若林智香「悩みがあるんですっ」 (43)
モバマスSSです。
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――カラオケ店
神谷奈緒「……それで、悩みって一体なんなんだ?」
島村卯月「私達でよければ、何でも聞きますよっ!」
若林智香「うん、ありがとっ☆それでね……」
卯月「あ、何か注文するっ?」
奈緒「えっ」
智香「ポテトと、ジュースと……奈緒ちゃんは何を飲むのかなっ☆」
奈緒「あ……じゃあ、コーラ」
卯月「私はオレンジでっ!」
智香「了解っ☆」
奈緒「……あれ、これって相談だよな?」
ゴユックリドウゾー
バタンッ
奈緒「えーっと、それで悩みってなんなんだ?」
智香「はいっ、相談なんですが……」
卯月「あっ、私一曲目入れていいですかっ?」
智香「最初は何にするのかなっ?」
奈緒「……っ!」
奈緒「ああもうっ、何なんだよ一体!相談しに来たんじゃないのかよっ!!」バンッ
卯月「あっ……確かにそうでした!」
智香「すっかり忘れてました!」
奈緒「いやいやいや、智香が忘れてたらまずいだろ!」
智香「せっかくのカラオケだったのでっ☆」
奈緒「あのなぁ……どうして相談なのにカラオケに来たか分かるか?」
智香「えっと……歌うためだよねっ!」
卯月「相談の後で歌うためですよ!」
奈緒「……あー、だれか助けてくれよ……」
奈緒「智香がとっても大事な話だって言ったから、誰にも聞かれないような場所に来たんだろ」
卯月「?」
奈緒「ほら……事務所とか女子寮だと、聞き耳立てられたりするだろ?」
智香「ああっ、確かにそうだね!流石奈緒ちゃんですっ☆」
智香「それで相談なんですが……Pさんのことなんですっ!」
卯月「えっ、プロデューサーさんですか?」
奈緒「Pさんがどうかしたのか?」
智香「……その、最近Pさんと一緒にいるとなんだか熱くなっちゃって……」ソワソワ
奈緒「……ん?」
智香「胸がドキドキして、ずっと一緒にいたいって思うんですっ!」
奈緒「それってもしかして……」
卯月「恋ですねっ!」
智香「ええっ、こ、恋ですかっ!?」
智香「え、そ、そんなっ……」カァァァ
奈緒(かわいい)
卯月(かわいいなぁ)
奈緒「……そういえば智香、相談相手ってあたし達が最初だよな?」
智香「いえ、最初はまゆちゃんに相談しようと思ったんですが……」
奈緒「……えっ?」
卯月「?」
奈緒「いや、なんでもない」
奈緒「本当に、だよな?……その、Pさんのことが、好きっていうのは」
智香「もちろんですっ☆」
卯月「プロデューサーさんのこと、いつから好きだって思うようになったんですか?」
智香「それは……この前、こんなことがあったんですっ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
智香「ふぅ、今日のレッスンもよく頑張りましたっ☆」
ガチャッ
智香「お疲れ様ですっ☆」
P「おう、お疲れ様」
智香「今日もレッスン、バッチリでしたよっ!」タッタッタッ
P「おいおい、事務所狭いんだから走ると……」
グキッ
智香「……きゃぁっ!?」
P「っ!?智香っ!!」ダッ
ギュッ
P「痛ってぇ……智香、大丈夫か?」
智香「Pさん……」ポワー
P「レッスン、頑張り過ぎたんだろう。ほら、立てるか?」
智香「は、はいっ……痛っ」ズキッ
P「あー、捻挫かな……?応急処置するから、ちょっと我慢しろよー」ヒョイッ
智香「ひゃぁっ!?」
智香(お、お姫様抱っこ……っ!?)
智香(あっ、Pさんの顔……こんなに、近く……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
智香「それからずっと、Pさんともっと一緒にいたいなって……」パァァァ
卯月「わぁ、いいなぁお姫様抱っこ」
奈緒「ああもう、これだからPさんは……」
奈緒「えーっと……それで、智香はどうしたいんだ?」
智香「どう、ですか?」
奈緒「だ、だから……その。好き、なんだろ?」
智香「はいっ!アタシ、Pさんの事が好きですっ!」
卯月「わぁっ、なんだか青春ですねっ!」
奈緒「そっか……でも、まずいよな」
卯月「何がですか?」
奈緒「おいっ、あたし達はアイドルだぞ!?恋愛とか……」
卯月「いいじゃないですか!好きなものは好きなんですから!」
智香「そうですよねっ!」
奈緒「……あ、あれ……?」
奈緒「だ、だから……あたし達はアイドルだぞ?そういうのがバレたら……」
卯月「……うん。でもさ、私達だって女の子だよ?」
智香「卯月ちゃん……」
卯月「確かに、誰かを好きになるのはアイドルとしてはダメかもしれないけど……」
卯月「好きになるのは仕方ないもん。だから本当の気持ちを隠しちゃいけないって思うの」
奈緒「……なんか、ごめん。卯月なりにマジメに考えてたんだな」
卯月「えへへ♪私だって、やる時はやりますよ!」
智香「そっか……アタシ、Pさんのこと、好きでいていいんだねっ!」
卯月「うんっ!もちろんだよ、智香ちゃん!」
智香「それで、どうしたらPさんに思いを伝えられるかなって……」ポッ
卯月「それじゃあさっそく、プロデューサーさんにアタックですっ!」
智香「なるほど、アタックですねっ!」
奈緒「……ん?」
奈緒「おいおい、ちょっと待てって」
卯月「えっ?何かダメでしたか?」
奈緒「ダメじゃないけどさ……アタックって、何するんだよ」
卯月「そうですねぇ……プロデューサーさんに、さり気なくアピールですよっ!」
智香「……そうだね!頑張ってみますっ☆」
奈緒「あーもう、こうなったらヤケだ!とことんあたし達も付き合ってやるぜ!」
卯月「はいっ!一緒に頑張りましょうっ!」
智香「二人とも……本当に、ありがとうっ☆」
智香「それで……どうやってアピールすればいいのかな?やっぱりチアリーディングかなっ?」
奈緒「……卯月、とりあえずあたし達で考えるぞ」
卯月「はいっ!」
智香「?」
奈緒「よしっ、話も決まったし、歌うかっ!」
智香「そうだねっ!それじゃあアタシ、一曲目入れちゃおーっと☆」
――事務所
奈緒『いいか、例えば……Pさんが仕事してる時にコーヒーを淹れてあげるんだ』
卯月『最初は簡単なところからトライですっ!』
P「えっと、これは……」カタカタカタ
智香(……よしっ、今がチャンスっ☆)
奈緒(……智香が心配だからって、流石にこれはやり過ぎだったか?)コソコソ
森久保乃々「あ、あの……どうして奈緒さん、相席なんですか……」ヒソヒソ
奈緒「し、仕方ないだろ、乃々……智香のためだ、我慢してくれ」ヒソヒソ
P「ん?誰かいるのか……?」
奈緒「っ!?」ビクッ
乃々「な、奈緒さん……静かに、静かにです……ここで見つかるとか、むーりぃー……」ヒソヒソ
智香「あ、あのっ、Pさんっ!」
P「ん、智香か。どうした?」
智香「コーヒー、どうですかっ?」
P「おお、ありがとな。智香は気が利くなぁ」
智香「えへへ、ありがとうございますっ☆」
P「智香の応援には、いつも助けてもらってばかりだな。ははは」
智香「……?」
智香「は、はいっ☆」
奈緒「あー……これは効果アリか……?微妙なところだな……」ヒソヒソ
乃々「あの、そろそろもりくぼの城を返してください……一人分の机の下に、二人はちょっとむーりぃー……」ヒソヒソ
奈緒「……乃々と輝子は、同じ悲鳴の旗を目印にして出会ったのか?」ヒソヒソ
乃々「い、いえ……輝子さんはむしろ、奇声……?」ヒソヒソ
――翌日、事務所
智香「おはようございますっ☆」
P「おはよう、智香。今日も元気そうで何よりだ」
智香「朝はジョギングから始まりますからっ☆」
P「なるほど。健康的でいいなぁ」
智香「健康的、ですかっ?」
智香(……それだっ☆)
卯月「そうですよね、毎日ドリンク剤ばっかり飲んでる人が健康なはずがありません!」ヒソヒソ
星輝子「た、確かに……Pは、い、いつもドリンク飲んで働いてばかり……だな」ヒソヒソ
卯月「輝子ちゃん、なにか栄養価の高いキノコとかありませんか?」ヒソヒソ
輝子「そ、それなら……このエノキタケとか、エリンギとか……?」ヒソヒソ
P「ん?他に誰かいるのか?」
智香「気のせいですよっ☆」
――さらに翌日、事務所
奈緒『Pさん、いっつもコンビニ弁当だしな。お弁当作るってのはアリじゃないか?』
卯月『輝子ちゃんからおすそ分けももらいましたし、作ってみましょう!』
智香「……よしっ!」
ガチャッ
智香「おはようございますっ!」
P「おう、おはよう智香」
智香「えっと……Pさん、今日はお昼ごはんの予定はありますかっ?」
P「ん?そのうち買いに行くけど……どうしたんだ?」
卯月「よしっ、狙い通りですっ♪」ヒソヒソ
輝子「わ、私のキノコ……役に立った、のかな」ヒソヒソ
卯月「もちろん!お弁当の中に入ってますよ!」ヒソヒソ
輝子「フ、フヒヒ……これで、あ、あなたと私もお友達……フフ……」ヒソヒソ
智香「えっと……その、お弁当を作ったので、一緒に食べませんかっ?」
P「え、いいのか?」
智香「は、はいっ!もちろんっ☆」
智香(や、やった……!)
P「……ありがとう。智香には助けられてばっかりだな」
智香「……?」
智香「は、はいっ」
智香(なんだろう……なにか引っかかるような……)
卯月「あ、あれ……どうしちゃったんですか、プロデューサーさん?」ヒソヒソ
輝子「フフフ、や、やっぱり……Pは、Pだからな……」ヒソヒソ
卯月「どういうことですか?」ヒソヒソ
輝子「う、卯月さんも……いずれ、わかるよ」ヒソヒソ
奈緒(それからしばらく、智香のアタックは続いたんだが……)
智香「Pさん、お散歩行きませんかっ?ずっとパソコンに向かってばかりじゃ、身体に悪いですよっ☆」
P「ん、そうだな。きりのいい所まで進めたいから、ちょっと待っててくれ」
智香(えへへ……Pさんと、Pさんとデート……)ポワワワ……
P「いやー、これでまた仕事が頑張れるよ。ありがとな」
智香「……」シュン……
智香「……いえいえ、Pさんのためですからっ☆」ニコッ
卯月(……なんだか智香ちゃんのアタックは、空回りしてるような気がします)
智香「Pさんっ、ケーキを作ってみましたっ!食べてみてくださいっ☆」
P「……えっ、本当にいいのか?」
智香「はいっ!疲れた時には甘いもの、ですよっ☆」
智香(は、ハートがいっぱい……気付いてくれるかなっ☆)ドキドキ
P「……うん。美味しいよ」
智香(や、やった……っ!)
P「……智香はよく気が効くなぁ。偉いぞ」
智香「ありがとうございますっ☆」
P「よーし、これでもっと仕事できそうだ!」
智香(あ、あれっ……)
智香「……が、頑張ってくださいねっ☆」
奈緒「なあ、卯月。Pさんって……天然なのか?」ヒソヒソ
卯月「うーん……確かめてみたほうがいいかもしれませんね」ヒソヒソ
奈緒「そうだな」ヒソヒソ
乃々「もりくぼは、ガラス玉みたく弾き出されてしまいました……二人ともひどいです……」ヒソヒソ
輝子「げ、元気出せ、親友……困ったときはお互い様……フヒッ……」ヒソヒソ
乃々「ありがとうございます……うぅ、どうしてもりくぼはカルマを背負って生まれてきたんでしょう……」ヒソヒソ
――喫茶店
卯月「それでは、第二回作戦会議を始めますっ!」
奈緒「……第一回って、まさかあのカラオケか?」
卯月「はいっ♪」
智香「ありがとうございますっ!二人とも頼りになるねっ☆」
奈緒「まあ、いいか。それでさ、智香……」
卯月「あ、二人とも何注文しますか?」
智香「アタシ、このモンブラン食べたいですっ!」
奈緒「……やる気あるのかないのか、わかんねぇなぁ……」
卯月「奈緒ちゃんは何頼む?」
奈緒「……じゃあ、このチョコパフェ」
奈緒「な、なんだよその目はっ!あたしがパフェ食べちゃダメなのかよっ!」カァァァ
卯月(かわいいなぁ)
智香(かわいいですねっ)
ゴユックリドウゾー
奈緒「それで、智香……どう思う?」
智香「どう、って……何がですかっ?」
卯月「プロデューサーさんの事ですよ。ねっ、奈緒ちゃん?」
奈緒「うん……ほら、Pさんの反応、どう思った?」
智香「えっと……」
智香「えっと、その……」ショボン
智香「Pさん、アタシのこと、好きじゃないのかな、って……」グスッ
奈緒「わ、わわっ!ま、待て智香!泣くなよぉ!」アタフタ
卯月「だ、大丈夫ですよ!プロデューサーさんが智香ちゃんのこと、嫌いになるはずがありませんっ!!」アワワワ
智香「だって、だって……Pさんに何度アタックしても……」グスン
智香「いつもの応援みたいに見られてるんだよ……?」
奈緒「そ、そうだな……」
智香「うぅ……なんだか自信なくなっちゃいます……」
卯月「智香ちゃん……」
奈緒「だ、大丈夫だって……ほら、Pさん元々鈍いところ……いや、ありすぎだよな」
卯月「……こうなったら、最終手段ですっ!」
智香「……最終手段、ですか?」
卯月「当たって砕けましょう!」
奈緒「はぁっ!?」
智香「えぇっ!?」
卯月「智香ちゃん、思いをはっきり伝えちゃいましょうっ!それしかありませんっ!」
智香「そ、そんなっ……」
奈緒「……!」ピコーン
奈緒「いや、そうか!ナイスだ卯月!」
卯月「えへへ……やっぱり、智香ちゃんには直球勝負がピッタリですよっ!」
智香「直球、勝負……っ?」
奈緒「あれこれ考えたって仕方ないっつーか……ストレートにはっきり伝えたほうが智香らしいだろっ?」
智香「ストレートに、はっきり……!」
卯月「そうです、その調子でレッツトラーイ!ですよっ♪」
奈緒「それはちょっと違う……いや、見習うくらいが丁度いいかもしれないなっ!」
卯月「もし失敗しても……私達がいますから♪また頑張ればいいんですよっ!」
智香「……っ!!」
智香「……奈緒ちゃん、卯月ちゃん、ありがとうございますっ☆」ニコッ
ガタンッ
智香「――行ってきますっ!!」
ダダダダッ
奈緒「上手くいくといいな」
卯月「きっと上手く行きますよ♪……あ、モンブラン、食べていいのかな」
奈緒「……一口もらっていいか?」
卯月「もちろん……って、智香ちゃんいませんけどね」
タッタッタッタッ……
智香(……そうでした。アタシ、ずっとPさんに思いをはっきりと伝えていなかったんだ)
智香(それじゃ、ダメですよねっ。だって、はっきり伝えなきゃ、気持ちは届かないんだから)
智香(応援だって、チアリーディングだって……頑張れって気持ちを、まっすぐ届ける、だから……っ!!)
智香「アタシは……アタシはっ!!」
智香(Pさんに好きだって……伝えるんだっ!!)
智香「フレーっ!フレーっ!アタシっ!!」
智香「ファイトーっ!オーっ!!」
――事務所
智香「はぁっ……はぁっ……Pさん、まだ……いるよね?」ゼェゼェ
ガチャッ
P「ん、智香か」
智香「……Pさんっ!」
P「どうしたんだ、そんなに息を切らして――」
ギュッ
智香「あっ、あのっ!Pさんは……アタシのこと、好きですかっ?」
P「――っ!?」
P「どうしたんだ、いきなり」
智香「アタシの気持ち……Pさんに伝えたいんですっ!」
P「気持ちって……智香、まさか」
智香「はいっ……アタシ、Pさんのことが好きなんですっ!!」
智香(あっ……い、言っちゃった……っ)カァァァ
P「そうか……」
智香「……P、さん……?」
ギュッ
P「俺もだよ、智香」
智香「……えっ、ほ、本当……ですかっ?」
P「もちろんだ……ああ、アイドルとしてだけじゃなく、一人の女性としてだよ」
智香「……っ」ポロッ
P「お、おいっ、泣くなよ……」
智香「だって……Pさん、アタシのこと好きじゃないのかなって、ずっと……」グスッ
P「ああ、最近のことか?」
P「途中まではそうだと気付いてなかったけど……流石にあれだけアタックして来たら俺だって分かるよ」
智香「そう、ですかっ……えへへ、ありがとうございますっ☆」
智香「アタシ、いつもお仕事頑張ってるPさんを見てて、かっこいいなって思ってたんです」
智香「そしたら、いつの間にかPさんのこと……す、好きになってたんですっ!」
P「そっか……ありがとな。俺も嬉しい」
P「いつも誰かのために、誰かの力になれるように頑張る智香が……俺は好きだよ」
智香「えへへ……嬉しいですっ」ニコッ
P「気付いた時は……本当は、なかったことにならないかって思ってたんだ」
P「まあ、やっぱり恋愛事はアイドルとしては駄目だからな」
智香「でも……好きになったのは仕方ないんですっ!」
智香「だから本当の気持ちを隠しちゃいけないって……教わりましたっ!だから……」
ギュッ
智香「……P、さん?」
P「そうだ。どんなことになったって、きっと後から取り戻せる」
P「俺だって、この先どうなるか分からないけれど、覚悟は出来てるよ。だから……」
P「俺も、本当の気持ちを……隠さなくても、いいんだな?」
智香「……はいっ!」
P「いつか、智香がアイドルの舞台から降りた時は……」
P「……アイドルを引退したその後は、ずっと……一緒にいてくれるか?」
智香「……はいっ☆」
智香「Pさんの頑張れって声が、アタシに元気をくれるんですっ!」
智香「だから、Pさん……」
智香「これからもずっと、アタシのこと応援してくださいねっ☆」
おわり
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