憧（つまり、しずは幼馴染属性にもお嬢様属性にも飽きたってことか…）

憧（女王様、ツンデレ気質が必要ってことね）

憧（敵はもはや和じゃない）

憧（大星淡…）

穏乃「ねえ、ケーキのイチゴ食べなくていいの？」

憧「イチゴくらい、くれてやる…」

憧（あいつがこれ以上しずに接触しないように気を配っておかないと）

穏乃「じゃあ遠慮なく、あーん」

憧（あ、ケーキのこと忘れてた…）

憧「あれ？イチゴとっといたはずなんだけど…」

穏乃「え、いらないんじゃないの？」

憧「そんなわけないでしょ…全く、しずは食い意地が張ってるんだから…」

穏乃「ごめん…えっと、ほらまだ半分残ってるからさ…」

憧「え？」

穏乃「はい、あーんして？」

憧「あ、あーん//」

穏乃「このイチゴ美味しいね」

憧（しずと間接キス//）

憧「へえ、こんな山奥に温泉ねえ…」

穏乃「知る人ぞ知る秘湯ってやつだよ」

穏乃「はあー、ごくらくごくらくー」

憧「しっかし人いないね…」

穏乃「うーん…これだと経営が厳しくないのかな？」

憧「どうなんだろうね」

穏乃「ベトベトポニテも馬油シャンすればー♪」ワシャワシャ

憧「ご機嫌ね」

穏乃「馬油シャンすればー♪」ザッパーン

憧「すれば？」

穏乃「ヌルヌルポニテに！」

憧「ガッ！」

穏乃「わっ、痛い痛い！髪がちぎれるよー」

憧「あっ、ごめん…」

穏乃「なんでこんないじわるするんだよー」グスッ

憧（やばい、しずの泣き顔…ゾクゾクする）

憧（これって…チャンスじゃない？）

穏乃「憧？」

憧「…」バシッ

穏乃「えっ！？」

憧「うるさい…」

穏乃「な、なにか怒らせるようなことしたかな？」

憧「口を慎みなさいよ！あたしを誰だと思ってるの？」

穏乃「憧だよね…」

憧「憧様でしょ？なーに呼び捨てにしてんのよ」

穏乃「どうしちゃったの憧…」

憧「あたしはね…聞き分けのない子は嫌いなの」

穏乃「どうしたんですか憧様…」

憧「やればできるじゃん！いい子ね…」

穏乃「えっと、私もうあがろうかな」

憧「ダメに決まってるでしょ」

憧「あたしの背中を洗ってちょうだい」

穏乃「う、うん…」

憧「返事ははいだよね？」

穏乃「は、はい…」

穏乃「それじゃあ洗うね…」

憧「ちょっと待って」

穏乃「なに？」

憧「あたしの肌を洗うのに、そんなタオル使うのはおかしいよね？」

穏乃「え？でもこれ、憧のじゃ…」

憧「細かいことはいいの！」

穏乃「じゃあどうすればいいのさ？」

憧「決まってるでしょ…あんたの胸で…」

穏乃「え？よく聞こえないんだけど…」

憧「あんたの薄い胸で洗いなさいって言ってんのよ！」

穏乃「ええっ！？」

憧「へえ、なかなか上手じゃない」

穏乃「ねえ憧、こんなのおかしいよ…」

憧「おかしくないわよ、こんなの幼馴染だったら普通のこと」

穏乃「そんなわけないだろ！」

憧「あたしのわがままに付き合ってくれてありがとね…」

穏乃「なんか言った？」

憧「何にも言ってないわよ//」

穏乃「なんか顔が赤いよ？」

憧「もういいわよ…しずはあがってたら？」

穏乃「いいの？」

憧「うん…」

憧（はあ、なんてことしてるんだろあたし…）

憧（こんな無茶を聞いてくれるなんて、しずって優しいな…）

憧（でも、脈なしかな）

憧（嫌がってるみたいだったし）

憧（それにしてもひどすぎだよね…）

憧（最後の最後で幼馴染を盾にしちゃうあたりの不徹底ぶり…）

憧（はあ…）

憧（…）

穏乃「あこー、まだあがらないの？」

憧（…）

穏乃「憧？」

憧「//」

穏乃「うわっ、のぼせてるじゃんか！」

穏乃「ほら、つかまって」

憧「う、うーん//」

穏乃「ううう、ちょっと重たい…」

憧「ばか//そんなこと言わないでよ…」

穏乃「はい、お水飲んで」

憧「ありがと…」

穏乃「気をつけないとだめだよ」

憧「うん、ごめんね…」

穏乃「たまにはのぼせることもあるよ」

憧「いや、さっきのことなんだけどさ」

憧「怒ってるよね…」

穏乃「うーん、なんであんなことになったのかが知りたいんだけど…」

憧「ほら、しずがデボラが好きとか言ってたから…」

穏乃「そんなこと言ったっけ？」

憧「言ってたって」

穏乃「そんなことないと思うけど…」

憧「いや、言ってたわよ」

穏乃「うーん、そうだっけか？」

穏乃「というか、あれはゲームだよ」

憧「それじゃあ、しずの実際の好みはちがうの？」

穏乃「そりゃ、私だってゲームと現実の区別ぐらいするよ」

憧「そっか…」

穏乃「やっぱり風呂上がりの牛乳は格別だね」

憧「そうだね」

穏乃「そういえば、憧は前も同じ質問してたよね」

憧「小６の頃かな、しずにドラクエⅤを勧めたかも…」

穏乃「あの時、フローラを選んだって言ったら憧は取り乱してたよね」

憧「そんなこともあったね」

穏乃「そうか、フローラを和に見立ててたんでしょ！」

憧「ばれちゃったか…」

穏乃「深いこと考えてたわけじゃないから気にする必要ないよ」

憧「そうだろうと思ったけど…」

憧「直感的に選んだからこそ気になるのよ」

穏乃「毎回、違う人を選んでるから心配しないでよ」

憧「それはかえって心配かも…」

穏乃「それにね、私も憧のことが好き…だと思うから」

憧「そうなの？」

穏乃「まあ、未だよくわかんないけどさ…」

穏乃「ほら、見てよ憧…夕日が綺麗だね！」

憧「そうだね」

穏乃「これってプロポーズじゃなかったっけ？」

憧「月じゃないの？プロポーズではないと思うけど…」

穏乃「どっちにしろ、まだ早いか」

憧「そうね」

穏乃「じゃあ、憧は深山の許嫁ってことでどうかな？」

憧「なにそれ？まあ、そうしてくれたら嬉しいな…」

穏乃「よーし、来年こそ咲に和に大星さんを打ち破って優勝しような！」

憧「そうね！」

穏乃「待ってろインターハイ！…くしゅん」

憧「湯冷めしたんじゃないの？」

憧「ほら、ふきなよ」

穏乃「ありがとう憧！」