン「……行くぞ、ハルトマン」

エーリカ「はいはーい」

シャーリー「あ、こら!! まだ話は終わってないだろ!!」

通路

ミーナ「これで全部ね」

美緒「今日もまた書類が多いな」

ミーナ「仕方ないわよ。それよりも美緒?」

美緒「分かっている」

エイラ「――おーい。しょうさぁー」

美緒「どうした?」

エイラ「今、暇か?」

美緒「そう見えるか?」

エイラ「んー……うんっ!」

美緒「はっはっはっは。いい度胸だ。話してみろ」

ミーナ「もう……」

エイラ「ペリーヌがさぁ、どうしても少佐にお姫様やってほしいみたいなんだけど、やってくれないか?」

美緒「その話か。悪いが断ったことだ。私に美女の姫など務まるはずがないからな」

エイラ「そうか? 少佐は髪を下ろしたら、可愛いとおもうけどな」

美緒「そうはっきり言われると存外に嬉しいが、他を当たってくれ。サーニャのほうがいいだろう」

エイラ「いや、サーニャがお姫様になると私が王子をしなきゃいけないだろ? そうなると、ペリーヌに木の役をしてもらうしかなくなるかんなぁ……」

美緒「ペリーヌは納得しないか」

エイラ「そうダ」

美緒「ふむ……」

ミーナ「いいんじゃないかしら。美緒がお姫様なんて、この機会を逃すと見れないかもしれないし」

美緒「ミーナ。冗談はやめてくれ」

エイラ「とにかく、少佐。まだ宮藤たちは食堂で話し合ってるはずだから、行ってくれよ」グイッ

美緒「あ、おい」

エイラ「いくぞー」

ミーナ「またあとでね、坂本少佐?」

美緒「ミーナ。助けてくれないのか?」

ミーナ「だって、貴女が助けて欲しそうな顔をしてないんですのも」

美緒「意地悪な奴だ」

ミーナ「うふふ」

食堂

ペリーヌ「あぁ!! 姫よ!! どうして眠っているのですか!! このわたくしが貴女の呪いを解いて差し上げましょう!!」

芳佳「……」

ペリーヌ「では……」スッ

芳佳「ペリーヌさん、いい匂いしますね」

ペリーヌ「だまりなさい」ペシッ

芳佳「あう」

ルッキーニ「……ペリーヌ、へたくそー」

ペリーヌ「な、なんですってぇ!?」

ルッキーニ「なんか演技が大げさすぎー」

ペリーヌ「あ、あなただって同じようなものでしょう!?」

ルッキーニ「あたしはちゃんと眠ってたよぉ!!!」

ペリーヌ「寝るだけなら豆狸にだってできますわ!!」

芳佳「ひどいっ!!!」

美緒「……騒がしいな」

ルッキーニのキャラソンで眠り姫に眠る夢みたいなこと言ってたような言ってなかったような

リーネ「坂本少佐!? ど、どうしたんですか?」

美緒「エイラに連れてこられた」

ペリーヌ「エイラさんに……?」

エイラ「たまたまそこで一緒になったから、誘っただけダ」

ルッキーニ「にひぃ。少佐もやりゅー?」

美緒「今のを見る限りでは、宮藤姫でいいだろう? 私の出る幕はない」

ペリーヌ「そんなことは!! 宮藤さんはちょっと納豆くさくて……」

芳佳「ペリーヌさん!!! そこまで言わなくてもいいじゃないですか!! 確かに今朝はいっぱい食べましたけど!!!」

美緒「リーネやルッキーニではダメなのか?」

リーネ「わ、私はその……ペリーヌさんの顔が迫ってくると、どうしても強張ってしまって……」

ルッキーニ「あたしは上手いよー。みててー。――とぉ」バッ

美緒「……」

ルッキーニ「すぅ……すぅ……うにゃぁ……もうたべられなぁい……」

美緒「随分と活発な眠り姫だな」

エイラ「だから、ルッキーニには似合わないんだって。やっぱり、サーニャが一番ダナ。ウン」

美緒「ならば、サーニャを連れて来い。私は用無しだろう」

エイラ「サーニャがいいよなぁ」ギュゥゥ

美緒「離せ、エイラ」

ペリーヌ「あ、あの、少佐? どういうお話かだけでも見ていってはもらえませんか? それで判断をしてくれたら助かりますわ」

美緒「しかし……」

芳佳「ぐわぁぁ……魔女の呪いがぁぁ……」

美緒「……」

リーネ「しっかりしてください!! 姫様!! だ、だれか、助けてください!!」

ルッキーニ「うじゅじゅー。その呪いにかかった者はぁ、100年間眠り続けるのじゃー。芳佳姫が美しすぎるのがわるいのじゃー。うじゅじゅー」

リーネ「そ、そんなぁ……!!」

ルッキーニ「呪いを解くためには姫を愛する心がなければならないのじゃー」

リーネ「あ、愛する……心……!! そ、そうだ!! 隣の国の王子様に頼んでみましょう!! あの人ならきっと……!!」

ペリーヌ「どうも。わたくしが隣国の王子、クロステルマンですわっ」

リーネ「あぁ!! 王子様!! 芳佳姫を助けてください!!!」

美緒「……」

カオス

ペリーヌ「あぁ!! 姫よ!! どうして眠っているのですか!! このわたくしが貴女の呪いを解いて差し上げましょう!!」

芳佳「……」

ペリーヌ「では……」スッ

芳佳「ふわぁぁ……。あ、あなたは……?」

ペリーヌ「隣国の王子、クロステルマンですわ」

芳佳「はぁ……結婚してください」ギュッ

ペリーヌ「勿論ですわっ」

リーネ「めでたし、めでたし」

美緒「……」

エイラ「イイハナシダナー」

美緒「この配役で泣けるなら、私が介入する余地はないな。がんばってくれ」

エイラ「……」ギュゥゥ

美緒「くっ……離せ、エイラっ!」

ペリーヌ「だ、だめでしたか!?」

芳佳「坂本さん!! い、いまのはその一番盛り上がるシーンってだけで、前後も合わせればその、すごくドラマチックでロマンチックな話なんです!!」

美緒「……何故、そこまで私にこだわる? あの完成度ならお前たちだけでもいいだろうに」

ペリーヌ「そ、それは……」

美緒「今の脚本に私は不要だと思うのだが?」

芳佳「なら、ためしに坂本さんが眠り姫になってください!!」

美緒「何故、そうなる?」

芳佳「私の代わりに坂本さんがお姫さまをやれば、もっとよくなるかもしれないじゃないですか」

美緒「……」

ルッキーニ「やっぱり、あたしがやりゅー」

エイラ「待て、ルッキーニ。少佐にやってもらうべきだろ。ルッキーニより、合ってるかもしれないし」

ルッキーニ「えぇー?」

美緒「そんなわけがないだろう。宮藤のほうがよっぽど――」

バルクホルン「ああ。姫としては適任だ」

エイラ「え?」

芳佳「バ、バルクホルンさん!?」

バルクホルン「お前たち、いつまで遊んでいる。訓練の時間ではないのか?」

お姉ちゃん参上

リーネ「ごめんなさい。でも、これはペリーヌさんにとって大切なことなんです」

バルクホルン「配役でもめているのか?」

美緒「そうらしい」

バルクホルン「分かった。いつまでもこんなことで時間を割かれては困る。私が決めよう」

ペリーヌ「な……!?」

バルクホルン「国王はリーネ、妃はペリーヌ、王子はシャーリーではないほうの大尉、魔女はルッキーニ、姫は宮藤だ。以上、解散」

芳佳「えぇぇぇ!?」

エイラ「まってくれ!! 私は!? 姫に仕える妖精とかないのか!?」

ルッキーニ「うぇぇぇん……まじょなんてやだぁぁぁ……!!」

バルクホルン「もう決まったことだ。諦めろ」

美緒「助かったぞ、バルクホルン」

バルクホルン「気にしないでくれ。さぁ、お前たち。この話はまた夜だ。決められた任務、訓練を始めろ」

ペリーヌ「し、しかし……」

バルクホルン「なんだ?」

ペリーヌ「い、いえ……なんでもありませんわ……」

身勝手すぎる…

格納庫

シャーリー「よしよし。それは酷いよなぁ」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん……」ギュゥゥ

シャーリー「なぁ、ハルトマン。なんとか言ってやってくれないか? ルッキーニには納得した上で魔女役をやって欲しいしさ」

エーリカ「私にいうなよー」

シャーリー「中佐に言おうか?」

エーリカ「ミーナにいうなよー。トゥルーデがかわいそうだろー」

シャーリー「それなら、どうするんだよ」

エーリカ「ペリーヌの気持ちもわかるけどさぁ。演劇のことで揉め続けてもいいことないって」

シャーリー「だからって、バルクホルンの奴が勝手に配役を決めていいわけじゃないだろ」

エーリカ「……」

シャーリー「ハルトマン」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん……」

エーリカ「あーもう……いってきたらいいんだろぉー。面倒だなぁ……」

ルッキーニ「にゃはぁ!! ありがとー!!」

さすがマジ天使さん

バルクホルン「ここをこうして……」

エーリカ「トゥルーデぇ?」

バルクホルン「あとにしてくれ。今は忙しい」

エーリカ「ルッキーニがないてたぞぉ。配役、考えなおしてあげたら? ほら、もっとみんなの意見をきいてあげてさぁ」

バルクホルン「それではいつまで経っても役が決まらない」

エーリカ「だからって、何も考えずにさぁ」

バルクホルン「何も考えずに、だと? そんなわけあるか。ネウロイ襲撃時、状況に合わせて誰と誰をロッテにすればいいのか判断できるのだぞ」

エーリカ「それとこれと一緒にするなよ……」

バルクホルン「適任者を割り当てたつもりだ。問題はない」

エーリカ「配役は王様がリーネで、妃がペリーヌなんだっけ?」

バルクホルン「ああ。そして魔女にルッキーニ、王子はシャーリーではない大尉、姫に宮藤。完璧な布陣だ」

エーリカ「ちょっと待ってよ」

バルクホルン「……なんだ?」

エーリカ「眠り姫なら、私以外にいないだろ? 美女だし」

バルクホルン「……ふんっ」

>シャーリーではない大尉

い、いったい誰なんだ……ゴクリ

シャーリー「あぁ、そうか。それは酷いなぁ」

エーリカ「トゥルーデが、鼻でわらったぁぁ……」ギュゥゥ

シャーリー「バルクホルンが悪いな。うん」ナデナデ

エーリカ「うぇぇぇん!!」

ルッキーニ「うじゅ……。シャーリー、このままじゃ、あたし魔女だよぉ」

エーリカ「わたしは美女がいいのにぃー!!!」

シャーリー「中佐に決めてもらうか。バルクホルンより権限あるしなぁ」

美緒「ん? お前たち、何を遊んでいる。宮藤たちに示しがつかないだろう」

シャーリー「少佐ぁ。バルクホルンが配役を決めた件、どうにかなりませんか? ルッキーニもハルトマンも納得できないみたいで」

美緒「ハルトマンは関係ないだろう。それとも参加するつもりなのか?」

エーリカ「役、もらえるの!?」ガバッ

美緒「それは知らん。バルクホルンに訊いてくれ」

エーリカ「えーん!! むりなんだー!!」ギュゥゥ

シャーリー「少佐。お願いしますよ」

美緒「お願いされてもな……」

シャーリーじゃない大尉ってお姉ちゃん参加する気マンマンやん

滑走路

芳佳「ねえ、リーネちゃん。私が本当にお姫様なの? 主役なんてできないよぉ」

リーネ「私は芳佳ちゃんでもいいと思うけど……」

ペリーヌ「……」

芳佳「あの、ペリーヌさん……」

ペリーヌ「がんばってくださいね」

芳佳「いや、私はその……できれば兵士Aとかのほうが……」

ペリーヌ「なら、バルクホルン大尉にそう言ってみればいいんじゃありませんこと」

芳佳「ペリーヌさぁん……」

リーネ「今からでも遅くないですから、バルクホルンさんに役の変更をお願いしてみませんか?」

ペリーヌ「もう結構です! わたくしはペリーヌ女王ですもの。おーっほっほっほっほ!!」

芳佳「す、すごい、違和感が……ない」

ペリーヌ「なんですって!? このっ!! 豆狸のくせにお姫さまだなんてぇ!!」グニッグニッ

芳佳「いふぁい!! いふぁい!!」

ミーナ「あらあら。随分と揉めているみたいね。訓練に集中できないのかしら?」

ほんと大尉は欲望に忠実だな

ペリーヌ「ちゅ、中佐……!? い、いえ……あの……おほほ。女王ではなく妃でしたわね。勘違いでしたわぁ」

ミーナ「……何かあったの?」

リーネ「その、バルクホルンさんが演劇の配役を決めてくれたんですけど……」

ミーナ「その決定に納得できないのね?」

ペリーヌ「滅相もありませんわ!! 大尉の配役はわたくしたちにぴったりといっても過言ではありませんもの!!」

ミーナ「本当に?」

ペリーヌ「も、もちろんですわ……」

ミーナ「宮藤さんも?」

芳佳「いえ!! 私がお姫様はやっぱり荷が重いですっ!!」

ペリーヌ「ちょっと!! 宮藤さん!!!」

ミーナ「はいっ、静粛に」

ペリーヌ「ひっ……」ビクッ

ミーナ「ペリーヌさんが企画したことでしょう? 貴女は意見を言うべき立場よ。はっきりと言いなさい」

ペリーヌ「それは……その……で、できれば……お、おひめさま……が……あ! いえ、お姫様は少佐にやってもらって、私が王子でも……あのぉ……」モジモジ

ミーナ「はい。分かりました。では、主演はペリーヌさんと坂本少佐でいいわね?」

じゅうきゅうさいがキタ!これでかつる!

ミーナさんじゅうきゅうさいは悪い魔女役で決まりダナ

バルクホルン「なんだと?」

ミーナ「だから、王子、姫の役はペリーヌさんと坂本少佐にして」

バルクホルン「しかし、もう決定したことだ。姫に宮藤、王子はわ……シャーリーでない大尉だと」

ミーナ「シャーリー大尉ではないほうというのは、バルクホルン大尉が王子ということかしら?」

バルクホルン「誰が私だと言った」

ミーナ「501に大尉は二人しかいないでしょう」

バルクホルン「……」

ミーナ「トゥルーデ、もう一度考え直して」

バルクホルン「何故だ。別に誰でも――」

ミーナ「へぇ……」

バルクホルン「わかった。全員と協議しよう」

ミーナ「うふ。ありがとう」

バルクホルン「すまない。許してくれ」

ミーナ「別に怒ってないわよ。おかしなトゥルーデね。うふふ」

バルクホルン「……すまない」

ミーナさんこえー

ヒィぃ

食堂

サーニャ「はむっ……はむっ……」モグモグ

芳佳「あ、サーニャちゃん。おはよー」

サーニャ「おはよう、芳佳ちゃん」

芳佳「まだ夜間哨戒まで時間あるよね?」

サーニャ「うん。何かあるの?」

芳佳「今からね、演劇『眠れる森の美女』の配役を決めるんだって。サーニャちゃんも参加するよね?」

サーニャ「眠り姫……?」

芳佳「そうそう!!」

サーニャ「いくわ」

芳佳「ぃやったー!! ありがとー、サーニャちゃん!! これでみんなが参加することになったよー!!」

サーニャ「みんなもするの? 楽しそう……」

芳佳「でしょ!? ほら、いこっ!! サーニャちゃん!!」

サーニャ「私、お姫様にあこがれてて……」

芳佳「わーい。きっとエイラさんも喜ぶよー」

このサーニャさんは肉食系…エイラガンバレ

ブリーフィングルーム

ミーナ「はい。急に集まってもらってごめんなさいね。今から重大会議を行うわ」

美緒「今度、ペリーヌがガリアの子どもたちを招き行う演劇についてだ。まずは手元の資料を見て欲しい。『眠れる森の美女』のあらすじが記載されているだろう」

エイラ「うん? なぁー、これ原作と全然違うぞー」

美緒「当然だ。我々は11人しかおらず、また忠実に再現しようと思えばかなりの上演時間になる。物語の大幅な改変は必要不可欠だ」

ミーナ「といっても、大筋は一緒だから特に戸惑うことはないと思うけど」

サーニャ「……あの」

美緒「どうした?」

サーニャ「お姫様役が……」

ミーナ「ええ。お姫様の役は坂本少佐、王子役はペリーヌにしてもらうことだけは決定しているわ」

美緒「ミーナ、今からでも遅くはない。私は大道具や照明で……」

ミーナ「そんな配役はありません」

美緒「せめて、王子にだな……」

ミーナ「いいじゃない。たまには」

サーニャ「……おひめさま……」

芳佳「たのしみだねー」

リーネ「うんっ」

ルッキーニ「うじゃぁぁ……!!」ギュゥゥ

シャーリー「ルッキーニ。一週間、ご飯特盛りで納得したんだろ?」

ルッキーニ「中佐にだまされたぁぁぁ……」

シャーリー「騙してないだろ」

ペリーヌ「少佐?」

美緒「どうした。不服か?」

ペリーヌ「い、いえ……その……」

美緒「なんだ? 文句があるのなら、今のうちだぞ」

ペリーヌ「全員でやるのですか?」

美緒「そう書いてあるだろう」

ペリーヌ「しかし、わたくしたちがここを離れるわけには……」

美緒「離れるものか。演劇はここ、501基地で行う」

ミーナ「安心して、ペリーヌさん。既に坂本少佐が手配してくれているから」

ペリーヌ「は……? そ、それはいつから……?」

美緒「細かいことは気にするな。はっはっはっは」

ペリーヌ「……」

ミーナ「それでは、役を決めましょうか。国王、妃、悪い魔女、姫に仕える白き妖精、あとは王子の仲間の魔法使いになります。希望があるのなら挙手でお願いね」

エーリカ「はい!! 私、美女で!!」

ミーナ「はいはい。美女の魔法使いでいいの?」

エーリカ「ナイスバディの魔法使いで!!」

美緒「設定が多くなるな」

エーリカ「身長180、バスト99、ウェスト55、ヒップ88っていう容姿でさぁ」

美緒「バルクホルン、そういうことらしい」

バルクホルン「台詞で説明しなければならないな」

ミーナ「他には?」

エイラ「はいはいはい!! 私、妖精!! 妖精ダ!!」

ミーナ「他に妖精をしたい人は? いないなら、エイラさんに決定ね」

エイラ「やったー!! 妖精だぁー!!」

サーニャ「私は妃が……」

ルッキーニ「あたし女王がいいー!!」

美緒「サーニャと話し合え」

ルッキーニ「サーニャぁぁ……ゆずってぇぇ……うじゃぁぁ……」ギュゥゥ

サーニャ「……いいよ」

ルッキーニ「にひぃ!! サーニャ、だーいすきぃ!!」

エイラ「おまえぇ!! サーニャからはなれろぉ!! こらぁ!!!」

シャーリー「それじゃ、私は国王陛下をやろうかな」

芳佳「ぴったりだと思います」

シャーリー「おらおらー頭がたかーい!! なんてね」

ミーナ「悪い魔女は誰かやってくれる?」

芳佳「リ、リーネちゃん、明日のお昼は肉じゃがつくるよ」

リーネ「わ、わぁい、うれしいなー」

サーニャ「芳佳ちゃんの肉じゃが、たのしみ」

バルクホルン「ああ、宮藤の肉じゃがは絶品だからな」

美緒「――では、配役はこれで決定だ。異議のある者は今のうちに申し出ろ」

ミーナ「くすんっ……」

美緒「ふむ。脚本はバルクホルンが書いている」

ペリーヌ「え? あの……」

美緒「ペリーヌは監督兼主演だ。大変だが任せるぞ」

ペリーヌ「は、はぁい!!」

美緒「はぁ……。では、解散」

芳佳「バルクホルンさん、私は治癒魔法が使える魔法使いにしてください」

リーネ「わ、私は芳佳ちゃんの幼馴染という裏設定を……」

サーニャ「実はお姫様という表設定をお願いします」

バルクホルン「待て!! 落ち着け!!」

ペリーヌ「さ、坂本少佐!!」

美緒「どうした?」

ペリーヌ「ほ、本当によろしいんですの? 少佐まで……あの……」

美緒「お前の望みだろう? 心配するな。役作りはきちんとする」

ペリーヌ「でも……あれほど拒否されていたのに……」

美緒「なんだ。私に参加してほしくないのか?」

ペリーヌ「そんなことはありませんわ!! 決して!!」

美緒「ならば、もういいだろう。ではな」

ペリーヌ「あ、あ……」

ミーナ「美緒、私が悪い魔女だなんてミスキャストだと思わない?」

美緒「どうだろうな」

ミーナ「納得できないわ」

美緒「ならば、代わってもらえば良いだろう」

ミーナ「今更、そんなこと……」

美緒「さぁ、今からが大変だ。忙しくなるぞ」

ミーナ「え、ええ……はぁ……」

ペリーヌ「……」

シャーリー「なぁなぁ。私は歴史上最速で即位した王様ってことにしといてくれ」

バルクホルン「その設定、必要なのか?」

格納庫

シャーリー「ほーら、愚民どもぉ。私の足をなめろー」グリグリッ

芳佳「うぐぐぐ……!!」

リーネ「王様!! やめてください!!!」

シャーリー「私に歯向かうのか? いい度胸だ。お前は足の裏を舐めてもらおうかー」グリグリッ

リーネ「むぐぅ……!?」

ルッキーニ「あなたぁー。すてきですわぁー」

シャーリー「だろう? あはははは」

ペリーヌ「……バルクホルン大尉。これは?」

バルクホルン「分かりやすい暴君だろう? これだけ恨まれれば姫に呪いをかける動機も明確に伝わる」

ペリーヌ「あの、観客は小さな子どもで……。これは刺激が強いような……」

バルクホルン「しかし、設定上眠り姫よりハルトマンのほうが美女だからな。美しいが故に眠らせたでは筋が通らない」

ペリーヌ「えぇ……? もうすこしバランスを考えてください……」

シャーリー「指の間も丁寧になめろー」グリッ

芳佳「わ、わかりましたぁ……」

>>1は眠らない魔法使い

美緒「わ、私の父上と母上はどうしてあのようなことをするのか、わからない……わ」

エイラ「サイテーのクズやろーダナァ。お姫様、あんな親、ブッコロしたほうがイイゾ」

美緒「そんなことできるわけがない……わ」

エイラ「殺される前に殺るしかないゾ。このままじゃ、お姫様が苦しむことになるんだ」

美緒「できるわけ……はぁ……」

エイラ「どうした、少佐? 疲れたか?」

美緒「そうだな。少し休ませてくれ」

エイラ「わかった」

美緒「……」

エイラ「……少佐?」

美緒「なんだ?」

エイラ「やりたくないのか?」

美緒「そんなことはない。ペリーヌの願いでもあるしな」

エイラ「でも……」

美緒「気遣いはいらん。5分休憩したら始めるぞ」

し!

ペリーヌ「……」

ミーナ「ヒッヒヒヒヒ……毒リンゴは――ペリーヌさん? どうかしたの?」

ペリーヌ「え? ああ、申し訳ありません……中佐。続きを」

ミーナ「坂本少佐のことが気になる?」

ペリーヌ「ええ……。ご無理をされているようにしか見えないので……」

ミーナ「大丈夫よ。ペリーヌさんが企画したことを全力でバックアップしたいっていっていたのは、坂本少佐だもの」

ペリーヌ「それは、あの……いつから……?」

ミーナ「貴女が演劇をすると決めた瞬間からよ」

ペリーヌ「少佐ぁ……」

ミーナ「ただ、本人は裏方に徹するつもりだったみたいだから、戸惑ってはいるだろうけど」

ペリーヌ「そうですか」

ミーナ「さ、練習しましょうか。――ヒッヒヒヒヒ……ウィヒヒッヒヒヒ……この毒リンゴを……おたべ……」

ペリーヌ「中佐、すこし時間をください」

ミーナ「え? あ、ちょっと」

ペリーヌ「すぐに戻ってきますわ!!」

少佐がんばってる、少佐がんばってるよ

美緒「……」

エイラ「少佐は可愛いって」

美緒「そうか」

エイラ「きれいだぞ」

美緒「ありがとう」

エイラ「少佐……」

ペリーヌ「さ、坂本少佐?」

美緒「どうした、ペリーヌ? ミーナとの稽古は終わったのか?」

ペリーヌ「申し訳ありません」

美緒「なんだ、突然?」

ペリーヌ「わたくしが我侭を言った所為で、少佐にご負担をかけることになってしまって……」

美緒「負担? はっはっはっは。この程度、荷物にはならん」

ペリーヌ「で、ですが!!」

美緒「早く戻れ。ミーナが悲しそうな目でこっちを見ているぞ」

ペリーヌ「は、はぁ……失礼します……」

芳佳「大丈夫!? サーニャちゃん!?」

サーニャ「わたしはもうだめ……先にいって……」

リーネ「そんなことできるわけないよ!!」

サーニャ「二人にお願いが……あるの……。このペンダントを……お父様に……渡して……。そして……女王にはなれなかったって……あやまって……おい……て……」

芳佳「サーニャちゃん!! サーニャちゃぁぁん!!!」

リーネ「いやぁぁぁ!!!」

エーリカ「トゥルーデ!! 私はもうダメだ!! はやく先に……ごふっ」

バルクホルン「……ハルトマン、真面目にやれ」

エーリカ「なんで? ちょー感動のシーンじゃん、今の」

ルッキーニ「あなたぁー。そろそろ娘にも弟か妹が必要ですわぁー」

シャーリー「そうだな。今日はがんばるか」

ルッキーニ「あなたぁー、すてきですわぁー」

シャーリー「でも、残念だけど私はどこでも最速だ。あっはっはっは」

ペリーヌ「あの、そのセリフは……?」

シャーリー「え? ああ、今私とルッキーニで考えたんだけど。ダメか?」

中佐かわいい

しえしえ

ペリーヌ「……少佐が嘆いておられるのは、こういうことなのかもしれませんわね」

芳佳「ペリーヌさん、何か問題でもありましたか?」

ペリーヌ「この演劇、どうかと思いまして」

バルクホルン「なに?」

エーリカ「なんでさー。盛り上がってきたところなのにー」

ペリーヌ「貴方たちは楽しんでくれているようなので何よりですが、少佐が……」

リーネ「坂本少佐、演劇はしたくないんですか?」

ルッキーニ「なら、少佐だけ外せばいいんじゃない?」

バルクホルン「姫役がいなくなるのか」

サーニャ「……!」ピクッ

エーリカ「それは困るよね」

バルクホルン「私が務めるしかない……か」

芳佳「ペリーヌさん。今、やめちゃうと坂本さんも残念がると思うけど」

ペリーヌ「いえ、一から作り直すべきではないかと。何も全員でする必要もありませんし、題材もありきたりですし」

リーネ「ペリーヌさんは『眠れる森の美女』をしたかったんじゃ……」

おとしどころが気になる……

ペリーヌ「別にそれに拘る必要はどこにもありませんもの」

バルクホルン「ペリーヌ」

ペリーヌ「は、はい?」

バルクホルン「お前の気遣いはよくわかるが、それは少佐の気持ちを踏み躙っていることになるぞ」

ペリーヌ「な、なにを!! そんなこと……!!」

シャーリー「わざわざ子どもたちを基地に呼ぶんだぞ。それだけでも色んなところから許可をもらわないといけない」

ペリーヌ「それは……はい……」

シャーリー「そこまでやってくれた上で演劇にも出るって決意したの少佐を急に外すなんて、私はどう説明されても納得しない」

ペリーヌ「で、ですが!! 少佐のお気持ちを考えれば……!!!」

エーリカ「いいじゃん、いいじゃん。ペリーヌ監督の采配に従おうよ」

バルクホルン「ハルトマン。しかしだな、折角宮藤とは義理の姉妹という裏設定を加えたのに、それを活かせないのは……」

芳佳「ペリーヌさんが坂本さんのことを本当に想っているなら、きっと坂本さんもわかってくれると思いますよ」

ペリーヌ「そ、そうですわよね」

芳佳「でも、坂本さんがそれで喜んでくれるかは分からないですけど……」

ペリーヌ「あ……ぅ……」

美緒「ふむ……」

エイラ「しょうさー。まだやらないのかー」

美緒「すまん。再開するか」

エイラ「――お姫様ヨー、いい加減にしないと、悪い魔女が危害を加えるかもシレナイゾー」

美緒「だからと言って、両親を手にかけることは許されないだろう……わ」

エイラ「……」

美緒「次はエイラのセリフだろう」

エイラ「少佐、なに悩んでるんだ? らしくないぞ」

美緒「何も悩んではいない」

エイラ「はっはっはっはって笑わないし」

美緒「はっはっはっは!! 笑っているだろう」

エイラ「もういいよ。サーニャの様子見に行ってくる」

美緒「……すまん」

エイラ「きにすんな。また明日な」

美緒「ああ……。部屋に戻るか」

坂本の部屋

美緒「……」

「少佐……いらっしゃいますか……?」

美緒「開いている」

ペリーヌ「し、失礼します……」

美緒「どうした?」

ペリーヌ「あのぉ……そのぉ……」

美緒「こっちにこい。立って話したいのなら、私も立とう」

ペリーヌ「い、いえ!! 座ってください!! わ、わたくしも座ります!!」

美緒「床に座らなくてもいいだろう。私の隣に座れ」

ペリーヌ「け、け、けっこうですわ!!」

美緒「そうか……」

ペリーヌ「坂本少佐!! このたびのご厚意には大変嬉しく思います。感無量と言って良いほどに」

美緒「私はお前の考えに賛同したに過ぎん」

ペリーヌ「その所為で少佐を苦しめているのでしょうか……? でしたら、あの……もう……今回のことは……」

少佐かわいいよ少佐

美緒「お前に任せよう」

ペリーヌ「え……?」

美緒「どうした? 変なことを言ったか?」

ペリーヌ「あ、いえ、止めてもいいと?」

美緒「お前がそうしたいのならな」

ペリーヌ「少佐……どうしてそこまで……」

美緒「お前たちにしてやれることが、少なくなってきたからな」

ペリーヌ「そんなことは……」

美緒「情けないことだが、空ではもうペリーヌを守ってやることができない」

ペリーヌ「ちが……」

美緒「せめて、地上ではこうして――」

ペリーヌ「少佐!!」

美緒「すまない。弱音が出たな」

ペリーヌ「坂本少佐はいつでもわたくしたちを見守ってくれているではありませんか……そのようなこと言わないでください……」

美緒「私に与えられた役と今の自分が酷似している。私はもう守られる側なのだと、突きつけられたようでな」

ペリーヌ「な……」

美緒「これは愚痴だ。忘れてくれ」

ペリーヌ「……」

美緒「気持ちを切り替えんとな。悪かったなペリーヌ。明日からは心を引き締めて――」

ペリーヌ「少佐は王子様ですわ」

美緒「いや、姫だろう?」

ペリーヌ「いいえ。王子様です。わたくしにとっては王子様です」

美緒「ペリーヌ、ありがとう」

ペリーヌ「ですから、ここはわたくしと役を――」

美緒「それだけはやめてくれ」

ペリーヌ「え?」

美緒「結局、ペリーヌに救われることになる。私はお前にだけは甘えたくないんだ」

ペリーヌ「申し訳ありません」

美緒「はっはっはっは。謝るのは私のほうだ。こんなことで気落ちしてしまっては何も成せない。ウィッチ失格だな」

ペリーヌ「少佐はウィッチたちの誇りですわ。失格になんてさせません」

美緒「……折角だ。ペリーヌ、クライマックスのシーンを練習していくか」

ペリーヌ「え? ク、クライマックス……を……? こ、こで?」

美緒「嫌か?」

ペリーヌ「ぜんぜん!! そんなぁ!!」

美緒「王子のキスで姫が目覚めるところだ。私のセリフは殆どないが、しっかりな」

ペリーヌ「は、はぁい……」

美緒「……」

ペリーヌ「――やっと、たどり着いた。姫よ。今、貴女の呪いを解いて差し上げます」

美緒「……」

ペリーヌ「呪いを解くにはあなたへの愛が必要と聞きました。わたくしにできるのは……これだけ……です……」

美緒「……」

ペリーヌ「ん、んー……」

美緒「……ペリーヌ?」

ペリーヌ「は、はい!?」

美緒「お前、石鹸を変えたか? 随分といい匂いがするが」

通路

芳佳「坂本さんのことどうなったんだろう……」

リーネ「ちょっと心配だよね」

芳佳「やっぱり聞きに行こう! 坂本さんの気持ち!!」

リーネ「うんっ」

ペリーヌ「あぁぁぁぁ!!!!」ダダダダッ

芳佳「ペリーヌさん!?」

リーネ「どうしたんですか!?」

ペリーヌ「わたくしには王子様なんてむりですわぁぁぁ!!!」

芳佳「……な、なにがあったんだろう?」

美緒「宮藤、リーネ。こちらにペリーヌがこなかったか?」

リーネ「あ、えっと、今、向こうに走り去っていきましたけど」

美緒「そうか。全く、キスできないとは何事だ。あれでは劇が成り立たないだろうに」

芳佳「どういうことですか?」

美緒「さきほどペリーヌとラストシーンの稽古をしたんだが、ペリーヌの奴が口付けはできないと叫んで逃げ出してな。これからは納豆を控えるしかないか……」

メガネさん……

芳佳「えぇ!? 納豆おいしいのにぃ」

美緒「ペリーヌにとっては慣れない悪臭なのだろうな」

リーネ「それが理由じゃないような」

美緒「やっと姫の役を受け入れることができたのに……どうしたものか……」

芳佳「やっぱり、坂本さんが王子様でペリーヌさんがお姫さまのほうがいいんじゃないですか?」

美緒「ペリーヌは私の臭いに嫌悪しているのだから、無理やりキスをする側になるのはどうだ」

芳佳「ああ、なんだかイメージ悪いですね」

美緒「だろう? この際、宮藤が王子役でもいいかもしれないな。それなら臭いも気にならんだろうし」

芳佳「わ、わたしが!? そ、そんなの無理ですよぉ!!」

美緒「はっはっはっは。謙遜するな。お前の空での勇姿は王子といっても過言ではない」

芳佳「えぇぇ……」

リーネ「あ、あの……」

美緒「なんだ、リーネ?」

リーネ「それなら……わ、私が……お姫様……を……やりたいなー……なんて……ごめんなさい」

美緒「そうだな。ペリーヌが主演から外れるとするなら、私が姫をやる理由が薄まるか……」

ブリーフィングルーム

ミーナ「――というわけで、急遽主演の二人が降りてしまったので、配役を変更します」

美緒「王子役は宮藤にしてもらう。これは決定事項だ。姫役はまだ決まっていないから、早急に決めてくれ」

芳佳「私が王子なんて……」

ペリーヌ「まかせましたわ……わたしくには……ふふふ……うぅぅ……」

芳佳「ペリーヌさん……」

リーネ「あ、あの! お姫様の役は……わ、わたしが……」

サーニャ「私もしたいです」

ルッキーニ「あったしもぉー!!! お姫様やりゅぅー!!!」

エイラ「サーニャがお姫様やるなら宮藤ぃ!! 私に王子様譲れぇ!!! こらぁ!!!」

芳佳「ど、どうぞ!! むしろそっちのほうがありがたいです!!」

バルクホルン「静まれぇぇ!!!」

ミーナ「トゥ、トゥルーデ……?」

バルクホルン「姫とは国の至宝であり、国民の規範とる存在だ。となれば、日ごろから規律を遵守し続けている、私にこそ相応しいはず」

シャーリー「バルクホルン、お姫様したかったのか?」

お姉ちゃん

エーリカ「えー、いがーい」

バルクホルン「勘違いするな。客観的に見て、相応しい人間は誰かと冷静に分析した結果、私しかいない。そういうことだ」

ルッキーニ「よしかぁ、誰とチューしたい?」

芳佳「えぇぇ!?」

サーニャ「芳佳ちゃん、私お姫様になってみたいの……」

芳佳「ちょっと、待って!!」

リーネ「芳佳ちゃん、あの……私の王子様になって……ください……」

芳佳「リーネちゃんまで、顔近いよ!!」

バルクホルン「宮藤、私の目を見ろ。誰が姫なのか一目でわかるな?」

芳佳「えぇぇぇ!?」

ミーナ「宮藤さん?」

芳佳「あ、はい?」

ミーナ「私も、お姫様がいいのだけど……」

芳佳「え……えーっと……」

ミーナ「うふふ。誰を選べば長生きできるか。賢い宮藤さんなら、わかるわよね?」

ミーナさんあかん

中佐きたない

美緒「決まるまで、時間がかかりそうだな」

ペリーヌ「ですわね」

美緒「ペリーヌ、本当によかったのか? 王子……いや、姫はお前の望みでもあったはずだが」

ペリーヌ「い、いえ……わたくしの望みは……その……」

美緒「ん?」

ペリーヌ「しょ、しょうさと……」

シャーリー「あつーい、キスだろ? わかってるって」

ペリーヌ「ち、ちがいます!!」

美緒「なんだ、ペリーヌ。この演劇はそういう意図があったのか?」

ペリーヌ「ないないないない!! ないですわ!! ありませんわ!!!」

エーリカ「へぇ……?」

シャーリー「それはびっくりだな」

ペリーヌ「いい加減なことを言うのはやめてくださいなー!!!」

エーリカ「いい加減かー? そうは思わないけどなー」

美緒「ふっ……」

今北

ミーナ「はいっ! では、配役も無事に決まったところで、早速練習しましょうかっ。うふふっ。本番まで時間があまりないから、みんな真剣にやるようにねっ」

美緒「了解!」

ミーナ「宮藤さん、さ、行きましょう?」

芳佳「あ、はい」

ミーナ「私を選んでくれるなんて、嬉しいわ。うふふ」スリスリ

芳佳「いえ……ミーナ中佐しかいないかなぁって……」

ミーナ「見る目があるわね。さすがは宮藤さんだわ。そうだっ。昇進できるように手続きもしておいてあげるわね」

芳佳「そんなぁ、いいですよぉ」

リーネ「あぁ……」

サーニャ「お姫様……」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん!!! シャーリー!!!」

シャーリー「ルッキーニ。あれが大人だ」

ルッキーニ「あたし、大人になりたくなぁぁぁい……!!」

美緒「バルクホルン。台本の変更をするなら、頼まれてくれないか?」

バルクホルン「……なんでも言ってくれ。今なら、なんでも受け入れる……」

>シャーリー「ルッキーニ。あれが大人だ」

泣いた

格納庫

バルクホルン「いいか、ハルトマン。ここで私が志半ばで倒れることになった」

エーリカ「トゥルーデが死ぬのか? そんなの絶対に許さないけど」

バルクホルン「劇中でだ」

エーリカ「フィクションだろうが関係ない」

バルクホルン「……」

リーネ「どうかな?」

芳佳「似合うよ。魔女の格好」

リーネ「……ありがとう」

芳佳「リーネちゃんは悪い魔女だけど、過去に男の人に酷い振られ方をしてそれで心がすさんだって設定だから!!」

リーネ「もう言わないで、芳佳ちゃん」

シャーリー「ほーら、愚民がー。頭がたかいぞー」グリグリッ

エイラ「わたしは……妖精だぁ……」

ルッキーニ「うにゃあ、あしを舐めろですわぁー」グリッ

エイラ「調子にのんなぁー!!!」

ミーナ「いい、宮藤さん? 実際にキスをしてはいけません。子どもの教育上よくないもの」

芳佳「はい。直前で止めるんですね」

ミーナ「観客に後頭部を見せるようにすれば、直前で止める必要もないわ」

芳佳「なるほど」

ミーナ「練習しておかないとね」

芳佳「よろしくお願いします」

サーニャ「お姫様……」

美緒「サーニャ、次の機会に取っておけ」

サーニャ「また、やるんですか?」

ペリーヌ「一応、定期的にやるつもりですから」

サーニャ「つ、つぎは……シンデレラを……」

ペリーヌ「え、ええ……シンデレラですわね。わかりましたわ」

サーニャ「シンデレラ……シンデレラ……」

美緒「余程、姫に憧れがあるのだな」

ペリーヌ「端役にさせてしまって、なんだか申し訳ないですわ……」

ツンデレラに見えた

バルクホルン「少佐、ペリーヌ。次は二人のシーンだ。頼む」

ペリーヌ「あぁ、申し訳ありません。監督はわたくしですのに」

バルクホルン「少佐の要望で追加したシーンだ。やってみるといい」

ペリーヌ「へ? そんなこと聞いては……」

美緒「ペリーヌよ」グイッ

ペリーヌ「ひゃぁ!?」

美緒「お前が傍にいてくれたから、私は地獄を歩んでこれた」

ペリーヌ「は、はぃ……」

美緒「だが、それもここまでだ。茨の道が私を通してはくれないようだ」

ペリーヌ「しょ、しょうさ……?」

美緒「ペリーヌ、お前はもう一人前だ。強く生きろ。そして、私を超えろ」

ペリーヌ「あ……い、いやですわ……そんなの……!!」

美緒「お前には本当に感謝している。さぁ、いけ!! お前はまだ成すべきことが残っている!!」

ペリーヌ「いやです!! ずっと……ずっと、少佐と一緒に!! 私は……!!」

芳佳「ペリーヌさん。そんなセリフないですけど、アドリブですか?」

ペリーヌ「え……?」

エーリカ「でも、今の演技さいこーだよね。ぐっと来たよ」

ルッキーニ「カンドシター」

エイラ「ダナー」

美緒「はっはっはっは。迫真の演技だったな。ペリーヌ」

ペリーヌ「あ……ぁぁ……」

シャーリー「バルクホルン、今のにセリフを変えといたほうがいいんじゃないか?」

バルクホルン「そうだな。ペリーヌの気持ちが篭るのならそれにしよう」

サーニャ「ペリーヌさん、素敵でした」

リーネ「なきそうになりましたぁ」

ミーナ「本番でもあんな演技されたら、私たちも号泣するかもしれないわね」

ペリーヌ「もう……いやぁぁぁ!!!!」ダダダダッ

美緒「おい、ペリーヌ!!」

バルクホルン「……少佐。何も劇中で想いを告げることもないだろう」

美緒「こうでもしないと、言えそうになくてな。さぁ、ペリーヌのシーンは飛ばして続きをやるぞ!! はっはっはっは!!!」

少佐…

滑走路

美緒「ここにいたか、ペリーヌ」

ペリーヌ「あ、少佐……あの……申し訳ありません……。逃げ出してしまって……」

美緒「みんな待っているぞ。戻ろう」

ペリーヌ「少佐っ」

美緒「どうした?」

ペリーヌ「……大好きです。貴女の傍にいられたことが、わたくしの幸せでした」

美緒「バルクホルンの台詞は、臭いな」

ペリーヌ「……ですわね」

美緒「ペリーヌ、いつか扶桑の童話を元に劇をしてみないか?」

ペリーヌ「勿論、いいですわ! はい!」

美緒「そうか。では、それまでは離れられんな」

ペリーヌ「坂本少佐ぁ……本当に大好きですわ……」ギュッ

美緒「まずは眠れる森の美女を成功させなくてはな。気合をいれろ、ペリーヌ。はっはっはっは」

ペリーヌ「はいっ」
              おしまい。

少佐がかわいかった



少佐に対するペリーヌ報われENDは珍しい感

おうこれはかなりグッとくるな

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom