さやか「奇跡も、魔法も、ないんだよ」(561)

シュルルル…

ほむら(リボンが解けた? まさか……!)


さやか「あ、ああ……」

シャルロッテ「……」ゴリッ グチッ

ほむら(くっ、巴マミ……この時間軸でも間に合わなかった……)

ガッ

ほむら(……? 足に、何か当たった?)

マミ「」

ほむら(これ、首のない巴マミの死体? じゃあ、あれは)


シャルロッテ「……」メキッ ゴキッ ムシャ…

ほむら「ま、どか?」

さやか「マミさん、まどかぁ……」

さやか「う、うぶ、げぇ……っ」


シャルロッテ「……」ボトッ… ギロリ

ほむら「! 美樹さやか、しっかりしなさい! さがって!」

さやか「転、校生……?」

シャルロッテ「……」ガパア

ほむら「お前の動きは頭に入ってるわ」カキンッ…

シャルロッテ「……!?」スカッ ガチッ

シャルロッテ「……?」キョロキョロ

ほむら「弾けなさい」

シャルロッテ「……!?」カチッ… ドォンッ! ボンッ! ボカァァァンッ!

コロン…

ほむら「……」

さやか「……」

ほむら「美樹さやか、美樹さやか」

さやか「……」

ほむら「美樹さやか!」ガシッ

さやか「あ……」

さやか「さ、触んないでよっ! マミさん、まどかは……!?」パシッ

ほむら「……」

さやか「う、嘘……」

さやか「あんた……」

ほむら「……?」

さやか「あんたのせいだ! あんたの……!」

ほむら「なっ」

さやか「何で! 何でこんな強いのに! あんたがもっと早く来てれば、マミさんもまどかも……!」

さやか「あんた、マミさんがやられるの、待ってたんだね……!? こんな物欲しさに……!」

ほむら「ち、違……っ」

ホム…       ホム…
    サヤ…         サヤ…

さやか「何で……何で、マミさんが……! まどかが、死ななきゃならないのさぁ……!」グスッ

ほむら「……」

さやか「あんたが、あんたが一緒に戦ってくれてれば……」

さやか「……ううん、あんたなんかじゃない」

さやか「あたしが、あたしがもっと早く決めてれば! あたしが魔法少女になって一緒に戦ってれば!」

ほむら「馬鹿なことを考えるのはよしなさい」

さやか「馬鹿なことって何さ!?」

ほむら「二人の仇はもう討ったわ」

ほむら「いつ死ぬかわからない、これが魔法少女」

さやか「……」

ほむら「あなたは運よく生き残って、まだ人間でいられた」

ほむら「今までのことは忘れて、普通に人間として生きていきなさい」

さやか「……ふざけんな」

さやか「ふざけんなよ転校生ッ!」ガシッ

ほむら「……っ!」

さやか「まどかはあたしの親友だったんだ!」

さやか「一番……一番仲のいい、大事な友達だったんだよ!」

さやか「マミさんは命の恩人で!」

さやか「優しくて、頼りになって……あたしの憧れだったんだ!」

さやか「忘れろ? 普通に生きろ?」

さやか「できるわけ、ないじゃない……ッ!」

ほむら「……」


QB「そうとも。君は逃げるべきじゃないよ、美樹さやか」

ほむら「インキュベーター……!」

QB「美樹さやか、君にも魔法少女の才能があるんだ」

QB「今からでも遅くない、魔法少女になってマミの代わりにこの街を守るんだよ」

QB「それが、マミやまどかの願いでもあるんじゃないかな?」

さやか「マミさんと、まどかの……」

ほむら「インキュベーター! いい加減なことを言わないで!」

QB「事実に基づいた推測さ。さあ、美樹さやか。僕と契約して魔法少女になってよ」

さやか「契約……あ、そうか……!」

これはさやかが正しい

さやか「キュゥべえ! あたし、契約する! 契約するから!」ガバッ

ほむら「美樹さやか!? やめなさい!」ガシッ

さやか「離してっ!」

QB「そう言ってくれると思ってたよ。さあ、願いを……」スッ

さやか「うん! マミさんとまどかを生き返らせてよ!」

ほむら「……!」

QB「……」

QB「残念だけど、さやか。その願いはかなえられないよ」

さやか「うんうん! 早く早く! これで元通り、三人一緒に……」

さやか「……え?」

QB「考えてもみてごらん? 二人を生き返らせるっていうことは、一から魔法少女を二人生み出すようなものだ」

QB「とてもじゃないけど、君の素質で人間や魔法少女を生き返らせるなんてことはできないね」

さやか「あたしの素質……?」

QB「そうさ。こんな願いは、鹿目まどかくらいの素質がなければ無理だろうね」

さやか「まどか、なら……?」

まどか=惑星破壊レベル
人の命は地球より重いとはよく言ったもんだ

さやか「……」

ガクンッ

ほむら「っ、美樹さやか!?」

さやか「あは」

さやか「あははははっ……!」

さやか「何それ……まどかなら生き返らせれたのに、あたしは無理なんだって」

さやか「それじゃあ、生き残ったのがまどかだったら、みんな元通りだったんじゃん」

さやか「まどかじゃなくて、あたしが死んでれば……」

さやか「転校生なんか関係なくって……っ、あたしがっ、まどかの代わりに死んでれば……っ」

ほむら「美樹さやか! やめなさい! あいつの言うことに耳を貸さないで!」

さやか「……」

QB「それで、どうするんだい? 他の願いを言ってくれないか?」

ほむら「お前はッ」ジャコッ

さやか「うん」

ほむら「……!?」

さやか「契約するよ、キュゥべえ」

ほむら「美樹さやか、どうして……!?」

さやか「こんなさ、魔女なんてのがいるからいけないんだよ」

さやか「マミさんとまどかの仇はさ、あの魔女なんかじゃない」

さやか「魔女全部」

さやか「あたしが……」

さやか「あたしが魔法少女になって、全部の魔女を殺してやる!」

さやか「マミさんとまどかの仇を討ってやる!」

QB「よく言ったね! さあ、美樹さやか。契約の願いを言うんだ」

QB「君はその魂と引き換えに、何を望むんだい?」

さやか「……」

さやか「マミさんとまどかの体を、元に戻してあげて」

ほむら「……!」

QB「そんな願いでいいのかい?」

さやか「うん。こんな状態じゃ、お葬式だってしてあげられないでしょ」

QB「まあ、君がそれでいいなら構わないけどね」

ほむら(何してるの? 私)

ほむら(止めなさい。止めてあげないと)

ほむら(どうして? 体が、動かない)

パアアア カッ

QB「おめでとう。君の願いはエントロピーを凌駕した」

QB「さあ、それが君のソウルジェムだ。大切にするんだよ」

さやか「……」

さやか「マミさん、まどか……ごめんね。二人の分まで、あたしが頑張るから」

ほむら「……」

≪見滝原病院付近で見つかった遺体は見滝原中学に通う児童、巴マミちゃん、鹿目まどかちゃんと判明≫

≪目立った外傷はなく、警察は事件と事故の両面を視野に入れて捜査を……≫

さやか「……」


詢子「ああ、来てくれたんだね。ありがと、まどかも喜ぶよ」

さやか「あ、はい……」

さやか「……」

詢子「寝てるみたいだろ? こんなに綺麗な顔してんのにさ」

詢子「いい子に育てたつもりだったんだけどね、あたしらより先に逝っちまうなんて……悪い子だねぇ」グスッ

さやか「……」

仁美「さやかさん、来てらしたんですね」

さやか「仁美……」

仁美「まさか、こんなことになるなんて……つい昨日まで、あんなに元気でいらしたのに……」

さやか「……」

仁美「こんなことなら、私、習い事なんて嫌って言えばよかった」

仁美「そうしたら、もっと一緒に寄り道したり、遊んだりできましたのにね……」ポロポロ

さやか「……」

さやか「はあっ! てぇぇい!」ザシュッ

使い魔「ガ、グアアアアッ」

さやか「……これで、今日は三匹か」

さやか「……」

さやか「何の用さ、転校生」

ほむら「……少し休みなさい」

さやか「ハッ、どういう風の吹き回し?」

ほむら「……」

さやか「ああ、そっか……あたしが魔女狩りすぎちゃうと、あんたがグリーフシード手に入れらんないもんね」

ほむら「……」シュッ

さやか「……?」パシッ

ほむら「使いなさい」

さやか「はあ……? 何やってんの、あんた」

ほむら「私はグリーフシードをある程度ストックしている。あなたがどれだけ倒したところで支障はないの」

ほむら「それよりも、使い魔まで見境なく狩り続けて……回復が追いついていないのはあなたの方じゃない」

さやか「……余計なお世話だよ」ポイッ カラン

ほむら「……」

さやか「あんたなんかに、手を貸してほしくない」

ほむら「それで、魔女に殺されるの? 巴マミやまどかのように」

さやか「……ッ!?」

ブンッ スカッ

さやか「ぐ……」

ほむら「そんな体力も魔力も不足した攻撃、蚊が止まるわよ」

さやか「あんた……! よくもそんなことを」

ほむら「仇を討つんじゃなかったの!?」

さやか「……!?」

ほむら「そうやって意地を張って一人で戦って、どんどん弱くなって……それで仇が討てる? あの魔女のような奴に勝てる?」

さやか「……それは」

ほむら「あなたがそんな戦い方をしてるようじゃ、巴マミも鹿目まどかも犬死にだわ」

さやか「……」ググッ

さやか「……」

さやか「……」スッ チャリ

さやか「借りにしておくよ」シュウウ

ほむら「ええ、そのうち返してもらうわ」

さやか「……あんたも仇の一人みたいなものだって、忘れないことね」シュッ

ほむら「いつでも斬りかかってくればいいわ。自信があるならの話だけど」パシッ

さやか「……ふん」

さやか「それにしても、あんたも暇だよね」

ほむら「……」

さやか「毎日あたしに付きまとって、こんなお節介してさ」

さやか「そのくせ、全然あたしの方を見てない」

ほむら「!」

さやか「そんな諦めきった目で、何を見てるのか知らないけどさ」

さやか「いらいらするんだよ、あんたのその目……」

ほむら「……」

ほむら(確かにそう)

ほむら(まどかが死んだ時点で、この時間軸に留まっている意味もない)

ほむら(だから、この時間軸で美樹さやかがどうなろうと、私には関係ないはず)

ほむら(……)

ほむら(どうせそのうち魔女化するか、殺されてしまう)

ほむら(……)

ほむら(どうして、私はまだここにいるんだろう)

さやか「ふっ……!」ズシャアッ

魔女「ガ…グウゥ…」ドサッ カラン

さやか「よし、なんとか勝てたか」スッ シュウウ…

さやか「それでも、全然数は減った感じがしない……どうやったらあいつら、いなくなるんだろう」

さやか「ん?」チカッチカッ

さやか「ソウルジェムが反応してる……今日は連戦だな」

任意のタイミングじゃ無理だからな

さやか「この近くのはずだけど……」ピカッピカッ

さやか「ん、あれは……?」

仁美「……」

さやか「仁美? あんた、こんな時間にここで何して」

仁美「あらぁ、さやかさんじゃありませんかぁ」フラフラ

さやか「……! 仁美、動かないで」ガシッ

さやか(魔女の口づけだ……あいつら、仁美にまで……!)

仁美「さやかさぁん? 何で邪魔しますのぉ」ヨタヨタ

さやか「あんた、操られてるんだよ! すぐに助けたげるから、大人しく待って」

仁美「お断りですわぁ、やっと、自分に素直になれましたものぉ」ジロォ

さやか「……仁美?」

仁美「私ね、今までとても窮屈でしたのぉ。毎日毎日習い事、どこに行ってもおしとやかにしなくちゃって」

仁美「私もねぇ、さやかさんやまどかさんと一緒に寄り道して、遊んで、好きな人に告白して、デートもして」

さやか「仁美、わかった。わかったから」

仁美「わかってませんわぁ!!」ガバア

さやか「うわ……!?」

仁美「さやかさぁん、あなた、最近どうしてますのぉ? 学校にいても元気もありませんし」

仁美「放課後だって、私が習い事がある日でも、いつも誘ってくださいましたのにぃ……声もかけてくださらない」

仁美「まどかさんがいなくなってしまって……上条君も入院して戻ってきませんのに、あなたまでどこかに行ってしまいますのぉ?」

さやか「仁美、落ち着い……上条? それって、恭介のこと?」

仁美「嫌だわぁ、私ったら、胸にしまっておこうと思ってましたのに……ええそう、上条恭介君をずっとお慕いしておりますわぁ」

仁美「でも、上条君はさやかさんの幼馴染ですものぉ……事故の後も、あんなに熱心に、楽しそうにお見舞いに行ってますものぉ」

仁美「私なんて、割り込む隙間がないでしょう? 好きだなんて、言えるわけないでしょう?」

さやか「仁美、あんた……」

仁美「私、いっぱいいっぱい我慢しましたのよ? なのに、皆さんいなくなってしまいますのぉ」

仁美「さやかさぁん、一緒にいてくださいな……ずっと、私と一緒に……」ググッ

さやか「う、首……っ、仁美、やめ……!」

仁美「ずっと一緒ですわ? そう、上条君のお見舞いにも行きましょう? 三人で一緒になるんですわ?」ギュウギュウ

さやか「ひと、み……」


ガッ


仁美「きゃんっ」ザザッ

さやか「けほ……っ」

杏子「ふぅん……あんたが新しい魔法少女?」

さやか「何、あんた……? あ!? 仁美、仁美!?」

杏子「放っときなよ? 気絶してる。死ぬか、運が良けりゃ元通りになるかするさ」

さやか「あんた……!」

杏子「何だい? 殺されそうになってるところを助けてやったんじゃないか。感謝はされても睨まれる覚えはないね」

さやか「あの子はあたしの友達だよ! 余計なことしないでよ!」

杏子「はぁ? トモダチぃ? 何言ってんの、あんた」

杏子「あんたは魔法少女なんだよ? 人間とトモダチでなんて、いられるわけねーじゃん!」

さやか「何、言って」

杏子「わかってねーなぁ? 人間ってのはさ、使い魔に食わせるエサだろ?」

さやか「はあ!?」

杏子「あれ、難しかった? だからさ、使い魔の状態だとグリーフシードが取れねーだろ? だから適当な人間食わせて、魔女になるまで待つわけ」

さやか「何それ……あんた、本気でそんなこと……!」

杏子「何言ってんのさ、魔法少女ってのはそういうもんだろ?」

さやか「あたしは! あたしは違う!」

さやか「あたしが知ってる魔法少女は……マミさんは、この街の人を守るために戦ってた!」

さやか「使い魔に人間を殺させたりしてない! あたしだって、使い魔から助けてもらったんだ!」

杏子「ふーん……あいつ、やっぱりそんな甘いことやってたんだ。くたばっちまうわけだよ」

さやか「……ッ!」カッ

ブンッ ガキンッ!!

杏子「何だよ、血の気の多い奴だなあ」ギリギリ…

さやか「取り消せ! マミさんを馬鹿にするな……!」ググ…

杏子「フン、マミの奴、相変わらず師匠としての腕も悪いんだね」

杏子「いいかい? マミもそうだけど、あんたはやりすぎなんだ。魚だって、たくさん獲れるからって考えなしに獲ってると数が減っちまうだろ?」

杏子「魔女も狩りすぎるとグリーフシード不足になっちまうんだよ……使い魔狩りなんてもっての他だ」

杏子「あんたも魔法少女ならわかるだろ? この仕組み……どうせならたくさん実がなってから収穫したいじゃねーか」

さやか「黙れ! それじゃいつまで経っても魔女がいなくならないじゃない!」

杏子「……わかんねー奴だな!」ギャリッ

さやか「う……っ」ズザザ

杏子「あんた馬鹿か? 魔女がいなくなったらあたしら、グリーフシード手に入らなくなるだろ? 種もみまで食っちまうんじゃねーよ、原始人かよ」

杏子「あんたは欲張りすぎなんだ、迷惑なんだよ!」

さやか「あんたこそ……! あんたみたいなのがいるから、魔女に殺される人がいる!」

さやか「あたしは、この世から魔女を一匹残らず狩り尽くすんだ!」

さやか「魔法少女なんか……いなくなったっていい!」

杏子「……そこまでわかっててやってんのかよ? じゃあ、救いようのねー馬鹿か。あたしの敵だ」

杏子「だったら! 殺しちまうしかないよねえ!?」ジャキッ ジャララララ

さやか(槍が、伸び……!?)

杏子「じゃあな!」

キンッ… スカッ

杏子「!? どこに消えやがった!?」


ほむら「間一髪ね」

さやか「転校生……? あんた、今の」

杏子「ああ? また魔法少女かよ……マミのやつがくだばっても、ここは随分人気の狩り場らしいな」

さやか「あんた、まだ言う……!」

ほむら「二人とも黙りなさい。結界が開くわ」

杏子「何……」

ゴオッ

さやか「いけない、仁美が!」

ほむら「美樹さやか、危険だわ! 動かないで……!」

さやか「離せ! うああ……っ!?」ゴオオオオオッ

ほむら「美樹さやか!?」

ズザザッ ゴッ ドッ

さやか「痛つ……よかった、仁美は無事だ……」ギュウ

魔女「グオオオオオッ!!!」

杏子「へえ、なかなか骨のありそうあ魔女じゃねーか……あたしがもらった!」


ほむら「美樹さやか……! 無茶な真似を」

さやか「うるさい……あんたも、人間なんて魔女や使い魔のエサだと思ってるんでしょ!?」

ほむら「……」

さやか「仁美は殺させない……あたしが守ってあげないと……!」

使い魔「ギシャアアアッ!!」

杏子「邪魔だ! そぉら!」ジャララララ ザシュッ

魔女「ガグッ……!!」


ほむら「私は十分なグリーフシードを確保しているわ。それに、私だってわざわざクラスメートを死なせたくはない」

さやか「……」

使い魔「ギシャアアアッ!! ギャギャギャギャッ!!」

パアンッ ダンダンッ パラララ…ッ

ほむら「信じて! 美樹さやか……!」ジャコッ

さやか「……仁美を見殺しにしたら、あたしがあんたをぶった切るからね」スッ

ほむら「構わないわ……!」

さやか「……」

さやか「仁美をお願い……ッ」ダッ


杏子「タフな奴……そぉら、さっさと死になよ!」ジャララララ

さやか「邪魔! どいて!」

杏子「は……!? 馬鹿、真っ正面から突っ込むんじゃ……!」

ドスドスドスドスッ

???「うわぁあああああ!」ウンメイノー

さやか「……っ」

杏子「言わんこっちゃない……だからあたしは距離とって戦ってたってのに」

杏子「ま、仕方ねーか……邪魔なのも消えて一石二ちょ」

さやか「う、ああ」ズッ

杏子「あ?」

さやか「うあああああ!!」ズズッ ズシュッ

杏子「あいつ、わざわざ自分から深く刺して近付いてる……!? 馬鹿かよ、痛み消してんのか……!」

ほむら「……いいえ、教えていない。彼女は痛みの消し方なんて知らないはずよ」

杏子「はあ!? じゃあ痛覚そのまんまであんな無謀な真似してんのかよ!? いくら魔法少女だってショック死するぞ……!」

ほむら「……」


さやか「早く、早く倒さないと……仁美が死んじゃうかもしれない……!」ズッ ズブッ

さやか「こんな痛み、くらい」

さやか「マミさんやまどかは……! もっと痛かったに決まってる!」ズッ ズシャアッ!!

魔女「ギッ…グアアアアッ!!?」カッ コロン

さやか「ぐあ、はあ……っ!」ガクン

杏子「無茶苦茶な戦い方しやがって……あれじゃ、グリーフシードがどれだけあったって足りやしねーよ」

ほむら「ええ、非効率だわ」

杏子「あいつ……何で、あんなに必死なんだよ」

ほむら「契約する前に……目の前で、親友と先輩を殺されたわ」

杏子「……!」

ほむら「魔女も使い魔も、全部が仇だと思ってる……自分自身も」

杏子「……なるほどね」

飯食ってくる

ってら。保守は任せろ

                 f'´   f'´  f'´   f'´
                 込   鼎  丱   仍
                 |\ ∧  ∧   /|_
               ,.<三二Λ ト、| | | |// ////>、
            /////////Λ|ム|_.iM|_.|//_∠///////ヽ
         /////////// / : : : : : : : : : : : : : ヽ、////\  
         ,'///////// , ´ : : :i : : : : : : : : : : : : : :.`、////∧   
           {////////// : : : : :l : : : : : : ',: : :\: : : : .∨///∧
           {////////,' : : : :/iΛ : : : :ト、 ',\ : :Y7 : : i/////} ____
         V//////ノ : ::i イ/{≧ト、: : i ヽ}=≦ミ| : i7i :i////∠三二ニ二三ミ、  
            ∨/////イ : :|: { {::心 \{  {:::心 i : :| :i :|///仁二二二二三ヨュ. 
           ∨/////| : :| ヘ弋少  ,`  弋少 | : :| :i :|//γニミ、γ三ミ、γニミミ
           \////VΛ:ハ ,,,,        ,,, | : :| :| :}// {{;;ili;;}}{{;;illllli;;}}{{;;illi;;}}       
            `<//}从:込、   `     ,ィノハイ从// {{;;;ili;;}}{{;;illlli;;;}}{{;;illi;;}} 
                `<//rー ,、≧=-=≦=ー┐/>´  'ゞ=ィヘゞ二彡ヘゞ=彳
                  `>{;;;;;;;;;;;;≧{;;;}≦;;;;;;;;;;;;;}≦、    Vr==ニ二ミV/
               / ゞ:;;;;;;;;:ィ;;|ト、ヾ:;;;;;;;;;;ノ   `ヽ、  圷iil}.{lll}.{ll}.{iiメノ
              /    `ー'´ .|;;|.iΛゞ` -'´     `、  `=ニ(\\='´
                i、         |;;|ハ ヾ;\       /  ヽ、   (\、ヽi 
                l ヽ、       i;;|llllヽ \;;\  /    \  (\  }
                 |   \     /|;;|llllllΛ  VΛ         \入  ノ

>>117
(*■H■)帰るぞケンジャキ

>>120
お前ムッキーじゃないか!

保守ついでにおすすめのさやほむSS聞きたいんだけど何かない?
まとめサイト見てもさや杏ばっかりで飽き気味なんだ・・・

>>122
ほむら「魔法少女まどか☆ペド化」さやか「!?」
エロは無い

>>122
ほむら「ほむほむビーム」さやか「え?」
ほむら「まどかルートも飽きたしたまにはさやかルートでもいこうかしら」
さやか「転校生ってホントにまどコンだよね」
さやか「あたしを返せ」
ほむら「寝る時間なのだけど……」さやか「いやーそこをなんとか」
さやか「転校生を見てると…何かこう…キュッとするっていうか…」
ほむら「頭痛い…」さやか「お腹痛い…」
さやか「おはよう、ほむほむ」

後はなんかあったかな…

>>127
ほむら「美樹さやか・・・・・・」シリーズ

色々とあれだが

さやか「転校生……!」

ほむら「安心しなさい、志筑仁美は無事よ」

さやか「よかった……」シュウン…

杏子「……」

さやか「何、あんた、まだやる気? それともグリーフシードが欲しいの……?」

杏子「いらねーよ。興が削がれちまった……いいから早く使いなよ」

さやか「そう……」スッ シュウウ…

杏子「……」

>>128
あれは個人的に安価じゃないほうがよかったな

ガシッ バッ

さやか「……!?」

杏子「へへ、殺すのはなしにしといてやる……でも、あんたはもう戦うのはやめな」

さやか「か、返せ! あたしのソウルジェム……!」

杏子「なぁに、責任持って預かっといてやるからさ……あんたは普通の人間に戻るんだな!」ダッ

ほむら「いけない……!」ダッ

さやか「転校生!? く、返――」フッ

仁美「ん……」

仁美「痛っ……ここ、どこですの……?」

仁美「あ、ぐ……体中が痛い……どうしてこんな」

さやか「」

仁美「さやかさん……!?」

仁美「さやかさん、どうしましたの? 起きてください、さやかさん?」ペチペチ

さやか「」

仁美「え? さやか、さん……?」

ほむら「待ちなさい、佐倉杏子……!」

杏子「うわ!? あんた、いつの間に先回り……って、あたし名前言ったっけ?」

ほむら「そんなことどうでもいい……! 早くそれを返しなさい!」

杏子「あんたも見たし、知ってんだろ? あいつの戦い方と考え方……あいつは、魔法少女には向いてねーよ」

杏子「心配すんなって。あたしも預かるからには最低限、濁らないようにしておいてやるから」

ほむら「そういう問題じゃないのよ……!」カキンッ

杏子「え? あ!?」

ほむら「……」ダッ

杏子「てめー、いつの間に取りやがった!? 待ちやがれ!」ダッ

ほむら「……」タタッ

杏子「やっと追いつい……ん?」


仁美「……!」フゥーッ…! フゥーッ…!

仁美「ふはっ……次、心臓マッサージ……!」

仁美「1、2、3、4、5……!」ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

仁美「さやかさん、救急車はもう呼びましたから! 目を覚まして!」

仁美「死なないで! おいていかないでください……!」

さやか「余命…1ヶ月…?」のさやかとほむらのやり取りが好きだな

杏子「どういうことだよ、これ……」


ほむら「……」スッ

仁美「暁美さん!? さやかさんが……お願いです、救急車は呼んだので、AEDを……!」

ほむら「その必要はないわ」

さやか「」ピクッ

さやか「ん……あれ……?」ムクッ

まどか「時代はさやほむだよ!」
ほむら「消えて貰うわ」 QB「ほう?」

最近のやつだとこのへんかな
消えて貰うわのほうはさやほむ抜きにしても面白かったからおすすめ

仁美「さやかさん! よかった……!」ダキッ

さやか「あれ、仁美? 気がついたんだ……体、大丈夫? 痛いところない?」

仁美「何言って……! あなたこそですわ!」

さやか「ええ? どうして……」


杏子「……どういうことか、説明してもらおうか」

ほむら「それはそこにいる奴に聞いた方が早いわ」

QB「やあ、佐倉杏子」

杏子「てめ、いつからそこに……!」

QB「や ら な い か ?」

QB「危なっかしいけれど、さやかはハイペースで魔女を狩りすぎたからね、牽制のために杏子に行ってもらうように仕向けたんだけど」

QB「君はトラブルメーカーだね。まさか、さやかを盗むなんてさ」

杏子「何言ってんだ? あたしはソウルジェムを取っただけで」

QB「だからさやかを盗んだんじゃないか。体の方もようやく再起動したみたいだけど」

杏子「何だよ、おい……何言ってんだってば。それじゃまるで」

QB「君は物分りのいい魔法少女だろう? 佐倉杏子。ソウルジェムは君たちの魂そのものじゃないか」

杏子「あ……え……?」

阿部「やらないか?」QB「え?」か

あれは最高だった

救急隊員「ああ、よかった! 意識ははっきりしてますか?」

さやか「ええ……あの、あたしは平気ですから、仁美を」

仁美「何言ってますの!? さっきまで脈も息もありませんでしたのよ!?」

救急隊員「君もひどい怪我だ……事故かい? 一緒に乗って。自分で歩けるかい?」


杏子「おい、ふざけるのも大概にしろよ? それじゃあ、あたしたちの体は抜け殻ってことじゃねーか……!」

QB「やっぱり杏子は物分りがいいね。その通りさ」

QB「考えてもみてごらん? 人間の体は魔女と戦うにはあまりにも弱くて、もろすぎる」

QB「だったら中枢部は切り離して、衝撃の及ばない場所に置いておいた方がよっぽど安全で効率的さ。わかるだろう?」

杏子「そんなこと、てめー言ってなかったじゃねーか!」

QB「聞かれなかったからね……杏子、君もこんなことで動揺するのかい?」

QB「やれやれ、君たち人間はいつも同じだね……魂のありかなんてものにこだわって。わけがわからないよ」

>>153
最後らへんでマミさんを事故から助けるトコとか最高だったわ

ピーポーピーポー…

杏子「……」

QB「どうしたんだい? もともと最初はさやかのことを殺そうとしてたじゃないか。動揺する必要もないだろう?」

QB「それともき」パアンッ

ほむら「……」ジャコッ

杏子「知ってたんだな」

ほむら「ええ。この場に美樹さやかがいなくてよかったわ」

杏子「……まだ何かあるだろ? キュゥべえを殺したのは、それ以上余計なことを言わせねーためだな」

ほむら「……見た目によらず鋭いのね」

杏子「しゃべってもらうぜ、全部な」

杏子「チッ……あたしたちが魔女のタマゴだったってわけか……よくできてやがるぜ」

ほむら「その割には平然としてるのね」

杏子「動揺してるさ。ただ、もう長いこと夢も希望も持ってなかっただけだ」

ほむら「……」

杏子「それで、どうするつもりだい?」

ほむら「何を?」

杏子「あいつのことだよ」

杏子「あいつは魔女を絶滅させようとしてる。本気で、刺し違えてもそうしてやるって決めてる」

杏子「……どんづまりじゃねーか」

ほむら「いつかは、知らせるつもりよ」

杏子「それで、あいつは耐えられるのかい?」

ほむら「耐えられるようになるまで……」

杏子「無理だね」

ほむら「……」

杏子「あんたもあいつと組んでるわけじゃないんだろ?」

杏子「あんな体力も魔力も垂れ流しの戦い方と生き方じゃ、長くは保たない」

杏子「中途半端に面倒見るよりも、すっぱり引導渡してやるのが情けだよ」

ほむら「……」

杏子「まあ、あんたの判断はあんたに任せるけどね。あたしはあたしで動かせてもらうよ」

病院


コンコン

仁美「はい、開いてますわよ」

さやか「おじゃましまーす」キイ

仁美「さやかさん……具合はよろしいんです、の? 痛……っ」

さやか「ああ、大丈夫だから寝てなよ! 今日だけ検査入院だけどさ」

さやか「仁美こそ、肋骨にひび入ってるのに、あたしの応急処置で無理して……」

仁美「あの時は痛みなんて感じませんでしたもの。無事でよかったですわ」

さやか「ん……ありがと」

さやか「……ね、仁美」

さやか「恭介のこと、好きなんでしょ?」


仁美「!? どうしてそんな……」

さやか「嘘つかなくていいよ、わかってる」

仁美「……誰にも話してませんのに」

さやか「あは、あたしも鈍い方だけどね。さすがに今の反応でわかるよ」

仁美「……」

さやか「ごめんね、無神経で。いつも一緒にいる時にも、恭介恭介言ってさ」

仁美「私が好きで言わなかったんですから、さやかさんが気に病むことではありませんわ」

さやか「なんで恭介のこと、好きになったの?」

仁美「……」


仁美「1年生の時でしたわ。縁があって、ホールで演奏を聞く機会がありましたの」

仁美「凄い人だと思った。揺さぶられましたわ……でも、好きになったのはその後に学校で会った時」

仁美「外見も整った人ですけど……普通でした。私たちと何も変わらない、ただ優しくてひたむきな」

仁美「放課後、音楽室で練習しているのを見た時」

仁美「ホールのステージの上よりも、生き生きとしてましたわ。その姿を見て以来……なんとかして力になりたい。そう思うようになりましたの」

仁美「さやかさんの幼馴染だって知ったのは、もう少し後になりますけど」フフッ

やか「そっか……うん、安心した」

仁美「え?」

さやか「仁美の好きだって気持ちが、ちゃんと理解できたから」

仁美「嫌ですわ、恥ずかしい……」

さやか「……」


さやか「仁美、恭介のそばにいてあげてくれない?」

仁美「……はい?」

仁美「さやかさん……笑えない冗談ですわ」

さやか「冗談じゃないよ」

仁美「……」ガバッ

さやか「ちょ、仁美!?」

仁美「馬鹿にしないでくださる!?」ガッ

さやか「……!」

仁美「私とあなたは友達じゃありませんの? さやかさんがどれだけ上条君のことを思っているか、わかっていないと思いまして!?」

仁美「そんな風に身を引かれて……対等な関係と言えまっ……痛っ……」

さやか「仁美……ほら、無理しないで横になって」

さやさや…

仁美「……」ゼェ…ハア…

さやか「ごめんね、仁美」

さやか「でもね、あたしもいい加減な気持ちで言ってるんじゃないの」

さやか「正直、恭介のことは恋愛の好きなのか、友達の好きなのかは自分でもまだわかってないんだけど」

さやか「あたしにも、やることができちゃってさ。恭介のお見舞いにも、全然行けてない」

さやか「仁美になら、任せられるんだよ」

さやか「あたしの大事な友達で、ちゃんと恭介のこと思ってくれてる仁美だからさ」

仁美「そんなの……」

仁美「納得、できませんわ……こんな不戦勝、納得できない」

さやか「仁美、おねが」

仁美「だから!」

仁美「勝負は、お預けですわ。さやかさんの、そのやることが終わるまで。それまで、さやかさんの代わりは務めます」

さやか「……あたしの、やることはさ」

ググッ

仁美「私も、譲る気はありませんの……」

仁美「私たちは、対等な友達ですから。よろしくて?」

さやか「……」

さやか「ん……わかった、わかったよ、仁美」ギュッ

さやか「それまで、恭介のことよろしくね」

仁美「……はい、任されましたわ」

パタン

さやか「……」

さやか「盗み聞きなんて、趣味が悪いじゃない」

ほむら「……」

さやか「もう面会時間は過ぎてるよ。不法侵入」

ほむら「魔法少女にそんな理屈、今更よ」

さやか「特にあんたには、だろ? で、何か用?」

ほむら「あなたが病院に運ばれた理由を伝えに来たわ」

さやか「へえ……それは素直に助かるわ」

ほむら「あなたが意識を失ったのは、さっきの魔法少女……佐倉杏子にソウルジェムを奪われたせい」

さやか「……」

ほむら「率直に言うわ。私たち、魔法少女の本体はソウルジェム。体から一定以上離れれば、肉体は抜け殻になって仮死状態になる」

さやか「……」


さやか「何だ、やっぱりね」

ほむら「!?」

ほむら「美樹さやか、あなた、気付いて……!?」

さやか「さすがに、自分が体験したことだからね。だいたいの予想はついてたよ」

さやか「騙されてたんだね、あたしたち」

ほむら「ええ……それに」

さやか「でも、かえって都合がいいかもね」

ほむら「え……?」

さやか「要は、ソウルジェムが無事なら死なないってことでしょ?」

さやか「魔女を全部狩り尽くすまで、あたしは死ねないんだから……戦い続けるんなら、この方が都合がいい」

ほむら「……」

さやか「情報提供ありがと。また借りが一つ増えたね……それじゃ」

ほむら「美樹さやか」

さやか「……何?」

ほむら「最後に確認させてもらうわ」

さやか「……?」

ジャラッ

さやか「!?」

ほむら「私がストックしていたグリーフシードよ。変身さえしなければ、かなりの間保つはず」

ほむら「これで、もう魔女と戦うのをやめてもらえないかしら」

さやか「……」

さやか「あんたには、結構借りを作っちゃったけどさ」

カッ

さやか「絶対にお断りだね」チャキ

ほむら「……そうね。そう言うと思ってたわ」

スッ

さやか「ん、何それ……あんたのソウルジェム?」

ほむら「……」

ガチッ

さやか「!?」

さやか「ちょっ……何してんのさあんた!?」

ほむら「……っ」

さやか「ソウルジェムが魂だって言ったのあんたでしょ!? 剣先に押し当てるなんて……!」

ほむら「美樹さやか、あなたは勘がいい……だから、私がどこまでいっても隠し事をしていることを見抜いてしまう。私を、あなたが信用することはない……」

ほむら「だから、これはその覚悟。私の言葉を信じてもらうための……」ググッ

さやか「……」

さやか「言ってみなさいよ」

ほむら「もう身を引けとは言わない。戦うなら、私と一緒に戦って」

さやか「……何それ」

ほむら「言葉通りの意味よ、美樹さやか」

ほむら「あなたの信頼に足るほどの事情を私は明かせない……でも、このままあなたを黙って見てもいられない」

ほむら「私に、あなたの背中を預けなさい」

さやか「……マミさんとまどかを見殺しにしたあんたに?」

ほむら「……ええ、そうよ」

さやか「……」

スッ シュウン…

さやか「あんたのことは信用できない」

ほむら「……」

さやか「……でもね、あたしもそれなりに戦った。自分が強くないのは、戦い方が下手なのは、わかってるつもりだよ」

さやか「それじゃあ犬死に……だったよね」

ほむら「……」

さやか「いいよ。でも条件が三つある」

ほむら「何かしら」

さやか「あたしに上手い戦い方を教えてくれること。それに、あんたの能力や情報を話せる限り話してくれること。それから」

ほむら「……」

さやか「あんたのストックはあんたが使うこと。共有するのはこれから手に入れたグリーフシードだけだよ」ジャラ…

ほむら「……ええ、よろしく頼むわ」

ほむら(ようやくわかった。私が、この時間軸に留まっている理由)

ほむら(まどかと巴マミのために、全てを捨てて戦い続ける美樹さやかは)

ほむら(私と同じだったんだ)

ほむら(ただし、やり直しのできない……それも、もう手遅れな)

ほむら(私があの時、『まどかとの出会いをやり直したい』と願っていなかったら)

ほむら(私はきっと、今の美樹さやかと同じになっていたに違いない)

ほむら(……)

カキンッ

ほむら「しっかり掴まってなさい、死角に回るわ」

さやか「なるほどね……こんな便利な魔法だったんだ」

ほむら「攻撃には使えないわ。さあ、時間が動くわよ」

カキンッ

魔女「キイイイッ」ブンッ スカッ

さやか「残念、こっちでした……っと」ズシュッ ズバアッ!!

カッ コロン

ほむら「お見事ね」

さやか「やめなよ、調子狂う」

ほむら「それでも見違えた戦い方をするようになったじゃない」

さやか「あんたの能力があるからでしょ。そうでなきゃ、今だって傷だらけだよ」

ほむら「……」


さやか『もうちょっと他の戦い方できないの? 巻き込まれそうで怖いんだよね、接近戦のあたしとしちゃあさ』


ほむら「……」フッ

さやか「何笑ってんのさ?」

ほむら「いいえ……意固地だったなと思ってね」

杏子「なるほど。あんたはそっちについたわけだ」

さやか「あんた、また……!」チャキ

杏子「おっと、今日は戦いに来たんじゃないんだ。この通り、変身もしてないだろ?」

さやか「殺されかけた身としては、そう言われてもね」

杏子「本当だって。さすがに二人相手に喧嘩売るほど命知らずじゃないさ」

さやか「……」

杏子「話がしたい。場所を変えるよ」

さやか「ちょっと、こっちはまだ返事してな……」

ほむら「行きましょう。敵意はないわ」

さやか「……」

教会跡



杏子「荒れてるけど……上がりなよ」

さやか「何それ、自分の家みたいに……」

杏子「あたしんちだよ、ここは」

さやか「え?」

杏子「少し長い話になる……そら、食うかい?」ヒョイ

さやか「……」パシッ

ほむら「いただくわ」パシッ シャクッ

さやか「ちょっと」

ほむら「毒は入っていないわ」シャクシャク

さやか「そうじゃ……まあ、いいけど」シャクッ

杏子「この教会はあたしの親父の物でさ、親父は神父だったんだ」

杏子「ただ熱心すぎてね。教義にないことまで話すようになって、教会から破門されちまった」

杏子「破門された親父の話は誰も聞いてくれなくて、あたしたち家族は食うのにも困ったよ」

杏子「親父はよく聞きゃわかる、当たり前のことしか言ってなかったんだけどね」

杏子「そんな時に、あいつがあらわれたのさ」

杏子「『僕と契約して魔法少女になってよ!』ってね」


杏子「あたしは願ったのさ、親父の話をみんなが聞いてくれるようにしてくれって」

杏子「翌日から教会は大盛況……あたしはその日から魔女退治」

杏子「でもいい気分だったよ。親父が表で世界を、あたしは裏で世界を良くするんだってね」

杏子「でも、親父に願いのことがばれちまった」

杏子「魔法の力で人が集まってたことを知った親父は、あたしを悪魔の子呼ばわりした。それで、絶望して酒びたり」

杏子「最後にはあたし一人を残して一家心中さ」

杏子「わかるかい? 人のために力を使ったって、何の得にもならない」

杏子「こんな体になって、あたしたちはもう十分に報いを受けてる」

杏子「あんたはもう、人のために戦うのはやめるべきだよ」

杏子「特に、もう死んじまった奴のためにはね」

さやか「……」

さやか「違うよ……やっぱり、あんたとあたしは違う」

さやか「あたしはマミさんとまどかの仇を討つために……戦うために魔法少女になったんだ」

さやか「マミさんとまどかが帰ってこない時点で、願いなんて何でもよかった」

さやか「あたしは、あんたが思ってるよりもずっと自分勝手にやってきたよ」

杏子「……そうやって戦ってるのが、死んだ二人のためじゃねーのかよ」

さやか「最初はね、そう信じてた」

さやか「でも今は違う。たぶんマミさんが生きてたら心配してくれるし、まどかはもうやめてって泣くと思う」

さやか「だから、二人のためじゃない……」

さやか「魔女を全部狩り尽くすのは、あたし自身の願いだ」

杏子「それが、あたしやあんた……あんたの相棒にも死ねって言ってるのと同じだってわかってるのかい?」

さやか「……」コクン

杏子「……頑固な奴だよ、本当」

杏子「あーあ、もういいや。あたしの負けだよ、好きにすればいい」

杏子「どうせ無理な話だって、そのうち気付くさ。その時になったら笑ってやる」

さやか「……」

杏子「つーわけだからさ、よろしく頼むわ」

さやか「え?」

ほむら「え?」

杏子「何をキョトンとしてんだよ?」

さやか「いや、どういう流れで『よろしく頼む』が出てきたのかって」

杏子「おいおい、頭の回転が鈍い奴だな」

杏子「あんたが全部の魔女を狩るのが目的で、あたしがそれを邪魔しない以上、あたしがグリーフシード手に入れる方法はあんたに協力するしかないじゃんか」

さやか「え? ……え、そうかな?」

杏子「そうだよ。つーわけだから、もう少し長く戦えるようになってもらわねーとな。張り合いがない」

さやか「あんたがあたしを攻撃してこないって証拠がどこにあるの?」

杏子「へえ? そんなのがないとあたしが恐くて魔女が狩れないのか? 全部の魔女を狩るって言った口が、聞いて呆れるねえ」

さやか「言わせておけば……いいよ、後ろから切りつけるなり、好きにすればいい」フンッ


ほむら「回りくどい真似するのね」

杏子「うるせー」

杏子「で、だ。近いうちに見滝原にワルプルギスの夜が来る」

ほむら(!?)

さやか「何それ?」

杏子「超大型の魔女さ。そこらの魔女とは比べ物にならない、災害規模のな」

さやか「魔女の親玉ってわけ……」

杏子「まあ、そんな感じだ」

ほむら(自力でワルプルギスの夜の情報を集めてたの……?)

ほむら「……」

ほむら「ええ、ワルプルギスの夜はその規模の大きさのせいで、周りに一種の無風状態を作り出す」

さやか「……どういうこと?」

ほむら「倒せばしばらくは魔女のあらわれない、平和な街になるってことよ」

杏子「やっぱ嗅ぎつけてやがったか」

ほむら「あなたより精度の高い情報を提供できるでしょうね」

杏子「何ぃ?」

ほむら「出現ポイントと時間にはだいたいの目星がついてるわ」

杏子「どういう根拠だよ?」

ほむら「統計よ」

さやか「ちょっとあんたたち、少し落ち着きなさいよ」

ワルプルギスの夜襲来・前日


コンコン

仁美「はい、今開けますわ」

さやか「おじゃましまーす」キイ

仁美「さやかさん……!」

上条「え? さやかが来たのかい……!?」

さやか「仁美、あたしのお願い、聞いてくれてるんだね」

仁美「ええ、役得でもありますし。……まだ、終わりませんの?」

さやか「ん、もう少しかな」

仁美「上条君、私ちょっと飲み物でも買ってきますわね」カチャ

さやか「仁美?」

仁美「このところ私の方がリードしてますから。塩を送って差し上げますわ」

さやか「へえ、余裕じゃない? 後悔しても知らないからね」

仁美「ふふ、させて御覧なさいな……ごゆっくり」パタン


さやか「……」

上条「……さやか、随分久しぶりだね」

さやか「ごめんね、急に来なくなっちゃって……色々、やることができちゃってさ」

上条「ううん、聞いてるよ、鹿目さんのこと……ショックだったんだろ?」

さやか「ん……そうだね。それが一番しんどかったかな」

上条「……結構無理してるみたいだね。疲れた顔してるよ」

さやか「そうかな」

上条「さやかはいつも頑張りすぎるからね、少しは肩の力抜くんだよ?」

さやか「……うん、ありがと」

上条「……」

上条「さやか、話しておきたいことがあるんだ」

さやか「何?」

上条「腕のことだけどさ……これ、治らないみたいだ」

さやか「え……?」

上条「現代医学では不可能なんだって。それこそ、奇跡か魔法でもなければ……って感じらしいよ」

さやか「……恭介、大丈夫だった?」

上条「はは……あんまり大丈夫じゃなかったかな。今は、やっと少し受け止められたけど」

上条「だから、何度も励ましてもらったけど、もう演奏は聞かせてあげられないかもしれないんだ。ごめんね」

さやか「ううん、謝ることなんてない」

さやか「謝ることなんてさ、ないよ」

上条「さやか?」

さやか「ごめん……ごめんね、恭介……」グスッ

上条「どうしたの、さやか? さやかが謝ることなんて何もないよ?」

さやか「ううん……あたし、何もできない」

さやか「奇跡も、魔法も、起こせないんだよ……」グスッ ヒック…

上条「大丈夫。大丈夫だよ」

上条「僕の腕は治らないかもしれないけどさ、こうやってさやかや、志筑さんもいてくれてる」

上条「だから諦めずにいられるし、何かやれることをやろうって思う」

さやか「恭介……」

上条「まあ、こんな風に思えるようになるまで荒れたし、かなりかかったんだけどね」

さやか「……ありがと、恭介」

上条「はは、何もしてないよ」

さやか「ううん。助かったよ」

さやか「もう行かなきゃならないけど……恭介、元気でね?」

上条「さやか?」

さやか「仁美にあんまり迷惑かけちゃ駄目だよ? じゃ、ね」

上条「あ、さやか……!」

パタン

さやか(仁美は、まだ戻ってないか)

さやか(よかった……今はちょっと、会いたくないもん)

さやか(ごめんね仁美、ちょっと前借りして甘えちゃった……でもリードしてるって言ってたし、いいよね?)

さやか(……)


ほむら「さやか」

さやか「あ……なんで、こんな所に」

ほむら「あなたが行く場所くらい、わかるわ」

さやか「……」

むら「……」

ほむら「やめてもいいのよ、戦うの」

さやか「……」

さやか「やめないよ……決めたことだもん」

さやか「……」

さやか「だからさ、ちょっと肩貸してよ」

ほむら「料金高いわよ」

さやか「そこはほら、出世払いで」ポフッ

ほむら「……」

さやか「……」

さやか「どうしてだろ、あたし、魔法少女なのになあ」

さやか「魔法らしいことって何もできてないよね……」

ほむら「……」

さやか「後悔なんて、あるわけないんだけどさ……」

さやか「魔法少女でも、できないことばっかりで、人間と変わらないんだね……」

さやか「マミさんも、杏子も、あんたもこんな思いして……あたしやまどかは、何も知らずに憧れてたんだよね」

さやか「あたしって、ホントばか……」

ほむら「……」

さやか「……」

ほむら「少しは落ち着いたかしら」

さやか「まあ、だいぶ」

さやか「……」

さやか「ほむらはさ、仲間とか、大事な人が死んだり、いなくなったりしたことってある?」

ほむら「ええ……もう、何度も」

さやか「そっか」

さやか「その人たちのことってみんな覚えてる?」

ほむら「さあ、どうかしらね」

さやか「……」

さやか「マミさんも、まどかもさ。いなくなって悲しくて、魔女が憎いのも変わらないんだけど」

さやか「ちょっとずつ、ちょっとずつ慣れてくるの。二人がいないってことに」

さやか「恭介も……こんなに会ってなくて、もう会えないだろうって決めてたら……少しずつ、あたしの中から薄れてって……」

ほむら「そういうものよ。みんな、時間とともに流れていくわ」

さやか「……」

ほむら「でもね、絶対に完全に消えたり、忘れたりはしない。薄くなっても、小さくなっても、必ず残ってるわ」

さやか「……」

さやか「……そっか」

                             _
                           ,.....≦:::::::::::≧.....、
                    < >./:::::::::::::::::::::::::::::::::::\

                      ,ォ付_'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::ハ   _
                  // ̄   ヾ、_::::::_:::  -‐==   ̄    `ヽ
                   l |(       |  ` l           =≠  }
                   l |(  _  ,.ィ≧=.、l:: ̄ ̄:::::テ:―r≠-― </
                      圦¨l=i!´::::l::( )::::::::( ):,':::i!::::i!':::::::::ミ_,.イ′     我が使命は…
                      弋ミ|、i!:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/::::;':::::/::::::::::::::〃
                        |刈`ヾ、';::::::::::;:ィニニニ:ミ.、::::::::::::://    我が想い人達を亡き者にした…
., -‐――――――――――――.| ├―――‐!l__/^Y´`ヽメ、_::::;'/ l      
-――――――――――――― | i!――≠‐.|.辷‐|     リー┘/ .i!       愚かな魔女共を…
                         | i! , イ  ̄ iミヽ、~    〃 ./  ハ
                   ,. l .!   _/  .ヽ _  彳  /i!   .ハ    その肉の一片さえも残さず…
                  /-‐! l_.ノ´ _    i!  ̄ iト ´i! ',    ハ
                    / ⌒i! | /    ` 彳   i! ヽ{       ∧       絶滅すること…
                 ,'i.   | .!〃       弋 _,.ィ:〉.  }      ∧
                  i!ヘ  | .|.\      i!   iチ´   ,   ヽ   ヽ
                |  ヽ | .|   \     ,′  i!  〃        \
                  i!  |ヽ| .|     ヾ≠′  .i!-‐ ´i!          \
                  |  ,′| .|、    / ,′    i!==.、|.             \
                   |    .l  | \_ ノ        i!   `i!             \
                   |    .|  |彡゙´>       i!     iハ                 ヽ
                     i!.     |  l |    ` ー彡′    ハ                   ヽ
                 i!.   | ! ,'ヽ    o ハ       ′ヽ               _ヽ
                   i!    |  |,′     / ヽ      _.\          ,≠ ´
               ,    | !  ノ    ./. !  ゝ-‐  ̄::::::;ア     ヽ   /
               ,′     .|  |     ./  ¢ -‐ ´  イ∨{           )~
                 /       |  |ミ 、 _./ ̄ {(二)-‐ ´  ハ ',       , ´

杏子「おーい、そろそろ声かけてもいい?」

さやほむ「「……」」


さやか「……どの辺りから見てた?」

杏子「『出世払いで』くらいからかな?」

ほむら「最初からじゃない……あなたも暇ね」

さやか「忘れろ、忘れなさい。今すぐに」グニィ-

杏子「いひゃいいひゃい! ひょんにゃの、ほんなほほでひゃってんのがわる……あだだだだっ」

ほむら「明日に響くわよ。そのくらいにしなさいな」


ゴウンゴウンゴウンゴウン…

ほむら「そろそろね」

杏子「ああ、手はず通りにな」

さやか「マミさん、まどか、仁美、恭介……力を貸して……」


ほむら「来るわ!」

――――――――――――ゴッ――――――――――――

ワルプルギスの夜「キャーーーハハハハハハハハハハハッ」


杏子「くそ、でけえな……!」

カップリングなんて要らなかったんや

ほむら「まずは仕掛けから行くわ」カキンッ

ほむら(全弾発射……!)

ボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

カキンッ


ワルプルギスの夜「キャハ ボボボボボボボボボボボボボ

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


杏子「うわ、派手にいったなあ」

ほむら「牽制程度よ。さ、次はあなたたち。掴まって」カキンッ

杏子「息合わせろよ、さやか!」タンッ

さやか「こっちのセリフだよ……!」タタンッ

ほむら「く、はあ……!」

杏子「おい、ちゃんとしっかり握って変な力入れんなよ!?」

ほむら「りょ……両手だけで宙吊りにされて。止まってるっていってもミサイルの上を飛び石だなんて、正気でいられる方が異常だわ……!」

さやか「発案者がよく言う……! もうすぐ届く。チャンスは一度だよ、杏子!」

杏子「よっしゃ! 来い!」

カキンッ


ワルプルギスの夜「……ギャーーーハハハハハハハハハハハッ!!!」

杏子「さやかーーー! 今だッ!」

さやか「あんたこそーーーッ!」

杏さや「「うああああああああああああッ!!!」」


―――――――――――ザンッ―――――――――――


ほむら「やった……胴体を両断したわ。上半身が落ちていく……」

やったか?

杏子「うおおおおおっ!」ジャラララララッ

ザクッ

杏子「うし、ビルに刺さった! 絶対に手離すなよ!」グゥンッ

ほむら「い、ぎ……」ミシミシ

さやか「うっく……」グオオ

ドサドサッ ドサッ

杏子「ふあ……着地成功……!」

ほむら「全身、バラバラになりそ……もう二度と御免だわ」

さやか「でも、勝ったんだね……あたしたち、倒したんだ……」

>>297

お前なんてことを・・・!

ギャハハハハハッ アハッ ヒーヒヒヒヒヒッ ヒャハハハハハハハハッ

杏ほむさや「「「!?」」」

使い魔「ギャハハハハハッ」

使い魔「アハッ ヒーヒヒヒヒヒッ」

使い魔「ヒャハハハハハハハハッ」

杏子「な、何だ!? どうなってやがる!?」ガキンッ

さやか「魔女を倒したら、近くの使い魔は消滅するはず……どういうこと!?」

ほむら「まさか……」

ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン…!!!

ほむら「本体は、歯車の方だったというの……!?」

杏子「どうすんだよ、おい……!? もう一度跳ぶか!?」

ほむら「この位置からじゃ足場にできる弾薬が残ってないわ……! 何より、使い魔が……!」

ほむら(また、駄目だったの? こんな……こんな時間軸でも勝てないの……!?)

さやか「……」キインッ ズシュッ

さやか「杏子……あんたの槍、貸してくれない?」

ギアル、ギギアル、ギギギアル!

杏子「はあ? こっから投げたって届くわけねーだろ!?」

さやか「投げるんじゃないよ……お願い、早く!」

杏子「あーくそ、あんたのと違ってあたしは一本しか出せねーんだぞ……ほらよ!」

さやか「ありがと!」ダッ

ほむら(あれは……!?)

ワルプルギスの夜「」

ほむら「ワルプルギスの上半身……!?」

さやか「行けッ」ガシッ

ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ

杏子「さやかが、飛んだ……!?」

ほむら「そうか! さやかの魔法ね……!」

杏子「え、あいつの魔法って回復じゃねーのか?」

ほむら「いいえ……さやかは『鹿目まどかと巴マミの遺体を元通りにする』という願いで契約した」

ほむら「さやかの魔法は『修復』! つまり、ダミーだったワルプルギスの上半身を修復すれば、それは本体の元に運ばれる……!」

テラクレイジーダイヤモンドwww

なんてクレイジーでダイヤモンドな奴だ。さすがさやかちゃん

使い魔「ギャハッ!?」

使い魔「アハヒッ!?」

杏子「おっと、戻らせるかよ……!」ガシッ

ほむら「ええ……邪魔させたりしない! ここで引き付ける!」ダンダンッ ドパラタタタタタッ


ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ


さやか(手、離れそ……!)


杏子『つーわけだからさ、よろしく頼むわ』

ほむら『私に、あなたの背中を預けなさい』

仁美『私たちは、対等な友達ですから。よろしくて?』

上条『大丈夫。大丈夫だよ』


さやか(……!)グッ




さやか「貫けーーーーーーーーーーーッ!!!!!」



―――――――――――ボンッ―――――――――――



ゴウンゴウン…ゴゴウン、ゴウ…ゴゴゴゴ…ヴーーーーーン…


杏子「使い魔が、消えた……やったんだな……!」

ほむら「……」ダッ

杏子「あ、おい!?」

ほむら「さやかが降ってくるわ! 急いで!」

カキンッ

親方!空から女の子が!

ほむら(ワルプルギスの上半身の真上だから、このポイント……!)

ほむら(どうやって、どうやって受け止めたらいいの!? ああもう、ろくな道具がない……!)ガサガサゴソ

ほむら(……あった!)

バサッ バサアッ!!

杏子「防弾チョッキにトランポリン……救命浮き輪ぁ!?」

ほむら「気休めにしかならないわ!構えなさい!」

カキンッ

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ


杏子「よし! ポイントばっちり、トランポリンの上!」


ガシッ

トランポリン「」ビリッ


ボキベキバキ……!!

―――――やか……


―――――さやか……!


ほむら「さやかッ!」

さやか「あ……あたし、生きてんの……?」

ほむら「ええ! ワルプルギスの夜を倒して、生還したわ……!」



杏子「さやかぁ……目、覚めたなら治療頼むわぁ……も、全身の骨が、ばっきばきで……」

さやか「杏子ーーーーーー!?」

杏子「ひい、本当に死ぬかと思った……魔法少女でよかったと、こんなに思ったこともないわ」

さやか「ごめん、ありがとね……? はい、槍」

杏子「おお……うわ、派手にひしゃげたなあ」

さやか「これでも直しながらやったんだけどね、さすがに硬かったよ」


ほむら「何にしても、よく無事で帰ってこれたわ……!」

杏子「……なあ、地上寸前で時間止めたらもう少し楽だったんじゃないか?」

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「……」フイ

杏子「……なあオイ」

さやか「……」カクンッ

杏子「うお」ガシッ

ほむら「どうしたの!? どこか痛めたの!?」

さやか「あ、ううん……気が抜けちゃって」

さやか「……」


さやか「二人とも、本当にありがとう」

さやか「あたしがあそこで最後まで飛べたのも、こうやって生きていられるのも」

さやか「全部、あんたたちのおかげ……!」

杏ほむ「「……!」」

こうして、ワルプルギスの夜は倒された。

短い間ではあったけれど、見滝原には魔女の出ない平和な日々が訪れた。

私たちは体力や魔力の消耗を癒し、

つかの間の平和を味わった。

けれど、さやかの戦いは終わらなかった。

無風の時はやがて終わり、魔女のいない街は急速に狙われ始める。

それは、けして楽ではない戦いの始まりでもあった。


そして、さやかはやはり、

いつまでも戦える状態ではなかった。

5年後・見滝原


杏子「あれから5年……よく保った方だと思わねーか?」

ほむら「……ええ」

さやか「……」スゥ… スゥ…


さやかのソウルジェムは、時を重ねるごとに濁りやすくなっていた。

5年の月日が経過した今、さやかはほとんど起きていることができない。

目を覚ましていると、その間もどんどんソウルジェムが濁っていくからだ。

さやかはもう、戦える状態ではなくなっていた。

もともと、さやかは契約した時点で絶望と憎しみに溢れていた。

魔女を倒すという強い意思と、私たちの存在が一時的にそれを緩和していたにすぎない。

その契約時の絶望はさやかの身に日に日に影響を強め、

今はもう、呼吸をするだけで穢れが溜まる。

それは、魔法少女としての寿命だった。

杏子「なあ、眠ってるうちに逝かせてやるのが情けじゃねーのか」

ほむら「……」

杏子「なあ、これ以上は無理だよ。さやかもわかってる。魔女化しちまう前に、魔法少女として逝かせてやろうよ」

ほむら「……わかってる、わかってるわ」

杏子「……」

ほむら「……」

杏子「なあ、やり直せねーのか?」

ほむら「……!」

ほむら「……無理よ」

ほむら「時間が経ちすぎた。もう時間を止める魔法は使えないし、私が過去に戻れたのはワルプルギス前後の間だけ」

ほむら「それに、時間を戻ったとしても私が消え去るだけ。あなたとさやかは、私の戻った過去にはいない」

ほむら「そこにいるのは出会う前の、別の世界の杏子とさやかよ」

杏子「……そっか。悪かったな、変なこと聞いて」

杏子「魔女、狩ってくるよ」

ほむら「ええ、行ってらっしゃい」

さやか「……」スゥ… スゥ…

ほむら「……」


私も、これ以上衰弱していくさやかを見ていたくなかった。

このさやかを魔女になんてしたくなかった。

けれど、死なせることはどうしてもできない。


そして、年を経るごとに強くなっていくのは、これでよかったのかという思い。

まどかを、巴マミを死なせてしまったこと。

さやかにこんな契約をさせてしまったこと。

私は、本当にこの時間軸で暮らしていくべきだったのか?

もっと良いやり方ができたのではないか……?

どうせまとめに載るんだろ・・・?
寝て良いよな・・・?

あ、俺はさやかちゃんカラーでお願いします

ほむら「……」

ほむら「ん……」

ほむら「あ、いけない……いつの間にか、眠って……」

カッ

さやか「あ、おはよう、ほむら」

ほむら「さやか……?」

ほむら「さやか!? 駄目じゃない、変身なんかして! ほら、どんどんソウルジェムが黒く……!」

杏子「いいじゃねーか。最後くらいさ」

ほむら「最後……?」

>>415
お前のレスが乗るか否かだな、まずは

接続切れてた。
再起動完了

さやか「そ。魔女になる前に、魔法少女のまま死にたくてさ」

ほむら「さやか!? あなた、知って……!?」

さやか「へへ、寝たふりで結構聞いちゃってたんだ。ごめんね」

ほむら「……いえ、こっちこそ黙っててごめんなさい」

さやか「いいよ。それよりさ」


さやか「ほむら、過去に戻りなよ」

ほむら「え?」

ほむら「そこまで知ってるの……でも、もう時間が経ちすぎて、過去には」

杏子「それは、ほむら一人の魔力での話だろ?」

さやか「ここには他に、二人も魔法少女がいるんだけど」

ほむら「……!?」

ほむら「あなたたち、何を言ってるかわかってるの!?」

ほむら「成功するかもわからない……それに、私は過去に戻れたら平気でも、途方もない魔力を搾り取られるあなたたちは……!」

杏子「いいんだよ。さやかと話し合って決めたんだ」

      ./'⌒ヽ、_/,xY,.-==ヽヽ、          __
     /,イ ̄`> 、!ヘ|::: ̄ ̄ ̄!: :ヽ、    ,  イ 、  `   、
.    ,.!/':::> '  ̄ ̄ ̄` . <::::ヽ、: :ヽ-= '   ∧ ヽ      >.、
   , / !/: : : : ; : 、: : : : : : : :\/: : :/     !      ヽ    ヽ
   ∥ /: ,-: : :、 : : ヽ-<:`. .、: :ヽ: :// /  _i   ト、|_.i      ヽ
   iL/__/ : : : l ヽ: : :ヽ: : : : : ハ: : : !ヾ.i./.i七イ/. i∧  |丁jヽ ト! |   .i
.   }: : : : : : : :|. ヽ:x孑-- : : :∧: : i: ヾ.、! /,i‐=  ! |x=x`!.,  |,   !
   ,: : : : : ト-!j  ヽ: !x≦ア: : : i: :/: :|トヽ!.i r'::|  ヾ! r':::lメ,  ,_   .|
   !: : : : : ィrx、   ' .!'::::}.∨: :∧': : :| ヽ!ヽ,,ゝ.' ,   ゝ,,'/  ./^!   トi
  八: : : : :ト.ヘ'::!    `- ' !: / ノ: : :: i ノ |、   ----.,  イ  /ノ  .ハ!、
    ゝ: : :ハ.,,`-' ,    '' /',-' : : : 从!  >  ゝ. __ノ // /    /
    ` )` :ゝ   ,x三ヲ   イ.、.r、: :ト, r、、-ヽV>- ≦./,イ ,イ/,./
    乂!ヾ!≧-┐-_, _r.i <,<,ヽヽ`iヽ ヽヽ  ((Y),-, / ̄ ̄ ̄`i
    r「ヽ`ヽヘヾヽ> ヽ! |,//|. ゝ`x‐.ヽ!  ̄ ̄` ---- ___   ヽ、!
    ,! ` ` ヽ`^./Xヽ,/---.っ='-へ`  ヽ二ヽ__ , -v-,__ ,ヘ、  .`i
   <     i y ヽ..| i,二ニっ,'` ニ`'.ヽ  `.r` -- '  ̄` -r/__ ヽ   |
    \  ,_」_! L>.|  ' 〈 .i /  ` ,--,__ノ  >,、    〉  .ヽ∧ `!
   ./. ヽ/:::::::>,.|  ( .ノ,    /,! : \    ノ `>- '、  / ハ |
  , ' _.〈__><:ヽ_イ/,   .//|: : : :ヽ-<<    `ヽ .!  ! i

  ,      /::::::::::::::::/⌒ヽ  ///i : : : トヽ-- 、 ><   ./  .八.|
 .i      く_>.,'へ     .////|: : : i  ゜|  ` --- 7'    ヽ

ほむら「杏子……!」

杏子「いいだろ? あたしだって、さやかが弱ってくの同じくらい、ぼーっとしてるほむらが見てて嫌なんだから」

ほむら「……」

杏子「やり直してこいよ。あたしたちは、十分一緒にいられたからさ」

さやか「ね? ほむら……早く。時間がないの。あたしのソウルジェム、どんどん濁っちゃう」

ほむら「……っ」

ほむら「~~~~!」スッ…

カッ

さやか「あは……凄い。どんどん魔力が移ってくよ」

杏子「失敗すんなよ、ほむら。向こうのあたしたちによろしくな」

ほむら「……っ」


ほむら「絶対!」

ほむら「絶対に、今度はあなたを救ってみせる! 何があっても……!」


さやか「あ、それはいいや、別に」

ほむら「えっ」

ぶっちゃけさやか救わないとまどかも救われない

>>451

はいさやか論破

さやか「その代わりさ」

さやか「あの時あたしが助けられなかった、マミさんとまどかを助けてあげてよ」

さやか「そしたら、あたしも思い残すことはないや」

ほむら「……ええ、ええ! 約束するわ!」


杏子「……」

杏子「え、あたし?」

杏子「んー……いや、あたしは別にいいや。面白かったしさ。割と幸せな人生だったよ、うん」

ほむら「杏子……」

さやか「あとね」

さやか「ほむら……前に言ってたよね」

さやか「絶対に完全に消えたり、忘れたりはしない。薄くなっても、小さくなっても、必ず残ってる」

ほむら「……!」

さやか「あたしは……奇跡も、魔法も、ないと思っちゃうんだけどさ」

さやか「絆も、記憶も、あるんだよ」

ピカッ

                  ∧   ∧  /(
               )`、)  ( / \ノ  ~(_
              )~               (
             )                 フ

           )`                    (
       )\)`               /i        (_∧
      (              {、 {ヽ /:::}/ヽ        (
      _ )          i:::ヽ:::::i: : : : : : }         了
     )            ヽ::::::::,―‐ -、:://i        /
   <            /: : : :,ト ―‐- 〉:::::/         (
     )       ,-――´: : ,r>,:/ < [ニ[]ニl -、         ( )\
    )`     /: : : : : : : : : :/ \ ヽ/:人ヽ  V         ( ( /
   」      /: : : : : : : : : : /   \/:/ ト、:i / ト、__      ,、  (ノ (     杏さやエントロピィィィィィィィィィィ!!!!
 )\)   /::::::ヘn:::::__/  /`ヽ |::i   l |::| 、   /三三iー´/j  /
(        i:::::ィlj´ ' }'l三ミヽ、_/:: : : : : ` !::!  //  ト-‐┴、三 !__彡  了
 ).      z:::::ljリ -':: ̄ ̄ ̄:::: : : : : : : : ::}  |  |            (
  )`  /: : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::/   |  〈             フ
  ._     ̄ ̄\:::::::::::::::::::::::::,―ー-、/i    ト、  ト-、           (
  \.         ヽ、:::::::::::::::ノ   / /ハ  / ヽ /-ノ)          //
  _           ̄ ̄    く__/_i /,┴、 V)^´::ヽ         ブ
 ゞ                 しヘ_)7 )ヘ∩_)_ゝ)ヽ::::::::::ヽ、       /
                  /:::::::::/          \::::::::::i     //
  \        ___/:::::::::/          V::::::::|     (

   )       〃:::::::::::::::::::::::::/               i::::::::`-、   /
  ゞ.     x<彡ト´ ̄ ̄ ̄´               ヽ_ト_.ノ   (
   )      廴ニ‐'                             /(
  \                                   /

さやか「行っちゃったね……」ピシ、ピシ…

杏子「ああ……面白かったなあ」パキパキ…

さやか「うーん、一仕事したらまた眠くなっちゃったよ……ごめんね、起きてられなくて」ピキ

杏子「いいさ、今度は一緒に寝よーせ? 一人ぼっちは寂しいもんな」パリ

さやか「じゃ……はい、交換ね」

杏子「おう。へへ、さやかの、青色で綺麗だな……海みたいだ」

さやか「はは、嘘ばっかり……もう真っ黒だよ……それじゃ、おやすみ」

杏子「ああ、おやすみ」

パリン パリン

ほむら「ジュラ紀に跳ばされた」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」ゴオッ

まどか「やった! さっすがマミさん!」

さやか「え? あれ……」


シャルロッテ「……」ズルン ガパア

マミ「え……」





―――――――――――カキンッ―――――――――――


やべ・・・泣きそう・・・

カチッ… ドォンッ! ボンッ! ボカァァァンッ!

まどか「わ……爆発して、崩れてく……」

さやか「マミさんは!?」

マミ「こ、ここよ」


まどか「マミさん……!」

さやか「無事だったんですか!? よかったぁ……!」

マミ「え、ええ……」


マミ(私、確かに今、誰かに抱きかかえられて……?)

俺出せ俺

俺が主人公だ

まどか「あ、あそこ」

マミ「あ……! そう! 今助けてもらったんだわ!」

さやか「え……何? なんか、怪しげ……」


ほむら「……」ザンッ


さやか「な、何さ、人の顔じっと見て……」

まどか「なんだかプルプルしてるよ……?」


ほむら「私は……」


ほむら「わらひは……っ、あなたたひの味方でっ、くそったれな運命の敵……っ!」ブワッ


まどさやマミ(((泣いたーーーー!?)))

こうして、私は帰ってきた。

また辛く、厳しい戦いの日々が始まる。

巴マミは相変わらずインキュべーターに妄信的だし、

鹿目まどかはすぐに契約したがるし、

美樹さやかは何かと目の敵にしてくる。


でも、負ける気がしない。

私の記憶に、たしかに笑って送り出してくれた二人の姿が、

まったく色あせることなく残っている。


彼女は奇跡も、魔法もないと言っていたけれど、

この世界に、本当の奇跡があるとしたら。


それはきっと、魔法じゃない。


≪おしまい≫

お疲れ。

擬音語使いまくったから、わかりづらい所が多かったと思う。
何か質問でもあれば。

>>521
無粋かもしれないけど、初SSじゃないんだろ?ほかになに書いたか教えてください

ネタ系とかほのぼのばかり書いてたんで、シリアスが書きたくなったから書いたけど、やっぱ超疲れる。
次はまたネタ系か日常書くよ。

>>533
前半投下中になんか何度も話に出てドキドキしたけど、阿部さんを書いたよ

乙!面白かったぜ!

>>539

どっちだよwwwwwwwwwwwwww

・・・まさか、両方か?

>>543
あれ、阿部さんって二つあったの?
阿部「やらないか」QB「えっ」
の方を書いたよ。

あとクッキングバトルしたり、ラーメン屋開店したりしてるよ

>>546
お前・・・深夜にあんなもん書くなや!腹減るんだよ!!

ともあれほむら「殺す」QB「ほう?」っていうSSにも阿部さん要素があってね
どうなのかなって思ったんだよ

>>546
あれか…異常に腹が減るSSでしたよ。下調べには毎回感服してます 。

>>549
違うんだ。投下してるうちに深夜になっちゃうだけなんだ。

マジか。読みます。

>>550
あれ思い付きとか、料理漫画引用も多いんで、真に受けてはいけない部分も。
ラーメンの時はレシピ調べながら同時進行で書いてたんだよ…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月14日 (土) 16:07:35   ID: StVWv5mP

素晴らしいよ、1乙だ!
いやー、なんつーか、並行世界とか記憶とか考えだすと切なくなる
だからやっぱりこんなにこんなにまどマギが好きなんだろうなぁ

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