ほむら「あれから1000年経った」(181)
ほむら「決してそれを忘れたりしない」
ほむら「だから私は戦い続ける」
千年前のあの日、私の頭の中に突然その記憶は降ってきた。
全ての魔法少女を救った一人の少女の記憶。
そして私の最高の友達の記憶。
ほむら「あれからもう1000年経つのね」ファサッ
眼下には砂漠と化した見滝原の姿があった。
廃墟ビルからそれを見下ろす暁美ほむらの姿は1000年前から何も変わっていない。
彼女の祈りは魔法少女としての力を与え、そして彼女の時を止めた。
ほむら「強い瘴気を感じるわ……。あっちに魔獣がいるわね」
100年ほど前にキュウべぇはエネルギーの回収ノルマを終え、この星を去った。
新しく魔法少女が生まれなくなったこの世界はバランスを失った。
人間の負の心から魔獣は増え続け、残った魔法少女は次々と力尽きていった。
世界中が魔獣の瘴気に包まれ、社会は崩壊し、都市はがれきとなった。
―とある廃ビル内の一角―
ほむら「はあっ!」バシィ
魔獣「ウヴォアー」シュウ…
ほむら「はぁ……はぁ……」
ほむら「こんな魔獣一匹にてこずるなんて、私の力も衰えたかしら」
暁美ほむらはとっくに一人ぼっちだった。
通常の人間と同じ寿命を全うする他の魔法少女はみんな死んだ。
この星にはもう一握りの人間しか残っていない。
人間がいなくなれば、魔獣は生まれない。
そうなれば暁美ほむらの使命もそこで終わりだ。
ほむら「まどか……もうすぐそっちに行けそうだわ」
ほむら「でもまだ生き残っている人々のために、もう少し戦わなきゃ」
ほむら「初めてのワルプルギスの夜との戦いのとき、あなた言ったわよね」
ほむら「『だからだよ。もうワルプルギスの夜を倒せるのは、私しかいないから』」
ほむら「今この星に残っている魔法少女は私一人」
ほむら「私しかいないから、私が戦わなきゃ」
ほむら「あなたが守ろうとしたこの世界を、最後まで守ってみせる」
???「あなた誰?」
ほむら「!」バサッ
???「あ、あの、そこ、私の寝床なんだけど……」
最終回でほむほむは死んでまどっちが回収に来てOPの変身シーンみたいな感じで終わればハッピーエンドだった
いたのはボロ布を纏った一人の少女だった。
砂埃で汚れてはいるが、そのピンク色の綺麗な髪はまるで――
???「あの、さっきまどかって……」
ほむら「まどかが……どうかしたのかしら?」
その少女の姿を前にして暁美ほむらの心臓は自然と高鳴った。
???「私の名前、知ってるのかなって」
ほむら「……」
まどか「私、鹿目まどか……です」
ほむら「……まどか……!」
まどか「どうして、私の名前……」
ほむら「」
その容姿と声、表情はまさに鹿目まどかそのものだった。
暁美ほむらが1000年もの間想い続けていた鹿目まどかの生き写しがそこにいた。
まどか「あの……」
ほむら「……ハッ」
まどか「そんなにジロジロ見つめないで……恥ずかしいよ……」
ほむら「ごめんなさい。古い友人を思い出していたの」
まどか「……ひょっとして嫌なこと思い出させちゃったかな?」
ほむら「そんなことはないわ」
ほむら「私の大切な親友の思い出ですもの。嫌なはずないわ」ファサァァ
まどか「良かった」ニカァ
その少女の笑った表情は、確かに暁美ほむらの心をきつく締め上げていた。
もうやめて!
思わずそう叫びたくなった。
まどかのことを思い出したくないはずがない。
決して忘れないとあの日誓ったのだ。
あれから、まどかに会いたいという気持ちは弱まるどころか、日に日に強くなり、暁美ほむらを苦しめた。
しかしまだまどかの元へ行くわけには行かない。
この世界を守るために戦い続けなければいけなかった。
いつしか暁美ほむらは、まどかの思い出を心の奥深くへと仕舞い込むようになっていた。
ほむら「暁美ほむらよ」
まどか「えっ?」
ほむら「私の名前。暁美ほむら」
まどか「暁美……さん」
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「ほむら……ちゃん」
ほむら「何かしら?」
まどか「その、私の寝床で何してたのかなぁって……」
ほむら「悪いネズミがいたから追い払っていたのよ」
まどか「ええ!ネズミ!」ワクテカ!
まどか「どこどこ!」キョロキョロ
ほむら「もういないわ」
まどか「なぁんだ、今日の晩御飯にしようと思ったのに」
少女はがっくりと肩を落とす素振りを見せながら、暁美ほむらに笑って見せた。
暁美ほむらにはそのさり気ない表情すら、見るのも耐えがたかった。
この鹿目まどかは彼女が愛する人物とは違う。
ただちょっと似てるだけ。
頭の中では分かっているはずなのに、さっきから全身が激しく脈を打って止まらなかった。
ほむら「だめよ。とっても凶悪なネズミなの。人間だって食べられてしまうわ」
まどか「そうなんだ……、ほむらちゃんが追い払ってくれなかったら、私危なかったんだね」
ほむら「そうね。私はそろそろ行くわ」
まどか「え……行っちゃうの?」
ほむら「他にも悪いネズミはいるもの。そいつらを倒しに行くのよ」
まどか「ここにまた悪いネズミが出たら……また守ってくれる?」
もちろんよ。
この無垢な少女にそう言ってあげたかったが、暁美ほむらの今までの経験がそれを阻んだ。
ほむら「約束はできないわ」
暁美ほむらは一度も振り返らずにその場を立ち去った。
ほむら(今日は一瞬だけど、心が折れそうになった)
彼女は自分のソウルジェムを夕日にかざして見た。
完全に濁ってはいないが、昔のような輝きはない。
もう何十年、いや100年以上も、完全に浄化されたソウルジェムを見たことはなかった。
ほむら(元々どんな色だったかも忘れてしまったわ)
今日の魔獣『も』またグリーフシードを落とすことはなかった。
人間の数が減り、魔獣の力も弱まっているせいか、最近はグリーフシードを持っていないことが多い。
ほむら(まだまだ逝くわけにはいかない)
ほむら(この世界に魔獣が――守るべき人々がいる限り)
その日はそのまま洞窟の隠れ家に戻って眠りについた。
~~~
まどか「ハァ!……ハァ!……」
鹿目まどかは砂漠の真ん中を走っていた。
その後ろには恐ろしい姿をした白い巨人が迫っている。
まどか「ハァ!……ハァ!もうだめ……!ハァ!」
まどか「足が……ハァ!上手く回らない……!」
バタァ!
疲労に耐え切れず、鹿目まどかは地面に倒れこんだ。
巨人は彼女に大きな影を落とすほど近づいていた。
>ID:MK1sP6DX0
あなたは昨日もそうやって俺のSSに付き合ってくれたような気がする
>>33
昨日のSSについてkwsk
まどか「もう……だめ!」
シュバッ!
どこからか飛んできた一本の矢が巨人を貫いた。
魔獣「ウギャァアアア!」
白い巨人を撃ったのは、黒い大きな翼だった。
まどか「あれは……」
その黒い翼が鹿目まどかの上空を通過し、太陽を完全に覆い隠したとき、その正体が見えた。
まどか「ほむらちゃん……!」
神々しいまでのその姿に、鹿目まどかは命の危険も忘れて見とれていた。
>>37
さやか「嘘っ、私の中古価格安すぎ……」
魔獣「ウヴァアア!」
巨人はまるでおもちゃのように弄ばれ、なされるがままに討たれた。
とどめに放たれた爆弾の爆発で地面の砂が一斉に舞い上がり、周りは何も見えなくなった。
視界が砂煙に覆われている間、周囲は何の音もしていなかった。
あの白い巨人は倒されたのだ。
風で砂煙が流されると、目の前には暁美ほむらが息を荒らげながら立っていた。
ほむら「見えるのね。あれが」
まどか「あれって……あの巨人の怪物のこと?」
ほむら「そうよ」
まどか「うん……時々見るんだけど、他の人には見えないみたい」
まどか「ほむらちゃんが言ってた悪いネズミってあれのことだったんだね」
ほむら「ええ。あれに襲われたら、普通なら生きてはいないわ」
まどか「ティヒヒ」
鹿目まどかが笑うと、暁美ほむらは眉をひそめた。
ほむら「あなた……もう少しで死ぬところだったのよ」
まどか「でもほむらちゃんが守ってくれたよ」
ほむら「今回はたまたまよ。いつも上手いタイミングで助けに来られるとは限らないわ」
まどか「それならこれからはずっとほむらちゃんと一緒にいる!」
ほむら「……何を言っているの?」
ほむら「駄目よ。はっきり言って足手まといだわ」
まどか「大丈夫!私もあの巨人を倒すの手伝うよ!」
ほむら「何をバカな……普通の人間じゃ――」グゥ~
まどか「あ!お腹すいた?」
まどか「実はね、今日はこれを捕るために砂漠に出てたんだ」ヒョイ
ウサギの死体「」
まどか「晩御飯ごちそうするよ!助けてもらったお礼に!」
コンビニ行って来る
帰ったら必ず書く
ほむほむは強がり可愛い
~~~
100年前には街の光で輝いていた夜も、今は月明かりだけが頼りの暗いものになった。
二人は廃ビルの屋上で焚き火に当たりながらウサギの肉に食らいついていた。
まどか「その魔獣っていうの?ほむらちゃんはそれとずっと戦ってるの?」
ほむら「ええ、それが魔法少女に課された使命よ」
まどか「魔法少女?」
ほむら(テレビアニメもない時代に魔法少女なんて言っても伝わらないわよね)
ほむら(だってこの呼び方は、少女たちを騙すためにキュウべぇが付けた仮面だもの)
ほむら「悪と戦う人のことよ。戦士、兵士と言ったら分かるかしら?」
まどか「へぇ~戦士かぁ~、かっこいいなぁ!」
ほむら「そんなにいいものじゃないわ」
まどか「ええ~、かっこいいよ~。悪と戦う戦士暁美ほむら!って、なんかこう燃え上がれ~って感じでさ!」
また暁美ほむらの心に針が突き刺さった。
否応なく蘇る遠い昔の思い出。
暁美ほむらが鹿目まどか――ここにいるまどかではない『本当』のまどかに出会った日のことだ。
ほむら「名前負け……してます」ボソッ
まどか「え?今なんて?」
ほむら「……」
ほむら「なんでもないわ。それよりまどか」
ほむら「もし魔法少女に憧れを抱いているとしても、安易な気持ちでなりたいだなんて思わないことよ」
まどか「え……ほむらちゃん顔が怖いよ……」
思わず口に出してしまった。
1000年前に繰り返した1ヶ月の間に何度も発したそのセリフ。
今となってはそんな忠告をしても意味がない。
魔獣が見えるということは、このまどかにも才能があるのだろう。
しかしここにはもう契約を迫るキュウべぇはいない。
まどか「すごいなぁ、ほむらちゃんはずっと一人で戦ってきたんだ」
ほむら「一人じゃないわ」
いつだってまどかがそばにいてくれる。
そのことすら忘れようとしたことも何度もあった。
しかしどうしても無理だった。
まどかこそ心の拠り所であり、生きる希望だ。
まどかはいつだって見守っていてくれる。
しかし同じ学校に通っていた頃のように見て、触れることはできない。感じることができない!
暁美ほむらにとってはたまらなく苦しいことだった。
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「……なにかしら?」
まどか「どうしたのボーっとして……またお友達のこと思い出してたの?」
まどか「悲しそうな顔をしてたよ」
鹿目まどかは心配そうに暁美ほむらの顔を覗きこんだ。
まどかを思い出しているときの自分はそんな顔をしていたのか。
世界で一番好きな人のことを考えているのに、どうして――
ほむら「なんでもないわ。大丈夫よ」
まどか「でも……ほむらちゃん、泣いてる……」
ほむほむはもうくじけないからな
ほむら「え……?」ポロポロ
ほむら「あれ?変ね……」ポタポタ
――どうしてこんなに胸が痛いの?
ほむら「どうして……なんで……悲しくなるはずなんてないのに!」ジュルジュル
ほむら「まどかっ……まどかぁ!!」ダキッ
まどか「ひゃあ!」
ほむら「まどかぁ!会いたいよぉ!あなたに会いたい!」
ほむら「あなたさえいてくれればそれでいいのに!」
ほむら「私、それ以外にはなんにもいらないのにぃ!」
まどか「……」
鹿目まどかはただ黙って暁美ほむらを受け止めた。
決壊したダムのように、その夜の涙は止まらなかった。
~~~
その夜は鹿目まどかの寝床で、二人毛布に包まって寝た。
夜遅くまで泣いていたため、早朝鹿目まどかに起こされたときは、まぶたが重くて仕方がなかった。
まどか「ほむらちゃん起きて!」
ほむら「……」ボー
まどか「ほら早く!」
ほむら「なんなの、こんなに早く……」
まどか「見せたいものがあるんだ!」
そう言って鹿目まどかに立たされた場所は、寝床のすぐ横にある縦長の窓だった。
窓の外には骨組みしか残っていない廃墟ビルが真ん中に見えていた。
まだ太陽が昇っていない夜明け前の藍空に、鉄筋のシルエットが浮かび上がっている。
ほむら「ここから何か見えるのかしら?」
まどか「ほら、目を離しちゃだめだよ」
鹿目まどかは体をかがめて暁美ほむらと窓の間に潜り込んだ。
丁度人間の頭ほどしか幅がない狭い窓を二人で覗くには、その体勢しかなかった。
ほむら「……」
空がだんだんと明るくなる。
太陽が現れたのは廃墟ビルの丁度反対側だった。
まどか「ほら、太陽がビルの中を昇っていくよ」
太陽が縦横に組まれた鉄筋の向こう側を上っていく。
鉄筋の網目を通過した太陽光はいくつもの光の柱となって、舞い上がる砂埃をキラキラと照らした。
太陽の位置が少しずつ上がり、砂が風に翻弄されるたびに、まるで自らの意思を持った竜のように光が踊った。
ほむら「……綺麗」
無意識のうちに言葉が出ていた。
まどか「あのビルって昔の人たちが作ったんでしょ?」
まどか「すごいなぁ、こんなに綺麗な光景を昔の人も見てたのかなぁ……」
まどか「私ね、この景色が好きでここに住んでるんだ」
まどか「私が大好きなこの場所、ほむらちゃんが悪いネズミから守ってくれたんだよ」
ほむら「……」
ほむら「私は何も守れてなんかいない……」
まどか「え?」
数々の犯罪、災害、戦争――何一つ暁美ほむらが食い止められたものはなかった。
あの子が守ろうとした人々も、町も、指の間をすり抜ける砂のように崩れ去ってしまった。
暁美ほむらはそっと窓のそばを離れた。
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「ちょっと長居しすぎたみたい。私はもう行くわ」
寝る前に外しておいたリボンを頭に結びつける。
まったりとしていて愛に満ち溢れているいいSSだと私は思います。
まどか「そのリボン……」
ほむら「何?」
まどか「最初から思ってたけど、とっても素敵な色だね。そんな色初めて見た」
ほむら「あなたも付けてみる?結構似合うかもしれないわよ」
まどか「わ、わ、私はいいよぉ。全然似合わないもん!」
ほむら「そうかしらね」
ほむら「昨日は色々とありがとう。お陰で心が休まったわ」
まどか「良かった。テヘヘ」
まどか「……」
まどか「また行っちゃうんだ……」
お願いだからそんな悲しそうな顔をしないで
ほむら「大丈夫よ」
まどか「え?」
ほむら「またあいつらに襲われたら、大声で私を呼びなさい」
ほむら「いつでも飛んでいくわ、まどか」
まどか「……うん!」パァ!
~~~
ビルの下層階は地面に埋もれているため、暁美ほむらは5階の窓から外に出た。
ビルを離れてふと振り返ると、あの窓から鹿目まどかが手を振っていた。
まどか「ほむらちゃーん!またねー!」
ほむら(次に会う約束なんてしていないのに)
ほむら(あの子ったらまた魔獣に襲われる気かしら?)
ほむら「フフッ」クスッ
暁美ほむらは控えめに手を振り返した。
それを見た鹿目まどかは、さらに大きく手を振った。
~~~
洞窟の隠れ家に戻った暁美ほむらは、武器を錆付かせないように銃器の手入れをした。
すでに弾薬が尽きて使えなくなっているものも多いが、いつでもまた使えるようにバラバラに分解して磨いていた。
この時代に形の残っている物は貴重だ。
一つ一つ綺麗に磨いた部品を、汚れないように毛布の上に並べる。
一息ついて自分のソウルジェムをランプに照らした。
ほむら(いよいよソウルジェムの濁りが濃くなってきたわ)
ほむら(こんな中途半端なところでは終われない)
ほむら(もう少しだっていうのに)
ほむら(もう少しでこんな戦いも終わりになる……)
ほむら(もう少しで……)
そこで暁美ほむらは自分の考えの愚かさに気づいた。
戦いが終わるということは、魔獣がこの地上からいなくなるということ。
つまりそれは人類の滅亡と同義だった。
ほむら(私はそんなことを望んでいるの……?)
ほむら(私は……こんな砂漠になった世界なんて、早く滅んでしまえって)
ほむら(そう思っているのかもしれない)
暁美ほむらは今朝別れた鹿目まどかの顔を思い出した。
あの子が健康に成長すれば、あと50年やそこらは生きるだろう。
もし、あの子が子供を授かるようなことがあれば、またこの世界の寿命は延びる。
ほむら(まだまだ終われない……)
ほむら(どれだけ長い間この世界に閉じ込められていようと、私は構わない)
ほむら(まどかが守ろうとしたこの場所を守るって、私の魂に誓ったんですもの)
毛布の上に並べた部品をまた組み立てる。
ほむら(まずはなんとしてでもグリーフシードを手に入れなければ)
ほむら(グリーフシードを落としそうな大きくて強い魔獣を狙うのよ)
ほむら(まだ私のソウルジェムに余力があるうちに、なんとか……)
ほむら(強力な魔獣は人の多い場所、夜遅い時間帯に現れる傾向がある)
ほむら(今夜街の方へ行ってみましょう)
~~~
その夜、鹿目まどかは窓枠に両肘を付いて、ビルの上の月を見ていた。
まどか(ほむらちゃん、今どこで何してるのかな?)
まどか(今も同じ月を見てたりして)ティヒ
まどか「……」
その夜は風が強く、地面では砂が舞い上がっていた。
ここから少し離れた場所にはかつての街の中心地がある。
勿論今は人など住んでいない。
あの辺りには巨人がよく出現するため、あまり近づかないようにしていた。
その危険な場所に、今暁美ほむらがいる。
理由は分からないが、なぜかそんな気がしていた。
まどか(ほむらちゃん……また会えるよね?)
まどか(なんでこんなにほむらちゃんのことが気になるんだろう……)
一筋の涙が頬を伝った。
まどか(どうして……ほむらちゃんのことを想うと涙が出てくるんだろう……?)
まどか(ほむらちゃんが言ってた……)
まどか(大好きな人のことを考えて悲しくなることもあるって)
まどか(ついこの前会ったばっかりなのに、好きになったら、おかしい……よね?)
~~~
暁美ほむらは地面に倒れていた。
彼女は強い魔獣を探しに、街の中心地に出てきたところだった。
思惑通り、大きくて強力な魔獣が出現した。
しかし重要な戦いのためにと、久しぶりに持ち出してきたガトリングガンが弾詰まりを起こしたのは計算外だった。
他に持ってきていたサブマシンガンでなんとか魔獣を倒すことはできたが、暁美ほむらももう限界だった。
結局今日もグリーフシードは手に入らなかった。
ほむぅ……
ソウルジェムを月に照らすと、もう真っ黒だった。
死ぬ前に戦いの傷を癒すこともできない。
ほむら(私ももう終わりね……)
己の無力さに暁美ほむらは涙を流した。
ほむら「まどか、ごめんなさい」
ほむら「私の力じゃ、どうしようもできなくて……」
まどか「ううん、そんなことないよ。ほむらちゃん」
>>117
ほむほむ病が進行しすぎているようですね。
見てください「ほむ」しか喋れないようになっています。
ほむほむうるさいほむ!だまるほむ!
>>121
だまるふぉい
鹿目まどかが立っていた。
魔法少女のまどかではない。ボロ布を纏ったこの世界のまどかだった。
ほむら「!……あなた!」
ほむら「どうしてここに……!」
まどか「ほむらちゃんのことがね、頭からずっと離れないの」
ほむら「ここは危険よ!今他の魔獣が現れても、私はもう……!」
鹿目まどかは暁美ほむらの手を取った。
まどか「ティヒヒ、もう大丈夫だよ」
くっついにまどっち病までッここももうだめか!脱出するぞ!
お…おいまさかお前までッ!うわあああああああああああ
ほむ?
まどか「だってこの星に残った最後の魔獣は今ほむらちゃんが倒したんだよ」
ほむら「え……あなた……まさか……!」
鹿目まどかの体が光に包まれる。
まどか「気づいてる?もう残ってるのは私たちだけ」
鹿目まどかは魔法少女に変身した。
ほむら「……まどか!」
まどか「私やっと思い出したんだ」
鹿目まどかがソウルジェムに触れると、それは蒸発して消えていった。
まどか「私がこの地上に降りてきた理由」
ほむら「グッ……まどか……」ポロポロ
まどか「それは私の最高の友達を迎えに来るため」
ほむら「まどかぁ……」ジュルジュル
まどか「ほむらちゃん、今までずっとずっと頑張ってくれて、ありがとう!」
ほむら「……まどかぁああ!」
俺の望んだエンドだった
暁美ほむらは鹿目まどかの胸に飛び込んだ。
戦闘のダメージが嘘の様に、その体はもうすっかり軽くなっていた。
まどか「ティヒヒ、ほむらちゃんまだそのリボン付けててくれたんだね」
ほむら「まどかぁ!まどかぁ!」
まどか「またたくさんつらい思いをさせちゃったね、ごめんね」
ほむら「まどかぁ!……私こそ……私こそ!」
ほむら「ごめんなさい……」
ほむら「私……この世界を……守りきれなかった……!」
いつの間にか鹿目まどかは全身白い衣に身を包んでいた。
暁美ほむらはその柔らかい生地と、長いピンク色の髪に包まれた。
体が風船のように軽くなり、二人は地上から離れて夜の空へと舞い上がった。
まどか「ほむらちゃんは守ってくれたよ」
まどか「私の大好きなこの世界を」
ほむら「でも、この世界の人々も、町も、もう……」
まどか「ほむらちゃん、みんな変わっていくんだよ」
まどか「みんな終わりがあるの」
空が明るみ始めた。
地平線から顔を出した太陽が、砂漠と、廃墟の町を照らし出した。
まどか「だからこの世界はこんなに美しいんだよ」
暁美ほむらは胸に埋めていた顔を離し、その光景を見た。
まどか「ほら――」
ほむら「……すごい……綺麗」
この砂漠も、廃墟も、誰かが意図して作り上げたものではない。
それでもこんなにも美しいんだ。
いや、自然にできあがったものだからこそ、美しいのかもしれない。
鹿目まどかと暁美ほむらは見つめ合った。
まどか「そろそろこの世界ともお別れだね」
ほむら「ええ、そうね」
まどか「怖くない?」
ほむら「あなたと一緒だもの。怖くないわ」
まどか「これからはずっと一緒だよ」
ほむら「ええ」
今度は笑顔の涙があふれた。
ほむら「ずっと……このときを待ってた」
まどか「これからは一緒に未来の魔法少女たちを救いに行くんだよ」
ほむら「ええ」
ほむら「でも……もう魔法少女も魔獣も生まれないんじゃ……?」
まどか「私はね、全部見えてるんだ」
まどか「魔法少女の戦いはまだ終わらないよ」
魔法少女の朝は早い
まどか「長い時間がかかるかもしれない。きっと1000年よりもずっと長く」
まどか「それでも一緒に付いてきてくれる?」
ほむら「ええ、喜んで」
まどか「ティヒヒ、嬉しいな」
鹿目まどかと暁美ほむらはお互いに強く抱きしめ合った。
まどかの暖かさに触れ、ほむらの心の不安は何もかも消えていった。
満足した表情のまま、二人の姿は完全にこの宇宙から消えた。
太陽だけが何も知らずに瓦礫の町を明るい光で包み込んでいた。
ほむぅ
~~~
数年後
QB「ったく、少し目を離していたら、もうこのザマなのか」
QB「100年くらいで絶滅するなんて、全く人間はこれだから困るよ」
QB「これじゃあ、ゴキブリほどの生命力もないじゃないか」
QB「……仕方がない。また一からやり直しだ。別の候補の星に行くとしよう」
QB「魔法少女の代わりはいくらでもいるからね」
魔法少女の戦いはこれからも続いていく。
これからまたいくつもの涙が流される。
それでも恐れる必要なんてない。
その願いはきっと無駄にはならないから。
おわり
乙ほむ
おつつつつうつつ
さやか「ほむらをこっちに迎えてから、まどかの惚気っぷりがやばい」
マミ「こうも毎日続くと、聞いてる方の体力が持たないわ」
杏子「マジでいいかげんにしてくれ……」
ごめん無理
誰か代わりに書いて
まどか「ほむらちゃんほむほむ」
ほむら「まどっちまどまど」
杏子「さやかちゃんさやさや」
さやか「あんこちゃんあんあん」
マミ「…」
こうですか、わかりません><
まどか「ほむらちゃんほむほむ」
ほむら「まどっちまどまど」
杏子「さやかちゃんさやさや」
さやか「あんこちゃんあんあん」
タツヤ「マミーwwwwwぶよぶよwww」
マミ「…」
ありがとうございました
申し訳ないけど、これからがっつり書く気力はないです
俺はただほむらちゃんがどうしたら幸せになれるか考えてただけです
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