【まどマギ】ほむらの恋 (35)

毎度のドタバタもの、短編一気投下です

ほむさやが嫌いな方にはお勧めできません

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さやか「危ないじゃないの!この変態!」

ほむら「イノシシ女が……周りをよく見なさいと、何度言ったらわかるの!」

まどか「また始まっちゃったよ」

杏子「懲りねーヤツらだな」


美樹さやか……このバカはいつになったら、私の忠告を聞き入れるのかしら?


マミ「ほらほら二人とも、魔女は倒したんだから、ケンカはよしましょう」

さやか「だってマミさん、コイツが…」

ほむら「私の爆弾で十分トドメは刺せた。なぜ危険を冒して突っ込むの?手柄を焦ってのスタンドプレーにしか見えないわ」

まどか「そ、それはちょっと……言いすぎじゃないかな?」

ほむら「ごめんなさいまどか、あなたの言う通りね。謝るわ」

さやか「こっち向けこのやろ」

美樹さやかにも困ったものね。まどかはどうして、あんなのと友達なのかしら。

あの女の扱いには、毎度悩まされる。

言いなり、とまではいかなくても、もう少し友好的になれないものか。


マミ「暁美さん、ちょっといいかしら?」

ほむら「…何か用?」


一人であれこれ考えている私に、美樹さやかが信頼する巨乳女、巴マミが声をかけてきた。

かつては私も、マミを師と仰いだものだけど…

今やループによっては、二度と会いたくない、と言われることもあるので、決して仲がいいとは言えない。


マミ「あなたと美樹さんのことで、話をしたいの」

ほむら「………」


まーたお説教か…


ほむら「話すことなんてないわ。あの女とは壊滅的に気が合わない。それだけよ」

マミ「そんな一言で片付けてはダメ。きっとわかり合えるはずよ」

ほむら「私だってそうしたいわ。でも、過去ループの経験から、それは不可能だと思ったの」

マミ「良かったら……過去に何があったのか、聞かせてもらえる?」


話したところで美樹さやかが……いえ、マミをうまく使えば、少しはマシになるかしら。

仲が悪いままだと、またマミがトチ狂って、みんなを傷つけるかも知れないものね。


ほむら「…安くはないわよ?」

マミ「駅前のケーキ屋さんでいいかしら?」

ほむら「いいわ、行きましょう」


私たちは新作ケーキを買い込み、マミの部屋へと向かった。

ほむら「…というわけなの」

マミ「頬張りながら話すのは、お行儀が悪いわよ」

ほむら「私の苦労も知らないで、あの女はいつもいつも…!」


私は今までの鬱憤を、全てマミに叩きつけるかのように、激しくまくし立てた。


マミ「なるほどね、暁美さんの気持ちはわからなくもないわ」

ほむら「…あなたなら、そう言ってくれると思ったわ」


マミは私が顔に飛ばしたクリームを拭いながら、私の話にうなずいてくれた。


ほむら「ありがとうマミ。愚痴を聞いてもらえただけでも、ずいぶん楽になったわ」

マミ「良かった。あなたが話してくれたおかげで、私も解決の糸口を見つけることができたわ」

ほむら「何かいい考えがあるの!?」


素敵よマミ。あなたはやっぱり頼りになるわ。

マミ「ええ、暁美さんのその想い……それは恋ね」

ほむら「…はぁ?」


私の耳がおかしくなったのかしら。今、この牛チチ女は恋とかほざいた?


ほむら「…どういう意味?」

マミ「言葉の通りよ。あなたのその熱い想いは、間違いなく恋ね」


何をどう聞いたら、そういう答えにたどり着くのかしら?

ケーキの栄養分は脳じゃなく、全て胸にまわっているようね。


マミ「だって、いがみ合いながらも、あなたは美樹さんと仲良くなる方法を探している。ツンデレ…とは少し違うようだけど」

ほむら「マミ、寝言はマミってから言いなさい」

マミ「恥ずかしがる必要はないのよ?恋する気持ちは、それだけで尊いものなの」

ほむら「…あなたに話した私がバカだったわ」

マミ「心配しないで。マミおねーさんが協力してあげるから」

ほむら「………」


私は無言で、マミに銃を突きつける。


マミ「OK、わかったわ、あなたの邪魔はしない。でも、困った時には…」


静かにトリガーをひき、マミの心臓を撃ち抜いて、私は部屋を後にした。


マミ「あいたたた……暁美さんったら、照れ屋なんだから」

私が美樹さやかに恋?バカバカしい。


まどか「ほむらちゃーん、お手洗い付き合ってー」

ほむら「ええ、いいわよ」


そうよ。私が愛するのは、鹿目まどかただ一人。


まどか「ほむらちゃーん、お昼は屋上で食べようよ」

ほむら「ええ、わかったわ」


まどかの笑顔こそが私の力の源、美樹さやかなんてお呼びじゃないわ。


まどか「ほむらちゃーん、放課後はどのお店に行きたい?」

ほむら「私はあなたの好きなところでいいわ」


どう?美樹さやか。あなたがこんなに愛くるしくなれて?


「ほむらちゃーん」

ほむら「どうしたの?まど…」

さやか「可愛いまどかちゃんだと思った?残念、さやかちゃんでした!」


…私は893ブレードを取り出し、一刀のもとに美樹さやかの首を斬り落とした。


さやか「いきなり何すんのよ!痛いじゃない!」


美樹さやかは首を拾って、何事も無かったかのようにくっつける。QB並にしぶといわね。


ほむら「まどかに対する侮辱、万死に値するわ」

さやか「アンタには冗談も通じないの?」

ほむら「今のは聖女でも、ブチ切れて殴りかかるレベルよ」

さやか「全く…マミさんから、アンタが何か思い詰めてるみたいだ、って聞いたのに」

ほむら「マミから…?」


あのミスぼっちは何のつもり?心臓ではなく、頭を狙うべきだったわね。


ほむら「気遣いは無用よ」

さやか「あーあ、心配して損した」


悪気はない、と思うのだけど…


確かに、美樹さやかの仲間想いなところ、正義感の強いところは認めてはいる。

でもそれは、実力を伴って初めて意味を持つこと。

大した力もないままでは、甘さに繋がり、やがて自滅してしまう。

何度もその弱さを指摘したのだけど、あのバカは余計に意地になるのよね。


まどか「ほむらちゃんはさやかちゃんのこと、ちゃんと理解してくれてるんだね」

ほむら「…まどか、私の話を聞いてる?」

まどか「うん、さやかちゃんが羨ましいくらいだよ」


まどかったら……でもそんなアホなところが、たまらなく愛おしいわ。


まどか「文句を言いながらも、必ずさやかちゃんを助けてくれるほむらちゃんが、わたしも好きだよ」

ほむら「…あなたの告白、受けさせてもらうわ。朝までずっと、二人っきりで愛し合いましょう」

まどか「ソレが無かったらもっといいんだけどねー」


私がまどかと過ごしてきた時間。

それは必然的に、美樹さやかとも同じだけの交流を持つことになる。

性格を理解できているのは、まあ当たり前ね。

だからと言って、あの女が引き起こす騒動を止められるわけじゃないんだけど…


さやか「ほむら、どうしたの?」

ほむら「えっ?」

さやか「いや、ぼんやりとあたしの方を見つめてるから」

ほむら「な、なんでもないわ。少し考え事をしていただけよ」

さやか「ははーん、さてはこの、さやかちゃんの美貌に見とれてたな?」

ほむら「…ッ!」


私は思わず立ち上がり、教室の外へと駆け出した。

私が、美樹さやかに?そんなのあり得ない!あるはずないわ!


さやか「な、なんで顔真っ赤にして出て行くのさーっ!」

ほむら「くっ……私としたことが……」


私は屋上のフェンスに手をかけ、乱れた呼吸を整える。

なんだっていうの?無意識とはいえ、私の目がまどかではなく、美樹さやかの方を向くなんて…


マミ「ようやく、自分の気持ちに気付いたのね」

ほむら「巴マミ…っ!」


私はまどかに借りた弓で、マミの眉間に矢を撃ち込んだ。


ほむら「あなたが……余計な事を言うから……」

マミ「芽生えたその想い、大事にしてね?たとえ結ばれなくても、これからの私たちには必要なことよ」

ほむら「私にはまどかさえいればいいの!他の連中なんか知ったことじゃないわ!」

マミ「認めたくないのはわかるわ。でも、それを乗り越えてこそ、真実の愛に辿り着けるの」

ほむら「黙れ矢マミ」


マミの頭に矢を追加しても、気分は晴れない。

私は学校をサボり、魔女狩りへと出向くことにした。


ほむら「…運が悪かったわね。今日の私は血に飢えてるの」


魔女、使い魔に関係なく、次々と蜂の巣にしていく。

物足りないわね…ほむバズーカでも使おうかしら。


「あのっ、おかげで助かりました!お名前を聞かせてもらえますか?」

ほむら「…とっとこほむ太郎よ」

「ほむ太郎さん……わ、わたし一ノ瀬さやかって言います!ぜひお礼を…」

ほむら「五秒以内に消えなさい。殺すわよ」

「ひぃっ…!」


銃を向けると、慌てて逃げ出すモブ女。

なにがさやかよ……ウザいったらないわ。


「私、二ノ宮さやかです!お礼をさせて…」

ほむら「脳ミソぶちまけられたいの?」

「三橋さやかです!お名前を…」

ほむら「うるさい氏ね」


なんなのこれ?さやかって名前には、魔を惹き寄せる性質でもあるというの?


「チョーやべー、マジ助かったっていうかー」

ほむら「さしずめあなたは、四ツ塚さやかかしら」

「何ソレ?ダッセー、アタシには美樹まどかって名前があんだけどー」

ほむら「………」


もう限界。


私はまどかと名乗った黒ブタの顔面に、粛清のほむストレートを叩き込んだ。


次に見つけた結界。

どうやら巻き込まれた一般人もいないようだし、やっと落ち着いて戦えそうね。


…最深部に潜んでいた魔女。

今にも崩れ落ちそうなゾンビ体を、透明感のある薄紅色のスライムですっぽりと包んだ姿。


ほむら「…決めたわ。あなたの名前は紅茶の魔女、トモ・エマミーよ」


エマミーと名付けた魔女は、私には目もくれず、ひたすら容器に入った真っ赤な液体を啜っていた。


ほむら「その名にふさわしい最期を与えてあげる!」


私は機関銃を構え、エマミーの頭部目がけて、ありったけの弾薬を撃ち込んだ。


ほむら「爽快爽快、気分いいわー」


しかし撃ち続けている最中、私は違和感に気付く。

確かに弾は命中しているが……中まで届いていない!?

エマミーを包むスライムは、銃弾の威力を全て吸収し、足元にポロポロと落としていたのだった。


ほむら「…面白い、そうこなくては!」


私は時間停止を使い、ほむバズーカとほむほむボムによる攻撃に切り替えた。

このテの化け物は、炎に弱いはず…!


停止解除とともに、エマミーを中心に凄まじい爆発が起こる。

これで倒せなかったのは、ワルプルくらいのもの。ザコ魔女が耐えられる火力じゃないわ。


ほむら「……え!?」


炎の中、暴れまわるエマミー。だがそれは苦しんでいるのではなく、啜っていた液体を吹っ飛ばされた怒りによるものだった。


ほむら「…いいじゃない。ゾクゾクしてきたわ」


言葉ほどの余裕はない。

私は様々な兵器を使ってみたが、どれも効果的なダメージは与えていないようだ。


ほむら「まさか……いえ、そんな……」


疑問に思った私は、まどかの弓を使ってみる。予想が正しければ…


エマミー「……!」

ほむら「攻撃が通った!やはりコイツ、ワルプルギス特性…!」


魔力を込めた攻撃しか通用しない相手。普通の魔法少女なら問題はないが、通常兵器しか持たない私にとっては、まさに天敵とも言える。


ほむら「矢マミの呪いかしらね」


まどかの矢は残り一本、マミなんかに無駄撃ちするんじゃなかった…


怒り狂ったエマミーが、反撃に転じる。

スライム粘液を礫にして飛ばしてくるが、威力はなく、特にダメージは見受けられない。


ほむら「そんな攻撃で、私は倒せないわよ」


だが、身体に付着した粘液を振り払った時、私は愕然とした。


ほむら「吸血スライム!?」


薄紅色だった礫が紅く染まっている。こいつで血を絞り取っていたの!?

まずいわね……全て避けるには時間停止が必要だけど、これ以上力を失うわけにはいかない。


私は893ブレードに魔力を込めて斬りかかる。

もし通じなければ、まどかの矢との連撃に賭けるしかないわね。


ほむら「これで……くたばりなさい!」


しかしその願いも空しく、私の攻撃はエマミーを斬り裂くことはできなかった。


ほむら「どうして斬れないのよっ!」


二度、三度と叩きつけるが、全く意に介さない。

それどころか、私の焦りを察したエマミーは、攻撃の跡をポリポリと掻いてバカにする始末だ。


ほむら「今すぐ殺してあげるわ、トモ・エマミー!」


私は怒りに任せて弓を構える。

まどかと私の力、思い知らせてやるわ!


こーらほむら、カッカするんじゃないの」


攻撃の刹那、私をたしなめる声が聞こえた。

それと同時に青い閃光が、私を狙っていたエマミーの両腕を斬り落とす。


ほむら「よりによって……なぜあなたなの……」

さやか「魔法美少女スーパーさやかちゃんが、学校をサボったほむらちゃんをおしおきに来ましたー!」


気晴らしに来たつもりが、ストレスを溜めた上に、さやかに借りを作ってしまうなんて…


さやか「ほむら、刀は引いて斬るの!あたしをマミった時を思い出して!」

ほむら「うるさいわね、わかってるわよ!」


さやかの助言を受けたトドメの一撃は、エマミーを真っ二つに仕留めた。


さやか「おー、やればできんじゃない」

ほむら「余計な手出しを…」

さやか「何言ってんの。頭に来てて危ないとこだったじゃん」

ほむら「くっ…」


私が……戦いの中で冷静さを失うなんて……


さやか「気にすることないって。相手が悪かっただけ」

ほむら「いい気にならないで!大きなお世話よ!」

さやか「べ、別に恩着せるつもりなんてないわよ」


違う……さやかに無様な姿を見られたのが……たまらなく悔しいの……


ほむら「私は、あなたに弱さを見せるわけにはいかないのよ」

さやか「そんなこと言わないでよ。あたしたち仲間でしょ?」

ほむら「あなたに私を受け入れてもらうには、圧倒するだけの力が必要なの!」

さやか「えっ…」


私がいつも忠告していること。マミのように実力があってこそ、初めて人に言うことを聞かせることができる。


さやか「あ、あたしはまあ……杏子の例もあるし、女の子同士ってことに……抵抗はないけど……」

ほむら「何を言っているの?」


さやかは赤面しながら、わけのわからないことを呟いている。


私はふと、自分の言葉を思い返してみる。


……………!!!


ほむら「さやか、あなたまさか…」

さやか「別に力なんかなくたって……アンタがその……もう少し素直になるっていうなら……」

ほむら「ち、違うのさやか……私が言いたいのは、私の意見を、という意味であって……」


まどか「さやか、だって」

マミ「あらあらうふふ」

ほむら「まどか…!マミ…!」


あなたたちは……なんというタイミングで現れるの!


まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんと仲良くなってくれたんだね」

さやか「マ、マミさんから聞いてた通り、ほむらって本当にあたしを…?」

ほむら「違うのまどか、これには訳が…!」

まどか「それはとっても、嬉しいなって」

マミ「やはり戦いを通じて、人は愛を育てていくのね」

さやか「あ、愛って、あたしとほむらがそんな…」


があああ!赤くなるなバカ女!


まどか「さやかちゃん、ほむらちゃんにパンツ盗られないように気をつけてね」

ほむら「うっ………うわぁぁぁぁん!!!」


いたたまれなくなった私は、泣きながらその場を走り去っていった。


その頃の杏子


ゆま「ねえキョーコ、みんなを助けに行かなくていいの?」

杏子「ゆま、気が散るから黙ってな」

ゆま「えぐえぐ…」

キリカ「くっく、ダンス革命では負けたけど、太鼓のマスターでは私の方が上だねッ」

杏子「ふざけんじゃねえ!吠えヅラかかせてやる!」

おりこ「見事よキリカ。その調子で小ざかしい佐倉杏子を沈めてしまいなさい!」

ゆま「こらーっ!キョーコを悪くいうなーっ!」

おりこ「きゃああーっ!」


ゆまのスカートめくり!おりこにかいしんのいちげき!


キリカ「織莉子のぱんつ…ッ」

杏子「ナイスだゆま!こいつで逆転させてもらうぜ!」

キリカ「ひ、卑怯だよッ!佐倉杏子ッ!」




バイト「店長、どうします?」

店長「命が惜しかったら、関わるんじゃない…」


私は翌日も、学校をサボることにした。

今の気分では……さやかに顔を合わせることができない。

少し時間を空ければ、さやかもきっと冷静になってくれるだろう。



…私は昨日同様に、魔女狩りを続けていく。

もう油断はない。遊び心も持たない。

ひたすら魔を滅することだけを考える。


「あの、ありが…」

ほむら「黙りなさい!」


助けた一般人の足元に弾丸を撃ち込み、関わりを拒絶する。

殺気を隠すことなく、街中を彷徨い歩く…


しかし、どれだけ魔を狩り続けても、私の心は癒やされない。


ほむら「まどか……あなたに会いたい……」


私はいつしか、まどかの姿を探し求めるようになっていた。


ほむら「まどか……どこにいるの……」


学校は既に終わっている時間。

私はまどかが寄り道しそうな場所を、しらみ潰しに探してまわった。


ほむら「どうして……見つからないの……」


日は既に沈みかけ、辺りは夕暮れに染まってきている。

疲れ果てた私は、まどかの自宅近くの公園で一人、力なくうなだれていた。


ほむら「お願いまどか……私を見つけて……私を抱きしめて……私をほむほむして……」


どれくらいの間、そこに座っていただろうか…


まどか「ほむら…ちゃん?」

ほむら「まどか!?」


少しウトウトとしていたが、今度は間違えない。私の愛するまどかの声!


まどか「もう、探したんだよ?どこ行ってたのほむらちゃん」

ほむら「まどか……まどかっ!」


あなたを信じていた。必ず私を見つけてくれるって。

私はまどかの元へ駆け出していく。


仁美「ほむらさんが見つかりましたの?」

まどか「仁美ちゃん、こっちだy…」

ほむら「ほあたぁ!」

仁美「ゴフッ!」


…私は軌道を修正し、まどかに近付く志筑仁美に、飛び蹴りをお見舞いした。


ほむら「まどかとの逢瀬、邪魔は許さない」

まどか「えー」


ほむら「まどか……会いたかった……」


しかし抱きつこうとする私を、まどかは厳しく睨みつける。


ほむら「まどか…?」

まどか「ひどいよほむらちゃん……仁美ちゃんに謝って!」

ほむら「う…」

まどか「みんなでほむらちゃんを探してたんだよ?なのにこんなことするなんて、あんまりだよ!」

ほむら「ご、ごめんなさい…」

まどか「わたしじゃなくて仁美ちゃんに謝るの!ちゃんとするまで、口聞いてあげないよ!」


まどかはプイッと、そっぽを向いてしまう。

私は勢いに任せて、なんてことをしてしまったのだろう。


ほむら「ごめんなさい仁美……立てる?」


頬を押さえて倒れている仁美に、そっと手を差し伸べる。


仁美「大丈夫…ですわっ!」

ほむら「ほむぅっ!」


仁美は私の腕を掴んで引き寄せると同時に、私に強烈な腹パンを食らわせた。


ほむら「ほ……む……」


不意を衝かれ、崩れ落ちる私。


仁美「まどかさん、ほむらさんは十分に反省してるようですわ」

まどか「…ほむらちゃん!?土下座までしなくてもいいんだよ!?」

ほむら「ち、違…」


お腹を抱えてうずくまる姿がそう見えたのか……だが、否定しようとした私に、無言のプレッシャーが届く。


―余計なことは喋るな。


仁美の目は、そう語っていた。


まどか「ほむらちゃん、もういいから立って?」


無理……立てない……


仁美「ほむらさん、私は平気ですから」


私を起こそうと、肩に手を置く仁美。


仁美「まあ…そうなんですの?」

ほむら「!?」

まどか「どうしたの?」

仁美「ほむらさんの気が済まないそうです。私たちが立ち去るまで、こうしてると…」

まどか「ほむらちゃん…」


仁美はまどかに見えないように、私の肩を強く握る。


ほむら「う……ぐ……」

仁美「ほむらさん、泣かないでください。気持ちは伝わりましたから」


なんという一人芝居。しかし、握り潰されそうな痛みに、私は抵抗することができなかった。


仁美「行きましょうまどかさん。今は早くこの場を離れることが、ほむらさんへの一番の優しさですわ」

まどか「う、うん……ほむらちゃん、わたしももう気にしてないから」


仁美め…ぬけぬけとよくも…


しかし、これは私自身が招いたこと。

私の不用意な行動からまどかを怒らせ、仁美との友好関係を壊してしまった。


ほむら「まどか……まどか……」


私は何をやっているのだろう。


あの日以来、全ての歯車が狂い出している。


やること為すことが、ことごとく裏目に出てしまっている。


全部、あの女のせいだ…


私はその場に座り込んだまま、ポロポロと涙をこぼした。


マミ「…暁美さん」

さやか「ほむら……まだここにいたんだ」


やはり来たか。おそらくまどかから連絡を受けたのだろう。


ほむら「巴マミ…ッ!」

マミ「あらあら、私は歓迎されてないみたいね」

さやか「ちょっとほむら、マミさんが何したっていうのさ」

ほむら「あなたが……巴マミが、私の心を乱した!」


そうよ。巴マミこそが全ての元凶よ!


マミ「私は席を外した方が良さそうね。美樹さん、お願いしていいかしら?」

さやか「うん、わかった」

ほむら「ま、待ちなさい!」


マミを追いかけようとする私を、さやかが押しとどめる。


さやか「待つのはアンタの方。こんなに泥だらけになっちゃって」

ほむら「どきなさいさやか。あの無駄乳、引きちぎってやる!」

さやか「うわ、SGも真っ黒じゃん。世話焼かすんじゃないわよ」

ほむら「いいから放っておいて!」


さやかは話も聞かずにGSを取り出すと、私の穢れを浄化してくれた。

バカさやか……予備なんて持ってないクセに。


さやか「ほら、肩貸してあげる。帰るよ」

ほむら「離してよ……あなたなんか嫌いよ……」

さやか「そのわりには、やってること逆じゃん」


自分でも意識しない内に、私はさやかを抱きしめていた。


さやか「ごめんねほむら。アンタはいつだって、あたしのことを思って助けてくれたよね…」

ほむら「違うわ。全てはまどかのためよ」

さやか「それでもいいよ。あたしと一緒に、まどかを守ろ?」

ほむら「私は誰にも頼らない!まどかは……私一人で守るの!」


私という奴は……さやか以上に素直じゃないわね。

抱きしめる腕に力を込めると、さやかの匂いが私の心を刺激する。


さやか「ちょ、ちょっとくすぐったいってば!ほむほむしないでよ!」

ほむら「いちいちうるさいわね……その減らず口を黙らせてあげるわ!」

さやか「ほむっ!?」


私はさやかの両頬を包み、自分の唇で……さやかの口を塞いだのだった。


さやか「アンタは……いきなりとんでもないことするわね」

ほむら「いい気味よ。少しは懲りたかしら」


唇を離したあとも、私の口から出るのは毒舌ばかり。我ながら呆れるわね。


さやか「もっと違う言葉はないの?」

ほむら「感謝することね。まどか用にとっておいた初めてを、あなたなんかにあげたのよ?」

さやか「…アンタの減らず口も、叩けないようにしてやる!」

ほむら「ほむっ!?」


今度はさやかが、私の唇をキスで塞いでくれた。

その柔らかい、暖かい感触に、私は凍っていた感情が溶けていくのを感じる。


ほむら「何するのよ!まどかのためのセカンドキスなのに!」

さやか「まだ言うか!アンタにまどかは渡さない。アンタの全ては、あたしが奪ってやる!」

ほむら「ほ、ほむぅぅぅ!」


私に襲い掛かってくるさやか。

私たちはその後も、数え切れないほどのキスを交わし合うのだった。


後日


さやか「待てコラほむら!」

ほむら「あなたに捕まるほど、私は鈍臭くないわ」


あれからも、私とさやかは顔を合わせる度に、憎まれ口を叩きあっていた。

ただ、以前のような刺々しさはなく、お互いを認め合いながら、といった感じだ。


さやか「エターナルオメガスラッシュ!」

ほむら「必殺技名を叫ぶのはやめなさい。マミみたいになるわよ?」

さやか「やかましい!いいからあたしのパンツ返せ!」

ほむら「あなたは隙が多過ぎるの。だから鍛えてあげてるのよ」

さやか「…ブッ殺す!」




マミ「すっかり仲良しさんね」

まどか「そう…なのかな?」

杏子「えぐえぐ……ざやがぁ……」


マミ「鹿目さんの望み通り、これでもう、暁美さんのセクハラに悩まされる心配はないわ」

まどか「はい……でも、ちょっと寂しいです……」

マミ「鹿目さんには私がいるわ。美樹さんに遠慮せず、独り占めしてもいいのよ?」

まどか「ぐすっ、マミさん…」

マミ「これからは、私が一緒に戦ってあげる。そばにいてあげる」

まどか「……はいっ!」




杏子「ゆまは…あたしのそばにいてくれるよな?あたしを一人にしないよな?」

ゆま「ゆまはずっとキョーコと一緒。お風呂も一緒、寝るのも一緒!」

杏子「サンキュ、ゆま…」





マミ(計 画 通 り)ニタァ

ゆま(…GJだよ、マミおねーちゃん!)



ほむら「ほむらの恋、これで終わりにするわ」

 /\___/\
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| (●), 、 (●)、 ::|

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