インデックス「行こ!あくせられーた!!」一方通行「…おォ」(790)

インデックス「ごっはん♪ ごっはん♪」

打ち止め「わーい! 新しい洋服でお出かけだよー! ってミサカはミサカは青いワンピースでくるくる回ってみたり!!」

打ち止め「あれ!? 今日の最高気温14℃!? それじゃワンピースじゃ肌寒いよーってミサカはミサカは何か羽織る物を探してみる!!」

インデックス「お肉! 私はお肉を御所望なんだよあくせられーた!!」

インデックス「分厚いステーキに噛み付いて、溢れる肉汁じゅんじゅわーなんだよ!!」

一方通行「わかったからてめェらハシャいでンじゃねえェェェええええええ!!!!」

もしインデックスが上条さんより先に一方通行に会っていたらという妄想
『絶対能力進化計画』は一方さん自らの手により壊滅した設定
パート化うぜえって声が聞こえるよーだがこれで最後だ 勘弁してくれ


打ち止め「準備できたよ、早く行こう! ってミサカはミサカはあなたを急かしてみたり!!」

一方通行「まてコラ。てめェ何で俺のシャツ羽織ってンだ。ちゃンとそのワンピースと揃いのやつ買ってやっただろが」

打ち止め「う~ん、あっちよりミサカはこっちの方が好みなの。ってミサカはミサカはぶっちゃけてみる」

打ち止め「それに…このシャツ、あなたの香りとぬくもりが残ってて、あったかい……ってミサカはミサカは頬を赤らめてみたり…」

一方通行「脱げ」

打ち止め「えー、強引なのも嫌いじゃないけど…ミサカは初めてはもっと優しくしてもらったほうが……」

インデックス「ちょっと!! 何淫靡な空気をかもし出してるの!!!!」

一方通行「欠片も出てねェよンなモンはァァァあああああ!!!!」

一方通行「…わかった、もォいい。汚すンじゃねェぞ。それクッソ高ェんだからな」

打ち止め「りょーかい! ってミサカはミサカはビシッと敬礼のポーズをしてみたり!」

インデックス「もー、何してるの! 早く行こうよあくせられーた!!」

一方通行「うるっせェな。急かしてンじゃねェよ」

 一方通行は舌打ちしながら玄関のドアを開ける。
 玄関先にいた人影を確認し、さらにもう一度舌打ちした。

一方通行「何やってンの? オマエ」

ミサカ「おや、奇遇ですね、とミサカはしれっと答えます」

一方通行「玄関先でバッチリ待機してて何が奇遇だボケ」


※ミサカ:『妹達』の一人。検体番号は10020号。記憶を失った一方通行と共に計画を潰した。
     『妹達』(打ち止め除く)の中で唯一一方通行に明確な好意を寄せる。

まあ、また潰されたらそれはそれで運命 今日は諦めるぜよ


ミサカ「お出かけですか? とミサカはあなたに問いかけます」

打ち止め「今から皆でご飯食べて、それから遊びに行くんだよー、ってミサカはミサカはロンリーな下位個体に同情しつつ答えてみる」

ミサカ「……」シーン…

打ち止め「あれ?」

ミサカ「ミサカは『あなたに』問いかけます。とミサカは先ほどの言葉を復唱します」

一方通行「…このガキが言ったとォりだよ」

ミサカ「このガキが言った通りとは? 私には脳みその足りない鈴虫がちりんちりん鳴いてる音しか聞こえませんでしたが? とミサカは首を傾げます」

打ち止め「むっかちーーん!! ってミサカはミサカは本気でちょっと頭にきてみる!!」

インデックス「ちょっと! いい加減に私のお腹は限界なんだよ!!」

ミサカ「食しか頭に無い欠陥乙女は黙っていてください、とミサカは言い捨てます」

インデックス「な、なにをーーー!!!?」

一方通行「……」スタスタ…

そうか
支援

 ――とあるバイキング・レストラン

インデックス「ほ、ほんと!? ホントにここ食べ放題なの!?」

一方通行「…おォ」

打ち止め「うわぁー! 色んな料理が大きな皿で並んでるよ! ってミサカはミサカは目をキラキラさせてみる!!」

ミサカ「ふむ、正直ウエストが気になるお年頃なのですが、今日ばかりはリミッターを解除しなければなるまい、とミサカは悲壮な覚悟を胸に秘めました」

インデックス「いただきまーす!!」ガバ! ムシャムシャ!!

ウェイター「お、お客様!? 直接大皿から食べるのはご遠慮下さいってもうねえし!!」

インデックス「次ィ!!!!」

ウェイター「てんちょー! てんちょーー!!」

打ち止め「ちょっとやーだ、奥さん見まして? あの品位の欠片のない食べ方、ってミサカはミサカはコソコソ耳打ちしてみる」

ミサカ「ほんとほんと、最近の女の子は何を考えているのかわかりませんわー、とミサカは上位個体に追従します」

インデックス「む」ピタッ!

打ち止め「見て見て、あの人も呆れ顔。まあ、あんな獣みたいに食事する人なんて女の子として見れないよねー。ってミサカはミサカは声のボリュームを少し上げて言ってみる」

ミサカ「ほんとよねー、とミサカはもはやアピールするかのように声を張り上げます」

インデックス「う…」チラリ

一方通行「……」

インデックス「はう!」

 インデックスは青ざめる。
 彼は確かにこの上ない呆れ顔をインデックス『達』に向けていた。
 インデックスは手に持っていた大皿を台に戻して、小皿に取り分けてから一方通行の対面に座る。
 それからちょこちょこと皿の上のものを口に運び始めた。

インデックス(うう…も、物足りないんだよ…!!)グゥ~キュルルル~

一方通行(…なンでコイツは泣きそォな顔で飯食ってンだ?)

ウェイター「あ、ありがとうございましたー」

 引きつり顔のウェイターの言葉を背に受けて、一方通行たちは店を後にする。
 その直後、店長が泣きながら小さな看板を入り口のドアに引っ掛けた。
 その看板には『食材切れのため閉店いたします。大変申し訳ありません』と手書きされていた。

インデックス「うぅ~、ちょっと物足りなかったかも……」

打ち止め「ホント? ミサカは大満足だったよ! ってミサカはミサカはお腹をポンポン叩いてみる」

ミサカ(やばい、ウェストきつい。何であのシスターはあんだけ食って腹がでないんだとミサカは恨みがましい目を向けます)

インデックス「うぅ…何だか『みさか』の視線がちょっと怖いんだよ」

一方通行(…コイツらはもォ二度とバイキングにはつれていかねェ)

一方通行「…ンで、これからどォすンだ?」

打ち止め「う~ん、どうしよっか? ってミサカはミサカは皆の顔を見回して聞いてみたり」

インデックス「私はこの街のことまだよくわからないから、お任せするんだよ」

ミサカ「ふむ、とミサカは頭を悩ませます」

一方通行「行きてェトコねェならもォ帰るぞ」

打ち止め「くっ! 明らかにもうメンドくさくなってる! ってミサカはミサカは何とかこの人を引き止めるための何かを探すため辺りをキョロキョロしつつ――」

インデックス「ねー! ここなに? すっごく面白そうなんだよ!!」

 気付けばインデックスは一人先に進み、ある店を指差していた。

ミサカ「…ゲームセンター。またムードの無いところを…とミサカは頭を抱えます」

インデックス「うわぁ~! うわぁ~!!」

一方通行「走り回るンじゃねェよ五歳児ですかてめェは」

インデックス「ねえ、あくせられーた! これなに!? これなに!?」

ミサカ「…まさかUFOキャッチャーも知らないとは、とミサカはあなたの無知さ加減にため息をつきます」

一方通行(…まァ、このガキにはこの一年以外の記憶がねェらしいからな……当然っちゃ当然かもな)

 一方通行は思い出す。
 記憶を失った彼に対し、インデックスは『お揃いだね』と言って笑った。

インデックス「あくせられーた! 私あれが欲しいんだよ!」

一方通行「クマのぬいぐるみたァ分かりやすい少女趣味だなオマエ。あっちの『ぱっかえびせん』じゃなくていいのかよ?」

インデックス「うぅ…凄く迷うけど、今はこのくまちゃんの瞳が私を捉えて離さないんだよ!!」

 一方通行は小銭を機械に投入する。
 何だかこの時の彼は妙に優しかった。

 一方通行の操るクレーンは一発でクマのぬいぐるみを掴み、穴に放り込んだ。

インデックス「うわあ凄い! 『能力』を使ったの?」

一方通行「こンなくだらねェことに使うかよ」

インデックス「えへへ、ありがとうあくせられーた!」

 インデックスは嬉しそうにクマのぬいぐるみを抱きしめる。

一方通行「…ハシャいでンじゃねェよ。五歳児ですかてめェは」

 一方通行は何だか無性にかゆくなってぼりぼりと頭を掻く。
 ふと、なにやらジメジメした気配を感じ、振り返った。

打ち止め「……」ジトー…

ミサカ「……」ジトー…

一方通行「うォ!?」ビクッ!

支援

打ち止め「…ずるい」

ミサカ「…不公平」

 亡霊のように二人は呟いている。
 いつもの「ミサカは―」の口癖も忘れるほど、二人はジメっとした感情を一方通行にぶつけている。

一方通行「…なンだよ」

打ち止め「ずるいずるいずるいーー!! ってミサカはミサカは手足をバタバタさせて猛抗議ーー!!!!」

一方通行「暴れンじゃねえよ! 三歳児かてめェは!!」

打ち止め「さり気にインデックスより年齢下げられてるー!? もう怒った! ってミサカはミサカはポカポカあなたを殴ってみたりー!!」ポカポカ!

ミサカ「おお、上位個体の攻撃が届くということは今は『反射』は切っているということですね、とミサカはどさくさにまぎれてあなたにハグをあいたー反射されたー」

打ち止め「うわあ~」 ←巻き添え

>打ち止め「うわあ~」 ←巻き添え

wwwwwwwwww

ハルヒのSSまで爆撃するのか…

打ち止め「ミサカにもぬいぐるみください、ってミサカはミサカはぶっちゃけ言ってみたり」

ミサカ「ミサカも欲しいです、とミサカは上位個体に追従します」

一方通行「…たく、てめえェら揃いも揃って夢見る少女趣味かよ」

ミサカ「そういうこっちゃないんですが、とミサカはため息をつきます」

打ち止め「ホント分かってないよねー、ってミサカはミサカは下位個体の言葉に頷いてみるー」

一方通行「……」イラ…

 ガン、と音がした。
 一方通行はUFOキャッチャーを蹴飛ばした音だ。
 UFOキャッチャーの中のぬいぐるみがまるで意思を持っているかのように自ら穴の中に飛び込んでいく。
 あっという間にぬいぐるみの取り出し口が詰まった。

一方通行「好きなモンとれよ」

打ち止め「違う…これは違うよ…ってミサカはミサカはほろほろ泣いてみる……」

ミサカ「心のこもってないプレゼントがこんなにも苦しいものなんて…とミサカはさめざめと涙を流します」

一方通行「けっ」

 一方通行は二人を放ってUFOキャッチャーの前を立ち去る。

店員「てんちょー! てんちょーーー!!」

 UFOキャッチャーの惨状を見かけた店員がヘルプミーを叫んだ。

 それからインデックス、打ち止め、ミサカの3人は大はしゃぎで、楽しく時を過ごしていった。
 ただ、それと比例するように一方通行はげっそりと神経をすり減らしていく。
 一方通行は自販機でコーヒーを買うと、手近なベンチに腰掛けた。

一方通行(…ククク、一体何してンだ俺は。ガキに振り回されて、まンざらでもねェ顔して……)

 一方通行はブラックで買ったコーヒーに口を付ける。
 苦味が口いっぱいに広がった。

一方通行(そンなタマかよ、クソッタレの悪党が……!)

 その時。
 一方通行の表情が変わった。
 獲物を見つけた猛禽類の様に、彼の目が鋭く細くなっていく。

一方通行(…だよなァ。さァて、チッとばっかし戻るとするか)

 一方通行はコーヒーを一気に飲み干して、空になった紙コップを潰す。

一方通行「ジメジメトとくっせェ、悪党の領域によ」

一方通行「おい」

ミサカ「なんでしょう? とミサカは首を傾げます」

一方通行「チッと出てくる。てめェはあのガキ共を見てろ」

ミサカ「あなたがミサカにお願いですか? とミサカは目を丸くせざるをえません」

一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。これは命令だ。てめェに拒否権なンぞ与えられちゃいねェ」

ミサカ「分かりました。元々この命はあなたに与えられたようなもの。ミサカにはあなたがどんな要望をしようとも対応できる準備があります、とミサカは従順に頷きます」

一方通行「吐き気がするほどスバラシイ心がけだな」

ミサカ「どちらへ?」

一方通行「あァ、お掃除だ。きったねェクソを下水道に流してくンだよ」

ミサカ「また、何も言わずに…あなたは一人で背負おうとするのですね、とミサカは目を伏せます」

ミサカ「あなたの隣で戦いたい、思うミサカは傲慢なのでしょうか、身の程知らずなのでしょうか」

ミサカ「ミサカは自分の無力さを呪います」

 ミサカはぐっと拳を握り締める。

ミサカ「いえ、彼の盾になれないのなら、せめて彼の願いだけは壊さぬようしなくては…とミサカはふんどしを締めなおします」

ミサカ「まあ、ふんどしっていうか、今ミサカがはいてるのはもしもに備えた勝負パンツなんですけどね、とミサカは一人ほくそ笑みます」

???「あれ? お前がこんなところにいるなんて珍しいな」

ミサカ「?」

 背後からかけられた声に振り返る。

上条「よう御坂妹。元気にしてたか?」

 そこにいたのはかつて一方通行をボッコボコにした黒髪の少年だった。




ミサカ「…あれ? もしかしてあの人逃げただけ? とミサカは芽生えた疑問を必死で否定します」

 通称、『窓の無いビル』。
 学園都市の統括理事長、『人間』アレイスター=クロウリーが君臨するそこに、一人の少年と一人の少女が集められていた。

アレイスター「よく来てくれたね」

 奇妙なカプセルの中で逆さまに浮かぶアレイスターは優しい笑みを浮かべる。
 だが、その笑みは決して相対する者を安心させず、むしろ極寒の地に放り出されたような寒々さを与える性質を持っていた。

 しかし、その笑みに晒された少年と少女は全く泰然としている。

アレイスター「すばらしい。さすがは『第2位』と『第4位』だ」

 『第2位』と呼ばれた少年、垣根帝督(かきねていとく)はつまらなそうに前髪をかきあげた。

垣根「世辞はいいんだよ。さっさと用件を言え統括理事長。てめえも知るとおり、俺はとても忙しいんだ」

 『第4位』と呼ばれた少女、麦野沈利(むぎのしずり)も頷いた。

麦野「同感。というか、私はこのクソ野郎とは一秒だって同じ空気吸いたくないんだけど」

垣根「気が合うな、クソ女」

麦野「チャラ男が馴れ馴れしく話しかけないでくれる? 私そんな安い女に見えるかしら」

アレイスター「ふむ、この部屋でLEVEL5同士が戦争を始めても困る。では用件を手短に話そう」

アレイスター「君達も知っているかもしれないが、私はそこそこ大きな計画を抱えている。しかしこの計画に大幅なズレが生じ始めているんだ」

アレイスター「これがちょっと私独力では修正ができない程でね。そこで君達に助力を頼みたいんだよ」

垣根「……」

 垣根帝督は憮然とした表情で黙って話を聞いている。

麦野「ふん…で、私達に何をしろって言うの?」

アレイスター「簡単なことだ。学園都市の『第1位』、『一方通行』を抹殺してもらいたい」

麦野「…理由は?」

アレイスター「彼は私の計画の重要な『協力者』だった。しかし、どういうわけか彼は『協力』してくれなくなった」

アレイスター「それどころか、彼はもはや計画の『障害』でしかなにのだよ。そこで君達に処分をお願いしたいわけだ」

麦野「ふーん…まあ、個人的にアイツは目障りだったし、受けてもいいけど…条件があるわ」

アレイスター「聞こう」

麦野「あの化け物相手に『アイテム』のメンバーは使いたくない。結構替えのきかない人材なんだよね。いくらでも『使い捨て』出来る人員が欲しい」

アレイスター「なら『猟犬(ハウンド・ドッグ)』を貸そう。リーダーが死んでしまってどうにも部隊の再編に手間取っていたところだ」

垣根「……」

アレイスター「君も引き受けてもらえるかな、『未元物質(ダークマター)』」

 垣根帝督はあくまで憮然とした表情のまま、黙って頷いた。
 頷いて、麦野沈利に目を向ける。

垣根「協力するか?」

麦野「はあ?」

垣根「だろうな」

アレイスター「あとで『一方通行』に関して我々が知りうるデータを送ろう。何かの参考にしてくれ」

アレイスター「ああ、それと注意点がひとつ」

垣根「あ?」

麦野「なに?」

アレイスター「あとでデータを見てもらえればわかるが、彼の傍には『禁書目録』と呼ばれる少女と『打ち止め』と呼ばれる少女が居る」

アレイスター「彼女達は少しばかり特殊な立ち位置に居てね…彼女達だけは、殺してはいけないよ」

 窓の無いビルを抜け、垣根帝督は転送されてきたデータに目を通す。

垣根「やっぱりな、クソッタレ」

??「どうしたの? 随分ご機嫌ナナメなようだけど」

 垣根帝督を待ち構えていたかのように、ドレスのような服で身を包んだ少女が話しかけてきた。

??「統括理事長は何て言ってきたの?」

垣根「一方通行を抹殺しろ、だとよ」

 少女はヒュゥ、と口を鳴らす。

??「与えられた課題が重すぎて沈んでるの?」

垣根「はらわた煮えくりかえってんだよ。なめられたことになぁ」

??「『原子崩し(メルトダウナー)』の第4位もいたんだよね? そいつに腹立ててるの?」

垣根「違ぇよ。ムカついてんのはアレイスターにだ」

??「ムカつくやつだったの?」

垣根「ああ、この上なくな……野郎は一方通行を殺す気なんてさらさらねえのさ」

これって3話目?

 少女は首を傾げた。

??「殺せって言ったんでしょ?」

垣根「送られてきたデータに目を通した。確信したぜ。腑抜けた一方通行は計画の『障害』になんぞなりえねえ。本当に計画を邪魔して欲しくなけりゃ放っておけばいいんだよ」

??「でも、アレイスターは殺せといった」

垣根「そうだ。ヤツは『修正』という言葉を使った。俺たちを餌にして、一方通行を理想の形で計画に戻してえのさ」

??「…よくわかんないわね」

垣根「少なくとも『原子崩し(メルトダウナー)』を起用している時点で殺す気ねえのは明白だ。アイツの能力じゃ絶対に一方通行には勝てねえ」

 垣根帝督は舌打ちして続ける。

垣根「どっちが強いかとかそれ以前の問題だ。『原子崩し』じゃ『一方通行』に勝てねえ。そういう『構造』になっちまってるんだ」

垣根「一方通行と『強弱』の問題まで持っていけるのはこの俺だけなんだよ。…まあ、あの訳わかんねえ『第7位』も、ひょっとしたらそこまで辿り着けるかもしれねえが」

??「ふーん、じゃあ結局どうするの?」

>>48 うん


垣根「一方通行を殺すさ。統括理事長様には従わなきゃな」

??「悪い顔してる」

垣根「超えてやるよ。いけ好かねえ理事長様の思惑なんざ」

 垣根帝督は笑う。
 恐らく、自分がこの結論に至ることもアレイスターの思惑の内と知りながら。

??「ねえ」

垣根「あん?」

??「まずは私にやらせてよ。ちょっと試したいことがあるの」

 少女は悪戯っぽく笑う。


??「私の『心理定規(メジャーハート)』は学園都市第一位に届くのかな?」

 とある学園都市のゲームセンターで、上条当麻とミサカは睨みあっていた。

上条「あれ? な、何その反応? こないだ別れたときはそこまで険悪な表情を浮かべてなかったと上条さんは記憶しているのですが?」

打ち止め「あーーーー!!!! ってミサカはミサカ指を差してみたりーーーー!!!!」

インデックス「あーーー!!!! あの時のツンツン頭なんだよ!!」

上条「あ、あるぇー!? あの時の!? ということは、もしや!?」

ミサカ「はい、ミサカはあなたを慕う『御坂妹』とは別の個体だと、ミサカは敵意をこめた眼差しで告げます」

打ち止め「抵抗しないあの人をぼこぼこにぶん殴ったことが昨日のようだねとミサカはミサカは憤慨してみるー!!」

インデックス「がるるるるーー!!」

上条「あ、え、う、その」

 メラメラと炎を燃やした3人の少女が上条当麻に迫る。

上条「あ、あの時はスンマセンっしたーーーー!!!!」

 上条は見てて清々しくなるくらい潔く土下座した。

打ち止め「うりゃうりゃうりゃーー!!」ドゴッバキッコキャッ

上条「うぎ、ぐわ、くそ、この」

打ち止め「とどめーー!! ってミサカはミサカは目にも止まらぬ動きでコマンド入力してみたり!」

上条「ぎゃー!!」

 『K・O』の文字が画面を躍る。
 あの人の仇を討つ!と、打ち止めは上条にゲーム勝負を挑んだのだ。
 無論、ゲーム代は上条もちである。

上条「おかしいよね! 絶対能力で筐体になんかしたよね! だって俺全然技でねーもん!!」

打ち止め「ふっふーん、自分の下手さを人のせいにするなんて終わってるね、とミサカはミサカは哀れんでみる」

上条「波動拳入力したのに竜巻旋風脚が出てたしね!? いくら俺でもパンチとキックのボタンは間違えないからね!?」

打ち止め「負け惜しみはいらないから次にいくよ! ってミサカはミサカは容赦なく宣告してみたり!」

上条「うう…上条さんの貴重な生活費が…」

ミサカ「ところで」

 絶対に勝てない勝負へ向かう上条の背中にミサカは声をかけた。

ミサカ「あなたはこんな所で一人何をしているのです? とミサカは問いかけます」

上条「いや、ビリビリがどうしても携帯の契約付き合えっていうから一緒に来たんだよ。いや、決して上条さんは昼食おごりになんて釣られていませんよ?」

ミサカ「あなたの悲しい経済状況は流しつつ、ミサカは驚愕します。まさかあなたとお姉様がもうそんな仲になっていたなんて…」

上条「いやいや違う違う違う。何かペア契約しないともらえないストラップがどうしても欲しいって話だったから」

ミサカ「これは10032号に伝えなくてはいけません。伝えました。ミサカネットワークマジ便利、とミサカはしたり顔で呟きます」

上条「違うって言ってんじゃん!! あー画面見たらまた負けてるし!!」

打ち止め「次ィ!!!!」

上条「もう勘弁してください!!」

 上条当麻、本日二度目の土下座である。

インデックス「がるるる……!」

上条「それで、あの子は何でさっきから壁に隠れて牙をむき出しにしてるの? 俺すっごい今バンビの気分なんだけど」

ミサカ「さあ? 正直ミサカはあの大食い女のパーソナリティーはまった理解できませんので」

インデックス(うう…乙女の第六感が全力で告げているんだよ!!)

インデックス(今あのツンツン頭の右手に触られたら公衆の面前で乙女として終了なレベルの辱めを受けると!!!!)


※インデックスさんは『歩く教会』が健在です。つまり、今当麻に触られたら……あとはわかるな?

上条「えっと…その…アイツも来てるのか?」

ミサカ「来ていますよ。今はいませんが、とミサカは親切に答えてあげます」

上条「そっか…やっぱ、直接会って謝らないとな」

ミサカ「言っておきますが、あの人はあなたに恐れをなして逃げ出したんじゃねーですよ? とミサカは自分に言い聞かせるように弁明します」

上条「?」


 事実、そうではなかった。
 ゲームセンターからそう離れていない路地裏で、くぐもった悲鳴が響く。

黒服の男「ごふ…かひゅ…!」

一方通行「ひゃはっ、くっせェゲロだな。クソが吐くにゃ相応しいぜ」

21号~31号はいったいどうなってるのか、原作通り各地にちらばってるなら(←これ合ってるよね?)なんで20号なの?

なんで上条は一方通行殴りに行ったの?
ステイルと一緒にいたのに一方通行が記憶無くしたこと聞いてなかったの?
もしかして、命かけるほどのことを一緒にやったのに記憶なくなったことをステイルは知らなかったの?

誰か分かる人いたら教えておくれ><
前スレ、前々スレで説明あったらスマン、読み飛ばしてるかも試練

 一方通行はその『左手』で男の首を掴み、吊り上げる。

一方通行「さて、チョロチョロとうざったく付き纏ってくれたがよォ。オマエ誰だよ?」

男「がは…知らない、誤解だ…私は、何も……」

一方通行「正直に言えばまだ半殺しで許してやるってのによォ…俺のこと知らねェのかおニイサン」

男「知…ら…ない……!」

一方通行「カックイー。その頑張りがどこまで続くか見せてもらおうか」

 一方通行は『左手』で掴んだまま、男の体を事も無げに壁に叩き付けた。


※『竜王の殺息』を受けて、一方通行は左手が義手になってます。左手を『ベクトルコントロール』で操ることで、人外の力を発揮できます。

>>71 ちょっと答えておくと、

10020号なのは適当。時系列的に10032号より早く実験は終わることになるから、大体この辺かなって番号をチョイスしただけ

上条さんは大体原作と一緒の流れで単純に実験止めに行ったら美琴が一方さんにボコられてたから殴った

ステイルさんは原作でも上条さんの記憶喪失知らない この話では一方さんの記憶喪失知ってるのは冥土返しとインデックスだけ

 薄暗い路地から一方通行が姿を現す。
 結局、男は何も吐かなかった。
 何も吐かなかったことが、一方通行の危機感を余計に煽った。

一方通行(俺を付き纏ってた馬鹿は『良く訓練された馬鹿』だった。…またメンドクセエことになってる予感がすンなァ)

 まァ、何が来ても潰すだけだけどよ。
 一方通行は第1位に相応しい不遜な笑みを浮かべる。
 ふと、見覚えのある後姿を見かけて、一方通行は顔をしかめた。
 一方通行は趣味の悪いストラップを見てにやにやしている少女の傍に歩み寄って、

一方通行「コラ、ガキのお守りしとけって言っただろが。何こンなトコで油売ってンだよ」

御坂「はぁ?」

 御坂美琴に声をかけていた。

御坂「…アンタ……!!」

一方通行「おォ?」

 一方通行は、彼にしては有り得ないほど素っ頓狂な声を上げた。
 彼の知るミサカという少女はこんなに表情豊かに怒りを表したりしない。
 おかしいな、と思った一方通行は、そこで気が付いた。

 額につけているゴーグルがない。

 一方通行は思わず右手で顔を覆った。

御坂「何よ。何しに来たのよ」

一方通行「いやァ…別に…」

 人間違いでした、とは言いづらかった。
 誰と間違えたの→『妹達』しかいない→アンタまさかまた…!!のコンボになったら恐ろしく面倒だったからだ。

御坂「……」

一方通行「……」

御坂「……」

一方通行「……だせェストラップだな」

 あまりの気まずさに、一方通行は言わなくてもいいことを口にした。

私怨

御坂「ケンカ売ってんのかアンタはぁぁぁあああ!!!!!」

 美琴の体から電撃が迸る。
 だが、もちろん一方通行にその電撃は通じない。

一方通行「アー、イヤ、なンつうかよォ……」

御坂「私はあんたを許す気はないのよ! 馴れ馴れしく話しかけてこないでよ!!」

 美琴の言葉に、一瞬一方通行の表情が消えた。
 そして、ニヤニヤと笑い始める。

一方通行「オイオイ、俺がいつ許しを請うたンだよ。ハッピーな記憶の捏造はやめてくンねェ?」

 一方通行は美琴に背を向ける。

一方通行「いつでも殺しに来いよヒーロー。てめえのチンケな殺意なら24時間年中無休で受け付けてやるぜ」

御坂「馬鹿にして…!!」

 一方通行はヒラヒラと手を振って去っていった。

御坂「……!」ギリ…!

 美琴は固く拳を握る。
 しかし、その顔にあるのは単純な怒りだけではない。
 その表情には、怒りと困惑が混在していた。

 あんな風にうろたえる第一位を見るのは初めてだった。
 一方通行があまりの気まずさに汗を流していたことに、美琴は気付いていた。
 去り際に笑みに、優しさに似たものを感じた。

 かつて月明かりの下で、ツンツン頭の少年が言った言葉を思い出す。


『せめて、幻想のままあいつを見るのはやめようぜ』


御坂「調子狂うのよ、バカ……」

 完全に一方通行が見えなくなってから、美琴はポツリと呟いた。

細かい誤字増えてきたな…ごめん、ちょっと休憩

万が一爆撃されたらどうする気なのか先に教えといて欲しいな

一方通行「ンで…この状況はどういうこった?」

 一方通行は呆れた声を上げる。
 インデックスの口の周りには食べかすがついていて。
 打ち止めは嬉しそうにソフトクリームを舐めている。
 二人ともその手に持ちきれないほどのお菓子を抱えていた。

一方通行「そォいや、金渡してなかったよなァ…オマエがコレ買ったンかよ?」

ミサカ「いいえ、親切な足長おじさんが買ってくれたのです、とミサカはほくそ笑みます」

一方通行「はァ?」

 一方通行は首を傾げた。
 ちなみに遂に財布が空になった足長おじさんは、携帯で呼び出されて泣きながら走り去っていった。
 『不幸だー!』と吐き捨てて去っていったその姿は、誰が見ても涙を誘う姿だった。
 インデックス、打ち止め、ミサカの3人は凄くいい笑顔で笑っていたが。

続きものなの?
誰か前スレくれませんか?

>>91
インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」
インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」 - SSまとめ速報
(http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267285123/)

インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」
インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」 - SSまとめ速報
(http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1268496231/)

>>89 別の日に改めてやると思う


ミサカ「それではミサカはここで失礼します、とミサカは別れを惜しみつつあなたに告げます」

一方通行「あ…? あァ、そォいやもうそンな時間かよ」

ミサカ「はい、『調整』に行ってまいります」

 『調整』。
 ミサカ達『妹達(シスターズ)』は元々『一方通行に殺されるために生まれた存在』だ。
 故に、『製造』の段階でその寿命についてはまったく考慮されなかった。
 無理な成長で短くなった寿命を延ばすため、『妹達』は定期的に『調整』を受けているのである。

ミサカ「それでは、とミサカは頭を下げて去ります。……ご無事で何よりでした」

一方通行「何言ってっかわかンねえよ」

 一方通行の言葉にミサカは微笑みで答えた。

打ち止め「うぅ~…ちょっとお花を摘みに行って来る! ってミサカはミサカは定番の言い回しで誤魔化しつつトイレに猛ダッシュ!!」

一方通行「…頭痛くなるノータリンっぷりだなオイ」

 結局目的地を明かしつつ打ち止めはトイレに走っていった。

インデックス「いっぱいジュースとか飲んでたからね。まったくあの子は女の子にあるまじきはしたなさだね!」

 テメエに言われちゃお終いだな、と一方通行は思った。

打ち止め「ふぅ~危ない危ない、ギリギリセーフだったよってミサカはミサカはほっと一息ついてみたり」

 ジャジャー! と盛大に水が流れる音を背に、打ち止めは足取り軽く個室から出てくる。
 同時に、打ち止めのすぐ隣のドアが開いた。
 打ち止めは少し不思議に思う。
 水が流れる音はしなかった。
 この女の人はトイレの個室で何をしていたのだろう?

??「こんにちは」

打ち止め「? こんにちは、ってミサカはミサカはとりあえず挨拶を返してみる」

 打ち止めは知らなかった。
 目の前の女が学園都市第4位のLEVEL5で。
 一方通行の命を狙う『敵』だということを。

麦野「『殺すな』とは言われたけど、『使うな』とは言われてないからさ。ちょっとごめんねお嬢ちゃん」

 優しげな笑みとは裏腹な破壊の力が、麦野沈利の右手で渦巻いている。
 
打ち止め「…!!」

 悲鳴を上げる暇もなく、打ち止めの意識は闇に沈んだ。

インデックス「遅いね…」

一方通行「…オイ、今すぐ便所見て来い」

インデックス「う、うん…」

 一方通行の表情に焦りが浮かぶ。
 脳裏に浮かぶのは自分を監視していた黒服の男。
 もしかしたら。
 一方通行は自分の迂闊さに歯噛みする。
 もしかしたら、あの男が監視していたのは自分ではなく――!

インデックス「あくせられーた!!」

 インデックスの表情を見て、一方通行は壁を殴りつけた。
 悪い予感は、どうやら当たってしまったようだった。

 一方通行は躊躇なく女子トイレに飛び込む。
 壁に、まるでスプーンでくり抜かれたような穴が空いていた。
 破片がない。穴の周囲にヒビもない。
 単純な力では有り得ない破壊の形。
 『能力者』に連れて行かれたことは明白だった。

一方通行「クソッタレがァァァァあああああああ!!!!」

 喉が裂けるような絶叫と共に、一方通行は穴から外に飛び出す。
 穴を抜ければ薄暗い路地に続いていて、打ち止めを攫った敵がどちらに向かったのか判断がつかない。

一方通行「どっちだ! どこに行きゃァがった!! 生きて帰れると思うなコラァァァああああ!!!!」

 しかし、一方通行の叫びはむなしく反響するばかり。
 インデックスも穴から路地に降り立った。

インデックス「二手に別れて探そうあくせられーた!! 今ならまだ間に合うかも!!」

一方通行「ボケが!! テメエまで攫われたら二度手間だろォが!! 頭使えクソッタレ!!」

インデックス「信用して!!」

 インデックスの強い瞳が一方通行を射抜く。

インデックス「私の『歩く教会』は、あくせられーたの力だってきかないんだよ?」

 優しく、諭すようにインデックスは言葉を続ける。
 結局、二人は二手に別れて打ち止めを追った。





 ―――それが、最大の間違いであったことに気付かずに。






いやああああああああああ

うわあああああああああああああああ

 それは、インデックスが一方通行と別れてから、わずかに十分後のことだった。
 インデックスは足を止める。
 目の前に、得体の知れない少年が立っている。
 その少年は前髪をめんどくさそうにかきあげながら口を開く。

垣根「てめえ自体にゃなんの恨みもねえんだけどよ」

 少年の――学園都市第二位、『未元物質(ダークマター)』、垣根帝督の背中から天使のような羽が生える。

垣根「恨むならアレイスターを恨みな。恨むなら一方通行を恨みな。あぁ、もちろん俺を恨んでくれても全然かまわねえ」

 インデックスは自分の体が震えていることを自覚した。

 何故?

 インデックスは困惑する。
 『歩く教会』は無敵だ。無敵の防御結界だ。そのはずだ。
 なのに何故、少年の白い翼はこんなにも不安を掻き立てる?

垣根「注意しろよ」

 インデックスの怯えを知ってか知らずか、垣根帝督はニヤリと笑った。
 それはとても酷薄な笑みだった。

垣根「俺の『未元物質(ダークマター)』に、常識は通用しねえ」

          ____
       / \  /\  キリッ
.     / (ー)  (ー)\

    /   ⌒(__人__)⌒ \   俺の『未元物質(ダークマター)』に、常識は通用しねえ
    |      |r┬-|    |
     \     `ー'´   /
    ノ            \
  /´               ヽ
 |    l              \

 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


          ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ

/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //

| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/
|     ノ     | |  |   \  /  )  /
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


垣根「てめえの力はレポートで読んだ。どんな攻撃も効かないんだってな。一方通行さえ無効化するってんだから驚きだ」

 垣根帝督の白い翼がインデックスの体を薙ぐ。
 ゾクリ、とインデックスは震えた。
 ダメージはない。ダメージはないのに。
 どうしてこんなに逃げ出したい恐怖に駆られるのか。
 インデックスは震えを噛み殺して、垣根帝督に相対する。

インデックス「あの子を攫ったのはあなたなの!?」

垣根「あの子? オマエどっちのことを言ってんの?」

インデックス「ど、どっちって…」

垣根「まあ、どっちにしろ俺は知らねえよ。…あの馬鹿女、わっかりやすく動きやがって」

 垣根帝督の翼がはためく。
 再びインデックスに翼が迫る。

垣根「悪いな。ちょっと急がなきゃならん事情が出来た。手早く済ませるが、かまわねえな?」

 その言葉の後は、本当に容赦がなかった。
 垣根帝督の背中から生える六枚の翼が間断なくインデックスに襲い掛かる。
 だが、通じない。
 全ての翼はインデックスの体を通り抜けるだけで、何の痛みももたらさない。
 インデックスの瞳に力が戻る。体の震えが収まってきた。

垣根「いや、ほっとしてるとこ悪ぃがよ。そろそろ『見つかる』ぜ?」

 その言葉と同時だった。
 垣根帝督の翼がメキリ、とインデックスの体にくい込んだ。

インデックス「か…は…!」

 そんな。そんな馬鹿な。
 インデックスは混乱した。
 つい先ほどまで、何の影響も与えてこなかった翼が、いきなり『変質』した。

垣根「やっぱりそうか。てめえの防御力も一方通行の『反射』と一緒だな」

 お腹を押さえ、その場に膝を着くインデックスに、垣根帝督は声をかける。

垣根「自分に害のある攻撃を受け流すオマエと『反射』する一方通行。だが、それは無害であるはずのモノなら通るってことだ」

 垣根帝督がインデックスに迫る。

垣根「当然の話だよなあ? じゃなきゃお前らは物も持てねえし飯も食えねえし息もできねえ。ま、そんな風に『穴』が空いてるなら簡単だ」

 六枚の翼が、不気味に蠢いている。

垣根「俺の『未元物質』でてめえらが『無害』と判断しちまう『有害』を作っちまえばいい。朝飯前だぜ、実際」

 垣根帝督の翼がインデックスを薙ぎ払う。
 吹き飛んだインデックスの体が宙を舞った。
 垣根帝督は笑う。

垣根「とまあ、俺の予測は当たってたようで何よりだ。予行練習に付き合ってくれてありがとよ」

 地面に落ちたインデックスは、もう動かなかった。

きっとお前らの存在は『有害』だろうな

物持つとき手出すんじゃねーのかwww
と思ったら>117で全部このss内設定だということが分かったでござる

アニメ板がこのSSの身代わりになってるうちに頑張って書くんだ書いて下さい

心理定規「殺したの?」

 赤いドレスを纏った少女が、垣根帝督の後ろからインデックスを覗き込む。

垣根「殺すかよ。アレイスターにキツく言われてんだ。さすがに自重するさ」

心理定規「ふーん、よかった。これで私も実験できるわね」

 対象者との『心の距離』を自在に調節する『心理定規(メジャーハート)』の能力を持つ少女がインデックスに歩み寄る。

垣根「ソイツに効くのかよ? 確かに防御は一級品だぞ?」

心理定規「まあ、効かなかったら優しく服を脱がしてあげてからやればいいんじゃない?」

 『誰か』にとっての友人にも、恋人にも、神にすらなることが出来る少女は笑う。



心理定規「この子、一方通行の『反射』も無効化しちゃうんだよね? ふふ、どうなるか楽しみだな」

>>120 
いや、だって服から出てる部分に攻撃通ったら弱くね?
眉間撃ちゃ一発じゃね? つまりゴルゴ最強じゃね?

>>120 
いや、だって服から出てる部分に攻撃通ったら弱くね?
眉間撃ちゃ一発じゃね? つまりゴルゴ最強じゃね?

俺どんだけゴルゴ押してんだよwwwwwアホスwwwwwwwwww

 一方通行は立ち尽くす。
 彼の目の前には打ち止めが羽織っていたシャツが落ちていた。
 シャツには赤い字で行くべき場所が指定されている。
 その赤色が、一体何の色なのかは、考えないようにした。

一方通行「クハ」

 一方通行の口が歪に曲がる。

一方通行「ったくよォ、たっけェシャツを見事に汚してくれちゃってまァ……」

一方通行「よっぽど死にてえらしいな、クソ共が」

 一方通行は嗤う。

 嗤いながら、ヒタリ、ヒタリと歩を進めた。
 彼の眼前には、ただ深い闇が広がっている。

 指定された場所で、一方通行が目にした光景は、本当に分かりやすいものだった。
 そこには黒い特殊装備を身に纏った男が3人居た。
 一人は鋭い刀を持っていて。
 一人は小型の携帯型テレビを持っている。

 そして残りの一人は――ぐったりとした打ち止めを抱えていた。
 打ち止めを抱える男の片手には鋭く光るナイフが握られている。

 男の持つ携帯型テレビの中で、麦野沈利が笑っていた。

麦野『こんにちは第一位。私が誰かわかる?』

一方通行「おォ、じめっとしたキッチンでよく見る顔じゃねェか。触覚はどォした。いつもの茶色い服はどォした。ダメだぜ、ゴキブリ如きがオシャレなんてあと一億年早ェよ」

麦野『ほんっとにムカつく奴で嬉しいわ。良心が痛まないもの』

 画面の中でこめかみをヒクつかせ、麦野沈利は言葉を続ける。

麦野『私は第4位のLEVEL5、『原子崩し(メルトダウナー)』、麦野沈利。ちっちゃい脳みそによく刻んでおいて?』

つまり一億年後には可愛いゴキたんが・・・

あわてるな、ホイホイも持っていこうぜ

一方通行「よォく覚えておくぜチャバネさン」

麦野『…この……! チッ、本当はこんなありふれたセリフを吐きたくはないんだけど。その子の命が惜しかったらじっとしていてね?』

一方通行「ぎゃははは!! 取り繕ってンじゃねェよ!! 俺を笑い死にさせンのがテメエの作戦ですかァ!?」

麦野『もう喋んなクソがぁ!!』

 刀を構えた男が一方通行に近づいてくる。
 一方通行は動かない。

麦野『ふん、いい子ね』

 男の持つ刀が振り下ろされた。
 鋭い刃が一方通行の肩口に食い込み――男の手首がグチャリと曲がった。

男A「があああああ!!!!」

麦野『てめえ!! ガキがどうなってもいいのか!!』

一方通行「オイオイ、俺は約束通りジッとしてただろが。どォしたのボク? カルシウム不足ですかァ?」

男A「いてえ…! 手が、俺の手が…!!」

 悶える男を見下ろして、一方通行はケタケタと笑っていた。

麦野『次に『反射』を使ったらガキの腕を飛ばすよ? 肝に銘じておけ』

一方通行「オイオイ、俺は知らねェっての」

麦野『茶番に付き合う気はないの』

 麦野の言葉と同時に新手が現れた。
 新たに現れた黒服は悶える男の傍から刀を拾い上げる。

一方通行「……ホンットワラワラ涌いてくンなァ」

男D「……」

 男は黙って刀を構える。刀を構えた男は打ち止めを抱える男に目配せをする。
 打ち止めを抱えた男はこくりと頷いた。
 それは明確な脅しだった。

一方通行「クソが…」

 一方通行の顔から余裕が消える。
 男の持つ刀が容赦なく一方通行の脳天目掛けて振り下ろされた。

何をしてるんだミサカは


 しかし。


 一方通行には欠片も傷はなく。


 直後に切り飛ばされた片腕が宙を舞い。




 打ち止めの体が崩れ落ちた。

「ぎゃああああああああああ!!!!!!」

 絶叫。まさにソレは絶叫だった。
 絶叫を上げたのは――打ち止めを抱えていた男だった。

男B「いてえ! 腕が! 俺の腕がぁぁぁあああ!!」

 打ち止めを抱えていた腕がぼとりと地に落ちた。
 この場のいる誰もが状況を理解していなかった。
 一方通行の体が弾ける様に動き出す。
 ただ一直線に、打ち止めの元へ。

一方通行「ヒャッハァ!! 反射がだめって言われたから『操作』してみましたァ!!」

 一方通行は嘲り笑う。
 その手にしっかりと打ち止めの体を抱えて。

男B「クソが!! 何でもありかてめえ!!」

一方通行「おォ! ケッコウなンでもありなンですよォ!!」

 涙交じりの男の叫びに、一方通行は快哉の叫びで答えた。





麦野『あーあ、やっちゃったね一方通行』

 携帯テレビの画面の中で、麦野沈利が笑った。

一方通行「あァ?」

麦野『ペナルティだ。約束通りガキの片腕を飛ばす』

 ずっと麦野をアップで映していた画面が引いていく。
 学園都市製の小型テレビは、麦野のいる部屋の様子を克明に映し出す。

一方通行「おィ…」

 麦野沈利は椅子に腰掛けている。
 その足元に、『誰か』が転がっていた。

一方通行「おィ…!!」

 『誰か』はミサカだった。
 麦野は笑う。
 どうベクトルを操作しようとも届かない画面の中で、麦野が笑っている。
 誰かに渡されたノコギリを持って。

一方通行「テメェェェえええええええええ!!!!」

麦野『実はこっちが本命の人質でした。コッチは別に殺すなって言われてないしね。好き勝手やっちゃうよ?』

 麦野の持つノコギリの刃がミサカの腕に食い込む。
 数人の男に押さえ込まれたミサカはぐったりとして動かない。

麦野『そーれ、そーれ』

 ギコギコ、ギコギコと、ノコギリの刃が進む。
 ビクン、ビクンとミサカの体が跳ねた。
 ぶちぶち、ぶちぶち、ぶしゅう、ぽたぽた。
 学園都市製の小型テレビは一切ぼかすことなくその光景を見るものに伝える。

一方通行「あ…?」

麦野『あははは!! やぁっととれた!! 全く、やっぱ刃こぼれしたノコギリじゃうまく切れないねえ!!』

 麦野の手で切り離されたミサカの左手がブラブラ揺れる。

麦野『ああやばいやばい血ぃ出過ぎだって! 簡単に死なれちゃ困るんだから!! 止血止血! ほら急いで!!』

 麦野に手渡される真っ赤に焼けた鉄の棒。麦野は何のためらいもなくその棒を切断面に押し付けた。
 じゅう、と肉のこげる音が響く。

麦野『ああヤバイ思ったよりくっさいなあコレ! 匂いまでは向こうに届かないもんねえ、私だけ大損じゃん!』

 一方通行の思考は完全に止まっていた。
 テレビの中で行われている『ソレ』が、どうしても現実に思えなかった。
 まるで、出来の悪いホラービデオのような。
 そうとしか思えなかった。


 ――そうとしか、思いたくなかった。

むしろ御坂がいい

麦野『分かった? 反射を切れ。操作もするな。お前はただ打たれるだけのサンドバックでいなさい、一方通行』

 片腕を切り飛ばされた男が一方通行を殴りつけた。

男B「クソが! いてえ…!! 思い知らせてやるぞクソがぁ!!」

 男達は倒れる一方通行を取り囲み、踏みつけ、蹴り飛ばし、立ち上がらせて殴りつける。

麦野『好き勝手やんのは勝手だけどさ、ちゃんとトドメは差しなさいよ?』

 ノコギリでトントンと肩を叩き、麦野は言った。

 ちゃんと麦野の指示が耳に入っているのか、男達は暴行をやめない。
 いつまでもトドメを差そうとはしない。
 一方通行は、痛いとすら感じなかった。
 痛いと思う心すら壊れかけていた。

 ああ、この世に神はいないのか。

 違う。神はいる。


 そうでなければ、このタイミングはありえない。


 神様はきっと存在して、ずっと一方通行を見下ろしていて。




 そして、一方通行のことが、大嫌いなのだ。


 白い翼が男達を薙ぎ倒す。
 男の手から零れた小型テレビが地に落ちて、その画面にヒビを入れる。

垣根「あぶねえあぶねえ。くっだらねえ真似で先越されるところだったぜ」

 白い翼をはためかせ、『未元物質』が舞い降りる。
 既にボロボロに壊れかけた一方通行の目が、ソレを見る。

 赤いドレスを身に纏った少女。
 その前にいる、白い修道服の少女を。

 一方通行に敵意を向ける、インデックスを。

心理定規「さあインデックス、さっき私が言ったとおりにね」

インデックス「はい…わかりました」

 インデックスがふらふらと一方通行に歩み寄る。
 一方通行は凍りついたように動かない。

インデックス「ごめんね、あくせられーた」

 インデックスの手が一方通行の首に伸びる。
 ぎゅう、とインデックスの細い指が一方通行の首を締め付ける。

一方通行「か…ふ…」

 インデックスの力はそれほど強くはない。
 しかし、一方通行の体にまたがって首を絞める手に体重をかければ、気道を塞ぐことは出来る。
 死にたくなければ簡単な話だ。
 インデックスを振り払えばいい。
 それだけなのに、ただそれだけなのに。

 一方通行は動けない。

麦野「クソ! どうなってんのよコレはぁ!!」

 麦野は廃ビルの一室で激昂していた。麦野の目の前にあるテレビはもう砂嵐しか映していない。
 垣根帝督が現れて、何かが起こって、現場に備え付けていたカメラが死んだ。これでは向こうの状況がわからない。

麦野「くそ! せっかくあそこまで追い詰めて、手柄横取りされちゃたまんないのよ!!」

ミサカ「ふふ…」

麦野「…おい、何笑ってんのオマエ?」

 麦野はミサカの髪をつかむ。

麦野「大体気持ち悪いのよアンタよぉ。腕切られても傷焼かれても声一つ上げないで。ホントに人形なんじゃないの?」

ミサカ「そう、ミサカが声を上げなければ、あの人もそう思うかもしれない」

麦野「…はぁ?」

ミサカ「あなたに捕まったのはミサカのミスです。そのミスが、あの人を殺すことなどミサカは許せません」

麦野「馬鹿じゃないの? それで人形だと思われたらあんた死ぬじゃん」

ミサカ「元より、あの人にもらった命です、とミサカは胸を張ります」

麦野「いいよ、わかった」

 麦野の顔から表情が消えた。

麦野「どうせ今から現場行っても間に合わないし? アンタ私のストレス発散に付き合ってよ。人形なら人形らしくさ」

いやあああああああミサカあああああああ

どさくさに紛れてミサカの腕回収してくるwwwwwwww手コキふひひwwwww

一方通行「…は……」

 自分の死が近づいてきたのを、一方通行は知った。
 視界が白く染まって、さらに周りから黒く塗りつぶされていく。
 それでも、一方通行は目の前の少女を振り払えない。

 この馬鹿で大食らいで向こう見ずなコイツを傷つけてまで助かろうとする。
 自らの生に対して、一方通行はそこまでの執着心を持つことが出来ない。
 
 自らの死を前にして、一方通行は笑っていた。
 頭の中はカラッポなのに、それでも一方通行の顔は笑みを形作った。
 壊れた心で、一方通行は考えてしまったのかもしれない。


 何て無様で、何て悪党に相応しい死に様だと。


 だけど、一方通行は死ななかった。 
 インデックスの手が一方通行の首から離れる。

 明確になった視界の中で、一方通行は、インデックスがぼろぼろと涙を零すのを見た。

支援

 インデックスは泣いていた。
 インデックス泣きじゃくっていた。

インデックス「ふ…う…ぐ…ふうぅ…!」

 一方通行の首を絞めるのをやめた手は、今はただ零れる涙を拭っている。

心理定規「…何をしてるのインデックス。早く彼を殺しなさい」

 インデックスは一方通行にまたがったまま、心理定規の方を振り返る。

インデックス「どうしても…どうしても、あくせられーたを殺さなきゃだめですか?」

心理定規「そうよ。はやくしなさい」

インデックス「ころしたくないです。私、あくせられーたをころしたくないです…!」

心理定規「な…!?」

 心理定規(メジャーハート)の少女の顔が驚愕に染まる。

心理定規「どうして私の言葉に逆らえるの!? 設定した距離はもはや『崇拝』の域に達している!! あの女からしたら、私の言葉は『神託』に等しいというのに!!」

インデックス「ころしたくないです…私はあくせられーたと一緒に笑っていたいです……!」

 ぼろぼろと零れる大粒の涙が、一方通行のシャツを暖かく濡らした。

一方通行「インデッ…クス…」

 壊れたかけた心のまま、一方通行は少女の名を呼んだ。

インデックス「うぇ…ふ…あくせられーたぁ……」

 零れる涙を拭おうと、一方通行はインデックスの顔に手を伸ばした。


 ゴバッ!!!! という轟音と共に、インデックスの体が宙を舞った。


 伸ばされた一方通行の手は、虚しく虚空を漂うばかりで。
 宙を舞ったインデックスはどしゃりと音を立て、頭から地面に落ちた。
 嫌な落ち方だった。
 砂の詰まった皮袋が落ちたような、何の力も入っていない落ち方だった。

一方通行「…あ……?」

垣根「殺意を分散させるなよ一方通行」

 インデックスを吹き飛ばした白い翼をはためかせ、垣根帝督が一方通行の前に立つ。

やっぱていとくんは冷蔵庫になる運命なのれす

垣根「『心理定規(この女)』を眼中に入れるな。麦野沈利など放っておけ」

 学園都市第二位の怪物は、第一位の一方通行を前にして不敵に笑う。

垣根「テメエの殺意を全て集約して俺にぶつけろ。それを超えて、俺は『第二候補(スペアプラン)』から『第一候補(メインプラン)』に成り代わる」

 一方通行の耳に、垣根帝督の言葉は届いていない。
 一方通行のぶれた視界には、ピクリとも動かないインデックスを捉えていた。

麦野『ほら、鳴けよ!! 鳴けって言ってんだろ!! くそが! 今度は焼けた鉄串股に突っ込んでやろうかオイ!!!!』

 一方通行の耳には、画面にヒビの入ったテレビが垂れ流す音声が嫌が応にも飛び込んできた。


 耳の奥で何かがぶちぶちと千切れる音を、一方通行は確かに聞いた。

一方通行「けひ……」

 戻りかけた彼の心は、今完全に崩れ去った。




一方通行「ぎゃは、ぎゃァっはハはっはハハははあはハハフヒャ、あはぎゃは、ひゃっはハはははハハははは!!!!」

 一方通行の背中から黒い『何か』が噴き出した。

一方通行「んづhふぃうあbヴあsぐいはういおぐいあああああああああ!!!!!!!!!!」

 凄まじい勢いで噴出される『ソレ』は、やがて長さ50mに渡る翼の形で安定する。

垣根「な…に…?」

 垣根帝督は驚愕に目を見開いていた。
 知らない。こんな能力はアレイスターのレポートにも乗っていない。
 一方通行の能力は『ベクトルコントロール』。
 『今存在する何かの力を自在に操る力』のはずだ。
 得体の知れない『何か』を、自らの操る『未元物質』すらかすむ『何か』を。
 生み出すことが出来るなんて、聞いていない。

垣根「そうか…そういうことかアレイスター」

 唇を歪め、奥歯をかみ締めながら垣根帝督は震える声を出す。

垣根「これを…コレを待っていたのかてめえはぁぁぁああああ!!!!」

 黒い翼が薙ぎ払われる。
 瞬殺だった。


 それはまさに『瞬』だった。

――yjrp悪qwきたあああああああ

極大射程って能力あってもおかしくないな

麦野「はぁ…はぁ…」

 麦野沈利は息を切らしていた。殴って、蹴って、踏み潰して、けれどミサカは声一つ上げない。
 麦野の顔が怒りに染まる。

麦野「ほら、鳴けよ!! 鳴けって言ってんだろ!! くそが! 今度は焼けた鉄串股に突っ込んでやろうかオイ!!!!」

 叫んで、つま先で思いっきりみぞおちを蹴り上げた。

ミサカ「こふ…!」

 ミサカの口から小さく息が漏れる。
 でも、声を出さない。
 吐き気を噛み殺し、ミサカは麦野沈利を睨みつける。

麦野「…やらないと思ってる?」

 麦野はにやりと笑った。
 部屋の隅にはドラム缶が置いてある。
 ドラム缶の中で、激しく炎が燃えている。

 ガラン、と麦野は燃え盛る炎の中から真っ赤に焼ける鉄棒を取り出した。

麦野「いいの? 私は『やる』人間だよ? 涙流してごめんなさいって言えば、今なら許してあげちゃうかもよ?」

ミサカ「好きにすればいいでしょう、とミサカはあなたという人間を見下しつつ吐き捨てます」

麦野「あぁ!?」

ミサカ「LEVEL5なんて粋がってみても、ミサカ一人の意志を変えることも出来ない。滑稽ですね、とミサカはほくそ笑みます」

麦野「おっけい」

 赤く焼けた鉄串に照らされて、麦野は笑う。

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イ・ネ」

支援

 完全にぶちきれた麦野沈利はその手に持つ鉄棒を何の躊躇いもなくミサカの股間に押し付けた。
 ジュウ、と肉の焼ける音が響く。

麦野「はあ?」

 焼けたのはミサカではない。
 焼けた鉄串は、ミサカに触れる直前で誰かの手に掴まれていた。
 黒いツンツン頭の少年の手が、焼けた鉄串を掴んでいた。

上条「らぁぁあぁぁああああああ!!!!」

 上条当麻の拳が麦野の顔に叩き込まれた。

4

上条さんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

麦野「が…!」

 ガラン、と鉄串が落ちる。
 麦野沈利はたたらを踏んで後ろに下がる。

麦野「何ぼけっとしてやがったんだ『猟犬』!!」

 麦野は別室に、廊下に控えていたはずの『猟犬部隊(ハウンドドック)』に叱責の声を飛ばす。
 だが、返事はない。

麦野「クソが! 何簡単にやられてんのよ無能共!!」

 麦野はその能力『原子崩し(メルトダウナー)』を発現する。
 白い光が麦野と上条の間に収束する。

 ドゴン!!という轟音と裂光。

 極大の電撃が白い光を飲み込んだ。

アニェーゼ

 少年の一撃を受けたことでぶれていた視界がようやく戻る。
 そこで麦野沈利は知った。
 飛び込んできたのは黒髪の少年だけではない。
 いる。学園都市の『第三位』。
 常盤台の『超電磁砲(レールガン)』が、少年の後ろに立っている。

麦野「クッソが! てめえらどうやってココが…!!」

 続けざまに気付く。
 『超電磁砲』、御坂美琴のさらに後ろ。
 『ミサカ』と全く同じ姿形をした少女が、ミサカの応急手当をしている。

麦野「ミサカネットワーク…!! うざってえ真似してんじゃねえわよぉぉおおおお!!!!」

 麦野の前に再び光が収束する。
 制御も何もない、下手すれば自分さえも巻き込む極大の一撃。
 麦野沈利の持つ『原子崩し(メルトダウナー)』の究極。


 だが、その全ては目の前の少年の前には無力だった。


 上条当麻が『右手』を振るう。
 それだけで、たったそれだけで。
 麦野沈利の全力全開はあっけなく霧散した。

麦野「は…?」

 ゴガン、と麦野が再び吹き飛ばされる。

上条「もう…言葉もねえよ……」

 吹き飛び、床に転がった麦野を追って、上条当麻は歩を進める。

上条「もう、頭ん中が焼けちまって、かける言葉も見あたらねえ」

 ギシギシと、上条当麻は拳を握る。

上条「ふざっけんじゃねえぞクソ野郎!!!!」

 起き上がった麦野沈利を、上条当麻は容赦なく殴り飛ばした。

麦野「がああああああ!!!!」

 麦野は『原子崩し(メルトダウナー)』を発現させる。
 狙ったのは上条ではない。
 石造りの床だ。
 自身の足元を打ち抜いて、麦野は階下に逃れる。

麦野「くそ! 何だアイツは!! あんなわけわかんない奴に『超電磁砲』までいちゃ、不利すぎる!!」

 一階下に降り立って、麦野は即座に自分が飛び込んできた穴を撃った。

上条「うお!!」

 階下を覗き込もうとした上条が慌てて顔を引っ込める。

麦野「ムカつくけどここは出直しだ。一旦退いて、『アイテム』の総力で叩き潰してやる」

 そう吐き捨てて、麦野沈利はビルを飛び出した。

上条「くっそ!!」

御坂「追わなくていいわ!!」

上条「だけど!!」

御坂「今はこの子を病院につれていくことが先でしょ!!」

上条「あ…」

 御坂の悲痛な言葉に、上条は握っていた拳を開いた。

御坂妹「ひどい状態ですが、幸い命に関わることはなさそうです。もちろん、即座に医師の治療を受ければ、の話ですが、とミサカは事実を述べます」

上条「急ごう。俺が背負う」

 上条の言葉に美琴と御坂妹は頷いた。

麦野「は、は、は…!」

 ビルの間を縫って駆けながら、麦野は後ろを振り返る。

麦野「追ってこない…?」

 麦野は十分に注意して追っ手がいないことを確認し、足を止めた。

麦野「いった…! くそ、あの野郎、女の顔を容赦なく殴りつけやがって」

 ブツブツと愚痴りながら、麦野は携帯電話を取り出す。
 同じ『アイテム』のメンバーに電話して、迎えを頼むつもりだった。

麦野「滝壷なら隠れててもすぐに私の居所をわかってくれるでしょ。走って帰るなんて冗談じゃないし」



 だが。

 電話は繋がらない。

麦野「なんで…?」

 麦野はその顔に焦りを浮かべて携帯電話を操作する。
 だが、ダメだ。

 誰にかけても、電話は繋がらない。
 救いの糸は、繋がってくれない。

 『何か』が携帯電話の電波を阻害している。
 その何かが、『原子崩し』の麦野沈利にも分からない。

麦野「何…? 何が……」


 ドン! 大地が揺れた。
 麦野沈利の目の前に、白い白い、どこまでも真っ白な学園都市第一位が降り立った。

麦野「アクセラ…レータ……」

 麦野は少年の名を呼んだ。
 一方通行であるはずの少年は、その声に応えない。

一方通行「あぎゃァはははハハはははははハハハははハははははハハハハはははは!!!!」

 一方通行の背中から、黒い翼が噴出した。

あわきんを思い出した

麦野「あ…あ…」

 麦野沈利はその場に膝を着いた。
 立ち並んでいたビルはあっという間に吹き飛び、あたりは荒野と化した。
 瓦礫の山の中で、麦野はただ呆然と目の前の『何か』を見上げている。

 麦野沈利は奪う側の人間だ。
 麦野沈利は自身の死を恐れない人間だ。
 たとえ自分を上回る圧倒的な力を前にしても、心の折れない強い人間だ。


 力ではない。
 もっと別の何か。


 それが、そんな麦野沈利の『心の在り方』そのものを押しつぶした。

※既に俺がむぎのんの下半身を回収するべく現場に待機してます

麦野「ごえん…なさい……」

 ぼろぼろと麦野の目から涙が零れる。
 ひっくひっくと嗚咽を漏らすその姿は、親に叱られて涙する少女のようで。

麦野「わたしが、ぐす、わるかったです、ひっく、だから、だから」

 温かい液体が、麦野のはくスカートに染み出した。

麦野「ゆるして…ゆるひてくらはい……!」

 涙で顔をぐしゃぐしゃにした麦野沈利を不思議そうな顔で見下ろす一方通行。
 しばらくそうして麦野沈利を見下ろしていた彼は。




一方通行「ぎゃは」

 とても無邪気に、とても醜く、笑った。

>温かい液体が、麦野のはくスカートに染み出した。

うおぉおぉぉぉおおおぉぉ!!!!!!!!

 黒い翼が吹き荒れる。
 辺りを荒野に変えて、なお飽き足らず、周囲の全てを塵と化す。
 麦野沈利は千切れ飛んだ。
 そう表現するしかなかった。

一方通行「ぎゃは、ぎゃはははははははは!!!!」

 その破壊の翼を振り回す一方通行は、ただただ笑う。
 何が面白いのかも分からず。
 自分が何をしたかったのかも分からず。

一方通行「ゼンブ…ゼンブゼンブゼンブぶっコワレっちまえよォ!!!!」

 やっと吐き出した人間の言葉は、そんな程度のものだった。

は、早く回収するんだお前ら!!!!

「ばっか野郎が……」

 そんな彼に、瓦礫の向こうからかけられる声がある。
 黒いツンツン頭の少年が、一方通行の元へと向かう。

 彼は怒っていた。
 噴出した黒い翼は、彼が居たビルをも吹き飛ばしていた。
 ビルに居た4人は皆無事だ。
 だがそれは、上条当麻が黒い翼を受け止めたからだ。
 御坂美琴が降ってくる瓦礫を逸らすことができたからだ。
 つまり、もし彼らがその場にいなかったら。


 ミサカと呼ばれた少女は死んでいたのだ。

 他ならぬ、一方通行の手によって。

なんだまた上条か

上条さん活躍しすぎっす

 上条当麻は、そのことが許せない。

上条「なに履き違えてんだよ。ふざけんな。全部ぶっ壊れろだと? ふざけんなよ馬鹿野郎」

 上条当麻は拳を握る。

上条「テメエは何でそう思った。テメエは一体何をぶっ壊したかったんだよ」

 一方通行は動きを止めて、キョトンと上条当麻を見つめている。

上条「『あいつ』を…『あいつら』を傷つける何かを壊したかったんだろッ!!!! それを、『あいつら』に向けてんじゃねえ!! 馬っ鹿野郎!!!!」

 上条当麻は駆け出す。
 一方通行は笑う。

上条「オマエにはあの時のことを謝ってなかったな。でももう謝るのはやめだ」

 振るわれた黒い翼を、上条当麻はその右手で受け止めた。

上条「代わりに、俺がオマエを止めてやる」

ぎゃふう すまん 休憩だ
おっせえ晩飯食ってくる

おっぱい見つかったぞー!

              .  -――‐- .
           ,. イ            `|
          / ,. -―ァ ¨ ̄/ ̄)`:|
          r' {//⌒) 7 + /⌒)+ ,|
          |  |:x/)  ん / __,∠:|
          |  |:/ 廴ムr :7l丁:「|ハ∧:|
         }  |:イ i ∧ レlハl斗z≦|
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          !    |_:l>、.ヽ_ヽ:ヽ.    /,.|
       |    {iう厂\\ヽ:ヽミ.///}
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       |  ./     ∧ ヽ(こ,|  |
       ,.| /      i  ヽ }、ヽj  {
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     /   ノ      l/ /.:.:.:ハ ノ
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    i /´ ̄ ´ /    ノ:.:.:/  __,.ィ|
    }' /  /     /:.:.:./  /  |
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もし本当にインデックスさんと心理定規お関係が崇拝と信仰レベルなら
心理定規死んだらインデックスさん発狂しそうだな

それでも俺はミサカの片腕を離さない

>>382
この世に無い物質を心の中にあやふやな状態で固定する能力

>>387

つまり
「幻想創り(イマジンメイカー)」

>>178
>>385
お前のあの時迅速に回収したのは尊敬に値する。
だからそれを俺によこせ

>>395
指しゃぶしゃぶぺろぺろ^^

そう言えば黒服の人達はやっぱり『ハウンド・わんわんお』の人達だったのか?

>>405
>『ハウンド・わんわんお』

なにそれすごく可愛いんですけど

紙に模様を描くだけの簡単なお仕事です

あれ?コピーしてたっけ?ステイルさんのルーンは

つうか何時まで飯食ってんだwww


・・・まさか!?

>>432
飯食って風呂も入ってるんだろ
そのうち帰ってくるさ

>>434
なるほど。ちょっと覗いて来るわ

>>434
何でお前俺の行動見抜いてんの?
こわいこわい再開します

一方通行「ぎゃは! ぎゃはは!!」

 黒い翼が上条当麻に襲い掛かる。
 だが、効かない。
 学園都市第二位の『未元物質』を粉砕し、学園都市第四位の心を押しつぶしたその翼も。
 上条当麻の『幻想殺し』を殺せない。

上条「があああああああああ!!!!」

 上条はその右手を迫りくる翼に叩きつける。
 翼は一瞬砕け、しかし即座に繋がり再生する。
 効いていないのはこちらも同じ。
 全ての『幻想』を打ち砕く『幻想殺し』が、一方通行の絶望を殺せない。

上条「認めねえ…!」

 一方通行の背中から噴き出す二枚の翼が螺旋を描き、絡み合う。
 ハンマーのように叩きつけられたソレと、上条当麻の右手がぶつかり合う。
 途方もないその威力。その質量。
 一瞬すら粉砕できない。『幻想殺し』と『黒い翼』が拮抗する。

上条「認めねえぞ…! お前の絶望は幻想だ、幻想のはずなんだ!! なら、俺の右手で殺せないはずがあるかぁーーー!!!!」

 ビリ、と上条当麻の右腕が裂けた。
 しかし裂け目からは血が噴き出さない。
 代わりに出てきたのは鱗。
 蛇のようにも見えたそれは、竜。
 まるでセミの脱皮のように、上条当麻の右腕を繭として生まれでたそれは『竜王の顎』。
 全ての幻想を食らい尽くす『ドラゴン・ストライク』。

上条「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

一方通行「がァァァァああああああああああああああ!!!!!!!!」

 『竜王の顎』が黒翼を食らう。
 『黒翼』が竜王を叩き伏せる。
 光の奔流が生まれた。
 目を開けていることさえ困難な光の中で、上条当麻と一方通行は互いから目を逸らさない。

 激突。爆裂。そして――静寂。


一方通行「ぎゃは」


 静寂を切り裂いたのは、壊れた絶望の笑みだった。

熱いねぇ

 上条当麻は崩れ落ちていた。
 右手から生まれた竜は既にその姿を消している。

一方通行「ぎゃは、ぎゃはは」

 ボロボロの翼を引き摺って、一方通行は歩き出す。
 どこに行くのかも決めないまま。
 どこに行っていいのかもわからないまま。

ミサカ「待ってください、とミサカはあなたを引き止めます」

 背後から聞こえてきた声に、一方通行はピタリと足を止めた。
 振り返る。
 片腕を失くしたミサカが、本当にぼろぼろになったミサカがそこにいる。
 見たくなかった。
 現実を突きつけられたくなかった。
 だから、一方通行はさっきまでのように翼を振るって、全てを消し去ろうとして。


 でも、ボロボロの翼はピクリとも動かなかった。

打ち止めのポジション食われたwwwww

ミサカ「ミサカは何も言いません。ありがとうも、ごめんなさいも、何も言いません」

 ミサカは一方通行に歩み寄る。
 恐れていない。
 この少女は、一方通行を欠片も恐れてはいない。

ミサカ「何故ならミサカは転んだだけだからです。ミサカの負ったこの傷は、全てあなたと関係ない所で出来た傷なのです」

 ミサカと一方通行の距離が無くなる。
 怯えたように下がろうとする一方通行の手を、ミサカは残った腕で優しく握り締めた。

ミサカ「ですが、たったひとつだけ言わせてください」

 ミサカは無くなった左腕をチラリと見て。
 それからにっこりと笑って言った。

ミサカ「お揃いですね、とミサカはあなたに微笑みかけます」

 どさ、と一方通行は背中に重みを感じた。
 視線を向ける。
 ぴょこん、と飛び出たアホ毛が揺れた。

打ち止め「やっと追いついた。もう、速過ぎだよってミサカはミサカは頬を膨らませてみる」

 打ち止めが、一方通行の首に後ろから抱きついている。

打ち止め「守ってくれてありがとう。もう大丈夫。みんな無事だよ、ってミサカはミサカはいい子いい子してみたり」

 打ち止めが一方通行の頭を撫でる。
 一方通行の瞳に光が戻る。



 ぺたん、という足音がした。
 光の戻った一方通行の視線の先で。
 白い修道服の少女が笑っている。

びびったwwwwインデックス登場シーンが普通にホラーだと思っちまったwwwwww


インデックス「お腹がすいたんだよ」

一方通行「そォか」



インデックス「ご飯くれると、うれしいな」

一方通行「…あァ……」



インデックス「だから、帰ろ! あくせられーた!!」

一方通行「…おォ」




一方通行「帰るか。俺達の部屋に」

 一方通行の言葉に、三人の少女は嬉しそうに頷いた。

正ヒロインは10020号、これ豆知識な

ていとくんは結局冷蔵庫いきだったなぁ

 窓の無いビルで、『人間』アレイスターは笑っている。
 彼がこんな風にはっきりとわかる表情を作るのはとても珍しいことだ。

アレイスター「まさか『一方通行』のみならず、『幻想殺し』まで覚醒するとは。これで236のステップを短縮できる」

??「しかし、良かったのですか? 『第二位』と『第四位』の損失は笑って見過ごせるものでは……」

 アレイスターに報告を告げる男は、苦虫を噛み潰した顔になる。
 しかしアレイスターはあくまで飄々としていた。

アレイスター「なに、彼らの脳は回収できたんだろう?」

??「それはまあ、なんとか」

アレイスター「なら問題はあるまい。重要なのはあくまで『未元物質』であり『原子崩し』だ。その入れ物が『垣根帝督』である必要も、『麦野沈利』である必要もあるまい?」

 男は背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。
 闇の世界に身を置いて久しいこの男でも、目の前の『人間』も底は見えない。

アレイスター「楽しくなってきた。なあ、君もそう思うだろう?」

冷蔵庫二台お持ちしましたー

 インデックスが目を覚ましたのは、病院だった。
 学園都市第二位の『未元物質』の直撃を受けていた彼女は、やはり誰よりもダメージを受けていて、『あの後』すぐに気を失ってしまったのだ。

インデックス「ここは…」

打ち止め「よかった、目が覚めた! ってミサカはミサカはほっと一息ついてみる!!」

ミサカ「ここは病院ですよ、とミサカはあなたの疑問に親切に答えてやります」

 インデックスは辺りを見回す。
 そこにいたのは、打ち止めとミサカだけではなかった。
 黒いツンツン頭の少年も、ビリビリ電気を飛ばす短髪も、ミサカそっくりの『御坂妹』も心配そうにインデックスを覗き込んでいる。


 でも、そこには彼がいなかった。

インデックス「あくせられーたは? あくせられーたは、どこ?」

 誰も何も答えない。
 打ち止めがぐすぐすと泣き出した。

インデックス「うそ…」

>上条「オマエにはあの時のことを謝ってなかったな。でももう謝るのはやめだ」(キリッ
>上条「代わりに、俺がオマエを止めてやる」(キリッ

とめられなかったんだからとっとと謝れよな上条さん

鬱展開は最後にカタルシスが無いと単なるクソだってばっちゃんが言ってた

ミサカ「ミサカ達を病院に運んでから、あの人は姿を消しました。学園都市内に残る『妹達』を総動員して行方を追っていますが、まだ……」

インデックス「うそ!!!!」

 インデックスは叫ぶ。
 打ち止めは泣き崩れる。
 ミサカは唇をかみ締める。

 けれどもそれは、もう彼には届かない。
 彼女達がどれほど叫んでも、どれ程彼の名を呼んでも。

 闇の底に消えた彼には―――もう届かない。

インデックス「うそだあぁぁあああああああ!!!!!」





 つまりはそれが、一方通行の結論だった。

一方さん・・・(´;ω;`)

 ――エピローグ。


 あれから三日が経った。
 あれだけの大事件の後でもいつもと変わらぬ街の喧騒の中を、上条当麻は歩く。

上条「結構派手にやってたはずなのに、ニュースにもならない、か。やっぱり狂ってるな、この街は」

 上条は歩く。
 既に日は沈み、夜の帳が下りる時間。
 上条当麻は部屋に戻ろうともせずぶらぶらと歩いている。

 夜の闇の中を、上条当麻は歩く。
 既に街の喧騒を抜け、辺りはひっそりと静まり返っている。
 街の明かりすら届かぬそこは、三日前に荒野と化したあの場所だった。

上条「…やっぱ、結構な惨事だよな。俺よく生きてたな」

 上条はしばらくそのまま立ち尽くしていた。
 別に、暇なわけではない。
 上条は暇だからといってこんな所を散歩する趣味を持ち合わせてはいない。
 彼は人を待っていた。

「よォ」

 かけられた声に振り向く。
 闇の中に、真っ白な少年が立っていた。

!!!

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

上条「人を呼びつけておいて、待たすなよ」

一方通行「ハ、チンケなことでぐじぐじ言ってンじゃねェよ」

上条「で、一体何の用だよ。こんなところまで人を呼んで」

一方通行「わかってンだろォが」

 一方通行は吐き捨てるように言った。

一方通行「アイツ等のことだよ」

 一方通行をじっと見据える上条の目は冷たい。

上条「一応考えてはいたんだな、あの子達のこと」

一方通行「偽善丸出しのテメエなら頷いてくれンだろ。アイツらのコトよろしく頼むわ」

上条「はあ?」

>>585
きっと生活費は一方通行さんが黙って100万円くらい振り込んでくれるさ

上条「おい、ふざけんなよ」

一方通行「ふざけちゃいねェよ。テメエはどうせあンな弱者見てっと放っておけねェクチだろが」

上条「その口を閉じろコラァ!!」

 上条は一方通行に掴みかかる。
 しかし一方通行の『左手』はあっさり上条を叩き伏せ、地面に押し付けた。

一方通行「頼むわ」

上条「く…そ…!! お前!! あの子達がお前が消えた後どんな顔してたか知らねえのかよ!!」

一方通行「知らねェよ。見てねェからな」

上条「あの子達は今でもお前の部屋でお前を待ってるんだ! いつ帰って来てもいいように、なるべく外にも出ないで、ずっと待ってんだぞ!!」

 一方通行が押し黙る。
 上条の荒い息だけが聞こえている。

一方通行「…ソイツは不健康なこった。オマエがウォーキングでも連れてってやったらどォだ?」

上条「…!! てめぇぇぇええええええ!!!!」

 上条は一方通行の左手を振り払い、立ち上がった。

>>586
一方通行「任せるわ」
俺「任せておけ」キリッ

もうみんなで住んじゃえよ

>>602
メインヒロインはインデックスさんだ。間違えるな。

一方通行「不健康ですむなら安ィモンだろが」

上条「なんだとぉ…!!」

一方通行「俺の周りにいちゃ命が無くなっちまうからな」

 一方通行は自嘲する様に呟いた。

一方通行「今回の件ではっきり分かった。よォやく自覚した。一万人殺して、大したクソだと思ってたがそンなモンじゃねェ」

 一方通行は笑いながら続ける。

一方通行「『一方通行(オレ)』が抱える闇は深すぎる。何しろ自分で底が見えてねェンだからな」

一方通行「戦場の中で、どっから敵が撃ってくンのかもわっかンねェのに、俺はボーっと突っ立ってるしかねェのさ」

 上条は、じっと一方通行の言葉を聞いている。
 彼は今、初めて自分の本心を誰かに明かしているのだ。

>>604
ねーよ

一方通行「それでもよォ…俺一人ならイインだわ。どっから弾が飛ンでこようが、俺の能力なら全部弾き返せる」

一方通行「でも、誰かが周りにいちゃダメだ。ソイツらは絶対に巻き込まれちまうンだよ」

一方通行「だから俺の周りには誰も居ちゃいけねェ。俺は誰もいない闇に潜るしかねェのさ」

 そこまで喋りきってから、一方通行は息をつく。
 一息ついたというよりは、ため息に近かった。

一方通行「なァヒーロー、教えてくれよ」

 一方通行は笑っていた。
 でも、もしかしたら彼は、泣き方を知らないだけなのかも知れなかった。
 それくらい、今の彼は弱々しかった。

一方通行「俺は何か間違ってンのかよ?」

 一方通行の言葉を全て受け止めて。
 それでも、上条当麻は強い眼差しで一方通行を射抜く。

上条「ああ、間違ってるね」

 上条当麻は、はっきりとそう言い切った。

なんで黒い翼には厨二名がついてないの?

 その言葉に一方通行は激昂した。
 『左手』が唸る。上条当麻を殴りつける。
 それでも上条はすぐに立ち上がってみせた。

上条「でも、出会っちまったんだろ?」

 上条は右手を握り締める。

上条「そうやって自分の人生を犠牲にしても守りたい奴らに、お前は出会っちまったんだ」

 駆け出す。その拳を一方通行に叩きつける。
 彼に取り付く『幻想』を打ち砕くために。

上条「なら…途中で放り出してんじゃねえよ!! 『最強』なんだろうがお前は!!!!」

一方通行「買いかぶってンじゃねェェェええええええええ!!!!」

 一方通行の『左手』が拳を握る。

一方通行「テメエの記憶力はサル以下か!? 結果はもォ出ちまってンだよ!!」

 一方通行は上条当麻に握った拳を叩きつける。

一方通行「五体満足で救えたのはクソうるせェマセガキだけだ!! 物好きなアホガキは片腕を失くした!! 飯を食うしか頭にねェバカガキはもう少しで死ぬトコだった!!」

 一方通行の感情が爆発する。

一方通行「俺の手じゃ届かねェンだよォォォォおおおおおおお!!!!!!」

まあ一方通行は裏主人公だからな
それを入れ替えるとどうなるか、って思考実験としては非情に興味深い

>>627
http://n884.dotera.net/h1/riku1.gif

 一方通行の『左手』を受けて、しかし上条当麻は倒れない。
 もう、膝をつきもしない。

上条「足りねえ分は、俺が補う」

一方通行「…なにィ?」

上条「今度は俺も最初から居る。何の能もねぇLEVEL0だけど、壁になることくらいは出来る!! だから!!!!」

 上条は拳を握る。
 今までよりも強く、強く。
 その顔に、力強い笑みを浮かべて。

上条「あの子達を捨てんな!! 一方通行(アクセラレータ)!!!!」

 渾身の『幻想殺し』を一方通行に叩き付けた。

しらねえよ

もうちょっとで終わるだろうと思って眠気を我慢してたら一時間たってしまった
できれば明日まで落ちてないように。

 一方通行は数歩後ずさる。
 一方通行と上条の間に、少しの距離が生まれる。

一方通行「ハ、クハハ……」

上条「へ…へへへ…」

一方通行「ぎゃっはっは!! 笑わせンなよ!! テメエのペラッペラの善意なンざクソの役にも立ちゃしねェよ!!」

上条「おいおい、俺にあの子達を任せようとしたのはお前じゃねえかよ」

一方通行「そりゃ陽だまりの世界での話だ。『コッチ』にくりゃァテメエなンぞ瞬殺だよ」

 一方通行はケタケタ笑う。それはもう、いつもの彼の笑い方だった。
 一方通行の赤い瞳に力が戻る。

上条「なら、試してみるか?」

一方通行「図に乗ンな」

 不敵に笑いながら、一方通行は思う。

 まいった。確かにこの馬鹿の善意を当てにしていたことは認めるが――

 ――ここまで底無しだとは思わなかった。

上条「確かめてみろ!! 最強ぉぉぉぉおおおお!!!!」

一方通行「思い知らせてやるぜ、三下ァァあああ!!!!」

 上条当麻の右手から『竜王の顎(ドラゴン・ストライク)』が発現する。
 一方通行の背中から『黒い翼』が噴出する。

上条「おあああああああああああああああ!!!!!!」

一方通行「るあああああああああああああ!!!!!!!」

 噛み砕き、薙ぎ払い、食い破り、締め付ける。
 『竜王の顎』が『黒翼』を食いちぎる。
 『黒翼』が『竜王の顎』を寸断する。

 霧となり散る二つの力。
 残ったのは生身の体二つのみ。

一方通行「おらァ!!!!」

 『左手』に残った全ての力を込めて、一方通行は上条を殴りつける。
 上条当麻は倒れない。

上条「こんな時くらい、自分の拳で来い馬鹿野郎!!!!」

 一方通行は、盛大に吹き飛んで、地面に仰向けに転がった。

 仰向けに転がったまま、一方通行はしばらくぼぅっと空を眺めていた。

上条「目は覚めたかよ」

 上条の言葉を受けて、一方通行は体を起こす。
 指で奥歯を触る。どうやらまだついているようだ。

一方通行「おォ、テメエの『目覚まし』も中々効くなァ」

上条「人の本気の拳を『目覚まし』扱いされちゃ、流石の上条さんもちょっと自信喪失ですよ」

一方通行「褒めてンだぜ、素直にな」

 そうだ。効いた。完全に目が覚めた。


 何を目ぼけていたンだろうな俺は。
 世界の隅っこで子ウサギみてェにガタガタ震えンのは俺の役割か?
 そうじゃねえ。

一方通行「それは俺を敵に回した馬鹿の役割だろォが」

上条「調子出てきたな、最強」

一方通行「他人事みてェに笑ってンな。吐いた唾は飲めねェぞ三下ァ」

上条「望むところだよ」

 顔を見合わせて、二人は笑う。
 共に並んで、歩みだす。


 ――さあ、覚悟しろ愚者共よ。

 全ての悪夢を跳ね返す『最強』と。
 全ての悪夢を打ち砕く『最弱』を。

 お前たちは敵に回したのだ。




 ここで、ここまで彼らの物語を追ってきた諸君らに詫びよう。

 これは語り部のミスだ。



 『エピローグ』などとんでもない。

 これからが始まりだ。これからこそが始まりなのだ。


 ヒーローによる逆転劇の。

 悪党による殺戮ショーの。


 ―――開幕だ!!!!




続編フラグktkr



 目の前に広がる摩天楼を不敵に睨みつけて、一方通行は右手を伸ばす。
 そのビル群を握りつぶすように、拳を握る。

一方通行「潰すぜ、『学園都市』」

 そう宣言して、学園都市最強のLEVEL5は笑った。

ゾクリとキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

○ホントのホントにエピローグ

上条「いやー、なんかばっちり決めちゃったとこ悪いんだけど」

一方通行「あン?」

上条「一方通行さんは、まずはごめんなさいしなきゃいけないんだよね」

一方通行「何ニヤニヤしてン…だ…」

 一方通行は気付く。ニヤニヤ笑う上条当麻の手には携帯電話が握られている。

一方通行「待てテメエコラどこに電話かけやがった」

上条「言わなくてもわかると上条さんは思うのですが?」

一方通行「ざけンな勝手な真似すンな俺は消えっかンな!?」

上条「先手必勝!!」

 上条の右手からまた『竜王の顎』が現れた。
 心なしか若干げんなり顔の竜王は、一方通行の体をぐるぐると優しく締め付ける。

上条「能力使えないだろ? 大人しく待っとけって」

一方通行「ざけンな!! 離せ!! 離せェェェええええ!! テメエ、ヒーローのすることじゃねェぞこりゃァ!!」

上条「いや、っていうかヒーローってお前が勝手に言ってるだけじゃん? 上条さんは知りませぬ」

一方通行「ちくしょォォォおおおおお!!!!」


 ――やがて。

 三人の少女がそこに現れた。


 一方通行の姿を認めると、三人はいっせいに駆け出して。

 3つの影と、一方通行の影が重なった。


 

 んで。
 ガリっといい音がして。
 一方通行の叫びが夜空に響くのだった。


                ―おしまい―

よっしゃ 何とか終わった
最初に書いてるけどこのネタで書くのはこれが最後さ 続編はありませぬ
だって原作であれいすたんがどんな思惑で動いてるのかまだはっきりしてないからこっから書きようないもん
しかし禁書でSS初めて書いてみたけど いいわー
一方さんいいわー すごい書きやすい 書いてて楽しい
インデックスは書けば書くだけ好きになる不思議なキャラだった
お前らマジで名前呼んでやれな

そして麦のん死亡後の流れをみて ああ日本はマジで終わったのかも知れないなって思った

     *      *
  *     +  うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *

おつ!
噛まれたよwwwwwwww

乙!!!!!!!!!!!!!!!

スクリプト爆撃来なくて本当よかった…

麦のん回収パーツ
・髪
・おっぱい
・下着
・舌
・頭
・指
・染み付きスカート
・ケツ肉
・黄金水
驚いた事は子宮を回収した奴がいないと言う事日本はまたまだ大丈夫だ

>>757
ムハー
頭と乳はもらったんだが
まだ余ってるようだし内臓器官の一部をもらっていくわ、どこかは聞くな

まだ風斬登場してないし、魔術側には全く手をつけてないし
ぶっちゃけまだまだイケるな

>>768の鬼畜っぷりに全俺が泣いたwww

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